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1978-03-07 第84回国会 衆議院 大蔵委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年三月七日(火曜日)     午前十時二分開議  出席委員    委員長 大村 襄治君    理事 小泉純一郎君 理事 野田  毅君    理事 保岡 興治君 理事 綿貫 民輔君    理事 佐藤 観樹君 理事 塚田 庄平君    理事 坂口  力君 理事 永末 英一君       愛知 和男君    池田 行彦君       小渕 恵三君    大石 千八君       後藤田正晴君    佐野 嘉吉君       坂本三十次君    林  大幹君       原田  憲君    本名  武君       村上 茂利君    山崎武三郎君       伊藤  茂君    池端 清一君       大島  弘君    川口 大助君       沢田  広君    貝沼 次郎君       宮地 正介君    高橋 高望君       荒木  宏君    永原  稔君  出席政府委員         大蔵政務次官  稲村 利幸君         大蔵大臣官房長 佐上 武弘君         大蔵大臣官房審         議官      米里  恕君  委員外出席者         参  考  人         (株式会社小松         製作所社長)  河合 良一君         参  考  人         (トヨタ自動車         工業株式会社社         長)      豊田 英二君         参  考  人         (東京電力株式         会社社長)  長島 忠雄君         参  考  人         (清水建設株式         会社社長)  牧野津夫君         参  考  人         (東京芝浦電気         株式会社取締役         (経理本部         長))     山田 雄一君         大蔵委員会調査         室長      葉林 勇樹君     ————————————— 委員の異動 三月四日  辞任         補欠選任   広沢 直樹君     貝沼 次郎君 同月七日  辞任         補欠選任   小平  忠君     高橋 高望君     ————————————— 三月六日  農林省農業技術研究所跡地利用に関する請願  (松本忠助君外一名紹介)(第一六三四号)  同(不破哲三紹介)(第一七二九号)  同(山田耻目君紹介)(第一七三〇号)  石油税新設に関する請願佐藤隆紹介)(第  一六四三号)  同(田中伊三次君紹介)(第一六四四号)  同(松澤雄藏紹介)(第一六四五号)  同(越智伊平紹介)(第一六七〇号)  同(中曽根康弘紹介)(第一六七一号)  同(西銘順治紹介)(第一六七二号)  同(愛野興一郎紹介)(第一七二三号)  同(稻村左近四郎君紹介)(第一七二四号)  同(齋藤邦吉紹介)(第一七二五号)  同(始関伊平紹介)(第一七二六号)  同(石川要三紹介)(第一七六二号)  同(河野洋平紹介)(第一七六三号)  同(田川誠一紹介)(第一七六四号)  同(田澤吉郎紹介)(第一七六五号)  同(戸井田三郎紹介)(第一七六六号)  同(渡海元三郎紹介)(第一七六七号)  同(永田亮一紹介)(第一七六八号)  同(水平豊彦紹介)(第一七六九号)  同(森喜朗紹介)(第一七七〇号)  同(依田実紹介)(第一七七一号)  同(綿貫民輔紹介)(第一七七二号)  不公平税制是正等に関する請願外一件(川本  敏美君紹介)(第一六四六号)  同外一件(田畑政一郎紹介)(第一六四七  号)  同(土井たか子紹介)(第一六四八号)  同(山田芳治紹介)(第一六四九号)  同(大原亨紹介)(第一六七三号)  同(浦井洋紹介)(第一七二七号)  同(久保等紹介)(第一七二八号)  不公平税制是正及び一般消費税新設反対に関  する請願加藤万吉紹介)(第一七七三号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  国の会計税制及び金融に関する件(設備投資  の動向)      ————◇—————
  2. 大村襄治

    大村委員長 これより会議を開きます。  国の会計税制及び金融に関する件について調査を進めます。  本日は、特に、設備投資動向について参考人から意見を聴取することといたしております。  本日御出席いただきました参考人は、株式会社小松製作所社長河合良一君、トヨタ自動車工業株式会社社長豊田英二君、東京電力株式会社社長長島忠雄君、清水建設株式会社社長牧野津夫君及び東京芝浦電気株式会社取締役山田雄一君の各位であります。  この際、参考人各位に一言申し上げます。  参考人各位には、御多用のところ御出席をいただき、まことにありがとうございます。  本日は、最近の経済情勢下における各社の設備投資状況及び動向等について、各位の忌憚のない御意見を承りたいと存じます。なお、それぞれの業界設備投資等諸般の事情についてもあわせて御意見を承ることができますれば幸いに存じます。何とぞよろしくお願い申し上げます。  なお、御意見十分程度にお取りまとめをいただき、その後、委員からの質疑にお答え願うことにいたしたいと存じます。  それでは、まず最初に、河合参考人からお願いいたします。
  3. 河合良一

    河合参考人 それでは、当社設備投資概況並びに今後の見通し等について申し上げたいと存じます。  最初設備投資に先立ちまして、当社概要について簡単に申し上げたいと存じます。  当社は、建設機械中心といたしまして、その他の製造販売をいたしておりますが、建設機械生産販売の九〇%以上を占めております。また、会社規模といたしましては、昨年の売り上げが一年間で三千五百億強程度でございます。それから、特徴といたしましては、輸出比率が四七、八%、ときには五〇%を超えることもございますが、四七、八%。従業員は、大体ただいま一万七千五百名くらい、在籍人員がそのくらいになっております。  それで、当社のいままでの概要につきましては、昭和三十年代の後半から昭和四十年代前半にかけて、いわゆる高度成長時代に非常に設備投資を活発に行いまして、生産販売がふえてきたわけでございますが、昭和四十八年におきまして、国内建設機械売り上げがピークに達した次第でございます。その金額は、国内で約二千二百億くらいになりまして、これが総生産販売の八〇%で、あと二〇%くらいが輸出があったわけでございます。  ところが、昭和四十八年後半のいわゆるオイルショックと、これに続きます長期景気停滞の中で、国内需要が非常に停滞いたしまして、反面、海外への輸出が幸い非常にふえたという状況になっております。どのくらい国内需要が減ったかと申しますと、昭和四十八年の上期を一〇〇といたしますと、昭和四十九年の上は五六、五十年の上が五二、五十一年の上が五〇、五十二年の上が五一という状況でございまして、国内販売が約半減いたしたわけでございます。ただ、いま申しました数は金額でございませんので、機械の重量で換算いたしましたので、むしろ実質価格というふうにお受け取りいただけば幸いかと存じます。したがいまして、いままで全体の売り上げの八〇%を占めておりました国内売り上げがほぼ半減いたしまして、これにかわりまして、従来二〇%程度であった海外向けが、昭和四十九年ごろからだんだんふえまして、ただいま五〇%弱になっておるという現況でございます。  それで、最近の特徴といたしましては、昨年末七%成長が云々されたころを契機といたしまして、多少需要変化が出てまいりまして、昨年の暮れは、数量の増まではまいりませんが、従来中型、小型の建設機械が主でございましたが、昨年末から大型がわりあいに出てきたというのが顕著な変化でございます。それから、ことしになりましてからは、同様の大型建設機械が出るという傾向は去年と同じでございますが、この建設機械の中で、御承知と思いますが、よく道路で工事しておりますパワーショベルがございます。このパワーショベルが急増いたしまして、昨年の一、二月に比べまして、ことしの一、二月は約六〇%強の増加になっております。ただ、パワーショベルが非常に伸びた反面、ほかの建設機械は大体去年の暮れと同じような数量推移しておりまして、パワーショベルだけが急激な増加を来しておるというのが特徴でございます。  ちなみに、この建設機械は、日本の生産販売はただいま大体年間七千億円、このうち二千億円が輸出で、五千億円が国内販売になっております。その五千億円の国内販売のうち、パワーショベルが約三〇%ぐらいを占めております。千五百億円くらいを占めておりまして、この部面が非常に増加しておるというのが特徴でございます。  当社設備投資概況でございますが、これは国内に対する設備投資でございますが、昭和四十七年が百十億程度オイルショックのありました四十八年が百三十七億、四十九年が二百二十九億、五十年が二百一億、五十一年が百七十九億、五十二年が百五十八億、五十三年の予定は一応百三十億程度ただいま予定しております。  それで、この中の特徴といたしましては、工場設備に対する投資比率がだんだん減ってまいりまして、試験研究投資であるとかあるいは販売施設投資であるとかというものが相対的にふえております。工場内の投資といたしましては、公害安全関係ウエートがだんだん高くなり、また同時に、品質向上であるとか合理化あるいは省力化合理化投資が非常にふえておりまして、いわゆる設備拡大増産投資はほとんど最小限に抑えておる。ただいまショベルが非常に急激な販売増になっておりますが、これに対しましては、従来のほかの機械を転用いたしまして、あるいは多少改造してこれに対処しておるという状況で、そのための新しい設備の拡充ということはいたしておりません。昭和四十八年はオイルショックでございますが、当社は四十九年、五十年が設備投資の絶対額が伸びておりますが、これは輸出大型建設機械が非常に出ますもので、その生産に対処するための設備投資が主でございます。海外に対しても投資いたしましたけれども、これが十分実らないうちに昭和五十一年の下期ごろから海外需要も多少停滞いたしております。  ただいま申し上げたのは国内向け投資でございますが、同時に、中南米その他におきまして海外生産設備をつくるための投資を、ここ数年間で百二、三十億の設備投資を別途いたしております。これは大部分が国内で製造した機械現地に持っていくということでございまして、五十三年の予定まで入れましてここ六年間の設備投資は、国内が大体千五十億円ぐらい、海外が百三十億円ぐらい、合計千百数十億の金額になっております。  以上が設備投資概要でございますが、今後の設備投資当社考え方といたしましては、ただいま設備が過剰の状況でございますので、まず、過剰になっている設備集約化とその活用を推進する、二が、公害設備投資環境改善安全確保のための投資社会的なニーズに沿って優先的に実施したい、いまこれが生産関係設備投資の大体二〇%以上を占めております。  投資額につきましては、減価償却範囲内ということを一応のめどにいたしておりますけれども、実際上減価償却範囲内ではおさまらないで、五十三年度あたりは減価償却プラス二、三〇%ということになろうかと思っております。これが高度成長期には減価償却額の二倍ないし三倍の設備投資実施いたしました。海外投資につきましては、これと別個に、現地国産化ニーズだとかあるいは現地で一部国産化というニーズに沿って、必要に応じてやっていきたいというふうに考えております。  ただいま設備が過剰ということを申しましたが、この点について一言申し上げますと、当社は鋳鋼と機械とございますが、ただいま設備に対して平均して大体八四、五%稼働しておる。設備稼働率の推定は非常に困難でございますが、二直定時を一〇〇として考えますと大体八四、五%の稼働率かと思います。一般のわれわれの所属しております産業機械工業会設備稼働率は八〇%を下回っておるのではないかというふうに考えております。それで、一部の設備遊休化に従いまして人員配置転換その他を行っておりますので、ただいま八五%程度稼働率でございますが、従業員は多少の残業をしながら稼働させておる。ですから、もし一〇〇%設備をフル稼働するということになれば、多少の追加人員が必要であるということになろうかと思っております。  以上のような状況でございますので、ただいまといたしましては、当社設備投資に対して消極的と申しますか、昭和四十年代の中期の設備投資額に戻った状況でございます。  では、今後設備投資はしないのかと申しますと、やはり公害関係であるとかあるいは合理化関係品質向上関係その他販売関係等で相当な設備投資余裕があればいたしたいという考えを持っております。余裕があればと申すことは、結局企業収益率に関連するわけでございますが、景気見通しが非常に不安定な状況において、ただいま五十三年については非常に低目の設備投資額予定いたしまして、今後の状況によってまた適当に対処したいと考えております。  最後に、少し希望を申し上げますと、需給ギャップを埋めるために、需要喚起のために、長期的な投資計画に基づく大型プロジェクトあるいは後進国開発援助等規模なことをお考えいただきたい。  それから、投資減税拡大実施お願いしたい。ただいま投資促進税制政府案を御審議中のこととも思いますが、これは単年度限りになっておるようでございますが、範囲拡大期間延長等がこういった際には絶対に必要ではないかということで、お願い申し上げる次第でございます。  次に、設備投資の場合には、企業収益あるいは景気見通し等と関連いたしまして金利水準ということが非常に重要でございまして、一般には公定歩合に関連する短期金利の問題が取り上げられることが非常に多くて、長期金利の問題は比較的取り上げられておらないような感じがいたしますが、短期金利の引き下げも当然必要と存じますが、これと同様長期金利につきましても十分な御配慮をいただきたい。短期金利長期金利の差が従来に比べて非常に乖離しておるという、多少われわれといたしましては不自然な現象が起こっているのではないかというふうに感じております。  それから、この対策最後に申し上げたいことは円の問題でございます。ここ一日、二日も大分円高で不安定な状況でございますが、われわれ輸出依存度の大きい企業といたしましては、円の推移は非常に関心事でございまして、円が高くなるか安くなるかで一憂一喜しておる状況でございまして、こういった状況が安定しない限り、やはり腰のすわった企業投資はできないというようなふうに感じております。  最後に、景気見通しについて申し上げますと、比較的低位の経済状況におきまして、去年二二%の円高ということでございますが、これは、去年のうちは先物契約であるとか円建て契約であるとか為替の先の予約だとかいろいろなことで逃げてきて、円高影響が潜在化して顕在化しない状況でありますけれども、ことしの二、三月、四、五月にかけまして、この円高の実際の企業に対する影響というものが必ず顕在化してこざるを得ない、これがわれわれの非常に不安な要素でございますが、と同時に、政府財政支出のおかげによりまして、景気が多少、公共事業の出口からだんだん経済一般に浸透しつつある。これがいつごろになって浸透していくか、あるいはその円高影響その他がいつごろ顕在化してくるかというようなことが、一つの綱引きみたいなかね合いになって、徐々に景気が明るくなっていくことを期待しておるわけでございますが、ここら辺、やはり四、五月ごろ非常に不安定なムードが出てまいると思いますので、円高その他、やはりこれに対する対策をひとつぜひお願いいたしたい。そうして安定した状況になっていけば、企業としては当然設備拡大増産設備投資というよりも安全対策品質向上、それから省力化省エネルギー化等合理化投資が当然起こってくるのではないかというふうに考えております。  簡単でございますが、以上で終わります。
  4. 大村襄治

    大村委員長 次に、笠田参考人お願いいたします。
  5. 豊田英二

    豊田参考人 トヨタ自動車工業株式会社社長豊田英二でございます。  大蔵委員会の諸先生におかれましては、平素より自動車産業に関しまして高いお立場から格別の御指導、御高配を賜りまして、厚く御礼を申し上げます。また、本日はこの委員会出席させていただき、お話し申し上げる機会を得ましたことをまことに光栄に存じております。  私どもは、創業以来、日本人の頭と腕で自動車産業の確立をという考えに立ちまして、自動車を通して豊かな社会づくりを目指してまいりました。これまでの間には幾多の苦難はございましたが、昨年秋創業四十周年を迎えることができました。これもひとえに先生方を初め関係の皆様の御支援のたまものと、深く感謝いたしておる次第でございます。この四十周年を一つの節といたしまして、さらに、愛される車づくりを目指し、調和ある豊かな社会づくりのために今後とも全力を傾注してまいる所存でございます。  さて、本日は、設備投資につきまして私ども考え方を簡単に御説明させていただきます。  本題に入ります前に、自動車産業現状につきまして、まず若干申し述べさせていただきたいと存じます。  昨年のわが国自動車業界全体の生産台数は八百五十万台でございました。そのうち、国内販売につきましては、相変わらずの景気低迷によりまして、一昨年と同水準の四百二十万台にとどまっております。これは、石油ショック前の四十八年に比較いたしますと一五%減という低い水準でございました。また、輸出は四百三十万台となり、一昨年に比べまして一七%増と、比較的順調に推移をいたしました。この輸出に支えられました形で、業界全体といたしましては、まずまずの実績を残すことができたわけでございます。  本年の見通しにつきましては、結論から申し上げますと決して明るいものではございません。国内販売につきましては、景気低迷が続いておりますので、私どもも一日も早く政府の積極的な景気刺激策の効果があらわれてまいるのを期待いたしておるという状況でございます。また、輸出につきましては、御高承のとおり、円高、欧米との貿易問題、米国自動車メーカーの小型車への本格的な進出など、その環境にはいままでにない厳しい状況がございます。このため、本年の輸出は昨年の水準を維持できれば上々といったところでございます。  このような状況の中での当社の本年の生産販売予想でございますが、国内販売は、年後半の景気回復を期待いたしまして、前年比九・七%増の百四十三万台、輸出は昨年並みの百四十三万台を目標といたしております。しかしながら、本年  一、二月の国内販売状況を見ますと、市場の冷え込みは予想以上に厳しく、私ども計画達成はなかなかむずかしくなっているというのが現状でございます。  さて、このような状況を踏まえまして、当社の本年の設備投資計画は、一−十二月で千五百億円と、昨年の実績を一一%上回っております。この数字は、政府の御指導もありまして、思い切って計画したものでございます。もちろん昨今の企業経営は厳しい環境の中にありますので、その実施に当たりましては慎重な検討と果敢な決断が必要でございます。  また、御高承のこととは存じますが、一口に設備投資と申しましても、生産能力増強に限られたものだけではございません。社会要請に基づく設備投資、すなわち安全、排出ガス対策、省資源省エネルギーのためのものや、製品の品質向上や先行的な技術開発のためのものがございます。また、合理化老朽設備の更新、働きやすい職場づくりのためのもの、そしてさらに従業員福利厚生施設などに投資されるものでございます。  当社の最近の設備投資傾向を見てみますと、石油ショック以降は大きく変化いたしております。四十八年以前は、高い需要の伸びに支えられまして、増産のための設備投資が大きなウエートを占めておりました。しかしながらそれ以降は、社会要請にこたえて、安全、排出ガス対策公害防止福利厚生などの投資がその比率を年々伸ばしていくという状況にございます。  最近は、景気低迷の中にありまして、民間設備投資意欲がいま一つわき上がってこないとか一巡してしまったとか言われております。しかし、当社といたしましては、前に申し上げました設備投資考え方に沿いまして、目先にこだわらず将来のことを十分に考慮して、内容については多少の変動はございますものの、全体といたしましては私どもの責任の負える範囲で積極的な投資実施してまいったつもりでございます。  ちなみに当社の最近五年間の設備投資実績を申し上げますと、四十八年には八百四十億円、四十九年には千四百億円、五十年には七百五十億円、五十一年には八百五十億円、五十二年には千三百五十億円となっております。このうち特に四十九年は、排出ガス対策等に集中的な投資を行いました結果、一時的に千四百億円という大きな数字になっております。  本年は、前にも述べましたとおり、千五百億円と昨年の実績を上回る高い水準予定しております。内訳といたしましては、不安定な販売環境の中にありますので、生産能力増強のための投資は引き続き慎重にならざるを得ません。しかし、社会要請におこたえして、省資源省エネルギーを一層進めるための研究開発、及び緑化を初めとする工場環境改善対策などが中心になっております。このような時期ではございますが、積極的に取り組んでまいる所存でございます。  最後に、貴重な機会をいただきましたので、特に景気振興につきまして私どもお願いを述べさせていただきたいと思います。  国会及び政府におかれましては、国内外の期待にこたえるため五十三年度七%の経済成長を目指し、そのための政策を精力的に御審議しておられますことに深く感謝申し上げます。  景気は少しずつ明るさを見せ始めていますものの、まだまだその回復の足取りは遅いと言わざるを得ません。景気動向に対しましては、国民の心理的作用が相当に影響を及ぼすものでありますので、さらに積極的かつ継続的な景気刺激策お願い申し上げます。  なお、具体的に申し上げますと、まず第一に、政府大型公共投資につきましては、その計画の速やかな実施お願いいたします。第二に、本委員会で御審議いただいております投資促進税制につきましては、その対象範囲拡大及び期間延長などをお願いいたします。また、自動車産業はすそ野の広い産業でございますので、関連中小企業のためにもぜひ実現していただきたいと存じます。  先ほど景気動向につきましては心理的な要素が強いと申し上げましたが、民間企業が安心して設備投資を行える環境をつくり出していただくことが必要と考えます。もちろん、私ども企業に携わる者といたしましては、政府のお力にのみ期待するのではなく、みずから最大限の努力をいたしまして、国の目標として掲げられております七%の成長達成にはできる限りの御協力をしてまいる所存でございます。  以上、私ども設備投資現状考え方及びお願いを申し上げまして、私の御説明を終わります。  どうもありがとうございました。
  6. 大村襄治

    大村委員長 次に、長島参考人お願いいたします。
  7. 長島忠雄

    長島参考人 東京電力の副社長長島でございます。  私からは、最近の電気事業設備投資動向、それを東京電力の場合を中心にして概要並び問題点について御説明申し上げたいと存じます。  まず最初に、五十三年度の設備投資計画をつくるに当たりましての基本的な考え方、構えについて申し上げたいのであります。  現在、電力の需給関係、これは幸か不幸か、深刻な不況によりまして需要が民生用も生産用もいずれも停滞して伸び悩んでおります。その結果、電力の需給面から申し上げますと安定しております。また、経営収支面におきましても、過般の料金改定によりまして、現在のところ一応小康を得ているような状態でございます。  このように電力の需給とか収支、経営の基本面においては安定しておりますにもかかわらず、少し先——遠い先ではございません、少し先を見ました場合に幾つかの問題がございます。非常に厳しさを増します立地問題、それによる設備建設の困難化、このような現状からしますと、近い将来、供給の安定が図られるかどうか、多少の懸念があるわけでございます。  また、世界的なエネルギー情勢の中で、電力の生産に必要な一次エネルギーの確保が安心して図られるかどうか、ここにも大きな問題がございます。  さらには、資本費とか燃料費を初めとしまして電力原価は毎年上昇の一途でございます。そうしますと、収支の将来動向がどうなるか、これもわれわれとして非常に心配の種でございます。このように経営上の幾つかの基本的な問題が少し先には山積しておるのでございます。  私ども、今年度の設備投資計画をつくるに当たりましては、このような重要な経営上の諸課題、将来に持っておりまする諸課題に思い切って積極的に取り組んで将来に備えることがどうしても必要だ、そういう心構えでございます。そしてあわせて現在、国としての最も重要な課題であります景気浮揚面のお役にも立ちたい、このように考えておるのでございます。  そのような考え方から、具体的に重点を置いた点を申し上げますと、まず第一には、立地問題でございます。この点はますます困難を加えております。これが建設推進上の現在における最大の隘路でございます。したがって、これに対しましては十分なリードタイムをとりまして計画を立てるとともに、あらゆる努力をこの立地問題の解決に集中しまして計画達成に万全を期し、将来にわたる安定供給の確保を図りたい、これが中心の最重点を置いた点でございます。電力の設備は、建設に非常に長期間を要しますので、電力が不足になった時点ではもう遅いのであります。現在からその体制をとることがぜひ必要なわけでございます。  それから、第二の点はエネルギー問題でございまして、この点につきましては、国際的なエネルギー情勢の推移をよく見きわめまして、あるいは国としての総合的なエネルギー政策、その線にも沿いまして、今後原子力とかLNG火力あるいは水力等を推進しまして、何とかして少しでも脱石油の方向を志向した電源開発を進めたい、このように考えております。ほとんど一〇〇%海外に依存する石油への依存率が非常に現在多い。このままだと非常に将来に不安がございますので、ぜひ脱石油を目指した電源の多様化を図りたいということが第二の点でございます。  それから第三は、従来とも積極的に実施してまいりましたけれども環境対策公害対策安全対策等の一連の対策でございます。この面につきましては、ますます今後高度化してまいります地域要請社会要請に積極的にこたえていきたい。これは従来にもやってまいりましたけれども、今後もこれに積極的にこたえまして、いい社会環境、地域環境をつくっていきたい、このように考えておるのでございます。  第四の重点を置きました点は、原価の問題でございます。毎年の設備投資は非常に巨額になってまいります。この面からの資本費の負担、償却とか金利負担は非常に膨大なものでございます。何とかしてこの設備投資の巨額化による資本費の負担を抑制するために、あらゆる面にわたりまして効率化とか合理化を進めまして、投資による原価の上昇をできるだけ抑制して、料金の安定を最大限図って長期に維持したい、こういう考えでございます。これは今年度に限りませんけれども、今年度特に設備投資計画をつくります上において重点を置いた点は、以上の点でございます。  次には、それによる設備投資概要について、輪郭について、簡単に御説明申し上げたいのであります。  まず、全体の投資規模投資額でございます。当社の五十三年度の投資額は九千四百五十億円であります。非常に巨額なものでありまして、五十二年度の実績の推定値、大体七千三百八十億、これは五十一年度に対してかなりふえておるのでございますけれども、その五十二年度の実績値七千三百八十億円に対しましても二八%の増加でございます。さらにこのほか、特に景気浮揚への協力を効果あらしめるために、投資計画とは別に繰り上げ発注を予定しております。これが約二千億でございます。そうしますと、繰り上げ発注と投資額では、当社一社におきましても一兆を超えるような巨額に達するわけでございます。  御参考までに、これを電気事業全体について申し上げますと、設備投資はおおむね三兆二千億と現在算定されております。五十二年度の実績推定値二兆五千億でございますが、これに対して、業界全体としても約二七%の増加となります。また、繰り上げ発注、これは業界全体でも実施するように現在検討中でございますけれども、現在の段階では業界全体の繰り上げ発注約一兆円に達する予定でございます。したがいまして、業界全体におきます今年度の設備投資は、設備投資額と繰り上げ発注を合わせますと、現在の段階ではおおむね四兆二千億の巨額に達する次第でございます。  次に、そのような規模投資額の、当社設備投資の内容について簡単に申し上げます。  まず最初に、電源の拡充工事でございますが、経済の全体は今後は低成長時代に向かうと思うのであります。その面からは、キロワットアワーの需要は過去の高度成長期に比べて大きく低下しております。大体六%程度考えられるのでございますけれども、一方、ピーク需要、キロワットアワーではなくてキロワット、ピーク需要の方は、冷房需要を初めとしましていろいろな面から、これはキロワットアワーの比率よりかなり大きくなります。当社につきましては、大体ピークの需要が毎年二百万キロワット以上伸びる見通しでございます。したがいまして、設備計画としては、このピーク需要の伸びに対応する必要がある、それに対応しない限り供給ができないわけでございます。  そういう面から現在着手しておりますのは、現在電源開発で実行中のものは、水力が二百五十万キロワット、火力が二百八十万キロワット、原子力が七百十万キロワット、合わせて千二群四十万キロワットの電源開発工事を着工または着工準備中であります。非常に大きな額でございます。  いま申し上げましたのは五十二年度から継続するものでございますけれども、このほか五十三年度につきましては、新たに電調審で御決定いただくようにお願いしております新規工事は、水力と原子力で二百十五万キロワットございます。  もしいま申し上げましたようなこれらの電源開発工事が計画どおり順調に達成されました場合には、将来にわたり大体需要に対して八%程度の予備率を持ち得ることになります。このぐらいが供給責任確保のための必要な予備率と考えておりますけれども、それが確保できる見通しでございます。  また、この電源開発計画は、さきにも申し上げましたように、脱石油の方針をとっております。当社は最大の一次エネルギーの需要者であります。一次エネルギーを確保して、それを二次エネルギーに転化して、電気として供給しているわけでございます。その所要の一次エネルギーのうち、現在の当社の石油への依存率は約五四%、半ば以上は現在でも石油に依存しておるのでございます。先ほど申し上げましたように、何とかこの石油依存率を低めたいというのが計画でございました。その結果、毎年石油依存率は低下してまいりまして、六十年度になりますと、石油にかわりまして原子力とかLNGの比率がふえてまいります。石油の依存率は、計画によりますと二七%、ちょうど半減するわけでございます。その面から飛躍的にエネルギー構成というものが改善されることになるのでございます。この電源拡充の工事は、五十三年度で約三千二百四十億円、電源だけで三千二百億円余でございます。  次に、電源以外の送変配電設備など流通設備について申し上げますと、それの拡充工事でございますけれども、電源関連の基幹系統あるいは超高圧の外輪系統、さらには東京の都心に入れます導入系統等、一般の送電設備、変電設備、配電設備等を含めまして、大体金額にして三千七百八十億円の計画でございます。工事としては非常にたくさんの工事の集積されたものでございます。  そのほか、既設設備の改良工事とか、原子力の核燃料代、これも投資計画のうちに含めております。そういうもので二千四百三十億円を投資いたしますので、合計しますと、先ほど申し上げましたように、その投資額だけで九千四百五十億円の巨額になるのでございます。  以上が、当社の五十三年度設備投資計画のほんの輪郭でございます。  次に、この設備投資計画問題点とか特色といったものについて二、三申し上げたいのでございます。  第一の点は、先ほど申し上げましたように、電気事業全体で、繰り上げ発注を含めますと、四兆円を超える、四兆二千億にも達する巨額な投資計画でございますけれども、それが本当に達成できるかどうかという点でございます。  この点につきましての最大の隘路、問題点は立地問題でございます。私どもとしては、民間の事業者自体としましては、この点は総力を挙げまして、地域住民の御理解と御協力をいただくための万全の施策と粘り強い努力を続け、何とかして計画の一〇〇%の達成を念願している次第でございます。これは従来からもあらゆる努力をこの問題に傾注してまいりましたけれども、さらに全社を挙げてこの問題に取り組みまして、何とかして地域社会の合意を得て計画達成を図りたいと強く念願しているのでございます。  また、この点につきましては、政府におかれましても、計画達成に積極的な御支援をいただいております。その点を申し上げますと、まず第一には、重要電源地点を最近追加していただきまして、その立地の推進を図っていただく体制をとっていただいております。第二は、電源三法を活用しまして、電源立地促進対策交付金の単価を二倍に引き上げるというような措置をとりまして、地域福祉の向上を図る体制をとっていただいております。それから第三には、特に主管官庁におきまして、電源立地官とか連絡調整官の専任者の増員等電源立地推進体制の整備強化を図っていただくとともに、さらには関係省庁間の協力体制の強化、それから電調審上程の手続を初めといたしまして、電源立地に必要な許認可の円滑化、迅速化等の措置をとっていただくことになっております。  私どもとしては、このような現在の官民を挙げての努力と誠意は必ずや結実するものと強く期待し、またこれを心から念願しているところでございます。ぜひ皆様におかれましても御支援賜りますよう、この点について幾重にもお願いを申し上げたいのでございます。  次に、問題と申しますか、第二の点につきますと、これは電力の投資一般に強く期待されております景気浮揚に及ぼす影響についてであります。どのような影響を与えるであろうか、この点につきましては、私ども量の面と質の面、両面から景気浮揚とか経済成長には相当な影響を及ぼすことができる、このように考えております。  まず、量の面から申し上げますと、一般民間投資、これは不況とか特に大きな需給ギャップのために伸び悩んでおります。その中にありまして電力の設備投資は、先ほど申し上げましたように、対前年比較二七%増と三割近い大幅な増加であります。また、民間設備投資全体に占める割合も年々ふえておりまして、高度成長期には電力の設備投資は大体五ないし六%でございまして、しかし、これが五十三年度には約一二%に達すると見込まれております。きょうの新聞にも開発銀行さんの、あれは主要産業の中の電力投資の割合が出ておりました。あれにも、このような傾向が入っているのは御存じのとおりかと思います。このように量的にいいまして、電力の投資民間投資の大きな落ち込みを防ぐ支えとなっているのではないかと考えます。  次に、質的な面から申しますと、電力の設備投資生産の誘発効果の大きい機械部門への投資の割合が大きい、大体機器の割合が非常に大きい投資でございます。そのため、生産誘発係数と申しますか、そういうものの比較的小さい用地代とか土木、建設部門への投資ウエートが高い公共投資等に比べましても、波及効果は相当大きいのではないかと考えておるのでございます。  さらに、前に申し上げましたように、電力業界では、電力投資の中でも最も波及効果の大きい火力とか原子力などの電源機器を中心として約一兆円に達する繰り上げ発注を予定しておるのでございまして、これはメーカー段階にとりましてはそれなりの効果が期待できると考えております。  以上のような点から総合しまして、電力投資景気回復に対する影響はそう小さなものではない、このように考えております。  以上、五十三年度の設備投資中心にして概略を申し上げましたが、足りないところにつきましては後ほど御質問によってお答えさせていただきたいと存じます。  どうもありがとうございました。
  8. 大村襄治

    大村委員長 ありがとうございました。  次に、牧野参考人お願いいたします。
  9. 牧野津多夫

    ○牧野参考人 清水建設の副社長牧野でございます。  建設業界設備投資とそれから当社状況について多少御説明したいと思います。  御承知のとおり建設業では、受注いたします工事ごとにその建築物、工作物につきましてはそれぞれ違っておりまして、規模、内容は、超高層ビルであるとかあるいは工場、道路、ダム、トンネルその他非常に種類の多い工事を受注いたします。その施工方法につきましてもきわめて多様化しております。その上、これらを建設いたします場所、いわゆる敷地でございますが、同一ということはございません。工事一件ごとに場所を移動することになるのが通常でございます。したがいまして、製造業のように固定した工場設備を持って、同一の場所で同一の規格の製品を生産するというようなことはできないのが特徴でございます。  さらに、一般的な見方で建設業の業態につきましてもう少し御説明させていただきたいと思います。  総合建設業者が工事を受注いたしました場合に、たとえば材料、生コンクリートであるとか鉄筋といったような主要資材、また足場とかいろんな仮設資材は直接購入いたしますが、建設のための個々の具体的な工事は各専門工事業者に発注することになります。これがいわゆる下請と呼ばれているわけであります。  そのようなことから、総合建設業者に求められますものは何であるかと申しますと、工事全体の総合的な企画、調整、それから各専門業者の管理、指導でございます。計画されました施工方法あるいは工程のもとに、これらの専門工事を有機的に組み合わせまして建設物を完成していく機能が要求されるわけであります。したがいまして、総合建設業者が負うべき設備は、建設施工上、各専門業者に共通の施工設備などでありまして、これを総合建設業者が用意しているのが通常であります。総合建設業者にとりましては、この種の機械設備設備投資中心となりますが、その規模はとても製造業などに及ぶものではございません。前に東京電力の方からお話がありましたような非常に大きな数字とはけたが違っているということをまずお考えいただきたいと思います。  このように見ますと、総合建設業というのは、知識労働の集約型産業でありまして、人材産業であるということも言えるかと思います。  このような状況でございますから、建設業界は特に昭和三十年代以降、工事の施工に当たりまして、機械化できるところは積極的に機械化を図りまして、省力化合理化に努めてまいりましたものの、実際には、現在、施工上必要な範囲におきまして整えているのが実情ではないかと思います。それでもこの数年間の実際の工事量の不振から、当社どもそれなりに相当量の遊休の建設機械を保有している状況下にあるのが実情でございます。  それにしましても、資本金十億円以上の法人建設業の設備の保有量、これを調べますと、土地を除く有形固定資産の総資産に占める割合は三・八%となっております。これを比較するために全産業あるいは製造業の業種の方々の場合を考えますと、いずれをとりましても二〇%を超えております。これと比較いたしますと、建設業の設備は相対的にきわめて少ないことが御理解いただけるのではないかと考えます。  なお、御参考までに当社の主な有形固定資産を申し上げますと、どういうものかと言いますと、たとえば木支店の社屋であるとかあるいは建設機械並びに建設機械の修理工場、仮設機材及びその倉庫、それから住宅用のプレキャストコンクリート、いわゆるコンクリートのプレハブ工場ですが、それの製造工場、あるいは研究所であるとかあるいは厚生施設等がそれに当たります。  清水建設の五十一年度の設備投資額は、そういう内容から建設機械中心といたしまして、若干の土地は含められますけれども、全体で約四十億円ぐらいでございます。これは清水建設としての年間総売上高に比べますと、ほぼ一%ぐらいに当たります。  以上、申し上げましたように、建設業の設備の保有量が非常に少ないものでありますとともに、その設備投資額は建設工事量にほぼ対応して行われるという状況であります。統計的に見ましても、建設業全体、これは法人建設業でありますけれども、建設業全体での設備投資額は、毎年、建設工事量の二、三%になっておりまして、これは余り大きく変わっておりません。  そういったことから、建設工事量はどうなっているかと申しますと、昭和四十年度から五十一年度まで、この十一年間をとって考えますと、約六倍になっております。十一年間に六倍に建設工事量はふえております。建設業全体の土地を除きました有形固定資産も、金額的には小さいながら、やはり六倍になっているというように並行して動いておるというような形でございます。  そのような状況でございますから、昭和五十三年度の設備投資動向は、当面の受注状況によって影響を受けると考えることができます。  そこで次に、業界及び当社の受注状況につきましてちょっと御説明申し上げておきたいと思います。  建設省の大手建設業者を調査対象といたしました四十三社の受注統計によりますと、名目上では増加いたしておりますけれども、これを物価上界分を控除いたしまして実質工事量に換算してみます。そういたしますと、過去の工事量のピークでございました昭和四十七年度、これを一〇〇といたしますと、五十一年度は七二、五十二年度は十二月までの水準で七九と、こういった減少傾向を示しております。  建設業全体についてこういう傾向ですが、当社の場合におきましても同じような状況でありまして、実質の工事量での過去の受注のピークでございます四十七年度を一〇〇といたしますと、五十一年度は六七、五十二年度は現在のところ七二程度ではないかと予測しております。こういったことのために、清水建設といたしましては、保有機械や仮設機材の稼働率は、過去のピーク時の七〇%程度に落ち込んでいる状況であります。  続いて、昭和五十三年度の建設業全体の工事量の見通しでございますけれども、まず、官公庁関係は、国と地方自治体を合わせました公共投資総額で二十五兆六千億円といった二一%の増加予想されておりますので、現在のところは、当社におきましても、政府関係の受注工事量にはかなり期待を寄せている次第でございます。一方、民間設備投資見通しにつきましては、民間の大方の予想が一けた増ということでございまして、民間の建設工事量の増加もほぼ同程度ではないかと考えております。したがいまして、官公庁と民間の工事量を合わせますと、昭和五十二年度に比べまして一〇%程度増加となるということが見込まれます。当社の、私どもの清水建設の昭和五十三年度の受注見通しにつきましては、以上申し上げました建設工事量全体の伸びとほぼ歩調を合わせて増加できるのではないかと考え、またその辺を目標に取り組んでいる状態でございます。  このような見通しを背景といたしまして、当社昭和五十三年度の設備投資計画を少し申し述べますけれども、とても大きなことは考えられないという結論であります。総額といたしましては、ここ二、三年とほぼ同規模で、大体四十億ないし五十億円という設備投資予定しております。内容は、大型機械、特殊機械などの購入を増加させていきたいと考えております。このほかに、研究開発投資は別でございますが、大体三十億円程度考えております。  業界設備投資計画といたしましては、業界団体で取りまとめましたものや監督官庁の調査等はございません。しかし、先日日本銀行から発表されました企業短期経済観測を見ますと、建設業及び不動産業昭和五十三年度設備投資計画は、前年度に比べまして五・三%の増加となっておりますので、御参考までに申し添えておきたいと思います。  以上が、当社中心といたしました建設業の設備投資につきましての御説明でございます。  大体時間でございますので……。
  10. 大村襄治

    大村委員長 次に、山田参考人お願いいたします。
  11. 山田雄一

    山田参考人 ただいま御指名されました東芝の山田でございます。  本日は、社長海外出張中でございますし、私が、御指定の当社設備投資につきましての責任者でございますので、かわりに出席、説明をさせていただきます。  なお、業界全体の動向でございますが、私ども業界はいろいろな工業会その他に分かれておりまして、実は業界全体の五十三年度計画につきましてはまだ最終的な取りまとめが終わっておりませんので、その辺の問題はちょっとおきまして、当社状況について主として説明をさしていただきます。  まず、現在におきます当社の五十三年度の設備計画は、発注ベースで申し上げまして総額で三百四十六億円でございますが、この金額は、オイルショックを含みます四十八年度以来では、五十一年度にちょっと大きいのがございましたが、それに次ぐ金額でございます。  ちなみに過去五年間の設備投資金額を同じく発注ベースで申し上げますと、四十八年度が過去の最大でございまして、ピークでございまして四百三十七億円、四十九年度が落ちまして二百二十三億円、五十年度はさらに減りまして百九十二億円、五十一年度が三百六十四億円、五十二年度は現在進行中でございますので、見込みで申し上げますと約三百十億円の見込みでございます。  ところで、ここで当社設備投資に対する考え方を申し上げておきますと、大まかに申し上げまして三つのポイントがございます。  それはまず第一には、減量経営と申しますか、バランス経営と申しますか、会社の経営要素でございます諸資源を、将来を考えましてバランスのとれた形に再構築し、かつ総量をできるだけ減らすということでございます。そこで、このような総額管理、バランス管理の結果、当面は、設備投資はまだ減価償却額範囲内にとどめるという考え方、これが第一のポイントでございます。事実、四十九年度以降の過年度につきましては、年度別では五十一年度が若干減価償却額をオーバーいたしましたが、累計では、投資額減価償却額の九一%にとどめております。  なお、五十三年度計画につきましては、総額はいま申し上げましたように三百四十六億円でございますが、一方、減価償却額は三言三十九億円の見込みでございますので、わずかではございますが、少しオーバーの計画になっております。なお、現在の計画ではあえてオミットしておりますが、実施の可能性の強い投資がこのほかに約四十億円ございます。これらは今後の景気情勢、販売、受注動向を見た上で決めていくことにしておりますので、いずれかと言えば、本年度の計画増加含みでございます。現状では、五十三年度の計画は、五十二年度の見込みに対しまして金額にして約三十六億円ふえ、率にいたしますと一一二、一二%の増加の見込みでございますが、いま申し上げました追加が出ますと、率にいたしますと二四%ぐらいの増加の見込みになる予定でございます。  次に、考え方の第二のポイントでございますが、それは投資の対象とする事業につきましての選択を非常にシビアな判断で行っているということでございます。これは本来経営の基本といたしまして当然と言えば当然のことでございますが、御承知のように、経済環境が低成長の時代に入りましたので、マーケットの伸び、需要の中身、そして当社の開発を含めた技術上のポテンシャリティー及び利益状況等について、従来よりもよりシビアな検討を加えて事業を選択し、投資を決めております。  ところで、当社では事業内容を三つのグループに分けております。すなわち第一は、産業用エレクトロニクス部門、この部門には、カラーテレビ用のブラウン管、半導体等の電子部品、それから医療機器、放送機、コンピューター、事務用省力機器等が含まれておりますが、このエレクトロニクス部門と、次に重電部門、これは名前のとおりでございますが、最後に家電製品を中心といたします軽電部門の三つのグループに分けております。いま申し上げましたような選択投資の結果、五十三年度の計画では、そのうちの生産設備について見ますと、四六%が産業用エレクトロニクス部門でございまして、重電部門が三一%、軽電部門が二一%というような割合になっております。  また、五十二年度の実績について見ましても、その約四五%が産業用エレクトロニクス部門、それから重電、軽電の両部門が同じく二六%程度になっております。したがいまして、ここ二カ年間は続けて産業用エレクトロニクス部門への投資が大きくなっております。  なお、それでは産業用エレクトロニクス部門の投資の中身はどのようなものが多いかと申しますと、五十一年、五十二年度にかけましては、半導体製品を中心といたします電子部品関係設備が大きく、五十三年度につきましては医療機の新工場を栃木県大田原に新設する部分が相当大きな金額ウエートを占めております。  なお、当社現状における売上高は、この五十二年下期で、半期で約五千五百億円でございますが、その内訳を見ますと、産業用エレクトロニクス部門が二二%、重電部門が三八%、軽電部門が四〇%でございますので、当社といたしましては、事業分野では現在ウエートの低い産業用エレクトロニクスの分野をさらに伸ばしたいということで、現在その分野への投資が他の製品分野に比べまして相対的に大きくなっております。  最後に、考え方の第三のポイントでございますが、それは先ほどからの各社のお話にもございましたが、投資の目的と申しましょうか、その機能につきましては、やはり合理化省力化に重点を置きまして、単なる増産設備につきましてはできるだけ控え目にするということでございます。もちろん実際問題といたしましてはこのような区分はなかなかむずかしくて、たとえば既存設備の耐用命数経過に基づく更新にいたしましても、単なる更新ではなくて合理化省力化が当然織り込まれることになりますし、また合理化省力化にいたしましても結果としては増産になる場合もございますので、実際上の区分はむずかしいのでございますが、考え方といたしましてはやはり合理化省力化投資が重点でございます。このことは現在、当社設備稼働率を見ますと、全社の平均では現状で約八五%程度でございますので、もちろん製品別、事業別にはいろいろ中で相違がございますが、総体といたしましてはまだ相当の需給ギャップが残っておりますので、現状ではまだコスト低減を中心といたしました省力化合理化に重点を置いているというわけでございます。  このような観点で五十三年度の設備投資を分類いたしますと、全体の二五%が合理化省力化増産設備は一三%程度になっております。  なお、五十三年度のこの増産設備につきましては、どういうものが増産の対象になっているかと申し上げますと、いま申し上げましたような医療機関係、それからVTR関係、それから私どもは放送衛星をやっておりますので、宇宙開発関係、それから重電のミニクラッドの関係、制御器の関係等が増産設備の対象になっております。また、五十二年度の実績につきましても、やはり二五%程度合理化投資でございまして、増産設備は一一%程度でございました。  大体以上が当社設備計画概要でございますが、最後に、設備につきましての最近の問題について若干述べさせていただきますと、第一は、先ほどからお話もございましたが、現在国会において御審議中の投資減税につきましては、当社としましても、景気対策といたしまして税制が取り入れられた画期的な措置としてこれを非常に積極的に評価するものでございます。当社自身にとりましてはその適用上の制約もございますので、それほどわれわれ自身には減税効果は出てまいりませんが、特に下請企業におきましては相当な効果が期待され、景気対策としては非常に好ましいものであると考えております。  それから第二には、金利の軽減でございますが、これも先ほどからお話が出ておりますが、設備投資につきましては、先ほど説明いたしましたように、当社自身につきまして金利は相当重要なファクターでございますが、さらに下請企業等におきましても、第一の投資減税と相まちまして、投資の促進、したがって景気対策といたしましてはきわめて有益であると思いますので、金利の引き下げにつきまして御援助のほどをお願い申し上げまして、説明を終わらしていただきます。  どうも御清聴ありがとうございました。
  12. 大村襄治

    大村委員長 以上で参考人からの御意見の開陳は一応終わりました。     —————————————
  13. 大村襄治

    大村委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。佐藤観樹君。
  14. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 五参考人には、大変お忙しいところを有益なる御陳述をありがとうございました。  長期的な不況の中で、政府の基本的な方針は、公共事業中心にして民間設備投資を呼び起こし、そしてもう一度景気回復軌道に乗せていこうというのが基本的な考え方のようであります。しかし、果たしてそういくだろうかというのを——私たちも理事会の中で、いろいろな業界の方もっともっと来ていただきたい方もいらしたのでございますけれども、いろいろな時間的な都合もございますので、代表して五つの業界の方にお越しをいただいたわけでございます。  そこで、こういう順序で私お伺いしていこうかなと思っているのであります。何といっても公共事業がことしの大きな課題でございますので、先ほどお話がございましたけれども、まず最初に清水建設さんにお伺いをし、それに関連をする小松製作所さん、そして政府が非常に期待をしております電力部門の東電さん、そしてそれに関連をするところの東芝さん、そして最後に、まだ先行きはいろいろ不安も生じてきておりますけれども業界としましては日本の中では非常にいいところにございますトヨタさん、こういうような順序でお伺いをしたら話が少しは整理できるのじゃないかなと思っている次第でございます。  先ほど清水建設さんの方から概要がお話がございました。清水建設となれば、総合的に事業をやっていらっしゃるわけでございますので、そこが直ちに御自分で設備投資を大きくなさるという業種とは若干違うところを持っていることも私も若干存じているつもりでございますけれども、何といっても、冒頭お話ししましたように、予算のウエートというものを公共事業に大きくかけているという観点からいきますと、福田さんの言う公共事業中心というのを、公共事業が次の新たな設備投資というのを呼び起こさないことには、福田さんの言う景気回復というのは論理的に成り立っていかないわけであります。  そこで、じゃ公共事業が非常に多く行われますといいますか、それを具体的に担当なさる建設業の方で、一体そもそも設備投資というのはどうなんだろうかというのがわれわれの課題なわけでありますけれども、先ほど機械その他についてはお話があったのでございますけれども人員の面ですね。ただ、おたくの場合には直接どろを掘ったり何をしたりというわけではないので、この部門でも清水建設さんぐらいになると、なかなか直ちに雇用の拡大、そこで人を多く雇うということも、これはまた大手の部門からいくと出てこないのではないか。おのおの各部門部門がございますので、そこでの若干の雇用の拡大というのはあるでしょうけれども、清水建設さん自体としては、雇用の面においても多く人を雇い入れるということはないのじゃないかと私は見ているのでありますが、その点はいかがでございましょうか。
  15. 牧野津多夫

    ○牧野参考人 御質問ございました雇用の問題について御説明いたします。  現在清水建設は、業容と申しますか、数字の面から言いますと、全建設業の中で占める割合と申しますのが、いわゆるシェアといいますか、これでは一・四二%ぐらい。ほかの業界と違いまして、建設業は大手五社と普通言われますが、それを合計しましてもいままで大体一〇%を超えることはなかったというような、したがって大手というようなことはとても言えないような状況でございますが、清水建設の数字を申し上げますと、一・四二%というのはたまたまおととし、去年あたりの数字ですが、したがって全体をはかるには、それを七十倍すれば見当がつく、こうお考えいただいて結構だと思います。  清水建設は現在、雇用量としましては、全国の現場約二千カ所ございますが、その中で毎日働いている人の数が約四万人ちょっと超えるぐらいでございます。  この人たちに対して、五十三年度一体どんなふうになるだろうかということをいま考えておるわけでございますが、受注の予測で申し上げましたように、これも約一割はふえていくのではないだろうか、これが第一線の従業員の雇用量の増加につながっていくのではないだろうか、これが一つです。  それからそのほかには、いわゆる社員と申しますか、技術者とかあるいは事務系統の人とかそういった人たちですが、大体、雇用はことしは百九十名ぐらいのいわゆる管理的な立場の人たちを雇用いたしまして、四月一日に入ってまいります。こういった数字はやはり今後も続いていくのではないか、去年よりは少し多いというような形で進めております。  以上でよろしゅうございますか。
  16. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 それに関連をして小松製作所にお伺いをしたいのでございます。  先ほど全体的なお話があったわけでございますけれども、清水建設さん自体としてはある程度ブルドーザーもお買いになるでしょうし、なにもお買いになるでしょうけれども、それはむしろ実施する中間あるいはもう一つ下の会社になっていくのだと思うのですね。そうなってきますと、先ほど輸出あるいは内需のお話があったわけでございますけれども、一応小松製作所さんとしましては、今度の公共事業規模が額としても非常に大きくなっているわけでございますけれども、一体内需の伸びに応じて、おたくの方の会社としてはどのくらい国内需要のシェアというのは——シェアでも額でも結構でございますけれども、シェアというのは、公共事業公共事業といっている中でうちの方にはどのぐらいかかってくるのだろうか。これは業界のシェアとの関係もありますから、業界としてでもそれは結構でございますけれども、いわゆる公共事業中心のいまの予算の組み方からいって、それが果たして皆さんの方にどのくらい波及してくるんだろうか、そしてそれが、じゃ次の何らかの形の——まあ皆さん方の方でもそれなりの合理化なりあるいは技術革新なり公害なり、そういったものの設備投資をやっていらっしゃるわけでございますけれども、大体いまの状態のままいけば、幾ら公共事業公共事業といっても、ある程度の皆さん方の従来の設備で——もちろん質の向上とか合理化といったものはあるでしょうけれども、それ以上、より以上に設備投資というのが小松製作所さんの方で果たして起こるのだろうかというのはどうも私は若干疑問に思うのでありますけれども、その辺はいかがでございましょうか。
  17. 河合良一

    河合参考人 お答えいたします。  財政支出主導の公共事業がどのぐらい実際の会社の仕事に影響するかというお話でございますが、私ども国内建設機械を、大体去年に対しましてことしは一五%ぐらい生産増、販売増になるということを予定いたしております。実際におきましては、先ほどパワーショベル中心にふえておると申し上げましたけれども、四月以降大型工事が出てまいりますと、やはりパワーショベルが主力かとも思いますけれども、ほかのブルドーザーであるとかあるいはタイヤドーザーその他一般建設機械に波及してくるのではないかと考えております。  それで、一五%の生産増に対して会社としてどう対処するかという点につきましては、先ほど設備稼働率が八四、五%になっていると申し上げましたが、実際に人員の面におきましては、ほぼ大体フルに人員が動いておるという状況でございますから、これ以上の増産に対しましては、一部の設備合理化あるいはネック部門の補強という点はございますが、主として外部の発注が増加するというかっこうで生産を補っていきたいと考えております。  もっとも企業といたしまして、設備投資は、実際に需要が多いから設備投資をするという部面と、収益が安定してきて景気見通しがよくなりますと、会社といたしましては、常時設備投資をしたい部面が多々ございます。より省力化する、より省エネルギー化する、その他いろいろ企業としては目的がございますので、会社の経営が安定してくれば、需要が一定であっても設備投資増加するわけでございまして、ただいま今年度に対しましては、販売が一五%国内は上回る予定でおりますので、これが実現することが明らかになれば、設備投資は多少追加することになると思います。  ただいまにおきましては、先ほど申し上げましたように、円高影響の顕在化と公共事業の浸透ということで、実際の景気状況が上に行くのか下に行くのか、多少はらはらしながら見ておるという状況で、この円高影響がおさまりまして、公共事業主導型で景気が安定していくことを強く望んでおる次第でございます。
  18. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 もう一つ円高の問題なんですけれども、小松製作所さんにおいても、輸出の割合がほぼ半分、建設機械は大体平均してそのくらいになっているわけですけれども、そうなりますと、円筒の影響というのはそれなりに非常に大きい。ただ、技術でまさるところもあるわけですから、必ずしも単なる金額だけではないかと思いますけれども、それがきのうあたりからまた、きのうの終わり値が二百三十五円二十銭ですか、ということになって、また一段と厳しくなってくる。  これはどこまであれだかわかりませんけれども、おたくの方でもある程度、十五カ月予算の関係で内需が非常に伸びてきて、そしていま社長からお話があったように、回復基調に来て、円高も二百四十円ぐらいで落ち着いていれば、三年ぶりぐらいにある程度経常利益も、わずかではあるけれども回復するかというように見ていたということが報道されているわけでありますけれども、じゃ一体その円高影響というのが具体的にさらにどの辺で——二百三十五円というのがさらに落ち込むのか、二百三十円ぐらいまである程度恒常化してしまうのかという心配なきにしもあらずなので、先行きなかなかこの問題はむずかしい問題でありますけれども、この輸出との関連ではいかが見通しをお持ちでございますか。
  19. 河合良一

    河合参考人 お答えいたします。  ただいま御質問のございました円高の問題は、われわれ輸出ウエートの高い企業といたしましては最大の関心事でございまして、非常にこの点について関心を払っておる次第でございます。  御承知のように、去年の一月が二百九十二円、おととしの十二月が二百九十五円でございますので、一月から十二月までいたしましても、二百九十二円と二百四十円とでは五十二円の円高になっておるわけでございます。これをIMF方式で申しますと、二二%の円高ということが新聞に出ておる状況でございまして、この二二%の円高をいかにして企業で吸収するかということでございますが、御承知のように日本の輸出産業は、特別の例を除きましてはそう利潤は多くございません。利益率は、恐らく二けたの利益率は例外ではないかと私ども考えております。それに対しまして二〇%前後の値上がりということは、もうそのまま放置すれば、当然その企業としては輸出できない、あるいは企業自体が相当困ってくるという状況になるわけでございまして、私どもとしては、これに対して対処する方法として二つの方法をとっております。  第一番目が、輸出価格の値上げでございます。しかし、これはやはり相手がありますので限度がございますが、しかしもう一つの方法、原価引き下げ、あるいは合理化その他による企業努力による原価引き下げでございますが、これは限度がございますし、四十八年のオイルショック以降、各企業が必死に努力してきてここまで参ったわけでございまして、円高になったからさらにそれを大幅に下げるということは事実上、通常の企業努力をもってしては困難でございます。  したがいまして、実際におきましては、第一番目の輸出値段のアップということに依存するわけでございますが、これが実際なかなかできない。私どもも過去一年、三回にわたり無理な値上げをいたしておりまして、やっと十数%値上げをいたしましたけれども、これで売れ行きがあるいは少しとまるか、あるいは従来どおり売れていくか、その結果をいまはらはらしながら見ておる状況でございます。  そういう状況でございまして、昨年一年間、企業に対してどれだけ影響があったかという点を端的に私の会社の例をとって申しますと、為替のアップのために、それがなかったならばという前提で申しますと、約百億円マイナスいたしております。したがいまして、企業としてはかなり大きな負担になっておるわけでございまして、これは私どものみならず、輸出産業に依存しておる会社すべてに対して当てはまることでございまして、先ほど、去年のうちは潜在化しており、ことしになって円高影響が顕在化すると申し上げましたのは、去年の九月末から十二月の初めにかけて非常に円高の騰勢が強かったわけでございまして、しかしこの問は、為替の先物予約であるとか、あるいは商社に対する仕切りであるとか、あるいは円建て契約ということで逃げておったわけでございます。しかし、これもことしになりましてからは、すでに為替予約も非常に低い水準の予約になりますので、とても予約をする元気がないという状況になりまして、予約しないままに放置されておりますし、円建て契約も、これは二、三カ月するとドル建て契約と同じかっこうになってまいります。商社に対する売り切りも、新しいレートで売り切りということになりますので、ことしの一月、二月ごろから円高影響が各企業に対して顕在化してくる。過去何年間か続いております不況の上の円高でございますので、これが三月の決算期あるいは四月、五月に対しまして、恐らく非常な大きな影響が出てくるのではないかと思います。  先ほど、私ども輸出値段の引き上げで努力しておると申しましたけれども、業種によりまして、たとえばトヨタさんの自動車であるとか、あるいは幸い私の方も個別の機械でございますので、いろいろその機械特徴を述べまして値段のアップの理由にいたしております。しかし、市況商品的なものは、そういった個別の機械と違いましてなかなか値上げが困難でございます。したがって、そういった影響が逐次顕在化してくるのではないかということで、為替の成り行きに対して一喜一憂いたしておる次第でございます。  それで、しかも去年からことしにかけましては二百四十円に対処するにはどうしたらいいか、ドル相場二百四十円でいかに経営を安定するかということに全力を集中しておった次第でございまして、まだそれすら完成しておらないのが現状でございます。それに対しまして、昨日二百三十五円二十銭というような相場が出ておりますので、これがいよいよ二百三十円台に入ってきたかということになりますと、二百四十円の対策ができない現状で二百三十円台に入りますと、これは企業として非常に冷や水を浴びせられたような状況でございまして、非常に憂慮しておりまして、政府あるいは国会におかれましても、ひとつ何とかこれに対しまして、もう少し安定的に企業見通しができるような状況ということにつきまして、一段と御尽力いただけば幸いかと存じております。
  20. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 もう一問お伺いしたいのでございます。  これは経済人としてということでも結構でございますが、いまの福田さん以下の自民党内閣の予算の組み方というのは、景気が悪くなるととにかく公共事業を組んで、それをなるべく大型にして呼び水にして、自動車で言えば一生懸命セルモーターを回してエンジンの本体を回そうという思考方法をとっているわけですね、今度の予算でも。確かにセルモーターは一生懸命回るかもしれません。大変な国債を発行しながら回るかもしれないけれども、では、それが果たして次の産業、次の産業へと波及していくかということが最大の問題になると思うのですね。  私がまず清水建設さんにお伺いしたのは、もちろん総合的な建設業でございますから、それで直ちにそこで設備投資が起こるという性格と若干違いますので、必ずしも的を射ていたとは私も思わないわけでございますけれども公共事業の注目の的であるところの建設業ですら、もちろん末端のところで若干なりとも設備投資なり機械を新たに買うということがあるでしょうけれども、これは要するに経済成長の中では伸び率が、七%成長というのは伸び率が問題なのであって、昨年並みに買ったのでは、これは成長には寄与しないわけですね。  そういうことから考えますと、先ほど河合社長も若干触れられましたけれども、小松製作所自体も公共事業関連の業界でございますけれども、それでも一五%くらいの販売が伸びるんではないか、それに伴って設備投資をというお話でございましたけれども、恐らくそれも昨年された設備投資以上により多くということにはならないんじゃないだろうかというふうに思いますと、旧来のように、公共事業をやれば、それがいろいろの業界に波及していって景気回復していくんだというパターンがこのあたりで技術的な限界、たとえば機械の更新期間からいってもだんだんそれが長くなってくる、あるいは減価償却も大変長くならざるを得ないという面からいっても、旧来のパターンというものは日本経済自体が変わりつつあるんじゃないだろうかという気がして——気がしてというより、私はそういう前提に立って物を考えているのでございますけれども、その点についてはいかがお考えか。  それに関連をして、先ほど御希望ということで、今度の投資減税範囲拡大あるいは期間延長というお話がございました。それは企業をやっていらっしゃる方からすれば、なるべく減税はそれなりにしてもらった方がいいと一般的には言えるわけでございますけれども、別の税の観点あるいは財政確保という観点からいきますと、やはりある程度の合理性がなければいかぬという観点をわれわれとしては無視できないわけでございますので、その意味ではある程度資源省エネルギー、そういったところにしぼるということも方法としては必要だろうし、日本の将来を見た場合に、何と言ってもエネルギー、資源というものはほとんどないのでありますから、その意味でやるならば、いまそれは私は個人的には必要だと思うのです。  そして、期間延長したいというのは、役人的に申しますと、何とかこの五十三年度に設備投資を集中してもらいたいがために、三年とか五年とか長くしますともう少し先を見ようかということになってしまいますので、五十三年度に集中したいというのがどうも通産省初め大蔵省の意向だそうなんでありますけれども、それはさておきまして、果たしていま投資促進税制投資減税というものが、小松製作所さん個人にとってみてどれほど魅力があるだろうかという点について、前段でお伺いしました前提と一緒に含めてお答えを願えれば幸いだと思うわけです。
  21. 河合良一

    河合参考人 お答えいたします。  ただいま公共投資景気に対してどういう影響があるかという御質問もございましたが、私個人といたしましては、やはり公共事業が基幹になって逐次景気を誘導していくべきものだ、それに、ただいまお話がございました投資促進税制であるとかその他のことが加わりまして結実していくものだ、ただ、企業心理といたしましては、いろいろの対策が出ましても、やはりムードと申しますか、これでやっとひとつ大いに積極的にやろうというようなムードが一つの心理的要因として大事でございまして、たとえば公定歩合の問題であるとか円高の問題であるとか、それに対する政府その他の対処の仕方であるとかということが総合的に影響するわけでございまして、そういった点、かねがね民間から、ひとつ果断な政策の実施お願いいたしておるというのは、やはりそういったムードづくりの意味で非常に影響が大きいかと思っております。  次に、投資減税の点でございます。西欧各国でもやっておりますが、主にアメリカの投資税額控除の制度と比較して考えておる次第でございますが、アメリカは業務用の機械装置全部を含んでおりまして、特に公害であるとかその他限定いたしておりません。さらに、最近カーターがアメリカの国会で演説した原稿を要約してみますと、一九八〇年から、ただいま一〇%の投資減税を七%に下げて続けるというアメリカの予定でございましたが、これを一〇%のまま恒久化させるということ、それから限度額の引き上げ、及びいままでの機械装置のほかに建物をつけるということがカーターの演説の内容になっております。  日本は、公害であるとかあるいは省エネルギー、安全及び中小企業に限定しておりまして、これは国情もいろいろ違いますので当然と思います。私といたしましても、この中小企業以外の一般機械器具につきましては、ある程度限定がつくのはやむを得ないと考えておりますけれども、やはり能率向上であるとかスクラップ・アンド、ビルドみたいなものにつきましては、お考えいただかなければいけないのじゃないか。さらに、期間延長等考えていただくことが必要ではないかというふうに考えております。  以上でございます。
  22. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 もう一問だけ、ちょっと簡単にお伺いしたいのでございますが、これは小松社長業界が適当かどうかわかりませんけれども、やはり日本は高度成長をもうできないという中には、資源の制約とかいろいろなものがありますけれども、技術革新というものが、昔は外国のものをとってきてというか買ってきて、それを自分のところのものにしてしまえばよかった。ところが、これからはある程度自前で技術開発をしなければならぬということになりますと、どうしてもそれは減価償却なりあるいは開発にかかるコスト、期間、こういったもので非常に時間がかかるわけですね。そうなってきますと、その面からも日本経済というのは、かつては民間設備投資の主導によって大きく発展してきたわけですけれども、その根底にあった技術革新というのがある程度限度まで——限度までと言うと正確ではありませんけれども、そう簡単にできなくなって、ある程度の、一巡したと申しますか、成長自体もそうたやすくできないという壁に来ているのではないだろうか。その点で、果たして建設機械業の中である程度技術の壁と申しますか、こういったものはお感じになったことはございませんか。
  23. 河合良一

    河合参考人 お答えいたします。  たとえば先ほど東芝さんから御説明がございましたように、弱電、強電、エレクトロニクスで将来に対して転換しておられるということを聞いて、私どもとしても考えねばならないということを非常に痛感いたしたわけでございますが、建設機械につきましては、たとえばブルドーザーであるとかパワーショベルであるとかいうようなものが、全くほかのものに変わった場合どうだということを、一応想定はいたして検討はいたしております。しかし、ただいまの段階では、非常に大型化あるいは耐久力を非常に強化するということ、効率を非常によくするという面で全面的な努力を傾注いたしておりますが、技術革新で内容が根本的に変わっていくということはいまのところどうも想定できない。技術の壁と申しますか、いまのところではどうも実現性がないのではないかというふうに考えております。
  24. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 次に、東電さんにお伺いしたいのでございますけれども、大変詳しい御説明がありましたので、大方よくわかるわけでございますけれども、いずれにしろ、全体的な民間設備投資というのは電力に非常に大きなウエートがあって、たとえば日経の調査でも、四百二社を調べた中でも、実質七・六%増と見ておるわけでありますけれども、非製造業の計画が一九・二%の増、製造業では七・六%の減。ただし、非製造業の伸び率の一九・二%のうち電力を引きますとマイナス三・二%ということで、要するに電力がなければ、電力の額としては大体三兆円台を見ているわけでありますけれども、なければ、製造業も非製造業も、したがってトータルもマイナスだというように非常にウエートが大きい。きょうの開銀の調査でも、若干数字は違いますが出ている。大体民間設備投資の四割が電力だということも出ている。そのお話はかなり詳しくお話があったのでございますが、まず第一に、若干疑問を持ちますのは、ある程度将来の安定供給ということを目指してやられること自体はいいのでありますけれども、この九千四百五十億円という工事ベースの額ですね、これが、いま副社長から御説明があった立地の観点からいって、実際にどのくらい積み上げられた額なんだろうか。かなり政府、通産省からしりもたたかれるし、民間も期待をしておるので、一生懸命やろう、あるいは将来の安定供給を目指してやろうということはいいのでありますけれども、その積み上げというのがどうも若干疑問があるのではないだろうか。計画に、かなり背伸びと申しますか、そういうものがあるんじゃないだろうかということが、業界の中でも言われているというのでありますけれども、その辺は、九千四百五十億円というのは、そう背伸びしない、かなり立地条件その他いろいろな形からいって、ある程度詰まった計画だと考えてよろしいのですか。
  25. 長島忠雄

    長島参考人 お答えします。  当社設備投資計画九千四百五十億、それの達成度合いいかんという御質問でございます。当社に関する限り十分達成の自信がございます。たとえば五十二年度の達成率、いま実施中でございますけれども、大体一〇〇%達成できそうです。かなり大きな七千四百億程度投資計画でございますが、ほぼ一〇〇%、五十一年度は五千億台だったかと思いますけれども、百十何%の達成率でございます。五十三年度九千四百五十億、東京電力はある点で非常に恵まれておりまして、電源開発計画にしましても、用地問題等かなりありますけれども、おおむね解決済みの地点でございますとか、あるいは用地問題の解決した増設関係が主でございます。電源計画につきましても、私どもは大体達成できる。一部送電設備に問題がありまして、そこの達成が多少懸念されますけれども、全体としての九千四百億程度達成は十分できる。  ただ、これは他社のことで申し上げる筋でないかと思うのですが、全国的に三兆二千億が達成できるかどうかというのは、多少問題があるんじゃないかと考えております。他社にいろいろ困難な事情がございます。その点は、東電は多少恵まれておりまして、何とか達成できそうです。
  26. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 もう一問お伺いいたしますけれども、おたくは円高差益は利益を享受する方で、それで電力料金を抑えよう、こういうことになっておるわけでありますけれども、そういう円高差益が出る一方で、いま言われた繰り上げ発注も含めますと、全部で一兆一千四百五十億円ぐらいになる。そうなりますと、先ほど御説明の中にもありましたように、資本費の負担が非常に多くなってくる。償却なりあるいは金利負担、株主配当の問題もありましょうし、こういう資本費に対する負担が非常に大きくなってくるわけですね。ましてや一兆一千億もの設備投資を五十三年度一年間にやった場合を考えますと、そういった金利負担、償却の部門で負担が大きくなってくる。  こうなってくると、おたくの収支の中で、円高の為替差益でプラスになった部分、それからいま申しました資本費の負担の部分、これを双方で、私は細かい計算はしてないですけれども、それをバランスしてみますと、円高差益を消費者に還元をすると言われておったけれども、どうも投資の方が余りにも巨大になり過ぎて、その負担の方で円高差益というのが必ずしも消費者の方に回ってこないで、次の投資の金利負担その他でちゃらになってしまうのではないかという心配があるのでありますが、その点はいかがなんでありますか。
  27. 長島忠雄

    長島参考人 お答え申し上げます。  まず、円高による為替差益の問題、東京電力初め電気事業の一次エネルギー源の主力は、先ほど申し上げましたとおり石油であります。その石油は、全くすべて海外から購入しておりますその関係上、円高によってプラスに恵まれる事業であることは間違いございません。その点、五十三年度につきましては——大体、円高推移がどうなるかというのが全くわからないのでございまして、最近は非常に円高になっておりますけれども、これは何といいますか、海外の投機的な性格もありますので、一応、円安になりかかったらどこまで行くかわからぬというようにも考えておりまして、全く見通しが立たないのでございまして、その面からどのくらいのあれができるかということ、今日の段階ではっきりした想定はできないのでございます。しかし、ともかく少なくとも現状におきまして円高による差益があるということははっきりしておりまして、それにつきましては、五十三年度の料金の改定はしない、こういう形で需要者に還元したい。実は、現在の料金の原価計算の対応期間は五十一年度と五十二年度であります。したがいまして五十三年度は、現在の料金の何といいますか、算定期間はもうすでに外れているわけでございますけれども電気事業としては何とかして、為替差益もございますので、この五十三年度はぜひこの現行料金を維持する、そういう形で需要家に還元をしたい、このように考えております。  で、もう一つの点、非常に巨額な、当社としても九千億、繰り上げ発注を含めますと一兆を超えるような巨額な投資をして、その資本の負担に耐えられるかという問題でございます。これは電気事業にとっての本質問題でございます。非常に投資がふえる一つの原因、これはインフレの関係、非常に物価が高い、たとえばオイルショック前に比べて機器は二倍、三倍の価格でございます。そういう面で、投資の額がふえるという点で、非常に事業にとっての本質問題でございます。しかし、当面におきましては、一兆に及ぶ発注あるいは投資をやりましても、その全部が五十三年度の資本負担になるわけではございません。この投資というのは、将来長期に供給できるように二年先、三年先、四年先、五年先、少なくとも五年先ぐらいまでの投資をやっているわけでございまして、それが順次完成していくわけでございますから、したがって、五十三年度に一兆円の投資の全額が負担となってくるわけではございません。そういう面から、五十三年度やっていけないということはございません。私どもとしては、まあ為替差益の点もございますので、投資負担を何とかして、あらゆる面の効率化を図りまして、資本費の負担を軽減するように考え、為替差益等の恩典をあわせ考えまして、何とかして料金をいつまでも維持していきたい、このように考えております。
  28. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 電力の方の設備投資の意欲的なことはよくわかったわけなんですが、じゃ、果たしてそれが関連をする——もちろん東芝さん、これだけやっているわけではないわけでございますけれども、東芝さんの方でもそれを受注される。先ほどお話しの中には、全体的な東芝さんとしての設備投資のことについてはお伺いしたわけでありますが、もう少し話を区切って、たとえば電力がこれだけ投資をする、それに伴って果たして、それを受け入れる、受注される受注業界側として、この電力の設備投資にこたえて新たな設備投資をしないことには発注が間に合わない、対応できない、こういうような状況になっているのかどうなのか、その点はいかがでございますか。
  29. 山田雄一

    山田参考人 お答えいたします。  先ほど、私ども投資の重点がやはり五十三年度も引き続き産業用エレクトロニクスと申し上げましたけれども、その次ではやはり重電部門が大きくなっております。ただ、重電部門につきましては、昭和四十八年に相当巨額の投資をしておりますので、先ほども申し上げましたけれども、重電部門の設備稼働状況は、現状やはりまだ八五%程度でございますので、四十八年の投資、それから現状の稼働状況ということを見まして、そのエレクトロニクス関係よりもまだ若干ウエートは減っておりますけれども、五十三年度は、やはり先ほど申し上げましたようなミニクラッドあるいはタービンの大型タービンの関係、それからその次には、やはり電力のいわゆる送配電関係のエレクトロニクス化というようなことで、そのソフト等を入れました重電の投資は相当ふえております。  そういうことで、先ほども申し上げましたが、五十三年度の計画としてまだ追加が四十億ぐらい考えられるという中には重電関係も入っておりまして、状況のいかんを見ましては投資を続けていきたいというのが現状でございます。  以上でございます。
  30. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 最後にトヨタさんにお伺いしたいのでございますけれども、先ほどお話がございましたように、確かにいままでは自動車は大変よかったわけでありますけれども、これから果たして国内需要がどうなっていくのだろうか。それから、英国との間にほぼ——まあこれは業界側が完全に受け入れたのかどうかわかりませんし、英国への輸出の大きなシェアというのは日産さんでありますので、トヨタさんからお話を聞くのが必ずしもいいのかどうかわかりませんが、まあ自動車工業会の会長でもございますので、それを含めてお伺いしたいのでございますけれども輸出もある意味では、これは英国だけの問題ではなく、アメリカとの関係においても、将来ある程度同じようなことが当然出てくることだと思うのであります。  そういった面から、先ほど非常に興味深くお伺いしたのは、排出ガス規制が行われたときに設備投資がかなり大きくなってきているわけですね。非常に興味深く数字を見たわけでありますけれども、いずれにしろ、自動車といえども先行き、いま申しました両面から必ずしも楽観できない。それから、先ほど福利厚生その他も含めての設備投資のお話もありましたし、あるいは安全あるいは排出規制、省資源省エネルギー、その他いろいろありましたけれども、私も愛知県出身なものでありますから、たとえばトヨタさんの周りにあります愛知機械あるいは豊田合成、こういったところも新工場を非常に慎重にやるというようなこともありまして、自動車業界も去年からことしにかけて非常にかげりと申しますか、屈折点に来つつあるのじゃないかというふうに思うのでありますけれども、その辺を含めて、特に対外的な問題、円高、この辺も含めまして、どういう見通しに立たれているかをお伺いしたいと思います。
  31. 豊田英二

    豊田参考人 国内販売につきましては、私どもは、政府の積極的な景気刺激策によりまして、景気が順調に回復するであろうということを予想いたしまして、昨年に比べまして九・七%増の計画をいたしております。輸出につきましては、円高による価格競争力の低下、並びに米国メーカーが本格的な小型車の開発を行っておりますことなどによりまして、非常に厳しい状況予想されます。しかも、いま御指摘がありましたような海外のいろんな空気もございますので、私どもは、昨年並みの輸出計画をいたしておるというような状況でございます。  先ほどお話が出ました英国の問題につきましては、先般、二月の七日、八日でありますが、東京におきまして日本の工業会と英国の工業会が懇談をいたしたわけでありますが、それでお互いの事情を交換し合い、十分意思疎通をいたしたわけであります。しかしながら、はなはだ残念なことでありますが、お互いに妥結をいたしました共同コミュニケの一部が誇張されて報道されまして、その結果誤解を生んだようなことになりました。そのために、英国側で政治的な問題にまで広がったような状況でございます。わが国では、通産省におかれましていろいろ御心配をいただきました。一応のめどがついた状況に達しましたわけでありますが、本日新聞等で報道が出ておりますような状況で、一応落ちついた状況になっております。  次に、米国の問題がしばしば新聞等で話題になるわけでありますが、これは私どもが得ております情報の範囲内におきましては、米国の自動車業界は、日本から入りますところの車に対する問題を取り上げておるような状況ではございません。また、御承知の自動車労働組合でありますUAWにおきましても、現段階では日本の自動車のことを問題にいたす段階にはなってございません。さはさりながら、向こうはかなりデリケートな感じを持っている方もあるようでございますので、私どもといたしましては、十分先方の事情も配慮いたしまして、節度ある輸出を心がけてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。  なお、当社といたしましては、五十三年のアメリカ向けの輸出はほぼ前年の程度、横ばいという程度が上々であろうという考え方で、計画を進めておる次第でございます。  以上です。
  32. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 どうもありがとうございました。  時間が参りましたので、終わらしていただきます。
  33. 大村襄治

    大村委員長 池田行彦君。
  34. 池田行彦

    ○池田(行)委員 参考人各位には、お忙しい中を恐縮でございます。  私、質問時間が非常に限定されておりますので、長島参考人豊田参考人とお二人に限らせていただきまして、御質問させていただきたいと思います。  まず、長島参考人にお伺いしたいのでございますが、先ほどのお話を伺いましても、本当にことしのといいましょうか、五十三年度の景気浮揚のためにも、民間設備の面におきましてはどうしても電力業界の皆様方にがんばっていただかなくちゃならぬ、これは当然でございます。それと同時に、長期的というよりもつい近い将来のエネルギーの需給、電力の需給ということを考えましても、この設備投資、電力の問題というものば本当に重要な課題であるというだけじゃなくて、緊急な課題でもあると思うのでございます。  そういった意味におきまして、ことしの設備投資計画も、計画どおり実行されることを強く期待するものでございますが、先ほど佐藤委員の御質問に対しまして、東電の設備投資計画は十分自信があるけれども業界全体としての三兆二千億円には若干問題なしとしない、こういうようなお話もございました。そういったところを一つ一つ解決して、何とか達せられるよう祈っているのでございますが、一方におきまして、政府の一部では、その三兆二千億円に繰り上げ発注一兆円、四兆円余りでも、もう少しふやしてもらえないだろうか、五兆円ぐらいをというような声もあるやに報じられておりますが、そういった一部の期待に何がしなりともこたえる可能性が、今後の情勢いかんによってはあるのかどうか、その点をひとつお伺いしたい。  それから、時間の関係もございますのでまとめてお伺いしますが、二つ目には、その関係でやはり立地をいかに促進していくか、これは非常に大切な問題でございまして、企業サイドにおきましても、いろいろ地元の了解取りつけなどに御努力しておられる、これはぜひやっていただきたいと思うのでございます。しかし、行政あるいは立法のサイドにおきましても、先ほどのお話でいろいろ立地促進のために努力を払われておるというお話でございましたが、さらに改善すべきところはないかと考えるわけでございます。  たとえば先ほどの設備投資関係でも、送電線の関係で若干問題があるというようなお話がございました。その関連で申しますと、例の電源三法の活用によりまして、今回電源立地につきましては交付金の倍増というような措置もとっておるわけでございます。たとえば送電関係は、電源三法が適用されないというふうに聞いておりますし、また、今回電源三法を活用するといいましても、まだこの交付金の使途であるとか、あるいは地方交付税との関係での頭打ち措置とか、いろいろ制約もあるやに聞いておる。こういった問題について、電力業界としてどういうふうにお考えになるか、これをお伺いしたいのでございます。  さらに三番目には、資金の問題なんでございます。現在、金融は非常に緩和基調にございますので、何とか調達も可能かと思いますけれども、しかし、東電一社でも九千四百五十億円の設備投資というもの、これはやはり膨大なものでございます。そういった資金調達面においていま何か問題はないか。とりわけ開銀であるとかあるいは輸銀といったような政府関係金融機関との関連において、何か電力業界として、こういったところはといったような御希望なりお持ちになっておれば、その辺お伺いさせていただきたい、こう存じます。  以上三点。
  35. 長島忠雄

    長島参考人 先生の御見解伺っていて、私ども非常にありがたく、問題の真の所在をお話しいただいて、ありがたくお礼申し上げたいと存じます。  御質問の電力設備の五兆円、政府、通産大臣は五兆円ぐらいできないかとおっしゃっていること、それから業界に対して御要請をいただいておること、そのとおりでございます。しかしこの点は、先ほど申し上げましたように、業界としての今日まで固まった計画としては、投資計画三兆二千億、繰り上げ発注約一兆円でございます。まだ五兆円には達しません。しかし、われわれも三兆二千億とか東京電力で言えば九千四百意に、国家の予算のように決めた以上それ以上やらぬという性格ではございません。問題はおっしゃるように、近い将来の電力の安定供給の問題、エネルギーの問題に関係しますものですから、この計画値に必ずしもこだわりません。もし解決ができて進めることができたら、さらにこれをやりたい、むしろやりたい気持ちでございます。  しかし問題は、その用地関係の隘路がどうなるかによって、五兆円まで近づけられるかどうかが決まるのじゃないかと思います。現在、業界自体としても、政府におきましても、用地問題その他につきましては最大の努力をしておりますので、何とか、現在の業界としての三兆二千億には欠ける地点もありますけれども、それをカバーするような余地もこれから出てくるのじゃないかと思います。具体的にいまの四兆二千億がどこまでいけるかというのは、ちょっと見通しははっきりしませんけれども、しかし四兆二千億を超えて拡大していきたい気持ちで取り組みたい、そのように考えております。  それから、立地等に関係して立法その他改善の余地はないかというお話でございます。この点につきましては、現在、非常に率直に申し上げまして、電源開発その他には複雑な法規がたくさんございます。その運用いかんによってはそれ自体が支障になることも考えられるのでございますけれども、最近におきましては、政府の方におきましても、これの迅速化、各省庁間の協力体制の強化、そういうことによって非常に積極的に促進していただく体制にございますので、私は、その面からは今後非常に早まるのじゃないかと期待しておるわけでございます。  その一つの点として、送電線関係に現在の電源三法の交付金を交付することはどうか、一つのアイデアとして非常に考えられる点でございます。この点によって、特に都市の近郊の送電線の用地は、電源あるいはそれ以上に困難でありますけれども、その点の隘路が切り開かれるという点は考えられます。しかし、別の面から見ますと、送電線の建設は国じゅう都市と言わず地方と言わず、山林、すべて張りめぐらしているのでございます。これがすべて対象になった暁には、原資がどれだけあっても足らぬじゃないかというような点、解決の点では一つの点と考えられますけれども、その反面も予想されますので、これは政府とも御相談し、慎重にこれから検討させていただいたらと考えるのでございます。  第三の点は、資金の問題でございます。これはおっしゃるとおり、当社一社でも九千四百億、業界で三兆、膨大な金額でございます。これの調達は非常に問題でございます。しかし現在、五十三年度につきまして申し上げますと、私は何とか確保できるのじゃないかと思うのであります。  大体この電源開発の電力の投資の資金は、大きく分けますと、自己資金、企業の内部留保、減価償却というのが三分の一、それから、外部から大体三分の二ぐらい得ておるわけでございますけれども、外部から得ているものの約半分が社債、あとの三分の一がいろいろな面の金融機関からの借入金、そのように大体三等分の調達の構成でございます。その点で、自己資金は当然確保できるのでございますけれども、外部の社債あるいは長、短期の借入金が可能かどうかという点でございます。額が非常に大きいということは、それに問題があるということでございますけれども、少なくとも五十三年度につきましては、御存じのような民間資金の需要が非常に低迷しております。これは民間設備投資が大きくならないという半面でございまして、市場における資金需要が非常に少ない。これは幸か不幸か、その面から電力の所要資金は、社債の発行につきましても借り入れにつきましても、何とかできるのじゃないか。  しかし、一つの非常に大きな懸念は、むしろ今後に予想される膨大な国債発行の問題でございます。これが市場におきまして、電力の社債等と競合することは避けられないのであります。これがもし競合して電力債の発行が困難になりますと、資金問題が生じてくる懸念がございます。しかし、少なくとも今日の段階あるいは今日の見通しにおきましては、いろいろの面の金融政策等も実施されておりますので、私は、起債並びに借り入れ等両面からも、少なくとも今年度いっぱいくらいは何とかできるのじゃないかと考えております。  簡単でございますけれども、お答えといたします。
  36. 池田行彦

    ○池田(行)委員 ありがとうございます。  もう時間がないようでございますけれども豊田参考人にまとめて御質問申し上げたいと思います。  冒頭の御説明、また佐藤委員との間の御質疑を通じましても、内外ともに需要の見込みは非常に厳しいものがあるようでございます。しかし、その中でも輸出につきましては昨年と横ばい、しかし国内については九・七%でございましたか、一割近い伸びを見ておられるということであります。しかし、昨日の一部の新聞にも報じられておりましたけれども、ディーラーの自販連の方の見込みでは、内需も昨年並みあるいは若干の増がいいところではないかという非常に厳しい見通しをしておられるようでございます。  先ほどの御説明では、今後の政府景気浮揚策の効果が徐々に出てくることを期待してというようなお話がございましたけれども、本当にそう祈りたいのでございますけれども、また一方において、昨秋でございましたか、本社では七〇%稼働率でもやっていけるような体制をつくれというようなことを宣言もしておられるようでございます。そういった意味では、この九・七%の増という見込みもなかなか容易ならざるものがあると思うのでございます。  その関連において、設備投資千五百億円を計画しておられる。これを半月ほど前の新聞報道によりますと、たしか千四百億円を計画しておられるというふうに報じられておったと記憶しておるのでございますが、いろいろ需給動向厳しい中で、この百億円を積み増しされたのか、積み増しされたとすれば、そこには何か明るい材料でもあったのか。それとあわせまして、この設備投資計画は本当に目いっぱいのものなのか、あるいは将来さらにかさ上げする可能性があるものかという点をお伺いしたいと思います。  それからあと二番目には、今回政府も非常に大型の公共投資というもので景気浮揚策を考えておるのでございますが、こういった政府の公共投資というものは、自動車業界の今後の需要動向にどのような影響を与えるだろうか、あるいはどのような効果を期待しておられるか、そういう点をお伺いしたい。  それから最後に、これは各参考人からもお話があったのでございますが、今回の投資促進税制について、対象の点あるいはその期間の点についていろいろ御要望の陳述がございました。  豊田参考人にお伺いしたいのですが、そういった対象あるいは期間を、一年限りでなくて将来にわたっている点もございますが、投資促進税制だけでなくて、何といいましょうか、プラスとマイナスと両方に働くいわば投資調整税制といったものでございますね、そういったものを恒久的な制度として、仕組みとしてつくることについてどういうふうにお考えだろうか、その三点について御意見をお伺いさしていただければと思います。
  37. 豊田英二

    豊田参考人 お答え申し上げます。  先ほど申し上げました本年度千五百億円という設備投資を、私ども計画をいたしておる次第でありまして、新聞では千四百億という数字も出ておったようでありますけれども、私どもとしては千五百億円という数字計画をいたしております。  先ほど申し上げましたように、設備投資というものは、生産能力の増強だけではございませんで、そのほかいろいろ申し上げたような理由で投資をいたすわけでございますので、そういった面で、昨年が千三百五十億でございましたが、本年は千五百億を計画いたした次第でございます。  現在の見通しといたしましては、私どもはこれを完遂するべく努力をしてまいりたいということを考えておる状況でございますが、何と申しましても、先行きの見通しはなかなか不安定要因が多いわけでございますので、若干の変更というようなことが起こる可能性もあるかもしれませんが、現在の段階では、これを完遂してまいりたいというように考えておる次第でございます。  第二といたしまして、大型公共投資の波及効果といいますか、そういった問題でございますが、やはり私どもは、その波及効果はかなり大きいものと考えておりまして、その結果として自動車産業需要喚起にも十分大きな意味を持ってまいるものと考えておる次第でございます。最も直接影響を受けますのは、主として大型トラックの分野でございますけれども、しかしながら、波及してまいりますのはかなりの範囲に広がるであろうということが考えられるわけであります。  なお、つけ加えてお願いかたがた申し上げますと、この大型公共投資の進め方といたしまして、道路投資拡大お願いしたいと思う次第であります。道路の整備状況はまだわが国としては相当おくれておるように思いますし、また、現在自動車が大衆の足となってまいりました状況から考えますと、道路投資拡大ということは、国民生活の向上、景気浮揚等にも大いに役立つものではないかと考えておる次第でございます。  次に、第三といたしまして、七割操業でもという御質問があったわけでありますが、私どもは、先行きの見通しについていろいろな状況考えざるを得ない不安定な感じを持っております。かような状況の中で今後の仕事を進めていく上におきましては、七割操業になっても十分耐えられるだけの体力を会社につけてまいりたいということが、七割操業という言葉の理由でございまして、私ども企業体質づくりの目標として、七割操業でも耐えられるというような体質にしてまいりたいということを考え、また、関係会社あるいは協力会社にもそういったことを申し上げた次第でございます。現在考えております設備投資そのものにつきましては、この考え方と直接の関連はございません。  以上でお答えを終わりたいと思います。
  38. 池田行彦

    ○池田(行)委員 ちょっと恐れ入りますが、最後に、投資促進税制の関連で、恒久的な投資調整税制というものについての御意見をお伺いできればと思います。
  39. 豊田英二

    豊田参考人 いま御質問がございましたが、私ちょっとその辺のところは十分なる知識を持っておりませんので、お答えができないわけでございますが、現在お考えいただいておる税制の問題につきましては、もう少し範囲拡大し、あるいは期間延長していただいた方がより効果的ではないか。また、特に私どもが抱えております協力工場関係の問題といたしますと、さらに効果があるのではないかというふうに思いますので、はなはだお答えになりませんけれども、御勘弁をいただきたいです。
  40. 池田行彦

    ○池田(行)委員 ありがとうございました。終わります。
  41. 大村襄治

    大村委員長 坂口力君。
  42. 坂口力

    ○坂口委員 参考人の皆さん方には、大変お忙しい中をきょうは御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。     〔委員長退席、綿貫委員長代理着席〕  時間が非常に切迫いたしておりますので、引き続き質問に入らせていただきますが、先ほど皆さん方のお話をお伺いをさせていただきますと、中に電力さんでありますとか業種によりまして、いろいろニュアンスの違いはございましたけれども、全体的に設備投資につきましては積極的に五十三年度も進めるという形よりも、むしろ全体の様子を見ながらというニュアンスが強かったように感じたわけでございます。しかもその投資の内容につきまして、多くの皆さん方がお触れになりましたけれども、その内容につきましても合理化あるいは省力化、あるいは公害環境整備、あるいは職場の環境整備、そういったことが非常に前面に出まして、いわゆる増産のための設備投資というものにつきましては非常に控えた発言をなすったというふうに理解をさせていただいているわけでございます。しかし東京電力さんの場合には、これは少しお立場が違いますから御発言も異なっておりますが、ほかの四人の方は大体そういうニュアンスでなかったかというふうに感じるわけでございます。  そこで、まずトヨタさんの方にお聞きをさせていただきたいと思うわけでございますが、先ほどの御説明でも、増産設備投資というものに触れられまして、全投資の中に占める割合というものが減ってきているということのようでございますが、増産設備投資には具体的にどのようなものがあるかどうかということをひとつお聞きをしたいわけでございます。  それともう一つ、先ほど千五百億円ということをおっしゃいましたが、この中にはいわゆる海外投資の分も含まれているのかどうかということも、あわせてひとつお答えをいただきたいと思います。
  43. 豊田英二

    豊田参考人 お答えを申し上げます。  増産設備投資といいますのは、私ども生産能力が拡大するような設備投資を、増産設備投資といいますか、能力増強といいますか、そういった表現で申し上げた次第でございます。しかしながら、先ほど申し上げたような分類で全部をぴしっと分けるわけにはなかなかまいりにくいのでありまして、若干はお互いに関連して発生するものでございます。しかしながら、いま御質問もございましたので、一応私どもの分類でお答えをさせていただきたいと思います。  私どもの分類によりますと、増産設備投資的なものは、石油ショック前の四十八年には三〇%でございました。それが昨年の五十二年におきましては一五%に減っております。かような数字が出ておりましたので、先ほどのような御説明を申し上げた次第でございます。  次に第二の御質問といたしまして、千五百億円の中に海外投資は入っているかという御質問でございましたが、これは入ってございません。海外投資はこの千五百億のほかにあるわけでございます。私どもといたしましては、この海外投資につきましては、御承知かと思いますが、私ども販売会社でありますトヨタ自動車販売会社というのがありまして、私どもと一緒になって仕事をいたしておりますが、両者で投資をすることを原則としていままで進めてきております。両者の数字を合計してお答えにかえたいと思いますが、四十八年から五十二年までの五年間におきまして約百十億円投資をいたしております。これは必ずしも全部が設備ではございませんけれども設備もその中に含まれておるわけでございまして、合計いたしまして約百十億円というのが現状でございます。  以上でお答えを終わらしていただきます。
  44. 坂口力

    ○坂口委員 もう一つ続いてお聞きをしておきたいと思います。  最近、アメリカにおきまして、たとえば同じ自動車会社のフォルクスワーゲンが工場進出を決めておりますし、日本におきましても本田技研さんの方がオハイオ州に進出をお決めになっているわけでございますが、トヨタさんの方はアメリカ等に工場進出をなさるという御計画はあるでしょうか、どうでしょうか、この点もう一つつけ加えて聞いておきたいと思います。
  45. 豊田英二

    豊田参考人 米国における現地生産につきましては、私どもとしていろいろ勉強をいたしておる段階でございまして、まだ具体的な計画は持っておりません。しかし、非常に小さなものでありますが、小型トラックのハイラックスにつきましては、現地でリアデッキを生産をいたしております。現地生産して現地で組み立てたものをアメリカで販売しているというような形になっております。これは従業員が三百五十名程度工場でございますが、そういった小さな工場は持っておりますけれども、本格的な工場につきましては、現在まだ具体的な計画は持っておりません。
  46. 坂口力

    ○坂口委員 また後ほどお聞きをしたいと思います。  いずれにいたしましても、設備投資は、先ほどお話が出ましたけれども、技術革新が進む中か、あるいはまた、新規の輸出市場でありますとか新しいマーケットが開拓されるか、このいずれかでないと前進をしないわけでありますが、最近の輸出の状態等を見ておりますと、先ほどから何回か出ておりますように、円高で非常にいろいろの影響を受けておみえになる中にもかかわらず、この一月を見ましてもかなり輸出は伸びているわけでございます。一月の通関実績は、ドルベースで見ましても前年同月比で二〇%の増加でありますし、円ベースで見ましてもわずか一%減でございます。  こういうふうに続いておりますのは、国内におきます内需の拡大がおくれておりますために、どういたしましても海外に頼らざるを得ないという側面があるのであろうというふうに思うわけでございますが、苦しみながらも輸出をふやすということになってまいりますと、そのことがまた、輸入はなかなかふえませんから、貿易収支の黒字に結びつきまして、さらにまた円高に結びついていくという悪循環がここに発生する可能性もまだ残っているというふうに思うわけでございます。  そこで、東芝さんの方にお聞きをさせていただきたいと思いますが、そういう全体的な背景の中でございますが、先ほど設備投資に触れられました。その額は五十三年が大体三百四十六億円とお聞きをいたしました。この額は、昭和五十一年が三百六十四億円、五十二年が三百十億円でありますから、まあまあ大体横ばいと申しますか、そういう感じに受け取らせていただきました。  その内容でございますが、産業用エレクトロニクスの部門が四六%ということを言われました。私まあ専門的なことはわかりませんので、その内容にどういったものが多く含まれているかよく存じませんけれども、とにかく医療用でございますとか、特別な産業と申しますか、景気というものに案外影響されない第三次産業向けのようなものがかなり多く含まれているのではなかろうかという気がするわけでございます。あと、軽電部門と申しますか弱電部門と申しますか、そちらの方につきましては、私はちょっと聞き漏らした点もあるわけでございますが、この軽電部門の方がどうなるのかということをもう少しお聞きをさせていただきたいわけであります。  これは国内の分も国外の分も含めてどうなるのか、どう対応されるのかということをお聞きをしたいわけでございますが、その比率の中で、これで景気回復してくればまだまだふえて設備投資をされる可能性が残っているのか、それとももう内需が拡大しても設備投資はこれ以上はできないというところに来ているのか、この辺のところをまずお聞きをしたいと思います。
  47. 山田雄一

    山田参考人 お答えいたします。  軽電部門につきましては、御承知のとおり、個人消費の伸びがちょっと停滞しておりますので、たとえば家電関係で申し上げますと、私どもの前年度同期に対する伸びで見ますと大体一〇五%ぐらいで、これはまあノミナルな数字の比較でございますので、一部製品に値上げもございますので、実質の面から見ると、前年同期に比べますと一〇〇%前後ということでございます。  ただ、製品の中身について申し上げますと、たとえばカラーテレビ等につきましては前年に対しては落ちぎみでございますが、新製品といたしましてVTR関係等は非常な勢いで伸びております。たとえば五十二年度について申し上げますと、大体年間で総出荷が六十万から七十万ぐらいの見込みでございますが、五十三年度につきますと、大体これがいまの予想では百万を超えるのではないかということで、VTR関係は相当伸びておる。あるいはまた、冷蔵庫関係について申し上げますと、年間の総スケールはほぼ同じでございますが、内容的には大型化していっている。従来二百リットル以下百六十リットルぐらいの製品が中心でございましたのが、二百三十リットルぐらいということで製品の大型化が進んでいるということで、製品別に見ますとそういう差はいろいろございます。一方、いま申し上げましたようなカラーテレビあるいは洗たく機、それからクリーナーというような製品につきましては、対前年の伸びはむしろしぼんでおるというような状況でございます。  したがいまして、設備につきましては、軽電部門についてはやはり余り前向きな投資はいまのところ控えぎみである。ただ、いま申し上げましたようなVTR関係等につきましては、先ほど申し上げました当社の三百四十六億の中におきましても、やはり相当大きなウェートで入ってきておりますということで、ただ、VTRあるいは冷蔵庫の大型化等につきましては、すでに五十二年度で終わられたメーカーもございますが、私どもではいまその辺を中心に五十三年度はやっていきたいというような中身でございますので、これからの市場の状況によりましては、やはりこれに対応してやっていきたいということでございます。  ただ、もう一つつけ加えますと、先ほど申し上げましたように、エレクトロニクス関係に重点投資をしておりますが、家電製品もやはり内容的にはエレクトロニクスが入ってきております。そういう意味で、やはり家電製品の中身もエレクトロニクス化していっているという意味で、いまの状況はエレクトロニクス部門の方が先行しているという状況でございます。  以上でございます。
  48. 坂口力

    ○坂口委員 ありがとうございました。  もう一問続いてお聞きをしたいと思いますが、いまお話を伺っておりますと、部門部門によりましてはかなり違うようでございますが、家電部門、特にいままでの家庭用品の王者と言われましたテレビでありますとか洗たく機でありますとか、そういった部門については控えぎみにしておみえになるというお話を聞いたわけであります。  そこで、率直な御意見をお伺いをしたいわけでありますけれども、ことし非常な公共投資がこれで行われるわけでありますけれども、これが大きく景気の変動に結びついていくと政府は述べておりますし、われわれもそうなることを期待はしているわけでございます。しかし、現在の段階ではなかなかそううまい調子にいきにくいんじゃなかろうか、こういう気持ちをわれわれは強く持っているわけであります。     〔綿貫委員長代理退席、委員長着席〕  皆さん方のそれぞれのお立場からこの景気の問題について云々されることは、いささか言いにくい町題でございましょうしいたしますので、私もその点をお聞きしようとは思いません。しかし、いまお話を伺っておりますと、現在の政府の打っております手だてでは、盛んに輸出あるいは国内需要も高かったこの東芝さんあたりのお仕事に対しても、どうもことしはなかなか影響がしてこないのではなかろうか、そういう御判断があるような気がするわけでございます。私どもも、景気だけではなしに、もう少しほかのものも加味した、もう少し総合的な政策を行うべきだということを主張しているところでございまして、その辺のところの若干御意見がございますれば、およろしければひとつお聞かせをいただきたいと思います。
  49. 山田雄一

    山田参考人 先ほどちょっと申し上げましたけれども、家電関係等につきましては、やはりベースアップあるいは所得の水準の問題等から、御承知かと思いますけれども需要の中身が、普及率が高くなっておりますので買いかえが中心でございまして、買いかえとなりますと、やはり所得、景気状況等を見まして、先へ延ばされる傾向が強くなります。したがいまして、端的に申し上げますと、もう一回直して使おうというような形で、私どものサービス会社が忙しくなるというような状況でございますので、家電関係につきましては、やはり若干そういう傾向で、いま申し上げたような状況でございます。  ただ、重電の関係とそれからエレクトロニクスの部門の関係等について申し上げますと、やはり公共投資影響は相当出てきております。と申しますのは、たとえば上下水道関係の御注文がふえてまいります。上下水道の御注文がふますと、やはりその中に入りますモーター、コンピューター、それからそれに付属する計測機器というようなもので、私どもの方の重電、エレクトロニクスの分野での御注文はふえております。こういう面からいたしますと、やはりそういう受注の増加に対応して下請関係等の注文もふえておりますので、一方では、先ほどからお話が出ておりますように、円高の問題等も入れまして、コストダウンあるいは品質の向上ということで、今度はそういう下請屋さんについての技術的な面での指導といいますか、一緒になってやるという面での設備の改善をわれわれもいま取り上げておりますので、やはり先ほどから申し上げましたような投資減税というようなものは非常に有益ではないかと思います。  もう一つは、やはり先ほども申し上げましたように、この投資減税だけではなくて、金利の低減というものも相まって効果が出るのじゃないかというぐあいに考えております。  その辺でございます。
  50. 坂口力

    ○坂口委員 ありがとうございました。  それでは、時間が迫ってきておりますので、東京電力長島社長さんにひとつお聞きをしておきたいと思います。  先ほどもお話を伺いますと、現在石油に依存しているところが五四%、これは昭和六十年に二七%までダウンさせたい、こういうお話がございまして、また、設備投資等につきましても、一番中心考えておみえになりますのが立地問題である、建設推進の主要な点であるということを先ほど御説明になったわけでございますが、いろいろお話を伺っておりますと、その中で、原子力発電という言葉そのものは面接余り出てまいりませんでしたけれども、目指しておみえになります方向が、現在の方向から原子力発電へという方向を志向しておみえになることは十分に理解ができるわけでございます。  これは立地問題とも絡む問題でございますけれども、非常に立地問題等が特に原子力発電等でむずかしいのは、言わずもがなその安全性についてでございます。この安全性の確立があるかないかということによって、この立地問題も大いに影響を受けてくるであろうというふうに私ども考えるわけでありまして、私どもも、この原子力発電所は避けて通れない問題である、こういうふうに感じているところでございます。ただしかし、安全性が大丈夫かということだけは確認をしておかないと、前進ができないというふうに思っているわけでございます。  そういうふうな中で、いわゆる原子力発電所の安全性に対する研究と申しますか、あるいはその開発と申しますか、それに対する設備投資というのは、おたくの場合にどのぐらいおやりになっているのかということをお聞きをしたいわけでございます。これは国もやらなければならない問題でございまして、皆さん方だけに押しつける問題ではないということは、十分よく承知の上でお聞きをしているわけでございます。
  51. 長島忠雄

    長島参考人 お答え申し上げます。  今後の電源開発の方向として脱石油、そのためには原子力が中心になる、おっしゃるとおりでございます。当社は原子力に重点を置いている、しかし、そのために逆に立地問題が困難になっているということも、われわれよく理解できるところでございます。そういう意味から、原子力の安全性の問題については、われわれ業界、それからメーカー、それから一部は海外からも導入しておりますが、海外のメーカー、そういうものを合わせまして、最大の努力を払っております。その努力は幾つかの面にありまして、一方は研究面も最大の努力を払っておりますけれども、現在、設備を運転しておるものもございます。建設の段階もございます。さらに計画の段階もございます。そのあらゆる面につきまして、安全性の確立を最大の課題として、それぞれの面で取り組んでおると申し上げていいかと思うのであります。  それから逆に、政府におかれましても、安全性の管理という面に非常な重点を置かれまして、いろいろの制度的な施策、措置もとっております。そういうあらゆる面から総合しまして、原子力の安全性については、現在の段階で考えられる最大の努力を官民挙げてとっていると申し上げて差しつかえないかと思うのであります。
  52. 坂口力

    ○坂口委員 できることならばもう少し具体的なお話を伺いたかったわけでございます。こういう設備投資をという時代でございますので、こういう時期にこそ、安全性の確立のための設備投資と申しますか、安全性確立のための研究をということに、もう少しより多くのものを割いていただいていいのではないか、こういう感じを持っているものでございますから、お聞きをしたわけでございますが、具体的な数字等がなければさらにお聞きしょうとは思いません。もしも——ございますか。ないようでございましたら結構でございます。また別の機会にお聞かせをいただきたいと思います。  それから、そのほかまだお聞きしたいことがございますし、小松製作所の河合社長さんやそれから清水建設さんの牧野副社長にもお聞きをしたいわけでございますが、時間がございませんのでお許しをいただきたいと思います。また別の機会にお聞きさせていただく機会がございますれば、またお聞かせいただきたいと思います。  ありがとうございました。
  53. 大村襄治

    大村委員長 永末英一君。
  54. 永末英一

    ○永末委員 民社党の永末英一です。  民社党は、割り当て時間が二十分でございまして、もう一人高橋君が御質問申し上げますので、私の割り当ては十分でございますから、参考人の皆さんすべてに御質問いたすわけにまいりません。お呼びをしておいて質問をせぬのは非礼でございます。昼食時間もつぶしてやっていただいてまことにありがたいことだと思いますが、河合さんと牧野さん、お二方にお伺いしたいと思います。  河合さんには、円高等で輸出を主とする業界には非常にこれは困るのだ、円の安定化という話がございました。大蔵大臣は、現在の円は浮動しておる相場であるから見ているのだというのが原則であるというのでございまして、政府がこの円高に効果的な対策をとり得る立場でないような説明をわれわれにいたすわけでございまして、経済人としまして、どういう政策を持っていけば、より円が安定化した中で輸出がより安定して行われるとお考えか、その辺のことをひとつお聞かせ願えれば幸いです。  もう一つは、先ほど発展途上国に対する輸出、この点についていろいろ問題があろうかと思いますが、日本政府がこれらの発展途上国に対する輸出についていろいろなすべきことがあろうと思いまして、その辺についてお感じになっておられますことを伺えれば幸いでございます。
  55. 河合良一

    河合参考人 お答えいたします。  円高の問題についての御質問でございますが、非常にわれわれ関心を持っておりますが、企業といたしますと、やはり一定の、たとえば二百四十円であるとかあるいは二百五十円であるとか、一定の物差しがございませんと、しょっちゅう浮動いたしますと、いかにこれに対処していいかわかりにくい。ことに長期輸出契約等になりますと、為替のリスクのヘッジのしようがございませんので、為替損失補償の規定もございますけれども、これは三年後に発効いたしますし、非常にコストの高い保険になりまして、これを行いますと競争力にも影響するということでございまして、為替を何とかひとつ企業としての目標を掲げていただくということが、われわれとして非常にお願いしたい点でございます。  現に二百四十円になりましたので、二百四十円に対していかに対処するかということで、社長初め従業員のもう第一線に至るまでこれに対して取っ組んで、やっと二百四十円に対してはどういう努力をすればこれがめどがつき得るかという目算が立ったところでございまして、その目算の立ったときにはすでにこの為替が二百三十五円近くに動いているということになりますと、非常に目標が立ちませんので、まことに困っておるというのが現状でございます。  しかし、これもいろいろ円高のファクターとドル安のファクターと両方ございますので、円高の問題といいますか、円の要因で円高になる問題に対しましては、対処の方法も、困難ではありますが多少は考え得るかと思いますが、ドル独自のドル安の要因につきましては、われわれとしてもむろんでございますが、日本としてもなかなか手の及ばないところが多いのではないかということで、非常に憂慮しておる状況でございます。こういった点、何か外交的にでも安定点を見出し得る方策ができれば、企業にとっては非常にありがたいと存じております。  次に発展途上国に対しまして何か非常に問題があるかというお話でございますが、私の方はいろいろ発展途上国のこういった問題に取っ組んでおりますが、一番問題になりますのは、これは多少差しさわりがあるかもしれませんが、申し上げますと、発展途上国でりっぱな計画をつくらないと、なかなか日本政府計画に乗ってこないという点があるわけでございます。ところが、発展途上国は、実行能力はむろんのこと、計画能力も非常に欠如しておる国が多くて、せっかく日本側の好意も先方ではもてあましておるということで、なかなかその援助の、たとえば円のクレジットの枠がございましても、これがなかなか実現に至らないという点が多々ございますので、こういった点、その計画自体の作成についても、もう少し何か寛大な計画、余り理路整然とした計画でなくても、まあ実行の目的がよければよかろうということか、あるいはその計画自体に対して、立案に対してもこちらから援助していくというような方策をとっていただければ、非常にこれが促進もいたしますし、また相手国の政府、国民からも歓迎される状態になるのではないかと思っております。この発展途上国の援助の問題は多々ございますが、私、気のつきました点を一つだけ申し上げる次第でございます。
  56. 永末英一

    ○永末委員 ありがとうございました。  牧野さんに伺いたいのですが、先ほど雇用に触れられて、大体七十倍すれば業界全体の数になるとおっしゃいました。そういたしますと、新しい今度の公共投資によって約二十八万、三十万人ぐらいがことし雇用の機会に恵まれる、こういうことになります。さて、いままでの、ここ数年の建設業界の雇用関係からごらんになって、ことしもしその三十万人が新しい働き口を得たとしましても、安定してこれが続くのか、臨時的なのか、その内容と、また来年もそれほどの投資をしなければ続き得ないものか、この辺のことをひとつお聞かせ願いたいと思います。
  57. 牧野津多夫

    ○牧野参考人 お答えいたします。  建設業と申しますのは、一番先に私が御説明申し上げましたように、受注が基本になって動いてまいります。したがいまして、いままでの例から見ますと、四年ほど前から雇用量というものはだんだん減ってきております。これは一つには、仕事の量がそれほどふえないということだけではございませんで、機械とかあるいは施工方法とかあるいは材料の、革新というほどではございませんが、研究とかいったようなものがだんだん出てまいりまして、簡単に例を申し上げますと、左官屋さんの仕事というものは大変減ってしまいました。工場でつくってきて取りつけるだけ、木工事もそういうふうになってまいりました。そういったことで、雇用量としてはだんだん減る傾向にございました。  ただ、ここでいま清水建設四万ちょっとというように申し上げましたが、これは業種別にはいろいろ異動がございます。減るもの、ふえるものといったような異動がございます。その辺を考えまして、先ほど四千人あるいはそれを少し上回る四千五百人ぐらいまではふえるのではないかというように見通しております。  ただ、これが来年も再来年も続くものかどうかという御質問に対しましては、ちょっとはっきりここでもって御答弁申し上げるわけにいかないのではないだろうか。続いてふえることを希望はいたしますけれども、ここではっきり申し上げるというわけにはいかないだろう、そう考えております。  以上でございます。
  58. 永末英一

    ○永末委員 牧野さん、伺いたかったのは、清水建設の場合は安定した職場であろうと思いますが、業界全体といたしました場合に、この公共投資で安定した職場、雇用がふえると見ていいのでしょうか。それとも一口一口の現場でございますから、ことしが済めばまた職場がなくなるというような雇用状況なんでしょうか、その点、ちょっとお知らせ願いたいと思います。
  59. 牧野津多夫

    ○牧野参考人 一つの現場と申しますと、期間の非常に短いものですと大体六、七カ月、長いものですと三、四年といったようなところで、平均いたしますと二年前後になるかと思います。したがって、普通ですと二年ぐらいの雇用ということになるのですが、ただ、工事をやりますときに、土を掘る職種、コンクリートをやる職種、鉄骨あるいは仕上げる職種、いろいろございまして、最初からしまいまでそこにいる業種というのはなかなかございません。したがって、先ほど申し上げましたように、全国に数多くある現場の数と申しますか、工事場の数にバランスさせて特定業種を移動させながら雇用継続を考えていくということが実情でございます。これは、一つずつやめてもらって新しい者を雇っていくということは、施工の効率の上でも非常にマイナスでございますので、なるべく継続しやすいようにつなげていくということが、これは清水建設だけでございませんで、建設業としては大体とっておる方針だろう、そう考えております。
  60. 永末英一

    ○永末委員 ありがとうございました。
  61. 大村襄治

  62. 高橋高望

    高橋委員 永末委員に引き続きまして、民社党の高橋、お尋ね申し上げます。時間の制約がございますので、ごあいさつを省略させていただきます。  豊田社長にお伺いをいたしたいと思います。  私、実は投資減税の必要性を痛感いたしまして、今度の国会におきましても、予算委員会一般質問で、参考人が先ほど御要望なさったことそのまま、口をこそかわりましたけれども、増額の要求あるいは期限の延長政府に強く迫った一人でございます。残念なことに現在の情勢の中で、御承知のように、差し引きいたしますと四百億を割る三百八十億程度の減税きり期待できないという形で、不本意ながらこの案をのんだわけでございます。  私がこのことを強く主張いたしますその背景は、当面の景気刺激策、これは当然でございますけれども、単に当面の景気刺激策にとどまらず、国のあり方、特に将来を考えての国のあり方を考えましたときに、どうしても製造業、特に付加価値を生み出す体力というものをわれわれの国は保持、強化しなければならない、このようにかねてから持論として持っているわけでございます。言葉をかえるならば、付加価値の増強なくして私たちのあしたはあり得ない、不安がある、私はそのようにすら言い切っているのでございます。  確かに現在、外国との兼ね合いの中から、量を生み出す設備の増強にはいささか問題があろうかと思いますけれども、いわゆるスクラップ・アンド・ビルド、設備の廃棄、更新等については、現在よりもはるかに前向きに取り組まなければならないと思っております。先ほどお話しのように、私たちが今日まで付加価値と申しますと、質と同時に量を考えてまいりました。したがって、ただ単に付加価値と申し上げますと量を伴いがちでございますので、ここで私はあえてしぼらせていただいて、売り上げに対する技術研究費、これを考えてみたいと思っております。  現在、自動車産業として世界のトップにあるゼネラル・モータース社の売り上げに対する技術研究費と、トヨタさんの現在の会社のやりくりの中での比率、これはどのような差異がございましょうか、お差し支えのない程度で御答弁願いたいと思います。
  63. 豊田英二

    豊田参考人 お答えをいたします。  私ども研究開発費、いまお話がありました技術研究費ということになろうかと思いますが、これは売り上げに対して約三%程度というのが現状でございます。この数字は五十一年の数字でありまして、五十年は二・七%、五十一年が約三%という程度になっております。  それから、御質問にありましたアメリカのゼネラル・モータースの数字でありますが、これはゼネラル・モータースのアニュアルレポートによって調べたわけでございますけれども、私どもが調べました七六年の数字によりますと、売上高に対して二・七%ということになっております。いま申し上げましたように、パーセントについては余り大きな差異がございませんですけれども、御承知のように、ゼネラル・モータースは私どもに比べますと六倍程度売り上げになっておりますので、研究開発費そのものもやはりその程度比率で向こうの方が大きいというような結果でございます。研究開発費のような問題は、売り上げに対するパーセントだけじゃなくて、その実額が実際の効果を発揮する面もございますので、私どもとしては、少ない研究費でできるだけの効果は上げたいと努力はいたしておりますけれども、若干の差異はあるいはあろうかということを危惧はいたしております。現在の実情はその程度でございます。
  64. 高橋高望

    高橋委員 豊田参考人、私、ゼネラル・モータース社の例の技術研究所へたまたま参ったことがございますけれども、十分御承知のように、膨大な敷地に一流の大学のキャンパスを思わせるようなどえらい建物でやっておられる。しかもその中身は、伝え聞くところ、国防総省との関係の中で国家的な仕事の研究も兼ね備えている。ある場所によっては外国人の入室を極端に厳しく制限している部署もある。言葉をかえれば、企業政府が一体となってのいろいろな研究開発を行っている分野もあるやに思われます。  こういった国を挙げて、いわば国家予算を割いてでも取り上げて展開していくその展開の仕方と、大変失礼ながら、民間企業としてのトヨタさん御自身だけで御展開なさるのに、とかくいろいろと御不満もあり、またお考え方、御要望もあろうと私は思います。こういう状況の中で、トヨタさん御自身でお考えになる政府並びに私どもへの御要望事項は何かございませんでしょうか。
  65. 豊田英二

    豊田参考人 ただいまお話がありましたように、アメリカのゼネラル・モータースの場合には、国防総省の予算あるいはNASAの予算といったようなものが研究費としてつぎ込まれてきております。もちろんこれは国防総省あるいはNASAの注文によって行われておりまして、直接それが自動車にすぐ適用されるというものではないのではないかとも思いますけれども、しかし、そうして行われました研究開発の蓄積というものは、将来の私どもとの対抗上はやはり非常に大きな力を発揮してくるものと考えるわけでございます。そういった面では、わが国におきましては、やや欠ける点が多いのではないかということを感じておるものでございます。  わが国における国全体の研究開発費の中に占めます国の出す金額比率というものは、アメリカと比べると格段に小さいのでございます。いま数字をここで覚えておりませんけれども、格段に小さな数字になっておるというのが現実でございます。私ども企業自身についても、いま先生からお話がありましたように、不安を感ぜざるを得ないわけでありますが、同時に、国としてもやはりお考えをいただく問題ではないかという気がいたしますので、はなはだ僣越でありますけれども、その点つけ加えて御返事としたいと思います。
  66. 高橋高望

    高橋委員 もう一問だけお尋ねを許していただきたいと思います。  それは、具体的には対韓国の自動車工業についてでございます。一般的に申し上げて、後から追っかけてくる国の進行の度合いというものは、先進の開拓者の苦労がないだけに、少なくとも追いつく段階までは非常に効率よく追いついてくるであろうと思います。ちょうどそれは、道路をつくった場合に、大変困難をしてひどい目に遭ったあげくにバイパスをつくると、そこを後から来る人たちはバイパスを利用して短い時間で気持ちよく通過していくのと同じように、後から追っかけてくる力というものは、少なくとも試行錯誤の時間だけは省略できるかと思います。  こういう立場に立つと、現在とかく言われますことは、わが国の自動車産業のレベルに追いついてくる発展途上国は、まだ五年や十年の差があるということをとかく私たち耳にしあるいは目にするわけでございますけれども、私は必ずしもそのように思えない。むしろ十分に強敵たり得るものが目の前に迫っているように思われてなりません。こういう意味合いから、とりあえず韓国の自動車工業に対して、トヨタさんが現在まずどのように評価なさり、今後どのように交流していかれるか、この辺のお考え方をお伺いしてみたいと思います。
  67. 豊田英二

    豊田参考人 ただいまお話がありましたように、後から追っかける方は、お説のとおり、一口に言えば、早くできるということは確かでございまして、私どもも数年前まではアメリカを追っかけていたようなかっこうでございました。たまたま排気ガスの問題等がアメリカも日本も問題になりまして以来は、お互いに個々に研究を進めるというような立場になってきたわけでありますが、それ以前は私どもが追っかけるという形できたわけでありまして、お説のように、比較的早くある段階まで到達ができたということが言えるかと思います。  韓国の自動車産業につきましては、現在徐々に国際競争力を高めつつあるというのが実情ではないかと思うわけであります。しかもこれに対して韓国政府が大いに支援、育成をいたしておるように拝察をするわけでございまして、今後近い将来には、私どもの競争相手といいますか、競合者というような形になってくるのではないかと存じております。すでにヨーロッパのパリ・ショーその他にその製品を出しまして、意欲を燃やしておるような段階に到達をいたしておるような状況でございます。  なお、私どもといたしましては、数年前には韓国に部品を出して先方で組み立てて車にして韓国でお使いいただくというようなことをやっておりましたが、現在はそれもとだえておりまして、私どもは、現在、直接韓国とは連絡がない形になっておるのが現状でございます。
  68. 高橋高望

    高橋委員 御出席を賜り、御丁寧な答弁をいただきましたことを御礼申し上げて、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  69. 大村襄治

    大村委員長 荒木宏君。
  70. 荒木宏

    ○荒木委員 参考人の皆さんには大変御苦労さまでございます。  早速、豊田参考人にお尋ねしたいと思いますが、先ほどの御説明で、輸出が五十一年対比で一七%増、投資が一一%増という話を伺ったのでありますが、円相場が二百二十五円近くなるという状態で、なお採算がとれるのかどうか、自動車業界としての現状を伺いたいと思います。
  71. 豊田英二

    豊田参考人 先ほど輸出は五十三年におきましては横ばいであろうということを申し上げたわけでございます。  それで、現在のような円高になってまいりました場合に採算がとれるかどうかという御質問でございますが、私どもは、円高になりますと、やむを得ず現地における売り値を引き上げておるわけでございます。現地における売り値を引き上げるということは、現地における私どもの価格競争力を失うという結果でございまして、それだけ現地における販売はしづらくなるということに相なろうかと思います。それで、円相場がどこまでどうかという問題については、現地における競争関係との関連もございますので、なかなか確定した数字は申し上げられないというのが本当のところでございます。  以上で終わりたいと思います。
  72. 荒木宏

    ○荒木委員 横ばいといいますのは、数量あるいは金額とございますけれども、価格改定をされてなおかつ仮に数量横ばいとしますと、売上高はそれだけ増加をするということになろうかと思いますが、私は経営者としての御見解を伺いたいのですが、合理化投資を進めてきて競争力を強化させる。自動車産業について申しますと、トヨタ、日産は、一人の労働者が四十台から五十台車をつくるのに対して、同じ期間にフランスのルノーでは一人が十七台、西ドイツのフォルクスワーゲンでは一人が十一台、こういった競争力の格差、ここに根本的な問題がある。これは私の指摘ではございませんで、大蔵省のさる局長がある雑誌に寄稿した一文の中の文章でございますけれども、競争力が強くて、それが国際収支で黒字傾向を生んで、それが円高にはね返って、さらにそれに耐える競争力を備えていく。そういう中で、各産業でそれぞれ不均等発展がありますし、力が違いますから、他の産業を切り捨てていくという結果は生じはしないか、あるいはそれに対応するために職場の体制あるいはまた下請との関係が、世上言われますような厳しい改定を求められるということになりはしないか。もちろんいろいろな関連がありますから、単線的に図式的にこういうふうに短絡的に言うのはいかがかと思われる面はもちろんありますけれども、ただ全体として、もちろん政治や経済政策のかかわる面でございますが、同時に、いま注目されておる、そういった意味での産業指導していらっしゃる経営者のお一人として、私が指摘しましたような点についての御意見を伺っておきたいと思います。
  73. 豊田英二

    豊田参考人 先ほど現地における小売価格の値上げをいたしておりますということを申し上げたわけでございまして、数量が横ばいならば売り上げがふえるだろうというふうにお話があったわけでございますが、これは円にいたしますと逆でありまして、数量がふえてもむしろ売り上げはふえないということになるかと思います  それから次に、作業効率の問題でございますが、先ほどお話がありましたように、日本の私どもでは一人四十台つくっているのに、ルノーでは十一台程度ではないかというお話がございましたが、自動車工場における一人当たり何台できるかという問題は、その会社の社内でつくっております部品と外注しております部品との比率によりましてかなり変わってまいるものでございます。私どもは、外注率といいますか、それがかなり高いものでありますので、おっしゃったような数字そのままで、その程度効率が違うんだというふうにお考えいただくと誤ることになるのではないかと思います。  しかしながら、それでは実質どう思うかという御疑問もあろうかと思いますので、つけ加えて申し上げたいと思いますが、実質的に日本における自動車工業の効率は、世界的に見てどこの国にも負けているということではなかろうというふうに考えております。しかし、私ども現地の市場を十分観察いたしまして、その市場に見合った値段で品物を売るといいますか、現地の市場を撹乱するような売り方はしないという考え方で、適正に輸出をしてまいりたいという考え方でやっておりますので、特に御指摘のあったようなことではないのではないかと思っておるわけでございます。  なお、自動車がどんどん輸出をするから円が高くなってほかの産業が困るというようなお話もございましたが、私どもとしては、そこまでお考えをいただくほど自動車は強力だとも思っておらないわけでありまして、私ども考える最も適正な範囲で仕事を進めていきたいということで進んでおる状況でございます。  以上でよろしゅうございますか。
  74. 荒木宏

    ○荒木委員 いろいろな側面があると思います。競争力の点はお互いのことですから、むしろ諸外国の側がマーケットサービスなりアフターサービスなりにもつと努めるべし、こういう意見も少なからずございます。しかし同時に、御案内のように、国際会議、国際交流の中で競争の公正な条件の整備、もちろんそれは市場問題もあります、いま参考人おっしゃったようなそういう側面も大いにありますけれども、同時に、生産工程の問題あるいは作業過程の問題、さらにまた労働条件の問題、こうしたことも広くいま国際間では論議されていることも御案内のとおりだと思うのです。  したがって、先ほどたまたま引用いたしましたフランスあるいは西ドイツの同業種との対比は、生産工程、下請との関係などが違う、わが方はアセンブリーの方が非常にウエートを占めておるからという趣旨の御指摘がありました。私はそのとおりであろうかと思うのです。しかし同時にそのことが、国会でも具体的に特定企業の名前を挙げまして、自動車産業の領域で下請との関係改善を求める論議がいま深く広く進められつつあるということもひとつ御留意をいただきたい。せっかくお見えをいただきました機会でございますので、一言申し添えておきたいと思います。  それから次に、河合参考人にお尋ね申し上げたいと思いますが、投資促進税制範囲拡大、それから期間延長という御要望が御意見の中でありました。先ほどの御説明でございますと、すでに設備投資は過剰だ、ニュアンスはいろいろありますが、こういうお言葉もありました。国内販売がだんだん減少していって国外も停滞している、そういうときに、景気回復の主役を主として設備投資に求めていく、まずは公共投資で、あとは設備投資にスイッチオンしていく、こういうふうなことは果たしていかがなものであろうか。すでに需給関係のバランスを失した構造不況業種の実例は、枚挙にいとまがありません。したがって、すでに産業機械部門としまして、いま設備投資は、むしろ合理化とか安全とか省エネルギーとか、そういう面に求めていらっしゃる。あるいは海外にという御意向もあるようでありますが、そうしたときに、景気回復の主役を設備投資に求めるという考え方のもとに投資促進税制をとるというふうなことはいかがなものであろうか。投資一般を否定しておるわけじゃ決してありません。だがしかし、かつての高度成長のときにとられましたような、生産数量をふやすという、こういった投資がもはや適応しないということは、これはコンセンサスになっておるところであります。  同時に、いま質的な意味での投資の今後の見通しということもお述べいただいたのでありますけれども、私はそれを税制面で促進するということについてはいささか御要望に沿いかねる気持ちを持っておりますので、改めてその点についてもう一度御意向を伺っておきたいと思います。
  75. 河合良一

    河合参考人 ただいま投資減税景気回復に有効であるかという御質問、並びにその投資減税の内容が適正であるかどうかという二つの論点があったかと存じますが、第一番目の景気回復に対して投資減税が適当かどうかという点につきましては、私は本来、社会投資のおくれた日本におきましては、公共投資が最優先で、これが基幹になるべきものだと考えております。しかし、公共事業だけでまいりますと、公共事業の出口から経済界の中に浸透していくのにいろいろ時間がかかるという点もあるかと思いますし、ひとつ面を変えまして、投資減税という面からこれを促進していくということは、景気回復にも非常に有効であろうかと思っております。  先ほど申し上げましたように、ただいま私の会社におきましても、また関係業界におきましても、大体において設備過剰でございます。設備過剰でございますが、やはり企業家といたしましては、より堅実な会社にするための企業合理化あるいは加工の質のレベルアップであるとかこういったことに対しては、もう絶え間ない無限の希望を持っておる次第でございまして、生産量の増大でなしに質の向上という面につきまして、設備投資企業余裕さえあればまだまだやりたいのがわれわれの心境でございます。したがいましてその際、投資促進減税というようなものがあればこれに乗って、できるだけそういった目的を果たしていきたいという意味で非常に効果があろうかと考えております。  また、今回御審議いただいております投資促進減税は中小企業中心でございまして、いわゆる中小企業以上の大企業、資本金一億円以上の企業になりますと、非常に使途が限定されまして、実際においては余り大きな影響がないうらみがあるわけでございまして、私といたしましては、大規模企業に対しましても、たとえば産業の構造転換のスクラップ・アンド・ビルドであるとかあるいは合理化の意味で、もう少し範囲拡大していただいたらいいんじゃないか、また期間も、一年限りでなしに延ばしていただいた方がいいんじゃないかということを痛感いたしております。  それで、先ほど特別償却と差し引きプラス、マイナス四百億くらいしかないというお話もございましたが、一方アメリカは、先ほど申し上げましたように一九七六年におきまして六十七億ドルの税額控除を行っております。それから七七年、昨年におきましては九十五億ドルの税額控除を行っております。また、今度カーターの提案が通りますと、範囲拡大されまして二十四億ドルのプラスになるわけでございます。したがいまして、アメリカはそれによって非常な景気回復の支えになっていると思いますし、日本におきましても、こういったことをそのまままねる必要はございませんが、参考といたしまして、もう少しこれの範囲拡大期間延長というようなことをひとつお願いいたしたいというふうに考えております。  以上でございます。
  76. 荒木宏

    ○荒木委員 生産の継続といいますか、単純再生産といいますか、その範囲でのお話は、これは一番ベースになることですからわかりますが、拡大生産の場合には、質的な改善であれ量的な増大であれ、需給関係ということに直に結びつくわけでございますから、私は、個々の企業の分野でのマーケットリサーチだけでは全体の産業構造としてのバランスが問題になりはしないか、こういう点でお尋ねをしたわけでございますので、そのことを一言つけ加えておきたいと思います。  時間が参りましたので、最後に一言、長島参考人にお尋ねしておきたいと思いますが、本日お見えいただきました参考人の属していらっしゃる各企業投資の御予定額は伺いましたが、百億円規模あるいは一千億円規模、さまざまございますが、一兆ということになりますとこれは大変な投資のシェアだと思います。  先ほどのお話で、立地問題が非常に障害になる。私は、電力はすぐれてエネルギー政策、産業の基幹に属する政策部分だというふうに思います。これが当面の景気対策の面からも論じられておるという点に、私どもはいささかの疑問を持っておるわけであります。したがって、先ほどお伺いしました御趣旨にはいささか沿いかねるとは思いますけれども、何が何でも立地問題を——これはいろんな問題があると思うのです、環境問題あるいは住民の要望とか。何が何でも立地問題を解決してそれだけのものを供給するということが政策上必要なのであろうか。法律的には供給責任というものがありますけれども、当面の景気回復のための投資に必要だという面で立地をやっていかなければならぬのか。あるいはそれだけの需要があるからということでどうしても提供しなければならぬのかどうか。エネルギー政策、省エネルギーというような点から、逆にピーク需要の平準化、あるいは尖頭電力と言われますが、そうした点の電力業界の、九電力独占でありますが、特にその中のトップの東京電力として、そういう点での調査研究と申しますか、これは企業内でどのようにお取り扱いなのか伺って、質問を終わりたいと思います。
  77. 長島忠雄

    長島参考人 お答え申し上げます。  ちょっと誤解のないようにお願い申し上げたいのですけれども、電力の設備投資が非常に巨額になっているのは、これは景気対策のためだということでは絶対にございません。私ども、先ほど冒頭に申し上げましたけれども、現在の設備投資をやる基本的観点は、将来の安定供給の確保、エネルギー面からの対策、それからさらに地域の安全とか公害対策、そういう面が主力でございまして、景気対策のための余分な投資をするということはございません。しかし、物価は非常に上がるし、いろいろな設備の構成も変わっておりますので金額が巨額になる、それが景気振興にお役に立つということは、これはまあ公益事業でございますので、非常に結構なことだと考えておる次第でございます。  それから、設備投資だけではなく、需要面のピ−クの平準化についてはどうか、これも電気事業としては重要な問題でございます。冒頭にも申し上げたかと思いますけれども、キロワットアワーはそうふえなくて、ピークがふえる、キロワットがふえるのであります。それでありますから、ピークの平準化をすれば、それだけ投資額が節減できてコストが下がるのでございます。非常に重要な問題でございまして、逆に実際のピーク、ピークと申しますか負荷率というのは悪くなって、ピークが逆に高くなっていくのでございます。その面から業界として現在考えておりますのは、無理にお客さんにピークを使ってはいかぬと申し上げられませんですけれども、特にたくさん電気を使う産業界につきましては、一種のピークの時間とかピークの季節を避けていただいて、それにかわって料金面の配慮をする、われわれはこれを特約制度と申しておるのでございますが、これの再検討あるいは拡大を図って、おっしゃるようなピークの平準化を図っていきたいと考えておるのでございます。  さらに、省エネルギー等につきましても、電気事業は、かなり前から各面の省エネルギー政策、お客さんに対しても電気事業自体につきましても、いろいろな面の検討を進めているところでございます。  以上をもってお答えにかえたいと思います。
  78. 大村襄治

    大村委員長 永原稔君。
  79. 永原稔

    ○永原委員 参考人の方々には、遅くまで御苦労でございます。もう時間も詰まりましたので、私は、簡単に長島社長に一、二点だけお伺いしたいと思います。  ちょっと異な質問になりますけれども、黒字減らしで十億ドルの外貨を減らせということで、核燃料の購入ということを言われました。先ほど御説明で九千四百五十億の内訳の中で、既設設備の改良とか核燃料の購入もこの中に入っている、二千四百三十億というようなお話がございましたけれども、この九千四百五十億が果たしてどれだけ黒字減らしに役立つだろうか。全体とすると国内生産されるものが大部分でしょうけれども、核燃料その他どのくらいあるかというのが一点。  それと、二千億の繰り上げ発注の中に核燃料購入というようなこともお考えになっているのか、それが二点。  それと、先ほど池田委員の質問に対して、非常に御遠慮あったお話じゃなかったかと思うのですけれども、電源開発促進税はことしの予算に三百六十億計上されております。その全体の予算を見ますと、百五十五億が繰越金で五百十五億の予算になっておりますが、繰り越しが百五十五億も出ているというのは、まさに副社長御指摘のように立地の困難性を示すものだと思います。そういう中で、やはりこの交付金に問題があるのではないかということを私は感ずるわけですけれども、地域住民の側と直接触していらっしゃるのはやはり企業だろうと思います。国もいろいろ援助はしていますし、都道府県も力は注いでおりますけれども、基礎的な自治体としての町村、それと企業と住民、そうい関係で立地が進められておりますが、いまの交付金法の中でいろいろ解決できない問題をはだ身にお感じになっていらっしゃるのじゃないだろうか。たとえば建設期間は七年、八年かかりますけれども、その間は地域住民は臨時労働力としてそこに雇用されるでしょう。しかし、それが終われば、さて何十万坪も土地を提供した、農業から離れていかなければならない農民たちがどういう職場に勤めたらいいのか、そういう声が痛切に企業側にははね返ってきていると思います。また、たとえば立地した町村におきましても、交付金というのが建設費にだけ充当されて、経常費に充当されない、そういうものに対する不満の声というのも非常に強いと思うのですが、そういうものもやはり企業側としては受けとめて、企業だけでは解決できない問題、国に注文をしなければならない問題ということで、日常困っていらっしゃるのじゃないかという気がしてしようがないのです。こういう点についての御意見最後に承りたいと思います。
  80. 長島忠雄

    長島参考人 お答えいたします。  最初に、五十三年度の当社設備投資の中に核燃料の購入代がどのくらい入っておるかというお尋ねでございました。核燃料、これは本来は燃料でございます。燃料というのは普通は、投資計画とかこういうものには入れないのでございます。しかし、これは原子力発電の特殊性でございまして、燃料といいながら、石油は、その年に使う石油はその年に買ってその年に使ってしまうのでございますけれども、核燃料は、もう何年も前から鉱石の買い入れとか濃縮、精鉱といろいろな長期の準備が要ります。それから炉に入れましても、それが何年か、四年も五年も燃焼し続けるのであります。そういう意味から、投資計画の中に一応形態としては入れさせていただいているのでございますが、来年度の投資計画の中におきます核燃料代は約六百七十億でございます。  そのほか、これは大部分外貨になっていくものでございます。申し上げるまでもないかと思いますけれども、火力用の燃料の石油とかLNG、これは全部、直接にか間接にか海外から入れるのでドルが必要なわけでございます。御参考までに申し上げておきます。  それから繰り上げ発注二千億、これの内容は何かというお話がございました。これは大体、原子力発電の新規の地点の機器の発注、それが約千七百億程度予定しているわけでございます。一基でございますけれども、千七百億程度の原子力発電の機器の発注、それからあとの三百億は、新規の水力の開発を計画しておりまして、その水力の機器関係でございます。それだけでございます。  それから、電源三法の交付金の余剰が出て、そこに問題があるのではないかというお話でございました。この点につきましては、私どもとすれば、その交付金の制度、そういうところに問題があるよりは、むしろ地域の解決ができない、そこに基本的に問題がある。地域の住民の皆さんとの合意とか了承、そういうところが完全にいかないために予定の交付ができないというような点に問題があるんじゃないかと考えております。しかしその点につきましては、先ほども申し上げたかと思うのでございますけれども、来年度につきましては交付金の額を大体倍額に変えまして、地域がより受けやすい形に制度的には変えていただくとともに、また別の面からは、政府会社、官民あわせまして、土地問題、地域問題の解決に全力を注ぐ態勢にございますので、従来はおっしゃるような相当の消化不良と申しますか未達が出ましたけれども、来年度につきましてはその点は大きく改善されるのではないかと期待しておる次第でございます。  以上お答え申し上げます。
  81. 永原稔

    ○永原委員 どうもありがとうございました。
  82. 大村襄治

    大村委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人各位には、御多用のところ御出席の上、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。厚く御礼を申し上げます。  次回は、明八日水曜日午前十時委員会、午後一時三十分理事会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後一時五十七分散会