運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1978-04-18 第84回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年四月十八日(火曜日)     午前十時開議  出席委員    委員長 川崎 寛治君    理事 天野 光晴君 理事 有馬 元治君    理事 志賀  節君 理事 高鳥  修君    理事 矢山 有作君 理事 湯山  勇君    理事 広沢 直樹君 理事 渡辺  朗君       稲垣 実男君    越智 伊平君       小島 静馬君    後藤田正晴君       佐藤  隆君    谷  洋一君       谷川 寛三君    中島  衛君       中村  直君    原田昇左右君       村上 茂利君    森   清君       山崎武三郎君    伊藤  茂君       池端 清一君    佐藤 敬治君       渋沢 利久君    渡辺 芳男君       瀬野栄次郎君    薮仲 義彦君       津川 武一君    菊池福治郎君       永原  稔君  出席国務大臣         建 設 大 臣         国土庁長官   櫻内 義雄君  出席政府委員         国土庁長官官房         長       河野 正三君         国土庁長官官房         審議官     四柳  修君         消防庁次長   田中 和夫君  委員外出席者         防衛庁防衛局運         用課長     児玉 良雄君         科学技術庁研究         調整局生活科学         技術課長    清水 眞金君         国土庁長官官房         震災対策課長  城野 好樹君         大蔵大臣官房企         画官      柏谷 光司君         厚生省環境衛生         局水道環境部水         道整備課長   山村 勝美君         通商産業大臣官         房参事官    高瀬 郁彌君         通商産業省立地         公害局鉱山課長 檜山 博昭君         資源エネルギー         庁公益事業部原         子力発電安全課         長       逢坂 国一君         資源エネルギー         庁公益事業部ガ         ス保安課長   香田  昭君         気象庁観測部参         事官      末広 重二君         建設省河川局防         災課長     井沢 健二君         建設省河川局砂         防部傾斜地保全         課長      釣谷 義範君         建設省住宅局建         築指導課長   大田 敏彦君         国土地理院地殻         調査部長    藤田 尚美君         消防庁防災課長 持永 堯民君         日本国有鉄道新         幹線建設局工事         第二課長    江本 佑橘君         日本国有鉄道施         設局土木課長  野沢 太三君     ————————————— 委員の異動 四月十八日  辞任         補欠選任   薮仲 義彦君    平石磨作太郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  大規模地震対策特別措置法案内閣提出第七三  号)      ————◇—————
  2. 川崎寛治

    川崎委員長 これより会議を開きます。  大規模地震対策特別措置法案を議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。薮仲義彦君。
  3. 薮仲義彦

    薮仲委員 私は、ただいま審議されております大規模地震対策特別措置法案に対する問題点と関連する具体的な事柄について、国土庁長官並びに関係者に質問をいたしたいと思います。  まず最初に伺っておきたいのは、この法案でいわゆる予知段階自衛隊事前出動ができる、こうなっているわけでございますが、この自衛隊出動に当たっては、いわゆる治安出動要素がないかというような問題が懸念されておりますので、この出動に際しては自衛隊が一体何ができて何ができないのか、こういう点は明確にしておく必要があろうかと思うのであります。特にこの事前出動の時点では、いまだ何ら災害発生してない事態でございますので、その行動範囲というのはおのずから限定され、明確にしておく必要があると思うのでございますが、その点まず伺っておきたいと思います。
  4. 児玉良雄

    児玉説明員 お答えいたします。  自衛隊地震防災派遣は、災害発生に備えて防災応急措置を国、地方公共団体等実施されるのを支援するものでございまして、その支援の内容につきましては、今後規定されます地震防災対策強化地域ごとに作成されます地震防災計画の中で定められるものというふうに考えております。
  5. 薮仲義彦

    薮仲委員 それではもうちょっとお伺いしますけれども、この法案予知段階自衛隊事前出動ということが考えられるわけでございますが、この行動自衛隊災害派遣に関する訓令は、予知段階での出動にも生かされるのですか、それとも生かされないのですか。
  6. 児玉良雄

    児玉説明員 現在の自衛隊法に基づきます災害派遣に関する訓令は、今回の地震防災派遣について適用できる部分もあり、また適用できない部分もございますので、法律制定された暁には見直しをして所要の手当てをする必要があろうかと考えております。
  7. 薮仲義彦

    薮仲委員 それでは具体的に伺いますけれども、この訓令の第十四条に「特に必要がある場合は、最少限度必要とする火器及び弾薬携行することができる。」こうなっているわけであります。特にこの点は、自衛隊の独自の判断で火器及び弾薬携行することができるということになっているわけです。災害発生した段階においては、確かに火器の必要があるとか弾薬が必要であったという過去の事例は何件か伺ってはおりますけれども、この予知段階火器及び弾薬携行するということについては、むしろ必要がないとするか、あるいは必要がありとするならばどういう事態なのか、その点をちょっと伺っておきたいのです。
  8. 児玉良雄

    児玉説明員 お答えいたします。  現在の災害派遣に関する訓令では、武器の携行につきましては火器弾薬等携行しないものとする。ただし特別に必要のある場合は必要最小限度携行することができるという趣旨の規定がございます。これは災害派遣の場合には実際に災害発生しておりまして、その災害の態様によりましては火器であるとか弾薬であるとかいうようなものが必要であることが予想されますので、そのような規定が置かれているわけでございますが、今回の地震防災派遣におきましてはまだ災害発生をしておりませんので、通常災害派遣の場合と同様に、火器であるとか弾薬であるというようなものが必要になるとは考えておりません。
  9. 薮仲義彦

    薮仲委員 ということは、もう少し明確にしておく必要があるのですが、この訓令の中に事前出動には火器及び弾薬携行は必要ないと明確にうたうのですか。
  10. 児玉良雄

    児玉説明員 お答えいたします。  訓令制定につきましては、今後法律並びにその他所要の法令の体系が整備されました段階に、その一環として災害派遣訓令なりあるいはそのほかの訓令なりの手直しなどをすることにいたしますが、防災派遣における火器弾薬などの携行につきましては、通常その必要はないと考えておりますので、そのような規定をすることになる場合もございます。
  11. 薮仲義彦

    薮仲委員 もう少しすかっと明確に答えていただいた方がいいと思うのです。特に、事前出動でありますから災害は起きていないわけです。ですから、いま治安出動要素があっては相ならぬということが懸念されているのですから、ないようにすることが私は正しいことであって、それは明確にすべきだと思うのです。ですから、行動についてと、行動範囲は限定して、いわゆる事前に行う行動はこのようなことでございますという、これが一つ、それからもう一点は、いま申し上げた訓令の十四条の火器弾薬は必要ない、この点は明確にしておかれる必要があると思うのですが、もう一度伺っておきます。
  12. 児玉良雄

    児玉説明員 お答えいたします。  地震防災派遣におきます自衛隊行動につきましては、地震防災強化計画等において定められることになっておりますので、その範囲を出ることはありません。  それから火器または弾薬携行につきましては、通常そのような必要はないと考えておりますので、ないということになれば、地震防災派遣におきましては、火器または弾薬というようなものは携行しないという規定を設けることといたします。
  13. 薮仲義彦

    薮仲委員 その点はどうか十分配慮をしていただきたいと思います。  次に、もう一点伺っておきたいのですが、本法案地震防災対策強化地域が指定されますと、いまの予想では静岡県を中心とする東海地域というふうに伺っております。これは昭和四十六年に防衛庁が作成した「大震火災発生した場合の自衛隊災害派遣計画について」、これは南関東を想定してのことでございますが、今度の東海地域もその規模は大体南関東と同じ程度、すなわち六万程度規模派遣をする、基本的に大体そういう考えでよろしいのかどうか、その辺ちょっと伺っておきます。
  14. 児玉良雄

    児玉説明員 お答えいたします。  東海地方への災害派遣計画につきましては現在いろいろと研究をしておる段階でございます。その時期にちょうどこの法律案作成作業が始まりましたので、この法律制定されることになりましたら、またその段階で具体的に災害派遣計画というものを見直しをしていきたいと思いますが、東海地方というのがこの法律でもし規定されるとしますとどのような範囲になるのか、その範囲の広さであるとか、被害の想定であるとかいうようなものによって変わってまいるかと思いますが、いまここで明確にどのくらいの規模ということを申し上げるわけにまいりませんけれども規模としては関東南部とそう変わらない数字になるのではないかというふうに考えております。
  15. 薮仲義彦

    薮仲委員 この問題はこの程度にいたしますけれども先ほど指摘いたしましたように、今後作成されるこの強化計画の中身並びに災害派遣の問題でございますけれども、いわゆる事前出動というものは、今度の法案自衛隊出動されるわけですが、しかし万が一災害発生いたしますと、自衛隊行動というものは、今度は強化計画ではなくして現在の自衛隊法の八十三条に基づく行動になるわけですね。そうなりますとこの法案が生きて、先ほど来私が指摘しました自衛隊行動について明確にしろということも、この事前出動範囲の間だけ、いわゆる大震立法が生きている間だけは確かに強化計画の中で行動いたしますけれども災害発生以降は八十三条が適用されるわけです。その場合に、特にきょうは時間の関係指摘だけにとどめておきますけれども、八十三条の、いわゆる災害が起きた後の行動についても、特に治安出動的な要素についての懸念を払拭する意味合いにおいても、やはり災害対策本部ないしは地方における災害対策本部の要請に基づく範囲というようなことをきちんと踏まえて行動をとっていただくこと、これが非常に大事じゃないかと思いますので、その点も十分お含みおきいただきたいと思います。  以上でこの問題は終わりまして、次の問題に移りたいと思います。  今度のこの法案の一番大事な点は予知防災という点だと思うのでございますのが、じゃこの法案予知はどの程度予測するかといいますと、マグニチュード程度規模地震を想定しております。このマグニチュード八といいますと、百年に一度起きるような巨大な地震であり、起きれば被害は二県ないし三県に及ぶんじゃないかというような地震の大きさになるわけでございます。しかし今度強化地域にされます静岡県等を考えますと、やはりさきの伊豆大島近海地震等に見られましたように、規模でいえば一ランク下——といっても相当な違いでございますけれどもマグニチュード程度のもの、そういうものについてもあるいは何らかの予知があるんじゃないか、こういう期待感があるのは事実であります。  そういう意味合いから、現時点においては、先般来いろいろ伺ってはおりますけれども、確かに現在の予知精度が低いということは理解いたしますけれども、低くても予知情報を何とかマグニチュード七くらいまでフォローし、何らかの形で県民に提供する、強化地域の方に伝達するというようなことがあってもいいんじゃないかという点が一つです。  それからもう一点は、この予知情報に基づいて警戒宣言を出すということになってまいりますが、この内容については十分配慮をいただきませんと、かえって要らざる不安を起こすんじゃないか。内容についてまだ決まってないということかもしれませんが、内容事前に公開して、警戒宣言というのはこういうことですよというようなことを関係住民徹底することがむしろ非常に大事な点じゃないか、こう思いますが、この辺の大臣見解を伺っておきたいと思います。
  16. 末広重二

    末広説明員 最初マグニチュード程度地震予知ができるかどうかという技術的な問題の点を申し上げたいと思います。  先生御指摘のとおり、マグニチュード八、七と一段階しか違いませんけれども、実は自然現象といたしますとエネルギーは三十倍も違うのでございます。したがいまして、前兆現象のあらわれる明瞭度あるいはそのあらわれる範囲広がり等もやはりマグニチュード八と七とでは格段の開きがございます。現在の私ども観測網並びに学問的な技術から申し上げますと、残念ながらまだマグニチュード七の地震防災に結びつくだけの確度を持った予知ができておらない、まだそこまで至っておらないわけでございます。したがいまして、今回はまず防災に寄与できるマグニチュード八のところをぜひ予知をして防災に結びつける。私ども、もちろん終局的には、マグニチュード七も日本全体をながめまして予知をするところまでぜひとも持っていくべきであると考えておりますので、技術の進むに従いましてマグニチュード七も当然、なるべく早い時期に予知の対象といたしたいと存じております。
  17. 四柳修

    四柳政府委員 後段の警戒宣言住民への徹底等についてお答えいたします。  ただいま御指摘のように、私どもも先日の伊豆大島近海地震におきますいわゆる余震情報に伴いまして生じた問題につきまして、多くの教訓を学んだと考えております。この法律におきましては、警戒宣言伝達ルート等についても、この経験を踏まえまして、決して再びこのような混乱が起きないように措置をいたしてまいりたいと考えております。  具体的には、一つ伝達ルート一元化住民への伝達ルートの周知といいますか、二番目に、当然のことながら報道機関の御協力、特にテレビ、ラジオ等の御協力が必要でございますが、その場合の具体的な発表方法等につきましても事前関係者と周到な協議をしまして、いわゆるマニュアルの形で決めておきたい。そういったものを決めておきまして、それらにつきまして住民への正確な情報を提供する、あるいは現場の防災担当者方々ですとか住民に対しましても、地震なり地震予知情報につきましての教育訓練を行うとか、そういったような形を繰り返しまして慎重に対処してまいりたいと考えております。
  18. 薮仲義彦

    薮仲委員 いまの点で、これは特に気象庁にお願いしておきますけれども、われわれ、地震に、いわゆる災害に遭う側の立場で言いますと、いつ来るかわからないし、また起きれば少なくともとうとい人命が何名か失われる。いわゆる地震規模の大きさは三十倍だ、三十分の一だというのはわかっておりますが、ただマグニチュード七でも、起きれば、先ほど伊豆大島近海地震でも二十数名のとうとい生命が失われるという事態が起きるわけです。そうなったときに、それに対してわれわれが感ずることは、何らかの前兆ないし予知というのはできなかったのかなということが絶えず心に去来するのは事実です。簡単なことを言えば、気象庁がやっていらっしゃる天気予報も、あした雨ですよと言っても当たらない場合もある。でももういまだれも余り怒らない。台風情報も、小笠原あるいは沖繩発生しました、徐々に来ます。でも方向は、こう来るでしょうというのは変わるのです。来なかったからって怒る人はいないし、むしろ来なくて幸いだという感じもあるわけです。  そこで、私が先ほど指摘しているのは、ひずみ計ないしは傾斜計ラドン等のいろいろな計器の中に、後になってそうだったというようなことがわかりましたということが言われますけれども、少なくとも何らかの前兆があるわけですから、やはりそういうものを、被害を受ける県民の方に、地震というものはこういうものだということを前提にした上で教育訓練する必要が将来のためにあるのじゃないか、ということは、予知防災県民訓練ということは、ある意味ではバランスだと思うのです。予知精度が高まってくれば、確かに防災についても、この対応の仕方というのは同じようにシビアなものが出てくると思うのです。しかし、予知が非常に幅が広い、非常に困難だという段階では、むしろ県民対応の方をより望んでおかなければならない点もあろうかと思うのです。決して私は現在の技術が云々ということじゃなくして、やはり可能な限り提供するということが、行政の責任として県民は望んでいるのだ、空振りしても文句は言いませんというほど地震に対しての決意は決まっているわけですから、いやでも応でも逃げられないのですから、その点は配慮して、気象庁として今後の対応については十分考慮していただきたい。この点は指摘にとどめておきます。  次の問題に移りたいのでございますが、これは長官にぜひとも御決意を伺っておきたいのです。  今度の防災計画をより完璧なものにするのは、ただいま申し上げましたように、予知技術水準といいますか、予知の能力の向上ということが一つでありますし、また今度の法案で作成されます防災基本計画あるいは応急計画強化計画、こういうものの完全実施というようなことも非常に大事な点だろうと思います。第三番目には、こういう強化計画等実施するに当たっての財政措置、この辺が十分でありませんと、県の段階ではできた、でも財政力の弱い市町村においては実際はできませんよというようなことになってまいりますと、長官の望んでおるようなみごとな法案が作動しないといいますか、実のないものになってしまうということであっては非常に残念でございますので、長官決意を伺っておきたいのは、予知水準向上のために、いわゆる強化地域予知体制強化は当然でございますけれども、何といっても全国レベルでの予知体制強化、これは非常に重大な点ではないか、こう思います。  もう一点は、先ほど申し上げましたように、これらの強化地域での計画実施するに当たっては相当な予算措置が必要ではないか。この予算措置について、長官の特段の決意といいますか、重大な決意をもってこの予算措置というものには臨んでいただかなければならないと思います。特に地方自治体にはこれによっての負担を最小限に食いとめる。この点はぜひともお願いをしたい点です。  三番目には、何回も言われておりますが、やはり予知については、各省庁にまたがっております体制一元化ということも将来は必要ではないかな、こう思うのでございますが、以上三点について長官決意を伺っておきたいと思うのです。
  19. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 マグニチュード程度のものについては予知技術も相当発達しておる、また、そういうことから予知情報も出し得る、こういうことで、今回の地震立法の中にその点を盛り込んだわけでありますが、先ほどからお話が出ておるように、マグニチュード七ということになりますとなかなか問題がある。しかし、予知体制整備強化をしていけということにつきましては、私も全く同感でございます。  現在、御承知の観測強化地域特定観測地域に分けて、観測は相当やっておると思うのであります。特に強化地域におきましては、現在可能な計測器技術を駆使してやっておるわけでございまして、全国的にそういう体制をとっておることは事実でありますが、それが地震予知につながるかどうかということについては、現状においてはマグニチュード程度のものについてはまずやれるということでございます。現在の予知研究体制と申しましょうか、各省庁に分かれて予知技術向上させる、また研究自体を推進しておる、さらには地震予知推進本部も設けられておるわけでございますので、今後一層これらの予知技術向上を図りまして、国民の信頼し得る予知情報の出せる体制強化に努めてまいりたいと思います。  第三点の予知についての一元化お話でございますが、こういうふうに広範囲研究体制をとっておりますから、そこで、地震予知連絡会で各研究の模様をお互いに情報交換する、検討する、そうしてその上に、いま一番問題になっておる東海地震のことにつきましては東海地域判定会を設けておるわけでございますから、いまの問題点についてはそういうふうに各種情報一元化しておるわけであります。これが気象庁にデータが全部流れてくるということでございますから、一元化のやり方についていろいろ御意見はございますが、今度の予知情報を出すについての東海関係についての一元化というものは、私はまずこれで無難であると思っておるのであります。  それから強化計画実施の上に、市町村事業に対しての財政問題に触れられたわけでございますが、この法律制定後に早速に強化地域が指定され、それからその地域におきましてはそれぞれの計画が樹立されるわけでございますので、この強化地域内の事業実施に当たりまして、それらの計画の遂行の上に所要の経費あるいは財源等の見込みが明らかになった際、関係省庁と十分検討して対処してまいりたい。従来でも地震対策としての各種予算を計上して、また特に災害のおそれのある東海地域などにつきましては配慮をしておるところでございます。そこで、新たに今度の法律による計画が立てられ、それが実施の上に一体いままでの予算措置との関係がどうなってくるか、こういうことから、県、市町村が特に国の援助を必要とするような問題につきましては、関係省庁十分連絡の上で検討し、所要措置をいたしたいと思っております。
  20. 薮仲義彦

    薮仲委員 いまの大臣決意のとおり、どうか財政措置につきましては十分な決意で実現されるように望んでおきます。  次の問題は、ごく簡単に国土庁考えだけ一言伺っておきたいのですが、災害発生時に避難地住民を誘導させるという措置災害防止のためにとられるのでございます。避難地には数千名、多いところは万という単位の誘導された住民の方が入るわけですが、被災地における秩序を維持するといいますか、医薬品だとか食糧の適切な配分をする上においても、避難地における何らかの責任体制、どういうことが好ましいかは論議を呼ぶところでございますが、たとえば町内会長とか、避難地における責任体制を明確にしておくことが、避難地秩序維持に非常に大事じゃないか。特に住民への、避難地に行けば避難地責任者の指示に従って秩序ある行動をとりましょうというような事前徹底が非常に必要な点ではないかと思いますが、この点は必要か必要でないか、その点の見解だけ伺っておきたいのです。
  21. 四柳修

    四柳政府委員 御指摘のとおり末端の問題でございますから、市町村あるいは関係住民の御理解、御協力がなければできないと思います。
  22. 薮仲義彦

    薮仲委員 その点はどうか強化計画等策定段階で御検討いただきたいと思います。  次に、厚生省いらっしゃっていますか。——地震発生した場合、食糧医薬品確保というのは大事になるわけですが、特にそれと並んで飲料水確保というのが非常に大事じゃないかと思う。私も地震のたびにいろいろな被災地を回ってまいりますが、卑近な例では、伊豆大島近海地震のときも、避難なさった方々のところを回って第一番に指摘されたのは水の問題です。自衛隊の方が給水してくださって、非常に感謝しておりました。ただ、そこで問題になったのは、水の質ということが非常に懸念されておりました。特に、若いお母さんは、赤ちゃんにミルクをやるについては清浄な水が欲しいというのは、どこへ行っても聞かれた声でした。そういう意味合いにおいて、避難地における清浄な水といいますか、そういうものの確保というのは非常に大事じゃないか。  この点で厚生省に特に伺っておきたいのは、一部の地方自治体では、いま消防庁が計画しております百トン水槽あるいは六十トン水槽等を含めたものからろ過器を使って飲む。緊急時だから構わないというような意見も一部ありますけれども、むしろ、地震の直接的な被害よりも、そういう悪い水といいますか、腐った水を飲んだことによって悪い病気がはやるとか、疫病がはやったとかいうことになりますと、かえって地震そのものの被害よりも、後の間接被害といいますか、そういうものによって住民が大きな災害をこうむっては何にもならない。そういう観点から、私は水の確保という点で伺っておきたいのですが、避難地には適切な、井戸であるとか、常時循環しているような清浄な状態で水を保存しておく。非常な場合に、清浄な状態でそれが確保できるようなタンク、そういうものを設置するなりして、やはり消火用水とは別に、飲料に適した水は用意すべきだと思うのであります。特に、復旧作業が早く済めばいいと言いますけれども、伊豆大島の場合も三日前後はかかっております。三日たってもまだ道路が復旧しないということもありました。ですから、水の確保というのは被災地にとっては重要な問題だと思いますので、基本的な厚生省のお考えを、簡単で結構ですから伺っておきたいと思います。
  23. 山村勝美

    ○山村説明員 ただいま御指摘のとおり、水が生命の維持あるいは生活の継続のために重要であるということは、全く御指摘のとおりでございまして、さらにその際、衛生的な水を確保するということは絶対的な要件と考えております。  先ほど消防用の貯水タンクの水をろ過器でこすというようなお話がございましたが、その水がいいか悪いかということは、基本的には水質分析をいたしまして、水質基準に適合しているかどうかを確認して科学的に判断するということになろうかと思いますが、貯水タンクといいますのは、基本的には目的が違うわけでございまして、飲料水の水源としての管理が継続的に行われているはずもございませんから、そういうものをあらかじめ応急給水水源として予定するということは、必ずしも適当ではないと考えております。したがいまして、そういう避難地の水の確保の問題につきましては、従来の経験からいたしますと、水道の基幹的な施設、構造物はほとんど被害を受けませんで、主として管路が折損するというような事故が中心でございます。したがいまして、通常都市の水道の水の生産能力あるいは備蓄能力は、一般的にはかなり安全的に確保されているのではなかろうか、かなりの地震でも確保されるのではなかろうかと考えておりますが、問題は、ただいま御指摘のように、パイプが切れ、道路が壊れると、それを一般の市民に配る手段が失われてくるということでございまして、したがいまして、大都市のような水源地から非常に距離が遠い場所でありますとか、あるいはその範囲が非常に広くなるとかいうような、道路交通事情を勘案した上で、避難所にはそういう水を備蓄するというような設備を考えていくということは必要であろうというふうに考えております。たとえば、東京都もある計画を持っておりまして、順次避難所には、すでに二カ所ばかり千五百トンぐらいの水を備蓄するタンクをつくっておりますけれども、それをおいおい大きな避難所の順位に従って整備していくという計画を持っておるようでございます。その他、最近地震の問題が非常に大きく取り扱われるようになったことに伴って、いろいろアイデアが出ておるようでございますので、それらをいろいろ研究いたしまして、避難所の水が確保されるよう配慮してまいりたいと考えております。
  24. 薮仲義彦

    薮仲委員 じゃ、厚生省に、一言で結構ですから……。  そういうタンクを設置するような財政的な助成措置、厚生省は積極的にそういうことをやる決意があるのかどうか、その辺のことを一言だけ……。
  25. 山村勝美

    ○山村説明員 現在水道事業につきましてはほとんど政府資金等の融資によって行っておりますので、融資の対象になるかどうかについて財政当局とも検討してまいりたいと考えております。
  26. 薮仲義彦

    薮仲委員 その点は十分実現を図れるように努力いただきたいと思います。  時間がございませんので、消防庁の方にまとめてお伺いしたいのであります。  一つは、災害発生したとき、住民を避難させる場合に、正確な情報を収集し、それを情報提供するということが被害を最小限に食いとめるため大事なことだと思うのです。関東大震災の例を見ましても、被服廠へ逃げた方がかえってそこで大きな事故になったわけでございますから、避難地と言われるところが火災の様相によっては逆に危険地帯にならないとも限らない。そういうような意味合いから、現実に大震災が発生したとき、いかにして正確な情報を収集し、それを関係住民徹底させるか、この辺は災害を最小限に食いとめる上に非常に大事な点だと思いますので、この点についての考え方について伺っておきたい。  それから第二点は、石油ストーブの対震装置について伺っておきたいのです。先般の宮城沖地震のときも、対震装置のついている四十六台中十八台が消えて、残りが消えなかった。ということは、六割が燃え続けたわけです。これは、震度五というけれども、ガルで言えば八十から二百五十ですと、対震装置といっても二百五十ガルで十秒揺れて初めて消えるようになっておりますと、いろいろ専門的なJISの規格はわかります。でも、消防庁が国民に訴えたのは、災害のとき火を消し忘れて飛び出してもストーブは消えますよという徹底の仕方で住民徹底した。これは昭和四十八年一月だったと思いますけれども、火災予防条例の準則でそういうものを規定し、地方自治体では、ついていないストーブの使用は禁止するというような措置までとられているわけです。  そこで私は、この消火装置のついたストーブについて指摘しておきたいのは、精度そのものについて見直す必要があるんじゃないか。特にまた、百五十ガルでは消えてはいけませんというこのJISの規格等についても、建物の強度によっても震度は違いますよというのはわかります。この点もう一度、装置が何種類かあるそうですが、消えた装置、消えなかった装置等を含めて、その辺の装置の精度見直しが第一点。  第二点は、こういう機器というものは、経年変化によって精度が落ちると思うのです。やはり二年たち、三年たちますと対震装置が作動しないという点があろうと思うのです。ですから、この点についてやはり何らかの検査が必要じゃないか。経年変化によって危険ですよ、というようなことが起きますので、過信して、それが盲信になって、かえって災害を大きくしないとも限らない。この点での検査。  それから第三点は、やはり何といっても、対震装置がついておっても手で消す方が大事なんだという基本に戻るべきではないか、こう思うのです。この点お伺いしたい。  いまのことは答弁してください。  それから、これは時間がありませんから指摘にとどめますけれども、特に今度強化地域が指定されて、いろいろな点を徹底する。パンフレット等によって徹底するということになっておるのですが、一つ例を挙げます。参考にしてください。  消防庁の出した「地震の心得」に「心得十か条」というのが出ています。まず心得の第一番に「丈夫な家具などに身を寄せよ」という、身の安全がトップに出ているわけです。これが地方自治体にいきますとどういうふうに変わってくるかというのを例を挙げますから、これを参考にして、よく今後注意していただきたい。これは各地方自治体から出ている地震についてのパンフレットです。読み上げますと、「地震だッ!グラッ!ときたら……」まず最初火の始末なんです。これはいいと思うのですが、そこで問題は「何よりも火災の発生をくい止めなければなりません。とうてい立っていることの不可能な揺れでも、はってでも火を消しに行かねばなりません。」いいですか。はってでも火を消しに行けというのですよ。もう一つ挙げます。これも同じです。トップが「執念で火元を切ろう!」というのです。いいですか。「ふろなどの火を使っているときなら、はってでも火を消しに行きましょう。」身の安全なんてそっちのけですよ。もっとすごいのを挙げましょうか。「地震だッ!」その十の心得のトップですね。「すばやく火の始末 なにがなんでも火もとをとめてしまうことに全力をあげる。とくに炊事で火を使用しているときには、主婦は必死で台所の火を消すように。」身の安全なんか二の次、三の次です。これもそうです。消火で、ぐらぐらしていてもはって行けというのです。  このような徹底の仕方になりますので、先ほど来私が指摘していることは、住民に周知徹底させるということは、よほどの訓練がありませんと中央で望んでいるようなことにはなりませんよということです。これは指摘にとどめておきますが、非常に問題だと思うのですね。ですから手引き、パンフレットを国土庁が今度お出しになるといいますけれども、消防庁は十分親切な指示を各地方自治体にしていただきたいと思います。最初の方の御答弁だけ望んでおきます。  もう一つ続けて質問してしまいますけれども、運輸省の方お見えになっていますか。——では運輸省の方にも最初に質問しておきます。  この大震立法制定されますと、強化地域に対する影響というのがあるわけです。この影響について、マイナスにならないような十分な御配慮をいただきたい。特に静岡県がその中心になるわけでございますけれども、観光で成り立っている地域が相当ございますので、観光面での十分な対策をおとりいただきたい。これはよろしくお願いをしたいと思います。  それからもう一点、特に先般の地震等でも懸念されましたが、観光客の海上避難ということが重要な問題になります。数千名の方が海上から避難しなければなりません。こういう点ではやはり責任地方自治体が持つべきでしょうけれども、所管の運輸省として地方自治体をバックアップしていただくような対策を御配慮いただきたい。  それから、地震災害を受けている静岡県に対して、そろそろ伊豆急も回復するようですが、こういうものを通じて、やはり災害の復旧については観光部の善処といいますか、御配慮が必要だ。これは時間がございませんので指摘にとどめておきます。  消防庁だけちょっと御答弁いただいて、終わりたいと思います。
  27. 田中和夫

    ○田中(和)政府委員 第一点の正確な情報避難地等についても流せということでございますが、事前地域防災計画地震防災強化計画を通じて避難地について住民に十分徹底させる、周知を図るということがまず第一でありますけれども、またその避難地避難地としての効用を十分果たすような場所、使用不能となることがないようなそういう場所でなければならないということもあわせて大事なことだと思います。万が一この避難地が使用不能になった場合の対策ということについて、避難前であれば広報車、有線、無線等を通じて十分に住民伝達徹底するということ、あるいは避難後にそういう事態が起きました場合には、消防や警察が適切な誘導をするということ等が必要であろうと思います。要は避難地としての効用を十分果たすようなそういう避難地の選定、それがどうしてもできない場合には、二次避難といいますか、あるいは複数の避難地といいますか、そういう避難体制全体について十分掌握し、正確な情報住民徹底させるということが必要だろうと思います。  それから二番目の対震性のストーブの問題でございますが、これは先生御承知のように、現在はJIS規格によりまして二百五十ガルの震動のときに十秒以内に作動をするということに一応なっておるわけでございますが、その置かれております場所等によりまして、必ずしも作動しなかった例が伊豆沖その他であった。それが二百五十ガル以下であったのか、あるいはその消火装置等の維持管理に問題があったのか、ここらは今後十分検討しなければなりませんが、この使用場所の環境とか維持管理いかんで、十分合格品でありましても作動しないということもあり得ますので、今後は販売業者等によるストーブの正しい取り扱い方の指導、あるいは消防機関を通ずる適切な指導というようなものを十分行ってまいりたいと存じますが、御指摘の耐用年数あるいは経年変化といったようなものにつきまして、今後さらに十分研究を重ねまして適切な指導を行いますと同時に、希望に応じて検査等ができるというような体制等についても検討してまいりたい、こう考えております。  それから、これは御質問ではございませんでしたけれども地震の心得十カ条の問題でございますが、これは地震の態様によりまして、身の安全も大事でありますが火の始末も大事である。日本の場合は木造家屋が多いので大火災になる可能性もあるわけであります。また、地震のありようによりまして、小さな揺れが最初に来て、そしてまた大きい揺れが後から来るというのが一般的だと言われておりますが、そういう場合であれば、火の始末をまずしてそれから身の安全を図る。それから直下型といいますか、震源地が非常に近くて、震央も近くて大きい揺れが一遍に来るというときにはまず身の安全、それはやはり臨機応変といいますか、そのときどきの状況に応じて対応していただくということではないか、こう思います。  一般的に、こういう地震のときには必ずこういうふうにしろということではなしに、この心得十カ条もそういうつもりで、こういうことが必要ですよという——軽重、この方が大事でこの方が大事でないんだということではなしに、必要なことがずっと書いてあるわけでございます。今後指導には十分注意してまいりたい、こう考えております。
  28. 薮仲義彦

    薮仲委員 終わります。
  29. 川崎寛治

    川崎委員長 渡辺朗君。
  30. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 ここに静岡県で発表いたしましたモニターの意見書というのがあります。これは伊豆大島近海地震の際に県の方で二百名の方々をモニターとして、標本数二百人、それで地震対策について要望していることをまとめたものでございます。これに基づいて私質問をさせていただきたいと思います。  このモニターの意見を集約いたしますと、五つぐらいに分かれておりまして、地震対策として第一番目に、情報の出し方や情報網の確立を非常に強く要望しております。その意見が一番多い。それから次には、一般の人たちに地震に対する予備知識の普及を図ってほしい。訓練実施であるとかあるいは危険地帯の周知、こういうことを言っております。それから三番目には、救援活動などの事後対策の確立。四番目に、どんなささいなことでもいいから科学的に分析して、そしてより正確な地震予知をしてほしいという要望であります。それから五番目には、道路などの危険個所の整備をひとつしっかりとやってほしいという期待、要望でございます。  さて、第一番目の情報の出し方や情報網の確立ということで私はお尋ねをしたいのですが、まず予知情報というのはどういうルートで住民の方に流されていくのか。たとえば歩行者もおれば旅行者もおります。そういうような末端にまでどういうふうな形で流れていくと想定しておられますか、またさせるべきだと考えておられますか。
  31. 四柳修

    四柳政府委員 御指摘の点、実は法律では警戒宣言が発せられたという形で受けとめておりますけれども、そのような事態につきまして、一つは、内閣総理大臣から関係の都道府県知事あるいは関係の指定公共機関に通知され、さらにその通知を受けました知事等から関係市町村長あるいは関係の指定地方公共機関、その他の関係者に通知を行う、それを受けまして市町村長が住民その他にPR、広報車で回るというのが一つのルートでございます。もう一つは、法律にございますように、強化地域内の住民等という形で、いまお話がございました通過者、滞在者等も入ると思いますけれども、その他の方々に対しましての直接の公示という形がございますが、これは、具体的にはやはり報道機関を通じまして行われることになろうかと思います。したがいまして、繰り返すようでございますけれども、最終的には末端での広報車と報道機関によりますPRと二本立てになろうかと思います。
  32. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 そのことにつきまして、たとえば新聞、テレビ、そういうメディアを通じての予知情報の流し方、そういう場合に、これは語弊がある言葉かもわかりませんが、情報管制といいますか監督といいますか、そういうことも必要ではあるまいか。たとえばテロップで流れたというような場合に、これを見間違うなんという場合がある。先般の伊豆沖地震の際に事実ございました。そして、それがデマを呼び起こして伝播していったというようなこともございます。したがいまして、情報管制と言うと語弊がありますが、何か監督し、チェックするというような、情報メディアに対するそのような措置というものは考えておられますか。
  33. 四柳修

    四柳政府委員 いま渡辺委員がおっしゃいました点は、先般山本静岡県知事が参考人でお越しになりましたときに、「管理された情報」という表現でお使いになったと思いますけれども、私どもも、情報管制という上からの趣旨ではなくて、関係情報をどういう媒体によりまして、だれが、いつ、どういう形でPRすべきかという具体的なマニュアルにつきまして報道関係者等と事前に十分協議しまして、具体的には、警戒宣言が出ましたときに事前に取り決めました、たとえばマニュアルの何号によってどういう形でやってもらいたいということがどなたにでもおわかりいただけるように、もちろん御指摘のように、繰り返して間違わないようにやれるようにということにつきまして報道機関の御協力を得まして、そういった協力体制で正しい情報を出すということを検討しなければならないと考えております。これは防災側ばかりでなくて、予知側も同じでございます。
  34. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 これは長期予報、短期予報、いろいろあろうと思うのですが、現在本法を提案されるに当たっては、そういうような長期予報を出した場合、短期予報を出した場合の社会的な影響というようなものも恐らくいろいろ調査し、比較検討しておられると思いますが、そのようなことはございましたでしょうか、いかがでしょうか。
  35. 末広重二

    末広説明員 御指摘の短期、長期ということの技術的御説明をいたしたいと思います。  今回の法案に盛られております予知情報と申しますのは、異常現象の発見から地震発生まで数時間から二、三日という時間の幅を大体想定しておりまして、もう少し長期的に日本全国見渡して、どこの地域が大規模地震に見舞われるおそれがあるんだということは中央防災会議が諮問を受けまして、そういった地域選定を申し上げるように仕組まれておりますので、これの方は年単位ということになろうかと思います。したがいましていろいろ御議論いただいております。どういう仕組みで、どういう防災措置をとるかということにつきましては、数時間から二、三日という時間の幅を想定しているわけでございます。
  36. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 関東大震災のときは大変大きなパニックが社会的にも起こりましたし、また経済界においても起こりました。私は、そういうパニックが地震の結果として出るということもあり得るけれども情報伝達される過程において出てくるのではないか、またそれは容易に想像できるところでございます。したがいましてぜひともその点で、これは大臣にもお願いいたしたいのですが、そういう社会的な影響、経済的な影響についていまから十分いろいろな予想も立て対処する方法を考えていただきたいと思います。  ひとつお聞きいたしますが、長官、いかがでございましょう、いままで社会心理学者などとこういうパニックの問題についてのいろいろ検討会などというものは開かれておりますでしょうか。
  37. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 これは省内におきましてそういう学者の意見をも求めておるわけでございますが、いまだこれを公表して御参考に供する、そういう段階ではないかと思います。
  38. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 社会的な問題のみならず経済的なパニックは、これは関東大震災のときよりももっと高度化した日本の経済構造でございますし、産業構造でございます。あるいはまたコンピューターなどというものが網の目のようにつながっているというような場合にそのどこかが切断されることによって起きてくる大きな恐慌状況というものが出てくるのではないかと思うのです。  これに関連をしましてお尋ねいたします。  関東大震災のときには、非常徴発令、こういうようなものが公布された。これは食糧や何かの物資の問題であります。戒厳令一部施行、こういうこともございました。あるいは治安維持法、これはデマや流言飛語を取り締まるということでそういうものが実施される。あるいは暴利取締令、こういうものが実施される、こういうことがございましたが、大臣のお考えはいかがでございましょう。本法に関連して、これから何と何をどういうふうなところを基本にしてやるべきかという点でお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  39. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 これは二つの角度から考えられると思うのです。それは、関東大地震当時よりは情報網というものは非常に発達しておる。したがって、国民がたとえばNHKの放送は信頼に足りるのであるというような見方の上にNHKが正確な報道をしていく。他の放送機関とそこがあっても、こっちの方を重点的に考えるんだというような受けとめ方ができるものかどうかというところが一つ問題点だと思うのです。  それから片方におきましては、いま御指摘がありましたように、当時よりは非常に社会、経済の高度化した状況、そういう高度化した状況の中で、従来関東大地震の当時の経験からは予測のできないものが起こるのではないか。これはこれで考えていかなければならないことだと思います。ただ戒厳令とか治安維持であるとか、あるいは徴発であるとか、これは全くの非常事態の場合にやむを得ずとられる措置であって、今回お願いをしておる地震立法の方は、事前の万全の措置をできるだけしよう、こういう趣旨のものであり、災害が起きた後におきましては災害基本法に基づく中央防災会議が中心で、いままでにもそういう場合に対して関係省庁を挙げて検討いただいておる、こういうことでありますから、災害後の対策についてはそういう災害基本法に基づく中央防災会議で万全の措置をとってもらう。しかし、そういうまでの、予測される東海大地震などにどう備えていくかということについてはこの地震立法でいこう。こういうふうに、事前、事後と申しましょうか、画然として分けて考えておるわけでございますが、災害発生後の措置につきましては、ただいまの御意見に基づきまして、中央防災会議中心で、そういう非常体制にならざるようあらゆる準備をしておく必要があるのではないかと思います。
  40. 四柳修

    四柳政府委員 ちょっと補足させていただきます。  ただいま先生が御引用いただきました関東大震災のいろいろな措置でございますけれども、御案内のように発災後の問題でございまして、現行の災害対策基本法におきましても、関東大震災クラスの大規模災害発生いたしました場合には、災害緊急事態の布告を行い、その場合の緊急措置としまして、たとえば生活必需物資の配給あるいは譲渡もしくは引き渡しの制限ですとか、あるいは価格の統制ですとか、さらにはモラトリアムですとか、そういったような措置も行える仕組みになっております。いま御検討中のこの新しい法律では、その点は発災前の問題でございますから一応区別してございます。
  41. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 発災前の問題としてさらにお聞きしたいのですが、地方公共団体あるいは地方自治体の方にいろいろ防災措置を講じるようにという指示をしていくわけでありますけれども、この法律に基づいて、産業界とか経済界あるいは労働界、そういう各分野にわたってのそういう対策を講じるようにという指示、これは行われるわけでございますか。
  42. 四柳修

    四柳政府委員 御指摘のように強化地域の指定がございまして、関係地域におきます強化計画を必要とする企業等につきましてはそのような計画指導の過程の中で御指導、御協力をお願いする形になります。
  43. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 実は先ほどちょっと経済的パニック、社会的パニックなどという言葉を使いましたのは、たとえば強化地域東海地域に指定されたということになった場合、それだけでもかなりいろいろな問題が起こってくるのじゃなかろうか。強化地域が一地域として田舎の方であればいいですけれども、東海道、この線に沿って設定された、ましてそれがコンビナートや何かいろいろたくさんなものがある、あるいは金融機関や何かがある、こういうようなことになりますと、たとえば東海道の静岡県あるいは名古屋の一部、神奈川県の一部ということを想定した場合でも、私は何か日本全体が大変大きな混乱に陥れられるので、その地域だけの問題ではない、全国的な対策を講じるような規模になってくるのではあるまいか。その点をどのようにお考えなのか、ちょっと突っ込んでお聞きしたいと思います。
  44. 四柳修

    四柳政府委員 御指摘のように、強化地域の指定があったからといって、実は即危険が迫っているということにはならないと思いますけれども、ただいま渡辺委員が言外におっしゃっている点は、やはり日本列島全体が地震列島であるということで、全体としては非常に危険なところもある。その中で特に危険な地域につきまして、いまの予知水準予知ができ、しかもその予知を生かして十分な防災体制を必要とするという幾つかの条件といいますか、これは考えようによりましては、御指摘のように非常に厳しい条件かと思います。しかし、その厳しい条件をあえて克服しまして、万が一起きた場合の被害というものを、やはり関係地域ばかりでなく、国全体としてもその点につきまして事前配慮していくということで、その点につきましては、決して関係地域ばかりでなくて、国全体としましても、いろいろと御支援申し上げなくてはならない点があろうかと考えております。
  45. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 いま私こういうことを申し上げたのは、たとえばある静岡県の金融機関は、コンピューターが働かなくなった場合大変なことになるから、手でやろうというようなことですが、ところが、いまやそんな人間の力で手動でもって操作できるような規模ではございません。全国に本当につながっておりますし、そういう意味で、金融界なら金融界一つとりましても、全国レベルでそういうことを指示し、対策を講じないといけないのではあるまいか、どこか地域的な問題に限定されるべきではあるまいというふうに思うものですから、あえて申し上げたような次第です。そこら辺、今後の問題として後でまたお尋ねもしたいと思いますが、次に進ましていただきます。  次に、救援活動ということに関連いたしまして、最近民間の防災組織というものがボランティアでもってできているところがございます。つい数日前でございましたか、静岡県ではそういうものの結団式みたいなものがあったりいたしておりますが、そういうものは、積極的に助成されていく、促進していくというお考えはお持ちでございましょうか、どうでしょうか。
  46. 持永堯民

    ○持永説明員 お答え申し上げます。  御承知のように、東京あるいは静岡あるいは全国的に各地で、自主防災組織と通常呼んでおりますけれども、そういったものを組織いたしまして、特に大震災の場合には消防活動等もいわゆる通常の消防機関が十分にできないということも想定されますので、自主的にみずからの問題としてある程度防災活動を住民のみずからの力でやっていただくということを想定しまして、そういう組織づくりをいたしております。これはあくまでもボランティアということでございますので、上の方から天下りと申しますか、官製のものであってはならないわけでございますけれども技術的な問題等もございますので、なるだけそういった面につきましては十分な指導をしながら育成を図っていきたいということで現在進めておるわけでございます。
  47. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 そのような組織にやっぱりある程度助成もしてやった方がいい。ボランティアであることは大切ですけれども、ただ素人の集まりではいけませんし、機材であるとかいろいろなものも、たとえば起震車というのですか、ぐらぐらと地震なんかをつくっていくというようなものを貸与したり持たしたり、そういうようなことなんかもするためにも、私は助成措置というようなものは必要なように思うのですが、いかがでございましょう。
  48. 持永堯民

    ○持永説明員 助成ということよりも、たとえばポンプでございますとか水槽等につきましては、むしろ市町村整備をしてそれを住民の組織にお預けすると申しますか、そういった形でいま進めておるわけでございます。  それから、お話がございました起震車という地震をつくる車でございますけれども、こういったものにつきましても、市町村あるいは場合によっては都道府県も一部保有するところがあろうと思いますが、いずれにしても、地方公共団体で整備をしてそれを住民に使っていただくという形で進めておるわけでございます。
  49. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 それから自衛隊出動という問題についてお尋ねしたいと思います。  災害が起こりますと、自衛隊方々に救援活動を依存するところが本当に大きいわけでございますし、住民方々は大変感謝しておられる。ただ、私ども内容がわかりませんと、ちょっとこれでいいのかなと思うようなことがございます。たとえば救援活動に出かけてきている自衛隊方々の費用というのは一体どこが負担をするのか、本法によればだれが負担者になるのであろうかというようなこと、これをちょっとお尋ねしたいと思うのです。  といいますのは、先般の伊豆大島沖地震の場合でも、市町村側の方から、来ていただいたのだけれども食糧費やらいろいろなものは一体どうしたらいいのだろうというふうな声も起こっていたようでございまして、そこら辺の点は、本法においてはどのように処理されるのか、まずお尋ねをしたいと思います。
  50. 児玉良雄

    児玉説明員 お答えいたします。  現在の災害派遣におきます費用は、その中の食糧であるとか被服などについては、ごく一部分は別枠で予算措置が講ぜられておりますが、そのほか大部分のものにつきまして、たとえば燃料費であるとか機材関係費であるとかいうようなものにつきましては、通常教育訓練等で認められております予算の中から支出しておるのが現状でございます。今度の地震防災派遣におきまして、その辺のところはまだ明確になっておりませんけれども、大体災害派遣と同じような形になるのではないかと私ども考えております。
  51. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 私はその点はっきりさしておいた方がいいと思うのですね。小さな町、小さな村なんかの場合、食糧やなんかを、来てはいただいたのだけれどもどうしたらいいのだろうということになりますと、私は、自衛隊方々も、そんな言葉が耳に入ってくれば士気に関する問題にもなろうかと思います。そういうことは心配のないようにきちっと規定していただいて、そして救援活動に当たるということでないといかぬと思いますが、いかがでございましょう。
  52. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 そういう御心配のないように明確にする必要があると思いますが、この災害出動自衛隊の任務でありますから、ただいま担当官から御説明申し上げたように、基本的には地元に御迷惑はかけないのが本来ではないかと思います。
  53. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 いまの自衛隊出動の問題にいたしましても、恐らく自衛隊の内部でいろいろな事態を想定して計画を立ててやっておられると私は思うのです。そのようにいろいろなケースを想定して検討しておられることは結構でございますが、先ほど触れました情報の出し方もそうでございまして、そういう計画なんかについては、やはり発表する際も十分な検討を加えて、たとえば当委員会なんかでもいろいろな試案を出される、そういう中で発表をされる方がよろしいと思うのです。そうでないと、何か治安出動みたいことだけクローズアップされたりなどいたしまして、それが誤解をされてしまうようなことにもなり、また救援活動に出ようとする、そういうような気持ちを持っている積極性を阻害するようなことから、モラル、士気を大変損なうことにもなりはしないかと心配いたしますので、いろいろな計画があったら、こういうケースの場合はこうするというようなことの試案を事前に当委員会において発表して検討を加えてもらう、こういうようなことはいかがでございましょう。大臣、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
  54. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 こうやって御審議をいただきまして、今度の特別措置法がいかなるものであるかということが明白になっていくことによりまして、いまのような問題に対処してまいりたいと思います。  自衛隊事前出動につきましては、短期間であれば恐らく災害が惹起される前数時間ということであろう、多少長期にわたってもまあ四、五日ではないか、こういう予測に基づいての事前準備、あるいは事前にそういう出動を要請しておくことが災害発生時により一層自衛隊の活動を迅速ならしめるということで、いろいろ御心配の向きで最近御論議をちょうだいしておりますが、いまのようなことが国民の皆さんにはっきりしてまいりますればまず御理解をいただけるものだ、こういうふうに私は見ておる次第でございます。
  55. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 では次に、先ほどのモニターの意見のうちの第四番目のところ、ささいなことでも科学的に分析し、もっと正確な地震予知をしてほしいという要望が非常に強いということについてお尋ねいたしますが、民間情報、素人情報もいろいろございましょう。いろいろな間違ったものもあるかもわからない。しかし学者、研究機関だけに頼るのではなく、むしろ民間情報を集約する姿勢を示すことによって、私は地震に対する一般の人たちの予備知識を強化することにもなりますし、あえて民間情報を大いに集約するのだというようなことを態度として打ち出されることはむしろいいと思うのですが、どのようにお考えでございましょうか。
  56. 末広重二

    末広説明員 御説明申し上げます。  地震予知いたしますためには、多岐にわたります観測をいたしまして、それの総合検討の上で可能になるというのが方向でございまして、私どももいろいろな観測を展開しておりますが、御指摘になりましたたとえば生物の異常生態とかいうようなことにつきましても、たとえばお魚であるとか動物であるとかこれを一種の計測器であるというふうな考え方をいたしまして、異常現象等が報告された場合には総合的な多岐にわたる観測項目の中に一つ加えるのだという姿勢で考えております。現在まだ発展段階のことでございますので、こういう仕組みでこういうふうに業務の中に取り入れるというところまではまだいっておりませんけれども、科学技術庁でも助成金をお出しになっていらっしゃいますし、また文部省でも生物の異常生態ということに対しては研究費を支出していらっしゃるわけでございまして、私どもそういう民間の方の御努力に対しては謙虚な気持ちで対処いたしてまいりたいと思っております。
  57. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 この法律案を見ますと、科学技術予知技術を振興するということも大きな目的の一つになっております。そのためには、地震に関連する諸科学あるいは基礎科学、そういう分野における学者、研究者、そういう人々を養成していく、いまからでも大いに力を入れてふやしていかなければならないだろうと私は思いますが、それらの地震学者あるいは関連する諸科学を研究する研究者の養成ということについての御方針を聞かしていただきたいと思います。
  58. 清水眞金

    ○清水説明員 お答えいたします。  現在、地震予知に関連いたします人員といたしましては、五十三年度現在で、直接の人員が約三百四十名でございます。さらに、間接の方々を加えれば、トータルで約千六百名ということでございます。この数は、決して多い数ではございませんので、今後いろいろ各研究機関における定数の確保あるいは観測網の充実に応じます人員の確保、そういうものに努めていきたいというふうに考えております。
  59. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 時間がありませんから、この点は要望だけにさしていただきますが、いま数字をお聞きしただけでも大変少ない。私は、単にこれは日本だけの問題ではないと思います。けさの新聞によりますと、またイタリアかどこかでも地震があったようでございますし、日本の科学技術の水準、特に予知技術の水準が高くなっていくというようなことは、私は、広くは国際社会における日本の大きな貢献になっていくであろうということを思いますと、ぜひぜひ力を入れて、長官ひとつお願いをしたいと思います。関係省庁におきましても力を入れていただきたい。  次に、時間がなくなりましたから、最後の、道路などの危険個所の整備をしっかりとやってほしいというモニターの大きな要望がございます。先般の伊豆大島沖地震を見ましても、まだ道路が片道あるいはまた閉鎖、こういう状態が続いております。なかなか整備できないというようなことがある。私は、緊急に救援部隊を輸送するという場合でも、物資を運ぶという場合でも、道路整備が一番先にされねばならぬと思うのですけれども、これは本法が施行されるというような形になりますと、その点でスピードアップされるという効果はいかがでございましょうか、率直なところお聞かせいただきたい。
  60. 井沢健二

    ○井沢説明員 建設省におきましては国道、県道、市町村道、全部合わせますと百七万キロございますが、これらにつきましてあらかじめ維持と管理をする管理者というものが決めてございます。こういう道路が被災をした場合には、直ちにそういうものを原状に回復し、交通ができるようにするというふうなことにいたしておるわけでございますが、今回の伊豆沖の地震につきましても、現地におきましてはそれぞれの担当者は、現地に直ちに急行いたしまして調査をいたしておったわけでございますが、そういう場合にも、前後に大きな石がごろごろ落ちてくる中をよけながらそういう調査をして、そういう工法の決定に当たったわけでございます。  現在あそこのところは全部わせますと、約百億に上るような災害になっております。現在一番おくれました真ん中の伊豆下田−修善寺線という県道がようやく開通をいたしておりますが、先生御指摘のとおり、まだ緩んでおるというふうなこともございまして、ちょっとした雨でも交通どめというふうな状態に至っております。  最近非常にこの応急復旧につきましても意を用いまして、現在までに応急工事に使用した鉄材だけで二、三千トンに及んでおるような、相当強化した構造をもって進めております。しかしながら、あの地域につきましては、約四カ所につきましては現状を放棄をいたしまして、新しい道路を部分的につくらなければならないというふうな技術的判断をするような、そういうふうな壊れ方になっておりますので、今後ともかなりかかるのではないかというふうに思っております。
  61. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 私、いまのこの法律案が通れば、そういう意味で促進されるということを大いに期待しておりますが、災害が起こった場合一番問題は、やはり何といったって、救援をしていくのに道路に障害があって現地に行けないということ、その場合に、これは先般の伊豆大島沖地震の際の例でございますが、食糧にしましても、陸上で輸送ができないから海上で輸送した。そうしたら、これは自衛艦に水や食糧を持っていっていただいたのですけれども、それが着岸できない。稲取なんかでも小さな港はありますけれども、そこに船が入れない、こういうことになりまして、大変に不自由をしている、住民の側が大変困ったということがございます。  その中から、要望として、たとえば緊急輸送ということで、そういう地域に対しては、メッシュの大きさはどのくらいにするかは別として、地域の中にそういう緊急用の港湾といいますか、そういうものもつくっていかなければいけないのじゃなかろうか、その要望が非常に強うございました。一市町村当たりに、海岸線にあるところは小さな港でもかなり大きな船が着けるような堤防をひとつつくってもらいたいというような要望が住民の声として出ております。そういう考え方はいかがでございましょう。本法によって大いに促進するということは可能でございましょうか。
  62. 四柳修

    四柳政府委員 いまの御指摘の点、具体の問題と一般的な問題とあって、大変恐縮でございますけれども、一般的には、地域の指定がございますと、その強化計画の中で御指摘のような物資の確保のためのルートにつきましてもいろいろ検討されると思います。そういう中で、そのときどきの税、財政制度なりあるいは財政事情なりあるいは緊急度なり、そういったものの選択の中で、相なるべくは御指摘のような重点的な整備を促進されるように、十分検討してまいりたいと思います。
  63. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 時間も参りましたので、これをもって質問を終わります。ありがとうございました。
  64. 川崎寛治

    川崎委員長 津川武一君。
  65. 津川武一

    ○津川委員 大規模地震に対して私たちも何らかしなければならない、大規模地震から国民の生命、財産を救わなければならないということで切に考えております。しかし、今度出されておる大規模地震対策特別措置法案には、国民の間から二つの心配が持たれております。  一つは、予知が大丈夫なのだろうか、こういうことであります。二つ目は、自衛隊出動して、自衛隊治安出動というものに道を開くことになるのじゃないかという心配が持たれております。  きょうはこの立場から、二つのことに対して質問してみたいと思います。連絡は建設省にもありましたけれども、二つやりますために、建設省にはいくまいと思いますので、建設省の方おいでになったのは御苦労さんですが、お引き取り願って結構だと思います。どうも済みません。  そこで、予知の問題でございますが、三月二十二日の科学技術対策特別委員会で参考人の質疑を行いましたが、この中で力武常次東工大教授が、何だかこの法案が、「私の印象では、」と言っていますが、「重点はやはり防災にしぼられているのではないかと思います。予知の方はわりあいにあっさりと書いてあると思います。というのは、予知がまだやや開発段階を脱していないということが原因ではないかと思います。」力武参考人はこう言っております。防災の方が先に立って予知の方がなおざりにされているんじゃないか、こういう疑念を端的に出しておりますが、この点はいかがでございます。
  66. 末広重二

    末広説明員 御説明申し上げます。  特に大規模地震に対します予知の確度がどのくらいであるかということはなかなかむずかしい問題を含んでおりますけれども、私ども地震学会全般の意見では、マグニチュード程度の大規模地震ならばそれなりの観測施設を置けば予知ができるんだというところへ現在のレベルが進んでおる、それならばこれをぜひ防災に結びつけるべきであるということが発想かと存じます。御案内と思いますが、いま御審議願っております法案の以前に、もうすでに昨年の四月から東海地区に対しましては判定会というものが発足いたしまして、予知技術の側から申し上げますと、できれば予知をするんだというところへ体制が進んだわけでございます。  今回の法案につきましては、そういう意味では予知体制側がややきちっと書いてないのではないかという御指摘もあろうかと存じますけれども、たとえば強化地域に対する観測をきちっとやれということ、それから地震予知に対する技術研究を一段と進めろということも明確化されておりますので、そういう点から申しますと必ずしも予知体制の側がなおざりにされたと申しますか、そういうことはない、むしろ今度の法案が出たということに対しましては、技術に対する責任が非常に重くなったということで、私どもいわば身の引き締まるような思いがしているわけでございます。
  67. 津川武一

    ○津川委員 気象庁のこの説明に対して、三月二十九日の科学技術対策特別委員会で熊谷科学技術長官が、地震予知は事実上実用段階に入ったと思いますかという質問に対して、「客観的な実用段階に入ったというのにはまだちょっと問題が」ある、こう答えております。これを補足するように政府委員は、「どれだけの大きさの地震が起こるかということを明確に予知するということにつきましてはまだ確立されていない。それが確立されるまでには、まだ相当期間がかかるということでございます。」これが科学技術庁の見解気象庁見解とかなり食い違っております。こういう食い違いのもとに法が施行されたのでは国民はたまったものでない。だから予知に対してはまだ安心できない、予知の問題が決まっていないのにやっているんじゃないかという先ほど申し上げた力武参考人の意見になるわけです。この政府見解の間の相違はどうしますか、これは櫻内大臣に聞きましょうか、どちらでも結構です。
  68. 清水眞金

    ○清水説明員 科技特で出ました御意見がちょっと問題になりましたので私の方から申し上げますと、まず一般的には地震予知というのは確立されてはいないということが事実でございます。ただ、東海地域等につきましては、一昨年以来非常に観測網を密に置きまして、さらにそういうデータを集中し、さらにその集中化されたデータにつきまして気象庁において常時監視をしております。さらに、その常時監視しておるデータを一流の学者がいつでも飛んできて判断するいわゆる総合判断の体制が整っておりますので、そういう体制ができた東海地域につきましてはいわゆる予知はできるという段階に達しておる、こういうふうに言っていいと思います。
  69. 津川武一

    ○津川委員 予知技術的な体系は確立されていない、東海地方に対してだけはできているといういまの答弁でございますが、東海地方には間違いなく予知できる、そうして警報というものを宣言する状態にあるのか、この点をひとつ明らかにしていただきます。  もう一つこれと関連して、建設省国土地理院の「地震とその予知」、これで少し調べさせていただいたのですが、確かに東海地方南関東、これには観測強化地域として規定しております。その次に北海道の釧路から秋田・山形西部などを含めまして七つの地域特定観測地域になっております。この特定観測地域に対して予知が確立されていないで、東海にだけ確立されているのか、南関東は東海と同じように観測強化地域になっているけれども、この南関東地域はできるのかできないのか、なぜ今度東海だけを指定するつもりなのか、ここいらを答えていただきます。
  70. 末広重二

    末広説明員 御説明申し上げます。  日本地震列島であるという御説明が先ほどもあったわけでございますが、どこにおりましても地震の危険はあるわけでございますけれども、いわゆる大規模地震、県にいたしますと三つか四つの県にまたがって大被害発生するおそれのあるような、マグニチュード程度地震、これはほとんどの発生が太平洋の沖合いに限られているのでございますが、歴史的な事実及び明治以来の私ども観測によりますと、次に起こるのは東海地域であるということが認識のもとにございます。したがいまして、何とかこのマグニチュード八だけは予知をして防災に結びつけたいというわけで、すでに数年になりますけれども東海地域に対しましては相当程度観測強化をお願いしてこれが実施されておりますし、さらに今後も強化が進むと存じます。したがいまして、東海地域に限るこの大規模地震については予知ができるのである。ただ、何回かこの実験を繰り返しまして、確実度があるとかないとかいったことと、地震の場合には百年か二百年に一遍の現象でございますので、その点確実度の判断がやや、一種の図上作戦のようなことに相なるかと存じますけれども、とにかく東海地区については防災に結びつけられる段階に達しているのだというのが私どもの判断でございます。  それから、南関東では御案内のとおり五十四年前に関東の大地震が起こりまして、これは他日再び繰り返すとは思いますけれども、そう急なことではない。起こるとすれば、マグニチュード程度のいわゆる直下型であろう。これも私どもいつの日にかは予知できるところまで技術を進めたいと思いますけれども、残念ながら現在のレベルでは東海地区と同日には——技術段階考えますと、まだ予知体制が整っていないと申しますか、しかし東京という大変大事なところでございますから、特に御指摘の、他の強化地域に先駆けまして強化地域にいたしまして、観測研究を他の地域よりも特に重点的に進めているわけでございます。
  71. 津川武一

    ○津川委員 東海も大事だ。しかし、一番混乱が起きるのは東京。東海にこの法律をしいて、東海地方に起きないで、東京にM八の直下型地震が起こって——起こると言えば、これはこの委員会が世上を不安にさせてはいけませんけれども、そういう場合はありませんか。皆さんが東海をやっていて、東海に来ないで、東京に直下型ということになって、責任を問われるような状態はありませんか。やるなら、南関東をやはり同時にやるべきだと思いますが、この見解はどうですか。
  72. 末広重二

    末広説明員 東京が大変大事だということはもちろん痛感しているわけでございますけれども、具体的な防災措置のとれます予知情報ということがやはり問題の基礎にあるわけでございまして、それを考えますと、いま御説明申し上げましたとおり、東海地域ならば何とかいまの体制でやれる。しかし、南関東はもう一踏ん張りしなければならないというところでございまして、御説明申し上げましたとおり、東京は次の最重点地域ということで、予知技術の側といたしましては、御支援のもとに、できるだけのことをやっていきたいと思っております。
  73. 津川武一

    ○津川委員 そうは言うけれども、この間の仙台沖に起きた地震はどのくらいでしたか。
  74. 末広重二

    末広説明員 宮城県沖の地震マグニチュード程度でございました。ただ、あの辺で起こります地震は、海岸から非常に沖合いに離れておりまして、直接地面が揺れるということによって起こります被害よりは、実は津波の方がこわいわけでございまして、この津波警報ということに関しましては、現在も相当の手だてが講じてございまして、私ども地震が起こりまして十分か十五分くらいで津波警報をお出しできるような体制をとってございますので、南関東とはそういう意味ではやや違うと御了解いただきたいと思います。
  75. 津川武一

    ○津川委員 仙台沖の地震は、予知できましたか。
  76. 末広重二

    末広説明員 この地震は海岸から相当離れていたわけでございまして、東海あるいは南関東に比べますと、観測網の強化という点では施設がまだそこまで進んでおりませんでしたので、あの宮城県沖の地震に関しましては、予知情報をお出しできるような前兆は、残念ながらつかんでおりませんでした。
  77. 津川武一

    ○津川委員 M七で東京は大変になると思いますが、M七を南関東予知できますか。来ないと思いますか。可能性がありますか。いかがでございますか。
  78. 末広重二

    末広説明員 御説明申し上げます。  先ほど申し上げましたとおり、南関東マグニチュード八クラスの大規模地震が起こるという危険性は、まずないと申しますのが地震学会全般の御意見でございまして、起こるとすれば、一段下がりました、これはエネルギーにしますと三十分の一なんでございますけれども、直下型のM七程度の可能性はやはりあると申し上げざるを得ないと思います。  これに対しましては、先ほど来御説明申し上げているとおり、何とか手だてを尽くしたいということで、大変東京の付近は工業化されておりまして観測のやりにくいところでございますけれども、これに打ちかつような観測手段をただいま開発いたしておりまして、順次、これが実施の方向に向かっているわけでございます。
  79. 津川武一

    ○津川委員 東京はまだ考えないということですか、この法律では。いつごろという——まあ、いいです。  そこで、予知情報を出すときに、まず判定のための招集が行われますが、それはどんな異常があったときに招集いたしますか。
  80. 末広重二

    末広説明員 ただいま東海地域におきまして判定会がすでに昨年の四月に発足しているわけでございますけれども、現在は、地震の活動状況と、東海に七点設置してございますひずみ計の観測結果、これは二十四時間の常時監視をしておりますが、この双方の状況に対しまして、ある一定の基準の異常が発見されましたときに、私どもが判定会の会長に御報告申し上げまして、会長の御判断で判定会を開催し、かつ、その判定会の御検討で、これが大規模地震に結びつくという判定が下った場合には、防災の側にこの御報告を申し上げる、今回の法律では総理に対して御報告申し上げるということに相なるわけでございます。
  81. 津川武一

    ○津川委員 五十二年五月三日の「地震予知連絡会東海地域判定会の判定結果等の連絡等処理要綱」の中に、いまの判定の東海地域判定会の招集の基準として二つのことを考えていますね。この二つのことについて、学会のコンセンサスは得られてありますか。
  82. 末広重二

    末広説明員 これは実はまだ暫定的でございまして、先ほど来科学技術庁の方からも御説明申し上げましたとおり、各種の多岐にわたる観測が現在気象庁の常時監視体制のもとに集中しつつあるわけでございます。したがいまして、常時監視体制の進捗に伴いまして、当然この判定基準は改善されていくと申しますか、現在は地震とひずみだけでございますけれども、将来はもっと多岐な要素にまたがる判定基準になろうかと存じます。  なお、学会のコンセンサスということでございますが、私どもここ五、六年間に三回ばかり、地震予知に的をしぼりました地震学会を開きまして、大ぜいの方の意見を伺っておりますので、今後ともこういう皆様の御意見には十分耳を傾けまして、当然、この判定基準の改良と申しますか、改善はできると思います。
  83. 津川武一

    ○津川委員 政府が学会のコンセンスを大体得たということにする根拠はどこにございますか。
  84. 末広重二

    末広説明員 特に手続といったようなことを経たわけではございませんが、いま申し上げたように、過去四、五年の間に何回か、二百人以上の方がお集まりになります学会を開きまして、そこでも皆様の御意見を伺い、かつ、日本学術会議地震予知特別委員会というのがございまして、ここでも活発な御議論をいただき、さらにそれが文部省の建議機関であります測地学審議会の場に生かされまして、そこの御建議という形で私ども地震予知技術の方向づけをしておるわけでございます。そういったことで、学会全体の皆様の広い意見は現在までも反映していると存じますし、今後ともそういった声は十分に、謙虚に承ってまいりたいと思っております。
  85. 津川武一

    ○津川委員 そうすると、政府が学会の統一した意見としてもらっている建議、これは「五十一年十二月十七日 測地学審議会会長永田武 第三次地震予知計画の再度一部見直しについて(建議)」、これでございますか。
  86. 末広重二

    末広説明員 すでに測地学審議会では、三次にわたりまして御建議をいただいたわけでございまして、特に最近は国民の皆様の御要望も非常に強いこともありまして、再度見直しというわけで、ほとんど毎年のように御建議をいただいて、それにのっとりまして計画を推進本部の方でお進め願ってきたわけでございます。
  87. 津川武一

    ○津川委員 この建議では、「地震予知研究は着実に進展し、」これはよかったと思います。「長期的予知、短期的予知の手法についてもかなりの見通しが得られるに至りましたが、目標とする実用化達成のためには、これから必要な観測研究を更に強化するとともに、これを推進する体制をより積極的に整備することが急務であります。」こうなっております。だからこそ科学技術長官が、客観的な実用段階に入ったとは言えない、手法としては見通しが得られた、こうある。「目標とする実用化達成のためには、必要な観測研究を更に強化する」、こうなっております。ここで言う長期的、短期的予知の手法というのは何でございますか。
  88. 末広重二

    末広説明員 ただいま御指摘の点でございますが、もう約十年以上たちますけれども日本全国にわたってマグニチュード七以上の地震はこれはぜひ予知すべきであるということで出発したわけでございまして、それが皆様の御支援と皆様の御負担によりましてマグニチュード八ならば予知ができるのだというところへ技術が進んできたわけでございます。それを受けまして、再度一部見直しでは、東海地区に対しては判定会をつくってやりなさいということが御建議になったわけでございまして、ここでお尋ねいただきました手法と申しますのは、多岐にわたる観測網をなるべく密度高く張りまして、これを一カ所に集中して常時監視をしておるということがその手法の根本でございます。
  89. 津川武一

    ○津川委員 手法ができたとしますね。しかし、実用化達成のためには条件があるのです。しかも、必要な観測研究強化する、これを積極的に整備することが急務だと言っている。おしりに火がついている状態なんです。それをおやりにならないで、手法だけできたから立法に踏み切った、こういうことですか。
  90. 末広重二

    末広説明員 いまの多岐にわたる観測を一カ所に集中して常時監視をするということは、現在すでに相当部分実行に移されておりまして、先ほど来判定会の判定基準でもお尋ねいただきましたけれども地震活動、それからひずみ計は私どもでやっておりますけれども、他省庁観測なすっていらっしゃいます観測網は現在気象庁に集中化が図られております。そういうわけでございまして、この手法を実行に移すということは、もちろん十分とは申せません、今後さらに強化の必要はあるとは存じますけれども実施に移されているわけでございます。
  91. 津川武一

    ○津川委員 櫻内大臣気象庁はひどいことを言っています。これはやはり厳重にみんなで考えてみなければならぬ。この中でいま言った「地震予知研究は、急速な進展を見せているとはいえ、現段階においては、まだ単に諸データを一カ所に集中して計器板を監視していれば予知ができるような定量的法則が」これがいま言った手法、「確立されているわけではなく、」これが建議です。これに対して気象庁はできたと言っているんだ。そして櫻内建設大臣は立法に踏み切っているわけです。  もう一回言うと、「諸データを一カ所に集中して計器板を監視していれば予知ができるような定量的法則が確立しているわけではなく、これに到達するためには、更に高度の研究を積み重ねなければならない。前記観測データ処理システムを設定するに当たっては、今日地震予知研究が直面しているこのような実情を十分に認識しつつ、その基本的在り方について考えるべきである。」まだ実用の段階に踏み切っていないと考えなければならない。これをあえて踏み切ったのか、これでもなお学会の承認を得たと言えるのか、コンセンサスがあったと言えるのか、この点を気象庁に答えていただいてから、建設大臣にそこのところを御判断願いたいのです。
  92. 末広重二

    末広説明員 大変むずかしい御質問でございますけれども、何分、私ども予知しようと思っております相手の地震は、東海地区では百年か二百年に一遍起こるといったような現象でございまして、それがひょっとするとそう遠くない将来に起こるかもしれぬ、どうしてもそれに備えたい、われわれがいままで皆様の御支援のもとに培った技術をどうしても防災に結びつけるべきだというのが発想であろうかと存じます。  この確度の点でございますが、確かに御指摘のとおり、一発必中の地震予知というのは東海地区におきます大規模地震といえども段階ではお約束できないと存じます。しかし地域住民の皆様方の三回か四回空振りしてもいいから予知をひとつやれよという御要請がありますので、それにこたえてと言っては大変失礼でございますが、何とかいまの技術でこれにおこたえしたいというわけでございまして、今後の強化研究の促進等が進みますれば、この三回か四回の空振りが二回に減り一回に減る、最終的には一発必中の地震予知情報が差し上げられるというところになると思いますので、現時点では二、三回あるいは三、四回の空振りを覚悟でやらしていただく、こういうことでございます。     〔委員長退席、湯山委員長代理着席〕
  93. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 津川委員からいろいろの角度から御心配をちょうだいしておることは、私どももそれなりに傾聴しなければならないと思います。  この第三次地震予知計画の再度一部見直しの答申は昭和五十一年十二月十七日で、その後一年半も経過しておるわけでございます。その間予知に対しての研究もさらに進められておることでございますし、また当然この建議に伴っての予知強化が図られておることは御判断いただけるものと思います。  先ほど来担当官からお答えを申し上げておりますように、今回の特別措置法は、一つには強い東海大地震のおそれのある地域方々から要望されており、またそれを受けての関係知事の方々が知事会におきまして、われわれがこの立法をするに先立って特別措置法をいろいろ御検討願って政府の方に要請をされておる。こういうことで、したがってきょう繰り返し答弁されておりますように、マグニチュード程度のものについては相当の確率をもって予知ができる、こういう前提に立ってこの法案をお願いしておる。法案の趣旨としては、そういう地域に対する事前措置を十分にしよう、また相当程度確率が認められる予知情報マグニチュード程度のものについてはやってもらおう、したがって東京などのマグニチュード程度の場合につきましてはこれはもう最初から予知は困難である、しかし問題は、中央防災会議におきまして東京などについても強化地域にして、そして大地震に対しての備えをしろ、こういうことになれば私どもはそれを取り上げるにやぶさかではないわけであります。それなりにこの法律の効果があるわけでございます。また強化地域に指定した上は、さらに一層観測体制については整備を図ろうということについては法律の上にも明らかにしておるところでありますから、現在でもある程度の確率は考えられるが、さらにこの強化地域の指定後には——現在観測強化地域にはなっておるわけですね。しかし今度の法案による強化地域の指定になれば一層観測体制整備して正確を期そう、こういう次第でございますから、この立法の必要が唱えられた経緯、これから考えられる東海地域をまず強化地域に指定して予知をしようという点、それから南関東につきましては中央防災会議において十分御論議を願って、もし必要があるというのであれば、予知についてはわれわれとして確信はなくても強化地域としての事前準備については万全を期そう、こういうような趣旨に立っておるわけでございます。     〔湯山委員長代理退席、委員長着席〕
  94. 津川武一

    ○津川委員 政府が言うように三回、四回空振りしてもいいじゃないか。だから国民が不安があるのです。これでまずやられるのは空振り一回、自衛隊が予防に出動してくる、二回、自衛隊がまた予防に出動してくる。自衛隊出動訓練のためにこの法律が使われる。私はそういうふうに国民の皆さんから聞かされたのが、いま気象庁からの答弁ではしなくも出てきたわけです。  もう一つの心配は、櫻内国土庁長官の答弁で、研究ができていないから法律をつくって研究体制を強引に進めていくのではないかという不安、確かにこれで法律ができたら研究体制は進むでしょう。そこいらにねらいがあるのじゃないか、こんな不安がかなり持たれているわけです。そこで、三時間前に予知したのでは手の下しようがないですよ。こういう体制予知だとこれは役に立たない。予知をし、宣言してから十日も二週間もあったのでは、こっちがまいっちゃう、国民がまいっちゃう、政府がまいっちゃう。かなり的確にやるとすれば、何日前に予知ができて、問題が解決するまでに何日間かかるか。この期間の問題が非常に大きな問題になってくる。三時間前だと役に立たない、ぱっとやられて、われわれが責任を問われる。十日も二週間も続いてはこれまた国民が疲れてしまう。こういう体制なんです。政府の答弁では二日ないし三日、四日、ここいらが一つの限度であろうと言っているが、これを的確に判断する。こうしなければ立法した責任を免れるわけにはいかない。ここいらの技術的な問題はどうなのでしょう。
  95. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 ちょっと津川委員のおっしゃることが私は立法の担当者の一人として基本的に問題があると思うのですね。いまも御説明申し上げたように、予知でどうだという問題が一つありますが、大規模地震特別措置法のねらいとしては、やはり事前措置という必要があるのですね。いよいよ地震だというときにはそういう措置が行われておることによりまして、被害をでき得る限り防除したい、こういうねらいが一つあるわけです。予知予知の方で先ほどからいろいろ御議論があるわけで、担当官が三回、四回空振りであってもいいのだ、これは私の承知しておるのでは、静岡県の関係方々からこの立法を促進する上において空振りが仮に三、四回あったとしても、この立法があって事前措置がとられる、また政府の事業計画ができれば、それらについての予算措置も講じてくれることが好ましいということでこれが推進されたわけです。したがって、私どもは、そういうふうな御要請であったが、できる限り確率を高くして空振りなどのないようにということで努力するわけです。  それからもう一つ、津川委員は、空振りのことから始まって、空振りがあっても予知するんだ、その都度自衛隊出動したりなんかするんだ、治安出動になるのじゃないか、こうおっしゃいますが、それは私は問題が違うと思うのです。災害でいよいよ事態が切迫しておるというときに、警戒本部長になられる総理の判断で、災害が起これば自衛隊出動要請が行われておる過去の経緯から考えてみて、それに対処するために、活動が迅速にできるように、また事前に必要な場合があるだろうということで要請をするというので、しょっちゅう出動させるというのじゃない、必要があっての最高度の判断による要請をする、こういうことでございます。
  96. 末広重二

    末広説明員 御説明申し上げます。  私の申しました三、四回の空振りというその三、四という数字は大変微妙なところでございまして、一発必中へ持っていくようにできるだけのことをいたさせていただきたいと思います。  なお、いままでの過去の大地震に伴いました前兆現象の時間的な推移を見ますと、やはり数時間前から二、三日というのが非常に多うございまして、御指摘のとおり一週間も十日も不安の状態のままでくぎづけにしておくというようなことはないと存じます。
  97. 津川武一

    ○津川委員 時間が来たからこれで最後にしますが、大臣、まだコンセンサスが得られていない。先ごろも力武常次東工大教授は、予知は純粋に科学的、技術的になすべきであり、「どうやって警報を出すかというところもまだまだ研究が足りない面があると思います。つまり、どの時点でたとえば原子力発電所をとめるんだとかあるいは新幹線をスローダウンするんだというようなことは、これはまだよくわかった問題ではないと思います。」この道の専門家がこう言っているのです。そこで国土庁長官にもう一回、建議があってから一年半たったと言っているが、聞いてみると同じ状態が続いているという。  そこでもう一度学術会議に諮問してみて、学術会議が一致した大体の見通しがあるというふうな一この本でさえ予知は手法的には進んだけれども、実用にまだ問題があると言っているので、もう一度政府から諮問をされて、それまで立法を見合わせた方がよろしいのじゃないか。私も大規模地震をこのまま放置しておくわけにいかないが、こんなふうな問題がありますので、この点を提案というか申し上げて、大臣の所見を伺って私の質問を終わらしていただきます。
  98. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 津川委員の最後の御指摘は、私どももこの立法をするかどうかという場合に相当考慮した点でございます。一般的に関係の学者の方々から所見を求めれば、まさにいまおっしゃるようなことだと思うのです。東海判定会まで設けて、ここに東海地域のデータを集中して、何かあれば判定をしよう、こういうところまで来ておるということは、マグニチュード程度地震についてはまず予知ができる。それも何らのデータもないのにそろそろ起こりそうだぞというのでなくて、これは参考人に対する質疑もあるようでございますから、その際ひとつお尋ねをいただきたいと思うのですが、私の承知しておる限りでは一時間か二時間の中で群発地震が繰り返されておる、そしてその地殻の状況などの観測が行われておりますので、これはどうもいよいよ本物だぞというときに、これはわれわれの判断での予知じゃないですから、それを担当している学者の方々の合意に基づいて最終的に判断をしたものを気象庁を通じて総理のところに持ってくる、こういうことなんです。素人のわれわれの単純な、それは大変だぞということでない、これはやはり専門的なことが前提になるわけです。そういうことでありますから、私どもとしてはまず東海大地震に対しての確率は相当高いものである。それから南関東については、マンモス大東京のことであるからできれば予知の可能性があれば、こう思うのですが、この方はまだなかなか困難である。しかし強化地域の指定については防災会議などの意見を聞いて、いや予知はできなくともそれはこういう事前措置を十分やるべきである、こういうことであれば強化地域の指定を避けるわけではないのであります。
  99. 津川武一

    ○津川委員 終わりましたけれども予知のことが非常に心配なために四十分予知で使ってしまったわけです。まだもう少し尋ねたいことがあるのですが、そこでもう少し質疑の時間を何か委員長につくっていただくようにひとつお願いして、それから防衛庁にかなり聞こうと思って支度していたのがとうとう防衛庁に聞けないで、防衛庁の皆さんに待機していただいて済みませんでしたが、またこの次の機会をつくってくださるよう防衛庁におわびし、委員長にお願いして、質問を終わります。
  100. 川崎寛治

    川崎委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時十三分休憩      ————◇—————     午後三時四十二分開議
  101. 川崎寛治

    川崎委員 長休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。永原稔君。
  102. 永原稔

    ○永原委員 短時日の間にこういう法案をおまとめになった御苦労はお察しいたします。評価しますけれども、この内容を見まして、事前措置のこの地震法律と、地震発生した後の災害対策基本法、これへの移行が本当にスムーズに行くだろうか、この点に少し懸念があるわけです。たとえば警戒本部が設置されます。そして災害が起こったそのときに、非常災害対策本部に移行するのかあるいは百七条の緊急災害対策本部に移行するのか、それは規模によって違うでしょうけれども、十四条にそういうことが書かれてはいますが、一体どういう判定でどちらの方に移っていくのか、そういう点についてはいかがでしょうか。
  103. 四柳修

    四柳政府委員 御指摘のように、具体的な情報を見ませんとどちらかということは一律的には申し上げかねますけれども、当面予定しております東海地域マグニチュード八クラスの大規模地震ということを想定いたしておりますことは、実は現在の災害対策基本法の緊急事態の布告で考えているような事態とほぼ同じような事態でございますから、その情報で想定しております被害状況等によりましては、どちらかと言えば緊急災対本部の方に移行する危険性があるのではないだろうかと思います。
  104. 永原稔

    ○永原委員 警戒本部の本部長は原則として総理大臣、事故があるときに、指名する国務大臣が本部長になります。非常災害対策本部は、これは国務大臣。総理大臣ではない。この緊急災害対策本部は、これは本部長は総理大臣、こういうことになっていますので、マグニチュード八ぐらいだったら、恐らく百七条の緊急災害対策本部、ここになるだろうというお話ですから、管理する大臣、総理大臣は同じですけれども、仮に、起こった災害程度によって非常災害対策本部ということになれば、これは国務大臣、別の人になってしまうわけですね。そういうようなことで、片や総理大臣、片や国務大臣に移行する、そういうようなことでうまくいくだろうか。  また、都道府県にとってみますと、災害発生するおそれがあるときに非常災害対策本部が設けられる、こういうことになりますが、これは起こってからの措置ではなくて、起こる前にもうすでにこういうものを置くことができるようになっております。警戒本部が置かれたときに、やはりそれぞれの府県にもそれぞれ指示が出ると思いますけれども、こういう災害対策基本法に言う本部とこの地震法に言う本部とどのように調整して考えていったらいいでしょうか。
  105. 四柳修

    四柳政府委員 前段の、本部長が警戒本部の場合には総理大臣が原則でございまして、発災後に非常災対本部に、いわば規模が小さい場合に下がった場合云々というお話がございましたけれども、この点につきましては、御案内のように、仕組みとしまして、発災前の警戒本部と発災後の緊急本部または非常本部というものは、それぞれその時点で閣議決定によりまして決める形になりますから、その点は一応そこで一つの区切りがつくかと思います。  それから、後段の基本法上の本部とこの法律の本部との関係でございますが、いま都道府県の例をお挙げになりましたけれども、都道府県で現在台風がまさに来ようとしている段階で、発災前でも警戒本部を設けている。それが、台風によって被害をこうむった場合に非常災害対策本部に切りかわる。それと同じように、今回の場合にも、県の場合には発災前は警戒本部でございますけれども、発災後の事態におきましては、やはりその場合には災害対策本部に切りかわる、そういう形になると思います。
  106. 永原稔

    ○永原委員 非常に事務的なことで恐縮ですけれども、この警戒本部要員というのは、それぞれ任命されて、待機していろいろ仕事をしているわけですね。現実に災害発生したというときに構成される非常災害対策本部あるいは緊急災害対策本部、それはほとんど同じ人が同じように切りかわっていくのではないかと思うのです。現実の仕事は右から左へ切りかわるのではないか。法規上はこういうふうに二つに分けていますけれども、こういうようにする必要が本当にあるのだろうか、そしてスムーズにいくだろうか、その点が懸念されるので伺ったわけです。そういう点はいかがでしょうか。
  107. 四柳修

    四柳政府委員 御指摘のように、現実の問題としましては、国におきましても地方におきましても、本部要員というのは実質的に発災前でも発災後でも、ほとんどそれぞれの職にある方は変わらないと思います。  そこで、今回この法律の仕組みで考えましたことは、やはりあくまでも強化地域におきます大規模地震に限って特に警戒本部を設けるということでございまして、そのこと自体が、やはり規定されている各種計画に基づきますいわば事前防災応急対策が必要だ、そういうことに観点を置きまして、たとえば県の場合で申し上げますと、地方防災会議のメンバーでございます方々も県の警戒本部のメンバーの方々にこの際は入っていただく、その点は発災後の本部とは実は違うと思います。そういうような形で、むしろこの本部の場合には、ある程度範囲を広げて取り込んでいるかっこうに考えております。
  108. 永原稔

    ○永原委員 次に移ります。  PRの問題ですが、先ほど渡辺委員も御質問になっていましたので、少し観点を変えまして、この第三条の地震防災対策強化地域の指定ですが、言葉では東海地域と言われます。一体範囲は具体的にどこら辺までをお考えになっていらっしゃるのでしょうか。警戒本部が設けられるときには、所管区域をはっきり明示しなければならなくなっていますので、こういう言葉の背景に何か地域考えていらっしゃるのじゃないかと思いますから、それをお聞かせいただきたい。
  109. 四柳修

    四柳政府委員 具体的には、御案内のように強化地域を指定いたしますときに、中央防災会議の専門委員方々の御意見も伺い、関係県あるいは市町村長の意見等も伺いまして決める形になりますけれども、現在東海地域につきまして一応想定しております範囲につきましては、地震予知連の観測強化地域が、御案内のように静岡県を中心にしまして、周辺の神奈川県の西部あるいは愛知県の東部、一部長野県なり山梨県の一部等がかかるようなかっこうになっておりますものですから、そのような概括的な範囲につきまして専門的な御判断を得まして、市町村単位に一応の指定をする予定でございます。
  110. 永原稔

    ○永原委員 この指定はいつごろなさるおつもりでしょうか。
  111. 四柳修

    四柳政府委員 この法施行後、事務的にただいま申し上げました中央防災会議の専門委員の先生方の御意見を伺い、諮問に対して答申をいただくという形が大体三カ月から半年ぐらいと考えておりますから、この国会におきまして御議論をいただきました場合には、できることならわれわれとしましても、年内を目標にそういったことを進めたいと考えております。
  112. 永原稔

    ○永原委員 先ほどお話が出ましたように、心理的に非常に大きな影響を与えると思います。やはり東海地域と言われる地域がなぜ強化地域に指定されるのか、それを明確に国民に理解させなければならないと思います。そういう点について何か具体的な説明資料というようなものが準備されているでしょうか。
  113. 四柳修

    四柳政府委員 御指摘のように私ども、現在法律の策定の段階では、御案内のようなそういった一般国民向けのPR等につきましては必ずしも十分でない点があるかもしれませんけれども関係県等ともよく協議いたしまして、この法律制定を見ました段階で、一般県民はもちろんのこと、特に防災応急計画の策定をお願いします方々等に対しましても十分PRできるよう、それぞれ協議してまいりたいと思います。
  114. 永原稔

    ○永原委員 もうこの法律成立以前から東海地区の予地連の方ではいろいろ検討なさっていますので、やはりこういう指定をなさるときに国民にいたずらな不安を与えないように、パニックを起こさないような十分なPRは事前に十分お考えいただく方がいいのではないか。すでに指定する以前から危ない理由というものを国民に納得できるようにしていく必要があるのではないかという気がいたします。そういうようにお願いしたいのです。法の九条第一項ですけれども、この警戒宣言文、こういうものも事前に十分準備しておかれませんと、何か一つのパターンでもって市町村まで徹底するようにしておきませんと、また誤解を招くおそれがある。「よしん」という言葉一つで、地震予知する予震なのか、実際に後から来る余震なのか、そういうような言葉でも、ただ言葉だけですと誤解を招くおそれもありますので、やはりきちんとしたものを用意して徹底する必要があると思いますけれども、こういう点にも御配慮いただけるかどうか。それから第二項に、技術的な事項を気象台長があわせて説明するというように出ていますけれども、専門的なお話ではなかなか理解がいかないと思います。国民の理解を得られるように簡易に考えておく必要があると思いますけれども、何か事前に、もうすでに用意しておく必要があるのではないかという気がしますが、こういう点についての準備はいかがでしょうか。
  115. 四柳修

    四柳政府委員 御指摘のように、せっかく一元化いたしました情報が正確に関係者に伝わるようにということで、私どもの方も特に報道関係者といろいろ事前に相談いたしまして、具体的な事例を想定いたしました具体的な文例のマニュアルをつくりまして、それをどういう形で大体どの程度時間をかけてやるとか、そういう標準的ないわば情報の流れというものをあらかじめお互いに取り決めをしておきまして、その取り決めの範囲内でやっていただく、しかもそのことを実は事前に機会あるたびに関係地域住民方々にもお知らせしておく、そういう形で、いま御指摘のような御心配のないように配慮をしてまいりたいと協議しているところでございます。
  116. 永原稔

    ○永原委員 気象庁長官の説明にも、ぜひそういうような御配慮をいただきたいと思います。  それで、法律の三条三項、地域指定はそれぞれの県の知事あるいは市町村長の意見を聞くようになっていますけれども、もしも観光地の町村が反対したときには、地域指定はできるんでしょうか、できないんでしょうか。またむしろこういうように「意見を聴かなければならない。」そうした方が民主的だという考えで入れているんでしょうけれども、非常事態を予想したときに、こういうものを入れる必要があるのかないのか、そういう点いかがでしょうか。
  117. 四柳修

    四柳政府委員 前段の御質問の中で、先ほど技術的な事項の説明のことを落としましたけれども、その点につきましても、事務的でなくて、よくわかりやすいようなものをつくって、間違いのないようにしたいと思います。  それからただいまのお尋ねの点でございますけれども、私ども実は具体的な問題につきましては、御指摘のように非常に判断に迷う点がございますけれども、やはり当該市町村だけが孤立してそういった防災対策がとられないということでは、周辺の市町村あるいは当該県におきましてもそこだけが欠けるという形では防災対策の万全を期し得ないということで、そういった点につきましてはできるだけ御理解をいただきたい、そういうたてまえをとっておりますけれども、震源を想定いたしまして、それからいわば被害規模なり震度等を想定してまいりますと、ある意味ではだんだん外周になりまして、ボーダーライン線上の市町村がどうしても出てまいると思います。全部の地域がかからずに、一部の地域しかかからない市町村なんかが出てきた場合に、そういう場合にはやはりそれぞれの御選択といいますか、そういった事情もあろうかと思いますが、ただ観光地だからということで飛び地のように外すということは、私どももそういうことはしないように、できるだけ市町村方々の御理解を得たいと考えております。
  118. 永原稔

    ○永原委員 そこまで緩めて考える必要があるだろうか。本当に災害対策ですから、地域防災としてかなり基本計画もつくり、強化計画もつくり、応急計画もつくるというように強い姿勢を打ち出していらっしゃる中で、これほど譲らなければならないのかなという気がするわけです。そういう点は、特にこういうように規定を置かれた気持ちはどこにあったのでしょうか。観光地だけではなくて、周辺地域は、これは被害が軽少になるかもしれないから、そういうところは外してもいいんだというお気持ちで意見を聞くというようなことを入れられたのでしょうか。
  119. 四柳修

    四柳政府委員 私の説明が不足だったかもしれませんけれども、現実に中央防災会議の御議論の中でやはり震度想定をし、被害想定をし、それらをもとにしまして関係県にそういったものをお示しする形になると思います。そういたしますと、先ほど申し上げました東海地域につきましても、外周地域といいますか、駿河湾からだんだん遠くなる地域につきましては、たとえば震度が仮に五・一であるとか四・八であるとかいうようなところが大部分の市であって、部分的にたとえば非常に条件が悪いところがあって五・二が加わるとか、いろいろそういった外周部分につきましては、同一市町村内でいろいろ差が出てくるところもあるかと思います。それ以外につきましては、御指摘のようにやはりある一定基準以内のものは全部取り込むようにして防災対策の整合性を確保したいと考えております。
  120. 永原稔

    ○永原委員 線の引き方は非常にむずかしいと思いますので、十分御注意いただきたいと思います。  第四条の関係ですけれども、地象、水象の常時観測それから測量の強化、こういうことがうたわれておりますし、また三十三条では、科学技術の振興等、いろいろ不足する計器あるいは施設整備ということが書かれておりますけれども、現在こういうものを、この地域整備対策の強化地域ということになるとすると、いまのテンポよりはある程度早めていかなければならないのではないかと思いますが、対応する予算も、この法律制定されたならば後から今年度予算でめんどうが見られるのだろうかという点が一つ。それと、こういうように強化するという場合に、いままでの計画以上にテンポが早められて、不足する機器類が地理院あるいは気象庁において整備するように計画されているのではないかと思いますが、そういう整備計画について、あったら伺いたいと思います。
  121. 末広重二

    末広説明員 御説明申し上げます。  東海地域観測強化地域に、これは地震予知連絡会の場で昭和四十九年に決まったのでございますが、その時点から相当な観測強化が図られてまいりました。またこれと見合いまして、御審議願っております法律の、一年前にすでに東海の判定会も発足したわけでございまして、それを踏まえまして五十二年度の予算でも相当額の観測強化並びに観測データの集中ということを織り込んだ予算を御成立願っておるわけでございます。さらに、そういったことを踏まえまして、この法律の御制定をいただきますれば、当然この線に沿いまして五十四年度は一段と強化がなされる方向で予知技術側は進みたいと思っている次第でございます。
  122. 永原稔

    ○永原委員 すでに四十九年から強化が始まっていた、それから東海判定会も早く設立して、ことしもふやしてあるということですけれども、こういう法律がなくてもそういうことはやっていらっしゃった。新たにこういう立法をして、特に強化をしていこうという姿勢を打ち出したからにはやはり予算がより早く必要になってくるのではないでしょうか。来年度予算、七月に概算要求を出して、ここでまた審議をして来年度ということになると非常におくれてしまうのではないかと思いますけれども、もっと早めるようなお気持ちはないでしょうか。
  123. 末広重二

    末広説明員 五十三年度の実行予算では、御説明申し上げましたとおり、一般の伸び率から比べますと、相当の強化が図られるわけでございますが、このほかに科学技術庁には特別研究促進調整費というのがございます。これは数億の相当な額でございますが、これが重点的にこの法律を裏づけるべく配慮されることは当然私どもも期待してよろしいかと存じております。
  124. 永原稔

    ○永原委員 数億で十分かどうかは別としまして、とにかく一刻も早く強化していただきたいという気持ちを申し上げておきたいと思います。  第六条の関係で、地震防災強化計画というのがつくられますが、それぞれ指定行政機関とかあるいは指定公共機関が立案していきますけれども、基本計画をもとにしているから整合性が得られるのだというような御説明がありましたけれども、それで本当に整合性が得られるだろうか。実際に基本的な考え方は中心にあって、それに沿ってつくられるのでしょうけれども、個々の計画になりますと全然また別の段階考えられますので、たとえば東海地域という場合に、その地域強化計画をまとめるのは一体だれなんだろうか。それぞれ個々の機関でばらばらにつくって、そのままにしておいて本当にそれが実施に移されていくだろうかということに懸念を感ずるわけです。東海地域といった場合に、全体の強化計画というのをだれが把握しだれが推進していくのでしょうか。
  125. 四柳修

    四柳政府委員 御指摘のように現在の災害対策基本法に基づきます各省庁等の防災業務計画は、最終の作成責任者は各省庁でございますから、そういう意味では御指摘のような懸念が残されていると思います。しかし、この地域指定がございまして、これから具体的な当該部分計画をつくってまいりますときに、単に標準文例のような基本方針を書くのではなくて、やはりできるだけ事務当局者の連絡会議等の場におきましても御心配のないような連絡をいたしまして、そういった点の整合性といったことをお願いいたしますとともに、せっかくつくりました各省庁防災業務計画につきましても、現行法にもございますように、適時検討して申請するというようなこともございますものですから、そこいらの辺の活用をお願いいたしまして御心配のないように配慮してまいりたいと思います。
  126. 永原稔

    ○永原委員 災害対策基本法にははっきり書いてあるのですけれども、この地震防災強化計画をつくるときに、先ほどお話がありましたように四、五県にわたるわけですね。そういう範囲で協議会のようなものをつくる指導をなさっていくのか、そういう協議会が一つ計画にまとめる作業をなすべきなのか、そういう点はいかがですか。
  127. 四柳修

    四柳政府委員 具体的には、御指摘のような協議会に準ずる組織としまして南関東地域あるいは東海地域関係県、指定市の方々と消防庁あるいは私どもの方も参加しましてある程度の連絡協議会は現在持っておりますが、それらの場も活用いたしまして、御指摘のような関係地域におきます計画の連絡なり整合性という点につきましてはさらに配慮してまいりたいと考えております。
  128. 永原稔

    ○永原委員 十分な連絡調整をお願いいたします。  第七条関係で、地震防災応急計画ですが、民間のいろいろな人たちがこういう計画をつくる場合に知事に届け出ることになっております。知事は届け出を必ずしも受けなければいけないと義務づけられているものではないだろう、内容を検討した上で却下してもいいのではないか、こういうように思いますけれども、そういう措置はとれるのでしょうか。  それと、こういう民間の防災応急計画について、横の連絡が何もなされなければ整合性が失われるのではないかという気がするのですけれども、そういう点についての御配慮はどうでしょうか。
  129. 四柳修

    四柳政府委員 御指摘地震防災応急計画につきましては、具体的には関係省庁の御協力を得まして御指摘のような整合性等を考えました作成のマニュアルをつくりまして、このマニュアルによって都道府県がその届け出を受けるわけでございますから、具体的な計画の作成指導に当たっていただくということを想定いたしまして、御心配のないように配慮してまいりたいと考えております。
  130. 永原稔

    ○永原委員 この応急計画、それぞれ特例が設けられております。高圧ガス取締法、ガス事業法、電気事業法、こういうものの保安規程あるいは危害予防規程、こういうもので計画をつくっていかなければならないようになりますけれども、こういう中で、地震規程というものはこういうものに入っていないのではないか、この規程そのものを直す必要があるのではないかと思いますが、そういう点がどうかということ。  それから、警戒宣言をしたときに、たとえば電気事業法、これは原子力発電の問題などには触れていませんけれども、こういうものについて一体どういうように措置をさせようとするのか、都市ガスを一体とめるのだろうか、プロパンガスは千八百万戸も使っている、こういうものに対する対策というようなものを、こういう規定の中で措置なさろうとするのか、そういう点について伺いたいと思います。
  131. 四柳修

    四柳政府委員 一般的な問題につきまして私の方からお答えいたしまして、具体の問題につきましては主務官庁の方からお願いいたしたいと思いますけれども、御案内のように、法八条におきまして、地震防災応急計画に相当すると見られます現行の各種の危害予防規程等の部分の改正ということを期待しております。それらにつきましては、いま御指摘のような点をそれぞれの規程等に盛り込むよう主務官庁におきましてお願いいたしまして、それぞれの省令等を改正いただく、そういう方向を検討し、またそれに基づきましてそれぞれの御指導をお願いしたいと考えております。
  132. 高瀬郁彌

    ○高瀬説明員 LPGにつきましては、保安規程をつくる考えはございませんが、LPGにつきましては、生活エネルギーということで供給をとめるというわけにはまいらぬという考えです。したがいまして、次善の策ということで緊急応急対策というふうに考えております。  その内容は、第一点は販売業者を指導をいたしまして、消費者が地震時にとるべき措置について具体的な周知徹底を図るような措置をとらせるということが第一点でございます。  それから第二点は、必要に応じまして、みずから非常緊急体制をつくるということを指導してまいるということも考えております。なお、この周知義務というのは、LPG販売業者に義務を課しておりますので、その内容の中に、必要ならばこの緊急対策等の周知義務を取り入れたいというこうに考えております。
  133. 逢坂国一

    ○逢坂説明員 原子力発電所の地震対策についてでございますが、原子力発電所は、御承知のとおり、立地選定に当たりまして地盤の安定した地域をまず選定するということから始めまして、実際上は岩盤に直接設置するということのほか、耐震設計といたしましては一般建物よりも格段に厳しい耐震設計をしております。それに加えまして、地震がありましたときに設計用地震度以下で働くような自動遮断装置も設けております。そういう意味で、地震関係につきましては、予知段階では特に直ちにとめるというようなことはしなくてもよろしいかと思いますが、そういう情報が出ましたときに、特殊施設につきましてのいろいろな特別な点検でありますとか、巡視でありますとか、保安要員の確保、あるいは工事中でございますれば、応急的な対策をとる、そういうようなことでございますので、そのようなことが保安規程に書かれるように指導したいと思っております。
  134. 香田昭

    ○香田説明員 都市ガスにつきましては、都市ガスそのものが日常一般家庭等で使用されるものでございまして、また一たん供給を遮断いたしました場合には、供給再開の際に二次災害発生を防止するために慎重な作業を必要とするわけでございます。したがいまして、回復までに長時間を要することになるわけです。したがいまして、できるだけ供給を継続することを基本といたしております。しかし、現に地震発生した場合には、その程度に応じまして適切に遮断することが必要でございますので、予知情報が出た場合には必要に応じましてガスの供給を遮断することができるように適切に措置いたしますとともに状況に応じまして、非常動員体制それから非常連絡体制所要措置等をとることといたしております。
  135. 永原稔

    ○永原委員 実際、運営は非常にむずかしいと思います。電気も発電所をとめたらばすべてのものが支障を来すでしょうし、しかし、いまのお話しのように予知段階では余り手が打てないようなことになりますと非常に心配になりますので、十分慎重にこの点も御検討いただきたい。お願いしておきます。  それから、時間がありませんので先に行きますが、十四条の警戒本部、これは「設置期間が満了した時に、廃止される」、こういうようになっています。十九条の県、市町村の場合には、これは本部で警戒宣言を解除したとき速やかに廃止する、こういうようになっておりますが、警戒本部においては、解除宣言をしたときに廃止しないのでしょうか。
  136. 四柳修

    四柳政府委員 御指摘の点につきましては、それぞれの本部の段階におきましていわば残務整理の仕事が残っている点がございますので、若干整合性が合わない点があろうかと思いますけれども、実態に合いますよう措置してまいりたいと考えております。
  137. 永原稔

    ○永原委員 現実には、国民と接するのは市町村、県段階の方がより密接だと思うのです。それだけに片一方の国の場合は解除宣言をしても設置期間が満了するまでは置かれておる。片一方自治体においては、警戒宣言が解除されたらば速やかに廃止せよ、こう言っても、実際の後に残る事務量は市町村、県の方が多いのではないでしょうか。そういう点、何か整合性に欠けるという気がしますけれども、いかがですか。
  138. 四柳修

    四柳政府委員 実態的には国の本部の場合の設置期間というのは、現在の非常災害対策本部の場合も終期をいつと限った設定でございませんので、必要と認める期間という形で、一応期間を概括的に設定しておりますものですから、むしろ逆に国の方でもそういった点の残務整理等を考えまして、御心配の点がないように十分注意してまいりたいと考えております。
  139. 永原稔

    ○永原委員 警戒宣言が解除されたときに直ちに市町村、県は廃止せよというのが早過ぎはしないかというのが一点言いたいところなんです。  時間がありませんので先に進みますが、先ほど数県にまたがる地域ということをお話しになりました。そうすると、三十二条の防災訓練どもこれは一県だけで済む問題ではない。特に、県境地域などにおいては、他県の町村との関連において訓練もし、避難場所も決め、いろいろしなければならないと思うのです。そういう点についてどういうように指導なさっていこうとするのか、これは消防庁の方に伺いたいと思います。
  140. 田中和夫

    ○田中(和)政府委員 この法律三十二条によります防災訓練は、これは強化地域の中の県とか市町村に限られるわけであります。しかし、隣接する市町村の場合にもこれは相当な被害が予想される、影響が予想されるわけでありますから、当然訓練もしなければならぬ。これは災対法に基づいた訓練ということになると思います。現に、現在各県、市町村を指導いたしまして、年に一回以上総合的な実践的な防災訓練実施するように指導いたしておりまして、今度この法律ができますと、そういう従来の指導をその地域についてはさらに強化するようにというようなことで、災対法に基づく訓練として指導してまいりたい、こう考えております。
  141. 永原稔

    ○永原委員 むしろそれがおかしいので、ですから基本法と地震法との切りかえのむずかしさというのがそこにあると思うのです。ここに書いてあるのは強化地域の指定があったときに強化地域防災訓練についてのことが書いてある。災対法のことではないわけですね。この強化地域というのは、いま質問を重ねてきましたように、数県にまたがるわけです。だから、災対法ではなくてこの法律でやらなければならない、こういうように思うのですけれども、やはり新しい法律と基本法との間で非常にスムーズに移行しない面がいまの御答弁でもはっきり出てくるわけですが、そういうことがないようにしていただきたい。特に県境付近については、これは応急計画とはまた別だということではなくて、強化計画というのはそういう県境も含んでいるわけですから、この法律でやはり綿密な御指導をお願いしたい、こういうように思うわけです。  非常に時間が短いので質問時間が来てしまいましたけれども、こうして一条一条読んでいきますと、地震法と災害対策基本法——災害対策基本法はいわば総論的な法律であるはずです。その特例法として、特別法としてこういう法律ができていますけれども、親の法律の方は事後のものであり、この新しい法律事前のものである。そこのところに結びつきが非常にむずかしい問題が含まれておりますので、よほどこれは運営に当たっては慎重に、また非常に綿密に指導をしていかないと矛盾が出るおそれがあるということが考えられます。  せっかくきょうは各省庁の方に来ていただいておるのですけれども大臣考えいただきたいのです。地震でこの法律の質問をしようとすると、これだけ政府委員の方あるいは説明員の方が列席しなければならないというように多岐にわたる。やはりこういうものを一元化していく必要があるんではないか。私は縦割り行政が必ずしもいいとは思いませんけれども、こういう能率的に処理しなければならぬものについては横の関連が必ずしもスムーズに行くとは思いませんので、行政組織の一元化というようなことを特に訴えたい。その点についての長官のお考えを承りたい。それを承って質問を終わります。
  142. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 御意見の中で、事前措置、これは今回の場合は特別措置法によるわけでありますが、発災後は災害対策基本法、この間を円滑にやる、またその円滑にやる上に各省庁にまたがっておるからその辺をよく注意をするようにということでございました。確かにそのとおりであると思います。したがって、事前の場合におきましては地震災害警戒本部を設置して、そこで総合調整、指示のできるようにしようというねらいがございます。それから発災後のことにつきましては、従来とも中央防災会議におきまして鋭意努力をしておるところでございますが、きょうの御意見を聞いておりますときに、今度の警戒本部の設置については、御意見をよく踏まえて各省庁にまたがる人的配置をしなければならないと思いますし、また発災後のことにつきましては、従来の中央防災会議のあり方が御意見に沿うようにもっと効率的にすべきである、こういうふうに感じた次第でございます。いずれにしても御意見の御趣旨は十分尊重されなければいけないと思います。
  143. 永原稔

    ○永原委員 ありがとうございました。
  144. 川崎寛治

    川崎委員長 小島静馬君。
  145. 小島静馬

    ○小島委員 大規模地震対策特別措置法案、伺うところによりますと、世界でも類例を見ない法案だそうでございます。実情にかんがみまして、非常な短期間の間にこの法案をまとめられました国土庁長官以下の関係当局の御熱意に対して、心からまず敬意を表するものでございます。  各党の質問も一巡いたしまして、二巡目に入ったわけでございますので、私はなるべく具体的な問題点についてお伺いをいたしてみたいと思うのであります。  まず、第三条の地震防災強化地域の指定についてでありますが、しばしばお述べをいただいておりますとおり、まず第一番目には東海地域を指定をする、こういうふうに言われておるわけでございます。ただいままでの質疑の中で明らかにされまして、四柳審議官先ほどおっしゃったわけでございますが、具体的には静岡県、神奈川県の東部、それから愛知県の西部、さらにそれに岐阜県、長野県が入るであろう、こういうようなお話でございました。もちろんこれはいろいろな学者の意見等、判定会議等を経まして決まってくることでございましょうけれども、これは具体的に指定をいたします場合に、何々県、何々県という指定の仕方をするんでしょうか。それとも何川以東とか何山の以西だとかという仕方をするんでしょうか。それとも市町村を指定をするんでしょうか。その指定の単位はどういうふうになさるのか、このことを明確にお聞きをしておきたいと思います。これは国土庁にお伺いをいたします。  それから、関連をいたしまして、その指定の基準、判定の資料でございますが、その判断の資料というものは一体どういうふうにお決めになっていかれるのであろうか。気象庁と国土地理院よりお答えを願いたいと思います。
  146. 四柳修

    四柳政府委員 前段の指定につきましては、関係県の市町村単位に指定する予定でございます。
  147. 藤田尚美

    ○藤田説明員 お答えいたします。  観測強化地域について御説明いたします。  観測強化地域は、地殻変動、地震活動等の地殻の活動に異常が発見された場合に、各種の観測強化してその活動が大地震発生に結びつくかどうかを確かめる地域でございます。これらの地域を指定するには、測量の繰り返しによる土地の変動や地震活動の推移などに加えて、活断層や海底地形、古文書等によって得られる過去の地震発生等を総合的に判断して行われております。現在こういう基準のもとに、観測強化地域は、地震予知連絡会によって東海と南関東、二カ所が指定されてございます。
  148. 末広重二

    末広説明員 御説明申し上げます。  ただいま国土地理院の方からも御説明ございましたけれども、私どもが心配しております東海大規模地震は、いまから約百二十年以上前に起こりました安政の地震の再来ということが非常に可能性が強うございまして、この地震のときにどこの場所がどのくらい揺れたかというようなことは、古文書等によりまして相当詳しくわかるわけでございまして、そういうことを基礎に置きまして、来るべき東海の大地震はどこがどのくらい揺れるであろうかということは学問的に判定と申しますか、想定する委員会をつくりまして、そこで総合的に検討いたしました結果を防災関係の方にお示しいたしまして、対策をとっていただくようにお願いしている次第でございます。
  149. 小島静馬

    ○小島委員 ただいまの御答弁の中で、東海大地震というのは安政東海大地震の再来であるというお話がございました。その安政東海大地震の特徴というのは、これは津波でもって数万人の人命が失われておるわけでございます。今回の地震も、海底がその起爆の原点になるわけでございますから、そういう意味で考えていきますと、津波に対する対策というものが非常に重要になってくるのではないかということが想像されます。強化地域の指定に当たりましては、そのときに同時に津波の危険地域もお示しになるのかどうか。これは国土庁にお伺いいたしましょうか。
  150. 四柳修

    四柳政府委員 御指摘のように、津波の心配というのは非常に防災対策上も問題があろうかと思います。強化地域の指定に当たりましては、毎度申し上げますように、大規模地震発生したならば、著しい被害を受けるおそれのある地域ということでございますけれども、その大規模地震がたとえば海洋型の場合でございますと、当然当該地震によりまして生ずるおそれのある津波によりまして、沿岸地域は著しい被害が予想されます。したがいまして、これらの地域も当然強化地域にまず含まれると思います。そういう形で指定が行われると思います。  さらに、強化地域の指定に際しまして、津波によります災害に対する対処の問題でございますが、これは特殊な措置が必要でございますから、強化地域としての指定の中で、津波被害予想地域につきましては、その分だけでき得るならば明示して指定するように配慮したいと思います。
  151. 小島静馬

    ○小島委員 次に、東海地域における地震観測網等の現状についてお伺いをいたします。  昭和五十三年春までに各機関が設置してある観測の施設はどの程度であるか、その成果が気象庁にテレメーターでもって集中をしている、そうしてM八程度のものは確実に捕捉ができるというふうな御説明をいただいておるわけでありますが、それにつきまして異常現象はどのような方法あるいはやり方でキャッチをなさっていられるのか、気象庁にお伺いをいたします。  それから、どのような密度で測量を実施をなさっていらっしゃるか、この点は国土地理院にお伺いをいたします。
  152. 末広重二

    末広説明員 御説明申し上げます。  東海地域におきましては地震活動、それから地面の伸び縮み、地下水の異常、それから地球は大きな磁石でございますので、磁石の性質が東海地域でどういうふうに変わるかといったようなことも含めまして、気象庁はもとより、国土地理院、国立防災科学技術センター、工業技術院地質調査所、それから東京大学、名古屋大学等の観測所が相当数現在テレメーターによりまして、気象庁にデータが集中しております。私ども、二十四時間の勤務体制をしいておりますので、観測は、いま申し上げましたように多くの研究機関並びに国立の機関が担当しておりますけれども、私どもに集中していただいて、それで常時監視をするということを受け持たしていただいておりまして、これに異常がありましたときには、直ちに判定会の方に御連絡して判定をしていただくという組織になっておりまして、これはさらに強化するつもりでございます。
  153. 藤田尚美

    ○藤田説明員 お答えいたします。  いま末広事官の方から御説明がありましたとおりでございますが、われわれが行っております測量の反復、繰り返しということは、長期的な前兆をつかまえたいというのが主なねらいでございます。それに対して短期的な前兆ということは、いま申しましたような各種の連続観測気象庁の方にテレメーターしまして、常時監視していく。それで、反復測量につきましては、土地の地殻の変動ということでありまして、水準測量あるいは水平ひずみを一年もしくは半年ごとに実施しております。
  154. 小島静馬

    ○小島委員 東海大地震は、駿河湾トラフ付近から発生するというように言われております。その前兆現象を捕捉するためにも、海底地震計の設置が大変重要であるということはしばしば指摘をされております。また、測地学審議会の建議の中にも、このことにつきまして開発と設置を急げというようなことが指摘をされておるわけでありますが、具体的にはそれはいつごろになるでしょうか、気象庁にお伺いいたします。
  155. 末広重二

    末広説明員 御説明申し上げます。  御指摘のとおり、われわれの心配しております東海大規模地震は、東海沖の海底下に発生するということが予想されておりますので、その真上に観測の網をかぶせますことは、大変大事でございます。私ども気象庁は、ここ四年来世界で初めてでございますけれども、海底地震計常時観測装置というものを開発してまいりまして、おかげさまでそのめどがつきまして、今年七月か八月の天候のいい時期をとらえまして、御前崎沖の約百五十キロから二百キロの間の沖合いにかけまして敷設する計画で準備万端整っているところでございます。
  156. 小島静馬

    ○小島委員 次に、国土庁長官に特にお伺いをいたしたいと思います。  いま四柳審議官お話を承りまして、この法家が順調に通れば、大体ことしじゅうには強化地域が定まるというふうなことが予想されるわけでありますが、いずれにいたしましても、災害常襲地域といたしましては、もちろん人命尊重の見地から、それらの予知対策あるいは防災対策について万全を期していただきたいのは言うまでもございません。具体的な強化地域が定まった場合に、いろいろ産業面におけるところの影響が非常に大きく出てくるのではないかということが予測をされるわけであります。  特に東京のような、日本の中枢機能を備えたところあるいはまた高層建築等並んでおりまするけれども、これはわりと地震には強いのだ——実際にはどうかわかりませんけれども、耐震建築であるというふうなことが言われております。また、ここを離れるといっても、生活の場でございますから離れるというわけにはいかないわけでありますが、当面静岡県、特に伊豆半島について考えますと、これは中心になる産業が観光でございます。いわゆる遊客の減少というものが長期にわたって起こってくるのではないかということが想像されるわけであります。強化地域に指定をされたからといって実際に地震がすぐ来るわけでもない。そのことはもちろんいろいろな角度から宣伝をするべきでございましょうけれども、それはそれなりに、そういう現象が起こってくることを覚悟しなければならないと思うのでございます。  この前の災害対策特別委員会の際にも、私は国土庁長官にお訴えをいたしたわけでございますけれども、四年間に五回という、そのうち三回は地震でございました。それから二回は集中豪雨でございましたが、そういう連年災害のために実は産業の機能は麻痺いたしております。塗炭の苦しみをなめておるという言葉も私は使ったわけでございますが、本当にもう立ち上がれないのではなかろうかというふうな、特に下田、南伊豆町については言えるわけでございます。こういう非常に大きな間接災害に苦しんでおるわけでございますが、この強化地域に指定されたことによって起こってくるところの現象、非常に似通ったものがあるのではないかと思うのでございまして、これに対しては、その側面として、金融であるとかあるいは税制であるとか、そういった各般の問題点についての特段の御配慮が願わしいのでございます。そういうところに住んだのが悪いのだと言われてしまえばそれまででございますけれども、やはりそれが政治ではなかろうかと思うのでございまして、いま残っている後遺症として、たとえば一等最初の震災のときに借りた金、これが九分二厘とか八分何厘というふうな高利で、その金がまだ返せない。金利負担に悩んでいるという状況の中で、何とかこれを低利にしていただけないかということをこの前の委員会でお訴えをいたしました。また、国の施策としてながめてみましても、今日不況業種対策といたしまして相当の金額を投じまして、何とかこの急場を乗り切るための各般の施策を講じておられるわけでございます。  これらのことを考えながら、特に観光業と言われる旅館、ホテルあるいはハイヤー、交通業者あるいはみやげ物業者、こういうものの苦しみが目に見えるような気がするわけでございますが、特に各省ともお諮りをいただきまして、特段の御配慮を煩わしたいと思うのでございますが、国土庁長官考えをぜひこの機会にお聞かせをいただきたいと思うのでございます。
  157. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 反復災害を受けておる実情について配慮せよ、これは災害の都度、それ以前に起きておる災害をも勘案しながらの、たとえば金融対策を講じておると思います。  それから今度、地震防災対策強化地域の指定に伴って、災害を受けたと同様の影響が出てくるのではないか、こういう御懸念を持たれましたが、今回の特別措置法は、どちらかというと、こういう法案によって事前措置をしっかりやってもらいたい、あるいはマグニチュード八のような大地震については、予知のできるものならしてもらいたい、そういう一般的な世論の上に立脚しておると思います。知事会において具体的な立法案もお示しになっておりましたし、また伊豆大島沖地震も勘案しながら、こういう措置は必要なんだという、こういう盛り上がる世論の上に今回の法案はあると思うのであります。  そういう点からいたしますと、この強化地域の指定で事前措置が十分行われておるということが観光客にとって、自分らは伊豆半島の方に行ってみたいけれども、もしものことがあったら大変だという気持ちを持つのか、あるいは最近においては事前措置が十分講ぜられておって、まあ行っても心配ないんだという気持ちを持つか、これはもうそれぞれの方々の受けとめ方で違うと思いますが、少なくとも、こういうふうに対策が万全であるならばいいと言う方には、今度の特別措置法の効果の一面があると思うのであります。  そういうことも考えながらただいまの小島委員の御意見を考えますときに、この法案成立後の事前措置がとられ、そして一体どういう反響が一般大衆に与えられるかということによって判断をする必要があるのではないか。もし仮にそのことによって深刻な影響があったのだ、こういうことになってまいりますならば、当然それに対しての対応策をとらなければならないと思いますが、まあいまのところこの措置というものは、直ちに地震が近々時に発生する、こういう前提のものではないのでありまして、このことはその地域住民の方方にも十分理解をしてもらい、またこの地域関係のない方々にも理解をしていただくことがまず必要であると思います。
  158. 小島静馬

    ○小島委員 幸い——幸いと言っては大変おかしいので、幸か不幸かと言った方がいいでしょう。いま地震でやられた直後の災害復旧が行われておりますので、地震に強い構造の伊豆半島をつくっていただきますよう、建設大臣も兼ねておられますので、ぜひひとつよろしくお願い申し上げたいと思います。  そこでもう一つ問題点でありますが、危険な地域についてはあらかじめ相当の公共投資を急ぐべきものがあるのではないだろうか。中でも由比地区の地すべりの問題であります。これは数年前で、私も定かには何年前であったかは記憶いたしませんが、あの由比の地すべり、あの場所に構造線が走り、大規模な地すべりが起こりました。これに対していろいろ手を打っておるわけであります。これがさらに大地震の際に崩落を起こしますと——先ごろ山本静岡県知事が参考人として陳述をなさいましたが、その御指摘にもございましたけれども日本列島が東西に分断をされる、経済の機能も全く東西に分断をされて麻痺をしてしまうという、日本全体の問題になるのではなかろうかと思います。あそこには東海道線あるいは東海道新幹線の鉄道それから一級国道、東名高速道路というふうに一カ所に集まって走っておるわけであります。大げさな言い方ではなく、日本列島を東西に分断する重要な地域にこういう由比の地すべり地域があるわけでございます。農林、建設当局におきましては、すでに治山砂防事業等をつとに進めておられるわけでございますが、その進行の状況はどうでございましょうか。それからその整備計画をさらに強化を急ぐ必要があると思うのでございますが、そういう面について現状、さらに将来の整備計画を農林、建設両省よりお伺いをいたしたいと思います。
  159. 釣谷義範

    釣谷説明員 建設省の傾斜地保全課長でございます。ただいま先生おっしゃいました件につきまして、建設省の担当の分について御答弁いたします。  由比地区の地すべり対策につきましては従来から、西倉沢より西部の地域につきましては建設省が担当し、東部については林野庁で工事を実施されておりましたが、昭和四十九年の七月災害を契機に、国土庁に由比地区の地すべり対策技術委員会というものが設置されまして、建設省は西地区を、林野庁の方では東地区を担当されまして調査を実施してきました。  その調査結果に基づきますと、西地区の建設省の方で担当している分につきましては、特に人家の集中しております西倉沢地区につきましては過去においても地すべりが発生しておりますし、また、地形、地質等の調査結果から見ましても今後、なお地すべり発生の危険性がございましたので、激特事業として約二億の予算をもちまして擁壁工あるいは排水溝等を中心に五十二年度まで激特事業実施してきまして、これは一応完成を見ております。しかしながら、おっしゃいますように、この地区は非常に重要な地区でもございますし、また、地震等も考慮しました際にいままでの対策のみではまだ不十分と考えまして、さらに安全度を高めるべく、今後地すべり対策を中心にしました土砂害対策を促進する予定でおります。
  160. 小島静馬

    ○小島委員 農林省の方お見えになっておらないようでございますので、要望として早急に整備計画に基づいてやっていただくようにお願いを申し上げておきたいと思います。  次に、南関東地域観測網の現況についてお伺いしたいと思います。  南関東地域につきましては、地震予知連絡会観測強化地域という指定を受けておりまして、恐らく東海地域に隣接をする南関東地域というのは、東海大地震の相当な危険度が予測されるのではなかろうか、この地域におけるところの観測網の整備充実というものも東海地域と同じくらい、あるいはそれ以上に高めていかなければならないことが急がれておるのではないかと思うのでございます。そういう面から、南関東地域の現況と今後の整備目標について、気象庁及び科学技術庁にお伺いをいたしたいと思います。
  161. 末広重二

    末広説明員 御説明申し上げます。  ただいま御指摘南関東でございますが、実はこれは昭和四十九年の東海地区の観測強化地域に先立ちまして、首都圏を控えているということで、特に観測強化すべきであるとして観測強化を図ってきたわけでございます。ただ、現在、日本全国をながめ渡しまして、大規模地震発生の可能性がございますのはやはり東海地区でございまして、この南関東につきましては、起こる可能性のある地震は一段下がったマグニチュード七、これは地震の実力と申しますか、エネルギーでいきますと三十分の一になってしまうのでございますが、これは関東地区、南関東でも発生のおそれがある。ただ局地的ではございましても、何分、真上には東京都があるわけでございまして、何とかこのマグニチュード七も将来の計画としては予知をしたいということで観測強化を図ってきておるわけでございます。  具体的に申し上げますと、科学技術庁の防災科学技術センターでは東京都の周囲に三本非常に深い井戸を掘りまして、東京のように非常に雑音の多いところでございますが正確な観測ができるように、また私から答えさせていただきますと、国土地理院におきましても、見通しがきかないけれども高いビルの頭越しに測量をやって土地の伸び縮みをはかろうかというわけで現在観測強化が図られておりますが、何分自然現象といたしましてマグニチュード七というのはなかなか前兆現象のつかまえにくい点がございますので、これは将来の研究課題として努めさせていただきたいと思います。
  162. 清水眞金

    ○清水説明員 いま末広気象庁事官の方からお答え申し上げたとおりでございますが、多少重複いたしますけれどもお答えしますと、要するにこの地域は、四十五年に地盤の異常隆起が報ぜられまして予知連によって観測強化地域に指定されたわけでございますが、その後、測地学審議会のいわゆる第三次地震予知計画に関する建議の線に沿いまして測地測量あるいは微小地震観測、それからひずみ観測、傾斜観測、そういうふうなものの整備強化が進められてきたわけでございます。  具体的に申し上げますと、現在の南関東地域における観測網は、地震計が約二十四、いろいろこう——簡単に置いてあるものもございまして、必ずしも数が合わない場合もございますけれども、一応現在有効に活用し得る地震計としては二十四、それから体積ひずみ計が五つ、傾斜計が四、そのほかに伸縮計とか水管傾斜計等が六つ程度ございます。それからあと地下水観測、検潮観測等、ほかの地域に比べますれば相当の器械の整備が行われておる。それからさらに、東京周辺というのは、先ほど事官の御説明がございましたように、非常に厚い堆積層に覆われておりますので、いわゆるノイズが多くてなかなか通常地震計では観測し得ないというふうな特殊性がございますので、東京の近辺に三カ所の深井戸を掘りまして、これは約三千メートル級の井戸でございますが、三点観測によって非常に細かい地震の動きを観測している、と同時に傾斜計も入っておりますが、これが四十五年から測地学審議会の建議の線に沿いまして始まりまして、四十八年に岩槻で具体的にすでに観測に入っております。それからもう一本目は千葉県の下総に四十八年から始まりましてことしから観測に着手しております。それから今年度から新たに府中市に第三本目を掘削することにして、いまその準備を開始したということでございます。それからさらに微小地震といいますか、直下型地震をとらえるために非常に役に立つんじゃないかというふうに考えるわけでございますけれども、関東、東海地域を中心に五十カ所程度の微小地震観測網それから傾斜計網をさらにプラスアルファでプラスして整備するという計画で、五十三年度からその計画に着手したというふうなことでございます。  以上でございまして、関東地域につきましては東海地域に準ずる形で相当力を入れて整備しているということでございます。それからデータの集中につきましても、すでに気象庁の方にひずみ計とか地震計、そういうものが入りまして同時監視体制のもとに置かれております。大体以上でございます。  今後とも、今回の法律ができましたら、必ずしも強化地域に指定されるかどうかは別でございますけれども、非常に重要な地域であるという認識はわれわれとしても十分持っておりますので、その観測強化に努めてまいりたいというように考えます。
  163. 小島静馬

    ○小島委員 たしかカントの言葉でございますが、いかなる悪法も法なきにまさるという言葉があります。倫理を強制する法律それから秩序を強制する法律、いろんな側面があると思うのですが、この言葉というのは交通法規なんかに一番よく当てはまるんじゃないかと思うのです。たとえば道路を左側を通行しろとか右側を通行しろとか、さようなことがもし決まっておらないとしたならば、これは大きな混乱を起こすだろうと思うのです。そういう意味で今度の大規模地震対策特別措置法というものの持つ意味は非常に大きいと私は思うのです。今日までのいろいろな御審議を私も拝聴しながらつくづく感じたのでありますが、実際に認めて、非常にむずかしい問題が多い、また不備な問題も多いと思うのです。予知技術マグニチュード八を捕捉するのがやっとである。あるいはやがて七を捕捉するようになるでしょう、あるいは六を捕捉するようになるでしょう、五を捕捉するようになっていくだろうと思うのでございますが、そういう未熟な足元の場というものを考えながら、なおかつこの立法に踏み切られたその御決意に対しましては、私は冒頭申し上げましたとおり、本当に心からありがたいと特にその地域の一人として思うわけでございます。  ただ問題として、さらにこの立法が成立をした暁においていろいろな不備な点を捕捉していくのは財政面の援助であろう、かように思うわけでございまして、いま財政の枠の中でできることという観点に立っておりまするけれども、恐らく将来としては、これは膨大な予算を必要とするかもしれませんが、財政特例法等も必要になってくるのではなかろうか。あるいはまたこれは強化地域だけの問題ではなくて、この立法が土台となって全国的な、たとえばこの間東北に地震が起こったりしたわけでありますが、そういう地域におけるところの地震予知というものも進んでくるでしょう。そしてその中で強化地域というものが発見されてくるのではないかというふうに思うわけでありますが、そういうものに対する観測網も、ある人に言わせれば百億あれば足りると言っておりますし、また強化地域の中でもっと的中率を高めるためにたとえば十億程度の調査調整費があったらどんなにいいだろうか、こう言っておる方もあります。あるいは先ほどの御答弁の中で、直接地震の業務に従事されているのが学者を含めて三百四十名、間接を含めたトータルが千六百名というお話がございました。私の資料によりますと、その中で、気象庁だけでとらえてみますと、気象庁は六千二百四十六名、そのうち地震に直接タッチしているのは六十八名、間接を入れますと千名ということになるわけでありますが、このスタッフもあと二百名直接地震にタッチする者を増員すれば、予知の確度もより高まってくるというふうなことも聞いております。  明日また参考人にお伺いする機会がございますので、それらの点はさておくといたしましても、勇断をもってここまで来られました。恐らく与野党一致でもってこの法案の審議に当たり、そしてその成立を見るに違いないと私は御期待を申し上げているわけでありますが、この法律を土台として、長官、ぜひさらにさらに対策の充実を期せられたいと思うのでございます。最後に、長官のこの問題に取り組む御決意のほどを敬意を表しながらお伺いをいたしたいと思うのでございます。
  164. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 地震対策強化していく上におきましてその裏づけの予算の措置の必要性は言うまでもございません。そういう見地から、事前措置として、防災強化計画あるいは防災応急計画、それに先立つ基本計画などによりまして事業内容が確定してまいりますならば、関係省庁と協議の上、これに対応する予算措置につきまして、国、地方を通じて十分考えていかなければならない、こう思います。  特に地震予知については担当者もまだ十分でない、またもっとマグニチュード八が七に、さらに六に、しかも確率を高めるという上からいたしますと、これらの面につきまして当面の予算措置も必要かと思いますが、これらの点については科学技術庁の調整費などでとりあえずは対応することができるといたしましても、ただいまお話しのように地震対策全般の予算措置につきましては、今後われわれとしていろいろな角度から配慮してまいりたいと思います。
  165. 小島静馬

    ○小島委員 ありがとうございました。  終わります。
  166. 川崎寛治

    川崎委員長 渡辺芳男君。
  167. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 この大規模地震対策特別措置法案というのは世界でも初めてだというお話でございますが、最近地震もあちこちで起きておりまして、特に地震立法について大変な国民の関心もございます。     〔委員長退席、湯山委員長代理着席〕 ただ、この法案が出されてみますると、大規模地震対策という限定された地域に適用されるという法案でございますが、強化指定地域マグニチュード八前後ということを想定をされておりますけれども規模に限らず、比較的浅い地震が非常に震度が強い、こういうこともございます。先ほど来いろいろ言われておりますが、たとえば南関東観測強化地域になっておりますけれどもマグニチュード七ぐらいの地震が来た場合でも、想定されている比較的浅い地震でありますから、被害は大きいというふうに考えられます。いずれにいたしましても、政令でこの地域を指定することになっていますが、この際明らかにできたらお願いいたしたいと思うのですが、適用基準というものを考えられておるかどうか、この点はいかがですか。
  168. 末広重二

    末広説明員 技術的な面に限って御説明させていただきますが、法律に裏づけられた防災措置をとるということになりますと、やはりそのもとになりますのは、相当程度の確度のある地震予知情報ということになるわけでございます。ただいま先生御指摘の、たとえばマグニチュード七であっても大被害が生ずるではないかとおっしゃったことはまさにそのとおりでございますけれども自然現象という面から見ますと、残念ながら私ども技術がまだそこまで至っていないわけでございまして、これは防災の面からの御判断があると思いますが、ある程度確度のある予知情報ということになりますと現段階ではマグニチュード程度である。しかし究極的には、私どもの悲願といたしましては、日本じゅうどこでもマグニチュード程度以上のものはできるだけ近い将来に予知するところへ持っていきたい、こう思っている次第でございます。
  169. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 当面、法案の第三条で防災強化地域の指定を東海地域にする、こういうふうに言われておりますが、関東南部が一九六九年に観測強化地域に指定をされた。七四年に東海地域が指定をされた。これは学者先生方のいろいろな意見もあってやられたと思いますが、いずれにしても異常現象がそれぞれ認められるわけですね。そういうことでありますから観測強化地域に指定をされたと思うのです。予算的にも、たとえば南関東のように、特に東京のように大変な大都市でありますから、防災強化というものも非常に予算を食う、こういうふうなこともどこか頭の中にあるのじゃないだろうか。極端なことを言えば、いま東京や名古屋、大阪、あるいは地方といっても静岡県のような場合でもそうでありますが、地震に対して防災的な措置がそれぞれ関係各省でどんどん進められているという状況ではないんですね。東京のように全く無防備だなんて極端に言う人もあります。でありますから、この強化地域を指定するということは、それなりに政府が対応策を、防災措置をやっていかなければならぬ、こういうことが当然義務的に出てきますね。いままでも確かに災害対策基本法なりあるいは中央防災会議が決定をした基本計画なり大都市震災対策要綱などもあります。しかし見送られているというとおかしいけれども、率直に申し上げましてどんどん進めているという状況にはないですね。そういう意味で、繰り返し先ほど来質問がございますが、近い将来に南関東地域というのは、この法案で言うように強化地域に指定をされるということになりますか。
  170. 四柳修

    四柳政府委員 具体的に指定ということを考えますと、中央防災会議の専門学者の方々に、そういった関係地域の近くにおきます今後の大規模地震発生の見通しの危険性といいますか、そういうことのある程度の確度のある御検討をいただきませんと、指定にはならないと思います。大変恐縮でございますけれども防災側の事情によって指定しないという話ではございませんで、あくまでも科学的なそういった御判定によりまして、しかもその判定を技術的にも短期予知に生かせ、あわせて防災側もそれについて対応ができるようにという検討で、南関東につきましてもそういった可能性は十分あり得ると思います。
  171. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 これから予知体制が進んでいけばそれぞれ対策が講ぜられると思いますから、これはそれでおきます。  予知関係についてお尋ねしますが、過去の日本列島の大地震をずっと見ますると、一八五四年十一月の安政大地震以来、一九六八年五月ですかの十勝沖地震まで大きな地震が十六回起きているんですね。ほとんど太平洋側であるということも歴史的に明らかになっていますが、科学技術庁に地震予知推進本部が発足をしたのは昭和四十四年でしたか、でありますから、予知体制を進めるというのはまだ十年足らずということでありますから、そういう意味では不十分だ、不十分だと言えばそのとおりだということになると思うのです。いずれにいたしましても、たとえば東海沖地震説、駿河湾地震説とも言われていますが、が出ましてから、あるいは南関東地域など、この両地域は比較的予知観測体制が進んでおりますね。ほかの方の特定観測地域七カ所については、まだ地震計を配置しておる程度で、それほど観測体制が整っていない。予知連の会長の萩原先生に言わせますと、たとえば南関東なり東海地域なり、観測井戸を三十本ぐらい掘れば予知はもっと的確に進むと言っているのですね。私は素人でございますが、この観測井戸を掘って、ひずみ計なり、傾斜計なり、地震計なりを設置する、これは気象庁が掘ったり、あるいは科学技術庁の所管の場合もあるのですね。しかも、この井戸を一本掘るのに、機器も設置をして四千万円ぐらいかかると言われていますね。三十本掘ると十二億ということになります。いまそのような状態で、実際その必要性を認めているのかどうか。この観測井戸というのは、勉強さしてもらいましたけれども、確かに地震予知観測には非常に重要な役割りを果たしていると私は思うのです。そのほかにもいろいろございますが、こういう点については、気象庁あるいは防災科学技術センターではどのように考えられておりますか。
  172. 末広重二

    末広説明員 御説明申し上げます。  先生御指摘の、観測井戸を観測強化地域に増設することの必要性は確かにございます。この線に沿いまして、現在までも観測強化が図られてきたわけでございますが、さらに、この法案審議をお願いするという事態も踏まえまして、現在文部省の測地学審議会の方で、五十四年度からの第四次地震予知計画では、いまおっしゃったことを中心にしまして画期的な観測強化を図るようにという建議がいままとまりつつあるやに伺っておりまして、その中の大きな柱といたしまして、いまおっしゃいました観測所の増設ということも書き込まれるように伺っておりますので、私どもはその線に沿って努力したいと思っております。
  173. 湯山勇

    ○湯山委員長代理 いいですか、科学技術庁は。
  174. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 よろしゅうございます。  いま末広事官からお話がございました第四次の測地学審議会の建議が近くあるのですね。それで、この線に沿って地震予知体制というのを進められてきたということになっていますが、必ずしも万全な、要望をされたような状況にまでやられてきておりません。  そこで、提案者の大臣にお伺いをいたしますが、予知関係整備というのは、特にこの法案を出された中では重視をされなければなりません。そういうわけで、科学技術庁なり、長期的には国土地理院、地質調査所、防災科学技術センター、あるいは国立大学などもありますが、気象庁を中心にして相当観測体制整備を進めなければなりませんが、せっかく法案をつくったわけでありますから、これが有名無実にならないようにしなければいけないと思っているわけです。先ほど萩原先生のお話を私はいたしましたが、先生は参考人で来られたときに、当面観測体制整備というのは百億円ぐらいは必要だ、こう言うのですね。これは学者の立場で、そうすれば十分な措置ができるんだろうという考え方で言われたと私は思うのですよ。でありますから、大臣法案が成立をして来年からの予算措置というのは大幅にふやさなければならないということになると思うのですが、いかがでしょうか。
  175. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 予算措置の点から萩原会長の言われる百億を前提にいたしますと、現在五十三年度予知関係経費四十一億円、これに科学技術庁の調整費を勘案しても半分というところになりますから、専門家の皆さんの所見からすれば相当な手当てをいたさなければならない。私どもも、五十四年度の予算の要求に際しましては、専門家の意見を十分徴しまして、大蔵省との間で折衝したいと思います。
  176. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 ひとつその点は大臣の方で大いに力を尽くしていただいて、当面短期予知関係に力を入れてもらいたいと思うのです。  長期予知関係で、国土地理院の方、来ておりますね。お伺いしますが、国土地理院で今日まで水準測量なり三角測量、最近はレーザーを使っての測量なども行われているようでありますが、東海地域に異常が認められているというふうに聞いております。全国的に見て観測地域、特に特定観測地域強化地域、九カ所ございますが、いままで異常が認められているというのはどういうところか、そしてまた、五年周期で一般的に測地測量をやられておるようでありますが、特に危険地域という二カ所についてはもっと短縮できないものだろうか、いままでのデータなどとこれからの取り組みについてひとつお伺いをいたします。
  177. 藤田尚美

    ○藤田説明員 お答えいたします。  特定観測地域は、歴史時代に大地震を経験した地域、活構造地域、社会的に重要な地域というふうに定義されております。それで、現在全国に七カ所ございます。観測強化地域南関東、東海の二カ所でございます。  それで、観測強化地域においては、いわゆる全国観測、たとえば五年周期にはかるというような全国観測よりも、密度高く頻繁にいろいろな測量を実施しております。七カ所の特定観測地域のうち、島根県東部の特定観測地域内に最近隆起が観測されました。この地域は従来から地殻活動の激しいところでもありますので、今後も隆起の推移を監視するということに予知連の方でなっております。そのほかの特定観測地域、いまの地域も含めまして、現在のところ観測強化地域に格上げするようなところは見出されておりません。しかし、今後も観測をより充実させて一層の監視をする必要があろうかと存じます。
  178. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 たとえば駿河湾の西岸といいますか、西の方ですね、これが非常に隆起をしているというふうなことが、一つは駿河湾地震説の根拠になっているように聞いておりますが、あの辺の状況はどうなんですか。
  179. 藤田尚美

    ○藤田説明員 お答えいたします。  東海地域の地殻は東西の圧縮を受けております。水平ひずみは明治以来現在までに十万分の三ないし四程度でございます。この十万分の一という変化は、一キロの長さが一センチ変化するということを意味しております。     〔湯山委員長代理退席、委員長着席〕 上下の変動はどうかと申しますと、駿河湾西岸部が東南東方向に明治以来現在までに約四十センチ沈降しております。こういう状況になっております。
  180. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 自衛隊関係について伺いますが、最近、伊豆半島の地震でたびたび自衛隊の救援でお世話になっておりまして、現地の関係者は非常に感謝いたしております。  ところで、今日まで自衛隊災害派遣自衛隊法八十三条で知事の要請で行われておりますが、自衛隊ではあらかじめ策定をした計画に基づいて災害派遣がされているということを聞いていますが、この策定計画内容について伺います。現地指揮官の階級は、どなたが普通やるのか、あるいは人員は要請に基づいてどういうふうな規模派遣をするか、あるいは装備なり機材なりというものを、地震災害の状況を見ましてどういうふうにやられておるか、こういうふうなことをひとつ簡単に御説明いただけませんか。
  181. 児玉良雄

    児玉説明員 お答えいたします。  まず初めに、計画をどこで策定するかということでございますが、これは、今後この法律制定されました後、関係の機関で調整の上、策定されるものでございまして、その地震防災応急対策で支援をするために自衛隊地震防災派遣として派遣されるわけでございます。(渡辺(芳)委員「いや、ぼくが言っているのは、いままでの災害派遣の状況を聞いているのです」と呼ぶ)  いままでの災害派遣計画は、現在は基本的なことについての指針程度のも一のを防衛庁で全国に示しまして、具体的に策定をしておりますのは、陸海空によって違いますが、陸上自衛隊で言いますと、大体師団レベルで策定しております。それから実際の派遣などの内容は、そのときの事態に応じて定められることになっております。
  182. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 どうもそれでは回答にならぬわけですが、たとえば去年の三月、駿河湾地震が起きた場合に東海道線・東海道新幹線もだめになるだろう、あるいは東名高速道路も通行不能だろう、そういうことになると第一師団からヘリコプターを使って静岡の方に救援に行く、あるいは海上自衛隊から人員や機材を積んで清水港からどこかへ上がって救援活動をする、こういうふうなことが新聞に出ている。これは社会党の岩垂寿喜男さんが古いやつだと言われていますが、朝日新聞にきのう、自衛隊の震災派遣計画というのが出ている。それによりますと、それぞれ対応する救援対策というものが策定をされているわけでしょう。それに対応するようにすぐ救援に出かけよう。いままでの災害派遣でですね。これは地震ばかりじゃないです。台風の場合もあります。そのことを聞いている。
  183. 児玉良雄

    児玉説明員 お答えいたします。  いま先生御指摘災害派遣計画は、昭和四十六年に中央防災会議等で大規模震災についての審議がなされましたときに、防衛庁としてもそれと並行して研究をいたしまして、それを四十六年三月にまとめたものでございます。まとめまして、それはその当時発表したわけでございますが、その後時間が相当経過しておりますので、その後、派遣可能人員であるとか、装備の規模、たとえば飛行機の機数であるとか、そういうものに変化がございますので、そういう点につきましては、もし発生した場合に使える計画になるようにということで、事務的には若干の補備をしております。これは主として関東南部を対象にした計画でございまして、他の地域、特に広域の大規模災害の場合について同様な計画をつくることは考えておりますが、それ以外の地域につきまして同じような計画は現在まだ持っておらない段階でございます。
  184. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 先般の伊豆大島近海地震のときに現地の責任者は第一師団長であります。それなりの装備を持って救援活動をされたのです。でありますから、きわめて抽象的な話ですが、対応策というのはとっておらなければどうにもならぬでしょう。県知事の方からは、何人来てくれ、あるいはブルドーザーを何台持ってきてくれなどということはわからない。これだけの災害規模です。これだけの台風の災害規模です。こういうことは当然派遣要請のときには言われますね。  この話をどんどんやっていきますと時間がたちますけれども、そういうことが計画として策定をされているということはもう公然となっている。そのことを聞くのです。しかし、余り細かくといいますか、具体的に言わないから、いずれまたどなたかお聞きになると思いますが、次に進みます。  今度自衛隊法の八十三条の二に追加条文として出ますね。この法案にも附則の九条に出ています。これは防災派遣事前派遣ということになっていますね。このことについてお伺いしますが、たとえばいままでと同じような装備でもって派遣をされるのか、あるいは巷間うわさをされていますが、武器や弾薬などを事前派遣の場合にはいままでと違って携行するのか、このことについてはいかがですか。
  185. 児玉良雄

    児玉説明員 お答えいたします。  現在の災害派遣では火器弾薬などは原則として携行しないということになっております。また、地震防災派遣につきましても、災害発生しておりませんので、火器弾薬を使う機会というのはまず考えられないと考えておりますので、通常持って派遣はされないというふうに考えます。
  186. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 これは大臣にお伺いした方がいいと思うのですが、昭和五年に北伊豆地震がありました。先般伊豆大島近海地震がありましたが、いずれも一カ月とか二カ月前から前震があるのです。がたがた揺れていたのです。ところが、私が昨年この災害対策委員会で末広事官にお尋ねしましたら、今度の東海沖地震というのは前震というのは余り考えられない、こういう大規模地震というのは長い間がたがた揺れるというふうなことはないと言っているのです。これは予知連の会長の萩原先生も言われていますが、そういうことになりますと、地震事前の警告といいますか、地震の方で来るぞ、来るぞということはやらないわけですから、自衛隊というものが現実問題として三日も四日も前から派遣をされるという可能性が技術的にはないように思われるのです。だから、この法案にはそういう防災派遣の項が新しく設けられました。私は、確かにパニック状態になる、いろいろなことがあるという場合には必要だと思っていますが、現実問題として、こういうことが考えられるということには私もどうも疑問を持っています。大臣、いかがでしょうか。
  187. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 これはいろいろ研究をいたしまして、マグニチュード八以上の大地震を予想する、そうすると、これは発災後におきましては恐らく自衛隊派遣を求めることになる、これは予測できるところだと思うのですね。そうしますと、事前の場合ですが、事前の場合でもいま御質問の前提とされましたのは一カ月も前からの徴候ではあるまい、短時間であろう、こういうことから、そういう場合に自衛隊派遣の必要があるのかという大体の御論議の進め方だと思うのですね。そういう予知があった、三、四時間後にはもう地震が起きたというようなときに、本部長が予知があったときに仮に腹を決めておっても果たして間に合うかどうかということは非常に疑問で、そういう場合は私は別個のことだと思うのです。幸い予知があった、防災対策に応じて各種の施策をそれぞれの県がやる、こういう場合に、いままで発災後における自衛隊への要請は県知事が行っていた。しかしマグニチュード八というような大きな場合で、仮にこれは自衛隊が出て手伝う方がいい、こういうことになると、各県にまたがりますので、したがって本部長がそういう場合に要請するようにしたらどうか。だから時間的にもう間に合わない場合には、もちろんそれはそのままになることで、それでそういう各県にまたがる事項であるから、そこで本部長、内閣総理大臣が要請をしよう、こういうことにしたわけです。それからまた、自衛隊がやることは、それぞれ事前措置による計画があるわけでございますから、その計画にのっとっての応援の必要があるのじゃないかという考え方です。それからまた同時に、発災後にすぐ対応ができる、そういうことの予測されるときに本部長が要請するものだ、こう思います。
  188. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 もう一度防衛庁の方に聞きますが、いま大臣からお話がございましたが、たとえば事前派遣の要請を内閣総理大臣、つまり本部長がする。それで現地へ行って防災派遣の場合に何をするか。これはこれからそれぞれ検討するでしょうが、たとえば秩序維持のために警察官の職務の一部の代行をするというのですか、そんなことを考えているのかいないのか。あるいは行っても地震が来るか来ないかもわからぬが、ともかく防災派遣で要請があったから現地へ行った、しかし社会的な影響も考えてその一定地域に駐屯をしている。つまり事前に行って、地震が起きて災害発生をする、すぐ救援措置なりあるいはいろいろな対策を講ずる活動に出ていくのか、この点はどういうふうに考えていますか。
  189. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 ちょっと補足させてください。この法律が成立後には、地震防災対策計画に基づく関係都道府県等との十分な調整をとって具体的な支援活動を決めることにしておるわけです。これは先ほど御質問もございましたように、災害発生の際の自衛隊出動についてはあらかじめ計画があるのじゃないか、こういうことでございましたが、今度のこの地震立法に伴う場合も、防災対策計画が県なり市町村で立てられられます。それから各県にもまたがるでありましょう。だから、それはやはりあらかじめ十分、こういう場合に出る必要があるのじゃないかというような打ち合わせは必要だと思うのです。それで広範囲地震でありますから、緊急物資やあるいはあらかじめ応援人員の輸送などは当然考えられると思いますが、そういういろいろ想定をしての計画はする、こういうことでございます。
  190. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 もう時間が参って申しわけないのですが、もう一つ大臣、これは少し私もお聞かせをいただきたいのですが、いまの事前派遣防災派遣の場合のことは、この審議中にある程度明確にできたらしておいた方がいいと思っておりますから、御検討いただきたいと思います。  そこで次に、災害対策基本法の第八章、百五条の関係災害緊急事態の布告というのがございます。そしてまた、百六条は国会の承認及び布告の廃止ということがございます。この点は、基本法には挙がっておりますが、いま提案をされているこの法案には、これは特別立法でございますから抜いてありますね。しかし大規模地震が起きた、こういうことになりますと、この百五条、百六条の趣旨というものは生かされるものですか、どういうものですか。
  191. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 御説明するまでもないのですが、これは事前のことでございます。予知があって警戒宣言をするかしないか、こういうことでございますから、災害が起きて非常事態発生、そういうことで国民の権利義務に相当程度の影響を与える緊急措置実施ということになってくると、おのずから警戒宣言とは性格が違うと思うのですね。そういうことで、防災上の計画に従って地震防災応急対策を実施する、警戒宣言に伴って、あらかじめ作成された計画実施をする、警戒宣言ではそういう事態が起きてくるのですから、これは権利制限を行うことを予定しておるのとはちょっと違うんじゃないか。非常事態ということで、いろいろな物資の調達であるとかあるいはモラトリアムのようなことの必要性も起きてくるというようなことを予想したので、災害対策基本法の百五条の関係では布告ということです。こちらの方は、予知による事前措置をずっととっておるが、警戒宣言でいよいよ備えよということなんで、その違いだと思うのです。
  192. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 私は趣旨としては、言われるようなマグニチュード八で最大級の地震が起きたという場合には当然国会にも報告をされるでございましょうし、そういう運用のことについてお尋ねをいたしたわけですが、よろしゅうございますね。  時間もございませんから、恐縮でございますが、最後に一つ。  二次災害の問題について、特に関東大震災の経験もありまして、火災関係の防止対策というのはこれから相当重視をして対策を講じていかなければならぬと思っています。静岡県でも五十一年から四カ年計画で耐震性の百トンのタンクを四百基設置をしている。しかし、中都市以上なんです。二十万都市以上にしている。ところが、それ以下の人口のところは普通の四十トンタンクなんです。大都市の場合は、特に耐震性の貯水タンクというのは相当やらなければいけませんし、こういうタンクの設置なり可搬ポンプなどの設備なり、これはこの法案の趣旨にのっとって急速にまた整備をしていかなければならぬと思うのです。また、ガソリンスタンド——市中、町の中にあるこれらの防災対策あるいは都市ガスの防災対策、特に東京のような都市ガスというのはわりあいに設備も整っているし、防災措置も整っている。だが、地方は必ずしもそういう状況にないと私は思っています。遮断装置なり放散装置、あるいは導管だって必ずしもりっぱなものが入っているかどうか、基準もありますが、これは不十分ではないかと思うのです。いろいろなことを申し上げますが、プロパンガスでもいま地方では非常に普及しています。この間の伊豆大島近海地震が起きた途端に家庭の奥さん方が栓を締めたんですね。そのうちあわを食って四十四人がけがをしたということが報告をされています。しかし、このプロパンガスも、感震遮断器というのですか、早く開発をしてそういう装置をつくってくれという要望があるのです。いまいろいろつくられているのですが、こういうことについて速やかにやってもらいたいと思っているわけです。  防災、特に火災の対策について幾つかお伺いしましたが、ひとつそれぞれ簡単に御回答いただけませんか。
  193. 田中和夫

    ○田中(和)政府委員 特に地震による二次災害の火災が大変心配されるわけでありますが、それに備えて消防庁の方では百トンの水槽を可搬式動力ポンプ等とともに進めております。静岡の場合も大変御熱心でございまして、これは二十万以上の市に限りませんで、小さな市等についても整備が進んでおりますが、いままでに全国的には耐震性貯水槽が千九十三基整備されておりまして、それを五十三年度も三百五基、五十四年度以降もいまの計画としては一応六百六十基程度をさらに整備する考けでおります。今度の地震立法によりまして、ますますそういう要望もふえてまいると思いますので、さらに一層整備に努めたいと考えております。  それからガソリンスタンドとかあるいはプロパンガスの関係で、地震のときに大変危険が予想されるものにつきましては、今回の地震防災応急計画というようなもので、地震予知に伴うきめの細かい計画の指導をいたしてまいりたい、こう考えておるところでございますが、また、それを徹底させますために、消防の予防査察等で十分チェックもしてまいりたい、こう考えております。
  194. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 終わります。
  195. 川崎寛治

    川崎委員長 伊藤茂君。
  196. 伊藤茂

    ○伊藤(茂)委員 大規模地震対策法案につきまして数点お伺いしたいと思います。  特に私の方から大都市の中における大地震対策という視点でお伺いをさせていただきたいと思います。  まず第一に伺いたいのですが、先ほど自衛隊についてのお話もございましたが、大規模地震対策について非常に大切なことの一つは、市民の理解と参加をお願いする、また、そういう視点を重要視するということではないかと思います。市民の理解と参加があるとないとではまるで違った様相になると思いますし、いままでも必要性はあったわけですが、特にこの法案制定された後、そういう努力を大いに大規模に展開をされるということが大事ではないだろうかと思うわけであります。  具体的に三点お伺いしたいのですが、一つは、特にこの強化地域に指定された場所では、自治体の責任もありますが、国の段階でそういう啓蒙、啓発活動を強力に展開をするということが必要ではないか、また、そういう計画を持つことが必要ではないかというふうに思っております。  長官、こういうものがあるのですけれども、ちょっとごらんになってください。横浜でつくったのですけれども、小学校一、二年生用「じしんとわたしたち」。たとえば、さし絵になっていまして、学校で地震が起きたらどうしますか、廊下で起きたらどうしますか、運動場で起きたらどうしますか、うちでお留守番している場合にどうしますか、全部さし絵でかいてあります。同じように、一、二年生用、三、四年生用、五、六年生用、中学校用、高校用、先生用、家庭用と、これだけ出ています。私はこういうものを通じて本当に、はだについた地震対策が行われるということになると思うのですね。差し上げますから、ごらんになってください。  そういうものをやはり子供のときからよく知らしていく。子供さんがそれを持って帰れば家庭の話題にもなるわけですよ。一番最後には「保護者のみなさまへ」と書いてあります。そういうような努力を含めて、やはりお金もかかりますから、ぜひ国の責任も含めて大いにやっていただくということが必要ではないか。特に強化地域に指定されたところではそういう努力を一斉に開始されるということが必要だと思いますが、それが一つです。  それから二つ目には、やはりそういう問題も含めてさまざまな対策があると思うのですね。それは特に市民の理解と参加をお願いする、あるいは啓蒙、啓発活動という意味での総合的な、大がかりなプランをつくっていただいて実行したらどうだろうか。たとえば、これも地元の横浜の例を申し上げて恐縮ですが、十幾つかの行政区があります。区ごとに区民会議というものがございまして、二百名、三百名の代表が各界から出ていただきまして、日常のいろいろな議論をしています。私もしょっちゅう出席をいたしますが、防災問題、地震対策ということについての議論をいたします。また、そういう中で細かな分科会も持ちます。それでその分科会の中で、あなたのうちでは救急医療品をどれだけお持ちですか、二階に置いておりますか、下に置いておりますか、あるいは、二階からおりる縄ばしご、そういうものをどこに備えつけておりますか、あるいはプラスチックに入った水を買った場合に何年もちますかというようなことを含めて非常に細かい話をする。私はやはりそういう視点が非常に大事なんじゃないかというふうに思うわけです。  二つ目には、そういう大がかりな、しかも総合的なプランをつくって実行していただくということが必要だと思いますが、そういうことをお考えになっているかどうか。  それから三つ目には、住民の理解と参加をいただくという意味から申しまして、自治体とか町内会、それからもちろん消防団、いろいろなものを含めた理解の統一を図るということが私はやはり大変大事だろうと思います。そういう意味で基本計画強化計画がつくられた場合に自治体、地方議会でそれが報告をされて議論をされる、できたらそういう場で承認をするという取り扱いをしてみんなが責任を持ったプランにしていく、またそういうものを町内会システムとか、あるいはまた市民運動としてもやっていくという視点が大事ではないかと思いますが、その三つ、どうお考えでしょう。
  197. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 すべておっしゃることに全く同感でございます。大規模地震対策上、啓蒙活動あるいは教育、さらには訓練、こういう必要性は私も十分認めます。ただいま大変貴重な資料をいただきまして、これはこれからの地震対策の上で参考にさせていただきたいと思いますが、政府といたしましても現在、大都市震災対策連絡会議を持って、都市防災防災体制、避難対策、救護対策、情報通信対策及び研究の六分科会を設け、鋭意関係者によって連絡打ち合わせあるいは連絡調整に当たっておるわけでございます。  五十一年度の防災知識普及啓発事業実施状況など見ますと、毎週テレビ放送局を通じまして全国に向かって九つくらいのいろいろな形での放送をやったりいたしておりますが、そのことは別といたしまして、ただいまおっしゃいましたような地域地域の区民会議のようなもの、あるいは消防団等の理解を得る施策、さらには相当大がかりな演習の必要性、これは昨年富士市などで行いましたが、今年はこの立法後におきましては——なかなか東京での演習というのは交通規制などが伴いますので、計画を立てるのに非常に困っておったのでありますが、今度の法案の中にはそういう場合の交通規制もできるようにしていただいておりますので、ことしは九月一日を中心に東京でも相当規模の大きい演習を行いたいと思いますが、ただいま伊藤委員のおっしゃるとおりに努力をしてまいりたいと思います。
  198. 伊藤茂

    ○伊藤(茂)委員 前向きにお答えをいただきましたが、国あるいは自治体の強力な対策も必要ですが、基礎にはやはり自分たちの町あるいは自分たちの家庭をどうやって守っていくのか、あるいは自分たちの町の周りで避難場所はどこにあり、それから水はどこにあり、何かあった場合にどう対応できるかということを話し合う。特に大都会の中では、なかなか隣近所身近なコミュニケーションが薄いという残念な側面もこれは見逃すことができないわけです。そういう中で町を守るということですから、ぜひ理解と同時に市民参加の方向で、子供も含めてみんなが考えていこう、そういう中で対策がはだ身についていくというような努力を格段にお願いしたいと思います。  また、義務教育のレベルでもそういう冊子を自治体の負担で出しているわけですから、国の方でも全額とは言わぬでも応分の負担をもってそういうものをおつくりになる、そういうことができれば家庭の話題としても、国の対策も大変進んできたという評判になるのではないかと思いますので、ぜひやってください。  二つ目にお伺いしたいのは応急計画に関連をしてです。  民間その他の事業者、それぞれの機関の責任者計画をつくり、それを提出をしてということになるわけですが、それがばらばらにならないように注意をする必要があるのではないだろうか、できるだけ統一のとれたしかも十分強力な対策が、それぞれの責任も含めてつくられなければならぬだろうと思います。  そういう意味でちょっと心配なことが二つあるのです。一つは、各行政機関の指導の問題です。地震対策についても、タコの足の逆のように上の方が多いということが各委員から指摘をされてまいっているわけですが、そういうことを一元化をして、統一的かつ協力的な計画がつくられてくるということにするためにどうしたらいいのか。もう一つは、自治体レベルから大分指摘をされるわけですが防災事業についての法的な基礎、これが都市計画法、都市再開発法、土地区画整理法、建築基準法、住宅地区改良法、公営住宅法、道路法、都市公園法、河川法等々、個別にたくさん分かれているわけですが、やはり円滑に防災事業を進めるためにも、また強化計画あるいは応急計画をつくる意味でも、こういう事業計画などを一本化して計画が円滑に進んでいくことができるような方法を考える必要があるのではないかと思いますが、その二点はいかがでしょう。
  199. 四柳修

    四柳政府委員 前段の民間のつくります応急計画の整合性、特に各省庁の指導の統一の問題でございます。  私どもも、せっかくそういった計画をおつくりいただきますときに、中央防災会議あるいは国の段階地震防災基本計画はつくりますけれども、その計画を国でつくる段階から、やはり各省のそういった計画に御関係ある方々の御意見等も聞き、実態的には各省でそういった計画の具体的な御指導をいただきますときの、あるいはそれを受けて都道府県等が関係者に御指導いただきますときの各業種別と申しますか、それぞれの業態に応じました作成のマニュアルというものをつくっていただきまして、国の方は、そういった各マニュアルをつくる基準のマニュアルをつくるという形になりますけれども、個々の業態別のマニュアルは関係の方でおつくりいただいて整合性を保って指導できるように、こういうふうに考えてまいりたいと思います。  それから後段の、防災事業の推進に当たりましての法的な基礎、各般にまたがっておりますのを計画でより一本化にという御指摘でございますが、確かに法的に非常に各般にまたがっております。これらをすべて、この計画におきます地震防災上の強化計画の中に取り込むべきかどうかという問題はあろうかと思いますけれども、せっかくこの計画の中で防災強化計画をつくりますときに、やはりつくります主体は個々の地方公共団体でございますから、地方公共団体の次元で、いま御指摘のような各関係法令、各事業の整合性ですとか、そういったことをお考えいただきまして、それらを関係省庁の予算の配分なり事業の執行の面の方にも反映できますように各省庁の御協力をお願いいたしたいと考えております。
  200. 伊藤茂

    ○伊藤(茂)委員 関連して、あと二つお願いします。  一つは、いまも話がございましたような方向でなるべく一元的なあるいは整合性のあるプランをつくっていく、またつくりやすいようにしていく、その中で、国の基準よりも自治体の基準の方がずっと進んでいるところもございますし、いろいろございますから、たとえば神奈川なんかでも高圧ガス対策の基準とかを最近つくり直しましたが、進んでいるところはなるべくさらに進むようにというようなことも含めまして、やっていただきたいと思います。私は、そういうものについて適切な一定の時点でチェック機能、総点検運動といいますか、そういうものが行われるべきではないだろうか、そして市民の安全に対する信頼度を高めるということが必要だろうと思うのです。応急計画その他にしても膨大な数になるだろうと思うのです。何万というのか、十万近いといいますか、東京あるいは神奈川なんかを含めたら恐らく十万を超えるぐらいの件数になるのではないかという気がいたします。そういうものを全部整理するのも大変ですけれども、何か件数が多いだけに、適切な一定の時点に、もちろんそれのプランが出された後でしょうけれども、中央の方で、国の段階で旗を振って総点検運動をやる、そしてそういうものが市民の前にオープンになって、市民の信頼感が非常に高まるというふうなことが必要ではないかということが一つです。  それから、もう一つは、米軍の基地の関係で、たとえばコンビナート地帯の中に米軍の基地がある。または、私ども神奈川県は残念ながら日本第二の基地県でございまして、たくさんの施設がございます。そういう米軍基地とそれからその周辺のプランとの一元的な関連をどうつくっていくのか、また、そういう準備体制をどうつくっていくのかという問題です。たとえば、一つの例として、京浜工業地帯、鶴見の方に米軍の貯油タンクがあります。大きなタンクが幾つか並んでいるわけですが、その周りには民間の石油会社のタンクがずっとございまして、自治体の横浜市の方で、立ち入って共同で市民の安全性のために調査をしたいということで、大変苦労いたしまして、ようやく二回目が実現いたしました。やった結果は、非常にぼくは意味があったと思います。そういうことがいままでなされてきたわけですが、こういう大がかりな、しかも大変な緊急事態になったらどうするかという場合には、瞬間的にぱっと一斉に動くというシステムが必要だろうと思います。そういう意味で言いますと、米軍との関係、あるいはまた日米合同委員会かしかるべき分科会かなんかを通じて、そういうものがその地域一斉に一元的にきちんと動くというシステムをつくらなければならぬと思いますが、その辺の手配をどうなさっているのか、あるいはなさろうとしているのか、お伺いします。
  201. 四柳修

    四柳政府委員 前段についてお答えします。  確かに、御指摘のように、計画をつくっただけでは、やはり事態の推移に対して合わないとかあるいは近隣との整合性が欠けるとか、そういった点は心配として残ると思います。これらの点、御指摘のような総点検運動というものをどういう形で具体的にやるか、こういうお話だろうと思いますけれども、確かに、一つは、訓練によりまして、訓練をいたしますときにその計画どおりにやって支障があるかないかということのチェックをするという点があろうかと思います。それからもう一つは、現在の各省庁防災業務計画あるいは各地方公共団体の地域防災計画も、実はたてまえ上は毎年点検をいたしまして修正するようにという形になっておりますけれども、必ずしも十分でない点もございますので、それらの計画の点検、修正の中でいま御指摘がございました民間の計画との関連等もあわせて点検するような点につきまして、関係省庁ともどもやはり十分配慮してまいらなくちゃならないと考えております。
  202. 田中和夫

    ○田中(和)政府委員 先生御承知のように、基地の問題につきましては一般の国際法上の原則から駐在国の法令の適用がないこととされておりまして、在日米軍につきましても、日米安保条約に基づく地位協定においても特別の定めがありませんので、わが国の国内法の適用がないわけでありますが、しかし、いまお話のございましたような鶴見地区について、関係諸機関と十分連絡をとりながら、技術援助というような形でああいうことをいたしたわけでございます。その際、消防法とかあるいは石油コンビナート等災害防止法といったようなものも翻訳をいたしまして向こうに提示いたしましたり、日本の国内法にはこうなっておるのだ、そういうものを尊重してほしいという趣旨のもとにそういうものを提供もしたわけでありますが、今度の地震立法につきましても、そういうようなことで関係機関と十分連絡調整を図りながらやってまいりたい、こう考えております。
  203. 伊藤茂

    ○伊藤(茂)委員 いまの後段の問題はやはり関係周辺住民にとりましては非常に関心の高い問題ですから、この法案が実現をする時点かその直後にぜひ早急にその対策をやっていただいて、それで市民の前に明らかになっていくようにぜひお願いをしたいと思います。これは地元の町内会その他を含めた大きな世論でございますから。  次に、先ほど話題がございましたが、自衛隊のことについて若干伺いたいと思います。  一つは、この法案の十三条には「地震防災応急対策等を的確かつ迅速に実施するため」ということになっております。これについて、そういう防災救難という意味と同時に何か治安維持、秩序維持というふうな側面も含まれてこれがつくられているのではないかという疑問があるわけですが、その辺はそうではないというふうに明快に言えるのかどうかということが一つです。  それからもう一つ携行する器具、武器の問題。先ほど同僚議員の質問に防衛庁からお答えがございました。疑うわけではありませんけれども、聞いておりまして、通常携行しないことになっておりますと、「通常」とかと一言言われたのでもう一度念を押しておきたいのですが、まさかバズーカ砲を持っていくことはないと思いますけれども、カービン銃や何か、自衛隊員として最も身近の武器、そういうものを隊員が出動のときにそれぞれ携行して持っていくということはないだろうと思います。ただ、部隊とくっついた形でまとめてそういうものが運ばれていく。たとえばバスで十台並んだらその後にそういうものを全部含めた装備の車がついていくとかというような形で、手には持っていないけれども別に付属して動いていくというようなことがあるのかないのか、あるいはいずれの場合にも持たないということなのか、まくら言葉なしにはっきりとお答え願いたいと思います。
  204. 児玉良雄

    児玉説明員 お答えいたします。  地震防災派遣は各機関が実施いたします地震防災応急対策の支援をすることが目的でございまして、装備につきましても、その目的のために必要のないものは持っていかない方がその支援活動をするためにも実際上便利でございますし、またそういうものは必要ないわけでございますから、通常は持っていかないということでございます。現在の災害派遣の場合ですと、火器とか弾薬携行しない。ただし艦船とか航空機に搭載してあるものは別である。ただ、災害派遣の目的からして必要な場合には火器弾薬携行する、こういうような形で規定されておりますが、この場合の特別の場合というのは、火器とか弾薬というものを使わなければ、その災害派遣の目的を達成しない場合が予想されますので、そのような規定があるわけです。今度の地震防災派遣におきましては、部隊の持っていきます装備としては、防災応急計画実施の支援に必要な装備、それから地震防災派遣の最中に実際に地震発生した場合に災害派遣に必要な装備、こういうものは持ってまいりますけれども、小銃であるとか火器であるとか、そういうものは、地震がまだ起こっていない段階でございますので、必要がないというふうに考えております。それで持っていかないようになっております。
  205. 伊藤茂

    ○伊藤(茂)委員 自衛隊問題についてあと二つお伺いしたいと思います。  一つは、予知段階出動するということですが、地震の性格上、予知され、あるいは警報が出された場合でも、それがどこの地点で発生をするのか、あるいはどこの地点が中心になって大きな地震発生するのか、これはなかなかつかめない問題だろうと思うのです。ですから、実際問題としては待機ということになるのではないだろうか。たとえば練馬の基地に待機をしているとか、あとは国あるいは自治体との間の連携を密にしてというようなことで、実際問題として地震発生する前は、その性格上待機という段階にとどまるというのがまず常識で考えられることじゃないだろうか。それを超えて、たとえば事前にどこかの師団が川崎とか横浜とか大規模に移動して、五千人ほどどこかへ出ますと、かえって予知に関連をする社会問題を逆に引き起こすのではないだろうかという気がいたします。そういうことで、予知段階では現実には待機ということではないか、それをどうお考えになっておるかということが一つです。  それからもう一つは、現行の自衛隊の救難出動などについての規定がございます。またそれらについては、各自治体ともそれぞれ連絡をとって、相当きめ細かなプランがつくられているということだろうと思います。これも神奈川県の地震対策計画なんですが、非常に詳細に書かれておりますし、先ほど出た応急計画などについても相当の規模のものが出ておりますから、私は、こういうものをどう強化していくのかという観点で強化計画がつくられていくということではないかと思っておりますが、たとえばそれらの中で自衛隊の応援出動計画、それから陸上自衛隊、海上自衛隊ですね。それから、港の地域ですから、横須賀を含めた、もし万一の場合の米軍との連絡体制ということまで、全部電話番号から図解までして計画がつくられています。そういう中で、どういう場合にどの程度出動するか、出動された場合にはどこの部隊がどこに行っていただいてどういうことをするかということまで非常に詳細なプランができて、それぞれの当事者で打ち合わせができている。地図にも図解にも全部なっています。たとえばおととしの洪水の場合にもそういうことをお願いしたわけですが、私はこういうものが基礎にあってといいますか、こういうものがちゃんとあれば十分なんじゃないかという気がするわけです。  何といってもやはり各地域の事情が現実にわかるのは、自治体とその関係者ですからね。それをわからぬところが、上の命令で派遣をされてきて、上の命令で動いても混乱を起こすだけじゃないかという気がするわけです。なぜこれだけの計画があるのに、あるいはこれだけの計画がさらに整備されれば十分なんじゃないかという気がするわけなんで、どうして今回の十三条の規定がことさらに必要なのかという意味がよくわからないわけです。その辺をお答え願いたい。先ほど長官が、これらの計画については都道府県と相談をして決めることだ、ということを言われました。私は当然だと思います。私はやはりいま進めているそういう現実のプランを基礎にして尊重して、こういうものは進められるべきであるというふうに考えているわけですが、いかがでしょう。
  206. 四柳修

    四柳政府委員 いま先生が例に挙げられました神奈川の計画、私もそれを拝見いたしまして、実はそういったものが本来の現在の地域防災計画の中で、今度決めます地震強化計画という形で決まるわけでございまして、神奈川県はそこを先取りいたしまして、そういったことをおつくりになっているのだろうと思います。したがいまして、今後計画ができますと、関係県、市町村等でそういったものをおつくりいただくと思いますけれども、ただ、これはそのそれぞれの団体、地方団体がいわばそれぞれ関係の部隊等と御相談になっておつくりになったものでございまして、これを全国レベルといいますか、やはりマグニチュード程度の大規模地震が起こる、しかも比較的短期間に起こる危険性があるという状況におきますと、やはり関係地方公共団体も多うございますし、あるいは先ほど先生御指摘被害の見通し等につきましても、各県の計画等で御想定になっております標準的な場合と必ずしも一致しない場合もあろうかと思います。あるいは具体的に部隊等に御準備をいただきますときに、やはり先ほど防衛庁の御答弁にもございましたように、武器は携行しなくても、たとえば支援に必要な重機材でございますとかあるいは艦船でございますとかそういったいわば手足に当たる部分なり機材に当たる部分がどうしても必要でございます。これらは、関係県単独で申し上げますと、それぞれ期待するものを持っておりますけれども、これを複数の団体に一遍にやるという形になりますと、やはりそれらの整合性等を保ちまして、国の段階で各県の計画等も含んだ防衛庁計画等も十分調整いたしまして、それらをいわば調整を踏まえた事前の待機より一歩前進した形での危険地域への配備と申しますか、そういったような形まで必要ではないだろうかと考えておるわけでございます。
  207. 伊藤茂

    ○伊藤(茂)委員 その予知段階出動するというのは、待機にとどまるのじゃないかということはいかがですか。
  208. 四柳修

    四柳政府委員 これは具体的には各地方団体のそういった計画防衛庁がおつくりになります防衛庁防災業務計画の中での地震強化計画とのすり合わせによりまして幾つかの場合を想定いたしまして、それぞれの場合におきましてたとえばいま先生御指摘のような待機という段階もあるかもしれませんけれども、その置かれた状況が、たとえば交通路の確保が非常に困難であるとかあるいは季節的な特殊事情があるとかいろいろな条件下の場合には、単なる待機では間に合わない危険性もあるいはあるんではないだろうか、そこら辺は今後の計画のすり合わせの段階で幾つかの場合を想定して決められることだろうと考えております。
  209. 伊藤茂

    ○伊藤(茂)委員 次に、財政措置についてお伺いしたいと思います。  この神奈川県の計画も評価していただきましたが、実は去年からことし地震対策に五倍予算をふやしているのです。これはやはり市民の安全を守るために、予算を思い切って五倍ふやすというふうな努力が自治体ではとられているということなんで、国の段階でも、財政状況は非常に厳しいわけですが、そういう大英断措置があるべきではないだろうかというふうに私は思うわけです。  そういう気持ちを持ちながら三つお伺いしたいのですが、一つは、先ほどお話もございましたが、予知体制強化、私は技術的に困難性があるというよりも、財政上、資金的な面も大きいというのが現実ではないだろうかというふうに思います。たとえば萩原参考人からお話がございましたまず百億程度必要だ、これらのことは五十四年度、要するに今年度補正あるいは五十四年度中には必ず実施をするようにいたしますということであるのかどうかということが第一。  それから第二に、防災事業への国費の増額あるいは起債枠の拡大、補助率のアップ、その他いろいろな対策が必要だろうと思います。いずれにしても金がかかることですけれども、金のかからぬ防災事業というものは現実にはないので、そういう面では特別の対策がとらるべきではないか。現状では公害対策の特別の補助率あるいは起債の特例などにほとんど準じた状況だろうと思います。特にそういうものについては大都市について特別な対策がとられるという必要があると思いますが、それらのことをどうお考えになっているかということが二つ目です。  それから三つ目に、計画的にプランをつくっていくという必要があるだろうと思うのです。取りまとめに当たっている国土庁の方で、大蔵省の財政事情その他の話もあるでしょうけれども、やはり今後の地震対策、そしてまた市民の安全を守っていくということにふさわしい計画というものはどうつくらるべきなのか。国の予算だって毎年書きかえる紙っぺらと同じような財政試算をつくっているわけですから、それと同じであっては困りますけれども、何か青写真ぐらいは一遍出して、これぐらいのことは必要なんだということを言ってやられる。それで、災害対策特別委員会、各賞みんなでこれを支援をするとかいうぐらいのプランづくりがあるべきではないかというふうに思うわけでございまして、その面は大いに応援しますから、その三つをお答えください。
  210. 末広重二

    末広説明員 御説明いたします。  予知を目的といたしました観測体制を格段に職化せよという御激励をいただきまして感激しておる次第でございます。ただ、これは五十二年から三年にかけましても四〇%以上の格段の伸び率で査定と申しますか予算案をつくらせていただいたわけでございまして、今後もこういった気持ちで予知観測体制強化していきたいと思います。  ただ、ぜひ御理解いただきたいと思いますのは、やはり器械をつくりまして、それを設置いたしまして有効な観測をして、それを防災に役立つ予知情報に結びつけていくということでございますので、単年度に非常な何百億というお金を出したからそこですぐその効果がはね返るというものでは必ずしもございません。ある程度着実な伸びという、あるいは着実な研究、勉強ということも踏まえてまいりませんといけないわけでございまして、できるだけの観測体制強化は図らせていただきたいと思っております。
  211. 柏谷光司

    ○柏谷説明員 先生の御質問になった第二の点と第三の点についてお答えいたしたいと思います。  第二の点につきまして、これは防災関係で起債あるいは補助金、融資等いろいろな諸措置を講じてほしいという点でございますが、補助につきましては、先生御承知のとおり、今回の大規模地震対策特別措置法の第二十九条においてはっきり明記しております。この点につきましては、実は従来から私ども防災措置が重要であるということは十分わきまえておりまして、そのために避難地、それから避難路、それから消防用施設等の防災設備の整備については所要財政措置をとっていたわけですけれども、今回新たに立法化いたしまして、この点につきまして地域の実情に応じた適切な対処が可能となるように図っていきたい、そう思っております。  それから、第二の点で先生御指摘になった起債の点でございますけれども、起債の点につきましては今回の大規模地震対策法でも何ら規定がございません。規定はございませんですけれども、従来から防災に必要な施設については起債を認めておりました。たとえば防災の無線とか備蓄倉庫、あるいは避難用の緑地等について認めておりました。この点につきましても、実は現在の公害とほぼ同じような取り扱いではないか、そう思っております。  それから、第二の点で、たとえば政府関係機関の金融等どうかという話があるかと思うのでございますが、その点につきましては従来から実は安全対策のための開銀融資を認めております。たとえばビルの防災、それからコンビナートの防災というようなこと、それから高圧ガスの保全対策のための融資を認めております。この点につきましても、これもまた新たな要件がございましたらその段階で検討したい、そう思っております。  それから、先生の御指摘になった第三の点でございますが、何かプランを立てて考えてはどうかということでございますが、この点につきましては、私ども大蔵省というのは査定官庁でございまして、国土庁とか関係省から予算要求のあった段階で十分協議して考えていきたいと考えております。
  212. 四柳修

    四柳政府委員 最後の点につきましては、先に査定側から御答弁申し上げましたけれども、御案内のように現在の政府のいわゆる各種の災害対策につきましては、災害対策基本法の第九条の規定によりまして、毎年度のいわば白書というものを国会に御報告申し上げております。そういう中では過ぎ去った年の実績と新しい年度の予算を中心としました計画を申し上げておりますけれども、そういうものではなくて、予知防災もひっくるめて強化地域についての青写真をと、こういう御指摘だろうと思います。私どもも力強いお話をいただきますけれども、せっかく地域指定がございまして、関係団体あるいは各省庁の業務計画、さらには関係地域の民間の強化計画とそれぞれの計画が積み上がってまいります過程を見ながら、御指摘のようなあるべきものと、もう一つはその中でどういう順序でやるべきことなのか。特に伊藤先生が冒頭におっしゃいましたこれらの仕事をやりますときには、やはり何といいましても市民の理解と参加というものがなければ実はできない問題だろうと思います。そういう市民の理解と参加をいただくためのPRあるいはそれらの進め方等も、せっかくの宿題といたしまして私どももそれらのプランづくりを検討させていただきたいと思います。
  213. 伊藤茂

    ○伊藤(茂)委員 時間ですが、恐縮ですけれども、簡単にもう一つだけ。  技術開発の問題です。これはたとえば大都会の中では膨大な地下街の問題なんか非常に大きいと思うのです。どんどん広がってまいりますから、お店はきれいですけれども、中を歩いていたらやはり現実には迷路と同じだと思います。これも横浜の消防局が開発をいたしまして、震度四になったら自動的に作動するようなテープレコーダーを設置いたしまして、ダイヤモンド地下街とか、震度四になったら、いま地震が起きております。皆さん冷静に対応してください、出口はどうなっていますからこの目印を見て動いてくださいとかという装置なんかつくっておりますが、私はやはりそういう努力がいろいろなところであるのだと思いますけれども、商店街の皆さんや出入りする皆さんからもやはり安心していただくような技術を開発していただく。  それからもう一つは、たとえば火の関係で石油ストーブの対震装置条例ということは大分進みました。ただ、プロパンとか都市ガスとかというようなものはどういう装置ができるのかなかなかむずかしい面があります。それから、コンビナートでも、そこから出てくるタンクローリーとかタンク車とかというなかなかむずかしい面があります。これからやらなければならぬと思いますけれども、それらのことについてやはり関係の業界の協力も得て、石油なんかは大変差益が上がっているところですから少しお互いに金を出して、そしてそういう面での技術開発を積極的にやっていくということをお願いしたいと思いますが、そういう手配についてお考えだけ最後に伺っておきたい。
  214. 田中和夫

    ○田中(和)政府委員 地下街の構造の強度といいますかの面では余り問題がないと一般に言われておりますけれども、しかし、出火しなくてもパニック状態が起きるというような問題もございます。地表におりますよりは非常にこわい感じを受けるというようなことで、そういう避難誘導というようなことが大事なことになるわけでございますけれども、そこで、どこからでも三十メーター以内で出られるような出口が設けられていなければいかぬとか、あるいは停電した場合の非常用の照明設備とか、あるいはその他、共同防火管理体制、いろいろな店舗がありますから、共同防火管理体制整備しろとかいうようなことで、いろいろ指導もいたしております。また、特に煙の問題等につきましては、排煙設備を義務づけましたり、あるいは消防用のいろいろな設備について耐震性のものでなければいかぬというような義務づけをいたしましたり、また、とにかく火が出ないようにということで、いろいろ可燃物等について不燃化する、燃えないようなものを使わなければいかぬとかいうようなことで、あるいは火気の使用を制限したりというようなことでやっておるわけでございます。  いまお話のございました、そういった横浜でございますかの地下街の例等もお話しでございますので、そういった点についても、今後十分研究をいたしまして、もっとみんなが安心しておれるような、より以上の安心感が持てるような地下街への努力をいたしてみたい、こう考えております。  その他、いろいろお話がございました、コンビナートの問題、プロパンガスの問題その他も、今度の地震立法を契機といたしまして、大いに改善をすべきところは改善する、検討すべきところは検討してまいりたい、こう考えております。
  215. 伊藤茂

    ○伊藤(茂)委員 時間が超過いたしまして済みませんでした。
  216. 川崎寛治

  217. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 大規模地震対策特別措置法案について、国土庁長官並びに関係省庁当局に質問いたします。  大規模地震対策特別措置法の目的、第一条に、「この法律は、大規模地震による災害から国民の生命、身体及び財産を保護するため、地震防災対策強化地域の指定、地震観測体制整備その他地震防災体制整備に関する事項及び地震防災応急対策その他地震防災に関する事項について特別の措置を定めることにより、地震防災対策の強化を図り、もって社会の秩序の維持と公共の福祉の確保に資することを目的とする。」こういうふうに規定づけられておりますが、まず冒頭お伺いしたいことは、大規模地震とはどの程度を指すのか、お答えをいただきたいと思うのです。
  218. 四柳修

    四柳政府委員 この法律におきましては、マグニチュード程度地震を一応想定しております。
  219. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 この大規模地震対策特別措置法案を実効あるものにするためには、全国レベルにおける地震予知体制の拡充強化が大前提となるわけでございますが、本法案では、第三十三条、「科学技術の振興等」において国の義務を抽象的に規定しているだけであり、何ら予算措置規定されていないわけでございますけれども予算措置を講ぜずしていかにして具体化するか、問題であると私は思うわけでございます。本法提案に当たって、全体的な予算の内容はどうなっているか、まず明らかにしていただきたいと思うのであります。
  220. 末広重二

    末広説明員 御指摘のとおり、予知を目的といたしました観測体制が整いませんことには、これに対応する防災はできないわけでございますが、昭和五十一年、閣議決定によりまして内閣に地震予知推進本部が設置されまして、これが一種の推進母体となりまして、観測を主体とした地震予知へ向かって強力に施策を推進していくということが行われております。  予算の方でございますが、五十三年度におきましては約五十億弱の予算がお認めいただけたわけでございまして、これは前年度に比べますと四〇%近くの伸びでございます。もちろんこれで必ずしも十分というわけではございませんが、この法案の施行の暁には、さらに対策強化地域を含めまして、より一層の観測強化へ向かって施策が前進するものと思っております。
  221. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 国土庁長官、いまの件については先ほど私もちょっと私的に話をしておきましたが、これらが一番問題だと思いますけれども大臣はどういうふうにお考えですか。
  222. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 予知関係経費はもとよりのこと、震災対策全般的に予算の裏づけを十分していく必要があると思います。私の手元にある資料からいいますと、五十一年、五十二年、五十三年と、比較的順調に予算は伸びております。五十二年度の総額四千三百八十二億円、五十三年度は五千九百十億円と、こういうことになっておりますが、今回の大規模地震対策特別措置法によりまして、先ほど大蔵当局からも御説明がありましたように、この対策に必要な補助などにつきましては、事業計画が確定いたしますれば、関係省庁より予算要求をいたしまして、全体の予算規模というものもありましょうが、われわれとしては地震対策の必要な予算について強く要望してまいりたいと思っております。
  223. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 言うまでもなく、現行の地震予知推進本部では不十分な体制でありますが、この際、防災上は十八の省庁に分かれておりますし、また六省庁にまたがる予知体制になっておりますけれども、これも過般当委員会で私も指摘いたしたところでございますが、本法提案に当たって、どうしても私は一元的に整備すべきではないか、かように考えるわけですけれども、本法審議に当たり、この点についてもあらためて国土庁長官見解を伺っておきたいと思いますが、どうですか。
  224. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 おっしゃっておるそういう考え方というものは、対策を立てていく場合に必要なことであると思います。  従来、災害全般としては中央防災会議対応しておりますし、また、大規模地震につきましては、大規模地震としての対策要綱もありまして、連絡会も持って、でき得る限りの一元的な施策を講ずるようにしてまいっておるわけでございます。  予知関係については、いろいろ問題として取り上げられますが、マグニチュード八を予想する東海大地震の問題につきましては、東海地域の判定会を設けて、そこでこの観測体制強化するし、一切のデータをその判定会は一元的に把握しておると思うのです。また、このことは同時に、気象庁に対してあらゆるデータが総合されておると申し上げてよろしいのでありまして、したがって、現在、御指摘になりましたような各省庁にはわたっておりますが、東海地震に対してはどうかといえば、一元的にあらゆるデータがそろっておる、こう申し上げてよろしいと思います。
  225. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 この問題はいろいろ検討を要すべき問題をたくさん内蔵しております。ただいまの大臣の答弁ではわれわれ納得できませんけれども、時間の制約がありますし、また同僚委員からもさらに質問が続けられますから一応お聞きしておく程度にとどめますが、将来の問題として十分検討していただきたい、かように思います。  次いで、今日大都市地域で大地震発生すれば被害は想像を絶するものになることは、もうわれわれも十分わかっております。特に過密地域や工場地帯においては二次災害による被害が大きいことは言うまでもございません。したがって、地震に強い都市構造に改めることが不可欠でございます。しかるに、本法案では肝心の建築物の耐震不燃化または都市構造の防災化に関する条項が欠落しておる、こういうふうに私は見ておるわけでございますけれども、少なくとも本法案に基づいて地震防災対策強化地域に指定された場合、その地域内の住宅建設や都市整備に関しては効果的な誘導策が必要ではないかと考えるわけであります。たとえば、耐震不燃構造の住宅建設には住宅金融公庫の融資額の上積みや金利の引き下げ、都市施設整備を行う地方公共団体への国庫補助率の引き上げなど優遇措置が当然必要ではないかと思いますが、この点についてはどういうふうに検討して本案の提出に及ばれたか、お答えをいただきたい。
  226. 四柳修

    四柳政府委員 御指摘の点、先ほど来御審議、御議論いただいている点でございますけれども、やはり基本的には、御指摘のように震災あるいは災害に強い町づくりというものも一つの大きな課題だろうと思います。そのために従来からも都市計画事業あるいはその他の事業で各種の事業を進めてまいり、あるいは関係住宅等の改良につきましても何らかの融資措置等はしてまいりましたけれども、この法律制定によりまして、強化地域が指定され、関係地域のいろいろの計画をつくっていく状況等を見まして、既存の各種の施策に基づきます予算、資金等の重点配分はもちろんのこと、さらにそういった点につきましての追加要望等もそれらの需要なり事業の確定を待ちまして措置をしなくちゃならないと考えております。  基本的には、それらの計画はさることながら、実はそれらの計画実施いたしますときに、関係地域住民の御理解と御協力がなければ都市改造というものもなかなか進みません。そこら辺の点をこの地域指定との絡み上どういうふうにより強化していくか、そのこともあわせて解決いたしませんと、せっかく御指摘のような財政措置はいたしましても事業が進まない、そういった点もあろうかと思いますから、それらの点をかれこれ勘案いたしまして、それらの事業が円滑に進むように検討してまいりたいと思います。
  227. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 本法案では、マグニチュード八以上の地震を大規模地震と位置づけて予知を想定しておられるようでありますが、現在の技術ではこれが限度なのか、これをもっと拡充して、たとえばマグニチュード六以上とか枠を広げて別のランクを設け、注意報ぐらいは出せるように二段構えはできないものか、伺いたいわけでございます。  たとえばマグニチュード六の程度でも徴候があらわれるとも言われておりますし、マグニチュード七の伊豆地震でも、ある程度徴候はわかっていたというふうに事後に言われております。さきの伊豆地震後にパニック騒ぎがあって、体験した住民の七割の方が、予報が外れても情報は多いほどよいと答えておるようにわれわれも受けとめておりますし、また静岡県で実施した世論調査においても、警報について、たとえ外れることがあっても積極的に出すべきだと答えた人が七九・二%いたというふうに報道されております。このような関係地域住民の意向を十分勘案して、こういった二段構えの注意報というようなことは考えられたいのか、御検討いただきたいと思うのですが、その点についてお答えをいただきたい。
  228. 末広重二

    末広説明員 御説明申し上げます。  私どもの現在の技術では残念ながらマグニチュード八ならば、相当な観測体制をしけば防災に結びつく地震予知情報がつかめるというところまでやっと来たわけでございまして、やはり法律に裏づけられたような防災ということになりますと、その出発点になります予知情報に相当の確度がないと混乱がかえって起きるかと存じます。先生御指摘マグニチュードたとえば六でございますが、これはマグニチュード八に比べますとエネルギーでは千分の一という小さなものになってしまうわけでございまして、私どもの現在の技術では、こういった地震の起きる可能性があるのかないのかという情報あるいは前兆現象事前につかむということは、残念ながら非常にむずかしゅうございます。したがいまして、これに対して注意報を出すということは、防災対応という観点からいたしましても、残念ながら非常にむずかしいかと存じます。
  229. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 今回の本法案では、首相は気象庁長官からの予知情報に基づいて警戒宣言を出し、その情報内容を公開することになっております。伊豆大島近海地震静岡県下に流された余震情報が大きな混乱を生じた例があるわけでございますけれども、首相の警報となれば影響力は格段に大きいし、また、空振り、すなわち外れるということもあり得るわけでございまして、情報パニックのおそれも起こり得ることは当然考えられます。  そこで、情報内容についてはわかりやすく、しかも正確にどう伝えるかが大きな課題となってくると思うが、この点はどういうふうにお考えであるか、また、たとえば住民心理への影響等を考えて、社会心理学者などの意見を十分考慮に入れ具体策を練るべきである、こういうふうにも思っておるわけですけれども、この機会にこの点もあわせてお伺いをしておきたい。
  230. 四柳修

    四柳政府委員 御指摘の先般の伊豆大島近海地震余震情報騒ぎにつきまして、私どもも非常に貴重な体験を積んだと考えておりまして、今回の法律におきましても、警戒宣言内容なりその伝達ルート等につきましてもこの経験を踏まえて、決してそのような混乱が再び生じないように措置をしてまいりたいと考えております。  具体的には、一つは、やはりそういった情報伝達ルートというものを一元化してはっきりしておく。これは具体的には国から県へ、県から市町村へ、市町村から住民へという形と、もう一つは、国の段階報道機関の御協力を得て、ラジオ、テレビ等を通じまして、関係地域はもちろんのこと、全国に対する広報といいますか、そういった点が緊急時の問題としてあろうかと思います。これらにつきまして、たとえば社会心理学的な検討云々という御指摘がいまございましたが、私どもの方も報道機関と十分周到な事前協議をいたしまして、たとえばテロップを出す場合でも、あるいはラジオ、広報車等で内容を繰り返す場合でも、どういう表現で、どういう時間間隔で、どういう表示をしたらば間違わずに徹底できるのか、そういった具体的な用語なり、そういったものの表示の仕方までも、できれば関係者といろいろ協議をし、それらを一つのマニュアルという形で決めておきまして、できれば関係報道機関がすべてそのマニュアルどおりにやっていただく。報道機関によって報道内容が違うということはこれまた混乱の一つの原因になろうかと思います。やはりそういうことを事前関係者と十分検討しておきたい。そういったものを準備しておきまして、これらを住民に対しまして機会あるごとにある程度伝えておく。その伝えたものを現場の防災担当者住民等と一緒になりまして訓練をしてみる。そういったものの過程の中から、やはり御指摘のような間違いやすい点を直していくとか、そういった繰り返しによりまして御指摘のような心配を再び重ねないように十分配慮してまいりたいと考えております。
  231. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 この防災対策に対しても急を要する課題が多いわけですが、これまた国土庁、建設省にお伺いしますけれども、石油化学コンビナート、超高層ビル、大地下街、高速道路、地下鉄などは本当に安全であるかどうか、また避難広場や避難道路はいざというときには果たして本当に役立つかどうかというようなことなんかも本法審議に当たっては当然問題となるわけであります。住民の非常な不安を抱えておる問題等でございますので、このような都市の耐震防災対策に本格的に取り組まなければ、大地震対策法といってもこれは絵にかいたもちになるということで、われわれは指摘せざるを得ませんが、この点についてはどういうような対処方針でお考えであるか、お答えをいただきたいと思います。
  232. 四柳修

    四柳政府委員 御指摘のように単に計画をつくっただけではだめだということで、それが実施に移されます場所、特に大都会におきましては危険なものがいっぱいございますし、あるいは建築物につきましても新建材等によりましていろいろの二次災害の心配等もございます。それらの点につきましては、基本的には大都市震災対策推進要綱におきましてこれらに対します都市の対災環境整備ということを基本方針として定めまして、これに基づきまして都市の再開発事業あるいは各種の防災事業等を推進してまいりましたが、決してそれだけでは十分ではないと思います。やはり今後ともこれらの問題につきましてより一層、この法律制定を機会に全力を挙げて取り組んでまいらなければならないと考えております。  とりわけこの法律におきましては、強化地域に指定されますと、その中で緊急に整備を図る必要がある各種の事業、いま御指摘の各種の避難施設等でございますが、これらを地震防災強化計画の中で定めることになっておりますが、その計画を定めます際にいま御指摘のような安全性の再点検ですとかあるいは各施設の今後の整備の問題ですとか、そういった点につきましても関係省庁ともども十分指導してまいりたいと考えております。
  233. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 次に、気象庁長官による地震予知情報の報告の問題について一点お伺いしておきたいのですが、承るところによりますと、政府がいま考えておられるところでは、内閣総理大臣による強化地域の指定は静岡、愛知、山梨、神奈川西部、四県というように承っておりますけれども、まだ決定したわけじゃないことも十分承知しております。南関東は検討中であるということのようでございますが、いずれにしても内閣総理大臣警戒宣言を出すに当たっては、テレビ、ラジオ等でいろいろ具体的なことを気象庁長官にやらせるということになろうかと思いますが、第九条でこういったことが規定されております。地域住民等への公示、応急対策をとるべき旨の通知というようなことを県知事に出すということですが、私思うのに、内閣総理大臣警戒宣言を出すについては、閣議を開いて決めるということになると思います。閣議を開くと、少くとも最低二時間ぐらいかかるのじゃないか、そうなればかなりおくれてしまう、こういうように思うのです。緊急な場合こんなことでいいのか、こう思うのですけれども、どれくらい時間がかかるのか。少なくともスピーディーであることが大前提であるし、体制は大丈夫か、こういうように思うのですけれども、この点について政府の見解をお聞きしておきたい。
  234. 四柳修

    四柳政府委員 閣議につきましてのタイミングという御指摘がございますけれども、現実の警戒宣言が出されますまでのタイミング等考えてみますと、先般の御質疑の中で御答弁申し上げましたように、東海地域の判定会が開催されますのが、異常を発見してからほぼ一時間前後ということが標準的な時間でございます。その後、十五分ないし二十分によりまして判定結果が出、それが気象庁長官から内閣総理大臣に報告されますのが大体九十分前後だろうと思います。そこからいま御指摘の問題がスタートするわけでございますが、実は判定会が招集されましたという事実が、その前に、ほぼ一時間前にわかっております。そこの段階から防災側もある程度スタンバイの態勢に入るかと思います。そのことによりまして関係閣僚等の所在等も明らかにし、でき得れば主要閣僚等の御参集も必要かと思いますけれども、なおかつ間に合わない場合とか、より緊急の場合には持ち回り閣議等もございますし、実は先般の伊豆東海沖の地震に際しましての非常災害対策本部の場合も、これらの手続を非常に簡略化いただきまして、約二、三十分でできますものですから、相なるべくはそういった御心配のないように、やはり日ごろから一つのマニュアルを決めて検討してまいりたいと思います。
  235. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 第十二条に本部長の権限が規定されて、その第一項に、警戒本部の本部長は、地震防災応急対策等を的確かつ迅速に実施するため特に必要があると認めるときは、関係指定行政機関の長、関係地方公共団体の長、関係指定公共機関等に対し、必要な指示を行うことができる、二項に、本部長は、地震防災応急対策を的確かつ迅速に実施するため、自衛隊の支援を求める必要があると認めるときは、防衛庁長官に対し、自衛隊の部隊等の派遣を要請することができるということでございますが、われわれ関東震災その他をずっと見ましても、大地震が起きた場合には、必ずそれに付随してパニック状態が起き、騒乱状態が起きてくることが当然考えられます。いわゆるこの本部長の権限の発動によってはいろいろ危険も伴うわけですけれども、そういった場合に自衛隊出動となると治安出動につながらないかというようなことが懸念されるわけですけれども、この点は本法提案に当たって当局はどういうふうに立法の精神を考えて提案されたか、お答えをいただきたい。
  236. 四柳修

    四柳政府委員 いまお尋ねの点、実は出動いたします防衛庁側から御答弁いただく点かもしれませんけれども、私ども出動を要請いたします防災側から申し上げますと、ここにございますように、それぞれの団体等で事前につくりました計画によります地震防災応急対策を一斉に的確にやっていただく、このためにはいわば計画外の人の力もかりなければ間に合わない、機械も借りなければ間に合わない、しかもそれが非常に広い地域にわたって一斉に準備が必要になる、そういうことで自衛隊の支援をお願いするわけでございまして、その際の装備等につきましては、先般来防衛庁側から御答弁申し上げておりますように、現在の訓令等も検討いたしまして、原則として必要のない武器は携行しないということでございますから、その限りにおきましては御心配のような点はなかろうかと考えております。
  237. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 何せ厳しい時間の中での質問でございますので、端的に問題点指摘して申し上げますので、簡潔にひとつお答えをいただきたいと思います。  私、本法が提案されるに当たっていろいろ検討してまいりましたが、大地震が起きた場合に消防庁と警察がどういう連携をとるのか、また組織的にはどういうふうに考えておられるか、この点もひとつ明らかにしてください。消防庁。
  238. 田中和夫

    ○田中(和)政府委員 消防も警察も人命、財産の安全の任に当たっておるわけでございまして、常日ごろいつも協調体制をとってやっておるわけでありますが、この地震の場合には特にそういう必要が強かろうかと思います。消防機関の側といたしましては、防災活動が常備消防と消防団と両方で担当するわけでございますが、消火活動等はもちろんのこと、住民の避難誘導あるいは情報伝達あるいは救急救助の活動といったようなことに当たるわけでございますが、特に警察との関連が深いと思われますのは、住民の避難誘導といったようなこと、あるいは大きな火災等が発生いたしました場合の警備と申しますか、消防は消火活動に当たる、警察の方で交通規制その他いろいろな対応をするというような、これは常日ごろの防災活動についてもそうでございますけれども地震の場合にはなおさらのこと緊密な連携をとってやっていかなければならぬ、またそういうふうになるだろう、こう考えております。
  239. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 大地震が起きた場合には在日米軍の基地等にも地震災害が及ぶことも当然考えられる。そういった場合には在日米軍が出動する場合もあるだろうし、また基地内の地震災害の際は在日米軍基地に対して警察、消防、自衛隊、いずれがその救援活動に入るのか、それらの点はどういうふうに検討しておられるか、詳しいことは時間がないので申し上げませんが、ひとつ端的にお答えをいただきたい。
  240. 田中和夫

    ○田中(和)政府委員 先生御承知のように、外国の駐留軍隊につきましては、一般の国際法上の原則で駐在国の法令の適用がないということになっておりまして、したがって日米安全保障条約に基づく地位協定においても特別の定めが現在はありませんので、国内法の適用は一応ないということでございますが、しかし、いまおっしゃいますような事態の場合は特にそうでございますが、災害予防に関する措置等につきまして日本の国内の法令を尊重してもらう、いろいろ災害予防に対する措置について配慮してもらうということは当然なことだと考えておりまして、関係機関と十分連絡調整を行いまして、いままでもそういう連絡調整をとってきたわけでありますが、今後も十分連絡をとりながら対処してまいりたい、こう考えております。
  241. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 大地震によって米軍の基地等の被害が起きた場合に、これに対してわが国は損害の補てん等をやるのかどうか、その点はどういうふうに検討して本法を提案されたのか、そういう点も明らかにしていただきたい。
  242. 田中和夫

    ○田中(和)政府委員 私どもはその点については承知いたしておりません。
  243. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 この点も十分ひとつ検討していただきたい問題であります。  次に、天皇陛下、宮家及び内閣総理大臣、政府高官は、災害があった場合はヘリコプターで脱出して避難をさせる、こういうふうに言われておりますけれども、これはどこへ避難させるのか。そういう点は起きてみなければわからぬのかどうか。なぜかなれば、やはりこれは大事なことでございまして、避難した場所における警備態勢その他、大変なことがまた起きてくるわけで、ただ避難させて置いておけばよいというものではございません。そういったことはどういうふうに想定しておられるのか、新聞報道でもいろいろ取りざたされておりますが、この機会に明らかにしてください。
  244. 四柳修

    四柳政府委員 ただいま御指摘の点は、一部の新聞に出ました防衛庁防災業務計画におきまして発災時の検討事項として検討中のものが記事として一つ出たのだろうと思いますけれども、具体的には発災時の問題としまして関係省庁ともども今後検討してまいる問題とは思いますけれども、いま具体的にどこと言われましても、場所として申し上げる点はないと思います。
  245. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 これは何も新聞に出たとか防衛庁がいるかいないかではなくて、櫻内国七庁長官も大閣僚の一人として、起きた場合にはこれは当然考えるわけですから、ほっておくわけにはいきませんからね。この辺は十分銘記して、また事前に場所を言っておくと、いろいろまた問題が起きるというのであれば、十分そういったことを対策としてとっておかなければ、いいかげんなことはできません。そこの場所へ警備態勢をしがなければ、ただ置いておくだけでは大変なことになりますから、成田空港でさえもああいう問題があるわけですから、その点も本法提案に当たって国会議員が指摘しておかなかったら、こんなことも審議してなかったかということで、これは片手落ちになるので、私はいまはしょって質問しているわけですけれども大臣、その点十分頭に入れて検討してもらわなければいかぬと思いますが、どうですか。
  246. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 先般来、この特別措置法によって南関東をどうするかという問題につきましては、いずれ中央防災会議の検討を経て考えたい、こういうことを申し上げておるわけであります。今度の措置法で事前措置をいろいろ講ずる中に、地震防災強化計画あるいは地震防災応急計画の作成をすることになっておりますが、それらの計画の中で、ただいまお話にありました主要な地位にあられる方の避難についてはどうするかということにつきましては、その計画の場合に考慮されるべきものであると思います。
  247. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 時間が迫ってきますのでいろいろ詳しくは質問できませんけれども、実際にはそういう場合にはヘリコプターは何機準備してどういうふうにするのかということを考えねばなりません。そういったことも十分対策の中に入れておかなければ共倒れになる、大変なことになると思うので、そういったことを含めて今後の検討課題として十分検討を進めていただきたい、こういうふうに申し上げておきます。  次に、これは通産省にお尋ねしておきますけれども、さきの伊豆大島近海地震によって持越の鉱滓堆積場の堰堤が決壊して、猛毒のシアンを含む鉱滓が多量に流出した事件は各方面に大変な問題を投げかけたわけであります。私も二回にわたって現地を調査いたしましたが、この静岡県天城湯ヶ島町の中外鉱業株式会社持越鉱業所のヘドロの堰堤の調査結果はどうなったのか、この機会に明らかにしていただきたい。通産省の基準どおりにつくらたていたのかどうか、また通産省の基準どおりであれば、基準が甘かったのであるから全面的に見直す必要がなかったのか。また通産省の基準どおりであったならば、そういう構造であれば、同鉱業所の責任だけではなく、これは通産省の検査方法に問題がある。いずれにしても国の責任は免れないと思うのでありますけれども、この調査結果はどうなりましたか、ひとつこの機会に明らかにしてください。
  248. 檜山博昭

    ○檜山説明員 御説明申し上げます。  事故原因調査につきましては、御承知のように持越鉱山堆積場事故調査委員会を設けましてここで検討してまいっておりますが、現在、ボーリングにより採取された試料の解析、地震動の解析等を行っておりまして、このデータを得次第、専門委員会の審議を重ねて事故原因を解明することとしています。  なお、この事故原因の解明の問題で、第二の御指摘の点、堆積場の基準についての問題でございますけれども、これはまだいまこの調査委員会が原因究明をやっておる状況でございますので、基準どおりにつくられていたかどうか、あるいはその他この委員会において明らかにされるのじゃないか、かように考えております。したがって、御質問の基準の見直し責任の所在等につきましては、結論を待って改めて判断したい、こういうふうに考えております。
  249. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 調査が遅い。もっと急いで的確にやっていただきたい。  同時に、全国にはこの十万立方メートル以上の鉱滓堆積場だけでも約二百カ所もあるわけであります。当時、私もずいぶんこの問題については指摘をしたわけでありますが、早急な総点検、チェックを実施すると約束されたわけですけれども、どのように進めておられるか、これも簡潔にお答えください。
  250. 檜山博昭

    ○檜山説明員 御説明申し上げます。  御指摘のように全国には二百以上の堆積場がございますが、これにつきましては総点検を現在進めているところでございます。四月十五日現在の実施状況でございますが、約八〇%のものについて現地調査が終了し、現在監督局部においてその結果の審査を行っておるところでございます。また、残りの二〇%の分でございますけれども、これらは北海道あるいは東北等積雪地方に存在するために実施がおくれておりまして、融雪を待って早急に実施したい、こういうふうに考えております。
  251. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 時間がいよいよなくなりましたので、あとまとめて三点お尋ねしますので、簡潔にお答えしていただきたいと思う。  運輸省、国鉄の関係ですけれども、五十三年二月二十日宮城沖地震の際に、同県北部で建設中の東北新幹線の高架橋のとめ金部分が次々に壊れ、致命的な打撃を受けたわけです。震度六まで耐えられるような設計をされておったにもかかわらず、震度五でこういうような事故が起きたということはわれわれも大変なショックを受けました。これはどこに原因があるのか。東北、上越についてはとめ金を総点検することになっておりましたけれども、東海道新幹線についてはどうなっておるのか。線路等の構造対策等についても心配ないのか。私たちは、震度四で自動的に東海道新幹線はストップするように聞いておりますけれども、とまるまでに九十秒はかかるということが言われております。そうすると、その間約二十本が走行している。余り具体的に言うと国民もショックを受けますので、この程度にしておきますけれども、その点十分対策を講じてもらわなければ困りますので、その点簡潔にお答えください。  次に、宮城沖地震で、これは建設省でございますが、さきの東日本一帯を襲った地域地震で、震度四の仙台を中心にしたところの東北各県でビルの窓ガラスが割れたということが起きました。この大量のビルのガラス割れによって、これが凶器になりましてけが人が続出したわけでございます。これまでにもこんな大量のガラスが割れたケースは余りないわけで、建設省でも大変ショックを受けたようでありますが、調査したのか、原因はどうなのか。私は、現在、高さ三十一メートル以上の高層ビルについては、大地震が起きても窓ガラスが脱落しないよう、ガラスの型枠自体も一緒に動くように建築基準法で義務づけられておることを承知しておりますが、問題は三十メートル以下の古いビルで、東北の事例のように、昭和四十年以前に建てられたいわゆるはめ殺しという一枚のガラスの固定窓型式で、同型のビルは東京など大都市には無数にあります。これは今後の都市防災上問題であると思う。このようなビル構造の欠陥について見直し、対策をどう考えておるか。  最後に、これは国土庁ですが、津波対策でこれもぜひ聞いておきたい問題でございますので、簡単にお伺いしておきます。  東海大地震の際に想定している地震が起きた場合に、約四分後に第一波が来る、十分後に第二波が来るということになっておりますが、第二波の方が第一波よりも被害が大きいことはもう皆さんもよく御存じのとおりであります。現実問題として十分後に避難できる体制など組めるのか、津波対策をどう考えておるか、私はこれを大変心配しているわけです。フィリピンのミンダナオ津波が死者数千人を出した。かつてはチリ地震、また山陸沖においては地震の際には船が陸に上げられたというようなこともあります。そういったことで、これについても本法審議に当たってぜひ聞いておきたい問題でございますので、時間も参りましたが、ひとつ各員の協力を得ましてその三点について各関係省庁から、簡潔で結構ですから最後にお答えいただいて、質問を終わりたいと思います。
  252. 江本佑橘

    ○江本説明員 宮城沖地震被害の原因という御質問でございますが、これは二月二十日のマグニチュード六・八という地震でございます。それによりまして古川付近から一関付近までの約六十キロ区間の高架橋に被害が出たわけでございます。  それで、この地震の特徴は、内陸部に非常に大きい被害が出ているという点、それから土構造よりもむしろ強いと思われたコンクリート構造あるいはスチールの構造に被害が多く出たということで、非常に特徴的な地震じゃないかと思います。そういうことで内陸部の被害が多かったわけでございますが、その付近は地盤が非常に複雑でございまして、それに地震波形が非常に短くて衝撃的であったということと相まって、設計で考えられた設計条件以上の力が加わった、それによって破壊したものというふうに推定しております。  以上でございます。
  253. 野沢太三

    ○野沢説明員 東海道新幹線の問題についてお答えいたします。  東海道新幹線につきましては、過去に十九回ほどの震度五の地震をすでに経験しておりますが、鉄げた等を多用しております関係もありまして、今回の東北新幹線のような事故は発生しておりません。  なお、山陽新幹線についても同様な構造になってはおりますが、比較的地盤も安定しておりますこともございまして、この種の事故はございませんが、ただ、同種の構造となっておることもございますので、今後東北新幹線の技術的な検討が進みましたならば、それらの結果を踏まえまして対処を進めていきたいと考えております。
  254. 大田敏彦

    ○大田説明員 仙台の地震のビルの窓ガラスの破損についてでございますけれども災害がございまして、早速私どもの建築研究所に命じましてその被害の原因、状況を検討させました。その結果は先生御指摘のとおりでございます。確かに、はめ殺し窓で古いパテのものが壊れておりまして、通常の開閉ができる窓にはそういった損害は余りございませんでした。そういった古い建築物と申しますと、主に昭和三十五年から四十年ごろにできたビルでございますが、確かにそういうものがございます。最近の工法ではそういうことはないようでございますので、そういった古いビルに対してどういった措置をすればいいか、対象のビルはどういうものをとらえたらいいかということを、都市計画全体あるいはビル、そういうことをあわせ考えまして、建築研究所等と一緒になりましていま対策を練っておる最中でございます。結果が出ますれば必要な措置を講じてまいりたい、このように思っております。
  255. 四柳修

    四柳政府委員 東海地震の震源の予想域は駿河湾の中に入っておりますものですから、御指摘のように、地震発生すれば駿河湾の沿岸地域にはきわめて短時間に非常に大きな被害をもたらす津波の来襲が予想されます。このため、この地域では強化地域の指定を行う際に津波の危険地域というものを明らかにして指定し、あらかじめ定められました安全な避難地へ緊急な集団避難ができますよう、市町村地震防災強化計画の中でも定めておく、あわせてこの計画どおりの訓練をしておきまして、万一宣言が発せられました場合に、市町村長等の指示によりましてできるだけ速やかに集団避難をする、こういうことを考えております。
  256. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 以上で質問を終わりますが、時間が少し経過して恐縮でした。各員の協力を心から感謝します。ありがとうございました。
  257. 川崎寛治

    川崎委員長 次回は、明十九日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後七時二十一分散会