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1978-04-21 第84回国会 衆議院 商工委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年四月二十一日(金曜日)     午前十時三十一分開議  出席委員    委員長 野呂 恭一君    理事 中島源太郎君 理事 武藤 嘉文君    理事 山崎  拓君 理事 山下 徳夫君    理事 岡田 哲児君 理事 渡辺 三郎君       鹿野 道彦君    粕谷  茂君       藏内 修治君    佐々木義武君       田中 正巳君    楢橋  進君       西銘 順治君    橋口  隆君       渡辺 秀央君    加藤 清二君       上坂  昇君    武部  文君       中村 重光君    長田 武士君       玉城 栄一君    安田 純治君       大成 正雄君  出席国務大臣         通商産業大臣  河本 敏夫君  出席政府委員         通商産業政務次         官       野中 英二君         通商産業大臣官         房審議官    島田 春樹君         通商産業省機械         情報産業局長  森山 信吾君         通商産業省生活         産業局長    藤原 一郎君         資源エネルギー         庁長官     橋本 利一君         資源エネルギー         庁石油部長   古田 徳昌君  委員外出席者         防衛施設庁施設         部連絡調整官  広田 徳久君         大蔵省主計局主         計官      佐藤  浩君         大蔵省理財局特         別財産課長   松岡  宏君         水産庁研究開発        部漁場保全課長 伊賀原弥一郎君         運輸省海運局監         督課長     棚橋  泰君         参  考  人         (社団法人日本         海難防止協会理         事長)     猪口 猛夫君         参  考  人         (財団法人日本         タンカー石油備         蓄協会理事長) 松尾 金蔵君         参  考  人         (石油開発公団         理事)     江口 裕通君         参  考  人         (石油開発公団         理事)     佐藤淳一郎君         商工委員会調査         室長      藤沼 六郎君     ————————————— 委員の異動 四月二十日  辞任         補欠選任   田中 六助君     佐々木義武君   安田 純治君     三谷 秀治君   大成 正雄君     甘利  正君 同日  辞任         補欠選任   佐々木義武君     田中 六助君   三谷 秀治君     安田 純治君   甘利  正君     大成 正雄君 同月二十一日  辞任         補欠選任   小川 平二君     佐々木義武君   大成 正雄君     山口 敏夫君 同日  辞任         補欠選任   山口 敏夫君     大成 正雄君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  特定機械情報産業振興臨時措置法案内閣提出  第七一号)  地方自治法第百五十六条第六項の規定基づ  き、鶴岡繊維製品検査所出張所設置に関し  承認を求めるの件(内閣提出承認第四号)  計量法の一部を改正する法律案内閣提出第四  九号)(参議院送付)  石油開発公団法及び石炭及び石油対策特別会計  法の一部を改正する法律案内閣提出第三九  号)      ————◇—————
  2. 野呂恭一

    野呂委員長 これより会議を開きます。  内閣提出特定機械情報産業振興臨時措置法案内閣提出地方自治法第百五十六条第六項の規定基づき、鶴岡繊維製品検査所出張所設置に関し承認を求めるの件、参議院送付内閣提出計量法の一部を改正する法律案、以上三案件議題といたします。  順次提案理由説明を聴取いたします。河本通商産業大臣。     —————————————  特定機械情報産業振興臨時措置法案  地方自治法第百五十六条第六項の規定基づき、鶴岡繊維製品検査所出張所設置に関し承認を求めるの件  計量法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  3. 河本敏夫

    河本国務大臣 特定機械情報産業振興臨時措置法案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  わが国機械工業は、資本の自由化等経済国際化の進展する中にあって、わが国経済発展の原動力たる産業の一つとして比較的順調な発展を遂げてまいりました。  しかし、近年、設備投資在来型耐久消費財に対する需要の鈍化、資源エネルギー制約の強まり、労働力需給基調変化技術導入困難化等の新たな経済情勢変化が進展する中にあって、機械工業の実態を見ますと、依然として種々の課題を抱えていることが指摘できます。すなわち、  第一に、技術先端的機器分野における技術水準はなお十分ではなく、また、総じて経営力も脆弱な状況にあり、これらの克服が肝要となっていること  第二に、一部の電子部品等分野では、近隣発展途上国の追い上げを受けつつあり、これに対応して、品質、性能の向上等合理化努力が一層図られねばならなくなっていること  第三に、安全問題、公害問題のみならず、省資源、省エネルギーなどの新たな社会的要請に円滑にこたえていくため、必要な機器開発等積極的な対応が求められていることなどであります。  さらに、わが国機械工業においては、ソフトウエア面での技術のおくれが特に大きく、今後、広範な分野複合化、システム化された機器の供給が求められていくことを考慮いたしますと、ソフト機能中核的担い手たる産業の育成も急務となっております。  このような情勢にかんがみ、政府は、昨年、産業構造審議会に対し、今後の機械情報産業政策あり方等について検討を依頼し、十一月に中間答申を得ております。  本法案は、この中間答申趣旨に沿って、従来の特定電子工業及び特定機械工業振興臨時措置法にかわり、新たに昭和六十年代に向けての経済的社会的要請にこたえる機械情報産業政策の柱となるものとして立案されたものであります。  以下、本法案要旨につきまして御説明申し上げます。  まず、本法案の目的は、特定機械情報産業について、生産技術向上生産合理化等を促進することにより、その振興を図り、もって国民経済の健全な発展に寄与し、あわせて国民生活向上に資することであります。  次に、本法案により振興を図るべき対象となる特定機械情報産業としましては、試験研究工業生産開始等または生産合理化を特に促進する必要のある電子機器や危害の防止生活環境保全資源の利用の合理化機械工業の基盤の強化に資するため、試験研究工業生産開始等または生産合理化を特に促進する必要のある機械として政令で指定するものを製造する事業及びソフトウエア業を取り上げることといたしております。  これらの事業について、主務大臣は、特定機械情報産業相互関連に留意しながら、高度化計画を策定することとし、また、高度化計画に定める目標の達成のため、必要に応じ次のような振興措置を講じることができることといたしております。  第一は、機械工業を営む者に対し、規格の制限等に係る共同行為実施のための指示が行えることであります。この場合において、独占禁止法の精神に照らし、その運用ば特に慎重に行うという見地から、それぞれについて必要な手続及び要件を規定しております。  第二は、機械工業またはソフトウエア業を営む者が高度化計画に定めるところに従って実施している事業共同化等に重大な悪影響を及ぼし、国民経済の健全な発展に著しい支障を生ずるおそれがあるような大規模な事業開始等をしようとする者に対して、その時期の変更等勧告を行うことができるものとしております。その際にも、勧告を受ける者の意見を聞くこと等一定の慎重な手続を経ることとしております。  第三に、政府は、高度化計画に定める所要の資金について、その確保に努めることとしているほか、工業生産開始等を特に促進すべき機械器具であって高度な複合化が図られたもののうち、その普及を特に促進する必要のあるものについて、所要税制措置を講ずるよう努めることとしております。  その他、本法案は、七年間の限時法とすること、本法案の適正な運用確保するため審議会へ諮問すること等の所要規定を設けております。  以上が、この法律案提案理由及び要旨であります。  何とぞ、審重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。  次に、地方自治法第百五十六条第六項の規定基づき、鶴岡繊維製品検査所出張所設置に関し承認を求めるの件につきまして、提案理由及びその要旨を御説明申し上げます。  繊維製品検査所ば、全国に十の本所、十九の支所、出張所を置き、繊維製品について通商産業行政上必要な検査商品テスト等を行っておりますが、当初輸出検査を主体に発足したため、北海道には事務所を置いておりません。  近年、商品に関する消費者の苦情の増加に伴い、北海道においても種々商品テスト実施商品テスト技術情報提供等要請が増大してきており、北海道繊維製品検査所出張所設置して、繊維製品検査体制の整備を図ることにより、消費者保護行政の充実を図る必要があります。  本件は、北海道札幌市に鶴岡繊維製品検査所札幌出張所設置することについて、地方自治法第百五十六条第六項の規定基づき、国会の承認を求めようとするものであります。  何とぞ、慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願いをいたします。  次に、計量法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  計量に関する制度は、貨幣制度とともに経済社会活動の基本をなすものでありまして、計量法は、計量基準を定め、適正な計量実施確保するための諸規定を定めております。  今回の改正は、最近における計量単位を取り巻く国際的な動向、公害規制の進展に対応した適正な計量確保要請等にかんがみ、計量単位計量器等に関して所要改正を行おうとするものでありますが、昭和五十一年十二月に計量行政審議会答申を得て以来、その趣旨に沿って改正を慎重に検討してまいりました結果、ここに成案を得ることができましたので提案することとした次第でございます。  次に、本法案要旨につきまして御説明申し上げます。  第一は、計量単位に関する改正でございます。計量単位国際法にかんがみ、国際度量衡総会の決議、日本学術会議意見等に従って、物質量及び電気のコンダクタンスの計量単位を新たに規定するとともに、圧力、粘度、濃度、放射能、照射線量及び吸収線量計量単位を追加することとしております。  第二は、計量器の定義の拡大でございます。公害規制等関連して使用される流量計及び流速計信頼性確保を図るため、これらを計量法上の計量器として追加して同法の規制対象とすることとしております。  第三は、手数料最高限度額改定でございます。最近における経済情勢変化等にかんがみ、製造事業登録手数料等適正化を図るため、手数料最高限度額に関する規定について所要改定を行うこととしております。  以上が、この法律案提案理由及び要旨であります。  何とぞ、慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  4. 野呂恭一

    野呂委員長 以上で三案件についての提案理由説明は終わりました。  三案件に対する質疑は後日に譲ることといたします。      ————◇—————
  5. 野呂恭一

    野呂委員長 内閣提出石油開発公団法及び石炭及び石油対策特別会計法の一部を改正する法律案議題といたします。  本日は、参考人として、石油開発公団理事江口裕通君及び佐藤淳一郎君、財団法人日本タンカー石油備蓄協会理事長松尾金蔵君、社団法人日本海難防止協会理事長猪口猛夫君、以上四名の方々が御出席になっております。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中村重光君。
  6. 中村重光

    中村(重)委員 これから四十分程度質問するわけですが、実は申し上げたような時間的な制約があります。したがって、端的にお尋ねをいたしますから、お答えもそういうつもりで、詳細にわたってはまた改めてお尋ねをいたしますから、端的にお答えをいただきたいと存じます。  大蔵省が時間的な関係があるようでございますからお伺いするのですが、長崎県の西彼杵郡の西海横瀬という米軍基地があるのですが、その横瀬基地返還を求めて横瀬石油備蓄基地として払い下げを受けたい、それは西海石油共同備蓄会社ということで、もちろんこれは土地代石油開発公団が半額を出資をする、建設費は八〇%公団が融資をするというようなことで、国策による備蓄になるわけですが、何しろ返還基地は十九町歩で、民有地を六十四町歩購入をしなければならぬという関係から、賛成反対と真っ二つに分かれて簡単に行きそうにもないということでございますし、漁業権補償問題等いろいろ複雑な様相で、地元も非常に混乱をしておるようでございますから、大蔵省関係ば先お答えをいただきまして、そこで通産省からそれぞれ御説明をいただきたいと思うのです。
  7. 松岡宏

    松岡説明員 大蔵省関係を最初にお答えさせていただきます。  本件に関しましては、昨年の七月に西海石油共同備蓄株式会社より本件土地についての米軍からの返還手続依頼書が提出されまして、これを受けまして昨年の九月十九日に国有財産北九州地方審議会に諮問をいたしまして、その方向で進めてよかろうという審議会答申を得たところでございます。  現在所要手続が順調に進んでおりまして、大蔵省関連する部分の手続といたしましては、防衛施設庁お願いいたしまして、米軍側返還提案お願いしているところであります。関係方面の円満な調整が進み、手続を完了し次第、所要払い下げを実現したい、こういう構えでございます。
  8. 中村重光

    中村(重)委員 関連しますから、防衛施設庁から続いてお答えをいただきます。——来てないのか。それじゃ通産省
  9. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 御指摘西海石油共同備蓄会社は、新潟に次ぐ第二番目の共同石油備蓄会社として準備を進めておるわけでございますが、まず、土地につきましては、米軍用地の一部返還につきましては、ただいま大蔵からお話がございましたようにその手続を進めておるという段階でございます。それから民有地につきましては、長崎県の土地開発公社がその直営事業として土地買収し、造成を行った後、この共備会社が譲り受けるというごとになっておりまして、長崎県の土地開発公社は現在土地買収をするための事前調査等を進めておる、こういう状況でございます。  米軍関係でございますが、本年の二月の二十八日に、アメリカ側から、横瀬貯油所内に所在するタンク移設等についての条件を前提として日本側返還する旨の回答がなされ、日本側といたしましても、米側条件検討した結果、受け入れることが適切であるということで、現在その手続を進めておる、こういう段階であります。
  10. 広田徳久

    広田説明員 ただいま御説明したとおりでございますが、本年の三月に、ある種の条件を付してそれを受け入れるならば返還するということでございまして、現在その条件が受け入れられるかどうかを申請者に照会中でございます。その回答あり次第、速かに対米折衝に入りたいと思っております。
  11. 中村重光

    中村(重)委員 先ほどもちょっと触れたのだけれども反対民有地買収を求められておる人だろうと思うのですけれども、この人たちが二十名反対、それから横瀬東部落は百七十戸あるのですが、私の調査によると、半数反対し、残り半数条件賛成というのかな。その条件というのは、土地を高く買ってくれ、それから農地を買収されるわけですから、結局生活の問題がかかってくるわけで、自分たちを雇用してほしいということなんです。現段階でまだはっきりしてない面もあるのですけれども、ひとつ可能な限りお答えをいただきたい。  それから、漁業権補償の問題があるわけなんでして、これは西海石油共同備蓄会社がその補償費は出すことになるのだろうと思うのでございますけれども、これもまた漁協との間で非常に混乱をすることが予想されているわけですから、これらの点に対して国はどう対応していこうとするのか、お答えをいただきます。
  12. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 まず、民有地の手当てにつきましては、先ほど申し上げましたように県の土地開発公社が譲り受けを受けて造成するということになっておりますので、私の方としても県の方ともよく連絡をとってみたいと思います。  それから、漁業との調整の問題でございますが、これは共備会社と申しますか、民間の備蓄ということになるわけでございますので、当然第一次的には共備会社地元住民あるいは漁協との話し合いになろうかと思いますが、その話が円滑に進むように私たち協力したいと思います。
  13. 中村重光

    中村(重)委員 それでは、この点は一応これで終わります。  次に、大陸棚の開発の問題あるいは損害補償の問題だとかあるいは公害問題その他、それからエネルギー政策の基本的な考え方等広範にわたってお尋ねをしたいのですが、先ほど申し上げたように時間的な制約があります。  当面問題になっているし、私ども審議をする上にとって本法案に直接関係がありますタンカー備蓄の問題についてお尋ねをするのですが、タンカー備蓄陸上貯蔵タンク設備を完備するまでの臨時的な備蓄であろうと思うのでございますが、この点いかがですか。
  14. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 タンカー備蓄につきましては、公団備蓄の一環として考えております。いわゆる石油開発公団による備蓄のための恒久設備が整備されるまでの間のつなぎ措置という位置づけでございます。
  15. 中村重光

    中村(重)委員 運輸省お尋ねをするのですが、タンカー備蓄は、海運とか造船不況対策といった点からこれを推進しようということで、通産省との連携の中で取り組んでいるのだろうと思うのでございますが、タンカー備蓄安全性といったような点を運輸省はどのように配慮しているのか、伺います。
  16. 棚橋泰

    棚橋説明員 先生御指摘のように、ただいま通産省協力をいたしましてタンカー備蓄が円滑に進むようにいろいろ努力をいたしております。  安全性の問題につきましては、一般論といたしまして、今回行おうといたします備蓄は、タンカー乗組員を配乗いたしましたまま船舶運航と同様な状態において錨泊させて備蓄に使用しようとするものでございますので、こういう形においては、通常船舶運航状態と原則的に同じでございますので、その点につきましては、一般的に安全は十分確保されるというふうに考えております。  ただ、原油を満載いたしましたタンカーを長期にわたって錨泊させるわけでございますから、当然それに伴います特殊な事情ということもあろうかと思います。この点につきましては、現在通産省の方が中心になられまして、関係の向きに安全性についてさらに念には念を入れた対策というものの検討を進めておられるところでございます。
  17. 中村重光

    中村(重)委員 これからお尋ねすることで、きょうお見えいただいております財団法人日本タンカー石油備蓄協会理事長さん、社団法人日本海難防止協会理事長さんに関連をいたしますことは、私が特に名指しをして質問いたしませんでも、それぞれお答えいただきたいというようにお願いをしておきます。  橋本長官、この二年間に二百万キロリッター程度陸上タンクに貯蔵することができると同僚委員の質問に答えているわけですが、五十七年度までに一千万キロリッター計画があるわけですね。そうすると、この陸上貯蔵タンクの完成時というものをいつごろに置いているのか。これは五十七年に置いていると言えばそう説明の中からとれるのだけれども立地難ということで大変なんだから、その可能性ということについてお聞かせください。
  18. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 当面公団で一千万キロリッター備蓄をやろうという点は御指摘のとおりでございますが、その事業計画といたしましては、五十五年度におきまして二百五十万キロリッター、五十六年で六百二十五万キロリッター、五十七年で三百七十五万キロリッター、合計いたしまして千二百五十万キロリッター能力を持つタンク設置いたしまして、それに対して一千万キロリッターの油を貯蔵しよう、こういう計画でございます。  まず、千二百五十万キロリッタータンク用地が必要になるわけでございますので、現在、陸上タンクでやる場合には三つぐらいのプロジェクトになろうかと思っております。このプロジェクトに対する候補地といたしましては、現在数カ地点リストアップされておりまして、これよりもはるかに多い能力を持ち得る候補地点を準備しておるわけでございます。それぞれにつきまして現在地元と交渉するとかやっておりますが、できるものからスタートしていきたいということでございまして、まずまず計画どおりに千二百五十万キロリッタータンク建設ば可能である、私はかように考えております。
  19. 中村重光

    中村(重)委員 私ども備蓄法賛成をしたという立場があります。また、エネルギー安全保障といった点からいたしまして、備蓄は当然やらなければならぬという考え方は政府と変わらない。ただ、安全性、いわゆる地域の環境問題、それらのことを第二義的に考えて、手を挙げたからすぐ飛びついていこう、たとえば原子力船「むつ」の問題で佐世保の辻市長が手を挙げたようなああいう不見識な取り組みということをやってはいけない、やはり何よりも環境問題、安全問題、その点からいって立地が適当であるかどうかということを考えて対処していくということでなければならないということを強く申し上げておきたいと思います。  それから、タンカー備蓄は五十三年度五百万キロリッターを予定しておるようでございますが、いま折衝しておるのはどこどこですか。
  20. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 タンカー錨泊地の選定に当たりましては、昨年の暮れ以来、運輸省あるいは水産庁協力を得まして寄り寄り検討いたしておるわけでございます。まず、全体で二十カ地点ほど候補地点を選びまして、既存資料によりましてこういった地点における海象、気象条件といった自然条件、あるいは海上交通量あるいは漁業活動といったような社会的条件等も審査いたしまして、現在具体的な数ヵ地点につきまして調査を始めておる、こういう段階でございまして、いまの段階で、橘湾につきましては先日来お話が出ておりますが、その他の地点におきましてはまだ十分検討が進んでおりませんので、いまの段階で申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。
  21. 中村重光

    中村(重)委員 何しろタンカー備蓄というのは初めてのケースですね。世界的にも例ばないのだろうと私は思っているわけですが、そういった点から安全基準というもの、また国内における海難防止であるとかあるいはその他安全関係法律は何本かあるわけですけれどもタンカー備蓄を構想してつくられた法律というものは実はないわけです。その点から言えば不十分であるということが言えると考えます。いま運輸省タンカー備蓄というのは通常運航と変わらないのだから安全だなんて、とんでもないまうな、権威ある委員会における答弁としては全くいただきかねる答弁であるわけです。運航しているのは、予定の時間帯でもって、そして速力なんかもそういうことによって運航している。ですけれどもタンカー備蓄というのは湾の中に係留をするわけですから、そして通常は片エンジン、それから緊急の場合は両エンジン、それから台風の場合は離脱する、そういった端的に言えば半固定の状態ということです。してみると、通常運航状態だなんというような考え方というものは、私は、安全というものを軽視するもはなはだしいということを指摘しなければならぬというように考えるわけです。  そこで、きょうは参考人もお見えでございますから、参考人からも、たとえば海難防止協会に対しては政府の方から委託をしていま安全について検討を続けておるということでございますから、ただいま私が申し上げましたことに対しまして反論でもあれば結構でございます。また、私が申し上げたことは重視すべきであるということで、検討を要するということで検討を進めていることだと思いますから、それらの中身についてもお答えをいただきたいと存じます。
  22. 猪口猛夫

    猪口参考人 ただいま先生からお話のありましたことばごもっともでございますが、私の方でただいま勉強しております内容は、タンカー備蓄のうちの錨泊技術に関する調査研究をやっているわけでございます。何分にも、この話が私の方の協会に参りましたのが三月の初めでございまして、非常に結論を急がれておりますので、果たして私たちの協会の能力でできるかどうか、まことに心配していろいろ協議したわけでございますが、幸いにも、私の方は本年で二十周年を迎えますが、その間におきまして、この錨泊技術に関する安全性の問題につきまして十五項目にもわたる調査研究報告書がもうでき上がっておるのでございます。それらを基礎にいたしますと、せっかくの御要望でございますので、何とか御要望にこたえることができるであろうというようなことで、斯界の権威ある方々に御相談いたしまして、調査委員会をつくり、目下鋭意勉強していただいているところでございます。  先ほど先生がおっしゃいましたことに関連いたしましてお話し申し上げますれば、それらの資料に基づいて勉強されておる現段階では、既存の資料を基礎としたこの種の問題については安全性確保されるということでございますが、何分にも報告書等で時間が経過しておりますし、現場等のその後の変化、それらもつぶさに勉強せなければならない問題が多々あると思うわけでございます。要するに、現地における実情調査を行いまして、それらの現在中間的に勉強されておる安全性が確認されているかどうかということを速やかにやる必要があるとうかがわれる次第でございます。
  23. 中村重光

    中村(重)委員 いま猪口参考人からはお聞きになったようなお答えなんですが、松尾参考人備蓄協会の立場からの考え方をお聞かせいただけませんか。
  24. 松尾金蔵

    松尾参考人 お答え申し上げます。  ただいま中村先生の御質問に対して各参考人からの御説明をしたことと重複するかもしれませんが、私どもタンカー備蓄協会の仕事は、泊地の選定とそれに伴う安全の確保ということでございますから、その安全の確保ということについては、先ほど来答弁のありましたようなことであろうと私どもも推測いたしております。しかし、現地の事情にぴったり合ったような安全確保が必要であるという意味で、特にいま参考人からお話のありましたような海難防止協会に特にお願いをしておるわけでございます。これで十分満足のいく安全な回答を得うると確信いたしております。
  25. 中村重光

    中村(重)委員 通産大臣にいまからお尋ねすることについては、先般の委員会でも考え方をお聞かせいただいたわけですが、大臣もいま海難防止協会の方からのお答えをお聞きになったわけです。急いで結論を求められている、錨泊技術は幸いにして十五項目できているが、目下鋭意勉強中であるということなんでして、慎重の上にも慎重を期してもらわなければならない。同僚委員の質問に対して大臣もお答えになったのですが、橋本長官から、拙速は適当ではない、慎重を期して対処していきたいというお答えも出ているわけです。そうした一連の参考人あるいは政府側の答弁を聞きまして、まだ結論が出ていない。その結論も出ていないのに対して、特定の地域、たとえば長崎県の橘湾にタンカー備蓄要請をした。私は、まだその段階ではないのではないか、そうあってはならないというように感じるのです。もっと安全という点について慎重の上にも慎重を期して、検討には検討を加えて、これなら大丈夫だという確信を持ち、その上に立って要請をしていくということでなければならぬと思うのです。  私がこうお尋ねをすると、まだ正式な要請ではないので、こういうことを考えているがどうだろうかという拝診程度だというお答えがあるいは返ってくるかもしれません。しかし、現地はそうではないのです。知事の方から、正式に、漁連であるとか関係漁協に問題を持ち込んでいる。地域の住民も、その賛成反対ということで大変混乱をしているんですよ。そうした要請を受けた当該地元においては、事態はどんどん進んでいる。しかし、国会においてこうした安全性の問題についてまだ不十分な点があるという質疑が行われ、政府の考え方ということを求める、それに対して慎重でなければならぬ、さらに勉強を続けていきたいという答えがあるわけですが、これらの点からいたしまして、橘湾に協力要請をしたということは適当であったのかどうか、まだその時期でなかったのではないかというお考え方はないのかどうか、ひとつお聞かせをいただきたい。
  26. 河本敏夫

    河本国務大臣 長崎県橘湾の問題についての御質問でございますが、県知事に対しては正式に要請をしたものではありませんで、専門家の意見をいろいろ聞いてみますと、橘湾は最も有力な諸条件を備えた適地の一つである、このように専門家の意見ではなっておりますので、そこで県知事に対して、事情が許せば前向きに検討してもらえないだろうか、こういう希望を表明をして、お願いをしたわけでございます。
  27. 中村重光

    中村(重)委員 大臣はそう言われるのだけれども、その専門家が私の質問に対して、目下鋭意勉強をしているのだということを答えておられる。そのことは何を意味するかというと、政府の方から海難防止協会に対して検討要請をした、大変急いでの要請なので非常にお困りになったということは、いまのお答えからもうかがうことができたわけですが、しかし、できるだけその要請にこたえて、早く検討を加えて答えを出さなければならぬという考え方で対処しておられるのであろう、そのように私は考えるのです。だから、まだ専門家が大丈夫だということでいわゆる太鼓判を押した、政府にはっきりした態度を示したということには至っていないのではないかというように考えるのです。  それから、これは新しい技術、三菱重工が開発をした洋上備蓄に対しても、運輸技術審議会からであったと思いますが、十一項目の安全指針というものが提言として出されている。それには二重底であるとか二重隔壁であるとかいうような形の区画も当然なければならぬ、安全面に相当留意しなければならぬということが、私どもが新聞報道で知る限りでも十分それを知ることができるわけです。タンカー備蓄とは違うんだ、こういう考え方があるかもしれません。ですけれども、私は、一方は固定をしている、片方は片エンジンであるとかある場合は両エンジンであるとかあるいは台風時に対しては離脱をするといったような、完全固定の状態ではないといたしましても、やはり係留であるということになってまいりますと、やはり同一線上のものであるという考え方の上に立って検討を加えていく必要があるのではないかというように考えますが、この点はいかがでしょう。
  28. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 洋上備蓄につきましては、ただいま御指摘ございましたように、自治省の消防庁と運輸省の海上保安庁で安全指針を作成いたしまして、この趣旨基づいて現在安全基準を作成中ということでございます。  あわせまして、先ほど御指摘になりましたタンカー備蓄の安全防災対策について若干補促させていただきたいと思います。  先ほど運輸省あるいは関係参考人からお話がございましたが、一般的な海上保安法規を遵守することは当然でございますが、このタンカー備蓄を始めるに当たりまして海難防止協会にいろいろと検討を依頼いたしておるわけでございますが、その概要をかいつまんで申し上げておきたいと思います。  一つは、船の管理体制の問題でございますが、各船の管理につきましては当然法規に基づくわけでございますが、あわせて船全体としての集団管理の体制を整えたい、こういうことでございます。  各船の管理に当たりましては、正規の定員を配備いたしまして当直体制をとりたい、あるいは機関その他の装置につきましても、常時稼働体制に置いておくというふうにしたいと思っております。  それから、集団管理に当たりましては、専門家から成る集団管理組織なるものをつくりまして、基地への進入、離脱の時期なりあるいは方法あるいはそれぞれの船の順序といったようなものもあらかじめ定めておきまして、万一に備えたいというふうに思っております。  それから、環境保全のためにはビルジはスロップタンクにずっと貯蔵しておく、あるいは屎尿等のいわゆる生活廃棄物につきましては地方自治体の協力を得まして陸上施設で処理したい、通常言われる海洋汚染海上災害防止法に基づく処理以上に厳しい処理をいたしたいと考えております。  それから、走錨あるいは異常気象に対処するために、いかりの状態だとか気象条件におきまして常時監視体制をつくる、あるいは荒天が予想される場合には、状況によっては事前に離脱する。その他オイルフェンス、油処理剤あるいは油の回収船等を備えた災害基地、こういったものを設ける必要があるのではなかろうか。  その他詳細は省略いたしますが、防火対策、漏油予防対策、衝突防止対策、常時訓練、こういった内容を持った基準というものをつくりまして、各立地点ごとに即応した安全防災体制を整備して実行に移したい、かように考えております。
  29. 中村重光

    中村(重)委員 要請を受けた長崎県の経済部長が、橘湾に入れる際は係留タンカーを二重底にさせたい、半月程度で改造できて一隻数億円の金が県内造船に入る、こう述べているわけです。これは可能ですか。
  30. 棚橋泰

    棚橋説明員 現在のタンカーは、御指摘のように二重底が義務づけられておりません。本件備蓄に使用いたしますタンカーは、先ほど申し上げましたように、現在の一般的なタンカーを乗員を配備したまま使用しようというものでございますので、特段二重底を義務づけるということは、現在のところは考えておりません。
  31. 中村重光

    中村(重)委員 運輸省は二重底は考えていない。ところが、部長が、ただいま私が申し上げたような私見であろうとも何であろうとも、発言をしているということです。それは何を意味するかということになってまいりますと、そのままではやはり不安であるという、その表明であるということに受け取らなければならない。だとしたらば、拙速であってはいけない、慎重を期していくのだ、安全第一だということでありますならば、運輸省がいまお答えのように二重底は考えていないということではなくて、真剣にこの問題を含めて検討していく必要があるのではなかろうかと私は思うのでありますが、この点は海難防止協会の猪口参考人からも御見解を伺いたいのですが、橋本長官からひとつ考え方をお聞かせください。——どうぞ参考人から。
  32. 猪口猛夫

    猪口参考人 二重底の問題につきましては、先ほど運輸省の方からお話があったとおりでございますが、現在問題になっております一例の橘湾につきましては、底質といい、水深といい、それからいままでに得ました気象、海象状況からいいまして、対象になっておるタンカーが錨泊することにおきましては技術的に何ら心配がないわけでございます。それは先ほど申し上げました中間的な技術調査研究の段階においても出ておるわけでございまして、その点は、二重底にしなければならないとかどうとかという問題は、全然問題にもなっていないわけでございます。ただ、いままで得ました底質あるいは水深、それらが現地におきまして果たして私たちが得ている資料のとおりであるかどうかということは、各委員が確認したいという希望を持っておりますので、現地調査を速やかにやりたいというだけのことでございまして、われわれが得ておる資料におきましては、あらゆる技術的な検討の結果は安全であるという見解をいま示されているようでございます。
  33. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 運輸省からお答えしたとおりということになろうかと思いますが、いわゆる船舶構造につきましては船舶安全法によって保証されておるわけでございますので、私はその限りにおいて大丈夫だと思いますし、それから、先ほど申し上げましたように、荒天が予想される場合には事前にその基地を離脱するといったような方途も考えておりますので、御懸念のようなことはないと思っております。
  34. 中村重光

    中村(重)委員 参考人もいかにも絶対的に安全だというような印象を与える答弁なんです。また、船舶安全法によって運輸省が答えたとおりのことだから安全だ、そして危険の際は離脱するんだ。十隻という船団を組んでどこに行こうとするのです。どうして絶対安全ということが言えますか。衝突だってないのですか。洋上備蓄の場合において、二重底にするとか二重隔壁にするとかいったようなことは、これからやるのはこうでなければならぬという考え方の上に立ってそうした提言もなされているのではありませんか。だから、二重底を頭から否定するといったような考え方は、保安と安全を否定するもはなはだしいということを私は指摘したいのです。どこへ行くのです。十隻の船団を組んで離脱する。消えてなくなるのじゃないんだ。台風が来たからどこかへ行かなければならない、しかも十隻の船団なんだからそう簡単なものじゃありませんよ。その点はどうするのです。
  35. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 先ほど私が、従来の一般法規に加えて安全防災対策を強化していく、その方向で検討しておると申し上げた中に、各船の管理のほかに集団管理体制というものを整備するということを申し上げたわけでございますが、各船については当然常時稼働体制、これは正規の船員も乗っておりますし、エンジンその他の機械装置もいつでも動き得る体制にしてあるということでございます。それから、全体として専門家から成る集団管理体制を組織いたしまして、進入の時期あるいは離脱の時期、そのための方法あるいは順序等もあらかじめ決めておくんだというふうに申し上げたわけでございますが、たとえば非常に強い台風が襲来するといったような気象条件を観測し得た場合には、いま申し上げましたあらかじめ準備した方法順序に従ってその船が安全な海域に離脱していくというふうに、あらかじめ事前に準備しておく。状況によってはそういったことを周知徹底し、あるいは船員に対する訓練もかねてから行っておくという対策も考えておるわけでございます。
  36. 中村重光

    中村(重)委員 橋本長官答弁は、ある程度の説得力があるというように私は思います。ですけれども、その他の答弁は、保安と安全を軽視するもはなはだしいということを申し上げておきたいと私ば思います。  それから、橘湾に操業している漁船の数とか魚種、水揚げ高はどうなっていますか。
  37. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 私漁船の数は承知いたしておりませんが、年間の水揚げ量は五十億ないし五十五億円程度というふうに聞いております。
  38. 中村重光

    中村(重)委員 そうすると、タンカーは一隻二・七キロであったのが、もう少し緩やかに見ておかなければならぬというので三・六キロ、十隻で三十六キロだね、その面積は。しかもあなたはまだ漁船の数とか魚種は調べていないのだけれども、小型底びきが三百三十隻、小型まき網が五十隻です。水揚げ高は五十五億、いまあなたは五十億程度と言ったんだから大して変わらない。このタンカー備蓄ということになってまいりますと、あの橘湾に三十六キロにわたってタンカーがずっと係留しているわけだから、漁業との両立はできないでしょう。いかがですか。
  39. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 タンカーを錨泊させることによりまして、どの程度の海面について漁業に影響を与えるかということでございます。それは漁法によっても異なってくるかと思いますが、タンカーが風向等によって投描点を中心に回転移動する、一隻当たり約半マイル程度というふうに計算いたしておるわけでございます。十隻の場合、御指摘のように三十数キロにわたるということになろうかと思います。しかし、これは荒天の場合までも考慮して考えておるわけでございますので、必ずしも常時この範囲内において、もちろん漁法によって違ってくると思いますけれども、この海面水域が全面的に漁業ができないというものでもないと思いますが、いずれにいたしましても、御指摘の程度の海面にわたって漁業が影響を受けるということは事実でございます。
  40. 中村重光

    中村(重)委員 それはあなたの方は要請をするのだから、その要請を受けた側は、現在の漁業の水揚げ高が幾らか、そうして今度は水面使用料というのが四百円、立地交付金が百円ですね。そうすると、一隻当たり一億二千五百万円ですか、十隻でもって十二億五千万円、こういうことになりますね。それは一年でしょうから、二年間係留でトータルで十二億五千万ではないのでしょう。そうすると、二年ということになってくると二十五億ということになる。一年間に五十五億ということであります。そうすると、両立はできると言うが、それはあなたは素人だからそういうことを言うのだ。先ほど申し上げたように要請する側だから、そろばん勘定は向こうがして、受け入れば困るとなれば向こうが断るだろう、そういうような安易なことで要請してはいけない。  やはり政府なんだから、関係各省庁というものが十分総合的に検討し、判断を加えていくのでないと、問題を提起されると、やはり不漁のときもあるし、十二億五千万円、これは何かしら金が欲しいなといったような気持ちが起こってくるのですよ。たとえば市場なんかをつくるときに、三千万円の補助金が出る。ところが、その補助金をもらうと二・七%という抵利の融資は受けることができない。長い目で見たら、三千万円やそこらの補助金をもらうよりも、二・七%の低利でもって金を借りた方が得なんだけれども、やはりそこでただで三千万円くれるのだということになってくると、どうしてもそこへ引きつけられてくる。ちょうどそれと同じなんで、長い目で見たら本当は損なんだ。これは底びきであるとかまき網——一本釣りならば両立できるのですが、こういった漁業というものはタンカーがずっと十隻もでんと三十何キロにわたって係留しておったらできるものじゃないのですよ。しかも先ほど申し上げたように、底引きが三百三十隻でしょう、まき網が五十隻だから、これは何ぼ素人でも常識的に考えてみたら無理だということは私はわかると思う。  それらのことを考えてみると、特に私は福田内閣の柱とも言われる河本通産大臣にお考えをいただかなければならぬことは、経済水域二百海里時代です。沿岸漁業振興というものは、国民の水産物たん白源というものがいかに重要であるかということをお考えになりますとき、なるほど備蓄も必要だろうけれども、やはりそれらの点を総合的に判断をしてこのタンカー備蓄というものを計画をし、また要請の可否についても判断をしていくということでないといけないと私は思う。したがって、橘湾のタンカー備蓄については、一応打診はしただろうけれども、これらの点を総合判断をして改めて検討し直す必要があるのではないかと考えますが、いかがですか。
  41. 河本敏夫

    河本国務大臣 いま県知事には前向きに検討していただくようにお願いをしておるわけでございますが、しかし、最終の判断をされるにつきましてはいろいろな要件があろうと思います。それらを総合的に判断をいたしまして、何らかの御返事をいただけるものと思っております。
  42. 中村重光

    中村(重)委員 どこにいたしましても、いわゆる錨泊地点ということになるわけですが、一応政府が選考した検討を加えてきだ地点に正式な要請をしていくという場合、私は事の重要性ということから考えまして、まだこれからの検討でございますから国会に報告をされる必要があるのではないかと考えますが、この点いかがでしょう。
  43. 河本敏夫

    河本国務大臣 錨泊候補地の選定に当たりましては、まず自然条件、それから港湾条件、それから漁業活動等についての事前の調査を行うとともに、関係の自治体との意見交換も行いまして、その意向を確認することが必要であります。その必要に応じまして地元関係者との間に本格的な折衝に入ることになるわけでありますが、この本折衝に入る時点で理事会に御報告し、その御指示によりまして委員会に御報告をしたいと考えております。
  44. 中村重光

    中村(重)委員 基本的な問題についてまだお尋ねをしたいのですが、時間が参りましたからこれで終わりますが、先ほど来申し上げましたような点からいたしまして、私は備蓄そのものに反対はしないが、タンカー備蓄は適当ではない、ましてや橘湾の備蓄というものは正式要請を中止すべきであるということをはっきり申し上げて、一応質問を保留して、きょうはこれで終ります。
  45. 野呂恭一

    野呂委員長 長田武士君。
  46. 長田武士

    ○長田委員 石油国家備蓄についてお伺いをいたしたいと思っておりますが、現在の石油備蓄政府は、昭和五十一年四月に石油備蓄法が施行され、四年後の昭和五十四年度までに日本の全石油消費量の九十日分を備蓄するということが根幹となっておるわけであります。本年度新たに、民間を主体とする九十日分の備蓄体制を補完するために、ただいま議題となっております石油開発公団法を一部改正して、公団が直接備蓄に乗り出すことができるよう国家備蓄体制を制度を創設したわけであります。この制度については、わが国における石油の安定供給を確保するためには当然のことであり、リスクの大きい備蓄事業をいままで法律によって民間に義務づけていた政府の姿勢は批判されるべきであったと言えるわけであります。  そこで、国家備蓄制度についての概要と、これを具体的にどう進めていかれるのか、この二点について御説明をいただきたいと思います。
  47. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 ただいまお話ございましたように、現在民間主体で九十日備蓄を進めておるわけでございますが、世界各国の情勢からいたしますと、できるだけ早くもっと多くの備蓄を実現する必要がある、一方、民間備蓄におきましてはその負担に限界があるというところから、国家備蓄お願いいたしておるわけでございますが、当面、国家備蓄といたしましては一千万キロリッタータンク容量にいたしまして千二百五十万キロリッターの国家備蓄体制を整備いたしたい、かように考えておるわけでございまして、当面五十三年度におきましては、土地の一部を取得するとともに、貯蔵施設の調査設計に着手したいと思っております。  五十四年度以降のスケジュールといたしましては、五十五年度中にタンク容量にしまして二百五十万キロリッター、油量にして二百万キロリッターになると思いますが、五十六年度中に六百二十五万キロリッター、五十七年度中に三百七十五万キロリッター、五十七年度末までに一千万キロリッター備蓄が可能なように千二百五十万キロリッタータンク建設したい。その間、恒久タンクができるまでのつなぎといたしまして、タンカー備蓄五百万キロリッターというものを本年度中に実現したい、かように考えております。     〔委員長退席、中島(源)委員長代理着席〕
  48. 長田武士

    ○長田委員 昭和五十七年度に一千万キロリットル、石油消費量の約十日分備蓄陸上タンクで行うということが概要のようでありますけれども、そこで、これに必要な資金、初年度の五十三年度に五百五十六億円がすでに必要とされているように、今後土地の購入、施設の建設など多額の資金が必要になってくることは当然であります。したがって、最終的に目的を達成するためには一体どのぐらいの資金が必要とされるのか、またこれにかかわる資金をどのような方法で確保されようとしておるのか、具体的に御説明をいただきたいと思います。
  49. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 国家備蓄一千万キロリッターを達成するために必要な資金は、五十三年から五十七年度まで五カ年間で七千五百億円程度と考えております。このうち原油代が二千五百億、施設費が三千三百億、土地代が九百億、業務費が八百億、こういう内訳になるわけでございます。これを必要とする財源につきましては、従来からの原重油関税の一部と、この六月から創設されます石油税収入を財源と考えております。
  50. 長田武士

    ○長田委員 こうした多額の資金をどのように調達するかということは、この計画を達成する上でも基本的な問題でありますから重要であります。しかし、この問題については九十日備蓄計画及び需給量の増大に比例しまして備蓄量を積み増しすることが必要ですから、これに要する資金問題と一緒に別の機会に質問をいたしたいと考えております。  まず最初に、タンカーによる備蓄問題についてお尋ねをしてまいりたいと思っております。  昨年、円高騰の際、経済の安全保障タンカー業界の不況対策、経常収支の黒字減らし対策などの一環といたしまして、このタンカー備蓄検討されてきたと記憶をいたしております。しかし、先ほど来通産省答弁を伺っておりますと、地上タンクが完成するまでのつなぎ的処置として検討されているように受け取られるわけであります。私はこの考え方を非難するものではありませんが、しかし、経常収支は昭和五十二年度においては政府が二度にわたって修正をいたしました。しかし、黒字見通し百億ドルをさらに四十億ドル上回るという大幅な黒字となりました。五十三年度においても、政府見し六十億ドルの達成はとうてい困難ではないか、このような状況下に置かれているわけであります。そういう意味からいきましても、このタンカー備蓄は黒字減らしの一つの対策といたしまして早急に実現をしなくてはならない、こう考えるわけでありますが、この点はいかがでございましょうか。
  51. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 タンカー備蓄を早急に実現したいという理由はいろいろございますが、ただいま御指摘の黒字減らしという点に限って申し上げましても、現在キロリットル当たり大体八十六ドルでございますから、これを五百万キロリットル備蓄することによりまして、約四億三千万ドル程度の黒字減らしになるというふうに試算いたしております。
  52. 長田武士

    ○長田委員 黒字減らし対策につきましては、五十二年度に五回にわたりまして閣議決定され、それぞれ対策が打ち出されたわけであります。しかしながら、なかなか実行されず今日に至っておる現状でありますし、ついに百四十億ドルの経常黒字を出し、政府の見通しが後手後手に回ったことはこれを見てもはっきりいたしております。したがって、五十三年度こそ黒字減らしを着実に実施しなければならない。そうしないと、対日不信はさらに高まってまいります。そして、新たな経済紛争がどうしてもこの問題を通して避けることはできないのではないかと私は考えるわけであります。こうした実情を踏まえて、タンカー備蓄の問題は一日も早く実施しなければならない。このように私は考えておるのであります。  そこで、政府はいつごろまでにタンカー備蓄を実現されようとしておるのか、通産大臣にお伺いいたします。
  53. 河本敏夫

    河本国務大臣 いま国際収支のお話が出ましたが、御案内のように、五十二年度は予定を非常にオーバーいたしまして、百四十億ドルの大幅な経常収支の黒字になってしまったわけであります。世界で二番目の黒字国はドイツでありますけれども、ドイツは三十億ドルで、日本と非常に大きな差がございます。そこで、世界各国ではこの日本の黒字の現状を第二のOPECである、こういう趣旨のことを言っております4また、こういう状態が続きますと、日本の大幅黒字が導火線となりまして、世界全体に保護貿易的な傾向が起こってくる危険等もございます。日本といたしましては、どうしても自由貿易を原則といたしまして、世界貿易を拡大均衡に持っていきたい、そのことによって世界全体の経済の発展を図りたいというのが基本的な考え方でございます。  そういうことで、全体としての貿易収支の流れを大きく変えていきたい、何とか年度間六十億ドルという経常収支の目標を達成したいということにいま全力を挙げて取り組んでおるのでございますが、現状はややおくれがちでございます。そこで、本日朝八時から緊急の経済対策閣僚会議を開きまして、一連の対策を決定いたしました。  タンカー備蓄の問題につきましては、昨年の秋以来基本方針が決定をいたしておりまして、前向きに取り組んでおりますので、できるだけ早くこれを実現いたしまして所期の目標を達成したいと考えております。
  54. 長田武士

    ○長田委員 通産大臣は、、去る三月一日の当委員会で、五十三年度の経済運営について、実質七%の経済成長率を達成することはそれほど困難な課題ではないが、経常収支を六十億ドルの黒字にとどめる方がむずかしい面がある、政府としてはこの六十億ドルの目標達成のための工夫と努力に全力を挙げたいと答弁されておるわけであります。その具体策としての製品輸入の拡大、資源エネルギー備蓄、経済協力の拡大などに力を入れるとの考え方を明らかにいたしました。さらに同席されました経済企画庁長官は、来年度も原油の備蓄積み増しを中心に各省庁が協力して緊急輸入を検討しなければならないと述べておられるわけであります。  このように両大臣が原油の積み増しについて幾ら叫んでも、これを受け入れる場所がなければ何にもならないわけであります。しかも受け入れ場所を早く解決しなければ、わが国が対外的に黒字減らしについて努力していると説明いたしましても、諸外国は納得し得ないのであります。  そこで伺いますが、泊地の候補地はどのようなところを考えていらっしゃるのか、具体的にお示しをいただきたいと思います。
  55. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 タンカー錨泊地点の選定に当たりましては、気象条件、海象条件あるいは港湾の広狭、海底の地質といった自然条件、あるいはその地域における漁業活動、海上の交通量といった社会的条件、こういったいろいろな点について審査、点検をする必要があるわけでございます。昨年の暮れ以来、運輸省あるいは水産庁協力を得まして、全国にわたりまして二十カ地点候補地点としてまず選び出しまして、現在手持ちの資料でただいま申し上げましたような事項について審査いたしたわけでございます。それを数ヵ地点にしぼりまして、現在日本タンカー備蓄協会に委託いたしまして、現地について調査を始めておる段階でございます。  具体的なその地点を示せというお言葉でございますが、先日来またきょうもお話に出ました橘湾以外につきましては、現在なおさほどに地元との話が進展いたしておりませんので、この段階で申し上げることについては差し控えさせていただきたいと思います。
  56. 長田武士

    ○長田委員 明確な御答弁がないのでありますけれども、確かに初めてのことでございますし、さまざまな問題が出てくることは当然であります。そういう問題を一つ一つ解決しなくてはならないと考えるわけであります。しかし、早期に実現できないとすれば、新たに黒字減らしの施策を考えなくてはならない、そういう事態に日本経済ば追い込まれると私は思うわけであります。しかも三月十一日に閣議決定された黒字減らし対策の中でも、原油のタンカー備蓄の早急な具体化をうたっているわけであります。検討とか論議の段階から政治決断の機は迫っているのじゃないかと私は思うわけであります。この計画が表面化してからもすでに半年たっております。  そういうことでありまして、候補地については自薦他薦を含めいろいろな情報が入ってくると思いますけれども、大臣の方から候補地を指定して調査する時期に来ておるのではないか、このように思っておりますが、大臣、いかがでしょうか。
  57. 河本敏夫

    河本国務大臣 候補地につきましては幾つかございますが、できるだけ早く具体化するように指示をいたしております。
  58. 長田武士

    ○長田委員 去る二月十日、この計画を推進するために、通産、運輸両省の所管である財団法人日本タンカー石油備蓄協会の設立が認可されまし、た。本格的な事業が開始されたわけでありますが、当協会の設立目的と、どのような事業をされるのか、具体的にお示しをいただきたいと思います。
  59. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 まず、タンカー備蓄協会の目的でございますが、タンカーの利用による石油の備蓄に係る調査及び広報を行うことにより、タンカー石油備蓄の推進に協力するということでございまして、その目的に即応いたしまして、事業としては、一つがタンカーの利用による石油の備蓄に関する調査、二がタンカーの利用による石油の備蓄に関する広報、三がその他本法人の目的を達成するため必要な事業、かように事業内容はなっております。
  60. 長田武士

    ○長田委員 今日へ発電所の建設や石油備蓄基地の建設など、こうした一連の事業を行うに当たりましては、地元の了解を取りつけることが非常にむずかしくなっております。計画がそういう面でスムーズに進んでいないという現状であります。したがいまして、一日も早く備蓄タンカーの泊地についての調査実施するとともに、地元との折衝や安全対策などについて具体的な行動を起こさなければ、早期実現は不可能となってしまうわけであります。  そこで、こうした問題については、本法案の成立が前提でありますが、どのような方法を講じて対処されるのか、具体的にお伺いしたいと思います。  なお、これにあわせて、いつごろまでにこうした作業を終わらせる見通しなのか、ひとつ明確なスケジュールをお示しをいただきたいと思います。
  61. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 タンカー錨泊地点を決定するに当たりましても、御指摘のように、地元との折衝あるいは安全防災対策の確立ということは当然必要になってまいるわけでございますが、安全防災対策につきましては、先ほどもお答えしたところでございますが、現行の海上保安法規、これは一般的に適用されるものでございますが、当然にこれを遵守する。そのほかに、タンカーに石油を満載して一地点に錨泊するといったような新しい試みでございますので、さような一般法規に加えまして、具体的な立地点について安全防災対策をさらに完全なるものにいたしたいということで、作業を急いでおるわけでございます。  こういった作業とあわせまして、地元折衝をさらに本格的に進めていくということになるわけでございますが、そういった作業をいつまでに終えるかという御指摘でございますが、まず、現在御審議いただいております石油開発公団法改正が成立しないと、これば事実上私たちも行動を本格的になし得ないのでございますので、できるだけ早く御審議いただきまして、一日も早く本格的な対応をいたしたい、かように考えております。
  62. 長田武士

    ○長田委員 次に、石炭及び石油対策特別会計の一部改正について大蔵省お尋ねをいたしますが、今回の改正によりまして石油税が徴収され、これが一般会計に入ってまいります。そうして石特会計に一般会計からさらに繰り入れられまして、それが石油公団、そして業界というふうな流れになるわけであります。石特会計の方は、附則の二項で、「昭和五十七年三月三十一日までに廃止するものとする。」というふうになっておるわけでありますが、この附則と石油税法のかかわり合いについてお尋ねをしたいと思います。  そこで、石特会計の場合は五十七年三月三十一日までに廃止するものとするとの条項の解釈についてどう考えていらっしゃるのか、この点お尋ねをいたします。
  63. 佐藤浩

    佐藤説明員 お答え申し上げます。  御指摘のように、石炭石油特会法の附則で時限法の規定を置いているわけでございますが、ここに書いてございますように、「廃止するものとする。」という書き方をしておりますので、もう一つの時限法の書き方といたしまして、「その効力を失う。」という書き方が実は立法形式としてあるわけでございますが、「廃止するものとする。」というのは、純法律的に申し上げますと、同法について延長あるいは廃止というような立法措置を講じない限りは、当然にはその期限において廃止されるということはないわけでございます。ただ、こう書いております法律趣旨からいいまして、当然五十七年三月末日までに政府としては延長ないし廃止、何らかの立法措置をそれまでの間に検討して国会に提出申し上げまして御審議願う必要がある、そういう責任があるというふうに解しております。
  64. 長田武士

    ○長田委員 石油税という恒久的な税制を創設して、石油対策を充実させることになったわけでありますが、その受けざらとなる石特会計は時限立法、ただいま御説明のありましたとおり、五十七年三月三十一日であります。そうなりますと、いつ廃止されるかわからない、また継続されるかもわからないわけであります。しかも、もし廃止された場合に、石油税法で徴収された財源は一般会計に入っておるわけでありますから、そうなりますと、使途については備蓄のためであるとかいろいろ説明をされましたけれども、この関係はどうも私はすっきりしないのじゃないかと思いますが、どうでしょうか。
  65. 佐藤浩

    佐藤説明員 お答え申し上げます。  いま先生が御指摘のような、どういう考え方なのかという疑問は当然お持ちの方も多いかと思います。ただ、この石炭石油特別会計が時限法の形式をとっておりますのは、この会計が発足いたしました当時、石炭対策ということで特別会計ができた経緯がございます。その際には、といいますか、現行でもそうでございますが、石炭対策につきましては、石炭鉱業合理化臨時措置法等すべて時限立法で対策が行われているという関係もございまして、それに合わせて実はこの特別会計、現在に至るまで時限法で過去三遍延長して現在に至っているわけでございます。  ただ、四十七年に石炭対策のほかに石油勘定がこの特会に設けられまして、石油対策についても行うようになってまいりました。あるいは、いま御指摘のように、本年石油税法が成立いたしまして、石油対策の財源として石油税収を見込むというような状況で、相当この特別会計の性格にも変化が出てきておりますことは事実でございます。したがいまして、現在エネルギー対策が非常に重要になってきているということは申すまでもないことでございますし、ただ石油初めいろいろなエネルギー資源にかかわる内外情勢というものはなお非常に流動的な状況にございます。したがいまして、石油を含めましてエネルギー対策全般について、内外情勢変化に即応して新たな制度といいますか、それに応じた制度をつくってまいる必要が常にあるかと思うのでございますが、先ほども申し上げましたように、当面は現状の制度で対処しながら、五十六年度末、この石特の期限、特会の期限が切れるまでの間に、この特会をさらに延長するかあるいは廃止するか等を含めまして、その時点で新たな情勢に対応しつつ政府は立法をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
  66. 長田武士

    ○長田委員 今回提出されておりますところの石油開発公団法の一部改正は、その柱は国家備蓄ということが大きな柱になっておるわけであります。そういう意味で、私がいま申し上げましたのは、一方においては石特会計は時限立法、一方、石油税については恒久的な立法である、そういう意味で、法律の問題でありますから、当然並行してこういう点も検討されなくてはいけないのじゃないか。そうでないと、やはり日本の備蓄という将来にわたってのエネルギー確保について相当不安が出てくる。途中で廃案になってしまったりということになったんでは、いままでの計画は全部中途半端に終わる、こういう意味で私、申し上げているのです。この点どうですか。
  67. 佐藤浩

    佐藤説明員 ただいま申し上げましたように、政府といたしましては、五十六年度末までには、その時点の情勢を踏まえて必要なものは当然継続する、あるいはさらに必要な施策についても検討もしてまいるというつもりで考えております。ただ、特に、先ほども申し上げましたぶ、現時点で、石油税法成立の時点で特会について期限延長等の措置を行わなかった理由の一つは、実は石炭対策の諸法、臨時措置法が、期限が大体この特会と合わせまして五十六年度末に到来することになっております。その辺の検討もあわせて特会法の改正の際には行う必要があるという判断もございまして、実は今回その特会まであわせた検討は見送った次第でございます。
  68. 長田武士

    ○長田委員 次に、石油開発公団の投融資についてお尋ねいたしたいと思います。  石油開発公団法第十九条あるいは公団業務方法書の第五条及び第十条に基づいて、石油等の探鉱に必要な資金を供給するために出資及び融資ができる、そういうふうになっておるわけであります。昭和四十二年に石油開発公団が発足をいたしまして、今日までにどれだけの企業に対して出資されたのか、融資されたのか、おのおのの件数、金額を年度別に数えていただきたいと思います。
  69. 江口裕通

    江口参考人 現在、御指摘のとおり十カ年を経過いたしました。最初にごくラウンドを申し上げますと、五十二年度末に公団が出資いたしました金額は千六百五十四億円でございます。それから融資いたしましたトータルは千六百五十億円、合計いたしまして三千三百四億円でございます。  年度別に申しますと、やや、細かくなりますので便宜ラウンドで申し上げますけれども、四十二年度は出資八億、融資零。四十三年度は出資四十一健、融資十億。四十四年度は出資五十一億、融資十六億。四十五年度は出資八十六億、融資二十一億。四十六年度は出資百三十億、融資五億。四十七年度は出資百九十一億、融資三十九億。四十八年度は出資二百三億、融資七十七億。四十九年度は出資二百八十億、融資四百四十八億。五十年度は出資三百六億、融資五百九億。五十一年度は出資二百二十六億、融資三百十一億。五十二年度が出資百三十二億、融資二百十四億でございます。  それから、対象企業数といたしましては、全部で四十四社でございます。この中にはその後解散した会社等もございますが、グロスで申しますと四十四社、こういうことになっております。
  70. 長田武士

    ○長田委員 そこで、お尋ねしたいのでありますが、石油開発公団が、昭和四十二年から今日まで出資及び融資された会社で、現在休眠している会社あるいは解散した会社に対しての出資及び融資額はどうなっておるか、特に休眠会社に対しては現在幾らの残高が残っておるのか、おのおの会社数についてもお尋ねをいたします。
  71. 江口裕通

    江口参考人 私どもで俗称休眠会社と申しておりますのは、探鉱が不幸にして成功いたしませんで、鉱区を放棄いたしまして、現在新たなプロジェクト、そういう計画を持っておらない会社を便宜休眠会社と申しておりますけれども、そういう定義から休眠会社を申しますと七社でございます。これに対しまして、公団の投融資額は百六十七億六千三百万円でございますが、この中で十七億五千万円回収をいたしておりますので、五十三年の三月末残高は百五十億一千三百万円ということになっております。  それから、すでに解散をいたしました会社が先ほどの四十四社の中にはございますので、これの会社数が四社ございます。それから、そのほかに、ごく最近でございますけれども、カナダに開発をいたしております会社が一社ございます。ジャペックス・カナダと申しておりますが、その会社に対します公団の株式を売却いたしておりまして、これが一社でございます。会計いたしまして五社この五社に対しまする公団の投融資額は五十六億九千五百万円ということになっております。
  72. 長田武士

    ○長田委員 解散して公団が株式を売却した会社については五社で五十六億九千五百万円ということなんでありますけれども、この解散した会社とは、商法上における任意解散した会社になるのかどうか、また、この五社の解散による財産処分等によって石油開発公団はこれらの一部の資金の回収を行われたかどうか、この点いかがでしょうか。
  73. 江口裕通

    江口参考人 この解散手続がいわゆる任意解散であるかという御質問でございますけれども、そのとおりでございます。俗称任意解散と言っております。これは商法の第四百四条の一項二号でございまして、株主総会の決議によって承諾を得まして解散をしたという形をとっております。その際、解散をいたしますと、御高承のとおり、特別決議によりまして解散決議をいたしまして、そして解散をし、清算の手続をいたします。その結果、清算をいたしまして、残余財産の処分ということになるわけでございますが、その際、それによりまして、いわゆる解散の残余財産の処分等によりまして配付を受けました回収額は一億六千六百万円ということになっております。
  74. 長田武士

    ○長田委員 そうなりますと、公団がこれまでにかぶった損害額ですね、これは合計いたしますと五十五億二千九百万円になりますが、間違いございませんか。
  75. 江口裕通

    江口参考人 そのとおりでございます。
  76. 長田武士

    ○長田委員 このような損害は公団の経理上どのように処理してきておるのか、お尋ねをいたします。
  77. 江口裕通

    江口参考人 公団といたしましては、そういった不測の事態に備えまして、あらかじめ投融資損失準備金制度というものを設けております。これは各事業年度の出資金及び貸付金残高の千分の五十相当額を繰り入れておるわけでございまして、それからそのほか、いわゆる当たりました際のロイアルティーでございます負担金徴収額、この二本で損失準備金が構成されておるわけでございますが、こういった事態が起こりました場合は、この投融資損失準備金というものを取り崩しまして、これによって充当をいたすということを原則といたしております。
  78. 長田武士

    ○長田委員 それでは、公団といたしまして休眠会社、これはどのように定義されておられるでしょうか。
  79. 江口裕通

    江口参考人 先ほど七社と申し上げました休眠会社でございますが、これは私どもの方といたしましては、一応、石油の探鉱に不幸にして成功いたしませんで、その結果、鉱区の期限が参りました結果鉱区を放棄する、その後新たなプロジェクト等を見出せませんで、探鉱計画を現在持っておらないという会社、こういう会社を便宜休眠会社というふうに考えております。
  80. 長田武士

    ○長田委員 探鉱に失敗し、鉱区をもうすでに放棄した、今後なおかつみずからも探鉱計画を持っていない、そういう会社ですね、七社ということでありますけれども、投融資総額百六十七億六千三百万円と私は聞いておるのですが、その点間違いありませんか。その会社の内訳をひとつお知らせ願いたいと思います。
  81. 江口裕通

    江口参考人 答えから申しますとイエスでございます。合計いたしまして百六十七億六千三百万円でございます。ただ、この中には、先ほど申しましたように十七億五千万円の回収が上がっております。  会社別に申しますと、七社の内訳は、コロンビア石油がございます。これに対しまして公団が七億九千四百万円出資いたしております。それからカタール石油、これはカタール沖に開発をした会社でございますが、これに対しまして出資を十八億円及び融資を十七億五千万円いたしておりました。この融資の十七億五千万円が回収されております。それからジルド・オーストラリア、これはオーストラリアに鉱区を持つ会社でございますが、これに対しまして二億四千七百万円の出資、それからオセアニア石油に対しまして二億九千万円、それからアンデス石油、これはペルーで稼行いたしました会社でございますが、これに対しまして公団の投融資が八十七億円、それからサバ石油開発、これはマレーシアのサバ州でやっておりました会社でございますが、これが十八億六千二百万円、それからスマトラで稼行いたしておりました会社がスマトラ石油でございますが、これに対しまして十三億二千万円、合計いたしまして百六十七億六千三百万円、かようになっております。
  82. 長田武士

    ○長田委員 このような会社、休眠会社というかすでに解散したような会社、これにつきましては、公団が相当額の損失をこうむるんではないかと私ば思うのですけれども、その点どうでしょうか。
  83. 江口裕通

    江口参考人 百六十七億の国家資金を投入さしていただいておりますが、御存じのように、この開発事業と申しますのはなかなかリスクの高い事業でございます。遺憾ながら、中にはいま申しましたような四十数社のうちの七社というようなものが出てまいります。そういうものに対しまして、いま申しましたような回収不能額というものがどうも立たざるを得ないということになっております。これに対しましては評価損を立てると申しますか、そういうような措置を講じましてこれを整理していくということになろうかと考えております。
  84. 長田武士

    ○長田委員 石油開発については、ただいま御答弁がありましたとおり、非常にリスクが高いわけです。そういう事業でありますので、失敗すれば休眠会社になるということは通常あり得ることだと私は思うのです。それをいつまでも存続さしておくことは、公団が不良資産を持つことになりますし、経理上問題が出てくるんじゃないか、そういう意味で私は早急に経理的な処置をすべきではないかと思いますが、この点どうでしょうか。
  85. 江口裕通

    江口参考人 全くそのとおりであろうと思います。この点につきましては、すでに会計検査院からも御同様な御指摘をいただいております。それから当国会におきましても、決算委員会等において御注意をいただいているわけでございまして、私どもの方も、その御指摘に従いまして、整理すべきものは速やかに整理していく、あるいは公団保有株式を適宜処分するというようなことで経理内容を明白にすると申しますか、そういうふうなことは極力これから進めてまいりたいと考えております。
  86. 長田武士

    ○長田委員 次にお尋ねしたいのでありますけれども石油開発公団の本来業務である開発関係が今回の法改正にば入ってないわけでありますが、その理由についてお尋ねをいたします。
  87. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 すでに御承知のように、石油開発公団昭和四十二年の十月に設立されまして、それ以来石油と可燃性天然ガスの探鉱資金に対する投融資、開発資金にかかわる債務保証を実施することによりまして、わが国企業による探鉱開発援助をしてまいった。その後、石油備蓄の増強を図るために、原油購入資金の融資あるいは共同石油備蓄会社への出資、融資を行ってきたわけでございますが、今回さらに公団みずからが石油備蓄を行うことにいたしたいということで、法案の御審議をいただいておるというののが現段階でございます。  お尋ねの石油開発につきましては、現在総合エネルギー調査会の石油部会の下に石油開発委員会専門委員会、これは東大の平川教授に座長をお願いいたしておりますが、この専門委員会で石油開発の全般にわたって御検討いただいておるわけでございますので、この専門委員会における審議結果を踏まえまして所要制度改正を行ってまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  88. 長田武士

    ○長田委員 現在の石油開発公団は、先ほどもちょっと触れましたけれども、投融資を通じて民間企業への助成機関にすぎないわけであります。いま御答弁がありましたとおり、今回の改正においても開発については一切触れられていないわけであります。  そこで、わが国における今後の石油開発を進めるため公団はどのような方向に持っていくのか、この点お尋ねをいたします。
  89. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 ただいまも申し上げましたように、総合エネルギー調査会の石油部会で、わが国における石油開発のあり方全般について御審議いただいておるわけでございます。現在までのところ、数回開きまして、周辺大陸棚の開発の問題あるいは自主開発原油の引き取りの問題、こういった問題も御審議いただいておるわけでございますが、あと六、七月ごろまでに開発専門委員会としての討議結果をまとめていただきたいというように考えておるわけでございます。その報告と申しますか審議結果によりまして、たとえば石油開発公団みずからも開発をやるようにといった結論が出てまいりました場合には、その段階石油開発公団のあり方ということにおいて所要改正も必要かと思うわけでございます。現在まだ専門委員会審議中でございますので、いまの段階では確たることを申し上げられない、こういうことでございます。
  90. 長田武士

    ○長田委員 次に石油開発公団お尋ねをいたします。  石油開発公団は掘削装置を持っておるわけでありますが、現在どのような使い方をされておるのか、お尋ねをいたします。
  91. 江口裕通

    江口参考人 公団は、公団法の十九条の四号に基づきまして、探鉱機械の貸し付けを行うということになっておるわけでございます。それで、現在まで種々の探鉱機械を貸し付けておるわけでございますが、なかんずく海洋石油掘削装置、俗称第二日竜と申しておりますが、これにつきましては、四十六年五月に建造いたしまして、それ以来探鉱機械貸付業務の重要な一環ということで、掘削の専門会社でございます日本海洋掘削に継続的に貸し付けております。この日本海洋掘削では、この掘削装置を活用いたしまして、わが国周辺の大陸棚でいわゆる掘削を行っておるわけでございますが、現在まで三十一本の試掘を行ってきておるわけでございます。
  92. 長田武士

    ○長田委員 なぜ石油開発公団自身が掘削装置を使われないのか、この点いかがですか。
  93. 江口裕通

    江口参考人 これは本来公団の設立されましてからの考え方と申しますか、たてまえということになるわけでございますけれども、民間の自主的な活力を活用していくことが公団の一つの大きな柱になっておりまして、公団はそういった民間活動に対しまして資金的、技術的な支援をするということが、いままでの一つの体系でございます。そういう意味から、こういった機械につきましても極力貸付業務をするということでございますが、これは他面から見ますと、たとえば日本海洋掘削におきましてもある程度相当数の機械は現在持っておるわけでございまして、こういうところの機械と合わせまして総合運用といいますか、むだのないような運用をするということで行われてきておる、こういうふうに考えております。私どもといたしましては、たてまえもございますが、そういうメリットの面からもいまのような制度は意義があるというふうに考えておるわけでございます。
  94. 長田武士

    ○長田委員 次に、大蔵省お尋ねをいたします。  石油開発企業は、国内に担保のある財産を持っていないわけですね。そのため、開発段階に移行する際、輸出入銀行からの借り入れが困難な場合が当然出てまいります。したがって、石油開発公団が債務保証を行い、輸出入銀行からの借り入れを円滑にする必要があると私は考えるわけであります。  そこでお尋ねいたしますが、現在なぜ公団による輸出入銀行に対する債務保証を行っていないのか、その理由について御説明を願いたいと思います。
  95. 佐藤浩

    佐藤説明員 御質問のとおり、確かに現在制度運用といたしまして、原則として輸銀からの融資に対する公団の保証ということを行ってないわけでございますが、御指摘にもございましたけれども、ほとんどのこういう探鉱企業といいますか、開発企業の資産が海外にある、あるいは資本蓄積自体が日本の企業の場合少ないというようなこともございまして、そういう事情がある一方、また探鉱資金等は非常に所要資金が膨大である、あるいはリスクが大きいというようなこともありまして、民間金融だけではなくて公的な信用で補完する必要があるということで、現在御指摘のような輸銀融資とかあるいは公団融資、あるいは公団の債務保証とかいろいろ公的な信用制度を設けておるわけでございますが、大蔵省としての基本的考え方は、そういう公的信用をできるだけフルに活用してまいって所要開発資金をファイナンスするという見地から、同じ政府関係機関がダブってこういう公的信用について行うということは、それだけ資金の効率的見地からもどうか。それから実際の運用上も、政府関係金融機関あるいは公団等が融資あるいは保証する場合、あるいはそういう事案の相談を受けました場合は、お互いによく連絡し合いながら融資なり債務保証をしてまいるたてまえになっておりますので、実際上ダブって行う必要もないかという考え方で、現在は輸銀の融資につきましては公団の保証を原則として行わないという考え方でやっておるわけでございます。
  96. 長田武士

    ○長田委員 私は、公団の輸出入銀行に対する債務保証を復活させるべきである、そう考えておりますので、強く要望しておきます。  次に、タンカー備蓄の問題に戻りたいと思いますけれどもタンカー用船についてお伺いしますが、五百万キロリットルの備蓄を行うためにはどのぐらいのタンカーを何隻使うのか、お尋ねをいたします。
  97. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 VLCC型のタンカー二十隻程度必要かと考えております。
  98. 長田武士

    ○長田委員 それでは、運輸省お尋ねいたしますが、現在タンカー備蓄に参加できる船会社は何社あるのか、また使用できるタンカーは何隻あるのか、お尋ねをいたします。
  99. 棚橋泰

    棚橋説明員 今回の話が起こりました段階におきまして日本船主協会で調査をいたしましたところ、十五社から約四十数隻の申し出がございます。
  100. 長田武士

    ○長田委員 次に、通産省お尋ねいたしますが、タンカー用船料の予算措置はどのようになっておりますか、お尋ねをいたします。
  101. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 五十二年度予算におきまして用船料を計上するに当たりまして、現在の用船の市況に加えまして、タンカー備蓄用として拘束される期間が二年程度と長期に及ぶことと、それから多数のタンカーを組織的に使用する、こういった条件を加味いたしまして積算いたしたわけでございますが、予算単価といたしましてはキロリットル当たり三千七百五十円でございます。百二十五億円でございます。もちろん実施段階におきまして、その錨泊の方法だとか契約期間あるいは船の種類等、こういったものを考慮して具体的に定めていくことになろうかと思います。
  102. 長田武士

    ○長田委員 運輸省お尋ねいたしますけれども、現在のタンカー市況はVLCC二十五万トン級でどうなっておりましょうか。
  103. 棚橋泰

    棚橋説明員 タンカーの市況は、一般にワールドスケールというもので表示をいたしておりますが、このワールドスケールと申しますものは、一万九千五百トンのタンカーを一定の条件で走らせましたときの採算点を一〇〇といたしまして表示いたしますものでございますから、当然大型タンカーになりますとそれより採算点が低いところになるわけでございますが、大ざっぱに申しまして、船の状態等によって違いますけれども、御指摘のVLCC型では採算点と申しますのが大体五五から六六、七ではないかというふうに考えております。  現在市況は、市況はまた二つに分かれまして、一つはいわゆるスポットもの、一航海ごとの運賃でございますけれども、それと長期のものに分かれますけれども、現在スポットものでは五十三年の二月で、ワールドスケールで平均して二〇・六ぐらいに下落をいたしております。したがいまして、採算点の三分の一ぐらいになっております。長期ものにつきましては、現在のところ市況がそういう状態でございますので、成約のデータが正確なものがございませんけれども、仮にあったといたしますと、長期でございますと、期間が長くなるにつれて、現在のような市況でございますと、それよりは高くなっていくということでございます。
  104. 長田武士

    ○長田委員 先ほどのエネルギー庁の御答弁で、百二十五億円がタンカー用船料ということでありますが、これをトン当たりに直しますと四百円弱、タンカーレートをあらわすワールドスケールは四九程度となっておるわけであります。ところ・が、現在の市況は、ワールドスケールが二三でトン当たり百五十円程度といいますから、タンカー業界にとってはきわめて有利な条件となっておるわけであります。  そこで、通産省お尋ねをするのでありますが、国家備蓄といたしましてエネルギー対策予算を充当する以上、国費のむだ遣いは避けなくてはなりません。そのため、用船料は入札方式で決めるべきであると考えるわけでありますが、この点いかがでしょうか。また、この場合、そのときのタンカー市況に沿った線で決定すべきであると思いますが、この点どうでしょうか。
  105. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 財政資金を効果的に使うという意味においても、入札等の方法によって決定いたしたいと思っております。
  106. 長田武士

    ○長田委員 一方においては入札ということになりますと、用船料の安いところが優先される、そういう心配が当然出てまいります。安全性確保ども考えた上で当然決めなくちゃならないと思いますが、この点の配慮はどうでしょうか。
  107. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 もちろん入札の際の条件といたしまして、御指摘の安全といったような点についても条件として設定したいと思います。また、数隻で集団して停泊するということも当然考えられるわけでございますから、そういった船団を組むに値するかどうかといったようなことも、やはり条件として考える必要があろうかと思っております。
  108. 長田武士

    ○長田委員 もう一方、会社によっては何隻か偏ってしまうというケースも実は出てくるわけですね。こうした点については、運輸省はどうお考えでしょうか。
  109. 棚橋泰

    棚橋説明員 今回のタンカー備蓄は、国家的な備蓄目的で行うものでございますけれども、同時に、御承知のとおり、現在海運におきましては大型タンカーが大変過剰になっておるわけでございますから、したがいまして、そういう意味でそれらの船舶の有効的な活用になるということは、海運にとっても望ましいことであるというふうに考えております。そういう点からまいりますと、御指摘のように、特定の一社に偏るということは望ましくないということは言えるわけでございますけれども、先ほどエネルギー庁から御答弁のございましたように、これは財政資金等を有効に活用するものでございますから、公正な方法によって使用船舶を決定するというのはまた当然のことでございますので、したがいまして、そういう方法で決定されるのに際しまして、できる限り特定の会社に偏らないような選定をしていただければ大変幸いであるというふうに考えております。
  110. 長田武士

    ○長田委員 次に、水産庁お尋ねをいたします。  この備蓄構想に対して、漁業保全及び漁業者の生活権を守るという観点からどのように考えていらっしゃるか、これが第一点。  それから第二点は、泊地の候補地漁業関係者がタンカー備蓄に難色を示した場合、水産庁として仲介に入る考えがあるのかどうか、この点についてお尋ねをいたします。
  111. 伊賀原弥一郎

    ○伊賀原説明員 石油の備蓄につきましては、御承知のように、これが国民経済及び生活の安定向上に非常に必要なものであるという点につきましては、十分認識をいたしておるつもりでございます。したがいまして、基本的にはこうした認識に立ちまして対処していく必要があるというぐあいに考えております。しかしながら、水産庁は、元来漁業者を保護し、漁業振興を図っていくという立場にございますので、タンカー備蓄実施の仕方によりましては漁業の操業に大きい支障が出てくるという場合も出てまいりますし、一たん事故が発生した場合には、莫大な漁業被害が生ずるということでございます。こうした点を配慮いたしまして、極力漁業への悪影響を防止するという観点に立って、必要に応じ関係省庁と協議して対処することにいたしております。いずれにしても、具体的な計画の決定、実施という点につきましては、地元漁業者の十分な納得を得つつ進めていく必要があるというぐあいに考えている次第でございます。  第二点につきましては、もともと私どもといたしましては、泊地の選定に当たりましては、関係省庁のもとに事業主体である公団等によって進められるというぐあいでございますけれども水産庁としましては、その際には地元漁業者の意向を十分吸収、反映いたしまして取り進めるよう、関係省庁に話をしているものでございます。こうした認識のもとに立ちまして、適宜関係省庁とすでに連絡調整を図っておりますけれども、泊地の決定に対して漁業への影響が問題になる場合には、一応関係省庁と十分協議してまいるようにいたしたいというぐあいに考えている次第でございます。
  112. 長田武士

    ○長田委員 去る三月十五日付の新聞によりますと、通産大臣が長崎県知事に対して橘湾に二十五万トン級のタンカーを十隻程度停泊させたい、こういう要請をしたということでありますけれども、万が一海上が汚染された場合、この補償はどうなされるのか。漁業権補償については、通産省の考え方では、大体二十五万トンタンカー十隻で水面使用料が二十五億円を予定しているわけであります。しかし、同湾では年間五十五億円の水揚げがあり、通産省の考えている水面使用料とこの水揚げの差が金額が食い違っておるわけでありますが、この点について地元漁業者に対してどのような説明をされるか、この二点についてお尋ねをいたします。
  113. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 現在考えておりますいわゆる水面使用料は、キロリッター当たり四百円といたしまして、十隻の場合には年間十億円程度になろうかと思います。  それから、海洋汚染が生じた場合の補償でございますが、これは第一次的には油濁損害賠償保障法に基づきまして、事故船の船舶の所有者が無過失責任により油濁損害を賠償することになっております。ただ、これで十分でない場合に、追加補償を行うために、国際的にCRISTAL協定に基づ補償措置があるわけでございまして、現在石油開発公団がこの追加補償ができるようにこのCRISTALに加入するための準備、検討を進めておる、こういう段階でございます。ただいま申し上げたようなことを前提といたしまして、地元関係漁協と話し合いを進めるということになろうかと思います。
  114. 長田武士

    ○長田委員 それでは、時間が参っておるから、最後にお尋ねいたします。  タンカー備蓄の安全対策はどうなっておるのか、この点非常に心配をされておるわけでありますから、この点についてお尋ねをいたします。  次に、備蓄原油について、どのような品質の原油を備蓄をするかということが問題だと思うのです。石油業界と通産省との見解が何か違っているように実は私は受け取っておりますけれども、この二点についてお尋ねをいたします。
  115. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 まず、タンカー備蓄の安全対策でございますが、御承知のように、現在各種の海上保安法規があるわけでございます。これに加えまして、具体的な地点ごとに安全性をさらに確保するために、現在日本海難防止協会に委託いたしまして所要技術調査お願いいたしておるわけでございます。その中身といたしましては、たとえば橘湾の場合、その湾内でどのような地点に具体的にいかりをおろせばいいかといった具体的な地点の決定のための基準だとか、あるいは船につきましての管理体制、一船ごとの管理の問題と集団をなした場合の管理体制、あるいは環境保全のための対応といったようなものにつきましていろいろと検討お願いいたしておるわけでございますが、こういった一般法規に加えまして特段の安全防災対策を講ずることによってタンカー備蓄そのものを円滑に推進したいと考えております。  それから、二番目の備蓄原油の対象としての油でございますが、昨年の八月に総合エネルギー調査会の石油部会で中間取りまとめを行っております。この中で、公団備蓄の機能を自主開発原油、GG原油等のいわゆる政策原油の安定引き取りに活用すべきである、かような提言を行っております。対象とする原油につきましては、ただいま申し上げましたような政策的な要請とあわせまして、石油の需給情勢あるいは市場動向あるいはタンカー備蓄用の原油としての妥当性、たとえば流動点が非常に高いと中で固まってしまいますので、そういったものも含めまして備蓄用原油として適するかどうかといったようなこともあわせて検討してまいりたいと思います。  ただいま、石油業界が若干私たち意見を異にしているというような御指摘がございましたが、それは一つには、現在石油の需給が非常に緩慢になっておる、あるいは政策原油の中には重質油あるいはサルファの高い油などがあって、業界で引き取る場合に支障を来すのじゃなかろうかといったようなところを懸念しているのじゃなかろうかと思いますが、そういった点につきましてもただいま申し上げましたような点を考慮し、あらかじめ引き取りといったことも考慮して対応していく必要があるかと思いますが、特段にその見解が分かれたまま収拾がつかないといったような問題ではございません。
  116. 長田武士

    ○長田委員 以上で終わります。      ————◇—————
  117. 中島源太郎

    ○中島(源)委員長代理 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  特定機械情報産業振興臨時措置法案審査のため、参考人出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  118. 中島源太郎

    ○中島(源)委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  参考人の人選、出席日時等については、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  119. 中島源太郎

    ○中島(源)委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次回は、来る二十五日火曜日午前十時理事会、午前十時三十分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時四十分散会      ————◇—————