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1978-02-17 第84回国会 衆議院 大蔵委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年二月十七日(金曜日)     午後六時五十八分開議  出席委員    委員長 大村 襄治君    理事 小泉純一郎君 理事 野田  毅君    理事 保岡 興治君 理事 綿貫 民輔君    理事 佐藤 観樹君 理事 坂口  力君       愛知 和男君    池田 行彦君       宇野 宗佑君    小渕 恵三君       大石 千八君    後藤田正晴君       佐野 嘉吉君    坂本三十次君       原田  憲君    本名  武君       三原 朝雄君    村上 茂利君       森  美秀君    森田 欽二君       山崎武三郎君    山中 貞則君       伊藤  茂君    池端 清一君       川口 大助君    沢田  広君       只松 祐治君    貝沼 次郎君       宮地 正介君    高橋 高望君       荒木  宏君    永原  稔君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 村山 達雄君  出席政府委員         大蔵政務次官  稲村 利幸君         大蔵省主税局長 大倉 眞隆君         大蔵省関税局長 戸塚 岩夫君  委員外出席者         経済企画庁物価         局審議官    下山 修二君         外務省経済局国         際機関第一課長 池田 廸彦君         外務省情報文化         局海外広報課長 山口 洋一君         通商産業省基礎         産業局非鉄金属         課長      原木 雄介君         通商産業省基礎         産業局化学製品         課長      平河喜美男君         大蔵委員会調査         室長      葉林 勇樹君     ————————————— 委員の異動 二月十六日  辞任         補欠選任   宮地 正介君     矢野 絢也君   高橋 高望君     小平  忠君   永原  稔君     大原 一三君 同日  辞任         補欠選任   矢野 絢也君     宮地 正介君   大原 一三君     永原  稔君 同月十七日  辞任         補欠選任   林  大幹君     森田 欽二君   小平  忠君     高橋 高望君 同日  辞任         補欠選任   森田 欽二君     林  大幹君     ————————————— 二月十七日  酒税法及び清酒製造業の安定に関する特別措置  法の一部を改正する法律案内閣提出第五号)  租税特別措置法及び国税収納金整理資金に関す  る法律の一部を改正する法律案内閣提出第七  号) 同日  不公平税制是正等に関する請願外一件(伊藤  茂君紹介)(第一一五二号)  同外一件(上原康助紹介)(第一一五三号)  同(河上民雄紹介)(第一一五四号)  同外五件(草野威紹介)(第一一五五号)  同外三件(坂本恭一紹介)(第一一五六号)  同(柴田健治紹介)(第一一五七号)  同(西宮弘紹介)(第一一五八号)  同外二件(広沢直樹紹介)(第一一五九号)  同(八百板正紹介)(第一一六〇号)  同(伊賀定盛紹介)(第一一八七号)  同外二件(石野久男紹介)(第一一八八号)  同外四件(板川正吾紹介)(第一一八九号)  同外一件(枝村要作紹介)(第一一九〇号)  同外二件(岡田利春紹介)(第一一九一号)  同(金子みつ紹介)(第一一九二号)  同(神田厚紹介)(第一一九三号)  同外十四件(川俣健二郎紹介)(第一一九四  号)  同外三件(川本敏美紹介)(第一一九五号)  同外二件(上坂昇紹介)(第一一九六号)  同外一件(新村勝雄紹介)(第一一九七号)  同外一件(田口一男紹介)(第一一九八号)  同外二件(土井たか子紹介)(第一一九九  号)  同外三件(西中清紹介)(第一二〇〇号)  同(森井忠良紹介)(第一二〇一号)  同(八百板正紹介)(第一二〇二号)  同外五件(薮仲義彦紹介)(第一二〇三号)  同(山本悌二郎紹介)(第一二〇四号)  同(湯山勇紹介)(第一二〇五号)  同外二件(米田東吾紹介)(第一二〇六号)  同(和田一郎紹介)(第一二〇七号)  同(伊賀定盛紹介)(第一二三三号)  同(沢田広紹介)(第一二三四号)  同外一件(野坂浩賢紹介)(第一二三五号)  同外一件(馬場猪太郎紹介)(第一二三六  号)  同(大原亨紹介)(第一二四九号)  同外四件(太田一夫紹介)(第一二五〇号)  同外一件(兒玉末男紹介)(第一二五一号)  同外三件(佐野憲治紹介)(第一二五二号)  同(沢田広紹介)(第一二五三号)  同(柴田健治紹介)(第一二五四号)  同外五件(新村勝雄紹介)(第一二五五号)  同(高橋高望紹介)(第一二五六号)  同(中村正雄紹介)(第一二五七号)  同外一件(野坂浩賢紹介)(第一二五八号)  同(馬場昇紹介)(第一二五九号)  同(八百板正紹介)(第一二六〇号)  同外一件(横路孝弘紹介)(第一二六一号)  個人の土地建物長期譲渡所得課税に関する請願  (鈴切康雄紹介)(第一一八六号)  石油税新設に関する請願武藤嘉文紹介)(  第一二六二号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  関税定率法及び関税暫定措置法の一部を改正す  る法律案内閣提出第一七号)  有価証券取引税法の一部を改正する法律案(内  閣提出第四号)      ————◇—————
  2. 大村襄治

    大村委員長 これより会議を開きます。  関税定率法及び関税暫定措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。貝沼次郎君。
  3. 貝沼次郎

    貝沼委員 大臣、連日御苦労さまでございます。関税定率法及び関税暫定措置法の一部を改正する法律案に対しまして質問をいたします。  まずこの内容に入ります前に、私は一言企画庁にお尋ねをしておきたいと思いますが、関税前倒しの問題と物価との関係でございます。  端的に申しまして、今後こういうような前倒しをやった場合に、その追跡調査をしておかないと、ただやればいいというものではないと思うのですね。関税引き下げが行われても、たとえば円高問題のときに経企庁が実施いたしました輸入品価格動向調査、こういうものでも、円高差益消費者にほとんど還元されていない、こういう実態が明らかになっておるわけであります。そしてその調査では、円高差益が複雑な流通ルートなどの部分で大幅に滞留してしまうのか、肝心な点は企業秘密として明らかにされなかったという点があるわけでありまして、これでは消費者は非常に納得しにくいわけであります。せめて関税が下がったならば物価が下がるだろう、こう思っておるわけです。  したがって、輸入品同士をもっと市場で競争させて、そして消費者に安い価格で商品を提供させる条件を整えることが当面重要な問題ではないか、こういうふうに考えるわけであります。そういうふうにすれば、消費需要も拡大するし、また欧米諸国からの日本市場が排他的であるというような批判に対しても、こたえることができるのではないかという感じがいたします。したがって、安易な総代理店制度に寄りかかった販売戦略を再検討して、そして良質の製品が適正なマージン、価格消費者に提供されるように、徹底的に追跡調査並びに指導対策というものを実施すべきであると思いますが、この点についての見解をお述べいただきます。
  4. 下山修二

    下山説明員 お答えいたします。  今回関税引き下げが予定されている品目の中には、国民生活相当関係の深い物資がたくさん含まれているわけでございます。それで、今回の関税引き下げによりまして、販売価格にそれが反映されまして、それらの物資価格引き下げられるということは、一層物価の安定のために重要であるというふうに考えまして、その点につきましては、先生のおっしゃるとおりであろうと思います。  したがいまして、経済企画庁といたしましては、これらの物資につきまして、価格動向を十分監視してまいることにしております。当面、その効果がどのようにあらわれるかということを十分見守ってまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  5. 貝沼次郎

    貝沼委員 非常に前向きの答弁だと理解いたしますが、その点ひとつしっかりとお願いをいたします。  なお、ただ見守るだけではなく、企画庁だけでなく他の分野とも連携をとりながら、そういう目標というものが達成されるように指導徹底方もお願いしたいと思いますが、この点はいかがでしょうか。
  6. 下山修二

    下山説明員 そのやり方につきまして、関係する各省庁とも当然これから十分相談をいたしましてやっていかなければならないと思います。したがいまして、先ほど申し上げましたように、その監視を続けるとともに、どうしてもそれによってわからないというふうな物資あるいは下がらないというふうな物資があった場合には、必要に応じまして関係省庁十分協力をいたしまして、その調査実施についても検討してまいりたいというふうに考えております。
  7. 貝沼次郎

    貝沼委員 それから、くどいようですけれども、その動向調査の結果につきましては発表されるわけでございますね。
  8. 下山修二

    下山説明員 先ほど先生が例に出されました円高効果調査につきましても、いままでの第一回の調査はすでに公表しております。現在二回目を続けてやっておるわけでございますが、やはりどうしても下がらないという場合につきましては、その物資につきまして公表ということも考えていかなければならないのではないかというふうに考えておりますが、先ほど申し上げましたように、調査すること自体、まだ私たち各省と十分合意しておりませんで、そういう点について現在検討中でございますので、先生の御趣旨を生かすような方向では考えていきたいというふうに思っておる次第でございます。
  9. 貝沼次郎

    貝沼委員 わかりました。それではその点でひとつよろしくお願いいたします。企画庁は私はそれで結構でございます。  それでは、これは外務省にお尋ねいたしますが、一月の二十三日にガット主催非公式閣僚会議が開かれました。一九七三年九月にいわゆる東京宣言が出されてから、すでにもう四年半もたってしまっておるわけであります。このことにつきましては、先般の当委員会におきまして大蔵大臣からるる説明がございました。したがって、私はくどくは申し上げたくないわけでありますが、交渉終結は、当初の目標が七五年だったわけでありますが、これが大幅におくれました。もっともその間に経済情勢も大きく変わってきたことは、大臣説明のとおりであります。  それで、先日の会議では、日米EC間の代表で七月までに本交渉終結させる旨一致した、こういう報道がなされておるわけでありますが、この模様並びに交渉終結見通し、これはどういうふうにお考えでしょうか。
  10. 池田廸彦

    池田説明員 お答え申し上げます。  先生御指摘のとおり、一月二十三日の閣僚レベル非公式会合におきまして、わが国代表である牛場大臣から、わが国といたしましては、現下国際経済情勢にかんがみまして、東京ラウンドを早急に妥結させ、かつその成果を早く実施に移すことがきわめて重要であると考えてきている、日本としては従来からもこういう方針で臨んできているが、この機会に改めて交渉促進を提言いたしたい、本年夏までに交渉大筋について妥結を目指すべきである、かように発言をいたしました。これを受けまして、アメリカ閣僚レベル代表でございますSTRのストラウス大使及びEC閣僚代表から、まことに結構な提言である、われわれとしても早期妥結を目指して一層緊密に協力をし努力いたしたい、かような発言が行われました。したがいまして、今後は基本的にはこのスケジュールに沿いまして交渉妥結が図られていくものと思われます。  政府といたしましては、アメリカECを含む他の交渉参加国と緊密な協調を保ちながら、この日程を念頭に置きつつ、早期妥結を目指してまいりたいと考えております。
  11. 貝沼次郎

    貝沼委員 交渉終結見通しがよく聞こえなかったのですが、もう一度。
  12. 池田廸彦

    池田説明員 ただいま申し上げましたように、交渉大筋につきましては、本年夏までに実質妥結を目指す、この方針につきまして日米ECの間で同じ趣旨発言が行われました。
  13. 貝沼次郎

    貝沼委員 夏と言ってもこれは大分幅があるわけでありますが、大体何月ごろをお考えなのでしょうか。
  14. 池田廸彦

    池田説明員 一応の目途といたしまして、七月半ばという線が出されております。
  15. 貝沼次郎

    貝沼委員 それでは、この法律案に関してこれから順次進めてまいりたいと思います。  東京ラウンド妥結前の関税一括引き下げについてでありますが、この前大臣から、自主的に誠意を持ってやったんだという説明がずいぶんあったと思いますが、私はその点は評価してよろしいと思う。ただ、外国がそれを評価しておるかどうか、この点が問題だと思います。これだけ思い切ったことをやって全然評価されないようでは、これは全く問題であります。したがって、たとえばアメリカであるとかECであるとかその他、どういうような反響なのか、評価をしておるのかしていないのか、この点についての答弁をお願いします。
  16. 池田廸彦

    池田説明員 前倒し引き下げにつきましては、日本東京ラウンド交渉妥結促進を通じまして、保護貿易主義の高まりを抑えるとともにわが国輸入増大に資するという目的からとった前向きの自主的な施策として、各国から十分な評価を受けております。たとえば米国におきましては、さきのストラウス大使上院財政委員会公聴委におきまする証言でございますとか、あるいはマンスフィールド駐日大使がニューヨークにおいて行いました演説の中におきまして、日本が困難な状況のもとでかかる措置をとったことを高く評価するという趣旨の言及がございます。またECにおきましては、同じく、日本がこういう姿勢現下の問題に取り組むという具体策を打ち出したということで、高くこれを評価するという反応を示しております。
  17. 貝沼次郎

    貝沼委員 アメリカの方はわりと具体的に評価がございました。ところがECの方は、あなたの言葉で言いますと余りよくわからないですね。これは一体どういうふうにして評価するように働きかけ、その確認を得ておるわけですか。
  18. 池田廸彦

    池田説明員 先般、牛場大臣が訪米されまして、米国側説明したその足で、直ちにECに回りましたことは御承知のとおりと存じます。その際、EC側の高官から、ただいま私が申し上げましたラインで、困難な状況のもとでかかる措置をとったという前向きに取り組む姿勢というものを評価する、かように述べた経緯がございます。
  19. 貝沼次郎

    貝沼委員 いまの説明の中で、不規則発言にも出ておりますけれども、困難な条件、それから、牛場大臣説明をしたから相手は納得しただろう、何か言ってきたんだからいいでしょうという感じのあなたの説明なんですね。アメリカの場合は、だれだれがこうして演説をしましたよ、こういう言葉がありましたよというのが見えるのです。ところが、ECについてはわからないのですね、私が聞いている範囲では。私が悪いのかもしれませんけれども、よくわからない。また反対にECの方からも、対日要求リストというのが出てきまして、その七番目には東京ラウンドに先立った関税引き下げ実施というのも入っているわけですから、どうしてこれが理解してくれたというふうに判断できるのでしょうか、私はどうもわからない。
  20. 池田廸彦

    池田説明員 EC側の申し分は、日本がとった措置評価するけれども、しかしそれと同時に、もっとEC関心品目がたくさん含まれてくれればさらに望ましい、かような趣旨でございます。したがいまして、もともと日本のとった措置が全然評価に値しないということでございますれば、そのような要請というものは出てこない筋でございまして、つまり、りっぱな措置ではあるけれどもEC側から見ましてさらに一層の改善を望みたい、かような趣旨でございます。
  21. 貝沼次郎

    貝沼委員 先ほど質問の中で、初めに言った困難な条件というのは、具体的にどういうことなのかという質問をしているわけですが、この答弁がありません。
  22. 池田廸彦

    池田説明員 たとえば非常な円高に直面いたしておりますとか、現在国内経済の苦しい状況に直面しておりますとか、かような状況でございます。
  23. 貝沼次郎

    貝沼委員 どうもその説明では私は納得しかねます。それだけ困難な状況の中でやるのだと向こうが認めるならば、そういいかげんな要求はしてこないはずなんですね。だから、その辺が一番よくわかりません。  ECの問題はまた後でやりますので、先に進みたいと思いますが、要するに、前倒しを率先してやった、自主的にやったということは、誠意としてそれはいいと思いますが、ただ、とやかく言われたらあれだけさっとやったじゃないか、そして、ちょっと言ったらあれだけやったのだから、もっと言ったらもっとやるのじゃないかというように各国が反応してきたならば、これは日本立場というのは一体どんなになるのでしょう。こう考えたときに、これは非常に安易に取り組んではならないということを私は言いたいわけであります。したがって、要するに相手にどういうふうに、日本が大変なところをそれをやっているかということや、あるいはさらに、この立場理解させるその具体的な行動なり方針というものがなければおかしいと私は思うのですね。この点について大臣、いかがでございますか。
  24. 村山達雄

    村山国務大臣 ECが一応評価しながらも、いままたEC代表が来ていろいろな交渉をしている、あるいは協議をしていることは事実でございます。しかし、わが国としては、この前倒しは精いっぱいのところをやったつもりでございますので、これにさらに追加するというようなことは、いま全然考えておりません。  それから第二番目に、今後の東京ラウンドはどうなるかということは、これはもう当然でございますけれども相互主義による問題でございますので、それぞれ国際的な立場考えながら自国の利益をまた考えて、その辺の調和を合わせながら交渉を進めてまいる、こういう基本方針でまいりたいと思っているわけでございます。
  25. 戸塚岩夫

    戸塚(岩)政府委員 若干補足させていただきますが、今度参りましたメイネル局長に対しましても、百二十四品目のこの前倒しEC関係ではどれぐらいになっているかということをよく説明いたしました。すなわち五十一年歴年で申しますと、ECからの輸入は一兆七百四十九億円である。それに対して前倒し品目輸入額は千三百五億円で、一二・一%をカバーしている。これに対してアメリカは六・一%というように、結果的にEC関心品目のカバーしている度合いが非常に高いということを説明いたしまして、相当理解を持ってくれたと思っております。
  26. 貝沼次郎

    貝沼委員 局長、そういう答弁をいたしますと、私はその後もECのことを聞かなければならなくなってくるのです。  非常に理解をしていただいたというあなたの判断ですけれども、あの三日間の交渉は何となく終わっちゃったという感じなんですね。まだまだ本番はむしろこれからという感じがするわけじゃありませんか。あなたは、あれでもう相当成果が上がったと見ているわけですか。
  27. 戸塚岩夫

    戸塚(岩)政府委員 今度メイネル局長が来られましたのは、関税前倒し引き下げの問題だけではないというように私ども理解いたしております。すなわち、日本の今後の経済運営をどうしていくか、先進国としてどういう姿勢をとっていくかということとか、あるいは広く通商一般において日本がどういうようにやっていくかというような広い問題を含めてのあれでございまして、関税前倒しの問題に限って日本協議をしにきたという実態ではないということでございます。
  28. 貝沼次郎

    貝沼委員 それは後でやります。  そこで、「この関税率引き下げ措置による不測の影響に機動的に対処するため、本措置により特定の貨物輸入が増加し、国内産業相当損害を受け、または受けるおそれがある場合は、政令で貨物を指定し、この引き下げ措置を停止することができることといたしております。」これは八条に関係するところでございますが、このことについて私は二、三伺っておきたいと思います。  それは、四十七年十一月の二割カットのときとほとんど同じ文言になっておると思いますが、たとえばこの「相当損害」、これは「重大な損害」というところを「相当損害」と言い直したのです。それから、「国民経済上」という言葉が「当該産業を保護するため」というふうになっております。  一つ一つ伺っておきたいと思いますが、「相当損害」というのと「重大な損害」というのはどういうふうに違うのでしょうか。それから、「国民経済上」というのと「当該産業を保護するため」というのはどういうふうに違いますか。
  29. 戸塚岩夫

    戸塚(岩)政府委員 「相当損害」と「重大な損害」との違いでございますが、私どもは「重大な損害」という場合には、当該産業に属する企業相当部分についてその存立を危うくし、したがってその産業存立のみならず、産業雇用された労働者の地位にも影響を及ぼし、あるいはその産業で生産される製品利用者にも重大な影響を与えるような場合というように解しております。「相当損害」と申しますのは、先生お話しになりましたように、四十七年十一月の前倒しの際にそういう言葉を使っておりまして、これは法制局ともいろいろ解釈をめぐって一応の統一を図っておりますが、たとえば輸入増大の結果といたしまして、合理的な経営のもとでの正常な運営と適正な利潤の確保が困難となるという事態が当該産業相当数企業に生じている場合が、これに当たるというように解しております。
  30. 貝沼次郎

    貝沼委員 言葉ばかりで全然わかりませんけれども、たとえばいまの輸入の場合、どういう具体的なことが起こった場合にこれが「重大」であり、あるいは「相当な」になりますか。
  31. 戸塚岩夫

    戸塚(岩)政府委員 わかりやすく御説明いたしますと、「相当損害」と申します場合には、その産業相当数、まあ二分の一以上の企業が大変困るというような実態、大ざっぱに言いますとそういうことかと思います。「重大な損害」というのは、半分どころではなく、もっと大きくその産業が崩壊するかもしれないというような場合だというように私ども考えております。
  32. 貝沼次郎

    貝沼委員 それから先ほど、存立を危うくするあるいは雇用の問題とかいろいろありましたが、たとえば雇用の問題は失業という問題であると思いますが、倒産の件数であるとかあるいは物価との問題とか、国際収支との問題とか、こういったことは別に関係はございませんか。
  33. 戸塚岩夫

    戸塚(岩)政府委員 これは個別産品輸入増大によって、それをつくっているわが国企業がどうだということでございますので、先ほどお話しいたしましたように、当該産業企業がどういう被害を受けるか、その状況でもって判断すべきだと私どもは思っております。
  34. 貝沼次郎

    貝沼委員 それで、ある産業損害を受けた、ぜひそういう措置をとってもらいたいということが起こった場合、だれが一体どこで判断をして、どういう手続によってこれは発動するのでしょうか。
  35. 戸塚岩夫

    戸塚(岩)政府委員 だれが判断するかという問題につきましては、それぞれの所管官庁がございますので、業界の方からそういう声が上がって、その産業所管省としてはそういう事実を知って、そこで大蔵省といたしまして、さて、暫定的に引き下げしますものをどういうように処理していくかという問題につきましては、私ども関税率審議会というものがございますので、そこに諮った上で措置するという手続でやってまいりたいと考えております。
  36. 貝沼次郎

    貝沼委員 要するに、たとえばその産業の所属する官庁で、これは重大な問題である、もう倒産するかもしれないというような、二分の一以上の人が問題が起きそうだというような場合には、その省庁から暫定関税率を停止するようにしてもらいたいという要請が来て、それによって関税率審議会にその旨をかけ、そして結論によって停止すると、こういうことですか。
  37. 戸塚岩夫

    戸塚(岩)政府委員 おっしゃるとおりでございます。
  38. 貝沼次郎

    貝沼委員 そうなってくると、かなりこの運用というのはむずかしいということですね、簡単に言って。そう数学で割るようなわけにいかないですね。いろんな力関係によって左右される、こういうことが私はあると思いますので、もしこれが乱発されるようなことになりますと、また前倒しをやったことが果たしてどうなのかということにもなりますし、その辺のところがありますので手続を聞いておるわけですが、その点の不安はございませんか。
  39. 戸塚岩夫

    戸塚(岩)政府委員 今回の前倒し品目の選定につきましては、過日もお話しいたしましたように、中小企業的な製品とかあるいは構造不況業種の生産する製品、そういうものは除きまして百二十四品目を選んだわけでございます。したがいまして私どもは、いま先生が御心配になるようなことはこの品目についてはまず起こらないというように思っておりますが、万一起こるということがありましたならば、先ほど申し上げましたように、関税率審議会を機動的に運営いたしまして、万全を期してまいりたいというように思っております。
  40. 貝沼次郎

    貝沼委員 くどいようですが、もう一歩、こういうような停止のやり方でありますけれども、停止をする場合は、これは日本が自主的にやった前倒しでありますから、もちろんどこの国にも相談する必要もないし、そういう状況によってやめたという、戻すというやり方ですね。したがって、そういうようなことがわかっておって前倒し効果ということを私は気にするわけでありますが、いつ戻されるかわからないという関税率の上で、長期の取引とかそういったことが果たしてそううまくいくのだろうかどうか、いつ戻るかわからぬような状態ではなかなか長期な取引がむずかしいというようなことはないだろうか、こういうふうに考えるわけですが、いかがですか。
  41. 戸塚岩夫

    戸塚(岩)政府委員 先ほどお答えいたしましたように、今度の品目につきましては、そういう事態が起こらないであろうと思われるものを選んだつもりでございます。いつ発動されるか大変不安で取引もできないのじゃないかというようなことはまず起こらないのではないか。そういう品目は選んでないつもりでございます。
  42. 貝沼次郎

    貝沼委員 それから、もう一点だけただしておきたいと思います。この相当損害を受けた場合は、これはわかるのですね。受けるおそれのある場合、これはどういうことなんですか、具体的に。たとえばいろいろな取引の条件が整って取引がすでにもう行われそうだ、そういう場合に、あの分が入ってきたら相当打撃を受けるというようなことなのか、おそれがあるというのはどういうことですか。
  43. 戸塚岩夫

    戸塚(岩)政府委員 大変むずかしい御質問だと思うのですが、私どもは単なる推測ではなくて、やはり価格の動向とか生産の推移あるいは企業雇用状況などの具体的な事実によって損害が予見される、そういう必要があるのではないかと考えております。
  44. 貝沼次郎

    貝沼委員 先ほど大蔵大臣がちょっと発言をしたようにも思いますけれども、要するに関税前倒し引き下げ、これと東京ラウンドで決定されるだろう協定税率、これは一体どういう関係になるのかということですね、その位置づけ、これについてお願いします。
  45. 戸塚岩夫

    戸塚(岩)政府委員 今回の関税率前倒しは、まず自主的にわが国の実行税率を引き下げ輸入増大を図るということでありまして、これは暫定的であります。法案にも書いてありますように一年ということで暫定的にやるわけであります。これに対しまして東京ラウンドは、多角的な交渉によって、実行税率ではなくて譲許の税率を中心にしてやるわけでございます。これは一年限りではなくして、現在のところおおよそ八年間をそのラウンドの期間ということで、合意はしておりませんが、大体そういう方向でいくのではないか。したがいまして、東京ラウンドというのは一年一年という話ではなくして、長期的なあれになるということでございます。  それから、この関税前倒しの率を、しからば譲許をそのままするのかという問題でございますが、私どもは八年間にわたってそういう率でいいのかどうかというような問題につきましては、なお慎重に各国の出方など、あるいは産業の将来の動向なども考えて対処してまいりたいというふうに思っております。
  46. 貝沼次郎

    貝沼委員 ということは、この前倒しそのものが東京ラウンドにそのままつながるものではない、こういうふうに理解してよろしいですか。
  47. 戸塚岩夫

    戸塚(岩)政府委員 直ちにつながるものではないというように御理解いただいて結構だと思います。
  48. 貝沼次郎

    貝沼委員 そうなると、その前倒しの意味が非常に問題になってきますが、時間がありませんので次に進みます。  第二に、原重油の改正の問題が出ております。これを読みますと、「石油税法案により石油税を創設し、石油対策の財源を拡充することとしておりますが、これに伴い、原油関税について、」云々、こういうふうにあるわけであります。石油税はまだ議論しておりませんが、この文章によりますと、もう通ったことにしてこれを書いておるわけであります。そして現行一キロリットル当たり七百五十円から六百四十円に引き下げます。それからさらに、自主開発の原油、重質油だと思いますが、これについては「国内への引き取りの円滑化に資するため、」「百十円」というふうになっておりますね。  ここをわざわざ「百十円」と書いたのは、私の想像では、恐らく石油税というものができる前とできてからというふうに分けて、できる前は七百五十円から、できた後は六百四十円から百十円を軽減する、こういうふうに読めるような気がいたしますが、この点はどういうふうに読んだらよろしいでしょうか。
  49. 戸塚岩夫

    戸塚(岩)政府委員 石油税法が施行されるということに伴いまして、いまの七百五十円を百十円下げるというのはおっしゃるとおりでございます。  自生開発原油と言っておりますが、特定なものについてベースから百十円下げるというのは、石油税法が通りまして施行されることば関係なく、四月一日から施行するということを予定しております。
  50. 貝沼次郎

    貝沼委員 それでは、これは「五百三十円」と書いておいた方がよかったのじゃないですか。わざわざ「百十円」と書いたのはどういう意味ですか。
  51. 戸塚岩夫

    戸塚(岩)政府委員 先ほどお話しいたしましたように、ベースが七百五十円から六百四十円に下がる、それが通常のベースになるわけでございます。したがいまして、それからさらに百十円下げるというので、そのベースからの金額を書いているわけでございます。
  52. 貝沼次郎

    貝沼委員 おかしいんじゃありませんか。この法律は「五三〇円」と書いてある。この新旧対照条文では「五三〇円」と書いてある。ところが、提案理由の説明ではわざわざ「百十円」と書いてあるのは、やはり「百十円」とした方が都合がいいから、意味があって書いているんじゃありませんか。「五三〇円」とわざわざ法律には書いてあるのですよ。どういうわけですか。
  53. 戸塚岩夫

    戸塚(岩)政府委員 先ほどお話しいたしましたように、趣旨から申しまして、石油税の創設に伴いましていまの七百五十円を六百四十円に下げる、特定の開発原油につきましては、それをベースにしてさらに百十円下げるということを書いているわけでございます。
  54. 貝沼次郎

    貝沼委員 それはわかるのです。わかるけれども、くどいようだけれども法律は「五三〇円」とわざわざ書いてあるのですよと私は言っているのです。なぜこれだけ「百十円」と書いたか。それは、石油税の通る日が影響しているんじゃありませんかということを聞いているわけです。
  55. 戸塚岩夫

    戸塚(岩)政府委員 先生、この法案の二百一ページ第三条でございますが、「昭和五十三年四月一日から附則第一条第三号に掲げる日の前日までの間においては、」五百三十円ではなくて六百四十円とそういうように書いて、法律的な手当てをしているわけでございます。
  56. 貝沼次郎

    貝沼委員 それじゃ今度は、この石油税はまだ審議もしておりませんし、大体通ることに書いてあるのは私はきわめて不満を覚えるわけでありますけれども、しかし幾ら「これに伴い、」でも、法律には石油税がつくられるからとかそういうことは書いてないんですね。したがって、いま関税の方が先にこうして審議しておるわけでありますから、石油税ができようができまいが、要するにこの法律が通過した場合には四月一日から六百四十円となり、あるいは石油税が課される日からは五百三十円となることは間違いありませんね。
  57. 戸塚岩夫

    戸塚(岩)政府委員 おっしゃるとおりでございます。
  58. 貝沼次郎

    貝沼委員 それから開発原油の方ですが、一面開発原油について輸入を有利にしなければ、これは産油国との関係とか、あるいは将来の原油安定供給、こういう立場から原油需要量、輸入量でありますけれども、これを確保することが必要である、そこで恐らくこれを考えておると思いますが、しかし読みようによっては、これはたとえば総合エネルギー調査会の中間答申というのがありまして、これによりますと、「海外における石油開発への積極的参加は、相対的に安定した石油供給源の確保及び石油供給源の地域分散化のための方途として重要であるばかりでなく、我が国が石油の大消費国として、石油開発促進のために期待される役割を果たし、また産油国との密接な関係を確保するための一つの手段である」、こういうふうに述べられております。これを考え合わせますと、この暫定税率は、海外における石油開発への積極的参加を促すものであるというように解釈してよろしいですか。
  59. 戸塚岩夫

    戸塚(岩)政府委員 開発原油の中で、比重が重くて硫黄が多いということで、せっかく開発したにかかわらず引き取りが円滑にいかないという石油について、一年度限り一キロリットル当たり百十円下げるということで、引き取りの円滑化に資するということでございまして、特定のそういう引き取りが渋られるというものについて、今回の改正によりまして円滑な引き取りに資するようにやってまいるということでございます。
  60. 貝沼次郎

    貝沼委員 わかったようなわからぬようなことですけれども、前に進みます。  その次に、三年間延長いたしました問題、たとえば原子力発電の装置であるとかそういうのがずっとございますね。そこで私は、原子力研究用物品等の免税、給食用脱脂粉乳の免税とかいろいろありますが、この原子力のところを見ますと、措置法の施行令によりますといろいろ書いてあるわけですね。そこでたとえば原子力めところを見てみますと、原子炉本体だとか、原子炉冷却装置であるとか、蒸気タービン及びその附属装置、あるいは発電機、放射性廃棄物処理装置とか、制御装置及び計測装置、原子炉格納装置とかずっと書いてある。これはいま輸入しておるものはどれぐらいあります。
  61. 戸塚岩夫

    戸塚(岩)政府委員 五十一年度の実績で申し上げますと、原子力研究用物品及び原子力利用物品合計で七十七億四千九百万円でございます。
  62. 貝沼次郎

    貝沼委員 原子力のものは大体高いのです。ですから、金額で言ったってわかりません。そこで、はっきり申し上げまして、私は通産省その他いろいろ聞いてみますと、大体全体の九〇%以上国産なんですよ。これは、「本邦において製作することが困難と認められるもの」云々というふうに書いてありますけれども、大概のものは日本でできておるということなんです。一体これは関税局の方は検討したのかどうか、私は非常に疑問ですね。  あるいは宇宙開発の方も後の方に書いてありますけれども、これだって、たとえばきのう打ち上げたものにしてみても、六二%ですか、国産ですよ。ですから、この関税の施行令というものを三年ごとに延長しているようですけれども、これは検討してからお出しになっているのですか、それとも検討しないで、まあいつものことだから延ばしてもらいましょうということでやっているのか。もしそうだったら、これは行政当局としてははなはだ怠慢である、こう思うわけでありますが、いかがでございますか。
  63. 戸塚岩夫

    戸塚(岩)政府委員 毎年物品を指定するにつきましては、関係省とよく協議をいたしまして、委任されております施行規則で指定をしておりまして、漫然と同じものをやっているということではございません。よく毎年毎年協議をして決めているわけでございます。  先生御指摘のように、輸入金額、先ほど私は五十一年度の輸入金額を申し上げましたが、それ以前の金額から見ますと、免税になっている金額はだんだん減っているというのが実態でございます。
  64. 貝沼次郎

    貝沼委員 私は免税が悪いと言っているのじゃないのです。要するに、書かなくていいものがずいぶん書いてあるじゃありませんかということなんです。要するに、これを一つ一つ検討したのかどうかということです。  たとえばこの中で、原子炉の冷却装置とか本体とかというのがありますけれども、いまできているのだけでも十四基ですね。それで軽水炉が十三、ガス炉が一、これは輸入したものです。あと十三基中五基は輸入。これからはほとんど国産、こうなっているのです。この五基というのは、敦賀あるいは福島の一号、二号、美浜の一号、高浜の一号と、これなんですね。現在でも輸入しているものは、原子炉冷却装置の再循環ポンプ、それから一次冷却材ポンプ、あとは大半が国産なんです。九〇%国産。それから、放射性廃棄物処理装置のフィルター、これは国産でできるけれども、コストが高いので輸入をしておる。これはどこに書いてあるかと言うと、ホなんですね。「放射性廃棄物処理装置」の中にあるのです。  そういうものを一つ一つ言っていったら時間がありませんから、一々申し上げませんが、内容をよく検討してそれで出さないと、これを見て私は実はびっくりしちゃったのです。これ見たんだろうかという感じがしたわけであります。したがって、各省庁と連絡をとっているんでしょうけれども、さらに連絡を密にして、そしてやっていただきたい。その点いかがですか。
  65. 戸塚岩夫

    戸塚(岩)政府委員 先ほどお答えいたしましたように、だんだん減らしていて、金額的に見ましても免税額は減っておるのが実情でございますが、さらに先生から御指摘のありましたような点を踏まえて、本年施行規則を決めるについては十分協議してまいりたいというように思っております。
  66. 貝沼次郎

    貝沼委員 ただ、間違ってはいけないのは、免税が悪いと言っているわけじゃないのです。ですから、本邦で製作することが困難だとか、こういう文言がそもそも問題なんです、この辺が。もうちょっと考えた方がいいんじゃないかと思いますよ。本当にそれが必要なら必要なように、すっきりと書いた方がよろしいんじゃないかと私は思います。  それからさらに、本邦で製作することが困難だとか容易であるとかいう判断は一体どうやってやるんでしょうか。たとえば外国のパテントの場合は日本では技術があってもつくれないとか、あるいは技術そのもので判断するとか、この辺のところは法律の上ではどういう判断になっておりますか。
  67. 戸塚岩夫

    戸塚(岩)政府委員 技術的にできないということは当然困難でございますが、私どもは技術だけの問題ではなくて、やろうとすればできるかもしれないけれども、コストが物すごくかかるというものも経済的な困難ということで、そういうように理解しております。
  68. 貝沼次郎

    貝沼委員 ですから、こういう文言は非常にむずかしいですね。皆さんが書いて、それで運用する皆さんもむずかしいわけでしょう。そういうことでは私はやはりうまくないと思うのですね。  そこで、東京ラウンドの話に戻しますけれども、一月十七日、二千七百七十品目のうち、石油などを除く二千六百三十品目、これを対象に今後八年間で平均四二%の加重平均の関税引き下げ実施、その引き下げ方式はスイス案、いわゆるハーモナイゼーション方式、Z=14X/(14+X)ということにどうも決めたようであります。一方、係数一四が一六という外国の主張もあるようでありまして、それでやりますと大体四〇%ですかになるんだそうでありますが、これはすでに昨年、アメリカあるいはEC、これと了解の上で大体スイス方式を採用というような感じで伝わっておるのでありますが、この点は基本的に合意をしておるわけでございますか。
  69. 戸塚岩夫

    戸塚(岩)政府委員 鉱工業品につきまして、どういう引き下げ方式をとるかという点につきましては、スイス方式を一応とろう。ただ、スイス方式は、先生いまお話しになりましたように、パラメーターは一四になっております。したがって、方式をとるということは、パラメーターまでセットするのじゃなくて、そういう形で、現行の税率が低いものについては引き下げ率を小さく、高い税率のものにつきましては引き下げ率を大きくするというハーモニゼーション方式、それでひとつ今度の東京ラウンド引き下げ率をしていこうということについては、基本的には合意されておりました。  一月十五日に一応オファーを各国が出そうではないかというのが昨年決まりまして、日本は、いま先生がお話しのように、一月の十八日にジュネーブでオファーをしたわけでございますが、そのときの使ったパラメーターは一四でございまして、アメリカも一四を使っております。ECが一四に対して一六というパラメーターを使って一応イニシアルのオファーを出したというのが現状でございます。
  70. 貝沼次郎

    貝沼委員 そういたしますと、東京ラウンドは大体スイス方式、それでパラメーターは一四、一六、いろいろあるけれども。まあスイス方式は、恐らく東京ラウンドはそれでいくだろう、一四、二八については今後の検討、こういうふうに理解してよろしいですか。
  71. 戸塚岩夫

    戸塚(岩)政府委員 先ほど申しましたように、イニシアルオファーをそういう形で出しておりまして、出して後本格的な交渉をやるわけでございまして、そういう方式をとりました結果、全体としてバランシングするというところでセットになるというので、単純にパラメーターが一四ないし一六になるということではないというように思います。
  72. 貝沼次郎

    貝沼委員 それから、非関税障壁の問題でございますが、各国から要求が出ていた非関税障壁の撤廃、それから軽減要請、これについて政府は、軽飛行機用エンジンを自由化するとともに、部品の輸入制限を撤廃する。それから牛革、馬革ですね、あるいは絹糸などの非関税障壁の改善要求二十三件、これには国内事情から現状変更に応じられない、こう拒否をしたと述べられておりますけれども、これに対して各国の反響はどうであったかということが一点。  さらに、東京ラウンドの場で追加措置を再要求される見通しがあるわけですね。したがって、このときわが国政府はどういうように対処なさろうとしておるのか、この点について伺っておきたいと思います。
  73. 戸塚岩夫

    戸塚(岩)政府委員 非関税措置の中で、いわゆるコードになじまないいろいろな事項につきまして、各国から去年の十一月にリクエストがございまして、それに対して本年一月の十五日をめどにオファーを出したというのが現状でございます。  日本にもいろいろのリクエストが参りました。それに対しまして、非関税障壁をできるだけ軽減していく必要があろうというので、一月にはこれにできるだけのオファーをしておりますが、どういう事項についてオファーをいま出しているかという細かい点につきましては、これから多国間の交渉の段階でございますので、この席でお話しすることを差し控えさせていただきたいというように思います。
  74. 貝沼次郎

    貝沼委員 もう時間がなくなったようでありますので、まとめて伺っておきますから、まとめてひとつ落とさないように、よろしいですか。  それは、ガット規約の十九条のセーフガードの条項でありますが、ECの方は特に熱心にこのセーフガードの弾力化ということを主張してきておる。アメリカもまんざらでもない。ところが、このセーフガードの問題は、自由化という問題とそれから保護貿易という考え方から非常に問題がある、こういうことで、慎重の中にも慎重にこれはやらなければならないわけでありますけれども、まず弾力化ということに対して日本は踏み切る考えはあるのかないのか。なければないでそれはよろしいのですが、もしあるならば、何らかの厳しい条件とかそういったことをあるいは考えようとされておるのか。この点がセーフガードの問題であります。  それから、ECの話は先ほどいたしましたから、私はもうやめます。  もう一点は特恵関税の問題。これは大臣に伺っておきたいと思いますが、わが国がこれから特恵関税によってかなり追い上げられていくということははっきりしておると思いますが、こういう場合、国内産業に対して一体どういうような対策をお考えになっておるのか、この点はひとつしかと大臣からお答えをいただきたいと思います。  それからもう一点、これは全然話は変わってまいりますけれども、スワップ協定発動の問題なんですけれども、二月十四日に速水日銀理事が、米国に対してスワップ協定を発動するよう積極的に働きかけていく方針を示唆しておるわけであります。日銀総裁も一月二十六日の講演でいろいろ言っておるわけであります。したがって、これは金融政策上非常に大事な問題でありますので、大臣からこれに対する所感を伺っておきたいと思うわけでございます。  以上の点につきまして答弁をいただいて終わりといたします。
  75. 村山達雄

    村山国務大臣 私に対しては、特恵関税とスワップの話でございます。  特恵関税は御承知のように、昭和四十六年からでしたか、発展途上国が、贈与よりもむしろわれわれの貿易を促進することによってわれわれを援助してくれ、こういう一致した要求に基づきまして各先進国がとってまいりまして、今日まで非常に拡大しておる。そしてまた、発展途上国がその恩恵を受けてきたことは御承知のとおりでございます。  そこで、私はやはり今後ますますこの貿易は大きくなるであろうと思います。しかし同時にまたわが国は、当然のことではございますけれども、合理的な国内産業の保護という問題を考えていかねばならぬ、これはもう当然でございます。その辺がまさにバランスの問題だと思うのでございまして、一方におきましては、それが余りにも急激であれば、現在持っております特恵率、特恵関税のいろいろな弾力条項がございますから、これを運用してまいりたいというふうに考えております。  それからまた同時に考えねばならぬことは、わが国はどうしても貿易の自由化に本質的な利益があるわけでございますから、その間にわが国が今後進むべき産業構造というものを、わが国自体がまた努力してまいらねばならぬことは当然でございまして、そういうことによりまして、できるだけ国際分業の方に持ってまいるというのが基本でございますけれども、なかなかそうはうまくいくかどうか。その辺の競合するところが、特恵関税の弾力条項をどう使っていくかというところで、その場面場面でバランスのとれた方法をとることが私はやはり基本だと思うのでございます。  それから、スワップの問題でございますけれども、たしかアメリカとの間、まあアメリカを中心にいたしまして、アメリカは大体二十億ドルぐらいずつのスワップを結んでいるわけでございます。しかし、なかなかスワップ協定で発動したということは私は聞いていないのでございます。しかし、アメリカは御案内のように、昨年の暮れカーターが、やはりドルの安定を考えねばならぬ、またことしの一月になりましてから連銀の総裁が、やはりスワップ協定を大いに利用しなくちゃならぬ、こう言っておりますので、私は漸次これは安定していくものだと思っているわけでございます。  ついでに申し上げますと、きのうの夜からきょうあたりにかけましてちょっとまた上がりぎみでございますが、私の判断では、これは日本に対するというよりも、欧州においてブルメンソールとシュミットが会って、経済政策でちょっと合わぬとか合ったとかいろいろな外電が伝えられておるわけでございますし、また財務次官が、いままでドル支えに介入していなかった、こう言って、それが国際的に非常に微妙な影響を及ぼしたと聞いておるわけです。財務次官は後ほど、いや、介入しなかったというのはドルが安定しておったから介入する必要がなかった、こう言い直したと言っておるのでございますが、しかし、こういう際でございますから、そういう一言が非常に影響を及ぼしまして、そして強い通貨に向かっておるということが、きのうからきょうにかけての為替相場のあれではないか。したがって私は、これを二、三日見ますと、大体少し安定の方に向かってくるのじゃなかろうか、こういうふうに見ているわけでございます。
  76. 戸塚岩夫

    戸塚(岩)政府委員 東京ラウンドにおけるセーフガードにわが国はどういう態度で臨むかという大変むずかしい問題でございますが、これは本格的な交渉の重要なテーマになろうと私は思います。したがいまして、いまここでわが国の出方について予断を与えるような発言は差し控えさせていただきたいというように思います。どうぞよろしくお願いいたします。
  77. 貝沼次郎

    貝沼委員 終わります。
  78. 大村襄治

  79. 高橋高望

    高橋委員 最初に、外務省の情報文化局の方お見えでいらっしゃいますか。——対外への日本紹介のお仕事をしておられると思いますけれども、一口で言うのはむずかしいかと思いますが、日本紹介のポイントをどういうところに置いていま御展開でございますか。
  80. 山口洋一

    ○山口説明員 海外広報のポイントという御質問でございますけれども、ごく一般論といたしましては、私ども海外広報をいたしております内容は、わが国の国情一般及び外交政策について正しい認識を醸成するということでございます。しかし、具体的な個々の活動におきましてどこにポイントを置くかという問題になりますと、その個々の活動が相手とする相手国、あるいは相手国における具体的な対象層が持っている対日関心ないし理解の程度がどうであるか、あるいは相手側においてどういう対日誤解が存在するか、あるいは対日認識の不足があるかという点を見きわめて、個々に適切な内容を選択していくということで選定しております。
  81. 高橋高望

    高橋委員 そうすると、この種類は現在の段階で何種類ぐらい発行しておられますか。
  82. 山口洋一

    ○山口説明員 何種類とおっしゃいますと、資料についての御質問かと思いますけれども、広報の手段はいろいろな手段で展開しているわけですが、資料について申しますと、定期資料、不定期資料、これは東京サイドで私どもがつくる定期、不定期の資料がございますし、それから、各出先の大使館、総領事館等で、そこのそれぞれの国の必要性に応じて個別的に資料をつくっていくということでやっておりまして、総数は非常に多数に上るわけでございます。  基本的なものでは、インフォーメーション・ブレティンと申しまして、月に二度、本省で広報素材を編集して、これを在外公館に送って、それぞれの在外公館で現地語、アラビア語なりペルシャ語なりに翻訳して出すという月刊の定期資料、これが一番基礎になっております。  それから、本省が製作ないし委託して作成しておりますのはこのほかに、四半期に一度出ますジャパン・エコーというような広報誌、それから、やはり四半期に一度出しておりますグラフ、写真を通ずるジャパン・ピクトリアルというような広報誌、その他個別に種々の資料がございます。これは日本の政治ですとか経済ですとか労働関係等々いろいろな局面を扱った特別資料がございます。  それから、在外が出すものは、それぞれ相手国の広報事情に応じて、たとえばワシントンの大使館ですと、日本アメリカ関係についての特別資料、ことに現在の時点では、貿易問題が非常に問題になっておりますので、貿易関連の各種の資料をつくっております。
  83. 高橋高望

    高橋委員 私、そういうことはもう資料をいただいてわかるのです。ただ問題は、一貫して流れているものが那辺にあるかということを伺いたい。と申しますのは、率直に言って、なかなか私たちの国の実態を十分に伝え切っていない、あるいは知らせ切っていないという、私にはそういう感じがしてならないからです。だから、いろいろな資料をお出しになるそのいわば素材というか、そのときどきと言いながらも、今日昭和五十二年、五十三年に当たって外務省が展開される日本を知らしめるポイントをどこに置いておられるかというのは、私の言うのは、原則というか筋を伺っているのです。
  84. 山口洋一

    ○山口説明員 先ほど、広報内容は個々の活動において適切な内容を選択すると言いましたけれども、ごく一般論として、私どもが基本的に取り組んでいる姿勢を申し上げますと、最近の外国における対日認識は、一口で言うと、経済大国イメージと申しますか、日本について非常に経済面に偏ったイメージが持たれているというのが、きわめて頻繁に見られる傾向です。これは戦後の時代、非常に日本についての認識が低かった、いわばフジヤマ、ゲイシャガールといったような異国情緒の認識の程度にとどまっていたところから、近年急速に、貿易、投資等を通じて、商品を通ずる日本との接点が深まってまいりまして、急速に経済大国イメージが醸成された。外国で持たれている対日認識は、往々にして経済大国イメージに偏っている、これが私どもの基本的な認識です。  こういう事態に対処して、経済以外の側面、つまり現在の日本における政治、文化、社会のありのままの姿ないし日本の文化的な伝統等々を含めて、全体としてバランスのとれた日本についてのイメージを醸成するというような努力を行っております。  これは具体的には、いま先生資料の点を挙げられましたけれども、資料でも、現にそういうことで、日本実態を率直に伝える内容を盛り込んでおりますし、それからあと、私ども広報の手段として、映画その他視聴覚に訴える手段等もございますが、そういう中でも、経済大国イメージに偏らないような、ほかの側面を伝えるような努力をしております。  また、広報の一環として招待をしておりますが、招待計画におきましても、日本のありのままの実情を見せるということで、わが国が抱えている種々の困難、公害問題とか都市問題とか住宅環境等々も含めまして、ありのままの姿を見聞させるという努力を行っております。
  85. 高橋高望

    高橋委員 そうであればありがたいのですが、実効はなかなか上がっていないというふうに私には思われます。というのは、皆様御自身だって、海外へのいろいろな勤務をなさっておられて、現実の問題として、海外で同程度の立場にあられる方に御招待を受けてその家へ行く。そしていま、たまたまあなた方は日本に帰ってこられた。外地でつき合われた外人の方が日本に来たときに、あなた方は自分のおうちになかなか御招待できぬだろうと思う。失礼だけれども、公務員住宅は、私はそういうことはなかなかできないだろうと思う。  私が申し上げたいのは、片方で確かにカラーテレビもあり、電気冷蔵庫もあるけれども、現実の日本の姿というものをもっと密度細かくというか、内容をつぶさに知らせる努力を一段とこの際していただかないと、後段申し上げるようないろいろの問題に対しての基本的な相違がよその国とあったのでは、私はなかなか話がつかないと思うものですから、そういう点で、重ねてでございますけれども、ひとつPRについて、むしろそれが今後の日本の国を海外に知らしめる一番の接触の窓口だというふうにお考えいただいて御展開を願いたい。どうぞよろしく、その辺はまずお願いを申し上げておきます。  私、主題に入らせていただきますが、今回の関税引き下げというものを考えました場合に、いわゆる黒字減らしとの感じがどうしてもぬぐい切れない。それは逆の言い方をすれば、もっと早くやっておかなければいけないことをやらないでいて、そしてここへ来てあわただしく追い込まれてやるという感じもしないでもない。こういう点を踏まえたときに大臣に、この関税引き下げの問題と黒字減らしとをどういうふうにお考えになっていらっしゃるか、重ねてひとつ御答弁をいただきたいと思うのです。
  86. 村山達雄

    村山国務大臣 この前も申し上げたのでございますが、前倒し関税審議会で問題になるころには、実は私はまだ大臣になっていなかったわけでございます。それで推測で申し上げたのでございまして、当時から関連を持っておりました関税局長が事しさいに申し上げたわけでございますが、まあそれを聞きまして総合的な感じで申し上げますと、やはり前倒しというのは、この前の四十八年でございましたか、東京ラウンドが発足したわけでございまして、七五年には完成させたいと言っておったけれども、その後石油ショックがあり、それからアメリカで通商条約が長く国会を通らぬというようなことがございまして、おくれにおくれてきた。昨年のロンドンの首脳会議で、これじゃいかぬということで、各国首脳が大いにやろうじゃないかというあたりから、そろそろホスト役としての日本も本格的に取り上げてきた。それで、この問題が正式に閣議決定になりましたのは、九月のたしか三日のあの対外政策のときに決まりまして、円が上がりましたのは、御承知のように九月二十九日のブルメンソールの発言以来でございますから、その前に実は決まっておったわけであるわけでございます。  しかし、いまとなって考えてみれば、この際はやはり黒字減らしにもあわせて効果があるということで、いよいよ熱心になったということではなかろうかと、かように認識しているわけでございます。
  87. 高橋高望

    高橋委員 そこで、先ほど他の委員からお尋ねの中で、私、この前倒しという意味が、ちょっと私の理解しているのと違うように局長から御答弁があったのですが、局長、今度の場合の東京ラウンド交渉妥結前のいわゆる関税前倒し引き下げという、この前倒しということと実際の東京ラウンドの問題とは、どのようにわれわれが理解したら一番あなたのお考えに近くなるのですか、もう一度ひとつこの辺を御説明ください。
  88. 戸塚岩夫

    戸塚(岩)政府委員 先ほどお話しいたしましたように、今回の前倒しというのは、実行税率をベースにしてどれだけ引き下げるかということでございます。東京ラウンド関税率についての中心的な問題は、譲許税率をどうするかということが中心的になるわけでございます。それで、譲許税率を八年間にわたってどこまで引き下げるかということを考えますと、今回の前倒しでやっているものの中で、譲許税率をそこで譲許するというものもあるいは出てくるかもしれません。そういう場合には、本来でありますと、譲許税率については東京ラウンドで決まってからやるという筋のものでございますが、わが国は自主的にそういう分を前に倒してやる、そういうことでございます。  しかし、先ほどもお答えいたしましたように、一年ごと実行税率を下げるという問題と、八年間を見越してどれだけの譲許にするかというのは、一応慎重に考えていかなければならないという問題があるということを私は申し上げたのでございます。
  89. 高橋高望

    高橋委員 そうしますと、八年間に日本が四二%のオファーをしている。それから、アメリカも大体この辺でイニシアルオファーがある。ところが、ECは三五だ。しかもこの三五というのは、立ち上がりの四年か五年の間は三五で、残りは四〇にしようとか、こういうような話のように聞いておりますが、この辺は真意はいかがでございますか。
  90. 戸塚岩夫

    戸塚(岩)政府委員 ECが鉱工業品につきましてオファーを出しましたのは、先ほど貝沼委員の御質問に対してお答えいたしましたように、一六プラスX分の一六Xという式でオファーを出しているわけでございます。それがEC輸入額で計算していくとどれくらいの率になるのかなというのは、いま私ども分析しておりますが、三五という数字よりは高くて、大体四〇%ぐらいになるのではないかと思います。  それから、ECはそれをどういうように実行していくのかなという点につきましては、ECのオファーでは、八年間毎年下げていくという形になっておりますが、一応最初の実施に移しましてから五年間たったところで、さらに三年続けるかどうかについては、そのときのEC経済状況雇用状況などを勘案して考えるというようなオファーになっております。
  91. 高橋高望

    高橋委員 大体ガットの常として、原加盟国がわりあいと自分の主張を貫き通すというか、かたくなに自分らのある種の立場を守り切るという傾向があると思いますけれども、こういう点から言うと、われわれ日本の国がとかくECあるいはアメリカにしてやられてしまうのではないかという懸念がありますけれども、いかがでございますか。
  92. 戸塚岩夫

    戸塚(岩)政府委員 先生御承知のように、ケネディ・ラウンドのときにおける日本と、現在の貿易の面における日本の力というのは、もう非常に違っております。東京ラウンドにおいて日本が置いてきぼりになるということはまず考えられない。むしろ日本が中心になって進めているというのが実際でありまして、先ほども外務省の方からお話がありましたように、一月の二十三日にジュネーブで閣僚レベルの会合が持たれた際にも、一番最初に演説をされたのは牛場大臣でございます。それを受けて、ECあるいはアメリカ発言をしたということであって、日本アメリカECと並んで三つの柱として東京ラウンドをリードしていくということであります。  また、先日ストラウス大使が来られたときに、共同声明の文言にも、MTNにおける日本のリーディングロール、指導的役割りという言葉が使われておりますが、まさにアメリカ日本にそういうような役割りを果たしてほしいということを強く言っておるわけであって、日本もガットの旧加盟国にしてやられるというようなことは全くないというように私は信じております。
  93. 高橋高望

    高橋委員 これは主観の問題ですからあれですけれども、私はまたまた人のいいことが始まったなという感じを持つのです。日本人がこうした条約に対して、特にこういう経済問題の条約に対しても、非常に準拠するというか、きちょうめんに守るという癖があり、また、そういうふうな行動もやってこられたと思う。  私はさらに聞きますけれども、たとえばECがレビーというか、ああいうガードを固めていること、これに対して日本がどれほどガードを固めるだけの心構えができておりますか。現実には日本だけがオープンになっていて、日本だけが一番市場が大きく開かれていって、肝心なところになると、それぞれの国はそれぞれの国の立場からガードをする、こういう傾向があるので、仮にその会議日本が一番最初にしゃべったから、あるいはしゃべらせてくれたから日本を期待しているという見方は、私はどうも甘いように思うのですけれども、その辺はいかがでありますか。
  94. 戸塚岩夫

    戸塚(岩)政府委員 私は、ガットの多角的交渉においては、全面的な相互主義に基づいて交渉さるべきものであるというふうに思います。ただ、その中において引っ張っていくような役割りというものが出ませんと、大臣もお話しのように、貿易の面における保護主義的な動きが大国の中に若干見受けられたというのは、先生御案内のとおりでございまして、貿易立国ということでやってまいりますわが国といたしましては、やはり関税や非関税の障壁をできるだけ取り除いていくというような立場でこれはやっていかなければならぬ。  それから、日本は人がよ過ぎてすぐ先頭を突っ走って、向こうはガートがかたいというような御心配でございますが、たとえば御案内のように、対日差別をいろいろECの諸国はやっているという問題とか、あるいはアメリカ関税評価についても特定なものについて評価の制度を異にしているというような問題、これらの問題は、東京ラウンドの中で主張すべきは主張して、できるだけ改めさせていくというような強い姿勢で臨んでまいりたいというように思っております。     〔委員長退席、綿貫委員長代理着席〕
  95. 高橋高望

    高橋委員 私は、つい先日、社会主義インターでデンマークの総理が来られたときに、私の家で個人的に食事をしながらいろいろ話をしておったのですけれども、そのときにヨーゲンセンという例の総理が、高橋さん、おれ、そのうちにECの議長になり、日本に対しての窓口になるよという話をしました。ヨーゲンセンの話の真意は私は十分つかまえ切れなかったのですけれども、現実にいまになってくると、ECが非常にかたくなというか、強腰で出てきている。一口にECアメリカとおっしゃいますけれどもECがガットに臨んでくる基本的な仕組みとアメリカの仕組みとの間にはずいぶん違いがあると私は思う。この辺の御理解についてはいかがでございますか。
  96. 戸塚岩夫

    戸塚(岩)政府委員 アメリカECとは大変違っているというのは、先生のおっしゃるとおりだと思います。ECは、何と言いましても九カ国の連合体でございますから、それぞれの国はまたそれぞれの国で、国同士も競争しなければならないという面もあるわけでございます。ECの中でどういうオファーを出すかということは、最後の最後まで相当もめたようでございます。そこで、一応は一六というパラメーターを使って出しておこうというような形でECは進んでいる。それはアメリカが一国であって、ストラウスが中心になってまとめられるというような国とは大分違うというふうに思っております。  それで、ECの態度が全体としては非常に消極的である、交渉をずっと続けていってもそういう状態であるならば、われわれはその重い腰を上げさせて、できるだけ大国は関税率も下げ、非関税障壁も軽減していくというような姿勢で臨んでいかなければ、世界経済全体の拡大は望めないではないかということを、強く訴えたいというように思っております。
  97. 高橋高望

    高橋委員 ですからECというものは、一回出されてきたオファーというものはなかなか簡単に、一国だけじゃないのですから、持って帰って考え直してくるというようなことは簡単にできる環境ではないと私は思うのですよ。逆に言えば、ECが持ってくるものというのはかなり強硬なものだ、こう割り切って臨まなければ、私は今後道を誤ると思う。  そういう立場に立ったときに、私は三五%ぐらいと思っておりましたけれども、いま四〇%近いとおっしゃいますから、その辺では私が考えていたよりも幾らかわれわれの線に近いので安心でございますけれども、何かこの辺は、ECというものに対しては、ただ単にECアメリカあるいはアメリカECという呼び方以外の取り組みの姿勢をとらないと、私は人のいい思いをしてしまうのではないか、こういうおそれを十分に感ずるのですが、局長いかがでございますか。その辺もう一つ重ねてECの強硬さというものについての関係当局の配慮というか、備えというようなものをちょっと私に聞かせていただけませんですか。
  98. 戸塚岩夫

    戸塚(岩)政府委員 先ほどの繰り返しになって大変恐縮でございますが、EC東京ラウンドについて果たしてもらわなければならない役割りも大きいわけでございまして、私どもは、ECアメリカ日本という経済的に貿易の面で強い国及びゾーンが、将来の世界経済全体を考えて、何とか実りある実質的な東京ラウンド妥結という方向に向かって努力してまいりたい。ただ、ECはなかなかしぶといよという先生の御忠告については、十分拝聴させていただきましたので、われわれ交渉に当たっても粘り強く、よく向こうの手を見ながら交渉してまいりたいというように思っております。
  99. 高橋高望

    高橋委員 それでは少し話題を変えまして、今度の前倒し品目の中にある主要な引き下げ品目の中で、鉄鋼と乗用自動車の問題をちょっとお伺いをしたい。  特に一言で申し上げて、まず関税率を計算するときに、引き下げ率を計算するときに、非常に簡単な御説明で結構なんですけれども、どういう計算の中からたとえば鉄鋼コイルは五%になり自動車はゼロになるか、この辺ひとつ平易に御説明いただけませんですか。
  100. 戸塚岩夫

    戸塚(岩)政府委員 御承知のように、現在の関税は基本的には保護関税でございまして、これによって財政収入を幾ら上げるかというようなかつての財政収入的な面というのは、例外的に主として石炭対策の財源として原油、重油の関税がいま暫定的にございますが、そういうものを除きましては、保護のためにバリアを張っているというのが実態でございます。  そこで、いまお尋ねの鉄鋼とか自動車、たとえば鉄鋼というのは、もう先生御承知のように、日本が現在においては一般的に輸出競争力の大変強い産業でございます。したがって、どの程度のバリアを張らないとわが国産業としてまずいかなということを一義的にはそれぞれの所管省が十分検討して、私ども大蔵省の方に示してくるわけでございます。  自動車は、現在六・四%の実行税率になっておりますが、これをこの法案では無税にするという提案をいたしております。これは、これも先生の方が御専門であろうかと思いますが、日本のいまの自動車の生産のうち五〇%を超えるぐらいがもう外国に行っているというような実情であります。それに対して輸入車は、国内の生産のわずか一%にしか満たない現状でございます。そうしますと、自分の自動車は買ってくれ、あなたの方のはなかなか買わないよというバリアを張っているわけにもまいらないというので、暫定といたしましては一応ゼロ%に踏み切れるのではないか。しかしながら先ほども東京ラウンドの際には八年間を見通してと私がちょっと申し上げましたのは、いまはゼロ%でことしはやっていけるという見通しを通産省は持っているかもしれませんが、将来八年間というものを考えた場合に、果たして譲許をゼロ%にしていいのかどうかということはなお慎重に私は考えるべき問題だと思っております。  そういうようにして、一応関税率というのは、どの程度の率を張らないと国内産業としてまずいかなという観点から、それぞれの実態に合った率を選ぶべきだと考えております。
  101. 高橋高望

    高橋委員 自動車が百対一くらいの比率だということは私も理解しております。ところが、同じように鉄鋼のコイルも、国内需要に対して大体一%ぐらいきり入ってきてない。そういう立場だけから仮に考えたとしたら、片方が五%で片方がゼロ%ということは、何か別の意図があるんじゃないかと私思われますけれども、この辺はいかがでございますか。
  102. 戸塚岩夫

    戸塚(岩)政府委員 いろいろ通産省とも話して、もう少し引き下げられないかというような議論もしたのでありますが、暫定で引き下げるのは、いま鉄鋼は自動車のように大変好調な業界ではないことは先生御承知のとおりでございます。そこで、いま平均して六%が実行税率になっていると思いますが、一%下げて五%にするというところでお願いをしているわけでございます。
  103. 高橋高望

    高橋委員 とにかく入ってきている量を考えた場合に、同じように一%そこそこ、あるいはそれ以下であるものに、五%とゼロ%という掛け方自体に、御説明を伺っても、何かまだ私は割り切れないものを感ずるのですよ。あくまでこれは関税という立場に立った場合に、入ってくることですからね。そういう点で、もう少し時間さえあれば、私はこの関税の率をどう決めるのかということをもう少し詳しく伺いたいのですが、残念なことに紙がいま回ってきましたから、余りありませんけれども、それでは、先ほどちょっと局長が問わず語りにおっしゃっておられた、期間内、これは一年でございましょうけれども、期間内に異常な事態ができて国内産業が著しい影響を受ける、あるいは先ほど相当、重大というような言葉でやりとりがあったかに思いますが、こうなったときに、税率をもとに戻してくれ、あるいは極端な場合にはもっと税率を高くしてくれ、こう言うと、いままでの関税の常識から言って、見返りを要求されると私は思うのです。こちらを立てればあちらが必ず引っ込むというようなことが、関税の場合にはたしか金額で出るはずですね。こういうことを考えていったときには、従来現実に、一遍決めた関税率を引き上げていって、そのかわりに何かを要求された例はどの程度おありになりますか。
  104. 戸塚岩夫

    戸塚(岩)政府委員 今回の関税前倒し引き下げは、実行税率を下げるということでございまして、国際的に合意された譲許の税率を下げるとかいうことではございません。先生が見返りとおっしゃいましたのは、一度譲許した税率を引き上げるという場合には、金額的に代償を出さなければならぬという問題が出てくるわけでございます。  そういう例でどういうものがあるかという御質問でございますが、最近の例といたしましては、スキーぐつにつきまして、代償といたしましては大理石、メリヤス等相当品目を代償として出した例がございます。これは五十年の六月五日に発効しております。スキーぐつ交渉は、一〇%でありましたものを二七%にするというので、相当たくさんの代償を出しまして妥結したということでございます。今回の前倒しにつきましては、わが国だけがやるわけでございますから、これは代償という問題は全くございません。  それから、先ほど先生がもとへ戻す、さらに高くするという問題につきましては、言うまでもなく租税法律主義でございますから、行政府が勝手な税率をつくるというわけにはまいりません。今度戻します場合も、引き下げ前の税率に戻すということでございまして、それを超えて高くするというわけにはまいりません。そういう問題は起こらないということです。
  105. 高橋高望

    高橋委員 最後に、大臣にお願いしておきたいのですが、私は決して保護貿易論でもございませんし、かたくなな姿勢をとるものじゃないのですけれども、この東京ラウンドに備えて政府自体のお取り組みの姿勢として、日本人がまず国益を考えるのはやはり当然だと思うのです。国益というのは、大きく考えていろいろ理屈を言えばございましょうけれども、やはり生活に関連する人たちがそれぞれの立場で、目の前のことにとらわれるというのもこれはやむを得ないだろうと私は思うのです。そういうことをいろいろ踏まえました上で、どうかひとつ関税問題というよりも、対外に対してはわれわれの努力を正当に評価させる、そしてそれを交渉の基盤にしていただく、こういうふうなお取り組みをしていただきたいと思います。もう十分おわかりだと思いますが、御決意を承って、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
  106. 村山達雄

    村山国務大臣 高橋委員と全く同感でございまして、わが国は貿易立国の立場と申しましても、そのときそのときで合理的な保護政策はやはり必ず必要であろうと思うわけでございます。その辺は、やはり自国の利益というものは、これは合理的な範囲において守らなければいかぬ、かように思っているわけでございます。
  107. 高橋高望

    高橋委員 終わります。ありがとうございました。
  108. 綿貫民輔

    ○綿貫委員長代理 荒木宏君。
  109. 荒木宏

    ○荒木委員 今度の改正法案にありますアルミニウム業界の関税割り当て制度について伺いたいと思うのです。  御説明を伺いますと、九%のところ五・五にもっていって、差額の三・五に当たる分は積み立てて需給ギャップ分の四十万トンの凍結資金に充てよう、こういうお話のようでございます。私はいろいろ説明伺ったのですけれども、いずれにしても一口で言えば、アルミ業界救済の財源捻出のための引き下げとも言えるのではなかろうかと思います。もっと平たく言えば、アルミ業界を助けるためにひとつ税金をまけてやろうじゃないか、これはちょっと短絡し過ぎるかもしれませんが、そういう常識的な受けとめ方もあろうかと思うのです。  そこでお伺いしたいのは、構造不況業種と言われるのは多々ございますが、それに対する対策は構造不況業種対策として政府でいろいろ発表していらっしゃる。それに対して賛成だ、反対だ、これはまた別ですよ。また、近く別途法案としてお出しになるということで独禁法上の問題もあるということもあって、いろいろ詰めてもおられるというように新聞報道で承知をしております。     〔綿貫委員長代理退席、委員長着席〕 なぜそれに乗せないのか。過剰設備凍結、需給ギャップの解消、こういった普通の構造不況業種に見られる現象に対する通常の解決策として政府自身が出しておられるところは別途にあるわけです。なぜアルミだけ特別のこういう扱いが要るのか。いろいろこの制度そのものの説明は私も伺いました。また、別途構造不況業種対策と言われるものもいささか承知をしております。なぜアルミ業界だけこの関税割り当て制度という仕組みを凍結用にお使いになるのか、ここのところをひとつ政治的な御説明を伺いたい。技術的なことは多少私も承知しておりますので、政治的な御説明を伺いたい、かように思います。
  110. 原木雄介

    ○原木説明員 ただいまの御質問でございますが、構造不況関連の法案につきましては、目下検討中ということでございまして、まだそのつながりははっきりいたしておりませんが、現段階で申し上げられますことは、構造不況法と申しますのは、設備廃棄に対します信用補完を主とするということでございます。アルミの場合につきましては、現在のところ信用補完というよりも、設備を凍結いたしまして五年間置いて、その間いろいろ構造改善を打ち出します。その結果五年後には、やはりいろいろ世界環境の変化等がございますので変わるという見込みでございまして、設備廃棄に伴います信用補完という手段をとるわけにはまいらないわけでございます。したがいまして、設備凍結について特に特段の御配慮をいただきまして、金利負担といったようなことをある程度背景に置きました関税割り当て制度の導入といったことに踏み切らざるを得なかったというように私は考えております。
  111. 荒木宏

    ○荒木委員 私が伺っておるのは、そういうことじゃないのです。設備凍結が必要な業種、あるいはいま廃棄になっておるけれども、前段階として必要であった業種の例、これは枚挙にいとまがありません。  そういうことじゃなくて、私は大臣に伺いたいのですが、これは一体どういう政治的な配慮からこういうような結論になったのか。いまの非鉄金属課長ですか、その実務的な説明だけでは私はとても納得できぬのです。後の質問との関連もありますから、ひとつ大臣から伺いたいと思うのです。所得税減税は一切だめですよ、物価調整減税すらだめですよ、こう言っておるときに、関税といえども税金の一つですから、それをまけて凍結用にひもつきで回しますというには、やはり国民に、アルミだけそれをいまやる理由というものを得心のいくようにおっしゃっていただかないと、これは納得いかぬのじゃなかろうかと思うのです。
  112. 村山達雄

    村山国務大臣 これは私もかなり異例なことだと思っておるのでありますが、関税率審議会で、ここは専門部会でございますが私が聞いたところでは、いろいろ念査した結果、まことに異例なことであるけれども一年間限りやむを得ない、こういう結論が出たということで、その答申に従っておるわけでございます。いま内容を聞きますと、大体ほかのものとは大分違うようなやり方をする、そういうようなことで、あるいは関税率審議会の御了解を得たのじゃなかろうか、かように判断しているわけでございます。
  113. 荒木宏

    ○荒木委員 まことにやむを得ないというお話なんですが、私はこれは結論だろうと思うのです。結論のよって来る理由と申しますか、ゆえんと言いましょうか、そこのところにやはり胸に落ちるものがなければならぬのじゃなかろうか。もちろん業種、業界のことですから、十人寄れば十色で、特色、特長それぞれございますけれども、いまの時期にこういうふうな取り扱いということになりますと、それでは私は伺いたいのですが、同じ条件で繊維でこういう事情ができればおやりになるか。繊維と一口に申しましても、それこそずいぶん種類があるわけでありまして、綿布、綿織物から、あるいはタオル、毛、化合繊に至るまでずいぶんいろいろあります。そこでは、廃棄ということでずいぶんと段階が進んでおるのもありますし、それから凍結という段階で手当てをしようかというのもありますが、同じ条件がそろえばそれでは繊維にもおやりになるか。  また、私の事務所がございます地域にもアルミ精錬企業があります。同じ市内に繊維企業もあれば、隣り合わせに化学製品企業もあるわけですね。これは酸化チタンをつくっております。それでは、これもいま凍結が必要だということになれば、同じようなこともおとりになるか。大臣いかがですか。
  114. 戸塚岩夫

    戸塚(岩)政府委員 アルミニウムはもう先生よく御承知のように、大変電力をたくさん消費するという産業でございます。石油ショック以来その電力及び自家発用の重油が上がりまして、大変コスト局になっている。これは国内である一定量確保しておきませんと、世界的に見ますと大変寡占的な体制で供給をされている、それはもう先生御承知のとおりでございます。したがって、国内である程度のものを生産しておかないと、アルミの用途は大変広く、われわれの国民生活にきわめて影響の多い産品でございますから、これについては当分の間存置しておかなければならぬ。御案内のように、オーバーインベストだと認められる分については凍結をし、そしてその操業を続けていくわけでありまして、それで成り立っていかなければならない。しかしながら私どもは、関税をまけることによってアルミニウムの再建がされるというのは、いささか問題もあろうかと思います。そこで、今回お願いしておりますのは、一年間だけそういう形で金利が払えるような状態にして、その間に抜本的なアルミニウム産業をどうするかという対策を講じてもらって、通産省の方とわれわれはそういう条件をつけまして、今回御審議をお願いしていますような形で一年間の緊急的な措置をお願いしているわけでございます。
  115. 荒木宏

    ○荒木委員 それはお答えにならぬのじゃないでしょうか。結論は出ているのですから、やむを得ずそうしたということはもうおっしゃっていただかなくても、いまの結果自体でわかるわけです。  問題があるということはいま局長もお認めになった。私が伺っておるのは、実質的な理由というのは、いまいろいろ答弁ありましたけれども、要するに戦略的に存続するんだ、こういうことなんでしょう。だとすれば、いま当座のことで需給ギャップである、オーバーインベストだと言われておりましても、これからの経済の持っていきようによって、これからの安定成長の推移のいかんによって、そのときに、いやこれはあのときに切り捨てたけれども、また実は別途必要であったというようなことに万一なれば、まことに不定見のそしりを免れないし、ただでさえ言われる資源浪費が、投資面においても後ほどまた悔やまれるという結果になりはしないか。だとするならば、このこと自体を取り上げていろいろな論議はありましょう、だがしかし私は、関税割り当て制度の本来の趣旨というものはこういうものじゃないと思うのです。少なくともいままで皆さんが説明してこられたところはこういうところになかったはずなんです。それを言うなれば、超法規的と申しましょうか、言葉は必ずしも適切じゃありませんが、いささか異例の措置としておやりになるということになれば、戦略的価値ということになるでしょう。  ほかの産業、ほかの業種、そうしたことに全体として通ずるような判断基準、物差しというふうなところから結論が出る、そういった手順もまた必要ではなかろうかと思うのです。申し込みがあった順番にその都度、いや一年限りで、これは戦略的に重要で、いやこれはもう応急措置で、その間に次のスタートの用意をしてください、これで大臣いかれるのでしょうか。つまりこういう措置はアルミ限りということになれば、あと続いて同じような戦略的ななにが出てくればまたぞろおやりになるというのか。私は、この辺のところをはっきりしていただかないと、ここにアルミ会社がある、勤労者がいる、隣に化学製品会社がある、同じ勤労者がいる、どうしてくれるんだということに対して、皆さんがどういうふうに御説明なさるか。いまの説明では私はとても納得できぬと思うのです。
  116. 戸塚岩夫

    戸塚(岩)政府委員 アルミが国民経済に占める重要な資材であるということは、先ほど御説明したとおりで御納得が得られると思いますが、関税の割り当て制度で、先生も御承知だと思いますが、かつて銅について短期間、こういう再建のために業界が自主的に金を集めて、それによって銅山を救っていったという例もございます。しかしそういうことは当然、長期にわたって存続さるべき制度ではないというので、一年を限ってお願いをしているという次第でございます。
  117. 荒木宏

    ○荒木委員 アルミは住宅のサッシなどの原料になっていますね。住宅の窓枠サッシ、これは私は大事だと思いますよ。しかし同時に、隣の企業がたとえば酸化チタンの場合ですと、これは造船の塗料になる。これは重要ではないと私は言えぬと思うのです。よそから部分的に引っ張ってこれる、そういう道があるからといって、そのこと自体で、いや窓枠のサッシはかけがえのないほど大事だけれども、船に塗る塗料は中途半端でもいいのだ、そういうことじゃなかろうと思うのですね。これでは働いている労働者は承知しませんよ。だとすれば、一方で問題があるとみずからお認めになるようなこういう手だてをとられるなら、あるいは一年ぽっきりだと言わねばならない、もうスタートのときからやがてすぐにやめなければならぬということが予想されるような手だてをあえておとりになるならば、隣の職場にいる労働者に対してそのかわりこういうことはしますよ、これは一つの疑問にこたえる道じゃないでしょうか。  私は、たまたま偶然的に隣り合わせでございますからその例を申しておりますけれども、これはほかの産業の職場でも同じだと思うのです。一例として挙げました化学製品の製造業について申しますと、一つは酸化チタンの場合、基本の関税の税率は御案内のように一五%です。いま暫定で六になっております。だとすれば、これをネガティブリストに入れて、そういう面ではせめてもの心根といいますか、そういうのを示しますということであるのかどうか。これが一つです。  それから、いろいろコストの点もお話ございました。製法の点にもお触れになりました。これは酸化チタンの場合だって同じことでして、いまコストの面、原料の面でいままでのイルメナイト鉱から今度はチタンスラグに転換をしよう、こういう動きがありますが、これはチタン含有量は高いですけれども、そのかわり値段も相当なものなんですしこの点について、政府としてそれじゃいかなる対策があるのか。  あるいは御案内のように、公害関連の企業でありますから、かつて苛性ソーダについては、水銀法と隔膜法ということが行政指導でやられました。これは御案内のとおりです。いま硫酸法から塩素法へという大変な投資を要するような新しい製法の論議も起こっておる。アルミで論議されましたコストの問題、あるいは借金、金利の問題、それから市場価格の問題、あるいは寡占の問題、戦略効用の問題、ひとりアルミだけじゃありません。いまほんの一例として挙げた、たまたま隣に位する化学製品企業でも、業界でも同じことが言える。いま労働者立場では、たとえば化学では合化労連という組合がありますが、ここでは、労働者立場産業政策をどうしていくかということを討議をして政策提起をしておる。その中にいまのようなことも論議として出されつつあるわけですから、通産省もお見えのようですから、その点について一言納得のいく話を聞かしていただきたいと思います。
  118. 平河喜美男

    ○平河説明員 担当課長の化学製品課長でございます。  酸化チタンにつきまして先生の御指摘のありました点、二、三ございますけれども、まず関税引き下げにつきまして、業界から、今回の東京ラウンド引き下げに際して下げないでくれと強い要望があることは、われわれもお聞きしております。ただ、現在MTNの全体の流れとしましては、わが国経済の全体の立場から関税障壁を漸減するということでやっておりますので、この中で国内の各産業実態を十分踏まえてきめ細かく対処してまいる所存でございます。  それから第二の、塩素法の問題、あるいは原料対策等の問題についてでございますけれども、硫酸法から塩素法への転換につきましては、硫酸の公害対策費が非常にかさみますので、新規に設備をつくります場合には今後塩素法になるであろうと考えておりますけれども、現在全体の状況が必ずしもよくありませんので、とりあえず塩素法の転換、増設等は計画がない状況でございます。  原料等につきましては、従来からいろいろな原料を各企業が世界各国から手当てをしております。お話の点、あるいは最近、従来のイルメナイト鉱を中心にしましたものからチタンスラグ等を含めました原料をいろいろ考慮しているということだろうと思いますけれども、この際もなるべくわが国の酸化チタン産業に有利なように原料を選ぶように指導したいと思っております。  最後に、アルミ産業にとられておるような制度が酸化チタンでとれないかという御趣旨の御質問でございますけれども、業種の内容その他おのおの業種によって異なっておりますので、その業種の中身に応じた不況対策というものが必要じゃなかろうか、かように考えております。
  119. 荒木宏

    ○荒木委員 関連で少しお伺いしましたので、通産省はお引き取りいただきまして結構でございます。  いま国内のそれぞれの業種に対してとられる関税措置というふうな点から一、二お伺いをしたのでありますが、同時に、対外的な面でいかがなものであろうかと、一、二お伺いをしたいと思うのであります。  同僚委員からも先ほど来いろいろ御質疑がありました。私は短い時間でありますから、とても全般のことについては触れることはできませんですけれども東京ラウンドの成り行きその他につきましても、いろいろなグループでそれぞれ折衝、検討も進められておるやに聞きますが、その中で関税評価の問題、御案内のようにこれもグループがあるようでありますが、たとえばアメリカでは、国内の卸売価格とそれから輸出国の卸売価格とを対比をして高い方がベースになる、こういった品目が少なからずあるようでございますし、そういったことを一つ前提にし、それから税率そのものを比較をしてみますと、たとえば先ほどいささか触れました綿布の例などを見ますと、御承知のように暫定で日本では五・六、特恵が二・八、アメリカECは一五から二〇%というふうなところでありまして、いわば日本と比べてみれば先様はげたを履いていすの上に乗っかっている、これは業界の一部でそのようにも見えるがいかがでしょうかという声があるのは御承知のとおりだと思うのです。  私は、全体として台頭する保護主義に対する構えというものを非常に重視をしていらっしゃる、日本産業構造のある意味では宿命とも言えるような点にまで触れて、歴代局長がいろいろなものにいろいろなことをお書きになっているというのも伺っておりますけれども、しかし一方、そうしたいま指摘をしましたような、それぞれの関連業界が関連諸国の関係税率についての強い意見があることもまた御承知のとおりでございまして、交渉の中でどのようにそれを国内関係者、国民に納得し得るような手だてをおとりになっているのか、これを伺いたいと思います。
  120. 戸塚岩夫

    戸塚(岩)政府委員 最初にお触れになりました評価に関する問題でございますが、先生お話しのように、アメリカ評価の中で、特定な品目についてASP、すなわちアメリカン・セリング・プライスというので、アメリカでの国内の卸売価格を課税標準にするというものが四品目ほどございます。またさらに、関税法の四百二A条という条文では、財務省令で決めている千品目ぐらいの品目があるわけでございますが、それについて、輸出国の卸売価格かあるいは輸入価格のいずれか高い方を課税標準にするという制度をとっております。そういう特殊な評価制度によって、関税率だけでは比べられない問題がございます。関税率は低くても、課税標準のとり方が高いよというのでは、形式的に税率が低い低いと言っても、実体的には高くなってしまうということなので、今度の東京ラウンド交渉におきましては、そういう非関税障壁、評価のグループとサブグループを設けまして、そこでアメリカの特殊な評価制度を変えるようにということを交渉の一つのテーマにしております。  そのほか、評価についてCIFなりFOBと違う評価制度をとっておりますのは、先進国ではカナダでございます。フェア・マーケット・バリューというので、輸出国の市場価格を課税標準にとるということをやっております。  それから次の御質問は、アメリカのたとえば繊維には、相当日本と比べると高い税率を張っているものがあるではないかという点でございます。関税率を個々の産品ごとずっとどこの国も同じようにするということは、産業構造、発展段階等がありましていろいろ比較はむずかしいわけでありますが、先ほど来お話しいたしました関税率を全体としてどう下げるかという点について、一般的にはフォーミュラを決めまして、それに沿って、たとえばアメリカ関税率が高ければ高いカット率になるというのが、今度の交渉の工業品についての引き下げの基本でございます。したがいまして、東京ラウンドにおいて、高い税率は原則として高くカットをしてもらうように交渉で強く主張してまいる所存でございます。
  121. 荒木宏

    ○荒木委員 時間の通知をいただきましたから、あと一言お尋ねして終わりたいと思いますが、いま局長から答弁をいただいたのですけれども、果たして関税評価あるいはASPの是正といいますか、納得のいく解決が図られるであろうか、いままでのいろいろな経過から見まして、これはなかなかそうしかく簡単なことではなかろうという意見が出るかと私は思うのであります。  現に先般来日をいたしましたストラウス氏が、二月の一日でございましたか、アメリカ議会での公聴会で証言をいたしました。新聞にも報ぜられておりましたですけれども関税だけの問題ではありませんが、通商面その他国際経済、相互関係全般に触れてでありますけれども日本に対しては圧力が必要だ、定期的に監視を続けて、来るべき七月でございますか、先進国首脳会議の前には審査をするのだという趣旨の証言をしたということが報ぜられております。もちろん翻訳の問題もありますし、言葉のニュアンスもございますし、報道記事でございますから、その辺のところはいささかニュアンスの問題もあろうかと思いますが、しかしいずれにしても、国民がそういった面で、外圧というふうな言葉でも表現をされたかと思いますけれども、懸念を抱いておることはぬぐいがたいと思うのです。大臣にひとつそういった点についての御所見を伺って、質問を終わりたいと思います。
  122. 村山達雄

    村山国務大臣 今度のアメリカ交渉は、荒木さん御承知のように、グローバルな立場で、しかも世界経済全体を考えてやるということで、まあ牛場大臣の話を聞きますと、アメリカに行ったときに日米間の話は出なかったと聞いているわけでございます。  しかし実際問題として、これは私の想像でございますけれども、やはり何といってもいまは雇用問題が各国ともその背景として一番大きな問題じゃなかっただろうか。したがって、わが国が大体基礎収支を長期的には基礎にしてやるという、私は合理的な考え方だと思うのでございますけれども、それはそれとして、やはり経常収支の問題が雇用に一番響くということは各国ともみんな頭にあったんじゃなかろうか、これは私の想像でございます。  そういったものを背景にしながら、いまの産油国の黒字が続く限り、お互いに経常収支の均衡を図るように努力しようじゃないか。形はグローバル、しかも世界のためと言っておりますけれども、その背景にはその問題があった、私は私なりにそのような理解の仕方をしているわけでございます。そういうことを考えますと、やはりわが国としては、どうしても内需の拡大をしていくということ、それが同時にまた、いまの景気を急速に、早目に回復して、ミクロ中心の正常な姿に戻すということが大事ではなかろうか。それぞれの問題は、経済の問題でございますけれども、相互関連している問題でございますが、私はそのように理解いたしまして、そしてそれはまた同時に、当面の問題としては日本の利益にもつながる、かように思って、この対内関係、対外関係の均衡を図ってまいりたい、かように思っているところでございます。
  123. 荒木宏

    ○荒木委員 時間ですから終わります。
  124. 大村襄治

    大村委員長 永原稔君。
  125. 永原稔

    永原委員 東京ラウンド交渉におけるわが国のオファーの概要は、これは先ほど関税局長からいろいろありましたので、今度は観点を変えまして、前倒し品目が百二十四品目、そのうちで鉱工業品が九十四、農水産品が三十というように聞いておりますけれども、その九十四品目の鉱工業品の加重平均引き下げ率、これはどのくらいになっているか。ECのオファーが、パラメーター一六で計算した場合に約四〇%というようなお話がありましたけれども日本のその数字との比較が一番欲しいのですが、出ないとすれば、ECのその四〇%引き下げに対して、日本の今度九十四品目の加重平均の引き下げ率はどのくらいに当たるのか、お聞きしてみたいと思います。
  126. 戸塚岩夫

    戸塚(岩)政府委員 前倒しの九十四品目の加重平均引き下げ率は三一%でございます。これは先ほども説明いたしましたように、実行税率から三一%一年間に限って引き下げるということでございます。  それから、東京ラウンドにおける鉱工業品の引き下げのオファーは、先ほどもお話しいたしましたように、日本は四〇%若干超える、ECはまだきちんとした答えは出ませんが、約四〇%になろうかと思います。
  127. 永原稔

    永原委員 東京ラウンド交渉における対象品目というのは、この数字は公表されておりますね。これに対して、九十四というのが一体何%ぐらいになるのか。  それと、その九十四品目を選定した考え方ですけれども、パーセントでいったのか、品目内容でいったのか。率については自主的にお決めになったという大臣のお話がございましたけれども、その点について教えてください。
  128. 戸塚岩夫

    戸塚(岩)政府委員 東京ラウンドにおきます鉱工業品目で税目を張っております数字は二千六百九十五でございますが、関税交渉の対象品目の数は二千六百四十一でございます。  前倒しの九十四との関係でございますが、前倒し対象品目の選定につきましては、鉱工業品について申し上げますと、わが国の実行の関税率が比較的高いもの、及び税率はそれほど高くなくても輸出の割合が輸入に比して著しく高いもの、そういうものの中から、中小企業製品的な性格の強いもの、及び不況業種の製品というものを除きまして、ある程度下げても十分やっていけるというものについて選びました結果が、九十四ということでございます。
  129. 永原稔

    永原委員 二千六百四十一品目に対して九十四品目、パーセンテージは四%弱ぐらいになるのでしょうか、もう少しでしょうか、非常に品目とすると少ないのですけれども、これで果たして前倒しに値するかという疑問を持つのですが、先ほどのお話で評価されているということですので、まあ納得せざるを得ないような感じがするのですが、本当に前倒しという観点からおやりになったのでしょうか。いまお話しのように、比較的税率の高いものとか、輸出と輸入を比較した場合に輸入の量が非常に少ないもの、こういうようなものについてやった、そういう観点からで、結果的に出た数字を前倒しと言っていらっしゃるのでしょうか。どちらでしょうか。
  130. 戸塚岩夫

    戸塚(岩)政府委員 二千六百四十一品目に対して九十四品目前倒しになっているということでございますから、そういう品目のウエートからいくと四%弱ということになります。しかし、対象になりました品目は、それぞれこういう円高状況あるいは国内において相当不況の業種があるという苦しい事情の中から、進んで引き下げてもやっていけるというものを厳選いたしたわけでございまして、その対象輸入額も、五十一暦年で申しますと六千四百億円弱でございます。相当関心があるだろうという品目は十分入っているというように私ども考えております。選んだ結果が九十四品目、鉱工業品についてあったということでございます。
  131. 永原稔

    永原委員 同じように、農水産品が三十品目ありますけれども、これの対象品目からするとパーセンテージはどのくらいになっているのかというのが一点。  それから、先ほど鉱工業品で二千六百九十五に対して対象品目が二千六百四十一というのは、除外される品目がそこにあるわけですけれども、農業水産品について除外品目はないかというのが二点。その点を伺いたいと思います。
  132. 戸塚岩夫

    戸塚(岩)政府委員 農産品につきましては、先ほどから申し上げておりますようなフォーミュラを使って一律にカットするというようなことは、東京ラウンドでは交渉のやり方として採択されておりません。すなわち、農業のよって立つそれぞれの国の事情というのが大変違うわけでございますから、鉱工業品のような一律的な形では実態に沿わないということで、わが国も個別にオファーを出しておる。  前倒しの三十品目を選びましたのは、わが国関税率が比較的高くて、ある程度下げても農産加工品が中心でございますから何とかやっていけると思われるものを選んだ。加工しないものにつきましては、たしかエビとニシンの卵と家禽の肉でございまして、三品目だけでございます。あとは相当加工したというもので、その原料につきましても、たとえばコーヒーというようなわが国では原料自体は生産できないというような加工品などを選んでいるわけでございます。
  133. 永原稔

    永原委員 ことしの経済見通しで輸出入の差、これが百三十五億ドル、輸入の増加が八十五億ドルということですけれども、この中に占める農産物の割合、増加というのが非常に心配になりますので、いま税率を決めるに当たって工業とは違うのだ、個別にオファーを出してあるということですから、今後ともこういうものについて、十分農業のよって立つ基盤をお考えいただきたい、これはひとつお願いしておきます。  それで、工業製品関係ですけれども日本輸入に占める製品輸入の割合が低いのではないかと思いますけれども、割合はどのくらいになっているのでしょうか。
  134. 戸塚岩夫

    戸塚(岩)政府委員 御承知のように、わが国は原料を買って加工して、製品として、輸出してというようなパターンの産業構造を持っているわけでございまして、当然輸入の大半は、原料とかあるいはとてもわが国では生産できないえさなどである。石油は九九%以上海外から買わなければならぬというようなことでございますので、そういう構造で先進国とダイレクトに比較して、実をとっているというような指摘は、そういう産業構造自体からくるものがあって、これをいかに上げようとしてもおのずから大変限度があるというようにお考えいただきたいと思うのであります。  数字で申し上げますと、約二〇%が昭和五十年の実績に基づいての計算値でございます。これをたとえば石油は除いてみようというのでとってまいりますると、三六%ぐらいが製品輸入であるという割合になっております。
  135. 永原稔

    永原委員 貿易収支の大幅黒字というので諸外国が不満に思っているのは、やはり製品輸入が少ないからじゃないか、このように思うのです。  今後こういうようなものの拡大のために、オファーの線で関税政策を展開していらっしゃるのかどうか、拡大していこうとするのか。いま産業構造の相違からおのずから限度があるというようなお話もありますけれども、やはり円高対策というようなものあるいは黒字減らしというようなもの、諸国の不満を限くためにも製品拡大ということは必要であるかもしれません。そういう点についてどうお考えでしょうか。
  136. 戸塚岩夫

    戸塚(岩)政府委員 今回のたとえば百二十四品目前倒しでも、加工してないものは、先ほどお話ししましたようにわずか三品目で、あとの百二十一品目は加工品でございます。また、東京ラウンドにおいても、鉱工業品の高い関税率は、先ほどもお話ししましたように、スイス方式を使いましてできるだけ例外を少なくする、それからさらに、フォーミュラを超えるようなカットをする品目をできるだけ多くするというようにオファーを出しておりまして、製品輸入を促進するという姿勢を示していると私は考えております。
  137. 永原稔

    永原委員 輸入額の中に占める関税額の割合、これは諸外国と比べて日本はどうなんでしょうか。
  138. 戸塚岩夫

    戸塚(岩)政府委員 先ほどお話しいたしましたように、輸入の構造というのはそれぞれの産業構造、資源の状況などによって、単純に輸入額に対する関税収入だけで比較するのはむずかしいと思うのでございますが、私どもECDの統計などによって輸入額に対する関税の負担率を単純に五十暦年についてとってみますと、アメリカは三・六%、ECが五%、日本は約三%。これは先ほど言いましたように、鉄鉱石だとかあるいはえさなどの原料を実行上無税にしておりますから、そういう関係で、全部で比較しますと日本は非常に低いという数字になっております。
  139. 永原稔

    永原委員 これは産業構造の相違からということですので、よくそういう点も理解できます。  大分時間がたっていますし、早くやめろというような同僚の御注意がありますので、最後に、国内産業相当損害を受け、または受けるおそれがあるというような歯どめが一つなされていますので、そういう点は十分その歯どめというのが今後活用される場合があるのじゃないかというような気がするのですけれども、お話がありますように、少資源国の悩み、製品輸入は少ない、そういう中で、いままでは、外国品崇拝思想を排除しようというようなことも影響したでしょうし、外国製品というのはぜいたく品だというようなPRもずいぶん浸透したと思いますけれども、いまはそうではなくて、むしろ日本の技術水準の向上によって、日本製品の方がいいというようなことから、製品輸入が多くなくなっているというのも言えるのではないかと思うのです。そのためにまた一方輸出がふえている、こういう現実だと思います。  これはやはりわれわれの先輩並びにいまに生きている人たちの努力の結果であって、これからいろいろ交渉に当たられる場合に、やはり日本人が、エコノミックアニマルと言われたにしても、言われるほど働いたんだ、一生懸命技術水準の向上に努めたんだ、そういうような結果だということはやはり強調すべきだと思うのです。直接大蔵大臣交渉の場に当たるわけではありませんけれども経済担当の大臣として、私はこういうような気持ちで国民に接したいと思いますけれども、そういう考え方はどうでしょうか、お気持ちを伺いたいと思います。
  140. 村山達雄

    村山国務大臣 確かに先ほど言ったような日本の最近における景気状況も大きく影響していると思いますけれども、同時に、いま永原さんがおっしゃったことも、確かにそういうことはあると思います。わが国製品を出すのに、いかに苦労をして長年の蓄積で伸びてきたか、また、ほかの国がわが国製品輸入に対してどれだけの努力をしてきたか、その面もわれわれはやはり強調しなければならぬと思うのでございます。  しかし、ここの局面は、お互いに指摘するところは指摘するわけでございますけれども、やはりお互いに合意を求め、そして自国の合理的な保護はしていく、こういう線でまとめるべきであろう、かように考えておるわけでございます。
  141. 永原稔

    永原委員 福田総理の言われる連帯と協調でぜひうまくやっていただきたいということをお願いして、質問を終わります。
  142. 大村襄治

    大村委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  143. 大村襄治

    大村委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  関税定率法及び関税暫定措置法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  144. 大村襄治

    大村委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  145. 大村襄治

    大村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
  146. 大村襄治

    大村委員長 この際、内閣提出有価証券取引税法の一部を改正する法律案を議題とし、政府より提案理由の説明を求めます。村山大蔵大臣
  147. 村山達雄

    村山国務大臣 ただいま議題となりました有価証券取引税法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。  政府は、最近における財政事情に顧み、今次の税制改正の一環として株券等に係る有価証券取引税の税率を引き上げるとともに、所要の規定の整備を図るため、ここにこの法律案を提出した次第であります。  以下、この法律案につきまして、その大要を申し上げます。  この法律案は、株券、株式投資信託の受益証券等を譲渡した場合の有価証券取引税の税率について、一般の譲渡の場合は現行の一万分の三十から一万分の四十五に、証券会社が売買により譲渡する場合は現行の一万分の十二から一万分の十八に、それぞれ五〇%引き上げることとしているほか、登録公社債の譲渡につき所要の規定の整備を図ることとしております。  以上、有価証券取引税法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由とその大要を申し上げました。  何とぞ御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  148. 大村襄治

    大村委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。  次回は、来る二十二日水曜日、午後五時三十分理事会、午後六時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後九時三十五分散会      ————◇—————