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1978-02-10 第84回国会 衆議院 大蔵委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年二月十日(金曜日)    午前十時二分開議  出席委員    委員長 大村 襄治君    理事 小泉純一郎君 理事 野田  毅君    理事 保岡 興治君 理事 綿貫 民輔君    理事 佐藤 観樹君 理事 坂口  力君       愛知 和男君    大石 千八君       後藤田正晴君    佐野 嘉吉君       林  大幹君    原田  憲君       本名  武君    村上 茂利君       森  美秀君    山崎武三郎君       山中 貞則君    伊藤  茂君       池端 清一君    沢田  広君       只松 祐治君    平林  剛君       貝沼 次郎君    宮地 正介君       高橋 高望君    荒木  宏君       永原  稔君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 村山 達雄君  出席政府委員         大蔵政務次官  稲村 利幸君         大蔵省主計局次         長       松下 康雄君         大蔵省主税局長 大倉 眞隆君         大蔵省関税局長 戸塚 岩夫君         大蔵省理財局長 田中  敬君         大蔵省証券局長 山内  宏君         大蔵省銀行局長 徳田 博美君         大蔵省国際金融         局長      旦  弘昌君         国税庁次長   谷口  昇君         国税庁税部長 水口  昭君  委員外出席者         大蔵大臣官房調         査企画課長   大竹 宏繁君         大蔵委員会調査         室長      葉林 勇樹君     ————————————— 委員の異動 二月十日  辞任         補欠選任   小平  忠君     高橋 高望君 同日  辞任         補欠選任   高橋 高望君     小平  忠君     ————————————— 二月九日  関税定率法及び関税暫定措置法の一部を改正す  る法律案内閣提出第一七号)  石油税法案内閣提出第一八号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  国の会計税制及び金融に関する件      ————◇—————
  2. 大村襄治

    大村委員長 これより会議開きます。  国の会計税制及び金融に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。愛知和男君。
  3. 愛知和男

    愛知委員 大臣、連日大変御苦労さまでございます。  与えられました時間も大変限られておりますので、余り細かい問題につきましては触れ得ないかと存じますけれども、ひとつ……。  まず最初に、現在の経済状況あるいは財政状態を抜け出す、改善をするためにも容易なことではない今日の情勢でございますので、こういった諸問題に、大臣担当大臣として並み並みならぬ御決意で臨んでいらっしゃることと存じますけれども、その御決意のほどを御披瀝いただきたいと存じます。
  4. 村山達雄

    村山国務大臣 御案内のように、なかなか日本経済成長、なかんずく民間活動が思ったようにはかばかしくございません。そういったことを考えまして、何と申しましても、やはり民間経済が主導型をとらなくちゃならない、それを早く回復するためにはどうしたらいいか、このようなことを考えまして、臨時、異例の措置をとったわけでございます。  一番大きな問題は、何と申しましても、資金源でございます公債消化がいかにうまくいくか、それの管理に関する問題はどうなるか、あるいはまた、公共事業がスムーズに消化できるかどうか、それの波及効果が予期する程度にいくかどうか、ここが最大の問題でございますけれども、私たちは、出しましたような経済計画に関する整合性について、自信を持って何とかこの政策を実施したい、そして一刻も早く安定軌道の線に乗せたい、こういう決意で臨んでいるわけでございます。
  5. 愛知和男

    愛知委員 私、率直に感じますところを申し上げさせていただきますと、どうも最近、大蔵当局皆様方がいささか自信をなくしていらっしゃるんじゃないかというようなことを感じて仕方がないわけであります。たとえばこの間予算委員会でも大変問題になりました、中期財政収支試算というものを発表されたわけでありますけれども、いままでになく初めての試みだと思いますが、五つケース出して、こうなればこうだ、こういうケースはこうだというような例示をされたわけでございまして、この意図というのは、広く国民選択を求めるというか、議論をする材料を提供されたということだと思うのでありますけれども、多少皮肉な見方をいたしますと、財政当局意思といったようなもの、何が何でもこれでやりたいというような意思というものを国民に明示することなく、国民選択を任せたということは、多少逃げ腰というか、自信のなさといいますか、あるいは責任回避と言ったら言い過ぎかもしれませんけれども、そんなようなことをどうしても感じざるを得ないのであります。  五つケースというような形で明示されましたその理由みたいなものを、あるいは大蔵省としてあるいは財政当局としてはぜひともこういうことでやりたいんだということを、どうして力強く明示をされなかったのか。大臣予算委員会の答弁の中で、ケースCが一番当局としては望ましい形なんだというようなことをおっしゃっていらっしゃるようでありますけれども、どうしてこんなような形にされたのか、その辺をひとつお示しをいただきたいと思うのです。
  6. 村山達雄

    村山国務大臣 あの五つ試算をお示ししたわけでございますが、Aのケース、これはとうていとり得ないということは見ていただければ大体わかるであろうと思っておるわけでございます。またBのケース、全部歳出を横ばいにする、これもできないということはくんでいただけるであろうというわけで、これは財政状況がいかにひどいことになるかということを単に示すだけのつもりでございます。それから、問題になりますのはC、D、Eでございますが、実際問題として予算委員会では中身論議に入らなかったものでございますからあれでございますが、Eのケース、これもまたなかなか実現不可能ではなかろうか。一般国民の方あるいはあの試算をごらんになった方は、読み取っていただけるのではなかろうか。したがって、財政収支試算で最も整合性のあるのはCでございます。しかし、その場合Dもまた問題になり得るのではなかろうか。問題として、黙ってあの表を読めば、それぞれの読み方としてCかDかというところに恐らく落ちつくのじゃないかな、こう思って出したわけでございますけれども、残念なことに入り口の方でもって問題になりまして、整合性がどうだとかあるいは償還予定額でなくて、償還財源の問題を出せとか、そういう問題に終始してしまったのでございますが、私たちはあれを見ていただければ、CないしDということで御論議いただける予定出したものでございます。  したがって、財政当局自信がないという意味ではございません。五十七年で脱却するとすれば、大体あの辺が一番整合性を持っておるのじゃないか、このようなつもりでお出ししておりますので、どうぞ御理解いただきたいと思うのでございます。
  7. 愛知和男

    愛知委員 最近、新聞あるいはちまたの声としてよく聞きますのは、政府に対して、特に経済運営等に対して大変信頼感が薄れているということがよく評論としても出ておりますし、私どももそんなようなことをはだで感ずる機会がよくございます。たとえばよく議論になっております経済成長率見通しについても、政府の七%ということに対して、民間調査機関等々によりますと大体五%、五%ちょっとといいますか、大体そこに二%くらいの開きが出ているわけでございます。私は、この二%ぐらいの開きというものの大もとをただしますと、やはり政府経済運営あるいは政治運営と申しますか、そういうものに対する信頼感の欠如というものがその二%なり何なりの差になってあらわれてきているような気がするわけでございます。  ですから、たとえばその一つの例としていま申し上げたわけでございますけれども、この収支計画にいたしましても、いまとなってしまったらもう後の話でありますけれども、いま大臣の御説明のとおり、A、Bが余り実現性がないということにもかかわらずこういうふうに出すということは、かえって心理的にはよけいその自信のなさみたいなものを一般に植えつけてしまうようなことにもなっているのではないか、こんなふうに思うわけでございまして、今後ひとつ機会あるごとに、もっと自信を持ってといいますか、毅然とした姿勢でといいますか、国民に対していただきたい、こんなふうに思うわけであります。  その問題に多少関連をいたしまして、きょうの新聞なんかにも非常に出ておりますけれども、減税問題をどうするかというようなことがこれからしばらく議論の焦点になるのではなかろうかと思います。その点につきましても、大蔵省出しておられます「所得税減税に対する考え方」というもの、私もちょっと表題を見ただけで、なぜ所得税減税に反対するというようなことがどんと出てこないのだろうか、率直に言ってこのことについても実は何だか少し及び腰のような感じがしてしょうがないのであります。  そこで、この減税問題云々をここで議論させていただく時間はございませんけれども、基本的な取り組む姿勢の問題としまして、大蔵大臣も再三、いまとても減税をするような状況ではないということを機会あるごとに言っておられますけれども、その考え方にまだ変わりがないかどうかをまず伺っておきたいと思います。
  8. 村山達雄

    村山国務大臣 変わりございません。
  9. 愛知和男

    愛知委員 政治の世界でありますから、これからいろいろな経過があるのだと思うのでありますけれども、私は、ここでまた万が一と申しますか、この政府方針に対して修正を加えられるようなことになりますと、やはり国民政治に対する信頼感というものをまた失わせてしまうような結果になりかねないと思うのであります。減税問題等につきましていろいろ議論のあることは事実でございますけれども、政府としても自信を持って出されたものでもあると思いますし、これはあるいは総理大臣に申し上げるべきことかもしれませんけれども、ひとつ今度の減税問題をどう扱っていくかということは、この五十三年度の予算をどう考えるかということにとどまらず、これから日本経済運営なりさらには政治そのものに対してまことに大きな影響を与えるわけでございますので、ぜひとも固い決意のもとに取り組んでいただきたい。もちろんこのような問題は、一内閣がその生命をかけるに値する問題だと思いますし、また、政治家としての大蔵大臣政治生命をかけるに値するような課題だ、このように考えるわけでございますけれども、ひとつ大臣に重ねて、政治生命をかけてこのことをやるという御決意を——そういう御決意だと存じますけれども、御決意のほどをぜひとももう一度御披瀝をいただきたい。
  10. 村山達雄

    村山国務大臣 財政を預かる者といたしまして、ベストを尽くして、私の責任において最善を尽くしてまいりたい、かように思っているわけでございます。
  11. 愛知和男

    愛知委員 そのことにつきましては、重ねてぜひとも財政当局大蔵大臣を初めとする皆様方毅然とした姿勢で臨んでいただいて、国民信頼感をぜひともかち得ていただきたい。これが実は心理的にも非常にこれからの日本経済そのものに大きな影響を持つものと考えますので、ひとつよろしくお願い申し上げたいと存じます。  さて、時間も大変限られておりますので、あとちょっと国債発行の問題につきまして二、三お尋ねをさせていただいて、質問を終わらせていただきたいと思います。  この五十三年度の予算におきましても、大量の国債発行予定されているわけでございますけれども、これらの市中消化ということにつきまして、十分御検討の上今度のような計画になさったのだと思いますけれども、一方逆に、予算の面からどうしてもそれだけ発行せざるを得なくなってそういう発行額になったということも考えられるわけで、ひとつ市中消化というものに対して心配はないのかどうかということをまずお尋ねしておきたいと思います。
  12. 田中敬

    田中(敬)政府委員 御説のように、国債管理政策上は市中消化の限度というものが一つ国債発行額の歯どめになろうかと思います。そういう意味におきまして、来年の市中金融機関資金需給を精査いたしましたところ、大体年間三十三兆円程度預金増加があり、公共債国債以外の地方債その他も含ませましても実質負担金融機関で約十兆五千億程度と思われます。国債だけでも約十一兆弱出ますけれども、償還その他がございますので、実質負担は十兆五千億、それに民間金融機関の貸し出しが二十二兆五千億ぐらいというところで、金融機関収支あるいは資金需給という面から考えまして、十一兆程度の来年度の国債発行には支障がないもの、このように確信いたしております。
  13. 愛知和男

    愛知委員 国債のいわゆる個人消化は、証券会社を通じて行われているわけでございますけれども、その実績を見てみますと、年度によって大変ばらつきが大きく出ているように見うけられます。やはりこれからの一つ課題として、個人消化を安定的に進めていくということが大切ではなかろうかと思うのでございますが、その辺具体的に何か施策考えておられるでしょうか。
  14. 田中敬

    田中(敬)政府委員 国債個人消化につきましては、従来から努力を続けております。  先生御指摘のように、ばらつきがございましたことは事実でございますけれども、特別マル優制度の導入でございますとか小額面券発行、あるいは累積投資国債を組み入れるとか、あるいは昨年中期割引国債という非常に個人金融資産の選好に、ニーズに合ったものを発行するというようなことで努力をいたしております。  それと、やはり一番大事なことは、発行条件というものでございますので、発行条件弾力化というようなことにも努めてまいっておりまして、御承知と存じますが、国債大量発行を始めました五十年には六・八の個人消化が、昨年四月からことしの一月までの実績では二五%というふうに非常に上がっておりまして、順調に進んでおりますが、今後ともいろいろ国債管理政策上、国債多様化とかいろいろ言われております問題点について検討を進めて、一層安定消化ということに努めてまいりたいと存じます。
  15. 愛知和男

    愛知委員 ただいまの点と同時に、国債のいわゆる流通価格というものもわりに変動が激しいということが指摘できるんじゃないかと思うのでございます。この点につきまして、特に最近、公定歩合が下がるのだろうかどうだろうかというような思惑などもございますので、そういうものと関連づけて、証券会社が投機的な動きをしているためにそのような価格変動が出ているんじゃないかということも指摘をされるんじゃないかと思うのであります。特に最近証券会社は、銀行に比べても非常に好成績を上げているということも新聞等に報道されて話題となっておりますけれども、国債流通価格を投機的に上下させるというようなことによって収益を上げているというような事実があるのかどうか、そんなようなことがないんでしょうか。
  16. 山内宏

    山内政府委員 お尋ねの点につきましては、たとえば五十二年一年じゅうの価格動きを見てみますと、乱高下があったという印象は受け得ないわけでございます。金利全体の下降傾向と数を合わせまして、年の最初から十二月に至りますまでほぼなだらかに国債流通利回り下降傾向をたどっておるという形であろうかと思います。  ただ、御指摘のように、ごく最近、ことしに入りましてからは、公定歩合の引き下げがやや遠のいたという印象市場で持ったということもありまして、金利がやや強まっておるということは言えるかと思いますが、いずれにいたしましても、国債流通価格と申しますか流通利回りそのものが、それ以外の債券との間に非常に違った動きをいたしておるということは全然認められません。全体の動きと同じような形で国債も動いておるということでございますし、かつまた、その市場全体の規模がここ数年、非常に大きくなってまいりまして、たとえば総売買高で見ますと、五十二年一年間におきまして約百十六兆という数字でございますが、これはたとえば五年前の四十七年ですと、十六兆にすぎない。その間非常に急激に大きくなってまいっておりますが、そういった大きな、層の厚い市場を背景にいたしておりますから、そういう点から考えましても、いま御指摘のような、証券会社だけで価格形成ができるというふうな状態ではないというふうにわれわれは考えております。
  17. 愛知和男

    愛知委員 時間も来てしまいましたので、最後に一つ。  今後うまく政府施策が成功いたしまして、景気が回復いたしますと、同時に金利も上昇するような傾向になってくると思うのでありますけれども、そういう事態が到来いたしますと、今度は国債発行というものが相当高金利でなくてはできなくなるというようなこともあるでしょうし、また、すでに保有しているものに大きな評価損が出るというようなことも考えられるわけでありますが、そういうことに対して何か対策を考えておられるでしょうか。
  18. 田中敬

    田中(敬)政府委員 金利は、非常に金融情勢いかんに左右されることが多いことは御指摘のとおりでございまして、金融情勢がタイトになりまして公社債市場金利が上がる、国債価格が下がるということになりますと、国債保有者にとりましては評価損が生じるおそれが十分にございます。そのためには、日銀と協力いたしまして、適切な金融調節手段というものを考えると同時に、国債整理基金が必要に応じましては市中に出て買い入れを行うとか、適切な管理政策をとってまいりたいというふうに考えております。  それとまた御承知のように、金融情勢がタイトになりますと、発行条件が非常に高利のものになってまいりますけれども、しかしこれは、やはり市場実勢に合った発行条件というものが消化を促進するためには必要でございますので、著しく高い金利でない限りにおいては、その金利実勢に応じた公共債発行ということは当然対応していかなければならない、かように考えております。
  19. 愛知和男

    愛知委員 たいへん限られた時間でございましたので、十分な御質疑をできかねた面がございますけれども、冒頭にも申し上げましたとおり、ひとつぜひとも財政当局皆様方自信を持って国民の負託にこたえていただきたい、その辺をまた再度御要望させていただきまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
  20. 大村襄治

  21. 只松祐治

    只松委員 予算委員会ではいろいろ問題になっておりますが、大蔵省中期財政試算をお出しになりました。これは当然問題になるように、試算の基礎になるファクターがいろいろ違う。A案B案なんかは、特例公債を出す、出さないとで、根本的に違う。また、増税する、しない、そういうものが違う。違うのが同じ経済成長をするはずがないわけです。だから試算だ、あくまでも試みだ、こういういわばへ理屈と言えば言えないことはありませんが、こういうファクターの違うものでああいうものを出すというのは、私は不見識だと思うんですね。これは当然のことだと思う。  そこで、それは重なりますから、私はそれ以上の追及はいたしません。これがなければ私は当然ここで問題にしようと思った。しかし、ああいうものしか出せないということは、結局それ以上の政府の確たる財政や何かに対する見通しがない、こういうふうに私は考えるのですが、大臣はどういうふうにお考えになりますか。
  22. 村山達雄

    村山国務大臣 あの試算は、経済企画庁の中期経済計画見通し、つまり前期におきまして六%強の成長、しかも前半はやや高目に、それと整合性を持ったものを出したのでございます。ただ、完全な意味で整合しているのは、予算委員会でも説明いたしましたけれども、ケースCでございます。ただその場合、財政の方でいろいろな試算をする場合には、どの形をとったら一体経済はどれくらいになるのだ、こういう御指摘があったのでございますが、それまでは企画庁の方でもなかなか出しにくい、事実上出せないわけでございますので、それはアローアンスを置いて読んでいただきたい、結果において大した違いはございませんということを申し上げたのでございます。  それで、先ほども申し上げましたように、従来の試算は、要税収額という形で出しているわけでございますが、今度はそれぞれのケース出しまして、従来のように特例公債だけに依存しているとどんなことになるかということをケースAでお示しし、それから、もし増税は一切御免だということになると、歳出はこういう形になりますということをケースBで示し、それで整合性を持ったものとして考えられるのはケースCでございますが、それを若干モディファイいたしましたのはE、Dであるわけでございます。先ほども申しましたように、これは私の個人的な考え方でございますが、Eまでサービスを低下するということは国民皆様方はなかなか納得しないとすれば、結局私はケースC、D、この二つが論議の対象になるであろう、こう思って提出したのでございますけれども、予算委員会入り口でとまってしまって、中身論議が行われなかったということは御承知のとおりでございます。  大体そういう意味提出したわけでございまして、経済計画との整合性をもって五つのタイプ、そしていままでのような要税収額ではなくて、それぞれ一体振替支出はどれぐらいになるのか、あるいは年々の要増税額はどれぐらいになるのか、こういうことをお示ししたわけでございます。
  23. 只松祐治

    只松委員 そういうことをいろいろおっしゃるから、結局これは増税PR用だとかいろいろなことを言われるわけですよね。そうじゃないと取り消されたり言いわけされたわけですが、したがって私は、ああいうのを出すのだったら、A、B、C、D、E全部をごっちゃにして一覧表に出すのではなくて、もし参考なら参考文献としてA、Bは出す、それから、やはり一応政府はこういう考えに基づくという試案を出すならば、その試案試案としてやはり出していく、こういうふうにしなければ、言葉はよくないけれども、みそもくそも一緒にといいますか、そういう形で出されるのは、大学やなんかのゼミナールで勉強するなら別として、国民としては迷惑を受ける。どの方針を一体政府はとっていくんだろうということで、政府方針というものは国民あるいは素人で経済を勉強する人にはなかなかわかりかねるのですね。だから、今後はああいう出し方はしないで、もしそういうお考えならば、つまり参考なら参考文献出していく、やはり政府方針としてはこういう財政試算だ、こういうことで出されるよう要望したいと思いますが、どうですか。
  24. 村山達雄

    村山国務大臣 出しました意図については申し上げたわけでございまして、まあ試算でございます。しかしおっしゃるように、たとえばAとBは参考資料ということで出すことも十分考えられますので、御意見を拝聴して、今後の提出については留意してまいりたいと思います。
  25. 只松祐治

    只松委員 こういう問題で論議しておりますと肝心の質問に入りませんので、御要望だけをしておきたい。  そこで、今年度の予算案あるいはその財政収支試算に述べられております数年後の状況、こういうものを見ておりましても、政府がずっととっておるのは、基本的には経済成長政策ですね。どうおっしゃろうとも、経済成長政策に基づいたパターンですべてをお考えになっている。ある大学教授のように、ゼロ成長あるいはマイナス成長がいいんだ、私はそこまで極論はいたしませんけれども、しかし、いずれきわめて低い成長にならざるを得ない、こういうことは確かだと思う。ところが、数年後の試算まで名目成長率を一二%、実質成長率を六%から七%に置かれる、こういうことは、高度経済成長の延長で本質は何も変わっていない。これは後で若干論議しますが、いろいろな意味において危険であるし、可能性がないと思う。しかし、政府大蔵当局はあくまでこれに固執される、あるいはこれ以外に方法はない、あるいはこういう経済成長が達成できるのだ、こういうふうにお考えになりますか、どうでしょうか。
  26. 村山達雄

    村山国務大臣 これは本来経済企画庁所管の問題でございますけれども、われわれが見ておりましても、かつての高度成長時代の四十年から四十五年をとってみますと、実質で一一%を超えているわけでございます。今度はそんなことはとても不可能であるということは当然考えているわけでございますので、大体半減したところで六%強と言っているから、高度成長ではないと私は思うのでございます。要するに日本の潜在成長力というものをどれぐらいに測定するかというところであろうと思うわけでございまして、私の感じから申しますと、かなりいい線をいっているのじゃなかろうか。アメリカ、ドイツあたりはもっと成熟しているところでございますが、日本は成熟度がまだそこまでいっておりませんから、その辺は大体常識的な線じゃなかろうか、大蔵大臣としてもさように考えておるわけでございます。
  27. 只松祐治

    只松委員 名目で一二%成長していきますと、六年で一〇〇が約二〇〇になるのです。それから実質成長を六%と低目に見積もって、十二年足らずで二〇〇を超すのです。いまでも生産設備というのは非常に余っておりますね、七割から八割稼働しているかどうか、こう言われておるわけですが、日本の人口が六年から十二年で倍増したり爆発的にふえるわけではない。貿易問題は、後に述べますが、いろいろ摩擦を生じておる。こういうときに、依然として実質六%以上あるいは名目一二%の経済成長をしていくということは、とにかくいま言うように六%で十二年、一二%とすれば六年で倍増をするのです。こういうことで、国際的な摩擦あるいは国内のいろんな経済の矛盾というのが出てこないでこのまま行く、こういうふうにお考えですか。
  28. 村山達雄

    村山国務大臣 名目の関係は、これはデフレーターの関係でございますので一応別にいたしまして、やはり問題は実質成長率をどの辺にめどを置くか、こういうことであろうと思うのでございます。  先ほども申しましたように、私は日本のいまの潜在能力からいってまずまずいい線をいっているんじゃなかろうか。それから第二段の御指摘のありました、それは国際的な経済摩擦を起こすのではないか、この御指摘でございますが、現に昨年は経済的な摩擦を起こしたわけでございます。その問題はまた別の、同じ成長をするにしても、それは内需の拡大によってやっていくのか、それとも経常余剰でやっていくのか、そこの大きな問題でございまして、今後の輸出のあり方、そういった国民的ないろんな姿勢といったもの、あるいはそれに対する政府の指導、こういったものについてわれわれは大きな教訓を得たんじゃなかろうか、そういうふうに考えておるわけでございます。
  29. 只松祐治

    只松委員 経済というのは、私が申し上げるまでもなく、国民のためにあるわけですね。ところが、いまそうやってあくまで成長政策をとっていかれるというのは、一体だれのために、何のために成長政策を続けなければならないのですか。それで、国内においても生産設備がすでに余っておる。ところが設備投資には全然措置を講じようというようなこともお考えになっておらぬ。なぜパイを大きくしていく成長政策をとっていかなければならないのですか。しかも外国とは摩擦を生じていく。その目的といいますか、目標といいますか、何のためにそうやって皆さん方、経済成長をなさろうとしておるのか、ひとつお考えを聞かせていただきたい。
  30. 村山達雄

    村山国務大臣 言うまでもなく、経済成長というのは別の言葉で言えば、その年度において付加価値がどれだけふえるであろうかということでございますから、それによりまして国民生活、最終的には私は人間の問題だと思うのでございますが、それが国民の生活水準あるいは雇用の問題にどうつながるかという、最終的には人間の幸せあるいは生活水準の問題に帰着する問題だと考えておるわけでございます。
  31. 只松祐治

    只松委員 そんなことはわかっておるわけですが、そのことが日本国民の生活向上なり安定なり——たとえば俗な話ですが、衣食住とこう言われて、食べ物はあり余っていますね。減反政策をやっておられるわけです。あるいは繊維は織物機械を破壊しておる。住宅にしたって、平均的にはもう世帯戸数を上回っておる。そういういろんな日本国民の生存という条件を考えると、何でそんなに生産のパイだけを大きくしていくのか。あなたがおっしゃっていることは、やがて結果的には違ってくるんじゃないですか。いま高度経済から低成長へ向かっていく、そこに若干のいろんな摩擦が出てきておるけれども、あと三年か五年たったらいまみたいな——要するに一〇%以上の実質成長をしておったときから見れば六%がいい線をいっていると、あなたはのんきなことを言っているわけですね。しかし、やがてこれはあと三年なり五年なりしますと、いまの六%、七%という経済成長も同じような事態が来ると私は思うのです。  本当はこの経済成長論議国民生活問題だけでも私は一時間、二時間論議をしたいのですが、きょうはほかにも多少提案もありますのでやめますが、ただ少し角度を変えまして、総理が常に地球有限、資源有限ということをおっしゃっておる。私はこの思想には賛成をしております。昔からその点は一致しておる。ところが、いまの経済成長というこの前提に立つならば、総理は基本的に哲学といいますか、思想として持っておられる地球有限、資源有限というものに背反するのではないですか。六%なりその程度は背反しない、こういうことですか。やがて十年、二十年というのはすぐですが、民族あるいは地球というものはその間に一〇〇を二〇〇にすぐしていく、こういうことは地球有限、資源有限ということと相反しやしませんか、どうですか。
  32. 村山達雄

    村山国務大臣 特に問題になっているのは、恐らくエネルギーが一番典型的な例であろうと思いますが御案内のように、エネルギーにつきましては六十年あるいは七十年の見通しを持ちまして、それで計画を立てているところでございます。  なお、資源というものは有限であることには間違いございません。しかし同時にまた、その開発能力も費用対効果の関係でどんどん変化していくことも御承知のとおりでございます。昔から資源が有限であるということは、もう間違いないのでございますが、人間生活にどれだけ利用できるかという問題は、科学技術の進歩等によりまして、費用対効果の関係で利用する部分が大きくなってきたこともまた事実であろうと思うのでございます。そういう意味で、人類始まって以来ずっと考えてみますと、初めから有限であったことは間違いございませんが、しかし人類の生活が、長い目で見ますと、本当にどんどん向上しているという事実も、間違いない事実であろうと思うわけでございまして、そんな極端なことは言いませんけれども、その可能性の範囲で人間の生活というものは向上していった方がよろしい、かように考えておるわけでございます。
  33. 只松祐治

    只松委員 私はあえて歴史論争までいたしませんが、いま資本主義文明が栄えているからといって、それはローマ帝国もインカ帝国も、どこも栄えて滅んでいったのですよ。あなただけがいま一人、資本主義を謳歌したところで、これはやがてあなたのような考えなど滅びるのです。そういう面を歴史の一こまとしてとらえるならば、これはいまの人間のおごりですよ。  だから、私がここで言わんとしているのは戦前なり戦後からここまでを見るならば、国民生活がどこまで来たならば人間が満足するか、幸福の度合いを感じるか、これまた哲学的な問題で非常にむずかしいわけですね。しかし、ここまで衣食というものが——住はいろいろな面でまだ不足しておりますが、それにさらにパイを大きくして幸福感、充足感というものを与えていかなければならない、どうやって与えていくか、これは、ここまで産業というものが発達してくる、あるいは文化、文明というものが発達してくるならば、考えていかなければならない。一口で言うならば、経済面で言うならば高度経済成長というものを転換させるべきだ、こういうふうに思っているし、言っているわけですね。ところが、依然として皆さん方は、あるいは大蔵省の思考、考えというものは、やはり高度経済成長の延長線上にある。後で私は税制金融財政の問題を具体的に提示いたしますけれども、その前提として若干思想的な話をしているわけですが、このパターンを変えなければ、私は大変な事態にいよいよ陥っていって、日本経済は破綻をする。いまの高度経済成長、貯金はどんどんしろ、生産を上げていくなんとかかんとかというようないまみたいなパターンの経済運営をやっていけば、日本は取り返しのつかないことになりますぞ、後で若干数字を挙げますけれども、こういうことを言わんとしているわけですね。  だから、あくまでいままでの経済成長という前提に立つのではなくて、ここで高度経済を反省をして、こういうものに対して再考をする意思はないかどうか、こういうことを言っているわけですけれども、どうですか。
  34. 村山達雄

    村山国務大臣 只松さんと私の基本的な考え方が少しずれているかもしれませんが、私は、高度成長時代はもう終わったと思っておるのでございまして、いま求めておるのは、減速経済下でどれくらい安定さしていくかという問題であろうと思うのでございます。  私は、人間の向上の欲望というのは無限であると思うのでございまして、いつでもそこにとどまることはない。それがあればこそ、私は人間は進歩していくのであろうと思うのでございます。消費の内容はだんだん変わってまいりましょうし、それは文化的なものに求めていく、あるいは場合によりますと余暇という形に出ていくかもしれません。いずれにいたしましても、人間の希望といいますか欲望と申しますか、こういうものは恐らくとどまることはないのであろう。その中で何が可能であり何を選択するか。それぞれ文化の方面に行かれる方もございましょうし、また外国旅行に行ってみたいという人もございましょうし、あるいは自分の教養を高めたいという人もありましょうし、そういうもろもろの要望のあること、これはもう免れないところであるし、また、それが文化を多様化する原因であろうと思うのでございます。  しかし、それはやはり経済成長の中で実現する。無理な経済成長を望めばもちろん破綻することでございますけれども、その基礎として六%強くらいのところを望むことは、大筋としてそれほど無理ではないのじゃないか、私はかように申し上げておるところでございます。
  35. 只松祐治

    只松委員 私は、皆さん方の試算や何かを見ると、本質的には変わってない。ただ、若干減量といいますか、成長のスピードを少し落としているにすぎない、こういうことです。しかし、皆さん方にしたってこういうふうに少し変わっておる。私は本質的にそう変わっていない、特に思想というものは変わっていない。  そういう変換していく場合にいろいろな問題が出てきますが、経済の面から見てくると、マクロとミクロの面ですね。私たちが主として国政、ここで論ずる場合、皆さん方、特に大蔵省の秀才諸君が統計数字や何かつくるのはすべてマクロの面ですね。ところが、マクロというのは、ミクロが、個々のものが集積されてマクロになってくるわけですね。したがって、マクロの面からながめていくから、どうしてもミクロというのが非常におろそかにされておりはしないか、事実しておる、こういうふうに私は思うのです。特に大きな政策転換をしようとすればするほど、そのときに生じてくる個々の問題、あるいは業種間の、ある業種は輸出にしろ何にしろ、内需でもそんなに衰えない、ところが、ある業種はどうしようもなくなる、こういうものがたくさんありますね。特に日本の場合は産業が二重構造、三重構造になっておって、巨大企業というものは大体目についたり対策が行われる。ところが、中小零細企業なりそういうものは切り捨てられるというか、目につかないものが多い、これが現実だと思うのです。あなたは若干変えつつある、こうおっしゃっておるわけだけれども、そうすればそうするほど、ミクロの面に対する対策を十分考えていかなければならぬと思いますが、そういう点についてどうお考えになりますか。
  36. 村山達雄

    村山国務大臣 いまの只松委員のおっしゃったことは、私も基本的に全くそのとおりに考えておるわけでございまして、マクロ経済成長率が幾らかということももちろん問題でございますけれども、その背景をなしております問題はやはりミクロであろうと思うのでございます。今度特殊な財政主導型のものをとりましたのも、ミクロを早く回復してもらいたい、財政主導型というようなものはいつまでも続けるべきでもないし、続けられるはずもない、その認識においては只松委員と全く同感でございます。
  37. 只松祐治

    只松委員 同感ならば、具体的に今度の本年度予算その他の施策でミクロの面にどういうことをとったか、一、二で結構ですから御例示をいただきたい。
  38. 大竹宏繁

    ○大竹説明員 ただいま御指摘のように、ミクロ経済の面で問題とされておりますのは、まず第一には雇用ではなかろうかと思います。雇用につきまして申し上げますと、昨年成立いたしました特定不況業種離職者臨時措置法、この法律の規定に従いまして、明年度におきましては、特定不況業種について離職者に職業転換給付金を給付するといったような雇用対策を講ずる。その他円高で輸出の受注が減っておるといったような中小企業につきましては、特別の融資措置を講ずるといったような、財政あるいは金融の面で構造的な側面から対策を講ずることにしておるわけでございます。
  39. 只松祐治

    只松委員 いまもちょこっとお話が出たが、全然ないとは私は申しません。しかし、日本の産業構造というものを考えた場合に、より多くミクロの面を考え、対策をしていかなければならない。今後さらに摩擦がひどくなっていくと私は思いますね。まあ賛成じゃありませんけれども、皆さん方がおっしゃるように七%の経済成長が達成できるとしてもそうですか、これが六%なりあるいは六%を割る、あるいは円が二百二、三十円になってくる、こういういまのような集中豪雨的な輸出を続けていってそういうことにでもなってくれば、より大変な事態が出てくると私は思う。まずミクロに対する対策をぜひひとつ要望しておきたいと思います。  それから、そういう中で当面の緊急課題というものは、不況克服と貿易の均衡といいますか、ドル減らし、貿易の問題だと思うのです。そういう中で、繰り返し公共事業を唯一最大の不況対策というふうに皆さん方はお考えになり、宣伝をされておるわけでございます。しかし、これも他の委員会でいろいろ議論されておりますし、私、時間がありませんからそんなにあれしませんが、公共事業が必ずしも唯一最大のものではないと私は思います。  ただ、私がここで聞きたいのは、公共事業というのは、また日本経済というのは、国内経済だけではだめで、国内の経済成長させていく、大きくしていくとするならば、それは何らかの形で貿易と関連をしてこなければならない、無関係であってはならない。そうすると、公共事業と貿易とはどういうふうにかかわり合いを持ってくるか、ドル減らしとどういうふうにかかわり合いを持ってくるか、ひとつお聞かせをいただきたい。
  40. 村山達雄

    村山国務大臣 現実的な問題として去年の輸出ラッシュの問題を考えてみますと、何といっても内需の拡大がやはり不十分であったというところに尽きるだろうと私は思うのでございます。基本的にはそういう問題。  それから第二には、企業家マインドというものが、世界経済日本の立場、また自分の企業をもう少し長い目で見て、やはり輸出にはおのずから——世界経済、お互いにいま雇用問題その他で悩んでいるわけでございますから、国内経済考えてもあるいはみずからの企業を考えても、やはりある程度の節度を持っていかなければいけない、こういう教訓を得たのじゃないか。この二点が今度の大きな教訓になっていると私は思うのでございます。
  41. 只松祐治

    只松委員 いや、公共投資と、特に言えば輸入——輸出はまあセーブするぐらいですから、輸入はどういう関連を持つのかということをずばりで結構ですからお答えいただきたい。
  42. 村山達雄

    村山国務大臣 公共投資をやる。公共投資だけをやっておるわけではございませんが、それに主力を置いているわけでございますが、これは何といいましても、ミクロ経済に対する波及効果が最も高いというところからやっているわけでございまして、そのことによりまして、むずかしい輸出に向かうよりも販売努力が内国に向かってくる、国内取引に向かってくるということは当然でございましょうし、また、こちらの方の市場が拡大いたしますれば、おのずから原燃料はもちろんの話、製品の輸入能力も当然ふえてくるわけでございますから、そこをねらっているわけでございます。
  43. 只松祐治

    只松委員 あなたのお考えを聞いても何しても、すべて発想というのは変わってないんだなあ、公共投資をやれば下に潤っていくなんて。私たちがあなた方に対して言っていることは、そういう公じゃなくて民、民需を開発しなさいということです。民の場合は、GNPに対して六〇%近い国民消費、この国民消費をもっと促進しなさい、こういうことをわが党は言ってきているし、私が言ってきている、後でそれもまた例示しますけれども。公共投資を最優先の国是、産業政策としても、ドル対策には余りならない。結果的には、ごらんになってください、年度末になったらそういうことになるでしょう。  そこで一つの案として、今度は貿易に問題を移して、そういう中で何がいろいろな摩擦を起こしているかといえば、数種ありますが、やはり一番集中的なものは自動車産業です。けさのテレビだったか何かも、米国向けが四八%、それから英国向けは二・五倍自動車の輸出が急増したと報じておりましたね。こういうふうに集中豪雨的に輸出が伸びておる。このことのために、今度は逆に日本国内の農業問題とか、あるいは玩具や中小零細企業がつくっているものの円高による被害とか、いろいろな問題が起きてきているわけです。そういうことを考えるならば、私はこの集中豪雨的になってきておる輸出の品目について何らかの規制措置を加えたら、日本国内の諸問題のために、あるいは国際間の摩擦を回避するために、あるいはもっと付加価値といいますか、つけ加えれば税収のために、いまの国家財政のために、一石二鳥ということがありますが、一石三鳥も四鳥にもなることがあるような気がする。大臣はそういう点について何かお考えがありますか。
  44. 村山達雄

    村山国務大臣 一石二鳥、三鳥のどういう手段があるかということでございますが、私はやはりいまのような内需を拡大させて、そして輸出に向けられたその事業の方向を国内に向けてくるということ、そしてまた、そのことはおのずから輸入を拡大することにもつながりましょうし、また輸出する側では、集中豪雨的にある地区に集中的にやっていくというようなことは、お互いに大きく自由主義経済あるいは自由貿易を考える上からも、もっと視野を広くしておのずから節度を持ってやっていかなくてはいけない。やはり貿易にしても何にいたしましても、拡大均衡を望んでいるわけでございますから、国内の政策も、また、ミクロ経済のその行動原理と申しますか行動基準も、それぞれ注意すべきところは注意してやっていく、これが最も適当であろう、かように考えているわけでございます。
  45. 只松祐治

    只松委員 いま世界の首脳会議をやったって、先進国首脳会議でも、無条件な拡大経済を望んでいるなんということはないでしょう。まだあなたは世界の蔵相会議にお出になったことはないけれども、前の坊さんのときに私はその論議をいたしましたが、フランスの首相なんかはもう組織的な管理貿易をやるということを提唱して、あわや決議にさえなろうとしたけれども、決議は差し控えられたといういきさつがある。あるいはもっと大きな場になれば、後進国家というものは、政府からIMFや何かを通じて七百億ドル以上、あるいは民間から七百億ドル以上、一千五百億ドルぐらいの借入金がある。これのたな上げあるいは帳消しといいますか、そういうことさえ公然と会議で言われておって、いたずらなる貿易拡大なんということは、こういう席では余り言わない方がいいですよ。いいですか、そんなことはいまの国際経済の中ではすでに夢物語です。そういう論議はしない方がいいですよ、大臣。  そういうことではなくて、私がいま言っているのは、集中豪雨的に出ているものに何らかの規制を加えていく方法がありはしないか。具体的に言いますと、昔ちょっと構想もされたことがありますけれども、輸出税、これは名前はいろいろあるし、仕方もいろいろあると思いますが、代表して輸出税というようなことにしましても、これを何らかの形で自動車なり何なりにかけるということになって若干セーブをすることができるならば、いろんなメリットが出てくる。たとえば当然にそこからドルが必要以上に増大をしない。したがって円高にはならない。当然に円高で打撃を受けておる企業が救済をされる。さらには、これによって相当莫大な税収というものが得られる。いま、特例公債を何とかしょう、こう言ってはなんだけれども、でたらめとまでは言いませんが、財政試算をお出しになっている。そういうところから見れば、ほかにも後で提案しますが、これによって税収を取る方法がある。  こういうことを考えると、何らかの形で、単なる数量的な規制だけではなくて、国家財政等にも寄与し、公債を解消する方法としてそういうものを考慮する余地がありはしないか。実際にはなかなかむずかしいですね。どれにするか、あるいは一定以上の数量に課税するか、なかなかむずかしいけれども、私はこの問題は十分に考慮する余地のある問題だ、こういうふうに思うし、いろいろな経済学者や、あるいは官僚の中にもそういうことを言う人もあるわけです。表面立って言えばこれはあなたたちから怒られるから言わないけれども。こういうことに対してお考えの余地があるかどうか、どうですか。
  46. 村山達雄

    村山国務大臣 いま輸出税のお話が出たわけでございますが、私は、いまの国際環境から申しまして、なかなかむずかしい、そして困難な問題だと思うわけでございます。  その一つは、いま変動為替相場でございますから、本来は変動為替相場というものは、長期的にはそういった貿易収支の問題、国際収支の問題を自動的に調整する作用を持っていると思うのでございます。そしてまた、この変動為替相場というのは、いまの国際的なそれぞれのインフレ率あるいは国際収支状況が続く限り相当長く続くものであろう、かわるべき国際通貨制度が現実的な問題としてない限り変動為替相場という制度は続くと思っておるものでございます。そしてそれは、まさしく只松さんがおっしゃったように、長期的に見れば国際的な特に経常収支に関する調整をおのずから果たしていくだろうと思いますが、ただ、過渡期におきまして、いまの集中的な輸出があるとか、こういった問題がありますから、それは政策といたしましても、また、各個々の企業の節度という問題にまつことが最も賢明な方法ではないかと思うのでございます。  特にわれわれが心配しておりますのは、仮に輸出税をかけたということになりますと、言ってみますと、その業種だけは二重為替をかけられたと同じことになるでございましょうし、また、いまの為替状況から考えますと、それは日本が将来相当為替が上がる、こういう予測を持たせるという非常な為替相場に対する国際的な心理的影響考えられるわけでございますので、私は、いまのところなかなか困難な問題であろう、かように考えているわけでございます。
  47. 只松祐治

    只松委員 大臣がおっしゃっていることは、マイナスの方の面だけ考えておっしゃっている。それはもちろん施策する上においては結果的に生ずる悪、マイナスを考えることは必要ですね。しかしやっぱり政策というのは、いま現に出ておるマイナスの面をどう処理するか、対処していくか、それを克服する過程でプラスの面、メリットがどう出てくるかということを考えていかなければなりませんね。私がさっき幾つか述べたメリットというのは出てくるわけです。  たとえば去年は四百三十五万三千台自動車が輸出されておりますね。自動車の物品税が二〇%でございますが、物品税二〇%を必ずしも適用するとは申しませんけれども、一〇%にするか五%にするか、それだけかけたって莫大な——ちょっといま試算しておりませんが、これに掛け合わせますと莫大な税収を得ますよ。もちろん私は今国会にすぐ出せということを言っているのじゃなくて、そういう方向。たとえば私たちが言っているようになかなかドルは減らない。また年度末になりまして、去年みたいに七億ドルが百何十億ドルに化ける、ここまで考えませんけれども、決してそう簡単に減らない。そういう場合に、さらに集中攻撃が加わったりいろんな問題が出てきます。それをするよりも、輸出税かそういうものに相当するものを考慮していった方が、私は日本のためにも世界経済のためにもなると思う。だから、将来を展望してそういうことをお考えになる準備。そういうことを発言するとすぐまた円が上がりやしないかという御心配もあるかと思いますが、そういうものを課するのだと逆に下がるかしれない、こういうことが論争としては出てくるのですよ。私は時間がありませんからそこまで論争はしないわけですが、そういうことを将来おもんぱかってひとつ考える余地はありませんか、こういうことを言っているわけです。
  48. 村山達雄

    村山国務大臣 率直に申し上げますが、いまの現実的な世界環境の中でちょっととり得ない政策ではなかろうかということでございます。税収の問題、御心配いただいて大変恐縮でございますが、これは税収の問題を超えるはるかに大きな問題であろう、かような認識に立っているわけでございます。
  49. 只松祐治

    只松委員 これ以上押し問答しても仕方ありませんが、そういうふうに何らかの形でせざるを得ないようになりますよということだけは警告をいたしておきます。  それから、そういうふうにいまから日本経済体質を変えていくということになれば、当然に国の財政も変えていかなければならない。そこであなたたちは幾つかの試算を、自分たちはっきりしないがこういうことがあるということで、中期財政試算をお出しになったわけですね。変えるという意思がなければそういうものは出てこない。ただ、どれをとるかあなたたちが迷っておるにすぎない。方針が出てこない、経済の構造がわからないから。変えていくということはもう当然である。それに伴って金融税制もまた変わってこなければならない。ところが、そういう金融税制もほとんど変えようとなさっておらない。  たとえば金融の面について見てみましょうか。いままで高度経済のときに、皆さん方——私たちも一半の責任があるわけですが、政治が悪い。したがって国民は、医療に、教育に、あるいは住宅に、老後に不安である。世界で一番、二〇%を超す、去年は三〇%に近いばかげた貯蓄を国民はさせられておる。しているのじゃないですね、脅迫によってさせられておるわけです。そういう状態の中で、高度経済が行われておるときは民間投資にこの金は回りました。ここにも資料がちゃんとありますけれども、民間が莫大な借金をいま抱えております。  ところが高度経済が失敗をした。当然に税収が伴わないという条件が出てきます。私から言えばわかり切ったことで、そんなものはへ理屈だ。何が起こったかというと、特例公債出して、来年度末には四十三兆円。あなたたち試算によって、そのまま続けていけば百二十三兆円の莫大な国の赤字国債発行しなければならない。これが地方債と合わせますと、いまだって九十兆円を超す、やがて二百兆円を超す。これで国家財政やっていけますか。時間があればこれだけで押し問答やりましょうか、あなた答弁に窮しますよ。これで予算委員会方式で論争していったら、あなた答弁できますか、二百兆円からのものをしていって。  それで、幸いなことに、いま銀行に集まっている、金融機関に集まっている金は、国債地方債、そういうもので吸収されておるから、銀行が破産を免れておる。あなたたち国債を出さなければ、公債を出さなければ、銀行はいまでもパンクしますよ。銀行恐慌が起こりますよ。起こらないということがありますか。  そこで一つ具体的に聞きますが、ことしの第一勧銀の新規預金の中で、六〇%が公債、残りの四〇%は地方債と政保債によって賄われている。民間投資は新規が一銭もない、こういうことを御存じであるか、ないか、お答えをいただきたい。
  50. 村山達雄

    村山国務大臣 細かい計数については、後で政府委員の方で資料があったらお答えいたしますが、現在の貯蓄とそれから投資の方向で申しますと、御案内のように、ミクロ経済はまだ非常に不活発でございます。したがって企業の資金需要がない。しかし、依然として家計の方は、従来にも増して貯蓄率が高くなっておる。その貯蓄をどのように向けているかということはもう御指摘のとおりでございまして、いまほとんど国の財政、地方財政がそれを使っておるということでございまして、ねらいとするところは、それによりまして、その波及効果その他もろもろの政策を通ずることによって民間が早く回復していく、そしてミクロが早く経済を主導していく、そうなりますと、やがてその貯蓄の方向は民間経済の方に移っていく、このパターンをねらってやっているわけでございます。  なお、いま銀行の方で新規預金の増に対してどれぐらいになっているかというと、特に都市銀行あたりは、ほとんど大部分が公共債の方に、新規、新規で考えますとほとんどそうなるであろうと思います。逆に申しますと、民間の資金需要はまだ起きていないから、また、それは金融機関としても採算の上からいってやむを得ない一つの資金の運用方法である、かように認識しているわけでございます。
  51. 只松祐治

    只松委員 では、率直に言って、第一勧銀あたりは民間投資には一銭も回らない、国と地方によって第一勧銀を賄っているんだということ、これをお認めになりますか。
  52. 徳田博美

    ○徳田政府委員 いま御指摘の数字について申し上げます。  これは都市銀行、長期信用銀行の合計でございますけれども、本年度の上半期の預金、債券の増加額が三兆七千六百四十億でございまして、これに対して国債地方債、公社公団債の引き受け額が二兆七千四百億でございます。したがいまして七二・八%が引き受けの比率に上がっているわけでございます。ただ、これは国債その他の売却がございますので、純増ベースで申し上げますと、こういう公共債の増加額は一兆六千五百八十億でございまして、預金、債券に占める比率は四四%でございます。  一方、この間に貸し出しの増加額が二兆二千九百五十億ございまして、これは預金、債券の増加額に占める比率が六一%、このようになっております。  したがいまして、引き受けベースでは、先生の御指摘のように、非常な比率に上がっておりますけれども、金融機関は、それ以外の債券の売却あるいは借入金等の資金繰りがございますので、貸し出しもこのように行われているわけでございます。
  53. 只松祐治

    只松委員 数字なりトータルとしてはそういうものが出てくる。私は、新規預金の回るもの、こういうことを一つの前提として話をしているわけです。貯金問題を話そうとしているわけですから、いいですか、そうすると、新規預貯金はほとんどない。したがって、いままで貸しておったものを払ってもらうとか、あるいはいろいろなそういう形で若干の民間にも回すことができるだろう。それは現状においてですね。しかし政府は、さっきから言われているように、願っておるという。願っておるとおりの経済成長が起こってくるとするならば、資金需要が起こってくるならばどういうことが起こるか。当然に公債地方債の暴落という現象が起こるわけです。この問題を一つとっても大変な問題なんですね。だから私は、そういう面からひとつ根本的に金融の問題についても考えなさい、それから財政の問題についても考えなさい、こういうことを言っておるわけです。  というのは、時間がありませんが、貯金の問題をもうちょっと申しますと、たとえばこのままの貯蓄率でいって、あなたたち試算された昭和五十七年に貯金は幾らになるかといいますと、貯蓄額が年間大体四十五兆円前後、こういうふうに見ますと、それを推計すると累積残高は大体三百八十兆円前後の全部の国民の貯蓄高になります。これだけになってきたときに民間設備投資は、あなたたちは、私も言っているんだけれども、余りパイを大きくするな、生産もふやすな、あなたたちも、低成長に移ったということは言っているわけですから、そのときに民間設備投資も余り起こらない。あなたたち試算しているように、赤字公債はゼロだ、特例公債はゼロだというときに、この金は、三百八十五兆円という金は一体だれが何に使いますか、使う方法はないのですよ。とにかく去年の下半期は都市銀行の利ざやは逆ざやになっているということさえ言われておりますね。いいですか、そういうことになってきて、さらにこういうふうに三百八十兆円前後の預貯金がたまった。それで民間投資も進まなければ、あなたたちが言うように、やればやったで日本の国家財政は破産をいたします。赤字公債をなくして、このままの貯蓄率で進んだらどうなる。  そこで私は、もう貯蓄率は減らすべきだと思う。カナダの首相や西ドイツの首相は、貯蓄は減らせと言っている。あるいは日本でもやっと勇気を出して、経済企画庁は、低成長下における高貯蓄問題というのを去年白書に書きましたね。さっきから私が言っておるように、民需を喚起せよ、公共投資一本やりではなく、民需を喚起する意味においても貯蓄を減らしていかなければならない。消費に回していかなければならない。ただ問題は、繰り返し申しますように、子供の教育あるいは病気あるいは住宅、老後、そういう問題等が政治的にきわめて立ちおくれておるから、世界に類例を見ない高貯蓄、富国強兵の昔からの政策から抜けないで来ておる。これも金融問題の一側面ですよ。そのパターンを変えなさいと私は言っている。後でもう一つ提案いたします。税制も変えなさいと言っている。大臣、どうですか。ここで思い切って、もう高貯蓄時代は去った、消費に回して、そのかわりその部面は政治でやりますということをひとつ内外に本当は宣言すべきです。そうすると国民消費も上がってくる。公共投資からの波及効果よりも——それは牛肉やウイスキーやオレンジジュースを買うといったって、ここで公共投資と何の関係がありますか。私はさっき論争すれば幾らでもやりますと言ったけれども、時間がないからしないけれども、いまあなたたちがアメリカや諸外国と約束しておるこういう輸入品と公共投資と何の関係がありますか。そのことよりも、国民貯蓄を減らして、民需を拡大していく、消費を拡大していく中からの方がよほど具体的だし、即効性があるわけですよ。そういうものの一つとして、高貯蓄時代は去ったということをお認めになりますか。
  54. 村山達雄

    村山国務大臣 遺憾なことでございますが、私はやや所見を異にするわけでございます。家計が貯蓄をどれだけやるか、これはやはり家計がみずから懸命に考えて、それぞれそのニーズに従って貯蓄をするであろうと思うのでございます。日本の貯蓄性向が高いということはそれなりの理由があろうと思います。最近特に貯蓄性向が、それにしても二〇%から二五%になったということにつきましては、やはり物価とか雇用とかの関係で家計が不安を感じておるので高くなっていっておる。これを別に消費に向けなさいとか、あるいはどっちに向けなさいなどという筋合いの問題ではないのであって、それは結局、家計がいろいろ賢明な判断をして、そしておのずから貯蓄が決まっていく。  それを今度はどのようにして有効に使っていくか。従来のパターンでございますと、それは民間の設備投資の拡張の原資になっておりました。しかしながら、ミクロの方が悪いからいま資金需要はございません。問題はそのミクロの悪いところにあるわけでございますので、その問われわれは、ミクロの回復を願って、そして公共債の方でそれを吸収しておるわけでございます。したがって、何も資金というものは遊ぶわけではございませんので、たとえば公共事業でもってやるとか、あるいはまた民間の設備投資でやるとか、あるいは金融機関にたまっておりましてもしそれで余るとすれば、これは当然投資物件がたくさんあるわけでございますから、資金は恐らく一刻も遊ぶことなくして、それはそのときそのときの条件で有効に使われておるものと私は判断するのでございます。
  55. 只松祐治

    只松委員 そういう抽象論議、お説教、私は抽象的に言っても、答えるときは具体的に答えなさいよ。時間がないからあれだけれども……。  たとえば金融機関の貸し出し状況をごらんになっても、アメリカの金融機関は、消費支出と目されるものが二一・四%、英国では一二・五%、西ドイツは八・三%、日本はわずかに一%を切って〇・五%ですよ。だから貯金をやめて、そういう政策をしなさいと言っているのです。私は時間がないから、引例として結論的に貯蓄をやめて消費にと、こういうことを言っている。銀行金融機関や何かのそういうパターンでも、こんな〇・五%なんというのは世界の先進国にどこにもないのですよ。全部大企業か国家が使っているんだよ。そういうことではなくて、国民が預けたものは国民に返して国民に使わせなさい、大企業優先の時代は去った、高貯蓄の時代は去ったということを言っているのです。  これは具体的に言って銀行局長、どうお考えでしょうか。一口で言えば、国民消費を刺激するように銀行を指導しなさい。
  56. 徳田博美

    ○徳田政府委員 先生御指摘のとおり、これからの金融経済構造変化であるとか、あるいは景気対策の点から申しましても、金融機関の消費者ローンを進めることは非常に大事なことだと思います。その点で、今度御承知のとおり、全銀行で教育ローンを始めることになったわけでございますが、さらにこれをバックアップするための支払い保証の機構をインターバンクでつくることを考えております。そのほか、個人の信用情報につきましても、これは統一的な機構をつくる準備をいま進めております。  このように、個人消費者金融の土台づくりをいまいろいろやっておりまして、今後ともこの方向で指導してまいりたいと思っております。
  57. 只松祐治

    只松委員 時間がありませんので、本当は金融問題について、このごろ不況が深刻化し、そういう中で銀行が単に金を貸すのではなくて、会社管理に乗り出しておりますね。一面から見ればやむを得ざるという面もあるわけですが、銀行というのは本来金を貸すところであって、金融マンが、何も会社経理をやって、そんなに抜群の能力を持っているわけではない、ところがほとんどそういうことをやり出してきております。今後論議をいたしますので、なかなか容易じゃないと思いますが、一部、二部上場会社における、少なくとも重役を派遣し、管理状態を続けておる会社の数を、ひとつできるだけ正確に資料として御提出を要望します。論議はやりません。
  58. 大村襄治

    大村委員長 答弁ありますか。——よろしゅうございますか。
  59. 只松祐治

    只松委員 いいです。  次に、税制について最後にお尋ねをいたします。  これもなかなか大変なことでありますが、これも私は変えていかなければならない。いままでのたとえば景気がよくなるから法人税が伸びてくる、景気が悪くなるから法人税が伸びなくて赤字公債発行しなければならない、こういうパターンの税制一つ考えても、これは改めていかなければなりません。  そういう中で、いろいろありますが、まず不公平税制の是正ということが当然に問題になってくる。そういう中で私は御承知のように、もう一般に言われておる医療関係や何かのことはさておいて、社団法人や宗教法人あるいは海外におけるタックスヘーブンについての問題を昨年提案をいたしました。タックスヘーブンのものは本年具体的に法律案となって御提示をいただきまして感謝をいたしておりますが、ぜひそういうふうに具体的に進めていただきたい。  私は、そういう中の最大のものは、利子配当の分離課税にあると思うのです。配当は、かつてわが国で行われておったわけですから、これはやり方によっては、ことしからはできませんが、来年からでもやろうと思えばできます。利子の方は、背番号や何かをつけないとなかなかむずかしいと言われておる。郵便貯金は御承知のように、貯蓄人口が四千万であるか幾らであるか確定しませんが、とにかく二億四千万といたしましても、一人で六口、いわば多数の架空名義がある、こういうことにもなるわけです。こういう状態の中で、私もいろいろ研究いたしましたが、背番号をつけても結局だめになる。アメリカでもそれをやっていて効果がなかなか十分上がらないわけであります。これは、アメリカの場合はまた別の面を持っているわけであります。日本では、私は具体的に考える場合に、積極的に貯蓄優遇通帳みたいなものをつくってはどうか。それをすると、多少話し合いますと、いやここの銀行には幾ら預けておって、こっちには預けてない、おれのところには来てないじゃないかと、いろいろそれも出てくるとおっしゃいますけれども、私は、一般庶民の一家族の貯蓄が三百万ちょっと、そういうのを見ましても、一般の庶民にそういうものは起こってこない。だから庶民の貯蓄には決して有害にならない。むしろ大きな脱税をしたり、この分離課税から出てくる問題だけではなくて、総合でこれを捕捉されてない脱税の部分が非常に大きいわけであります。私はこの額を試算しますと、約一兆五千億から二兆ある、こう見ておるわけです。  したがって、この結論から言えば、貯蓄優遇通帳みたいなものをつくって、これを持っていけばマル優ができるし、確認される、一つの構想でございますが、こういうふうなものを考えて、貯蓄の優遇は優遇としていく、そして脱税は脱税として捕捉していく、こういうふうなことを不公平税制の是正の一つとして考えたらどうか。ほかにもいろいろありますが、時間がありませんので、この一つの問題を提案をいたしまして、ひとつお答えを聞きたいと思います。
  60. 大倉眞隆

    ○大倉政府委員 五十五年にただいまの特別措置の期限が切れます。それまでの間に総合課税を現実的に執行可能なものとするためにどのような手段を講ずべきかということを、いま鋭意勉強を続けておりますが、その際にはやはりいまの少額貯蓄制度及び郵便貯金につきまして、現状のままでその方に移行するということは非常に困難でございますので、少額貯蓄制度の管理の適正化という意味で、郵便貯金を含めまして、ただいま御提案のような考え方がかねてから私ども部内にもございます。いろいろ問題が多うございまして、なかなか具体案にいっておりませんけれども、なお研究を続けさせていただきたいと思います。
  61. 徳田博美

    ○徳田政府委員 先生御要求の資料につきましては、どのようなものができますか、研究させていただきたいと思います。
  62. 大村襄治

    大村委員長 坂口力君。
  63. 坂口力

    ○坂口委員 大臣の所信表明なり、あるいは先日来の予算委員会におきます大臣並びに総理等のお話を伺っておりますと、すべてのお話が、減税というのがいかにむなしいものであるかという一点に集中をしているように思うわけです。  いまも貯蓄の論議がございましたけれども、確かに貯蓄が非常に年々歳々、パーセントにおきましても額におきましても、上がってきているわけです。いま大臣は、貯蓄が上がるということはやはりそれだけのニーズがある、その結果として出てきたものだというふうに言われました。確かにニーズがあって貯蓄がなされていることは私も認めますけれども、それでは一体なぜニーズが起こるかという、そこのところに対する論及がいつもないわけであります。大蔵省の方は常にまず最初貯蓄ありきで、貯蓄が多くなるから減税をしてもすべて貯蓄に回ってしまってだめになる、こういう話になる。私どもはそうじゃなしに、その前にまず社会保障ありきという立場から話を進めていくならば、そこがないから貯蓄が多くなって、そしてその次の段階のことがまた起こってくる、原因ではなしに結果である、こう主張してきたわけであります。  先日も、そのことを予算委員会大臣に少しくどく申し過ぎたぐらい申しまして、いささか大臣のおしかりを受けたような感じもなきにしもあらずでございましたが、私も少しあのときにはかっかといたしておりまして、聞きたいことも少し聞かなかったものですから、きょうはもう少し残りのところを詰めてお聞きをさせていただきたいと思います。  社会保障の問題を取り上げましたその中で、年金の税制の問題を実はお聞きをしたわけです。あのときに私もそれほど深く税制の問題をお聞きするつもりはなかったのですけれども、話のはずみで税制の方に行ってしまいまして、こちらの勉強もいささか不足していた点もございましたが、大臣にあのときにいろいろお答えいただきましたが、もう一度かいつまんでお話を伺いたいと思います。  まず最初に、全体の税体系の中で老齢年金に対して非課税にするということは整合性がないというお話がございました。その辺のところからもう一遍ちょっとお聞かせをいただいて、議論を進めていきたいと思います。
  64. 村山達雄

    村山国務大臣 御承知のように、老人の方に対しましては税制上、所得税法上バランスのとれたことをやっていることは御承知のとおりでございまして、本人が老人であるという場合には、普通の基礎控除の二十五万のほかに、二十三万でございますかの控除をさらに認めておることは御承知のとおりでございます。そしてまた、扶養親族の中でお年寄りの扶養親族がいますと、これは普通の二十九万ではなくて三十五万か何かをやっているわけでございます。その辺までは私はまさに所得税法そのものの考え方であろうと思うのでございますが、例の老人年金について、現行七十八万でございましたかあの問題は、私は政策問題だと思っておるのでございまして、そういう意味で、現在たしか租税特別措置法ではなかったかと思いますけれども、その方に規定されているというところでございます。  細かい点は、いまちょうど現役の大変な専門家の主税局長が来ておりますので、主税局長から補足説明をしてもらえばありがたいと思います。
  65. 坂口力

    ○坂口委員 それでは、主税局長に御説明をいただきますときにあわせて御説明をいただきたいのは、外国の場合にこの辺がどうなっているかということをひとつ手短にお話をいただければありがたいと思います。
  66. 大倉眞隆

    ○大倉政府委員 税制上の考え方につきましては、なお御質問に応じまして一層詳しくお答えいたしたいと思いますが、諸外国におきまして、特に公的年金制度が成熟しておりますヨーロッパを調べてみますと、イギリス、フランス、ドイツ、スウェーデン、いずれも公的年金はすべて課税所得でございまして、特別にこれを非課税とするという考え方はとっておりません。
  67. 坂口力

    ○坂口委員 障害年金や母子年金等との比較の問題もございますし、いろいろ説明をしていただきますが、なかなか割り切れないものが実は私の気持ちの中にあるわけであります。これは今後さらに検討をしてもらわなければならない問題であるということを申し上げておきたいと思います。  主税局の渡辺さんという方がヨーロッパのことをいろいろお調べになりまして、西欧諸国の年金税制調査報告書というのをお出しになりましたことも承知をいたしております。特にアメリカの場合には、拠出金の方に課税をして年金給付の方は非課税、そして大ざっぱに申し上げれば、西欧型の方が、拠出金の方は非課税で年金給付の方が課税される、こういうことが言われておりますし、まずそういう大まかな区別がなされるのであろうと思います。私も現在の年金だけを考えましたときには、これはもうどうしてもこの課税というものに対して抵抗を感じるわけでございますけれども、大臣も若干この前お触れになりましたが、これから二十年先、三十年先になっていきまして、大蔵省流に言えば成熟をしていくということになりますれば、その時点になって問題なしとは私も考えません。  市川さんという方の計算によりますと、厚生年金の標準報酬総額に対する厚生年金給付の割合というものが、昭和五十一年では三・八%でありましたが、昭和六十年には八・〇%になり、七十五年には一九・八%になり、昭和百年には三七・一%になるという数字を挙げておみえになります。この数字がどの辺まで正しいかということはよく私も存じませんけれども、上がっていくことだけは私も事実だと思いますし、そういたしますと、このほかにたとえば医療給付でございますとか、国税あるいは地方税というものを払わなければなりませんが、昭和百年ぐらいの時点になりますと、働いている費用負担者と年金受給者が同額かあるいは逆転するということもなきにしもあらずだろうということを私も思うわけです。そのことを考えますと、まあ軽々に年金は非課税にすべしということを言うことは、私も控えさしていただきますけれども、しかしながら実質的な意味で、現在の控除率があるとはいいますものの、非常に大きな問題を含んでいることだけは事実だと私思うわけです。  先日も一例を申しましたが、いま六十五歳未満の人で年金が主たる所得である場合、給与所得控除は五十万円、基礎控除が二十九万、配偶者控除が二十九万ということになっておりますから、配偶者がある人は百八万円までということになりますでしょうか、それから、配偶者のない人は七十八万円まで課税されないわけで、七十九万円から課税されるということになっております。これは間違いございませんね。
  68. 大倉眞隆

    ○大倉政府委員 将来の展望を踏まえました場合に、たとえば百年とまで申しませんでも、主計局の方の計算で私の承知しておりますのは、振替所得の国民所得比が二割に近づいていくということがそう遠い時期ではない。そういたしまして、その部分が全部税負担がなくて、残りの所得部分でその負担を全部しょっていく、しかもそれが年を経るにつれてますます税で支えるべき人の数が相対的に少なくなっていくということを予想いたしますと、おっしゃいますように、年金というものをすべて課税対象から除外すべきであるという考え方には、私どもどうしても立てないということは、まず申し上げたいと思うのです。  そこで、現在の老齢者年金特別控除というものは、大臣が申し上げましたように、当面の一種の政策税制として構成されると申し上げざるを得ないかと思います。いまおっしゃいました六十五歳未満でございますと、これは老齢者年金特別控除の適用対象ではございませんから、通常の給与所得者と同じ課税最低限になる。その所得の源泉が年金であれあるいは給与であれ、同じ課税最低限になるという点は、御指摘のとおりでございます。
  69. 坂口力

    ○坂口委員 もう一遍最後のところを……。
  70. 大倉眞隆

    ○大倉政府委員 先ほどお示しになりました数字は、私どもが公表している数字とちょっと違いますが、違いの原因は、私どもの計算の課税最低限には社会保険料控除を入れているものでございますから、その意味でおっしゃった数字よりも高くなります。
  71. 坂口力

    ○坂口委員 そちらの方をちょっと言っていただけますか。
  72. 大倉眞隆

    ○大倉政府委員 私どもがいま公表いたしております課税最低限は、独身の場合八十三万一千円、それから、夫婦世帯の場合百十三万六千円でございます。
  73. 坂口力

    ○坂口委員 いずれにいたしましても、そう大差はないわけでありまして、この辺のところが非常に厳しいという気がするわけです。六十五歳以上の方で年間所得が一千万円以下のとき、そのときには、そのほかに老年者控除が二十三万円、それから老年者年金特別控除というのが七十八万円ですか、これがございますから、年金額で二百九万円、それから配偶者がいない場合には百八十万円まで課税されないことになります。この二百九万円ぐらいの数字ですと、大体給与の課税最低限とよく似たところにいっているわけでありますけれども、同じようなところにはいっておりますが、しかしこの辺のところも、年金受給者のことでありますから、もう少しゆとりを持ってあげなければならないという気がするわけです。  特に六十五歳未満のところは、八十三万一千円、配偶者がありますときでも百十三万六千円という数字を言われましたが、この辺のところはいかにも厳し過ぎるという気がするわけです。政策的な問題と言われますが、まさしく政策的な問題だと思いますけれども、そうすると、いつまでこの数字は続くわけですか。
  74. 大倉眞隆

    ○大倉政府委員 先ほどお示しになりました数字も、社会保険料控除をどう扱うかで若干違ってまいりますが、御老人が配偶者をお持ちである、お二人だけの世帯であるという場合に、私どもの計算では、奥様がお若いとき、つまり奥様には老人配偶者控除がないというケースでございますと、二百十九万四千円でございます。それから、奥様も御老人である、したがって老人配偶者控除がある、つまり二十九万円じゃなくて三十五万円の方の控除があるという計算をいたしますと、二百二十九万六千円でございます。  これが課税最低限の二百一万五千円とほぼ同じぐらいだとおっしゃいましたが、実は二百一万五千円というのは夫婦子二人で四人世帯でございます。二人世帯というのは、さっき申し上げました百十三万六千円でございます。ですから、二人世帯の百十三万六千円と二百二十万円を比べていただきたい、それはそうお願いいたしたいと思います。  それから、老齢者年金特別控除を受けられない方の場合の課税最低限は通常の給与所得者と同じであると先ほど申し上げました。それは五十五歳なり六十歳なり制度によって違いますけれども、たとえば六十歳で年金をお受けになっている方で年金が主たる収入源であるという場合に、六十歳でなおかつ働いておられる方と比べてどのように考えたらよろしいかという問題であろうかと思います。したがいまして、現在の政策税制は、お年をお召しになって、働くというよりはもうそれで老後を過ごされるという場合に対する政策的配慮というふうに理解すべきではなかろうか。つまり五十歳、五十五歳、六十歳でまだ働いておられる方に対して、年金で過ごしておられる方を、年金であるがゆえに特別の控除をするというまでの考え方は必要がないんではないかと申し上げざるを得ないと思います。
  75. 坂口力

    ○坂口委員 六十五歳未満で年金が主たる所得である場合の数字でありますから、若干のことはあるかもしれませんけれども、年金が主たる所得の方でありますから、その辺のところは少し考えなければならないのではないでしょうか。年金以外に多くの収入があるという方は別だと思います。しかし年金が主たる所得である方、これはあるわけですね。その方で六十五歳未満というのは、これはなかなか厳しいところではないかと思います。  この控除が最初に決まりましたのは昭和四十八年ですね。そのときには六十万、月大体五万円平均、それ以上のところにかかるという形であります。いまは大体六万五千円ということになりますでしょうか。年々歳々物価の上昇もあるわけでございますし、これは五十一年、五十二年は据え置かれたという形になっておるわけであります。その辺のところを計算いたしますと、よし百歩譲って前の線が正しい線であったと仮定したとしましても、これで二年据え置かれておるわけでありますから、その辺の差だけでも出てきているわけで、その辺どうですか。
  76. 大倉眞隆

    ○大倉政府委員 お尋ねの第一点の方の、六十五歳未満の方でも特別な配慮をすべきではないかということになりますと、それはやはり最初に申し上げた問題に戻ってくるんではないか。つまり、年金というものに対して他の所得と違う特別の軽減が将来にわたってどうしても必要だというところに、どうしてもつながってくるような気が私どもはいたすわけでございます。将来に向かいまして、坂口委員も、年金制度が成熟したときになおかつ年金を非課税にするというのは非常にむずかしいであろうかということをおっしゃっておられると思います。その意味では、ただいまの特別の政策的配慮というものをその都度引き上げてまいりますと、将来どうしてもそれを切り下げるということは現実問題として非常にむずかしいのではなかろうか。やはり毎月の非課税の年金額が御老人の場合に五万円として設定いたしたものを、ある時期に、いまおっしゃいますように六万数千円という計算になるように引き上げられておりますけれども、これを毎年年金が上がったら必ず上がるというふうに考えるのは、ちょっとお気にさわるかもしれませんが、私どもは将来を展望いたすときには、必ずしも適当なやり方ではないだろうと申し上げざるを得ないと思います。
  77. 坂口力

    ○坂口委員 その辺のところは、私は議論のあるところだと思います。若干この辺のところの年金がふえた、しかし控除率というものは変わらない。そうすると、若干ふえた年金が今度は税金で持っていかれるということになると、年金の方は実質的には一向にふえない、そういうことになるわけですよね。——いや、そういうことになりますよ。だからその辺のところは配慮をしなければならない。  ですから、たとえば昭和四十九年とそれから五十年、五十一年と、普通の年金でありますと、その辺は物価スライドで上げているわけですね。そうでしょう。その辺の差というものをどう見るか、こういうことであります。これは大臣にもちょっとお答えいただきます。
  78. 大倉眞隆

    ○大倉政府委員 大臣からお答えいただきます前に、繰り返しになってしまうと思いますが、年金額がいろいろな理由で上がった場合に、必ず現在の特別控除の額をこれに見合って引き上げるということは、将来に向かって、原則としてほとんどの老齢者年金は課税対象の外に置こうというところにつながるように思えてなりません。年金額がふえたからその分が全部税で取られるとおっしゃるのは、それはおっしゃり過ぎでございます。最低税率の一〇%が適用になるかならぬかというところから始まり、それがかなり多額の年金であれば、もちろん二割、三割という負担をしていただくことになりますけれども、上がった分全部税で取られてしまうということは、それはちょっとおっしゃり過ぎではなかろうかと思います。
  79. 村山達雄

    村山国務大臣 先ほどからずっとお二人の議論を聞いておりまして、一つはこれが政策的な控除であるということ、それで、そもそも六十五で切ってあるところが問題なわけでございまして、そこは一つ問題。しかし、これはどこかで切らなければいかぬわけでございますから、六十五で切っておるということだろうと思います。  それから、いま七十六万円でしたかでスティックしておって物価スライドその他をやっていない。ここは、ずっといきますと、一つ政策減税という線があり、それから将来年金がどんどん上がっていく、その両方を踏まえていまやっておる、こういうことでございますので、それも一つ考え方かな、あるいはやむを得ないのかもしれぬなという感じがいまいたしておるわけでございます。税の立場で申しますと、そういう考え方になるのではなかろうか、こんなふうな感じがしておるわけです。
  80. 坂口力

    ○坂口委員 どちらがいたし方ないのでございましょうか。私の考え方がいたし方がないのか、局長考え方がいたし方がないのか、よくわかりませんが、私の言うことがもっともな面があるから、それはそうだろうという御意味ならありがたいわけでございますけれども、局長の言うことがいたし方がないという一方的な御意見ならば、これはいただけないわけでございます。  いまの大臣の御発言にも若干含みがございますけれども、五十三年度の税制見直しの中にこれは入ってくるわけですか、五十三年度の税制見直しの中にこれは入ってこないのですか。
  81. 大倉眞隆

    ○大倉政府委員 今度御提案いたしております税制改正の中では、老齢者年金特別控除額の引き上げは入っておりません。
  82. 坂口力

    ○坂口委員 そうしますと、大臣、これは私の申しておりますことにも一理のある話だということはよくおわかりいただいておるものと思います。そうしますと、これでなおかつ五十四年の十二月までいまのままでいくわけです。来年の十二月まで。そうでしょう。そういうことでありますから、いまのひずみというものはさらに大きくなるわけでありまして、そういうことを考えますと、この辺のところは、五十四年の十二月までという形ではなしに、今後何らか一考を要するのではないかと思いますが、その辺の御答弁をちょっといただいて、次の問題に、時間がありませんので移らしていただきたいと思います。
  83. 村山達雄

    村山国務大臣 いま五十四年までだそうでございます。議論をいまお聞きしまして、税制の立場で言うとなかなかこれは動かしにくいという点も理解できるわけでございます。なおさらにいろいろ検討させていただきます。
  84. 坂口力

    ○坂口委員 それでは、この問題はこれだけにさせていただきまして、銀行局長さんにひとつお願いをしたいと思いますが、銀行の手数料の問題が最近うわさに上っております。これは、為替手数料を先日値上げいたしまして、今度は電力、ガス、水道、NHK、こういったものの手数料の問題が話題に上っております。われわれ預ける側の庶民の側の負担というのはないでしょうけれども、しかし、これが余りにも大きくなってくると、また電力なりガス代なりというものになってわれわれの方にはね返ってくるということもあるわけでございまして、この辺のところ、銀行局としてはどういうふうな御指導をなさっているのか。また、現在銀行が上げようとしている幅が私、どのくらいのものかよくわかりませんけれども、それが大体妥当なものであるかどうか、その点お伺いしたいと思います。
  85. 徳田博美

    ○徳田政府委員 公共料金の口座振りかえの手数料の話でございますが、手数料一般の問題といたしましては、現在銀行の経理面におきましては、かなり大幅なコスト割れになっておるわけでございまして、御承知のとおり、銀行の収益状況はいま非常によくございませんで、都市銀行のうちの半分近くが預貸金利ざやが逆ざやというような状況でございます。したがいまして、そのようなコスト負担が、結局預金者あるいは借入者の方にしりが回っておる、こういう形になっておるわけでございます。したがいまして、たとえば貸出金利のこれ以上の引き下げを図るためにそれが障害になっておるということであれば、実際には利用していない人たちがいわば受益者の負担をかぶるというような形になるわけでございますので、これは銀行経理のあり方からいって問題があるわけでございます。また、金融制度調査会におきましても、このような手数料のように、受益者とサービスの提供とがはっきり見合っておるものは適正な手数料をいただくべきではないか、このような結論も出ておるわけでございます。  そこで、いま各銀行で改正の動きがあるわけでございますが、御指摘の公共料金の口座振りかえの手数料でございますが、現在御承知のとおり、昭和三十年代から一件当たり大体三円ないし五円でずっと横ばいで来ておるわけでございます。これについての引き上げの動きがいま銀行の間で出てきておりますが、これをどのように引き上げますかということにつきましては、相手方のガス会社あるいは電力会社との話し合いの段階でございまして、その幅についてはまだ決まっていないようでございます。ただ、このような口座振りかえをやることによりまして、実際にはガス会社あるいは電力会社が、集金人を使い、あるいはいろいろな計算をするためのコストがかなり大幅に削減されておるわけでございまして、これが普及することはその分だけ公共料金のコストが下がることにつながっておるわけでございます。したがいまして、口座振りかえの手数料がどの程度上がるかまだわかりませんけれども、この程度の上昇は必ずしもこれらの電力料金にはね返るようなものではないというふうに考えております。
  86. 坂口力

    ○坂口委員 それでは私はこれだけにさせていただきます。ありがとうございました。
  87. 大村襄治

    大村委員長 荒木宏君。——この際、暫時休憩いたします。     午後零時三十一分休憩      ————◇—————     〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕