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1978-03-03 第84回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年三月三日(金曜日)     午前十時一分開議  出席委員    委員長 川崎 寛治君    理事 有馬 元治君 理事 志賀  節君    理事 高鳥  修君 理事 湯山  勇君    理事 広沢 直樹君 理事 渡辺  朗君       越智 伊平君    小島 静馬君       佐藤  隆君    谷川 寛三君       津島 雄二君    中島  衛君       中村  直君    森   清君       山崎武三郎君    渡辺 秀央君       伊藤  茂君    池端 清一君       佐藤 敬治君    渋沢 利久君       米田 東吾君    渡辺 芳男君       瀬野栄次郎君    古川 雅司君       山本悌二郎君    津川 武一君       山原健二郎君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (国土庁長官) 櫻内 義雄君  出席政府委員         国土庁長官官房         長       河野 正三君         国土庁長官官房         審議官     四柳  修君         農林大臣官房審         議官      角道 謙一君  委員外出席者         中小企業庁計画         部金融課長   松尾 成美君         運輸省鉄道監督         局民営鉄道部運         転車両課長   紫藤 良知君         運輸省鉄道監督         局民営鉄道部土         木電気課長   原   慧君         気象庁観測部長 小林寿太郎君         建設省計画局公         共用地課長   田中  実君         建設省河川局防         災課長     井沢 健二君     ————————————— 本日の会議に付した案件  災害対策に関する件(昭和五十三年度の防災計  画及び災害復旧計画等について説明聴取)  災害対策に関する件(地震対策等)      ————◇—————
  2. 川崎寛治

    川崎委員長 これより会議を開きます。  災害対策に関する件について調査を進めます。  まず、昭和五十三年度の防災計画及び災害復旧計画等につきまして、国土庁長官から説明を聴取いたします。国土庁長官櫻内義雄君。
  3. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 昭和五十三年度の防災計画及び災害復旧計画等概要を御説明申し上げます。  わが国は、地震火山噴火風水害等各種災害を受けやすい自然的条件下にありますが、これらの災害社会経済の発展に伴ってますます多様化しており、時代の推移に即応した災害対策推進が必要であります。特に、最近においては、震災対策の格段の強化が要請されており、大規模地震対策のための法律案を準備しているところであります。  政府といたしましては、防災基本計画に基づき、防災に関する科学技術研究推進災害予防強化国土保全推進及び災害復旧迅速適切化等の諸点について、防災施策推進いたしておりますが、昭和五十三年度におきましては、次のような予算措置を講ずることといたしております。  まず、科学技術研究につきましては、地震火山噴火予知に関する研究各種災害未然防止及び被害拡大防止に関する研究等推進することとし、そのため、予算額二百八十七億円を予定しております。  次に、災害予防につきましては、防災に関する教育訓練等に努めるとともに、気象地震等観測施設消防施設通信施設その他の防災施設設備整備を図り、あわせて、都市防災対策事業推進することとし、そのため予算額千四百七億円を予定しております。  第三に、国土保全につきましては、国土保全防災基本であることにかんがみ、昭和五十二年度に発足した第五次治山事業五カ年計画及び第五次治水事業五カ年計画の第二年度として治山治水事業の一層の推進を図ることとし、予算額一兆十九億円を予定しております。  最後に、災害復旧等につきましては、災害発生した場合においては、被害の実態に即して、迅速かつ適切に、救助活動その他の応急措置が講ぜられるよう必要な災害応急対策推進することとするほか、災害復旧に当たっては、早期かつ適切な復旧が図られるよう措置することとし、そのため予算額四千三百八十八億円を予定しております。  さらに、災害融資等必要な金融措置を講じて、復旧資金等調達円滑化を図ることとしております。  以上、総額一兆六千百一億円の防災関係予算を計上いたしておりますが、これらの政府予算のほか、公社公庫等政府関係機関においても、それぞれ所要の予算措置を講じているところであります。  防災計画及び災害復旧計画等概要を御説明申し上げましたが、昭和五十三年度の防災対策につきましては、各省庁の協力のもとに万全を期してまいる所存でありますので、よろしくお願いいたします。
  4. 川崎寛治

    川崎委員長 引き続き、四柳審議官から補足説明を聴取いたします。四柳審議官
  5. 四柳修

    四柳政府委員 お手元に配付いたしました白刷り計画等概要によりまして簡単に御説明申し上げます。  一ページに総括表がございますけれども、表頭に先ほど長官の御説明申し上げました四つ項目別を掲げ、表側に関係省庁を掲げてございます。合計、一番下の右にございますように一兆六千百一億で、対前年度比一一・六%の伸びでございます。表頭別の対前年度比の関係でございますけれども、「科学技術研究」が三一・七%、「災害予防」が二八・三%、「国土保全」が三三一%、それぞれ増加でございますが、御案内のように昨年は災害が少のうございましたものですから、災害復旧関係経費は対前年度比二一%の減になっております。関係省庁としましては、建設省が大体六〇%、農林省が大体二八%程度のウエートを占めております。なお、表の(注)にございますように特別研究促進調整費等の配分が未定のものにつきましては、この資料におきましては、項目のみを書きまして、金額が載っけてない部分もございます。以下、四つ項目別に各省庁の主な事業だけ御説明申し上げます。  二ページの「科学技術研究」でございますが、総額二百八十七億のうち、この項目には震災対策一般あるいは地震予知火山噴火あるいは防災一般関係各種研究費等を計上してございます。科学技術庁が二百二十九億でございますが、そのうち主なものが「原子力利用に係る安全確保のための研究」二百十一億、それから、その表でコメ印がついておりますのが地震予知関係でございまして、四項目ございますが、そのうち下の二つの「関東東海地域における地殻活動に関する研究」と「地震発生機構に関する研究」が新規項目でございます。なお、このほか括弧書き特別研究促進調整費によります防災科学技術総合的推進の中で、東海地域におきます地震予知研究としまして、関東東海海底地殻構造及び地殻活動研究等を取り上げることに予定しております。  次の文部省でございますが、総額十九億で、火山噴火予知等震災対策あるいは地震予知関係としまして、地殻化学実験施設設置等に関する地震予知基礎的研究等を行う予定にしております。  次のページに参ります。  農林省は、「農作物及び森林の災害防止等に関する研究」で六億円。  それから通産省は、「地震予知に関する地質学的研究」あるいは「鉱山災害防止のための研究」で四億八千万円。  運輸省が、港湾海岸に関する防災技術研究で約一億円。  気象庁が、そこにございますように各種研究、とりわけ「海底地震常時観測システム研究」としまして、海底地震計の開発、敷設の経費中心としまして八億九千万円。  労働省が、「爆発、火災等による労働災害防止に関する研究」で三億円。  建設省国土地理院中心としました測地的方法によります地殻変動調査十億円を中心としております。  消防庁は、そこにございますように各種研究で二億六千万円。合計二百八十七億、うち地震予知関係が三十二億八千四百万円でございます。  二番目の項目としまして「災害予防」千四百七億円でございますが、この中には都市防災対策事業あるいは各種施設整備、さらには地震火山気象等観測施設整備あるいは防災教育訓練といったようなものが含まれております。  警察庁は、災害警備活動用装備資器材整備中心としまして十二億円。  科学技術庁原子力施設安全管理等によりまして十六億円。  国土庁防災集団移転促進あるいは豪雪対策推進さらには新しく防災行政無線地区防災基地等中心としまして十四億円。  それから文部省が、国立学校施設あるいはそれらの防火施設整備中心としまして三十三億円。  文化庁が、指定文化財防火施設整備中心としまして十億円。  厚生省が、国立病院等消火設備等整備中心としまして四十九億円でございます。  次の農林省が、林野火災予防施設整備あるいは活動火山周辺地域におきます防災営農施設整備中心としまして十一億円。このうち、活動火山周辺地域につきましては、御案内のように対象地域拡大等を予定しております。  通産省が、鉱山保安専用機器整備あるいは各種危険物対策中心としまして六十八億円。  運輸省が、そこにございます流出油回収装置搭載大型航ポンプしゅんせつ船の建造、空港の消防体制整備等中心としまして二十三億円。  海上保安庁が、巡視船艇、航空機、通信施設及び航路標識整備中心としまして三百三十七億円。  気象庁が、各種気象観測施設整備あるいは地震観測施設整備等中心としまして、各種地域気象観測網あるいは東海地震の常時観測体制整備という形で百十四億円でございます。  労働省が、労働災害防止などの教育あるいは防止対策としまして二十九億円。  建設省が、道路雪害防止除雪機械整備あるいは工業地帯及び石油コンビナート地帯と市街地との間の緩衝地帯整備、そのほか、そこに括弧書き項目のみが載っかっておりますけれども、大部分都市防災対策事業でございますが、防災拠点整備あるいは避難地避難路整備都市防災構造化推進幹線道路構造物等整備、さらには、新規としまして駿河湾地区におきます耐震対策河川事業等中心としまして、五百三十八億円でございます。  消防庁が、防災無線通信施設整備あるいは大震火災対策施設設備整備、さらには消防設備等整備中心としまして百四十六億円でございます。  それらを合わせまして、全体で千四百六億五千百万円、うち地震予知関係が八億四千万でございます。  三番目のカテゴリーの国土保全関係でございますが、総額一兆十九億円で、この中には、御案内のように五十二年度から始まりました第五次の治山五カ年計画七兆六千三百億、同じく第五次の治水五カ年計画一兆二千億のそれぞれの三年度分が計上してございます。そのほか、五十一年から始まりました第二次の海岸五カ年計画五千八百億円の三年度分が計上してございます。  農林省が、総額二千百十一億円で、予防治山復旧治山地すべり防止あるいは激特事業中心としました治山事業千二百九十二億円、海岸保全事業百九十三億円、それから防災ダム湛水防除等中心としました農地防災事業五百五十七億円等でございます。  通産省は、地盤沈下防止対策工業用水道建設事業中心としまして五十二億円。  運輸省が、海岸保全事業中心としまして三百四十一億円。このうち、一番下の日本国有鉄道防災事業費補助でございますが、これは国鉄が行います河川荒廃山地海岸等防災事業のうち、国が行います治山治水海岸事業等に相当いたしますものに対します助成でございまして、新規予算でございます。  それから建設省が、七千五百十一億円で、河川事業が三千七百五十億円。このうち、都市河川におきます治水機能向上のための雨水貯留事業を取り上げることにしております。ダム事業が千六百九十八億円、砂防が千三百九十億円、以下、急傾斜地崩壊対策海岸保全災害関連等でございます。  総体で一兆十九億円でございます。  最後災害復旧でございますが、御案内のように、各種災害復旧のほか、応急対策あるいは保険関係融資関係等でございまして、大蔵省の地震保険が、従来の一回当たりの再保険限度額八千億円を一兆二千億の五割増にする前提で百十六億円。  厚生省が、災害援護資金等中心としまして十一億円。  農林省が、農業用施設災害復旧事業農林漁業災害補償及び保険等中心として二千四百九十二億円となっております。その中で農林漁業災害補償及び保険というのが千八百五十六億円で一番多うございますが、御案内のように、畑作物共済あるいは園芸施設共済につきまして五十四年度から本格実施するための試験実施を引き続きやるほか、漁業災害補償制度の改善あるいは漁船積み荷保険漁船船主責任保険等試験実施等を予定しております。  運輸省が、港湾海岸施設災害復旧事業で十八億円。  建設省が、河川等災害復旧事業等中心としまして約千七百四十三億円。このうちに桜島の荒廃対策事業助成新規に予定しております。  以上合わせまして、災害復旧で四千三百八十八億円でございますけれども、このほかに、地方債計画災害復旧事業の起債としまして六百九十億円を予定しております。  最後に、公社公庫等災害関係予算概要を一括計上してございますが、国鉄が二百四十三億円、電電公社が六百九十三億円、以下、石炭鉱業合理化事業団が十七億円、農林漁業金融公庫融資枠が百九十六億円、住宅金融公庫の融資枠が千百四十六億円、私学振興財団が一億円、日本放送協会が八千五百万円でございます。  以上、簡単でございますが、お手元にお配りしました資料中心としまして、補足説明とします。
  6. 川崎寛治

    川崎委員長 以上で説明は終わりました。     —————————————
  7. 川崎寛治

    川崎委員長 次に、災害対策に関する件について質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小島静馬君。
  8. 小島静馬

    小島委員 このたびの一月十四日に発生いたしました伊豆大島近海地震に際しましては、櫻内国土庁長官におかれましては、いち早く設置されました災害対策本部本部長といたされまして、各省庁を督励してその対策の万全を期してこられました御心労に対しまして、被災地住民を代表いたしまして心から御礼を申し上げる次第であります。  本日は、ただいまの御説明の中にもございましたが、地震対策特別立法に関しまして数点の質問を行い、さらに被災地、現地の実情につきまして御対策をお伺いしたい、かように考える次第でございます。  まず、大規模地震対策特別措置法案でございますが、二月の十七日に発表されました政府案の骨子なるものを拝見いたしたわけでございます。まず総括的な考え方でございますが、大地震というもの、これが与える被害大変広域にわたるということは言うまでもございません。しかもその被害はきわめて激甚であるということを考えましたときには、やはり国の責務、そしてその果たすべき役割りを明確にしておく必要があるのではないかというふうに思われるわけでありますが、政府原案は、予知の判定の結果を単に情報として気象庁の公表があり、また非常事態への対処が民間企業住民自主的防災活動に重点を置くなど、全体的に国の責務と果たすべき役割りがやや明確ではないというふうなうらみがございます。総理大臣による警報発令新幹線コンビナートその他防災上特に重要な施設操業停止命令、あるいはさらに地方公共団体等の行う防災事業への具体的な財政措置など、より明確に規定して国の責任をはっきりさせておく必要があると思いますが、その点についてはどうか。各論的に問題となる点を一々取り上げてみたいと思うのでございます。  まず第一に問題になりますのが地震警報発令一元化であろうと思います。いま触れましたとおり、大地震というものは言うなれば国家の非常事態である、国家的な非常事態であるというふうな前提におきまして、天気予報とかあるいは台風情報などとは本質的に違うものではないだろうか、かように考えます。パニックを防止するためにも防災行政防災措置と直接結びついた管理された情報でなければならない。このことは先ごろの参考人として呼びました被災地県知事山本敬三郎氏からも特に痛感をしているということで発表がございましたが、こういった面につきまして地震警報発令一元化必要性というものを考えましたときに、現在のように気象庁発表しそして総理大臣報告をするという二元的な行き方というものはどうも徹底を欠くうらみがあるように思うのでございますが、長官はどのようにお考えでございましょうか。
  9. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 一元化して責任を持ってやれという御趣旨なんですが、地震予知ということについてまだ研究段階にあって、現に科学技術庁長官本部長とする地震予知推進本部を設けていろいろ検討しておる、こういう段階でございますから、どうしてもそのような状況のもとでは、今度の立法の中でただいま御質問の御趣旨に沿うように関係住民に安心を与えるような、もう少し裏づけを持ったような措置というものがなかなかむずかしいのではないか。そういうことから、気象庁からの地震予知についての報告を受けて、そしてそれに対応する措置総理がとる、また気象庁のそういう情報を、これは一刻も時間猶予を許さない問題で、早くやらなければなりませんから、関係市町村へ流すというような行き方をしようという一応の特別立法の中での検討でございますが、その御質問趣旨に沿うようなすっきりした措置というものがとり得られるかどうかということについて、いま関係省庁でいろいろ検討しておるという状況でございます。
  10. 小島静馬

    小島委員 失礼ながら、大変歯切れの悪い御答弁でございまして、これではどうも何のためにこういう特別立法をやる必要があるかというふうに考えざるを得ないわけでございます。予知体制の充実ということにつきましてはさらにこの後で御質問申し上げるわけでありますが、今日の予知体制がきわめて未熟である、このことは私も十分承知をいたしております。なればこそなおさらに私は、この予知情報を出す、地震警報発令するというふうな事態というものは、ある程度確度の高まったときでなければ出せないというふうに思うわけでございます。そして、その警報を出すという事態についてはもう内閣総理大臣が完全に責任を持つのだ、ここまでいかなければならないと思うのでありまして、戦前戦中のことは比較にはならないかもしれませんが、昭和新山ができるときに、これは不吉な前兆であるということでその情報発表しない方向で徹底的に管理をしたわけでございますが、いわゆる学会の発表であるとかいろいろな学者の意見であるとか、そういうものが実は常に新聞等に報道されるわけでございます。そういうことで、ある意味ではその地域につきましては非常な社会不安を与えるわけでございますけれども、それだけに本当に権威のある、行政的な裏づけのある管理のされた情報が必要である、かように考えるわけでございまして、大臣の言われました、いまの時点の考えを見てみますともっとぴしっとした体制が組めないという御苦衷もわかるわけでございますけれども、どうかひとつ、この点につきましては事の重要性にかんがみましてさらに御検討をいただきたいということをお願い申し上げるわけでございます。実情よくわかりますので、その程度で要望としてとどめておきます。  それから次に、緊急計画でございますが、指定行政機関、これは国の各省庁でございましょう、それから指定公共機関国鉄であるとか電力会社、これらのつくるところの緊急計画というもの、あるいは原子力発電所などの防災業務計画、これが現行では非常にばらばらで、しかも抽象的で実行性がないと言わざるを得ません。この際、各省庁等の枠を越えた、国として統一的に対処できる、強力でしかも具体的な計画をつくることが必要ではないかと思います。特に、施設整備あるいは自衛隊などの防災要員の配備、食糧などの物資調達計画など、総理大臣による統一的かつ具体的な計画を立てることが必要であろうと思うのでございます。これが現行では非常にばらばらであるということはお認めが願えると思うのでございます。そういった面でもこの法律及び政令で一元的に定めるべきであると思うわけでありますが、その点についてはいかがお考えでございましょうか。  それから百貨店、劇場、ガス事業所私鉄等緊急計画でございますが、人がたくさん集まる施設あるいは危険物施設地方鉄道などについては、それぞれの法律に基づいて所管省庁が分かれており、また同じ対象であっても、規模や態様によって所管省庁が異なっているというのが実情でございます。たとえば火薬類取締法で見てみますと、爆薬は通産省である、花火は知事の所管である、さらにその原料は主に消防所管である。大工場なんということになりますと、防火対象物として市町村消防の規制というものがこの上に加わるわけでございますが、こういった消防法関係所管する市町村消防事務的負担というものはきわめて大きい。たとえば静岡県で申し上げますと、一万九千件あるわけでありますが、こういった実情を見た場合に、ばらばら法律によるものではなくて、一つの法律のもとに体系化された緊急計画をつくる必要があると思うのでございます。これについて政府原案というものは現行そのまま、発動が総理大臣の布告ということになるわけでありますが、もっとより突っ込んだものが欲しいわけでございますけれども、いかがお考えでございましょうか。
  11. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 まだ法案の成案を得ておりませんのでなかなかお答えしにくい点が多いのですけれども、仮に法案が成立したといたしますと、事前措置というものが講ぜられます。その場合、災害基本法による中央防災会議の場で、いま御懸念の各省庁あるいは公共団体公共機関、それらの間の調整については当たったらどうか。それが一番大事なことではないかと思うのです。地震予知が出て警戒態勢をとって、それに伴う県段階市町村段階における本部を設置されて対策実施というようなことは、もうこれは目前に地震というものを予測しておる段階でありますから、それよりも事前措置ばらばらにならないようにやるべきではないか。それは中央防災会議が当たる。また、いろいろな計画というものは災害対策基本法の規定する防災計画の一部として作成するものでございまするから、それぞれ関係行政機関監督指導をする。いずれにしても統一は中央防災会議の場を通じてやるのがいいのではないか、こう思います。
  12. 小島静馬

    小島委員 言われるとおり、まだ素案の検討段階であるということでございまして、それはそのとおりでございますが、それだけにいまの時期が有効であろうと思ってあえて御質問申し上げておるわけであります。何か突っ込みが一つ足らないような気がするわけでございます。事の性格上、御苦衷のほどはよくわかりますが、御検討いただきたいと思います。  それから次に、地震災害警戒本部長権限の問題。具体的にはこれは総理大臣であるわけでありますが、その権限の問題を見ましても、何となく歯切れが悪いという感じでございまして、政府原案を見ますと、地震災害警戒本部長は国の各省庁国鉄電力会社等公共機関県等に対し、防災措置実施に関し必要な指示調整ができるとしている。指示調整であって命令ではないわけです。工場等に対しては市町村長が危険を防ぐために必要な要請または勧告をすることができるというふうになっております。毎度申し上げておりまするけれども、こういった大地震発生が切迫したと予知された場合には、これは言うまでもなく緊急事態でございます。このために新幹線やあるいは発電所石油コンビナート等に重大な影響を与える措置をするわけでございますから、この中では総理大臣が運行停止、操業停止等の緊急命令を発することができるというふうに、もっと突っ込むべきではなかろうか。知事、市町村長についても、これら緊急命令を出したり、あるいは交通規制を指示するなど、防災機関に対して必要な指示命令を出すことができるように明確に定める必要があると思うのでございます。この地震警戒本部長権限等につきましてより強化をすべきである、このことについていかがお考えでございましょうか、お伺いいたします。
  13. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 御質問の御趣旨は、すでに警戒態勢に入った後の指示権をどこでだれが持つか、できれば内閣総理大臣が警戒本部長として一元的に権限を持てという御趣旨のようにとれますが、しかし、いよいよ緊急の事態になった場合に、国は国、地方公共団体は地方公共団体、あるいは各種公共機関各種公共機関として、それぞれの立場によって多様な措置がとられなければならないと思うのです。したがって先ほど申し上げたような事前措置が非常に重要なのではないか。そして、一元的というよりも、そういう事前措置によって市町村長や都道府県知事が権限を迅速に行使をしていく。もし防災措置をとらないようなことがありますればそれは本部長が勧告等の措置をとるということだと思うのです。  まあそういう緊急の状況というものを考えてみますれば、それぞれの地域における措置というものは、本部長指示などを仰ぐような状態ではないと思うのです。だから、お尋ねの趣旨はよくわかりますけれども、具体的にそういうことを予想して考えてみるとなかなかむずかしいのではないか。各関係機関に対しての必要な調整などについてはもちろん本部長がやるべきことだと思うのですが、すべてを一元的にということは実際上どうか、このように思います。
  14. 小島静馬

    小島委員 事前にわかるようないまのようなばらばらさというものはやはり整備しておく必要があるだろうというふうに考えますので、ただいまの御説明で了承いたしますけれども、さらに御研究をお願い申し上げたいと思います。  次に、予知体制及び防災行政一元化の問題であります。  これも実は非常にばらばらでございます。地震予知観測というものがいま五省庁、六大学にわたってばらばらに行われております。また防災行政機関というのは十八省庁にわたっております。これではどうも緊急事態に対処できないおそれがあるように思いますし、私もちろん素人ではございますけれども、こういったものをやはり一元化を図っていく必要があるのではないだろうか、たとえば国土防災庁なんというものを設置してその系統立ったあり方というものを研究してみる必要があるように考えます。  政府原案を拝見いたしますと、強化地域の大規模地震予知するため観測体制整備に努めるとなっておりますが、言うなればこれは訓示規定でございます。整備に努めるというような訓示規定ではなく、もっと全国的な予知観測体制整備に努め、さらに強化地域、言うなれば警戒地域でありますが、強化地域に必要な観測施設を常置し常時観測を行うというふうなもっとはっきりしたものにする必要があるのではなかろうか。非常にばらばら体制でございますので、いままあ測地学審議会でございますか、その辺でも御研究になっておられるということも仄聞いたしておりますが、早急に対策を練る必要があるのではないだろうかと思います。この点いかがでございましょうか。
  15. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 先ほども申し上げたように、地震予知についてはいまだ研究段階にあるわけでございまするから、今後とも地震学を初め測地測量等、広範囲な分野にわたっての調査研究の必要があると思うのです。それで、ただいま御指摘のありましたように測地学審議会の方で地震予知計画、これは第四次のものでありますが、研究を願っておるわけでございまするから、これは第四次のものが政府の方に測地学審議会から建議される予定になっておりますから、それを待って検討をする必要があるのではないか。  この地震予知研究状況というものが、いろいろ私も聞いてみますると、いよいよこういう特別立法をすることを前提にすると、なかなか、私がこうやって歯切れの悪いことを言っておるような状況地震予知というものがあるということを率直に申し上げておかなければならないのですね。どうもきちっとしたことになってこないのでありまして、いずれにしても測地学審議会の建議を待つというのが現状だと思います。
  16. 小島静馬

    小島委員 地震予知というものが非常にむずかしいことは私もよくわかります。過日の委員会でも参考人のお話を聞きまして、なるほどこんなものかと思ったわけでありますが、どこに地震が起こるだろうかということは、何か古文書等にも頼らなければならぬ、千年に一遍あるか、三百年に一遍あるか、ずれが百年ぐらいだ、こんなことでございますので、なるほど予知はむずかしいものだなあというふうに思います。しかし大体大づかみな把握をいたしまして、その把握した地域をさらに観測体制整備強化して、そうして予知をやっていくのだというような手法、具体的には駿河湾地域というものがこれに該当するわけですね。今度の伊豆大島近海地震というのは、その整備された地域の中で起こったので、非常に貴重な資料をたくさん残してくれたということを参考人がこの間言っておったのが記憶に新しいわけでございます。あるいは南関東地域整備がおくれておるけれども、これを何とかこれからやっていこうというふうなお話も聞いておるわけです。  そういうことの中で、整備された地域の中におけるところの地震予知というものは、前兆現象というものが必ずあるわけでございますから、これは実はある程度予知ができるわけであります。そういうことの中で予知情報を出すというときには、よくよく確かな具体的ないろいろな前兆現象があったことの中から恐らく出されると思うのでございます。そういうふうなものを捕捉していくためには、やはりいまのようなばらばらの状態よりも、もっと一本に一元化させて体制をつくった方がよいのはわかり切ったことだろう、おそらく学者といえどもそういうふうに言うに違いないと私は思うのでございます。それを一本に仕上げていくところが行政の責任だろうと思うわけでございます。  そういう意味で、予知の技術がまだおくれておるからということだけでなく、もう一歩突っ込んでその研究の成果を上げることができる体制を組む、このことがやはり非常に必要なことだろうと私は考えるわけでございます。時間の関係もございますので、きょうの段階ではもうやむを得ないことでございまして、いずれ成案ができ上がったときにまた御質問を申し上げたいと思います。  それからもう一点。これは実は私自身も、これはどうあるべきであろうかということを考えますと何とも言えない、結論が私自身出せないでいる問題でございますが、この予知情報を出した場合におけるところの地域住民の精神的な、あるいはより具体的な経済的な被害というものが伴うわけでございます。地震が来るぞ来るぞと言いますと、たとえば伊豆半島のような観光地ではお客さんが来ない、こういう現象はもう過去にすでに起こっておるわけでございまして、こういうふうなものに対してはどういうふうに処置をしていくべきであろうか、私にも実は軽々に結論が出せない問題であるわけでございます。  実はある業界の団体がこの間私のところにやってまいりまして、ひとつ地震立法の中にそれを入れるような、あるいはそういう面に対する配慮をどうするのかということで陳情運動をやろうかということがございました。しかしもう少し待っていろよ、そんなことをやって、肝心かなめの地震特別立法の方がぶくになってはかなわないからというふうに言いまして、実はお引き取りを願ったという経過もございます。  たしか和歌山県で、これは去年でございましたか、コレラ騒ぎがございました。有田市だと記憶いたしておりますが、政府の相当積極的な措置にもかかわらず、訴訟として損害賠償請求が出されたようなことも承っておるわけでございますが、恐らくこういう問題が出てくるということが想像されます。予知が空振りに終わる。そのうちに二度、三度そういうことが続きますと、いままで御質問の中で申し上げましたような権限の問題等と絡みまして、実は勧告で終わってみますと、その対策をやらないというようなことも起こります。そして、実際に地震が起きたときの被害というものが激増するわけでございます。そんなことを考えながら、非常にむずかしい問題だということは私もよく承知しながら、あえてこの機会にお考えのほどを承っておきたいと思うのでございます。
  17. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 大変お答えしにくいことなのですが、現在、台風警報などが出ますね。そうすると、それを受けた台風通過地域の漁民が出漁をやめる。この警報が出漁をやめよというようなことは言っていない。しかしその警報に伴って出漁をやめる。しかしその後台風の経路が変わって、いま御質問の空振りのような状態になる。しかしその場合に、その地域の方々が漁に出なくてえらい損をしたというような、そういうことは現状においてはないわけでございますね。そういうようなことを考えると、このいま予定されておる地震立法では、関東地震のようなことを予定して、そして予知情報を出す、こういうことで、こういう大地震というのは、いま東海地震のことが言われておりますが、そうめったにあるものじゃない。しかし地震はしょっちゅう起こるわけで、またその起こる前兆というものはある程度現在でも気象庁はつかんで、この間の伊豆大島近海地震についてもそれに近い情報は出ておるわけですね。だから私は、この特別立法立法として、そういう気象業務法による地象情報といいますか、そういうようなもので、やはり関係地域住民がそういう情報に対して常に、ちょうど火災警報とか台風警報が出たときのような心構えを持つということが、予知情報の前に前提として私は必要ではないかとこう思うのであります。そういうことによりまして、本当に大地震が来るというときには、私はそれはもう相当確実性のあるもので、これはもう空振りに終わるような状況のものではないと、こう思うのです。しかしそうでない、もう少し程度の軽い地震などで、常にそのことによって訓練をされていくことが好ましいのではないか、こんなふうに考えておるわけでございます。
  18. 小島静馬

    小島委員 この大地震対策特別立法という問題、なかなかむずかしい問題でございます。どうか長官におかれましては、各省庁を督励されまして、遺漏のない立法をなさってくださいますようにお願い申し上げておきます。  時間がどんどんなくなりますので、さらに災害復旧の問題点について御質問申し上げたいと思います。  何しろ、やはり伊豆半島という一つの地形の特色からいたしましても、交通網のなるべく早い復旧というものが必要だろうと思うのです。それから同時に、これは原形復旧でなくてどうしても災害に強い改良復旧でなければならないというふうに考えます。  現状百三十五号線、百三十六号線は、一部まだ一方通行がありますが、おかげで復旧をいたしております。あるいは修善寺−下田線、これはまだでございますけれども、これは特に活断層等の関係もございますので、復旧に配慮をしてほしいという点が多々ございます。これも御承知のとおりだろうと思います。  それからもう一つ伊豆急、これがやはり伊豆半島の生命線でございますが、稲取トンネルの開通が何か六月ごろまでまだ見通しがつかないという状況であるように聞いておりますが、何とか五月の連休前にはできないものだろうか、そんな点も実は懸念されるわけでございます。  そういう復旧状況につきまして、建設省及び運輸省からの御答弁を煩わしたいと思います。
  19. 井沢健二

    ○井沢説明員 お答えいたします。  伊豆地震災害によりまして起きました被害は、道路関係がほとんどでございますけれども、建設省関係は百二十億ぐらいに上っておりますが、現在二月十日をめどにほとんど大半の路線が開通いたしたわけでございますが、いま先生のお話の主要地方道修善寺−下田線につきましては、崩壊の土量がさらに増しまして全体で約六万立米くらいの崩土になっております。現在も鋭意努力をいたしておるわけでございますが、何せ非常に大きな土量になりまして、非常に危険な状態になっておりますので、まだ延び延びになっておるわけでございます。場所は例のバスが埋没いたしました梨本の近所でございますが、三月十日をめどに小型車だけでも通すような状態にいたしたいというふうなことで鋭意努力をいたしております。  それから、復旧考え方でございますが、現在のところ災害復旧は、それを与えた力に対しまして、再度災害防止するというようなことで、現在程度地震に対しまして今後もつような、そういう構造のものにいたしたいというふうに考えております。したがいまして、現在の道路につきましても、やはり現道を放棄しなければならないというふうなところもかなりの場所に上るのではないかというふうに思っております。現在査定を続行中でございますが、さらに地質の調査であるとかあるいはそういう工法の検討を続けておりますので、こういうものが決まり次第抜本的な復旧計画を立てたいというふうに考えております。
  20. 原慧

    ○原説明員 お答えします。伊豆急行の全線開通時期につきましては、ただいま先生も御指摘のとおりなかなか決まらなかったわけでございます。それで稲取隧道の復旧が非常におくれた結果そういうことになったわけでございます。その稲取隧道の復旧につきましては、伊豆急とも協議をいたしまして、国鉄を初めとする学識経験者の方々の御意見をお聞きし、早期復旧について十分検討したところでございますけれども、トンネル内という狭いところでの工事でございまして、施工中の安全並びに開通後の電車運行の安全の確保の観点からどうしても六月中旬にならざるを得ないということになったわけでございます。なお、復旧工事は現在順調に進んでおります。
  21. 小島静馬

    小島委員 どうぞよろしくお願いいたします。  それから大切なことは、やはり二次災害防止することだろうと思うのです。やがて雨期を迎えるわけでありますが、まだ非常に危険な場所がたくさんございます。あるいは対策を一日も早くしなければならぬと望まれる点もあるわけでございますが、具体的にはこの前も御質問申し上げたわけでありますが、シアンの鉱滓対策、現況はどの辺までいっておるかということでございます。お伺いしたいと思います。  それから危険地域の緊急対策、今度の地震の一つの特徴でございますけれども、浮き石というものがどこからこんな石が出てきたかと思うほどたくさんございます。この間も四十トンの石が落っこちそうだということであったわけでございますが、個々の具体的ケースについては触れませんが、全体といたしまして、実は河津町と東伊豆町だけでもってこういった落石、あるいはがけ崩れ等の危険個所、現在の調査で百二十二カ所もあることが判明いたしております。こういった危険個所については早急に防災工事を施工し、また災害防止を図る必要があることは言うまでもないわけでありますが、現実に、現在の既存の制度ではどうしても乗ってこないというものがあります。では個人がやるかということになりますが、個人ではその費用の負担にたえられない、こういうケースが具体的には二十五カ所のうち二十三カ所ございます。それから小規模傾斜地が八カ所ということで、合計三十一カ所にもなるわけでありますが、この費用がないために、実は地元の町村あるいは県等におきましてもう対策はやっておりますけれども、なかなか思うように進まない、こういう情勢が実はあるわけでございます。しかし、金がないためにおくれたということのないように、何かこういったことに対して対策を講じておく必要があるということを実は痛感をいたしておるわけでございます。こういった面について、どうしても既存の行政の体制では救い得ないものは何か特別な対策が必要であるということを痛感をいたしておりますが、何かないものだろうかということを実はお伺いをするわけでございます。二次災害を起こしてからではどうにもならない問題でございますので、特に御配慮を煩わしておきたいと思うのであります。  それから、具体的ないろいろな小さな問題になるわけでありますが、いろいろな訴えが私どものところに参ります。どこかへ避難したくても行き場がない。たとえあったとしてもいま避難者でいっぱいでありますから、アパートのたぐいはもう全然ありません。まあTさんとしておきましょう。Tさんの例でございますと、年間敷金を含めまして七十万円で貸し別荘を契約いたしまして、ここに避難をいたしております。それからOさんの例で申しますと、これは半壊の指定を受けました。半壊の認定を受けまして、なお現在危険な状態の中に置かれておりまして、いま言う浮き石でございますが、浮き石が家屋の上にございますけれども、これにどうしても手がつかない。応急仮設住宅という制度があるわけでございますが、これは全壊の場合にのみ適用されております。また二十日以内だったと思いますけれども、二十日以内にその申請をするということでありますが、こういった半壊でも危険地域に入っているものについては、緊急避難として応急仮設住宅を建ててやることはできないだろうか。  それから、移転をしたくても土地がないという人もおります。死者を出しました見高入谷四軒のうちの一軒だけはすぐ近くの長野というところ、安全な場所に土地がありますが、あとの三軒は土地がございません。買えば坪八万円から十万円ぐらいするということでございます。あるいは土地があっても建築基準法上の道路とかあるいは下水、こういったものがないのでつくらなければならない。何かこれは対策がないだろうか。集団移転の制度等があることも承知をいたしておりますが、これも何戸以上ということになるはずでございまして、二軒、三軒、五軒、こういったものについて何か方法がないだろうか。あるいは急傾斜地の指定が五戸以上になっておりますが、一軒のために指定を受けることができない。  あるいは局地激甚災の指定基準の問題もあります。河津町と東伊豆町ともに激甚地でございますけれども、予算規模等の関係、あるいは被害河川が片一方は含まれていない、こんなことがございまして、公共土木施設災害復旧事業において、河津町は恐らく局地激甚災の適用は受けられるだろうけれども、東伊豆町はむずかしい、こういうものはどういうように考えたらいいだろうか。  あるいはがけ地近接危険住宅の移転につきましても、移転費の国庫補助率を実勢に合わせてもう少し引き上げる必要があるのではないだろうか。あるいは補助基本額の増額、これも町が四分の一負担をいたしておりますが、四億二千万程度の税収の町で一億七千万くらいの投資的経費しか見込まれないというところで、いま河津町だけで申しますと五十五カ所あるわけでありますが、四分の一負担で三千万以上の財政負担をしなければならない。こういう数が非常にまとまったところについては、補助基本額の増額を考えられないものであろうか。  あるいはまた、災害住宅資金の融資条件、これももう少し緩和する必要があるのではなかろうか。  それから、個人災害、たとえば裏山が崩れ、石がきが崩れ、家が壊れた、こんな三重苦に遭っている人もあるわけでありますが、こういう人たちについて何とかならないだろうか。  それから、応急仮設住宅、二年間に限りて住めるわけでありますが、これに入ったために一年以上たたないと融資が受けられない。これは私、どこが基準になっているのかわかりませんが、それは事実であるかどうか。もし事実でございますと、なぜ一年以上たたないと、住宅融資等が受けられないんだろうか。たとえば両親が死亡して、娘二人だけが残っておりまして、いまこの仮設住宅に入っておりますが、お婿さんをもらう、そしてその家の再建を図っていこうということで、それには家がなければしようがないということで、融資の希望をいたしたところが、一年たたないとだめだというふうなことを言われたと言っております。あるいは、もう一軒の方は一家四人でございますが、年寄り夫婦と妻と子供、一家四人が被災して死亡いたしました。三十二、三歳の婿さんと精薄の妹さんは、婿さんの方はお勤めに出ておりまして、精薄の妹さんは施設の方に行っておりまして、そのために命が助かったわけでありますが、これも同様に、親類縁者が寄って何とか家を建てる方策を考えようというところで、いまはたと行き詰まっている実情がございます。何とかならないものだろうか。  そう言ってはなんでございますけれども、やっぱりお金で済むことであったら、これは思い切った対策をやっていくべきではなかろうか、現実に危険の脅威の中に置かれておるわけでありますから。たとえば例のダッカ事件におきましては、日本赤軍の無謀な要求に対して、人命尊重ということでもって、約十六億円に上るところの保証金を持ってまいりました。あるいは逮捕中の凶悪犯人六人を釈放いたしました。政府は、超実定法的な措置で犯人側に対応したという事例もあるわけでございます。また、その際福田総理は、たしか予算委員会だったと思いますけれども、人命は地球よりも重いという名文句を吐かれたわけでございますから、こういった緊急避難的な要素の強いものに対する対策というものは、一歩も二歩も本当に踏み込んで、そうして、愛情の心のこもった、そういう対策というものをぜひこの際打ち立ててほしいと、心からまたお願いを申し上げるわけでございます。  時間がなくなりましたので、もう申し上げるだけにいたしますが、もう一つ地元の悩みというのは、四年間に五回というこの間接の災害でございます。下田、南伊豆は特にひどいわけであります。これは経済の機能がすでに停止をしている、こういう極端な言葉で表現をいたしましても、私は言い過ぎではないと思うのでございます。こういう間接災害に苦しむ地域、いままでそんな例はなかったかもしれませんが、三年間に四回以上とか、基準はございましょうけれども、何かそういうふうな特別立法対策が必要ではなかろうか。これはぜひ国土庁長官にお伺いをしたいことでございます。  それから、ごく小さなことでございますが……。
  22. 川崎寛治

    川崎委員長 小島君に申し上げますけれども、後の質疑者が大変多いので……。
  23. 小島静馬

    小島委員 はい。  それから、ごく小さい問題でございますが、この間接災害の一例といたしまして、主に国民金融公庫からの融資を受けている例でありますが、実は四十九年の五月九日に伊豆半島沖地震がございました。そのときの金利は八・九%でございます。昭和五十年の十月八日の水害、これが九・四%、昭和五十一年七月十一日、それから五十一年十月九日の水害、このときの金利は八・九%であるわけでございますが、今回の伊豆大島近海地震に対して、中小企業庁等の御配慮で、県単でやっております間接被害中小企業者に六・二%の金利で融資をいたして、大変喜ばれております。これらの点を考慮しながら、既往の古い債務、これに対する金利の引き下げ措置というものはできないだろうか、お伺いをいたします。  大変時間をとりまして申しわけありませんでしたが、以上、御質問申し上げます。
  24. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 広範囲に実情に即しての御質問でございまして、限られた時間であるということを承知しておりますので、速記録によりまして、一々のお答えを申し上げることをお許しをいただきたいと思うのであります。  なお、何回かこの災害を受けておる場合に、特別な措置はないか、こういうことでございまするが、それぞれの災害に応じて、災害弔慰金の支給であるとか、援護資金の貸し付けであるとか、復興住宅の融資であるとか、中小企業関係特別融資など、災害ごとにそれぞれの制度を活用して、でき得る限りの救済を申し上げておるわけでございますから、このことによりまして、連年災の被災者の救済にも対応しておるものと思います。  しかし、非常に生活苦、あるいは事業をされる上に困難をされておることにつきましては、お察しできるのでありまするから、でき得る限りの改善措置を講じていきたいと思うのであります。  いま申し上げましたように、個々の具体的な事例につきましては、後刻御返事を申し上げることでお許しをいただきたいと思います。
  25. 小島静馬

    小島委員 金利の問題だけちょっと答弁してもらいたい。中小企業庁、見えていましたね。
  26. 松尾成美

    ○松尾説明員 伊豆が連年災害を受けているというところから、既往の金利が高かった時代に受けた災害融資について、金利の軽減措置を図れないかという点の御指摘でございますけれども、連年災害、大変被害を受けられて、困難な状況にあるという点については、私ども大変心を痛めているところでございます。  伊豆の先ほど挙げられました災害のそれぞれについて、なお詳しくは一々申しませんが、その中では、激甚災害の指定を受けている場合というのは、これは六・二%ということで、このときの金利は、特例が適用されております。これで連年災害の中で激甚災害指定を受けたものについては、かなり問題は解決されていると思います。指定されていなかったもの、あるいはそれを越してお借りになった方については問題があるわけでございます。  金利の減免について、ちょっとむずかしい問題がございまして、一つは、ほかの地区でやはり災害を受けられて融資を受けられる方にも、同じように八・九とか八・四とかいう金利で受けた方がいらっしゃるわけでございまして、その辺で、ほかの地区の方についてこういう高い金利という点について、特定の地区だけ減免というところがどこまで納得が得られるであろうかというあたり、一つ問題があろうかと思います。  一般的に申しますと、金利の減免につきましては、基本的にはそれぞれの機関に任されておりまして、機関の判断でやれるというたてまえではございます。ただ、何分国の機関の債権をいわば放棄するというようなことになるものでございますから、かなり厳格に運用されておりまして、倒産に直面している企業を救うために、再建計画の一部として、民間機関も含めてまけるというような場合とか、あるいは不況業種の赤字企業の場合というふうに、一般的にきわめて限られた場合に運用されているものでございますから、機関としても、この場合に特例としてやるというのはなかなかむずかしいという実情ではなかろうかというふうに考えております。  連年災害を受けているという点については、私どももいろいろ大変な事情があると考えまして、先般も返済猶予について一層弾力的にやるようにというようなことを指示したところでございますし、なお、地元の実情等についてさらにいろいろ調べて研究をいたしたいと思っております。
  27. 小島静馬

    小島委員 終わります。  ありがとうございました。よろしくお願いいたします。
  28. 川崎寛治

    川崎委員長 渋沢利久君。
  29. 渋沢利久

    ○渋沢委員 きょうは地震対策にしぼって伺うつもりでおりましたけれども、例の地下鉄東西線の風害事故というのが出てきましたので、運輸省に来ていただいておると思いますので、これについて二、三最初にお尋ねをしたいと思います。  まず、事実関係で明らかなことは、風速計は、あの長い鉄橋の上に西側に一カ所ついておったということ。これは十分間隔で作動いたしまして、その他の時間はつまりノーマーク、ノーチェック。この鉄橋を通過いたしますのは、通常運行で二分で通るんですね。これが十分に一度だけ瞬間的に指令室に風速計が作動する、それで風速に応じて車を緩めたりとめたりという指令が出てくるという構造ですが、一番多いときには、この鉄橋、三十分に十本も通っておるんです。しかもこれは、非常に風にこわいところだという前提に立ってこの風速計というものはつけられておる。  そこで、たった一つで、電車は二分間で橋を渡る、しかも三分に一本の割合で通るというのに、十分に一回しか瞬間作動がない。それによっていわゆる警報的な処置ができるというような対応ですね。この事実関係、これから考えますと、率直に言いまして実際的には何も対応しない姿になっているわけなんです。風速計を置きましても、置いた意味のないような姿になっているということじゃないでしょうか。これはたつまきがなくても、まさに無防備的状況であった、こういうふうに私は認識せざるを得ないのですが、時間が少ないので、簡潔にそういう認識の点についてまず伺っておきたい。
  30. 紫藤良知

    紫藤説明員 風速計につきまして伝えられているところによりますと、ちょっと事実と間違えやすいような記事に読めるような書き方があるわけでございます。実は風速計につきましては、風速のデータが運転指令室の方へ行くようになっておりますけれども、それは時々刻々出るようなメーターがまずついております。これは、針で読むような式の時々刻々出るメーターが一つございます。それから、その針で振れる信号を文字にあらわす、ディジタルと言いますけれども、文字にあらわして読むメーターも下についております。この文字にあらわす数字は、技術上文字であらわすわけでございますから、瞬間瞬間にあらわすというわけにいきませんので、十秒ごとに平均して文字であらわす、こういうかっこうになっております。そのほかに、同じデータから持ってきまして、十分間を平均してそれを記録する計器がある。そういうことで三つのデータがあるわけでございます。  したがいまして、営団内では、運転の規制といたしましては、十五メートルを超えると各駅に注意を促す、それから二十メートルで発車待ちをかける、二十五メートルで全線ストップする、こういったかっこうになっておりますので、十五メートルを超えますとそろそろ警戒体制に入るわけでございまして、その瞬間瞬間に振れるメーターが風速十五メートルを超えますとブザーで警報する、こういうかっこうになっているわけでございます。したがいまして、十分間に一回というわけではございませんので、在来から考えております風力対策としては特に従来までは問題なかったのじゃないか、そういうふうに考えております。
  31. 渋沢利久

    ○渋沢委員 それはそういうことでわかりましたけれども、それじゃあの非常に風の危険があると言われた川の上の風速について、常時的確にとらえられるという状況になっていたのかというと、今回の事実はそうなっておらないわけです。軽い車両ならば風速何メートル、三十トン以上の重い車ならば風速四十メートルまでは大丈夫と言われるような耐風構造でつくられておると言われる車両が、この風速計がとらえた数値とはかかわりなしにああいう事故を起こしているという事実からすれば、決して風速計があの川の上、鉄橋全体の状況をとらえるような配置になっておらなかったということだけは間違いはないわけですね。  そこでお尋ねするのですけれども、新聞には運輸省の安全基準というようなものに基づいてそのとおりやっておるんだというような関係者の言い方が紹介されておりますけれども、事実はそうではなしに、運輸省は各交通企業に対して具体的な安全基準を設けて、風速計をどういうところには幾つつけて、どうしろというようなそういう細かい指示や基準は必ずしも設けておらないというふうに理解をしておるわけなんですが、その点はどうですか。
  32. 紫藤良知

    紫藤説明員 運輸省といたしましては、強い風が吹いた場合に、そのために列車に危険が予想される、そういう場合には列車をとめるなどの措置をして列車の安全を図るようにという指導をいたしております。ただ、具体的にはどこの線がどうこうというのは、これはそれぞれの事業者が一番よく事情を知っているわけでございまして、具体的な対策としては、事業者の判断によってその省令の趣旨が損なわれることがないように対策を進めるということでございます。それで具体的な数字を各事業者に規程化させまして、適正に運用するように指導をいたしておる次第でございます。
  33. 渋沢利久

    ○渋沢委員 つまり運輸省は安全基準というのははっきり持っているんですか。そうじゃないでしょう。細かいことは自主的に、それぞれ交通各社で事故の起きないような自主的な計画と対応をしなさいというだけで、具体的な安全基準というようなものがあるんですか、それはないんでしょう。
  34. 紫藤良知

    紫藤説明員 ケース・バイ・ケースの判断で非常にむずかしいものですから、ちょっと具体的な安全基準というのはつくっておりません。
  35. 渋沢利久

    ○渋沢委員 そういうことなんです。風、特に強風の危険個所の調査確認とかそれに対応する具体的な安全基準というものを運輸省自身が持って、それで指導しているということはないんですね。こういう事実が今度明らかになっている。これが私は非常に重要だと思うんです。  それから、車両の設計についても、耐風つまり風圧による事故防止のための具体的な設計上の安全基準というものもないんですね。ありますか。
  36. 紫藤良知

    紫藤説明員 風の対策につきましては、冒頭お話し申し上げましたように、危険と感じたらそれを避けるという……。
  37. 渋沢利久

    ○渋沢委員 設計基準ですよ。設計基準というのはありますか。
  38. 紫藤良知

    紫藤説明員 そういうことで、従来は特に三十メートルなり二十五メートルで列車停止をかければ、風に対する配慮をする必要はなかった、特別に配慮する必要はなかったんじゃないかというふうに考えております。ただし今回の場合、こういった特殊な非常に強い風が局部的に吹いたという経験、それによって電車が脱線、ひっくり返った、この辺は現在脱線の原因につきましては必ずしもそれと断定せずに、いろいろな、車両に問題がなかったのか、線路に問題がなかったのか、あるいは飛来物その他に問題がなかったのかとかいろいろな広い面から脱線の原因を調べ中でございまして、確実にこれだという原因を出すまでには至っておりませんけれども、伝えられておりますように、もしこういった風によるものとしますと、風の……。
  39. 渋沢利久

    ○渋沢委員 基準があるかないか聞いているのだ。つまり問題は、地震やいろいろな風害等に対する心配のない車をつくるという基準と、あと監督、指導、車だけ心配ないと言いましても、どんなことが起こるかわからないから、運行計画上の厳しい安全基準と指導こういうものがあって、ともかくよほど特殊な事態でない限りは守る、その事故防止対策があるということになるのですけれども、運航上の一定の指導はあるけれども、具体的な基準というものもない。それから、特に重要なことは、車両の製造に当たっての設計をチェックする基準を運輸省が明確に持ち得ないというのは、いまのお話のように、いままで特にこういう問題がなくてきたけれども、これからはというような、そんなことでは大変なんです。特に指摘されておりますように車両の軽量化、一つには節電とか省エネルギーとかいうようなことで確かにずっと軽くなっている。特に今度の地下鉄の場合は横になった二つが軽いのじゃないかというような言い方がありますけれども、何も地下鉄だけじゃないですね。これは国鉄も私鉄も全体として軽量化でしょう。東西線の場合が一番軽いのが二十六・五トンから三十六トン、今度これがひっくり返ったわけだ。国鉄なんかもっと軽いのがありますね、二十五・八トンから三十七・三トン。つまり、全体として軽量化という指導と現状があるわけなんです。しかも、国鉄調査によれば、いままで列車の横転とか脱線とか、強風でそういう事態が起こったケースは明治三十二年からこのかた十一件あって、そのほとんどは鉄橋上の事故である。横と下からの強風によってあおりを受けて倒れている。にもかかわらず、運輸省の御指導はほとんどが鉄橋は下からの風を受けやすい開床式になっておる。そうして、いま言いましたように、全体としては車両を軽くする方向に進んでおるにもかかわらず、車両の設計基準、強い風に耐えられるような厳しい安全基準というようなものが基準すらつくられておらない、こういうことであるわけですね。ここが非常に問題だというふうに考えるわけであります。たつまきやいわゆる極端な突風をとめさせるような政策はありませんけれども、しかしあらゆる場面を予想してきめの細かい事故防止のための対応をするという姿勢と施策があればかなりの事故防止はできるわけです。何もやらないでおって、そして予想を絶する今回の事故であったというようなことをうそぶいて、何かすべて天災説というのがいま盛んにキャンペーンされているように思うのですが、そういうたつまき、天災に責めを帰するような姿勢が運輸省にありとするならば、これはこの事件が忘れかけられるとともに運輸省の対応もまたずれていくだろう、そういうことの繰り返しになるおそれがあるというふうに思いまして、私は大変厳しいけれども、運輸省のいままでの姿勢、これは率直に反省していただかなければならぬと思います。どうお考えか。  それから、こういう事態に対して、具体的にいま言った全国の鉄橋の開床式に対する是正とか、あるいは風圧、風速計の完全な配備、それに連動する警報システムの強化、総点検というようなものを本腰を入れてやるという体制をつくらなければ——もうつくっているはずだと思うけれども、その点はいかがでしょう。
  40. 紫藤良知

    紫藤説明員 車両につきまして基準がないということにつきましては、全然ないというわけではございませんで、やはり会社として三十メートルなり、二十五メートルなり、そういった規制をやるところにつきましてはそれなりの風速あるいはそれ以上相当の風速でもなおかつ大丈夫なようにという検討はいたしております。  それから、今後の対策でございますが、もちろん先生ただいまおっしゃいましたように、これは単なる天災だと言って決してあきらめているわけではございませんで、ただ、いままでに電車がこういった風でひっくり返ったという前例がございませんので、その辺につきましては専門家の方々の御意見も十分拝聴しまして、車両の問題あるいは鉄橋の問題、それからまたそういった強い突風に対する予知の問題とか、いろいろな問題につきまして十分検討をし、今後の対策に取り入れていきたい、そういうふうに考えております。
  41. 渋沢利久

    ○渋沢委員 とにかく今度の調査結果、それからいま言われたことは私はなまぬるいので不満なんだけれども、とにかく真剣に対策を立てて、その恒久的あるいは臨時的、緊急的な対応というようなものの案をやはり委員会に出していただいて、その上でまた別途ただしたいというふうに思います。それで運輸省関係、地下鉄の問題は一応打ち切りまして、大臣地震関係でお尋ねをしたいと思うのです。  先ほど小島委員からも指摘がありましたけれども、私ども今度の例の要領を見た範囲で判断をしているわけですけれども、一番気になる点は、大臣、先ほども出ておりました予知体制、少なくともその予知観測体制一元化ですね。この強い要望に対してこたえる姿勢が、あの要綱、要領の中にも、いまの大臣の姿勢の中にも全くないということだと思うのです。全国知事会の立法化要請というものが一つの契機となったとするならば、あるいはこの間のこの災害特別委員会での静岡県知事の発言、あるいは予知連絡会の萩原会長の発言、まさにいま地震対策の中で予知観測体制整備一元化せいということはもう世論ですよ。ですから、これは与野党問わずこの問題がまず先に投げかけられている、繰り返し繰り返し言われておる。しかし、先ほど来の大臣の態度は全くこの大事な部分が欠けておる。単に全国知事会や専門家の期待を裏切るだけではないのですね。何か測地学審議会等で検討しているというようなことなんですけれども、そんななまぬるい姿勢では本当に何のための立法化か。初めての地震立法をおつくりになろうという、世界でも珍しいというかほとんどないと思われるようなこういう立法をされようというときに、提案大臣であるあなたは日本の歴史を刻む大臣ですよ、それが懸案の目玉とも言うべき部分を避けて通るなんというようなことでは、これはもう大変失望の限りなんですね。最初からどうも憎たれ口をきいて恐縮ですけれども、まずひとつこの点は改めて私は大臣の決意を伺っておきたい。  特に立法化を要求する声の背景として申し上げたいのは、この地震対策というのはやはり国が責任を持つ、こういう観点から出発しなければだめだということなんです。そして、立法化に当たって国や自治体、その他関係団体、国民の責任区分というものを明らかにしていく。地震対策というのは国だけ号令かけてももちろんできません。国が責任を持って対策を立てる。地方自治体や専門家や、そして国民のそれぞれの協力の中でこれは初めて万全を期することができる、こういうことであります。まず国がこの対策地震問題は責任を持つというところから出発しなければならぬのです。この二つの点、基本的なことですが、ひとつ大臣のお考えをまず伺っておきたい。
  42. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 地震立法を頭に置いていろいろ申し上げておりますから、そこで非常に歯切れ悪く受けとめられておると思います。ただ、いまの予知の場合、今度の立法の現在の素案を見ていただいておわかりだと思うのですが、予知情報気象庁一元化しているわけです。しかし、気象庁はそれでは予知情報をどこから得るのか、それはこの予知連絡会、萩原さんなどの検討しておるところが大きな要素になるわけですね。気象庁にこれは一元化しておって、それで相当大きな地震が出る、こういうときにそのことを総理報告をする。しかし、同時に非常に迅速を要することであるからその予知情報地域住民に直接流す。しかし、報告を受けた総理警戒態勢を布告をして、地震災害警戒本部を設置をする、こういうことで、これはもう緊急事態にまず入ったと見ていいと思うのですね。その所要の措置は知事、市町村にしていくのですから。しかし、そういうことを法律で決めるが、それよりももっと大事なことは、この法律ができたということによっておおよそその注意しなければならない地域強化地域として指定をして事前の準備をする、こういうことなんでありますから、私はいろいろ御懸念になっての御質問でございまするが、その御懸念には十分対応しておるもの、こう思うのであります。
  43. 渋沢利久

    ○渋沢委員 これはもう全く大きな受けとめ方のずれがあるわけでして、小島委員も指摘したように大事な調査研究、観測の活動がまさに各省それぞれのなわ張りの中でやられている。やっていること自体は非常にいいことをやっているし、それなりの成果は上げておるのだけれども、いろんな経過の中でたくさんの役所がそれぞれにこの仕事を分かち合っておるということなんです。これは私どもが言いませんでも、萩原さんなどという予知連絡会のキャップがついこの間もここで言っておられるように、大臣は直接聞いておられなかったけれども、たとえばこの種の対応が非常になまぬるい、予知連絡会の対応もなまぬるいというような指摘に対して、予知連絡会などというものは何の行政機関でもない、連絡会議だということなんですね。その気象庁資料に基づいてコメントをするというような程度、何の行政権限もない、予算にしてもそうだ。その予知について非常に、これは私もそう思うのですが、日本の学者、研究者の水準は高いのです。しかし、そういうものが本当に結集されるような、そういう努力や知性が一元的に結集されるような行政の組織になっておらないために、せっかくのそういう研究や努力というものが力になっていないということを非常に残念がっておられる。同時に、たとえば予算の面、予算が伸びないという面から言いましても、たとえば科学技術庁、これは何も地震対策だけをしょっているわけじゃない。本当の仕事を持っておるわけですから、予算要求の場合には科学技術庁が受け持っている地震対策の分野あるいはこの予知観測に関する分野については、これはどうしても最後までがんばり切れないというような弱点がある。  こういうことが各省にまたがっておって、これがいわゆる縦割りの官僚主義のまさにひずみの中で予算の伸びが十分でないというようなことを、これはわれわれが言うておるんじゃなしに、萩原さん自身がその種の不満をこの委員会で指摘をされておるわけです。そのことに端的に証明されておるわけで、時間がありませんのでくどくどと言いませんけれども、これはぜひ腹を決めてやっていただきたい。  先ほどの小島委員への答弁の中でも、これは実は文部省が扱う測地学審議会でやっているとか、その予知推進本部検討中だとかおっしゃいましたけれども、私が調べた範囲では、この測地学審議会はそもそもが予知観測整備基本計画の五カ年計画を、これはまさに学問的な、地質学的なと言うんでしょうか、そういう立場で、そういう側面からの基本的な計画を策定しておるのであって、何も行政のありようとか、行政いじりの一元化というような問題は、これは主要なテーマになっておらない。検討の過程で間接的に結果としてそういう部分に触れるということはあるかもしらぬけれども、正式に予知観測体制一元化というような問題をテーマにしてやるということでは全くない。  それから推進本部の方は、去年の十一月に予知体制の問題について検討するということで、各省の担当課長クラスを集めてワーキンググループをつくった。つくって顔合わせはしたけれども、実質審議というのはやられていないのです。全くやられていないというような熱意のなさでありまして、ここで何か言えといえば、それはいやこれからやるのですとおっしゃるだろうけれども、実際は何もやっておらぬのですよ、そうしてどうなりますかねというような対応でしかありません。それぞれが事情があって各省が受け持って、そうしてこの仕組みの中に組み込んでいるのですから、それを引き離してまた一つにまとめるなんというような作業がうまくいくもんですかねと、これは担当の諸君みんなそう言っているじゃないですか。福田さんが行政機構の改革問題を大きな声で上げたけれども、これはもう役人諸公のお力でぺしゃんとつぶれるように、まさにいまの担当の課長クラスが言っていることは本当なんですよ。  そこで、私ども大臣に、それは各党に政治的な判断と決断を求めて、そこを乗り越えていくのが政治じゃありませんか、だから法律をつくろうということになったのじゃないでしょうか。ですから、そこで役所のなわ張り主義の上にただ黙って乗っかるような法律じゃ、姿勢じゃ私は本当のものができないと思うから、法律が顔を出す前に大臣に切望しておきたいと思うわけなんですが、どうでしょうか。
  44. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 いま御質問で触れられておるように、この地震予知重要性から地震予知推進本部がここに一つある。それから予知連絡会があるが、また私の担当になる建設省国土地理院もある。それでそれぞれ相当な、まあ私の直接の監督下にある国土地理院なんかで地震予知などについてどんな研究をしているか、私も詳細に調査してみましたが、相当なことをやっておるのです。  そこで、先ほどお答えしたように、現に気象業務法によって気象、地象などを扱っておる気象庁があって、その気象庁がその地象などについてすでにある程度予知をやっておる、こういう段階にありますから、だから気象庁というものに予知情報一元化する、これまた一つの、まあそう言っちゃ恐縮ですけれども、私がそういう決意をしておる。そこ一本にしておるわけですからね、今度のこの地震立法に際して。     〔委員長退席、湯山委員長代理着席〕 だから私は、気象庁がそういうことについてもう全然確信がないのだ、こういうことならば、気象庁も来ておりますからお尋ね願ってもいいのじゃないかと思うのですが、まずその一番大事なところはそういうふうに——私どもの考えがいい悪いは別ですよ。しかし御心配になっている一元化ということについてはそういう見地に立っておるわけであります。  それからなお、中央防災会議というものがあって、それで御承知の災害基本法があって、それで災害全般については一応対応をしておるわけですね。それで問題があれば防災会議調整をとるのですから、それで今度の地震立法でも本部長総理が座る、その本部長が全般の調整をすることはもう当然だ、こう思うのです。
  45. 渋沢利久

    ○渋沢委員 私は時間を守るつもりですから、もう最後にまとめて一括して具体的に幾つか、この際ですから言います。いまの意見のずれは、これは改めて法案が出たときに討議することにして、大臣いま幾つかぱっと申し上げますから、それについての意見を率直に聞かしてください。  この立法を機会に、予知から警報、さらには防火、避難、救護というような一連の地震のすべてに関して、今度の法律で満たすもの、あるいは他の関連法令を是正をするもの、何も法律をつくったり直さなくても、いろいろな規則や指導の体制をつくるということで事足りるもの、こういうふうにいろいろなものがあると思いますが、全体をどうつないで総合的な地震対策をつくるか。その頂点にこの法律が乗る、こういう構想で打ち出してほしい。     〔湯山委員長代理退席、委員長着席〕 そういう意味で関連の法令の是正について私のちょっと気のついた点を幾つか申し上げて御意見を聞きたい。  一つ、都市における避難地及び避難道路周辺の建築物の窓ガラス、屋外広告物等の落下防護のための措置、これはこの間の岩手でも出ておりますけれども、大きな窓ガラスや室外広告物の取り締まりの規則とありますけれども、大地震ではこれががたっと落ちてきて、せっかく避難路とか避難地とかいっても、そこに行くまでにけがをしてしまうというようなことを建築許可確認の段階で一定の規制を考えるということまで必要なのではないかというようなことが一つ。  それから、都市公園に対して備蓄倉庫等の防災関連施設の設置を、美観を損なっても何でもいいというわけにはいきますまいけれども、一定の条件のもとで十分可能にするようなことを促進する措置、これが二つ。  三つに、都市ガスは法律規制はありませんけれども、しかし実際は役所の指導で大地震の場合は本管をとめるという措置事業者にとらせるという体制がかなり進んでいるからいいのですが、これは法律的な裏づけがないということで、したがって、行政指導で一〇〇%まだその対応は進んでいません。こういうことを含めて特に問題なのはプロパンガスですね。これはそれでなくても爆発事故が起きるものなのですが、これが大地震時における耐震装置についての規制というものが検討はされているようだが、十分でない。これは通産関連だけれども、通産省だからということでなしに、まさに地震にかかわるものについては手を出すし口を出す、金も出すと言ってほしいわけですけれども、そういう対応が必要だ。  それから、特に火災源として一番心配な石油ストーブ、これは例のJISマークをつけるという通産省の仕組みを通して一定の耐震用の装置の規制はされていますが、しかしこの間伊豆では、県が配ったパンフレットでJISをつけたものに買いかえてくださいというような御指導をいただいて、買いかえたけれども、一向に作動しなかったという苦情が県庁に殺到したと朝日新聞が報じておりました。役に立たなかったというのですね。こういう事態があるので、この総点検も絶対に必要である。そのほかにふろがま、ボイラー、湯沸かし器、さまざまな液体燃料を用いた燃焼器具の許認可、耐震性、安全性の基準の再点検、総点検、とにかくこれは法令にかかわる部分の思い切った検討が必要だ。  それから最後に、この地震対策の仕事は、おおむね地方自治体が全力を挙げてやるという体制がないと効果が上がらないということが明らかです。現に地方自治体は、ない金を無理にしぼっていろいろな取り組みをしております。そこで国が地震対策の大きな旗を掲げる以上は、たとえば自治体がやる給水槽、備蓄倉庫、消防水利、耐震河川事業、避難地確保、こういう用地費あるいは市街地再開発事業のための用地取得やその事業に対してかなりの補助率のアップ、交付枠の改善という国庫負担の特例措置をとらなければ、これは総理警報の指令権だけ与えてみたって、自治体に対する命令権だけ与えてみたって、実際は自治体が動けないという状態がありますので、これらの財政措置というもの、これを大胆な方針を出していただきたい。これらについて大臣の意見を伺って、私の質問を終わります。
  46. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 今度の特別立法が成立いたしますと事前措置をとることはすでに御承知であろうと思うのであります。その場合に、ただいま御指摘になりましたような問題はいずれも重要な課題であると思います。また、それに伴う予算必要性も起きてくると思うのでありますが、一応予定しておりますのは、国としては指定行政機関あるいは指定公共機関による緊急計画の作成をいたします。それから県段階におきましても、緊急計画の作成として、警戒態勢の告示に伴い実施すべき各種措置であるとか、地震対策緊急事業であるとかいうことを行うわけでございまして、ただいまのいろいろ御心配になられた問題点は、これは私も全く同感でありますので、関係省庁事前措置をとる場合の重要な問題として取り上げたい。あるいは法的措置前におきましてもこれらの問題につきましては逐次検討してまいりたいと思います。
  47. 渋沢利久

    ○渋沢委員 終わります。
  48. 川崎寛治

    川崎委員長 古川雅司君。
  49. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 先ほど国土庁長官から「昭和五十三年度の防災計画及び災害復旧計画等概要」の説明がありました。その後、四柳国土庁審議官からは、災害関係予算案の内容を中心にして補足説明がございましたので、若干質問を申し上げたいと思います。  最初に、大臣にお伺いをいたしますが、いわゆる災害対策事業につきましては、災害復旧事業あるいは改良復旧事業、これは再度の災害防止するという意味の改良復旧事業であります。それから震災対策防災対策、この中には防災の組織あるいは通信連絡網というような事業がございます。災害復旧関係事業の技術開発、科学技術研究国土保全事業等、非常に多岐にわたっているわけでありますが、これはどこがやっているかというと、国土庁がお取りまとめになりました災害関係予算の内容を見ましても、それぞれの各省庁が当たっているわけであります。  そこで、お伺いしたいのでありますが、災害対策事業そのもの全般を強力に推進する権限責任を持っているのはどこか。非常に基本的であり、なおかつ初歩的なお伺いかもしれませんが、国土庁はこの点については調整だけに終わっているのではないかという大きな疑問があるわけでございますが、大臣の所信をお伺いいたしたいと思います。
  50. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 災害に対しての責任を持っておるのは中央防災会議と思います。そしてその責任中央防災会議会長の総理にあります。しかし総理は一部を国土庁長官である私に委任をしておるわけであります。また、中央防災会議には国土庁政務次官が事務局長としてその処理に当たっておる、こういうことでございます。
  51. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 私どもがこの災害対策特別委員会で災害の問題について一つ一つお伺いをしていく場合には、国土庁をお呼びしてお伺いすることだけではほとんど事足りない、すべて関係省庁の直接の担当官をお呼びしなければならないということがございます。これをもってしても国土庁にいわゆる災害に対する権限責任というのがまだ集中していないのではないかということを非常に痛感をするわけであります。先ほど御説明のありました災害関係予算案の中身を見ましても非常にその感を強くするわけであります。  私は、何も予算額が少ないからたとえば科学技術研究の内容が劣っているというようには考えませんけれども、全体を見てまいりますと、一体これで災害対策事業として総合されているのか、きわめてばらばらだという印象も受けますし、あるいは重複して行われているという印象も受けるわけであります。中には全く理解できないような予算の内容もあるわけでございまして、先ほど申し上げましたとおり、予算額、金額の大小をもって論ずるわけではございませんけれども、いわゆる百万円台、一千万円台の予算というのがずらっと並んでいるわけであります。特に科学技術研究に至ってはもうほとんどといいますか、大部分項目についてございます。二、三例を挙げますと、たとえば地震予知研究推進について三百万、地盤沈下予測手法調査に九百万、都市における防災対策に関する研究に百万、災害予防の方にまいりましても、学校施設の安全向上に関する調査研究に三百万、学校施設防災対策推進に百万というのが上がっています。こういうのは一体何をやっているのかということが一つ、単純な疑問でありますけれども。こういったものがずうっと列挙されているわけであります。国土庁は、防災対策事業に対して一生懸命これをお取りまとめになっているわけでありますけれでも、こういったものを一元化するあるいは整理をしていく大きな責任があるのではないかと私は思いますが、その点いかがでございますか。
  52. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 国土庁設置法の中におきましても、「所掌事務及び権限」として「災害に関する施策を企画し、立案し、及び推進し、並びに関係行政機関災害に関する事務について必要な調整を行なう」、こういうことになっておりますので、それらの点につきましては国土庁において調整、整理をしていかなければならない、こう思います。  先ほど中央防災会議のことを申し上げましたが、これは災害基本法という法律がございまして、災害全般に対して対応をしておる、その責任者が総理であるということを申し上げたので、行政事務につきましてはこの国土庁設置法の中に所掌事務がはっきり書かれておる次第でございます。
  53. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 御答弁でございますけれども、私が御指摘申し上げましたようなこれまでのような国土庁の立場、単に計画をし、それを調整し、取りまとめていくということだけに国土庁災害対策行政が非常に印象強く映るわけでありますけれども、このままでいいのか。これでいいという人はだれもいないと思います。もっと国土庁がしっかりして、事、災害のことについては、先ほど私が列挙いたしました災害対策事業の全般について強力にこれを推進していく。国土庁に持ち込めばすべて国土庁は対応できるというところまで強化すべきではないかと私は思うのですが、その点、いかがでございますか。
  54. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 言うまでもないことでございますが、いまの御指摘は最も好ましい姿だと思います。
  55. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 この点で一番苦労し、迷いが生じているのは、災害に遭った後の住民の立場であります。非常に弱いわけであります。責任の所在がばらばらでありますから、どこへ持っていっていいかわからない。したがって、見舞い金とか補助金あるいは貸付金という形で一応の救済はありますけれども、災害を受けた後の住民の不満というのは非常に大きいわけであります。  私、ある資料によりまして、災害後に住民が国に対してその対策を不満として訴訟を起こした件数が昭和四十八年までに百七十五件あるということを知りました。そのうち六十一件が結審をいたしまして、またその中で四十九件が国に責任ありという判決に終わっております。その後の資料について私は不幸にして調査をしていないのでありますが、四十九年度以降、災害後、住民が国に対して訴訟を起こしている件数はどれだけございますか。
  56. 四柳修

    四柳政府委員 お尋ねの点、私どもの方も関係省庁に取り急ぎ確認した点でございますが、やはりそれぞれの施設管理につきまして直接原因が災害かどうかという判定のむずかしさもございますけれども、一応災害あるいは管理上の瑕疵という形で訴訟が提起されましたものが、建設省河川関係で、これはがけ崩れとか土砂崩壊でございますが、四十九年以降五十二年までに三十三件ございまして、現在三十二件係属中でございます。同様に道路関係で、これは側面の崩壊とか落石とかいろいろあると思いますけれども、それらが四十九年から五十二年までに十五件提起されまして、いずれも係属中でございます。農林省は四十九年に一件提起されまして、これも係属中。運輸省関係につきましては報告は受けておりません。
  57. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 住民が訴訟へ持っていくということは非常に大きな労力を要しますし、また決断、勇気も必要なことであって、むしろこれは特異な例かもしれません。しかし、災害後の国の補償につきましては御承知のとおりで、申し上げるまでもないのですけれども、国家賠償法の第二条一項に「道路河川その他の公の営造物の設置又は管理に瑕疵があったために他人に損害を生じたときは、国又は公共団体は、これを賠償する責に任ずる。」というふうに明記されておるわけでございまして、住民側はただこの条項一つを頼りにして国に対して責任を求めているわけであります。こうした訴訟に持ち込むという最悪の事態にまでならなければならないということに一つ大きな問題があると私は思いますが、そういう意味でも災害予防対策については相当力を入れていかなければならないのじゃないかと思うわけであります。  たとえば昭和三十八年に高知において起きました国道落石事故の裁判で、昭和四十五年八月に最高裁の判決が下りまして、そのときの判決文がここにございますが、「そもそも危険な道路に対しては安全施設を設けなければならず、かつそれでも崩土落石の起こるおそれのある時は、事前に、通行止めなどの措置をとらなければならないこと、また国側の山くずれ防止設備は予算が不足のため完全には出来ないという主張に対しては、予算不足ということで責任を免れるわけにはいかない」という判断を下しているわけであります。  ちなみに、昭和五十二年九月二十四日に建設省は危険区域の調査をされまして、危険区域として十三万カ所を指定されました。これも建設省からいただいた資料でありますが、内容は、土砂崩壊危険区域が六万二千二百七十二、地すべり危険区域が五千六百十六、がけ崩れ危険区域が六万四千二百八十四、そのうち防災工事済みが、土砂については五・四%、地すべりが一一%、がけの場合が三・七%というふうに報告をされております。しかも、昭和五十六年までの第五次治水五カ年計画によりましても、土砂は八・六%、地すべりは一四%、がけは八%防災工事を終わらせるにとどまるということが言われているわけであります。  こうしてみますと、予算が少ないからできなかったということでは済まされない大きな問題があるわけでありますし、ここにさらにもう一点疑問をつけ加えますと、建設省は十三万カ所に及ぶ危険区域を指定いたしましたが、この危険区域についてそれぞれの県において指定している数が建設省の指定と大いに食い違っている。県で指定している数の方がはるかに少ないという実態があるわけでございます。その辺にも建設省調査結果に基づく今後の防災対策に大きな問題があるのではないか、このように考えるわけでございますが、いかがでございますか。
  58. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 前段の御質問は、責任の所在がばらばらであって、住民はそれに対して不満が多い。それから後段で、危険個所が建設省調査でも十三万カ所からあるじゃないかということでございます。  いま御質問のように、災害が起きた場合に相当専門的に対処しなければならない点があると思うのです。農林省農林省として農地などの災害あるいは建設省道路やがけ崩れの問題、そういうことから専門的なことで行政機関があっちこっちになるということはやむを得ないことではないか。したがって、災害が起きた場合に、どこが全体の責任を持っておるのか、こういうことになりますると、大きな台風であるとか地震であるとかあるいは火山の爆発であるとか、こういうことになりますと、その都度災害対策本部が設置せられて各省庁を統括してやっていく、こういう仕組みで、そのときにはおおむね国土庁長官本部長責任をとる、もっと大きな問題であれば総理みずからがとられる、こういうことになるので、行政機構の方の関係についてはひとつ御了承をいただきたいと思います。  それから、個々の調査の結果に伴う危険個所でございまするが、お示しのとおりにこれだけの大きな危険個所というものを一気に対策を講ずるわけにいかない。これは別に予算が足りないからどうとかじゃなくて、その他の要因もいろいろあると思うのですね。それだけの技術的な配慮ができるのか、あるいは工事を一気にやれるのかとか、いろいろ問題がありまするから、そうしますと、それに対してある程度の甲乙の差を考えながら事業を進めていくということは実情からしてやむを得ないものではないか。そのことによって関係住民に不安を起こすということになりますれば、それについては危険個所の明示をするとか、あるいは最も不都合の場合は立ち入りを禁止するとか交通どめをするとかというような応急の対策を講じながら、しかしその防災工事は速やかにやるべきものである、こう思います。
  59. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 災害後の住民の非常に困る一つの例として、多目的ダムの放水の問題があるわけでございますが、これなども実際に被害を受けた後、住民が県へ行けば、それは建設省だと言い、建設省へ行けば、それは電力会社だと言い、たらい回しにされる例がこれまで幾つかございました。いわゆる利水と治水とのかみ合い、あるいは洪水調節機能についての権限のあり場所、そういったものが、行政的には操作規則であるとかあるいは担当分担というのははっきりしているかもしれませんけれども、実際に被害を受けた住民にとっては、細かい因果関係の追及もされることながら、一体どこへその苦情を持っていけばいいのかということにいつも苦慮いているわけでございます。これなんかもばらばらに行われている行政に対する住民の不満の一つの例ではないかと思うのでありますが、こういった点についてもひとつ、そうではない、こうだという明確な御説明があれば御答弁をいただきたいと思います。  持ち時間がなくなりましたので、これをもって質問を終わります。
  60. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 多目的ダムの操作についての責任の所在、これはお尋ねのように、住民にとってはなかなかわかりにくい点があると思うのですね。一体このダムがどこの管理であるか、建設省なのかあるいは電力会社自体なのか、物によっては農林省もございまするから、そこで苦情の持っていくところを、責任はどこだというようなことで地域住民に問題の起こる、困惑する状況というものが出るとは思いますが、さりとて、しかし行政当局から言えば、それぞれの担当でございまして、電力会社のダムであれば、これは当然通産省ということになっていきますし、また多目的ダムであれば、これは大部分建設省である。これを一元的に、ダムは全部建設省ですよ、そういうふうにはいかないことでありまするから、結局問題が起きたときに市町村とかあるいは県とか地域住民に密接な関係のある自治体がこれらについてよく指導をして、できるだけ問題がないように努める、責任はもちろんその場合その場合でその監督行政官庁がとる、こういうことではないかと思うのです。
  61. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 終わります。
  62. 川崎寛治

    川崎委員長 渡辺朗君。
  63. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 地震に関しての特別立法に関連いたしまして、特に私は観測、予知、その分野を中心大臣及び関係者の方々にお尋ねをいたしたいと思います。  まず第一番目に、地震予知研究計画、その中では特定地域あるいは観測強化地域が決められておりまして、先般東北地域でかなり大規模地震が起こりましたけれども、これは特定地域に入っていたところでございましょうか。大臣、そこら辺はいかがでございますか。
  64. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 担当官の方から……。
  65. 小林寿太郎

    ○小林説明員 気象庁の小林でございます。  ただいまのところは先生が御指摘の地域は入っておりません。
  66. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 特定地域というのは、これは地震エネルギーの未解放地域だからあり得るという予想を立てて、地域的にもこれを指定しておられたと思うのです。にもかかわらず入っていない地域に実は大型の地震が起っている。東北地方では、私の知る限りでは秋田、山形の日本海寄りが特定地域に指定されていたと思います。こういう事態に対しては、今後どのように対処すべきだとお考えでございましょうか。
  67. 小林寿太郎

    ○小林説明員 お答えいたします。  先生御承知だと思いますけれども、特定地域、それから観測強化地域、これらにつきましては地震予知連という機構がございまして、これは事務局は国土地理院がやっているところでございますが、そこでいわゆる昔からの記録、それからその後の地震発生状況等を踏まえまして、地震予知連の方でお決めになりまして、そこを各関係機関がある程度観測の強化を進めるというふうな機構になっております。確かに先生の御指摘のように、秋田とか根室の方は特定地域という形で当時指定されたわけでございますけれども、現在その問題につきまして予知連の方で検討をされております。もっとも、先生の御指摘の地域、岩手県の沖でございますが、あそこは従来からもある程度地震の起こる可能性の多いところでございまして、そういった点では、むしろ前兆現象もつかみ得なかったということもございまして、いままでの私どもの考えでは一応特定地域から外していたという状況でございます。今後地震予知連の方で検討されることと思います。
  68. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 私、そこで大臣にぜひお考えを聞かしていただきたいと思うのです。  私は、観測強化地域あるいは特定地域というところは観測を集中していくのだということで設定されている地域だと思うのですけれども、いまのお話のように設定されていない地域でむしろ大地震が起こっていた、予知も実はされていなかったということになりますと、これは洗い直しをして特定地域あるいは観測強化地域というものをもっと広げるべきではあるまいか。ある意味では日本全国がそういう地震災害にかかりやすい地質もあり、あるいはいままでのそういうような経験もございますので、したがいまして、そういう観測集中の地域というものを、少なくとも地震エネルギーの未解放地域はもちろん優先的に設定していく、さらに進めて、日本全国を幾つかのブロックにでも分けて、そうして観測集中の制度を強化していく、そういうことが必要ではないかと思うのですが、いかがでございましょう。大臣の御見解をお尋ねいたします。
  69. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 今回の仙台付近における地震実情からいたしますと、ただいまの御意見につきましては私も尊重をいたしましてよく検討してみたいと思います。  現在、観測強化地域と特定観測地域の指定はございますが、私のような専門家でない者がこれに対して批判をするということは、これは全く技術的なものでございますからどうかと思うのですが、しかし、現実に特定観測地域にも入っておらないところで地震が起きておる、それに対しての御懸念でございまするから、よく検討さしていただき、また、国土地理院の方やいまおっしゃった予知連の方にどういう事情かよく検討さしてみたいと思います。
  70. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 大臣、この点大変重要なところだと思うのです。御検討いただく。検討ということは大切なことでありますけれども、むしろそういう意味でいままでの予知計画そのものを洗い直すのだという大臣の積極的な姿勢がないと、今度の地震立法の意味がなくなってくる。たとえば、この地震立法によりますと、一番最初にこう言っているのですね。「地震対策強化地域の指定」こういう項目がある。どこを指定するのだ。その前提になるのは全国的にそのような予知体制というものを網の目をつくっていくというところ、そこから始まるのではないかと思いますので、大前提にもなりますから全面的な洗い直しをするという決意を持っていただきたいと思います。
  71. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 この点は、御承知の科学技術庁長官本部長とする地震予知推進本部があるわけでございますね、そこで御検討願っておるものと思いまするので、現在そういうものが内閣にあるのでございまするから、私は災害に対する担当大臣という立場でこの地震予知推進本部にきょうの御質問の御趣旨を伝えまして善処をするようにいたしたいと思います。
  72. 小林寿太郎

    ○小林説明員 ただいまの先生のいろいろな御意見、大変ありがたいと思うのですが、私ちょっと補足させていただきたいと思う点をお話しさせていただきたいと思うのです。  先ほど私前兆と申しましたお話ですが、これは非常に短期的な前兆だけを言ったわけではございませんでして、非常に長期的なたとえば地殻変動等の前兆等を含めて私申し上げましたので、いわゆる地殻変動等ではあの地域では異状がずっとあらわれていないということが一点ございます。  それから、地震予知連の実際の作業の内容というのは、御承知だと思いますけれどもちょっと補足させていただきますと、各地域ごとに大学及び関係機関の方が、予知連絡会におきまして、それまで得た資料、それからいろいろな研究成果、観測事実、そういった技術資料を交換する。これはしょっちゅうやられているわけでございます。そこにおきましてもいろいろと何か異状があれば当然議論がされるわけでございますが、それにもちょうど岩手県の沖の問題は出ておりませんでした。ただ、私どもの気象庁におきましては長年地震観測をやっておりますもので、あそこは群発性の地震の多いところだということは指摘してございますけれども、ほかのいろんな観測種目におきまして特に異状が出ているという事実がないというのが現状でございます。  以上でございます。
  73. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 その点はもうちょっと突っ込んでいきたいのですけれども時間の関係でちょっとカットをさせていただきますが、私は気象庁の方にも、気象庁六千五百人おられる職員の方々のうち地震観測は三百人である、これでは全国を網羅して調査というのはなかなかできぬ、こういう実情もおありだと思うのです。だからこそ私は大臣に特に申し上げたい。日本全国が地震帯の中に置かれていると考えて、そういう積極的な姿勢をまずとることが大事だというところをぜひとも御認識いただいて、地震立法法律の成案と同時に、やはりそれに対する観測体制予知体制強化ということを進めていただきたい、これをまずひとつ要望しておきます。  ただ、まだお答えがないのは、私日本全体を幾つかのブロックにでも分けて地震対策連絡協議会とでも申すべきものをつくるべきではないかということを申し上げたのですが、大臣のお考えいかがでございましょう。
  74. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 地震というものにずばり当てはまるかどうかはわかりませんけれども、地質調査あるいは地殻の状況など、これは現在でも国土地理院なんかでやっておりますね。だからそういう観測からもいろいろ異状が発見されてくるのではないか、こう思うのです。ですから、おっしゃっておる御趣旨をまず予知のことからお話が出ましたから地震予知推進本部の方によく伝えて、その方が専門的になるほど全国的にいろいろ予知の方もやらなければならぬということになれば大変結構なことでありまするし、しかしまた、私の全くの推察ですが、いま現にやっておる地質調査や地殻変動などについていろいろ検討していることが、これが全国的に行われておるので、それはそれで前提になっておるというようなことであればまた別であろうと思うのです。しかし、先ほどお答えしたとおり、御趣旨のことは推進本部の方によく伝えて検討いたします。
  75. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 いま予知連の話が出ましたけれども、いま予知連が開かれるのは三カ月に一遍でございましたでしょうか。
  76. 小林寿太郎

    ○小林説明員 お答え申し上げます。  定期的には年三回だと思います。そのほかに、臨時的に開催することがよくございます。
  77. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 年三回では大変心もとない。一国民といたしましても逆に大変不安感を覚えます。異状が観測された場合には緊急に召集がかかるのでございましょうけれども、私は、頻繁にもうちょっと開いていただいて、もっと予知連の判定会議だとかそういうものにおける協議、これを密度を高めていただきたいと思いますが、大臣いかがでございましょうか。
  78. 小林寿太郎

    ○小林説明員 私から答えさせていただきます。  予知連の方は国土地理院所管でございますが、私どもが仲間入りさせていただいております関係でお話しさせていただきますが、予知連の方では年三回と申しましたけれども、これはかなり密度の高いデータを集めないことにはなかなか集まってもしようがないということになっております。しかし、予知連の中には部会がございまして、たとえば、東海ですと東海地震の部会がございます。あるいは関東ですと関東地震の部会がございます。そういったところではローカルにいろいろと御検討いただいているわけでございます。したがいまして、実質は、三回と言いましてもかなり密度の濃い体制になっているかと思います。  それから制定会のことを先生申されましたのでお答え申し上げますけれども、判定会は、確かに地震予知連の下部組織といたしまして、その事務を推進本部から気象庁が委嘱を受けましていま進めているわけでございますが、判定会につきまして、これは東海地域についてだけでございますけれども、これにつきましては、データの交換等それから判定技術の検討、そういったものを毎月一回気象庁では行っております。  以上でございます。
  79. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 いま御答弁いただいたように、大臣、なかなかデータを集めないとやれないという、そういうことがあります。東海地域の場合は毎月一遍やっておられる、そういうような点から言いましても、私は、そのデータの集め方、そのシステム、こういった点にも何らかの工夫あるいは促進方をお願いしないといけないだろうと思うのです。  また同時に、もう一つ事務局の問題で私わからぬことがあるのです。たとえば東海地域の判定会では事務局は気象庁がやっておられる。それから予知連の場合の事務局は国土庁ですね。違うんですか。事務的なそういうデータや何かを集めたり処理しておられるようなシステム、ここら辺について私ぜひお伺いしたいなと思っております。  ただ、時間がありませんので、その点詳しくお聞きするのは別の機会に今度はいたしまして、きょうの時点でちょっと具体的に気象庁の方にお聞きをいたしたい。  たとえば地殻変動の問題を調べておられる。これは検潮を一つとってみる。平均海水面を基準にして土地の上下変動を調べるという、潮を調べるという、これをやっておられるのは国土地理院ですね。それから気象庁がやっておられますね。それから水路部がやっておられますね。あるいはまた地磁気、地電流の観測については気象庁、水路部、国土地理院それからいろいろな大学、これがやっておられる。微小地震の観測は特定のところに観測所を置かれて、大学なり気象庁がまたやっておられる。これらいろいろなところがやっておられるのは、素人目には一本化が本当は望ましいけれども、現業体制のいろいろな歴史もあろうから、一遍に何か一本化すると、どこかがみんな下請になってしまう、だからそういうことではなかなかやりにくい、そこらはよくわかりますが、情報の交換、こういったものは、たとえば検潮の場合に国土地理院気象庁、水路部、この三者の間だったらどのような形で気象庁さんはやっておられますか。
  80. 小林寿太郎

    ○小林説明員 お答えいたします。  それぞれの各機関で検潮所を設けたこれは歴史がございます。今度の地震等予知の問題に関係いたしますと、これはやはり国土地理院、私どもあるいは水路部等の施設があるわけでありますが、やはり先生が御指摘のように、どこかにデータを集中しておかないことには、そしてしかもそれを常時監視しておらないことには、現象がどう推移しているかということはなかなかキャッチできないわけでございます。その点につきましては、現在推進本部の方の、これは事務局は科学技術庁が担当しておりますけれども、そちらの方の、科学技術庁さんのいろいろな御配慮によりまして、気象庁に少なくとも当初は東海地域に限りますけれども、データの集中をしようということで現在総合研究を進めております。これはいまの予定でいきますと研究成果が出てすぐ使い物になるかどうか、これはまた問題はございますけれども、少なくとも使い物になるようにということで、私どもは、どちらかと申しますとコンビナーになりまして現在そういった機関のデータを集中を図ろうということで進めておりまして、五十三年度中には何か目鼻がつくのじゃないかというふうに思っております。  それからもう一つ。先生大分御心配になっていられるようなんで、ちょっと補足させていただきますと、全国的な監視体制というものにつきましては、これは地震につきましては気象庁が、いろいろと大蔵等の関係機関の御配慮もいただきまして、全国的には、要するに人間が人体に感じるかどうかというふうなところの地震につきましては常時監視しております。それから国土地理院におきましては、測量を五年あるいは十年周期で全国をサーベーしております。  そういったことがもとになりまして、そしてそれだけでは予知体制が弱いものでございますから、それに加えて、いままで懸念されているような地域につきましては特定地域なり強化地域を設けて、そこは大学の先生方にも御協力いただきまして、集中して観測していくという体制をとっております。  しかも、東海地域等につきましてはかなり大学の先生等の御指摘もございますので、観測の集中ということに重点を置いておりますが、ここにおきましては、大学の資料気象庁にリアルタイムで集めるという体制まで現在至っております。  以上でございます。
  81. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 時間がなくなりましたので、私、大臣に要望をさしていただいて終えたいと思います。  いまの気象庁の御答弁もありましたように、いろいろなところがやっているので、それがコオーディネーションを少なくとも進めていく、これをひとつ大臣の積極的な御指導により促進をしていただきたい。  それからもう一つは、たとえば国土地理院の方が日本列島精密測地網測量計画、こういうものを持っておられる。私が聞きますところでは、十年に一遍の測量計画であるというふうに聞いておりますが、私は、少なくとも三年に一遍ぐらいの密度でそういった測量計画をやっていただきたい。となりますと、こういう一、二の御要望だけでも、やはり官公庁あるいは民間、こういうところにおける観測だとか測量のための技術者の養成、これは一朝にして成るものではございません。いまからでもすぐに進めて、そういう方々を養成し、数を確保していくということがやはり観測予知体制強化のための前提になってくるであろうと思いますので、大臣のこれからの御活躍をぜひお願いしたいと思います。一言お言葉をいただきたいと思います。
  82. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 まことにありがとうございました。  なお、何遍かお答えをしておりますように、測地学審議会で地震予知計画についての検討をしていただいておりますので、ただいまの御意見や、そういう審議会の建議を待ちまして、予知研究体制のあり方につきまして一元化を図るとか強化をしていくとかということに心がけてまいりたいと思います。
  83. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 ありがとうございました。
  84. 川崎寛治

  85. 山原健二郎

    ○山原委員 きょうの大臣防災概要説明の中に災害復旧について触れられております。災害復旧については早期かつ適切な復旧を図るため予算四千三百八十八億円を組んだ、こういう御説明でありますが、早期かつ適正と申しますけれども、災害復旧の最大の隘路として用地の取得の問題があるわけです。このことを大臣は御承知でしょうか。
  86. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 ただいまの御質問に直接のお答えになるかどうかちょっと懸念しますが、公共事業をやる上におきまして用地の取得が重要でありまするので、常に心がけ、心配をしておるところであります。その公共事業の中に災害事業も入ってまいりまするので、用地問題は非常に重要であって、常にこれに対応していかなければならない、私はそういう心がけでおるわけであります。
  87. 山原健二郎

    ○山原委員 この実態をちょっと報告をして、お考えをいただきたいのです。  私の県は高知県で、毎年災害を受けております。幸いに昨年は大きな台風がなかったわけですが、ことしはまた台風時期を迎えまして全く戦々恐々とした状態にあるわけです。そこで、その災害復旧につきまして高知県の五十三年度の予算案を見ますと、災害復旧関係予算で、河川助成事業でございますが、この総額が百六億四千八百七十七万であります。ところが、今年度の予算のうち明許繰り越しが六十億二千五百二十九万となっています。さらに河川の激特六十六億七百九十六万円のうち明許繰り越しが十八億三千六百七十一万となっておりまして、実に六割近い明許繰り越しが行われるという状態です。これはどこに原因があるかと申しますと、土地買収価格が実勢価格より低いということでございまして、住民が土地を手放し、あるいは移転することがきわめて困難だ、しかも毎年災害を受ける零細な人々は何とかこの災害復旧に協力をしたいと思いましても生活の維持ができないという問題がこういう結果を生み出しておるわけでございます。  たとえば佐川町の例が高知新聞に出ておりますけれども、これを見ましても三十億円の工事費のうち実に十億円が繰り越しとなっておりまして、そのほとんどが用地買収の難航の中から出ているわけであります。ここの場合は単に価格の折衝が合わないというだけでなくて、単価の問題だけでなくて、農地を失った場合にこれから先の生活設計ができないというような問題が起こっているわけであります。  そこで、この問題は非常に重要な問題でございまして、これについてぜひお考えをいただきたいのでございますけれども、この土地買収の評価というのは、昭和三十七年の閣議決定に基づきまして昭和四十五年に事務次官通達が出されております。この事務次官通達に基づいて地方自治体の用地買収の基準が生まれるわけでございますけれども、これはもちろん価格を低く抑えるとかいうような規定はありません。それからまた実勢で買ってもよいということも書いておりません。また最低限移転先で生活できるような保障というようなものもありません。また私道などにつきましては一〇〇%から五〇%の減額措置が講ぜられるとか、減額条項がたくさんあるわけです。これでやりますと、実勢価格と評価の単価とが合わないものですから、そこで用地の買収が全く停とんしてしまうという状態にあるわけです。もともとこれはいま学者の間でもずいぶん問題になっておりますし、いま日本の公共用地の取得につきましては財産権保障の立場をとっております。これを、生活権保障の立場をとって生活を保障していく。もともと災害復旧は生活を守るということでもあると思いますし、そういう意味でそういう根本的な問題もありますが、大臣、この問題についてはぜひ検討をする必要があるのではないかということが一つです。  もう一つは、この事務次官通達について、今日のような、たとえばダムを建設する場合にも、今度の伊豆の地震でも移転する場合でも、いろいろな工事をやる場合でも、これがいつもネックになっているわけですから、この問題について改めて検討する時期に来ておるのではないかと思いますが、この点についての長官の決意をお伺いいたしたいのであります。
  88. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 この御質問は、おっしゃっていることがわからないわけではないのですが、私の承知しておるのでは、生活再建あるいは事業損失に関する措置は、いまお示しになった要綱の決定の際に閣議了解が行われておって、いまのような問題は別個の体系のもとに措置をする、すなわち生活再建措置について申し上げれば、都市計画法や水源地域対策特別措置法等の個別立法に基づく行政措置としての制度があるわけでございます。ちょっと御質問が専門的ですから、私の承知しているところではそういうことでございます。
  89. 山原健二郎

    ○山原委員 時間の関係でこれの説明が十分できないので、大臣も十分理解しておられないと思いますけれども、全くこれが隘路になっているわけですが、いまの大臣の御答弁のように、そういう措置が講ぜられているのですか。その点で田中さんの方から簡単に答弁をいただきたいのです。
  90. 田中実

    ○田中説明員 個別立法によって講ぜられておりますが、具体の個々のケースによりまして具体の措置がとられていることでございます。たとえば、いま御指摘になりました高知県の例でございますと、生活再建として替え地の造成及び資金融資の措置が講ぜられております。たとえば高知の場合だと替え地に対しまして家屋を新築する場合には公庫資金及び県市と両方合わせまして五百万円まで、また移転する場合には三百五十万円までの低利長期の資金が講ぜられておるところでございます。
  91. 山原健二郎

    ○山原委員 これはいろいろの問題もあると思いますけれども、しかし先ほど言いましたように、明許繰り越しが六割に達するなんということになりますと、たとえば佐川町では来年度この工事がもう終わらなければならぬ、来年いっぱいにこの十億円という繰越金をどうするか、もう事業できないんじゃないかという、土木事務所の方が深刻な心配をいたしておるのが実情でございます。  そこで、この問題についてはこれはもう全国各地に起こっておる問題でございまして、先ほど言いましたように、単に風水害だけの問題ではないのです。ことに、高知市などは四百戸を超す住家が移転をしなければ工事ができないのです。その至るところでそれがとまるという状態で、早く措置しなければ次の台風が来たときはまた市民が大半が水浸しになるという。そこで、これを早期に解決していく。きょうの大臣概要説明にもありますように、早期かつ適切にやるためにはそれなりの措置をとらなければならぬと思いますが、この点について措置をとっていただきたいと思います。これは、最後大臣の御答弁をいただきたいと思うのです。  それから、建設省そのものが「国土建設の現況」というのを昭和五十二年度、去年度出しておりまして、その中にはこう書いています。「国土建設の現況」の中の二百八十ページで、「公共用地行政の課題」として、   公共事業を適正かつ円滑に施行するためには、用地取得業務はただ単に土地物件等を調査、評価し、関係権利者との間に契約を締結するための業務にとどまらず、地域住民の生活及び生活環境に対して適切に配慮するとともに事業の内容及びその実施について地域住民の理解を得ることが重要な課題となってきており、その意味で公共用地行政は大きな転換を迫られているといえよう。これが建設省自体が出しておりますところの公共用地取得について、いままさに改めて検討しなければならぬという考え方だと思います。  私はこの立場を支持したいと思いますが、建設省自体が出しておりますこういう資料についても、大臣としまして改めてこの用地取得の問題については検討をすべきであるというお答えをいただきたいと思いますが、その点、いかがでございますか。
  92. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 記憶違いがあるかもしれませんが、ことし公共事業を大いにやろう、こういうことで、用地問題は非常に重要だというので私なりに検討しておりまするが、この用地の取得につきましては全般的には、たとえて言うと五十三年度分についての用地はおおよそ確保ができておる、こういうふうに認識しておるのであります。  そこで、高知の例をお挙げになって、これが全国的にこういうことではないかということでございまするが、その点につきましてはよく検討させていただきたいと思います。  それから、こういう具体的な事例でありまするので、どういうことで六割からの事業費を繰り越さなければならないのか、これは事情調査をいたしまして、また御指摘のような問題点があれば、それに対応する措置をとりたい、こう思います。
  93. 山原健二郎

    ○山原委員 終わります。
  94. 川崎寛治

    川崎委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時四十三分散会