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1978-01-27 第84回国会 衆議院 商工委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日昭和五十二年十二月十九日)(月 曜日)(午前零時現在)における本委員は、次の とおりである。    委員長 野呂 恭一君    理事 中島源太郎君 理事 林  義郎君    理事 武藤 嘉文君 理事 山崎  拓君    理事 上坂  昇君 理事 松本 忠助君    理事 玉置 一徳君       小川 平二君    鹿野 道彦君       粕谷  茂君    藏内 修治君       佐々木義武君    島村 宜伸君       田中 六助君    辻  英雄君       中西 啓介君    楢橋  進君       西銘 順治君    萩原 幸雄君       橋口  隆君    松永  光君       渡辺 秀央君    板川 正吾君       岡田 哲児君    加藤 清二君       後藤  茂君    渋沢 利久君       清水  勇君    武部  文君       中村 重光君    渡辺 三郎君       長田 武士君    玉城 栄一君       西中  清君    宮田 早苗君       工藤  晃君    安田 純治君       大成 正雄君   橋本登美三郎君 ————————————————————— 昭和五十三年一月二十七日(金曜日)     午後六時四十七分開議  出席委員    委員長 野呂 恭一君    理事 中島源太郎君 理事 武藤 嘉文君    理事 山崎  拓君 理事 山下 徳夫君    理事 岡田 哲児君 理事 上坂  昇君    理事 渡辺 三郎君 理事 松本 忠助君    理事 宮田 早苗君       粕谷  茂君    藏内 修治君       佐々木義武君    島村 宜伸君       田中 六助君    中西 啓介君       楢橋  進君    橋口  隆君       松永  光君    渡辺 秀央君       板川 正吾君    加藤 清二君       渋沢 利久君    長田 武士君       玉城 栄一君    高橋 高望君       工藤  晃君    安田 純治君       大成 正雄君  出席国務大臣         通商産業大臣  河本 敏夫君  出席政府委員         大蔵省銀行局長 徳田 博美君         通商産業政務次         官       野中 英二君         通商産業大臣官         房長      宮本 四郎君         通商産業省貿易         局長      西山敬次郎君         通商産業省生活         産業局長    藤原 一郎君         中小企業庁長官 岸田 文武君         中小企業庁次長 児玉 清隆君  委員外出席者         経済企画庁調整         局審議官    田中誠一郎君         自治省財政局調         整室長     小林  実君         商工委員会調査         室長      藤沼 六郎君     ————————————— 委員の異動 一月二十一日  辞任         補欠選任   林  義郎君     海部 俊樹君 同月二十六日  辞任         補欠選任   海部 俊樹君     山下 徳夫君 同月二十七日  辞任         補欠選任   玉城 栄一君     浅井 美幸君   玉置 一徳君     高橋 高望君 同日  辞任         補欠選任   浅井 美幸君     玉城 栄一君   高橋 高望君     玉置 一徳君 同日  理事佐野進昭和五十二年十二月十七日委員辞  任につき、その補欠として渡辺三郎君が理事に  当選した。 同日  理事林義郎君同月二十一日委員辞任につき、そ  の補欠として山下徳夫君が理事に当選した。 同日  理事上坂昇君及び玉置一徳君同日理事辞任につ  き、その補欠として岡田哲児君及び宮田早苗君  が理事に当選した。     ————————————— 昭和五十二年十二月十九日  日本国と大韓民国との間の両国に隣接する大陸  棚(だな)の南部の共同開発に関する協定の実  施に伴う石油及び可燃性天然ガス資源開発に  関する特別措置法案内閣提出、第八十回国会  閣法第三〇号)  小売商業調整特別措置法の一部を改正する法律  案(中村重光君外九名提出、第八十二回国会衆  法第六号)  小売商業調整特別措置法の一部を改正する法律  案(橋口隆君外四名提出、第八十二回国会衆法  第七号) 昭和五十三年一月二十四日  円相場高騰関連中小企業対策臨時措置法案(内  閣提出第六号) 同月十九日  電気工事士法の改正に関する請願國場幸昌君  紹介)(第三五号)  特許管理士法制定に関する請願山口シヅエ  君紹介)(第六三号)  流通法規緩和に関する請願山下元利紹介)  (第一七一号)  中小企業対策抜本的拡充に関する請願(椎名  悦三郎紹介)(第一八九号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事辞任及び補欠選任  国政調査承認要求に関する件  小委員会設置に関する件  円相場高騰関連中小企業対策臨時措置法案(内  閣提出第六号)      ————◇—————
  2. 野呂恭一

    野呂委員長 これより会議を開きます。  まず、理事辞任の件についてお諮りいたします。  理事上坂昇君及び玉置一徳君から、それぞれ理事辞任申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 野呂恭一

    野呂委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  引き続き、理事補欠選任についてお諮りいたします。  ただいまの理事辞任許可によるほか、さきに理事でありました林義郎君及び佐野進君が委員辞任されておりますので、現在理事四名が欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 野呂恭一

    野呂委員長 御異議なしと認めます。  それでは、委員長は       山下 徳夫君    岡田 哲児君       渡辺 三郎君 及び 宮田 早苗君 を理事に指名いたします。      ————◇—————
  5. 野呂恭一

    野呂委員長 次に、国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。  通商産業基本施策に関する事項  中小企業に関する事項  資源エネルギーに関する事項  特許及び工業技術に関する事項  経済の計画及び総合調整に関する事項  私的独占の禁止及び公正取引に関する事項  鉱業と一般公益との調整等に関する事項 の各事項につきまして、本会期調査をいたしたいと存じます。  つきましては、衆議院規則第九十四条により、議長に対し、国政調査承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 野呂恭一

    野呂委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、議長提出する国政調査承認要求書の作成及びその手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 野呂恭一

    野呂委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  8. 野呂恭一

    野呂委員長 次に、小委員会設置の件についてお諮りいたします。  鉱物及びエネルギー資源に関する諸問題を調査するため小委員二十名よりなるエネルギー・鉱物資源問題小委員会及び  流通に関する諸問題を調査するため小委員二十名よりなる流通問題小委員会を、それぞれ設置することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 野呂恭一

    野呂委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  両小委員会の小委員及び小委員長選任につきましては、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 野呂恭一

    野呂委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  両小委員会の小委員及び小委員長は、委員長において追って指名し、公報をもってお知らせいたします。  なお、小委員及び小委員長辞任補欠選任に関しては、あらかじめ委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 野呂恭一

    野呂委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  12. 野呂恭一

  13. 河本敏夫

    河本国務大臣 円相場高騰関連中小企業対策臨時措置法案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  昨年の年央以来の引き続く円の外国為替相場高騰は、長期的な不況と相まって、わが国経済に大きな影響を与え、中でも脆弱な企業体質を残し、経済環境変化により影響を受けやすい中小企業は、輸出関連中小企業中心として、特に深刻な影響をこうむることが憂慮されております。  政府といたしましては、このような事態に対して、昨年十月、中小企業為替変動対策緊急融資制度を創設し、その充実を図ってまいりましたが、さらに、去る一月十七日には、円高関連中小企業経営雇用の安定を図るための緊急かつ総合的な対策をまとめた中小企業円高緊急対策についての閣議決定を行ったところであります。  本決定は、中小企業為替変動対策緊急融資充実円高関連中小企業者の行う事業転換円滑化を図るための中小企業事業転換融資貸付金利引き下げ設備近代化資金返済猶予中小企業信用保険法における円相場高騰関連保証特例のほか、税制上の特別の措置を講ずること及び下請中小企業対策産地振興対策雇用対策についてもその充実、推進を行うことをその内容としております。  本法案は、この閣議決定内容法律的措置を要する事項につき立案されたものであり、その概要は次のとおりであります。  まず本法案目的は、最近における円相場高騰により事業活動支障を生じている中小企業者に対し、経営の安定を図るための措置等を講じ、国民経済の健全な発展に資することであります。  次に、本法案において講ずる措置は、  第一に、昨年来の円相場高騰により相当数中小企業者がその事業活動支障を生じていると認められる業種を全国的にまたは地域を限って指定し、都道府県知事が、この業種に属し、かつ、影響を受けていると認められる中小企業者認定することとしています。また、指定された業種に属さない中小企業者であっても同様の事情にあると認められる場合には、同じく都道府県知事認定を受けることができることとしております。  第二に、認定を受けた中小企業者に対し、種々の助成を講ずることとしております。認定中小企業者がその経営の安定を図るために必要な資金及び事業転換に必要な資金を低利融資すること、設備近代化資金返済猶予を二年以内の間について行うことのほか、中小企業信用保険につき保険限度別枠設定保険料率引き下げてん補率引き上げ等特例措置を講じ、円高関連中小企業者に対して金融円滑化を図ることとしております。また、円高関連中小企業者につき法人税所得税上の欠損金の繰り戻し制度による還付及び地方税における欠損金の繰り越しについてそれぞれ特別の措置を講ずることとしております。  第三に、円相場高騰により事業活動縮小等を余儀なくされた中小企業従業者の失業の予防、職業訓練の実施、就職のあっせん等を講ずるよう努めるとともに、円相場高騰影響の大きい地域についての配慮を行うよう努めることとしています。  以上が、この法案提案理由及びその要旨であります。  何とぞ、慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  14. 野呂恭一

    野呂委員長 以上で提案理由説明は終わりました。     —————————————
  15. 野呂恭一

    野呂委員長 これより質疑に入ります。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。板川正吾君。
  16. 板川正吾

    板川委員 ただいま提案のありました円相場高騰関連中小企業対策臨時措置法案に対しまして、緊急性を持っておりますので、質問を直らにいたしたい、こう思います。  まず、大臣にお伺いをいたしますが、円高の今後の見通しとこれに対する今後の考え方について大臣見解伺いたいと思うのであります。  この円高対策法というのは、昨年までの円高に対する対応措置として立案されたと伺っておりますが、御承知のように、政府は、ことしは成長率実質七%、経常収支が六十億の黒字という考え方を持っておるわけであります。しかし、経済研究所などの説によりますと、たとえば野村総合研究所の発表でありますが、ことし政府が一兆円の減税を実現をし、追加予算二兆円を行って公定歩合を〇・七五下げたとしましても成長率は四・六%しか達しないだろう、そして経常収支黒字は百億ドルになると見通しを立てておるのであります。これは見通しですから、政府の昨年の見通しのように、七億ドル赤字が百十一億ドル黒字になるという見通しもあるくらいですから、見通し予想でありますけれども、こういう考え方を持っておる経済研究所さえあるのでありますが、今後、ことしはさらに円高傾向になるのではないだろうか。その場合に、昨年までの円高を基調としたこの対策では将来不十分だ、こういうことになることもあり得ると思うのでありますが、これに対する大臣見解をまずお伺いをいたします。
  17. 河本敏夫

    河本国務大臣 いま御紹介になりましたような研究所見通しのようにもし日本経済が動くといたしますならば、これは経常収支も一向減らない、こういうことでありますから、さらに現在以上の円高になるかどうかはわかりませんが、少なくとも相当の高い水準が続く、このように想定をされます。  そこで、通産省で現在の二百四十円という水準産業にどの程度影響が出ておるかということを最近調べましたところ、全産業におきまして、二、三の業種を除きまして、二百四十円という水準ではほとんど輸出赤字であります。また、七十九の輸出に大きく依存しております地域産業中小企業中心でありますが、ここを調べましたところが、やはり非常に大きな致命的な打撃を受けております。  このような調査を通じて感ぜられますことは、何分にも昨年数ka月の間に二割以上の急激な円高ということになりましたために、日本産業に非常に大きな影響を与えておるということがよくわかるわけであります。そして、ほとんど全部が赤字であり、ほとんど全部が致命的な打撃を受けておるということは、これは私は日本経済が実力以上の評価を受けておるのではないか、このように理解をいたします。  その背景は何ぞやといいますと、これはとりもなおさず、昨年来の予想外の大幅な貿易上の黒字、これが背景でございます。そこで、このために国際紛争も発生をいたしましたので、今回御承知のような七%成長を達成することによりまして所期の幾つかの経済目標を達成をしたい、こういうことで経済運営をするわけでございますが、民間の研究所、いま御紹介になりましたが、あの研究所が新聞に報道されましたときにはまだ予算は最終的に固まっておりませんで、一般会計大枠程度が報道されておったときであります。  予算は狭い意味では一般会計を指して予算と言いますが、広い意味財政と言いますと、一般会計財政投融資地方財政、この三つを総称して財政と呼んでおるわけでございますが、実は公共事業などは一般会計では比較的少ないのです。五十二年度は四兆円、五十三年度も五兆数千億ということで比較的少のうございまして、むしろ財政投融資あるいは地方財政に多いわけであります。五十二年度もこの三財政を合計いたしますと、土地代を除きまして公共事業は十八兆円になっております。一般会計だけではそのうち四兆なんですね。したがいまして、五十三年度予算はそれが全体において三割以上増加しておりますから、相当な威力になっておると思うのです。ただ、先ほど御紹介研究所は、その財政の全貌がわかる前の調査でなかったかと私どもは考えております。  いずれにいたしましても、今回政府設定をしております成長目標というものは、これによりまして操業率を上げて雇用問題を幾らかでもよい状態に持っていくということが一つと、それと国際収支の均衡をある程度図っていこうというこの二大目標を達成するということのための成長目標でございますから、これは万難を排し、臨機応変に必要な手だてを尽くしながら実現をしていかなければならぬと考えております。
  18. 板川正吾

    板川委員 財政問題の論争はまた次の機会に譲りますが、そういう政府の昨年の見通しの誤りの実績もありますから、したがって、ことしの見通しも必ずしも信用できない点があり、そういう説もあるからどうも円高がことしさらに進むんじゃないだろうか。たとえばスミソニアン体制から見まして西ドイツ・マルクは四三・五%の切り上げになっておる。日本はまだ二八%である。さらにこの経常黒字が続くならば、二百四十円から、四三・五%なら二百十五円になりますけれども、さらにこの円高傾向が進む。この法律は昨年までの、二百四十円までの円高に対する対応策として出されたと伺っておるものですから、もし円高が進んだ場合に、これでは不十分だということになることも考えられる。その場合に、この対策をもって十分とせずに、臨機応変措置をとったらいかがなものかな、こういうことを伺いたいと思ったわけであります。財政問題の論争についてはまた機会を改めで申し上げたいと思いますが、いま臨機応変に弾力的に考えていく、対処していく、こういう答弁がありましたから、時間の関係がありますから、一応先へ進みます。  この円高対策は、法律目的から言いましても、ドル対法と全く同じでありますが、このドル対法の効果といいますか、昭和四十六年、四十八年の当初に行われましたニクソン・ショックスミソニアン体制後の円高ショックというものにとられたドル対策法というのはどういう効果があったのか。これは事務当局でいいです。この効果について、どう評価しておるかをとりあえず伺いたいと思います。
  19. 岸田文武

    岸田政府委員 いわゆる四十六年のドル対法、これは御承知のとおり、米国における輸入課徴金の徴求ということを契機として制定されたものでございますし、これが四十八年にさらに延長されましたのは、日本変動相場制に移行したということが契機になっております。これらの事態に対応しましていわゆるドル対法を制定、施行し、これに対する対応策として用意をしたわけでございますが、その結果をいまにして振り返ってみますと、当時の緊迫した国際情勢及び国内情勢背景にいたしまして、円高の、ショック被害を受けたという認定を受けた企業はかなり大きな数に上っております。  この認定を受けた企業につきましては、それぞれ金融面あるいは信用補完面等々で補強をいたしたわけでございますが、この金額、もし必要があれば細かい数字を追って御説明いたしますが、かなりの金額がこの応援のために活用されておったところでございます。  ただ、当時立法をいたしました事項の中で、事業転換の問題、これは当初予想いたしておりました程度には進展をいたさなかったというふうに感ぜられるところでございます。と申しますのも、ショックを受けまして以降、当時高度経済成長の時期でございましたこともありまして、この際新しい分野へ転換をするよりは、まだいままでの仕事を続けていても何とかなるというような雰囲気がございましたことがその背景にあるのではないかと思っておるところでございます。
  20. 板川正吾

    板川委員 ドル対策法骨子と今度の円高対策法骨子と、その違いはどこにありますか。
  21. 岸田文武

    岸田政府委員 今回御提案申し上げております法律によりまして、円高被害を受けた企業に対して各種の助成あるいは応援というものが発動されることになるわけでございますが、具体的内容といたしましては、信用補完ということがまず第一に挙げられると思います。中小企業信用保険公庫におきまして、通常の保険の枠と別枠で同額の保険用意し、てん補率も引き上げ、また保険料率引き下げる、こういった措置につきましては、いわゆるドル対法におきましても同様の措置が講ぜられておったところでございまして、ほぼ同等の措置が講ぜられることになったかと思います。  それから第二点としまして、税制の問題がございます。これは国税につきまして、すでに納めた税金の還付をしてもらう、あるいは地方税につきまして、納税の繰り延べを行う、こういう措置でございますが、この措置につきましても、いわゆるドル対法におきまして同様の措置が講ぜられておったところでございます。  それから次に、設備近代化資金の問題につきましては、御提案申し上げております法律におきまして償還期間を二年延長するという措置を講じたいと考えておるところでございますが、この措置も、ドル対法におきまして同様の措置を講じておったところでございます。     〔委員長退席中島(源)委員長代理着席〕  違っておりますのは、まず第一点といたしまして、事業転換の問題がドル対法のときには盛り込まれておりましたが、御承知のとおり、一昨年の十二月に事業転換法という形で別途の法律用意して、これから予想される経済環境変化に対応するための特別の立法という形でスタートをいたしましたので、今回の立法ではこれについて触れることは避けておるわけでございます。  なお、金融の面につきまして御説明をいたしますと、ドル対法におきましては、今回の御提案申し上げております法律にございますような、特に特利を適用するという旨の条文がございません。今回そのような条文を設けましたのは、円高現実に各産地に大きな影響を及ぼしておる、これらの産地の声を聞いてみますと、とりあえず何らかの意味でのつなぎ金融が欲しいし、その金融条件もできるだけ有利なものにしてほしいという強い要望がございましたことを受けまして、先般の予算折衝において大蔵省調整を図りました結果、特に特例的な措置としまして利子補給をもってこれを応援するという措置が講ぜられましたことを受けまして、今回の法律の中にはその旨の規定を用意をしたという形でございます。先回のドル対法のときにも金融面応援をいたしましたが、その際の条件を今回用意をいたしております金融条件と比べますと、今回の方がはるかに有利になっておるということを申し上げることができるかと思っております。
  22. 板川正吾

    板川委員 三条関係不況業種認定がございますが、業種指定地域指定の問題、主務省令で定める事業指定がございますが、今回この業種地域指定三条の三号の主務省令で定める事業、これは大体どのくらい想定をされておりますか。どのくらいこれを指定することが予想されておりますか。
  23. 岸田文武

    岸田政府委員 御承知のとおり、円高の問題に対応しましては、昨年の十月以降いわゆる為替変動対策緊急融資制度というものを実施して、とりあえずの対応策としておるところでございます。この為替変動対策緊急融資制度におきましては、対象となる業種を五十九ということで今日に至っておるところでございますが、今回この法律を御提案申し上げるに際しまして、もう一度従来の対象業種というものを見直しをしてみよう、現実円高によって輸出に大きな影響を受けているような業種が漏れているようであればこの際思い切って追加をしていこうということで、目下取りまとめ作業を急速に進めておるところでございます。  特に、法律におきましては、従来のように全国業種指定するという形のほかに、産地業種という指定の仕方、あるいは個別認定というような方式、実情に応じたような対応策を考えておるところでございまして、それぞれに属する業種としてどういうものが適当であるか、いまもう一度見直しをしているところでございます。  考え方の基本といたしましては、やはり全国業種指定いたしますときには、その業種全般としてある程度輸出比率を持っておるということに着目をして指定をし、そして、そういう業種に属しておって現実企業経営に大きな影響を受けておるという場合に具体的な認定を受ける、こういうような形を予定しております。  産地業種におきましても同様でございまして、全国的には輸出比率の面で低い水準にありましても、産地として見た場合に一定の水準以上にあるというような場合には産地として拾っていくという新しい道を開いていき、また、第三号にございますように、個別認定におきましても、一号、二号に該当しない場合で個々の企業をとってみると非常に輸出比率が高い、そういう場合も拾っていこう、こういう考え方でございます。(板川委員「それはわかっております。どのくらいを予想しておりますか」と呼ぶ)  これは最終的に作業が終わりませんとはっきりわかりませんが、全国業種産地業種を合わせてみまして、いまやっております五十九業種に対しまして大体倍ぐらいにはなるのではないかと予想いたしておるところでございます。
  24. 板川正吾

    板川委員 この三号の個別業種というのは、予想が全くつきませんか。
  25. 岸田文武

    岸田政府委員 いまのところ、三号についてはどの程度に上るか、予測がつきかねておる状況でございます。
  26. 板川正吾

    板川委員 それでは、四条関係ですが、「年六・五パーセント以内で政令で定める利率により貸し付ける」、こういう規定がございますが、政令でその利率を決めるというのは、どの辺を考えておられますか。
  27. 岸田文武

    岸田政府委員 この法律が施行になりますとすぐ政令を決めるわけでございますが、政令の考え方といたしましては、三年以内の借り入れにつきましては五・五%という利率、三年を超える場合には超える部分につきまして六・二%という金利、大体そのような政令になろうかと考えておるところでございます。
  28. 板川正吾

    板川委員 わかりました。  次に、第五条の関係ですが、設備近代化資金について、その償還期間を二年間を超えない範囲で延長することができる、こういう規定がございますが、これはドル対法のときと同じ規定であります。これは私は、ドル対法のときと今日の円高とでは、規模や範囲あるいは将来に対しての見通し等から考えまして二年ではちょっと短いのじゃないか、こう考えますが、この点はどうお考えですか。
  29. 岸田文武

    岸田政府委員 設備近代化資金は、零細な中小企業が設備の近代化をするために借りた金でございまして、借りた側からすれば、少しでも返済期間が長ければその分だけ楽になるという関係にあろうかと思います。ただ、私どもとしましては、貸した金の回収金がいわばファンドになりまして次の貸し付けを行うという形になっておりますので、全体の事業を円滑に運営するという立場も配慮しなければなりません。なおかつ、いまお話がございましたように、従来、ドル対法のときに二年延長いたしましてまずまずの状況であったというようなことも参考にいたしまして、今回もその例にならったという次第でございます。
  30. 板川正吾

    板川委員 これは私はもう一年ぐらい延長すべきではないかという考え方を持っておりますが、それではこれはまた後の議論にします。  六条関係で、中小企業信用保険法による保証の特例が規定をされておりますが、六条関係で一体どのくらいの金額が全体として特例対象になるのでしょう。規模といいますか、六条の効果というのはどういうような効果があるのでしょうか。
  31. 岸田文武

    岸田政府委員 この保証の対象になりますのは、一部分ば政府関係金融機関の融資に関連した部分もございますが、そのほかに、民間がこの円高に対応して融資をしそれに関連をして保証が起こってくるというケースも相当の量に上るわけでございます。この試算はいろいろ前提を設けて考えなければなりませんが、一つの試算といたしまして計算をしました結果によりますと、大体保証額で千五百億程度になろうかと考えておるところでございます。
  32. 板川正吾

    板川委員 わかりました。  次に、第七条の課税の特例でありますが、法人税所得税還付ドル対法のときにもありました。この法人税所得税還付地方税の繰り越しは、今度の場合これまた年間の規模としてどのくらいを想定されておるのですか。ドル対法の場合には、税の還付が年間三十億、設備近代化による返済猶予金額が年間十五億ぐらいの規模だと言われておるのでありますが、今回はどのような規模になりそうですか。
  33. 岸田文武

    岸田政府委員 御質問の点について推定をいたしますためには、個々の企業ごとに既往三年間の納税状況というものを詰めてみませんと正確な答えは出ないわけでございまして、その意味からいきますと大変推計がむずかしいわけでございますが、一応事務的に試算をしました結果だけを御披露いたしますと、大体平年度ベースで三十五億円程度になろうかと思っておるところでございます。(板川委員地方税所得税両方で」と呼ぶ)両方合計でございます。
  34. 板川正吾

    板川委員 そうすると、ドル対法のときとそう違わない。逆に、ドル対法のときには両方合わせて年間四十五億規模になっておるのに、それより少ないのですか。三十五億円ですか。間違いありませんか。
  35. 岸田文武

    岸田政府委員 先ほど三十五億と申しましたのは平年度ベースでございまして、二年分で七十億円ということになるわけでございますが、その中で繰り戻しだけであるのか、あるいは地方税の分を含んでいるか、ちょっといま照会をいたしまして、後刻御報告をさしていただきたいと思います。
  36. 板川正吾

    板川委員 それでは、後刻報告をしてください。  この第九条ですが、第九条では、御承知のように、「国及び都道府県は、」「円相場高騰により」「経済活動が衰退している地域における中小企業経営の安定に特に配慮するものとする。」こういう規定があります。御承知のように、第一条の目的も、「最近における円相場高騰により事業活動支障を生じている中小企業者に対し、経営の安定を図るための措置等を講じ、もって国民経済の健全な発展に資することを目的とする。」ということで、こういう目的と第九条の関係でありますが、第三条認定では、御承知のように輸出関連産業というのが条件に枠がはまっておりますが、第九条では輸出関連産業という言葉が入っておりません。円高による影響を受けておるのは実はさまざまであって、必ずしも輸出関連企業ばかりではない。ですから、私は、今後円高がさらに進むことになりますと、この第九条を設けた理由、ここをひとつ重要視して、この法律の弾力的な運用、第九条と一条の目的とを照らし合わせまして、円高が進むについてこの条項の運用を弾力的に行うべきではないだろうか、こう思うのでありますが、見解はいかがですか。
  37. 岸田文武

    岸田政府委員 私どもも、円高の問題が起こりましてから、各産地がどういう実情にあるかということについては大変心配もし、絶えずその状況をフォローしておるところでございます。正直に申し上げますと、円高の進行と並行いたしまして事態は次第に深刻になりつつあるという感じで受けとめておるところでございます。今後中小企業対策を進めてまいりますときには、このような現実を踏まえて、やはり産地問題というものを相当中小企業対策としても大きく取り上げていく必要があろうと思い、そういう気持ちもありまして第九条を設けた次第でございます。  具体的には、産地におきまして新しい団地をつくっていこうというような動きがございましたら、それを積極的に応援をいたしますし、また、新市場あるいは新製品の開発というような前向きの問題につきましても、こういう意欲ある産地につきましてはできるだけの応援をしていきたい。それから、関連する企業が仕事が欲しいというような御要望があれば、それなりに私どもも打てるだけの手を打っていく。いろいろの対策を積み重ねて、産地問題の解決に努力をしていきたいと思っておるところでございます。  その際、対象となります産地につきまして、確かに、御指摘のとおり、第九条におきましては輸出にということについて特に限定をいたしておりません。当然、輸出の問題を抱えておるところが一番大きな影響を受けるだろうというふうに思いますが、それを中心としまして広く産地対策を積極的に進めていくという意味で御理解をいただきたいと思います。
  38. 板川正吾

    板川委員 将来、円高がさらに進むようなことになりますと、そういう意味においてこの法律の弾力的運用というのが重要になってくるだろう、こう思いますので、一条の目的、九条の規定、こういう点を考慮されて運用に万遺憾なきを期していただきたい、こう思いますが、通産大臣、いかがでしょう。
  39. 河本敏夫

    河本国務大臣 十分配慮いたします。
  40. 板川正吾

    板川委員 時間がもう五分ほどだそうですから、最後にひとつ、これも考え方として文字の上で関係があるんですが、特定不況産業安定法という法律が通産省で目下用意をされている。一月十九日の新聞にも報道をされております。私は、この法案は非常に重要な内容を持っておる法案だ、こう考えておりますので、これは私の見解をひとつ述べておいて、大臣に十分慎重な配慮をしてもらいたいと思って、申し上げてみたいと思います。  通産省は、構造不況対策として特定不況産業安定法というのを準備し、そして新聞の報道によりますと——一月十九日に新聞に載ったんですから、十八日に発表したんでしょう。そして一月二十六日の閣議で決定をして、できればこの円高対策法と一緒にその成立を希望しておった、こういうことも伝えられております。  私はこの法律を一読いたしまして、これは大変な法律だ、もしこのような重要法案を、国会審議もろくにしないで不況対策に名をかりて成立を図ろうというもくろみは、これは私は官僚の独善であり、時代錯誤もはなはだしいと考えざるを得ないのであります。  その問題の二、三を指摘してみたいと思うのでありますが、第一は、福田内閣は御承知のように独占禁止法の改正を実現をいたしました。国会で四年間の審議を通じて独禁法の改正が行われた。御承知のとおりであります。カルテル課徴金を創設をした。寡占規制の強化を図った。ところが、この特定不況産業安定法によりますと、その改正したカルテル規制もあるいは寡占規制も全く骨抜きになる内容を持っておるという点でありますが、もし福田内閣がこの特定不況産業安定法というのを通そうということになると、独禁法行政としてまさに矛盾した考え方になるわけであります。  第二点としては、国会で自民党も賛成をされ、全会一致で決定された内容法律を、しかも独禁法の改正は昨年十二月二日から実行されておるのであります。その改正してまだ発足したてのころに、その独禁法の完全な骨抜き法案を準備する、こういうことは国会審議を軽視する官僚独善の思想ではないだろうか、こう思います。  法案内容は、昭和六年に実は不況対策に名をかりて軍国主義に拍車をかけた重要産業統制法、御承知のように、昭和恐慌、昭和五年、六年、濱口内閣の金解禁が実施され、円高に決まったために昭和恐慌の出発となったわけでありますが、その不況対策として重要産業統制法が昭和六年にできました。この昭和六年にできた重要産業統制法と今度の用意された法律内容は全く同じであります。  第一に目的不況産業対策だということ、第二は、重要産業統制法の内容ですが、二分の一以上が賛成ならば業種指定をする、これも同じであります。それから、企業の合併やカルテルを奨励してアウトサイダー規制命令を国が出せるようにし、その規制命令に反した場合には罰則を加える、これも今回の法律内容が全く同じであります。それから、五年の限時法、これも今度の内容と同じですね。そして重要産業統制法は五年という限時法であったにかかわらず、もちろん延長されて、日本経済が統制経済、官僚の統制下に置かれ、そして軍国主義の道へ走った、こういう過去の重要産業統制法と全く同じようなものをこの民主主義の時代にちょっと字句を変えただけで出すというのは、これは私は官僚の時代錯誤ではないだろうかと思います。  昭和四、五年の昭和恐慌の場合には、日本では二百万からの失業者がありました。いまの比率に換算いたしますと約四百万からの失業者があるわけでありますが、五年、六年、物価が三二%下がる、輸出が三割も下がる、そして米の値段が半値になり、繭の値段が三分の一になる、実はこういうことになった。不況対策として出された法律でありますが、これが今日同じような、名前だけ変えて出るというのは、この発想自体に私は問題があると思うのであります。  アメリカでも、御承知のように、一九二九年、昭和四年ウォール街の株の大暴落から世界恐慌に発展したわけでありますが、アメリカでは日本以上に産業が停滞し、失業者が四人に一人という状況であったと言われておるのであります。そのときに、ルーズベルト大統領が一九三三年にニューディール政策をとって、初期のニューディール政策のときには二年間独禁法の適用禁止をしたのです。しかし、独禁法の適用禁止をしたら、逆に物価が上がり、生産が停滞して失業者がふえるということで、その後反省をして、逆に今度は独占禁止法の強化を打ち出した、こういう歴史上の一つの前例もある。  そういうことをも考えずに通産官僚が不況対策という名目のもとにこのような時代錯誤的な法案用意をし、しかも聞くところによると、この円対策法と一緒に国会を通過させてほしい、こういう考え方を持っておった、あるいは委員会の中でもそれをやってもいいじゃないかという賛成の方もあったというのでありますが、これは私は重要な問題だと思うのであります。大臣、私は言いっぱなしでもいいと思うのですが、この法案の性格をよくお考えになっていただいて——財界の一部でも反対の論もあります。われわればかりじゃありません。ひとつ十分慎重に対処をされることを要望しておきたいと思いますが、大臣、いかがですか。
  41. 河本敏夫

    河本国務大臣 この法律目的は、構造不況業種が非常に深刻な状態になっておりますので、あくまで構造不況業種を立ち直らせるための法律でございます。その立ち直らせるためにはいろいろ方法があろうと思うのです。いま各方面の意見をよく聞きまして最もいい内容法律をつくりたいと考えております。
  42. 岸田文武

    岸田政府委員 先ほどのお尋ねの点について補足的に御報告申し上げます。  先ほど申し上げました平年度三十五億円という減収額、これは国税関係還付に関する数字でございます。地方税に関しては推計資料がございませんので、御容赦をお願いしたいと思います。
  43. 板川正吾

    板川委員 以上、終わります。
  44. 中島源太郎

    中島(源)委員長代理 加藤清二君。
  45. 加藤清二

    加藤(清)委員 お許しを得まして、ただいま提案されておりまする円相場高騰関連中小企業対策臨時措置法案について、通産大臣中心に、大蔵大臣、経企庁長官に二、三の質問を試みたいと存じます。  最初にお尋ねしたいことは、スミソニアンでいまから七年前に三百八円であった円レート、これがいまや二百四十円前後で横ばいしているようでございますが、特に経企庁の長官にお尋ねする。一体この二百四十円はいつまで続くか、その結果被害産業はどれとどれとを通産省並びに経企庁としては頭の中に入れてこの法案を出されたか。もう一度お尋ねする。二百四十円はいつまで続くか、その先二百四十円が下がるか上がるか、その結果日本のいかなる産業がどのように影響を受けるか、いまこの円高相場で救おうとしているこの法案提出される前提条件を承りたい。
  46. 田中誠一郎

    田中説明員 お答えいたします。  為替レートは……(加藤(清)委員「ストップ。経企庁の長官に聞いておる」と呼ぶ)ちょっと長官は所用がありまして参れませんので、私、かわりまして参ったわけでございますが……。
  47. 加藤清二

    加藤(清)委員 私は長官を指名しておいた。事務官に聞こうとは思わぬ。政治答弁のできない人に聞こうとは思っていない。そんなことだったら私はここへ出る必要はない。じゃあ、通産大臣に承る。
  48. 河本敏夫

    河本国務大臣 現在の二百四十円という水準は、ほとんど全部の日本中小企業それから貿易産業はやっていけない、赤字になる状態でございますから、現在の水準は、私は日本経済の実力以上の評価になっておると思います。  なぜこういう評価に急激になったかといいますと、それは昨年の特に後半顕著でありました大幅な貿易上の黒字経常収支に直しても百億ドルを超えるという大幅な黒字背景になっておると思います。したがいまして、ことしの経済政策の一番の中心課題であります経常収支を五十二年度のほぼ半分、六十億ドルにしようという目標でありますが、これが実現されるということであるならば、順次現在の円相場経済の実力にふさわしい水準にある程度修正されるのではないか、私はこのように理解しております。  しからば、そのふさわしい水準とは何ぞや、幾らかといいますと、にわかにこれは具体的な数字で答弁はしにくいわけでありますが、いずれにいたしましても、ことしの目標であります六十億ドルという経常収支の数字にはぜひ国際収支を持っていかなければならぬ、このように考えております。
  49. 加藤清二

    加藤(清)委員 私がお尋ねしているのは、二百四十円はいつまで続くか、変化があるのはいつか、変化がもしあったとするならば、それは幾らに上がるか下がるかということです。具体的に言えば、それを聞いておる。  その志向するところを先取りして政策をつくるのが経企庁の任務であると同時に、その素材を提供して一日も早くこの異常な円高を解消するということは通産省の任務であるはずである。被害者救済は緊急の要務である。したがって、これに反対する意味で聞いておるのではない。いまやけどをしておる病人にどうカンフル注射をするかというのがこの法案でしょう。だからこれは賛成なんだ。しかし、これだけでいいのか悪いのかの前提をまず踏まえてかからなければ、この内容の是非善悪を問うわけにはいかないので指標を聞いておる。ある学者はこれは四年ぐらいかかるだろう、こう言っておる。ある産業界は、輸出でかせぎまくっているやつの制限をすればいいじゃないか、制限するにはこれに対して課税をするという手もあるではないか、議論百出でございます。しかし、その陰で倒産は毎日行われている。去年は一日平均五十五、六件から六十件の倒産が行われた。いま通産大臣と私とここで質疑応答している最中にも倒産は行われている。いわんやこの二月、三月、特に三月の節季を迎えたならば倒産が続出してくる。これはそれを救済するための一方法なんでしょう。ですから、基本計画をまず聞く。  もう一度お尋ねする。二百四十円はこのままずっとどこまで続くのか。変化がありとするならば、二百四十円は上がるか下がるか。それは通産大臣の手の内にあるはずだ。あなたに別途対策かあれば、それはある程度可能なはずなんだ。貿易の黒を百から六十にするとおっしゃったが、それだけで果たして可能でありとするならば、それはいつのころであるかと聞いておる。それによって命がつながるかつながらないかという企業がたくさんに出てきておるからだ。
  50. 河本敏夫

    河本国務大臣 この法律は緊急に円高に伴う中小企業を救済する法律でございますから、時限立法にいたしまして、二年ということでお願いをしております。でありますから、まず二年の間に何とか救済を片づけたい、このように考えております。  それから、経常収支黒字を半減する、これは五十三年度の目標であるということを申し上げましたが、五十二年度も前半はまだそれほど国際収支の均衡は好転はしないと私は思います。やはり後半に相当よくなるのではないか。そして、年度間を通じていま申し上げました数字を達成したい、大体このような見当ではないかと思います。
  51. 加藤清二

    加藤(清)委員 ようやく一つの答弁が出ましたね。ことしの前半はむずかしい、後半には期待がかけられる、しかる後二年間をめどとして大体この円相場関係は解消したい、そのためにこの時限立法は二年とする、こういうことでございますね。  私は、実は何も通産大臣や経企庁の長官に食いついているわけじゃないのですよ。基本が崩れるとせっかくつくったこの法案効果を発揮しないおそれが発生するからです。なぜこんなことを聞くか。特に宮澤君に聞きたかった。宮澤君と河本通産大臣は、求められて、国民の期待を受けて、何とかこの二人ならばこの不況打開ができるだろうというので重要閣僚に迎えられた。二人ともやがて総理の候補者なんです。期待をかけている。それは私のみならず国民一般が期待をかけているのです。だから、期待をかけているあなたの口と宮澤君の口から、もうしばらくしんぼうしてくれ、倒れていくかもしれぬけれども、倒れぬように努力もするが、もうしばらく、時間はこの程度だからといって指標を示してくれれば、しんぼうする方も、歯を食いしばってでもしんぼうしますよ。それがいつのことやらわからぬ。経常収支貿易黒字は半年間にはどうにかしますといって、経済を自認している総理大臣が外国でしゃべってきた。ところが、いま答えは逆になっておるのだ。そうでしょう。だから国民はますます不信感を抱き、政治に対する不信感はやがて企業に対する不安感となって社会問題を起こし、それが倒産に拍車をかけているというのが現状なんですよ。  もう一度念を押す。これは一時間かかってでも念を押します。この一言でもう結構です。二百四十円はいつの日に変える用意があるか。
  52. 河本敏夫

    河本国務大臣 もっとも為替相場は、日本経常収支は一つの大きな要因ではありますけれども、ただそれだけでは動いておりませんので、たとえばアメリカの国際収支とか——したがいまして、日本としてはいま申し上げましたなし得る努力は年度間を通じてこれこれしかじかであるということを申し上げたわけであります。
  53. 加藤清二

    加藤(清)委員 まず前半は答えができにくいが、ことし後半に期待をかけている、こういう御答弁のようですね。  しかして、今日この円高のおかげで被害をこうむっている人と、おかげで笑いがとまらぬという国民がある。同じ不況下においても、おかげをこうむって喜んでいる人もあれば、悲しみ、倒産に追い込まれている人もある。格差は広がると同時に、日本経済が二極分化を余儀なくされている。その被害者の一部救済法がこの法案である。まず被害者を救うことの方が先ですから、被害者は一体だれとだれであるか、企業にすれば何と何であるか、この原案をおつくりになるときに通産大臣はどうまとめてみえますか。
  54. 岸田文武

    岸田政府委員 円高の問題が起こりまして以降、通産省としましても、各業種別の実情はどうか、あるいは産地別の実情はどうかということについて調査をいたしました。中小企業庁では、主として産地対象として毎月実情の調査を行ったところでございますが、正直に申しますと、やはり産地産地によっていろいろ事情が違っておるような感じもいたします。しかし、総じて見ますと、円高によって輸出が停滞をする、特に、注文が非常に減ってきて、そのために仕事の手持ち量がどんどん減っていく、こういうことによって現実に大きな影響を受けているということは、少なくとも明らかなことではないかと思っておるところでございます。当初は、繊維、雑貨等に問題が集中をいたしておりました。しかし、昨年の暮れごろの調査におきましては、従来は問題が少ないと思われておりました軽機械類あるいは金属製品類にもやはり問題が出てくるようになったという感じがいたしております。  とは申しますものの、産地の中で企業ごとにかなり差がございますことも事実でございます。同じ雑貨の中でも、特別のデザインを持っている、特別の機構を持っているというようなところは、円高になりました分をドル建ての価格を引き上げるというようなかっこうで対応しているところもございます。  しかし、そういうのは非常に理想的な形態でございまして、そういうふうになるようにいろいろ夢を見ながらも、現実にはそれに即応し切れないでいま努力を重ねておるというのが実情ではないかと思っておるところでございます。
  55. 加藤清二

    加藤(清)委員 私の質問に答えていただきたい。被害者はだれとだれであるか。だれという言葉が特定であるとするならば、何業と何業であるか、どう通産省はそれをキャッチしているかと聞いておるのです。
  56. 岸田文武

    岸田政府委員 ただいまのお尋ねに対する答えの一つのよりどころといたしまして、円高緊急融資を実施しました対象となる業種というものが取り上げられるのではないかという感じがいたします。これは一つ一つ申し上げておりますと時間がかかってしまいますが、かなり広い業種にわたっております。繊維関係はそのほとんどが対象となっておりますし、雑貨におきましても、いままで輸出中心としておりました雑貨類は、かなり多くがその対象になっております。それに加えまして、機械類の一部、特に零細な企業が担っております機械類、これが対象となっておりますほか、細々とした幾つかの業種がかかっておりまして、これらが代表的な被害者の事例に当たるのではないかと思います。
  57. 加藤清二

    加藤(清)委員 この法案では、業種指定ができるようになっておりますね。最初から通産省の方は指定しておらないですね。業種指定は業界の自主的な申し出によって決める、こういうことなんですね。そうじゃございませんか。
  58. 岸田文武

    岸田政府委員 この法律に基づく業種指定は、この法律制定、施行されました後に政令で指定をするというかっこうになろうかと思いますが、実は、その下敷きとなるべき現在の為替変動緊急融資制度、これの対象となる業種は、先ほど申しましたように五十九業種指定をされておるところでございまして、この指定に際しましては、特に申し出というような形式的要件は不要といたしまして、私どもが各業界の実情を聞きまして、これは円高による被害を受けておると認定いたしたものを列挙いたしたものでございます。法律が施行後、この現在の五十九業種の見直しをすることになるわけでございますが、現在その作業を進行いたしておるところでございます。
  59. 加藤清二

    加藤(清)委員 私がなぜこんなことを聞くかといいますと、この法案説明やら内容やら見ますと、大体輸出被害を受けている業種に主体が置かれているようでございます。しかし、それは確かにおっしゃるとおりでございまするけれども、輸入関係も大変な被害を受けておるということをどこでどう調節しようとしていらっしゃるのかが聞きたいわけで、円高ということは、ドルで商売しておったら、円高であったらそこへ輸出したらもうかるのですよ。したがって、発展途上国、特にあなたがいまいみじくもおっしゃった繊維製品、雑貨のごときは、輸出はどんどんふえておる。もうかるからです。値段は同じでも、円高のおかげで二割から三割の利潤が浮いてくるのです。発展途上国から日本輸出すると。その銘柄は今日はあえて申し上げません。が、特にいままでも被害の多かった繊維製品、特に伝統産業として指定を受けている業種、すなわち、通産省がこの業種だけは特別に援助して残して発展させなければならぬと指定している業種のところへもって集中的に輸入が増加している。なぜか。利潤が多いから、輸入業者はそれでもうかるからです。同種のものを内地でつくっている業者、これはそのおかげで大変な被害を受けている。  輸出は制限をさせられる。輸入はどんどんふえる。野放しになっている。関税も、特恵関税がそのまま生き残っている。委託加工の関税もそのまま残っている。こういうことですから、その関係の国内産業は、下世話で言えば往復ビンタを受けている。何とかしてもらわなければどうにもならない、こういう苦悩の声が満ち満ちているから、そこで、通産省はそこにお気づきであるのかどうか、それをどのように救済する措置がこの法案で講ぜられるのか、そこを一言言ってやってください。さすれば、その一言だけでもって当該企業はあしたからの希望を持つようになる。  いま大事なことは、税制対策も大事です。金融対策も大事です。しかし、希望を持たしてやることの方がなお大切だと私は思う。希望を持たせれば、そこに働いておる労働者も——きのうは人の身、あすはおのれの身で、次から次へと首を切られておる。特に大蔵省に後で聞くけれども、首を切らなければ融資をしてやらぬという、そういう銀行が横行しておる。もはや希望なんか持てない。いつの日に早く希望退職して逃げようか、いつの日に早く店じまいして、食い逃げして夜逃げをしようか。社会問題なんです。だから聞いている。この法案で何と何が救えるのか。通産省としては、何と何を対象としているのか。
  60. 岸田文武

    岸田政府委員 円高によって影響を受けるという一つのことをとってみましても、ずいぶんさまざまな態様があろうかと思います。輸出商品を取り扱っていたメーカー、これはもうそのものずばりで直接的な影響を受けるわけでございます。また、その部品をつくっているメーカー、これは一歩下がった形でございますが、やはり相当直接的な影響を受けると申しても差し支えないかと思います。ただ、この関係をずっと手繰っていきますと、非常に広い広がりを持ち得るわけでございます。たとえば、輸出が停滞をしたために内需に向かった、したがって内需が非常に過当競争になったというような関係、あるいは、いまお話がございましたように、輸入品がかえってふえて、そして国内で競争が激化するというような関係、さまざまの関係があり得るかと思います。  この法律では、いまのような関係の中で、特に直接的あるいはそれに準ずるような関係のあるもの、これをまずとりあえず対象として法案内容になっておりますような応援手段を用意したわけでございますが、残る広いすそ野を持った問題、これも私どもとしては当然見逃すことのできない中小企業政策の課題でございます。これはやはり広く中小企業対策としてこういう問題をどう考えるかということに全力を挙げて取り組んでいかなければならない問題であろうと思います。たとえば不況業種指定をするというような問題、その他さまざまの中小企業対策において、本当に困っている人たちにはできるだけの手を打っていくということで臨んでいきたいと思っておるところでございます。  いまお話の中で伝統工芸の問題にもお触れになりました。伝統工芸の問題は、日本固有の大事な産業でございます。それにつきましては、伝統工芸振興法その他いろいろの応援手段を講じておるところでございますが、私どもの中小企業対策としても、そういう面に十分配慮をしてできるだけの応援をしていく必要があろうかと思っておるところでございます。
  61. 加藤清二

    加藤(清)委員 もとよりこの発展途上国からの輸入の増加は、円高だけが原因だなどとやぼなことは言いません。しかし、円高がだんだん進行して、二百六十円から二百五十円、二百四十円といくにしたがって輸入が急激に増加しているものがある。  たとえばそれを繊維にとりますと、西陣、友禅、しぼり——しぼりも以前は絹が多かったのですが、いまでは夏のゆかた、盆踊りのお祭り衣装ですね、ああいう綿織物にまでこれが波及してきている。それから、すでに鎮静したと思っていたコールテン、別珍、これの輸入もまた増加の一途をたどりかけてきている。せっかく鎮静してようやく将来の見通しができかかったと思うこのコールテン、別珍が、またこういうことなんです。  それは円高により輸入がしやすくなり、輸入業者の利幅がふえるのでより商売がしやすくなるものだから輸入が増加してくるわけだ。つまり言えば円高被害なんですね。こういう業種——輸出はもちろんのことなんですが、こういう輸入増加による内地の当該関係産業に対してはどういう救済をされますか。もしするとすれば、この法案の第何条によることでございますか、お尋ねする。
  62. 岸田文武

    岸田政府委員 この法案は、さきに御説明いたしましたとおり、輸出産業中心とし、円高によって直接被害を受けるあるいはこれに準ずるような影響を受けるということを対象としまして特段の措置を講ずるということにした次第でございますが、いまお話がございましたような広い意味での円高影響、こういうことを考えてみますと、ある意味では中小企業の大部分が円高によって景気が悪くなったというようなことによってさまざまの波紋を受けておるわけでございまして、そういう広い分野を対象とするためには、この処方せん以外の別の処方せんをやはり考えていかなければならないのじゃないかと思っておるところでございます。これは恐らく業種業種によってさまざまの事情、背景があろうかと思います。そういうような事情を一つ一つ踏まえながら、これに対してどういう手を打っていくことが一番妥当な答えなのかということを積み上げていくことが必要であろうと思っておるところでございます。  恐らくはやはり金融の問題というのが一番大きな問題ではなかろうかと思います。金融の問題につきましては、従来から、少しでも金利負担を軽減するように、また信用補完の面でも少しでも弾力的にやるようにというような指導もやってまいりました。こういった一般的な方策を具体的に適用する場合には、やはり業種に即したような知恵というものが必要でございます。こういう点は、私どもも今後とも一つ一つの業種からの御要望を承り、できるだけの知恵を出していきたいと思っておるところでございます。
  63. 加藤清二

    加藤(清)委員 私のお尋ねに答えていらっしゃらない。円高による輸入増大、それによって悪影響を受ける当該企業、これはどうなさるかと聞いておるのです。この法案で救う用意があるのかないのか。ないとするならば、あなたがいまちょっと触れなすったが、別途法案用意するという用意があるのか。どっちです。被害は同じように受けている。
  64. 岸田文武

    岸田政府委員 特定の産業が困っておる、それが輸入が原因であるかあるいはその他の要因であるか、こういう問題につきましては、いわば円高との関係が非常に間接的になってまいりまして、円高影響の部分というものを抜き出すことが技術的に非常にむずかしい問題がございます。したがいまして、この法律では、いまお話ございましたようなものは直接の対象としないという考え方で一応の整理をいたしてございます。  ただ、そうは申しましても、いまお話ございましたように、現実にいろいろの困難に遭遇している業種がたくさんございます。こういう問題につきましては、先ほど触れましたように、たとえば不況業種指定をするというようなやり方もその一つでございますが、いずれにいたしましても、その業界業界の実情に即したような工夫を積み上げていくということでやってまいりたいと思いますし、その対策内容いかんということが一番問題なのではないかと思っておるところでございます。
  65. 加藤清二

    加藤(清)委員 被害を受ける味は同じでございます。電気でやけどするのも炭火でやけどするのも、やけどの味は同じです。しかも、かつて池田通産大臣経済転換期に思惑をやったのが倒れていくのはやむを得ぬと言ったということを覚えておりますけれども、これは自分の思惑じゃないのだ。政府の施策のおかげだ。構造不況構造不況と言うけれども、それは構造ではないのです。政府の政策貧乏なんです。したがって、せっかく中小企業庁が英知をしぼってこんないい法律をおつくりになるならば——この内容は私は賛成ですよ。しからば、それをあまねく広く被害者に平等に分かち与えられるようにするというのが本当の親心じゃござんせんか。そこをひとつよく勘案して、輸出被害を受ける者、輸入で被害を受ける者、平等の扱いができるようにしていただきたいと申し上げているのですが、私の言うことがどこか間違っておりますか。通産大臣にお答え願いたい。
  66. 岸田文武

    岸田政府委員 繰り返しになりますが、私どもは、やはり輸出によって被害を受ける、またはそれに準ずる事態というものを対象として、これはもうまさに直接的影響を受けておるということから、この法律で特別の措置を講じたわけでございます。それ以外の業種につきましては、もし特定の業種においてこういう問題がある、こういう方向は考えられないかというような提案がございましたら、私どもも喜んで伺わしていただきますし、できるだけの知恵をこらしていきたいと思いますが、この法律に入れるということになりますと、非常に範囲が広がって、いわば一般的な中小企業対策になってしまいます。特に円高によって直接の影響を受けたというところに着目をした法律であるという点を御理解いただきたいと思います。
  67. 加藤清二

    加藤(清)委員 円高による被害者は平等に救う、しかし、この法案で救うのは大体主体が輸出被害者であるが、輸入で被害を受けた者もケース・バイ・ケースで救う用意がある、そういうものがあったら申し出てもらえれば、それぞれのケース・バイ・ケースで対応策を講ずる、こう受け取ってよろしいですか。違いますか。違うなら否定してください。
  68. 岸田文武

    岸田政府委員 それ以外の業種につきまして対応策を考えていきます場合に、やはり法律事項がございます。そういうような場合には、現行法の許す範囲内でどれだけの知恵が積み上げられるかということが問題であろうかと思います。私どもも、できるだけ相談に乗り、知恵を出していきたいと思います。
  69. 加藤清二

    加藤(清)委員 わかりました。  次に、この法案内容を見ますと、いま長官がちょっと口の端に出されたように、融資の問題、それから税制の問題、この二つが救済の方法として二本の大きい柱のようですね。融資と税制、そう受け取ってよろしいですか。ほかに何かあったらつけ加えてみてください。
  70. 岸田文武

    岸田政府委員 この法律で新しく用意しました対応策のうち、信用補完の問題あるいは特利適用の問題あるいは近代化資金の問題、広く言いますれば金融の問題というふうに申し上げて差し支えないかと思います。そのほかに税金の問題が入っておりますことは御指摘のとおりでございます。  こういった直接的な手段に加えまして、私どもが今後中小企業対策をいろいろ進めていきます場合に、産地対策というものをひとつ配慮していこうとか、あるいは今後労働省とよく連絡をとりながら、労働対策の面でもできるだけのことを応援していこうとか、こういったこともこの法律内容に含まれておるところでございます。
  71. 加藤清二

    加藤(清)委員 大蔵大臣にお尋ねする。  これだけ不況で、それが原因で福田内閣までがもはや信用を失墜しているやさきに、どういうことか、同じ日本の国内にありながら、倒産とかマイナスとか聞いたことのない業種がある。それは何か。金融機関だ。  金融機関が倒産するなどということは避けなければならぬことです。避けなければならぬ。私も、かつて自分のおやじが銀行を経営していて、昭和の始まりに銀行が次から次へと倒れて、おかげで姉の嫁入り先まで変わり、私の行く学校までが変わったことをいまだに忘れずに覚えております。したがって、有限責任とはいうものの、無限責任に追い込まれる。銀行が倒産するなどということは避けなければならぬ。しかし、これほど不況だというときに銀行だけはもうかっているのですね。  大蔵大臣にお尋ねしたい。銀行でこの円高、この不況をこうむって左前になりそうだというのがどこかありますか。
  72. 徳田博美

    ○徳田政府委員 お答えいたします。  御承知のとおり、最近預貸し金利ざやが非常に狭まってまいりまして、都市銀行十三行のうち五行は預貸し金利ざやがマイナスであるというような状態になっているわけでございますが、しかし、倒産というようなところに立っておるものはございません。
  73. 加藤清二

    加藤(清)委員 その答弁たるや、もって瞑すべし。銀行倒産が続出したその発祥は、衆議院本会議において時の大蔵大臣が、固有名詞は言わなかったけれども、追い込まれて「た」って言ったから始まった。それは台湾銀行の「た」なんだ。これは、河本大臣は実業家でいらっしゃるから、特に関西に関係があるからよく御存じでしょうけれどもね。ですから、あなたの答弁はよろしい。  しかし、倒産しないのが悪いと言っているのじゃないのですよ。倒産しないようにあの手この手が仕組まれて、その結果、せっかく政府が親心でもって、倒産しかけている、あるいはした、するであろうという企業に金を貸す場台に、銀行経営者が涙も情けも容赦もなくしてぶった切っている。これはやめさせなければならぬ。特に、昔一番ひどいやろうを高利貸しと言った。高利貸しは、病人の寝ているせんべい布団でも金のカタに召し上げていってしまう。だから、一番悪いやつは高利貸しだと言われた。それと似たり寄ったりのことがいま銀行で行われてはいないか。銀行局長としてはどう現状をキャッチし、認識していらっしゃるか。
  74. 徳田博美

    ○徳田政府委員 先生御指摘のとおり、現在、安定成長への経済の移行過程にございまして、経済構造の変化に対処いたしまして、これに適応するように中小企業が非常な努力をしているわけでございます。したがいまして、そういうまじめに経営に努力をしている企業、特に中小企業金融面から支えていくということは、現在における金融機関の非常に大きな責務ではないか、こういうふうに考えております。  特に、先ほど先生も御指摘になりましたように、かつてもうけ過ぎと言われたような時代もあったわけでございまして、そのときに内部留保をかなり積んでおるわけでございます。そういう金融機関に内部留保を積むように行政も指導していたわけでございますけれども、金融機関がそのように内部留保を積んでおりましたら、まさに現在のような事態において、そのような健全な企業が外部の事情から倒産するというようなことのないように極力金融面で、もちろん私企業でございますから限界はございますが、支えていくことが非常に大事ではないかと考えておりまして、そのように金融機関に指導しております。
  75. 加藤清二

    加藤(清)委員 銀行にしろ、企業にしろ、内部留保を多くして、固有の資産をふやすことは、私は違法だとかけしからぬとかは言いません。マルクの上昇をうまく利用して企業の体質を改善したのはドイツです。これはむしろ日本も学ぶべきであると私は思っておる。日本企業の弱さの第一は、企業の内部資本が少な過ぎる、銀行からの借金が多過ぎるというところに大きな欠陥があるのですから、それは円高を利用して、逆用して——逆用というよりは有効に使って、企業の内部留保をふやすことは、銀行にかかわらず、生産工場にかかわらず、私は必要なことだと思っている。それを言うておるのではない。それに従って違法行為がまかり通っているところに問題がある。  では、具体的に聞く。歩積み両建てはいまどうなっておるか。
  76. 徳田博美

    ○徳田政府委員 お答えいたします。  歩積み両建ての問題は、加藤先生がつとに御指摘になった問題でございまして、それ以来大蔵省においても徹底的に指導を行っているわけでございまして、中小企業向けの拘束性預金の比率は、先生がかつて御指摘になった三十九年、四十年ごろ、三十九年十一月に貸し出しに対して三二・四%でございましたが、五十二年五月では六・二%に落ちているわけでございます。このようにかなり形の上で拘束している預金の比率は下がっておりますけれども、しかし、いま問題になっておりますのは、このように形の上で拘束してなくて、むしろ事実上企業が引き出せないと思っている預金の存在があることでございまして、これをにらみ預金と言っておりますけれども、目下このにらみ預金をいかになくすかということに全精力を傾けているところでございます。
  77. 加藤清二

    加藤(清)委員 歩積み両建て、古くて新しい話です。予算委員会に特別委員会をつくって、銀行当局はおろか日銀にも猛反省を促したことを私はきのうのことのように覚えている。あれから十五年、それ以上たっている。しかし、依然として変わらない。スタイルが変わっただけで内容は変わらない。  私がこの際申し上げたいことは、特に総理もそうなんですけれども、景気を刺激するために国民に金を与えよ、戻し税をしろと言いますと、戻し税をしてもこれは購買に回らない、それよりは産業投資の方がよろしいなどと平気でいけずうずうしく言う人がある。もしそういうことがまかり通るとするならば、歩積み両建てはどうなっておると言いたい。つまり、親からもらった子、孫が、受け取り代金を十分に使いたいと思っても、三割なり四割なりは積み立てておけというじゃないか。これは手形の割り引きも同じことなのです。そのおかげで中小企業に流れるはずの政府資金までが銀行に凍結される。これは政府の親心とはまるっきり違った方向で窓口規制が行われておるということである。それに対してメスを入れずして、国民や労働者に戻し税をしろと言うたら、それは回転しないと言う。冗談じゃない。回転しないのは、一番回転率の悪いのは中小企業の銀行資金です。これをまず直していただきたい。  それからもう一つ、これは銀行ではないけれども、政府が立案してつくったところの、この当該委員会でも何度も審議したところの信用保証協会、これは一体いま金利を何ぼ取っておるか、それだけ聞きたい。
  78. 岸田文武

    岸田政府委員 保証料率につきましては、各保証協会ごとに多少の出入りはございますが、平均しますと大体一・〇%程度ではないかと思います。
  79. 加藤清二

    加藤(清)委員 そういうことを言って額面どおり受け取っておるから、事が間違ってくるんだよ。  しからばお尋ねする。四%取っているところがあったら、返すか。銀行局長政府資金のトンネル口銭を保証協会でいま言った一・〇%何がしよりも余分に取っておったところがあったら、それを返すか。歩積み両建てがあなたが言ったとおりになっていないところがあったら、あしたから解除させるか。どうです。
  80. 徳田博美

    ○徳田政府委員 最初に先生が御指摘の政府関係資金に対する両建て歩積みでございますが、確かに、かつて先生が御指摘のころは、政府関係機関からの借り入れに対して預金で拘束するようなものもございましたけれども、これは銀行検査の際の最重点事項の一つとして厳しく取り締まっておりまして、現在はそのようなものはもうほとんどなくなっていると考えております。  それから、保証料率でございますが、基本的な保証料率は大体一%から一・一〇%の間でございます。ただ、延滞関係の保証料率はあるいは別かもしれませんが、ちょっと手元に資料がございません。
  81. 加藤清二

    加藤(清)委員 何ぼ厳しく取り締まろうが、大蔵大臣の通知を出そうが、銀行局長の通達を各銀行の支店の入り口に大きなビラで張ろうが、なお改正されていないから、私がこんなことを言わなければならないんだ。あなたがいま言った率よりもオーバーして取っておるところがあったら、返させるか。私は具体的に言いますよ。  時間が来たようだから、私はこれで結論にする。  もう一つの問題がある。これは銀行の法律違反、銀行の大蔵省指示違反、たくさんあるけれども、もう一つわれわれが考えておかなければならぬことは、円高によるところの被害者についてである。  円高は決して損することばかりじゃない。おかげで輸入してもうけておる連中がよけいいるんだ。それを国民に返しているか、いないか。ほとんどが返されていない。その最たるものが輸入牛肉なんです。差益が出たら、農林省所管の牛肉を操作する事業団が吸い上げているじゃないか。通産省傘下のナフサは一体どうなっているのか。挙げつ来れば切りがないんだ。政府円高の差益を全部召し上げてしまったり、これを国民に返さずに途中のそれぞれの機関が召し上げてしまうというようなことを、政府みずからが先例をつくって模範を示しておきながら、どうして民間業者に輸入差益を返せということが言えますか。この問題は、もう時間が参りましたから、いずれお尋ねする。そのときには経企庁の長官、きょうはせっかく審議官がお二方も来ていただいて感謝にたえないところですが、今度宮澤経企庁長官を相手取ってこの問題についてゆっくりと審議させていただきます。  この法案は、もう通すことに決まっていますから、私は余りしゃべり過ぎると何か邪魔しておるではないかというふうに疑われますから、本日はもう話半分、緒論ですけれども、私の質問はこれで終わります。
  82. 中島源太郎

    中島(源)委員長代理 渡辺三郎君。
  83. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 時間の関係がありますから、きょうは二、三の問題にしぼって御質問申し上げたいと思います。  法案の中身でありますけれども、第四条関係ですが、金融上の特別の措置、さらに設備近代化資金等の返済の猶予、第五条の問題、この問題についてまず最初に御質問を申し上げます。  法案の第四条では、認定中小企業者に対する経営安定の資金の貸し付けの場合及び事業転換に必要な施設の設置に必要な資金の貸し付けの場合、いずれも六・五%以内、このようにしてあります。しかし、先ほどの御答弁にもありましたように、今回の措置は、それぞれ当初三年間は五・五%、四年目以降は六・二%となっております。なぜ法律案ではその点を明確に出せなかったのか、出さなかったのか、この点をまず最初にお伺いをしたいと思います。
  84. 岸田文武

    岸田政府委員 現実に適用いたしますときには、いまお話ございましたように、三年以内五・五%、それを超える場合六・二%という率を考えておるわけでございます。  それをそのまま書けばよいではないかという御提案もあろうかと思いますが、今後の金利情勢もまだ流動的でございますので、その辺、新しい情勢に対応できるような余地を残す意味で政令にゆだねたという次第でございます。  その場合に、六・五%以下でという頭書きをつけましたのは、資金運用部の資金コストが六・五%、現在そういうふうになっております。これ以上であればあるいは金融機関内のいろいろな操作ができるかもしれませんが、これを下回るということになりますと、やはり政府として利子補給が必要になってまいります。こういった意味合いにおきまして、利子補給をしてでもやはりある程度の低利資金を確保するんだ、こういう構えを法律の上で姿勢として示す関係上、このような表現をとった次第でございます。
  85. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 詰めはまたあすちょっとやらせてもらいますけれども、その次に、中小企業近代化資金助成法による設備近代化資金等の償還期限の延長の問題であります。  いま中小企業が一番まいっているというか、そして強く望んでおるのは、一つは金利の高かった時期にたくさんのお金を借りておるわけですけれども、これが今回の措置によるものに実質的に肩がわりできないだろうか、そういうふうな点が非常に強く要望されているわけですね。たとえば、今回の措置によって金利が相当引き下げられる。しかし、これまでたとえば四十九年以降ずっと借りておった資金、この返済がまだ全部済んでおりませんから、高金利のものが残っておるわけですね。これを何とか実質的に肩がわりできないのかというふうな希望が相当強くあります。  そのことが一つと、それからもう一つは、これまで借りた金、特に長期でありますけれども、設備近代化資金、これは当然企業それ自体も自主的な努力によってこのように設備を近代化していかなければならない、このことは当然でありますけれども、もう一つは、やはり国が積極的な政策をもって設備の近代化を図ってきた、そういう指導をやってきた、あるいはそれに伴う対策というものをこれまで政策として進めてきた、そういう状況の中でようやく設備がある程度近代化され、改善された、あるいは構造改善事業なんかもそうでありますけれども、長期にわたる償還期間、せっかくそういうふうに設備は更新したけれども、いざそれをフルに活用する段階になって今日のような円高によるところのきわめて大きな打撃をこうむっておる、こういう状況でありますから、金利の負担はあるわ、さらに今回受注は減るわ、あるいはコストは切り下げられるわ、こういう二重、三重の苦しみを現実中小企業は味わっておるわけです。そういう点から言えば、どうしてもやはりこれまでの設備近代化資金等で借りた金の償還期間は大幅に延長してもらいたいというのがもう一つの非常に切実な希望です。  そういうことがあって、本法案ではこれまでの五年をさらに二年間延長する、こういう措置に踏み切られたと思いますけれども、先ほどの同僚議員の質問にもありましたとおり、これはわれわれ現状から考えますと、どうしても二年では足らぬ、こういう気がするわけです。そして、われわれも、去年の秋から暮れにかけまして、幾つかの円高による影響をこうむっておる産地調査チームをつくりまして回りました。さらにまた、ことしの年が明けましてから、それぞれの選挙区において相当の個所について実態の調査をやりました。いまの注文が非常に強いわけですね。ですから、これは二年せっかく延長された法案でありますけれども、さらにこの償還の期間を、そうべらぼうに長期にというわけではなくて、最低一年はどうしてもこの上に上積みして延長してもらわなければならぬのではないか、こういうふうに要請を兼ねて強く申し上げながら、ひとつ大臣なり長官なりの御見解を賜りたいと思うわけです。
  86. 岸田文武

    岸田政府委員 まず最初に、金利負担の軽減の問題についてお触れになられましたが、私どもも、中小企業経営を見ておりまして、金利負担が相当大きな経営上の負担になっておるということはよく承知をいたしておりまして、従来から少しでもこれを下げられるようにということで研究もし、また指導もしてまいったところでございます。幸い昨年は公定歩合も数次にわたって下がりましたし、そういう資金コストの低下ということをできる限りの形で貸出金利の低下につなげていくということで極力推進をしてまいったところでございます。  資金コストが下がった場合に一体どういう分野の金利を下げるか。これは考え方としましては、いまお話ございましたように、既往の金利を軽減するという方向もありましょうし、また、新規の金利を重点に下げるという方向で全力を尽くしていくというやり方もあろうかと思います。これらについて私どももずいぶん中で議論をいたしましたが、事の性格からいきまして、金利を下げるということは、いわば次の新しい設備投資を意欲を持って推進するという意味合いもあるわけでございますので、やはりたてまえは新しい金利を極力下げるということに全力投球をし、ただ、その結果として余りにも不均衡ができたというときに過去の金利についてもある程度調整を図る、こんな考え方で処理をしてまいったところでございます。具体的には、すでに御承知のとおり、不況業種につきまして赤字経営をしているというところは、政府金融機関の金利の若干の軽減を図ったところでございます。今後いろいろ金利情勢も変わってまいるかとも思いますが、いま申し上げましたような考え方で、今後とも極力金利負担の軽減を図るように私どもも気をつけてまいりたいと思います。  それから、第二点にお尋ねございました設備近代化資金の償還期限の延長の問題でございますが、実は設備近代化資金に限らず、私どもも、政府系三機関の貸し出しにおきまして、貸出先の経営事情の変化からどうにもならぬというときには返済猶予ということをある程度弾力的に相談に乗ってきたケースがたくさんございます。去年一年の状況はいまチェックをしておるところでございますが、たしか一昨年でも四万件余りの返済猶予が行われたかと思っておるところでございまして、昨年も引き続きなるべくその面は弾力的にやってまいったところでございます。それに加えまして、今回新たに設備近代化資金についても返済猶予制度化するという措置をこの法律の中に盛り込んだ次第でございます。  その期間を五年を七年に延ばす措置に決めましたのは、先ほども御説明いたしましたが、ドル対法のときに大体それと同じような措置をとったこと、それから借りる側からすれば少しでも長ければと思われるかもしれませんが、返済金が即次の貸付金の原資にもなっているというような関係もございまして、二年というのを原案とさしていただいたという経緯を御承知をお願いしたいと思います。
  87. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 いまの第二点の問題については、先ほども長官はドル対法のときと同じような措置、こういうふうに言われたわけでありまして、その基準といいますか、二年を延長したという基準について、その考え方についてはわかります。しかし、あの当時の状況と今日の急激な円相場高騰によって受けておる産地打撃なり状況なり、これは深刻の度合いが相当違うというふうに思う。あの当時は相当の蓄積もそれぞれの企業にあった。しかし、今日は、われわれが調査した範囲内での産地のそれぞれの企業企業体質経営実態、そういう点から見ると、はるかに深刻だというふうな気がするわけです。そういう点でどうしてもさらに延長については御考慮を願わなければならない、こういうふうに思います。この議論はさらに後で、あすでも詰めますけれども、ぜひともそういうふうな点について通産側でも配慮をしてもらう必要があるのではないか、こういうふうに考えております。  次に、中小企業信用補完制度上の問題点について二、三お伺いをしたいと思うわけであります。  一つは、保険料率引き下げ、今回は通常の料率の三分の二、こういうふうに言われておりますが、第六条では、「保険金額に年百分の二以内において政令で定める率」、このようにあります。現行は、言うまでもなく、これが年百分の三、こういうふうになっておるわけですが、これは中小企業庁でお出しになっておる説明といいますか、その中にある三分の二というふうになるのですか、この条文の表現によって三分の二というふうになりますか、この点確認のためお伺いをしておきたい。
  88. 岸田文武

    岸田政府委員 法律の文面では、いまお話ございましたように、通常は百分の三以内になっているのを百分の二以内ということにいたしておりますが、現実に料率を決めます場合には、現在やっております保険料率に対して大体三分の二前後になるような形で決定をしたい、かように考えております。
  89. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 ところで、これも先ほどちょっと別な角度からの質問があったわけですが、保証協会の保証料率はどういう実態になっておるか。たとえば、これまでの説明では年率一%から一・一%というふうに受けとめておるわけでありますけれども、これはその協会ごとによって若干幅があるわけでありまして、実態は一体どういう趨勢にあるのか、この点をお伺いしたいと思います。
  90. 岸田文武

    岸田政府委員 一般の保証料率は、先ほどの答弁にもちょっと触れましたが、全部をならしてみますと大体一%前後の数字になっておるところでございます。今回保険料率が大体三分の二程度になるということになりましたので、これにかかわる保証料率についてもやはりこれに準じて引き下げを図るという方向で考えていくのが筋ではないかという感じがいたします。具体的な数字自体は各保証協会において決定をされるわけでございますが、そういう方向で指導していきたいと思います。  ただ、これは申し上げるまでもないわけでございますが、保証料決定の基礎となるコスト計算におきましては、全部が保険料であるというわけではございません。その一部分が保険料であるという関係でございますから、それが同率であるというわけにはまいりません。たとえば、倒産関連保証というのが現在ございます。これのケースを見てみますと、先ほど一般の保証料率が一%前後であるということを申し上げましたが、倒産関連の保証の場合には全国平均で大体〇・八四%前後になっておるようでございまして、こういった数字も頭に置きながら今後の指導を進めていきたいと思っておるところでございます。
  91. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 わかりました。  ただ、念のために申し上げておきたいのですが、保険料率引き下げが、計算上はたとえば三分の二がそのまま保証協会の保証料率の引き下げにならぬ、それはこちらも承知をいたしております。しかし、少なくとも保険料率引き下げを断行したその分に見合うものは最低限保証協会の保証料率の引き下げになるような徹底した強力な指導をやっていただかなければ、この保険料率引き下げ意味がなくなる、こういうように考えておりますから、ぜひともそれは強力にやっていただきたい、このように申し上げておきたいと思います。  それから、信用保証協会の保証機能の問題、これに触れて御質問申し上げますが、保証倍率といいますか、基本財産に対する保証の倍率、これは通達が出ておるのだと思いますけれども、これではどのようになっておるのでしょうか。
  92. 岸田文武

    岸田政府委員 これは保証協会の規模によりまして、たしか最高は六十倍になっており、最低が三十五倍前後であったかと思いますが、そういうような形で一応の指導をいたしておるところでございます。
  93. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 この倍率、協会ごとに違いますけれども、それを変えていく場合の条件あるいは手続、これはどのようになるのですか。
  94. 岸田文武

    岸田政府委員 これは、現実に保証協会が保証を引き受けてまいりまして限度いっぱいになる少し手前ぐらいのところで、一体この倍率が適当であるかどうかということを見直しをするというやり方をやっております。大体、一つの物差しとしましては、限度の八掛けぐらいになったときに個別の事情を勘案して決定するというようなやり方をやっておるところでございます。
  95. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 これは倍率を変えるというふうな場合には、当該の保証協会の方から倍率変更の許可申請といいますか、これを出されるわけでしょう。その場合に、これを受けたたとえば通産省なら通産省は、どことどういうふうに協議をしてどういうふうな手続でそれを認可といいますか、認めていかれるのか、その点をちょっとお伺いしたいと思います。
  96. 岸田文武

    岸田政府委員 倍率は、最終的には定款事項でございまして、定款変更申請という形で提案をされます。これの認可は、大蔵省と通産省の共管でございますが、現実のやり方としましては、通産省へ相談に見えまして内容を審査した上で、妥当と認めましたときには大蔵省と相談をする、こういうようなやり方でやっておるところと理解しております。
  97. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 それでは、いま審議されております予算第二次の補正で予算措置がされております信用保証協会基金補助五億円、これはどういう性格のお金でしょうか。
  98. 岸田文武

    岸田政府委員 今回、この法律ができまして信用補完について特別の優遇措置が講ぜられるということになったわけでございますが、そのことは、別の面から見ますと保証協会にとってはある程度リスクの多い保証を引き受けるということにもつながるわけでございます。そこで、私どもは、やはり保証協会の経営基盤というものはしっかりしていなければならないだろう、こう思いまして、保証協会が基金を造成する、これにつきまして府県に対して補助をする道を用意する、そのために必要な金額として五億円を用意する、こういうことを補正予算でお願いをした次第でございます。
  99. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 そうしますと、この国で予算化した五億円というのは、あるいは都道府県を通じて出されるのかどうかわかりませんけれども、それぞれの協会の基金の一部に出される、このように理解していいのですか。
  100. 岸田文武

    岸田政府委員 府県への補助という形になっております。したがって、政府の金が府県へ参り、府県でそれと同額の資金を継ぎ足しまして各保証協会に配付される、それが保証協会の財政基盤の強化につながる、こういう形でございます。
  101. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 そうしますと、これはきわめて単純な計算ですが、政府が五億円出される、それに見合った同額を各都道府県がそれぞれ出すということになりますと、十億円になりますね。先ほど私が御質問申し上げました定款倍率、いわゆる保証限度倍率といいますか、それか平均して——平均ですから少ないところと多いところがありますけれども、大体五十倍というふうに想定をすれば、この枠の拡大の限度は五百億というかっこうになりますね。一体この五百億で今回の急場が乗り切れるだろうかということになりますと、もちろんこれだけが対策のすべてではありませんけれども、私どもは非常にはだ寒い感じがするわけです。  そこで、保証協会の保証機能の充実あるいは拡充という問題に関連をして、いわゆる定款倍率というものが、これはそれぞれの協会の経営基盤の安定といいますか、そういう点から言えば、なるべく低く抑えたいという気持ちはそれぞれの協会ごとにあると思うのです。しかし、保証協会をつくっておる本来の意義からすれば、一つ一つ十分な審査を必要としますけれども、定款倍率をもっと拡大するように、そういう指導なりやり方なりというものを通産に真剣になって考えてもらう必要があるのじゃないか、こういうふうに考えますが、その点はどうでしょう。
  102. 岸田文武

    岸田政府委員 私どもは、保証協会がしっかりとした機能を果たすためには、その財政基盤が強固でなければいけないと思っております。よく私どものところに、定款倍率がぎりぎりになったので六十倍を超えてでも保証できるようにしてほしいというような話が参りますが、私は、その前に基本財産を充実するということのためにできるだけ出資者の協力を仰ぐのが先決ではないかと思っておるところでございます。府県の財政事情もいろいろあろうかと思いますが、府県のやっております各種の中小企業対策の中でも、この保証協会の機能というのはいわば一番根幹をなす仕事でございます。その意味におきまして、いろいろ財政事情の苦しい中でも、基金の強化については都道府県として最優先で取り組んでいただきたいと思っておるところでございます。全国の補完機能の中枢である中小企業信用保険公庫につきましては、私どもも五十二年度、さらに五十三年度も含めまして相当大きな資金をつぎ込みまして、全国的にこの信用補完制度が安泰であるというような形に持っていくことを最大の課題としておりますので、地方におかれましてもそのような意気込みに準じて処理をしていただきたいと思っておるところでございます。  なお、今回五億円基金造成費補助を要求いたしておりますのは、いわば今回の法律制定に伴いまして、通常のリスクと違った、異常の危険が付加される、この部分をカバーするという意味合いで予算をお願いしているところでございます。
  103. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 きょうは自治省からも来ていただいておりますので、一点だけ御質問申し上げたいのですが、この法案によりますところの地方税の欠損の繰り越しについての特別措置に関連して、これはわれわれの考えとしては、自治体ではその分だけこの財源といいますか収入が少なくなるわけでありますから、その分に対して、法律に基づいてこういう措置がとられるわけなんで、国は自治体に対してその分を何らかの形で財政措置する、当然こういうふうになるのだというふうに考えておりますけれども、その点はそのとおりに解釈して結構でございますか。
  104. 小林実

    ○小林説明員 御質問にお答えいたします。  七条二項の住民税、事業税につきましては、現行の地方税法によりまして純損失または欠損金の繰り越しは三年ないし五年とされているわけです。これが今回の特別措置によりまして五年ないし七年になるわけでございます。これらの措置による減収も含めまして、地方団体の交付税を算定いたします場合に基準財政収入額というのを計算いたしますけれども、これが過大に算定された場合には翌年度これを普通交付税によって増額交付するといいますか、単純に言えば交付税によって補てんをするという措置を講じておりますので、その措置で御了解をいただきたい、こういうふうに思います。
  105. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 あと二分ほどあるのですけれども、そこで、あすは大臣予算委員会関係でお見えになれませんから、最後に一つだけお伺いをしたいのですが、先ほど相当時間を費やして同僚議員が質問いたしました円相場見通しの問題、同じことを聞くことになりますけれども、私は、実態調査の上に立った産地の要望といいますか、国に対して何を求めているかという点について一言申し上げて、最後に大臣見解を重ねてお伺いしたいと思う。  それは、たとえば産地の業者組合の代表、あるいは私どもが幾つかの都市を回ったわけですけれども、その中で特にはっきり自民党籍を持っておられる市長さん、こういう方から出た意見を申し上げたいと思うのです。  それは、政府が構造不況とか円高の災害だとか、こういうことを言っているけれども、われわれをして言わしめればこれは明らかに政治災害だ、こういうことを市長さんが言っておるわけです。それで、幾らわれわれが要求しても、敏速な、しかもかゆいところに手の届くような措置というものをやってもらえない、だから、われわれはなけなしのきわめて貧弱な地方自治体の財政の中で、やむを得ず円高関連業者に対してきわめて低金利の、しかも無担保、無保証の貸し付けの制度を市の条例でつくり上げてやっている、何とかしてもらわなくてはいかぬというふうな強い意見が各市の市長の方からも強く出されました。  さらにまた、こういうことを言っているわけです。たとえば、今後一年後とかあるいは二年後とか、いま二百八十円なら二百八十円、三百円なら三百円のレートが二百四十円ぐらいまでになりますよ、この日本の状況や国際経済状況の全体的な絡みの中で。だから、これに対して各企業も対応しなければならぬというふうな指針が政府見通しとして明らかにされておれば、われわれとしてはあらゆる努力をして企業の体質も変え、あるいは品種の転換であるとかそういうふうなものに踏み切る、しかし、突如として、今回のように二、三カ月のうちに二割も三割も相場が違うようなやり方ではどうにもしようがないじゃないか、なぜ政府はそういう点を明確にしてくれないのだ、今後は何としてもそれを明らかにしてもらわなければいかぬ、これが産地の業界代表のほとんど一致した意見、強い要求です。  そういう実態の上に立って、先ほども通産大臣に対して、見通しは一体どうか、もっと具体的に明らかに示すべきじゃないかというふうな点がずいぶん出たわけでありまして、私も全く同じような考えを持っているわけです。そういうふうな実情の上に立って、それぞれの円相場高騰関連中小企業といいますか、そういうところがいま必死の努力をしながら何とかこの危機をみずからの力で打開しよう、そういうふうな意欲を持っているわけでありますから、そういう点に対して政府が十分にこたえるためにも、その前提となる円の相場の見通しというものを根拠を持って明らかに示す必要があるんじゃないか、こういうふうに私は強く考えるわけです。そういう点について、時間がありませんから、抽象的な言い方になりましたが、河本通産大臣見解を最後に承りまして、きょうの質問はこれで終わりたいと思います。
  106. 河本敏夫

    河本国務大臣 何しろ、現在の二百四十円前後という円相場は、昨年秋に急激に来たものですから、非常に大きな打撃をほとんどの産業、特に中小企業に大変大きな影響を与えていることはもう御指摘のとおりでございます。その背景は、先ほども申し上げましたようにいろいろありますが、一つは日本の大幅な貿易黒字ということにありまして、大幅な貿易黒字はなぜ起こったかといいますと、これは内需の不振ということであります。つまり、景気がよくないということでありますので、五十三年度の基本的な経済運営の方針としては、内需の拡大による貿易収支の均衡を図っていこう、こういう考え方に立ちましてことしの経済運営をするわけでありますが、さて、それでは幾らぐらいになるかというようなことは、なかなか具体的には言いにくいことでありますけれども、しかし、とにかく現状は、現在の水準ではほとんど全部の産業がやっていけないということでありますから、実力以上の評価である、それは私は、貿易収支の改善と同時にある程度修正されるであろう、このように期待をしておるわけであります。
  107. 中島源太郎

    中島(源)委員長代理 長田武士君。
  108. 長田武士

    長田委員 私は、ただいま議題となっております円相場高騰関連中小企業対策臨時措置法案などを成立させ、中小企業の苦境を打開し、経営の安定化を図ることは当面の急務であると考えております。しかし、中小企業を本質的に円高から守り、また不況から守るためには、一日も早く不況を克服しなければならないと考えます。  こうした観点から、私は、通産大臣に二、三の基本的な問題について伺っておきたいと思います。  まず初めに、来年度の実質七%経済成長率についてでありますが、私どもは、去る一月十三日発表された日米通商声明に盛り込まれておりますように、七%成長ということは内外の公約であるととらざるを得ないわけであります。総理はこれを否定しようとしておるように私は受け取っておるわけであります。  そこでお尋ねいたしますが、当初通産大臣は、七%成長は国際公約であるという趣旨の態度をとっておられたように私は受け取っております。その点について私は敬意を表するわけであります。と申しますのは、今回の円高の、円高騰の要因といたしまして、ロンドンで開かれました先進国首脳会議で、政府提案をいたしました五十二年度実質経済成長率六・七%への努力を怠ってしまった、そのために貿易収支の大幅な黒字が出てしまった、その点が大きな要因として挙げられるわけであります。すなわち、国際信義上の約束を破ったと、諸外国からの批判が集中砲火的にわが国に向けられた結果によるものであると考えます。したがって、五十三年度において七%成長がもし達成できない場合、再び諸外国から、約束を破ったということで、わが国に対する攻撃は避けられないと私は考えております。こうしたことから、七%成長はやはり内外の公約といたしまして、この達成に努力される、こういう立場を貫くべきであると私は考えます。そこで、重ねて通産大臣の忌憚のない御所見をお伺いしたいと思います。
  109. 河本敏夫

    河本国務大臣 私は、去る十七日一記者クラブで講演をいたしまして、七%の経済成長は国際公約であるという趣旨のことを演説をいたしましたが、それは、その前々日、十五日に、自由民主党が党議として、これは国際公約であるということを正式の党機関で決定をしたということを受けまして、そのような表現をしたわけでありますが、その後、御案内のように、内閣の方で統一見解が出まして、現在はその統一見解に従っております。  しかし、七%成長もさることながら、なぜ七%という成長目標設定したかといいますと、一つは、雇用問題が非常に重大な事態に立ち至っておりますので、やはり産業全体の操業率を上げまして、雇用問題を何とか改善しなければならぬということが一つ。それからもう一つは、わが国が非常に大きな黒字を出しておりますために、世界全体に自由貿易の原則が崩れまして、保護貿易の台頭する傾向が見受けられます。日本は自由貿易の原則が世界で確立をいたしておりませんとやっていけない国でありますが、その国の経済運営が引き金になりまして保護貿易ということになりますと、これは大ごとでございますから、どうしても経常収支黒字をある程度修正をしていかなければならぬ。そのためにはやはり内需の拡大が必要である。この二つの目標実現するために七%という経済成長目標設定されたものと思っております。  でありますから、これはどうしても達成をしなければならぬわけでありまして、総理もいまは内閣の統一見解の趣旨に沿って七%問題を説明をしておられますけれども、内閣の責任において、万難を排し、全力を尽くしてこれを実現してみせる、こういうことを言明しておられますから、私どもはあらゆる政策手段を総動員いたしまして、また、その後予想される変化に対応いたしまして大胆機敏に必要な対策というものを考えていかなければならぬ、ぜひともこれは実現しなければならぬ、このように考えております。
  110. 長田武士

    長田委員 私は、七%達成はどうしても実現しなければならない、こう考えております。しかしながら、わが国経済を取り巻く環境は非常に厳しい状況に置かれております。こうした中にありまして、通産大臣は一月十七日、いまお話がございましたとおり、日本記者クラブの講演、それから一月二十四日の日本経営合理化協会主催の経営セミナーの講演などで、ことしの六月末ごろまでが勝負であるとの発言をされたわけでありますが、私も全く同感であります。したがって、事態の推移によっては追加措置なども当然とらなければならないと考えますが、政府としてはそうした用意があるのかどうか、この点はいかがでしょうか。
  111. 河本敏夫

    河本国務大臣 これは総理も、万難を排してあらゆる措置をとる、こういう趣旨のことを言っておられますし、今回は、先ほど申し上げましたように、雇用問題とそれから国際的に非常に大きな問題が起こっておりますので、私は、やはりこの二つの問題を解決するためにはぜひ実現しなければならないと思っております。  そこで、上半期に公共事業を集中的に発注することになっております。相当大きな投資でありますから、予想外効果が出てくるのではないかと私は思っておるのです。その予想外効果が出てまいりますと、民間の経済も動いてくるのではないかと期待をしておりますけれども、万一ということがございますので、もし万が一、期待する方向に経済が行かなければ、そのときには当然必要な手段というものをとらなければ、これは政府としての責任を果たせないわけでございますから、臨機応変措置をとらなければならぬと思っております。
  112. 長田武士

    長田委員 次に、政府は五十二年度の経済成長率見通しについて、五・三%と下方修正したわけであります。この達成見通しについて大臣の御見解伺いたいと思います。
  113. 河本敏夫

    河本国務大臣 十一月の経済指標は、つい二、三日前に発表になりましたが、少し好転したような感じでございます。しかし、これが本物でずっと永続するかどうかは、実はまだ最終的な分析はいたしておりません。しかし、十一月に好転いたしました一つの理由は、十月に第一次補正を通していただきまして、そしてそれが実行に移された、それが一つの影響だと思っております。それから、今月の末には第二次補正を通していただきますようにいまお願いをしておるわけでございますが、これが通りますと、来月から施行されます。この第二次補正は、三月までの年度内には全部の効果が出てくるというわけではありませんが、若干の効果は期待できると思います。それから、やはり在庫調整がある程度進んでおりまして、たとえば鉄鋼などを例に挙げますと、ほぼ三月には適正在庫に達する、こういう状態でございまして、全体としての在庫調整も順調に進んでおる。そういういろいろな動きを勘案をいたしますと、はぼ五・三%という数字は達成できるのではないかと期待をいたしております。
  114. 長田武士

    長田委員 もう一点、日米通商交渉についてお伺いしますが、日米共同声明によって一応の決着は見たものの、その前途は決して楽観はできないと考えております。もしわが国の経常収支黒字幅の減少が実現しないようならば、再び日米間の経済紛争を招き、さらに円高に拍車がかかるという事態も予測されるわけであります。そのしわ寄せは当然中小企業がこうむるわけであります。  そこで、今後における円の推移をどのように考えていらっしゃるか、日米通商交渉について通産大臣はどのような考えを持っていらっしゃるか、この点についてお伺いをしたいと思います。
  115. 河本敏夫

    河本国務大臣 九月から日米交渉が続いておりまして、約四ヵ月かかったわけでありますが、一応妥結をいたしまして、御案内のような共同声明が発表されました。しかし、私は、これで交渉が妥結したということではなく、むしろこれがスタートだ、こう思っております。共同声明の内容に盛り込まれたような方向に日本経済がいかなければ、いま御指摘になりましたような幾つかの問題が起こってくると思います。そうしますと、また非常に大きな打撃を受けますので、この日米交渉に盛られております経済の方向というものは、万難を排して当然実行に移さなければならぬことだと思っております。
  116. 長田武士

    長田委員 総括的な質問の終わりに、現在政府内で調整が行われているという特定不況産業安定臨時措置法案についてお伺いをしたいと思います。  本法案について伝えられておる内容は、まさに統制色彩の非常に濃いものとなっておるようであります。これでは独禁法の骨抜きと言われてもいたし方がない内容ではないかと思います。私どもも設備廃棄などはある程度やむを得ないと考えておりますが、こうしたがんじがらめの法律案には強い疑問を抱いておる一人であります。  そこで、まず第一に、独禁法との関連をどのように考えておられるのか、第二番目には、関連中小企業等をどのように処置していこうとされておるのか、この二点について大臣見解を示していただきたいと思います。
  117. 河本敏夫

    河本国務大臣 この法律は目下調整中でございますが、法律目的は、いわゆる構造不況業種と言われる産業が非常に深刻な事態に直面をしております。もう少し具体的に言いますと、過剰設備を抱え込んでおるということであります。でありますから、とにかくこの過剰設備を何とかしなければならぬ、あるものはスクラップにする、ある業種では凍結をする、いろいろな対策が考えられると思いますが、とにかく過剰設備のスクラップまたは凍結ということを中心といたしまして、この構造不況業種の立ち直りのきっかけというものをつくり出していかなければならぬと考えておるわけであります。そのために幾つかの対策が考えられますけれども、しかし、要は産業の活力を失うようなことがあってはいけません。  そこで、どういう方法が一番いいか、各方面の意見を謙虚に聞きまして、そして一番いい方法を調整してつくり上げたい、こういうことでいま調整の段階でございますので、数日中にはでき上がるものと期待をいたしております。
  118. 長田武士

    長田委員 それでは、いまの法案については相当修正をされるというお考えですか。
  119. 河本敏夫

    河本国務大臣 私の口から修正するとかしないとかということをいまの段階では申し上げませんが、とにかく各方面の意見を謙虚に聞きまして、日本産業のためにはどういう方法をとれば一番いいのかということを広く意見を聞いて、そうしてまとめ上げたい、このように思っておるわけであります。
  120. 長田武士

    長田委員 先ほども申し上げましたとおり、非常に統制色彩が強いものでありますので、この点はひとつ十分御留意を願いたいと思っております。  それでは、本法案について質問をいたしたいと思います。  初めに、対象業種についてお伺いをするわけでありますが、業種認定については、全国業種認定産地業種認定個別認定とあるわけでありますが、これにかかわる主務大臣指定をする業種主務省令で定める基準に該当する中小企業者とは具体的にどのようなものであるか、お伺いをしたいと思います。
  121. 岸田文武

    岸田政府委員 業種指定につきましては、いま鋭意作業を進めておるところでございます。現在、すでに為替変動緊急融資制度対象になっております五十九業種に加えまして、相当大幅な増加を行いたいと思っておるところでございます。  それから、省令で定める基準の問題でございますが、これは一つは、円高によりまして事業経営相当大きな影響を受けておるという点と、それからこの法律の立案の趣旨からいたしまして、昨年の六月以前から仕事をしていたというような点、この辺に、もう一つ加えるならば、一定の期間内に申請をしているというような形式的要件、これらのことを省令の中にうたい込みたいと思っておるところでございます。
  122. 長田武士

    長田委員 認定された中小企業の下請企業についても、当然対象とすべきであると私は考えるのですが、これはどういう基準で対象とされるのか、また、主務省令などで明文化するのかどうか、この点どうでしょうか。
  123. 岸田文武

    岸田政府委員 製品が円高によって輸出に大きな影響を受けるというときには、当然その部品をつくっている下請の方々も大きな影響を受けるわけでございまして、やはり実質的にそういう方々もカバーし、また応援をするという措置を講じていきたいと思っております。  このときにどういうやり方でやるか、告示の指定の仕方を工夫するか、あるいは解釈通牒のやり方でやるか、その辺はいま技術的に詰めておりますところでございます。いずれにせよ、そういうものもカバーするような方向で考えたいと思っております。
  124. 長田武士

    長田委員 通達等で明文化する考え方ですか。
  125. 岸田文武

    岸田政府委員 告示の書き方で工夫できるものであればそうしていきたいと思いますが、なかなか細かい問題もございますので、場合によっては通達によって処理することもあるかもしれないと思います。
  126. 長田武士

    長田委員 本法案第五条に、設備近代化資金等の償還期限を五年から七年に延長する規定がありますが、この資金中小企業の体質改善のためにはなくてはならないものであります。さらに、中小企業者事業転換円滑化を進めるためにも必要であろうと考えます。また、中小企業者の返済負担を軽くするためにもさらに延長する考えはあるのかないのか、この点いかがでしょうか。
  127. 岸田文武

    岸田政府委員 私ど、ドル対法のときの線で、あるいは府県の事情等も勘案しまして、原案として現行の五年を七年に延ばすという措置を御提案申し上げた次第でございます。私どもとしては、原案を提出した側でございますので、一番いまの段階では妥当なのではないかと思っておるところでございますが、いろいろ御意見のあったこともよく了解をしております。
  128. 長田武士

    長田委員 本法案第六条において、中小企業信用保険法による円相場高騰関連保証特例が講ぜられたことは、私どもがかねてから要求をしてきたことでもありますし、一応評価するわけであります。  ところで、信用保証協会の実績を見てまいりますと、代位弁済の件数が非常に多くなっておるわけですね。各地における保証協会の運営がそういう点で非常に厳しくなっております。政府は、五十二年度第二次補正予算及び五十三年度予算において、中小企業信用保険公庫への出資信用保証協会への補助が計上されておりますが、この金額ではまだまだ不十分ではないかと考えておりますが、この点どうでしょうか。
  129. 岸田文武

    岸田政府委員 この法律を御提案申し上げますにつきまして、予算的な裏づけとしまして、第二次補正において中小企業信用保険公庫に対する九十億の出資及び信用保証協会等に対する基金造成費補助として五億、合計九十五億の手当てをいたしたところでございます。  ただ、お話にもございましたように、各地の保証協会、事故が多発をいたしまして、なかなか経営上苦しい状況になっております。そういう事情も頭に置きまして、私どもとしては、やはり信用補完制度というものはどうしてもみんなに信頼できるような形に持っていかなければならないと考えまして、実は昭和五十三年度予算におきましてはかなり大きな予算をいま国会で御審議を願っておるところでございます。これらの措置をあわせまして信頼できる信用補完制度というものを確立いたしたいと考えておるところでございます。
  130. 長田武士

    長田委員 本法案第六条第三項に、保険料率を通常の三分の二とする規定があり、当然保証協会が信用公庫に支払う保険料は引き下がるわけであります。中小企業が保証協会に支払う保証料が引き下げられなければ、中小企業が恩恵を受けることはできないわけですね。この保証料を引き下げるべく通産当局は行政指導をどう行っておるのでしょうか。
  131. 岸田文武

    岸田政府委員 私どもも、せっかく法律をつくり、保険料率について特例を設けたわけでございますから、それが末端の保証料率にも反映できるようにしていきたいと思っておるところでございます。この法律がお認めをいただきましたら、早速各保証協会に対してそういう方向で指導していきたいと思っておるところでございます。
  132. 長田武士

    長田委員 次に、円高関連保証の特例と関連をしてお伺いするわけでありますが、円高による著しい影響を受けた中小企業に対しては、別枠で特別小口保険等の保証が今回受けられるようになっておるわけであります。しかし、一般の中小企業に対する無担保、無保証の特別小口保険の保証限度、この額が二百五十万円と従来どおりであります。  そこで、保証限度枠を引き上げてほしいという中小企業の要望が非常に強いわけでありますが、この点についてどのように考えておるのでしょうか。
  133. 岸田文武

    岸田政府委員 特別小口保険の限度がいまお話がございましたように二百五十万円になっております。これについて引き上げが考えられないかという声は私どもも聞いておるところでございますが、実はそういう声を受けまして実情を調べてみましたところ、大体、特別小口の引き受けが平均しまして百五十万円程度でございます。そういう実情にあることに加えまして、御承知のとおり、各地の保証協会が経営的にも非常に苦しい状況にあり、これを引き上げますと、また大口の事故が保証協会の経営の足を引っ張るというようなこともございまして、とりあえずこの面について全般的な見直しをすることは今年度は差し控えた次第でございます。  ただ、そうは申しましても、現実円高という大きな影響を受けておるここの部分については、少なくとも特別な手当が必要であろう、こう考えまして、いわばいろいろの問題をこの円高対策という点に集中をいたしまして、そのかわり普通の保険限度の倍まで用意をする、こういう措置を今回講じた次第でございます。
  134. 長田武士

    長田委員 本法案の第八条ですけれども、雇用の安定等について規定されておるわけであります。現在、完全失業者数も百万を突破しておりますし、円高等による企業倒産も増加の一途をたどっておるわけであります。そういう状況下に置かれまして雇用対策充実、強化していくということは最重要課題であると考えます。  この際、政府といたしまして失業の予防、また再就職のあっせん等についてどのような措置を講じて雇用の安定を図っていくお考えであるか。この条文を見ますと非常に抽象的でありますので、具体的にお教えをいただきたいと思います。
  135. 岸田文武

    岸田政府委員 私どもも、雇用の問題は大変重大な問題だと考えております。円高の問題に関連をして失業が多発するというようなことば厳に避けなければならない、こういう意味合いにおきまして労働省ともよく連絡をとりながら対策を進めたいと考えております。  労働省におきましては、雇用調整給付金等の支給によって失業防止のためにいろいろの施策を講じておられますし、また、再就職の促進という面では、公共職業安定所による求人開拓の推進であるとか、あるいは職業訓練の受講等についての積極的あっせん等々の施策を講じておられるところでございますが、これらの施策を十分にうまく使っていきたいと考えておるところでございます。御承知のとおり、数日前に労働省におかれまして円高不況下の緊急雇用対策という措置を発表されました。私どもがいろいろ問題として考えておりますことについて労働省としても積極的に取り組まれるようでございますので、今後ともよく連絡をとり、きめの細かい対応策を進めてまいりたい、かように考えております。
  136. 長田武士

    長田委員 第九条に、円相場高騰影響が大きい地域についての配慮を規定しておるわけでありますが、このことは非常に重要なことだと考えますが、特に大きな影響を受ける地域あるいは中小企業に対しては、この法案における救済策を講ずることはもちろんのこと、いま一歩進んだ対策を講ずる必要があるのではないかと私は考えるのです。たとえば為替変動対策緊急融資制度についても、金利の再引き下げあるいは償還期限の再延長を図るなどの処置が当然とられてしかるべきだと考えますが、この点どうでしょうか。
  137. 岸田文武

    岸田政府委員 産地問題は、特に円高の問題を契機として私どもも非常に関心を払っておるところでございまして、実は五十三年度予算におきましても、産地対策についていろいろ新しい芽を用意をした次第でございます。従来から工場等の集団化事業という形で工場団地をつくったり、あるいは共同工場をつくったりというような形での助成はやってまいったところでございますが、それに加えまして、中小企業対策の面で振興事業団の資金をうまく活用できないか、こういう構想を昨年来いろいろ研究をいたしておりまして、実は五十三年度予算におきまして、振興事業団の新しい事業として産地振興事業というものがスタートするように私ども期待をいたしておるところでございます。  さらにまた、五十三年度の中小企業対策の新しい課題としまして、中小企業経営安定資金助成制度という措置が予定をされております。これは、国と府県が資金を出して、それを民間金融機関に預託することによって、地方ごとの実情に即したきめの細かい金融面助成を行おうという措置でございまして、その使い方の一つとして産地対策として活用するという方向を考えておるところでございます。  以上、申し上げましたような各種の施策をうまく組み合わせてまいりまして、産地に新しい活力を注入をするということに今後とも力を入れてまいりたいと思っておるところでございます。  なお、それに関連をしまして、金利の面あるいは貸出条件の面でもっと優遇できないかという御指摘がございましたが、私どももそういう方向に沿って少しでも前進を図ろうと考えまして、いま与えられました環境のもとで、また他の各種の金融上の助成とのバランスを考えました上で、いま考えられる最高の条件まで今回の措置実現をしたと考えておるところでございます。
  138. 長田武士

    長田委員 過日、通産省は五十二年十二月中における円高影響調査について発表されましたが、その概略についてひとつ御説明を願いたいと思います。
  139. 岸田文武

    岸田政府委員 円高によって産地がどういう影響を受けているかということにつきましては、昨年の七月、十月、情勢が変わります都度実態調査を行い、その状況をフォローしておるところでございますが、特に今年になりましてから、十二月末の状況についてさらに補足調査を行って、最近の情勢をキャッチした次第でございます。  それを見てみますと、まず、新規の成約の動向でございますが、これは十月ごろ非常に為替相場が変動いたしまして、ほとんど注文が停滞したという時期があったのを経まして、十二月には二百四十四円前後でしばらく推移したということから、十月水準よりは多少上がった、しかし、絶対水準としては例年に比べてはるかに低い水準である、こういう状況であるということが判明したところでございます。その結果としまして、手持ちの受注の残高というものが次第に食いつぶされておりまして、前年同期と比べますと、手持ら受注量はかなり落ち込んでおるという状況でございます。  なお、今年行いました調査で初めて出てまいりましたことでございますが、産地の中で雇用調整を図るとか一部休業が出たというようなことが報告をされるような事態まで進んでおるわけでございます。  今後の輸出見通しにつきましては、多くの産地から、このような為替レートが続くならばやはり輸出の落ち込みは不可避である、こういうような報告を受けておるところでございます。
  140. 長田武士

    長田委員 この調査によりますと、輸出向け新規成約も依然として不調であるという結果が出ておるわけでございます。受注残も著しく減少しておりますし、さらに円高による直接の影響を受け、休業や倒産が出ておるわけであります。  政府はこうした状況にどう対処されるのか。調査をするのは結構だとは思いますけれども、当然私は必要だとは思いますけれども、こうした事態に対する改善への対策が、私は最も緊急課題だろうと思います。この点どうでしょうか、具体的に……。
  141. 岸田文武

    岸田政府委員 円高に対応して各産地が何を望んでいるかということを調査をいたしてみますと、何よりもまず、当面のつなぎ金融が欲しいという声が非常に強うございまして、それらのことから為替変動対策緊急融資制度を発足させ、さらにそれを前進させまして今回の新しい法律に結びついてまいったわけでございますが、もっと長い目で考えてみますと、これからの経済情勢、特に国際的な情勢の中で産地が生き延びていくためには、やはり産地自身が新しい方向を求めていかなければならない。それは、新製品を開発する、あるいは新市場を開発する、あるいは新デザインを備えた商品を開発する、こういった方向を基本的な方向として考えていかなければならないのではないかと思っておるところでございます。それと同時に、一部にはやはり事業転換を考えていかざるを得ないという声もございます。これらの声を受けて産地ごとに親切に相談に乗って、今後の産業の方向というものを考えていくことをお手伝いしていかなければならないと思います。  五十三年度予算におきましては、新しい事業でございますが、活路開拓事業という予算が認められております。これは組合が、これから組合をどう持っていったらいいのか、あるいは組合員をどう指導したらいいのか、こういうことについて腰を落ちつけて考えていこう、外部の人の力もかりながら勉強していこう、こういうことを補助するための新しい制度でございます。  さらにまた、先ほどちょっと触れましたように、産地対策についても幾つかの新しい予算がスタートを予定されております。これらの措置産地ごとにうまく組み合わせまして、できるだけこういった産地ごとの新しい方向をお手伝いしてまいりたい、こう考えておるところでございます。
  142. 長田武士

    長田委員 今回、円高法案提案されたわけでありますが、この法案だけでは十分対応できないのではないか、私はそういう危惧を持っておるわけであります。  そこで、通産省、中小企業庁は、本法案以外にどのような対策を講じようと現在考えていらっしゃるのか、この点いかがですか。
  143. 岸田文武

    岸田政府委員 当面、円高に対応して緊急的に措置を講じなければならない事項につきましては、実は先般一月十七日でございましたか、閣議決定でその大綱を決定をしたところでございます。それによりますと、いま申し上げました、いま御提案申し上げております法律に盛られております諸事項のほかに、できるだけ中小企業対策の現在活用できるものをフルに動員をして応援をしていきたい、こう考えまして、たとえば小企業経営改善資金、これは商工会、商工会議所の指導を前提としまして、国民金融公庫から無担保、無保証で金融をつけておる、この措置につきましても、円高というような状況を頭に置いて、一月一日から条件の大幅な改善を行う、こういう措置を講じております。  また、不況業種指定等につきましても、今期はかなり大幅な増加を行いまして、不況を克服する中小企業の努力を支援することにした次第でございます。  当面の対策としましては、この法律以外に、いま持っております政策手段をフルに動員をして当面の対応策としてやってまいるわけでございますが、別途、先ほど申し上げましたような長期的な対策というのも当然必要でございまして、それに対する準備も着々進めておるところでございます。
  144. 長田武士

    長田委員 中小企業者の間では、金を借りたくても以前に借りておる資金の金利の負担が非常に重くのしかかっておるわけですね。そういう意味では返済が非常に厳しいという実情に置かれておるわけであります。中小企業者はそれを訴えておるわけです。  そこで、政府三機関における既往借入金の金利の引き下げの点について、現状はどうなっておりますか、この点についてひとつ御報告願いたいと思います。
  145. 岸田文武

    岸田政府委員 御指摘の点につきましては、昨年十一月一日からでございますが、中小企業信用保険法に基づいて指定されました不況業種に属する赤字中小企業者につきまして、政府中小企業金融三機関からの既往借入金の金利引き下げ措置を実施いたしたところでございます。この措置によりまして、たとえば中小企業金融公庫、国民金融公庫につきましては、最高九・四%の金利が八・六%まで引き下げられておるところでございます。  この措置によります金利の軽減実績でございますが、五十二年十二月末、昨年末現在で二万七千三百八十五件、それから金利軽減対象貸付金残高で一千九百二十一億円という額に達しておるところでございます。
  146. 長田武士

    長田委員 それは、全体での割合はどうなんですか。
  147. 岸田文武

    岸田政府委員 不況業種指定も逐次追加されておりまして、昨年の十−十二月期で企業数で二五%ぐらいが不況業種に該当するというところへいっておりますし、特にことしの一−三月からはたしか四五%ぐらいが不況業種に該当するというような状況になっておりますので、かなり多くのものがこの措置対象になっておるわけでございます。私、正確な数字を記憶しておりませんが、機関別に見ますと、中小企業金融公庫でかなりの高い率であったかと思っております。
  148. 長田武士

    長田委員 その点は、まだまだ現実というのはそんなに甘くないような感じを私は持っておるわけであります。特段の指導をよろしくお願いしたいと思っております。  次に、民間金融機関からの借り入れの金利負担、これは依然として高いわけであります。既往借入金への金利引き下げ等についてどのような行政指導をされておるのか、この点についてお伺いしたいと思います。
  149. 岸田文武

    岸田政府委員 短期の資金でございますと、期限が来ればすぐ新しい安い金利に切りかわってまいりますので、既往借入金の金利負担というものはわりあい早く低減を見るわけでございますが、長期の場合に多少問題が残っております。しかし、それでも私どもの聞いた限りにおきましては、長期信用銀行等のように特別に資金コストが長期的に高いというようなものを除きましては、長期分につきましてもある程度金利の引き下げ措置現実には行われておるというふうに聞いております。
  150. 長田武士

    長田委員 私は、そういう点で見方が非常に甘いように思うのですね。実際問題中小企業等が金利を依然として下げてもらえない。特にいまおっしゃいましたとおり、短期の場合は書きかえをする、あるいは返済する、こういう形で新しく金利レートが決まりますけれども、長期のものについては依然として金利は変わらない。私はそれが実態だと思うのですね。この点どうなんですか、認識が大分違うようですけれども……。
  151. 岸田文武

    岸田政府委員 御指摘ございましたので、私ども少し実態を調べてみたいと思いますが、お尋ねがございましたので、とりあえずとっさに聞いた範囲では、長期信用銀行等を除きましてはやはり若干の低下が行われていると聞いておりますし、私どももそういう方向で今後指導していきたいと思っておるところでございます。
  152. 長田武士

    長田委員 中小企業庁としてはどうでしょう、民間の金融機関の借り入れの金利の実態調査かなにかやられませんか。
  153. 岸田文武

    岸田政府委員 民間の金融機関につきましては、大蔵省の方で所管をしておられますので、私どもはやはり大蔵省を通じて少し実態をフォローするということにいたしたいと思います。
  154. 長田武士

    長田委員 私もその点は大蔵省と何回も話し合いをしたわけでありますが、依然としてそういう点はあいまいなんであります。その点では、中小企業を守る中小企業庁でありますから、中小企業を通して借り入れの実態あるいは金利の実態を調べられた方が実態が把握できるのではないか。それで大蔵省に実態論からいって金利の引き下げを迫るということが筋じゃありませんか。
  155. 岸田文武

    岸田政府委員 御指摘でもございますので、なかなか全貌をつかむというわけにはいきませんが、少しサンプル的にでも実態を調べてみまして、いまのような御指摘の問題について私どもも判断をする材料を得たいと思います。
  156. 長田武士

    長田委員 昨年、中小企業為替対策緊急融資制度が発足した当初、融資資格等の認定をめぐって、出先機関、国金あるいは公庫等で、人員不足や労働時間の節約などから処理の遅滞等がありまして、非常に問題が出てきたと私は耳にいたしております。  そこで、今回本法案の成立後速やかに実施ができるかどうか、非常に重要問題であると私は思うのであります。政府は、各都道府県の出先機関に対しまして本法案の趣旨等について徹底するため、いかなる決意でこれに対して臨まれるのか。この点いかがでしょうか。
  157. 岸田文武

    岸田政府委員 その点はまさに御指摘のとおりでございます。せっかく中小企業の方々の要望にこたえて御提案申し上げました法律でございますから、少しでも早くこの制度に基づく措置中小企業の方々に利用していただけるようにしていきたいと思っております。実はきょう通産局の中小企業課長を集めまして、大体私どもの考えておりますことを説明をいたしました。二月早々に各局もう一度集まりまして最終的な取り扱いについて細かい連絡をし、そして関係機関にもそれが末端まで伝わるように措置をしていきたいと考えておるところでございます。
  158. 長田武士

    長田委員 ことし三月から四月にかけまして中小企業の倒産は激増するのではないか、このような予測さえされておるわけであります。したがって、私は一日も早く制度の実施を望んでおるわけでありますが、法律の運用においてもこれはスムーズに行われなければならないと私は考えるのです。この点についてはどうでしょうか。
  159. 岸田文武

    岸田政府委員 まさに御指摘のとおりでございまして、この法律が末端までスムーズにその内容が理解をされ、そしてそれをうまく利用していただけるように、私どもとしてもできるだけ心がけてまいる所存でございます。
  160. 長田武士

    長田委員 それでは、さきに成立いたしました中小企業倒産防止共済法に基づいて四月より倒産防止共済制度がスタートするように聞いておりますが、その準備状況はどのようになっておりますか、その点お伺いいたします。
  161. 岸田文武

    岸田政府委員 中小企業倒産防止共済制度につきましては、法案を御審議いただきます際から十分念を入れて準備を進め、そして、四月一日施行になった以降は多くの中小企業の方がこの制度に早速均てんできるようにという御要望、私どももよく記憶をいたしております。その後そのラインに沿いまして事務的な作業が着々進んでおりまして、私どもの心づもりとしましては、二月の中ごろに中小企業団体等を集めて説明会を催し、そしてその後それをさらに拡充しまして、もっと多くの方々に理解をしていただくようなパンフレット等の配布を行う、こういう段取りで、いずれにせよ四月一日から円滑にスタートできるように今後とも努力をしてまいる所存でございます。
  162. 長田武士

    長田委員 それでは最後に、長期的な不況円高の中に中小企業が置かれておるわけでありますが、いままでの質問を通して、政府、通産省もこれに対して種々対策を講じておられるわけでありますが、一応評価するものの、これらの対策中小企業者の体質改善が完全に行われるとは私は考えてないわけであります。  そこで、将来における中小企業者の体質強化を図るために、通産省はどのような政策方針を持って指導されていくのか、最後に通産大臣にお伺いしたいと思います。
  163. 河本敏夫

    河本国務大臣 中小企業対策は、通産省の産業政策の中でも最も重要な課題だと私どもは心得ておりまして、今回お願いをいたしております緊急の立法はもちろんでありますが、そのほか、長い間の不況に対処するためにあらゆる政策手段を総動員をしていこう、このように考えております。何分にも日本産業におきまして大きな役割りを果たしております中小企業が健全な形になりませんと、本当の意味でのわが国の産業の発展はない、こういう考え方のもとに、今後とも積極的に中小企業対策を進めてまいりたいと思います。
  164. 中島源太郎

    中島(源)委員長代理 高橋高望君。
  165. 高橋高望

    高橋委員 時間の制限もございますので、いきなりでございますけれども、各論に入らしていただきたいと思います。  まずお尋ねしたいことは、政策金融ということに対しての基本的な考え方でございます。私は、元来政策金融というものは、そのときの国の大きな方向に従って国全体でこれの保護育成あるいは道を切り開くものであろうと思います。  そこで、今回のようなこの法律の必要に迫られているときには、この政策金融の金利というものは格段の配慮がなされてしかるべきではないかと思います。この立場をとりますと、どうも従来の政府関係の金利がいわゆる資金コストに立脚した金利を決めているというこのパターンからこの際思い切って飛躍していただいて、まさに政策金融の本来の姿勢で処理していただきたい。逆に言えば、利子は利子補給という形で国自体が考えるべきではないか、このような判断をいたしたいのでございますけれども、長官、いかがでございますか。
  166. 岸田文武

    岸田政府委員 私どもも中小企業の方々の実情をいろいろ拝見しておりまして、金利負担が大きな問題になっておるということはよく承知しておりますし、そういう問題意識に立ちまして、金利負担の軽減のためにはいろいろ苦労もし、努力もしてきたところでございます。  今回、円高緊急融資に関連をしまして五・五%という金利を設定いたしましたが、これはいまの各種の政策金利の中でも一番低い水準だというふうに申し上げて差し支えないかと思います。     〔中島(源)委員長代理退席、山崎(拓)委員長代理着席〕 他の例としましては、住宅金融公庫で五・五%というのがございますが、それ以外にはほとんど余り例がない水準でございます。  ちなみに、ドルショックのときのいわゆるドル対法前後の金融対策と比べてみますと、当時の金利がたしか六・五%ないし六・二%でございましたので、その当時よりもはるかにまた改善をしたと私どもは思っておるところでございます。  ただ、そういうふうな改善をしますためには、いまお話のございましたように、利子補給を要するわけでございまして、五十三年度予算におきましては、この円高の緊急融資について五・五%を実現するために必要な利子補給を計上いたしておるところでございます。
  167. 高橋高望

    高橋委員 長官、お言葉ではございますけれども、これは協同組合が共同事業を行うときでございますから若干情勢は違うと思いますが、設備近代化資金は私の記憶では二・七%であろうと思います。また、公害関係の融資については三・〇だと思いますが、長官、いかがでございますか。
  168. 岸田文武

    岸田政府委員 いまのお話の中で二・七%、これは振興事業団の融資しております金利でございますが、これは個々の企業のいわゆる運転資金と違いまして、組合という新しい生命体が新しい方向で中小企業の高度化のために協力をする、こういうことを制度として支援しようという特殊の目的でつくられた金利でございます。私ども先ほど申し上げましたのは、一般の資金、特に運転資金につきましてはほかに例のない低い水準であるということを申し上げた次第でございます。
  169. 高橋高望

    高橋委員 運転資金であるという中での一番低い金利だということ、そのように承りました。  それでは、重ねてお伺いいたしますが、現在の中小企業が設備投資をし、新規事業を営んでまいりました場合には、理想的な姿としては、設備資金は国から借りる、あるいは地方自治体から借りる、そして運転資金は民間金融機関から借りるというその原則で一般的な中小企業、特に製造業の連中は取り組んでおると私は思います。そうなりますと、今日時点で、この運転資金は一般金融機関の最も低い金利よりも下であるべきだと判断いたしますが、いかがでございますか。
  170. 岸田文武

    岸田政府委員 考え方としましては、政府が特別に力を入れて応援をする資金でございますから、一般の場合と比べまして一層手厚い応援が行われたという形になるのが筋かと思います。  ただ、これは念のために申し上げるわけですが、この円高緊急融資は、御承知のとおり、期間が六年間というかなり長期の資金でございますし、特にその中で三年間据え置きというような特例措置が講ぜられておる資金であるということを前提として御理解をいただきたいと思うわけでございます。
  171. 高橋高望

    高橋委員 いま、一般金融機関が金を貸し出す場合に、優秀な中小企業に対しては五%を割った金利で済ませているという現実は御承知でいらっしゃいますか。
  172. 岸田文武

    岸田政府委員 特に優秀な企業につきまして、短期の資金であれば、場合によっては五%ということはあり得るだろうと思います。
  173. 高橋高望

    高橋委員 そうであれば、私の判断では、この問題の性質上、しかも運転資金である、国の政策融資であるという立場をとった場合には、五%以下の金利を施行しても当然ではないかと思いますが、長官、いかがでございますか。
  174. 岸田文武

    岸田政府委員 それにつきましては、先ほども申し上げましたように、期間が六年という長い期間、しかも据え置き期間三年というような措置であること、これをまず御理解を賜りたいと思うわけでございます。特別の優秀企業について短期の場合にはあり得るだろうというふうに申し上げましたが、実は私どもは逆の声を非常によく聞いておるわけでございまして、中小企業が金を借りたいと思いましても、民間金融機関に行きますと、信用金庫、信用組合等々かなり資金コストが高くて、結果的には相当資金負担になっておるというような実情も、これはまたかなり一般的のようでございまして、それらを総合的に勘案をすれば、今回の五・五%という形で一律に適用されるということは、実質的にはかなりの応援になるのではないかと考えておるところでございます。
  175. 高橋高望

    高橋委員 それでは、運転資金の問題は一応この辺にさしていただいて、長官、一件当たりの融資限度額はどの程度をお考えになっていらっしゃいますか。
  176. 岸田文武

    岸田政府委員 窓口としては中小企業金融公庫あるいは国民金融公庫が当たるわけでございますが、この為替変動対策緊急融資におきましては、通常中小公庫、国民金融公庫が貸し出す限度のほかに、別枠としてそれにプラスアルファの資金を貸し出すという道を開いております。具体的に申しますと、中小企業金融公庫の場合には運転資金の貸出限度が六千万円でございますが、この為替変動対策緊急融資につきましては、そのほかにさらに二千万円という限度を用意をし、国民金融公庫につきましては、一般の限度が一千二百万円でございますのに対して五百万円という別枠用意する、こういう形で運用いたしておるところでございます。
  177. 高橋高望

    高橋委員 現在、この種の、この融資の必要を感じている中小企業がお願いに行く窓口としては、やはり地方自治体の窓口がもっぱらになろうかと私は思います。そしてまた、その直接の窓口になるところは、いわゆる民間金融機関の中でも信用組合を含めたまさに末端の金融機関がこの任に当たると思います。この二つを考え合わせた場合に、いま県並びに指定都市——私の場合は特に住まいが指定都市でございますが、指定都市のこの問題に対する取り扱いが少々ずれがあるということは、長官、御承知でいらっしゃいますか。それぞれの県並びに指定都市あるいは国、この三つの間にずれがあるということは御承知でいらっしゃいますか。
  178. 岸田文武

    岸田政府委員 私、いろいろ調べてみましたところ、円高の問題で困っておる中小企業に対して、国として制度融資を用意したことに加えまして、各府県なりあるいは指定都市ごとにそれぞれ独自の工夫をこらして、円高緊急融資に準じた制度用意しておられる、その内容はいろいろさまざまな内容を持っておる、こう理解をいたしております。
  179. 高橋高望

    高橋委員 さまざまな内容とおっしゃるのですけれども、その言い方をすれば、逆に言えば、国でどのような法律を準備しても、地方自治体並びに指定都市の意向で、その場所で国の決めたものよりもよい場合は結構ですけれども、悪いことが行われても、これはそのままお認めになるということでございますか。
  180. 岸田文武

    岸田政府委員 私ども国の制度は、政府金融三機関を窓口として、そこを通じて金融が行われるという形でございますが、府県の場合にはそれ以外の窓口が利用されるわけでございます。このときには、府県なりあるいは指定都市は、国の制度もにらみながら、それぞれの府県なりあるいは政令都市ごとに地元の中小企業対策として独自の制度用意されるわけでございますから、それは国の制度と矛盾をするということではなくて、利用者からすれば、国の制度も利用し、あるいは府県の制度も利用する、こういう道が開かれておるわけでございます。
  181. 高橋高望

    高橋委員 そこでお伺いしたいのは、国の場合には直接貸しと代理貸しと当然二つ出てくると思います。すでに十月から施行されたこの法律の前の形の中で、実際問題として直接貸し、代理貸しの比率はどのくらいでございますか。
  182. 岸田文武

    岸田政府委員 政府関係金融機関の直接貸し、代理貸しの比率につきましては、大ざっぱに申し上げますと、国民金融公庫の場合で大体半々、それから中小公庫の場合で八割が直接貸し、二割が代理貸し、こういう比率になっておるかと思います。  その中で為替変動対策緊急融資だけを取り上げてみればどれくらいかということは、ちょっと数字がございませんので即答いたしかねますが、大体同じ程度の比率ではないかと思っておるところでございます。
  183. 高橋高望

    高橋委員 私の聞いておる範囲では、もうすでに数字はお持ちのはずなんですがね。たしか、代理貸しの方が三で直接貸しが一ではないかと思いますが、違いますか。
  184. 岸田文武

    岸田政府委員 失礼いたしました。資料ございました。これで見ますと、為替変動対策緊急融資の貸し付けの中で、代理貸しのウエートが全体として見ますと約二五、六%になっております。
  185. 高橋高望

    高橋委員 代理貸しの方が少ないとおっしゃるわけですね。——それでは私の調査か不十分かもしれません。また後ほどお調べくださいませ。
  186. 岸田文武

    岸田政府委員 もう少し細かく申し上げますと、中小公庫では代理貸しがかなり比率が高うございます。五割以上が代理貸しになっておりますが、国民公庫、商工中金で代理貸しの比率が非常に低うございまして、全体として見ますと、先ほど申し上げましたように、二五、六%になっておるという関係でございます。
  187. 高橋高望

    高橋委員 この場所では理解させていただきます。  それで、代理貸しになった場合に、代理貸しの窓口が独自な融資方法を展開するということはございませんか。
  188. 岸田文武

    岸田政府委員 政府関係金融機関の代理貸しを行っておるという限りにおきましては、統一的なルールによって処理をいたしております。
  189. 高橋高望

    高橋委員 話がもとへ戻りますが、同じような趣旨で展開される地方自治体についての状況としてはいかがでございますか。
  190. 岸田文武

    岸田政府委員 昨年の十一月一日現在で調査をした資料によりますと、全国の都道府県及び指定都市の中で三十六都道府県と七市が円高対策として何らかの緊急融資制度を実施しております。その内容は、府県ごとあるいは市町村ごとに条件において若干の相違がございます。
  191. 高橋高望

    高橋委員 私は、先ほども申し上げましたように、この種の問題は直接には地方自治体との接触が多いように思いますので、この立場をもうしばらく続けさせていただきたいと思います。  地方自治体が取扱金融機関としてやはり各金融機関を指名すると思います。この指名された金融機関がそれぞれ独自の金融の態度のもとで申し込み者に対して臨むというのが現在までの常であろうと思う。とかく政府関係のお金のありがたみがわからないといいますか、その温かみが届かないことの理由の一つに、取扱金融機関の窓口によってぼかされてしまうというか、金融機関の根性がまる出しにされてきて実際の温かみが感じられない。ある場合には、それが累積されると、仮に政府の方で、私たちのこの段階で幾ら協議をいたしましても、借りる方が最初からもううるさいだけだという印象でこの問題に取り組まないということが間々見られるわけであります。そういう点について、長官、何か今度の場合などは特に地方自治体に対するよい意味での中央での御指示があってしかるべきでないかと思いますが、いかがでございますか。
  192. 岸田文武

    岸田政府委員 私どもも、せっかく府県ないし市町村が独自の制度としてやられるのであれば、国の制度もにらみながら、少しでもいい条件で私どもの制度を補完していただくということは好ましいことだと思うわけでございます。したがって、一つの便法でございますが、各府県、市町村のやっております円高に関する緊急融資の制度を一覧表のような形にでもしまして、お互いにこういうことをやっているのかというようなことがわかり合えば大体の線が次第にそろってくる、こういうようなこともあろうかと思います。画一的にこうしろああしろというようなことは、やはりせっかく独自の工夫をこらしてやっておる制度でございますから、画一的にはまいらないかと思いますが、漸次少しでもいい条件をそろえられるというような方向で何らかの示唆を与えるということを工夫してみたいと思います。
  193. 高橋高望

    高橋委員 実は私たちの党の立場では、全都道府県ということではございませんけれども、一部県で、国と県と市との、この場合は指定都市でございますが、いろいろな対照表をつくってございます。その中でのお話を実は私はきょう申し上げているので、それはもう何度も申し上げるように、この種の問題は、地方自治体がとかく多くて、あるいはトラブルの種も多くて、しかもその地方自治体の指定する取扱金融機関との間に絶えず問題があるということが浮かび上がっているものですから、そこでいまのようなお話は、実は今日までではなくて、もっと前からやっておいていただいて、そして特にこういった異常事態の融資制度については、今日はもうその調査されたものを十分生かす時期が来ているのではないか、私たちはそのように判断いたします。  そこで、これから一覧表をつくって云々と言われたのでは、いささかどうもお仕事としてはテンポがずれているのではないか。そのような考え方が、逆に政策をより広めるという意味で不十分なことになっているのではないか、このように判断いたしますが、あえて申しますならば、反省を求めるという意味で長官のお言葉をいただきたいと思います。
  194. 岸田文武

    岸田政府委員 御趣旨はよくわかりました。私どもも、今後ともお話しのような方向で、できるだけ努力をしていきたいと思います。
  195. 高橋高望

    高橋委員 せっかく大臣お見えでございますので、一言伺っておきたいことがございます。  私は、今度のこの法律は大変ありがたい法律だと思いますし、われわれの党としても喜んで賛成させていただきたいと思っております。ただ、この種のことがさらに回数を重ねて改定されたりあるいは行われたりするということを非常に懸念するものでございます。この立場に立ったときに、昨年の十二月にロサンゼルスでアメリカのAFL・CIOが大会を開いておりますけれども、その労働組合の大会で、労働組合の幹部の中からアメリカに保護貿易論を要求する声が出ているということは、大臣、御承知でいらっしゃいますか。お知りにならなかったらお知りにならないで結構でございますが……。
  196. 河本敏夫

    河本国務大臣 アメリカでは、労働組合だけではなく、産業界、それから議会等にも相当根強い保護貿易論があるということは承知しております。
  197. 高橋高望

    高橋委員 大臣、私が申し上げたいことは、労働組合ですら保護貿易論を出してきた背景に、日本は業界が悪くなると政府が補助金を出す、こういった体質の国と争うためには保護貿易論以外にないということを言い出しているわけです。ですから、私は、法律自体はありがたくて、こういうことは全面的にやっていただきたいけれども、これをより有効にと申しましょうか、ある意味においては、今日の時点の状態でもう一度出さないで済むためにも、この際、国際的な感覚の中からこういう問題をお取り上げいただきたい。国内の一つの現象に対してと。あえずのことだけで済む問題ではなくなっている。この種の問題には絶えず国際的な配慮の中からお取り組みいただきたいということを、党の立場からお願い申し上げたい。いかがでございますか。
  198. 河本敏夫

    河本国務大臣 この法律は二年間の時限立法になっておりまして、二年の間には何とか経済を正常に復したい、そのためには、いま国際的に問題になっております日本貿易の大幅な黒字を妥当な線まで修正したい、こういう国際的な立場で今後の経済運営をすることによりまして、何とか二年程度で終止符を打っていきたい、こう考えております。
  199. 高橋高望

    高橋委員 大臣、ありがとうございました。  長官、もう一つ、私お願いを申し上げたいことがございます。くどいようでございますけれども、各地方自治体で取り扱われているものについてこれから一覧表をつくられる、実態調査をなさるという場合に、どうぞひとつ、一番有利なと申しましょうか、借りる方にとって有利な条件を拾い集めて国の方策にしていただきたいと思いますが、いかがでございますか。
  200. 岸田文武

    岸田政府委員 各府県なり政令都市としましては、当然、地元の中小企業のためによかれかし、喜んでもらいたいという気持ちでやっておられるのだろうと思いますから、お互いに情報を交換しているうちに、次第次第にそれが改善の方向に向かっていくだろうと思っております。私どももそういう方向を支援してまいりたいと思います。
  201. 高橋高望

    高橋委員 さらに、細かなことになりますが、指定都市あるいは県などによって提出する書類が違うということも、私、この際申し上げておきたいと思います。たとえば、ある市では為替の差額を証明する書類を添付書類につけろという市もございます。ところが、自分たちの申告だけでいいと言っている自治体もございます。こういったいろいろな配慮の中で、特に下請の方々あるいは中小企業の人たらは、書類などをつくったり、そのようなことは非常におっくうなことで、また現実にできにくいものでもございますから、どうかそういった意味で、国の方で一定の書類上の枠などはそろえていただきたいと思いますけれども、長官、この辺はいかがでございますか。
  202. 岸田文武

    岸田政府委員 これはそれぞれの府県なり市がやっておられることでございますので、これでいけというふうに画一的にやることはいかがかというような気もいたしますが、要は、基本は国の制度というものがあるわけでございますから、国の制度を見習っていただいて、そしてそれに準じたような扱いがだんだん広がっていく、こういう形が一番望ましい姿ではないかと思っております。そういう方向につきましては、私どもも工夫をしてみたいと思います。
  203. 高橋高望

    高橋委員 最後に、お願いになります。  それは確かに国の場合、地方の自治体の場合等々について責任分担あるいは行政上の問題等もいろいろおありになりましょうけれども、この種の問題だけは、せめて国の大きな動きの中で各地方自治体に対していい意味での拘束をしていただきたい、そろえていただきたい、これをお願い申し上げて、私の質問を終わらしていただきます。  ありがとうございました。
  204. 山崎拓

    山崎(拓)委員長代理 安田純治君。
  205. 安田純治

    安田委員 時間の関係もございますので、単刀直入にお伺いしたいと思いますけれども、中小企業為替変動対策緊急融資制度の実施状況は現在どうなっておるかをまずお伺いしたいと思います。    〔山崎(拓)委員長代理退席、委員長着席〕
  206. 岸田文武

    岸田政府委員 お話の緊急融資制度は、昨年の十月一日から発足をしたわけでございますが、十月から十二月までの三ヵ月間の実績を見ますと、三機関合計で、件数で一千八百六十件、金額で百五十億円ほどが利用されておるという状況でございます。特に、月別に見てみますと、十二月に入ってから利用が非常に増加しておるということが見受けられるわけでございます。  これは、一面ではこの制度が次第に浸透してきたという面もあるかと思いますが、それと同時に、十一月四日の閣議決定によって貸付条件の緩和をしたという点もあずかっているのではないかと思っておるところでございます。
  207. 安田純治

    安田委員 緊急融資制度は、これ自体必要なものと考えますけれども、中小企業庁の産地調査報告、一月二十四日付で発表されていると思いますけれども、これによりますと、輸出成約あるいは受注残、輸出見通しともに全体的に悪化しておるというふうに報告になっていると思います。昨年比が八〇%以上減のところもあるし、受注残が二〇%未満というように非常に危機的な状態の産地も出ておるというふうな報告があるわけです。  この法案金融上の措置中心としているように思いますけれども、これらの危機的な状況の産地中小企業者に対して、本法案だけで十分な救済機能を果たせると考えていらっしゃるかどうか。先ほどから各委員のいろいろ議論がございました。岸田長官のお話だと、たとえば、むしろ円高による輸入で被害を受けている、そういうようなところに対してもいろいろ知恵をしぼって考えたいというようなお話でしたけれども、何か具体的な策をお考えなのかどうか、お答えいただきたいと思います。
  208. 岸田文武

    岸田政府委員 各産地の声を聞いておりますと、当面つなぎ金融を、ぜひ条件を改善して充実したものにしてほしいという声もございますが、もっと生の声は、何よりもまず景気がよくなってほしいというのが一番の基本ではないかという印象を受けておるところでございます。景気さえよくなれば、多少その間は苦しくてもしのいでいける、先に明るさが欲しいという声をよく聞いておるところでございます。それと同時に、よく私どもの耳にしますのは、為替レートが少しでも安定的なものであってほしいという声もよく聞いておるところでございます。  これら大きな施策につきましては、政府全体として取り組むべき問題でございますが、私どもは、中小企業対策としても、やはりこの際当面の対応策だけではなくて、長期的な対応策もじっくりと考えておく必要があるのではないかと思っておるところでございます。新技術、新製品の開発等々につきまして、近代化促進法による知識集約化事業を活用するとか、あるいは場合によっては事業転換法をうまく使って新しい産業をその産地に育てていくとか、この際、少し長期的な目で見て方向づけをし、その方向づけを支援するような手を打っていきたいと思っているところです。  こういうことを進めるにつきましては、やはり産地ごとに実態を聞き、また希望を聞き、また産地ごとに勉強をしていただくということが先決問題でございますので、まずはその辺からひとつ取りかかっていき、具体的な施策まで結びつけていきたいと思っておるところでございます。
  209. 安田純治

    安田委員 この法案を審査する、いわば当否を審査する前提条件といいますか、先ほど加藤委員がきわめて率直明快に、かつ大胆に問題点をその前提条件について指摘されました。この二百四十円前後の円相場が一体いつどのように変化する見通しでおるのかということですね。これはきわめて必要な前提条件だと思います。これについては、先ほどのお答えを聞いておりますと、きわめてあいまいなお答えしがなかったような印象を受けるわけであります。これが一つ。  もう一つは、いま岸田長官が、産地の生の声を聞くと景気回復が一番、そういう声があるという、それはあたりまえな話でありまして、それはそうなれば文句はないわけですけれども、「円高産地に与える影響について」というこの報告は、一体どういうところから徴収されたのか。どうもつなぎ資金の融資とか事業転換のガイドラインとか、こういったようなことだけでは済まない、実際はそんななまやさしい状況ではないのではないかというふうに思うので、この生の声をよく聞いているかどうか、その実態を本当に生の状態で把握されているかどうか、これもまたこの法案の当否を判断する前提条件だと思うのです。これも余りはっきりしないということになると、結局この円相場見通しもはっきりせず、それから現在の被害状況における生の声も的確にはつかんでないとなれば、この法案の審査の前提条件は全く欠けることになってしまうのではないかと思います。  そこで、私どもの方で調べた現地の状況などは非常に深刻でございまして、つなぎ融資とか、それはもちろん必要です。私どもはこれは必要じゃないと言っているわけじゃございません。そういうこともさることながら、いまや生き死にの状況になっておるということがあるわけであります。たとえば板橋の双眼鏡などをつくっている業者の方々がおるわけですが、私どもの調査で見ますと、単価は、輸出物以外も含めて一〇%切り下げられてきておる。そういう中で、双眼鏡からライフルのめがね、カメラのレンズに切りかえている業者も出てきておる。ライフルのめがねの研摩は一個何銭という単価なので、これ以上切り下げられてはやっていけない、こういうような状況も出ておりますし、それから大阪の伸線、ネジ、ワイヤロープ、綿布、自転車部品、縫製、こうしたものも、もう実にたくさんの問題点があって、大変なものだと思うのです。  伸線なんか見ますと、輸出が八〇−九〇%の依存率だと思いますけれども、仕事量が三〇%から五〇%減で、工賃は三〇%ダウンしておる。たとえば月三十万から三十五万の売り上げ。これは水揚げですね、二人で。こういう零細企業の場合ですけれども、電気代が二十万円、そのほか油代など諸経費を引くと十万円以下の状態である、こういうようなことにもなっております。これは挙げておると切りがありませんので、時間がありませんから……。  そのほかにネジ、ワイヤロープ、綿布、自転車部品、縫製、いずれもこういうことになっておる。それからあと関市の刃物などですね、これなんか見ましても、単価の切り下げ、製品の値崩れが起こっておるというようなことが事実としてあるわけでして、こういうことを考えますと、既往債務の償還の繰り延べ、つまりジャンプですね、それから金利の利子補給、こうしたこともしなければいかぬのじゃないかというふうに思うのですけれども、その点いかがでしょうか。
  210. 岸田文武

    岸田政府委員 産地の実情につきましては、当初は二十余りの産地につきまして調査をしておったわけでございますが、その後対象を拡大いたしまして、大体輸出比率二〇%以上の輸出産地はほほ網羅をいたしまして、七十九産地対象として調査を行っておるところでございます。  いまいろいろお触れになりました産地、私聞いておりまして、ほとんど私どもの調査対象になっておるところでございますし、また、そこで出ております事態というものにつきましても、私ども相当深刻に受けとめておるところでございます。たとえば冒頭にお触れになりました板橋等におきましては、受注残がもう最近では三十日分ぐらいしかないという状況でございます。私どもも、中小企業庁におりまして、各産地から次々にいろいろ陳情にお見えになりまして、事態は十分把握しておるつもりでございます。それなるがゆえに、今回特に緊急に法案をお願いしたという経緯になっております。  御提案の中に、返済猶予等々についてもっと弾力的にできないかという点、これは私どもも従来から気をつけてやってきた問題でございまして、金融機関としては貸した金は回収したいというのは当然であろうとも思いますが、しかし、金を返してしまったために企業がつぶれたのでは元も子もないわけでございまして、その辺は相手企業の実情というものをよく見きわめて、そして、長い目で見てその企業が育てられるという見きわめがつきましたら、積極的にこの弾力化を図るというのは金融機関としても考えるべきことではないかと思っておるところでございます。  政府金融機関につきましては、かなり償還猶予の実績がございます。五十一年でたしか四万件程度の償還猶予をやっておりますし、五十二年は恐らくそれを上回る実績が記録されるのではないかと思っておるところでございます。
  211. 安田純治

    安田委員 こうした既往債務の償還猶予についての利子補給については、お考えになりませんか。
  212. 岸田文武

    岸田政府委員 当面、資金繰りに困っておるということであれば、償還猶予を実施すればその分だけ負担分が減るわけでございますから、そこを実情に即するようにやれば、御要望の点は解決できるのではないかと思っておるところでございます。
  213. 安田純治

    安田委員 金利を政令によって五・五%にする場合の利子補給財政負担はどのくらいお考えでしたか。
  214. 岸田文武

    岸田政府委員 五十三年度予算におきまして、為替変動対策緊急融資にかかわる利子補給予算をお願いいたしておりますが、その数字を引用させていただきますと、五十三年度分だけを取り上げてみますと、為替変動対策緊急融資分としまして七億七千三百万円、別途事業転換につきましても同様利子補給を要するわけでございますが、この分としまして五十三年度分が七千九百万円を用意いたしておるところでございます。
  215. 安田純治

    安田委員 その計算の根拠はどういうところから出ておるのでしょうか、大体大まかな見積もりで言っているのだろうと思うのですけれども……。
  216. 岸田文武

    岸田政府委員 為替変動対策緊急融資につきましては、融資規模を二千二百億円と想定いたしまして、六・二%までの金利は従来から金融機関の自己努力で実現をしたわけでございますから、六・二%と五・五%の差、〇・七%分を計算いたしまして、先ほどの金額を計上した次第でございます。
  217. 安田純治

    安田委員 この既往債務の利子補給をしても、財政上から見てもそれほど負担にはならぬのじゃないか、金額から見てそういうふうに思うのですが、どうでしょうかね。財政上の負担に耐えられないという理由でお考えにならないのか、それ以外の理由でお考えにならないのか。
  218. 岸田文武

    岸田政府委員 既往債務の金利負担の軽減につきましては、先ほど別の席で御答弁申し上げましたように、一部不況業種につきまして特例的に実施をいたしておりますが、それらにつきまして、も一つと従来の債務を全部利子補給して、金利負担を軽減してやればいいではないか、もしそうなりますと、全体の資金量からしますと相当膨大なものでございますし、また、それに要する財政負担も相当金額になろうかというふうに考えられます。ただ、そういうようなやり方をやるよりは、先ほど説明を申し上げましたように、返済猶予という措置を機動的にやることによって、実質的には企業の負担というものがカバーをされ、そして企業に対して経営の立ち直りの機会を与えるということにつながるように思いますので、大体そういう方向で考えていくのが筋ではないかと考えておるところでございます。
  219. 安田純治

    安田委員 次に、下請も本法案の救済する対象に入るということでございますけれども、どの範囲にするか技術的に詰めておる、告示か通達か、どちらでやるかということはいま考えているのだというお話、先ほど御答弁があったと思うのですが、河本通産大臣にお伺いしたいのですけれども、大臣は実業界というか企業の生きた実態について大変お詳しい方だと伺っておりますけれども、実際日本の下請の場合は、二次、三次、四次と非常に複雑になっておると思うのです。したがって、そうした下請企業のどの範囲までをまず認めるかということは、非常に複雑な問題があるだろうということは私どもわかるわけですけれども、この法律を実施するに当たって認定を受ける場合の手続でございますけれども、これが余り複雑では、中小零細企業、ことに零細企業の下請なんかでは実際なかなか適用を受けられない、仏つくって魂入れずになるというおそれもあると思うのです。  いままでのこうした認定の手続を見てみますと、たとえば緊急融資について申込書をもらいに行って、申込書を提出に行って、調査のために呼び出されて、それで契約に行く、これで四日間くらいかかるというわけですね。その間に数種の書類を準備したり、保証人が問題ですけれども、それから自治体に証明してもらいに行く、指定業種の証明申請書をとりに行く、提出に行く、それで証明書をもらいに行く、これで三日かかる。少なくともこういうふうにして七日ぐらいかかるわけですね。そうしますと、相当権限を任せることができる事務員でも雇えるくらいならいいのですけれども、二人、三人でやっておる零細業の場合、これだけの手続を全部やるということになると実際困難になる。先ほど産地の実態を申し上げましたけれども、大阪の伸線の場合でも、二人でやって水揚げ三十万だとか三十五万だとか、こういうところになると、こういう手続が煩瑣ではちょっと仏つくって魂入れずになると思うのですね。  細かい技術的なやり方については事務当局にお伺いしますけれども、まず大臣伺いたいのですが、そういう点で現在行われている緊急融資制度の中でいろいろ手続がありますけれども、より簡素化していくような方向でお考えいただけるかどうか、基本的なお考えについてまず伺いたいと思うのです。それを技術的にどう実現するかは、また事務当局伺います。
  220. 河本敏夫

    河本国務大臣 手続は、できるだけ簡素化させるようにいたさせます。
  221. 安田純治

    安田委員 そこで、事務当局伺いたいのですが、たとえば二次、三次、四次の下請になると輸出関連かどうかがわからないのですね。実際の下請ではつくっている部品がきわめて小さい、何に使われるかわからないような部品をつくっておる。それが幾つか合わさってだんだん上に上がっていく。ですから、たとえば親企業の証明というものが必要になると、一体どの辺までさかのぼっていくのか、ルーツをさかのぼるというのは大変むずかしい業種もたくさんあると思うのですね。そういう場合にどの程度のことをお考えなのか。たとえば親企業の証明というものと並行して、親企業の証明にかわるものとして、ルーツの非常に複雑なものですね、この場合には同業の組合とか事業組合とか、そういうところの証明で足りることにするとか、そういう方法をお考えいただけないかどうか。
  222. 岸田文武

    岸田政府委員 私どもも、せっかく制度をつくるわけでございますから、なるべく利用しやすくということで工夫をしていきたいと思います。確かに、お話のように、親企業の証明ということになりますと、やはりそこへ顔を出すのも気が重いという場合もあろうかと思います。そういう場合には、場合によっては下請組合のような公的な組合の証明をもって足りるとか、それから御質問いただいたので、ちょっと中でも議論しておったのですが、たとえば下請振興協会には、下請関係の登録がございますから、非常に簡易に認定をしてもらえるという道もあるのではないか、この辺、少し工夫をさしていただきたいと思います。
  223. 安田純治

    安田委員 時間が来たようですから、最後に一問だけ。  先ほど加藤委員がきわめて明快に問題点を指摘されましたこの円相場見通しの問題ですね。この問題がきわめてあやふやなままこの法案が二年の時限立法で一体賄えるのかどうかといういろいろな問題きわめて不確定要素があって、それだけでは当否を何とも言いかねるという答えもまた引き出されると思うのですね。したがって、これは対症療法でございますし、緊急な一つの手段でございますので、この法案を否定するわけでも何でもないのですけれども、表現から言っては悪いかもしれませんけれども、まさに腰だめといいますか、ねらい撃ちではなくてとりあえず腰だめで試射してみるというような、前提条件が非常にあいまいでございますから、そういう要素が非常に強いと思うのですよ。  したがって、この運用の過程において、たとえば利率の引き下げとかそういうようなことを大胆に行う、そういうようなお気持ちがお約束いただけるかどうか、通産大臣に最後にお伺いして、きょうの質問は終わりたいと思います。
  224. 河本敏夫

    河本国務大臣 まず今回提案をいたしました内容でやっていただきまして、私どもは事態が改善をされることを期待しております。しかし、万が一さらに事態がひどくなれば、そのときに内容を少し改善するとか、そういうことについてはまた改めて御相談をしたいと思います。
  225. 安田純治

    安田委員 終わります。
  226. 野呂恭一

  227. 大成正雄

    大成委員 新自由クラブの大成でございます。  大臣以下、朝早くから夜中まで大変御苦労さまでございますが、最後でございますので、ひとつ御協力をお願いしたいと思います。  単刀直入に承りますが、第二次補正関係中小企業対策予算についてです。今回の一連の円高不況対策としてのこの措置については、私ども全面的に賛成でございますし、早く成立させたい、このように考えておりますが、幾つかの問題点があります。  第一は、金利の問題です。商工中金に既往分五十億に出資を三十億加えて八十億、そして中金の金利を五・五%に政策金融として下げよう、こういうわけでございますけれども、この五・五%という金利はやはり高過ぎると思うのです。もちろん、中金の場合にワリショーの利回り等もあります。ですから、確かに出資によってカバーするという必要性はありますが、百尺竿頭もう一歩を進めて、もうコンマ五%ぐらいは何とか下げられるのじゃないか。二千二百億として、コンマ五としても十一億ですよ。  今回、他の中小公庫や国金の方に対しては一般会計から利子補給をして利下げをしようというかつてない発想の転換をされたわけです。これは河本さんが通産大臣になったからこういう発想の転換ができたんだろうと私は思うのですよ。しかしながら、住宅金融公庫の金利が五・五だ、この壁にぶち当たってそれ以下には下げられないという発想は、私はまだまだ古いと思うのです。  特に民間企業の優遇金利、先ほど来お話がありましたように、五%割っているところもあるくらいなんです。中小企業の場合には、一般の市中金融としては、経営指標も悪いですし、そういう優遇金利の適用はならない。ですから、この高い金利になってくるわけですから、せめて中小企業に活力を与えるという意味では、減税と同じような意味でもっとこの金利を下げるという、そういう発想の転換を進めていかなければならない。  商工中金でさえも商工債のワリショーの利回りを考えながら、わずかな出資をして、そうしてどうにか五・五%に政策金融だけでも下げるという発想は変えていかなければならない。ましてや、中金の構成員貸しにしてもあるいは組合融資にしても、実勢金利からするならば八%前後でしょう。中金の利用者の声としては、商工中金も結構だけれども、ちょっと金利が高過ぎるよという声はちまたに満ち満ちているのですよ。これはぜひ何とかしなければならない。  これは中小企業庁長官に承っても、先ほど来の答弁の繰り返しになると思うのです。ともかく長期だとか据え置きがあるとか、こう言っているのですけれども、資本回転率からいったって、設備投資の回転率からいったって、何からいったって民間企業がそう早く借金が返せるわけがない。長いのがあたりまえなんだ。それは金利を安くできないという理由にはならないと思うのです。そういう意味で、私は、福田さんじゃ景気がよくならないかもしれないけれども、河本さんが通産大臣になったから何とか景気も幾らか期待が持てるのじゃないかという声もあるわけですから、まず、通産大臣に、すてっぺんにこの話を承りたいと思います。
  228. 河本敏夫

    河本国務大臣 この制度が昨年の秋にスタートしましたときには、金利は相当高かったのです。それを昨年の末に下げまして、今回さらに下げて五・五と、こういうところまで持ってきたのですが、これは、政府金融機関の金利といいますと、やはりバランスということもありますので、若干の利子補給をして、とりあえず最初の三年は五・五、後の三年は六・二と、五%台というところにいまのところようやく持ってきたというのが実情でございます。しかし、これで満足しておるわけではございませんで、機会があればまた下げる方向に努力はいたします。  ただしかし、金利もさることながら、中小企業全体の経営状態を見ますと、やはり元金の返済猶予、これはいま弾力的に実行しておりますが、昨年もおよそ四万件くらい実行いたしましたが、こういうことの方がむしろ非常に大きな影響がある。それから担保の見直しですね、これによって新規の貸し出しができる。でありますから、金利ももちろん大事でありますが、単に金利だけではなく、総合的にいろいろなことをやってまいりまして、中小企業全体を前進させたい、こう思っております。
  229. 大成正雄

    大成委員 大臣のおっしゃることはよくわかりますよ。わかりますけれども、やはり担保とかいろいろありますけれども、金利というのはやはり活力の源泉ですから、これはぜひひとつ前向きに今後検討していただきたい。大臣が政調会長のときに、武藤さんもおられますけれども、ともかく五%ということを自民党の政調部会でも決めたはずですよ。それが、出てきたのを見たら五・五というのでがっかりしたのです。ともかくこれは、もうああだこうだ言いませんから、ひとつもっと前向きに、もう一歩発想の転換をしていただくようにお願いをしたい。  次に、中小企業庁長官に承りますが、この保証協会の基金助成として五億を追加して、既往分を加えて十五億、こういうことであります。政府と都道府県がこの基金助成をするのは結構ですけれども、このリスクの恩恵に浴するのは民間の金融機関です。この金融機関の出捐金等については中小企業庁はどのように指導しておられるのか。要するに、各都道府県の保証基金をふやして限度額を引き上げる、こういった意味では、単に政府のこの助成だけでなく、金融機関の出損金も非常に重要な役割りを持っておるわけですから、その出損金はどうなのか。  それから、既往分今年度十五億に対して都道府県がどれだけ助成をしている実績を持っているのか、それを承りたいと思います。
  230. 岸田文武

    岸田政府委員 お話のように、信用保証協会がしっかりしておりませんと、やはり信用といいますか金融円滑化を欠くことになりますので、私どもは、そこは特に気をつけていく必要があるだろうと思います。そのためには、何と申しましても信用保証協会の財政基盤を強化することが先決問題でございますし、さらに、そのためには府県その他の出捐が円滑に、しかも十分に確保されるということが必要でございます。  府県につきましては、従来からいろいろ打ち合わせのたびに、ぜひひとつ協力をしてもらいたいということを言ってまいりました。それから、金融機関の協力も当然大切でございまして、従来金融機関に対してもその旨の協力要請をいたしたところでございます。今後ともいまのような御趣旨に沿ってやっていきたいと思っております。
  231. 大成正雄

    大成委員 次に、円高対策の緊急融資制度の利用促進について承りたいと思うのです。  先ほど御答弁もありましたけれども、十月一日以来本制度が始まりまして千八百六十件の百五十億と、こういうことで、先般の閣議決定で二千二百億を何とか消化しよう、こういうことです。十月一日に始まったときの金利が七・六ですか、これはずいぶん高い制度で始まったものですから、かつてこの委員会で参考人で出た方々が、こんな高い金利じゃとても利用できませんよという証言をしておられましたよ。ですから、制度の発足がそういう状態で今度五・五というので、大臣が決断すれば五%ぐらいになるだろうと私は確信しておりますけれどもね。ともかくこの二千二百億を消化するというのはなかなか大変な努力が要ると思うのですが、これに対する長官の考え方というか、ひとつ決意を承りたい。  それからもう一つは、この業種の拡大について、個別の業種の、対象業種の問題もありますから、ある程度私は弾力的に運用できると思うのですが、まああえて言うならば、第三の個別の業種指定の問題についてはひとつあとう限り弾力的に適用してほしい、こういう希望を踏まえながら御質問申し上げます。
  232. 岸田文武

    岸田政府委員 この為替変動緊急融資制度、先ほども申し上げましたように、制度発足以来日を追って利用度が増してきておりまして、十二月にはかなりの利用が行われた。今後どうなるかということでございますが、一方ではいまお話ございました業種追加相当予定をされておりますことと、他方では条件が改善をされたということと相まちまして、今後相当の量に上るだろうというふうに思っております。  二千二百億円という目標は、相当事態が起こってもそれに対応できるように、ある程度ゆとりを持って組んであるわけでございます。それがうまく使われるようにということにつきまして、PRも大事でございます。関係各団体にもよくその趣旨を徹底をさせるように、私ども今後努力をしてまいりたいと思っておるところでございます。
  233. 大成正雄

    大成委員 次に、大臣に一般的な円高不況問題について若干御所見を承りたいのですが、ある経済評論家が、福田さんの経済政策はツーL、二つのLだ、ツーレート、ツーリトル、要するにすべてやることが後手後手だ、遅過ぎる、あるいは少な過ぎる、細切れ過ぎる、いわばこういった評価だと思うのですけれども、この過去一年間の円高の推移を見ましても、たとえば三月の二十一日、二十二日の日米首脳会談のときに二百八十円台、それから六月の二十三、四というOECDの閣僚会議、この段階で二百七十円、十月の六日に二百五十円、そして十月二十八日に二百四十円台、こういう推移なんです。そうしますと、この政府円高対策として取り来ったなにを見ますと、何か福田さんの言うことを聞いていますと、天災に遭ったようなことを言っていますけれども、これは天災でなく人災みたいなものなんで、もう少し早くこの措置をしたならば、いまとは違った局面が多少あったのではないかということはだれしも考えたいところでございます。  そういうわけで、もう少し早く何とか手が打てなかったのかという、そういう素朴な国民の疑惑に対して、大臣としてはどのようにいま反省しておられるかというか、大臣の場合にはどちらかといえば積極政策論者であると私も考えていますし、それを認めますよ。政調会長当時ずいぶん積極的なことも御提言になっています。十月二十八日に自民党の政調副会長会議で七項目の中小企業の緊急対策提案していますよ。あの中身を見ても、そのころあれだけの措置を速やかにやっておったならばもっと違うのじゃないか。いまここで審議をしていますけれども、実効をあらわす段階になりますとまだ何ヵ月か先に行くわけですから、それだけこの一−三月は胸突き八丁、大変な局面に達するわけであります。そういう意味で、積極的にかつて政調会長としてもっと思い切ってやれといったことを政府を鞭撻してこられたそのお立場から、どういうふうにいまお考えになっておられるかを承りたいと思います。
  234. 河本敏夫

    河本国務大臣 昨年の円の動きを見ますと、急激に高くなりましたのは、九月の末から十一月の末までの二カ月間なんですね。九月の末にはまだ二百七十円前後だったのですが、十一月の末には二百四十円前後になりまして、二カ月の間に三十円も上がっちゃって、それが現在ずっと続いておる、こういう状態なんです。  それで、なぜ九月の末から急激に上がり始めたかといいますと、一つは、そのころから日本貿易黒字相当大幅な数字が続いたということが一つと、それから、九月に政府の打ち出しました総合経済対策に対して、海外で相当な不満が出てまいりまして、そしてIMFの総会等で日本が非常に攻撃をされる、同時に、現実に大幅な黒字が出るものですから、約二カ月の間にこういう事態になったわけでありますが、済んだことはまことに申しわけないことでありますけれども、万やむを得ませんので、そこで、年末に政策の百八十度転換をいたしまして、御案内のような現在の経済政策を実現しようということで、いよいよこの予算でスタートしていこう、こういうことでございます。
  235. 大成正雄

    大成委員 大臣も腹の中では多少のことは考えておられると思うのですが、ここでそれをお聞きするわけにいきませんので、その辺でなにします。  さて次に、転換指導あるいは新製品技術開発、新商品の開発あるいは高付加価置産業への転換とか、そういったことが一番大事なことだと私は考えます。こういう思い切った金融対策あるいは税制上の配慮、いろんな意味で総合的にその対策の成果を上げていかなければならぬわけですが、何だかんだ言っても、トンネルの先の明かりの見えたこの時点で、中小企業といわずわが国の産業の活力というものを温存していくためには、やはり業種転換なり新製品技術開発なりあるいは高付加価値産業への転換なりといった、そういう次の時代の世界の産業経済に生き残れる活力というものを培養することが非常に大事だ、このように思います。特に中小企業の場合には、その一番大事なことは何かというと、資本の問題もいろいろあるでしょう、技術の問題もあるでしょうけれども、やはり情報の提供、こういったことが非常に大事なことだと思うのですが、この点について長官のお考えを承りたいと思います。
  236. 岸田文武

    岸田政府委員 これから国際情勢国内情勢、非常に変化をしていく、そこで中小企業が生き延びるためには、やはり変化に対する適応力が大きな決め手になると思います。その適応力を育てるもとが、いまおっしゃいましたまさに情報であろうと思います。事業転換するにつきましても、あるいは新製品を開発するにつけても、やはり大事なのは情報でございます。  こういう面につきましては、実は中小企業振興事業団の中に中小企業情報センターというものを設け、しかもその機能をできるだけ充実していこうということで、このところ一生懸命努力をしておるところでございます。各産業別の実情あるいは国際情勢中小企業にわかりやすく利用していただけるような形で提供するということをねらいにいたしておりまして、実はファックスなども用意をして、この面の充実を図っておるところでございます。御指摘の点はよくわかります。今後ともせっかく努力をしていきたいと思います。
  237. 大成正雄

    大成委員 最後に、小売商業調整問題について大臣の御所見を承りたいと思いますが、このような不景気で、暖冬異変も加わっていますけれども、百貨店の売り上げで八%台、スーパーで一二、三%ぐらい、こういったきわめて低い小売商業の動態でございます。したがいまして、投下資本の回転率その他からいたしましても、大型店の相当積極的な地方進出あるいは多店舗化といった攻勢が激しく行われておるわけであります。全国各地域におきまして、いわゆる大型店問題というものは本当に深刻な問題に発展しております。特に大店法の規制値である千五百平米以下、政令指定都市で三千平米以下のいわゆる中型店以下のそういうスーパーの進出というものが、非常に地元小売店を圧迫するということでトラブルがあるわけであります。  今国会に商調法の改正が継続案件として付議されております。また、通産省としても、大店法と商調法との調整あるいは大店法の骨組みを若干変えていく、発想を変えていくという、そういう両方の調整の問題もあります。通産大臣はこの小売商業調整問題についてはどのような所信をお持ちであるのかを承って、私の質問を終わります。
  238. 河本敏夫

    河本国務大臣 小売商業の問題は非常に複雑でありまして、商調法をどうするか、大店法をどうするか、あるいは農協、生協との関係をどうするか、いろいろ複雑な問題がございますが、さしあたり大規模小売店舗法の問題をどうするかというお尋ねでございますが、これは実は通産省に小売商業懇談会というのがございまして、そこで学識経験者に、一体この問題をどうしたらよいか意見を聞かしていただきたい、こういうことで、いま意見を聞いておるところでございます。もう少しその意見を集約いたしまして判断をしたいと考えております。
  239. 大成正雄

    大成委員 終わります。
  240. 野呂恭一

    野呂委員長 次回は、明二十八日土曜日午前十時より理事会、午前十時三十分から委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。     午後十一時六分散会      ————◇—————