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1978-07-11 第84回国会 衆議院 商工委員会 第33号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年七月十一日(火曜日)     午前十時三十三分開議  出席委員    委員長 野呂 恭一君    理事 中島源太郎君 理事 武藤 嘉文君    理事 山崎  拓君 理事 山下 徳夫君    理事 岡田 哲児君 理事 渡辺 三郎君    理事 松本 忠助君       鹿野 道彦君    佐々木義武君       辻  英雄君    楢橋  進君       橋口  隆君    渡部 恒三君       渡辺 秀央君    川俣健二郎君       上坂  昇君    渋沢 利久君       清水  勇君    中村 重光君       長田 武士君    玉城 栄一君       西中  清君    玉置 一徳君       荒木  宏君    工藤  晃君       安田 純治君    大成 正雄君  出席国務大臣         通商産業大臣  河本 敏夫君  委員外出席者         経済企画庁調整         局長      宮崎  勇君         経済企画庁調整         局審議官    田中誠一郎君         経済企画庁物価         局審議官    坂井 清志君         大蔵省主計局主         計官      角谷 正彦君         農林水産省構造         改善局建設部水         利課長     須恵  務君         通商産業省立地         公害局長   伊勢谷三樹郎君         通商産業省立地         公害局鉱山課長 檜山 博昭君         通商産業省基礎         産業局長    大永 勇作君         資源エネルギー         庁長官     天谷 直弘君         資源エネルギー         庁長官官房鉱業         課長      福原 元一君         資源エネルギー         庁石油部長   神谷 和男君         資源エネルギー         庁公益事業部長 豊島  格君         中小企業庁長官 左近友三郎君         運輸省船舶局造         船課長     間野  忠君         労働省労働基準         局安全衛生部安         全課長     津沢 健一君         建設省計画局建         設業課長    蓮見 澄男君         商工委員会調査         室長      藤沼 六郎君     ————————————— 委員の異動 七月十一日  辞任         補欠選任   板川 正吾君     川俣健二郎君   武部  文君     川崎 寛治君   安田 純治君     荒木  宏君 同日  辞任         補欠選任   川崎 寛治君     武部  文君   川俣健二郎君     板川 正吾君   荒木  宏君     安田 純治君     ————————————— 六月十六日   一、大規模小売店舗における小売業事業活     動の調整に関する法律及び小売商業調整     特別措置法の一部を改正する法律案(内     閣提出第八二号)   二、エネルギーの使用の合理化に関する法律     案(内閣提出第七八号)   三、小売商業調整特別措置法の一部を改正す     る法律案中村重光君外九名提出、第八     十二回国会衆法第六号)   四、小売商業調整特別措置法の一部を改正す     る法律案橋口隆君外四名提出、第八十     二回国会衆法第七号)   五、下請代金支払遅延等防止法の一部を改正     する法律案松本忠助君外三名提出、衆     法第一〇号)   六、小規模事業者生業安定資金融通特別措置     法案(松本忠助君外三名提出衆法第一     一号)   七、伝統的工芸品産業の振興に関する法律の     一部を改正する法律案松本忠助君外三     名提出衆法第一二号)   八、通商産業基本施策に関する件   九、中小企業に関する件  一〇、資源エネルギーに関する件  一一、特許及び工業技術に関する件  一二、経済計画及び総合調整に関する件  一三、私的独占禁止及び公正取引に関する件  一四、鉱業一般公益との調整等に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  通商産業基本施策に関する件  経済計画及び総合調整に関する件  私的独占禁止及び公正取引に関する件      ————◇—————
  2. 野呂恭一

    野呂委員長 これより会議を開きます。  通商産業基本施策に関する件、経済計画及び総合調整に関する件並びに私的独占禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岡田哲児君。
  3. 岡田哲児

    岡田(哲)委員 時間の制約がございますので、私の方もそのつもりでやりますが、ぜひ答弁は要領を得てお答えいただくように、まずお願いを申し上げておきたいと思います。  五月の二十四日に秋田県下の現地調査に行ったわけでございますが、この当時はちょっとドル相場の様子がよくなった、こういうふうに報告を受けておりましたが、最近また大変な事情になってきたというふうに考えているわけであります。仮に海外相場が好転をし、上昇基調になったとしてみても、最近のように国際為替相場が二百円台という円高ドル安の時代に入りまして、国内コストを大幅に下回る価格低迷状態が続く、これはどうもいま見ておりまして改善されるというふうには思えない条件がたくさんあるわけでございます。  こういうときに、御存じのように、われわれの現地調査と、それから国会決議をいたしました。それから、鉱政懇が今後の基調方向についての報告書を出されて、政府も六月二十三日に、新聞で見ますと経済閣僚会議でこの問題について検討された、こういうふうに聞いているのでありますが、国会が閉会して以降、政府自体でどのような具体策を立てられたか、ここで明らかにしていただきたいと思うのであります。
  4. 天谷直弘

    天谷説明員 先生指摘のとおり、現在の銅、鉛、亜鉛価格は非常な低迷状態にございまして、鉱山会社経営はまことに危機的な様相を呈しておる次第でございます。  かかる事態に対処するために、御指摘のとおり、国会の御決議、あるいは鉱政懇報告、さらに、その報告に基づきまして鉱業審議会からの建議というものを受けております。通産省といたしましては、かかる決議あるいは報告の線に従いまして、鉱業会社の危機を救済すべく目下鋭意努力中でございます。  あの鉱政懇報告に盛られているような政策を具体化していくに当たりましては、言うまでもなく予算あるいは法律改正等を必要とするわけでございますが、この具体化に当たりましては、金属鉱山企業経営内容等をさらに詳しく調査する必要がございますので、現在鋭意調査をしており、その他各方面といろいろ折衝や検討を重ねておるような状況でございます。  今後、七月、八月にかけまして予算の原案を作成していく時期でございますので、この過程におきまして、報告書等方向を次第に肉づけし、実現化していきたいというふうに考えております。
  5. 岡田哲児

    岡田(哲)委員 私のお尋ねをいたしたいのは、まず一つ基金の問題、それから備蓄の問題、新鉱床探査費の問題、それから銅の輸出禁止していたのを緩めた、あるいは関連企業との協力で先倒しをしていく、こういうような具体的な方針を決めたのでしょう。この中身をもうちょっと明らかにしていただきたいということなんです。
  6. 天谷直弘

    天谷説明員 基金構想が実現化するまでのつなぎといたしまして、関連企業等前払いその他を通じまして協力を仰ぐという件につきましては、現在個々の企業ベースでネゴシエーションが進行中でございます。  ただ、銅につきましては、非鉄金属会社の銅の相場、先行きに関する見方等もございまして、前払いを受けるという話につきましては余り進んでいないというような状況にございます。  他方、亜鉛につきましては、非鉄金属の各企業とそれから鉄鋼会社との間で、どのような条件前払いを行うかというようなことにつきまして目下商談が進行中でございまして、通産省等につきまして特にあっせんの依頼等があれば、われわれといたしましても行政指導等をするのにやぶさかでないというふうに考えております。  それから、銅の輸出の緩和につきましては、これは国際的に混乱を起こすようなおそれがないというような場合につきましては銅の輸出規制を緩和していこう、銅の輸出規制を緩和することによりまして、中期的に日本の銅のマーケットを開拓していくというメリットもあるかと存じますので、そういう方向で、銅の輸出につきましては弾力的に対処をしていきたいというふうに考えておるわけでございます。  それから、銅の備蓄に関しましては、備蓄コスト、これが大きな問題でございますので、備蓄金利を六・〇五%まで、金利低下傾向に従いまして金利負担の低減を図ったような次第でございます。  大体以上のようなことが、現在まで具体的に努力しておる内容でございます。
  7. 岡田哲児

    岡田(哲)委員 それでは、基金制度の点でまずちょっとお伺いをしておきたいと思いますのは、この基金制度は一定の基準に基づいて無利子融資を行うということに目的があると思うのですが、このための利子補給についてどういうふうに考えて、どの程度予算を考えているか、また補正予算として今度予定をされておりますか。まだ決まってはいませんが、臨時国会補正予算として出すか、あるいは通常国会までいかなければならぬか、その辺の見通しも含めてお答えいただきたい。
  8. 天谷直弘

    天谷説明員 基金に関しましては、必要とする融資額がどの程度になるかということが問題でございますけれども、現在為替相場が非常にフラクチュエートしておりますから、一体コスト割れ金額をどのくらいと見るのか、これもかなりの幅があるかと思いますので、いまの段階でそれを明確に申し上げるわけにはいきませんけれども、そのコスト割れ金額とそれからトン数によりまして、百五十億なら百五十億というような融資規模が必要になってくるだろうと思います。その辺はまだ金額が確定しておるわけではございません。  今度は、その金額の中で、一体出資に基づく分をどの程度にすべきか、それから利子補給を伴うところの低利融資をどの程度にすべきであるかというようなことも、これからの検討事項でございます。いずれにいたしましても、できるだけ多くの利子補給によりまして、金利負担がきわめて低利になる、でき得べくんば無利子にしたいわけでございますが、財政当局等事情もあると思いますので、できるだけコスト負担の少ない金を出資及び利子補給を伴う融資ということによりまして確保をいたしたいというふうに努力をしておるところでございます。  補正予算が組まれるということになれば、もちろんわれわれといたしましては必要な金額補正予算要求をいたしたいというふうに考えております。
  9. 岡田哲児

    岡田(哲)委員 そうすると、このめどですけれども、いま検討されておられて、臨時国会がいつになるかはわかりませんが、大体臨時国会ぐらいがめどと考えていいのですか。
  10. 天谷直弘

    天谷説明員 われわれは、臨時国会の時期につきましては全くわからないのでございますが、通常予算、五十四年度の予算要求をする場合におきましても、大体八月中には案を決めなければならないわけでございますから、そういう方向で詰めたいというふうに考えておるところでございます。
  11. 岡田哲児

    岡田(哲)委員 それから、端的に言っていただければ結構ですが、この発足の時期を大体どのように考えておられるかという点と、それから、立法措置金属鉱業事業団法改正でいくのか、あるいは単独立法を考えているのか、これはどこら辺でしょうか。
  12. 天谷直弘

    天谷説明員 発足の時期につきましては、臨時国会があるかないかというようなことに左右されますので、何とも申し上げかねますけれども、われわれといたしましては、国会におきまして必要な予算法律を決めていただければ、早急に発足させたいというふうに考えておる次第でございます。  次に、法律改正内容でございますけれども、これは一応事業団法改正というようなことで考えておりますけれども、なおまだ法制局その他等との詰めがございますので、いまのところ明確なお答えをすることは御容赦を願いたいと思います。
  13. 岡田哲児

    岡田(哲)委員 次は、備蓄制度についてちょっとお伺いをしたいわけでございますが、いま話を聞いておりまして、私、常識的に思うのですが、金利を六・五%を六・〇五にしたということでございますが、いまの金利全般をながめてみまして、これはまだまだ下げる方向でいかぬものか。この間審議をいたしました円高法が五・五%で提案をされ、そして最近これを五・三%にさらに下げておるわけですね。私は、きょうもまだ質問するつもりでございますが、五%ぐらいにできないかというふうに言うつもりなんですけれども、この点から見ましても、まだまだ努力できるいろいろな方法があるのではないかと思うのですが、どうでしょう。
  14. 天谷直弘

    天谷説明員 われわれといたしましては、先生のおっしゃったとおり、できるだけ金利を下げるということは望ましいことであり、そういう方向努力をいたしたいと思っておるわけでございます。しかしながら、金融機関の方の常識といたしましては、既往金利を下げるということは、金融常識からいって非常にむずかしいということで、御承知のとおり抵抗が激しいわけでございますので、その辺どういう妥協点が見つかりますか、今後ともわが方といたしましては引き下げの努力をいたしたいというふうに考えております。
  15. 岡田哲児

    岡田(哲)委員 次は、この制度は五十一年八月から発足したわけですが、五十四年の七月で切れるわけですね。いまの情勢から私ども心配をするのは、こういうような低迷をしている段階でもし切れて、その段階で、さらにいまの情勢で見ますと買い上げ価格が下回りそうだという段階ですから、当然心配をするわけでございますが、備蓄期間延長——まあこの延長をしていきますとまた問題があると思うのでありますが、市中金融機関との問題も出てくるだろうと思います。それから、その差額補償の点でいきますと、一般会計から出さねばならぬというようなこと、それから金利がかさんで国の肩がわりが三百億ぐらいかかるというような点、いろいろ心配するのですけれども、いまの段階で、期限が切れた後の取り扱いを一体どのように考えられておるのか、この際明らかにしておいていただきたいと思います。
  16. 天谷直弘

    天谷説明員 いま先生指摘のとおり、非常にむずかしい問題で、われわれも頭を悩ましておる次第でございます。しかしながら、五十四年の七月までまだ一年程度期間があることでございますし、その間にLME相場あるいはPPあるいはまた円の為替相場、こういうものがどういう動き方をするか、きわめて不確定な要因がございますので、いまの段階で余り明確な線を打ち出すということはむずかしいという次第でございます。しかしながら、万一買い戻しをする際に巨額の損失が出てしまうというような事態に直面した場合一体どうするのかということは、まさに御指摘のとおりいまからよく考えておかなければならない問題でございます。  われわれといたしましても、もちろん内々で検討はいたしておるわけでございます。この際、損失をすべて国にかぶせるという行き方一つの極端な行き方でございましょうし、あるいはもう一方の極端はすべてを企業にかぶせるという行き方と、両極端があるかと思われます。この両極端いずれも多くの問題を含んでおるかと思いますので、一体どの辺で、中間で妥協をするか非常にむずかしい問題でございますので、いま一年前の今日におきまして、歯切れのいいお答えを申すということは非常にむずかしいのでございますけれども企業が致命的な打撃を受けるようなことがないように、なるべく善処をするということで考えていきたいと思っております。
  17. 岡田哲児

    岡田(哲)委員 五十三年度の中で百五十一億の買い上げがやられたわけですね。この中身をちょっと発表しておいてください。
  18. 福原元一

    福原説明員 お答えいたします。  五十三年度の予算で百五十一億の銅、亜鉛並びにアルミニウム備蓄を予定してございますが、五月末契約、六月末支払いで六千トン並びに六月末の契約、七月末の支払い亜鉛を約三千トン購入すること、並びにアルミニウムの購入はすでに決定しております。銅につきましては、現在の在庫状況等勘案いたしまして、しばらく待つという状態にございます。
  19. 岡田哲児

    岡田(哲)委員 次は、ちょっと最近の海外市況の点について聞いておきたいと思うわけでありますが、LME銅在庫が、一月末で約六十四万トン、五月末で五十二万トンに減っているわけでありますが、これでもさらに世界的には百万トンの在庫がある、こういうふうに言われているわけです。こういうふうに見ますと、この在庫適正規模というのは一体どういうふうに判断をしたらいいのか、あるいは当局の方はどのように適正在庫というものを踏んでおられるのか、需給ギャップ需給関係、こういう今後の需給ギャップ改善というような点については一体どういうふうに見通されているのか、その辺について……。
  20. 福原元一

    福原説明員 銅について申し上げますと、現在世界におきまして在庫が約二百万トンございますが、そのうちの約百万トン近くが過剰在庫であると言われております。どのぐらいが適正在庫であるかと申しますのは、世界全体で見ますと非常にむずかしい問題でございますが、現在自由世界におきます銅の生産並びに消費数字がおおむね年間七百万トンでございますので、七百万トンの生産並びに消費におきまして二百万トンの在庫があって、そのうちの百万トンが過剰在庫であるというふうに言われております。  今後の需給見通しにつきましては、イギリスあるいはドイツあたり長期予測というものもございますが、いずれにいたしましても、需要の伸びはなお若干低い率で進むであろう。一方、一時百五十万トンを超える過剰在庫がございましたが、主要生産国減産の意欲が高まりまして、現在世界在庫も減少の傾向を見せ始めておるわけでございますが、なお、銅につきましてはこの過剰在庫解消には二年くらい、亜鉛については三年近く要するのではないかと言われております。
  21. 岡田哲児

    岡田(哲)委員 先週ウィーンで国連の鉛・亜鉛研究会が持たれたようでありますが、この研究会の結果、海外市況、特に相場だとか今後の見通し、そういうものについてこの場所で明らかにしていただきたい。
  22. 福原元一

    福原説明員 第二十二回の国連の鉛・亜鉛研究会特別総会が七月の三日から六日まで行われたわけでございますが、亜鉛の本年度の需給見通しにつきましては、地金ベースで約十万トン程度需要が多くなるであろうという結果が出ております。亜鉛自由世界におきます生産並びに消費はおおむね年間約四百万トンでございますが、ことしに限ってみますと十万トン程度需要超過というような報告がなされております。しかしながら、亜鉛につきましても、先ほど銅で申しました約百万トン弱の過剰在庫に見合う過剰在庫といたしまして、なお数十万トンあると言われております。過剰在庫解消にはなお若干の時間を要するであろうという感触が、各国支配的であったというふうに聞いております。  このために、EC並びにわが国は、各国に呼びかけまして、生産国減産をする必要があるのではないかという呼びかけを行ったわけでございますが、現在の市場動向にかんがみまして、亜鉛生産消費以下に抑制するということで、各国そのコンセンサスを得られたというふうに聞いております。  なお、今回の特徴といたしまして、今回の総会EC減産に前向きな姿勢を示したということはこの会議の大きな前進でありまして、十一月末に次の総会が行われるわけでございますが、これによって、この総会に向けて各国申し上げました線で努力をするというふうになったということでございます。
  23. 岡田哲児

    岡田(哲)委員 次は、産構審の五十三年度の需給見通しというのが出されているわけでありますが、銅地金生産が、これによりますと九十四万六千トンというふうになっておりますが、私どもちょうど行ったときに尾去沢閉山になってしまったのですが、松木、紀州、尾去沢尾太、こういう閉山、そしてそれぞれ縮小合理化というものが行われているのですが、この銅地金需給見通し策定生産策定をされたときにはこれらが入っているのか。考えてみますと、当然こういう策定をした後当面のいろいろな措置をとられるわけですから、今後は——今後というよりさしあたりは休閉山縮小というものはないと見ていいのか、その辺を明らかにしておいてもらいたいわけです。
  24. 福原元一

    福原説明員 産構審資金部会での五十三年度の需給見通しにつきましては、ただいま先生指摘のとおりでございますが、この需給表は本年の三月の時点調査いたした結果でございますので、その時点において、国内鉱山生産状況、あるいは海外鉱輸入状況、あるいは地金輸入状況等々勘案いたしましてつくりました数字でございます。したがいまして、その後休閉山が出ておりますが、これの修正は、いずれ下期の見直しをいたしますので、その時点において修正をいたしたいと思います。  今後、これ以上閉山が出るか出ないかということでございますが、閉山あるいはレイオフ等々につきましては、企業判断によるところも非常に大きゅうございますが、私どもといたしましては、国会の御決議あるいは鉱業審議会建議等を受けまして、そのようなことのないようにせっかく努力してまいりたいと思っております。
  25. 岡田哲児

    岡田(哲)委員 この機会ですので、明らかにしておいていただきたいと思うのでありますが、海外鉱不足がささやかれているわけですが、この見通しから見ますと、どうも思惑買いが出てくる、買いあさり競争が起こってくるのじゃないか、そしてブローカー的な行動が起こってくるのじゃないか、こういう心配をしているわけでありますが、この情勢当局としては一体どういうふうに判断されているのか。たとえば業界の動きだとか、それから今後の方針というような点について、考え方を明らかにしておいていただきたいと思うわけです。
  26. 天谷直弘

    天谷説明員 先生指摘のとおり、確かに最近鉱石不足状況が出てきておるわけでございます。しかし、私どもはこれは一時的な現象ではないだろうかというふうに考えております。  これまで産銅諸国、特に発展途上産銅諸国は、外貨事情が窮屈なこともございまして、銅の需要が減退しておるにもかかわらず、生産のペースを落とさないできたのでございますが、その結果といたしまして、銅の過剰というようなことになり、特に最近でも、御指摘のとおり、地金が二百万トンを起すというような世界在庫があるというわけでございます。こういうような在庫圧迫、それから価格低迷に対処するために、産銅諸国といたしましても、これはやはり鉱石減産をしなければならないというようなことを考えまして、最近鉱石減産努力をした結果、一時的な現象として銅の鉱石がやや不足というような結果になってきたかと思われます。  しかしながら、片一方では銅の地金の巨大な在庫が存在するわけでございますから、この銅の地金在庫が正常な水準に戻ってまいりますれば、当然鉱石増産、これは発展途上国はやりたくてしょうがないわけでございますから、当然鉱石増産は行われまして、鉱石不足というような現象は消滅してしまうであろうというふうに思われます。  御指摘のように外商思惑買い等可能性がないわけではございませんでしょうけれども日本銅鉱石輸入のやり方は長期契約に基づいているわけでございますので、この外商等思惑買いによって大きく撹乱されるようなおそれは余りないのではなかろうか、こうふうにわれわれは考えておる次第でございます。
  27. 岡田哲児

    岡田(哲)委員 大臣もお見えになりましたので、ぼつぼつそちらにいきたいと思うのでありますが、その前に、水力自家発電、地熱発電等の関係に対する長期低利融資を確立させるということで、当然長期融資については可能のようですが、先ほどもちょっと触れましたように、低利の点から見ますと、七・五というふうに言われているのです。最近の一般金利から見ましても非常にこれは高いというふうに思うのですが、この辺はもっと、先ほども触れたように円高では五・三ぐらいまでいま来て、五%にしろと言っているのですから、この低利というのはそういかぬですか。
  28. 天谷直弘

    天谷説明員 現在の開銀、それから北東公庫の融資金利は、御指摘のとおり、開銀融資エネルギー多様化枠では七・〇五%、それから開銀融資の地域開発枠は七・一%、それから北東公庫の地熱発電につきましては六・七五%、こういうような金利になっております。御指摘のとおり、一般の金利が低下傾向にあるわけでございますから、われわれといたしましてはこの金利の低下が望ましいわけでございますけれども、しかし、金利体系一般は、これは金融当局の所管しておるところで、いろいろバランス問題等もあると思われますので、われわれとしてはできるだけ安い金利を望むということだけ申し上げたいと思います。
  29. 岡田哲児

    岡田(哲)委員 中小企業庁が来ておられるようですが、このものに関係をするわけではありませんが、最近の円高の傾向、こういうものから見まして、六月末の全国調査をやられたようですが、この結果で特徴的なものは一体何か。それに対してどのような対策を立てられているのか。  それから、三、四、五の三カ月間のこの認定者が二万五千件、こう聞いているのですが、いまのように安定せずにまだ非常に混迷を続けていくという情勢の中から判断をいたしまして、この融資が九月で期限が切れるわけですね、そういう点から見て延長できないかという点と、それから、いままでもちょっと言いましたように五・三%にした。これはあのときのわれわれの審議の中でも、五%ぐらいにせよ、こういう話が出て、努力をしますという長官の答弁であったわけでございますか、こういう情勢ですから、期間延長と五%に金利をできないかという点だけ、簡単でいいですから、ちょっと答えておいていただきたい。
  30. 左近友三郎

    ○左近説明員 御指摘の円高対策融資期間延長の件でございますが、これにつきましては、昨年発足して以来二回にわたって相場状態延長をしておりますが、また最近の円高に照らしましていろいろ実態を調査しておりますので、必要とあれば、これは現在九月三十日ということになっておりますけれども、また延長検討して、そして最近の円高の影響を中小企業が大きくこうむるということに対する対策に遺漏のないように考えたいというふうに考えております。  それから、金利でございますが、これにつきましても、実は昨年以来三回、通算して二・三%引き下げて、現在御指摘のように五・三%になっておりまして、これについては現在利子補給もしてやっておるものでございますので、いま直ちに金利引き下げというものはなかなかむずかしいのではないかというふうに考えておりますが、これについても情勢を今後見守って検討してまいりたいというふうに考えております。
  31. 岡田哲児

    岡田(哲)委員 あと五分ということですので、大臣を含めてちょっとお伺いをいたしておきたいわけであります。円高差益の問題でございます。この問題と、それから電力料金の引き下げ、非鉄金属に関してだけではないのでしょうけれども、この問題が非常に重要ですので、ちょっとお伺いをしておくわけであります。  私、きのうの新聞を見ましてことさらのように思うのでありますが、このランクづけから見ますと、電力関係がもう相当上の方、たとえば東電でいきますと三位、関西が四位、中部が六位、東北が十位、九州が十一位、中国十三位、北陸三十一位、四国三十五位と、こういう上ランクに全部入っておるわけです。それで利益で見ましても、東電などは七百五十一億二千二百万円という利益が計上されているわけでございます。その他もずっと百億以上、各電力会社は出てきているわけでございます。  大臣に前からも強く言いましたように、いまのように据え置きという方向もあるのかもしれませんけれども、これだけの問題で、しかもいまの円高の情勢から判断をしますと二百円台を割るかもしれない、こういうときでございますから、やはりこの差益還元に踏み切るということが大事だ、これは国民の要望も強く出てくるのじゃないか、私はこういう点を考えるのであります。こういう時期でございますし、しかも電力料金が大変非鉄金属関係に大きな圧迫になっていることはもうすでに御存じのとおりでございますので、この還元と同時に電力料金を下げることができないか、こういう点についてもし御検討されているならば、お答えいただきたいと思うわけです。
  32. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 まず、円レートの問題でありますが、現在の水準はことしの初めに比べまして相当高い水準になっております。したがって、電力会社もこれまでの計算以上に非常に大きな利益が出るであろうということは、当然いまの水準であれば期待をされます。ただしかし、現在の水準が私どもは妥当なものであるとは思っておりませんし、いま政府の方ではいろいろ工夫をいたしまして黒字減らし対策を進めておりまして、いずれはある程度の均衡の回復が可能だと思っております。そういたしますと、おのずから妥当な水準に回復するのではないか、このように考えております。  そこで、電力料金の問題でありますが、これまでの決定では、五十三年度、五十四年度は据え置く、こういう方針を決めております。現在の料金は、もうすでに御案内のように、五十一年に五十一年と五十二年の両年の原価計算をいたしまして決めたものでございまして、五十三年度以降は、人件費、物件費等のアップ分を考慮いたしましてある程度引き上げの時期に来ておるわけでありますが、先ほど申し上げましたように円高による差益が出てまいりましたので、据え置きという方針でございます。  そこで、いまお尋ねの問題点は、これまではそうであったが、最近の円高によるさらに大きな利益というものを考えると、この際は据え置きではなく、むしろ引き下げたらどうだ、こういう御意見だと思います。  実は電力業界に対しましては、これから二つのことを要請しようと思っております。  一つは、原子力発電がこれから相当大きく伸びてまいりますので、ウランの鉱石、ウランの濃縮、再処理、つまり原子力エネルギーに対して相当の手配をいたしておりますが、その手配に対してある程度の資金の前払い等をすることによりまして、さらにその手配を確実ならしめるということと同時に、黒字減らし対策にこれを大きく活用していきたい、そうなりますと、電力会社が相当な負担増になります。  それからもう一つは、ことしの電力会社の設備投資は工事量で三兆二千億円、それから来年度以降の機械等の繰り上げ投資、これも一兆円余り、合計四兆二、三千億がただいま確定されておりますが、電力投資を急いでおりますので、これを五兆円まで持っていきたい、こういう考え方でございます。そして同時に、五十二年度は電調審を通りました地点の合計は三百七十五万キロでありましたが、ことしは千九百五十万キロ、約二千万キロの地点につきまして電調審を通したいということでいま懸命に作業をしておりまして、大体これは可能であろうと考えております。それを背景といたしまして、来年度以降さらに飛躍的にことしの目標五兆円をさらに上積みをさせる、そういうことでいま準備をさせようと思っております。そういたしますと、これらの先行投資に必要とする負担等も相当加わってまいります。  でありますから、私は、ごくわずかな値下げをするよりは、むしろいま申し上げました二つの点に電力会社の資金を大きく活用いたしまして国民経済全体に寄与させる、その方がより有効ではなかろうか、このように考えておりまして、電力料金を引き下げるということは考えておりません。むしろ、なお可能であれば、あるいは将来いまの二年間据え置きというものをさらに継続させる、こういう点については検討しなければならぬかとも思っておりますが、現在のところは引き下げ、こういうことは考えておりません。
  33. 岡田哲児

    岡田(哲)委員 見解を承ったわけでありますが、非鉄金属の置かれている現状から見まして、こういう情勢ですから、たとえば夜間電力料金の引き下げだとか、計画的な操業休止のときの休止電力の基本料金の免除だとか、負荷率割引制度の復活だとか、いろいろ業界からも電力料金についての要望が出されていると思いますが、一方、そういう方向も結構ですが、こういう点についてもひとつこういう時期ですからぜひ積極的に検討をしていただくように要望をいたしまして、持ち時間が来ましたので、これで終わります。
  34. 野呂恭一

    野呂委員長 山崎拓君。
  35. 山崎拓

    ○山崎(拓)委員 大変不振にあえいでおります金属鉱業対策がいま鋭意検討されつつある段階でございますけれども、ここで大臣にお伺いしたいのでございますが、このような対策をお立てになるに当たりまして、わが国は資源小国でありますし、その資源小国日本にとりまして金属鉱産物は貴重な資源である、こういう観点に立ちました基本的な鉱業政策に関する理念というものが必要であるというように思うわけでございます。  この点につきましては鉱政懇報告の中でも触れられておりますし、さらにまたその一節をあえてお読みいたしますと、  現存の国内鉱山の多くは、こうした長年の合理化と技術の蓄積の下に稼行されているものであり、さらに今後の探鉱により有望な鉱床発見の可能性を有している。また国際的な新規鉱山開発には巨額の資本を要し、その採算価格はわが国の鉱山の平均産出コスト以上を要することを考慮すれば、国内資源を有効活用すべき余地はなお十分存在すると思われる。さらに鉱山は他産業と異なり閉山後の再開発が極めて困難であること、閉山後も多額の鉱廃水処理費を要すること、鉱山所在地域は雇用、公共施設、関連産業の維持等その存立基盤に係る多くの面で鉱山業に依存している等の特殊性についても配慮する必要がある。このように細かく指摘しております。  こういうことでございますが、ひとつ最高責任者の通産大臣におかれましては、今後のわが国鉱業政策の基本理念をどのようにお持ちであるか、お伺いしたいと思います。
  36. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 いまわが国の基本的な政策として必要なことは、総合的な国の安全保障を考えていくということだと思います。軍事面での安全保障も大事でありましょうが、同時に経済面での安全保障、その他幾つかの要件を含めまして総合的に国の安全保障を進めていくということが非常に大事である、このように理解をいたしておりますが、そういう観点に立っていまお尋ねの非鉄鉱山の問題を処理したいと思っております。  したがいまして、現時点では採算的に非常に苦しい事情にありまして、このまま放置いたしますと壊滅のおそれすらございます。そういうことでは先ほど申し上げました安全保障上ゆゆしきことにもなりかねませんので、去る五月末に当委員会におきましてもこの問題に対して政府は善処するように、こういう御決議もございましたので、その御決議を受けまして自乗鋭意対策を検討しておりました。最近ようやく案が固まりつつありまして、近くこれを最終決定したいと考えております。去る六月二十三日に経済対策閣僚会議を開きまして、私から特にこの点について対策が必要であるという発言をいたしまして、通産省において適切な対策を立てるように、こういうことになっております。  本格的な対策といたしましては、やはり補正予算も必要だと思いますし、あるいはまた法律も必要だと思います。しかし、これは臨時国会が開かれませんとどうにもなりませんので、それまでは、対策が決まりますと行政措置でこれを進めていきたいと考えております。行政措置でも、しばらくの間でございますから、十分対応できると考えておりまして、万遺漏なきを期していきたいと考えておるところでございます。
  37. 山崎拓

    ○山崎(拓)委員 先ほど大臣、岡田委員の質問に対しまして、電力料金問題でお答えがございました。大臣は、特に電力料金を引き下げる考え方はないというお話でございましたが、私は、構造不況業種対策の中で、構造不況要因というものが需給のアンバランスにあるという場合は、これは前国会通りました現在の構造不況業種対策が最も有効だと思うのでありますが、その中にも含まれておりますたとえばアルミでありますとか本日議論いたしております非鉄金属でございますとかそういった産業は、需給要因も多少はございましょうが、むしろコスト要因が不況の主たる要因になっておるということだと思うのです。そのコストの中でも電力コストが最大の要因になっている。これはアルミが典型的でございますが、この金属鉱業におきましても製錬コストの中では電力料金は非常に高コストでございまして、これが不況要因になっております。そういう電力コスト高を要因とする構造不況業種についてのみは、電力料金について引き下げと申しますか、特別料金を考慮する必要があるのではないか、そういうふうに考えるわけでございますが、大臣、いかがでございますか。
  38. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 構造不況業種に対する緊急立法は先ほどの通常国会で成立いたしまして、それに基づきましていろいろな対策をいま進めようとしておるところでございます。しかし、先般の法律だけではなお対策が不十分であるという二、三の業種に対しましては、さらに一層突き進んだ別途の対策もあわせて進めていきたいと考えております。  電力料金は、御案内のように、一昨年値上げをいたしましてから、ドイツを凌駕いたしまして、いま世界で一番高い水準になっております。したがいまして、コスト要因としていまいろいろお述べになりましたが、まさにそのとおりだと思います。ただ、電気事業法に基づきまして原価計算をする、原価計算主義、公平主義、こういうたてまえになっておりますので、構造不況業種だからといってこれを引き下げる、こういうわけにはまいりません。しかしながら、先ほど申し上げますように、構造不況業種はほっておくわけにはまいりませんので、全体として立ち直るようにいろいろ考えておるところでございます。したがいまして、電力料金等による圧迫等も含めまして全体としての対策を考えていきたい、いまそういう作業を進めておるところでございます。
  39. 天谷直弘

    天谷説明員 いま御指摘になりました非鉄金属鉱山、あるいはアルミニウムその他電力多消費の苛性ソーダとか、そういういろいろな産業がございまして、そういう産業におきましては、電力コストが高いということが非常に大きな問題になっておるわけでございます。この電力料金をそういう産業に対して引き下げ得るかどうかということにつきましては、いま大臣御指摘の大原則というものがございまして、この大原則を逸脱することは不可能でございます。  しかしながら、電力を大量に消費する企業に対しましては、特約料金制度という制度があることは御承知のとおりでございます。この特約料金制度と申しますのは、電力企業が合理的な経営を行うために負荷調整ということがきわめて重要でございますが、この負荷調整を合理的に行うためにはユーザーの協力ということが必要でございます。ユーザーでこういう負荷調整によく協力してくれる者に対しましては料金の割引をしようというのが特約料金制度でございまして、特約料金制度の種類といたしましては時間帯特約、負荷調整特約、休日振りかえ特約、業務用特約、定時調整特約等々のいろいろな種類がございます。非鉄金属鉱山等々におきましては、電力企業との間で、この特約料金制度の枠内におきまして一体どの程度料金の割引ができるかということは個別に鋭意詰めているはずでございまして、われわれといたしましても、電力会社にこの枠の範囲内において弾力的に対処するようにというような指導をいたしておるところでございます。
  40. 山崎拓

    ○山崎(拓)委員 そこで、いまのお話でございますが、負荷調整を積極的に行うべきである、特に夜間負荷をむしろ政策的に誘導的に造成すべきである、こういう考え方があると思うのです。そのためには、現行よりもさらに夜間料金を安くする、夜間率の高い需要家の料金を安くする方策を一段と講ずるべきではないかというように考えるわけですが、その点はどうですか。
  41. 天谷直弘

    天谷説明員 現在の供給規程の枠内において可能な範囲におきましては、個別のケースごとに電力会社とユーザーとの間で折衝が行われているというふうに承知をいたしております。ただ、この供給規程そのものをもう少し弾力化する、負荷調整協力するユーザーに対してもっと大幅な割引ができるようにするということにつきましては、現在鋭意検討中でございます。
  42. 山崎拓

    ○山崎(拓)委員 ぜひ検討を進めていただきたいと思うのです。  もう一点、電力料金問題に関連して伺いますが、先ほど来の岡田委員の質問でもこの点が議論されておったのでありますが、鉱政懇の答申の中に、「小規模水力・地熱自家発電の開発等の推進が望まれる。」この「開発については政府としてもさらに積極的な推進を図っていくべきである。」こういうふうに指摘してあるのであります。  そこで、その開発を進めるための融資とその金利問題ということであったわけでございますが、私は、電源特会の中で、ことしは電源立地促進対策交付金について水力発電の範囲を拡大しまして、一万キロワット以上を五千キロワット以上に引き下げた、こういう措置がとられておることは承知しております。しかしながら、これはあくまでも立地交付金でございますから、当該市町村に交付せられるものでございます。そういうことで、企業がもっと前向きに積極的に小規模水力あるいは地熱の開発に取り組みますためにはこの電源特会の財源を使ってやったらどうか、こういう考え方があることは御承知だと思うのです。  この電源特会は、昨年、前年度の剰余金収入が百五十六億、こういうことでございますから、立地交付金制度を組みまして本年度は従来の三百円を六百円に引き上げたということでございますが、果たしてそのことが効果があって電源立地が進捗するかどうか、私も疑問に感じておるわけです。  そういうことでございますが、現在小規模水力の包蔵力というのは、私が聞いておりますところでは二千万キロワットぐらいあるのではないか。これは定かではございませんが、相当の可能性があるということであれば、むしろ企業にこれを積極的にやらせるという誘導政策を講ずることが、立地交付金制度も有効でありましょうけれども、同時並行的にやれば相当効果があるのではないかと私は考えるわけです。  ですから、先ほど金利問題をやっておったわけでございますが、そういう中途半端な金利ではなくて、金属鉱業のように非常に経営状態が苦しいところでは、そういう金利負担があったんではむしろそういう面に乗り出せないのじゃないか、だから、ちょっと大胆な言い方でございますが、無利子の金を出してやっても小規模水力や地熱発電の開発をやらせたらどうか、こういうふうに考えるわけでございますが、長官、いかがですか。
  43. 天谷直弘

    天谷説明員 日本エネルギー供給におきまして石油依存が非常に高いということは大きな問題でございまして、われわれといたしましては、できるだけエネルギー供給源の多様化を図りたいということを考えておるわけでございます。特に小規模水力あるいは地熱等は国内の資源でございますから、これらの開発が望ましいことは先生指摘のとおりでございます。そのために、先ほど来も御指摘がございまして、金利が高いという御指摘がございましたが、開銀融資、北東公庫融資等を通じまして、こういう政策の推進を図っておるところでございます。  ところで、いま先生指摘の、電源特会の資金を通じて直接補助金を出したらどうかという御指摘でございますが、この電源特会の従来の趣旨はやはり地元対策ということにございまして、コストの高い電源開発に対して直接補助金を交付するということは、制度の本旨をやや大幅に変えるということになるかと存じますので、この問題につきましては、先生の御指摘でございますので、今後とも検討を続けさせていただきたい。いますぐこの制度を大幅に変えることに直ちに踏み切るということはなかなかむずかしいと思いますが、なお検討をさせていただきたいと思います。
  44. 山崎拓

    ○山崎(拓)委員 先ほどの質疑の中で、今後休閉山はあるのかどうかというような質問に対しまして、緊急に対策を講じて、ないようにするというような御答弁だったと思うのでありますが、現実に新聞報道等を見ておりますと、八月にはレイオフが行われるというような記事も出ておるというようなことで、休閉山、レイオフは依然として続く傾向にあるというふうに判断せざるを得ない。  したがって、いま政府が講じようとしております対策ができるだけ早く講ぜられるということが必要だと思うのでありますが、それ以前に、当面のつなぎ融資と申しますか、カンフル的緊急措置として関連業界の協力による前倒し購入ということが検討されておったはずでございますが、この点はどのように進行しておるか、伺います。
  45. 天谷直弘

    天谷説明員 銅と亜鉛でございますけれども亜鉛につきましては、現在金属鉱山企業とそれから鉄鋼会社との間でケース・バイ・ケースでネゴシエーションが進行中でございます。一概に一律の制度として行うということは非常にむずかしい、独禁法等の問題もございましてむずかしいのではなかろうかと思いますので、個別の企業企業で話が目下進行しておるというふうに承知をしております。われわれといたしましても、できるだけそういうネゴが円滑に進むように推進をしたいというふうに考えております。  他方、銅につきましては、銅の前払いをしますときに一体値決めをどうするのかという問題がございまして、いまのところ非鉄企業とユーザーとの間で必ずしも話が詰まっていない。で、非鉄金属会社の方も銅の前払いを受けることに関しまして非常に強い熱意というほどでもないということで、一応話の進展が中断をしておるというような状況でございます。しかしながら、そのために銅の非鉄の山が金融、金繰りが詰まって危機に瀕するとか、そういうことは当面はないのではないかというふうに考えております。
  46. 山崎拓

    ○山崎(拓)委員 そこで、経営安定化基金構想中身について若干伺っておきたいと思うのであります。  まず、基金の規模については、先ほどお話があっておったように思うのでありますが、この基金の規模を算定します基準価格があると思うのでありますが、その基準価格は銅、亜鉛はどのように考えておられるのかが第一点。それから、この基金の規模と考えておられる無利子融資の規模との関係ですね。私、あえて無利子ということをいま申し上げたわけでございますが、第三点として金利についての考え方も伺っておきたいと思います。それから、融資を行いますための融資対象事業はどういうものであるのか。以上の点についてとりあえず伺います。
  47. 福原元一

    福原説明員 五月二十六日の国会決議並びに七月三日の鉱業審議会鉱山部会の建議、これを受けまして、現在経営安定化融資構想を具体化するために検討を進めておるところでございますが、内容につきましては、現在関係者と調整中のところが多々ございまして、その主たる検討項目は、実施の主体あるいは融資の対象等々あるいは先生指摘の点でございますが、申し上げましたように、まだ調整中のところが多々ございまして確定しておるわけではございませんが、融資の対象並びに融資の規模につきましては、一応探鉱であるとか坑廃水処理等鉱山特有の作業に伴う運転資金並びに合理化資金を対象と考えておりますが、規模につきましては、これもただいま調査中でございますが、感触といたしまして百億ないし百五十億ぐらいになるのではなかろうかと考えております。  それから、基準価格につきましても現在調査中でございますが、一定価格を設定いたしまして、価格がそれを下回った場合に、その差額とその鉱山の生産量を乗じましたものを一応融資の限度といたしまして、申し入れました融資対象事業に対して融資をしてまいりたい。  金利につきましても、私ども極力低利——先生おっしゃいましたように、無利子であれば一番結構なわけでございますが、極力低利融資ができますように検討してまいりたい、そういうように考えております。
  48. 山崎拓

    ○山崎(拓)委員 十分なお答えがなかったのでありますが、私の方から要望申し上げておきますが、基準価格の設定でございます。これは仄聞するところによりますと、関税の課税価格でいくという話もあります。この基準価格は五十万と二十一万ということでありますが、一方、政府の方で鉱政懇に出されました資料によりますと、銅の方は五十三万五千六百円というコストになっておる、それから亜鉛の方は二十五万八千百円というコストになっておる、こういうことでございまして、通産省そのものがそういう資料をお持ちでございますから、実際コストということを基準価格とすべきではないかということを一応提案しておきたいと思います。  それから、融資対象事業についてはお答えがなかったのでございますが、これも仄聞すれば、退職金も含まれるということでありますが、これは金属鉱山の閉山対策ではないのでありまして、再建維持対策でありまするから、そういう経営安定化基金の趣旨から申しましても、退職金を融資対象に含めるということはいささかおかしいのではないかというふうに感ずるわけです。そういうことで、退職金については別枠としてカウントするということが妥当だと思うのでありますが、この点についてもぜひ御検討を煩わしたいと思う次第でございます。  それからもう一点伺っておきますが、この融資の際の担保問題でございます。現在金属鉱業企業におきましては、もはや担保提供能力はないと判断される企業が相当あるというふうに思うわけでございますが、この担保の問題が基金構想のネックになるのではないかということを感ずるわけでございます。この点どうですか。
  49. 福原元一

    福原説明員 融資というものの常識からいたしまして、担保なり保証というものが必要であるということは当然でございますが、御指摘のように、現在の国内鉱山企業におきましては、物的担保はきわめて乏しい企業も多いということは私ども重々承知しておりますので、担保につきましては、あるいはその他保証というような形でもできないか、その辺を含めまして検討を進めております。
  50. 山崎拓

    ○山崎(拓)委員 大体この基金構想というのは、始まりは価格差補給、赤字補てん的な構想であったわけですね。それが融資というものに変わった。これはやむを得ないと私ども判断いたしますけれども、仮に百五十億の無利子融資が行われたといたしましても、その金利を計算しますと十億から十二億くらいのものでございまして、それを銅と亜鉛を合わせて三十万トンで割りますと、トン当たり三、四千円くらいのものであって、結局実質的にはトン当たり三、四千円の赤字補てんということになるということでございますから、この経営安定化基金構想というのは最大限に御努力いただいて、無利子であることはもとよりでございますが、その他のいろいろな条件につきましても、極力これを有利に御検討いただくということが必要であるということを御要望申し上げておきたいと思います。  最後に、これは中小企業庁長官からお答えをいただくことになると思うのでありますが、企業城下町救済対策構想というのが過般発表されたわけでございます。この内容について御紹介いただきたいと思いますし、特に非鉄金属鉱山がございます企業城下町、これが当然対象に入っておると思いますが、この点、確認の意味でお答えをいただきたいと思います。
  51. 左近友三郎

    ○左近説明員 いま御指摘のありました対策は、いわゆる構造不況業種の事業所が地域経済の中核になっておるような地域につきましては、たとえ景気がだんだん上昇してまいりましても、構造不況業種の不振からその地域の経済全体がなかなか立ち直りにくいというふうな現状を踏まえまして、これに対して何とか総合的な関連産業対策、中小企業対策でありますが、これを実施してみようということでございまして、現在地方通産局それから地方公共団体と連絡をとりながら、その実態の調査、それから具体的なその地域ごとにどういう対策をとったらいいかというようなことについて、検討を進めておるわけでございます。  今後のスケジュールといたしましては、まずどういう地域を選定するかという地域の選定基準と、それからそれに対する対策、これは主として金融対策とかあるいは下請のあっせん対策あるいは事業転換の推進対策、企業誘致対策、いろいろあろうと思いますが、そういう点を検討しておるわけでございまして、この中には法律ないしは予算を要する対策もございますが、これは恐らく秋以降になるわけでございますので、それを待っておれませんから、地域の選定が済みましたならば、予算なり法律の要しない対策は、関係各省と相談しながらなるべく早く打ち出していきたいというふうに考えておるわけでございます。  御指摘非鉄金属鉱山の事業所を中心とする地域につきましても、このケースに該当するところはあろうかと思われます。現在検討中でございますが、不況業種の中に当然非鉄金属鉱業も入るわけでございますので、その中で一定の基準に照らして必要なものに対しては、その範囲として考えていきたいというふうに考えております。
  52. 山崎拓

    ○山崎(拓)委員 時間が参りましたので、終わります。
  53. 野呂恭一

    野呂委員長 午後二時から委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午前十一時四十八分休憩      ————◇—————     午後二時三分開議
  54. 野呂恭一

    野呂委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。中村重光君。
  55. 中村重光

    中村(重)委員 円の対ドル相場はとどまるところを知らないというぐらいに、ついに二百円台になったわけですが、どこまで円高になるのか、通産大臣も把握できないというぐらいの上昇のようですが、この原因をどう見ておられますか。
  56. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 原因はいろいろあろうと思いますが、一つは、やはりわが国の大幅な黒字が続いておるということだと思います。それからもう一つは、アメリカの大幅な赤字並びにアメリカのインフレ、こういうことではないかと思います。  なぜアメリカのインフレが影響しておるかといいますと、輸出の方は数量的に昨年横並びの水準で指導しておりますが、しかしながら、価格がドルベースで非常に上がっております。なぜ上がるかといいますと、それは主としてアメリカのインフレが進んでおりまして、アメリカでできる製品も相当値上がりをしております。また日本も、円高で手取りが少なくなりますので、チャンスがあれば値上げをしたい、こういう気分でございますので、アメリカ市場における輸出品を相当値上げをしてきたわけでございます。そういう幾つかの原因が総合いたしまして、現在の水準になっておると考えております。
  57. 中村重光

    中村(重)委員 おっしゃることが主たる要因だろう、こう見ているのですが、そうしてみると、日米間の貿易収支の不均衡といいますかいわゆるインフレ格差、それから日本の黒字がなかなか減らない、そうした根本的な不均衡が是正されない限り、円高はさらに上昇を続けて二百円台を割り込むということだってあり得るのではないかというように思われるのですが、その点、見通しはいかがですか。
  58. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 これ以上円が高くなるかどうかということに対してはにわかに判断はできませんが、ただ、昨年の初めに二百九十円であったものが昨年の秋に二百四十円まで上がりまして、それはいろいろな形で必死に対応いたしまして何とか切り抜けたわけでありますが、さらにこの二百四十円が現在の水準まで上がったということは、余りにも急激な上昇でありますので、昨年切り抜けたと同じように今回は切り抜けることができるかどうか、実は大変心配をしておるところでございます。  そこで、それに対応する対策といたしまして、一つは景気浮揚を引き続いて強力に進めていく。景気が回復すれば、外国から物を買う力がふえるわけでありますから、これは問題の解決になるわけであります。ただしかし、これには時間がかかりますので、一方で緊急輸入の拡大、買えるものはできるだけたくさん買っていこうという緊急輸入対策、この二つを並行して進めていくということが肝心でございまして、何とか現在の傾向を少しでも修正をしたいと考えておるところでございます。
  59. 中村重光

    中村(重)委員 いま通産大臣がお答えになった。私も、この円高の問題では何回質問をしたのか、数え切れないぐらいに質問をやっているのですけれども、大臣もその都度お答えになっているのだが、同じような答弁なんですね。どうして政府が一番力こぶを入れた黒字減らし、輸入を拡大するのだ、それから緊急輸入をやるのだということがうまくいかないのだ。大臣の、いま景気が非常に悪い、景気がよくなったらば輸入もふえてくるであろうというようなことですが、そういうことでは答えにならないのじゃありますまいか。  政府が一たん決定したものが、行政ベースの中で遅々として進まない。その進まない原因は何があるのだろうか。どうしたらば経済閣僚会議等で決定した方針——同じようなことを何回も決定をしていかなければならないのだろうか。そこいらをどう見ているのですか。なぜにその政府の目標というもの、計画というものがうまくいかないのですか。
  60. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 景気の方は、ことしになりましてから大勢としては順調に回復の方向に向かっておると思います。非常に強力な足取りで回復に向かっておると言うことはできません。しかしながら、足取りは弱くても回復の方向に向かっておることは、これは数字が示しておるとおりでございますが、まだ輸入力が目に見えて拡大できるというところまでは来てないことは事実であります。  一方、緊急輸入がなぜ進まないのか、いつ聞いても同じようなことを言っているじゃないか、全くそのとおりでございまして、私どももその点を深く反省をしております。そこで、今回内閣に国際収支緊急対策本部というものを数日前に設置をいたしました。これは言葉をかえますと、緊急輸入の対策本部であります。ここで一つ一つ進みぐあいをチェックしながら、これまでのようなことのないように、着実に効果を上げていこうではないか、こういうことで緊急対策本部をつくったということも、これまでの反省の上に立ってそのような推進政策をやっておるところでございます。しかし、御指摘のように事は緊急を要しますし、かつ重大でありますので、これはどうしても一刻も早く効果が上がるように、政府はさらに決意を新たにして全力を挙げなければいかぬ、このように考えております。
  61. 中村重光

    中村(重)委員 私は、緊急輸入をやるなとは言いません。やるなとは言わないけれども、この緊急輸入というのは、将来の輸入の前倒しでしょう。したがって、一過性のものですね。これは本来的に言う政府の経常収支の黒字を減らしていくとかあるいは経済政策の安定を図っていくという、そのための柱ではないですね。そういう緊急輸入問題だって、大体何が輸入できるのであるか。通産大臣の頭の中にある、これだけはぜひやらなければならない、それはまた可能である、いままでできなかった原因はこうだという説得力のあるようなお答えができますか。いかがです。
  62. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 一過性のものもあると思いますが、しかし、そうでないものもあろうと思います。二つの種類があると思うのです。  それから、一過性のものだと効果が将来ないではないか、こういうお話でありますが、本格的対策といたしましては景気の回復によりまして輸入力を拡大していこう、それまでのつなぎとして、一過性のものでありましても、経常収支の均衡に役立つものであれば、これは非常に大きな効果があるであろう。いまは緊急対策としての黒字減らしが必要でありますので、やはり長期的な本格的対策と緊急の対策、この二つを並行して進めていくべきでなかろうか。中身についてはいろいろ御議論もあろうと思いますが、政府としてはやれるだけのことはやっておるというのが現状でございます。
  63. 中村重光

    中村(重)委員 政府としてはやれるだけのことはやっている、具体的にこういうことをやっているのだというように、なるほど政府は積極的に緊急輸入、黒字減らしをやっているというように私どもが納得いくようなことは何もやっていないじゃありませんか。黒字減らしだって、経常収支を六十億ドルまで削減をするという見通しはないんでしょう。これもどの程度まで削減できるというように考えているのですか。いかがですか。
  64. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 ことしの経済運営の目標は、数字で言いますと七%成長、それと経常収支をほぼ六十億ドルに減少するということを経済運営の二大指標にいたしております。ただ、七%成長が達成できたからといって、自動的に六十億ドルという数字は達成できません。そこで、七%成長を着実に達成をするような経済政策を強力に進めますと同時に、別途六十億に近づけるような政策を並行して進めていかなければならぬ、こう思っております。  私は、いまのところ、若干の追加政策をすれば七%成長は達成できると思っておりますし、それから六十億ドルの方も、やり方いかんでは十分達成できる、こう思っております。
  65. 中村重光

    中村(重)委員 輸入をふやすと言って、輸入がなぜにふえないのか。これは円高のメリットというもの、いわば為替差益というものを国民に還元しない、だからして輸入だってふえないのでしょう、それはいろいろ原因があるだろうけれども。やはり個人消費を高めていくということが大事なんだから、個人消費を高めていくためには円高のメリットというものを国民に還元するというやり方に積極的な態度をおとりにならないところに原因があるのでしょう。なぜに国民に還元しないのか。  さらにまた、原油は非常に安く入ってきている。電気、ガスなんかについても、これはもう還元するとしてもわずかな額にすぎない、還元するための費用が非常にかかる、だから二年間というものは値上げをさせないというようなことで進みたいというあなたのお答えに対して、国民に納得いくような説明をされて、それでそうした国民のコンセンサスの上に立っておやりになるということであるならば、これはそういう方法も考えられるだろうと私は申し上げたことがある。ところが、そのときは二百円台までなるとかこれを割り込むというような情勢ではなかった、こういう予想だにしなかったような情勢の中においても考え方は変わらないのかどうかというのが一点あるのでしょう。  それから、申し上げたように、その差益を国民に還元しない。流通機構の上にどこに問題点があるのか。これは経企庁長官来ていないので、あなたの直接の所管事項ではないのだけれども、その追跡調査という点についても私は不十分だと思う。同時に、通産、さらに農林、経企、どうも行政サイドの上に立って対処しているのではないかというように考えられる。そういったようなことであって、輸入をふやす輸入をふやすと言ったって、輸入はちっともふえやしませんよ。  それから、通産大臣は輸出規制について非常に消極的なんです。ところが、閣内においても輸出規制しなければこれはどうにもならぬじゃないかという意見もある。最近の新聞によると、輸出規制というのもある程度やらなければならぬというようなことを言っている。輸出規制をやるという場合、私はある程度輸出規制はやらなければならぬというように考えているのです。洪水的な輸出をやるような特定の産業というものは抑えていかなければならぬ。ところが、この輸出規制をやるということになってまいりますと、いまあなたがおっしゃった七%の成長ということに関連をしてくる。その面にマイナス要因というものが生まれてくる。だからしてバランスをとっていかなければならぬという形になっていくであろう。あなたのお答えからいいますと、並行して進めていかなければならない、それはそれなりに理解をするのですけれども、どうもそういったような模索ばかりやっていてはこれはどうにもならない。もう二百円台なんかということになって、これを割り込むようなことになってまいりますと、特定の輸出産業でなければ立ち行かないということになってしまう。大変な問題になっていくというように私は思うのです。  それらの点に対して、輸出規制をどう進めていこうとするのか、七%の成長との関係がどうなるのか、それから為替差益の還元の問題、電気、ガスの料金を中心とするものでありますが、それらの点に対する考え方、いかがです。
  66. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 円高差益は原則として消費者に還元すべきである、こういう判断でございます。これまでも何回かの経済対策閣僚会議でそのことが確認をされまして、これを強力に進める、このように決められておりますが、ただ、ドイツなどと違って、製品の輸入日本は非常に少なくて、大体四分の三が原料輸入、四分の一が製品輸入、こういう数字になっております。したがって、直ちに円高メリットを全部消費者に還元をするということがむずかしい、こういう輸入内容になっております。  それから、もう一つ還元しにくい理由といたしましては、流通機構が非常に複雑でありまして、これは世界一複雑だと思います。私は、日本の産業の最大の弱点はこの流通機構にある、このように思っております。円高メリットなども、いろいろ追跡調査をしておりますけれども、必ずしも満足すべき形では製品などにも還元されていない。これは御指摘のとおりでございます。しかし、これは何回も経済対策閣僚会議で決めておりますので、さらに追跡調査などを進めながら、一層これを着実なものにしたい、こう思っております。  それからさらに、黒字減らしのために輸出規制をすべしという議論があるが、それに対する見解いかん、こういうことでございますが、私は、輸出規制は現在もやっておりますし、現在のような姿が一番現状では合っておるのではないかと思います。すなわち、現在は数量横並び——ほっておけばやはり何%か伸びると思います。六%とか一〇%は伸びると思うのですが、しかし、この数量横並びで強力に行政指導をいたしております。ただ、ドルベースの価格では数字は相当ふえておりますけれども、数量そのものは全体として横並びで抑えておる。これを数量を五%減らすとか一〇%減らすということになりますと、たちまちのうちにして減産をしなければならぬ。そうしますと、一方で公共事業をふやしましても、一方で輸出製品を減産をするということになりますと、これは何をやっておるかわからぬということにもなりますので、現時点ではいまのやり方が一番妥当ではないか。  現在のやり方に対しましても、ドイツやアメリカあたりでは、日本は自由貿易を標榜しながら輸出貿易に制限を加えておるのは一体どういうことか、それは頭が少しおかしいんじゃないか、それよりも輸入の拡大をすることによって貿易の均衡を図るべきである、拡大均衡の方向日本はもっと努力しなければいかぬじゃないか、こういう議論が強く出ております。ごもっともな意見だと思いますので、私どもも緊急輸入の拡大に全力を挙げまして、ある程度バランスが回復いたしましたならば現在のような輸出数量の制限をするというようなことはやめたい、こう思っておりますが、残念ながらしばらくはこれは必要悪として続けなければならぬ、こう思っておるところでございます。  それから、電気、ガスの利益が非常に大きいが、この際、料金を据え置くということではなく、料金を引き下げよ、こういう議論があるが、それに対する見解いかん、こういう御質問でありますが、これから電力業界に対しては政府としては二つのことを要請しようと思っております。  一つは、さらに電力投資の拡大であります。昨年は電調審を三百七十五万キロ通過させたわけでありますが、ことしは千九百五十万キロ、約二千万キロを電調審を通過させようということでいまいろいろ作業をしておりますが、これを背景といたしましてさらに思い切った電力投資の拡大をしていきたい、こう思っております。  それからさらに、原子力発電にはウランが必要であります。鉱石と濃縮、さらに再処理、幾つかの投資が必要でありますが、この原子力エネルギーをできるだけ長期にわたって安定的に確保するために前払いを拡大しよう、こういうことをいまいろいろ作業しておるところでございまして、以上申し上げました二つの点で、電力会社には相当大きな負担を要請しようと思っておるところでございます。  したがいまして、現在のところは料金を据え置くという原則は変更するつもりはございません。事情いかんによりますと、据え置き期間をもう少し長くできないかというようなことは検討してみる必要があろうかと思いますが、そういうことも、いまのところ果たして二百円という水準がこのまま続くのか、あるいはもう少しレートが調整されるのか、政府の緊急輸入対策等の成果いかんでは私はある程度調整が可能だ、こう思っておりますので、そういう動き等も見ながら最終の判断をしたいと考えておるところでございます。
  67. 中村重光

    中村(重)委員 大臣がこの輸出規制ということに対して消極的な姿勢、これを拡大の方向というのではなくて、数量ベースでこれを抑えていくということになってくると、それだけ規制をしたことにつながるのだというようにおっしゃる。そういう意味での効果が全く上がってないということを私は申し上げないのです。また、輸出規制ということになってくると、自由貿易主義という問題がある。資源小国の日本、貿易立国といったようないろいろな点からいたしまして、通産大臣であるあなたが輸出というものに対して非常に慎重な態度をおとりになるということは、それなりにわかるのです。わかるのですけれども日本は七%の成長であるとかあるいは貿易収支の黒字を六十億ドルまで減らすのだということは、これは世界に公約しているという事実ですね。  それと、一つの国だけで今日の経済は成り立たないという国際経済体制の上にあるということになってくると、原則論だけで終始できない問題になってくるのじゃないか。数量ベースで昨年並みにこれを抑えるということになりましても、アメリカはインフレである、さらにまた円高ということになってくると、競争力のある企業というものは製品の値上げをするということになる。数量ベースでは抑えていくけれども金額の面においては非常に伸びるという形になる。そのことは、貿易収支の黒字は減らないで、ふえていくという形になる。問題の解決にならない。だから、問題の解決になるような、国際的に公約をした問題を果たしていくということでないと、円高はさらに強くなる。投機がさらに加わってくるということになってくると、競争力のない輸出産業はばたばたと倒れてしまうということになる。  だから、あなたもいわゆる原則論的な考え方だけでは問題の解決にならないということをお考えになって、数量ベースだけではなくて、金額の面からでもこれに対処していくということでないといけないのだというように私は考えるのです。その点に対する見解も伺いますが、時間の関係があるので、改めてお尋ねをしなければならないのです。  そこで、黒字減らしの問題にいたしましても、外貨貸しということは大きな柱になっているはずですよ、大臣。その外貨貸しでも事実何をやっているのです。特定不況産業安定臨時措置法案の審議の際も、あなたは、造船業というものは船をつくるだけではない、船を解体することも造船業だとおっしゃった。私は、さすがに海運関係の権威者であるあなたの一つの経験なり経綸を生かした発言であるということで評価をしたわけですが、そのあなたがそれだけ熱意を持っている外貨貸しの問題で、老朽船を買ってこれを解体する、そして雇用創出をやっていく、それから、三隻ぐらい老朽船を買うと新しい船も一隻ぐらい受注することが可能であろうというように考える、そういったことがもう何ヵ月たってもちっとも進まないんですね。こんなことでは話にならぬのじゃありませんか。何をしているんだということを言いたいですね。  福田総理にしても、黒字減らしのために開発途上国に対するところの援助をやらなければならぬと、かけ声ばかり盛んに言っている。五月にアメリカに行って首脳会議を開いたときに、二倍にすると公言したのです。最近もまたかけ声は盛んに言っている。しかし、現実にやることは何もやっていない。これでは私は政府としての機能を果たしていないと思う。これは内閣なんというものはなきに等しいというように申し上げても言い過ぎ一ではないと私は思う。どうしようとするのですか。大臣、それに対するお答えをいただきます。  それから、円高ですが、比較的安定をしている西独マルクであるとかスイスフラン、これに波及することになるのではないかというふうに思うのですが、これに波及しますと、これはさらにまた円高を加速させることになる。この点に対する見通し等もあわせてひとつお答えをいただきたい。
  68. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 造船業がいま全然仕事がありませんので、解体事業を大規模に進めるということに対して、政府も外貨貸しをするということを決めております。造船業界もそれを受けて、いま着々準備をしておるところでございまして、詳細は、運輸省が来ておられるようですから、運輸省から御答弁あろうと思いますが、何もしないでほっておるということではありません。いろいろ準備は進んでおります。  それから、経済協力の拡大ということに対しましても、これは先般カーター大統領との懇談で、これまでの五年を倍にするという総理の発言、大統領もこれを高く評価したわけでありますが、いま、それでは具体的にどういう数字になるかということを詰めておるところでございます。あさって総理も出発されますので、当然また再びボンでもその話が出ようかと思いますので、それまでにやはり数字は詰めておかなければならぬということで、いま関係者の間で作業をしておるところであります。  それから、マルクと円の関係あるいはスイスフランと円の関係は、これは私が答弁するよりも、大蔵省かあるいは経済企画庁から答弁されるのが適当だと思います。
  69. 宮崎勇

    ○宮崎説明員 お答えいたします。  各国通貨の相対的な関係がどういうふうになるかということは、それぞれの国のおきます国際収支あるいは物価その他の状況がございますので、一概に申し上げることはできません。しかし、最近における急速な円高に対しまして、ヨーロッパの通貨は比較的動きが少ないという点はございます。しかしながら、最近の円高のかなりの原因がアメリカにおける赤字の継続ということでございますし、その赤字の原因になっております石油の輸入の増大とインフレの進行ということについて、なかなか見通しがつかないような状況でございますので、それは容易にヨーロッパの通貨に波及し得るということが考えられるわけでございます。したがって、その場合には各国の通貨がドルに対して強くなるというような現象もあり得るかと思いますが、個々にどのようになるかということについては、それらの国の国際収支状況その他にかかわるというふうに考えております。
  70. 間野忠

    ○間野説明員 先生指摘の老朽船の解撤の問題でございますけれども、御承知のように、造船業界は非常に仕事がなくなりまして、ことしの四月に、老朽船を購入してこれを解体し、何がしかでも雇用の維持に貢献したいというふうな決定がありまして、政府の方でも例の外貨貸し制度を外国の老朽船を購入する場合にも適用するように配慮してほしいという要望がございまして、四月二十一日の経済対策閣僚会議におきまして、外国からの老朽船の購入も外貨貸しの対象にするということになった次第でございます。  ただ、御承知のように、解体事業というものは収支相償うようにいたすのが非常にむずかしい問題でございまして、ただいま造船工業会の方でその規模、やり方について鋭意検討いたしておるというのが現状でございます。
  71. 中村重光

    中村(重)委員 割り当ての時間が参りましたから、残念ながら終わりますが、何回質問をしても同じような答弁ばかり返ってくる。緊急輸入というような緊急性のやり方をしよう、これが大きな柱になっておる。おやりになることは、非常に緊急性のある今日の超円高の中における対策というものは全く何も施策なし、これがいまの福田内閣の実態だということを申し上げざるを得ない。  きょうはこれで終わります。
  72. 野呂恭一

    野呂委員長 川俣健二郎君。     〔委員長退席、山崎(拓)委員長代理着席〕
  73. 川俣健二郎

    ○川俣委員 いま円高、ドル減らしの話を伺っておりましたが、施策がないとか内閣がないとかいう話も出ましたが、そうじゃなくて、やはり行き違いというか、すれ違いというか、円高のおかげで、たとえば電力会社は寝ておってももうかるし、その電力を使って仕事をする産業はいまもうまさに廃業の一歩手前だ、したがって、その円高のおかげで、人為的にもうけた金じゃないんだから、黙ってもうかったんだから、だからその金をこっちの方へ回す施策をやるべきだ、こう言うと、何となく不況であえいでいる方の産業がさもしい根性で少しそうちの方をくれ、それに対して、自由主義経済としてはこっちのものをそっちの方へ分けてやるわけにいかぬ、こう言う。やはり商工委員会はその辺がまだ煮詰まってない、思想統一がされてない論議のように思われるのです。ただ努力検討という言葉を聞いているうちにこっちの産業は死んじゃうから、したがって、自分の身は自分で守らなければならぬというところに来ている産業がたくさんあるわけです。  そこで、午前中にせっかく商工委員会理事の諸公が金属鉱山で集中的に審議してみましょうということなんで、午前中から伺っておりますが、メタルの建て値というものは低迷が想像以上に続いておるのでどうにもならぬ。そこで、大臣は予算委員会で、たまたま鉱山は一体構造不況産業だろうか、景気循環不況産業だろうか、こういう論議をされて、構造不況産業とは認められない、しかし、構造不況産業に見合う施策をやろうではないか、こういう前向きの姿勢を示されたおかげで、離職者対策法あるいはレイオフ等金属鉱山にも適用になって、今日何とかかんとかあえいでいるという状態であるわけです。  ところが、一方、自由放任主義とはいえ、福田総理の資源有限、国内資源を大事にしよう、もう探鉱、探査というのは一企業のやる能力の限界を超えてきておる、したがって、国の施策でこのメタルマイニングというものを守らなければならぬのだ、こういうことをおっしゃっておる。その中の担当の通産大臣は、やはり具体的にアクションを起こさなければ施策にならないわけですから、事務当局よきに計らえということじゃどうにもならないので、したがって、その辺、大臣の御出身のところにも赤穂線の坂越大泊金山なり大身谷金山なりそれから明延、生野といろいろと鉱山というのを抱えておる地盤であるわけですが、制度ではなくて、政治の面から金属鉱山というものを一体どうなさらなければならないかということを、大臣、せっかくきょうは時間をとっていただいておるので、その辺少し教えていただけませんか。大臣の気持ちというものを披瀝してもらいたいと思うのです。
  74. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 五月の末にこの委員会非鉄金属鉱山の窮状についていろいろ議論をされました結果、このまま放置するわけにいかないから政府として緊急の対応策を立てるべきである、こういう御決議があったわけであります。  それを受けまして、政府の方ではいろいろ準備をいたしておりますが、去る六月二十三日に経済対策閣僚会議が開かれまして、その席で私から発言をいたしまして、非鉄金属鉱山の現状はこれこれしかじかである、しかも今回の構造不況業種対策の緊急立法の対象にはなっていない、放置することができないので緊急の対策が必要である、これには法律も必要だしあるいはまた予算も必要だと思うが、法律予算国会が開かれませんとこれを議論するわけにはまいりませんので、それまでのつなぎとして政府の方で行政措置で必要な対策を緊急にやるべきである、こういう話をいたしまして、満場異議なく認められまして、その方向でいま作業を進めております。  大体の対策はまとまりましたので、近くこれを行政措置で進めてまいりまして、いずれは臨時国会も開かれようかと思いますので、その席で改めて強力な立法措置あるいはまた予算措置等を検討してみたい、このように思っておるところでございます。
  75. 川俣健二郎

    ○川俣委員 大臣の閣議における発言、提案、確認等は私らも伺って、喜んでおるわけです。  ただ、長官、この問題はきょうやきのう始まったことじゃなくて、一年がかりでいろいろと、それこそきょう委員長席に座っている山崎議員が小委員長になって小委員会というものをつくって、各党はそれぞれ各山に実地調査に行く、それから最後に鉱山地帯の秋田北鹿に調査に行く、そして大急ぎでそれこそトンボ返りで帰ってきて、この小委員会の提案を受けて商工委員会決議をしておる。ところが、人間ですから、そこへ長官がかわり、大蔵省の主計官がかわった。こうなると、一からまたもう一遍という危惧も持たざるを得ないのかなというように思う。  それはなぜかというと、大臣がこのように前向きで示しておって、近く臨時国会補正予算等を云々されておるのにかかわらず、午前中の質疑応答では、努力検討という言葉が三十何回出た。努力検討という言葉はもう使う段階じゃないのだ。  そこで、長官には大変失礼なんだが、前の長官の事務引き継ぎという意味じゃなくて、一体前の長官の考え方がいまの長官に伝わっているのだろうか、思想的に三つだけを聞いておきたい。  一つは、銅というのはLMEの建て値で拘束されてしまってどうにもならない。三十万、三十二、三万で低迷しておる。この銅の建て値というのはこれが底だろうか、それとももっと下がるかもしれないし、こういう現状だろうかというのが一つ。  それから、商工委員会決議されたという思想、考え方というのは、この商工委員会として決議したポイントは一体何だったろうか、これを二つ目に伺っておきたいと思います。  それからもう一つは、では、いまの商工委員会決議をしてもらったものを具体化するためには一体どういう手だてが必要なんだろうか。というのは、行政指導措置でできるものなのか、あるいはやはり制度化だから臨時国会制度改正なり補正予算なりでやらなければだめなのかということを、この商工委員会で前の長官が答えたことを私は持っているものだから、いまの長官はどう思っていますか。
  76. 天谷直弘

    天谷説明員 まず、銅の値段は現在が底値であるかどうかという御質問でございますが、われわれといたしましては、LME相場ということで考えますならば、現在が底値ではないだろうかというふうに考えております。  それから、第二番目の商工委員会決議のポイントは何であるかという御質問でございますが、金属鉱山の特質といたしまして、それが第一次産品である、地下資源であるということ、それから第二番目にはそれが国際商品であるという、二点があろうかと思います。国際商品でありますために、国際市況の影響をもろに受けざるを得ない。ところが、現在の国際市況をながめてみますと、世界の銅鉱山の相当部分が赤字経営を余儀なくされているというような、きわめてアブノーマルな状態に陥っているわけでございます。金属鉱山は一次産業という特質を持っておりますから、そういう外の変動に対しまして機敏に適応するということは多くの困難を伴うものでございまして、そこで、こういうアブノーマルな事態においてノーマルな金属鉱山が崩壊してしまうということはぜひとも避けなければならないことではないだろうか。そのために、こういう激しい国際相場の変動に対しまして、その変動から受ける衝撃をいかにして回避するかということが、現在の金属鉱山の危機を救うための一番重要なポイントではないかというふうに考えております。  そのための具体的な手段は一体どういうことであるかという御質問でございますが、もちろん短期のつなぎといたしましては、危機を乗り切るために行政指導ベースでできること、たとえばユーザー業界の協力というようなことが考えられるわけでございます。しかしながら、現在の危機は非常に深刻でございますので、そういう行政指導だけでは乗り切れないという部分が相当多く残るだろうというふうに考えられます。  そこで、この商工委員会あるいは鉱政懇の政策のポイントは、基金をつくりまして、現在のようにアブノーマルに価格が低落しているときにおきましては、この基金からきわめて低利子あるいは無利子の資金を融通する、そして、市況が回復してまいりまして利潤が出てくるという段階になりましたならば、今度はその基金からの借入分を返済していくということでアブノーマル時とノーマル時をつなぐということによりまして、現在のようなアブノーマルな事態のもとでノーマルな鉱山が崩壊することを防止しようというところが骨子ではなかろうかと思うわけでございます。その基金をつくるに当たりましては、財政措置あるいは法律的な措置を必要といたしますから、行政指導ではなくて、法律的な手当てあるいは予算的な手当てを要するというふうに考えております。
  77. 川俣健二郎

    ○川俣委員 そのとおりなんですね。  この前の橋本政府委員は、できるだけ早い機会に予算化し、法制化ということが必要であり、「できるだけ早い機会に必要な立法あるいは予算措置が講じられるように」しなければならないと思います。こう答えておるわけですから、単なる小手先の行政措置じゃどうにもならないということは確認できると思いますね。  それから、この商工委員会決議されたのは非常に短い文章であるが、きわめて簡潔でわかりやすい。はっきりしている。どういうような方法で、たとえばという言い方じゃなくて、読んでみましょう。「国、地方公共団体及び関係業界の出資等による基金を設立し、金属鉱業経営の維持安定に必要な特別の措置を講ずる制度を確立すること。」融資とかなんとかいう問題じゃない。安定基金をつくれという決議なんだ。  こういうところがちょっと、長官の顔色を見て下が言うのかどうかわからぬが、いまおっしゃったことを心底考えるならば、もう努力検討という返事じゃなくて、これから具体的にひとつ担当課長に聞いていきますけれども、その前に大蔵省、これは大蔵省の方も交代したばかりで大変恐縮なんだが、それにしても、新たな提案なら、通産省の話を聞いてそのうち検討しますということで通る。ところが、これはそうじゃない。予算委員会から何からもうずっと、構造不況産業とは断定できないんだが、大変な問題だということでやってきたので、通産省の方から改めて提案されてから検討するという考え方なのか、それとも、いま通産省にも鉱業課という担当課があるわけだから、皆さん方とお互いに一緒になって相談し合ってやる段階であるというように思っているのか、その辺どう思います。
  78. 角谷正彦

    ○角谷説明員 国内金属鉱山対策問題につきましては、先ほど通産大臣からもお話がございましたように、六月二十三日の経済対策閣僚協議会におきまして、政府全体として必要な対策をとることが決められたわけでございまして、大蔵省、財政当局といたしましても、そういった方向検討していかなければならぬというふうに考えておるわけでございます。  ただ、現在通産省におきまして、五月末の商工委員会決議あるいは先般の鉱業審議会等の決議の趣旨も踏まえまして、具体的な案について御検討中だというふうに聞いております。私ども、もちろん非公式には途中の検討過程等は伺っておりますけれども、まだ通産省全体として正式にどうであるということまでの検討結果という形では伺っておりませんので、そういったこと等も踏まえまして、通産省から御相談がありました場合に、並行しまして私どもとしても検討してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  79. 川俣健二郎

    ○川俣委員 その辺だよね。長官、これどうなんですか。何となく仄聞しているのは、非公式にごちゃごちゃ雑音としては聞いているんだが、正式に話を聞いてないというけれども、行政機構というのはそんなものだろうか。通産大臣と大蔵大臣と判を押し合ったものを受け取らなければ、検討できないものだろうか。やはり一緒になって検討していることなんじゃないの。もし長官があれだったら、担当課長、どうです。担当課長が前の主計官に対して相談していないのですか。どうです。
  80. 福原元一

    福原説明員 御指摘のございました点につきましては、この一、二ヵ月、ただいま主計官が申し上げましたように、大蔵省と非公式に連絡、相談はとりつつ検討しております。
  81. 川俣健二郎

    ○川俣委員 そちらのおっしゃる非公式の話し合いの中でいいんだが、課長の感触として百四十億前後ということをさっき午前中言いましたね。もうちょっと聞かしてくださいよ。この俎上に上せられているのは銅と亜鉛に限る、こういう話で進んでいっているわけですから、そうすると、百四十億というのはつかみ金じゃないんだから、感触として、銅と亜鉛とどのぐらいの比率だろうか。
  82. 福原元一

    福原説明員 私、午前中申し上げましたのは、大ざっぱな見込みで百億から百五十億ぐらいであろうということを申し上げましたが、銅と亜鉛鉱山に限りまして現在調査、計算をいたしておるところでございますが、その内訳比率、これもまた最終的な計算を終わっているところではございませんが、大体一対二ぐらいかと思います。
  83. 川俣健二郎

    ○川俣委員 それから、午前中もちょっと話がされておりましたが、コスト主義というか、コスト本位というか、たとえば保坑費、坑水処理費、運搬費、探鉱費、探鉱費でも営業探鉱もあれば新鉱床探鉱もある。ところが、あの山はどのぐらいコストがかかって三十万の銅をつくるんだろうかということを検討していったら、これはとてもじゃないけれども検討で終わっちゃう。さりとて、どこどこ鉱山に基金を出すのか、どこどこ企業の会社の社長に出すのか、こういったものをやはりこの辺できちんとしておかなければならぬ。したがって、われわれが見たようにトラックでぐっと坑内に入る鉱山もあれば、斜坑で手間をかけて入る鉱山もあれば、立て坑がまだ償却がほとんどしていないという鉱山もあれば、これはコスト本位ではとてもじゃないけれどもまとまらぬですよ。したがって、われわれの商工委員会の考え方は、あの鉱山は苦しいから、あの企業はちょっと赤字だから助けろなんという、そういう根性じゃだめだと思うんだよ。  いまの三十万の銅の建て値に対してどのぐらいのコスト日本の国全体としてかかるから、この間を国の施策としてどうやるかということになると、一トン銅を掘ったらどのぐらい補給するかという考え方でくくらないとだめなんだろうと思うのだが、課長、どうです。鉱山単位にやるのでもなければ、社長単位でやるのでもだめなのよ、それでは。それじゃ超党派では決まらぬの。そうじゃなくて、日本国内鉱山で一トンの銅を掘ったらどのくらい政府が考えるかという、そういう考え方でないとこれはだめだと思うのだが、課長、どうですか。そういう単純な割り切り方じゃないとだめですよ。
  84. 福原元一

    福原説明員 お答えいたします前に、先ほどの答弁をちょっと訂正しておきます。  一対二と申し上げましたが、銅の一、亜鉛の三ぐらいの割合かと思います。訂正させていただきます。  いま先生がおっしゃいました方法も確かに一案であろうと思いますし、私ども現在部内で検討をしておりますところも、個別の企業、個別の会社、それぞれのコストということでありますと非常に事務的にも繁雑になりますし、やはりわが国の国内鉱山を維持する、守るという観点から、一つの国としての基準価格と申しますか、合理化して将来わが国の鉱山も海外の鉱山に伍してやっていく場合の目標価格といいますか、このような価格を設定いたしまして、これを基準にいたしまして、それに対する助成策、融資なり基金の運用を図っていくというのが適当かと考えております。
  85. 川俣健二郎

    ○川俣委員 そこをもう少し深めたいんだが、この前の商工委員会でちょっと誤解される質疑応答があったんだが、輸入鉱に対して平均十三万九千円という関税メリットをスメルティングをやると受け入れるんだ。そうすると、製錬所は十三万九千何がしというのを受けるんだが、それを国内鉱山に返すんだ。その平均が十三万九千円なわけですね。ところが、その各山によって十三万九千円というのは違うわけですね。ばらつきがあるわけですね。十三万九千円が三十万円に全部一律に上乗せするということじゃないんですね。そうなると、日本国内鉱山について最高と最低というのは、どのくらいのばらつきがあるのですか。
  86. 福原元一

    福原説明員 関税見合いの還付制度は、法律その他によって行われているものではございませんで、行政指導で行っている制度でございますが、実際の運用に当たりましては、国全体で計算した場合に、銅の場合トン当たり十三万九千円という数字になるわけでございます。  個別の企業間の取引まちまちでございますので、これは取引企業間の相対で行うということになりまして、私どもは、国で平均してマクロで見た場合に十三万九千円であるということを示しておるだけでございます。
  87. 川俣健二郎

    ○川俣委員 具体的に入っていくと時間がないんだけれども、それじゃ大臣、やはり何をやるにしても事務当局じゃどうにもならないので、臨時国会というのはいつですかね。大臣は補正予算というのを、われわれ予算委員会で何となく聞こえてくるんだが、その辺は見通しどうですか。あるいは河本通産大臣は総裁選挙に出馬される、こういうことになっても、やはりこの三つの決議というのはわれわれは逃がしちゃいけないから、せっかく決議やったんだから、国会というのはあんなに大したことないものだろうか、国会決議というのは大したことないものだなということになると権威にもかかわるので、その辺の見通しどうですか。  というのは、秋に風が吹いても雪が降ってきても、年越させられて行政措置行政措置でいったんじゃ、とてもじゃないけれども、山崎部隊秋田を見にいったけれども、あれ死んじゃうですよ、あの鉱山全部だめになれば。尾去沢鉱山間もなく閉山というときにわれわれは行ったわけだけれども、もう閉山式は終わったわけだ。そうすると、やはり正式に国会補正予算なり制度改正するなりしなければこれはだめなような気がするんだが、その辺ひとつ政治のレベルで少し聞かしてくれませんか。
  88. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 六月二十三日に経済対策閣僚会議が開かれまして、そこでことしの下半期の対策を一体どうするかということについては正式に議論はされなかったのでありますが、しかし、八月末か九月の初めには第一・四半期のいろいろな経済指標が明らかになりますので、それを見た上で判断をしようじゃないか、こういうことだけ決まっております。判断の具体的な内容は決まっておりませんが、私といたしましては、通産省といたしましては、現在の景気動向から見まして相当強力な補正予算が下半期対策として必要である。とう思っております。  なぜかといいますと、予算編成当初から大分事情が変わっておるからであります。たとえば予算編成当初は二百四十円という水準でありましたが——予算編成上の数字は二百四十五円ということで計算されておるそうであります。現在は御案内のとおりの水準でありまして、これは相当なデフレ効果が当然出てくると思います。それから、黒字対策として輸出を制限をしておりますから、これのデフレ的な影響も下半期には当然出てくる、こう思っております。  それから、現在比較的順調に景気は回復はしておりますけれども、これは昨年の秋に成立をいたしました第一次補正予算、ことしの一月に成立をいたしました第二次補正予算及び四月に成立をいたしました今年度の五十三年度予算、これらが実行に移されまして、しかも五十三年度予算は上半期に七十数%を集中していこう、こういうやり方を進めておりますので、これがやはり景気回復に非常に大きな影響が出ておると思うのです。ところが、上半期に七十数%を集中しますと、下半期はそれだけ低く少なくなるわけでありますから、これは契約ベースで工事ベースではありませんけれども、やはりその影響は当然相当出てくる、このように思っております。  それからまた、アメリカが五月からインフレ対策として引き締め政策に変わっております。雇用対策第一主義からインフレ対策第一主義というように経済政策が変わりまして、つい最近も経済成長目標を下方に修正しております。そういうことから考えますと、アメリカの今回の引き締め政策は相当私は世界経済にこれまたデフレ的な影響を及ぼすのではないか、このように理解をしておるわけでありますが、何やかやを総合的に判断をいたしますと、これまでは順調に景気は回復しておりますけれども、下半期に相当強力な対策をやりませんと当然息切れしてくるであろう、こう思います。  七%経済成長あるいは六十億ドルの国際収支ということは、国際公約ではありませんけれども、しかし、国際的にもこのことは何回も繰り返して説明をしておるところであります。日本は国際公約でないと言っておりますが、相手は当然日本はそれを実現してくれるものだと期待をしておると思います。  そういうことを考えますと、やはり下半期としては相当強力な補正予算が必要でありまして、しかもその補正予算は十月以降施行されることが望ましいわけであります。時期おくれになりますとそれだけ空白ができますので、そういう意味からも十月以降施行されるように補正予算が成立することを私どもは期待をしておるわけでありますが、これは純粋の経済的な立場で私は物を言っておるわけであります。最終的には政府と自民党の方で相談をいたしまして、また野党との間にも相談をいたしまして、いつ臨時国会が召集されるかということが決定されると思いますが、私どもは時期についてはいま具体的に申し上げる立場ではありませんけれども補正予算を中心とする強力な追加政策が成立することを期待いたしております。
  89. 川俣健二郎

    ○川俣委員 事務当局も意のあるところはわかったと思うのですが、これは私も大賛成です。  経済企画庁はきょうは呼んでおりませんけれども、さっきの昼のニュースでも、鉱工業の生産の指数が一−三月に比べて四−六月が鈍っているというのですよ、数字が出ていましたけれども。七%という強気の考え方もあるかもしらぬけれども、やはり補正予算を組まないと、いろいろな面にひずみが出ておるので、担当の通産大臣がそういう考え方を持っているのだから、やはり事務当局としてはそれに合わせて、十月一日施行ということなんだが、遅くても十一月一日にはこの決議制度化されるように予算法律改正、これは心していいと思うのだが、長官、どう思いますか。これはいまの金属鉱業事業団にやらせるというわけですな。  それからもう一つは、まさか基金制度というのは利子をつけて業界から取ろうなんという考え方じゃないですね、もうかれば戻すという考え方ですから。それは将来に歯どめはつけなければならぬですけれども。そういったところでこの問題は終わりますから、そうなると、きょうは時期が悪いかもしらぬけれども、八月のお盆前のきょうのような会議には少なくとも具体的に出ないと、大臣は舞台をつくってくれるわけだから、この舞台に乗せる踊り子をあなた方はつくらなければならぬのですから、それをぜひひとつ事務当局としては考えてくださいよ。それはいいですか。長官、どうです。
  90. 天谷直弘

    天谷説明員 いま大臣がおっしゃいましたような臨時国会に間に合うように商工委員会決議を実現していく、そういうスケジュールでやっていきたい、こういうふうに考えております。  それから、利息の問題でございますけれども、この基金を全額出資ということでつくり上げることができますれば、利息の問題は解消するわけでございます。他方、財政事情からとても全額出資ということは無理である、政府保証の融資、それに利子補給をつける、そういうことで補完せざるを得ないということになってまいりますと、それでは利子補給をどの程度やれるか。わが方といたしましては、もちろん無利子あるいは無利子に近いような利子率ということを希望いたしますが、その辺はなお財政当局と折衝を要するところでございます。わが方としては無利子ということを期待をいたしておるわけでございます。
  91. 川俣健二郎

    ○川俣委員 大蔵省もよく聞いておいてください。そういう考え方でこの委員会決議が実現するように期待します。  それから、その決議の話で、現場を調査して、特に尾去沢鉱山の閉山後の坑内処理、ああこれは永久的に炭カルを入れて処理しなければならぬだろうかという、何となく各党が異口同音に呼吸がびたっと合って、第三番目の鉱害問題が載ったわけです。これは伊勢谷さん御存じですか。今度あなたの方ですよ。今度は長官の方ではなくて、立地公害局の方は、この三項目の決議に沿って、努力検討じゃないやつですよ、これは大分進んでいますか。具体的にどうですか、
  92. 伊勢谷三樹郎

    ○伊勢谷説明員 商工委員会決議第三項に、坑廃水の処理についてその施策の拡充を図るというふうに書かれてございます。もともと休廃止いたしました鉱山でも、鉱業権者が存在する場合におきましては、その坑廃水の処理義務というのがかかっておるわけでございます。しかしながら、いまのような不況の時代において、いまおっしゃいましたような非常に長い歴史を持ったやめてしまった鉱山、そういったところの廃水の処理をいまのような事態の中で負わせていいかどうかというところが、われわれが事務的に検討しなければならない問題点であるということは十分承知しておるわけでございます。しかし、この問題はなかなかむずかしい問題でございまして、現在時点におきましてどのような対策が最も妥当であるかという結論を、現在私どもはまだ持っておりません。しかし、決議案の御趣旨に沿って前向きに検討を毎日やっておるという状態でございます。
  93. 川俣健二郎

    ○川俣委員 一番と二番は決議臨時国会の舞台に出る、三番目は検討中ということになったら、これはちょっとやられますよ。ひとつ十分用意してください。臨時国会という舞台があるんだから、制度改正する舞台ができるわけだから。  そこで、時間がないから、通告しておいた農林省、建設省来ていますね。——いま立地公害局というのは鉱山保安ということもやっている局、御存じですな。  そこで、農林省の工事でとうとう九人とも遺体で終わってしまったわけだが、五十一年のときにもやはり九人生き埋めで亡くなられた。一度ならず二度こういうことを見せられると、農林省の仕事というのは、しかもそれを建設省管轄の建設会社にやらせているのだろうが、一体どうなっているのだろうかということなんだ。  そして、労働省にはそういう能力があるわけないから、監督官が行ってうろうろして、どうやってガスを抜くか、中に入れないでうろうろする。これはその知識がないんだから当然なんです。鉱山保安に生きている労働者というのは、経験を持っていますから、技術を持っていますから、日本の鉱山がつぶれればなくなりますよ。  そこで、皆さん方が、農林省から通産省にお願いして救助隊というものを出した。この救助隊を出させた山はどこどこでしたか。あれは鉱山がもしなかりせば——遠く宮城から、秋田から山形に応援隊が行った。それでようやく発掘したわけです。あれをずっと考えると、鉱山に当たっている者からするとまことに奇妙なんです。  その前に、その辺の様子を、だれでもいい、農林省でもいいから、聞かしてくれないかね。
  94. 須恵務

    ○須恵説明員 お答えをいたします。  去る六月二十八日の午後五時十分ごろに、農林省の直轄事業でございます国営最上川中流農業水利事業の西部トンネルで、九名の方が死亡されるというガスの爆発事故が発生したわけでございます。この地域が特にガスが湧出しやすい岩質で地質構造が複雑なことから、学識経験者によります最上川中流トンネルガス対策技術検討会というものを設置いたしまして、防爆対策について十分に検討を重ねまして工事の安全に万全を期していたつもりであったのでございますが、このような事故の発生を見ましたことにつきまして大変遺憾でございまして、謹んで死亡された方々の御冥福をお祈りするとともに、被害を受けました関係者の皆様に対して深くおわびを申し上げる次第でございます。  なお、救出作業に際しまして、仙台鉱山保安監督部を通じまして、経験の深い鉱山関係の救助隊の応援を受けまして、長時間にわたります非常に危険な救助活動に大変御尽力をいただきまして、心から感謝を申し上げている次第でございます。  場所は、山形の月布鉱山、それから山形の八谷鉱山、それから宮城県の細倉鉱山、秋田県の小坂鉱山、同じく花岡鉱山、秋田の釈迦内鉱山、この六鉱山からでございまして、四十四名の救助隊においでをいただいたわけでございます。
  95. 川俣健二郎

    ○川俣委員 こういうことなんです。もしこの六鉱山がなかりせばどうだったろうか。とにかく知らないから、うろうろしているだけだと思う。  ところで、この前田建設に何で仕事をさせたのか。そういう能力があるのか。前田建設は隧道掘りの経験でも持っているのか。
  96. 須恵務

    ○須恵説明員 農林省が事業を発注する場合、各地方農政局で、建設業法に基づきまして建設業者の資格審査を行いまして、工事発注に際しましての業者選定に当たりましては、その中から適格者を指名いたしまして、競争入札で業者を決めております。前田建設もそのような経過を経まして受注をした会社でございまして、トンネルの経験は十分だというふうに考えております。
  97. 川俣健二郎

    ○川俣委員 資格審査して、トンネルの経験が十分だと言って、始まってすぐ九人殺すかな。それはどういうわけなんだ。トンネル工事の得意な会社が下にあるでしょう。どうなんです。
  98. 須恵務

    ○須恵説明員 いわゆる大手と称されます建設会社は、トンネルの経験は十分にそれぞれ所有しているというふうに考えます。
  99. 川俣健二郎

    ○川俣委員 説明が大分違うぞ。前田建設が下請に出す会社があるだろう。それは隧道掘りの専門だから、それにやらせるということで札をとったのです。そうでしょう、農林省。それが真相でしょう。前田建設に隧道を掘る能力を持っている社員がいるか。  さらにもう一つ、時間がないから調べておいてもらいたいのだが、その前田建設の下請をやった会社の正式従業員ではない。死んだ九人は、さらに下請の、労務提携をやってはいけないという法律違反のきっと何々組なんです。労働省、よく調べてごらんなさい。私の調べではそうです。  こういう問題を論議していたら時間がなくなるから、そこで私は、鉱山という経験を持った技術というか、鉱山というのは、一たんつぶすと坑内もだめになるが、鉱山技術というのは日本からなくなるのだというように思えてしょうがないんだよ。農林省はこれからどんどん隧道工事が出てきます。川が大きくなり、土地改良が大型になってくれば、どんどんこれから隧道工事が出てきます。農林省、そうですね。これからどんどん出る予定です。そうなると、鉱山上がりの人方は、鉱山がだめになったら、消防署みたいなたまり場に鉱山経験者を国が雇うなどという考え方でもしなければ、ガス爆発した、そら落盤をしたというたびにえらいことになるということを考えると、やはり総合的に立地公害局は考えるべきだと私は思う。  そこで、私が申し上げたいのは、鉱山を掘るときには鉱山保安法、あそこに鉱石があるというときには鉱山保安法の認可、ちゃんと判こを押してもらわなければ掘れない。隧道を掘るときには、同じ穴を掘るといったって届け出だけでいいんだ、これがおかしいだろう。これは労働省、労働安全衛生法のときにわれわれもうっかりしたんだが、やはりこれはよくない。鉱山を掘るときには鉱山保安法で徹底的に吟味されて、判こをもらって仕事をする、あそこに水を通すからトンネルを掘るという工事のときは届け出だけでいい、この辺はどうです。これは大臣を煩わしたくないから、農林省に聞こうか。農林省、どう思いますか。  それからもう一つは、五十一年のときに九人亡くなった、その後検討会をやった。鉱山保安の経験者に相談してみたらどうなんだ。それからさらに、隧道を掘るというときに、鉱山保安の免許を持った人に相談して審議していったらどうなんです。  さらに申し上げますと、鉱山保安監督という監督官がいるわけだから、消防署が行っている、労働省の監督者も行っている、何をやっているかというと、ただうろうろして家族は泣きわめく、そういう状態です。そこへ六鉱山の鉱山屋が四十四名行って、手際よく掘ったから九人の遺体が全部とれた、これはどう思いますね。
  100. 須恵務

    ○須恵説明員 ただいま先生から御指摘のありましたように、ガス対策技術検討委員会というものを組織いたしまして安全対策を種々検討したわけでございますが、この中に鉱山関係の専門家の方も実は入っていただいておりまして、検討に参画をしていただいております。  私どもの方は、土地改良事業におけるトンネル工事をやる場合、労働災害の防止につきましては労働安全衛生法に諸規定が定められておりまして、施工業者が同法に基づいて労働基準監督署の指導監督を受けるということになっております。  農林省としましては、トンネル工事等の安全対策につきましては、今後一層研究いたしまして、関係省庁とも連絡をとりまして、具体的に施工業者を指導してまいりたいというふうに考えております。
  101. 川俣健二郎

    ○川俣委員 制度がないからしようがないと思うのだが、労働省、どうです。これは検討の余地があるでしょう。労働安全衛生法は、ともかく水を通すための穴掘りのときには届け出だけでいいんだ。ここに鉱山があるかもしらぬから坑口からちょっとそこを掘ってみてくれというときには、認可でなければだめなんだ。これはやはり突き合わせて、社労委員会なりで十分やらなければだめだろうけれども、そういうような気がしますということなのか、いやそれは必要ないということなのか。  それから、建設省にきょう聞こうと思ったけれども、時間がないので、前田建設というのは、最近の事故件数を握っているでしょう。下請の事故件数でも結構です。それから建設大臣が表彰した最近の表彰件数もあわせて、後で結構です。資料でいいですから……。  では、労働省だけちょっと答弁をもらって、終わります。
  102. 津沢健一

    ○津沢説明員 先生のお話のように、鉱山につきましては施業案は許可制となっておりますのに対しまして、私どもの労働安全衛生法におきましては届け出ということになっております。労働安全衛生法によります届け出は、このような工事につきましてあらかじめその計画を行政官庁に届け出まして、この行政官庁は、これを受けました場合に届け出のあった計画内容を審査いたしまして、その中に労働安全衛生法関係の法令に違反するような部分がございましたと認められますときには、工事の開始の差しとめをいたしますとか、あるいは計画の変更を命ずるというような……(川俣委員「そんなこと聞いてない。余分だよ。届け出制と認可制の関係だけでいいんだ。時間がない」と呼ぶ)  御指摘のとおりでございまして、私どもも、現在の届け出の中でもこの審査制度のさらに実効あるやり方というものがあろうと考えまして、私どもの体制そのものを整備したり、職員をふやしたり、あるいは職員に対する専門的な知識を大いに与えるというようなことに努めてまいらなければならぬ、かように考えております。(川俣委員「届け出制。私がさっきから聞いておるでしょう」と呼ぶ)  これを届け出で行いましても、私どもが現在やっております中身というのは、いま申し上げましたように、差しとめでございますとか変更を命じ得るような性質のものでございまして、許可とかなり似通ったような効力が現在でもあるわけでございますが、この制度の実効ある運用という面でかなり欠けた点もございますので、そういったことを先生指摘の点も含めまして検討したいと思います。
  103. 川俣健二郎

    ○川俣委員 何を言うか、冗談じゃない。だめだよ。もうやめた。  委員長、どうも。終わります。
  104. 山崎拓

    ○山崎(拓)委員長代理 松本忠助君。
  105. 松本忠助

    松本(忠)委員 本日は非鉄金属鉱山関係の集中審議ということでございますけれども、最近の異常とも言える円高問題、これにつきまして若干大臣にお尋ねをしてから、非鉄金属の鉱山問題に入りたいと思っております。  大臣も御承知のように、昨日、十日の最終取引が二百一円五十五銭、こういう報道がございました。二百円台定着という声も聞きますし、大台割れという声も聞いておるわけでございます。こうした状態は、大臣はもう十分御承知と思うわけでございますが、去る六月五日には二百二十円を割り込んだ。そして七月五日に二百円台をつける。このわずか一ヵ月間に上げ幅が二十円、上昇率にして一〇%、こういう円高について大臣はどのように受けとめておられるか、まず所感を伺いたいわけでございます。
  106. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 昨年の秋ごろからの円の動きを見ますと、非常に急激に上昇をいたしております。相当年月をかけまして上昇する場合には、余り大きな影響は出てまいりませんけれども、短期間にこのような大幅な上昇を見ますときには、当然非常に大きな経済上の影響が出てまいります。  特に、昨年の秋の二百四十円までの水準のときに、通産省といたしましても全産業界、それから中小企業関係の調査をいたしまして、各分野におきましてこの打撃は非常に大きいという調査が出ておりましたので大変心配をしておりましたが、幸いこの春の調査では、大部分の業界、大部分の中小企業が何とかこれを乗り切った、こういうことでやや安心をいたしておりました。  しかるところ、再び二百四十円という水準から二百二十円になり、また二百二十円から二百円、こういう急激な上昇でありますから、果たして今回は昨年の秋のように耐えられるかどうか、非常に疑問な点がございます。いまのところでは相当デフレ的な影響が出てくるのではないか、大変心配をしておりまして、先ほど申し上げましたように、さらに一層の景気の拡大と緊急輸入の拡大によって対処していきたいと考えております。
  107. 松本忠助

    松本(忠)委員 今後の見通しについて大臣にお尋ね申し上げても、お答えはないだろうとは思うわけでございますけれども、この五日に、来日いたしましたクラウス米ブルッキングス研究所主任研究員が日本経済研究センターで講演をいたしましたときに、円は上がり過ぎであるという見解を述べているわけでございますが、この二百円台割れという事態を通産大臣はお考えになっているかどうか、この点についてお尋ねをいたしたいと思います。
  108. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 私も、現在の円の水準は実力以上の評価である、相当投機なども入っておる、このように理解をいたしております。
  109. 松本忠助

    松本(忠)委員 政府は、直面している円高の問題につきまして、ドル安の側面を強調しているわけでございます。確かにアメリカにおいては国際収支改善見通しが立ちませんし、またインフレ抑制の効果も上がっておりません。こうした観点から、政府指摘は妥当だと私も思うわけでございます。  しかし、変動相場制のもとにありまして、また最近までの円の独歩高という状況にあって、やはりわが国の大幅な経常黒字が円高の要因になっている、こう言わざるを得ないわけでございますが、この点についての大臣の認識を伺っておきたいと思う。
  110. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 やはり円高の背景は、わが国の大幅な黒字、それとアメリカの大幅な赤字、特にアメリカのインフレ、こういうことに原因があると思います。先般総理は、カーター大統領と懇談をされましたときに、日本の黒字幅がどう落ちつくかはアメリカのインフレいかんにかかっている、アメリカのインフレが進めば日本の黒字幅は大きくなる、したがって、何とかインフレ対策をしっかりやってもらいたい、こういう要請をされたわけでありますが、私は、特にアメリカのインフレが非常に大きな影響がある、このように理解をいたします。
  111. 松本忠助

    松本(忠)委員 通産大臣が、円ベースの輸出は減少している、こういうことを盛んに力説されているように私どもも伺っているわけでございますが、対外的にはドル表示の輸出が問題になるわけでございます。先ほども中村委員の質疑に答えられて、七%成長、それから六十億ドルの経常黒字に確信を持たれている、こういうお答えがありましたけれども、少なくとも経常黒字の方が百億ドルになるのではなかろうかというのが一般の認識でございます。この経常黒字の目標を変更する意思はありませんですか。この点について大臣からお答えをいただきたい。
  112. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 経常収支の黒字は、この四月からスタートいたします新しい年度、来年三月までの一年の間の黒字を六十億ドルにしたい、こういうことでありまして、まだ年度はスタートしたばかりであります。外国ではいろいろな批評があるようであります。特にOECDあたりでは、日本の黒字は非常に大きな数字になるのではないかと、具体的数字を挙げていろいろ言っておるようでありますが、何もしなければ六十億ドルは相当超えると思いますが、しかし、それではわが国の経済が国際的に相当大きな影響を及ぼしますので、何としても六十億ドル前後には調整できるような追加政策というものをこの際は進めていきたい。いまスタートしたばかりのときに、目標は変更しないで、その目標を実現できるような追加政策というものを考えていかなければならぬ、このように考えております。
  113. 松本忠助

    松本(忠)委員 しかし、大臣、四月から始まって、四、五、六と三ヵ月、七月に入ったばかりでございますけれども、これからの先行きの見通しが、そう六十億ドル前後というところには落ちつかないというふうに、これはもう私の認識ばかりでなくて、世界一般の認識だ、こう思うんですね。私は、六十億ドルというふうに一遍言ったから、その目標を途中では変えないのだといって、ことしいっぱい、あるいは来年の一月ごろになって、どうにもならなくなったということになって、やむを得ないのだということでは通らないだろうと思うんですよ。そういう意味からいって、私は、すべからく経常黒字の問題は目標の変更があってもよろしいのではなかろうか、まだ始まったばかりでございますけれども、少なくともことしの十月をめどぐらいにしてお考えになった方がよろしいのではなかろうか、こういう気持ちがいたしますので、重ねてこの点について申し上げておくわけでございます。いかがでございましょう。
  114. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 わが国の黒字対策は、三月にアウトラインが決まりまして、さらに四月二十一日に細かい具体的な対策を決めまして、その枠組みに従っていまいろいろ対策を進めております。  今回は緊急の対策本部も内閣につくったところでございまして、全力を挙げておるところでありますが、私は、この春の段階で、緊急輸入は四十億ドルないし百億ドル必要である、こういうことを言っておったのでありますが、現時点では、どうしてもやはり百億ドル以上の緊急輸入を必要とする、このように理解をいたしております。でありますから、何もしなければ、おっしゃるように非常に大きな黒字になるおそれがありますが、しかしながら、このままほうっておいたのでは円のレートというものは一体どうなるか、また日本経済に対する影響がどうなるか、非常に心配でありますので、したがいまして、現段階では最大限の緊急輸入のための努力をいたしまして、そして何とか目標達成をしたい、こういう段階でございます。まだ目標を放棄するのには早過ぎる、いまは目標を実現するために全力を挙げるべき時期である、こう理解します。
  115. 松本忠助

    松本(忠)委員 経企庁の長官、調整局長も見えておりませんので、審議官で結構ですが、経企庁として経常黒字の見通し、これは六十億ドルといまでも思っておりますか。この点について経企庁のお答え伺いたい。
  116. 田中誠一郎

    ○田中説明員 ただいま通産大臣からも御答弁ございましたように、年度が始まったばかりでございますので、私どもとしては見通しを変える意思はございません。むしろ内需の拡大なりあるいは緊急輸入あるいは対外援助という形での追加策をとることによってなるべくそういった線に近づけたい、かように考えている次第でございます。
  117. 松本忠助

    松本(忠)委員 それでは、時間の関係もありますから次へ進めますが、通産大臣が言うように、現在の経常黒字の要因というもの、これは価格引き上げによりましてもたらせたものであるならば、結局は輸入を拡大する、これに全力を挙げること、こういうことが重要になってくると思うわけでございます。私は、輸入を拡大するためにも、さらには輸出圧力を減少させるためにも、国内需要の停滞を、これを喚起することを最優先にすべきではなかろうか、こう思うわけでございます。  新聞報道によりますと、通産大臣は、昨日、十日、札幌市におきまして記者会見で、大規模の補正予算の編成を強調されているようでございます。この報道によりますと、第一・四半期の景気動向の数字が明確になるのを待って大規模の補正予算を編成する必要があり、追加政策の中身は、公共事業、住宅政策、経済協力の三点が中心になるだろう、こういう趣旨を記者会見でお述べになっているようでございますが、私も、補正予算の編成は急務である、このように考えるものでございます。  それで、要するに補正予算の編成の御見解は、大臣はいましばしば外部では漏らされておりますけれども、こうした公式の場所ではお漏らしになったことがないように私は思いますので、この際通産大臣として、公式のこの場所において補正予算編成に関する御見解を賜っておきたいわけでございます。通産大臣のお考えになっているところの補正予算中身内容というものは、ただいまの新聞報道のとおりと受けとめてよろしいかどうか。要するに、公共事業、住宅政策あるいは経済協力の三点、こういうお話のようでございます。私もこの点については同意見でございますけれども、大幅所得税減税の実施こそ国内需要喚起のために必要であろうか、こう思いますので、との二点についての大臣のお答えをいただきたい。
  118. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 補正予算についての最終の判断は、八月末または九月の初めに明らかになります第一四半期の数字を見まして、内閣全体として判断をすることになっております。しかしながら、私は、現時点でも補正予算の必要はもう明らかである、このように理解をしておりますが、なぜかといいますと、予算編成当時とは事情がもう大きく変わっておるからであります。  たとえば二百四十五円という水準が二百円になっておりますし、貿易の輸出は制限しております。物価も非常に低い水準にはなっております。予定よりも何%か低い水準になっておりますが、一方でベースアップも予想よりも相当低い数字になっております。こういう関係がどうあらわれるか、これもよほど研究しなければならぬ課題だと思いますし、それからさらに、上半期に七十数%も公共事業の契約を集中するということは、これは工事ベースではありませんけれども、やはり下半期には相当少なくなる、こういうことでもあります。  それから、先ほども申し上げましたが、アメリカの経済が五月以降引き締め政策に変わりまして、成長目標も低く修正をしております。下方に修正をしております。アメリカの経済世界経済全体に大きな影響力を持っておりますので、当然これは日本経済にも大きな影響力が出てくるであろう、このように考えられます。  さらにまた、構造不況業種についても追加政策が必要でありますし、中小企業対策に対してもしかりであります。  でありますから、私は、最終的な正式の判断はいま申し上げました少し先になりますけれども通産省としては、いまのところは追加政策が必要である、しかも相当大規模な追加政策を必要とする、これを行えば七%成長は当然達成できると思いますが、同時に、黒字減らし対策の一番の基本はやはり景気浮揚だと思うのです。そういう意味からも、この際これを真剣に考えていかなければならぬと思っております。  中身といたしましては、もしやるとすれば、先ほどお述べになりました三点だと思いますが、それと六月二十三日に決定をいたしました四項目がございます。これは行政措置としてしばらく緊急の対策をやるということでございますが、いよいよ補正予算を組むということになりますと、その幾つかの対策は当然補正予算に正式に組み込まれる、こういうことになろうと思うのです。でありますから、繰り返して申し上げますが、いま御指摘になりました三点と、六月二十三日に決定をいたしました四点等が大体中心になるのではなかろうか、こう思っております。
  119. 松本忠助

    松本(忠)委員 私が後半にお答えをいただくようにお願いをしました国内需要の喚起のための大幅所得税減税、この実施の点についてはいかがでございますか。
  120. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 実は私もかつて二、三年前に大幅減税を主張したことがございます。当時内閣の一員として主張したわけでありますが、その当時主張いたしました根拠は、実質国民所得が当時減っておったのであります。そういうことで、実質国民所得が減るような政策はよろしくない、大幅減税をすべきである、こういう趣旨から主張したわけでありますが、現在は実質国民所得が減る、こういう状態ではありませんし、かつまた日本の所得税の水準は世界で一番低い水準になっております。財政に余裕があれば、お述べになりましたように大幅減税も必要かと思いますが、現在のところは財政にそういう余裕はありません。そうすると、最も効果的なものからお金を使っていくことが大事だと考えております。  外国では社会資本の投資が相当進んでおりまして、住宅もりっぱな住宅が建っておりますし、住宅環境も整備されております。すなわち、下水道とか上水道、公園、道路、こういうものが整備されておりまして、公共事業と言うと、やはり真っ先に減税ということになります。しかし、日本の場合は社会資本の投資が進んでおりませんので、しかも所得税の水準が非常に低い、世界で一番低い、こういうことでありますならば、私は、現在の財政状態から見まして所得減税はすべきではない、先ほど申し上げました幾つかの点に、公共事業とか、あるいはまた住宅とか、あるいは経済協力その他構造不況業種対策、あるいは中小企業対策、こういう点に集中すべきである、このように理解をいたしております。
  121. 松本忠助

    松本(忠)委員 大幅所得税減税という面については全くお考えがないというようなお答えでございます。しかしながら、公共事業、住宅政策、そういうものだけで国内需要が大きく喚起されるというふうには私は考えられませんし、やはりここでは大幅の所得税減税の実施が必要であるということをわれわれは重ねて強調しておきます。しかし、きょうはこの問題で論争するわけにはいきませんから、見解の違う点だけを明確にいたしておきまして、次に進みます。  この国内需要の喚起につきましても、七月十六、十七日にボンで開催されるところの先進国首脳会議、ここでも米国などから持ち出されることが予想されるわけでございます。福田総理も必要があれば補正予算の編成も辞さないというような態度のようでございますけれども、わが国の現状から見て、積極的に黒字減らしのためにも補正予算を組むという姿勢、これが必要だと思います。内閣として、そしてまた経済の担当大臣として、通産大臣は補正予算の取り組みについていつごろをめどとして、どれぐらいの規模でお考えになっていらっしゃるか、その点をひとつお漏らしをいただきたいと思う。
  122. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 補正予算を組むべきかどうかということについては、正式には八月の末か九月の初めに、第一・四半期の数字が明らかになった時点で結論を出すということになっております。  それから、規模等につきましては、現在のところはまだ全く関係者の間で議論はいたしておりません。
  123. 松本忠助

    松本(忠)委員 責任あるお立場でございますから、その規模について具体的な数字を挙げることは不可能だと思いますけれども、やはり私は、いまの景気回復のためにも、これはぜひともやらなければならない問題だと思っております。  そこで、次の問題でございますが、経済援助の拡大につきましても先進国首脳会議のテーマになってくる、こう思います。GNPに対する比率も低く、援助条件も悪いわが国といたしまして、経常黒字に対する世界各国の批判というものも強いのではなかろうか、こういうことが感ぜられるわけでございます。そこで、経済援助の拡大についての通産大臣のお考えははっきりいたしましたが、速やかに財源措置を講ずるべきである、こういうふうに私は思うわけでございます。そこで、経済援助についての大枠としてどれぐらいお考えになっていらっしゃるのか、この点をひとつお漏らしいただきたいと思う。
  124. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 経済援助、狭い意味での発展途上国を中心とする開発援助でありますが、これは去る五月の福田・カーター会談で、総理は、これまでは五年以内でこれを二倍にするということを国際公約としておったが、最近の日本事情にかんがみて三年でこれを二倍にすることにいたします。そういうことを明確に述べられたのであります。私はそうあるべきだと考えます。なぜならば、日本は先進工業国の中では開発援助の率は一番低い方であります。これだけの経済力を持ちながら、世界経済全体のために尽くすことが少ないということは、これはもうまことに遺憾であります。もっともっと日本といたしましては、余力を挙げて世界経済全体のために、特に発展途上国経済開発のために協力をし、援助しなければいかぬ、こう思います。その基本精神、基本路線というものを総理がアメリカ大統領との会談で明確にされたわけでありますから、その趣旨をやはり生かしていくという方向でなければならぬと思います。  それではどういう具体的な内容でこの援助をふやすかということに対して、目下調整中でありまして、近く結論が出ようかと考えております。
  125. 松本忠助

    松本(忠)委員 いずれにしても、この問題ははっきりしなければならない問題でございますし、世界各国からやいのやいのと言われる問題でございますから、いつまでもいつまでも延ばしておくわけにいかぬと思うわけでございまして、いずれお伺いする機会もあろうと思うのでございます。  そこでもう一点、先ほどから大臣がしばしば黒字減らしの問題を言われますけれども、最近クローズアップされておる黒字減らしの一つの方策といたしまして、政府専用のDC10三機を購入しようというお話があるように承っております。私は、どうも政府の姿勢は、なりふり構わずに輸入さえふやせばいいという、こういう感じに受け取らざるを得ないわけでございます。国民感情の上からいっても、政府の専用機三機の購入はいただけません。  失業者は町にあふれております。景気は依然として低迷しております。きょう傍聴席にいらっしゃる方々、これは非鉄金属関係の鉱山の方々でございますが、こちらの方々もどうにもならない状態の方々ばかりでございます。また、円高で輸出の成約もなくなって困っている中小企業の方々も、町にはたくさんいるわけでございます。  こうしたときに当たりまして、通産大臣は政府専用機の購入についてどう思われるのか、国民の納得が得られると思っておられるのかどうか、この点についてお答えをいただきたい。
  126. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 政府専用機を持つべしという議論は、ここ数年来、出ては消え、出ては消えしてきた問題でございます。しかし、世界各国が相当多数の政府専用機を持っておりまして、私も先般豪州に定期閣僚会議がございまして行っておりましたが、豪州政府は何機政府専用機を持っておるかと聞きましたところが、七機持っておる、こういうお話でありました。ASEAN諸国もそれぞれ何機かずつ持っておるようであります。世界全体がほとんど専用機を持っておりまして、有効にこれを使っておるということであります。  いまのお話は、不況で困っておる人たちもたくさんあるし、中小企業の人たちも困っておるんだからぜいたくじゃないか、こういうお話のようですけれども、私は、これを有効に使っていく、行政能率を上げていく、こういうことであれば、世界各国の例にならって日本政府専用機を持つということは、そんなにおしかりをこうむるようなことではない、そのかわりやはり行政能率をしっかり上げる、こういうことが必要だ、こう思います。
  127. 松本忠助

    松本(忠)委員 専用機の問題は、要するに国民の皆さんが納得すればいいわけです。納得する人が何人いるか、そういう点を考えて政治というものはやるべきではなかろうか。黒字減らし、確かにそれは必要でございましょう。しかしながら、余りにもどうも国民感情を無視しているんではなかろうかと思うわけでございますので、この一点を申し上げたわけでございます。政府としても十分そういった点をお考えになっていただいて、福田内閣のいわゆる支持率というものがこれ以上低下しませんようにぜひともがんばっていただきたいと私は思うわけでございます。  中小企業庁長官お見えでございますので伺いたいと思いますが、円レートの二百円台割れ必至というふうに私ども見ておるわけで、輸出関連中小企業がますます困難な事態に追い込まれる、これも必至であろうと言わざるを得ないと思うわけでございます。受注残もなくなった、新規成約もない、こういった状態の中において、いままでいろいろ円高法であるとか中小企業の救済策については実施されてきているわけでございますけれども、新しく長官として御就任になった左近長官から、決意を伺いたいと思うわけでございます。
  128. 左近友三郎

    ○左近説明員 中小企業庁といたしましては、昨年来のこの円高傾向につきまして、絶えず産地その他の中小企業の方々と連絡をとりながら実態を調べてまいったわけでございまして、この実態に応じて適時対策を講じてまいったということでございまして、昨年十月には円高融資制度を新しく創設し、本年の二月にはいわゆる円高対策法を成立させて、現在では、その法律に基づく認定を受けた中小企業者に対しましては、金融とか税制面の特別措置が受けられるということに相なってきておるわけでございます。ただ、最近の状態は、当初予想されていた以上に円高が進行しております。したがいまして、最近も各産地に絶えず連絡をとりながら、状態の推移を見守っておるところでございます。  現在では、この円高対策の中心になっております緊急融資が、この五月の二十二日に条件改善を行い、貸出枠もふやしております。したがいまして、当面はこの対策で維持できるというふうに考えておりますけれども、円高の推移が予断を許しませんので、絶えず連絡をとりながら、必要が出てくれば適時適切に対策を講じてまいりたいというふうに考えておりますので、状態を絶えず注視しておるというのが現状でございます。
  129. 松本忠助

    松本(忠)委員 せっかく御努力を願いたいと思うわけでございます。  それから、先ほども中村委員から、円高益差の消費者還元の問題が出てまいりました。この点につきましては、中村委員も、大臣に何遍も何遍も同じことを聞いても同じ答えしか返ってこないということで、大変立腹されて帰りましたけれども、当委員会におきましてもしばしばこの問題は論議されておりますけれども、なかなか具体的に成果を見ておりません。  しかしながら、この国会で円高差益の還元問題が論じられておりましたのは、まだまだ二百三十円台のころであったかと思うわけでございます。現在二百円台すれすれというところまで上昇してしまっております今日、具体的に円高差益をどうしても消費者に還元すべきではないか、特に電気、ガスこうしたものの料金は据え置きでなくて引き下げるべきである、こういうふうに考えるわけでございますが、この点について、大臣がいらっしゃらなければかわってお答えをいただきたいし、また経企庁の方もこの問題については具体策をどう考えているのか、この点についてお答えをいただきたいと思います。
  130. 天谷直弘

    天谷説明員 電力、ガスの為替差益につきましては、四月二十一日の経済対策閣僚会議におきまして、次のとおり決定をされております。読み上げますと、  現在の円高傾向が継続し、原油の値上げ等経済事情の変化がない限り、北海道電力を除く八電力会社及び大手ガス三社については、五十三年度及び五十四年度の二年間は現行料金を据え置くものとする。円高差益の生じない北海道電力については、五十三年度中は現行料金を据え置くものとするが、五十四年度は情勢の推移を見ながら改めて検討するものとする。こういうふうに四月二十一日には決定をされているわけでございますが、その後、最近に至りまして円高傾向が一層進展をいたしております。  また、円高に基づく為替差益がどれくらいあるのかということでございますが、昭和五十二年度につきましては、九百二十五億くらいの差益があるわけでございます。  次に、五十三年度は一体どうなるであろうかということでございますけれども、これはいろいろ不確定要因がございまして、今後為替相場がどうも非常に問題はございますけれども、幾つかの前提を置きましてきわめてラフな推算をいたしますと、電力につきましては、為替差益は二千二百億円から二千八百億円ぐらい。二千二百億円と申しますのは、為替レートが二百二十円で推移すると見た場合でありますし、二千八百億円と申しますのは、二百円で推移すると見た場合でございます。それから、ガスにつきましては、三百四十億ないし四百三十億くらいの為替差益が出るであろうというふうに見ております。  ただし、これは為替差益だけを取り上げて計算をするとこうなるということでございますが、他方、電力のコストの方を見てみますと、資本費の向上その他でコストの上昇がございます。原油の値上がり、これがいつあるか、十二月にOPECのアブダビ総会がございますけれども、ここで原油の値段がどういうふうに決定されるかということも大きなクエスチョンマークでございます。しかしながら、この原油の値段は一応変わらないものと仮定をいたしまして、資本費の高騰その他を計算いたしまして、それでは一体どれくらい今度はコストの上昇によりましてさきの差益分が食われるのかということでございますけれども、五十三年、五十四年をならして考えてみまして、差益の額というのはとんとんないし若干の黒字、計算の仕方によっていろいろ変わってまいりますけれども、五十三、五十四年度をならしますと、それほど大きな差益は残らない、こういう計算になっております。  そこで、現段階におきまして、五十三あるいは五十四年の為替差益というものを引き当てにして値下げをしてしまいますと、今度はまたOPECの値上げがあったときには逆に値上げをしなければならない、あるいは為替レートも一体二百円でこのまま推移するものかどうかということもはなはだ不明でございまして、仮に為替レートが、それではよく世の中で言われておりますように、二百二十円とか二百三十円とか妥当と言われているようなところへ戻ったときにはそれではまた値上げをするのであろうか、あるいはまた二百円の現在において二百円をベースにいたしましてたとえば電力の為替差益の還元をやったとすると、そもそも通産省が二百円というレートが長続きすることが望ましいと認めているのではないかというような問題も発生するでありましょう。  したがいまして、われわれといたしましては、現段階におきましていろいろと紙の上で五十三年度、五十四年度の為替レートを推測いたしまして、それを値下げに向けてしまうということは果たして妥当であるかどうか疑問であるというような考え方を持っております。むしろ、コストの上昇もあることでございますから、この円高の差益分は将来起こり得べき原油価格の上昇を含めるコスト上昇を消す要素として別途計上しておくということで、電力価格あるいはガス価格の安定を図るということが望ましいのではなかろうか、こういうふうに考えておるわけでございます。  為替差益の還元といいます場合に、常識的に考えますならば、一たんふところに入ったお金を返すというのが還元ではなかろうか。将来入ってくるか入ってこないかよくわからないものを引き当てにいたしまして還元をするということはいかがなものであろうかというようなこともございまして、いま申し上げたような線で一応考えておるわけでございます。しかし、今後まだ為替レートの動き方によりましては、現在のような考え方を訂正する必要が生じてくるやもしれないというふうに考えております。
  131. 松本忠助

    松本(忠)委員 長々としたお話を聞きましたけれども、とにかく電気、ガスの料金は据え置きで引き下げないというのがいまの考えである。  経企庁の方はどうですか。簡単に答えてください、時間がなくなりますから。
  132. 坂井清志

    ○坂井説明員 御指摘のように、この円高の効果を物価に反映させていくことが当面の物価対策の重要な課題である、私どもそう考えております。それで、最近の物価動向を見ますと、卸売物価につきましては、特に輸入の原料、燃料関係の価格の低下等を反映いたしましてきわめて低い水準で推移しております。また、こうした卸売物価の鎮静化が漸次消費者物価の方にも波及をしつつございまして、これが最近毎月のように発表されます消費者物価の上にもはっきりその効果が出てきておると私ども考えております。  なお、政府といたしましては、こういった傾向を一層促進するためにこれまでいろいろ措置を講じてきておりますけれども、いまエネルギー庁長官からも御説明がありましたように、四月二十一日の経済対策閣僚会議におきまして先ほど御説明のありました電力、ガスを含めまして九項目から成る円高に伴う物価対策を決定をしたところでございまして、現在その推進に努めているところでございます。
  133. 松本忠助

    松本(忠)委員 大臣お席を立っていらっしゃる間に、要するに円高の差益を消費者還元すべきであるということで言いましたけれどもエネルギー庁長官もいま経企庁の坂井審議官も、いずれも四月二十一日のいわゆる決定というものを盾にとって、とうていこれに応ずる考えはないようでございます。確かに言うこともわかるわけです。これからどうなるかわからない円レート、それを考えてみれば、いまの差益というもの、電力の二千八百億ですか、そうしたものを仮にいますぐやってしまってもどうにもならないんだ、後でどうなるかわからないんだということはわかるんですけれども、やはり消費者の考えとしては、幾らかでも差益があるのならば下げてもいいのじゃないかというのが町の声なんですが、政治的な配慮として大臣はどうお考えになりますか。
  134. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 私は、先ほども御質問に答えまして、現在の日本の円レートは実力以上の評価である、したがって、下半期にはこのままでは相当なデフレ影響が出てくるであろう、何とか妥当なところに調整されるような必要な政策というものを進めたい、こういうことを申し上げたばかりでございます。したがいまして、円レートが現在のような水準にとどまっておるということは、日本経済としてはなかなかつらいところだと思うのです。何とか調整をしたい、こういう考え方でいろいろな政策をこれから考えていきたいと思っております。  そういうこともございますし、かつまた電力業界にはいろいろな面で思い切った先行投資をさせよう、こう思っております。一つは設備投資でありますが、これまで設備投資と繰り上げ発注で四兆二、三千億が決まっておりますが、何とかこれを年度内を通じて五兆円まで持っていきたい、しかも来年度以降はさらにこれを拡大したい、こういうことを考えておりますし、それからさらに、原子力エネルギー関係のウラン鉱石あるいはウランの濃縮、ウランの再処理、こういうことには相当大量の資金が必要であります。その一部を前払いする、こういうことをいまいろいろ工夫をしておるところでございますが、その対象もできるだけ広げていきたい、相当大規模な内容にしたいということでいま作業をしておりますので、その負担も相当大きなものになるであろう、こう考えております。でありますから、いますぐこれを引き下げるというようなことをいたしませんで、先行投資のための経費負担等にこれを使いまして最も有効な対策というものを考えていきたい、こう思っております。
  135. 松本忠助

    松本(忠)委員 円高問題はそれぐらいにしまして、次の問題に移ります。  私ども商工委員会が先般五月二十四日に秋田県の非鉄金属の鉱山を視察いたしたわけでございます。そこで私特に感じましたことは、坑廃水の処理の問題につきまして鉱山自体が非常に努力をされている、こういうことを如実に体験し、感銘を受けてまいったわけでございます。千二百年の歴史を持つ尾去沢鉱山がついに閉山されましたが、閉山後一銭の収入もないのに月々の坑廃水の処理費用というものが二千万円もかかる、これは大変なことであろう、こう思うわけでございます。一部の人は、いままでもうかったんだからしょうがないんだということを言われる方もありますけれども、このまま永久にこうした費用がかかるとすれば、今後の国内における新規鉱山の探鉱意欲というものも減退し、金属鉱山事業というものをやる人がなくなってしまうのではなかろうか、こう思う次第でございまして、こうなりますと、国内資源を安定的に供給を受けられるという国益にも反することになると思うわけでございます。  視察後に開かれました商工委員会におきまして、金属鉱業安定緊急対策に関する三項目の決議が全会一致で出されました。この第三項目目に挙げられましたものは、私どもが視察中に、この坑廃水の処理に関しまして国の施策、これを拡充強化しなければいかぬ、これもしかも早急にしなければならない、こういう点を参加いたしました全委員がその場で意見の一致を見て、そうしたゆえにこの三項目目が加えられたわけでございます。決議に際しまして提案の理由がなされましたが、この中でも触れられております。そのことは、ただいま私が申し上げました尾去沢鉱山において閉山後も坑廃水処理に月々二千万円もの経費を要する、こういう事実を山崎小委員長が述べられているわけでございます。そして閉山後一定期間経過後における坑廃水処理の責任分担について、そのあり方を検討されたい、こういうふうに述べたわけでございます。この決議を踏まえまして私も伺うわけでございますけれども尾去沢鉱山は発生したばかりでございます。これからの問題でございます。将来いつまで続くかわかりませんけれども、過去の問題、そうして現に続いている問題、そうした問題を取り上げてみたいと思うわけでございます。  それは四十八年に閉山いたしました長崎県の対馬の対州鉱山、これは現在まで坑廃水の処理のために、一銭の収入もないにもかかわらず従業員三十名雇いまして、鉱害防止のために確保されております。そして年に一億五千万円という金をかけて処理を行っている。いままで鉱害防止費用として、坑廃水の処理設備建設その他の関連事業のために十三億円の金をかけている。こういうことをやらなければどうにもならない。そしていま現にポンプアップする電気料金もまた大変な額になっているようでございます。こうしておかなければ、坑内にたまった坑廃水はいずれはどこかからしみ出してくる、川に流れ、そして鉱毒を含んだ坑廃水によって汚染される、こうなるわけでございます。四十八年から現在までこれが続いておりますし、今後もこの坑廃水と永久に闘いをしていかなければならない、こういう状態が長崎県の対馬の対州鉱山の例であります。  こうして自分の資力で坑廃水処理を行う、こういうところはまだしも、問題は資力のなくなったところ、これは一体どういうことになるかということです。  そこでお尋ねしたい第一点は、現在全国に金属鉱山で鉱業権がすでになくなり無資力となって現実には放置されたままになっている鉱山がどれくらいあるか、これを掌握しているかどうか。  第二点は、こうした無資力かつ無権利の鉱山の鉱害防止についてどのようにやられてきたか、これを説明を願いたい。  第三点は、先般の決議の第三項目目に対して検討がなされたかどうか。約五十日の時間を経過しておるわけでございますが、この検討の結果について立地公害局長から伺いたいわけでございます。この問題は先ほども川俣委員が質問されました。そのときに御趣旨に沿って前向きに検討というようなお答えが来ているわけでございますけれども、これではならぬ。それではいつまでにこの問題は結果をはっきりするのか。この三点目に対しては特に川俣委員も言及されておりますが、いつまでに一体やるのか。いつもいつも御趣旨を体して前向きに検討ではならないと思う。そういうことから、特にこの点について立地公害局長からお答えをいただきたい。  以上、三点についてそれぞれ関係者にお伺いをいたしたいと思います。簡略にしてください、それでないと時間がなくなりますから。
  136. 檜山博昭

    ○檜山説明員 まず、第一点と第二点についてお答えいたします。  第一点の鉱業権者が不存在または無資力の休廃止鉱山であって五十三年度以降鉱害防止工事を要する、こういうふうに見込まれる鉱山の数は百三十鉱山でございます。  第二点の防止工事の額でございますが、鉱害防止工事の義務者不存在等の鉱山の鉱害防止工事につきましては、昭和四十六年度以降地方公共団体の実施する鉱害防止工事に対して補助金を交付してきております。通産省としては、その後昭和四十八年に金属鉱業等鉱害対策特別措置法に基づく基本方針を定めまして鉱害防止工事の計画的実施を図るとともに、五十年には補助率の引き上げ、こういったことをやってまいりまして、鉱害防止工事の促進を図っているところでございます。  第三点につきましては、立地公害局長の方からお答え申し上げます。
  137. 伊勢谷三樹郎

    ○伊勢谷説明員 第三点についてお答え申し上げます。  無資力あるいは鉱業権者がおらない鉱山の坑廃水の処理につきましては、いまお話にありましたように四十六年から補助金を出しておりまして、万全を期しております。なお、この補助金制度というのは、現在の予測では五十七年ぐらいまで続くであろうということで万全を期しておるわけでございます。  鉱業権者が存在いたします場合、鉱山保安法のたてまえは自主的に処理するということでございますけれども、非常に長期間にわたって他の者が操業をしたというような鉱山につきましてはエクスキューズするところがあることでもございますから、この点を中心といたしまして、商工委員会決議を踏まえまして、前向きに検討しておるということでございます。
  138. 松本忠助

    松本(忠)委員 檜山さんですか、鉱山課長、いまお答えいただきました第一点の方、百三十とおっしゃいましたか。そうですか。
  139. 檜山博昭

    ○檜山説明員 お答えいたします。  百三十でございます。
  140. 松本忠助

    松本(忠)委員 私ども調査では、もっと数があると思うのですよ。百三十という根拠が私はちょっと疑問なんです。私ども調査では、こうした鉱業権がなく無資力になった、どうにもならないで放置されている鉱山というのは全国で二千五百から二千六百あるというふうに私どもは承知しているのです。資料も持っています。しかし、百三十では余りにも少な過ぎるのではなかろうかと思いますので、これはちょっと私も疑問を呈しておきますので、後で百三十の根拠を教えてください。  それから、立地公害局長、とにかくこの三項目の決議というものがいつまでにできるか、そのお答えを川俣君もさっき迫ったのですけれども、趣旨を体して前向きに検討ということで、いつまでにおやりになるかについて全くお答えがないのです。私は非常に残念に思います。時間がありませんから次に進みますけれども、この問題については確たる御返事をしていただきたいと私は思うのです。  次に移りますが、現在企業が鉱害防止対策を実施している休廃止鉱山というものが、私ども調査では五十社、百十の鉱山、こういうふうに私どもは思っているわけでございます。これは間違いでしょうか、どうでしょうか。
  141. 檜山博昭

    ○檜山説明員 お答えいたします。  義務者が存在する休廃止鉱山であって今後鉱害防止工事を行う必要があるという鉱山の数、これは百二十でございまして、会社の数は、御指摘のとおり五十社でございます。
  142. 松本忠助

    松本(忠)委員 そうした休廃止鉱山における鉱害防止対策費用、こういうものは年次別にどれぐらい出ているか、簡単に数字を述べてください。
  143. 檜山博昭

    ○檜山説明員 義務者が存在する休廃止鉱山の鉱害防止工事の事業費でございますが、四十八年は十三億二千五百万、これは事業量で申し上げまして。それから四十九年が三十五億七千四百万、五十年度は二十四億一千五百万、五十一年度は十六億一千九百万、五十二年度は十一億七千四百万でございます。
  144. 松本忠助

    松本(忠)委員 合計幾らになりますか。
  145. 檜山博昭

    ○檜山説明員 累計いたしますと、約百一億でございます。
  146. 松本忠助

    松本(忠)委員 そうした休廃止鉱山における坑廃水処理施設、この年間の維持管理費用というのはどれぐらいに上るものですか。
  147. 檜山博昭

    ○檜山説明員 これは日本鉱業協会の所属の八十六社総計でございますが、昭和五十一年度においては処理費用、維持管理費用ですね、約十五億円、それから五十二年度におきましては約十七億円、こういうふうになっております。
  148. 松本忠助

    松本(忠)委員 申し合わせの時間が残り五分ということで話がございましたので、私もこれははしょらなければならぬと思うわけでございますが、とにかく飛ばして結論を申し上げてみたいと思うのです。  日本国内の鉱山すべてつぶしてしまうのならばいざ知らず、また、生かして細々なりとも赤字経営を続けていく、こういたしましても、坑廃水処理というものは経営会社の責任としてやっていかなければならないのは当然だと私は思うのです。鉱業権を放棄して、しかも無資力の鉱山について、数が違いますが、私どもは二千五百から二千六百、こういうふうに踏んでいるわけでございますが、こうした鉱山の坑廃水の処理という問題は、休廃止鉱山の鉱害防止費補助金に頼るしかないわけでございますが、この枠が年々増加し、その補助対象というものも年々増加する一方だと思うわけでございます。抜本的の対策を立てなければならないそうしたときに当たりまして、当面細々なりとも稼働している鉱山に対して坑廃水処理に対する助成、こういうものはしてやらなければ経営が立ち行かなくなる、こう思うわけでございます。そうなれば、やがて鉱業権を放棄して山を逃げ出してしまう、こういうことになるのではなかろうかと思います。したがいまして、坑廃水処理に対する助成をやる考えがあるかないか、この問題が一つ。  それから、これも検討中では困るわけでございますけれども、先般のこの決議のなされましたときに、通産大臣も御出席になっていらっしゃってお答えになっているわけでございます。「ただいま御決議のありました金属鉱業安定緊急対策に関する件につきましては、御決議の趣旨に沿いましてできる限りの努力をしていく」というふうに言われているわけでございますが、本当に政治的な言葉としてこれを前向きの言葉、それで受け取っていて済む時代ではなくなってきているわけで、非常に大変な状態になっているがゆえに、私は、この問題について政府は一体どう考えるのか、これをまずお伺いしておきたい。そして、大臣もせっかくこのように「できる限りの努力をしていく」と言われているのですから、坑廃水処理に関する助成はどうなるのか、この問題でございます。  それからなお一つ、保安対策の一環といたしまして、先般の視察の間にも見ましたけれども、スライム、ズリといった鉱滓を坑内に充てんしていくやり方、これも秋田で見てまいりました。こうした充てん等の保安工事に対する助成をやる気があるのかないのか、これが二点目。  それから、坑廃水処理の対策を含めまして鉱害対策の確立を急がなければなりませんけれども、このおくれが新規の国内鉱山開発意欲の減退をもたらしているということは否めない事実だろうと思うわけです。閉山後永久に続くかもわからないところの鉱害防止費用のことを考えると、優良な鉱床があることがわかっていても手を出すことができなくなる、こうした例があるのではないかと思います。一部の話でございますけれども、今後は新鉱床が海面下にあるような場合以外は探鉱開発はできないのではないかと危ぶむ声があるわけでございますが、今後探鉱開発をどのように助成していくのか、この点についてのお答えが第三点。  それから、最近の探鉱融資について予算措置、借り出し状況、こういうものについてお伺いをいたしたい。  なお、これと同時に、新規の国内鉱山開発の意欲が減退しているけれども、補助金でやっているところの中小の鉱山の場合には、まだまだ結構開発の意欲があるようでございます。こちらの方はもう枠をオーバーしてしまったというふうに聞いております。この際、探鉱開発についての融資並びに補助金を一本化する考えがあるかないか。現在のままでも中小鉱山の方はもう枠がオーバーしちゃって、ない、大手の方は融資の枠が残っている、こういう話を聞くわけでございますので、この融資の枠を中小鉱山の方に回す考えがあるかないか、この点もお答えをいただきたいと思うわけでございます。  それから、探鉱補助金につきまして、現在探鉱に必要な資金の二分の一を補助するという形が制度化されておりますけれども、現実には七割を自己資金でやっている。これは物価の変動が要因になりまして、一メートル当たりの単価、この決まってしまっている単価というものが現状と合わない、こうしたところからできてくるわけでございますので、制度面の見直しを図っていかなければならないと思いますけれども、この点にはどうであるか、この点をお答えを騒いだいと思います。  まとめて簡単にお答えください。
  149. 伊勢谷三樹郎

    ○伊勢谷説明員 第一点の御質問にお答え申し上げます。  処理施設とそれから処理施設の経常費という問題に分けまして、処理施設につきましては、たとえば基金ができますならば、その基金による低利または無利子融資でもって援助できるということでございます。問題は経常費でございまして、経常費は長い間続くという可能性がございますので、その点をどうするかというのが先ほど来申し上げております検討事項でございます。
  150. 福原元一

    福原説明員 御指摘のございました坑廃水処理費あるいは坑内充てん等に要する費用につきましては、このたび御決議いただきまして私ども現在具体化検討しております基金制度のうちにおきまして、何らかの助成対象となるように研究してまいりたいと考えております。  それから、国内探鉱融資の利用の現状でございますが、国内探鉱融資は大手の鉱山の探鉱に融資をしております制度でございまして、五十年度の三十七億円をピークといたしまして年々減少の傾向にございます。五十二年度は二十八億円でございました。この原因は、大手鉱山が逐次鉱山を子会社に分離いたしまして、分離されました鉱山が中小鉱山のカテゴリーに入ったということが、大きな原因になっていると思います。  それから、新鉱床探査費補助金は中小鉱山に対する探鉱補助金でございますが、五十二年度十一億六千万円でございましたが、本年度は十三億六千万円と二億円の積み増しを行いました。今後とも探鉱活動を活発化させるということで、本補助金の充実にも努めてまいりたいと思います。  単価アップのお話がございましたが、五十三年度予算におきましても一〇%の単価アップを認められたわけでございますが、さらに、実施に当たりまして再度一〇%の単価アップをいたしまして、合計いたしまして昨年度に比べまして二〇%の単価アップを実施いたしました。  神助率がなお実質五〇%に満たないというお話でございましたが、私どもといたしましては、今後ともこの単価の是正ということに努めまして、実質補助率を上げるように努力してまいりたいと思います。
  151. 松本忠助

    松本(忠)委員 最後に、時間が参りましたのでこれでやめますけれども、午前中からきょうの非鉄金属の質問につきまして異常な関心を持って鉱山関係者がお見えになっております。きのうも岐阜県の神岡町の町長さん、商工会議所の会頭さんあるいは農協の組合長さん、連合婦人会の会長さんあるいはまた地元の県会議員あるいは神岡鉱山の労働組合の執行委員長さんあるいはまた神岡鉱山の主婦協議会の会長さん、町を挙げて陳情にお見えになりました。金属鉱業安定緊急対策の早期実現に対してるる衷情を述べていかれたわけでございます。  五月二十六日のあの三項目の決議というものは、私は決して軽く見てはならないと思うのです。大臣もあのときにお答をいただきましたことは、いま会議録を利用いたしまして私申し上げたとおりでございます。一時銅価格が上向く気配がございましたけれども、またまた最近は下落の傾向でございます。世界的の需要の落ち込みによるところの鉱石価格低迷、これが国内鉱山を窮地に追いやっている。なおかつ、円高によるところの海外鉱石との格差は非常に大きくなっておりますし、国内鉱山崩壊寸前という時期が刻々と近づいている感じがいたします。  そうしたことを踏まえまして先般の決議もなされたわけでございます。この三項目の決議に対して、鉱山関係者は、一日も早くこの決議が実行されるように首を長くして待っているわけです。基金の設立のためにも一体どうなっているのだろうか、本当に皆様方の苦衷というものが私もよくわかります。それだけに、今回補正予算をお組みになるというようなお考えがあるようでございますが、そうした中においても、緊急性を有するものについてはぜひとも盛り込んでいただきたいこと、こうした問題を最後にお願いをいたしまして、大臣の御決意を聞いてこの質問を終わりたいと思います。
  152. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 五月下旬の商工委員会決議の線を尊重いたしまして、それに沿って対策を立ててまいりたいと思います。
  153. 松本忠助

    松本(忠)委員 終わります。
  154. 山崎拓

    ○山崎(拓)委員長代理 玉置一徳君。
  155. 玉置一徳

    ○玉置委員 通産大臣にお伺いしたいと思います。  構造不況業種等のあらゆる産業に対して、少なくともここ一年以内に対処せなければ、福田総理のおっしゃるような、景気が上向いてきたというようなことはなかなかあり得ない、こう思うのです。  そこで、こういう場合は、かつてエネルギー政策の大転換によりまして、石炭産業に対して大きなてこ入れをいたしました。あれは莫大な数に上る雇用問題について社会不安を増勢するおそれがあったから、普通の行政、経済等の原則なり筋道を外してまで思い切った抜本的なことをやったのだと思います。  そこで、若干後々に問題が残ろうとも、そういう蛮勇をふるっていま対処すべきときじゃないだろうかと私は思うのです。したがって、通産行政は、当面雇用の確保ということで、新たに雇用を創出するまでにいかなくても、雇用を現状において何とかして確保するというところに重点を置くべきだと思います。通産省の施策がそこに大きな光を当て、柱を立てていかなければならないと思いますが、大臣はどのようにお考えになっておられますか。
  156. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 本年度の経済運営の目標は、数字的には具体的に幾つかの目標を掲げておりますが、それではなぜその数字を実現しようとするのかといいますと、一つは、やはり国内では雇用問題であります。雇用問題が非常に深刻な状態でありますので、何としても現在の事態改善をしなければならぬ、これが第一だと思います。それから第二は、国際収支の均衡を回復するということだと思います。  以上、二点を目標といたしまして幾つかの政策を進めておるわけでありますが、わが国にとりまして非常に重大な事態でありますから、いま、ときには蛮勇をふるって対処すべし、こういうお話でありましたが、私もその御意見には全く賛成でございまして、そういう精神でなければ現在の事態は切り抜けることが不可能である、こう思います。
  157. 玉置一徳

    ○玉置委員 私は、かねて通産大臣がかなり思い切った景気回復のための施策を発言をしておいでになりますことを非常に多としております。  そこで、鉱業政策の審議会並びに本委員会の出しました結論、決議等に基づいて基金の設立をやってやろうという答えが十分に返ってきております。これを事務的に最後の詰めを行いたいと思うのですが、基金は百億ないし百五十億、それを次の通常国会が九月末にでも行われるとしまして、九月下旬を目途にいま御努力をいただいておるわけですが、その百億ないし百五十億を必要とする、最低でもそのようにお考えになっておるときに、もしもそれだけのものを基金に積み上げることができなかった場合には、その不足分はどのようにして補充されるか、それから法改正というものは、一体何法のどういう個条のどういうところ辺をどのように直そうとお考えになっておるか、大臣もしくは当局の方から御説明をいただきたいと思います。
  158. 天谷直弘

    天谷説明員 百億ないし百五十億という数字は、全額出資で賄うことができれば最も理想的でございます。しかしながら、財政当局の方の事情もいろいろあることでございますから、全額出資によって賄うことができない場合には、政府保証の借り入れを行いまして、この借り入れに対して利子補給を行いまして、実際の貸し出しは非常な低金利もしくは無利子で行うということにいたしますれば、出資とほぼ同様の役割りを果たすことができるかと存じます。  それでは、一体その出資の割合が全額になるのかあるいはどの程度になって、利子補給分はどれくらいになるのかというふうなことは、現段階ではちょっとまだ申し上げることは困難でございますが、鋭意大蔵省と折衝していきたいというふうに考えております。  それから次に、法律の問題でございますが、これは金属鉱業事業団法改正ということになるだろうと思いますけれども、いま、そこのどういう細かい改正の仕方をするのかということにつきましては、まだよく詰めておりませんので、御容赦を願いたいと思います。
  159. 玉置一徳

    ○玉置委員 百億ないし百五十億と申しましたのは、これはあなたの方で内輪目にお話しなすったことでありまして、需要がますます増大すれば、それだけの適切な措置を講じてもらわなければいかぬことは当然であります。  そこで、本年度予算のうち機動的、弾力的に執行して関係業界の協力によって対処できるものはできる限りのことをやる、こういうような御説明があったそうですか、本年度予算のうち機動的、弾力的執行を関係業界の協力と相まって対処するというのは、具体的にはどのようなことですか。
  160. 天谷直弘

    天谷説明員 まず、関係業界の協力でございますけれども、銅と亜鉛と両方の関係業界がございますが、このうち亜鉛につきましては鉄鋼業界、これが関係業界でございますので、鉄鋼業界の個別の企業と、それから個別の亜鉛生産会社との間で現在ネゴを行っておるという段階でございます。全業界一律ということになりますと、独禁法との問題が生ずるかと思いますので、個別のベースで折衝をしておる、そして必要があれば通産省があっせん等に努める、こういうことでございます。  それから他方、銅につきましては、銅の先行き価格見方等につきまして、最近はどちらかといいますと強気の見方が強まってきておる関係もございまして、前払いを行うということに関しましてぜひともやっていただきたいという気持ちが、情勢の変化もございまして、いまのところ余り強くございません。したがいまして、銅に関しましては、関係業界の前払いという話は目下中断をしておるというような状況になっております。しかし、そのために資金繰り等が窮迫をして倒産をするというようなことは、現段階においてはないというふうに判断をしておるわけでございます。  そのほかには、予算面におきましては新鉱床探査補助金、これの単価が安いために、実質補助率が五〇%を割ってしまっておるという問題があることは先ほど課長も説明を申し上げましたところでございまして、五十三年度の予算におきまして、その単価を一〇%上げておるわけでございますが、その後、予算実施過程におきまして、さらにこの単価の一〇%アップという、いままで余り前例のないような措置をとっております。  それから、もう一つ備蓄金利でございますけれども、六・五%という従来の金利を六・〇五%に引き下げまして、これもわずかではございますけれども金属鉱山企業経営改善に資するということに努めておるわけでございます。     〔山崎(拓)委員長代理退席、中島(源)委員長代理着席〕
  161. 玉置一徳

    ○玉置委員 法律改正の個条についての答弁は……。
  162. 天谷直弘

    天谷説明員 先ほど事業団法改正が必要であると申し上げたのでございますけれども改正の主たるポイントは、言うまでもなく事業団が新しい事業、すなわち基金を運営するという新しい事業を始めるわけでございますから、そういう関係の条文が追加されるということになるだろうと思います。  それから出資の問題、これは国のほか民間の企業出資するのかどうかという問題もございますが、仮に出資をすることになりますと、資金運用部資金法との間で矛盾が生じますので、要するに事業団が資金運用部資金から金を借り入れることが現在の法律ではむずかしくなりますので、その辺の法律上の手当てをするとか、そういうようなことが中心になるだろうと思いますが、第何条をどう変えるかというそこまではいま詰めておりませんので、御容赦をいただきたいと思います。
  163. 玉置一徳

    ○玉置委員 大臣のおいでになる間に、ちょっとはしょりまして、電力料金の再還元という話が先ほどからたくさん出ておりまして、お答えも聞いておりまして承知いたしておりますのですが、私は、観点を全然変えて、大臣と一緒に考えてみたいと思うのです。  一つは、とどまるところを知らないほどどんどんと円高が進行いたします。なお若干の進行を見るやもわからないというのが今日の状況であります。したがって、二百七十円が二百五十五円程度まで上がったときの答えと同じ答えでは、ちょっと国民は納得ができないのではないだろうかという感じが私はしてならないのです。  と同時に、逆に、電気料金そのものを国民全般に直接やる方法もありますけれども各国が特別施策としてやっておるような形で、アルミ製錬その他銅、鉛、亜鉛の製錬等に、そのものの価格を安くすることによって一般の消費者に還元するというやり方もないことはないわけであります。それで、構造不況業種の産業に対していまあらゆる施策を集中しておるときであります。だから還元じゃなしに、一遍入ったものを出てこいという形ではありませんけれども、料金そのものをある程度下げるということが、構造不況業種の手当てにとって必要欠くべからざる問題ではないだろうかという感じもいたします。  一般的に申しますと、こういうようにとどまるところを知らない円高の進行の場合は、国民全般に何らかの還元があり得まして、そうしてそのことが民需を高め、内需を高めるという効果を持ってきたときに、初めていま諸外国から非常に袋だたきに出会っておるような問題が解決していくのではないだろうか。だから、緊急輸入措置も大いに必要でありますけれども、もっと根本的な構造にメスを入れない限りこのことはでき得ないのではないだろうか。一つ日本の流通の問題であり、一つ日本農業の将来のあるべき地位というようなものを確定をしていかなければいかぬ作業に勇敢に取り組むことが福田内閣に課せられた大きな仕事ではないか、こういう感じがします。したがって、それまでの間、こういう規模に経営をまとめていくからしばらく待ってもらいたいというやり方はいいと思いますし、そこまでいったときには価格差補給金の制度をもって関税の門戸を開放するという場合もあり得るのではないだろうか、こんな感じがしてならないのです。  そういう意味においては、大臣は、電力料金の据え置きをしまして、五十五年度までできるならばということだけできょうまでずっときておいでになりますが、初めに言うたときは二百七十円が二百五十五円程度に上がったときだったと思います。それが二百円になり、あるいはもっと切っていくようなときに同じようなことを言い得るかどうか。私は、もっと大きな観点から見なければならないんじゃないだろうか、こういう感じがしてならないのですが、どのようにお思いになりますか、お答えをいただきたいと思います。
  164. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 まず、円レートの問題でありますが、いまは変動制でありますから、絶えず動いておるわけであります。高くなる一方だ、こういうことではありません。つい先ごろも、二百十円台に突入いたしまして再び二百三十円近くまで回復をする、そういうこともございましたし、これまでの動きを見ましても、高くなったり安くなったり、いろいろ動いておるわけですね。それで、いま政府の方は全力を挙げまして黒字減らし対策をやっておる最中でもありますし、これが成功いたしますと、必ずある程度調整できると私どもは思っております。だから、円レートが一時的に二百円になったからといって、それは今後ますます高くなるんだ、あるいは二百円という水準に固定するんだということではなくして、私どもはもう少し様子を見たいというのが第一点であります。  それから第二点は、先ほども申し上げましたように、電力業界はこれから原子力エネルギー対策、それから設備投資の拡大、繰り上げ、こういうことに対して膨大な負担をしなければならぬことになっております。こういうことも当然考えていかなければならぬと思うのです。だから、わずかの料金を一時的に引き下げる、何もこれだけが国民経済に寄与するものではないと思います。しかし、大局的に判断をすれば、円高で得たそのメリットというものは電力会社が独占すべきではない、これは何らかの形において全部吐き出さなければならぬ、それが公益事業の本来の姿である、こう思っております。その吐き出す形でございますが、これは千差万別、いろいろなことを考えていけばいいのではないか、こう思います。  それから、不況業種、特に電力をたくさん使います不況業種に対しましては、現行制度内でもある程度引き下げられるような余地がございます。それは、現在の原則を崩さないで若干の特例が設けられておるわけでありますので、その限度内においてできるだけのことをやっていったらいい、私はこう思っております。しかし、それはやはり一定限度以上はやれませんので、そこでいろいろな対策をその上にやっていこう、こういうことでありまして、電力料金を引き下げればすべて解決する、こういうものではありません。でありますから、ある程度は電力料金を下げる、及ばざるところはその他の政策でもって援助をしていく、こういう判断で進めていきたいと思っております。
  165. 玉置一徳

    ○玉置委員 いま大臣からお答えいただきました。円レートは固定されたものではない、また下がるときもある、それは私もそのとおりであります。しかしながら、いままで十歩前進一歩後退というようなことで、ある時期だけを短時日とりますと、一進一退のときもありますけれども、長い目で見れば円高はこの一年間ずっと続いておることも事実であります。こういう点から考えますと、お話のとおりの理屈ではありますけれども、国民感情としてはどうしても何らかの形でなし崩しにいろいろな万般の方法を講じながら還元する、一律にどうというばかげた話ではなしにやっていかなければならぬ。たとえば牛肉、たとえば何といろいろなそういう問題がありますが、特に国民の関心事であり、国民の注目を浴びておるところを直していってあげるということは、ことに人間食べる物ほど恨みの多いものはないわけでありますから、こういう問題について本当は政府が断固たる措置をある程度とられることがその他のいろいろな問題を解消するのに非常にいいのじゃないだろうかという感じが私はしてならないのです。  したがって、ある意味では一番活発な意見を率直にお出しいただいておる河本通産大臣のお答えでありますけれども、七十円が五十五円、五十円あるいは四十五円程度まで上がったときは、私はその方が正しいと思っておりました。若干電力エネルギーの推進に力をいたしておるつもりであります私といたしましても、その答えはよくわかっておったのでありますけれども、国民というものは、ある程度将来おまえ得するぞというのもわからぬことはないけれども、もっとわかるのは、きょう物が安く入るということであります。だからといって、全般にどうしてしまえという意味じゃなしに、特に構造不況業種につきましていま非常な苦心惨たんして取り組んでおる政府並びにわれわれといたしましては、雇用の確保のためにあるいはその他何とか経営を確立するためにひとつお願いを申し上げたい。  こういういまの基金構想にいたしましても、これは蛮勇をふるわなければやれない仕事であります。こういうものを特にお願いをし、お勧めを申し上げておるのもそのゆえんでありまして、どうかひとつ、きょうお答えをいただこうとは思いませんけれども、今後暮夜ひそかにもう一度お考えを直していただくような形の日が来ることが一日も早いことを期待して、私はこの問題は避けておきます。  念のためにもう一度申し上げておきますが、構造不況業種のいま言うアルミ、銅、鉛、亜鉛等々の製錬ぐらいの電気料金など、おっしゃるようないまの現行法規でやれるものは十分やりながら、そしてなおかつ若干の、現行の特約制度という言葉は語弊がありますが、それの弾力的運用なり拡大なりをしてもらうというようなことも一つの方法だと思います。つまり、差益の還元という言葉を使わないでできる方法がありはしないか。ことに役所の皆さんは非常にそういうことにお互いにおたけになっておりますので、特別の御配慮をお願い申し上げておきたいと思うのです。  そこで、時間もありませんので、構造不況業種のためにその地域が非常に不況になっておるということで、何らかの対策を打とうじゃないかということを通産大臣は御発表いただきました。最も適切なことだと私も思っておるわけですが、これにつきましてきょう電話で確かめましたところ、自治省あたりもどうしてもこれは次の臨時国会までには間に合わせたい、こういうような局長の答えが返ってまいりました。どの程度、どこまでやるつもりであるか、ひとつ当局からでも結構ですから、お答えをいただきたいと思います。
  166. 左近友三郎

    ○左近説明員 特定不況業種が経済の中心になっております地域についての対策でございますが、これにつきましては、この地域の特定不況業種の事業者に絡んだ下請企業あるいは関連企業経済力の立て直しを考えなければいけないということで、対策といたしましては、金融対策それから下請のあっせん、転換の推進あるいはその地域の雇用を活発にするための対策あるいはそのために必要な公共事業を集中してやるというように、いろいろな対策を現在検討中でございます。  この中には、法律あるいは予算措置が必要なものもございますし、あるいは他省の御協力によって実施していただかなければならない施策もございます。したがいまして、われわれとしては、当面この中でやれるものをまず先行させて、将来国会が開かれますときに、また予算とか法律事項をも課題にいたしまして御審議を願いたいと考えております。
  167. 玉置一徳

    ○玉置委員 最後に、大臣にお伺いしておきたいと思います。  従来ややもしますと、通産省通産省、何省は何省という仕事面でも縦割りの行政があったわけですが、地域の不況を克服する対策としましては、どうしても横断的に物を考えざるを得ないようなことにもなりますし、まず当面できるような公共事業の優先配当、その優先配当には補助率を上げるとか——僻地のものには補助率を上げたりしております。同じような意味で指定されたあれになっておりますときは補助率を上げる。これは法改正を必要とするのかと思いますけれども、起債の充当率を思い切って上げることは行政的にもできぬわけではありません。こういうものを含めまして、通産省通産省の所管事項で転廃業その他の条件を緩和するとか、思い切ってやっていかなければならないと思うのです。要はこの問題は、先ほど申しましたように蛮勇をふるって、やるからには積極果敢なものを展開しまして、よかったなと五年後に言い得るような施策が非常に必要だと思うのですが、大臣の御答弁を聞いて、申し合わせ時間がもうございませんので、次にお譲りをしたいと思います。
  168. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 考え方としては、いまお述べになったとおりのことを私どもも考えております。幸いに六月二十三日の経済対策閣僚会議で、中小企業対策あるいは下請企業対策は通産省の管轄でございますから、通産省が中心になって関係各省と連絡をとりながら緊急の地域対策を立てるように、そして案ができれば行政措置で直ちにスタートさせる、法律を必要とするあるいはまた予算を必要とする場合には次の臨時国会までに用意する、こういうことが決められております。こういうことはタイミングが必要でありますから、一刻も早く現実に行政措置でスタートできるようにいま準備を急がせております。その方針で進めるつもりでございます。
  169. 玉置一徳

    ○玉置委員 終わります。
  170. 中島源太郎

    ○中島(源)委員長代理 大成正雄君。
  171. 大成正雄

    ○大成委員 他党の先輩委員の皆さんから非鉄金属関係についてかなり詳細にわたって御質問がなされましたので、端的に、締めくくり的にお伺いさせていただきたいと思います。  まず最初に、大臣にお伺いしたいわけでありますが、この下期の景気対策あるいは構造不況対策あるいはドル減らし、こういったことで補正予算に対する一つの考え方をお示しになられたわけであります。政治日程からいたしますと、新聞発表等によりますと、総理は九月の上、中旬に中近東を訪問される、その後臨時国会、こういうことになるのでしょうが、この間もし仮に解散、総選挙だというようなことになりますと、政治の空白というものは、案件処理ができないということになろうかと思います。きょういろいろ問題になっておりますこの非鉄金属関係に関する案件としても、この臨時国会に期待されておるものは幾つかあるわけでありますが、そういった政治日程等からいたしまして、この臨時国会に対する大臣の考え方と申しますか、そういう政治の空白というものがあっていいのかどうかといったこと、そういったことから、ひとつ大臣の所感を承りたいと思います。
  172. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 補正予算、それからそれに関連する法律、こういうことを審議するために臨時国会は私はぜひ必要だと思っております。ただ、これをいつ開くかは、政府の方と与党である自民党の方で相談をいたしまして、案がまとまりますとさらにそれを野党の方々と相談の上で最終的に判断する、そういう経過になろうかと思います。したがいまして、時期がいつであるということは、私から申し上げる立場にはございませんが、ただ、ここで申し上げたいことは、下半期に対する対策でありますから、やはり下半期に間に合うようにこれをやってもらいたいということであります。昨年のようにおくれますと、その間二、三ヵ月の空白ができまして、結局上半期はある程度景気はよくなったが、途中で中だるみになってしまう、こういうことになっては困りますので、下半期対策として間に合うように、タイミングよく補正予算法律をつくりたい、そのような方向国会が開かれることを私どもは期待をいたします。  それから、現在の当面の政治課題というものは、私は、景気の回復、雇用問題の改善、また同時に、国際的に見まして日本の黒字というものが世界経済に大きな影響を及ぼしておりますので、この黒字減らし対策、こういう一連の経済対策が最大の政治課題だと思っております。そういうことでありますから、いま政治的な空白を生ずるということはわが国のために非常に困る、マイナスになるであろう、政治的空白を生じないように当面の諸問題の解決に当たってもらいたい、これが通産省から判断をした見解でございます。
  173. 大成正雄

    ○大成委員 まことに同感でございますが、さて、この非鉄金属関係で先刻来いろいろ論議をされておりました基金の問題であります。  規模は百億ないし百五十億、こういうことで、いろいろ法制的な問題あるいは資金的な問題等についてのいろいろ案件が、検討事項があるようでございますが、私たちが現地の山を訪問して受けた印象からしますと、いわば宮城県沖地震のような緊急事態だ、もう足元に火がついている問題だ、すでにこの五月二十六日の本委員会決議がなされましてからもう五十日近くになるわけでありますが、この間、いろいろ問題は論議されてきたかもしれませんが、実効ある措置というものは具体的に何らなされておらない、そういう意味で、そういう政策の先取りができないと申しますか、いわば壁にぶつけてこぶたんを出して、鼻血を出してといった、この悲鳴が聞こえなければ手当てができないといった後手後手的な対応が、非常に私ども残念に思うわけであります。  そこで、この基金の問題も、しからば実効ある措置はいつとられるのか。いま大臣がお述べになりましたように、臨時国会で所要の措置を講じて、また行政的な手続を踏まれて、この山の皆さん方が、ああこれでよかった、こういうところにいくのはいつなのかということなんです。これをまず承りたいと思います。
  174. 天谷直弘

    天谷説明員 対策の決め手は、やはり基金の設立とその運営ということであろうかと思いますが、基金の設立につきましては、予算措置及び法律措置を必要といたしますので、臨時国会におきましてそういう予算及び法律が可決されるということを期待をいたしております。
  175. 大成正雄

    ○大成委員 そういう法律的なあるいは行政的な手続に当たって、緊急措置として何かこの非鉄金属に対してそれにかわるべき、先ほど何か政府保証の融資であるとかあるいは利子補給とかといったことも言っておられましたが、何か暫定的な、それまでの半年間をどう対応するかという、そういった措置はとれないものなんでしょうか。
  176. 天谷直弘

    天谷説明員 苦慮いたしておるところでございますけれども、先ほど申し上げましたとおり、関係業界の協力を得て、前払いができ得る場合には前払いその他の協力を得るということ、それから第二点といたしましては、新鉱床探査補助金の補助率につきましてこれを改善いたしたこと、それから備蓄金利の若干の引き下げを行ったこと、このあたりがわれわれとして知恵をしぼってやっておるところでございます。
  177. 大成正雄

    ○大成委員 先ほど長官の御答弁の中で、銅、亜鉛需要先の購入代金の前払いの問題があったわけでありますが、亜鉛は鉄鋼業界で相談をしている、銅に関しては価格の先行きの見通し等からして先払いが何かいま非常に冷えているような感じの御答弁があったわけですが、そういうふうに受けとめて理解をしてよろしいのでしょうか。また、役所側としては、そういうことが望ましいと思っておられるのでしょうか。
  178. 天谷直弘

    天谷説明員 銅の前払いを実施する場合に、一体そこで価格をフィックスするのか、それともオープンにするのかというような問題がございまして、銅の先行きにつきましてこのごろやや強気の考え方が出てきたというようなこともありまして、前払いをするということについて熱意が若干冷却したという問題、それから六月に銅の売れ行きが比較的よくなりましたので、銅の会社の手元の金繰りがそれほど逼迫していないというようなことがございまして、銅につきましては前払いの話が一時中断というようなかっこうになっておるわけでございます。
  179. 大成正雄

    ○大成委員 その辺の認識が、鉱山を持っておられる会社の手元資金の流動性の問題もあろうと思うのですが、ただいまの御答弁のような状況であるのか、その点は十分さらにひとつ検討していただく必要があるかと思います。  私どもの理解しているところでは、また、現場の下請に対する支払いあるいは労働者に対する処遇、こういったこと等からしても、まあ金繰りにおいてそう心配ないといった状態ではない、むしろ金利負担で追いまくられているといった状態だと私どもは理解をしているわけでありますが、事態を正確に認識するために、長官としてはこの非鉄関係の経営の実態というものをさらに正確に把握をされて、当面この法律的な行政的な手続を踏まないでもいますぐやれる方法、これをぜひひとつ検討していただきたい。このことは、これは答弁は結構です。お願いをしておきたいと思います。  さて、私ども秋田県等の鉱山の視察においてもしみじみ感じたわけでありますが、先ほど来大臣もお述べになっておられますように、当面する大きな政治課題は失業対策であり、雇用の機会を創出することである、こういうことだと思うのですが、山の離職者に対する転職あるいは転業といったことが、この雇用対策法その他を活用していまどのように成果を上げておられるのか。特に地域ぐるみといった山の経済からするならば、地域に対して雇用を創出するといったことが非常に大事なことだと思うのですが、他省との調整を図りながらいまどのようにその成果が上げられているのかを承りたいと思います。
  180. 天谷直弘

    天谷説明員 雇用対策といたしましては、雇用保険法、特定不況業種の要するに離職者法、この指定業種に指定をいたしまして、雇用の安定化に努めておるところでございます。  また、金属鉱山の所在地域にかかわる地域対策といたしましては、五十三年度から新たに工配法の特別誘導地域制度を創設いたしまして、これに疲弊の著しい金属鉱山所在地域を含めるというようなことで、雇用の改善に極力努めているところでございます。
  181. 大成正雄

    ○大成委員 次に、坑廃水の問題ですが、鉱業権を放棄しておらないで無資力になっておるところの坑廃水処理事業に対する援助に対しては、経常費的なものとして検討中であるという御答弁が得られましたので、これはぜひひとつ前向きに一日も早く検討をして具体化していただくようにお願いをして、この点は保留いたします。  次に、いい機会でありますから、時間もありませんが、アルミ関係について御質問を申し上げたいと思うのです。  円高二百円台といった状態で、さらにアルミの市況からしますと、六、七万ぐらいのギャップが出ておるわけであります。そこで、この二四%、三十九万トンの凍結といったことが進められ、安定基本計画に構造不況法による対策が具体化されようとしておるわけであります。しかしながら、二百円台といった状況からしますというと、いわゆるタリフクォータ制の三・五%のあるいは五・五%の二次税率といったこの対策では、このアルミ業界の窮状を救うことはできないし、将来を立て直すことはできない、このように思うわけであります。  そこで、政府としては、現在の六社体制ではなかなかむずかしい、こういう観点から合併構想というものが打ち出されておるようでございますが、このアルミ産業に対して政府はどのように対処をされておるのか。一部の不況カルテルであるとか、あるいは関税そのもののタリフクォータ制が不十分であるから全額二次税率分をこのアルミ産業の整備のために使えるようにという御要望もあるようでありますが、政府の考え方を、簡単で結構ですから、結論的にお話しをいただきたいと思います。
  182. 大永勇作

    ○大永説明員 アルミ産業につきましては、現在非常な苦境下にあることは先生指摘のとおりでございます。そこで、構造不況法に基づきます構造不況対策を一つは進めておりますことと、それから、先生いま御指摘のように、不況カルテルにつきましても鋭意検討いたしておりまして、なるべく早く結論を得まして、現在在庫が相当たまっておりますので、これの低減を図ってまいりたいというふうに存じます。  それから、アルミのコストの最大のものは電気代でございますので、これにつきまして、先ほど大臣からもお話ございましたが、現行制度の枠内でできるだけの低減措置を考えてまいりたい、こういうふうに考えているところでございます。
  183. 大成正雄

    ○大成委員 次に、これも時間がないので掘り下げられないのですが、ナフサの問題です。  一−三月は二万六千円ということで一応決着をしたのですが、四−六月期以降の問題については、九百円ぐらいのところで膠着してしまっておるという状態でございます。円高が二百一円ということになりますと、三百二円で百三十五ドルということを基準にしていきますと、いまのナフサの価格からするならば、三分の一安くなってもいい、そういうことからすれば二万円台、大体輸入ナフサの二万円ないし二万一千円とつり合うわけでありますが、四月以降のナフサ価格の引き下げ交渉について、現在どのように政府は指導しておられるのか。また、共同輸入構想というようなものが、いま化学関係六社でコンセンサスを得て検討に入っておるようでありますが、それらの見通し等も含めて承りたいと思います。
  184. 大永勇作

    ○大永説明員 一−三月のナフサの交渉につきましては、先生いま御指摘のとおりでございまして、現在両方の業界の間で話を詰めておるところでございますが、現段階ではまだ決着するに至っておらないわけでございます。  このナフサ価格につきましては、基本的にはやはり業界同士で決めるべき性質のものであると存じますので、さらに精力的な話し合いをするように業界に対して申しておるところでございます。  それから、ナフサの共同購入会社の設立の問題につきましては、現在石油化学の業界におきまして、その構想の検討をしておるところでございます。まとまって出てまいりましたならば、これを資源エネルギー庁とも相談をいたしまして検討をいたしてまいりたい、こういうふうに考えております。
  185. 大成正雄

    ○大成委員 最後に、公共事業の代金の支払いについて、特に中小建設業者の立場に立っての質問を申し上げたいと思うのです。  御承知のとおり、公共事業は景気の底固めとして大きな役割りを担っていることは結構であります。同時にまた、それらの効果が出ていると思うのですが、大手がたとえば公共事業を受注した場合に、約四割の前渡金が支払われます。しかし、その大手の下請なり関連下請業者に対して支払われる手形は、三ヵ月とか四ヵ月とかといった手形で支払われている、こういったことで末端に金が回ってこない。大手は前渡金を四割政府からもらって、下の方に対しては三ヵ月ないし四ヵ月の手形でこれが支払われる。こういうことが、ミクロの点からいいますと、末端の金回りからしますと、景気浮揚感に非常に水を差している感じがするわけでありますが、中小企業庁はこういった中小建設業やあるいは関連下請業者に対する大手の支払い条件、こういったものの改善についてはどのようないま措置をしておられるのか、承りたいと思います。
  186. 左近友三郎

    ○左近説明員 内閣に設けられました公共事業等施行推進本部というものが先般調査をいたしました結果が出ておりますが、それによりますと、いま御指摘のように、下請業者に対する前払い金の受け取り状況というものについては、下請業者が請け負った金額が大体二百七億あったわけでございますが、そのうち前払い金を受け取った額が約九億で四%強ということでございまして、元請業者が四割ぐらいの前払い金を受けておるに比べましては大変小さな比率になっております。  もっとも、どの程度前払い金が欲しいかという業者数で見ますと、業者の一二、三%が前払い金が必要である、それ以外は、毎日出来高払いでもらっておるから前払い金は要らないというような回答が来ておりますけれども、それにしても受け取り率が非常に低いという現状でございます。     〔中島(源)委員長代理退席、委員長着席〕  それから、手形の比率でございますが、現在下請業者が受け取っております代金のうちで、現金で支払われたものが四六%強という数字でございまして、手形と現金で支払われたというものが全体の四九・四%、大体半分になっております。  そうしてその手形のサイトでございますが、九十日以上百二十日未満というのが二一%強、それから百二十日以上百五十日未満というのが四三%弱ということになっております。  以上が実態でございますが、御指摘のとおり、景気振興という点から見ましても、あるいは下請関係の正常化という点から見ましても、この改善を図る必要があろうと思いますが、現在建設省がこの調査の実態その他を踏まえまして行政指導中でございますので、建設省の御指導の成果を期待しておりますが、われわれも随時状況を見ながら、必要とあらばまた何らかの意見を申し述べたいというふうに考えておるわけでございます。
  187. 大成正雄

    ○大成委員 終わります。
  188. 野呂恭一

  189. 安田純治

    安田委員 本日は、非鉄金属関係の集中審議の中では私が一番しんがりということになりますので、いままでの各同僚委員の質問がいろいろございましたので、時間の関係もありますので、細かい問題といいますか、余りそういう問題じゃなくて、締めくくり的といいますか、御質問したいと思うのです。  まず最初に、通産大臣にお伺いしたいのですが、もうすでに本日の審議の中でも明らかになったように、いま国内の非鉄金属資源鉱山というものが非常な危機に陥っているということは言うまでもないことだと思います。先ほど玉置委員の御質問に対しましても、蛮勇をふるってという言葉を言われましたけれども、この国内資源の保護、国内非鉄金属鉱山を守ることについて、絶対にこれ以上後退しない、非鉄金属鉱山がつぶれないように守っていく御決意があるかどうか、その点をまず伺いたいと思います。
  190. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 基本的には、経済の安全保障という観点から、国内の非鉄金属鉱業対策というものを進めたいと思います。そういう基本的な考え方を持ちながら、当面の課題といたしましては、五月の下旬に当委員会で御決議になりましたその決定を受けまして対策を立てるつもりでございます。
  191. 安田純治

    安田委員 蛮勇をふるって実行されるということになりますと、相当思い切ったことをされるというふうにわれわれは受け取るわけでありますが、といって、本日の審議中身をずっと伺っておったりしますと、従来のいわば考え方といいますか、枠から思い切った一歩を踏み出されるような御答弁がどうも伺えないように思うのですが、その点いかがでしょうか。  本当に蛮勇をふるってということになりますと、いままでの考え方の枠の中でまあ考えてみましょうというようなことではどうしようもないんじゃないか。たとえば電力料金の問題にいたしましても、いままでのいわば値上げをしないんだということから一歩も出ていないというふうに考えられますし、そういう点で大臣の御決意を再度承りたいと思うわけです。蛮勇をふるってというその蛮勇の中身はどういうことをおやりになるのか。
  192. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 玉置さんの御質問に答えまして、こういう経済が非常事態のときには蛮勇をふるって対策を立てるべきである、こういう御意見に対して、私も、そのとおりであって、普通の考え方ではなかなか打開がむずかしい、蛮勇をふるってやはり対策を立てていかなければならぬということを全般的な心構えとして申し上げたわけであります。しかし、何もかも蛮勇をふるう、こういうことではありませんで、やはり臨機応変にやっていく、こういうことでございます。
  193. 安田純治

    安田委員 それでは若干伺いたいと思うのですが、外国から地金輸入する場合、これは関税がかかるようになっていると思います。ところが、鉱石類を輸入する場合は税金がかからぬ。そこで、地金換算で国内鉱山に還元する仕組みになっているというふうに承知しているわけでございますが、そのとおりでございましょうか。
  194. 天谷直弘

    天谷説明員 いわゆる関税見合い分、鉱石輸入する場合には関税を負担いたしませんので、その関税見合い分を、今度は国内の鉱山から鉱石を買うスメルター、製錬業者が、銅で申しますならば十三万九千円払う、こういうことになっております。
  195. 安田純治

    安田委員 ところで、国内から買鉱する場合、これは単価に上乗せをするのだということですが、そうしますと、製錬所の中には国外からの鉱石輸入だけでやっているところもあると思うのです。国内から鉱石を買わないところ、そういうところの還元はどうなっておりますか。
  196. 天谷直弘

    天谷説明員 現在の制度政府が行政指導でやっていることでございまして、法律的な強制をしているわけではございません。いまの御質問に端的に答えますならば、国内で買鉱をしていない製錬業者は、国内の鉱山に対しては還元をいたしておらないわけでございます。
  197. 安田純治

    安田委員 そうなりますと、外国からも鉱石を買う、国内からも買う場合には、そういう製錬所は関税分は国内鉱山鉱石に上乗せをする。外国から鉱石輸入しているだけの製錬所はいわば吐き出さなくてもよろしい、結果的にこういう仕組みになると思うのです。ですから、これを思い切ってプール計算するなり何なりせぬと、系列の国内鉱山を持っているような製錬会社の方が、いわば極端に言えば損をするといいますか、つまり関税の上乗せをしていかなければならない。だから、国内鉱山を全部系列を切っちゃって、もっぱら海外からの輸入鉱石に頼る製錬所は、銅で言えば十三万何千円、その分払わなくてもいい、こうなると、ますます国内鉱山を軽視するといいますか、そういうことになっていくような仕組みにこの関税の還元が働くおそれがあるのじゃないか。  この関税の還元をする仕組み自体は一見いいようですけれども、いま言ったように、国内から買わない製錬所にとっては吐き出さなくてもいい。こうすると、国内の鉱山を守る、資源を守るというたてまえから矛盾しているような作用を働いてしまうんではないかというように思うのです。確かにいま行政指導でおやりになって、国の制度でやっているのではないと天谷さんはおっしゃる。そこで、通産大臣、そういうところにこそまさに蛮勇をふるっていただかなければならない点があるのじゃないかというふうに思うわけです。これは通産大臣にお答えいただかなくてもいいのですが、天谷さん、この仕組みについてそういう矛盾はお感じになりませんか。
  198. 天谷直弘

    天谷説明員 確かに先生指摘のような問題点がございます。国内鉱山を保護するという見地に立ちますならば、国内から買鉱をしていない製錬業者からも還付金を取るということが筋にかなっているというふうに言うことができると思います。  しかしながら、世の中はいろいろなインタレストといいますか、いろいろな利害関係が錯綜しているわけでございまして、国内鉱山の保護だけという見地からすべてを割り切るということはできない面も含んでいるわけでございます。現在の行政指導ベースにおきまして、国内で買鉱をしていない製錬業者に対しまして、関係のない国内鉱山に何億円払えと言うことは、これは行政指導の限界を超す問題であろうかと存じます。企業経営者の側からいたしましても、一体そういうことをして背任等の問題にかからないのであるかどうか、税法上はどうなるか、いろいろな問題があるだろうと思うわけでございます。したがいまして、先生の御指摘になりましたようなプール制度をやるといたしますれば、法律上の強制が必要だということになってくるかと思いますけれども、そういう立法をしますためには、これまたいろいろな利害関係者の合意といいますか、コンセンサスができることが必要でございますので、いまの段階ではそういう立法というのはわれわれの方ではなかなかむずかしいのではないかというふうに考えております。
  199. 安田純治

    安田委員 時間がございませんので、この問題だけやっているわけにはいきませんけれども、確かに国内の鉱山保護というだけですべての国の政策、産業政策が成り立っているわけでもございませんし、それ一点にしぼって産業政策をやるわけじゃないことは、もうとっくに議論する余地はないと思うのです。ただ、国内鉱山から買っている製錬所は現実に上乗せしているわけですね。本来、もしそういう行政指導がなければ、十三万数千円上積みするはずはない。それを上積みしているわけでしょう。そういう意味では、天谷さんも筋は確かにそういう筋だとお認めになったようなので、ただ会社が違ったり、企業が違うので、全く国内鉱山に関係のない会社に払わせるということがいまの行政指導では限界があるというのがいわば乗り越えがたい枠の一つだというだけだったら、立法措置なり何なり必要だ。そういうことについて通産省がイニシアチブをとって、そういうことを思い切って、たとえばプール計算にするなり何なりの方法を考えればいいのじゃないか。  それからあと、もしそういう行政指導なり、あるいはもちろん法律制度なりは当然ですが、そういうことになった場合に背任になるという考え方は、ちょっと私は受け取れないと思うのですね。たとえば最高裁の判例でも、政治献金さえも一定の限度では背任横領にはならぬ、これは会社が社会的に存在する必要経費のようなものだということを、政治献金でさえも言っているわけですよ。政治献金というのはきわめて一般的なものであって、具体的にその会社の利便を図るために献金したら、これは賄賂ですからね。きわめて一般的なまあ財界に言わせれば、資本主義社会を守るためにというのだそうですけれども、非常に漠然としたもののために金を出す。背任ではないかということになりますが、最高裁は、それでも一定の限界では、社会的存在としての会社はそういうものを出しても背任にならぬのだという見解を出しておる。ましてやこうした問題について背任になるかもしらぬという考え方はどこからお持ちになるのかわかりませんけれども、そういうこそくなお考えだと、蛮勇をふるってということにはどうしてもならぬと思うのですね。  この問題は蛮勇をふるう必要はないと思うのですよ、絶対に背任にはなりませんから。ですから、あとは業界のコンセンサスだけだろう。立法措置さえ講ずれば、まさに今度は背任もへったくれもこれはないわけですね。そういう立法について、ただコンセンサスが必要だ、多分だめだろうというので手をこまねいているのではなくて、そこに蛮勇をもってひとつプールをやってみるというアイデアで今日まで強くやってきたのかどうか、あるいは今後やるお考えがないかどうか、まず大臣、この点はいかがでしょうか。
  200. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 いろいろ御議論はあろうと思いますが、私は、いまのところ、最大公約数としては天谷長官が述べたような対策が一番妥当な線ではなかろうか、こう思っております。
  201. 安田純治

    安田委員 天谷さん、いかがですか。
  202. 天谷直弘

    天谷説明員 非常にデリケートな問題でございますが、筋に関しましては先生が御指摘になったとおりだと思いますので、今後ともこの問題について検討を続けたいと思います。
  203. 安田純治

    安田委員 次に、前々から、この間のエネルギー問題の小委員会のときから私どもの工藤委員ども質問しておるわけですが、海外投資と国内鉱山への投資の比較などを見ますと、国内投資の伸び率が低下している反面、海外投資は大幅にふえているように思えるわけであります。さらに、国内鉱における鉱物の品位についても、品位が向上しているというふうになっていることのようですが、これは要するに、品位の向上はそれだけ見ればいいことのようですけれども、採算のいいところだけを掘り出してきている傾向があるのじゃないか。いわゆる抜き掘り、これがあるんじゃないかということを疑問に思うわけであります。  この間、商工委員会現地委員派遣で私も行ってまいりまして、尾去沢鉱山の方々が、まだ掘る気なら百年以上掘れると地元の鉱山関係者は私どもに言っておりました。もちろん、それは愛着があっての多少の感情的な評価も含んでいるかもしれませんけれども、しかし、何も五月いっぱいで閉山する必要はなかったくらいの量はあるんだ、ただ、採算のいいところだけ抜き掘りしたので、ちょっといまの価格では、あと掘るといっても容易ではないというので、残念ながら閉山せざるを得ないのだという話があったと思うのです。また、私どもの方の工藤委員がかつて神岡に視察に行ったときも、神岡の町長さんもそういう点では心配されておったようであります。  このまま推移すれば、国内資源の保護どころか、結局資源をだめにしてしまうおそれがあるというふうに憂慮するわけですが、政府としてはどう対処するお気持ちなのか、その点お伺いしたいと思います。
  204. 天谷直弘

    天谷説明員 抜き掘りの問題も、また非常にデリケートで、かつ重大な問題でございます。抜き掘りの実態につきましては、山の中でやっておることでございまして、その実態の把握ということはきわめてむずかしい問題でございます。しかも、抜き掘りと申しましても、どの程度のことをやるのか、非常にニュアンスがございまして、実態の把握はきわめてむずかしいことでございますが、一般的に申しますと、現在のように価格が急激に低下いたしますならばどうしても採算が合わなくなりますから、企業の防衛上、品位の高いところから手をつけざるを得ないというような問題がございます。こういうことが余り極端に行われますと、山の命を急速に縮めてしまうということでございまして、はなはだ好ましくないことであります。  しかしながら、これは政府の一挙手一投足でもって簡単に直せるとか是正できるという問題ではございませんが、われわれといたしましては、たとえば新鉱床探査補助金の補助額を上げるとかあるいは補助率を上げるとかというようなことによりまして、若干でも抜き掘りの防止等の改善ということで努力をしておるところでございます。
  205. 安田純治

    安田委員 この点につきましても、天谷さんの御答弁は非常に消極的なように思うのです。確かに、それは政府が直接直営して掘っているわけではありませんから、政府だけの一挙手一投足だけで抜き掘りがきぱっとなくなるということをわれわれも期待しておりませんけれども、最初からそういう姿勢では、蛮勇をふるってやるという大臣のお言葉も、どうもわれわれとしては納得いかない。能力の限りを尽くして、そういう抜き掘りについて資源の保護のためにやるという姿勢がなければならないんじゃないかと思いますので、その点も、時間がございませんで、細かいどういう手だてがどうとかという詰めはしませんけれども、ひとつ政府は、一挙手一投足でどうにもならないみたいな姿勢ではなくて、もっと気魄を持ってやっていただきたいということだけお願いしておきます。細かい具体的な詰めについては、また後の機会にやりたいと思います。  時間が来ましたので、最後に、新聞報道によりますと、たとえば神岡鉱山、彦島製錬所、こうしたところが八月にまたレイオフをやるというようなことが報道されておりますけれども、先ほど来雇用の確保ということで非常に強い質問がたくさん出ておりましたし、御答弁もまた、それこそ蛮勇をふるってやらなければならないことになっていると思うのですけれども、このレイオフ問題について通産当局としてはどうお考えか、承りたいと思います。
  206. 福原元一

    福原説明員 神岡鉱山が、二月に続きまして、八月にまたレイオフをするということでございますが、御承知のように、現在特に亜鉛市況世界的に悪うございまして、銅につきましては価格におきましても底値感が強まっておるところでございますが、亜鉛につきましては昨年来急激かつ大幅な世界的な価格の下落、それに伴いましてなお世界的に相当量の過剰在庫があるという実態でございまして、先行き、先ほども申し上げましたように、銅に比べてややなお若干市況の回復までには時間を要するのではないかというのが最近の亜鉛市況でございます。  それを踏まえまして、神岡鉱山といたしましても、現況非常に——神岡鉱山に限りませんが、日本亜鉛鉱山が特に苦しい立場にあるということは事実でございます。私どもは、このような事態に陥りましたということを非常に残念には思いますが、昨年末、雇用保険法に鉱山業を指定いたしまして、レイオフした場合の給料、手当の一部を助成するという措置を鉱山に対しても適用することができるようにいたしておりますが、これを利用しまして神岡鉱山の苦難を乗り越えていただくというふうにしていただきたいと思っております。
  207. 安田純治

    安田委員 時間が来ましたので、ぜひそういう点で雇用の維持のためにひとつ通産当局としても考慮をして対策を打っていただきたいということをお願い申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。
  208. 野呂恭一

    野呂委員長 工藤晃君。
  209. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員(共) 私は、東京電力が計画している三多摩地域を通る高圧送電線計画について質問しますが、一応きょうは限定しまして、東京西線について伺います。  東京電力がいま多摩ニュータウンにこういうりっぱなパンフを一万部ばかりばらまいておるわけであります。聞いてみますと、一部が二百二十円ですから、二百二十万円を多摩ニュータウンには円高の差益をこういう形で還元しているらしいのでありますが、この中を見ますと大変問題が多いと思われます。     〔委員長退席、中島(源)委員長代理着席〕  たとえばこの中で一つの問題は、住民側に対しまして、東京西線を建設しないと来年は多摩の電気は一大ピンチを迎えるというようなことを言っているわけであります。ところで、その根拠として幾つかグラフなどを挙げて書いてありますが、この中でどういう方面の需要が多いかということにつきましては、生活関連と産業用需要と二つ分けているのです。これはこれまでの普通の電力需要の分類と大分違いまして、生活関連というと、いわゆる狭い産業用需要以外ですね。業務用、たとえば東京電力の本社のビルのそういう業務用も含めてこれに入るわけですが、そういうのを生活関連だと、鉄道などの公共事業も皆生活関連だといって、ばかに生活関連という比重を高くしてしまって、生活がよくなるとこれだけ要るというふうに見せているという問題で、ここらあたり、東京電力がこの問題を解決するに当たっての姿勢、一つのデマゴギー的なイメージ戦で問題をうまくやっていこうというのが見られてはなはだ遺憾なのでありますが、ここらはまた後で、通産省の方の指導の問題としても、こういうやり方についてもっと厳しい態度で当たるべきだと思いますが、それだけでなしに、ここに電気の使用量の推移というのがこれまた載っているわけであります。  この電気の使用量の推移を見ますと、大体昭和四十七年度から五十六年度に倍増する。ところが、四十八年、四十九年の需要はオイルショックのときで余り伸びないという、ほぼ横ばいでありますから、もしこのようなグラフがかけるとするならば、ここの使用量、需要の増加の率というのは七六年以降年率九・四%ぐらいずつふえなければならない勘定でかかれているけれども、果たしてこういうようなグラフが勝手にかけるのだろうか。これは電気事業審議需給部会の五十二年八月十九日「電気事業審議需給部会中間報告」というのがありますが、これを見ますとこの時期にほぼ相当する。これは全国的でありますが、電力需要の伸びは五十年から六十年に年率で五・八%というわけです。この三多摩に限って九・四%ぐらい伸びなければいけないということでありますと、今後、国会でも問題になっておりますエネルギーの節約の問題とかそういうことも見込んでエネルギー政策、需給見通しを立てなければならないのに、それがこのように全国的な見通しからも著しくずれた、これは地域的特性とかなんとかいうでしょうが、が立てられ、そしてそれが住民に向かっては宣伝されて、このように電気はどんどん要るんだ、さあピンチが来るぞという宣伝になっているわけなのであります。ですから、こういう分類の仕方、そしてまた伸び率がかなり勝手に示されているのではないか、こういう点どうしても疑問に思わざるを得ない。  それからもう一点、この需給をめぐりましてついでに申しておきますと、これは私の方から通産省の方に、東京の西側と言われる地域の電力の予想潮流図が一体どうなっているのかということでいただきました。ところが、最初いただいた五十四年八月電力予想潮流図というのは、この西線がまだつくられない場合、それからもう一つ、新多摩線が完成されない場合、こういう前提を設けた場合にどうなるというのをもらいました。しかし、これは今後のことからいろいろこの潮流図を検討しなければならないので、両方完成した場合どうだ、それから西線が完成して新多摩線ができない場合、それから逆の場合、こういうものも出してもらいたいと言ったところが、新多摩線が完成して西線がないという場合の予想はどういうわけか出されなかったのです。しかし、これらの潮流図を重ね合わせてみると、これはまだ非常に粗雑なものであるということが幾つか出てきたわけであります。  と申しますのは、ここにおいて港北のところがありますが、この港北部分は、来年八月、第一のケースとして西線も新多摩線もありという場合には百十万六千キロワット、そういう需要がここの変電所で配分になるということになります。ところが、もう一つの両方ないという場合には十一万三千キロワットということになっていて、一けたも違うわけなんです。ですから、北多摩、それから西東京、新宿、城南、城北、世田谷、合計しますと、あるものでいくと三十二万二千キロワットであり、あるものでいけば百四十三万七千キロワットである。こんなにばかげた開きが出るわけがないので、この図そのものがまだ大変ずさんな段階であるというふうに判断せざるを得ないわけでありますが、一応以上の点につきまして伺いたいと思います。
  210. 天谷直弘

    天谷説明員 電力会社が送電線を建設するに当たりましては、関係の住民とよく話し合いをするということが基本的に必要であろうと思います。話し合いに当たりましては、真実をよく知らせるということが基本であろうかと思います。  以上だけ申し上げまして、あと専門的、技術的なことでございますから、担当の部長、課長から御説明を申し上げます。
  211. 豊島格

    ○豊島説明員 いろいろ御指摘ございましたが、幾つか問題を分けて申しますと、一つは、電力会社の宣伝が行き過ぎているのじゃないか、電力、電灯という感じじゃなくて、何か民生用というのはいかにも人を、ということでございますが、この点につきましては、いわゆる産業用ということではなくて業務用、それからいわゆる電灯、これを総合して言っておるわけで、これが特に意図的なものかどうかということにつきましては、いわゆる民生的な需要という分類をしたということでございますが、やや不正確であったか、そういう感じは御指摘かもわかりませんが、いわゆる産業用と民生用、こういう分け方をしたのではないかと思っております。  それから、需給関係につきまして、省エネルギーをやっておるときどういうことかという御指摘でございますが、その点につきましては、通産省の今後の電源開発というのは、昭和六十年度の計画につきましても、当然省エネルギーを織り込んであるわけでございますが、先生も先ほど御指摘のように、この点につきましては、新興開発地区とか住宅がどんどん建つとかそういうこともありまして、地域的偏差はやむを得ないのではないか。それにつきましては、この送電線工事を認可するに当たりましては、検討をいたした上で一応そういう内容であろうということで認めたということでございます。  それから、先ほど御指摘の図で、非常にずさんではないか、いろいろなコンシステンシーが保たれてないじゃないかということでございますが、この点につきましては、必要があれば担当の技術課長に説明させたいと思います。  電力の発電所の運営につきましては、いわゆる効率的な運営ということが必要なわけでございまして、発電所の中にはいろいろな性格の、古い設備から新しい設備からございまして、それを臨機応変に最も経済的に使うということは、単なる需給の安定だけではなくて、いわゆる経済性の観点が必要なわけだというふうにわれわれ理解しておりまして、そういう観点から先ほど御指摘の点は御理解いただけるのではないかと思いますが、必要があれば技術課長から説明させます。
  212. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員(共) 時間がないので、そこまでいろいろ伺っていることはできませんが、いまのことにつきましても、全国的な需給見通し、これはもっともっと今後エネルギーの節約というたてまえを入れていかなければいけない。それが十分織り込んでいないと判断せざるを得ないのですが、それでも五・八%、五%台のやつが、三多摩の地域だけ、幾ら地域のあれがあっても、九・四%ぐらい見込まれるというのは、これは全くおかしいのです。これは平均的にいろいろ考えてみたってそういうことは出てきません。  それから、潮流図のやつは、明らかに港北部分のところにここで数字をいろいろやりくりしているという苦心の産物からこういうことになってしまっているので、これもまたはっきりしたものでないということが言えると思います。  ただ、需給のことでもう一点だけ聞いておきますのは、いま特約料金というのがありますが、この特約料金は五種類あります。時間帯の特約、それから負荷調整特約というのがありますが、この負荷調整特約は、通告により需要家が負荷調整を行い、この調整電力に対し料金の割引を行うものということになっております。これは東京電力について言うと、大体百五十万キロワットぐらいだというふうに言われていますが、ニュータウンにしろ三多摩にしろ西側の地域にしろ、だんだん逼迫してくると言うけれども、その単位を考えますと、この負荷調整の特約を利用しただけでも、ピーク時にかなり抑えられるのではないかということですから、当然そういうことも含めて今後の需給見通しなどを住民によく説明する必要があるのです。そういうものがあるにもかかわらず、いや、こういうものは織り込まないのだというかっこうで、来年はニューヨーク同様になるぞというようなおどし的なやり方というのは非常におかしいと思いますが、いまの負荷調整特約ですね、今後利用するつもりがあるのかどうか、それについてちょっと伺います。
  213. 豊島格

    ○豊島説明員 いま御指摘の負荷調整特約につきましては、東京電力全体で百五十一万キロワットということでございますが、この東京西線関係では大体六十万キロワットあるわけでございます。  それで、この負荷調整特約を利用する気があるのかということでございますが、何らかの事故その他がありましてどうしても送れないというときには、これをカットするということは当然のことでございまして、たまたまでございますが、昨日ある発電所事故がちょっとあったら、すぐこれは直ったわけでございますが、そのときにはこの地区につきまして調整の依頼をした。ただし、事故がすぐに直ったので、それは解除されたようでございますが、やっておるわけです。  ただ、一つ申し上げておきたいと思うのですが、いわゆる特約の中でそういうふうにロードを移行しちゃって、正常でも移行するという時間帯特約その他につきましては、当然のことながら、それだけ電力は送る量は少なくて済むわけでございますが、負荷調整特約につきましては、しょっちゅうそういうことではなくて、何か事故があった場合ということでございますので、これを常時切っちゃうというわけにはいかない性格のものじゃないかというふうに思いますので、その点、通常時点では切れない性格で、したがって、通常足らない場合においては、できるだけそれをやらないで、あたりまえのことかと思いますが、そういうものは利用できないということでございますし、それから、仮にいろいろ事情があっても、なるべく供給力というものはある程度の余力を持たすということが電気事業者としての責任ではないかと思います。
  214. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員(共) いまの答弁でも、西線に関して六十万キロワットぐらいあるということでありますし、また、問題になるのは夏場のピークですから、そういうピークをどうするかというとき、当然これは考えられるということが明らかになったように思うわけであります。  さて、次の問題、先ほど天谷さんの答弁の中でも、住民とよく話し合わなければいけない、そのために事実を知らせるのはいいということですが、その二点についてこれから質問に入りますけれども、住民に対する東京電力側の姿勢というのは一体どういうことであったのかという問題なのであります。  私は、昨年九月、それからことしの五月、多摩ニュータウンの永山、諏訪団地を中心に調査を行いました。問題の鉄塔は、千六十六から千六十五、千六十四、千六十三、千六十二にかかわるところであります。問題は、六十五から六十三の建てかえ建設ということが問題になっているわけでありますが、しかし、住民が一体なぜこれに反対しているのか、通産省知っているんだろうかなと疑問に思うわけです。  ここで挙げているのは、人体への影響、植物への影響、それから倒壊の危険、風音害、遊び場がなくなる、それから団地生活に必要な公共施設の空間取りがなくなる、それから防災上の危険、特に永山公園は東京都防災の訓練日には避難場所になっている。その上を二十七万五千ボルトの高圧線を通すということであります。そうすると、もうヘリもおりられなくなると思います。こういうことが心配として出されてくるのは当然です。そういうことで、一つ例として、たとえば東京電力自身、これは五十三年三月の新多摩変電所開発許可条件に伴う事前協議資料の中で、ルート選定基準の中で、避ける個所の第一に、市街地など建造物の非常に多い地域は避けると言っている。まさにそういうところを通そうというわけなのであります。こういうところが矛盾している。  全国で団地の中を高圧線が通っている例がどれだけあるのか資料を出していただきましたが、この八ヵ所ばかりのいただいた資料によりましても、みんな先に送電線が通っている。その後に団地が建てられるという例でありますが、このニュータウンの場合からいうと、先にあったということがあっても、五十万キロワットを今度は六倍も大きくして三百万キロワット、どえらいやつをこのど真ん中を通すわけなのであります。  そういうことで、まさに全国に例のないような問題がここに出てきているわけでありますから、当然これは住民側と慎重に、本当に誠意を持ってこの問題をどうやるのか協議して、それは当然ルートの問題だとか地下化の問題だとかいろいろあるでしょう。そういうことに対して本当に誠意を持って話し合いをしなければならない問題でありますが、一体これまでの経過はどうであったか。  一昨年の五月まで調査会というのはたしか開かれました。住民団体側とそれから東京電力あるいは多摩市、東京都も公団側も入って開かれました。しかも、それはそれらの関係団体がみんな確認したルールに基づいて行われてきたわけでありますが、一昨年の五月十五日に第十三回の調査会というのが行われたのを最後にして、東京電力は一方的にこれを打ち切ってしまったわけです。私が去年行ったとき、東京電力側に幾ら住民が会いにいこうと思っても、だれも責任ある答弁をする人が出てこない。実際上、ことしに入って、もう二年になって第十四回の調査会が開かれないわけですね。ことしに入ってからの東電側の言い分は何か。もともとこの調査会をつくろうとして八項目の確認事項を東京電力もサインしておきながら、もうそれ自体をも変えましょうということで、明らかにこれは調査会そのもののボイコットをやって、それで第十四回開かれないのです。何ですか。来年もうピークが来てパンクしそうだとかいうようなことで大騒ぎしていながら、二年間この話し合いをサボってきた、この態度は一体どういうことですか。これは通産省として指導側に問題があるのじゃないかと思いますが、どうでしょうか。
  215. 豊島格

    ○豊島説明員 先生指摘のように、調査会がつくられまして十三回話し合いを進めたわけでございます。その結果、調査会の会議の後半に至りまして議論がなかなかまとまらないといいますか、いわゆる対話によって議論がまとまらないということで、このままただ同じようなことを続けていたのでは議論が拡散するだけだということで、一応どういうやり方で今後運営していったらいいのだろうかということを考える冷却期間——冷却期間としては若干長過ぎたという御指摘かと思いますが、そういうことで、その後もその調査会の運営の仕方ということについて関係者間でいろいろと話を続けてきたというのが実態だと思います。  それで、最近に至りまして、非常にどうにもならないという事態でございますので、さらに努力をいたしまして、近くこの調査会が再開される運びにようやくなったということで、非常に警鐘を鳴らしておりながらなかなか進まなかったということについて、努力にもかかわらずできなかったのじゃないかと思うのですが、やや時間がかかり過ぎたという感じがいたします。  なお、東京電力としては、皆さんの御理解を得るという感じで、一般住民に対してそれぞれのPRは別途やっていたようでございます。いずれにいたしましても、近く再開されるということで、われわれはその成果を期待しているということでございます。
  216. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員(共) いまの説明は、かなり東電側に立った説明ですね。電力逼迫逼迫と言いながら二年間ほったらかしておいて、何が逼迫ですか。その責任どこにあるのですか。そういう問題でしょう。それで、それがまた先ほど天谷さんの言われた誠意ある話し合いにどうしてなるのですか。自分の方が都合が悪くなってくれば一方的にやめてしまう、自分もサインしたところの確認書を一方的に踏みにじる、これはどういうことでしょうか。  ですから、もう一つ大事な事実を挙げます。  ことしの一月二十日、これは別の四者会議というのが開かれましたね。これは東電と都と多摩市、公団です。この四者会談はその後も頻繁に持たれております。この出席メンバーも知っております。東電側は前田東京西線対策本部長、日本住宅公団は南多摩営業所の有馬業務第一課長、その他みんなメンバーはわかりますが、ここでどういうことが確認されたのか、私は一つの事実をつかんでおります。  多摩ニュータウン内の鉄塔建設工事を本年八月に再開するよう関係機関が積極的に協力するということを、ここで取り決めております。いいですか、事実上二年間も中断させておいて、これから調査会をやるという前に、東電側はこういう関係団体と一緒になって、もう八月から着工するのだという、そのために何が何でもやろうということを決めるということ自体、どこにこれは誠意があるのか。私は、こういう話し合いをやって、こういうことを申し合わせしているということに対しては、通産省としてそれは白紙に戻せという強い指導をやってもらわなければ困ると思いますが、どうですか。
  217. 豊島格

    ○豊島説明員 関係者の間で進め方についていろいろ相談をしているということは当然でございますが、八月に強行するといいますか、何が何でもやるということを決定したということは、私どもは聞いておりません。仮にそういうことがなされたにしても——そういうことはないと思うのですが、あくまでも通産省としては地元との話し合いを、特に関係者の代表と話し合いをつけてやるということが前提であるという点では、私どもの方の態度は変わりません。
  218. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員(共) 私の手元に、昭和五十年八月二十三日付の、諏訪五丁目自治会、諏訪永山公団住宅自治会、鉄塔から住民を守る会、東京電力の四者の確認書として、東京電力は、これらの建てかえ工事に関して、右三団体の同意を得ない限り、右建てかえ工事を一切再開しないという確約もあります。これは後で見てください、ありますから。  通産省としては、こういうことをやりながら、一方では八月からやろうというような申し合わせをする、これは事実なんでありますから、こういうやり方に対してはやはり厳しく住民の方と誠意を尽くして話し合いを進めるということで指導する、もう一度それを答弁してください。
  219. 豊島格

    ○豊島説明員 通産省としては、当然のことでございますが、なるべく早く工事を実行したいという会社側の気持ちはわかりますが、あくまでも住民と話し合いを詰めてやるということは当然のことでございますので、そのように指導いたしたいと思います。
  220. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員(共) もう一点は、事実を知らせるPRはいいということが先ほど天谷さんの答弁にあったように思いますが、問題は、この大変りっぱなパンフの中に、この事実という点で問題が大変多いわけなんであります。  たとえばこの中に、二十二ページから二十三ページに、「東京西線の場合、送電線の下で「ピリッ」とくることはありません。」ということを書いているわけであります。それから、「送電線がつくる電界は身体に影響がない」ということまで断言し切っているのであります。  ところが、私も昨年九月、ことしの五月と調査しましたけれども、特にこれは千六十五の鉄塔の予定の近くの、永山三丁目になりますが、その近くの団地、近いところでは線と十メートルぐらいしか離れていない。そこで、前の二十七万五千ボルトの通っていた、これは容量としては小さいものであったのですが、その当時からここにおられた人に聞きますと、ベランダに出るとびりびりくる、洗たく物を干しているとびりびりくる、雨の日に窓枠にさわるとびりびりくる、雨の日に、下にある自動車の駐車場ですね、キーを入れるとそれでびりびりくる、こういう訴えを非常に広く聞いているわけなんです。ですから、東京電力は住民のそういう訴えがあったのを全然耳に入らないらしくて、現にそういうものがあって、今度一層大きなものになろう——大きなものというのは、三百万キロワットを送ろうというものになるとき、これまでそういう体験をしている人に向かって、びりびりくることはありません、これはもう事実に反しているでしょう。  まだたくさんありますよ。この送電線が大風のときにも大変うるさい、悩まされて夜も寝られないという体験ある人に、「送電線によってできる風音は今までより、耳に感じにくくなります。」というような宣伝をするわけですね。まさにこういう宣伝は科学的な宣伝でも何でもなくて、ためにする宣伝ですよ。  そういうことで、時間も余りありませんが、通産省としてひとつ現地へ行きまして住民の方と一緒にいろいろ聞いて、そういう被害がいままでどうだったのか、こういう現地調査をやらないですか、これをひとつ要望しますが、どうですか。
  221. 豊島格

    ○豊島説明員 御指摘になりましたびりびりくるという点につきまして、いろいろそういうお話が先生にあったということであれば全く事実だと思いますが、そういうお話がある。ただ、安全基準といたしましては、一応一定の技術基準で、人体に被害がないというセンチメーター当たり三十ボルトということでいたしておるわけでございまして、その辺、基準と実感との関係はどうかということですが、この基準は原則としてぴりっとこないということをねらっておるわけでございます。いま取り外されておるわけで、現地へ行って実際問題としてぴりぴりくるかどうかということを調べるということはちょっとできないんじゃないかと思いますが、今度架設する高圧線につきましては、実際問題としまして高さを上げて、その辺、騒音とか静電の誘導の問題につきましては解決するように指導する方針でございますし、もし実際何かあった場合には、当然それに対する対策は考えなくてはいけないと思いますが、科学的といいますか、技術的に見ましてそういうことがないような、人体に影響があるようなことがないような基準で当然認可しておるということでございます。
  222. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員(共) 二つばかりいまの問題で指摘したいと思います。  これまでも、今度は高くすると言ったけれども、この前も十五ボルト・パー・センチメーターというさっき言った三十ボルトよりも半分のところで現にそういうことが起きていたわけでしょう。半分の基準でそうだったんですよ。少なくとも十五ボルトというのは東電のこのパンフの中に書いてあります。だから、いかにその三十ボルトということだけで安心できないかということがここでわかってくるわけなんです。  それから二つ目に、いまの安全基準というものは、三十ボルト・パー・センチメーターというものは、結局いわゆる静電誘導によってぴりっとくるその感じ方が非常に不愉快なものを感じるかどうか、そういう基準であって、本当に生理的に人体や植物その他に、こういう超高圧線のもとに長く人々が住む、密集地帯にこういう高圧線が通る、そしてまたお年寄りが、あるいはまた病人が、婦人が、幼児が長くさらされたとき一体どうなるのか、こういうものに対して何の研究もやられてないでしょう。  ソ連が国際学会で研究を発表しました。これは一九六二年以後ずっとソ連の変電所で働いている労働者を中心にして調べた結果、これが七二年の国際送電網会議で発表されたわけですが、その調査の結果からいいますと、防護装置なしに五十万ボルトの変電所に長時間いると中枢神経系統、心臓、血液循環系統の機能に害を及ぼし、血液の構成に変化をもたらすということがわかったということで労働保護の一つ基準が出されましたが、これも恐らくそういうところで働いているわりあい屈強の人たちが対象になっているので、お年寄りの場合どうだ、病人の場合どうだろうか、幼児の場合どうだろうか、婦人の場合どうだろうか、こういうものに対してはまだ確たる研究を少なくとも日本では行ってない。そしてソ連の研究の後に、イタリア、フランス、西ドイツ、イギリス、スウェーデンなどでこの問題を取り上げた研究が続々と行われたわけでありますが、日本はなぜこういう国際的に新しい事実がわかったのに引き続いて研究をしなかったのだろうか。通産省、これはぼくは責任があると思うのですね。  そういうことで、いまのところこういう特に交流高電界が人体に与える影響、直流高電界の影響、コロナ放電に伴うイオン流が送電線下の植物に与える影響、これらの研究はまだごく一部がまさに初めて研究を始めたというところであって、それが全然やられてない。日本ではもう全くやられてない。なぜこれをやらなかったのか、その点について一言伺います。
  223. 豊島格

    ○豊島説明員 いま御指摘の点につきましては、ソ連では最近研究が行われて、五十ボルト・パー・センチということで影響があるということでございますが、日本を含めてアメリカその他ヨーロッパ諸国でもそういうような事実があるということは、いまだ経験的に何も具体的な例証はないということが事実でございます。ただ、ソ連のそういう学説も出たようでございますし、住民の理解を得るといいますか、人間の健康、健全性の点から、当然電力事業を行うものとしてもそういうことは研究すべきであるという観点から、ことしから電力中央研究所で予算を取りまして、動物及び植物に対する実験を開始することにいたしております。
  224. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員(共) 七二年に国際会議でこのことが問題になって、その後全くやられなかったということに対して、何ですか、経験的に被害がどうのこうのって。科学というものは経験に基づくかもしれないけれども、それ自体として実験をやらなければいけないことでしょう。  それで、いまの電力中研の問題も一つ大問題ですね。だって、東電はこういうふうにして健康に問題ありませんと自信を持って言っていながら、不安なんでしょう。どうもそう言い切れるかどうかわからないので、去年ひそかに電力中研に研究を頼んだわけですね、生理学的にどういう影響があるかどうかということで。ひそかに私がやっと聞いて聞いて、通産省から答えが出ましたよ。そのときに通産省の方はそれを知らなかった。私の方からさんざん聞いて、こういう事実をつかんだがどうか、それでわかったわけで、それは東京電力などが一方では非常に不安も感じたものだから、電力中研にこの研究をやらせるようにしたので、たとえば五十三年度より電界の植物に与える影響、五十三年度より動物に与える影響、これは北大に依頼している。特に千葉県我孫子市の生物環境技術研究所で進めようとしているという話も聞いておりますが、このようにまさに未解決の問題、事実電力会社自身はっきりしたことがないものだから、あわてて研究を依頼しなければいけないということを住民には隠しておいて、そしてもう安全でございます。何の心配も要りませんということを言っている。こういうのは本当に文明の社会だとぼくには思えませんね。  ですから、通産省として、もう時間がありませんが、特に超高圧線の身体の、それから植物の、あらゆる面での環境に与える影響、それについてはもっと積極的に研究を進めるように指導すると同時に、東電がいま依頼した電力中研における研究の内容その他について、この場ではすぐに報告できないでしょうから、必ず報告するように求めて私の質問は終わります。
  225. 中島源太郎

    ○中島(源)委員長代理 荒木宏君。
  226. 荒木宏

    荒木委員 揮発油販売業法についてお尋ねをいたしますが、きょうは時間が非常に限られておりますので、答弁もひとつ簡潔にお願いをしたいと思います。  この法律が公布されまして約一年になります。揮発油販売業者の経営の健全な発展を図る、こういったような立法趣旨で公布、施行されたわけですけれども、しかし、その後中小販売業者、給油所の経営状態というものは悪化をしている。経営の健全な発展を図るということで法律はできたけれども、かえって状態はよろしくない。もちろん一般的な経済情勢もございますから、何も法律だけでどうこうというわけでもありませんけれども、しかし、法施行後約一年を経て、その効果があらわれていないばかりか、経営が苦しいという声が非常に強いように聞いておりますが、現在の中小揮発油販売業者の経営状態通産省はどう見ておられるか、これをまず伺いたいと思います。
  227. 神谷和男

    ○神谷説明員 揮発油販売業法が五十二年の五月に施行になりまして、先生指摘のように、揮発油販売業者の経営の安定を図ることを目的とした法律でございますので、直ちに販売業者の経営状況、各地区の売り上げ状況等を調査いたしまして、五十二年の六月六日付をもちまして、全国で百二の地区を指定地区にいたしまして、これらの地区におきまして、揮発油業者の経営の健全化のため、法律以外の面でもいろいろな行政指導を含めて、経営の安定化を図る努力をしてまいっておるわけでございますが、最近、御承知のように、円レートの高騰等という影響もございまして、ガソリンの小売価格等は一部値崩れ等も見受けられる状況にございます。  もちろん、元売りの仕切り価格も、卸売物価指数で見られますように、かなりの低下をいたしておりますので、この事実一つだけをもってガソリンスタンドの経営状況を云々するわけにはまいりませんが、いずれにいたしましても、データが必要でございますので、本年四月付をもちまして、五十二年度決算等を内容とした揮発油販売業法二十条に基づく報告提出を各ガソリンスタンドから求めまして、現在その集計、分析を行っておる状況でございます。  この結果を分析いたしまして、一部一般的に見られております競争激化の結果から経営の不安定を来しておるスタンドもあるのではないかという観点から、実情をさらに把握してまいりたいと考えております。
  228. 荒木宏

    荒木委員 部長、私が聞いたのは、経営をどう見ているか、こう聞いたのです。  いま調査集計中だという話ですが、それじゃ、いまどういう状態になっているか、まるきりわからぬというのですか。数字の結果は処理しないとわからぬかもしれませんが、いまの経営動向についての全体の把握すらしておらぬのですか。質問をしたところに簡潔に答えていただきたい。
  229. 神谷和男

    ○神谷説明員 最近の一般的調査におきましては、ガソリンスタンドは、いわゆるアンケート等の調査に対しまして、経営に不安を感じておるという調査が八〇%強、かなりの多くに上っております。したがいまして、そういう観点を念頭に置きながら、現在調査の集計、分析を行っておるところでございます。
  230. 荒木宏

    荒木委員 経営をどう見ているかということは、現況ももちろん大事ですが、同時に、推移、経過ということがそれに劣らず重要だと思うのですね。  いま集計中だということのようですが、私が聞いております中間報告では、五十一年四月から五十二年三月を前期とし、五十二年四月から五十三年三月を当期としますと、給油所経営実態の概況は、営業利益率が前期〇・七%から当期〇・四%に、経常利益率が前期〇・九%から当期〇・六%にそれぞれ低下をしている。また、欠損給油所は前期三二・六%から当期三五%に低下をし、当期利益率一%以下の給油所は五六・六%に及んでいる。  先ほど、不安を覚えている給油所が八〇%、こういうお話がありましたが、五十一年十二月のときの調査では、明らかに赤字だというのが全国平均で三二・六%でしたから、これは悪化の一途をたどっているというのがこれらのところから出ておると思いますけれども、いかがですか。
  231. 神谷和男

    ○神谷説明員 数字につきましては、先生指摘のとおりの数字でございます。
  232. 荒木宏

    荒木委員 数字だけではなくて、全体の評価として悪化の一途をたどっておるという事実が出ておるという点についてはどうですか。
  233. 神谷和男

    ○神谷説明員 悪化の趨勢にあると思います。
  234. 荒木宏

    荒木委員 そこで、長官にお尋ねをしますが、いま部長の答弁では、二、三のやりとりの末に、趨勢として悪化の傾向をたどっている、現在八割の給油所が経営に不安を覚えている、こういうことが明らかにされたわけですけれども、当該の中小の業者自体は決して手をこまねているわけではない。それぞれ、みずからの経営でもありますし、また、エネルギーの供給、流通の一端を担っておるわけでありますから、それなりの懸命の努力を続けているというふうに思いますが、われわれが見聞しておりますところでも、あるいは車両の点検でありますとか、あるいは清掃でありますとか、そうした交通安全の点も含めてユーザーの希望にもこたえていくという努力が真摯にされておるようにも思いますけれども資源エネルギー庁として、これらの中小業者の真摯な努力をどう援助していかれるつもりか。  せっかく法律はできた。しかし、約一年たって、ますます悪化している。もちろん一般的な経済情勢もありましょう。また、法律施行後まだ一年ということもありますけれども、しかし、こういう事態を踏まえて、主務官庁として、これらの業者の努力の援助にどのように取り組まれるか、これをひとつ伺いたいと思います。
  235. 天谷直弘

    天谷説明員 基本的には、ガソリンスタンドのそういう経営努力というものは企業として当然やるべきことでございますから、通産省がそれを積極的に援助するというようなことは余り考えておりません。しかしながら、この法律が施行されておりまして、この法律経済の実態に即して運用されなければならない、これもまた当然のことであろうかと思います。  経済の実態の方は非常に変化が激しいわけでございますが、しかし、最近ガソリンの乱売競争が行われているという傾向はかなりはっきりしているかと思われますので、余りにも過当な競争が行われているような場合には、この法律の運用を通じまして、たとえば指定地域の追加であるとかそういうような運用を通じまして適正な競争が行われる、適正な競争を通じて企業経営努力が報われるように対処いたしたいと思います。
  236. 荒木宏

    荒木委員 質問で援助という言葉を使いましたから、あるいは行政官庁として営利企業の手助けをするのではないという意味では答弁のとおりかと思います。しかし、長官もいま言われたように、経営努力が実るような結果をもたらす行政措置というものは、やはり求められるだろうと思いますね。  ところが、この一年の経過を見ますと、揮発油販売業法の仕組み、これが十分実態に沿ったものになっておるかどうか。いま地区の追加指定という話もありました。これも現在の法律の仕組みの一つの運用ですから、その意味では追加指定ということも行政措置一つとしてあろうかと思います。ただしかし、いまの仕組みによりますと、法律、省令で定められた手順によって基準販売数量というものをそれぞれ計算をして、その上で地域指定ということになる。地域指定の効果はもちろん法律に決められてあるとおりでありますけれども、しかし、いまの地区指定の仕組みそのものが現実に適応しておるかどうか。  私がお聞きしたいのは一つはこの点でありまして、大阪府の石油協同組合の五十三年三月「揮発油販売業動態調査報告書」よりますと、同じ行政区域内にあっても、「地域別、二者・三者別の通油量規模格差は著るしい。商業地域は並級のみで月七十・五キロリットルに達するが、工業地域では五十・九キロリットル、」約二十キロリットルの違いがある。「また二者給油所は六十五・五キロリットルであるのに対し、三者給油所は四十五・六キロリットルにすぎない。」つまり、ブロック別あるいは流通段階別で大変な格差があるということを言っているわけですね。  これをひっくるめて平均値を求めて、それを基準数量にする。そうしますと、どうしても川上よりも川下、規模の大きいところよりも規模の小さいところ、競争が同じ行政区域内であってもそれなりの状態であるところに比べて過密であるところ、そういった実際に困難な状態に立っておるところをカバーすることがむずかしいのではないか、私はそういうふうに思うのであります。  つまり、いまのままである限りは目が粗過ぎて仕組みが働かない、十分機能し切れない面がある。もちろんこれは法律であるいは省令で決まっておることでございますから、それを前提にして話をしておるのですけれども、そうしたことを踏まえて、一つは現在の仕組みそのものをより実態に適合するようにその検討を進めていくべきではないか。同時に、その結論を得るまでの間も、行政措置の上でそうした格差があるということをできるだけ埋めるような措置を工夫すべきではないか、こう思いますが、長官からひとつ御意見を伺いたいと思います。
  237. 天谷直弘

    天谷説明員 最初に申し上げましたように、法律の施行に当たりましては、やはり経済の実態に適合するということが基本であろうと存じます。ガソリンスタンドの実態等につきましては、地域その他のいろいろなばらつきが多いということはおっしゃるとおりでございまして、したがいまして、そういうばらつきの実態に一体どの程度合わせていくべきかというところが特殊性と普遍性とのバランスの問題かと存じますが、今後とも法律あるいは行政が実態から浮き上がらないように検討を続けたいと思います。  なお、細かい点につきましては、担当の部長からお答えを申し上げます。
  238. 神谷和男

    ○神谷説明員 先生指摘のように、地区によりましてガソリンの販売数量の平均的な規模というのが異なっておるということは事実でございます。そういう観点から、現在の法律の施行に当たりましては、省令ではとりあえず人口規模を基準にいたしましてグループ分けいたしておるわけでございますが、もちろんそれですべての格差というものが完全に救い切れるものではございません。また、これを余り細分化してまいりますと、これは極端になりますと、一ないし二企業というところまで論理的には細分化し得るわけでございますが、それから一〇%下のものを指定するということになりますと、これはほとんどが指定されない、こういうような状況にもなるという矛盾を含んでおります。いろいろなメリット・デメリットはございますが、やはり人口規模でやっていくということが適切ではないか、こういうふうに考えておりますし、現在の法律の運用ではそのようなやり方にならざるを得ないと思っております。  ただ、御指摘のように、いろいろな地区の実情、実態というものはわれわれ並びに各通産局によく把握させまして、適宜適切な行政指導を行ってまいりたい、こう考えております。
  239. 荒木宏

    荒木委員 最後に伺いますが、非常に極端な特殊な事例でもって、たとえば一企業、二企業というふうなことを持ち出して説明するということは、私は説明の合理性というものは疑わしいと思うのです。その意味でいまの答弁は納得しかねます。  しかし、いずれにしましても、販売業者の経営の安定ということを私どもが触れておりますのは、エネルギーの供給の非常に重要な部分を流通段階、流通問題が担っているということ、それからまた、国家財政の点から申しましても、経営の安定ということは確保しなければならないというふうなこと、あるいはまた、ユーザー、消費者の利益という点から考えましてもなおざりにはできないというふうに思っておるのです。  いずれにしても、中小業者から地区指定の追加あるいは行政区の分割、これは石油審議会の答申のただし書きにありますけれども、原則は市町村、東京都の特別区とあるけれども、ただし書きとして分割ということもあるということを指摘しておりますが、そうした点の要望があることを踏まえて、これを十分尊重して行政を進められるかどうか、これを一言伺って、質問を終わりたいと思います。
  240. 神谷和男

    ○神谷説明員 地区指定の行い方といたしまして、審議会の中で、先生が御指摘になりましたような考え方というのを述べておることは事実でございます。ただ、いわゆる基準販売数量そのものは、市町村あるいは特別区の区域というものでとらざるを得ないような法律の仕組みになっておりますので、それで第一義的なふるいを行った後、いわゆる経営実態等について特定な地域、これが地域的な特性として把握し得るような偏差がある、あるいは経営状況の全般的な悪化があるというような場合には、石油審議会がせっかく示していただいたような方策も踏まえて、先ほど先生の御指摘にございましたような揮発油販売業者のいわゆる現場の声というようなものもよくお聞きした上で法律を運用してまいりたいと思っております。
  241. 中島源太郎

    ○中島(源)委員長代理 本日は、これにて散会いたします。     午後六時四十七分散会