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1978-04-13 第84回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年四月十三日(木曜日)     午後三時二十一分開議  出席委員    委員長 川崎 寛治君    理事 有馬 元治君 理事 志賀  節君    理事 高鳥  修君 理事 矢山 有作君    理事 湯山  勇君 理事 広沢 直樹君    理事 渡辺  朗君       小島 静馬君    後藤田正晴君       佐藤  隆君    斉藤滋与史君       谷川 寛三君    津島 雄二君       原田昇左右君    森   清君       伊藤  茂君    池端 清一君       渋沢 利久君    渡辺 芳男君       瀬野栄次郎君    古川 雅司君       薮仲 義彦君    津川 武一君       永原  稔君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (国土庁長官) 櫻内 義雄君  出席政府委員         国土庁長官官房         長       河野 正三君         国土庁長官官房         審議官     四柳  修君         消防庁次長   田中 和夫君  委員外出席者         防衛庁防衛局運         用課長     児玉 良雄君         科学技術庁研究         調整局生活科学         技術課長    清水 眞金君         国土庁長官官房         震災対策課長  城野 好樹君         通商産業省立地         公害局保安課長 水野  哲君         気象庁観測部参         事官      末広 重二君     ————————————— 委員の異動 四月十三日  辞任         補欠選任  平石磨作太郎君     薮仲 義彦君     ————————————— 四月六日  大規模地震対策特別措置法案内閣提出第七三  号) 同月十二日  吾妻一切経山火山活動に伴う災害恒久対策に  関する請願(天野光晴君紹介)(第三一一七  号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  大規模地震対策特別措置法案内閣提出第七三  号)      ————◇—————
  2. 川崎寛治

  3. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 ただいま議題となりました大規模地震対策特別措置法案につきまして、提案理由及びその要旨を御説明申し上げます。  御承知のとおり、わが国世界有数地震国として幾多の大地震に見舞われ、多くのとうとい人命財産が失われております。  このような地震災害から国土と国民を保護するため、政府といたしましては、災害対策基本法に基づき、防災基本計画作成し、防災体制の確立、防災事業促進等に努めてきたところであります。  この間において、地震予知につきましては、最近の科学技術の進歩と調査研究積み重ねにより、その水準も向上してきておりますが、この地震予知情報を有効に生かして、地震災害防止軽減を図るためには、大規模地震発生した場合に著しい被害の生ずるおそれのある地域地震防災対策強化地域として指定し、地震観測体制整備を図るとともに、地震予知がなされた場合において国及び関係地方公共団体その他の関係者が迅速かつ適切に地震防災応急対策実施し得るよう、あらかじめ地震防災計画作成する等地震防災に関する事項について特別の措置を定めることにより、地震防災対策強化を図る必要があると考えられます。  以上がこの法律案を提出する理由であります。  次に、この法律案要旨を御説明申し上げます。  第一に、内閣総理大臣は、大規模地震発生するおそれがあり、地震防災対策強化する必要がある地域を、中央防災会議諮問し、関係都道府県知事意見を聞いた上で、地震防災対策強化地域として指定することとしております。  第二に、強化地域指定が行われた場合には、国は、計画的に地震観測体制充実強化を図るとともに、国、地方公共団体等は、中央防災会議が策定する地震防災基本計画に即して地震防災強化計画作成し、警戒宣言が発せられた場合に講ずべき地震防災応急対策のほか避難地避難路等施設整備防災訓練強化等について定めることとしております。また、不特定多数の人が出入りする施設その他地震防災上重要な施設管理者等は、地震防災応急計画作成しなければならないこととしております。  第三に、内閣総理大臣は、気象庁長官から強化地域において大規模地震発生のおそれがある旨の地震予知情報の報告を受けた場合に、地震防災応急対策実施する緊急の必要があると認めるときは、閣議にかけて、警戒宣言を発するとともに、関係機関都道府県知事等に対して地震防災応急対策を講ずべき旨を通知することとしております。  第四に、警戒宣言が発せられると、総理府に地震災害警戒本部を設置し、その本部長には内閣総理大臣が当たることとしております。  この本部長関係行政機関地方公共団体等実施する地震防災応急対策について調整指示をすることができるほか、これらの地震防災応急対策を支援するため自衛隊の派遣を防衛庁長官要請できることとしております。さらに関係地方公共団体におきましても地震災害警戒本部を設置し、地震防災応急対策等実施とその連絡調整等を行うこととしております。  第五に、内閣総理大臣から通知を受けた関係地方公共団体は、その情報関係者に伝え、避難指示等必要な措置をとることとするとともに、地震防災応急計画を定めた管理者等は、それぞれ地震防災応急対策をとらなければならないこととしております。これらの管理者等計画どおり対策実施しなかった場合には、市町村長等は、所要要請、勧告、指示を行い得ることとしております。さらに、一般住民市町村長等の行う地震防災応急対策協力するよう定めております。  第六に、以上のほか、避難等を円滑に行うための交通規制等地震防災応急対策を円滑に実施するために必要な措置、平素における地震防災訓練実施地震防災強化計画に基づく事業に対する財政援助等所要措置につき規定いたしております。  以上が、この法律案提案理由及び要旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。     —————————————
  4. 川崎寛治

    川崎委員長 これにて提案理由説明は終わりました。
  5. 川崎寛治

    川崎委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  ただいま提案理由説明を聴取いたしました本案につきまして、来る十九日、東京大学理学部教授浅田敏君、東北大学理学部教授鈴木次郎君、静岡県知事山本敬三郎君、日本放送協会報道局次長土屋興三君、以上の四名の方々参考人として出席を求め、その意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 川崎寛治

    川崎委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  7. 川崎寛治

    川崎委員長 大規模地震対策特別措置法案について、これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので順次これを許します。原田昇左右君。
  8. 原田昇左右

    原田(昇)委員 私は、自由民主党を代表して、政府提案の大規模地震対策特別措置法案主要項目について質疑をいたします。  わが国世界有数地震国であって、有史以来数多くの地震に見舞われ、多くのとうとい人命財産が失われているのであります。しかしながら、地震災害に対しましては、これまで発生後の対策しか措置し得なかったと言っても過言ではないと思います。  ところが、近年、地震学者など先人の努力積み重ねがようやく実を結んで、地震発生予知について可能性が出てきたと言えるのであります。一昨年の東海大地震説を契機として、国民地震に対する関心も高まりを見せ、政府も、東海地域中心とする地震予知観測体制整備に力を入れ、昨年には、同地域における地震発生可能性について専門家の立場から判定する組織の発足を見たことは承知しております。  わが自民党は、このような事態を踏まえまして、政調会地震対策特別委員会を設け、予知防災体制整備推進してまいりましたが、なかんずく法的制度につきましては試案を取りまとめ、関係各省検討方を要望してまいりました。また、静岡県を中心とする全国知事会におきましても、地震対策立法早期制定について強く要望してまいったところであります。  これらの要望を受けて、今回政府が、国土庁中心に本法律案をまとめられたことはまことに時宜に適したものであり、その御努力を高く評価するものであります。  まずこの法案のねらいは、地震発生予知することによって、それに即応した事前の対応策をあらかじめ定め、その対応措置を講ずることによりまして、地震災害発生とその被害軽減を図ろうとするところに主な眼目があるように見受けられますが、その場合の対応措置地震予知確度に左右されるところがきわめて大きいと考えられるわけであります。そこで、この本案前提となる地震予知の確実さについて、どのような認識のもとにこの立法をされたか、国土庁長官にお尋ねいたします。  また、本法案では大規模地震予知するとされておりますが、その規模はどの程度のものを想定しておられるか、マグニチュードどの程度のものであるか、あるいはマグニチュード七とか八とか、いろいろあると思いますが、その辺の規模についてどういう想定をしておられるか、お伺いしたい。  さらに、直下型について考えますと、特に東京のような過密地帯での地震に対しては、規模マグニチュード程度のものであっても相当大きな被害をもたらすものと考えられますが、こういったものについてもどういうように考えておられるか、あわせてお伺いしたいと存じます。
  9. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 地震予知技術に関する研究観測体制整備は、昭和三十九年に測地学審議会地震予知研究計画について建議して以来、鋭意その推進が図られてまいった次第でございます。観測強化地域におけるマグニチュード八前後の大規模地震については、あらかじめ観測集中強化を図ることによりまして、その前兆現象をとらえることができる段階に達しておりました。それが今回の特別措置法予知情報についての前提になった次第でございます。  なお、直下型マグニチュード程度の場合について御質問がございましたが、現在の技術水準では、マグニチュード程度以下の地震については、その予知技術はなお研究段階にあって、ある程度確度をもって予知できる段階には至っておらないと思うのであります。  ただ、私ちょっとつけ加えさせていただきますと、ある地域マグニチュード八である、しかし、震度がそれによって七とか六とか五とかいうような地域がずっと影響しているわけですね。したがって、マグニチュード程度のものを予知することによって、その周辺におけるいろいろな被害に対応することはできると私は思うのです。
  10. 原田昇左右

    原田(昇)委員 次に、地震予知水準を上げるためには、地震予知に関する研究推進すること、同時に地震予知のための観測体制整備充実を図ること、これが必要だと思うのでありますが、特に現在の体制では、いまお話し測地学審議会、そういったところで建議が行われておるわけですが、また近く第四次の建議が行われると聞いております。さらに、地震予知推進本部というものも現実に設立されておるわけですが、これをどういうように関係づけてどういうようにおやりになるのか、科学技術庁にお伺いしたいと存じます。
  11. 清水眞金

    清水説明員 お答えいたします。  わが国地震予知につきましては、いまだ開発あるいは研究すべき部分がかなり多く残っておりまして、そのために予知技術につきましても、完全に確立されたという段階にはいまだ至っておらないわけでございます。したがいまして、予知を行うためには、大学とかあるいは国の多くの研究機関におきまして、それぞれの業務に密着した形で、特色を生かしたいろいろな研究及び観測が行われている、これが現状でございます。したがいまして、そのための地震予知推進につきましては、測地学審議会計画もと地震予知推進本部を設けまして、ここが中心になって連絡協議を行い、大学を含めた多くの機関の連携、協力を図って進めておるわけでございます。そのもと研究観測強化とか、あるいはデータの収集とか、常時監視体制充実、さらには昨年には、いわゆる東海地域判定会設立等を行ったということで、実質的な、一体的な地震予知推進を行っているというのが現状でございます。  今回の特別立法におきまして、いわゆる予知現実に行うという予知実施体制につきましてかなり明確にされたわけでございますが、すなわち地震予知研究とか観測成果を踏まえまして、長期的にはいわゆる大規模地震発生するおそれが特に大きいと認められます地域につきまして、中央防災会議諮問して、強化地域指定が行われる、さらに短期、直前の予知情報につきましては、気象庁長官が判断して総理大臣に報告するというふうな新たな体制ができたわけでございます。したがいまして、これに見合ったような、今回のこの法案によって明らかにされたこのような新しい事態に対処いたしまして、より一層効率的に予知技術実用化推進しなければならないというふうな事態を迎えておるわけでございますので、特にこの予知等を担当いたします機関がよりやりやすいように、かつその関係機関の一層の緊密な協力体制を組めるような機関、あるいはその制度検討すべきではないかということで、現在既存の機関のあり方、そういうものにつきまして再検討を加える必要があるのではないかというふうに考えておるわけでございます。したがいまして、現在第四次の地震予知計画の立案が行われておりますので、その審議を進めておられます測地学審議会とか、関係方面意見を十分に聞きまして、推進本部において現在検討を進めておるところでございます。
  12. 原田昇左右

    原田(昇)委員 いまの御説明、わかったようなわからないような御説明なんですが、強化地域指定して計画的な観測測量実施強化を規定しているのが第四条だと思うのです。そのためには、まず観測体制計画的な強化こそ必要ではないかと思うのです。果たしていまの体制で十分かどうか、予知体制の一元化をすべきであるという世論もあるわけです。そういうことから考えまして、国が地震予知観測について体制を整えて観測を行うことに全力投球をやらなければいかぬ時期ではないかと私は思うのです。それによって初めて民間協力が得られるのじゃないかと思うのです。  そう考えてきますと、この条文では四条にちょろっと書いてある。この程度で果たしてやれるかということも含めまして、この点は政府によほどの決意でやっていただかなければならないと私は考えておる次第でございますので、いまの答弁では必ずしもはっきりいたしませんが、御答弁は結構ですから、とにかくこれについてはよほどの決意と新しい考え方で予知体制整備推進していただきたいということを要望しておきます。  次に、対策強化地域の予定としてどういう地域が取り上げられるのか、またその指定はどうして行われるのか、さらに、先ほど申し上げました東京のような過密地帯はどういうように考えておられるのか、国土庁にお伺いしたいと思います。
  13. 四柳修

    四柳政府委員 この法律が施行されますと、直ちに内閣総理大臣中央防災会議に御指摘対策強化地域指定諮問を行います。その場合に、中央防災会議は、地震学者等専門家から成ります専門の部会を設けまして、大規模地震発生するおそれが特に大きい地域について調査審議する。しかも、その地域で大規模地震が生じた場合に著しい被害が生じる地域、こういう限定があろうかと思います。その結果、地域の範囲の答申がございます。その答申を受けまして、総理大臣は、関係都道府県知事からその管轄する都道府県の区域につきましてどういう状況かということの状況の聴取をしまして、当然のことながら、知事市町村長の方の意見を聞きまして地域指定をする形になろうかと思いますが、現在の段階では、いまの観測強化地域でございます東海地域あるいは南関東につきましても、その諮問の結果、そのような危険性がある場合には指定の対象になろうかと考えております。
  14. 原田昇左右

    原田(昇)委員 それでは強化地域指定されますと、第四条で観測体制について計画的整備をするとか、常時観測実施とか、それから観測測量強化ということが行われるわけですが、一体、いまお話しのこの東海地域観測体制整備計画についてどのようにお考えになっておるのか。これは気象庁あるいは科学技術庁か、適当なところで答えていただきたいのです。  同時に、いま強化地域指定されない地域について、やはり観測体制整備していかなければならないと思うのですが、これについてもどういう方向で考えておられるか、科学技術庁だと思うのですが、お伺いしたいと思います。
  15. 末広重二

    末広説明員 御説明申し上げます。  ただいま御指摘東海地方並びに南関東は、数年前にすでに地震予知連絡会観測強化地域指定されておりますので、特にこの二つの地域は重点的に観測強化をいままで図ってまいりました。特に大規模地震発生可能性指摘されております東海地方でございますが、これは特にいままでも強化度合いが進んでおりまして、それを踏まえまして、すでに昨年四月に判定会が発足したわけでございます。今後、御審議願っておりますこの法案が施行されるようなことになりますれば、一段と責任が重くなるわけでございまして、その点をすでにある程度考慮に入れまして、ただいま測地学審議会の方で、東海地方に対して格段の観測強化をするよう建議の案が練られつつあると伺っております。  五十三年度はすでにいま申し上げたようなことを踏まえまして相当の観測強化が図られますが、五十四年度以降もこの測地学審議会建議を受けまして、推進本部で十分御検討いただいて観測強化実施していきたいと存じております。
  16. 清水眞金

    清水説明員 御質問は二つあったと思いますが、一つは、強化地域に関する観測をどういうふうに行うかという点でございます。これは、いま気象庁末広参事官の方から御説明のございましたとおりでございますけれども、強化地域に係る観測網整備につきまして、いわゆるその強化地域に係る予知情報を出す責任が新たに気象庁の方にかかったわけでございますので、そのところからの要請もとに、関係機関連絡協議をしながら計画的な整備を進めていきたい。これまでにもずいぶんいろいろな整備をしてきたわけでございまして、そういうふうな成果を受けて今回の法律が立案されたというふうに考えておるわけでございます。  その整備の具体的な進め方につきましては、今後の問題でございますけれども、緊急の度合いに応じまして、各機関分担等を明らかにして、計画的に進めるということになると思いますけれども、現状では関係する機関もかなり多いことでございますので、お互いに十分連絡協議しながら、統一のとれた形で整備を進めていきたいというふうに考えるわけでございます。  それからもう一つ、御質問で、強化地域以外の地域につきましてどうかという御質問があったと思いますが、今回の法案におきましては、内閣総理大臣中央防災会議諮問いたしまして、大きな地震が起こるかどうかを長期的にある程度判断する。それに基づいて地震防災対策強化地域指定するわけでございますけれども、このための検討の材料となるように、十分全国的な観測とか測量を行う必要があるわけでございます。そのために、今回の法案におきましても第三十三条において、広く全国のいわゆる地震に関する観測とか測量施設等整備を進めるというふうなことが決められております。したがいまして、この趣旨にのっとって、全国的な観測及び測量強化を従来にも増して強力に進めていくということになると思います。
  17. 原田昇左右

    原田(昇)委員 次に、強化地域について作成されます地震防災基本計画地震防災強化計画、それから地震防災応急計画と三つありますが、これはどういう内容計画作成されるのか、具体的な例を挙げて御説明願いたいと存じます。  また、その場合、特に民間に対して作成を義務づけられる地震防災応急計画ですが、その具体的な作成指導方針について、具体的にひとつわかりやすく伺いたいと存じます。
  18. 四柳修

    四柳政府委員 防災基本計画でございますが、法案にございますように、国の地震防災に関する基本的方針という形で、いわば国の基本的姿勢なりあるいは対策として優先的に実施すべきものといったもの、あるいはどのような体制でこれを進めるのかといったようなことが基本的事項だろうと思います。  さらに、地震防災強化計画及び地震防災応急計画基本となるべき事項をやはり国の基本計画で示すことになっておりますが、その場合も、それぞれの計画におきまして重点を置くべき事項、あるいは特に留意願いたい点とかそういった点が中心になろうかと思います。  二番目に、強化計画でございますが、六条の一項、二項、各号がございますけれども、いま具体的にというお話でございましたから具体的な例も若干引きながら申し上げますと、たとえば六条一項の場合に、警戒宣言が発せられた場合にとらなければならない具体的措置につきまして、予知情報を具体的にどういう方法により、だれに、どういう分担で伝えるのかといったようなことが中身になろうかと思います。  六条一項第二号でいろいろ書いてございますが、例示のような避難路避難地あるいは消防施設給水設備防災無線あるいは備蓄倉庫等強化地域におきますそれらの施設恒久的整備計画といいますか、そういったものが考えられます。  六条一項三号でいろいろなことが書いてございますが、具体的な例にございますように、防災訓練実施の問題ですとか地震に関します知識の普及、啓蒙の問題ですとかいうことが考えられます。  それから第三に、民間がつくります地震防災応急計画内容ということでございますが、具体的には各施設によって内容の違いがあろうかと思いますけれども、共通の問題としましては、市町村から受けます地震予知情報、それの部内への伝達ですとか部内での教育訓練の問題ですとか、そういったものがあろうかと思います。あと個々施設によりまして態様はいろいろ差がございますが、不特定多数の方々がお集まりのところの場合には利用者等避難誘導の問題ですとか、一般的にはそれぞれの施設防災要員の確保の問題ですとか、消火用施設整備の問題ですとか、さらには第二号にございます各種の防災拠点の問題でございますが、それらにつきましてはそれぞれの保安上の具体的な措置の問題ですとか、いろいろなことが考えられるかと思います。それぞれのものにつきまして各号の施設に該当しますように、関係省庁ともよく協議いたしまして具体的なマニュアルをつくりまして、そのマニュアルでそれぞれの施設管理者等がチェックをしていただきまして記入していただくような指導を、関係省庁あるいは都道府県等を通じてお願いしたいと考えております。
  19. 原田昇左右

    原田(昇)委員 通産省はどうですか。
  20. 水野哲

    水野説明員 お答えいたします。  私のところは火薬類取締法高圧ガス取締法、それに石油コンビナート等災害防止法、この三つの取締法を所管いたしておりますが、たとえば火薬類取締法につきましては、火薬類は非常に危険でございますので、昔から災害防止に関しましてきめ細かい規制をいたしております。それで、現在二十八条に危害予防規程という規定がございまして「製造業者は、災害の発生防止するため、危害予防規程を定め、」「認可を受けなければならない。」こういう規定がございます。この危害予防規程で何を定めるかということでございますが、現在のところいま御説明がありました全体的な方針の中で規定することにしておりますが、具体的には、たとえば警戒宣言が発せられた場合の保安要員の緊急招集及び緊急配備に関する事項、それからその次に爆発、発火等災害を引き起こすおそれのある工程についての設備の緊急停止態勢に関する事項、それから警戒宣言下における操業のシステムといったことも検討しております。それから、特に一番危険なのは製造中にある火薬類でございますが、この火薬類の取扱方法、その他各事業所の実情に応じてきめ細かに規定をさせるということを考えております。
  21. 原田昇左右

    原田(昇)委員 この点はぜひ具体的にわかりやすく指導するようにお願いしておきます。特に通産省の場合、それぞれ個別法規でやるわけでございますので、自治体等との連携プレーがなかなかうまくいかない面もかつてありましたから、特にこの点作成指導について強力な指導を要望する次第でございます。  次に警戒宣言についてでございます。警戒宣言が発出される前提となります気象庁長官情報でございますが、気象庁長官はどのような内容を得たときに首相に報告することになるのか。そしてまたその場合、判定会のようなものを設けておられるように聞きます。私はこれは非常に大事なところだと思うのですが、予知判定委員会というのを法制化したらどうかという意見もあるくらいでございますが、この点についてどういうようにして、つまりどういう内容情報を得たときに首相に報告するのか、どういうようにしてそれを気象庁長官が判断するのか、伺いたいと思います。
  22. 末広重二

    末広説明員 御説明申し上げます。  具体的な手順といたしましては、先ほど来御説明ありますように、各種の観測東海地方で今後も強化されると思いますが、現在も行われておりまして、それが気象庁に集中されております。これを常時監視、つまり私どもが寝ずの番で見張っておりまして、ある一定の異変が発見された場合には直ちに判定会長に御報告して、判定会を開くという決断が下りますと、委員の先生方に御参集いただいてその異常のデータを御検討いただく。そしてその判定会の結果が大規模地震の前兆であるという判定が下りましたならば、気象庁長官はこれに基づきまして、恐らくホットラインのようなものが設けられると思いますが、総理大臣にその旨を御報告するわけでございます。  それから判定会の法制化でございます。これは昨年四月発足したばかりでございまして、現在うまくいっておりますけれども、現時点では、やはり学者の先生方には学問的良心に基づいてほかのものに煩わされないで自由な御判断をいただき、その後は私どもが行政的責任を持って行動するというのが最善と思いますので、法制化を急がなかったわけでございますが、今後技術の進展等を踏まえまして、立法化の必要その他を検討してまいりたいと思います。
  23. 原田昇左右

    原田(昇)委員 観測に異常が発見されてから報告までの所要時間、また警戒宣言が出されるまでの所要手続とそれに要する時間について簡単にお答え願いたい。
  24. 末広重二

    末広説明員 御説明申し上げます。  異常発見は直ちに行います。これはもうしょっちゅう見張っているからでございます。  次に、判定会の会長に御報告して、それでは判定会を開けという御判断が下るまでに約十五分程度、そして判定会委員の諸先生に物理的に気象庁へ御参集いただくのに約一時間、そしてその異変のデータに基づいて御判定願いますが、これは決して小田原評定にはならないと思います。判定会の先生方の御意見ではせいぜい十五分か二十分で決断を下すということでございまして、異変発見から首相に御報告するまで約一時間半前後の時間で、業務と申しますか事柄が進展すると思っております。
  25. 四柳修

    四柳政府委員 ただいま判定側からの手続に要する時間等の説明がございましたが、これに対しまして防災側でございますけれども、先ほどの判定会が招集されたという段階から防災側の方は内内の通知を受けましてスタンバイの体制に入ります。それから判定会が開催されている状況によりまして、それぞれの関係者が集まりまして、総理の御報告をいただく段階では、日中でございますと大体めどが立ちますけれども、夜の場合ですと、地方等の場合には一時間以上かかるのじゃないかと思いますが、できるだけ防災側としましてもそういう対応ができますよう準備したいと考えております。
  26. 原田昇左右

    原田(昇)委員 閣議にかけてやるということになっておりますが、そんな間があるかどうかということも心配なんですが、いかがですか。
  27. 四柳修

    四柳政府委員 判定会が開催されましたという段階、つまり三十分でございますけれども、その段階で内々の御通知をいただきますものですから、物理的には参集が可能でございます。最悪の場合には電話等の持ち回りによりまして処理できると思います。
  28. 原田昇左右

    原田(昇)委員 それから、情報の伝達ルートと具体的な発表の方法についてであります。つまり、この前の伊豆地震のときM六程度とかいうのが住民にいろいろ誤り伝えられたわけですが、こういうことではちょっとまずいと思うのです。もう少しわかりやすい方法をぜひ考えていただき、それから伝達ルートについてもしっかりしたものをわかるようにしておいていただきたいと思うのです。これについては要望にとどめておきます。  次にお伺いしたいのは、空振りになったとき一体補償等についてどう考えておられるか、これについては特段の規定はありませんけれども、お伺いしたいと思います。
  29. 四柳修

    四柳政府委員 この法律におきましては、それぞれの地震防災応急対策というものをそれぞれの責任者が規定の計画に基づきましてとるという仕組みをとっておりますものですから、たてまえ上は、大変表現が悪うございますけれども、かねて覚悟した災害がなくて幸せだったというお気持ちでやはり御対応いただきたいと考えております。
  30. 原田昇左右

    原田(昇)委員 それでは次に移りまして、自衛隊の防災派遣についてでございますが、治安出動と混同されるおそれがないように明確にお聞きしたいと思います。  本部長要請することになっておりますが、その理由、それから防災派遣で自衛隊が果たす役割り等について防衛庁並びに国土庁長官のお考えを伺いたいと思います。
  31. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 マグニチュード程度地震という場合は恐らく地方公共団体、各県にまたがるものであると思います。そういう行政区域が非常に大きい関係がありますから、この法案では警戒本部長になられる内閣総理大臣が自衛隊の出動を要請する、こういうことにいたしたわけでございます。  それから、この自衛隊に何を期待するか。それはあらかじめすでに強化地域指定されておりまして、強化地域で防災関係機関が各種地震防災応急対策実施する場合にこれを支援していただく。たとえば正確な情報の収集とか、車両、航空機による広報活動の支援、緊急物資や応急人員の輸送等が考えられる次第であります。なお、地震防災強化計画において関係各省庁、関係都道府県等と十分調整することにより、具体的にどのような支援活動を行うかを定める予定にしております。  予知情報があって警戒宣言を行って、そして時間的に非常に短時間の場合もあると思うのでありますが、強化地域については先ほど来御説明がありましたようにあらかじめ所要計画を立てておるわけでございまして、本当に緊急の場合に自衛隊の要請ということはなかなか時間的余地はないかと思いますが、ある程度の期間があるといたしますならば、ただいま申し上げました具体的ないろいろな場合に自衛隊の支援をお願いする、こういう次第でございます。
  32. 児玉良雄

    ○児玉説明員 お答え申し上げます。  地震防災派遣におきましては、地震予知情報が出、地震災害に関する警戒宣言が発せられたときに、国、地方公共団体、民間等が一体になって総合的な地震防災応急対策を的確かつ迅速に実施する、こういうときのために自衛隊支援が必要であるというふうに警戒本部長がお認めになって長官にその支援について要請があったときに、長官の命令によって派遣されるものでございます。自衛隊のこの場合におきます活動につきましては、その地域にかかる地震防災計画において定められているところにあります地震防災応急対策についての支援活動をすることになっております。具体的にどういうことをするかということは、この計画作成する実際の中身になりますので、今後関係機関と十分調整をして定めることとなりますが、私どもとしていま考えております活動の内容といたしましては、情報の収集であるとか、車両、航空機による広報支援でありますとか、水防の応急措置でありますとか、航空機とか艦船を使いました人員、物資などの緊急の輸送、それから医療体制の準備体制、あるいはそのほか施設の提供とか、そういうことを考えておりますが、具体的には今後その地域地域について御協議を申し上げて定められることになると考えております。
  33. 原田昇左右

    原田(昇)委員 防災出動に対して自衛隊が果たす役割りについての期待は大きいと思うのです。ぜひともこの点を認識していただいて、有効にひとつこの規定が活用できますように希望しておきます。  それから、訓練強化策についてでございますが、今回地震防災強化計画及び防災応急計画というものを自主的に各機関、各施設の管理者においてつくってもらって、それに従って防災対策に万全を期すという法体系になっておりますが、これは非常に民主的であり、みんなが参加して地震災害防止しようという趣旨からいって非常に結構な法体系になっておると私は思うのです。しかし、いざというときに混乱なく実施されなければ何にもならないわけで、常日ごろから訓練を重ねていくということが最も肝要であるわけでございます。そこで、三十二条にもその趣旨がうたわれていると考えるわけでございますが、この訓練をどのように実施されようとしておるのか、国土庁長官のお考えをお聞かせ願いたい。
  34. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 具体的には担当者からお答えさせますが、従来、富士市などで相当大規模な訓練もやった経験があるわけでございまして、立てられました計画に基づきましてそれぞれあるいは共同しての地震にかかる防災訓練を行おうとしておるわけでございます。その訓練を行う場合に、歩行者または車両の通行を禁止したりあるいは制限をすることができるようにいたしまして、効果的な、実効ある訓練が行えるようにいたしたのが今回の法案の特徴であると思います。
  35. 原田昇左右

    原田(昇)委員 最後にお伺いしたいのですが、地震防災強化計画のうちに、第六条一項二号にございますが、避難地避難路等の緊急に整備すべき施設整備につきましては、地方公共団体の負担も相当大きくなることが考えられます。これに対する助成の強化につきまして国土庁長官の特段の御配慮を賜るよう強く要望したいと考えるものでございますけれども、これについて長官の御決意をお伺いして、質問を終わりたいと思います。
  36. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 ただいま御指摘のような施設等整備に要する経費につきましては、従来から所要の財政措置を講じ、予算の優先配分を初めとしてできる限りの配慮をしてきたところでございますが、今後もさらに、特に強力な促進を必要とする強化地域内の事業実施に当たっては、事業内容事業量の確定を待ちまして、所要経費あるいは財源等の見込みが明らかになった段階関係省庁と十分検討してまいりたいと思う次第でございます。
  37. 原田昇左右

    原田(昇)委員 では、時間が来ましたので質問を終わります。
  38. 川崎寛治

    川崎委員長 渋沢利久君。
  39. 渋沢利久

    ○渋沢委員 社会党の立場で、提案されました法案に関して若干の質疑をいたしたいと思います。  申し上げるまでもないのですが、地震対策の要件ということで考えますと、大規模地震発生以前の対応、それに備える対応と発生時及び発生以後の対応ということがあろうと思いますけれども、以前の対応として欠かすことのできないのは、少なくとも三つの点があるだろうと思っているわけであります。一つ予知観測体制、あわせて恒常的な防災対策執行の機構を整備しておくということ、こういうことだと思います。二つは、とりわけ被害が集中するであろうと思われる都市の対応ですが、いわゆる耐震構造都市といいますか、地震に耐えられる強い都市づくりといいましょうか、各種建築物の防災機能を全体として高める、そういう政策が非常に重要な位置を占める、こう思う。そうして三つ目に、これらの事業と対応を執行する上で必要な財政措置を積極的かつ的確に講ずるということ。この三つが地震発生までの、政府その他関係機関地震対策責任ある者がつくっておかなければならないいわば地震対策の柱であり、眼目だと思います。そして地震災害発生時及び発生後における諸活動、消火から救護、避難、民生安定、さまざまな活動の計画とその取り組みの対応、対策をきちんと立てておくということに尽きるだろうというふうに思うわけです。  そこで、そういう立場でこの法案を見ながらお尋ねしたいと思うわけですけれども、まず第一に予知体制整備強化という問題でございます。  これはもう私くどくどと申し上げるまでもないのでありまして、この委員会におきましても長官もしばしば各委員指摘を直接聞いておられるところであります。  時間が非常に少ないので、お尋ねしたいこと、指摘したいことを端的に表現するために、先般この委員会参考人として発言されました予知連絡会の萩原会長の速記録からそのままその一言を引用させていただいて、この願いと意見がこの法律の中でどのようにあらわされておるのかということを尋ねたいと思うわけであります。  萩原さんは、二月の十六日の委員会でこう言っておられます。予知体制の問題について「いろいろな機関がばらばらにやっておって、その間の協力ということで成り立っておるこの地震予知の一番の欠陥は、やはり十分な予算がとれないということで、したがって十分な観測体制がとれないということでございます。」ある機関予知だけやっているというところはどこもないわけでして「どうしても一つ機関にまとまらなければ、どうにもこれから先だめだと私は思っております。」たくさんおっしゃっておるのですけれども、萩原さんの気持ちを端的に表現されておる部分でございます。日本学術会議から一定の予知についての提起があり、それを受けて政府測地学審議会において過去三次にわたって五カ年計画を各省庁、大臣に建議し、いまや第四次の策定に入ろうとしている大変長い期間、切実な、日本の高い水準にある地震学者指摘、そしてその報われることを欲しないまことに献身的なこれらの方々努力、そういうものの頂点に立って政府の活動に協力をされておられる萩原会長の議会での参考人としての意見というのは、まことにこれは重大な内容として受けとめなければならぬ、こう考えておるわけであります。予知体制の一元化、どの省庁にどうなってどういう問題があるかということについては繰り返して申しませんが、このような世論と意見に対して、この法律では具体的にどういうこたえ方をしているのかを御説明願いたい。
  40. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 地震予知推進については、いろいろ経緯があることは、渋沢委員御承知であろうと思います。地震予地推進本部が現に設けられて、鋭意集約的な研究をいたしてきたわけでございます。それで、五十年八月十五日の中央防災会議において、当面の防災対策推進についてということで、地震予知推進に重点を置いた対策をやれということになってまいりました。それらを受けて、予算も逐次強化をされてまいったわけでございます。  現状におきましては、すでに気象庁に各種データが集中するように仕組まれておるわけでございまして、国土地理院の世話で地震予知連絡会があり、その地震予知連絡会の中には東海地域判定会が設けられておるわけでございまして、東海地域というのが現在観測強化地域になっておるわけでございます。そしてこの東海地域につきましては観測施策については相当な強化をいたしまして、現状においてマグニチュード程度の場合は十分予知ができるという、そういうことを前提にして今度の予知情報の報告が内閣総理大臣に行われるような仕組みになったわけでございまして、今度の法案で特に新たに一元的な方策をとるというのではなくして、現在までの積み上げた結果がマグニチュード程度のものは十分予知でき得る、しかもその予知をするための各種データは気象庁に集中的に集められておる。そして、この東海地域判定会は十分予知の能力を持っておる、こういうことを踏まえての法案になっておる次第でございます。
  41. 渋沢利久

    ○渋沢委員 なるほど東海地域のデータについては気象庁に集中をしている。しかし、これは釈迦に説法だと思いますけれども、予知というのはさまざまな形の短期、長期の予知というものがあり調査研究がある。だから、さまざまな種類の予知があるから、それぞれさまざまな役所でばらばらでやっていいという理屈はないわけでして、歴史的な経過はわかりますけれども、政府法律をつくろうというようなこの時点に立って言えば、その経過を整理をして、そして予知はやはり長期のもの、短期のもの、直前予知もとよりさまざまな調査研究観測体制一つの場所でやって悪い、完全に一元化してはまずいという理由があるのでしょうか。そうなることが理想的なんじゃないでしょうか。それを妨げているものは何なんでしょうかというふうに思うわけです。東海地域気象庁につながっておるかしれませんけれども、じゃ東京の心配はないのでしょうか。  それでは観測体制ということでちょっとお尋ねいたしますけれども、これも政府の方で委員会答弁しておられることから私聞き取っているわけですけれども、東海地域と比べて南関東観測施設は大変おくれているのですね。これは明らかだと思います。先ほどの御質問にもありましたように、マグニチュード八前後のものは大丈夫だ、こうおっしゃるのだけれども、東京のような場合はマグニチュード七でも大変なことになるのではないか。それはとらえられましょうか。そういうものを捕捉できる体制はどうかという意味のお尋ねに対して、八前後以下のものについては心もとない、こういう話でしょう。いまの観測体制は決して十分とは言えないと思うのです。それとも全く理想的な形に配備されているというふうにお考えでしょうか。
  42. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 予知という場合は判定ということが非常に大事である。したがって、その判定はどこでやられるかというと、いまの場合東海地域については東海地域判定会ができておるわけでございますが、これをもう一つ広く考えられないかということになってまいりますと、従来の経緯から言うと観測強化地域は関東南部と東海の二カ所になっておるわけであります。そして他の七カ所について特定観測地域ということで鋭意その観測に努めておるわけでございます。これは御理解願えると思うのでありますが、地震予知についてはまだ研究開発すべき部分が非常に多いと思うのです。したがって、大学であるとか国の研究機関であるとか、もうこの研究体制としてはでき得るところは皆やっていいと私は思うのです。そういう研究積み重ねられる、多岐にわたる研究観測が集約されてきてより確実な予知ができるものではないか、そういうことで、各省庁にまたがり、あるいは大学とか研究機関でやっておるということは、それはまた考えようによっては予知を促進する、予知技術の開発に役立つ、こういうことになるわけであります。現にそういう研究の結果が、東海地域は問題だぞと、こうなっておる。また続いて南関東はどうするかということになっておる。この南関東については、中央防災会議においてもう一つ検討して、強化地域指定するかどうかはそれによろうということでありますが、当面この法案強化地域指定は、当然するところは東海地域なのであります。その東海地域については判定会ができておる。この判定会マグニチュード程度のものはまず確実に予知できる、こういうことになっておるのでありますから、この機会に予知をどこかに集中的に一つ機関にしろということは、おっしゃっていることはよくわかるのでありますが、広範囲に研究努力をしている方がいいのではないか、私はこう思う次第です。
  43. 渋沢利久

    ○渋沢委員 時間が限られておりますので、先に行かなければならぬと思いますが、やはり一言だけ言っておきたいと思いますのは、萩原さんも言っておりますように、連絡会というものは全く連絡会議であって、重要な責任は負わされるけれども、私ども自身が考えて独自に部隊を持って出かけていきたいというようなことを思ってもやりようがないということを委員会でおっしゃっておるのですね。まさに推進本部があってそこでやっているとおっしゃるけれども、これだけの法律を出されようというなら、推進本部といっても各省庁の代表が集まって予知体制の一元化についての相談をされていることですから、私は、なぜこの法律に間に合わせるような結論を出さなかったか、非常に不満であります。結局それらのことを含めて、たとえば東海地域判定会気象庁がやっておる、中央防災会議国土庁が取り仕切る、いまの推進本部科学技術庁方々がお扱いになる、予知連絡会は国土地理院だというのですね。いろいろにやっていてバラエティーがあっていいじゃないかというような、長官、地震対策の行政責任というものをお考えになる場合にそんな対応では、私はこれは責任のあるおっしゃり方でも対応でもないと考えているわけであります。言うことはわかると言われるのなら、ぜひそういう方向で、ではいつまでにそういう方向の一元化問題についてのより進んだ体制検討なさるのか、これはひとつ明らかにしておいていただきたい。  いま一つ観測体制の問題で、今度の法律の中では第四条に、観測及び測量実施強化という項があるわけですけれども、これは政府が具体的な整備計画を立てて実施義務を担うような形の明文化がないわけですね。訓示規定といいますか、努めなければならぬというような程度の性質のものでありまして、法律全体で見ますと、先へ行けば行くほど自治体に対しては相当大きな責任を与える、民間に対しては防災計画の策定を義務づける、これを怠れば厳しくこれをしかったり、指示を言ったり、さらには土地や物資の収用までする罰則まで設ける、民間その他に対しては大変手厳しい指示、特訓を与えておるわけですけれども、政府みずからが観測整備計画について責任を持って積極的にこれを策定し、これを実施する義務づけがどこを見てもない。努めねばならぬというような言葉で四条がみごとに逃げておられる、こういう印象を受けるわけであります。この点についてはいかがお考えになるか、二つあわせてお答えを願っておきます。
  44. 四柳修

    四柳政府委員 先ほど来御指摘ございます萩原会長の御発言の趣旨も私どもよくわかるわけでございますけれども、先ほど来科学技術庁あるいは気象庁から御答弁申し上げておりますように、第四次の測地学審議会の御答申をいただきますと、その中身で観測体制の問題と観測計画の問題が具体的にやはり本年前半に出される予定になっております。そういう形が進行形でございましたものですから、御指摘のように必ずしもこの法律ではそこまで取り込んでなかったというようにお読みになれるかもしれませんけれども、私どもとしましてはその答申を受けまして、その答申にございます観測施設整備計画とあわせて観測体制の問題もその答申の線に沿いまして処置をしたいと考えております。  なお、それらの統括的な問題につきましては、やはり中央防災会議の場におきまして総括的な御検討をいただくことになろうかと思います。
  45. 渋沢利久

    ○渋沢委員 これはこれだけの法律をつくっておきながら、いまの答弁は、一番大事な部分はいましかるべき機関検討中だから、その答申を待って整理して出したいという説明は、これは非常に重大だ。この法律は、そういう意味では地震対策の玄関がない、入り口がない。警報以降のことは非常に具体的に明示されてあるのですけれども、予知が警報の前提、これは一つのものに連動しているものである。その予知体制あるいはそのための観測整備計画、これはいましかるべき諮問機関検討中であるからそれを待って考えたいというのでは、これはこの法律はその部分においてはあらかじめ欠落していることを承知で出した、こういうお話であるわけです。これは長官、やはり非常に遺憾な点だ。しかしそういう形で出してしまったものだから仕方がないというふうにお考えなんでしょうか。それはちょっと念を押しておきたいと思うのですね。これは長官から、簡単で結構ですから。
  46. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 この法律提案の背景は御承知であろうと思いますが、東海大地震のおそれがある、そのことを非常に関係県が心配しておって、それでそれにこたえる措置がとれるか、こういうことから今度のこの特別立法が始まっておると思うのです。  それでそれは繰り返し申し上げておるように、マグニチュード程度のものはいまの予知技術は予測ができるところまで来た、したがって今度の法律ではそれを眼目にして予知というものを考えておるわけで、予知技術についてまだまだ研究すを範囲が非常に広いということは、これは申し上げるまでもないのであります。したがって、東海地域判定会というものがあって、その判定会がおおよそその見当がつけられるということで、他のいろいろな研究やその他というものをおっしゃるような一元化をするよりも、まだ研究開発の余地が非常に多い、こういう判断に立っておるわけで、その点物足りない点がありましょうが、いまのような事情があるということを御承知願いたい。
  47. 渋沢利久

    ○渋沢委員 物足らないですけれども先へ行きます。  そこで、先ほど長官、マグニチュード八前後のものを予知できる、この被害の影響については対応できる、こうおっしゃっておるので大変心強いのですが、マグニチュード八前後のものがいまこの状態、つまり東京の現在のこの都市構造の上に起こったとしたら東京はどうなる、くどくどと聞こうとは思いませんが、これはまあ五十万から五百万まで非常に死者は幅がありまして、いろんな説があるのですけれども、大変な事態になることだけは明らかなんです。  そこで、これはぜひ長官、たとえば一つ東京ということに物差しを当てましてお尋ねしておきたいと思うのですけれども、東京対策ということで仮に考えました場合にどういうことが地震対策として不可欠か、この法律のあれこれ細かいことは別といたしまして、柱としては何と何であるか、これをひとつお答えいただきたい。この法律で大丈夫ですか。
  48. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 この南関東強化地域指定するかどうかということについては中央防災会議において最終判断をしてもらおう、こういうことでありますが、現に中央防災会議におきまして、大都市の地震にはどう対応すべきであるかということは逐次やっておるわけですね。したがって東京の場合に、予知について一体今度の法案で入れるか入れないかはまだ未決定である。しかし東京のような大都市の地震の場合はどうするかということにつきましては、中央防災会議ですでにいろいろ検討をしておる、これによって備えておる。その中央防災会議の大都市地震対策要綱というものは、もし何でしたら担当者からお示しを申し上げます。
  49. 渋沢利久

    ○渋沢委員 それは結構です。  そういう御理解では東京対策は問題にならないのでありまして、中央防災会議のいろいろな計画の紙っぺらは見ていますけれども、進んでいる事態は、これはもう下町、東京の一部の例の防災拠点というあの幾つか、これも幾つかの計画を立てましたけれども、ほんの一部が手がついている程度でありまして、進んでおりません。その程度のことです。  東京対策、聞いておったんでは時間がもったいないので申し上げますけれども、要するにこれは東京に限らず大都市部の地震対策ということで考えれば、まず平たく言って建物全体を地震に強い構造に、不燃性、耐震性のものにつくりかえる。時間はかかるけれども、時間をかけていく中でつくりかえるという大仕事が一つあるわけでしょう。とりわけ公共施設はその中で緊急かつ不可欠です。病院、学校、官公庁、堤防、護岸、橋梁、歩道橋から上下水道、埋設物、そういう施設に至るまで耐震性、マグニチュード七、八というようなものに対して耐え得るかどうか、どう機能するかということの総点検の上での改造、点検と改造が行われるという大仕事があるでしょう。それから公園や広場などのオープンスペースの確保、これは決定的に大事なことである。避難広場というものであり、その道路の拡幅——きょうの読売新聞に出ておりましたが、たまたまきのう東京消防庁が明らかにいたしました。東京では百二十カ所のやや大規模避難場所を指定いたしましたけれども、このうちの少なくとも十一カ所はむしろ危険個所である。道路についても、指定いたしましたものの約二割の系統が大変危険な個所だということの指摘が紹介されておりましたけれども、これはお金がなくていろいろ配水、給水の施設等が配備できないためにそういう事態にぶつかっております。つまり防災対策といえば建物、施設の耐震性、そういう地震に強い都市につくりかえるという大仕事がある。それから広場が必要だ。いろいろな形で広場を確保しなければならない。あるいは住宅と工場がごちゃまぜになっている工住混在のこの整備をしていかなければならないという都市改造のプランを進めなければならない。進んでおらない。その他防災のさまざまな施設充実しなければならぬというようなことから、もう地盤沈下対策まで軟弱地盤対策として進めなければならぬということから、さらに東京で言うなら、東京の超過密性、この東京の超過密性というのは、首都であるということの特性においてつくられているこの超過密性ということを考えますと、都市機能の分散、皇居の移転論まで議論としてありますように、官庁の移転とか大学の移転とか議論としてはありますが、しかしこれはまだ政治の面には乗っておらぬわけであります。しかしそういう都市機能の分散化政策というものもきちんと正面から逃げないでぶつかってこれを解決していかないと、東京の超過密性とか地震対策とか、マグニチュード八に耐えられる体制なんてありっこないわけですよ。幾ら予知が進みましても、予知と総理の警報と自衛隊と幾らそろえたって、いまの東京マグニチュード七、八が来たら全く救いがないわけですね。ですから、まさに都市構造、地震に耐えられる、地震に強い都市と市民の頭脳訓練を含めて、そういうものをつくるという大事業が大都市部においては行われなければ地震対策は何の意味もないと私は考えておるのですが、長官いかがでしょうか。
  50. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 それは全くそのとおりでございます。そこで、きわめて遺憾でございますが、昭和五十三年度の震災対策関係予算五千九百十億円、これで御指摘のような心配に対応できるか、こういうことになったら、正直言ってそれはむずかしい、こう言わざるを得ません。
  51. 渋沢利久

    ○渋沢委員 正直に言っていただいて大変結構です。そのとおりなんです。だから大変なことだと私は思う。  そこで、具体的にお尋ねしますけれども、この中で、私、法案を目を見開いて探したのは、財政措置、予算措置、財源措置のところなんです。二十九条でございましょうか、ここで言う「経費の一部を補助し」とは、具体的に何であるか、「その他必要と認める措置」とは何か。三十条で「その実施の責めに任ずる者が負担する」先ほど審議官答弁しておりましたが、この法律によれば、計画を立ててその実施をする者がそのお金の責任を持ってもらうのだ、このことだけで言いますと、結局は地方自治体がかなりこれは相も変わらず大きな負担をしょわされる結果になるであろうという予見をせざるを得ないわけですが、そういう心配を踏まえて、一体これだけの法律、いま東京の場合で言いましたけれども、まさにこれだけの大規模、広範囲な都市改造という仕事、これがなければ東京地震対策はないと長官はおっしゃりながら——しかし、これをやっていくためには大変大きなお金が要る、そういうものを裏づける財政条項というのは二十九条と三十条、具体的に私の心配と疑問にこたえられるようなひとつ解明を願いたい。これで具体的にどう自治体に対する国の負担割合というものが改善され、保証されるのでしょうか。
  52. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 先ほど五十三年度の予算を申し上げましたように、一般的に地震対策を考えて、それでそれに完璧な予算ということになってまいりますると、これは相当な予算を計上しなければならないと思うのであります。しかし、二十九条、三十条におきまして、それぞれこの法律におきまして費用の負担あるいは国の助成の措置を明示しておるわけでございますが、予算の範囲内においてということでありますから、予算全体の仕組みの中で、果たしてどこまで、仮に私どもが要求した場合に受け入れられるかどうかということについてはなかなかむずかしい折衝になるかと思いますが、しかし、この二十九条なら二十九条からいたしまして、緊要なことに対しては対応のできる法の条文になっておると思います。
  53. 渋沢利久

    ○渋沢委員 いまの長官の答弁で明らかなように、いろいろ各方面に義務づけなどをやるけれども、計画はつくらせるけれども、また政府もつくるけれども、しかし、実際には大胆な事業の執行、推進が図れない。財政の裏づけというのは、いまおっしゃったとおりまことに心もとないお話である。これは非常に重大な問題点だと思います。  時間がないので不満を残しながら指摘にとどめて打ち切らざるを得ないのですが、一つだけ聞いておきますが、東海地域については強化地域指定をするという前提で取り組んでおられるという先ほどのお話でしたが、東京をその対象にあらかじめしていない。東海地域並びに東京南関東とおっしゃるならばわかるのですけれども、東海地域強化地域と判断していることもわかるのですけれども、東京南関東を外されているというのはどういうわけですか。  特にこのことで言いたいのは、大規模地震があり得ると想定したものを強化地域、こうおっしゃるのだろうけれども、東京のようなあるいは大阪のような過密大都市の場合は、先ほど言いましたように、どちらにしても予知と警報だけでは地震対策はできないわけです。政府がだめなら、自治体は、ない財源を振りしぼって都市改造の事業、防災対策をやらざるを得ませんから、これは時間がかかるのですよ。大変時間がかかる。直前予知か何かで、そろそろ来るぞとやられてからでは間に合わぬのですよ。そういう意味で、将来仮にそれが長きにわたって危険があるという想定でありましても、大都市部の危険地域については当然強化地域指定をすべき性質のものだと私は考えておったが、外れておるようだけれども、何か理由がありますか。
  54. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 現に地震予知について観測強化しておる地域としては、先ほども申し上げましたが、関東南部、東海などが観測強化地域になっておるわけでございます。  今度の法案で、法案の言う強化地域にするかしないかにつきましては、まず東海地域については指定する考えであるが、東京を含む関東南部については、中央防災会議においてもう一つ検討してもらおうということを申し上げておるわけであります。もちろんこの強化地域指定、東海の場合でも中央防災会議にかけるわけですけれども、この方は特別立法をお願いしておるこの段階においても、すでに強化地域にしてもらおう、こういう心組みでおるわけでございますが、関東南部につきましては、これは中央防災会議でもう一つ検討をしてもらいたい、こういう考え方に立っております。  大都市の地震に対する問題、これにつきましては、四十六年の五月の中央防災会議で大都市震災対策推進要綱というものを決めて、そうして、それによって、もし地震があった場合にはどうするかということで、これはこれで進めておるわけですね。しかし、それが不十分であるということは言うまでもございませんが、中央防災会議がそういうふうに当たっておる。今回の場合は、予知をするのにどこが強化地域かということについては、いまのところ、まず東海地域でございますと、こう申し上げておるわけです。
  55. 渋沢利久

    ○渋沢委員 時間がありませんので、自衛隊の出動のことについて伺っておきたいと思うのですが、先ほど聞いた範囲で言うと、情報収集から広報支援、物資の輸送というようなことで考えておるということなんですが、その程度のことを協力してもらおうというのに、前段でいま私が指摘いたしましたような、さまざまな財政処置から、都市改造やら、予知やら、いろいろな重要なことには、体制づくりもお金をかけない構えで、ある法律の中でやるべきことをやってということでなしに、頭から自衛隊の出動要請と力を借りるというようなものだけがぽこっと出た。非常に奇異な印象を受けているわけなんですが、いまの中身等から言えば、あらかじめ自衛隊の出動を想定するというようなことを法律の上で明文化しておくということの本当の意味がどうもよくわからないわけです。治安出動にならないようにしなければならないというようなお話がありました。そういう保証も全くないようであります。  ちょっと伺っておきますが、これは警戒本部ができると、本部のメンバーに当然入ってくるわけですか。そういう計画に自衛隊の責任者、長官ですか、隊長ですか、どこへどの段階で参画するのか。
  56. 四柳修

    四柳政府委員 発災前の段階で申し上げますと、通常の場合には、防衛庁の職員の方々中央防災会議のメンバーになっております。正式には長官がメンバーでございますが、局員会議ですとか主事会議ですとか、そういった下の段階でもメンバーに入っております。  いまの具体的な例で申し上げますと、警戒本部が設けられますと、警戒本部の本部員として防衛庁の責任ある方々が当然入られるかと思います。
  57. 渋沢利久

    ○渋沢委員 この件では、いずれまた同僚委員から指摘質問があると思いますので、時間が参りましたので、最後に一点だけ伺ってやめることにいたします。  大事な部分で、どうも民間に対する指示、勧告というような扱い、そして最後には厳しく罰則、いろいろ交通規制だけでなしに、物資の収用、さまざまな条項があるのですけれども、事前にいわゆる防災計画を立てるのですから、民間との事前の協力計画というものの運営をもっと重視するような方針があってしかるべきだ。それがかけらもないのですね。地方自治体では、現にいざという場合に備えて、粉ミルクをどうするかというので、民間のそういう企業と自治体が協定して、いざというときには必要な物資としてあなたの会社はこれをどうしてもらいたい、こういう協定を結んだり、電柱は邪魔だから、それをどうしようという運動をしてみたり、そういうことで自治体と企業が協定してみたり、いわゆる事前の民間協定というものがもう進んだ自治体ではどんどんやられているわけです。時間がないから言いませんけれども。ところがこの法律の流れは、そういう自治体を軸にして、あるいは政府みずからが関係民間との事前の協議と協力、そういうもので防災体制をしいていくというものがなくて、頭からとにかく何かとめること、抑えること、命令すること、指示すること、取り上げること、そして警察と自衛隊、それであとは罰則で締めくくる、こういう上からかぶせる方式だというのがこの法律をさっと拝見をした偽りのない印象でございます。  こういうものをもうちょっと再検討しないと、むしろ事前に民間との事前の協議、協力体制というものを重視するようなものを、条項で明らかにしておかないと、民間協力は得られないと思いますよ。地震対策なんというものはあらゆる階層の理解と協力の上でやるべきものじゃないですか。その精神が具体的にはどこにも出ていないですよ。そういう民間との事前の協議、協力体制というようなものについては、ぜひ筆を加える、足らざるところを加える必要がある、こう考えますがいかがか、最後にお尋ねをいたします。
  58. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 非常に大事なところを御質問いただきまして、私もこれはおっしゃるようにしなければならないと思いますが、しかし、今度の法案立法の趣旨からいうと、強化地域指定後の事前措置というものは、法文をごらんいただけばおわかりのように、県においては地震防災強化計画市町村においても地震防災強化計画作成、それから民間においても防災上重要な施設管理者等による応急計画作成をする。その事前措置というものは非常に重く見ておるわけであります。  いま御指摘の点は、予知があっていよいよ数時間後か数日後地震が起こるかもしれない、だから警戒本部を設けた、その段階での協力について、もし非協力の場合があったら困るから、そこで勧告だ、要請だ、指示だということが入っているわけですね。だから強化地域になった後は二年でも三年でもずっと事前措置というものはやっていきますが、警戒本部ができた後というものは本当に短期間の状況の中のことでありますから、皆さんがいまおっしゃるように、そこのところはちょっとどぎつくなっているけれども、これはもう警報が出ておるのですから、地震だよ、そのときにそっぽを向かれておったのじゃ大変だというので、勧告、要請指示がついておるわけでございます。
  59. 渋沢利久

    ○渋沢委員 終わります。
  60. 川崎寛治

    川崎委員長 次回は、来る十八日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時五十五分散会      ————◇—————