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1978-05-31 第84回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年五月三十一日(水曜日)     午前十時三十分開議  出席委員    委員長 川崎 寛治君    理事 天野 光晴君 理事 有馬 元治君    理事 高鳥  修君 理事 矢山 有作君    理事 湯山  勇君 理事 広沢 直樹君    理事 神田  厚君       稲垣 実男君    後藤田正晴君       佐藤  隆君    谷  洋一君       谷川 寛三君    中島  衛君       中村  直君    渡辺 秀央君       伊賀 定盛君    池端 清一君       木島喜兵衞君    米田 東吾君       瀬野栄次郎君    古川 雅司君       山本悌二郎君    津川 武一君       永原  稔君  出席国務大臣         建 設 大 臣         国土庁長官   櫻内 義雄君  出席政府委員         国土庁長官官房         長       河野 正三君         国土庁長官官房         審議官     四柳  修君         農林大臣官房審         議官      角道 謙一君  委員外出席者         環境庁自然保護         局保護管理課長 中島 良吾君         国土庁長官官房         防災企画課長  柳   晃君         中小企業庁小規         模企業部参事官 山口  務君         気象庁予報部長 窪田 正八君         労働省職業安定         局雇用保険課長 望月 三郎君         建設省都市局街         路課長     渡部與四郎君         建設省河川局防         災課長     井沢 健二君         建設省河川局砂         防部砂防課長  大工原 潮君         自治大臣官房参         事官      千葉  武君         消防庁防災課長 持永 堯民君         日本国有鉄道旅         客局営業課長  佐々木峻一君         日本国有鉄道施         設局土木課長  野沢 太三君     ————————————— 委員の異動 五月三十一日  辞任         補欠選任   伊藤  茂君     木島喜兵衞君 同日  辞任         補欠選任   木島喜兵衞君     伊藤  茂君     ————————————— 本日の会議に付した案件  新潟妙高高原町における土砂災害対策  派遣委員からの報告聴取      ————◇—————
  2. 川崎寛治

    川崎委員長 これより会議を開きます。  災害対策に関する件、特に新潟妙高高原町における土砂災害について調査を進めます。  去る二十五日、新潟妙高高原町における土砂災害につきまして現地調査を行いましたので、私が派遣委員を代表して、便宜この席から調査の概要を御報告申し上げます。  なお、県並びに町当局から提出された要望事項につきましては、これを本日の委員会議録に参照掲載することをお願いいたしたいと存じます。  派遣委員は、矢山君、広沢君、神田君、津川君、永原君及び私川崎と、それに地元から高鳥君及び山本君の参加を得て、現地被害実情をつぶさに調査してまいりました。  今回の調査は、参議院災害対策特別委員会派遣団同一日程となりましたことを申し添えておきます。  まず、災害発生状況を申し上げます。五月十八日午前六時二十分ごろ、妙高村の赤倉山南地獄谷付近で大規模な山腹崩壊発生し、流出した土砂と折からの雪解けで増水した白田切川の水が鉄砲水のようになって、約九十万立方メートルの土砂下流にある妙高高原町へ流出し、このため、同町新赤倉地区を初め国鉄信越本線等は甚大な被害をこうむったのであります。  次に被害概況についてであります。新潟県、妙高高原町及び国鉄当局等から、それぞれ被害概況について説明を聴取いたしましたが、その説明によりますと、人的被害死者十三名、負傷者一名ということでありましたが、行方不明となっておりました最後の方は、われわれ調査団が到着する一時間ほど前に遺体の収容が終わったとのことでありました。  なお、死者十三名のうち三名は町役場の職員で、被害状況調査中に二次災害に遭われ、とうとい人命を失ったことは痛ましい限りであります。  住宅被害につきましては全壊十二棟、半壊六棟、一部破損五棟でありますが、そのほか、国鉄信越本線線路冠水とともに築堤が決壊して妙高高原関山間が不通となりました。また、国道十八号線は白田切橋橋脚洗掘により一時通行どめ、あるいは帝国石油株式会社天然ガスパイプライン欠損等、各地に被害が生じたのであります。  これらの被害に対しまして関係当局がとった措置でありますが、新潟県並びに妙高高原町において災害対策本部を設置し、応急対策に万全を期するとともに、町内に避難所を設けて新赤倉田切地区等住民を避難させました。被害実情から、県は、翌十九日災害救助法を発動いたしました。  次に、視察いたしました地区について申し上げます。国道十八号線にかかる白田切橋でありますが、橋脚の基礎の部分土石流により洗掘され、通行が危険になったため、一時車両等をストップさせ、クレーン車三台、トラック及びトレーラーを延べ三十二台を使用して、橋脚付近にテトラポットを搬入するなどして応急措置を講ずることにより、二十一日から中央部一車線を交互で徐行運転ができるようになったとのことでありました。  次に、これより下流にある信越本線築堤決壊個所であります。線路は約四百四十メートルもの長きにわたり土砂で埋まり、また築堤が削り取られた線路の一部が被災当時そのままに宙づりになっておりました。この現場大型機械を搬入するには不便な場所で、長岡側は隣の関山駅から大型機械を運搬して作業を進めなければならないとのことであります。この決壊個所は北上川に架設予定の橋梁を流用し、突貫作業復旧工事を行っても約四カ月の期間がかかるとのことであります。  次に新赤倉地区であります。この地区は新赤倉スキー場のすぐそばにあり、旅館、民宿、会社保養所等が軒を並べており、冬はスキー客、春先には山菜取りを楽しむ山合いの静かな観光地でありますが、一瞬のうちに流出した大量の土砂によって九名のとうとい人命が失われ、また多くの家屋が損壊したところであります。土石流によって押しつぶされ、視察当日も土砂の中から赤い屋根だけを出している家や、白妙橋が跡形もなく流されている被害現場を見ますと、土砂崩れのすさまじさをまざまざと見せつけられました。  最後に、今回の現地調査を踏まえての若干の所見を申し述べたいと思います。  この被害現場昭和四十六年十二月にも土砂崩壊で大きな被害を出したところでもあり、災害原因調査を徹底的に行い、今回の災害を貴重な教訓とし、三たびこのような災害発生しないよう適切な措置を講ずるべきであります。  次に信越本線早期復旧恒久対策であります。信越本線地域住民のみならず、東京、長野と富山、石川等日本海沿岸地域を結ぶ重要幹線であり、貴重な交通手段でありますので、速やかに復旧させるとともに、再度災害を生じないよう抜本的、恒久的対策を講ずるよう関係当局努力をお願いいたします。  以上二点ほど申し上げましたが、これ以外にも被災住民からはさまざまな御要望がございました。政府におかれましては、各種の措置十分活用の上、被災地災害復旧に御尽力願いたいと存じます。  終わりに、今回の土砂災害により亡くなられた方々の御冥福をお祈り申し上げるとともに、被災地が一日も早く復旧されんことを切望し、あわせて日夜救助活動に当たっておられた関係各位の御労苦に感謝申し上げて、私の報告を終わります。派遣委員の皆様にはまことに御苦労さまでした。(拍手)  この際、お諮りいたします。  ただいまの派遣報告にありましたとおり、新潟及び妙高高原町からの詳細な要望事項につきましては、本日の会議録末尾に参照として掲載いたしたいと存じますが、これに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 川崎寛治

    川崎委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔要望事項本号末尾に掲載〕     —————————————
  4. 川崎寛治

    川崎委員長 災害対策に関する件、特に新潟妙高高原町における土砂災害について議事を進めます。  関係政府に質疑の申し出がありますので、順次これを許します。高鳥修君。
  5. 高鳥修

    高鳥委員 まず第一に、今回の災害に当たりまして十三名のとうとい人命が失われたわけであります。お亡くなりになりました方々に対しましては衷心より御冥福をお祈りいたしたいと思う次第でございます。なおかつ、また、今回の災害に際しましては、自衛隊を初めといたしまして、関係の皆さんの非常な御努力によりまして、この遺体が全部収容されたということはせめてもの慰めでございます。関係各位の御努力に対しまして衷心より感謝を申し上げたいと思う次第であります。  本日は、国土庁長官みずから御出席を賜りまして、大変な御熱意にこれまた感謝を申し上げるわけでありますが、後ほどまとめまして災害に対する御所信などを承りたいと思う次第であります。  そこでまず第一に、今回の妙高高原町の災害は、さきに、昭和四十六年末におきまして一回災害を受けた同一河川であり、かつまた被災地同一地域である、そこに前回を大幅に上回る大惨事が起こったということでありまして、私はきわめて残念なことに思っておるわけであります。もちろん、崩壊をいたしました場所前回とは異なりますけれども、少なくとも、きわめて近似した地域において起こったということでありまして、大変残念に思うわけであります。前回災害以来、林野庁上部治山事業を推進してこられたわけでありますが、一体どのようなことを今日までやってこられたのか。そのような対策というものは今回の災害にはきわめて無力であったわけでありますが、今日までおやりになった治山事業について、どのようなことをおやりになってこられたのか、この点をまず第一に承りたいと思います。
  6. 角道謙一

    角道政府委員 ただいまの答弁に先立ちまして、今回の災害によりましてお亡くなりになりました十三名の方々に心から御冥福を祈りますとともに、被災された方々に心からお見舞いを申し上げる次第でございます。  ただいま御質問のございました、四十六年の災害以降どのような対策を講じてきたかということでございますが、昭和四十六年の十二月三十日、三十一日にかけまして、今回の災害のありました約一キロ上流でございますが、南地獄谷泉源地帯におきまして地すべり災害が起きまして、事後私どもといたしましては、妙高高原町の地元方々建設省あるいは県その他各方面と連絡をとりながら防災計画を立てまして、四十七年の一月には、まず新潟大学なり林業試験場あるいは林業土木コンサルタント営林局等現地調査を行いまして、また復旧工事調査を行った。それから同年の四十七年六月になりまして、この地域地すべり移動調査というものを実施をいたしました。さらに七月には、当該地域での地すべりのための恒久的な工法を確立するために、ボーリングであるとか電気操作法等によりまして地質調査実施をいたしたわけでございます。この結果に基づきまして、当時におきましては渓間工六基等を中心といたしまして、全体的な防災計画計画をいたしまして、昨年までに渓間工といたしまして三基、それから山腹工を約百八ヘクタール、資材運搬路水路工等実施したわけでございます。  なお、本年度には渓間工をさらに一基、五十四年度以降さらに一基予定をしておりましたけれども、本年の今回の災害によりまして、私どもとしては今年以降の計画については抜本的に考え直す必要があるというように考えている次第でございます。  なお、この南地獄谷と今回の災害の起きました場所は、地形的にも大分変わっております。南地獄谷の方は、いわば赤倉山カルデラ地帯にあります泉源地帯でございまして、ここでいわゆる温泉性地すべりが起きたわけでございますが、今回の崩壊の起きました個所は、むしろ赤倉山外輪山であります妙高山東斜面、この部分に起きました一種の土砂崩落場所も約一キロぐらい離れておりまして、地形的にも大分違っております。私どもとしては、今回災害が起きました個所については過去にも災害記録がなかったというところから、十分な対策が講じられなかったということでございます。
  7. 高鳥修

    高鳥委員 ただいま地形的には約一キロほど離れておって、しかも一方は妙高山カルデラ、いわば火口原地域でありますし、一方は外輪山である、全く違うところだというような御説明がありましたが、少なくとも同一の山であります。妙高山、前山あるいは赤倉山、いろいろ名前はついておりますけれども同一妙高山外輪山であり本山である。したがって、地形的にはあるいは地質的には非常に似通ったものがあるわけでありますから、あの地域にあのような地すべり発生をした、四十六年のあのような崩落があったとすれば、周辺地域についても同様な崩落が起こり得る可能性は十分にあったのではないか。したがって、その周辺地域一帯につきましても十分監視し検討すべきであったのではないだろうか、このように思うのでありますが、いかがでありますか。
  8. 角道謙一

    角道政府委員 お答え申し上げます。  確かに地形的には先ほど申し上げましたように違っている場所でございますので、私どもとしては、当該地域につきましては必ずしも十分な警戒体制をとっていなかったということは事実でございますが、一般的に国有林野につきましては防災業務計画というものを決めまして、常日ごろから危険個所については点検をするという体制をとらせることにしております。したがいまして、この南地獄谷周辺につきましては、過去にも三十二年であるとか昭和五年であるとか地すべり発生がございましたので、私どもとしては常時注意はしていたわけでございますが、先ほど申し上げましたように、今回崩壊が起きました郷田原地域につきましては、過去一回も災害記録がないというところから、私どもこの個所につきましては監視が届いていなかったという点は御指摘のとおりでございます。  なお、先ほど四十六年以降の施行対策の中で山腹工百八ヘクタールと申し上げましたが、これは一・八ヘクタールの間違いでございますので、訂正させていただきたいと思います。
  9. 高鳥修

    高鳥委員 今回の災害原因一つとして、新潟大学などのいわゆる調査というようなものが新聞あるいはテレビ等で報道されておるわけでありますが、それは、この四十六年に崩落した個所に対する治山事業を推進するために工事用道路を切った、そのことが主たる原因ではないかもしれないけれども、それを誘発する一つ原因になったのではないかというような見解も、もちろんこれはまだ調査の中間的な見解だと思いますけれども、そういう説も出されておるようでありますが、今回の災害原因というものについて林野庁はどのような調査をし、かつまたどのような把握をしておるのかということについてお答えを願いたいと思います。
  10. 角道謙一

    角道政府委員 お答え申し上げます。  今回の災害が起きました直後に、十八日でございますが、林野庁から業務課長あるいは林業試験場担当官、あるいは現地では前橋営林局高田営林署関係者が参りまして一応現地調査をいたしましたほか、二十二日だったかと記憶いたしますけれども政府調査団が編成されました場合にも、農林省から治山課長参加をいたしまして原因調査を行ってきたわけでございます。  なお、一昨二十九日から、建設省土木研究所砂防部長林業試験場治山科長等約六名の専門家によります調査団現地調査を現在行っておりますので、最終的な原因等につきましては、私どもこれらの調査団調査結果を見て考えたいと思っておりますが、私どもいままでのところ推定しておりますのでは、今回の崩壊が起きました個所はいわゆる郷田原地帯河床から崩壊個所が百六十メートルから七十メートルの高さまで、下の幅では二百数十メートルから上部では百メートルぐらいの大きな崩壊個所でございますが、この資材運搬道路昭和四十四年ごろ、三十年代に起こりました災害のための防災事業の一環といたしまして、資材運搬のためにつくったものでございます。この道路自体は、先ほど申し上げました崩壊面の上から十メートルから二十メートルぐらい、河床から見ますと百四十メートルから五十メートルあるというように相当高いところにございますし、今回の崩壊が約十数メートルの深さまで及んでおります。この仮設道路自体は、過去に登山道がございまして、この登山道を拡幅をして四十四年にできました。四十六年ごろから資材運搬のために実際に供用しておりまして、今日まで何ら問題はなかったわけでございますし、非常に安定していたと私ども考えております。一般的に道路原因となって土砂崩壊が起こる原因として言われておりますのは、豪雨等によりまして地表に相当大量の水が流れ、それが地下に浸透し、これが大きな原因になって崩壊が起こる場合、あるいは道路建設のための切り取り土原因になって上部崩壊をする場合というように、二つの場合が考えられるわけでございますけれども、今回の災害を見ますと、災害の起きます前一週間は何ら降雨がなかったということで、地表水道路を伝わってその結果土砂崩壊が起きたというようには考えにくいわけでございますし、またこの道路の幅、今回の崩壊の深さ等から見ましても、また道路の位置と崩壊の全面積との関係から見ましても、私どもとしては現段階では、この道路崩壊原因であったというように見るのはどうも困難ではないかというように考えております。  なお、詳細につきましては調査団調査結果を待ちまして判定をいたしたいと考えております。
  11. 高鳥修

    高鳥委員 林野庁は当事者ですから、工事用の林道、道路原因だと言われても、そうでございますとはなかなか言えない立場にあると思うのでありますけれども、この災害については、たとえばいま全くその影響がなかったという御説明でありますが、地元山菜取りなどで入った諸君の話によれば、昨年の秋には多少の路肩の下がりなどが見えたというようなことも後になって言われておるわけであります。もちろん切り土をして外に押し出した分については、冬期間押されれば、あるいは工事用重量物が通れば若干の沈下はある、それがあのような大崩壊の全部の主因であるとは私ももちろん申し上げるつもりはありませんが、少なくとも、あそこでカッティングをしたことが一つの誘発をした原因ではないかという見解もあるわけですから、これは林野庁調査をするだけではなくて、客観的な立場で専門的な調査をぜひやってほしい、これは国土庁に対して要望をいたしておきます。  今回の災害は、第一次災害と第二次災害、二回にわたってこの地域を襲ってきたわけでありますが、その第一次災害発生する以前に、若干前兆と思われるものがあったというのであります。つまり、池ノ平温泉あるいは妙高温泉につながっておるパイプの湯量が減少したとか、あるいはまた、白田切川、ちょうど融雪期でありますから、しかも当日は相当生暖かい南風が吹いておったということでありまして、融雪が最も激しくなる。したがって、さっき豪雨のあったときということがありましたが、ちょうど豪雨があったと同じような状態になっておったわけであります。そういう中で白田切川がむしろ水量が減少しておったというようなことを、地元ですでにそういうことを見た人もあるということでありますが、にもかかわらず、これは異常現象だ、異常事態上流部において発生しているに違いないというような警報が全然出されなかったということは、これは林野庁の責任ということを追及するつもりはありませんが、県なりあるいは妙高高原町なり、あるいは林野庁なり建設省なり、そのような危険が前に起こっておるわけでありますから、当然そういう危険がもう一回発生するということを予測をして、警戒をして、町民に対して注意をすべきものであったと思うのであります。  私はしばしば妙高山が非常に危険な状態にあるということを申しておったわけでありますけれども、それが残念ながら適中したことはきわめて残念に思っております。そこで、そういうふうな妙高山が崩れてくる、このような崩壊が起こり得るということについて、建設省なりあるいは林野庁なりは、全くこれは予測を越えたものである、全く想像もしませんでしたということであるか、あるいはまた、そのような関心をわれわれとしても当然持っておったということでありますか。少なくとも警戒体制について、私は重大なミスがあったと思うのでありますが、その点についての御見解を承りたいと思います。
  12. 角道謙一

    角道政府委員 お答えを申し上げます。  ただいま御指摘警戒体制でございますが、私ども、当日まで、たとえば泉源温泉湯量が減ったとかいうような問題については承知はしていなかったわけでございますが、確かに、御指摘のように五月の中旬ぐらいから、日中二十度を超すような高温が続いたというようなこと、積雪量も例年に比べて多かったという意味では非常に警戒を厳にするべきものであったと考えております。  私どもとしては、南地獄谷中心地すべりというものが頭にございまして、それに対しましては常日ごろから十分警戒監視をやっていたわけでございます。ただ、あの地域積雪等もございまして、冬期間監視につきましては必ずしも十分でない点もあったかと思いますけれども、たしかこの五月の十一、十二日ごろだったかと思いますけれども地元温泉会社方々が四名一組でパトロールを行いますけれども、この泉源地帯に参りました段階でも、状況を聞きますと何ら異常はなかったというように聞いておりましたので、私どもとしては安心をしていた面がございます。ただ、妙高高原一帯は確かに先生御指摘のように火山性の土地でございますので、地すべり以外にも問題の多いところであることは私どもも重々承知しておりますので、今回の災害を機会に、この地域一帯につきましてさらに抜本的な対策を講ずるための何らか施策が要るのではないかというふうに考えている次第でございます。
  13. 高鳥修

    高鳥委員 今回の災害で、下流部建設省が流路工なりあるいは大きな堰堤なりを築いておられたわけでありますが、百万立米にも及ぶという大量の土石流、これに対しては、全く役に立たなかったとは申しませんが、きわめて無力であった、ほとんどこれを乗り越えて、あるいはこれをジャンプ台のごとくにして、土石流が奔流となって奔放に流れ走ったということで非常に悲惨な災害になったわけでありますが、建設省は、せっかくあのような堰堤をつくられたりあるいは流路工をやられたわけでありまして、それが無力であったということであれば、計画ないし実施をしたものと今回の発生した災害との間には相当の乖離があるはずであります。一体今回の災害建設省としてはどのように受けとめておられるか、この点を承りたいと思います。
  14. 大工原潮

    大工原説明員 お答え申し上げます。  従来われわれが砂防ダム等計画します場合には、上流荒廃状況あるいは過去の災害事例等から計画するわけでございまして、四十六年の災害被害状況流出土砂状況等から判断いたしまして計画を策定し、その計画に従って実施してきたというのが実態でございます。  今回の災害はどういうふうな形で崩壊のメカニズムがあったかというふうな点につきまして、現在土木研究所中心にいたしました調査をやらしておるわけでございますが、その結果を待ちまして検討は進めたいと思っておりますが、瞬間的流量といいますか、流出土砂の痕跡を見ますと、前回の例よりも非常に莫大に多かったというふうな点があるわけでございます。その点につきましては、いま申し上げた調査の結果を待って検討してまいりたいと思っておりますが、さしあたっては何らかの形で緊急措置をとらなければならないというふうなことで、対策につきましても緊急に実施すべきものと、それから将来、恒久的な対策といたしましては、いまの調査を待ちまして検討をしてまいりたいというふうに考えております。
  15. 井沢健二

    ○井沢説明員 四十七年の初めの災害状況をちょっとお知らせいたしますと、そのときはダムが二つ完成しておりまして、一つは工事中という状態であったわけでございます。そのときの被害状況を見ますと、堰堤の水通しの部分が二つともちょっと欠けた、工事の砂防ダムは十メーターぐらい上がっておったのでございますが、それは埋没した状況になりました。そのダムの下流から約二キロ半ぐらいの間を一定災で工事をいたしたわけでございますが、上流部分につきましては大体川幅を倍に広げまして護岸工を施行いたした状態でございます。その下流部分は、たまった土砂を掘削をしたというふうな状態、それから深沢川と申しますか、あの曲がった別な川の方は、ちょうど国道の前後数百メーターを災害関連事業で護岸工を施行しております。そういう状態でございまして、上流のところではやはりそのときの河道よりもちょっとあふれた程度という状態でございました。  そのときのわれわれの一定災の断面を申し上げますと、これはその川の比流量と申しますか、計画の流量を面積で割った値でございますが、大体二五というふうな数字になっております。二五という数字はどういう数字かと申しますと、普通河川の場合で、大体十平方キロメーターぐらいの小河川の場合に比流量一〇と申しますのは、時間雨量で申しますと大体五十ミリぐらい、それから比流量二〇と申しますと大体百ミリぐらいの時間雨量を対象に考えているところでございます。  今回の量を見ますと、どうもそういうふうに比流量二五を大幅に超えておる、五割増しからあるいは七割増し、倍ぐらいの量になっております。そのような状態でございますので、上流部の砂防堰堤はそでの部分が皆飛んだというふうな現状のようでございます。下流の一定災でやりました区間につきましても大幅に超えまして、あふれて出た。それからもう一つは、非常に流速が早いということで、高さが五メーターないし十メーターぐらいの丘を乗り越えて出てまいっておるというふうな現状でございます。それで、もとの旧河道の方に真っすぐ流れていってしまったというふうなことでございまして、前のときにはちょうど深沢川の方へ曲って流れてまいりまして、災害復旧事業で川の中の土砂をとった量が大体数万立米ぐらいでございますから、ほとんど深沢川沿いに下流に流れ去ってしまったというふうな現状でございます。
  16. 高鳥修

    高鳥委員 百万立米という土砂でありまして、それがあの高いところから一気に、時速七十キロというようなことも言われておりますが、大変な勢いで落下してきたわけでありますから、これに対する施設を相当大きなものをつくっておってもなかなか受けとめ切れなかったのではないかと思います。私は、同地域の今回の災害の根本的な問題の一つは、妙高山というのは本来噴火と隆起によって主峰並びに外輪山が形成されて、その中で一番軟弱なところが浸食をされて、現在の白田切川なりなんなりができてきた、そして下部に扇状地ができてきたというのが自然の姿だろうと思うのであります。そういうことがこの山の長い歴史の中で繰り返されてきた崩壊、先ほど、今回の崩れた場所については災害記録がないという御説明がありましたが、もともとは赤倉山にしても前山にしても、外輪山としてつながっておって、それが崩壊してあのようなV字型の峡谷ができてきたのではないかと思うのであります。でありますから、そこに災害がなかったなどということはあり得ないことだと思うのでありまして、そういう地形形成の一こまでもある。そのような人為を超えた、非常に大きな自然の力がここに動いているというふうに考えるべきではないだろうか、そういうことを考えるのであります。したがって、この前あのような地域災害がすでに発生をして、そのときに、もしその周辺地域についてはかなりの危険性があるということで、建物を建てることなりなんなりについてある程度の制限措置を講じておれば、今回のようなとうとい人命を失うというような、痛ましい犠牲が起きなかったのではないかというふうなことも考えられるわけであります。  現に、地域の故老の人たちは、あの地域はいわば河川敷みたいなものだと言わんばかりの意見もないわけではない。ああいうところに家を建てるということは非常に危険であるというような意見もないわけではないのであります。建設省なりあるいは林野庁なりが一生懸命治山あるいは砂防工事をやって、あるいは流路工をやって、まずこれで安心だということで、あの地域にあの災害後ずいぶんりっぱな建物も建てられたし、その建てられたばかりに災害を受けて命まで失うというようなことにもなったわけであります。したがいまして、あの地域についてもう少し全体的な観点から、一体どうあるべきかというようなことを十分考えてみる必要があるのではないだろうか、このように思うのであります。これは国土庁の方でいろいろと担当しておられるということでありますが、御見解を承りたいと思います。
  17. 四柳修

    ○四柳政府委員 御指摘の点、私ども現地を拝見しまして、特に今回の災害があった直前に、実は地元の方でさらに山の上の方の開発をしたいという申請もあった、こういうような声を聞きまして、県も市町村も、あるいは国も、そういう意味では、いま御指摘のその土地の特殊事情なり歴史というものを少し忘れていたのではないだろうか。先ほど御質問にもございましたように、直接原因なりあるいはその対策につきましては、技術的な調査団の結果が出てまいるかと思いますけれども、いま御指摘のような今後の周辺地域の問題につきましては、地元におきましても来月早々に根本的な対策会議をお開きになるということを承っておりますものですから、それらも踏まえまして、各省、必要があれば総合的な計画づくりのお手伝いなり調査なりということも検討しなければならないと考えております。
  18. 高鳥修

    高鳥委員 今回の災害発生の当初には、建設省林野庁とがそれぞれ所管が分かれておって、対策が非常に首尾一貫性を欠いておったのではないか、それが災害発生し、かつ非常に大きくなった原因一つではないかというような見解もあちこちから出されておったわけでありますが、この際、建設省林野庁、十分ひとつ緊密な連絡のもとに、この地域の抜本的な、私がいま申し上げましたようなことをも含めた、その地域住民が安心して生活のできる、そういう抜本的な対策を立てて、速やかに実施をしてほしいと思うのであります。とかくなわ張りがどうとか、権限争いとか、いろいろなことが言われるわけでありますが、そういうことは地域住民にとって非常に不幸なことでありますから、強くその点を要望をいたしておきます。  それから、今回の災害発生につきましては、まず最初に土砂が崩れて、そして妙高、池ノ平温泉に湯を送るパイプが切断をされて、土砂崩壊、かつまた大量の雪、その上に源泉の熱い湯がかかって、そうしてそれが崩壊、一挙に押し出してきた原因であるというふうに言われておるのでありまして、たまたま仄聞しますに、環境庁が、四十六年の災害の後、この湯を送るパイプを、また災害を受けるのが困るので、空中をつって渡したいというようなことを地元でお願いをしたところが、自然景観を害するのでいかぬと言うて不許可になり、伏せ越しになったという話を聞いたのであります。そうなりますと、これは環境庁にも、今回の災害についての若干の責任がないわけではないということになるわけでありますが、その点については事実関係を環境庁として明確にしてほしい。前もって承りました環境庁の御説明では、どうもそういうことはないというようなお話でありますが、ないならないで事実関係を明確にしていただきたいと思います。
  19. 中島良吾

    中島説明員 御説明申し上げます。  先生の質問のような指導をした経緯は一切ございません。  なお、配湯管の埋設等につきまして、自然公園法上は許可を要することではございますが、既存の道路等に埋設することにつきましては許可を要しないことになってございます。したがいまして、今回の配湯管の埋設については許可をしたこともございません。
  20. 高鳥修

    高鳥委員 許可をしたことがないというか、全くかかわりがないということでありますならば、それはそれで事実であれば了承しておきますが、今後湯を送るパイプの復旧に当たりましては、こうした危険個所でありますから当然空中にパイプをぶら下げて渡すことを認めるとか、いろいろなことを申し出があると思いますから、それに対しては適切な対処をしてほしいと要望しておきます。  次に、国鉄関係について御質問申し上げます。国鉄の今回の災害は、もとを正してみれば、どうも鉄橋を一本節約したところにあるのじゃないかなという感じがするわけであります。この河川、そもそもが白田切川が真っすぐ流れておったものを、地元の水利関係などいろいろな関係があったと思いますが、上流の方に不自然な形で切りかえをして、そして深沢川に水を落とすということによって、いまの白田切川は全く小さな水抜きだけでやった。したがって、これは自然のもとの姿に帰ったと言わざるを得ないのでありますが、国鉄の災害原因はまさにそこにあるということだと思いますが、一体どのような見解をお持ちですか。
  21. 野沢太三

    ○野沢説明員 お答え申し上げます。  御指摘のように、この区間につきましては明治十年代当時、直江津方から建設をされまして、そのときに白田切川と深沢川を上流一つに合流させまして、この部分については排水トンネルを築いて盛り土で通過をいたしたものでございますが、当時の技術におきましては橋梁本体が外国から輸入をするというような貴重な時代であり、長い橋をかける技術がまだ発達しておりませんでしたので、現在の深沢川も十六メートル二径間というような形で渡っておるわけであります。今回予想を超えます大きな土石流がまいりまして被災をいたしたわけでございますが、これまで約百年にわたる使用中にこのような災害は一度も受けておりません状態でございまして、雨量等に対しては十分耐え得るものであったかと思います。  今後の復旧といたしましては、このような大規模な災害にも耐えられるような構造に復旧をいたしたいと考えておりますが、上流にございます道路等の規模から考えますと、たとえ橋梁であったとしても無事に済んだかどうかという点は現在調査をいたしておりますが、情勢としては非常に厳しい問題があったかと考えております。
  22. 高鳥修

    高鳥委員 信越本線は明治初年にともかく一日も早くつくらなくちゃいかぬということで、特に当時のロシアの南下に備えて日本海側を守るという国策的な観点から、急速に建設を進められた線でありますが、今日では先ほど委員長報告にもありましたが、長野県あるいは富山県、石川県、地元はもちろんでありますが、各地域にまたがる産業経済上の重大な幹線でもあります。人員、物資の輸送等に非常に大きな障害になっておるわけでありまして、速やかな復旧を期待しておるわけであります。何か四カ月ぐらいかかりそうだというお話でありますが、とてもそれまでは待っておれぬというのが地元の気持ちであります。また、ここには複線化計画というのがあるわけでありまして、復旧に当たっては当然複線化計画というものを念頭に置きながら、あわせて復旧をしていただくべきであると思うのでありますが、見通し等についてはどのように考えておられますか。
  23. 野沢太三

    ○野沢説明員 お答え申し上げます。  復旧に要します四カ月という期間は、この区間にかけます橋梁の架設に要する時間が大半でございます。通常でございますと、現在予定しております九十三メートル程度の橋梁の工期としましては約一年近くを要するのでございますが、北上川橋梁に架設予定の鉄げたを急遽こちらに転用いたしまして、製作の期間を短縮いたしまして四カ月で仕上げようというものでございます。なお、今後の天候等の条件が許せば、できるだけ短縮するよう努力する所存でございます。  それから二点目の複線化計画でございますが、現在黒姫から妙高にかけましては工事を進めておりますが、さらに関山にかけましては、地元の皆様方と御協議を申し上げ、合意に達した時点で逐次実施をしていくように考えております。復旧は複線化計画を前提といたしまして考えてまいりたいと思っております。
  24. 高鳥修

    高鳥委員 まだお尋ねしたいことがたくさんございますが、最後に、妙高高原町ないし妙高村というのはいわば観光立地をしているところでありまして、年間非常にたくさんのお客さんが来るわけであります。今回の災害で、交通がこのように非常にむずかしい状態にあるということとあわせて、災害発生をして危険なところであるというような印象も持たれまして、最近ではキャンセルが続出しておる。これは旅館業が困るだけではなくて、酒屋さんでもあるいは魚屋さんでも、あらゆる業種が関連をしておるわけでありまして、そうしたところは国民金融公庫あるいは中小企業金融公庫、商工中金等から貸し出しを受けて家の改築、設備の改善等を行っておるところが非常に多いわけであります。ところが全くお客がないというようなことで返済に非常に苦しむというのが現在の状況でありまして、少なくとも冬のスキーシーズンまでは延期をしてほしいとか、これはケース・バイ・ケースになろうと思いますけれども、しかるべき措置を講じていただきたいという強い要請があるわけでありますし、あるいはまた災害を受けた皆さんの中には、復旧のための資金を貸してほしいというような御要望も当然あるわけであります。これらにつきましてどのような対処をされますか、承りたいと思います。
  25. 山口務

    ○山口説明員 お答え申し上げます。  第一点の中小企業金融公庫、国民金融公庫あるいは商工組合中央金庫につきましては、従来からやっておる措置でございますが、今回の災害を受けられました方につきましては返済猶予をより弾力的に実施するよう、改めて要請いたしております。したがいまして、返済猶予につきまして各金融機関の窓口で御相談いただきたい、こういうふうに思っております。  それから災害復旧に要する資金につきましても、この三金融機関におきまして貸し付けをいたしております。この貸し付けにつきましては、通常の貸し付け期間よりも期間を長くいたす等、あるいは簡易迅速な貸し付けということで災害特別貸し付け制度を発動いたしておりますので、このことにつきましても金融機関の窓口で御相談いただきたい、かように思っております。
  26. 高鳥修

    高鳥委員 最後に、せっかく国土庁長官出席いただいておりますので、今回の地すべり災害、非常に大規模な災害でありますが、この災害に対処されます国土庁長官としての御熱意あるいはまた、あわせて建設大臣もお務めになっておられますので、治山治水というのは何といっても国を治める根本であります。これらについての大臣の御所信を承って、終わりたいと思います。
  27. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 妙高高原町の土砂災害につきまして、本委員会が早速御調査をいただき、御熱心な御討議をいただいていることに感謝をいたす次第でございます。また、お亡くなりになられた方に心からなる弔意を表しますとともに、被災者の方々に対してお見舞いを申し上げます。  ただいま高鳥委員からのお尋ねでございますが、私といたしましては、このような災害が再び起こらないように万全の対策を講ずる必要があると思います。したがって、私の関係である建設省を通じての治水、治山の対策について、今回の事故を念頭に置いて十分対策を講じなければならない、こういうふうに思います。  また、この災害に伴いまして今後にいろいろと問題を残しておる。ただいまも、罹災の方々の金融関係あるいは新たなる貸し付けのことのお尋ねがございましたが、こういう当面の対策につきましては、それぞれの関係において住民の方が御安心のいけるようにいろいろと配慮をしなければならない、このように思います。私としては今回のこの災害を、将来再び起こさないためによき教訓として、対策あるいは復旧その他につきまして十分配慮をしていく考えでございます。
  28. 高鳥修

    高鳥委員 終わります。
  29. 川崎寛治

  30. 木島喜兵衞

    ○木島委員 まず最初に、この災害で亡くなられた方々に弔意を表し、そのために努力をされた自衛隊や消防団、役場の職員あるいは地元住民に対して大変敬意を表します。  いま高鳥先生の最後の質問で、大臣は再びこのような災害を起こさないために万全のとおっしゃいました。万全のということは、応急と恒久、二つになりますが、そのためにまず原因をきわめねばなりません。しかし、その原因は何かと聞けば、もう答弁はわかっています。いま調査に出しておりますからとしかお答えになりません。しかし、こういう災害の場合には人心の安定がまず第一であります。すでに新潟大学の二つの調査団や日大の守屋教授とか、あるいは地元の地質研究クラブ等がずいぶんと入っております。そこで、中間的な報告であるけれども、それらを総合して、現在の時点で大臣は原因をどうお考えになっていらっしゃいますか。
  31. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 原因について現時点でどうか、これはまことにお答えしにくいことでございます。この種の災害につきまして私が軽々に申し上げることはいかがかと思うのであります。現に林野庁建設省ともに専門技術者を派遣いたしまして、原因究明に努めておるところでございます。  ただ、せっかくのお尋ねでありますから、お許しを得て概括的に申し上げられますことは、日本の国土自体が災害に弱い地質を持っておる。また、今回の妙高高原災害を見ますと、近い個所において過去に同じような災害も起きておるということからいたしますと、この妙高高原一帯の地質が、一般的に見るよりも、こういう集中豪雨の場合あるいは融雪期における大量の水に対して弱いのではないか。したがって、今後の対策の上におきましても、直接の原因が仮にいま申し上げたようなことでなくとも、そういう面の対策は十分にしなければならないという考え方をしております。
  32. 木島喜兵衞

    ○木島委員 私は現在の段階原因をこう推定します。  まず第一に、前日の十七日の午後八時ごろ、小規模でかつ急激な地すべりがあったろう。小規模というのは下まで流すということではありません、前日の午後八時でありますから。急激ということは、それによって温泉のパイプラインが切れた、その切れ口の鋭さからして相当急激であったと推定されます。その最初に起こった小さな地すべり原因は一体何かと言えば、先ほど高鳥先生がおっしゃったところの林道と無関係ではないと私は思うのです。多くの学者もそれを指摘しております。同時に、幾つかの林道の欠陥が証言されております。時間がありませんから、いまその証言は申しませんが、もちろん林野庁にもその反論の証言はあります。しかし、多くの学者がそういうことを言っておるのでありますから、直接とは言わないけれども、間接的な原因はそこにあったろうと思うのです。  なぜ前日の八時かといいますと、池ノ平の温泉では四軒で八時ごろからお湯が出なくなっておる、あるいは減少しておる。それらを考えると八時ごろに起こったろう。そしてパイプラインを切ったろう。そこで、それが切られて、そのことによって八十度の熱湯が出る。毎時七十五トンのお湯が噴き出る。そして雪を解かす。それが浸透し、貯水されて、第二の地すべりが起こった。それが十八日の午前二時。午前二時にその起こったことの振動を聞いておるところの証言が二人からある。あるいは、先ほどお話がございましたけれども白田切川の水が午前五時にかれておることを見ておる人もいる、証言がある。したがって、その第二次の午前二時の地すべりによってどこかでとまっておった。さらに融雪がたまる。そして午前六時二十分だと思われますが、土石流に埋まったところのマスコ洋装店の赤倉寮から掘り出されたディジタル時計が六時二十六分でとまっておりますから、そのころに一斉に出た。このくらいたまらなければ、それくらい水量がなければあの土石流の速さにはならなかったろうと思うのです。だから、その貯水は温度による融雪だけではないだろうと思うのです。もし温度だけだったならば全山同じように水が出なければならないはずであります。なぜここだけあれほど激しい量があの激しい勢いで出たか、私はそう推理するのです。そして大貯水なくしては九十万立米と言われるところの土石がないでしょうし、流れて堰堤ジャンプ台にしながら加速されていった、そのことがあの災害だと私は思うのです。いままでの調査の時点でもって、私はそのように推定いたしますが、もし反論あらば簡単に承りたいと思う。
  33. 角道謙一

    角道政府委員 ただいま木島先生から詳細にわたる崩壊原因についてのお考えを承ったわけでございますが、私どもとして、現在建設省それから林野庁から、地すべりあるいは土砂崩壊問題についての専門家現地に参って実態を調査しておりますし、また新潟大学等の意見も新聞等に伝えられたのは承知しておりますので、これらをよく参考にいたしながら原因調査に努めたいと考えております。  当面のところは、私どもとしてどの部分がどうということについては反論は差し控えたいと思います。
  34. 木島喜兵衞

    ○木島委員 それは結構です。  そこで、でも大きく分ければ人災論、天災論、その複合論というように分けられるでしょう。さっき大臣おっしゃいましたが、もしもその天災論だとしましょうか。と仮にすれば、天災論とは全山の土質は火山灰で弱い、そして温度の急上昇によって一斉に雪が解けたということでなったとするならば、それは極端な言い方でありますが、全山は地盤が弱い、そして全山の高度によって温度は同じ、だから全山が常にこのような災害の危機に見舞われるおそれを持っている山だということになる、天災説をとれば。  時間がないから余り細かく入ってもいられないのだが、ことに全山といいましても西側ではそうではないのでありますが、先ほども高鳥さんの妙高の歴史のお話がございましたが、二万年くらい前の、東側は泥流で流れておる、だから今回の泥流をまさに二万年前の氷河期の再来だと言っておる人もおる。したがってそこに人が住んでおらないときは、天災説をとれば自然の摂理で済みますけれども、しかし人が住んでいる限りここに問題が起こってくる。したがって、天災説をとれば、全山動く大地であるという前提になるとすれば、この全山をこの機会に防災という立場から、あるいは環境を保全するという立場から、あるいはここに営みを行っている人たちの生活のことから、全山をいま新しく見直さねばならないのではないかと思うのですが、大臣の御見解をいただきた  い。
  35. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 そういう御所見も今後の対策上参考にする必要があるかと思いますが、過去における妙高高原地帯災害状況は、私の承知しておる範囲では大体同じ地域、全山というよりもある同じ地域に起きておるように私は報告を受けておるわけでございます。ですから全山がいいのか、あるいは特に土砂災害を起こしやすいと認定される地域がいいのか、その警戒すべき地域というものは、今回の災害に伴いましてよく検討いたしますと結論が出てくるのではないか、こう思うのでありますが、私も専門家でもございませんので、この程度以上には大変お答えがしにくいと思  います。
  36. 木島喜兵衞

    ○木島委員 いま私が御質問を申し上げているのは、一定の私の仮説を述べ、しかし私は複合論だと思うが——したがって複合論だとしても天災論が入りますわね、そういう天災論があるとすれば、全山が動く大地であるということになれば——それはもちろん全山といっても全部ではありませんでしょう。けれども、そういう全山見直し論、妙高山全体を見直すということが原因の中から出てくるであろう。それが大臣が先ほど日本全体が、あるいはこの地域全体がとおっしゃったことに絡んでくるからそのような御質問を申し上げたのであります。  その次に、しからば人災論——複合論であろうと、人災論があった場合に先ほどから話の出ておるところの林道論があります。これはもう追及はしませんが、ただ、この四十六年災害のための、あるいはそれ以前の災害のための資材運搬道路で今回のより大きな災害が生まれた。とすると、今次災害の復旧のために資材を運搬するとすれば、多くの資材を運ばねばならぬのでありますから、ますますこの林道はその次の災害を呼ぶ大きな原動力になってくるおそれがある、次の災害を防ぐために次のより大きな災害を呼ぶという矛盾が出てくるおそれがある。林道が遠因の一つであれどうあれ、原因一つであるということになるとそうなるが、その点はどのように処置をなさいますか。
  37. 角道謙一

    角道政府委員 お答え申し上げます。  先生の、林道がやはり今回の災害原因ではないか、あるいは一因ではないかという御指摘につきましては、私ども農林省といたしましては、従来これまでの経験あるいは知見、崩壊状況から見まして、資材運搬道路原因であるとは現段階では考えておりませんけれども、この林道を、資材運搬にどのような方法を用いるのがいいかという問題については、今後の原因調査等を待ちまして工法等についても十分検討したいと考えております。
  38. 木島喜兵衞

    ○木島委員 時間がありませんから急ぎます。  人災論のその次には温泉源があります。四十六年は温泉地すべりであります。温泉によるところの地質の化学変化が一つの主因であります。そこで今回のパイプラインはそれなりに完備しておったと思うのでありますけれども、このパイプラインの管理は妙高温泉土地株式会社がやっておると聞いておりますが、この監督官庁はどこですか、そして、この管理について万全であったか否か。これはその他の配湯管もあります。三本あるわけですから。全山見直し論と私の言っておることは絡んでおりますけれども、再び起こさないために——かつて温泉地すべりがあったわけでありますから、この会社が管理をしているその状況というものが万全であることを役所が明確につかんでおかなければならぬはずであります。その辺はどうなっておりましょうか。——監督官庁はどこですか。
  39. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 別に私、答弁を買って出たわけではないのです。ただいまの御質問については、なかなかこの監督官庁等が明白でないようです。先ほどからの御質問で、パイプラインの敷設について環境上からはどうかというような話も出ておりましたが、しばらく答弁を猶予させていただいたらいかがと、こう思います。
  40. 木島喜兵衞

    ○木島委員 時間がありませんから猶予してもいいですが、まだ原因がわかっておらないから……。  最初に私は一つの仮説を立てた。四十六年にも温泉地すべりがあった。温泉によるところの地質の化学変化によって災害が起きた。その災害が今回の災害を呼んでいるとすれば、その温泉の配湯管についての監督官庁がわからないというようなことだからこそ、こういう災害がさらに拡大されるおそれも出てくる。わからぬというのだから、時間の空費ですからやめますけれども、なぜそういうことを言いましたかというと、この配湯管からお湯を引いておる妙高温泉では、しょっちゅう湯がとまるということを私たちも十分知っておるのです。完全だったか否かということは私も疑問に思うものでありますから、同時にそのことが、監督官庁がわからぬでありましょうから、放置されておるとすれば、私はこれはゆゆしい問題だと思います。まあしかし、答えられないのだからしようがないから、後で文書か何か出してください。  次に、人災論のその次の問題とすれば、先ほどお話ございましたように、四十六年の災害の復旧計画というものが今回のような災害を想定したものかどうか、なぜそのことを言うのかと申しますと、先ほどから申しますように全山が大変に危険な状態である。だから、ある一つ災害でもって、一定の防災を含めて工事をしても、より大きな災害が出ないということはないのでありますから、今回の九十万立米ないし百万立米と言われるものを想定したところのものでなかったことは先ほどお話がございました。とすると、今度の復旧はいかなる態度で臨むかということとかかわってくる。新潟県の土木では、四十六年の災害の工事を完全にやっても、四十六年のときの災害を防げるようなものではないという技術者の証言もある。そこの問題だと思うのでありますが、いま時間がありませんから、そこまで詰めません。けれども、四十六年の災害で、防災を含めて工事をやった。しかしそれがより大きな災害を呼んだ。全山は軟弱である。とすれば、今度の災害に臨むところの方針はそこから出てこなければならぬだろうと思うが、その点についての御見解をいただきたい。
  41. 角道謙一

    角道政府委員 お答え申し上げます。  現在派遣しております調査団は、当面の、今回崩壊が起こりました個所につきまして、原因究明と対策というものを検討させておりますけれども、今回の調査団が帰りました段階で、先生御指摘のように、妙高山一円についてはいろいろ問題もある個所でございますので、近い機会に、できれば妙高山全体につきまして総合的なあるいは恒久的な対策を検討するための調査団を派遣をいたしまして、もう少し抜本的、総合的な観点で今後の対策を考えたいというように考えております。
  42. 木島喜兵衞

    ○木島委員 先ほども高鳥先生からお話がございましたけれども白田切川の管理の一元化という問題ですね。関川分流点から延長八キロの、この川の上流三キロが林野庁で下の五キロが県である。これは役所の縦割り行政からすれば、それはそれでいいかもしれないけれども、しかし被災をした者からすれば、その一元的な管理がなかったことが今回の災害を呼んだ一つ原因ではないかと言う人たちがおります。それはきっと皆さんは、林野庁建設省も、県ともよく連絡をしてやっておるという答弁が返ってくるでありましょうけれども、しかし、現に新潟県の土木部長は県会でもって、林野庁所管地域における堰堤の数すら知らなかった。とすれば、十分なるところの連絡をとっているとは思えない。ばらばら行政がこの災害を生んだという一つ原因になりはしないのかという疑問が生まれてまいります。その点はいかがお考えですか。
  43. 角道謙一

    角道政府委員 お答え申し上げます。  白田切川防災計画あるいはその後の管理につきましても、従前から現地におきましては前橋営林局と県庁、また中央におきましては林野庁建設省と、そこで常時連絡調整会議をやっておりまして、十分一体的な管理が行われておると私どもは考えておるわけでございます。
  44. 木島喜兵衞

    ○木島委員 そういう答弁でしょうが、新潟県の土木部長が林野庁の管轄区域の中の堰堤の数も知らないというのじゃ、それであなたの答弁になりますかな。下の五キロは県がやっている、しかし上の方のことがわからないで、下の方がどうして計算ができるのですか。幾つ堰堤があるかわからないで、県は県独自でやる、建設は建設独自でやる。答弁はそういう答弁で、役人の答弁は大体決まっているのだ。だからそうお答えでしょうが、県の土木部長はそう言っているのですよと聞いているのです。それが原因一つでないと言えないから私は聞いているのです。再びより大きな災害が起こらないという保障がないから聞いているのです。
  45. 角道謙一

    角道政府委員 新潟県の土木部長が堰堤の数を知らなかったことにつきまして、私ども非常に遺憾に思うわけでございますけれども上部七カ所、これは林野庁で所管をいたしておりますし、下流四カ所、それは県の所管でございまして、従来十一カ所は一体としてこの白田切川の防災に有効に働いてきたというように私どもは理解しているところでございます。十分なお県庁の方にも私どもよく事情を聴取してみたいと思っております。
  46. 木島喜兵衞

    ○木島委員 新潟県の土木部長が林野庁堰堤の数を知らなかったのは遺憾ではないのです。それは遺憾じゃないのです。知らないのは事実なんだから。知らないような状態にあることが遺憾なんです。知らない状態に置いたことが今次の災害を起こすところの一つ原因であったとすれば、事は重大ではありませんか。よって、一元的な管理をするために今後どう措置をされるか、どう改善をされるか、そういうことを聞いておるのです。
  47. 角道謙一

    角道政府委員 現地におきましては、やはり従来からやっております前橋営林局と県との連絡というものを十分密にしてやりたいと思いますし、また本省におきましても、建設省と私ども十分連絡をとりながら一元的な管理をやる方向で最善の努力をしたいと考えております。
  48. 木島喜兵衞

    ○木島委員 先ほどのたとえば私の推定、これは、私は地元の証言等も含めて仮説を立てているわけでありますし、あるいは学者等の説もあるのですが、もし午前二時の地すべりがあったことは、白田切川から五百メートルぐらい離れておったところの保養所に泊まっておった会社員がそのとき二時に音を聞き、戸の揺れを聞いておる。それは二人が証言しておる。だから、もしも警報機があったら十三名の命が防げたのではないかと思えるところであります。この警報機がなぜつけられておらなかったのですか。四十六年の災害があった場所であります。四十六年にも人が死んでいる場所であります。この点はどのようにお考えですか。
  49. 角道謙一

    角道政府委員 お答え申し上げます。  四十六年の災害の起きました場所は今回の崩壊の起きました約一キロメートルぐらい上流でございまして、その地域妙高山カルデラ地帯にございまして、過去にも地すべり災害が起きたところでございますので、その地域につきましては十分監視を行っておりましたけれども、今回の崩壊の起きました場所につきましては、過去におきましても何ら崩壊記録もございませんでしたし、また七、八十年生の樹木も育っているというように、私どもとしては非常に安定した個所であるというように考えていたものでございますので、その個所については警報機等の監視の装置は何らつけていなかったということでございます。
  50. 木島喜兵衞

    ○木島委員 この地域を安定しておった個所だと認識しておったといまおっしゃったのですか。林野庁はそのような認識に立っての行政をやっておるのですか。この地域は安定した地域なんですか。
  51. 角道謙一

    角道政府委員 地域という言葉は非常に不適当でございますが、今回の崩壊の起きました地点と申しますか、郷田原のいわゆる白滝と申しますか、今回の崩壊場所そのものでございます。あの地域全般につきましては、先生御指摘のとおり問題がある場所であるというように考えております。
  52. 木島喜兵衞

    ○木島委員 全般に危険があるならばなおさらあの地点は危険があるということじゃございませんか。
  53. 角道謙一

    角道政府委員 全般に危険があるというのは、今回の災害が起きましたことからもっとさかのぼりまして、妙高山自体が火山性地域でございますので、あの土地全般につきましても火山の外輪山であるという点から問題があるというように考えているわけでございまして、今回の崩壊の起きました個所については、私どもとしては特にその場所について特定をして監視をするということはやっていなかったという点がお答え申し上げた点でございます。
  54. 木島喜兵衞

    ○木島委員 それで反省しているの。あたりまえだと思っているの。四十六年の災害の前にも災害があったわけでしょう。全山がそういう状態であって、しかし、先ほど大臣もおっしゃるように、全山見直すかといっても、やはり危険個所だという場所に集中されるだろうとおっしゃる意味は、私はある程度わかるのです。全山そういう山であるけれども、起こるところは水の流れるところや谷でしょう。とすれば、いままでも何回かあった場所です。では、林道なら林道をつくることは、ああいう地質のところでもって一般論として全く影響ないとお考えになっておったのですか。
  55. 角道謙一

    角道政府委員 当該個所につきましては、私ども林道を建設しますことにつきましては何ら問題はない地点であるというように考えまして、三十年代の地すべり等の防災のためにあの県道から、たしか全長で約七キロ強だと思いますけれども資材運搬道路を仮設したものでありまして、その資材運搬道路の設定に当たりましては、地形、地質等も十分に判断してやったわけでございます。
  56. 木島喜兵衞

    ○木島委員 地形、地質を考えて、ああいう地盤のところで——私も多少妙高の地質を地元のグループ等といろいろ前々から話をしておるところなんですよ。しかし、きょうは学会じゃありませんから。ですけれども、ああいう地盤のところに林道を全く心配がないんだというような発想でつくって、そして全山の中でも一番、過去に何回もあった場所を全く何でもないという認識でおったとすれば、大臣、いかがですか、そういう態度こそ問題ではありませんか。林道は建設大臣及び国土庁長官の所管でないかもしれませんけれども、しかし、災害についての統一的な所管をされる国土庁長官、いかがですか。
  57. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 せっかく専門技術者による検討が行われておるのでありますから、どのような結論が出るか、にわかに判断ができませんが、今回のこういう災害から、現在まで考えられておった林道の構造が、こういうところに問題があるとか、仮にその地点を一般の町村道でもつくられておったとした場合、その町村道の構造がこれではどうかとかいうような判断が行われるものではないか、あるいは道路については構造上問題はなかったが、下部の方のこういう原因から不測のことが起きたとかいうふうに今後の検討が進められることと思うのです。したがいまして、必要があってつくられた。特に災害が起きた後の材料運搬のための道路であった。したがって、この道路のつくられたゆえんのものは必要性があったと思うのです。しかし、その道路の構造が仮にいま申し上げたような判断が下されるならば、それは今後におきまして災害を起こさないように、その結論に従っていかなければならない、こういうふうに判断いたします。
  58. 木島喜兵衞

    ○木島委員 大臣、もしもいま林野庁が答弁するように全く危険がないものだとするなら、そして断定するなら、いま大臣がおっしゃったように調査なんて要らないのです。林野庁調査団に加わっているのはおかしい。疑問があるから調査団が行っているのでしょう、いま大臣がおっしゃるように。そういう疑問があって、調査団を出して調査し、原因を調べなければならない、いま大臣がおっしゃったようにそういう林道もある。だのに、林野庁はそういうものは全く心配はないんだ、絶対なんだ。絶対の場所なんだから少しも再び起こることはないと信じておったというなら調査は要りませんよ。林野庁は何でそんな調査団に入っておるんだ。そういう態度が十三名の死者を出したところの原因一つになっていやしませんかということを大臣に聞いておるのです。
  59. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 御質問のことは、私は調査の結果そういう判定と申しましょうか、おっしゃるような結論であれば、当然それを聞かなければならないと思うのです。ただ、林野庁が申し上げておるのは、必要があってつくった林道が、その時点までの林野庁の判断としてこの程度の道路をつくって問題はないんだ、そういうことをお答え申し上げておるのではないかと思います。
  60. 木島喜兵衞

    ○木島委員 それで、この場合、予測ができたか、できないかということとも絡むわけです。これにはいろいろな言い方がありますけれども、あと三分しかないので、委員長ちょっと延ばしてください、さっきのこともありましたから。  三年前に県が新潟大学の先生方や地元の地質研究グループに依頼をいたしまして、環境庁や新潟県などが進めている上信越高原国立公園の規制地域見直し作業の資料として、新潟県から妙高山の地学調査を依頼され、それが五十年十一月に報告が出ておりますが、それによると、「地形や表層部を改変すると、降水の浸透などで地滑り、土砂崩れなどの危険が増す。谷沿い地域は、これら災害被災地になりやすい」という警告を出しております。先ほど申しましたように、「約二万年前と推定される妙高山の大爆発では、白田切川流域は、北地獄谷から流れる大田切川とともに、大量の泥流が流下し、地形的には谷全体が大きな〃川〃となっている。四十六年災害白田切川の流れが南寄りとなり、現在は、新赤倉温泉わきの白田切川の水量も少ないが、もともと、温泉街がつくられた一帯は、白田切川の旧河川敷や湿地帯の上にある——などをあげ、集中豪雨や大量の土砂崩れがあった場合、同温泉街が巻き込まれる可能性が大きい——とし、新たな建物を規制したり、防災対策の必要性を警告」をしております。にかかわらず、この旧河川敷の上に新赤倉温泉ができた。赤倉温泉や池ノ平は尾根にあります。ここは河川敷です。この警告にかかわらず、昨年一年間でも十二の旅館や保養所ができております。そのうち、今回の災害でもって五戸が被災しております。  このように、学者はすでに三年前に警告しておる。いま、予測し得たか否かという問題と絡んで、このことをどう御理解になっていらっしゃいますか、
  61. 四柳修

    ○四柳政府委員 ただいま御指摘の県の報告のことは、私ども承っておりませんけれども現地調査に参りまして、確かに河川の河道が変更になったとか、あるいは土地の事情からしまして、いろいろと御指摘のような問題があっただろうと思います。  それから、そういう中にあって、実は地元も、あるいは県も、やはりその土地の特殊性からしまして、自然条件にある意味では逆らった点があったかもしれませんけれども、できるだけ土地の有効利用と、そのことによる地域の振興という方に重点を置き過ぎて、御指摘のような問題が起きたのではないだろうか。そういう中にありまして、国、県、市町村、それぞれ御指摘のような、いわば報告書の警告についての反省なり見方が足りなかったのではないだろうか、このように受けとめております。  なお、先ほど大臣が御答弁を留保しました点でございますけれども、例の温泉の所管の点でございますけれども、環境庁の関係でございまして、温泉法の施行に関することと、国立公園等におきます温泉に関する観光事業の指導に関すること、この両面が一応環境庁の自然保護局の施設整備課の担当でございますので、先ほどお尋ねの点、後刻関係の課の方からまた御連絡申し上げたいと思います。
  62. 木島喜兵衞

    ○木島委員 もう時間がありませんから、一つか二つだけお願いいたします。  いまなお、上に一万五千立米の崩壊する可能性のある土砂があるのですね。今回の復旧を急いでいただかなければならぬのでありますけれども、十一月ごろから雪が降ります。もしそのまま放置されて、あるいは十分なる施策がなされなかったら、来年の融雪期に、全体の地盤が弱い上に一万五千がいま落ちそうだという状態、もしそれをとめることをやらなかったら、来年の融雪期は一万五千が原動力になって百万、二百万立米にならないという保証はない。しかし、十一月には雪が降る、工事は大きい。いま私がずっと質問しておりますのは、今後再び起こさないためにという立場からいろいろお聞きしておるのでありますけれども、今後というよりも来年起こる一番可能性のあるものはこれじゃないか。それにはどのようなことが間に合うんだろうか、私も専門家でないのでわかりません。それについての方針があれば承りたいと思うのであります。これは大臣でなくても、だれでもいいです。
  63. 角道謙一

    角道政府委員 お答え申し上げます。  先生御指摘のとおり、今回の崩壊個所上流部の方に約一万五千立米の不安定土壌がございまして、この処理は、私どもとしましては緊急に対策を考えなければいけないと思っておりまして、今回の調査団が参っておりますのも、この問題についても早急に対策を立てるということでございます。私どもとしましては、この土壌の処理あるいは対策につきまして、山腹工あるいは渓間工というようなことも考えられるかと思いますけれども調査団の結論を待ちまして早急に対策を立てたい、かように考えております。
  64. 木島喜兵衞

    ○木島委員 建設省は、白田切川の本流と深沢川のことで、今回突き破られたところを本流にするということをまだ確定をしていないと聞いております。そういう方向で検討していらっしゃるようでありますけれども、まだ確定はしておりませんね。建設省、そうですね。決まっておらないとすれば、二つの道があるわけです。すなわち、本流を本流として流すか、あるいは完全なる堰堤をつくって深沢川へ流すか、二つの道がありますね。ところが、国鉄が今回四カ月も汽車をとめてやるというのは、そこを本流だという前提に立っておるとしか理解できない。本流になるからずいぶん長い鉄橋をつくるということでしょう。それだけ工期がかかる。その工期がかかるためにお客が来ないから観光地は困っている。しかし、本流にするか、あるいは深沢川へ流すかということは、まだ建設省は決まっておらない。深沢川へ流すにしても堰堤をつくるにしても、その堰堤はまたやられるだろうとすれば、国鉄は建設省の工事に対して本質的には不信の立場に立つということになるかもしれないですな。あるいはむだな工事だということになるのかもしれない。この辺の関係はどうなんですか。
  65. 野沢太三

    ○野沢説明員 お答え申し上げます。  土石流等の性質からいたしまして、先ほどから御議論ございますように、再度の災害のおそれも考えられますので、私どもは今回九十メートル以上の径間でこれを飛ばざるを得ない事情にございます。工事といたしましては、小さなけたをかければ早くでき上がりますが、その場合には再度の被災のおそれがございますので、やむを得ず長い橋で渡りますが、これはあくまで一時的な仮設でございまして、本復旧の場合には白田切川河川改修計画にあわせて考えたいと思っております。
  66. 木島喜兵衞

    ○木島委員 建設省要望しますが、本流に流すことになった場合に、たとえばあのような災害が起こったら、今度関川にあの土砂が全部行ったら、関川のはんらんになりますね。ですから、そういう意味では、地元と十分な連携をとり、そういうことも含めて御決定をいただきたいということを要望いたしておきます。  もう時間がありませんから、さっきの質問、環境庁の中島保護管理課長がお見えになったそうでございますが、御質問わかりますね。——要するに、今回の温泉のパイプラインが、四十六年も温泉地すべりですね。したがって、管理が十分であるか、この土地会社に常にどのような指導をして、どのように管理の万全を期させておるかということを聞いたのです。
  67. 中島良吾

    中島説明員 御説明申し上げます。  わが方の不手際でおくれまして、まことにおわび申し上げます。  現地には国立公園管理員という環境庁職員が駐在しておりまして、常に許認可にかかわることにつきましては、十分監督指導等をいたしておるわけでございます。しかしながら、今回の温泉引湯管埋設部分につきましては、実は自然公園法上許可を要しないことでございまして、そういう監督の認識が行き届いていなかったというふうに申しております。そういう意味ではまことに申しわけなかったことだというふうに思います。
  68. 木島喜兵衞

    ○木島委員 いいです。時間がありませんから、そうお認めになったものを、もうそれ以上言いません。  ただ、大臣、これで終わりますが、先ほどから申し上げておりますことは、全山全体がそういう危険な場所であり、かつ原因は複合だろうと思うのです。一つだとはなかなか言えないだろうと思うのです。けれどもそういう場合に、人災論とするならば、私が想定する幾つかの原因というのが考えられる。それらが万全であるか否かを将来に向かっての立場からお聞きしたのでありますけれども、幾つかの問題では十分なる御答弁をいただいておりません。もう御自覚のことでございますから、責めることだけをいたしません。ただ、将来に向かって、たとえば先ほど申しました、すでにもう一万五千があり、来年の融雪期が心配であるという状態も含めて、万全をと先ほど大臣はおっしゃったのでありますけれども、いま私が申したようなことを総合的に、多角的に、有機的に御検討をいただき、対策を早急に立てていただきますことを御要望し、大臣の決意を承って、私の質問を終わります。
  69. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 今回の災害後に、まず現地合同調査のために関係省庁が参りました。また二十九日からは専門技術者による調査が行われております。さらには、衆議院、参議院の両災害委員会の皆さん方の御調査をちょうだいしておりますし、また、こういうふうにいろいろ御質疑をちょうだいしておりますので、それらを総合いたしまして、皆様の御意見も尊重しつつ、今後の対策に万全を尽くす考えでございます。
  70. 川崎寛治

    川崎委員長 広沢直樹君。
  71. 広沢直樹

    広沢委員 このたびの新潟妙高高原におきます大規模な地すべり発生によりまして起こりました被害、さらに被災を受けられた方々にお見舞いを申し上げますと同時に、亡くなられた方々に対して冥福をお祈りいたします。また、この発生と同時に復旧に尽力された方々に対しましても、心から敬意を表するものであります。  そこで、まず最初に、国土庁長官に基本的な長官の所見を承りたいと思います。  と申しますのは、被災のたびごとに改めて防災のあり方というものが問題になり、論議を重ねるわけでございます。先ほど長官は、この災害に対する決意の披瀝の中で、二度とこういう災害を起こさない、そのために万全を期するという決意を述べられたわけでございますが、いままでこうした災害が起きるたびに、地すべりにせよ、がけ崩れにせよ、とうとい人命が失われております。そのたびごとにいま国土庁長官が申されたような言葉を繰り返しているわけでございまして、ある意味においては非常に空虚な感じがするわけであります。しかしながら、このことに対しては、鋭意原因を究明し万全を期していかなければいけないことも、確かに当然のことでございます。  そこで、まずこうした問題に取り組む基本的な姿勢というものが大事ではないかと思うわけでありますが、防災に対しましては、今日のような経済の発展あるいは地域の発展と防災とがアンバランスになっているということはもう明らかになっているところでございます。したがって、防災に取り組む第一の姿勢というのは、人命を守るというところに置かなければならないことも言うまでもございません。私は今回のこの災害に対しましても、現地調査団として現地へ参りまして、短い時間ではありましたけれどもいろいろ見聞きしてまいりました。しかし私は、この災害によってとうとい十三名の犠牲を出しておりますけれども、取り組み方によってはこれは避け得られたのではないだろうか、こういう気持ちを強く持っております。したがって、国土庁長官としては、これが実際に不可抗力の問題であったと認識されておるか、あるいは取り組み方によってはこれを十分避け得た、このように考えてこの問題に取り組もうとなさっておられるのか、まず基本的なお考え、御所見を承りたいと思います。
  72. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 妙高高原町における今回の災害をしさいに検討いたしますと、委員の皆さんから御指摘のあるように、過去におきましても災害を起こしておる地域でございます。そういう点からいたしますと、万全な対策を講じておったというふうに申し上げることはできにくいと思うのであります。しかし、四十六年十二月末日に起きた災害後は、それに対しての対策はもとより講じておるわけでありますが、その後一応落ちついておるというようなことから、警戒体制というものが解除されたというようなことは、多少地点の相違がある、あるいは専門的に言うと同じ地質地帯ではないというような見方が行われておりまして、いろいろとこの災害に対して一応所見を申し上げてきておるわけでございますが、しかし、客観的に見まして、近接してこういう災害が反復起きておるということにつきまして、われわれとしてはさらに一層の防災体制をとらなければならないということを感ずる次第でございます。
  73. 広沢直樹

    広沢委員 そこで、これを一つの教訓として、この種の災害人命の損傷がないようにしていかなければなりませんので、やはりそういう意味では厳しい姿勢でこの問題についても取り組んでいかなければならないと思います。  先ほどからお話を伺っておりますと、原因の問題につきましては調査中である、こういうことでございますが、すでに災害発生をしてからかれこれ二週間たっております。原因がはっきりしないと基本的な問題を根本的に改善をしていくことにも相ならないかと思います。当面の目に見える対策あるいは現実的に起こっている問題については対応できると思いますけれども、やはりその原因を明確にして、そしてそういうことを起こさないようにするためにはこの点がはっきりしなければならないと思います。したがって、これは原因調査中ということでありますが、いつごろになったら結論が出るのでございますか。
  74. 角道謙一

    角道政府委員 お答え申し上げます。  現在、農林省及び建設省が合同して派遣しております調査団は、二十九日から大体本日いっぱいで現地調査は終わるかと考えております。恐らく諸般のデータ等を持って帰りまして、できるだけ早い機会にと思っておりますが、確定的な期日は申し上げられませんけれども、一週間から十日ぐらいのものを一つのめどに置いております。
  75. 広沢直樹

    広沢委員 委員長にお願いいたしたいと思いますが、そういう原因の問題については、一番大事な問題でありますが、まだ不明確であります。したがいまして、当委員会にその調査が終わりましたら報告を受け、それに対する何らかの当委員会としての原因究明に対する質疑なり、あるいはこの問題に対する処置をお願いしたいと思う次第であります。
  76. 川崎寛治

    川崎委員長 いまの問題については、先ほど来いろいろありましたので、ひとつ政府側としてなるべく早くまとめてもらいたい、次回の理事会等でまた扱いについては御相談をしたい、こういうふうに思います。
  77. 広沢直樹

    広沢委員 それでは、原因云々の問題につきましては、その結論を待ってまた論議をしたいと思います。  そこで国土庁にお伺いいたします。  この災害発生と同時に、国土庁から状況についての報告がございました。その中で、この発生日時は五月の十八日の六時二十分ごろ、こういう御説明でございました。しかしながら、現地に参りましても、二、三の方々から、この地すべりが始まったのは六時二十分ではなくて、もう何時間か前の時間ではないかという疑問さえいま出てきておりますし、先ほどの論議の中でもその点が明らかになっております。したがって、確かにこういう大被害を高原町が受けた、それは六時二十分前後であったかもしれませんが、その地すべりがあったのはいつの時点だというふうに考えておられますか、その点についてまずお答えいただきたいと思います。
  78. 四柳修

    ○四柳政府委員 私どもが六時二十分という御報告を申し上げましたのは、実は地元の方から、あるいは警察等の報告によりまして、その直接被災の時間ということで六時二十分というふうに了解しておりますけれども、いまお尋ねのその遠因でございます崩壊その他の点につきまして、広沢先生も現地でお聞きになりましたように、地元方々も、実は最初、非常に短時間で時速六十キロ、七十キロというような御理解もなさったような状況でございまして、やはりこの点も調査の結果を見てみませんと正確にはいまの段階では申し上げかねますけれども、そういった点も十分今後調べてまいりたいと思います。
  79. 広沢直樹

    広沢委員 これは大事な問題でございまして、やはり人命尊重の上から考えましても、この点は明らかにしておく必要があると思います。警戒体制をとるにいたしましても、実際に被害を受けてからではどうにもなりません。その点、今後ひとつ明確にしていただきたいと思います。  それからもう一つは、この報告の中で、災害対策本部の設置をそれぞれ行っております。県におきましても、同十八日の午前十一時三十分、あるいは妙高高原町においては同じく午前八時三十分、それから、いわゆる地すべりを起こしました所管の農林省前橋営林局にも、赤倉山地すべり災害対策本部を設けたのが同じく午前九時であります。もちろん基本法の二十三条にもありますように、災害対策本部の設置につきましては、これは「災害発生し、又は災害発生するおそれがある場合」というふうに載っております。しかしあの災害対策というのは、防災とそれからその後における復旧、改良、こういうことも含めて考えられておりますが、いま問題にしなければならないことは防災という面であります。いわゆる未然に防ぐということであります。したがって、何もこの妙高高原町の今回の場合だけではございませんが、いままでの各地における風水害における災害対策本部の設置につきましても、以前にも私は指摘いたしましたが、非常にその点は遅過ぎるのではないか。先般、これは他の法案でございますけれども、大震法あるいは火山の噴火等の問題がありましたときにも、一応予知関係の問題と含めまして、いわゆる警戒対策本部をつくり、そしてその警戒に当たり、災害発生すると同時にそれが災害対策本部に切りかわって当面の処置をとる、こういう段階を追っております。したがって、やはりこの災害対策本部も、こういう危険地におきましては、たとえばこの妙高高原町を一つの例にとりますと、原因一つにいわゆる融雪ということが考えられておりますが、こういう時期におきましては、警戒対策本部という名前がいいかどうかわかりませんが、事前にそういうものをつくって、町民も含めて住民のそういう意識の高揚を図っておくということが必要ではなかったのであろうか、これは今後の教訓として私は考えていただきたい問題であろうと思います。  これはこの例だけではありません。いままではほとんどがその直前ないし直後に本部が設けられておる。本部が設けられておるということは、それぞれの防災に関する、災害に関する関係方々が集まると同時に、地域全体の方々がその問題に注意を払うということであり、それに対応するということなのであります。「災害は忘れたころにやってくる」ということわざがありますけれども、まさしくいつもいつも災害におびえていては仕事もできませんし、住んでおることもできません。したがって、そのために安全対策をそれぞれ行っているわけでありますから、そういう危険性が増している時期あるいは危険な状態が察知される折、そういったときには事前にそれぞれの関係者対策本部をつくり、住民にまさかの場合の徹底を図ると同時に、あらゆることを想定したことを考えるべきではないか、それが空振りになったとしても、私は、あの大震法のときにも問題になりましたが、訓練にもなるし、意識の高揚にもなると思います。理論上だけの論議を重ねておったのでは、これではいざというときに対応になりません。それがやはり毎回毎回多少にかかわらずとうとい人命を失う結果になっておるのではなかろうか、このように考えますので、その点の考え方、ひとつ当局のお考えを聞いておきたいと思います。
  80. 四柳修

    ○四柳政府委員 御指摘の点、災害後に災害対策本部を設けるよりは、やはり防災の観点から事前に警戒本部等を設けて、住民の協力によって一体でやるべきではないかという点、ごもっともだと思います。  とりわけ、融雪のように、いわば自然的に必ずある程度降雪量があれば想定される問題でございます。時期的にも想定されることでございます。詳細は地域計画等を調べてみなければわかりませんけれども関係市町村、県の地域防災計画はもちろんのこと、関係施設の管理に当たります各機関の防災業務計画におきまして、やはり事前にいま御指摘のようなことも踏まえておく、あるいは妙高高原町の町の防災会議でもそういったことが事前に議題となりまして、やはり御指摘のような体制を町民ぐるみで組み込んでおく、こういうようなことがやはり必要ではないだろうか。そういう点、関係省庁ともども、やはり十分指導してまいりたいと考えております。
  81. 広沢直樹

    広沢委員 それでは林野庁にこれからお伺いいたします。  先ほどからお話もございましたように、事故の起きた場所は四十六年十二月末にも同じような土砂崩れがあった。そしてまた、犠牲者も出ており、危険視されていた、こういうふうに言われておりますし、あるいは融雪期においては、大なり小なり、いろいろ土砂崩壊というものにこの地域は遭っておる、こういうふうに伺っております。したがって、今年に入ってもこういったことがしばしば起こっておるわけでございますが、今回の地すべりは、規模や日時の問題は別といたしまして、あらかじめ危険であるということだけは予想されておったのではないだろうかと思うのでございますが、その点はどういう認識でいらっしゃったのでありましょうか。
  82. 角道謙一

    角道政府委員 お答え申し上げます。  四十六年の災害についていま御指摘がございましたが、四十六年あるいは三十二年にも、あるいは三十七年というように災害が起きておりますが、これは今回の土砂崩壊が起きました約一キロぐらい上流南地獄谷という泉源地帯でございまして、ちょうどそこは、妙高山カルデラ地帯になっておるわけでございます。今回の土砂崩落の起きました場所は、妙高山の外輪の赤倉山東斜面。したがいまして、私どもとしては、今回の崩壊の起きました場所につきましては、いわゆる地すべり等の危険は何ら予想していなかったということで、むしろ南地獄谷につきましては防災工事等を従来から実施をいたしまして、この南地獄谷中心といたしました防災計画を立てておりましたが、今回の土砂崩壊の起きました個所につきましては、過去にも災害記録もございませんし、また非常に、七、八十年ぐらいの木も繁茂しておるというような状況もございまして、私どもとしては、この地域については特別危険だというようには判断をしていなかったわけでございます。
  83. 広沢直樹

    広沢委員 これは、新聞の報道によっているので、私、直接聞いたわけではございませんが、この崩壊が起きる事前に、幅三十メートルですか、そして深さ十メートルぐらいにわたっての地割れがあったということを目撃している人もある、こういうふうに報道されておりますね。先ほどから、温泉のパイプ管の問題だとか、あるいは工事用道路拡張だとかという問題も一つ原因ではないかということを言われているのですが、いずれにいたしましても、いま審議官は、全然予想だにもしていなかった、こうおっしゃるのですが、そういったところに私は一つの認識の甘さというものがあるのじゃないかと思うのですね。しかし、現実にはもう起こっているわけですからね。どこに起こってくるかわからないけれども、あなたが先ほどおっしゃったように、全体が危険な地域にある、地すべりしやすい状況にあるということであるのだったならば、その時期においての警戒だとかいうものは十分に行わなければならないのではないか。前橋営林局の方が現地に来ておられましたが、ここはやはり定期的にそういうことで見回っていたということは言っておりましたが、そのときに具体的な危険ということを発見し得なかったということは、私も直接聞きました。ですから、やはり出先の方では、そういう全体的に危険地域であるなという認識の上に立ってパトロールをやっていたということであります。いま、全然感じなかったということは、ちょっと私は認識が大きく誤っているのではないか、このように思うわけですね。  いずれにしましても、そういうことも一つ原因であったのかもしれませんが、同地域ないし同場所は、山地地すべり危険区域の指定が行われておりませんですね。これはどういうわけで指定が行われていないのか。今後はどうするお考えなのか、ひとつそれをお伺いしておきたいと思います。
  84. 角道謙一

    角道政府委員 お答え申し上げます。  地すべり防止区域の指定は、地すべり等防止法に基づいて行われておりますけれども地すべり等防止法の目的は、地すべり防止地帯を指定をいたしまして、ここで地すべりの防止工事の実施、これを容易にするための、たとえば土地収用であるとか、あるいは立ち入りであるとかいうような問題がございますのと、さらにまた、地すべり防止区域の管理者を決める、工事をやるについての補助体制等も決めるというたてまえになっております。国有林の場合には、土地の管理、土地自体が国の所有でございますので、常に一元的に管理もできますし、また工事施行等の面におきましても特段の支障はないということで、私どもといたしましては、この地域につきましては、過去に地すべりが起きたことは事実でございますし、南地獄谷につきましては、そういう意味で国として地すべり工事を実施をしてきたということで、特段地すべり防止地帯の指定をしなくても、十分その効用あるいは機能は達しているものというふうに考えていたわけでございます。
  85. 広沢直樹

    広沢委員 今後はどうするお考えなんでございますか。
  86. 角道謙一

    角道政府委員 今後につきましても、私ども、これから県あるいは建設省等の意見もよく伺ってみたいと思いますけれども原因究明等も待ちまして、今後の処置については十分検討してみたいと思っておりますが、先ほど申し上げました考え方から申し上げまして、一般的には、今回、特段の地すべり防止地帯の指定は行わなくても、今後の防災工事等には特段の支障はないのではないかというようにいま考えておりますが、なお、処置については、今後の調査班の調査結果等を見て最終的に判断したいと考えております。
  87. 広沢直樹

    広沢委員 審議官、私は、その考え方にも一つ誤りがあると思うんですよ。確かに地すべり等防止法は、民有林の場合、それぞれの制限を加えたり、あるいは国が補助を出したりいろいろするための法律として、具体的にいろいろなことが取り決めしてあります。しかし、そこの地域は、危険地域の指定をまず行った上でそれが行われることになっているのです。それはもう一つには、総合的な防災対策を立てる意味でも重要なことなんですね。地域住民が、自分の上にある国有林の方にも問題があるということを認識していることだけでも重要な問題なんですよ。ですから、これは民有林、国有林にかかわらず、やはり危険地域は危険地域としての指定をきちっとして、そうして国においてやるべきことは国でやればよろしい。あるいは民有地で国の補助を受けてやらなければいけないことは、国の補助を受けてやればよろしい。と同時に、その他の防災に携わる関係方々が、それもひっくるめて地域対策としての防災対策を立てるという意味でもこれは重要になってくるわけでありますね。ですから、先ほどからばらばら行政ではないかというお話もございますが、やはり自分だけわかっておればいいという問題は、これは防災の上から考え直してもらわなければいかぬと思うのです。ですから、やはりこの地域指定は、もう一度全体を見直すと同時に、前向きにやっていただきたい。その点について前向きに取り組むかどうか、このことをお答えいただきたいことと、もう一つは、五十一年に、五十災あるいは五十一災の災害が多発したこと、そしてそれががけ崩れにせよ、地すべりにせよ、危険区域の指定がなかったところにそういうことが発生しているということが出てきたために、建設省においては再度危険地域の総点検を行っている。林野庁においてはその総点検を行っていない。いま行おうとしているやに聞きましたけれども、その点どうなっているか、これもあわせてお答えいただきたい。
  88. 角道謙一

    角道政府委員 お答え申し上げます。  地すべり防止区域の指定の問題につきましては、先生の御意見もよく参考にいたしまして、今後の対策は考えたいと思いますが、現行の地すべり等防止法におきましては、一つは費用負担の問題もございまして、一般的に都道府県知事が工事をいたします場合、国に委託してもそうでございますが、補助率が三分の二であるというようなこともございまして、いろいろ財政上の問題もあろうかと思いますので、従来からもこの指定問題につきましては、県あるいは建設省とも十分連絡をとってやってきておりますので、私どもとしては、今後の対策については地元の意見を十分よく考えてみたいと思っております。  第二の見直しの問題でございますが、御指摘のとおり、私ども昭和四十七年に山地危険個所調査をいたしたわけでございますが、自来、危険判定の手法も大分変わってきておりますし、相当問題も出てきておりますので、五十三年度におきまして、もう一度再点検をするということを考えておりますので、本年中には全国的に見直しをいたしたいと考えております。
  89. 広沢直樹

    広沢委員 いま申し上げたことは大事な問題でありますから、ひとつ鋭意地元ともお話し合いをいただきたいと思います。確かにいろいろな面から考えまして、危険区域の指定そのものがいろいろな面に影響してくることは考えられます。しかしながら、地震問題でも論議になりましたようにその地域に地震が起こる可能性があると言われれば、一切の人たちが恐れおののいて、そこには近づかないかというとそうではありませんで、そういうことをわかってくるからこそ防災面で抜本的に手を入れていく、常にそういう体制を図っていくから安全であるという考え方もできるわけでありますね。したがって、そういう意味におきましては十分いま申し上げたことを参考にして前向きに検討していただきたいと思います。  それから消防庁にお伺いいたしますが、今回の場合、警報あるいは避難体制、こういうものが十分図られておれば、もう少し何らか対応ができたのではないか、こういうふうに考えられておるわけです。消防庁としては、警報やあるいは避難体制を出す上においての消防庁の基準というものがあり、またこれは地域地域によって多少違いますから、その基準をもとに地域地域においては体制を考えられていると思います。したがって、この地域についてはどういうふうになっておったのかあるいはまた被災を受けたときが早朝であったために、逃げ得る立場にあった人もそういう条件が重なったために逃げ得なかったということもあったようであります。これはいままでこういうことがなくて初めて気がついたら別でありますが、いままでにも何回か論議されたことでございまして、これについて何らか対応する方法なり考えがなかったのだろうかということが反省されるわけでありますが、所管庁であります自治省、消防庁、いかがでございましょうか。
  90. 持永堯民

    ○持永説明員 災害時の警戒避難体制につきましては、常日ごろから指導いたしておるところでございまして、まず危険地域を把握し、かつ、雨が降ったような場合におきましては、その雨量等に応じながら事前に警戒避難体制をとるという仕組みになっておりますけれども、今回のように融雪というようなことが仮に原因であるといたしますと、なかなか事前の段階で、災害を想定して事前に警戒体制あるいは避難体制をとるということが非常にむずかしいわけでございます。したがいまして、今度のそういった経験に基づきまして、これからは、やはり、今度の場合、一つ災害発生したといいますか、山が崩落した場所とその被災場所との町村の区域が違うということがございます。それからたまたま国有林であったということ等もございまして、そういったことを考えるときに、やはり従来のようなどちらかといいますと人家とか集落に近接したがけ地とかあるいは地すべり地帯とかについては、かねてから十分注意いたしておりますけれども、相当遠い場所等につきましてはなかなか注意が届かないというのが現実でございますので、やはりもっと広域的な立場から十分気をつけていくということやら、あるいは国有林等もございますので、所管の営林署あるいは河川等につきましては所管の土木事務所等とやはり横の連絡も十分にとりながら、そういう危険な事態をなるだけ想定し、なるだけ警戒体制をとり得るように検討しなければならない。従来のいわゆる普通の山崩れ、がけ崩れ等と若干違った、そういった問題が今度提起されたわけでございますので、十分こういう点につきまして反省をし、意を用いてまいりたいと思っております。
  91. 広沢直樹

    広沢委員 抽象的なお話で十分わかりませんが、二次災害、いわゆる第一次の崩壊があった後、午後にまた第二次の崩壊があった。その次元で一応町役場の職員の方が実態調査をなさっていらっしゃるのに被災されたわけでありますね。しかし、これもやはり連携と言いますか、そういう体制が十分であっただろうかということが、後からですが、悔やまれてならないわけですね。したがって、そういう面も含めて、やはりこれはもっと十分に警戒あるいは連携連絡、こういったものを密にとるような体制は、この地域だけではございませんで、これから梅雨シーズン、台風シーズンに向かうわけでありますから、十分考えてもらわなければいかぬと思うのですね。  そこでひとつ具体的に申し上げたいのは、これは過般の新聞に出ておりましたのですが、「惨事は防げた」こういう見出しが出ているのですね。それはどういうことなのかと言いますと、「白田切川はさる四十六年十二月三十一日にも、今回の発生場所より上流温泉源で〃温泉地滑り〃が発生して、同じ新赤倉温泉で幼児が死亡している。そして、」そこを所管している「高田営林署ではこの後、現場に地滑り警報機を設置した」——これは設置してあったかどうか知りませんが、設置したと書いてある。ところが、小さいなだれでもこういうものが作動するので紛らわしいということから、四十七年の秋取り外している事実があると指摘している。これはそうなんですか。
  92. 角道謙一

    角道政府委員 お答え申し上げます。  警報機を設置いたしましたのはたしか四十七年の初めだったかと思いますが、これは災害直後でございますが、同年の秋までには四十六年災、南地獄谷地すべりにつきましての若干の工事も進みましたので、余りほとんど二次災害の心配はないということで、南地獄谷地区の警報機については撤去したというのが実態であります。
  93. 広沢直樹

    広沢委員 ですから、先ほど議論になっておりますように、この地域、個々の地域そのものは別としましても、妙高高原地域は全体がそういうおそれのあるところだ、地質から言いましてもあるいは融雪期における状況から言いましても、そういうことが考えられる。それが、こういうことでせっかくつけたものを取り外すということは——私はこれは四十六年の教訓で必要だと思ってつけたと思うのですよ。そのときは幼い子供が一人亡くなっただけであったかもしれませんが、重大問題としてつけたと思うのですね。それがその後なだれがあるとか何とかがあるということで、紛らわしいということで外してしまった。仮にこれがこの地域につけられていたとしたならば、先ほど冒頭に申し上げましたように災害が起こってから一瞬の間だったなんという、そういうことはなかったのではないか。なだれが起きたときにすでに警戒警報が発せられて、その地域全体については用心しなければいかぬと、ひとしく住民はその地域に住んでいるわけでありますから、お互いの備えができたのではなかろうかということも考えられるのですね。  それで、あわせてこれをお伺いしておきたいのですが、建設省におきましてもその砂防ダムが幾つかございます。あるいは県関係についてもございますそうですが、結局はこの砂防ダムが有効な働きをし得なかったということに相なったわけであります。一時的にはそれは作動したのかもしれませんが、何分にもその容量を超えるこういう地すべりがあったために作動しなかった。それが逆に、今度は先ほども指摘がございましたように、ジャンプ台になって勢いを増す結果になってつながってきた。私はやはりこれは想定して、ある次元で砂防ダムをこれだけの容量だということを計算の上で建てていくことになろうと思うのですが、いまの事例が示すようにそれを超える場合だってあり得る。これは災害ですから。したがって、そういう場合にはいまの警報装置の問題もございますが、これもやはり砂防ダムとあわせてその地域にもっける、それが作動しなくなったときには、しないぞということが災害対策本部にでもあるいは地域住民にもすぐに伝達されてその備えができる、こういう科学技術が発達した今日、考え得るのじゃないかと思うのですけれども、これはこれからも危険地域がたくさんあるわけでありますから、二度とこういうことを起こさないようにということであれば、前向きにこれも検討していただかなければならぬと思うのですが、林野庁建設省、それぞれ所管がありますので、お考えをお伺いしておきたいと思います。
  94. 角道謙一

    角道政府委員 お答え申し上げます。  国有林の所管の白田切地域につきましては、四十六年災前に四カ所渓間工がございまして、四十六年の災害から後三基の渓間工をつくりまして、なお今後二カ所の渓間工を予定していたわけでありまして、これによりまして、一応四十六年災程度の南地獄谷原因とします地すべり対策は防止し得るというように考えていたわけでございますが、今回のように予想し得ない災害が起きましたので、むしろ今回の災害原因究明を待ちまして、今後の対策につきましては建設省とも連携をとりながら、もう少し抜本的な対策を考えたいと考えております。
  95. 大工原潮

    大工原説明員 建設省所管の件につきましても、いま林野庁から御説明ございましたように、四十六年のあの災害土砂量、それを一つの基準といたしまして計画的に実施してきたわけでございます。堰堤といたしましては一号から四号までございまして、三号堰堤までは一応完成を見ておったわけでありますが、四号につきましては高さ十四メートルのものが六メートルまで完成しておった状況災害を受けたわけでございます。今後緊急の対策といたしまして、それらを早急に完成する、さらに上流につきましては緊急砂防等を、現在調査の結果を待って工法その他を検討いたしてまいりたいと考えております。  量的にそれらを非常にオーバーした場合というふうなことでございますが、今回の災害は量的に非常にわれわれ想定できないような量であったというふうなことで、一部砂防堰堤のそでの部分が吹っ飛んだというふうな程度の被災は受けております。それらにつきましては早急に災害復旧等で復旧を図ると同時に、今後そういったそでの補強等については、被害の実態を踏まえて検討してまいりたいと思っております。  それからもう一つ、そういった災害が起こったということでございますので、やはり二次災害、三次災害というふうなことを検討しなければならないということで、工事中の安全確保というふうな意味では、上流におきます土塊の移動とかそういったもの、林野庁等でもいろいろお考えかと思いますが、われわれといたしましても、そういった警報装置等と連携をとりました避難ができるような作業の場というふうなものに十分配慮してまいりたいと考えております。
  96. 広沢直樹

    広沢委員 建設省には、地元妙高高原町の要望にも、砂防ダムの大規模土石流に対する構造的改善をお願いしたいという要望が出ておりますので、これは十分お考えいただきたいと思います。  いろいろ申し上げたいことはたくさんございますが、時間ももうございませんのであと二、三点残っておりますから、これは一緒にお答えいただきたいと思います。  今回のこういった土石流による大変な被害を受けたことに対しまして、今後の処置として考えられる問題としては、建設省所管において過般総点検をなさった折に、地すべり危険個所あるいはがけ崩れ、土石流危険個所というのが相当な数に上っております。したがって、それに対する処置、林野庁はこれから行うそうでありますから、行った場合においてまたお伺いしますが、整備完了されたところが非常に少ない。ずっと継続でやらなければならないとか、新規には全然手がつかないとか、私は、これは一つには財源の問題があると思うのです。きょう時間があればこの一つ一つについて建設省にお伺いするつもりであったのですが、もうございませんので、この件に関して自治省にお伺いしたいと思うのです。  私は五十年の十一月五日の当該委員会におきましても、やはりこの総点検の実態を踏まえて、それに対する防災工事が財政的な関係上なかなか進まないということを指摘し、したがって現在決められている予算枠では、前年に比して相当増し分は多いけれども、この経済の発展に伴う都市構造の変化あるいは地域の変化に対応するだけの予算措置が行われていかない、したがって、結果が後追い的になるから、何とかこれは特別な財政措置を講ずることは考えられないかということを盛んに申し上げました。  そのときに、と言ったって財源が少ないわけでありますから、その財源になるものはどうしても起債、借金する以外にない。しかし財政的効率から考えても危険個所は先に工事をしておくことが、起こってからそれを直していくよりも財政的効率も上がるんじゃないか。ですから、少々大変であろうとも別枠起債を設けてやるべきであるということを主張をしておいたのです。今回もこの財政的な要求がいろいろ出ております。そういう意味においてはこれから別枠的な起債を考えるべきではないか。すでに伺っておるところによりますと、五十三年度において別枠起債をやっと考えてきているようであります。当時のお答えでは、そんなものは一般の中で考えます。補助金もできるだけつけますなんということを言っておりましたが、やっと別枠起債を考えることになったようであります。その経過を御説明いただくと同時に、五十三年度についている自然災害に対する起債も余りにも少な過ぎる。ですから、今後地方の防災計画によくマッチして、地方から要求のあった分についてどんどん認めていくようにするのか、その点の前向きの意向をこの際十分に伺っておきたいと思います。  それから、時間がありませんので、あと二問続けてお伺いします。  これは気象庁であります。今回の災害に対しましても、気象庁が融雪注意報を出したのは災害が起こって五、六時間たった後ですね。風水害の場合は、やはり気象関係の動きというものが災害一つ原因になってまいります。ですから、その点の連携はどういうふうになっているのか、この点もこの災害を教訓としてお考えいただく面はないのかどうか、ひとつ所見を承りたいと思います。  それから中小企業庁、これも先ほどからお話がございまして、地域の中小業者に対する特別な融資なり配慮をという要望がございました。それに対してのお答えもございました。しかしこういう地域に対しては、特別に融資をしてあげるとかそういうことだけではなくて、常々とは違った、もう壊滅的な打撃を受けたところもあるわけでございますから、この際、別に何らか制度を考えるべきではないか。たとえば中小企業育成の中でも高度化資金なんかについては利子だってものすごく安い利子ですね、無利子に近い利子で中小企業の育成、高度化を図ろうという制度ができていますね。特段にこういう被害を受けた地域に対しては、やはりそういうような別面の配慮というものが今後考えられてしかるべきだと思いますので、その点もあわせてお答えいただきまして、時間をオーバーしておりますので私の質問は終わりにいたしたいと思います。
  97. 千葉武

    ○千葉説明員 自然災害防止事業債についてのお尋ねがございました。  まず、この自然災害防止事業債のできました経緯でございますが、これは従来、地方債計画の中の一般単独事業の中で地方の単独事業につきまして処置をしてまいったわけでございますが、御指摘ございました社会経済情勢の変化等ございまして、各地方団体からも強い要望がございました。このため、五十三年度におきまして、自然災害をあらかじめ予防的に防止するという見地から三百億の特別枠を設定したわけでございます。  そこで、この自然災害防止事業債につきましては、御指摘ございました地域防災計画に掲上されております災害危険区域、この災害危険区域におきまして災害発生を予防する、あるいは災害の拡大を防止する、このような見地から、地方団体が単独事業として実施するものにつきまして起債を充当してまいりたい、かように考えております。  額が少ないではないかという御指摘がございましたが、本年度は初年度でもございますので、とりあえず三百億円を計上したわけでございますが、今後、国庫補助事業の拡大の状況等も勘案しながら、地域防災計画による全体事業量を把握いたしまして、それを年次計画的に所要額を計上して整備の充実を図ってまいりたい、かように考えております。
  98. 窪田正八

    ○窪田説明員 お答え申し上げます。  気象の場合に注意報、警報といいますのは、基準が非常にはっきり決められます場合には、ある程度の雨になったらこうなるというふうにして実際やっておりますが、今度のような土石流の場合には、私たちには非常にわからない部分が多いという実情でございます。しかしながら、土石流そのほかにつきましても、融雪量が非常に大きな関係を持っておることは十分承知しておりますので、われわれとしては、その融雪量がどういうふうになるかということは一応念頭に置いております。これで、気温あるいは降水量、この二つの自然現象が過去どういうふうにあったか、あるいはこれからどうなるかという情報によってある程度の判断はしようということが今度の地方気象台の対応でございました。気温は確かに、例年に比べますと二度ないし三度非常に高かったのでありますが、降水量がしばらくの間ございませんでしたので、担当の予報官としては多分余り心配はないのではないかという判断をしたことは確かでございます。  今度の事件が起こりましてから後、五時間たって注意報を出しましたのは、これは実は西の方に低気圧が二つばかり出てまいりましたので、非常に危険な降水の現象がある、したがって、現在安心されては非常に困りますので、後でもなお起きるという危険を感じまして、それでやったというのが五時間後の注意報の問題でございます。  それから、実際こういう情報を出します場合に、われわれとしては資料を、たとえば建設省の長岡の事務所などでいただいたりあるいは国鉄、電力というところからいただいたり、あるいはわれわれの考えておることを伝えるという相互情報をやっておりますが、将来、こういうような事件、現象に対してもう少しきめの細かなことが言えるようになったらということは考えております。その辺は相談申し上げて、いろいろ考えていきたいというふうに思います。
  99. 山口務

    ○山口説明員 お答えいたします。  御承知のとおり、中小企業者に対します災害対策につきましては、激甚災害法に規定されておりますとおり、激甚災害に該当する場合には年六・二%、さらに特別被害者に対しましては年三・〇%、こういう低金利が適用されることになっております。今回の災害がこれに該当するかどうかにつきましては、新潟県の実施いたしました実態調査報告を待って、われわれの指定基準との関係を見ながら検討してまいりたい、かように考えております。  なお、先ほどお答えいたしましたように、一般災害の場合につきましても、中小企業三金融機関から、通常の場合に比べまして償還期間が長いとかあるいは迅速に処理する、こういった別枠の融資制度を設けておりますので、こういった制度を速やかに御利用いただきたい、こういうふうに思っております。
  100. 川崎寛治

    川崎委員長 この際、午後一時三十分まで休憩いたします。     午後一時六分休憩      ————◇—————     午後一時三十一分開議
  101. 川崎寛治

    川崎委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  災害対策に関する件、特に新潟妙高高原町における土砂災害について質疑を続行いたします。山本悌二郎君。
  102. 山本悌二郎

    山本(悌)委員 過ぐる妙高高原地すべり災害で十三名のとうとい命を亡くされ、また、多くの被害をこうむりました被災者に哀悼の意を表しますと同時に、われわれ全力を挙げてこれに取り組むということをお誓いを申し上げて、これから質問に入りたいと思います。  午前中かなりいろいろと意見あるいはまた質問が出まして、私も拝聴させていただきましたが、原因論が主であります。原因論が主でありますから、原因論から追及するのがいいのかもわかりませんけれども、きょういっぱいですか、現地へ行っている調査団が帰ってこないと実際の原因がどうもまだわからない、こういうことであります。何とか早く対策を講じなければならないというふうに思っております。  そこで、大臣、過去十年の土砂災害というのを見ますると、一番多いのが四十七年の五百九十三名、それから五十一年の二百三十四名、一番少なくても四十八年の七十二名というふうに、日本の国というのは災害天国みたいなものでございます。  さらに、この土砂災害ばかりではございません。建設省が出されておりますこの危険地域個所何カ所か見ますると、こんなデータがあるように思っております。地すべり危険個所が五千六百十数カ所、がけ崩れの個所が六万四千二百数十カ所、土石流危険個所がやはり六万二千二百数十カ所だそうであります。間違いがございましたらひとつ御指摘をしていただきたいと思います。そこで、それの危険にさらされている世帯は百万世帯、七百万人から一千万人と推定されておるのであります。本当にこれは大変なことだと思います。先般、大規模地震の特別措置法をつくりましたけれども、地震、雷、火事、地すべりですか、豪雪ですか、その辺に来て、おやじの権威はいまやないのでございますから、どうしても災害にわれわれがやはりもう少し真剣に取り組まなければならない。同時にまた、各省もこれには相当の力を入れていただきませんと、毎年毎年繰り返されていくという結果になると思います。  そこで、いま申し上げました地すべり危険個所の五千六百十六カ所の中に妙高の地域が含まれておったかどうか。それからまた、これほどの危険個所やあるいは百万世帯、七百万人有余に及ぶいわゆる災害危険地、危険世帯があるにもかかわらず、大臣はどのようにこれに対処していく心構えがあるのか、ここからひとつお尋ねを申し上げたいと思います。
  103. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 地すべり危険個所の中には、今回の妙高高原町の土砂災害は入っておりません。  山本委員が先ほどお挙げになったように、大変な危険個所でございます。したがって、これを全部災害対策、防除対策をやるということにはなかなかいきかねるのでありますから、したがって、危険度の高いところからやるというような従来の方針でありますために、一たび災害が起こってみますと、あちらにもこちらにも手抜かりがある、こういう次第で、この辺はまことに申しわけない次第でありますが、現在、災害対策基本法がございまして、これに基づく防災体制はでき得る限りとっております。また、そういう防災体制がとり得ない場合でも、たとえば梅雨どきを迎えるということになりますと、中央防災会議より、危険個所監視体制を強めるとか、また巡回などを励行してもらうとか、いろいろとそれなりのでき得る限りの対策はとっておるわけでございますが、現状は御批判のような実情にあるかと思います。
  104. 山本悌二郎

    山本(悌)委員 私は災害新潟県の出身であります。地元ではございませんけれども、先輩諸公が先ほどから指摘をされておりますように、四十六年にすぐ近くでありますけれども災害があった、地すべりがあった。にもかかわらず、この妙高高原地帯地すべり危険個所あるいはがけ崩れ、土石流危険個所の指定をしなかったというのはなぜでございましょう。
  105. 大工原潮

    大工原説明員 建設省でとらえた数字は、いま先生がおっしゃった数字そのものでございまして、私ども、先生御承知のように、地すべり等防止法におきましては三省庁の共管でございます。特に地すべり危険個所という把握は、一応その三省庁の共管でございますそのおのおのの管理範囲に基づいて、建設省が把握したものだけが五千六百幾らという数字でございまして、あの地域につきましては、国有林でございますので、わが方の所管ではなかったということでございまして、いまの五千六百の中には入ってなかったということでございます。
  106. 山本悌二郎

    山本(悌)委員 私、別に質問しても追及するわけじゃないから、どうかひとつ心ゆくまで答弁してください。それから、わからなければわからないで結構です。  きょうお聞きした午前中の御質問の集約を私してみました。というよりも、私自身も現場に行ってずっと見てまいりまして、いま建設省の課長さんから御答弁がありましたように、今度の災害に私は七不思議と称しているんですが、七つの疑問を持っております。これはさっき高鳥さんもあるいは木島さんも皆指摘をしていることですよ。指摘をしていることだけれども、少しも釈然としないからなんです。釈然としないというのは、いみじくもいま課長がまず話されたように、確かに五千六百十六カ所あるけれども、あれは国有林だからわれわれの管轄外でありますというところからまず問題があるのではないか。  いま七つのことを一から七まで私が申し上げて、それを一つ一つもう一回お聞き直しをしたり、あるいは御討論したりしてみたいと思うんですよ。  私は、きょうは原因論を実はやりたくなかったのです。後で救済論をお願いしますけれども、たとえば先ほど広沢さんも指摘しましたけれども、予知の問題について十分でなかったのではないか。なぜならば、なだれ警報が出たのは数時間後であるし、それから四十六年の災害のときに取りつけた警報機を外しておる。ここには不備があったことは事実ですが、お認めになりますか。お答えは後で結構です。  二番目。さらにまた、四十六年にこれだけの問題が起きておるにもかかわらず、地質についての問題を指摘されていたのかいなかったのかがはっきりされていない。地質ということは、火山地帯であり火山灰土である。だから、あの地帯一帯が豪雪地帯であるだけに地盤が弱く、土が軽いからなだれが起きるという危険は当然あり得ることであります。そういうことが指摘をされていたのか  いなかったのか。  三番目。これは新大の調査班の教授が指摘しているように、朝日新聞でも指摘をしておりますけれども工事用道路がちょうど一回目の地すべりと二回目の地すべりの真ん中にはさまれてできておる。第一次地すべりのときはまず道路の下からいった。第二のときは今度は上から崩れておる。これは問題にならないと言い切れるであろうか。  四番目。そうしてまた、この火山灰土で地質の弱いところを太さ十センチ余りの引湯管の埋設があって、パイプラインが通っておる。これも指摘をされているところでありますが、問題になっているのではないか。  第五番目。白田切川の管理の不備があったのではないか。これも先ほど指摘をされております。管理の不備というのは幾つか問題がありますけれども、そのうちの一つであります砂防堤、砂防ダム、私はこの砂防ダムについて疑問を持っております。白田切川のあの小さな川で、あれだけの砂防ダムがあれば十分だと恐らく堰堤をつくるときには考えられたと思います。その時点ではそれでよかったかもしれないけれども、あの小さな川が三メーター、四メーター、五メーター、あるいは頂上に行けば十数メーターの雪をかぶるところで、もしやその水が一気に出てきたならば、あの堰堤で防止できたかどうかということは予想をしていたかどうかということだと思います。これも指摘をされています。そうして結果として土石流が流れてきて一遍に埋まり、その埋まったところがジャンプ台になって、ワン、ツー、スリーというような形で一気に時速六十キロで落ちていったことは否めない事実であります。これは事実としてはっきりしております。この問題について議論をされておったのかどうか。また恐らく全国には数限りないと言っても、私、数はわかりません。わかりませんけれども、中小河川のところにかなりの砂防ダムがありますが、その危険性はないのかどうか。今度の災害を他山の石として考えるときに、私はこのままでいいとは思いませんし、日本の山々あるいは地すべり地帯土石流のあるところ、がけ崩れのあるところ等を考えてみますると、十分論議と対策が考えられていいのではないか。これは六番目のところに入っております。いまの白田切川の管理の不備の問題、それから砂防ダムがジャンプ台の役割りをしたという話をしております。  最後に、いま課長が御指摘になったように、あるいはまたけさから皆さんが御指摘されているように、やはり行政当局のなわ張り争いと言っては変であるかもしれませんけれども、どうもそういうものがある。行政官庁の間でうまくいかないんじゃないだろうか。ここからここまでは林野庁であり、ここからここまでは国土庁建設省であり、ここからここまでは何々庁であるといういわばなわ張りの解けないところに問題があるし、もしそうであるならば、後ほど私は対策として申し上げたいと思いますけれども、こういう防災問題の一貫性というものを県や市町村にある程度ゆだねた方がいいのではないかということを申し上げて、この妙高高原災害七不思議を御指摘申し上げました。何遍も答弁ありましたので、反論がありましたら一つ一つ御反論をしていただきたいと思います。
  107. 角道謙一

    角道政府委員 お答えを申し上げます。  御質問の順番になるかどうかわかりませんが、第一番目に、この妙高山一帯につきましては、御指摘のように火山岩質の土質でございまして、潜在的には火山岩質でございますので、いろいろ問題がある地点であるということは従来から承知はしておりますけれども、過去におきましてもその災害の起きました場所、そういう点につきまして、私どももむしろ重点的に危険個所ということで従来から点検もしておりますし、また地質的、地形的に見まして問題な個所については、山地危険個所ということで管理をしていたわけでございます。警戒もしていたわけでございます。ただ、御指摘の四十六年の災害南地獄谷という個所、今回の崩壊個所の約一キロ上流に起きましたいわゆる地すべりでございまして、この個所は三十年代にも三十二年に一回、三十七年にごく小規模でございますが、やはり地すべりがあったわけでございますし、その前の記録では、たしか昭和五年というような記録がございます。こういうところは泉源地帯でございまして、温泉性地すべりが過去にもあったというところから、私どもこの個所については特に危険化しているということで従来から警戒していたわけでございますし、特に四十六年の災害が起きました直後、この地区の防災体制を、南地獄谷の将来の災害の再発を防止するということに重点を置きまして、現在の白田切川の防災体制を、上部は国有林、下部は県、これは建設省所管でございますが、そういうところでお互いに調整をしながら、白田切川の管理体制を行ってきたわけでございます。  そこで、御質問の予知はどうであったかという点でございますけれども、今回の崩壊個所は、過去におきましても災害記録はございませんで、確かに南地獄谷とは近接はしておりますけれども、地質的に申し上げますと、南地獄谷妙高山カルデラにありますし、今回の崩壊個所は、むしろ外輪山であります赤倉山の斜面にあるというところで、地質、地形等も全く変わっておりますし、また距離的にも約一キロ離れております関係上、この地点につきまして、特に私ども将来災害が起きるというようなことは予想はしていなかったという点につきましては、今回災害が起きましたことを機会に、非常に反省しているわけでございます。います。  それから取りつけ道路資材運搬のための道路原因になったのではないか。今回の災害原因として、このほか、いま先生、温泉の引湯管の問題も御指摘がございましたが、今回の災害が起きました原因につきましては、二十九日来、現地建設省土木研究所林野庁林業試験場専門家が参って調査をしておりますので、これらの調査結果を待ちまして最終的に判断をいたしたいと考えておりますけれども、私どものこれまでの感じを申し上げますと、この道路自体昭和四十四年にでき上がったものでございまして、直来七年間特に問題はない道路でございますし、また今回の崩壊状況を見てみましても、先ほど第一回の崩壊道路の下部、第二回は上部という御指摘でございましたけれども、私ども承知しております第一回の崩壊といいますのは、むしろ白田切川下流部、下は約二百メートルぐらいの幅、上部は約百メートルぐらいの幅になりましょうか、斜高では大体百六十メートルから七十メートルぐらい、深さが十メートルから十数メートル、面積では約二・五ヘクタールというところで、大規模に、大量に、深いところまで崩壊をした。この資材運搬道路は、道路の斜面の相当上部にございます。河床から見ますと百四、五十メートルのところ、上部から見ますと、十メートルから二十メートルぐらいのところにございまして、この道路の位置、それから今回の崩壊の面積あるいは崩壊の深度等から見まして、どうも道路原因になったというようには、私どもはいまのところなかなか考えにくいと推定しておるわけでございます。ただ、道路が最終的に原因であったかどうかにつきましては、これらの調査団調査結果を待って、また判定をいたしたいと考えております。  二回目の午後の崩壊が、第一回の崩壊部の少し上流部に、幅約五、六十メートルから、高さにしましては大体百数十メートルの高さにわたって起きた。土砂量としてはごくわずかでございまして、第一回目は約二十五万立米、第二回目が五万立米というような事実がございます。  その次の、温泉引湯パイプの問題でございますが、あるいはこれは環境庁からも御説明があるかと思いますけれども、この温泉パイプ自体は、この資材運搬道路のちょうど中央部約六十センチメートルぐらいのところに、直径約十センチの引湯パイプが埋設されていた。これも、深さが道路面から約六十センチぐらいのところ、また、この周りは厳重にコンクリートで固めて埋設しているという工法等から見まして、どうもこの引湯管が原因になって崩壊が起きたというふうには考えにくいわけでございますが、これもあわせまして、今回の調査団調査結果を待ちまして、最終的に判定をしたいと考えております。  それから白田切川の管理の体制につきましては、先ほども申し上げましたように、私どもといたしましては、現在の防災計画は四十六年の南地獄谷での地すべり災害というものを想定して立ててきた、その限りにおきまして十分な措置はとってきたわけでございますけれども、今回の土砂崩壊は非常に大量の、三十万立米と推定しておりますが、こういう土砂が短時間に急勾配を一挙に崩落してきた、また白田切川を流出していったというところから、今回のような非常に大きな災害になったわけでございまして、これだけの流出量は私ども想定をしていなかったという点につきまして、重々反省をしている次第でございます。
  108. 大工原潮

    大工原説明員 建設省から砂防堰堤関係の問題につきまして、お答え申し上げたいと思います。  林野庁からも御答弁がございましたように、四十六年の災害の量を基準といたしまして、砂防ダム等計画を鋭意計画的に実施してきたわけでございまして、先生御指摘のようにあれで十分であったかというふうなことは、一応想定される外力といたしまして、過去の災害の一番近い事例をとらまえて対策を進めておったということでございまして、なお、砂防ダムの効果でございますが、一応われわれといたしましては、砂防ダムは、今回の災害の後、航空写真等からいろいろ検討いたしておりますが、土石流のある程度の抑止、あるいは上流におきます粒径の大きいものは、やはりダムによりましてある程度捕捉できておるという実態、それから河床勾配が、砂防ダムができますと当然現河床勾配よりも緩くなりますので、その分だけは当然エネルギーの削減にもなるわけでございますし、砂防ダムができた上流におきましては河床洗掘等も十分抑えておりますし、両岸の決壊等に対しても非常に防災効果があったというふうに考えております。ただ、量的に非常に多かったというふうな面で、そで部分をオーバーし、一部被災したというふうなことがございますが、われわれといたしましては、あれがジャンプ台となりあるいは加速したというふうなことはあり得ないであろうというふうに判断いたしております。  それから、先ほど私ちょっと答弁が舌足らずでございましたので……。所管区分の問題でございますが、たとえば地すべり等防止法によります地すべり防止区域の指定をいたします場合にも、常に三省庁が、県におきましても調整会議を持ちまして、これはどこの所管でやるべきかというふうなことを十分検討いたしました結果を本省段階に上げてまいります。その上げてまいりましたものをさらに本省の段階で、三省庁寄り合いまして定期的に調整会議を持って、これはどこの所管でどう処置すべきであるかということをお互いに連携を持って指定をしておるというふうな実態がございますので、われわれといたしましては、必ずしも所管が違うから云々ということではなくて、一応お互いに連絡しながらやっておるというのが実態でございます。
  109. 山本悌二郎

    山本(悌)委員 すでに午前中の皆さん方に御反論をしているとおりだから、私は省庁の皆さん方を何とかしようなどという気は毛頭ございません。いま私が申し上げた七つの点というのは、私は基本だと思うのですね。恐らくお調べになって帰ってこられても、ここのところが問題であったと言うだろうと思うのです。十分ひとつこれを取り入れて、今後の対策に寄与していただきたいと思います。  だがしかし、一つだけ私どうしても反論をします。  それは、工事用道路がひっかかるのですよ。ひっかかるということは、いま審議官から話がありましたけれども、朝日新聞でも、各新聞でも、それから地元の日報でもそうですけれども、ちゃんと図面入りで出しているんだな。それになぜ反論をしないのか。われわれはそうとしか思い切れないようになっておる。お役所の方がそうでないと言うのなら——きょうそうでないという御答弁をしているから、私はいいと思いますけれども、しかし、こういうふうに大学の調査団が行ってきちっと図面入りで出しているわけでしょう。林野庁でそうでないと言うのなら、これはあるのです。これは朝日新聞ですけれども、各紙にありますよ。なぜ反論をすぐ出さないのか。それは調査をして帰ってきてからすると言うのなら、それでいいかもわかりませんけれども、やはり間違った判断基準とか、それからそういうものをもししておるならばそれは訂正させるべきだと私は思います。そのことだけつけ加えておきます。  そこで、七不思議はこの辺でやめまして、国鉄が非常に寸断をされて困っておりますので、国鉄の御当局にお尋ねをいたします。  いまの状況からして、先ほども答弁がありましたが、見通しとしては大体いつごろなのか、また橋のかけかえをしなければならないというが、その橋をどこか遠いところから持ってくるそうですね。新しくつくるわけではないわけでしょう。それはどういうことになっておるのですか、ちょっとお尋ねします。
  110. 野沢太三

    ○野沢説明員 お答えいたします。  橋梁は、北上川橋梁に架設予定の橋梁を転用いたします。北上川の方は追加して製作いたしまして予定の工期で間に合うことになっておりますので、その間、製作発注の工期を半年近く短縮できることになりました。架設の工法につきましては、足場がかけられないという悪条件がございますので、現在はね出し架設あるいは工事げたを置きまして、その上で組み立てる等の工法を検討しております。現地ではボーリング調査等で地耐力を現在調べております。
  111. 山本悌二郎

    山本(悌)委員 恐らく課長さんでおわかりにならないかもしれませんけれども、こうして国鉄が寸断をされているので、その間を頸城自動車と川中島自動車が一生懸命に運んでくださっているのですが、これは、新潟局管内にも自動車部というのがあるのですが、国鉄の自動車をなぜ出さなかったのですか。これも私は一つ不思議に思っているのですが、お聞かせください。
  112. 野沢太三

    ○野沢説明員 現在国鉄の自動車もほかの地区でフルに運行しておりますので、地元にございますバス会社に交渉して代行バスを出すよう準備しております。これは頸城交通、川中島バス等でございますが。予定といたしまして六月一日から代行便が出せることに内定して、現在準備を進めております。  先ほどの答弁、ちょっと私一つ落としましたのですが、開通の見込み約四カ月ということですでに工事に入っておりますので、九月いっぱいには完成させる予定でおります。
  113. 山本悌二郎

    山本(悌)委員 県道、町道、それから水道、引湯管、この施設の復旧状況を、もしおわかりになっておりましたら教えてもらいたいと思います。
  114. 井沢健二

    ○井沢説明員 県道の関係でございますが、あそこのところは白妙橋という橋が流されてしまったわけでございます。この橋は四十六年の災害のときに永久橋化した橋でございまして、現在仮橋をかける準備をいたしております。この仮橋につきましては、私どもの方の直轄の長野国道の事務所に三十数メートルのべーリー橋という組み立ての橋がございます。その橋を県に貸しまして、そこにかけようというふうなことで準備しておりますので、六月中には通れるようになろうかと思います。  それから市町村道橋でございますが、ちょうど少し下流の深沢川との分流点のところあたりに町道が一本ございますが、この橋も流れてしまったわけでございます。この橋につきましては、上の県道がかかれば応急的にはいいだろうというふうなことで、これは本復旧のときに考慮するというふうなことにいたしております。それからもう一本は現在の国道十八号線の下のところに旧国道の橋、これは木橋でございますがあったわけでございますが、これも全部飛んでしまったわけでございます。これにつきましても、国道が通れば、すぐそばでございますのでいいというふうなことで、これも仮復旧はしないというふうなことにいたしております。  以上でございます。
  115. 山本悌二郎

    山本(悌)委員 大臣と自治省おいでですね。自治省来ておりますか。——まず大臣にお尋ねしますが、これほどの災害になってまいりますと、やはり後の手当てというものがかなり重要になってくると思います。土石流を取り除くこともかなり大きな仕事でありますし、また災害に遭った人たちの補償みたいなもの、あるいはめんどうを見てやらなければならぬ。先ほども指摘のありましたように温泉地でありますから、温泉の引湯管は何とかなるにしても、お客が来なくなった損害もあると思います。  そこで、一つは、これに対して大臣、激甚地の指定みたいなものはお考えになっておられるのかどうか。非常にむずかしいそうでありますけれども、この点をお伺いしたいと思います。  それからもう一つは自治省にお尋ねしますが、今後の災害復旧で、県もそうです。市町村もそうでありますが、地元の負担がかなり大きいのですね。大変なんですよ。これに対して自治省はどうお考えになっているか、きょう答弁が不足なら、私は地方行政委員だから、地方行政でもがつっとやりますが、ちょっとばかりその辺をお聞かせ願いたいと思うのでございます。
  116. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 山本委員御承知のように、激甚地の指定につきましては指定の基準があるようでございまして、現在のところ、被害状況がその基準に達してないと聞いておりますが、後ほど審議官の方からお答えをさせます。  なお、そういう次第でありますから、本委員会で温泉地における既往の借入金の返済延期であるとかあるいは応急のための借り入れとかいろいろ御要望が出ております。そういう個別の問題につきましては、私どもとしてでき得る措置をとりたい、こう思っております。
  117. 四柳修

    ○四柳政府委員 妙高高原町の財政規模が多分六億近くなると思いますが、公共土木施設もそうございませんものですから、基準にはならないと思いますけれども、二日に県の方で関係官等がお集まりになりまして、復旧対策会議をお開きになるようでございまして、そのときに地元としての総合的な御要望をまた国の方に御連絡いただく、こういうことになっております。  先ほどの山本委員の御意見の中にございました特に温泉観光関係でございますが、これは今週の初めに県の方の観光当局も観光協会等に参りましていろいろ相談しているようでございまして、その結果を持ち帰りまして、その県の会議で御検討いただくことになろうかと思いますけれども、私どもも過去の有珠の例あるいは伊豆大島の例等お伝えしまして、新潟県当局も中小企業庁と連絡をおとりになりまして、何らかの措置をその二日の会議のときに御検討いただけるようになっているものですから、それらを踏まえまして、基準には達しませんけれども、何らかの措置というものを、御要望があれば検討してまいりたいと思います。
  118. 山本悌二郎

    山本(悌)委員 ちょっと待ってください、自治省の前に。  激甚地の指定というのは非常にむずかしいということを聞いております。確かに、有珠山にも私参りましてよく見てまいりましたが、これもならなかった。伊豆大島の場合でも、かなりの激論の末になったというのですね。なったのですね、伊豆大島は。なりましたね。いわばこれは物量の問題でしょう。いま四柳さんが言うように、町の予算が六億数千万だから大したことがないということではないと私は思うのですが、これはもう少し腰を据えて一これからいろいろ損害額が出てくると思うのです。この間現地説明があったのは十九億幾らということだったのですが、まだまだあると思うのですよ。しかも国鉄の分なんかも入っていないわけです。この問御説明いただいたときは。ですから、これがもうできないといまから決めてかかる必要はないのではないでしょうか。もう一度御答弁を願います。
  119. 四柳修

    ○四柳政府委員 ちょっと舌足らずだったかもしれませんけれども、激甚災の指定の場合に全国的な規模によりまして、いわゆる全国激甚という形で本激として適用するものと、局地激甚という形がございますが、当然のことながら、今回の妙高高原災害につきましては全国激甚の対象にはなり得ないと思います。  そこで、局地激甚でございますけれども、大きく分けまして、被災県市町村の公共土木施設等の被災額が、当該団体の財政規模に比較しまして大きいか少ないかという点でございます。これはいま先生お挙げになりました県の管理、町の管理の分につきましての復旧額でございますものですから、その場合には国の管理の分が被害全体では多額に上りますけれども入りませんものですから、つまり県なり町の財政援助という形になってそれには該当しない。  二番目に、農民につきまして、農地、農業施設あるいは農産物等の被害があった場合、これも残念ながら今回の場合にはそれだけの農業関係被害がない。  三番目に、商工業者につきまして具体的な施設ベースでの被害があった場合ということになりますが、今回の場合にも直接土石流によりまして店舗等が被害をこうむったという形にならなくて、休業中の間接被害ということになるものですから、これも有珠の場合の温泉の休業あるいは伊豆南部の場合の温泉の休業と同じような基準で何らか考えられないかという問題がございます。  ついででございますけれども、有珠の場合と伊豆の場合には、町村の土木施設と一部の農業関係の局地激甚の指定がございました。
  120. 千葉武

    ○千葉説明員 今回の災害に伴います地方財政措置についてお答え申し上げます。  まず、去る二十二日普通交付税の六月定例交付額のうちから千五百万円を繰り上げ交付いたしまして、当面の資金需要等に対処いたしたところでございます。今後の問題といたしましては、現在被害状況等が必ずしも明らかでございませんが、今後これが明らかになりました段階におきましては、国庫補助災害復旧事業につきましてはその地方負担額、また単独災害復旧事業につきましてはその所要額につきまして地方債を配分してまいりたいと考えております。  また、災害応急対策等に要しました経費につきましては、十二月の特別交付税の配分において十分配慮をしてまいりたいと考えております。  いずれにいたしましても、被災地方団体の財政運営に支障を生ずることのないように十分な処置をしてまいりたいと考えております。
  121. 山本悌二郎

    山本(悌)委員 持ち時間が参りましたのでこの辺でやめさせていただきますが、最後に大臣にもう一度御要望申し上げておきます。  災害は忘れたころにやってくるというとてもいいことわざがあります。油断をしていますといつどこから起こるかわかりません。それが災害国日本のアキレス腱でもあるわけでありますが、どうかひとつ——原因の究明も非常に重要なことであります。そしてまた、結果に対する手当ても重要なことでありますが、先ほど広沢さんから話がありましたように予防ということもこれまた重要なことだと私は思うのであります。予防ということになりますと、結局は金がない、予算がないということで、常にここで行き詰まるところが大きな問題であろうかと思います。  そういうことを考えてみますと、確かに自然災害防止地方債などというのもとてもいい方法でありますが、同時にまた防災債券のようなものを国が出して、そして金をつくってどんどんと危ない個所を直していく。私が最初に申し上げましたように、五千個所地すべり地帯がある。そういう全国的にあるところを、あるとわかっていながらそのまま放置しておかなければならないという情けない実態、がけ崩れが六万四千カ所もあり、土石流危険個所が六万二千カ所もあるということがわかっていながらできないというのは、私は費用の関係だろうと思うのです。ですからそういうことも今後十分頭の中に入れていただいて、早急に金づくりと防災とを一緒にやっていただきたいというお願いを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
  122. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 御高見、これからの施策の上に反映させて、でき得る限りのことをいたしてまいりたいと思います。
  123. 山本悌二郎

    山本(悌)委員 終わります。
  124. 川崎寛治

    川崎委員長 津川武一君。
  125. 津川武一

    津川委員 けさの委員長報告にもありましたが、私も日本共産党・革新共同を代表して、この場をおかりいたしまして、今度の災害で亡くなられた方や被災された方たちに心からのお見舞いを申し上げます。  そこで質問に入っていきますが、とりあえずあの災害の後の応急対策でございますが、私も見て、あの土石流の多いのにはびっくりしました。土石流が宅地などにいっぱい詰まっておるし、川も埋めております。これの取り片づけば大変なことでしょうけれども、住宅、河床、ダムなどの土石流を早急に排除する必要があると思いますが、これに対する政府の施策を聞かしていただきたいと思います。  もう一つは、ああいう土というものが国土の建設にいろいろ必要な場所もありますので、逆にまたそれを利用するということもあり得るかと思いますが、こういう利用に対して考えてみられていることがございましょうか。これが二つであります。私たちの岩木川の改修の土が、そのまま田をよくするための宝の土になるということもありますので、こういう御検討もあると思います。  それから三つ目には、土石流が家を建てないなどしてそのまま残った場合、どういう土壌であるのか、その上をどうすればいいのか、どういうものが入るのかなどということで土壌の検討などもされて、被害地域や県にまた連絡すべきだと思いますが、土石流についてこの三つの点でお尋ねいたします。
  126. 渡部與四郎

    ○渡部説明員 第一の宅地にかかわる排土問題についてお答えいたします。  五月十八日に山腹崩壊によりまして妙高高原を襲った災害につきましては、うちの課の担当の者を現地調査に派遣したわけであります。新赤倉地区被害地の堆積土砂は約十二万二千立米……(津川委員「量はいいです。どうするかということ」と呼ぶ)そういうわけで非常に大きいものでございますし、その場所が総合的な、基本的な復旧方針から見て、そこで復旧するのがいいかどうか、いまの時点においてはまだはっきりわかっておりませんが、もしそういうことになれば、先生おっしゃるように、都市災害復旧事業費国庫補助にかかわる基本方針に基づきまして、堆積土砂排除事業という二分の一の補助がつくのがありますが、それによって早急に復旧するように指導してまいりたいと考えております。
  127. 井沢健二

    ○井沢説明員 河川道路の上にも非常に大きな土量があるわけでありますが、これらの土量につきましても道路の上のものにつきましてはすでに排土を終わっておりますが、川の部分につきましてはほとんどが下流まで流れ去ったようでございますけれども、かなりまだ残っておるようでございます。施設等がまだ埋まっておりましてよくわからぬわけでありまして、今後大量の土が出てまいるわけでございますが、これにつきましては、すでにこの間視察のときに、県の方にそれの捨て場、私の方から言えば捨て場でございますが、捨て場について地元の市町村とよく相談をするようにという話をいたしております。それが結果的に先生仰せのとおりうまく利用されれば非常に結構なことでございます。  以上でございます。
  128. 津川武一

    津川委員 土石流、二分の一補助というので積極的に取ると言う。それが決まらないと被災地の再建計画が成り立たないのです。したがって、地元の自治体と県庁と相談する、これからやる、二分の一の補助があるのではなくして、いつごろまでにやるというめどを急いで立てて、急いでやるということでなければならないと思うのです。ここいらの作業はどうなっておりますか。
  129. 井沢健二

    ○井沢説明員 あの辺の復旧につきましては、今回の量を見ますと非常に大量の土砂がございまして私どもの想像を上回っております。前回の四十六災のときの状態を考えまして、あのときでもやはりわが国ではいわゆる第一級の河道断面をとるような改修をいたしておりますが、それを大幅に上回るような土量が出てまいっておりますので、やはりこれは私どもの河道だけで処理するというのもなかなかむずかしい面もあるというふうなことで、非公式ではございますが、上流でもう少し土砂をとめられないか、もう少し小さな量にして出るようにできないか、非常にむずかしいかと思いますがそういう検討を林野庁の方にもお願いしておりますし、あるいはあのどろをかぶった地域ぐらいは、やはり非常に危険でございますので、かなり今後工夫をいたしまして、河道の計画をするにしましても非常にむずかしい面がございますから、ああいうかぶったところだけでも集団移転をするとか、あるいはどうしても残らなければいけないというのであれば、少々の土をかぶってもいいのだというふうな丈夫なものにするとか、そういうふうなことも考える必要があろうかと思います。  しかしながら、あそこの白田切橋のところの四階建ての家を見ましても、屋根の近くまで側面にはどろがべったり張りついているような状態でございますから、かなり大きな土石流であったということは考えられるわけでございます。そういうふうな今後のいろいろな検討の結果を踏まえましてどんなふうにするか、河道の計画を今後検討しなくちゃならないわけでございまして、今後いろいろ検討してまいりたいというふうに考えております。
  130. 津川武一

    津川委員 大臣、いま聞かれたとおりですが、国鉄のあの信越本線の復旧に対してはかなり具体的な計画も明確に打ち出している。一番大事な土石流に対して、いま聞かれたとおりの状況なんです。したがって、これは大臣としても、日本の技術がすぐれているのだから、設計もみんないいんだから、速やかに体制をとるように指示、命令、指揮していただきたいと思うのでございます。この点で大臣の決意を聞く必要もあるまいと思いますが、心境あたりを聞かしていただきます。
  131. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 今回の災害土砂災害と言われておるわけで、この土砂の排除ということが災害後の最大の問題点であることは御指摘のとおりでございます。しかし、これをトラックなどでどこかに排除するといたしましてもおびただしい台数になるわけでございますから、一部はそのまま現地に置いて、そしてそこに今後どういう農作物をやるのか、あるいはゴルフ場であればその上にさらに盛り土をして芝を植えつけるのかというような、現状のままでの配慮もしなければならないかと思いますが、津川委員のおっしゃるとおりに、この土砂問題についてさらに一層の対策を考えなければならない、こう思っております。
  132. 津川武一

    津川委員 応急対策の第二は交通網、特に国鉄でございます。私たちも行ってみましたが、何としても妙高高原駅まで特急一本東京から出してほしい。そうでないと、あそこの国民の保養、レクリエーションの観光地としての意味がなくなる。これは何としても一本通してほしいということ。これの計画ができるのかどうか。  それから、いま信越線の復旧に対しては急いでもらわなければならぬから、これはこれでよろしいと思います。  それからその次は通勤、通学列車でございます。直江津発の関山までの二十一時三十五分の汽車。いろいろな仕事を新潟まで出ていってやって、あれに乗って帰ってくる最終のが二十一時三十五分。これに間に合わせるために県庁を五時前に出てこなければならぬ、新潟を出なければならぬということで、この線がかなり大事な生活に結びついた線になっておりますので、この生活列車の復元。これと関連していくと急行の「とがくし一号」、「とがくし二号」の関山駅までの乗り入れ、これが非常に強く求められている点です。この点少し具体的に答えていただきたいと思います。バスは六月一日から動くというのだから、まあいいと思います。  三つ目の問題は、国道十八号線にかかる白田切橋を抜本的に改修して、主要地方道赤倉線の道路の復旧を急ぐ。われわれも行ってみたが、あそこにかかっている第一、第二白田切橋、これはやはり永久橋にしなければならないと思いますが、ここいらあたり交通網の整備に対してそれぞれ答えていただきたいと思います。
  133. 佐々木峻一

    ○佐々木説明員 国鉄のダイヤの関係についてお答え申し上げます。  いま御指摘ございました特急の妙高高原までの乗り入れ、それから直江津発の終列車の設定の問題、それから「とがくし号」の運転の問題、これはいずれも相関連いたしますので一緒にまとめてお答えさせていただきたいと思います。  十八日に災害が起こりまして、二十日から私どもこの関山と直江津の間、それから長野と妙高高原の間につきましてとりあえず暫定的なダイヤを組みまして、そして現在のところ運転をいたしておるわけであります。これから夏に向かいまして妙高高原へ入り込みのお客様方が、東京方面からあるいは名古屋方面からということで多くなってまいります。そういうふうな中におきまして、ただいま夏に向かいましてのダイヤの編成を大急ぎでやっておるところでございます。実は普通でございますと五月初めごろに夏のダイヤを全国的に設定をすることで準備を進めておったわけでありますが、ちょうど五月の中ごろにこの災害が起こりまして、そういうふうな関係で信越方面につきましてのダイヤについていま組み直しをやっているところでございます。そういうふうな中におきまして特急の妙高高原へ入れる点、それから直江津からのローカルの問題、それから「とがくし号」につきまして、こういうふうな点、いろいろ御要望を踏まえながら、いま組みかえの作業を急いでおるところでございますので、それがはっきり明確になり次第、そのような形でできるだけ御趣旨に沿うような形にしてまいりたいと考えております。
  134. 井沢健二

    ○井沢説明員 国道の橋につきましては、ほとんど同時に切れましたガスパイプを抱いて、すでに足のところをコンクリートで固め、それから相当大きな、八トンございますブロックを約二百個投入して、一応押さえております。今後の問題としては、この足を深く地面の中に固めるというふうな工事が残っておりますが、これにつきましては、あの川を改修するとすればどう改修するかというふうな改修計画との関連、あるいは改修しないとすればどうするかというふうなことで、そういうふうな面がございますので、現在河川計画との兼ね合わせで検討したいというふうに思っております。それから県道の橋でございますが、現在応急のために、べーリー橋と申しますか、組み立て橋梁を持っていってかけるというふうなことで準備しておりますが、恒久的には、あそこの川が、非常に大きな川でございますけれども、今後の、改修するとすれば改修計画に合わせた、そういうふうなことでかけるように検討いたします。それから市町村道橋につきましても、やはり河川との関連におきまして適切な処置をとってまいりたいというふうに思っております。
  135. 津川武一

    津川委員 もう一つ国道ですね、依然として片側通行で、夜はとまっておる。それを早く両側通行にして夜でも通行させなければならないと思いますが、ここらもやはり見通しがなきゃならないので、国鉄はちゃんと四カ月後にというが、これは見通しはどうでございますか。
  136. 井沢健二

    ○井沢説明員 ブロック投入を終わりまして一応足を固めましたので、現在は通常の交通をいたしております。二車線全部同時交通をやっております。
  137. 津川武一

    津川委員 夜もですか。
  138. 井沢健二

    ○井沢説明員 はい、そうでございます。
  139. 津川武一

    津川委員 もう一つ、国鉄の特急の妙高高原駅までの乗り入れ、それから直江津からの二十一時三十五分の生活列車、これは通るものと予定して考えてよろしゅうございますか、いま検討すると言っていましたけれども。もう少し方向を明確にしていただかないと……。
  140. 佐々木峻一

    ○佐々木説明員 特急列車の妙高高原乗り入れ、それから直江津からの最終列車の設定の点でございますけれども、私どもそのような御要望を十分に承知いたしながら作業をいたしておるのでございますけれども、いまの段階におきましては、途中の妙高高原、それから関山という、本来でございますとそこをずっと通っていく駅で折り返しをいたします関係がございまして、そういう面から、非常にいろいろな面での困難な作業を伴いますけれども、できるだけ御要望に沿うような形でやってまいりたいというふうに考えておるのでございます。ただ、そこで一本だけの列車をそのような形で入れますがために、ほかの列車にまでも非常に大きなあたりが出てまいりますと、これまた総体の量の問題として、お客様をお送りする輸送力が少なくなる点についても懸念される問題がございますので、この辺のところ、その強い御要望を踏まえながら現在作業をいたしておりますので、しばらくお待ちを願いたいと思うわけでございます。
  141. 津川武一

    津川委員 応急対策の第三の点ですが、観光客、お客さんの出入りでございますが、きょういただいた資料によりますと、旅館関係のキャンセル状況が五月分見込みでも二万五千九十五人、金額にして一億九百十五万、大変なことでございます。この仕事をするためにいままで借り入れされている金額が十五億九千九十二万七千円、これの元利払いがまたかなりきつくなっております。  もう一つ、この間私たちがおじゃましたときに、労働組合の協議会、地区労が陳情した中で、一時帰休の旅館並びに商店の従業員の生活を保障するようにということがございましたけれども、ここでもまた幾人かの人たちがいま帰休になっております。こういう点で、赤倉ホテルでは七十八名中半数の三十九名を帰休させておりますし、ホテル秀山では解雇十四名、こういうことになっております。したがいまして、一つは、地元の業者が熱心に、回復した、大丈夫だという宣伝をしてくれると思います。ことしの正月の伊豆地震のとき、まだ回復してないというのは永原委員からいま聞いたばかりの話です。こういうキャンセルされている部分をどうして取り戻すか、これはかなり大事なことでございます。関係者が一生懸命になると思いますが、国もこの点では何らかの援助をされなければならぬ、こう思うわけであります。この点どうされるかという点でございます。  もう一つ、公共施設でいきますと、先ほども論議になりましたように、激甚がございます。農地の災害に対しては復旧のいろいろな関係がございます。商店街で家を壊されたならばこれはまた復旧の道がありますが、物が壊れない、イメージダウンでお客が来なくなった、これが伊豆でも有珠でも今度の場合でも同じであります。これに対する施策がすっぽり抜けているのじゃないか。地方自治体において、これだけのキャンセルがありますと、大変な損害でございます。地方自治体の財政に比べて、この二万五千人というキャンセル、この被害というものに対して何らかの形の施策、これは融資だけでは及ばない。融資されておるものの元利払いの延期、新しい融資だけでは事が始まらない、そういう性格のものだと思います。公共施設に対する激甚、営業の一番大きなかなめであるこの収入に対する、イメージダウンに対する問題で、国家的な、何らかの形の目に見えた形のものが必要になってくるかと思うわけであります。したがって、こういう大きな立場の施策は大臣に考えていただいて御答弁いただいて、キャンセルに対してどうして国がお客さんに、国民に、いいところだという、危いところを宣伝してもいけませんけれども、そこらを確認していただく国の施策が欲しいということが二つ目。  三つ目は、これだけの融資に対して、元利払いの一時延期とかいろいろなものを、先ほどは抽象的に答えていましたが、もう少しこの点も具体的に答えていただきたい。  最後に、特に必要な、従業員の生活を守ることのところ。われわれ行ってみて、あそこに地区労、労働者がおったことがこういう陳情にもなったし、要求にもなったと思っているわけでありますが、ここらの答弁をお願いいたします。
  142. 山口務

    ○山口説明員 お答えいたします。  中小企業者に対します金融問題でございますが、この問題につきまして、いま御指摘ありました、すでに過去において借り入れた借入金の返済が非常に困難になっている、こういう問題につきましては、われわれといたしましては、従来から、個別の実情に応じまして、返済の猶予その他を行うことをやっておりますが、改めて今回の実情にかんがみまして、より一層個々の実情に応じまして返済猶予等をきめ細かく実施するよう、金融機関に指示してございますので、各金融機関で御相談していただきたいと、かように思っております。
  143. 望月三郎

    ○望月説明員 労働者の関係の問題でございますが、私ども新潟県公共職業安定所を通じての数字の把握によりますと、土砂崩れ災害によりまして十二名の解雇者が出ておるという点と、六十二名の労働者が自宅待機という報告を受けております。それで、解雇された労働者につきましては、すべて雇用保険の受給資格を持っておるというように聞いておりますので、今後につきましては、雇用保険を支給することなどによりましてその生活の安定と再就職の促進を図っていきたい、こう思っております。一方、自宅待機となっている労働者につきましては、休業手当が現在支払われておりまして、雇用関係を継続しているという状態でございますので、当面のところは特に問題はないと思っております。ただし、今後これが長引くかどうかという問題がございますので、それらの状況注意深く、ひとつ私どもとしては極力実態を把握しながらその後の対策に備えていきたい、こう思っております。
  144. 四柳修

    ○四柳政府委員 観光関係は運輸省の関係かもしれませんけれども、お越しでございませんからかわって答弁させていただきたいと思います。  ただいま中小企業庁あるいは労働省から御答弁申し上げましたいわば当面の対策といいますか、これもさることながら、やはり御指摘のように、本来の観光地としましては、その売り物でございます温泉なりなんなりのいろいろな条件が整わないことにはやはりお客さんを呼ぶことができない、そういう点につきまして、当然のことながら、先ほど御質問のございました国鉄等の足の問題もあろうかと思います。いろいろな点を考えまして、当面の対策以外に、やはり抜本的な何らかの対策というものが必要だろうと思いますが、私が伺っておりますところによりますと、県の方も、実は先週末から今週初めにかけまして、観光関係方々地元の観光協会その他といろいろそういう対策のことを御相談いただいておるようでございまして、それを今週の末にでも関係者が集まりまして会議を開いて、その場合に県で処理すべきこと、あるいは国に要望すべきこと、そういうことをまとめて進めたい、こういうお話を伺っておりますから、そういった話がまた上がってまいりますことを踏まえまして、運輸省あるいは関係省庁ともどもしかるべき措置というものを考えまして、早いところ抜本的な何らかの手が打てるようにということを検討してまいりたいと思います。
  145. 津川武一

    津川委員 大臣、川の増水のときに、お店に水が来てテレビが売れなくなった、それはそれなりで、また保険の対象とかいろいろな形があるからいい。今度の場合みたいに、五月中に二万五千人のお客さんのキャンセル、一億円からの被害、こういう目に見えない形のもの、これに対する何らかの形の援助、補償、こういうものも激甚の場合の考え方の一つじゃないかと私は思うのですが、ここいらあたりを国政としてひとつ大臣に御検討願いたいということを申し上げたいのでございますが、いかがでございますか。
  146. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 先般来の有珠山の災害の場合、伊豆大島沖地震の災害の場合、また、今回の場合、いずれも被災地の主たる分野が観光分野である、こういうことで、ひとまず金融面の対策は講じておるわけでありますが、さらに抜本的な対策ということになりますと、これはただいまの御質問の御趣旨のように、新たな施策、また、それを裏づける立法措置というふうにいろいろ考えなければならない点がございますから、お話しのように、今回の妙高高原町の問題を契機に、被害状況などの実態が明らかになったところで、われわれとしてもよく検討をさせていただきたいと思います。
  147. 津川武一

    津川委員 まだまだ緊急対策に対してお尋ねしたいこともありますが、時間もないので、続いて原因究明に対して少し伺ってみたいと思います。  二十九日、三十日、三十一日と林業試験場土木研究所の研究者の皆さんが調査に入っているほか、地元の学者たちも何度か調査して貴重な意見を述べております。原因については、こうした地元の学者や地元地域住民の声をよく聞いていく必要があると思います。  たとえば新潟大学の理学部の調査団が入っております。新潟大学の工学部の調査団も入っております。工学部の調査団では、土石流発生の前日に一回目の崩壊があって、温泉パイプが破壊して熱湯が流れ出して、それが土を解かしてどっとやってきた、こういう報告がございます。  また、理学部の調査の中には、あそこのところに開いた林道の切れ目のところがやはり問題のきっかけになった原因になったのじゃないかというふうに申されております。  また、地元の人に聞きますと、昭和四十七年まで作業道建設をやっておった。これは糸魚川の猪又建設というところらしいのですが、切り土を沢に捨てた、町民がこう言っているのです。カナメという地点に盛っているというその土は、そこにある量はほんの一部だと言っているが、かなりそういうところがあって、これが今度の土石流発生原因になっているのじゃないか、こういう指摘地元の方からございます。  そこで、こういったことを一つ一つ、これがどうだという論争は私はやめますが、政府がひとつ思い切ってこういう学者の団体、学術団体から民間のベテランなどというもの、故老の人たちから、もう一回集めて、系統的に聞いてみる必要があると思うのでございます。学術団体やこういう調査団、ときによると民主主義科学者会議だとか学術会議だとかいうものも考慮しながら、地元の古い人たち、経験を持っておる人たち、これをやる必要があると思いますが、こういう御意向、御計画をお持ちになっていただきたいと思いますが、いかがでございますか。
  148. 角道謙一

    角道政府委員 お答え申し上げます。  今回の災害原因につきましては、いろいろ新聞紙上で、いま先生御指摘のような問題等も指摘されておりますので、今回参りました調査団は、一応それの見解も踏まえて現地調査を行っているかと思いますけれども、今回の調査団が帰りました段階で、さらに、いま先生御指摘の問題も踏まえまして、今後の調査をどうするか、あるいは私どもとしましては、さらに広範な当該地域調査も必要かと思っておりますので、その段階でさらに方法論、範囲等は十分研究させていただきたいと考えております。
  149. 津川武一

    津川委員 有珠のことや伊豆のことでは、私たちはこの場で参考人の意見を聞いたこともございます。やはり国の災害対策本部で、そういう形で衆知を集めて聞いてみる必要があるかと思うのですが、委員会はそれをおやりになっているから、そこいらあたりをぜひぜひ実現させていただけることを重ねてひとつお願いして、問題を進めていきます。  恒久対策の次の問題でございますが、白田切川の復旧に当たって、ここはもともとヨシの茂った湿地帯だったことを考えて、そこで住民も言うのです。私たちの意見を少し聞いて、川幅を広げて砂のあるところなどというものをつくって、そうして緩衝地帯をつくって土石流防止策を講ずる必要があるのじゃないか、こんなことで恒久対策が出ています。こんなことを建設省は考えているかどうか、ひとつ答えていただきたい。  恒久対策の第二は、地すべり等防止法を改正して、国有林野地域内でも地すべり防止地域を指定して、国がみずから地すべり防止工事を義務づけるようにしていただきたい。政府は、民有林については、あれこれ基準を設けて対策を法的に義務づけておきながら、自分に対しては適用しない、国有林野には。  たとえば、この地すべり等防止法の第十八条でいろいろな施業の制限が明記されております。施行令の第五条で、のり地の三メートル以上は制限行為として知事の許可が必要だ。ところが、国有林ではそういうことはお構いなしになっている。したがって、国有林野に今度みたいに問題が起きているわけです。  またさらに、新潟県では、この地すべり等防止法に基づいて、昭和五十年から地すべり防止区域について巡視員制度を設けて、パトロールを強めて成果を上げております。この点で国有林の方がこういう形の点検はほったらかしにされているのじゃないでしょうかというのが地元の人たちの意見なんです。国の職員、こういう点でもう少し林野庁でもそういう巡視員制度、パトロール制度をつくるべきだ、こういうことがあるんじゃないかということでございます。これが地元から出ているあれでございます。  もう一つには、非常に心配しておるのは、高田営林署が廃止になるのじゃないか。林野庁はこういうぐあいで、これからパトロールやいろいろな防災工事をする。そうするとすれば、何としても必要なのは担当する営林署や、現実には人でありますが、五十三年度には妙高の担当である高田営林署の廃止、人員整理、長岡営林署の支所にしたいというふうなことを実は林野庁の労働組合の皆さんが提示を受けたということで心配しておるんでございます。万々、間違ってもこんなことはなさる心配はあるまいと思いますが、こういう点でお答えを願います。
  150. 井沢健二

    ○井沢説明員 白田切川の改修の問題でございますが、現在の河道は、四十六災の状況にかんがみまして、その前の川幅のおおむね倍程度に上流は広げたわけでございます。そういうことで比流量もおおむね二十五といったような非常に大きな、わが国では大きな方の部類に属するような断面にしたわけでございますが、今回の状態を見ますと、とてもそれではもたない。今回の大きな土石流は量も大きい、瞬間的な量が非常に大きいということと、それからあそこの点では、五メートルないし十メートルもあるような丘を乗り越えるようなエネルギーのかたまりになってきておるというふうなことで、やはりまともに突き当たったんではとてもできないというふうなこともございますので、河道の改修というか、川も広げねばいかぬことも考えなければいけないのかもしれませんけれども、やはり上の方で少し抑えてもらうとか、あるいは今回どろをかぶった地域を、やはりそういうことはやむを得ないというふうなはんらん原に使うとか、そういうふうな対策も同時に考えてまいらなければいけないというふうに思っております。  そういうわけで、そういう検討をそれぞれ所管の方にお願いをいたしまして、そういう状態も同時に考えまして、ああいう地域の改修を進めるかどうかを検討してまいりたいというふうに思っております。  それから、先ほどの国道の橋のことにつきましてちょっと訂正させていただきますと、先生仰せのとおり、現在一方通行になっております。昨日から夜間は通しておるそうでございますが、実は橋の根がやられましたもので、現在応急工事は終わっておりますが、その橋の根のところがいいかどうかの調査を現在やっております。それが近々終わりますので、それが終わりまして、そして支障がないということであれば二車線開放いたしたいというふうな現状にあります。  以上、訂正いたします。
  151. 角道謙一

    角道政府委員 お答え申し上げます。  国有林につきましては、地すべり等防止法によります地すべり防止区域の指定は現在は行っておりませんが、地すべり等防止法の目的が、地すべり災害を防止するために地すべり工事を円滑に行う、あるいは地すべり区域の管理を一体的に行うということは、確かに御指摘のとおりでございます。そこで、地すべり防止区域の指定によりまして、たとえば地すべり防止工事実施のための土地収用であるとか、あるいは立ち入りであるとか、その他いろいろ規定がございますけれども、国有林につきましては、国が本来持っておる土地でございますので、工事その他は一体的に十分やれる。また、この工事の実施に当たりましても、地元、県等の要望もよく聞きながら、従来から国有地の中の地すべり防止工事ということで実施をしてきておりますので、実態的にはいままで弊害はないというように私たち考えていたわけでございますが、今回このような御指摘もございますので、ただ、今後の問題として私ども検討はしてみたいと思いますけれども、一般的には、私どもとしましては、先ほど御指摘のいろいろな地すべり防止区域の行為の制限につきましても、いろいろな工事の段階に当たりましては十分配慮いたしているので、今後の問題としては十分検討いたしたいと考えております。  それからこの区域の監視の問題でございますけれども林野庁におきましても、防災のための点検、巡回についてのいろいろな規定を設けておりまして、危険個所については常日ごろからパトロールする等のことはやっているわけでございます。たまたま今回の個所につきましては、確かに近辺に従来崩壊個所南地獄谷というところがございまして、危険個所には違いなかったわけでございますが、今回の崩壊個所、その地点につきましては、私どもの手抜かりがあったという点については認めざるを得ませんので、今後この監視の問題については十分検討したいと思いますし、また危険個所全体につきましても、やはり危険判定の手法が大分向上してきておりますので、五十三年度におきましてもう一度抜本的に見直しをしたい、かように考えております。
  152. 津川武一

    津川委員 国有林野の中における地すべり防止は全力を挙げてくださいね。もしまたもう一回こういうことが起きると、委員長に特別立法措置をお願いしなければならぬことがあり得るかもわかりません。  そこで、時間が来ましたので、最後に二つだけお答え願います。  昭和四十六年の十二月三十一日の、あの前のときに、現地で営林署、土木事務所などの連絡会議でいろいろな検討をして結論を出しているのです。昭和四十六年のときの一つの結論は、今回すべったところの上方の約三十万立米、さらにその上方の四十万立米が、周囲に数カ所の割れ目があり、また温泉活動の異常が活発化するなどの状況もあり、崩れる危険性がある、こう指摘されているわけなんです。これから抜本対策を検討するといま皆さん言われたが、いままでの検討をどう生かしたのか。ここのところが検討されていれば、この問題はかなり変わってきたはずなんであります。いままで検討をやってないものは直ちに検討してやるということがこれからの検討以上に大事なので、この点ひとつ答えていただきます。  第二番目には、これからまた梅雨期に入りまして、妙高山全体がどうなるのかという、速やかに妙高山全体を、国土保全という立場から、がけ崩れ防止という立場から検査する、点検する必要があると思いますが、この二点を答えていただければ、私、質問を終わります。
  153. 角道謙一

    角道政府委員 お答え申し上げます。  四十六年の災害の直後、私どもといたしましては、御指摘のような南地獄谷地すべりというものを念頭に置きまして、そのための——当時たしか三十万立米の流出があったというように承知しておりますし、また現に不安定土壌も上方部には若干残っていたということがございまして、その四十六年災の防止のために、当時におきまして、国有林におきましては約六基の渓間工、そのほか山腹工であるとかいうものを計画をいたしたわけでございます。下流におきましては、これは建設省の所管でございますので、また後ほど御説明があるかと思いますけれども下流の四基の砂防ダムと合わせまして、南地獄谷の四十六年災に対する、あるいはそれ以前の災害を踏まえての対策を一応考えていた。現段階までには三基の渓間工は一応完了いたしまして、また山腹工等は全部終了しております。今後、実は五十三年度、五十四年度に各一基程度の渓間工を予定をしていたわけでございますが、今回の災害がございましたので、この計画につきましては抜本的にむしろ考えなければいかぬ、かように考えておりますし、今回の調査団は、もっぱら今回土砂崩壊の起きました個所につきましての復旧対策というものを頭に置いておりますので、これらの調査団の帰京報告を待ちまして、むしろ抜本的に、妙高山地域につきましても従来から南地獄谷一帯には数回の地すべりも起きておりますので、これも含めまして抜本的に、もう少し総合的な対策を考える必要があるというように考えております。
  154. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 津川委員より、これからの出水期に対しての御心配をちょうだいいたしましたが、昨日、閣議におきましてもこの点について私より発言をいたしておりますが、中央防災会議の議長である福田赳夫名をもちまして次のような指示をいたしております。  危険個所等の巡視、点検の強化、それから観測協力体制警戒避難体制の強化、災害発生した場合の適切な応急措置について格段の配慮をお願いしたいということで、関係方面全般にこういう議長の指示を与えまして、防災体制の強化に努めておるところでございます。
  155. 津川武一

    津川委員 終わります。
  156. 川崎寛治

    川崎委員長 永原稔君。
  157. 永原稔

    永原委員 最後になりまして、大分問題が重複しますので、整理しながら御質問させていただきたいと思います。  私も現地視察に参加さしていただいた一員でございます。あの大量の土石流に一驚し、また十三名の方々の御冥福を祈ったのでございますけれども、その中で思い起こされたのが災害対策基本法であり、地すべり等防止法であり、また急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律、そういうものでございました。法律は確かにでき上がっております。いろいろな措置が規定されております。しかし本当にこれが守られていたであろうかというところに疑念を抱きました。災害対策基本法に基づいてそれぞれ防災計画をつくらなければならない。県も市町村もそれぞれつくっているはずです。それぞれの防災会議の議を経てつくっているはずですけれども、こういうものについて、つくりっ放しになっているのではないだろうか、窓口の国土庁においてこういうものについて一々綿密な御指導をなさっているかどうか、その辺について伺いたいと思います。
  158. 持永堯民

    ○持永説明員 お答え申し上げます。  災対法に基づきます都道府県あるいは市町村がつくることになっております地域防災計画でございますけれども、これにつきましては消防庁の方でその作成の指導等に当たっておりまして、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、今回のような災害を想定した場合におきましては、あらかじめああいった危険個所の掌握をいたしまして、それを地域防災計画にも計上し、かつ、それに伴う警戒あるいは避難の体制等についてあらかじめ決めておく、こういうスタイルになっておりまして、そういったことにつきましては常日ごろから十分指導し、新潟県あるいは妙高高原町におきましてもそういう対応はとっていたわけでございますけれども、たまたま、残念ながら今回の災害発生いたしました場所、あそこにつきましては、妙高高原町として十分な対応ができていなかった。一つは国有林であるということもございますし、あるいは場所がほかの、隣の村の区域だったというようなこともございまして、掌握の対象から漏れておったわけでございますけれども、この辺につきましても以後十分注意をして指導を続けてまいりたいと思っております。
  159. 永原稔

    永原委員 いまお答えがありましたように、二町にまたがる地域であったというようなこと、こういうのはやはり対策法においては協議会のようなものをつくっていかなければならない、そういう措置になっているわけです。四十六年十二月に現実に南地獄谷地すべりが起こっている。そのときもやはり白田切川に流入してきている。そういう現実があるわけです。やはり二町にわたっているわけでしょう。こういうものについて放置して、御指導が本当になされたのかどうか。消防庁が対応した指導をしているとおっしゃっていますけれども、現実はどうだったのか、その辺が非常に疑問に思われるわけです。また、国有林野がたまたまあったからというようなお話ですけれども地域住民にとっては、やはり自分の生命、身体を守っていただく法律であり、それを監督する官庁、都道府県なり市町村なりまたその上部機関としての消防庁、こういうものに多くの期待を寄せているわけです。たまたま国有林野であったというのは言いわけにならないと思います。横の連絡が悪かったというような指摘が多くなされましたけれども、そういう非難、そしりは免れない、こういうような気がいたしますが、こういうものに対してどういう態度でお臨みになるか、もう一度お考えを伺いたいと思います。
  160. 持永堯民

    ○持永説明員 確かに、横の連絡その他について十分ではなかった、また前回四十六年に、あの近所の場所で同じような災害発生いたしておりまして、そういったことを考えますときに、御指摘ありましたように、妙高高原町の対応が決して十分であったとは申し上げていないわけでございまして、今度の災害を経験いたしましたので、特に横の連絡、特に市町村、地方自治体だけではやはり対応できない問題もございますので、いろいろ専門的な知識が必要であるというようなこともございますので、営林署なりあるいは土木の専門の方々とも十分連絡をとり、あるいは気象官署とも十分連絡をとり、そういった横の体制をさらに十分徹底し、かつ、自治体自体においても、一〇〇%あらゆる災害を予見するというのは現実問題としてなかなか困難だと思いますけれども、少しでもそれに近づくように努力するように指導を強力にしてまいりたいと思っております。
  161. 永原稔

    永原委員 その点はぜひよろしく御指導をいただきたいと思います。  先ほど広沢委員からの御質問もございました。それぞれの機関における災害対策本部の設置に大分ずれがございます。こういうずれを見ましても、本当に横の連絡というのが十分だろうかというような気がしてならないのです。防災計画でいろいろな措置をなさっていましても、現実ああいうとっさの非常の事態に際会した場合になかなか連絡がうまくいかない、その事情はわかりますけれども、本当にこういう情勢を見ますと、もっと綿密な連絡が必要だということを指摘したいと思います。  それと、現地でいただきました国鉄の資料、これを拝見しますと、六時二十分、田切部落に居住している人が轟音を上げてはんらんする状況を感知している。軌道検査長が目撃している。そういうようなことが報告されておりますけれども、この田切というのは、図面で見ますとずいぶん下流地域になっている。信越線のすぐ近くですが、こういうような状況からしまして、本当に警報が早く出されていたならば、こういうような災害を避けることができたのではないかというような気がしてなりません。  これも先ほど御質問が出ていますので、あえて繰り返しませんけれども災害対策基本法の五十四条に通報義務ということが課されております。市町村長あるいは警察署長、そういうところに災害状況を通報しなければならないという義務づけがなされていますけれども、こういうようなものについて、やはり地域の人たちに徹底するような指導がなされていたのだろうか。広沢委員が、警戒本部のようなものを先につくっておく必要がある、そうして事前に心の準備もさせる必要があるというような御指摘があったわけですけれども、まさにそれに対応するような質問になりますが、こういうような訓練を積んでおいて事態に対処していかなければおくれをとると思いますけれども、そういう指導も綿密になさっているかどうか承りたいと思います。
  162. 持永堯民

    ○持永説明員 災害対策は、いろいろな面につきまして地域住民方々の御協力をいただくことはぜひ必要なことでございまして、その一環として発見者通報という規定もあるわけでございます。やはりいろいろな現象を一番早く知った人が少しでも早く伝えるということが災害予防、災害応急対策上必要なことでございますので、そういうことを願っておりますが、そういうことも地域防災計画等に書き入れておるわけでございますけれども、現実の問題としては、いまお話がございましたように、必ずしも、これが住民すべてに徹底し、あるいは円滑にこういった規定が活用されておるという状態には残念ながらなっていないんじゃなかろうかと思っております。お話にありましたように、日ごろの訓練あるいは防災についての教育、普及といったことについてさらに積み重ねをして、こういった災対法の規定が十分に生かされるようにしていかなければならないと考えている次第でございます。
  163. 永原稔

    永原委員 災害対策基本法五十二条に防災信号のことが出ております。総理府令がどういうように規定していらっしゃるのか、その点と、妙高高原町でこういうような警報というものが準備されていたのかどうか。六時二十分というともう明るくなっております。深夜ではありません。そういう中で本当に警報が鳴らされていたならば、人命損傷というようなことはある程度避けられたと思いますけれども、基本法に言うこういう警報の設置というのはどういうようになっているのか。これはひとり妙高高原町だけの問題ではありません。災害対策基本法に基づきこういうものが規定されている以上、各県それぞれ危険地域を持っているところは多うございますので、そういうものに対してどういうように御指導なさろうとしているのか。例を挙げますと、地すべり等防止法における指定地域もありますし、急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律にも危険地域の指定ということがございます。また、今度新しくできました大地震の特別措置法においては強化地域というような指定がなされます。こういうような特に指定された地域に対する警報の設置などについてどういうような御指導をなさっているのか、また体制を整えようと考えていらっしゃるのか、そういう点を伺いたいと思います。
  164. 四柳修

    ○四柳政府委員 前段の災対法五十二条の防災信号についての総理府令の規定でございますけれども、現在この条文に基づきます特別な総理府令はございません。御案内のように、消防法上の消防信号ですとか、水防法上の水防信号ですとか、あるいは気象業務法上の予警報の標識とか、それに主として従っておりまして、特別なものは設けておりません。  それから、後段の各関係地域につきましてのいろいろな特殊な指導という問題、あるいは今後の地震法を踏まえての指導という問題でございますが、先ほど消防庁の方からも御答弁申し上げましたように、個々の地域の特殊事情というものはやはりそれぞれの地域地域防災計画の中で、本来その特殊事情というものを踏まえて、予警報から始まりまして、各種の対策というものが組まれるべきものだと思いますけれども、先ほど消防庁の方から御答弁申し上げましたように、事災害が起きてみますと、必ずしもそういったところが十分ではなかったのではないだろうかという御指摘でございますが、その点も踏まえまして、関係省庁ともども、そういった点につきましてはもう少し念を入れなければならないと考えております。
  165. 永原稔

    永原委員 大地震のあの特別立法のときに警報の伝達について非常に慎重な態度が望まれる声が出ておりました。マニュアルをつくって、ある程度統一するようなお答えが出ていたわけですけれども、やはりこういうような危険地域については、警報などの設置または報道内容についてもある程度指導するというような必要があるのではないか。今度の土砂流によるああいう人命損傷というようなことについて考えますと、やはりああいう危険地域は、これはたまたま地すべりの指定は受けていないにしても、そういうものについて事前の対策というものが必要だと思いますけれども、警報設置を指導するお考えはないかどうか、その点いかがでしょうか。
  166. 四柳修

    ○四柳政府委員 御指摘のように、予防の見地から警報を設置するということは必要であると思います。しかし、その警報のシステムをだれが管理をしまして、どういうふうに伝えるかということも一つの課題になりますものですから、先ほど来御答弁申し上げておりますように、今回の場合には、今回の技術調査というものを踏まえまして、上流部から中流部、下流部にわたってのそれぞれの管理主体もございますし、あるいはそれぞれの地域に応じました警報システムの是非という問題もあろうかと思いますけれども、そういったことも、今回の原因調査ばかりでなくて、今後の対策一つとして調査団の御報告を待って、しかるべき方向というものを研究させていただきたいと思います。
  167. 永原稔

    永原委員 四十六年の十二月、あの温泉地すべりのときに出た排出量ですけれども、これも国鉄の資料によりますので、オーソライズされているかどうかはわかりません。百二十万から百五十万立米の地すべりがあった、そのうち約三十万立米が白田切川に流入した、こういうようになっておりますけれども、先ほど建設省の方から、過去の排出土砂量を想定しながら砂防堰堤をつくっているんだというようなお話がございました。やはりこの地域でこういうような地すべりが起こるであろうことを想定しながら、同じ地域かどうかは別として、あの白田切川に入ってくる可能性があるということを想定しながら、建設省は砂防堰堤をおつくりになっているわけです。林野庁の方は、それに対してどういうような防災措置をなさったのか、その点について伺いたいと思います。
  168. 大工原潮

    大工原説明員 建設省といたしましては、四十六年のあの災害土砂流出の状況等を判断いたしまして、それに対応するべく砂防堰堤計画をしたわけでございます。林野庁所管の治山事業あるいは国有林内における治山事業と、それから建設省の所管の砂防事業は常に密接な関連がございます。したがって毎年一回、各地方の県におきます事業の実施のための調整会議を持って検討いたしておりますし、それからさらに、その上の段階で中央調整会議というふうなもので事業調整を図っております。四十六年の災害は特に特殊なものでございますので、あの地域だけの調整会議を持ちまして、計画調整をなされ、両者合意の上で、私どもとしては、その後十五メートルの堰堤一基完成いたしておりまして、それからその後引き続いて現在工事中、災害時点ではまだ六メートル程度までしか上がっておりませんでしたが、計画としては、高さ十四メートルのダムの計画をもちまして鋭意施工中であったわけでございます。その堰堤が竣工した段階におきましては、四十六年の土砂量に対応するものというふうに判断いたしておりました。しかし、それも建設省所管の砂防ダムで全部持つということではなく、上流対策とあわせまして再度災害を防止するという意味での計画であったわけでございます。
  169. 角道謙一

    角道政府委員 四十六年災害に際しましては、林野庁におきましては、上流の国有林地内の白田切川に全体としましては六基の渓間工それから山腹工あるいは資材運搬水路工等計画いたしまして、従来ございます四基のダムに加えまして、四十六年の南地獄谷災害程度のものについては十分防止ができるような体制を考えたわけでございます。そこで、五十二年度までには渓間工を三基完成いたしました。山腹工資材運搬水路工等は全部完了いたしておりますけれども、五十三年度以降渓間工二基予定をしていたわけでございます。これが完成すれば、一応四十六年災程度のものは、下流の砂防ダムとあわせまして十分対応できるというふうに考えていたわけでございます。
  170. 永原稔

    永原委員 白田切川に排土されたのが三十万立米、そのほかに相当量、百万近いものが地すべりとして土砂が流出したのではないかと思いますけれども、こういうものはどういうように処理なさったのでしょうか。
  171. 角道謙一

    角道政府委員 私ども、当時の四十六年災におきましては三十万立米の流出があったと承知いたしております。百万立米あるいはそれを超す流出量につきまして、私ども段階ではそれをオーソライズする資料はございません。
  172. 永原稔

    永原委員 国鉄の資料ですのでオーソライズされていないかもしれませんから、これはこの程度にしておきます。  それから、法の百一条に災害対策基金を積み立てるように規定されております。「別に法令で定めるところにより、」という言葉が入っておりますけれども、ここで言うその「法令」は、災害救助法あるいは地方財政法、それ以外に何かあるでしょうか。
  173. 千葉武

    ○千葉説明員 現行制度上はその二つでございます。
  174. 永原稔

    永原委員 災害対策基本法の想定する災害対策基金というのは一体何を目的にしていたのか。被災町村において非常に財政が窮迫しているという訴えが強うございます。事業については地方債などを配賦していけば済みますけれども、独自のものとして地方債の対象にならないものもこういうもので処理させようとする御指導なのか、この百一条に言う災害対策基金の性格を教えていただきたいと思います。
  175. 四柳修

    ○四柳政府委員 先ほど自治省の方から御答弁申し上げましたように、本来は災害救助法に基づきます救助活動のための基金と、あとは自治法の関係でございますから、自治法の発想で申し上げますと、御案内のように年度間の財源調整ですとか、緊急時の場合での財政調整基金ですとか、そういう発想だと思いますので、特にいま御指摘のように、災害のためのどの経費について何をどの程度をめどにためておくべきかという趣旨ではないと思います。
  176. 永原稔

    永原委員 先ほど来申しております地すべり等防止法とか急傾斜の関係の法律とか地震の強化地域、こういうところで特別な財政需要が予想されているものに対して、この災害対策基金というのは対応しない、こういうようなお考えですね。これはあくまで年度間の調整だけのものだというお考えでしょうか。
  177. 四柳修

    ○四柳政府委員 ただいまの御指摘の点は、自然条件等によります特殊事情に対して、災害が起こりやすいから、本来そういったものを災対法の規定による基金として積み立てるべきではないだろうか、こういう趣旨の御主張だろうと思いますけれども、御案内のように、そういった自然条件に基づきます各種の財政援助措置につきましては、別途それぞれの補助等の規定もございますし、あるいは交付税上のいろいろな補正もございますものですから、本来は通常の状態の中でそういったものを考えるべきであって、御指摘のような特殊な自然条件に基づいて災害が起きたから、そのためにためておいたお金で対応するという趣旨ではないと考えております。
  178. 永原稔

    永原委員 ちょっとくどいようですけれども、そうしますと、災害対策基本法に言うこの災害対策基金というのは、実効としては災害救助法によるあの積立金を指すようなことであって、財政調整の——これは自治法で決められたあの資金ともちょっと性格が違うような気がするのですけれども、こういうものと違って、本当に救助法に対応したような、そういう積立金というお考えでおつくりになったのでしょうか。
  179. 四柳修

    ○四柳政府委員 先ほど自治省の方からも御答弁申しましたように、別に定める法令という形で、災害対策基本法のほかには災害救助法と自治法本来の財務の章の規定に基づきます積立金ということでございますから、災害救助以外は一般的な財政の安全弁としての積立金ということで、その安全弁のための対策の中には、御指摘のように災害という場合も入っているかもしれませんけれども、あえて災害ばかりではなくて、特殊な事故ですとか、特別の臨時の財政需要ですとか、あるいは急激な歳入欠陥といったものも踏まえた総合的な基金というふうに弾力的に使われるべきものだろうと思います。
  180. 永原稔

    永原委員 ちょっと明確でないような感じがしますけれども、一応財源調整的にこういうものが必要だということはわかりますので、次に話を進めます。  先ほど来お話がございまして、国有林野内における地すべり防止区域の指定はこの地域においてはなさっていないということでしたけれども、ほかの県でそういう例があるのでしょうかないのでしょうか。
  181. 角道謙一

    角道政府委員 お答え申し上げます。  国有林地だけを対象にいたしました地すべり防止区域の指定はございません。民有地と一緒になった個所につきましては若干の個所が指定をされておりますが、国有林だけにつきましてはございません。
  182. 永原稔

    永原委員 この地すべり等防止法を読んでいきますと、指定地域の管理者は知事である、こういうようになっていて、その地域地すべり防止工事基本計画を知事がつくって主務大臣に提出しなければならないようになっていますけれども、そうしますと、地すべり防止工事基本計画には、こういう国有林野崩壊地のようなところは全然除かれているということになるわけでしょうか。
  183. 角道謙一

    角道政府委員 お答え申し上げます。  法律上は、地すべり防止法によりましては、国有林も含んで地すべり防止の指定はできることになっております。保安林等のございますところは農林大臣が指定をすることになっておりますが、実態的に申し上げまして、地すべり防止の指定は、まず地すべり防止工事を行いまして、その後の管理等を都道府県知事が行う。そこで地すべり防止工事を円滑に行うための土地の、たとえば立ち入りであるとか行為制限であるとか、土地収用であるとかというような問題がございますし、またそこで工事を実施していくためには、都道府県が三分の一の負担をいたしまして三分の二の国の補助ということで工事を実施をし、でき上がったところで今度は都道府県知事が管理をするというたてまえになっております。ただ、国有林につきましては実態的に、土地そのものは全部国が一貫的に持っておりますし、その工事をいたします場合にも、国有林として従来から地すべり工事を実施をしてきております関係で、地元から国有林地につきましてそういう御要望がございますときには、むしろ国有林で実態的に地すべり工事、また国有林で地すべりの危険のあるところにつきましては、私どもとして従来から地すべり工事ということを積極的にやっております関係で実態としては私どもの方にお任せをいただいているというかっこうで、従来は地すべり防止区域の指定がなかったというように承知をしております。
  184. 永原稔

    永原委員 「知事は、地すべり防止区域台帳を調整し、これを保管しなければならない。」というような条文がございます。これを読んでいくと、台帳をつくることが目的ではなくて、実際その防止区域を整備することが目的だと思いますけれども、台帳を調整しっ放しで、そういう台帳をつくって一体これを指導するのはだれだろうか。法律を読んでいきますと、いまお話が出ていますように、保安林が対象地域になっていれば農林大臣だ、また砂防法による指定地域だったならば建設大臣が主務大臣だ、こういうことになっていきますと、受ける側の知事が一体どなたの指導を受けたらいいのか非常に不明確になる、こういうような気がしますけれども、こういうのはどういうふうに調整なさっているのでしょうか。話が少し余談になってしまいましたが、そういう点もお聞かせいただきたいと思います。
  185. 大工原潮

    大工原説明員 地すべり等防止法は、先生御承知のように、三省庁共管でございまして、いまおっしゃいましたように、特に農地に関係のあるものは農林省の構造改善局の所管でございますし、そして、特に林野に関係のあるものは林野庁、その他のものは建設省というふうに一応法律上の所管区分を明確にいたしております。ただ、その中で非常にそれが明確にしにくい部分もございますので、それらの指定に当たりましては先ほどもちょっと触れましたように、常に調整会議を持ちまして、県の段階での調整会議、さらに本省の段階での調整会議等を経まして、おのおの所管区分を明確にし、それぞれ各都道府県におきましても都道府県の土木部あるいは農林部というふうに指定の段階において明確にしておるわけでございます。
  186. 永原稔

    永原委員 質問がダブりますので整理してということを申しましたが、最後に、今度は国有林内の崩壊であった、しかも第二回目の崩壊であった。建設省白田切川、こういうところのはんらんの状況を見て堰堤を第三までつくり、いま第四堰堤を整備中であった。そういうものが一挙に破壊されてしまって、しかも十三名の生命、財産が失われた。何か法律には警報のことも規定されているけれども、そういうものはなされていなかった。地方防災計画があるけれども、避難、誘導その他について十分な措置がとられなかった。人災であるかあるいは天災であるか、それは問いません。現実にそういう事実があったのは否定できない。そういう中で、国家賠償法の適用になるような訴訟が起こされるとしたならばどういうようにお考えになっていくのでしょうか。
  187. 角道謙一

    角道政府委員 お答え申し上げます。  今回の災害原因が一番の問題になろうかと思いますけれども、これは現在、二十九日から本日まで林野庁建設省のそれぞれの試験場の研究専門家現地に入って調査をいたしておりますので、これらの調査結果を待たなければわかりませんけれども、現実にいま被災があったこと、災害があったことは事実でございますし、これらの方々がどう対応されるかは私どもちょっと現段階では言及はしにくいわけでございます。私どもとしましては、今回の原因調査を待ちまして、こういう災害が二度と起きないような対策を講じたいというふうに考えております。
  188. 永原稔

    永原委員 先ほど建設省の御説明の中で、排土も全部はし切れないものがあるし、またはんらん原として利用するというようなお話もございました。はんらん原として利用してそこに排土をそのまま置いておくとすれば、あの地域の人たちの住宅その他に影響のある場合があるのではないかと思うのです。そういう場合には損失補償の要求が出る可能性があると思うのですけれども、そういうものについては何かお考えでしょうか。
  189. 井沢健二

    ○井沢説明員 はんらん原ということでございますが、その辺につきましては全体的な組み立てがありますのでいろいろな手法を使わなければいけないので、それぞれのところにそういう検討を依頼をしようというふうなことでございます。今後そういう点につきましてもいろいろ検討してまいらなければならないというふうに思っております。
  190. 永原稔

    永原委員 個人災害のいろいろな救助金、弔慰金についてこれは適用なさっておいでになりますか。
  191. 四柳修

    ○四柳政府委員 方針としまして適用することにしておりまして、県と連絡しております。
  192. 永原稔

    永原委員 最後に長官にお願いします。  法律があっても、やはり現実にぶつかると非常に手抜かりだなと指摘されるような面が多うございます。法律をつくって事足れりとしないで、今度のこういう災害をやはり本当の教訓にして、より充実したものにしていかなければならないと思います。いろいろ基本法で対策が示されているものが必ずしも実現に移されているとは言い切れない、こういうことを痛感いたしましたので、ぜひこういうものについて、国民の生命、財産を守るんだ、その第一線の大臣でございますので、お気持ちをさらに引き締めていただきたい。御答弁をお願いしながら質問を終わらせていただきます。
  193. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 永原委員のおっしゃっていること、私も同感であります。また責任を感ずる次第でございますが、せっかく法律がありながらもそれが有効に働いておらない面があるといたしますれば、それはまことに遺憾なことであります。  今回の場合も、いろいろ御論議をいただきまして、十分行き届いておるというわけにはいかない、こういう認識を私自身も持ちましたので、今後さらに十分な対策を講じていきたいと思います。
  194. 永原稔

    永原委員 ありがとうございました。
  195. 川崎寛治

    川崎委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時三十八分散会      ————◇—————