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1978-05-12 第84回国会 衆議院 公害対策並びに環境保全特別委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年五月十二日(金曜日)    午前十時三十分開議  出席委員    委員長 久保  等君    理事 相沢 英之君 理事 池田 行彦君    理事 島本 虎三君 理事 水田  稔君    理事 古寺  宏君 理事 中井  洽君       友納 武人君    萩原 幸雄君       福島 譲二君    岩垂寿喜男君       土井たか子君    馬場  昇君       瀬野栄次郎君    竹内 勝彦君       東中 光雄君    工藤  晃君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (環境庁長官) 山田 久就君  出席政府委員         環境政務次官  大鷹 淑子君         環境庁自然保護         局長      出原 孝夫君         建設省都市局長 小林 幸雄君         建設省道路局長 浅井新一郎君  委員外出席者         外務省国際連合         局社会課長   丸山 俊二君         大蔵省関税局輸         入課長     武末 祐吉君         文部省初等中等         教育局小学校教         育課企画官   熱海 則夫君         文化庁文化財保         護部長     山中 昌裕君         通商産業省通商         政策局国際経済         部国際経済課長 黒田  真君         特別委員会調査         室長      綿貫 敏行君     ————————————— 委員の異動 五月十二日  辞任         補欠選任   大原  亨君     岩垂寿喜男君   坂口  力君     瀬野栄次郎君 同日  辞任         補欠選任   瀬野栄次郎君     坂口  力君     ————————————— 本日の会議に付した案件  鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律の一部を改正する  法律案内閣提出第五七号)(参議院送付)      ————◇—————
  2. 久保等

    久保委員長 これより会議を開きます。  鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岩垂寿喜男君。
  3. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 五月十日からバードウイークが始まりました。私は、くしくもこの愛鳥週間のいわば三日目に鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律の一部を改正する法律案が審議されることになったことに、ある種の感慨を禁じ得ません。  大変失礼ですけれども環境庁長官バードウイークがどんな動機で始められたか、恐らく御理解と思いますので、御理解なすっておられるかどうか、お伺いしたいと思います。
  4. 山田久就

    山田国務大臣 愛鳥週間昭和二十二年、国民一般に対して鳥類に関する科学知識を与えてこれを保護する、また愛護精神を涵養させることを目的といたしまして発足したものであることは御案内のとおりでございます。鳥獣保護思想普及啓蒙に対して大きな役割りを果たすことになった、こういうふうに考えております。  環境庁といたしましては、この週間の中に全国の野鳥保護の集いを開催するとともに、第四次鳥獣保護事業計画の基準において、愛鳥週間を活用して探鳥会講演会あるいは植物植栽、印刷物の配布、スライド、映画フィルム貸し付け等行事を積極的に実施するように都道府県をも指導する等の措置によりまして、国民全般愛鳥思想を高揚したい、こう考えております。鳥は植物とともに自然を構成する基本的なものである、そういう認識に立ってできるだけの努力をしたいと考えております。
  5. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 愛鳥の日というものが設けられた動機御存じですか。
  6. 出原孝夫

    出原政府委員 愛鳥の日につきましては、日本の国にはこういう習慣は実はなかったのでございますが、戦後、駐留軍愛鳥家方々が、ちょっと名前は正確に記憶しておりませんが、日本でもこれを設けたらどうかというようなこと、また日本における愛鳥家方々が呼びかけられまして、政府としてもこれに応じてやろうということで始まったもので、最初の二、三年間愛鳥の日、一日だけをバードデーにしておったのでございますが、昭和二十五年からはバードウイークということで、一週間をその週間に指定するというように広げてまいったわけです。
  7. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 私は大臣動機御存じないということを責めるつもりはございませんが、念のために申し上げておきたいと思うのですけれども、終戦直後に実はオリバー・オースチンという有名な鳥の学者が、GHQの野生生物局長ということで赴任なすったのです。実は日本政府は、オースチン氏が鳥の有名な学者だということで、事もあろうに歓迎する意味かすみ網に招待したのです。それでミスターオースチンは大変びっくりしまして、これは大変なことだ、こんなことをしておったのではえらいことになるということで、この方は赤いジープに乗って日本じゅうを駆け回られた方だそうです。私は一緒に関係をした科学者から聞きましたけれども、こんなに緑が多いのにどうしてこんなに野鳥が少ないのだろうかということをいつも嘆かれておられたそうで、いわばこの方が、日本側の運動もございまして、昭和二十二年四月十日に実は第一回の野鳥の日を設けたわけです。これはいわば勧告を受けて政府がそれを実行したわけですね。それ以後、いま御答弁がございましたように、四月というのはちょっと早過ぎる、北海道などではまだ早いから五月ということで、十日から一週間、こういうふうに実は設けられたわけでございますので、まことに皮肉な動機ではありますけれども、これがいわばバードウイークの始まりだというふうに、これはぜひ御理解願っておきたい。そこのところがら、十日から始まった愛鳥週間意味をひとつ大臣に御理解を賜っておきたいと思うのです。  さて、伺っておきますけれども、いま愛鳥週間にどんなことをやっているかということのお話がございました。予算はどのくらい使っているのですか。
  8. 出原孝夫

    出原政府委員 国の予算としては約三百万でございますが、大部分都道府県予算でやってもらっておる、こういうことでございます。
  9. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 やはり政府姿勢がそこにあるのです。たとえば御存じのとおりに、サントリーの新聞広告などを通して愛鳥精神をPRしている予算が八億を超えると言われております。それは一つの企業がやっているわけですけれども政府がそれに対してたった三百万円というのでは、何とも比べ物にもならぬのではないか。一体何のためにこういう週間を設けてやっているのかということを私は問わなければならぬと思うのです。ぜひひとつ大臣、これはことしは間に合いませんけれども、来年のバードウイークには、もうちょっときちんとした体制をとって、予算もとって、ひとつ記念すべき行事をやっていただきたい、このようにお願いをしたいと思うのですが、御答弁いただけますか。
  10. 山田久就

    山田国務大臣 私も、府県との関係その他いろいろあるのでしょうけれども、額としてもっともっとやはり積極的な体制で取り組むべきだ、賛成でございます。したがって、そういう趣旨に基づいてひとつ考えたいと思います。
  11. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 大臣参議院に呼ばれていますので時間がございません。そこで私、大臣には、国際条約批准の問題などを中心にして御答弁を煩わしたいと思いますけれども、駆け足で申し上げます。  最初事務当局で結構ですが、飼い鳥の中で、日本産と同一種の輸入鳥はどのくらい輸入されているか、その数を数えていただきたいと思います。
  12. 出原孝夫

    出原政府委員 日本産の鳥と同種のものにつきまして輸入をいたしておりますものは、たとえばオジロワシとかオオワシとか、コマドリとかウグイスといったようなものがあるわけでございますが、年間一万七千から三万四千羽程度でございます。その大部分はメジロでございます。
  13. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 多いときには五万も入っているのですよ。これは環境庁御存じのはずです。その他の九官鳥など、外国産の鳥類はどのくらい年間に入っておりますか、環境庁はそれを把握されておられますか。
  14. 出原孝夫

    出原政府委員 日本産と同種のものでない鳥類につきましては現在、数量、種類を把握するようなシステムがございませんが、大体のところ推計で約二百万羽というように考えられます。
  15. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 いま自然保護局長からお話がありましたように、九官鳥などの外国産の鳥類が二百万羽、そういう輸入関係して、たとえば九官鳥シマリスなどの輸入国で、日本が非常な需要があって、たとえば台湾などではその数が著しく減少し始めているということを知っていますか。
  16. 出原孝夫

    出原政府委員 正確な事実は承知をいたしませんが、そういうことが言われておるというように聞いております。
  17. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 環境庁が言われておるという程度では困るのですよ。これはちょっと実態を聞けばわかることでございまして、決してむずかしい手続が要るわけではないと思うのです。この辺はぜひひとつ正確に掌握してほしいと私はお願いを申し上げておきたいと思うのです。  これは新聞にも出て騒がれたのですが、神戸の貿易商が架空の動物園イセシマ ズーロジカルガーデンというようなものをつくって、絶滅のおそれのある保護動物を買いあさり、その上今度はアンデス、コンドルがつがいで百十万円、日本国内法では捕獲あるいは売買が禁ぜられているタンチョウヅルつがいで二百万円、あるいはオーストラリア政府が厳しく規制をしているアカカンガルーつがいで百十万円と、全部で五百種類価格表までつけたカタログを世界じゅうにばらまいておる。こういう事実が指摘されて、国際自然保護連合から抗議されてきたということを知っていますか。
  18. 出原孝夫

    出原政府委員 承知をいたしております。
  19. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 知っていて、そういうことをどういうふうにお感じになっていらっしゃいますか。
  20. 出原孝夫

    出原政府委員 環境庁の行政上の所管から申し上げれば、環境庁日本にすむ野生動物保護をする立場にございます。したがいまして、こういうものの取引等につきましては直接の権限のある立場ではございませんが、諸外国野鳥あるいは野獣、野生動物についての問題でございますので、外国のことについて環境庁としても無関心ではおれない、こういうことでございます。
  21. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 たとえば生きた小鳥ですね。ベニスズメなどが非常に狭いかごへ身動きができないほど詰め込まれて輸入されてくる。食べ物も水も飲めぬわけです。そして実は半分以上死んでいる。それでも残った小鳥で利益があると言われています。これは羽田の税関でわかった事実です。こんなような状態世界に知られたら、これは動物虐待最大のものであるという意味で、イルカなどの問題もございましたけれども国際問題に発展しかねない。こういう状態というものを環境庁はどのように考えていらっしゃいますか、大臣
  22. 山田久就

    山田国務大臣 権限の問題はともかくとして、基本的にわれわれの鳥獣、特に貴重な鳥獣に対する大きな関心というものは国際的なものでなければならないと私は思います。したがって、そういう点についてどう措置するか、ちょっと即答はあれですけれども、当然そういう関心があるということが外国によくわかってもらえなければ信用問題にかかわることであろうと思うので、ひとつ研究させてもらいたいと思います。
  23. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 「鳥獣輸入証明書」このカード自然保護局長御存じですね。日本産と同一種の輸入された鳥獣について日本鳥獣商組合連合会輸入証明書自主発行しています。これは環境庁の指導でやられたものかどうかということを、この際承っておきたいと思います。
  24. 出原孝夫

    出原政府委員 環境庁もこのことを行うにつきましては承知をしており、かつこれについてさらに充実してやっていきたいということを望んでおるものでございますので、承知しております。
  25. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 この証明書は正規には一枚四百円で発行されています。この輸入証明書鳥獣名を書いてないもの、いわば白紙の証明書を地方の小売商が束にして持っている、こういう状態があります。それが実は国内産の野鳥の密売に利用されているという例がきわめて多い。これはもうはっきりしているのです。鳥獣名を書いたものは、このカードが大体二千円から三千円で売買され、無記名のものはもっと高く取引されているということも環境庁御存じのとおりです。知っているでしょう。どうですか。
  26. 出原孝夫

    出原政府委員 現在の取り扱いについていろいろ問題があるということは私ども承知をしておりまして、対策検討いたしております。
  27. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 日本産と同一種の飼い鳥輸入証明書は私は禁止すべきだろうと思う。環境庁が指導なさっているのだけれども、やみ取引に使われるいい材料なんですよ。鳥獣輸入証明書に「コジュリン」と書いてある。コジュリンといえば日本産ですね。ここにすでに証拠があらわれているのです。輸入証明書自主発行を中止して、環境庁専門官によるチェックシステム考えるべきじゃないだろうか。環境庁は前から知っているのですから、何らかの対策をこの際お示し願いたいと思うのです。
  28. 出原孝夫

    出原政府委員 御指摘のような問題があることは環境庁としても承知をしておりますので、環境庁としてはできるだけ早期にその改善を図る必要があると考えております。私どもといたしましては、当該の組合のほか鳥獣保護に熱心な学識の経験者をも含めまして、このところをどう改善するかということについての検討会を設けることにいたしたいというように考えております。
  29. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 実はもっと追及したいのですけれども大臣の時間が三十分しかないものですから、また後で触れます。  さらに、問題なのはスマトラトラ、センザンコウ、ウンピョウ、ゴールデンキャット、ワニ、ウミガメなど、長官御存じのWWF、世界野生生物基金あるいはIUCN、国際自然保護連合などで絶滅が心配されている動物の毛皮や骨などが相当数輸入されてきています。ついせんだって、NHKのテレビで動物人間のかかわりについてのドキュメントをシリーズとして放送されました。その中で、私も見てびっくりしたのですが、ケニアにおける密猟とその取り締まりのことが放映されていました。密猟犯人は二年あるいは三年刑務所に入れられていても密猟鳥獣が非常に高く売れるので採算が合う、そして密猟鳥獣を買う最大のお得意が日本だ、いわば日本密猟を支えている面があると言われた言葉を私はいまでも覚えています。  そればかりではありません。ワシやタカ、フクロウなどの猛禽あるいはカワセミ、キジなどの美しい鳥を剥製にするために、塩漬けの剥皮がおびただしい量輸入されています。御承知のとおり台湾政府猛禽捕獲を禁止しているのですけれども台湾でとったやつが実は香港という自由貿易港を経由して一回二百枚ぐらい、月二回ぐらい入ってくる。私はこの資料を皆持っています。ここで明らかにしてもいいのですけれども、おびただしい量です。こういう状態を放置しておくことは国際的な信頼を損なうということを私は問題にしなければならぬ、このように思うのです。そのことについて環境庁はどのようにお考えになっていますか。
  30. 出原孝夫

    出原政府委員 これらの問題は、基本的には貿易、要するに商取引にかかわる問題でもございます。しかし、環境庁といたしましては、その権限上は日本野生生物保護ということでございますので、その及ぶところの問題ではございませんが、他の国の野生生物が十分に人間共存をして栄えていくということも当然必要なことであると考えておりまして、先ほど申し上げましたように関心を持たざるを得ない問題であると思います。
  31. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 関心を持たざるを得ないだけでなくて、好ましいことではないと、なぜはっきり言えないのですか。
  32. 出原孝夫

    出原政府委員 これは先ほど申し上げましたように、商取引にかかわる問題でございますが、動物保護に当たる環境庁としては、これらが十分保護育成をされるように、外国でも保護育成されるように国際間の協力が必要であると考えております。
  33. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 外国ではという前に、日本姿勢を正す必要があるのです。沖縄の西表のカンムリワシというのがいますね。これは落ちた羽でも売買が禁じられていますね。そうでしょう。わからなければいい。その次続ける。  ところが、このような鳥の、いわばカンムリワシというのは、オオカンムリワシ亜種なんです、学名は違いますけれども。このオオカンムリワシ鋼製を事もあろうに昨年巨人軍の王選手国民栄誉賞を受けた際に福田内閣総理大臣が贈っているのです。私は、総理大臣がこれを選んだものではないと思います。しかし、日本政府姿勢鳥獣保護姿勢がここに出ているのです、実は。こういうことを自然保護局長は、どうお考えになっているかということを聞きたいが、実は、もうこんなことは言わなくたってわかっていると思うからあえて聞かない。  私は、以上言いたいことはいろいろなことを言ってきた。なぜこんなことを私は幾つか指摘したかというと、たとえばイギリス鳥獣保護協会など、世界じゅう鳥獣保護の団体などから野生生物最大輸入国である日本は一体どうなっているのだろうか、調査費を出すから、ぜひ調べてくれというようなことを日本野鳥の会に依頼があったという事実がございます。つまり国際的に批判が非常に強くなっている。日本国際的にひんしゅくを買っている。輸出をたくさんして怒られている。鳥獣、そういうものについては輸入をし過ぎて、実は国際的にも非常に重大問題が起こっている。このように正確にわかっていただきたいと思うのです。  そこで伺います。このような非難にこたえるためにば、一九六三年に提唱され、すでに四十カ国が加盟し、効力を発揮しておる野生動物及び植物絶滅のおそれのある種の国際取引に関する条約通称ワシントン条約批准を急ぐべきである、このように私は思います。実は、日本は一九七三年に調印しただけで五年間批准がおくれているわけであります。そして、その批准についてさまざまな意見国際的にもございます。国内世論は、もう批准すべきだという世論が非常に熟してきているのではないかと思うのです。なぜできないのか。いろいろ理由をつけたとしても、たとえばある野鳥研究家が足で歩いて調べてきた剥製の値段についての表がここにございます。たとえばサシバ、輸入価格が六千円、加工費が三千円、小売価格で二万円から十万円で取引されている。大型タカ輸入価格が一万円、加工費が六千円、一万六千円のものが小売価格では五万円から十五万円、イヌワシだと輸入価格が三万円、加工費が一万円、つまり四万円のものが小売価格で十五万円から二十万円、最近ではもっとしている、こういう状態があるのです。剥製を扱う商売というものはもうかる商売だ、こういう立場から、ワシントン条約批准について強い反対の意見が述べられていることは御存じのとおりです。  そこで、大臣に私は伺いたいけれどもワシントン条約批准について環境庁はどのようなお立場をとっておられるか、そのことについて簡単に御答弁をいただきたいと思います。
  34. 山田久就

    山田国務大臣 できるだけ早期に本条約批准が行われることが望ましい、こういう立場に立ちまして、そういうことで、これは関係省庁にもそういうことを申し入れております。目下、外務省中心になって、これについての批准の各省間の折衝準備ということを進めてやっているようでございまするが、わが方の立場は、いま申し上げたようなとおりでございます。
  35. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 通産省見えですか。批准についてはどのように考えておられますか。何か支障がありますか。
  36. 黒田真

    黒田説明員 考え方として、この条約が正しい方向に向かっておると思いますが、実際の管理の問題でなお検討すべき事項が残っておるということから、なお批准には至っておらないというふうに私、了解しております。
  37. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 その体制をつくるのにかなり時間がかかりますか。いままで検討してきたのでしょう。
  38. 黒田真

    黒田説明員 外国為替及び外国貿易管理法というような、水際の輸出入貿易管理制度というものは法律的にございますけれども、これを実際に守らせるための具体的な措置というのは、単に法律的に、この条約を受けて規制をしただけでは実効は確保されないということで、なお具体的にそこにまだ自信が持てないというふうに思っております。
  39. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 大蔵省見えですか。大蔵省支障は何かございますか。
  40. 武末祐吉

    ○武末説明員 この条約によりますと、規制の対象となる生物輸出入につきまして、輸出許可証あるいは輸入許可証の双方または輸出許可証輸出入の際に提示しなければならないということになっておるようでございます。したがいまして、この条約が実施されることになりますと、その輸出入に当たって、いま申し上げたような許可証が添付されているかどうかということについては、これは税関で確認をするということになろうかと思っております。  ただ、そのためには、その実施のための具体的な国内措置国内法令整備とか、認定資料整備、そういったようなことを各主管官庁でまずやっていただくということが必要なのではないかというふうに考えております。こういう意味で、現在、外務省中心になって検討を進めておられるということでございますので、大蔵省としてもこれに参加をしておるということでございます。
  41. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 外務省おられますけれども、また後で聞きます、いま、大臣が時間だというものですから。  大臣、いま私が指摘したような事実を改めて御認識いただきたい。そうして、いま大蔵省なり通産省から意見を述べられました。それほど基本的な障害ではないのです。やる気になれば、これはそれほど時間のかかることでもないのです。私も、実はいろいろな意味でそういう問題点検討さしていただきました。だから、愛鳥週間最大のプレゼントとして、この次の国会批准手続をとるように、調整権限を持っている内閣総理大臣お話をすることのできる環境庁長官なんですから、ぜひこの次の国会批准手続をとりたい、そういう決意を述べていただきたい。
  42. 山田久就

    山田国務大臣 できるだけそういうことで対処する方針で臨みたいと思います。  問題は、日本では鳥というものを世界と違ってかごの中で飼うあるいは剥製というものを愛するというような習慣ですね、ここら辺に需要があるところにいろいろ問題がある。ここら辺のところをどうするかという基本問題も同時に、大きな目的を達するためには考えていく必要があるのではないか、こういうような感じも私は持っております。
  43. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 関連して、ラムサー条約、これは野生生物を守ろうというだけではなくて、渡り鳥の中継地つまり千がたや湖沼を各国が力を合わせて守ろうという、いわゆる国際湿地条約でございます。これも批准していません。日本は加盟してないのであります。去年十一月に国際機関から働きかけがあったことば御存じのとおりです。私は、ラムサー条約もぜひこの次の国会批准をする手続をとっていただきたい。そのために環境庁長官が腹をくくっていただきたい。率直にこれは私お願いをいたしますが、御答弁を煩わしたいと思います。
  44. 山田久就

    山田国務大臣 私もそのつもりで、すでに事は地方庁とも関連するものですが、準備を進めているのが現在の状況であります。
  45. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 繰り返して申し上げますが、これだけ国際的な世論非難を受けている、国内的にも世論は熟してきている。ですから、その条約批准の御検討をぜひ煩わしたい。  実はこの十五日からですか、日本野鳥の会が国際条約批准促進国際シンポジウムを開きます。これに環境庁代表、責任ある人が行ってごあいさつをするということはできませんか。できたら大臣に出ていただきたいのです。これは私が申し上げなくても知っているように、英国の鳥類保護協会動物愛護協会、あるいはアメリカ政府野生生物局地球共存会国際自然保護連合代表など、国際的な機関代表が来るのです。環境庁長官が出て、あるいはそれにかわる方が出て、ここでやはり日本の態度を明らかにしてほしい、このようにお願いしたいと思うのですがいかがですか。
  46. 山田久就

    山田国務大臣 いまのお話、とにかく私なり何なり責任のある者が出て、そういう国際的なことに対するわれわれの協力の姿勢を示す態度をもって臨みたいと思います。
  47. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 ぜひとも大臣に出ていただきたいというお願いをして、参議院に行かれる時間が来たそうですので、どうぞ。  私は、実は本当はここのところをもう少し大臣と詰めたかったのです。しかし、参議院の方も日程があるというので、私も、それはやむを得ないとは思います。しかし、こっちの方が定例日なんでございますから、余り細切れにあっち行ったりこっち行ったりということでは私は困る、このように思います。その点を申し上げておきたいと思います。  外務省見えですけれどもワシントン条約あるいはラムサー条約、これらを外務省も——私は園田外務大臣にまたお願いをするつもりですけれども外務省として積極的な姿勢をとって今日まで来られたように私も思いますので、その準備の状況などについて一括して御答弁お願いしたいと思います。
  48. 丸山俊二

    ○丸山説明員 御説明申し上げます。  野生動物及び植物絶滅のおそれのある種の国際取引に関する条約、いわゆるワシントン条約でございますが、先生御指摘のとおりわが国はこの条約の趣旨に賛同いたしまして、昭和四十八年に署名をしております。私どもといたしましては、この条約を締結したいという方向で現在、技術的な面、何分にも国際的な取引に係る条約でございますから技術的な面が多うございますのでその点、あるいは国内的な体制等について検討を行っている次第でございます。  ラムサー条約につきましても検討を行っております。
  49. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 五年たっているわけですよね。そして検討をし始めてからもかなり久しい期間が流れているわけですね。ですからいま環境庁長官も、次の国会をめどにして努力をするとおっしゃいました。外務省としてもその方向で全力を挙げて取り組んでいくというふうに考えてよろしゅうございますか。
  50. 丸山俊二

    ○丸山説明員 外務省といたしまして抱えております条約案件がどのくらいあるのか私つまびらかにしておりませんが、私どもとしては全力を挙げて努力いたしたいと思います。
  51. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 もう一遍大蔵省通産省に、ぜひその決意のほど——つまり皆さんの決意にもかかっているわけです。これは、私が細々といろいろな事情を言いましたけれども、皆さんにも正確に理解を願いたい。国際的に日本がひんしゅくを買っている状況というのをいつまでも放置しておくことはよくないし、たまたま愛鳥週間、バードウィークの三日目です。関係者として、担当者としてぜひできるだけ早く詰めて、批准手続を行えるような体制外務省なり環境庁と協力をしてやっていくという決意をこの機会に御表明を願いたいと思うのです。
  52. 黒田真

    黒田説明員 通産省といたしましても、先ほども申し上げましたがいろいろ問題もあろうかと思いますけれども、ただいま御指摘のございましたように、積極的な方向で取り組んでいくべきものと考えております。
  53. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 もう一言。通産省が何かネックだということが言われているのですから、その汚名を返上する意味でも、いままで検討した結果で見当がついていると思うのですが、時間、期間はどのくらいかかるのかという気持ちも述べていただきたい。
  54. 黒田真

    黒田説明員 具体的な期間については私ここで申し上げる立場にはございませんが、ただいま先生御指摘の御趣旨に沿ってやらせていただきたいと思います。
  55. 岩垂寿喜男

  56. 武末祐吉

    ○武末説明員 先ほども申し上げましたとおり、条約実施に伴う国内体制整備されれば、税関としてはそれに従って実施されるものというふうに考えております。
  57. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 別に税関の人数をそうふやす必要はないのでしょう。
  58. 武末祐吉

    ○武末説明員 現在でも特殊鳥類あるいは鳥獣保護、こういった法律に基づく証明書の添付の確認については税関で実施しております。今回の条約によりますと、規制の対象が非常に幅が広いので、その点が従来とは大分様子が変わってくるかとも思いますが、事柄の本質としては変わりがないというように思います。
  59. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 大体環境庁は前向きで、外務省も取りまとめる努力をしているけれども、大蔵と通産がやはり相当抵抗しているという話を聞いていたのですが、いま承るところによれば、そういう前向きの環境庁あるいは外務省の取り組みの中で協力をしていくというお答えをいただいたものと確認をさせていただきたいと思うのです。よろしゅうございますね。ぜひそうしていただきたいと思うのです。  政務次官、せっかく長いこと座っていますから、この問題について御所見を承りたいと思います。
  60. 大鷹淑子

    ○大鷹政府委員 先ほどから岩垂先生の御意見を伺っておりまして、私も本当に心を打たれました。私も人後に落ちない鳥獣類の愛護者であると自負しておりますので、本当にそうだと思いました。  鳥や動物の取り扱い方とか態度が、国際的に見まして日本は決して文明国の一国として扱われていない、文明国までいっていないということを私はふだんからいろいろなことで体験しておりますので、岩垂先生のおっしゃいましたように本当にラムサー条約もこのワシントン条約も一日も早く締結してほしい、批准してほしいということで、私も一生懸命努力させていただきます。
  61. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 本当だ、ぜひそうお願いをしたいと思うのです。  これは自然保護局長で結構ですが、ラムサーに関連して、環境庁は、干がたや湖沼の特定の作業をいまなさっておられるわけでしょう。日本の場合は、当初は大体何カ所ぐらい指定なさる予定か、その点を御答弁いただきたい。
  62. 出原孝夫

    出原政府委員 条約上は最低一カ所あればいいということでございます。その候補地を選定をするということは、地元の了解等も必要な問題でございまして、私どもも現在その折衝を進めておるところでございますので、具体的な候補地なりその個所数を申し上げるところまでまだいっておりませんのは大変申しわけなく存じますが、私どもできるだけ早い機会にそれぞれの了解を得て進められるような努力を現在いたしておりますので、御了承を願いたいと思います。
  63. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 これは、いろいろなややこしいことはないわけですから、環境庁の努力でできるのですよ。だから、ぜひこの次の国会に提出をするように事務当局としても、いや政務次官も御努力を願いたい、このように思います。  この際、伺っておきますが、政府野生動物保護管理について研究機関を設ける、そして研究とその成果の普及に努める、そして、できればそこでは一種の研修所みたいな機能も持たせて専門官の養成——専門官が非常に不足しているのです。このことを提案をいたしますけれども、この問題についてはどのようにお考えになっていらっしゃいますか。
  64. 出原孝夫

    出原政府委員 鳥獣保護の行政を推進していく上には、御指摘のように野生鳥獣に関する専門的な知識、技術を有する者の確保を図ることが重要でございます。従来から私どもの方も、都道府県に対しましては、職員の採用に当たっては野生鳥獣管理の知識を有する者を努めて選ぶように依頼し、指導を行っておるところでございますが、今後さらに国及び都道府県の職員の研修の充実を図る等によりまして、専門職員を養成することにも努めてまいりたいと考えております。
  65. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 やはり研究機関を設ける必要があると私は思うのですよ。それほどお金がかかるものじゃないのです。だから、来年度予算などでこの検討をして、いま時期なんですから、最初は小さくてもそれなりの機能を持ち得ると私は思います。先ほど大臣は、国民は要するにかごで鳥を飼う習慣があるという言葉を言われました。それも一つの真理だと思いますけれども、そういう問題を、それでいいのかという国民に対する問いかけというものが行政のサイドから行われていかないとすれば、いまのような自然のままに、もうけ仕事のために、世界じゅうの貴重な鳥獣が殺されたり、輸入されたり、あるいは日本に集められたり、日本が何となく禁止された鳥獣の横流し国みたいにレッテルを張られる、こういうことになりかねないのであります。そういう点で、ぜひ研究機関の設置について環境庁予算要求をしていただきたい、その体制を組んでいただきたい、このように心からお願いをいたしますが、その点についての誠意ある御答弁を煩わしたいと思います。
  66. 出原孝夫

    出原政府委員 経過的に申し上げますと、鳥獣保護の業務は林野庁が持っておったものを環境庁が引き継いだわけでございますが、現在、林野庁におきましては農林省の林業試験場に鳥獣科が置かれるということが一つございます。しかし、環境庁といたしましても研究機関を設ける必要があるということは自然環境保全審議会の御意見もいただいておるところでございます。現在、国家公務員の定数については厳しい状況でございますので実現には非常に問題が多かろうとは思いますけれども、私どもといたしましては、今後努力をすべき大きな問題の一つであるというように理解をいたしております。
  67. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 これは出原さん御存じのとおりに、鳥獣保護議員連盟も超党派でそういうことを提言していますよ。だから、あなたの方でやる気になれば、受けざらはそれを支えていくことの条件が整っているわけです。いいですか。問題は、環境庁がその気になるかならないかなんですよ。私は、膨大な予算最初から組めと言っているのじゃないのです。そういうシステム環境庁の位置づけの中にきちんとしなさい、これを言っているのです。だから、これはそういうふうに努力をするということを——来年度ですよ、いつまでもやらないで。ぜひもう一遍決意のほどを承りたい。これは政務次官。
  68. 大鷹淑子

    ○大鷹政府委員 特に先ほどの関連でもございますけれども日本に大変必要なことだと思います。そういうことを通じて、一般の国民に鳥類動物愛護する、保護するという気持ちを普及していくというためにも、そういう専門の研究施設をつくるということはとても大事なことだと思いますので、来年度の予算ということを目標に置きまして、長官にハッパをかけますと申し上げていいのか、御相談して一生懸命やります。
  69. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 大鷹先生、これは歴史に残る仕事なんですよ。だから、あなたが政治生命をかけてもやってみたいというぐらいの決意を、環境政務次官をやっておられるわけですから、歴史に残る仕事を一つ残してくださいよ。だから、ハッパをかけるなんてものじゃなくて、あなた自身がその気になって駆け回るという御決意を、しつこいようですがもう一遍承っておきたいと思います。
  70. 大鷹淑子

    ○大鷹政府委員 私個人の気持ちとしては、本当に熱意を持ってやりたいのです。(「やります」と呼ぶ者あり)では、やります。
  71. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 ありがとうございました。まだ喜んでいいかどうかわかりませんけれども、そのようにしていただきたいと思います。  文部省お越しですか。環境庁愛鳥モデル校を初め学校教育で鳥獣保護運動に取り組んでいることは御存じのとおりであります。しかし、これを私、現実に現場の学校でとらえてみますと、担当の教師が一生懸命やればやるほど何かよけいな仕事をしているように思われる面もある。すべてだとは言いません。幾らやっても実績にならないとかあるいは出張扱いにもならないという現実がここにあるわけです。私は、環境庁サイドだけではこの運動はだめなんでして、文部省と提携をしなければならぬと思っておるのです。たとえば教育委員会などにしっかり通達を出していただくとか、あるいはカリキュラムや教科書にもっときちんと入れていただくとか、つまり未来を担う子供たちの教育の中でこの問題を積極的に取り上げていく必要があると私は思うのですが、文部省の御協力を願いたいという気持ちを込めて御答弁を煩わしたいと思います。
  72. 熱海則夫

    ○熱海説明員 学校教育では、従来から理科、社会あるいは道徳、こういった教科の特質に応じて、それぞれ環境保全の観点から、あるいは生命尊重という観点から、この愛鳥の問題も含めて取り扱ってきているわけですが、それ以外に、いま先生が御指摘のような特別活動という分野で、そういった巣箱をつくったりあるいは渡り鳥のえづけをしたり、こういった活動などが学校によっていろいろやられているところでございます。文部省でも、自然保護連合主催のこういった作文の募集とかいったものについては従来からいろいろ一緒にやってきましたけれども、この問題は教育上も非常に大事な問題だと思います。  なお、そういった意味では、今後ともこういった問題に対して積極的に協力して一致ともにやりたいと思っております。
  73. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 もうちょっと具体的に、教育委員会に通達を出して、たとえばバードウイークなどの機会に積極的な指導をしていくということについてはよろしゅうございますか。
  74. 熱海則夫

    ○熱海説明員 従来も、もちろんそういった意味では教育委員会等の御協力を得て、そういった作文の募集なども文部省も参与をしておりましたから、こういったことも含めてさらに今後積極的に問題に取り組んでいきたい……(岩垂委員「通達を出していただくことはいいですね」と呼ぶ)はい。
  75. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 ありがとうございました。  皆さんお忙しいですから、最後に外務省の丸山さん、大蔵省の武末さん、通産省黒田さん、文部省の熱海さんにもお願いをしたいと思うのですが、私がさっき申し上げた国際条約批准を促進するための国際的なシンポジウム、十五、十六、十七日とございますが、せめて十六日のこのシンポジウム、オン・ザ・ワシントン・コンベンション、二時から五時まででございますが、オブザーバーで結構ですから、ぜひそれぞれの省から御参加いただけるという御答弁をいただけますか。
  76. 黒田真

    黒田説明員 いい機会ですから、私の方からはしかるべき者をオブザーバーとして出席させたいと思います。
  77. 丸山俊二

    ○丸山説明員 私どもの方もしかるべき者の出席、あるいは私かどうかわかりませんけれども検討いたします。
  78. 武末祐吉

    ○武末説明員 ただいま初めて伺いましたので、よく検討させていただきます。
  79. 熱海則夫

    ○熱海説明員 参加する方向で検討させていただきたいと思います。
  80. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 できるだけ出てください。ぜひひとつよろしくお願いをしたいと思います。お忙しいでしょうから、お引き取りいただいて結構です。  私は、続いてこの法律全体について意見を述べさしていただきたいと思いますし、御答弁をいただきたいと思うのです。勉強させていただきました。やはり相変わらず狩猟法のからが抜け切れていないと指摘せざるを得ません。特に保護への積極的な姿勢が十分でないということ。それはたとえば、保護のための行政機構の整備や体系化という問題が全く手をつけられていないことが問題にされなければならぬと思うのです。特にさっき申し上げましたように、専門官の必要性というものが十分認められていない。保護区の管理、運営についての考え方というものが非常に観念的で具体性に乏しい。さっき申し上げたように、輸入規制が相手方の出方に任せて、日本国としての姿勢が受け身である。国益だとか国際的な世論に反するというふうなことがあるならば、やはり断固輸入を拒否するという姿勢を貫かなければならぬ、こういうふうに私は思うわけでございますが、質問の第一点として、鳥獣以外の野生動物について、国家が責任を持ってその調査と保全あるいは管理に当たるという、より大局的な立場というもの、あるいはその立場を貫し法律がいまや必要になってきているんじゃないだろうか、こんなふうに思いますが、この点についてはどのようにお考えに  なっていらっしゃいますか。
  81. 出原孝夫

    出原政府委員 法律の体系としてそれを必要とするかどうかという問題は別途あるかと思いますが、私どもといたしましては、現在の鳥のほか、けものを含めまして、野生鳥獣日本の中に現在、鳥で五百種類と言われておりますが、どれだけおるか、そしてそれがどの地域にどのように分布しておるかということにつきましても、従来、学者の研究その他はいろいろございますが、国として総合的にまとめることにつきましては、御指摘のようにまだ十分でございません。したがいまして、昭和五十三年度及び五十四年度におきまして、第二回の緑の国勢調査の五十三年度の仕事と  いたしましては、野生鳥獣の現状の把握ということを主眼点に置いて調査をいたしたいということで、現在その実施の準備に取りかかっておるところでございます。
  82. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 これは、もとの大石環境庁長官が全国禁猟区という考え方を出されて、そのままになっているわけです。今度の法律改正に関連をして、いわゆる乱場、自由猟場をなぜなくさなかったのか、理由を承っておきたいと思うのです。自由猟場では、もう御存じのとおりに事故が非常に多い。ハンター以外に対する被害が非常にふえている。危険なスポーツ——スポーツというふうに断定をしていないわけですけれども、そのように考えられている銃猟というのは、たとえばゴルフ場やフィールドアーチェリーなどと同じく猟区のみに限定していくべきだ。これはやはり国民の世論ではないかと私ば思うのです。そういう点で、今度乱場というものをおなくしにならなかった理由について御説明をいただきたいと思うのです。
  83. 出原孝夫

    出原政府委員 鳥獣保護及び狩猟の制度の適正化につきまして、昭和四十七年に自然環境保全審議会に対しまして、今後のあり方について御諮問を申し上げたわけでございます。それにつきましての答申を今年の一月の二十日にいただいたわけでございますが、この間数年を要しました大きな理由は、御指摘の猟場の考え方について審議会の諸先生方の御意見が一致をいたさなかったということでございます。そのためにこれだけの期間を要したわけでございますが、最終的に、大きく分けますと三つの意見が一致しないままであるという御答申をいただいたわけでございます。環境庁といたしましては、これの具体的な取り扱いには私ども非常に苦慮しておった問題でございますが、その内容は、現行の制度をそのままで続けていくのが望ましいのだという考え方が一つでございます。それからもう一つの考え方は、限られた場所でだけ猟ができるようにすべきであるという考え方であり、さらにそれを限定しまして、猟区、放鳥を中心とした猟区で、たとえばキジでございますとか、そういった特定の種類の鳥だけを撃つような猟場を設けるべきである、それ以外は禁止すべきであるという三つの考え方が実は一致はいたしませんでした。そういう意味におきまして、現行の制度を大きくいじくるということはなかなかむずかしい。これは実は背景といたしましては、諸外国の場合と日本の場合とで歴史的な背景が異なっております。特に土地の所有についても、日本では細分化されておるとかあるいは狩猟権が確立していないとかいったような問題とも絡んでおりますので、非常にむずかしい問題であるわけでございます。
  84. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 土地の問題ということを承りましたけれども、たとえば私設の猟区、これは一定面積があって希望するところがあれば、これは私ばそれに対する私設の保護区というようなものを認めるべきではないか、こんなふうに思うのです。というのは、いろいろな例、もう申し上げません。鉄砲撃たれますと木が痛みますから、できたらやはり保護区にしてほしい。しかしこれは、私有地であるという場合には、できないのです。こういう問題というのは、いまの中間的な措置としても認めるという方向を出すべきではないか、こう思いますが、いかがですか。
  85. 出原孝夫

    出原政府委員 そういう考え方もございます。ただ、鳥獣保護につきましては、保護をするときに、逆にまた害がふえてくるというような問題もございますので、それらを含めて責任のある体制でということになりますと、鳥獣保護区は国または都道府県が設定するというのが基本的な考え方であるということは、やはり持っておるべき立場だろうと思います。その上に御指摘のような私営のも認められてよいかどうか、これは即座に私どもも答えの出せる問題ではないと思いますが、今後の課題の一つであるというようには考えております。
  86. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 ぜひこれは検討してほしいと思うのです。季望しているところがあるわけですから、そういう制度上だめだというふうに無慈悲に突き放さない方法を何か考えていただきたい、このように思います。  それから例の張り網、これはカモ猟用のものが主としてあるわけですが、カモ以外の禁鳥がかかる例が非常に多い。これは禁止すべきではないか、こんなふうに思いますが、その点はどうですか。
  87. 出原孝夫

    出原政府委員 かすみ網はもうすでに禁止をいたしておりますが、張り網についてはまだ禁止をいたしておりません。ただ、御指摘のように、張り網に狩猟禁止されておる鳥が無差別にかかって捕獲されるというようなことになるとともに、実は現在の状況をよくよく見てまいりますと、一人の人間なり許可を受けた者の管理能力を超える張り網を張っておるのがその大きな原因であるというようなこともあるということを私ども承知をいたしております。張り網のよく行われる地域に先般私どもの主管課長を派遣いたしまして、実情を県の方から十分聴取をするといったようなこともいたしてきたわけでございますが、この問題はできるだけ早期に、張り網に関する規制を強化するという方向での関係県の意見をいま聞いておりますので、それに基づきまして今後の措置検討いたしたいということでございます。
  88. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 有害鳥獣駆除をハンターに依頼するというのはどうも問題があるのじゃないかという意見が非常に強いのです。たとえば凶悪犯の逮捕を警察が空手や柔道のクラブに頼むだろうかというようなたとえを指摘をする人もいますけれども、スポーツハンティングという考え方と、コントロールハンティングというのは本来異質のものだ、私はそう思うのです。したがって、有害鳥獣駆除というのは行政の一環として可能な限り専門官がこれに当たるべきだ、こういう考え方を述べたいと思うのです。  もうだんだん時間が迫ってきましたからまとめて伺います。同時に、実際にハンターの資質が非常に低いために、私がさっき申し上げたことに関連をして、有害鳥獣駆除というものが十分機能していないという例がございます。送電線を切ってしまったり、これは神奈川県、私の方でもあったのですが、勢子を間違えて撃ってしまって、亡くなってしまったのです。そういう問題を考えたときには、実際問題として、駆除というものの考え方、たとえば鳥獣の実数を把握できなかったり、あるいはシカやカモシカの生け捕りに失敗したり、いろいろなケースがあるわけです。これは私が申し上げなくてもわかっていると思う。そういう意味では、たとえば外国のプロを招いてでも、ハンターのクラブにイージーに委嘱をしていくというやり方はやめなければいけないんじゃないか、こういうふうに思うのです。この点についてはどのようにお考えですか。
  89. 出原孝夫

    出原政府委員 有害鳥獣の駆除につきましては考え方がいろいろあるかと思います。一つは、狩猟が結果的に有害鳥獣の駆除に寄与をしておるということは、先般の自然環境保全審議会の御答申の中でも、鳥を保護することに熱心な方々も、あるいは狩猟に熱心な方々にも共通してあった意見でございます。しかし、それが主体であっていいのかどうかという問題になりますと、これは別途あるかと思います。ただ、一面から取り上げますと、それを公営にするのがいいのかという問題になってまいりますと、これは農業被害その他が起こるわけでございますが、基本的には、被害者がみずから許可を得て駆除を図るということが一番基本にあるべきだという議論もございます。これらを総合しましての問題になるかと思いますが、そのほかにまた、結果的にそういったものを認めながら、やはり公営でやるということは、つけを税金に回すということでございますので、その辺についても、国民全体のコンセンサスがどこにあるかという問題もあるかと思います。これらを総合して判断すべき問題であると思いますので、現在の制度をいま直ちにいじくるということはなかなかむずかしいかと考えます。
  90. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 猟狩というものが有害鳥獣のコントロールあるいは発生防止に役立つという論理にはやはり限界がある。これはもうお認めになっていらっしゃると思うのです。それは、例を挙げると、たとえばハンターにとって魅力の乏しいカラスだとか、あるいはゴイサギなどはほとんどとらないわけです。野犬も同じですよ。したがって、これらの鳥はどんどんふえこそすれ減らないわけです。特に私の選挙区などでも、ムクドリとかオナガなどの、猟鳥でない鳥の害性が高まっているけれども、これらの増減と狩猟とは全く関係がない。だから、スポーツハンターに狩猟の公益性という考え方があるとしても、そういうものだけに行政が寄りかかっていてはいけない、こんなふうに私は申し上げておきたいと思うのです。これは、もういま御答弁をいただきましたから、そういう観点をこの際は考えていただきたいというふうに思います。  それにしても、いま鳥獣専門官というのはたった一人ですってね。これは何ともお恥ずかしいと思うんだな。アメリカの連邦政府でもドクタークラスの専門家が二百人ぐらいいる。予算の面でいけばたった一億円ちょっと。国際的にも、さっき申し上げた国際条約批准を済ませてないものが多い。これは環境庁のみならず、さっき大蔵省は帰ってしまったけれども、係が違うから御答弁をするわけにはいかぬと思うけれども、国自身が一体やる気があるのかないのか、私は、基本的な姿勢をやはり承っておきたいと思うのです。この点についてぜひ御答弁をいただきたい。
  91. 出原孝夫

    出原政府委員 いま、専門官を取り出しての御指摘があったわけでございますが、私どもの方の努力もお認めいただきたいという意味で申し上げますと、現在、環境庁鳥獣保護課には十二人の職員がおりますが、ごく初歩の、近々採用した者を除きまして、相当部分ばかなり専門の知識を有する職員でございます。役所の制度上、ライン業務とスタッフ業務とを行わせるということで、それらはいずれも専門の者でございますが、ライン業務を行う者は課長補佐という名前で業務をやらしておりますので、専門官というのはその中のスタッフ業務として一名ということでございますので、これは、林野庁から私どもが受け取るときは一つの班であったものを課にしたわけでございますし、その時点におきまして’予算も一挙に十倍程度になっておるような状況にまで充実をいたしてきておりますので、なお今後努力を要すべき問題であるとは考えておりますけれども、その辺のところもお認めいただけましたらと思うわけでございます。  なお、予算の面につきましては、それにしても一億数千万ではないかという御指摘もあろうかと思いますが、現在の鳥獣保護法の基本的な体系といたしましては、その財源は都道府県の税に求めるということで、都道府県目的税によって財源を賄うということを基本にいたしておりますので、県のその行政の費用を全部合わせますと三十億程度になっておるということもございますので、あわせて御了解をいただければと思うわけでございます。
  92. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 たった一人というのはやはり現実なんです。そして、私申し上げますけれども、県の場合もそうですけれども、国の場合でもその例外ではないと思うのだけれども、地元へ行って、鳥獣行政を担当するわけですけれども、実際問題としては、狩猟の免許業務などに忙殺されていまして、余り勉強する時間もないわけですよ。それで、二年もたてば栄転、こういうわけです。そしてまた新しい人が来るわけです。これがやはり私は、日本鳥獣行政が諸外国と比べても立ちおくれている一つの原因ではないだろうかと思うのです。決定的な専門官の不足。これは、私、大変恐縮ですけれども、私も余り知りませんけれども環境庁の諸先輩も、たとえば鳥獣などについて言えば、余り専門家じゃない方がおられますよ。多いですよ。私は、やはり専門のシステムというものをつくらなければいかぬと思うのです。たとえば林野行政の中にあるSP、そして地方自治体がこれの受けざらになる、そういう形でこれがペアになって仕事をしていく。そうしないと、法律をどうやったって、行政でどういう形で努力してみても、最もその問題にかかわっている現場の専門家が不足しているということが問題だろうと私は思うのです。ですから、一つの例ですけれども、たとえばボランティアを採用していくとか、あるいは国立公園の自然公園指導員、これは全国に二千人ぐらいいますか、そういう人たちにお手伝いをいただく、あるいはそういう人たちを転用するというようなシステムということをお考えになったことはございませんか。
  93. 出原孝夫

    出原政府委員 環境庁が発足いたしまして、昭和四十六年からでございますから七年を経過してきておるわけでございますが、当初の経緯から申し上げまして、自然公園を担当しておる者と、それから鳥獣保護を扱ってきておる者とがそれぞれ違った官庁から来たわけでございます。それがいま一つの役所の中で、同じような目的で仕事をするようになってきておるわけでございますので、これらが漸次融合して一つの行政として動いていくということは私どもも努力をしておりますが、なお今後とも努力をしなければならない部分が非常に多うございます。  専門の職員につきましても、自然公園の専門職員は実は鳥、けものについても非常に関心の深い、専門的な知識を持っておる者も多いわけでございます。そういった者につきましては、環境庁の仕事の体制として両方にかかわってやれるようにということで、これは漸次進めておりますが、なお充実をするようにして努力をいたしたい。  一般の民間のボランティアにつきましても、まだそこまで手が届いておりませんけれども、御指摘のような問題は今後当然検討の爼上に上せるべきものの一つであると考えております。
  94. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 野辺さんの出世を妨げてはいけませんけれども、あなたは林野庁からお見えになって、専門家にならないうちにまた戻ってしまう可能性があるのだ。だから、そういう点も含めて、専門家の養成というものと、行政の上でその経験やあるいは知識を生かすことができるようなある程度きちんとしたシステムをこの際考えていただきたい、このことをぜひ私はお願いをしたいと思うのです。  なぜそういうことを言うかといいますと、結局、現在の鳥獣保護員というのは、ほとんど猟友会のハンターですね。猟友会の一種の名誉職的な意味さえある。これじゃ実際問題としてネコにカツオブシですよ。だから、事実上狩猟監視員になってしまっているという面があるのです。願わくは野鳥の会のような保護の側の人材を起用することを真剣にやはり考えていただきたい、こんなことをお願いをしたいと思いますが、いかがですか。
  95. 出原孝夫

    出原政府委員 鳥獣保護員の選定等につきましては都道府県の方にお任せをしておるわけでございますが、その府県によっては実情は御指摘のように狩猟の関係者の方がかなり偏って多いというようなことも現にあるようでございます。私どもの方といたしましては、バランスのとれた構成になるようにということで都道府県を指導いたしておるところでございますが、その点につきましてば足らないところばさらに努力をいたしてまいりたいと考えておるわけでございます。これは一方に偏ってのことになりますと、やはり御指摘のような問題も生ずることが多いかと思いますので。
  96. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 時間がございませんので、法律の中身についてちょっと触れさせていただきたいと思うのです。  この後、最後にカモシカのこともちょっと聞きたいと思うのですが、その前に法律の第七条ノ四の適性検査、この内容は私は国が政令で決めてほしいと思うのですけれども、知事の裁量ではこれは困るのです。いろいろな違いが出てしまうわけですから。これは検査の基準もやはり同じだと思うのです。全国一律にやるべきであろう。この問題はどういうふうにお考えですか。
  97. 出原孝夫

    出原政府委員 試験の具体的な内容につきましては、なお私どもは専門家の意見を聞きながら今後整理をしてまいりたいと考えておりますが、適性の検査につきましては、視力、聴力等について実施をしたいということでございますが、たとえばの例で御承知を願いたいのでございますが、自動車の免許は矯正視力0・七ということで決めております。狩猟の場合にそれより少し緩いのがいいのか、あるいはもっと厳しいのがいいのか、同じ程度のものがいいのかといったようなことが基準になると思います。これは環境庁が専門の方々の御意見を伺った上で基準を示して、都道府県にはそれにならってもらうというようにいたしたいと考えております。
  98. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 それはいいでしょう。  同じく七条ノ四、狩猟免許の更新の「講習ヲ受クルコトヲ努ムベシ」、これは法律の言葉だからこういう言葉になるのかもしらぬけれども、これはやはり「受クルベシ」という形で義務づけないことには、努めたけれどもだめだったということになってしまうおそれもあるわけです。いま局長言われたように、道交法と違って狩猟というのは年間三カ月か四カ月しかやらないわけです。そこで免許者はすぐ忘れてしまう。特に猟鳥と非猟鳥つまり保護鳥との区別みたいなことも、これはきわめて弱いのです。「努ムベシ」では、受けなくてもいいことになってしまうのじゃないかということを感ずるわけですが、これはどういうふうに読めば、どういうふうに解釈すればいいのですか。
  99. 出原孝夫

    出原政府委員 実は、これは自動車の免許にならって準備をしたものでございます。自動車の免許につきましてもこのような表現でございますが、先生御存じのように、にもかかわらず実行上は皆講習を受けるということで行われておるのが実態のようでございます。私どもも、十分行政指導によりまして講習を皆さんが受けられるように努めてまいりたいと考えております。
  100. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 受けられるようにじゃなくて、やはり義務づけるような行政指導をやっていく、こういうふうに言ってくださいよ。よろしゅうございますか。
  101. 出原孝夫

    出原政府委員 都道府県を指導いたします場合に、ぜひこれを受けるようにという形での指導を行うようにいたしたいということでございます。
  102. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 どうもすっきりしませんが、法律用語でもあるようですから、これはそれ以上言いませんけれども、やはりそういう言葉遣い、問題がある。もし法律用語が問題だとすれば、むしろそれを直すべきだと私は思うのです。  八条ノ八、特別保護区内の「鳥獣保護蕃殖ニ影響ヲ及ボス虞アリ」とする行為、これは埋め立てや干拓や立木竹の伐採、工作物の設置その他とあるけれども、たとえば投石だとか車馬の通行だとかいうような問題などは含まれているのですか。そういうことは規制はしていないのですか。
  103. 出原孝夫

    出原政府委員 この規定を改正することをお願いいたしております最大のねらいは、特別保護地区の場合に、特に鳥が繁殖期に入っておるときに、観光客が撮影等のためにみだりに立ち入るということを規制いたしたいということでございます。したがって、マイカーにも入ってもらうことを遠慮してもらうというような事柄も出てまいるかと思います。そういったものについての規制を必要とする場合に知事が規制できるようにということで、「政令ヲ以テ定ムル行為」という中にはそういったものを含めるようにいたしたいと考えております。
  104. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 わかりました。  十条の銃猟制限区域の設定、これは入猟者をどうやって選定するのか、その選定基準をお示しいただきたい。
  105. 出原孝夫

    出原政府委員 これは例を申し上げますと、休猟明けのときにハンターが一遍に集まってくるといったような場合に非常に危険であるということでございます。その場合に、どの範囲にどのように人数を限定していくかということにつきましては、考え方はいろいろあるかと思います。一つは申し込みの先着順という考え方もあろうと思いますし、あるいは抽せんによるという考え方もあると思います。それから、そのような方法をとるにしても、現地の都道府県の人たちをどの程度優先するのかしないのかといったような問題もあります。これらにつきましては、相当程度都道府県知事の裁量にゆだねるべき部分が多いかと思いますが、いま言ったようなところをさらに検討いたしまして、都道府県がおとりになる基本的な方針を示したいと考えております。
  106. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 実はもう御存じのとおり、県庁でその係をやっていた方が猟友会の役員か何かになって、事によったら同じ建物の中で机を並べているというようなケースだってあるわけです。これはいままでの法律、つまりこの鳥獣保護の法律になる以前の狩猟法の状態とちっとも変わっていない状態があるわけです。県が一つもデータを持っていないというところが多いんですね。ですから、実質的には猟友会に任せっ放し、こういうわけです。だから、やはりその次の十四条の猟区管理規程、これは政令で決めるのかどうかということも聞いておきたいのですが、そういうことも含めて、環境庁が非常にこの法律の意味というものをきちんと指導しませんと、どうもならぬと思うのです。この点、承っておきたい。
  107. 出原孝夫

    出原政府委員 歴史的な経過もございますので、私どもは、そういったことに現在の職員が、都道府県を含めまして影響を受けて偏るということはないと考えておりますけれども、また、私どもの方も、そのようなことがないように十分指導してまいりたいというように考えております。
  108. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 二十一条の罰金、これは五万円が三十万円になったのです。ところが、御存じのとおりに、特殊鳥類の取り扱いに関する法律では依然として五万円なんですね。二十五万円安いんですよ。こういう罰金のバランスといいましょうか、そういう問題はどのようにお考えですか。
  109. 出原孝夫

    出原政府委員 実は、この一部改正案を御提案申し上げるに当たりまして、私どももその点を問題にしたところでございます。ただ、特殊鳥類の法律に関しまして、ただこの罰金の条項だけを変えるということが従来の例では実ばございませんので、内閣法制局との相談の過程で、ちょっと無理だなあという問題がございました。そういう意味におきまして、今回は見送らざるを得なかったということでございますが、次の改正の機会には、当然これはまた改めるべきものであるというように考えております。
  110. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 施行期日等の二に関連をいたしまして、昭和五十四年四月十五日に狩猟免許を受けた者、つまり現在の免許所有者の切りかえが昭和五十七年九月十四日までに知事の行う講習及び審査に合格するだけでよいとする考え方というのは、少し危険ではないか。この審査というのは、新法に準ずる厳しい基準で、不合格者というのは救済措置を講じないようにしませんと、従来、たとえば不合格者を面接だけで実は審査をして合格させているというケースがあるのです。ハンターの数は、現在四十万ちょっとですか、これが事故を頻発させているという状況があるわけでして、この人たちに厳重な、既得権だなんということを言わせないで、やはりふるいにかけていかないと問題の解決にはならないのじゃないか、新法の精神も死んでしまうのではないか、こんなふうに思いますけれども、更新の際の講習、第七条ノ四も、このような趣旨によって義務づけて、不良ハンターというものを淘汰していくというふうにしなければならぬと思うのですけれども、その辺は、既得権ということだけを何か認めていくというやり方というのは、私は、少しイージー過ぎはしないか、せっかく法律を直した意味もなくなってしまうのではないか、このように思いますが、この点はいかがですか。
  111. 出原孝夫

    出原政府委員 現在すでに免許を受けておる人たちについてどう扱うかということは、こういった規制を厳しくするときにいつも出てくる問題でございます。私どもが御提案申し上げましたような形で、講習会を受け、適性検査を受けて、その結果、それによって試験を受けた者と同等にみなすというように御提案を申し上げましたのは、いま御指摘のございました、やはり既得権はできるだけ尊重せざるを得ないであろう。しかしそれに必要な手当ては十分しておくという趣旨でございまして、従来の道路交通法の四十年法の改正でも、三輪の免許及び軽免許が廃止された場合に、旧法による三輪及び軽免許は、公安委員会の行う審査に合格をすれば、従前運転できなかった車種も運転できるというような規定を設けておりました前例もございますので、この程度考えると、いずれも人命にもかかわるような問題での経過の規定でございますので、十分審査をした上で特例を設けるということはやむを得ないのではないかというように判断いたした次第でございます。
  112. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 どうもそこのところはちょっと甘いんですよ。やはりこれはきちんとしてもらわぬことにはどうにもならぬと思うのです。実は既得権というのがもう一つありまして、獲物が少なくなってしまったものだから、もうそんなに数をふやすな、おれたちだけでひとつ山分けしょうみたいな考え方が既得権という形で生かされてくる傾向もありますので、こういうことはやはりまずいと思いますから、やはり不良のハンターはふるいにかけていく、こういう立場というものをひとつ厳しく御指導願いたい、このように思うのです。  それから狩猟獣の捕獲制限がないですね。少なくとも食肉性の毛皮獣というものは、生態系の中で重要な地位を占めている。そういう役割りを担っているわけで、これを無制限にとらせるというのは少しおかしいのじゃないか。そういう意味では、キツネとかタヌキとかテンとかオスイタチとかアナグマなども、これは少なくとも制限頭数を決めるべきじゃないだろうか、こんなふうに思いますが、いかがですか。
  113. 出原孝夫

    出原政府委員 先生、もう十分御案内のことだろうと思いますので、あるいはこれはもう御承知の上で御論議のことかと思いますが、鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律の施行規則で、狩猟鳥獣につきましても、とる数は制限をするというようなことで、個別の制限はいたしてございます。ただ、いわゆる総量の規制はなかなかむずかしゅうございますので、その点についての規則はございませんけれども、たとえて申し上げますと、キジ、コウライキジ及びヤマドリは、合計して一日当たり二羽以内というような決め方をしておるわけでございますので、その点御了承いただけたらと思います。
  114. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 もう時間がございませんから、最後に。実は岐阜県自然環境保全連合というのがございまして、これは民間の団体ですが、私のところへ手紙が参りました。余り長くないので、ちょっと私、読ましてもらいます。   私たち岐阜県自然環境保全連合では、ただやみくもに、カモシカを守ろうというのではありません。   あまりにも無策な行政の中で、カモシカだけが悪者にされ、何ら自然と林業が共存できる指針もないまま、「やれ捕獲だ」そして今ではエスカレートして「銃で撃たねば」という声に押しまくられているからです。   私たちが最も訴えたいのは、このほど文化庁、環境庁へ提出した異議申し立て書行政不服申し立てを行っているわけですが、その中に「盛り込んだ理由で言い尽くされていますので、それをここに添付します。吟味してください。」と言って、それがついていますが、国がカモシカの調査を十分にし尽くした上で、本当にカモシカが異常繁殖しコントロールしなければならない現状なら、そして「何頭とったら森林への被害が無くなり、かつ種の保存にもさしつかえがない」という具体的な判断ができたら、私たちは捕獲にやみくもに反対するものではありません。   ただ、そうした調査や判断もないままに、場当たり的な捕獲許可を出している国は追求されるべきです。カモシカという日本唯一の貴重な動物ということのほか、自然と人間生活をどう調和させるのかの大きな問題だと思います。   今のカモシカは地元では「増えた」と言いますが、かつて天然記念物に指定されるずっと以前、人間が山奥深くに入らなかったころに比べると、生息数にしろ、生息地の面積にしろ今よりはもっともっと大きな数字だったでしょう。しかし、その当時、山を荒らしたこともなく、それが今山を荒らす害獣とみられるのはどうしてでしょう。人間が、彼らの生息地を荒らしたための当然の結果なのではないでしょうか。   野生動物研究家たちは言います。「本来、害鳥や害獣はいない。人間が自然を荒らした結果、自分たちでつくり出した言葉だ」と。  カモシカ問題が起きてもう四年以上がたちます。カモシカ保護対策と森林被害対策を行政がもっと本腰を入れて取り組んでいたら、事態はもっといい方向に進んでいたことと思います。そして彼らは、実は大変細かいデータを送ってくれました。一生懸命で彼らも自主的にたとえば実態調査をやったり、あるいは被害対策の実験をして、その結果を送ってくれました。ここでは細かくは言いません。そしてこういうことを実は環境庁と文化庁に訴えているのです。環境庁はこのことについてどのようにお考えになっていらっしゃいますか。
  115. 出原孝夫

    出原政府委員 カモシカの数、生態、あるいは被害の状況について基本的に調査を十分持っておるということがやはり一番大切なことであると思います。その点につきましては、文化庁、林野庁、環境庁と、三庁がしばしば会合を繰り返しまして、共同の方針を立てるということで、役所が三つに分かれておりますが、政府として一本の方針をとってやれるようにいたしたいということで、環境庁はその数の調査、文化庁は生態の調査、林野庁は被害の調査ということで、昭和五十三、四年度にわたってその調査を行うことにいたしております。抜本的な対策はそこで決めるべきものであると考えますけれども、当面の問題といたしましても、被害が非常に大きくなっておるといったようなところにつきましては、カモシカを殺さないでできるだけ生け捕りにする方法をとってもらいたいということで現地の被害者の方々にもお願いいたしまして、最初はわなでということでやってみたのでございますが、なかなかむずかしいようでございます。今回お願いしております法案の中で、環境庁長官が認めた場合には毒薬、劇薬を使ってもいい。これはいわゆる麻酔銃の使用でございますが、これも効果がどこまで期待できるかについては、まだ私ども十分確信は持っておりませんが、さらに新しい方法を見つけ出して、カモシカを生け捕りにして動物園等に預けるというような方法で対処してまいりたいというように考え、かつ努力をしておるところでございます。
  116. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 ハンターに撃たせて殺すというようなことはさせないというふうに理解してようございますか。
  117. 出原孝夫

    出原政府委員 私どもは現在の方針といたしましては、数的に明確になっておらない段階でございます。岐阜県の問題になっておる一部につきましては、おおよそ二千頭ということで、生息上から言えば十分な数に達しておるということはある程度推測はできますが、なお大事をとりまして、これは撃って殺すということのないようにしていただきたい、そのために麻酔銃の開発も急ぎたい、こういうことでございます。
  118. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 もうちょっとください、余り時間をとりませんから。  長野県では若干問題になっていてもそれほど問題にならないのに、岐阜県では大問題になっている。よく調べてみると、被害額の方が生産額よりも高い数字がついているみたいなそういう状態さえ実は指摘があるわけです。生産額よりも被害額の方が多いというのはどうやって計算するんだろうかと思うのですが、面積でも同じです。結局補償金というものを取るための、何といいましょうか、背景みたいなものがあるように思われてならないのです。のべつ追いまくっておりますと、それはカモシカだって対抗的になりますよ、感情的と言っていいかどうか別ですけれども。そういう実態の調査をきちんとするということ、そのことを国民の前に明らかにするということ、そして被害の実態というものがどうあっているかということをもっと科学的にきちんとするということ、その上で対策は、捕獲技術の問題を含めて、あるいはその方法を含めて、そして特に捕獲のための専門家を含めてそういうことを考えていかなくてはいかぬと私は思うのです。率直に言うけれども、わなをつくったけれども無理にとれないように追い込んでいるということさえ言われている。こういう状態考えていったときに、私は、環境庁がもう少し文化庁なり何なりと連絡をとった上で、きちんとした、説得力のある科学的なデータを持ってこのカモシカ対策に臨んでいただきたい。これは西表のヤマネコも同じです。これは皆さんの関係じゃないけれども、イルカだって同じだと私は思うのです。そういうデータなしに、被害があったから何でも殺してしまえばいいんだ、私はテレビであのイルカの残骸を見て心が痛みました。確かに漁民にしてみれば深刻な問題があるでしょう。あるけれども、そういうことをやる前にとるべき手だてというものをきちんとしない限りは、こういう法律を幾ら直したってだめなんです。イルカは農林省のようですけれども、そういう問題を含めてぜひ環境庁姿勢をこの際最後に私は承っておきたいと思います。政務次官どうぞ。
  119. 大鷹淑子

    ○大鷹政府委員 国土の開発に伴いまして鳥獣の中には本当に年々数が滅っていく、いまのカモシカも、西表の絶滅の危機に瀕しているというもの、また農林業などに被害を与えるというような種々の問題も提起しているということでございますが、根本的にはやはり人間との共存共栄を図るという基本的な考え方に立って必要な調整を行うという、適正な保護に努めることが肝要であろうかと思います。そのように努力をしていきたいと思います。
  120. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 来年のバードウイークは、できればそういう問題を含めて国民の前に事実を、実態を明らかにして、そしてそのことに対する国民的なコンセンサスといわれるものを得る、そして国際的な信頼をもかち取っていく、こういう努力を日常的になさったそのいわば全体の結集としてバードウイークが位置づけられ、あるいはそういう環境週間みたいなものが位置づけられる、こういう努力をぜひともお願いをしたい、このように思います。  以上で終わります。
  121. 久保等

    久保委員長 次に、島本虎三君。
  122. 島本虎三

    ○島本委員 さすがに超党派議員連盟の、自然保護議員連盟の幹事長岩垂君だけありまして、格調の高いりっぱな名質問でございました。それにこたえる環境庁の態度、少し押されぎみだったように思いますが、しかし大いに意気を上げていこれからがんばってもらいます。大臣もまた政務次官も外交官の誉れ高い人であるということを聞いているのであります。それがいまちょうど鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律の一部を改正する法律案を提出して審議しておるのであります。私どもは聞くのでありますけれども、ヨーロッパでは都市の公園にすむ小鳥の数、その種類でその都市の文化性をはかるバロメーターにしているのだ、こういうようなことを聞くのであります。大臣にしても、政務次官にしてもこういうような点は十分知っておられると思うのであります。このようなことと、今回この法律案を出した、いみじくも一致するようでありますが、何か天と地のような感じがするのでありますが、いかがでございましょうか。この法律は十全なものだという自信を持ってお出しになったのでしょうか。ヨーロッパの都市の公園にすむ小鳥の数やその種類が都市の文化性をはかるバロメーターである。そして主婦もそこに住む人たちもいつも公園を大事にしている、小鳥を大事にしている、こういうようなことと比べてみてどのような感慨をお持ちでしょうか。大臣、ちょうど参りましたので御苦労でありましょうが、ひとつ決意を聞かしてもらいます。
  123. 山田久就

    山田国務大臣 いま島本委員が御指摘になりました、それは確かにバロメーターであろうかと思いまするが、むしろ公園だけではなくて、個人のうちにも自然の野鳥が来て、したがって、先ほどもちょっと申し上げましたように、かごで飼うという習慣はございません。みんな庭の中に巣と水盤というものを置いて、それを外からながめる、こういう習慣で、これは長いいろいろなしきたり、習慣、いろいろなことの差であろうかと思いまするけれども、こういう愛鳥、自然の保護というものは政治の問題のほかに、そういう国民の自覚の支えというものが両々相まっていくのであろうかと思います。今度のわれ一われの法律については、鳥に対する態度あるいは狩猟制度、これは、あるいは先方においては、むしろ飼った鳥を放鳥してとる猟区制というようなものでやっているのと、大分制度が違っておって、本来から言えばそういうところへ持っていきたいというところで私も考えておりますけれども、急にいままでのあれを変えられないという中において、しかしながら自然の保護というものにどれだけわれわれの努力を近づけていくかという努力のあらわれとして何とか御理解いただければ、こう考えておるような次第でございます。
  124. 島本虎三

    ○島本委員 どうも要領を得ないようです。パリやウィーンでは主人が出勤する、そうすると奥さんはハンのくずを持って表へ出て、手のひらにそれを乗せてやると小鳥が集まってきて人間小鳥がもう完全に一体になっておる、こういうようなことを聞くのであります。これはやはり文化のバロメーターと申しますか、まさに私はきれいな、とうとい生活というものの尊厳さを本当に感ずるのであります。この情景を通して、愛鳥週間というようなものをただ一週間や一カ月だけでいいという問題じゃありません。周年、こういうような問題と取っ組まなければならないのに、まだバードウイークですか、何々旬間ですか、月間ですか、こういうことでお茶を濁そうとしておる。もし小鳥の数やその種類が都市の文化のバロメーターであるとするならば、なかなかまだそこまでいかないような感じがするのでありますが、この方面にはいろいろと往来の激しかった政務次官に、格調高い御高見を承りたいと思うのであります。
  125. 大鷹淑子

    ○大鷹政府委員 確かに、一週間だけ鳥をかわいがろうとか動物をかわいがろうということではいけないのでございまして、でも、全然ないよりも、そこに象徴されて啓蒙するという週間があるということも一つのいいことではないかと思います。私ば日本人に少し失望しているのですけれども、先ほど長官もおっしゃいましたように、ヨーロッパでは子供のときから動物に対する愛情、鳥に対する愛情、そういう温かみを持った教育というか、習慣づけられている生活をしている、そういうことを日本でも子供たちの小さいときからのしつけと情操教育で吹き込んでいかなければいけないのではないかと私はいま痛切に感じているところでございますので、いろいろな場で、いろいろな形で私も努力してやっていきたいと思っております。
  126. 島本虎三

    ○島本委員 それでは環境庁環境庁所管の国立公園は何カ所ほどあって、そこにどれほどの鳥がすんでいるか、調査されたことがございますか。
  127. 出原孝夫

    出原政府委員 国立公園にどのくらいの鳥がおるかということについて調査をしたものはございません。
  128. 島本虎三

    ○島本委員 文化性はまことに拙劣だ、下だということになるじゃありませんか。それがこれを出してきた。では、都市の小鳥状態を調査したことがございますか。
  129. 出原孝夫

    出原政府委員 いま具体的なデータは手元に持っておりませんが、調査したことはございます。
  130. 島本虎三

    ○島本委員 東京、大阪、名古屋、それぞれ大都市でありますが、大都市の公園にどれほどの鳥がいるのか、どのような鳥がすんでおるのか、こういうようなことは調査してございますか。
  131. 出原孝夫

    出原政府委員 数まではわからぬようでございますが、どういつだ種類のものがどの辺にいるかということについては、ある程度の調査はあるようでございますが、申しわけございませんが、現在手元にございませんので、いずれ後ほど御報告をさせていただきます。
  132. 島本虎三

    ○島本委員 なるほどそれでわかったのであります。鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律の一部を改正する法律案、どうもわからなかったのはその辺なんです。鳥獣保護、それと狩猟、言葉は悪うございますが、どろぼうと巡査に関する法律、こういうものを一つにして出したのと同じじゃありませんか。だから要領を得ない。なぜ鳥獣保護ということを優先させて法の体系を改める努力をなさらぬのですか。これはあいまいじゃありませんか。したがって、岩垂議員が聞いても要領を得なくなるのは何かわかるような気がしましたが、この問題等につきましては、今回の鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律の一部改正法案、これこそ、鳥獣保護の見地から見るとまことに不十分だ、こう言わざるを得ないじゃありませんか。ただ一つ環境庁として誇り得るものを出した、こう思ったら、二律背反するような法律がこの中に盛られておる。保護が主体なのか狩猟が主体なのか、これは一体どういうことなんでしょうか、ひとつ解明願います。
  133. 出原孝夫

    出原政府委員 歴史的な経過から申し上げる必要があるかと思いますが、当初はこの法律は狩猟法であったわけでございます。社会経済の発展に伴いまして、狩猟が乱に流れてはいけない、それにあわせて鳥を保護する必要があるということから狩猟法の中に鳥の保護を取り入れた経過がございます。昭和三十八年の改正におきまして、経済成長の結果、社会的に鳥についてはさらに十分な保護を図る必要があるということで、法律の名前も鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律というように進めてまいったわけでございますので、そういった歴史的な経過を踏まえて、経済の発展に即応してむしろ保護を強化していく、しかも、これは相対立する概念でございますが、その相対立する概念の調整は政策的には必ず図らなければならない問題でございます。したがいまして、一つの法律の中でということもまた一つの方法であろうというように私ども考えます。
  134. 島本虎三

    ○島本委員 しかしそれにしても、明治六年太政官布告第二十五号、鳥獣猟規則、これが第一回目。それから明治二十五年勅令第八十四号、狩猟規則。それから狩猟法、明治二十八年法律第二十号、それから大正七年法律第三十二号、こういうふうにして変わってきて、依然として狩猟が主体でありました。それが、第二次大戦後において、戦後の林野の荒廃、復旧、こういうような観点からそろそろ変わってまいりましたが、鳥猟保護という言葉がついただけで、鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律昭和三十八年法律第二十三号、ここまで続いていたわけです。今度の場合はやはりその延長なんであります。かたかなの法律ですね。ひらがなに直すべきじゃありませんか。その場合には、鳥獣保護の見地が主だとすると、鳥獣保護の見地を重点的にするような法律に今後はこれを書き改めなければ不十分であるということになりはせぬですか。これで十分だと考えましょうか。大臣、簡単に答弁してください。
  135. 山田久就

    山田国務大臣 私もそれは同感です。これはやはり、狩猟は狩猟、鳥獣保護保護でいくべきだと思います。先ほど申し上げましたように、それはいままでの歴史的な経過がありまして、そこへいくためには、どうしても猟区制度というのは、その根本的なものをここで実施するという決意と、それの準備というものが整わなくちゃいかぬということのために、いわばなまぬるいような点になったことは、自分自身でもこの点は自覚しているわけですけれども、ひとつぜひそのようなところを目指して今後がんばっていかなければならないと考えておる次第です。
  136. 島本虎三

    ○島本委員 それは大臣にしてできない法律体系の変更じゃありませんから、やれると思います。たとえば医師法がありましょう。医療に対する類似行為もあるでしょう、あんまだとかはり、きゅうだとか。いまそういう規定をしています。柔道整復師法もあるでしょう。みんなそれから独立してしまっているのです。一本一本になっているのですよ。こういうふうにしてみると、全部、医療類似行為となっているのがきちきちっと一本立ちになっている。これは、いま明治時代から続いている狩猟に関する法律、それに上の方にちょっと鳥獣保護をつけて、またこういうようになっているからやることにならざるを得ないんだという考え方は、——柔不断です。やはりきちっとすべきです、できるのですから。ほかの方はやっているのです。これは大臣、やる決意ぐらいは表明しておいていいじゃありませんか。それくらいやっても人畜に被害はございませんから。はっきりこれを表明しようじゃありませんか。伺います。
  137. 山田久就

    山田国務大臣 私のこれについての考え方は述べたとおりで、今後の問題としては、そういう決意でひとつこの点については検討、対処したいと思います。
  138. 島本虎三

    ○島本委員 これはやっておかないと困るのでありますが、あの環境事前評価法、これについての態度が決まったようにきょう朝日に報ぜられておったのですが、あれは決定ですか。
  139. 山田久就

    山田国務大臣 あるいは政務次官からもうお話があったかと思いまするが、昨日も私、その問題を詰めまして、そういうことは事実に反するところでございます。いま党においては、この点についてひとつ最終的な結論を出すという詰めに入っているという段階でございまして、できるだけわが方としては最終の努力をやって、ひとつできるだけできる結果を得たい、こういうのが現実の段階でございます。
  140. 島本虎三

    ○島本委員 これは朝日のきょうの新聞です。「環境アセスメント法案流産 今国会提出見送り」ということになっていますが、じゃ、これは誤報だということに解釈していいですね。
  141. 山田久就

    山田国務大臣 現時点では誤報であります。
  142. 島本虎三

    ○島本委員 いつの時点で本当になるのですか。
  143. 山田久就

    山田国務大臣 いま党の方でやっておりますから、いつの時点ということは、この点については速やかにわれわれの考えているようなところで結論を得たいと、こう考えております。
  144. 島本虎三

    ○島本委員 閣法であって、これは内閣が責任を持って出す。その主管庁ば環境庁ではありませんか。環境庁長官はあなたですから、あなたが出す法律なんでございませんか。それが、党の方に預けてあります、いつの間にか、これは養子に出したのですか。これは、やはりあなたの責任できちっとする法律だと思うのであります。結論は、じゃこれは、新聞に書かれているようになるのは来週ですか。それとも、こうならないということ、はっきり出す決意は、長官、できていますか。
  145. 山田久就

    山田国務大臣 これは、政府部内においてはわが方の責任関係の法律の案であるということは論をまちません。したがって、われわれとしては、この問題が実現するようにということで、あらゆる努力を、事務的にも政治的にもやって今日に至っておるということでございます。われわれも、党は党とはいうものの、立場がございます。にもかかわらず、わが方の方針は、その方針をもって対処していることには変わっておりません。
  146. 島本虎三

    ○島本委員 長官も十分御存じのように、いままでは公共事業優先ムードの中で、十五カ月予算だと、こういうような予算がいま実施されているのです。そして、産業界や通産省の強い抵抗ぶりがいま浮き彫りにされているような感じがしているのです。いまこそきちっとして、日本の将来のために、毅然たる態度をとっていいのは環境庁なんです。その人はというと、山田長官なんです。どうも、この点はあなたももっとしっかりしてほしい。ことに、乱開発、その結果として公害や環境破壊、こういうようなものを起こしています。諸外国ではもう実施されていますよ。そうして、先進都市、地方都市の方でも条例は制定しているところもあるのです。それなのに国の方で、いままで報道されたところによると、その内容も、公開の原則は譲ってはならない問題、住民参加の原則は譲ってはならない問題、公聴会、こういうような問題に対しては毅然としてこれを入れなければならない問題、そして長官のチェックというものは何より重要な問題、全部それをとられた。それまでもここに出せないなんということであったならば、これはとんでもないことです。あなた自身辞任しなければならないような、重大な問題です。もうすでに、時代の先取り、これが環境庁の使命の一つです。患者が出た場合には、それは企業だけの問題じゃなくて、実際に患者と会ってその対策を講ずる、そして横断するただ一つの法律は環境アセスメントです。この三つだけは環境庁のにしきの御旗ではありませんか。一つずつおろされていく。私は、見るにたえないです。もう一回、環境庁が設置された、その当時の原点に戻るべきです。そして、十分な反省の上に立って、来週こういうような報道をされるようなことがないように心から私は期待し、もう一回その決意を伺います。
  147. 山田久就

    山田国務大臣 激励、鞭撻、これを多とします。われわれは自分の責任でこの問題に対処していることは、改めて申すまでもありません。ただ、後退、後退と言われる点については、私は異論があります。基本的な、事前にこれを評価するという問題、それから国民の意見を十分に聞く機会を持つという点、それから、それについて一つの基準をはっきりして、われわれがそのことについてイニシアチブを持つ点、こういう点は、われわれはまだ案そのものは発表しておりませんが、しかしながらその実態というものがどうあるかということは、いろいろな客観的な問題との調合において、その実が上がるということを主にすべきであって、そこにいかないうちのいろいろの御批判、これは私はお受けするわけにはいかない一われわれとしては、やるというつもりで一生懸命になってがんばってやってきている、この立場だけは改めて申し上げておきたいと思います。
  148. 島本虎三

    ○島本委員 これはやはり基本があるのです。何でもかんでも、取られても、切られても、そして両手、両足をなくしても通せばいい、こういうような決意だけを新たにしても、それはだめです。私は、やはりこの基本になる問題だけはきちっと踏まえた上でこれをやらなければならない。この問題だけは私は強く要請しておきます。そして私どもとしては、これは早く出して、審議に乗る、五体満足な、こういうような法律として出してもらいたい。このことを要請しておきます。  時間がなくなりますから本題に入ります。もう三十分しかないのであります。  特殊鳥類の生息する関係というか、干がた及び湿地保存のための港湾建設、埋め立て、こういうふうな開発計画については、慎重な環境影響評価を行うべきである。あたりまえな話でありますが、これに対して指導はどのようにしてございますか。
  149. 出原孝夫

    出原政府委員 具体的な権限を持った仕事としては環境庁としても非常にやりにくい問題ではございます。しかし、道路の建設その他のときには、自然環境に及ぼす影響等について事業の実施主体におきまして十分に環境影響評価をして支障のないように進めていただくように常に要望をしておるところでございます。また、その地域が環境庁権限関係のある自然公園の特別地域等にかかるような場合には、当然、環境庁に対して協議を求めて、それについての意見を十分明確にするという方針をもって進めております。
  150. 島本虎三

    ○島本委員 先般、私もこの委員会で若干質疑を試みた千葉県習志野市にあるあの谷津の干がた、あそこには約六千羽ほどユリカモメが翼を休めております。その他カモ、カモメ、サギ、チドリ、シギなどの野鳥類が年間で約四百種類ほどいるという話であります。若干私も見てまいりました。  初めあの場所は五十ヘクタールほどの面積であったのです。その真ん中を横切るように湾岸道路がきちっと通ってしまって、いまや三十三ヘクタールくらいしかなくなってしまっている。その狭い中にもやはり野鳥が、渡り鳥が約五、六千羽、翼を休めている、こういう実態は局長も見てきたと思うのであります。あの湾岸道路をあの場所へなぜ通すようにしたのでしょうか。あの場合、完全な環境アセスメントをやったのでしょうか、建設省。
  151. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 お答えいたします。  御指摘の谷津干がたの個所でございますが、湾岸道路の都市計画決定が昭和四十四年にされておりまして、これは船橋地区でございます。それにつながる形で習志野地区の区域決定を四十九年にやっておるわけでございます。あの場所に関します環境アセスメント、特に干がたとの関係につきましては、建設省では五十一年六月から十一月にかけて、谷津干がたの現環境調査ということで、いろいろ影響調査あるいは地形調査、それから基底の調査、底生生物の調査、付着生物の調査あるいは流入負荷量の調査、水質関係の調査といった一連の調査を実施いたしております。  なお、その後ああいう形で工事を進め、鳥に影響のないような配慮から遮光板等を設けながらああいう形のものをつくったわけでございます。また、五十三年一月には、道路建設後の干がたの環境調査を実施いたしておりまして、その成果については現在取りまとめ中の段階でございます。
  152. 島本虎三

    ○島本委員 五十ヘクタール程度のところは多いと言えません。それも東京湾唯一の干がた、そこへ湾岸道路をつくった。ちょっとそらしてもどれほどの経費がかかり、どれほどの距離になりますか。それを、やはり中をぶち切っている。そのことに対して環境調査評価をしたと言うのですが、環境庁はそれに対してオーケーを出したのですか。
  153. 出原孝夫

    出原政府委員 この道路計画は、いま建設省からお話しのように、すでに相当の以前から進んできております。したがいまして、そういう意味におきまして、すでに行われました環境影響評価その他もございますし、それからその計画自体につきまして、従来、環境庁がそれだけの干がたを残して鳥のために生息環境をつくるということであれば、計画自体としては了承をするということで合意をしたというように承知をいたしております。
  154. 島本虎三

    ○島本委員 では、合意をしたことに対して自分であれでよかったと思いますか、反省がありますか。
  155. 出原孝夫

    出原政府委員 これはいろいろな考え方があると思いますが、欲を言えば切りのない話でございます。ただ、三十ヘクタールの干がたがここで確保されたということは、あの鳥の生息の状況を見てまいりますと、鳥というのはあちらこちらに移動しておって、従来はあそこにはそうたくさんばおらなかったのが、やはり残された貴重なところであるということで、先生ごらんのように、また私も後で見せていただきましたが、ずいぶん多く集まっております。それらのために確保するということは私どもぜひ必要だと思いますし、その残された三十ヘクタールで十分に鳥と人間共存できるように努力をしていくということによってこの千がたの十分な利用ができるように、私どもも努力をしてまいりたいというように考えます。
  156. 島本虎三

    ○島本委員 建設省、どうして三分の一ほど切らなければならないのですか。その横に土地があるじゃありませんか。土地があるのにどうしてあそこを横切らなければならなかったのですか。私も後から行って見て唖然としたのであります。どうしてもないというならばいたし方ない、こんな無理なことは言わないが、あるじゃありませんか。少しぐらい出たって何でもないじゃありませんか。自然破壊が使命なんですか。
  157. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 湾津道路の計画は御承知のように全体で十四車線というような大きな動脈道路でございます。この計画としまして船橋地区、御指摘の千がたにつながる地域でございますが、その地区の都市計画決定が四十四年になされておりまして、そのつながりという形であの干がたにぶつかったわけでございます。その際には、干がたをなるべくつぶさないように、本来ならばもっとつぶれる形に線形が引かれておったわけでございますが、できるだけ避けて、五十のうち三十三を残すような姿に逃げたわけでございます。もっと逃げられないかという御指摘もございますが、それにつきましては、あの前後に若松団地とかいろいろ団地等もございまして、それとの接近等のことも考えなければいけません、そういったことで、総合的に考えまして三十三残れば鳥の生息には一応支障がないのではないかというような判断もいたしまして、あわせて鳥に対する構造的な配慮も加えながらああいう線形を引いたわけでございます。
  158. 島本虎三

    ○島本委員 しかし、それをやったと言っても、水路は約三メートルか四メートル幅ですね。高さが一・六メートルですか、そういう程度のものが三本引かれているだけですよ。その中へ下水の水も入り込んでいますね。ああいうようなことにしておいて道路だけ通せばいい、こういう問題じゃないでしょう。手法からしても、そこを避けられなければ湾なりにして、少し山形にして通って干がたをそのままにしておくという手もあったでしょう。やはりそういう点は配慮が足りないし、環境庁も環境影響評価については毅然たる態度をとってもらいたいのでありますが、その態度も不足であります。  日米渡り鳥条約、これも一九七二年、昭和四十七年に調印してございましょう。批准昭和四十九年の九月にしているでしょう。そのほかに日ソ渡り鳥条約は一九七三年でしょう。日豪は一九七四年でしょう。これは調印して済ましているでしょう。そうなれば当然、日本にもああいうような干がた、渡り鳥ですからこれを守る義務もある。それを固有の事務にしてやっているのが環境庁じゃありませんか。どうもこの問題に対しては環境庁は認識が不足だというのか、この法律を出しながらもやはり狩猟の方に重点を置いている、こういう一つの考え方に貫かれているようであります。私は、そんなことではいけないと思うのであります。  そして、前の長官石原慎太郎議員が文藝春秋の五月特別号に書いているこの記事を読みましたか。これは、   私の在任中も、半身不随の成田空港のせめてもの救いにと、東京湾岸道路建設で、谷津の干潟に集まる野鳥のために、干潟を潰す道路は迂回しろという反対があった。最初はスパンに架ける橋だから問題ないと思ったが、工事費を安上がりにするために、干潟の中に道路を通し、潮の出入りのために、道路の横腹に幾つか穴をあける構造なので問題になったとわかった。私も就任早々で、野鳥の愛好者と、その代表たるクラブ記者に必要以上に丁重に口をきいたが、正直いえば、鳥は飛行機よりも身軽で自由なのだから、そこが具合が悪くなれば、広い東京湾なり外房なりどこか沼か湖なりに飛んで移って行けばいいので、愛好者もそれが趣味なら、そこまで追いかけて行って観賞すればいい。  前の長官がこんなことを書いているのです。最後には、  そのために、さらにベラボウな工費を掛ける必要が果してあるのかどうか。野鳥が嫌いな人間も含めて、一般大衆に向かって問うて判断したらいい話だろう。これが前環境庁長官の手記であります。  私はこれを見て、やはり環境庁考え方も、さっき例を言ったけれども、この鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律、これはあえて言うと、どろぼうと巡査に関する法律というのと同じだ。重点をどこに置くんだ、鳥獣保護か狩猟か、これはやはり狩猟に置いた考え方が貫かれている。したがって、これはもう鳥獣保護を独立させるべきだ、進歩的な長官考えを得たから、これはもうこれ以上やらぬけれども、やはりこの中にずっと貫かれているじゃありませんか。もう一回この問題も、環境庁が発足した原点に立ち返って十分反省しなければならない、私はそう思います。いま、この記事に対して、長官はどのような感慨をお持ちでしょう。
  159. 山田久就

    山田国務大臣 石原自由人の発言でございますから、そのことについての評論は差し控えさせていただきたいと思います。鳥獣保護に関する私の基本的な見解は、繰り返しますけれども鳥獣は自然環境を構成する重要な要素だから、そして国民の生活というものを豊かにする上で不可欠なものである、こういう基本的な認識に立って、そうして適切な保護を進める必要があるという考えに対処しているという私の考え方を一つ申し上げるだけでお許しいただきたいと思います。
  160. 島本虎三

    ○島本委員 また、これは建設省の方から、いま五十一年に着工のそのころの模様の話がありました。あれはもう工法は変えられたのです、いま言ったように弓なりにすればいいんですから。ただ、やはりここに書いてあるのが本当だとすれば、安上がりにするためにああいうふうにやった。とんでもない、これは。そうなんですか、建設省。
  161. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 安上がりにするためにやったということではございませんで、構造的な考え方はいろいろあるかと思いますが、当時、先ほどからお話がございましたように、構造と工事方法につきましては、あらかじめ県の環境部、環境庁意見を聞いて、干がたの現況についての調査を行った上で影響を最小とする構造、工法をとったつもりでございます。環境関係からの御意見では、道路に必要な部分の埋め立てばやむを得ないけれども、残存する干がたの保全については配慮してもらいたいという意見がございました。そういうことで、六百メートルに及ぶ遮光板、遮音壁、それに付随する植栽、そういうようなことをやりながら、当時は、ヘッドライトの光なんかで鳥がいなくなってしまうのではないかというような意見が非常に強かったようでございます、それに対する配慮としてそういうようなことをやったわけでございます。  それから流水、水の疎通の問題につきましては、十分計算いたしまして、先ほど先生からお話がありましたような横断管渠、横断排水で、一応いまの水路を中心に三つのスパンをあければ十分であるというような計算をいたして、それでああいう形をとったわけでございます。  高架という御意見は、当時は余りそういう強い意見はございませんで、着工時点ではまた干がたの部分の取り扱いについても関係者の合意が必ずしも十分なされておらず、習志野市では、埋め立てることを主張していた一部ではそういう意見もあったわけでございます。  そういうような状況下で、われわれとしては、幹線道路の構造的な対応として干がたを守れるような形を十分配慮したつもりでございます。
  162. 島本虎三

    ○島本委員 それは何かに書いてあることだろうけれども、現地の方の話では、公聴会、こういうようなものは、たとえば船橋市の若松地区では住民の抗抵に遭ってできなかった。なぜ抵抗に遭ってできなかったのか、やらないでくれということでしょう。それと同時に、自然保護団体には説明会を行っていない、こういうようなことです。それと少数の町会役員にだけ形だけ工事の通告をしたにすぎないというのが習志野の状態であったわけであります。そうすると、これは工事の通告で、公聴会ということには決してなりませんが、こういうような手続上の問題ももっともっときちっとしないといけない。反対の声もあったようですが、その意見を聞いてやってくれたら、ぐうっともっと回ったんじゃないか、こう言われております。これば手続が不十分です。しかし、あれ以上悪くしないように。やってしまったのは仕方がないと私は言いたくないです。しかしながら、やはりあそこにも依然として集まっています。日本は渡り鳥条約の締結国ですから、そういうような意味におきましてもここを十分関心を持っていてほしい。あれは汚れています。道路から投げるびんでしょうか、紙くずでしょうか、ああいうものに対しても建設省の方では的確な指導をしてもらいたい。つくったら後は野となれ山となれ、こんな考え方はだめですから、十分注意を喚起しておきます。要請しておきます。いいですね。  次に、文化庁、これは北海道の小樽市、いまあそこでは運河を守る会というのがあって、いま盛んに北海道小樽市のあの倉庫群、石造群を残してもらいたい、こういうような運動があるように聞いておりますが、これは御存じですか。
  163. 山中昌裕

    ○山中説明員 はい、私ども承知いたしております。
  164. 島本虎三

    ○島本委員 どういうふうにする意向ですか。
  165. 山中昌裕

    ○山中説明員 御指摘の石造建造物群は、文化財保護法で申しますと伝統的建造物群というものに当たるものになろうかと思います。これにつきましては、地元の市町村におきまして伝統的建造物群の保存地区にするかどうかということを、都市計画ないしは都市計画地域でない場合には市町村の条例によりまして取り上げるわけでございます。その中で、特に全国的に見て重要と思われるものにつきまして、文化庁の方におきまして重要伝統建造物群指定地区というように指定して、保護を厚くする、こういう形になっております。
  166. 島本虎三

    ○島本委員 東大教授の村松貞次郎氏、建築学会の会長でありますが、日本全体の建築で残したいものが三つある、その一つは神戸の異人館、その一つは長崎の南山手地区、その一つは北海道小樽の石造建築群、こういうふうに言っているわけです。これは昭和四十四年一月九日、朝日に発表されておりますが、残したいというのは価値がないから残したいんでしょうか。価値があるから残したいんだろうと思うのであります。  それと同時に、北海道自体におきましても、これは北海道工業大学の遠藤昭久教授が町並み保存研究集会でこの問題を取り上げ、保存すべきであるという意見発表があるようです。京都大学の西山夘三教授も環境文化研究という立場からこの問題を取り上げて、結論は、どうしてもはっきりさせなければならないと言っているそうです。いま現地ではその場所を埋め立ててしまおうとするので問題になっているわけです。もしやってしまった後で、せっかくのこれらの貴重なものが破壊されるということになったら、とんでもないと思うのです。文化庁としてもこの点を十分指導し、調査し、必要ならばその場所へ人を派遣して調査することが妥当だと思いますが、これはいかがなものですか。
  167. 山中昌裕

    ○山中説明員 御指摘の点につきまして、まず、石造倉庫群としては日本で数が少なくなっているものであるということで、こういう関係方々から非常に注目を集めております。  いま伝統的建造物群というものは、個々の建造物と違いまして、その地域の生活の中にまさに入ってまいりますので、その地域の方々がまず踏み切っていただかなければならないということで、私どもも重要性を考えまして、北海道教委を通じまして、四十八年に、これを調査してはどうか、補助金を出したいがということで実はおすすめしたことがございます。そのときに、まだ地元でその機が熟していないということで受けていただけませんで、ただ、本年度、市の方で独自にこの問題について調査費を計上して調査をしているようでございます。したがいまして、私どももその調査の成り行きをよく見守り、それから先生御指摘のとおり、必要があれば北海道教育委員会、小樽市教育委員会と連絡をとりまして、専門家を派遣してアドバイスをするというようなことも考えたいと思っております。
  168. 島本虎三

    ○島本委員 専門家を派遣して調査する、それは結構であります。文化庁でも、せっかくこういうような問題になっていることですから、日本で残したい三つの貴重な指定というのですか、これの中に入っているのですから。やられてしまった後では、まさに谷津の干潟のようで、これはほぞをかむようなことがあってはならないから、この点を十分調査して、私どもとしてはやはりいろいろな陳情がございます、しかしながら、本当にそれをつぶしてもいいのか悪いのか、いまおっしゃったようにその学術的な見地からも十分話し合ってもらいたいというのが、運河を守る会の人たちの考えのようですから、十分話し合いの機会を与えて、そうしてそれを調査して、必要かどうか、こういうようなものの価値をはっきりさした方がいいと思います。そのために、私は文化庁自身が行って調べてきて報告してもらいたいと思うのでありますが、それはできませんか。これは大事な関頭にあるんで、いまそれをやるとつぶすかどうか、もうそれが決まりそうな状態だということでありますから、急いでこの問題を取り上げたわけです。
  169. 山中昌裕

    ○山中説明員 道教委と小樽市教委と連絡をとりまして専門家をと申し上げましたのは、私どもの方の専門家を派遣して、必要な助言をできればというふうに申し上げたわけであります。
  170. 島本虎三

    ○島本委員 そうして、その資料、できたらその報告をこの委員会に賜りたい、こういうように思います。また、それも急いでやらないとほぞをかむおそれがありますから、この点、十分考えていただきたいと思います。  いま私が挙げた例証は十分御存じでございましょうから、再びこのことは申し上げませんが、予鈴が鳴ってしまってからやるのはどうもうまくありませんから、私は、この鳥獣保護法の場合、ただ一つ、題名の点だけに触れましたけれども、あと内容の問題はまだまだ残っておりますので、これは後日、再びやることにいたしまして、本会議まで五分でありますから、これで一応打ち切らしてもらいたい、こう思うのであります。残余の質問は留保いたします。
  171. 久保等

    久保委員長 この際、午後二時より再開することとして、暫時休憩いたします。     午後零時五十五分休憩      ————◇—————     午後二時開議
  172. 久保等

    久保委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律の一部を改正する法律案の質疑を続行いたします。瀬野栄次郎君。
  173. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律の一部を改正する法律案について、環境庁長官並びに関係当局に質問いたします。  五月十日からバードウイーク、すなわち愛鳥週間が始まり、週間中心である明十三日には、群馬県前橋市において第三十二回全国野鳥保護の集いが行われ、まさに記念すべきときに本法審議をするということは、意義が深いわけでございます。明日は恐らく環境庁長官も御出席なさるのじゃないか、こう思っております。そこで、本法は特に狩猟者の資格等の諸点において改善充実されてはいるものでありますが、法改正に当たっては、こういった記念すべきときにもかかわらず、五年もの歳月をかけたわりには、抜本改正と言える内容とはなっていないのであります。依然として狩猟法に鳥獣保護をくっつけただけの、いわば接ぎ木的な性格を脱していないと端的に私は指摘せざるを得ません。鳥獣保護を基本あるいは優先にし、その中に狩猟法を位置づけるとともに、野生動物全体に対して国が責任をもって保護するよりどころとなるような法律にはなっていないと私は思うのでございます。この辺についても、環境庁長官の反省を含めた御答弁をいただくと同時に、その意味で自然環境保全審議会の答申において、鳥獣を「永く後世に伝えていくべき国民共有の財産」と意義づけながら、その基本理念が条文上何ら反映されていないし、また対策の上でも反映されたとは言えないと私は思うわけでございます。こういった自然環境保全審議会の答申も十分環境庁長官御存じのところでございますし、先ほど言いましたように、ちょうど五月十日のバードウイークを迎え、この記念すべきときにこの法案の審議をする、しかし、五年もの歳月をかけたわりにはわれわれの要求する案になっていない、こういったことについて、まず冒頭、政府の見解を求めるものでございます。
  174. 山田久就

    山田国務大臣 ただいま瀬野委員から率直な御指摘がございました。私もそういう点において、いろいろな点から実際改善の余地のある点があるという御批判、私はもっともな点もあろうかと思います。ただ、日本にはやはり長い歴史がございまして、その歴史で、戦後になって初めてこの鳥獣保護ということがだんだん普及してきたというようなことになっているわけでございまして、そういう点を考えながら、つまり現状においてなし得るだけのひとつあれを入れたい、とりたい、講じたいということで、そういうような見地から、鳥獣の生存環境あるいは狩猟の実態、そういうものがとにもかくにも変貌してきた、これに応じて、とにかく制度の改善をやろうじゃないか、そういう声も出てきた、これに応じて今度の改善を行ったようなわけでございます。  このような情勢でございますので、政府といたしましても、制度の改善については自然環境保全審議会に諮って、その答申にもよって慎重に検討しました結果、とにもかくにも客観情勢において、鳥獣保護の充実を図っていこう、また、狩猟者というものの資質の向上、そしてまた秩序ある狩猟の確保を主眼とした制度の改正を行いたいということでやったものがこのたびの法案でございます。  今次の改正は、以上のように、最近における諸般の状況、狩猟の実態等を十分に勘案、しんしゃくして、長期的な視野で行っていこう、行く行くはさらにいろいろな自然保護鳥獣保護ということを主体にしたものについての検討もやらなければならないということも考えておりますけれども、現状においての保護と狩猟の適正化、この二つの要請にこたえたものである、こう確信いたしておるような次第でございます。
  175. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 環境庁長官の御答弁でその考えはわかりましたが、長期的視野に立って行く行くは検討していかなければならないということで、本法提案をされて本法が本院を通過しないうちに次の法案を出せということもどうかと思うのですけれども環境庁長官としては、本法は、十分ではないけれども一歩前進として出した、行く行くはなるべく早い機会に自然環境保全審議会等の答申等もこれあり、さらに国民の要望にこたえて改善を図っていこう、改正を図っていこう、こういうふうに私は理解したのですが、そういうような理解でよろしいですか。
  176. 山田久就

    山田国務大臣 そのようなことに御理解いただきたいと思います。
  177. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 具体的な問題について触れてまいりたいと思いますが、絶滅に瀕した野生鳥獣については、国が積極的に保護に当たる等、自然環境保全審議会の答申の趣旨に沿って鳥獣保護の強化に努めていただきたいということを長官に申し上げたいわけでございます。たとえば、われわれの議員連盟でも、また自然保護団体の仲間においても常に問題になっておりますトキ、コウノトリ、イヌワシ、アホウドリ等、数多くございますが、こういったものの現状把握はどうなっておるのか、また、保護対策をどのように考えておるのか、こういったものに対する当局の考え方をひとつまとめてお答えをいただきたい。  一例を申しますと、タンチョウヅルで有名な北海道の風蓮湖、サロベツ原野、釧路湿原、こういったのがありますが、現在、牧場化が進んでおりまして、生息地がだんだん狭隘になって将来がおもんばかられております。こういった開発規制、維持対策、こういったものについても積極的に対策を講じなければ絶滅する、こういうふうに思っているのですが、この機会に、かねがねわれわれ議員連盟の中でも大変問題になっておる問題でございますので、冒頭改めて環境庁長官のお考えを、また今後の対策をお聞きしたい。また、現状把握についても、どうなっているか、しかとお答えをいただきたいと思う。
  178. 出原孝夫

    出原政府委員 現状から先に申し上げます。  トキ、ライチョウ等、絶滅のおそれのある鳥獣、あるいはこれに近い状態にございます特定鳥獣保護を図るために、毎年、種類及び地域を定めましてその生息の状況あるいは生息の環境等を把握するための調査を行ってまいっております。特にその中でも重要なものから手をつけるということで、人工増殖でございますとか移殖でございますとか、保護のための具体的な方法等につきまして、学界の先生方等にお集まりを願ってお知恵をかりまして手を加えるという努力を順次いたしておるわけでございまして、トキにつきましては、すでに新聞紙上等でも御案内のように、上野の動物園に卵を持ってまいりまして、ふ化の努力を試みておるところでございます。これは技術的にはなかなかむずかしゅうございますので、成否のほどにつきましては、近いうちにわかると思いますけれども、まだよく承知いたしておりません。上野の動物園で目下中川飼育課長以下が最大の努力を払っていただいておるところでございます。  次の問題といたしましては、私どもはライチョウを考えております。ライチョウばほかのところの高山地帯に移殖をしてふやすという方法はできないものかということで検討をいたしておりまして、できるだけ早い機会に具体化の策をとってまいりたいというふうに考えておるところでございます。それぞれ利害関係人が出てまいりますので、その人たちとの折衝も必要でございます。
  179. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 いま答弁ございました中で、絶滅に瀕したトキのお話が出ましたが、トキの保護対策で、卵を採取して人工ふ化することにしたことは、われわれも結構なことであると高く評価しております。せっかく方向が打ち出されたのでありますけれども、さらに第二回、第三回の人工ふ化を行うようにしていただきたい、かように思うのですが、中川飼育課長が熱心にやっておられますけれども、そういったことについてはどういう方針でございますか。あわせてお答えください。
  180. 出原孝夫

    出原政府委員 その点につきましては、ことしの結果を見ました上で、これはトキの保護対策のための専門家の方々委員会をつくっていただいておりますので、その先生方のさらに次の段階にどうステップを踏むかのお知恵もかりて進めていきたいというように考えております。
  181. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 環境庁長官、あなたの認識の度合いを聞くためにあえて質問しますが、いまの問題で、上野動物園でいま昭和五十三年四月十四日に採卵してふ化が始まっておりますけれども、こればいつごろ産まれるのですか、産まれたのですか、その点御存じですか。
  182. 山田久就

    山田国務大臣 これはいまちょうど産まれたか産まれないかというところですけれども、実はその情報というものは、マスコミ等のいろんな関係もありますので、当事者としてはこれを非常に秘匿してやっておるというような状況でございまして、われわれも結果がよければいいということで、その秘匿に協力しているという現在の状況でございます。
  183. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 なるほどそういったマスコミの関係もございますが、私も重大な関心を持っておりますので、ふ化するとすれば、大体五月四日から八日ぐらいまでの間が山場であったわけですが、もう当然結果がはっきりしているのではないかと思います。どうも発表がないところを見ると失敗じゃなかったのかなと思って、実は大変心配をしております。パンダのときも産まれる産まれないの問題でずいぶん騒いだわけですが、その点、ここで発表をおもんばかるのであればもうやむを得ませんけれども、ちょうどバードウィークが十日から始まって、明日はいよいよ野鳥保護の集いをするというような、先ほど申しましたような記念すべきときであるので、これのふ化に成功すれば、これほど意義のあることはないと思います。環境庁長官は明日、前橋に行かれてごあいさつをなさったり、重要な週間にもなっておりますので、皆さん方の熱心の度合いを聞くと同時に、このふ化、が成功すればまさに時を得たトキのふ化である、かように思って私はお聞きしたわけですが、局長どうですか、その点。
  184. 出原孝夫

    出原政府委員 トキの関係種類のものの、要するにかえるといたしましたら、卵を産んで温め始めてから三十日前後というのがそれでございます。したがいまして、実は環境庁長官からも、まだかまだかと私ども攻められておるわけでございますが、これば上野の動物園の方で非常に慎重にしておりますのは、検卵をいたしまして見ればよろしいわけでございますが、鶏の卵、アヒルの卵と違いまして色がついておりますので、中で発育することが非常にわかりにくい。それから余り念入りに外へ出して見ておりますと、肝心の卵の中のひなの発育に悪影響を及ぼすおそれがあるということで、見通しがわからないままにふ卵器の中に入れてもらっておるということで、ときどき検査はしておられるようですけれども動物園自体でまだよくわからぬということで、実は私ども動物園自体も気をもんでおるところでございます。今明日を中心にいたしましてプラス・マイナス一週間ぐらいが山であるということでございますので、明日の野鳥の集いの大会のときに吉報がもたらされるような状況になることを、私ども自身も願っておるような状況でございます。
  185. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 局長答弁によると、トキのふ化についてはときどき観察をしておる、プラス・マイナス一週間ぐらいが考えられるということですから、十分希望が持てる、こういうふうに考えていいですか。
  186. 出原孝夫

    出原政府委員 希望も持てますし、あるいは失望しなければならないかもしれないということで、まだフィフティー・フィフティーとお考えいただいた方がいいと思います。
  187. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 なぜこういったことを尋ねたかといいますと、愛鳥週間でちょうど明日が全国の集いになるものですから、吉報がもたらされると、こういった絶滅に瀕した鳥類の今後の保護、また愛鳥週間の意義も深まるし、さらには本法がちょうどこのときに審議されているということにおいても意義が深いと思いまして、特にこのことを私は取り上げて申し上げたわけです。  そこで、こういった絶滅に瀕した鳥類保護対策に関連して、私はラムサー条約の加入の問題について政府の見解をたださなければなりません。一九七一年にイランのラムサーで条約採択会議が、イランを初め英国、フランス、ソ連、オランダ、北欧三国など十八カ国が出席して行われたわけでございますが、その際、採択された水禽類の生息地として特に重要な湿地に関する条約、通称ラムサー条約、または湿地保護条約という呼び名もございます、この条約にわが国はいまだに加盟しておりません。また加盟へ向かっての目立った動きが見られないのはまことに残念なんですけれども、これについては、環境庁長官どういうお考えですか。いつごろなさるつもりですか、所見を承りたい。
  188. 山田久就

    山田国務大臣 本条約は、水鳥の生息地等を保護するという上できわめて重要な条約であるということは、御案内のとおりであります。環境庁といたしましては、できるだけ早い機会にこの条約批准するという方向で進みたい。われわれもその意味での国際社会の正当な仲間入りをするということで、いま事務当局にこれに必要な準備についてのことを督励している状況でございます。
  189. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 環境庁長官は早い機会とおっしゃるけれども、早い機会ということは、一年以内とか二年以内というような意味理解していいですか。その点はどうですか。
  190. 山田久就

    山田国務大臣 そのように御理解していただきたいと思います。
  191. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 ぜひとも早い機会に仲間入りをしていただきたい、かように思います。  そこで、あえてまた申し上げますが、タンチョウやシギ、チドリの生息環境の保護に対して、今日ほど国民からいろいろ言われていることはございません。また、こういった鳥の生息状態を思うときに、本来わが国が率先してこの条約が加盟国となることは当然でございます。一両年中には何とか努力したいということでございますので、一日も早く私は加盟していただきたいと思うのですが、ある外人が世界で最も湿地の保護が必要な国はオランダと日本であると断言しております。いずれも湿地、湖沼で埋め立てや干拓事業の盛んな国でありますから、多少そういったこともおもんぱかって言ったのじゃないかと思いますが、私はこの条約加盟によって重要な湿地の保全が図られるのみならず、広く国民に湿地の重要性を知らしめる効果もまた大きいということを考えるわけでございますので、一刻も早く条約に加盟をする努力をすべきである、かように思うわけです。外人がオランダと日本、こういった指摘をしておりますが、これについては長官も十分認識しておられますか。また、こういった意味からも私ば、条約には早く加盟すべきである、早く加盟することによって国民にその重要性を、また開発に対する大きなプレッシャーもかかっていく、こう思っておるわけです。狭い日本の国土でございますので、環境庁として焦眉の急務の条約であり、加盟すべき問題である、こういうふうにさらに私は強く環境庁長官に認識を深めてもらうためにも申し上げるわけですが、これについて、さらにひとつ御答弁をいただきたいと思います。
  192. 山田久就

    山田国務大臣 ただいまのオランダと日本、このことは、あるいはそのようなことがあろうかとも考えられます、具体的には承知しておりませんけれども。この条約の必要性については先ほど申し上げたとおりでございまして、できるだけ早くこれを批准に持っていくということで努力中でございまするので、どうかそれを御承知いただきたいと思います。
  193. 出原孝夫

    出原政府委員 長官に補足して御説明をさせていただきたいと存じますが、現在わが国の干がたにつきましては大体百四十四カ所程度あると言われております。私どもは、その中の重要なものについてはぜひ鳥のために確保いたしておきたいということで、現在三十カ所程度をすでに、鳥獣保護区として指定をいたすようになっております。これは国内的な問題といたしまして整理をいたしておるわけでございますが、国際的にも干がたの保護は重要な問題でございますので、長官からも強い御指示を受けております。私どもも、できるだけ早くにラムサー条約批准ができるように、関係省庁及び関係地方との事務的な詰めを進めてまいりたいというように考えております。
  194. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 ぜひそのように詰めを急いで、ひとつ早い条約の加盟をしていただきたい、かように思います。  次に、今回の改正と同時に、国みずからも鳥獣行政組織の整備充実を図るために相当数の鳥獣専門官の増員を図って、鳥獣に関する調査研究機関を早急に設置するというお考えもあるやに聞いておりますが、これまた私は急いでやってもらわねばならぬ問題だと思っております。本当に審査をしてやはりコントロールできる人でなければならぬ、こう思いますので、こういった鳥獣行政組織の整備充実、そしてさらに調査研究機関の早急な設置、こういったこともあわせて今後充実をしていただきたいと思うのですが、また各種団体からもこういった声が大変強いわけです。環境庁長官の耳にも入っているはずでございますが、本法審議に当たりまして、こういった点についても当局の考えをひとつ明らかにしておいていただきたい、かように思います。
  195. 出原孝夫

    出原政府委員 まず、専門の職員のことでございますが、現在、私ども環境庁の自然保護局に鳥獣保護課という一課を設けまして、これが中央官庁としてはその行政の衝に当たっておるわけでございます。職員の数は十二人でございますが、その大多数の者ば鳥獣について専門的に仕事を続けてきておる者でございます。  先ほど専門官お話がございましたが、これにつきましては、役所の組織構成上スタッフとラインに分けるということで、スタッフとしての専門官を設けるということにしたわけでございまして、専門官一名というのがあるいは専門家が一名という誤解をお与えしているのではないかと私ども心配いたしますが、そうではございませんで、十二名の課の相当部分が専門家であるということは御理解いただけたらと存じます。  研究所の組織につきましては、過去の歴史的な経緯から林野庁の中に専門の研究の課を設けられておるのでございますけれども環境庁といたしましても今後努力すべき問題であるとは考えております。ただ、先生御案内のように、国家公務員の定数をふやすということは非常に事情もむずかしい時期でございますので、私どももそれなりに大変な努力が必要であろうというふうに考えております。
  196. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 ただいま答弁がありましたように、本法改正と同時に鳥獣行政組織の整備充実ということを図らねばならぬ、私はかように申し上げたのですが、局長は専門家が十二人おる、全部専門員であるというようなことをおっしゃいましたけれども、これじゃ少ないわけです。私はもっと予算を確保して、そして充実してもらいたいということをさらに申し上げたい。たとえて申しますと、米国では年間四百億の予算を計上しております。しかも博士クラスを多く擁しておりまして、国柄は違うと言いながらも二十五台の飛行機も持っております。お隣の韓国は、韓国でさえもと言うと失礼になるので申しませんが、年間五億円も予算を計上しております。日本ばどうかと言いますと、当初四十五年に一千六百万円、四十六年に一億二千万円、四十七年から横ばい状態でございますがずっと一億五千万円、こういった予算でございます。これではもうお話になりません。お隣の韓国の三分の一でございます。アメリカはこれはまた比較にならぬほど大きいのですが、いずれにしても大蔵省の認識も変えなければなりませが、環境庁長官のさらにさらに強い努力もしてもらいたい。来年の予算も五月からいよいよ作業に入っていくと思いますので、来年度を目指して、特に強く私は要請するのですが、これに対する長官の決意、またお考えはどうですか。
  197. 山田久就

    山田国務大臣 自然保護に対するわれわれの非常な熱意、そしてまた国民の要望、それにこたえてできるだけこの予算の獲得ということについてひとつ努力をしていきたい、こう考えております。
  198. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 局長、いま長官から努力するとおっしゃったが、局長としては来年度あたりは、五年ぶりの本法改正であるがどういう決意で臨むか、長官のいまの答弁にこたえてどういうふうに考えているか、あなたもあわせてひとつ決意を述べてもらいたい。
  199. 出原孝夫

    出原政府委員 長官の御指示を得まして、私ども鳥獣保護につきましては今後とも力を尽くしてまいりたいというように考えております。ただ、先生にも御理解をいただいておきたいと思いますが、わが国の鳥獣保護に関する予算の体系は都道府県予算の財源を与えることを中心にいたしておりまして、各府県のものを合わせますと三十億になっておりますので、それと合わせてわが国の鳥獣保護が動いておるということは御理解をいただけましたら幸いと存じます。
  200. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 もう府県のものはあたりまえで、君がそんなことを言っているから大蔵省がいつまでも金をくれぬのだから、そんなことはわれわれも十分承知しております、私も十数年こういった鳥獣行政には参画してきておりますから。ひとつアメリカの例、韓国の例もありますが、現に干がたの問題にしても、また保護区の問題にしても、絶滅に瀕した魚獣の保護の施設とか、先ほど申しました組織の問題にしても、まだまだ脆弱であることは言うまでもないことでございます。また、われわれが月に一回ないし二回開いている議員連盟の会合においても、しばしば出ている問題であるので、ひとつさらにさらに、来年度予算からこういった保護体制予算を確保して、充実した行政を行えるように要求をしておく次第であります。  次に、本邦産の野生鳥獣保護を強化するため、外国産の野生鳥獣輸入規制の強化を図るための問題があるわけです。この問題は、本法審議に当たっては、特にこれは大きな問題でございます。これについては、私の質問の後、わが党の竹内委員から詳細にわたって質疑がなされるということになっておりますので、私は、この問題については触れることを避けますけれども、重要な問題であることを指摘し、さらに、これに関連して  一点だけ長官にお尋ねをしておきたいと思います。  ワシントン条約批准の問題でございます。神戸市の鳥獣貿易業者が、保護鳥獣をイセシマ ズーロジカル ガーデンという架空の動物園名を使って輸入し、その価格表世界に配布しているということで、英国の科学雑誌ニューサイエンティストというのがありますけれども、この雑誌の中に日本のアニマル商法を厳しく批判した事例があるわけです。そこで、違法ではないとはいえ、この告発は間接的に日本の自然保護政策の煮え切らないところを突いてきておる問題でございまして、危機に瀕している動植物輸出入を厳重に規制し、貴重な生物の種族を保護しょうという目的で、絶滅のおそれのある動植物の取引に関する条約、すなわち昭和三十八年三月、通称ワシントン条約と呼ばれていますが、これが採択されておるわけです。現在、この条約は、すでに米英ソなど世界の三十七カ国が加盟をしております。日本は、四十八年四月に署名したが、まだ批准はしておりません。そのため、業者が条約規制された動植物を扱っても取り締まることができないというのが実情でございます。  そこで、私は、批准に対する見解はどうなのか、どういうふうにお考えであるか、その点を、環境庁のお考え、所見を承っておきたい。
  201. 山田久就

    山田国務大臣 環境庁といたしましては、本条約をできるだけ早い機会に批准が行われることが望ましい。これは、国際的な信用という点からもそう考えておりまして、そういう態度で臨んでおります。現在、外務省中心に、本条約批准のために関係各庁でその準備を進めているという状況でございまするけれども、わが方の態度、方針は、いま申し上げたとおりでございます。
  202. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 わかり切った問題でありますけれども関係省庁が外務、環境、通産、大蔵など、多岐にわたって、主管官庁がなかなか決まらないという点も、われわれの仲間ではいつも論議して心配をいたしております。その上に国内関係法または組織など、受けざらの整備がなかなか一朝一夕にできないということで、局長なんかも大分悩んでいるんじゃないか、こういうようにわれわれは見ております。要するに、批准を阻む壁というものは、そういった問題と、もう一つは、規制が動植物の生体だけでなく死骸またはその一部にも及ぶために、毛皮商やワニ、トカゲなどの加工業、また象牙とかサンゴ、べっこうなど、細工物などの業者の皆さんの死活にかかわる業種がたくさん出てくるという問題もあろうかと思う。こうした事情もあって、アメリカの要請によって昭和五十年の夏までに一たんは批准完了の予定であったのが、無期延期になったという経緯があるわけでございます。  そこで、私は、いろいろ困難な事情があることは承知しておりますが、こういった批准を阻む壁の中でも最大の問題になっているのは、各省庁との関係ではないかと、こう思います。私は、環境庁が主導権を握ってやるべきではないか、こういうふうにかねがねから申しておるわけですけれども長官もひとつ、めんどうないま言ったような問題があるであろうと、なかなか言いにくい問題かと思ったので私の方から申し上げましたが、どうかひとつ、環境庁長官がこういったものを取りまとめて、主導権を握って積極的にやってもらわなければ、この後わが党の竹内委員が質問するいろいろな問題等についても根本的な解決にならない、かように思うのです。私も、日本鳥類保護連盟の評議員、そしてまた理事もいたしておりまして、そういった立場から、この問題については公開の席で特に強く、本法審議に当たっては重要な問題であるだけに申し上げるわけですが、さらにひとつ長官の所信を承っておきたいと思う。
  203. 山田久就

    山田国務大臣 絶滅のおそれのある動植物保護、これはわが国において環境庁がやっているわけではありますが、この基本精神は、同時に他国におけるそれというものが円満に行われる、ことにそれについてわが方がいろいろなかかわりを持つということは信用にもかかわる問題である、そういう見地に立って、一日も早く本条約批准が行われることが望ましい、そういう立場に立ってひとつ大いに善処してまいりたいと思っております。
  204. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 環境庁が主導権を握ってやると、こういうふうに理解してよろしいですか。
  205. 山田久就

    山田国務大臣 気持ちの上では相当われわれはそういう気持ちでやってまいります。これはいろいろ所管がございますので、私だけが主導権とこう申し上げては口幅ったくなりますので、いま申し上げましたように、この絶滅のおそれのある動物保護という基本観点に立っているわれわれでございますから、したがって、このことについては大きな発言力を持って善処してまいりたい、こう考えているわけでございます。
  206. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 どうも山田環境庁長官の決意が弱いので、もう一度私は指摘するわけですが、気持ちの上ではといっても、これは、おいしい食べ物があるのに気持ちの上ではおいしいと思っても、食べなければ腹いっぱいにはなりませんね。気持ちだけではだめなんです。やはり実際にやらなければだめなんです。そういう意味で、関係各省庁かなりあるのでいろいろ問題はあろうと思うのですけれども、ひとつ強い姿勢で、主導権を握ってまとめてもらいたい、かように思うわけです。これができない限りこの問題は解決しない、かように思っています。以下はわが党の竹内委員からの質問もございますので、次の問題に入りたいと思います。  次に、狩猟免許に対する試験制度の導入に当たりまして、現に狩猟免許を有している者についての講習及び審査が行われることになりますが、私は、これは特に厳格に実施して、猟銃等による事故等がないように、国民の生命を守るためにも、狩猟者の資質の向上に努力していただきたい。そういった意味でも、本法改正は一歩前進であることは言うまでもございませんが、現在の狩猟免状の交付状況を見ますと、甲種が五十一年の実績で九千二百四十一人。甲種というのはわなとか網を言うのでございますが、乙種は銃砲でございますが、五十万五千三百七十五人。丙種は空気圧によるものでございまして、空気銃を指すのですが、一万六千十四人というのが五十一年の交付状況の数字として統計的に出ております。私は、わけてもこの中で、乙種、すなわち銃砲による狩猟免許の試験制度については、特に厳格であってほしいということを申し上げるわけでございます。また、この乙種が一番数も多いし、また質の低下が言われておるわけですけれども、これらについては環境庁としてはどういうふうに考えておられるのか、その対処方針を承っておきたい。
  207. 出原孝夫

    出原政府委員 特に銃の所持者である乙種の免許につきましては、最も多くの危険を伴うものでございます。狩猟事故につきましては、近年死亡者等の数は漸次減少を見てはおりますけれども、これば絶滅させることが望ましいことでございます。今回、試験制度の導入を決意いたしましたのも、そういう意味におきまして、狩猟に当たる者の資質の向上を図るということが主眼でございます。  ただ、経過的な措置として、御指摘のような問題がございますので、審査に当たりましては、特に聴力、視力、運動能力等を十分審査をし、また講習会におきましては、これが新しい制度における免許と同じ効力を持つ免許を与えるための講習でございますので、十分都道府県を指導、督励いたしまして、講習におきましても十分な知識と経験を積ませるような努力をさせたいというように考えております。
  208. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 そこで、いまの講習を受けさせるということでございますけれども、狩猟免許制度が、従来の講習会制から三年ごとの適性、技能、知識についての試験による免許制度になったということは、先ほども申しましたように、大きな前進であります。そういうことはよくわかるのですけれども、従来の講習会制による免許取得者が、現在約五十万人というたくさんの方がおられるわけですね。講習さえ受ければほぼ一〇〇%免許を与えるというようなやり方であったために、質の低下というものが起きて、それが事故にもつながるということになってきたわけでございます。いろいろわれわれも調査してみますと、現在免許を持っている方でも、保護鳥とか捕獲鳥、またその羽数についても、どのくらいを捕獲していいのか、こういったものについても認識がない方もかなりあるわけでございます。これは初歩的な問題ですけれども、こういったことから、よくこれを認識をするような講習をしてもらわなければなりません。したがって、この試験によって不適格者を十分選択するということは結構でありますけれども、今後この講習、試験、こういったことについて、本法が制定されたならばどういうようなスケジュールで具体的に行うつもりなのか、いろいろ大変な事務的な問題も起きてくるわけでございますが、その点どういうふうな対処をされる方針であるか、この際、明らかにしておいていただきたい。
  209. 出原孝夫

    出原政府委員 御提案いたしておりまする法案の中におきまして、その施行期日を、免許取得にかかわるものにつきましては昭和五十四年度から実施をいたしたいというように附則でお願いをいたしておりますのは、準備に相当な期間を必要とするであろうということを前提にいたしましてのお願いでございます。私どもも、特に都道府県あるいは中央の環境庁を通じまして、相当な準備を必要とする、また適性検査その他、あるいは試験の具体的な標準を各都道府県に示して、全国同じようなレベルで試験がされるようにするための基準を設けておく必要があると考えておりますので、その辺を含めましてこの準備期間内に十分遺漏のないように期したいということで、施行までに若干の余裕をいただくようにお願いをした、こういうものでございます。
  210. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 次に、狩猟制度の基本的あり方についてお伺いしますけれども、この狩猟制度についてはさらに検討を進めていただいて、速やかにその方向を確立していただかなければならぬと思うわけでございます。スポーツと有害鳥獣との関係とか、また猟区のあり方、何羽まで鳥を捕獲していいかという羽数の問題、いろいろあるわけですけれども、現在、科学的根拠が何もないわけですが、こういった点については本法提案に当たってどういうふうに検討されたのか、御説明いただきたいと思います。
  211. 出原孝夫

    出原政府委員 鳥獣保護と狩猟との関係、特に狩猟制度の基本的なあり方につきましては、今年の一月二十日にいただきました答申の中にもいろいろ詳しく述べられておるところでございます。狩猟は一面スポーツとしての性格を持っておるものでございますけれども、他面において農林業に有害な鳥獣の発生をその結果として防止する役割りを果たしておるということもございます。しかし、最近におきます国土の開発等に伴って、野生鳥獣につきましては、日本の環境は決して住みよい環境ではなく、一むしろ住みにくい環境になりつつあるということも事実でございますので、鳥獣保護を図ることを基本理念として、その理念から逸脱しない範囲内で、農林業の振興あるいは狩猟による事故の防止等々の配慮を兼ね合わせながら実施すべきものであるというふうに考えております。
  212. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 ただいま御答弁いただきましたが、メジロとかホオジロ、ウグイス、こういったたぐいのものは県知事許可で飼える。クロツグミなどは環境庁長官が許可をする。これはわれわれ仄聞するところによりますと、めんどうくさく飼いづらいというようなことが言われております。ウソという鳥がおりますけれども、これについては環境庁長官が許可をするが、数が多いということから、これはたしか県知事へ許可をおろされているというようにわれわれは聞いております。要するに、事務量が多いということで県知事へおろされる、こういったことが言われているのですけれども、この辺の整理といいますか、その考え方はどういうことでなさっておるのか、これもひとつ本法提案に当たって明らかにしていただきたいと思います。
  213. 出原孝夫

    出原政府委員 本来の筋といたしましては、私どもは、重要なるものにつきましては環境庁長官まで上げて許可をする、それから比較的重要度の少ないものにつきましては都道府県知事ということが基本でございます。ただ、個々のものにつきましては、いろいろ問題があるものもございますので、これも私ども専門家の先生方を交えて検討するように事務的には運びたいということで準備をいたしておるところでございます。
  214. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 さらに、現行有害鳥獣駆除制度についてでございますけれども、最近イノシシにしてもムク、キジ、カモにしても、農産物の被害が出てきているということで、有害鳥獣駆除申請を被害者が出した場合は、種類によって県知事または環境庁長官が、合法的にハンティングできるように、狩猟期間外、保護区の中でもできるようにしておりますけれども、熊本県などでは、イノシシなどの被害については、猟期を前後十五日ぐらい延ばしてくれ、一番そのころが被害が大きいからというような意見もあります。また、猟期をこういうふうに、地方によって鳥獣の駆除を目的にして延ばすということになると、また猟期の延長みたいになっていろいろ問題があるということもありますが、この辺のことはどういうふうにお考えであるか。さらに、いま申しましたような農産物に被害を及ぼす有害鳥獣駆除についての考え方についてお伺いしたいわけです。     〔委員長退席、水田委員長代理着席〕  一つの例を言いますと、イノシシにしてもカモにしても、農作物に被害が出ますと、種をまく播種期に被害が出た、それというわけで、早く許可をもらうためには、熊本あたりから飛行機で飛んできて、日帰りで許可をもらって帰らねばならぬということで、その間、前後の事務的な手続も要るということからなかなか問題があるという意見も出ておるのです。こういったたくさんの問題があるわけですが、時間の関係で全部は申し上げられませんけれども、その辺についてはどういうような対処方針で検討されたのか、この点も明らかにしていただきたいと思う。
  215. 出原孝夫

    出原政府委員 御指摘のように、保護と有害鳥獣の駆除との兼ね合いというのは非常にむずかしい問題でございます。私どもは、猟期につきましては、基本的には冬季間の三カ月ということで、鳥獣の繁殖の期間を外して三カ月間に基本的には限定をいたしたい。ただ、北海道だけは、寒冷地でございますので若干の例外を設けるという現行の制度のたてまえはそれでいいのではないかと私ども考えております。それで、狩猟がその結果として有害魚獣の駆除になっているということは十分その役割りがあるわけでございますが、狩猟期間以外の時期におきまして有害鳥獣が発生するということにつきましては、有害鳥獣の駆除として行うべき筋合いのものであって、これを狩猟として行うということで、それにかえるということはいかがなものであるかというようには考えております。ただ、手続にある程度期間を要するといった問題がございます。この点につきましては、定例的に発生するといったものにつきましては事前にそういった事態に対応してやれるような方法も便宜的に講じられる性質のものでございますし、緊急に発生したものについてはそれからの手続でやむを得ないということになるわけでございますけれども、行政的な対応の仕方によってそういったロスは相当程度に防げるのではないか、また、そういう努力をすべきであると考えております。
  216. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 時間が詰まってきましたので、はしょって質問いたしますけれども鳥獣保護員のことでも一点触れておきたいと思います。  御承知のように、鳥獣保護員は鹿児島県等では百十人中九十%がハンターという例が出ております一いわゆる守るより撃った方がいいという人が多いわけです。東京でも、たしか三十六名中鳥獣愛好家、保護側は六名くらいしかいない、こういうように私たちは聞いております。  そこで、私はどうしても守る方も撃つ方もバランスをとることが大事ではないかと思います。鳥獣保護員は地方公務員の中でも一番下という立場になって、月に四日以上働いてはいけない。最大限四日ということになっておりますから、年間四十日ぐらい。一日に二千五百円。これでは足代にもならない。こういったことで本当に鳥獣保護員の任務が達成できるかということが問題でございます。  そこで、こういった実態を踏まえまして、これは普通の人ではできない、いわば専門的な知識の要る特殊な仕事でございますので、片手間にやるということでも困るわけです。だから、これを根本的に考え直して、今後は量よりも質ということにして、これらの予算を、専門家である方に三、四人でもいいから常勤の制度を設けて、そして厳しくこれを取り締まる、あとは無給の非常勤という混合形式を採用するということにしたらどうだろうか、こういう提案をしたいわけですけれども、これについては当局はどうお考えですか、お答えください。
  217. 出原孝夫

    出原政府委員 まず第一番目の鳥獣保護員を任命する場合のバランスの問題でございますが、これにつきましては、実際にやはりバランスがとれていないということのある県もあるようでございますので、この点は、私どもも十分都道府県を指導して、遺憾のないように進めるように努力をいたしたいというように考えております。ただ、鳥獣保護員を常勤とすることについてはどうであろうかということでございますが、鳥獣保護及び狩猟の取り締まり等の事業は都道府県知事の実施をしておる事業でございまして、鳥獣保護員はその事務の補助者としての役割りを持っていただくということでございます。したがいまして、これば、私どもがまた都道府県お願いをいたしまして、こういった窮屈なときでございますけれども、本来の業務はやはり常勤の職員がやるべき性質のものであろうというように思いますので、ボランティア等とのコンビネーションをうまくするという方向での努力を続けてまいりたいというように考えております。
  218. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 時間がございませんので、環境庁長官、いまの件についてもぜひそのように指導していただきたい、よろしくお願いをしたいと思います。  次に、かすみ網の問題、これもたびたび問題になってくる問題ですが、かすみ網による違法捕獲防止の徹底を期していただきたいということと、かすみ網は許可を受けた者以外の者には販売をしないような措置をしていただきたいというのがわれわれの連盟の特に強い要請でございます。これは通産省にも関係することでございまして、公開の席であえて私が申し上げるのは、環境庁の委託調査により、バンディングすなわち標識調査の科学調査については、許可を得て使用することになっておりますけれども、そのほかは禁止されておるわけでございますので、これはやはり野鳥捕獲に大きな威力を発揮しておることは事実でございますから、使用については今後通産省ともひとつ積極的に協議していただいて、通産省ぺースで販売しない方向で今後ともぜひ努力してもらいたいと思うのですが、これについて長官からでもお答えいただければと思いますが、いかがですか。
  219. 出原孝夫

    出原政府委員 御指摘のような問題のあることは事実でございます。しかし、全く販売の禁止措置をとるということにつきましては、これは流通関係の中での規制でございますのでかなりむずかしゅうございます。私どもといたしましては、かすみ網による違法な捕獲が行われないよう、さらに、地域的にもある程度限定されることの多い問題でございますので、関係のところと十分打ち合わせをいたしまして、違法な捕獲が行われないような取り締まりは強化してまいりたいというふうに考えております。
  220. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 最後に、文化財保護法の問題で環境庁長官にお尋ねします。  貴重な天然記念物行政が文化庁、環境庁に分かれて一元的行政が行われていないのはまことに遺憾であります。これもたびたび指摘をしてきた問題でございますが、速やかに文化財保護法を改正して天然記念物行政を一元化し、国みずから責任を持って文化財保護に当たるべきであると私は申し上げたいわけであります。現在のように県に任せっきりで、国はただ補助金を出すばかりでは効果のある保護が行われないことは言うまでもございません。  御存じのように、文化財保護法は文化庁の所管で、建物や美術関係は文化庁でいいが、動植物環境庁に任してやるべきである、でなければ、鳥獣関係は片手間になってしまう、かように思うわけでございます。  五十二年より鳥獣行政は環境庁と文化庁と両省で協議してやることにはなっておりますが、まだまだこんなことでは問題があるわけでございまして、何としても一元化していただきたい、かように思うわけです。この問題は多年の懸案の問題でございますが、最後に、環境庁長官として政府考えをひとつお伺いしたい、かように思います。
  221. 山田久就

    山田国務大臣 ただいま御指摘のような点、もっともでございまして、われわれといたしましては両省間の協議によってやっておりますが、できるだけそれによって保護の実が上がるように努力いたしたいと思います。
  222. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 長官にさらに努力をお願いして、時間が参りましたので、以上で質問を終わらせていただきます。
  223. 水田稔

    ○水田委員長代理 次に、竹内勝彦君。
  224. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 瀬野委員に関連させて、この鳥獣保護法の一部改正、これに関連させてほかの面も若干質問をさせていただきたいと思います。  まず、最近ちょっと問題になりました沖縄県の西表島の中にあるイリオモテヤマネコ、これに関して、環境庁として、本年二月に自然環境保全審議会の鳥獣部会にこれを一部保護区として設定するよう諮問することにしておったのが、この二月、そういった事態があって、実はそれがその諮問を見送らざるを得ないというような事態になった、こう伺っておりますが、この辺のいきさつをちょっと説明していただきたいと思います。
  225. 出原孝夫

    出原政府委員 西表の鳥獣保護区につきましては、すでに復帰以前の琉球政府時代から、西表の一部に鳥獣保護区が設けられておったわけでございます。鳥獣保護区の設定の期間は十年間でございますので、昭和四十八年であったかと思いますが、にその期間が切れましたので、その後そのままになっておるものにつきまして、イリオモテヤマネコあるいはカンムリワシ等重要な鳥獣類の生息をしておる地域でございますので、新たに国設の鳥獣保護区として西表島の一部を指定いたしたいということで沖縄県とも協議を続けてきておったわけでございますが、大方の見通しを得ましたので、今年の初めになりまして現地で公聴会を開くということで、これは西表が含まれております竹富町の役場のある石垣島で公聴会を開いて、公聴会のときはおおむね反対意見なしに賛成の意見を得まして準備を続けておったわけでございます。ただ、その後、現地におきまして、環境庁が、外国の高名なネコについての学者意見の中に、ヤマネコの保存のために現地の人たちはほかに移住すべきであるというような意見が述べられておったようでございまして、その意見を採用するつもりで鳥獣保護区の設定をもくろんでおるというような誤解がばっと広がったようでございます。こういった誤解が広がったままで鳥獣保護区の指定をするということは、そういった意味での反対が非常に強くなっているときに、手続が終えておるからといって強行するということは適当でない。特に鳥獣保護区の設定をいたしましてその保護に当たる場合に、これは地元の住民の方々との接触が一番多い問題でございますので、地元の方々が、その特殊なイリオモテヤマネコその他の鳥獣につきまして、世界的に珍しいものがあるという誇りと愛情とを持って接していただかなければ意味のないことになってしまいますので、国設鳥獣保護区の設定を一時見合わせることにして、環境庁の自然環境保全審議会に諮問することを直前に見合わせたという経緯があったものでございます。
  226. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 地元の住民の御意見を尊重するというのは、これは当然重要なことでございまして、ぜひその辺のコンセンサスをよく得た上において進めていかなければならない問題だと解釈します。しかし、この問題はそうゆったりしておっていいのか。約三百万年以上の昔からの西表島に生息していると言われる、原始的なネコとして、生きた化石とも言われるというようなそういったもので、何か絶滅寸前にあるようなそういった危機感もあるやに伺っておりますけれども、果たしてそういったような悠長な考え方でいいのかという点を、長官とそれから局長にお伺いしたいと思います。
  227. 出原孝夫

    出原政府委員 長官からお答えいたします前に、事務的にいま何を考えているかということを申し上げておきたいと思います。  御指摘のように、イリオモテヤマネコは、いまわかっているのは三十頭前後であるというように考えられております。三十頭前後というのはかなり絶滅に瀕しているに近い数字でございます。したがいまして、これが悠長であってはいけないという、御指摘のような問題がございます。  私どもは、これまで、国立博物館の今泉先生にその実態を御調査願っておったのでございますが、今後さらに専門の諸先生方の御意見をいただきながら、この現在の状態においてヤマネコの種を絶やさないためにはどのような手を打ったらいいか、これは学者の先生方の中でも意見が、具体策になると分かれてくるようでございますので、お伺いした上で方針を定めたいというように考えております。
  228. 山田久就

    山田国務大臣 ただいま局長が答えたところでありまするが、具体的な方法、そういう問題の検討とともに、ともかくこれを保護するのもやはり地元住民の愛情というものとともに考えていかなければならぬし、また地元住民の立場というものもありますので、その理解はできるだけ速やかに、そういう環境づくりをやって、それで保護区その他の適切な措置を講じたい、こういう立場で臨んでいるわけでございます。
  229. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 このものにいったいきさつというものは、いま局長からも話がありましたけれども、実はこれが英国のエジンバラ公から皇太子あての書簡があって、とのヤマネコに関していろいろ意見等もあったわけですが、その中に、外国の著名な方と言われましたけれども、そのある科学者がいろいろそこに意見をつけ加えてきた、その意見の中には、どうも人間が大事なのかネコが大事なのかというようなことを疑わざるを得ないようなそういったものにまでなっておるということから住民が硬化した、こういうように受け取っておるわけでございますけれども、一体この書簡の内容等を掌握したのか、同時にまた、これに対して、その中でのコンセンサスを得ていく上でのやはりこの科学者に対しての何らかの措置をとっていかないと、こちらの環境庁としての考えなどをこの英国の科学者にあてて——英国じゃないのですけれども、西ドイツの高名なと、こう言っていますが、この科学者にどういう措置をとったのか、あるいは今後とるのか、あるいはもっと違った、突っ込んだ意見等を聞いていかなければならないのか、その辺の今後の対策をお伺いしたいと思います。
  230. 出原孝夫

    出原政府委員 この問題につきましては、私どもも直接にその意見を受けた立場ではございません。ただ、そういうことで新聞紙上問題になっておったということを私ども承知をいたしましたので、その誤解は特に西表の人たちに解いていただく必要があるということで国内的には整理をいたしておるわけでございます。  ただ問題は、こういった外国方々のかかわってられる問題でもございますので、私どもが直接かかわるよりは、やはり外交的なものを含めた専門の方が御意見を整理されてということで御返事も行われたように、私ども新聞紙上その他で承知をいたしております。  その基本的な姿勢は、地元の西表の人々が非常に誇りを持ってヤマネコを保護できるというようにすることが望ましいということで、わが国の実情、国情等について十分御承知を願えるように、やわらかく反省を願うような形での意向が伝えられておると承知をいたしております。
  231. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 これは、当初環境庁の計画では、西表島の面積は全島で二方八千ヘクタール、このうち国有林部分の三千六百ヘクタールを鳥獣保護区にし、そのうち約四百ヘクタールを特に厳しい条件をつけられる特別保護区にする、こういった考えでやっておった。そしていろいろと公聴会等を開いて、地元で出席した人、ここには全員が、その人たちとの話し合いの中から、これは最初賛成しているのですよ。それが、単なる外国科学者がこう言うたからといって、それがばっと変わるというような環境庁の指導の仕方自体に問題があるのではないか、こういった面を私は感じるのです。したがって担当係員を派遣したというのは、どんな目的から、そしてまたどんなアクションを起こしたのか、どう努力したのか、この点をもう一度説明していただきたいと思います。
  232. 出原孝夫

    出原政府委員 経過をもう少し詳細に申し上げさせていただきますと、現地の公聴会を開くということで、石垣島で行いましたときは、私どもの担当の係員が公聴会の席に参ったわけでございます。こういった公聴会を行うような場合には、従来の慣例といたしまして、当該地の都道府県にいろいろお世話を願いまして、そしてその土地に私どもの担当官が赴くという形で公聴会をやっておるわけでございます。公聴会が石垣島で行われたということが、やはり結果的には現地の西表の方々に十分周知徹底しなかったということを私どもは後の反省として持っております。そういうことがございましたので、現地の方々にはかなり不満があるということで、私どもは、先ほど申し上げましたように、審議会に諮問を申し上げるのを中断いたしまして、それで、現地の人の理解を求めたいということで、今度は私どもの方の課長補佐を現場へやりまして、いろいろお話し合いをさせたわけでございますが、こういうものは、誤解にしても一たび広がってまいりますとなかなか解けないものでございます。そういう意味において、簡単にまた気持ちを翻してもらうということは非常にむずかしいということがよくわかりました。その後、大鷹政務次官が別個の御自身の御用件で石垣島の方に参られましたときに、ことしの三月でございますが、個人の資格で西表の人々に会っていただきまして、そしていろいろ複雑な現地の方々のお気持ちを率直に聞いてこられたようでございます。さらに三月の終わりに私どもの方の自然保護担当の参事官を現地に派遣いたしまして、環境庁の意のあるところを現地の人々にお話を申し上げるというように努力を繰り返してきておるわけでございますが、何分にも現地の生活の状況から申し上げますと、本土と沖縄の所得格差、そして沖縄の本島と石垣島との生活の格差、石垣島と西表島の生活の格差といったようなものがございますので、そういったところで住んでおられる方々が、本土あるいは沖縄県に対しましていろいろな意味での要望をお持ちである、そういったものについての問題も、このイリオモテヤマネコの問題でどうも象徴的に出たのではないだろうかというような推測を私どもいたすわけでございます。これらの問題を含めまして、現地の方々の誤解を解くということが非常にむずかしいことではございましても、私ども努力を続けなければならない問題でございますので、大臣が先ほど申し上げましたように、大臣からも、その意味で根気強く、しかも粘り強くやれという御指示を得ておりますので、私どもさらに続けてまいりたいと考えております。
  233. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 それで、やはりそういったもので簡単に、たとえば諮問を見送るとかというようなものであってはならないということを私は要望しておきます。ぜひひとつ環境庁は、やはり国民の側に立って、いろいろな問題に意欲的に対処していかなければならないという面で、大臣に、これに関連させてお伺いしておきたいのです。  環境アセスメント法案、きょう午前中の審議にもちょっとありましたけれども、これを何とか今国会にということで、非常に強い姿勢最初は臨んでおったやに私は伺っておるわけでございますけれども政府の状況の中で、あるいは他の省庁との関連の中で、自民党政調会での協議で、時期尚早、こういった結論を出したというようなことに聞いておるわけでございますけれども、私は、鳥獣保護も同じことでございますが、すべての面にわたって、やはり国民が望んでおる点というものに関して、ちょっとほかの方から横やりが入ったというもので後退していくというような姿勢であってはならないという面から、この辺に関して、この辺がこういった事態になった理由は一体何なのか、同時にまた、今後の考え方として、どういう姿勢でこのアセスメント法案に対して臨んでいくのか、大臣、これを明確にお答えいただきたいと思います。
  234. 山田久就

    山田国務大臣 アセスメント法案というものの必要ということについてはわれわれは深い認識を持っております。したがって、このことについては私どもといたしましては、従来にない非常な熱意と努力をもってこの問題に対処して、ことしは、おおむねその点についての各方面の認識も非常に熟してまいっておったというふうに確信して臨んでおったわけでございます。今日、いよいよ最終段階に臨みましていろいろな、無論これを現実化するについてもともと各種の利害からする反対論というものもあったことはよく承知しているわけでございますけれども、この点について党において最終の結論を出したいというような段階で、われわれとしては、あくまで最後までわれわれの初心が実現できるようにということをもって臨んでやっておるわけでございまして、もう時期が迫っておりますので、党にひとつ速やかに最終の結論を出してもらうということで、先方も、それを詰めて出そうということを言っておりますので、それについて大きな期待を持って、いま対処しておるわけでございます。
  235. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 いまの言、もう一点だけ大臣答えておいてください。  努力している、これは何回も聞いていることでございまして、私の言っているのは、今後の持っていき方をどうやるのか、リミットをどの辺に置いて、どうやるんだということを、やはり一番関心を持ってこの問題に関してはみんな見ているわけでございますので、私は、三度目の正直ともいうような大事な段階に来て、山田長官になってからまたこういうような事態に、また同じような事態になってしまったというような、あるいはもっと後退してしまったというような、そういった形になってはならないがゆえに、ここでもう一度決意を、今後どうやるんだということを、長官の決意でいいのです、何も自民党のことを聞いているのではないのです、長官のお考えをぜひお聞かせ願いたいと思います。
  236. 山田久就

    山田国務大臣 私は、あくまでこれを今次議会においてということをもって今日まで努力をしてまいりました。ちょっと口幅ったい言い方かもしらぬけれども、今日まで過去にない非常な現実性を帯びてくるまでに、私の方の部下みんなが非常に努力をしてくれたと私は信じております。また、これについて、先ほど来、後退であるとかいろいろなのが世評に出ております。これは非常な遺憾なことであって、一体このアセスメント法の一番大事な実体は何なんだ、結局私は、事前に一つの評価が行われるという体制がつくられること、それからみんなの、利害関係者、地元の意見が十分にくみ上げられて反映するという体制がつくられるということ、その評価についてわれわれもちゃんとした評価基準というものが確立され、われわれが発言権を持ってそれが行われるようにやっていくという、この三つであろうと思うのです。まだ法案が発表されていないので、いろいろむずかしいかもしれません。だけれども、その実体が、できないかどうかということなしに、ただいろいろな世評で後退とか後退でないとかいう、つまり感情的なことはむしろ慎んで、避けていただきたい、こういう私の考えでございます。非常に努力をしてまいったものでございますので、ぜひこのたびはということで臨んでおる。今日においてはこれ以上のことは私は申し得る段階にはないと思っております。
  237. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 ぜひ速やかに、ひとつ意欲的な対策で臨んでいただきたいということを要望して次に移ります。  先ほどもちょっと輸入野鳥の件で、輸入証明書を悪用しているのじゃないかという論議がございました。私は、これは大体出発がおかしいと思うのですよ。本来ならば、この輸入証明書というものは環境庁なり都道府県知事なり、そういったところが出すのが筋なんですよ。それをなぜ業者に任したのか、その辺のいきさつをまず説明してください。
  238. 出原孝夫

    出原政府委員 こういうものの証明の出し方にはいろいろあるかと思います。特にこれは輸出入商取引にかかわる問題でございますので、私どもも統制をとる場合においてとり方がまずかったということは反省すべき問題が多いと思っておりますけれども、業界が自主的にそれを行うことを円滑に運んだ場合には、これが監督上は一番効率のあるやり方でございます。そのこと自体は、私どもも大きな間違いではないのではなかろうかと思いますが、ただ、実際の運営上の問題がいろいろあったことは私どもは遺憾に思っております。
  239. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 それで、この野鳥輸入に関して、わかっている範囲でいいですが、年間どれくらいのものが輸入され、そしてまた種類はどんなものがあって、また輸出証明を出している国と出していない国とございますが、こういう面のデータを教えていただきたいと思います。
  240. 出原孝夫

    出原政府委員 輸入をしております外国産の野鳥の推移でございますが、わが国におります野鳥と同様の種類のものにつきまして、昭和四十七年から五十年までの間を申し上げますと、毎年約六十種のものにつきまして、四十七年が一万九千羽でございます。四十八年、四十九年もほぼ同様でございまして、五十年が二万七千羽というような入り方でございます。わが国の産出するものと同様のものというのは、ワシとかタカとかハヤブサとかトビとかいったようなもの、あるいはメジロ等が一番多いわけでございますが、そういうようなものが含まれるわけでございます。  このほかに、わが国では野鳥として存在しないカナリアといったものについては、正確な把握はできませんが、約二百万羽というように承知をいたしております。
  241. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 そこで、この問題に関して、国内捕獲禁止のものを堂々と、これは輸入のものですというような形で輸入証明書がいろいろなところへばらまかれているというような報道がされておりますね。これはこのままほっておくと大変なことです。ますます密猟を許していくというような事態になって、輸入品でもないのに、国内のとってはならないものをとって、それが堂々と店頭に並べられていくというようなことになっては大変なことでございますので、この対策として、輸出証明を出していない国も幾つもあるわけでございますし、そういう意味からいくと、この輸入証明書というものをこのまま、従来のままでいくのか、これにどう対処するのか、ここが一番大事なところだと思うのです。その面においてお考えをお聞きしたいと思います。
  242. 出原孝夫

    出原政府委員 先ほど御答弁を申し上げました際に、輸出入の許可制度を設けている国のことについて申し上げておりませんでしたが、数はかなりたくさんになりますので、全体を申し上げるのは時間的にどうかと思いますので、例として申し上げておきます。  輸出入ともに許可制度を設けております国は、アメリカ、アルゼンチン、インド、シンガポール、デンマーク、メキシコ等十七、八の国に上っております。輸入のみに許可制度を設けておる国は、フィンランド、イギリス、イタリア、スウェーデン、逆に輸出のみに許可制度を設けておる国はフィリピン、インドネシア、オランダ、韓国、台湾、香港、マレーシア等でございます。先ほど答弁を落としておりました。  それから、なお今後この輸出入の証明の取り扱いについてどうするのかという問題でございますが、私どもは、今回のお願いいたしております法律案の成立を御可決をいただくことができましたならば、輸出の証明の問題につきましては、どのような方法でやるのが最も的確にできるかということを、業界だけではなしに、鳥類保護に熱心な専門の方々の御参加も求めて有効な方法を研究してまいりたい。  最近において私どもが事務的に指導をいたしておりましたことは、有効期間が従来は明確でなかった、それを一年間に限るというようなこともすでに私どもが改善を図っておるところではございますけれども、もっと徹底した改善を図りたいという意味におきまして、関係業界と、あるいは保護関心の深い方々とをあわせた研究検討会を設けることを準備中でございます。
  243. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 こういった問題が起こらないような措置をぜひ早急に検討していただきたいと思います。  それで、時間ですので、最後に一点だけお伺いして終わりにしますが、猟区制度の充実ということがうたってあるわけでございますが、特に私ただしておきたいのは、答申の中においていろいろな意見があって、それを大別すると三つの意見があった。それは、猟区に関しては、現行制度を基調とするのが適当である、だから現行制度を維持するのだとする意見、あるいは狩猟は指定された可猟地域においてのみ認めるよう改めるのが適当だ、つまり鳥獣の重要な生息地あるいは集落その他人家が密集している地域等狩猟を行うことが適当でない地域以外の地域を可猟地域として指定し、その地域においてのみ狩猟を認めうるよう改めるのが適当だというこの二つ目の意見と、それから、狩猟は猟区にいてのみ認めるよう改めるのが適当だ、つまり鳥獣保護、危険防止等の徹底を図るために猟区を設定し、放鳥獣を主な対象とする狩猟のみを認めるように改めるのだという、この三つの意見があったわけでございますけれども、こういった面を踏まえて、今回のこの充実という面のものは、全国禁猟区という問題に関してはそういった姿勢というものが出ていないわけなんでございますけれども、一体この辺が出た経緯、それから、今後、この答申等を踏まえて、どういう対策で臨むのか、その点をお伺いして終わりたいと思います。
  244. 出原孝夫

    出原政府委員 今回の答申をいただきますのにこれだけの期間がかかった最大の原因が、いま御指摘の問題であったわけでございます。しかも、いただきました答申が三つの意見の並行のままの答申であるということで、私ども行政当局としては審議会の御意見に従って方針を決めるということが非常にむずかしい答申でございまして、行政当局としては現状を変更するということが非常にむずかしい内容でございました。ただ、現在の歴史的な経過の中においても、狩猟に関してはさらに秩序のある猟区というものを設けていく方向での努力は私どもとしていたすべきであるというように考えまして、現在、国及び地方公共団体にしか認められていない猟区の設定につきましては、環境庁長官の認可を受けてそれ以外の者でも猟区を設定することができるということで、猟区で狩猟を行うものである、現在日本全国で百足らずの猟区しかございませんので、狩猟を行う人たちにこの猟区になじんでもらうということがまず第一であるということで、猟区の設定を一つの柱にしたわけでございます。  それからなお、その猟区を設けるに当たっても、キジでございますとか人工増殖の可能なものについて、特定の鳥の種類を限ってその猟をするということを奨励——奨励という表現はいかがかと思いますが、そういうものを中心に狩猟が行われるような習慣が必要であると私どもは思いますので、もっぱら放鳥獣された狩猟鳥獣捕獲目的とする猟区の設定という一つの範疇を設けまして、それをつくりたいということがあったら、それは一つの範疇として認めておきたいということで、今回御提案申し上げた内容の中に猟区制度の充実として入れたわけでございます。  この辺のところは、三つの並行答申を出されたそれぞれの専門の先生方が、そういった意味での新しい前進というものを環境庁考えるならいずれも賛同しようというようなものであるというように私どもは判断したわけでございます。
  245. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 この辺は重要な問題点でございますので、もう回答しなくていいですけれども、この辺のところを今後の検討の材料にして、やはりみんなが納得できるようなものに持っていかなければならないと考えておりますので、その辺の検討をよろしくお願いしたい。  以上をもって終わります。ありがとうございました。
  246. 水田稔

    ○水田委員長代理 次回は、十六日火曜日午前十時理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時三十五分散会