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1978-04-10 第84回国会 衆議院 石炭対策特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年四月十日(月曜日)     午前十時三十五分開議  出席委員    委員長 細谷 治嘉君    理事 田中 六助君 理事 楢橋  進君    理事 山下 徳夫君 理事 岡田 利春君    理事 中西 積介君       内海 英男君    塩川正十郎君       篠田 弘作君    三原 朝雄君       箕輪  登君    山崎平八郎君       権藤 恒夫君    安田 純治君  出席国務大臣         通商産業大臣  河本 敏夫君         労 働 大 臣 藤井 勝志君  出席政府委員         資源エネルギー         庁長官     橋本 利一君         資源エネルギー         庁石炭部長   宮本 二郎君         資源エネルギー         庁公益事業部長 服部 典徳君         労働省職業安定         局失業対策部長 細見  元君         労働省職業訓練         局長      岩崎 隆造君  委員外出席者         通商産業大臣官         房参事官    高瀬 郁彌君         労働省労働基準         局監督課長   小粥 義朗君     ————————————— 委員の異動 四月十日  辞任         補欠選任   大坪健一郎君     塩川正十郎君   白浜 仁吉君     箕輪  登君   三池  信君     内海 英男君 同日  辞任         補欠選任   内海 英男君     三池  信君   塩川正十郎君     大坪健一郎君   箕輪  登君     白浜 仁吉君     ————————————— 本日の会議に付した案件  石炭対策に関する件      ————◇—————
  2. 細谷治嘉

    細谷委員長 これより会議を開きます。  石炭対策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山下徳夫君。
  3. 山下徳夫

    山下(徳)委員 当面する石炭対策の諸問題について当局にお尋ねしたいと思います。  まず、現下の経済政策の中でエネルギー政策が最大の課題であることは私から申上げるまでもないことでございまして、これは、五年前の石油ショックというものがわが国経済にいかに大きく影響を及ぼしたかということ一つをとってみても明らかでございます。したがって、このエネルギー問題を総合的に推進していくためには、代替エネルギー開発こそ喫緊の課題であると思います。  そこで、第六次石炭政策の答申にもこのことにこたえて、特にわが国における唯一国内資源である石炭見直し位置づけ、これを明確にして、少なくとも現状程度生産規模を維持していかなければならぬとしておるのでありますが、この際、政府におかれては、この生産の問題とあわせて、これに見合う石炭需要推進必要性についてどのようにお考えになっておるか、お尋ねしたいと思います。
  4. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 ただいま先生から御指摘ございましたように、わが国が必要とするエネルギーの約四分の三までを石油に依存いたしておるわけでございまして、その一〇〇%近くを輸入しておるというのが現状でございます。したがいまして、この石油に対する依存度をできるだけ早く、できるだけ多く低減していくということが総合エネルギー政策根本課題一つになってくるわけでございまして、そういった意味合いにおきまして、石炭利用拡大需要拡大ということが大きな政策的な意義を持ってくる、かように申し上げていいかと思います。御承知のアメリカでも、現在の六億トンの石炭の消費を今後十年間に十億トシにまで持っていこう、かような政策を発表いたしておるわけでございまして、わが国におきましても、石炭はきわめて貴重な国産エネルギーである、あるいはまた地域経済振興に非常にかかわり合いのある問題である、こういった問題意識のもとに石炭政策総合エネルギー政策の重要な一環として位置づけまして、その利用拡大生産面における技術的なアプローチのほかに、利用拡大のためのアプローチを積極的に進め、石油にかわるべきエネルギーの位置を確立していきたい、かように考えておるわけでございます。
  5. 山下徳夫

    山下(徳)委員 ただいま御答弁がございました利用拡大については、また後刻お尋ねをいたしたいと思いますが、需要拡大については、ただいまの御答弁で結構かと思います。ただ、唯一国内資源である石炭、これを今後少なくとも現状需給を維持していくということにつきましては、現在の需給の動向から見ると必ずしも完全である、満足であるとは言えない、何かあと一歩という感じがしないでもありません。それは、たとえば五十二年度の一年分をとってみましても、その生産について必ずしもふえておらない、むしろ漸減と言った方が妥当かもしれないと思うのでありますが、にもかかわらず、石炭在庫は徐々にふえつつある。たとえば昭和五十二年の三月には五十五万トンであったものが、ただいま申し上げましたように漸増傾向をたどって、ことしの一月末には百二十八万トンにまで貯炭がふえておる。もちろん需要拡大については、ただいま御答弁があったように努力はしておられますし、たとえば電力用炭のごときは精いっぱい使ってくれていると見た方がいいかと思いますが、それにもかかわらず、鉄鋼が不況ということもありましょうけれども、全般的に何かこう伸び悩みという感じがしないわけでもないわけでありますが、この点についてどのように理解しておられるか、お尋ねしたい。
  6. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 五十二年度確定数値はまだ出ておりませんが、生産は大体千八百五十万トン程度在庫につきましては、一月末で百二、三十万トンでございましたが、この年度末には百八十万トンぐらいにふえてくるのじゃなかろうか、こういうふうに見ております。  御指摘のように、これは生産面需要面二つの面における問題点があろうかと思います。  生産面におきましても、二千万トン体制を維持するといいながら必ずしも十分その成果が上がっておらないということでございますので、今後、骨格構造中心といたしまして坑内での展開を図っていく、あるいは坑内外の設備を改善していくということが必要になろうかと思います。  それから、需要面におきましては、これも御指摘のように、鉄鋼を初めといたしまして一般産業活動が停滞いたしておる、さようなところから、生産が必ずしも二千万トンに到達しておらないのに、在庫と申しますか、貯炭がふえてくるようなことになっておるわけでございますので、先ほどもお答えいたしましたように、需要面における技術開発、たとえば燃焼技術だとかあるいは脱硝技術あるいはガス化液化といったような需要拡大利用拡大につながるような技術開発も展開してまいりまして、将来ともに二千万トンの需給関係を維持するように努力いたしたい、かように思っております。
  7. 山下徳夫

    山下(徳)委員 とにかく石炭の安定した需給拡大ということを図っていくためには、やはり政府が将来にわたって一つの長期的な見通しというものをはっきり確立されるべきであると思うのであります。もちろんこれは、やはり国全体の経済消長等にも直接関係がございますから、政府だけでなかなかむずかしい面もあると思いますけれども、たとえば石炭専焼火力発電、これの建設についてはどう進めるんだとか、こういうことにつきましても、石炭鉱業合理化法の改正のときにも附帯決議で具体的に与野党一致して強く要請してあるところでございますが、この点についても、政府はどのようにこれを進めていかれる一つの策をお持ちであるかということをお尋ねしたいと思います。  同時にまた、これが推進のためには石炭安定供給が必要であることは当然でありますが、そのためには、やはり国内炭開発と並んで海外炭開発輸入円滑化を図るということも大変必要なことではないかと思うのであります。このことは、国内炭を圧迫するというような問題ではなくて、むしろ両々相まって石炭合理的使用拡大を図ることができる。たとえば電力用炭にしましても、九州一般炭は非常にサルファ分が高い。そこで、低サルファをまぜなければいけませんが、そういう意味からどうしても海外炭輸入が必要になってくるわけであまりすから、そういうことにつきましても、海外炭必要性あるいは輸入見通し、こういう点についてどのようにお考えになっているか。
  8. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 エネルギー政策、御指摘のように国の経済政策と申しますか、経済成長整合性があり、実効性のあるものとして確立していくということは当然でございまして、昨年の三月以来総合エネルギー調査会で検討いたしております。昨年の八月に中間報告が出、ことしの夏にその本報告期待いたしておるわけでございます。その長期計画の中で、石炭、特に御指摘火力との関係で申し上げると、一般炭につきましては、昭和六十年におきまして国内炭は二千万トン、輸入炭は千六百万トンあるいは昭和六十五年におきましては四千万トンの輸入ということを前提といたしまして、エネルギー全体の需給バランスの中にビルトインいたしておるわけでございます。そういった過程におきまして、御指摘石炭火力石炭利用分野というのは非常に広うございますが、特に現実的なものとして、また、かなりの量を消費するものとして、石炭火力推進ということは非常に大切になってくるわけでございます。石炭火力につきましては、現在約五百万キロワット程度でございますが、六十年におきましては九百八十万キロワット、約一千万キロワットに、あるいは六十五年におきましては二千万キロワットまで拡充してまいりたいということで、立地対策を含めまして石炭火力建設推進のための努力をいたしておるわけでございます。これとの関係におきまして、海外炭輸入ということは、まさに御指摘のとおり、これは国内炭を活用する、あるいは国内炭需要を確保するということとの関連におきまして、エネルギー政策一環として考えておるわけでございます。したがいまして、海外炭輸入に当たりましては、国内炭を圧迫することのないように、あるいはより補完的な立場において輸入というものを考えていきたい、かように考えております。
  9. 山下徳夫

    山下(徳)委員 ただいま国内炭を圧迫することのないようにという御配慮の御答弁がございましたが、これは先決問題でございまして、その点十分御配慮いただきまして、両々相まって、需要拡大という見地から、安定した海外炭輸入について今後とも御配慮いただきたい、かように思う次第でございます。  次に、先ほど答弁でちょっと触れられました石炭利用対策でございますが、需要拡大を図るためには、やはり利用拡大ということが先行しなければならぬ。この方策についてお尋ねしたいのでございますが、この利用拡大を図るためには、やはり技術開発というものがさらに先行してまいらなければならぬ、このように思う次第でございます。大臣もこのことには所信表明の中で特に、石炭利用拡大させる決め手は技術研究開発であるということを明言しておられるわけでございます。代替エネルギー資源としての石炭埋蔵量、これも石炭生産先進諸国に比べると非常に低い、少ないということが言えるかもわかりませんけれども安全ベースと申しましょうか、あるいはまた経済ベース、そういう面から計算いたしましても、可採採炭量というものは、少なくとも二十五年や三十年あるいはもっと今後技術が進めば可能であるかもしれません。したがって、このエネルギー資源技術開発することによっていわゆる利用拡大を図るということ、これは当然のことであろうと思うのでございます。特に、石炭石油代替燃料として活用するためには、まず石炭ガス化あるいは液化してクリーンな流体エネルギーに転換してこれを使用するということは、これは当然の必然性がもうすでに生じてきておるということでございますので、もちろんこのことについても大臣は、低カロリーガス化発電等石炭技術開発が非常に必要であるということをおっしゃっておられます。このことについてお尋ねしたいのでございますが、そのためには、これに関連した多岐にわたる基礎技術開発というものが当然必要になってくる。このことについて政府はどのようにお考えであるか。石炭利用技術というものは、石炭にもいろいろ性能が違っておりますから単一的な技術開発ではなかなか割り切れない面がたくさんある。それぞれの石炭の性質、成分によって、その異なったものに対する技術開発でございますから、ただ簡単に石炭一つの単一化的な開発ということではなくて、相当技術費用を突っ込んででも、さらにひとつこれを深く掘り下げた技術開発というものが必要であると思うのであります。  そこで、石炭鉱業審議会技術部会におきましても、「石炭利用技術の促進について」というタイトルで報告書がまとめられておりますが、その中でも排煙脱硝技術であるとか石炭液化技術あるいは石炭ガス化技術、こういう一つの大事なものをずっと抜きまして、大体これはたしか十か十一ぐらいにまとめてあったと思うのでございます。これらの技術開発につきまして、決して日本はおくれているのではない、ある面においてはむしろ日本の方が進んでいる面も多々ある、私はそう思っております。たとえばここに、石油代替エネルギー開発する政府サンシャイン計画一環として通産省の工業技術院開発した石炭液化ソルボリシス法というのですか、これをずっと読んでみますと、これはまさに画期的な開発と私は見ております。このことについては、すでにオーストラリアから政府が、石炭液化の最高の技術スタッフ日本に派遣して、今後ひとつ共同開発をしようじゃないかという申し込みを受けているし、あるいはこのことについては海外先進国でも非常に高く評価して、アメリカその他でもこれは非常な関心を持っておるということを聞いておりますから、日本のそういう技術開発について、私は、これをそれ相当以上に評価しておるものでございます。しかしながら、ただ、この予算面とか総合的に見た場合には、西ドイツであるとかアメリカであるとかそういう先進国よりまだ劣っている面もかなりある。したがって、たとえば予算面においても、予算規模が小さいためにその試験研究一つ規模というものも必然的にこれらに比べて小さくなっておるという面は、私は、これははっきり申し上げて劣っておると言わざるを得ないと思うのでございます。  そこで、石炭鉱業審議会技術部会で取り上げたこの重点項目研究開発費、これだけでも試算してみると、昭和六十年までに四千億円近くの金がかかる。しかも、今後これを開発を進めていくについて、今日予期しておらない幾多の障害であるとかいろいろな難問題が生じてくる。これらを計算に現在は入れられないにしても、今後そういうものをプラスしていくと、一体四千億円の上に幾ら上積みすればこれらの問題が解決できるかということ、これは大変な問題だろうと実は私も思うのでございますが、しかしながら、石油という資源を持たない日本における脱石油時代に対処する一つ代替エネルギー石炭位置づけということから見ると、やはり惜しみなくこういう面に対して金を使う必要がある。この点について、石炭位置づけから見た場合の研究開発について、ひとつ当局のお考えを承りたいと思うわけであります。
  10. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 ただいま、石炭利用技術開発についての御指摘であったわけでございます。石炭位置づけあるいは石炭利用拡大重要性先ほど触れたことでございますが、ただ率直に申し上げまして、これの利用拡大を図る場合に、いわゆる流体エネルギーに比べまして技術的にあるいは経済的に劣る面も多いということでございまして、このデメリットをいかにメリット化していくかということが利用技術開発における重要な問題意識になってくるかと思うわけでございます。  先ほどお話しございましたように、昨年の八月に石炭鉱業審議会技術部会で十一の重点課題をまとめておりまして、この十一の課題のうち、昭和六十年ごろまでは排煙脱硝石炭石油混合燃料あるいは低カロリーガス化発電、こういった九つの課題を目標にいたしております。さらに六十五年ごろまでには高カロリーガス化あるいは石炭液化、こういった二つ課題の実現を目指しておるわけでございます。このうち石炭液化あるいはガス化につきましては、すでにサンシャイン計画の中で開発を進めておるわけでございます。また、昨年からは電発に委託いたしましてプラント開発段階に入っている。こういう状況であるわけでございますが、御指摘のように、資金的には現在約四千億というふうに予定はいたしております。この四千億の資金調達につきましては、現状では原則といたしまして民間主体になって、それに対して国が補助金を交付するという形で開発を進めておるわけでございます。今後、いずれにいたしましても、それぞれの研究開発段階に応じまして必要な対策あるいは必要な財源措置を講ずることによりまして石炭利用技術開発を進めていきたい、かように考えておるわけでございます。
  11. 山下徳夫

    山下(徳)委員 実は私の友人が、もうずいぶん長いこと国立大学採鉱冶金の教授をやっているのです。しばしば私は彼と会うのでございますが、石炭全盛時代には意気軒高と申しましょうか、もう胸を張ってわが世を謳歌しておった。それが最近になって、だんだん採鉱冶金の門をたたく学生も少なくなるし、特にコールマインに対するいまの若い者の魅力というのは全くないんだというようなことをときどき言っておるのです。これは昭和三十年代のエネルギー革命からそういう傾向がだんだん顕著に出てきておると思うのです。どうやら、ついこの間の話では、底をついたというのですか、幾らか漸増方向に向きつつある。しかし、この若い技術者を目指す人たち石炭に対する期待からそういう現象が起きているかというと、やはりそうではないんだ。今日の全般的に沈んだ経済の中でやむを得ず一つ採鉱冶金の門をたたくという人たちもあるんだから、それをそのまま私どもは受け取れないということを彼は強く指摘しておったのであります。やはり石炭の将来に対する一つの安定した見通しというのでしょうか、そういう一つのもの、あるいはまた技術の革新に対する基本的な基盤の確立というものが非常に脆弱であるという点にさらにこういう若い技術者魅力がないということを私ども考えざるを得ないのであります。  そこで、こういう石炭の将来に対する若い技術着たち安定感を持って将来に対する一つ期待希望、楽しみと申しますか、そういう一つ安定化に対するそういうふうなもの、これを技術面からやはり開発していって、若い者に対して希望を持たせる、これがいま非常に大事なことであろうと私は思うのであります。  もう一つの問題、先ほどから申し上げましたように、これらの技術開発については莫大な費用がかかるし、いま長官民間資金活用についてちょっとお触れになった。私もこの点を再度またお尋ねしてみたいのでございますけれども、やはりこれだけの膨大な研究開発一体国資金だけでやれるものか、あるいはまた、やるべきであるか。私は、自由主義経済原則の中の一つの問題として、やはり受益者負担と申しましょうか、当然このことによって大きく裨益する民間あるいは一つの業界の団体であるとか、そういうところから相当資金をひとつ拠出してもらうということが今後の石炭技術開発に当然のことだと私は思うのでございますが、資金に対する民間の協力、こういう面についてどのようにお考えであるか、お尋ねしたい。
  12. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 石炭開発のためには、あるいは技術開発のためには多額の資金が要るわけでございます。また、それに要する人材の確保ということも必要になってくるわけでございます。このような限られた人材あるいは限られた資金というものを効率的に有効に使っていくということが必要かと思う、まさに御指摘のとおりかと思うわけでございます。  そういった観点に立ちまして、たとえば先日も起工式を行いましたSRCなどにつきましても、民間技術民間資金中心といたしまして、これを国が側面から助成いたしているというような形でやっております。  しかし、いずれにいたしましても、石炭位置づけといったことに対する国の姿勢といったものが十分前面に出てまいりませんと、御指摘のような成果もおさめ得ないというふうに考えます。民間主体としてやるにいたしましても、国が確たる方向を定めまして、その方向に即して官民の分担を明確にいたしまして、それぞれの分野において開発を進めていくということが非常に大切ではなかろうか、かように思うわけでございます。
  13. 山下徳夫

    山下(徳)委員 次に、産炭地域振興対策についてお尋ねいたしたいと思います。  この問題につきましても、大臣所信表明の中で、その重要性にかんがみて引き続き所要の措置を講ずると、この問題に留意しておられることをはっきり打ち出されておるのであります。  そこでまず第一に、産炭地域振興問題が今日における石炭政策一つの大きな柱であることは、御当局も、ただいまの所信表明によっても御認識のあるところであります。が、これが推進を目的とする産炭地域振興臨時措置法ですか、これが時限立法でございまして、昭和五十七年の七月でこれは期限が切れることになっております。したがって、昭和五十六年度末ぐらいにはこの問題の一つの大きな見直しの時期がやってくる。そうしなければ、これはとにかく五十七年の七月に切れるのでございますから、政府当局もそのような理解のもとに五十六年の年度末ぐらいに一つの照準を合わせながら産炭地域振興計画改定を行ってこられた、こういうふうに私は理解しておるのでありますが、その骨子となるところは、昭和三十七年度から産炭地域振興政策というものが今日まで継続してやってこられた。その結果、地域的にだんだん、格差と申しましょうか、ひずみが出てきておるのも事実でございます。特に九州など六条地域の一部で、非常に大きな疲弊と申しましょうか、ひずみの結果、そういう面がまだまだ取り残されておるということがはっきり言えると思うのでございます。これらを是正するために基盤整備を行う、それから、工業立地を促進して地域格差是正等諸情勢の変化に対処せんとするものでございますが、この構想に対して関連地方自治体、県や市町村は非常にこれに対して期待を持っておる。そして、この完全実施がいつごろであるかということに対して、とにかく産炭地市町村はこれらの問題についてかなり金をつぎ込んでおりますから、非常に関心を持っておるわけでございます。そこで、いま申し上げました計画がその計画のとおりに現在促進されておるのであるかどうか、この点の実情をここでひとつ承っておきたいと思います。
  14. 宮本二郎

    宮本(二)政府委員 お答え申し上げます。  産炭地域振興につきましては、先般、所信表明大臣が述べられましたとおり、私どもの重要な石炭政策の柱でございまして、昭和三十六年以来産業基盤整備企業誘致、地方財政援助等実行してまいりまして、全般的には工業の導入も進んでまいりまして、人口もようやく下げどまる、こういうような状況で、産炭地域経済社会は逐次改善の方向にあるというのが現状であろうかと思います。まあ平均的に見ますとそういう状況でございますが、中を見ますると、六条地域中心にいたしまして地域的に一つのむらができておる。もう一般平均水準に近い状況にありますところもあるのでございますが、一部筑豊の奥地、北海道の一部、そういうところにおきましてはいまだに非常に停滞しておる、こういう状況でございますので、そういうところを中心施策を集中しようということで、昨年産炭地振興計画改定を行いまして、現在その施策につきまして努力をしよう、こういう段階でございます。
  15. 山下徳夫

    山下(徳)委員 私から申し上げるまでもなく、いまの日本の産業経済全体が非常に冷え切っておるということでございますから、ひとり産炭地だけが先行するというわけにはまいらないと思うのでございますが、しかしながら、産業経済の回復の見通しがつかないからといって、産炭地の今後の進め方に戸惑いが起きてはいけないのではないかという気が私はするわけであります。戸惑いというか、むしろ遠慮と言った方がいいんじゃないか。何かそういうためらい、そういうものがあれば、私は非常に心配をするものでございますが、この際、むしろ積極的に、産炭地においてこそ先行投資をやって、来るべき産業経済一つの復興の時期に備える姿勢が私は必要であろうと思うのであります。そういう見地から、たとえば工業立地の造成を行う。これに関連していろいろな工事が必要でございましょう。それに関連する関連道路と申しますか、あるいは港湾とか護岸の整備であるとか水路の問題もある、あるいは住宅団地の造成であるとか水源の涵養、あるいは排水等に対する諸問題、こういう一連の総合的な先行投資というものをいま私はやるべきであると思うのであります。必ずしもいま言うためらいがあるとは私ははっきり断言できませんけれども、何かそういう感じがしてならない。その問題の中にはいろいろな問題があると思うんですよ。いろいろな問題があると思うのですが、たとえばこの問題の衝に当たっている地域振興整備公団というのがございます。私は、私のよって立っておりますところ自体が産炭地域でございますので、しばしばこの公団の幹部と話す機会があるのでございますが、これが行わんとする事業の上に——何かこれに類似したいろいろな政府機関があります。道路公団であるとか住宅公団であるとかその他いろいろそういうものがありますが、それらと比較した場合に必ずしもバランスがとれておらない。つまり地域振興整備公団の方が割りが悪いと申しましょうか、そういう面が出てきておる。それは法的にあるいは税制上の扱いの問題、こういう問題が私は出てきておるのじゃないかと思うのでございますが、そういう不合理、不公平というものが産炭地域基盤整備、先行投資について足を引っ張っておるという感じがしないでもございません。そこで、この問題は、きょうは大臣所信表明に対する質疑でございますから、やや細かになってまいりますので、きょうは御答弁を必要といたしませんが、先ほどから申し上げました産炭地振興のための基本的な基盤整備についてどのようにお考えであるかという点について、この際承っておきたいと思います。
  16. 宮本二郎

    宮本(二)政府委員 先ほどお答え申したところでございますが、実は、昨年産炭地域振興審議会の計画改定いたしました際、振興格差のあります地域につきまして施策を集中せよということで、そこにつきまして特に産業基盤整備ということで、関係各省それぞれつかさ、つかさに従いまして建設省、運輸省その他とも十分相談いたしまして、関連道路が主体でございますが、あと農業基盤整備、こういった点につきまして非常に重点を置きまして計画を具体的に詰めていった次第でございます。私ども直接担当いたしております産炭地公団の工場団地、これにつきましても譲渡率が若干低い、こういう点がございまして、先般来、立地公害局と協議いたしまして、特別誘導地域、こういうものを現在いろいろ検討中でございます。これによりましてその効果を高めていきたい、こういうように考えておる状況でございます。
  17. 山下徳夫

    山下(徳)委員 次に、鉱害問題について二、三お尋ねをしてみたいと思います。  申すまでもなくこの鉱害は、そのよって来る原因からいたしまして、被害者にとってはまさに何の罪もない天災というべき問題であります。したがって、この被害者と申しますか、むしろ被災者と言った方がいいかもしれませんが、この人たちの鉱害復旧に対する願望と申しましょうか、とにかく一日も早くやってもらいたいという非常に強い希望があることは、もう政府当局の皆様は十分御承知のはずであります。昭和四十七年から十カ年計画という長期計画によって事業計画が策定されて、すでにことしは七年目でございます。そこで、予算規模においても当初千七百億円でこれはスタートいたしておりますが、物価の上昇あるいは社会情勢の変化等に伴って、予算の上での手直しも行われてきておるわけでございます。  そこでまずお尋ねしたいことは、過去六年間における事業の進捗率、これはどの程度なのか。と同時に、あと残されたのは四カ年でございますが、当初の十カ年計画の策定というものがあと四カ年で当初の方針どおりに消化できるか、復旧できるか、そういう確信をお持ちであるかどうかについてまずお尋ねしておきたいと思います。
  18. 宮本二郎

    宮本(二)政府委員 鉱害復旧の進捗率でございますが、先生御案内のとおり、四十七年度の価額表示で残存鉱害量千七百五億円と推定いたしまして、十年間に計画的に処理する、こういうことで五十二年度末、この春でちょうど六年目でございますが、価額評価はその後いろいろインフレ等の関係がございまして明確でございませんので、物量ベースで申し上げますと、農地で五十二年度末約三五%、家屋関係で約五五%程度、こういうことになっております。家屋については若干程度、農地についてかなりおくれておる、こういうのが率直な現状でございます。こういうような状況を踏まえまして、私ども、鉱害復旧を可能な限り期限内にできるよう、実は最大限の努力をしておる最中でございます。五十三年度予算におきましても、石炭勘定全体の増加分の六二・五%を実は鉱害復旧に投入いたしておる次第でございます。今後とも長期計画の達成目標に向かって最大限の努力を払っていきたい、こういうのが現状でございます。現在ちょうど六年目を終わったばかりでございますので、なおかつもう一段の努力をしたい、こういうのが現在の私どもの心境でございます。
  19. 山下徳夫

    山下(徳)委員 ただいま御答弁でございましたように、十カ年計画の当初におきましては、約千七百億円の予算でもってスタートをした。その後、いま申し上げました物価の上昇とか社会情勢の変化によって、自後の工事についての見直しが行われて、その額は約二千七百億円ということで現在実施をされておる。これは結構なことでございますが、一言お尋ねしておきたいことは、それではあと四カ年、もうさらに再修正しないで、大体この二千七百億円でもって残量というものが消化できるかということについて、さらにこれは念を入れる意味においてもう一回お尋ねいたしておきたいと思います。  それから、鉱害の認定につきましては、毎年新たな認定がずっと行われておる。これは十カ年計画の当初においては、そういう新認定ということも、大体どの程度ということは計算に入れながら策定が行われていると私は思うのでありますが、やはり地元の数々の要望からすると、当初予定されておった、四十七年以後十カ年に起こるであろう新認定が当初の予定と比べてどんなものであるか。もしも、当初、新たに受ける認定を計算に入れておったけれども、それよりもさらにかなり上回っておるとするならば、そういう量自体をまた再検討することも必要でありますが、大方最初の計画どおりで間に合うということであるかということをお尋ねいたしておきます。  それから、鉱害復旧につきまして、先ほど技術問題について私は幾つか質問いたしましたけれども、こういう技術も次々に開発されて日進月歩でありますが、当初の昭和四十七年の時点において、いろいろな工法を想定しながら千七百億円というものが策定されたわけでありますが、すでに六年やってみて、その後開発された新しい技術等を取り入れることによって、そういうものの導入によって、この事業計画をここらあたりでもう一回洗い直す必要があるかないかという点についてお伺いをいたしておきたいと思います。
  20. 宮本二郎

    宮本(二)政府委員 先ほど申し上げましたとおり、ちょうどこの三月をもちまして十カ年計画の六年目を終わった段階でございまして、あと四年間この計画を最大限努力いたす所存でございますが、その後、当初考えておらなかったような鉱害の問題がいろいろ出ておる点もあろうかと思います。こういう点につきましては、しかるべき時点におきましてもう一度鉱害を洗い直してみたい、このように考えておる次第でございます。その上で全般をどのように処理していくか検討いたしたいと思っております。
  21. 山下徳夫

    山下(徳)委員 鉱害問題についてさらにお尋ねしたいことは、有資力と無資力の問題でございます。  私が申し上げるまでもなく、有資力と無資力によっては、地方自治体、県や市町村の分担金等についてもかなりの差があるわけでございますが、実際、有資力といっても、名前だけは有資力になっていますけれども、本当は資力がないんだという問題がある。ただ、ある程度の資産を持っておったり、その負債等がきちんとまだ清算がついていないのでそのまま放置されておるものも中にはございましょう。ところが、この鉱害の被害者にとっては、そんなことは知ったこっちゃないと言えばそのとおりでありまして、とにかく私どもは一日も早くやってもらいたいんだという切なる望みがあるので、このことについて、あれは有資力だから、あれは無資力だからどうだということだけでもって私は地元民を納得させることはできない。したがって、この有資力、無資力について、さらに何か国として配慮する面が残ってはいないかという感じがしないでもないので、この点をお尋ねいたしておきます。  一つには、やはりさっき申し上げた両者の負担分と申しますか、それの違いによる市町村等の負担分、こういうものについて、私は非常に差があるとは申しませんけれども、今日の地方自治体の財政実情からすると、やはりかなりの苦痛がこれはあるわけなんでございますから、そういう有資力と無資力との間における一つ格差、こういうものについてももう一回ひとつ洗い直す必要があるんじゃないか。とにかくこの問題は早く解決しないと、私どもの地元の一つの例からしましても、これが今後の産炭地域振興基盤整備にも非常なブレーキとなっておるという点がございますので、この点もひとつ承っておきたいと思います。
  22. 宮本二郎

    宮本(二)政府委員 先生御質問の第一点の問題でございますが、鉱害賠償義務者が存在する限り、やはりそこに応分の負担をしてもらわないといかぬわけでございますが、それが有資力であるかどうかの認定でございます。これにつきましては、内部で無資力と認定する場合の一つの要件がございまして、所在が不分明のときであるとか、通常の生活を維持する以外の財産を持っておらぬ場合であるとか、法人等でございますと、会社が、鉱業権者が解散をしておる、こういうことが要件と、いろいろございますが、形式上有資力でありますが実際上は全く無資力である、こういうケース、いろいろ無資力認定が困難な事例が、ケースごとには数件程度でございますが出てまいっておるわけでございます。これらにつきましては、やはり一つのたてまえはたてまえ——ございます。問題があるのでございますので、個々のケースごとに、やはり地方公共団体、そういったところの関係者の御協力を得て、ケースごとに処理していかざるを得ない、こういうように考えております。こういう観点から、一、二この問題で解決が進みつつあるような問題も現にあるわけでございます。  それから、もう一つの地方公共団体の負担の問題でございますが、確かに多くの山が閉山いたしましてから無資力の鉱害復旧がふえてまいりました。地方公共団体の負担がふえてまいっておるのでございますが、それを受けまして、産炭地域市町村の鉱害復旧事業については負担を軽減する等の措置をここ数年来とっております。それからまた、そういう関係もございまして、現在、地方公共団体の負担率は鉱害復旧費の二〇%程度、それから、この二〇%のうち、地方交付税で補てんをしておる、地方債を発行させその元利償還金を普通交付税で補てんする、こういう措置をとっておりますので、これも入れますと、地方公共団体の実質負担は大体復旧費の八%程度というのが率直なところの現状でございます。こういうところでございますので、現在はこの程度でとにかく何とかして協力していただけないだろうか、こういうことでやっていきたいというのが現状でございます。
  23. 山下徳夫

    山下(徳)委員 鉱害問題で最後にもう一点だけお尋ねいたしておきたいと思います。それは、危険ボタ山の崩壊防止事業の問題でございます。  私もたびたびこの危険ボタ山の現場を見てまいいって思うのでございますけれども、率直に申し上げて、これはやはり心配するのがあたりまえであろうというのがたくさんある。よくここに平気で住んでおるなという危険な場所も、私どもからすればそういう感じがしないでもないわけでございまして、やはりその周辺の住民はそのとおりでございまして、非常な生命、財産に対する一つの不安感、そういうものを持っておるわけでございますが、この危険ボタ山の崩壊防止事業について、その対象となるボタ山は一体どの程度なのか。  さらに、この問題でもう一点お尋ねいたしておきたいことは、この防止事業の制度自体、非常に仕組みが入り組んでおる。たとえば田舎からその関係者が陳情に来た場合、一体この問題はどこの役所に行ったらいいのか非常にわかりにくい面が、少なくともこの危険ボタ山の崩壊防止事業についてはあるわけでありますが、こういう面についてもう少し整備して検討すべき点があるのではないかと思いますが、この二点について、簡単で結構ですから、お尋ねいたしたい。
  24. 高瀬郁彌

    ○高瀬説明員 第一点をお答えいたします。  第一点の全国のボタ山の数でございますが、五十一年度末の調査では約九百でございます。そのうち鉱山保安法で監督指導しているのが約三百でございます。そのほか、主として筑豊地区になりますが、危険ボタ山とわれわれが技術的に見ておるものが現在のところ百二十から百四十程度というふうに考えております。  これに対する対策といたしましては、まず危害防止を目的といたしまして、鉱山保安法で鉱業権者に対して必要な措置を義務づけております。これが第一点でございます。第二点は、義務者が不存在であったり、無資力の場合の措置といたしまして、ボタ山災害防止補助金という制度で、地方公共団体が防災工事をする場合に助成するという形になっております。この両制度で、現在までのところ問題となるような災害が発生しておりませんので、この体制で順次進めていきたいというふうに考えております。  この所管は石炭部ではございませんで、通産省の立地公害局の石炭課でございます。
  25. 山下徳夫

    山下(徳)委員 時間がございませんので、コールセンターの問題その他、まだお尋ねしたいことがございますけれども、個々の問題について、私はこの程度でとどめたいと存じます。  以上、石炭政策の当面する問題についてはすでに御答弁をいただいたわけでございますが、代替エネルギー開発、大きく言えばエネルギーの非常に重要な転換期に来ておるときの石炭見直しということは、私どもは一日もゆるがせにできない問題でございます。これに対して、大臣所信表明初め、これでもわかりますように、また政府当局のこれに取り組まれる真摯な姿勢について、私ども敬意を表する次第でございます。  しかしながら、これを早急に強く推進していくためには、先ほどから指摘いたしましたような数々の問題が残っておるわけでございます。それは、それに即応する生産体制の問題、技術開発、保安、産業基盤整備の問題とか鉱害の問題、いろいろたくさんあるわけでございますが、最後にこれらをひっくるめて、かくあるべきだという概括的な基本方針について、ひとつ大臣から一言承っておきたいと思います。
  26. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 石炭の問題でありますが、昨年、政府は、総合エネルギー調査会を開きまして、今後の総合エネルギー政策のあるべき方向を大体中間報告として決定をしたわけでありますが、その柱は、御案内のように、一つは総合エネルギーの中において果たすべき石油の役割りをできるだけ小さくしていくということ、石炭は逆にできるだけ大きな役割りを果たさせるように持っていくということ、それから原子力の平和利用、新技術開発、新エネルギー開発、さらにその間、省エネルギー政策、あるいは公害政策、こういうものを総合的に進めながら、必要な資金量を確保するということ、これが主だった内容でありますが、要するに、石油の役割りをできるだけ小さくして、そのかわり石炭の役割りを大きくしていこう、これが基本になっておるわけであります。  具体的には、国内では二千万トン体制を維持していくためにいろいろな対策が必要であります。価格の問題あるいは需要の開拓の問題、いろいろ対策がございましょうが、雇用問題を解決するためにも、また一定量の石炭わが国において確保するためにも、二千万トン体制の堅持、それから国際的には、海外炭開発輸入するという問題でございますが、原料炭は今後十年後にはおよそ一億トン程度輸入期待されます。さらにそのほかに、昭和六十五年度を目標といたしまして四千万トンの一般炭開発輸入をするということ、こういう内容でございまして、石炭の果たす役割りというものは今後ますます大きくなってくると思います。国内におきましては、この二千万トン体制の堅持のほか、先ほど山下委員からいろいろ御質問がございました産炭地域振興対策、それから鉱害の跡始末の問題、こういう幾つかの問題がございますが、そういう諸問題を解決しながら、先ほど申し上げました石炭政策というものを強力に進めてまいりたいと考えております。
  27. 山下徳夫

    山下(徳)委員 時間が足りなくなりましたので、労働大臣にほんの項目的に二、三お尋ねして、私の質問を終わりたいと思います。  石炭情勢がここ数年非常に変化いたしまして、合理化が非常に盛んな時代といまと比較すれば、離職者の実態というものはかなり変わってきていると思うのでございます。そこで、まず現在の離職者の発生状況について一言お尋ねすると同時に、離職者がだんだん高齢化する、この雇用情勢の非常に厳しいときに高齢化対策というのは労働省としても大変なことだろうと思うのでございますが、それだけにきめ細かいこれに対する一つ施策が必要であろうと思うのでございます。再就職のより容易なる推進についてどのようにお考えであるか。
  28. 藤井勝志

    ○藤井国務大臣 石炭鉱業の合理化が激しかった昭和四十六年ごろまでは、御承知だと思いますが、年間一万人を超える新規離職者が発生しておりましたけれども、ここ数年、国内炭生産維持等の新石炭政策、ただいままた通産大臣から石炭見直しといいますか、そういったお話もございまして、減少する方も大分少なくなってきておりますし、やや明るい方向も出ておるわけでございます。しかし、炭鉱離職者は他の産業離職者に比較いたしまして再就職が非常に困難だという事情がありますから、従来から炭鉱離職者臨時措置法に基づく三年間にわたる就職促進手当の支給によって生活の安定を図りつつ、各種就職援護措置を活用して再就職の促進に努めてきたところであります。  特に炭鉱離職者緊急就労対策事業、それから産炭地域開発就労事業というのは、炭鉱離職者及び炭鉱関連企業からの離職者を対象として、雇用機会に恵まれない産炭地域において暫定的な事業として予算措置によって実施しておりますことも御承知のとおりでございます。この二つの事業につきましては、産炭地域における雇用、失業情勢の今後の推移、労働者の生活の実態等を十分考えて、検討してまいりたい。しかし、昨年の当委員会の附帯決議もございますし、現下の厳しい雇用情勢ということを考えますと、直ちにこの両事業の大幅な縮小または打ち切りということは考えるべきでない、このように思うわけでございます。  最後に、炭鉱離職者の再就職の問題、こういった点についても、特に、職業訓練法の改正ということも予定しておりますが、そういう面とも結びつけまして、同時に労働省としては、雇用促進融資制度の活用によって住宅とか福祉施設等の整備によって生活環境の改善を図り、職場としても明るい環境をつくる、こういったことと相呼応して今後の雇用対策に善処したい、このように思っております。
  29. 山下徳夫

    山下(徳)委員 先ほど申し上げましたように、時が時だけにこの問題について大変御苦労が多いことだと存じております。  そこで、この再就職について、大変なことだと思いますが、緊急就労事業につきましては昭和五十二年も継続事業として行われておるわけでございますし、単年度ごとに予算措置もずっと今日まで継続して行われておる。しかしながら、この不況のさなかに、この事業の継続について、働く人たちから見れば、やはりかなりの不安があることは当然でございますが、このことについて今後どういうふうに対処していかれるか。同時にまた、開就事業についての継続はどのようになっておるのか。  さらにもう一点、先ほどからいろいろお話がございましたように、再就職その他について非常にむずかしい時期でございますし、合理化離職者に対して就職促進手当制度の創設あるいは広域職業紹介、職業訓練の実施、いろいろ手は尽くされておるのでありますが、今度は反面に、先ほどから通産省にも御質問申し上げたように、エネルギー見直し石炭の再評価、位置づけという問題から二千万トン確保という問題が、最近非常に重要問題として取り上げられておる。一方においては離職者対策をやらなければなりませんが、また逆に、今度は、この二千万トン確保のための新しい炭鉱労務者の長期的な確保対策ということも新しく生じた問題であろうと思うのです。ここらあたりをあわせて御質問申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。
  30. 藤井勝志

    ○藤井国務大臣 先ほどもひっくるめて一応答弁をさしていただきましたが、いまの緊就あるいは開就事業、これは当委員会における附帯決議を踏まえ、今後の雇用情勢の状況を見て、現在まだ厳しい状態でありますし、新石炭政策が展開をされても、この事業を打ち切るということは適当でない、私はこのように考えるわけでございまして、前の労働大臣と同じように、雇用情勢を見て十分必要な限り対処していきたい、このように思います。  それから、炭鉱労働者の再就職の問題につきましては、やはり現在の炭鉱経営の基盤を確立する、こういったことが基本でございまして、そういったことをあわせて、労働条件なり労働福祉の向上、保安の確保、こういったことが必要でございます。ただ、最近石炭産業への入職状況を見ますと、一般産業が非常に不況でございますから、したがって、炭鉱への働き手というのは若手も大分確保できる、こういう状態でございます。したがって、そういう状態を踏まえて、先ほども申し上げましたように、生活環境の整備をやっていく、こういったこと、同時にまた、炭鉱を離れていく人たちに対しては、特に中高年齢者の場合に新しく五十三年度から政策として策定いたしておりますのが、こういう中高年齢者を雇い入れる事業主に対しては新しく助成をしていく、中小企業者の場合には普通払う賃金の三分の二を助成する、こういう措置によって民間の活力をも生かして雇用の拡大を図っていこう、こういうことで、内を整備しながら、また外へは外へで、転出のチャンスをつかむ、こういうことが両々相まっていかなければならぬ、このように思っておるわけでございます。
  31. 細谷治嘉

    細谷委員長 この際、田中六助君から質疑の申し出がありますので、これを許します。田中六助君。
  32. 田中六助

    ○田中(六)委員 通産大臣に一言ちょっと。先ほど石炭見直しについてわが党の山下議員にお答えがあったのですが、最近、外貨の保有高が非常に多くなって、外貨減らしというか、そういう対策上からという一つの案を日本商工会議所会頭が提示しておった問題について伺います。  この問題は、具体的に申しますと、海外石炭の鉱区をそれで買ったらどうかということでございますが、これはいろいろ考えますと、政府は買うわけにいきませんが、民間で買うといった場合、鉄鋼会社は原料炭が主体ですから、ほとんど一般炭のことを言っていると思いますが、電力会社あたりでそういうことを具体的にするならしなければいかぬのですが、そういうことについて、政府はいまどういうふうにお考えか、ちょっとお聞きしたいのです。
  33. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 先般、鉄鋼業界の代表の方々が通産省に私を訪問せられまして、この際、海外において数カ所石炭山を買いたいので、外貨貸し制度の適用をこれに行ってもらいたい、こういう申し入れがございました。金額は二億ドルまでぐらいの数字をいま考えておられるようであります。数カ所になりますからもう少しふえるか、そこはまだ最終的には決まっておらぬようでありますが、そしてその購入は、鉱業権を買うのか、あるいは山そのものを買ってしまうのか、そこらあたりはまだ判然としませんし、相手によってまた条件、内容が異なると思いますが、いずれにいたしましても、そういう申し入れがございましたので、この際、外貨減らし対策一環として、私も、大変結構ですから、外貨貸し制度がそれに適用されるようにできるだけそういう方向努力をいたしますということを申し上げたわけであります。製鉄会社でありますからこれは原料炭が主体になっておると思います。  なお、先ほど私は、昭和六十五年を目標にいたしまして一般炭四千万トンの開発輸入計画があるということを申し上げましたが、これは大部分が石炭火力発電用の石炭であります。当然これは電力会社が開発輸入をするわけでありますけれども、電力会社からは、なおその申し出はありません。調査、準備等もまだ十分できていないのではないかと思いますが、もし仮に電力会社からもそういう要請があれば、鉄鋼会社と同じように、外貨貸し制度が適用されるように努力をしたいと考えております。
  34. 細谷治嘉

    細谷委員長 岡田利春君。
  35. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 初めに、わが国エネルギー政策について若干承っておきたいと思います。  すでに政府は、昭和六十五年度を目標年次にして、エネルギーの本格答申をいま得ようといたしておるわけですが、中間答申がすでに出されておるわけです。当初の目途は今年の夏ごろにいわゆる本格答申を受ける、こういう政府の説明でありましたけれども、今年の夏、七、八月には本格答申がなされるのかどうか、その見通しについて承っておきたいと思うわけです。
  36. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 御指摘のとおり、本答申は今夏に提出される予定で、その方向に即して関係の審議会あるいは関係の各部会で作業を急いでおる、こういう段階でございます。
  37. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 その場合、さきに中間答申で昭和六十五年を目途にしてエネルギー需給見通しをすでに発表されておるわけです。この中間答申を中心にして各党はそれぞれ、それぞれの政党独自のエネルギー需給見通しを発表している、こういう状況であります。したがって、私は、本格答申の中で、中間答申に示された需給見通しは、さらにその後の経済変動あるいは国際的ないろいろな状況等判断して、一体修正が加えられるものかどうか、需給見通しは一応中間答申の線でいくという状況にあるのかどうか、あるいは大幅な修正はあり得るのかどうか、この点の見通しについても承っておきたいと思います。
  38. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 ただいま申し上げましたように、現在検討中でございますので、明確なことは申し上げかねるわけでございますが、ただ昨今の内外のエネルギー情勢、景気がふるわないということもありまして、エネルギー需給関係が緩慢になっておるということは申し上げられるかと思います。  ただ、この需給見通しは、昭和六十年あるいは六十五年を目標にして、いわば中長期的にいかにあるべきかという観点に立ってまとめたものでございます。あるいは私から申し上げるまでもなく、各種エネルギーについてはかなりのリードタイムを必要とするというふうな点を勘案いたしますと、おおむね中間報告の線で需給見通しはまとまるのではなかろうかというふうに見ておるわけでございます。
  39. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 きょうは深く議論する気持ちはありませんけれども、さきに発表された中間答申の中では、やはり少なくとも昭和六十年度を見れば修正せざるを得ない要因はあるのではないか、実はこう私は判断をいたしておるわけであります。したがって、昭和六十五年は別にして、昭和六十年度、果たして中間答申の需給見通しというものがそのとおりおさまるのかどうかということになりますと、おさまらない要素もあるのではないか。そうすると、やはり六十年度の分はある程度修正するものは修正して精度の高いものにしておいて、そして六十五年の目標年次の需給見通しをもう一度見直しておく。原子力についてもしかり、あるいはまた一般炭輸入消化についても千六百万トンはいかぬのではないかという気がしますので、この点については答弁は要りませんけれども、やはり状況も変わってきておりますから、精度の高いものにしておく必要がある。これは私の意見でありますので、この点申し上げておきたいと思います。  特に、今回のエネルギー答申を受ける場合に、需給見通しをつくると同時にエネルギー政策の遂行のための問題点について解明をする、ここにやはり大きなねらいがあったと思うわけです。もちろんそれには、電源立地の昨今の状態から言って、立地問題があるでしょう。さらに重要なのは、エネルギー政策遂行のための財源をわが国の財政で一体どう確保するか。あるいはまた金融、民間の投資もあるでしょう。したがって、この財源問題というのは、今回石油税が創設をされた、こういう意味で、一連の関税あるいは石油税、こういう中で財源問題は完成をした、いわば今年の予算で一応これは完成をしたものであるから、本格答申の中ではつけ加えられるべき財源政策はないと受けとめていいのか、それとも財源対策については別途検討されているのか、この点について承っておきたいと思います。
  40. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 石油税はまさに石油対策財源、ということは総合エネルギー対策を進めるに当たって必要な財源対策の一部が新税の創設ということで近く実施に移される、こういうことでございますが、そのほかのものについてどうするか。たとえばRアンドD、研究開発関係の投資をどうするか、あるいは新規のエネルギー開発財源をどうするかといったような問題はまだ解決を見ておらないわけでございますので、そういった部門につきまして国と民間とがどのように負担をしていくかというような問題は、やはり引き続き検討課題になっておる、こういうことでございます。
  41. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 最近の円高はついに二百二十円を割ってしまったわけですが、一方、これを裏返して見ればドル安という状況であります。したがって、今日のこういう国際経済状況の中で石油価格の予想をするということは非常に困難だと思うわけです。私が、上がる動向にありますかと聞いても、大臣は、上がる動向にありますとそう簡単には答弁できない問題であろうと思うわけですが、しかし、気にかかる問題であります。特にOPECでは、新たにバスケット方式を採用する——前にはSDR建て値という問題も検討されたことがあるわけでありますけれども、最近インドネシアで行われておるようにバスケット方式に移行するという傾向は非常に強くなりつつあるのではないか、こういう感じが私はするわけでありますが、最近のこういう国際経済の情勢の中で石油価格のOPECの動向についてはどういう見方をされておるか、承っておきたいと思うのです。
  42. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 御指摘の点は二つの面があるかと思います。  いまのバスケット方式あるいはSDRリンク方式といったようなものは、一つにはドルの価値の下落にどのように対応していくかという問題意識であろうと思います。それから、いま一つの問題は、やはり国際的にインフレと申しますか、物価というものは上昇していく、購買力を確保するためには石油価格の水準をどうするか、こういった一般経済的な問題と、二つの絡まりがあろうかと思います。  そういった問題について、OPECの経済委員会等でかねがねいろいろと検討もいたしておるようでございますが、一面、世界的に非常な不況であるということから、どちらかと言いますと当面石油の供給は過剰ぎみに推移しておるといったようなこともありまして、OPECとしても必ずしも思い切った対応ができない。しかし、反面、手取りが実質的に目減りしていっておるということにどう対応しようかということが一つの悩みではなかろうかと率直に思っておるわけでございますが、ただSDR方式あるいはバスケット方式が必ずしも明確な方式ではない。むしろ申し上げたような事情からすれば、価格問題に直接アプローチしていきたいといったような気持ちを持っておるのじゃなかろうと思いますが、いずれにいたしましてもこれはOPEC自体の問題でございますので、当面の問題としてどのように対処していくかということは、私はいまの段階では申し上げられない。ただ、中長期的には、やはり上昇していかざるを得ないのではなかろうかというのが現在での見解でございます。
  43. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 そうしますと、円高によるメリットの問題で、いわば石油業界はもう二兆円になんなんとするのでしょう。また電力業界においてもそれぞれメリットがあるわけですが、少なくとも石油業界の場合には、やはり円高メリットは還元すべきではないのか、そういう踏み切りの段階にきたのではないのか、こう私は言わざるを得ないと思うのです。しかし、もしそれができないというのであれば、何か石油税の創設について政府としては密約があるのか。あるいはまた、外国系の石油会社と民族系の石油会社の経理内容が極端に違っている。もちろん比較をすれば、昨今では外国系の精製会社の方が非常な莫大な利益を上げている。そういうアンバランスであるがゆえに、いわば民族系の経営の内容改善をこの機会にさせるということにウエートを置いて、そういう政府のいままでのいわば行政責任をここで果たしてしまうというような傾向からこのメリットを返さないのか。いろいろ判断してみると、どうもそういうところに通産省の考えがあるのではないか、こういうぐあいに私は言わざるを得ないのですけれども、少なくともこの円高メリットは還元するのかしないのか。電力会社に対しても、たとえば石油会社から電力会社に対しての油の値段について、電力会社は電力会社自体として差益があるならばこれをどうするのか、少なくともここは踏ん切りをつける段階にきた。まして二百二十円を割っているわけでありますから、そして最近の動向を見るともう二百三十円、二百四十円に円が安くなるという見通しはないと思うのですね。百三十億ドルの大幅黒字でありますし、今年の推計も百億ドルの黒字になるだろうという状況でありますから。それともまだ状況を見定めてから政府は決断するというのか、大臣、この辺はいかがでしょうか。
  44. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 いまの御質問の判断をするのには幾つかの要件があると思うのです。  まず第一は、現在の二百二十円という水準が果たしてこのまま続くのかどうかという問題がございます。実は、昨年の秋に二百四十円という水準になりまして、昨年の年末からことしの初めにかけましては大体二百四十円でほぼ安定するのではないかというのが内外の一致した見方でございましたが、急に最近二百二十円まで急上昇いたしました。その背景は、アメリカの大幅な赤字、それから日本の大幅な黒字、これが一番大きな理由でございますが、そういう背景を受けまして、わが国といたしましてもこの際、緊急輸入相当大幅に拡大する必要があるのではないか。いま百億ドルの黒字になるというお話がございましたが、そういうことにならないように、緊急輸入を思い切って拡大をしていく、この対策にいま取り組んでおるところでございます。近く具体的な内容を決定いたしますので、もう少しこの円高の推移については見きわめる必要があろうかと思います。  それから、石油業界はいま二兆円近い円高差益を受けておるではないかというお話でございますが、三百円前後の計算からいきますと、二百二十円という水準になりますと大体その見当の円高差益になるはずでございますが、しかし、一面コスト高の負担も相当ございます。一昨年の年末にはOPECの値上げもございました。昨年は据え置きになりましたけれども、この六月の総会、十二月の総会と二回の総会を控えておりまして、六月の総会では直ちに値上げということにならなくとも十二月の総会では値上げになる可能性もございますし、あるいは時と場合によれば六月の総会でもなおその動向は不明確である。値上げにならないとは断言し切れない、こういう情勢もございます。それから、先般、例の三菱石油の大事故に関係をいたしましてコンビナート防災法を強化をいたしました。この資金相当多額に必要といたします。それから、例の九十日備蓄、このコストの負担も石油業界にとりましては相当大きな負担でございます。それからまた、石油税の新設、これも年間二千億を超える負担になろうといたしておりまして、一般的な人件費とか、そういう面のコスト高のほかに、いま申し上げますような幾つかの確定的なコスト増加分あるいは不確定なコスト増加分が幾つかございますし、それから、なお、昨年の年末には、とりあえず灯油に関しましては値下げの行政指導をいたしましたし、つい先般もナフサについても値下げの行政指導をいたしております。  それから、なお、一般的に石油製品全体が相当大幅に全体としての値下がり、これは需給関係からくる値下がりが現在行われておるわけであります。そういう幾つかの要素がございますので、もう少しそういう要素の動きを見きわめまして、果たして値下げの余力というものがどれだけあるのかどうか、こういうことを最終判断をしたいと考えておるところでございます。
  45. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 次に、本題の石炭の問題に移ってまいりたいと思うのですが、私は、第一点としてこの際、大臣にお聞きいたしたいのでありますけれどもわが国石炭産業に対する認識の問題であります。  わが国石炭産業は、昭和三十一年以来、合理化法が制定をされて十数本にわたる法律をつくってスクラップ・アンド・ビルドが展開をされてきた。今日でも十本を超える法律でもって、いわば間接的な管理下に置かれておるわけであります。したがって、いまも石炭産業というものがいわば民有民営である、こう言い切れる状態に私はないのだと思うのです。かつて田中通産大臣は、石炭は国の管理で民営である、それが偽らざる石炭の実態である、そういう状況が続くであろうということを委員会で言ったことがあるのですが、大臣のその点についての認識はいかがですか。
  46. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 石炭産業につきましては、幾つかの国の助成策はございます。いろんな業種の中ではやはり石炭に対する国の助成というものが一番大きいのではないかと考えております。ただしかし、さらばといってこれを国有国営にするとかあるいは国有民営にするとか、そういう考え方はございませんで、現在の制度の至らざる点は十分手直しし、あるいは補強はいたしますけれども、現在の民有民営制度を基幹といたしまして石炭産業の経営は続けていきたいと考えております。
  47. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 しかし、民有民営であっても、緩やかな国の管理下に置かれているという点では認識は一致するんじゃないでしょうか、いかがでしょう。
  48. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 いま申し上げましたように、幾つかの助成策は講じております。しかしながら、これを国有に変えるとかあるいは国有民営に変えるとか、そういう考え方は現時点では持っておりません。
  49. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 私も別に国有にするとかしないとかという議論ではなくして、現状政策の流れを見ますと、国の管理下に置かれて民有民営の体制にあるというのがやはり素直な認識でなければならないのではないか、こう考えておるわけです。  第二の問題は、現在の石炭政策を進めるに当たって、何が一体最も合理的かつ経済的であるかという点の認識であります。今日の既存の炭鉱の状況をずっと見ますと、わかりやすく言えば、二千万トンの約半分は海の下を掘っている、あとの半分が陸地を掘っているという状況なわけであります。海の下を掘っているのは世界でも類例がないわけであります。そういう特殊性がある。そして、一般炭と原料炭がほぼフィフティー・フィフティーのような状況にある。しかも比較的大型炭鉱が残った。三池の五百万トン、四分の一生産する炭鉱を頂点にして、第二がその半分の生産の太平洋炭艦、そして百万トンクラスの出炭規模の炭鉱がある。こういう点から考えますと、資源論からいっても、石炭産業のあり方、あるいはまた自国内のエネルギー資源を国際連帯行動で確保していくという面からいっても、まず既存の炭鉱を基点にする一つのフィールド、鉱区、その資源というものをできるだけ既存の炭鉱を中心にして採掘をする、そういうことが一番合理的かつ経済的ではないか、私はこういう気がしてならないわけであります。もちろん、これからも開発可能性のある地点は私は当然幾つかあると思うのです。しかし、基本はやはりあれだけの規模の一社、一山、一社会的な一つの体制をとらなければ石炭の採掘はできないわけでありますから、そういう意味では、現有炭鉱というものを中心にして資源を大切に掘り尽くす、そのことがいまの石炭政策の中で最も経済的かつ合理的である、こう思うのでありますけれども、いかがでしょうか。
  50. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 御指摘のように、新炭鉱の開発可能性というものは常に調査を進めていく必要があろうかと思いますが、大きな山になればなるほどそれだけの基本投資も多くかかっておりますし、現有炭鉱と申しますか既存炭鉱を中心にして、あるいはさらにその周辺地区もあわせて開発していくという姿勢がやはり効率的な、基本的な姿勢ではなかろうか、かように思っております。
  51. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 次に私は、北炭問題についてこの際承っておきたいと思うのですが、北炭の再々建の問題は、三月の中旬だ、三月末だ、いや四月中旬だとこう言われておるのですが、四月の中旬ももう五日後に来ようといたしておるわけです。北炭の再建計画というものは出されておるのか、出されていないのか、いつ出されるのか、確たる見通しがあるのか、この点、まず承っておきたいと思います。
  52. 宮本二郎

    宮本(二)政府委員 北炭の再建計画につきましては、昨年来見直しをするということで、いろいろ会社側におきまして案を練っておる最中でございますが、労働組合の方と再建計画の大枠につきましては一応合意ができまして、いま細かい実施段階について協議を進めておる状況ではないかと思います。その間、若干夕張新鉱の生産量が落ちまして、これの回復に手間取っておったわけでございますが、ようやく四千トン台に乗せてまいりまして、現在、会社側から聞いております報告によりますれば、四月の大体下旬ぐらいには一つの再建計画の試案を提出いたしたい、こういうように聞いておる段階でございます。
  53. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 そうしますと、四月の末ごろとなりますと、四月、五月は現在の北炭の経営体制については心配がない、こう受けとめてよろしいですか。
  54. 宮本二郎

    宮本(二)政府委員 経理内容につきましては、非常に苦しんでおることは事実でございますが、やはりこの年度末が一番苦しい時期であったかと思います。年度末を越えまして、四月、五月の段階におきましては、年度末よりは大分負担は軽い状況ではないかと思っております。まあ、勝手な推測は許されないとは思いますけれども、無事ではないかというぐあいに考えております。
  55. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 たとえばこれから二十日間、四月の末になっても、新鉱の四千トンが実績としていわば大幅に改善をされるというものではないんだと思うのですね。やはり新鉱は、今年一年間、こういう手を打ったらこうなっていくという一つの展望に立って再建計画が組まれるのじゃないかなと私は思うわけです。そうなってまいりますと、いまの北炭の再建計画問題点はそういうところにあるのではなくして、別なところにあるのではないかという気がしてならないわけであります。そうしますと、もし別なところにあるとするならば、新鉱のいままでの経過、労使の協力体制、そして一応一年間を見通しての生産体制、こういうものをきちっと詰めて計画をつくっても、なかなか別の問題点を解決しなければ再建案というものは出てこないのではないのか、このような気がしてならないわけです。いま生産体制で言えば、幌内の場合、あるいは真谷地の場合については、実績からいっても生産体制は見通しがきくと思うのですね。新鉱だけが問題だ。そうすると、新鉱も一年間大体こういう方向でいかなければならないし、労使協力してやるという方針が決まれば、あと何が一体この北炭の再建計画を出すことに問題があるのでしょうか。われわれから見ていても、そこが一番今日不思議なところなんですね。そういう点では、北炭の再建計画が出せない問題の真のポイントは一体何でしょうかということなんですが、いかがでしょうか。
  56. 宮本二郎

    宮本(二)政府委員 新鉱の再建計画見直し案がおくれておるわけでございますが、私ども、そのおくれております最大の問題はやはり夕張新鉱の出炭量が安定しないということであったかと思います。このために、いままでは四切り羽でございましたが、予備切り羽を一つ設ける。五切り羽を弾力的に運営する。それからもう一つは、労使協力いたしまして、出勤率をもう少し上げるというような運動をいたしまして、五切り羽の操業をできるだけ高める、こういうようなことを努力しておったわけでございますが、これによりまして、四千トン台に乗せてきたわけでございます。いろいろ学者、専門家の方にも見ていただいておるのでございますが、それが軌道に乗りますれば、四千トン台から徐々に年間を通じまして上げていく、それを基本に置きまして再建案の経理面の展開を考えていく、こういうような段階でございます。実は、ようやく先月の中旬以降四千トン台に乗せてきておる段階でございまして、今後はその経理展開をどのようになしていくか、いろいろ労働条件も関係ございます。それから、金融機関の態度も関係ございます。いま、それを詰めておる段階でございます。
  57. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 北海道、地方自治団体も北炭に対する融資を行っておるという状況で、地域経済の住民あるいは働いておる労働者からすれば、どうも次々延びて一体いつになったら再建計画が出るのか、そういうものが定まるのだろうか、こういう不安と動揺はあるわけであります。そういう点で、鋭意この北炭の再建の方向をできるだけ早くひとつ示してもらうということを強く要望いたしておきたいと思います。  ただその場合、今度の労使の協定を見ましても、新鉱だけではなくして、清水沢鉱を新鉱と一緒にして会社を分離するという方針が出され、労使が一応合意をしている。しかも、清水沢は二年以内に閉山ということをすでに再建計画の中では予想している。したがって、将来この清水沢鉱が閉山すれば、分離されるであろう新鉱の再建にやはり大きな影響もあるわけであります。そういう意味で、清水沢の問題をどう解決していくかということも展望の中に含まれなければ、分離された新鉱の再建というものがなかなかぴちっと定まらないということになるのではないか、こう私は思うわけです。  そこで、それに関連する一点として、閉山交付金が旧方式から新方式に前の政策で変わっていったわけです。その中には、従来は坑道の資産とかあるいは鉱区というものを計算して、いわゆる買い上げ方式であった。今度は新方式で交付金方式に変えたわけであります。いわば労務債、それから鉱害その他の債務に見合う交付金、大まかに言えばこの二本立てに変えたわけです。そして、労務債のうち特に退職金については、昭和四十七年三月三十一日現在の労働省届け出の退職手当規程を基礎にして計算して、四百万円限度ということが定められておるわけであります。そういう面からいって、もうオイルショックを経て退職金の動向というものは大きく変わっていると思うのですよ。私はまず、労働省が来ておりますから、この四十七年から今日時点の他産業の退職金の水準はどのくらい変わっておるか、おわかりであればお聞きしておきたいと思うのです。
  58. 細見元

    ○細見政府委員 お答え申し上げます。  労働省では、モデル退職金につきまして、昭和四十六年と昭和五十年、二回調査を行っております。この調査によりまして、一般企業の退職一時金の水準を四十六年と五十年について比較をいたしてみたいと思います。  ただ、学歴、年齢、勤続年数などによって相違がございまして、一概に申し上げることは困難でございますけれども、たとえば企業規模全計、この調査は常用労働者数三十人以上でございますけれども、その企業規模全計の新制中学、旧制高等小学校卒の生産労働者の方について見ますと、四十九歳、勤続三十五年の場合をとりますと、昭和四十六年に二百七十三万円でございましたものが、昭和五十年には四百七十四万円で、一・七四倍となっております。なお、昭和五十年の場合につきまして、同じ四十九歳、三十五年勤続の方の企業規模別の状況を簡単に申し上げますと、企業規模三十人から九十九人までで四百四十六万円、対四十六年比で一・八一倍。同じく百人から二百九十九人で五百十二万円、同じく一・六三倍。同じく三百人から九百九十九人で六百二十四万円、一・六六倍。千人以上で七百七十五万円、同様に一・六六倍ということになっております。なお、これはただいま申し上げましたように、四十九歳、勤続三十五年の退職の場合でございますので、定年退職者の退職一時金を同じように昭和四十六年と昭和五十年について比較いたしてみますと、企業規模全計で、昭和四十六年が二百七十九万円でございましたのに対しまして、昭和五十年には六百四十四万円、二・三一倍となっております。  簡単に企業規模別につけ加えさせていただきますと、三十人から九十九人で、昭和四十六年二百三十一万円に対しまして、昭和五十年六百二十三万円、二・七倍。同じく百人から二百九十九人で、三百七十万円に対し六百五十七万円、一・七八倍。同じく三百人から九百九十九人で、四百三十九万円に対しまして七百八十一万円、一・七八倍。千人以上で、五百二十八万円に対しまして一千一万円、一・九倍となっております。  以上でございます。
  59. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 いま労働省から言われたように、この間、大変な変化があるわけであります。したがって、当然これは見直しをしなければならぬのではないかという点が一点であります。  第二点、鉱害の場合も、現状の産炭構造と決めたときの産炭構造は違うわけですね。北海道地域は六百五十円ですよ。九州は千三百円ですね。その他が八百円なんですよ。九州は、もし対象になる炭鉱とすれば三山しかないですね。その他は一山じゃないでしょうか。一山もないかな、常磐が対象になるかどうかということですね。そうしますと、北海道地域が六百五十円、九州が千三百円というのも見直しをしなければならぬのではないのか、現在の産炭構造に合わせてこれを考え直さなければいかぬのではないか。  いずれにしても、閉山交付金——われわれは閉山は反対であります。また、いまの政策は二千万トンを維持するという政策でありますから、この点は余り議論したくないのでありますけれども、現実に北炭の再建の問題、二坑が閉山され、化成が閉鎖され、今度は協定の中に清水沢鉱の閉山があるということが予想されているのでありますから、基準は見直しをしておくべきではないかと私は思うのですけれども、この点検討される御意思がありますか。
  60. 宮本二郎

    宮本(二)政府委員 御指摘の閉山交付金制度の基準でございますが、ただいま先生の御案内のとおり、単価その他については制度創設時と大分変わっておろうかと思います。  ただ、本件につきましては閉山交付金制度そのものの一つの問題があろうかと思います。閉山交付金は、閉山のときにおきます企業に対する一つの助成になっておるわけでございまして、昭和五十年七月の第六次石炭鉱業審議会の答申におきましてやはりこの制度をどうするかということが一つの論点になったようでございます。その中におきまして、今後は助成対象とする債務の範囲等について極力企業負担による債務処理を行わせる方向で閉山対策の取り扱いを検討する必要がある、こういう論旨が出ておるわけでございます。いわば閉山について助成するのはおかしい、できるだけ会社負担の方向見直したらどうか、こういう論旨でございます。こういうような状況でございまして、私ども、先生の御案内のようなことは一つの議論ではあろうかと思いますが、助成するのであれば、閉山に関連しての助成ではなくて、別途のもう少し本質的な方向での助成が本来の筋ではないだろうか、こういうように気持ちとしては持っておる次第でございます。いずれにいたしましても、取り扱いにつきましては慎重に検討いたしたいと考えております。
  61. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 石炭政策は短い政策ではなくして、有沢調査団が発足して以来もう十八年近くもなるわけでありますから、長い歴史があるわけであります。そういう意味で、長い歴史の流れというものを十分尊重してこの点を検討すべきだということをこの機会に申し上げておきたいと思います。  労働大臣の時間が十二時半だそうでありますから労働大臣に質問しておきますけれども先ほどもちょっと出ましたけれども、緊就、開就については、前に離職者臨時措置法の改正のときに附帯決議もつきましたし、大臣所信表明もありました。そのときに石田労働大臣は、緊就、開就については、五カ年間の法律の延長であるが、少なくとも石炭特別会計が存在して財源の裏づけがある限りにおいては、別に五年とかそういうものにこだわらないでとにかく続けていくのだという明確な表明があったわけです。したがって、藤井労働大臣は、石田労働大臣考え方と同じである、そういう方針で姿勢で臨んでいかれる、こう受けとめてよろしいかどうか承っておきたいと思うのです。
  62. 藤井勝志

    ○藤井国務大臣 ただいま御指摘の炭鉱離職者の緊急就労対策事業並びに産炭地域開発就労事業の存続につきましては、御指摘のように、昨年炭鉱離職者臨時措置法の延長の御審議の際、当委員会から附帯決議がなされておるという経緯も承知いたしておりますし、また、ただいまお話しの石田前労働大臣も当委員会において、再三にわたって産炭地における雇用、失業の状況、就労者の就労及び生活の実情から見て必要な限り継続実施することを表明されております。私もそのような考え方と同じ認識を持っております。したがいまして、同じような対応をしてまいりたいと考えております。
  63. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 今年度昭和五十三年度の求人倍率の動向は、仕事を求める者が二人に対して求人が一人、二分の一、こういう動向でいくのではないかという認識については大体間違いがないのか、それよりも好転する可能性はあるのか、いかがでしょうか。
  64. 藤井勝志

    ○藤井国務大臣 現在手元にあります数字は、二月現在、完全失業者が百三十六万人と一月よりも約十万人ほどふえておるわけでございまして、御指摘の完全失業率二・五%、有効求人倍率は〇・五四という、〇・五倍が続いております。まだ三月の実態が正確につかめておりません。私は、たまたま土曜、日曜と地元へ帰りまして、岡山県の事情を調べてみましたが、公共事業、建設関係の求人がややふえて好転をしているという現場の声でありまして、それが全体であるならば大変幸せだと思いますが、しかし、たび重なる円高の関係、そういったことで楽観を許さないという認識のもとに雇用対策を今後もきめ細かく進めていかなければならぬと思っております。
  65. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 大臣は時間ですから、産炭地関連があるものですから、これを申し上げておきたいと思うのですが、先般、恐らく地元からも陳情があったと思うのですが、特に、釧路地域とか稚内地域産炭地でありまして、そして、二百海里問題で日ソ漁業交渉の結果、昨年、一昨年大変揺れて、雇用調整金等の業種指定も行ったわけであります。ところが、二百海里問題は、ことしが本格的なものなんですね。去年は休んだのだけれども、一−三月のスケトウの水揚げが多かったからまあまあでいったわけです。ことしは完全に初めての日ソ協定でスケトウが半分になりましたから、スケトウ型の水産加工群の配置でありますから、がくっと来るわけです。また、関連業界が昨年よりも大変苦しい状況に置かれている。これが実態であります。しかし、雇用調整金の指定延長を受けておりますから、もしこれが、雇用調整の対象になるとするならば改めて再指定して対処しなければならない。こういう状況に置かれているわけです。  そういう意味で、この点について、特に労働省として実態を十分把握されて、近く北海道全体として労働省に対しても陳情するという状況でありますので、大臣の方でもよろしく配慮を願いたいということをこの機会に申し上げておきます。これは答弁要りません。  これで労働大臣に対する質問を終わりたいと思います。  次に、最近の需給見通しについて承っておきたいと思うわけです。  三月末の速報では、貯炭は、原料炭と一般炭一体どの程度なんでしょうか。
  66. 宮本二郎

    宮本(二)政府委員 五十二年度需給につきまして、現段階での数字を、見込みについて申し上げたいと思います。  五十二年度の供給につきましては、大体当初予定いたしましたとおり、計画にほぼ近い二千十八万トンの見込みでございます。ほぼ計画どおりでございます。  需要につきましては、電力需要で当初見通しに対して十七万トン程度の引き取り増があったわけでございますが、鉄鋼業界の引き取り量が、有明炭鉱のノリ紛争の問題で供給不足といったこともございまして、計画数量七百五十万トンから約六百七十万トン程度に大幅に減少いたしております。また、暖房炭についても、生活様式の変化がございまして、これで十万トン強減少いたしております。そのほか景気の後退、公害規制の強化といったことで、各分野において少量ずつ引き取り減がございます。  こういうことで、全体として需要の方は計画数量より百十三万トン程度減少いたしております。その結果、需要がトータルで約百万トン減ることになりまして、貯炭が五十二年度末で約百八十万トンという状況になっております。この中身を申し上げますと、原料炭が約百万トン、一般炭が八十万トンという状況でございます。
  67. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 昭和五十三年度末の原料炭、一般炭貯炭見通しはいかがでしょうか。また、そういう需給調整に対応する政府対策はどういうことを考えておられますか。  もちろん需給拡大は、こういう状況になってまいりますと、石炭業界自体が需要拡大に積極的に努力をすることもきわめて基本になってくるわけですが、いずれにしても貯炭はふえていくでしょうから、政府としてはこの需給動向に対応してどういう対策考えておるかという点について伺っておきたいと思います。
  68. 宮本二郎

    宮本(二)政府委員 五十三年度需給につきましては、現在、生産者及び需要者から見通し調査中でございます。今後石炭鉱業審議会で十分御審議いただくことになりますので、現在、私ども申し上げられる段階にない状況でございますが、一般状況を見ますと、鉄鋼業界を中心といたします需要業界は停滞いたしておりますし、公害規制の方もむしろ強化されておるような状況がございまして、需要増はきわめて困難な状況にあると言わざるを得ないと思っております。  こういう状況でございますが、引き続き需要業界の協力を得るということで、ユーザー業界に現在いろいろ協力をお願いしておる段階であります。  このほか、セメント業界等の新規需要を開拓いたしております。重油から石炭に燃料を転換するのに応じて国内炭の引き取りをお願いしている。それから北海道の関係でございますが、暖房炭に対してきめ細かい各般の体制をとる、こういうようなことで何とか需要の確保を図ってまいりたい、こう考えている状況でございます。
  69. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 私の見通しでは、五十三年度末の貯炭は三百万トンを優に超えるだろう、一般炭で百七十万トンくらいになるかな、それに原料炭がいまの百万トンベースを上回る、こう見れば三百万トンを上回るわけですが、そういう認識でよろしいですか。
  70. 宮本二郎

    宮本(二)政府委員 なかなかむずかしい問題でございますが、五十二年度末現在で百八十万トンでございますので、二百万トン台には相当乗せてくるのではないかと思いますが、先生のおっしゃるような数字になりますかどうか、楽観は決していたしておりませんが、まだそこまでは何とも申し上げられない状況ではないかと思います。
  71. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 石炭の場合には、長いこと政府政策を受けてきたものですから、黒字であってもなかなか金が回らないという傾向が特徴的であることは、政策をやってきたものとしてわれわれも知っておるわけです。  そこで、貯炭融資は、在庫の問題でありますからなかなかむずかしいことは承ってわれわれも承知をいたしておるわけですが、現行の経営改善資金、事業団業務方法書の百三十五条、一、二、三、四項目があるわけであります。このうちの第三「石炭需要者における生産調整等による石炭の引取量の減少またはストライキ等の輸送障害の発生により、」云々とあるわけです。この項を少し弾力的に運用されれば、もちろん企業によっていろいろ違いがあると思うのですが、別に追加しなくても、この第三を読む限りにおいてはそういう面にはある程度対応できるのではないかと私は解釈をするのですが、そういうふうには読めないでしょうか。
  72. 宮本二郎

    宮本(二)政府委員 貯炭融資につきましては、いま先生おっしゃいましたとおり、企業の経理状況も経営改善資金制度をつくりました当時に比べまして大幅に改善いたしておりまして、まず自主的な企業経営という観点から、市中金融を原則としてやっていくのが本来の筋ではないか。私ども、経営改善資金制度は一つの緊急避難と申しますか、一時的な運用と申しますか、そういうものに対処するということでできた制度でございまして、そのたてまえはできるだけ崩したくない、こういう気持ちでございます。  まあ先生の御案内のようなケースに当てはまる場合も出てくるのではないかと思います。すべてのケースがここに当てはまるということにはならぬかと思いますが、そういうケースもあり得ると考えております。
  73. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 ことしの輸入炭の落ちつき見込みは幾らと想定いたしていますか。そして、先ほど部長が説明された、たとえばセメントのような場合、キルンを油から石炭にかえる、国内炭は高いので安い外国炭を輸入する、こういう点で外貨の割り当て方式とかいろいろな対策を立てられるのだろうと思いますけれども、問題は輸入一般炭ですね。これは五十三年度一体幾らになるでしょう。
  74. 宮本二郎

    宮本(二)政府委員 五十二年度におきます一般炭輸入量は、八十五万トン程度でございました。五十三年度におきましては、いま全般の需給状況を見て決める関係ございまして、まだ決まっておるような段階ではないのでございますが、まずこういうような状況でございますので、できるだけ抑制的に運用いたしたいとは考えておるのでございます。そういう点で、幌内炭鉱の事故の影響を受けて入れておりました暖房炭のようなものは、もうこの際、輸入を抑制いたしたい、こういう方針をもっておるのでございますが、一般炭輸入につきましては、従来から国内炭サルファ調整、こういった補完的な要素が圧倒的に強いわけでございまして、一概にこれを切りますと、国内炭需要まで断ち切ってしまうことになります。先ほど先生申されましたセメントにつきましてもそういう状況がございまして、一般炭輸入を認めなければ転換ができない、こういう状況がございまして、国内炭の引き取らせる量につきましても一定量の限度があろうかと思います。そういうような関係でございまして、五十三年度輸入につきましては、本年度よりはふえざるを得ないような状況感じておる次第でございます。
  75. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 今年度の炭価の問題ですが、原料炭の場合には、せっかくの努力によって、昨年苦しい中、需要界の協力を得て平均千五百円、段階的ないわゆる値決めを行っておりますから、今年度は、昨年一年度のトータルで比べますと、トン四百円の収入増になるわけですね、原料炭の場合は。一般炭の場合は、平均で千五百円に決めたわけですから、上がらなければゼロになっていくわけですね。そういう意味で、今日の経済情勢では非常に困難があるでしょうけれども、この見通しについて何か当面ありましたらお伺いしたいと思うのですが、いかがですか。
  76. 宮本二郎

    宮本(二)政府委員 国内炭の価格につきましては、先生よく御承知のとおり、石炭生産コスト、それから石油価格、石炭輸入価格、その他の経済事情の実情を踏まえまして、関係者が、有識者集まりまして石炭鉱業審議会の場で十分審議していただく、こういうような段階でございまして、いまの段階で何かと申し上げられるような状況には全くないのが率直な現状でございます。ただ、一点だけ強いて申しますれば、五十二年度の炭価改定までは過去の赤字分を上乗せしてまいりました。オイルショック以降赤字分を上乗せして値上げしてまいりました。その結果、昨年につきましては、一般炭千七百五十円、それから原料炭につきましては下半期千九百円というかなり大幅になったわけでございます。五十三年度につきましては、その赤字分は一応はない、五十三年度の価格上昇分についての議論になる、こういうことではないかと思います。したがいまして、たとえあったといたしましても、五十二年度までのような大幅なものではない、そういうような感じをいたしておる次第でございます。
  77. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 先ほど山下議員から、石炭利用技術開発について質問があったわけです。先般も参考人にわれわれ伺ったわけですけれども、二千万トンという位置づけをして大体一般炭と原料炭がフィフティー・フィフティーだ、こういう量、そして今日の需給の体制、こう見ますと、これから開発される石炭利用技術というものは国内炭にはほとんど適用にならない、対象にならない、強いて言えば三池炭くらいである。これは量的なものですな、あっちこっち持って歩いたのでは、運搬賃ばかりかかって、コストが上がるわけですから、そう素直に理解するのがいいのだと思うのですが、今後のわが国の産業構造のあり方として、いろんなプロジェクトを輸出をする、新技術を輸出をする、この面では大いに役立つでしょうし、わが国のこれからのエネルギー政策の中で、大量に把握できるかどうかは別にして、海外石炭を対象にしていまの技術開発が進められていく、こう素直に理解することがきわめて正直であるし、わかりいいのじゃないかなと思うのですが、どうでしょうかね。
  78. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 私は、必ずしも御指摘のようには理解いたさないわけでございます。  先ほど来お話が出ておりますように、石炭利用拡大していくためには、当然その利用技術開発していくということがその前提条件になってくるわけでございます。たとえば燃焼に当たりまして、排煙脱硫だとか排煙脱硝、あるいは石油との混焼、さらにはガス化液化、こういうことになってまいりますと、特にガス化液化ということになると、いまも御指摘のありましたように、バルキーカーゴーでございますから、余り移動を伴うようなことであれば、経済的にも成り立たないということでございます。特に国内炭は、硫黄、いわゆるサルファも多いわけでございます。そういったふうに考えますと、現在の利用技術のテーマというのは、私はむしろ国内炭利用拡大するための利用技術開発に重点があるというふうに考えておるわけでございます。
  79. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 脱硝あるいは脱硫、排煙脱硫等の研究が進み、そういう中で考えると、やはり立地があれば一般炭は電力で使う。もちろんそれ以外に下水の汚泥処理とか、それは一部分あると思うのです。しかし、大宗をなしている、サンシャイン計画一環をなしている液化ガス化というものになってくると、あるいはコロイダル燃料、電発のCOMですか、これらを見ても、やはり大量に把握できる外国炭が対象になって、まあ使えるならば補助的に使っていく、そういうのが私は本当だと思うのです。まして、年数的に私は見るわけです。ライフを見るわけですね。これは余り議論を詰めておく必要はありませんけれども、やはりわれわれは素直に、いま立地があるならば、そういう方向で消化をすることが一番経済的だろう、一般炭であれば電力でたくというのが一番経済的であろう。そういう意味で火力発電所をつくっていくということが非常に大事だということを強調するがゆえに質問したのでありますから、そういう意味でひとつ御理解を願っておきたいと思うのです。  そこで、石炭海外開発現状と展望でありますが、私の承知しておるところでは、日本の炭鉱会社が外国で炭鉱の開発をしているのは、三井のカナダにおける水力採炭の炭鉱一つ、それ以外にはないと思うわけです。しかし、昨年法律の改正も行われて、また中間答申に示された千六百万トン方向に外国炭を自主開発もするという政策が据えつけられた。こういう点で各社それぞれ努力をされておると思うのですが、最近の、今日時点の、海外開発の自主開発現状はどのようになっておるでしょうか、承っておきたいと思うのです。
  80. 宮本二郎

    宮本(二)政府委員 海外開発の問題につきましては、昨年の通常国会におきまして、石炭合理化事業団の業務方法を改正いたしまして、探鉱融資開発資金の債務保証等、石炭鉱業権者を中核といたします開発共同体につきまして助成できる道が開かれておるわけでございます。まだちょうど一年弱だったところが現段階でございまして、必ずしもその制度によって大幅に推進されたというような実績が出ておるような状況とはまだ確かに言えないと思いますが、この制度をいろいろ利用いたしまして、豪州、カナダ等に数件のものが出ておる次第でございます。  現在の海外炭開発につきましても、まず当初は、やはり、すでに海外で開かれております炭鉱からの既設分の輸入ということになろうかと思いますが、長期的には、やはり開発輸入を前提に考えていかなければなりませんわけで、こういう開発輸入を目指しますプロジェクトもいろいろ出てきておる段階でございます。今後、先ほど大臣答弁にもちょっとございましたが、需要家とそういうところも含めました何か新しい体制ができないかどうか、十分検討いたしてまいりたい、このように考えております。
  81. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 先ほど大臣が田中議員の質問に対して、鉱業権を買うというか、鉱区を買うというか、外貨減らしの一環としてそういう要請も聞いておるので、十分検討して対応してまいりたいという趣旨の答弁がありました。その中で、鉄鉱会社が原料炭の鉱業権を買う、あるいは鉱区が買えるかどうか、そういう措置をするということはわかるのですけれども一般炭の場合、電力会社がそういう鉱区あるいは鉱業権を買うというような答弁先ほど行われたわけです。合理化法のたてまえは、石炭会社が開発をするというのがいまの合理化法のたてまえであるわけであります。したがって、この間、大臣はどういう理解をされて先ほどの御答弁があったのか、この機会に承っておきたいと思います。
  82. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 一般炭は、昭和六十五年に四千万トンの輸入計画でありますが、当面は数百万トンだと思います。数百万トン程度であればスポット買いが十分できるわけでありますから、開発輸入の必要もないと思いますが、昭和六十年の千六百万トン、六十五年の四千万トンという体制を確立するためには、これはやはり開発輸入が必要だ、こう考えておりますが、先ほどの御質問は、電力会社から外貨貸し制度の申し入れがあった場合にはどう対処するのかという御質問の趣旨のように受け取れましたので、そういう申し入れば現在はないが、もしあれば鉄鉱会社と同じようにその制度の活用ができるように検討いたします。そういうことを申したわけでございます。
  83. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 先般、伊木参考人からもこの問題について話を伺ったのですが、大体日本の出方が遅いものですから、石油メジャーがすでに石炭鉱区を相当買い占めている、こういう状況で、日本の対応は非常に遅い。そして、現状先ほど部長が説明したとおりだ、こういう状況であります。そういう面から考えても、先ほど述べられましたように、将来四千万トンの一般炭開発輸入をするという方針が示されておるわけですから、したがって、石油のウエートから他のエネルギーのウエートのバランスを考えてそれぞれの政策を進めていくという観点に立てば、いまの石炭会社の体質ではなかなか思い切った海外開発というものができる状況にはないのだと思います。そういう意味で、石油開発の場合には探鉱に対して出資をするわけですね。これは当たれば油が出てくるわけであります。したがって、そういう面から考えれば、合理化事業団という一つの組織があるわけですから、合理化事業団が出資もできるというような弾力的な体制をつくっておく必要があるのではないか。いずれコールセンターができるとすれば、全理化事業団が出資をすることに私はならざるを得ないのだと思います。実現をするためには。したがって、そういう点についてもう少し、せっかく法律を出してこれから強力に進めていくということであれば、しかるべき審議会においても十分意見を聞いて、そういう方向についても議論をすべきだ、こう思うのですが、いかがでしょうか。
  84. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 先生御承知のように、現在の海外炭開発の助成制度といたしましては、一つは可能性調査補助金でございます。二つ目には探鉱資金の貸し付け、三つ目には開発段階におけるいわゆる開発資金に対する貸し付け、この第三点目の開発資金の債務保証程度で足りるのかというお尋ねかと思います。  問題は、要するに経済的に、安定的に開発輸入ができるかどうかというところにポイントをしぼるべきだと思います。したがいまして、海外における各国が地下資源に対するどういう法制を持っておるか、あるいはどういう政策的な姿勢を維持しておるか、さらには日本の立場といたしましては、そういったことのメリット、デメリットということも考えなくちゃいけないと思います。また一面、国内の石炭各企業が非常に優秀な技術陣を持っておるわけでございまして、これをどのように活用するか、ただいま例示的に申し上げたような事情も勘案いたしまして、今後の積極的な検討課題としてまいりたい、こういうことになろうかと思います。
  85. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 先ほど述べましたように、すでに稼行している海外開発の炭鉱としては原料炭の三井のプロジェクト一つでありますから、それぞれ国のもちろん鉱業法も違いますし、いろいろ違いますから、一点突破主義ということもあるわけですよ。しかも石炭の場合に、油と違って、大体ボーリングを打って炭層状況を把握すれば、相当精度の高い把握ができるわけですね。そうすると、この一点突破で進めて、それをさらに次々へと連鎖的に開発ができる、対象となるところはもう決まっておるわけですから。そういう意味で考えますと、もう少しこの段階できめ細やかな、せっかくそういう海外開発政府の助成等の措置をするわけですから、その推進を図るための考え方をもう少し具体化する必要があるのじゃないか、こういう私は考え方を持っておるわけです。そういう点について、結論はどう出るか知りませんけれども、そういったような検討、研究をぜひしていただきたい、こう思うのですが、いかがですか。
  86. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 先ほどもお答えいたしましたように、長期にわたって安定的、経済的に海外炭開発し、これを輸入してくる、そのための方策としてはいかにあるべきかという観点に立って検討してまいりたいと思います。
  87. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 この際、石炭火力の問題でちょっと伺っておきたいと思うのですが、来年の需要関係先ほど質問したとおりでありますから、五十四年度需要を、再来年を展望する場合に、電発が進めている松島火力、それと北電が進めている苫小牧の三十五万キロの現状、これは五十五年春ごろにはできるのではないかと言われているわけです。そうしますと、この二つの電力会社では国内炭——北電は国内炭オンリーでしょう、松島の場合には輸入国内炭になるのでしょう、そういう点については引き取りは大体いつごろから始まる見通しを持っておられるのか。この点、これからの需給調整展望をわれわれが見定める場合に重要だと思いますので、伺っておきたいと思います。
  88. 宮本二郎

    宮本(二)政府委員 いま苫東厚真火力発電所と松島火力発電所と二つ、先生例示いただいたわけでございますが、苫東厚真火力発電所につきましては、当初、たしか五十四年十一月運開というように覚えておりますが、少しおくれそうなような状況を聞いておりまして、石炭の引き取りはやはり五十四年の末ないし五十五年に入ったぐらいのところから順番に始まり出すのではないか、このように考えております。  松島火力につきましては、もう少し時点が、五十五年、六年とおくれます関係上、まだ石炭の引き取りにつきまして具体的な情報は聞いておりません。
  89. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 特に今日問題となっているのは、北海道における道東火力、まあ十勝との境の釧路地区の火力、これが問題になっておるのですが、先般四ッ柳社長は現地に参りまして、立地希望が、音別、浦幌とか、それから白糠、釧路が希望がある、新方式としてどこにつくってほしいか地元で決めてくれ、そうしたらそこを調査しましょう。非常にこれは単純明快でいいかもしれませんけれども、少なくとも公益事業の電力会社が自分の電力供給の任務を果たす、そしてまた、立地政策としてどこがいいか、自分の財産をつくるわけですから、それはみずから決められることが私は常識ではないかな、こう思うわけですよ。そういう点についていかがでしょう。
  90. 服部典徳

    ○服部政府委員 北海道の電力の需給状況でございますが、ただいま十年間の計画というのを取りまとめ中でございます。それによりますと、五十七年におきまして需給ギャップが非常に明らかになってきて、五十八年からは予備率がマイナスになるという計画になっております。したがいまして、これから新たな電源につきまして電調審の決定を見、速やかに着工しなければいかぬ、こういう情勢でございます。  また、御指摘がございました北海道の東、道東地区でございますが、ここには目ぼしいと申しますか、大きな電源というのが現在ございません。そういう意味から申しまして、電力サイドからも道東地区に火力発電所ができるということは非常に望ましいと考えますし、エネルギー対策上もやはり必要であるということから、石炭火力推進というのを通産省としても道東地区に行うべきであるという見解を持っておるわけでございます。  ただ、いま御指摘のございました、地元で地点を決めてくれるのが先決だというような趣旨の発言があったようでございますが、電力会社が火力発電所を設置いたします場合には、当然、地元の理解と協力ということが前提になります。特に、石炭火力の場合には環境対策、これに十分意を払う必要がございますので、そういった観点から、地元の意向をぜひ尊重したいという姿勢からそういう発言になったのかと思いますが、当然、最終的にはそういった地元の御意向を踏まえ、また環境対策その他、立地条件を踏まえまして電力会社として決定すべきものだ、かように考えるわけでございます。
  91. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 電力会社の電源の立地が非常に問題になっておる折から、ぜひ発電所をつくってくれ、こう言うのですから、これは特に石炭火力ですから、地元の合意も得られておるわけです。そういう意味で、多少専門的に検討してみても立地は明らかじゃないか。要するにNOx対策が大気汚染の関係でできるならば釧路が一番いいわけです。あと、海の調整が西港を中心にしてできればいいわけですよ。はっきりしているわけです。あと、炭の輸送などから考えても、将来、石油の基地がすぐ横にありますし、港だから外国炭だってすぐ入ってきます。五万トンの船が着くわけでありますから。しかし、大気汚染の関係で無理だとすれば離す以外にはないわけです。そうすると、あとその地点における海の調整。そうすると音別の方になるでしょう。そうむずかしくないと思うのです。どう検討してみても。そういう意味で、私は、地元の方もそういう意見の調整、協力することは結構ですが、通産省としても指導性を持って、ひとつこの問題がスムーズにいけるように指導願いたいものだ、こう思うのですが、いかがでしょうか。
  92. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 石炭火力に限らず、電源立地を進める場合に、その地域における地質構造だとか、あるいは気象条件だとか、おのずから適地というものは出てくるんだろうと思いますが、それに加えまして、地元の理解と協力を得なくちゃいけない。現在、御指摘の地点につきましては、むしろ理解と協力があり過ぎるために北電の社長としては御指摘のような発言もしたのだろうと思いますが、もちろん最終的には電力会社が企業責任のもとに具体的な立地点を決定すべきだと思いますが、結果として地元に後遺症が残らないようにといったような配慮もあったろうかと思います。御指摘の線に従いまして私たちも指導してまいりたい、かように考えております。
  93. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 ぜひひとつそういう方向で進めていただきたいと思います。地元においては、大体野党も決議をして完全一致しているわけですから、自民党から共産党を含めて全体がこれは一致しているわけです。あとは、そういう問題は基準がございますから、それに適合する地点で問題を解決していかなければならない、こういう姿勢を持っておりますので、十分念頭に入れておいていただいて、多年の問題でありますし、どうしてもこれは必要でありますので、いま長官答弁方向で御指導願いたいということだけをきょうは申し上げておきたいと思います。  次に、これからの石炭政策課題、来年度いろいろあると思うのです。いろいろあると思うのですが、私は、一つだけ問題提起をしておきたいと思うのです。  わが国の炭鉱は深部化していく。深部化していけば、もちろん通気の関係、排水の関係、地熱の関係、もちろん地圧もあるでしょう。だが、しかし、これらを克服して石炭採掘をするとすれば、深部対策としては、労働時間が極端に短くなるということは能率の低下につながってまいるわけです。そうしますと、一定の実労働時間を確保するということが最も最優先された基本的考え方でなければならない。同時にまた、人間がスムーズに交代できるという意味は、骨格坑道が整備をされて、通気関係も排水関係もいいという意味なんですね。全く同義語であると受けとめてもいいと思うのです。したがって私は、人車坑道を中心にする主要坑道が整備をされる、そうして人車設備でもって速く坑内におりていける、早く上がることができる、したがって実労働が伸びる、この基本がなくて深部採掘に対する対応はないと思うのです。そういう体制ができてくると、温度の問題あるいは通気、排水の問題はもちろん系統的に当然できますし、それが大体常識的にそうであると、こう言っていいのではないか、こう私は思うわけであります。そういう意味で、来年度課題として、いまからそれぞれ各社にそういう点についても検討させていただいて、これを中心にしてひとつこれからの深部採掘に対する対応策を立てるということが大事じゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  94. 宮本二郎

    宮本(二)政府委員 今後の炭鉱の合理化、近代化につきまして、先生の御提言、まことにそのとおりであろうと思っておる次第でございます。  昨年の七月に決めました石炭鉱業合理化基本計画、この中におきましても、長期的かつ安定的な石炭生産体制を確立するためには、坑道展開の促進による効率的な坑内骨格構造整備、これを推進せよということを大きな一つの柱にいたしておるわけでございまして、海底炭鉱の比重が高いことあるいは深部化すること、こういう点を考えますと、坑内の骨格構造整備、合理化、こういう点につきまして、来年度に限らず今年度もそうでございますが、一つの大きな課題でございまして、いろいろ助成策等そういう点を十分踏まえまして、今後充実に努力いたしたい、このように考えております。
  95. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 時間がなくなってまいりましたから、保安の問題について一点承っておきたいと思います。  炭鉱保安もずいぶん改善されてきたということは、統計的にははっきりしていると私、思います。たとえば特徴的に、最近の重大災害の傾向は死亡災害でどういう状況になっているかという点が一点であります。それと、かつて委員会で私も問題を提起して、これを素直に取り上げていただいて、行政指導の中から自主保安体制の確立という点が努力をされてきたわけでありますが、その点検の状況はどうかという点であります。それと三番目には、鉱山保安法における労働者側推薦の保安監督補佐員の位置づけを改めて問いたいと思うのです。言うなれば、保安監督の際に保安監督員がいて、そしてその保安体系は会社の組織機構の中にあるわけですね。そこに労働者推薦の保安監督補佐員が存在しているわけです。だから当然、給与の体系もあらゆる体系もぴちっと位置づけされないと法の精神にかなっていないと私は思うわけです。この点はどういう見解を持っているか、この点について承っておきたいと思います。
  96. 高瀬郁彌

    ○高瀬説明員 お答えいたします。  最近の災害の状況でございますが、ことしに入りましてこの三カ月間に遺憾ながら十名の死亡者を出しております。これは重大災害ではなくて、すべて頻発災害ということでございます。この災害の原因追及を目下しているわけでございますが、いままでわかりました範囲内では、罹災なされた方々が注意をしてくだされば防げたような事故ではないかというようにわれわれは認識をいたしております。したがいまして、労働組合に対しましても、こういう点があるということを申し述べまして、協力方を要請しているというのが現段階でございます。  それから、災害の原因につきましては、表面的な原因ばかりではなくて、やはり心理的ないろいろな要因があるわけでございまして、その辺につきまして、炭鉱に対しましてその原因分析をして、自後こういう頻発災害が起こらないように対処せいということを指示しているわけでございます。  それから、保安体制の整備の問題でございます。炭鉱におきます保安の確保の基本的大前提はやはり自主保安の体制を労使で組み立てるということかと思います。昨年八月から自主保安体制の今後のあり方ということで炭鉱と鉱山保安監督官の間で御議論をしていただきまして、やはりより一層強化すべきであるという結論に達しております。現在それを踏まえまして、上席係員のチェックのあり方をどうするかとか、それから監督員並びに監督補佐員はどういう役割りをしてサイドチェッカーの役割りを果たすかという点をいま具体的に詰めているわけでございます。  毎年五月から六月にかけまして保安計画の審査というのが地方監督部で行われます。その際に、個別炭鉱の実情を考えながら具体的な対策を打っていきたいというように考えております。  それから監督員、補佐員の問題は、この議論の過程でかなり出てまいったわけですが、やはり会社におきます給与体系だとか身分体系等々ございまして、いまのところ個別炭鉱におきます実情を踏まえた上で具体的に解決してくれということにしております。  以上でございます。
  97. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 いずれにしても、フランスの場合も坑内の条件が非常に悪いし、確かに採掘コストが高いわけです。現在でも大体二千二百万トン体制を維持しているわけです。歴史的に見てフランスの出炭規模日本規模というのは大体ずっと一緒なわけです。わが国は二千万トン、フランスは大体二千二百万トン。坑内状況その他についても全く同じような条件である。しかし、今日の総合的なエネルギー源を確保していくという面から考えまして、国際連帯としてフランスも二千二百万トンを大体がんばってやっておるという状況でありますし、同時にまた、わが国の採掘技術も水力採炭あるいはWSD、こういう方式は海外でも高く評価されているというものがありますから、今後の海外開発についての技術の温床としても国内炭鉱というものを位置づけをしていかなければならない。その最たるものは地域経済の問題であることも、大臣御承知のとおりであります。したがって、このように揺れる経済情勢の中で非常な困難もあるでしょうけれども大臣が今回の所信表明でも述べられたように、国内炭位置づけ、安定と同時に海外開発についても、あすでは遅過ぎるという意味での積極的な施策の展開を、私は最後に特に大臣に強く要望、期待を申し上げまして終わりたいと思うのですが、所見があれば承っておきたいと思います。
  98. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 石油がだんだんと減少してまいりますので、かわって石炭重要性が見直されつつあるというのが現状でございます。そういう角度から国内炭政策海外炭政策、いろいろ総合的に、かつ強力に進めていかなければならぬと考えております。
  99. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 それでは、終わります。
  100. 細谷治嘉

    細谷委員長 権藤恒夫君。
  101. 権藤恒夫

    ○権藤委員 前者と幾分重複するところがあると思いますけれども、それを避けながら、約六点にわたって質問していきたいと思います。  初めに、長期エネルギー需給計画についてでございますけれどもわが国の長期エネルギー需給計画は昨年夏に一応見直しが行われましたが、この長期需給暫定見通しとして示されたことに基づいて諸般の総合エネルギー政策が進められております。この中で、石炭につきましては昭和六十年度対策促進ケースで国内炭の二千万トンも維持していく、海外からは一般炭を一千六百万トン輸入する計画となっております。  そこで、この暫定見通しにつきまして、現在、最終のものとして確立するための作業が進められておると思いますが、この作業状況はどうか、また確定した段階石炭の数量に変化があるのかないのか、その見通しについてお伺いしたいと思います。
  102. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 昨年六月に策定されました需給暫定見通し、これは対策について現状を維持する場合と対策推進する場合、二つのケースに分けて算定いたしておるわけでございますが、この二つのケースにつきまして現在作業を継続しておる、こういう段階でございます。  いままでの検討過程におきましては、本来、需給暫定見通しなるものも、昭和六十年あるいは六十五年、中長期的な見通しに立つものでございますし、また御承知のようにエネルギーにつきましては非常にリードタイムが長いといったようなことを勘案いたしますと、当面の不況によるところのエネルギー需給の緩和ということはさほどの影響を及ぼさないのじゃないか、まず変更する必要がないのじゃなかろうかというのが現在時点までの考え方でございます。なおまだ二、三カ月の時間的余裕がございますので、いま申し上げましたような二つのケースについてさらに検討を進めていく。  特に石炭について言及されたわけでございますが、国内炭の二千万トン、一般炭輸入千六百万トンということにつきましても、先ほど来お話が出ておりますように、生産体制の確立あるいは利用技術開発を進めることによりまして、特に石炭火力の立地点の確保を促進していくというような立場においてこの数値を変える必要はない、かように考えております。
  103. 権藤恒夫

    ○権藤委員 それでは次に、海外炭輸入と引き取り体制についてお伺いしたいのですが、いま申されましたように六十年度までに一千六百万トンの一般炭輸入する計画でありますけれども、これを発電用に利用しました場合、百万キロワットぐらいの発電所を六カ所ないしは七カ所建設していかなければならないと思うわけです。先ほどから北海道、九州の長崎松島、かなり計画とひずみを生じておるわけでございます。そこで、その他発電所の建設に関する具体的な計画、またそれがどのような構想でなされておるのか、それについての見通しをお伺いしておきたいと思うのです。
  104. 服部典徳

    ○服部政府委員 石炭火力発電所の六十年の計画でございますが、九百八十万キロワットという目標数値が決められているわけでございます。五十二年度末の設備が四百四十万キロワットということでございますので、六十年度までに現在の倍以上の施設にしなければいかぬということでございます。そのうち、現在建設中のものが苫東厚真と松島というのがございまして、これが合計三基で百三十五万キロワットございます。それから、そのほかの地点といたしましては、今後電調審に上程をいたしまして着工にかかるということでございますが、竹原の三号、それから勿来の八号、九号、それから松浦におきます九州電力とそれから電発各一基ずつ、合計五基、三百六十万キロワットというのが上程準備中でございます。そのほかまだ最終決定を見ておりませんが二地点ほどまだ候補地点がございまして、大体六十年度の目標九百八十万キロワットは達成できる見通しということでございます。
  105. 権藤恒夫

    ○権藤委員 次に、海外一般炭開発輸入につきましては、石炭鉱業合理化事業団の業務として資金の融資なんかを行っております。現在のところ、太平洋炭礦が豪州で調査を行っておると聞いておりますけれども、これにつきまして、太平洋炭艦と他の例も含めた開発輸入現状見通し、それから輸入可能数量見通しエネルギー需給見通しとの整合性なんでございますけれども、その点についてお伺いしたいと思います。
  106. 宮本二郎

    宮本(二)政府委員 ただいま先生から海外炭輸入現状見通し、それからエネルギー需給見通しとの整合性についての御質問でございますが、昨年来の合理化事業団の業務改正によりまして海外炭開発助成制度ができておるわけでございますが、すでに幾つかの石炭企業がこれを利用いたしまして調査探鉱活動を実施いたしております。先生例に挙げられました太平洋炭礦の例もその中の有力なものである、このように考えております。  今後のエネルギー需給見通しとの整合性の問題でございますが、ただいま公益事業部長の方から御説明いたしましたとおり、石炭火力の方がちょうど計画どおりの状況でございますけれども海外炭開発の方につきましては、石炭火力が具体的に電調審を通りまして、来ました段階からいろいろ話が具体的に進んでまいる関係もございます。ただいまのところ、五十年代の後半につきましては、既存炭鉱の石炭輸入で当初の松島火力その他がまずやってまいりますので、もうほとんど決まって計画を進めておる段階でございますが、五十年代末につきましては、やはり開発輸入を進めていかぬといかぬと思います。そういう点で、太平洋炭礦の計画どもその一環というかっこうで進んでおりまして、十分整合性のあるような、石炭火力建設に間に合うように十分可能ではないか、このように現在考えておる次第でございます。
  107. 権藤恒夫

    ○権藤委員 一般炭輸入問題に関連いたしまして、日中長期貿易取り決めによる原料炭の輸入問題について伺っておきたいと思います。  この取り決めは、一九八二年までの五年間に五百三十万トンの原料炭を引き取るというものでございますが、先ほどから質問もあっておりますように、現在、鉄鋼不況を反映しまして、豪州、カナダ、アメリカ、ソ連などとの引き取り量の削減を交渉しておる最中である、こういうふうに聞いております。円滑な引き取りが行われない場合、そのような事態が生じたときには、これは国際問題にもなりかねない、こういうふうに思うわけでございますが、これらのことを勘案して、引き取りの見通しとそれから諸外国との削減交渉の現状政府のこうした問題に対する姿勢をお伺いしておきたいと思います。
  108. 宮本二郎

    宮本(二)政府委員 日中貿易取り決めに伴います石炭輸入の問題につきましては、先生御案内のとおり業界ベースにおきまして、これは原料炭でございますが、昭和五十三年度十五万ないし三十万トンから、これは昭和五十七年度まででございますが、二百万トン、こういう取り決めを結んでおるわけでございます。  御指摘のとおり鉄鋼業界、非常に原料炭の需給に大きなギャップが生じておりまして、わが国鉄鋼業界と海外の供給側双方で円満な自主解決を図るということで、現在いろいろ話し合いながら努力している段階でございます。しかしながら日中問題につきましては、日中の友好促進という観点、基本的にはそういう観点があるわけでございますけれども、その上に、将来米国に比肩し得る鋼材輸出市場でもある、そういう期待がある。それから、原料炭供給源の分散等の観点もある。こういう観点から、鉄鋼業界の方としては原料炭の供給状況を十分配慮した上で中国原料炭の輸入を促進するものだ、こういう考え方であると当方としては聞いておる次第でございます。そういう関係もございまして、原料炭引き取りは基本的にはコマーシャルベースの問題ではございますけれども、今後の原料炭需給状況を十分見守りまして、必要に応じ政府としても適切な指導を行ってまいりたい、このように考えている次第でございます。
  109. 権藤恒夫

    ○権藤委員 もう少し突っ込んでお聞きしたいところでございますけれども、時間の関係で後に譲ります。  次に、海外炭輸入されました場合、いわゆるコールセンターが問題になってくると思うわけでございます。この問題もいろいろと論議されておりますけれども、あえてもう一度重ねてお伺いをしておきたいと思います。  本年度九州地域に基本設計が行われる予定のようでありますけれども、具体的な地点、それから計画の進捗状況、地元の対応等は一体どのようになっておるのかということが一点。それからコールセンターを立地しました場合、これが発電用にその燃料を供給する基地でございますので、立地の条件をよくするためにも、やはり、現在、発電所設置のための対策交付金が交付されておりますが、このコールセンターを立地するにもこの交付金を交付するようにすればいいのではないかというふうに考えておるわけでございますけれども、これについての政府考えはいかがなものでございましょう。
  110. 宮本二郎

    宮本(二)政府委員 先生御質問の第一点の方につきまして、私からお答え申し上げたいと思います。  コールセンターにつきましては、海外炭開発輸入の促進、それと石炭火力建設を容易に円滑にする、こういう両方をにらみましていろいろ構想を練ってまいりまして、五十一年度以来その調査を進めてまいっておるところでございますが、大体西地域一つ、東地域一つを当面頭に入れまして、西地域の方を先に数カ地点調査をしてまいっております。五十三年度におきましては、その数カ地点を二、三しぼりまして、基本設計までできるように調査を進めてまいりたい、このように考えておる次第でございます。  地元からは具体的な候補地点としてこういうところはどうかというようなお話が二、三ございますが、一方、これを利用いたします電力会社の方の石炭火力発電所の計画、これが松島火力は実は先行いたしまして、自分自身が直接岸壁をつくるような計画になっておりますので、松浦計画以降の問題ということになろうと思いますが、松浦発電所以外のところが、どういう電力会社がこれを利用いたしますか、もう少し石炭火力計画が具体化いたしませんと、コールセンターをどの程度利用できるか、実は判明いたさない問題がございます。  そういうようなところで、地元の期待は非常にいろいろ聞いておるのでございますが、計画の具体性につきましては、もうちょっと時間をかけないといけないのではないか、このように考えておる段階でございます。
  111. 服部典徳

    ○服部政府委員 御指摘のございました電源立地促進対策交付金でございますが、この交付金の使途につきましては、発電用施設周辺地域整備法によりまして、発電用施設の設置の円滑化のために使用するというふうに第三条で決められているわけでございます。そういったことから、現行法では交付金をコールセンターに使用するということはたてまえ上できないという制度になっておるわけでございますが、御指摘もございますので、今後の検討課題として私どもとしては検討してみたいというふうに考えておるわけでございます。
  112. 権藤恒夫

    ○権藤委員 石炭部長、二、三の候補地ですけれども、非常に言いにくいところだろうと思いますが、おおよそどのあたりか、わかれば教えてほしいと思うのです。  それから、交付金の問題ですけれども、現行法ではできないことは当然でございます。それで、やはりかなりの数量にわたる石炭貯炭していくわけでございますし、立地するにもかなりの厳しい条件がついてくるのじゃないかと思います。そういう意味で、発電用として供給する燃料を貯蔵するところでございますので、それと同様の取り扱いができるように、ひとつぜひとも、検討するということでございますので、期待をしておきたいと思います。  一点の候補地について、おおよそのところが言えれば、ひとつ御答弁をいただきたいと思います。
  113. 宮本二郎

    宮本(二)政府委員 具体的な個所につきましてはちょっと御遠慮させていただきたいのでございますが、大体長崎県か、ああいった近辺の地域が多いようでございます。
  114. 権藤恒夫

    ○権藤委員 三番目に、二千万トン体制の維持についてでございますけれども、二千万トン体制を維持するために避けられない当面の最大の問題は、北炭の再建問題でございます。  これもいま岡田先生から触れられましたので大体の状況はわかったのですが、私どもが昨年、当委員会で審議する際、やはり一番心配しましたのが主力銀行等の協力がどういう形で得られるかということでございましたのですが、なお、この再建について、主力銀行との折衝の状況は、どのようにして進められておるのか、それについてお答え願いたいと思います。
  115. 宮本二郎

    宮本(二)政府委員 北炭の再建計画につきましては、昨年の秋以来、旧再建計画見直しをいろいろ試案をつくっておる段階でございますが、その試案をつくる段階でメーンバンクからいろいろサゼストは受けておるというように聞いております。現在の段階につきましては先ほど申し上げた次第でございますが、ようやく夕張新鉱も生産が上昇してきておる段階でございますので、それをベースにいたしまして、むしろ労働条件その他労組との協議がいまのところ中心であるように聞いておりますが、当然その後におきましてメーンバンクとの交渉もあろうかと思います。私どもといたしましては、その具体的内容についてはつぶさには実は承知しておらない、こういう状況でございますけれども計画が出てくる段階におきましては、当然その辺の詰めも行われたものが出てくるというように期待しておる次第でございます。
  116. 権藤恒夫

    ○権藤委員 この北炭の再建問題は現在、中央の問題でありますし、当事者の御苦労も理解できるわけでございますが、きょうは多くは触れないでおきたいと思います。  いずれにいたしましても、この問題は、わが国の今後の石炭政策の帰趨を握る大きな問題であることには間違いございません。したがいまして、いまおっしゃるように、企業のもっと深刻な再建に対する努力が必要だというふうに、部長の答弁をそのように理解しておるわけでございますが、政府はこの問題に対しまして、基本姿勢として私たちが感ずることは、何となく深入りを避けようとしているのではないかというふうな姿勢が見受けられるわけであります。その点につきまして、再度、今後の再建問題に取り組む考え方をお伺いしておきたいと思うのです。
  117. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 先ほど石炭部長がお答えいたしましたように、現在、再建計画につきましては労使が寄り寄り協議を進めておるということでございまして、まだ最終的な計画がわれわれのもとに参っておらない、こういう状況でございます。  私たち、決して消極的な姿勢を持っておるわけではございませんで、第一義的には、やはり労使あるいは主力銀行等がこれならやっていけるという実行可能性のある計画をみずからつくるということが前提であるわけでございますので、それを待っておるということでございます。  二千万トン体制との関係も非常に重要でございます。ただ、前回、石特委でもお願いいたしましたような、幌内の復旧に当たりましては特別貸付金制度だとかあるいは債務保証制度といったような新しい制度を創設する必要性があったわけでございますが、今回は主として夕張新炭鉱の再建をどうしていくかということでもございますので、計画がまとまってまいれば、われわれ現在持っております制度の範囲内において十分対応できるもの、かように考えておるわけであります。
  118. 権藤恒夫

    ○権藤委員 次に、やはり大事な問題といたしまして、新鉱開発の問題がございます。  現在、二千万トン体制といいましても、千八百万トンが実情であるわけでありますが、是が非でも二千万トン体制を維持するために、新鉱開発以外に方法はないわけでありますので、五十二年度での調査状況と今後の見通しについてお伺いしたいと思います。
  119. 宮本二郎

    宮本(二)政府委員 新鉱開発の問題でございますが、先生御承知のとおり、天北地区と釧路西部、この二つを新鉱開発の有力な候補地点として検討しておる、調査を進めておる、こういう状況でございますが、昨年の七月、関係方面の協力を得まして、炭鉱開発検討協議会を地元にそれぞれ設けまして、学者その他地元の地方公共団体の方方と協議を進めておる状況でございますが、その中で地元住民のコンセンサスが得られるかどうか、それから、地域社会開発計画との調和、地上権との調整等の問題につき第一次的な調査検討を行ってきた、こういうのが現状でございます。  こういうぐあいにして調査いたしました結果、当該地域石炭がきわめて低カロリーである、それから鉱害対策上原炭のまま運搬せざるを得ない、要するに水洗はしないということでございますが、原炭のまま運搬せざるを得ない、こういったような条件から、石炭火力発電所が近距離に立地されることが開発の前提となる、こういうことが確認されておるわけでございます。  それからまた、炭鉱開発に伴います鉱公害の防止、たとえば石炭開発相当露天掘りを中心に行われる地域が天北等ではございますが、こうなりますと上の山林は相当広範囲に影響を受ける、こういったような問題がございますし、それから、石炭の運搬道路を相当整備せぬといかぬ、鉄道というよりも道路運搬でございますので、相当の交通繁雑になる問題等がございます。こういったことはさらに検討を要する、こういう結論を得た次第でございます。それで、今後につきましては適宜調査を進める次第でございますが、とにもかくにも石炭火力発電所の建設促進にさらに努力してまいりたい、こういうのが私ども考え方でございます。
  120. 権藤恒夫

    ○権藤委員 次に、石炭対策の財源問題についてお伺いしておきたいと思います。  政府は、従来から、石炭対策に必要な財政資金は極力確保していくという答弁を行ってきておりますが、昭和五十三年度から石油税が創設されることになり、石油勘定からの圧迫は大分楽になってきておるのではないか、こういうふうに推察されます。そこで、石炭勘定の財政需要はますます今後増加していくと思うわけでございますが、石油勘定において石油税を特定化する措置が講じられたと同様に、石炭勘定におきましても原重油関税収入の一定割合を以前同様に特定化する措置を講ずべきだ、こういうふうに考えるわけでございますが、これについての今後の考え方をお伺いしておきたいと思います。
  121. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 石炭対策の財源といたしましては、現在、原重油関税を充当いたしておるわけでございます。これについて一定の比率を確定したらどうか、あるいは特定したらどうかという御指摘でございますが、五十三年度におきましても千二百八十億と、昨年に比べまして百億近い増額を予算に計上いたしておる、こういうことでございまして、むしろ石炭対策における財政需要資金需要の実情に応じて対応していく方がより効率的ではなかろうか、さように考えておるわけでございます。私たちとしては、必要な財源を確保するために努めてまいりますが、あらかじめそれを特定するとか一定比率を決めるということはむしろ生硬に過ぎるのではなかろうかというふうにも考えておるわけでございます。
  122. 権藤恒夫

    ○権藤委員 次に、鉱害復旧事業についてお伺いしておきたいと思います。  鉱害復旧事業は昭和五十六年度中に完了する計画でございますが、現在までの工種別進捗状況一体どのようになっておるのか、それから、残存鉱害の現在価格での復旧費は大体どのくらいであるか。
  123. 宮本二郎

    宮本(二)政府委員 お答え申し上げます。  鉱害復旧長期計画、十年間に農地について七千二百ヘクタール、家屋について約二万六千戸の復旧を計画しておったわけでございますが、五十二年度末の進捗率は農地約三五%、これは物量ベースでございます。それから家屋約五五%。そのほか公共施設がございますが、これは金額ベースでないとはじけないのですが、金額ベースで約五〇%、こういうぐあいになっておるわけでございます。残存鉱害量を物量ベースで見ますと、今年度末、農地は約四千七百ヘクタール、家屋約一万一千七百戸程度でございます。金額にいたしますと、復旧単価の上昇その他いろいろ問題がございまして不確定要素が入ってくるので、正確な把握は非常に困難でございますが、五十一年度末で一度評価したことがございます。その当時で、だから五十二年度当初でございますが約二千七百億円程度と試算されております。現段階におきましては、その後の物価変動分等がこれに加わるわけでございます。
  124. 権藤恒夫

    ○権藤委員 いま説明がございましたが、昭和五十六年度中に復旧工事が完了するということは、もう現在はたてまえであって、だれも信じてはいない状況にあると私は思うのです。  そこで、こうした政府の長期事業計画実効性を失った場合にはやはり実情に即したものに見直しをする必要がある、こういうふうに思うのですが、この見直しについてお考えがおありかどうか、お聞きしておきたいと思います。
  125. 宮本二郎

    宮本(二)政府委員 期限内達成が不可能ではないかという御意見でございますが、私ども確かに、期限内に終わるということはきわめて厳しい状況にある、率直にそのように思わざるを得ないと思っております。そういった観点から、五十三年度予算石炭勘定全体の増加分の六二・五%をこれに当てておる、何とか懸命にそれに近づけようということで最大限の努力を払ってきておる、これが現状でございます。  見直しについての先生のお話でございますが、五十二年度末で十カ年計画のうちの六年が終わったところでございまして、いまとにかく多くの量を消化したいというのが率直な気持ちでございます。見直しをするしない、こういった問題につきましては、やはりしかるべきタイミングというものがあるのではないか、そういうように考えておる次第でございます。とにもかくにもここ一年、二年努力をいたしていきたい、こういうのが率直なところの気持ちでございます。
  126. 権藤恒夫

    ○権藤委員 先ほど見直しをする必要がある、なぜこういうふうに申し上げたかと申しますと、推定二千七百億、こういうふうにいわれておるわけですね。ところが本年度予算でも四百五十億ぐらいの復旧予算措置しかされていないわけです。そうしますと、だれが考えても、事業完了を五十六年度までにする、こういうことはもうたてまえにしかすぎない。だから、やはり実勢に合わせてやる必要があるのではないかと思うのです。と申し上げますのは、何も計画どおりにいかないからということじゃなくして、やはり被害を受けている人はかなり困っているわけなんです。体制を整えて、かかわりのない人が受けておる被害に対して原形復旧をする、補償するということはたてまえでございます。そういうことを考えました場合には、この事業計画、タイミングと申されましたが、私は、いまタイミングは一番いいんじゃないかと思っている。ですから私は、これら復旧に対処する政府の姿勢がもっと強くなければならないのではないか、こういうふうに思うのですが、それについていかがでございますか。
  127. 宮本二郎

    宮本(二)政府委員 私ども、被害者のお気持ちなり何なりいたく身にしみておる次第でございます。そういった関係から、できるだけこれを早期に処理いたしたいと思いまして、非常にふやしておる次第でございます。なかなか情勢は厳しいわけでございますが、これをあきらめるということになりますと、なかなかその辺の馬力もかからない点も実はございまして、最大限の努力をしておるというのもそういう精神からでございます。  なお、現地の鉱害につきましては、さきに十カ年計画で予定いたしたもの以外に、その後、新しい情勢変化で鉱害と見られるもの、あるいは疑わしいもの、いろいろ地元での御議論のあることも十分承知しておりまして、しかるべきタイミングにおきまして、そういうものも含めて見直しをいたしたい、このように考える次第でございます。
  128. 権藤恒夫

    ○権藤委員 これを見直しする際に、これまでも問題になってまいりましたが、過去の諸問題、たとえば微々たる金銭支払いで賠償を打ち切られたとか、あるいは過小賠償のケースで、復旧後に効用未回復となったような家屋でありますとかいろいろなことがあるわけですが、こういうことにつきましても、将来、政府の責任で処理をしていく、そういう姿勢を示すべきだ、こういうふうに私は考えるわけでございます。そのことにつきましては、改定の際には強くその中に盛り込んで検討されますように要望しておきたいと思う次第でございます。  最後に、大臣にお伺いしておきたいと思うわけでございますが、先ほどから申し上げました海外炭輸入につきまして、豪州、カナダ、米国、ソ連、このような国々との引き取り量の削減でありますとか、そのことから起こってくる国際問題等にどういうふうに対処をされるのか。また、需給整合性の問題に対しまして、発電所計画が当初計画よりも大幅におくれてきておるわけでございますが、このようなものがやはり計画どおりに行われるように、今後強力な推進をする必要があると思うわけでございますので、発電所計画なりあるいは海外炭輸入等につきましての諸問題をどういうふうに処理していかれようとしておるのか、大臣の御所見を承っておきたいと思います。
  129. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 海外炭の引き取りの問題につきましては、現在は主として鉄鋼業界が交渉に当たっておられますが、契約の基準数量の上限、下限がございまして、その下限をさらに相当数量割り込んで引き取る、こういう原料計画でございますから、交渉はなかなか難航しておるようでございますが、いま鉄鋼業界は、わが国鉄鋼事情等を十分説明をいたしまして、解決のための最後の段階にあるように聞いております。先ほど御質問のございました中国炭の引き取り等も、そういう交渉を背景といたしまして、トラブルの起こらないような妥当な数字をとりあえず設定をしたということでございます。外国にも非常に迷惑をかけることになりますので、この点は十分配慮していかなければならぬと考えております。  それから第二点の、石炭火力発電所の建設計画につきましては、これまでおくれがちでございましたが、最近ようやく軌道に乗ってまいりまして、先ほど公益事業部長が数カ所の説明をいたしましたが、ようやくエンジンがかかった、こういうような感じだと思います。石炭火力発電所の建設は非常に重要な意義を持っておりますので、今後ともおくれないように強力に進めていく所存でございます。
  130. 権藤恒夫

    ○権藤委員 以上で終わります。
  131. 細谷治嘉

    細谷委員長 安田純治君。
  132. 安田純治

    ○安田委員 いままで同僚委員がいろいろ伺いまして、ことに二千万トン体制の維持の問題については、岡田委員も権藤委員もいろいろ質問されました。  私は、北炭問題について若干、まずもって伺いたいわけですけれども、北炭は言うまでもなく再建交付金の契約会社でありまして、いままで何回かにわたって債務の肩がわり、そして昨年の再建計画の認定、こういうことになっておると思うのですが、北炭の再建計画がどうも二年足らずで見直しが必要であるということになっておる。夕張新鉱は依然として五千トン体制を維持するようになっておるようですが、しかし実際は五千トンは維持できておらないということは、もう争う余地がないと思うのです。  ところで、こう再々見直しが必要になるということで非常に疑問に思うわけですが、この石炭鉱業再建整備臨時措置法の三条によりましても、通産大臣は、再建整備計画の「実施が当該会社の経理的基礎及び技術的能力並びに当該会社に対する金融機関の協力の見通しに照して確実であると認めるとき」に認定をする、こういうことにちゃんと法律はなっているはずだと思うのです。そうしますと、見通しに照らして確実であるはずのものが、見直しがちょくちょくやられざるを得ないという点について、地下のことでありますから、最初の第一回目は、これは見込み違いということもあるかもしれませんが、ある程度やってみればこれはわかるわけです。にもかかわらず見直しが必要だという点について、大臣の認定が一体確実な見通しに立っておったのかどうかという点をまず最初に伺いたいと思います。
  133. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 北炭で経営再建問題が見直しされておるということの直接の契機は、やはり御指摘の夕張新鉱に問題があるのじゃないか。幌内の復旧につきましては比較的順調に進んでおるわけでございますが、夕張新鉱におきましては、当初、日産五千トンを計画いたしておったわけでございますが、小さな断層が頻発するとか、あるいは天盤の崩落があったというようなことで、一時は三千六百ないし三千七百トン程度生産が落ちておった。最近、予備切り羽をつくるといったようなことによりまして、ようやく四千ないし四千百トン程度まで戻ってきておるわけでございますが、そういった意味におきまして、わが国の炭鉱における自然条件というものは他国に比べて非常に悪いということであったわけでございますが、夕張新鉱につきまして、予想外にそれが悪かったといったようなことに原因があろうかと思います。現在、五千トンまでいかないにせよ、どの程度まで安定出炭ができるか、また、そのためにどのような対応をしていくかということにつきまして、労使相互で協議をしておる、かように見ておるわけでございます。
  134. 安田純治

    ○安田委員 小さな断層や何かがあったということですけれども、しかし、現場の方の話を聞いてみますと、現在の設計では、どうも五千トン体制は不可能ではないかというような意見があるようでございますが、その理由は、ガスが多いとか盤圧で坑道がすぐ狭くなるなどいろいろございます。それから、いわゆる全鉱標作といいますか、標準作業量の策定について計算してみても、どうも五千トン体制の計画には達しない。実績でもやはり達しないし、それから全鉱標作の結果でも達することは不可能だというふうに思えるわけですけれども、そうなりますと、どうも見通しが確実であるという認定の前提ですね、これがどうも最初から甘かったのではないかというふうに言わざるを得ないのですが、その点どうでしょうか。
  135. 宮本二郎

    宮本(二)政府委員 幌内事故当時の旧再建計画でございますが、あの当時から、技術的に夕張新鉱日産五千トン出るかどうか、いろいろ技術的な議論がありましたことは事実のようでありますが、そういう条件を踏まえまして、当時の石炭鉱業審議会経営部会の答申その他におきましても、いろいろ不明の点があるので、実情に即して見直していくべきである、自主経営再建、こういう厳しい観点から見直していくべきだ、こういうような表現もございます。そういう点で先ほど長官からの答弁にもございましたとおり、非常に地質的にはむずかしいところでございまして、初めは四切り羽五千トンというぐあいに考えておったわけでございますが、とうてい四切り羽で五千トンは困難である、現在では五切り羽でとにかく四千トン台に乗せて徐々に上げていこう、やはり五千トンに持っていくためには北部にさらに切り羽をつくっていく必要がある、これは数年後のことになろう、大体そういうような状況になっておるわけであります。  したがいまして、昨年の再建整備計画変更認定を行ったわけでございますが、そのときにおきましても、大幅な変動を来すこととなる場合には遅滞なく再建整備計画の変更認定の申請を行うこと、こういう条件を付しまして、とりあえず認定をいたして今日に至っておる、こういう状況でございますので、今後その再建計画見直しが行われました際には、当然この変更認定の申請が出てくるもの、こういうように考えておる次第でございます。
  136. 安田純治

    ○安田委員 この五切り羽といいますか、多く切り羽を展開することについても、どうも山元の人に伺いますと、ガスが多くて盤圧が強いなどということから、結局ガス抜きや坑道拡大に人手が多くとられて、切り羽を多くしてもガス対策に追われて不可能ではないかというような意見もあるようですが、その点について通産省は御存じでしょうか。
  137. 宮本二郎

    宮本(二)政府委員 あの地域につきましては、盤圧の問題それからガス等の問題いろいろございまして、技術的にむずかしい山でございます。が、過去一年、日産五千トンという計画を立てましてから、いろいろなことを試みてまいっております。その結果を踏まえまして、やはり五切り羽で一切り羽を大体八百トン以上ぐらい——四切り羽五千トンでございますと、一切り羽千数百トンということになるのでございますが、今度は、五切り羽で一切り羽千トン以下くらいの八百ぐらいの見当、こういうように評価をいたしてきておりますわけでございますが、そういう背景となりましたものは、まさに先生が御指摘のような問題点でございます。ただ、切り羽が一つふえます関係上、やはりいろいろ労働者の出勤率も少しずつ労使協力いたしましてよくしてもらわないといけない、そういった労働力を確保して五切り羽を弾力的に運営していきたい、こういうのが現状の姿である、このように承知しております。
  138. 安田純治

    ○安田委員 この石炭対策につきましては、先ほど権藤委員も、鉱害の復旧について、もう達成できないことがわかっている、たてまえで推し進めていっていいのかというような質問があったと思うのです。これはどうも石炭対策全体を見ますと、一つのたてまえといいますか、枠をまず設定して、そこにぎりぎり何とかこう理屈をつけて押し込めて、体裁を整えるというようなことがなきにしもあらずではないかという危惧を私ども持たざるを得ないわけです。そういう点で、やはり率直に実態に即した計画といいますか、これをきちっと出してお互いに討議をし、衆知を集めて実態に即した解決策を講じなければならないのじゃないか。先ほどの権藤委員の鉱害の復旧の問題について、まさに私ども痛切にそう思うわけですけれども、これは出炭計画率でも何でもそういう点が言えるのじゃないか。たてまえ優先といいますか、それじゃいつまでたっても問題は解決をしないし、これは重大なことになるというふうに危惧をするわけです。ことに法律によると、見通しの確実な場合に認定することになっているのですね。どうも見通しが確実でなかったということは事実だろう、これ見直しがされているわけですから。だから、その確実性が非常にあいまいだとなると、大変これは国家資金を使っていることでもございますし、国家資金の有効使用という点でも通産大臣の責任は重大だろうというふうに思うわけです。そういう意味で、率直に現実を踏まえてひとつやっていただかなければ困るのじゃないかというふうに思うわけです。細かい点については、後の機会に質問を譲りたいと思います。  そこで、ことしの二月一日付の朝日新聞によりますと、「北炭の夕張新鉱開発資金 政府肩代わり拒否」という大きな見出しがありまして、いろいろ言っておりますけれども、これは資源エネルギー庁幹部の言葉を引用をしたような形で、「出炭計画の修正を求めたのは「いまの北炭の経営体質や従業員の姿勢では、確実な計画でないと、再建案の基本が崩れかねない」(資源エネルギー庁幹部)」、こういうふうな記事が載っておるようでございます。  この幹部はどなたかわかりませんけれども、「いまの北炭の経営体質や」というふうに言われておるわけで、こういうことを実際、資源エネルギー庁の方では認識されておるのかどうか、とすれば、いまの経営体質というのはどういうものとお考えなのか、お答えいただきたいと思います。
  139. 宮本二郎

    宮本(二)政府委員 経営体質という言葉につきまして先生の御質問でございますが、必ずしも経営体質ということではございませんで、北炭の従来五千トンと言っておりました計画が、なかなか五千トン出なかった。それが今日の経営の危機を招いた一つの原因であるわけでございますが、そういう点からいきますと、まさに企業経営の責任の問題である、このように私ども考えておるわけでございます。そういう観点から、中の計画なり出炭効率なりいろいろ調べてみますと、なかなか問題が多い。やはりそういう基本的な問題を解決していかなければ本来の再建計画の達成というのはむずかしいのではないか、このように考えておるわけでございます。  肩がわり拒否というようなことが出ておるようでございますが、それにつきましては、先般来、再建計画の試案の中で一応肩がわりというような要望があったことは事実でございまして、別に私どもとしてはそういう問題を云々するわけじゃございませんで、現行制度の運用で十分対処していきたい、先ほど長官答弁申し上げたとおりの考え方でございます。
  140. 安田純治

    ○安田委員 経営体質という言葉をお使いにならなかったような趣旨の答弁かもしれませんけれども、実際問題として経営責任があるという意味ではお認めになったような答弁だと理解します。  そこで、石炭鉱業再建整備臨時措置法の十五条などによりますと、「通商産業大臣は、再建整備会社がその再建整備計画を実施していないと認めるときは、再建整備会社に対し、その再建整備計画を確実に実施すべき旨の勧告をすることができる。」こういうふうになっていると思うのですが、この条文に基づいて勧告を受けた会社が今日まであるかどうか、お伺いしたいと思います。
  141. 宮本二郎

    宮本(二)政府委員 いままでのところ、ございません。
  142. 安田純治

    ○安田委員 北炭はまさにこれに当たると思いますが、どうでしょうか。
  143. 宮本二郎

    宮本(二)政府委員 勧告規定がございますが、一片の勧告でもって事態が直ちに改善するものとはとうてい思えないわけでございます。北炭の問題につきましては、先ほど来申し上げましたとおり、夕張新鉱の五千トン出ないという山の自然条件、技術的な問題、それからいろいろ経営自身の問題もございますが、そういった非常に複合的な問題がございまして、一個一個その問題を詰めて解決を図っていく必要があろうかと思います。そういう意味で、単純にただ勧告だけで済むとはとうてい思えない次第でございまして、当面そういうじみちな積み上げをやっていく必要がある、直ちにこれを勧告するというようなことは考えておらない次第でございます。
  144. 安田純治

    ○安田委員 どうも言葉じりをとらまえるようで恐縮なんだけれども、一片の勧告では問題は解決しないというなら、法に書いてある勧告というのは何のためにあるのか、疑問に思うわけです。ですから、勧告より強い措置が何かあってそっちの方をやっておるというのか、勧告より弱い措置があってそれをやっておるのか、どうも答弁があいまいですけれども、法文の十五条に規定されてる勧告というのは、一片の勧告では事態は解決しない、そういうものなんですか。
  145. 宮本二郎

    宮本(二)政府委員 ここにございます勧告規定その他、とにかく勧告するにしましても企業が再建できるということが一つの本筋でございます。そのためにこそすべての措置をやっておる次第でございまして、勧告してそれで再建できるような見通しがございますれば話は別でございますが、現実はそういう状況じゃないわけでございます。そういう意味で申し上げた次第でございます。
  146. 安田純治

    ○安田委員 すると、十五条の勧告をしても何の意味もないというのが北炭の現状であるということになりますか。再建整備計画の実施をしていないということで勧告する、そういう対象としての勧告発動の条件が満たないというのか、あるのだけれども勧告ではけりがつかないからやらぬというのか、どっちなんですか。
  147. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 ただいまの石炭部長の答弁は若干言葉足らずじゃなかったかと思います。一片のという価値判断を伴ったような意思というふうにおとりいただいたのだろうと思いますが、私が察するに、彼の言わんとするところは、勧告を発動する前にその勧告が十分生きるようにいろいろな諸般の対応をしておく必要がある、こういう意味でございまして、決して十五条の勧告が弱いもの、あるいはそれ以上の強いものといった意味合いではなくて、先ほど先生も御指摘になりました実態に即しての対応というものを十分詰めた上で、必要とあらば十五条を発動すべきではないか、かような意味と私は理解いたしておるわけでございます。
  148. 安田純治

    ○安田委員 通産大臣、ぜひ聞いていただきたいわけですけれども、国家資金を使っての北炭の再建整備の問題について、見通しの確実性も、振り返ってみると、結果的にどうも甘かったように思われますし、それから、勧告を発動していないこと自体適当かどうか。確かにいまエネルギー庁長官の言われるように、細かい詰めをやって、勧告が生きるようにしてから、場合によっては勧告をするという手続もあると思うのです。一片の勧告では解決しないという御答弁では私はちょっと法文自体を問題にしたくなるのですが、そうでないとすればそれはそれでいいです。こういう問題は、国家資金を使ってやっておることですから、ぜひその点、確実に二千万トン体制を維持していく、そのためには北炭の再建整備、そしてその中の夕張新鉱の計画の完全な実現という点について、大臣の特段の御配慮といいますか御決意を伺いたいと思うのです。
  149. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 北炭は、一昨年の幌内炭鉱の事故についても政府の方で救済対策を法律を改正してまで行いました。このときは幌内で大事故が起こりまして、これの復旧ということが中心でございましたし、あれだけの大事故は個々の企業ではできないというので政府が援助に乗り出したわけでございます。今回の企業再建問題は、先ほど長官、部長から繰り返し申し述べておりますように、新夕張の五千トン体制が実現できない、三千六百トンまで落ち込んでおったがいまはようやく四千百トンまで回復したということでございます。五千トン体制またはそれに近い体制まで当初の計画どおりいけばこれはもう完全にやっていけるわけでございますから、だから、いま会社側、組合、それから主力銀行と三者で再建計画を相談中でございます。いずれ近くその相談がまとまると思いますが、まとまれば通産省の方にも御報告があるかと思います。その場合には、石炭鉱業審議会の御意見等も聞きまして、現行体制の中でできるだけの援助はしていきたい、このように考えておりますが、しかし、いま御指摘がございましたように、経営等については、やはり厳しくいろいろ考えていかなければならぬと思います。
  150. 安田純治

    ○安田委員 ぜひ経営の面でも厳しくひとつ監視、監督をしていただきたいというふうに思います。  ところで、こうした二千万トン体制維持ということの中で、いろいろあらゆる炭鉱で努力はしていると思うのですが、労働省にお伺いしたいのですけれども、先日、参議院の方で小笠原議員が、北炭の未払い賃金や退職金問題その他について質問をしたと思うのです。その後の経過、あるいは指示をどのようにされたか、お伺いしたいと思います。
  151. 小粥義朗

    ○小粥説明員 お答えいたします。  先日も参議院の委員会の後で、その場でも御答弁申し上げましたが、労働省としては従来、出先機関である北海道の労働基準局あるいは岩見沢の監督署を通じて、退職金の不払いの解決の指導に当たってきたわけでございます。会社の経営状況が非常に厳しい情勢にあるというようなことも私ども承知いたしておりますので、出先機関だけではなくて本省でも北炭の本社に対して、実は昨年末にいろいろ事情も聞いたわけでございます。さらに、前回の参議院の委員会の後でも、御答弁申し上げたように、会社側及び労働組合両方の考え方を聞くということにいたしまして、三月二十九日、三十日にそれぞれ組合側と会社側に来ていただいて、現状に対する考え方なり今後どうするんだという点についての考え方を聞いたわけでございます。その際、私ども労働省としては、会社の経営は確かに厳しい問題であるのですが、といって退職金の不払いは厳然たる事実としてあるので、したがってその不払いについてはできるだけ——まあ一挙に払うのは経理状態からもむずかしい面があると伺いますので、支払い計画というものをちゃんと立てて、計画にのっとって不払いが解消できるように持っていってもらいたいということを要請したわけでございます。  と同時に、出炭を上げるために、たとえば昼休みを縮めるとか、その他の労働条件の変更は基準法違反のおそれがないのかという御質問が前回、参議院の委員会の際にもございましたので、そうした実態がどうなっているのかも事情を聴取したわけでございます。それらの基準法違反云々の問題は、いずれも労使協定で行われている事柄でございまして、たとえば昼休みの時間短縮の問題も、その短縮した分をほかの時間帯に与えていれば、これは昼休みが仮に二十分でも基準法上直ちにそれが違反ということにはならないのでございます。そうした実態にあるのかどうか、これは労働組合の側からも事情をいろいろ伺いました。事情を伺った限りにおいては他の時間帯にとっているということでございまして、そこから直ちに基準法違反という話にはならないわけでございますが、実態がどうなっているのか、今後、現地の監督署も使って、実情はさらにつかんでまいりたいと思っております。
  152. 安田純治

    ○安田委員 きょうは大臣所信表明に対する質問というのが中心でございますので、余り細かいことは最後まで詰める気はございませんけれども、労働大臣、ぜひお願いしたいことなんですけれども、この二千万トン体制維持とかいろいろな問題で、どうも労働条件が切り下げられる危険がある、あるいはいまの退職金問題のように明らかにこれは未払いというものがある、そういう現象は、経営上の問題もありましょうけれども、存在するわけです。この二千万トン体制を維持しなければならないという大理想といいますかがあるものですから、それで労働者の方にしわ寄せがいくということを非常に心配しているわけです。昼休み時間の短縮はもちろんですが、そのほか出勤率によって罰金まがいのといいますか、正確に言えばむずかしいのでしょうが、福利関係の一部負担金を労働者から取るというようなことも、そういうルールも出ておるようでございますけれども、これが一つ一つ厳密に言って労働基準法にそのまま違反するかどうかは微妙なことが幾つかあると思います。しかし、労働基準法の理想から言えば、これは御存じのように第一条に、この法律で定められた労働条件は、労働者が人として存在するのに最低の条件。いわばあの条文から見ますと、これ以下だったら人間以下ということですからね。ただ労働基準法に違反してないからといって、いままでの労働条件を切り下げてはならない。労働基準法の一条には、この法律の定める労働条件をいいことにして労使とも下げてはいけないと同時に、これより上げるように努力しなければならぬ、こういうふうに書いてあるわけであります。してみますと、労働基準法にぴったり違反するかどうかということ以前にというか、以後ですかね、昼休み時間を短縮するということが望ましいかどうかということもありますし、それから福利関係のお金の一部負担だからこれは罰金や罰則ではないというふうに理屈をつけるかどうかわかりませんが、これは決して望ましいことではないのだろうと思うのです。労働組合が合意されたようですけれども、仮にそうだとしたら涙をのんでやっていることだろうと思うのです。その上には石炭鉱業の危機があって、そのためにがまんしろということにならざるを得ないだろうと思うのですが、しかし、労働行政の側からいいますと、個々の条文にどう違反するかは別として、労働基準法の持っている考え方といいますか、理想がどんどん侵害されてくる危険がある。そういう点で、労働行政の最高責任者として、この二千万トン体制維持ということは通産省が主としてやることでしょうけれども、その側面で労働者が泣かないように、ぜひひとつはっきりした決意といいますか、対策を講ずるように、御決意を承りたいというふうに思うわけです。
  153. 藤井勝志

    ○藤井国務大臣 退職金の未払い問題の解消を含めて、現在、厳しい経済環境に置かれておる北炭の事情ではございますけれども、労働条件が悪くならないように、しわ寄せを受けないように、労働省としても労働行政監督の立場で努力をいたしたい、こう思います。
  154. 安田純治

    ○安田委員 本日は、大臣所信表明に対する質問ですから、細かい一つ一つの問題については後の機会に事務当局の方や何かから伺い、話を詰めていきたいと思います。ぜひそういう心構えで取り組んでいただきたいということをお願い申し上げておきます。  それから、あと通産大臣にお伺いしたいわけですけれども産炭地振興に関する問題であります。  聞くところによると、どうも産炭地振興計画が、いろいろ各担当の省といいますか、官庁のなわ張りといいますか、これによってばらばらに行われているのではないかという不安があるわけです。その点で、たとえば例を挙げてみますと、横の連絡、事業間の連絡が不十分ではないかというので、現地の方からいろいろ私どもの方に訴えが来ているわけです。たとえば整備公団で国鉄の沿線に工場団地を造成している一方で、国鉄はその線の廃止を検討しているというようなことを聞く、これではどうもしようがないじゃないかというようなこともいろいろ言われておるわけです。たとえば数字で見てみましても、一方において産炭地振興の工場団地の造成や住宅地なんかをいろいろつくっておっても、一方において、たとえば交通問題を見ますと、国鉄が人口減少を理由に列車数の削減とか貨物の合理化などを進めるような動きがある。こういうことになると、それに並行してたとえば筑豊の場合ですと、西鉄バスの運行状況が、どんどん営業キロ数が減っておるという数字も昭和四十年から五十一年とずっと比較してみるとあるようでございます。このように、みんなで立体的といいますか、総合的に対策をしなければならないはずなんですけれども、ところが一方においてそういう交通機関なんかはどんどん合理化される、その沿線に工場団地をつくっておるというような矛盾といいますか、望ましくない状況があると思うので、細かいことは事務当局に後の機会に詰めて伺いますけれども、ひとつ大臣に、こうした産炭地振興のあり方に問題がないのかどうか、もし事業間の連絡が、もちろんそれは一つの機関があることはわれわれも知っておりますけれども、その調整機関が果たして本当に調整の力を持っておるのか、持ってないからこういうことになると思うのですが、持ってないとしたならばどういうふうに改善しなければならないか、この点について大臣のお考えを伺いたいと思います。細かい点はあとで事務局に伺います。
  155. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 産炭地振興は非常に重大な政策でございまして、いま、まず基盤整備とか企業の誘致あるいは自治体に対する援助、こういうことに関しましてそれぞれ具体的な数項目を実施をいたしておりますが、何分にも関係各省が多いものですから、総合的に、強力に機敏に実施していくことにつきましては相当な工夫と努力が必要だと思います。たとえばいま御指摘の交通問題でございますが、あるいは鉄道などの間引き運転とか、仮にそういうことが起こるとするならば、それにかわるべき交通機関を整備するとか、そういうことを当然考えなければならぬわけでございますが、いずれにいたしましても、総合的に横の連絡を十分とりながら、万遺漏のないように進めていく所存でございます。
  156. 安田純治

    ○安田委員 時間が参りましたので、細かい点は後で伺いますけれども、ぜひそういうふうな点で大臣としても取り組んでいただきたい。ことに各事業間の調整といいますか、この点については、ひとつ格段の御配慮をお願いしたいというふうに思うわけです。  最後に、これはお願いでございますけれども、ことしの三月七日に、福岡県の鉱業関係町村議会議長会が「産炭地域振興に関する要望」というのを提出してきております。私どもの手元に来ておるわけですが、それを見ましても、現地の人たちの非常に悲痛な声が盛られているわけです。これは労働関係についても「炭鉱離職者対策の強化推進に関する要望」ということで出ております。個個の項目は挙げませんけれども、たとえば滞留炭鉱離職者、中高年齢層の就労対策に万全を期してもらいたいとか、あるいは開就事業の事業費単価及び吸収枠を引き上げるとか、地元負担に対する財政援助措置を強化するとか、いろいろなお願いが出ております。こういう点でぜひ労働大臣及び通産大臣、ひとつ本気になって取り組んでいただいて、こうした施策が本当に生きるようにやっていただきたいということをお願い申し上げまして、もしそれに対する所信があればお伺いしまして、質問を終わりたいと思います。
  157. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 ごもっともな御意見でございますから、十分配慮いたします。
  158. 藤井勝志

    ○藤井国務大臣 御趣旨を体して努力いたします。
  159. 安田純治

    ○安田委員 終わります。
  160. 細谷治嘉

    細谷委員長 本日は、これにて散会いたします。     午後二時十九分散会