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橋本(道)
政府委員 冒頭に
先生からいろいろ御忠告を賜りまして、非常に感謝しております。基本的に患者の
立場に立っていろいろやってきておったわけでございまして、現在も患者を無視している気持ちはございませんが、問題は、やはり
汚染の動向がどういう
ぐあいに変わってきているか、いまどういう
ぐあいにこれに対応することをしなければならないかということを率直に言うことがきわめて必要ではないかということで、そこでいろいろ誤解を招いたり、あるいはけしからぬやつだというようなおしかりを受けているところが多いのだろうと思います。これは至らぬところがたくさんあるためにそういうことになっていると思いますが、非常にひどい場合、たとえば四日市の本当にひどくて取り組んだ場合には、一時間値二・五PPmで針が飛んでおったのです。それから、一時間値一PPmがどんどん出たのです。そのような
状態が川崎の大師にもあり、大阪の西淀にもあり、東京の平井にもありました。それでSO2として
年平均が〇・一を超えておりました。しかも四日市に至っては、そのSO2の四分の三が硫酸ミストであるというような
状態があったわけです。そういうときは、どんなことも構わずやはり突っ込むということが基本だろうという
ぐあいに感じておったわけです。そしてどんどん進んでいくうちに、確かに対策というのはある
程度打たれ出しました。補償法というのも確かに
世界的に見ればある
意味ではおかしな法律だと思うのです。いい法律でもあればおかしな法律でもあるという異常なものでありますが、しかし、あれだけのひどいものがあって、そして裁判があった以上は、つくらなければならないということでやってまいったわけです。現在は、少なくとも
大気汚染については危機的な
汚染の
状態を脱したということは事実だろうと思います。
世界的に比べてみても、いま
汚染の問題がないというわけじゃございませんが、
日本は危機的な
汚染の
状態を脱している。中ぐらいのところで、いかにこれから望ましいところへ持っていくかというところにある。そういうときに、それでは
もとと同じ論法でやるかどうかというところにあるわけでございます。そこのところは正攻法的にきっちり進めていくということがなければ、
大気汚染対策というのは非常にまずいんじゃないかということが
一つ。もう
一つは、環境問題には広い問題があって、その中に
大気汚染問題があって、その中にNO2の
環境基準対策の問題があるという中で、何に力を入れるかということを少し見直すべき時期にあるという
感じを持ちながら対応していくところに、いままでと違ったものがあるんではないかというおしかりを受ける節があるのではないかと思います。そういうことで、誠心誠意取り組んでいるということは、ひとつ御理解をお願いいたしたいと思います。ただ、その
努力にかける時間が足りないじゃないか、あるいは理解を深めるのに時間が足りないじゃないかという御
指摘がいろいろございました。私
ども環境庁としても、審議会の資料は全部に配っております。クラブの人にも配っております。
先生方にもお配りして、できるだけ御説明をする、あるいは患者団体の方にも、数回にわたって一時間以上の
議論を率直にいたしております。あるいは産業界ともしておりますし、自治体とも徹底的に話をしております。やはり
行政というのは
一つのスケジュールで動いておるわけでございます。そういう点で、
先生が御批判になるように、まだ余り早過ぎるじゃないかということがあるのかもしれませんが、五月で
基準のあれは終わっておるということから見て、ちゃんとしたレールに乗せなければならないということから、何とか早く解決したいという気持ちを持って
努力しておるわけであります。
先生の最後の緩和するかという端的な、具体的な御
質問でございますが、
条件、
指針どおりなら甘くなるが、それが緩和だという御意見ならば、そういうような公算は私はあると思います。あると思いますが、緩和という問題も、果たして
もとの〇・〇二PPmパーデーと決めた
基準が適切であったかということは、私は
環境庁の大気保全の
行政としてはいろんなむずかしい問題を生んでいると思います。しかし、いいこともございました。五十三年度規制もやる、脱硝もできる、いろいろ進みました。〇・〇二を決めていままで進んできたこと自身については、別の面でまたいろんなむずかしさを生じた、これは
環境庁の責任だと思います。やはりきっちりした堅実な対策で、NO2だけじゃなくて複合的な
汚染にこれから対応するということをやるために
考えるべきことであるということでございまして、新しい
科学的な
判断条件と知見が示されれば、それに基づいて、それを尊重して、また
行政としての総合
政策的な
判断でしなければならないということだと思っております。
どんな手続でということでございますが、これは前回御
答申をいただきましてから
中公審の意見を聞かないとは全然申しておりません。大気部会を二回開きました。そうして、
基準を設定する場合にどのようなものを材料として
考えるかという資料をすべて御説明をいたしまして、それで
先生方からいろいろな自由な御意見を承っております。また、総合部会も開かれました。総合部会で、非常に厳しい批判の御意見やあるいはまた別の角度からの御意見も伺ったわけであります。また、あらゆる点での、どこでどういう
ぐあいに批判をされておるかという資料につきましては、もう細大漏らさず必死に集めておるわけでございます。一般紙から雑誌から政党紙からすべて集めております。そうして見た上で、こう言われておるが、これに対しては一体どうかということを慎重に
考えながら進めていくということでございまして、この国会でも、これは非常に厳しい御
議論をいただいておるわけであります。私も全然たてまえ論を申しておりません。率直に、どういう
ぐあいにレールに乗せるかということでこれは必死に申し上げておるわけでありまして、これが一応の区切りが来ますと、あとはこれは
行政として決めなければいけないということでございまして、
判断条件と
指針は
科学的な検討、それで終わっている。あとは
行政として決める、そこの責任は、
行政は
行政としての責任を負わなければならぬということで、これはあらゆるサイドから評判が悪いことであると思いますが、そういうことは
行政として決めたいということで、新たな諮問を起こすという
考え方はないということであります。
いつごろかという点でございますが、これは
大臣の御
判断もございますので、私
どもはできるだけ早くこれを決定いたしたいということで、五月上旬から約一カ月以上ずれ込んできておりますので、国会が明ければ、できるだけ早く何とかちゃんとしたものにしなければならないという気持ちでございますが、ここは最終的には
大臣の御
判断によるということでございます。