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1978-04-14 第84回国会 衆議院 商工委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年四月十四日(金曜日)     午前十時三十五分開議  出席委員    委員長 野呂 恭一君    理事 中島源太郎君 理事 武藤 嘉文君    理事 山崎  拓君 理事 山下 徳夫君    理事 岡田 哲児君 理事 渡辺 三郎君    理事 松本 忠助君 理事 宮田 早苗君       鹿野 道彦君    島村 宜伸君       楢橋  進君    渡辺 秀央君       清水  勇君    武部  文君       中村 重光君    長田 武士君       玉城 栄一君    工藤  晃君       安田 純治君    大成 正雄君  出席国務大臣         通商産業大臣  河本 敏夫君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      宮澤 喜一君  出席政府委員         経済企画庁調整         局審議官    澤野  潤君         経済企画庁物価         局長      藤井 直樹君         通商産業政務次         官       野中 英二君         通商産業大臣官         房審議官    島田 春樹君         通商産業大臣官         房審議官    山口 和男君         通商産業省通商         政策局長    矢野俊比古君         通商産業省貿易         局長      西山敬次郎君         通商産業省産業         政策局長    濃野  滋君         通商産業省機械         情報産業局長  森山 信吾君         通商産業省生活         産業局長    藤原 一郎君         工業技術院長  窪田 雅男君         資源エネルギー         庁長官     橋本 利一君         資源エネルギー         庁公益事業部長 服部 典徳君         中小企業庁長官 岸田 文武君  委員外出席者         大蔵大臣官房審         議官      平尾 照夫君         大蔵省主計局主         計官      宍倉 宗夫君         商工委員会調査         室長      藤沼 六郎君     ————————————— 委員の異動 四月十四日  辞任         補欠選任   大成 正雄君     甘利  正君 同日  辞任         補欠選任   甘利  正君     大成 正雄君     ————————————— 四月十二日  中小企業経営安定等に関する請願荒木宏君  紹介)(第三〇六七号)  同(浦井洋紹介)(第三〇六八号)  同(北側義一紹介)(第三〇六九号)  同(東中光雄紹介)(第三〇七〇号)  同(正森成二君紹介)(第三〇七一号)  同(三谷秀治紹介)(第三〇七二号)  消費者のための流通政策実現に関する請願外三  件(塚原俊平紹介)(第三一三三号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  小委員会における参考人出頭要求に関する件  通商産業基本施策に関する件  経済計画及び総合調整に関する件  私的独占禁止及び公正取引に関する件      ————◇—————
  2. 野呂恭一

    野呂委員長 これより会議を開きます。  通商産業基本施策に関する件、経済計画及び総合調整に関する件並びに私的独占禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中村重光君。
  3. 中村重光

    中村(重)委員 長官にお伺いをしたいのですが、また率直な長官感想と申しましょうか、それを伺ってみたいというのが私の本当の気持ちでございます。  ということは、御承知のとおり七八春闘は非常な不況円高の中に厳しい労使の交渉が行われ、昨日金属労協回答をなされたのですけれども、昨年の半分なんです。物価上昇分にも追いつかないといったような低賃金回答がなされた。このことは労働界にとっても大きなショックだったでしょうし、またそのことが反発につながって、苛烈な労使の闘いというのが展開されるだろうというように私は予想をしているわけです。物価担当大臣として、また経済中心的な役割りを果たしていらっしゃる経済企画庁長官として、金属労協回答というものをどう評価をしていらっしゃるのか、きわめて関心を強くお持ちであろうと思いますから、私は、一応御見解と申しましょうか、感想をお聞かせいただきたいと思います。     〔委員長退席山下(徳)委員長代理者着席
  4. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 大切な問題でございますので、お尋ねをなさいますお気持ちはよく私もわかっておりますけれども、この問題については労使関係で決まっていくので、政府立場表明すべきでないという伝統的な考え方がございまして、したがいまして、まことに御意に沿わないことであるとは思いますけれども感想を申し上げますことを差し控えさせていただきたいと思います。
  5. 中村重光

    中村(重)委員 大臣、単に労使関係ということだけで片づかない問題があるんじゃないでしょうか。先月の十六日に日本商工会議所総会が実は行われた。十五日には議員総会というのが開かれたのです。その議員総会の中で三つの提言がされています。円高不況下の中で、企業とそれから雇用の維持ということがきわめて重要な政治課題であるということをまず前提にして、労働者賃金というものは抑えなさい、しかも政府決定をする公務員労働者賃金の決め方にしても、これは民間賃金を引き上げる役割りを果たしている、こういうことではだめなんだというような提言がなされていることは、申し入れということになるわけです。それを受けて、政府としてもそういった趣旨を体して対処していくというような表明がされているということ等を考えてみると、賃金の問題を単に労使の問題として片づけられない点があるのではないか。  その場合に、労働関係担当大臣ではありませんけれども、今日の重要な政治課題というものが雇用にある、労働問題にあるということを考えてみますとき、宮澤長官はその中心的な役割りを、直接的な労使関係ということではなくて、いわゆる七%の経済成長の問題、あるいは黒字減らしの問題、さらには今日の一番重要な課題であるそうした雇用問題はどうあるべきかということについて一つの方針を打ち立てる、しかも経済閣僚担当議長という役割りを果たされるというような面からいたしまして、単に労使の問題としてそれに対して見解表明をすることは避けたいということではいかがなものであろうか。  金属労協への回答物価上昇にも追いつかなかった、昨年の半分であった、これがいいとか悪いとかというようなことを端的に長官お答えをいただこうとは思っていないのです。それは私も無理だろうということはわかっているのですが、どうあるべきか、こういうことは好ましいのであるかどうか、いわゆる低賃金というものが、これは個人消費の問題にも関連をしてくるわけでありますから、そういうことについて、一般論ということでもよろしいわけですけれども、ひとつ長官感想をお聞かせいただきたい、そういう意味で、言葉は足りなかったのですけれども、私が大臣見解を聞きたかったのはその点にあるわけであります。いかがでしょう。
  6. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 お尋ね趣旨はよくわかっておりますし、また非常に大切な問題であることも確かでございますけれども、何か申し上げますと、やはり価値判断を含んでおるような受け取られ方をいたす心配がございますので、ここはやはり大変慎重にならざるを得ません。御意に沿わないことでありますけれども、ひとつそれでお許しをいただきたいと思います。
  7. 中村重光

    中村(重)委員 どうも大臣としても、いまの答弁に対してそう私もかみつくわけにもまいらない、そういう慎重な答弁になられることも理解できないわけではないのですが、しかし、答弁はされなかったけれども、重大な関心を持って、閣内においても、特に経済閣僚会議の中においては大所高所から大臣意見を述べる、一つ方向づけの役割りを果たすということは私、期待をいたしたい、後ろ向きではなくて前向きの方向でですね、そのことを申し上げておきたいというように思います。  そこで、これと関連をするわけでございますけれども労働者がどうしても割り切れない、不満というものを持つことは、今日円高の中でいわゆるメリットというものがあるわけですね。この間も私は意見を申し上げて大臣の御見解を伺ったのだけれどもメリットがある。そのメリットは何かというと、輸入品が大変安く入ってくる、いわゆる為替差益である。この為替差益国民共有財産なんだから還元しなさい、私はこれは正当な主張であろうと思うのです。しかし、それを還元しないでひとり占めをしているというものがあるということは、これは避けられない事実であります。  具体的には、この前原油の価格の問題について一円上がったら幾らの数字になるか、あるいは電気料金がどうだといったようなことを申し上げましたが、繰り返して数字に触れませんけれども、そういう為替差益というものを国民還元する、ああこれでよかったなという気持ち国民に与えていく、そういうことをおやりになるならば、この賃金の問題についても、政府もやるだけやっているのだからということでがまんをされるだろう。しかし、やることはやらないで、特定企業にその差益というものをひとり占めをさせる、労働者、弱い国民に対してだけ犠牲を要求していくという態度というものは絶対に許されないし、そういうことでは国民感情として受け入れられないものがあるのではなかろうかというように思います。  どうあるべきか、この点については今度お答えができましょうから、ひとつ見解をお聞かせいただきたい。
  8. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 いわゆる円高による為替差益の問題につきましては、これは春闘賃金ということと別の問題といたしまして、できるだけ消費者にやはり還元を図るべきであると考えております。  その方法にはいろいろあることと思いますが、せんだっても、政府の直接間接関係をいたしておりますサービス物資等々についても還元方法があるかどうかというようなことにつきまして関係閣僚検討をお願いをいたしたところでございまして、各閣僚とも、直接または間接に行政に関係のある業種あるいは物資サービスにつきましてはいろいろ御検討をいただいております。近いうちに結論を出していただきたいと考えておりますが、基本的には中村委員の言われますように、これはできるだけ消費者還元をしてほしいと考えておりますことは、まさに御説のとおりでございます。
  9. 中村重光

    中村(重)委員 私は、宮澤長官態度というものは正しいと思いますよ。関係閣僚に対して、その差益がどうなっておるのか、これは国民還元しなければならぬという方向からそういう要請をし、取り組みをされるべきであるし、そういう具体的な点についてもこれは明らかにしろ、それはそうあるべきなんです。  ところが、新聞報道によると、何か大分異論が出たというようなことも伺っているわけですけれども、それは事実かどうかわかりませんけれども、やはり長官は毅然たる態度でもって臨まれる、そして国民期待にこたえるということをぜひ貫き通してほしい。単なる報告を聞くのではなくて、こういうことなんだけれどもこれだから還元ができないんだという、何というのか言いわけみたいなことをやらせないで、ただ単に聞くということだけでは大臣の任務は終わらない、それを実行させるということ、それをぜひ貫いてほしいということを私は申し上げたいのですが、非常に重要な問題ですから、この点についてはひとつ明確に考え方を示してください。
  10. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 ただいま経済企画庁事務当局関係各省庁の事務当局とが個別に一つ一つ当たっておるわけでございまして、もとより経済企画庁事務当局としては、できるだけ可能な限り還元を考えるという立場から折衝をするようにということを私から指示をいたしてございますが、なお、その上でさらに、場合によりまして私が直接関係閣僚にまたお話を申し上げるというようなことも、物によりましてはいたさなければならないかもしれません。そういう方向で考えてまいりたいと思っております。
  11. 中村重光

    中村(重)委員 どうもちょっと弱いんだけれども言葉は弱いがしんは強い態度で臨まれるであろうことを期待をしておきたいというように思います。  それから、不況克服ということについて公共事業中心にお進めになるのですが、このことは前回も触れたと思いますが、私はこれを頭から否定をしようとは思いません。それはやはり公共事業というものも必要である。ましてや、その公共事業の中では、国民生活関連事業というものが優先されていかなければならない。大型プロジェクトというものはその波及効果が大きいということから、そういうことにどうも重点が移ってくるような報道がなされているわけですし、それは長官としては、国民生活関連という公共事業というものが非常に重要だという点はひとつ力説をして、そのこともなおざりにしないようにしてほしいというように思うのですが、そういうことで、公共投資というものを私も否定するものではないのですけれども、この公共投資政府財貨サービスというものはGNPの中に占める比率は一〇・五%、ところが、これは国でございますから、地方自治体が同じようにこれに対する投資をしていくわけですから、それと合わせてどの程度比率を占めるのかということをひとつ聞いてみたいというように思うのです。いかがですか。
  12. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 ただいま専門家がおりませんので、概略のことしか申し上げられませんが、政府支出の中で資本支出と分類されておりますものが二十一兆七千五百億円でございます。したがいまして、これの国民総生産二百十兆六千億でございますから、ほぼ一〇%強ということになるかと存じます。
  13. 中村重光

    中村(重)委員 お答えのような数字なんですね。個人消費というのは五〇%から五二、三%、五七%というような数字も示されることもあるのですけれども、これは動くわけですから。いずれにしても五〇%以上であることは間違いないのですね。だから私は、不況克服ということは個人消費というものが上向くということ、これは絶対的なものでなければならぬというように考えます。これを軽視してはならない。これを軽視したのでは七%の経済成長なんて全く考えられないというように思う。この点は大臣も、この個人消費の点が心配なのだということをどこかの席で発言をされたということも伺っているわけでございますけれども、これにどのような関心を、今後具体的に個人消費を喚起する、これを伸ばすための施策としてどういうことをお考えになっていらっしゃるか。それから見通しはどうか。
  14. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 やはり消費者立場から申しますと、一番大切なことは、消費者自身なり、あるいは御家庭で言えば御主人という場合もあるかと思いますが、雇用の安定ということが一番大事なのではないか。すなわち経済がある程度最悪の時期を私は脱しつつあると存じておるわけですが、そうなりまして、もう解雇になる心配はない、あるいは場合によって少しずつでも残業手当が出てくるかもしれないといった程度の先についての明るさというものが、消費者消費態度に一番影響をいたすのではないかと思っております。それから次に、やはり物価が安定をしておるということが大切ではないかと思っております。かなりもう物価も落ちついてきた、こういう感じでございませんと、なかなかもう一遍消費をしようかという気持ちになりませんので、その両方というふうに考えておるわけでございますが、そういたしますと、やはり経済全体が少しずつはよくなっていくということがまずございまして、その上で消費者消費に対する信頼を取り戻す、こういうことになりますので、時期的には多少消費回復におくれがあるかもしれない、大しておくれるとは思いませんけれども、そういう見通しをいたしております。
  15. 中村重光

    中村(重)委員 お答えのように雇用の安定、物価の安定ということが重要な要素である、そのとおりであると思います。  ところが、御承知のとおり完全失業者は百三十六万、企業が抱えておる過剰労働力というものは百万あるいは二百万とも言われる。この不況が続くと、結局過剰労働力は町にほうり出されていくだろう、就職の機会というものもなかなかない。有効求人倍率というものも低い。雇用はきわめて不安定だ。さて公共事業中心ということになってまいりますと、不況地域に優先的にこれを割り当てて雇用機会を与えるというような考え方であるということは、これは伺っているわけでありますが、それにしても大きくこれを期待できない。先般当委員会を通過をいたしました特定不況産業安定臨時措置法、これで本当に言われているとおりに設備廃棄をされると造船は五〇%、大変な失業者を町にほうり出すという形になってくる。安定をしないということですね。  それから、物価の安定にいたしましても、いま消費者物価が下がっているからということについて、必ずしもその数字をもって気を許せない非常な不安要因があるということについては、さきの委員会でも大臣からいろいろ見解も伺い、私の考え方も申し述べたわけであります。重ねてそれに触れませんが、ともかく公共事業、それは建設資材値上がりとなってきている。小棒なんかはカルテルを解いたけれども、本来不況とか価格カルテルを解くと下がるんですね。ところが下がらないのです。上がる一方だ、そういう状態。結局、建設資材値上がり一般物価の、消費者物価値上げを誘導していくであろう。インフレ物価高方向ということはもう間違いのない事実であるというふうに私は考える。  続いて、公定歩合引き下げというものがあったわけですね。これは公定歩合引き下げで終わればよろしいのでございますけれども預貯金引き下げということに連動していく。郵便貯金引き下げもまだ決定をしておりませんけれども、これはどんなに反対論があるにいたしましても政府の予定している日にちに引き下げ決定するということは、これまた間違いのないところであると私は考える。その場合、物価上昇インフレ方向にある、雇用も不安である、そういうことで物価も不安である、ましてや公定歩合引き下げに連動して預貯金金利引き下げという形になってまいりますと、消費者財布のひもはかたくなっていくのではないでしょうか。少なくとも私は、政府が願望しておるような七%の経済成長景気浮揚というものは期待できないというように考えるわけです。  そうしますと、やはり発想の転換と申しましょうか、重点を置きかえて施策を進めていくのでないといけない。それは何かというと、一番重要な個人消費を高めることだ。それはやはり所得税減税である。福祉を強化することである。福祉施設というものを拡充していくことでなければならない。さらに造船関係におきましては、解体事業であるとかあるいは政府関係官公船のスクラップ・アンド・ビルド、あるいは民間にもこれを強く要請をしていくという方向、そういった政策を強力に積極的に推進をしていくのでなければ私はいけないと思う。そういう点からいたしまして、賃金の問題にいたしましても、賃金が上がるということは物価値上げにつながっていくであろう、そういう一面は私は全くないとは申しません。だがしかし、政府物価安定あるいは雇用安定、インフレというものがないのだという方向インフレを引き起こさないという方向施策を総合的に進めていく場合、労働者の賃上げあるいは所得税減税は決して貯金に回るのではなくて、消費に回っていくことは間違いないと思う。また、そうさせなければならない。そこに購買力が高まって、売れるからつくる、こういう方向によって健全な経済活動がそこで行われていくのではなかろうかという感じがいたします。感じということよりも、私は確信と言っていいものを持っているわけでありますが、それらの点に対しての大臣見解はいかがでしょう。
  16. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 消費が堅調であるということが私どもが考えております経済成長の大きな要因でございますことは、先ほど五〇%を超えると言われましたとおり、そのとおりであるというふうに考えております。  そこで、消費をふやしていくということをどういう方法で行うべきかについては、今国会でもいろいろ今日まで御議論のあったところでありますが、私どもは、やはり政府が主導いたしまして公共投資生活関連投資等々を行うことによってその波及効果期待する、それはすなわち企業経済活動が盛んになりますれば支払い能力もおのずからふえてまいるわけでございますし、雇用の増も見込まれる、また場合によりましては直接に雇用の増勢を図るといったようなことから、それが消費につながっていくという方途が一番よいのではないかというふうに政府としては考えまして予算の御審議を願ったわけでございます。しかしまた、国会におかれまして、一部は減税あるいは社会福祉関係の増額ということも役立つのではないかという御判断もあるやに承っております。国会の御判断でございますればそれに従うべきものと考えておりますけれども、私どもとしては、重点公共投資をすることによって雇用経済活動活発化を図るということが本筋の方策ではないかと考えておるわけでございます。  いずれにいたしましても、最終的に消費者信頼回復して消費が少しずつ堅調になっていくということが、七%程度成長のためには一番大きな要因であるということは仰せのとおりでございます。
  17. 中村重光

    中村(重)委員 宮澤長官も私が申し上げることと同感の点が数多いと思うのだけれども福田内閣閣僚として政府がいま打ち出した施策からはみ出す見解は述べにくいというようなことで、きわめて慎重なお答えがなされていると私は思います。また、公定歩合引き下げがどのように景気回復に役立っているのかといったような問題等々お尋ねをしたいのですが、約束の十一時でございますから、大臣も非常に重要なこれからの会議でございますから、あとは通産大臣からいろいろお伺いすることにいたします。  初めから両大臣お座り願ってお尋ねしたかったのですが、大臣も大変お疲れになっていらっしゃるので、しばらくでも休養の時間が必要であろうと思って御休憩願ったわけですが、いままで宮澤長官お尋ねしたこととつながってまいりますので、質問の進め方が唐突な形にもなるのですけれども、その点はベテランの通産大臣でございますから十分お答え期待できるわけですが、公定歩合引き下げの問題について、預貯金金利引き下げに連動する、これは消費者財布は最近のインフレ物価高方向と相まって締まっていくのではないかということについての宮澤長官お答えを伺ったわけでありますが、この点に対しての通産大臣の御見解も伺います。公定歩合引き下げ景気回復にどの程度役立つのだろうか。これは企業活動に具体的に直接結びつくわけでございますから、大臣がこの点をどう評価していらっしゃるのか、伺ってみたいと思います。
  18. 河本敏夫

    河本国務大臣 いま景気状態は依然として相当悪い状態にございますので、私どもといたしましては、これを浮揚させるのに政策運営で気をつけなければならぬ点が二つあると考えております。一つは、たとえばいまお話しの金利政策を含む金融政策だけで景気は直らないと思います。あるいはまた、予算の面で少々公共事業を増額いたしまして積極予算を組んだ、これだけでももちろん景気は直らないと思います。でありますから、財政政策金融政策産業政策貿易政策、すべての政策手段を総動員いたしまして、そこに整合性を持たせながら強力に推し進めていくということが一つであると思います。それから、現在は世界情勢、刻々変化をいたしておりますから、そういう変化に即応いたしまして、臨機応変に、おくれないように、その変化に対応する政策というものを十二分な内容で打ち出していくということがぜひ必要である。この二つの政策運営を気をつけませんと、現在の時点ではなかなか景気を上向かせることはむずかしい、このように考えております。したがいまして、公定歩合を下げただけで、景気は必ずしもそれだけではよくならない、しかし、一つの柱には違いない、このように考えております。
  19. 中村重光

    中村(重)委員 おっしゃるとおりだと思うのです。だが、一つの柱であることは間違いないわけですからね。公定歩合引き下げというのがデメリットがなければよろしいわけです。デメリットがある。申し上げたように、預貯金金利引き下げです。それはインフレが起こらない、物価も上がらない、雇用不安もない、こうなると預貯金金利引き下げ消費者の警戒というものにはつながってこないと思う。ところが、そうでないから警戒につながる。ますます財布のひもはかたくなる。ならば個人消費、GNPの中に五〇%以上の比率個人消費は持っているわけでございますから、一番大切なこれが伸びないことにつながる、これは経済回復の大きなデメリットだというように考えるのです。七%成長というもの、これはむしろ個人消費が上向かなければ私は不可能だと思う。こういうデメリットがあるから、大臣がおっしゃったように総合的な政策を臨機応変に、変化に対応して進めていくというようなことにならないのではないかという感じがいたします。  そうなってまいりますと、公定歩合引き下げたけれども企業は在庫投資あるいは設備投資という形になってこない。単に貸出金利が下がるということは、その面における企業の負担軽減になることは間違いありませんけれども、前向きの形につながってこなければ、そういうことによって浮いてきた余裕資金というものはどうなるのか、これは証券市場等に株式投資ということになって、マネーサプライの拡大につながってきて、さらにインフレへの方向に進んでいくということは避けられないのではないかと私は考える。少なくとも、大臣がお述べになったような総合政策というものが大きな穴となって動いていくのだというように私は思うのでありますけれども、そこら辺、いかがでしょう。
  20. 河本敏夫

    河本国務大臣 金利政策をいろいろ進めていきます場合に考慮しなければならないのは、物価の動向だと思います。幸いに物価も落ちついてきておりますから、一つの背景はでき上がっておると私は思うのです。ただ、いまお述べになりましたように、個人消費はGNPの中で非常に大きなシニアを占めておりまして、ことしなどは五七%、百二十兆円という数字を想定しておるわけでございますが、これの動向に悪い影響が出てくるのではないか、こういうお話でございますが、一面、総合的な景気政策を進めることによって景気が上向いてまいりますと、企業全体の操業率も高まってまいりますし、失業の不安もだんだんなくなる、あるいはまた残業等によりまして実質的な増収、こういうことも期待できるということでございますから、何といいましても景気回復するということが一番の大事な点ではなかろうかと考えております。
  21. 中村重光

    中村(重)委員 景気回復させるということについては、大臣も私も同じなんですね。方法論が違うのです。大臣公共投資と言う。その面から景気回復を図っていこう。私もそれを全面的に否定するものではない。しかし、それは一方的なんだ。  個人消費を上向かせるということは、より以上に大きな柱として施策が講じられなければならない。そのためには、所得税減税が必要である、あるいは社会福祉というものが強化拡充されてこなければならない。労働者賃金も、いたずらに下げる、抑えていくということだけではマイナス要因というものが余りにも大きくなる。景気が上向けば残業もふえると大臣はいまおっしゃったのでございますけれども、今日の一番重要な点は、私は雇用問題であると考える。百三十六万という完全失業者、さらに企業が抱えている過剰労働力、こういったことを考えると、雇用創出をどうするかということでないといけない。少なくとも残業を期待するのではなくて、時間短縮、残業の規制、定年の延長、そうした雇用創出策というものが強力な施策として推進されていかなければならぬと私は考える。それでないと、雇用不安というものは依然として続く。  いま物価は幸いにして下がりつつあるとおっしゃいましたが、この物価が下がっているということは、健全な経済運営の中で下がっているのであろうか。今日の不況の中で、購買力がない、買わない、だから売れない、下がらざるを得ぬという形になっていると私は思う。だから、今日卸売物価あるいは消費者物価が下がってきた。最近は上がりぎみにあるわけですけれども、そういう数字が幾らか下がってきたということでこれを期待することは危険であるというように私は考える。さらに野菜の値段なんというものが、野菜が豊富になると下がる。消費者物価に占める大きな比率なんです。これは政府施策よろしきを得て消費者物価が下がったということにはならない、自然現象であるということ等を考えてみると、政府施策は、いま大臣がおっしゃったように景気回復ということは共通の願望ではあるけれども、発想の転換をしていくのでないと、いま大臣お答えになったような景気回復に結びつかないんだ、こう私は考えているわけでありますが、そういうことで意見を申し上げ、大臣見解を伺っているところでございますから、そうでない場合は私の申し上げたことに反論があって結構でございます。  これは議論をして正しい方向を打ち出していくのでないといけない。間違っておれば私も自分の考え方を改めることにやぶさかではないし、政府も、また福田内閣においてこのような経済見通しを立てたんだから、これは無理だけれども強引に押し出していこうということになってくると、大臣、どうなりますか。結局また調整インフレであるとかインフレ政策をとる、そういう方向に進むということになりかねないと私は考えるのです。いかがでしょう。
  22. 河本敏夫

    河本国務大臣 雇用問題が一番大事だという御意見、それから雇用の創出を図っていかなければならぬという御意見、この点は全く同感でございます。政府がことしいろいろな経済政策を立てましたその前提といたしましても、国内では雇用政策が一番大事であるし、国際的には国際収支の調整が大事である、その判断の上に立っていろいろな政策を組み立てたわけでございます。でありますから、雇用問題が大事であるという点においては全く私も同感でございますし、それから物価、特に卸売物価が前年よりも低い水準にあるということは、円高ということも一つの原因であるし、景気が依然として悪い、そこが原因である、この点も同感でございます。かつまた、個人消費景気回復に非常に大きな影響を持っておるということも全く同感でございます。  しかし、いずれにいたしましても、政府の方といたしましては、ことしの上半期、特に四月−六月の間に公共事業を集中して執行していきたい、そしてそれを誘い水として民間経済の活力を取り戻していきたいということを基本的な戦略といたしまして経済運営をしておるわけでございますが、当初に申し上げましたように、世の中が刻々変わっておりますし、特に第一・四半期の推移を見た上で、総合的に第二・四半期以降の経済運営をどう判断すべきかということにつきまして、その時点の実情を分析し、今後の対策を議論していかなければならぬ。昨年は対策がややおくれましたので効果が上がらなかったのでありますが、ことしはおくれないように、第一・四半期が終わったところで分析と対策が必要であろう、このように考えております。
  23. 中村重光

    中村(重)委員 共通する点が非常に多いわけなんですが、率直に私に言わせていただけば、安定的な経済成長というのは、単なる景気回復策の緊急避難的な場当たり政策ではもうだめなんだということです。それでは七%成長というものは不可能であるということになると私は考える。  もう一つ警戒しなければならないことは、不況が長く続きますと結局独占、寡占体制が強力に推進されてくる。その傾向がいま出てきていますね。それはどういう弊害を醸し出すのかということになってまいりますと、結局競争というものが抑えられることになるわけですから、企業は製品の価格を引き上げるという形につながっていくのではないでしょうか。これを政府はどう抑制をしていくのかという点が一つであります。結局うまくいかないと、政府としては、さらに国民の批判というものは強まってまいりますから、また補正予算等やって同じ失敗をさらに繰り返していく、拡大させていく、そしてそのツケを国民に回してくるということになりかねないというように私は考えるわけでありますけれども、いまのところ補正予算という点について大臣はどうお考えになっていらっしゃるのか。在庫調整の問題なんかに対しましても、大臣宮澤長官とは異なった見解を持っておられた。私は河本通産大臣見解が正しいというように思っていたわけなんでございますが、最終的には統一見解というものをお出しになったわけでございますけれども、やはり方向は残念ながら河本通産大臣見解のとおりにしか動いていないというように私は考える。それらの点等からいたしまして、七%成長見通しあるいは補正予算見通し等について伺ってみたいと思う。
  24. 河本敏夫

    河本国務大臣 七%成長見通しにつきまして、最近二、三の民間調査機関が、むずかしいのではないか、こういう統計を発表しておりますが、政府といたしましては、民間調査機関の見通しも理解はできますが、ただ、一つ大事な点を見落としておると私は思うのです。民間の統計を見ますと、いろいろな数字を集めてまいりまして、こういう数字だから多分こうなるだろうということを判断をしておるわけでありますが、これには、政府が万難を排してあらゆる政策手段を動員して情勢の変化には臨機応変に対応しながら必要とあらば追加政策を考えていきます、政府の責任において七%成長は必ず達成をいたしますということをしばしば総理大臣からも言明をされておるわけでございますし、この政府の決意というものは相当大きな力である、こう私は思っておるのですが、民間の機関の調査はそれには余り考慮を払っておらない。余りではない、ほとんど考慮を払われていない。各方面から集めた数字だけで判断をしておられる。そこに違いがあると私は判断をしております。  だから、もし七%成長達成に不安な点が出てくるということであれば、臨機応変に十分な対応策を早めに考えていくということをしばしば政府の方は言明しておるわけでございますから、私は、むしろ民間の方々も消極的な見通しだけではなく、もし政府政策に至らざる点があるならば、こういう点は直せばどうか、こういう点を追加をすればどうか、こういう積極的かつ建設的な意見を聞かせていただきたい、このように考えておるのでございます。  それから、補正予算の問題でありますが、臨機応変に対応してあらゆる政策手段を考えるということでありますから、これは当然補正予算はいつでも組みます、こういう趣旨でございます。
  25. 中村重光

    中村(重)委員 結局そういう方向に進むのではないかというように私も見ているわけなんですが、それが臨機応変、変化に対応していくということが調整インフレ、いわゆるインフレ方向でもっていまの景気を上向かせるということになってまいりますと、結局国民がその犠牲になっていく、これだけはやはり万難を排して、国民に犠牲を強要するということであってはならぬと思います。この点に対してはいかがですか。
  26. 河本敏夫

    河本国務大臣 先ほども申し上げましたように、ことしの経済政策、何を一番大事に考えたかといいますと、国内問題ではやはり雇用問題でございます。私どもは、政治の目標とは何ぞやといいますと、それは完全雇用の達成にあると考えておりまして、現在は雇用問題はなかなか厳しい事情にあるわけでございますが、これからのすべての政策は、やはり将来の完全雇用をいついかなる方法で達成するかということに置いていかなければならぬと考えて進めるべきであると思います。
  27. 中村重光

    中村(重)委員 それから、先ほど宮澤長官ともいろいろ議論をしたわけですが、為替差益還元の問題ですね。たとえば電力料金、これは円高は二百二十円を割って二百十八円、さらに上昇という形になっている。そうなってくると反比例して輸入は安くなるわけですが、原油の価格も下がっていく。これを当然国民還元をしていくためには、公益事業という場合においては、そうした電力料金その他の価格引き下げだという要求になってあらわれていますね。  ところが、全国平均をいたしますと、電灯が一灯か二灯ぐらいしかないところだってあるわけでしょうから、平均が二千円ぐらいだ。これを還元をするとしても一キロワットアワー二十八銭、これを還元しても費用の方がかえって大きくなる。それよりも据え置き期間を長くすることの方がいいのではないかというようなことが考えられているし、通産大臣もそういう見解表明されたし、また東京電力その他においてもそうした方向を明らかにしているわけですが、やはり国民感情としてはどうしてもそれでは納得できないんですね。原価主義になっているものだから、上がったときは上がったような形の原価主義、下げられるときには下げていくのでなければ、原価主義はそういう面において壊れるじゃないか。かつては東北電力でしたか、値下げをしたという経緯もあるわけですから、国民感情はどうしてもそれを許さないということになるんですね。それらの点に対してどうあるべきかということについては、単に据え置くというようなことだけの表明では納得できないわけですから、どうしてもこれを下げない方がかえって国民消費者にとって利益になるというならば、納得する方向、納得する努力、そういうものが並行して行われなければならないというふうに私は思うのでございますけれども、その為替差益還元の問題という点から、大臣が直接所管をしている部面のことだけにしぼってのお答えでも結構でございますが、いかがでございますか。
  28. 河本敏夫

    河本国務大臣 これだけの円高になりますと、為替差益は非常に膨大な金額になります。     〔山下(徳)委員長代理退席、中島(源)委員長代理着席〕 したがいまして、この為替差益消費者還元をするという政策は、私はいまの時点では一番大事な政策だと思います。いま政府の方もこの問題に取り組んでおりまして、近くその総合的な結論を出したいと思って作業中でございます。  ただ、その場合に、為替差益還元方法はいろいろ方法があると思うのです。直接値引きをするという方法もありましょうし、あるいは一部の公共料金は、値上がりの条件がありましても値上げをしないで、できるだけ現在の料金体系を長く据え置く、これも一つ差益還元方法だと思います。幾つかの方法があろうと思いますので、それぞれの業界、業種に合ったようなやり方を進めていけばいいのではないかと私は思っております。それから同時に、もし、為替差益があるのに下げないあるいは下げられないというのであるならば、その理由を明らかにして、そして国民の理解を当然求めなければならぬ、このように思います。  そこで、いまお尋ね電気料金の問題でございますが、これはもう十二分に御承知のように、五十一年の上半期に、電気事業法に基づきまして原価計算をいたしまして、五十一年度と五十二年度の電気料金というものを設定をしたわけでございます。それで、五十三年度からは新料金に移る年になっておるわけでありますし、事実過去二年の据え置き期間を経まして、現時点では新しい値上がりの要件等も相当出ております。たとえば資本費の負担の増加、あるいは修繕費の増加、あるいは人件費の増加、こういう負担増の要因も出ておるのでございますが、一方におきまして為替差益等も相当大きく出ておりますので、この際は、全体の原価計算をすればどうなるかはわかりませんけれども、とにかく国民感情として何らかの還元をすべきである、こういう要請も強いわけでありますので、電気料金の方はとりあえず一年、できるだけ長く据え置く方向で指導をしてまいりたいと考えております。現在のところ、大体二年は据え置きが可能であろう、このように考えております。  ただ、北海道電力だけは為替差益が全然ありませんので、この一社だけは、ことしの年末または来春の様子を見まして、そして五十四年度が据え置けるのかどうか、それだけの企業努力が可能であるのかどうか、そういう点を判断をしたいと思いますが、少なくとも他の八社は、二年間は現在の料金の据え置きが可能である、このように判断をいたしております。
  29. 中村重光

    中村(重)委員 アメリカのカーター政権が一般教書その他の政策発表で明らかにしたのでは、景気回復のために所得税減税を行ったし、それから雇用創出策として連邦政府の職員を大幅にふやしていく、それから民間企業の定年制六十五歳を七十歳にする、それから公務員等の定年制を撤廃をするというような政策を明らかにしたわけですが、大臣はこの点をどう評価をされますか。
  30. 河本敏夫

    河本国務大臣 景気政策の進め方は、国ごとに事情が違いますからそれぞれ独自の政策が進められておるわけでございますが、ただ、定年制を延長するという方向は日本の労働省におきましても取り上げておられまして、現在五十五歳定年というものをさしあたりは少なくとも六十歳定年の方向に持っていきたいということで、いろいろ工夫をしておられるようであります。私の直接の管轄ではありませんから、詳しくは承知いたしませんが、とにかく定年延長の方向で労働省は考えておられる、このように理解をしております。  それから、欧米諸国、特にアメリカでは、景気対策といいますと必ず減税が真っ先に取り上げられるわけでございますが、これはアメリカでは社会資本の投資が非常に進んでおりまして、その点が日本と事情が違うと思います。御案内のように、日本は社会資本の投資が大変おくれておるわけであります。そういうことで、昨年の秋につくり上げました三全総におきましても、今後十年間に土地代を除きまして二百四十兆円という社会資本の投資を行わないと近代国家としての面目は保てない、こういうことを決めておるのでございますが、この点が非常に違うわけでございます。だから、アメリカとすれば、国内のいろいろな仕組みも違うところへもってきまして、適当な投資対象が直ちに出てこない。ところが、日本の場合は社会資本の投資対象というものは幾らでもある、こういうことでありますから、何としても減税よりもこちらの方がより効果的であると政府の方は判断をしておりますので、公共事業優先、社会資本投資優先、こういう考え方景気対策を考えていく、そういう点がアメリカとの違いであろうと判断をいたします。
  31. 中村重光

    中村(重)委員 時間が大分たちましたので、また別の機会お尋ねをすることにいたしますが、いずれにしても、日本のこの経済不況というものは循環的なものではなくて、構造的なものであるという考え方の上に立った施策というものがなされなければならぬ。すなわち、経済のスピードは半分に落ちたわけですね。それから、特定不況産業安定臨時措置法の中にもその対象として考えられている業種の中のたとえば合板であるとかあるいは繊維の関係は、韓国とか台湾、その他開発途上国からの追い上げが非常に強いということであるわけでありますから、また、その構造的なものとしてはエネルギーの問題、石油の価格値上がりをしてきた、昔に戻るなんて考えられないということなんですね。  そうしてみると、エネルギーの消費節約ということ、これは政府としても法律案を提案をする準備もしているわけですが、エネルギーの消費節約をするということは強力に推進されなければいけない。このPRというのかな、余りにも徹底してないと私は思うですよ。どれほどエネルギーの消費というものをしなければならぬか。家庭に行って要らぬ電気は消す、そういったぐらいにエネルギーの消費節約というものは徹底されなければならぬ。そのためにはまず政府がその模範を示し七、太陽熱等の利用にいたしましても、政府関係の機関の中では冷暖房は太陽熱を利用していくとか、政府が身をもってエネルギーの消費節約であるとか、クリーンエネルギーを開発していくという努力が非常に不足をしているというような感じがしてならないのであります。その点に対する考え方を明らかにしていただきたい。  それから、輸出志向型というものはもう転換をしていかなければならないのではないか。突出産業の輸出規制は言うまでもない。通産省としては、自由主義経済といったような面から輸出規制というものについてはちゅうちょしておられて、貿管令等を出すのではなくて行政指導でやらなければならないということを強く主張し、それを堅持していらっしゃるようでございますけれども、そういった考え方というものは、もうここで勇気を持って転換をしていくということでないといけないというように私は思うのです。その点に対しての大臣見解はいかがですか。
  32. 河本敏夫

    河本国務大臣 エネルギー政策を進めます場合に、まあ三本柱を考えておるわけでありますが、その一つが開発であります。それからその一つが節約、その一つが備蓄、この三本柱で進めております。昨年の夏、総合エネルギー調査会から答申をいただきましたが、この答申にも、現状のまま進めばどうなるか、あるいは節約をした場合にはどうなるか。こういう二本立てでいろいろ答申をいただいております。現在IEAの理事会も東京で開かれておりますが、御指摘のように、エネルギーの節約ということは今後の最大の柱の一つであろうと思います。そこで、いま政府の方では、このエネルギー節約についての法律案を研究しておるところでございまして、できるだけ早くまとめたい、このように考えております。  それから、貿易の問題についてお述べになりまして、輸出型の経済をやめよ、こういうお話でございます。日本の場合は、資源エネルギーが全然ない国でありますから、外国と貿易をやっていくという貿易立国で経済政策を進めてまいりませんと、とても国の経済がもつものではありません。しかも、貿易の方向は自由貿易の原則を堅持いたしまして、縮小均衡ではなくて拡大均衡の方向に持っていくという貿易政策を進めるべきだと思いますし、この貿易を拡大均衡の方に持っていくという考え方につきましては、私は現在世界じゅうが合意をしておると思うのです。ただ、集中豪雨的な輸出が起こりましてそのために相手国に迷惑をかけるということになりますといけませんので、そういうことにはならないように注意をしなければならぬとは考えております。  それから、現時点でなぜ貿管令を発動しないのか、行政指導でやるのは手ぬるいではないか、こういう御指摘でございます。現在は昭和四十七年の事態といささか趣を異にしておりますし、主だった商品等につきましても一つの秩序ができ上がりつつございますし、もうでき上がったものもございます。でありますから、とりあえず、当面は数量の横並びという強力な行政指導をすることによりまして、世界じゅうに迷惑をかけることのないように、これは十分やっていける、このように理解をしておりまして、貿管令を発動しないで行政指導で数量前年度並み、こういう考え方で進めてまいりたいと思っております。
  33. 中村重光

    中村(重)委員 資源のない国ですから、輸入していかないとどうにも動きがとれない。したがって、ある程度の輸出は当然だ。縮小均衡ではなくて拡大均衡ということですね。しかし、それには方法論の問題があると思うのです。輸出をするにいたしましても、大臣が規制しなければならぬと言ったような集中豪雨的な輸出規制をどうするか、輸出にしても貿易にしても、偏らないきわめて安定性のある、国際的な批判を受けないような方向、そういう創意工夫がなされないといけないと考えます。だから、もういまのような形をこれだけは崩せないのだというようなことは、今日の国際的な関係等からいたしましてどうにもならない、許されない。ともかく小国的な、島国的な思想から脱却をして、国際的にも容認されるような方向、そういったことを強力に創意工夫をこらして推進していくということでないと、日本は国際的な孤児になってしまうという感じが私はいたします。  ともあれ、この造船不況の問題について、大臣が、造船というものは船をつくるだけが造船ではないのだ、これをつぶすことも造船なんだということで、雇用の創出であるとか需要の創出を図っていくというようなきわめて積極的な態度をお示しになった、私はそれを評価をいたしているわけでございます。何といっても大臣は高く存在が評価され、河本政権ができ上がるのも余り遠くないのじゃないかというような期待感も財界あるいは政界から持たれている面もあるわけですから、ともかく慎重の中にも勇断を持って、閣内におきましても、まあやむを得ないというまあまあ主義ではなくて、国民が納得する施策、きょういろいろと議論をいたしましてかみ合った点も非常に多かったと思いますが、与野党の中にも合意できるような施策、野党の主張が正しいと考えたならばこだわることなく、ちゅうちょすることなくこれを受け入れていくという政策推進が大切であろう、このように考えるわけでございますが、その点に対して、後は個別的な問題を二、三お尋ねして終わりますが、いままで議論をいたしましたことについての大臣の総括的な考え方をお述べいただきたい。
  34. 河本敏夫

    河本国務大臣 いま大変むずかしい時期だと私は思っております。でありますから、こういうむずかしい時期には各方面のいろいろな建設的な意見を聞きまして、いい意見だということであれば、野党であろうが民間であろうが、とにかく積極的にそういうすぐれた意見を取り上げて政府はこれを実行に移していかなければならぬ、これは当然でございますので、今後ともいろいろ御叱正を賜りたいと存じます。
  35. 中村重光

    中村(重)委員 大島つむぎの問題なんですが、韓国でつむぎの生産が三十六万反、その約六〇%が大島つむぎと言われている。そうなると二十一万六千反ということになるわけです。つむぎは韓国ではぞうきんにもならないで、日本だけしかこれを使わない。ところが、通産省がはじいているのは何か三万六千反ぐらいである。それじゃ韓国にストックがあるのかというと、ないという。いろいろな形で日本に入ってきている。おみやげでじゃんじゃんと申し上げてよろしいと思うのですが、入ってきている。あの手この手という形で入ってきている。しかも織り方を巧妙にして、向こうで韓国というのを織りまぜるのですか、私、専門的なことはわからないのですが、それを切り取ったらば韓国製品じゃないということになっている。そうして鹿児島、奄美大島等で生産したものだとごまかすことが非常に巧妙になってきている。  この間、流通小委員会を開いて関係各省から御出席を願って、現地の方も参考人としておいでをいただいて、質疑答弁という従来の形式ではなくて、自由に議論をする円卓会議みたいな形でやったわけです。その際に、生活産業局の通商課長ですか、各省庁の取りまとめをやって、どうするか対応策を考えて小委員長の私のもとに出してほしいと言っておりましたが、なかなか出てこない。この間その課長においでをいただいて、どうしているのだ、ともかく早く各省と打ち合わせをやってこれに対応していくのでないと、伝統工芸品産業ということでせっかく国会でも振興決議をしているにもかかわらず、姿を消させてしまうことになるではないかと申し上げ、近く河本通産大臣とこの問題について話し合いをしたいから、早くそういうことについて対策を立てて、通産大臣の方にも報告しておいてほしいということを実は申し上げたわけです。  二、三日後に、来週適当な日にこれに関係する国会議員数名が大臣と懇談をしたいとは思っておるわけでございます。大臣局長もきょうは御出席でございますからひとつ——いままではだめだだめだということです。一向発展的なものはございません。そういうことでは問題の解決になりませんから、はっきり韓国の生産者が三十六万反の生産、その中の六〇%、二十一万六千反くらいは大島つむぎだと言っているわけですから、それはそれとして直視して、これをどうするか前向きで検討していかないと、相手が韓国、外国だからどうにもならないんだというようなことでは、私は問題の解決にならぬと考えますから、きょうは具体的なことについてお答えをいただこうとは思いませんが、大臣から、いま私が申し上げたことについて、結局抽象的になろうと思いますけれどもお答えをいただいて、具体的には事務当局からお聞きいただいて来週適当な日にちに話し合いをしたいと思っておるわけでございますから、きょうはいま私の申し上げたことに対して大臣考え方をひとつお聞かせをいただきたい。     〔中島(源)委員長代理退席、委員長着席〕
  36. 河本敏夫

    河本国務大臣 この大島つむぎの問題につきまして、私も経過を承知しております。いま韓国とも交渉を始めておりますが、なかなかむずかしい問題もありますけれども、わが国の地域産業に非常に大きな影響も出ておりますので、何とか適当なところでおさめたい、こういうことでいまいろいろ関係者苦労しておるところでございます。来週おいでになるということでございますならば、お目にかかりまして、御意見等も十分拝聴をいたします。
  37. 中村重光

    中村(重)委員 中小企業庁長官、この間、円高不況で産地がどういう影響を受けているのかということについて、三部長を団長として調査されたように伺っているわけであります。調査の状況はどうだったのか、それからどう対応していこうとされているのか、詳しくはお聞かせいただく時間もございませんから、ひとつその状況と対応策をお聞かせいただきたい。
  38. 岸田文武

    ○岸田政府委員 円高の産地に与える影響については、従来その都度調査をいたしておりましたが、二百二十円割れという事態に直面いたしまして、私どもこれは非常に産地として大切な局面であるということから、三部長を派遣をして実情の調査に当たったところでございます。いまその調査報告の取りまとめをいたしておるところでございますが、三部長の帰りましての話を聞いてみますと、ことしの一、二月に二百四十円前後で多少安定しておったために注文が出かかったところへ、二百二十円ということになったため非常に産地として不安を感じ、また動揺しておるという状況かと思います。特に、このような調子では将来の注文が一体どうなるだろうか、いつまで仕事が続くんだろうかという点の不安が非常に多いかと感じておるところでございます。産地としても、いろいろ対応策について努力をいたしておりますものの、やはり政府としていろいろこれから積極的に対応してもらいたい、中小企業対策の面でも強化を図ってもらいたいし、円の安定という点について特に力を入れてもらいたい、こういう声を聞いてまいったようでございます。  私どもは、従来からいろいろの対策を講じておりまして、それなりに評価もしていただいておるところでございますが、今回調査団が参りましたことを機会に、もう一度いままでやってきました中小対策の見直しをいたしてみたい、かように考えておるところでございます。
  39. 中村重光

    中村(重)委員 これで終わりますが、橋本エネルギー庁長官に私の考え方を申し上げておきたいのですが、石油のタンカー備蓄とそれから洋上備蓄の問題ですが、長崎県の下部から、海上汚染ということと、それから何しろ橘湾なんかは、一隻二・七キロですから、これは十隻を予定していらっしゃるので二十七キロということになる。好漁場にどんと十隻浮かぶわけですね。そういうことで、二百海里時代の沿岸漁業の振興ということはきわめて重要で、水産たん白資源というものは非常に大切だ。それを、沿岸漁業の振興ということと逆行するような施策を、事もあろうに水産県長崎にねらい撃ちみたいなことでやるということはけしからぬ。公害問題を含めてこれは大変なんだから、ぜひひとつ党としても反対という方針を打ち出してほしいという意見が実は上がってきているわけでございます。私どもも石油備蓄の重要性という点から備蓄法に賛成をいたしているわけでございます。それで、下部からそういうことを言ってまいりましても、そのまま、まあやむを得ないなという態度を決めるわけにはまいらない。  通産大臣にもこの前申し上げたのですが、どうも長崎ばかりどうしてねらい撃ちみたいにやるのだろうか。上五島青方湾に洋上備蓄、これも新技術で造船不況のときに非常に大切なんだというようなことで、強力に推進しようとしていらっしゃる。橘湾も、申し上げたように非常に好漁場ですよ。橘湾といったら、タイだとか、何と言うのですか、長いタチウオですか、その他いろんな魚があそこはとれるんです。それで非常に広い地域から、共同漁場みたいになってあそこに集中しているのですよ。それが全くだめになる。なるほど立地交付金を一隻二千五百万とか、それから水面使用料を一キロリットル四百円ですから一億ということになりますか、そうすると十隻ですと十二億五千万円、よだれが出るような欲しい金ですね。それは実際長い目で見たら大きな損失になるということになっても、そこに金が来るのだということになってくると、ついそれに引っ張られるという形になりかねないわけですよ。  やはり石油備蓄は私は否定するものではない。しかし、その備蓄はどこでもじゃんじゃんというわけにはまいらない。やはり立地に適当なところということで、影響のないところということ。それから、これは強行はしないということで態度は何回も表明されているわけですが、本当に合意して、やむを得ずということよりも、住民がどうぞひとつここにやってくださいと言って歓迎するようなところ、そういうところをやはり選択するということ。もうあそこの知事とは話がしやすいからといって、漁民とか住民の動向なんというのは二の次にして飛びつくというやり方であってはならない。そういうことで、いまも長崎県の上五島あるいは橘湾の備蓄というのは私はやめてほしいというのが、水産県——「むつ」の問題もありますからあえて被爆県とも申しますが、水産県、被爆県の選出の国会議員として私はそのことを強く望みたいと思っているわけです。  かといって、備蓄そのものはどこかでやらなければなりませんから、これを頭から否定するということは備蓄法に賛成をしたという立場からも私は無責任だということになります。そこで、来週水曜の日に、エネルギー対策特別委員会と、私が委員長をいたしております産業政策の特別委員会、公害対策特別委員会、商工部会あるいは農林水産の部会も出席をしてもらうわけですが、合同部会等を開いて、十分政府意見も伺いながら検討し、態度を決めたいというように考えているわけでございます。  そこで、率直に私は申し上げましたから、この点に対しては通産大臣からも一言御見解を伺いましょうし、まあいずれにしても、もう納得しない限り、たとえば漁業権の消滅ということは、当該漁協の三分の二の同意があったら漁業権の消滅になるわけでありますから、そういうことはやらない。やはり住民、漁民の納得の上に、合意の上にこれをやる場合は行うということ、それから、でき得るならばそうした水産県というようなところは避けるというような方向を、先ほど申し上げたように強く望むわけでございます。それらを含めて大臣からひとつ御見解を伺いたい、非常に大事な私の方の態度決定を迫られているときでございますから。
  40. 河本敏夫

    河本国務大臣 長崎県は、わが国でも屈指の海洋県でありまして、海岸線も非常に長いわけでありますし、島も大変多いわけであります。それから天然の良港、それからいろいろな計画を進めていきます場合に非常にすぐれた優秀な条件を備えた湾等もたくさんありますので、石油備蓄に限らず、いろいろなエネルギー政策の面で大変お世話になっておるわけでございます。しかし、政府といたしましても、エネルギー政策を進めます場合には、環境の保全ということにはもう十二分に配慮をしていきたいと思います。また、住民との対話ということに対しても十二分の配慮を払っていくつもりでございますが、どうかそういう意味におきまして、いろいろ長崎県にはお世話になっておるわけでございますが、今後ともよろしくお願いを申し上げたいと思います。(中村(重)委員「大事な点は、住民、漁民の合意問題、これはもう大事な問題です」と呼ぶ)  いま、環境の保全と住民との対話ということが大事であるということの二つを申し上げたわけでございますが、県の方が中心になりまして住民との対話等については進めていただいておりますが、通産省といたしましても十分その点を配慮をいたしまして、県と連絡をとりながら進めてまいりたいと思います。
  41. 野呂恭一

    野呂委員長 午後一時三十分から委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後零時二分休憩      ————◇—————     午後一時四十六分開議
  42. 中島源太郎

    ○中島(源)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  エネルギー・鉱物資源問題小委員会において、参考人の出席を求め、意見を聴取する必要が生じました場合には、参考人の出席を求めることとし、その人選及び出席日時等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  43. 中島源太郎

    ○中島(源)委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  44. 中島源太郎

    ○中島(源)委員長代理 午前中に引き続き質疑を続行いたします。松本忠助君。
  45. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 この十二日にシュルツ・アメリカ大統領経済諮問委員会委員長が来日をいたしまして、本日も、経済企画庁長官はこの会議に出席のために、当委員会に御出席をお願いをいたしましたが出席がございません。やむを得ないことと思っております。  そこで、お尋ねいたしたいのは、この会談の目的、それからまた、経済企画庁としてはどのような成果を期待しているのか、この点について企画庁の方々からお伺いをいたしたいわけでございます。
  46. 澤野潤

    ○澤野政府委員 お尋ねのように、昨日からシュルツCEA委員長と企画庁との間で当面の経済問題に関するいろいろな話し合い、また当方からはアメリカの貿易問題についての要望、それから日本の経済情勢、ドル安円高の問題等につきましてのいろいろ細かい議論をやっておりますけれども、このCEAと企画庁との話し合いと申しますのはわりあい歴史の長いものでございまして、従来からずっと継続してきたものでございます。その従来継続しておる技術的な経済関係におけるインフォメーションの交換、これに加えまして、当面のよりいろいろ込み入った関係にございます経済問題についての意見の交換を行っておるわけでございます。したがいまして、これは交渉とかなんとかというものでは全くございませんで、お互いに意見の交換をして忌憚なく話し合いをしておるというのが実態でございます。したがいまして、これからどういう結果を期待しておるということではございません。こちらの申し上げたいことは申し上げるし、向こうから言いたいことはこちらも承っておるといった性格の交渉でございます。
  47. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 やるからには、期待をしないということでなくて、当面の経済問題に対して日本の主張を述べ、アメリカの言い分も聞こうということですから、そこにいまの日本としてアメリカのドル価格の問題についても相当強い意見を言ってもらいたいというのが私たちの気持ちでございます。成果を期待しない、ただ話し合いだけというのは、私はまことに不見識だと思うのです。やはりある程度の成果を期待する、また日米間の経済問題について隔意なき意見の交換をするということで大きく成果を期待する。特にいま円高問題がございますし、またことしの七%成長という問題、これは後で触れたいと思いますけれども、いろいろとアメリカ側からも意見も出ているようでございますので、何らかの期待を私たちはしているわけでございまして、ぜひそうした期待国民の前に明示していただくように私は要望しておきます。当然また来週の金曜日にも一般質問がございますので、その席上などで長官からでも改めてこの結果についてお伺いをいたしたいと思っております。
  48. 澤野潤

    ○澤野政府委員 ちょっと舌足らずで申しわけございません。もちろん宮澤長官その他総理を初め各重要閣僚の方々がシュルツとお会いになりまして、その際にはまた日本側として要望すべきことは十分要望するということでございますので、会議そのもの、これは意見の交換であるということを申し上げたわけでございまして、いま先生のおっしゃいましたようなことは当然あり得るということでございます。
  49. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 通産大臣お尋ねをいたしたいわけでございますが、この五月のゴールデンウイークの間に福田総理がアメリカへおいでになる、日米首脳会談が開催されるという御予定がある。特にこの開催期日については、日本側の大きな要望があって五月の上期、特にゴールデンウイークの中を、いろいろの御事情からだと思いますけれども決定されたわけでございます。  そこで、いま日米間にあるところの重要な経済問題、そのほかにもいろいろございますけれども大臣所管の問題としては貿易通商の問題、あるいはまた七%成長問題、経常黒字六十億ドル、こういった問題について、これはもういろいろと日本の主張も述べなければなりませんし、またそのほかにも、日米安保問題に絡んだところの中国あるいは韓国との問題、あるいは防衛問題等々、総理が出かけられるからには、かなり突っ込んだ会談が行われることと思うわけでございます。  そこで私は、経済閣僚であるところの河本通産大臣が総理と同行され、そしてこの会談に臨まれるのが当然ではなかろうか、こう思っているわけでございますが、この辺について通産大臣どのように準備をなさっていらっしゃるか。また、この訪米によりましてどういうことをお考えになっていらっしゃるのか。通産省としての問題等もあると思いますが、御同行されるかどうか、あるいはまた具体策はどういうものを持っていらっしゃるか、こういう点についてお尋ねをいたしたいわけでございます。
  50. 河本敏夫

    河本国務大臣 五月の初めに日米首脳会談が開かれますが、総理は、先般委員会で、同行閣僚として外務大臣と牛場国務大臣ということを言っておられました。多分両大臣が随行されるのだと思います。  それから、会談の内容はまだ決まっておりませんで、両国間で多分打ち合わせ中だと思いますが、まあ常識上判断いたしまして、当面の経済問題が最大の課題になると思います。あるいは世界経済の問題、あるいはまた世界経済に日本とアメリカがどういう役割りを果たすか、こういう問題、それから南北問題、エネルギー問題、貿易問題、また当然アジアにおける政治情勢の分析、こういうことが議題になるのだと思いますが、これはまだ正式のものでも何でもありませんで、私が常識上判断したのでございます。
  51. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 福田内閣としても重大なこの会談に臨まれるわけでございますので、閣内においても相当意見の交換がなされることば当然と思いますが、何にしても、私どもも大きな成果を期待しているわけでございます。  そこで伺いたい点がございますが、これは一月十三日と思いますが、十二日、十三日、日本政府とアメリカ合衆国の政府で会談をいたしましたときに、共同声明が発表されております。一月十三日でございますからすでに三カ月を経過いたしたわけでございますけれども、この合意を得た点がどのように推移してきているのか、この点をお伺いいたしたいと思っております。  貿易上の措置として、日本の輸入増大のための措置について合意がなされております。その他個別の進展状況なども伺いたいと思うわけでございます。七項目にございますところの、「日本政府は、製品輸入を増大させるためにあらゆる適当な方策を講じる意向である。」こういうふうな書き出しで以下書いてございますけれども、この点についてどのような推移を示しているか、御答弁をお願いいたしたいと思います。
  52. 河本敏夫

    河本国務大臣 この日米の共同声明は非常に重要な意義を持っておると私は思うのです。特に当面の日米両国の経済関係方向づけておるものでございますから、日米両国のみならず、世界経済全体に大きな影響を与える、このように考えておりますが、その後の大きな出来事といいますと、一番大きな問題は、池田ミッションを先月派遣をいたしまして貿易上相当な成果をおさめた、こういうことでございますが、そのほか幾つかの事務的な話し合い等も進んでおりますので、それらにつきましては政府委員から答弁をさせます。
  53. 矢野俊比古

    ○矢野政府委員 具体的な貿易上の措置につきまして、まず第一の二十億ドルのいわゆる関税前倒し引き下げ、これは四月一日という約束をしたのを三月四日より実施をしております。  それから、十二の産品につき、数量制限の撤廃、いわゆる自由化でございますが、これは四月一日に実施をいたしました。  それから、牛肉、オレンジ、柑橘のいわゆる五十二年度におきます枠拡大も、この線に沿った措置が終わっております。  それから、為替管理制度の全面的見直しという問題につきましては、総理の御指示もありまして、この一年くらいかけて十分に検討を進めようということでございますが、その一環といたしまして、いわゆる輸入に関します標準決済制度の緩和は三月一日から実施いたしました。  それから、政府調達に関しましても、この改善についての閣議決定は、一月十三日、会談を終わったその途端に実施をしております。  そのほか、先ほど大臣が述べられましたような輸入促進ミッションの派遣、これはすでに終わっておりまして、この目的にありますようないわゆる短期を含めてのプラントを含む可能性のために調査団が派遣されたわけでございます。また現在、別途、林産物スタディーグループといったものについても農林省当局で話を進めておられると聞いております。  それから、輸入の拡大ということによります輸入金融拡充という問題につきましては、現在、輸入の外貨貸し制度というものが創設されておりまして、これの運用でできるだけ緊急輸入が必要なものは入れていこう。また、予算的措置としましては、輸銀の輸入金融枠の拡大ということの措置も、予算委員会が終わりましたので、当然これが実施に移されるというふうにお考えいただいたらよろしいと思います。
  54. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 お答えから察しますと、具体的な数字というものは出てまいりませんので、われわれも批判をすることはむずかしいわけでございますが、政府としては一応成果を認めているわけでございますか。
  55. 矢野俊比古

    ○矢野政府委員 具体的措置をいま御説明した状況で、着々とわれわれがその成果を期待できる環境ができたと考えております。
  56. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 円相場の問題でございますが、きょうも二百十九円四十銭から五十銭がらみということで、依然として二百二十円台を割り込んだ相場がここのところ続いているわけでございます。日本の国の経済にとりましても容易ならない問題でございまして、この円高ということが、各種の産業に、そしてまた中小企業にいろいろの影響をしているわけでございます。確かに一部建築資材あるいは公共事業関連業界、こういったところにおいては在庫調整も進んでいるようでございますけれども、この背景には大幅ないわゆる減産によるところが大きいのではないかというふうにも思うわけでございます。特に構造不況業種と言われる業界においては、深刻な事態がずうっと変わらずに続いているわけでございますし、特に雇用の問題、百三十六万の完全失業者、こういう問題あるいは三月危機と言われておりました中小企業の方々の決済資金、こういう問題、あるいはまた輸出関連企業、こういうものが本当に先行きが不安だ、暗い、こういうふうに言っているわけでございます。  ときどき言われることでございますけれども、この長い長い真っ暗なトンネルを出ると、向こうの方は本当に明るい日差しが差すんならいいんでありますけれども、なかなか問題はそうは簡単にまいらぬようでございまして、われわれが対話をいたします方々でも、やはりまだまだ景気が先が明るいなんというのはとんでもないことだ、人間も労務関係も締めなければならない、こういうところでございますし、特に今回の春闘におきましても、いわゆる労働者側の要求というものに大きくかけ離れたところの回答がなされているという点から考えましても、非常にむずかしい事態になっていると思うわけでございます。  しかし、新年度の予算が成立をいたしまして始まったばかりでございますし、現時点におけるところの景気の現状というものはどのようなものであるか、非常にむずかしいとは思いますけれども、新年度の予算が開始されたこの時点においてどのように御認識になっていらっしゃるか。まず、経企庁から伺いたいと思います。
  57. 澤野潤

    ○澤野政府委員 確かに先生のおっしゃいますように、本日は二百十九円四十銭、午後の寄りつきがその程度であるわけでございまして、この二月末から四月の上旬にかけて見られますような円高の傾向といったものが今後もし一層強まるというようなことでございまするとすれば、これは消費者のマインドとか企業家のマインド、そういったものにかなりの影響があるのではなかろうかと思っておるわけでございます。したがいまして、それが経済活動そのものに響いてくるということは理論的に申せるわけでございます。  しかしながら、最近私ども経済情勢といったものを判断いたしておりますところによりますと、今回のこの円高の傾向と申しますのは、昨年の秋、九月の終わりから十月、十一月にかけまして非常に急速かつ大幅に行われました円高といったものと、かなりそれに対応する政府のシチュエーションが違うのではなかろうか、政府の姿勢が違うんではなかろうかと感じておるわけでございまして、最近のように、五十二年度の一次、二次にわたる補正予算、それからせんだって成立させていただきました五十三年度の予算、これを含めます十五カ月予算といったような積極的な財政政策、それからそれに伴いますいろいろな税制の問題とか、また財政投融資等を含めました可能な限りの施策を講ずるという政府の積極的な姿勢、これが非常にはっきりしておるわけでございまして、その結果によりますたとえばいま先生もおっしゃいましたような公共事業中心とする生産及び出荷のやや上向きの傾向、それから、もともとこういう委員会で申し上げておりましたように、三、四月ごろには在庫調整もほぼ完了するのではなかろうかということも数字の上でははっきりあらわれてきておりまして、先行きわりあい明るい見通しというものが持たれておるわけでございます。  したがいまして、先般発表になりました十−十二月の国民所得統計速報、いわゆるQEでございますけれども、これが一・〇%という実質成長率を示しておりまして、これのその後の経済の動きをながめておりますと、消費関係に対する指標の一つの根拠になりますところの毎月勤労統計における実質の所得、すなわちこれが実質の消費に影響するわけでございますけれども、これがかなり力強い伸びを示しておるということ、たとえば一月には五・三、二月は四・八だったかと思いますけれども、そういう数字が出てきておるということ、それから家計調査におきましても、やはり実質面でなかなかいい数字が出てきておるといったようなことで、消費の動向も一−三月はかなりいい動きが出てくるのではないかと思っておるわけでございます。  また、民間住宅、これも非常に大きなアイテムでございますけれども、この民間住宅におきましても、先日発表になりました新規着工の戸数で申しますれば、二月が前年同月比一〇%以上という数字を示しておりまして、これは昨年の秋以降のいわゆる住宅建設促進のいろいろな施策の効果が出てきたものではなかろうかと思っておるわけでございまして、こういったものをも含めまして、また、せんだっての民間の金融機関の設備投資見通し、これは五十三年度についての見通しでございますけれども、その見通しも実は円高の前と後とを比べますと、円高の後の方の調査結果の方が、五十三年度の設備投資見通し、主としてこれは非製造業でございますけれども——製造業は必ずしも高くございません。むしろマイナスに出ておる向きがございますけれども、非製造業の方では政府見通しよりも高く出ている向きがございまして、名目の伸び率といたしまして、政府見通しの九・九に対しまして八ないし一〇%という設備投資の伸びを見込んでおる民間金融機関のアンケートが発表になっておるわけでございます。  したがいまして、政府のいま申しましたような非常に積極的な姿勢と、それから企業マインドに及ぼす影響ということによりますと、企業マインドに対する影響というもののマイナスの効果はそれほど大きくないのではないかといったことが、いまの設備投資の動向の見通しといったものから見られるわけでございまして、先ほど申しました在庫投資とか設備投資といったものをも合わせますと、五十三年度というものは、五十二年度の実質成長率五・三%というものがほぼ確実に達成された上で、そういう五・三%という発射台に立っての五十三年度のスタートでございますので、決してこれはそう楽観もできませんのございますし、相当の努力は必要であるとは思いますけれども、七%という実質成長率、これを達成する軌道にまず乗ってきておるのではなかろうかと考えておるわけでございます。
  58. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 長い御説明を伺っておりますと、日本の経済のかじ取りであるところの経済企画庁の当面の対策というもの、そして着々と進行しているその状態など聞けば、国民は本当に安心するだろうと思うわけであります。しかし、現実にどうかというと、なかなかいま審議官のおっしゃったようなわけにはいってない、こういう点を私どもは危惧するわけでございます。  いずれにしましても、今年度のいわゆる七%経済成長が達成できるかどうか、これは大きな疑問でございまして、この点については後ほどまた私も意見を申し上げたいと思うわけでございますが、とにかく今回の円高二百二十円台の台割れ、こういうものは私は七%の成長にはかなりの影響がある、こういうふうに見ておりますけれども、その点についてはどうでしょうか、まず、この点からお尋ねを申し上げます。
  59. 澤野潤

    ○澤野政府委員 ただいまお尋ねのあれは、円高が七%にどういう影響を及ぼすかという点でございますか。
  60. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 七%成長に対して円高がどのような影響を及ぼすか。
  61. 澤野潤

    ○澤野政府委員 円高と申しますものを理論的に申しますと、これが長期にわたって続く場合には、輸出の数量が減り、輸入の数量がふえるということがその結果としてあらわれてまいりますために、これは経済活動に対してデフレ効果を持つというのが一応の理論的な影響でございます。また、国際収支につきましても、いま申しましたようなことで影響は出てまいるわけでございますけれども、七%成長に対しましては、先ほど私がるる御説明申し上げましたように、個人消費支出とか民間設備投資とか個人住宅建設それから在庫投資といったようなものにつきましては、最近の円高後のいまの経済指標をながめておりまして、政府が最初に見通しておりますこの七%の成長というものに対して、それほど七%の成長を達成しないという見通しにはなってないわけでございまして、七%の成長は達成し得るであろうと思われるわけでございますが、さらにそれに加えまして、先般の三月二十五日に決定いたしました例の当面の経済対策、これによりまして公共事業の契約の前倒しとか金利引き下げ、これはすでに公定歩合の方は終わっておりまして、あと長期金利、都市銀行の住宅ローンの金利引き下げはもう決まっておりますけれども、その他の長期金利等の金利引き下げその他のさまざまな政策の遂行によりまして、もちろん理論的には先ほど申しましたようなデフレ効果はもたらすということにはなっておりますけれども、現実の経済の動きと申しますものは、七%の見通しを変えるには至らないというふうに私どもは見ておるわけでございます。
  62. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 いろいろとお述べいただきまして、私どもも大いに研究させていただいて、ぜひとも日本の経済の明るい見通し、それが現実に実現できるように願うわけでございます。  しかし、先ほども述べましたけれども、三月二十五日の「当面の経済対策について」というようなものを見ましても、私は、果たしてこれでできるのかどうか、非常に疑問を持っております。しかし、政府としてはやはりこういう問題に対して確信を持って言われているわけでございますけれども、言うならば、この三月二十五日の当面の対策というようなものは、ことしの予算審議の中で政府側がるる述べたことを活字にして一本にまとめたというだけにすぎないと私は見ているわけです。現実に、「公共事業等の推進」の中でも、「大型プロジェクトの推進」、「新幹線鉄道、高速道路、本四架橋事業等の大型プロジェクトについて、諸般の手続きを推進し、もって事業を促進する。」確かにこのとおりに違いありませんけれども、これは何年先のことかわからない、本四架橋というような問題も、環境問題から始まって、合意を取りつけて、そして実際に仕事にかかるというのにはもう大きな時間がかかるわけでございまして、「当面の」と言われるこの「当面」というのは一体いつからいつまでのことを指すのか、この辺をまずひとつ伺ってみたいわけでございます。
  63. 澤野潤

    ○澤野政府委員 政府といたしましては、昨年の九月三日の総合経済対策以来、数次にわたって対外経済対策、それから輸入促進措置、それから今回の当面の経済対策というものをとっておるわけでございまして、三月十一日にとりました輸入促進措置、これに引き続きまして、この輸入促進をすることをも含めて、やはり当面は内需振興が政府経済対策として一番必要であるという判断でございますので、「当面」とは、その三月二十五日から五十三年度にかけてということでございます。したがいまして、五十三年度におきます施策中心にはやっておりますけれども、この中には御承知のように中期的な面、たとえばいま先生のおっしゃいましたような大型プロジェクトというものは決して一年度でできるわけじゃございませんので、その後何年間かかかるわけでございますけれども、そのうちどうするのが当面の対策になるかということを、一応期限をつけたり、具体的なプロセスというものを決めたりという意味における当面でございまして、五十三年度、しかもそれの前半というふうにお考えいただきましていいのではなかろうかと思っております。
  64. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 いまの大型プロジェクトの問題などはとてもできません。  それから、いまもおっしゃいましたけれども、三月十一日の輸入促進の措置、これなどを見てみても作文だけだと私は思うのですよ。前段のくだりのところを見ても「最近の我が国の国際収支動向、海外における通貨、通商等の動きに鑑み、対外均衡の回復に資するため、従来から推進してきた諸対策を一層強化、推進することとし、引続き内需の確実な拡大を図るとともに、以下の輸入促進のための諸対策につき検討を進め、早急に実施に移す」、こう書いてある。確かに検討することは大事でございましょう。しかし、この一項目のところも「民間航空機の輸入促進について検討を進める。」それから二項目の方でも、後段の方で「関係各省間で速やかに検討体制を整備する。」全く検討検討で、実際以上に検討という言葉を使うのが大変好きなようでございまして、果たしてこの検討が現実に本当に経済成長の上に大きなプラスになるかというと、これはなかなか検討だけではいかないと私は思うのですよ。  そうした問題をやりとりしていても始まりませんので、私は次の問題に移りたいと思いますが、日本経済研究センターと国民経済研究協会が五十三年度経済の予測を行ったのが発表になりました。日本経済研究センターによりますと、五十三年度も経常黒字は百十億ドルと百億台の大台に乗るということを予測しております。そしてこの方は、一兆円の公共投資の追加需要、これを加えても四・六%の成長率にとどまるというふうな予測を立てております。また、国民経済研究協会の方も、二兆円の財政融資、財政需要を追加しても上期五・三%、このように予測をしているわけでございます。  この二つの団体の研究成果というものは、これはやはり根拠があってこのように言われているし、また、政府の方としても、いまの七%というものについては根拠が大ありだと言われているわけでございまして、これは果たしてどっちが、五十四年三月三十一日、来年の三月三十一日になって本当に七%の達成ができたかどうか、そこへいかないと結論が出てこないわけです。勝負はつかないわけです。しかし、やはり一様に補正予算をつけなければ——つけても、一方は四・六、一方は五・三だ、こういうことを言っておるわけでございます。したがいまして、私は政府考え方というものは余りにも楽観過ぎるのではなかろうかというふうに思いますが、簡単にひとつお答えをください。三十分ほどしかありませんから、簡単で結構です。
  65. 澤野潤

    ○澤野政府委員 七%の成長につきましては、先ほど申し上げましたような経済指標からいいまして、決して容易ではないけれども政府といたしましては可能なる施策すべてを動員いたしましてこれを達成するように努力する、また達成できるものと考えておりますし、また、先生がいまおっしゃいましたように、今後の経済情勢の推移は十分これを注視いたしまして、各般の経済運営にその都度その都度遺漏なきよう期していくというのが政府の姿勢でございます。
  66. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 お答えは当然そう返ってこなければならないわけでありまして、あたりまえのことを言っておるわけでございますが、もう一つ報道によりますと、経済企画庁とアメリカの大統領経済諮問委員会による日米経済専門家会議、これも開かれているというお話でございますが、この中で、アメリカ側は、企画庁が開発したところの日本経済の予測モデルを使った独自の見通しを示し、そして七%成長と経常収支黒字六十億ドルの実現というものは無理ではないかという意見があったということの報道がございますが、この報道は真実でございますか。アメリカ側もこのような危惧を示している。日本政府としては、いまあなたが言われるように七%は絶対成長できる、確実にやってみせるというようなお答えのように受け取るわけでございますけれども、アメリカ側ですらもこのように非常に危惧をしているわけですね。こういう点について、この報道が真実であるかどうか。それからもう一点、あなたは、このアメリカ側のいわゆる専門家会議における発言というもの、これをどうとらえているか、お答えいただきたい。
  67. 澤野潤

    ○澤野政府委員 日米専門家会議と申しますのは、先ほど申しましたドクター・シュルツと企画庁との間の会談のことでございまして……(松本(忠)委員専門家会議」と呼ぶ)はい、これはもう従来からCEAと企画庁との間で行われている会議の名前を日米専門家会議と称しておるわけでございます。その中で、先ほど申しましたように、技術的な問題最近の日本の経済情勢及びアメリカの経済情勢といったようなものについての意見の交換を行っておるわけでございまして、その中では、アメリカ側も日本の経済情勢について民間のいろいろな機関の成長率等に言及していることも事実でございますし、日本側といたしましても、日本側の成長率についての根拠を説明している、当然そういう意見の交換はあるわけでございます。しかし、その報道は私、詳しく読んでおりませんので、どこまでが真実であり、どこまでが推測であるかということまでは申し上げかねますけれども、そういう意見の交換は行われております。
  68. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 アメリカ側はアメリカ側の認識に基づいてやるわけでしょうから、こういうふうに日本の経済成長あるいは六十億ドルの問題、こういうものの実現が無理ではないかという意見があったというふうにわれわれも報道を聞いております。しかもまた、先ほど申し上げましたような経済研究の二団体が、ことしの経済成長について、とてもじゃないけれども、四・六とか五・三とかというような数字を示しておるわけで、これはいまここでやりとりをしていても始まらない問題でございまして、いずれにしても、その結果がどうなるか、福田内閣としても重大な問題でございますから、これに対しては、いつか私も、この席上、通産大臣それから経済企画庁長官がいらっしゃるところで、明快に経済担当大臣としてこれが達成できないときには責任という問題についても私、質問したことがございます。  いずれにしましても、五十三年度の経済のポイントは、円高を背景といたしまして経済の収支の黒字がどうなるか、民間設備投資あるいは個人の消費、こういうものがどんな動きを示すかということが非常に大変なことだと思っておるわけでございますけれども、二百二十円を割り込んだこの円高の原因をどのようにとらえていらっしゃいますか。いままで再々この問題については論議もなされておりますけれども、もう一度、私はこの問題について原因がどこにあったかをお伺いいたしたいと思います。
  69. 澤野潤

    ○澤野政府委員 ドル安円高の原因と申しますと、両国の国際収支、アメリカにおきます経常収支の大幅赤字、日本におきます経常収支の黒字といったものがドル安円高の原因の一つでございまして、全般的な原因といいますものは、世界におきます通貨の情勢、アメリカ、EC各国におきます経済情勢の反映としてそれぞれの通貨の問題というのがあらわれてまいりますのが、現在のフロート制度のもとでの現象ではなかろうかと思っておるわけでございます。
  70. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 そこでお伺いしますけれども円高が輸出、輸入に及ぼす影響、こういうものをお伺いしたいわけでございますが、特に私、ここで指摘しておきたいのは、ドルベースによるところの輸出が前年同期に比して二七%から二八%——これは五十三年の一−三月の問題でございます。前年同期に比してドルベースで二七から二八%ぐらいの輸出増になっている。特に自動車のごときは、二月の数字で見ましても前年同期に比べると輸出が五六・三%増加している。また、円ベースで見ましても六%ぐらい前年同期に比較いたしましてふえているように見受けられるわけでございます。これなどは、特に一たん落ち込んでいたものがずっとまた上がってきているわけでございまして、数量ベースで見ましても五%弱伸びているように思うわけでございます。  こうしたものを見まして、五十二年度の経常黒字の百三十億は明らかに突破されることと思うわけでございますけれども、五十二年度の経常黒字は百三十億ドル強というふうにわれわれは認識するわけですが、数字としても細かいものはまだ出てこないことだと思っておるわけでございますけれども、二月のこの数字を見ましても大変な数字になるんじゃなかろうかと思っております。そういうことを見ますと、五十二年度の改定の見通しの六十億ドルに対して誤差が倍以上になるというふうな認識を私はしているわけでございます。そうした点からいうと、五十三年度の経常収支の黒字六十億ドルも、果たして日本が期待できるような数字が出てくるのかどうか疑問になるわけですが、まず、五十二年度の方の問題について最近の見通し、二月の数字などは大体経済紙に出ておりますので、三月の数字を加えてその数字がどの辺にいくか、この辺についてお尋ね申し上げたい。
  71. 澤野潤

    ○澤野政府委員 五十三年二月に至ります期間の経常収支は先生おっしゃいますように百十七億ドルでございまして、三月にどの程度出るかによりまして、百億ドルをかなり上回るということは確かでございます。  この理由といたしましては、一九七七年、五十二年の暦年におきます数量の増は約三%程度でございまして、その後一月、二月、三月とややその数量の伸びが急速になってきております。その理由といたしまして、私どもが分析いたしておりますのは、まず円高によりますリーズでございます。リーズの動きがあったのではなかろうかというのが第一点でございます。第二点といたしましては、やはり日本の会社は三月決算の会社が多い、その決算期を控えての輸出プレッシャーと申しますか輸出の押し出しといったような現象があったということ。それから、四月一日から太平洋運賃が七%引き上げになっております。それから、米国西海岸の港湾ストが七月ごろからあるのではなかろうかという見通しが強まっておるといった予想がございまして、一、二、三月、特に二月、恐らく三月もそうだろうとは思いますけれども、五十三年度の輸出の前倒しが行われたのではなかろうかと思っておるわけでございまして、この趨勢は決していわゆる基本的なトレンドではなくて、非常に短期的、しかも臨時のトレンドではなかろうかと思っておるわけでございまして、五十二カレンダーイヤー中の三%増といったようなものが五十二年度における実質の趨勢ではないかと思っておるわけでございます。
  72. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 もう一つ伺いたい点は、五十二年度の年度内に、これは三月一日に私は質問したわけですが、そのときに経済企画庁長官お答えになったことがございまして、十億ドルの緊急輸入という問題でございますが、長官お答えになったのは、「いわゆる緊急輸入という形で行われておるものもございますけれども、ほぼ年度内に十億ドル程度のものが完了するというふうに考えております。」通産大臣宮澤長官お答えを肯定されております。私、その後緊急輸入の十億ドルの中身を聞いて、それもお話を伺い、資料もちょうだいいたしましたけれども、現実にこれらのものはどのような経過をもって年度内には達成できたか。まだいまのところは掌握しておりませんか。それとも掌握ができておりますか。
  73. 西山敬次郎

    ○西山政府委員 昨年の九月に決定いたしました緊急輸入対策のうち、大体十億ドルのうちでございますが、通産省関係が約八億ドル弱、農林省関係が二億ドル余りということになっております。そのうち通産省の関係につきまして御説明させていただきます。  原油の貯油量の積み増し、これにつきましては当初三百六十万キロリットルと見越しておったわけでございますが、その後実績におきましては四百六十万キロリットルの積み増しということになりまして、これによりまして約四億ドルの積み増しになっております。次に、非鉄金属関係の備蓄の拡充でございますが、銅及び亜鉛につきまして約三百億円の積み増しを行っております。さらに、ウランにつきましては、原電あるいは四国電力がウラン鉱石を購入いたしておるわけでございますが、原電は約一億二千百万ドルの支払い、四国電力は約一千八百万ドルの支払い、合計一億四千万ドルの支払いを行っております。最後に、ナフサでございますが、ナフサにつきましては、約百五十万キロリットル通常ベースよりも積み増して、九百万キロリットルを予定しておるわけでございます。最終的な輸入実績はいま手元にまだ集計されておりませんが、これにつきましてはほぼ達成されたとは思っておりますけれども、その後の需要の落ち込みによりまして、若干目標を下回ったかとも見込まれておるわけでございます。
  74. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 いまお話を伺いましたが、これは最終的な数字がまとまるのはいつぐらいになるかわかりませんけれども、最終的な数字がまとまりましたら通産関係だけ、農林関係はまたほかに私がお願いいたしておりますので、ぜひお知らせ願いたいと思っております。  それから、先ほどもちょっと触れましたが、三月十一日の輸入促進の措置、この問題でございますけれども、現実の問題としてこの輸入促進措置によってどのぐらいの輸入額が見込めるのか、この辺の見通しは通産省はどのように持っていらっしゃいますか。
  75. 西山敬次郎

    ○西山政府委員 三月十一日に決定いたしました緊急輸入対策は四項目あるわけでございます。そのうち民間航空機の購入につきましては、運輸省におきまして鋭意検討を願っておるわけでございます。さらに、航空機のリースあるいはタンカーによる原油の備蓄及び非鉄金属の備蓄でございますが、これらにつきましてはちょっと現在のところ確定した見込みはできませんけれども、大体十億ドルから二十億ドル近いものが達成できるのじゃなかろうかと思っておるような次第でございます。
  76. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 タンカーの原油備蓄の問題につきましては、石油開発公団法の改正等もありますし、これからこの問題は具体的に当委員会でも調べていかなければならない問題でございますけれども、果たしていまおっしゃったような数字が出てくるかどうか。一説によりますと、私の聞いておるのでは、七億ドルから八億ドルというようなことを言っておりますけれども、いまおっしゃった数字と大分隔たりがありますけれども、この点はどうなんでしょうか。本当にできるのですか。いろいろな問題ございますよ。民間航空機の輸入の促進といったって、こんなことはとてもじゃないができないと私は思いますし、また、リースの問題にしましても、発展途上国にそういった航空機を貸与するというような事業の具体化、これは非常に問題点が残ると思っておりますので、果たしてこの緊急輸入の措置によってどのようなものが見込めるか。私は七億ドルか八億ドル、せいぜいそんなものだと思っておったわけでございますけれども、いまのお答えでは非常に多いように思いますけれども、どうでしょうか。     〔中島(源)委員長代理退席、山崎(拓)委員長代理着席〕
  77. 西山敬次郎

    ○西山政府委員 ただいま申し上げました各項目のうち、特に非鉄金属あるいは鉄鋼関係のペレット、これらの備蓄につきましては、これを外部に公表することによりまして国際的な市況を変動させるおそれもありますので、これにつきましては十分な配慮を要すると思うわけでございます。  その他航空機につきましては、ただいま運輸省で検討中ということと、それからリースの関係でございますが、これにつきましても、航空機のみならずその他のものにつきましても現在検討中でございまして、いま七億ドルあるいは八億ドルという先生の御指摘でございますが、われわれとしましては十億ドルないし二十億ドルぐらいが目標ということで、恐らくこれは可能であろうと確信しておる次第でございます。
  78. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 それから、もう一つ円高関連しまして、五十三年度の経常黒字を六十億ドルに抑えよう、このためには強制手段によるところの輸出抑制はとらない、こういうのが通産省、通産大臣のお考えのように承っておったわけでございますが、新聞の報道によりますと、明十五日に輸出抑制についての目標を発表するというようなお話でございまして、新聞にも出ております。自動車については、「五十二年度の輸出台数は約四百六十二万台と推定されている。通産省は当初、自動車も昨年並みに抑える方針だったが、この一−三月に百二十六万台が輸出されて、前年同期と比べて大幅に増加したため、五十二年度よりやや減らして四百五十五万台前後にする」、そうするとこれは七万台ほど減少、厚板の方もこの記事によりますと五%減らす方針だ、カラーテレビなどについても以下に抑えるというような種々の報道がございます。明十五日、この点について発表になる御意向のようでございますが、すでに新聞にはこのように発表されているわけでございますので、ぜひこれらに関する資料を私ちょうだいをいたしたいと思うわけでございますが、提出をしていただけましょうか。
  79. 西山敬次郎

    ○西山政府委員 ただいまの輸出を昨年度並みに調整するという問題でございますが、あす新聞で発表いたしたいと思っております。その発表分につきましてはお届けさせていただきます。
  80. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 いままでの方針は、大体前年度並みというふうに、余り通産省としては輸出抑制ということについてはなさらないというふうな御意向のように私たちは受け取っておったわけでございますが、これは明らかに輸出の目標を示すということによって抑制をしよう、このようにお考えでございますか。そう受け取ってよろしいわけですか。
  81. 西山敬次郎

    ○西山政府委員 年度初めに計画検討いたしました段階におきましても、輸出の数量は五十二年度横ばいという感じ見通しておったわけでございます。恐らく見通しとしましてもそういう横ばいであろうかと思っております。通産省としましては、輸出につきましては、基本的に集中豪雨的な輸出があって相手国の市場を撹乱する場合は調整をするということでございますが、その他あるいは思惑とかいうようなことで増加するようなことがもしあれば、それを調整するということでございまして、従来の方針を変更したわけではございません。
  82. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 いろいろまだまだ問題が残っておりますので、時間をはしょります。  大蔵省、おいでいただいていると思いますので、ちょっと一点だけお答えをいただきたいわけでございますが、先ほども申し上げましたように、きょうは二百十九円四十銭から五十銭というような状態でございます。そうした円相場の高騰に対しまして為替市場への介入というものはさらに強力に続けるのか、それとも成り行き任せにするのか、こういったことについて大蔵省としてはどのようにお考えであるか、また日銀とどのように連携を保ちつつやっているのか、この辺をひとつお答えをいただきたいと思います。
  83. 平尾照夫

    ○平尾説明員 先ほどから御論議がございますように、最近の為替市場、一方において米国の大きな国際収支赤字、他方わが国の方の輸出が堅調であるということで、二月の中旬以降かなり円高になったわけでありまして、ここしばらくの市場の動きを見ておりますと、二百十八円あるいは十九円台というところで落ちつきを戻しているように思います。  市場に対する通貨当局の介入の政策は、繰り返し申し上げておりますように、基本的には相場の形成は市場の実勢にゆだねる、しかし、激しい乱高下がある場合にはもとより断固として介入をするという姿勢で今後やってまいりたいと思います。具体的に今後どういうぐあいになりますか、これは情勢のいかんにもよりますし、われわれとしましても、為替市場への影響ということがございますので、通貨当局としては具体的にどうするかということは発言を差し控えさせていただきたいと思います。
  84. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 大蔵省の方、お帰りいただいて結構でございます。  それで、通産大臣お尋ねいたしたい点は、四月の十一日に、私ども公明党といたしまして、総理に対しまして円高緊急対策で申し入れをいたしました。総理に直接お渡ししたわけでございませんが、官房長官に対しましてお渡しをいたしたわけでございますが、こうしたわが党の円高の緊急対策というようなものは、総理の手元から通産大臣のところにその資料といいますか、私たちの申し入れというものは即刻伝わるものでございましょうか。
  85. 河本敏夫

    河本国務大臣 伝わっておりません。
  86. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 そこで、私はお尋ねしたいのは、安倍官房長官のところへ総理あてに持っていった、しかも緊急を要する円高対策というようなものを私どもが持っていっても、それが一番関係するところの通産大臣の手元まで行かないというのは、これはちょっと連絡が悪いと思うのですけれども、この点はどう思いますか。
  87. 河本敏夫

    河本国務大臣 新聞では拝見をいたしましたが、なかなかいいことが書いてあると思いました。
  88. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 新聞でごらんになったけれども、正式な書類は見ておらぬ、こういうお答えでございます。なかなかいいこと書いてあるという御批判ありがとうございます。しかし、私どもといたしますと、これは当面の問題として何としてもこれを実現しなければいけない、やってもらいたい。しかし、私たちは野党でございますので、どうしても政府にこのことは強力にやってもらいたいというところで申し入れをしたわけでございます。特に七つの項目につきまして申し入れをしておるわけでございます。  新聞でごらんになったとおっしゃいますから改めて申し上げることもないと思いますけれども、一番目に、今国会の会期中における減税景気対策を盛り込んだ補正予算の編成など「財政上の追加措置」、二番目に「公共事業の適正な推進」、三番目に「住宅建設の促進」、四番目に「雇用対策の強化」、五番目に「構造不況業種対策及び中小企業対策の強化」、六番目に「円高差益消費者への還元強化」、七番目に「通貨安定策の強化」、こういった七項目について申し入れをしたわけでございます。特にこの中で私どもがぜひともやってもらいたいことについて一点申し上げておきまして、またお答えをいただきたいわけでございます。  「財政上の追加措置及び財政計画の策定」、この問題は第一項の問題でございますが、いま申し上げましたように八十四国会の会期中に補正予算を編成して次のような対策を重点的にやりなさいということで、一番目は「年金制度の抜本改正に着手することを前提とし、当面老齢福祉年金二万円の実現など各種年金の給付額の引き上げ及び生活保護費の引き上げをはかること。」二番目に「大幅所得税減税を断行することとし、その規模は自民党が約束した三千億円を含め一兆円程度とすること。なお減税財源については不公平税制是正、既定経費の効率的運用のほか、不足分については緊急避難措置として赤字国債を充てること」。これは第一項目のところが問題でございますが、私は特にこの第一項を申し上げまして大臣の御見解を伺いたいわけでございます。
  89. 河本敏夫

    河本国務大臣 私は、公明党の経済政策についての御意見はかねて承知をいたしておりましたが、その要点は、雇用問題を解決するために七%成長は必要である、こういう基本的な認識の上に立っての幾つかの政策を述べておられると思います。  そこで、政府の方も七%成長、六十億ドルの経常収支をことしの経済の目標にしておるわけでございますが、もしこれが達成できない、あるいはむずかしい条件が発生をした、こういう事態が起こりますと、当然追加措置を考えなければならぬと思っております。しかし、予算が十日ばかり前に成立して実行に移したばかりでございますので、いますぐ追加措置を講ずるということではなく、さしあたりは公共事業を四月−六月の間に集中をいたしまして、その動きを見た上で必要なら追加措置をと考えておるところでございまして、いますぐいまお述べになりました具体的なことを決定するのはいかがなものか、このように思います。
  90. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 わが党も、確かにトータルプランの中では七%成長を達成しょうということで、いろいろの施策を野党のわれわれとして考えていることを言ったわけでございますけれども、特に政府としては、ことし五十三年度に七%成長することが日本の将来のためにも大いにプラスになるというところからお考えになっているようでございます。また、ことしの予算につきましても、十五カ月予算という話で、この予算の効果か出ることをわれわれも期待しているわけでございますけれども、なかなかそうまいらぬようなところから、私たちといたしましては、この円高問題に関連いたしまして緊急的な申し入れをしたわけでございまして、この趣旨をぜひ理解をしていただき、またこれらの要望に対して私どもは重ねて達成をぜひとも自民党政府福田内閣に要望をいたしておくわけでございます。  約束の時間もあと二分ほどでございますので、申しわけないのですが、中小企業庁長官に何点か申し上げますので、ぜひひとつこの点についてまとめてお答えをいただきたいと思います。  二月十四日から円高対策法が施行されまして、この結果かなり効果が出ていると私ども聞いておりますが、たとえば中小企業の為替変動対策緊急融資制度が昨年の十月に発足いたしまして、今日までの間にどれくらいの実績、言うなれば件数、金額でどれくらいのものが緊急融資として行われたか、これを伺いたいのが一点。  それから、為替変動対策緊急融資はかなりの方々が利用されているようでございますが、特に三月末から二百二十円台を割るという段階に入って、急激な変化の及ぼす影響がこれからも出てくると思うわけでございます。そうしたことを懸念するわけでございます。したがいまして、為替変動対策融資につきましても、貸付限度枠の拡大、現在五%の金利をさらに引き下げるお考えがあるかどうか、それから融資の取扱期間が本年六月三十日までとなっておりますが、これを延長するお考えがあるかないか。  三番目の問題といたしまして、政府関係の三金融機関から貸し出しがされている問題について、三月十五日の公定歩合引き下げに伴いまして、新規の貸出金利が引き下がっておりますが、既往の金利引き下げの要望も非常に多いわけでございまして、四月一日に既往の金利引き下げ決定したわけでございますけれども不況業種に属する赤字企業に対象が限定されております。長期の不況で厳しい経営を続けている中小企業の中には、赤字転落を防ぐためにみずからの努力を積み重ねているものがたくさんありますが、この既往の貸付金利引き下げについてどのようにお考えであるか。私どもは対象を限定することなく広く引き下げを図るべきであると考えておりますが、この点についてどのようにお考えであるか、この三点について中小企業庁長官お答えをいただきたいと思うわけでございます。
  91. 岸田文武

    ○岸田政府委員 私ども産地に参りましていろいろ話を聞いておりますと、円高対策法をつくってよかったという声が聞こえてまいります。それなりに効果を上げているのではないかと思っております。  お尋ねの第一点の為替変動対策緊急融資の実績でございますが、十月から今年三月までの貸付総額が八百二十三億円に達しております。そのうち特に三月に実行したものが四百七十億円でございまして、三月に大変集中したということが申せるかと思います。  これらの一連の円高対策につきましてさらに改善強化を図ってほしいという声は、各産地、特に二百二十円割れを控えまして声が強いのでございまして、私どもも従来とりました対策について見直しが必要ではないかと考えておるところでございます。  それから、既往金利の問題につきましては、御承知のとおり不況業種の赤字企業に対して既往金利の軽減措置を講じ、さらに今年四月からその軽減幅を〇・五%拡大する措置を講じたところでございます。既往金利の軽減は確かに中小企業から強い声がありますことは承知いたしておりますが、会計上なかなかむずかしい問題がございまして、いろいろ苦心をしながらいまのような形にまとめたという経緯になっておるところでございます。ただ、不況業種も最近は非常に拡大されまして、製造業の約四七%が不況業種に属するところまでまいっております。赤字企業の認定等につきましては、三機関の窓口へ行って篤と御相談をされれば、いろいろ実情に応じて配慮が行われるのではないかと思っておるところでございます。
  92. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 以上できょうの質問は終わりますが、最後に、特に大臣にお願いしておきたい点は、三月危機と言われたものが非常に深刻でございまして、ここのところ、われわれの周辺にも何件かの新しい倒産が出ております。大型倒産も出ておりますけれども中小企業の方々の倒産というものは非常に後を絶たない、引き続いて出ておる、こういう状態に対してわれわれも危惧をしておりますので、何とかこういう面に対して温かい手を差し伸べていただくことを特に御要望申し上げておきます。
  93. 河本敏夫

    河本国務大臣 最近の急激な円高に伴いまして中小企業は相当大きな影響を受けておりますので、この対策に対しましては万遺漏ないようにやっていきたいと思います。
  94. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 終わります。
  95. 山崎拓

    ○山崎(拓)委員長代理 工藤晃君。
  96. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員(共) 最初に、円高問題について伺いますが、河本通産大臣が一月二十七日の商工委員会答弁におきまして、ここにございますが、「現在の二百四十円という水準は、ほとんど全部の日本の中小企業それから貿易産業はやっていけない、赤字になる状態でございますから、現在の水準は、私は日本の経済の実力以上の評価になっておると思います。」と答弁されております。後でも、「現在の水準ではほとんど全部の産業がやっていけないということでありますから、実力以上の評価である、それは私は、貿易収支の改善と同時にある程度修正されるであろう、このように期待をしておるわけであります。」こう答弁されておりますが、その後二百三十円を割り二百二十円まで、あるいは二百二十円を割るところまできましたが、いまの状況について、二百四十円のとき以上に深刻なのでありますが、先ほど言われたような認識といいますか、判断といいますか、それは同様のものかどうか、それについて最初確認しておきたいと思います。
  97. 河本敏夫

    河本国務大臣 昨年の十一月に、二百四十円水準でこれが産業界全体にどういう影響があるか、あるいはまた七十九地区の輸出を中心とする産地産業にどういう影響があるかということについて調査をいたしました。その時点では、先ほどお述べになりましたような答弁をしたわけでございまして、産業界全体に対して、二、三の業種を除きましては非常に大きな深刻な影響が出ておりました。また、中小企業も二百七十円ぐらいでないとやっていけないという業種がほとんどでございまして、二百七十円を超えてさらにそれ以上高くなるととても大変だ、こういう業種が非常に多かったのであります。  そこで、私どもも大変心配をいたしまして、特に中小企業に対しましては緊急に円高対策という法律をお願いをいたしまして、二月十四日から実施をすることにしたわけでございますが、ごく最近になりまして、再び円高傾向が出てまいりましたので調査をいたしましたが、昨年の秋は実は産業界に衝撃的な影響があったと思います。しかし、今回の調査は、やや円高なれしたといいますか、昨年秋ほどの衝撃的な影響は出ていない、こういう感じでございます。かつまた、昨年の秋の調査で言えば、二百四十円を超えて二百二十円になったわけでありますから、非常に心配状態が当然出てこなければならないはずでございますけれども、その間政府がいろいろ対応策を考えましたのとあわせて、企業自体もやはり自衛のためのある程度の対応策をいろいろ進められたと思うのです。ある程度は対応ができた、しかし対応できない企業もたくさんある、業種もたくさんある、そういう感じでございますので、特にこの中小企業に対しては、ごく最近の二百二十円という水準では何らかのやはり援助の対策が必要であろう、こういうことで、いま政府部内の調整を図っておるところでございます。
  98. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員(共) 二百四十円のときに、これは実力以上の評価になっていると言われ、いまも中小企業にとって大変だということから同じような考えである、いまの答弁、そう伺ってよろしいですか。
  99. 河本敏夫

    河本国務大臣 昨年秋のような衝撃的な影響は出ておりませんが、しかしながら、深刻な影響が出ておることは事実でございます。そこで、何らかの対策が中小企業には必要であると考えまして、いま申し上げましたように、政府部内で調整をしておるところであります。
  100. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員(共) ところで、最近円高が二百二十円、それからそれを割るようなところに進む段階において、円高の日本経済全体に及ぼすいろいろな影響の中で、どうもメリットの方が大きいという議論もしばしば聞かれるようになったわけであります。たとえば、これは財界の土光敏夫氏が三月三十日の記者会見で、円高に対応できない業種は世界市場で適応性がないのだ、円高で産業構造が変われば日本経済に弱点がなくなってよろしい。それからまた、日本経済新聞が四月二日、これは日本興業銀行の小林調査部次長の話ということでの引用でありますが、要するに日本の場合、生産性の高い産業と低い産業がある、高い産業は黒字をかせぐけれども、低い産業の方は保護しておくと輸入がふえない、それで円高が続く、だから思い切った構造政策が必要なんだ。つまり、輸出をどんど伸ばせる産業は伸ばしていけばいいだろう、そして円高になって、これは輸入品との競合が同時に強まってきますが、そこでやっていけないところは思い切って切り捨てるようなことをやれば、こういう方向円高メリットが生かせるという議論が出てきているわけであります。言ってみると、円高をプラス・マイナスするとプラスの方が大きいということで、いまの円高が二百二十円に至ったこと、さらにそれを割る進行を是認するような議論が見られるようになった。  いま引用したのは民間意見なのですが、もちろん私たち共産党も、円高になってそれが物価に影響をどう及ぼすか、その場合、大企業為替差益を徹底的に吐き出させるということが物価安定につながるという、その面に限って言えばあることは指摘しておるし、そのことを要求しておるわけでありますが、総体的ないまの日本の経済全般、国民経済全般に及ぼす影響で、いまのような議論について政府としてはどうお考えになっているのか、政府も大体そういう考え方になりつつあるのかどうか、ちょっと伺いたいと思います。
  101. 澤野潤

    ○澤野政府委員 円高の問題、それが経済にどういう影響を及ぼすかということは先ほどからるる申し上げたところでございますけれども、いま先生のおっしゃいました円高メリット、これにつきましては、実は私、先ほどは言及を特にいたしませんでしたのでございますが、確かにあるわけでございまして、デメリットといたしましては、円高が長期的に続きます場合には、輸出数量の減少、輸入数量の増加といったことで、経済活動に対してデフレ効果をもたらすというデメリットは確かにあるわけでございまして、これは消費者心理とか企業マインドに対する影響があるわけでございますけれども、一方、円高メリットといたしましては、輸入品価格が下がるということ、この円高差益還元の問題は、いま政府といたしましても検討いたしておるわけでございますけれども、そういった面におきまして消費者に対しまして消費支出の増加になるといったような影響もございますし、また企業にとりましても、原材料の輸入価格が安くなるといったようなことで企業活動活発化するという方面のメリットもございます。そういうデメリットメリットを勘案いたしまして、政府といたしましては経済見通しといたしまして七%の実質成長率は確保できるのではないかということは先ほど申し上げたとおりでございます。
  102. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員(共) いや、メリットもあるデメリットもある、七%もできます、そういう答弁ではなしに、いま政府として、二百四十円、二百三十円、二百二十円と進み、いま一応二百十八とか二百十九でございますが、まだどうなるかわからない、そういう状況において、こういう事態というのが、五年来の不況に陥っている日本の経済、そして失業者が百三十六万人というような状態、こういう中において全体としてこれはメリットの方が大きいという判断に変わってきたのかどうか、それを伺いたいので、今後のことについて聞いているのじゃない。全体としてそういう判断に変わってきたのかどうか、そのことだけ大臣に伺いたいわけです。
  103. 河本敏夫

    河本国務大臣 いや、決してそういう判断に変わったわけではございません。
  104. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員(共) ところで、大蔵省の松川財務官が四月十一日、近代化協会主催の経済問題懇話会で、「最近の世界経済事情と日本」と題して講演した、これは各紙に広く伝えられたわけでありますが、その主な内容というのは、輸出面での為替差損よりも輸入面の為替差益の方が大きい、だから国民経済全体で見ると円高はよい影響がある、円高はいまどうも不況のスケープゴートにされている、こういうのは大変遺憾であるという趣旨を堂々と述べられたことが伝えられております。この内容の詳細にわたってということは別として、政府はこういう全体として見れば国民経済にプラスであるという判断には立ってないのだということと了解してよろしいですね。
  105. 河本敏夫

    河本国務大臣 私は、その演説の内容は知りませんけれども政府全体といたしましては、そういう判断に立っておるわけではございません。
  106. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員(共) いまのようなはっきりした答弁はいただきましたが、実際こういう最近出てきた円高メリット論、とりわけ伝えられる松川財務官の円高メリット論というのは、実はその一カ月前も、ある都市銀行の試算という形で似たようなことが新聞にも伝えられていたわけなんですが、これは一体だれの立場からの議論かということ。やはりわれわれは円高問題というのは本当に勤労者や中小企業、それから日本経済全般を発展させるという立場から考えなければいけないのに、個々の大きな企業立場からすれば為替差益もございます、そして為替差損はそれで補えるでしょう、あるいは差益の方が大きいかもしれない、また大企業ならば直接投資という形で海外へ進出していけば、そこを拠点とした海外市場の進出もできる、いろいろ利益があり、そしてプラス・マイナス合わせればプラスの方が残るということもあるかもしれない。だれの立場でこういう議論が出てきているのかということと、いま日本経済が一体どういう状況のもとに円高が重ねて起きてきて影響を与えているのか、こういう点が実に私ははっきりしてない議論だと思うのです。  要するに、五年続きの前例を見ない激しい不況が続く中で、前例を見ない円高が重なってきており、すでに戦後三十年以上続いた日本の資本主義の非常に急速な蓄積で過剰蓄積になってしまって、そこが不況になっている。そこで過剰設備などという問題があり、そしてこの円高の中で中小企業だけでなしに、いわゆる構造不況産業が一層厳しい状態になってきて、失業者もふえているわけであります。そういうことから、だれの立場に立った議論であるか、あるいはそういう状況を踏まえていない議論であるか、そういう考え方政府がとるということは絶対あってはならないし、いまの大臣答弁はそうでないというふうに伺ったわけであります。しかし、実際これから首相がアメリカへ行って大統領と会談するときに、日本政府の中に、いまの円高は大変結構、二百二十円も結構、もっと進むことも結構という立場だったら、一体アメリカへ行って何を要求するのか。アメリカにも問題があると言っているけれども、日本の方が結構だ、そういうことにさえなってしまうわけでありますから、私はこの問題につきましてはこれ以上質問しませんが、この点をはっきりさせることと同時に、わが党がかねてから言っている円高に対する抜本的な対策をとれ、これはもう繰り返しませんが、やっていかなければならないと主張する次第であります。  さて、時間もありませんので、次に私は官公需の問題について伺いたいと思います。官公需法に基づきまして、毎年、内閣として年度の目標をつくるわけでありますが、五十三年度目標はいつ決めることになっておりますか。
  107. 岸田文武

    ○岸田政府委員 年度が終わりますと、関係各省で官公需の中における中小企業比率を集計いたしまして実績が明らかになり、その実績をもとに明年度の計画をつくり、それを中小企業庁を中心に調整をして閣議決定に至る、こういう段取りを経るわけでございまして、ここ数年、七月に閣議決定を行うという例になっております。大体今年もそのような目標になってくるのではないかと考えております。
  108. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員(共) いまお話しのように、各省庁がまず出して、それをまとめて七月、これは昨年の例で言いますと七月二十六日ですね。まあ下旬ということですが、ことしは中旬か下旬か、これもまだお答えいただいておりませんが、しかし、いま同時に公共事業を上半期へ集中して発注するということをやっているわけですね。集中的に発注されるのが七割を超える額だというふうに聞いておりますが、そうしてしまうと、七月下旬あるいは中旬ごろまでだと、ほとんど全体の五割くらい発注されてしまうのではないか。その五割の過程において中小企業へこの官公需がより多くいくかどうか、これは大変大事な問題だと思うのですが、その間、この閣議決定までの間に中小企業へ発注をうんとやるという対策をとっているのですか、どうですか。
  109. 岸田文武

    ○岸田政府委員 関係各省には官公需の連絡会等を通じまして官公需の中における中小企業を少しでも高めていただくようにお願いをし、関係各省でもその趣旨はよく理解をしていただいておると思っております。したがいまして、閣議決定に至る前でも絶えずその方向での御努力はいただいておると思うわけですが、ことしは特に大事な年でもございますので、実は四月一日に、関係各省に中小企業庁から、中小企業向けの官公需確保について特別のお願いをいたしたということでございます。
  110. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員(共) しばらく前のことでありますが、五十一年一月二十七日の本会議で、当時の三木首相が、わが党の紺野議員の質問に対して、官公需はできれば五〇%に持っていきたい、今後努力していく所存でございますと答弁されておりますが、官公需法の所轄大臣として、大臣もこのときと変わらず五〇%に持っていきたいという決意があるのかどうか、伺いたいと思います。     〔山崎(拓)委員長代理退席、委員長着席〕
  111. 河本敏夫

    河本国務大臣 官公需の発注は、中央の分は三五%前後でありますが、地方の分は七〇%前後になっておりまして、全部を平均いたしますと大体五〇%前後まで高められておるわけでございます。三木総理大臣のその当時の答弁は、多分中央のものだけで五〇%前後に持っていきたい、こういう御意向であったと私も記憶しております。一遍にそこまで持っていくことはむずかしいわけでありますけれども、若干時間をかければ、そして努力をすれば必ずしも不可能ではないと思いますので、その方向で努力をするつもりでございます。
  112. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員(共) しかし、実際は先ほど言いました閣議決定までの期間の問題です。私は繰り返し伺いたいのですが、たとえば五十二年度の三五・二%の達成も、その後の補正でかなり大型プロジェクトが入ってしまったとか、あるいは年度内に達成しなければいけないということでかなり心配されている、これが実情だろうと思うのです。それから、とりわけ十五カ月予算ということで大型プロジェクトがかなり組まれてきましたが、これはもう多くの事実で明らかになっているように、ほとんどが大企業へ発注されております。五十一年度実績で東北新幹線は中小企業へ行ったのがわずか七%、上越新幹線もわずか七%、本四架橋公団がわずか七・二%、これが実情であります。あるいはまた、国としてもその推進に対して責任のある苫小牧東部工業港の建設などについてもはっきりそういう事実があります。  時間がありませんので、非常に詳しいことは述べませんが、こういう実情であって、しかも五〇%は七月ごろまでに発注されてしまうだろう、こういうときに、七月までの体制が、いまのままでいくとはっきり言って五十二年度の実績ベース三五・二%を横ばいにするかあるいはよくても少し上回る、それぐらいでいってしまうだろう。そうすると、今年度閣議目標を立てるといっても、その既成事実によって結局新しい年度の目標が決められてしまう。つまり、五十三年度目標を最初から去年よりも大いに高めてやろう、そういう積極的な姿勢で目標をつくるというよりも、各省庁の七月までの既成事実によってその目標が低められてしまう、こういうことになるのじゃないかとおそれておりますが、これはどうでしょうか。
  113. 岸田文武

    ○岸田政府委員 官公需における中小企業向けの発注比率の拡大ということは、かねてからの中小企業政策の大きな柱になっておりまして、関係各省の御協力を得ながらいままで努力を積み上げてきたところでございます。いま正確な数字が手元にございませんが、たしか十年ぐらい前はいまの比率よりも一〇%程度低かったかと思います。それを逐次積み上げ積み上げて今日に至ったわけでございまして、私どもはこういう努力を今後とも引き続きじみちにやっていかなければならないと思っておるところでございます。お話のようにいろいろ新しい情勢が出てきております。それなりに困難な面はございましても、その中で少しでも工夫をし、また運用等について改善を加えることによって前進を図っていきたいと思っております。  ただ、同時に考えておかなければいけませんのは、中小企業の方もそういうような体制に即応できるような体制づくりということが大切でございまして、そういう面での指導、助成等も今後特に気をつけていく必要があろうと考えておるところでございます。
  114. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員(共) 確かに昔に比べれば高まっているでしょう。七年間に一〇・二%ぐらい高まっている、これはいいのですが、しかし、三五・二%という数を見ても、逆に大企業の方が依然として大部分であるということを示すわけです。問題は、先ほど言いましたように閣議決定の方針をつくるときの過程が、政府として積極的な目標を示してそれでやらせるというのではなしに、各省庁から積み上げさせてきて、その結果集まってきて、後はまた中小企業庁が折衝されるでしょう、それが閣議決定の方針になる、こういう受け身のつくり方であるということが一つ。それから、いま言ったように、とりわけ今年度みたいに上期に集中発注をしてしまうと、事実上閣議決定前に五割方は勝負がついてしまう。中小企業庁だとか今度つくられた推進本部ですか、それがいろいろ通達を出したとしても、そこが徹底しないと非常に低い実績を踏まえたものに縛られてしまうのではないか。この二つの点から私は非常に危惧を抱いて言っているわけですが、そういう点でもう少し具体的に聞きたいわけです。  中小企業庁として、各省庁に対して中小企業向けの官公需をふやしなさいといって推進する人は一体何人いるのか。それから、今度新しく大蔵大臣のもとに設けられました公共事業等施行推進本部の体制の中でそういうことを専門に督促する係というのは、一体どういう人がどのくらいおるのか、伺いたいと思います。
  115. 岸田文武

    ○岸田政府委員 先ほどのお話の中で、もっと目標自体を早目に確定すればそれでいいではないかという感じ御意見がございましたが、実は私どもは、目標の数字だけ決めればそれでいいというやり方ではなくて、むしろ一つ一つ関係各省と御相談をし、各省ごとにどういうところまで可能かということを議論しながら、その議論を詰めていって目標をつくる、この過程が特に大切ではないかと思っておるところでございます。各省もそれなりに自分の数字について責任を負い、また努力もされる、こういうことが特に大切のように思っておるところでございます。  いまお尋ねのございました中小企業庁の官公需に対する組織の問題でございますが、中小企業庁の中で下請課がこの問題を担当いたしております。専任で官公需問題に取り組んでおりますのが二名でございます。そのほかに企画、総括の担当者がこれを応援するという体制で処理をいたしております。
  116. 宍倉宗夫

    ○宍倉説明員 公共事業等施行推進本部の庶務は大蔵省主計局でやっておりますが、いまお尋ねの官公需専門の係員というものはおりません。
  117. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員(共) 重ねて伺いますが、官公需法の対象機関はどこになっておりますか。
  118. 岸田文武

    ○岸田政府委員 官公需法の対象となりますのは、二十八省庁と十公社公団でございます。
  119. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員(共) まさにそうなんですが、そうしますと、そのほかにあるいろいろな特殊法人に対して中小企業庁として五十七指示を行っておりますが、行っていないものはどのぐらいありますか。
  120. 岸田文武

    ○岸田政府委員 いままで伝統的にそのような区分を持って措置をいたしておりましたが、これは厳密に申しますと、特殊法人の中でも特別に私どもの措置の対象になっているものと、それから各省庁の中に含まれているものと二種類ございます。そういうようなことを伝統的にやっておりますので、御報告させていただきます。
  121. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員(共) 先ほども国の方の伸びとそれから公社などの伸びと比べますと、四十六年と五十二年比べますと、国の方は三〇・九から四.三・九で伸びが一三%、公社などは二〇・九%から二九・一%でわずか八・二、非常に成績は悪いわけですね。しかも対象にされているのは、三公社、七公団にすぎない。そのほか多くの特殊法人があります。  これはそのうち五十七の方は指示されて、各省庁が書くときこの中に書き込んでくるようなんですが、指定されていても書いていないところ、書かれてないものがたくさんあるわけであります。たとえば本州四国連絡橋公団だとか宅地開発公団なんというのは書かれて出てこない。そういうことに加えて、そういう特別の法人、やはり根処法があって、設立の法があってそれでつくられたものであるというものでも、私が調べたのでも約四十は全然これは指示もされない、指定もされない、対象にももちろんなってないということであります。  たとえば国民金融公庫などは含まれていても、指定されても、商工中金の方は除外されているとかいろいろあります。中央競馬会は指定に入っていても自転車振興会は除外されているとかいろいろあるのですが、一つ私が問題提起したいのは、こういう政令事項である対象、それからまた同時にこういう指定、そういうものをこの際再検討すべきではないかと思うわけです。そうしなければ幾ら官公需官公需と言っていても、かなりのところが抜けてしまうということになるじゃないですか。そういう点につきまして、そういう再検討を行うべきであるということに対して意見を伺いたいと思います。
  122. 岸田文武

    ○岸田政府委員 御指摘の範囲の特殊法人がどの程度までの範囲をお考えであるのか、私もまた別にお聞かせをいただきたいと思いますが、特殊法人と言われるものの範囲もずいぶんいろいろの定義があるようでございまして、そのとり方を私どももう一工夫をしてみたいと思います。それと同時に、直接に指示する対象といいますか、政令として取り上げる対象、これらにつきましても、必要の都度見直しをしてみる必要があろうと思っておるところでございます。
  123. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員(共) 事実は、そういう特殊法人を含めて事実上公共事業も推進するし、あるいはまた宅地開発公団とかそういうものも含めて、それがまた対象になってないということがあるのですから、その点ははっきり見て、この際見直すべきだと思います。  それで、最後に一問ですが、ともかくいま伺っただけでも、なるほど中小企業庁と各省庁との折衝が行われてできると言いますけれども、ことしは特別新しい事情として上期の集中発注というのが行われる、それからまた大型プロジェクトがふえているという事情も加わっているということであるならば、せっかくいろいろな対策の本部をつくったりしていても、実際専門に推進するメンバーがいない、中小企業庁でも専門はわずか二人である、こういう体制は大変どうかと思います。同時にまた、政府を挙げて、それこそ地方の支分部局への徹底といいますか、これを図らないと、あるところではこの程度のことを中小企業発注しているのですが、似たようなことが全然よそではやられない。たくさん見ております。時間がないので、とてもきょうはそれを挙げられませんけれども、そういう実態でありますので、どうしても今度の閣議決定までの間の体制を強化するということを私、要望しますので、最後に大臣、伺いたいと思います。
  124. 河本敏夫

    河本国務大臣 そのように努力をいたします。
  125. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員(共) では、これをもって質問を終わります。
  126. 野呂恭一

  127. 大成正雄

    大成委員 きょうも最後で恐縮でございますが、お許しいただきたいと存じます。  過般、本委員会におきまして、私は、自転車を消費生活用製品安全法の特定製品に指定してはどうか、こういったことに関しましてただしたわけでありますが、その際の政府答弁をさらに検討いたしました結果、この際、本件に関しましてもう一回さらに掘り下げて考え方をただしてみたい、このように存じますので、よろしくお願いを申し上げたいと存じます。  まず第一には、先般の局長答弁によりますと、自転車を特定製品に指定をするということについては幾つかの問題点があるとして、三つの問題点を指摘されたわけであります。  その第一の問題点としまして、特定製品として指定するための要件として、製造設備あるいは検査設備のない小売業者の段階で組み立てられた完成車ということからしますと問題があるのではないか、こういうことが第一の点であったわけであります。この点に関しましてお伺いをいたしたいわけでありますが、製品安全法の言う特定設備というものはどういうものを言っておるのか、どういうふうに理解をしておられるのか、その点ひとつお伺いを申し上げたいと思うのであります。  この安全法の第十条に「登録の基準」として主務省令で定める技術上の基準に製造設備が適合していることとか、あるいは検査設備も同様の適合であるとか、あるいは消費者が損害を受けたときの賠償を行う場合のとるべき措置であるとか、そういったことがこの十条には規定されておるわけでありますが、この特定設備という解釈はどのように解釈しておられるか、承りたいわけであります。
  128. 山口和男

    ○山口(和)政府委員 お答え申し上げます。  消費生活用製品安全法の第十条で製造事業者の工場について登録を行う場合の基準といたしまして、特定製造設備及び特定検査設備が技術上の基準に適合していることというのが要件として掲げられております。御指摘のとおりでございますが、この特定製造設備あるいは特定検査設備の内容、またその技術上の基準、こういう点につきましては、当然のことながら、指定されました各特定製品ごとに決められてまいるわけでございまして、省令によりましてこれを定めておるところでございますが、基本的には、製造事業者が安全基準に適応するような特定製品を製造し、また検査をする、そのための必要かつ十分な設備というものが、特定製造設備あるいは検査設備として指定されることになるわけでございまして、これは具体的にその特定製品が定められた段階で最終的には決められることになるわけでございます。
  129. 大成正雄

    大成委員 現在、アセンブリー製品として、七分組み立てあるいは八分組み立ての製品を、小売店がさらに最終的に組み立て、調整、点検をして消費者の手に渡る、こういうことであります。その最終組み立ての段階で、自転車小売としてはいろいろな特定工具あるいは検査器具を使用することによってその目的を果たしておるわけであります。たとえば中心面測定器であるとか、あるいはネジピッチゲージであるとかノギス、いろいろなノギスがありますが、あるいはワイヤゲージ、リム・センター・ゲージ、タイヤ・プレッシャー・ゲージとかホーク・アライメント・ツールであるとかダイヤルゲージであるとか、専門用語で言いますと、そういった数々の特定工具あるいは検査器具を駆使して、そして完成車としてその安全が確保されるわけであります。以上申し上げたようなそれぞれのものは、政府側の見解として、この特定工具と設備等は認められないのかどうか、重ねて承りたいと思います。
  130. 山口和男

    ○山口(和)政府委員 特定製造設備及び特定検査設備は、先ほど申し上げましたように、製造業者の登録を行う場合の基準として定められておるわけでございます。したがいまして、自転車の小売業者が製造業者に該当するかどうかというような問題がまず問題になるわけでございます。一般の自転車小売業者が自転車の全部あるいは一部につきまして組み立てを行っているという実態があるわけでございますが、仮にこれを製造事業者と考えます場合に、一つの問題は、構造とかあるいは材質面での問題についてはどういうことになってくるか、その点について、完成車となった場合の安全性との関係についてどういう検査が総合的に行われるかというような点が問題になるのではないかと思われるわけでございます。  仮に、そういうことでさらに製造事業者に小売業者が該当するというように考えました場合に、今度は製造設備あるいは検査設備につきまして、特定製品ごとに安全基準との関連で定めていくことになるわけでございますが、自転車につきまして、特殊工具あるいは検査器具が、御質問のように具体的にそういったものが製造設備あるいは特定設備に含まれるかどうかという点でございますけれども、やはり安全基準との関係で、それがこれで必要かつ十分であるというような判断ができるかどうかという検討をする必要があると考えられるわけでございまして、そういった関係から具体的に十分検討した上で、該当するかどうかという結論を下すことになるのではないかと思います。
  131. 大成正雄

    大成委員 御承知のとおり、自転車は工業標準化法のJIS規格製品に該当をしておるわけであります。この工業標準化法を見ますと、この第二条の基準の中に、「種類、型式、形状、寸法、構造、装備、品質、等級、成分、性能、耐久度」ということの後に「安全度」というものがあります。また、第二号の中には、「生産方法、設計方法、製図方法、使用方法若しくは原単位又は鉱工業品の生産に関する作業方法若しくは安全条件」、こういうことになっておりまして、JIS規格の基準としてこの「安全度」とか「安全条件」というものは一つの要件になっておるということであります。  そういった観点から、現在、自転車組み立ての専門技術者として末端小売の現場を担っている方々が、今日全国で、昨年末で四万五千七百五十三名の第二種検定資格の取得者がおるわけであります。この取得者は、自転車技術検定規程によりますと、第一種、第二種とも三年以上の実務経験者、こういうことが一つの受験資格要件になっておるわけであります。しかも日本車両検査協会等の相当権威ある一つの検定制度として確立をされておるわけであります。そういった方々が最終組み立てをするということでJIS規格として認定をされている、そういう弾力的な解釈がなされておることは御承知のとおりであります。そのような立場に対して、この自転車小売の組み立て専門技術というもの、あるいはJIS表示の小売業者の責任、あるいはその位置づけというものに対してどのように評価しておられるか、承りたいと思います。
  132. 窪田雅男

    ○窪田政府委員 お答えいたします。  工業標準化法第十九条の規定に基づきまして、製造業者は、主務大臣の許可を受けまして、当該工業品が日本工業規格に該当することを示す特別な表示をつけることができます。この特別な表示がいわゆるJISマークでございますが、完成自転車につきましても、製造業者が通商産業大臣の許可を受けてJISマークをつけているわけでございます。  自転車が完成品として市場に出回るまでのパターンには、大別いたしまして、御承知のように、完全組み立て、いわゆる特定の大口ユーザーに納入する場合がそのようになっておりますが、それと部分組み立てがございます。部分組み立ては、点検、調整または組み立て作業の一部、これは大体三〇%以下ということになっておりますが、これを代理店、すなわち小売店で行う場合でございますが、製造業者に対する工場ごとのJISマーク表示許可に当たりましては、当該製造業者が組み立て作業をやらせる代理店における品質管理体制につきまして、製造業者に次のような義務を課した上で許可いたしているわけでございます。  すなわち、代理店に日本車両検査協会が行っております自転車技術検定合格者がいることを確認すること、第二に、代理店での組み立てが自社の作業標準によって組み立てられ、調整されることを確認すること、第三に、代理店の品質管理の状況につきまして報告を受けますとともに、必要な指導をすること、第四に、計画的に教育が行われていることというふうになっております。したがいまして、自転車のJISマーク表示につきましては、許可を受けた製造業者が責任を負うという形になっておりまして、これは小売店ではございません。製造業者が責任を負う形ということになっておるわけでございます。  以上でございます。
  133. 大成正雄

    大成委員 ただいまの説明でも明らかでありますが、確かに最終的な責任は製造業者が負う、こういうことでありますが、その検定合格者がそれを組み立てるということはJIS規格の一つの前提条件であることは間違いない、同時にまた、完成車としてのJIS審査項目の中にこの技術検定というものが包括されていることもこれは間違いない、このように私は判断をいたすわけであります。  ところで、現在この自転車を特定製品に指定すべきであるという世論が高まっておることは、そういった国の指導、規制、基準、そういったものに該当しないそういう流通ルートなりあるいは生産ルートによって、そうしてJIS規格製品とそうでないものとがちまたにあふれ、そしてそのことによってこの安全の確保を著しく阻害しておる、こういうことであるからそういう運動が起こっておるというふうに理解をいたすわけであります。任意法であるとは言え、このJIS規格をおろしておる立場からして、その権威からいって、現在自転車の一部においてそういったような製品が出回っておることに対してどのように理解をされるか、また政府はどのような行政指導をしてきたかを承りたいわけであります。
  134. 窪田雅男

    ○窪田政府委員 お答えいたします。  JISマーク表示許可の許可工場の技術的生産条件の状況につきましては、工業標準化法第二十二条第一項の規定に基づきまして毎年報告を徴しておりまして、また必要に応じて立入検査を行うことにいたしております。  JISマーク表示許可を受けました自転車製造業者であって代理店に部分組み立てを行わしめているものにつきましては、代理店における品質管理体制について製造業者が責任をもってチェックしているかどうかということも検査項目の中に入っておりますが、昭和五十二年度に実施いたしました立入検査、これは十五社について行いましたが、その結果によりますと、特段の問題として指摘されるような点は見受けられなかったということでございます。
  135. 大成正雄

    大成委員 十五社に立ち入って問題がなかったということでありますが、しからば、現在スーパーマーケットや百貨店等で売られているJISマークのない製品を追及して、そうして立入検査がなされたかどうか、また、どこで組み立てがなされてそういう流通経路に至っておるのか、その点を承りたいと思います。
  136. 森山信吾

    ○森山(信)政府委員 流通の問題といたしまして私から答弁をさせていただきたいと思いますが、ただいま大成先生から御指摘のございましたスーパーマーケットあるいは百貨店で売られているものの実態でございます。御指摘のような状態があるのではないかということは私どもも痛感をしておるところでございますので、これに対しまして何らかの調査をしなければいかぬということは痛感いたしております。したがいまして、財団法人自転車産業振興協会というものがございますので、私どもはそこを通じまして近く実態調査を実施をしたいということでございます。その結果、いろいろなデータがそろってまいると思いますので、そのデータ等を踏まえまして今後の対策を慎重に検討してまいりたい、かように考えているところでございます。
  137. 大成正雄

    大成委員 現在、自転車の安全確保のために、東京、川崎、神戸等の自治体が先行してガイドラインを設けて、その責任表示やアフターケアの充実を図りつつある。すでに、政府が乗り出さないために自治体自身がそういう行政措置を講じつつある、こういうことであります。御承知のとおり、日本からアメリカに自転車を輸出する場合に、アメリカの安全基準に適合しない製品は輸出ができない。もし適合しないものが発見された場合は大変なことになる、こういうことであります。この輸出市場の一つであるアメリカでさえもこの安全基準を設けて、あるいはわが国においてもそういった自治体においてガイドラインを設けて消費者の安全を確保する、こういった動向にあるわけでありますが、そういった動向に対して政府はどのように理解されますか。
  138. 森山信吾

    ○森山(信)政府委員 ただいま大成先生から御指摘のございました点は、アメリカでの安全基準の問題と関連いたしまして、わが国の輸出検査の問題ではなかろうかというふうに判断するわけでございます。輸出検査につきましては、自転車につきましてもかなり厳しい検査をやっているわけでございますが、逆に言いまして、検査を厳しくやること自身が果たして輸出にうまくつながってくるかどうかという問題もございます。したがいまして、検査をしなければりっぱな製品が出ないという問題と、検査を厳しくし過ぎると輸出阻害になる、この両面性をうまく考えながらだんだんと処理をしていきたいということでございますけれども、一般的に申し上げますならば、日本の自転車につきましてはかなり信用度が高まっております。したがいまして、検査をいたしましてもいわゆる不合格率というものが年々減ってまいっておりますので、そういった不合格率の減ってまいりましたものにつきましては逐次輸出検査をやめていくという基本方針でやっておりまして、昨年も一部の部品につきまして輸出検査を外したということでございますが、ただいま申し上げましたような配慮を十分考えながら逐次輸出検査を緩やかなものにしていきたい、しかし、アメリカでの安全基準につきましては十分適合するような配慮に努めてまいりたい、こういうのが基本姿勢でございます。
  139. 大成正雄

    大成委員 自転車を製品安全法の特定製品に仮に指定をするという事態になった場合に、現在の日本の自転車産業界において、生産から販売に至るまでの段階において何が問題となってくるのか、いかなる障害があるのか、その点を承りたいと思います。
  140. 森山信吾

    ○森山(信)政府委員 ただいま大成先生から御質問のございました点は、前回私からも御答弁申し上げたところでございまして、端的に申し上げますと三点でございます。  その三点につきましては、冒頭に大成先生から御指摘がございましたので簡単に申し上げますと、第一点は、いわゆる製造設備あるいは検査設備をどう認定するかという問題でございます。それから第二点は、いわゆる自転車の用途の特殊性という問題がございまして、完成車として需要者の方にお売りした場合に安全というものがどこまで担保できるかという問題がございます。自転車は御承知のとおりお乗りになる方の乗り方によりましてはがたがくるとか故障が起こりやすいという性格のものでございますので、果たしてそういった安全面をどこまで担保できるかという問題が第二点の問題でございます。それから第三点は、いわゆる中古自転車の問題がございまして、いまの自転車の流通市場におきましてある程度のシェアで中古自転車というものが流通しているわけでございまして、この流通しております中古自転車という問題をどういうふうに対処するか、この三つが、率直に言いまして問題点ではなかろうかと思います。  したがいまして、私どもといたしましては、前回先生から御指摘のございました点を踏まえまして、現在製造業者の方あるいは販売業者の方、そういう方々にお集まりいただきまして、どういった対策を講ずべきであるかということを検討していただいているところでございますし、また、私の方の役所におきましても関係する部局が多々ございますので、その関係の部局におきまして、御指摘の点をどういうふうに解決していったらいいかということを鋭意検討している段階でございます。
  141. 大成正雄

    大成委員 ただいまの局長の御答弁、依然として進歩もないし、また私ども立場からは多少の反論があります。たとえば安全担保の問題についても、小売段階においてはある一定期間アフターケアを保証しておるという事実、さらに、そのことによって自転車の普及というものが今日に至っておるという事実、また中古車についても、シェアからするならばわずか七%でありますが、中古車も別に安全を欠く製品ではない。要するに、中古車といえども、傷んだ部品を取りかえて安全が保証された製品として売られているということであって、シェアの多い少ないは別として、安全という面から言うならば決して中古車は問題とされるに当たらない。中古車も修理した車とちっとも変わらない、こういうことであります。そういう理解をもう少し専門的に深めていただくことがこの問題の解決になろうと私どもは考えるわけであります。なお、政府においても十分御検討されたいと思うわけであります。  最後に、重ねて指摘を申し上げますが、昨年一年間で自転車乗用中に起因する事故が死者で千百三十二名、負傷者七万九千二百八十一名、こういうことであります。自転車側に責任のある事故がそのうちで一万五千百八十七件、特にブレーキの故障であるとか整備不良に起因して事故が発生しているという傾向が非常に高いわけであります。また、業者が昨年百七十三万台の車両を自主的に点検した結果、整備の良好なるものが五七%、不良なものが四三%。その不良なものの中で特にブレーキの不備が三五%の二十六万台余、警報器の不備が二七%の二十万台余、ライトの不備が二一%の約十六万台、こういうような結果が出ておるわけであります。  この結果が、すなわちこのJISの法律あるいは安全法で期待する消費者の利益、福祉、こういったことに重大なかかわり合いがあるということを御指摘申し上げまして、政府におかれては、日本の人口あるいは世帯規模からいって四千五百万台というような驚くほどに日用品化しておる自転車の安全に対して、消費者サイドに立った政府自身の責任が確立されるべきである、このことを主張してこの質問を終わりたいと存じます。  エネルギー庁長官に最後までおいでいただきまして、まことに恐縮でございます。  簡単に御質問申し上げたいと思うのでございますが、今般、政府は五十三年度の石油供給計画を発表されたわけであります。私もその計画の内容の概要は承知させていただいておるわけでありますが、この中で幾つかの問題点を端的に承りたいと思います。  先刻の質疑の中で、七%成長が可能であるかどうかといった論議についてはなされたわけでありますが、仮にこの七%成長がむずかしいといった事態になった場合に、この計画は年度途中で修正されることがあり得るかどうかをまず最初に承りたいと思います。
  142. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 過日策定いたしまして発表いたしました五十三年度の石油供給計画は、七%の経済成長を前提として作業をいたしたものでございます。したがって、七%達成のために必要なエネルギー量を確保する、石油量を確保するという観点で整理しておりますが、一応上期、下期といったような分類もいたしておりますし、あるいは一・四半期、二・四半期といった四半期ごとに需給の動向を見ながら調整していくということも安定供給上必要であろうかと思います。それは御指摘のように必ずしも七%を下回るということでなくて、七%を上回る場合もあり得るわけでございますから、さような年度間の全体計画をベースにしながら、できるだけその時点における動向を判断して供給を適正化してまいりたい、かように考えております。
  143. 大成正雄

    大成委員 昨日の新聞報道によりますと、国際エネルギー機関、すなわちIEAの第三十五回理事会が一つ提言をなしておるわけであります。この中で、省エネルギーに対する政策の優先度が低い、特に住宅、運輸部門、地域暖房には見るべき政策がないというふうにきめつけておると報道されておるわけでありますが、この供給計画と省エネルギー率といいますか、省エネルギーの目標との関係はどのように理解されましょうか。
  144. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 石油の需要想定を立てる場合には、経済全体の動向はもちろんでございますが、産業部門、民生部門あるいは輸送部門、それぞれの需要部門につきまして精細な積み上げ作業をやっておるわけでございまして、その段階におきましてそれぞれの部門における省エネルギー効果というものを織り込んでおる、こういうことでございますが、今後とも御指摘のように省エネルギーというものは一段と推進していく必要があるわけでございます。一方、この供給計画というのは、御承知のように当該年度を含んで五年間ということでございますから、ローリングプランのように毎年見直しをしていくわけでございます。したがって、次に五十四年度の作業をする場合には、また一年間の省エネルギー効果といったものを織り込んでいく、かような形で省エネルギー問題を織り込んでおりまして、あらかじめ何%といったような織り込み方はいたしておりませんが、十分省エネルギーを配慮した供給計画の策定という観点で作業いたしておるわけでございます。
  145. 大成正雄

    大成委員 最後に、通産省が昨日まとめた五十三年度の電力施設計画を拝見いたしますと、本計画によると、五十七年度の適正供給予備率八・六%でありますが、この電調審の決定済みの電源しか開発されなかったという場合には、その予備率が四・六%ということになるわけであります。政府がいま計画しておる石油火力のシェアからいいますと、五十二年度が五五・九%に対して六十年度三五・八%、そして代替電源として液化天燃ガスを九・八%から一七・六%に、原子力を七・三%から一八・二%にというような一つ期待が盛り込まれておるわけであります。そうしますと、現在の電源開発の進捗状況等からいたしますと、五十七年度のこの計画の電力用の五千百二十万キロリットルというものはもちろんローリングして修正されるということでありましょうけれども、この点はどのように変化が予測されるのでしょうか。
  146. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 電力各社の施設計画は、当然のことでございますが、電力の安定供給の確保という観点でやっておるわけでございまして、北海道の場合には一五%、その他本土地域においては八%を一応適正予備率と考えておるわけでございますので、さような適正予備率が確保できるように施設計画を組んでおるわけでございます。  今後、私たちといたしましても、まだ電調審に上程されてないものにつきましては、いろいろ立地対策を進めながらできるだけ早く上程いたしたい。当面、五十三年度におきましては、約六十地点、二千万キロワットにつきまして電調審に上程し、施設計画に即応した形で電源立地の確保と申しますか、あるいは電力の供給確保ができるようにいたしたい。いまの時点で、それをどのように変更するかというようなことは考えておりません。
  147. 大成正雄

    大成委員 石油製品の需給計画あるいはエネルギー計画等でまだ質疑をしたいことはたくさんありますが、残念でありますが時間が来ましたので、次回にひとつお願いをしたいと思います。  きょうは大変ありがとうございました。
  148. 野呂恭一

    野呂委員長 次回は、来る十八日火曜日午前十時理事会、午前十時三十分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時一分散会