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1978-04-18 第84回国会 衆議院 商工委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年四月十八日(火曜日)     午前十時三十一分開議  出席委員    委員長 野呂 恭一君    理事 中島源太郎君 理事 武藤 嘉文君    理事 山崎  拓君 理事 山下 徳夫君    理事 岡田 哲児君 理事 渡辺 三郎君    理事 松本 忠助君 理事 宮田 早苗君       鹿野 道彦君    粕谷  茂君       藏内 修治君    田中 正巳君       田中 六助君    辻  英雄君       中西 啓介君    楢橋  進君       西銘 順治君    橋口  隆君       松永  光君    渡部 恒三君       板川 正吾君    加藤 清二君       後藤  茂君    上坂  昇君       渋沢 利久君    清水  勇君       武部  文君    中村 重光君       長田 武士君    玉城 栄一君       工藤  晃君    安田 純治君       大成 正雄君  出席国務大臣         通商産業大臣  河本 敏夫君  出席政府委員         通商産業政務次         官       野中 英二君         通商産業大臣官         房長      宮本 四郎君         通商産業大臣官         房審議官    島田 春樹君         通商産業大臣官         房審議官    山口 和男君         通商産業大臣官         房審議官    松村 克之君         通商産業省立地         公害局長    左近友三郎君         資源エネルギー         庁長官     橋本 利一君         資源エネルギー         庁石油部長   古田 徳昌君         資源エネルギー         庁公益事業部長 服部 典徳君         運輸省自動車局         整備部長    犬丸 令門君  委員外出席者         文部省初等中等         教育局職業教育         課長      河野 石根君         消防庁危険物規         制課長     小池 次雄君         商工委員会調査         室長      藤沼 六郎君     ————————————— 四月十七日  水素エネルギー実用化促進に関する請願(中  馬弘毅紹介)(第三二〇〇号)  中小企業経営安定等に関する請願北側義一  君紹介)(第三二三一号)  同(瀬野栄次郎紹介)(第三二七六号)  流通法規緩和に関する請願中尾栄一紹介)  (第三三四二号)  同外一件(藤本孝雄紹介)(第三三四三号)  消費者のための流通政策実現に関する請願(中  尾栄一紹介)(第三三四四号)  同外二件(藤本孝雄紹介)(第三三四五号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  液化石油ガス保安確保及び取引適正化に  関する法律の一部を改正する法律案内閣提出  第六九号)  石油開発公団法及び石炭及び石油対策特別会計  法の一部を改正する法律案内閣提出第三九号)      ————◇—————
  2. 野呂恭一

    野呂委員長 これより会議を開きます。  内閣提出液化石油ガス保安確保及び取引適正化に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。板川正吾君。
  3. 板川正吾

    板川委員 私は、時間の関係もありまして液化石油ガス事故に関し、問題を被害者の救済にしぼって質問いたしたいと思います。     〔委員長退席山下(徳)委員長代理着席〕  まず伺いますが、液化石油ガス保安法が制定された四十二年から今日まで約十年間、この間に需要は二・五倍になったのに対しまして事故発生率が三倍になっておる、しかも大型化しておる。政府法律を制定して事故防止に乗り出したにかかわらず、逆に事故が増加しているというのは一体どういうことなのか。法の不備ということもあるのではないかという意味で伺いたいと思います。
  4. 左近友三郎

    左近政府委員 LPガス法が成立して以来十年たちまして、御指摘のとおり事故件数消費量の増大よりも上回って増加しておるという現状でございます。その原因はいろいろあろうと思いますが、一つは、ガス消費形態が、従来の単にこんろなどを使うだけでなくて大量消費に向かってきたということと、それから、消費地域が広がってきて、しかも取扱者が主婦その他でなくて、たとえば子供とかいろいろな人が手に触れるような状態がふえてきたというふうなことから、要するに消費者使用状況が多様化してきたということが事故の増大した理由であろうというふうに推測しております。
  5. 板川正吾

    板川委員 消費の手段といいますか、やり方が多様化したということは、社会的な経済の発展といいましょうか、生活水準の向上ということから言えば、当然これは予想しなくちゃならないことじゃないですか。それに対応する措置が十分でなかったということが言えるんじゃないかと私は思います。  以下、それを明らかにしてまいりますが、最近一年間事故発生状況事故責任別あるいは事故形態、どういう発生状況であるか、その内容について説明を願いたい。
  6. 左近友三郎

    左近政府委員 事故発生が年度によって若干むらがございますので、四十九年から五十一年の三カ年の平均をとって調べてみました。それによりますと、一番多いのが、消費者の方が取扱上もう少しうまくやったら防げたいわゆる消費者ミスが三百八十一件、それから業者ミスというのが六十四件、原因不明あるいはその他——その他の中には器具が悪かったというようなものも入るわけでございますが、これが九十五件ということでございまして、合計では五百四十件ということになっております。
  7. 板川正吾

    板川委員 この事故内容を分類しますと、いまお話がありましたように、消費者ミス消費者誤操作と言われるものが圧倒的に多い。四十二年当時は全体の五〇%であったものが五十一年には全体の七五%を占めている。非常に激増しているわけですが、そこで伺いたいのは、誤操作ミスという内容はどのようなものなのか、それからだれが誤操作ということを調査して決定するのか、激増しておる原因はどこにあるのか、この点について御説明願いたい。
  8. 左近友三郎

    左近政府委員 誤操作内容でございますが、統計上分類されておりますものといたしましては、遊びコック誤操作ということになっております。要するに、二またに分かれておって、片方燃焼器につながっておるが片方はどこにもつながっていないというのを、燃焼器につながっている方をあけるべきなのを反対側コックをあけるというようなことでございます。第二点としましては、点火ミスや未確認ということで、点火をしていることを確認しないで点火しないままにガスを出してしまったというようなことでございます。それから、元栓とか器具栓の閉め忘れ、あるいは十分に閉めていない、不完全閉止というような点がございます。それから第四点といたしましては、ゴムホースが古くなっておるにもかかわらず取りかえていなかったというようなこと、第五点といたしましては、器具取り扱いのふなれというようなものがございます。以上のようなものを消費者誤操作ということで統計上分類しております。  それから、誤操作というのをどう判定するかということでございますが、事故発生した場合には警察とか消防事故調査をいたしますが、さらに都道府県職員も必要に応じて事故調査をやっておりまして、そういう消防警察あるいは府県の職員というものがそこで判定して原因を決めておるということでございます。  それから、なぜ最近こういうものが多くなってきたかということでございますが、これは先ほど申し上げましたように、器具がいろんなものが出てきたということから消費が多様化したということで、そこにまた操作ミスの起こる可能性がふえたということではなかろうかと思います。
  9. 板川正吾

    板川委員 誤操作内容については、いろいろゴムホースが悪くなったとか反対の方向にコックをひねったとかあるようでありますが、その誤操作事故ガス製造業者なり販売業者なりは全く責任というものはない、こういうふうにお考えでありますか。
  10. 左近友三郎

    左近政府委員 事故発生の直接原因は、まさに消費者の方の操作ミスということになるわけでございますが、消費者というものはガス特性取り扱いについてそれほど専門家ではございませんから、操作について誤操作をしやすい傾向にあるということは言えると思います。したがいまして、販売業者については、常々消費者に対して取扱十分注意すべきことを周知徹底をする必要があると思いますし、器具製作者も、消費者誤操作しやすいような器具をつくらない、さらには若干誤操作をやっても安全になるような器具を考えるというふうな責任があろうかと思います。したがいまして、事故の直接責任ということではございませんけれども、消費者というものが非常に多様な人であるということから考えまして、販売業者それから器具製造業者は、事故の絶滅、つまり誤操作が出ないような注意を今後十分払っていく必要があろうということを考えております。
  11. 板川正吾

    板川委員 私は、誤操作ということで販売業者責任を回避しているということについて、いささか疑問を感じているものでありますが、販売業者LPガスという高圧で危険な物品を取り扱っておる。そのために、資格がなければ取り扱いができないということに法律で決められておる。しかもこの危険な高圧ガスを売って利益を得ているわけでありますから、消費者に対して、安全に取り扱うに必要な知識周知させる社会的義務があると思います。それは従来の法律周知義務はなかったということでありますが、法律規定されているか否かは別としましても、社会通念として、危険な物を販売している以上はその操作について十分周知させる義務があると私は思います。また、液化石油ガス保安法で、御承知のように安全を確認するための調査義務が課されておりますが、従来この安全の周知方法調査義務をどうやって履行しておったのか、従来やっておった状況について説明を願います。
  12. 左近友三郎

    左近政府委員 現行法調査義務でございますが、これは一定の事項を省令で決めまして、それを定期的に調査するということでございますが、その内容を申し上げますと、これはボンベ消費者の家へ取りつけに行くときに調べるわけでございますが、主として容器とか配管というふうなボンベと接続するところが安全かどうかという外観検査を、毎月一回程度消費者のところへボンベを持っていくときに検査をするというのが一つございます。それから、一年に一回以上やるというのが燃焼器にかかわる検査ということで、消費者の自宅にございますこんろだとか湯沸かし器だとかいう燃焼器について検査をするということでございます。それから、二年に一回以上という検査がございますが、これは圧力検査といいまして、配管気密試験、それから調整器性能試験というふうな、若干機械を使った精密検査を二年に一遍やるという制度になっております。
  13. 板川正吾

    板川委員 それから、周知方法についてはどうですか。
  14. 左近友三郎

    左近政府委員 現行法周知に関する規定は、最初LPガスの供給を開始するときに消費者文書を交付しまして、この文書契約条件その他も書いてあるわけでございますが、その文書の中に保安に関する取り扱い等注意規定を書いて、それを渡すということが現行法で決められております。
  15. 板川正吾

    板川委員 周知方法は、最初プロパンを持っていったときに文書で渡すだけですね。そこで、消費が多様化している、しかも事故が頻発しておる状況からいって、当初の一片の文書で、しかも契約と一緒に通知したという程度では、これは法律的にいままでなかったといいますが、社会的なそういう周知義務を果たしたと言えないものがあるんじゃないだろうかと思いますが、調査義務について、月に一回ボンベを持っていったときに周辺を見るとか、年一回屋内の設備を点検するとか、二年に一回以上は圧力検査等をするとかいって一応周知義務が課されておりますが、その周知義務が完全にプロパン業者販売業者で一体行われておりましたか。それで、その行っていたかどうかは、どこでどういう方法確認をできますか。要するに、義務は課していたけれども、それが実際に行われているかいないかを確認する方法が全然ないんじゃないんですか。どういう方法でその調査義務政府確認しておったのか、お答えを願います。
  16. 左近友三郎

    左近政府委員 現行法調査義務は、内容は先ほど申し上げたとおりでございますが、それがどのように履行されておったか、そしてまたその確認方法は何かということでございます。確認につきましては、県の職員立入検査をいたしまして、調査を確実にやっておったかどうか、これは帳簿その他をつけて調査をやるということに相なっておりますので、それを確認するわけでございますが、実は一昨年から昨年にかけまして一年間審議会で、この高圧ガスのことに消費者保安に関する対策いかんということで対策を審議いたしました。その過程においても、現行調査義務が課せられておるけれども、それが必ずしも十分に行われていないじゃないかという議論がやはりございました。したがいまして、今回の法改正では、それをより厳密にするということにいたしたわけでございます。過去においては立入検査その他でやりましたけれども、まだまだもっとしっかりやらなきゃいけないというのが審議会等での関係者の声であったということでございます。
  17. 板川正吾

    板川委員 県が立入検査をするようになっておる、調査義務をどのように果たしたかということについては、県の立入検査によってフォローアップをするということになっているわけでありますが、それでは、この液化石油ガス保安法に基づいて各県が立入検査をやってきた実態というのは一体どのような状況でありますか。たとえばどの程度実績があるのか、各県ごとにひとつ明らかにしてもらいたいと思う。
  18. 左近友三郎

    左近政府委員 県の立入検査につきましては、法律上、液化石油ガス検査員という人を任命することになっておりまして、その検査員立入検査をやるということになっておりますが、県全体で現在二百二十六名おります。それで、立入検査実績でございますが、昭和五十一年度においては、販売業者に立ち入った件数は、全国で一万三千百四十一件というのが報告を受けておる件数でございます。
  19. 板川正吾

    板川委員 立入検査をやった結果、どういう点に事前にミスであることが発見されて、どのような措置をとったという実績はありませんか。
  20. 左近友三郎

    左近政府委員 いま調べますので、しばらくお待ち願いたいと思います。
  21. 板川正吾

    板川委員 では、それは後で答弁願うことにして、販売業者の五〇%が保安センター委託をしているということでありますが、一体この保安センターというのはどのような運営をされているのか、お伺いをいたしたいと思います。
  22. 左近友三郎

    左近政府委員 保安センターにつきましては、従来自然発生的にできてきたものでございますので、形についてはいろいろございます。大体全国に五百ぐらいのセンターがあるわけでございますが、これについては、沿革的には、やはり零細な事業者がいわば協同組合的に業界の人が集まってやっていくというふうなものもございます。あるいは、保安センターというものが委託を受けてやればいいということでございますので、販売業者関係のない人がやっているものもございます。それからまた、県がやはり販売業者対策として、この調査を一括してやらした方がより正確にできるという判断から奨励してつくらしたという例もございます。したがいまして、現在では大分種類がまちまちでございますが、組織の形で申しますと、大体会社組織が二〇%、協同組合組織が二九%、任意団体が三三%、それから公益法人社団法人でございますが、一一%というようなものが大きい形態でございます。
  23. 板川正吾

    板川委員 保安センターというのが業者にかわって調査業務を行っているわけでありますが、保安センター一店当たり調査世帯数とか、あるいは検査要員一人当たりどの程度調査世帯数を持っているのか、調査の結果についてどのような措置をとっているのか、それから調査料とか収支状況というのは一体どのくらいになっておるのか、こういう点わかりますか。
  24. 左近友三郎

    左近政府委員 現在調査の結果わかっているものを申し上げますと、保安センターといたしまして、大体調査員二人が一組になって調査するわけでございますが、一日どの程度調査をしておりますかといいますと、大体十一戸から十五戸というのを調査しているというのが一番多うございまして、そのほか十六戸から二十尺あるいは二十一戸から二十五戸というふうな範囲が多いということでございます。  それから、販売店とどの程度契約をしておるかということでございますが、大体一番多いのは十一から二十、その次が二十一から三十、要するに十店から三十店ぐらいあるいはもう少し多くて四十店ぐらいまでの販売店契約してやっているというのが多うございます。それからまた、少し規模が大きくなりますと、五十から百ぐらいのものもわりあい多いということに相なっております。  それから、これは販売店との契約数値でございますが、今度は受託の消費者消費者をどのくらい相手にしておるかという数値がございますが、これで見ますと、一番多いのが一万軒から二万軒という程度が一番多い。これは全体の三〇%ぐらいがそうなっております。それから次に多いのは五千軒から一万軒、その次が二万軒から四万軒ということでございますので、大体五千軒から四万軒ぐらいの消費者相手にするものが全体の八〇%近くになっております。  それから、経理状況でございますが、過去一年間をとってみますと、やや黒字というのが四九%。ですから、収支とんとんからちょっといいというのが半分近く。それから赤字というのが四二%という数値が上がっております。  それから、手数料の額でございますが、これにつきましては、大体一調査当たり、つまり消費者一戸当たりでございますが、これが五百円から八百円というのが全体の三八%で一番多うございまして、次が五百円以下というのが二四%、それから八百円から千円というのが二〇%ということで、この辺が一番多いということでございます。  それから、これは手数料でございますが、そのほかに会員制等になっておりまして、会費として別途徴収するというのも少数ではございますが存在をしておる。  以上が保安センターの実情でございます。
  25. 板川正吾

    板川委員 販売業者がこういう調査業務保安センター委託しているところで、今度は販売業者側から、委託料というのは総経費の中で一体どのくらいの比率を占めているのでしょうか。
  26. 左近友三郎

    左近政府委員 この収入源はほとんどがやはり調査手数料ということでございますが、この形が、販売店からもらっているもの、それから販売店消費者からもらっているものというのがございますが、そのうちで、実は収入はそうでございますが、それだけでは経費を埋められないということで、二五%程度は先ほど申しました会費だとかあるいは県のプロパン協会等からの補助金収入源にしております。したがいまして、二五%弱はほかから補助ないし会費残りの七五%程度手数料によっておるということでございます。
  27. 板川正吾

    板川委員 私が聞いたのは、今度は逆に、販売業者保安経費のために営業費の中でどのくらいの比率支出をしておりますか、こういうことを実は聞いたわけなんですが、この点わかりますか。
  28. 左近友三郎

    左近政府委員 販売店委託をしておる形態が非常にまちまちでございますので、実は私の方で調査が行き届いておりません。しかしながら、現在われわれ考えますと、その調査手数料というものは、販売店においてはそれほど大きなウエートになっていないのじゃないかというように考えております。
  29. 板川正吾

    板川委員 私もそうだと思うのですが、いままで細々聞いたことは、実はこういう比較がしたがったからであります。液化石油ガス都市ガスとを比較してみますと、液化石油ガス都市ガスに対して世帯数では三〇%多いわけです。千四百万対千八百万世帯ですから三〇%多い。しかし、事故発生率を見ますと、プロパンの場合には年間五百四十件、都市ガスの場合には百六十七件で、その事故発生率が三・三倍も多い。ですから、約三倍多いと言ってもいいと思いますが、都市ガスLPガスに対して事故率が非常に少ない理由は何かということを考えたことがございますか。
  30. 左近友三郎

    左近政府委員 都市ガスに比較してプロパンガス事故が多い原因の一番大きいのは、ガス特性都市ガスと違うという点だろうと思います。ガス特性のうちでも、特に空気より重い、したがいまして、LPガスは漏れますと下に滞留をする、そのことが、なかなかガスが出ていかないあるいは消費者が下にたまっておって気づかないというようなことからミスが起こりやすいというのが一点でございます。  それからもう一つは、カロリーが高いものでございますから、燃焼するときに消費する空気量が多いということから、換気を十分にいたしませんといわゆる不完全燃焼を生ずる、そこで事故が起きやすいというプロパンガス特性が、都市ガスよりも十分注意を要するという点が多いというように考えております。
  31. 板川正吾

    板川委員 こういうことでしょう。都市ガスよりも石油液化ガスの方が危険率が高い、それからカロリーが高いということで、都市ガスよりも危険性が多いということでしょう。そうであるならば、都市ガスよりももっと保安対策というのに金も使い、責任を感じなくちゃならないということになるのじゃないですか。  私、調べてみましたら、めんどうだから、時間の関係でこっちの方で言いますけれども、たとえば東京瓦斯は五十一年度の決算でどのくらい保安経費を決算しているかということを伺ってみましたら、一万三千人の全従業員のうちで二千五百人、約二〇%が保安要員であります。巡回検査定期検査、こういうものを完遂するためにそういう人が必要である。保安経費年間どのくらいかと言ったら三百億である。それは総営業費の中で一一%を占めておる。投資総額の一三%は保安経費である、こういうことを伺ったのでございますが、こういうように、都市ガスの場合には社会的責任を痛感して、保安要員保安経費というものをたくさん支出をしながら事故防止に努力しておるわけですね。  たとえば周知義務などでも、都市ガスLPガスより危険性が少ないにかかわらず、毎年一回印刷物を配ったり、あるいはテレビ、新聞等保安知識というのを普及しておる。調査義務についても、ガス会社が直接要員でやるか、あるいは子会社を通じてやるかする。その結果は省令に基づいて報告を届け出させておる。周知徹底安全調査責任明確化都市ガス事故を少なくしておるのじゃないだろうか。だから、LPガス都市ガスより危険であるという認識に立つならば、都市ガスよりももっと厳しく保安対策というのを出さなければならないのじゃないですか。そういう点が欠けておるのじゃないだろうかと私は思うのです。  今回、改正で知事の認定を受けた認定調査機関が創設をされます。調査の結果のチェックを相変らずしないですね。今度の認定調査機関調査した結果を報告しない、チェックしないという方式になっておるじゃないですか、違いますか。
  32. 左近友三郎

    左近政府委員 認定調査機関につきましては、どういう調査をやるかという業務規程を定めることになっておりまして、その業務規程認可を受けるということでございます。したがいまして、業務規程内容に、十分調査が行き届くような内容都道府県認可という行為でチェックするという形になっております。
  33. 板川正吾

    板川委員 危険性LPガスより少ないという都市ガスには調査結果を届け出させておるのに、危険性のさらに多いLPガスになぜ調査結果を報告させるような措置をしないのですか。
  34. 左近友三郎

    左近政府委員 いま私の御説明が少し足りませんでしたが、業務規程の中についても、先生おっしゃるような定期的な報告義務というものを入れようということで現在検討しております。したがいまして、業務規程内容として定期的に報告するということが決まりましてそれを認可を受ければ、定期的な報告ということが当然なされるということになろうかと思います。
  35. 板川正吾

    板川委員 省令ではないけれども、業務規程にそれを織り込む、こういうことですか。それは調査機関が全部認定調査機関でなければならないということではなくて、任意のガス保安センター、これも併存するのでしょう。そうしますと、民営のしかも任意の団体である保安センターには報告を求めないのですか、これはどうですか。
  36. 左近友三郎

    左近政府委員 この調査義務というのは、本来法律上は販売店にかかっておりまして、認定を受けた認定調査機関委託する場合に限って販売業者調査義務が免除されまして、その義務認定調査機関が負うことになっておりますが、いまお話のありました任意の調査機関においては、販売業者調査義務が免除されません。したがいまして、これについては、つまり販売業者調査する手足となって代行するという形にすぎないということでございますので、これについては販売業者から報告をとるという形になろうかと思います。  それで、販売業者みずから行うもの、それからそういう認定調査機関以外のものを使って調査するものについては、やはり今後調査の実施を定期的に報告さすようにいま検討中でございます。
  37. 板川正吾

    板川委員 どうもその点が理解できませんね。都市ガスの場合には省令報告をさせるんでしょう。今度は、それは責任販売業者にありますよ。だけれども、責任があるからといって、それは事故が起こったら責任を負えばいいというものじゃないのですよ。事故を予防する責任がありますよ。だから、保安センターに任せても、それはあるいは認定調査機関に任してもいいけれども、しかし、調査した結果をチェックしなければ結局やりっ放しになるんじゃないですか。しかも都市ガスのように営業費の一一%も保安経費に使うというのなら別だけれども、販売業者保安のために支出する金額はごくわずかだというんでしょう。そうすると、結局調査というものも完全に予防する役割りを果たさない。だから都市ガスに比較してLPガス事故が三倍も多い、こういうことになるんじゃないんですか。だから私は、この任意の保安センターに任したのも報告を求めるような措置を講ずる必要があると思いますが、いかがですか。
  38. 左近友三郎

    左近政府委員 ただいまその報告を求めることを検討中と申し上げましたが、これはやはり法施行時におきまして省令で定めるということについて検討中でございますが、この検討の結果やるということになりますれば、これは省令報告義務を書くということに相なるかと思います。
  39. 板川正吾

    板川委員 それをやってくださいよ。そうでなければ、法律をつくったってやはり事故は減りませんよ。そういう起こってから責任を負えばいいというものじゃなくて、起こらないように予防するためには調査が必要なんだ。その調査結果をチェックしなければやりっ放しになって、結局個々の販売業者なんというのは社会的責任をそれほど感じないことになっておるようでありますから、そういう意味では私は調査の結果はちゃんとチェックするようにしてもらいたい、こう思います。  時間がありませんから、先へ進みますが、以上申し上げてきたのは、従来、消費者ミスによる事故というのはすべて消費者の過失によるものという前提に立っておる。しかし、私は、最初言いましたように、この事故の中には販売業者が当然責任を負担しなければならないという部分も相当あると思う。それを結果から見て消費者誤操作だ、消費者ミスだということで処理しておることは、私は、これは社会的責任を回避してきたのではないだろうか、またそれを許しておったのではないかと思いますが、いかがですか。調査義務周知義務、そういう危険なものに対して業者が社会的な責任を十分感じなかった。それが事故を多発化させた原因であり、しかもそれを単なる消費者ミスだということで処理してきたことは私は問題だと思うのですが、いかがですか。
  40. 左近友三郎

    左近政府委員 確かに、消費者が日常取り扱うに際して販売業者調査をやり、あるいは周知をやるということを十分やっておりますならば、消費者取り扱いについて十分知識を得て、防ぎ得た事故もあろうかと思います。ただ、事故発生をいたしまして、府県あるいは警察あるいは消防というようなものが事故調査いたしますと、その事故の少なくとも直接原因は、消費者取り扱いが不十分であったということに相なっておるわけでございます。したがいまして、今後の対策といたしましては、やはり御指摘のとおり調査義務を履行させるということと、それから今度法改正をいたしまして、周知義務というものを、少なくとも年一遍ぐらい消費者取り扱いについて周知徹底をするということを加えたわけでございまして、そういう周知徹底というものをだんだん強化することによりまして、この消費者操作を失敗するということの極力減少するように努力いたしたいというふうに考えております。  それから、先ほどお尋ねのありました立入検査の結果の違反件数でございますが、昭和五十一年度では約三千二百件というのが違反件数ということで出ておりまして、そのうち一番多いのが消費設備の調査義務、それから調査をした結果問題があれば相手に通知するという、その調査義務及び通知義務の違反というのが三八%でございます。それから、先ほど申しました供給開始時に書面を交付するという義務違反が一二%、それから販売の方法の基準違反が一一%、それから販売施設の基準違反が八%というふうなものが大きいものでございます。
  41. 板川正吾

    板川委員 結局、そういうようなこともあって周知が徹底しないで事故が起これば、それは消費者ミスと言われて処理されておったと思うんですよ。だから私は、従来の事故の中で単なる消費者ミスという中には、そういう意味で業者責任というのが相当ある、こう思っておるのです。  そこで伺いますが、消費者ミスによる事故、その事故による第三者被害とその救済の現状というのはどういう状況でありますか。
  42. 左近友三郎

    左近政府委員 消費者ミスによります事故によりまして第三者が被害を受けた、それに対する救済はどうかということでございますが、これにつきましては、消費者が保険等を掛けておりましてそれによって支払うということが可能な場合とか、あるいは第三者が消費者に損害賠償を請求して取れる場合というふうな、通常の法手続で解決のできるものは解決が可能でございますけれども、残念ながら、現在はそういう通常の解決のできるもの以外の救済方法というものはございません。これは先ほど申しました審議会でやはりこれは何とかすべきであるということで、現在そういう消費者ミスによる第三者被害というものに対する対策を種々検討中でございます。
  43. 板川正吾

    板川委員 消費者ミスというものに対してはいまの制度では救済の方法は全くない、原因不明というときには五万円程度の見舞い金を出します、こういうことですが、今度原因不明の場合に見舞い金を十倍程度まで出すようになるとかいうことになりますかどうか、その点ちょっとお伺いいたします。
  44. 左近友三郎

    左近政府委員 原因不明の事故につきましては、LPガス販売業者が入っておりますLPガス業者賠償責任保険の特約がございまして、慣習上の見舞い金というものが支払われることになっておりますが、この額が現在一事故見舞い金として五万円となっております。現在の経済状態、社会状態から考えますと、この金額は非常に過小であるというふうにわれわれも考えております。したがいまして、これを何とか大きくしようということで現在検討しておりますが、現在の検討の目標と申しますか、現在の制度のままでやれるとしたらどうだろうかということで考えておるのは、五十万円ないし百万円というものを考えているわけでございます。
  45. 板川正吾

    板川委員 これは前に私が政府に検討を要請した課題でありますが、この五十万ないし百万という程度では私は不十分な感じがいたしますが、そこで、考え方として、消費者ミスの中で消費者がみずから損害をこうむったことは、これは自己責任ですからやむを得ない、しかし、第三者の被害は何らかの方法で救済すべきではないかと思います。  時間がありませんから、私の方から資料で申し上げますが、消費者ミスあるいは原因不明、こういうことによって第三者が被害をこうむった事件は五十一年度で全体の八%、四十三件、死者が四名、七%、負傷者が百三十名、二二%、こういう割合を示しておりますが、この第三者に対する被害を業者責任として処理した場合に、一体どのくらいの支出を必要といたしますか。
  46. 左近友三郎

    左近政府委員 まあどの程度の金額を出すかということにもよりますが、仮に死者に一千万円、それから負傷者については負傷の程度がいろいろございますが、平均五十万円というふうにいたしますと、大体一億五百万円程度の金額が先ほどの事故の態様ではかかるというふうに考えております。
  47. 板川正吾

    板川委員 業者責任として処理した場合に、年間一億ちょっと超える程度で救済できるのですね。だから私は、この第三者に対してはそういう程度の救済措置が必要じゃないかと思うのです。  そこで伺いますが、業者賠償責任保険の収支状況について、五十一年度で結構ですが、お伺いをいたします。
  48. 左近友三郎

    左近政府委員 五十一年度の業者賠償責任保険の収支状況でございますが、保険料の収入が五億九千四百万円、支払い額は二億四千五百万円、したがいまして、差額が三億四千九百万円ということに相なっております。
  49. 板川正吾

    板川委員 五十一年度で保険料で約六億収入が入り、そして業者賠償保険で支払ったものが約二億五千万、差し引き三億五千万が一応黒字になりますね。仮に共済事業団に支払う手数料、保険料の約二〇%を支払ったといたしまして、これが約一億一千八百万、残り二億三千万ほどが実は黒字になります。保険料の三八・八%ですか、保険料に対して四〇%弱が黒字になりますね、私の計算によると。現在販売業者年間一店当たり一万三千円の保険料を払い、消費者の負担とすれば一世帯当たり年間三十円支払っておるということで、約六億の保険料が支払われておるということになるわけですね。  こんなに黒字があるのに、消費者ミスによる第三者被害、こういうものもこの保険会計の中からもっと救済するような方法をとるべきじゃないだろうか。都市ガスよりももっと危険な品物を販売しておる液化石油ガス販売業者、そして都市ガスよりも安全経費を使っていない販売業者、これは当然の社会的責任で、消費者が自分のミスで起こした自分の被害はやむを得ないとしても、第三者に対しては同様にこの保険の給付を拡大してやるべきではないだろうか、私はこう思いますが、いかがですか。
  50. 左近友三郎

    左近政府委員 保険の収支状況でございますが、先ほどは五十一年を申し上げましたが、最近の平均をとりますと、大体この保険料と支払い額の差額が一億七千万ぐらいになっておりまして、それでいま手数料で支払いますのが七千万ちょっとでございますので、差し引き一億ぐらいの差が出てくるということでございますので、これは保険の運営上はそれほど過大な収益ではなかろうというふうにわれわれは考えております。  これを先生のおっしゃるように消費者ミスによる第三者の被害について適用できないかどうかということでございますが、理屈から申しますと、消費者ミスというものにおける事故責任については販売業者責任がない。したがいまして、第三者の方にお払いすることも保険の理論上はなかなかむずかしい問題があろうかというふうに考えております。しかしながら、第三者の方は確かにミス関係がないわけでございますから、この方の救済をほっておくわけにはまいりません。したがいまして、こういう形で保険理論上いけるかどうかも検討しておりますが、それ以外の方法について、たとえば基金をプールして考えるとか、あるいは消費者が簡易に保険に入れるようにしまして、消費者保険というような形でこの問題を解決するかというようなことを、いろいろ現在検討中でございます。
  51. 板川正吾

    板川委員 局長、私の数字は平均ではありませんよ。五十一年度で保険料が五億九千四百万、支払いが二億四千五百万、そして差し引き三億四千九百万。平均ではないんだ。五十一年度の計算でやった。そして共済事業団に対して実績を見ますと保険料の二〇%だから、その二〇%を差し引いても二億三千百万円の黒字になるじゃないか、こういうことを言っているのですよ。あなたの説明はちょっと違っております。訂正してください。  そこで、最後でありますが、御承知のように民法の七百十七条では危険責任主義の原理をとっているわけであります。危険責任主義というのは、危険物を取り扱う者はそれから生じた損害について賠償責任を負うべきだという考え方であります。もちろんこれは民法七百十七条の工作物の危険責任主義をそのまま適用するわけにまいりませんけれども、しかし、その法理というのは援用されてもいいのではないだろうかと思います。  プロパンという高圧ガスは、非常に危険であるが、一方、大変便利なもの、日常生活に欠かせないものとなっておるわけでありますが、それを取り扱って利益を受けている者は、それによって生じた危険に対しても応分の責任を担当するのが企業の社会的義務責任であろう、こう思います。消費者が自分のミスで起こした事故の場合に損害をみずから負担するのはいたし方ないとしましても、隣近所の人、通行人等全く関係のない第三者が爆発事故、火災事故、被害を受けた場合に、何らかの方法で保険収入で救済すべきであろう。それが企業の社会的責任でもあろうと思います。  たとえば火災保険に入っていればいいじゃないか、こう言う人があります。日本では西欧と違って保険制度が発達していないのだそうでありまして、火災保険にすべての人が入っているとは限りません。りっぱな家を持っている人はほとんど入っていますけれども、庶民は火災保険に必ず入っているとは限りません。それから、生命保険に入っていればいいと言いますが、一家の柱になっておる人は生命保険に入っているかもしれません。しかし、その子供などは生命保険になかなか入っておりませんよ。だから、そういう人たちが消費者ミスによる第三者として被害を受けた場合に、従来のように、これは消費者ミスだから全然構わないということでは社会不安をなくすわけにいかないのじゃないでしょうか。  だから、私は、消費者ミスによる第三者の被害というのを何らかの形で救済する手段を早急に講ずべきだ、こう思います。先ほど言いましたように、その費用は業者責任として支払ったとしても一年間一億そこそこでしょう。そして一方、保険料を上げなくても二億三千万も黒字を出しているのでしょう。それならば、業者責任保険の中に、保険の業務方法書を変えるかどうか知りません、方法は問いませんが、何らかの形でこれを救済するのは、販売業者消費者とも責任がある、私はこう思います。いま保険とか基金とかいろいろのことで対策を考えておると言いますが、一体いつまでにその結論を出すつもりですか。
  52. 左近友三郎

    左近政府委員 結論としましては、この秋ぐらいに結論を出したいということで、いろいろな方法をいま検討中でございます。第三者被害の救済については何とかしなければいけない、ただ方法としていろいろな方法を検討しておる、そして大体この秋ごろに結論を出したいというのが現状でございます。  それからもう一つ、先ほど申し上げました私の方の保険料、支払い額、差額というのは、四十三年から五十一年までの平均の数値でございます。五十二年の現在では、先生御指摘のように手数料を払っても二億三千万の黒字があるというのも事実でございます。
  53. 板川正吾

    板川委員 とにかく、消費者ミスによる第三者被害の救済対策を早急に立てて出してもらいたいということを要望いたしまして、質問を終わります。
  54. 山下徳夫

    山下(徳)委員長代理 長田武士君。
  55. 長田武士

    ○長田委員 ただいま議題となっております液化石油ガス保安確保及び取引適正化に関する法律の一部を改正する法律案について質問をいたします。  LPガスについては、近年急速に普及いたしておりまして、国民生活にとっては重要不可欠なエネルギー源となっておることは御存じのとおりであります。しかし、このLPガスは一たん漏洩、着火すると大きな爆発事故をもたらし、消費家庭における災害事故は一向に減少の兆しを見せず、LPガス事故発生の防止は、今日においては大きな社会的問題になっております。こうした認識の上に立って、なるべく重複した質問を避け、重点的に質問をしてまいりたいと思います。  LPガス保安確保するためには、法律で施策を講ずることも当然必要とは思いますが、それ以前の問題といたしまして、供給着すなわち販売業者の体質改善が大切だと考えるわけであります。そこで、この問題について若干お尋ねをしたいと思います。  まず初めに、LPガスの流通経路の実態についてお伺いをしたいと思います。
  56. 古田徳昌

    ○古田政府委員 液化石油ガスの流通経路としまして通常最も多い形は、LPガスメーカー、これは生産あるいは輸入業者から成るわけでございますが、LPガスメーカーから元売り業者を通じまして卸売業者、さらに小売業者という段階を経ていくわけでございます。この卸売段階では、さらに第二次あるいは第三次業者が介在するという場合もあるようでございます。
  57. 長田武士

    ○長田委員 現在、家庭用燃料としてLPガスを使用する消費世帯都市ガスを上回っておりまして、わが国全消費者世帯の五五%を占めるまでに伸長しておるわけであります。こうした中にあってLPガスの流通経路は非常に複雑多岐になっておるわけでありますが、何ゆえにこのような実態となったのか、その点についてお答えを願いたいと思います。
  58. 古田徳昌

    ○古田政府委員 液化石油ガス昭和三十年ごろから普及し始めたわけでございますが、その後需要が急増したこともありまして、この需要の急増に対応しまして、従来他の燃料を扱っておりました薪炭業者とか灯油販売業者とか雑貨店など種々の業種がLPガス販売を行うようになって今日に至っておるわけでございます。そのため、従来の他の燃料の流通経路と複雑に関係し合って今日のような複雑な形態になっておるというふうに考えるわけでございます。
  59. 長田武士

    ○長田委員 LPガスの流通経路について端的に見てまいりますと、メーカー、卸売業者、小売業者、一般消費者という四段階に分けることができるわけでありますが、一般消費者に至るまでの各段階ごとの業者数はどのくらいの数になっておるか、この点についてお尋ねをいたします。
  60. 古田徳昌

    ○古田政府委員 液化石油ガスの生産者は三十二社、輸入業者は十六社となっております。なお、この両方合わせました四十八社のうち二十七社が元売り業者となっております。また、卸売業者、小売業者の数は、五十二年三月末現在で卸売業者が約二千五百、小売業者が約四万一千となっております。消費者件数でございますが、民間の調査機関の調査をもとに推定いたしてみますと、消費者世帯数が約千八百万世帯となっております。
  61. 長田武士

    ○長田委員 LPガス販売事業者は、五十二年三月末でただいま御答弁がありましたとおり約四万一千でありますが、これらの実態はどういうふうになっておるのか、企業組織別、従業員数規模別、販売形態別にお尋ねをしたいと思います。
  62. 古田徳昌

    ○古田政府委員 液化石油ガスの販売業は個人経営が非常に多く、かつ兼業者も多いわけでございます。また、販売規模も小さい中小零細業者が多い実態となっておりますが、概要は次のようになります。  まず第一に、経営形態別の事業所数の比率でございますが、全体の中で個人経営が約五五%、会社の形をとっておりますのが三五%、組合形式のものが一〇%という姿になっております。  第二に、従業員の規模別の事業所数の構成でございますが、従業員数五人までで全体の七〇%を占める形でございます。  第三に、販売数量別事業所数の比率でございますが、月に十トン未満の販売数量の事業所が全体の七三%を占めております。  第四に、専業兼業別の事業所数の比率でございますが、液化石油ガスの売上高比率で見まして、約五〇%が兼業者という形になっておりまして、残りが専業者という姿になっております。  第五に、中小企業比率でございますが、全体で見ますと約九五%ですが、小売業で見ますとほぼ一〇〇%が中小企業者という姿になっております。
  63. 長田武士

    ○長田委員 LPガスの流通機構は、流通経路の複雑多岐に加えて、販売事業者が零細企業者及び他業種取扱業者がほとんどを占めておる現状であります。これに対して、LPガス販売事業者昭和四十六年に中小企業近代化促進法第三条の中小企業近代化計画の指定業種として近代化を図ってきたわけでありますが、これによってどのように改善されてきたのか、具体的に御説明をいただきたいと思います。
  64. 古田徳昌

    ○古田政府委員 御指摘のように、昭和四十六年度に中小企業近代化促進法に基づきます指定業種としての指定を受けまして、近代化、合理化を図ってきたところでございます。  この近代化目標の概要といたしましては、まず第一に、充てん業につきまして自動充てん装置の普及を図ること、第二に、小売業につきましては導管供給の導入、容器の大型化等の促進及び配送センターの設置を推進すること、第三に、経営の合理化、販売規模の拡大、設備の近代化等により販売経費の上昇の抑制に努めるという形になっていたわけでございます。  この近代化目標をどういう形で達成してきたかという実績を見ますと、五十一年度までで回転式充てん装置の普及、容器の大型化、供給センター、配送センターの設置等についてはほぼこの近代化目標を達成した姿になっております。ただ、小売業の一事業者当たりの月間取扱量につきましては、目標を下回っている状況でございます。
  65. 長田武士

    ○長田委員 近代化を進めてきたという御答弁でありますが、流通経路は依然として複雑多岐にわたっておりまして、しかも零細事業者が非常に多いという現状ですね。私は、さらに近代化への施策を積極的に進める必要があるのではないかと考えるわけであります。ところが、政府の施策を見てまいりますと、中小企業近代化促進法の近代化計画の指定業種として昭和四十六年に指定、さらに五十年に再指定されておりますが、この時点で実質的には近促法の近代化計画は期限切れになっておるわけであります。ですから、政府があたかも施策を講じているように見えますが、実際には政令上指定業種としたにすぎないのではないかと思うのです。すなわち五十年から五十三年三月末までの期間は近促法第四条の中小企業構造改善計画の特定業種の指定を受ける経過措置であったわけでありますが、いまだにその措置が講じられておりませんが、どうしてこの措置を講ずることができなかったのか、この点についてお尋ねをしたいと思います。
  66. 古田徳昌

    ○古田政府委員 液化石油ガス販売業の体質改善、近代化につきましては、先生御指摘のとおりの経緯をたどってきたわけでございますが、最近一年間にわたりまして関係の業界とさらにこの近代化を促進する方途についての協議を進めてきたわけでございます。さらに、私どもとしましては、五十三年度からは一歩進めまして構造改善事業に取り組むということで、経営規模の適正化、流通の合理化、設備の近代化をさらに一層促進しようということで現在関係業界との協議も進め、かつ関係省庁との協議も進めている段階でございます。
  67. 長田武士

    ○長田委員 現在構造改善計画の特定業種に指定する方向で検討されておるということでありますが、これでは政府は本当に消費者の立場を考えておるのかどうか、疑問を持たざるを得ないわけであります。と申しますのは、これから指定されても構造改善計画が承認されるまでには相当時間がかかるわけであります。そこで、構造改善計画が承認されるまでどのような施策をとられるのか、具体的に御説明をいただきたいと思います。
  68. 古田徳昌

    ○古田政府委員 ただいま申し上げましたように、構造改善事業としての指定をするべく現在関係方面と協議中でございます。この協議をできるだけ急ぎまして、四月から五月にかけまして政令指定して近代化計画の策定、公示まで持っていきたいと考えております。それを受けまして構造改善計画をつくっていくことになりますが、その改善計画ができ上がりますと、承認申請が都道府県から通産局、中小企業庁というルートで出されてくるわけでございますが、その間一、二カ月程度で仕上げたいと考え、現在努力中でございます。
  69. 長田武士

    ○長田委員 次に、LPガスの価格についてお尋ねをしたいと思います。  五十一年度の実績を見てまいりますと、供給は約六〇%輸入に依存をしておるわけです。そうしますと、円高によって為替差益が当然生じておると思うわけでありますが、昨年から今日までどのくらいの差益が出ておるのか、お尋ねをいたします。
  70. 古田徳昌

    ○古田政府委員 まず最初に御指摘させていただきたいのは、LPガスの最終小売価格の中で輸入LPガス価格の占める比率は二割程度でございます。したがいまして、為替差益が発生しましても、それが最終小売価格に及ぼす影響は他の石油製品価格に比べますとかなり小さいということは言えるかと思います。  この為替差益の額でございますが、五十二年の平均輸入LPGのFOB価格がトン当たり約百二十二ドルでございます。したがいまして、十円円高になりますと千二百円程度のメリットが生ずることになります。しかしながら、先ほど言いましたように、小売価格に占めるこの輸入LPG価格の割合が非常に小そうございますので、この為替差益が円高十円として計算した場合につきましても、一%未満という姿になっておるわけでございます。他方、このLPG価格の中で八割近くを占めております流通段階のコスト、これは五割から六割が人件費ということになっておりますが、この人件費の上昇がその間にあるわけでございますが、最終的な姿で見ますと、五十二年度中を通じてLPG小売価格につきましては大体十キログラムで千六百円台というふうな形で安定的に推移しておりまして、そういうことを勘案して考えますと、この比率としては小そうございますが、LPガスにつきましての為替差益がその途中段階でのコスト増を吸収するというふうな形で還元されてきているというふうに見られるのではないかと考えております。
  71. 長田武士

    ○長田委員 私の調査によりますと、輸入価格は一トン当たり約百三十ドル、つまり円相場が一円高くなりますと十キログラム当たり一円三十銭安くなる計算になるわけです。そこで、円がドルに対して約五十円高くなった昨年一年間では、輸入価格は十キログラム当たり六十五円程度安くなっておるわけであります。しかも円高はさらに続いておるわけであります。そこで、通産省から提出していただきましたここ二年間LPガス価格の推移を月別に見てまいりますと、メーカー売り価格とされる卸売物価指数は五十一年八月、九月の二六四・九を最高に徐々に下がっておりまして、五十三年二月では二四四・一となり、二〇・八と大幅に下がっておるわけであります。一方、小売価格については、消費者モニター調査では、五十一年八月が五立方メートル当たり千七百二十六円、九月が千七百三十五円、月々値上がりの傾向を示しておりまして、五十三年二月には千七百五十円となり、約十五円の値上がりとなっておるわけであります。このように卸売物価指数が下がっているわけでありますから、当然メーカーから直接輸入する大口需要者への値段は下がっているものと考えるわけでありますが、実際五十一年九月に比べ五十三年二月にはどのぐらい下がっておるのか、またその原因はどこにあるのか、お尋ねをしたいと思います。
  72. 古田徳昌

    ○古田政府委員 日銀の卸売物価指数で見ますと本年の二月が二四四・一となっておりますが、これは五十二年の二月が二六二・七でございますから、ポイントでいきまして二十ポイント近く下がっているというふうな姿になっております。これを絶対額で言いますと、LPGの元売り仕切り価格は二千円以上値下がりしたという姿になっておるわけでございます。このLPGの元売り仕切り価格が二千円以上値下がりしたのを受けまして、小売段階では、先ほど申し述べましたようなコストアップ要因がいろいろございますけれども、それを吸収しまして、最終的な小売価格としましては十キログラム当たりで大体千六百円台ということで推移してきているのが姿でございます。
  73. 長田武士

    ○長田委員 私、申し上げておりますのは、為替差益というのは、石油部長どうですか、消費者に還元されてあたりまえじゃありませんか。卸売物価は確かに指数が二〇も落ちているのですよ。何の要因ですか。いろいろな要因があって上がったんだ、そんな答弁ないじゃありませんか。為替差益というのは消費者に還元するのが筋なんですよ。政府はそれにいま努力しているのでしょう。どうなんですか。それにもかかわらずほかの要因で上がっちゃったのだ、そんなことが国民に対して答弁できますか。全く納得できない。
  74. 古田徳昌

    ○古田政府委員 私が申し述べましたのは、輸入業者あるいは元売り業者は、輸入価格が、円建てで考えました場合、当然円高を反映しまして下がるわけでございまして、それを受けまして元売りの仕切り価格が二千円以上下がっておるということを申し述べたわけでございます。この元売り仕切り価格が二千円以上下がったのを反映しまして、小売価格が最近一年間は千六百円台ということで安定的に推移しているわけですが、この小売価格で安定的に推移しているということで、この流通段階でのコストアップ要因、人件費が全体の五割から六割占めておりますから、そういうふうなことでコストアップ要因がかなりあるわけでございますが、このコストアップ要因を相殺して小売価格は安定的に推移したという形で、結局為替差益が元売り仕切り価格の値下がり、さらに小売価格の安定という形で最終消費者の方へ還元していったという形を御説明したわけでございます。
  75. 長田武士

    ○長田委員 それでは、元売り価格が下がっても小売価格が逆に上がっておるという理由はどういう理由ですか、具体的に説明してください。
  76. 古田徳昌

    ○古田政府委員 小売価格は、先ほども御説明いたしましたが、五十三年、つまり本年の一月が千六百八十円、二月が千六百八十一円でございますが、ちょうど一年前を見ますと、一月が千六百七十六円、これは十キログラム換算で言っておりますが、二月が千六百七十八円ということで、正確に言いますと、二月で三円の値上がりということでございますが、大体横ばいに推移しているというふうに考えてもいいのじゃないかと思っております。そういうことで、値上がりしたということでなしに、横ばい、安定的に推移したということを御説明しておるわけであります。
  77. 長田武士

    ○長田委員 私、伺っておりますのは、元売りが安くなり小売で上がるというギャップが出ておりますね。これはどこに要因があるのかというその要因を聞いているんです。その経過なんかを聞いているんじゃないのです。どこに原因があるか。
  78. 古田徳昌

    ○古田政府委員 結局、流通段階のコストアップということで吸収されたというふうに考えざるを得ないわけでございますが、先ほど言いましたように、流通段階でのコストというのが五割ないし六割は人件費でございますから、その間の人件費の上昇、そのほか設備関係のコストアップというふうなことで、元売り価格の値下がりが小売価格の方へ直接そのままの形では反映しなかったということが言えるのではないかと考えております。
  79. 長田武士

    ○長田委員 この問題は、私、後白に譲りましてやりたいと思っております。  このように複雑多岐にわたるいわゆる流通経路、これが原因となって非常に値下がりが思うようにいっていない、それが実態ではないかと思うのであります。こういう問題を早急に改善するということは私はむずかしいとは思いますけれども、少なくともこれに努力をし、そうして国民に為替差益というものを還元していく、そういう強い姿勢がなくてはならないと私は考えるわけであります。  実際問題といたしまして円高差益は現存するわけでありますから、当然私もこの次の一般の質問にしたいと思っております。電力料金の問題あるいはガス料金の問題こういう問題についても、通産大臣に私は何回もただしておるのですけれども、現行料金を据え置いて、そうして価格のいわゆる安定を図ってまいりたい、こういう答弁を私は何回も実は受けております。非常に私たちはそれについては不満でありますけれども、わが国では全消費世帯の半分以上はLPガスを使っておる。全世帯の五五%ですね。千八百万世帯の人が利用しておる。影響力が非常に強いわけであります。そういう意味で、為替差益というのは国民に還元するという公平な原則というものをどうしても貫かなくてはいけないのじゃないか。  円高によって企業が痛手を受ける、それについては私たちはこの委員会においても救済措置の法案を立法いたしたわけであります。一方、為替差益という問題になりますと、政府は非常に重いという感じを私たちは持つのですね。そうなりますと、勢い常に犠牲になってしまうのは一般国民であり消費者であると言っても過言ではないのです。そういう意味で、円高によって中小企業はいろいろな手だてで法案が成立しておる、その陰で、円高によって還元されるべき利益が国民に還元されてない、こういう素朴な疑問を国民は持っておると思うのです。これについて、次官、どうでしょうか。
  80. 野中英二

    ○野中政府委員 長田先生からの御質問、全く理解がつくわけでございます。御存じのとおり、素朴な直情径行的な国民の立場からすれば数学的に円高が還元されてくる、こういうことが好ましいわけでございます。しかしながら、いま石油部長の方から答弁したように、くどくなりますけれども、地球よりも重いと言われる人命を尊重しなければならない、そのためにはたとえば流通過程におきまして保安基準、保安設備というようなものを徹底させなければならない、こういうこともございますし、あるいはまた人件費のコストアップ、こういう問題がありまして、流通機構の中においてこれが吸収されていくということはまことに残念だと私も考えておるところでありまして、これは今後も検討を続けていきたいと思っております。  なお、電力関係につきましても御質問がございましたが、電力は、御存じのとおり、昭和六十年代を迎えますといまの倍の二億キロワットの電力を必要とするわけでございます。したがいまして、いまのうちに設備をしていこう、そして安定供給を図っていこう、と同時に、日常の家庭生活の予算の目安がつくような、そういう安定した家庭生活の予算をつくっていただきたいという念願を込めまして、実はこの為替差益によって据え置くことにいたしたいと政府は考えておる次第であります。どうぞ御了承願います。
  81. 長田武士

    ○長田委員 次に、消費者に対する保安啓蒙活動の拡大についてお尋ねをしたいと思います。  LPガスの最近の事故発生状況を見ますと、消費者家庭内部で発生している例が多いわけであります。このことは、消費者LPガス特性LPガス器具等の使用方法などに関して十分な知識があれば、ある程度防ぎ得た事故ではないかと思われるわけであります。  そこで私は、消費者に対する保安啓蒙活動は重要な役割りを果たすものと考えるわけでありますが、政府はこの啓蒙普及活動に関する予算措置を五十三年度分としてどのくらい計上しておられるのか、お尋ねをしたいと思います。
  82. 左近友三郎

    左近政府委員 五十三年度の国の啓蒙予算の額は七千百六十三万円ということでございまして、前年度に比べまして三八・八%の増額ということで、ほかの予算に比べますれば大幅な増をしております。
  83. 長田武士

    ○長田委員 ただいま御答弁がありましたように、純粋に普及に関する予算ということになりますと、消費者保安啓蒙活動の強化としておよそ七千二百万円ということであります。そこで、約千八百万世帯の方々が消費しておるLPガス事故の約七割五分はガス器具の扱いのミス等が原因である、このようになっておるわけであります。これに対して予算措置が七千二百万円、単純計算で割り算いたしましても、一世帯当たりわずか四円なんですね。四円程度の普及費しか計上されてないということであります。  いま政務次官おっしゃったとおり、事故になりますと大変悲惨な状態なんですね。地球よりも重いといみじくもおっしゃいましたけれども、一世帯四円で地球よりも重い生命が守れるとお考えなんでしょうか。言っていることと予算措置が、私はどうしても納得できぬのですよ。こういうことで普及活動が活発にできるのかどうか、そして地球よりも重いと言われた生命と財産を守ることができるかどうか、私は疑問を持つのですが、どうでしょうか。
  84. 野中英二

    ○野中政府委員 全くお説のとおりでございます。御存じのとおり、わずか四円程度でもって保安というものが完璧を期せられるかどうか、先生のおっしゃるとおりでございまして、今後前向きにこの問題は検討し、増額するように努力してまいりたいというふうに考えております。
  85. 長田武士

    ○長田委員 政務次官の前向きの御答弁をいただきました。  それでは、消費者保安啓蒙活動の強化費として七千二百万円計上されておるわけでありますが、その内訳について御説明をいただきたいと思います。
  86. 左近友三郎

    左近政府委員 七千二百万円の内訳でございますが、一つはテレビ、ラジオ、新聞というふうな媒体を使います消費者保安啓蒙活動でございまして、これが約四千万円でございます。これは大体毎月十日をLPガス消費者保安デーということにいたしておりますので、その日に重点的にいま申しましたテレビ、ラジオ、新聞というものでPRするということでございます。  あと小学校、中学校、高校にLPガス保安説明した壁新聞を配付するというのがございます。これは約四百万円程度でございます。  それから、アパートとかマンションに事故が非常に多発いたしますので、アパート、マンションに保安標識、つまり保安注意事項を書きました標識を配付いたしまして、それを張りつけて絶えず見てもらうという経費が大体七百万円ございます。  もう一つ、学校教育の場を活用しようということで先ほどの壁新聞以上に重点的に置こうということで、一つは小学校、中学校、高校の先生方を対象に保安教育の講習会を開催して、LPガス知識を持ってもらってそれを教育の場に生かしていただこうということと、それから、ことし新たに小学校の五年生を対象に副読本をつくりまして、これを社会科のときに利用していただくというようなことを考えております。学校教育が大体千七百万円弱でございます。  そのほか、消費者団体とか地域団体のリーダーにやはりLPガス保安を十分認識していただこうということで、消費者保安講習会を開催するというのが大体百万円、その他事務費を合わせまして、先ほど申しました七千二百万円を計上しておるわけでございます。
  87. 長田武士

    ○長田委員 テレビ等によるマスコミ関係費はいま四千何百万とおっしゃいましたか。この表で見ますと五千三百万円ですね。これも私は非常に少ないように思っております。さらに、学校教育の活用費といたしまして千七百万円の予算が組まれておるわけであります。これは文部省の方とよく連携をとって普及活動をしておられるようでありますけれども、具体的にどのようにされておられるのか、お尋ねをしたいと思います。
  88. 左近友三郎

    左近政府委員 学校教育の予算でございますが、先ほど申しましたように、学童の段階からLPガス特性その他を知っていただくと将来非常に普及するということと、それから学童を通じて家庭にも保安意識が徹底するということをねらったわけでございまして、具体的には学童用の副読本をつくりまして、大都市の中はLPガスを使いませんので、LPガス消費する地域の小学校五年生と考えまして、大体百六万人分を市町村を通じて配付するということを考えております。この事業の実施につきましては、文部省と今後十分連絡をとって遺漏なきを期したいと考えておりますし、実際のやり方としては、小学校五年生で家庭科でLPガスの問題が出てくるそうでございますので、その時点にこの副読本を利用していただくということを考えております。
  89. 長田武士

    ○長田委員 それでは、文部省にお尋ねいたしたいのですが、いらっしゃいますか。——ただいま通産省の方から文部省にLPガス保安に関する普及教育の協力を強く要求しているということでありますけれども、そこで、文部省はこれについて受け入れる用意があるのかどうか、また、用意があるとするならば今年度の実施計画はどのようになっておるのか、お尋ねをしたいと思います。
  90. 河野石根

    ○河野説明員 LPガス等の取り扱いに関しましては、学校教育では主として家庭科等関係の教科を中心に指導しておりますところですけれども、特に昨年からは、関係御当局の申し入れを受けまして、小、中、高等学校の家庭科の担当教員がLPガス保安講習会等に参加する際便宜を図るように教育委員会あてに通知いたしますなど、その指導の向上充実を期しているところでございます。今年度におきましても、関係当局と連携をとりまして、LPガス等の保安にかかわる教育の一層の充実を図ってまいりたい、こう考えておるわけでございますが、先ほどの児童用副読本の作成、配付につきましては、通産省と連絡をとりまして、補助教材一般の取り扱いを念頭に置きながら検討してまいりたい、このように考えております。
  91. 長田武士

    ○長田委員 こうした保安のための普及教育は非常に大事でありますので、今後とも文部省とよく連携をとって普及に努めていただきたいと念願をいたしておきます。しかしながら、何といいましても七千二百万円では限られた予算、この範囲内では非常に限度があると思います。そういう意味で、私はマスコミにも協力を求めなければならないというふうに考えるわけであります。これについてはマスコミの方々も非常に心配されておるようであります。したがって、マスコミ関係者に協力を求めて、この問題は特に政治、社会面だけではなくて、婦人あるいは家庭欄等にも大きな影響があるわけでありますから、婦人雑誌あるいは週刊誌等にも呼びかけてこうした問題を取り上げていく、そうしなければなかなか徹底できないのではないか、そのように考えるわけであります。次官、お考えはどうでしょうか。
  92. 野中英二

    ○野中政府委員 先生から、積極的にマスコミを活用してこの普及徹底を図るべきであるということでございますが、まことにそのとおりでございます。ただ、今後われわれがマスコミを利用し、あるいは広報活動の一環として使ってまいりたいということには変わりございませんけれども、どの種類のものをどういうふうに使っていくかということにつきましては、通産省内部において検討してまいりたいと考えております。
  93. 長田武士

    ○長田委員 次に、保安センターの育成強化等についてお尋ねをしたいと思います。  LPガスの販売事業者は、LPガス消費設備が技術基準に適合しているかどうかを調査し、一定の措置をとることを義務づけられておるわけでありますが、現実には、LPガス販売事業者調査は、これを代行する保安センター委託している場合が多く見られるわけであります。この保安センター組織形態はどうなっておるのか、また保安センターへの委託率はどのくらいなのか、さらに業務形態はどのようになっておるのか、お尋ねをしたいと思います。
  94. 左近友三郎

    左近政府委員 昨年三月末現在で全国に約五百、これは事業者としては五百五十ございますが、五百の保安センターがございます。調査をいたしましたところ、保安センターへの加入率は全国平均で五〇%ということでございます。  この保安センターの大きさでございますが、これを五十一年に調査したときの数字がございますが、これは従業員十人未満のものが約八〇%ということで、わりあい小規模のものが多いというのが現状でございます。それから、組織形態でございますが、会社組織が二〇%、協同組合組織が二九%、任意団体が三三%、社団法人、いわば公益法人が一一%、その他七%ということになっております。  それで、この保安センターというのは自然発生的にできたものでございますから、調査をやってみますと、調査の実施能力、これは調査員あるいは調査機器の保有状態がその調査能力になるわけでございますが、その調査能力に比べて販売業者から受託しておる調査件数がやや多過ぎると思われるものが大体二割くらいございます。こういう点で何らかの手当てが必要じゃないかと考えております。
  95. 長田武士

    ○長田委員 今回の改正によりまして、新たに認定調査機関の制度が創設されることになっておるわけであります。これによりますと、LPガス販売事業者調査業務都道府県知事の認定を受けた者に委託できることになるわけであります。これに伴い、既存の保安センター認定調査機関となるためには、認定を受けなければならないことは当然であります。言うまでもなく、消費設備の調査LPガス消費者保安確保する上においても最も基本的な問題でありますし、保安センター認定調査機関として認定するに当たりましても、認定基準を厳格に適用しまして、その調査機能を十分チェックすることが大事ではなかろうかと考えております。と同時に、保安センターは、LPガス消費の実態にかんがみ、保安確保に重要な役割りを担っていることも事実でありますから、既存の保安センターの育成強化、そのための措置を講じて、消費者等が信頼できる認定調査機関として調査業務を行えるよう指導することが最も大切ではなかろうかと私は思いますが、この点、お考えをお聞かせ願いたいと思います。
  96. 左近友三郎

    左近政府委員 保安センター改正案に従って認定する場合には、厳重にやっていきたいというふうに考えております。認定するのは都道府県知事でございますので、この法案の改正がお認め願えますれば、都道府県知事に認定の基準についての執行のやり方等も通達いたしまして、これが厳正に実行されるように考えております。  他面、認定を受けた保安センターが今後運営していく場合には、健全な発達が必要であるということはお説のとおりでございますので、認定を厳格にやるが、また今後の保安センターが健全な発達を遂げるように、これも都道府県と連絡をとりながら育成助長を図るような指導をやってまいりたいと考えております。
  97. 長田武士

    ○長田委員 また、保安センターは、保安確保のための調査機関といたしまして、性格上公益法人ないしは協同組合等であることが望ましいことは、高圧ガス及び火薬類保安審議会の答申も指摘しておるところであります。将来の方向としては一定の範囲内で統一化を図ることについて検討することも必要だと思われますが、この点についてはどのようなお考えがございましょうか。
  98. 左近友三郎

    左近政府委員 いまお話がありました審議会の御意見、われわれももっともだと思いまして、長期的には公益法人ないし販売業者の組合等、余り営利に重きを置かないような組織に持っていきたいというふうに考えておるわけでございます。  ただ、先ほど申し上げましたように、保安センターは自然発生的に出てきたものでございまして、それを信頼の置けるものを認定をしようということでございますので、現在直ちに公益法人なり協同組合等に限るというわけにもまいりませんので、信頼の置けるものを認定をしながら、今後そういうものについては審議会の答申にあるような組織に変わっていくような長期的な指導をやってまいりたいと思いますし、今後新しいセンターについては、極力趣旨に沿うような形のものを認定していくという形でこの問題を解決していきたいというふうに考えております。
  99. 長田武士

    ○長田委員 今回の改正によりまして、認定機関に調査業務委託したLPガス販売事業者は、その範囲内でみずからの調査義務が適用されないことになりますが、調査業務LPガス販売業者がみずから行うことが本来の姿であるにもかかわらずこの調査義務を他人任せにすることは、販売業者保安意識の低下をもたらすおそれがあるのではないかと実は私は危惧するわけであります。そこで、こうした点から、保安センターのあり方については国や地方公共団体の適切な指導と監視も含めて検討されなくてはならない、そのように考えますが、どうでしょうか。
  100. 左近友三郎

    左近政府委員 審議会の答申によりましても、やはりこの保安に関する業務というのは本来販売事業者がやるべきであるという趣旨でございますので、その趣旨を体しまして、保安センターというものはいわば補完的に利用するという立場を貫きたいと考えております。したがいまして、われわれといたしましては、保安センターについては十分この育成指導もいたしますが、また、その運営のいかんによって販売事業者保安意識を低下させるような運営では困りますので、そういう点での監督指導というものもあわせて行ってまいりまして、あくまでも販売事業者保安意識の低下を来さない形での保安センターの利用というものを図っていきたいというふうに考えております。
  101. 長田武士

    ○長田委員 続いてお尋ねをしたいのでありますが、高圧ガス及び火薬類保安審議会の答申、これには既存LPガス設備の総点検の実施がうたわれておるわけでありますが、通産省としてこの総点検を実施する意思があるのかどうか、もし実施するとすれば具体的にどのような方法でいつから実施されるのか、また実施期間はどのぐらいかかるのか、お尋ねをしたいと思います。
  102. 左近友三郎

    左近政府委員 いま御審議を願っております改正法というのは、主として今後の運営をどうしていくかということを決めておるわけでございますが、実は重大なものの一つに、現在消費家庭で使われておるいろいろな設備を安全かどうかをもう一遍見直す必要があるということで、審議会でもこの総点検を実施しろという御意見があったわけでございまして、まことにごもっともな御意見でございますので、これは現行法制でもやれることでございますので、ことしの七月から実施を始めたいというふうに考えております。  それで、この実施のやり方は、現在でもございますし改正法でもございます要するに調査点検義務を活用いたしまして、これは二年に一遍調査するということでございますので、ちょうどそれの時期を活用して、より綿密に、より詳細に、今回は総点検ということで、その調査をやっていくということで推進していきたい。したがいまして、この七月からやりまして、二年の間に終了するという予定でございます。これにつきましては、販売業者、それから販売業者の団体、それから都道府県、それから国というものが協力をして実施するということでございまして、中央には中央本部、各都道府県には県の実施本部というものを設置して関係者が協力をして推進をしていく、また、推進に当たっては消費家庭にも十分周知徹底した上で取りかかるということを現在準備中でございます。
  103. 長田武士

    ○長田委員 総点検を実施した場合、新しい設置基準に合致しないものについては修理あるいは改善等実施する必要があると思われますが、この場合、全国にわたって多数の消費世帯にかかわる問題でありますので、消費家庭の十分な理解と協力が得られるよう配慮されなければならないと考えるわけであります。また、新しい基準に沿ったLPガス設備の改善は早急に実施する必要がありますが、改善に当たっては、安全性を確保するという観点から計画的に実施するとともに、政府といたしましても、消費者等に過大な負担をかけることが改善の阻害要因とならないように適切な措置を講ずるべきであると考えますが、この点の配慮はどうでしょうか。
  104. 左近友三郎

    左近政府委員 先ほどちょっと私の御説明が足らなかった点があるので、まず補足させていただきます。  総点検の期間が二年と申しましたが、それは調査の期間が二年でございまして、いまお話のありましたように、調査の結果改善を要するというものがある程度出てまいると思います。その改善を進める期間があと一年ということで、それを入れますと三年で完了するということになっております。  そこで、設備の改善の問題でございますが、これも御指摘のとおり、消費者に大きな負担を与えないように、あるいは消費者に御不満を抱かせないようにということが必要かと思いますし、その調査をやる販売事業者も十分にそういう点に気をつけてやるべきであろうと思いますが、やはり実際にやってまいりますと、いろいろな御疑問なり御不満なりが出てくると思います。したがいまして、先ほど言いました機関には苦情処理を行えるような部門もつくりまして、消費者の御意見に対してスムーズに改善が進むようないろいろな具体的な措置をとってまいりたいと思いますし、そういう点で販売業者がいろいろな資金が必要であれば、中小企業金融公庫とか国民金融公庫とかいうものの融資制度が利用できるようにも現在しております。  さらに、この調査を実施するに当たりまして、先ほど申しましたように十分御理解いただく必要がございますので、そういう点でのPR活動もこれから実施をしてまいりまして、十分御理解の上で、また消費者に過大な負担をかけない形で実施をしてまいりたいというように考えております。
  105. 長田武士

    ○長田委員 次に、LPガス事故の防災について消防庁にお尋ねをしたいと思います。  消防庁では、現実に事故が起きた場合、直ちに処置に当たりまして、現場検証などその事故原因調査等で大変御苦労されておるわけでありますが、このLPガス事故の防災についてどのような対策を考えていらっしゃるのか、お尋ねをしたいと思います。
  106. 小池次雄

    ○小池説明員 事故の防止の対策でございますが、一般的には、町会等の主婦の方を一定の場所へ集めましてLPガス危険性の問題につきます予防のお話やら、あるいはまた個別的におきましては、一般家庭に立ち入りましてLPガス器具あるいは配管等の調査等を行いまして、悪い欠陥等があった場合におきましてはそれに対する個別指導を申し上げております。  そのほか、この問題につきましては、消費者とあるいはまたその施工する業者とのいわゆる一体性がなければ十分な安全といいましょうか、火災予防の完璧を期すということはまいりませんので、これらに関しても、地元の消防署等におきましても応分の接触を持ちながら御指導しております。  さらにまた、消防庁におきましては、保安に関しましては通産省当局との連携を保ちながら、十分の保安面のいわゆる事故防止に対して精進しております。
  107. 長田武士

    ○長田委員 続いて、通産省と消防庁にお尋ねしたいのでありますが、現在一般家庭等で使用しておりますLPガスの供給設備から消費設備に至る配管設備等が、現在の安全基準で地震などの災害に何ら問題なく耐えることができ得るかどうか、この点についてお尋ねをしたいと思います。
  108. 左近友三郎

    左近政府委員 現在の省令で定めております設備の基準というのは、過去の検討の結果できたわけでございます。しかしながら、そのときどきの環境に応じて、あるいは新しい事態の発生に応じて逐次見直しておるということでございますが、一、二具体例を申し上げますと、LPガスの設備基準のうちで、LPガスの容器、つまりボンベが地震等で揺られてひっくり返るということになりますと大変でございますので、その防止措置につきまして従来は鎖でとめるということでございますが、それで十分かということについて、高圧ガス保安協会に専門家委員会を設置しまして、地震対策、あるいは雪が屋根から落ちてきて倒れるというケースもございますので、雪害対策という観点から検討を進めてまいりまして、協会の付属の研究所においていろいろ実験をやりました。それで、ことしの春にこれに関する結論が出まして、従来よりはもう少し基準を改正する必要があるということになっておりますので、現在それの見直しをやっております。したがいまして、これがはっきりいたしますと、省令の見直しということで行政に反映できると思います。  また、耐震自動遮断装置、つまり地震が起こりますと自動的にとまるという装置につきましても、いま申しました委員会で検討いたしまして中間報告が出ております。したがいまして、今後もう少し検討を進めた上で、これもこれで大丈夫というふうなものができますれば、技術基準を確立いたして省令で出したいというふうに考えておりますし、今後そのほかの点についても専門家委員会で逐次検討しまして、地震、火災ということで問題の起こらないようにやっていきたいというふうに考えております。
  109. 小池次雄

    ○小池説明員 地震に対する問題でございますが、今回の改正案に関しまして、消防庁におきましてもいわゆる伊豆の地震等につきまする実態を調査し、それに関しまして、通産省とのお互いの協議の中におきまして一つでも多くの実態面が反映できるように努めておりますし、また、地元の消防機関の意見等も極力反映し、その実態もまた通産省との協議の中において十分な内容を盛り込めるように積極的に対応し、また、これが防災上万遺漏のないように処してまいっております。
  110. 長田武士

    ○長田委員 次に、LPガス設備士についてお尋ねをしたいと思います。  LPガス設備士制度が創設され、これによって新たに資格を得るための設備士免状は都道府県知事によって交付されるわけでありますが、その場合、設備士の試験についても都道府県知事が行うようになっておるわけでありますが、そこで、この場合どのような試験を行う予定なのか、まずお尋ねをいたします。  次に、この設備士試験の実施に関する事務の全部または一部を委託することができることになっておりますが、地方自治体が独自に実施する場合、実技施設の建設とか、実技試験に携わる専門官の養成とか、さらには予算措置等について対応がむずかしいと言われておるわけであります。こうした問題点に通産省としてはどう配慮されるのか、お尋ねをいたします。
  111. 左近友三郎

    左近政府委員 設備士試験は、筆記試験と技能試験という二つの試験によりまして、設備士として必要な知識及び技能を有するかどうかを判定するということでやるわけでございますが、具体的に申しますと、設備士として配管工事の作業を行うのに必要な程度液化石油ガスに関する基礎知識、それから配管理論、それから関係の法令というものに対する知識、それから配管の具体的な技能というものについて試験を行うわけでございまして、これについて特に高度なものを要求するんじゃなくて、現在通常こういう配管工事をやっておられる方の水準に達しているかどうかということを見るという程度のものでございます。  そこで、試験の実施に当たります府県の負担でございますが、先ほど申しましたように二つに分かれておりますが、筆記試験については、他の国家試験に比べて特に府県の仕事が大変だということはないと思いますが、技能試験につきましては、設備とか材料の準備、それからそれをやります場所等の問題等々が、相当府県としてもそういうことになれないというようなことも出てくるということも考えております。しかし、電気工事士試験という先例もございますので、通産局なんかが協力をしながら府県の実施しやすいようにやりたいと思っております。  しかしながら、また府県の実情によりまして、その実技試験等がなかなか実施しにくいという点もございますので、これは現在の改正法によりまして、試験の業務を特殊法人の高圧ガス保安協会に委託し得るということになっております。高圧ガス保安協会は県に支部がございまして、こういう点ではこういう試験を実施する設備なり要員なりもございますので、そういう形で試験が公正にやれるということを考えております。したがいまして、通産大臣の監督を受ける特殊法人としての高圧ガス保安協会に委託をすれば試験は公正に実施できるし、かつ、府県としても余り負担にならないというふうに考えております。  なお、試験手数料についても実態に合うようなことを考えておりますので、試験を実施する都道府県が必要な経費はこれで賄えるというふうに考えておるのでございます。
  112. 長田武士

    ○長田委員 ただいままで質問を行ってまいりまして、時間が参りましたので終わりますけれども、消費世帯が非常に多いLPガスでございます。そういう意味で、生命を守るためにもあるいは財産を守るためにも、こういう点を私たちしっかりやっていかなくちゃいけないという決意もいたしておるわけであります。その点を踏まえてどうかひとつ徹底方をお願いしたいと思っております。  以上で終わります。
  113. 山下徳夫

    山下(徳)委員長代理 この際、暫時休憩いたします。     午後零時三十九分休憩      ————◇—————     午後三時五十分開議
  114. 中島源太郎

    ○中島(源)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。山崎拓君。
  115. 山崎拓

    ○山崎(拓)委員 今回の法律改正によりまして、消費者保安確保するために販売業者、工事施工者、器具メーカーの保安確保上の責任を明確にすると同時に、消費者に対しても保安上の注意を喚起する、こういう法律改正の仕組みになっていますが、年々累増いたしておりますLPガス事故を防いでまいりますためには、官民一体となった消費者啓蒙運動を総合的かつ計画的に展開する必要がある、このように各方面から指摘されているところであります。そういう意味におきまして、販売業者以降の責任もさることながら、国として消費者保安確保にどのように取り組んでいくかという点が出発点であろうかと思う次第です。そういうことで、昭和五十三年度予算、これが成立をいたしましたが、消費者保安センターの業務の充実等につきまして非常に予算の伸び率としては見るべきものがありますけれども、なお政府がどのような責任感を持ってこの問題に取り組んでいくか、まず御答弁いただきたいと思います。
  116. 左近友三郎

    左近政府委員 国のLPガス保安に対する施策ということでございますが、まず、LPガス法を忠実に履行するということが第一でございますけれども、それとともに、予算措置等によりまして、法律のみではやれない仕事、たとえば保安啓蒙というふうなことについては十分措置をいたしたいというふうに考えております。  予算措置としましてやる重点といたしましては、消費者保安啓蒙と、それから保安に関する研究開発という点になろうかと思います。これに対しまして五十三年度に講じました予算措置といたしましては、高圧ガス保安協会が実施いたします消費者保安啓蒙事業の拡充ということで大体総額七千二百万円程度でございますが、前年度に比しまして大体三八%強の増加ということで相当な増加をいたしました。そのほか、高圧ガス保安協会が実施いたします保安技術指導というふうなものの拡充というものも考えております。それから、高圧ガス保安協会の付属の研究所の研究事業の充実という点も手当てをいたしております。以上含めまして高圧ガス保安協会の事業運営費は、やはり前年度に比べまして三三%の増ということになっております。これは付属研究所の建設費が五十二年度で終わりましたので、これの当然減を除いた数字でございます。さらに、保安確保するための機器の設置の普及ということから、ガス漏れ警報器のリース制度にかかわります開銀融資を五十二年度に引き続き実施をいたしました。  以上のような形で、予算に対しましては、昨年よりも相当一般予算に比べて大きな伸び率を確保いたしたわけでございますが、われわれ自身の反省といたしましては、まだまだ不十分であろう、もっともっと今後こういう対策を考えなければいけないというふうに考えておりますので、来年度についてまたいろいろ施策を検討しておるというのが現状でございます。
  117. 山崎拓

    ○山崎(拓)委員 ただいま立地公害局長からるる来年度予算についてお話がありましたが、お挙げになりました七千二百万の予算というのは、これは付属研究所の事業費に当たるものでありまして、消費者保安啓蒙費といたしましてはそのようなものではなくて、テレビ・ラジオ放送費、学校教育副読本、集合住宅保安標識、消費者講習会、そういった予算、あるいは保安技術指導の予算、これを含めまして全部でどうなりますか、消費者保安センター全体の予算で一億六千四百万ということになっておりますが、消費者保安啓蒙費自体は非常に少ないというふうに思いますので、今後とももっともっとこの面で力を入れていただくように要望を申し上げておきたいと思います。  それから、国のLPガス行政に対する機構の問題でございますが、従来から行政機構の一元化の問題がございました。LPガス業界が千八百万世帯に供給をいたしておる、一方、都市ガスの方は千二百万もしくは千三百万世帯に供給をいたしておるということであろうかと思うのでありますが、その都市ガス事業の方は資源エネルギー庁の方に行政機構が一元化されておりまして、ガス事業課並びにガス保安課ということで呼吸の合った行政を展開しておる。ところが、LPガスの方は、資源エネルギー庁の方の流通課でLPガス行政の一般的な部門を担当し、かつ、保安の部門は立地公害局の保安課で担当しておる、こういうことで所管課のあり方が一元化されてない、こういう問題点が指摘されておるところでありますが、ぜひこのLPガス行政の一元化を推進していただきたいという見地から今後どういうふうにこの問題を考えられるか、御質問をしておきたいと思います。
  118. 左近友三郎

    左近政府委員 御指摘のとおり、現在所管の課が二つの分野、つまり資源エネルギー庁と立地公害局に分かれておることは事実でございます。ただ、これにつきましては、LPガスというものの性格上こういうことにならざるを得ないというのが現状でございまして、いわゆるLPガスは石油製品の一つということでございますので、資源エネルギー庁が石油行政の一環としてこの生産、流通、販売というものを取り扱うということは、やはりLPガス自体も石油行政の一環としてやった方がより円滑にいくという面があるわけでございます。一方、LPガスは、その消費形態がいわゆる高圧ガスという形でボンベに入れて使用するというふうな形態になっておりますので、これはやはり高圧ガス一般を取り締まります高圧ガス取締法で一元的に処理をしなければいけない。しかし、一般消費者対策のところはまたLPガスとしての特色がございますので、現在御審議願っております液化石油ガス法によって規制を行っておるということでございまして、この高圧ガス取締法と液化石油ガス法両方相まちまして保安の総合的な推進をやるということがございますので、高圧ガス保安行政を立地公害局で担当しておりますことから、こちらに保安の担当の課がある、こういうことになっておるわけでございます。したがいまして、この二つ、それぞれの液化石油ガスの性格からそういう形になるのはわれわれとしてもなかなかやむを得ないという点があるわけでございます。  しかしながら、一方考えてみますと、消費者なり販売業者が、これによって何か力が分裂して、それに対する行政的な対応がおろそかになりはしないかというふうな御心配があろうかと思います。将来いろいろ検討いたしますが、われわれといたしましては、当面こういう形であっても、販売業者の方とか消費者に御心配のないようにいろいろ相互に連携をとるなり、あるいは現在御要望のありますいろいろな行政について十分取り上げまして、これが販売業者だとか消費者に御不便をかけないようにするという形で問題を解決していきたいというふうに考えております。
  119. 山崎拓

    ○山崎(拓)委員 ガス事業に比べましてLPガス事業の重要性はもとより遜色がないわけでございますから、行政上の対応も今後とも十分にやっていただくことを要望いたしておきます。  次に、法律改正の中身につきまして二、三伺いたいと思います。  まず、液化石油ガス販売事業者に対する規制でありますが、その中で、事業者に対しまして周知義務が今回課せられることになりました。特に事故発生状況でありますが、いままでの質疑を聞いておりましても、消費者サイドに問題がある事故が大半を占めておるということであります。そういった見地からもこの周知義務の問題は非常に重要であろうかと思うのでありますが、法律では、「液化石油ガスによる災害の発生の防止に関し必要な事項であつて通商産業省令で定めるものを周知させなければならない。」こういうことになっておるわけでございますが、省令で定める必要な事項というのはどういった内容のものであるか、伺いたいと思います。
  120. 左近友三郎

    左近政府委員 周知義務に関する通産省令で定めるところという内容でございますが、通産省令では、周知の時期あるいは方法というようなものを定めることにしております。  たとえば現在考えておりますのは、毎年少なくとも一回以上、周知すべき事項を記載しました書面を一般消費者に訪問して配付するというようなことが考えられておりますけれども、その周知のやり方については、もう少し実効の上がる方法はないかということで、いろいろ関係者専門家の御意見を聞いておる段階でございますが、その意見を十分聞いた上で定めていきたいというふうに考えております。  それじゃ、その周知する内容はどんなことかということでございますが、これについては、この制度のいわば先例として、ガス事業法にやはり周知義務というのがございまして、それの関係の施行規則、つまり通産省令周知される事項というのが定まっております。それを見ますと、「消費機器の供給するガスに対する適応性に関する事項」、要するに、プロパンならプロパンに合った器具であるか、間違って都市ガス器具などついておりますと問題でありますからそういう点だとか、あるいは消費機器の管理点検に関する注意事項とか、あるいは消費機器を使用する場所の環境あるいは換気というものに関する事項、つまり換気が悪いと非常に問題が起こりますのでそういう事項とか、それからガス漏れを感知した場合に、災害が発生するおそれがある場合にどういう処置をしたらいいか、つまりこういう販売店に電話をしてくださいとか、いろいろな連絡方法等を決めておるようでございます。そのほか、ガスの使用に伴う危害の発生に関する必要な事項というのを決めております。したがいまして、これを参考にいたしまして、このほかLPガス特性もございますので、それをも勘案いたしまして、以上のような事項に必要な事項を加えて定めたいというふうに考えております。
  121. 山崎拓

    ○山崎(拓)委員 私、たまたまLPガス業界の指導者のお一人である三菱液化瓦斯株式会社の深尾社長の出されました「愛されるプロパン」という本を読んだのでございますが、その本の中で、業界人みずからが、LPガスを売ることは保安を売ることであるという名言を吐いておられるのでございます。結局、家庭の主婦はプロパン使用上の技術的な知識に欠けておる、したがって主婦の不注意による事故の起こる可能性が多いし、今日すでに起こってきた、そこで保安を売るということは、常に主婦に対し助言し、助力する必要がある、それが保安を売るという業者の役割りである、このようなことを指摘しておられるのであります。  業界人みずからこうおっしゃっておるわけでありますから、この周知義務の履行に当たりまして、ただ書面を交付するということだけで徹底することができるか。やはり業者消費者との間の対話というものが重視せられる、こういう認識でございますので、私も賛意を表するわけでございますが、この周知義務の履行について効果が上がるようにぜひ行政指導をお願いしたいということであります。  それから、ついでながら、深尾さんがこの本の中で指摘をされておりますのは、小型湯沸かし器の問題を何度か取り上げておられます。これは普通、プロパン事故といいますと爆発事故が多いわけでございますけれども、それだけではなくて、いわゆる酸欠による事故、そういう事故が起こっておるということであります。小型湯沸かし器を十分以上連続使用してはならないということになっているが、実際消費者がそこまで考えずに使うケースが非常に多いし、また、瞬間湯沸かし器だけではなくて、他のいろいろな暖房器具等と併用することになりますと、さらに悪い効果が重複して起こってくる、こういうことでありまして、液化石油ガス器具については検定制度がありますけれども、この検定を通りましても、なお最近のように集合住宅が多くなり、家屋の気密化が進行してまいりますと酸欠事故発生が予想される。そういう意味で、この周知義務の執行といいますか、履行といいますか、その際にこういった点も配慮すべきではなかろうかと思うのでございますが、この点、御見解いかがですか。
  122. 左近友三郎

    左近政府委員 いま御指摘のありました小型湯沸かし器につきましては検定制度の対象といたしておりまして、その燃焼性というものを厳しく検定をしておりますけれども、さらに、湯沸かし器本体に一酸化炭素を防止するために取扱上の注意事項を表示させるということになっておりまして、使用中は換気扇を回すとか窓をあけるかして換気に注意をする、連続して十分以上使用しないでくださいというようなことを表示させることにしておりますが、これだけではやはり不十分だということはお説のとおりでございます。したがいまして、周知義務の中でも、こういう消費者が往々にして犯しやすい問題については周知の場合にやはり実例として入れて、この問題点について対策を講ずるというふうなことをやっていきたいと思います。  なお、LPガスについては、その特性上やはり酸欠になりやすいということがございます。したがいまして、高圧ガス保安協会の付属の研究所でも、これについてどういう形で酸欠状態になるかというようなことの機構の研究を現在やっておりますので、それがうまくいきますと、一酸化炭素の検知をどうするかというような機構も解明したいということもやっておりますので、その成果が上がりますれば、またそれに対する対策も一歩進むというふうにも考えております。  いずれにいたしましても、消費者が気がつかないような点については、周知義務等によりまして十分徹底させるという対策をとっていきたいというふうに考えております。
  123. 山崎拓

    ○山崎(拓)委員 もう一点伺いたいのですが、販売事業者に対する規制の中で、供給設備の基準適合義務が課せられることになっております。また、供給設備外の消費設備につきましても、技術上の基準に適合しているかどうかを、調査機関に委託することになろうかと思いますが、調査する義務というものが課せられておる。いずれも省令によって基準を定めるということになっておりますが、両方の基準につきまして、省令にゆだねるのがどのような内容になるものか、簡単にお答え願いたいと思います。
  124. 左近友三郎

    左近政府委員 供給設備、消費設備等に関する技術上の基準というのは省令で定めることになっておりまして、現在検討中でございますが、その考えておりますことを一、二例示いたしますと、供給設備の技術上の基準といたしましては、ボンベが振動とか衝撃によってひっくり返ったりしないような何らかの措置を講ずるというふうなことを決める、あるいは調整器の圧力を一定の範囲に決めるとか、あるいはボンベのバルブとか配管、ゴム管というものに使用上欠陥のないものを使うとか、そういうふうなことを考えております。  それから、そういう供給設備から取り入れて消費設備を置いて使う場合のその消費設備の技術上の基準といたしましては、配管とかゴム管、それから閉止弁等に使用上支障のあるような腐食等の欠陥がないというような点の検討、燃焼器LPガスの規格に適合したものであるかどうかというような点、それから燃焼器の入り口にLPガスの一定の圧力が保たれているかどうかということの検討、それからふろがま等の大口消費設備には排気装置が十分できておるかどうかというような点を検討することになっております。  なお、小型のボンベで、メーター売りでない重量売りのものについては、全部が消費設備ということになっておりますので、その場合の消費設備については、先ほど申し上げました供給設備の基準もあわせて消費設備の中に入れて決めようというふうに考えております。
  125. 山崎拓

    ○山崎(拓)委員 事故発生状況を見ておりますと、たとえば昭和五十一年の事故総数五百八十一件の中で、一般消費家庭が四百七十二件だ、そして飲食店で起こった事故が五十八件あるという数字を見ました。五十八件ということはちょうど一割ということでありますが、一般消費家庭と飲食店の比率から考えまして相対的に無視できない事故発生数である、このように感じます。そこで、今回の改正によりまして供給設備、消費設備と分けられるわけでありますが、しかし、消費に関しまして、業務用大口消費と一般消費者消費という点が設備に関しましても特段に区別されておるわけではありません。そういうことでありますが、ただいま申し上げましたように、業務用大口消費につきましては、やはり一般消費者よりも、事故の起こりました際の被害の大きさ等からかんがみまして、さらになお一層の教育が必要ではなかろうか、あるいは消費者の管理能力が問われるべきではなかろうか、かように考える次第でありまして、そういう観点に立った対策はどのように考えておられるのか、伺いたいと思います。
  126. 左近友三郎

    左近政府委員 業務用の大口消費者につきましては、万一事故が起こった場合に大きい事故が起こる、あるいは事故原因関係のない第三者が被害を受けるというようなことがございますので、今回の法案におきましても、特定供給設備の規制ということで、大口の供給設備については特にチェックをするという形をとっております。  さらに、この法的規制は、それ以外は一般と変わりませんけれども、実際の運用におきまして、このLPガス設備の総点検だとか消費者保安啓蒙運動だとか、それから販売業者による周知の徹底、周知義務の履行とか、そういうふうなものについてはやはり重点的にこういうものに対しては対処するということを考えておりますし、それから、消費者保安講習会というようなものを従来から実施しておりますけれども、こういうものもそういう大口の消費者自身に対して直接働きかけて、そういう講習会にも出てもらうというようなこともやってまいりたいと思いますし、必要に応じまして関係の監督行政機関ともよく連絡をとりまして、大口消費者についてはこの保安が十分やられるような方法を講じてまいりたいというふうに考えております。
  127. 山崎拓

    ○山崎(拓)委員 今回の改正によって、液化石油ガス器具につきましては第一種と第二種に分けられて、第一種に関しましては、従来からあります検定及び登録・型式承認制度を残すということでありますが、検定はもちろん十一品目について行われてきたということでありますけれども、登録・型式承認制度というのはいままでこの制度が用いられたことはないのでありますが、今後これを活用させていく方針であるのかどうか、その点、承りたいと思います。
  128. 左近友三郎

    左近政府委員 現行法で登録・型式承認制度が定められておりますが、御指摘のとおり、残念ながら、その制度にのっとって型式承認をとって製造をやっておることはまだ一件もございません。ただ、これはわれわれといたしましても、できればこういう制度を推進したいというふうに考えておるわけでございますが、従来の製造事業者等の品質管理等のまだ十分でないというような点から、こういう制度にまだ到達しなかったという点でございます。したがいまして、今後はこの製造事業所におきます品質管理の徹底等を推進いたしまして、この登録・型式承認制度が動き出せるように推進してまいりたいというふうに考えております。
  129. 山崎拓

    ○山崎(拓)委員 資源エネルギー庁長官にお伺いいたしますが、昨日朝刊を読んでおりましたら、サウジ油田で再び爆発事故が起こったという報道がございました。再びと申し上げましたのは、昨年の五月にもこのアブカイク油田の事故がございました。それで、その当時石油の供給に支障を来すのではないかということで大変心配されたわけでございますが、今回の事故状況をとりあえずお話しいただきたいと思います。
  130. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 サウジアラビアから入りました公電で申し上げますと、今回の事故はアブカイクの集中センターにあるガスオイルセパレーターがパイプの部分のガス漏れが原因で爆発して火災が発生した、こういうことでございます。このセパレーターはほとんど全壊いたしましたが、そのほかの主な施設には被害がない、こういうことでございまして、このセパレーターはこの地域に八基ある中の一基でございまして、また周辺の主要施設に被害がない、あるいはこのセパレーターから他のセパレーターにガス供給が切りかえられている、こういう状況でございまして、サウジアラビアの石油の生産あるいはLPガスの供給に支障はない、アラムコもさような発言をいたしておりますので、当面わが国への影響はないというふうに考えております。
  131. 山崎拓

    ○山崎(拓)委員 影響はないということで幸いでございますが、ただ、私が申し上げたいのは、現在わが国の国内消費における供給体制というのは、国内生産石油精製時に発生するガス分が三八%、輸入分が六二%、過半を輸入に頼っておる。そしてその輸入六二%のうち半分以上の五一・五%はサウジアラビアからの輸入になっておるということであります。したがいまして、わが国総供給量の三割以上をサウジアラビア、なかんずくアブカイク油田に頼っておるということでございますので、今回大過なきを得たわけでございますが、もし仮にアブカイク油田からの供給がストップするということは、三割の供給体制がだめになるということでございますから、甚大な影響を免れ得ないということになろうかと思います。そういうことで、やはり供給の確保という見地からもう少し供給先を多様に求めるべきではなかろうか、このように思いますが、その点についてどうかということが第一点。  それから、近年特にアメリカのLPガスの輸入がふえておるようであります。私も、たまたま昨年アメリカに参りまして、LPGの岩塩ドーム貯蔵所を視察してまいったのでありますが、確かにLPGの需要がアメリカ国内において急増しておるということから、これがわが国のLPガス輸入にコンペティターとして影響してくるのではないかという懸念がございますが、その点はどうかということが第二点でございます。  以上二点、とりあえず伺います。
  132. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 御指摘のように、現在のわが国のLPGの輸入依存度は六〇%、その過半数をサウジアラビアに依存いたしておるわけでございます。今後とも輸入依存度は需要の増大に伴ってふえていくというふうに私たちは見ておりまして、せんだって決定いたしました五十三年度の供給計画におきましても、五十七年度には七〇%までLPGを輸入に依存せざるを得ない、かように考えておるわけでございますので、そういった意味から供給先の多角化ということは今後とも大いに進めるべきであると考えておりまして、サウジアラビア以外にもインドネシアだとかドバイだとか、そういったところに民間企業でいろいろプロジェクトを持っておりますので、こういったものが実現するようにわれわれも助成していきたい、かように考えております。  それから、アメリカのお話がございましたが、そういった意味でも、これはLPGにかかわらず、石油につきましても昨今アメリカは中近東あるいはアフリカに供給源を求めてきておる。すでに両地域合わせて六十数%の輸入をアメリカはこの地域に依存してきておる、こういうような状況でもございますので、われわれといたしましては、輸入ソースを多角化すると同時に、サウジアラビアからの輸入の安定確保ということにも努めていく必要があろうか、かように考えております。
  133. 山崎拓

    ○山崎(拓)委員 総合エネルギー調査会の需給見通しによりますと、現在は総需要千二百万トン中輸入分七百万トン強くらいの国内需要量でありますが、昭和六十年にはこれが二千六百万トンになる。そして輸入に依存するものが二千万トン、昭和六十五年には需要量が三千二百万トンになり、このうち輸入依存は二千五百万トン、こういう数字であります。たとえば昭和五十一年度における世界のLPG供給能力は千八百万トンにすぎないわけでありますから、こういうことが果たして可能かということが第一点。  それから、もし仮に可能であるといたしましても、現在の輸入基地のタンク能力というものが非常に小さい。私が知り得た分では百八十五万トン程度である。石油精製の製油所にございます分が五十万トンくらいありますから、合わせて二百三十万あるいは二百四十万トンくらいのタンクキャパシティーしかないということでございます。すでに現在の年間需要量が一千二百万トンになんなんといたしておりますから、それからいたしますと、商品が回転するので二百数十万トンで間に合っておるのでありましょうが、目いっぱいのキャパシティーではないかというふうに感ずるわけであります。そういうことでタンク能力の増大の必要性、今日までの議論を聞いておりましたら、昭和五十五年度までに百万トン、タンクを建設する必要があるというようなことが答弁として出ておったわけでございます。しかし、立地の問題は、資金調達あるいは土地取得の困難性等がございますから、なかなか困難性を伴う点が多い。そういう点についてどのような行政上の配慮並びに対策を講じていかれる御所存であるか、それが第二点として伺いたいと思います。
  134. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 御指摘がございましたように、昨年の八月の総合エネルギー調査会の中間報告によりますと、対策促進をしていく場合に、昭和六十年で二千六百万トンのLPGの必要性を指摘いたしておるわけでございます。いろいろと輸入ソースを多元化していくということも必要でございますが、世界的にそれが供給可能かという御指摘でございます。私たちの方で調べましたところでは、サウジアラビア、イラン、クウェート、ドバイ、アブダビ、インドネシア等におきまして昭和五十三年あるいは五十四年以降いろいろと増産プロジェクトを持っておりますので、こういった増産プロジェクトによるところの供給増というものを安定的に確保するようにいたしたい、かように考えております。  それから、タンクの問題でございますが、御指摘のように現在のタンク容量では十分ではございません。輸入基地にあるタンクの容量が百八十三万トンでございますが、そのうちいわゆる一般需要家向けに使い得るものが百五十万トンということになっております。そういったところから、当面、昭和五十五年度末までに百万トンのタンクを増設いたしたい、かように考えておるわけでございまして、これは輸入量にいたしまして百五十万トン約七十日分、あとの百万トンが約三十日分に相当いたしますので、これが完成いたしますと輸入量ベースで約百日分の備蓄能力、貯蔵能力を持ち得ることになるというふうに考えておりまして、当面この百万トンの増設というものを急ぎたいというふうに考えておるわけでございます。  まさに御指摘のとおり、こういったタンクの立地につきましても必ずしも容易ではございませんので、一つには今年度から創設いたします立地対策交付金の対象としてこのLPGタンクも取り上げたいということでございます。  それから、資金的な面につきましては、これも本年度から開発銀行の中に融資枠を設定いたしまして、それによって必要な資金の調達を促進したい、かように考えておるわけでございます。
  135. 山崎拓

    ○山崎(拓)委員 タンクのキャパシティーを強化していくというお話でありますが、ちなみに昭和五十二年度末、三月三十一日の期末在庫を見ておりますと、これが百十五万トン程度でございます。これは年間需要量に対しましてわずかに一割ということでございますが、一割ということは三十数日分ということであろうかと思うのでありますけれども、現在の在庫水準が三十数日分であるということが妥当であるかどうかということが問題であろうと思うのであります。  それで、昨年の五月のアブカイク油田事故の際もLPG在庫が二十数日分しかないということが問題になりましたが、石油ショックのときに石油だけの問題であれほど大騒ぎをいたしましたけれども、LPガスの貯蔵量がそれほど低水準に置かれておるということは、石油は九十日備蓄を目指しておるわけでありますけれども、国民千八百万世帯に供給する必須の家庭用燃料といたしましては非常に在庫量が少ないというふうに考えられるわけであります。そういうことで、やはり石油と同じように、LPガスにつきましても備蓄の義務づけということをこの際検討する必要があるのではなかろうかということを指摘しておきたいと思いますが、長官の御見解を聞きたいと思います。  また同時に、備蓄を義務づけると申しましたが、LPガス業界は新興業界でありまして、歴史も浅いし、業界といたしましては、言葉が適当でないかもわかりませんが、まだ弱い業界である、このように考えるものですから、その負担にたえ得るかどうかということについては大いに疑問のあるところでございまして、そういう点について、これは相当政府のてこ入れを必要とすると思うのでありますが、あわせて御答弁いただきたいと思います。
  136. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 まず、第一点の五十二年度末における在庫百十五万六千トンでございますが、御指摘のように三十日でございます。それから、五十六年、五十七年と今後とも期末在庫量をふやしてまいりまして、五十七年度時点におきましては四十日分まで量を高めたいというふうに供給計画では考えておるわけでございます。  それから、第二点のLPGについて備蓄の義務づけいかんということでございますが、御承知のように、現在の備蓄法の中ではLPGは対象にいたしておりません。ただ、御指摘のように、今後とも家庭燃料としてあるいは石油に代替するエネルギーとして非常に重要性を増してくるわけでございますので、助成の問題も含めまして、備蓄義務を課するかどうか検討いたしたいと思います。
  137. 山崎拓

    ○山崎(拓)委員 最後に、時間が参りましたので一点だけ伺いたいのですが、それは液化石油ガス販売業界の体質の問題であります。  ただいま申し上げましたような非常に歴史の浅い業界であるということで、中小企業独特の零細性、過多性というものを販売業界が持っております。そういうことで、近促法の対象にして、かつ近々のうちに構造改善業種指定を行って業界の近代化を図りたい、こういう御答弁があっておったところであります。ぜひそのようにお進めをいただきたいと思うのでありますが、やはりLPガス販売事業の持てる公益性、社会的重要性にかんがみまして、LPガスの販売事業は許可事業でございますが、その許可基準を、本改正ではこの問題を取り上げられておりませんが、やはり検討する必要があるのではないか。そして販売事業が高度の水準を持つことによっておのずから業界の体質改善が図られていくというような方策も必要ではなかろうかと思っておるわけでございます。現行法では通産大臣または知事の許可制になっておりまして、そして事業遂行の経理的基礎及び技術的能力を有する等の要件に適合する場合に許可される云々となっております。こういう文言でありますが、十分このような要件を満たすように許可の運用が行われておるかどうか、この点を最後に伺っておきたいと思います。
  138. 左近友三郎

    左近政府委員 いま御指摘のありましたように、現在では液化石油ガスの販売事業の許可に関しまして四点の許可基準がございまして、その基準に適合した場合に許可をするということになっておりますが、現在の時点でこの四点の項目については変更する必要はないと思います。ただ、先生御指摘のように、販売業者の責務というのは、ことに保安に関して今後ますます重要になってまいります。そしてまた、そういう重要な保安対策を遂行するためには販売業者自身が強くならなければいけないという点も御指摘のとおりでございます。したがいまして、先ほど申しました許可基準の具体的な内容の判断に関しましては、今後各都道府県に対する指導等を通じまして適確なまた厳格な処理をしてまいりたいというように考えておりますので、今後の行政指導のやり方でこれは対処していきたいというように考えております。
  139. 山崎拓

    ○山崎(拓)委員 終わります。
  140. 中島源太郎

    ○中島(源)委員長代理 中村重光君。
  141. 中村重光

    ○中村(重)委員 商工調査室の資料によると、プロパン事故というのは、保安と安全が強調されているのに、減少するのではなくてむしろ増加をしている傾向にある。しかも液化石油ガス保安確保及び取引適正化に関する法律昭和四十二年に制定された当時と比較をすると、約三倍に増加しておる。しかもその事故原因を究明すると、ガス漏れ、それから結局爆発、火災、こういう形で発展をしておる。消費者の不注意が非常に多いので、消費者注意をしたらば防止し得た事故比率が五十一年度には七五%に増加をしているという全く驚くような、何と言ったらいいのか、無責任と言ったらいいのか、消費者の不注意ということは、これは消費者も責められなければならぬけれども、販売事業者というのは何をしておったのか、それを指導しなければならぬところの通産省は何をしておったんだ、こう言わざるを得ない。同僚委員からもそれぞれ質問がなされましたし、それに対しての答えはあったわけですけれども、余りにもでたらめなんだから、この点は声を大にして注意を喚起しなければならぬ。そこで、改めてお答えをいただきましょうし、また今後の方針を明確にお示しいただきたい。
  142. 左近友三郎

    左近政府委員 御指摘のとおり、LPガス法は実施して十年たちますが、その経過におきましてむしろ事故は増加をする傾向にある。ことに消費者取り扱いが適正であれば起こらなかったであろうというような事故がふえておるという点については、われわれも十分反省いたしております。したがいまして、実は一昨年の夏から昨年の夏にかけて一年かかって、消費者、それから販売業者、学識経験者に集まっていただきまして審議会で十分議論をいたしまして、こういう現状を打開するにはどうしたらいいかということをいろいろ御検討を願い、その答申を昨年夏いただきまして、その答申の中で法制化すべきものを今回の改正案として出したわけでございますので、われわれといたしましては、そういう事故の頻発の反省の上に立ってこの法律改正をお願いしたわけでございますし、さらに法律の関しない部分につきましても、たとえば消費者保安啓蒙とか第三者に対する事故に対する対策とかいろいろな点をいま実施をし、かつまた検討しておるわけでございます。     〔中島(源)委員長代理退席、山崎(拓)委員長代理着席〕 われわれとしても、こういう事故の状態、決してよかったと思っておりませんので、法律改正一つの契機といたしまして、今後十分保安体制の強化に努めてまいりたいというように考えております。
  143. 中村重光

    ○中村(重)委員 私は、LPガス都市ガスの問題について何十回質問したのか、また注意を喚起したのか、数え切れないようにあるのだけれども、答えはいつも同じなんだな。いまのあなたの答えと異なった答えはない。やります、PRします、法律をこう改正したから今度は事故を防止することにつながるだろうと言う。答えはそう出た、また事故防止対策法律案を強化していくということになったけれども、そうじゃないんだ。結果は逆の方にばかり進んでいるんだから。今度の改正法案だって、それはセンターの体制を強化するといったようなこと、これならば保安体制も強化し、事故防止につながるんだろうという期待も持てるのだけれども、逆に若干不安を感じるような点もある。これで販売業者保安に対する気構えというのが希薄になるんじゃないかなというような感じ、改正法案を見てみるとそのように私は思って、正直に言って心配をしているわけなんです。後でその点についてもお答えをいただくのだけれども、都市ガスLPガスとの事故比率、重大事故というのはプロパンの場合よりも都市ガスの方が非常に高かったわけですね。最近の傾向はどうなんですか。
  144. 左近友三郎

    左近政府委員 LPガス都市ガスとの事故の比較でございますが、集計方法が若干違っておりますので、厳密な比較はできないのでございますが、昭和四十九年から五十一年までの平均をとりまして事故を比較いたしますと、LPガスの場合は、事故の総件数では年平均五百四十件、都市ガスが年平均約百五十件ということになっております。それから、事故によります死亡者数でございます。これは自殺を除きまして計算したわけでございますが、LPガスの場合は年平均六十人、都市ガスの場合は年平均約百人ということになっております。負傷者、これはガス中毒者も含むわけでございますが、それについてはLPガスの場合が年平均約六百人、都市ガスについては年平均約二百人ということでございます。  事故の態様は、都市ガスLPガスでさして変わりはございませんけれども、しいて言いますと、LPガス都市ガスよりも爆発、火災という事故が多い、都市ガスLPガスよりも一酸化炭素中毒事故が多いということでございまして、その点が若干死者の点なんかにあらわれているんじゃないかというふうに思います。
  145. 中村重光

    ○中村(重)委員 一酸化炭素の中毒という形で死亡事故都市ガスが多い。それは言いかえると重大事故だ。死亡事故が一番大変なんだから、重大事故は依然として都市ガスの方が多い。都市ガスLPガスとの販売業者の気構えというか、その点は都市ガスはこのように注意をしているが、どうしてもLPガスの方が販売業者の気構えというのが弱い、こういう点が問題点であるというように感じられること、それをひとつ率直にお聞かせをいただきたい。どうなんですか。
  146. 左近友三郎

    左近政府委員 保安に対する気構えでございますが、LPガスにつきましても、LPガスを売るということは、単に物を売るだけではなくて、保安のサービスを売るのだということで指導しておりますし、自覚のある業界の方はそういうふうにしてやっていただいておるわけでございますが、何分、LPガスの販売事業者は四万七千軒程度というふうに非常に数が多いわけでございますが、都市ガスは御案内のとおり会社の数も少ないし、中には相当大きなところもございまして、保安について非常に注意をしておるということでございます。したがいまして、総じて言えば、数が多いというだけやはり保安についてまだまだ都市ガスよりも立ちおくれておる方々がいるということは事実だろうというふうに考えております。
  147. 中村重光

    ○中村(重)委員 事故が多くなる、そして大型化する、第三者を巻き込む事例が非常にふえてくる。そうすると、いわゆる第三者の被害者救済、今回この点に対しては強化策を考えているようだし、同僚諸君からの質疑もこの点に集中的になされたということなんですが、都市ガスの場合は、やはり企業体というのがわりと大きいから、第三者救済というのも、十分でないにしてもLPガスと比較するとある程度行き届いたと言っていいのか、救済に相当重点を置いてなされている。同じ都市ガスにしても、いわゆる小規模の都市ガスの場合の救済の内容というのは大体どういうことになっているだろうか。それから、LPの場合も、救済する能力のない零細なLP業者というのは、ほんの涙金みたいな形でどうにもなりませんという形でなっていると思うのだが、それをいままで通産省としてはどう考えてきたのだろう。どのような施策を講じてきたのか。今度秋までに何か対策を講じたい、こう言っているようだけれども、いまごろそんなことでは話にならないのだ。いままでどうしたのか、どう改善されたか、具体的な実績を示してもらわなければならない。  なおしかし、不十分なんだからこうするのだ、通産省しっかりやっているな、こうわれわれが評価し得るようなことでないと、他人の痛さはいつまででも待てる、人が死んだって、自分の子供や自分の身内が死ぬんじゃないから痛みを感じないという、そんなことであってはならないんだね。やはり自分の家族の者が犠牲を受けたと同じような痛みを第三者が受けた場合も感じるんじゃないと、でなければ通産省という役所の責任は果たしたことにならぬ。少なくともそういう事故が非常に増加をしている、しかも大型化する、第三者が巻き込まれている、そういう場合は通産省で責任をだれかとるぐらいの構えがないといけないと私は思うんだ。いままで、どうしてきたんですか。
  148. 左近友三郎

    左近政府委員 LPガス販売事業者が、事故が起こった場合に賠償の責任を負うという事故がございますが、その場合に、無資力というようなことでそれが実施できないということでは目的が果たせませんので、LPガス販売事業者に対しましてはLPガス業者賠償責任保険に加入をさせておりまして、それによって人的被害ですと一人当たり最高一千万円のお金が支払えるということになっておるわけでございますが、これはつまり販売事業者責任のある場合ということに現在は制度上限られております。したがいまして、それ以外の場合については、たとえば原因不明のような場合に、第三者が被害をこうむりますと直接この保険の制度にのせて金を払えない。しかしながら、やはりお気の毒であるから何とかしなければいけないということで、現在は見舞い金という制度で若干のお金を出しておるというのが現状でございます。それでございますが、見舞い金自身が一件五万円ということで、現在の常識から言えば非常に少ないということで、これも改善いたしたいと思っております。  それから、もう一つ問題は、LPガスの販売事業者責任を持たない、たとえば消費者取り扱いが不完全であったというような場合についてどうするかというのがわれわれがいま検討しておる問題点でございまして、そういう方に対しては、保険の理屈から言いますと保険が支払われないわけでございますが、これに対して、原因は何であろうと、第三者の方がみずからはいわば何の自分のミスもなく被害を受けられたという方に対して放置していいのかというのがわれわれのいま問題にしておるところでございます。これについては、たとえば保険制度をうまく運用するとか、あるいは先ほど申しました見舞い金をこういう場合にも拡充するとか、あるいは何か基金を積んで、その基金で処置をするとか、お見舞金を出すとか、いろいろな方法を現在検討しておりまして、この秋までには結論を出したいということで現在検討中でございます。
  149. 中村重光

    ○中村(重)委員 政務次官、あなたは政務次官に就任されて、何を一番重点的にいまは取り組まなければならぬとお考えになりましたか。
  150. 野中英二

    ○野中政府委員 大変漠然とした御質問でございまして、何もかにも、中小企業から始まりまして、あるいはまた通商貿易等、あるいはまた資源エネルギー等、すべてないがしろにできないという現在の日本経済でございますので、どこにアクセントがあるかということではございません。全般的に一生懸命やらなければいかぬというふうに考えております。
  151. 中村重光

    ○中村(重)委員 何でも一生懸命やらなければならぬ、それはそのとおりなんだ、しかし、一番大事なのはやはり人間の生命ということだ。それが最優先されなければならぬ。したがって、いま議論されているような都市ガス業者であるとかあるいはLPガス販売業者の業務行為というのはうまくいっているだろうか、保安、安全という点はどうだろう、どのような死亡事故であるとかあるいは負傷の事故が起こっているだろうか、原因は何かといったようなことは、私は、何より先に大臣とか政務次官は考えていかなければならない、そして適切な指導をしていくということでないといけないと思う。  いま議論をしていることをあなたがお聞きになって、見舞い金が五万円という、これは一番金額の少ないことを出したのだけれども、これじゃ適当でないので、秋までにいろいろ保険の制度であるとかなんとかいうことをひとつ考えていきたい、そんななまぬるいことでは話にならぬです。いまのような答弁は返ってきたけれども、秋ごろにどのような中身のあるものが検討の結果実施されることになるのだろうかという不安を私は感じたのだけれども、政務次官、いかがでした。
  152. 野中英二

    ○野中政府委員 ただいま局長の方から御答弁申し上げましたが、補償の問題の軽重でございますが、われわれは、事故を未然に防ぐ、これが最大の重点施策でなければならない、事故を未然に防ぐということが大切だというふうに考えておるわけでございます。したがいまして、今後先生の御警告に従いまして、十分注意しながらこの問題を前向きで検討してまいりたいというふうに考えております。
  153. 中村重光

    ○中村(重)委員 おっしゃるとおりだ。火災にしたって消火よりも防火の方が大事なんだ。事故を未然に防止をするということが非常に重要なんだから、その点はそうやっても事故が起こる、そしてけがをしたり死亡したりするという事態が起こっているわけだから、その点は最大限にひとつ、いま秋までに結論を出すということなんだけれども、その結論はできるだけ早く、そして本当に中身のある結論を出されてその対策が実施されるようにしてほしいということを私は要請をしておきたいと思います。  それから、事故にも関連をする問題として、都市ガスプロパンガスの供給区域の争いということ、これを調整するための地方調整協議会というものもずいぶん問題点を指摘をして、ようやく地方調整協議会ができたんだけれども、おざなりなんだ。その構成に至っては、どうも消費者の立場であるとかあるいは都市ガスプロパンガスのそうした問題を解消するということに対して役立つような役割りを果たしていない。だから、この構成についても再検討しなさいということをしばしば提言をしてきたけれども、余りそういうこともおやりになったような様子もない。地方調整協議会なんというものは忘れてしまったんじゃなかろうかという感じすらするのだけれども、どうですか。両者の供給区域の争いとか、地方調整協議会がどのような実績を上げているのか、それから、しばしば申し上げてきたこの委員の構成の問題等についての考え方をお聞かせください。
  154. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 まず、両当事者間の調整の問題でございますが、御指摘のように、LPガスから都市ガスに燃料転換をする過程におきまして、LPGの販売業者都市ガス事業者との間にトラブルが発生しておるということがございます。これに対しましても、私たちの基本的な立場は、どちらの燃料を使うかということは消費者の選択ということになろうかと思いますが、そういった事態が発生すること自体が好ましくないという立場から、いろいろと両業界を指導いたしておるわけでございまして、具体的に申し上げますと、ガス事業法第八条に基づきまして都市ガス事業者から供給区域の拡張の許可申請が出てくる、そういった場合におきまして公聴会を開催するわけでございますが、その公聴会の場でLPガス事業者の意見を含めまして広く一般の意見を徴することにいたしております。それから、個別案件につきましては、その必要度に応じまして話し合いの場をあっせんする、あるいはただいま先生御指摘のありましたような地方ガス事業調整協議会に付議するというような対策も打っております。また、両業界で特に保安につきまして友好協定を締結するように指導いたしておりまして、現在、文書によるものが四十一件、口頭によるものが二十一件、合計六十二件友好保安協定といったものの締結を見ているわけでございます。  それから、地方調整協議会の活動状況でございますが、五十二年度中におきまして、これは通商産業局長の諮問に応じてでございますが、全国で合計二十三回開催されております。その議題は、いずれも一般ガス事業者の供給区域内における簡易ガス事業の事業許可あるいは同区域内における供給地点の変更、こういった事項にかかわるものを議題として取り上げておるわけでございます。  次に、その協議会の構成メンバーについて必ずしも十分でないという御指摘でございますが、今後この協議会がその設立の趣旨に合致して十全に活動し得るように、現在の構成メンバーにつきましても再点検と申しますか、検討をいたしたい、かように考えております。
  155. 中村重光

    ○中村(重)委員 地方調整協議会でも、利害関係者をその委員にするということについては、やはり問題があるように私は思うのです。かといって、通産省から説明をしてもらわないと何もわからない、わからないから通産省が説明をすること、これは通産省の場合は通産局ですから出先なんだけれども、その説明をしてもらったことだけがわかるんだ。それじゃ、実際は都市ガスがどうやっているのか、LPガス業者がどのような行動をとっているのか、消費者は実際はそういう複雑なものの中に巻き込まれてどういう立場にあるのかというようなことはわからない。ですから、自主的な判断によってこうあるべきであるという権威のある方針というのか態度をとることができないというのが私は実情だと思うのです。だから、やはり地方調整協議会の委員の任命等に当たっては、本当にそれに値する人、そして勉強してくれる人、実態調査なんかでも積極的に取り組んでくれるような人、そういった人を任命をするし、また期待をしていく必要がある。再検討されるように強く望んでおきたいというように思うのです。  具体的にどうなんだと言われれば、私はある程度勉強しているつもりなんですから、こういうことなんだということを申し上げたいけれども、きょうは時間の関係もありますからその点は割愛をいたしますが、ともかく役所自身が勉強してください。何にも事が起こっていないんだからというようなことでうまくいっているのだというふうに評価をされないように、その点だけは御注意を申し上げておきたいというように思います。  それから、都市ガス及びプロパンガスの円高為替差益ということ、これはどの程度メーカー段階において、プロパンガスの場合は小売に対して円高差益というものを還元をさせていると把握していらっしゃるのか、そのことは消費者にも関係してくるわけだから、それをひとつお聞かせください。
  156. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 LPガスの為替差益でございますが、一応の前提を置きましてとりあえず試算いたしましたところ、約三百億円程度ではなかろうかというふうに見ております。この差益の扱いでございますが、約半分がコストアップで吸収されて、あと半分が価格引き下げという形で還元されているんじゃなかろうかと見ております。コストアップ要因といたしましては、FOB価格が上昇しているとかあるいは運賃諸掛かりあるいは防災費、こういったものがかなり上昇いたしておるわけでございます。一方、価格の点につきまして、まず元売り仕切り段階では少なくともトン当たり二千円程度以上引き下げになっておるといいますか、値下がりの現実になっておるんじゃなかろうかというふうに見ておるわけでございますが、小売段階におきましては、ここのところ十キロ換算で大体千六百八十円程度でずっと弱含みの横ばいといったような状況でございます。これは御承知のように、小売段階になりますと非常に零細企業が多い、人件費がコストの五〇%を超える程度になっておるというようなところから、元売り仕切り価格ほどには鋭敏に小売価格に反映してこないということもあろうかと思いますが、いずれにいたしましても、人件費その他経費の上昇がございますが、横ばいで推移しているというその限りにおいては価格に反映されておるというふうに言えるかと思います。しかし、もちろんこれで十分ではございませんので、小売流通段階における企業体質の改善ということも並行して進めていく必要があろうというふうに考えておるわけでございます。
  157. 中村重光

    ○中村(重)委員 どうも橋本長官の答弁を聞いていると私は奇異な感じがするのだけれども、プロパンの場合、十キロボンベで、ほかも調べているのだけれども、長崎県のを見ると千六百円から千八百円だ。平均千七百五十円、全然下がってないのです。これだけ円高で輸入は安く入っているわけだから、当然その差益というものは還元されなければならない。小売業者が計算してみると、小売店に還元されているのはメーカー段階の差益の三分の一です。その小売店も小売価格というものは下げてない。十分であるとは思いませんという答弁はいただけないのだ。幾らかでも下がっているのだったら、それは理解できるんです、十分でないと思いますということは。人件費も幾らか上がっている。また、小売店というのはいままでも相当苦しい経営をしてきているわけだからして、メーカー、卸段階において若干卸価格が下がっても直ちに小売価格を引き下げるということまでなし得ないという一面があるということは、私は理解をするのです。しかし、だからといって、それでやむを得ないのだと言うわけにはまいらない。それができるようにしなければならない。  それじゃ、メーカー、卸段階においてその差益を小売店に還元をしてやる、そしてあなたの方もそれを引き下げるように、メーカー、卸段階から小売の段階においても積極的に調査をして、行政指導をしていくというようなことでないといけないじゃありませんか。下げていないのに対して、十分だとは思いませんというようなそういう答弁では、答弁のための答弁だと指摘をしなければならないと私は考えます。そうでないということが言えましょうか、いかがですか。
  158. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 トン当たり二千円程度以上の元売り仕切り価格の引き下げでございますから、そのまま直に十キロボンベに換算すると二十円程度の値下がりが現実のものとならなければおかしいということは御指摘のとおりでございます。ただ、私から申し上げるまでもなく、メーカーから卸を通じまして小売段階に至るその流通過程が非常に複雑である、あるいは特に小売段階におきましては零細企業が多いということで、いろいろ企業体質改善のための措置も講じておるわけでございます。そういったことを踏まえまして、私自身としては、せっかくのトン当たり二千円以上の元売り仕切り価格の引き下げが最終消費者価格に及んでないという点は非常に遺憾に思っておるわけでございまして、もちろんその意味からいたしましても、一段と体質の改善を進めなくちゃいけないという立場でございます。近促法による合理化、近代化の後を受けまして、ことしからはいわゆる構革事業に取り組みたいということで現在作業を続けておるわけでございます。そういった体質改善と相まって、元売り仕切り価格の引き下げがさらに小売段階、消費者価格にまで反映するようにわれわれも努力したい、かように考えておるわけでございます。
  159. 中村重光

    ○中村(重)委員 ガソリンは、市況の関係もあってだぶついていますから、過当競争という傾向もなきにしもあらずなんだけれども、一リッター当たり平均七円くらい下がっているんですね。私の県では平均七円くらい下がっていますよ。これは市況の関係だとばかりは言えない。これは為替差益というものが還元されているんだというように見ることが正しいのかもしれぬ。ガソリンの場合は正しくなされている。ほかはもうほとんどなされていないということではいけないと思うのです。長官が誠意をもっての答弁ですから、それをそのまま今度はいただいておくことにいたしますが、これは事実をもってひとつはっきりさしてほしいということを要請をしておきます。  それから、先ほど都市ガスプロパンガスの供給の問題で、供給区域の争いがないかということについてお答えがあって、最終的には消費者の選択である、私もそれは否定しません。ですけれども、実態をよくつかんで指導された後で、調整協議会等の役割りを十分果たさせた上で、最終的には消費者の選択であるという考え方をもって指導してもらうんでないと——都市ガス業者は供給区域の認可を受けている。ほったらかしてあったから、供給区域をいつまでもほったらかしてはいけないというので、あなたの方の指導によって一定の期限を置いた。だけれども、その供給区域の認可を受けて供給する責任があるけれども、サボってきた。採算がとれないからということでやらない。そしてそれの延期を認めてくるということで消費者が非常に迷惑をする。そこに今度はプロパン業者が行って供給をしてきた。家もふえた、都市ガスを供給しても採算がとれると都市ガス業者は考えて、ここはおれの供給区域だからおまえのきなさい、そういうことで争いになる。それは問題なんだ。それはそれなりにかわってやったんだから、営業行為で利益も上がっただろうけれども、少なくとも消費者の利益を守ってきたことだけは間違いないんだから、その実態を十分つかんだ上で、そうした供給区域の問題が円満に解決されるようにする必要がある。  供給区域の場合は、補償ということは当たらないから見舞いというのか、特定会社の名前を挙げて悪いけれども、たとえば大阪瓦斯なんかは実にうまくやっているように聞いている。都市ガスに切りかえていく、それで全体的に問題が起こらないように相当な資金の積み立てをやって、その運用益というか、そういうものでもってLPG業者が実質的な補償を得たような形にするとかということで、都市ガス業者とLPG業者との間の混乱が一番ないというように私は伺っているのです。ところが、よくないことを言うんだからきょうはそれ以外は名前は挙げませんが、ある会社は一世帯三千円、ある会社は五千円、最近少し上げて八千円とかいうふうに改めたところもあるんですが、春闘なんかならば、ベースアップがことしはこれだけだったけれども、来年はこういうふうにしてもらえるだろうという将来の楽しみがあるけれども、商権を奪われてしまうのだから、苦労してやって一世帯三千円や五千円もらったって、あとは都市ガス業者の商権に入ってしまうから、LPG業者は追放されてしまう。バンザイする。私は、最終的には消費者の選択である、それは否定しないのです。肯定しますが、そうした関係を十分理解をされて適切な指導をされる必要がある。  それから、供給区域でないところは補償でないといけない。それは見舞いであってはいけない、補償であるべきだ。都市ガス業者の供給区域でないところに商売をやっているわけで、それを供給区域の認可をもらって、おまえのきなさい、こう言うんだから、それも最終的には消費者の選択であろうけれども、供給区域をサボっておった場合と、そうでない新たな供給区域としての認可を受けた場合とは、扱いはおのずから変わってこなければならぬ。前者が見舞いならば後者は補償でなければならぬ、そういう基本的な考え方の上に立って両方の間で円満に話し合いがなされないと消費者が迷惑をすることになります。ひとつ長官、この点に対しての考え方もお聞かせください。
  160. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 両業者間の調整をやるに当たりましては、商権を侵害するというかあるいは商権を譲り受けるというか、そういったケースもいろいろあるわけでございますので、よくその実態に即応して調整をやりたい、かように考えております。
  161. 中村重光

    ○中村(重)委員 さて、今回の改正法案で保安センター調査業務委託するということになるわけですが、液化石油ガス販売業者調査義務が全面的に免除されることになる。結局調査業務センター委託すると、今度は保安センターがやることになるんだが、その場合に、販売業者保安意識というものが低下するおそれはありませんか。いかがですか。
  162. 左近友三郎

    左近政府委員 今回の改正によりまして、都道府県知事の認定を受けた保安センターに業務を委託いたしますと、従来LPガスの販売事業者義務づけられておりました調査義務はその委託した範囲において免除を受けまして、その責任保安センターにかかるということになります。したがいまして、いまお話のありましたように、そういう業務を保安センターに任せたからということで販売事業者保安意識を低下させる、これは大変なことになるというようにわれわれは考えております。本来基本的な考え方としては、やはり販売事業者保安確保も同時にやる、したがいまして、調査義務もみずから履行するというのが一番望ましい形であります。しかしながら、現実として非常に零細な事業者、その他共同でやった方がメリットがあるという場合に保安センターでやるということで、いわば保安センターは補完的な働きをするというふうに考えておりますので、確かに保安意識の低下は防止しなければならぬと思っております。  ただ、今回の改正をお認め願えますと、実は販売事業者は、調査義務以外に、供給設備、つまりボンベとか調整器、メーターに至るまで常に安全に維持していかなければいけないという義務がかかるわけでございます。したがいまして、その点はボンベを交換するたびに現場へ行ってそれを見るとか、いろいろなことをして保安の業務をやらなければいけないという任務がかかってまいります。したがいまして、調査業務は仮に保安センター委託いたしましても、そちらの方の義務がかかってまいりますので、保安意識というものをおろそかにはできないと思います。しかしながら、この保安センターができたことによって保安意識が低下しないような対策は、われわれの指導あるいはいろいろな立入検査ということによりまして確保していきたいと考えております。
  163. 中村重光

    ○中村(重)委員 あなたの答弁の後者の場合は従来もやってきたことなので、改めて今度の法改正によって販売業者にそれだけの責任を持たせるということにはならない。だから、保安センターに業務を委託するということは、法律上は免除されることにその面はなるわけだから、だからして、従来の方法でやって保安の維持ができないで事故ばかり起こるということが具体的な数字としてもあらわれてきている。あなたの方も認められたわけだ。だから今度は保安センターにそれを委託した。そういうことによって保安体制が非常に強化をされる。     〔山崎(拓)委員長代理退席、委員長着席〕 同時に、販売業者はそれだけ保安、安全面において能力を十分発揮し得る体制、そういうものが伴っていかないとやはり希薄になる、それは避けられないと私は思う。あなたがおっしゃったことは願望に終わる可能性があるというように私は考えますから、その点は十分留意してほしい。  それから同時に、保安センターの育成強化ということ、これは相当思い切っておやりにならないと、法改正によってこういう制度ができたことがかえってマイナス要因になる可能性なしとしないということを、むしろ私はこれは注意ということよりも警告をしておきたいと考えるのです。  ということは、今度保安審議会の答申で、「液化石油ガス設備の維持責任関係は、屋外は販売業者、屋内は主として消費者が分担するよう明確化することが妥当である。」という答申、これに基づいての法改正——電気工事の場合かそうだったのですね。九つの電力会社が屋内についての責任は持っておったのです。ところが、電気事業法の改正によって屋内は消費者責任を持ちなさいということになった。そして軒先から先が電力会社ということに責任が分担された。そのために電力会社は物すごい負担を軽減される。逆に言えば利益という形になってきた。事故が起こらないのかというと、事故は起こる。起こるけれども、その点が明確でなくなったのだ。電気事業者も電気工事業者が工事をやった後は検査をする義務がある。そこで保安センターもこれはやる義務がある。しかし、それは検査をするだけであって、その検査の結果が間違っておろうとも何であろうとも、その責任は追及されない。ただ調査をしました、検査をしましたということだけでその責任は免れるということだ。そして火災等が起こった場合には責任はどこなんだということではっきりしない事態が起こってきている。  だから、私はその点を強く指摘をして、一昨年でしたか、消費者の選択によって電気工事業者に、一番事情がわかっているのだから、保安点検をする道を開いたということです。それによって事故を少なくすることにつながるだろうし、工事をした人がその責任を持つということにもつながっていくだろうという期待を持っているわけですから、そういった電気工事のような具体的な事例、起こってきた弊害、それを十分頭に置きながら今後の指導に当たってほしいということを強く求めたいのですが、いかがですか。
  164. 左近友三郎

    左近政府委員 御指摘のとおり、この保安センター認定いたしまして保安センター責任を持ってもらうというような形にいたしますと、それはうまくいく場合もございますが、いまおっしゃるような弊害も考えられないわけではないと思います。ことに保安センターが実施しました調査の結果、その調査が疎漏であった、責任がそこの保安センター調査の不備にあったという点については、当然責任センターに出てくるわけでございますが、そのセンターがそういう賠償義務が履行できないということになりますと問題でございますので、先ほど申しましたLPガス販売業者が入っております業者の賠償責任保険というものと類似といいますか、保安センターの保険というものもつくりまして、認定に当たって必ず保険に入るという指導をいたしまして、そういう補償ができるようにもいたしたいと考えておりますが、その他の点についてもいま御指摘になったような問題の起こらないように、今後十分監督をしてまいりたいと考えております。
  165. 中村重光

    ○中村(重)委員 この器具等の規制というのはいいことだと私は思うのだけれども、従来器具の不備からの事故というのは比率としては余り多くなかったのではないかというふうに思うのだけれども、いかがですか。時間の関係もあるので、端的にお答えください。
  166. 左近友三郎

    左近政府委員 従来の事故調査の結果の報告によって分類をいたしました内容では、大体一割ないしはもう少し多いと思いますが、大体一割程度ということで比較的小さく出ております。
  167. 中村重光

    ○中村(重)委員 お答えのとおりで、器具の不備という点からの事故は余り多くなかった、一割程度だということですね。むしろガス器具を誤って操作をするとかあるいは市販しているところの器具を自由に購入して取りつけたための事故というのが多いように私の調査ではなっていますが、それならば、これはそういうことがないようにそれを何らかの形でカバーしなくちゃいけないのじゃないか。残念ながら、この法律改正の中にはそういう点は見受けられない。  そこで、私は、これは試案だけれども、そういう市販しているところの器具、これは検査をしてパスしたものでないといけないということになっているのだけれども、取りつけをやるものだからそういう取り扱い上の問題も出てくるだろうということになってくるわけで、報告義務というものを考えてみたらどうだろうか。簡単ではないのだろうけれども、何かやらないと、これは依然としてこの点からくる事故は防止できない、こういうことになりますが、いかがです。
  168. 左近友三郎

    左近政府委員 いま御指摘のように、器具の欠陥ということになりますと、わりあい事故につながる件数は少ないのですが、実は器具取り扱いがうまくいかなくて事故が起こったという場合は、いわば消費者取り扱いミスという形で出てまいりますものが相当あると思います。したがいまして、理想的に申しますと、器具の設計なりつくり方が、少々ミスをしても事故の起こらないようにあるいは取り扱いミスが起こらないような構造になっているというふうなものが望ましいわけでございます。したがいまして、今後、検定をしております品目につきましては検定基準等に検討を加えまして、そういう理想的な形での器具に一歩でも近づくように指導してまいりたいと思います。  それから、現在十一品目を政令で指定して、常時使われるものあるいは事故がもし起こると大変なものというものを指定しておりますが、それ以外の品目につきまして、今回の法改正において第二種の器具ということで指定をいたしまして、これについては製造事業者あるいは輸入業者が届け出をする、それから一定の技術上の基準を守るという義務をつけ加えることにいたしました。これによって、いやしくもガス器具と言われるようなものについては、少なくともわれわれがそれを把握できてチェックできる、それから一定の技術基準は守らしめ得るという形に持っていきました。その後もし必要があれば検定を要する品目をふやしていく、それからまた、検定の内容も、先ほど申しましたように取り扱いミスが起こらないような器具にだんだんしていくということをやってまいりたいと考えております。
  169. 中村重光

    ○中村(重)委員 起こってはならない、起こらないであろう事故が事実上起こっておったということ、それで、いまのあなたのお答えで私が問題視したところをカバーできるというように、今回の改正の点等についても、あるいは今後の省令であるとかあるいはその他規則であるとかいろいろなことでカバーしていくんだろうと思うのでありますが、いまのお答えのとおり私が指摘をした点が十分カバーされて、起こるはずがない、起こってはならない事故が起こっておった、それが本当に起こらないようにしてほしいということを申し上げておきます。  それから、このLPGのような温度や地震等いろいろな関連の強いものを、北海道の寒冷地から九州の暖地まで一律の規制というのはいかがなものだろうかというように私は思うのですが、この点どうですか。
  170. 左近友三郎

    左近政府委員 LPガスの設備につきましての技術上の基準というのは、寒冷地とか屋外の気象条件というものを考えまして、相当過酷な条件でも大丈夫なような技術基準を全国一律に決めておるというのが現状でございます。これは地域的にいわゆる寒冷地と言われないところでも、たとえば少し山間地へ行きますと温度が下がるというようなこともございますし、それから、機器自身が販売されてどこに売られるかわからないというような問題もございますので、一律の基準を決めておるということでございますが、具体的な設置の場合の基準ということになりますと、やはりその地域地域の状態を見て考えていく必要があろうかと思いますので、その基準の性格、つまり器具そのものの基準とそれから設置の場合の基準というようなものは十分使い分けて考えていきたいというように考えております。
  171. 中村重光

    ○中村(重)委員 一律でやらない点もおっしゃるように私はあると思う。同時に、より保安と安全を期するという点から、やはりそうした寒冷地であるとか温暖の地域であるとか、そういうものによって適切な規制を加えていくということをおやりになる必要がある。そのためには、都道府県知事の裁量に任せるというような点も私はあってよろしかろうというように考えるのですよ。たとえば今度の改正では、屋外のゴムホース、これは省令で決めるんだろうけれども、これもいわゆる積雪地だけに必要な点であって、その他のところはいわゆる現在の転倒、転落防止というだけで足りるのではないかというように思われる。よくすることはいいことだから、私は、よくすることを、ただ経費がたくさんかかるからそんなことはやらぬでもいいじゃないかというような後ろ向きのことを言おうとは思わない。だけれども、適切におやりになるということ、もっときめ細かく施策を講じていくということが必要だと思いますよ。そういう点はひとつ十分御留意いただきたいということを要請をしておきます。  それから、配管検査方法というのは省令で決められるのだろうと思うのですが、この点どうですか。
  172. 左近友三郎

    左近政府委員 その基準は、やはり省令による技術基準でございます。
  173. 中村重光

    ○中村(重)委員 それから、記録式圧力計を使って測定させるということなんだけれども、この記録計というのは、六カ月に一回以上マノメーターで比較検査をしなければならぬというほど不正確なものだということが言われているんですね。そんな不正確なもので記録をとって、それが何になるんだろうかというような感じがするんだけれども、この点いかがですか。
  174. 左近友三郎

    左近政府委員 われわれの方の認識では、自動的にその圧力を記録するというものでございますので、十分正確なものだろうと思っておりますが、もう少し実情をよく調べまして検討いたしたいというふうに考えております。
  175. 中村重光

    ○中村(重)委員 十分実情を調べてほしいですね。効果のないことをやって実際は何にもならなかったという、それがマイナスに働いたら、これは大変なことになりますからね。  それから、法規をどんなに整備強化をして安全度を高めると言っても、法文だけではしようがないのです。実際の施策の面においてそれを生かしていくということでないといけないと思うのです。たとえば導管の設備をする場合でもそうなんですよ。現行法では配管設備工事監督者というのが置かれているわけですけれども、これは完全に機能しているということが言えると思いますか。この点は私はそうではないと思う。今回新設される設備士の資格も、十キログラム以上の配管をするものは全部この資格が要るというようになっているようですけれども、現行の配管設備工事監督者というのは、貯蔵能力が三百キログラム以上の設備監督資格を持っているわけですよ。新設の設備士より、そういう面からいたしますと配管監督者が上級だということになる。だけれども、講習を受けねば設備士の資格が与えられないということになるわけですからね。講習をするということはいいことだけれども、形式にとらわれ過ぎておるのではないか。との論法から言いますと、弁護士でも司法書士の試験を受けないと司法書士をやれないということとつながっていくのだね。ここらあたりはどう考えているのだろうか。形式中心で実体が伴っていかないということになるといけないから、講習をすることを私は否定はしないけれども、余り形式にとらわれ過ぎておるという感じがするので伺うのです。いかがですか。
  176. 左近友三郎

    左近政府委員 講習につきましては、やはり講習を受ける人の技術水準というのを考えまして、もうすでにLPガス配管についてある程度知識のある人については、講習の免除制度というものを設けて活用いたしまして、従来の資格から見れば当然そういう知識を持っておるという者については免除をいたしまして、比較的短期の講習で終了できるということにいたしたいというように考えております。
  177. 中村重光

    ○中村(重)委員 私が言うのは、講習を受けるということを否定しないのです。しかし、形式に流れてはいけない、あるいは講習を受けたからいいんだ、そういうことであってはいけませんよ、こう言っているのですよ。その点は実体でいく、そういう点は十分考えてほしい。それは、弁護士であるとか裁判官というものは司法書士よりも能力は高い、上級なんですよ。だからこの講習を受けなくたってそれだけの能力があるからいいじゃないか、だから講習を受けさせなくたっていいじゃないかと私は言わない。講習は受ける。これでもかこれでもかぐらいにやってもらわないと、大切な人命というものに関係をしてきますから。おやりになるならば、それだけの講習をやったという形式だけに流れないように、実体が十分伴うような中身のある講習をおやりになる必要がありますよ、こう申し上げているわけですから、それには異論がないでしょうから、十分やってほしいというように考えます。  それから、都市ガス業者というのは、最近、これは簡易ガスという面で認めている点もあるのだけれども、子会社をつくって、プロパン業者がやることをじゃんじゃん子会社にやらせている。最近は電力会社まで子会社を持って電気工事をやらせようということになる。これは独禁法上からいっても、あるいは分野法という精神からいっても、私は問題があるように思う。やはり都市ガス業者都市ガスに徹する、そして重大事故というものを発生させないように十分留意させる、そしてやはりプロパンというのはプロパン業者にやらせる、電力会社は電力会社の業務をやる、そして電気工事業者がやるようなそういう中小企業の分野を侵さない、お互いに分野を尊重しながら十分な経営をやっていくということでないと、せっかく自分の分野というもので経営もし、生活をしている、それを資本力に物を言わせて力の強い者がその分野を荒らしてくるということになってくると過当競争になる。肝心かなめの保安、安全というものを軽視するという形になりますから、この点は今後十分指導してもらわないといけない。これは橋本長官の分野になるんだから、ひとつ長官からお答えください。
  178. 服部典徳

    ○服部政府委員 ただいま御指摘がございましたように、公益事業でございます電気事業あるいはバス事業の小会社が、不当に中小企業を圧迫するような形で営業活動を行うというのは望ましくないことでございますので、御指摘の点を十分踏まえまして指導してまいりたい、かように考えております。
  179. 中村重光

    ○中村(重)委員 明確なお答えでしたから、そのお答えがさびないように、ひとついまのぴしっとしたお答えのように、そういうように指導してやらせてくださいよ。隣に山口審議官もおられるので、分野法の方は先覚者なんだから、十分その意見を交換しながらやっていただきたいということを要請をしておきます。  それから、運輸省の自動車局から犬丸整備部長さんがお見えですが、私は、どうも首をかしげるようになる点があるのはオートガスですね。オートガスというのはタクシー車にのみ使用が限定されているような気がするんだけれども、限定をしているのじゃありませんと言うんだが、実際はタクシーだけしか使っていない。それからタクシーの上がり車は使っていますね。その他の車にどうしてオートガスを使わせないんだろうかという感じがするんですよ。  ということは、ガソリンは高いでしょう。一キロリッターが百十円から百二十円ぐらいですね。オートガスはブタンですから、ブタンというのは産油国でもあり余っていますから安いですよ。四十三円から五十円くらいなんです。これは価格の問題は半分以下ですね。ところが、ガソリンといたしますと、これはあなたのような専門家に釈迦に説法なんだけれども、走行キロというのは、これはガソリンの方がブタンよりも伸びますからね。それにしても、総合してみると六割程度オートガスの方が安い。そしてこれはクリーンでしょう。排ガスがそれだけないわけですから、安くていい物をどうして使わせないんだろうかという気がする。それから、原油の輸入というものはできるだけ抑制をした方がよろしい。産油国であり余っているようなブタンをできるだけ輸入をして、これを使わせていくということが合理的だろうという気がするんですけれども、いかがでしょう。
  180. 犬丸令門

    ○犬丸(令)政府委員 LPG車が燃費の点において、費用でガソリン車に比べて約六割程度であるという点については、大体そのとおりだと考えております。それから、排気ガスでございますが、これはNOx並びにHCにつきましてはガソリンと大体同等でございますが、CO、一酸化炭素におきましてガソリン車にすぐれた性能があるという点についても御指摘のとおりでございます。  しからば、なぜタクシーが最も多くてそれ以外の自動車に使用されないのかという点でございますが、これは私ども特にLPガス車についての抑制のそういったことをやっておるわけではございません。ございませんが、LPガスの場合におきましては、製作段階において、これはユーザーには直接関係はございませんけれども、燃料容器に対する高圧ガス取締法の適用がある。それから、保安基準におきましては容器の車両への取りつけ方法、それから排気管、電気装置に対する遮熱装置、それから車室内に漏れることがあっては危険でありますので隔壁の設置、消火器の備えつけ等の対策保安基準によって規定いたしております。しかしながら、これはメーカー等製造段階における問題でございます。使用段階においての問題と申しますのは、第一番にはやはり漏れのおそれがございますので、配管等からの漏れに対しての点検が必要でございますし、また、エンジンルームをあけますときには裸火を近づけないようにするといったふうな取り扱い上の問題がございます。  したがいまして、LPG車がどちらかというとそういったふうな危険感がありますために、まとめて車を使っておるところ、たとえばタクシー事業等におきましては、整備管理者等の車の管理をする専任の者がおりますので、そういった意味において車の管理の万全が期せるということであると考えます。しかしながら、現在二十七万七千六百七十一両のLPガス自動車がございますが、これは五十三年一月末でございます。その中におきまして、自家用のLPG車も約四万九千両あるわけでございます。しかもLPG車全体としてはふえてきておりますので、LPG車の危険感と申しますか、そういったものがだんだん使いなれることによって薄らいでいく、そういったことによって普及してきておるのではないかと考えております。ちなみに十年前の数字と比べてみますと、十年前、四十三年の三月の数字でございますが、この時点におきましては約十三万台でございましたので、現時点におきましては二倍以上に普及しておるという実情でございます。
  181. 中村重光

    ○中村(重)委員 いまお答えがあるように、必ずしもタクシー車にのみ使用を限定しているのではない、ずいぶん普及してきた、こうおっしゃるわけですが、私が申し上げたようにクリーンですからね。それから価格も安いわけです。それからいま国策にも沿いますね。保安というものは大事なんですから、それは十分配慮しなければならぬ。でないと、全く保安上だめなんだからということで、タクシーのようにたくさん車を擁しているところじゃないと使わしてはいけないということになってくると、上がり車にも使わしてはいけないし、普及もさせてはいけない。ところが、そうではなくて、それはやはり使っているということになってくると、それが必要だろうというようにあなたの方もお考えになっていらっしゃるんでしょうから、それらの点を十分勘案しながらいい物は使わしていくということですね。大気汚染というのは大変重要な問題点であります。重ねて申し上げると、そのためにはクリーンエネルギーというものはできるだけ使っていくということにしなければならない。だから、原油の輸入というものをできるだけ省エネルギーで節約をして、それにかわる代替のエネルギーというものが大事ですから、その点は十分ひとつ指導もしていただくということで、いいことはどんどん普及していくということに格段の御配慮をいただきたいということを要請をいたしておきたいと思います。  時間が参ったようでございますから、これで終わります。
  182. 野呂恭一

    野呂委員長 宮田早苗君。
  183. 宮田早苗

    ○宮田委員 液化天然ガスが今日国民の日常生活にとってきわめてウエートの高いエネルギーであることは、各方面で指摘されておるとおりであります。それだけに、消費者の安全に対する考え方が高まれば結構なことなのでありますが、残念ながら、普及率の向上に比例して悲惨な事故が後を絶たないのが実態と思います。このような実態に即して、政府高圧ガス及び火薬類保安審議会の答申を受けて今回法の改正案を策定されたことは、まことに時宜を得たことだということをまず冒頭申し上げまして、若干の質問に入らせていただきます。  まず、液化石油ガスの需給関係についてお伺いしたいのですが、単年度で見ますと、五十年、五十一年度は需要が供給を上回り、五十二年度から、わずかでございますが、供給が需要を上回る実績あるいは予測数値となっております。また、需要の拡大につれて輸入量がかつての五〇%ラインから六〇%台にふえてきたのも特徴と言えます。海外への依存度が高まっているわけでありますが、中期的な安定輸入のために政府はどのような手を打っておられますか。また、国内の生産体制強化策についてお尋ねをまずいたします。
  184. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 昭和五十二年度のわが国の液化石油ガスの需要量は約千百六十万トンでございます。これに対する供給が約千百八十万トン、そのうち国内の生産が四百四十万トン、輸入が七百四十万トンでございまして、御指摘のように輸入比率は六割を超えるに至っておるわけでございます。今後、せんだって策定いたしました石油供給計画によりますと、昭和五十七年度の需要は千五百五十万トンと見込んでおります。これに対しまして、国内生産が五百三十万トン、輸入は千五十万トンと想定いたしておりますので、五十七年度における輸入比率は七〇%近くになろうかと見ておるわけでございます。さらに、昭和六十年度におきます暫定需要見通しによりますと、対策促進ケースで約二千六百万トンというふうに需要の増大を見込んでおるわけでございますが、これに対しまして、中東地域、特にサウジアラビア、イラン、クウェート、アブダビ、あるいはインドネシア、こういったところでそれぞれ増産のプロジェクトを進めておりますので、こういったプロジェクトが実行に移されることによってこの程度の輸入は確保できるというふうに考えておるわけでございます。
  185. 宮田早苗

    ○宮田委員 申し上げましたように、国内需要のバランスを見ますと、ほとんど余裕がないのじゃないかというふうにも思われるわけです。当然原油の備蓄と同じような考え方が必要となってくるわけですが、この液化石油ガスの国内備蓄の推進について、いまもお触れになりましたが、その計画をもう少し小まめにお伺いをしたいと思います。
  186. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 現在わが国の液化石油ガスの輸入基地におけるタンク能力は、二十五基地で百八十三万トンでございます。この百八十三万トンのうち、一般需要家向けに使用されておるものが二十基地で約百五十万トンでございます。このほかに、製油所の中にタンクを持っておりますが、これが約五十万トン、これが現状でございます。  今後とも先ほどから御指摘のありましたように需要が増大していく、それに応じまして輸入が増大していくわけでございますので、この程度のタンク能力では不十分である、輸入基地の建設を進めていく必要がございますので、当面、さしあたって、昭和五十五年度末までに百万トンのタンク増設の計画を持っております。ここまで持っていきますと、輸入量ベースで約百日分に相当するわけでございます。ただ、御承知のように、土地の取得あるいは資金調達の困難性といったような問題もございますので、いわゆる立地対策交付金の対象にLPGタンクも取り上げたいと考えておりますし、あるいは開発銀行に融資枠を設定いたしまして、所要の資金調達を助成いたしたい、かように考えておるわけでございます。
  187. 宮田早苗

    ○宮田委員 もう一度念のためにお伺いいたしますが、いま石油の備蓄と一貫した考え方でとらえていこう、そのために立地に対するいろいろな助成というものをお考えになっておる、いわゆる石油の備蓄と同じような考え方でこのLPの問題も備蓄をするということでよろしいですか。
  188. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 増大していく需要に対して供給を安定的に確保するという観点からタンク能力を増設していこうという意味においては石油と同じでございますが、ただ一点異なりますのは、石油につきましては現在いわゆる備蓄法に基づきまして備蓄義務が課せられておるわけでございますが、LPGは備蓄法の対象になっておりません。そういった意味においては異なるわけでございますが、今後LPGにつきましても備蓄義務を課すかどうかというようなことについては、検討課題ということでお許しいただきたいと思います。
  189. 宮田早苗

    ○宮田委員 LPガスの輸入依存度が高いことから、さきにも質問が出ておりましたが、最近の円高によっていわゆる輸入差益がこの業界にも当然生じているわけです。末端の小売価格が五十一年夏以降安定している事実は認めざるを得ないわけですが、業界の円高による差益は、さきの方の質問にもございましたが、もう一度、どの程度になっておりますか、お聞かせを願いたいと思います。
  190. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 LPGの為替差益につきまして、いろんな前提を置いてでございますが、一応試算いたしますと、約三百億円というふうに推定いたしております。このうち二分の一程度がいわゆるコストアップ要因、FOB価格自体も上がっておりますし、運賃その他防災関係経費が上がっておるということで、半分ぐらいがコストアップによって吸収されておる、あとの二分の一程度が元売り仕切り価格段階におきましてトン当たり少なくとも二千円以上の引き下げが行われているということでございますが、ただいまも御指摘のありましたように、卸売段階、小売段階を経て消費者価格に必ずしもまだ十分にそのまま反映されておらない。これは流通段階にいろいろな問題点があるわけでございますので、そういった点を是正いたしまして、元売り仕切り段階での価格の引き下げが消費者価格にも反映するように今後努めていきたい、かように考えております。
  191. 宮田早苗

    ○宮田委員 円高のメリットをどう生かすかということについては、いろいろな方法が考えられるわけでございますが、中でも、この業界の、いまも御指摘されたと思いますが、流通形態の複雑さがその価格形成を複雑にしているという指摘が非常に多いわけでございますが、これをいろいろ長い間、合理化といいますか、その点でとらえておいでになっておると思います。こういう問題について、政府として、さらに具体的にどうこの問題を解明をしたら円高というそのことについて差益が円滑に消費者に返ってくるか、そういう問題について何かありましたら、お答え願いたいと思います。
  192. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 LPGの流通経路といたしましては、通常の形態は、LPガスメーカー、これは生産、輸入業者両方この中に含まれるわけでございますが、それから元売り業者、卸売業者、小売業者を経て消費者に至る、こういうことでございますが、卸売段階ではさらに第二次、第三次といったような業者も介在しておるということで、非常に複雑であるわけでございます。一方、こういった流通担当業者、販売事業者は中小零細企業が多うございまして、経営基盤が脆弱である、あるいは担保力、資金調達力が弱いといった企業体質上の問題点がございます。さようなところから、昭和四十六年度に中小企業近代化促進法の指定業種にいたしまして近代化、合理化を進めてきたわけでございます。現在までのところ、この計画に基づきまして回転式充てん装置の普及、容器の大型化、供給センター、配送センターの施設、こういった点は目標を達成いたしております。ただ、この業界の特殊事情もございまして、一事業者当たりの月間取扱量というのは必ずしも目標値を達成いたしていないという状況でございます。  今後の問題といたしまして、本年度から構造改善事業に取り組みたい、こういう観点から、経営規模の適正化、流通の合理化あるいは設備の近代化、こういった事項について推進いたしたいということで、それぞれの事項について現在検討を進めており、この検討の経過を踏まえまして構革事業を発足させることにいたしたい、こういうことによりまして体質の改善を図っていきたい、かように考えております。
  193. 宮田早苗

    ○宮田委員 ちなみにお聞きをしておきたいのは、業界といいますか業者といいますか、言うならばいままでの薪炭商、そういう方々がプロパンガスの営業にかわられたということで、個人で商売をしておいでになる数、あるいは会社という形をつくってやっておられます業界といいますか、そういう比率というものをお調べになったことがあるわけですか。もしお調べになっておりましたら、どの程度の割合になっておるかということを、わかっておりますならばお知らせ願いたいと思います。
  194. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 経営形態別に見ますと、個人企業が約五五%、会社が約三五%、組合形式が一〇%でございまして、個人経営あるいは兼業者が多いというのが現状でございます。
  195. 宮田早苗

    ○宮田委員 そこで、関連も出てくるわけでございますが、まずその前に、ガス器具の欠陥品対策はこれまでの法改正でかなり改善あるいは前進してきておるわけですが、最近の実態はどうなっておるか、その点まず御説明願います。
  196. 左近友三郎

    左近政府委員 LPガス器具の欠陥品が発生をいたしまして、それが一般に出回るといろいろと事故の起こるおそれがあるということで、回収をするという措置を最近やったものがございます。たとえば昭和四十七年から五十年の間に、自動切りかえ調整器についてやや不良品が発生したということで、それを回収したという事例もございますし、昭和五十年には、ゴム管の一部に亀裂が生じやすいというものがありまして、ゴム管を回収したというようなものもございます。それから、LPガス用の例のガス漏れ警報器でございますが、これも昭和四十九年の試買検査をやりました結果、やはり検知濃度に問題があるということで回収させたというケースもございます。  そういうことでございますので、最近数年間にやはりこの回収のケースというものはございますが、こういうものは、いずれもその回収をやりました結果、現在問題はないという状態でございます。
  197. 宮田早苗

    ○宮田委員 特に、さっきもちょっとお聞きいたしました小売商の関係について、大変むずかしい問題かとは思いますけれども、実態がなかなかっかみにくいのではないかと思っておるわけです。そういう面についていままでもそれぞれ御指導なさっておると思いますが、その状態をわかっておりますならば、ひとつ御説明願いたいと思います。
  198. 左近友三郎

    左近政府委員 小売商の段階におけるこの器具の問題につきましては、残念ながら統計資料がないものでございますから、ちょっと現在の時点ではお答えしかねるということでございます。
  199. 宮田早苗

    ○宮田委員 ガス漏れ警報器の技術開発もかなり進んでおると思いますが、このたびの改正で、これを第二種器具に指定する意義はまことに大きいと思います。  ところで、この警報器の普及状況と、消費者に対しまする啓蒙運動の実態をお聞かせ願いたいわけです。
  200. 左近友三郎

    左近政府委員 ガス漏れ警報器の普及状況でございますが、昭和五十一年六月現在の調査では、大体普及率が全国で一二%ぐらいというふうに言われておりまして、最近、いろいろこれは抜き取りのアンケート調査等の推定でございますが、最近といいますか、要するにこの四月一日現在でどのくらい普及したかという試算でございますが、やったものがございます。これによりますと、大体一八%近くまで伸びておるだろうというふうに言われております。  そこで、このガス漏れ警報器についてどういうふうな態度できておるかということでございますが、やはりこのガス事故防止に非常にいい役割りを果たすということで、昨年六月に通達を出しまして普及促進を図っておりますし、また、これを普及するために日本開発銀行によるリース制度というものを活用するということで、この販売事業者にリースいたしまして普及を図っております。そういうことでございますので、われわれ行政措置といたしましてはこの普及を促進しておるわけでございますが、ただ、現在の警報器では、性能の維持というものがアフターサービスをよくやらないとまだ若干不安な点があるということがございますので、設置の義務づけというところまではまだ踏み切れないでおりますが、これはまたガス漏れ警報器の性能の向上というものを図りまして、極力普及を図っていきたいと考えておりますし、重点的に必要なところには設置の義務づけということも将来は考慮していきたいと考えております。
  201. 宮田早苗

    ○宮田委員 警報器について、もう一点お伺いしたいわけです。  LPガス事故発生状況を見ますと、飲食店や旅館といった大ぜいの人が出入りするところでの事故が多くなっているようです。その対策として、ガス漏れを感知いたしましたらガスの流れを自動的に遮断するようなシステムの開発、こういうのは不可能かどうか、さらに、湿度の高い浴室用としてもこの利用効果は非常に大きいのじゃないかと思いますが、その点についてはどうですか。
  202. 左近友三郎

    左近政府委員 ガス漏れ警報器を学校とかあるいはアパート、マンションというふうな多数の人の集まるところに設置するということについては、やはり促進をしてまいりたいし、場合によっては法的な義務づけ等も考えたいということを現在考えております。  それから、ガス漏れ警報器と遮断装置を結びつけまして、ガス漏れを感知いたしますと自動的にガスが遮断されるというふうな装置は、考え方としては非常にいい装置でございますが、現在は民間の企業でいろいろ試作をしておる段階というふうにわれわれは見ております。そこで、この民間の研究開発を促進したいということで、高圧ガス保安協会で緊急に着手をし、必要に応じて、この付属研究所がございますので、その民間の研究成果を性能テスト等を行いまして、この実用化をなるべく早く進めたいというふうに考えております。  それから、お話のありましたふろ場というふうなわりあい湿気の多いところでは、警報器の何といいますか感知する部分と実際に判断をする警報部分というものとを分けて置く、つまり浴室の中には検知部分を置き、警報部分は外に置くというふうなシステムでやはり現在試作をしております。こういう点についても、確かにふろのガス中毒というものはよくございますので、今後十分検討した上で普及を図りたいし、これについては高圧ガス保安協会を通じて技術指導等も図ってまいりたいというふうに考えております。
  203. 宮田早苗

    ○宮田委員 LPガス事故の推移については資料が出ておるわけでございます。この原因対策もあわせて出ておるわけでございますが、この事故の死傷者、これは第三者は入ってないかどうか、もし第三者が入っておりましたならば、どういう割合になっておるかということをお聞きします。
  204. 左近友三郎

    左近政府委員 死傷者の中には第三者の方の被害の分も入っておりまして、たとえばこの三カ年平均の死者が六十人ということでございますが、そのうち第三者の方は四人でございます。それから負傷者、これは五百九十八人となっておりますが、このうち第三者は百三十人ということになっております。
  205. 宮田早苗

    ○宮田委員 この法律の一番中心は、安全対策ということと思います。本法案が改正されました以後、政府は、第三者の被害者救済対策の確立など、LPの安定供給と安全を行政面でどう推進していかれるのか、このお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  206. 左近友三郎

    左近政府委員 御指摘の第三者被害の救済ということは、従来制度的になかなか充実しておりませんでしたので、これについてはなるべく早く充実するということで、現在このLPガス業者の賠償責任保険に第三者に対して見舞い金を出すという制度がございますが、これの内容の拡充というような方法、あるいは被害を受けた第三者をさしあたり救済するための必要な資金を販売業者等から集めましてプールをして、それによって救済を図るというような案とか、あるいはLPガス消費者が簡便に利用できる保険というようなものを整備するとか、そういうふうないろいろな面について検討しておりまして、ことしの秋までに具体的な対策を打ち出していきたいというふうに考えております。
  207. 宮田早苗

    ○宮田委員 安全対策としては、この法律で相当な効果をおさめるということにしなければならぬと思うわけですけれども、並行して、いまおっしゃいました被害者に対する救済措置というのを行わなければならぬ。いまお聞きしておりますと、秋ごろというふうにはおっしゃっておりましたけれども、やはり並行して行うべきじゃないかというふうに思います。秋ごろということでなしに、ひとつ何とか急いでこの問題は確立すべきだと思いますから、もう一遍その点についての決意のほどをお伺いしたいと思います。
  208. 左近友三郎

    左近政府委員 この問題につきましては、審議会でも御指摘がございましたが、これについては法理論、実態面、その他いろいろな面が錯綜しておりますので、実は解決が延びておったわけでございますが、われわれとしても、この審議会の御答申をいただいて以降決してこの検討を怠っておったわけではございませんで、いまも検討を続けております。したがいまして、目標は秋までかかるというふうに考えるわけでございますけれども、われわれとしては極力急ぎまして、なるべく早く結論を出すように努力はいたしたいと思います。
  209. 宮田早苗

    ○宮田委員 もう一つは、都市ガスとこのLPのシェア争いといいますか、紛争がよく起きておるわけでございますが、そういう問題について国会にもいろいろな陳情なり要請なりということでよくおいでになるわけでございますが、最近の紛争の状態といいますか、紛争の形態といいますか、どういうものが多いか、皆さんの方で掌握されておりますならば、ひとつ御説明願いたいと思います。
  210. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 一般的に申し上げまして、LPGから都市ガスに燃料転換する場合に発生するトラブルということになりますから、そういったところから、商権の侵害と申しますか、LPG業者からいたしますと、自分のお得意先を失うというような立場からのトラブルが多いようでございまして、私たちは、それぞれの実態に即しまして具体的に話し合いの場を持って調整をする、こういう姿勢で臨んでおるわけでございます。
  211. 宮田早苗

    ○宮田委員 やはりこの種の関係については、事が商売といいますか、そういうものにもろに影響するわけでございます。新しい団地ができるといたします。採算とかその他の関係もございましょうが、最初はLPの関係が先に入ってそうして顧客を集める、その団地が完成をいたしますと都市ガスが一気にわっと入ってくる、こういうことでございますね。そこで、その種の関係について何らか具体的な方法をお考えになっていただかないと、非常に大きな紛争ということに発展をするのじゃないかというおそれも出てくるのじゃないかと思います。  調整をするためにいろいろ配慮されておるということは聞いておりますが、何と申しますか、具体的にそれらについての処理の方法、極端に言いますとそれを解決するためのいろいろな資金という関係もございましょう。そうしませんと、実態としてこういうものがよく言われておるわけでございます。確立をした、都市ガスが入ってきた、ところが、LPの方がよろしいから、都市ガスの中にさらにLPを堅持してそのまま永続されておる。こういうばらばらな、都市ガス、LPが混合しておる地域が非常に多いわけでございまして、そういう問題について個人間での感情といいますか、紛争という問題もままあるようでございますから、よく実態をお調べになっていただければわかると思いますが、そういう問題についての処理の方法、指導の方法、そういう問題について何かありましたらお知らせ願いたいと思います。
  212. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 両者の調整につきましては、先ほどお答えいたしましたように、個別案件については話し合いの場をつくったようなことはございますが、一方、都市ガスが供給区域の拡張を許可申請してくる場合には公聴会を開くことになっておりますので、そういった公聴会の場でLPG販売業者の意見も十分徴するということもあろうかと思います。  また、御指摘のようなLPGと都市ガスが混合しているような地域、こういったものは、経過措置といいますか、あるいは実情に即しての対応ということにもなろうかと思いますが、一方、ガス事業法の第四十条の四に地方ガス事業調整協議会というのがございます。これは学識経験者にお集まりいただきまして、地方の通産局長の諮問機関というようなことになっておりますが、こういった協議会を極力活用いたしまして、ただいま御指摘のようなケースについてもどう対処していくかというようなことも検討していただきたい、かように今後持っていこうと思っています。
  213. 宮田早苗

    ○宮田委員 もう一つお伺いしたいのは、設備士の資格取得についてでございます。三年間の余裕ということで運用されるわけでございますから、その面におきましては問題はないと思うわけです。しかし、事は国家試験ということになろうかと思います。会社組織ということになりますと、その面についての扱いというのは容易かと思いますが、ただ個人商店といいますか、個人経営の方々にとりましたら、この問題については相当苦痛を伴うものじゃないか。もし国家試験に合格しなかったならば商売できないということでございますから、そういう問題についての配慮というものが必要じゃないかと思いますけれども、その点お考えがありましたら……。
  214. 左近友三郎

    左近政府委員 設備士の試験につきましては、筆記試験と技能試験によりましてLPガスの設備士として必要な知識と技能を試験するということでございますが、これは従来ともまじめに工事をやっておられた知識、技能のある方については、十分パスできるような程度にいたしたいというふうに考えております。また、従来そういう資格を持っておられたり類似の資格を持っておられたりする方については、講習制度というものを活用していただいて、一定の講習を受ければ認定されるということも考えております。要するに、従来やってこられた方が、従来の知識にLPGに対する新しい知識を勉強されれば工事がやれるという形にいたしたいと思いますので、われわれとしては、いまのような弾力的な配慮というものを今後の試験制度、講習制度に特に十分取り込んでやってまいりたいというふうに考えております。
  215. 宮田早苗

    ○宮田委員 もう一度お伺いをするわけですけれども、そういう配慮をされたとしても、全く資格が取りにくい。その場合に、資格者の名義——余り安易に設備士の資格を与えるということになると、大変また問題が別な方面で発展するわけでございますから、それはそのままにして、資格を持った人を名義といいますか、それに絶えず見ていただくというような制度は考えられないものかどうか。
  216. 左近友三郎

    左近政府委員 今度の設備士というのは、実際に配管工事をやる人がその資格を持たなければいけないという制度でございますので、一定の工事につきましてその人以外の人がやるというわけにはまいらないということでございます。やはり先ほどのような配慮で免状を取ってもらうか、あるいはそういう免状を持っておる設備士にその部分は工事をやってもらうということしか道はないわけでございます。そういう点でございますので、主として免状の交付に当たっての配慮ということでこの問題の解決を図ってまいりたいというふうに現在考えております。
  217. 宮田早苗

    ○宮田委員 最後ですが、大臣せっかくお見えでございますので、要望をかねて御質問させていただきますが、この法案の趣旨が安全対策ということでございまして、さっきもその質問をしたわけでございますが、早くこの確立をしなければならぬと思います。しかし、並行して被災者救済ということについて、さっきも答弁の中でできるだけ早くその問題についての検討をし、結論を見出したいということでございました。しかし、この問題は、できるならばこれと並行して、被災者対策の何らかの方法を確立すべきだというふうに思っておるわけでございますので、そういう問題についての大臣のお考え、できるならば早くその問題についての措置をしていただきたいということをあわせて要望、御質問申し上げます。
  218. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 被災者の救済問題、なかなか重大な課題でございまして、できるだけ早く結論が出るように検討を進めてまいりたいと思います。
  219. 宮田早苗

    ○宮田委員 終わります。
  220. 野呂恭一

    野呂委員長 以上で本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  221. 野呂恭一

    野呂委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  液化石油ガス保安確保及び取引適正化に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  222. 野呂恭一

    野呂委員長 起立総員。よって、本案は原案どおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  223. 野呂恭一

    野呂委員長 次に、本案に対し、山崎拓君外五名より、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党、日本共産党・革新共同及び新自由クラブ六派共同提案に係る附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  まず、提出者より趣旨の説明を求めます。岡田哲児君。
  224. 岡田哲児

    ○岡田(哲)委員 ただいま提案をいたしました附帯決議案につきまして、提案者を代表して、私からその趣旨を御説明いたします。  まず、案文を朗読いたします。    液化石油ガス保安確保及び取引適正化に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法施行にあたり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。  一 液化石油ガスによる災害の防止に万全を期するため、一般消費者等に対する保安啓蒙活動を一層積極的に展開するとともに、液化石油ガス販売事業者に課される周知義務については、一般消費者等との対話等を通じ、保安確保の実効を期するよう強力に指導すること。  二 液化石油ガス販売事業者調査業務は、自ら行うことが本来の姿であることにかんがみ、認定調査機関委託した場合においても、液化石油ガス販売事業者保安意識の低下を来たすことがないよう十分指導するとともに、認定調査機関は、公益法人又は液化石油ガス販売事業者の参加する協同組合等となるよう指導すること。  三 液化石油ガスによる事故について、液化石油ガスの機器別等の適確な調査分析を行い、その結果をフイード・バックする体制の確立を図り、液化石油ガス機器の改善を促進するとともに、一般消費者等に不当な事故責任が課されることのないよう措置すること。  四 液化石油ガスによる災害における第三者の被害を救済するため、早急に液化石油ガス業者賠償責任保険における見舞金の内容の見直し、救済資金のプール制の導入、消費者本人と第三者の被害を救済する保険制度の創設等について検討し、その実現を図ること。  五 中小企業者が大半を占める液化石油ガス販売事業者の実態並びにその保安確保及び安定供給に果たす役割りの重要性にかんがみ、中小企業施策の活用等により経営基盤の強化を図る等その育成に努めるとともに、一般ガス事業者との競合については円滑な調整が行われるよう十分指導すること。  六 液化石油ガスに関する行政が一般ガス事業と異なつている現状にかんがみ、一層機能的な行政を行うことができるよう機構、予算、人員等の充実強化を図り、液化石油ガス保安確保とその取引適正化に関する行政を一体的に効果あらしめるよう努力すること。 以上であります。  附帯決議案の内容につきましては、審議の経過及び案文によりまして御理解いただけると存じますので、詳細の説明は省略いたします。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
  225. 野呂恭一

    野呂委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  226. 野呂恭一

    野呂委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、附帯決議について政府から発言を求められておりますので、これを許します。河本通商産業大臣
  227. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 ただいま御決議をいただきました附帯決議につきましては、その御趣旨を尊重いたしまして液化石油ガス保安確保等に遺憾なきを期してまいる所存であります。     —————————————
  228. 野呂恭一

    野呂委員長 お諮りいたします。  本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  229. 野呂恭一

    野呂委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  230. 野呂恭一

    野呂委員長 内閣提出石油開発公団法及び石炭及び石油対策特別会計法の一部を改正する法律案を議題といたします。  提案理由説明を聴取いたします。河本通商産業大臣。     —————————————  石油開発公団法及び石炭及び石油対策特別会計法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  231. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 石油開発公団法及び石炭及び石油対策特別会計法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  わが国の一次エネルギーの大宗を占める石油は申すまでもなく国民生活の安定と国民経済の円滑な運営に欠くことのできないものであります。石油をめぐる国際情勢が流動的である今日、石油の安定的供給の確保は、石油資源を海外に大きく依存するわが国にとって解決を要する喫緊の課題でありますが、このために備蓄の増強を推進していくことは、石油資源の開発促進と並んで、エネルギー政策の重要な柱であります。  石油備蓄については、現在石油備蓄法に基づき民間石油企業により昭和五十四年度末までに九十日備蓄を達成するべくその計画を鋭意推進しているところでありますが、このたび、石油備蓄対策の重要性にかんがみ、この格段の拡充強化を図ることといたしました。このため、石油開発公団を石油公団とし、同公団がみずから石油の備蓄を行うこととする等同公団の備蓄関連業務の拡充強化を図るほか、石炭及び石油対策特別会計からの石油備蓄対策等への補助を拡充することを主たる内容といたしまして、この法律案を提出いたした次第であります。  次に、法律案の要旨を御説明申し上げます。  本法律案は、第一に石油開発公団法の一部改正、第二に石炭及び石油対策特別会計法の一部改正をその内容とするものであります。  まず、第一条は石油開発公団法改正でありますが、改正内容の第一点は、石油開発公団を石油公団とし、同公団の目的に新たに石油の備蓄の増強を推進することを追加することであります。  同公団は、従来から石油及び可燃性天然ガス資源開発の中核的推進機関としての役割りを果たしてまいりましたが、今回の改正で、石油備蓄の増強のための業務も開発業務と並ぶものとなる次第であります。  第二点は、同公団の業務に石油の備蓄をみずから行うことを追加するとともに、従来から石油開発公団法の附則業務として行ってまいりました民間石油企業に対する資金の貸し付け等石油備蓄増強のための助成業務を本則化し、同公団の主要な業務の一つとすることであります。その他同公団がみずから行う石油の備蓄業務を円滑に遂行し得るよう所要の規定を設けることといたしております。  第二条は石炭及び石油対策特別会計法の改正でありますが、改正内容の第一点は、石炭及び石油対策特別会計の石油勘定から石油公団がみずから行う備蓄に係る補助を行い得るようにすることであります。これは同公団による備蓄について財政的な裏づけを行うものであります。  第二点は、同特別会計の石油勘定から石油貯蔵施設の設置の円滑化に資するため、石油貯蔵施設の周辺の地域における公共用の施設の整備に係る経費に充てるための補助を地方公共団体に対して交付し得るものとすることであります。これにより、石油貯蔵施設の立地についてより一層の理解と協力が得られることと期待しております。  第三点は、石油の安定的供給の確保を図るためには、石油の生産及び流通の合理化を図ることが重要であることにかんがみ、このために行う事業に対しても同特別会計石油勘定から補助し得るようにすることであります。  第四点は、以上述べました石油対策の実施等に必要な財源の確保を図るために、石油税の税収額に相当する金額を一般会計から同特別会計の石油勘定に繰り入れる規定を設けることであります。  以上、この法律案の提出の理由及びその要旨を御説明申し上げました。  何とぞ、慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  232. 野呂恭一

    野呂委員長 以上で提案理由説明は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。  次回は、明十九日水曜日、午前十時理事会、午前十時三十分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時三十九分散会      ————◇—————