○池田(行)
委員 今回の
租税特別措置法の
改正案を見てまいりますと、五十二年度あるいはその前の五十一年度の
改正に比しまして、きわめて特徴的な点があると思うのでございます。つまり、昨年、一昨年の
改正におきましては、いわゆる
政策目的を達しましたいろいろな特別
措置というものを徹底的に洗い出しまして、縮減合理化を図っていく、こういう面が非常に強く出ておったと思うのでございます。この五十三年度の
改正案におきまして、
もとより縮減合理化という
努力もなされているわけでございますが、それと同時に、一方において、あるいは土地、住宅税制の手直し、あるいはいわゆる
投資促進税制というものが盛り込まれております。
これは現下のわが国の経済運営と申しましょうか、政治運営の至上命題というのが、何といっても景気の浮揚にあるという情勢にかんがみまして、妥当な
措置であると私は思うのでございます。
この景気浮揚のために御
承知のとおり、五十三年度において極力高い成長率を実現しなくてはならぬ。それが七%になり得るかどうか、あるいは七%成長を実現するために現在政府で提案しておるいろいろな
政策というものが十分であるかどうか、そういった点については、当
委員会においてもいろいろ
論議がございましたし、また、いわゆる予算修正の問題をめぐりまして非常に活発な与野党間の
論議があったところでございます。しかしながら、ともかく不況の脱却、雇用の安定ということが至上の命題という点においては、国内に本当にコンセンサスがあると思います。またこの問題は、国内だけでなくて、国際経済の
関連においても至上の命題であると言っていいかと思うのであります。
実は私、一月ほど前に、院のお許しも得まして、各党の同僚議員の皆様方と御一緒に米国を訪問しました。その際、議会筋、あるいは行政府は
もとよりでございますが、言論界、
労働界、経済界と非常に
多方面にわたりまして、いろいろ意見の交換をする場を持たしていただいたのでございますが、
もとより米国側においても、
見解あるいは意見にバラエティーがございました。しかし、その中で一致しておりました点、まず第一点は、先般の牛場国務
大臣とストラウス大使との間の取り決め、共同声明でございますか、これを非常に評価している。七%の成長に向かって最大の
努力を払うと強調した点、そして国際収支の面では経常収支の黒字幅を六十億ドルに縮減していこうという
努力の意図表明、これは非常に高く評価されておったと思うのでございます。
しかし第二に、その意図表明はありがたいのだが、果たしてこれが達成されるのであろうか、実現するのであろうか、この点について疑念と申しましょうか、危惧の念と申しましょうか、そういうものがあちらこちらから表明されました。さらに申せば、仮にこれが達成されない場合には、日米間の摩擦、あつれきといったものが再びエスカレートするのではないか、こういった危惧の念があちこちで表明されたわけでございます。
こういったことは、ひとり米国との間だけではなくて、EC諸国あるいはアジア諸国、あちらこちらの
関係で今後問題になり得るかと思うのでございます。また、そういったいわばプレッシャーといいましょうか、外圧だけではなくて、わが国独自の立場からしましても、今日の国際経済におけるわが国の地位、そしてあのオイルショック後まだ新しい秩序と安定的な路線というものを見出し得ないこの国際経済社会のためにも、わが国として本当に積極的な役割りを担っていかなくてはならぬと思いますので、どうしてもこの景気浮揚策というのは何とか実効あるものにしていかなくてはいけない。もうこの
政策の成否に内外の期待と関心が集中しておると言っていいと思うのでございます。そういった
観点から、今回の特別
措置法の
改正の中で
投資促進税制あるいは住宅税制の手直しがなされるということは、妥当な
措置だと私は
考えております。
その中で、特に
投資促進税制について若干お伺いいたしたいのでございます。
まず、五十三年度の経済見通しでは、先ほど来の
論議にもございましたが、民間設備
投資九・九%の伸びを期待しておられます。ところが、果たしてこれが可能なのかどうか。現在
需給ギャップは二十数兆円に上ると言われておりますし、稼働率も極端に低い数字になっておる。さらに、将来に向かって
日本の経済がどう動くのかという見通しが非常に不透明なものでございますから、
企業経営者の中にも非常な不安感がある。こういう情勢の中で本当に九・九%の設備
投資が可能かなという疑問があちらこちらから出されております。けさあたりは、若干設備
投資にも動意が見えてきたぞといったような報道もなされておるようでございますが、しかし、まだまだ基調は変わったとは言えないと思うのでございます。
今回の予算における大型の公共
投資、あるいはこの
投資促進税制というものをもってしましても、
企業の重い腰を上げさせるのは容易ならざるものがあると思います。たとえば好況業種と言われておる自動車にしてもあるいはカメラにしても、円高、そしてまた諸外国において輸入制限とまでは言わないまでも、輸入を抑制していこう、チェックしていこうという
動きは、今後だんだんふえてくるのじゃないかと思うのでございます。そういった情勢下では、輸出の先行き不安から、好況業種でも必ずしもそんなに設備
投資意欲が盛り上がってくるとは思えない、こういうふうに
考えるのでございますが、一体政府とされましては、こういった経済情勢の中で、設備
投資の現状と将来の見通しをどういうふうにお
考えになっておられるのだろうか、とりわけどういった部門でその設備
投資の
増加を期待しておられるのだろうか、その点についてまずお伺いしたいと思います。