○広沢
委員 これまで
災害対策につきましては、
災害対策基本法がございまして種々対策が講ぜられてきておるところでありますが、
発生時のはっきりしない
地震等に備えての
事前の応急処置をとる法的根拠がいままでになかった。したがって、いわゆる大震法が
検討されるということは一歩大きな前進ではないかと一応評価するものであります。
そこで、いままで多くの議論がなされてまいりましたが、一応確認の意味も含めまして各省にそれぞれ質問をいたしたいと思います。時間の関係がありますので、一々やりとりをしていると時間がございませんから一括して各省にお伺いしますので、準備をして順番にお答えをいただきたいと思う次第であります。
まず、
防衛庁にお伺いをいたしたいと思いますが、これまでの
災害に対する
自衛隊の活躍、これについては関係者のみならず多くの方々が敬意を表しているところであります。
自衛隊の
災害派遣は、
自衛隊法第八十三条あるいは九十四条または訓令の第十四条等に基づいて行われてきております。これは
災害発生後ないしは明らかに危険が予想されるものについて限定されて
活動してきているわけでありまして、いわゆるその
行動目的が一応明確になっているものである、しかもそれはいわゆる都道府県知事の
要請により十分な打ち合わせが行われた上においてこのことは実行されてきている、したがって、都道府県知事の
要請なしに独自の判断で
出動したことはいままでにない、このようにも伺っております。今回の大震法十三条の二項によって
自衛隊法八十三条の二が設けられ、
総理すなわち
警戒本部長の
要請で
事前出動が行われることになっているわけでありますが、私も大
災害に対するこういった処置は一応必要であろう、このように考えるものであります。
しかし、
事前出動は不測の
事態に備えるものでありまして、
災害の
状況で機動的にあらゆる
事態に対応しなければ意味がないと思います。そこで、それはあくまでも防災基本
計画に基づいて行われることは当然であるとしても、限定的な
行動をあらかじめ定めることは困難であろうと思われます。そこでいろいろな意味、たとえば
治安出動と混同されるのではないかという危倶も生じてくるわけでございます。少なくとも
治安のためのいわゆる抑止力といいますか、すなわち武器の携行等を
禁止するなど、明確な
規定が
事前出動の場合にもなければならない。いままでの
答弁では
治安出動にはならないということは一応お答えいただいておるわけでありますけれども、
災害が起こった後の
出動について、これまでの
出動については訓令の十四条等もございましてその
規定がはっきりいたしております。これからその点についてどのように明確になされようとしているのか、お答えいただきたいわけであります。今回の場合は、
総理の
要請で
出動ができるとだけ
規定されておりまして、その後のことは、
事前の問題については何ら
規定がございません。訓令の十四条そのものは、
災害派遣の場合については武器を携行しないものとするとなっておりますが、ただし書きで特に必要なときは武器の携行を一応決めております。こういっただし書きは、
事前の
出動でありますから必要はないのではないか、このように思われますので、
規定を明確にしていただきたい。現在の
解釈では、
事前の
出動は準備
体制であって、
災害が起こった場合に
災害派遣の
行動をとるについてはこれまでの
法律を運用するということになるわけでありますが、大震法で決めております
事前出動については、
災害が起こった後と
事前とを区別している以上は、やはり規則というものを明確につくる必要がある。その点についてどのようにお考えになっていらっしゃるか、ひとつお伺いしたいと思います。
それからもう
一つは、
防衛庁の「防災業務
計画」によれば「
災害派遣計画をあらかじめ作成する。」ということになっておりますが、この
計画についてはどのようになっておるのか、御説明をいただきたい。
さらに同
計画によると、訓練としてその「特性に応じた各種
災害救助訓練を行う。」となっております。いままでに何回、どのような方法で行われてきたのか、お答えをいただきたい。この場合の「訓練」というのは独自で行う訓練なのか、あるいは関係機関との協同訓練を意味するものなのか、その点もお答えいただきたいと思います。ただ、業務
計画の中には、一応
災害救助訓練ということと、関係機関との協同訓練ということと、二項目に分けて載っております。いままで聞いていることでは、私はその訓練といえども、あくまでも一応関係機関と連絡をとった協同的な訓練の意味にとっておりますけれども、業務
計画の中では二通りの書き方をしてあるということは、独自の訓練もあり得るのではないかという
解釈ができますが、その点についても明確にしていただきたい。たとえ武器を持たなかったとしても、訓練と称して独自の訓練が再々行われるということになれば、
治安その他を
想定して幾らでも
行動訓練ができるという見方もできるわけであります。そこでやはり協同訓練に限るべきではないか、特に
災害対策のための訓練は総合的連携が最も重要な問題でございますので、その点を明確にする必要があるのではないかと私は思うわけであります。
それから次に、国土庁にお伺いをいたしたいと思いますが、昨年発表しました第三次全国総合開発
計画、いわゆる三全総では、防災についてどのような取り組みをする姿勢になっておるのか。その中で一部分でありますが、
災害危険度の高い地域では木造建築物の建築
制限を図るべきだと提言をいたしています。これは国民の合意がなければ、または国民の防災に関する意識の高揚というものが相連携して行われなければ実効性はないのではないか。
必要性は当然のことでございますが、ただそれを文章化しているだけではどうにもなりませんので、その点の見通しについてもひとつお答えをいただきたい。
それから、本
法案中に
強化地域の指定のあり方について、
強化地域は
総理が指定することになっておりまして、都道府県知事の意見あるいは市町村長の意見を聞くという
体制には一応なっておりますが、具体的にはどのような基準でどこが立案するのか、その点を明確にしていただきたい。と申しますのは、予知連の萩原会長もあるいは判定会の
委員であります力武教授も、この問題は今後詰めなければならない問題であるというふうに
指摘をいたしておるからであります。
強化地域は目下東海地方、あるいは南関東は一応話題に上っておるわけでありますが、その他の地域についてはどうなるのか。観測
体制が不十分であるのでその他の地域についてはわからないのか、それともその他の地域については現在全くその必要がないと判断をしておるのかどうか。もしも観測
体制がまだまだ十分でないとするならば、今後の
計画はどういうふうになるのか。この
法案における
強化地域の指定というのはまず第一番に重要な問題でありますので、気象庁の関係にも多少なるのかもしれませんが、どちらからでもこの点明確にしていただきたいと思います。
予知
体制の一本化が強く主張されております。これは参考人の意見もそのとおりでございますし、いままでも論議されました。その際
国土庁長官は、
研究機関はそれぞれ分かれておってもよいのではないか、そして予報といいますか、そういうものが一本化される必要があるのではないかというお話でございます。
研究機関は確かにそれぞれの専門分野がありますから、基礎
研究がそれぞれの機関に分かれておっても当然ではないかと思いますが、そういったものをどこか一カ所に集約する、そしてそこで専門的結論を出す、さらにそれに基づいた観測
体制から上がってくるデータも集約してそこで結論を出す、そういう二本のきちっとした
体制の整備を今後する必要があるのではないか。その点について御意見をお伺いしておきたいと思います。
それから国土庁に伺いたいもう一点は、判定会の法的立場といいますか、こういったことも必要ではないかと思います。最も重要な部門であります判定会、予知連が一応私的諮問機関という形に相なっておりますが、この
法案が実効的な
活動をするについてはこういった予知
体制が一番重要であるという以上、それを判定しあるいはまた専門的結論を出す予知連について何らの法的立場の
規定もないということはいかがかと思います。本
法案には行政の範囲に含まれず、そういう意味では大骨が抜けたように考えられるわけであります。責任はともかく、権威ある立場において法的裏づけが必要ではなかろうか。本法の三十三条に国の責務として科学技術の振興を挙げているにすぎません。本
法案が成立したら予知連、判定会によってこれが実際に運用せられるわけでありまして、実効を明確にするためにも法的根拠を明確にする考えはないのかどうか、その点についてもお伺いしておきたいと思います。
次に、文部省にお伺いをいたしておきたいと思います。
予知
体制の整備について、先ほどのにも多少関連しますが、測地学
審議会が文部省の所管になっております。その
地震予知の推進に関する年次
計画、いままで一次、二次、三次と提言がございまして、五十四年から第四次の作業にかかることになっているようでございますが、これは
地震防災の基本問題でありまして、科学技術庁に五十一年十月に予知推進本部ができておりますが、そこで総合的
研究の集約と
体制づくりがなされることになっております。やはりこういった複雑な機構、
体制というものは整備されてしかるべきではないかと思うわけであります。
と申しますのは、測地学
審議会でこのようなことを取り扱うことになった経緯については、測地学
審議会が設置された昭和二十四年五月、当時いろいろな提言などがございますが、その中で、地球物理関係業務というのは多くの機関によって分担されて業務が重複しているものあるいは業務の境界の明確でないものが多いという
指摘がありまして、「強力なる連絡調整機関を設置すること。例えば内閣直属の
委員会を設置するか、又は取敢えず文部省測地学
委員会を改造して利用すること。」こういうような具体的提案がなされております。したがって、この点については、一本化が叫ばれている今日、やはり
体制を整備する必要があるのではないかと思われます。これは何も文部省の測地学
審議会のことだけではなくて、通産省の工業技術院地質調査所ですか、こういった問題もそれぞれ関連をしていると思いますが、時間の関係でここにしぼってお答えをいただきたいと思います。もちろん、これを
検討するということになりましたら全機構を
検討することに相なるだろうと思いますので、その点もあわせて御
答弁をいただきたいと思います。
次に、科学技術庁にお伺いいたしますが、科学技術庁にはいま予知推進本部が設置されております。政府には一応取り組む
体制というものはできておりますが、いま申し上げましたような関連で、予知推進本部いわゆる科学技術庁にこういった
体制を統括することは事実上無理であるのかどうか、その点についてお答えをいただきたいと思います。
なお、つけ加えて、昨年
専門家による技術予測調査が科学技術庁から発表されております。それによりますと、マグニチュード六以上の
地震を一カ月以内の精度で、府県別程度の範囲内で予知できる技術が開発されるとするならば二〇〇〇年以降と見ているというような記事が出ておりましたけれども、事実その点の
研究はなされ、そういったことが発表されていることは認めていらっしゃるのかどうか、その点も加えてお答えいただきたいと思います。
次に、気象庁にお尋ねいたします。これまでの
体制上防災気象官はありますが、今回いわゆる
地震防災官を一応配置したと言われております。これは当然必要であろうと思われますが、
地震予報官制度の創設もあわせて必要なのではないだろうか。予知連の方でもそういったことは
指摘をいたしておるわけであります。現在東海地域判定会がありますが、これは大学の
地震学者六名によって構成されております。それを受けて
気象庁長官が報告を
総理大臣にし、
総理大臣は警報を発令することになっているわけであります。したがって、予知連の萩原会長から、観測データが集中する気象庁に予報官を置いて常時待機できる
体制が必要だというような
指摘もございます。本法は大
地震の予知は一応可能という前提に立って立案されているものであり、この
段階では当然これは必要なことではなかろうかと思うわけでございますが、その点についての御見解を伺いたいと思います。
それからもう
一つは、参考人に私がお伺いしたときにお答えがあったのですが、マグニチュード八の
地震は予知できる、一〇〇%ということはむずかしいわけでありますが、大体それを
想定しておりまして、それ以下というものは技術的進歩を待たなければできないということがいままでの
答弁であります。ところが、参考人として出席された鈴木教授は、観測網さえ充実しておれば可能だと言われました。これは技術というよりやはり
体制の問題じゃないかと思われるわけでありますが、その点についての御見解をひとついただきたいと思います。
それから、あと自治省の消防庁と建設省にお伺いいたしますが、消防庁には、
地震災害は
地震そのものよりも火災あるいは津波等、第二次
災害が多くの
被害を出していることは、いままでの例で証明されているわけであります。そこで、すでに予知連では観測について特別
強化地域を東海、南関東に指定しているわけでありますが、そこに限定してお尋ねいたしますけれども、
地震による各自の火の始末については基本中の基本であることは言うまでもありません。しかし、消防法による違反建築物等の
状況はどういうふうになっているのか、整備されているのか。いままでにも火災で、あるデパートがそういうことが不備であるために焼死者を出したとか、あるいは飲食街においてもそういう例が多々あります。したがって、
強化地域に指定されることになりますれば、早急にそのことは問題があるとするならば整備しなければならないと思いますが、その取り組みについてどうなっているのか、今後の対策はどういうふうになさっていかれようとしているのか。たとえば、避難路あるいは避難地周辺の不燃化の促進ということも考えていくべきではないかと思いますので、この点についてのお答えをいただきたい。
最後に、建設省にお伺いいたしますが、備えあれば憂えなしと通常言われておりますが、現状の対応と長期的対策についてお伺いしたいと思います。
一昨年、財団法人の日本都市センターが「都市防災の現況」について報告書を発表しております。その中で「これまで国や自治体の
地震対策は、大
地震が起きた後の対症療法に傾き、都市
計画全体としての連携と調和を欠き、都市は年々
地震に対する安全性を弱めてきている。」と
指摘しております。これは何もこの報告を待つまでもなく、関係者は一様にこういったものについては同じ意見であります。そこで、いわゆる防災都市づくりについての現状の対策と今後の方針について御説明をいただきたい。
なお、
関東大震災のような大
災害を二度と繰り返さないようにしよう、こういうことで十八年前に防災の日というものが設けられて、一応そういう意識の高揚を図っているわけでありますが、その後の都市構造というのは、御
承知のように伊豆の
地震でも示されましたように、防災への脆弱化、都市の脆弱化といいますか、その一途をたどっておりますが、明確な都市づくりへの防災の位置づけを盛り込んだ
計画というものを立て、推進していくべきであろうと思いますので、その点についてのお答えをいただきたいと思います。以上であります。