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田口委員 いまの
大臣のお話で、私もそうなければならぬと思うのですが、安定した
雇用ということが一番望ましいわけですね。それは異論がない。ところが、いますぐには、なかなかそれが見つからぬ。
そこで、通産省にお伺いしたいのですが、そういう構想があるのかどうか。これはちょっと古いのですが石油ショック以降に産業構造審議会報告の「産業構造の長期ビジョン」これを通産省は出しているのですね。これを見ますと、これからのニーズに対応した産業としていろいろ六つ七つ挙げております。その金額的な面も計算をしておるのですが、たとえば、いま
大臣のお話しになったような医療なり福祉なりということに関連をして健康維持という、昭和六十年のニーズ別、産業別生産額を見ると、昭和四十五年価格で四十九兆七千七百億もの生産額が出る。大変な金額ですね。そういったビジョンだけではなくて、それを実際に移していくような政策というものをあわせ出さないことには、ただ
不況だからその
不況産業の安定を図るために設備の廃棄をすればいいんだというだけでは片手落ちになるのではないのか。
また、
労働省の側にこれは注文をつけたいのですけれ
ども、いずれ職業訓練法の改正のときにも申し上げたいと思いますけれ
ども、今日まで昭和二十年代、三十年代、四十年代を振り返ってみると、この訓練法なり
雇用保険法の改正、さらに新しい立法、こういうものは一口に言うと、こちらの水は甘いぞという誘導政策をとっておったと思うのですね。農業から第二次産業に移した。住宅建ててやるからこちらに来なさいとか、それから、いつまでも
雇用保険をもらっておったら、もう締めつけるぞと言って窓口で規制を強めて、どんどんと特定の産業に就職をさせた。いい悪いは別ですよ。ともかく私は、その内容は別として、こちらの水は甘いぞということで特定の産業から特定の産業に
労働力の移動を政策的にやったと思う。それがなぜ今日できないのか。ですから通産省の産業構造ビジョンなんかと相まって、構造の変化になってきたんだから、そこにおったって、もうだめですよ、こちらの方が長期的に安定した就職になりますよ、こういうことをやらなければ
雇用対策というものは生きてこぬのではないか。
そこで後の問題もありますので、そういう
考えに立って私は当面、
雇用対策で二つしか方法がないと思うのですね。その一つは、ともかくいま勤めておる、働いておる
雇用を何としても維持する。首を切らさない、
雇用維持のためにいろいろな方策があると思うのですが、午前中
森井委員からのお話にありましたような週休二日とか時間
短縮ということによって
雇用の維持を図る。当然に
労働基準法の改正もしなければならぬ。それから、いま
大臣がおっしゃったように、医療とか保育所、これは
労働基準局から基準法違反ということで何回か
指摘をされておりますけれ
ども、そういった医療、社会福祉なんかのところに増強させる。
さらに、解雇規制ということをもっと前面に打ち出す必要があるのではないかと思う。これは最近の判例が示しておるのですけれ
ども、幾ら経営権の自由だといっても、ばっさばっさと首を切ることは解雇権の乱用だという判例が出されておりますね。そして経営権の自由と
労働者の生存権というものをどこでクロスさせるかというためには、この産業解雇規制のための話し合いの場をつくることが必要じゃないかという説もあります。そういった
観点に立って、個別に解雇規制の立法をするというよりも、いまある法律の中で、具体的には
雇用対策法の二十一条を全面的に改正をして、ここで届け出をさせるなり労使が十分に相談をするなり、こういった
意味を含めた解雇規制を強化するということによって、
雇用の維持を図ることが当面、緊急的な課題ではないだろうか。
さらに、二つあるという最後の一つは、さっきも
大臣がおっしゃっておりましたように緊急避難的に、そうはやったけれ
ども失業した、離職をした。その
失業労働者の生活の安定を図るためには、いまの
雇用保険法を最大限に活用をする。地域援助の制度を設けるとか、さらに、これは訓練法のときにも具体的に申し上げますが、こういった実態があるわけですね。現行のそれぞれの延長給付、広域延長とか全国延長とか個別延長、訓練延長、こういった延長給付がありますが、御存じのように順位が決まっていますね。広域延長を先にやって、全国延長をやって個別延長をやって訓練延長だ、こういった順序が決められておりますから、訓練を受けて、さあどこかへ勤めよう。ところがなかなか見つからない。せっかく訓練を受けたけれ
ども、訓練を受けた後、何も手当が入ってこないですね。これはわかるでしょう、訓練延長は最後ですから。だから
失業者に対する方法として、この順序を何か変えていくということも必要なんじゃないか、こういうことを緊急避難的に
考えてみたのですけれ
ども、御所見はどんなものでしょうか。