運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1978-04-27 第84回国会 衆議院 商工委員会 第25号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年四月二十七日(木曜日)     午後二時三分開議  出席委員    委員長 野呂 恭一君    理事 中島源太郎君 理事 武藤 嘉文君    理事 山崎  拓君 理事 山下 徳夫君    理事 岡田 哲児君 理事 渡辺 三郎君    理事 松本 忠助君 理事 宮田 早苗君       鹿野 道彦君    藏内 修治君       佐々木義武君    辻  英雄君       中西 啓介君    楢橋  進君       西銘 順治君    橋口  隆君       松永  光君    渡部 恒三君       渡辺 秀央君    板川 正吾君       後藤  茂君    上坂  昇君       渋沢 利久君    清水  勇君       武部  文君    中村 重光君       長田 武士君    玉城 栄一君       西中  清君    工藤  晃君       安田 純治君    大成 正雄君  出席政府委員         通商産業大臣官         房審議官    島田 春樹君         通商産業省機械         情報産業局長  森山 信吾君  委員外出席者         参  考  人         (富士通株式会         社代表取締役副         社長)     赤澤 璋一君         参  考  人         (社団法人ソフ         トウエア産業振         興協会会長)  服部  正君         参  考  人         (全国電気通信         労働組合中央執         行委員長)   及川 一夫君         参  考  人         (全日本電機機         器労働組合連合         会中央執行委員         長)      竪山 利文君         参  考  人         (東京大学工学         部教授)    大島 恵一君         商工委員会調査         室長      藤沼 六郎君     ————————————— 委員の異動 四月二十七日  辞任         補欠選任   上坂  昇君     岡田 利春君   渋沢 利久君     松沢 俊昭君   清水  勇君     川俣健二郎君 同日  辞任         補欠選任   岡田 利春君     上坂  昇君   川俣健二郎君     清水  勇君   松沢 俊昭君     渋沢 利久君     ————————————— 四月二十六日  消費者のための流通政策実現に関する請願(森  喜朗君紹介)(第三六二〇号)  同(永田亮一紹介)(第三六五四号)  同(大島弘紹介)(第三七一五号)  同外一件(中野四郎紹介)(第三七一六号)  同外二件(西田八郎紹介)(第三七一七号)  中小企業構造的不況及び円高対策に関する請  願(小沢辰男紹介)(第三六六七号)  大規模小売店舗の進出に伴う措置に関する請願  (小沢辰男紹介)(第三六六八号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  特定機械情報産業振興臨時措置法案内閣提出  第七一号)      ————◇—————
  2. 野呂恭一

    野呂委員長 これより会議を開きます。  内閣提出特定機械情報産業振興臨時措置法案を議題といたします。  本日は、参考人として、富士通株式会社代表取締役社長赤澤璋一君、社団法人ソフトウエア産業振興協会会長服部正君、全国電気通信労働組合中央執行委員長及川一夫君、全日本電機機器労働組合連合会中央執行委員長竪利文君、東京大学工学部教授大島恵一君、以上五名の方々に御出席を願っております。  この際、参考人各位に一言ごあいさつ申し上げます。  参考人各位には、御多用中のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。  本委員会におきましては、目下、特定機械情報産業振興臨時措置法案について審査を行っておりますが、参考人各位におかれましては、本案についてそれぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただき、今後の審査参考にいたしたいと存じます。  なお、議事の順序でございますが、最初に御意見をそれぞれ十分程度お述べいただき、次に委員質疑に対してお答えをいただきたいと存じます。  なお、念のため申し上げますが、発言の際は委員長の許可を受けることになっております。また、参考人委員に対し質疑をすることはできないことになっておりますので、あらかじめ御承知おき願います。  それでは、まず、赤澤参考人お願いいたします。
  3. 赤澤璋一

    赤澤参考人 御指名をいただきました赤澤でございます。  ただいまお示しのございました法案につきまして、私の私見を若干述べさせていただきます。  機電法施行になりまして今日でちょうど七年になるわけでございますが、その間、前の二年半は高度成長終末期であり、残り四年半と申しますのが、いわゆるオイルショックによる変動期と申しますか、そういう時代であったわけでございます。  この間、機械関係の面は、自動車家電と申しますような耐久消費財中心にいたしまして、相当な勢いで工業進展をしてまいっております。特に自動車家電等につきましては、非常に広いすそ野を持った工業でございます。したがって、また多数の部品工業がこの下についておるわけであります。この間、これらの部品工業自体が、機電法施行あるいは業界努力等によりまして非常に合理化をされ、高度化され、そして競争力をつけてまいったのでございます。同時に、こうした分野を包含いたします非常に広い意味での総合的な生産体制と申しますか、インダストリアルエンジニアリングと申しますか、こういったものがこの期間確立をされてきたのではないかと存じております。そういうこともありまして、オイルショック後も、こうした分野につきましては相当国際競争力を持った工業が確立されたというふうに考えてよろしいのではないかと思っております。最近におきましては、これらにつきましても輸出問題その他いろいろな問題が出ておることは、われわれ承知のとおりでございます。  電子関係でございますが、コンピューター産業中心といたします電子工業の面につきましては、試験、研究開発といったスピードが、申してみれば、四十年代前半に比べますと、後半におきましては何倍かのスピードでこういった開発が行われてきたといいますか、開発成果が出てきたと申しますか、そういう形であったろうと思います。そういうことから、こういった研究開発成果といたしましての商品そのものにつきましても、相当程度国際競争力がついてきたというふうに考えております。  それから、もう一つこの期間特筆すべきことは、機電一体化促進ということであろうかと存じます。機電法の眼目の一つでございましたたとえばNC工作機械といったものにつきましても、非常な進歩をいたしまして、現在では工作機械の輸出の相当部分NCつき工作機械であるというぐあいに変わってきておりまするし、またIC半導体技術の向上と相まちまして、いまや電卓、カメラ、時計、テレビ、あらゆるものがIC化をしてきておるというような状況でございまして、機電一体化というものも、この七年間相当スピード促進をされてきたと考えておるのであります。  先ほど申し上げましたように、この七年間の後半、特にこの数年におきましては、オイルショックによる非常な経済変動に伴いまして、こういった機械電子等を取り巻きます環境相当大きく変化をしてきておるように私考えております。  その一つは、御承知のように、省エネルギーでありますとかあるいは省資源ということが日本経済の基本的な命題になっており、これから出てまいります国民的なニーズも一非常にシビアなものがあろうかと存ずるのであります。こういった国民的なニーズにこたえるための機械工業あるいは電子工業としての今後の開発、新しい商品あるいは新しいシステムをどう考えていくかということは、われわれ業界に与えられた現下の喫緊の命題であろうかと思っております。  第二に、これは電子工業等分野にありますが、ブーメラン現象と申すのでございましょうか、発展途上国からの追い上げというものが相当な力を持ってわれわれに迫ってきております。こういった面にも私ども一は十分な対処をしてまいらなければならぬ、かように考えております。  それからもう一つ、第三点としてソフトウエア分野あるいはシステム志向技術、こういったものに対する要望が非常に強くなってきたということであろうかと思います。かような状況変化を踏まえまして、私ども産業界といたしましては、あらゆる努力を今後とも傾注していかなければならぬということではなかろうかと思っております。  産業政策の面におきましては、現状についての十分な把握、認識が必要でございまするが、同時に、やはり先見性のある時代先取り的な施策をわれわれとしても常にお願い申し上げておるところでございまして、そういった意味からいたしますと、ただいま御提案中の本法等におきましては、私どもぜひともこういった新しい法律に基づきまして新しい機械情報産業政策が展開されることを強く希望いたしておるところでございます。  次に、私の関係いたしております日本コンピューター産業につきまして、若干申し上げてみたいと存じます。  日本コンピューター産業は、政府による支援また私ども業界企業努力によりまして、先ほど申し上げましたように、特に四十年代後半におきましては非常なスピード技術開発が実施をされてまいっております。こういったことは、自由化の直前でございまする五十年の秋に一斉に発表されました新しい国産機シリーズ、これは三つシリーズが発表されましたが、いずれもIMBとかユニバックとか申しますような外国機に比べまして決して劣らぬ優秀な性能のものでございます。事実、また国内市場面におきましては、いろんな局面でIBMその他の機種と競争いたしておりまするが、ケースによりましては相当競争力を発揮いたしまして、外国に対しまして勝利をしているというような状況も見られておるところでございます。そういうこともありまして、この四年間、国産機外国機比率を見てみますると、まあ少しずつではございますけれども国産機の方のシェアが少しずつじりじりとふえてきておるということでもこういったことは見取られるのではなかろうか、かように存じております。  しかし、コンピューターにつきましては、やはり非常に大きな基本的な問題が幾つ存在をいたしております。  その第一は、やはりIBMという一つ存在でございます。この分野におけるリーダーは、やはり何と申しましてもIBMという巨大な企業組織でございまして、御承知の方も多いと思いまするが、世界じゅうに一〇〇%の子会社を六十持っておりまするし、工場も一世界じゅうに二十六、また八つの研究所も持っております。そういうことで、たとえば七七年におきまする売上高は百八十一億三千万ドル、仮に二百四十円で換算いたしますと、四兆四千億余りになる売り上げを持っておる企業であります。そういうことから、全世界コンピューターシェアの約六割をこの企業が占めております。こういったような企業でございまするので、独禁法というような足かせもございますけれども、やはりその世界戦略というものははかり知れない強いものがあるわけでございまして、これがいわゆるコンピューター業界というものの一つ特色をなしておる事実であろうかと存じます。  それから第二は、この分野と申しますのは、現在いろんな科学技術の面ですでに技術的に成熟化しておるとは申しながら、まだまだ非常なスピード技術革新が進んでおります。そういう意味から、私ども企業におきましても不断に技術開発先行投資をしてまいりませんと、三年先、五年先にどういう競争状態が生まれるか、やはり技術競争というものが企業戦略根幹になっておるというのが、一つのこの企業のあるいは業界特色であろうと存じております。  それから第三に、全体の流れの中でそういうことでございますけれどもソフトの優位と申しますか、ソフト進展というものが非常に大きく今後のわれわれ業界の問題を左右する大きな課題であろうと思っております。この面では、外国とわれわれの間には、残念ながらまだ相当ギャップがあるという認識を私ども持っておりまして、この面においては、やはり政府その他の御援助も得ながら、私ども努力をしてまいらなければならぬ、かように考えております。  さらに、最後一つ申し上げておきたいことは、これからのコンピューターソフトウエアを含めましての全体の開発費というものは実に膨大な金額になるわけでございますので、いわば日本市場の中だけでこれを消化していくというのは、なかなか企業的に大変なことでございます。そういう意味から、商品性格から申しましてもそうでございますが、やはりどうしても世界市場というものに目をつけて今後出てまいらなければならぬということではなかろうかと存じております。しかし、この面におきましても、資本力あるいは財務力、そういった面で先ほど申し上げましたIBMその他大変大きな壁があるわけでありまして、こういった面につきましても、私ども努力をしてまいりますが、なお一段の御支援、御助力をいただかなければならぬ面かと存じております。  以上のようなのがコンピューター業界を取り巻く大きな情勢の一端でございまするが、最後に、本法案につきまして私なりに一、二お願いを申し上げたいことを述べさせていただいて、終わりにさしていただこうかと存じます。  その第一点は、今後いろんな面でシステム的なものと申しますか、そういったものをひとつ重点的に取り上げていただくことが必要ではないかという感想を持っております。これは本法案直接の関係とは若干ずれるかもしれませんが、やはり多数の業界、多数の企業が集合して一つシステムをつくっていくというようなニーズがいろんな面で出ております。たとえば都市政策に関連をいたしましたような問題でありますとか、あるいは福祉に関連いたしましたような問題でありますとか、そういう問題になってまいりますと、やはり一つの大きなシステムが必要でございます。こういう面につきましては、何分私どもも一、二の会社だけではどうしようもないような大きなプロジェクトでございまするので、そういった面にも御配慮を願いながら本法施行していただけば、大変ありがたいと存ずる次第でございます。  それから第二は、これは先ほども申し上げましたように、八〇年代を迎えましていろんな新しいニーズがやはりございますが、こういったものにこたえてまいりますためには、どうしても技術開発というものが根幹であろうかと思うのでございます。現在非常な不況のさなかにございまして、企業といたしましても、こういった技術開発費の捻出ということには非常に苦労いたしております。こういった面につきましていろんな面から特段の御配慮が願えるように、そしてこういった技術開発を推進することがやはり八〇年代の日本経済を支えていく大きな力ではあるまいか、かように考えておりまして、この面につきましても本法運用に当たりまして格段の御配慮を賜ればありがたい幸せと存じております。  以上をもちまして、私の意見開陳を終わらせていただきます。  どうもありがとうございました。
  4. 野呂恭一

    野呂委員長 参考人各位に申し上げます。  先ほど申し上げましたとおり、十分程度意見開陳をまとめていただきますよう、特にお願いを申し上げます。  それでは、次に、服部参考人お願いいたします。
  5. 服部正

    服部参考人 コンピューターが私ども国民生活の中に入り込んでまいりまして、もう二十年近くなってまいりました。昨今、それはもはや不可欠のものとして定着しつつあるかと存じますが、その中でソフトウエア機械をいかに動かすか、使うかというソフトウエアの占める費用比率年ごとに上昇しつつございまして、コンピューター費用の七〇%にも達する日は近いのではないかと思っております。もちろん、これらの仕事はすべて私ども業界だけで営んでおるものではございませんで、コンピューターをつくっていらっしゃるメーカーさん、あるいはコンピューターを使っていらっしゃるユーザーさん、そして私ども専業者三つ分野でつくって貢献させていただいておるかと思います。私ども業界といたしましても、この責任を非常に痛感しております。  ただ、この産業は、一般の産業と異なりまして非常な特殊な面を持っているということ、まず第一に、いわゆる普通の産業のように装置産業というような性格のものでは全くございませんで、頭脳産業頭脳労働と申しますか、人間の頭だけでやる仕事でございます。  しかしてまた第二に、このすべてが生産というような観念では当てはまらず、一つ一つ研究開発的な要素を持っておりまして、うまくいくことを念願してはおりますが、やってみなければわからないという面も一多分に含んでおります。  さらに、技術陳腐化というのが非常に早く、常に追っかけられている、あるいは競争の激しいというような企業でございます。  加えまして、これほど完璧を要求される仕事もないのではないかと思います。ただ一つ誤りも許されない。すべての仕事というのは誤りは許されないのでございますが、少々雨が漏りましても人は家に住めるわけでございますけれどもソフトウエアというのは、たった一つ誤りがありましても全く動かないのでございまして、この完璧主義というのは他の技術に類例を見ない特殊性があるかと思っております。  このような産業を営んでおります中で、人と信用技術力というような無形のものだけを頼りに商売を営んでおりまして、従来の企業のごとく、企業信用というようなていを全くなしておりません。担保力もなく、お金も拝借しにくいというような現状でございます。  こういう産業を取り巻いております国内環境は、頭脳的な価値観というものがわりあいと低く、それから、宇宙開発とか原子力とかあるいは航空機というような先進的産業からの技術的なフィードバックにも事欠けておりまして、いわば演習の課題に非常に事欠けまして、先進国とのギャップというのも残念ながら認めざるを得ない状態でございます。そしてまた、この先進国とのソフトウエアギャップと申しますのは、かつてはアメリカにはこういうソフトがある、日本にはこういうソフトがないというような量の議論から、現在は質の議論に移りつつございまして、ますますわれわれに要請されております技術的な課題は多くなっております。  このような先例のない種の産業、こういう産業が成立いたします条件は、内部的には、私ども技術を高揚し、そして技術力あるいは資本力というのを内部に蓄積していくこと、そして外部的には、こういう業界を取り巻く環境を整備していただくことではないかと思っておりますが、何分にも従来の商習慣とか従来のいろいろな法だけでは保護されがたい、こういう業でございます。  このような業に対しまして、国のお力によりまして、金融や税制や、あるいはその価値を評価したり、あるいは適正なる仕事の発注を願ったり、あるいは研究助成等いろいろな面でこの種の産業を御援助されることをこいねがっておるわけでございます。  今日、ここに機情法というような法案が上程されているやに聞いておりますけれども、お国の高度化計画のためにもどうしても一必要なソフトウエア、そしてそのソフトウエアの一翼を担わしていただくソフトウエア産業、それからハードウエア、いわゆるコンピューターそれ自体と分離して考えることのできないようなソフトウエア産業を、このような法によって守っていただくことをわれわれ業界といたしましては心からお願いしておる次第でございます。  これは私ども業界のエゴだけで言っておるのでは決してないと信じております。この業界は、確かに小さい業界ではございますが、関連いたします領域、それから問題の重要性というのは非常に広く、かつ重大であるという認識を持って、私ども及ばずながら日々努めさせていただいております。どうかこの法案が成立して、私ども業界先ほど申しましたような諸点において御助成が願えるならば、これにこした幸いはないと存じております。  以上、簡単でございますが、私の意見開陳を終わらせていただきます。
  6. 野呂恭一

    野呂委員長 次に、及川参考人お願いいたします。
  7. 及川一夫

    及川参考人 電信電話公社に働く労働者でつくっております組合及川でございます。本日は、参考人としてお呼びいただきまして感謝申し上げます。  御承知のように、私どもは、データ通信として情報産業分野情報処理業務に携わっておりますので、その立場から意見を申し述べたいと存じます。  今回上程されております法案では、情報処理業対象外とされておるわけでありますが、当初の考え方では、公社データ通信も適用されることになっておりましたため、私たちとしてはそれ自体に反対の立場をとったという経緯がございます。そして結果としては情報処理業が外されたわけでありますから、問題は解決をしたとお考えになる方も一おられるかと思いますけれども、私たちは、情報処理業を含めまして、情報産業の問題をそのように実は単純に考えておらないのであります。  情報化社会ということが言われております今日、情報産業は、ソフト、ハード含めまして、未来産業あるいは知識産業として中心的な立場に立つだけでなくて、あらゆる産業、そして政治経済あるいは教育や医療と、私たち生活に重大なかかわりを持ちつつあることは御承知のとおりでございます。つまりコンピュータリゼーションという言葉が示しておりますように、経済社会のあらゆる分野コンピューターが使われまして情報処理が行われるようになってまいっております。したがいまして、情報産業は、単に情報産業それ自体産業としての問題にとどまらずに、情報産業を通じて他の産業政治経済、そして国民生活をコントロールし得るものだというふうに理解をいたしております。  たとえば、私どもが携わっておりますデータ通信サービス一つに、全国銀行データ通信システムというのがあります。これはコンピューターによるオンラインシステムによって、日本銀行を初め全国八十八の銀行をつなぎまして、為替交換などのサービスを提供しているわけでありますが、これは効率化能率化ということと別の側面から見てみますと、わが国の金融市場を、ユーザーを預っているものの意思一つによってコントロールすることができるというようなことが考えられるわけであります。これは一つの例でございますが、こうしたことになったら大変な事態ではなかろうかという問題が含まれているように私どもは思っているわけであります。  また、このような中で、私たち個々人のデータも、行政や企業等幾つかのコンピューターの中に記録され、処理され、使われております。しかし、その実態を私たち自身は全く知らされてもいないし、知らないところにプライバシー問題も発生すると思っております。コンピューター利用の進行が管理社会化プライバシー侵害の危険をはらんでいることは国際的に見ても明らかでありまして、アメリカを初めヨーロッパ各国プライバシー保護のための法制化を進めておりますことは御存じのとおりでございます。  しかも、ここにもう一つ側面といたしまして、IBMやGEを初めとする外国資本の圧力の問題がございます。IBMの力につきましては、先ほど富士通の副社長さんが御指摘になりましたが、私がここでいまさら申し上げるまでもないと思いますけれども、先日通産省からいただきました資料あるいはコンピュータ白書等によりましても、わが国の国内メーカーとIBMとの格差というのはかなりの差があるというふうに考えております。具体的に申しますと、IBMの一九七六年度の売上高を見ましても、四兆四千億から六千億というような状況でありまして、わが国主要コンピューターメーカー六社の売上高の合計六千三百五十一億円のざっと七倍ということになっているわけでありまして、わが国最大のコンピューターメーカーと言われる富士通売上高を見ましても、二千三百九十六億円ということですから、約二十倍ということになっている実態だと思っています。その上、外資系企業日本アイ・ビー・エムの売り上げが二千七百五十四億円で富士通を上回っていることもちょっと私どもとしては気にかかるわけであります。  情報処理業の場合を見ましても、アメリカの場合は一社当たりの平均売上高は三百十四億円で、わが国の平均三十三億円の十倍に近く、従業員数も、アメリカの平均三千二百人に対して、わが国は四百二十人と八分の一にすぎない状況に実はなっているわけであります。電電公社データ通信業務における情報処理部門の年間売り上げは約四百八十億円ですから、どうやらアメリカの平均を上回り、肩を並べられるというような現状にあるわけであります。  特に最近では、コンピューターネットワークの時代と言われ、それは国境を越え、海や空を越えまして全地球上に張りめぐらされる勢いにあります。たとえば、すでにわが国でも提供されておりますGEのタイムシェアリングサービスのネットワークは二十一カ国五百都市に及んでおり、タイムネット社のデータ伝送サービス網では、イギリス、フランス、西ドイツ等ヨーロッパを中心に九カ国にまたがり、あるいは共同利用ネットワークとしてのSITAは、世界九十カ国の航空会社を結んで座席予約等のサービスを行い、同じくSWIFTは十数カ国の銀行をつないで国際銀行業務を行っているような状況にあります。これらの国際情報サービスは、いずれもわが国への上陸を期し、あるいはすでに上陸をしているわけであります。さらに、IBMは現在独禁法により情報処理に進出できないことになっておりますが、通信衛星の利用が認可されておりますから、一九七九年からは別会社をつくって国際情報サービスの提供を始めるとされているところであります。  このように巨大な外国資本に対抗し得る企業は、先ほど申し上げましたように、残念ながらわが国にはないのではないかというふうに思っております。公社といえども技術の蓄積を含めて、決して十分だとは思っていません。データベースや情報処理システムがこれらの外国資本に席巻されるならば、それはわが国の政治経済が支配されることを意味しますし、ゆゆしき問題と言わなければならないと思っています。  データベースや情報処理の国際化によりまして、プライバシー保護も国際間のデータ流通のあり方の問題として論じられまして、昨年の秋にはOECDのシンポジウムも開かれているような状況にあります。  以上、申し上げましたように、情報産業は一国の政治経済のあり方にもかかわるきわめて重大な立場にありますから、その意味では、産業構造審議会の中間答申として出されております「今後の機械情報産業の進むべき方向及びこれに対する施策のあり方」の中で指摘されている問題そして政策が必要であるとの提起はそのとおりであろうと思います。しかし、私ども立場としては、どういう立場に立ってそういった政策が策定されるかということが問題であります。  私たちは、情報産業の持つ性格というか意味するものを考えますとき、それは単に個別的な産業の振興策では問題がきわめて矮小化され、基本的な政策になり得ないと実は考えているところであります。それは産業立場経済的な視点からのみ問題を論ずるのではなくて、管理社会化の進行やプライバシー問題、労働問題含めまして、国民的、社会的な立場に立った国としての総合的な基本政策の確立というものがどうしても必要ではなかろうかというふうに思っております。その中で、ハード、ソフトあるいは情報処理など、それぞれの産業をどう振興発展させるかが考えられるべきでありましょう。とりわけ技術的にも資本的にも絶対的に優位に立っているIBMやGEなどの巨大なアメリカ資本にどう立ち向かうのかという点では、現在のように、無原則的とは申しませんが、自由競争に任された形、そうして各省庁がそれぞれなわ張り争い的にばらばらな行政を進めているようでは、とうてい太刀打ちができないと私は思っているところであります。  アメリカ情報産業が今日のように発展をいたしましたのは、NASA計画という国家的プロジェクトによって巨額の政府資金を投じ、政府、民間のそれぞれがそのプロジェクトに参加する中で、相互に協力し合い、総合的な力となって発揮されたところにあると私は思っています。日本におきましても、このようなアメリカの例に学ぶべきではないだろうかと思っております。もちろん、国家的プロジェクトが軍事目的であってはならないと思っております。平和プロジェクト、すなわち国民福祉向上のためのプロジェクトを設置いたしまして、国の思い切った資本投下によって、民間も公社もその中でその持っている力を出し合い、相乗的な効果を発揮することが必要であろうかと思っております。  私は、決して公社データ通信だけが優位に立ちたいとか、民間情報産業の振興に反対するものではありません。要は、それを総合的に総括、指導する機関が必要だということで、今回の機情法の範疇ではまだまだ不十分だということを申し上げているわけであります。今年末にスタートすると言われておりますECのコンピューターネットワーク、ユーロネットは、アメリカの情報サービス業の脅威に対抗したEC各国の共同開発によるものでありまして、この例を見ましても、情報産業政策はもはや高度な政治課題であるということができましょう。私ども全電通労働組合は、一九六九年にデータ通信における三原則、すなわちデータ通信が、第一に平和と国民生活の向上に資すること、第二に情報の社会性の維持拡大と民主的管理、第三にプライバシーの保護の三点を中心にした政策を明らかにいたしました。自来、その立場に立って国民的次元での基本政策の樹立を主張してまいりました、またプライバシー保護の国民運動も提唱いたしまして、現在運動の中心となって進めておりますが、現在のような情勢のもとにありましては、我田引水ということではありませんが、私どもの提起に誤りがなかったとの確信に立つことができるのであります。  本機情法の国会審議に際しまして私の申し上げました立場を御賢察いただきまして、商工委員会の皆さんの参考に資せればということで申し上げました。  大変ありがとうございました。
  8. 野呂恭一

    野呂委員長 次に、竪山参考人お願いいたします。
  9. 竪山利文

    ○竪山参考人 電気機械器具産業労働者で結成しております電機労連を代表いたしまして、本法案に対します見解を率直に述べさしてもらいたいというように考えます。限られた時間でありますから、できるだけ重複を避けまして、具体的な法案に対します可否、評価を明確にしてみたい、こういうふうに考えます。  いまさらここで強調するまでもないわけでありますけれども、わが国経済が低成長経済へ移行しておるということ、資源エネルギーが有限という問題、環境、立地条件が非常に深刻化しているという問題、労働力や雇用構造が変化を来しておりますし、さらに対外的な摩擦が激化しておるという現状の中におきまして、わが国の産業経済がさまざまな制約から抜け出していくためには構造的な転換がぜひ必要じゃないかと考えますし、政策主体そのものが発想の転換をする必要があるだろうという点を特に強調していきたいわけであります。  私たちは、わが国の産業経済の方向といたしまして、第一には、従来の産業企業を優先した産業政策から、生活、福祉中心の国民的ニーズに沿った政策に発想の転換をする必要があるということを痛感するわけであります。また、かつての労働集約的な重化学工業化路線から、産業構造の高度化、知識集約化を目指すべきであるというふうにも考えるわけであります。  私たち電機労連としましても、産業政策の立案に当たりましてこれらの論議を重ねてまいりました。これは産構審の答申にあります「今後の機械情報産業の進むべき方向及びこれに対する施策のあり方」と大筋においては一致する点が多いということを申し上げておきたいと考えるわけであります。特に、産業構造の高度化、知識集約化を進めるに当たりましては機械情報産業を中核的な産業として位置づけ、その育成強化を掲げている点は私たちの考え方と一致しているわけでありまして、具体的な産業政策として実現されることを強く期待したいと考えるわけであります。  ただ、その際、これまでの機電法の期限切れに伴うこれからの産業政策は、情報化、システム化の進展は必須でありますし、従来の機電一体化に加えまして、ソフトウエア情報処理サービス等を含む総合的、統一的施策がぜひ必要だと私は考えるわけであります。  しかしながら、機械産業、とりわけ情報産業につきましては、現在なお急速な技術革新が進行中の産業でもありますし、また立ちおくれの著しい産業として、未成熱な分野がたくさんあるわけであります。また、そのために、そこに働く労働者の労働条件や職場環境に不備があることも、十分配慮願いたいと考えるわけであります。IBM中心にします国際的なこれらの産業分野におきます問題点につきましては、他の参考人も触れられたわけでありますから、ここで申し上げないわけでありますけれども、このように機械情報産業情報化社会の中枢を占めている産業であります。しかも、今後の産業構造の転換の中核的な役割りを果たす産業であると考えますし、また雇用拡大が期待される産業であると考えるわけであります。そういう意味で、国としましても、これらに対します強力な育成策が必要だということを特に強調しておきたいと考えるわけであります。  このような立場に立ちまして、私たちは、国会に上程されております臨時措置法につきまして、次のような理由からこの早急な成立を望みたいということを明確にしたいと考えるわけであります。  第一には、機械情報産業は、わが国のこれからの産業構造の転換、すなわち知識集約化、省資原、省エネルギー化の中核的産業として、今後経済成長、輸出の安定的な拡大をリードする産業として最も期待される産業であるということ。  第二には、今後中期的にも雇用不安が展望される中で、機械情報産業は雇用拡大のできる産業であるということ。  第三には機械情報産業のうち電子機器、とりわけ電算機産業は急速な技術革新が進行中の産業であるということであって、しかもかつ莫大な開発資金を要するわけでありまして、共同開発体制が強く望まれているということ。  第四には、情報処理サービス産業及びソフトウエア産業は今後の発展が期待されながらも立ちおくれの著しい未成熟の先端分野でありまして、これには強力な育成強化策が必要だということ。  第五には、超しSI開発事業を初めといたしまして、機電法に基づく諸事業が打ち切られることは産業政策上問題があり、当然これを引き継ぐ法律が必要であるということでございます。  こういう理由から私たちとしては成立を強く望んでいるわけであります。  しかし、この機情法について次のような補足意見を持っていることも、さらに追加して申し上げたいと思います。  まず、今次法案は、各省庁間の所轄、監督権の思惑も絡まり、当初に構想したものから著しく後退したという新聞報道がございますが、今後情報産業の統一的施策を強化するという立場から、審議会等を設けて、国としての情報産業の基本的な政策を早急に確立する必要があると考えるわけであります。その際、情報産業は今後発展が期待されている産業でありますので、特に民間セクターの活力を大いに活用すべきではないかと考えているわけであります。  さらに、機情法に基づく高度化計画の策定に当たりましては、労働者意見を十分反映させることが必要であると考えます。そのために、産業構造審議会、同部会、電子機械工業審議会、情報処理振興審議会などに労働組合の代表をぜひ参加させるようにしてもらいたい、こういうふうに考えるわけであります。  さらに、今次機情法の対象から除外された情報処理サービス業に対しましても、特に次の育成策を要望しておきたいと考えるわけであります。  第一には、ポスト機電法としての機情法は、情報化、システム化という社会的要請にこたえて、機械、電機、電子ソフトウエア情報処理サービスを一体化したものであるべきだと考えるわけであります。第二には、しかるに今度機情法の上程に当たりまして情報処理サービス業がその対象から除外されているということにつきましては、私は大変遺憾に思うわけであります。また、今回対象から除外されました情報処理サービス業、特に未成熟な民間分野につきまして強力な育成強化策を別個に講じてしかるべきであると考えるわけであります。情報処理サービス業とソフトウエア業は関係が大変深いわけでありまして、法制のいかんを問わず、一体的な責任のある政策がとられる必要があるということを意見として追加しておきたいと考えるわけであります。  以上、本法案の審議に当たりまして、特に電機機器産業に働く労働者を代表いたしまして御意見を提起し、御参考に供したいと考えるわけであります。
  10. 野呂恭一

    野呂委員長 次に、大島参考人お願いいたします。
  11. 大島恵一

    大島参考人 私は、東京大学の大島でございますが、今回の機械情報産業振興法についての意見を申し述べさせていただきたいと思います。  最初に結論を申しますと、私は、この法律が今後のわが国の産業構造の転換のための産業政策のきわめて有力な政策手段であるという意味で、大変に時宜を得たものであるというふうに考える次第であります。しかしながら、一方、これは非常に有力な手段であるだけに、この運用に当たってはきわめて慎重な配慮が必要なのではないかと思う次第であります。特に、外国産業に対する日本産業がこの法律によって政府の保護政策あるいは単純な競争力強化の政策をとっているというふうに見られることは大変に問題があることでありますし、それから第二の点は、もしもこの共同行為というものが独創性の高い中小企業、特に今後この分野で出てまいります頭脳集団的なグループに対して、そのいわゆる企業家精神というものを制約するようなことになってはかえってマイナスになるというふうに思う次第でございますので、その二点につきまして、少し私の考えを申し述べさせていただきたいと思います。  まず、私が産業政策としてこの法律がぜひ成立することを望むということの第一は、現在世界的に起こっております経済的な不況あるいは経済的な困難さというのは、単純な循環的な不況ではなくて、皆さんが御指摘のように、非常に根本的な構造的な要因を持っているわけであります。  これは大体三つの点が挙げられると思いますが、まず第一は、非常に不連続な急激な条件変化、いわゆるエネルギー価格が四倍、五倍に上がったということがいままでの産業構造あるいは産業間の均衡に対して非常に大きな影響を与え、そのために産業同士の競争的な条件あるいは均衡的な関係というものが破れてきているわけであります。  それから第二の点は、これはほかの方からも御指摘がありましたように、経済的問題に対して非常に社会的な要因が入ってきている。すなわち雇用問題であるとか、あるいは産業の盛衰による地域の荒廃であるとか、あるいは大企業中小企業関係であるとか、そういった経済問題の中の社会的要因というのは、これは日本だけではなくて世界各国、特に先進工業国の中で大きな問題になっている。  それから第三の点は、国際的な相互関係が非常に強くなっているということでありまして、いままでは拡大する世界市場の中で自由に競争していた各国が、先進国同士の貿易的な摩擦というものがいま申しました社会的問題と結びついていて、単なる経済的な競争ではなくて、社会的な政治的な問題をはらんできている。一方、発展途上国が出てまいりまして、それに対してやはり貿易的な摩擦が出てきている。それに加えまして、いまの石油問題による通貨問題あるいは外貨の問題というものが出てきている。  このような三つの要因を見ますと、いままでの単純ないわゆるマクロと申しますか、財政、金融的なあるいは為替レートといったような政策でもって自分の経済を進めていくことが各国ともできなくなっておりまして、そして産業構造ということが非常に重要になってきているわけであります。  私は、二年前まで、三年ほどOECDの科学技術工業局長を勤めてまいったわけでございますが、その場合に最も重要な課題は、こういった産業政策というものをどのように進めるかということでありまして、実は産業政策というものは、日本においては通産省初め古くからあるわけでございますけれどもヨーロッパ各国においては、産業政策とか産業構造という概念は大変最近になって出てきた考え方でありまして、どちらかというと経済をマクロ的に把握しているわけであります。その意味で、機電法の延長にある機情法が、世界各国が注目するような意味での非常に新しい政策であるということが言えると私は思うのでありますけれども、実はこの政策は、いまの機電法というものに対しては、これが日本経済を今日に強めた、あるいは産業技術を非常に強めた有力な政策手段であるという意味で、ヨーロッパ各国で非常に高く評価されている一方、これが今日の日本の非常に強力な技術的な背景となり、今日の市場における日本競争力、特に現在起こっております外貨の過剰の原因がこのような非常に有力な産業政策をとった結果であるというような見方がなされているわけであります。  それで、実際においてはこの法律は大変重要な法律であると私は思いますし、皆さんが御指摘のように、今後の日本産業というものが、先進国との単なる衝突的な競争でなくて、向こうからも積極的に輸入を促進すると同時に、日本産業もその中にあって生きていくためには、非常に知識集約的な、あるいは国際的にも協力関係を持ち得る高度の産業構造をとるべきであるというふうに思うわけでありますし、一方、発展途上国が追い上げてまいりますのに対しても、日本がそれを防遏するという意味ではなくて、日本に入ってくる発展途上国にその市場を与えながら、なおかつ日本産業がその中にあって生き抜くためには、このような法律はきわめて有力であると思うわけでありますけれども、もしも外国が、前の機電法のときと同じ方法でこの法律が運用されるのであるというふうに見ますと、これは日本市場を開放していながら、一方ではこういった法律によって日本産業の保護政策をとるというふうな見方をされるおそれがあるわけでございます。  それで、実はこの場合に非常に問題な点は、現在世界各国が保護貿易政策あるいはナショナリズムをとっているわけでありますが、多くの場合においては、たとえばヨーロッパの自動車産業などに見られますように、必ずしも日本自動車産業の進出がフランスとかドイツあるいはイギリスの自動車産業に脅威あるいは損害を与えていないのでございますけれども、しかしながら、その日本産業の強さが保護貿易をとる口実になっているということを御指摘申し上げたいわけであります。これは最初に申しましたように、現在の経済政策というものが非常に社会的な問題、すなわち雇用問題あるいは地域の荒廃という問題と結びついておりますために、ヨーロッパにおきましても何らかの政治的な政策をとらざるを得ない。そのときにこの日本の進出というものが口実になるというケースが多々あるわけであります。  その意味で、私は、この機情法の審議に当たって、こういう国会の審議等を通じて、この法律が、決して日本外国との衝突と申しますか、単純な日本産業を保護するというために使われるのではなくて、本当に調和ある産業構造の高度化を目的にしているのであるということを内外に示すことが望ましいと思う次第でございます。外国の場合には特に国会の審議というのは非常に重要視していることでありまして、その点につきましても、私は、今後の運営に対してそういった議論がなされ、この調和的な政策の中における機情法であるということを運営の面で実現していただきたいと思う次第であります。  それから第二の点につきましては、もう時間がございませんので簡単に触れますが、いままでとかくこういった共同行為というものは、今後特に独創的な技術開発を必要とする場合には、往々にしていわゆる小グループの頭脳集団的な活動をしている企業あるいはそういった団体に対してマイナスの効果を持つおそれがあるわけであります。この点につきましては、私は、こういう法律を進めると同時に、大幅な研究開発投資というものをするし、またはそれによって十分にこういった独創的なものが生かされるという配慮をしていただきたい。この点については、この機情法が、単にこの法律だけではなくて、総合された産業政策産業構造高度化政策の中で使われるというような点で、運営上の問題を十分に御検討いただきたいと私は思う次第でございます。
  12. 野呂恭一

    野呂委員長 以上で参考人意見開陳は終わりました。     —————————————
  13. 野呂恭一

    野呂委員長 これより参考人に対する質疑を行います。  なお、大島参考人はやむを得ぬ所用のため途中退席されますので、大島参考人に対する質疑は先に取りまとめて行いますので、さよう御了承願い、委員各位質疑予定持ち時間どおり御協力をお願いいたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山崎拓君。
  14. 山崎拓

    ○山崎(拓)委員 各参考人におかれましては、お忙しいところ、ありがとうございました。  大島参考人、先に帰られるそうでございますから、一、二お伺いをいたします。  まず、先ほど服部参考人の御陳述の中で、先進国との技術的なギャップが先端技術あるいはソフト産業分野存在するのは、宇宙、原子力、航空機のごとき先進産業、そういう表現はなかったのですが、軍事関連産業とも言うべきであろうかと思いますが、の発展に伴う技術的なフィードバックがわが国においては欠けているからだ、こういう御指摘があったわけでございます。そういうわが国における技術発展の問題点を埋める有力な政策手段を本法案によってとり得るんだというふうにお考えなのかどうか、そして具体的にこの本法を活用いたしまして日本技術発展のためにどういう方策が考えられるのか、二点お伺いします。
  15. 大島恵一

    大島参考人 お答え申し上げます。  大変勝手を申し上げて恐縮に存じますが、いまの御質問に対して全く私も同感でございます。ただ、私が先ほど申しましたように、このような技術ギャップを埋めるためには、単に法律で共同行為をするということでは不十分でありまして、やはり国の研究開発投資というものを大幅にふやさなければいけない。そのときに、やはりそれが単なる漫然と研究開発投資をふやすのではなくて、その中に非常に政策的なものと直結する形で大幅な技術開発投資というものをふやす。これは確かに、御指摘のように、わが国が航空機それから宇宙その他先進的な技術分野において国の大きな柱がないという点にかかわる問題であると思います。
  16. 山崎拓

    ○山崎(拓)委員 もう一問伺っておきますが、大島参考人のお話の中で、この法案は、わが国の経済発展、技術発展のために有力な政策手段の根拠となるものであるが、これが国際的に単なる保護主義あるいは国際競争力の強化政策と見られないように運用に当たっては慎重な配慮が必要だ、こういうことでございまして、特に国会審議に当たってその点をつまびらかにしていけということでありますが、少しわからないのでありますが、参考人のおっしゃるのは、わが国の市場先進国にもあるいは開発途上国にも十分開放しながらわが国の産業の育成に当たっていく、そういうことでよろしいのかどうか、ほかにもあるのかどうか。
  17. 大島恵一

    大島参考人 いまおっしゃるとおりでございます。ただ、先端的な技術分野において、たとえば航空機というようなことが述べられておりますけれども、その航空機分野において、日本は航空機に弱いから航空機をつくって外国の航空機が入ってくるのを防ぐということではなくて、共同開発その他において国際的な協調のもとに日本のそういった先端技術産業を強化していくという方策があるではなかろうか。いま御指摘の全く日本市場を開放しながら進めるという点はそのとおりでございますが、それに加えて、この運営に当たってそういった調和的な形で進めるという方策が幾つかあると存ずるわけでございます。たとえば、ある部品については外国のものを入れる、しかし、全体のものの中においてはまた日本のコンポーネントも入っていく、そういう形が今後の大きな進み方ではないかと思う次第であります。
  18. 野呂恭一

    野呂委員長 中村重光君。
  19. 中村重光

    ○中村(重)委員 大島参考人にお尋ねをいたしますが、業種ごとの高度化計画の策定に当たって、その基本となるマクロ的なビジョンの設定が必要であるというふうに考えるのですが、政府に的確な計画策定ビジョン、そのような能力があるとお考えになられるかどうか、もう率直に私もお尋ねしますから、率直にひとつお答えをいただきたい。森山局長は、聞きたくなければ耳をこう詰めておっていただいて結構なんで……。
  20. 大島恵一

    大島参考人 まことにむずかしい御質問でございますが、私は、率直に申しまして、現在のように縦割りの行政で各省がいろいろな問題を考えざるを得ないような状況であれば、これは大変むずかしい問題だと思うわけであります。特に私は、幾つかこの法律にも述べてございますが、たとえばもっと今後は雇用問題に即した方向での産業構造、あるいは地域社会と結びつく形での産業構造、あるいはそういったもっと公共サービスというものとの関係における産業というような問題が多々指摘されているわけでございますが、こういう問題になりますと、私は、単に通産省だけではできないことでありまして、これはむしろ日本としての非常に大きな、将来われわれはどのような社会に住みたいのかというようなところが決まらないと、実はこういった問題は具体的な技術におろせないという問題があると思います。その点で私は、そういった政策というものが各省を超えたところでまず大きな枠組みができて、それが今度ブレークダウンといいますか、個々の産業技術におりてくるという形で考えるべきだと思うわけでありまして、この点は、率直に申しまして、現在の日本政府機構においてはなかなかむずかしい点ではないかと思います。
  21. 中村重光

    ○中村(重)委員 きょうは、情報産業だけではなくて、日本のこれからの産業政策の展開に当たって非常な見識を持っていらっしゃる学界、実業界、労働界の権威者の方々の御意見を伺って、非常に参考になったわけであります。したがって、私どもも率直なお尋ねをすることの方がむしろ必要であろう、こういうことでお尋ねをするわけですから、いまのようなことでひとつお答えをいただきたいと思います。  そこで第二点は、機械情報産業分野における日本と欧米の技術力の比較といったもの、これはもう先ほど来のIBMの問題その他によって非常な格差がすべての面にあるということは承知いたしておりますけれども、そうしたミクロ的な問題ではなくて、日本と欧米との比較、取り組み、こういったようなことをお聞かせいただきたいと思います。
  22. 大島恵一

    大島参考人 私は、率直に申しまして、先ほど山崎議員からも御指摘がございましたように、非常に先端的な分野、特に軍事的なものと結びつき、あるいはNASAのような宇宙開発と結びつく分野において、日本が欧米、と申しましても特にアメリカでございますが、との間に相当な格差があると思う次第なんです。一方、日本は、生産技術と申しますか、物をつくっていくための技術においてははるかにヨーロッパ、場合によってはアメリカをも越しているという非常に強い面があると思う次第でございます。ですから、技術全体をどういうふうに評価するかという問題がございますけれども、現在の日本研究開発能力及び生産技術という点においては、場合によってはアメリカなどを、ヨーロッパはもちろんでございますが、越している点が相当ございます。ただし、個々のそういったある強い先端的なものの中の特に国との関係の深い分野におきましては、あるいは軍事技術というものに関連したような分野におきましては、相当な格差があると考える次第でございます。
  23. 中村重光

    ○中村(重)委員 日本の場合、情報産業に対する取り組みが非常に弱かったにもかかわらず、いま大島先生は非常にすぐれているところがあるという評価をされたわけですが、どうなんでしょうか、学者の立場から見られて、学者とか技術研究者に対して日本アメリカとの待遇あるいは執務環境といったことで何か参考になることがありましたら、お聞かせをいただきたい。
  24. 大島恵一

    大島参考人 ただいまの点に関しましては、特にアメリカ技術者に対する待遇は大変に高いわけでございます。  もう一つ、単に技術者の待遇の問題だけではなく、日本においては、いま申しましたように生産技術というところに非常に重点が置かれておりますために、オリジナルな技術開発に対して相当思い切った研究開発資金を出すとか、あるいはそういった組織を進めていくという形が大変欠けている点があるんではないか。御承知のように、わが国の研究開発投資の七〇%は産業界で、三〇%が国でございます。先進工業国の中で相当産業界の強い西ドイツでございましても、五〇から六〇%は国が出しております。世界各国の大国の中でそういった産業技術だけにこれほど向いている国は、オランダなどが日本に近い状態でございますが、非常に少ないわけでございます。  私は、その意味では、今後特にこういった技術開発の問題を、ある国の政策と申しますか、たとえばいまの産業構造を変えていくというような意味での政策と結びつけて考えるということになりますと、先ほどちょっと申しましたように、待遇の問題と同時に思い切った研究開発政策というものをとらないと、先ほどのおくれておるオリジナルな点、あるいは今後産業界がもし生産技術だけでやっていけなくなるとすれば、これは日本にとっての非常な弱点になると思う次第でございます。
  25. 中村重光

    ○中村(重)委員 いまのお答えで大体わかったんですが、日本の場合も、御承知のとおりコンピューター等に対する国の助成というものは、研究組合等をつくらして相当予算を割いてやっているわけなんですが、アメリカ等における大型プロジェクトなどの政府主導による技術開発現状ということ、日本アメリカを比較されて決定的に日本がおくれているといったようなこと、アメリカそれから欧米諸国における政府主導という形において注目すべき点がありましたら、お聞かせいただきたい。
  26. 大島恵一

    大島参考人 特にアメリカと比較した場合に、一番大きな差は、アメリカにおきましては、たとえばエネルギーの技術におきましても、あるいは宇宙開発におきましても、政府が、その研究を行う人たちの人件費から利潤までも含めて大幅にいろいろなところに契約研究をやっておりますし、また、研究費というものは日本とほとんど二けたぐらい違う金を使っているわけでございます。その点で、日本の場合は、とかく政府のそういった産業技術関係の場合には、委託研究と申しましても多くの場合民間の持ち出しが相当多いとか、あるいはいまちょっと申しましたように、小さいグループがその研究をやって、それによって自分たちが生きていけるような大きなコントラクトをぼんと出さない、すなわち知識とか技術とかいうものを買うという概念が日本には余りないという点が非常に大きな問題ではないか。もちろん予算が少ないことも一つの問題ではございますけれども、そのアプローチの仕方と申しますか、そういう考え方の問題が依然としてあるのではないかと思うわけであります。
  27. 野呂恭一

    野呂委員長 玉城栄一君。
  28. 玉城栄一

    ○玉城委員 大島参考人にお伺いいたしますが、今回のこの内閣提出特定機械情報産業振興臨時措置法案、これは当初の予想とは少し違いまして、いわゆる情報処理サービス業というものがこの法案対象外になっておるわけです。先ほども最初の参考人の諸先生方のお話もあったわけでございますけれども、いわゆるこういう情報産業行政というものは総合的にあるいは統一的になされるべきではないかというような意味のお話もあったわけであります。そういう立場から、先生、国際的なそういう情報産業あるいは政策というものを御存じの立場から、今回のこの法案にいわゆる情報処理サービス業というものが外されているということについてどのようにお考えになるのか、あるいは外国等から比べましてこれでいいのかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
  29. 大島恵一

    大島参考人 ただいまの点につきましては、私は、やはり情報処理産業というのは今後の非常に重要な産業でございまして、特に先ほどちょっと申しましたように、日本においては、知恵を買うといいますか、知識を買うというようないわゆるソフトに対しては、過去からの歴史的な理由でそういうものが産業として十分成り立たないような環境があるかと思うわけであります。これは今後の日本の発展の上で非常に重要な問題ではないかと私は思う次第でございます。  ただ、もう一つ先ほどちょっとほかの参考人から御指摘がございましたように、実はいまの情報サービス問題というのは、単に産業面だけではなくて、たとえばプライバシーの法律の問題であるとか、OECDあたりでもこの問題は実はワーキンググループをつくってやっておるわけでありますけれども、いろいろな入り組んだ問題が入ってきているわけでございます。その点で、私先ほどちょっと申しましたように、総合的な計画ということとも関係がございますが、やはり産業としての面というものは一つの要素でありまして、全体的な政策というものがどこかで立てられなければいけないのだろうと思うわけであります。しかしながら、一方、産業としての面でもいろいろな問題がございます。たとえばそういった情報処理産業という場合に、あるグループがつくり上げたそういった情報のオリジナリティーというものを特許みたいな形では保護できないわけでございまして、そういうものがどういう形で商品になるのかとか、あるいは国際的な関係外国から入ってくるものと国内のものとはどういう形で扱うのかといったような、まだそういった基本的な未解決な問題が多々あるかと私は思いますので、その点はこういう法律の中でやはり検討はすべき問題ではないかと思います。
  30. 玉城栄一

    ○玉城委員 それでは、先生が先ほどおっしゃいましたこの法案は非常に有効な政策手段である、ただし、やはりいまわが国の置かれている微妙な国際的な立場からして、運用の面で慎重を期さねばならないというようなお話があったわけでございます。アメリカIBMという巨大企業世界シェアの六割も占めているというようなことで、先ほどの先生のお話の中にも、わが国の技術革新というものは決して劣ってはいないというようなお話もあったわけでありますけれども、そういう外国との衝突あるいは調和というお話があったわけですが、それは具体的にどういうふうなことか、もう少し御説明いただければ幸いだと思います。
  31. 大島恵一

    大島参考人 まず、具体的に申しますと、いずれにせよ、いまこの法律で日本産業の高度化をしていこうとする場合に、たとえばこれから非常に成長する技術分野あるいは日本の非常に独創的な技術をもって外国に出ていく場合は、これは競争にはならないわけでございます。ところが、向こうのものを追っかけて、向こうのものが入ってくるものをとめようというような形でこれを使うとすると、これは明らかに向こうとの衝突と申しますか、保護貿易的な、保護主義的な政策になるわけでございます。  先ほどちょっと申しましたように、たとえば航空機の問題を取り上げた場合に、発展途上国はなかなか航空機ができない、しかし、いまアメリカが圧倒的に強いわけでありますけれども、フランス、イギリスなどもそういうものがある。その場合に、また向こうのものをただ単純に置きかえるという形で日本がこの法律によってやるとすれば、これは明らかに、向こうから見ると、日本市場はあけておきながら、実は政府が民間にてこ入れをして競争をしているんだと見るわけであります。しかし、もし日本がある独創的な分野の航空機に出るというようなこと、あるいは非常に高性能なものに出るということ、あるいは航空機部品のある部分について非常に強くなるということであれば、これは向こうとの調和した形で出てくるということになると思うわけでございます。
  32. 玉城栄一

    ○玉城委員 終わります。
  33. 野呂恭一

    野呂委員長 工藤晃君。
  34. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員(共) 大島参考人に伺います。  一つの点は、実は日本産業政策を見ておりますと、特に六〇年代の初めから産業構造調査会がつくられましてそれぞれのいろいろな部会に分かれて答申も出した、こういう経過があります。それで、そのとき法体制としては機電法とか機振法とかいろいろあったと思う。そのときも産業構造の転換に大きな役割りを果たしたんだろうと私は思いますが、いま産業構造の高度化ということがまた言われているわけですね。あのときも言われているわけです。産業構造の高度化というのは、もうすでに使い古された言葉でございまして、そのときも、結局そのとき予想される将来の市場の構造を考えて、それから日本国民の当時のニーズといったら、やはり原料を入れなければいけないから輸出を伸ばさなければいけない、たとえばそういうような発想から、そしておくれている技術分野が何であるか、どういう目標を持って達成するか、しかもこれはコストダウンをやらなければいかぬ、それから企業資本力を強めなければいかぬ、いま出されたものも全く同じわけですから、その当時の産業構造の高度化といまの産業構造の高度化と一体どこが変わっているのか、そのあたりからちょっと伺いたいと思います。
  35. 大島恵一

    大島参考人 たまたま同じ産業構造の高度化という言葉が使われておりますが、その当時と現在では全く意味が違うのだと私は思う次第でございます。その当時は、日本は、いま御指摘のように、外国との競争力を増すとかあるいは能率を高めるというようなことで出てきているわけでございますが、たまたま私もその点は問題があると思うのは、同じ言葉が使われ、同じような法律で違うことを考えているのかということになるわけですが、私は明らかに違うことを考えているのだと思うわけであります。その一番重要な点は、先ほど申しましたように、いままではただ経済促進すればよろしいというような形あるいは合理的でさえあればよろしいという形が、今後はむしろ非常に長期的な国の目標あるいは国民の選択というものの中で産業をどのような形に持っていくかという、いわゆる市場機構あるいは私企業の利潤原則では成り立たないようなものを、長期的な形で実現していこうという形の産業構造の高度化といいますか、転換だと思う次第でございます。その点が、私が最初に申しましたように、同じ法律が使われているけれども、この運用に当たっては非常に慎重な配慮が必要であろうというのは、もしも前と同じような運用をするということであれば、これは全く無意味なものになるということであります。
  36. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員(共) もう一問ですが、OECDにおられましたので、いろいろ各国の経済政策を比較されたことが多いと思いまして、先ほどのお話も大変興味深く伺いました。とりわけ運用面で注意しなければならないというお話でありました。これはOECDだけでなしに、たとえばアメリカのニクソン大統領の初期のときに、ウィリアムズ委員会の報告という膨大な報告が出まして、その中で日本について特徴づけしたのが、日本という国は、国家的目標を一つに決めて、それに産業界それから官僚すべてが一体になって技術力を高めてきたということで、非常に脅威に感じている。その中心になったのが産業構造高度化政策であり、法的には先ほど言ったようなものであろうと思います。ところで、ヨーロッパでたとえば日本自動車競争力が問題になっておりますけれども、ああいう日本みたいな形で部品業界を育てたやり方というのは、ヨーロッパであったのかどうか。つまり自動車部品業界も広範な下請にしながら、同時に品質もよくしなければいけない、コストダウンもしなければいけないというので、特に機電法が使われたわけですが、そういう形での政策というのはヨーロッパにあったのか。特に産業構造高度化政策、通産省の考え方でいくと、最初はフランスの近代化計画を非常に学んだ時期があったのですが、フランスにそういうものがあったのか、私調べたのですけれどもわからなかったのですが、そのあたりで、やはり日本にかなり独特な政策じゃないかという感じがするのですが、そのあたりについて伺いたいと思います。
  37. 大島恵一

    大島参考人 私は、寡聞にして細かい調査をしておりませんので、大変印象的なことを申し上げることになりますが、先ほどちょっと申し上げましたように、ヨーロッパにおいてはこのような形の法律はなかったのだろうと思う次第でございます。これは確かではございません。ただ、いま申しましたように、少なくともヨーロッパから見ますと、日本の法律はあの時期においては非常に有力だったというふうに思うわけでありますが、同時に、それが非常に脅威に感じておるわけであります。私は、先ほど指摘しましたように、いま現在、実はいままではヨーロッパにおいてはそれほど産業構造という考え方はなくて、むしろ政府よりも産業は自分で出てくるというような感覚が強かったのではないかと思うわけでございますけれども産業保護という感覚はあったと思います。そういう意味で、このような日本の政策が最近になってむしろ注目を浴びているということが言えると思います。
  38. 野呂恭一

    野呂委員長 大島参考人には御退席いただいて結構でございます。ありがとうございました。山崎拓君。
  39. 山崎拓

    ○山崎(拓)委員 赤澤参考人にまずお伺いをいたしますが、赤澤参考人の御陳述の中で、自由化の直前に一斉に発表されたコンピューターの新機種は、いずれもIBMユニバック等の外国機に劣らぬ優秀な性能のものであった、現在国内マーケットでもかなり外国に対して優勢になってきておるという趣旨のことがありました。一方、及川参考人の御指摘の中で、日本の主要六社の全売り上げを合算してもなおIBMの売上げは七倍である、日本のトップ企業である富士通の二十倍である、こういう御指摘があったのでありまして、そういうことから、お話のようにわが国のコンピューター産業のレベルが国際的な水準において最高のものに本当になったのかどうか、明治風の発言で言うと、IBMユニバック等の列強に対等に伍するところまで来ているのかどうか、完全なフリーマーケットで勝負できるのかどうか、その点をお伺いいたしたいと思います。
  40. 赤澤璋一

    赤澤参考人 IBMの新しい機種は、御存じのように三七〇というシリーズでございまして、ちょうど四十六年機電法ができます当時、通産省としましては、現状のその当時のものでは値段、性能等の面からなかなか太刀打ちがむずかしいだろうということで、数カ年の計画を立て、また業界三つのグループに分けまして、それぞれ三つの機種を二社ずつ共同で開発させる、そのために必要な補助金を交付をしようということが四十六年度から七年度にかけて決定をされたのでございます。そういうことから、約四年かかりまして各社必死の努力をいたしたわけでございますが、幸い日本技術レベルと申しますものは相当高うございますし、ある意味で一点集中と申しますか、そういう一つの目的のために力を合わせてといいますか、汗水たらしてといいますか、努力してまいったのでございます。そういう結果が五十年の秋の新シリーズ発表ということでございまして、コンピューターの場合には、普通、価格性能比という言い方で、性能と価格を比例いたしました数字でもって、それが対抗力があるとかないとかいうようなことを申しております。そういったような当時発表されましたものから見ますと、価格性能比においては大体IBMに対抗できるというような結果が出ておるわけでございます。ただ、先ほど来御指摘がございましたように、コンピューターと申しますのはハードだけではございませんで、これをうまく動かすためのソフトウエア、その中でも、さらにこれをうまく使いますためのアプリケーションソフトと申しますか、あるいはシステムと申しますか、そういうものの技術が必要でございます。これらが総合いたしましてユーザーニーズにこたえられるかどうか、こういうことになるわけでございまして、ハード面での価格性能比等の数字はとにかく追いついたという感じは十分いたしておりまするが、いまのソフト等も含めました総合力においては、まだまだ十分だ、これでもう心配ないというふうには言い切れませんし、同時に、この方面の技術というものは日進月歩でございます。当時発表いたしましたものからいたしましても、メモリーなどは、すでにもうこの二年間で新しいメモリーに全部入れかえております。そういうふうに日進月歩でございますので、いまある程度拮抗ができたから、じゃあしたは大丈夫だということではございません。常に競争しながら開発しながら進歩していく、こういうことであろうかと思います。  全体としてはいま言ったようなことでございまして、いわばハード面ではまずまず追いつくことができた、ソフト面はまだギャップがある、しかし、総合してみて、まあ十年前と比べますと、とにもかくにも日本コンピューターというものがIBM外国機に対してまずまず対抗力、抵抗力を持つものに育ってきた、こういう評価をしてよろしいのじゃなかろうか、かように思っております。
  41. 山崎拓

    ○山崎(拓)委員 ただいまもソフトの話がございましたが、冒頭の陳述の中でも、コンピューター業界が持つ基本的な問題の幾つかの中で、ソフトの優位の進展という御表現でございましたが、それが今後進行する、しかもわが国の場合外国企業とのギャップ相当ある、こういうことでございましたが、外国企業とのこのソフトの面でのギャップをいかにして埋めていったらいいのか、その方策について、とりわけソフトの面を担当いたします頭脳集団の養成と申しますか、培養と申しますか、そういった人材育成の方策等についてお考えがあったらお聞きしたいと思います。
  42. 赤澤璋一

    赤澤参考人 この面は、服部さんからお答えいただく面もあろうかと思いますが、私どもメーカーの立場から申しますと、やはりソフトの充実は、何と申しても人材の問題が第一でございます。幸い、最近七、八年から十年ぐらいになるかと思いまするが、高等学校あるいは専門学校、大学等におきます電子科学の講座が非常に充実されまして、七、八年前から比べますと、恐らく倍ぐらいなコンピューターエンジニア、特にソフトエンジニアが育ってきておることは事実でございます。一方で、ソフトウエアの面と申しますのは、やはり非常な経験を要する面がございます。いろいろな経験の集積という面もございまするし、またある意味ではニーズを的確につかまえた独創力と申しますか、こういうものが何と申しても基本でございます。そういう意味から、いわゆる若い人たちのフレッシュな頭脳とある程度の経験を持ったエキスパートとの組み合わせ、これがソフトをつくっていく力であろうかと思っております。  確かに先ほど大島先生からも御指摘ございましたように、アメリカその他こういった面ではまだまだ先輩国でございまして、いわゆるいろいろな経験の集積、過去のソフトの厚みという面では私どもなかなか追いつけない面があることはやはり否定できません。そういう意味からも、今後、やはりそういった教育の充実、これは学校だけではございませんで、その他一般含めての教育関係の充実、あるいはまた私どもメーカーだけではなくて、やはりソフトに従事いたしておりますソフト関係業界の強化助成、こういったことをやりながら、世界的なレベルまでとにかくギャップを埋め、またわれわれの力をつけていくように努力をしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  43. 山崎拓

    ○山崎(拓)委員 それでは、服部参考人にお伺いしますが、同様の質問でございますけれども、わが国はソフトの面で外国企業と比べまして立ちおくれているということでありますが、それは人材、エンジニアの面で具体的に数字で挙げることができるのかどうかわかりませんが、どういうふうにおくれているのかということが第一点。  それから、参考人の御陳述の中で、ソフトウエア産業は既往の商習慣や法律のみでは保護されがたい、こういう御陳述がございましたが、それはどういう意味なのか。  その二点についてお伺いいたします。
  44. 服部正

    服部参考人 ただいまの山崎先生の御質問にお答えさせていただきます。  ソフトのおくれに関しましては、ただいま赤澤参考人のおっしゃいましたように、人材の問題もこれは当然でございます。ただ、日本人とアメリカ人と比較いたしまして、個人の能力において敵に十倍の差を許すといたしましても、それだけじゃとうてい説明のつかない問題があるということを私は申し上げたいのでございます。  と申しますのは、先ほど私が申しましたように、いわゆる他の科学、他の技術よりのはね返りということに事欠く次第でございまして、たとえば具体的例をもって申し上げますと、ただいま私どもは、具体的な例で恐縮でございますけれども、頭蓋骨に何かぶつかったときにどうしたら頭が割れるかというソフト開発いたしております。しかしながら、この種の仕事というのはどこが一番進んでいるかというとアメリカなんでございますが、アメリカはその頭蓋骨の問題をやろうと思って始めたのではございません。これは実は原子炉の燃えかす、いわゆる残った灰でございますね、その灰を安全に運ぶための容器の設計に当たって開発したソフトでございます。そのソフトウエアはもちろん原子力の問題でございますから、非常に多額の金と大変な技術力を投じまして開発したソフトでございます。ところが、一たんそういうようなソフトがございますと、これを人間の頭蓋骨の問題に適用することもまた可能なわけでございます。  同じような例が、たとえばこの日本で建物にひびが入ったときの、ひびが割れてから後地震にどうもつかもたないかというような議論ソフトウエアというのがございます。しかしながら、この種のソフトというのは、地震国日本のくせに向こうに先をとられておるわけでございます。なぜかと申しますと、向こうは、たとえば断層の上に原子炉の建物ができたとき、それで大丈夫かどうかというような吟味が日本よりはるかに昔からいろいろなされております。そのソフトウエアのいわば二次的活用と申しますか、それが現在のアメリカの一般の問題に対するソフトウエアのレベルを維持するのに役立っておる。そういう意味で、私どもそのような二次的ないわゆるセコンダリープロダクトにあずかり得ぬソフト業でございまして、この点でのおくれというようなことを申し上げたいのでございます。これは先生のソフトウエアのおくれというのはどういうのかということに関してのお答えになるかと思います。  それから第二に、既往の法律あるいは商習慣では扱い得ない、保護されにくいという点を具体的に申し上げますと、たとえばいわゆる商習慣で申しますならば、目に見えている物を売るあるいは買うということはたやすいことでございます。これで幾らだ、これで幾らだという値決めができるわけでございますけれどもソフトウエアの場合に、これで幾らだということが前もって決めにくいわけでございます。すなわち、もちろん開発するに当たっては成功することを前提とはいたしておりますけれども生産とは違いまして、こういうふうにやれば必ずこういうふうにできるという因果関係が一義的に確立いたしておりません。したがって、そういうような可能性に対しての商品価値というような問題で商習慣に乗らない面も多々あるわけでございます。  加えまして、法律の問題として申し添えますならば、お国がこういうようなソフトを発注してくださるあるいは買ってくださるというような場合の評価方式というようなことも、やってみてはだめ、やってみてはだめという失敗の積み重ねの上にある残渣が残りまして、それが最後のプロダクトになるわけでございますが、そのやってみてはだめ、やってみてはだめというだめの部分だけを否定されますと、とのようなことが商売としては成り立ちにくいわけでございます。したがって、これがまたはね返りまして企業技術力をキープしていかなければならない面でも、経済的になかなか難渋するというような面がございます。そういう意味で、私、商習慣やいままでの法律だけではちょっとむずかしいということを申し上げたわけでございます。
  45. 山崎拓

    ○山崎(拓)委員 竪山参考人にお伺いしますが、参考人がこの法案に対してどういう評価をお持ちになっているのか、これは私は正確に把握できなかったのでございますが、いろいろな参考人のお話の中で、本法の運用に当たりましてはできるだけシステム的なものを取り上げて、特にナショナルプロジュクトを設定してやったらどうか、こういう提案が含まれておるわけでございます。及川参考人の御表現の中で、正確かどうかわかりませんが、平和的プロジェクトであればいいというふうに私は聴取したのでございますが、そういうふうに考えてよろしゅうございますか。この法案を、今後ナショナルプロジェクトを設けてその推進のてことして使っていく、そのナショナルプロジェクトは平和的なプロジェクトであればいいんだ、この法案そのものについては基本的に反対ではないんだ、こういうふうに解釈していいのかどうか。
  46. 竪山利文

    ○竪山参考人 特に私の方から提起いたしましたのは、情報処理サービス関係のものにつきましても、当然総合的な意味の基本対策という中で包摂されながらむしろ本法が位置づけされる必要があるのではないかという考え方を持っておりまして、これが除外される点につきましては遺憾だという意味を提起したわけです。ただ、現実にはこの法案とは別個に、特に情報処理サービス的なものにつきましては育成強化という点について格段の努力をしてもらいたいという点を付議してまいりました。そういう意味で、この点につきましてはむしろ賛成という立場で積極的に推進してもらいたいということが考え方であります。  ただ、及川参考人の方からも提起されましたように、機械情報産業というものが今後社会あるいは経済に与える影響というものは非常に大きなものがあるわけでありまして、指摘されましたような問題点もたくさんあるわけでありますから、そういう点で各省庁にまたがるようなこの種の基本的な課題に対する審議会、これは総理府なら総理府となると思いますけれども、そういう点で設置してもらいたい。各省庁にまたがるような基本法という立場の中の審議会をぜひ設置してもらいたい、こういう点を特に強く主張申し上げまして、そして基本的には成立を図ってもらいたいということを申し上げたわけであります。
  47. 山崎拓

    ○山崎(拓)委員 及川参考人に私間違えて名前を申し上げまして大変失礼しました。及川参考人に私質問を申し上げた。ごく簡潔で結構ですから……。
  48. 及川一夫

    及川参考人 情報産業の問題は、私どもコンピューター一つとらえましても、もともとコンピューター自体は軍事的目的から考えられ、発展をしてきたという経過であるというふうに歴史的には実はとらえているわけです。それはアメリカの実情調査の中で私どもそういったことを知ったものですから、やはり情報産業中心的な役割りを果たすコンピューター、こういうものを利用するからには、当然のこととして軍事的目的で使われることはわれわれ日本にとっては不幸なことではないか、あくまでも平和的な立場からこれを国民生活の中に取り入れていく、こういう観点に立つべきだ、その前提に立つものですから、プロジェクトをつくるにしても平和的な目的でつくられるならば、当然またつくるならばそういう目的でつくるべきではないかという前提に立ってこの機情法全体を受けとめておりますから、そういう立場に立って、この機情法についても反対ということではなくて、機情法の中身について不十分ではないだろうか、それを十分なものにしてもらいたいという立場から私としては申し上げたつもりでございます。
  49. 山崎拓

    ○山崎(拓)委員 終わります。
  50. 野呂恭一

    野呂委員長 武部文君。
  51. 武部文

    ○武部委員 及川参考人にお尋ねをいたします。  先ほどのお話の中で、コンピューター利用の進行によって管理社会化が進行する、こういうふうにお述べになったわけですが、この管理社会化が進行する、こういう点についてもうちょっと具体的にお述べをいただきたい、これが第一点であります。  第二点は、先ほどのお話の中で、電電公社データ通信事業について述べられたわけです。いわゆる情報処理産業として電電公社データ通信事業がアメリカ企業とどうやら肩を並べるようになった、こういうお話でございました。しかし、私ども承知するところでは、電電公社データ通信というのは相当大幅な赤字を抱えておるというふうに聞いておるわけで、事実そのようでありますが、その点はどういうふうにお考えになっておるか、この二つ、最初にお伺いしたい。
  52. 及川一夫

    及川参考人 まず、管理社会化の進行という問題について具体的に答えてもらいたいということでございますが、通産省がお出しになりました「明日の経済社会を支える機械情報産業」という資料が実はございます。非常にわかりやすく書いてあるわけでありますが、これをお読みになれば、恐らくわれわれの生活のすべてがこの情報産業の対象としてコンピューター化されていくということになるだろうというふうに私は思うわけであります。  ですから、いま具体的に国鉄のみどりの窓口の問題とかあるいはマイカーの運転免許の管理、地方自治体での住民の管理、企業の販売や在庫の管理あるいは人事管理等にもこういったもの、情報産業が適用されていっているということになりますと、われわれの一挙手一投足がすべて情報産業、つまりコンピューター中心にしたもので管理をされていくということに実はなるのではないかというふうに考えます。     〔委員長退席、山崎(拓)委員長代理着席〕  しかもそういったものが一つシステムによって運営されていく。システムをつくるのはこれまた人間でありますが、しかし、システムのつくり方についてすべての人間が知っているわけではないし、そのシステムの中で一つの項目がどんなものをインプットして、そしてどんなものが一体処理をされて、何の目的に使われていくのだろうかということがわからずにおったのでは大変なことになるという気持もございまして、われわれはプライバシーの問題などもとらえながら、いまみずから警鐘を打ちながら、今日具体的に取り上げられている問題に対する問題点というものを指摘をしながらプライバシーを守っていこうではないか、あるいは情報をインプットするにしても、どんなものまでが限界なのかということを含めましてやっていかなければならぬのではないかというふうに考えまして、私どもとしては、この管理社会という問題を社会的にもまた政治の面でも大きな問題にしていただかなければならないのじゃないかということを実は申し上げているわけであります。  今日的には、情報化社会という呼ばれ方は、むしろ情報は権力だというふうに言われるような状況なものでありますから、これから先、ありとあらゆるものがそういう社会の中で機械によって管理されていく、こういうことを私としては指摘をしたつもりでございます。  それから、電信電話公社関係データ通信事業というのは赤字になっているのではないかということが指摘をされました。そのとおりになっています。私は、この点まず現実に、これは逓信委員会等でも議論になったようでございますが、公社のお答え、あるいはわれわれ団体交渉等でもお受けするのですけれども、収支率から見ますと、発足当時は一八七という収支率でございました。しかし、これが毎年毎年下がってまいりまして、現在では一五一の収支率に実はなっております。そして逓信委員会等での答えというものを私どもが伺っておりますと、少なくとも昭和五十八年には収支とんとんという状況データ通信というものが発展をしていくのだ、したがって、自信を持って電電公社としては今日のデータ通信事業というものを運営していきたいというふうに公社自身がお答えになっています。  われわれ事業を受け持っているわけですから、そういう労働者の答えの中でも、そういう確信めいたことがわれわれの組合の組織の中の討議としても出ておりますから、大体電電公社が言っていることはおおむね間違いがないのだろうという前提に立ちまして、データ通信事業を担当する労働者の労働条件等の問題についてもさまざまな議論を行っているというふうに申し上げておきたいと思うのであります。  問題は、この収支率一五一ということが大変な赤字ということに実はなるわけでありますが、これは、新しい産業を興すときには、民間の会社がやっておられますように、将来に自信があればかなり先行投資ということをやっていかれるわけですね。したがって、電電公社も毎年大体七百億円以上の投資というものをやっておるようでありますから、そういう先行投資があることによって、今日この事業の収支というものが、いわば黒字ではなくて赤字という状況になっているのではないかというふうに思いますし、その点さえお認めいただけるならば、むしろこの事業、この産業の将来展望ということは一体発展するのかしないのかということが問題になってくるのであろうというふうに私は思うのであります。  たまたま私、基本問題調査会というところでも経営形態の変更問題で呼ばれた経験がございまして、そこでも議論になりましたが、とにかく電電は赤字であるから民営に移したらどうかという議論がいま盛んに行われるわけですね。ところが、民営にすべきだという主張をされる方々は、おおむね会社の経営者といいますか、いわば重役さんが非常に多いわけであります。ですから、民間の立場から見て、これを民営化すべきだということにこだわるということは、民間というのはやはり利益が上がらなければ産業を興すということにはならないというふうに単純に考えていきますと、この情報産業というものは国際的にも国内的にもこれからの明るい産業というふうに位置づけられているというふうに考えますと、電電公社もその気になって対応するならば、この赤字の克服という問題については可能だろうし、われわれ労働者としても、赤字になっている事業を抱えてとにかく連日働いているということは、労働の価値という問題からいっても非常に恥ずかしい、また何となくいやな思いをするわけでありますから、そういった点を考えていきますと、われわれとして自信を持ってこの事業というものを電電事業の中でも生かしていくことができるのではないか。むしろ公共性という立場から、とりわけ福祉という問題になっていきますと、国民生活のかかわり合いで公共性がかなり追求されるわけでありますから、そういう立場に立っても、われわれがこれを担当することは決して間違いではなかろうというふうに考えておるわけであります。
  53. 武部文

    ○武部委員 さらに、もう一点及川参考人にお尋ねをいたしますが、あなた方が一九六九年に提起をされたデータ通信に対する政策の中で——特に国としての情報産業に対する基本政策というのは、昨日も私は、通産大臣に、この基本政策をすでに八年前に作成すべきであるという国会の附帯決議がされておるにかかわらず、今日なおこのことがなされておらないという点について、先ほどからいろいろ御発言がありましたように、総理府の審議会の設置等を含めて早急に基本政策を策定すべきだ、こういうことを述べ、大臣もその線に沿って前向きで努力をする、こういう答弁があったわけです。したがって、この基本政策に関連をして、あなた方が提起をされたいわゆるデータ通信に対する政策で何か具体的なものを考えておられるか、そういう構想が仮にあるとするならば、この機会にちょっとお伺いをしておきたいと思います。
  54. 及川一夫

    及川参考人 私どもデータ通信事業というものを電電公社でとらえたという点は、恐らく日本の中では一番先に情報産業としてのデータ通信というものに携わったのではないか、そういった点では、オーバーに言えば、日本産業というものをリードしてきたという自負心を実は持っています。  しかし、この情報産業というものに無原則で対応してまいりますと、盛んに言われておりますように、国民生活のすみずみまで入っていくようなことになるわけでありますから、利用の仕方によっては、背番号というふうにわれわれは言っておりますが、国民総背番号というふうな問題等にも発展をいたしましてプライバシーを侵害する、その辺をかなり政治としてあるいは法律的に保護をする、守るということが前提でなければならないんじゃないか。そういう立場に立ちますと、当然この情報産業と言われる具体的な内容にも、おのずから慎重にというか、あるいはおのずから限界のあるものも出てくるんじゃないかという立場に立って実は私ども検討をしてきているところであります。  いま考えている問題としては、そういう前提に立ちながら、情報産業発展計画委員会というようなもの、プロジェクトを設置いたしまして、とりわけ各省庁にばらまかれている予算や人的資源というものをすべて集中して、たとえばわれわれは特に救急医療とか公害監視、それから交通管制、都市開発等の問題を重点的に最優先的にとらえていくということが非常に大事な問題ではないだろうか。私どもは、とりわけ公共企業体としての性格を持っておるものですから、国民生活のことはやはりわれわれ労働者の頭の中からも離れませんから、そういう点でいま申し上げたような項目をぜひ実現していきたい。そのために各省庁にまたがる一つのプロジェクトをつくりまして、公社も民間も参加してそれぞれの中で力を発揮しまして、統一した一つの基本政策というものができるようにならないだろうか、実はこんなふうに考えているところであります。
  55. 武部文

    ○武部委員 ありがとうございました。  次に、竪山参考人にお伺いをいたしますが、先ほどお述べになりました項目の中に、労働者の問題が発言の中に随所にございました。そこで、端的にお伺いいたしますが、ソフトウエアあるいは情報処理に携わる労働者の実態というものは一体どうなっておるのか、これに対して今後どうしたらいいのか、何を要求されるのか、具体的に述べていただきたいと思います。
  56. 竪山利文

    ○竪山参考人 特にこれらの産業に従事します労働者の実態から申し上げますと、請負的な性格も非常に強いという点が一面ありますし、また勤務態様一つをとりましても、かなり不規則な勤務態様を強いられる、こういう意味で、特に労働条件的な性格からいきますと、長時間労働、それから深夜労働というのが常態化してくる、こういう事実が明確になってきているわけであります。それからまたさらに、この種のものはやはり頭を使うという内容とも関連いたしまして、実質的には三十五歳ぐらいの年代になりますと一定の限界が出てくる、仕事をかわらされる、こういう事実も面から提起されているわけであります。そういう意味で、特にわれわれとしましては、このような労働条件の実態あるいは勤務情勢ということを考えてもらいまして、最低、基準法を守る、こういう勤務態様を確立してもらう、またそういう労働条件の確立がぜひ必要じゃないかという点をここでは特に強調しているわけであります。
  57. 武部文

    ○武部委員 もう一点は、今後の産業構造についてというところで知識集約化と情報化を進めるべきだ、こういう意見が出たわけですが、先ほど大島参考人からのお話がございましたが、これが行き過ぎるといわゆる政府介入による保護政策になる、こういうことで先ほどから参考人の皆さんからもいろいろお話があったわけです。  昨日、私は、通産大臣に、現在問題になっておるOECDの問題を取り上げて機情法との関係を質問したわけです。すでにことしの二月にこの問題がOECDで取り上げられておる、政府介入による保護政策の問題が取り上げられておる、あるいは六月に入ってもまた同じようにOECDの閣僚理事会が開かれる、あるいはまた七月の先進国首脳会議でもこの問題が取り上げられるのではなかろうか、こういう予測さえ出ておるのでありますが、機情法とこうした問題についての見解は昨日通産大臣から聞いたわけですが、竪山参考人には、労働組合立場からこの問題をどうお考えになっておるか、これを最後にお伺いしたいのであります。
  58. 竪山利文

    ○竪山参考人 今後の産業構造の変化というのは、やはり知識集約型の産業構造に発展していくだろうというふうに考えますし、そういう意味からいきまして、特に機械情報産業というものが今後の情報化社会の中核的な産業になっていく、そういう点におきまして、むしろ先ほどの外資の圧力という問題もございましたけれども、やはり一定のそういう中枢的な産業というのが外資に逃げられるというのはまずいんではないかという点を基本的には考えておるわけでございます。そういう意味で、むしろこれらに対します育成ということにつきましては、国全体の立場からもこれを育成していくということがぜひ必要じゃないかということを一つ前提にして、この問題を提起しているわけであります。  ただ、機械情報産業の考え方につきましてはもっと一元化の努力がされてしかるべきじゃないか、こういう意味で、現状は監督あるいは指導、責任というようなことも含めてまいりながら、先ほどからも幾つか問題が提起されておりますように、各官庁間におきますなわ張り争い的なものが背景的にありまして、なかなか実際的にこれを振興させるという立場の中の政策が立ちおくれを示してきている、こういう点は大変残念に考えるわけであります。そういう意味で、特に本法案に対しましてわれわれは基本的にこれに賛成するという立場の中で、ぜひ進めてもらいたいという点で問題を提起しておるわけでありますけれども、特に労働組合という立場の中で考えてまいりますと、やはり実際の法の運用ということにつきましては当然慎重に対処するということが必要だろうと思います。特にこれらの機械情報産業そのもののあり方というものが今後の社会経済一般にある程度大きな影響を持つということになってくるわけでありますから、先ほど及川参考人の方からも提起されましたように、プライバシーの問題あるいは一応の規制の問題、こういう問題を含めながら対策を明確にしていくということが必要じゃないか、こういうふうに考えております。
  59. 武部文

    ○武部委員 ありがとうございました。
  60. 山崎拓

    ○山崎(拓)委員長代理 中村重光君。
  61. 中村重光

    ○中村(重)委員 森山局長の見解をただしておきますが、先ほど竪山、及川参考人から、情報産業のあり方に対する国の次元での基本政策を早急に樹立するために基本政策審議会を総理府に設置し、その構成には関係労働組合の代表を加える必要があるという意見をお述べになりました。また、山崎委員の質問に対して、重ねて竪山参考人から、そのことに対して具体的にお触れになったわけであります。この点については、昨日当委員会において同僚武部委員の提起に対し、河本通産大臣はその方向で働きかける旨の答弁をなされているわけであります。審議会の設置は法律事項であるわけでございますから、森山局長は大臣の答弁を受けて具体的に積極的に取り組むべきであるというように考えますが、その用意があるかどうか、明確にお答えをいただいておきたいと思います。
  62. 森山信吾

    ○森山(信)政府委員 ただいま中村先生から御提起のございました問題につきましては、私どもも大変重要な問題ではないかというふうに理解しておるところでございます。私も先ほどから参考人の方々の御意見を拝聴しておったわけでございますが、行政的に見ましても、情報産業につきましては関係各省大変数が多いという問題がございまして、一省庁のみではなかなかこの基本問題を処理し切れないという問題点につきましては、痛感をしておるところでございます。したがいまして、何らかの形でこういった情報産業に対する意見を統一するような議論の場所が設置されることは大変望ましい、通産省としてもそういうふうな必要性を痛感しておるわけでございます。したがいまして、いま先生から御指摘のございましたように、昨日の当委員会におきまして、通産大臣から、前向きに働きかけをする、こういう答弁をいたしておりますので、私ども事務当局といたしましても、大臣の答弁を踏まえまして積極的な働きかけをしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  63. 中村重光

    ○中村(重)委員 赤澤参考人にお尋ねをいたしますが、超LSIの技術研究組合、共同研究所ですね、五大メーカーの共同研究所が電子ビーム描画装置というのですか、これを開発したわけですが、これが今後の日米コンピューター戦争に与える影響というものはどういうような影響が起こるでありましょうか。
  64. 赤澤璋一

    赤澤参考人 いまコンピューター技術の中で非常に重要な地位を占めておりますのはLSIの分野であります。この分野技術革新と申しますものが非常に速いスピードで進んでおりまするし、またLSIといったようなものにつきましては、これが非常なスピードあるいは小型化、こういった面でコンピューターの性能を猛烈に上げるわけであります。同時に、小型化いたしますので、価格を猛烈に引き下げる効果もまた持っております。そういう意味で、世界じゅうIBMを初めといたしまして、関係コンピューターメーカー及び半導体メーカー、セミコンダクターという部類のメーカーが、こぞってLSIさらにその次の超しSIといったような分野に取り組んでおる次第でございます。  ただいま御指摘の超LSI開発計画でございますが、これはいま世界じゅうのメーカーあるいは研究所が一生懸命取り組んでおることは事実でございますが、果たしてIBMがどのような開発計画がいま進行しておるのか、あるいはテキサスインスツルメントというようなセミコンダクターの専門メーカーのラボの中でどんなふうに行われているかということは大変最高な機密でありましょうから、なかなかわれわれもうかがい知ることができません。ただ恐らく八〇年代のコンピューター及びコンピューターのみならずたとえば電子交換機等を含みます通信機、さらにはLSI、半導体を使いますような機械産業全般にわたりましてこれが非常に大きな効果を発揮することは事実でございます。そういう趣旨から、五十一年度を起点といたしまして四年間、超LSIの開発計画が政府の指導並びに補助金の交付のもとに五社が共同いたしまして現在進行いたしておりまして、現在三年目を迎えていわば山場に差しかかっておるという状態でございます。  ただいま御指摘のございました電子ビームによりますところの露光装置、この研究はやはりいま一番基本になるポイントの開発でございます。ただいまのところ、LSIと申しますものは、ウェファーシリコンの上に大体三ミクロンないし四ミクロンぐらいの回路をかき込む技術が行われておるのが通常でございますが、いま超LSIの段階になりますと、これをサブミクロンでできないか、一ミクロン以下でございますね。そういうような非常に高性能な技術が要望されておるわけでございます。そこまでまいりますと、今度は電子ビームで回路をかき込めないかということで、電子ビームを使った技術でサブミクロンの回路がかけないかということが研究一つの目標でございます。幸い、五十一年度、五十二年度補助金等をいただきまして研究開究を進めておりまするが、まだそこまではいっておりませんが、そのサブミクロンに近いところまでいけるんじゃないかという露光装置、露光技術と申しますか、その曙光が見えてきたということで発表がなされておるように伺います。  これはまだ超LSI技術のほんの一部でございますが、これからさらに二年間の時間がございますので、こういった期間をかけまして超LSIを開発してまいりたい。その暁におきましては、やはりこれが八〇年代を踏まえたいわばコンピューターを初めとする電子部品の中核的な部品になるだろう、かように考えておる次第でございます。
  65. 中村重光

    ○中村(重)委員 実は時間の制約がありまして、お尋ねも端的にお尋ねをし、お答えもひとつその線に沿って御協力をお願いしたい。  政府指導で進めてきた三グループによる研究開発体制の成果、あるいは今後の見通しといったことですね。これに対しての国からの大きな助成があるわけですが、どのような認識をお持ちになっていらっしゃるのか。私は、かつてこの問題で予算委員会の大蔵省関係で取り上げてまいったことがあります。私なりにこの問題に対してどうあるべきかということで勉強もいたしましたが、やはり情報産業重要性という点から考えて、これは一般会計からの助成ということも、研究組合というものをつくってやっていくわけでございますから、法的にも別に違法とも言えない。ただ、要は形式だけでその効果を十二分に発揮していないということになってくると、問題があるわけであります。したがって、認識の問題、それからただいま私がお尋ねをいたしました具体的な成果といったものが国民の納得するかしないかという問題にかかってこようかと思いますから、その点についての考え方、状況をお聞かせいただきたい。
  66. 赤澤璋一

    赤澤参考人 先生御指摘のように、四十七年度から始まりました三七〇シリーズ対抗の新しい機種開発につきましては、おかげさまで政府の指導、民間の努力と相まって、私は非常に成功したと思っております。先ほども山崎委員の御質問にお答えいたしましたように、とにかくこれができたので、曲がりなりにもIBMその他アメリカ企業の製品に対しましてとにかく対抗できる状態にいまやっとなれたというのが実情であろうと思います。現実問題といたしまして、その成果の一端であろうかと思いますけれども日本コンピューターにおきます国産機外国機シェアをとってみますると、たとえば七〇年当時国産機シェアは、これは金額で五二・七%でございましたが、昨年の三月時点ではこれが五七・五%ということで、金額的なシェアにつきましても日本勢がじりじりと追い上げておる。こういったことも、先ほど御指摘のような、いわば政府の助成による非常に大きな効果があずかって力があったんだということの一つの証左だと考えております。
  67. 中村重光

    ○中村(重)委員 竪山参考人にお尋ねをしますが、寡占化の弊害のあるかないかといったような問題、最近再編成の推進論というのが非常に高まってまいりましたが、これに対する見解はいかがでございましょう。
  68. 竪山利文

    ○竪山参考人 特にコンピューター業界という立場からいきますと、IBMというのは大きな力を占めておるわけでありますから、とにかくこれと対抗するという立場の中で日本のこれらの産業の位置づけを考えました場合には、当初じゃありませんけれども、とても六社で競合し合っていくというようなことでは対応はできないという点から、六社系列が三系列に進められてきたと思うわけです。ただ、現状の三系列のような状態の中で果たしていいのかどうなのか、あるいは対応できるかどうか、この点についてもやはり今後についてはかなり問題を持っておるんじゃないかと思います。西ドイツの状況を見ましても、フランスの状況を見ましても、また英国の状況を見ましても、これがだんだんやや公社的な性格を部分的に持ってくる、こういう集約が行われて、ようやく国内市場シェアをある程度確保しておる、こういう現状が一面あるわけでありますから、この寡占化という体制と対外的な意味国際競争力と、こういう問題をいかに調和するかどうかという点が今後の業界における再編の問題の一つの決め手になっていくのではないか、こういうふうに考えております。
  69. 中村重光

    ○中村(重)委員 同じく竪山、及川参考人にお尋ねをいたしますが、先ほど来審議会の設置という問題についてお話がありました。この情報化に関する基本政策の重要性ということは私どもも十分理解をしているわけなんですが、そこで、この情報化の進展に伴う情報処理本法法制化と、情報化に関する基本政策の確立が非常に重要性を持っているのではないかと考えますが、この点いかがでございましょう。
  70. 竪山利文

    ○竪山参考人 労働組合立場からいきますと、これは当然ここに基本を置くべきだというふうに考えているわけです。そういう中でこれらの産業の位置づけがどうされるかという点が考えていかれるべきではないかと思うわけです。そういう意味で、先ほど提起いたしましたように、機械情報産業そのものが社会、経済、それから政治分野においてもこれは大きな影響力を持つことになってくるわけでありますから、そういう産業であるという立場を含めまして、基本政策については審議会をぜひ設置してもらう、そしてこれらの方向につきまして国としましての明確な方向を確立する、こういうことが必要ではないかというふうにいま考えているわけであります。  ただ、今回の機情法の発展といたしまして、特に今後情報産業高度化計画をどういうふうに進めるかどうかという点についても、具体的な方向はまだ提起されてないわけでありますから、最低でも、むしろこれらに対します基本政策の論議の場というものをぜひ設ける必要があるのではないか、こういう点を強く考えております。
  71. 及川一夫

    及川参考人 中村先生がその必要性についていかがかというふうにお聞きになる問題があるものですから、私どもとしては、産業を育成していくということ自体については反対ではなくて、むしろその育成ということが、いわばただ単なる助成金をその産業に手渡してやってもらいたいという程度のものであっては、将来に禍根を残すのではないかという立場からこの機情法問題を見詰めているということでございます。  特に、私は労働組合という立場に立って物を考えてまいりますと、コンピューターを使うということは、実際問題としてこれは機械化、合理化という問題にはね返っていくし、いままでは情報というものを一人の労働者でやっておったものが、それがコンピューター処理されていくことによってその労働者は必要がなくなっていくというふうになる面が多々あるわけですから、特に竪山参考人は電機労連ということで、そういう機械をつくるという労働者であって、われわれの場合はその機械利用して情報を売る、そうしてまたこの情報を売るということは、いままで手作業でやっていたものが機械化される、したがって機械化されている労働者は必要がなくなるという、この三つの要素を実は現象的には持っておるわけでありますね。ですから、そういうような問題を考えますと、これらに対して一たん機械化してしまって、そういう問題が出てから一体どうするんだということでは非常に遅くなってしまうのではないか、そして紛争だけが起こるのではないか、こういうように労働組合だけの立場から見てもいろいろな問題がかかわっているわけです。  そういう前提に立ちますと、この情報産業というのは非常に有力な産業である、将来性のある産業である、国際的にもそのような目で見られ、力が入れられている、そして政治経済、社会というあらゆるデータが情報産業化されていくというふうに考えると、それこそ産業機密とか国家機密とか、そういう問題もすべてデータバンクに入っていく、それがシェアの自由競争の問題の中で外国資本に握られていくということは、またそれだけ国策的に見て得か損かという問題にもなっていくのではないか。いずれにしても、これらの問題に対して、プライバシー、労働問題を含めて、基本的な政策というものをきちっとつくっておく必要がある。それを前提にして、機情法で言われるような産業育成という問題を考えていく必要があるんじゃないかというふうに考えるものですから、竪山参考人と同じように、各省庁にまたがっての一つのプロジェクトというものを、私ども仮称として先ほども申し上げましたような情報産業発展計画、その前に基本政策を決める審議会を行政組織法に基づいてつくっていただきたいという希望を強く持っているというふうに申し上げておきたいと思います。
  72. 中村重光

    ○中村(重)委員 服部参考人にお尋ねします。  この流通整備のためのソフトウエアの標準化の必要性というのがあるのではないかと思いますが、この点いかがですか。
  73. 服部正

    服部参考人 ただいま中村先生御指摘のように、流通のための条件は、一たん開発しましたソフトウエアがだれにでも使えるというようなことを必要といたします。私どもの言葉でポータビリティーと申しておりますが、そのためにはある一つの基準のようなものも必要になってくる。また、そのような基準を業界でも模索するように努めております。
  74. 中村重光

    ○中村(重)委員 竪山、及川参考人にお尋ねいたしますが、旧機電法成果についての労働側の評価というものはどうであったのか。先ほど意見を述べていただいた中で断片的にはわかったわけですが、特にこの政策目標の一つであったのが省力化の推進でしたから、それは労働時間の短縮とか労働環境の改善に結びついたとお考えになるのかどうか。そうではなくて、零細企業の切り捨てであるとか、あるいは単に失業者を増大させる結果に終わったという御認識かどうか、いかがでしょう。
  75. 及川一夫

    及川参考人 機電法の問題でのプラスの面というのは、たしか大島参考人がおっしゃられたように、大変大きな役割りを果たしただろうというふうに私は思っております。ただ、機電法がつくられまして、そのことによって中小関係が要すれば切り捨てられていくということが具体的に発生したのではないかというふうに私は実は思っているわけであります。とりわけ労働組合同士のおつき合いの中で、当該の組合機電法の問題で切り捨てられたという経験がございまして、今度の機情法が提起されたことに対しても、大企業はそれでいいかもしらぬけれども、このことによって中小関係機電法と同様に切り捨てられていくんじゃないかということで、幾つかの組合から私どもにいろいろな相談がごく最近あったということを担当の方から実は聞いているわけでありまして、そういった点は、大企業というだけではなくて、中小関係を含めた立場になってこの機情法が運営されていかなければ、IBMとかGEとか、いろいろ問題意識を持っていることに対しての対応ができないのではないか、こういうふうな感想を私としては持っています。
  76. 中村重光

    ○中村(重)委員 時間の関係もありますから、次のことを竪山参考人にお尋ねをいたします。  この機械情報産業の雇用の吸収力に対する労働界の期待です。その場合における中高年労働者の再雇用を円滑にするための環境整備というものはどうあるべきかということについて、いかがでございましょうか。
  77. 竪山利文

    ○竪山参考人 機情法そのものの持っております性格からいきまして、今後の先端産業、特に第三次産業を含めました形の中でも大きな比重を占めてくるのじゃないか、そういう意味で雇用増大、拡大についてかなり吸収できる成長産業だろう、こういう位置づけをわれわれ自身はいたしているわけであります。  ただ、先ほども御指摘がございましたように、今回の機電法そのものにつきましては、産業の育成という点については非常に効果があったと思いますけれども、省力化ということを含めながら、これが果たして働く者に対してどうであったかということにつきましては大きな問題も絡んできていることは事実でありますから、むしろ今後この種の問題につきまして労働側の意見も十分聞いて対処してもらうことがぜひ必要じゃないかという点を痛感するわけであります。
  78. 中村重光

    ○中村(重)委員 この点も竪山参考人にお尋ねいたします。  システム化や知識集約化への産業構造の転換、それから産業調整の進展に伴う雇用関係の摩擦が当然起こってくるわけですが、この回避策はどうあるべきかについて、労働関係の権威者のお二人でございますから、この点お聞かせくださいませんか。お二人からでも結構です。
  79. 及川一夫

    及川参考人 先ほども申し上げましたとおり、コンピューター利用の問題は、労働組合にとっては、三つの要素で時と場合によれば相対立する関係存在するわけです。特に、こういう情報化産業が進んでまいることが、一面では非常に便利になるということがあったとしても、そのために労働者が切り捨てられるということであっては、当然その労働者は抵抗をするわけでございますから、特にそういう情報を売っている電電公社情報産業をやめるべきである、同時に、それをもっと突き上げていきますと、その基本であるコンピューターをつくることをやめるべきじゃないか、第一次産業革命でありませんけれども機械取り壊し的な発想にまでさかのぼっていく主張も労働諸団体の中では労働者意見として出てくるわけでありまして、こういうことでは問題の解決にはならないのじゃないかということで、とりわけこの情報産業の問題につきましては、電機労連の竪山さん、それから全電通との間で統一した政策づくりというものもしていかなければなりません。同時に、関連する労働組合との間でもお互いに話をしながら、そういう雇用、失業、省力化の問題に対しては統一した考え方で対応していかなければいけないと思っておりますから、そのためにも、先ほどから申し上げておりますように、労働組合の参加という問題、あるいは労働団体から基本的な問題を議論するところに意見の反映ができるような措置お願いしていきたい。そういう立場に立って最小限度に労働者に対する影響を抑えながら、要するに調和を求めて一つの知識情報産業の推進をしていただく、こういうことで労働組合としては対応していきたいという立場から具体的にやっている立場にありますので、そういうふうにお答えをしておきたいと思います。
  80. 中村重光

    ○中村(重)委員 赤澤参考人にお尋ねいたします。  情報化処理業は、零細で、過当競争があるわけですね。それから、外資上陸の外圧を受けるといった非常に悪い条件の中にある。本案の対象から除外をされたわけですが、そこで別途に保護育成のための措置が必要ではないのか。先ほど竪山参考人からこの点は御意見の中に強く述べられたわけで、私どももこれらの点についてさらに十分検討をしていきたい、こう考えているわけであります。情報処理事業所法といった構想もあるやに伺っているわけですが、これらの点に対する見解はいかがでございましょうか。
  81. 赤澤璋一

    赤澤参考人 情報処理サービス業と申しましてもいろいろな業態がございます。もちろん電電公社自体がまたそういうサービスもしておられるわけでございまして、各種いろいろな業態がございまして、一概に一本にまとめて対策を打つということにもいろいろ問題があろうかと思います。  ただ、御指摘のように、この面は今後情報化社会進展とともに非常に重要な部分を担う分野でございますので、ぜひ政府あるいは国会におかれましてもこの点に留意をされて、何らかの振興策をお願いしたい、私どももさように考えております。
  82. 中村重光

    ○中村(重)委員 最後に、服部参考人にお尋ねをいたします。  ソフトウエア関係技術者の不足状況はどんなものだろうか。現在の技術者の養成のあり方、また今後の見通しといったようなことは非常に重要な問題点であろうかと思うのでありますが、いかがでございますか。
  83. 服部正

    服部参考人 御承知のように、日本では、ほかの技術と違いまして、情報処理技術に関する限り民間が主導的でございまして、大学の方がむしろ後になりました。すなわち、情報産業の諸学科は後年になってできたわけで、民間産業主導型で今日まで要員を充足してまいった次第でございます。この場合に一番問題になりますのは、企業内教育しか頼るところはございませんので、この教育に十分な配慮をしてまいったわけでございます。さきに法律でも企業内の教育の特別税制等の御措置をいただいておるわけでございますが、そのような努力を続けましてもなおかつ足りないというのが現状でございます。これは人数だけではございませんで、質の問題も絡むわけでございますので、今後質のよい人間たちをどのような形で養成し、各大学でつくられました情報関係諸学科の卒業生の到来を待つかということだろうと思います。私どもの一番念願しておりますのは質でございます。質の問題に関して一生懸命努力して、要員の教育、獲得に努めております。
  84. 中村重光

    ○中村(重)委員 終わります。
  85. 山崎拓

    ○山崎(拓)委員長代理 玉城栄一君。
  86. 玉城栄一

    ○玉城委員 昨日新聞等でも種々報道されておるわけですが、赤澤参考人にお伺いいたしたいのであります。  例のIBMのEシリーズの問題でありますけれども、一応こういう業界の代表という形で、この問題について業界とされてはどういうふうに情報を入手され、またどういうふうに評価をしておられるのか、その点をお伺いいたします。
  87. 赤澤璋一

    赤澤参考人 一昨日来の新聞、私も拝見いたしております。IBMのセールスマンがそういったような情報をもってセールスをしているということにつきましては、私も第一線の私どもの営業マンから、昨年の暮れからことしにかけてでございましょうか、報告を聞いたことがございます。  Eシリーズというのは、実は前からアメリカでもいろいろなことで情報が流れておりまして、あるいはそういうものが出てくるのかなということもありまして、いろいろ情報は一般の情報としては流れておりましたが、IBMの発表がございませんので、果たして中身がどういう性能のものであるか、いつ発表になるか、あるいはいつファーストデリバリーがあるのか、私ども正確には全く知らない状態であったわけであります。そういうことで、五里霧中といいますか、そういうことをセールスの段階でやっておるということは承知しておりましたが、果たしていつIBMがそれを発表されるのかということは全く存じませんでした。  その意味で、昨日来の新聞を拝見いたしますと、通産省の方でいろいろ御調査になった結果、まだその辺もはっきりしていないということでございますので、その辺の実態が十分わかった上で、われわれとしても、本件、通産省がどういうふうに対処されますか、対処の仕方も拝見しながら私どもも態度を固めてまいりたい、かように考えている次第でございます。
  88. 玉城栄一

    ○玉城委員 いろいろと非常に重要な問題があろうかと思います。それで、業界とされましては、これに対抗するマシンの開発先ほどの御説明で超LSI、これの開発との関連だと思いますが、それはやはり八〇年代ということなんでしょうか、その辺の状況を御説明いただきたいと思います。
  89. 赤澤璋一

    赤澤参考人 これは先生もう御存じのことと存じますけれどもコンピューター開発と申しますのは、短くて三年あるいは全部シリーズが完成いたしますには五年の年月を大体必要といたします。そういう意味から、一つの機種、シリーズが発表になりますと、それが販売され出しますと実はすぐ次の機種の開発に取りかかっていく、もちろんこれにはまず基礎的な面からいろいろ研究してまいりますので、時間がかかるわけでございますが、そういうのがコンピューター業界の現実でございます。したがって、IBMも三七〇シリーズを出し、昨年の三月から今度は三〇何とかという、三〇三〇シリーズとも言っておりますが、そういうものが現に発表され、そしてその一号機はこの三月にアメリカですでに出荷されているという状況であります。  したがって、これは競争状態にありますので、IBMが果たして三〇三〇シリーズの次のシリーズをいつ出してくるのか、あるいは通常こういったシリーズ物のライフが先ほど申しましたように四年ないし五年といたしますと、八一、二年ころにやるのか、あるいはまた、別途議論がありましたように、三〇三〇シリーズは単なるブリッジマシンでつなぎである、Eとかいうような新しいシリーズまでのほんのつなぎ機種だというふうにも考えられないわけでもありません。そういったことは、IBMがどういう戦略を持って次の八〇年代を迎えようとしているかということであろうかと思います。  私どもメーカーといたしましては、五十年の秋に新しいシリーズを発表いたし、そして五十一年の秋からこれの販売をしておりますので、その段階におきましては、当然次のIBMの打ってくるであろう技術進歩等も測定しながらいま開発を進めております。これはいまどういう現状であるかとか、あるいはいつごろそれが発表できるかというようなことは、実は大変な営業戦略の基本的な問題でございますので、ちょっとここでは御説明いたしかねますが、いずれにしても、超LSI開発技術等を含みながら、次期新機種というものの開発にいま一生懸命邁進しておるというように御了解いただければ幸いだと思います。
  90. 玉城栄一

    ○玉城委員 同じく赤澤参考人に重ねてお伺いしますが、去年の三月から十月にかけて、先生の会社との提携会社でありますアムダール社との関係で、このIBMが本体を大幅に三五%引き下げたというようなことは、結局ねらいとしては皆さん方への一つのねらい撃ちではないかというようなふうに聞かされておるわけですが、御存じのとおり、このIBMというのはもう巨大な企業でありますし、今後の対抗と申しますか、見通しと申しますか、その辺をお聞かせいただければ幸いであります。
  91. 赤澤璋一

    赤澤参考人 昨年の春以来のIBMの政策が、価格政策に非常な重点を置いて行われてきたというふうに私どもも見ております。従来の長い歴史の過程で見てまいりますと、やはりIBMというのは大変な先進技術企業でございますので、まずほかの各社の持っていないような新しい技術を駆使したシステムを発表いたしまして、先ほど議論が出ておりますように、たとえば三七〇シリーズについても、日本はそれをうかがいながら数年でそれに追いついていって、ある面では若干それを追い越したというようなことになっておるように、常に先進技術をもって世界コンピューター業界をリードしてきたのでございます。それに対しまして、昨年来のIBMの政策を私ども業界の方から見ておりますと、そういう先進技術で次の世代をリードしていくということよりも、価格を下げていくあるいは三〇三〇シリーズに見られますように、技術の内容よりもむしろ価格性能比をよくしていくというような方向に政策が打ち出されてきているのではなかろうかというふうに判断をいたしております。  われわれ国産のメーカーといたしましては、当然これに対抗しながら競争していかなければなりませんが、その一つは、もちろん私どもなりにいろんな面で開発をいたしました新しい技術を、どんどんと私どもの製品の中に入れ込んでいくということであります。たとえばメモリーにつきましても、従来は八K等でございましたが、新しくつくり上げました十六Kのメモリーを使うとかいうようなことで、システムあるいはCPUそのものの性能を思い切って上げていくような努力をしながら、同時に、コストの面につきましては可能な限りの合理化努力をするということで、たとえば私どもの会社の例をとりますと、すでにVE推進本部というものが発足しておりまして、工場のすみずみに至るまで、いかにコストを下げ、能率を上げていくかという努力を積み重ねております。そういうことでいまのIBMの行っております政策に対しましてわれわれは対抗していっておりまするし、また、これからも新しいシリーズができますまでは、そういう方向で対処していくということになろうかと存じております。
  92. 玉城栄一

    ○玉城委員 大変貴重な御意見ありがとうございました。  次に、服部参考人の方にお伺いいたしたいのでありますが、昨日来、本日も議論になっております今回の機情法の対象からいわゆる情報処理サービス業が外されている。ソフトウエアは対象になっておるわけですが、いずれにしましても、この部門は非常に密接な関連があると思うわけです。したがって、機情法の中に外されている情報処理サービス業も、少なくても民間部門については含まれた方がいいのかどうか、その辺の御見解をお聞かせいただきたいと思います。
  93. 服部正

    服部参考人 先生御指摘の問題で、いわゆる密接という問題は、二つの意味において密接という関係があったかと思います。一つは、ソフトというのは、御承知のようにコンピューターに芸を与えることでございまして、そしてその芸を演じさせるいわゆる処理する方と、この二つというのは不可分の関係にあるという、これが一つの密接な意味で、もう一つの方は、実際問題といたしまして、この両者を兼ねている企業相当数あるということでございまして、そういう意味で、これらの両企業はともに情報処理産業といたしまして大事なもの、不可分の関係にあると思っておりまして、今回、どういうあれか存じませんが、私どもソフトの方だけ入っておりますが、このセンター業に対しましても特別に御検討いただくことが望ましいのではないかと、私見でございますが、思っております。
  94. 玉城栄一

    ○玉城委員 このソフトウエア産業情報産業の中では一割産業というふうに言われている。そういうことで、ソフトウエアの価格の確立ということが、いまのわが国の商習慣上無形の対価というものが支払われにくいというようなことが原因になっているというふうに聞かされているわけですけれども、そのソフトウエアの価格の確立ということについてお考えがありましたら、お聞かせいただきたいと思います。」
  95. 服部正

    服部参考人 ソフトウエアの価格に関しましては、日本のみならず諸外国でも悩んでおる面もございます。実際問題といたしまして、一つの考え方といたしましては、実際にかかった費用だけそれを積み重ねていって払ってやろう、こういう考え方でございます。すなわち実費報酬加算制と申しますか、実費を加算していく考え方でございます。ただ、この方法だけでまいりますと、非常にできの悪い方がうんと時間がかかりまして、非常にできのいい人がやりますと、早くできてしまう、早くできると安くなるというような矛盾を感じるわけでございます。されば、でき上がっている製品に対してどういうふうに価値を評価したらいいかということになるのでございますが、これは絵の値段と同じで、なかなか一朝にして決まらない問題だと思っております。  ただ、私ども業界として願っておりますことは二つございまして、一つは、ハードウエアの値段というものとソフトウエアの値段というものを別々にして評価する慣習をつけていただきたい。ハードウエアはこれだけの値段、それに伴うソフトウエアはこれだけの値段、突っ込みで幾らというのではなく、別々にしていただきたいと思っております。これが一つ。第二に、できることでしたら、いろいろ将来議論はございましょうけれども、少なくとも国からの発注だけは、何か一つの評価方式があって発注されるようになりますと、民間の発注もそれにならっていくのではないかという期待を持っております。  以上でございます。
  96. 玉城栄一

    ○玉城委員 重ねて服部参考人にお伺いいたしますが、ソフトウエアの流通については、現在のIPA法がその任にあるわけですけれども、この情報処理振興事業協会が真に業界の期待しておられるとおりに機能しているのかどうか、その点、いわゆるIPAに対する考え方、要望等ありましたら、お聞かせいただきたいと思います。
  97. 服部正

    服部参考人 先ほど来お話が出ておりますように、日本にはNASAがない。NASAのない日本の国でなかなかソフトウエア技術が発達し得ないという議論のありましたときにIPA法ができまして、NASAにかわるべき一つの機関として出たことは業界にとって大変喜ばしいことでございました。事実、IPAのおかげをもちまして、二つの意味で大変御支援をいただいてまいりました。一つは、われわれのように担保力のない会社に対して、信用保証業務あるいは融資制度というような面で、脆弱なわれわれが、過去七年たったと思いますが、六年か七年に及びまして立ち上がりのときに大変御支援いただいたという事実でございます。それから第二に、数少ないソフトウエアの発注という点で、IPAの発注をいただいたわけでございます。  ただ、意見を言わさせていただきますならば、このIPAのソフトウエアというのは、ソフトウエア生産して、そしてそれを国が買ってくださるというところでございますが、ソフトウエアは、生産するというだけのその前に、いろいろな事前調査その他がございます。いわゆる技術力の蓄積なくしてはソフトウエア生産に入れないわけでございまして、その生産部門だけが対価の対象になりますと、良質のソフトが今後得られないのではないか、できればそのIPA法で、プログラムをつくるというところだけでなく、さらにその前とそれからその後の研究というものにお金がつくようにしていただければというふうに思考いたします。
  98. 玉城栄一

    ○玉城委員 ソフトウエア業界の大半が、ほとんどコンピューターメーカーの下請であるというふうに伺っておるわけですけれども、自社開発商品をつくる、いわゆる自立することが非常にむずかしい状態にあるのかどうか、その辺をお聞かせいただきたいと思います。
  99. 服部正

    服部参考人 実際にソフトウエアだけの市場の多くは、コンピューターメーカーさんが最大の大手市場でございます。で、ソフトウエアには二種類ございまして、いわゆる契約を受けてつくるソフトウエア、このメーカーさんからいただく仕事はそれでございます。またお国の発注もそれに近いものでございます。それ以外に、ちょうど出版社が本を企画し出版するがごとく、自主的に一つのものを自己資力で開発いたしましてそれを世に問うというような種類、これが第二の種類かと思います。  われわれソフト業界といたしましては、この第二の種類のソフトウエアにいくことをもって念願といたしておりますが、これは非常に資力が要ることでございます。それから第二に、マーケットサイズの点で、アメリカの場合はIBMというのがほとんどの機種でございますが、日本は一機種だけではございませんので、そこで価格その他の問題、いわゆるソフトウエアの販売価格というのは、開発費幾つで割るかというその分母のとり方がアメリカと異なります点。それから第三に、そういったような企業に対するいわゆるベンチャーキャピタルというようなものが日本ではいまだ定着しておりませんので、アメリカに比べてそういう点で、あこがれてはおりますけれども、その方向へなかなか勇気を持って進みがたい状態でございます。
  100. 玉城栄一

    ○玉城委員 大変ありがとうございました。  次に、及川参考人にお伺いいたしたいのであります。  先ほどからもるるお話がありましたが、SEあるいはプログラマー等の技術者の不足等もあると思いますけれども、こういう方々の労働条件がきわめて厳しい、深夜労働というようなこともあるというふうに聞かされているわけです。そういうようなことで、中には自殺者まで出たというようなことも聞かされておるわけですけれども、これは非常に重要な問題があろうと思います。こういう関係労働者に対して、労働組合とされてどういう対策をとっておられるのか、お聞かせいただきたいと思います。
  101. 及川一夫

    及川参考人 労働条件のことについてお聞きいただきまして、感謝申し上げます。  確かにこの事業が公社に参りましてから自殺者が出たということがございますが、これはたまたまキーパンチャーの方々、婦人の方がございましたけれども、それにわれわれも、新しい産業だと言いながら、新しい産業であるだけにどういう対策、対応が必要なのかということが大変おくれておりまして、そういったものをきっかけにいたしまして、団体交渉でもかなり時間をかけましてやりました。特に私どもとしては、この労働はただ単に金をたくさん上げれば問題が解決するということではなくて、高いにこしたことはないですけれども、やはり労働の量というもの、労働時間、それから作業量、こういったものをかなり規制というか、要すれば労働過重にならないように対応していかなければならぬということを私どもは基本にいたしまして、電電公社当局との間には一定の条件を確立させております。その後、そういったことがあってからだろうとは思いますけれども、そういった非常に不幸な事態になるという事件は今日まで出ていないというふうに思っております。  ただ、問題は、労働の質という問題からいきますと、これまた日本では、新しい産業であるために、どういう価値で評価をすることが一番正しいあり方なのかという参考になるものがありませんでしたので、たしか八年くらい前でしたか、電機労連の竪山委員長のところの組合の方々と一緒に、欧米などを視察いたしまして調査をした経験がございます。そういう中では、やはりIBMの労働条件というものは、恐らく日本の労働条件から見ると、名目で言えば約二割ないし三割条件的に高いというふうに思うのでありますけれども、しかし、またこれは労働時間等の面から言えば一体どういうことなのか。必ずしもIBMの皆さんの場合には、ドイツならドイツの国にそういう企業がありましても、なかなか労働条件というものを率直に明かしてくれません。時と場合によれば、労働組合の結成自体も何か奨励しないというか、認めてないというか、そういうことがこれまた一つの条件になっているような気がいたしておりまして、そういった点で非常に私どもとしては問題を感じております。  そういう立場からいいますと、この情報産業関係する労働者の労働組合組織というのは、きわめて少ない状況にあるんじゃないか、われわれの立場から言えば野放しの状態にあるんじゃないかということに私は受けとめておりまして、同じ産業労働者が自分たちの身を守るために、労働条件を向上させるためにもできるだけそういう組織づくりが必要だということで全体的には対応しながら、電電公社の中ではこれは組織ができておりますから、十分ひとつ仕事との関係において労働組合として対応している、多少抽象的でございますが、そういう対応策になっているということを申し上げておきます。
  102. 玉城栄一

    ○玉城委員 大変ありがとうございました。  最後に、竪山参考人にお伺いしたいのですが、何回もこれまでも御説明がありました。今回機情法案から除外されておりますところの情報サービス業の助成策については、強く御要請があったわけであります。したがいまして、この法案の中に本来入ってくるべきだったのではないかという感じもしたわけでありますけれども、現実にいま外されて、いろいろな事情があったろうと思います。したがいまして、当然これは何らかの救済策がとられるべきではないかと思うわけであります。考えられますことは、やはりこの法案とともに附帯決議の中に強力にそういうことをうたう必要があるのではないかという感じもするわけですけれども、竪山参考人としましてはどのようにお考えになるのか、お聞かせいただきたいと思います。
  103. 竪山利文

    ○竪山参考人 経過、内容につきましては、いろいろ先生方も御指摘になる点がたくさんあるんじゃないかと思いますし、私も先ほど言いました点、ぜひ一元化、総合的な計画という点から、情報処理サービス関係の対象に対してとにかく特別な考慮を持ってもらいたいことを提起したわけであります。したがいまして、われわれ自身の考え方といたしましては、とにかく情報産業が国民経済に及ぼす影響が非常に重大なものを持っておるということ、それからその発展を期するために国家的な基本政策を早急に確立する、こういう点を強調してきておるわけです。これはやはり何らかの形で考え方を生かす、あるいは審議会の設定をしてもらう、こういう点の御尽力をいただきたい、こういうふうに考えておるわけです。  それから、特に民間の情報処理産業という点では、きわめてまだ未成熟な産業分野というのが非常に多いわけであります。そういう意味で、統一的施策はぜひひとつやってもらいたい、責任を持ってやってもらいたい、こういうふうに考えておりますから、この育成強化という点につきまして、これも何らか付帯的な決議としまして方向づけが確認されていかれるならば大変ありがたい、こういうふうに考えているわけでございます。  さらに、高度化計画の策定並びに推進に当たりまして、いまからやはり具体的な論議が行われてくるというふうに考えますから、ぜひ労働組合の代表の意見も聞いてもらう、こういう意味で、最低限この基本政策に対するあるいは高度化計画に対します審議会の設置というものを行ってもらいまして、ぜひ組合の代表の意見を聞いてもらいたい、こういうふうに考えておるわけです。  それからさらに、これらの計画の促進に当たりまして中小企業等の倒産やあるいは失業の事態を惹起しないように、政府としましても特段の配慮もしてもらいたいという点も含めましてお願いしたい。  すでにわれわれは賛意を表しますわけですけども、付帯的な意見としまして提起しました内容を、何らかの形で附帯決議としまして生かしていただけるならば大変幸いだ、こういうふうに考えています。
  104. 玉城栄一

    ○玉城委員 どうも大変貴重な御意見、ありがとうございました。  以上でございます。
  105. 山崎拓

    ○山崎(拓)委員長代理 宮田早苗君。
  106. 宮田早苗

    ○宮田委員 電子計算機振興政策に関しまして、まず赤澤参考人にお尋ねをいたします。  わが国の電算機メーカーが欧米企業に比較して企業体質が弱い。しかも四年来の不況も加わって、研究開発能力が資金面から弱くなっておると思います。これは各種の資料で裏づけられておるわけですが、通産省の資料にあります国産メーカー六社の研究開発費は、一昨年で千九百七十一億円、これもメーカー全体ですので非電子計算部門も含んでいるということですが、果たして実態はどういうふうなものか、まずその点について御説明を願いたいと思います。
  107. 赤澤璋一

    赤澤参考人 先ほどもお答え申し上げましたように、私ども電算機メーカーにとりましては、研究開発という仕事は、いわば企業根幹をなす一つの事業でございます。もちろん販売、営業あるいは経理、財務、いろいろなものがございますけれども研究開発に関するものは企業としては根幹的なものだという認識をいたしております。オイルショック以来大変産業界おしなべて不況でございますが、まあ幸いと申しますか、電算機関係につきましては、毎年売上高におきましても、一割以上というような売上高が累進をいたしておりますし、まあまあ世の中からはわりにいい方の部類だなという評価も受けているんじゃなかろうかと思います。  しかし、やはりこの開発費の負担の割合というものは非常に高うございまして、たとえば私どもの会社の例で申し上げて大変恐縮でございますが、私どもの会社の例で申しましても、売上高に対しましていわゆる研究開発費だけとりましても、七%強というような非常に高い比率研究開発費を毎年投入いたしております。こういったことも、先ほど来出ておりますように、大変巨大な海外企業と対抗してまいりますためには不可欠な要件でありまして、またこういった研究開発費を生み出すだけの企業体質を維持してまいりますためには、あらゆる合理化努力、社内における経費の節減努力、コストダウン努力、こういったことが要請されておるわけでございます。こういったことと両々相まちまして、いまのところ研究開発に可能な限りの資金を投入しているというのが実情であろうかと思います。
  108. 宮田早苗

    ○宮田委員 引き続いてお伺いをいたしますのは、国の予算でございます。国の助成につきましては、五十二年度予算で見ますと、電算機振興に一般会計で約百億円、財投で五百六十億円、こうなっております。この額が多いか少ないかの議論はさておきまして、業界の御意見をお聞かせ願いたいのと、企業みずからの研究開発費負担能力をいままでも中心にお考えのようですけれども、これからどうつけていこうとしているのか、あわせてお伺いをいたします。
  109. 赤澤璋一

    赤澤参考人 五十三年度予算で決められております一般会計の中心は、超しSIの開発補助金であろうかと存じます。これは四年計画でございまして、総額七百五十億、そのうちの補助金が三百億ということで、五十一年度以来継続して行われておる事業に対する補助金でございます。で、先ほど議論がございましたように、私どもも、この超LSIの開発、これから得られます成果と申しますものは八〇年代におけるエレクトロニクス技術根幹だと考えておりますので、何はさておきましてもこの研究だけは続けてまいらなきやならぬ、かように考えております。いわば優先第一に考えなきゃならぬ筋合いのものであろうかと存じております。現在の超LSI研究開発組合の進行状態を見ておりますと、まずまず予定に近いところで研究成果が上がりつつございますので、恐らくことしの百億という資金につきましてもきわめて有効に使われるのでありましょうし、これに対応いたします百数十億の民間からの負担金につきましても、われわれはこれを喜んで出さなきゃいかぬ、また私ども自身もこれを第一の研究開発課題として取り組んでいかなきゃならぬ、かように考えております。  それから、第二の財投でございますが、このうちの大部分はJECC、日本電子計算機株式会社に対する財投融資の分であろうかと思います。JECCと申しますのは、御案内のように、私どもコンピューターを買い上げて販売する、つまり日本コンピューターメーカーがきわめて資金不足の状態にございますので、JECCに対する財投資金を中心にいたしまして、いわばIBMその他アメリカのメーカーがとっておりますレンタルシステムに対抗するために政府が助成していただいておるものと考えております。現在の状態からいたしますと、本年度の財投金額は、まあ私見でございますが、まずまずのところではないか。恐らくこれ以上多額のものは——仮に不足をしてもそう大きく不足することはない、かような判断をいたしておるところでございます。
  110. 宮田早苗

    ○宮田委員 もう一点お伺いをいたします。  御意見の中に、先進諸国と比較するとまだギャップがある、しかし、これからは世界市場に目を向けて対処しなければならぬ、しかし、わが国におきましては相当な壁、障壁があるので、これの打開が特にこれから必要だ、こういうふうな御意見であったと思いますが、この障壁、壁、どういうものがあるといまお考えであるか、お知らせ願いたいと思います。
  111. 赤澤璋一

    赤澤参考人 私どもコンピューターと申しますものは、他の機械でも若干そういうところがございますけれども、それ以上に、機械を単体として売ると申しますよりも、システムとしてこれをユーザーに使っていただくようなものでございます。したがいまして、ユーザーニーズとわれわれのシステムとがうまくマッチいたしませんと、これはなかなか売れていくものではございません。そういう意味で、ソフトウエアを含めまして、ハードだけではございませんで、ハード、ソフト両面にまたがるメンテナンス、保守の問題が非常に重要な問題になるわけでございます。そういう意味からいたしまして、外国に出てまいりますと、やはりその国その国の言葉の問題があり、労働者それぞれの習慣等があり、いろいろな面がございまして、そういうものを、たとえば私ども機械で申しますと、富士通システムに教育するまでの期間が相当期間必要でございます。  また、やはりレンタルシステムをとっております関係上、その国におきますいろいろな資金の問題が出てまいります。当初の間は相当資金を必要といたしますけれども、収入はそれほど上がってこないというのがレンタルシステムの特徴でございますので、何年間かは赤字を覚悟の上で踏ん張っていかなければならぬ、こういうのが実情でございます。  そういったような資金の問題、したがって資力の問題、また現地でそういうシステムをメンテナンスしていきます要員の教育の問題、こういった問題が非常に重要な問題でございます。そこで、先ほど申し上げましたように、日本ではいまのところ国産機が五七%ぐらいのシェアを占めておりますが、海外ではそういった実績はほとんどまだ不十分でございます。しかし、いずれにしても、こういった膨大な開発費をかけた新しい商品であり、かつそのもの自身が国際性を持った商品でございますので、私どもといたしましては、こういう壁を乗り越えて国際的な商品として将来海外に出ていかなければならぬ、こういうことを念願をいたしております。その面につきましても、いろいろな面で政府その他の御援助、施策が望まれるところではないかと考えております。
  112. 宮田早苗

    ○宮田委員 次に、服部参考人にお伺いいたします。  情報産業振興策の柱の一つとして、ソフトウエア業、それから情報処理サービス業を法律の対象としてきたことは、これは時代の趨勢だ、こう思います。ところが、この業界は申すまでもなく中小企業性の強い業界と思いますが、大きくすることが必ずしも業界の発展にということにはならないとは思いますが、中小の再編統合といった必要性なりあるいは業界内部におきます機運、こういうことについて説明をしていただきたいと思います。
  113. 服部正

    服部参考人 先生御指摘のごとく、両企業ともきわめて中小企業性の高い面を持っております。ただ、これはセンター業とソフト業とはいささか性格を異にする面もございまして、センター業の方は、やはり大きいネットワークと申しますか、より広い客層を吸収していくためには、ある程度のスケールメリットというものも必要かと思います。そういう意味において、ソフト業がスケールメリットがないとは決して申しませんけれどもソフト業の方がその点でそれほどスケールメリットがとれない、むしろ質の勝負だというような点もございます。  したがって、両方一つには論じられないのでございますが、ただ、そういう小さい企業が先生のおっしゃったように今後再編成とかそういう方向へいくかということなんでございますが、まず第一段階といたしまして、お互いの技術をお互いに使い合えるようなこと、これをまず最初に考えるべきじゃないか。すなわち、自分だけで開発しまして、そして人もまた同じようなものを開発してというつまらないことをしない、むだをしないような努力、この点に関しましては、特に国におかれましても、三年前にいわゆるソフトウエアモジュールの技術研究組合というようなものをつくって御指導いただいております。そのようなことから、ともかくわれわれの中で使い合おうではないかというような機運というのは出ております。その再編成という問題、いますぐここでお答えできかねるのでございますが、何らかの形で一緒にやっていかなければならないという認識は持っております。
  114. 宮田早苗

    ○宮田委員 もう一点お伺いをしたいわけですが、御意見の中に、情報産業の今後は量の議論よりは質の議論にならなければならぬ、当然とは思いますが、中でも技術力の向上というものがこれは特に必要だと強調されたわけであります。産業自体性格から、もう一つ完璧を要求されるということもおっしゃったわけであります。そのとおりと思いますが、であるならば、技術力ということだけでなしに、そのときにいろいろおっしゃったわけですけれども、ちょっと失念いたしましたので、ほかに完璧を期するためにどのような質を要求されるものか、あるいは期待をされるものか、もう一度御説明をしていただきたい、こう思います。
  115. 服部正

    服部参考人 先ほど私が述べさしていただきました中で、いわゆる完璧を要求されるということは、一カ所といえども誤りがありますと、これは全く動かないのでございまして、いわゆる九九・九分ありましてもだめで、パーフェクト、百点でなければならないという意味完璧を要求されるという言葉を使わせていただきました。しかしながら、二つのソフトウエアがともに完璧でありましても、なお質の問題というのはさらに残るわけでございます。すなわち、質の問題というのは完璧さの問題ではなくて、完璧性というのは前提条件でございまして、その上に今度質の問題が残る。すなわち、片方のソフトでやると非常に速いとか、片方のソフトでやると非常に精度がいいとか、そういうような質の議論、いずれも完璧性の上に立つ問題だと考えております。
  116. 宮田早苗

    ○宮田委員 電機労連の竪山委員長に労働力問題を中心にしてお伺いをしたいと思います。  産業構造審議会の答申でも、機械情報産業を取り巻く問題点の一つとして、労働力の高齢化、それから高学歴化、こういった雇用環境変化を取り上げておるわけでございます。要点は御存じと思いますが、この機械情報産業分野での労働力確保がむずかしくなるということ、あるいは熟練労働者の賃金上昇によって国際競争力の低下が懸念される、こういった内容でございますが、このような問題指摘に対しまして労働組合の指導者として御意見がございましたらひとつお伺いしたい、こう思います。
  117. 竪山利文

    ○竪山参考人 冒頭も申し上げましたように、労働力の変化、雇用構造の変化、これは大きな内容を持っておるわけでして、特に高学歴化あるいは高年齢化という点が大きな課題だろうといま考えておるわけです。ただ、この点を企業産業段階だけで今後の雇用対策としましてすべて解決するということは困難だというふうに考えますから、やはり全産業的な立場の中でこれらの問題をどういうように解決するかということがぜひ必要じゃないか、こういうふうに考えておるわけであります。そういう意味で、ある程度中長期に対します雇用対策というのは明確にする必要があるんじゃないか。特に労働力そのものの高年齢化あるいは高学歴化ということに対しまして、むしろこういう条件を吸収できるような新たな産業の創出ということも必要だろうと思います。また、ある一定の産業にそれが吸収できるための職業転換を含めました訓練というものは非常に大きな比重を持ってくるんじゃないか、こういうふうに考えているわけであります。  そういう点で、特に機械情報産業分野におきましても、今後やはり職業訓練の問題、これをどういうような形の中で労働力として吸収していくかどうかというのは大きな問題と思いますし、と同時に、産業要員というのが非常に不足しておるということも現実でありますから、これに対しましてこれは充足拡大していく、こういう点の努力もぜひ必要じゃないか、この点を今後の雇用対策と結びつけて考えたらどうか、こういうふうに考えております。
  118. 宮田早苗

    ○宮田委員 もう一点、竪山さん、及川さん、両氏にお伺いするわけでございますが、この種の産業というのは、御存じのように非常に高度化を要請される、しかも急激に発展をする。     〔山崎(拓)委員長代理退席、山下(徳)委員長代理着席〕 そこで、御意見の中にもございましたが、職場環境という問題に対して十分に配慮しなければならぬということでございましたが、特に高齢者と高度に発展いたしますこの産業との取り組みの関係について、極端に言いますと、年とってその種の産業には追っつけないという傾向というものが、私どもが経験した中でも間々あるわけでありますけれども、皆さん方の企業産業というのは格別の高度化という立場にございますし、非常に発展のテンポが速いわけでございますから、そういう問題についての取り組み姿勢といいますか、ございましたら、両参考人それぞれお答え願いたいと思います。
  119. 及川一夫

    及川参考人 電電関係データ通信の場合には、実は電信電報事業との関連を含めまして取り上げていったわけであります。つまり電信電報というのは、御存じのように、電話の発展によりまして電報通数が自然に減少するという性格を有しているものですから、電報通数と要員との見合いでは、要すれば減要素が出てきて、雇用不安が大変起きたという経過に実はなっているわけであります。したがって、これをどうするかということが労使間では大変な問題でございましたが、そのときにこのデータ通信事業、つまり情報産業という問題をわれわれ自身も検討しておりましたし、公社自身も検討しておりまして、技術的に言えば搬送理論であるというようなこともございまして、むしろこの電信電話事業の発展は電信労働者というものが支えてきた、それだけの労働者でなければこのデータ通信事業というのはできないんだという認識の上に立ちまして、三位一体論などという言葉を使いまして、電信事業とデータ事業というものを一体のものとしてとらえていくということで採用していったという経過があります。  そうしますと、新しい産業労働者を配置する場合に、新規労働者ということよりも当然電信労働者というものを重点的に考えていくということで、いわば職種転換ということに実はなるわけでありますが、そのときに、宮田先生がおっしゃられますように、何といっても高度の技術というか知識というか、そういうものが必要であるために、高年齢の方々はやはりどうしてもそちらの方に不安を持って行きたがらないということがございました。たしか年齢的には四十歳を越しますとそういうような気分になるということでございましたから、われわれとしては、希望というものを前提にしながら、同時に行く者と行かない者を分けないで、全体を要すればデータ通信事業に行くための訓練をしてみる、そういう中から希望でもって行きたい人はデータ事業に移る、残る人は電報事業に残そうというような形で運営したという記憶を実は持っております。  しかし、今日的には、いずれにしても若い労働者が電電の場合におるものですから、単に電信だけ、電報だけに限らず、職域全体を通じて希望者もありますし、また特殊な高度の知識の問題については新しい労働者を採用するなどをやりながら、訓練というものを重視をして電電の場合には対応して、また労働組合としてもそのように対応しているところであります。
  120. 竪山利文

    ○竪山参考人 特に機械情報産業に従事しておるという立場で、私も特に電機労連の立場から申し上げますと、これらに従事する労働者そのものが長時間あるいは深夜の作業に耐えていかなければならない、こういうことでありますから、労働組合としましては、それぞれの対策の条件の基準というのをつくってまいります。特に電気労連の場合。そういう意味で、時間の制限、休養室の設置をするとか、いろいろな意味の規制措置をとりながら対処しているというの現状であるわけであります。ただ、特にいま申し上げましたような深夜業あるいは長時間労働、こういうような性格から考えてまいりますと、高年齢者に対する新たな仕事の場の提供という点では限界があるのじゃないか。ほとんど三十五歳くらいでこの種の仕事は限界が出てくる、こういう点が指摘されておるわけでありますから、むしろ高学歴化に対処してこれらの労働力を産業分野の中に吸収していく、こういうことがぜひ必要な内容になってくるのではないか、こういうふうに考えております。
  121. 宮田早苗

    ○宮田委員 どうもありがとうございました。
  122. 山下徳夫

    ○山下(徳)委員長代理 工藤晃君。
  123. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員(共) 赤澤参考人に最初に伺いたいと思うのです。  結論として、今度の法案を実現すべきであるということだと思います。そして状況としていろいろ述べられたのは、わが国のコンピューター産業はかなり強力になっている。それは主としてアメリカIBMとの競争の問題がある。もちろん部分的にはソフトウエアがあるであろう。NASAのようなああいうものはない。いろいろ言われたと思うのです。しかし同時に、日本コンピューター産業相当強いぞという自信も伺ったわけであります。そういうことで、今度の法案は、私の認識からいうと、確かに新しい要素がかなりありますけれども、言ってみれば機電法の引き継ぎという点が六割、七割、あるいはもう少しあるかもしれない、そういう面もあるのだろうと思うのです。そういうことで、これはあと七年ということですけれども、これからどうしてもあと七年必要だという一番主な理由ですね、どういうふうに考えているのか、もう一度その点確かめておきたいわけなんです。
  124. 赤澤璋一

    赤澤参考人 先ほど来御質問に対してお答えいたしておりますように、コンピューター中心といたしますエレクトロニクスの分野というものは、まだまだ技術革新のさなかにあると言っていいと思います。これはコンピューターと申しましても、やはりいろいろなコンポーネントを必要といたしております。特にセミコンダクター分野においては、この技術革新が最も激しい分野でありまするし、そのほかの面におきましても非常に多くのコンポーネントを必要としております。そういう面からいたしますと、従来の機電法の延長的な面もございますが、同時に、非常に新しい技術もまた次々と生まれてきつつございます。  たとえばメモリーといったようなものをとってみましても、バブルメモリーというものの技術がいまだんだん商業化されようとしてきておりまして、恐らくもう現在市場にも若干アメリカで出ておりますが、こういったものが将来メモリーとしてどういうふうに使われていくのだろうか、またそういったものがコンピューターだけではなくてほかの一般の電子産業にどういうふうに使われていくかというようなことになってまいりますと、やはりちょっと三年、五年では短いなという感じが私どもはいたします。そういう意味からも、やはり新しい技術開発というものをにらんで恐らくこの法案施行の面で考えられておりますので、そういった面からもやはり七年というのは一つの区切りじゃないかというのが私の率直な感じでございます。
  125. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員(共) 続いてですけれども先ほど超LSIの開発には国家からの助成が非常に役立っている、それについていま会社などで、富士通で結構ですが、研究費のうちこういう国家的助成がどのくらい占めているのか、こういう問題。  それからもう一つは、この助成そのものは、必ずしもかつての機電法に基づいた助成ではないわけですね。今度この法案に直接そういう助成ということではないのですが、先ほど伺った私の印象では、一般会計あるいは財投から出る助成でかなり助かっているというお話だったわけで、さっき言ったような質問をしたわけです。そういう意味で、私も研究開発のうち研究費に国がどれだけ出すべきか、これは非常に大事な問題だと思いますので、どのくらいになっているのか、それから将来どうすべきであるのか、その辺についてもちょっと伺いたいと思っています。
  126. 赤澤璋一

    赤澤参考人 超LSIの開発につきましては、工藤先生御存じのとおりでございますが、研究組合というものをつくりまして、これは民間五社でございますが、五社がこれに参加をいたしましてそこへ補助金が出ております。それぞれ二つのグループでこの研究をやっておりますので、二つのグループにまたこれが分かれてきております。あとはいろいろなアイテムによりましてお互いに重複しないように細分化されておりまして、私どもの人間も、一部の人間は研究組合に派遣をしておりまして、向こうで仕事をいたしております。そういう意味から、いわば超LSIに関します限りは一応別建てということで、会社の中でも別の形でこれは処理をいたしております。  そのほかに電電公社から委託を受けて作業しているものあるいは電電公社と共同開発しているもの、そういった面がございまして、私どもの会社に関する限りで申し上げますと、売り上げ約四千億弱でございますが、研究費総額は約七%程度でございます。その中でいまの超LSI関係その他は別にこれからいたしております。  そういうことで、いまその中でどのくらいかと言われるとちょっと手元に資料がございませんが、もし仮にそういうものなかりとせば、恐らく私どもの会社も、いまの四年間七百五十億という膨大な基礎研究を自社一社でやっていかなければならぬことになろうかと思いますが、いま幸いそういうことでアイテム別に組合の中で共同でやっておりますので、その意味では大変ありがたいことに思っております。
  127. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員(共) 赤澤参考人にもう一問お許しください。  今度の法案で、この機械情報産業が今後輸出の中心になるであろうというようなことも考えられるわけですが、その辺について、これは業界として実際いまの輸出依存度はどのくらいで、どういうふうに高める計画であるとか、その辺の戦略といいますか構想といいますか、それがあったらちょっと聞かしていただきたいのです。
  128. 赤澤璋一

    赤澤参考人 現在でも機械関係機械電子含めまして全輸出の六割程度になっておろうかと思います。先ほど大島先生からお話がありましたように、これから先の機械とか電子分野と申しますのは、大変複合的な商品が多うございます。また、多くなってまいるのでございます。そういう意味から、私どもも極力分業的なといいますか、水平分業的な形で一つは物を考えなければならぬ。それから第二には、これも先ほど御指摘ございましたように、やはり海外にこれから会社をつくって、現地で組み立てをしたりテストをしたりするというようなケースが私ども分野でも必要になってまいろうかと思っております。そういう意味で、現地に出てまいりますにつきましても、水平分業いたしますにいたしましても、やはりこちら自身の力が相当ございませんと、お互いにライセンス一つ交換ができません。そういうこともございますので、やはり私どもとしては、いま以上の国際レベルの技術をみがくということが何にも増して必要だ、こういう認識をいたしております。
  129. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員(共) それでは、服部参考人に一問伺いたいと思います。  今度の機情法の案によりますと、ソフトウエア業にあって高度化計画を定める。この高度化計画の計画目標の中でプログラム作成費その他合理化の目標というのもあるというふうに聞いております。先ほどいろいろ貴重な御意見を伺いましたが、プログラム作成というのは大変頭の要る仕事であって、なかなかこの経費をどうやって削減するんだろうかということも疑問になるわけであります。一体そういう目標を立ててやれるものなのかどうか、この辺どうお考えになっているのか、伺いたいと思います。
  130. 服部正

    服部参考人 先生御指摘のように、確かに頭を使ってやる仕事でございますが、頭というのはいちずには使えないものでございまして、ど忘れしたり、それから前にやったことをすっかり忘れてしまったり、われわれがプログラムをつくっております過程におきまして、かなりのむだというのがございます。このむだは悪いこととはわかっておりますが、人間として仕方のないという面もございまして、それらの面を再びコンピューターに頼るというようなことによって非常に補い、あるいは前にできておりますソフトウエアを部分的に再利用する、あるいは同種のものをつなぎ合わせてまた新しくつくる、これはしかしながらあくまでも作成の上の補助手段であると思っておりますが、その補助手段というのが効率の上ではかなり大きいパーセンテージを占めるのではないかと思います。おっしゃるように、思考そのものの問題というのは、それらができたとしても、それでもなおかつ残る問題だと思っております。
  131. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員(共) そういうことと関連しまして、先ほど来出ている問題で、及川参考人、竪山参考人にも伺いたいわけでありますが、コンピューター労働者、私たちは非常に近代的な職業で若い人が恐らくあこがれるのではないかと思いますが、聞いて調べてみますと、労働条件が非常にひどいし、電算労などの世論調査をやっても、意外に賃金が低いだけでなしに、親企業あるいは関連企業に行ったり来たりして、それこそ七〇%が三十代でとても続かないだろうといった状態なんで、これは先ほどの非常に技術革新がどんどん進む分野であって若さが要るということはあるかもしれないし、また企業へのサービス的な仕事であるということからの一定の制約があるかもしれないけれども、これは放置しておくわけにいかないのではないか。やはりこういう産業でこそ進んだ労働条件がまずつくられなければ、それがまた海外から見たら、日本は一体何をやっているんだ、ひどい労働条件でまた高度化をやろうとしている、こういうことも感じるわけなのですが、その辺で御両者に対して一層の取り組みをお願いすると同時に、私たちももちろんやっていきますけれども、こういう問題についての考えを、ごく簡単でいいですから、お聞かせ願いたいと思います。
  132. 及川一夫

    及川参考人 工藤先生がおっしゃられる立場で、日常労働条件の改善、改革ということに実は取り組んでおるわけでございまして、できれば先生方の論議の中でも、設備への先行投資だけではなくて、実際に機械を使ってプログラムを組む、システムをつくる、そういう労働者、人間の確保といいますか、そういうものに対する投資、さらには実際に働いている労働者に対する労働条件の改革の問題を、それこそ機械に先行して投資をしていく、そういう考え方が確立されなければいけないのではないかというふうに実は私は思っています。これは日本の場合には、こういう情報産業にかかわらず、いずれにしても、企業運営というものを考えたときには常に日本労働者と経営者が対立する問題でございますから、私どもとしては、先生が御指摘になったような立場でこれからも最大限の努力をしていかなければならないというふうに思っておることを申し上げておきます。
  133. 竪山利文

    ○竪山参考人 先生の御指摘されるとおりでありまして、当然、この先端産業にしかも先端的な技術も含みながら従事しております労働者がこういう状態ではいかぬと思いますし、むしろそれにふさわしい労働条件の確立というのが前提じゃないか、こういうふうに考えます。
  134. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員(共) どうもありがとうございました。終わります。
  135. 山下徳夫

    ○山下(徳)委員長代理 大成正雄君。
  136. 大成正雄

    ○大成委員 参考人の皆さんには大変長い時間お疲れでございまして、恐縮でございます。最後でございますので、御協力をお願い申し上げます。  まず、赤澤参考人に承りたいと思うのでございますが、本法の柱としては、高度化計画の策定公表とか、あるいは共同行為の実施に関する指示とか、あるいは共同化参加、計画変更の勧告とか、あるいは資金の確保、税制上の優遇措置とかいった四つの柱があるわけでありますが、業界を代表される参考人として、率直に、本法の四つの柱の中でさしあたりすぐ一番期待しているんだというのはどの柱であるかをまず承りたいのです。
  137. 赤澤璋一

    赤澤参考人 これはまず高度化計画ができることが前提だと思いますが、それに基づく施策がいまおっしゃるように四つございます。いまどれが第一だ、こう言われますが、これは業種業態によって非常に違っていると思います。私どもコンピューター関係のものもございますし、産業機械、カメラ、いろいろなものがございますので、それぞれの業態に応じて一番適当とされる施策を打たれるのだろうと私は思います。そういう意味で、四つとも大変重要な施策だと私は考えております。
  138. 大成正雄

    ○大成委員 この業界の再編統合の問題ですが、これはこの高度化計画の一部として御認識をいただいているのでしょうか、その辺のところをひとつ承りたいと思います。
  139. 赤澤璋一

    赤澤参考人 これは私見でございますが、高度化計画そのものの中に、こういう形での再編成というものはじかには出てこないと思います。ただ、高度化計画の示すところに従って、通産省の指導により、また先ほど先生がお述べになりましたような施策を行いながらそういったものが実現してくる、こういうことではなかろうかと思っております。
  140. 大成正雄

    ○大成委員 IBMのフューチャー・システムというようなものが、ルール違反的な営業行為によって、摘発というか、勧告というか、警告というか、独禁法にも抵触するというようなことで、本委員会においても指摘されておるわけでありますが、これは営業のあり方が問題になっただけで、いずれ日本に上陸してくるというか、そういうことだろうと思うのですが、IBMのフューチャー・システムといったものに対応できる国産の機種を市場に出すには、大体どのくらいの期間が必要なんでしょうか。
  141. 赤澤璋一

    赤澤参考人 コンピューター開発、特に一つシリーズとしてある機種を開発してまいるということになりますと、ハード、ソフト両面の開発からいたしまして、大体少なくとも三年以上、全部そろえますには四年から五年近くの年月が必要だというふうに一般的に言われております。そういう意味からいたしますと、IBMが三七〇シリーズというのを出しまして、私ども国産機のメーカーがこれに対抗する意味でいま出しました新しいシリーズは、五十年の秋に発表したものでございます。いまから二年くらい前にこれを出したわけでございます。  その後IBMがどういうことをやったかと申しますと、去年の三月に三〇三〇シリーズといいますか、三〇三三、おくれまして三〇三二、三一というような三〇三〇シリーズというものを発表いたし、現在売ってきております。これが三七〇シリーズの後継機種としてのものであるのか、あるいはフューチャー・システムとの間のつなぎ機種であるのか、こういった点については世界じゅうでいろいろな情報、議論が分かれております。と申しますのは、三〇三〇シリーズ自体とってみますと、価格性能比は非常によくなってきております。むしろ値段は非常に下がってきておりますが、機種の構成そのもの、あるいはこの機種を動かしますソフトウエア自身を見てみますと、何と申しますか、これをいわゆるフューチャー・システム認識するにはいかにもまだそれほどの技術先導性を持っていないというところから、そういう議論が出てきているのだろうと思います。  私ども開発につきましても、やはりそういう面からは、先ほど先生御指摘になりましたEシリーズでございますか、そういうものが果たしていつ出てくるのか、われわれとしてもそれは出てくれば当然それに対抗することはやってまいらなければなりませんので、もうすでにMシリーズを販売しております直後あたりから、各社とも当然この問題に取り組んで現在開発を進めておるというのが現状でございます。
  142. 大成正雄

    ○大成委員 同じく赤澤参考人に承りますが、政府はドル減らしで、政府の調達する大型のコンピューターを購入するといったことが計画されておりますね。一体全体、中央、地方を問わず、官公需のコンピューター、計算機械に占める国産機比率というのは、販売額でもいいのですが、どのくらいになっておるのでしょうか、その辺のところをひとつ……。
  143. 赤澤璋一

    赤澤参考人 いまちょっと全部の資料が手元にございませんので、大ざっぱな数字で恐縮でございますが、たとえば地方自治体におけるコンピューターの設置状態で見ますと、IBM中心といたします外国機種は、台数ベースで申しますと全体の六、七%程度であろうと思います。残りは国産の機種が設置されておるという状況であります。それで、いまお話しのように、政府自身が使いますコンピューターは全部国産でやれというふうには必ずしもなっておりませんで、中央官庁に関する限りはほとんど全部と申してよいかと思いますが、それでもやはり古いものにつきましては外国機種の入っているものもございます。そういうことでございますが、中央、地方を通じまして現状で申しますと、まあ大体少なくとも九〇%以上、あるいは九十数%というようなのが国産コンピューター比率ではないかと思っております。
  144. 大成正雄

    ○大成委員 最後赤澤さんに承りますが、とっぴでもないことを聞きますが、防衛庁が次期主力戦闘機としてF15あるいは対潜哨戒機あるいはYX開発とか、こういったことが予定されておりますね。それらの機種に搭載されるコンピューターというものは、当然、日の丸をつけて、しかもわが日本の領土と領空を飛ぶのですから、当然国産のコンピューターが搭載されてしかるべきであろうと思うのですが、そういったことに対して業界としてはどういう考え方を持っておられますか。
  145. 赤澤璋一

    赤澤参考人 詳しいことは私は存じませんが、たとえばアメリカのP3C、これに載っておりますのはユニバックの非常に古いタイプのミニコンでございます。したがいまして、現在日本コンピューターメーカー、国産の機械では性能的にも十分これを上回りますし、物自身も小型のものが現にできております。したがって、私はこれを置きかえることは大して問題じゃないと思っておりますが、問題はソフトウエアでございます。従来、日本の防衛庁等におきましては、こういったコンピューターを使って、たとえば潜水艦の音紋と申しましょうか、そういったものを判読するソフトウエアを持っておりません。したがって、こういったものをどういうふうにこれから日本の防衛庁が開発していかれるのか、もしそういうことについてわれわれに参加をさせていただくとすれば、そういったものについても十分国産の機械で運営ができるというふうに私どもは考えております。
  146. 大成正雄

    ○大成委員 服部参考人に承りたいと思うのですが、わが国の国産機種が多様化しておることによって、ソフトウエア面の利用効率とかあるいはそういう阻害要因、すでにそういった面の研究がなされておるのですが、現在そういう阻害要因をどの程度克服できておるのでしょうか。
  147. 服部正

    服部参考人 おっしゃいますように、機種が多いということは、それを変換しなければならないということで、大変手間をとるわけでございます。しかし、先ほど申しましたように、依頼を受けてつくるソフトウエアの面では阻害になっておりません。自主的にソフトウエアを企画し、販売する上では、三種類なら三種類、四種類なら四種類つくらなければならないので、そういう意味では数が少ない方がいいというふうに思っております。
  148. 大成正雄

    ○大成委員 もう一つだけ承りますが、ユーザー立場からしますと、この管理運用コストという面はばかにできないわけですが、本法の対象として、そういうユーザーの管理運用コストの効率化とかあるいは合理化とかいったものが含まれるかどうかわかりませんが、そういったことに対して参考人はどのようにお考えでしょうか。
  149. 服部正

    服部参考人 コンピューターユーザーさんにとりまして、ソフトウエアの価格、ソフトウエアに要する費用というのが年ごとにふえておることは事実だろうと思います。これは現象といたしましてはそうでございますが、この要因は二つありまして、機械の方はどんどんパフォーマンスが上がりましてローコストになっていくけれども、人件費の方はちっとも下がらないという面、その部分が非常に大きくなっております。これが一つの面でございます。もう一つは、ユーザーさんのコンピューターの使い方が年ごとに非常に高度化しておられまして、そのソフトに対する要求も年ごとに高度化するために要する費用の増大というのも要因の一つかと思います。  いずれにいたしましても、ユーザーさんの使われておりますコンピューターソフトウエアに関する費用というのが年々ふえておることは確かでございまして、私どもは、そこを何とか少ない費用でできるような言語とかあるいは簡便なる方法を開発してユーザーさんに供したいと思っておるのでございますが、何分にも自前の研究費が過少でございますので、なかなか思うに任せぬ現状でございます。
  150. 大成正雄

    ○大成委員 最後に、及川参考人に承りたいと思うのですが、キーパンチャーであるとかプログラマーであるとか、それぞれ特殊な職能でありまして、肉体的な適応能力であるとかあるいは職業病であるとか、そういったことがいろいろあるようでございますが、組合委員長さんとされまして、そういった問題に対して、いまたとえば労働行政の面からあるいは公社のそういう労務管理の面から十分対応されておるのかどうか、その辺のところをひとつお聞きしたいのです。  それからもう一つ、肉体的な適応力からして、職種の転換というものが当然起こってきますね。その職種の転換等に対する措置は十分なされておるのかどうか、その辺もひとつ……。
  151. 及川一夫

    及川参考人 私ども大変長い間いろいろな議論をしてきておるわけですけれども、労働協約を具体的に、情報産業の中のデータ通信問題では、それ自体で労働時間から賃金からあるいは職場環境の問題から結んで締結をしております。さらに、職種転換、配置転換の問題につきましても、それぞれ労働協約がございまして、とりわけ職種転換等の問題については、本人の希望というものを重点にして対応することを考えながら、労使協議で決めていくというルールも実は決まっているわけであります。  したがって、先生が御指摘の十分か十分でないかということにつきましては、いずれにしても、要求との関係では、私の感じでは大体七〇%までは問題の解決を図ってきている。あとの三〇%がなかなか、公社制度の場合にはそれこそ給与総額制度、予算を上回るような人件費の使用が国会の承認を得なければできないというようなこともございまして、とりわけデータ通信労働者というものにウエートを置いて物事を決めた場合に、他の労働者にもその枠内でやろうとしますと影響を与えるということもございまして、思うに任せないという現状一つございます。  したがって、これは公社の総裁も、別にデータに限ったことではございませんけれども、電信電話事業の運営の問題として当事者能力の回復という問題が政治的な課題としてありまして、逓信委員会等でも態度表明をしておられるようでありますが、私どもとしては話し合いで決めていくという基本に立って労使関係を維持しておりますので、そういった点では、大変これは失礼でございますけれども、先生方の御協力なり御発議をいただいて、自由に、また責任ある措置ができるようにしたいというふうに考えておりますので、この際、お願いを申し上げておきたいと思います。
  152. 大成正雄

    ○大成委員 終わります。
  153. 山下徳夫

    ○山下(徳)委員長代理 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人各位には、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、ありがとうございました。厚く御礼申し上げます。  次回は、明二十八日金曜日午前十時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時二分散会