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1978-06-13 第84回国会 衆議院 公害対策並びに環境保全特別委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年六月十三日(火曜日)     午前十時四十四分開議  出席委員    委員長 久保  等君    理事 池田 行彦君 理事 登坂重次郎君    理事 林  義郎君 理事 島本 虎三君    理事 水田  稔君 理事 古寺  宏君    理事 中井  洽君       友納 武人君    萩原 幸雄君       岩垂寿喜男君    土井たか子君       馬場  昇君    竹内 勝彦君       東中 光雄君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (環境庁長官) 山田 久就君  出席政府委員         環境庁長官官房         長       金子 太郎君         環境庁長官官房         審議官     石渡 鷹雄君         環境庁企画調整         局長      信澤  清君         環境庁企画調整         局環境保健部長 山本 宜正君         環境庁自然保護         局長      出原 孝夫君         環境庁大気保全         局長      橋本 道夫君         環境庁水質保全         局長      二瓶  博君         通商産業大臣官         房審議官    松村 克之君  委員外出席者         建設省都市局下         水道部流域下水         道課長     玉木  勉君         特別委員会調査         室長      綿貫 敏行君     ————————————— 本日の会議に付した案件  公害対策並びに環境保全に関する件      ————◇—————
  2. 久保等

    久保委員長 これより会議を開きます。  公害対策並びに環境保全に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。林義郎君。
  3. 林義郎

    ○林(義)委員 きょうは、当委員会におきましては、窒素酸化物NOx環境基準の問題について各党から質問をするということに相なっております。  この問題は、長年の懸案であり、実は環境行政の基本問題に関することだと思うのです。政府の方におかれましても、この環境基準見直し作業を、時間をかけて、中央公害対策審議会に付議して判断条件その他の問題を議論していただかれましたし、今度は政府の方の問題として、中公審答申を受けて政策的な判断を下すべき時期にいまや来ていると思います。  そうした意味で私は、まず大臣お尋ねをしたいのですけれども、いままでの環境行政の中で一番問題が紛糾していた問題はこの問題でありますし、悪い言葉で申し上げるならば、環境行政の混乱と不信の原因も実にこの辺にあったということも私は言えると思うのです。はっきり申し上げますと、そういった点もある。そうした意味で、いままでの行きがかりにとらわれることなく、やはり今後のあるべき環境行政の展望というものを考えながらこの問題について取り組んでいかなければならない問題だと私は思うのです。先般出されました中公審答申も、決してそれをうのみにしていいということではない。中公審答申自身も、これはあくまでも判断条件、クライテリア、参考である、こういうふうに言っておるわけでありますから、もっと広い観点から総合的政策判断をという形でこの問題を決めるべきだろうと私は思いますけれども、この辺につきましての長官の御見解をまず承りたい。
  4. 山田久就

    山田国務大臣 わが国の環境基準は、公害対策基本法に基づきまして、「人の健康を保護」する上で「維持されることが望ましい基準」というものとして定められていることは御承知のとおりでございまして、各種の長期的な総合施策のいわば努力目標ということでございます。したがって、直接に法的な拘束力というものには結びついていないという基準であることを注目する必要があると思いますが、同時に、施設の許可認可基準でもない等の点、この点は他国基準と異なっておる。したがって、これは絶対必要な健康保護のための基準というようなことで決められている他国基準というようなものと単純に比較はできない点があるということは御承知のところかと存じます。  二酸化窒素環境基準というのは、公害対策基本法の趣旨にのっとりまして、国民健康保護ということを法によりまして第一義として、中公審答申を踏まえまして、いろいろその他の考慮すべき点をも加味して考えていきたい。  しかし、健康基準を達成する方策というものを講ずるに当たっては、むろん、いま申し上げましたように、社会的、経済的な影響というような点も踏まえ、合理的な選択というものを行う必要がある。NOx対策のエネルギーや経済に与える影響等については、環境庁といたしましても、いろいろな観点からこの点については検討を加えております。そのほか、出ている産業構造審議会答申というものもあります。いろいろなものも参考にいたしまして、また、その他からもいろいろな要請も出ております。こういうものを参考にしまして、慎重に実施していくという所存でございます。  しかしながら、むろん先ほど申しましたよ工に、中公審答申——勝手に決めるということじゃない、そこら辺は一応踏まえながら、いろいろな要素を加味いたしまして、実際的、合理的、客観的に決定していくようにひとつ努力したい、検討していく、そういうたてまえでいま臨んでおる次第でございます。
  5. 林義郎

    ○林(義)委員 御答弁の中にポイントが三つあったと思うのです。一つは国際的な基準との問題、第二番目は総合的政策判断をすべきであるということにつきましては経済的社会的な諸要因を十分に考慮して決定するということと、産構審答申も踏まえながら——私は参考にすべきである、こう申しましたけれども、それを踏まえながら、こういう以上三つの点があったと思うのです。いま申しました三つの問題、国際的な比較の問題と総合的政策判断の問題それから産構審答申との関連の問題、この三つでございますが、この三つの中で、まず最後の方からちょっとお尋ねをしていきたい、こう思います。  中公審答申を踏まえながら、私の表現によれば参考としながら、そういった場合でありますけれども、その中の指針数字だけ一人歩きさせるようなことはやはりやるべきでない。いろいろな条件答申の中に盛られておるわけでありますから、それを正当に理解してやっていかなければならない。たとえば答申の中には「健康な状態からの偏り」という考え方がありますから、この辺をどう判断されるかというのがあります。「健康な状態からの偏り」という概念、この概念は非常におもしろいというか、きわめてストレンジなということを言った方がいいと思いますが、新しい概念をつくられたと私は思うのです。国際的な常識となっているようなところではディザイアラブルアクセプタブルトレラブルというような概念はいろいろありますが、そうした新しい一つ概念を持ってこられたということでございますけれども、この健康からの偏りというものは、あくまでも参考にして考えていくべき概念ではないだろうかというふうに私は思うのです。先ほど申しましたように、科学的客観的にというふうな大臣の御答弁もありましたけれども公害対策基本法の中には「常に適切な科学的判断が加えられ、必要な改定がなされなければならない。」、こういうふうな話でありますから、その科学的な判断というのはある程度まで、いまのような概念が出てきたときには、概念自体が果たしていいのかどうかということを議論しなければ正当な科学的な判断にはならない、こう思うわけでございまして、そうした意味で、科学的という意味においてはそれがきわめて合理的なものである。合理的なものであるというのは、そのほかのいろいろな、いままでのほかの科学によって積み重ねられてきたものとの間でのその整合性があるということが一つの大きな問題だろうと思いますし、それがむしろ常識であろう。したがって、そういった新しい考え方を持ってくるということについては十分慎重に検討していくべき話ではないだろうか、こう思うわけでございまして、むしろ私の申し上げている方が、これは一般科学のような世界におきましては常識ではないか、こう思うわけでございます。そうした点で私は、むしろ政府がそうしたものの上に立って総合的な政策判断を加えるべきだろう、こういうふうに思いますが、その辺はいかがでございましょう。
  6. 橋本道夫

    橋本(道)政府委員 いま先生の御質問として、「健康からの偏り」ということは少し不思議な概念ではないかという御指摘がございましたが、これは日本ほど非常に厳しく国民の健康の保護は絶対的に大事な問題である、「経済との調和」とはしないということを言っている国は世界のどこの国を探してもございません。概念としてはこれは定着したわけですが、それでは一体どういうレベルの健康の保護を図るのかという点がきわめて問題であるということはかねがねこの数年間の論争の焦点だったわけです。よその国は、人が死ぬとか病気になるとか機能が明白に低下するということを中心に物を考えてきたわけですが、そういうことでいきますと、どうしても何か悪いことが起こってしまってからのものしかできないというところに非常にむずかしさがあるわけでございます。  そこで今回の専門委員会の中で非常に御議論をなさいまして、先生の御指摘は恐らく七二年のWHOの専門委員会報告の中の意味のはっきりしない、生理的な変化その他の変化というものが二つに分かれておる、そのうちのさらに一つの分を引いておるというお気持ちをお持ちなのだろうと思いますが、実は、むしろそこのところが日本では非常な議論でございまして、これは大気汚染のみならずイタイイタイ病でも一番核心はそこだと思うのです。そうしますと、そこのところを一体医学的にどう整理をするのかということで先生方が非常に御議論なさいまして、問題を、一つは全然影響が観察されない、一つ医学的生物学的な影響は観察されるが、それはちゃんともとに戻って普通の健康の範囲内である、つまり健康というのは、別に一つの線、一つの点があってそこだけでじっと硬直的にいるのが健康ではないわけで、こう動いておるわけでございます。刺激があると反応する、戻っておるわけです。それからそれを超えますと、どうも起こった変化もとに戻るかどうかわからないぞ、これはもともともとに戻る範囲内のが狂ってくるのじゃないかというのがありまして、その次には病気との関連ではっきり言える、次はもう疾病と診断される、それから死亡、こういう水準の問題がある。そうすると、現在の二酸化窒素大気汚染問題という場合に、幸いにしてロンドンスモッグのような事件は経験もしておりませんし、四日市のような事件も経験しておりませんし、窒素酸化物の異常高度によって人がたくさん死んだりたくさん病気になったという例はございません。そうしますと、日本の中の健康保護は絶対であるということを、どのようなスペクトルとしてとらえるかということを最も厳しく、いろいろな違う立場、違う考えの人が完全に合意をして整理されたのが今回の健康からの偏りを防ぐ、つまり正常の健康の範囲内にとどめておく、それから外れてしまってもとに戻らないとか機能が落ちるとかそういうことはしないということの尺度をお出しになったわけでございまして、医学というものは年々進歩するものでございます。日本議論はよその国の議論よりもはるかに細かな議論でございます。それに対応して最も適切な、あれだけ考えの違う専門家が完全に合意されたこの概念というのは世界的に大きな一つの前進だろうということでございまして、何ら不思議なものではないというぐあいに私は思っております。
  7. 林義郎

    ○林(義)委員 いろいろと御議論があったんだと思います。  いま局長からの御答弁もありましたが、環境庁から出しておられます新聞発表みたいなものを見ますと、「高い確率で人の健康への好ましくない影響をさけることができると判断される」ということで合意をされた、こういうふうになっております。その「高い確率で人の健康への好ましくない影響」というのは、私もかつてこの委員会で話をいたしましたけれども、たとえばいまこの中でたばこを吸っている人が二、三人おりますが、この程度のことでしたら全体に対してどうだという話はないと思うのです。これはむしろ無影響だと思うのです。その無影響から、どうも煙たいとかなんとかという話がある。せきたんが出る。のどにちょっとひっかかりましても肺気腫肺胞の中におきまして人間としては十分な反応ができる。そこで今度は病気になります。その次の段階としては、汚染がひどくなっていくと病気になってくる。特に肺気腫肺胞のようなところにおきましては非常にひどいものがありますとやけどのような状態になりまして、なかなか回復しないというような状況がある。さらにひどい状況になりますと死に至るような形の病気になっていく。こういうふうな形がグラフで描けるのだろう、私はこう思うのです。これはあくまでも観念の話でございますが、そういった形で描ける。そうしたものが国際的にも言われてきておりますのは、やはり病気にならないというところの範囲なのか、それからもう一つは、非可逆的、もとへ返らない。ちょっとせきたんが出たからすぐどうだこうだということではないと私は思うのですね。やはりせきたんが出た、あるいは仁丹でも飲めば治ってしまう、こういうふうな話もあるでしょうし、そんな状態が言うべきところのものではないだろうと私は思いますし、もう少し進んだところの非可逆的な、もとに戻らないような状況を来す、あるいはそれが堆積していったならば慢性疾患になりますし、さらには死に至る病になりますというようなところのものをメルクマールとして考えていくべきではないだろうかというふうに考えておるわけであります。だから、そこでのような考え方と、およそ健康に対して全然無影響だということになると、先ほど申しましたせきたんが出たというようなところまでもこれは健康に対して影響がある、こういうふうなことになりますから、私は、その辺は医学言葉をむしろ常識的に、われわれを含めて一般国民にわかるような形の説明をする必要があるのではないだろうか、こう思うのです。そういった意味で、先ほど申しましたのは、いままでの医学的なものが基礎にあって新しい方向を、いまの橋本さんのお話だと、日本が一番進んだところの精緻な議論をしたのだ、こういうふうな話でありますが、精緻な議論というのは私は大いにやっていただかなくちゃいけないけれども、精緻な議論というのは往々にしてなかなか理解されないところの議論でありますから、その辺がやはり一般国民言葉としてできるようなことをやっていただきたい。「偏り」とかなんとかいう、こういうふうな話になりますと、そこがどうもはっきりしないという点があるのだろうと思いますから、その辺はどんなものでしょう。
  8. 橋本道夫

    橋本(道)政府委員 これは先生のいま仰せになりましたように、どのようなぐあいに国民の多くの方がみんな理解できるようにするかということは、一番大きなことだと思います。そういうことで、今回の答申があったのは、偏るというのは非常にむずかしいということで、もっと非常に常識的に言えば、普通の健康の状態にちゃんと保つ、こういうぐあいに言えば一番わかりやすいのではないか。普通の健康の状態にちゃんと保てますということを非常に高い確率で言えますよというのが普通の人に対する言い方だと思います。先生のお言葉の中に無影響というお言葉がございましたが、これは無影響レベルではございません。せきたん一つ防御反応でございます。ですから無影響ではないということでございます。それは影響は確かに少しはある、しかし、これは健康な状態でいろいろな刺激があるわけですから、影響や何かあるわけでございますし、しかし健康で心配するというようなことにはなりませんよということを言っているというぐあいにどもは、これははっきり最終的に確定いたしますと、この点につきましてはいままで以上に、そのような普及啓蒙ということが欠けておりましたので、そういう努力をいたしたいと思っております。
  9. 林義郎

    ○林(義)委員 そこで、もう一つの問題があります。東京都あたりからいろいろ出ていたのを新聞で私も拝見しただけなんですが、安全係数が掛けてないではないか、こういうふうな話があるのです。しかし、その安全係数の問題をこの段階で使うということは非常におかしな話である。医学立場において安全係数を掛けなければならないというのは、むしろ動物実験をやった例しかない、あるいは、ほかの相当程度病気の場合にこうなります。あるいは職業病であるとかなんとかというような例がありましてなかなかその知見が得られないというときに私は安全係数を使うべきものであろうと思うのです。カドミの場合におきましても、動物実験に対して安全係数を掛けて云々と、こういうふうな話がありました。ところが今回の場合は、いま橋本さん、お話がありましたように、相当議論が精緻に話がされましたし、とにかく「人の健康への好ましくない影響をさけることができる」レベルというのは、いろいろな観点から議論をされているわけでございますし、むしろ安全係数をここで入れるということ自体科学に対する冒涜である、そんなものを入れるのは全く非科学的な態度だと私は考えるわけであります。科学立場においてならば、ここに安全係数を入れたら非常におかしな形になると思うのですが、この辺は環境庁の方はどう考えられますか。
  10. 橋本道夫

    橋本(道)政府委員 いま先生の御指摘がございましたが、安全係数という問題が普通の原則論として問題になるということは間違いございませんが、今回の答申をつぶさに点検をいたしてみますと、これは、そのような安全性の問題を頭に置きながら最終結論を出しておられるということと解しております。といいますのは、これを超えれば死亡がふえるとか、あるいはこれを超えれば病人がふえるとか、あるいはこれを超えれば病人の症状が悪化するという臨床例があるとか、そのようなものであの数字が出されているならば、安全率は要ると思います。あるいは、これを超えれば機能低下がぴったり起こる、これは安全率が要ります。ただ、前の御質問にもございましたように、健康の範囲内にとどめるという議論でございまして、これは従来のSO2にしましても、ばいじんにしましても、みんな死亡病気かあるいは機能低下の明白なものがあって、その上に疫学があるということでございますが、今度の例は、一つ志願者の、人に対する研究の結果、それからもう一つは複合の状態での非特異的な影響としての疫学の場での観察というものでやられておりますので、専門委員会判断条件指針を出したわけでございます。これは全く科学的な話でございまして、判断条件指針という観点から、あそこまでのものが全部で合意して出されましたので、あとは、これは科学の問題ではなく、さらにそれ以上にきれいにすべきか否かということはいろいろな御意見があると思いますが、これはむしろ個人願望、理想、そういうような問題が一方にあり、それに対して環境基準として総合政策的にどう判断するかということでやるべきことで、安全係数の問題はこれは総合政策的に判断すべきことである、科学的に安全係数が要るということにはもうなってはいないというぐあいに考えております。
  11. 林義郎

    ○林(義)委員 安全係数の問題は個人願望であるとか、それから安全を望むというふうなかっこうからそれを入れるのは差し支えないが、科学の問題の範囲外である、こういうふうな御答弁だったと私は思うのです。まさにそういうことで、私もこの中公審答申を見まして、NOxの場合が、SOxとか粉じんの場合とかと大分違っている、あるいはカドミなんかの場合と相当違っている、こういうことがありますし、むしろ私は、先ほどの、健康からの偏りというような概念ですね、そういった中にいわゆる安全度を見込んでやっているのかどうかという感じさえするのです。どうもその辺は、ここだけを見ますと必ずしもはっきりしないのですが、普通で言いますと、トレラブル、甘受する、とにかくここまでは甘受すべきであるという概念、それからアクセプタブル、許容すべき、ここまでならば何とかいいだろう、こういう概念、それから、望ましい、ディザイアラブルという概念、この三つ概念医学的にはあるだろうと思いますが、そういった意味では、ディザイアラブル概念の中のまたもう一つ分けて考えてきた、こういうふうな話で、しかもそれが疫学医学その他の関係から相当に深く研究をされておるように私は拝見したのです。そうした意味で、科学の問題として安全性ではなくて、総合的な判断をすべきである、こういうことですが、総合的な判断というのは、やはり適切な科学的判断が加えられて常に改定がされなければならない、こう書いてあるわけですから、科学的な判断ということになれば、当然に客観的ないろいろなデータがなくてはならないし、政策の中に個人願望を入れるということは、専制時代であったらあると思いますけれども、現代のような社会においては、私は、あってはならないことだ、こう思うのです。そういうふうに考えておりますけれども、その辺はどうなんでしょう。
  12. 橋本道夫

    橋本(道)政府委員 いまの先生の御質問の中で、トレラブルアクセプタブル、ディザィアラブルということのお話がございました。これは専門委員会でも、こういうことが何か決められるかなと思ってお願いをしましたが、それはちょっと決められないということでございます。そういうことで、それはむしろ行政がどういうぐあいにこれを運用するかで判断する問題だろうという感じで、学問の立場からはそこまでの分類は無理だということになったわけであります。  そういうことで、判断条件を示されたものを私どもが見せられて、あれは安全性を含んでいるという考えを持っております理由は何かといいますと、やはり、いままでのデータとしてはっきり病人がぐっとふえるという水準が出るのは、大体年平均〇・〇六から〇八を超えたところ。アメリカ年平均〇・〇五という水準は、それは〇・〇六から〇八というのを、〇・一で患者がふえる、こう見て二分の一の安全率としております。それはもう非常に高い。これはもう補償問題であります。アメリカのようなところの年平均〇・〇五前後といいますのは、これはトレラブルといいますか、カナダがトレラブルで決めておりますけれども最大許容限度みたいなところです。  アクセプタブルという議論行政官なりにいろいろのデータをずっと見てみますと、どうも年平均〇〇四ぐらいな議論かなという感じがいたします。そういうことで見ますと、〇・〇二と〇・〇三という、〇三の方はアクセプタブルとの間のマージンは狭いが、〇・〇二と〇・〇三というのは、これで健康のあれは防げるということですから、まず好ましいという行政の上での判断をしても差し支えないんじゃないかという考え方を持っているわけであります。  ただ、もう一度申し上げますが、科学的にはあの範囲内のゾーンとして健康は余り相違ないということで、汚染としては、セーフティーマージンの広い、狭いの問題は残っておるということだけは申し上げておきたいと思います。
  13. 林義郎

    ○林(義)委員 ちょっと私はお尋ねをしたいのですが、環境基準というのは一般大気の中の基準だ、こういうことだと思うのですね。  室内問題があるのですね。昔ですと、日本の家屋というのはわりと開放的である、それから、外でいろいろ仕事をすることが多い、こういうことであったのですが、最近の生活その他を見てみますと、室内での生活をする場面が、恐らくお互いの全生活の中で半分以上だろう、こう思うのです。この部屋はまだまだそう汚れておりませんが、これが自宅へ帰って石油ストーブを燃やしたりなんかしますと、これは大変な汚染になる。  たとえば、関西産業公害防止センターが五十一年三月に実施した調査によりますと、六畳居間で石油ストーブを使用した場合には平均〇・四二PPmになるとか、それから、たとえば単純な試算ですが、六畳の部屋で四人が入って、四人が飯でも食っている、二時間で一人が三本ぐらい吸いますと、大体たばこのNOxだけで〇・二とか〇・三PPmぐらいのものになってしまう、こういうことがあるのですね。これは単純な計算をすれば、そういうふうな結論が出てまいります。  そういったいわゆる大気汚染というようなものが一つの問題になっていますが、人間の健康に関する限りは、屋外の空気がどうだということと同時に、室内の環境というものをやはり考えていかないといかぬのではないか、こう思うのです。非常な密室で、もうもうとたばこを吸ったりなんかしてやっておりますと、これは非常にNOxの濃度というのは上がってくるわけでございますし、特に石油ストーブなんというものになりますと、いろいろな濃度が当然に上がってくる。幸いに国会は空調になっておりますから、ここで石油ストーブをたいてどうだということじゃありませんから問題ありませんが、こんなふうな形に全国の家庭がなっている、全国の事務所がなっているというわけじゃないですね。  そういったような問題というのは一体どういうふうに考えたらいいのだろうか。この辺につきまして、環境庁の方はどういうふうにお考えになりますか。
  14. 橋本道夫

    橋本(道)政府委員 いまの先生の御指摘のあった問題は、SO2なんかでは、そういう問題はまずほとんどなかった問題でございます。窒素酸化物におきましては、一番大きなのは、これは喫煙で、よく金を払ってあんな何百PPmものんでおると思いますが、個人は暴露されておるという状態でございます。  それから今度は、戸内になりますと、先生指摘のような厨房もありますし、ですから家庭婦人は、厨房の場合に、ぱっと受けるのはわりに濃度を受けるのじゃないかということは、これは事実でございます。また、そういう問題も専門委員会の報告の中に入っております。学童が、暖房の状態の相違によって違いがあるというのでございます。それから次に、戸外になる。  そういうことで、たばこが最もひどくて、それから戸内が戸外よりもちょっと汚れておって、戸外は戸内よりも大体余り汚れておらない。しかしながら、戸外と戸内の空気は関連しながら変化をしているということ、これはまた、間違いのないデータがございます。  そういうことで、戸外の空気はなるべくきれいにということは、これはやはり一つの当然の話ではないかということでございますが、危険性や影響考える場合に、戸外の空気だけの議論ではなかなか、まだ弱みがあるということがございまして、NO2の影響としては、たばこも戸内も戸外も全部が重なっておる。そういうことで、たばこの問題は、これはきれいに分離されております。戸内と戸外の問題が分離がほとんど不完全にしかいかないというところに問題があるわけでございまして、そういう点では、疫学データで、結果的には安全性を高く見た結論になってくるというぐあいに考えておるわけでございます。対応する場合に、やはり危険性の比較考量ということは、基準設定の上では当然政策的に頭に置くべきことだと思います。
  15. 林義郎

    ○林(義)委員 山田環境庁長官は、新聞で拝見しますと、嫌煙権運動というのですか、たばこをいやがるという運動を積極的に推進をしておられるというふうに私も読ませていただいたのですけれども大臣は、いまの問題、やはりNOxの問題を議論したときに、私は大変なたばこ吸いでございますけれども、たばこの問題とか石油ストーブから出るところのNOxの問題、これはいまも局長から答弁がありましたけれども、やはり総合的に考えていかなければならない問題だと思うのですね。なかなかそう簡単におまえやめろと——大臣、お吸いにならないかどうか知りませんが、なかなかそう言えない。サー・フィリップス・ローレーですか、から始まった人間の習慣ですからね。ところが、それが私は非常に大きな影響を持っていると思うのですね。こういったことは、単に政府基準を決めたからどうだこうだという話ではないので、やはりこれは一つの大きな国民運動というか、大きなモラルの問題とかいうようなかっこうで進めていかないと、本当に達成はできない。確かに相互因果関係があるから、室外はこうします。室内はこうします。なかなかそう簡単に決められない話だと思いますが、これにつきましては、大臣はどういうふうにお考えになりますか、率直にお尋ねをしたいと思います。
  16. 山田久就

    山田国務大臣 環境問題と申しますのは、このNOxに限らず、一般的に言って、やはり国民全部の理解、自覚、協力、こういうものとうらはらになって初めてこれは達成されていくんだ。私は、基本的な点はわれわれよく理解していなければならぬ点だろう、こう思います。いま御指摘になられました、たばこの問題ですけれども、私自身かつては非常なヘビースモーカーであったという意味では、のむ人、のまない人について、両方に理解を持っているつもりです。  この間、嫌煙権の皆さんに、環境週間にちなんで、どういう心構えや態度であの問題をやっているかということで、空気の環境基準ということに関連も多い問題であるので、私もお尋ねしてみましたら、自分らは、禁煙しろということを人に強制するつもりはない、しかしながら酒を飲んだような場合は自分だけが気持ちがいい、むろん酔っぱらって人に影響を与えるということはないわけじゃないけれども、たばこの場合には、自分はのまないのに、横でたばこを吸われるといやおうなしにその煙を吸わされてしまう、そういう点では大分違うので、やはりのむ人がのまない人の立場というものを理解、尊重して、自制して物を考えていくという態度をとってもらわないとわれわれとしても非常に困るので、そういう意味では、むしろのむ人が、のまない人の立場に注意を払うという意味で、この運動には積極的に参加して、考えてもらうことを望むことを基本としている運動だ、こう言うので、そういう意味では私は大変説得力のある態度であると思う。繰り返して、要はこの問題は、特に一般国民の理解と協力を必要としている環境問題であるだけに、そういう態度で単に禁止してしまうとか、あるいは抗議するとかというようなことではなくて、お互いが立場を理解していくという態度は、よりよき環境に非常に通ずるマナーであり、考え方であるという意味で私は賛意を表しておいたわけで、そんな心構えというものはこの問題のためには非常に必要だ、こう考えております。
  17. 林義郎

    ○林(義)委員 大臣答弁中にたばこをつけてしまって申しわけないのですけれども、私が吸うのはアクティブ、積極的に吸うのですから、私自身もしもたばこを吸うことによってNOxが出て、これだったら私の責任だからこれはもうしようがないと思うのです。しかし、私が吸うことによって、速記をしておられる方とか、まあ大臣のところまではいかないだろうと思いますけれども、そこにいる人に対して受動的な影響を与えたのでは、これはやはり申しわけないということだと思うのです。  たばこというものは、NOxの問題に関連して、実は大変大きな影響があるということは、私はやはり国民に理解を求めていかなければならない問題だと思うのです。いままではどちらかというと、たばこというのは、私も吸い始めたころは、ニコチンがたまるぞ、ニコチンの弊害だ、こういうふうな話だった。ニコチンの弊害ではありませんよ、たばこの弊害はNOxの問題です。NOxが出るのはこのぐらいであって、一本吸ったならば自分の体の周りにはこのぐらいのものが出ますよ、それと比較して、政府が目標とするところの、望ましいところの環境基準というのは実はこうなんだ、こういうふうな話はやはりやっていくことが、環境問題について国民のよき理解を求めるための、そしてまた国民の本当の意味での健康を維持するための政府の施策だろう、私はこう思うのです。たばこはたばこだ、NOxNOxだ、自動車の排ガスは排ガスだ、これはこういうふうな話じゃないと思うのです。そういった意味でいろいろな話を進めていただきたい、私はこう思うのです。  と同時に、私、もう一つ申し上げておきます。とかく〇・〇二を〇・〇四にするとか〇・〇六にするとかという話で、それが直ちに健康被害補償法の対象地域になるとかならないとかという話があるのですね、現実問題として。私は、なぜそんな話になるのかきわめてわからないんだけれども、そういう話が出てくる。基準を緩和したから、今度は被害の方の補償はしないんだとかなんとかというような話が出てまいりますが、そんな話ではない。環境基準というのは、まさに望ましいレベルをつくっていくところの、先ほど話があったように、「健康への好ましくない影響をさけることができると判断される」ところの条件ですから、そこで健康被害補償法の適用になっているようなNOxあるいはSOxが出たり、ばい煙が出たりする、そうしたところによって、これは因果関係がある程度まで一般的に確立されるということが前提であの法律ができていますから、そういったものがあったならば必ず補償しなければなりませんよという、その段階とは全然違うものであるということは、私は、政府が幾ら声を大きく、はっきり言っていただいても差し支えない問題だろうと思うのです。その辺につきましては一体どういうふうにお考えになりますか。
  18. 橋本道夫

    橋本(道)政府委員 いま先生のおっしゃったことは全くそのとおりでございまして、この間、患者さんたちがたくさんお見えになって、一時間ばかりお話ししたときに申し上げましたが、もしもNO2の濃度が年平均〇・〇八か〇・一〇ぐらいのがずっと続いたりしたら、これは補償法に乗るかもしれない、こういうぐあいに言っております。で、ロサンゼルスは年平均〇・〇七で、東京よりも肺気腫死亡率は七倍も高いという状態であります。しかし、日本には幸いにそういうところはないということでございます。しかし、いまの年平均〇・〇四とか〇・〇五という濃度がいいと言っているわけじゃない、これは対策を打ちます。しかし、たばこや、あるいは戸内とか戸外という問題があるので、これは落ちついて、望ましい方向にずっと抑えていくというようなことで対処すればいいのだという説明のいたし方をしておりまして、その点につきましては、これからも強力に啓蒙を図りたいと思っております。
  19. 林義郎

    ○林(義)委員 はっきりしておいてもらいたいのは、公害健康被害補償法、これはやるかどうかというのはまだ問題だと思いますけれども、言うところのメルクマールと、この環境基準は明らかに違うものである、これだけは大臣環境庁としてもはっきりやっていただかないといろいろな混乱が出てくる。そこに、いまのこの問題が非常に大きな問題になっているところの一つの大きな原因があるのではないかと思いますから、大臣、その辺どうでしょう。
  20. 山田久就

    山田国務大臣 いま林委員の御指摘のとおりでございまして、この環境基準というのは、高い確率で健康の状態というものを維持していく基準、こういうことでこの基準というものがつくられたことと、それから、いわゆる規制をどういうふうにするかという問題は全く結びついてない、別の問題であって、われわれは具体的な方法として、ある種の場でどういうような規制をもっていくか、それを強くするか、緩和するか、そういうことはこれと別の問題として行われていくんだというのが間々非常に混淆されがちだというのは、いろいろな意見の交換のやりとりで見受けられる点であって、その点の誤解ということは実は余り軽視してならない点であろうと私も考えておりますので、この点はわれわれ、私自身のみならず、環境庁あるいは広くこういう問題に関係を持っておられる方がひとつ正しい理解を得るようなふうに、ぜひ努めていただきたい、こう私も念じておる次第でございます。
  21. 林義郎

    ○林(義)委員 それから、最初の問題に返りますが、環境基準の国際的な比較の話であります。これは法律技術論的にやりますといろいろな議論があると思うのです。たとえばアメリカ考え方、それからドイツの考え方、スウェーデン、ノルウェーの考え方、いろいろあると私は思いますが、そこをどう決めるかという物の考え方と同時に、具体的な話として考えていかなければなりませんのは、私は法律の細かい議論はのけまして、各国それぞれやはり環境政策をやっているわけですね。そうすると、環境基準とか、いろいろなスタンダードとか、いろいろなことを決めておりますが、やはりその目標を決めたならば、その目標に従って具体的な規制をやっていくわけですね。自動車の排ガスの規制をやりましたり、あるいは工場の発生源の規制をやったり、いろいろなことをやっていく。それがアメリカの場合で言いますと、アメリカでも基準を決めておりますが、それを達成していくためには五年でやりなさいとかなんとかいうような話でやっているわけですね。そこで、アメリカやヨーロッパなんかの基準は、健康保護という観点から、日平均値にしまして大体〇・一PPm、年平均値にしまして〇・〇五PPmというようなレベル環境基準を設定している。これは役所の方の方も御存じだと思いますけれども、欧米各国で、確かに法律的な細かな条文は違いますが、比較的短期間にやはり達成期間が定められる。それから、大気汚染防止法でもやはり一つの総量規制、全体のいろいろな形のものをずっと進めていってやろうという形での直接的な一つの目標になっているわけでありますし、それから公害防止計画でもやはり目標値としてこれは使われておる。事実上は規制の根拠として運用されているということは明らかなことなので、望ましいと言ったところでそれは望ましいから何もしないというわけではない。まさに行政目標であるからそこに持っていかなければならない、こういうことだと思いますけれども、国際的な環境施策の進め方というのはそんなに違わないと思うのです。  そういったときに、最初に話がありましたが、日本では非常に問題がある。それでは日本の人間が特にNOxに弱いかというと、そんなことはないと私は思うのです。日本人が黄色人種だから弱いとかなんとかいう話はない。それから、日本は非常に過密であるからどうだ、こういう話がありますが、過密だからどうだこうだという議論はちょっとおかしいので、健康というものは過密であろうとなかろうと同じ話でありますから、過密だからどうだという話にはならないと思うのです。一体、その辺をどういうふうな形で考えておられるのか、どうも私はそこに納得いかない点が一つあるのですが、どうなんでしょうか。
  22. 橋本道夫

    橋本(道)政府委員 いまおっしゃった点が非常にいろいろな議論のある点でございますが、アメリカは三年間に達成しなければならないと法律で決められておりまして、それが達成されないといろいろな問題が起こるわけであります。その問題はゴールと同じだろうという議論ときわめて似通っておりますから、次にその点を、ではもっと大事な点でいきますと、アメリカ基準年平均〇・〇五PPmはどこでも汚していいとはなっていないという点が世の中に余り知られていないということであります。これはクラスワン、クラスツー、クラススリーと、非常にきれいなところ、中ぐらいなところ、非常に汚れていいところと分けていまして、非常にきれいなところはほとんど汚染はふやしてはいかぬ。ですから、〇・〇一なら〇・〇一をもうほとんど汚さないという法律上の使命があるわけであります。  それから、日本はアセスメントはまだそんな時代じゃないと言ってできないような状態アメリカはアセスメントの法律でそれを使っているわけであります。これは本質的に違います。ですから、外国がやっているからということになりますと、アセスメントの法制を向こうはやっているわけであります。きれいなものはきれいに保つという条件、あるいは中ぐらいなものはきれいなものよりも少し汚していいがそれ以上汚してはいかぬ、非常にひどいところだけ〇・〇五までしようがない、こういう条件が入っておる。これは法律上の規制にはっきり組んでおります。  それから、〇・〇五を超えると非常に厳しい規制がかかってまいります。二十六の大規模施設を特定しまして、そして絶対に減るような新増設以外には一切ノーになるわけです。ですから、法律上の性格で、三年云々だけですとゴールに似ているようですが、アセスメントと全部リンクして地域類型がついているという点は、アメリカの制度と比べて御議論される場合に非常に注意をしていただきたいポイントだと思います。  それからもう一つは、アメリカの法律上の条文が公衆の保健に必要なと書いて、日本ディザイアラブルになっております。  ここでもう一点申し上げたいのは、アメリカのものは十分な安全性、こう書いてあるじゃないか、こういうことであります。アメリカ年平均〇・〇五は何をもって十分な安全性があると彼らは言っているかといいますと、年平均〇・一PPmを超えると急性の患者がずいぶんふえるだろう。しからば、その年平均〇・一という数字をどこから出したかといいますと、年平均よりも少し短い単位の測定で、〇・〇六ないし〇・〇八ppmを超えると患者がふえるというデータがあるのです。それを彼らは丸くして〇・一と言っておるわけであります。それで、それに対して二分の一のセーフティー。  それから、年平均の〇・〇五のポイントはどうかというところで、決定的に慢性気管支炎が有意に高いという証拠がない、だから、きれいだとは言っていないわけです。ですから、アメリカのようなそのような考え方日本ではとうていのむことのできる考え方ではないということがはっきり言えるのではないかと思います。  それから、ドイツの場合は、これは言うまでもございませんが、日本比較して一番議論になりますのは、その水準を超えますと除害装置をつけてくれということを司法上のアクションとして請求する水準を出しております。  それからもう一つは、それを超えると差しとめ請求はできません。一回認可したものは差しとめ請求はできませんが、損害賠償請求はできる条件になるわけです。ですから、それを認められるか認められないかは裁判所の問題です。しかし、少なくともそういう条件として年平均〇・〇五を決めているという条件が入っております。ですから、法制上の相違ということだけじゃなしに、どの程度まで最大限に人に迷惑をかけて本質的な侵害をしてよいかというような基準でございまして、日本のように維持されることが望ましいというものでは全然ないということであります。  それからもう一点は、これは私は国際的に非常に考えるべきだと思いますのは、日本NOx問題等に非常にたくさん金をかけますと、日本が開発途上国に売り込む値段の中に皆入ってまいります。そうすると、日本のものすごい高い水準の健康要求を維持する、きれいにするために、開発途上国の人がそれに対して金を持つことになるわけです。これは環境庁に毎年やってくるフェローにすばらしい公害防止施設を見せますと、あっ、この金をわれわれの方が皆払わされておるのか、こういうぐあいに言います。これは健康水準考える場合に、望ましいのは、それは確かにもう果てしなくあると思います。けれども、これで十分だというところがあれば、十分そこのところでやるべきじゃないか。  最後は、対策のおくれは欧米にあるということであります。以前は欧米が進んでいるからそれに行け、こう言ったのですが、いま確かにエアポジションでは向こうはおくれております。そういうことで、次第に公害対策が、よそが余りやらなくてサボっているものに合わせるというような風潮が日本に出てくるのが最も憂うべきことだというぐあいに考えております。
  23. 林義郎

    ○林(義)委員 いま御説明がありましたが、一つには、日本でも日本の規制なり何がわりと緩い、あるいはアセスメント法案ができないからと、こんなお話がありましたが、私は、日本環境行政というのは相当厳重にやっておられる行政一つだろうと思いますよ。いろんな意味において諸外国と比較しましたならば相当に進んだ行政をいまやってきている。だから、確かに世界で一番進んできている行政一つだろうと思います。これは環境庁を初めとする政府の各省がいろいろと御努力をされた結果だと私は思います。ただ、そのときに、最先端を走っているわけでありますが、先ほどもお話のあったように、望ましいところの基準が何かということについての国民的な合意をどうとっていくかという話である。先ほどたばこの話を大臣に申し上げましたが、やはり国民的な合意がなければ、これからのいろんな行政なり政策というものは進められないのだろうと思うのです。だから、そこはやはり国民だれにもわかるような基準をつくってやっていかなければならない。厳しくやるようなところがあって、もしもいま抜けているようなところがあったならばそれはまた厳しくしていけばいいのだろうと思いますが、何もかも皆厳しくやれということは私はおかしいのではないかと思うのです。  それで、一つ申し上げますが、今後の日本の社会の中で短期的に考えていかなければならないのにやはりエネルギー問題というのがあると思うのです。いろんな形で施設をつくっていったならば、先ほど橋本さんは、後進国の人が見たら全部金を払わされる、こういう話でありますが、いろんな形でそんな設備をつくっていくということになれば、やはりどうしてもエネルギーがかかってくる。そのかかってくるのを何か考えていかなければならない、こういった問題が私は一つあると思うのです。  それから、これをどういうふうな形で調和をしていくかというのは私は国の政策として一つ大きな問題であろうと思いますし、資源の問題とかエネルギーの問題とかというところに一つの大きな制約要件というものがある。そういった上での政策判断というものを私はやっていかなければならないのだと思うのです。だから、科学技術の問題にいたしましてもそうなんです。それが一つの問題である。  それからもう一つの問題は、これはもうちょっと長い話でありますが、物理学の方でエントロピーという概念がありますけれども、この概念からすると、巨大なる社会というのをいままでずっとつくってきた、現世紀というのは石油文明でつくってきたわけでありますが、石油が非常にむずかしくなってきた。あるいは、これから原子力で話を進めていかなければならない。ところが、原子力というのは放射能をまき散らして、ほかのものでしたら水の中で吸収されるとか、いろいろな形で熱が宇宙の中に放出されるという形での調整がつくわけなんですが、原子力の問題はなかなかそういう形で放出されたままになって、その処理がでさないという問題がある。そうしたこれからの社会を考えていったときに、一体望ましい水準あるいは望ましい生活、望ましい環境というのは何だろうか。お互い合繊でできたものを着、あるいはたくさん食べ物を食べる。その食べ物にいたしましても食糧の問題、食糧は太陽でつくるというのですが、そうでなくて農業機械その他を通じまして、石油エネルギーによっているところが非常に多いと思うのです。そうしたような基本問題が、あるいはこれは宗教なり哲学の話かもしれませんけれども、基本問題なんですね。その辺の問題をそろそろ頭に置きながら環境問題は考えていく必要がある。非常に長い将来の問題と同時に、短期的な問題と分けて考えていく必要があるのではないだろうか、そこまで議論をしていかないと本当はいけないような問題ではないかと私は思いますが、最初の方の話は局長から、後の方の話は大先輩であります山田長官からひとつ哲学的なお話を承りたいと思います。
  24. 橋本道夫

    橋本(道)政府委員 いまの先生の御指摘のございましたエネルギーの問題は非常に重要な問題であると考えております。そういうことで、費用効果のところでも、ある点を越えると急激にエネルギーをよけい要求する。ああいうところはとうてい——もちろん健康に物すごく問題があればやるべきでありますけれども、これでいけるということになれば、そういうところのむちゃなところまでやるのは合理的でないのではないかという考えであります。  しかし、一つ御理解願いたいのは、対策をやるには資源の配分を受けなければなりません。受けた資源をできるだけ合理的に使わなければならぬわけです。そういうことで、一つは防止技術の問題がございます。  一つは、ばいじんNOx、SOxの三つをいかに総合的に最適化するかということをきっちり落ちついてやれば相当な合理化を図れるということで対応していくことはできるのではないか。そういうことで、あわてずに落ちついて好ましい方向にずっと入っていく、そのときに十分のリードタイムを置きながら熟成をさせて、むだなエネルギーロスを起こさない、しかしながら、もらうものだけはちゃんともらわなければ対策はできないという立場から環境庁は今後の対策を考えていくという考えでございます。  なお、エネルギー源の議論がございましたが、これは現在のOECDでもどのようなエネルギー選択をするかということで出しておりまして、今回のNOx問題の論争の中で、エネルギー源の選択問題がわりあい欠けておるという点は、私は、通産省が言うべきことであろうと思いますが、少し弱い政策議論ではないかと思っております。
  25. 山田久就

    山田国務大臣 ただいま御指摘がありました、われわれ地球に生存していって、その中で、エネルギーの存在なくしてわれわれの生活が成り立っていかない。その場合に、微妙な自然の浄化作用あるいはバランスを考えたときに、この問題をより長期的な観点、また本質的に、非常に科学的な観点で、どのような具体的な手段を本当に長い目で編み出していくかということがわれわれに課せられた大変大きな問題であろうと思います。哲学とともに非常な科学的な立場に立って、自然に対しては謙虚に、しかしながら自然との調和の中の克服、そうして大きなエネルギー問題にどうしてこたえていくか、われわれの今後の大きな課題としてわれわれは真剣に取っ組んでいかなければならない、私はそのように考えております。
  26. 久保等

    久保委員長 次に、島本虎三君
  27. 島本虎三

    ○島本委員 長官に伺いますが、以前に窒素酸化物環境基準環境庁がいろいろ検討しておって、その意向等が固まった際に、東京都の方から、窒素酸化物環境基準緩和に対して、根拠が非科学的であり、手続的に中公審に諮問せず、これは違反だ、こういう意味の抗議といいますか、何か文書が環境庁の方へ来た。それからまた、昭和五十三年五月九日に、日本弁護士連合会から「二酸化窒素に係る環境基準改訂問題についての意見書」が出されて、ちょうど東京都と同じような見解に基づいて、環境庁の態度について再考を求めておりますが、これを読んで長官はどのように感じましたか。
  28. 山田久就

    山田国務大臣 今回の中公審答申関連してお答えしてまいりたいと思いますが、この答申二酸化窒素の人の健康に……
  29. 島本虎三

    ○島本委員 答申を聞いているのじゃありません、意向を聞いているのです。二酸化窒素に係る日弁連から、それから東京都の抗議に対してどのように考えるかということを聞いているのです。
  30. 山田久就

    山田国務大臣 この点は、つまり安全率を掛けていないという指摘、それから光化学スモッグ対策として現行の基準を変えるのはよくないじゃないか、それから手続問題に関連して、中公審に諮問しろという、大体三つに分けて問題を提起しておりまするので、それについていまお答えしようとしているわけでございます。  これだけを簡単に言えというのですが、安全率を掛けてないという点については、私はこの科学的な——今度の答申そのものは、判定条件について国内及び国外の最新の知見を収集、評価して、これを総合的に判断した上で指針を示したものであることは御承知のとおりでございます。この指針は、少なくとも科学的判断からはこれ以上厳しくする理由はないとして合意されたものでございまするので、さらに安全率を掛ける必要はない、われわれはそういう意見でございます。  第二には、光化学スモッグの発生防止につきましては、その原因物質である窒素酸化物と炭化水素の両者をともに削減するという方針のもとに対策を推進しておるのでございまして、今後さらにこれらの物質の規制強化を図ることに変わりはないので、したがって、東京都の指摘のような心配はないと考えております。  次に、環境基準検討の基礎として、最も重要な科学的な判断の部分について諮問、答申の手続を踏んでいるのでその点は問題はない。環境基準については、従来から明言しているとおり、答申を踏まえて、いろいろな点を考慮に入れて、行政の責任において、将来を誤らないよう十分検討した上でこれに対する判断を出そう、こう考えているということを申し上げたいと思います。  次に、この環境基準の検討というものは、さっきもお答えしましたけれども、これは規制の緩和というものとちっとも結びついている問題ではない。環境基準の検討は検討そのもの、規制の緩和というものは状況により緩和されることもあるし、あるいは強くされることもある。これが間々混同されている点は、私はそういうものでないということをはっきり認識せられる必要があると思っております。今後、窒素酸化物の低減対策につきましては、長期的な展望に立って適切な方針と対策を樹立して、規制の強化を図ることによりまして国民の健康を保護するという重大な使命を十分果たしていきたい、こういう考えでございます。
  31. 島本虎三

    ○島本委員 そうすると、日弁連の意見書は十分お読みですか。
  32. 山田久就

    山田国務大臣 大体、趣旨、主な点は、先ほど私が答弁したような点で尽きておると思っております。
  33. 島本虎三

    ○島本委員 大分違うようです。  そうすると、いま長官は規制緩和ではないのだからと、こういうようなことを最後に言っておられた。そうすると、環境基準そのものは国民健康保護生活環境保全のための長期目標だ、したがって短期的な政策課題にとどまるものではもちろんない、したがって、環境基準の設定及び必要な改定には長期的見通しのもと国民健康保護環境保全を最大の課題とした科学的検討に基づく判断がなされるべきであり、いやしくも経済的な技術的な理由で基準緩和が行われてはならない、このことに対して、やはり長官は同感ですか。
  34. 山田久就

    山田国務大臣 あくまでも健康の保護ということ、それを長期的な目標達成ということで終始するというのがわれわれの立場であるということは、繰り返し申し上げているとおりであります。
  35. 島本虎三

    ○島本委員 通産省の産業構造審議会への諮問、これも五十一年の六月二十八日に出ているのでありますけれども、この中にも、「今後の窒素酸化物汚染防止対策はいかにあるべきか」、これを通産大臣は諮問しているようであります。  やはり出される意見というものはそれぞれの特徴があることは、そのまま私も認めることにやぶさかではないのであります。ただ、これをずっと拾ってみますと、「独自のNOx経済モデルで試算した結果、固定発生源対策に対応するNO2仮想環境濃度は、費用コストなどからみて〇・〇五PPmが限界である」としているのです。「これに移動発生源の寄与等を加えると、産業構造審議会は大幅な現行環境基準の緩和を要求していることになる。」これが日弁連の指摘なんです。これに基づいていま出されてきたのは、もしこれが規制の緩和ではないとすると、これはちょっとおかしいじゃないですか。もうすでにこれが出されて、通産省の要請した線に沿って環境庁が指導しているのです。それが規制緩和ではないということとどのように結びつくのですか。
  36. 山田久就

    山田国務大臣 それぞれのところにそれぞれの意見はございましょう。しかしながら、その科学的検討は、全くわれわれ独自の見地でそれに対応するという立場で臨んでおります。
  37. 島本虎三

    ○島本委員 独自の立場で臨んでいる、それならは、環境基準設定という基本的な重要事項を、中央公害対策審議会に諮問しないで行政裁量で独自の立場で進めている、こういうようなことになる。これじゃ従来の慣行に今度から違反するじゃありませんか。異例じゃございませんか。それでいいのですか、長官
  38. 山田久就

    山田国務大臣 当初、環境基準のないときに、環境基準中公審に諮りました。一度決まった後において中核をなすものは判定条件でございます。このきわめて科学的なもの、そのものを踏まえてわれわれはやるべきものである、こういうたてまえで臨んで、そういう方針でわれわれは参ってきておりますし、今後においてもそういう立場でいく方針でございます。
  39. 島本虎三

    ○島本委員 答えがなっておりません。これは中公審に諮問したのは、「二酸化窒素の人の健康影響に関する判定条件等について」、これを諮問しているじゃありませんか。そして判定条件について諮問しているのに対して、「政府においては、この報告を参考とし、現在の二酸化窒素に係る環境基準について、公害対策基本法第九条第三項の規定の趣旨にのっとり、適切な検討を加えられたい。」こういうふうに指摘しているじゃありませんか。そうすると、これはもう判定条件環境基準に置きかえて、そしてこれをやった。すなわち、この公害基本法第九条第三項の前段には、「第一項の基準については、常に適切な科学的判断が加えられ、」とありますが、これは科学的な判断が加えられての結果ですか。そういうようなものなんですか。
  40. 山田久就

    山田国務大臣 そのとおりでございます。
  41. 島本虎三

    ○島本委員 そのとおりならば、これはもう二酸化窒素の人の健康に係る環境基準の設定についての諮問ではないじゃありませんか。判定条件だけの諮問に対して、どうなんですか、これは科学的な諮問をしたことになるのですか。
  42. 山田久就

    山田国務大臣 九条の三項の趣旨にのっとっているわけでございまして、よくお読みになっていただけばおわかりになっていただけると思います。
  43. 島本虎三

    ○島本委員 どれを読めばわかるのですか。
  44. 山田久就

    山田国務大臣 「第一項の基準については、常に適切な科学的判断が加えられ、必要な改定がなされなければならない。」このとおりです。
  45. 島本虎三

    ○島本委員 そこを私が言っているじゃないですか。あなたに私はそこを言っているのです。したがって、科学的な判断が加えられる、これならばもう一回、人の健康影響に係る二酸化窒素環境基準について諮問したらいいじゃありませんか。これが科学的な知見を得られる最大の根拠ですよ、長官。それはちゃんと法で決まっているのですよ。
  46. 山田久就

    山田国務大臣 その適切な科学的な判断というものを第三項の趣旨にのっとって諮問いたしているわけであります。
  47. 島本虎三

    ○島本委員 判定条件を諮問しているじゃありませんか。これはあなたの諮問した文書ですよ。これを見ているのですか。判定条件と書いてある、環境基準と書いてない。判定条件環境基準と同じですか。
  48. 橋本道夫

    橋本(道)政府委員 諮問文の前段に「九条第三項の趣旨にのっとり、」ということになっておりまして、九条三項の前文を読むと、いま長官のおっしゃったようになっているわけでございます。そして、それにのっとり、定期的な科学的な判断ということは答申に示された判定条件指針に尽きておるわけでございます。
  49. 島本虎三

    ○島本委員 では、判定条件環境基準、こういうふうなことで解釈していいんですか。
  50. 橋本道夫

    橋本(道)政府委員 全くそのようなことではございません。判定条件指針は完全に科学的なものでございまして、判定条件汚染影響についての体系的に整理をされた科学的な知見でございます。それから、指針はそれに基づいて出された科学的な判断でございます。何物にも災いされず中公審がそれを出したわけでございます。それを行政基準にどう直すかというのは政府の責任である、こういうことでございます。
  51. 島本虎三

    ○島本委員 それならばお伺いいたします。五十三年五月十円水曜日、参議院の公害対策及び環境保全特別委員会の議事録によって、参考人として出ております鈴木武夫国立公衆衛生院次長はその中で、「私たちの専門委員会の報告が出ました後で、一般的に環境基準という言葉に置きかえられまして報道されましたことは、委員会といたしましてはちょっと意外でございました。これは環境基準というものに対して多くの方々が非常に関心をお持ちであるということはもうやむを得ないのでございますけれども委員会環境基準を諮問されたのでもありませんし、環境基準答申した覚えもございません。」、これがはっきり載っているのであります。そうすると、いま言ったようにして環境庁ではこの諮問に対してはあくまでも科学的知見、こういうようなことではっきりと環境基準を諮問したことで置きかえて考えておる。しかし本人は、委員会ではそのように言っているのじゃありませんと言っているじゃありませんか。そうするとこれはどういうことですか。と申しますのは、この決定的な考え方がおかしいのです。あなたは、朝日の六月九日金曜日の「論争続くNO2の環境基準」、この中で、「今回、見直しするのは、現行環境基準が乏しいデータもとに作られ、社会的混乱の原因ともなっているので、もう一度科学的に厳密な議論に立って判断したい、という理由からだ。中公審専門委がその結論を指針として出してくれた以上は、それに基づいてどんな基準値を定めるかは、行政の責任」だとはっきり言っているのです。一方は、環境基準を答えたのじゃないとはっきり言っているのです。あなたは、判定条件、これに基づいて環境基準を決める、これが行政の責任だと言う。そうすると、このより高い、公害対策基本法第九条の第三項の「常に適切な科学的判断が加えられ、」、科学的判断、これは中公審に諮問することがその一つの手続だ。これをやらないで勝手に置きかえて、これを科学的知見であり、これは行政の的確なるやり方だ、責任に属する、こう言うのはヒットラーに倍するような独善じゃありませんか。こういうようなことこそ、環境庁始まって以来、手続を準用して、手続そのものを盛り上げていってそしてきちっと国民の命と環境を守ってきた、今度は行政の責任だとして、環境基準も諮問しないのにこの判定条件、これだけあるからそれによって環境基準を決めるのは行政の責任だと、まさに行政の独断ではありませんか。もっとより高いこういうような知見を得るとするならば、なぜもう一度この問題に対して専門的知見を中公審に聞かないのですか。これが私は正しいと思う。大分局長は勇み立っているようだから、この考え方について、長官どう思います。
  52. 山田久就

    山田国務大臣 先ほど繰り返して申し上げておりますように、そこに、九条三項の趣旨にのっとって科学的な判断、その点をまさに判定条件としてこれを諮問してそれを得たのです。それに基づいてわれわれが環境基準というものを検討して第九条三項の趣旨によってそれに対応しよう、まさに法律どおりの態度で臨もうとしているわけであります。
  53. 橋本道夫

    橋本(道)政府委員 先生の御質問にございました鈴木先生言葉は全くそのとおりでございます。その言葉が間違っていると私、毛頭思っておりません。鈴木先生がおっしゃったのは、報道でそういう形になっているのに対しての先生の抗議でございまして、これは鈴木先生のお考えはそのとおりである。鈴木先生は判定条件指針だけを出したのだ、なぜ基準が要るのだ、こう言われるのか、それについて自分の責任を問われるのはこれは心外であるというお気持ちでおっしゃったと思います。これは環境庁はあくまでも判定条件指針だけを専門委員会に求めております。従来、科学立場というのが余りにも社会的な紛争や政治的な場に巻き込まれてしまって非常にむずかしい問題があったということは、これは見解の相違があるかもしれませんが、私はあると思います。そういうところで、専門委員会の方々に、そういうものには一切巻き込まれずに自由に厳しい議論をしていただくということで、対策技術とか行政や技術やそういう政治のことを考えていただかなくて結構です。とにかく純粋に科学者としてNO2とそれからその影響についてまず判定条件を整理をして、それに基づいて科学的判断を下してほしい。先生の仰せになった科学的判断は何に示されているか、これは指針でございます。ですから専門委員会専門家は、専門委員会報告にある判定条件指針については重大な責任はあるわけであります。その問題については、これは専門委員会の責任であります。これはアメリカとてんで違います。アメリカはそこの問題はEPAの責任で出します。日本専門委員会の名前で出します。ですから、そういう形で、科学的な判断はあの合意された答申によって尽きたということであります。  次は、今度は政策的な問題でございます。政策的な問題になりますと、基準といいますのは、あくまでもこれは法律に基づいて行政が決めるという性質のものでございまして、ここで行政科学の役割りというのをよほどやはりちゃんと整理をしてかからないとなかなか問題が多いというところで、今回はその点をはっきり整理をして、そして変えるということがもしもあっても、それは何も科学者自身がそのために巻き込まれて非難されるいわれはない、これは非難されるなら行政を非難されればいいという立場からやったわけでございまして、そういうことで基準を決めるのは行政の責任に属するということで、行政として総合政策的な判断を下す。しかしそのときに、中公審に諮問をしておりませんが、大気部会を二回開き、あるいは総合部会を一回開き、あるいはあらゆるところの意見をこれは全部収集しております。もう恐らく細大漏らさず収集しております。また審議会にその細大漏らさず収集したものを全部紹介しております。そういうことで意見を聞きながら、最後に決断の責任は行政にあるということを出したのが今回の九条三項の検討の趣旨でございます。
  54. 島本虎三

    ○島本委員 あなたはもう一回考えてみたらいいです。環境庁のできるその以前に、やはり公害が発生した際に、園田外務大臣が厚生大臣だったころあなたを連れて水俣へ行って、新聞記事によると、厚生省にもこういうような優秀な人がいるのだ、こういうようなりっぱな人がいるのだ、一つの安心の資料にしてあなたは言われて、あなたの知見も高く評価された初期のころ、一緒に行って、あなたは思い出すでしょう。それを失ってはだめなんです。私は高くその点では評価していたんだ。今回の場合を見ますと、やはり科学的な高い知見を得る、このためにはなぜ正式に諮問しないのですか。なぜ正規にこれを答申に基づいて行われないのですか。ほかの方をやったからという免罪符になぜなさるのですか。なぜこれを、環境庁の権威によって、はっきり中公審の諮問したその結果に基づいて行政の責任を明確にしないのですか。手続が漏れているじゃありませんか。したがって私は、手続上の問題としてこれは遺憾だと言わざるを得ないわけです。ほかのをやったからやらなくてもいい——なぜ正規にやらぬのですか。  環境庁が最近いろいろ姿勢を問われます。しかしながら、はっきりとこれを法に基づいて、いままでのしきたりによってきちんとやっていた場合は言葉の言いようもないのだ。しかし、通産省からはもうすでに、あなたも御存じのようにこの産業構造審議会答申、これが出て、窒素酸化物については〇・〇五PPmが限界である、こういうようなところまで言ってきて、そして大幅な現行環境基準緩和を要求してきている。それに呼応するかのように、あなたが正規の手続をとらないでやってしまった。これは私はやはり、−尊敬していますよ、それだけに、あなたは何かに惑わされているのじゃないか、何かを一つ忘れているのじゃないか。いまからでも遅くない、きちっとこれを諮問して、どのような状態になっても手続をきちっとして、きちっとした方式で行政が行動する場合には、指弾は受けないのです。批判は受けても指弾は受けないのです。いま指弾されているのです。  こういうような点はもう一回やり直してみてもいいのじゃないですか。本当に第九条三項によって科学的なはっきりした知見、これによって国民の環境も健康も守るのだというならば、はっきりしたそういうようなことにもう一回踏み切っても遅くないんじゃありませんか。これは長官に言ってもまた同じ答えしか返らぬでしょう、だから橋本局長に聞きましょう。
  55. 橋本道夫

    橋本(道)政府委員 いま先生の御指摘のございましたような御意見は、いろいろまた別の方面であろうと思いますが、これは行政の責任をはっきりさすということで腹を決めてやっている仕事でございまして、だれに動かされてやっているものでもございません。NO2の環境基準問題というのは、いろいろな問題が、いいものもあるいは悪いものもあったということは、やはりこれは否定できないと思うのです。  そのところで、一番基本の論争点は何かというと、科学的な判断条件とそれから科学的な判断としての指針でございます。ですから、それは手続をとっています。(島本委員「断定しないでちゃんとやればいい」と呼ぶ)それは手続をちゃんととっています。全く正規の手続をとっています。(島本委員中公審に……」と呼ぶ)中公審の意見も聞いています。それを行政で決定するのは、これは行政としての責任をやはり最も重く見て今回のようなやり方をしたということでございまして、先生の御批判を受けて、私はいろいろな点で御理解をいただいていると思いますが、これはだれに惑わされてやったというものでは全くございません。
  56. 島本虎三

    ○島本委員 後学のために、それでは、手続的には正規でやって瑕疵はない、こうですか。
  57. 橋本道夫

    橋本(道)政府委員 手続的に従来どおりであるかといいますと、SO2の場合とは違うではないかということは、これは言えると思います。SO2の場合のやり方の方がむしろ本当の手続としては異例であったのではないか、今回は最も正しい形にのせたということでございまして、瑕疵があるとは全く思っておりません。
  58. 島本虎三

    ○島本委員 参考にしておきます。瑕疵がないというその断定に対して、私は参考に受け取っておきます。  そして、この窒素酸化物の方の基準の決め方が正しくて、SO2の方がいろいろな問題点があった、このようであります。  それでは安全係数の問題について、これは窒素酸化物の場合には、環境基準を決める場合には、局長はどういうふうに考えているのですか。
  59. 橋本道夫

    橋本(道)政府委員 安全係数というのを公害対策のときどう掛けるかという一般原則は、鈴木先生が参議院でおっしゃったとおりのことでございます。それは別に間違っているとは私は申し上げません。  NO2の問題について、今度は非常に具体的な問題にかかっておるわけであります。前回の窒素酸化物の日平均値〇・〇二はどういう考え方安全係数を導き出したかといいますと、大体年平均〇・〇二ぐらいのところでどうも慢性気管支炎の有症率の問題があるのじゃないかということを非常に粗い見当をつけまして、そこに肺胞の上皮の細胞の異常増殖の実験成績がありまして、これはひょっとしたらがんになるのではないか、器質変化として注目しなければいけないのではないかということで、セーフティーをとってやられたと思います。そういう意味で、前回のときには疫学データは非常に乏しゅうございました。前回のときには、人体実験データ——実験と言うと語弊がありますから、人の志願者に対するデータも、これはますほとんどないと言っていいほどでございまして、労働衛生のデータだけでございました。  そこで今回は、一つは、この専門委員会立場として、健康からの偏りを来さないように、つまり正常の健康の範囲内にということで、おっしゃるところにまず安全性考え方を持っておられるということであります。  NO2の問題を考えますときに、一つは、今回の出された指針は、死亡率が高まるとか、あるいは人が死ぬとか、あるいは有病率が高まるとか、急に患者がふえるとか、あるいは患者が増悪をするとか、あるいは機能低下がはっきり起こるといったような濃度から導き出された濃度ではございません。これは従来のSO2の場合は全部それにリンクしております。疫学データもございましたが、全部死亡率の増加あるいは患者の増悪、すべてそれにリンクしたデータがございます。それに疫学データがひっつきました。今回のデータは、いま経験している濃度の中では死亡率が急にふえたとか、あるいは病人がふえたとかいうデータがないわけであります。そういうことで、疫学データというのは非常に安全性を持って物を見ているということの一つの問題であります。人のデータ疫学データということで安全性を持って見ております。  もう一つは、これは非特異的な問題でございまして、窒素酸化物がなければ慢性気管支炎にならないかというと、なります。これは環境基準が全部充足されても慢性気管支炎の患者はふえます。これは全くそういう状態であります。ですから非特異性と言っているわけであります。もしも今度の疫学調査データが特異的な影響として出され、もしも今度のデータ病気死亡の増加に結びついたものとして出されれば、完全に私ども安全率を掛けます。けれども、そういうものでは全然ございません。  それから機能低下もSO2の場合には明白にございました。今度の窒素酸化物の場合には、六都市を見ましても、肺機能の低下の出たのは老齢とたばこのみであります。あとは出ません。正常のちょうどこの範囲内に敏感な人が動くという慶応の外山先生データがございます。それは年平均〇・〇四であります。それもさらに下げております。  そういうことでございまして、今回の問題で一つは、肺胞上皮の増殖というのは途中でとまってしまって問題はない、一番心配しているものが落ちてしまった。それから疫学データがかなりそろった。しかも非特異的な複合汚染による影響であって、またそのほかにたばことか戸内汚染とか非常に大きいものがある。  そういう点から考えてみますと、この健康からの偏りを来さくないということで出された、科学者の合意として出されたもの、それに対してさらに、これは科学者としてはあれ以上安全率を掛けるあれはない、そこから先は行政の責任で決める話だ、こういうことでおっしゃったわけでありまして、ですから、あの示された指針条件以上にさらに厳しくするか否かということは、これは総合政策的な判断で、行政の責任で決めるべきことである。専門委員会としてこれで健康は守れると言ったわけですから、科学的にあれ以上安全率を掛けるということについては、専門委員会はそのような理由は見当たらないのでああいう形にしたわけであります。個人願望としてはあると思います。それは理想としてはあると思います。それはやはり総合政策的な判断の中でやるということが行政にかけられた責任である、そういうふうに思っております。
  60. 島本虎三

    ○島本委員 専門委員会報告、これにはNO2の判定条件指針、これについて述べてあって、先ほどあなたが言うとおり、環境基準について検討が行われていない、それだけではなくて、今度科学的な検討が必要であるのに、これも十分やっていない、いわゆる安全係数というか、この検討に対しても、必要ないとは言いませんけれども、それを余り重点的に見る必要がない、こういうような考え方のようであります。しかし、環境基準設定あるいは設定の際の考慮しなければならない重点に、やはり安全係数というものを無視してはならない。しかし、あなたは、この場合にはもうむしろそれはやらなくてもいいのだ、こういうようにとれるのでありますが、これは専門委員会報告指針の基礎となっている健康影響に関する知見は一般的な地域人口集団を対象にしたもの、そうすると、人口集団が抱えているわりあいに社会的な医学的な弱者の立場にある病人、老人、乳幼児、妊産婦、こういうような人の場合は、健康な人は耐えられる、しかしながらそういうような人は、特にこの安全係数というようなことで見てやらないと、健康の保持も不十分、こういうようなことになるじゃありませんか。大気汚染、その影響から保護するために十全だという対策にはならないではありませんか。それと、現行の環境基準のほとんどは安全係数が見込まれている。それから硫黄酸化物の場合は、ことにそれをやっていないために前から大分試行錯誤が繰り返されたじゃありませんか。安全係数を考慮しない環境基準の設定が誤りであった、歴史的なこれは教訓なんです。いまあなたはやらなくてもいい、歴史に逆行するような考え方を出したとすると、かつて昭和四十四年に決定された二酸化硫黄の旧環境基準は、当時得られた判定条件の知見にいわゆる安全係数を考慮した専門委員会報告を否定したのです。これは。判定条件そのままの年平均値〇・〇五PPmをもって決めたのです。これは発生源者に対しては格段の防除努力を課するものではなくて、必要かつ可能な公害防止対策の実施に大きな立ちおくれということをもたらしてしまったわけです。その結果として汚染は進行したし、被害者が発生したし、昭和四十八年には安全係数を考慮した現行の環境基準に改正せざるを得なくなった。これが歴史的な経過でしょう。  こういうようなのがあるのに、今度は恐らく経済界から、通産省から押されたわけではありますまい、私はそう思いたい。決して押されたわけじゃありませんが、急にとって変わったように安全係数が重きをなさないようになっている。こういうような考え方環境庁自身の一つの後退じゃありませんか。どうして過去のこういうような一つの歴史的な教訓に学ばないのですか。窒素酸化物だけは通産省の要望にこたえるかのように、すぐこれをぶち出してきている。どうも私はこの点では納得できません。これに対してはっきりした解明をしてください。
  61. 橋本道夫

    橋本(道)政府委員 まず第一に、東京都が科学的な検討が不十分であると言うのは当たらないということでございますが、これは科学的な検討としては最善のものがされたというぐあいにどもは確信をいたしております。  それから第二番目に、一般論として安全率議論が起こるということは、これは全く普通の議論でございます。それを否定しているわけではございません。地域の人口集団というのをとっておりますのは、いろいろな人がいるということで地域人口集団をとっていることで、それで完全な安全性を全部カバーできるとは思いませんが、労働衛生の場合よりもはるかに安全性を見た判断の方に入ってくる。これは吉田先生もそういう議論を持っておられます。  それからもう一つ病人の問題につきましては、ぜんそくの患者さんに対する志願者のテスト成績がございます。それからもう一つは、公害健康被害補償法の新認定患者は、確かに全体の累積ではふえておりますが、新認定患者の発生はずっと下がってきております。それから、症状のグレーディングはみんな軽い方に入ってきております。そういう状態がございます。  それから、小児につきましては慶応の外山先生がおやりになりました、二年間ですか継続の肺機能テストがずっとございます。それでは大体年平均〇・〇四の辺でございます。それよりも少し下になっております。そういうことで、死亡とか病気とか機能低下ということを基礎にして出されたものではないということが一点でございます。  それからSO2につきましては、これは重大な誤解がございます。SO2の問題につきましては、いま先生指針値にある〇・〇五をそのまま基準にしたということを仰せられましたが、それは違います。指針値は一時間値〇・一と日平均値〇・〇五でございます。あのときに決めた資料に明白にいたしております。あのときに決めた環境基準条件は、全くきれいなところに対して有症率が二倍になる水準を決めたということを明白に出しております。それを二倍でなしに普通の水準に戻したのがこの新しいSO2の環境基準でございます。そういうことで、安全係数などというような高尚な話ではございません。これは中等程度に汚れたところで、町の中を全くきれいなところと同じようにするのは無理である、田舎の方も別の問題で非常に健康の状態が悪い人がいる、そういうことを考えると、せめて東京の中野辺の空気以外にやりようがないんじゃないかという議論が、これもさまざまな圧力がございました、そこで最終的に接着して年平均〇・〇五という条件一つ入っております。あれは最も悪い条件でございます。SO2の問題は、私は一番苦労してやりましたから申し上げますが、非常にいい条件と悪い条件の幅であれは示してございます。あのときに、後で出した資料の中に明白に出しておりますけれども、あそこで出した基準は確かに指針値の〇・一と〇・〇五、そういうものをとっておりません。パーセンタイルを動かしております。年平均でやっております。これは明らかに有症率が二倍になるということを初めから明らかにした上で決められたものでございまして、安全係数どころの騒ぎではなかったと思います。ただ、それが企業の対策をサボらすようなことになったかというと、決してそうではございません。日本の低硫黄化対策は昭和四十四年のあの基準によって初めて決められて、世界で最初の低硫黄化対策が進んだわけでございます。低硫黄化対策の基礎があったから四十八年以降のSOx対策もできたわけであります。  そういうことで、SO2の環境基準のときに、前に安全係数をとらなかったからと言っている人がいたら、これは、恐らくうそを言う気持ちの方はございませんでしょう、全くの誤解であります。私はその担当の責任者でございましたから明白に申しますが、四十四年に決めた環境基準は、きれいなところに比べれば大体バックグラウンドの倍の有症率になるということを決めております。それで今度は四十八年に下がったわけであります。そういうような経緯をひとつ御理解いただきたいと思います。SO2のときにはあくまでも死亡とか病気とか機能低下というのはございました。  それで四十八年の改正のときの安全性は何を見ているかといいますと、これもやはり患者の増加ということについて年平均〇・〇四という数字を出しております。それを日平均の〇・〇四に変えたというだけの安全性でございます。しかしその条件というのは、前のときにバックグラウンドに近いということの条件のところに直した、前は二倍に高くなると明白に断って決めた基準で、それに対する非難を私は非常に受けて苦しい思いをしたことがございますが、それによって低硫黄化対策というのは前進したということも事実でございます。
  62. 島本虎三

    ○島本委員 これはそうすると、はっきりこの際、四十八年に安全係数を考慮しないで現行の環境基準に改正した、こういうようなことかどうか。それと同時に、この四十四年に決定された二酸化硫黄の旧環境基準は、この判定条件の知見にいわゆる安全性を考慮せいというこの専門委員会報告を否定したのかしないのか、この二つをはっきりしておいてください。
  63. 橋本道夫

    橋本(道)政府委員 四十八年の基準設定のときに、これから見ると安全性が掛かっているだろうという数値は、四日市市における閉塞性呼吸器疾患の新患者の発生、三年間移動平均値とその年の二酸化硫黄の年平均値とはおおむね〇・〇四を超えたところでNO2と発生患者数は正の相関がありというのがございます。ですから、ここで〇・〇四というのを頭に置いているわけであります。それを日平均値の〇・〇四にしたということは安全率を掛けたということ、これはそれとして成り立ちますが、出された数字そのものは、前の四十四年のときに比べまして、四十四年のときには〇・一と日平均〇・〇五というのを出されました。それをあのようなパーセンタイルをいろいろ使いましてその基準を出したわけでございますが、そのときの条件は明らかに有症率が二倍になるということを環境基準の普及の文書の中に書いて出しております。私は、出して、あれは相当非難されました。何でこんなことを正直に言うのかと言われましたが、これはやはりそのような水準を決めておるということを明白にしなければならない、またそのような水準を決めたからこそ、これは決して妥当化するわけではありませんが、産業界も抗しがたくて硫黄酸化物の低硫黄化対策に踏み切ったという経緯があるわけであります。ですから、四十四年のときに無視をしたのかということでございますが、正直に申しまして、指針値の〇・一と日平均値の〇・〇五をいただきまして、いかにするかは本当に困ってしまいました。いかにしてこれをやるかということで困ってしまいました。そして、できるだけこれを満足するようにという答申の文書でございます。そこで、パ−センタイルを使いまして、そのときの情勢から全部考えると、せめて東京の中野かその近辺ぐらいの空気以上にはなかなかできぬだろう。幾ら何でも上高地と一緒にまできれいにしようとしてもできない。しかし、僻地でも別な方向では病気が非常に多い。僻地の別の多い方向は一向に大きな問題、政治的に問題にならなくて、なぜ都市の方だけこう触れねばならぬのか、それはやはり保健政策としてはおかしいのではないかということで、倍になるということを明白にした上で決めたものでございます。ですから、無視したと言われたら無視したということにほとんど近いことでございますが、答申はできるだけ多くこの条件を満たすようにということしか言っておりません。そういうことで、完全に無視したわけではございませんが、きわめて苦しい判断だったということは事実でございます。
  64. 島本虎三

    ○島本委員 しかし、四日市のときはそれをやはり認めざるを得なかった。結局は、それをやらないために患者が発生して四日市のような状態になって、その結果がやはり安全係数というか、安全率というか、それに近いものも考慮して現行のものにした。いま、安全係数の必要性というのは、これはもう国際的な合意じゃないですか。いつでも要求されるのは、われわれのような健康な人ばかりが住んでいるわけじゃないでしょう。病人もいる。乳幼児もいるし、老人もいるし、妊産婦もいるし、その他病人もいるわけです。そういうような人の点も十分考え環境基準なり対処なりを的確にしなければならないはずです。昭和五十一年八月には、東京で開催されたWHOの窒素酸化物・光化学オキシダントに関する専門委員会、ここではやはり二酸化窒素のガイドラインを提案した、こういうふうに言われております。より高い感受性を有する人々の健康を守るために、当時採用したものよりもさらに大きな安全係数を導入することの必要性を強調した。これはWHOにおいて定着した考え方である。また、来春に開催される米国の科学者主催の二酸化窒素環境基準に関する日米合同学会においても、安全係数の導入を前提とした分科会が予定されている、こういうようなことを聞くのでありますが、このように判定条件から環境基準を導く際の安全係数の導入、こういうような考え方は国際的にも常識化された手段、手法じゃないか。なぜあなたが今度の場合には、窒素酸化物の場合はこれを否定なさるのか。これが私は、いままで前進的な時代の先取りをしておった環境庁が、いよいよもって時代の後追いになってしまう、こういうような一つの危機に立っているのではないか、こういうふうに思うのでありますが、この点、私の聞いたことに対する反論ございますか。
  65. 橋本道夫

    橋本(道)政府委員 安全係数を掛けるというのは、労働衛生の中では非常に定着しているものでございます。大気汚染の分野では定着したとはまだ言いがたいものでございまして、WHOがNO2のガイドを東京でやりましたときに、動物実験データしかない、疫学については、これはまだ定性的であって定量的にどうにも判断できないから疫学の方は判断しないという形でいきまして、動物実験データだけしがなかったので、そこで五分の一から三分の一という、アービトラリーと言っておりますが、腰だめの安全係数であります。それをやったのが最初のケースでございます。その前に日本が、NO2の環境基準のときに四十七年に年平均〇・〇二に対して安全率考えて日平均値〇・〇二というものをやったというのが最初の例であります。まだいまのところ大気汚染の関係で安全係数を大きく使ってやるという考え方は国際的には定着しているとは考えられません。  それで、先生のいろいろ御指摘がございました点は、よく私ども頭に置いて対応しなければならないかと思いますが、問題は、複合汚染による非特異的な影響であります。NO2の問題だけに非常にきりもみ的な論争をするところに非常に異常なものがあるというところでございまして、これは国際的に見た場合に、日本というのはどうかしているのではないかということを、これは大多数の人は感ずるだろうと思います。そういうことで、SO2も抑える、ばいじんも抑える、ハイドロカーボンも抑える、NO2ももちろん世界で一番厳しいぐらいに抑える、しかしむちゃなことはやはりできないという考え方に立っておるわけでございまして、そのようなところをひとつ御理解いただければありがたい、こういうように思います。
  66. 島本虎三

    ○島本委員 あなたは大分この点ではいろいろと経験されておられるようであります。そうすると、WHOのNO2のガイドライン、これはいろいろありますが、結局は、中を全部省いて、これこそが一日平均〇・〇二PPmという現行の基準に一致することになるじゃありませんか。この点はどういうふうにお考えですか。
  67. 橋本道夫

    橋本(道)政府委員 ちょっと私、先生のおっしゃった意味がわかりづらかったのですが……。
  68. 島本虎三

    ○島本委員 いま言ったのは、中を省いたのであります。WHOのNO2のガイドライン、これは公衆の健康を守るための最小の暴露レベルは、二酸化窒素については最大暴露レベルとしては〇・一〇から〇・一七PPm以下であり、この一時間暴露は月に一度を超えて出現してはならない、二酸化窒素と共存する他の化学的な活性のある物質との相互作用に関する生物的知見から、より大きな安全係数とより低い最大許容暴露レベル考えられる。現状でもより高い感受性を有する人々の健康を守るためには、より大きな安全係数を必要とするであろう、こういうふうに述べられておるわけですから、長期暴露は検討を必要とし、さらに厳しい措置を示唆していることになりますから、WHOのガイドラインは一日平均〇・〇四から〇・〇六PPmに対応するものであるが、すべての地域でWHOのガイドラインを満足するためには、一日平均〇・〇二PPmという現行の基準と一致するものではないか。そして基準緩和の場合にはWHOの二酸化窒素のみによる汚染に着目したガイドラインの水準を達成しないことになりやしないか、ここです。
  69. 橋本道夫

    橋本(道)政府委員 WHOの言っております条件は、月に一回、先ほど先生のおっしゃった〇・一あるいは〇・一七、一時間値を超えないようにということでございまして、これを日平均値に換算するのは非常にむずかしゅうございます。数値が非常に揺れます。そういうことで、大体傾向として見ますと〇・〇三七が〇・一〇に当たります。九八%値。それから、もう一つは、〇・一七の方は、〇・〇六七でございます。〇・〇六ではございません。ですから、四捨五入をしますと、〇・〇四と〇・〇七の間に入ってくるわけでございます。  WHOはそのような基準、ガイドラインを決めました。WHOのポリシーといいますのは、WHOは、これはあくまでも専門家の意見として整理をしたものであって、それをおのおのの国でどのような基準に直すかということは、おのおのの国の主権によって、おのおのの国の社会的、経済的情勢によってこれを決めるものであるというのがWHOのプリンシプルでございまして、そういうことで、WHOの基準をそのまま引くか引かないかということは、その国その国の自由でございます。ただ、今回出された指針値の中の長期平均を出しましたのは、WHOよりもより進んだ形で、少し厳しい条件にまで響くものではないか。年平均〇・〇二と〇・〇三ですと、九八%値で日平均値〇・〇四と〇・〇六に相当します。そうしますと、WHOの端っぽをとりますと〇・〇七ぐらいになるのですが、こちらの方は少し厳しいところに抑えておるというところでもございますし、慢性のことを入れたということでは、日本の方が一歩先に出た。これは日本の方が新しいデータを持ったということでございます。そういう経過をひとつ頭に置いていただきまして判断をいただきたいということでございまして、東京都の意見の中に世界水準よりも低い行政ということが書かれてありますが、さようなことは全くございません。大気保全行政では、世界の最高水準でございます。
  70. 島本虎三

    ○島本委員 この問題に対して、いま公害防止計画に対する全面的な影響、こういうようなこともあらわれてくるのじゃありませんか。というのは、昭和五十一年度の全国の二酸化窒素測定局の測定によれば、一日平均値が〇・〇四から〇・〇六PPmを満足している測定局は五〇%から八五%に達しておる。これらの地区では、もうすでにNOxの対策が必要なくなる、こういうようなことになったら、喜ぶのは業界であって、通産省です。そして、そのために一生懸命にいままで行政指導をしてきた。それも昭和五十二年六月に、公害防止計画改定の基本方針、こういうような沢のを決めて当の自治体に対してこれを示している。これをもとにして自治体ではそれぞれ防止計画を策定しているわけですが、したがって、この環境基準そのものを緩和することは現状の汚染を固定化してしまうし、産業側の対策を大きく後退させることになりかねない。こういうようなことに環境庁は手をかす、協力するという結果になってしまうじゃないですか。いままで幾らあなたが理路整然とやっても、結論的に結果的に整然としておればおるほどこれが立証されることになるじゃありませんか。こういうようなことをやりながら、環境庁がきちっとします。確かにいままであんた言ったやつはきちっとして聞きました。しかしながら、きちっとすればするほどいままでの指導、それから、これ、きちっとすればするほど、今度はこの五十一年度の測定局の測定による結果、それによって何と申しますか、対策がもう必要なくなってくるようなそれに近いような、そういうような地域ができてくる。恐らくは防止計画を策定して、今度環境基準そのものを緩和する、こういうようなことで、喜ぶのはだれで悲しむのはだれですか。産業界の対策を逆に大きく後退させ、そしてまた円高を招くような結果になり、国務大臣として環境庁長官は苦境に立つことになる。恐らくは、こういうような大きい点を考えながらも、はっきり実施していかねばならないのは、環境行政それを通じての一つの産業の進め方なんです。基本的な問題が押され押され、流され流されて、いまや行き着く先はどこなのか、こういうようなところまでいってしまっている。大臣、こういうような状態に対して大臣はどういう決意を持っているか、それをはっきりさしてください。
  71. 山田久就

    山田国務大臣 先ほどいろいろお話しのようでございまするけれども、何か少し誤解があるのじゃないかというような気がいたします。われわれは繰り返し、私もそうして局長も御答弁申し上げているように、最新の科学的判断、それによって中公審から出されたところの判定条件指針、これに対して私はいろいろな政治的な判断、意見を加えるべきものじゃない、これをよく踏まえて、そうして第九条三項、法律の命ずるところによって冷静にこれに検討を加えてそれでやろう。先ほども繰り返して言っておりますように、きわめて客観的科学的な、無論それはいつの時代でも進歩がある限り完全とは申し上げることはできない、しかしながら、法律にも指摘しているように最新の科学的判断、これまでに得られたそういうものにのっとって忠実に、その判断条件を踏まえてわれわれは考える、法律に忠実であり、それがわれわれのなすべき行政の責任である、こういう立場に立ってわれわれはこれを処理しよう、こういう点について十分わかっていただきたいと思います。
  72. 島本虎三

    ○島本委員 十分わかるように努力し、それをきわめたいと思います。したがって、それがはっきりするまでの間は、やはりいま重大な段階ですから、環境庁も軽々な態度をとらないようにすべきか環境庁長官の私は任務だと思うのですが、この点、長官はどうお考えになりますか。
  73. 山田久就

    山田国務大臣 軽々に対処するのは最も私の慎しむところであるし、最もとらざるところであるということをはっきり申し上げておきます。
  74. 島本虎三

    ○島本委員 その後、各参考人の意見を聞いたり、この環境行政の過ちなきを期するために、委員会としても十全の対策を講じてまいりますから、環境庁行政の責任の名において一歩もこれは独断に走るようなことがないように、このことをいまの長官言葉をそのままちょうだいいたしまして、答弁は、ほとんどと申しましては失礼ですが、私は満足なものは半分くらいなかった。もう少し積極的な態度が欲しかった。十分私が期待したような答弁聞き出せなかったのは残念です。しかし若干の反省もあったことを認めて、私の質問はこれで終わります。
  75. 久保等

    久保委員長 この際、午後二時より再開することとし、暫時休憩いたします。     午後零時四十六分休憩      ————◇—————     午後二時三分開議
  76. 久保等

    久保委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。岩垂寿喜男君。
  77. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 橋本大気保全局長に率直に申し上げます。実は、私は橋本さんとも長いおつき合いでございまして、橋本さんが日本だけではなしに、国際社会においても大気汚染によって人間の生命や健康が損なわれることを防ぐために、被害者の立場に立ってヒューマニズムを燃やし続けてこられた方であると私は信じています。いわば環境庁の良心だとさえ私は思ってきました。しかし最近のあなたのNO2の環境基準についての言動を見聞きして、その信頼と言いましょうか、確信と言われるものがどうも、私の思い過ごしかもしれませんけれども動揺しているというのが率直な私の気持ちです。  あなたがこれまで環境基準を守り抜く旗手として、あらゆる機会に見解を述べられ、いわばその先頭に立ってこられたこと、その立場が何かの理由でどうも揺らいでいるような感じがしてならない。これは、実は私だけではなしに、多くの心ある国民がそのことを感じていることではないだろうか。率直に言って、私は、幾らNO2のことを勉強したってしょせん素人です。いわばつけ焼き刃と言っても決して言い過ぎな言葉ではないと思っています。しかし私自身は、国民がいま感じている疑問、あるいはそれが素朴だと言われたとしても不安を代弁することはできます。素人であればあるほど、そのことについて人後に落ちないつもりでございます。  問題は、いま私たちが議論している課題というのは、単にいまの状態ということだけでなしに、長い将来、私たちの子孫を含めての健康あるいは生命、こういうものに深いかかわりを持って議論をされなければならぬと思うのであります。どうも専門家中の専門家である橋本さんと議論をしていると、何となく、おれに任しておけ、それなら大丈夫だとおっしゃっているわけではないと思うけれども、しかし、どうもそういう感じが非常に深い。問題は、国民の理解なりあるいは環境行政に対する信頼というものをかち取っていくプロセス、努力、そういうものが非常に不十分なままに実は環境基準の緩和と言われるところへいこうとしている、告示ということにまで実は結びついていこうとしている、非常に残念でならない。私は本当にそうしたことをとめたいのです。もちろん、賛成、反対を含めていろいろな意見があるでしょう。そういう問題について、可能な限りのコンセンサスを導き出すための努力というものが、時間的にも、行政努力として、あるいは私たち自身の理解の深さという面から見てもなされなければならない。それには率直に言ってもっともっと時間がかかることだ、また時間をかける必要があると私は思うのです。  そこで伺いますけれども、NO2の環境基準を緩和なさるおつもりですかどうですか。それから、そのことをこれからどんな手続で、いつごろ告示をなさるおつもりか、その辺の手順を御答弁煩わしたいと思います。
  78. 橋本道夫

    橋本(道)政府委員 冒頭に先生からいろいろ御忠告を賜りまして、非常に感謝しております。基本的に患者の立場に立っていろいろやってきておったわけでございまして、現在も患者を無視している気持ちはございませんが、問題は、やはり汚染の動向がどういうぐあいに変わってきているか、いまどういうぐあいにこれに対応することをしなければならないかということを率直に言うことがきわめて必要ではないかということで、そこでいろいろ誤解を招いたり、あるいはけしからぬやつだというようなおしかりを受けているところが多いのだろうと思います。これは至らぬところがたくさんあるためにそういうことになっていると思いますが、非常にひどい場合、たとえば四日市の本当にひどくて取り組んだ場合には、一時間値二・五PPmで針が飛んでおったのです。それから、一時間値一PPmがどんどん出たのです。そのような状態が川崎の大師にもあり、大阪の西淀にもあり、東京の平井にもありました。それでSO2として年平均が〇・一を超えておりました。しかも四日市に至っては、そのSO2の四分の三が硫酸ミストであるというような状態があったわけです。そういうときは、どんなことも構わずやはり突っ込むということが基本だろうというぐあいに感じておったわけです。そしてどんどん進んでいくうちに、確かに対策というのはある程度打たれ出しました。補償法というのも確かに世界的に見ればある意味ではおかしな法律だと思うのです。いい法律でもあればおかしな法律でもあるという異常なものでありますが、しかし、あれだけのひどいものがあって、そして裁判があった以上は、つくらなければならないということでやってまいったわけです。現在は、少なくとも大気汚染については危機的な汚染状態を脱したということは事実だろうと思います。世界的に比べてみても、いま汚染の問題がないというわけじゃございませんが、日本は危機的な汚染状態を脱している。中ぐらいのところで、いかにこれから望ましいところへ持っていくかというところにある。そういうときに、それではもとと同じ論法でやるかどうかというところにあるわけでございます。そこのところは正攻法的にきっちり進めていくということがなければ、大気汚染対策というのは非常にまずいんじゃないかということが一つ。もう一つは、環境問題には広い問題があって、その中に大気汚染問題があって、その中にNO2の環境基準対策の問題があるという中で、何に力を入れるかということを少し見直すべき時期にあるという感じを持ちながら対応していくところに、いままでと違ったものがあるんではないかというおしかりを受ける節があるのではないかと思います。そういうことで、誠心誠意取り組んでいるということは、ひとつ御理解をお願いいたしたいと思います。ただ、その努力にかける時間が足りないじゃないか、あるいは理解を深めるのに時間が足りないじゃないかという御指摘がいろいろございました。私ども環境庁としても、審議会の資料は全部に配っております。クラブの人にも配っております。先生方にもお配りして、できるだけ御説明をする、あるいは患者団体の方にも、数回にわたって一時間以上の議論を率直にいたしております。あるいは産業界ともしておりますし、自治体とも徹底的に話をしております。やはり行政というのは一つのスケジュールで動いておるわけでございます。そういう点で、先生が御批判になるように、まだ余り早過ぎるじゃないかということがあるのかもしれませんが、五月で基準のあれは終わっておるということから見て、ちゃんとしたレールに乗せなければならないということから、何とか早く解決したいという気持ちを持って努力しておるわけであります。  先生の最後の緩和するかという端的な、具体的な御質問でございますが、条件指針どおりなら甘くなるが、それが緩和だという御意見ならば、そういうような公算は私はあると思います。あると思いますが、緩和という問題も、果たしてもとの〇・〇二PPmパーデーと決めた基準が適切であったかということは、私は環境庁の大気保全の行政としてはいろんなむずかしい問題を生んでいると思います。しかし、いいこともございました。五十三年度規制もやる、脱硝もできる、いろいろ進みました。〇・〇二を決めていままで進んできたこと自身については、別の面でまたいろんなむずかしさを生じた、これは環境庁の責任だと思います。やはりきっちりした堅実な対策で、NO2だけじゃなくて複合的な汚染にこれから対応するということをやるために考えるべきことであるということでございまして、新しい科学的な判断条件と知見が示されれば、それに基づいて、それを尊重して、また行政としての総合政策的な判断でしなければならないということだと思っております。  どんな手続でということでございますが、これは前回御答申をいただきましてから中公審の意見を聞かないとは全然申しておりません。大気部会を二回開きました。そうして、基準を設定する場合にどのようなものを材料として考えるかという資料をすべて御説明をいたしまして、それで先生方からいろいろな自由な御意見を承っております。また、総合部会も開かれました。総合部会で、非常に厳しい批判の御意見やあるいはまた別の角度からの御意見も伺ったわけであります。また、あらゆる点での、どこでどういうぐあいに批判をされておるかという資料につきましては、もう細大漏らさず必死に集めておるわけでございます。一般紙から雑誌から政党紙からすべて集めております。そうして見た上で、こう言われておるが、これに対しては一体どうかということを慎重に考えながら進めていくということでございまして、この国会でも、これは非常に厳しい御議論をいただいておるわけであります。私も全然たてまえ論を申しておりません。率直に、どういうぐあいにレールに乗せるかということでこれは必死に申し上げておるわけでありまして、これが一応の区切りが来ますと、あとはこれは行政として決めなければいけないということでございまして、判断条件指針科学的な検討、それで終わっている。あとは行政として決める、そこの責任は、行政行政としての責任を負わなければならぬということで、これはあらゆるサイドから評判が悪いことであると思いますが、そういうことは行政として決めたいということで、新たな諮問を起こすという考え方はないということであります。  いつごろかという点でございますが、これは大臣の御判断もございますので、私どもはできるだけ早くこれを決定いたしたいということで、五月上旬から約一カ月以上ずれ込んできておりますので、国会が明ければ、できるだけ早く何とかちゃんとしたものにしなければならないという気持ちでございますが、ここは最終的には大臣の御判断によるということでございます。
  79. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 大臣、その辺の御見解を承っておきます。
  80. 山田久就

    山田国務大臣 いま局長から答弁がありましたけれども判断条件答申がございまして、いろいろな点からも勘案しまして、やはりできるだけ早い機会に、この見直しをしました再検討の結論を出さなければならないし、また出すべきだと考えております。
  81. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 国会が終わったら、六月の下旬にでもすぐやりたいということですか。
  82. 山田久就

    山田国務大臣 でき得れば月内にはそういうところへ持っていくよう努力したい、こう思っております。
  83. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 中公審の総会をお開きになって、そこでいろいろ御議論を願うというチャンスをおつくりになる気持ちはございませんか。
  84. 金子太郎

    ○金子政府委員 本件につきましては、先般、中公審の総会または総合部会を開催したらどうかというお話がございまして、審議会の会長などと御相談申し上げました結果、総合部会を開きましてそこで御議論をいただいたところでございます。
  85. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 それじゃ、もう中公審は御用済みということですね。
  86. 橋本道夫

    橋本(道)政府委員 大気部会の問題につきましては、最終的に決める直前に、この大気部会にもう一度御報告をしなければならないのではないか、そのときの御意見も聞かなければならないのではないかというぐあいに考えておりますが、まだ具体的に固まったものではございません。
  87. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 環境基準の設定というのは、公害対策基本法第二十七条に定められた国の公害対策行政上の重要事項だというふうにはお考えになっていらっしゃいませんか。
  88. 橋本道夫

    橋本(道)政府委員 重要な事項でございますので、その定期的な科学的な検討という問題の核心につきまして、九条三項の趣旨にのっとり諮問したところでございます。
  89. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 環境基準それ自体は諮問を受けてない、またなさっていらっしゃらないわけですね。これはいまでもない。このクライテリア委員会に諮問をなさったときに、橋本さんはこの前、私に対する答弁で、環境基準見直しのための資料とするというような意味のことは一言も言っていらっしゃいませんね。
  90. 橋本道夫

    橋本(道)政府委員 クライテリアの委員会お話し申し上げたときにどういうぐあいに申し上げましたか、これはこの間の先生に対する御答弁ではございません、あらゆる場所でその後も申しておりますが、判定条件等について科学的な判断、結論が出されれば、それに対して虚心担懐に、その出された科学的な判断条件指針値に基づいてこれを変えなければならないか、あるいはそのままであるか、あるいは全く新しい条件にするか、そこは政府の責任でいたしますということを、すでにこの諮問をした時点から、あらゆる場所において明言してきたところでございます。
  91. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 大気や騒音や水や土壌にかかわるいまの環境基準のうち、中央公害対策審議会に諮問をし、環境基準をその答申に基づいて設定されたというものはどのぐらいございますか。
  92. 橋本道夫

    橋本(道)政府委員 環境基準の設定という、いま何もない、それに対して環境基準を設定するという問題では、すべてのものは中央公害対策審議会に諮問して決めております。これが基本手続であろうということでございます。
  93. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 見直しというのは、そう経過がたくさんあるわけじゃないのですけれども、その点について諮問をなさらなかったことございますか。
  94. 橋本道夫

    橋本(道)政府委員 四十八年にSO2の見直しをしましたときに、新たな諮問を起こしておりません。これは四十六年にきわめて包括的な環境基準について問うというのがございまして、そのままずっと行われてきたという経緯がございます。昨年三月、やはりその問題につきましていろいろ検討いたしましたときに、現在は環境基準がある、変えるか変えないかは、出てきてそこで初めて要否を判断する。そうすると環境基準を問うという諮問であるならば、初めから環境基準を変える前提で物を聞くことになる、それはやはり適切ではないのではないかということで、これは新たに九条三項の趣旨にのっとり、九条三項というのはその前文でございます。定期的な点検をし、必要な改定をしなければならない、そのような趣旨にのっとり、最も問題の核心である科学的な根拠というところについてこの判定条件等として諮問をいただき、そしてそれに対して後出されました暁には、これは行政として責任を持って判断をするというやり方をとったわけでございます。
  95. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 その方式は今度初めてですね。
  96. 橋本道夫

    橋本(道)政府委員 これは今度初めてでございます。  一言つけ加えますが、SO2の基準改定を、前回の、諮問を起こさないでもともとの諮問のままでやっていたということと今度とを比べると、どちらがルールとしては正式な形になるかという感じでいきますと、私どものそのころいろいろ議論しました結果は、九条三項の趣旨にのっとりということでやるのがこれが法律の趣旨にのっとっておるのではないかということで新たなやり方をいたしたわけでございます。
  97. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 そうしますと、率直に言うと、それは行政環境基準判断する、科学的判断中公審にお願いをした。ということは、これから中公審というのは環境基準について調査をしたり審議をできない、する場所ではないというふうに受けとめてようございますか。
  98. 橋本道夫

    橋本(道)政府委員 全くまだ未設定の問題の環境基準を設定するときには、中公審に諮問するのが、これは最も至当であろうというぐあいに思っております。いままで設定されているもので科学的な知見が新しくなって、そしてこれをどういうぐあいに検討するかというものについては、今回のような九条三項の趣旨にのっとり云々というような方式が適切なのではないかというぐあいに考えているわけでございます。
  99. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 念のためにもう一度聞きますが、新たな設定の場合には中公審環境基準それ自体を諮問するが、見直しのときには今度の方式をやっていくのが合理的だというふうにお考えになって、今度行われた道というものがこれからずっと前例になるというふうに理解してよろしゅうございますか。
  100. 金子太郎

    ○金子政府委員 原則といたしまして、環境基準の見直しのときには今回のようなやり方が適当であろうと、私どもいろいろ相談をいたしました上で決めたいきさつでございます。  なお、中公審そのものは、御承知のとおり二十七条第三項で意見具申をすることができるとございますので、環境基準ないしはその見直しについていろいろ調査審議をされ、私どもに意見を具申されることは、これはもう審議会の方の御判断でいかようにでもしていただきたいというふうに考えております。
  101. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 中公審の運営に対する新しい道なんですね、これ。これを中公審先生方にそういうお話をなさったことはございますか。そういう方式というのがこれから環境庁が進めていく方式でございますよということをお話しなさったことはございますか。
  102. 金子太郎

    ○金子政府委員 昨年の三月にクライテリアについて諮問いたしました際、その後の中公審の総会だったと思いますが、こういうことで環境基準の見直しについてクライテリアの諮問をいたしておりますと、その気持ちは先ほど橋本局長が申し上げましたように、環境基準について諮問をしますと、これは直すというような前提といいますか、先入観といいますか、そういうものが入ってくるおそれがありますので、私どもといたしましてはクライテリアについて諮問をし、その御答申をいただきたい、その上で見直すかどうかの判断行政の責任ですることといたしたいというような説明をしたことがあったと思っております。
  103. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 NO2の前回の環境基準を決めた手続について、今度の問題と関連をしてですけれども、あの数値というものの生まれてきた背景というものについて環境庁はどのようにお考えになっていらっしゃいますか。特に私、さっき橋本さんが緩和ではないというふうに言っていらっしゃる。緩和ではないということは——緩くなることは事実なんです。これ。にもかかわらず緩和でないということは、原点にいささか問題を感じていらっしゃるのかなというふうに思わざるを得ない。この点について見解を承っておきたいと思います。
  104. 橋本道夫

    橋本(道)政府委員 非常に厳しい御質問でございまして、この問題につきましては、きわめてデータの乏しいときにその予防的な立場から大きな安全性を見込んで決めたということでございまして、その考え方は私は非常にすぐれた勇気のあるものだと思います。けれども、日平均値九八%値〇・〇二PPmという数字が非常にいいいろんなものを生んだと同時に、きわめてやはり問題のあるいろんな紛争も生んだ、また地方自治体も非常に困り切っておる状態があるというところを見ますと、これはやはり行政としては、そのような結果もあったということを頭に置いて考えるべきでございまして、基準といいますのは、やはり科学的な根拠に基づいて行政政策として決断するということでございまして、行政政策として決断する場合にどれほどまでのかたさを持ってこれをやられたかということにつきましては、反省すべき節もある、きわめて言いにくいことでございますが、私はそう考えております。
  105. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 非常に不十分だったというやつを一生懸命で守れ守れと言ってきたんですよ。そして今度のやつが正しいんだ、こういう言い方で行政の一貫性というものが貫かれると思いますか、率直なところ。かなりの年月がたっているんです。その目標に向かってそれぞれが努力しているんです。そのときに、原点が狂っていましたというような議論で一体行政の一貫性、環境庁の好きな言葉ですけれども、一体貫けると思っていらっしゃるかどうか。
  106. 橋本道夫

    橋本(道)政府委員 いま申し上げましたのは、非常に苦しいがということで申し上げたわけでございますが、これは環境基準は一応告示として決まっていることでございます。環境庁としては、やはり決まったことにもう最善の努力をしてやってみるということは、これは当然のことでありまして、できないとか、政治的な圧力があるからといって曲げられるものではない、そのようなむずかしいところがあるということで五十年十二月からこの取り組みを開始したわけでございますが、だからといってひるむことは一切許されないということで、まあ悪い言葉で言えば、私は非常に強弁したと思います。ですから、おまえはけしからぬということを言われれば、これは全く私の責任であると思います。しかし、そのときに初めからこれはおかしい、直そうと思う、おれは心配だということをもしも言っていたとしますと五十三年規制は実現をしておりません、脱硝技術もそこまで進んでおりません。また、そのときに科学的な検討も経ないでそのような疑念をもしも表明していたとしたならば、これは九条三項の趣旨に全くもとるものであります。そういうことで、九条三項の趣旨に基づいて新しい科学的な判断条件と知見が提出されたときには、それに対しては硬直的な姿勢でなく、反省すべきところは反省をし、きっちりやるところはきっちりやるということでいって、その上で責任をとるのが至当であろうというように思っております。
  107. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 自動車排ガスのときにも一つ基準が示されて、産業界、とりわけ自動車業界から非常に強い反発があった、そんなことはできないというので。でも環境庁はがんばった、延期はあったけれども。それは目標を掲げて、精いっぱいそれに向かって努力をする過程の中に可能性をつくり出す、少なくともこれは地球よりも重いと言われる人間の生命や健康にかかわる環境基準、高い目標に向かって全力を挙げてみんなが取り組んでいく、国民のコンセンサスもそこに求めていく、そういうものでなければならぬと私は思う。OECDのレポートではないけれども国民のコンセンサスの上に全力を挙げて取り組んできた日本環境基準のあり方が高い評価を受けている。この高い評価というものを、言ってしまえば、裏切るという言葉ではないけれども、せっかくほめられたのに、ほめられた後それがなくなってしまったというのではかっこうがつかぬわけです。さっき環境庁長官は、環境基準とクライテリアの指針値をチャンポンにしていらっしゃるのです。林先生質問に対して。クライテリアの指針のことを環境基準言葉としていつの間にか置きかえているのです。揚げ足取りの議論をしたくありませんけれども大臣、さっきそう答えていたのです。つまり「その濃度レベル以下では、高い確率で人の健康への好ましくない影響をさけることができると判断」されたものが環境基準だとおっしゃっていらしたのです。これはクライテリアの指針の言い方なんですよ。環境基準というのは、公害対策基本法九条に基づいて「人の健康を保護し、及び生活環境を保全するうえで維持されることが望ましい基準を定めるものとする。」と書いてあるのです。これは違うのですか、一緒なんですか、大臣に承っておきたいと思います。
  108. 山田久就

    山田国務大臣 環境基準環境基準、クライテリアはいま御指摘されたようなクライテリアと考えております。
  109. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 そうしますと、先ほど大臣がお答えになったのはちょっと間違いですね。林さんとのやりとりの中で実はそう答えたのです。だから私、メモしたのです。その点は大臣も、ひとつしっかりつかんでおいていただかないと、こうなっちゃうんです。それは。確かにむずかしい言葉だし、横文字だし、聞きなれない言葉だし、正直なところ私どもでもチャンポンにします。だけれども、そこのところなんです。私の言いたいのは。「高い確率で人の健康への好ましくない影響をさけることができる」レベル、そうすると、高い確率でなければ人の健康に好ましくない影響というものを生むこともしようがないという、言葉のあやではなしに、パラドックスが生まれるのではないですか。だからこそ、九条の「人の健康を保護し、及び生活環境を保全するうえで維持されることが望ましい基準」、これが目標なんですよ。私は、率直に言えば、いまのNO2の到達水準というものが非常に低いものだということはこの前も橋本さんとやりとりをした。だからといって、目標を捨ててしまっていいという理屈にはならぬじゃないか。だから百歩譲って、それが実現できないとすれば、中間目標みたいな形を含めて考えながら到達目標を目指していくということが人類の英知じゃないだろうか。さっきも日本は外国と比べてどうということがありました。私は、日本が誇り得るそういうものが世界の人たちのものになっていくということこそ公害国日本が果たすべき世界に対する責任でもある、こう思っているのです。だから、さっきも指針環境基準をチャンポンになさったというような言葉を取り上げてそういうことを言っては恐縮でございますけれども、それとこれとは別なんだし、少なくとも、さっきのやりとりで、これ以上厳しくする必要がないというお言葉をおっしゃっておられる。環境庁自身が、橋本さんじゃないけれども大臣を初めチャンポンにしているという状況考えてごらんなさいよ。自動車排ガスのときの経験と教訓というものを、橋本さんぜひお述べいただきたいと私は思うのです。
  110. 橋本道夫

    橋本(道)政府委員 いま先生指摘のございましたように、自動車排ガスのときには、不可能であろうと言われたものができた、これは非常な日本の成功でございます。そういうことで、これは発生源規制の技術でございます。一つの技術だけでコントロールできるわけでございます。ただ、いま議論しておりますのは環境基準でございまして、環境基準というのは、排出の規制と土地利用及び立地の規制と防止の施設の整備といういろいろな総合施策でこれをやっていくというところでございまして、メカニズムさえつくればでき上がるという性質のものではちょっとないというところがあるわけでございます。ですから、自動車排ガスの教訓は非常に貴重な教訓であり勝利であると思いますが、自動車排ガスで成功したのだからNO2の一日平均値〇・〇二はできるはずだ、捨てるなという議論は、考え方として、一般論としては先生の御意見に私は何の反対もございませんが、日平均値〇・〇二というのはどのようなものであるのかということを考えてみますと、東京、大阪、川崎、横浜あるいは大幹線道路の横というのは、いかにこれをやっても日平均値〇・〇二というのは不可能であります。少なくとも十年、十五年は不可能であります。もちろん、原子力か何かに発電所や何か全部置きかわって、エネルギーが変われば話は別でございましょうが、そうでなければこれは本当に不可能であります。そうすると、行政として全く不可能でもいい、お宮さんみたいに置いておいて、しかし、それの何倍超えたからおれは病気になる、補償しなければいけない、道路つくってはいけないという形のものも一緒にあるがままで進めていくかどうか、これは行政政策としての議論としてあると思います。そういうことで、日平均値〇・〇二というのはどういう意味を持つかということでいきますと、非常に言いにくいことですが、私はそのようなものであるということは申し上げなければならぬと思います。  そういうわけでございまして、先生のおっしゃるように中間目標を置いてやるという一つのオプションがあると思います。それは確かにあることを否定をしません。ただ、やったとしても日平均値〇・〇二というのはなかなかそういう形でやれるものではないということでございまして、また、OECDが非常にほめたということでございますが、いままでのやり方はよかった、こう言っておるわけでありまして、これから先はコスト、リスクの問題が相当違うぞということを言っておるくだりもあります。しかし、経済や技術的にできないということだけでがたがた緩めようなんという気は毛頭ございません。本当に〇・〇二でしなければ健康が危ない、これはどんなことがあってもやらなければいかぬと思います。交通カットしてでも何でも。しかし、あそこで示された条件から見て、これで健康は高い確率で守れるということがあれば、そこから先そこまでするのは、一つは、私は必要があるとはいままでも言っていたいつもりなんですが、科学的に理由があるかということになりますと、専門委員会であれだけ議論してみると、そこから先までという議論にはならないということでございまして、そうすると、そこから先まで持っていくことは総合政策的な立場ということになります。そこで、交通を半分とか全部カットしてしまえ、これは低煙源が非常に問題でございますから、中小煙源は猛烈なダメージであります。大企業については私は別に心配はしておりません。それは非常な問題であります。そこまで落としてでも〇・〇二を断固として強行して、十年か二十年でやるかといいますと、総合政策的にはそこには問題があるのじゃないかという考え方行政官としては持つということでございます。いろいろ御批判があるかと思いますが、率直な考えの根底はそういうところでございます。
  111. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 大気部会で、改定するかしないかは審議会に問われていることではないということを前提にしながら、「適切な検討を加えられたい。」こういう言葉があって、審議が行われたと書いてございますね。このときの審議の議事録というのは私に拝見させていただけますか。
  112. 橋本道夫

    橋本(道)政府委員 審議会の議事録の問題は、中公審の了承を得なければ出せませんが、私ども感じでは、審議会の議事録をごらんいただいたらいろいろな疑いの念は晴れると思います。ただ、この問題は中公審でどのように受け入れられるかということでございますので、事務当局としては審議会の議事録を出すのをためらう理由はいささかもございません。
  113. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 この議事録というのは委員会は原則として、運営として出さないということになっているんですか。
  114. 金子太郎

    ○金子政府委員 本件につきまして二年ほど前でございますが中公審の方でいろいろ御検討の上、原則として公表しないということになっております。しかしながら、会長などあるいは中公審の部会などがいろいろ御相談の上、特定の場合には外部の方にお見せする、あるいはお見せしたという例はございます。
  115. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 それは私に見せていただけますね。そういう努力をしていただけますね。
  116. 金子太郎

    ○金子政府委員 中公審の会長、部会長などと御相談いたしたいと思います。
  117. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 橋本さん、いま騒音の環境基準改定作業をなさっていらっしゃいますか。
  118. 橋本道夫

    橋本(道)政府委員 環境基準改定ではございませんが、クライテリアの問題としてやっております。これは沿道調査で従来のデータにはなかった聴力低下というのがあるということでございまして、どうもいままでとは少し知見が違う、いままでのような緩い形ではだめなんじゃないかという気持ちを持ちまして、また測定の単位のとり方に非常に住民から、なぜピークをとらないのかとか五%のカットとかいろいろの問題がございます。そういう問題がございますので、今年度の予算から判定条件等についての検討を開始しており、まだ専門委員会を組織するところまでにはまいっておりません。
  119. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 そうしますと、この騒音を含めて結局クラィテリアで結論を出させて、そして後は行政環境基準を決めていくということで考えてよろしゅうございますか。さっきもやりとりしましたけれども、念のために。
  120. 橋本道夫

    橋本(道)政府委員 そういう公算は高いと思います。特に環境基準そのものもございますが、むしろ環境基準そのものよりもいまの要請限度等に問題があるのではないかという考え方を持っておるわけでございます。
  121. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 判定条件が出て、それよりも厳しくして環境基準行政的に対応していくということがいつの場合でも信頼できれば、それはそれで一つの方法かもしれません。しかし、行政の姿勢によってクライテリア自身が、それならば、先ほどから言っているように大変りっぱな科学的な知見だとおっしゃっているのが覆されていく可能性と危険性というものだって否定できないと思うのです。つまり今度の行政判断環境基準を決めていくという手続は、言ってしまうと、環境基準を緩めていくための手続として使われる可能性と危険性というものを指摘しておかざるを得ないのです。橋本さんいつも大気保全局長をやっていらっしゃるわけじゃないのです。行政の姿勢でどっちでも変わってしまうのです。そこでぼくらは言うのです。その点についてはどのようにお考えですか。
  122. 橋本道夫

    橋本(道)政府委員 いまの先生のおっしゃった点は、行政はたえず厳に頭に置きながら対処すべきことだと思っております。
  123. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 環境基準をそういうふうに決めたわけじゃないので申し上げるのは失礼だけれども、クライテリアイコール環境基準というふうな言葉の中にはしなくも出ているように、イコールで環境基準が導き出されたときには二倍ないし三倍、言葉はいやでしょうけれども緩和することになりますが、それはSO2、NO2についていえば昭和四十三年ないし昭和四十六年ごろの状態に戻るというふうに言われている、そういう見解がありますが、その点はどうですか。
  124. 橋本道夫

    橋本(道)政府委員 東京の真ん中のステーションでいけば大体四十年代の初めごろではないか。これは厚生省が一二十九年に張り出しましたステーションをずっとはかってのことでございまして、それから見ると四十年代の前半で四十六年にはかからないと思います。ただ、白書等の平均した数字を見るとその辺になるということでございます。
  125. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 そうしますと、昭和四十三年とか四十六年、まあその前後ということになりますと例の光化学スモッグ問題などというものも考えざるを得ませんね。東京都の公害研究所の研究、これはこの前も橋本さんとやりとりして高い評価をいただいておるわけですが、現行基準を超えると光化学スモッグの発生が始まると言われておりますね。この光化学を防げないような環境基準で果たして人の健康が守れるのかどうか、この点は環境白書でも実は指摘をしておるところですが、その点についてお答えをいただきたい。
  126. 橋本道夫

    橋本(道)政府委員 四十三年から四十六年のときにほかの汚染物質の状態がどうであったかということとあわせて判断すべきことだということを一点まず申し上げたいと思います。  それ以降にハイドロカーボンの規制等がずっと進んできております。また現在、今度は固定発生源のハイドロカーボン、有機溶媒を規制しようということをしておるわけでございます。そういう点で、たとえば東京都で仮説的にあの指針条件にしたときに、それじゃNOx対策は何にもしてないのか、絶対そんなことはありません、これは非常な対策を東京都はしなければなりません。また、自動車の例の二段構えの長期目標は、あの幅の中で仮説的にやったとしても、絶対これはやらなければあの目標も到達できません。ですから、そういうものが後退するいわれは毛頭ありません。  そこで、東京都のおっしゃっておられるような実験がございますが、あれと同じようなことが実はことしの環境白書にも書いてございます。これは日本は従来わりあい孤立しましてNOx、ハイドロカーボンの両方を規制するというストラテジーをとってきたわけであります。そんなことに対して非常な批判がございましたが、昨年からことしにかけてOECDもアメリカ日本の方に変わりましたが全部ではございません。どういうものが残っているかと申しますと、発生源のある町の中のオキシダント対策は果たしてNOxを下げたらオキシダントが出なくなるかというところについては、実は実験データとしましてあれと逆のデータがあるわけであります。しかし、町から遠く離れたところ、東京と大分離れた、たとえば埼玉の大宮とかあるいは東京の北多摩の方とかああいうところの問題は、NOxを抑えなければだめだということに国際的に一致したわけであります。そういうことで日本のとってきた対策の半分は大体世界的に日本の方向に入ったということでございますが、町の真ん中の汚染の問題は、これは注意深く両方をずっと抑えながら様子を観察しようと思っております。われわれはあくまでも両方を抑えることによって、両方の反応によって生ずる複雑な汚染物質の総量を抑えようとしております。ただ、本当に全部下げたらあのとおりになるかどうかということについては、全然別の実験成績や理屈もあるということで、そのことについてはまだ完全結着はついていないということで、東京都の方があの貴重な成績を、だからおまえたち変えたらいけないとまでおっしゃることは、科学的に科学者としては少し飛躍があるのではないか、こういうふうに思っております。
  127. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 基準の緩和をしますと、四日市だとか鹿島だとか苫小牧だとか大分、市原、新興コンビナート地帯とでも言いましょうか、この地域の汚染というのは基準以内ですね。そうしますと、この辺に進出をした大企業の対策というのは要らなくなる。つまり公害に免罪符を与えるということにはならないのかどうか、この辺の検討をなさっていらっしゃるかどうか。
  128. 橋本道夫

    橋本(道)政府委員 これは一つは、市原をやらないでいいというのはどういう根拠で東京都がおっしゃっておられるのか、実は私は耳を疑っておるわけであります。というのは、東京湾沿岸の広域の対策として当然打つべきであるということでございまして、たとえば京浜工業地帯と京葉工業地帯で規制のアンバランスがあるということは、非常に問題があります。それから、京浜と京葉工業地帯、鹿島の工業地帯から煙をどんどん出して、その根元の方はわりあい薄いですけれども、関東平野の奥の方に光化学スモッグを起こすわけです。そういう点で、われわれその対策をしたいという考え方でございまして、この狭い範囲内だけで、ある点だけを見て、あれはやらないでいいというような単純な判断を持つという考え方は現在のところ持っておりません。それから一方、いろいろなところの地域でやっておられる方は、沿道濃度を正確に、正直に出しては議論しておられません。それで、たとえば横浜の場合でも〇・〇四を対象としてやる、こう言っておられますが、〇・〇四にならないところが一部あるわけです。そこのところはマップの上では黒く塗っておられますが、幾らの濃度になるかは全然出しておりません。われわれはすべてのものを公開して、沿道でもそういうところでもどうか、これはみんな人が住んでおるわけでありますから、そのすべてを頭に置きながら対応するということでNOx対策を展開していくということでございまして、どちらかというと〇・〇四を目標にして、これへほとんどみんないってしまいます。後のことは黙っておれ、外してしまうというような、そのようなごまかしのやり方は一切しないということで考えていきますと、あれをもってそう緩むところはないのじゃないか。いまおっしゃいました苫小牧などは、後の工業地帯の規模がどうなるかということでまたいろいろな議論があると思います。また、現在いろいろなものがやられております。ですから、〇・〇二というものが変われば今度はその基準議論が出ると思いますけれども、あそことても決してイージーなところではございません。冬季の暖房というのは相当なものでございます。冬季の暖房というのは、これはずっと汚染濃度というのがあります。  そういうことで検討し直したら、あちこちでがたがた緩むのではないかということは、まず自動車については絶対そういうことは起こらない。それから、現在高度の集積の起こっているところでは全然そういうものはない。そのほかのところで若干相違はあるかもしれないが、全体の新しいものを厳しく規制していくということは、当然ナショナルミニマムで進めていくわけでございますし、そういう立場でいきますので、御心配されるような、非常にがたがたに緩んで、あちこちで、何もしないでよくなるという事態が起こるとはとうてい考えておりません。また、今後十年間の成長を考えていった場合に、これは本当にきっちり押さえ込むとなると、将来、相当苦しいことになってくることは明らかだというように私ども考えておるわけでございます。
  129. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 今度のNO2の判定基準というのは、昭和四十七年の専門委員会の報告と比べるとより充実したものだという見解も片一方にあるわけですけれども、それはそれとして、それでもなおかつ、先ほど島本さんもおっしゃっていらっしゃいましたけれども、老人や病人や子供や妊産婦などについてはこれで十分だというわけにはいかないだろうと思います。その点についてはどのような御見解にお立ちになりますか。
  130. 橋本道夫

    橋本(道)政府委員 疫学で導き出してきたといいますのは、これは地域人口集団はいろいろなものが入っているということを頭に置いて、しかも複合の中でこう言っておりますので、かなり厳しいサイドの方に入ってきているということは言えるわけでございます。これは、専門委員会安全性議論の中でも人の志願者データ疫学データを使うということは、そういうことを見込む一つの手段になるという考え方になっておったわけであります。  もう一つは、それでは弱い人たちをどうするかということにつきましては、例の東京都内での学童の肺機能テストの年平均〇・〇四の近辺というところで、これはまだ正常の範囲内でありますけれども、敏感な人がちょっと動くところがあるというところを見ておるわけであります。それに対して今度の新値は少しそれよりも下に入っておるということは事実でございます。そういう点で、新値そのものに対して、こういう弱者に対する配慮からさらに厳しくなければならないという一般原則論議論はあろうかと思いますが、いま申し上げました弱い人のデータも部分的には入っておる、疫学は見られておる、全体の判断として健康の状態を守るという、「健康な状態からの偏り」を防ぐ、つまり健康の範囲内に置いておくということの議論としてやられておるものでございますので、それから先のセーフティーの問題を弱者のことを考えてやるということまでの理由は科学的にはない。個人の理想としてはあるかもしれませんが、科学的にはない。しかし、その先のことはいろいろな議論があって、総合政策的に判断すべきことであるということが私ども考えているところでございます。
  131. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 ずばり伺いますけれども、総合的な、政策的な判断というのはなされているわけですが、まだ結論は出ていないのですか。
  132. 橋本道夫

    橋本(道)政府委員 まだ正式な結論ではございませんが、おまえはどう思うかと言われましたら、行政としては安全率を掛ける必要はないのではないか、むしろそのほかの複合汚染物質を一斉に抑えていくという方がはるかに大事なのではないか。ばいじんをもっと抑える、ハイドローカーボンをもっと抑える、SO2を少なくキープする、あるいはジーゼルの軽油中のSを抑えるというようなことで対応するのがはるかに有効な方法ではないかという考えでございます。  午前中の議論にもございました、たばことか室内汚染というような問題も一方にあるわけでございまして、むしろそういうものの方が実ははるかに問題があるということでございます。そういうものがあるから汚れを高くして許すという意味ではなしに、そういうものも全部判断しながら、これをきれいな方向にだんだん持っていこう、しかもNOxだけじゃなしに、ほかのものと結びつけて複合汚染として押さえ込もうという戦略の方が、大気汚染としては最も適切ではないかというぐあいに考えておるわけでございます。
  133. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 時間がなくなってしまったのですけれども環境基準中公審に諮問しない、安全係数も掛けない、それでクライテリアで行政的、政策判断をして環境基準を見直すことがあるというふうになっていってしまうわけですね。これは実は大変な曲がり角だという感じを持たざるを得ないのです。私も専門的な知識を持っていませんから専門的なやりとわはできませんけれども、これはやはり環境庁行政の中の非常に大きな一つの転換点だというふうに私は受け取らざるを得たい。このことを強調しておきたいと思うのです。  それで、橋本さん、午前中、有症率が下がっているということをおっしゃっていましたね。私、実は、この前の前の公害健康被害補償法の議論のときに、川崎の例を申し上げて、SO2は下がっているのにこれはふえているということを、非常にラフな資料でございましたけれども示しました。全国的にそれを集めているとおっしゃいましたね。そして、それは公表するとおっしゃいました。これらについて、有症率が下がっているというお言葉、SO2との関係というものを抜かして議論すればそういうことの議論ができるのかもしれませんけれども、そういう因果関係を含めて資料を私どもに提供していただけますか。
  134. 橋本道夫

    橋本(道)政府委員 いま先生、有症率ということをおっしゃいましたが、有症率として下がっているのは六都市でございます。これはもうオープンに出しております。  それから、これはクライテリア委員会の後でございますけれども、東京都の教育委員会が調べた大気汚染と学童の健康影響調査の中で明らかに訴えは下がってきております。これは新しい資料であります。これは一種の有症率に適合するものであります。  午前中申し上げたものは、公害健康被害補償法の指定地域における新認定患者の発生数でございます。トータルにしますと、累積ですから確かにふえてまいります。新認定患者の発生数の傾向は下がってきておるということでございます。これは環境保健部の方のデータでございますので、環境保健部の方からお答えをするのが至当ではないかと思いますが、その資料を私どもは見ております。  もう一つは、大阪市の健康被害補償法の認定患者の細かな解析がもうすぐ公表されると思います。その中には、新しいものは下がってきている、症状は軽くなってきている、発作が出るのはおりてきているというのがございます。そういうものを頭に置いてやっておりますので、もしもその傾向が逆さまになっておりましたら、私はいまのようなことは一切申しておりません。
  135. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 だから、それを見せてくれるかと言っているのです。
  136. 橋本道夫

    橋本(道)政府委員 いま申し上げた環境保健部の方は、環境保健部長がおりますので……。
  137. 山本宜正

    ○山本(宜)政府委員 まだ最終的に取りまとめておりませんけれども、たとえば四日市であるとか、かなり早い時期に指定をいたしまして、その後、環境汚染が改善された地域においての被害補償法の新しい認定患者、これが減ってきている傾向はございます。現在、各指定地域について取りまとめをしている最中でございまして、でき上がりましたら先生にもお見せできるだろうと思いますが、いましばらく時間をいただきたいと思っております。
  138. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 もう時間が来てしまったのでやめますが、最後に、環境庁は、昨年の六月、公害防止計画の基本方針を自治体に示した際に、NO2に対しても現行基準を守る立場で作業をすることを指示していますね。そして、ことしの四月——四月というのは答申があった後ですね。それを承認してきましたね。また、最近までは環境庁環境基準の見直しではなくて、中間目標値を置くというふうなことをPRなさってこられた。自治体は現行の環境基準を目標にして、たとえば東京都は来年から総量規制の導入を計画しています。川崎市ではことしの一月一日から条例でこの目標に向かって努力をする方向を決めています。千葉などでも公害防止協定を結ぶなどの対策を実は進めているわけです。これらの影響を私は無視することはできない。地方自治体に対して一生懸命ハッパをかけてきて、担当者はきりきり舞いして現場で苦労している。やってきたところが、けつの方が緩んでしまった、こういう議論になるわけです。これについて一体環境庁はどのような責任をお感じになっていらっしゃるか、そして、どのような指示と対応をなさっていかれるつもりか、これはすぐれて行政担当者だけでなしに当該地域の住民に対しても重要な意味を持っていると私は思いますので、この点についてひとつ親切にお答えをいただきたいと思います。
  139. 橋本道夫

    橋本(道)政府委員 いまの御指摘された問題が行政としては一番つらいところでございます。これは昨年改定するときに、今度はNO2だけ少し、いま触れるのをやめておこうかというような議論をいたしましたが、やめておくとすると、また政府がそれに対して取り組むのを少しここでストップしたということになるわけでございまして、それもまだ答申も出ていない、しかも、四月は諮問したばかりでございます。そうすると、現在の環境基準を、告示にちゃんとありながら無視すると同じ形になる。それはやはりとれないのじゃないか。非常に申しわけないが、今度環境基準の問題の再検討がはっきり、九条三項の検討が全部終わったら、そこでこれをまたもう一回組みかえるということをする以外には手がないだろうというように感じていました。そういうことで、自治体の方々には非常に御迷惑をかけておりまして、それはもう大気保全局長おまえの責任だと言われれば、私は全く答える言葉はございません。  それからもう一点は、中間目標値をPRしておった。これは〇・〇二に対する〇・〇四という中間目標値をPRしておったわけでありまして、現在、中間目標値を新たに変えるというような宣伝をしたことは一度もございません。これはそういう形ではございませんで、現在の〇・〇四という中間目標値を強調しておったことは事実であります。そういうことで、地方自治体との対応といたしまして、まずブロック別に自治体と約半日かけて皆話をし合いました。データも出してもらいました。考えているところも言ってもらいました。それからもう一つは、非常に御苦労なさった、むずかしいところの自治体ですね、そこには個別に行ってお話をしたりしております。申しわけございませんが、まだ川崎市とは、ブロック会議の場所でしか会っておりません。直接会っておりませんが、横浜が一番先に手をつけておられましたので、横浜とか神奈川とか大阪とか千葉とか東京とか——東京も担当者と個別に話をしております。みんなこれは非常に困っております。それは実際上も困り抜いておるわけでございます。それをどういうぐあいにきっちりするのかということは、環境庁行政の責任であるということでございまして、そういうことで、千葉も、〇・〇四以上先にどうするかというような国の出方をよく聞いてからにしようということでございます。そういうことで、地方自治体の方が一生懸命やられたのに対して、再検討でこれが出てくるのはけしからぬという御批判は、私は受け入れる以外には手がない。しかし、対応していくに対しては、今度は新しい方針を打ち出せば、それによって全体の会議とともに各ブロック別とかあるいは個別の自治体にも行って十分話し合ってみたい、そういうように考えておるわけであります。  患者さんの方たちとは、決して受け入れられているとは思いませんが、二回以上にわたりまして相当、一時間以上あるいは二時間近くもお話し合いをしております。そういうことで、受け入れられるとは全く思いませんが、何も言わないであいつは勝手に変えたというような形のやり方はしないということで極力努力をいたしているところであります。
  140. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 最後に申します。  専門委員会の報告書を拝見しますと、その「付言」として「大気汚染に関する課題の中には、未だ不確定因子が多数ある。全ての課題は常に新しい研究を必要としており、完成された研究結果はないといっても過言ではない。その意味で我々の持っている知識は、常に暫定的であるともいい得る。」こう述べておられます。  このことは、現在の科学では、人の健康を守るために必要にして十分な科学的知見というものは得られていない。それはクライテリアにしても、指針にしても、環境基準のどれであっても、必要条件を示しているだけにすぎない、私はこういうふうに思うのです。  その立場から考えると、いま環境基準を緩和するための科学的な根拠はまだ乏しいものだというふうに私は強調せざるを得ません。そういう点で、環境基準の見直しなどということではなしに、国民の健康と生命を守るための一層の努力を期待して、以上で終わります。
  141. 久保等

    久保委員長 次に、水田稔君。
  142. 水田稔

    ○水田委員 時間が短いですから、いままでわが党で質問しました補足のような質問をしてみたいと思いますが、女子の場合と男子の場合と有症率の状態というのは傾向としてはどういうぐあいになっておるのか、まずそれをお伺いしたいと思います。
  143. 橋本道夫

    橋本(道)政府委員 傾向、率としましては女子の方が若干低いということが、従来多く見られた状況でございます。
  144. 水田稔

    ○水田委員 若干というのはどのくらいですか。われわれが聞いておる範囲では、大体半分ぐらい、こういうぐあいに、これはもう大変な違いなんですが、若干というのと半分というのは違いますから、その辺を明らかにしてほしいと思います。
  145. 橋本道夫

    橋本(道)政府委員 半分のものもあればそうでないものもあるということで、この有症率の議論というのは、実際上非常にむずかしい議論だろうと思います。非常に数字がばらつきますので、その点で一般には低いということ以上に、確定的に絶対半分低い——半分低いデータがあるか、あるいはもっと低いデータがあるかと言えば、これはございます。ございますが、そこまで言い切るのにはなかなか無理があるのではないかということでございます。
  146. 水田稔

    ○水田委員 それから、これも先ほど来出ていますように、今度の調査ですね、資料の中に、病人とか子供は対象になっていないと思うのですが、いかがでしょうか。
  147. 橋本道夫

    橋本(道)政府委員 今回の判定条件の中で病人の材料としては幾つかございます。一つは、ぜんそくの患者さんに、これは患者の志願者でございますが、NO2の一時間の暴露をしてみて、そして反応性がどう変わったかというようなものもございます。あるいはそのほかに、慢性気管支炎を持っている患者さんにやはりガスを暴露してみた実験、これは日本ではございませんが、ございます。それから、子供の比較的敏感な者を含んだ学校の子供の二年間の継続的な肺機能調査研究というのがございます。  そういうことで、全然抜けておるわけではございません。
  148. 水田稔

    ○水田委員 必要かつ十分な病人、子供の調査がある、そういうぐあいに考えですか。
  149. 橋本道夫

    橋本(道)政府委員 現在の段階で最善のものということで、科学的に必要かつ十分な病人データを得られるということは、長い長い先の問題であろう。これは、なかなかそうできるものではございませんが、しかし、一点申し上げたいのは、SO2の場合には死亡がふえるとか病人がふえるとか病人が増悪するというデータがずいぶんあったわけであります。NO2も同じように経験しているわけでありますが、不思議にそのようなデータが本当に見当たらない。あるいは過剰死亡というものも見当たらないということは事実でございまして、病人が明らかにふえるというデータはあくまでも例のチャタヌーガのときのスタディーで、長期平均〇・〇六から〇・〇八というところを超えると急性の呼吸器系疾患の者がふえるといったことがあるだけでございます。これはSO2の場合と非常に様相を異にしておる場合がございます。
  150. 水田稔

    ○水田委員 それから、このデータの中で判定条件としては数値が出ておりますけれども、全体のばらつきを見て、データの中で二酸化窒素がふえた場合、いわゆる判定条件として出された数値〇・〇二ないし〇・〇三からさらに上回ったときの関係というのはどういう形で出ておりますか。
  151. 橋本道夫

    橋本(道)政府委員 ちょっと私、いま先生のおっしゃったのはつかみかねるのですが、実際、有症率を見ているところの中には〇・〇二、〇・〇三を上回ったところの濃度のやつがあるわけでございます。そこで、関連性があるというデータはあるわけでございます。
  152. 水田稔

    ○水田委員 二酸化窒素がふえれば有症率がふえておる、そういうデータである、こういうぐあいに理解してよろしいか。
  153. 橋本道夫

    橋本(道)政府委員 正の関連性があるということで、高いときに片一方が高いということでございまして、ほかの成分もみんなあるわけでございます。あるいはその集団をその前にSO2の高い暴露に当てた場合もあるわけでございます。そういうことで、二酸化窒素ということで整理してみたらこのような関連性があるということ以上に、はっきり二酸化窒素影響によってふえるとまで言うのは、関連性が認められるということ以上の表現は、科学的にはなかなかむずかしいということです。
  154. 水田稔

    ○水田委員 これは、先ほどの岩垂委員質問で、すかっとした答弁をいただいてないものですから、私は、長官に御答弁いただきたいのです。  そういういろいろな判定の調査に基づいて判定基準を出す。局長は、安全率を見なくてもいい、そして〇・〇二ないし〇・〇四というものがそのまま環境基準になった場合、いわば四日市なり、水島なり、大分なりは、現行の状態でほとんど対策をしなくてもいい、その状態の中でたくさんな患者が出ておる。これは判定条件というのは、鈴木参考人の言葉を借りると、「健康からの偏り」という言葉を使っておられるのですが、それが起こるところという意味、そういうぐあいに理解している。この公害対策基本法の九条は「人の健康を保護し、及び生活環境を保全するうえで維持されることが望ましい基準を定めるものとする。」こうなっておるわけですから、明らかに判定基準公害対策基本法環境基準というものが違うわけですね。その点を大臣は内容的に同じとお考えか。先ほどの答弁をずっと聞きますと、今度の判定基準というのは、イコールそのままずばりは言われておりませんけれども、答えをずっと聞いてみると、判定基準イコール環境基準として定めようとしておるという疑いが持たれる答弁をずっとされておるわけです。その点について、今度答申された判定条件とこの公害対策基本法の九条に言う環境基準とは、大臣は、全然違うとお考えか、一緒とお考えになって判断を下されるお考えか、ひとつ伺いたいと思います。
  155. 山田久就

    山田国務大臣 毎回お答え申し上げておりまするように、判定条件、これは今日までに得られた科学的判断、そういう得られた客観的な判断条件、つまりそのものでありまして、それの科学的な指針を踏まえて九条第三項に掲げられているようなわれわれの環境基準というものを一体変えるべきかどうか、この判定条件というものを十分検討し、それを踏まえた上で九条第三項による環境基準というものを、われわれは要すればそれについての判断を下す、こういうたてまえで臨んでいるわけであります。
  156. 水田稔

    ○水田委員 先ほど来ちょっと個々に質問しましたように、一つは、このデータの中で、女の人の数値はそのまま出ているわけですね。これは本来ならば、男なら確定的なものはないにしろ、換算しなければならぬというものがある。それから病人とか子供について言えば、若干のデータはあるにしても確たるものはない。そうして、これは判定基準で出されたもの以上のところで見れば、二酸化窒素がふえれば有症率がぐっとふえる、そういうデータが出ておるわけですから、そういう点からいけば、いわゆるクラィテリアだけでイコール環境基準にすることはいかに危険かということを示しているわけですから、そういう点では科学的な知見に基づいて科学的な判断だけを出す、そうしてその指針です。これは政治的な判断は全く入っていないわけです。その中で九条に言うところの国民の健康を守るべき望ましい環境基準というのは、当然その中で安全を見るというのが、これはどう考えても見るのが当然であって、見ないのがおかしい。これは国民だれが聞いてもそういうぐあいにとるだろうと思うのです。その点で、これは私ども、また参考人の御意見も聞いた上で、さらにこの点については詰めた論議をしてみたいと思います。  次は、昨年の六月に環境庁の大気保全局が「二酸化窒素による我が国の大気汚染の現況についての考察」というのを出しておられますね。これは「ガイドラインのレベルの下限〇・一PPmを確実に満足するための大気環境管理上の必要条件は日平均値の九八%値を〇・〇二PPm以下にすることであるが、これとてもデータの偶然性に支配されていると思われる。」こういうことを出されているわけですね。ですからこのことは、いわゆるWHOの考え方というのをそのままイコールだ、こういうことで環境庁自身が言われておるとわれわれは理解しておるわけですが、そのとおりでございましょうか。
  157. 橋本道夫

    橋本(道)政府委員 WHOの示している条件は、いまおっしゃったような月一回、一時間値として〇・一ないし〇・一七を超えないという条件を言っておるわけです。それを日平均値に換算するということは、これは統計的に整理をするという意味だけで、その数字に学問的に本質な意味があるものとは全然思っておりません。思っておりませんが、大気の質の管理という観点から見るとどういうところにほぼ当てはまるかということの見当をつけろというものでございまして、グラフをごらんになるとわかりますように、技術は揺れがきわめて大きいということで、あのものからおよその見当ということ以上に確定的なことを言うのはなかなかむずかしいと思いますが、だからといって別にほっておくのもまずい、そういうことで、一般的な傾向としてああいうものの考え方を整理をしたということと御理解いただけば結構でございます。
  158. 水田稔

    ○水田委員 私、関係あるのは、この問題と、昨年の六月にこういう考え方、これは現行の基準に全く一致するわけですね、これは年に直しますと〇・〇一になるわけですから。そうして、これは先ほど岩垂委員からも質問がありましたように、さらにことしの四月には、地方団体に対して公害防止計画の基本方針をこの基準で出しておるわけですね。昨年の六月、こういう考え方を出し、ことしの四月にこれを出しておる。そこで、責任を感ずると言われるのですが、これは新聞報道によりますと、局長は、昭和五十年ごろから見直しの予定であるということを言っておるのですが、これは事実でしょうか。
  159. 橋本道夫

    橋本(道)政府委員 私がちょうど局長に任命されましたときにNO2の問題が非常に大きな問題となっておりまして、大気汚染の問題をどういうぐあいにきちっとするかということが一番基本の問題というように感じておりました。そういうことで、NO2の問題の質問があったときにもいつも申しておりましたが、これは科学的な検討という点ではクライテリアの問題がある、それにはもう少し時間がかかる、しかし達成の方途は何にでもあれ最大限の努力をしなければいけないということでやってまいっておりまして、五十年十二月の第二次規制をやりますときに、NOx対策の今後の進め方というような総合的な、一つ環境基準判定条件に関するもの、一つは固定発生源の排出規制に関するもの、一つは移動発生源の排出規制に関するもの、一つ政策的な検討、こういうチャートをつくりまして、これは五十年十二月に新聞に公表しておりますし、中央公害対策審議会でもその線に沿って御説明をいたしておりまして、全くそのスケジュールどおり進んできているということでございます。
  160. 水田稔

    ○水田委員 五十年ごろからそういうことをやり、そして五十二年六月には先ほどのような環境庁の公式見解を出し、ことしの四月に地方団体に対してそれで指示を出しておって、しかも、島本委員からも申し上げましたように、六月九日の朝日新聞によると、「現行環境基準が乏しいデータもとに作られ、社会的混乱の原因ともなっている」、これは評論家が言うのだったら私はいいと思うのですが、少なくとも環境庁大気保全局長という国民の健康を守るべき役職にあり、しかも大気の問題に関しては最高責任を持つべき局長がこのようなことを言うことはきわめて不見識だと思うのです。いままでやってきたことに対して全く責任をとらない。そして先ほども岩垂委員質問に対して、地方団体に対してそういうことをやったことはまことに申しわけない、それだけで済まない問題だと私は思うのです。  それからもう一つは、これも質問に対する答弁の中で、地方団体とも徹底的な話をしておるという答弁があったわけです。私も幾つかの地方団体に確認いたしました。地方団体というのは具体的に行政をやっておる。公害防止協定を企業に対して厳しく言い、条例をつくり、やってきておる。その中でこのようなことを言われると、これからの環境行政、府県の言うことを企業は聞きませんよ。おまえらとぼけたことをやっているのかという話になるわけですね。そして私が確認したのでは、そのことについて地方団体の意見を聞いて、そしてどうするかというようなことはいまだに全く話がない。あなたの答弁では、十分話をしてきたというのですが、そういう点はいかがですか。
  161. 橋本道夫

    橋本(道)政府委員 これは再度言いわけじみておりますが、大気局長としてはいまでも旧環境基準を守るということを言い続けているのが道ではないかという御指摘ではないかと思います。確かにそういう行き方もあるかと思います。ただ、これは検討すべき時期に来ておるということは明白でございまして、検討しなければならぬというのを早くから言っておればいま言ったような混乱を防げたというメリットは確かにあったと思います。そのかわり、早くから言っていれば対策は進んでいなかったというデメリットがあったと思います。どちらが果たして対策の上ではプラスであったかということを考えますと、これは私は責任上責められても仕方がございません。開き直ったような言い方でございますが、私はそう思っております。ですから、いかなる批判も受けたいと思いますが、対策としては、ここできっちり組みかえるならばやるということで大気汚染防止行政を進めることが基本なのではないかということでございます。  それから、自治体に意見は聞いておりますが、まだその後言っておりませんが、これはどうするかというときに言うということでございまして、まだどうするかというところまでは来てないということで、言っておりません。ただ、審議会の資料は全部自治体に送っております。
  162. 水田稔

    ○水田委員 長官局長が公害連と先般話をされたときに、長官は六月の末と言われ、局長はそれを強引に六月中旬と言ったのですね。どっちが本当か知りませんけれども長官の言う方が最高責任者ですから正しいのだろうと私は思いますが、そうしますと、地方団体の意見を聞く機会というのは、たとえば局長の言われる六月中旬なら、きょうはすでに十三日、日にちはないですよ。地方団体に具体的に私が確認をしたら、局長は十分話をしてからじゃないといらいませんと言ってきたけれども、今日全く話がない、こう言っておるのですが、どうなんですか、どういうぐあいに具体的にその手続をやられるのか、答えてください。
  163. 橋本道夫

    橋本(道)政府委員 地方団体とはブロック会議のときに、これはかなりゆっくりお話をしておるということと、もう一つは、お見えになったときにお話をしておることと、それから主要なところに個別にお話をしたことと、全国公害行政協議会ということでお話をしておることと、それから、中公審の資料はすべて地方自治体に送るということをいたしておるわけであります。ですから、それ以上どこまでできるかという点には非常に制約がございまして、それだけでも不十分だという御指摘はあると思いますが、これから先は、どうしようというときに初めて今度は地方自治体の方にお話をする段階になるというように考えておるわけであります。  具体的な手続ということでございますが、これは本当はもっと早くしたかったわけでございますが、できませんでした。現在、中旬、まだできておりません。これは最終的には大臣が御決断なさることでございますが、国会が終了すればできるだけ早くちゃんとした最終的な決定をしてやるべきことではないかと私は考えております。
  164. 水田稔

    ○水田委員 私がこれまでの答弁をずっと聞いていますと、どうも判定基準をそのままやろうという気配ですが、都道府県なり地方団体が中公審答申をもらっても、見るのは新聞報道で、どうも環境庁基準を緩め、そしてそれは判定基準イコール環境基準でやるのではないかということで、実はいままでの指示に基づいて企業に対してやっておるわけですが、それがもう何をしたらいいかわからぬような状態になっておる。そういう混乱を起こしながら、決めてから話すのでは、こんな不親切なことはない。第一線で一番苦労させてやらせておるのは都道府県なり市町村ですからね。だから、どうすべきかを決めるまでに十分意見を聞く機会を持つべきだと私は思う。決めてから話をして——それは事務的な連絡でしょう。大臣、その点はどうですか。今日、すでに新聞に出ておることだけで、環境庁の指示とは全く違うことが出ておるところに地方団体の混乱があるわけですから、それに対してきちっとしたことをやってもらわなければならぬと思いますが、どうされますか。
  165. 山田久就

    山田国務大臣 先ほど橋本局長の方からお話がございましたように、一応地方庁にも提供しておかなければならない予備的な知識、連絡はいたしているわけです。ただし、いまわれわれが判定条件によりまして最終的な環境基準の問題についての結論を出す、その出した上でさらに具体的な連絡等が行われてしかるべきものである、そういうたてまえと私は了解しております。
  166. 水田稔

    ○水田委員 私が言っておるのは、出してからではなく、混乱が今日ある、しかも局長は地方団体に対して、これはいらう場合には事前に十分話をする、意見も聞くと言っておられるが、具体的に私が確認したら聞いてない団体があるわけです。公害対策を一生懸命やっている地方団体であるわけですね、それに対して話をせずにやるのですか、すべきじゃないですか、こう言っておるのですが、それに対して答えてください。
  167. 山田久就

    山田国務大臣 すでに実際上の形で意見も聞き、また連絡すべきものは連絡いたしておることは、先ほど局長お話しましたとおりでございます。
  168. 水田稔

    ○水田委員 私が具体的につい最近確認したら、事前にそういうことを言いながら全く連絡も何もないと言って怒っておる地方団体があるわけです。中央官庁はこわいから余り文句も言うてこぬかもしれませんけれども、私がどういう話になっておるのだと言ったら、これだけやってきたのに、いま大変迷惑です。それで、しかし、いらうときには事前に十分話をしますよ、そう言って局長から言われているけれども局長は何にも言ってきません、こう言っておる団体がある。こう言っておるんですから、それはどうなのか答えてください、こう言っているのです。
  169. 橋本道夫

    橋本(道)政府委員 自治体の意見を聞くときに、こうこういうことについてどう思うか、あなたの自治体はいろいろ予測や何かをしてみるとどうかというような資料を中心としながら、半日ぐらい議論をしたわけであります。ただ、そのときに、先生の聞かれた方がそこにおられたかどうか、私はそれは存じません。  それから、審議会の資料は全部配っております。それから、全国の自治体の方が言われた公害行政協議会というのに出席してやはりお話をしておるわけであります。ですから、そういうことで、これは不十分だという批判はこれはいろいろあるものと思いますが、混乱が起こっているというのは、やはり方針がはっきり決まらないというところに混乱が起こっているわけでありまして、先ほどの先生の御指摘でも、もしもぐあいが悪ければそういうことを前から言っておればそういう混乱は起こらなかったぞという御指摘のようなところもございましたが、私は、そこのところは、あとは決めるという問題で、それをどういうぐあいに実行しようということでお話する以外に手がないのではないか。非常に問題のある自治体とはお話はいたしております。先生の聞かれた自治体がどこか存じませんが、あるいはその聞かれた方自身が私どもの話し合いの中に入っておられた方かどうか存じませんが、そういうところの違いがあるのではないかと思うんです。しかし少なくとも連絡としては、いままでの行政の中ではとれるだけの連絡をとってきていることも事実でございます。
  170. 水田稔

    ○水田委員 私は、名もなき人、担当が違うとかそんなところじゃない、責任ある人からその話を聞いて、地方団体、大変だなという気持ちを持っておるわけです。  そこで、大臣、私が先ほどから言いますように、五十年から局長は変えよう、そういうことを言ってきた。しかし五十二年の六月には環境庁の見解というのを出しておる、そしてことしの四月には地方団体に対してさらに出しておる。だから、地方団体に与えておる印象なりあるいは企業でもそうでしょう。環境庁というのは一体混乱しておるのか、こういう話になる。  もう一つは、参議院の参考人の意見陳述の中で、いわゆる判定基準の諮問は受けたけれども環境基準の諮問は全く受けていない、そういう意見もありまして、これは私は、中公審の中にも環境庁のやり方というものに対して疑念を持っておる者が出ておるということだと思うんです。ずっと全体を見て、私は、こういう基本的な重要な問題については、もう少し大臣自身がこれの最終的な結論を出すことはきわめて慎重な態度でやらなければ今後に大きな禍根を残す、こういうぐあいに思うわけです。そのことについて大臣の決意のほどをひとつ聞かしてもらいたいのと、きょうは、会議の進行に協力する意味で、私、質問としては二時間分くらい用意したのですが、きょう三十分ということにしておりますが、あと参考人の意見等を聞かしていただいた後、さらに詰めて質問をさせていただきたいと思います。大臣に最後にそのことを答えていただいて、質問を終わりたいと思います。
  171. 山田久就

    山田国務大臣 環境基準に対するわれわれの結論に慎重でなければならない、われわれは全く同感でございますし、また、そのような態度で対応いたそうといたしております。ただし、中公審に対しては、諮問の文書そのものに、これは判定条件というものを諮問するのだということを言っておるのでございまして、その点について誤解はないとわれわれは思っておりますし、また誤解があるようだったら、それは解かなければなりませんけれども、しかしながら誤解はないと思います。その上で、九条第三項によりまして環境基準というものをわれわれが決めるということで、答申そのものにこの判定指針をわれわれに答申をして、あとはそれによって検討してくださいということを言ってきておりまするので、その点については誤解がないものと思います。なお、誤解がないような点については、もしその余地があるというようなことであれば、これまたひとつ誤解を解くようには努めたいと思いまするけれども、ないものと信じます。
  172. 水田稔

    ○水田委員 大臣、誤解があるとかなんとかじゃない、私は不信が起こるんじゃないかということを申し上げたので、これは参議院の参考人の意見の速記録を読めば、まさに環境庁に対する不信がその中に出ておるわけですよ。だから誤解とかなんとかじゃないわけであります。  それから、環境基準の見直しについての答申がついておるということについて、われわれはそのあり方等についても大変疑念を持っておりますけれども、時間が参りましたので、改めてその問題等については質問することにいたしまして、私の質問を終わります。
  173. 久保等

    久保委員長 速記をとめてください。     〔速記中止〕
  174. 久保等

    久保委員長 速記を起こしてください。  次に、土井たか子君。
  175. 土井たか子

    ○土井委員 公害対策基本法の九条三項というところを見ますと「第一項の基準については、常に適切な科学的判断が加えられ、必要な改定がなされなければならない。」このように規定をされております。  そこでお尋ねをいたしますけれども環境基準科学的な判断ということになってまいりますと、常に安全率についての検討と判断というのが含まれているというふうに考えられていいのかどうか、この点、そういうふうにお考えになっていると思いますが、いかがでございますか。
  176. 橋本道夫

    橋本(道)政府委員 科学的判断をされる場合に、安全性の問題は当然頭に置きながらやっておるわけでございます。
  177. 土井たか子

    ○土井委員 今回のNO2についての専門委員会報告の値を見ますと、健康からの偏りをも避けるようなものでありまして、十分に安全率が入っているというふうに考えられているわけですが、先ほど再三再四これについて問題になりました参議院の方での参考人意見の中で、鈴木武夫委員長は、安全率は考慮されていないというふうに述べられておりますが、これについてはどのようにお考えでいらっしゃいますか。
  178. 橋本道夫

    橋本(道)政府委員 何分の一という安全率を掛けて出されたものではないということは事実でございます。ただ、「健康からの偏り」ということで尺度としたのは今回が初めてでございまして、そういう意味では、安全性の考慮は入っているというぐあいにどもは理解しておりますし、専門委員会でも、安全率安全性をどう考えるかという議論が行われたと承知しております。
  179. 土井たか子

    ○土井委員 いま御答弁になりましたが、橋本局長から出されております「NO2の環境基準の再検討」、五十三年五月十六日の日付がついておりますが、私、これを一応便宜的に局長メモというふうに申し上げましょう。この局長メモの中をずっと見てまいりますと、その三項目には「安全率を用いられていない。」というふうに表現をされてあります。次に、専門委員会では安全率の審議というものが行われていたというふうに考えられているわけでありますが、この間の事情というのは一体どういうことになるのですか。
  180. 橋本道夫

    橋本(道)政府委員 WHOがガイドを出すときには、〇・五という動物実験を中心とした数字に対して五分の一から三分の一という安全率を掛けました。今回の指針はそのような形で安全率を用いて出した数字では毛頭ございません。しかし、一面におきまして、健康からの偏りの起こらないようにするということは、安全性一つの物の考え方からやられた問題でございまして、従来は、死亡がふえるとか、あるいは病気がふえるとか、病状が悪化するとか、機能が低下するということを尺度にして言われて、それに対して安全率的な考え方から年平均を日平均に換算されたことなどはございましたが、今回はそのようなものは用いられていない、こういうことであります。
  181. 土井たか子

    ○土井委員 「指針には安全率を用いられていない。」、いまのような御答弁のとおりのことを、先ほど申し上げた五十三年五月十六日付の局長メモの中では述べられているわけでありますが、先日、六月九日付の新聞紙上で、同じ橋本局長が言われている御発言の中身を見ますと、「指針値そのものが安全率考え方を含んだ数値ということになり、」云々と書いてあります。これはおっしゃっていることが相矛盾すると思われますが、いかがなんですか。
  182. 橋本道夫

    橋本(道)政府委員 再度申し上げますが、安全率として何分の一というのは掛けていない。しかし、健康からの偏りということでこのものを出してきた、あるいは疫学や人体影響調査から出してきたということ自身が安全性考え方を頭に置いたやり方だということを言っておるわけでございまして、そこの間に何ら矛盾はないというぐあいに考えております。
  183. 土井たか子

    ○土井委員 それではお尋ねしますけれども、いまおっしゃった「健康からの偏り」というのは一体どういうものを指すのですか。この専門委員会報告について言うと、十四の疫学論文について、具体的にはどのような影響指標というのをとって判断されているのか、この点が問題になってくると思いますが、いかがですか。
  184. 橋本道夫

    橋本(道)政府委員 健康からの偏りを起こさないということをこの中でどういうぐあいに考えられているかと申しますと、一々全部申し上げては非常に厄介なことがございますので、典型的な例をとりますと、ぜんそくの患者さんに〇・一PPmのガスを一時間暴露した場合、気管支の過敏性を増すけれども発作に至るという状態ではなしに、それがすぐまたもとに戻ってしまう。これは正常な反応範囲内である、これは健康からの偏りにはならない。これを越えて過敏性の問題でそれが発作に続くようになりますと、今度は明らかに有害な作用の方向に入ってくるということでございます。  それから、もう一つの典型的な例といたしまして、肺機能の問題で出ておりますが、学校の子供を二年間ずっとある一定時間に肺機能を調べたデータがありまして、その中で比較的過敏といいますか、弱い子供のその肺、気管支の非常に末端の機能に関する分に揺れ動きがある。しかし、その揺れ動きは全く生理的な範囲内の揺れ動きで、病的なものとはなっていないというのがございまして、これは健康からの偏りのぎりぎりのサインのところを示している、いまの肺胞の方ですね。そういうことで〇・〇四というのは先生方はとっておられないということになっておるわけであります。
  185. 土井たか子

    ○土井委員 さて、いまそういうような実情についての御説明を賜ったわけでありますが、さらにこの局長メモの中では、その二番目に「指針は、その濃度のレベル以下では、高い確率で人の健康への好ましくない影響をさけることが出来ると判断されたものである。」こう書いてあります。そのとおりだということをまず局長に御確認願いたいと思います。
  186. 橋本道夫

    橋本(道)政府委員 これは付言の中にそういうぐあいに記されております。
  187. 土井たか子

    ○土井委員 この記されたことは、橋本局長が御自身お考えになってこの文章を起こされたということではどうもないようでありまして、見てまいりますと、「二酸化窒素に係る判定条件等についての専門委員会報告」というのがございます。この専門委員会報告の中で付言というのをお出しになっているわけですが、その文章の中に橋本メモと全く同じ文章が見られるわけであります。「提案された指針は、その濃度レベル以下では、高い確率で人の健康への好ましくない影響をさけることができると判断されるものである。」このように書いてありますが、これはすなわち、局長はこの付言をそのまま持ってきて、局長メモとしてこの2という場所にお書きになったのであるかどうか。いかがでございますか。
  188. 橋本道夫

    橋本(道)政府委員 これは付言の文面そのままでございます。
  189. 土井たか子

    ○土井委員 付言のその部分というのは、もともと最初にまとめられた付言の案というのがあると思いますが、そのもともとまとめられた付言の案そのままではないと思うのです。修正されて、まさにいま問題になっているこの文章のところがこのような形になったと思いますが、もともとの案というのはどういうものでありますか。いかがです。
  190. 橋本道夫

    橋本(道)政府委員 この付言は、原案では「そして提案された値は影響が出現する可能性を示す最低の濃度レベルであると判断される。」というぐあいになっておりました。これは専門委員会文書そのものではございません。鈴木委員長に任された文書でございまして、鈴木先生がこういうぐあいにお書きになりましたが、それをよく読んでみると、どうも答申とサウンドが違うのではないかという議論が出て、鈴木先生も一緒に考えられてこの付言の文章に変わったということでございますので、その点は御理解をお願いしたいと思います。
  191. 土井たか子

    ○土井委員 それは鈴木委員長の御理解をいただいて、同席をされて変えられたというふうなことをいまも御答弁でございますけれども、ただ、どの段階でだれの手によって、だれが発案をして、だれがこれに対して積極的にこういう修正を加えたかという問題は、これは当事者のみしかわかりません。具体的にはわかりません。橋本局長の理解はそのようであるかもしれない、理解とただいまの答弁が同じであるかどうかは別として。そのような理解を答弁用に持っていらっしゃるとわれわれはいまの答弁を通じて認識する以外にございません。しかしながら、すでに五月十日の日の参議院の参考人を呼んでの席上で、鈴木武夫委員長がそれについてるる説明をされている。それからすると、専門委員会の場で修正がなされたのじゃなくて、専門委員会としてまとめた報告について、大気部会にかけられる段階で修正が加えられたという、考えてみればこれは変則的な修正であります。そういう点からすると、一般の国民が見た場合に、この修正はまことに順当な手続の上で考えられたとは考えられない、こういう内容をすでに手続の上で持っていると言わざるを得ない内容であります。特にこの修正の部分についてのこういうふうな文章はだれが発案したのですか。まさか鈴木先生ではないと思うわけであります。どなたです。
  192. 橋本道夫

    橋本(道)政府委員 ひとつ誤解を解いていただきたいのですが、「付言」は専門委員会の文書ではございませんし、専門委員会でも審議をしておりません。これはこういうことでわかりやすくしますよということで、それじゃ鈴木先生にお任せしますという形になったものであります。それを部会で付言とこの答申を全部読み上げたときに、この付言のここの部分はこちら側のサウンドと少し違うな、やはり正確に言うべきじゃないかなという議論がございまして、じゃそこのところは直しましょうということで、別に鈴木先生が絶対に直せないとかいう議論をされたのではなしに、忠実に答申の線に沿って整理をするということで、後で鈴木先生と私どもが事務的にどういう字を書くかということで整理をして得られたものでございます。鈴木先生がちゃんと——この点で、別におかしなことであるとは全く考えておりません。
  193. 土井たか子

    ○土井委員 ただ、これは内容が変わっていないという、後でこれに対しての注釈を加えた文章も環境庁から出されているわけであります。しかし、どれだけこういうコメントを環境庁としてお出しになりましても、当初の原文と後で修正された文章とは、よく読みますと意味、内容からするとかなり違いが結論として出てくるように思われるわけであります。  原文の場合は、「提案された値は影響が出現する可能性を示す最低の濃度レベルであると判断される。」というのが原文のはずであります。修正されてただいま出ている付言の部分になりますと、「提案された指針は、その濃度レベル以下では、高い確率で人の健康への好ましくない影響をさけることができると判断されるものである。」こうなっておりまして、原文の場合は具体的にその「影響が出現する可能性を示す最低の濃度レベル」こう言っているわけでありますから、潜在化しているものが顕在化するのはここですよということを問題にしている中身だということになってまいります。  そういう点からすると、いま出されている修正をされて後に付言として出された内容は「高い確率で人の健康への好ましくない影響をさけることができると判断される」こうなっているわけでありますから、この点は原文の方がはるかに具体的にわかりやすく述べられている。のみならず意味内容が少し変わってきているというふうにもわれわれは読んで理解をするわけであります。こういうふうに文章の上でこの修正を必要とした点はどの点にあるのですか。
  194. 橋本道夫

    橋本(道)政府委員 先ほど申し上げましたように、付言そのものは専門委員会の文書ではございません。鈴木先生が書き流しをされたわけであります。鈴木先生は鈴木先生としての個人のお気持ち、感覚がいろいろおありになりながら——どうしてもそれは個人として書く場合にはそういうことが起こるだろうと思います。そうして、書いてみると、どうもこれがもとの趣旨とちょっと違うのじゃないか、やはり現在の答申に忠実に書くことが必要ではないかという議論が部会で出されまして、なるほどそれではもう一回そこのところを整理しましょうということでこの場所は整理をされたというぐあいに御理解を願いたいと思います。
  195. 土井たか子

    ○土井委員 これは鈴木先生が発案されて鈴木先生の御意思でそういうふうになったと局長はおっしゃるわけでありますから、これはじかにその鈴木先生お尋ねをすることが適切であるかもしれません。  しかし、同じ付言の中に「〇・一PPm付近の濃度まで影響が観察されるようになり、量−効果関係の資料は充実し、二酸化窒素が低濃度で生体に、各種の、何等かの影響を及ぼすことは否定し得ない。」という部分があるわけですね。これから考えますと、先ほどの原文の方がいま私が読んだ同じ付言の部分とは一致するわけでありますが、いま私が読んだ部分と後で修正されたこの文章とは読む上でどうもしっくりいかないものがある。何だかその点では同じ付言の中でちぐはぐなものを感ずるわけであります。この点に対してどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。
  196. 橋本道夫

    橋本(道)政府委員 私は余りそうは思わないのです。原案のところに「影響が出現する可能性」と書いたら、影響が出現する可能性はもっと低いところでもあるわけでございます。今回の指針値はノーエフェクトレベルを出したわけではないわけです。そうすると、好ましくない影響ということで整理されたのではないかというぐあいに考えておりまして、しかも健康の範囲内にとどめるということでその考えを整理をしておるわけですから、これに変えたからこの趣旨が違ったということでなく、前の形のものよりもより忠実にそこが表現されたということでございます。影響が全くないレベルを今回の指針値で出したのではございません。影響の中にいま言った生理的な範囲内でもとにちゃんと戻ってしまう、何も問題のないものはこれに入ってくるわけです。ですから、無影響レベルとしてここに出したという指針では毛頭ございませんので、そこを正しく御理解願いたいと思います。
  197. 土井たか子

    ○土井委員 ただしかし、原文とただいまの修正された文章との隔たりはどこまでも問題になると思うわけであります。  そこで委員長に申し上げたいわけでありますが、すでに午前中からただいまに至るまでの審議の中で、他の委員からもこの問題に対しての要求があったやに思います。どうかこの節、専門委員会の報告について、審議の途上で問題にされたこの原文も含めて資料として提出を要求したいと思いますが、お取り計らいのほどをお願いします。
  198. 久保等

    久保委員長 環境庁いかがですか。
  199. 金子太郎

    ○金子政府委員 事は中公審のことでもございますので、中公審の方と相談してしかるべく処置いたしたいと思います。
  200. 土井たか子

    ○土井委員 ただ問題は、いままさに諮問の中身が問題なのでありますけれども、諮問の内容からいたしまして、いまの状態のままで環境庁基準値についてこれを改定するという告示をすること自身、私はまことに不適当な手順、段取りの上に立っての告示にならざるを得ないと考えている一人であります。  そういう意味からいたしましても非常に重要な専門委員会での審議であり、それに対しての報告というかっこうになるわけでありますから、われわれが審議の途上、参考にこれを求めることは至って当然のことであって、環境庁が告示をされる以前に、われわれとしてはこの資料に基づいて国民の名において、住民の立場においてさらに審議を進めることがどうしても不可欠な問題であろうと私は思います。重ねて委員長にこのことを強く要求申し上げます。
  201. 久保等

    久保委員長 委員長の方からも環境庁の方に強く要望申し上げます。極力御努力願いたいと思います。
  202. 土井たか子

    ○土井委員 そこで橋本局長、さらにお尋ねを続けますが、現行NO2の環境基準、それからさらに外れて申し上げますが、SO2の環境基準は、全体にせよ一部的にせよ持続性せきたん影響指標にとり、しかも最低の安全率二・〇を掛けていることをお認めになりますか。いかがでございますか。
  203. 橋本道夫

    橋本(道)政府委員 NO2の環境基準は、四十七年のときに、年平均〇・〇二くらいのところで慢性気管支炎の有症率と関連があるのではないかという見当をつけて、そこに肺胞上皮の異常増殖があるので注意しなければならないというので、二分の一のセーフティーを使っているということでございます。  それからSO2につきましては、二分の一のセーフティーというのは、前回の専門委員会答申をよくごらんになっていただきますと、有症率の数字に対して二分の一の数字は使っておりません。前回の答申の中で、四日市における閉塞性呼吸器系疾患の新規患者の発生数とその年の二酸化硫黄濃度の年平均とはおおむね〇・〇四PPm私超えたところではNO2と発生患者数は正の相関がありと述べられており、明白に患者の発生に関するものでございます。その年平均の〇・〇四左目平均の〇・〇四に変えたというのがございますが、有症率の方からSO2の方はセーフティーを掛けてはおりません。
  204. 土井たか子

    ○土井委員 それじゃNO2についてはどうなんですか。
  205. 橋本道夫

    橋本(道)政府委員 NO2につきましては、いまお答えいたしましたように、有症率が大体年平均〇・〇二の辺ではないかな、それに対して肺胞上皮の異常増殖というのがあって器質変化が起こるのではないかということで、そこで二分の一を掛けた、そのうちの肺胞上皮の異常増殖の知見が今度はドロップをした、こういうことでございます。
  206. 土井たか子

    ○土井委員 このNO2とSO2の環境基準を報告いたしております専門委員会の鈴木委員長が、安全率を用いているということを言明されているということを御存じでいらっしゃいますか。
  207. 橋本道夫

    橋本(道)政府委員 存じ上げておりますが、私は鈴木委員長委員長さんをされましてお出しになりました四十八年の専門委員会の報告を朗読いたしておるわけでございます。
  208. 土井たか子

    ○土井委員 橋本局長は、昨年五月の第一回のNO2の判定条件専門委員会の席上で、いわゆるアクセプタブルレベルとディザィアラブルレベル、最大受忍レベルと最大の望ましいレベルとでも言いましょうか、この二つを支持をされた旨がいろいろと報道されているわけでありますが、今回のこの指針値というのは一体どちらに該当するというふうに考えていいのですか。
  209. 橋本道夫

    橋本(道)政府委員 専門委員会に最初出席いたしましたときに、判定条件指針値を何物にも煩わされずに自由に出していただきたいということと、われわれの行政としてはWHOで言っているトレラブルアクセプタブルディザイアラブルというような中で、トレラブルはそこで聞いておりません。アクセプタブル、ディザィアラブルというのが知りたいという要望を申し上げました。先生方が非常に議論をされました結果、これはやはり行政でどのレベルでどういうアクションをとるかで決める話であって、学問の上からはなかなかこういうことは議論できないということで落とされました。そういうことで、専門委員会はそれをおっしゃっておりません。そこで、行政でそういうことを考えるなら考えろということで言われて、判定条件を全部見せられますと、トレラブルのところは大体年平均〇・〇五、アクセプタブルのところは大体年平均〇・〇四ではないか、それから〇・〇二と〇・〇三はセーフティーマージンから見るとアクセプタブルの方の〇・〇三の方が近いが、〇・〇二と〇・〇三はこれはわりあいディザイアラブルの価値のあるものではないんだろうかというぐあいに私は受け取っておりますが、これは全く個人的なことであります。
  210. 土井たか子

    ○土井委員 個人的なことだというふうにはおっしゃいますけれども局長判断というのがいまいろいろとこの環境基準の問題に対しても物を言うという時期でありますから、そういう点から言うと、個人判断個人判断だというふうなことを言いながら、この席上における答弁でもしきりに横文字を使われます。横文字も結構でありますけれども、ひとつわかりやすい御答弁で、的確にわかる御答弁をお願いしたいと思うのですが、橋本局長も出席されましたWHOの行政会議というのですか、行政会議では環境基準として三つレベルを示していると思います。わが国の公害対策基本法の九条に定められた環境基準というのは、このWHOの三つレベルのうちではいずれのものを指すというふうに橋本局長はお考えになっていらっしゃるのですか。
  211. 橋本道夫

    橋本(道)政府委員 英語はいけないということでございますので、望ましいということが基本法九条のものであるというぐあいに考えるわけであります。
  212. 土井たか子

    ○土井委員 今回の専門委員会報告にいう健康からの偏りというのは、WHOのいっております環境と人間の適切な保護を目指す最大受忍レベルであって、快適な環境のための長期的な数値ではない、指針値がWHOのいう最大の望ましいレベルに該当するという判断が持たれているのかどうか、局長判断はその点はどのようなんですか。
  213. 橋本道夫

    橋本(道)政府委員 専門委員会でそういうことは学者は受けられないということでございますので、局長としておまえどう思うかといいますと、この望ましいというのにほぼ合っているのではないかという感じで受け取っております。
  214. 土井たか子

    ○土井委員 局長の御意向ということになってくると、そうするとWHOのいろんな行政会議でのレポートというのを根拠の一つにされているのですか、どうなんですか。
  215. 橋本道夫

    橋本(道)政府委員 それを根拠といたしておるわけではございません。これは一つ参考としてしか扱っておりません。
  216. 土井たか子

    ○土井委員 環境基準というものについては、常に適切な科学的な検討を加えるという、公害対策基本法の九条第三項の、先ほど私が読みました条文を、判定条件中公審環境基準行政がいろいろと改定するというように解釈するのは、内閣法制局の解釈でありますか、橋本局長個人の解釈でありますか。いかがでございますか。
  217. 橋本道夫

    橋本(道)政府委員 環境庁の見解でございます。
  218. 土井たか子

    ○土井委員 環境庁の見解ということになると、それは橋本局長のみならず環境庁長官の見解でもあるわけでありますが、環境庁長官、この点については間違いないわけですか、どうなんですか。
  219. 山田久就

    山田国務大臣 ただいま局長答弁した、そういうふうにお受け取りいただきたいと思います。
  220. 土井たか子

    ○土井委員 そうすると、いままで、この環境基準に対しての諮問というのは、すべて、どういう場合についても、こういう取り上げ方、こういう取り扱い方をしてこられたわけでありますか。
  221. 橋本道夫

    橋本(道)政府委員 従来、SO2をのけまして、すべて新しく設定するということで環境基準を問うということでありました。私どもは、今後ともやはり全く新しいものの環境基準を設定するときに、環境基準を問うという諮問だろうというぐあいにいまも考えております。  前回SO2のときに、その諮問を新たに起こさないで、四十六年の初めに包括的な環境基準を問うという諮問の中で実際上環境基準の再検討をしてやったというのが、前回の四十八年のSO2の環境基準強化のところであります。これは、昨年三月にこの諮問を起こしますときに、いろいろ議論をしてみて、どうもそれはやはりおかしいのじゃないか、やはり九条三項というのをはっきり出して諮問をするというのが基本ではないか、本来九条三項というのは、定期的な科学的な点検であり、必要な改定を行うということが九条三項の趣旨であろうということで、これはやはり諮問としては新たにちゃんと起こすべきだろうという議論を庁内でいたしまして、そうしてこの諮問をいたした、こういう経緯でございます。
  222. 土井たか子

    ○土井委員 そういうことからすると、今回の場合というのは、これは変則だということを考えざるを得ないわけであります。この中公審という場所が一体どういうわけで設置をされ、そしてその役割りというのがどういうことであるかということを考えれば考えるほど、このたびのこの諮問のあり方ということに対しては疑義が多い。そして告示についても、従来いろいろとこの中公審に対しての諮問のあり方からすると、今回は非常に強気で環境庁としてはこの基準についての見直しをされているわけでありますが、いままで諮問をしないで現行基準設定や見直しをしたという例があるのかないのかをひとつはっきり答えていただきたいと思います。いかがですか。
  223. 橋本道夫

    橋本(道)政府委員 新しい環境基準を諮問しないでやったことはございません。今後もそのような考え方はございません。
  224. 土井たか子

    ○土井委員 そうすると、今回は一体どういうかっこうになるのですか。水質や騒音では、従来それそれの達成がきわめてこれは--NOxやNO2の問題だけではありません。達成がそれぞれ困難なのは言うまでもありません。特に航空機騒音なんかについては、中間値というのをはっきり設定をして、そして十年を超える可及的速やかな時期ということを目標にしながら、基準に対してははっきり非常に厳しいものをお立てになっているわけでありますが、なぜNO2についてだけ基準をこういうかっこうで緩和されるべくただいま環境庁としてはいろいろと作業を進めつつおありになるのでありますか。おかしいと思いますよ。
  225. 橋本道夫

    橋本(道)政府委員 航空機の環境基準というのは非常に厳しいものでございます。ただ、航空機の場合には、これは防音装置で対応できるということと、それからあれによってやはり相当静穏化してくるというものがあるわけでございます。NO2の場合には、そのような防音装置に該当するものは全くございません。やはり排出規制と土地利用及び立地の規制とだけでございます。ですから、総合対策といっても、いま言った航空機騒音の場合の防音工事というような形がないということが一つであります。  それから、もう一つはNO2の問題で、これは〇・〇二で健康保護の方で絶対必要なら、これはもうどんなことがあってもやります。そのことを別に狂わす気は全くございません。しかし、これは世界的にいって非常に厳しい基準で、何でこんなにするんだろうかということは国際的にもいろいろな議論があるところであります。しかし、われわれは別にそんなもの全部に耳を傾けているわけではございませんが、それはやはり、新しい科学的な知見でどうするかということで見ることは何らおかしなことではないということが一つと、それから、〇・〇二というのは、東京、大阪等の大都市の汚染の高いところあるいは大幹線道路のわきでは全く不可能な数字である。しかし、健康保護上絶対必要だというものは、これはもうどんなことでもしてやらなければならない。しかし、科学的に検討してこうだということがあれば、それでは、それから先に厳しくすることはどうかということについては、総合政策的な判断の問題があるということで、NO2の問題は非常に特殊な性格を持っております。そういう意味で、NO2の問題は、ほかのものと違って、全く特殊な、ある意味で余りにも特殊な姿を持っていると私は考えております。
  226. 土井たか子

    ○土井委員 そこのところをしきりに強調されるわけでありますけれども、これはいまの、航空機に対しては防音装置、防音対策というふうな問題があるけれどもという御発言でございました。同じように、NO2については脱硝装置ということを考えてみる必要があるんじゃないですか。それからさらに、使われる燃料についての改善ということが問題になるんじゃありませんか。これは同じことですよ。ただしかし、今回、特異な問題があるとおっしゃるのは、なるほど特異な問題があります。NO2対策については相当な土地を必要とするという特異な問題がある。相当な土地を取得しないと脱硝装置については完備することができないということになるわけであります。そこのところが大変問題だと私はにらんでいるのです。一たん緩和して、それに見合う土地の確保というものを行おうとすると、これはなかなかむずかしいのです。この基準値を一たん緩和して再び強化するというふうなことは、半永久的にむずかしい。そういうことも、その特殊な問題に対しては重々考えてもらわなければならないと私たちは思っています。深刻にこれを受けとめて考えてもらわなければいけないと思っております。現に、先ほど水田委員の方からも御発言がございましたけれども、全国にあるコンビナート地帯、臨海工業地帯が主でありますけれども、各コンビナート地帯の中でも指折りの四日市であるとか鹿島であるとか、苫小牧であるとか、大分であるとか、市原、そういうふうなコンビナート地帯なんかでただいま基準が緩和されるということになりますと、それぞれの工業地帯の産業の方は、対策を不必要といたします。つまり、水島も含めまして、産業の公害対策はここで切り捨てていく。何らこれに対して措置を講ずる必要はなくなる。これに対して大変な資金を投入する必要がなくなる。それだけ大企業の方は大変助かる。大都市の状況を見ますと、それに比べまして自動車の排ガス対策が後に残る問題になるだけだということになってまいりますが、これはどうなんですか。だから、今度のこの基準値緩和ということは大企業に対する大変な奉仕になるのです。大企業に対して、かご抜けどうぞというかっこうで、環境庁としては、いわば免罪符を手渡すようなかっこうにしかならない。厳しくなるのは自動車に対しての排ガスの方向だけが残る。だから、大都市かいわいを見ると、後に問題になるのは自動車に対しての対策だということになると思うのです。これ自体は全体のNO2対策の後退につながるとお思いになりませんか。いかがです。
  227. 橋本道夫

    橋本(道)政府委員 先生、脱硝の問題をおっしゃいましたが、大きな工場は、これは新設はまず相当程度にできると思います。それから既設についてはかなりの成果がございます。大きなものをカットするということは、これは私どもはもう、数年のあれを考えると相当程度に可能だと思っています。ただ問題は、現在の一番の悩みは、一つは自動車であり、一つは中小低煙源でございます。中小低煙源の中には家庭も入ってまいります。これは、大きな工場をいろいろカットしてみたけれども一向に地上のNO2濃度が下がらぬではないかという批判が一方にはあるわけであります。これは、大きなのは、そのカットをして、しかも高い煙突で遠くに飛ばしていますから、余り地元には響かぬわけであります。そうすると、地元を一番汚しているのは何かというと、トラックや自動車と、それからもう一つは中小企業、これはすごい問題になります。現在、ばい煙発生施設の規制が大体九・何%か一〇%の対象施設ですから、九〇%は現在規制対象外、これはもう全部零細でございます。九〇%のばい煙発生施設が放出しているNOx量は、現在約二七%に達しております。それが低いところから、もやもやっと全部出すわけであります。すると、その中小煙源に対する脱硝というのはどの辺までいけるだろうか。とうてい高価な脱硝装置というのはやれません。これは、無触媒脱硝のがどの辺まで入るかということで、これはもう、中小にまで脱硝が入るというのはちょっとなかなか考えられないということであります。ですから、自動車だけではなしに、中小企業、低煙源、それから、一軒の家で大体年間一キログラムですか、これは横浜が調査していますけれども、これは何万軒あれば相当なものになるわけであります。そういうものは脱硝も何も可能性は全然ございません。この上にナチュラルバックグラウンドがあるわけです。自然のバックグラウンドがありまして、そこにどうにもコントロールがつかないものがある。その中で自動車はそこまで厳しく規制する、ここで緩むことは全然ございません。しかし中小煙源というものはどうしても残るというところは事実でございます。ですから、大企業に免罪符云々とおっしゃいましたが、そのような考え方は毛頭ございません。やるものはやっていくということで、集積地帯では、いずれこれは規制が厳しくなってくることは明白であります。それから、東京湾沿岸とか大阪湾沿岸とか、そういうことで広域的な角度からやってまいりますから、大きなものが免れるなんということはおよそ考えられないことでありますが、中小企業で、これは大阪府も頭を痛め切っております。いろいろぎすぎすやらしてみた、脱硝も何もつけさせてみた、ガスも変えてみたがどうにも下がらぬというわけであります。自動車もありますけれども、やはり中小煙源。ですから、中小企業でもがたっとつぶれてもいいという議論になる、あるいは道路はもう走らないで、五〇%以上自動車をカットしてしまえということになるとすれば、確かに〇・〇二は可能だろうと思います。しかし、そこまでしてやるべき話であるかどうかということについての判断は、やはり指針値として示された健康保護の要件はこれでいけるというなら、そこのところで総合政策的に考えてみて決めるということは、何ら無理に大企業を利するためにやっているというような性格のものではないという点はひとつ御理解をお願いしたいと思います。
  228. 土井たか子

    ○土井委員 各自治体に指示してぎすぎすやってみた、だけれども、やった結果どれだけ努力をしてもだめなんだという御発言であります。問題は、ぎすぎすやっているかどうかなんです。私は、尼崎市に行っていろいろ尋ねました。そうすると、何と、現在向こうでは、鉄鋼、電力関係は、脱硝装置をいまのままで、規制が緩和されればやる必要がないというので手をこまねいて待っているというのです。つまり、環境庁はやがてお墨つきをくれるであろう、基準値が緩和されるときまでひとつ待とうじゃないかといって、市の方の物の言い方を聞かないといいますよ。ぎすぎすやって効果が上がらないという実態を見ますと、企業側は環境庁の態度待ちであって、市の方の言うことを聞かないので苦慮しているのです。わかりますか。市の方が企業に一生懸命やらしてみたけれどもその結果空気の汚染がきれいにならないで困っているのじゃないのですよ。企業は、環境庁に持っていったあの陳情を聞いてくれるだろう、環境庁はこのところよくわれわれの言い分も聞いてくれるから、規制値は必ずわれわれの言い分どおりに緩和されるに違いない、それまで待つ、つくる必要のないものにいま手を染める必要はないという態度で待っているというのが事実であります。ぎすぎすやっている内容はそういうものですよ。こういう実態についてもよく御存じでありますか。
  229. 橋本道夫

    橋本(道)政府委員 いろいろ具体的な例をとるといろいろな議論があるかと思いますが、現在NOxの規制というのは相当なところに入っていることは間違いないところでございますし、これは例の千葉の川鉄の脱硝装置でもごらんになれば御理解いただけると思います。これはものすごいものをやっておるわけであります。あるいは日本鋼管もこの脱硝装置を始めるわけであります。あるいは大阪の方でも脱硝装置になっております。尼崎の場所でそういうケースが、これは既設のものについての議論があるということだろうと思います。既設のものに対してはやはり立地制約が相当大きいということでございまして、これはどの程度まで入るかというのは、かなり時間がかかる、また制約があるということでございますが、これはやはり、環境基準というのは九条三項に基づいて適切に検討してやるということで、最初決めたものが絶対無二であって、それはもう一切いじっちゃいけないというような御方針なら先生の言うとおりになるかと思いますが、それはやはり行政としては堅実なやり方で対応していく。しかし、緩めるというよりも、ばいじんやハイドロカーボン全部一斉に複合汚染として対策を打っていくということの方が、はるかに非特異的な健康影響を防ぐ上においては有効であり、適切な方向であるというぐあいに考えておるわけでありまして、別に安易に緩和したり、あるいは大企業を利したりするような意図は毛頭ございません。
  230. 土井たか子

    ○土井委員 しかし、環境庁のその意図がそれを目的的に考えておられなくても、結果的にはそうなるという実態もひとつはっきり現状認識を持たれた上でお取り扱いなさらないと、本当にだれのための環境行政かというかっこうになると私は思うわけであります。  そこでちょっとお尋ねしますが、たとえば現行基準を二、三倍に緩和した場合、何年ころの大気汚染状況になるというふうに認識をされていますか。
  231. 橋本道夫

    橋本(道)政府委員 現在の指針値の条件でいきますと、大体四十年代前半の少し早い目のころではないかというぐあいに存じております。
  232. 土井たか子

    ○土井委員 四十年代の初めのころの状況ということになりますと光化学の発生が大変問題になったころじゃありませんか。光化学の問題で悩んでいる各自治体、特に東京都もそうでありますけれども、いろんな公害研究の機関の研究内容によりますと、現行基準を超えますと光化学の発生というものが始まるということを具体的に出しております。これは局長承知のとおりです。光化学が防げないような環境基準というのであって、どうして人の健康が守れるのかということにもなるわけでありますから、このことは直接はっきりさせておいていただかなければならないと思います。環境白書にもこのことに対しては具体的に述べてありますから、あわせてお答えをひとつ明確にいただきたいと思います。いかがです。
  233. 橋本道夫

    橋本(道)政府委員 四十五年に光化学の問題が起きましたときは、まだSOxも高い、またハイドロカーボンもほとんどコントロールが入っていない。NOx対策も何もコントロールが入っていないという時代でございます。それから日本NOxとハイドロカーボンと両方抑えるという角度でずっと進んできておるわけでありまして、もうすでに乗用車は全部クリアした、あとはトラック、ディーゼルとかある程度入っていますが、これはもうちょっと抑えなければならぬというようなことです。また、固定発生源も有機硫黄分も抑えます。それからまたNOxもまたこれから抑えていきます。  特に東京、大阪の地点でNOxがこのままになるなんということは全然ございません、これはずっと下がってくるわけです。そういうことでNOxとハイドロカーボンと両方抑えますから、その反応によって生じてくるものは全体としては総量として減るだろうということで、環境庁NOx対策は必要であるということを考えております。  ただ、NO2の環境基準の〇・〇二というのは、光化学オキシダントを防ぐために設けた基準ではございません。これは健康問題としてやったものであります。東京都のあのようなレポートもあります。また、今年の環境白書に出しております環境庁の公害研究所での同じようなデータもございます。  ただ、ここのところで、日本のようなNOxとハイドロカーボンと両方抑えるという戦略は正しいかという議論が数年来ありましたが、少なくとも都市工業地帯から遠く離れているところのオキシダントを抑えるには日本ように両方抑えなければだめだということには、国際的に、去年からことしにかけて完全に合意をしました。ですから、日本のやり方は正しかったわけです。けれども、大都市の中でNOxをものすごく下げたら果たして有効であるかというようなスモッグチェンバーのあの実験がございますが、また一方で、NOxをすごく下げると、ほかのものもざっと下がっていると、今度はオキシダントがわりあい出るぞという実験があることも事実でございます。  そこのところは、東京都の実験あるいは公害研の実験とまた相反する科学的な実験のデータも国際的にあるわけであります。それに対してわが方が絶対正しいという主張をするまで私どもは確信を持っておりません。しかしながら、両方だんだん抑えていくということが成果をおさめつつあることは間違いございません。ですから、そういう点で両方だんだん抑えながら、そしてほかの複合汚染物質をどんどん抑えながら、慎重にそのオキシダントの出方がどういうぐあいになるかを見るということで対応していくことによってやるべきであって、〇・〇二を変えたらオキシダントがすごくなるからだめだということをあの実験だけで言うことは、私は少し早計である、実験そのものとしては非常に価値のある尊敬すべきものだと思っておりますが、現在の論争の中ではそのように考えておるわけでございます。
  234. 土井たか子

    ○土井委員 それは実験結果としては尊重するけれども、それだけで考えるというのは早計だと言われる、それは確かに早計です。なぜかというと、オキシダントの問題なんかはいろいろそのときの気候条件というのが非常に関係してくるわけであります。したがいまして、その外国の例なんというのをいろいろ引き合いに出されて問題にされますけれども、外国の例にあるところのいろいろな土地の条件、いろいろな企業の配置の条件、住宅の分布の問題、さらに気象条件、そういうことを考えていくと、それをそのままとって考えることも早計であります。  したがいまして、こういう点から考えていくと、なぜ今回に限って安全係数というものを掛けないで考えていくのかということはどこまでも問題になるのです。NO2に対してどうして規制緩和を考えていくのか、しかもそれに対して安全係数というものをどうして考えないのかというのは大変問題になっていくわけであります。NO2についてこれを厳しく取り扱っていくということになりますと、これはやはり総合的に、NO2というのは総合指標でありますから、その対策によって他も削減されるという総合性を持つわけですね。これは先ほども答弁のとおりであります。そういうことからいたしますと、今回この問題に対しての取り扱い方というのは、光化学スモッグについても非常に具体的にこれを防ぐ環境基準になし得るか、また、それに対しては十分なる防止ということは言いづらい環境基準にしてしまうか、こういうことでしかないと私は思うのですよ、光化学の問題について言うならば。ひとつその辺は厳しくあってしかるべきだと私は思います。いかがです。
  235. 橋本道夫

    橋本(道)政府委員 オキシダントのコントロールのためにNO2の環境基準を設定するということは、私どもはまだそこまでの科学的な根拠を持ち合わせているとは思いません。ただ、NOxの対策を進めていくということは間違いないところであります。  安全性議論が出ましたが、これは何度も申し上げますが、従来は一番ひどいのは死ぬ、それから死亡率が非常にふえる、それから病人の発病率がふえる、あるいは急に患者がずっとふえてくる、あるいは患者が増悪する、あるいは機能が明白に低下をするというものの場合に安全率を使っていたわけであります。ですから、疫学の有症率だけの数字に、SO2のときでも安全率を使っておりません。これは先ほど申し上げた四日市の患者の新発生がふえるということの年平均に対して安全率を盛ったということは言えますけれども、そうではございません。  それからもう一つは、やはり複合の非特異的な汚染で、六都市を見ましても、ばいじん、SO2が下がってNOxがわりあい上がったときに有症率は下がっております。しかも、NO2の濃度が年平均〇・〇四二の東大阪においてすら有症率は下がってきております。  そういう状態であることと、それからもう一つは、これは最近東京都が発表しました学校の生徒と大気汚染の健康調査のところでも、やはり有症率の方は不思議に下がってきております。そういう形もありますし、公害健康被害補償法の中の患者の数は、確かに新発生がございます。これは、環境基準が全部達成しても、非特異的ですからどんどん発生します。ですから、それは確かにふえます。しかし、新発生の患者数の傾向はずっと下がってきている、そういうことでございます。  そういうことで、もしもこれが死亡病気や明白な機能低下あるいはNO2としての非常に特異的な影響である、あるいは有症率が全然下がらないでアップしていると言いましたが、私は安全率のことを入れないなどという気違いじみたことは全然申しません。しかし、いまのデータから見れば、安全率を入れるというところまで、科学的にはそこまでいかない。それは望ましい、あるいは願望であるかもしれませんが、そこから先は総合政策的な判断ということで申しているわけでございます。
  236. 土井たか子

    ○土井委員 これは、いま取り上げられた有症率が低下してきているという具体的なデータについても私は反論がありますけれども、これは時間のかげんで、次回にひとつこの具体的なことについても質問を続行したいと思います。  きょうあと一問だけ、時間のかげんがありますから私、申し上げたいのは、橋本局長は、昭和五十年ころから見直すつもりであったということを新聞紙上で申されております。「NO2の基準見直しは、環境行政の後退がいわれ始める以前の五十年十二月から、スケジュールを決めて進めてきた。」このようにおっしゃっています。ところが、そういうふうな橋本局長が、どうして昨年六月の公害防止計画の基本方針を自治体にお示しになった際に、NO2についても現行基準を守り作業するように指示をされ、さらに先ほど岩垂委員の方からも御質問がございましたけれども、ことし四月にそれを承認なすったのですか、最近まで中間目標値を置くというふうなPRをしていらっしゃったんじゃないですか。これを受けて自治体の方ではもう懸命の取り組みですよ、ただいま。先ほど中間値ということも御答弁の中でおっしゃっておりますけれども、これははっきりここに、二酸化窒素という欄を見ますと、「一時間値の一日平均値が〇・〇二PPm以下であること。」と明記をされておりますし、しかもこれは五十六年度を目途に達成されるように配慮をすることということが「公害防止計画策定の基本方針」の中に具体的に述べられているわけです。したがいまして、これに対しては五カ年計画でありますから、各自治体は五カ年でそこまで達成すべくただいま大変な努力中であるということだけははっきり言える。しかも各自治体の努力というのは、いま非常に一生懸命になっている最中に、どうも環境庁がよろめきがちであるということに企業者側が目を向けて、自治体からのいろいろな行政指導や行政的な措置に対して、非常にふまじめなこれに対する取り扱い方というものが最近ちらちら出ているというわけであります。具体的には私はここで名前を差し控えたいと思いますけれども。こういうふうな実情からすると、この公害防止計画策定について〇・〇二という数値を明示して指導された環境庁とされては、この基準値を緩和されるということに対して、やはり自治体からの不信を招く、これはまことに自治体からすると、自治体に対しての環境行政の不信行為だということに実はなるだろうと私は思いますが、一体この点はどのように考えていらっしゃいますか。
  237. 橋本道夫

    橋本(道)政府委員 そういう批判の声に対しては、私はやはり責められるところがあるというぐあいに感じます。ただ、何度も申し上げますように、昨年NO2のときに落とそうかと思ったのですが、それではやはり後退したという形になってしまう。前に進まない。やがてこれがはっきりすれば、そのときに解決すればいいということでこういうことをしたという点は、ひとつ御理解願いたいと思います。  それから五十年十二月から、これは再検討という、NOx対策の今後の進め方ということで、一つは化学的な検討問題があるので、それはクライテリアとして資料が十分そろってからにしよう、それで大体五十三年五月が最終のターゲットでふる、しかしできるだけのことは徹底してやる、自動車もやる、固定発生源もやる、それからポリシーの面についても国際的なレビューをやってみよう、あるいは科学的な知見についても国際的にレビューをやってみようということで全体を組み上げたテーブルをつくりまして、五十年十二月に新聞に出しておりますし、あるいは中公審で絶えずその表を用いて説明をしてまいっておるわけでございます。  そういうことで、緩めてやろうとかなんとかということよりも、やはり非常に不確かなところで大きな安全性を組んでやっておる。必死にやるが、やはり一方でやらなければならないというところでやってまいったわけで、これは確かにいろいろな点で苦しい思いを、いまもいたしておりますし、いたしてまいりました。けれども、ひるみを見せるということは、これは自動車の規制もでさない、長期目標も設定されない、三次規制もでさない、脱硝の技術もできないということになりますので、そこは局長としての責任で告示のことをいままでがんばってきたわけでございまして、その変換は不信であるということについては、私自身は責任をとらなければならないというぐあいに、これは覚悟を決めております。  そういうようなことでございまして、対策としてはできるだけのことは進めていく、しかし変身るべきところは変えるということは、行政官としてはやはり当然のことじゃないか。そういうよるな非難をすべて恐れてはまた何もできないというような苦衷もお察し願いたいと思います。たてまえだけでやれる問題ではないということでございまして、そこを行政としていかにするかという苦衷のさなかにやっているということは、これだけは御理解願いたいと思います。
  238. 土井たか子

    ○土井委員 それはまことに言いわけめいた御答弁になるわけであります。大変苦しい胸のうちを察してほしいという、半ばこれは哀願にも似たような、大変に言いわけめいた御答弁というかっこうになるわけでありますが、ただいまいろいろと、立場としてひるむところを見せてはならないというふうな御答弁の趣旨でございましたけれども、なるほど排ガス規制を取り扱う場合には、自動車工業会に対して環境庁はひるんではならなかったのです。同様に、今回のN02の問題についても、日本の特に大きな鉄鋼であるとか、それから電機産業等々のこれに関連のある大企業、産業に対して、環境庁はひるんではならないのです。やはりあくまで環境行政というのは住民、国民の健康を保持する、環境を保全するというところがこの行政の内容でありますから、したがって、ひるんではならないということになれば、そういう意味でひとつしっかりとひるまずにやることが肝要であると私は思うわけであります。  さらに同じ公害防止計画の内容にございますけれども、公害防止協定というのがあります。この公害防止協定というのはそれぞれの自治体が関係企業との間に結んでいる、具体的な内容を取り決めている協定でございますけれども、過日、私はこの委員会で資料要求をいたしまして、環境庁の大気保全局から「NOxに係る公害防止協定等締結状況調」というのをいただきました。いただいたところが、協定の締結数というのは、全国的に見て合計二十件あるわけでありまして、関係市町村は多岐にわたるわけであります。関連企業というのは電力、鉄鋼、金属は言うまでもなく、これまた多岐にわたっているわけであります。それぞれが具体的に協定を結んでやっていっているわけですが、この内容は、申し上げるまでもなく〇・〇二PPmでやっている。基準値が緩和されるとなると、これ自身は一体どうなるのですか。全部この防止協定に対してはどういうかっこうになりますか。環境庁としては、これに対してどのような責任をお持ちになりますか。
  239. 橋本道夫

    橋本(道)政府委員 法律上は環境庁として協定に対して強制的に介入する力はございません。環境基準を決めてきたのは環境庁でございますし、先生のおっしゃったように、仮説的に環境基準が変わったということの場合には、協定をどうするかという問題が自治体での議論になることと思います。自治体に対して環境庁が、そのときに、どういうことでこういうことになってくるのかということを十分御説明をしてやっていくということ以外にやりようがないのではないかということでございます。  それから、先ほど、ほかのものにひるんではならないというお話でございますが、別にほかのものにひるんでしておるわけではございません。脱硝の技術開発のめどがことしには相当ついてきたということでございまして、あと幾つかのものが残っておりますが、脱硝の追い込みもかなりのところにきた、これから数年たてば熟成をすることは明らかであろうというときにいま達してきておるということでございまして、これは非常な勢いで追い込んできた結果であろうと考えております。そういうぐあいに考えております。
  240. 土井たか子

    ○土井委員 それは技術が進んできたとおっしゃることは当然なことでありまして、そこまで私がお伺いをしていないことを大変御親切に御答弁いただいたわけでありますが、ついでに大気保全局からいただきました資料の中から抜けているのは兵庫の部分であります。これは全部白紙の状態なんですが、実は兵庫県下においても、ほかにも自治体の中にあろうかと私は思いますが、尼崎市かいわいでは、これは古く四十四年から公害防止協定を結んでおりまして、五十年三月に改定をした中では、具体的に、NOxに係る公害防止協定を含めて六十二社、六十七工場、二企業団地に対して結んでいるわけであります。しかもその内容は、三カ年計画でカット率は三七・六%、これは具体的に昨年度はもう実施ができているというかっこうでありまして、さらに昨年六月の基本方針は〇・〇二PPmを動かさないでひとつやっていこうということをはっきり確認をしているわけであります。こういう実態がこの表の中に出てこない。この表の出典というのは一体どこであるかということも私はお伺いしたいと思いますけれども、具体的にこういう実情を全国的に把握されると、この表に出ていない部分がまだまだあると思うのですよ。これは全部が大混乱を起こすのです。みんながいま一生懸命〇・〇二PPmでやろうというので取り組みをやっている最中ですから、防止協定の中身を具体的に決めて、年次計画を組んで、カット率をどれだけにしていくかということに取り組んで、鋭意努力をしている最中なんですから、そういうことからすると、私はこの表にあらわれない部分も含めて全国的に大混乱が起こるということだけは申し上げたいと思います。このことについては、協定はじかに法律的な責任がないといって、私は環境庁としては逃れるわけにはいかないと思いますよ。環境庁が設定をされる基準値に従って防止協定も具体的に動いていくわけでありますから、したがいまして、責任逃れは私は聞かれないと思います。  そういうことから言うと、今回のこの環境基準に対してどう考え方をお進めになるかというのは、私はいま非常に重大な問題だと思うのです。諸般の事情から考えて、急ぐことは私は決してためによろしくないと思っております。いかがですか。この公害防止協定について、この表の中にあらわれていない部分についてもまだまだこの実情を把握した場合に具体的な例が多々あるということは、環境庁としてはもちろん御存じなんでしょうね。
  241. 橋本道夫

    橋本(道)政府委員 それは県の方から聞いた形のものでございまして、全体のものがまだ十分入っていないところがあるかと思います。  それから、協定に対して法律上触れられないというのは、別に逃げ口上で言っているわけではございません。これは、もしも触れるという御答弁をいたしますと、地方自治の本旨に反するということで、これはまた一方に議論が起こるわけでございます。ですから、法律的には環境基準がもし変われば、先ほど先生が仰せのように、環境基準が変わったということに対する批判はいろいろあろうかと思いますが、法律的に変われば、それを協定のものとしてちゃんと整理をするのが、法治国家では普通のルールではないかというように思います。
  242. 土井たか子

    ○土井委員 法治国家では普通のことではないかとおっしゃいますけれども、法治国家はやはり自治体行政というものを尊重していくという立場もあるわけであります。自治体行政について、それにいたずらな混乱を巻き起こすような行政をわれわれは法治国家の順当な行政とは考えません。したがいまして、そういう点から考えると、これはいい方向でいろいろと環境庁がお考えになるのならまだしも、いま自治体の方が、厳しいこの基準値に対して、守るべく誠心誠意努力をしていることに対して、混乱を招来するようなことはほめたことではないというふうに私は思うわけであります。いろいろ諸般の事情からいたしますと、いま環境庁が取り組まれている内容に対してはまだまだ多くの疑義があり、問題点が残されていると私は思うのです。午前中からただいままでに至る審議の過程におきましても、さらにわれわれが、この審議の途上、はっきりそのことに対して確かめなければならない資料もいろいろございます。その資料に対して、ひとつ御提出方を再度委員長に要求を申し上げますと同時に、もうすでに二十三日には当委員会参考人においでいただくということも予定をされております。その参考人の意見もさらにわれわれは聞いた上で、ただいま残されましたいろいろな問題点、さらに私どもが持っております疑義に対しての審議を続行するということを切にここで要求いたしたいと思います。  さらに申し上げたいことは、これは委員長を通じて具体的に環境庁に対してはっきり申し入れをお願い申し上げたいわけでありますが、この参考人からの事情聴取、われわれがそのうち行う審議、その日時の具体的な結論というものが出るまで、環境庁としては、今回のこの基準値の改定を告示されるということが断じてあってはならないと思います。国会審議を無視してそういうことを独断専行型で環境庁が進められるということは、先ほど申されました法治国家としてあるまじき態度だと私は思います。したがいまして、この点については、ひとつ委員長から環境庁に対して申し入れをされると同時に、断じてそのようなことがないという御確認を環境庁長官からいただきまして、私、終わりにいたします。いかがですか。
  243. 山田久就

    山田国務大臣 われわれは、いろいろな御意見というものを十分拝聴して慎重にやっていきたい、そういう考えであることはもう申すまでもございません。特に国会の審議等は十分それらの点を考慮に入れて対処いたしたいと思います。  原則として、いま御指摘の点はわれわれもそういうあれでございまするけれども、やはりその成り行きというものも考慮に入れなければならないというのもまたわれわれの立場でもあろうと思います。原則としてはそういう立場で対処していきたいということだけを申し上げておきたいと思います。
  244. 土井たか子

    ○土井委員 私、終わりたかったのですが、再度、山田環境庁長官に私は申し入れたいと思うのです。  長官、原則としてとおっしゃるのですが、この原則としてというのはいいのです。これはだれでもが考えることの原則でありますから。ただ、環境庁長官として、山田長官がこの問題に対しては御責任をお持ちになっていらっしゃる当事者でございます。したがいまして、長官に対してそのことはいかがと私はお尋ねをしているわけでありまして、原則論は言いわけであります。その原則を踏まえて、長官としてはこれに対して、そのようなことはしない、国会で審議が続行されている間に見切り発車のようなことは環境庁としてはしないということをお考えになっていらっしゃるであろうと私は確信をしておりますので、そのことに対して一言聞かせていただきたいという意味質問なんです。したがって、もう一言お聞かせいただいて、終わりにしましょう。
  245. 山田久就

    山田国務大臣 先ほど、国会の審議等については原則としてこれを十分尊重して対処していきたいというのがわれわれの立場なんだ、したがっていまのお申し入れのことはそういう趣旨で対処していきたいということを、原則としてと私は申し上げたのです。無論、国会の方にいろいろな他の意図があろうと私は思いません。しかしながら、一方においてわれわれは答申を得て、またそれに従って対処していく法律上の責任も持たされているわけであります。したがって、いつまでたってもと、こう申し上げては申しわけないけれども、やはりいろいろ国会の方の一生懸命な御審議の状況、これは十分尊重してやっていきますけれども、それじゃそれが終わらなければ絶対にやらないということをわれわれが申し上げ得るかどうかという点は、これは原則としてということでひとつ御了解をいただきたい、こう思うわけであります。
  246. 土井たか子

    ○土井委員 まことに歯切れの悪い長官の御答弁なんです。長官、国会をどのようにお考えになっていらっしゃるのですか。いろいろな審議会で環境庁の諮問にこたえて答申をお出しになる、これは審議会での仕事であります。環境庁が諮問をされるという立場であります。それと国会はまるで違うのですよ。国会という場所をどのように考えていらっしゃるのですか。  答申を受けて環境庁考えられるその態度は、言うまでもなくその答申の内容についても国会は審議の対象にしなければいけないのです。したがいまして、これに対してわれわれがまだ具体的に理解ができない、これに対してはまだ疑義があるということが審議の中で明らかにされていくということが国会の審議の中では非常に大事な問題じゃないですか。いつまでも続くようではとおっしゃるその御答弁というのは、私は聞いていてまことに不本意な思いがいたします。国会に対してどう考えていらっしゃるかという、私は本来聞きたくないことまで長官に言わざるを得ないような気持ちです。原則原則ということを言って、そういう言い回しで長官はみずから感じていただかなければならない御責任に煙幕を張るようなことをなさらないで、ひとつ国会の責任というものを、これは環境庁長官は言うまでもなく大変有力な国会議員のお一人でもいらっしゃるわけでありますからよく、一〇〇%、一二〇%御存じだと思うのです。ひとつその点は、国会というものが国民代表の機関である、したがって、ここでの審議というものは憲法の四十一条で保障されているところに従って十分に尽くされなければならないという趣旨を尊重される長官であってほしいと思いますよ。いかがでございます。
  247. 山田久就

    山田国務大臣 もう申すまでもなく国会の審議は十分尊重する、そういうたてまえでこの問題には対処していきたいという考えは、私は繰り返し申し上げているところでございます。したがって、そういうたてまえに立って、われわれは原則としていまの御議論には全く異議がない、こういうことを申し上げているわけでございます。
  248. 土井たか子

    ○土井委員 もう私はくどくどと申しません。ただ長官、そうしますと、国会審議が続行されている限りにおいては環境庁としては見切り発車は差し控えたい、このような気持ちでいらっしゃるということを私としてはここで理解をさせていただいて、質問を終わりたいと思います。よろしゅうございますね。
  249. 久保等

    久保委員長 次に、竹内勝彦君。
  250. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 私は、この委員会におきまして去る二日に取り上げさせていただきましたが、琵琶湖に赤潮が大量に発生し、現在、いろいろと問題点が出てきております。近畿一千三百万の飲料水というものを守っていく上からも、ぜひこの問題に関して大臣に前向きに調査をしていただきたいし、同時にこの問題に取り組んでいただきたいということをここで強く要望をさせていただきました。  ところが、さらに憂慮していた点が出てまいりました。今回、九日でございましたけれども、その後ずっと赤潮が大量にどんどん出てきております。そこでこの前、ニジマスが死んでいったあるいはアユが死んだ、今度はコイが、あの元気なコイというのはそう簡単に死にません、それが死んでいったというような例が出てきております。この経緯というものが一体どうなっておるのか、どう掌握しておるか、その点をまず最初にお伺いしたいと思います。
  251. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 ただいま先生からお話がございましたように、ニジマス、それからアユ、コイ等が斃死したという報告を滋賀県の方から受けております。問題は、赤潮の影響ということでございますけれども、ウログレナが赤潮生物というふうに見られておりますが、これの魚毒性の問題につきましては、現在のところ学問的に明らかではございません。どういう斃死機構かということにつきましては、いろいろな説はございます。たとえば、プランクトンの分解過程で酸素欠乏というのが出る、そういうようなことではないかとか、あるいはプランクトンそのものが魚のえらに付着してそれによって魚が窒息死をするというようなこと、あるいはプランクトンが分解いたしますときに分解遊離物というのが出ますけれども、これがえらに吸着して呼吸麻痺を起こしたために斃死したのではないかというようないろいろな説がございますけれども、いずれにいたしましても、現段階においては、この斃死機構というものにつきましては、まだ十分解明されておらない次第でございます。
  252. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 この問題に関して県の方からも発表しております。その中で、この前も私ここで、京都大学の門田教授がこの問題を徹底的に研究しておる、こういった面から、その人たちの意見等も述べさせてもらいました。その中で、今回ウログレナというものに関して、どうやらこのウログレナ自体が、遊離脂肪酸が水から検出された、こういうふうになってくるということは、分離過程のプランクトンから出る遊離脂肪酸が、いま話がありましたように、魚類のえらの表面呼吸細胞に損傷を与える。いわばそこにくっついたというのじゃなくして、そこに損傷を与えて害をもたらすのではないか、こういうことも言われております。その他、東大の先生もやはりそういった意見を出しておりますけれども、淡水においてはこういった遊離脂肪酸というものが大体初めてだ、こういうようなことも言っておりますけれども、その辺はどういうふうになっているか、どう掌握しておるか、その辺から御説明いただきたいと思います。
  253. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 ただいまお話がございましたが、実は昨年の八月に琵琶湖に赤潮が出ました際に、その赤潮成分というものを東大の農学部の水産学教室の橋本教授が調査依頼を受けて検討されたということを聞いておりますが、その際に、ただいまお話がございました遊離脂肪酸というものが検出をされた。この遊離脂肪酸は人体には影響はございませんが、魚のえらに吸着いたしますと呼吸麻痺を生じさせる、そういう見解を東大の橋本教授は報告をされたということは聞いております。  なお一般的に、たとえば瀬戸内海のハマチの大量斃死というような問題もございまして、これもえらにホルネリアが詰まるとかいろいろな話がございます。この面につきましても、現在、検討をさらに香川大学等を中心に煮詰めてもらっておる、こういう状況でございます。
  254. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 そのことを言っているのじゃないのですよ。この遊離脂肪酸が初めてこういうところに出てきた。瀬戸内等においてもそういったものが最近になって出てきた、こういった湖沼においてはこれが初めてだということは一体どういうことなのか。  同時に、東大の橋本先生のことを言いましたが、私は京大の門田教授にも会いました。この門田先生が言っておるのは、ついたというのではなくて、そこに損傷を与えて、要するに細胞自体が破壊した結果である、こういうように言っておるわけですね。そういった面をどのように考えておるか、その点の見解をお伺いしたいのです。
  255. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 琵琶湖の赤潮の問題につきまして、滋賀の方で調査研究委員会等をつくりまして、この辺の解明等、調査研究を進めておるわけですが、その際の研究委員会委員長を、ただいまお話がございました京都大学の門田先生が担当しておられます。ただいま、門田先生研究結果といいますか、脂肪酸が単にえらに付着するというのではなしに損傷というようなお話でございますが、この面につきましてはまだ十分報告を受けておりません。したがいまして、いまのところ、この面についてこれが決め手になっているものかどうか、断定的なことは、環境庁としてはちょっとまだ申し上げかねる段階でございます。
  256. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 これは新聞等にも報道されておることでございますし、環境庁がその点を掌握していないということはちょっと意外に思ったわけでございます。私もこの委員会で、昨年以来何回も、琵琶湖が死の湖になってからではいけないじゃないか、こういうことで問題にしておったわけです。  これは長官に聞きますから、聞いておってください。まず、滋賀県の武村知事がこう言っています。「ここ数年一進一退の水質を保ってきた琵琶湖だが、二年続きの赤潮発生や今回のデータを見ても、琵琶湖が新しい事態に直面していることは素直に認識せざるを得ない。現行の琵琶湖総合開発特別措置法は水質保全面で不十分であり、この面から思い切った立法措置が必要だ」、こういう意見を述べております。そういう意味から考えて、いまやもうアユが四万八千匹、コイが千匹、その前にニジマスが死んでいった、こういうようなことがいまの水産業に関しては非常に打撃を与えておる。同時に、いまは魚でございますが、これが飲用水源として、将来、人体に影響が出るようになってしまっては困るがゆえに、ひとつ長官この辺を緊急に環境庁の方で、門田さんが言っておる破壊する、損傷するというものを——ただ単にえらに付着して酸欠という症状になった、これは前から言っていることなんです。今回新しく言っておるのは、そうではなくて、そこに損傷を与える、そこに何らかの害を与えるというような事態になってきておるという発表が出てきておるときに、ひとつ長官としてこの異常事態をどうとらまえて、この前も私、要望しておきましたけれども長官は本当に本腰を入れてこれを徹底的に調査し、これに対応する決意があるかどうか、その辺をお伺いしたいと思います。
  257. 山田久就

    山田国務大臣 本件につきましては、先般来、公私にわたって竹内委員から、いろいろ地元の意見、状況等についてのお話を承ったところでございます。現地の知事の意見というものは、これは非常に重視しなければならないものであるということを私も考えておりまするので、いまのお話をも踏まえまして、ひとつ至急これに対しての対策を検討いたしたいと思っております。
  258. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。  そこで私は、本日、特に下水処理に関して論議を進めてみたい、こう思いまして、建設省の方にも来ていただいておりますけれども、その点に関して、まずこの琵琶湖に関して、今回総合開発の面からも、人工島として矢橋人工島がそこにつくられて、そこで下水処理をしていく、こういった形が、いままででしたら湖の真ん中へ——真ん中まで行っていませんが、湖の中へわざわざ人工島をつくって、そこで下水処理センターという形でやっていこうという事態になった、この経過というのはどうなっておるのか、まずその辺からお伺いしたいと思います。
  259. 玉木勉

    ○玉木説明員 お答えいたします。  滋賀県におきましては、琵琶湖総合開発計画の一貫といたしまして、琵琶湖流域下水道を実施いたしております。その中で、湖南中部流域下水道の浄化センターを矢橋に埋め立てをしてつくる予定になっておりますが、この場所の決定に当たりましては、いろいろ候補地を幾つか選定をいたしまして、地形的な条件とか、あるいは処理水の放流条件、予定地周辺に対する影響、用地確保の難易、こういった問題について検討いたしました結果、南湖の一部を埋め立てて処理場の用地とするということに決定されております。
  260. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 滋賀県の琵琶湖に面したその周辺のところには、わざわざそこに処理場というものを移していかなくても、本来ならばできるところというものは——私は京都でございますが、京都においても、終末処理場として一番南の方に大きなものができております。私、昨日それを見てまいりましたけれども、この問題が、いまや流域下水道処理という問題で住民運動等も幾つも起きております。わが方につくられると困るということで、幾つもそういった運動が出てきておる、訴訟を起こしておるというような事態、今回この滋賀県においてもそれに苦慮しておる。彦根につくるとか、あるいは草津につくるとか、いろいろなことがあったのではないかという意見も聞いておりますけれども、なぜそのように流域下水道というものを、処理場というものをつくっていくのが困難になるのか、住民の反対を受けるのか、一体その問題点は何なのか、この辺を明らかにしておく必要があるのじゃないか。そして私は、これは人類が続く限りこういった問題はどうしたって、この下水処理というような重要な問題はもうついて回る問題です。やはり国民のコンセンサスを得ていくものでなければなりません。それがいやがられていくというようなものであってはならないがゆえに、建設省として、その辺をどうとらえておるか。こういった面を改めていけばいいのか、あるいは、どういった点が問題なのか、その点から御説明をいただきたいと思います。
  261. 玉木勉

    ○玉木説明員 流域下水道処理場の建設に対して反対が幾つか見られます。それで、反対される理由といたしましては、終末処理場が周辺に悪臭とか大気汚染の公害をもたらすおそれがあるのではないか、特に、流域下水道の終末処理場については、他市町村の汚水が流入するということもございまして、反発が非常に強いということがございます。  それから、いま一つ反対の理由といたしまして、終末処理場からの放流水の放流先の公共用水域に影響を及ぼすということ等でございます。特に、工場排水の流入によって支障があるというのが反対の理由になっております。  これらに対しましては、私どもといたしましては、下水道が公共用水域の水質保全、都市環境の改善のために必要なものであることを住民に十分理解をしていただきますとともに、まず悪臭とか大気汚染の問題につきましては、たとえば処理施設の覆蓋をするとか、あるいは悪臭防止施設、大気汚染防止施設等を設置いたしますとともに、さらに、処理場の緑化等の環境対策を実施いたしまして、住民の理解と協力を得ることが必要でございまして、このために、たとえば処理場の緑化対策事業を環境対策事業として補助対象にするとか等の施策を行っております。  それから、処理場が、多くの放流水が環境に影響を及ぼすのじゃないかという問題につきましては、工場排水等の流入による処理機能が低下しないように、昭和五十一年の第七十七国会におきまして下水道法を改正いたしまして、悪質下水に対する規制を強化いたしまして、いわゆる直罰制度を導入いたしまして、水質汚濁防止法並みの規制と監督の強化を図っているところでございまして、そういう監視体制の整備等によって問題はないと考えております。
  262. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 それでは、流域下水道反対運動が全国に一体どれくらいあるのか、それから、主なものはどんなものがあるか、掌握しておりましたら、その辺を教えていただきたいと思います。
  263. 玉木勉

    ○玉木説明員 流域下水道反対個所としてわれわれが把握しておりますのは、まず愛知県の境川、岐阜県の木曽川右岸、富山県の小矢部川、群馬県の利根川上流、千葉県の江戸川左岸等が主な反対の個所でございます。
  264. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 そこで、いま話がありました工場排水自体がどうもきらわれておるという面が挙げられるのじゃないか。私は昨日見てきましたが、においという面はかなりこれはもう努力を重ねて、その周辺に対するにおいに関しての苦情というものはほとんどなくなってきているのじゃないか。まあ一部は違うと思いますけれども、なくなってきているのじゃないかという面も考えられます。場所によって違うかもわかりませんけれども。主な点は、特にそういったところへ大きな場所をとり、そうしてそれは下水処理場ですから、見た感じもそういいものじゃございません。また、そこはいろいろなものが入り込んでくる、こういった面で周辺の住民にやはり抵抗が出てくるという面が考えられます。  そこで、これは提案でございますが、ひとつ、これはみんな必要なものでございまして、自分のところだけなしにして、自分はそういった下水は出していかないということはあり得ないわけなんですね。したがって、これはみんながやはり責任を持ってやっていってこそ初めてこの社会というものが成り立っていくわけでございますので、私は、ここでもう一度発想の転換というか、こういう大きな流域下水道というものに焦点を合わせるのでなくして、もっとミクロに見て、たとえば家庭排水はその家庭排水のたとえば集落あるいは団地ごとに、こういったところで処理をしていく、工場は工場のその出てくるところで処理をしていくというような形に切りかえていく面も必要じゃないか。それが全部とは言えません、その都市の状況によって変わってくると思いますけれども、そういった面が今後必要になってくるのじゃないか。  それから、今後リサイクルという問題がどうしても必要になります。そこでいま、最後の汚泥、これを捨てておるわけですけれども、捨て場所にいまや各自治体ともどこへ捨てていいか、いまのところは捨てるところはありますけれども、後はどこへ捨てていいか、また反対運動が起こってくるんじゃないかということをいつも考えながら苦労しておるという面から考えても、それがリサイクルという面でもう一度考え直していかなければならないんじゃないかという面も考えるわけでございまして、以上の点に関してどういう御見解をお持ちでございますか。
  265. 玉木勉

    ○玉木説明員 下水道の計画につきましては、下水道法第二条の二に決められておりますように、水質環境基準を達成するために最も効果的な下水道整備計画を立てるという意味で、水、壇の保全を達成するために流域別下水道整備総合計画を定めることになっております。この流域別下水道整備総合計画は、河川等の公共用水域におきまして水質汚濁が進んでおりまして、主として下水道の整備によって水質環境基準は達成されるという地域には流総計画を立てることになっております。この流総計画に基づきまして、この地域は流域下水道、この地域は公共下水道というふうに最も効果的な下水道計画を立てる仕組みになっております。したがって、こういった流総計画に基づいて個別の下水道計画を立てるということになっております。  それから、汚泥の問題につきましては、先生指摘のように、非常に大きい問題でございますので、下水汚泥の処理、処分方法に関しまして、下水道事業調査費の中でリサイクル、再利用等の問題についても鋭意検討を進めているところでございます。
  266. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 そこで、最近参議院の公害委員会参考人を呼んでこの下水処理の論議を行っておりますが、特にその中で、土壌を用いての廃棄物処理、方法として幾つか挙げられておりまして、土壌浄化法としての土壌還元法であるとか地表下トレンチ法あるいは地表下トレンチ毛管浸透法等々というようなものも挙げられています。こういった土壌処理というものは一体どういう特性があるのか、どういうようにつかんでおりますか。今後もしもこういった面が利用できる点があるならば研究する必要もあるんじゃないか、こういうように考えますし、どうとらえておりますか。
  267. 玉木勉

    ○玉木説明員 土壌を用いた下水処理につきましては、諸外国で古くから行われてきておりますが、先生も御承知のように、必要面積が非常に大きいという問題、それから、地下水汚染のおそれがあるというようなことで、わが国では一部浄化槽を除きましては現在までほとんど採用されていない状況でございます。しかし、土壌浄化法の技術開発のいかんによっては、有機性汚濁物を除去するとかあるいは窒素、燐等の栄養塩類を除去する特性もございますので、われわれといたしましては、三次処理技術の一つの変法として実施し得る可能性があるというふうに考えております。このため、建設省におきましては、昭和五十三年度から下水道事業調査費によりまして下水の土壌による高度処理に関する調査に着手をいたしております。で、この調査費によって土壌浄化法の技術的な検討を行うことにいたしております。
  268. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 この土壌浄化に関しても、私、本年でございますが、神奈川県の座間市にある、これは小規模のものでございましたが、それを見てまいりました。座間グリーンハイツと茅ケ崎松ケ岡ハイツ、そのほかもございましたが、主にこの二点を見てまいりました。これは一つの団地でございます。各棟ごとに設けたところもございます。それから全部の団地、約一千二百世帯のところもございましたが、そういうようなところもこれを設けておる、あるいはもっと多いところもあったわけでございますけれども、その中で、土地がよけい要るんじゃないか、いまもお話がございましたが、それは物によってはそういった面が出てくるかもわかりませんが、私の見てきたもので、こういった一つ一つのものに当てはめていったならば、たとえば土壌を利用する、これも、いままでのものでしたら地中深く入っていったのではやはり地下水に影響するとかいろいろな問題点が出てくるとかということは、いまも御説明があったとおりでございます。そうでなくして、これは地表下約三十センチぐらいまでの土壌を利用する。そこには酸素もある、あるいは微生物の活動もある、こういった面で、こういったものを利用して、もちろんほかの処理も加えます。土壌のみでやっておるわけではございませんが、そういうほかの処理を加えてその下水の処理をした結果というものが非常にいいものが出てきておるように感じます。  私いまここに、手元にある資料でございますが、これは長野県の上伊那の箕輪町、南箕輪村というところでこれを用いて、結果が出ております。たとえば箕輪町で行ったものでこういった結果が出ています。処理前がBOD六九三PPm、これが一・五PPmです。いまのは、南箕輪村有賀宅、そういった方面のものです。それから、もう一つは南箕輪村の向山宅で、BODが三六八OPPmが処理後は二・九PPm。それから、今度は窒素を見てみますと、いままで二次処理では、窒素あるいは燐、こういったものは非常にむずかしいと言われておったものが、たとえば箕輪町の浦野宅ですか、そちらで行った結果のものが、総窒素七・七一が処理後四・一二になった。それから総燐に関しては〇・九四が〇・〇一になった。これが箕輪町の浦野宅です。それから、南箕輪村の有賀宅においては、〇・四四の燐が〇・〇一になった。それから同じく南箕輪村の向山というところでのものは、総燐が三・一六が全くの〇・〇という結果が出ておる。これは上伊那薬剤師会が発表しておるものでございます。  そういったデータもございまして、これは、単に、土地がよけい要るのじゃないか、あるいはいろいろと地下水にも影響が出てくるのじゃないかと、いままでのものだけで判断するのはちょっと問題があるのではないかということで、私の見てきた結果からもぜひこういった面も御検討いただきいということで、小単位のものならば——しかも、その土壌処理を行っておる設備というものは全部土の下に埋められます。そうして、その上においては、それを子供の遊び場にしていたり、公園にしたり、あるいは畑にしたり、そういった利用もできるというようなものもございますけれども、小単位のところにおいては、土地のものが全部集まってきて流域下水道にかわるようなものということは、私はちょっと不可能ではないか、こう思っておりますが、個々にミクロにおいて見ていく面に関しては、その原因者がそれを解決していくという面においてはこれは非常にいい面もあるのではないか、こう思いますが、御見解をお伺いしておきたいと思います。
  269. 玉木勉

    ○玉木説明員 ただいま先生からいろいろデータのお示しがございましたが、この土壌浄化法に関しましては、たとえばそういった生下水を処理する場合、あるいは下水処理水を原水にして土壌の浄化をやる場合、いろいろございます。外国等におきましていろんな調査結果も報告されておりますが、土壌浄化法はいろいろな条件によって非常に変わってまいります。たとえば下水の散布方法、散水強度、それから土壌の条件、そういった条件によって非常に変わってまいりますので、これらの土壌浄化法によります除去率につきましては、建設省といたしまして現在調査中でございまして、現在の段階ではどういった場合にどういう除去率になるかというようなことが、必ずしもデータとしてはっきりしない状況でございます。
  270. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 ぜひひとつその面も、これは私の経験から意見を述べさせてもらったわけでございますけれども、よく御検討いただいて、先ほどの論議にもう一度戻ります。  そこで、工場排水というものが非常に住民からいやがられている。ましてや、そういったものは重金属だとか有害物質がそのまま流れてくるのじゃないか、しかも、いまの二次処理の段階では重金属の処理というものが非常にむずかしいという面もございます。そういった面で今後、まず工場排水と家庭排水とを分離した方がいいのじゃないか、こう私は思いますが、もちろん場所によっても違うが、何とかそういった方向で今後考えるのか、あるいはいままでのままで住民運動と対抗してやっていくのか、その辺の建設省のいまの御見解というのはどうなっておるか、お伺いしたいと思います。
  271. 玉木勉

    ○玉木説明員 工場排水と申しましてもいろいろ種類がございますが、われわれといたしましては、下水道整備区域内の工場排水、家庭下水については原則として下水道に取り込むという方針をとっております。これは、現在の下水道法のたてまえもそういうことになっております。しかし、工場排水もいろいろ種類がございまして、下水道の処理方式でございます生物処理に適するもの、適しないもの、いろいろあるわけでございます。下水道で処理することが困難な物質あるいは下水道に支障を与えるものにつきましては、下水道に受け入れる前に除害施設をつけさせまして厳重な水質監視と規制を行うことによって対処してまいりたいというふうに考えております。
  272. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 それがやはり上の方で考えておることと現場とは違うのですよ。私、きのういろいろと現場で働いている人の意見も聞かしてもらいましたが、二十四時間監視できませんよ。また、中小零細企業がやっておるたとえば染色あるいはメッキ関係、そういったところでいろんな有害物質が出ます。そういうものをたとえば日曜日に流してきたときなんかどうしようもありませんという意見もございます。それから、二十四時間見ているわけじゃないからどういったときに出てくるかわかりませんしねというような意見もあるわけなんです。ましてや、いまは流域下水道として暗渠の中へ入っていってしまう。こういった形でなかなか住民の監視も行き届かなくなってきておる。こういった弊害も出てきているのです。そういう面から考えて、きちっとした監視をしていくと言っておりますが、それはちょっと不可能じゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
  273. 玉木勉

    ○玉木説明員 確かに、いままでの下水道で必ずしも監視が十分でなかった例がございます。しかし、下水道法も先ほども申し上げましたように水質汚濁防止法並みに改正をいたしまして、直罰制度とか事前チェック制度等の導入を図っております。したがいまして、今後、工場排水の公共団体の監視体制については、十分これに対応できるような監視体制にするように努力してまいりたいと思っております。
  274. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 いまの二次処理の段階ではBOD、COD、環境基準達成、こういったことで処理をしておりますね。ところが、先ほどの琵琶湖の論議でございますが、富栄養化の原因となる、赤潮発生の原因となるものは、主に燐だとか窒素だとかいったものがどうしても考えられる、こういうようにも言っておるわけでございますけれども、この燐、窒素の処理というのは一体今後どうやっていきますか。どういう方針で臨んでいくのですか。いまのものでは、これはもう野放しという形でございますね。ではそれを、今後の方針としてはこういうビジョンを持ってやっておりますというものを、ひとつ国民の前に明らかにしていただきたいと思います。
  275. 玉木勉

    ○玉木説明員 先生指摘の窒素とか燐の除去につきましては、基本的には二次処理では十分除去できないわけでございます。したがいまして、最終的には三次処理が必要でございます。しかし、現在の二次処理によりましても窒素、燐が約二〇%から四〇%は除去されるということが言われております。先生も御承知のように、現在下水道普及率は、昭和五十一年度末で全国で二四%、滋賀県などは四%という低い状況でございます。したがって、とりあえずこの二次処理の処理区域の拡大を図ることが先決であると考えております。また、この二次処理を拡大することによって、先ほど申しましたように窒素、燐が幾らか除去できますので、相当の効果が出てくると考えております。したがって、当面は、従来どおり下水道整備の促進を図っていきたいと考えております。  なお、現在、窒素、燐の環境基準が設定されておりませんが、今後基準の設定状況等を勘案いたしまして、特に必要な地域については三次処理の建設等を含めて対応してまいりたいと考えております。
  276. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 今後そういった燐、窒素は幾分は二次処理で確かにできていくでございましょうが、これは私は琵琶湖だけのことを言っているのじゃないのです。現実に各湖沼において、あるいは海域において、いろいろと、この赤潮の問題、汚濁の原因となるということで、すでに問題になっている。これをいまのまま二次処理だけでというのでは、当然だめなことはわかっているのです。したがって、実験段階でございますが、三次処理ということで各方面でやっております。しかし、これはまた莫大なお金がかかります。とりあえずその点をお伺いしておきたいのですが、二次処理ではトン当たりのコストを一応どう見ておるか、三次処理ではトン当たりのコストはどうなるのか、この点を教えていただきたいと思います。
  277. 玉木勉

    ○玉木説明員 二次処理の費用もいろいろな処理場の施設の大きさとかによって変わってまいりますが、たとえば滋賀県で、湖南中部の浄化センターで標準活性汚泥法を二次処理として計画しておりますが、この場合の下水等を処理するための費用は、電気代とか薬品代、人件費等を含めまして、滋賀県の概算によりますと約四十円程度が見込まれております。  次に、三次処理の費用でございますが、三次処理も、実はその三次処理の程度によっていろいろ変わってまいりますが、いま琵琶湖の場合、三次処理につきましては、日本下水道事業団に委託をいたしまして、燐あるいは浮遊性有機物の除去について昭和四十九年度から調査研究を実施しております。この中で実用可能な幾つかの三次処理方式について処理費用を、いま申しました薬品代、電気代、人件費を試算しておりますが、その三次処理費用は、先ほど申しましたように、施設の規模とか処理プロセスによってかなり幅がございます。通常三次処理のプロセスとして考えておりますのは凝集沈でんと砂ろ過でございますが、この場合の処理コストは、二次処理の場合の約半分程度であると試算をされております。  いろんな三次処理施設がございますが、先ほど申しましたのは普通に考えております三次処理でございます。
  278. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 それでは、将来の問題として三次処理というものが当然出てくると思いますが、二次処理に対して、また三次処理、住民負担というものはまた上がってまいります。  そこで国として、このランニングコストに対して補助する必要が当然出てくると思いますけれども、どういうような見解を持っておりますか。
  279. 玉木勉

    ○玉木説明員 三次処理は公共用水域の環境基準を達成維持するために行われるわけでございますが、すでに三次処理については一部のところで建設中でございます。それで、施設の建設に対しましては国は補助をしておりますが、維持管理費については補助ということは考えておりません。
  280. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 そういった面は今後の問題になりますので、ぜひ御検討をいただきたいと思いますが、とりあえず現在の二次処理の段階で、特に何点か、問題点としてここで質問をしておきたいわけでございます。  たとえば京都の鳥羽処理場におきましても、先般NHKのスタジオ102でもこの問題を取り上げました。そこで、全国の流域下水道のことで出たわけでございますけれども、たまたま京都のものを取り上げて、周辺にカドミウムの汚染があるんじゃないかというような問題を提起して、そしてもちろん最終的に焼却したものが煙となって降っていったんじゃないか、こういうように私は考えるわけでございますが、昨日見てきた段階では、それを排煙処理設備というものをつけております。それによって冷却塔あるいは除害塔、電気集じん機、排風機等をずっとつけて、ほとんど煙は出ておりませんよ、私見てきましたけれども。ですから、いまの段階ではそういったものがなくなってきているのじゃないかというふうに思います。しかし、調べた人が、どうも周辺に、たとえば一キロメートル以内には一・何PPmとか、あるいは二キロメートルで〇・八幾つとかというようなことで、ちょっとスタジオ102でも問題になった点でございますので、こういった面は、今後問題点はないのか。そういうもので前に六価クロムの問題がございました。後になってから、実はああいったもので有害な物質が周辺のところに降っていましたなんというのでは、これは大変なことになります。これも排煙処理設備をつけたのも京都においては五十一年、こう聞いておりますので、今後においてはそういった面がないように思いますが、しかし、過去においてそういったものが降ったことがあるのかどうか、そういった面を調査してあるかどうか、また今後として、この有害な物質が地域住民に影響を与えていくというような点がないかどうか、そこをお伺いしたいと思います。
  281. 玉木勉

    ○玉木説明員 まず、鳥羽の処理場の排煙の状況でございますが、京都市の報告によりますと、鳥羽処理場の排ガス中のカドミウムの濃度は、昭和五十年の調査では〇・〇〇〇、零が三つでございますが、〇・〇〇〇六五ミリグラムノルマル立米というようなことでございまして、廃油等の廃棄物焼却炉に適用される大気汚染防止法の基準の〇・三ミリグラムノルマル立米を大幅に下回っております。昭和五十一年七月以降は排ガス処理設備の拡充に伴いまして、カドミウムは検出されておりません。  先ほど先生お話にもございました、いわゆる処理場の周辺の土壌の汚染度が非常に高いという報告につきましては、特に処理場の東北部の土壌が汚染されているという報告でございますが、この処理場の東北部には伸銅所とかメッキ工場等がございまして、これらの事業所からの排ガスや粉じんもこの土壌汚染に大きな影響を与えているんじゃないかと考えられます。また、この地域におきましては、風向きが北風、北の方向が一番頻度が高いという調査もございまして、この研究報告の東北部が汚染されているという報告と矛盾をするわけでございます。処理場の汚染だとすれば南の方が汚染されるのではないかということが言えるわけでございます。  こういった点を総合いたしますと、少なくとも鳥羽の下水場での焼却によってカドミウムによる土壌汚染が起こったということは考えられないのじゃないかと思っております。  なお、先ほど申し上げましたように、現在は排ガス処理設備を完備しておりますので、こういった問題は全くございません。その他の処理場につきましても、排ガスの問題については特に慎重に考えておりまして、これら京都と同じような施設を設けさせることにしております。
  282. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 そういった疑惑がああいったニュース等においても取り上げられておるときでございますし、ぜひひとつみんなが安心できるようなそういった体制に持っていってもらうためにも、今後も調査、検討、よろしくお願いしたいと思います。  そこで、もう時間がございませんので、長官にお伺いしておきたいわけでございますが、いま私は、琵琶湖の異常な赤潮発生に伴って——いま確かに琵琶湖には、四%の下水処理です。もちろん下水処理したって、先ほどのお話しのように、燐や窒素はほとんど流れていっています。あとの九六%は何にもしていないで流れていっているという形です。これは緊急事態です。これをひとつ長官として、いまこそここで取り上げていただいて、そして、たとえば京大の門田教授が言っています。「現在の時点ではっきりいえる赤潮対策は、やはり富栄養化の原因物質、燐や窒素を抑えることだ」と強調しています。また、県立の衛生環境センターの原田利一次長さんが、この前、昨年の六月上旬に高島郡の周島町沖合いでとった水の重金属調査結果、先ほどの重金属の論議でございますが、その調査結果を発表しました。「これは赤潮現象によって黄かっ色になったと思われるもので、鉄が平常値の十倍、マンガンが同十五倍、亜鉛が五倍の高濃度で検出され、「赤潮プランクトンのウログレナが取り込んだのではないか」と述べて注目を浴びた。」こういうようにも報道もされております。  これは緊急避難という意味も含めて、ここで長官として——いま滋賀県においてはいろいろな知事の指令等が幾つも出ております。何とか洗剤を規制していく、皆さんに協力をしていただいて、粉石けんに切りかえてもらいたいというようなものも出しておったり、あるいは各家庭においての排水という面に関しての考慮というものを払ってもらいたいというような面で非常に努力をしておる点は、私はよくわかります。  ここで長官として、これはやはりこの原因となるものをまず抑えない限り、私が言っておる死の湖になってから、自浄作用がなくなってからでは、これにかわる一千三百万の飲料水源はどこにもございません。これはもう二、三年でだめになる、こう言っている学者もございますが、いまのうちに手を打たなかったならば大変でございます。人工島も見てきました。しかし、その周辺は、いま土を入れていくために、物すごくまた反対に汚れています。これが順調にきちっとできていくことを私どもは望んでおりますが、やはりそういった面に関しても長官としての、環境庁としての対策を今回ここで立てなければならないのではないか、こう思いますが、御見解をお伺いしたいと思います。
  283. 山田久就

    山田国務大臣 御指摘のとおり、発生源というものをどういうふうにして、あるいはその原因をどういうふうにして除去していくか、この具体的な対応というものが非常に多岐にわたっているんじゃないか、こういうふうに思います。下水道が四%というような状況考えてみますると、下水道も含めて各方面の協力をまたなければならぬ点が多々あろうかと思います。  いまの事態というものを十分頭に置きまして、関係方面とも協力いたしまして、琵琶湖というこの大事な閉鎖性水域、これに対する対処方針をひとつ至急検討さしていただきたいと思います。
  284. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 時間ですので、終わらしていただきます。
  285. 久保等

    久保委員長 次回は、来る十六日金曜日午前十時理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時五十分散会