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1978-04-06 第84回国会 衆議院 商工委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年四月六日(木曜日)     正午開議  出席委員    委員長 野呂 恭一君    理事 中島源太郎君 理事 武藤 嘉文君    理事 山崎  拓君 理事 山下 徳夫君    理事 岡田 哲児君 理事 渡辺 三郎君    理事 松本 忠助君 理事 宮田 早苗君       小川 平二君    鹿野 道彦君       粕谷  茂君    藏内 修治君       島村 宜伸君    田中 正巳君       田中 六助君    玉沢徳一郎君       辻  英雄君    中島  衛君       中西 啓介君    楢橋  進君       西銘 順治君    橋口  隆君       松永  光君    渡部 恒三君       渡辺 秀央君    板川 正吾君       加藤 清二君    後藤  茂君       上坂  昇君    清水  勇君       武部  文君    中村 重光君       野坂 浩賢君    長田 武士君       玉城 栄一君    二見 伸明君       米沢  隆君    工藤  晃君       安田 純治君    大成 正雄君  出席国務大臣         外 務 大 臣 園田  直君         通商産業大臣  河本 敏夫君  出席政府委員         内閣法制局第三         部長      前田 正道君         内閣法制局第四         部長      別府 正夫君         外務省アジア局         長       中江 要介君         外務省アジア局         次長      三宅 和助君         外務省条約局外         務参事官    村田 良平君         水産庁次長   恩田 幸雄君         通商産業政務次         官       野中 英二君         通商産業大臣官         房長      宮本 四郎君         通商産業大臣官         房審議官    島田 春樹君         通商産業大臣官         房審議官    松村 克之君         資源エネルギー         庁長官     橋本 利一君         資源エネルギー         庁次長     大永 勇作君         資源エネルギー         庁石油部長   古田 徳昌君         特許庁長官   熊谷 善二君         特許庁特許技監 城下 武文君         特許庁総務部長 勝谷  保君         特許庁審査第一         部長      小林 慶基君         中小企業庁長官 岸田 文武君         中小企業庁次長 児玉 清隆君  委員外出席者         法務省民事局参         事官      元木  伸君         法務省刑事局刑         事課長     佐藤 道夫君         外務大臣官房書         記官         (海洋法本部室         長)      久米 邦貞君         商工委員会調査         室長      藤沼 六郎君     ————————————— 委員の異動 四月六日  辞任         補欠選任   中西 啓介君     中島  衛君   松永  光君     玉沢徳一郎君   渋沢 利久君     野坂 浩賢君 同日  辞任   玉沢徳一郎君     松永  光君   中島  衛君     中西 啓介君   野坂 浩賢君     渋沢 利久君     ————————————— 本日の会議に付した案件  日本国大韓民国との間の両国に隣接する大陸  棚(だな)の南部共同開発に関する協定の実  施に伴う石油及び可燃性天然ガス資源開発に  関する特別措置法案内閣提出、第八十回国会  閣法第三〇号)  特許協力条約に基づく国際出願等に関する法律案  (内閣提出第六四号)      ————◇—————
  2. 野呂恭一

    野呂委員長 これより会議を開きます。  第八十回国会内閣提出日本国大韓民国との間の両国に隣接する大陸棚南部共同開発に関する協定実施に伴う石油及び可燃性天然ガス資源開発に関する特別措置法案を議題といたします。  この際、お諮りいたします。  本案の提案理由は、第八十回国会においてすでに聴取いたしておりますので、これを省略することに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 野呂恭一

    野呂委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————  日本国大韓民国との間の両国に隣接する大陸棚(だな)の南部共同開発に関する協定実施に伴う石油及び可燃性天燃ガス資源開発に関する特別措置法案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  4. 野呂恭一

    野呂委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出かありますので、順次これを許します。板川正吾君。
  5. 板川正吾

    板川委員 日韓大陸棚共同開発に関する特別措置法に関し、質疑をいたします。  私の質疑は、前回、五十二年十一月十六日の当委員会における質疑と同様に、国内法母法である日韓大陸棚協定内容がまことに不法、不当であって、いかにわが国の国益を損なうものであるかという点を明らかにし、前回、時間の都合で不十分であった点を改めて質疑をいたしたいと思います。  まず、外務大臣にお伺いをいたします。  日韓大陸棚共同開発問題がこのように紛糾した原因は、私は二つあると思います。  第一は、韓国が、大陸棚境界画定する場合にはまず隣接国話し合いをし、合意によって決めるべしという国際慣習法を無視して、中間線ならば本来日本区域となるべきところを、日本相談なく大陸棚を決め、既成事実をつくって共同開発に持ち込んだということであります。  第二は、日韓両国が、大陸棚境界画定について中国一言相談なく、一方的に中間線を押しつけたこと、すなわち韓国日本に対してとった不法な行為を、次に日韓両国中国に対して行ったことにあると思います。  したがって、本法案か成立をする以前に日中間の懸案問題である平和条約を締結して友好関係を修復すれば、少なくとも第二の問題は解決すると思いますが、日中交渉の見通しと、大臣訪中はいつごろになるかという点を、差し支えなければお聞かせ願いたいと思います。
  6. 園田直

    園田国務大臣 韓国側自然延長線主張し、日本側中間線主張し、それが平行線をたどり、その結果両方が現実的に妥結したことは御承知のとおりであります。  私の訪中は、ただいま交渉再開について与党の御理解を得ている段階でありまして、だんだんと進んでおりますので、いよいよ交渉再開となれば、必要によって総理の指示があり、向こうと合意をした上で訪中することになるわけでございまして、いまの段階では、まだいつごろになるかということは申し上げられない段階でございます。
  7. 板川正吾

    板川委員 この日韓大陸棚共同開発が紛糾した原因はそうした対中国関係にもある、こういうことを念頭に置かれて、日中の平和条約を締結して友好関係を修復するために一層の努力を願いたいと思います。  次に、さらに伺いますが、韓国が、問題の南部共同開発区域韓国領土の自然の延長であり、日本沖繩の北部から九州の西部にかけて海溝があって自然の延長の形をなしていない、したがって、日本大陸棚管轄権主張する根拠を持っていない、その立場をとって日本話し合い申し入れを拒否し、急遽韓国国内法海底鉱物資源開発法を制定し、鉱業権を設定して米系企業に租鉱権を与えることで既成事実をつくり上げてしまったが、もし韓国が自国のその主張が正しいと信ずるならば、日本政府友好関係を保ってきた自民党政府との話し合いにどうして応じなかったのか、話し合いに応じて円満に解決を図ろうとしなかったのか理解に苦しむわけでありますが、なぜ韓国がこのような一方的な措置をとったのか、どうお考えでありますか、お伺いをいたします。
  8. 中江要介

    中江政府委員 この協定ができました過程についていま先生のおっしゃいましたことの中で、事実に即しますと私どもとちょっと認識の違うところが一点ございますのは、日本話し合いを始める前に既成事実をつくっておいて押しつけたというような感じの御説明がございますけれども、いま御引用になりました国内法韓国がつくりましたのは昭和四十四年、一九六九年四月のことでございまして、六九年四月に閣議決定をいたしまして、その十二月に韓国国会で可決、成立して、一九七〇年、つまり昭和四十五年一月一日から公布された、こういうことでございます。  他方日本政府がこの地域大陸棚に対するわが方の権利主張韓国側に申し述べて、この部分について話し合いをしようと言いましたのは一九七〇年六月、昭和四十五年六月でございまして、それから半年ぐらい話し合いをする、しないというやりとりがあって、その年の十一月に初めて話し合いが始まった。  なぜ韓国日本から見ますと一方的と思われるような国内法を制定し、かつまた日本側との話し合いになかなか応じなかったか、そこのところが実は問題だろうと思うのです。  韓国という国も国際法にのっとってその権利主張をしておったわけでございまして、そもそも一九六九年にこの国内法を制定いたしましたときも、いま先生がおっしゃいましたように、あの地域大陸棚に対する権利主張について韓国韓国なりに国際法上の根拠を持っていた。その韓国根拠が一口に自然延長論と言われて、それに対して日本側中間線論だ、こう言いますけれども、実はその方法論の根底にありますのは、一体韓国日本一つ大陸棚を共有しているかどうか、一つ大陸棚を共有して相対している国であるかどうかという認識から出発しておったわけでございまして、韓国立場からいたしますと、日本韓国との間ではこの部分については共有している大陸棚はない、韓国の方からは大陸棚はあるけれども日本からは大陸棚はない、そういうことでありますから、そもそも話し合う必要はない、この立場でありましたために、話し合いをいたしまししょうということを韓国に申し上げましても、半年近く、話し合う必要がない、こういうことであったわけで、なぜ必要がないかという点について韓国韓国なりに立場を明らかにいたしましたのが、この一九七〇年十一月から始まりました法律専門家会議、その席で韓国は、いま私か申し上げましたように、ここの部分では日本韓国との間には両国にまたがる大陸棚はない、こういう主張であったわけでございますので、そもそも日本中間線と言う前提になる相対した国が共有する一つ大陸棚存在そのものを否定している、ここに問題があった、こういうことでございます。
  9. 板川正吾

    板川委員 韓国国内法を制定する動きがあって、その動きに対して、日本政府は、六八年十一月韓国政府に、法律内容、ことに大陸棚の範囲はわが国と直接関係あるので、十分協議するように申し入れた、こういう事実があるでしょう。こういう事実があるにもかかわらず、一方的に決めた原因は何か。それはいま言った理由だろうと思いますが、これはいずれまた取り上げていきます。  そこで、中江局長伺いますが、外務省は一貫して、大陸棚境界画定は自然の延長線論世界大勢であり、日本中間線論少数意見だということを強調しております。しかし、私は、新しい海洋法秩序統合草案内容から見て、経済水域あるいは大陸棚境界画定規定ぶりから見ましても、自然の延長論世界大勢中間線論少数意見だという決め方は間違いじゃないかと思います。自然の延長論中間線論とは相反する論理ではない、自然の延長論中間線論を適切に運用するならば衡平の原則に合致する、こういう考え方じゃないですか。自然の延長論が絶対であって、中間線論少数意見だという考え方でない。その後の各国の大陸棚境界画定方向を見ましても、自然の延長論ももちろん考慮されますが、中間線論も考慮して衡平の原則によって決めるということになってきているのではないか。ただし、自然の延長論というのは、韓国で言う水深二百メートル、海底地形が連続しておるもの、これを絶対視する自然の延長論ではない。韓国流の自然の延長論は、今日の国際海洋法会議の動向から見たらすでに姿を消しつつあると思いますが、中江局長、いかがですか。
  10. 中江要介

    中江政府委員 海洋法会議におきます大陸棚制度推移につきましては、別途担当の者から御説明させていただいた方が適当と思います。  最初に引用になりました私の前国会における説明を、一般論として自然の延長論大勢中間線論少数意見であるというふうにもしおとりになったといたしますと、それは私の言おうとしていたこととは違っていたと思います。相対する国が何の疑念もない一つ大陸棚を共有しておるときには、これはもう中間線論であることは非常に明白なことでございます。  恐らく私が言おうとしていたであろうことは、いま日本韓国の間の南部共同開発協定対象になっているような、ああいう形の大陸棚あるいは大陸棚でない、この論争のある地域について、自然の延長論に基づく主張とこのみぞを無視して中間線境界画定すべきだという主張とをそういうものとして見ますと、これにはいろいろ国際法上の問題もありますし、また先例のいろいろ色合いの違いがあるということで、どちらとは一概に言えませんけれども、ただ、大陸棚国際法制度として発達したそもそもの淵源は、大陸棚はその領土たる領域から海の方に向かって領海外縁からさらに沖の方に向かって自然の延長方向沿岸国主張し得る、こういう意味で発生的に自然の延長大陸棚の基本の考え方であった。これは国際司法裁判所の判例でもはっきり言っておるところで、このことを申し上げたと思います。  海洋法会議におきます大陸棚制度推移につきましては、海洋法担当の者から御説明してもらいたいと思います。
  11. 板川正吾

    板川委員 海洋法関係は後でいずれ触れてまいります。  自然の延長国際法の根本的な考え方であってということを盛んに強調しておるわけでありますが、南部共同開発区域は、エカフェ調査にもありますように、揚子江等の河川から長年月にわたって中国大陸から運んできた土砂の堆積であることは御承知のとおりでありますが、この海底地形から見ますと、自然の延長と言うならば、韓国側よりも中国側の方からの自然の延長の方が多いのではないか。  私の差し上げた資料を見ていただきたいのですが、海図によりましても、済州島の方から共同開発区域の上部には、百メートルあるいは百三十八メートル、とにかく百メートル以上の水深がある。しかし、中国大陸からは五十メートル、六十メートル、七十メートル程度である。大陸棚が自然の延長だというならば、南部共同開発区域の大半は中国大陸棚ということになるのではないでしょうか。自然の延長を絶対視するのはそういう意味で論旨が合わない、私はこういう気持ちがするわけですが、いかがですか。
  12. 中江要介

    中江政府委員 大陸棚というのは、先ほど私が申し上げましたように、領域から海の方に向かって領海外縁からさらに延びてその沿岸国主張し得るということで、国際法上発展してきた制度でございます。そこでも明らかなように、一つ大陸棚なら大陸棚をとりまして、それが単一国家に属しておりましたら問題はないのですけれども一つ大陸棚に面して幾つかの国がある場合にこれをどう分けるかということが、そもそも国際法上の問題になる国と国との管轄権分配ということがそこで起こるわけでございまして、その場合に起こる分け方には、相隣接する国 つまり隣り合っている国の間で同じ大陸から出ている大陸棚をどう分けるかという隣接国同士で分ける分け方が一つと、それから、相対している国、いまの場合で申し上げますと、中国大陸朝鮮半島とが一つ大陸棚をはさんで相対している、そこが一つの国に属しておれば問題はないのですけれども、それが二つ、三つの国によってその陸地の方が分けられている、そういたしますと、この大陸棚は一体どうするかということで国際法上の大陸棚制度が発展してきた。  そのねらいとするところは衡平に管轄権分配しようということでありまして、そのときには、もはやその大陸棚がどの川から流れ出したもので成っているか、あるいはその大陸棚が一体どちらの方向から延びてきているかということではなくて、すでにそこに一つ大陸棚が存在する以上、それに相接している国、相対していたり相隣接していたりするわけですが、その国と国との間でどう分けるかというのが国際法上の大陸棚制度でございまして、地質学上の大陸棚国際法管轄権分配対象として認識する大陸棚とはおのずから異なっている点に着目していただきますと、今回のような場合に、中国と北朝鮮あるいは韓国との間でどう分配するか、あるいは韓国日本との間でどう分配するか、日本中国との間でどう分配するかということが出てくるわけで、中国大陸から出ている大陸棚であるから全部中国のものだというわけにはまいらないのが国際法上の制度だ、こういうことでございます。
  13. 板川正吾

    板川委員 同一大陸棚か否かというのは、六九年国際司法裁判所のあなたの説明によれば、海溝があればそれはどんなに近くても近い国のものでもないんだ、つながっている方のものだ、こういうことをあなたが説明されておるんですよ。だから、そういう意味で自然の延長というのを厳密に考えていくならば、この南部共同開発区域はまさに中国の自然の延長じゃないか、これは中国がわが方に管轄権ありと言うのは当然じゃないかという点を問うたわけでありますか、あなたはそのほか、自然の延長論世界大勢だから日本の譲歩はやむを得ないんだ、それか証拠には、自然の延長は、中国でも自然の延長主張されているじゃないか、こういうことをこの前答弁されておるのです。  中国が自然の延長主張しているのは、その南部共同開発区域、この区域を全部中国のものだという主張から言っているわけじゃないんです。日本韓国の自然の延長論を認めるならば、当然中国の自然の延長を認めてその境界画定話し合いによるべきだ、こういう主張からだと私は思うのです。ですから、中国外交部からの再三にわたる抗議でも、日韓共同開発することがけしからぬと言っているんじゃないわけです。日韓で一方的に中間線を押しつけていることを問題にしているんだ、こう思います。韓国の自然の延長論を認めて、中国には一方的に中間線を押しつけるということは明らかに矛盾をした論理ではないかと思いますが、いかがですか。
  14. 中江要介

    中江政府委員 まず一つ誤解をしていただいておるんじゃないかとおそれますのは、日本はこの協定によって韓国自然延長論を認めたわけではないわけでございます。だからこそ共同開発ということになっておりますし、協定の二十八条で権利を留保しておりますし、国際法上の主権的権利を行使し得る地域として韓国にこの自然延長外縁までを認めたということにはなっていない、これはひとつはっきりしておいていただきたいと思います。  他方中国自然延長論を言っておる。しかし、中国と先ほど申し上げました朝鮮半島の間は、これは自然延長主張するまでもなく一つ大陸棚を共有しておりますので、これはどう見ましても中間線によって境界線画定するのが国際の常識でございますし、その点について、できることならば韓中の間中間線画定された方がよかったと思うのですが、それができない状況のもとでは、どちらから見ましても間違いのない中間線から韓国側に寄った部分につきましては、これは中国としては大陸棚権利主張のできない部分でございます。その部分について、今度は日本韓国との間でどこで境界を決めるかという話をしたわけでございまして、この日韓大陸棚協定対象になっている地域について権利を留保した上で共同開発区域を設定したということは、日本立場からいたしましていささかも中国権利は害していないということを繰り返し御説明しておりますし、日本中国との間でそれこそ話し合って境界画定しなければならない大陸棚部分というのは、まさしくこの共同開発区域よりも南の方、つまり中国朝鮮半島の間の中間線よりも南の方につきましては改めて日本中国の間で境界画定しなければならない。そのときに、中国が自然の延長論主張するという政策をとっておるようでございますが、日本といたしましては、韓国に対して主張したと同じように、これは一つ大陸棚を共有しているのであるから中間線だということを主張すると思います。そういうことについて意見交換をいたしたいということを中国側に対して十数回にわたって事あるごとに申しておりますけれども中国の方では、まだそちらの方の話をしようということは言っておらない。  日韓協定対象区域は、中国側が言っておりますように中国権利を一方的に日韓両国で侵害したというようなものではないということについては、国際法上私どもは確信を持っている、こういうことを申しておるわけでございます。
  15. 板川正吾

    板川委員 大陸棚境界画定する場合には、まず話し合いということが原則でしょう。中間点で決めて、これは侵害したものでない。決めてから話し合おうと言ったって、それは国際法上、旧大陸棚条約からいっても、そういう措置は決して妥当な措置じゃない。  もう一つ伺いますが、あなたは、これはいずれ後で議論するのですが、同一大陸棚ということを、これはいまの大陸棚条約六条にあるわけですが、これを盛んに言われるのですが、韓国はこの共同開発区域を第七鉱区として設定をして、なぜ設定したかというと、日本沖繩から大隅群島、この辺に大きな七百メートル、八百メートルの海溝があるから、したがってこれは日本のものではない、こういうことを韓国主張して一方的に鉱区を設定したのでしょう。それは同一大陸棚ではないのだ。じゃ、日本中国に対して、この沖繩から大隅群島にそういう海溝があるのに、同一大陸棚として中間線主張できますか。     〔委員長退席中島(源)委員長代理着席韓国には韓国の言うとおりに——韓国は、同一大陸棚じゃないのだ、日本はその権利はないのだ、こう言っておるのでしょう。この地形から言えば、中国も、中国側に向いても日本は大きな海溝を持っているのです。その場合に同一大陸棚と言うことができますか、一言で。
  16. 中江要介

    中江政府委員 日本政府の一貫した立場は、国際法主張ができるという前提に立っておるわけでございます。
  17. 板川正吾

    板川委員 じゃ、議論を先へ進めますが、外務大臣、これは聞いてください。大臣から答弁していただきたいと思いますが、エカフェ調査によっても、その他の文献等によっても、東シナ海の海底堆積層からいっても、石油埋蔵量尖閣列島周辺が一番有望だと言われております。この共同開発区域よりももっと台湾の方へ寄った尖閣列島周辺が、実は堆積層からいっても非常に石油が出る層、有望だと言われておるのですが、私は、尖閣列島の帰属問題はここでさておいて、それに触れません。しかし、将来その周辺開発しようとする場合に、中国との円満な話し合いがつかないと私は不可能だと思います。これは常識的に考えてそうです。  そこで、伺いますが、今回日韓側でとった一方的中間線の押しつけを日本尖閣列島周辺でも中国にとるのでしょうか、その考え方でいくのでしょうかということと、もう一つは、韓国には自然の延長論を認め、中国には中間線を一方的に押しつけるという措置が、将来尖閣列島周辺開発をしようとする場合に重大な支障となるのではないでしょうか。中国からの自然の延長論をどうして拒むことができるだろうか、この二点について外務大臣から御答弁を願いたいと思います。
  18. 中江要介

    中江政府委員 いま尖閣諸島のことを御引用になりましたけれども、尖閣諸島は、御承知のように、尖閣諸島と中国大陸との間には海溝というようなものはないわけでございますので、これは明らかに一つ大陸棚を共有している中国大陸日本領土である尖閣諸島とが相対している。したがいまして、その場合の境界線画定というものを考えますときに、この海溝の存在というものは問題にならないのじゃないか、こういうふうに思います。  他方韓国自然延長論を認めてないということは私先ほど申し上げましたが、中国との間でも、韓国と交渉いたしましたと同じような国際法上の論争といいますか話し合いというものは当然予想されるわけです。私ども韓国と交渉いたしましたときも、これは一つ大陸棚を共有しているのであるから中間線であるという主張から出発いたしましたし、そしてその立場はいまも法律上は権利を留保して譲っていないということでございますし、韓国の方は、一つ大陸棚を共有してなくて自然の延長の終わりまでが自分のものだという主張をし続け、その法律上の主張は向こうはまだ引っ込めていない。その点を二十八条でお互いに国際法画定するものではないのだということを明記した上で実際上の解決をしたというのか、この日韓大陸棚南部共同開発に関する協定の趣旨でございますので、法律上で申し上げますと、いささかも日本政府立場は害されてない。同じように韓国も自分の立場は害されてない、こう言うだろうと思います。  将来、中国日本とが大陸棚境界画定の話をいたしますときも、日本は、韓国との間で害されていないそもそもの日本側立場から出発して話し合いをいたしますし、中国はすでに韓国と同じ自然延長論という立場をとると言っておりますので、ここで意見は真っ向から対立することが予想されます。そこを話し合いによってどういうふうに解決するか、これは将来の交渉に待つということでございまして、日本考え方をどこかに押しつけるとか、そういったことは毛頭考えられていないということをはっきり申し上げておきたい、こう思うわけでございます。
  19. 園田直

    園田国務大臣 ただいまの御質問は、いま局長からお答えしましたとおり、日韓の問題は、韓国の言う自然延長論をこちらはとっているわけじゃございません。両方の言い分が平行線をたどって解決をいたしませんので、重複した部分について法的立場を維持しつつ妥協としていまの共同開発を求めたわけでありますから、これが今後の例にはならないと存じます。  中国の問題については、話し合いをするのが当然であると考えております。
  20. 板川正吾

    板川委員 これは大陸棚境界画定したことではないのだ、あるいは韓国の自然の延長を認めたのではないのだ、こういうことを口では言いますよ。しかし、実際は韓国自然延長論に屈して、そうして実質的には中間線をとれば日本側であるものを、この共同開発ということになったのだろうと私は思います。だから、理屈の上ではこれは韓国に屈したものじゃないと言いながらも、実体では韓国の自然の延長論を認めた。それは前回からの質疑の中で条約局長が再三答弁しておるのです。  じゃ、局長、さらに伺いますが、あなたが先ほどから同一大陸棚——これは大陸棚条約六条にありますね。同一大陸棚とみなさない。で、私の資料の一番上を見てもらいたいのですが、その同一大陸棚というのは、後で出てきますが、一九六九年の国際司法裁判所の判決をあなたが読み上げて、ここが根本的な重要な問題点だと言った判決の趣旨からいいますと、水深二百メートルの程度で自然の延長という形をしていなくてはいけないと言っているわけでありますが、韓国は、この共同開発区域には沖繩から大隅群島から九州の西部について日本海溝があるじゃないか、だから日本同一大陸棚と見なさないのだ、この自然の延長からいってこれは韓国の自然の延長に当たる地区だ、こういうことで、一方的に七鉱区として鉱区を設定したのでしょう。同じ鉱区共同開発したのでしょう。だから、ほぼ同じ鉱区でしょう。同じ区域でしょう。同じ区域共同開発に踏み切った。大陸棚境界画定ではないという条件をつけ、前例としないという前例をつけて妥協したのでしょう。そこで私は、この韓国主張が実は重大な間違いがあると思うのです。  そこで、伺うのですが、この韓国主張、あなたがそれを肯定している主張同一大陸棚でない、こういうことを主張されておるのですが、この海図を見てください。五島列島から共同開発区域の上部、この辺は水深百四十四メートル、それから男女群島からも百四、五十メートル、これは完全にこの島から海溝はありませんね。いかがですか。
  21. 中江要介

    中江政府委員 この部分海溝が非常に浅くなってきておる部分である、こういうふうに……。
  22. 板川正吾

    板川委員 何だい、その海溝が浅くなっているというのは。それなら韓国の済州島からは百メートルから百三十メートル、百メートルを超えていますね。これも海溝が浅くなっておる。海というのは大体深いのだから、海溝といえば海溝じゃないか。海溝が浅くなっておるという論理はおかしいじゃないか。あなたが同一大陸棚でないと韓国が言っておると言うのでしょう。この上部は完全に韓国日本同一大陸棚と言っていいのじゃないですか。海溝はありませんよ。同一大陸棚ならば、それは中間線で決めるというのが当然じゃないですか。あなたの論理はどういう論理ですか。同一大陸棚というのは、この共同開発の上部は同一大陸棚ではないのですか、日本韓国の。     〔中島(源)委員長代理退席、委員長着席〕
  23. 中江要介

    中江政府委員 これは日韓がこの大陸棚の論争を始めましたときには、単にいまの南部共同開発区域ばかりでなくて、もう一本の協定に北部大陸棚境界画定に関する協定というのがございます。これをあわせまして、日本立場からいいますと、日本海から対馬海峡を経て南の方まで、ずっと一つ大陸棚でそれを全部中間線で区分していくべきであるというのが日本中間線論であるわけです。それに対しまして、韓国主張いたしましたのが自然の延長論ということで、海溝によって区分されていない、つまり完全に両国で相対しているところは中間線にしましようということで、北部大陸棚境界画定に関する協定は、これは完全に中間線によって合意ができたわけでございます。  そこで、その中間線からどこからどこまでがそれでは今度は自然延長による韓国主張であるかという点についても、これも大いに論争したわけでございますが、いま先生御指摘のちょうどその境目になるところは、どこからがそれでは中間線になじみ、どこから先が韓国の言う自然の延長韓国大陸棚の末端部分であるかという点について合意に達することができなくて、これは大きな南側の共同開発大陸棚部分について双方の権利主張をたな上げにして実際的解決を図るという部分に入ったのが、いま御指摘の共同開発部分の北の方になるわけでございまして、この北の方、いわゆる北部の境界画定中間線とのそのちょうど継ぎ目のところがまさしくここで終わりだというふうにはっきりできるかという点は、非常にむずかしい判断の問題であったわけでございます。したがって、南の方については日本権利主張を害されることなく、南部協定については二十八条の権利留保をした上で実際的解決の方を選んだ、こういうことでございます。
  24. 板川正吾

    板川委員 どうも私はどうしてもわからない。この共同開発区域は、最初に韓国が、これはわが国大陸棚であるということで第七鉱区として設定をして、外国にその試掘権を与えた地域でしょう。その地域とほとんど同じ区域共同開発をするということで決めたんでしょう。なぜ共同開発にしたんだといったならば、それは韓国の自然の延長論韓国大陸から張り出した自然の延長の方が有力なので、日本としては中間線主張したが、残念ながら、これは国際的に少数だから主張を貫けなかった、こうおっしゃっているんでしょう。  ところが、なぜこの地域韓国の一方的に決められる大陸棚かというと、それはあなたは、韓国の言うとおりに沖繩大隅群島から海溝があって、日本からは大陸棚が張り出してないんだ、韓国からは張り出しておる、こうおっしゃる。だから韓国のものだというならば、この共同開発の上部、この五島列島、それから男女群島、この辺とこの共同開発区域は全く同じ大陸棚じゃないですか。だから、韓国の済州島と男女群島や五島列島からは同じ大陸棚があると言っていいんじゃないですか。同じ大陸棚ならば、この座標一、二、三、四から南、東は当然中間線ですから、日本大陸棚と言っていいんじゃないですか。  それを日本大陸棚をなぜ韓国が一方的に決めることができたんですか。どうして相談もしないで、韓国大陸棚が張り出してあるところだし、日本は関係ないんだから発言権はないんだと、なぜ一方的に韓国鉱区を設定することができたんですか。一方的に鉱区を設定されて既成事実をつくり上げられてしまって、仕方がないから共同開発という形にしようとしたんじゃないですか。だから、韓国のそういう主張はまことに不当な行為だということをなぜ日本政府はもっと強く韓国と争わなかったんですかということを私は問いたい、どうなんですか。
  25. 中江要介

    中江政府委員 いま先生かおっしゃいましたように、韓国の一方的な鉱区設定は不当であるということを争ってまいったわけでございますし、いまでも国際法上の権利としては争っておるわけでございます。  先ほど申し上げましたように、一九七〇年の十一月から足かけ三年にわたって法律論争をいたしましたときには、まさしく私どもはいま先生がおっしゃいますように、韓国主張国際法上の根拠はないということを日本として主張いたしました。ところが、韓国韓国で、自分の主張国際法上の根拠がある、そして日本主張根拠がない、こういうことであったわけでございまして、両方の議論が全く正面衝突したままで、いかようにも妥協が見出し得ない。また、それを見出すべく国際法上の議論あるいは国際司法裁判所の判決、世界の先例、この地域の特殊性、そういったものをいろいろ駆使いたしまして私どもも努力をいたしましたけれども、いつまでたってもこれが平行線のままである。これは御承知のように、まさしく国際法上の管轄権分配法律論争でありますので、これを国際司法裁判所で決着をつけるという方向一つの正しい方向であるということで、私ども韓国にこれを提案いたしましたけれども韓国がこれに応じない。応じない韓国を法廷に引っぱり出す手段というのは遺憾ながらいまの国際社会では持ち合わせない。  そこで、延々と法律論争を続けていくのがいいのか、それとも実際的解決によってともに資源の乏しい韓国日本がその法律立場をたな上げにして半分ずつ譲り合って共同開発をしていく、こういうのも隣国同士の一つの解決法ではないか、ここのところはまさしく政治的な判断、政治的な決断であったと思うのですが、そういうことで共同開発に踏み切った。そういたしますと、共同開発に踏み切ります以上、相手の区画が相手の立場に立って正しいかどうかということを論ずることが、すでに私ども立場を害することになるわけでありますし、韓国といたしましても、日本の言う中間線か正しいかどうかということを論ずることは、今度は韓国立場を害することになるわけでございますので、双方ともに双方が主張する国際法上の主張についてはこれを国際法の問題として論ずることなく、重複したところを共同開発する、まさしく政治的な解決であった、こういうふうに御認識いただくべきではないかと思います。
  26. 板川正吾

    板川委員 安直に政治的解決と言いますが、その政治的解決が実は九州の二倍ある区域を半分韓国に譲り渡すということにもなるのです。そういう意味で、簡単に政治的解決ということをわれわれ国会の方では国民の代表として了承するわけにいかないという気持ちを持っておるわけです。いまの私の論理で五島列島、男女群島等中間線をとるならば、少なくとも座標一、二、三、四、五、二十、十九、十八、十七、十六、十五、十四、十三、この区域同一大陸棚をはさんでおるのですから、中間線ということになれば日本区域に入る。管轄権の及ぶ範囲に入り、韓国はその区域を飛び越えて南部をわが方の大陸棚という主張はできないわけだ。だから、そういう意味で私は、この済州島、五島列島、男女群島の中間にある大陸棚中間線で分けずに、韓国が一方的に決めた第七鉱区と同じようなことを後から追認するようなことを政治的に決めたことが、実は重大な問題だということを指摘したいのであります。  時間の関係がありますから指摘にとどめますが、そこで、もし中間線をとっておれば、中国に対しても将来中間線で堂々と主張できる、私はこう思うのです。そういう点で、これは日本の外交、政治的決着の重大な失敗だ、私は政治的責任を追及する気持ちでありますが、村田参事官伺います。  あなたは前回私の質問に答えて、韓国の自然の延長論に対抗できない理由として、一九六九年国際司法裁判所が下した西ドイツ、オランダ、デンマークに対する大陸棚境界画定に関する判決が、ある海底区域沿岸国の陸地領域の自然の延長をなしていないときは、たとえその領域が他のいずれの国の領土よりその国の領土の近くにあっても、その海底区域は当該沿岸国に属するものとみなさないと述べております。そしてまた、これは国際司法裁判所として大陸棚に関する法のすべての規定中最も根本的な規定であるということを強調しております。自然の延長国際司法裁判所でもこのように解釈されているから、したがって韓国自然延長論の方が正しい、こう言っているわけですが、その際、逆に私か指摘したように、その判決の中で、大陸棚境界画定についてすべての場合に当てはまる国際法はないのだから、当事国はまず話し合い、衡平の原則、すなわち一方か有利で一方が不利とならないような方式で決めることが望ましい、判決はそう言っているわけであります。あなたか太鼓判を押して、これは国際司法裁判所として大陸棚に関する法のすべての規定中最も根本的なものだと言っておりますが、一面、話し合いでやりなさい、衡平の原則に従ってやりなさい、こう言っているわけです。  そこで、伺いたいことは、西ドイツ、オランダ、デンマーク三国は、国際司法裁判所の判決を受けて結局どのように解決したのですか。前段の言うように、あなたが主張したように、大陸棚の法規の中で根本的なものだと言った自然の延長論で解決したのか、私が後で指摘したように話し合い中間線で決めたのか。あなたの主張が本当にそうならば、なぜ西ドイツ、オランダ、デンマーク三国は国際司法裁判所の判決どおりの決着を受けなかったのか、伺いたい。
  27. 村田良平

    ○村田政府委員 まず、初めに申し上げておきたいことは、私が昨年の当委員会で答弁しました趣旨は、決して韓国の自然の延長日韓間の問題に関して正しいということを申したわけではございません。ただ、自然の延長という考え方が、六九年の国際司法裁判所の判決において明らかに示されておるということを申したわけでございます。  この六九年の事案は、ドイツとオランダとデンマークが線をどう引くかということを裁判所に求めたわけではございませんで、そもそも大陸棚境界画定はいかなる国際法上の法理に従うべきであるかというガイドラインを求めたものでございます。そこで司法裁判所が出しております判決で、先ほど先生御指摘のとおり、ある大陸棚区域が特定国の領土に近いかどうかということよりも、その大陸棚が、ある国の領土から自然に延長しておるという事実の方が重要である、こういうことを判決の中で申しておる、その点を申し上げたわけでございます。  したがって、この司法裁判所の判決によりまして、判決自体は線をどう引けということは三国に対して何ら結論を下しておらないわけでございますけれども、その後、関係国が話し合いました結果、本来、ドイツが等距離線であると自分に不利であるということからオランダとデンマーク二国を相手どって起こした訴訟でございますけれども、当事国の間の交渉によりまして若干の線の引き直しをやりましてドイツも満足した、こういうふうな結果に終わっておるわけでございます。
  28. 板川正吾

    板川委員 あなたは、先ほど読み上げたように、自然の延長がどんなにその区域に近くても、そこに深い海溝なりがあってつながってなければ、遠い方が自然の延長として大陸棚は遠くてもその方に属する、これが国際司法裁判所で下した根本的な解釈である、こう言っておるのでしょう。その論理なら、この共同開発区域中国側延長論というのが強くなるはずなんですよ。向こうの方が遠くても浅いし、そういう地形を成しておるのですから。だから、私はそういう論理ではどうもこの問題に円満な解決がつかないと思うのです。  国際司法裁判所がそういう判決を下したにかかわらず、二年後、関係国の話し合い中間線合意に達したという。だから、なぜそれほどあなたか強調したようなことを、せっかく国際司法裁判所でたとえ近くても海溝があればその国のものと主張できない、こういうりっぱな判決をもらったのに、なぜ中間線で解決したのか。これは中間線の方がより衡平の原則に合うからじゃないですか。より衡平の原則に合ったから中間線で解決したのだと思うのですね。だから、自然の延長世界大勢で、中間線少数意見主張ができないのだ、初めからそういう論理はおかしい。しかも何かと言うと国際司法裁判所の判決を持ち出して、韓国の自然の延長は正しくて、われわれの方にはそれを覆す力がない、論理がない、だから共同開発ということで妥協せざるを得ない、こういう結論になったんじゃないですか。しかし、国際司法裁判所がそういう判決を下したということも、その後の各国の状況からいいますと、国際司法裁判所のように水深を基準にどんぴしゃり大陸棚境界画定した国はないですよ。どうなんですか。あるなら言ってください。
  29. 村田良平

    ○村田政府委員 初めに申し上げておきたいことは、この判決の結果とられました措置は、実は先生御指摘のこととは逆でございまして、そもそもこの裁判で争われましたのは、デンマーク及びオランダが非常に厳密な等距離ないし中間線論をもって線を引いたのに対して、それでは衡平を欠くということで西ドイツが訴訟を起こしたわけでございます。その結果、むしろ裁判所は、等距離原則というものは必ずしも慣習国際法ではない、したがって、関係国は、もちろん等距離というのは一つの準則ではあるけれども、他の要素も考慮して検討する必要があるという趣旨の判決を下しておるわけで、したがって、後ほど改めて関係国が交渉いたしまして、むしろ等距離線あるいは中間線を大幅に修正した合意をその三国がやった、こういうことでございます。  それから、先生御質問のどういう事例があるかということに関しましては、これも先般当委員会で申し上げたところでございますが、豪州とインドネシアの間の境界画定、これは中間線によっておらないということでございます。
  30. 板川正吾

    板川委員 豪州とインドネシアの間は、海溝を考慮して中間で決めたんですよ。延長論で決めたのじゃないんですよ。だから、どんぴしゃり等距離中間線という意味じゃないですよ。だけれども、中間で決めたことは事実なんです。延長論一本で決めたことじゃない。  私が自然の延長論にこだわるのは、あなた方が韓国主張が正しいということを理由として、自然の延長論が絶対に強いのだということを引き出して言うからこだわるのでありますが、私は、韓国が自然の延長論がそれほど世界大勢であり正しい主張だと言うならば、どうして国際司法裁判所日本が提訴しようというときに堂々とそれに応訴しないのでしょうか、その応訴しないという理由がわからないですね。国際司法裁判所の六九年の判決、こういうふうに先ほど言ったように出ておるし、自然の延長論が正しいという判決が出ているというのですし、韓国は自然の延長論からいってこれはわが方の大陸棚だと言うならば、なぜ韓国日本国際司法裁判所に訴えようとしたときに応訴をしないのでしょうか。それは韓国が正しいというなら、応訴して堂々と六九年の判決と同様な趣旨なりを一あっせんになるか調停になるか別として、とにかく応訴したらよかったと思うのですが、韓国が応訴しない理由はどういうわけだったのでしょうか。
  31. 中江要介

    中江政府委員 私、先ほどちょっと触れたと思いますが、日本政府国際司法裁判所に持ち出そうということを提案したわけでございます。これが一九七二年の四月のことでございました。それでそのときには、まさしく先生のおっしゃいますように、韓国がそんなに自然延長論理由があるのだと言うんなら、日本だって中間線論理由があると思っているのだ、両方で法廷でひとつ決着をつけようということを言ったこの日本の提案は、筋が通っておったと私は思うのです。韓国自然延長論もむちゃくちゃなものではなくてそれなりの根拠があるのだということを先ほど来私ども説明しますの余りに、いかにも私どもが、韓国自然延長論の方が非常に利があって、わが方の中間線論は弱いのだということではなくて、そういうことであれば、私ども国際司法裁判所に持ち出そうということは言わなかったはずなんでございまして、先ほども申し上げましたように、当時足かけ三年間法律論争をしましたときの私ども認識では、これは国際司法裁判所に持っていくにふさわしい非常にむずかしい国際法上の問題だ、したがって、これは国際司法裁判所の公正な判定を仰ぐになじむ問題だ、こういう認識であったわけで、ざっくばらんに言いますと、五分五分のような勝負に見えたわけでございます。  したがって、韓国が自分の自然延長論は正しいと思うなら、国際司法裁判所に応じて、裁判所に出ていって日本となぜ争わなかったのかというのは、まさしく私どもも不思議に思うわけでございまして、日本が提案したわけですから、韓国は応じてくる、また応じてくることが望ましい。日韓両国でも、こういう法律論争は国際社会ではやはり裁判所の判定を仰ぐのがいい。北海の大陸棚でも、いま先生が御指摘になりましたように、多くの国はそういうふうにしておるわけですから、そうやろう。それに韓国が応じてこなかったことは非常に残念であったわけです。  そこで、なぜ応じなかったかというのは、これは韓国に聞いてみるまでもなく、先方が応じない、こう言ったわけですが、推察いたしますと、二つの理由があると思います。一つは、国際司法裁判所の手続が非常に長い時間がかかるということと、それからもう一つは、裁判費用か非常に高くかかる。この裁判費用と裁判期間というものを念頭に置くと、自分の主張を一〇〇%通すためにそれだけの犠牲を払うのと、この際現実的な解決として、法律論争をたな上げにして、半々でまず乏しい資源に着手するのがいいのか、その選択の結果が、恐らく韓国としては、司法裁判所で決着をつけるということには応じないかわりに、現実的な解決の話し合いをしましょう、こういうことになってきたのではないか、これは推察でございます。
  32. 板川正吾

    板川委員 裁判の費用がかかるから応訴しないという理屈は、一国の態度としては当たらないと私は思いますよ。  それはそれとして、これは通産省、それから外務省、両方に伺いたいのですが、日本共同開発に応じなければ、韓国は一方的に開発に着手しますよ。その場合、日本はそれを阻止し、または対抗する方法が全くない。韓国がいつまでも待てないと言うのだから、わが国として現実的に対処するしか方法がない、妥協するしか方法がない。これは中江局長がそういう趣旨のことをこの前答弁しているのです。  それで、本当に対抗する手段がないのだろうか、こう思うのですが、一方的に開発に着手された場合に対抗する手段がないのだということを、通産省も私どもに何回も言いましたし、アジア局長もそう言っていますから、本当にそう思っておられるのか、この問題についてひとつ両省から御答弁を願いたい。
  33. 中江要介

    中江政府委員 ある国が一方的な行為を行いまして、それが国際法にのっとっていない場合に、それによって害を受ける国が対抗の手段をとることができるということは、一般論としてはそのとおりでございまして、何の手だてもないというわけにはまいらない。それはあらゆる手段を講じてでも自国の権利と利益を守るということは、相手がもし国際法上の不法行為をしておるのでありますれば、これに対していろいろの手がある。     〔委員長退席中島(源)委員長代理着席〕 その場合に紛争になりまして、この紛争を解決する手段というのはまた別途いろいろございます。  御承知のように、日本は、あらゆる紛争は平和的に解決する、こういうことになっていることは申すまでもございません。そこで、韓国がこの地域にあの時点で一方的に開発に着手したときに、日本日本中間線論からいきますと、日本権利が侵害されたということで、これに対して責任を追及するわけでございますが、その前提になる韓国の一方的行為が完全に国際法に反しているかどうか、つまりそれに対して逆に責任を追及する日本のとっている国際法上の立場が一〇〇%正しいものであるかどうか、これがまさしく、先ほど来繰り返して申し上げておりますように、大陸棚に対する権利主張国際法が未成熟であるために決め手がないということでございますので、日本として平和的に解決する、つまりその紛争は話し合いによって解決する。  そうすると、韓国日本との間で、この地域に対する韓国の一方的な着手を話し合いによって解決するということは、とりもなおさず、私どもが先ほど来申しておりますように、法律論争を重ね、現実的解決に踏み切ったその過程をしょせんたどることになるということで、これを力でもって撤回させる、あるいは別な報復手段で撤回させるというには、日本法律的な立場が一〇〇%正しいと言うまでには余りにも国際法が成熟していない、それが国際社会の現実であったということを申し上げたつもりであるわけでございます。
  34. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 私の方も、ただいま中江局長からお答えしたような同じ立場、同じ見解をとっております。
  35. 板川正吾

    板川委員 韓国わが国合意を得ずに一方的に開発に着手するということは、まあ、これは過去の話でありますが、私は国際信義にもとると思います。それで、一方的に向こうがやった場合に、先ほどからもちょっと出ておりましたが、わが国国際司法裁判所に提訴できないのかどうか、あるいは第三国の仲裁、調停等を通じて平和的に解決する手段があるのではないか。一方的にやったのに対抗する手段が全くないのだ、だから妥協したのだ、こうおっしゃるならば、向こうが一方的にやった場合に、こちらに対抗する手段が全くないのか。私は、国際司法裁判所などに提訴することができるんじゃないか、こう思うのですが、できないのですか。もし仮にあの場合提訴しても、それは国際司法裁判所では取り上げないのでしょうか。いかがですか。
  36. 中江要介

    中江政府委員 現在の国際連合憲章及び国際司法裁判所規程のもとでは、日本が取り上げてそれによって韓国を拘束する、つまり裁判法定に拘束的に引っ張り出すといいますか、そういうことはできないことになっております。他方、御承知のように、一九六五年の日韓基本関係条約によって日韓関係が正常化いたしましたときに、紛争解決に関する交換公文というのがございまして、日本韓国との間で紛争がありましたときには、この紛争解決に関する交換公文によって解決する、この紛争解決に関する交換公文では何を言っているかというと、まず外交経路で話し合うということでございますので、その道を歩んだということでございます。
  37. 板川正吾

    板川委員 国際司法裁判所は、当事国主義をとっているから、合意に基づかない提訴は取り上げないのだ、こういうことのようでありますが、御承知のように、一九七二年、イギリスとアイスランドの間で第二次タラ戦争という事件がございましたね。アイスランドは一方的に漁業専管水域を五十マイルですか、拡大をして、イギリスやドイツの漁船の締め出しを図った。そしてそういう紛争が起こったときに、イギリスは軍艦三隻を派遣して、そして自国の漁船の操業を守りながら、一方問題を国際司法裁判所に提訴したという事件があったはずです。このときアイスランド側は、提訴に合意していないから裁判は成立しないと言って、出席しなかった。ところが、一九七三年、国際司法裁判所は十四対一で、この問題について国際司法裁判所管轄権ありという決定を下して、アイスランドが欠席のまま裁判を続行した例があります。  国際司法裁判所管轄権ありと判断した根拠は何かというと、イギリス、アイスランド間で一九六一年に紛争解決の交換公文がある、それが有効であるとして取り上げたというのですね。アイスランドは、その交換公文が無効であると主張したようでありますが、国際司法裁判所はそれを取り上げました。  で、韓国が一方的に開発を強行した、こういう場合には、日本もイギリスに準じて国際司法裁判所に提訴することができるのじゃないでしょうか。できたのじゃないでしょうか。御承知のように、軍艦を持っていくというわけにいきませんから、国際司法裁判所に提訴することが日本立場としてできたのじゃないですかと、この点だけを伺います。
  38. 中江要介

    中江政府委員 私は、仮に日本国際司法裁判所にあの時点で持っていきましても、国際司法裁判所管轄権ありということにはならなかったと思います。
  39. 板川正吾

    板川委員 外務大臣、参議院の方に行かれるようですから、本会議終了後、外務大臣の出席を待って質問をいたします。
  40. 中島源太郎

    中島(源)委員長代理 午後三時から委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後一時十三分休憩      ————◇—————     午後三時九分開議
  41. 野呂恭一

    野呂委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。板川正吾君。
  42. 板川正吾

    板川委員 午前中は、韓国が一方的に開発をした場合に日本は打つ手はないか、打つ手はない、こうおっしゃっておるものですから、私は、国際司法裁判所に訴えることが可能じゃないだろうか、そうしてその例として、イギリスとアイスランドにおける一九七二年のタラ戦争の例を持ち出して言ったわけでありますか、この一九七二年のタラ戦争、国際司法裁判所の決定、そしてアイスランドが反対でも取り上げたという事実の認識は違わないのでしょうか、伺います。
  43. 村田良平

    ○村田政府委員 先生のおっしゃいました事実は、そのとおりでございます。
  44. 板川正吾

    板川委員 外務大臣に御答弁願いたいのですが、御承知のように、日本は憲法によって戦争を放棄し、一切の戦力を持たないこと、国際紛争を解決する手段として武力を行使しない、こういう宣言をしているわけであります。したがって、イギリスのように軍艦を派遣して実力で一方的に開発を阻止するということはできないのは当然であります。しかし、平和的に紛争を解決するということまで放棄しているのではないと思います。相手国の同意がなければ、国際司法裁判所に訴えて平和的に解決することができないということであれば、平和国家としての日本の安全はどうして守れるのだろうか、実はこういう疑問が生じるわけであります。日本は、戦争を放棄して武力を持たないかわりに、周辺の国家とは紛争の平和的解決のために常に一つの取り決めをしておくのが、日本の平和を守る、日本の平和外交を進める上で重要な任務だろうと私は思うのです。近隣の諸国と紛争を生じた場合に、平和的に解決をし、その手段として国際司法裁判所なりに訴える、こういうことをお互いに交換公文なりでしておくということが、平和外交の一つの大きな柱だと私は思うのですが、いかがでしょう。相手が合意しないから国際司法裁判所へも訴えることができないという外交では、日本の安全は守れないんじゃないだろうかと思いますが、この点どうお考えでしょうか。
  45. 園田直

    園田国務大臣 紛争の場合に、相手国と相談をして取り決めをやることは大事なことであると考えております。  なおまた、午前中の質問について大臣から一言お答えをしたいと存じますか、午前中の韓国の言い分と日本の言い分とについては、全く板川先生がおっしゃったとおりでありまして、事務当局が五分五分に言っておるものでありますから、何か韓国の言い分を肯定したかのような誤解を与えますか、アジア局長が言ったとおり、日本の言い分が、現実に沖繩海溝その他から考えて同一大陸棚に両方が乗っておるわけでありますから中間線というのか正しい、これは当然であります。ただ、その妥結の仕方が、御指摘のとおり、どうも相手が韓国だから少し緩いんじゃないか、こういう韓国に対する姿勢を御指摘されたことだと思いますが、日本としてはあくまでこのような場合には中間線が正しい、韓国の言い分は正しくない、こういうことをはっきりしておきたいと存じます。今後、こういうことをやっておくと中国大陸棚の話をするときに有利ではないぞ、こうおっしゃることも当然だと考えておるわけであります。  なおまた、今後の紛争解決につきましては、いまおっしゃったような取り決めも必要でありますし、その問題だけを取り上げて言うと事務的にはそれ以上は答えられぬわけでありますけれども、重要なる隣国で、それぞれ相互扶助をやっておるわけでありますから、いろいろな面から話し合いをつけるべきときには詰めていく手段はいろいろあると考えておるわけでございます。
  46. 板川正吾

    板川委員 前回質問したときに、条約局長は、韓国が一方的に開発をするという場合に打つ手がない、こうおっしゃったものですから、私はその問題を実は取り上げてきたわけでありますが、韓国が一方的に開発をした場合に、次の理由から日本国際司法裁判所に提訴できるし、韓国もこれに応じなくちゃならない義務があるんじゃないか。  これは私なりに解釈しておるわけでありますが、その理由として、一つ日韓基本条約、一九六五年に結んだ基本条約第四条で、両国は「国際連合憲章の原則を指針とするものとする。」こういう約束をしておるわけであります。国連憲章の方向でやっていこう、こういう両国間の基本的な合意があるわけであります。国連憲章は、御承知のように、平和的に紛争を解決することを原則としております。  第二に、請求権・経済協力協定の第三条でも、紛争について両国は「まず、外交上の経路を通じて解決するもの」として、その手続を詳細に決めてあります。それで最後に、両国政府はこの手続に従ってできた「仲裁委員会の決定に服するもの」、こういう規定が詳細に、平和的解決をするための協定がございます。  第三として、紛争解決のための日韓交換公文がございます。紛争解決は、「まず、外交上の経路を通じて解決するものとし、」解決できないときは「両国政府が合意する手続に従い、調停によって解決を図るものとする。」こうあるのですね。この「合意する手続」というのは、合意しなければできないという意味ではなくて、いろいろの紛争解決の機関のどこを選ぶかということで合意をしてあるということであろうと思うのです。ですから、紛争解決のための日韓交換公文でも、平和的解決とそして第三者による調停によって解決し、そして両国はそれに従う、こういう交換公文があるわけですから、私は、それによっても韓国が紛争を一方的に強行するということはできないと思うのです。  さらに、国連憲章三十三条では、いかなる紛争も、当時国は、「まず第一に、交渉、審査、仲介、調停、仲裁裁判、司法的解決、」その他「平和的手段による解決を求めなければならない。」こうありますし、さらに、ここの日韓漁業協定の紛争解決条項から推しても、話し合いがつかない場合には第三国を入れて仲裁委員会委員を任命し、その仲裁委員会の決定に服する、こういう一連の日韓の取り決めがあるわけですね。  ですから、こういう条項からいいますと、ちょうどイギリスとアイスランドの間のように、もし韓国が一方的にこれを強行するようなことかあった場合には、紛争調停の機関は別としまして、その中に司法的解決という国際司法裁判所があるわけですから、国際司法裁判所に訴えても相手がそれに応じないから仕方がないという理屈は、私は日韓の諸協定からいってあり得ない。日本は、もしそういうことを相手か一方的にやったならば、国際司法裁判所に提訴し、韓国もそれに応ずる義務がある、その義務はいま言った諸協定にある、こう思いますが、これはいかがですか。
  47. 中江要介

    中江政府委員 先ほど冒頭に先生が御指摘になりましたように、日本の直接の隣国であります韓国との間で、将来起きることのある紛争を平和的に解決する方法について合意しておく必要があるのではないかという点は、まさしくそのとおりでございまして、だからこそ、一九六五年の日韓関係正常化の際に、いま逐一お挙げになりましたように、請求権・経済協力協定についてはこれこれの仲裁手続、漁業協定についてもこういう手続、こういうふうになっておるわけでございまして、また、基本関係条約では、これは基本的に国連憲章を尊重いたしますわけですから、国連憲章の精神と目的と原則に従って解決していかなければならない、こういう精神規定があると同時に、個々の協定以外について日韓間で起こり得べき紛争の解決について、いま先生のおっしゃいました紛争の解決についての交換公文というものを包括的に決めまして、この交換公文で、国際司法裁判所というものを利用する道がそこに明記されていないという点は、確かにそのとおりでございます。  このときは、御承知のように、竹島をめぐる領有権争いがございまして、この竹島の領有権に伴う争いをどういうふうにして解決するかということでいろいろの経緯がありまして、結局そこに盛られております紛争解決の仕方は、いまお読み上げになりましたように、外交経路を通じてやる、それでもうまくいかなければ合意する手続に従って調停に付する。この調停といいますのは、一つの方法として何らかの調停機関に付するということも抽象的には考えられますけれども、いま国際社会で、一般的にそういう国際間の紛争の解決に当たる調停機関というものがあらかじめ用意されておりませんので、結局日本韓国の間で、だれを調停者に選んで、どういうふうにしてその決定に従うかというような手続を合意しなければならない、こういうことになります。  他方、その同じ交換公文に書いてございますように、「別段の合意がある場合を除き」というのがございまして、この「別段の合意」があれば外交交渉とか調停によらなくてもいいんだ。この「別段の合意」の中には、国際司法裁判所に付託するということについて、日韓両国が特別合意書を作成しまして持っていくという道は閉ざされてはいない。ただ問題は、先ほど来先生がおっしゃいますように、日本だけが持っていこうとしたときに、韓国側に応訴の義務がないというところが問題なわけなんです。  この点は、国際連合憲章では、確かに国際司法裁判所というものを大いに有効利用しようという精神はあるのですけれども、実際の国際司法裁判所の利用につきましては、御承知のように国際司法裁判所規程というものが別途ございまして、この国際司法裁判所規程によって運営されていくわけでございますし、他方、国連加盟国の中で義務的管轄権を受諾する宣言というのがございまして、まだ具体的な紛争が起きます前に、何か紛争が起きて相手国が国際司法裁判所に提訴したときには、その裁判所の管轄権を義務として受諾するという宣言をあらかじめしておりませんと、当然の結果として、国際司法裁判所は当該国に対する裁判管轄権を持たないというのがいまの状態でございます。  日本は率先いたしましてこの義務的管轄権の受諾の宣言をしておりますので、相手の国が日本を相手に国際司法裁判所に提訴いたしましたら、日本は応訴していくという筋の通った立場をとっておりますが、韓国はまだそこに至っていない。こういう現状からいたしますと、国際司法裁判所を義務的に韓国に向けて発動させるという道は現在のところはない。したがいまして、いまの紛争解決に関する交換公文によりますと、まず、外交交渉によって解決するというところから始めて、本件も具体的に井戸を掘るとかあるいは試掘をするとかいうことになる前に、紛争になる前に、紛争予防のために話し合いをわが方から働きかけまして、そして話し合いをした結果、法律的に明快な結論にまでは残念ながら達しなかったけれども、もう実際的な解決ということで具体的な紛争を避けたというふうに認識していただければ結構ではないかと思うわけでございます。
  48. 板川正吾

    板川委員 そうしますと、韓国合意しない限りは、たとえば一方的に韓国がこの開発を強行した場合に、日本国際司法裁判所へ訴えても、国際司法裁判所はこれを取り上げない、こういうことなんですか。
  49. 中江要介

    中江政府委員 はなはだ遺憾ながら、国際社会の現状はそうなっておるわけでございます。
  50. 板川正吾

    板川委員 国際司法裁判所が当事国主義だということはわかりますが、この日韓条約を結んだときに、最悪の場合には、日本のように武力を持たない国は、戦争を放棄し武力を行使しない国は、最終的には国際司法裁判所へ訴えてその判定をもらうことが閉ざされているというのは、これは私は日本外交上外交的な怠慢じゃないかと思うんですね。紛争解決のための日韓交換公文がありますが、調停によって第三者を頼むとか、こういうことで解決することか可能じゃないんですか。これも相手が合意しなければ何もできない、こういうことになりますと、韓国が一方的にやることに対して全く手がないということになるのですが、私は、日本の外交としてそういうことを放置することは問題だ、こう思うのです。  平和外交のあり方として、これはどうお考えですか。
  51. 中江要介

    中江政府委員 そこはまさしく問題の核心だろうと思います。幾ら手続を決めておりましても、その手続を有効に利用するという善意といいますか相互信頼感がないと、それは手続が定まっているというだけであって、実効が上がらない。したかいまして、万が一——そういうことは望みませんが、万が一韓国との間に具体的な熱い紛争が起きまして、日本はそれを平和的にしか解決できない。そのときに、準備されております紛争解決に関する交換公文に基づいて韓国側と平和的な解決をしようという努力をするときに、韓国側に対日不信感なり対日非友好的な姿勢というものがございますれば、幾ら手続が書いてありましても、これは動かない。  そこで、日韓基本関係条約にありますように、両国間に友好関係を維持していくという努力が双方にありましてこそ初めて、何らかの紛争が起きたときに、それではこれは調停でやろう、あるいはこれは外交交渉でやろう、あるいはこれは特別の合意によって国際司法裁判所に持っていこう、こういうことになるわけでございまして、近隣国でありましょうと遠隔国でありましょうと、平素お互いに信頼関係かございませんと、なかなか実効の上がる紛争の解決というのはむずかしい。そういうことで、日本としては、いずれの国とも紛争が起きたときにでも平和的に解決ができるように、あらゆる国と友好関係を平素から固めておかなければならない、こういう考え方になろうかと思います。
  52. 板川正吾

    板川委員 それじゃ、この紛争解決のための日韓交換公文、これは実際はあってもないがごとき問題ですね。合意しなければどこの機関にも訴えることはできないし、合意しなければ調停もやらない、こういうことになるんでしょう、いまの話ですと。たとえば韓国国際司法裁判所へ持っていくのはいやだ。それならば、第三国の仲裁人を任命するとかあるいは第三国に調停を依頼する、そういう方式なら受けてもいい、こういうことを言わない限り、片一方がいやだと言ったら、調停にも持ち込めない、あるいは国際司法裁判所にも持ち込めないというのなら、紛争解決のための日韓交換公文というのは、あるいはそれを取り決めた日韓基本条約の第四条にしても、あるいは請求権・経済協力協定の第三条にしても、結局意味がない、空文化するのじゃないですか。  一方が同意しなければ何も解決する方式がないんだということは、どうも日本の外交のあり方として本当に問題だと私は思うので、それは方式は、日本国際司法裁判所韓国は仲裁裁判あるいは調停、第三国に依頼、いろいろあるでしょうけれども、持っていく方向が違うというのは、お互いに有利な方法を主張するというのはわかりますよ。だけれども合意しなければ全く動かないというのじゃ、これは問題じゃないでしょうか、それをそのままにしておくことは。どう思いますか。
  53. 中江要介

    中江政府委員 おっしゃいますように、相手が韓国であれ、あるいは韓国から見ますれば日本の場合になるかと思いますが、相手国がいかなる方法にも合意しないということになれば何も動かない。それは確かにいまの紛争解決の交換公文はそうなっております。  そこで、先ほど来私が申し上げておりますように、この紛争解決の交換公文で、まず外交経路によって解決の努力をするというところは、すでにこの日韓大陸棚に絡まる法律的な紛争を解決する場合に、実際はその外交経路による平和的解決がなされたものと私ども思います。  これを決定的に解決するには何がいいかといいますと、これは純粋な法律紛争ですから国際司法裁判所がいい、日本はそう主張しましたし、いまもそれが正しいと思っております。ただ、国際司法裁判所につきましては、先ほど先生もおっしゃいましたように、当事国主義になっておりますので、特別合意書をつくるということに相手が応じない限り持ち出せない。したがって、法律的に全部クリアにする解決はむずかしいけれども、実際的な解決なら外交経路でできるではないかというのが今度の解決の仕方だ。  それは一つそれであるとしても、調停による場合はどうだろうか。調停は、御承知のように、純粋に法律的な問題を法律的に解決するという意味では、国際的にも余りいい手続ではない、むしろ政治的配慮の入った解決というニュアンスの強い解決方式なんです。ですから、この調停の手続、つまりだれを調停者に選ぶか、その調停者を選ぶために、第三の人間を真ん中に置いて最終的な調停者を選ぶというのが通常でございますが、その辺のところは、国連の事務総長を使うとかあるいは双方の友好国を使うとかいろいろございますけれども、それはやはりそのときの状況に応じてお互いが有利だと思う手続を主張して、その間で話し合わない限りは、調停そのものの拘束を受けるというところまで双方の認識が一致するというのはなかなかむずかしいということでありますので、調停につきましては、その調停の手続について両国合意前提とする。そのかわり、合意された手続で出た結論には必ず服する、その辺を確保しなければならないという配慮がございまして、調停のところは、各調停に付するごとに両国間で手続を合意しようという発想かそのときの考え方であったわけでございます。  いずれにいたしましても、この紛争解決に関する交換公文によっても、必ず日本が言い出せば何らかの方法で紛争が最終的に決着するという道が開かれてないということはおっしゃるとおりでございますが、私どもとしては、だからこそ、そういうことにならない前に、外交交渉その他で両方が努力をして平和的な解決を求めなければならない、そういう気構えを絶えず持っているということでございます。
  54. 板川正吾

    板川委員 調停は法律的には必ずしも割り切れるものじゃない、足して二で割るという方式もある、こうおっしゃいます。しかし、第三者の意見を聞いて、その意見が大きな決定権を持つのが調停だと思うのですね。  アジア局長はそれよりも政治的な妥協の方がいいと言いますが、私は、政治的妥協というようなことがあるからこの問題が紛糾を続けておるのであって、それは必ずしも法律的な解決をしないことであっても、第三者の意見もこうなんだからこういうふうに共同開発に決まったというなら、この方や国民としてはわかりやすいのですよ。第三者の意見も聞かずに、政治的な解決の方がいいんだという論理は、政治的な解決をされたから、日韓癒着の問題とかあるいはこの陰にいろいろな動きがあるのじゃないかというような勘ぐりがされるのであって、第三国かこういう同じような結論を出してその方が日韓両国にいいだろうというなら、私は、それはそれで国民も納得をしてくれると思うのです。  あなたの話は、どうも調停じゃ法律的なぴたり割り切った結論は出ない、それよりも政治的な決着の方がいいなんという考え方を持っているから、それはおかしいと思うのですが、どうですか。
  55. 中江要介

    中江政府委員 ちょっと私の言葉遣いであるいは先生に違った印象をお与えしたとすれば、私の言葉の選び方が適当でなかったのかと思いますけれども、政治的と申し上げましたのは、非法律的というつもりであったわけなんです。つまり大陸棚に絡まる国際法上の論争を法律的に解決するのではなくて、非法律的に解決する、つまり実際的解決とかあるいは現実的解決とか、そういう言い方の方がよかったかもしれません。  政治的と言いましたからといって、そこに何か不純な動機なり考慮があって、うやむやにしてどうするという意味ではございませんで、法律的にとことんまで詰めて解決するということでなら国際司法裁判所が最もいい。しかし、その道を選ぶことについて韓国がまず合意しませんでしたし、仮に合意いたしましても、長時間と経費をかける。そのことのデメリットと、法律的にとことん詰めることではなくて、両者が話し合って実際的に、現実的に解決して、この地下にある石油資源の有効利用を試みてみようというその動機といいますか目的と、どちらに重点を置くか。  つまり法律的に勝ち負けを決めることがいいのか。その場合には十年近くの年月と相当の経費がかかるかもしれない。他方両国間で半分ずつ譲り合えば、協定が発効したときから何年か先にはその石油資源を有効利用できるかもしれない。さあどちらを選ぶかというときに、法律的に詰めるという法律的解決ではなくて、実際的に資源の有効利用を、せっかくの友好隣国同士だから共同開発という方法でやってみようというのか、この協定にこぎつけた一つ考え方であったわけでございます。  その考え方が唯一の方法であったかということは、再三申しておるように、もう一つ法律的にきちんと結着をつけるという方法もあったかもしれません。しかし、実際的解決として共同開発というアイデアでこれを開発することがよしという場合に、わざわざ第三国の意見を聞かなければそれか納得できないものなのか。紛争当事国両者が合意の上で共同開発するということを外交経路でよく話し合って詰め得たとすれば、それは第三者を煩わすよりもさらに能率的であるし、筋の通った解決の方法ではなかろうか。そのときに、相手国に対して、いろいろ相手国に対する評価がこの合意の結果に影響を及ぼしているといたしますと、これははなはだ残念なことだと思いますけれども、政府といたしましては、一九六五年に関係が正常化して以来、努力を重ねて隣国との関係を友好に維持しておるわけですから、その友好国との間で共同開発という合意に直接の話し合いで到達し得たということはそれなりの意義がある、こういうふうに思っておるわけでございます。
  56. 板川正吾

    板川委員 実はその点がわれわれと考え方、評価が分かれている点なんですよ。あなたの方は、合理的解決をするためには長年月がかかります。費用のことは日本はいろいろ出せば切りはないけれども、とにかく長年月かかるから、早く解決するためにはこういう政治的な解決の方法もあるじゃないか、こうおっしゃるのですね。  ところが、われわれの見解は、この問題は法律的に解決をして、長期にかかってもいい。長期間かせいでいるうちに、海洋法会議の動向からいって、韓国主張した自然の延長論的な構想は新しい海洋法会議の中には消えてくる。だから、長期に時間をかけた方が日本の国民の利益になる。だから、早く政治的な決着をつけて掘ろうというよりも、何も海底石油は逃げていくわけじゃないのですから、時間をかけても筋を通してやる。そうすればそのうちに、海洋法会議の動向からいって、日本の方が必ず有利になる。韓国の自然の延長というのは、もうそういう空気ではなくなる。韓国流自然延長ですよ、いいですか。経済水域大陸棚は自然の延長ですけれども韓国流の自然の延長か優先するという考え方は新しい海洋法会議の中にはない。だから、そういう芽がすでに六七年の国連におけるマルタ提案のときから出ているのだから、時間をかけたら日本が有利になる、こういうことでわれわれは考えているのですよ。  ところが、アジア局長の話は、司法的な解決をすると十年間もかかる、そして金もかかるし、早く開発できない、したがって、早く開発できるためにはこういう方法だ。そこがわれわれと考え方が根本的に違うのです。これはどうも海洋法会議世界大勢というのをわざと見落として、韓国に有利な結論を早くつけた、こういうことになるのじゃないですか、いかがですか。
  57. 中江要介

    中江政府委員 これは、先ほど申し上げました一九七〇年に私ども韓国との間で本件について法律専門家同士の話し合いを始めたときに、先生の御指摘のマルタ提案を含めまして、海洋法会議のみならず、国際的に海洋法秩序というものが発展していくその趨勢というものを十分もちろん検討して臨んだわけでございます。  そのときに私どもが予見いたしましたことは、国連の海洋法会議か一九七〇年の段階で一、二年のうちにまとまるという見通しはまずない、仮にまとまったといたしましても、日韓間のこの共同開発区域に属しているこの対象になっているような地形大陸棚境界画定について、クリアカットに、何の疑念もはさむことなく、日韓間でこれで行くんだというような基準が出るかという見通しにつきましては、私どもはそういうものはなかなか出そうにない、むしろ、一つの基準が出ましても、それを具体的なケースに適用する場合には関係国間の話し合いによるべきである、こういうことになるだろう、こういう予測でございました。そういたしますと、結局のところ、この部分開発日韓両国で話し合う、そのうちに中国や北朝鮮との間にも対話の道が開かれますれば、関係国で話し合って決めていくということになるであろう、こういうことで臨んだわけでございます。  他方また、この地域について開発を急がない、これはむしろここに備蓄されていると思って放っておけばいいという考え方も、私は一つ考え方であって、全くそれが不当であると言うつもりは毛頭ございません。ただ、この協定を結びましたときの一九七二年の時点における日本政府の判断は、これは実際的解決によってこの資源の有効利用をいまから図っても、商業ベースに乗って石油が利用されるには七、八年は少なくともかかる、そういう先を見通しますれば、日本の産業の発展のテンポから見ましても、また、石油危機、これは七三年でございますからその一年前でございますけれども、やがて石油の問題、エネルギーの問題というのは重要になるだろう、そういう推測も加えまして、これは早く実際的解決に臨んだ方がいい、そして日本韓国が仲よくこれを有効利用するということの方が、いつまでも待っている、あるいはその間の法律的な決着のみを目指しているよりも得策である、こういう判断でございまして、この判断そのものについて別段の御意見があることについては、これは異なった御意見としてお承りする以外にはないか、こういうふうに思うわけでございます。
  58. 板川正吾

    板川委員 時間かだんだんなくなってくるので、話を進めますが、通産省、外務省伺います。  この共同開発区域石油埋蔵量はどのくらい予想しておりますか。その根拠。特に外務省は、情報文化局長の名でパンフレットを出しておって、この中には七億キロリットルありということを言っておりますが、必ず七億キロリットル以上あるということは断言できますか。どのくらいあるかということを両省からとりあえず伺います。
  59. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 共同開発区域を含みます沖繩あるいは東シナ海、この地域につきましては、石油及び可燃性天然ガス資源開発審議会におきまして試算したところ、究極埋蔵量で約七億キロリットルという推定をいたしておりますが、ただ、当該共同開発地域につきましては区分して試算いたしておりません。別途、共同開発地域堆積層の発展の状況あるいは地質条件等を勘案いたしまして、当該地域には三億七千六百万キロリットルの究極埋蔵量があるのではないかという試算もございますが、当然のことでございますが、今後物探等精細な探鉱をやらないと、正確なことは申し上げかねる段階でございます。
  60. 中江要介

    中江政府委員 御指摘の外務省情報文化局が一九七七年四月に出されました「日韓大陸棚協定早期締結の必要な理由」というパンフレットの先生御指摘の該当の部分の表現が必ずしも当を得ていなかったということは、前国会において、私どもも非常に正確を欠く資料であったということで訂正をさせていただきまして、配布先に全部訂正版を出しました。その訂正いたしましたときの考え方はいかがかということは、いま資源エネルギー庁長官のおっしゃったとおりの認識でございます。
  61. 板川正吾

    板川委員 外務省ともあろうところが正確に物を書かないということは、本当に外務省の品位を下げることになると思いますね。  たとえば、ついでですから、このパンフによると、堆積層の厚さが六千メートルのところもあり、これは中東に匹敵するものです。こう書いてあるのですね。堆積層の厚さが六千メートルのところもあり、これは中東に匹敵するものですというのは、一体何を言わんとしたのですか、この外務省のパンフレットは。この堆積層が六千メートルのところもあるから中東に匹敵する、これはちょうど大道ヤシが、いかにもここにはたくさんのいいものがあるかのごとく言いながら、よく聞いていると必ずあると言わないという、ちょうど大道ヤシの口上みたいな物の言い方を書いているのは、外務省としては本当に品位を下げるパンフレットじゃないですか。
  62. 中江要介

    中江政府委員 私自身がそういう方面の専門家でございませんので、それが一体大道ヤシ的なものであるのかどうかという点については判断ができませんけれども、あのパンフレットを出しましたときには、資源エネルギー庁の専門的な知識をいろいろ教えていただきまして、そして書いたものでございます。したがいまして、その部分の表現をどう評価するかということは、ひとつ専門の方の御意見を御聴取いただく方が正確ではないか、こう思う次第でございます。
  63. 板川正吾

    板川委員 資源エネルギー庁、堆積層の厚さが六千メートルのところもあり、これは中東に匹敵するものですというのはどういう意味ですか。これは何を言わんとしたのですか。
  64. 古田徳昌

    ○古田政府委員 通常、石油埋蔵量を試算いたします場合に、まず堆積層の厚さを調べまして、さらにその堆積層の中でどの程度の炭化水素量があるか、さらにその炭化水素が貯留岩の中にどういう形で滞留しているかというふうな試算を進めていくわけでございます。その堆積層の厚さにつきまして調べます場合に、通常エアガン方式とかあるいはスパーカー方式というふうなやり方で実施するわけでございますが、この地域につきましてのエカフェ調査あるいはその後一部企業で行いました別の方式によります調査等から推計いたしますと、堆積層の厚さが六千メートル程度一部についてあるというふうな見方もあるわけでございます。他方世界的な産油国であります中東諸国の堆積層の厚さは、現在まで調べたところによりますと、六千メートル前後のところが非常に多いというふうなことが言われておりますので、このような表現になったわけでございます。
  65. 板川正吾

    板川委員 きょうは私は資料を持ってこなかったけれども、中東の堆積層から各油田の採取量なんかを見ると、厚いところだから必ずたくさん出るとは限っていませんよ。堆積層が六千メートルのところからうんと出て、三千メートルのところから少ないという統計はありませんよ。私が言うのは、この書き方、堆積層の厚さが六千メートルで、これは中東に匹敵するから油も中東並みにあるのだと言わんばかりに物を表現している。そういう表現をしている。これが大道ヤシと同じような表現じゃないか、外務省としては大変品の悪い表現である、こういうことを言いたいだけで、これは大した議論ではないですから、まあいいですが、いまちょっと正確にそういう場合には書きなさいよ、ごまかすような物の言い方はしなさんな、こう言いたいわけです。  そこで、外務省が宣伝したとおりに、七億という宣伝をしましたのですからそれを基礎に考えたのですが、仮にこの共同開発地域共同開発が成功をして、七億キロリットルなら年産二千万キロリットルぐらい順調にいけば出るようになるだろう、こう思うのですが、これも仮にですね。仮に二千万トン年産石油が生産できた、これを日韓両国で一千万トンずつ分配をする、山分けをする、それが日韓両国の経済にどのような影響を与えるだろうか、こういうことを通産省は考えたことがございますか。要するに、これは成功した場合、そして仮に二千万トン出て一千万トンずつ日韓両国で分け合った場合に、日韓両国の経済にどのような好影響を与えるかということを考えたことはございますか。
  66. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 この共同開発区域につきましては、御指摘のように、日韓双方の開発権者が費用も折半するかわりに生産物も折半するということになるわけでございます。したがいまして、年産二千万トンの規模になりました場合には、韓国側の取り分は一千万トンということになるわけでございます。  七五年時点における韓国の原油の輸入量、これは即消費量になるわけでございますが、かれこれ二千万キロリッター程度ではなかろうかと思います。将来の問題にいたしましても、そこに一千万トンの石油が確保できるということでございますから、いわゆる安定確保の面あるいは外貨の節減といったような面でかなりの効果があるということは申し上げられる。日本韓国とは経済規模も産業構造も違いますから、それに応じて、折半して持ち込んだ場合の影響の差というものは当然あろうかと思いますが、これはやはり共同開発といった趣旨からはやむを得ないものではなかろうかというふうに見ておるわけでございます。
  67. 板川正吾

    板川委員 日韓両国で仮に二千万トンの生産を山分けをしていきますと、お互いに国産原油が一千万トンずつふえる、安定供給のために大変プラスになる、こういうことになります。  この日韓両国の経済力の比較、エネルギーの比率など比較してちょっと検討してみますと、日韓両国の総輸入金額の中における原油の代金は、日本が三三%、韓国が一九%、これは七五年です。経済規模は、大体輸出が七百億ドル、七十億ドル、ほぼ十分の一であります。ですから、この二つの数字から類推してまいりますと、一千万トンの国内原油がとれた、安定供給に役立つということになると、韓国経済では日本で言えば一億トンの国産石油が安定的に確保できるということになる。比率を約十倍と見て、実際はそれ以上ですけれども、一九%と三三%の差がありますからそれ以上がありますが、仮に日本で一億トンの国産原油を開発したということになる。韓国経済においてはそういう比率になります。  北海で石油を掘り当てたイギリスやノルウェーの経済が最近非常に持ち直してきた。こういうことを考えてみますと、韓国はここ十数年来日本の高度成長をしのぐ世界一の高度成長をしております。現に二十数%今日でも名目的にはふえておりますし、一〇%をはるかに超えた実質成長率を誇っているわけであります。そこに一千万トンの国産原油が安定的に確保されるというようになりますと、韓国経済はさらに飛躍的な発展を遂げるだろう。  私は、韓国が自力で経済発展することをやっかんだり、けしからぬという気持ちではございませんが、しかし、本来、中間線をとれば日本の管轄下に入るであろうところから、半分韓国石油を分け前をとって、そして共同開発する地域は、われわれとしたら韓国が不法な手段でそこを奪い取った、われわれの気持ちはそこにあるわけですから、そういうところから一千万トン年々石油を確保して、そして韓国経済が発展をして、その産品が日本に輸入をされて日本の中小企業に甚大な被害を与える、こういう結果になった場合には、国民はこの日韓共同開発に非常な怒りを覚えると私は思うのでありますが、私が考えるような杞憂はないのかどうか。
  68. 児玉清隆

    ○児玉政府委員 お答え申し上げます。  いまの御指摘は、中小企業の国際的な格差がさらに開くのではないかということかと思いますが、発展途上国製品が競争力を強化しておりますことは従来からの趨勢でございまして、わが国の中小企業製品の発展途上国製品に対する競争力を強化するための施策として、年来各般の手当てをしているわけでございます。特に中小企業近代化促進法等に基づきますところの近代化、高度化等の施策を通じて競争力の低下を防止し、逆に新技術、新商品の開発等によりまして知識集約的な競争力をつけていくという方向に施策の重点を置いているわけでございます。したがいまして、物的な面でいま御指摘のような資源の供給の安定基盤という点では、日本の中小企業にとりましても韓国の中小企業にとりましても、この問題は裨益するところが大であるというふうに考えます。そういった物的な面の競争力以上のものについて、いわばソフトウエアの点につきまして、今後中小企業の競争力をつけていきたい、このように私どもは考えております。その一環として解決してまいるべきではなかろうかというふうに考えます。
  69. 板川正吾

    板川委員 時間がありませんから先へ進みますが、韓国が一九七〇年一月に、急遽国内法海底鉱物資源開発法を成立させた。これより先、日本政府より話し合いをすべきだとの旨申し入れをしたけれども、拒否して、開発法に従って第一鉱区から第七鉱区までの鉱区を設定して、五月ごろには米系企業に租鉱権を与えて既成事実をつくり上げた。このあわただしい韓国措置は、いわば日本外交のすきをついた空き巣ねらいのようなものじゃないかと私は考えます。なぜ日本自民党政府の顔をつぶすような行動をとったのかと考えると、私は次のように推察しているわけです。  一九六七年、国連総会においてマルタの代表パルド氏が、すでに一九五八年の大陸棚条約は急速な科学の進歩のため国際法として適当でなくなったと指摘し、その凍結を主張した。それで、新しい海洋法秩序をつくるために国際会議を設置すべきだという提案が圧倒的な支持を受けて可決されたのを見て、韓国は、近い将来大陸棚条約の自然の延長論は修正されると感知したのじゃないだろうか。そのことが国際的に大勢とならないうちに、たまたま一九六八年十月、エカフェの東シナ海の大陸棚調査に目をつけて、この際南部共同開発区域に当たる場所を自然の延長論理由に占領しておこうという作戦をとって実行したのではないかと思うのです。少しぐらい日本政府の顔をつぶしても、強引に強行し、既成事実をつくり上げてしまえば、あとは得意の、米国政界にばらまいたと同じような手段を使えば何とかなるだろう、しかもそれは将来韓国にとって大変大きな利益となるだろうという遠大な作戦計画のもとに決行したものだと私は思います。しかし、これについては、時間がありませんから答弁は要りません。  マルタ提案を契機に第三次海洋法会議が開かれておりまして、目下第七会期でしょうか、開催されております。ここでの議案の主なものは、三百三条から成る新しい海洋法統合草案の審議であります。一部に深海海底の問題もありますが、それ以外のところは各国でほぼまとまりつつあるというこの統合草案によりますと、経済水域二百海里が前面に出て、大陸棚条項はその後についている。この経済水域大陸棚の定義は一体どういうふうになりましたか、その境界画定の方式はどうなったのでしょうか。
  70. 久米邦貞

    ○久米説明員 ただいまジュネーブで行われております海洋法会議第七会期における審議のベースとなっておりますところの統合草案におきましては、大陸棚の定義といたしましては第七十六条にございまして、読み上げますけれども、「沿岸国大陸棚とは、その国の領海を越え、その陸地の自然の延長をたどってコンチネンタル・マージンの外縁までの部分、またはコンチネンタル・マージンの外縁までの距離が領海の幅員を測定する基線から二百海里ない場合には二百海里までの部分をいう。」ということになっております。他方経済水域につきましては、第五十七条に経済水域の範囲を決める規定がございまして、「排他的経済水域の幅は、領海の幅を側定するための基線から二百海里を超えて拡張してはならない。」ということになっております。
  71. 板川正吾

    板川委員 時間がありませんので急ぎます。  私の資料には、海洋法会議の第七十六条の大陸棚の定義の文言をそのまま図面で説明してありますが、この資料を見てください。この資料で、いま言った大陸棚の定義として、「沿岸国大陸棚は、その国の領海を超えその領土の自然の延長全体にわたり、コンチネンタル・マージンまで」、これがCであります。「コンチネンタル・マージンが領海の幅を測定するための基線から二百海里の距離に達しない場合は同基線から二百海里までの海底区域」、オーバーラップしている場合にはその中間線というふうになっておりますが、この図解は新しい大陸棚の定義に合っておりますか。違っておれば、どこが違っておるか言ってください。
  72. 久米邦貞

    ○久米説明員 先ほど配付されました資料のA、Bにつきましては、先生の御指摘のとおりでございます。  すなわち、先ほど読み上げました統合草案の第七十六条の規定におきましては、大陸棚の範囲を規定する基準として二つの基準が書かれておりまして、領土の自然の延長全体にわたり、コンチネンタル・マージンの外縁までというのが第一の基準でございます。これは図のAに示されたとおりでございます。  第二の基準としてこのBの基準がございまして、これはその自然の延長外縁が二百海里より手前で終わっている場合、この図面で申しますとbで終わっておるわけでございますけれども、この場合には沿岸国は二百海里までを大陸棚として主張できるということが書いてございます。このA、Bにつきましてはこのとおりでございます。  それからCは、このA、Bの基準が相対する国の間で双方から重ならないような形で出ている場合であろうかと思われますが、このCもまさにこのとおりかと思われます。  ただ、このDにつきましては、先ほど申し上げました七十六条の規定は、公海に向かって大陸棚が延びている場合の一般的な定義でございまして、このように相対する国の大陸棚が重なり合っている場合については、この七十六条の規定では、特にこういう場合にどういう形になるかということは規定がございません。これはむしろ境界画定の規定が適用されると思われます。
  73. 板川正吾

    板川委員 このお互いにオーバーラップする場合にはその中間線ということ、これは八十三条の境界画定。これは経済水域大陸棚境界画定に対する条項はほとんど同じなんです。  そこで、お伺いしますが、新しい経済水域には地下資源も含まれているのです。したがって、経済水域の方が前面に出て、大陸棚は後になっているのです。経済水域大陸棚両方を比較しますと、まず水深規定はない。大陸棚の二百メートル水深のその形が自然に延長しているのだというのが大陸棚だという意味の規定は全くなくなった。  それから水深の規定がありませんから、向かい合っているかいないか——片方は深くなっているから、近くにあってもそれはそこの国の物というわけにいかないぞ、なぜならそこは深い海溝があって大陸棚がとぎれているからだ、こういうことをいままでの条件に基づいて条約局長は盛んに言っておるわけですが、今度はその水深の規定がないし、大陸棚が張り出したかどうかは、今度の経済水域大陸棚の規定の中にないのですよ。それは二百海里の基準。そうして二百海里と二百海里がオーバーラップしていたらその中間線水深の規定はないし、しかも向かい合って同一大陸棚かどうか、こういう論議はもう必要なくなっちゃった。これが大陸棚経済水域の新しい規定ですよ。こういう規定ができつつあるわけです。これはまだ最終的に統合草案が第三次海洋法会議の結論として決まったわけじゃないのですが、この点については各国はほぼ合意をしている。だから、これがそう動くことはまずないのです。こういうように今度は海岸から距離で決まってきて、大陸棚水深二百メートルとかあるいは底が同一大陸棚とつながっているかどうかなんという議論はもうないのです。だから私は、こういう大陸棚の動向というのを察知して、あわてて共同開発なんかしない方がよかった、こういう気持ちを持っているわけであります。  時間があと十分しかありませんから、先に進みますけれども、第三次海洋法会議で決まりつつある大陸棚の定義と旧法との差はそうですか、大陸棚についてもし境界で紛争かあったという場合には、新しい海洋法会議の条項では、どういう方式でやれと言っておりますか。これは時間がありませんから、簡単に言ってください。
  74. 久米邦貞

    ○久米説明員 境界画定につきましての統合草案の規定は、先ほど先生も御指摘になりました第八十三条にございますけれども、この八十三条の規定自体まだ流動的でございまして、議論の対象になっておるところで、必ずしもこれがそのまま固まるかどうかはわかりませんけれども、現在の統合草案規定ぶりによりますと、これは二国間の境界画定は衡平の原則に従ってすべての関連する状況を考慮に入れて、合意によって決めるという規定ぶりになってございまして、合意か得られない場合には紛争解決の手続に訴えるものとするという規定かございます。紛争解決の結論が出るまでの暫定的な期間につきましては、両当事国は大陸棚境界画定に関する一般的な規定を考慮に入れて暫定取り決めを締結するものとするという規定になっております。
  75. 板川正吾

    板川委員 海洋法会議統合草案によりますと、大陸棚をめぐって紛争が生じた場合はどのような措置をとるかというと、適当な場合は中間線または等距離線を使用し、かつ、すべての関連する状況を考えて、衡平の原則に従って合意によって行うものとする、合理的期間内に合意に到達しない場合は紛争解決機関の手続に訴えるものとする、こう言っておるのですね。そうしてその紛争解決の機関というのはどういう手続をとっているかというと、紛争当事国は選択した手段により紛争を平和的に解決する義務を負う。だから、紛争があった場合に一方的にやるなんということをやってはいかぬということを言っているわけです。そういう平和的に解決する義務を負う。当事国で解決しないときは第三者による強制的解決の手続をとる、当事者で話し合いがつかないときは第三者による解決の道を図れ、第三者による強制的平和的解決の手続を詳細に規定しているわけである。  ですから、この大陸棚の紛争が起こった場合に、平和的に解決しないで一方的におれの物だからといってやるような行為はやってはいかぬと言っておりますし、両方で解決しない場合には、第三者に頼んで、その強制的な解決の手続をとれ、その手続をいろいろ書いてあるわけでありますね。これは統合草案の十五部にあるわけですが、この規定ぶりからいって、韓国主張のように話し合いがつかなければ一方的解決をしてよいなどという規定はないし、話し合いがつかなければ第三者に強制的解決を図れと言っているし、日本国際司法裁判所に提訴してその判定を受けようというのに、拒否し、一方的に開発に着手するなどという行動は、今日の国際常識からいって逸脱していると思います。この新しい海洋法の秩序の方向からいいますと、この日韓大陸棚交渉の際にとった韓国の態度というのは妥当ではない、私はそう思いますが、アジア局長、どうですか。
  76. 中江要介

    中江政府委員 先生は、紛争になったにもかかわらず、韓国が平和的な解決の道を選ばずに一方的に手をつけたというふうな評価でお話をされておるように承りましたが、実はそうではございませんで、冒頭に申し上げましたように、韓国韓国立場に基づいて、これは一方的にといいますか、韓国が独自に開発できる区域であるという国際法上の立場に立って開発しようとした、それに対して、日本はそれは相ならぬと言いまして、韓国は一方的開発を思いとどまりまして日本との話し合いに応じたわけです。その話し合いに応じた結果できましたのが今度の協定でございますので、紛争になったものを韓国が一方的に手をつけて、平和的な解決の努力をしなかったというふうには、私どもは受けとめておらないわけでございます。
  77. 板川正吾

    板川委員 私が言いたいのは、韓国のこの共同開発区域は全部韓国の物だということは、国際法上からいっても私は不当な措置だったと思うのですよ。いや、日本相談して、そういうことなしに共同開発しようと言ってやったのならいいんですよ。一番最初に、御承知のように第七鉱区としてこれは韓国のものだと言って宣言をして、そして一方的にやるかのごとき姿勢をした。日本話し合いをしようと言っても、向こうは拒否した。そして結果的には、前例にしないとかなんとか言ったって、韓国主張日本がのんで、そして共同開発という形にしたんじゃないんですか。  だから、そういう韓国の不当な不法な行為ならば、紛争を起こしてもいいじゃないか。もちろん平和的に解決すればいいのである。そしてそのために時間がかかったっていいじゃないか。時間がかかればこっちが有利になるんだ。そして資源は逃げるわけじゃない。こういうふうに考えれば、早く開発するために政治的な決着を待ったということが間違いだと言っているんですよ。私は、紛争になるべき性質のものだったと思っているんですよ。なぜ紛争にならないんだ。それは国際司法裁判所に訴えることができない。じゃ、韓国との紛争解決の交換公文なんというのは全く空文化しているのじゃないか、こういう理屈になるのであって、これは当然紛争になってもいい、仕方がない韓国の行動だったと私は思うのです。  だから、そういう点で主張しておるのですが、時間になってしまいましたから、結論を申し上げますか、外務大臣と通産大臣にひとつ聞いてもらいたいと思うのです。  新しい海洋法統合草案によると、この共同開発区域に当たる区域経済水域——統合草案の五十五条、五十六条、五十七条の規定及び七十四条の規定、これは経済水域と言っておりますか、経済水域というのは沿岸から二百海里までは魚も地下資源も全部経済水域の中に入るんです。ですから、二百海里内の大陸棚経済水域の中に規制されます。大陸棚というのは、それから二百海里を超えてコンチネンタル・マージンに至るまで、こういうことになってきた。これは七十六条、七十七条、八十三条の規定によっても明らかなんです。  だから、この新しい経済水域大陸棚境界画定の規定をいまの事態に当てはめますと、日韓大陸棚共同開発区域はまさに中間線より日本側なんですよ。もしこの新しい海洋法会議方向で線を引くならば、韓国管轄権はここに全くありません。これは日本単独で開発できる区域です。だから、そういう方向海洋法会議の動向が来ているのにかかわらず、国際情勢、海洋法会議の情勢というのを見ないで、早く解決するとか、あるいは自然の延長が絶対だとか、こういうことに耳を傾けて、九州の二倍にも達する土地を半分韓国に提供したということになる。これは将来重大な国民的問題を引き起こす問題だろうと私は思いますが、これについて外務大臣、通産大臣一言でもいいから答えてもらいたいと思います。
  78. 園田直

    園田国務大臣 海洋法会議の趨勢は、自然延長論が有力であり、これが海洋法条約に規定される可能性か高まっております。  おっしゃるとおり、わが国経済水域を設定して、共同開発区域に当たる区域内における天然資源に対する主権的権利主張したとしても、韓国側による自然延長論に基づく当該大陸棚に対する管轄権主張に優先してこれを排除する国際法上の根拠はありませんので、また、改定単一草案でも経済水域大陸棚のいずれの利潤が優先するかについての一般的規則はございません。したがって、今後かかる規則が成立する場合におきましても、結論としては、この間の調整は二国間交渉でやる合意以外にない、このように考えております。
  79. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 いろいろな議論はあると思いますか、私は、現時点では解決方法はこれしかない、こう思いますので、何とぞよろしく御理解を賜りたいと思います。
  80. 板川正吾

    板川委員 これを言うとまたあと時間がかかっちゃいますから言いませんが、外務大臣、忙しく諸外国をかけめぐっておって、海洋法会議の問題について焦点を当てる機会はなかったんだろうと思うのです。しかし、この機会に、ぜひひとつ経済水域大陸棚という新しい海洋法の秩序がどういう方向になっているかということをもう一遍検討してもらいたいと思います。  最後でありますが、総括してみますと、韓国は、一九六七年国連におけるマルタの提案を知って、いち早く旧大陸棚条約による既成事実をつくり上げて、東シナ海の大陸棚日韓共同開発に持み込むということに成功した。日本海洋法会議の動向を察知しないで、また、小田滋教授の論文などこの前紹介しましたが、注意もしないで対韓交渉に失敗をして、私は韓国にしてやられた問題だろうと思います。さらに、韓国の強引な単独開発するぞという声におどかされて、譲歩に譲歩を重ねてしまった。本来、紛争を起こして時間をかせげば、当然日本管轄権内に入るべきこの大陸棚共同開発に持ち込んだということは、日本の外交の最大の失敗だったというふうに私は感じます。しかし、いずれこれは歴史の審判を厳しく受けるだろうということを申し上げて、私の質問を終わります。
  81. 野呂恭一

    野呂委員長 松本忠助君。
  82. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 私は、日本国大韓民国との間の両国に隣接する大陸棚南部共同開発に関する協定実施に伴う石油及び可燃性天然ガス資源開発に関する特別措置法案について質問をいたす次第でございます。  私は、昨年の十一月の十六日に当委員会におきましてこの問題を質問をいたしました。その際、第一番目に私は竹島の問題を取り上げたわけでございます。なぜ竹島の問題を取り上げたかといいますと、この共同開発ということは、相互の信頼関係の上に成り立つ問題である。お互いに不信の状態にあってはうまくいくものではない、こういうふうな基本的な考え方を私は持っているわけでございます。  したがいまして、いま日韓両国の間で最大の問題は何かと言えば竹島の問題でございます。そうした問題をまず取り上げたのは当然のことであろうと思うわけでございますが、この竹島の問題が十数年間経過いたしましたけれども、いまだ解決ができない、こういう状態でございます。したがいまして、これから問題を詰める共同開発という問題も、この竹島の問題を一つ例にとってみても、十数年にわたって解決かできない問題、しかもこの新しい特別措置法というものは相互の信頼の上に立って始めなければならない問題でございます。そういう点から考えれば、この共同開発に手をつけるということ自体が、まず竹島の問題を解決してからやるべきであるというのが私の持論でございます。それが一点。  それからもう一点は、大陸棚南部共同開発につきましては、中国側合意を取りつける、そのために外務大臣訪中すべきである、そうしてこの訪中の時期は、日中平和友好条約の締結前に訪中すべきである、そして理解を求めるというような前大臣の答弁がありましたけれども、私は、理解でなくて合意を求める、合意を得ろ、こういうふうな内容の質問を展開した次第でございます。  しかしながら、この問題につきまして、当時の外務大臣の答弁が食い違い、かみ合いません。そのようなことで、委員会の席におきまして、野呂委員長に対しまして、本委員会の意思を決定するように理事会の開催をお願いいたしましたけれども、それが理事会の開催にならず、理事懇談会という形で開催をされました。そして私の意見はお取り上げになりませんで、やむを得ず私は審議を中断いたした、そのようなわけでございます。  その点につきまして、今回、園田外務大臣、河本通産大臣、その間の事情を十分御存じとは思うわけでございますが、前回そのようなことがあったということをひとつ念頭に置いていただきたいということでございます。両大臣とも、とにかく福田内閣の枢要なる経済大臣であり、また、外交問題に対する総責任を負っているわけでございますので、お二人からこの問題について誠意ある御答弁をぜひともいただきたい、こういうふうに思うわけでございます。  そこで、私は、そのときの問題について、もうちょっとばかり申し上げておきたい点がございます。それというのは、当日の最後の締めくくりの段階におきまして同僚議員の社会党の佐野議員から質問がありました中で、私は少し申し上げておきたい点があるのです。それは、商工委員会というものは、いままで日本の国の経済という問題を討議するために本当に真剣な討議をやってきたわけでございますが、残念ながら、この大陸棚開発の問題に対しての質問に際しましては、いろいろとどうも険悪な空気か当委員会の中にみなぎったことも事実でございます。  そうした問題について佐野委員が述べておりますが、若干これを、真ん中の辺は余分でございますから除きますけれども、こういうふうに佐野委員が言っています。  「私も」——というのは佐野君のことでありますが、「昭和四十二年に初めて議席を得、商工委員会に席を持って以来初めて経験する異様な雰囲気」であった、こういうことです。真ん中ごろをちょっと抜きまして、「私は」——佐野君はですね、「今月の一日」——ということは十一月の一日のことであります。   今月の一日に始まった審議の経過の中で、そのわれわれの努力を裏切るがごとき状況が毎日のように繰り広げられていることに対して、商工委員会を愛する一人として心悲しみながらその運営に当たってまいりました。   一体、その原因はどこにあるのか。通産省が提案した法案であるけれども、その提案した法案の裏には何があるのか。私は、長い質疑の時間を通じて各委員の質問を聞きながら、結果的に、このような協定を結び、このような協定に基づく措置法を提案した、不見識な、国を憂うる気持ちのない、無原則的な協定締結当時の外務省当局の責任を厳しく指摘せざるを得ないと思うのであります。 これは佐野君の言葉であります。  中断をいたしますが、最後に、   私は、その意味において、外務大臣並びに外務当局かこの委員会に臨みながら答弁をし、いま松本議員の質問に対してその満足を得ることができ得ず、会議を中断せざるを得ないような状況の中でいま私の質問が始まろうとしておるその原因が、挙げて外務当局のその姿勢にあるということを、この際強く指摘しておかなければならないと思うのであります。 これは佐野君の言葉でございます。  こういう点がございまして、この大陸棚南部共同開発の問題につきましては、いろいろと問題点があるということを十分御認識の上でひとつ臨んでいただきたいと思うわけでございます。  それで、昨年の本委員会で私が再三指摘した問題でございますけれども、この共同開発につきまして関係国の理解を求めるという、こういうことでございましたけれども、その後、この問題に対して中国政府との話し合いが行われたのかどうか。もし行われたとするならば、その日時、具体的な内容、それをここで示していただきたいと思うわけでございます。これは外務大臣から御答弁をいただきたいと思います。
  83. 園田直

    園田国務大臣 過去の経緯の事実でございますから、事務当局から間違いなしに答弁をいたさせます。
  84. 三宅和助

    ○三宅政府委員 お答えいたします。  政府は、従来から、本件協定国会審議の前後を通じまして、中国側理解を求めるべくいろいろ説明してまいったわけでございます。一番最近に至りましては、昨年の十月三十一日、当時の枝村アジア局次長が肖向前参事官にいろいろ説明しております。また、北京では、十一月の五日、堂ノ脇参事官から王暁雲アジア局副司長に説明してございます。  それ以降、実は本件法案が継続審議案件となっております関係もありまして、特に説明してはございませんが、ただ、本年の一月十九日と二十日でございますが、海洋法全般の問題につきまして村田条約局参事官が北京に行きまして、中国との間で意見交換を行ったわけでございます。これはあくまでも海洋法という見地から双方の専門家同士の忌憚のない非公式な意見交換でございます。その中で本協定についても説明されておりますが、詳しいことは、先方との約束もございまして、これ以上申し上げる立場にございません。
  85. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 要するに、十月三十一日または本年の一月十九日から二十日にかけていろいろと海洋法全般の問題に対しての意見の交換をした。その際に、この共同開発の問題に対して触れたのですか、触れないのですか。
  86. 三宅和助

    ○三宅政府委員 本協定の問題につきましては、当方から先方に説明してございます。また、先方の意見も聞いております。  これ以上は、先方との約束もありますので、ちょっと申しかねますので、御了解いただきたいと思います。
  87. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 外務大臣にお願いいたしたいのですが、いまのお答えでございますけれども、私は、この重大な問題に関しまして、やはりわれわれがある程度その内容についても知っておくべきであると思うわけでございますが、外務大臣からその点についてお答えをいただけませんでしょうか。
  88. 園田直

    園田国務大臣 内容は申し上げられないという向こうとの約束だということでありますが、私か理解しているところでは、中国理解を得るには至っていない、こう解釈をいたしております。
  89. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 この問題は、やはり私は中国側理解を得る、こういう措置は当然必要だと思います。中国が再三にわたって抗議声明というのをやっております。御承知と思いますけれども、四十九年の二月四日の外務部のスポークスマンの声明、あるいは五十二年六月十三日外務省声明、こういうふうな形によるところの強い抗議か示されているということは、中国側ではこういった抗議声明というものを再三にわたってやっているということは、日本政府としてこれに具体的な回答をすべきではないのか、こういうことを中国側でも大きな期待をしている、こう私は思うわけでございます。私は、政府として、これは基本的な問題でございますので、ぜひ明らかにしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  90. 園田直

    園田国務大臣 中国の抗議の主なるものは主権を侵害しているという誤解があるようで、こちら側からの説明は、主権の侵害ではないという実情を説明したと聞いておるわけであります。いずれにいたしましても、境界が接しておる隣国中国の問題でありますから、これは理解を求めることは大事であるとは存じますが、いまの時期にこれを持ち出すことは適当ではないと私は判断をいたしております。
  91. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 恐縮でございますか、外務大臣、もうちょっと大きい声でお答えをいただきたいと思うわけでございます。  日本政府としては、こういった抗議を無視してこの国内法の成立を図り、協定を発効させても構わないというお考えなんでしょうか。その辺をひとつお答えをいただきたいと思います。
  92. 中江要介

    中江政府委員 これは前回も申し上げたことだと思いますが、日本友好関係を深めていこうとしている重要な隣国の中華人民共和国の抗議でございますから、これを無視するとか、ほっておいて勝手にやるとか、そういう気持ちは全くございません。  ただ、問題は、中国政府の言っております抗議の中身、特にそのよって立つ国際法上の論拠について日本と見解を異にしているということでございますので、その見解を異にしている点はお互いにまずよく認識し合って、その上でどういうふうに対処するのが最も平和的な解決であるかということを求めなければならない、これは一九七二年の共同声明でも、紛争は平和的に解決しようということになっておるわけでございますので、日本政府といたしましては誠心誠意、日本側のやっていることが中国の言うように中国の主権を侵害するものでないという国際法上の立場を重ね重ね中国に御説明をしておりますけれども、現在までのところ十分な御理解を得るに至っていない、そういうことでございます。
  93. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 日本政府が努力をしている点はわかります。私は、日中平和友好条約締結交渉及び日中関係全般に対して影響がありとお考えになるからこそ、誠心誠意再三繰り返し繰り返しその合意を得るようにやっている、こういうふうに受け取るわけであります。したがいまして、これはいま申し上げましたような日中平和友好条約の締結の問題あるいは日中関係全般に対して影響がないとは考えられない、だからこそ日本政府はやっている、こう理解してよろしいですね。
  94. 中江要介

    中江政府委員 日本政府から見まして、中国側立場について承服いたしかねる点があるので、その点についてはよく中国側と話し合っておく方が、ほったらかして顧みないよりは数等いい。なぜそれが数等いいかといいますと、日中間には共同声明に基づいて平和友好関係を発展していかなければならないという立場がありますし、具体的に共同声明に基づきますいろいろの話し合いがあるわけでございますので、あらゆる面で友好関係を阻害しないようにしなければならない、しかし、そのことは中国側の同意を得なければならないという国際法上の義務を伴うようなものとは日本政府は考えてないという点をよく中国側理解してもらいたい、こういうことでございます。
  95. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 日本政府考え方はあくまで中国側理解してもらいたい、合意を得なければならない。中国側がそういう問題に対して非常に関心を持っているわけです。ですから、ここでいままでのようなレベルの話し合いでなくて、もうここの土壇場まで来たら、やはり中国の佐藤大使に訓令でも出して、もう一度正式に話し合うということをなすべきではないかと私は思いますけれども、この点はどうでしょうか。
  96. 中江要介

    中江政府委員 私どもが考えておりますのは、日韓大陸棚協定、特に南の共同開発に関する協定部分は、繰り返し申し上げておりますように、日韓間で合意して開発の手だてを決めれば、それで国際法上問題のない区域だという立場でございますが、他方、この地域に隣接いたしましてずっと南西の方にこの大きな大陸棚が延びているわけでございますから、日中間大陸棚の話をするときは、むしろこれから南の方に横たわっております。日中の間にはさまれている大陸棚境界画定及びその開発についての話し合いには、日本政府といたしましてはいままで折あるごとに、いつでも応ずる用意があるということを中国政府に対しまして申しておりますが、中国側ではまだその話し合いをしようという立場をとっておられないということでございます。
  97. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 私は、中国側がこれよりさらに南へ下ったところの問題については話し合う用意が当然あるのはあたりまえの話ですけれども、いまの南部共同開発の問題にしましても、東シナ海の東部にあるわけでございますし、重大な関心があるのは当然のことだと思うのですよ。だからこそ、中国側はそういう問題に対して話し合いをあくまで拒否し、終わりにしようとはしていないわけです。日本側としても誠意を持ってやっているわけでございますけれども、これは私、将来日中間国際紛争になるおそれがあると思うのですよ。だからこそ、ここでその根源をただしておかなければいけないということはこの前も言ったし、きょうもまた重ねて申し上げていることなんです。  それで、アジア局長は、この問題が国際紛争になるおそれは皆無である、絶対ありません、こういうふうに確信を持って言い切れますか。
  98. 中江要介

    中江政府委員 これはすでに日韓間で国際紛争になりかけたものを話し合いによって解決したということでございまして、大陸棚制度に関する国際法の発展度合いというものがきわめて未熟でございますので、見解の相違というものはあり得る。見解の相違をもし紛争と呼ぶのであれば、これは紛争は皆無だと言う自信はございません。
  99. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 どうもなかなかかみ合わないな。  外務大臣にお伺いします。外務大臣、近く訪中をなさらなければならない事態に立ち至るであろうことは、われわれは十分予測できるわけでございます。この問題は、私は政治的な解決かなされなければならないと思いますが、外務大臣訪中いたしました際に政治的な解決をする、その議題にしよう、こういうお考えがございますか。
  100. 園田直

    園田国務大臣 先ほどからアジア局長が申し上げておりますとおり、本協定日本韓国両国にまたがる大陸棚の問題であります。一方、中国の主権は損ねていない、こういうことでございますので、中国とは友好関係を進めていくということで、それぞれ別個の問題として話し合う必要はありますけれども、今度の友好条約締結の際にこちらからこのような問題を出して、水を差すようなことはいたしたくないというのが私の本心でございます。
  101. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 前回と全く変わってないのですけれども、この問題は基本的な問題でございますので、やはり十分の認識をお持ちになっていただいてやらないと、将来に禍根を残すのではないかと私は非常に心配するわけです。われわれとしても、特にわが党としては、日中間の問題については何とかして近い将来において、それも本当に近い将来において平和友好条約を締結したい、そのためには政府としても十分のお骨折りを願わなければならないし、そのことがアジアの安定、アジアの平和に寄与するものだ、こういうふうに考えておりますので、中国との間に少しの問題も残したくない、全くきれいな姿において条約の締結に踏み切りたい、そうすることが日中両国のためだ、ひいてはアジアのためだ、世界平和のためだと思うものですから、この問題についてしつこいほど私たちは言うわけでございます。  そこで、私、こう申し上げたいのです。中国のたび重なる抗議につきましては再々申し述べたとおりでございますし、私以外に同僚議員もやっております。私は中国側の抗議、こう受け取っております。これを無視するというのじゃないけれども、あくまで話し合いをやって自分たちの考え方国際法的に道理の通った話をしているのだ、向こうがそれに対して同意を与えてくれないのだというようなことを言っていますけれども、このたび重なる抗議というものを無視するとするならば、せっかくいままで積み上げてきたところの日中の友好関係というものを根本から揺さぶる、そうしてあるいはこれを破壊するというようなことにならないかというふうな憂いがあります。したがいまして、私は前国会以来この問題を主張しておるわけでございますが、この批准につきまして中国との合意が得られるまで待つべきである、これが私の基本的な考えなんです。これをお待ちになる意思は全くありませんか。
  102. 中江要介

    中江政府委員 私ども立場からいたしますと、日韓間で合意しました大陸棚南部共同開発に関する協定は、国際法上十分に説明し得るものであるという立場でございますし、そういう立場でありますからこそ、この協定を締結して御承認を得たわけでございます。したがいまして、これについて新たに第三国の同意が必要だというような立場をとりますことは、私ども国際法上の立場からは許されない立場でございます。  私どもは、中国理解を得た方がいいということで努力をしておりますのは、そういう国際法上の立場とは別に、先ほど大臣も言われましたように、日中間友好関係にかんがみまして、中国側が私どもと違った立場で意見を述べておられますのに対して、私ども立場を御説明するということでございます。
  103. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 いま日中間にいろいろの問題がございますが、特に民間におきますところの長期貿易の取り決め、先般行われたわけでございます。将来にわたりまして中国の原油の輸入、こういうことが決められたわけでございますけれども中国との関係で、この大陸棚協定を強行するということは、日本の将来の資源政策から見ても妥当な結果にならないのではないか、この点について通産大臣からお伺いをいたしたいわけです。
  104. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 長期貿易協定は、二月十六日に、ことしを初年度といたしまして、一九八五年まで八年間の期間を通じて締結されたわけであります。途中で若干調整をすることになっておりますが、私は、この大陸棚協定に関する一連の法律案が承認されたからといって、今回の貿易協定に悪影響があるとは考えません。
  105. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 それでは、もう一点通産大臣にお伺いしますが、この協定を発効させるメリットとデメリット、これをどのように御判断になっていらっしゃいますか。
  106. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 現在は石油はだぶつきぎみでございますか、一九八〇年代から一九九〇年代、この期間はやはりエネルギーの中心は私ども石油であると考えております。いろいろな代替エネルギーも開発されておりますけれども、やはりここ当分の間は石油がエネルギーの中心であろうと考えております。そういう場合に、この大陸棚開発されるということは、日本のエネルギー政策上非常に大きな意義があると考えております。
  107. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 それでは、デメリットはないとおっしゃるわけでございますね。
  108. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 デメリットの問題につきましては、先ほど来いろいろ外交上問題があるじゃないかという御意見でございますが、私どもは、そういうことは十分話し合いで解決できる、このように理解をいたしまして、今回の法律案をお願いをしたいと考えております。
  109. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 大臣、お尋ねしますが、海洋法会議の結論を待たずにこれを決めるということは、私は危険だと思うのですよ。日本の損失を招くおそれがあると思うのでありますけれども、この点についての御見解はいかがでしょうか。
  110. 中江要介

    中江政府委員 これは先ほど来御説明申し上げておりますように、海洋法会議の行方というものがはっきりしておりまして、それを前提としての判断なら、いろいろメリット・デメリットということになろうかと思いますが、いままでのたどってきました道、また、いま開かれております海洋法会議の状況から見まして、この日韓大陸棚共同開発協定実施というものが、海洋法会議の結果に照らして非常におかしなものである、間違ったものであるということにはならないという見方で対処しておるわけでございます。
  111. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 これは見解の相違もありますから、先に進めます。  この国内法が発効しないで日韓共同開発というものができないというような事態になった場合に、韓国側では一方的に開発をするような可能性があるのかないのか、この点についてお尋ねをいたしたいわけでございます。
  112. 中江要介

    中江政府委員 私ども政府レベルでの話では、韓国政府がそういうことを考えているということは、公式には何ら知らされておりません。ただ、先生も御承知のように、韓国の新聞その他の一般言論報道界では、そういう強硬意見も散見されるということでございます。
  113. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 確かにいまお話しのように、韓国系の新聞では、いろいろおどしといいますか恫喝といいますか、そういうことが再々報道されてくるわけでございますが、そうした恫喝、そうしたおどしに日本外務省が乗ることは万々ないだろうと私は思うわけでございます。韓国政府といたしましても正式にこういったことの表明をしているわけじゃないわけでございますから、その点は十分大丈夫だと思うわけでございますが、特にこの点についてお伺いをしたわけでございます。そのようなことがないとおっしゃいますけれども、仮に行われたとするならば、私はわが国に対する重大な不信行為になると思うのですけれども、これはどうでしょう。
  114. 中江要介

    中江政府委員 そこのところの判断が非常にむずかしいところだと思います。と申しますのは、国際間におきまして二つの国が協定を締結いたしまして署名をする、署名をした後、不当に長期間その批准をしない、そのために協定の発効を見るに至らない、そういうときに、韓国の方は御承知のようにすでに批准をして、いつでも批准書の交換ができるという状態になっておりますが、それから二年、三年と日本側が批准ができない状況で推移しております。この効力の発効しないでおくれているそのおくれ方が、不当に長期間不当におくれているというふうに一般的に判断されますと、今度は、韓国の方でこの協定にかかわらず独自の行為をとりましても、それが必ずしも国際法に違反するということにはならない、そういうことか条約ニ関スル条約という条約がございまして、それの第十八条にその旨の規定があるわけでございます。しかし、これはあくまでもそういう規定があるということだけでありまして、日韓関係の現状から見ましてそういうことはあってはならないことだと思いますし、そういう意味でも早くこのサインをし、国会の御承認を得ている協定が発効の運びになるように努力をしなければならぬというのが私ども立場でございます。
  115. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 不当におくれているといっても、何も十年も二十年もおくれているわけじゃないわけでございまして、この問題については、日本の国としましても、やはり公害の問題、また資源開発の問題、いろいろ問題があろうからこそ、われわれとしてもそれを危惧をし、審議を進めているわけでございまして、したがいまして、もし韓国が一方的に開発を強行した場合には、この協定は一体無効になるのでしょうか、どうでしょうか。
  116. 中江要介

    中江政府委員 私は、いま先生のおっしゃるような事態を想定することは好まないのでございますけれども、万が一そういうことになりますれば、もう協定のあるなしにかかわらず両国間の信頼関係が破綻している状況だというふうに思いますので、この条約が生きているか死んでいるかという以前の問題ではないか、こういうふうに重大に受けとめるべきだと思います。
  117. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 信頼関係の問題になりますと、竹島の問題一つ解決しないのも、これ大きな信頼関係失われているわけですし、特にまた、金大中事件に関しまして新たなる目撃者が出てきたという問題、あるいはまた日韓のいわゆる癒着という問題、あるいはまた地下鉄の問題等々、現在でもいろいろと日韓間にはまことにどうも理解しがたい不信というか、不誠実というか、そういう問題があるように私たちは見受けるわけでございます。  でございますからこそ、日韓の一番の問題であるこの南部開発問題は、お互いの誠意の上に、誠実の上に積み重ねられるべき問題だ。ところが、根本から崩されている問題が幾つもあるわけです。竹島の問題一つとってみても、十数年間これが解決しないというのは、明らかに基本条約あるいはまた日韓双方の間の取り決めの問題を破っているというふうにわれわれは理解をしておるわけでございますので、韓国を本当に信頼してあくまでも両国の間に円満に事を運ぼうという外務当局の気持ちもわからないではありません、私は、この協定というものがそういうことにならないことを望まれるあなたの気持ちもわかりますけれども、これは無効になるのかならないのかということを私はお尋ねをするわけですが、向こうが一方的に開発を強行した場合、これは無効になるのですか。
  118. 中江要介

    中江政府委員 非常に理屈を言わしていただきますと、この協定はそういう状態のときにはまだ発効しておらないわけでございますから、署名だけされて批准書が交換されずに未発効のままで残っているということになろうかと思います。
  119. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 わかりました。  次に、問題を変えますけれども韓国がこの開発区域開発利権を米国企業に与えた、こういうふうな話も聞いております。これらのアメリカの企業の動向は一体どうなっているのか。利権を返上した企業もあるというふうに聞いておるわけでございますけれども、なぜ開発利権というものを返上したのか。私、こういう点を考えますと、余りにうがった見方だと言うかもしれませんけれども、言うならばこの地域は余りにも埋蔵量が少ないというか貧鉱である、金もうけにはならない、投資するだけの理由が立たない、こういうところがあって利権を返上したのではなかろうかと私は思うわけでございます。この辺について外務当局としてはどのように理解をしていますか。
  120. 三宅和助

    ○三宅政府委員 まず最初の点でございますが、従来韓国が七鉱区設定しておりまして、その中で第二鉱区、第三鉱区、第四鉱区、第六鉱区につきましては、すでに開発契約の期限が切れておりまして、失効してございます。したがいまして、現在残っておりますのは、第一鉱区、これはテキサコでございます。第五鉱区、これはテキサコ、第七鉱区、これはコアムでございます。これが現在生きております。  第二点でございますが、では、なぜ失効したままにしたのかという点でございます。これは私たちとして推測の域しか出ないわけでございます。民間の話でございますが、想像しますのに、この地区では石油開発が有望でないのではないかということを判断いたしましてやめたのではないかと一応私たちなりに推測しているということでございます。
  121. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 御答弁のように、この地域におけるいわゆる埋蔵量というものが確定していればともかく、余りはっきりしない。そういうところから有望でない、当然採算ベースに乗らない、そういうことが私は根本にあると思うのです。  この辺で私は、埋蔵量というものが一体どうなのかということを明らかにしなければいけない、こういうふうに思うのです。この問題がいつになってもわからない。本来ならばボーリングをし、どれぐらいの埋蔵量があるという推定が立たなければならないわけですけれども、それすらいままで全く立たないままに今日に来ているわけですね。こういう問題がございますので、私、特に通産当局にも答弁をお願いしたいわけでございますけれども、昨年の五月の二十四日、参議院の外務委員会において、外務省情報文化局がPR用につくったパンフレットにおいてこの日韓共同開発区域におけるところの石油埋蔵量七億キロリットルというふうに説明されているが、この七億キロリットルとしたことに対する疑問が出ていまして、外務当局から七億キロリットルは適切でないと訂正する旨の回答があったのでございますけれども、これは政府のいわゆる意図的な誇大宣伝というものであって、国民の適切な判断を妨害する悪質な作為として私は厳しく警告申し上げなければならないと思うのでございます。なぜ政府はこれを訂正をしたのか、明らかにしていただきたいと思うのであります。  地質学者の見解によりますと、日韓共同開発区域というものは非常に貧鉱である、七億キロリットルなんというのはとんでもないことだ。実際に埋蔵量の期待されるのは、先ほどもお話がありましたように、日韓共同開発区域より南部に当たる地域においてはある程度の埋蔵量が期待できる、こういうふうに地質学者は言っております。私は、政府の調査の結果を明らかにしないところに問題があると思う。先ほどもお話があったようにアメリカあたりがもう撤退してしまったということは、埋蔵量に大きな疑問があり、こういうところで果たして採算ベースに合うかということを考えた結果が、もう遠慮をしてしまったのではないかというふうに私は思うわけでございますが、まず、外務省として、訂正をしたその問題について明らかにしていただきたいと思うわけでございます。
  122. 中江要介

    中江政府委員 問題のパンフレットの該当部分につきましては、再三委員会の席上でも釈明させていただいておりますように、いま御指摘のところをより適切にわかりやすくするために次のように改めますということで、昭和五十二年五月の外務省情報文化局の訂正版を出しまして、その部分についての七億キロリットルという数字の出ましたゆえんのものを多少専門的に書き改めさせていただきましたが、要するに正確なことは先生もおっしゃいましたように掘ってみなければわからない。  しかし、掘るということがすでに主権的行為である探査権の行使ということになりますから、これはどちらの国にその権利があるかというところがそもそも大陸棚論争の始まりであったわけでございますので、この話がつきましてこの協定実施されました上でなければ探査から試掘にまでいかない。試掘してみて初めてどの程度のものかが本当に自信を持って言える状況になる。それまではあくまでも、こういうぐらいではあるまいか、あれぐらいではないかという推定の域を出ないわけでございますので、私どもの最初のパンフレットでも推定されるのだという書き方ではございますけれども、いろいろ御批判もございまして、適切に改めますに当たりまして資源エネルギー庁の専門的な知識、御意見を拝聴いたしまして改めましたものか五月の訂正版、こういうことでございます。
  123. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 私は、話の進め方が違うと思うのです。ある程度ボーリングを先にしてみて、ここにはこれぐらいのものがあるのだということが大まかにわかったときにこの一画を区切って協定を結ぼうというのなら、まだ話はわかるのです。協定を結んでしまって、しかもどれくらいあるのか掘ってみなければわからないというようなことは、少し本末転倒じゃないかと思うのですよ。この問題は私は後日に大きな問題を残す、こういうふうに思うのです。巨額な投資をするのですから、日本の国民の血税を出すのですから、当然それに見合うものの埋蔵がなければならないし、しかもあることを期待してなどというのではなくて、現実にある程度ボーリングしてみればおおよそのことはわかるわけだと思う。そういうことをしないでおいて、まず先に枠を決めてしまう。その枠も本当に北部の決め方と南部の決め方、境界の決め方というものか違う。南部の方は、やむを得ないから共同開発というような形にしてお茶を濁したといいますか、逃げているというふうにしかとれないわけです。こういうことを考えましたときに、この問題は根本から違っている、ボタンのかけ方が一つ違ったからこそ全部違ってしまうというふうにしか思えないわけです。そういう点を私は特に申し上げておくわけでございます。  さらに問題を展開しますと、七億キロリットル以下の共同開発地域において、実際に採掘した場合には日韓両国でこれを折半することになるわけでございますけれども、果たして巨額な投資をしたところの価値があるかどうか非常に疑問だ。確実に投資に見合うだけの埋蔵量があるかというと、これがまだいまの御答弁でも明らかにされないわけです。こういうことが確信が出ないままにこの日韓協定を強行採決し、またさらにこの開発のための国内法を一刻も早く上げなければならないというような言い方、やり方は非常にまずいのじゃないかと私は思うのですね。  これは私の考えでありませんけれども、こういうことを言う人があるものですから、耳に入れておきたいわけでございますけれども日本政府韓国政府も、その共同開発区域石油が出るか出ないかは関心事じゃないんだ、問題は、日本政府から資金が出るかどうか、多額の金が出るということを目当てにしてこれをやっているんだというような黒いうわさといいますか、変なうわさが出ているわけです。だから、こういううわさを払拭するためにも、政府の確実な資料を国民に示すべきじゃないか、私はこう思うのです。もちろん、黒いうわさなんかありません、こうあなたの方ではお答えになるに決まっておりますけれども、根本的のその埋蔵量の推定でなくて、ある程度もうこれだけ問題があって、国会において詰めている間にも、本当に外務当局として、通産当局として、エネルギー庁として重大な関心があるならば、少しぐらい費用を払っても、日本の国費を使っても、まずボーリングをしてみて、どれくらいあるということをはっきりさせることこそまず先決の問題ではないか、こういうふうに私は思うのですよ。その点どうでしょうか。
  124. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 本格的な開発に入る前提として、御指摘のように探査活動は当然やらなければいけないと思います。現に、協定が締結される前に、一部わが国企業におきましても当該地域について調査をやったことはございます。その後係争地域になり、協定が結ばれ、今日に至っているわけでございますが、その間、探査活動は停止せざるを得ないという実情にあるわけでございます。  ただ、この法律か通りまして相互の開発権者が決まる。その後、法律に定める手続に従いまして探査活動に入るわけでございます。当面八年間を前提といたしまして探査活動をやるわけでございまして、その探査活動の結果、石油あるいは天然ガスの存在を確認し、かつ、それにつきまして経済採算性に合うかどうかといったようなことも十分チェックした上で開発段階に入る、こういう手順になるわけでございまして、御指摘のような探査活動を続けるためにも、やはりこの特別措置法を成立させていただきまして、それに基づいて探査活動を本格的に進めていくということになろうかと考えているわけでございます。
  125. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 先ほどから、この問題はどっちが先かという問題で、われわれの方は、十分探査をし、ある程度の見込みがあって初めて枠を決めて、この地域を要するに共同開発しましょうというふうになるならいいと私は思いますよ。私は、そうじゃないところが問題だと言っているわけです。  話を先へ進めますけれども、この特別措置法が成立したと仮定しまして、この共同開発というものは政府の投融資の対象になるのかならないのか。
  126. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 まず、一般的に申し上げますと、日本周辺の海域で石油あるいは天然ガスの探鉱をやる場合には、石油開発公団から投融資することができるようになっております。その調査の結果発見されました石油あるいは天然ガスを開発する段階になりまして、その開発に必要とする資金は開発銀行から融資できるということになっておるわけでございます。  ただ、この法律が成立後という御指摘は、いわゆる共同開発区域についてさような開発公団あるいは開銀からの融資が可能であるかどうかというお尋ねかと思いますが、これにつきましては、まだ本措置法について御審議をいただいている段階でございまして、具体的に関係の企業からの申請もないわけでございます。そういった申請を受け付けた上で、その段階で判断いたしたい。特に開発銀行につきましては、原則として石油開発公団の投融資を受けたもので発見し得た場合にその開発資金を出すということになっておりますので、一段とその先の問題になろうか、かように考えております。
  127. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 その点はこれから先の問題でございますし、措置法か成立し、そして実施段階になってからの問題でございますけれども、輸銀はこれには関係なしでございますか。
  128. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 開発資金は、開発銀行から貸し付けることになっております。
  129. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 いろいろ今後のこの開発が行われ、そして開銀からの融資、こういうことになっていくわけでしょうけれども、融資についての返済方法であるとかあるいは利子の取り決めであるとか、こういったことはまだまだそこまではいってないというふうに思うわけでございますけれども、問題は、私は埋蔵量が非常に少ないのじゃないかという危惧があるものですから、これが貧鉱であって商業ベースに合わないというようになった、こうなりますと返済もできなくなると思うのですが、この返済できなくなった場合にはどのような処置になるか、この点を伺っておきたい。
  130. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 開発銀行の問題については大蔵当局からお答えいただくといたしまして、石油開発公団につきましては、御承知のようにいわゆる成功払い制度をとっております。石油開発公団は、経常損益を計算いたしまして、利益のある場合には投融資損失準備金という準備金制度を持っておりまして、御指摘のような、返済不能になってその企業の清算をやらなくちゃいけないというような場合には、その準備金を取り崩すことによって処理するという仕組みになっておるわけでございます。
  131. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 そういうことであれば、それは伺っておくわけで、将来の問題でございます。  そこで、七十五国会におきまして、五十年三月二十八日に石油開発公団法の一部を改正する法律案か採決をされまして、このときに附帯決議がつけられております。この附帯決議は当然政府としても十分に尊重しなければならないものと思うわけでございまして、決してこれを無視するなどというふうなお答えは返ってこないと思いますので、第四項について私はお伺いするわけですが、  「国際紛争のおそれがある地域の探鉱事業に対する石油開発公団の投融資については、これを行わないこと。」というのがある点を御存じと思います。ございますね。御存じなければ改めてまた申し上げなければなりませんけれども、これはもう当然御存じと思います。  そこで、日韓共同開発は、現時点では中国との関係が、私は、国際紛争のおそれのある地域だ、石油開発公団の投融資の対象から当然除外されるべきものであろうと思うわけでございますが、政府の見解を伺いたいわけでございます。
  132. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 国際紛争のおそれがあるか否か、特にこの地域についてそのような紛争のおそれのある地域に該当するかどうかということにつきましては、本法成立後特定鉱業権者が具体的に申請に及んできた段階において慎重に判断いたしたい、かように考えておるわけでございます。
  133. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 私は国際紛争のおそれがあるというふうに理解している、考えているのですけれども、長官はそれはないとおっしゃいますか。ないというならば、明確な、ないという根拠を示していただきたいと私は思うのです。
  134. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 私の申し上げたいのは、現在時点でまだ判断をする時期ではないのではなかろうか、具体的な申請が出てきた段階におきまして、当該地域がおそれのある地域であるかどうかということを判断いたしたい、こういうことでございまして、その時点でおそれがある地域であるならば、附帯決議を尊重いたしまして、当然慎重に対処すべきものと考えております。
  135. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 確かに現在はまだこの協定すらも、国内法すらも通っていないのですし、将来これがどのように発展していくかということはわからないわけでございますから、そういうふうなお答えが返ってくると思うわけでございますが、私、この前の質問でも申し上げましたように、日中間に紛争を起こさないようにしたい、そうすることが日本のためにも、東洋平和のためにも、また世界の平和のためにも必要なことであるから。この間に紛争などが起こることを私は期待しているわけではございませんけれども、そのような紛争が起きれば当然のこと、いまの附帯決議というものは守らなければならないということでございます。まだまだ先の話でございますから、その点は私も理解しますけれども、要するにこういう紛争が起きる可能性があるがゆえに、おそれがあるがゆえに私は言っているわけでございます。  そこで、朝鮮民主主義人民共和国もこの協定に対して強い抗議をしているわけでございますが、これに対して何ら対応しなくてもいい、こういう性格のものと考えているのか、どうでしょうか。この点を外務省からお伺いいたしたいと思います。
  136. 中江要介

    中江政府委員 日本政府のとっております朝鮮半島に対する認識からいたしますと、何らの措置を要するものではない、こういう考え方でございます。
  137. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 そのような対象にならないとおっしゃるのならば、それを伺っておきましょう。  そこで、対象にならないものについては対応しなくてもいい、対象になるものについては対応すべきではないか、こう私は思いますよ。中国対象になるというふうにどうしても私は思うのですけれどもね。だからこそ理解を求め、合意を得たいというふうになってくるわけですから、その辺はどうなんでしょうか。
  138. 中江要介

    中江政府委員 その点につきましては、この協定南部共同開発対象になっております区域が、前提といたしまして、韓国中国との間の中間線というものを考慮に入れておるわけでございますので、そこでは韓国中国との間で中間線境界線として画定されることが望ましいという前提がございます。したがいまして、その意味において日本としては中国との間では理解を求めなければならない面があるということは再三申しております。ところが、朝鮮民主主義人民共和国の方は、これは韓国の北の方に存在しておるわけでございまして、日本が今度設定いたします日韓共同開発区域とは直接何らの関係のない地域にしか施政権が及んでないということでございますので、何らの措置を必要としない、こういう考え方でございます。
  139. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 ですから、朝鮮民主主義人民共和国の間は、これは遠く北に離れているわけですから、関係がない、対象にならないとおっしゃるのはわかります。しかし、南部の方の問題は、中国韓国の間の中間線でできているんだから、その点が理解できればこれは問題にならないんだとおっしゃるわけでしょうけれども、北の方の境界の決め方と南の境界の決め方には大きな違いがあるわけでしょう。その辺が問題だ、そういうところから私はこの問題を取り上げているわけです。  そこで、この協定が一応半世紀にわたるところの五十年という期限になっておるわけです。この五十年という期限、この協定の存続する期間の中で南北朝鮮の平和的な統一というものはあり得ないという認識で締結をしているのでしょうか、どうでしょうか。
  140. 中江要介

    中江政府委員 それが平和的な統一であるかどうかは別といたしまして、緊張が緩和された平和的な関係になってもらいたいという希望は強く持っておるわけでございますし、それが五十年も実現しないで継続されては非常に困るというふうに思っております。逆に言いますと、この期間の間に朝鮮半島の現在の緊張が緩和されて、何らかの定着した姿というものがあり得ておかしくない。また、そういう事態になりましたときにこの協定の扱いについてどうするかという問題は、これはこの協定に限らず、日韓間には漁業協定もございますし、いろいろの取り決めがございます。そういったものを新しい姿の朝鮮半島の解決された後にどういうふうに継承されていくかというのは、それは朝鮮半島の人たちのお決めになることであろう、こういうふうに思います。
  141. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 いろいろと答弁をお伺いいたしましたが、とにかくこの共同開発というものは、現在われわれが審議しているものは南部の問題でございますけれども、先ほどから再々申し上げますように、北部の大陸棚境界画定するという協定も定まっているわけです。それで、この南部と北部の相矛盾する考えで決められていること、これはしばしば本委員会でも取り上げられている問題でございまして、日本政府南部でも同じ立場を貫いて境界線画定することができなかった、ついに共同開発区域というような表現で問題を後日に残した、これはまことに遺憾なことではないかと私は思うわけでございます。災いの根っこというものをそのままにしておいて片をつけた、これは後日必ず問題になってくる、こういうふうに私は思うわけでございます。ですから、南部境界画定をしてから共同開発区域を設定するというならば、話はわかるわけです。それもしなくて共同開発区域というものを先に設定したということは、明らかに本末転倒ではないかと私は思うわけでございます。  しかし、この問題は際限のない問題でございますから、次に移らせてもらいます。あと十分ほどございますので、私できる限りお伺いしておきたいことがございます。  それは、日韓共同開発区域は、日米安保条約の第五条の対象地域になるのかならないか。この問題については佐野君が前回の質問でもやっておりますが、改めて伺っておきたいわけでございます。
  142. 村田良平

    ○村田政府委員 この共同開発区域は公海でございまして、その海底に賦存をされておりますところの天然資源を探査、開発する主権的権利わが国が持っておるという地域でございますけれども日本国領域ではないわけでございます。したがいまして、安保条約第五条に申します「日本国の施政の下にある領域」というものには入っておりません。
  143. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 そこで、これから先の話ですけれども共同開発区域における日本側の施設ができたという場合に、その日本側の施設に対する攻撃あるいは破壊活動というものに対して、自衛権はあるのでしょうか、ないのでしょうか。これが第一点。それから、その場合にわが方のとるべき行動の範囲というものは一体どこまで許されるものであろうかという、この二点についてお答えをいただきたいと思うのです。
  144. 村田良平

    ○村田政府委員 この区域にもし固定的な施設が設置されるといたしますと、それはわが国の当該地域におきます天然資源を探査、開発する主権的権利というものがある以上は、その施設に対してもわが国のそのような管轄権というものは及ぶわけでございます。したがいまして、その限りにおいて日本が自衛権を持つということは当然のことでございます。ただし、その自衛権をいかに発動するかということになりますと、その施設がいかなる形で侵害されるかということによりまして、わが国の対応ぶりというものはおのずから異なってくるというふうに思うわけでございます。
  145. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 要するに自衛権はある、それから、自衛隊の出動といるものは海外派兵になるから出動しない、このように理解していいわけですね。
  146. 村田良平

    ○村田政府委員 自衛権の発動に対しましては、従来、政府は三原則というものを持っておるわけでございます。すなわち、急迫不正の侵害がございまして、かつ、他にいかなる手段もない場合に、最小限度において自衛権を発動する、こういうことでございます。  それで、現実にこの施設を考えてみますと、恐らくそれは国際法上の、たとえば海賊行為と言われるような侵害の程度のものであろうと思われるわけでございまして、したがって、自衛隊が出動するようなケースは実際には考えられないのではなかろうかというふうに思うわけでございます。
  147. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 これらのことに関しましても、いわゆる学説を私たちもいろいろと聞いております。しかし、私たちは、属人主義であるとか属地主義であるとかという学説の問題よりも、いまこういう問題が現実に起きたときにどうするかということで、やはり政府としての統一見解というものをこの辺で出しておくべきではないか、こう思っておりますが、この点いかがでしょうか。
  148. 村田良平

    ○村田政府委員 先ほど私が申し上げました自衛権の発動に関する三原則というものは、政府がすでに累次国会においても明らかにしておるところでございますので、それに加えまして新たな統一見解というふうなものは必要ではないのではないかというふうに考えております。
  149. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 それでは、その統一見解の問題はまた場所を改めて伺うことにしますが、共同開発区域において韓国側の施設に対する攻撃あるいは破壊活動、こういうものがあった場合に、韓国側のとる行動の範囲というものは一体どういうことになるんだろうか。これは日韓共同で開発をするわけでございますし、その地域の中でこういう事態が起きた場合、その判断を明確にしておかなければいけない、こういうふうに私は思います。したがいまして、こういうことが起きた場合、政府はどのような見解をおとりになり、どのような行動に出るのか、この点を伺っておきたいと思います。
  150. 村田良平

    ○村田政府委員 韓国に限らず、わが国としましても、一般国際法のルールに従ってしかるべくその対処をいたすということでございます。したがいまして、韓国が具体的にどのような措置をとるかということについては、これは韓国の判断にまつことでございますから、どうこうということは申し上げられませんが、一般論として申し上げますと、まず、この区域において活動する船舶に関しましては、旗国主義というルールがございますから、その旗国主義に従い、また、公海条約等に定めがあるところによりまして、わが国あるいは韓国が対処するということでございます。  それから、施設に関しましては、この協定の十九条というところに法令の適用に関する規定がございますが、韓国側が操業管理者になります区域におきましては、天然資源の探査開発に関しては韓国の法令が適用される、また、わが国が操業管理者になる区域においては日本の法令が適用されるわけでございます。したがいまして、その施設の上において秩序を維持するというふうなことに関しましては、それぞれの国の国内法に従って対処する。日本の場合でありますと、たとえば海上保安庁、事態によっては警察というふうなものが、日本国内法の所定のルールによって対処いたすということになるわけでございます。
  151. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 いろいろお伺いしたいことがございますが、もう残り時間が五分ということでございますし、きょうお約束でもございますので、あと五分で終わることにいたしますが、共同開発区域にはアメリカの資本及び施設、これが設定されることか残るのではないか。大分撤退し、やめてしまったものもありますけれども、やはりアメリカの資本や施設というものが設定されることが予想されると思いますけれども、この点についてはどうでしょうか。ございませんか。
  152. 中江要介

    中江政府委員 これはまだ協定が発効いたしません段階では、どういうふうになるかということをちょっと予測するのは困難かと思います。
  153. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 確かにまだ法案をわれわれも採決したわけではございませんし、まだ決定しているわけではございませんけれども、そういう場合のことを考えてみますと、私は、これに対する対応というものも当然あっていいのではなかろうか、こう思うものですから、これをお伺いしたわけでございます。  もう一点、共同開発区域において外部からの破壊活動もしくは攻撃、こういうものが行われた場合に、日米安保条約の六条の発動理由になるのかならないのか、すなわち極東条項によるアメリカ軍隊の出動の理由になるのかならないのか、この点をお伺いしたいと思います。
  154. 村田良平

    ○村田政府委員 日米安保条約の第六条で予想しております事態は、極東の平和と安全が脅かされるという事態でございます。ところが、現在問題になっております共同開発区域におきまして外部からの侵害があるという場合には、それは固定施設に対して、先ほど私の申し上げました公海における海賊行為ないしそれに類似した行為が考えられるわけでございまして、この区域の固定施設のみに関して極東の平和と安全全体を脅かすような組織的な武力攻撃があるということは考えられないわけでございます。その意味におきまして、安保条約の第六条がこの共同開発区域について発動するということはあり得ないことでございます。
  155. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 では、最後に両大臣にお伺いいたしますが、この日韓両国間における種々の問題については、もうすでに御承知のとおり、竹島の問題をトップにいたしまして、経済協力の問題、あるいは地下鉄の車両の輸出の問題あるいはまた金大中氏事件、これなども新しい目撃者があらわれたというようなことがございまして、相互不信というものがかなりあるものである、こういうふうに私は思っております。こういう中で共同開発をするということは、再々申し上げるように世界に例のないことでございます。初めての試みであります。そこで、この相互信頼の上に成り立って初めてできるこの試みというものが、基本的なそうした不信の状態の中でやるということは、成功が非常に確率がないのではないか。根本的な不信がある以上は、この共同開発が成功することはきわめて困難だというふうに私は認識をしております。また、国連の海洋法会議の動向のいかんによっては、わが国の国益を損なうおそれもある。少なくともその問題は、まだまだ未決定の問題であろうというふうに認識をしております。  したがいまして、この共同開発という問題は当分見合わせて、当面の諸問題、未解決の問題、そういうものを解決をしてからやるべきではなかろうかと私は認識をしておりますけれども、この点についての両大臣の御見解を伺って、私の質問を終わります。
  156. 園田直

    園田国務大臣 隣国のことでありますから、いろいろ相互に扶助しなければならぬ問題もあるわけでありますが、隣国であればこそ、またいろんな問題も起きてくるわけであります。そういう点を考慮し、ただいまの御発言を参考にしながら、日韓関係というものを順々によくしたいと思いますが、本協定はすでに国会で承認をいただき、国内法でございまするので、まげて速やかな御審議をお願いしたいと存じております。
  157. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 過去の長い間の経過から考えまして、政府といたしましては、いま政府のとろうとしておりますこの対応策が一番賢明な対応策ではないか、このような判断からいま御審議をお願いしておるわけでございますから、速やかにこの法律が成立をいたしますように、よろしくお願い申し上げたいと思います。
  158. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 以上で終わります。
  159. 野呂恭一

    野呂委員長 清水勇君。
  160. 清水勇

    ○清水委員 予定の時間が少し短くなりましたから、私の質問も少し割愛をしなきゃなりません。  振り返って、昨年十一月十五日のこの委員会で、私も、日韓大陸棚協定の関連国内法、つまり提案をされる特別措置法案について質疑を行ったわけでありますが、相変わらず今日まで、この特別措置法案の下敷きになっている日韓大陸棚協定をめぐる疑問、疑惑あるいは問題点が解明をされておらない。そこに午前中から同僚板川議員等のさらに追及の質問もあったわけでありますが、時間の関係で、この点は私は割愛をいたします。  さてそこで、最初に外務大臣にお尋ねをいたしたいわけでありますが、それは先ほどの同僚松本委員の質問に対する答弁に関連をいたしてでございます。  まず、聞きたいということは、つまり昨年十一月十六日にこの委員会で一たん採決が行われているわけなんでありますが、それまでの間たびたび大陸棚協定、そして共同開発、このことをめぐって御承知のような長いやりとりの経過というのがあったわけでございます。たとえば私も当時指摘をいたしましたが、境界線画定に当たって中国を無視して日本韓国だけで勝手に決めるなどということは許されないことだ、にもかかわらず、この協定に基づいて共同開発行為を行うなんていうことは、文字どおり中国の主権を侵害する行為である、朝鮮民主主義人民共和国も同様な異議の申し立てを行っているわけでありますが、こういう問題点に関連して、時の鳩山外務大臣は、訪中をすることによって何としてもいま問題になっている事柄等について中国側理解を求めたい、北京で中国政府と接触をして了解を求めたい、こういうことを繰り返し答弁をされ、また、みずから訪中の決意表明もされておられるわけであります。ところが、どうも先ほどの外務大臣の答弁をお聞きをしていると、この問題については日本韓国とかかわり合いを持つ問題であって、直接中国にそう深いかかわり合いのある話ではないので、そこで、仮に今後訪中する場合には日中平和友好条約に限っていろいろと折衝をしてみたい、こういう趣旨の発言をされておるわけです。  そうすると、問題になっているこの日韓大陸棚協定に対する政府の態度というものは基本的に変わっているのかどうか、ことに中国政府に対する態度というものが基本的に変わっているのかどうか、この点が疑問を感ずるわけでありますから特にお尋ねをしたいと思うわけなんであります。ことに昨年十一月のこの委員会におけるやりとりを通じて、しばしば鳩山外務大臣が、訪中をし、申し上げたように胸襟を開いて話し合いたい、了解を求めたい等の答弁は、当然報道等を通して中国側にも伝わっているだろうと思います。また、私ども委員に対しても約束をされていることでもありますから、たとえば方針が変わったあるいは方針を変えたということであれば、その辺からもさらに不信感を上塗りすることになりはしないか、こういうふうな感じを持つわけですから、その点を踏まえてお聞かせいただきたいと思います。
  161. 園田直

    園田国務大臣 前外務大臣がお答えをしたときといまとは、日中の関係も環境も著しく変わっております。御承知のとおり、中国日本もなるべく早く友好条約を締結したいという意欲があることは、これは一致しているところでありまして、したがいまして、いま私が交渉再開になってどの時期に訪中するか決まっておりませんが、仮に訪中をするにいたしましても、日韓大陸棚境界線の問題で訪中をするということを中国は待ってはいない。友好条約締結交渉のために私が赴くことを待っておると私は推察をいたします。  したがいまして、この大陸棚の問題は、局長が数回繰り返しておりますとおり、日本韓国の問題であって、その日本韓国が妥結をした境界線中国の主権を侵すものではないということを御理解願おうとする努力はしておるわけでありますが、この了承を得てこれを進めるべき筋合いではないというのが政府の一貫した態度であります。したがいまして、仮に私が友好条約締結交渉のために訪中しろという御指示があって訪中する場合にも、まず話すべきは友好条約締結である、あとのもろもろの問題はその後である、このように考えております。
  162. 清水勇

    ○清水委員 いま大臣からそういう御答弁がございました。実は昨年の十一月から今日の間大変に日中両国間の関係が変わってきている、こういうふうな御説明があるわけでありますが、しかし、昨年の十一月時点でも、御承知のとおり、日中平和友好条約の締結については、中国側はこれを早期に実現することを期待をされておる。少しも今日とその辺の状況が変わっているとは私は思いません。  ことに、加えて、鳩山当時の外務大臣が言われている意味は、日中平和友好条約の締結を、つまり円満かつ早期に実現をするためにも、また、将来の日中両国間の友好関係を維持していくためにも、わが国立場はこうであるけれども中国政府からはたびたび日韓大陸棚協定中国の主権を侵害をするものだ、こういうふうな意味の申し立てあるいは抗議の声明等が出ているところでもあり、したがって、日中条約の問題以前に一回訪中をして、ぜひこの点で理解を深めるようなそういう機会を持たなければいけない、こういうことを言っているわけです。  しかもなおかつ私が非常に遺憾に思うのは、昨年十一月十六日本委員会で採決をされた以後において、もう数カ月の月日が経過を見ているわけでありますが、たとえば中国側に了解を求める、理解を求めるというような意味でのより積極的な接触があったということは承知をしていない。外務大臣も行こうとはしない。外務省当局も特段にこの問題に触れてあれほどこの委員会で約束をしたことを履行をしようともされない、こういうことは非常に問題ではないかというふうに感じますので、あわせてその辺の見解も承りたいと思います。
  163. 園田直

    園田国務大臣 状況の変化というよりも、日中間の友好条約に関する進展がだんだん詰まってまいりまして、具体的に目前に迫っているということが私が言った状況の変化でございます。外務省としては、その後中国の主権を侵すものでないということを理解してもらうための努力は続けておりまして、先般も村田参事官中国へ赴いてこの点の努力をしたわけでございます。大臣としても今後主権を侵すものでないという御理解を願う努力は続けてやりたいと思っておりますけれども、これは、日中友好条約締結の前にこれを解決をしなければ条約交渉再開はできないという前提になるべきものではない、こう解釈をいたしております。
  164. 清水勇

    ○清水委員 その点はいささか認識が異なるわけでありますから、これ以上のやりとりをしてもあるいは発展しないかと思います。ただしかし、少なくとも前国会の場面で時の外務大臣がそこまで明確にこの委員会で表明をされたことは事実なんです。これを多少の状況の変化があったという、それは大臣のかわったということもございましょう。ございましょうが、これを等閑に付するなどというようなことがもしあったとすれば、その辺にも中国軽視の一つのあらわれがあるのじゃないか、     〔委員長退席中島(源)委員長代理着席〕 こういうふうに指摘をせざるを得ないわけですから、この点は、近く訪中の折に主たる話し合い対象にはならないだろう、こう言われますけれども、しかし、これも中国側が延べ数回にわたってわが国政府に言ってきていることは事実なんですから、これを重視をして、胸襟を開いてこの点についても話し合う。必要があれば、たとえば境界線画定をめぐる疑義等がとりわけあるわけでありますから積極的に話し合ってその打開を図る、このくらいの態度を大臣は持って臨んでいただきたい、こういうことを要望いたしておきます。  さて、続いてちょっとお尋ねをいたしておきたいのでありますが、二月十四日に日韓外相会談が開催されているわけでありますけれども、その際に日韓大陸棚協定の批准書の交換について、これが議題になったかどうかということを承りたいと思うわけであります。  と申しますのは、実はこの日韓外相会談の約一カ月半後の三月三十日のわが国のある新聞報道によりますと、韓国の政府筋は、日本国会でよしんば特別措置法が成立しなくても批准書の交換はできる、こういう見解を示していると伝えております。同時に、問題なのは、具体的なスケジュールとして、六月中には日本国会の態度のいかんにかかわらず同協定の批准書の交換を日本政府に求める、こういう方針も明らかにしているわけであります。そしてさらに、韓国政府は十月をめどに共同開発区域、つまり第七鉱区と思いますが、この開発に着手する方針まで明らかにしたというふうに伝えているわけでございます。  そこで、これらについて、二月十四日の会談の内容とあわせて、外務大臣承知をされておられるのかどうか。もし承知をされているとすれば、既定方針を著しくといいましょうか、既定方針の重大な変更にもつながることでもございますので、この際に明らかにしていただきたいと思います。
  165. 園田直

    園田国務大臣 先般二月に、韓国の外務長官が公館長会議に出張する途次立ち寄りまして、私の外務大臣就任直後でありましたから、あいさつの程度で二人で会いました。したがいまして、そのときの会談の内容はほとんど会談というべきものでありませんけれども、その中でこの問題に関することは、向こうの方から、非常に苦しい立場にあるから国内法の成立をひとつ早くお願いしたい、こういう話がありました。そこで、私の返答は、おたくの苦しい立場もよくわかっているが、ただ私から希望するところは、この法律案が通らなければどうだとか、あるいはいつまでに通すべきだとか、内政干渉にとられるようなことをやれば、それはこの法律案の成立にかえって邪魔になりますよ、余りそういうことを言わぬでほしいということを言ったわけでございます。  なお、この批准発効がおくれた場合には、国内法が未成立の場合には韓国が具体的にどうこうするというようなことは、その際一切出ておりません。その後公式にも非公式にもそういう申し入れはございません。
  166. 清水勇

    ○清水委員 そこで、確認をしておきたいと思いますが、前国会のこの委員会において、国内法の成立を見ないうちに批准書の交換をすることはあり得ないことだ、政府はそのようなことは考えていない、こういうことを外務大臣は当時答弁をされているわけでありますが、園田外務大臣としてもその方針には変わりはございませんか。
  167. 園田直

    園田国務大臣 この協定の円滑なる実施のためには、国内法の御審議を願い、速やかに成立させていただくことが前提条件でありますから、なるべく早くよろしくお願いをいたします。
  168. 清水勇

    ○清水委員 次に、通産大臣に関係をしてお尋ねをしたいのであります。  先ほども松本委員か指摘をされておりましたが、第七十五国会石油開発公団法の一部改正が行われていることは御承知のとおりであります。さて、商工委員会でその採決に際し、与野党四党から附帯決議が提案をされ、これが可決をされております。  ところで、ここに議事録のコピーがございますが、この附帯決議の四項は「国際紛争のおそれがある地域の探鉱事業に対する石油開発公団の投融資については、これを行わないこと。」こういうことでございますし、特にこの決議の提案者である塩川委員は、この四項の提案に触れて、「そのうち第四項の趣旨は、特に韓国等近隣諸国との共同開発地域における業務の実施について指摘したものであります。」こういう趣旨弁明をされた上で、これは可決を見ているわけであります。そして可決直後、河本通産大臣はこれを受けて、「その趣旨を尊重いたしまして万全を期する所存でございます。」という趣旨の所信表明を行われている。  まず最初に、そうしたやりとりといいましょうか、経過のあったことについて、たまたま今回河本通産大臣またお務めでございますので、ちょうど時期がいいわけでありますが、そのとおり御確認をしてよろしゅうございましょうか。
  169. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 七十五国会で、石油開発公団法の改正に関連をいたしまして、そのような附帯決議がつけられたということは承知をいたしております。
  170. 清水勇

    ○清水委員 それから、ちょっとくどいようなんですけれども、実は先ほどエネルギー庁長官から答弁があった際、問題のいわゆる共同開発区域の関発に公団の投融資が行われるかどうかということについては、そのとき申請を経なければわからない、こういう七十五国会における附帯決議の線を著しく後退させるかのような御答弁をなさっておりますから、つけ加えてお尋ねをしたいわけなのであります。  実は先ほど私が読み上げた附帯決議が行われる直前の審議の中で、わが党の中村委員がこういう質問を河本通産大臣に行っております。   日韓大陸だな共同開発協定に対しては、中華人民共和国及び朝鮮民主主義人民共和国から異議が出ていることは御承知のとおりであります。先ほどの答弁に関連をしてまいるわけでありますけれども、このように国際紛争が起きているとき、あるいは起こるおそれがあるという地域の探鉱開発事業に対する公団の投融資というものは当然行うべきではない、このように考えますが、大臣、この点をどうお考えになりますか。 これに対して河本国務大臣は、   これは私も当然そうしなければならぬと思います。   繰り返して申し上げますと、紛争のある地域及び紛争のおそれのある地域、そこでは開発業務、投融資というものは見合わせるということにしなければいかぬ、こういうことでございます。 こうした答弁をなさっておられるわけであります。さらに加えてだめ押しみたいな意味で中村委員が重ねて質問をされているわけでありますが、河本国務大臣も重ねて同様趣旨の答弁をなさっておられるわけなのであります。  とすれば、橋本長官が言われるような趣旨のものでないということはもはや明瞭じゃないか。当然日韓大陸棚協定に基づくこの南部共同開発区域に公団資金が投融資をされ得るなんということはあり得ない、こういうことがはっきりしているのじゃないかというふうに思うわけなんでありますが、この点、ひとつ大臣から明快にお答えをいただきたいと思います。
  171. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 石油開発公団の投融資は、紛争地域紛争の現に起こっている地域または紛争の起こる危険性のある地域、紛争の起こるおそれのある地域、そういうところには投融資をしないというのが原則であります。その趣旨のことが御案内のように先ほどの附帯決議でございますが、いまお尋ねの今回の共同開発地域に対して投融資をするかしないかという問題は、現時点の問題ではございませんで、ずっと先のことだと思うのです。でありますから、その時点における情勢判断をした上で投融資をするかしないかということを決定しようというのが先ほどの長官の答弁でございまして、私はそれでいいと考えております。
  172. 清水勇

    ○清水委員 私は、ただいまの大臣の答弁には納得ができません。これは私がいま朗読したとおり、一般的抽象論という意味で、一般論としての国際的紛争地域というようなことを対象に当時質疑かあり、また決議がされているのじゃない。具体的に日韓大陸棚協定にまつわる共同開発、こういうことに特定して、やるのかやらないのかということを質問もし、また答弁もなさっておられる。また同時に、それを受けて附帯決議がされているのです。だから、これは今日の問題ではなしに将来の課題だというようなことではなしに、当然大陸棚協定にまつわる共同開発区域開発について公団の銭が使えるのか使えないのかということを想定してやりとりがあったわけなんです。だから、つまり一般的な問題でもないし、また将来の仮定の問題ではない。その点、もう一回はっきりさせていただきたい。
  173. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 たとえばこういうことだと私は思うのです。紛争地域には公団は投融資をしない、これはあくまで原則でございますね。ところが、数年前にはそれが紛争地域であった、しかし、数年後にはそれが紛争地域でなくなった、こういう場合には、これは一般の原則論を言っておるわけでありますが、当然投融資の対象になる、こういうことでございます。だから、私は先ほどの答弁でいいと考えております。
  174. 清水勇

    ○清水委員 これは私、どうしても理解ができないのです。当時大臣は、別な機会に、たとえば中華人民共和国及び朝鮮民主主義人民共和国等からの異議の申し立てが行われなくなったような場合には当然投融資の対象になり得るだろう、しかし、現状は紛争ないし紛争の起こるおそれという意味合いで否定的な答弁をなさっておられる。ですから、こういう点を含めて、なおこの点で、何というのでしょうか、当時あれほど明確になっていることをいま否定的な発言をなさっておられる。というようなことでは、私ども一体何を信用して、だれの発言を信用して質疑とか審議をしていいかということが全くわからぬようになります。これ以上そういう態度をとられるならば、今後何をよりどころとして質疑をすればいいのか、こういうふうに残念ながら思わざるを得ないものですから、この辺はやはりはっきりしてもらわなければ困ると思うのですね。  これは私の態度はちっとも変わっていないとはおっしゃられるけれども、それは大変に変わったというふうにしか受け取れない。当時の答弁は今日の段階で判断するに合わなくなったのだ、だからいま態度を変えたのだとおっしゃるなら、これは話は別ですよ。その辺どうなんでしょうか。
  175. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 問題は、紛争地域、これには投融資をしない、また、紛争の起こるおそれのある地域に対しても投融資をしない、これは一般原則を言っておるわけでございます。そこで、この大陸棚に対して投融資の申請があるのはいつのことかわかりませんが、仮に二、三年先に申請があったといたしましょう、その時点における情勢の判断をすべきである、このように言っておるわけでございます。
  176. 清水勇

    ○清水委員 ますます私は理解ができない。率直に言って、先ほど私の質問に対して大臣は、たとえばあの際の情勢と今日の情勢というようなものも考えなきゃならぬ、紛争というものについても情勢の変化によって変わってくるのだから、これまたその辺も勘案をしなきゃならぬというような趣旨のことを言われているけれども、たとえば七十五国会以降今日までの間、現実にいわゆる日韓大陸棚協定に対する中国及び北朝鮮の態度に何らの変化があるわけではない。しかも繰り返し、たとえば中国側からも異議の申し立てなりあるいは抗議が行われている。これは重大な主権の侵害だ、こういうことを言ってきている。端的に言って、これ自身が一つの紛争状態、しかもなお現実の問題として中国を無視した形で御承知のような境界画定する。今後公海であるあの海で中国の漁船がたとえば漁業に携わる、あるいは現実に中国の巡洋艦等が航行する、たとえばそういうものを通して万が一現実の問題としてトラブルが起こらないなんというようなことだってあり得ないわけなんですから、それやこれやのことを考えれば、現実の問題として重大な瑕疵を持っている協定であるという中国の側の見解から言えば、別に情勢がその後好転をしたなんてことはいささかもない。私は、大臣の責任ある答弁、責任ある答弁というのは七十五国会における明快な態度表明、これを裏打ちをされるような答弁を重ねて求めたい。
  177. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 繰り返して申し上げますが、紛争地域あるいは紛争の起こるおそれのある地域、それに対しては投融資をしない、この基本原則は当然貫くべきだというふうに私は考えております。ただしかし、この地点に対する、この地点といいますか、今回の共同開発地域についての投融資の申請はいつ出てくるかわからない。二、三年先か数年先かそれはわからぬわけです。だから、その時点におけるいろいろな情勢を判断して決めるべきである、原則は少しも変わっていない、こういうことでございます。
  178. 中村重光

    ○中村(重)委員 関連して。  通産大臣、いまあなたの答弁は、一般論としてならば理解できるのです。しかし、具体的に日韓共同開発の問題で中国からこれに対して抗議が行われている。これは明らかに紛争の状態であるという考え方の上に立って、新たに具体的にこの地域には紛争地域という受けとめ方をして石油開発公団の投融資は行うべきではないということで議事録をあなたはお読みになってお答えをいただかなければ困るのだけれども、そういう具体的な問題として議論をしたのであって、それであなたはそうだということで私の指摘を肯定されて、投融資をしないということをお答えになっているのだから、いまのあなたの、一般論でもって、これは将来何年か先でないとわからないのだということは、それは私どもは納得いかないのです。したがって、そういった答弁では本法案の審議を続けるわけにはまいりません。  そこで、委員長は、休憩をして、理事会を開いて、ただいまの通産大臣の答弁に対処してもらいたいと思います。     〔中島(源)委員長代理退席、委員長着席〕
  179. 野呂恭一

    野呂委員長 速記をとめて。     〔速記中止〕
  180. 野呂恭一

    野呂委員長 速記を起こして。  通商産業大臣
  181. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 前回のこの速記を私もいま調べてみましたが、中村委員の重ねての御質問に対して、私は以下申し述べるような答弁をしておるわけでありますが、それは、「紛争を生じておるところ、または紛争を生ずるおそれのあるところ、その間は行わない、こういうことであります。」こういう趣旨のことを答弁をしておるわけでありますから、世界の事情というものは刻々に変わるわけでありますから、一回紛争が起こっても未来永劫にその紛争が続くというわけではない、そういうことでその間は行わない、こういう趣旨のことを言ったわけであります。  でありますから、そのことを踏まえましてさらに具体的に申し上げますと、こういうことになると思います。将来、具体的に投融資申請があった段階におきまして、中国側異議がなお続いていれば、石油開発公団の投融資はしない、こういうことじゃないかと思います。
  182. 清水勇

    ○清水委員 いや、私は了解ができません。なぜ了解できないかというと、大臣は故意に重ねてのだめ押しの質問に対する、つまり議事録で言えば二、三行の答弁の部分をいま読み上げられている。これは非常に意識的で私は納得がいかない。改めて私は、大臣理解がされないと言うんなら、もう一回ほどの中村当時議員の質問を読み上げます。よく聞いてください。   日韓大陸だな共同開発協定に対しては、中華人民共和国及び朝鮮民主主義人民共和国から異議が出ていることは御承知のとおりであります。先ほどの答弁に関連をしてまいるわけでありますけれども、このように国際紛争が起きているとき、あるいは起こるおそれがあるという地域の探鉱開発事業に対する公団の投融資というものは当然行うべきではない、このように考えますが、大臣、この点をどうお考えになりますか。 これが中村委員の質問。そして河本国務大臣はこう答えておられる。   これは私も当然そうしなければならぬと思います。   繰り返して申し上げますと、紛争のある地域及び紛争のおそれのある地域、そこでは開発業務、投融資というものは見合わせるということにしなければいかぬ、こういうことでございます。 これはきわめて明瞭なんです。つまり一般論として紛争がある、紛争のおそれがある、こういう場合にどうするかという質問をされているわけではない。特定する国及び特定する地域、これを挙げて質問をし、これに対してしかと大臣は明確に答えておられる。  しかも私かさっき申し上げましたが、附帯決議の第四項、この内容は申し上げませんが、この提案の際に、提案者を代表して塩川正十郎委員がこう言っているんですね。「そのうち第四項の趣旨は、特に韓国等近隣諸国との共同開発地域における業務の実施について指摘したものであります。」これほど明瞭なことはないじゃありませんか。  これでもなおかつ日韓大陸棚協定に基づく今度の共同開発事業というものに公団の投融資ができるというふうに御判断ですか。そんなことはあり得ないじゃないですか。大臣の答弁は、改めて私は納得できないということを申し上げざるを得ません。
  183. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 その前にちょっと申し上げますが、要するに紛争地域または紛争の起こるおそれのある地域に対しては投融資をしない、これはあくまで原則なんです。しかしながら、紛争がもう完全におさまった、あるいは紛争のおそれもなくなった、こういう場合には投融資をしても差し支えない、こういうことでございます。であればこそ、私はさっきさらに具体的に申し上げたのは、もう一回重ねて申し上げますが、将来、具体的に投融資の申請があった段階で、その時点において中国側異議がなお続いているならば、石油開発公団の投融資はしない、こういうことでありますから、私はその点はきわめて明確だと思います。
  184. 中村重光

    ○中村(重)委員 関連。  あなたが一般論を言って、後でふっといまの発言をされるものだから、途中がぽっと抜けてしまったようなかっこうで、何かはっきりしない点がある。最後は、いまあなたが読み上げられたことはわかるんです。  ということは、前提が、さきの七十五国会で、中国からこの日韓石油共同開発の問題について抗議が来ている。それで政府は、中国主張を全面的に肯定をしているわけじゃないんだけれども、そういう抗議がたび重なって行われているという事実を認めて、中国にそれを納得をしてもらうように努力を続けている。また、きょうも園田外務大臣は、中国理解をしてもらうように努力しなければならぬということは言っておられる。鳩山前外務大臣もそのとおり言っている。ということは、やはり中国が主権を侵害されている、これは中国大陸棚自然延長をしている地域である、こういったような主張があるわけなんですから、そこでそういうようなことを問題にして、これは紛争が行われている地域であるということで私は発言をし、指摘をし、あなたのそれに対する答弁がこうして返ってきたわけです。  だから現状は、七十五国会において議論をし、あなたも答弁をされたことに変わりはないが、それは確かに先ほど申し上げたように未来永劫ということではないんです。だから、問題が中国に納得をしてもらって、そして円満に解決をする、その場合投融資を行うということは当然である、いまあなたがお答えになったのはそういうことであると思うのです。七十五国会当時の事情というか、そういうのはいまも変わってない、しかし、問題が解決をしたら投融資を行うということはあり得る、そういうことであろうと私は理解をするわけでありますが、そのとおりであるかどうかということをもう一度お答えをいただいて、それであればよろしいと思います。
  185. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 そのとおりであります。
  186. 清水勇

    ○清水委員 少し道草を食ったわけでありますが、私の質問時間がどうなったのか、一年生議員でよくわからないわけでありますが、この際、なお若干の質問を重ねたいというふうに思います。  次は、海洋汚染なり漁業補償の問題に関連をして、主として通産大臣あるいは通産省側にお尋ねをしたいことがございます。  政府が予定をする共同開発は、漁業との深いかかわり合いを持っていることは言うまでもありません。ことに漁業と言えば、二百海里時代を迎えて、わが国の漁業政策あるいは水産政策というようなものは、今日大きな転換を迫られている。従来とってきた沿岸から沖合い、沖合いから遠洋というようなあり方から、逆に近海漁業あるいは沿岸漁業を志向する、こういう方向に転換をしてきていると思います。そういう立場で、現に水産庁でも七カ年計画等で沿岸漁場の整備に大変な力を入れているわけでありますから、たとえばそうした漁業という立場から言えば、水産庁も認めているように、大陸棚共同開発というものは決して好ましいものではないと私は思うわけであります。  そこで、それはそれといたしまして、なおかつ共同開発が行われるという場合、一体いかにして漁業への悪影響あるいは被害なるものを最小限のものにしようとなさるのか、これは大変重大な問題だと思うわけです。たとえば事故か起こるとすぐ海洋汚染を生ずる。したがって、漁業者に対する補償問題は無論重要な責務でもございますし、また、特に沿岸漁業重視の時代を迎えているときだけに、開発政策と漁業政策をどう調整するか、このこともきわめて重大な課題になっていると思うのです。そういう意味で、私が特に心配をしておりますのは、これまでの歴代の自民党政府の政策を見てまいりますと、常に工業優先という見地から、通産行政が農林行政より優位な立場をとってきている、こういうふうに思うわけであります。仮にも大陸棚共同開発をめぐって、開発が漁業に優先をする、そのことを通して沿岸漁場を生活の場とする漁業者と国民の消費生活を犠牲にするといったようなことがあってはならない、私はそういうふうに痛感をするわけであります。  正直言いまして、事故は発生しないという保証はどこにもない。非常に残念なことでありますが、いかに努力をしても、事故が起こるというおそれは常にある。たとえばそのために魚が全滅をする、とれなくなるなどというようなことについてどういう具体的な補償というものを予定されているのか。前の国会では、関係各省庁でそれらについても検討中である。こういうお話がございましたが、そういう程度のことではとうていこれは納得ができないのではないか、こういうふうに思わざるを得ないわけであります。  時間も、いま連絡を受けまして、余りないようでありますから、詳しいことは申し上げませんけれども、たとえば御承知のような水島事故の問題もございます。自治体の持ち出し分を含めれば、企業の補償分と合わせて実に二百億に達するような補償がなされなければならない。あるいは最近のフランスのブルターニュ半島沖合いのタンカーの事故、各新聞の報道によれば、まさに見通しの立たないような惨たんたる状況を呈している、こういうことがわが国にも伝えられているわけでございます。したがって、そうした万か一というようなことを考えれば考えるほど、いわゆる海洋汚染の問題であるとか漁業補償の問題、これは非常に重要な国の責務というべきことだろうというふうに思うわけでありますが、この辺についてどのように対処されようとしておられるのか、お聞かせいただきたいと思います。
  187. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 御指摘の点は重々ごもっともなことだと思います。  この特別措置法案におきましても、日韓双方の鉱業権者が共同開発事業契約を結ぶことになっております。この契約書の中に、ただいま御指摘の漁業の利益との調整を必須事項として記載させることにしております。通産大臣は、この契約書を認可する際に、農林大臣とも協議いたしまして、十分その点審査いたしたいと思っております。また、漁業生産上重要な魚礁の存在する地域につきましては、これを指定地区として指定いたしまして、その中における事業につきましては通産大臣の許可にかからしめておるわけでありまして、その許可の段階におきましても農林大臣と協議することになっております。さようなことのほかに、実施段階におきましても、十分そういった契約の中に盛られた漁業との調整事項が実施に移されるように対処いたしたいと思います。  また、被害を未然に防止するために、鉱山保安法、具体的には石油鉱山保安規則を適用いたすことにいたしております。万が一にもあってはならないことではございますが、事故が発生した場合には、いわゆる両開発権者は連帯いたしまして無過失賠償責任を有することになっております。  そういった措置を講ずることによりまして、石油開発と漁業利益との調整を十分に図ってまいりたい、かように考えております。
  188. 清水勇

    ○清水委員 いまの長官の答弁に関連をして確認しておきたいというか、ただしておきたいことが一点ございます。  確かに共同開発日韓両国によって行われるわけですから、賠償の責めもときには連帯して負わなければならないし、ときには単独で負わなければならない、こういう状況があることは、特別措置法案の三十九条の規定を見れば明らかなんでありますが、そうした条文の規定以前の問題として、従来、たとえば韓国の場合にはこの種の法制は現実になかったと私は聞いているわけでございます。昨年の十二月十七日でしたか、海洋汚染防止法というものがやっと制定をされたというふうに承っておりますけれども、問題は、わが国開発権者をどう認定するか、この場合には、三十九条に基づく賠償の責めを完全に果たし得る、そういう前提での認定は作業上可能かと思います。だがしかし、相手国、つまり韓国の場合に、これは日本国政府が認定するわけじゃないのですから、韓国開発権者を認定する場合に、一体いま長官が言わんとされていると同じような意味合いで、完全に賠償の責めを果たし得るような開発権者というものが認定され得るかどうか。  万が一にも逃げ出してしまう、賠償の責めを放棄するということになれば、それは日本政府がかかわってそれを補償するというようなことはあるかもしれません。したがって、漁民その他はそれによって補償され、救済を受けるかもしれませんが、それに伴うその部分だけの損害というものはわが国開発権者なりあるいはわが国政府がしょい込むということになるわけでありますから、この辺のところを明確になさらなければ私はどうしても納得がいかない、こういう感じを持つわけですが、いかがでしょう。
  189. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 御指摘の点については二つの点があるかと思います。一つは、日本側の特定鉱業権者を認可する際に、そういった賠償の能力も十分持ち合わせているかどうか、経理的能力を審査する場合にそういった補償能力、賠償能力も含めて審査するということになろうかと思います。それから、仮に事故が発生した場合に、韓国側開発権者が義務を履行しない場合には、日本側の企業に要求することによって日本側の企業がそれに対して全額を賠償するということになるわけでございます。その場合、日本側の企業は韓国側開発権者に対して求償権を持つ。この求償権の行使につきましては、日韓の共同委員会等で対処するということにもなろうかと思いますが、被害を受けた方に対しては、韓国側が仮にその義務を履行しない場合には日本側の企業が全額を補償する、賠償するということになろうかと思います。
  190. 清水勇

    ○清水委員 私からあと一点だけお尋ねをいたしまして、中村委員が関連質問があるようでありますから、バトンタッチをしたいと思います。  この日韓大陸棚協定の第四条では、効力発生の日から三カ月以内に開発権者を認可する、こういうことになっておりますね。さらに、第五条の規定によって、開発権者は認可後六カ月以内に事業に着手することが義務づけられている。そこで、私が感ずる問題点なのでありますが、こうした開発義務と、他面、漁業関係者との先ほど来申し上げているような調整との関係というものはどう整合性を持たせるのか。つまり聞きたいことは、三カ月プラス六カ月、イコールにして九カ月の期間がきたら、仮に漁業関係者等との話し合いがつかなくても、協定によって事業に着手をするということが一体起こり得るのかどうか。私は、万が一そういうことがあり得るとすれば、これはどうも大変な問題ではないかというふうに考えるわけでありますから、少なくとも関係者の合意のないうちに開発事業に着手するなんということはあってはならないのじゃないか、こう思うわけでありますが、いかがでしょうか。
  191. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 ただいま御指摘ございましたように、協定の第四条で、協定の効力発生の日から三カ月以内に開発権者を認可すること、第五条では、開発権者が認可された後六カ月以内に共同開発事業契約を締結すること、さらに、この事業契約の認可と同時に特定鉱業権の設定が行われるわけでございますが、協定の十二条によりまして開発権者は特定鉱業権の設定の日から六カ月以内に操業に着手しなければならないとなっておりまして、合計いたしますと協定発効の日から十五カ月以内ということになるわけでございます。  それにいたしましても、御指摘のように、関係漁業者との調整がおくれるような場合を当然考えておかなければいけないわけでございますが、特別措置法では、やむを得ない事由がある場合には、政府の承認を受けて着手義務を延期できることになっております。御指摘のような事態の場合には、やむを得ない事由として着手義務の延期を認可して対処する、こういうことになろうかと思います。
  192. 野呂恭一

    野呂委員長 関連で、中村重光君。
  193. 中村重光

    ○中村(重)委員 園田外務大臣にお尋ねをするのですが、先ほどの清水委員の、大臣中国においでになって、そしてこの問題に対して話し合いをする意思があるのか、鳩山前外務大臣はそういうような答弁というのか、考え方を明らかにしておったがという問いに対して、いつ訪中するかわからないんだけれども、それはこの問題ではなくて、日中平和友好条約の締結の問題について訪中しなければならないと思っているというお答えであったと思うのです。  ところが、この日韓大陸棚共同開発の問題に対しては、先ほども委員から指摘をされ、私も関連の中で申し上げたように、大臣も御承知のように中国からたび重なる抗議がなされておるということも事実でありますし、日本政府も、誠意を持ってかどうかわかりませんけれども中国に了解をしてもらうためにいろいろと話し合いをしたいという申し入れをされたということを伺っているわけですが、やはり中国の了解を受けるための努力は今後も続けられるであろうと私は思うのでありますが、中国はこの日韓石油開発の問題について了解をしてくれるであろう、そのような自信をお持ちになっていらっしゃるかどうか、いかがですか。
  194. 園田直

    園田国務大臣 中国に対しては、この問題が中国の主権を侵害するものでないという点を理解してもらう努力を今後も続けることは、先ほど申し上げたとおりであります。その結果、中国が簡単に理解されるという情勢ではないと判断をしておりますから、私は、日中友好条約締結が先であって、その後この努力を続ける、こう申し上げたわけでございます。
  195. 中村重光

    ○中村(重)委員 平和友好条約の締結は速やかに行うべきであるということを私ども主張しているわけですから、これは後であるとか先であるとかいうことは申し上げません。いずれにいたしましても、精力的に平和友好条約の締結に努力をされることを望みますし、私どもも支援を惜しむものではないということであります。  私は、先般中国に行ったわけです。そして話し合いをする中でこの問題が出てまいりました。中国は、この日韓石油共同開発の問題に対しては非常に不信感を持っている、主権侵犯であるというようなことを強く言っているんですね。この海域というのは、中国大陸棚自然延長の海域であるという考え方を自信を持って言っているようである。簡単に了解をするということにならないんじゃないか、やはりこの平和友好条約の締結の問題に対しましても、これが全く影響しないというようなことも言い得ないのではないか、中国の要路の人たちと接触をした限りでは、そうした感じすら私は受けたわけであります。  いずれにいたしましても、これが国際紛争という形であることは間違いないと思うのでありますけれども中国が了解をしない限り、石油開発公団が、国内法が仮に通ったといたしましても、強引にこれを進めますと、いよいよ本格的な国際紛争になりかねないというように思うのでありますけれども大臣としてはやはり了解をしてもらうために努力をする、その了解の上に石油開発に当たることの方が望ましいというお考え方をお持ちなのかどうか、伺ってみたいと思います。
  196. 園田直

    園田国務大臣 結構でございます。そのとおりでございます。
  197. 中村重光

    ○中村(重)委員 ぜひそういった努力をされて中国の了解を受ける、そして中国との友好をさらに深めるということを強く望みます。  次にお尋ねするのですが、一カ月ぐらい前だったと思うのでありますけれども外務大臣は、尖閣列島周辺大陸棚地域に対して、中国共同開発をしたいというような意向をお述べになっておられるように私は読んだのでありますが、この地域日本大陸棚自然延長地域ではないのではないかというように思うのでありますが、どのような認識をお持ちになっていらっしゃるのかという点でありますが、いかがですか。
  198. 園田直

    園田国務大臣 共同開発をしたいと言ったわけではなくて、中国の方からこの地域でそういう話があればそれに応ずる用意がある、こう申したわけでございます。
  199. 中村重光

    ○中村(重)委員 それでは、中国の方からそういった意向というのか申し出があった場合、日本としてはたとえば技術であるとかあるいは資本であるとかいうような可能な限りの対応を講じて、中国との間に話し合いをして、そして共同開発を進めていくという積極的な考え方をお持ちだろうと思うのでありますが、今後どういった形でこれを推進していこうとお考えになっていらっしゃいますか。
  200. 園田直

    園田国務大臣 これは将来にわたることでございますから、具体的なお答えをすると後々問題になると存じますから、具体的なお答えはいたしませんけれども、要するに友好条約を締結した後は、両方がお互いに相談して両国の繁栄のためにやるのが当然でありますから、そういう意味で抽象的に答えたわけでございます。
  201. 中村重光

    ○中村(重)委員 終わります。
  202. 野呂恭一

    野呂委員長 午後七時十分から委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後六時四十二分休憩      ————◇—————     午後七時十六分開議
  203. 野呂恭一

    野呂委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。野坂浩賢君。
  204. 野坂浩賢

    野坂委員 いま審議されております大陸棚協定に伴います特別措置法、同僚の皆さんが十分審議を尽くされましたので、私はごく簡潔に審議を終わりたいと考えております。  この協定は、まあ可決をされたとして、批准後五十年間有効であります。したがって、将来のことについて十分考慮し、配慮をして審議を尽くさなければならぬわけでありますが、いろいろ議論をされておりますが、この開発費というものは大体どの程度の金額が必要なものなのか、どの程度考えられるのか、その点について、どなたでも結構ですから、お答えをいただきたいと思います。
  205. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 現在まだ十分な探査活動が行われておりませんので、その結果を待たないと、どの程度の開発規模あるいはそのための投資が必要かという確たることは申し上げられないわけでございますが、一応海上におけるボーリングの費用と申しますのは、大体十五億円から二十五億円と言われております。これは協定によりまして十一の義務井を掘削することになっておりますので、そのボーリング費だけを計算いたしますと、かれこれ二百億円前後になるのではなかろうか。それから、最近日本周辺大陛棚で開発に成功いたしましたケースで申し上げますと、埋蔵量約一千万キロリッター程度の規模のものでございますが、数年前の金額で約三百億円程度の資金を投下いたしております。
  206. 野坂浩賢

    野坂委員 石油を掘るに当たって、ボーリングは一割ないし二割の確率しかない、一本くいを打てば大体一億五千万、こういうふうに聞いておるわけですが、探鉱の経費は大体三百億、そしてそれらに伴う採油、そういうところまで含めると大体どの程度になるか。開発費全体を加えると五千億円程度の金が必要ではないかということがよく議論をされておりますが、議事録を読んでみてもそういう数字はよく出ておるわけですけれども、探鉱、採掘、そういうものを全部含めてどの程度になるのか、もう一遍分けてお答えをいただきたい。
  207. 古田徳昌

    ○古田政府委員 先ほど長官のお答えにもありましたように、わが国周辺で発見しました千万キロリットルの埋蔵量を持つ油田のケースについてみますと、数年前の例でございますか、全体で約三百億円の探鉱費及び開発費が必要となっておりました。現在この程度の規模の油田を探鉱から生産に至るまで行いますためには、約千億円程度かかるというふうに一般的に言われております。  なお、外国の例でございますが、北海の中規模油田でありますクレイモア油田、これは埋蔵量約六千四百万キロリットルということが言われております。水深が百十四メートルということでありますが、その開発経費が約一千五百億という数字が出ております。このような油田か二つあるいは三つ発見されました場合には、全体の開発投資額は五千億円前後になるというような予想も十分あり得るわけでございます。
  208. 野坂浩賢

    野坂委員 私は去年も聞いたのですが、共同開発区域の可採埋蔵量は原油にして大体三億七千六百万キロリットルというふうに承知しておりますが、それはどういう計算で、率としてはどの程度掛けたものがこの埋蔵量になるのか。三億七千万キロリットルということになりますと、それに伴う諸経費というものは、三つの油井で総じて大体五千億円というふうに考えてよろしいわけですか。
  209. 古田徳昌

    ○古田政府委員 わが国周辺大陸棚石油埋蔵量の試算につきましては、石油及び可燃性天然ガス資源開発審議会で行いました計算があるわけでございます。この計算によりますと、先生御指摘のとおり、沖繩・東シナ海域において約七億キロリットルの原油換算の究極可採埋蔵量が予想されております。この数字をもとにいたしまして共同開発区域に限定して一つの試算を行いますと、三億七千六百万キロリットルという数字になるわけでございます。これは究極可採埋蔵量ということになっております。     〔委員長退席、山下(徳)委員長代理着席〕  この計算は、通常、石油埋蔵量の推計を行う場合に使われます堆積物容積法という手法でございますが、堆積物の全体の量を出しまして、その中にある炭化水素の総量を推計したり、貯留岩の中にどういう比率で集積されるかというふうな計算をするわけでございまして、これらの途中で使います係数、たとえば泥岩率とか集積率というふうなものにつきましては、日本周辺大陸棚での経験をもとにしてそれらの係数を使っているわけでございます。
  210. 野坂浩賢

    野坂委員 その係数は〇・六ですか、〇・五ですか。
  211. 古田徳昌

    ○古田政府委員 計算の過程で用いました比率でございますが、有機炭素量としましては〇・六を使用しております。炭化水素の集積率としましては四十分の一あるいは三十分の一という二つの計算をしております。
  212. 野坂浩賢

    野坂委員 最大見積もって、日本周辺の可採埋蔵量というものをその係数で出したものが三億七千六百万キロリットルで、原油換算としてそうなるわけでありますから、それよりも下回るという可能性が強いのではないかというふうに私は思います。そこで、この埋蔵量を採掘するということになりますと、まだ出るか出ないか、尖閣列島の方が強いとエカフェ報告は述べておるわけでありますから、こういう状態の中で五千億円が必要である。  もう一つ聞きたいのは、エネルギー庁長官でも結構ですが、韓国側がみずから探鉱、採掘をやっておる。そしてメジャーと話し合いをした。そのメジャーとの話し合いで、ガルフとかシェルとかカルテックスとかありますが、それぞれ撤退をしたというところがありますね。それはどういう理由でありますか。
  213. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 問題点は二つございますが、一つは、開発に至るまでの間、まず物探をやりまして、それから試掘をやり、あるいは探掘をやり、その過程でフィージビリティースタディーをやって、開発に適するかどうか、いわゆる経済性があるかどうかというプロセスを経た後開発投資をやるわけでございますから、出るか出ないかわからないのに巨額の開発投資をやるということではございません。  二つ目の問題は、むしろ外務省の方からお答えいただければいいかと思うわけでございますが、現在われわれが共同開発地域として考えている以外の地域でメジャーが鉱区を設定しておる。それがケースによりましては、期限が到来したから撤退した、あるいは一部、これは確認しておるわけではございませんが、伝えられるところでは必ずしもボーリングの成果がよくなかったのじゃなかろうかというようなことも言われております。
  214. 野坂浩賢

    野坂委員 お話がありましたように、ボーリングの成果が十分でなかった、したがって採算に合わない、こういう考え方で撤退をしたのではないかというふうに私たちも思います。  そこで、この協定によりますと、それぞれ開発権者が決まって、操業管理者、オペレーターが決まって、そしてやるということになっておるわけでありますが、操業管理者が具体的に作業を進めるという場合に、韓国側はそれぞれいま言ったようにメジャーが操業管理者になっている。日本も、西日本石油とか日本石油とかありますが、それぞれメジャーとの関係があるし、採掘能力には限界があるわけです。そういうことになりますと、たとえば出た石油というものは韓国側と折半するわけですね。そして韓国側は一二・五のロイアルティーを取る。だから、五〇のうちの二五、いわゆる四分の一が日本開発権者に来て、あとの二五は操業管理者、言うなればメジャー、ガルフとかシェルとかがそれを日本の国に売る、こういうことになるわけですね。
  215. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 日韓共同開発区域におきましては、費用も折半、生産物も折半ということになっておりますから、日本側といたしましては五〇%を取得することになるわけでございます。現段階におきまして、日本側の特定鉱業権者が決まっておりませんので、それがどのような形でこの開発に当たるかということは申し上げかねるわけでございますが、日本側が取得すべき生産物二分の一は全量日本の国に引き取るように指導し、また、さように実現いたしたいと考えております。
  216. 野坂浩賢

    野坂委員 日本石油開発会社が、採掘能力が限界に来て、シェルとかガルフとかカルテックスとか、そういうところとの系列関係がありますから、それにやった場合は、そのシェルならシェルは、その五〇のうち日本に売らなければなりませんけれども、外国には出ないけれども、その値段はいわゆるガルフなりカルテックスなりシェルなりが決めるということになりますか。値段はどこで決めるのですか。その売買はだれが決めますか。
  217. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 共同開発区域につきましてはいまお答えしたようなことでございますので、一般論として申し上げたいと思いますが、世界的な慣行といたしまして、石油の探鉱、開発というのはきわめてリスキーで、かつ多額の資金が要る、あるいはできるだけ高い技術を活用していきたいといったようなところから、事業契約あるいは業務契約というものを結んでいるのは一般でございます。したがって、この共同開発区域につきまして将来日本側の特定開発権者が決まった場合にも、さような業務提携を結ばないということは言えない。結ぶ場合の方かむしろ多いのじゃなかろうかというふうにも考えるわけでございますが、その場合の日本側の取り分の中で、業務提携をした相手方の取り分になるものにつきましての価格は、両当事者間で決めるべきものだと思います。
  218. 野坂浩賢

    野坂委員 石油には、一つ国際価格がある。両当事者間で決める。決めますが、なかなか出ないで、一号から五号やっても出ない、十号やっても出ない、そういうかっこうで十本も二十本もくいをぶち込んだときには、その原価というものは上がってくる可能性があるわけですね。その場合には、国際価格よりも上がらないという保証がありますか。
  219. 古田徳昌

    ○古田政府委員 現在の国際的な石油価格は、OPECが決めます標準的な原油価格を基礎にしまして、あと原油の性状、品質等に基づきましてそれぞれ決まってくるわけでございます。日本周辺大陸棚開発されました原油につきましても、当然そういうものをベースにして決まってくるわけでございまして、コストが高くなった場合には、当然開発に従事した会社の収益率が低い、あるいは非常に成功率が高いといった場合には、それに応じまして収益率が高くなるというふうな関係になるかと思います。
  220. 野坂浩賢

    野坂委員 そういたしますと、こういうことになりますか。相当に原価が高くなっても、収益率が低下をするというくらいのところの場合はいいわけですけれども、いわゆる欠損が出るというようなことだって国際価格の場合は考えられるわけですね。その場合は、赤字で売るというのはいわゆるメジャーの諸君たちは考えないでしょう。そうなれば、日本から出ないけれども国際価格より上がる場合たって——朝鮮の方からはそれぞれ撤退をしておる、不十分であるというようなことから撤退をしておる現実があるわけですから、その可能性だってありますが、収益率いわゆる損益分岐点を下回っても国際価格よりも上げない、こういう保証は絶対にありますか。
  221. 古田徳昌

    ○古田政府委員 石油の探鉱をいたしまして油田を発見いたしました場合に、それを生産し販売するためには、さらに非常に膨大な設備投資額が要るわけでございます。したがいまして、油田を発見しました場合には、その時点での販売可能価格との対比におきまして経済的ないわゆるフィージビリティースタディーを厳密に行うわけでございまして、その結果、事業として採算性ありというところで生産のための投資に初めて踏み切るわけでございます。したがいまして、発見した時点で、陸から遠いとか、あるいは非常に海が深いとか、あるいは埋蔵量が少ないというふうなことで、採算上合わないというふうなことになりますと、それはいわゆる商業生産に移行できないという形になるわけでございます。
  222. 野坂浩賢

    野坂委員 いま石油部長からお話しいただきましたように、この共同開発区域石油可採埋蔵量というものはあるとして計算をしても、わずかに日本の消費量の大体一年分だ、しかもやってみなければわかりません。言うならば、それに五千億円も出ていくという、きわめて不安定な要素を持っておるわけですが、この協定をやるに当たって、先ほども議論がございましたけれども、朝鮮民主主義人民共和国は、この協定調印は朝鮮人民の利益に反し、わが国の自主権と利権を侵害するものである、わが国政府と全朝鮮人民は大陸棚共同開発協定を認めず、これを無効と宣言をする、こう言っておりますね。それから、中国は先ほどありましたから多くを申し上げませんが、日本韓国との大陸棚協定中国に対する主権侵犯であり、中国政府は断じて同意できない、両国ともにこれが一貫しておりますね。それが今日なお一貫をしておる。  園田外務大臣は、日中平和友好条約問題をめぐって四月九日から十五日の間に行かれるであろうということを、内閣委員会で示唆をされたことかありますね。いまも議論を聞いておりますと、自民党の方でも、去年の十一月ごろにやった議論と同じではないか、こういう話が先ほどあったようでありますが、考えてみますと、そういう議論がなくてもいいようにする方法だって私はあったと思うのです。たとえば去年の十一月の一日に、私は鳩山さんに、日中平和友好条約の問題をやらなければならないし、あなたは訪中をしなければならないような、そういう時期に来ております。それではお行きになりますか、この理解と納得、また協力を得るために訪中をされますかと言いましたら、可及的速やかに参りますということだったのです。そのうちにおやめになって、園田外務大臣におかわりになったのです。それで私は、すぐにでも、この問題だけでもスムーズに進めるために、園田訪中ということが考えられるのではなかろうかと思っておったのです。  これは大平さんが外務大臣のときに決まったわけですが、七十二国会の予算委員会でも問題になって、こういうことを言われておるのですよ。大平さんは、中国側には調印の前後に詳細かつ十分に説明しており、中国の主権を侵すものでないと判断している。しかし、さらに理解を求める努力を重ねてまいりますと言っておられる。理解を求める努力を重ねるということは、行って話し合うということですね。しかし、これは一方的に線を引いてしまっておるわけですから、主権の侵害だ、北朝鮮も断固抗議するというかっこうがこの四年間、五年間にわたってずっと来ておるというのは、少しも努力をしておりませんということを裏書きするようなものではないかと思うのです。だから、それについては外務大臣は、用があったらおいでなさいということではなしに、私たちの方からやはり理解を求めなければならぬのじゃないか、こういうことに私は常識的にはなると思うのです。外交というものもそういうものじゃないかと思うのです。それについてはどうお考えでしょうか。
  223. 中江要介

    中江政府委員 いま野坂先生の御指摘の朝鮮民主主義人民共和国の立場、それから中華人民共和国の立場、これはおっしゃるように一貫しております。しかし、他方わが日本国政府の立場も一貫しておるわけでございまして、それぞれ一貫した立場国際法認識に違いがある、こういうことでございますので、この認識の違いをどういうふうに受けとめるかという点につきましては、北朝鮮の場合と中国の場合とでは違う。  まず、北朝鮮について言いますと、北朝鮮側の立場は、朝鮮半島全域が朝鮮民主主義人民共和国の管轄下にあるかのごとき前提のもとで、いま私ども協定対象にしております地域も朝鮮民主主義人民共和国の主権的権利も及び得る地域だということを前提としているかのごとく受け取れるわけなんです。そこは日本政府立場とは全く違っておるわけでございまして、日本国政府は、御承知のように三十八度線以南に実効を及ぼしている大韓民政府を承認し、これと外交関係を持っているわけでございまして、いま関係の共同開発区域は、まさしくこの大韓民国政府の領域から外に向かって領海外縁からさらに延びている大陸棚区域でございますので、北朝鮮の一貫した立場に対しましては、私どもは一貫して認めることができないということを貫いている、こういうことでございます。  中国の方は、これはもう何回も御説明しておりますので詳しくは申しませんけれども、東シナ海全域のいかなる大陸棚部分であろうとも、中華人民共和国政府の同意なしには、いかなる個人も政府も指一本触れることができないという強い立場でございますが、これは現在の国際法上の大陸棚制度からいいますと、私どもとしては必ずしも当を得ていないと思うわけでございますので、どういうふうに当を得ていないか、そして私ども立場がいかに国際法根拠があるかということについて、引き続き理解を求めていく努力をする、こういうことでございます。
  224. 野坂浩賢

    野坂委員 アジア局長のせっかくの御回答をいただいたわけですか、この大陸棚条約、ここに印刷がして回してありますけれども境界画定、これは衡平の原則に従って合意により行われるものとしている。その場合、それが適当であれば、中間線または等距離ということが書いてあります。しかし、この日韓大陸棚協定の二条にありますように、座標六、七、八は一方的に日本の海上保安庁の海図二百十号で線が引っ張ってあるわけですから、中国側はそれについて認めておるというかっこうではないわけですね。合意をしていない。だから、それも一方的に引いたということになれば、ここに国際法上は問題がないとおっしゃいますけれども、これについては問題があるのじゃないかと思うのですが、その点についてはどうでしょうか。
  225. 中江要介

    中江政府委員 まず、一般論といたしまして、中間線というのは合意にかかり得ない。つまり客観的には一つしかないわけでありますから、合意して中間線を決めるというわけではなくて、中間線は両方から等距離にある点を結んだ点でございますので、これは客観的に存在するわけです。これについて合意が必要だといいますのは、それを大陸棚境界線として画定するには合意が要る、こういうことでございますので、これは一般論として申し上げておきます。  それから、この協定の二十八条後段に明記してございますように、「この協定のいかなる規定も、」「大陸棚境界画定に関する各締約国の立場を害するものとみなしてはならない。」ということでございまして、これは境界画定国際法上これによって決めてしまっていないということでございますので、これによって境界合意によって画定して、それを中国に押しつけているという気持ちはそもそもなかったわけでございます。  ただ、中国立場からいたしますと、先生もおっしゃいますように、その部分は日中中間線部分的であれ採用されているのであれば、それを将来日中間境界として画定するには合意が必要である、これは私どももそう思っておるわけです。だからこそ、日中間境界画定の話をいたしましょうということを繰り返し中国側に言っておりますけれども、まだそれが実現に至らないために引き続き問題が残されている、こういう結果になっております。  そもそも日韓大陸棚協定対象になっております共同開発区域部分は、日中中間線を論ずる以前の韓中中間線というもので深く渤海湾の奥からずっと縦に朝鮮半島中国大陸との間の中間線かありまして、その延長線上でさらに日本側の、つまり韓国側の南の日本との関係の部分に注意深く限定してありますので、これは誠意を持って中国に御説明すれば、中国の方でも理解が得られるのではないか、こういうことでございます。  いずれにいたしましても、そういうお話をするにしても一番望ましい姿は、中国も言っておりますし、日本もそう思っておりますが、韓国中国日本の三カ国の間で境界画定の話ができるような時期が早く来てもらいたいということであろうかと思います。
  226. 野坂浩賢

    野坂委員 お話かありましたように、座標六は韓中の中間線です。しかし、この海図も日本の海上保安庁の海図を使っておるわけですから、中国はまた——全世界通用するものかどうか、その点については非常に疑問があるわけです。疑問がありますから、そういう点については六、七、八と直線を引いて共同開発区域をつくっておるわけですから、それに対して異議があるということになると、境界の関係はまた二十八条で立場を害するものではないと言っても、今度の共同開発区域そのものがその線の中に入ってくるわけですから、これは問題が起きる可能性か非常に強い。中国はこういう問題も含めて抗議をしておるから、先ほど来議論があるように紛争のおそれがある場所だ、こういうふうに見なければならぬというのが私は常識だと思うのです。紛争のおそれがあるし、現在抗議しておるから紛争中だ、だから石油開発公団の融資はできぬのだ、こういう議論が起きてくるわけでありますね。  この状態から考えて、先ほど通産大臣からお話がありましたように、現在紛争中である、紛争をなくするために自信を持って解決をつけるということでありますが、こういう線引きからしてたくさんの問題があります。この国会で上げる前になぜ園田さんは——中国へ行く意欲は、エンジンは全開状態でありますということを何回もおっしゃっておったわけで、命令がないものだから行けないということですが、この問題一つでも行くべきではないかと思うのですが、その点は政治家園田外務大臣としてどのようにお考えでしょう。
  227. 園田直

    園田国務大臣 先ほどもお答えしましたとおり、この問題について理解を求める努力は続けていくべきであると考えておりますが、日中交渉再開を目の前にしてこの問題を先に持ち出すことは得策ではない、やはり友好条約締結交渉が先であって、その次にこの問題であるというふうに順番を考えておるわけでございます。
  228. 野坂浩賢

    野坂委員 李先念副首相等か、日本政府はうそをつくとかいろいろ前に議論があったことがありますが、私が中国へ参りましたときに、この問題を取り上げて議論をしました際に、本当に日本政府のやり方は独断てある——中江局長もお話しになったように、関係四カ国が集って十分協議をすることが一番望ましいわけでありますから、その方向で、先にそういう了承を求めるということになれば日中平和友好条約もむしろ好感を持って迎えられるではないか、なぜこれは後でなければならぬのですか、その理由を教えてください。
  229. 園田直

    園田国務大臣 おっしゃるとおりでありますが、現実問題として、関係国が集まって円満に納得するような話し合いをつける見通しは現在のところございません。そこで、その問題は後で、まず第一に両方が必要とする友好条約の締結と、このように考えているわけでございます。
  230. 野坂浩賢

    野坂委員 友好条約の締結交渉で、外務大臣中国にお行きになりますか。
  231. 園田直

    園田国務大臣 交渉再開になって、必要な事態になり、総理から御指示があれば、喜んで行きたいと準備をいたしております。
  232. 野坂浩賢

    野坂委員 総理から指示があるということになると行くということですが、それは機械的なものであって、自民党の中にもいろいろな動きがあるということは先刻承知でありますが、その見通し。この大陸棚の関係も十分理解を簡単に得られないではないか、今日まで一貫をしておる中国の問題あるいは座標の線画定というようなものを考えてみますと非常に問題がある、そういうふうに考えておるわけですが、それは自信がありますか、それが一点。  二点目は、通産大臣に。その了解が得られるまでは、この共同開発区域というものは、石油公団法のときに附帯決議がされたように、紛争の地域だという認定をしているというふうに考えていいわけですか。
  233. 園田直

    園田国務大臣 日中友好条約の交渉か再開をされて交渉する場合に、この問題か解決をしなければ友好条約は締結をしないというようなことはあり得ないと思います。なおまた、自民党の方はだんだんと御理解を願っておりますから、遠からず御理解がいただけるものと存じて、努力をいたしております。
  234. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 先ほど答弁したとおりでございます。
  235. 野坂浩賢

    野坂委員 それでは、理解があるまでは紛争ないしは紛争のおそれのあるものだということを御答弁になったわけでありますから、そのとおりを確認をしておきたいと思います。  時間もありませんから、これで終わりたいと思うわけでありますが、この日韓大陸棚協定あるいは措置法というものは、通産大臣がお話しをされましたように、最近の情勢は非常に変化に富んでおる、刻々と変化をしておる、こういうふうに私ども承知をしておるわけであります。振り返って見て、当時の四年前の状況から考えてみましても、当時は三海里時代ですね。そういう時代から考えてみて、非常に状況が変化をして、くしくも中江アジア局長が、この交渉は、共同開発区域設定は大失敗であった、韓国側も大失敗であったと思っておるだろうが、日本側も大失敗であった、いわゆる中間線が取り得なかったというふうにお話しになったわけでありますが、私どもはまさに大失敗だった、日本の国益をこれによって大きく損ずる、経済水域が二百海里ということを決定をすれば、この共同開発区域日本独自でやり得る、こういう時代に変わってきた。  言うなれば、四年前の状況とは大きく変わってきて、世界は、アメリカもソ連も各国で排他的経済水域二百海里というものか出てきて——これは大陸棚条約が前にあったから、この条約がそうだというけれども、これに大きなウェートがかかって、朝鮮側の方に有利になるから、韓国側の方に有利になるからこの際やった方がいいというようなことは、全くの詭弁だと私は思うのですね。いまはそういういわゆる大陸棚の短い小国を保護するために、もう韓国が言っておるようなことは、南朝鮮が言っておるような主張はもう古くなっておる。アメリカの専門家などは明確に言っておりますね。もう古くなって、もうそのために二百海里を決めればそれはその国のものなんだ、これが海洋法会議世界の趨勢であるということをわれわれは肝に銘じておらなければならぬと思うわけです。  そういう意味で、この協定というものは将来に禍根を残すし、油が出るのか金を流すのかという、そういう黒い癒着が最後までまつわりつくのではなかろうか、こういうふうに私どもは心配をしております。この問題についてはこれ以上は質疑をやめますけれども、決して日本の国益にはならない。経済水域二百海里というものをなぜ設定をしたのか。設定をすればそれによってこの共同開発区域日本のいわゆる権利に属するものではないか、こういうふうに私どもは考えております。その点については、外務大臣なり通産大臣はどうお考えでしょう。
  236. 園田直

    園田国務大臣 経緯はいろいろありますが、前にやられたことを私がここでとかくお答えするわけにはまいりません。速やかに御審議を願うことだけを願うわけであります。
  237. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 長い間の経緯がありましてこういうことになっておるわけでございますから、私どもはいまお願いしております方法が一番いいと考えております。
  238. 野坂浩賢

    野坂委員 長い間の懸案事項だから何が何でもやる。政府のしりぬぐいといいますか、政府のこのような国益を損ずるものについて、国会は責任を持つべきではないと私は思うのですね。だから、この問題についてはわれわれは納得ができ得ない。  いまの世界の情勢は、通産大臣すら述べられておるように、刻々情勢が変わって、経済水域二百海里時代というものは四年前には考えられもしなかった。それが現実の問題になってきて、この経済水域の線を引くならば必ずわが国に全部一括などということになれば、その方がはるかに国益であるということを認識をしていただきたいと思うのです。アメリカの海洋専門家の諸君たちはこう言っておりますね。韓国主張はもう古くなっている、二百海里経済水域の設置は世界的な趨勢であって、中間線を越えて大陸棚延長主張することなどはもはや無意味であると明確に言っておるわけです。そういう中で、中間線を折れて韓国に妥協して日本の国益を損なったということは免れ得ないという、この実態というものを私は十分御認識をいただいておきたい。  こういうことだけを警告をして、私の時間が参りましたので、質問を終わります。
  239. 山下徳夫

    ○山下(徳)委員長代理 長田武士君。
  240. 長田武士

    ○長田委員 外務大臣に冒頭から質問があるのですが……。
  241. 山下徳夫

    ○山下(徳)委員長代理 それでは、そのまま待ってください。——長田君。
  242. 長田武士

    ○長田委員 ただいま議題となっております日韓大陸棚共同開発特別措置法案は、大陸棚協定をいわば下敷きにしておるわけでありますから、この協定の中に山積しておる疑問点や問題点の解明について、私は当委員会でこれまでも質問を行ってきたわけであります。しかし、まだはっきりしない部分がかなりあるわけであります。  そこで、本協定についてさらに審議を重ねていきたいと考えておりますが、本日は、時間もありませんし、国内法と言われております本法律案についても問題が解明されていない部分、その点についてしぼってお伺いをしたいと思っております。  この共同開発については、中国が再三抗議してきた経緯を見れば、日中関係と密接なつながりを持っているわけであります。中国の抗議がこのような状態であるわけでありますから、端的に申し上げまして、日本韓国大陸棚共同開発を行うことは、日中関係によい影響を及ぼすものではないと私は考えております。この点について外務大臣に、日中関係に影響がある、よくないのではないか、そういう点でお伺いするわけであります。
  243. 園田直

    園田国務大臣 中国が終始一貫して反対しているところでありますから、日本中国の間に問題があることは事実であります。しかしながら、友好条約を締結しようという今日において、この問題か障害になって、あるいは前提になって友好条約が締結されないということはないと考えております。
  244. 長田武士

    ○長田委員 日中平和友好条約をめぐって、政府・自民党内での対立があるように私は聞いておるわけであります。そのため調整がつかず、日中交渉が渋滞しておるわけであります。  その一つは台湾問題であろうかと思われますが、いわゆる慎重派とか台湾派とか言われるグループの主張はどういうものなのか。台湾を独立国家としての存在を認めようと主張しているのかどうか。日本といたしましては、日中共同声明によって、台湾は中華人民共和国の不可分の一部であって、台湾の国家的存在は最終的に否定していると思いますが、いかがでしょうか。確認をしておきたいと思うわけであります。  なお、台湾問題は完全に中華人民共和国の内政問題であるという確固たる認識に立っているのかどうか、すなわちわが国と台湾との関係は国家間の関係は一切存在せず、ただ事実関係という私法上の関係にすぎないというふうに解すべきであろうと私は思いますが、その点いかがでしょうか。
  245. 園田直

    園田国務大臣 与党内でいろいろ意見がございますけれども、これは台湾派だとかソ連派だとかそういうことではなくて、日本中国の未来を長きにわたって拘束する条約であるから、よく慎重にやれといういわゆる慎重派であって、いまだんだんと御理解を願っておるところでございますので、遠からず御理解を願えるものと考えております。  台湾問題については、共同声明で書かれておるとおりでございまして、これからいささかの変更も、前進も後退もないわけでございます。
  246. 長田武士

    ○長田委員 次に、日中共同声明第三項の解釈を同僚議員が何度か政府当局にただしたのでありますが、政府の回答はいつも不明瞭であって、われわれの質問に対する回答とはなっていないわけであります。私は、共同声明第三項は十分理解しているつもりでおります。しかし、これに対する解釈はいろいろあろうかと思うわけでありますが、この第三項について政府はどのような見解を持っておられるのか、その点どうかひとつ明らかにしていただきたいのです。  と同時に、このことによって、自民党内の反対グループに対しても、政府の断固たる態度といいますか、この表明が必要ではなかろうかと思います。そうしますれば、共同声明第三項は、台湾は中華人民共和国の領土の一部であるということを日本政府は明確に認めるということが当然必要になってまいりますね。この点はいかがでしょうか。
  247. 中江要介

    中江政府委員 その点は、先ほど外務大臣がおっしゃいましたとおり、日本国政府の立場は日中共同声明の第三項の立場からそれてはならない、これを忠実に遵守するということで一貫しておるわけでございまして、この第三項はどういうことかと申しますと、そこに書いてあるとおりでございまして、台湾は中華人民共和国の不可分の領土の一部であるというのが中華人民共和国政府の立場でありまして、その立場中国が重ねて宣明いたしまして、日本国政府はこれを十分理解し、尊重し、ポツダム宣言第八項の立場を堅持する、こういうふうに書いてあるとおりであります。ポツダム宣言第八項の立場というのは、戦争に敗れました日本が降伏するに当たりまして受諾いたしましたポツダム宣言の中に書かれてある、その国際的な義務というものを十分かみしめて、その立場から動く、あるいはその立場と違った立場をとることは許されないということをはっきり申しておるわけです。  日本と台湾との関係につきましては、先ほど先生がおっしゃいましたように、この共同声明の第二項に明記されておりますように日本国政府は中華人民共和国政府を中国における唯一の合法政府と承認した結果といたしまして、そのほかの政府というものは合法的なものとして認められない、したがって、その共同声明が出ました後の記者会見で大平外務大臣がおっしゃいましたように、その当然の帰結といたしまして、日華平和条約というものは存在の意義を失ったということで、日本と台湾との国家と国家との間の関係というものは消滅いたしました。そのときに、御記憶にありますように、日本と台湾との事実上の民間の関係、こういうものは維持、継続する、維持、継続しなければならない立場にあるという日本側説明に対しまして中国側があえて反対しなかったということがございまして、そういう中国側理解のもとに、台湾との間は国家と国家の関係はもう絶対に持てないけれども、事実上の民間の関係は維持、継続するということがいままで行われている。この立場には、日本政府は現在も変わらないところでございます。
  248. 長田武士

    ○長田委員 外務大臣にお尋ねいたします。  自民党内の調整が長引くようになった場合、見切り発車もあり得るのかどうか、また、党内調整のタイムリミットは今月中ぐらいに見ておるのかどうか、この点をお尋ねいたします。
  249. 園田直

    園田国務大臣 いま御理解を得ている段階でありますから、いつごろ御理解を得るかということはここで答えるわけにはまいりませんけれども、与党でありまするから、政府・与党は一体でありますから、交渉を始めるに当たっては御理解を求めてから交渉を始めます。こういうことを言っておるわけであります。
  250. 長田武士

    ○長田委員 今日の情勢を考えて、日中平和友好条約の交渉再開、本格的交渉は、総理訪米による日米首脳会談後ということにならざるを得ないと思うのですが、外務大臣の御見解を伺いたいと思います。
  251. 園田直

    園田国務大臣 その前になるか後になるか、いまのところはまだ見当はつきません。
  252. 長田武士

    ○長田委員 次に、法案に関してお尋ねをいたします。  初めに、東シナ海、沖繩一帯には石油の原始埋蔵量は七億キロリットルあると言われておりますが、可採埋蔵量はどのくらいあるのか、また、その技術的な信憑性はどうなのか、あわせてお尋ねをいたします。
  253. 古田徳昌

    ○古田政府委員 当該地域埋蔵量につきましては、石油及び可燃性天然ガス資源開発審議会で試算したものがございます。その試算は、堆積物の容積を推計いたしまして、それにいろいろな炭化水素の総量とか、あるいは貯留岩にたまります集積率というふうなものを仮定として置きまして計算するものでございますけれども、その計算結果によりますと、沖繩・東シナ海域におきまして、究極可採埋蔵量は約七億キロリットルということになっております。この試算をもとにしまして、私どもの方でこの共同開発区域自体につきましての究極可採埋蔵量の試算をしてみますと、約三億七千六百万キロリットルというふうな計算もあるわけであります。
  254. 長田武士

    ○長田委員 ただいま御答弁のありました埋蔵量には、天然ガスが含まれておりますか。
  255. 古田徳昌

    ○古田政府委員 これは両者を含んでおりまして、ただいま申し上げました数量は、原油換算のものでございます。
  256. 長田武士

    ○長田委員 それでは、共同開発区域だけを見た場合、石油埋蔵量はどの程度なのか、お尋ねをいたします。
  257. 古田徳昌

    ○古田政府委員 先ほど申し述べました三億七千六百万キロリットル原油換算量のうち、原油そのものにつきましては一億二千二百万キロリットルという試算でございます。
  258. 長田武士

    ○長田委員 ただいま御答弁がありましたとおり、私もいろいろの資料を見てまいったわけでありますが、結論的に、実際に石油が埋蔵されている量というのは二億数千万キロリットル程度という理解をいたしておるわけでございます。  そこで、この量の配分は、御承知のように協定によって石油なら石油を等分にということになっておるわけでありますから、これがわが国のエネルギー政策上どのような意味を持つのか、お尋ねをいたします。
  259. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 すでに御承知のように、わが国で必要とするエネルギーの四分の三までを石油で賄っておるわけでございまして、その九九・七%までを輸入、またそのうち八割までを中近東に依存しておるという現状でございます。さようなところから、私たちとしては、できるだけ石油に対する依存度を低減していくという方向で対処いたしておるわけでございますが、なお当分の間エネルギーの中心は石油に置かざるを得ない、こういう実情を前提といたしますと、わが国周辺大陸棚はきわめて安定的な石油の供給源である、こういう認識に立っておるわけでございます。  御指摘の共同開発地域につきましては、まだ十分なる探鉱活動が行われておりませんので、どの程度の埋蔵量があるかということははっきり申し上げかねるわけでございますが、ただいま申し上げましたような事情からいたしまして、緊急時にはきわめて安定的な石油の供給源の一つとして私たちは考え、また期待いたしておるわけでございます。
  260. 長田武士

    ○長田委員 石油の安定供給のために、供給先の分散化について私は反対するものじゃないのです。しかし、現在における海外石油開発の実態を見た場合、開発された石油が全量輸入されていない状態であります。そこで、共同開発区域石油供給の保証はあるのかどうか、この点いかがでしょうか。
  261. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 先ほど先生からも御指摘ございましたように、この共同開発地域開発した石油につきましては、両者で折半することになっております。したがって、日本側の取り分につきましては、全量これを日本国内に持ってきたい、かように考えております。  申し上げるまでもなく、わが国は非常に巨大な石油消費市場でもございますので、経済的に考えてもさようなことになろうかと思いますが、仮に日本側と提携する企業におきましてさような線に即応しないような場合には、状況によりましては輸出貿易管理令等を活用することによって日本側の取り分を全量引き取るようにいたしたい、かように考えております。
  262. 長田武士

    ○長田委員 これは私は、埋蔵量が少ないために可能ではないかと思うのですね。  そこで、お伺いしたいのでありますけれども、アラビア石油の推定埋蔵量はどのくらいあるのでしょうか。
  263. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 アラビア石油は、カフジとフートと二つに油田を持っておりますが、残存可採埋蔵量といたしましては、カフジ原油が約七億キロリッター、フート原油が約五千万キロリッター、合計いたしまして七億五千万キロリッターというように考えております。
  264. 長田武士

    ○長田委員 カフジとフートの両油田を合わせて大体七億七千万キロリットルと私は記憶しておるのです。そこで、現在確認されている油田のうち、七億七千万キロリットル以上の油田は、中東地域を除いてはどのくらいありましょうか。
  265. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 油田の大小を比較する場合、いろいろな基準があろうかと思います。残存可採埋蔵量を基準にいたしますと、七七年版のインターナショナル・ペトロリアム・エンサイクロペディアによりますと、カフジ油田の残存可採埋蔵量は、バレルで申し上げて約五十一億ということでございまして、世界の油田中第二十位である、こういうことでございます。それからフート油田の方は、カフジほどではございませんが、残存可採埋蔵量は五億バレル、これもかなり大きな油田だというふうに申し上げていいかと思います。
  266. 長田武士

    ○長田委員 これ以上の油田というのはアメリカに一つあるのですね。それからソ連に二つあります。その他産油国として知られているインドネシア、アブダビ、ベネズエラ、ナイジェリア、アルジェリア及びオーマン諸国には一つの油田もないわけです。こうしたことから見ても、このカフジ油田はいかに大きな油田であるかが明らかだと思うわけであります。  ところで、共同開発区域で見込まれておりますところの埋蔵量より約三倍以上も大きいこの油田は、生産能力が現在二千六百十万キロリットルもあるわけですが、引き取り手かないために生産量が約千五百八十万キロリットルにとどまっておるわけであります。しかし、アラビア石油の契約の権利期間は、カフジ油田があと二十二年、フート油田が二十五年しか残っておりません。このままでまいりますと全部採取し切れないという事態も当然考えられると思います。  そこで、私は、わが国の引き受け量が一億数千万キロリットルしか見込まれない共同開発区域に、巷間五千億とも言われておりますような巨額の開発資金をつぎ込み、急いで開発に着手するよりも、このような状況にある油田の引き取り量の拡大に積極的な対策を講ずることこそ急務であると考えるのですけれども、この点、通産大臣、いかがでしょうか。
  267. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 現在の時点では、石油の需給関係は非常によくなっております。つまり油は世界的にだぶついておるわけでございます。しかし、少なくとも今世紀中はエネルギーの中心は石油であるということを考えますと、石油資源のない日本といたしましては、絶えずあらゆる努力をして石油開発に努めていかなければならぬと私どもは考えております。でありますから、五年、十年という期間よりも、むしろ今世紀を通じて石油をいかに確保するか、そういう観点からこの問題に取り組んでいきたいと考えております。
  268. 長田武士

    ○長田委員 通産大臣の御答弁ございましたけれども、実際問題、引き取り量が減っているのです。こういう点はどうなんですか。そういうものをきちっと拡大する方向というのは、日本石油を備蓄するためにも、あるいは確保するためにも最も大切じゃございませんか。
  269. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 確かにアラビア石油日本への輸入量は激減をいたしております。それはいろいろな事情かございまして、たとえば石油の消費が伸びないとか、あるいはまた品質の問題、こういう問題がございまして減っておりますので、実はこういう状態ではせっかく開発した油田を有効に使えない、大変残念でありますので、五十三年度からは数量をある程度増量する方向で、いまいろいろ工夫をしておるところでございます。
  270. 長田武士

    ○長田委員 私は、わが国のエネルギー事情を見通した場合、まだまだ石油に依存せざるを得ないと考えるわけであります。そのためにも安定供給ソースの開発に努力をしなくてはならないことはよく理解をいたしておるわけであります。しかし、この数年、石油の需給は世界的な不況で伸び率が停滞しておるわけですね。四月三日に発表されました五十三年度のわが国石油供給計画においても、前年度に比べてわずか〇・八%増にとどまっている現状であります。もし石油が必要となる事態が起きた場合、自主開発した油田の引き取り量の確保に全力を挙げる、さらにまた、増産できる油田については設備の増設をしておくなどの対策を講じなければならないと思いますが、この点いかがでしょうか。
  271. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 日本として石油政策上いろいろ考えなければならぬ点が幾つかあると思いますか、その一部について先ほど長官が答弁をいたしたところでございます。一番大事な点は、石油をいかに安定的に確保するか、この一語に尽きるのではないかと私どもは考えております。でありますから、遠く海外で石油開発いたしまして、それに成功いたしましても、一朝事か起こりまして、前回のような輸出禁止という事態になってまいりますと、ここの油田は日本開発した油だからこれだけは別扱いにして勝手に掘って持って帰るよ、そういうわけにはまいらぬと思うのです。だから、やはり日本が安定的に石油を確保するためには、輸入ソースを多角化するということ、できるだけ各方面から輸入する、そういう方向に持っていくということが一つと、それからもう一つは、やはり日本周辺大陸棚から石油を確保するような努力をしていくということ、そういう意味で今回の大陸棚開発ということは非常に大きな意義があると思います。     〔山下(徳)委員長代理退席、委員長着席〕 もう一つは備蓄政策だと思いますが、そういういろいろなことを考えながら、石油の安定的な確保ということに対して絶えず配慮していかなければならぬと考えております。
  272. 長田武士

    ○長田委員 私は、現在国際収支の黒字をどう減らすかという問題に全力を注がなくてはならない時期ではなかろうか、そう考えるわけであります。このような共同開発を急ぐよりも、むしろ輸入に力を入れるべきであると私は考えるのです。そうしてこの共同開発については時をかせぐのが国益に合致することになるのではないかと確信をするわけであります。と申しますのは、第一に、今後の世界海洋法会議方向からすれば、この共同開発区域日本経済水域もしくは日本大陸棚に包含される可能性が非常に大きいということ、第二番目には、このままで共同開発に着手すれば中国との貿易関係に支障を来すおそれがあるということ、第三番目には、将来、東シナ海での石油、天然ガスの開発の際、中国の不信を招くことが予想されるということ、こうした意味からも、いま政府がこの協定の発効を急ぐのは明らかに時節を得たものとは考えられない、そう理解をいたしておるわけでございます。  したがって、私は、将来わが国経済水域及びわが国大陸棚に包含できるこの共同開発区域開発については、いろいろ問題になっておることが技術的に裏打ちされ、しかも中国など関係国の合意か得られてから開発に着手しても遅くないし その方が安定的供給ソースの確保につながると考えるわけであります。この点について外務大臣並びに通産大臣の御所見を伺いたいと思います。
  273. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 海洋における石油開発というのは、相当な難事業であります。でありますから、きょう石油開発に着手して、あした成功するというわけにはまいりません。幾ら早くても数年間くらいの日時が必要でありますし、場合によれば十年はかかる、こういう大事業でございますから、先ほども申し上げましたように、二十世紀を通じて、あと二十年ばかりあるわけでありますが、少なくともこの期間を通じて考えますと、やはりできるだけ早くこの地域開発に着手した方がよろしい、こういう判断でございます。
  274. 園田直

    園田国務大臣 いま通産大臣から答えられたとおりでありまして、資源のない日本は、資源確保のためには多様的に対処していくことが必要であると考えます。
  275. 長田武士

    ○長田委員 次に、先ほどから同僚議員が質問をいたしておるわけでありますが、その点をもう一度確認のためにお尋ねをいたします。  石油開発公団の投融資についてお尋ねをするのでありますが、第七十五国会における本委員会での附帯決議、すなわち「国際紛争のおそれがある地域の探鉱事業に対する石油開発公団の投融資については、これを行わないこと。」となっておりますが、本委員会としては、まさに日韓共同開発区域をその対象としたのでありますけれども、その点についてはどうか、お尋ねをいたします。
  276. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 その点につきましては、先ほど答弁をしたとおりでございます。
  277. 長田武士

    ○長田委員 次に、「国際紛争のおそれがある地域」とは、具体的にどういう地域を指すのか、これまでの政府答弁では非常にあいまいであります。したがって、これを明確にしていただきたい。当然、国民の納めた税金を使うわけですから、通産大臣、具体的にひとつ責任ある答弁をいただきたいのです。
  278. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 本件について申し上げますと、日韓共同開発区域について、中国等から異議の申し立てと申しますか、抗議が出ておるわけでございますので、この共同開発区域についての開発公団の投融資の扱い方は、大臣が申し上げたように処理したい、こういうことでございます。
  279. 長田武士

    ○長田委員 この附帯決議は、第七十五国会の当委員会で、石油開発公団法の一部改正の審議の際に、日韓大陸棚共同開発について中国から再三にわたって抗議がなされている状況下で決議か検討され、全会一致で決定されたわけであります。前回決定された時期と今日の状況は余り変わっていないと私は思うのです。したがって、この附帯決議は何ら変わることなく尊重されるのが当然であると私は思いますか、通産大臣、いかかでしょう。
  280. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 その点につきましても先ほど答弁したとおりでございますが、もう一回言わなくても大体おわかりいただいたと思いますので、省略をいたします。
  281. 長田武士

    ○長田委員 この附帯決議をされたときには、通産大臣は河本氏でしたね。そういう意味で、決議の意義、目的について一番詳しく存じていらっしゃるのじゃないですか。そういう意味で、この点はどうかひとつ尊重していただきたい、守っていただきたい、これを要望しておきます。  次に、漁業との調整問題についてお尋ねをしたいのでありますけれども、まず、本法案第二十一条の「共同開発事業契約」によりますと、共同開発事業契約に「漁業との調整に関する事項」を盛り込むよう規定されておるわけであります。そこで、初めに、共同開発区域における漁業の実態と、わが国及び韓国並びに中国等の漁業生産上に占める位置づけについて、水産庁にお伺いをするわけであります。
  282. 恩田幸雄

    ○恩田政府委員 本共同開発区域におきますわが国の漁業生産量は、昭和五十一年におきまして五万七千トンになっております。主な魚種といたしましては、アジ、サバ、タイ、グチ、タチウオ等でございます。  そのほか、韓国船も相当この海域に来ていることが視認されておりますが、この漁獲量についてはわかりません。  なお、中国については、一部中国漁船が視認されたことがございますが、漁獲量としてはそれほど大きなものではないのではなかろうかと考えております。
  283. 長田武士

    ○長田委員 次に、本法律案に基づく漁業との調整を行う関係漁業の範囲について具体的に御説明をお願いしたいと思います。
  284. 恩田幸雄

    ○恩田政府委員 この海域で操業しております漁業は、以西底びき網漁業及び遠洋まき網漁業、その他釣り・はえなわを中心といたしました沿岸漁業がございます。地域といたしましては、大体長崎県を中心にいたしまして、九州西岸から山口にかけて、ここか主たる漁船のところでございます。
  285. 長田武士

    ○長田委員 それでは伺いますが、日本韓国中国等それぞれの関係漁業者に対し、日韓それぞれの開発権者がその交渉に当たるのかどうか、水産庁及び通産省にお尋ねをいたします。
  286. 恩田幸雄

    ○恩田政府委員 漁業の調整につきましては、日本側の漁業者につきましては日本側の企業者が調整に当たるということになっております。
  287. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 ただいま水産庁からお答えしたのと同じでございますか、先ほど御指摘になりました共同開発事業契約の中に、漁業の利益との調整を必ず記載するようにさしておりますが、その中にそれぞれの開発権者かそれぞれの国の漁業者との調整を図るということを記載させたいと思います。
  288. 長田武士

    ○長田委員 では、共同開発構想が日韓両国の間でまとまった時点及びそれ以前に、関係漁業者の意見を聴取した事実はあるのかどうか、この点いかかでしょうか。
  289. 恩田幸雄

    ○恩田政府委員 私どもか漁業者と直接この問題についてお話しいたしましたのは、四十九年の三月でございます。この際、先ほど申し上げましたようなこれらの海域に関係のある漁業者に対しまして、いろいろ意見を聞いております。その後さらに引き続きまして、最近も関係の漁業者の御意見は十分承っております。
  290. 長田武士

    ○長田委員 現時点における関係漁業者の反応はどうなのか、具体的にいつどこでだれと話し合われたのか、その点……。
  291. 恩田幸雄

    ○恩田政府委員 四十九年の時点におきまして、大日本水産会を中心にいたしまして、日本遠洋底曳網漁業協会、日本遠洋旋網漁業協同組合、全国沖合いかつり漁業協会、こういう方々とお話し合いをしておりますし、さらに、四十九年三月には現地に赴きまして、主体でございます長崎県漁連、それから野母崎漁協等と話をしております。その後最近に至りましては、五十二年の五月と六月に長崎に参りまして、長崎県漁連あるいは以西底びきの業界の方々、まき網の方々等とお話をしております。  反応につきましては、漁業者の方々の御要望として出てきましたのは、鉱業権の設定、それから海底鉱物資源開発の計画実施に当たっては、あらかじめ関係大臣と協議するように措置してくださいということと、それから、開発事業の実施に伴って生ずるおそれのございます公害の問題につきまして、これが発生しないように措置してほしい、さらに、万一損害か発生した場合には損害賠償措置を確立すること、さらに、漁場の喪失あるいは漁業活動の制約による損害については十分の補償措置を講ずること、以上のような御意見が出ております。
  292. 長田武士

    ○長田委員 続いてお尋ねをしたいのでありますが、漁業者との間で調整かつかなかった場合、採掘、探鉱、開発事業に着手できないことになると思いますが、一つは探査権、これは八年でありますけれども、二つには鉱区の減少義務、法第二十五条であります。三つ目には坑井掘削義務、法第三十四条、こういうような問題との関係はどうなるのか、通産省、水産庁にお尋ねいたします。
  293. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 先ほどもお話し申し上げましたように、共同開発事業契約書の中に漁業権との調整の事項を記載させるということでございます。したがって、漁業権者と話がつかない場合には、事業に着手する義務が特別措置法案ではトータルをいたしまして十五カ月となっておりますが、万やむを得ない場合にはその着手義務の時期を延期するといったようなことで対処いたしたいと思っております。
  294. 恩田幸雄

    ○恩田政府委員 私どもの方といたしましては、実施に当たりまして十分漁業者の意見を尊重していただくようにお話ししてございますし、関係漁業者と調整をつけるよう、できるだけ努力したいと考えておりますか、なおつかない場合につきましては、通産省からのお答えのとおりでございます。
  295. 長田武士

    ○長田委員 水産庁、共同開発区域以外の一般的なわが国周辺大陸棚開発における漁業者との話し合いの現状と、関係省庁及び自治体の対応策はどうなっておるのか、この点をお尋ねをいたします。
  296. 恩田幸雄

    ○恩田政府委員 わが国周辺におきます大陸棚で行われております石油あるいは天然ガスの開発につきましては、事前に関係漁業者とのお話し合いを行いまして、その了承を得た上で行うよう指導しているところでございますし、これまでのところは、全部一応話かついて開発に着手しております。  なお、自治体に関しましては、鉱業権設定に当たりまして、通商産業局長から御協議があるはずでございまして、事前に関係漁業者の了解を得るようにということで指導いたしておる次第でございます。
  297. 長田武士

    ○長田委員 次に、韓国側がオペレーターになった場合、指定区域、漁業生産上重要な地域における採掘等の制限規定、法案第三十六条は適用になりませんが、韓国側に対し、政府はこの点について何らかの働きかけを行うべきであると考えるわけでありますが、通産省、どうですか。
  298. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 御指摘の点は、漁業生産上重要な魚礁の存在する地区の指定、その地区内における事業についての許可という事項になるかと思いますが、御指摘のとおり、この点は日本側がオペレーターになったときにのみ適用される条文でございますが、われわれといたしましても、当然かような対応をし得るように韓国側にも働きかけたい、その場の一つとして、日韓の共同委員会等、こういった場も活用いたしたい、かように考えております。
  299. 長田武士

    ○長田委員 次に、海洋汚染の可能性と影響等についてお尋ねをしたいと思います。  共同開発構想かまとまった以後の協定締結交渉に際し、外務省以外の実務担当者、すなわち環境庁、農林省、通産省等か交渉に加わっていたのかどうか、具体的に外務省にお尋ねをいたします。
  300. 三宅和助

    ○三宅政府委員 専門家会議が行われましたのは、七二年の十月から翌年の七月、十回行われたわけでございます。その間に、通産省、海上保安庁、関係各省含めまして、外務省以外に交渉に参加しております。また、それ以外にも、参加しないまでも、事前に関係各省と十分その対象によりまして打ち合わせて連絡してやっております。
  301. 長田武士

    ○長田委員 外務省のPR用の小冊子によりますと、海底油田の開発に伴う海洋汚染については、防止のための厳重な規制を世界各国とも行っておる、いままで海を汚染した例は日本には全くない、世界でもきわめてまれである、サンタバーバラ事故は噴出防止装置をつけていなかった例であると述べております。さらに、共同開発区域ではこのような事故が起こる可能性はないのだと強調しているわけですね。その矢先に世界的技術の粋を集めた北海油田のフィリップス石油エコフィスク油田で大きな事故が起きているわけであります。これは一日に四千トンもの原油が海上を流れ続けたわけであります。流出の原油は長さ二十三キロとも言われておりますし、幅が五キロである、このような帯状に広がって海上に漂った事故であります。  御承知のように、共同開発区域は黒潮が日本海と太平洋に上がっていく分岐点でありますし、そこはアジ、サバ、イカの産卵地でもあります。世界の漁場から締め出された漁民にとってはかけがえのない漁場となっておるのか現状であります。この区域で北海油田並みの事故が起きた場合どのような被害が出るのか、はかり知ることができないのじゃないかと思うのですね。そこで、万一この区域で事故が起きた場合、その流出油を速やかに排除する手だてが政府としてあるのかどうか、この点いかがでしょうか。
  302. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 担当の審議官からお答えをいたしたいと思います。
  303. 松村克之

    ○松村政府委員 お答えいたします。  まず、海洋汚染が起こらないように、海上油田開発において保安の確立に十全を期すということが第一でございますけれども、いま御質問がございましたように、実際に海洋汚染が起こった場合、この流出した原油等の措置についてどうするか、あるいは汚染の拡大防止体制はどうするかといったようなことについてお答えいたしますと、万一海洋施設等の損傷等の事故が起こって原油が突発的に海上に流出いたしましたような場合におきましては、鉱山保安法によって設置を義務づけられておりますオイルフェンスあるいはスキマー等によりまして、汚染の拡大防止あるいは石油等の除去のための措置を講ずるということになってございます。また、不幸にいたしまして流出した原油が拡大いたしました場合には、海上保安庁等による専用船等によりましてこの油を捕捉するということになっているわけでございます。
  304. 長田武士

    ○長田委員 またひしゃくですくうようなことはしないのですかね。どうですか。
  305. 松村克之

    ○松村政府委員 専用船等によりまして油を捕捉するというふうに申し上げたわけでございます。
  306. 長田武士

    ○長田委員 この開発区域での北海油田規模の事故を予測して、政府間で協議をされたことがあるのかどうか。もし協議されたとするならば、その内容について具体的に教えていただけませんか。
  307. 中江要介

    中江政府委員 ございません。
  308. 長田武士

    ○長田委員 通産大臣昭和四十九年、三菱石油の重油流出、その事故では政府としては何の対策もなかったために、結局ひしゃくですくってやったわけですね。人海戦術しかなかったという結論だと私は思うのですけれども、こういうことを想定して十分配慮しなければならぬと思いますが、どうでしょうか。
  309. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 三菱石油の場合は、これは御案内のように、対策も不十分なままああいう事故が起こったわけでございますか、それ以降、あの状態ではいけないということで、法律も改正をいたしまして、コンビナート地区におけるいろいろな防災対策が完備をいたしました。そのためにずいぶん負担も大きくなっておりますが、まずああいう事故は今回の法律改正、対策の強化によりまして起こらない、こう思っております。  ただしかし、御案内のように、将来万一ということもございますから、いろいろな角度から対策というものは強化をしていかなければならぬと思います。
  310. 長田武士

    ○長田委員 万一汚染が起きた場合、損害賠償能力が開発企業にあると見ていらっしゃるのかどうか。通産省、どうでしょうか。
  311. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 開発権者を認可する際に、事業を円滑に遂行するに足る経営的基盤あるいは技術的能力を持っているかどうかを十分審査することにいたしております。その場合に、賠償能力があるかどうかということも、資金的能力の一環として十分審査するということでございます。
  312. 長田武士

    ○長田委員 賠償能力がなくて、あるいは会社が解散等で賠償に応じなかった場合、日韓両国の政府か責任を持たなければならないと思いますが、この点はどうでしょうか。
  313. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 ただいま申し上げましたように、資金能力の審査の一環として、賠償能力があるかないかというものを審査して、ないと判断したときには認可しないわけでございます。また、事故を起こした場合には、日韓両国開発権者が連帯して無過失の賠償責任に応ずることになっておりますので、そういった御指摘のようなことは万々ないというふうに考えております。
  314. 長田武士

    ○長田委員 韓国側がオペレーターの場合、事故により流出油が中国の沿岸に流れたり、中国の漁業者等に損害を与えた場合、国交のない韓国中国との間の話し合いをだれがすることになるのか。また、その場合、中国が本共同開発によって引き起こされる一切の責任は日韓両国にあるとたびたび抗議していることをあわせて考えますと、どういうことになるのでしょうか、外務省にお尋ねをいたします。
  315. 中江要介

    中江政府委員 国交のない国の間で国際法上の責任あるいはその責任の追及、そういうものが起きたときの対応ぶりといいますのは、これは一般国際法によりまして必ずしも定まった方法があるというわけではございませんけれども、たとえば私どもの体験で言いましても、北朝鮮の当局によって日本の松生丸という船が損害を受けた、人命に犠牲が出た、そのときに国交のない北朝鮮の当局と日本政府がどういう経路でその問題の解決に努力したか、そういうときに私どもの考えますのは、やはり被害を受けた国が最も有効だと思う方法、それをその時点で探し出すということだろうと思います。  また、北朝鮮の宣言いたしました二百海里の経済水域、これに伴う日本の漁業の問題、こういう問題に対処するに先立ちまして、その事実を究明するために日本政府がどういうところから北朝鮮の当局と接触を試みようとしたか、そういうときにもその事案に最も適当な経路というものは必ずしも全くないわけではございませんので、いま御指摘のような仮定の問題が起きましたときには、被害を受けた中国か最も適当と思う方法で韓国との接触を試みるであろうということ以外には申し上げられないと思います。
  316. 長田武士

    ○長田委員 現在の石油生産技術から見ましても、汚染を起こす確率は少なくないと私は見ているのですけれども、この点を踏まえて、一つには現在の掘削及び採掘技術の現状と見通しについて、二つには、共同開発区域から日韓それぞれにパイプラインの敷設は可能かどうか、もし可能とすれば、受け入れ基地はどこに考えておるのか。開発を急ぎ、基地を決定、建設するまでのリードタイムを考えれば、当然現在候補地かあるはずでありますが、この二点についてお尋ねをいたします。
  317. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 わが国石油開発企業は、御承知のように、昭和三十年代の初めから海外で探鉱活動をやっております。また、昭和四十六年ごろから周辺大陸棚で、年間平均いたしまして七本程度の試掘を行っておる。また、開発につきましては、新潟県の阿賀沖で成功した経験を持っておる。これが現状でございますが、今後の問題といたしまして、開発対象地域水深がだんだん深くなっていくということもございますので、国といたしましても、深海底石油生産システムの研究開発、あるいは深海の石油開発に必要な装置施設あるいは掘削装置、こういったものについて研究開発を進めておるわけでございます。  二つ目の、パイプラインの敷設の可能性でございますが、現在、世界的に見まして、水深四百メートルの海底でパイプラインが敷設された例かございます。現在では水深六百メートルまでは十分敷設は可能である、かように考えておるわけでございます。したがって、御指摘のように共同開発区域からわが国へパイプラインを引くということは、技術的に十分可能である、かように考えておるわけでございます。ただ、御指摘のようにパイプラインをどの地点に引くかということにつきましては、あるいはどこにパイプラインの基地を設定するかということにつきまして、油田あるいはガス田の位置だとか、あるいは原油とガスの比率だとか、あるいはその性質、あるいは輸送コスト、こういったものを考慮して決める必要があろうかと思いますので、いまの段階であらかじめ基地を決めるということは、現実問題として不可能である、かように考えております。
  318. 長田武士

    ○長田委員 まだまだたくさん質問したいことがあるのでありますけれども、時間が参りましたので、最後に伺いますが、いままで述べてきましたように、自然環境も厳しい外洋での石油資源開発は、技術面、保安面等々問題が多いわけであります。しかも漁業との調整の問題、あるいは海洋汚染を引き起こす可能性の問題などから、技術の裏づけができる時期、さらには中国など関係国の合意を得るまで開発に着手するのを待つべきであると考えるわけであります。この点につきまして、通産大臣並びに外務大臣に強く要望いたしますが、いかがでしょうか。
  319. 園田直

    園田国務大臣 先ほどから申し上げますとおり、いろいろ経緯があることでありまして、いまの段階では、これを早く着手することが大事であると考えております。
  320. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 いま国会にお願いをしております法律は、日本としてもいろんな経緯がございまして、ぜひとも早く成立をさしていただきたいと思っておる法律でございますので、よろしくお願いを申し上げます。
  321. 長田武士

    ○長田委員 以上で終わります。
  322. 野呂恭一

    野呂委員長 安田純治君。
  323. 安田純治

    ○安田委員 いままで同僚委員の方々がいろいろ伺いましたので、私、若干角度を変えて、多少細かい問題を伺ってみたいと思うのです。  まず、この法案が仮に成立した場合、その後の探査の操業開始に至るまでの手続の概略を、ちょっと簡単に説明していただきたいと思います。
  324. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 探査事業に至るまでの手順の概要を申し上げますと、まず、特定鉱業権の申請があり、それに対する許可という問題がございます。その次に、日本韓国開発権者で共同開発事業契約の交渉、操業管理者の決定、それからその結果といたしまして共同開発事業契約の申請、認可という手続かございまして、その段階で特定鉱業権の設定登録があり、あるいは指定区域での事業許可の申請、それに対する許可、施業案の申請、認可、こういう手続を経まして事業に着手する、こういうことになろうかと思います。  それから、探査により採掘権の設定に適すると認められるような石油あるいはガスが発見された場合には、まず、採掘の転願命令あるいは特定鉱業権の申請の許可あるいは指定区域の事業許可の申請と許可、こういう手続を経て事業着手に至る、こういう手順でございます。
  325. 安田純治

    ○安田委員 以上の手続で計算してみて、探査権の設定の日から六カ月以内に操業着手義務がございますね、協定の十二条で。それから、事業契約発効の日から最初の三年間に坑井、井戸を掘らなければならないということも、協定の十一条あるいは本法案の中にもあると思うのです。そうすると、最大限といいますか、この法案が仮に成立いたしましたとして、批准、それから特定鉱業権の申請、設定、事業契約の認可、こうしたことで着手されるまでで、どのくらいの日にちといいますか、期間を予想されるでしょうか。
  326. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 原則といたしまして十五カ月ぐらいになろうかと思います。
  327. 安田純治

    ○安田委員 原則として十五カ月以内に操業に着手するということに伺っていいですか。特段の支障があれば別ですけれども、順調にいって……。
  328. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 御指摘のとおりでございます。
  329. 安田純治

    ○安田委員 次に、協定の十八条について伺いますけれども、この協定の十八条の(1)に「共同開発区域において天然資源を探査し若しくは採掘するために必要な装置、資材その他の物品(以下「装置」という。)」ということの「装置」ですね、これは「輸入又は輸出とみなされない。」ということになっておるようであります。この場合に、この装置の範囲、つまり探査、採掘に必要な装置、資材、この中には従業員の日常生活の用品や何か含むかどうか。それから、全くそういう生活必需品じゃない、個人が勝手に持ち込むといいますか、そういう物品はどうなるのか、この点についてお伺いしたいと思います。
  330. 村田良平

    ○村田政府委員 装置に具体的にどういうたぐいのものがあるか、私、専門家でございませんので、申し上げることはできませんけれども、非常に狭い意味の探査あるいは開発に要する機械等のみならず、当然そこで仕事に従事いたします人間の日用品等も含まれるということでございます。
  331. 安田純治

    ○安田委員 それでは、日用品以外のもの、たとえば貴金属類とかあるいは本人が消費するということが常識上考えられない多量のウイスキー類とか反物類とか、いろいろあると思うのですが、そういうものを日本から、リグもしくは人工島が多分できると思うのですが、そういうところに持ち込む場合、これは輸出といいますか、そういう関税の対象になったり何かするような国外に対する移動と考えるのかそうでないのか、その点どうですか。
  332. 村田良平

    ○村田政府委員 まず、ちょっとお断りしておきたいのでございますが、いま安田委員御指摘の、わが国から貴金属類等を持って出るというのは、このケースといたしましては十八条の第二項の方に当たるのであろうと思います。(1)の方は、わが国あるいは韓国以外のいずれかの地域、外国ということになるかと思いますけれども、そこからこの種の資材を搬入するという場合でございます。いずれにいたしましても、特定の貴金属等を搬入するという事態を特に想定してこの協定をつくっておりませんので、この十八条の(1)あるいは(2)等で規定しております装置あるいは物品というのには、そういう非常に特殊な物品等は入らないというのが常識的な解釈であろうと思います。
  333. 安田純治

    ○安田委員 そうすると、たとえば将来共同開発区域の上に設置されるリグもしくは人工島に日本の労働者も働きにいく、韓国の労働者も働きにいって、そこである一定期間一緒に混在するということは十分考えられると思うのですよ。この場合に、まず日本からそういう貴金属類なりあるいはウイスキーなり、これを本人がたくさん持ち出して、そこで韓国の人に渡す、韓国の人は、今度は韓国の本来の領域内に持ち込むという場合に、日本の労働者のそういう物品の持ち出しは関税の対象になりますか。密輸出ということになるのですかね、密貿易ということに。
  334. 村田良平

    ○村田政府委員 そのような事態に関しましては、協定第十九条の一般的な法令の適用に関する規定がございますか、「天然資源の探査又は採掘に関連する事項について適用される。」とございます。この「天然資源の探査又は採掘に関連する事項」というのは非常に限定した狭い意味とは解せられませんので、そのリグ等における活動に必要な物資を運び出すというふうなことはこの協定上も認められるところでございますが、それ以外の物資については、この第十九条に基づきまして、それぞれ具体的に個々のケースに基づいて判断せざるを得ないと思います。私、関税定率法等については専門家でございませんので、どのように適用されるかということはただいま直ちにお答えすることはできませんけれども考え方といたしましては、十九条を基礎といたしまして国内法令をいかに適用するかということから判断すべきものと思います。
  335. 安田純治

    ○安田委員 そこで、十九条について伺いたいことになるわけですが、この十九条の「探査又は採掘に関連する事項について」は、オペレーターの帰属国の法令が適用されるということだと思うのですけれども、先ほどの御答弁によると、探査、採掘に関連する事項というのは非常に広いことになりますか。そうなるとどの辺まで入るのですか。すべての法令ということになりますか。
  336. 村田良平

    ○村田政府委員 この「天然資源の探査又は開発に関連する事項」という言葉の解釈でございますけれども、何分にも、この点に関しましては非常に明確な国際法上の基準というものはございません。また、実定法上も、何が天然資源の探査あるいは開発に関連する法令かということを規定した例もないわけでございます。したがいまして、諸外国で若干の立法例等はあるようでございますけれども、いずれにしても、非常に明確に、この法律は天然資源の探査、開発と関係がある、この法律はないということを仕分けをするのはなかなか困難であると思います。  しかし、非常に大ざっぱに分けますと、明らかに天然資源の探査、開発そのものである、それに直接関係している法令というのはもちろんございます。それから、明らかに社会通念から見ましても関連していないと思われる法令もあると思います。それから、そのボーダーラインのケースに関しましては、やはり科学技術の進歩とかあるいは国際慣行の進展等に照らして個別に判断する以外にはない。また、特定の法律の中でも、関連のある条文と関連のない条文というのもおのずからあると思いますので、一般的にルールというふうなものを申し上げるのは非常に困難でございます。
  337. 安田純治

    ○安田委員 前回の私の質問の中でも多少伺いまして、そのときにも御答弁があったわけですが、この十九条のいわゆる法令の適用については問題があるという、問題意識は持っておったというような御答弁もございます。なるほどこの協定日韓共同委員会ですか、これを見ますと、二十五条に、「この協定の効力発生の時に予想されなかった問題(両締約国の法令の適用に関連する問題を含む。)」という文章もございまして、多分、この法令の適用について混乱を生ずる、問題が起きることもあり得るということは一般的に予想しつつ、この協定が締結をされたのではないかというふうに推察もされるわけです。この文章から見ますと。  一般的にどの法律とは言えないということでございますけれども、そうしますと、たとえば韓国に反共法とかいろいろ、日本の憲法秩序のもとではとうてい成立し得ないような言論の自由、結社の自由、こうしたものを束縛する法律があるわけですけれども、これはオペレーターの所属国の法令、つまり韓国側開発権者がオペレーターになった場合には、そういうのがそこに働いている日本人労働者にも適用になる、こういうことになりますか。
  338. 村田良平

    ○村田政府委員 ただいま安田委員が例としてお挙げになりましたような法令でございますと、これはまず天然資源の探査、開発に関連があるという法律とはみなし得ないと思います。したがいまして、そういうものはこの第十九条で定める法令ではない、したがって適用されないということになると存じます。
  339. 安田純治

    ○安田委員 それでは、労働法でございますけれども、労働法はまさにそこで働く労働者と使用者のルールを決めておるわけですから、探査、採掘に全く無関係とは言えないだろうと思うのですね。むしろ関係する方に近いんだろうと思うのですよ。  そこで、韓国の労働基準法といいますか、韓国では勤労基準法と言っているようですが、あるいは労働争議調整法、日本で言えば労働関係調整法となるだろうと思うのですが、そういう法律を照らし合わせてみますと、日本では当然憲法秩序のもとで認められておる労働者の団結権、団体行動権が、韓国の労働組合法あるいは勤労基準法によると、どうも両立しない、そういうものもあるわけですね。この場合はどうなりますか。
  340. 村田良平

    ○村田政府委員 そもそもこの第十九条あるいはその他の規定もございますけれども、この協定におきましてそれぞれ法令の適用関係というものを定めましたのは、わが国及び韓国がともにこの共同関発区域に対しては主義的権利を有するという立場をとっておったわけでございますので、そのために生ずる管轄権の抵触というものを具体的にどう避けたらいいかという工夫をいたしまして、オペレーター方式というものを編み出したわけでございます。  そこで、ただいま御指摘の労働関係の法令でございますが、私、労働関係の法令のすべてに通暁しておる人間でございませんので、すべてがそうであるということを決して断言することはできないのでございますけれども、社会通念から考えまして、やはり労働関係というのは、非常に天然資源の探査、開発と関係の深い事柄ではなかろうかと思うわけでございます。そこで、恐らく日韓それぞれの労働関係法規の相当部分は、この十九条に従って適用されると考えるのが妥当であろうと思うわけでございます。その際に、わが国の労働法規のいろいろな規定ぶりあるいは内容韓国のそれとが食い違っておる、わが国立場から見て必ずしも妥当とは考えないというような法規が韓国に存在するということは、もちろん可能性としてあるわけでございますが、その点は、この十九条方式というもので管轄権の抵触を分けました以上は、必然的に出てくる事態であるということであろうというふうに考えております。
  341. 安田純治

    ○安田委員 労働法を御存じないということですけれども韓国の争議調整法によりますと、争議行為が規制される場合には、オイル類のこうした産業に従事する労働者の争議行為は規制されておるわけですが、日本の労働関係調整法にはそういうものはないわけなんですね。そういう点では全くぶつかるわけで、その場合は十九条でオペレーターの所属する国の法令に従うということになる。しかし、治安立法的なもの、先ほどの反共法のようなものは常識としてならぬのではないかというお答えだったと思います。  そこで、法制局の方来ていらっしゃいますか。——法制局にお伺いしたいのですが、そういう解釈で法律的に差し支えないんでしょうか。
  342. 前田正道

    ○前田(正)政府委員 私どもも、ただいま外務省から答弁があましたように考えております。
  343. 安田純治

    ○安田委員 そうしますと、この場合に韓国籍のオペレーターのところで日本労働者が働いておる。そこで、その人工島なりリグで——たとえば韓国の外国刊行物輸入配布法というような法律がございまして、その中を見ますと、韓国の法秩序に合わないような刊行物、これは自分で読むために持ち込んでもいかぬ、こういう規定があるわけなんですけれども日本の労働者がたとえば朴政権を非常に痛烈に批判しているような週刊誌を自分が読もうと思って持っていった。これを韓国人に見せるということはあり得るわけです。韓国人と混在している以上は、そういうことを一切禁止するわけにはいかぬだろうと思うんですね。そうすると、韓国人だけがそこで反共法あるいは外国刊行物輸入配布法でつかまって、日本人はつかまらぬ、そういうような事態が起きることが予想されますか、どうですか。
  344. 中江要介

    中江政府委員 その具体的なケースについては前回先生から御質問がございまして、私どもといたしましては、そういうことに基づいて誤解が生じないように何らかの手当てを必要とするであろう。そういう点は、先ほど先生も御引用になりました協定第二十五条の合同委員会によりまして、今後とも検討していかなければならないだろう。ただ、そういうことが前提になりますのも、先ほど村田参事官が御説明申し上げましたように、双方の管轄権の抵触をどういうふうに案分するかというこの共同開発という構想に伴う一つの避けて通れない道でございまして、この施設そのものは領土ではございませんけれども日本の労働者が韓国領域内で働くときに受けるであろういろいろの法的制約のうちで、天然資源の探査、採掘に関する部分はやはりそこでは韓国の法令に従うことになる。しかし、それに関連しない部分、無関係なもの、そういうものについては、いま先生がおっしゃいましたように、もしそれが事前に何らかの手当てをする必要がある、そういう心配があるということでございますれば、これは手当てをしておくことが好ましかろう、こういうことだろうと思います。     〔委員長退席、山下(徳)委員長代理着席
  345. 安田純治

    ○安田委員 いま中江局長は大分重大なことを言われましたけれども、いまの発言で、韓国領域内で日本労働者が働く場合にとおっしゃいましたけれども、そうすると、領域なんですか。この共同開発区域内の人工島なりリグは、韓国領域になるんですか。
  346. 中江要介

    中江政府委員 ですから、私は、領域ではございませんがとはっきり申し上げました。領域ではございませんが、天然資源の探査、採掘に関する部分については韓国国内法令が適用されるわけですから、その部分については韓国領域内で日本の労働者が働いている場合と同じようになる部分がある。それはしかし、何度も申し上げておりますように、天然資源の探査、採掘に関する部分だけである、こういうことを申し上げたわけでございます。
  347. 安田純治

    ○安田委員 それじゃ、日本領域ですか。
  348. 中江要介

    中江政府委員 これは大陸棚条約の第五条第四項に明記されておりますように、そういったたぐいの施設及び装置は、沿岸国の管轄下にはあるけれども、島の地位を有しない。島のような、つまり領域のような地位を有しない。また、それ自体に領海は持たない、こういうことでございますから、いずれの国の領域にはならない、こういうことでございます。
  349. 安田純治

    ○安田委員 そうしますと、いずれの国の領域にもならない。しかも韓国籍のオペレーターの場合ですね、この場合に韓国の法令は、そのリグ、人工島において天然資源の探査、採掘に関連する事項、これは多少幅が広いか狭いかは別として、関連する事項以外の部分には適用にならぬ。しかもいずれの領域でもない。そこに働く日本人にはどこの法律が適用になるのですか。
  350. 中江要介

    中江政府委員 それはケース・バイ・ケースによりまして適用の法律が、この協定に規定されておるところは規定によりますし、属人的な法律でございますれば、日本法律が適用されます。属地的な法律は、したがいましていずれの国からも領域ではないわけでございますから適用がない、こういうことでございます。
  351. 安田純治

    ○安田委員 そうしますと、法務省の民事局に伺いますけれども日本人の労働者がそのリグの上に滞在しておる。長期に滞在し得るかもわからぬし、短いかもしれませんけれども、したがって民事訴訟法上の住所、居所と言えるかどうかいろいろ問題がありますが、その日本人が人工島に滞在しておる。その者に対して裁判の送達などをしようとする場合には、どういうことになりますか。
  352. 元木伸

    ○元木説明員 送達事務の具体的な取り扱いにつきましては、これは裁判所の判断事項でございますので、私、あくまで仮定の問題としてお答えいたしたいと思いますが、そういうリグの上でございますと、住所であるということはまず言えないと思います。したがいまして、もし日本に住所があるということであるならば、そこに送達するということになろうかと思います。また、いわゆる放浪者のような形で全然日本にも住所がない、そこだけにいる、あるいはその他のところを放浪しているということでございますれば、公示送達というような方法で送達せざるを得ないと思います。
  353. 安田純治

    ○安田委員 それでは、この人工島、リグの上にも当然個人の動産が置き得るわけであります。たとえば、これは一つのたとえばの話ですけれども日本国内である人間が交通事故か何かあって非常に大きな債務を負った。自分の全財産を現金にかえてこのリグの中に雇われて逃げ込んだ。容易に出てこない。この場合、日本人の被害者がこの財産を差し押さえようとするときは、何ら手がないということになりますか。
  354. 元木伸

    ○元木説明員 先生の御質問の問題でございますと、たとえばもし日本に何も財産がないということでございましても、もしこれが韓国法律が適用されるリグの上であるということになりましたならば、これは韓国の裁判所に訴えて、その上で執行するということが考えられるかと思います。また、もし日本法律が適用されるというリグの上でございましたならば、日本法に従って強制執行できるのではないかと思います。ただ、強制執行につきましては、執行裁判所の判断がございますので、これはあくまで仮定の上の話でございます。
  355. 安田純治

    ○安田委員 私の方のいまの質問は、民事局の判断だけ伺っておけばいいわけです。  いま韓国法が適用になるリグの上においてはとおっしゃいましたけれども、先ほどの議論でお聞きになっているとおり、探査、採掘に関連しない事項については、これは何もオペレーターの帰属国によっては法令の適用は決まらぬわけですね。ですから、日本の国内で交通事故を起こしたり、あるいは借金をして全財産を現金にかえてリグに逃げ込んだ。その全財産なるものがリュックサックか何かに詰まってそのリグの上にある。この場合に、まさか存在すること自体が天然資源の採掘に関連する事項とは、幾ら範囲を広げたって言えないと思うのですよ。そうなりますと、韓国法律が適用されるリグ上はという理屈は成り立たないように思うのですが、どうですか。
  356. 元木伸

    ○元木説明員 先生御設問の例でございますと、これはちょうど全く日本と条約のない国に財産を持ち出して隠匿したということと同じ結果になると思います。したがいまして、方法といたしましては直接はございませんけれども、ただ、そのような場合には、たとえば韓国のオペレーターが給料を支払うということであるならばその給料を差し押さえる、あるいは日本のオペレーターが給料を支払うならばその給料を差し押さえる、そういう方法もあろうかと存じます。
  357. 安田純治

    ○安田委員 いまの例は余り適当じゃなかったかもしれませんけれども、代替物だからそういうことが言えますが、不代替物、特定物の所有権の争いなんかが起きた、たとえばリグの上で使用している掘削の機械の所有権を第三者が国内で主張した、あれはおれのものなのに持ち出された、使用禁止の仮処分をしたいというふうに言い出した場合には、これは給料差し押さえみたいに代替物じゃございませんからね。ほかのもので満足するわけにはまいりませんですね。だから、そうなるとやはり問題が起きるのではないかと思いますが、どうでしょうか。
  358. 元木伸

    ○元木説明員 ただいまの先生の御設問の例でございますと、これは天然資源の調査開発に関係のあるものということになろうかと存じます。そのほかのいわゆる宝石等でございましたら、これは先ほどの例と同じになろうかと思います。
  359. 安田純治

    ○安田委員 いや、宝石の例でも不代替物、特定物であって、あれの場合にはやはりそのもの自体を仮処分しなくちゃならないでしょう。賃金で債権を差し押さえるとかということはできませんで、やはり問題が起きると思うのですよ。まあここで押し問答しておってもしようがないですが、そういう問題点がこのリグの上には起き得る可能性があると私は指摘しておきたいと思うのです。  次に、刑事問題なんですけれども、刑事局の方、来ていらっしゃいますか。——同じ理屈で、リグの上で探査、採掘と関係のない私生活上のトラブルから刑事事件が発生した。この場合には、日本人同士加害者、被害者の場合もありましょうし、韓国人と日本人が加害者、被害者になる場合もございましょう。こうしたときに、まず、日本人の問題ですけれども、刑事実体法上はどうなりますか。
  360. 佐藤道夫

    ○佐藤説明員 お答えいたします。  共同開発区域は、刑法上は国外というふうにわれわれは理解しておりますので、先生御案内のとおり、刑法二条のすべての者の国外犯、同じく三条の国民の国外犯、これらの規定に列挙されている罪以外は、原則として刑法の適用はないものと考えておりますが、ただいま御指摘の傷害関係につきましては、国民の国外犯ということに相なっておりますので、わが国の刑法が適用されまして、その限りにおきまして、わが国の刑事訴訟法も適用することが可能である、かような理解に立っております。
  361. 安田純治

    ○安田委員 この場合は、そうすると、オペレーターの帰属国いかんにかかわらない。たとえば日本人のオペレーターの場合、日本領土と同様になるのか、そういうことは関係なく、いわゆる国外と考えて、オペレーター国がどっちであろうが、日本国民の国外犯、実体法上はそれを適用するし、刑事訴訟法もしたがって適用になる、こういうことだと思うのですね。  そうしますと、実際上の警察権力の行使、たとえば捜索、差し押さえ、検証、こうしたものはそのリグ上に存在する韓国人には及びますか。     〔山下(徳)委員長代理退席、委員長着席〕
  362. 佐藤道夫

    ○佐藤説明員 ただいまお答えいたしましたとおり、刑法二条のすべての者の国外犯ということに相なりますれば、一応わか刑法の適用があるということにはなりますが、ただ、この共同開発区域をめぐる両国間の法律の適用関係が、国際慣習等も根拠にいたしましていかが相なっておるのか、私、必ずしもつまびらかではございませんので、明快なお答えをすることはちょっと適当ではないような気もいたします。
  363. 安田純治

    ○安田委員 少なくとも、いまの民事局、刑事局のお答えと法制局のお答えをいろいろ照らし合わせてみますと、リグの上で日本人と韓国人の共同生活が行われた場合にいろいろトラブルが予想される、そういうことについて、先ほど中江さんは、これはまさに共同委員会で研究をしたり話し合ったりして、勧告とかいろいろ考えるということなんでしょうけれども、このことは韓国もちゃんと了解しておりますかね。韓国のそうした刑事法、治安立法も及ばないんだということ。こっちばかり一方的に、国際法上あれは理屈の上で及ばないはずだということで、日本人が刊行物を持ち込んだら、ぱかっとつかまってえらいことになるということだってこれは考えられますから。あるいは屋外集会は韓国では大分厳しく規制されている、集会条令で。こうしたものをうっかりやって、ぱかっとつかまるということがあり得ますから。韓国の政府は、その点についていまの政府委員の御答弁と同じ共通認識に立っておるのかどうか、その点を伺います。
  364. 中江要介

    中江政府委員 日韓両国が十分な交渉を重ねた上でこれだけの協定を締結したわけでございますから、協定の各条について認識の違いがあるはずがございません。  ただ、先生が御指摘のように、細かく細かく具体的に起こりそうなことを次から次へ挙げて、この場合はどうだ、この場合はどうだというところまで詰めているかというと、そういうことは通常いたしませんわけでございますから、そういうことで、問題がありそうだということであるならば、先ほど私が申し上げましたように、共同委員会で研究し、勧告する道も開かれておるわけですが、基本的に第十九条の認識という点につきましては、はっきりと両国間に合意があればこそこういう条文になっていると、こういうことでございます。
  365. 安田純治

    ○安田委員 中江局長、十九条についてははっきりした認識があるから決めたんだと言うけれども、これは二十五条の一項の(c)項を見ますと、両締約国の法令の適用に関連する問題で、「この協定の効力発生の時に予想されなかった問題について研究し及び、必要と認めるときは、それらの問題を解決するための適当な措置について締約国に勧告すること。」となっているのですよ。したがって、明らかにこれはそういう法令の適用に関連してもめごとが起き得る、しかもそれは事前に研究する必要かある場合もあると——「研究し」と書いてあるのですからね。そういうこともあり得るということを予定した条文だと思うのですよ。  確かに条約締結の時点で、反共法はどうだ、国家保衛法はどうだ、大統領緊急措置九号はどうだと一々は挙げなかったかもしれぬけれども、緊急にといいますか、非常に重大なことは、日本人が逮捕されるかもしらぬ、認識の違いがあれば。あるいは警察権の行使によって、場合によっては暴力をふるわれて取り返しのつかない被害を受けるかもしらぬ。ですから、まだ一般の民事的な紛争でありますれば、これは二十五条の共同委員会を開いて、さてどうしようかというような相談もまあまあできないことはないと思いますけれども、これが治安立法なり刑事法なりの適用について認識に不一致があったら、そんな悠長なことを言っている前に、日本人はある程度の打撃、被害、場合によっては生命を失うような被害もこうむりかねないわけですよ。  たとえば日本国内に平穏に存在しておった金大中氏さえも真っ昼間運び出す、そういう人間のいるところです。これは韓国政府がやったかどうかについてはいろいろと言われておりまして、私どもは、どうもこれはKCIAであると確信しておりますけれども、それはともかくとして、少なくとも金大中氏は、日本のホテルに平穏に存在しておったところ、ある日突然韓国にあらわれた、本人の意思でなく。そういうことが起き得る相手の国です。そういうときに、治安立法、刑事法、この適用については少なくとも最低限度の歯どめをかけておかなければ大変なんではないか、こういうふうに思うのですが、いかがですか。
  366. 中江要介

    中江政府委員 私は、韓国の現在の国内法体制というものを、いま先生がおっしゃっているようには必ずしも認識しておりません。したがいまして、善意の日本の労働者が善意を持って韓国のオペレーターのもとで働くということがあっても、それは不思議ではない。ただ、その場合に、探査及び採掘に関する法令の適用を受けることは、これは条約上十九条ではっきりしている。これは先ほど来おっしゃっているとおりでございまして、探査、採掘以外の法令を悪用して何かするんだ、そういう不信感を前提にしたことでは、とてもこの共同開発は効果的に運用できるとは思えないわけでございまして、再々申し上げておりますように、この協定が実効を上げますためには、やはり両国間に信頼感がなければならない、こういうふうに思います。
  367. 安田純治

    ○安田委員 いや、法令を悪用してとあなたはおっしゃるけれども、それは向こうは当然に適用していると思っているかもしらぬですよ。竹島を見てください。島根県の所属地だとわれわれは思っておるわけですけれども、あそこにちゃんと武装した人が乗っかっている。向こうにしたら、悪用したのではなくて、あれは当然の法律の適用だと向こうは思うかもしれないです。だから、本来の適用範囲外に曲げて使うというのではなくて、本来の適用範囲だと韓国が思っているかもしらぬので、そこで私は問題にするわけなんですよ。  つまり二十五条の共同委員会でじっくり研究し、勧告し、各政府がその勧告を受けてさてどうするかということ、これは民事の紛争の場合には多少あり得ても、たとえばリグの上でもって集会をやったとか、あるいは朴政権批判の週刊誌を持ち込んだとか、これは読み上げてもいいですけれども、はっきり法令にあるわけですよ。御存じでしょう。大統領緊急措置令九号、これを見ると、維新体制を批判してはならぬということですから、日本人がうっかり何か韓国人としゃべっていて、そんなことを言ったらやられるかもしらぬ。しかも、この間の質疑でも指摘しましたけれども、この大統領緊急措置令の適用について、流言飛語を禁ずるということかあります。これについて韓国の治安当局者は、流言飛語というのは個人のささやきであってもいかぬ、こういうことをちゃんと言っておるわけでして、日本人が下手にそんなことに巻き込まれたら大変なので、あらかじめそういう治安立法問題、刑事法の適用問題については、この条約が批准されて、そうして先ほど聞くと、スムーズにいって十五カ月以内に操業は開始される、日本人と韓国人がそういう掘る井戸の上に何人か混在することかあり得る、たった十五カ月であれ、そういうことになりますので、これはあらかじめしっかりした見解を日本政府が持ち、かつ、その見解が韓国政府と一致しておるということを確認しない限り、ちょっと恐ろしいことになるのではないか。日本国民は、日本政府によって保護される権利があると思うのですが、その点どうですか。
  368. 中江要介

    中江政府委員 協定第十九条の天然資源の探査及び採掘に関連する事項というものがどの範囲のものであるかということについて、日韓間にそう大きな違いがあろうというふうには思いません。非常にボーダーラインケースにつきましては、先ほど来申しておりますように、共同委員会の場において研究し、勧告するという道もございますし、日本政府といたしましては、いずれにしろ、自国民を保護するためのあらゆる措置をとるということは当然のことでございます。
  369. 安田純治

    ○安田委員 認識か違っていると思いませんと言っても、それは確かめたのですか。いつ、どこで、韓国当局のだれに確められたか、伺います。
  370. 中江要介

    中江政府委員 協定上、天然資源の探査及び採掘と申し上げれば、国際法上の常識としてある程度のことはわかっている、こういうことでございます。
  371. 安田純治

    ○安田委員 そうしますと、この治安立法の適用、刑事立法の適用について、韓国と具体的にそういう範囲について確めたことはない、こういうふうな御答弁に伺っていいのですか。その場合に、では十九条のこれを見れば、途端にそれはみんなわかっているということになりますか。十九条にはそんなこと書いてないじゃないですか。
  372. 中江要介

    中江政府委員 天然資源の探査及び採掘と申し上げれば、これは通常の常識のある人であれば、当然それが何を意味するかわかるだろうと思います。それ以外に何かがあるのではないかということについて真に心配することかあるのであれば、それは政府としても考えなければならぬ、こういうことを申し上げているわけでございます。
  373. 安田純治

    ○安田委員 ところが、この協定に関する韓国国会会議録の仮訳というものを見ますと、共同開発地域韓国側では主権を放棄したというつもりはないというような意味のことを言われているようですが、御存じありませんか。
  374. 中江要介

    中江政府委員 大陸棚にあります天然資源の開発については、その沿岸国主権的権利を行使する、こういうことになっておるわけでございまして、その主権的権利を行使する態様を共同開発という観点からいろいろ整理したのかこの協定でございまして、日本にとりましても、大陸棚の天然資源開発に関する主権的権利を全く放棄したということは考えていないのと同様のことを言っているものと、こういうふうに認識しております。
  375. 安田純治

    ○安田委員 私か聞いているのは、天然資源の採掘だけじゃなくて、それに必然的に絡まるかどうか知りませんけれども、そういう採掘に関係のないリグ上の私生活、そういう問題について、韓国が、治安立法や何かを日本人には適用せぬのだ、たとえ韓国のオペレーターのところの人工島であっても、そういう認識がはっきりされているかということなんですがね。
  376. 中江要介

    中江政府委員 それは先ほど申し上げましたように、大陸棚に関する条約の中でも、すでにそれが領土というものではないということが国際法上確立しておりますし、この協定によりまして、第十九条により、その場所に適用し得る法律の範囲というものは、天然資源の探査及び採掘に関する事項、こうなっておるわけでございますから、そのとおりに御理解いただくのが正しいと思います。
  377. 安田純治

    ○安田委員 理解か正しいかどうか聞いているのじゃなくて、韓国政府がそういう認識で一致して、日本人がそこで働いても、反共法の適用などをにわかに受けるという心配はないのか、それを韓国政府に確かめたかと聞いているのですよ。それを確かめてないのですか、どうなんですか。
  378. 中江要介

    中江政府委員 ですから、天然資源の探査及び採掘に関する事項については適用がある、そういうことを申し上げておるわけでございます。
  379. 安田純治

    ○安田委員 答弁になっていません。確かめたかどうかということなんで、いまあなたのおっしゃっているのは、そういうふうに解釈するべきだという話なんです。そうじゃなくて、韓国政府に、あなたの方の認識はそれでいいけれども韓国もそういうふうに考えていると確かめたかどうかと聞いているのですから、答えてください。
  380. 中江要介

    中江政府委員 そういう天然資源の探査及び採掘に関連する事項ということで合意ができましたので、第十九条に入っておるわけでございます。
  381. 安田純治

    ○安田委員 これは幾ら押し問答していてもしようがないのですけれども、正直に、確かめてないならないと言ってもらえばいいのです。そういうお答えですから、ここで押し問答していても、与えられている時間も迫ってきましたので、しょうがありません。  とにかく、通産大臣外務大臣、いままでの問答を聞いてもわかるように、われわれとしては非常に危惧するわけなんです。人工島のところに日本人が働きにいって一体どうなんだろうと。韓国の治安立法だの刑事法を見ますと、大変厳しいようでございます。警察権の行使も大変厳しいように伺っておるわけであります。新聞なんかを見ますと、反共法なんかでつかまった人が拷問で何か耳が溶けたりして、めがねをひもで縛って出てきているような、そういうこともわれわれは新聞の写真で見るわけなんであります。ですから、そういう人工島の上で日本人が万一逮捕、拘束をされたりする場合があり得るんじゃないかということを非常に心配するわけです。先ほどエネルギー庁長官伺いましたら、この法律が成立して批准され、スムーズにいけば十五カ月以内に韓国人と日本人がどこかのそういうリグの上で混在することか起き得るというわけですから、われわれとして非常に心配するわけなんです。  その点で、両大臣、絶対にそういうことが起きないんだという保証があるのかどうか。あるとすれば、それはどういう根拠なのか。先ほどから中江さんが同じ答弁を将棋の千日手みたいに繰り返して、こういう条文になったんだからそうなるんだと言うだけなんです。韓国政府といつかどこかで話し合った結果、そういう乱暴なことはせぬよ、仮に適用したとしてもにわかに逮捕なんぞせずに、二十五条でまず持ち出して、韓国に、そういうものを持ち込んでは困るとか、それはどうだとかこうだとか、そういう話をしてからやるよとか、何かの話があったのかどうか、その点で外務大臣にお伺いしたいのです。もう解釈は聞きたくないんだ。
  382. 中江要介

    中江政府委員 いま先生がおっしゃいましたような具体的ないろいろのケースについて、一々確かめることはいたしませんでしたということを私は申しておるわけでございます。他方また、天然資源の探査及び採掘に関連する事項というものは、これはまた国際的に確立している観念でございますから、そこには誤解がないという確信があればこそこの協定が締結されたのだ、それにもかかわらず何か御心配があるのでありましたら共同委員会で持ち上げることができる、これだけのことを申し上げておりまして、それで御理解いただけるのではないかと思うわけです。
  383. 安田純治

    ○安田委員 この問題について幾ら問答していてもしようがないのですが、時間も来ましたので、少なくともそういう危険があるということをわれわれとしてはちっとも了解していません。中江さんの話を聞いても、まさにひとりよがりで、日本政府だけひとり確信しておっても、これは危ないものだ。現に竹島などは武装兵がそこに存在しておるという実態もございます。とにかく金大中さんは日本のホテルから白昼誘拐をされておるわけですから、たまたま大陸棚にある石油を掘るときだけ紳士的であるかどうか、これは非常に期待が薄いように私は思います。これは私の考えかもしれませんが。お互いにどれだけ韓国に対して信頼するかどうかについてはいろいろなニュアンスはあると思うのです。あるとしても、それであればこそ、国民の合意のもとにこういう法律を発効させ、そして開発していくということになれば、ぜひ両大臣とも、この協定が発効して、批准されて操業するということになるその前に、少なくともこうした治安立法問題や刑事法の問題の適用の有無、韓国でどう考えているかということをきちっと詰めてもらわなければいかぬ。前の質問のときにも申し上げましたけれども、時間が来ましたからこれで終わりますが、ぜひそういうふうにお願いしたい。  こういう問題点があるにもかかわらず、韓国を信頼すべきだ信頼すべきだと中江さんはおっしゃる。なぜそこまでして、金大中さんを真っ昼間引っ張っていくような国を信頼しなければならぬのか。われわれは、金大中事件では日本の主権が侵されたと思っております。横っ面を引っぱたかれた。その国に相変わらず今度は左のほおを出そうというのかと言わざるを得ないと思うのです。したがって、そういう点では、信頼してくれとか、信頼の上にしか成り立たぬと言ったって、信頼できない事象が幾つもあるわけです。われわれとしては、どうも日韓癒着、黒い霧の一つの産物としてこの協定の発効を急いでいるのではないかとさえも疑わざるを得ないような、そういう傾向がある。しかもそこで犠牲にされようとしているのは人工島における日本人の、日本の労働者の基本的人権であるかもしらぬということを考えますと、われわれとしては、いままでの政府委員説明はどうしても納得できない。しかし、時間が来ましたので、あとの質問を残しまして質問を終わります。
  384. 野呂恭一

    野呂委員長 以上で本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  385. 野呂恭一

    野呂委員長 これより討論に入ります。  討論の申し出がありますので、順次これを許します。鹿野道彦君。
  386. 鹿野道彦

    ○鹿野委員 私は、自由民主党を代表して、日本国大韓民国との間の両国に隣接する大陸棚(だな)の南部共同開発に関する協定実施に伴う石油及び可燃性天然ガス資源開発に関する特別措置法案に賛成の討論を行うものであります。  本特別措置法案は、第八十回国会で承認された  いわゆる日韓大陸棚開発協定実施に伴い、共同開発区域における石油資源の開発事業に関し、鉱業法にかわる特別の制度を定めようとするものであります。  同時に、本特別措置法案が成立しないならば、日本側開発権者を許可できないことや、石油天然ガスの分配及び費用の分担を日韓で折半すべきことを担保できないこと等、協定の基本をなす内容実施が不可能となるのであります。  したがいまして、基本である日韓大陸棚開発協定がすでに第八十国会において承認され、国会の意思が確定している現在、可及的速やかに本特別措置法案の成立が図られるべきであり、また、国会の意思が異なって出ることは国際的にも国内的にも好ましくないものと考えます。  特に国際的には、協定日韓両国調印後、実に三年半後を経てやっとわが国国会において承認された経緯があり、さらに、国会承認後すでに十カ月以上を経てなお批准書交換を行うことができないでいる現状は、国際外交史上例を見ないような事態であり、わが国の信義を問われるものと考えます。  翻って、世界は資源有限の時代を迎え、一九八〇年代後半には世界的な石油の供給不足が生じ、いわゆるエネルギーの谷間の時代に突入すると見られています。このときに当たり、日本のエネルギー事情を振り返ると、輸入エネルギー依存度九〇%、石油依存度七三%に達しており、特に石油については九九・七%を海外に依存しておる現状にかんがみ、国内産原油の開発は急務であります。  当該共同開発区域が存する東シナ海大陸棚には、エカフェ等の調査によると豊富な石油資源が埋蔵されており、将来一つ世界的な産油地域になるであろうと推定されております。そして当該共同開発区域は、東シナ海大陸棚区域の北部に当たっており、数億キロリットルの埋蔵量か期待されております。  目下、わが国は、経済の安全保障のために九十日備蓄、すなわち昭和五十四年度末において八千万キロリットル程度の備蓄を目指しており、さらに、本年度から石油開発公団による一千万キロリットルを目標としたいわゆる国家備蓄事業がスタートすることとなっております。そのことからいたしましても、数億キロリットルの石油共同開発することは、国益上の見地からしてその意義はまことに大なるものがあります。  本特別措置法案に対する本委員会の意思は、すでに第八十二回国会において明確になされており、さらに、同国会における本法案の取り扱いについての経緯からしても、本法案は当然速やかに可決し、参議院に送付されるべきであると考えるものであります。  以上で賛成討論を終わります。(拍手)
  387. 野呂恭一

    野呂委員長 渡辺三郎君。
  388. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となりました日韓大陸棚共同開発に関する協定実施に伴う石油及び可燃性天然ガス資源開発に関する特別措置法案に対し、本委員会において再び反対の討論を行うものであります。  これまでの審議の過程で指摘をされました協定及び本法案の多くの問題点は、今回の審議を通じてもいささかも解明されないばかりか、協定の不当性は一層浮き彫りにされ、疑惑はさらに深まるばかりと言わなければなりません。  以下、私は、その問題の主だった点を指摘しながら、簡潔に反対の理由を申し述べます。  まず、その第一は、この協定わが国主権的権利を放棄したという点であります。  もともとこの区域については、日本韓国が共同して開発しなければならない何らの理由も存在しないのであります。つまりこの協定は、両国大陸棚の分界線として日本側主張した中間線と、韓国側主張した韓国大陸棚の自然の延長外縁とされるものに囲まれた、中間線日本側であって両国主張の重なる部分を、両国の法的主張をたな上げしたまま共同開発区域としているわけであります。  ところで、この共同開発区域とされる部分は、第三次海洋法会議で圧倒的な大勢となりつつある排他的経済水域制度が実定法化されれば、海底資源の探査、開発について日本が当然主権的権利を有することになる部分であります。  韓国政府が、その近海に次々と開発鉱区を設定して、その開発権をメジャーの手にゆだね、本来は当然わが国主権の及ぶ範囲の区域にまで勝手に鉱区を設定してきたことがそもそもの問題の発端とされておりますが、このようなわが国主権的権利下にある区域の一方的侵犯とも言える行為に対して何ら毅然たる態度を貫くことができず、仕方なく両国共同開発区域としたなどという他に類例のない愚かな行為をどうしてわれわれが承認できましょうか。ここに疑惑に満ちた日韓癒着の深さを見るのであります。共同開発の名のもとに日本の資源に対する主権をあらかじめ半世紀にわたって放棄することを約束する驚くべき反国民的条約であり、それにかかわる特別措置法案と言わなければなりません。  第二に、本協定は一部に中国日本中間線日本側共同開発区域とする部分を含んでおり、中国の厳重な抗議を受けてまいりました。大陸棚境界画定については、国際法上も関係諸国の合意前提とする以上、それは当然であります。もし韓国の言う自然の延長論に相当の根拠があるとして、妥協のために共同開発方式か選ばれたのなら、同じ自然の延長論に立つ中国に対して中間線より日本側にはいかなる権利主張できないとする政府の説明は、少なくとも中国に対しては全く説得力を欠くものであり、しかも言うまでもなく、協定は第三国たる中国に対してはいかなる拘束力も持ち得ないのでありますから、本協定によって中国との間に重大な紛争が生じるであろうことは明らかであります。  政府は中国理解を得るべく説明の機会を求め続けてきたと釈明してまいりました。なぜ初めから中国との協議をしなかったの象初めから全く除外しておって、韓国との間に隠密裏の協議を進め、協定の諸準備のすべて終了した段階で一方的に内容説明するという仕打ちを受けた場合、だれが一体そのことを快く了解するでありましょうか。まさに拙劣にして思い上がった外交的態度と言わなければなりません。  第三は、この共同開発区域内の石油及び天然ガスの埋蔵量推定は、必ずしも明確ではありません。  政府は、事あるごとに、この共同開発区域石油資源を中東並みと宣伝し、しゃにむに協定と本法案の成立を急いできたのであります。そして一方においては、わが国の資源不足を逆に大義名分として、何が何でも掘りさえすればよいという姿勢を打ち出し、すべてをそこから出発させる態度をとってまいりました。  共同開発区域における石油埋蔵量の推定について、これまでの政府の答弁や、協定及び本措置法案に賛成の立場をとる参考人の意見は、それぞれ食い違い、また、質疑の過程で三転四転したことは周知の事実であり、最近になってようやく無理につじつまを合わせるという苦しい態度をとっていることも見逃すわけにはまいりません。  すでにこれまでの審議を通じて明らかなように、むしろ本協定による共同開発区域よりも南西寄りの東シナ海大陸棚にこそ有力な石油資源の賦存が各種の調査から確信されていることを考えれば、いま多くの疑惑と中国との紛争状態を残したまま日韓共同開発を進めることは、百害あって一利なしと言わなければなりません。  この事実を無視して強引に事を運ぶならば、東シナ海全域にわたる経済水域または大陸棚の分界に関し、将来日中間の交渉を著しく困難にするだろうことを強く警告するものであります。  第四は、本協定に基づく操業が現実に行われる場合の海洋汚染防止、除去についての対策を見ましても、二国間の共同開発という特殊事情の中で全く多くの欠陥があります。  とりわけ、私どもが早くから具体的に指摘しておいた韓国側のこの問題にかかわる態勢の不備は、いまに至るも依然そのままではありませんか。たとえば、海洋汚染や海上災害の防止にかかわる国内法の整備も全くおくれており、油による海水の汚濁防止のための国際条約の一九六二年改正条約への加盟もいまだになされておりません。  もちろん、わが国の場合においても、この区域の条件に照らして、深海操業技術の現状を冷静に検討するとき、まだ多くの危惧を残していることは否定できないのであります。  ましてや、この区域は黒潮の分岐点でありますから、万一油事故が生じた場合の被害は大変なものにならざるを得ません。海底油田の開発が重大な事故を招く危険のあることは、サンタバーバラの事故や北海油田の事故に照らしても明らかであります。  本協定の場合、韓国側が認可した開発権者が操業管理者となれば、その開発行為には韓国の法令が適用されるのであります。  共同開発対象とされたこの海域は、わが国漁業者がみずから開発し、着実な成績を上げているわが国でも最も優良とされている漁場であります。しかも政府の提出した資料で明らかなように、共同開発区域と設定された中でも、開発可能な水深二百メートル以浅に有力魚礁が集中しているのであります。  このような事実、また、本法案の第二十一条にある調整の具体的な内容、さらに政府がこれまで関係漁業者との間に行ってきた説明や了解の取りつけ方などを総合勘案するとき、とても十分とは言い得ないのであります。  以上、私は幾つかの点にしぼって申し上げてまいりましたが、冒頭にも触れましたように、今日二百海里経済水域という海洋新秩序の時代を迎えた中で、この共同開発区域はそのまますっぽりわが国主権的権利下に置かれるべき区域であります。しかもその広さは九州の二倍にも及ぶ広大なものであり、このわが国の主権的区域を事実上韓国に譲り渡すような協定、そして国際法上のあるべきやり方を無視し、みずから求めて中国との紛争を引き起こすような協定及び本特別措置法案を断じて承認するわけにはまいりません。  協定批准書の交換はまだなされておりません。多くの良識ある国民の声に耳を傾け、政府は、速やかに本法案を撤回するとともに、批准書交換は行わないという態度を明確に表明し、悔いを将来に残さない措置をとるよう強く要求して、反対討論を終わります。(拍手)
  389. 野呂恭一

    野呂委員長 玉城栄一君。
  390. 玉城栄一

    ○玉城委員 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となっておりますいわゆる日韓大陸棚特別措置法案に対し、反対の討論を行うものであります。  以下、その主な反対の理由を申し述べます。  その第一として、南部共同開発と同時に北部の大陸棚境界画定する協定を定めておりますが、南部を北部とで相矛盾する考え方が平然とまかり通っているということであります。  すなわち、北部の大陸棚境界画定する協定では中間線によって境界画定されております。ところが、韓国にきわめて近いところに深い海溝があるのであります。日本政府は、南部でも同じ立場を貫いて境界線画定することができず、ついに共同開発区域という言い方で問題を後に残したことは遺憾なことであり、将来に大きな禍根を残したと言わざるを得ないのであります。  第二の反対の理由は、この協定がたび重なる中国の抗議にもかかわらず、これを無視して外務委員会で採決されたからであります。  国際紛争が明らかに予見されるにもかかわらず、あえてほおかぶりをして協定の採決を行った態度は、国際紛争をみずから招くものであって、わが党としてはとうてい黙認するわけにはいかないのであります。  中国は、昭和四十九年二月四日に、すでに外交部スポークスマン声明をもって、共同開発区域中国の主権を侵害する行為であると抗議しており、その後、何度も同趣旨の意向を明らかにしておりますが、政府は、共同開発区域は日中中間線日本側にあり、中国権利を侵していないと述べるのみで、中国政府と積極的に交渉して問題を解決しようとする熱意が感じられないのであります。  さらに、中国は、昨年六月十三日には、従来の外交部スポークスマン声明より強い外交部声明の形で強硬な抗議が行われており、これすらも無視するとすれば、せっかく積み上げてきた日中友好関係をすら大きく後退させることになることをきわめて憂慮するものであります。  したがって、前国会以来主張しておりますとおり、批准については中国との合意が得られるまで待つべきであると主張するものであります。  第三に、油漏れ等の汚染事故が起きた場合、その影響がきわめて広範に及ぶことを深刻に憂うるものであります。  外務省のPR用パンフレットによれば、海底油田の開発に伴う海洋汚染については防止のため世界各国とも厳重な規制を行っており、今日まで海を汚染した例は日本には全くない、世界でもきわめてまれである、サンタバーバラ事故は噴出防止装置をつけていなかった例であると述べ、さらに、共同開発区域ではこのような事故が起こる可能性はないと強調しておりますが、政府のこの見解は、科学的、技術的根拠のない単なる気休めにすぎないのであって、このような例示だけでわれわれはとうてい納得するわけにはいかないのであります。  そのやさきに、昨年の四月二十一日、世界的技術の粋を集めた北海油田で油漏れ事故が発生し、一日四千トンの原油が海上に流れ出し、長さ二十三キロ、幅五キロの帯状をなして海上を汚染したのであります。油流出事故かもしこの共同開発区域で起こった場合どうなるか、考えただけでもはだ寒い思いがするのであります。  共同開発区域は、黒潮が日本海と太平洋に流れる分岐点で、アジ、サバ、イカなどの産卵地であり、豊かな漁場であります。もし同じような事故が起きた場合、漁業に及ぼす影響は甚大であり、また、黒潮に乗って太平洋と日本海の両方の海岸を汚染するのであります。  風強く、波荒く、また水深百五十メートル以上の海域が半分前後にも及んでいるこの海域で、油漏れ等の事故が起きないとだれが保証できるでありましょうか。  まだまだ問題点はありますが、ともかく、何の必要があってわが国主権的権利主張に禍根を残し、韓国との共同開発を急ぐのか、とうてい理解できないのであります。  石油はどこにも逃げはしません。天然の備蓄としてとっておけばよいのではありませんか。そして十分な調査と準備を行い、十分な安全確保の見通しを立てた後、わが国主権的権利として認められた大陸棚及び経済水域において、独自に開発すればよいではありませんか。そのためにも、いまだ国内的にもまた国際的にも効力を発生していない日本国大韓民国との間の両国に隣接する大陸棚南部共同開発に関する協定の締結を取りやめるべきことを強く主張するとともに、それに伴う今回のこの国内法案にも反対するものであります。  以上をもって、私の反対討論を終わります。(拍手)
  391. 野呂恭一

    野呂委員長 安田純治君。
  392. 安田純治

    ○安田委員 私は、日本共産党・革新共同を代表して、日韓大陸棚協定関連国内法案に対する反対討論を行います。  反対理由の第一は、この協定並びに法案は、日韓癒着の中心となって動いた日韓ロビイストや日韓協力委員会のメンバーの醜い策動によって、わが国の外交の本筋が大きくゆがめられてこそ成り立っているものであると言わざるを得ないという点であります。そのことは、わが国大陸棚主権的権利を放棄するという、国際的にも全く異例の協定となっている点に明白に示されているのであります。  第二に、協定及びこの国内法案では、メジャーの利権を五十年の長きにわたって保障するものとなっているなど、著しくアメリカ大資本に奉仕するものとなっていることであります。  もともとこの大陸棚開発問題の仕掛け人はメジャー及びアメリカ資本であり、テキサコやシェルのごときは、日本側韓国側両方から有望視されるところに鉱区を設定したことが紛争のもとになったのであります。  また、日本側の日石開発、西日本石油開発は、これらメジャーが日本の鉱業法をくぐり抜けて日本に設立した会社であることなど、メジャー、アメリカ資本の利権奉仕の実態は枚挙に事欠かないのであります。  第三に、開発権者、オペレーターか韓国側となるならば、試掘、採掘に携わる労働者などが日本人である場合も、そこで働く日本人に対してすべて韓国の法令が適用されるおそれがあるということであります。しかも、これはオペレーターがどちら側にあろうとも、従来の質疑を見ますと、採掘、試掘に関する事項以外のものについて、これはすべて韓国法令が適用されないとも限らぬという危険があるわけであります。  この韓国の法令とは、維新憲法、国家保安法、反共法、集会及び示威に関する法律、国家保衛に関する特別措置法、大統領緊急措置九号、外国刊行物輸入配布に関する法律など、およそ日本国憲法のもとでは全く存在する余地のない人権抑圧の法であり、また、勤労基準法、労働組合法、労働争議調整法など、日本の同種法令と相入れない部分を含む法令であります。  かくて、わが国大陸棚上でわが日本国民か働く場合でも、オペレーターを決める私人間の契約によって、そこにある日本国民が日本国憲法で保障されている基本的人権が一切失われるということであり、この協定及び国内法案の反国民性をますますはっきりと示しているのであります。  最後に、そもそも日韓関係について国の政治がいま果たすべき緊急、最大の任務は、ソウル地下鉄問題、浦項製鉄所問題などの日韓癒着の真相を究明することであります。  この国民の負託にこたえないばかりか、米国議会での朴東宣その他韓国要人の証言などで新たな日韓癒着の疑惑が高まっているそのさなかに、そうした一連の癒着の産物の一つにほかならない本法案の成立は、とうてい国民の容認できないものであります。  以上、数ある反対理由のうち、その主なものの骨子のみを申し述べて、反対討論を終わります。(拍手)
  393. 野呂恭一

    野呂委員長 以上で討論は終了いたしました。
  394. 野呂恭一

    野呂委員長 これより採決に入ります。  日本国大韓民国との間の両国に隣接する大陸棚(だな)の南部共同開発に関する協定実施に伴う石油及び可燃性天然ガス資源開発に関する特別措置法案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  395. 野呂恭一

    野呂委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  396. 野呂恭一

    野呂委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  397. 野呂恭一

    野呂委員長 次に、内閣提出特許協力条約に基づく国際出願等に関する法律案を議題といたします。  本案について質疑の申し出がありませんので、これにて質疑は終了いたしました。  これより討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決に入ります。  特許協力条約に基づく国際出願等に関する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  398. 野呂恭一

    野呂委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  399. 野呂恭一

    野呂委員長 次に、本案に対し、中島源太郎君外五名より、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党、日本共産党・革新共同及び新自由クラブ六派共同提案に係る附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  まず、提出者より趣旨の説明を求めます。松本忠助君。
  400. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 ただいま提案いたしました附帯決議案について、提案者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     特許協力条約に基づく国際出願等に関する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、最近における工業所有権制度国際化の進展の状況にかんがみ、関係者の意見を十分聴取し、わが国の工業所有権制度全般にわたり、引き続き検討を加え、国際化に十分対応できるよう体制整備について万全を期するとともに、特に次の諸点について適切な措置を講ずるべきである。  一 わが国を指定国とする外国語による国際出願を翻訳文に基づいて審査することにより、発明の保護を欠く等の事態を招来することのないよう、国内特許制度について適切な措置を講ずるとともに、審査体制の充実に努めつつ、必要に応じ制度の改正について検討すること。  一 特許情報の整備がますます重要となつていることにかんかみ、(財)日本特許情報センターの格段の強化拡充を図るとともに、同センターと国公立諸機関、国際機関及び民間団体等との有機的な連携に努め、特に中小企業者等の利用の便宜のため、諸般のサービス体制の充実を図ること。  一 わが国における出願傾向に即応した特許分類の整備と運用の充実を図ること。  一 特許庁の庁舎設備等執務環境の整備を早急に行うとともに、職員の待遇改善及び資質の向上を図るための研修制度の強化充実を図り、有能な人材の育成と確保に努めること。  一 中小企業に対する外国工業所有権出願費補助金制度の見直しを含め、この種助成措置の拡充に努めること。 以上であります。  案文の各項目の内容は、審査の過程を通じ十分御理解をいただけるものと存じますので、省略させていただきます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  401. 野呂恭一

    野呂委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  402. 野呂恭一

    野呂委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、附帯決議について、政府から発言を求められておりますので、これを許します。河本通商産業大臣
  403. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 ただいま御決定になりました御決議につきましては、その御趣旨を尊重いたしまして今後行政を進めてまいりたいと思います。     —————————————
  404. 野呂恭一

    野呂委員長 お諮りいたします。  本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  405. 野呂恭一

    野呂委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  406. 野呂恭一

    野呂委員長 次回は、来る十一日火曜日午前十時理事会、午前十時三十分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後十時二十分散会      ————◇—————