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1978-05-09 第84回国会 衆議院 公害対策並びに環境保全特別委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年五月九日(火曜日)     午前十一時五分開議  出席委員    委員長 久保  等君    理事 相沢 英之君 理事 池田 行彦君    理事 登坂重次郎君 理事 林  義郎君    理事 島本 虎三君 理事 水田  稔君    理事 古寺  宏君 理事 中井  洽君       高村 坂彦君    西田  司君       萩原 幸雄君    福島 譲二君       藤本 孝雄君    大原  亨君       土井たか子君    馬場  昇君       竹内 勝彦君    東中 光雄君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (環境庁長官) 山田 久就君  出席政府委員         環境庁長官官房         長       金子 太郎君         環境庁長官官房         審議官     石渡 鷹雄君         環境庁企画調整         局長      信澤  清君         環境庁自然保護         局長      出原 孝夫君         環境庁大気保全         局長      橋本 道夫君         環境庁水質保全         局長      二瓶  博君         通商産業省立地         公害局長    左近友三郎君         運輸省港湾局長 大久保喜市君  委員外出席者         厚生省環境衛生         局水道環境部環         境整備課長   森下 忠幸君         水産庁研究開発         部長      山内 静夫君         運輸省港湾局技         術参事官    久田 安夫君         建設省都市局下         水道部長    井前 勝人君         建設省都市局下         水道部下水道企         画課長     高橋  進君         建設省河川局治         水課長     川本 正知君         特別委員会調査         室長      綿貫 敏行君     ————————————— 委員の異動 五月九日  辞任         補欠選任   関谷 勝嗣君     藤本 孝雄君   岩垂寿喜男君     大原  亨君     ————————————— 本日の会議に付した案件  瀬戸内海環境保全臨時措置法及び水質汚濁防止  法の一部を改正する法律案内閣提出第七五  号)      ————◇—————
  2. 久保等

    久保委員長 これより会議を開きます。  瀬戸内海環境保全臨時措置法及び水質汚濁防止法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。林義郎君。
  3. 林義郎

    ○林(義)委員 瀬戸内海を昔のようにタイやサワラが銀鱗をはねて躍るような海にしたい、これはひとしく瀬戸内海沿岸に住む住民願いであります。そういった気持ちから、昭和四十七年に公害対策並びに環境保全委員会委員長提案という形でもって瀬戸内海環境保全臨時措置法策定いたしました。当初の法案は、私も当時の立法に参画いたしましたけれども、その当時は瀬戸内海は死の海になるのではないかという危惧さえありましたし、お互い国会議員として環境問題に熱意を持って取り組んだわけであります。法案は、まさに臨時措置法でありまして、三年の間において実施をすべきことについて緊急性のあるものだけを取り上げてやった法案でございます。その法案提案理由説明の中にも、三年間たったならば政府の方で本当に瀬戸内海浄化するためにりっぱな法案をつくってくれるものである、それは政府の責任であるという期待と願望を込めて三年の法案にしたわけであります。不幸にして、その三年は二年間の延長ということになりました。今回新しく法案が出てきておりますけれども、私は、この法案の中身につきまして、長官に、まず基本的な考え方をお尋ねいたしたいと思います。  この法案の中には、ほかの法律にないようなものが一つ入っております。第三条の「基本となるべき計画策定」というところに、瀬戸内海の今後の環境保全に関する基本となるべき計画策定するに当たりましての基本的な哲学が盛られてあるわけであります。環境問題というのは、日本におきましては、昭和四十年代以降非常に大きく取り上げられてきましたけれども、この哲学というものが環境行政推進に当たっては絶対に必要であろうと私は思うのであります。「わが国のみならず世界においても比類のない美しさを誇る景勝地として、また、国民にとって貴重な漁業資源の宝庫として、その恵沢を国民がひとしく享受し、後代の国民に」伝えるべきものであるというのがこの法律の持つ哲学であります。  私は、そうした意味におきまして、ほかの法案にないような形を持っているのが現行法だと思いますし、こうした哲学について、環境庁長官、率直に、今後ともこの哲学のもとにいろいろな計画をやっていく御決心であるのかどうか、まず長官にお尋ねをいたしたいと思うのです。  単に環境保全ということではない、瀬戸内海というものの持っておるところの日本国民に与える影響というものを考えてやっていかなければならない、これは、お互い政治家としての使命ではないだろうか。長官瀬戸内海住民ではございませんけれども、私は瀬戸内海住民の一人として、最初に申しましたこの気持ちをぜひ政府の方でも受け入れてもらいたい。また、これは国民的なものであるという形にしてもらいたい。瀬戸内海沿岸住民だけの願いではない、日本国民全体の願いである、そういった形にするという決心でひとつやっていただきたい。その辺につきましての長官の御見解を賜りたいと思います。
  4. 山田久就

    山田国務大臣 この環境保全については、それぞれ、環境保全のための水質汚濁防止法を初めいろいろな立法によって努力が払われている、これは御承知のとおりであります。いわば今回の瀬戸内海法後継法は、そういう意味においては瀬戸内海というものの基本的な地位、これに対する認識、そういう点について特別の立法をやっていこうという趣旨でございまして、したがって、いま御指摘のございましたようなそういう基本的な考え方哲学と申しますか、そういうものに立脚してやっていこうという点については、全く同感でございます。
  5. 林義郎

    ○林(義)委員 当委員会でのこの改正案をめぐるいろいろな質疑を私も聞いておりまして、野党の諸君の中からも、また、ほかの質問者の中からも、この点は不十分ではないか、あるいはもう少し考え方を変えたらどうだという御意見もいろいろと出ておったと思うのです。私も瀬戸内海の完全なる浄化がこの法律ですべてできるものではないと思う。単に一片の法律をもちまして瀬戸内海浄化ができるとは私は思いません。やはりそこに住む人々瀬戸内海沿岸に住む住民各人各人の自覚と努力の問題であろうと思います。また沿岸市町村の本当の自主的な努力であり、関係府県の絶大な努力によって本当に瀬戸内海がきれいになるんだろう、こう私は最初法案のときに解説書でつけ加えたことがある、そういった意味で、これからいろいろと話をしていく場合におきまして、瀬戸内海に住む人々気持ちを十分にくんで、そして住民と一緒になってやる気持ちが一番大切なことだろうと私は思いますが、この辺につきまして、長官、どういうふうにお考えになりますか。
  6. 山田久就

    山田国務大臣 われわれの環境保全、このものについては、むろん、それなりの理想、目標、計画が必要でございます。しかしながら、そのことを実らせるものは、これに対して大きな利害と関心を持っているところの地域の皆さん方の心理的な同意、協力、そういうものにまって初めてできるんだろう、私はこう思いまするので、そういう意味において、ただいま林委員の御指摘になったような気持ち、態度、これについては私もそういう考え方でやっていきたいと考えておる次第でございます。
  7. 林義郎

    ○林(義)委員 今度の瀬戸内海環境問題につきまして、基本計画をつくるという話、基本計画の改定、変更をするというような話がございます。その中で、条文として「すみやかに、」というのを削ってあるところの条文があったと思いますけれども、ここはこう解してよろしいのですか。実は最初につくるときには、「すみやかに、」というのは、三年の時限立法であるが、その時限を待たないでできるだけ早くつくってもらいたい、それでもって推進をしていこう、こういうふうな形であった、ところが今度は臨時法でなくなりましたから、「すみやかに、」などというものを入れることは意味がなくなってきたし、基本計画としてのものはこれからもまたおつくりになる、こういうふうに考えていいのか。いま政府の方でおつくりになっておられます。閣議決定をされたところの基本計画でずっと踏襲をされるおつもりなのかどうなのか。その辺につきまして御説明ください。
  8. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 臨時措置法の三条には、「すみやかに、」策定しなければならないという規定になっておりまして、今回の改正案におきましてはこの「すみやかに、」を削除いたしております。その趣旨は、現行臨時措置法第三条、この規定を体しまして、この臨時措置法下におきまして去る四月二十一日に基本計画閣議決定いたした次第でございます。そして、この閣議決定いたしたものは、今度の改正案の附則第二条によりまして改正後の特別措置法の第三条の規定により定められた基本計画とみなすということで、引き継いでおるわけでございます。したがいまして、四月二十一日に基本計画策定を見たということでございますので、改正案の三条におきましては、もう策定をしたという立場に立ちまして「すみやかに、」というのを削除したわけでございます。
  9. 林義郎

    ○林(義)委員 実は、けさの理事会でも問題になりましたし、この際、私も明らかにしておきたい問題があります。  この法案の中には「内閣総理大臣」という言葉がしばしば出てまいります。一方、「環境庁長官」というふうな言葉で出ているところもあります。環境庁総理府外局でありますから、重要な事項内閣総理大臣、重要でないと言っては申しわけないかもしれませんけれども、いささか環境庁権限範囲内に属する事項については環境庁、こういうふうな形で整理をされているんだろう、私はこう思いますが、この内閣総理大臣権限事項にされたところにつきまして、環境庁長官ではなくて内閣総理大臣にした理由というものを、恐らくこの基本計画その他の問題だろうと思いますから、その辺につきまして、これは法制に詳しい方から法律論的にひとつ御説明いただきたいと思います。
  10. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 今回の改正案におきまして「内閣総理大臣は」云々という規定のところと「環境庁長官は、」云々という規定のところがございます。たとえば、水濁法の改正の方の関係で、いわゆる総量規制、こちらの面におきましては四条の二の「総量削減基本方針」、これは内閣総理大臣が定めるものとするという書き方になっておりますし、それから、たとえば「総量削減計画」これは四条の三でございますけれども、「内閣総理大臣承認を受けなければならない。」というようなことで、「内閣総理大臣」というふうにいたしてございます。この際の内閣総理大臣というのは、いわゆる総理府の長という角度内閣総理大臣というものを持ち出してございます。もちろん環境庁総理府外局でございます。その外局の長が環境庁長官ということでございますが、内閣総理大臣ということで、総理府の長という角度で持ち出しているところがございます。  その際に、特に公害対策会議に付議しなくてはならぬというような規定もございます。たとえば、「総量削減基本方針」の関係につきましても、四条の二の四項というようなところで「公害対策会議の議を経なければならない。」とございますし、「総量削減計画」の場合においても、四条の三の四項で、「内閣総理大臣は、前項の承認をしようとするときは、公害対策会議の議を経なければならない。」ということにいたしておりますが、この公害対策会議公害対策基本法に基づいて設けられております機関でございまして、いわゆる審議推進機関になるわけでございます。ただ、この際も、内閣総理大臣がこの公害対策会議の会長といいますか、議長役を務めるわけでございます。そういう場合におきましては、特に内閣総理大臣というのを総理府の長ということで、この関係については定めていただく。あるいは承認するという場合も、付議していただくという形を法制的にはとるべきであろう、こういうことでそのように規定をいたしておるわけでございます。  それから、環境庁長官ということでやっておりますのは、たとえば瀬戸内海特別措置法関係でございますが、これでは、たとえば十二条の三に「富栄養化による被害の発生防止」というくだりがございますけれども、この面の行政指導削減関係をやるわけでございますが、この辺は「環境庁長官は、」ということで振り分けをいたしておるわけでございます。
  11. 林義郎

    ○林(義)委員 ちょっとよくわからないのですが、「内閣総理大臣」と書かなくて、たとえば基本計画につきまして、この改正案の中に「第二章 瀬戸内海環境保全に関する計画」というのがありまして、その次に二項として、「基本計画決定又は変更に当たっては、内閣総理大臣は、あらかじめ、瀬戸内海環境保全審議会及び関係府県知事意見を聴かなければならない。」こういうふうにありますが、ここを「内閣総理大臣」としたのは、権限区分といたしましては、環境庁長官権限を越えるものがあるからこういうふうにしたんだ、こういうふうなことなんですか、どうですかということが一つです。  それから、もう一つ、お尋ねしますけれども、「政府は」という言葉を使っておられる。「政府は」というのはどういう意味なんですか。「内閣総理大臣は」という意味なんですか、それとも「内閣は」という意味なんですか、どういうことなんですか。この辺は法律的にひとつ御説明ください。
  12. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 いま御指摘の面は、第三条の関係かと思います。この第三条は、「政府は、」「策定しなければならない。」、こういう書き方になっております。これは、現在の臨時措置法の場合においても同じでございます。政府基本計画策定しなければならないということであれば、これは内閣総理大臣お一人でというわけにはまいらぬということで、閣議決定ということで政府として決めるということの処理をすべきであるということに立ちまして、実は四月二十一日の閣議決定によりまして政府として基本計画策定いたした次第でございます。それで、このような閣議決定を要するような重要な計画でございますので、この面につきましては内閣総理大臣諸般の面に当たるべきであろうということで、「基本計画決定又は変更に当たっては、内閣総理大臣は、」云々ということで、内閣総理大臣のマターにいたした次第でございます。
  13. 林義郎

    ○林(義)委員 その辺、ちょっとよくわからないのですが。もうちょっと説明をしてもらわないといかぬのだが、原案には、「政府は、」と、こう書いてあるわけですね、計画をつくるのは。それで、この瀬戸内海環境保全審議会というのは、確かに環境庁に付置されているところの審議会であると私は思うのです。なぜ環境庁長官であってはいけないのかということを端的に私は御説明いただきたいと申し上げているのです。
  14. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 政府基本計画決定しなければならないということで、これは閣議決定で決めるというくだりについては御理解いただいたかと思います。閣議決定を経るそういう重要な計画でございますので、この面につきましては内閣総理大臣が所掌すべきものであろうということで二項を書いたわけでございますが、その際に、やはり瀬戸内海環境保全審議会という審議会もございますので、その面の意見を聞いて決めるべきであろう、それからまた、関係府県知事も非常に関係が深いわけですから、その意見も聞くべきではないかということで、内閣総理大臣意見審議会に聞かなければならぬと、こういう形の構成をいたした次第でございます。
  15. 林義郎

    ○林(義)委員 二十三条に、「瀬戸内海環境保全審議会」という規定があります。二項に、「審議会は、環境庁長官又は関係大臣諮問に応じ、」第十三条の規定その他この法律の運用について、基本的方針等瀬戸内海環境保全に関する重要事項を調査審議する。」と、こうなっていますね、「瀬戸内海環境保全に関する重要事項を」「環境庁長官又は関係大臣諮問に応じ、」というこの関係大臣の中に内閣総理大臣は含む、こういう解釈ですね、それでは。
  16. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 御指摘のとおりでございます。
  17. 林義郎

    ○林(義)委員 わかりました。  そういたしますと、実際の実務の運営の問題につきましては、環境庁長官は、環境保全に関する重要事項について調査審議するどころの瀬戸内海環境保全審議会に対する諮問はできるわけですから、まあ、ここで基本計画というのは重みをつけて内閣総理大臣にした、こういうふうに解釈してよろしいのですか。権限的には全く環境庁権限の中である、しかしながら大切な問題であるから、各省関係があるからということですか。それとも、各省権限にわたる問題があるから内閣総理大臣にした、どちらなんでしょう。
  18. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 これは内閣の統括するといいますか、総理府の長としての内閣総理大臣ということで、閣議請議、たとえば、先ほど申しましたように、この基本計画は、政府が決めるということで、閣議決定をするわけでございますが、この際の閣議請議大臣としては、当然内閣総理大臣ということを考えておるわけです。実務的には、環境庁長官内閣総理大臣の補佐ということにおきまして諸般の事務をやりますけれども、そういう意味では、重みをつけたというか、そういう法でございます。各省との関係が特にという話は、むしろ政府として決めるという立場で、閣議決定ということで基本計画を決めるというふうに考えておるわけでございます。
  19. 林義郎

    ○林(義)委員 ちょっとよくわからない。どちらなんでしょう。
  20. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 ですから、内閣総理大臣決定または変更に当たって審議会知事意見をあらかじめ聞けということで、内閣総理大臣にしておるということは、総理府の長という立場に立ってそういたしましたということでございます。各省との関係がいろいろあるからしたのかということにつきましては、必ずしもそうではございません。問題は、各省と絡みがあるものでございますから、内閣総理大臣請議をした上で閣議という場において政府として基本計画を決める、こういう仕組み方をいたしております。
  21. 林義郎

    ○林(義)委員 閣議という言葉法律の中には全然出てきてないですね。総理府主管大臣としての内閣総理大臣というものがあります。総理府外局長官としての国務大臣環境庁長官というのがあります。環境庁長官には権限として環境庁設置法に基づくところの権限が与えてあるわけでありますから、その権限範囲内であるならば「環境庁長官」と書いてもよかったはずである。それをわざわざ「政府は、」と書いたのは、また、内閣総理大臣というものが、わざわざ本来環境庁に付置されているところの瀬戸内海環境保全審議会に、環境庁長官を飛び越えて諮問をされるということは、事の重大性なのか、あるいはそのほかの権限の問題があるのか、いずれかでなければ、わざわざ飛び越えてやられることはない、こういうふうに思うのです。思いますから、そこを飛び越えてやるところの理由というのは、事の重大性にかんがみて内閣でもっておやりになるのと、それからもう一つは、他省権限に属することもあるから、念のために内閣総理大臣ということに持ってきたのだ——これは閣議にかける必要はないと思いますよ、内閣総理大臣が判断されればいいわけですから。別に閣議でやれということは一つ法案の中に書いてないから、閣議にかける事項ではないだろうと思いますが、その辺は、最初の方の問題だけで結構ですからお答えください。
  22. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 現行臨時措置法の第三条で、政府基本計画策定しなければならないということがございまして、この際の手続等につきましては詳細な規定がないわけでございます。「政府は、」「すみやかに、」「策定しなければならない。」ということになっておりますので、これを政府として決めるという際に、別にこの法文では閣議というように書いてございませんが、それはやはりこの基本計画の内容からいたしましても、各省関係のある話でございますから、政府として決めるということであれば、それは閣議という場において閣議決定という手続をとるのが一番至当であろうということにおきまして、去る四月二十一日、基本計画現行法下において策定をいたしたわけでございます。  問題は、さらにこれを改正法で引き継ぎます際に、今後も基本計画というものの策定ないしは変更ということがあり得るではないかということで、三条の規定は、当然一項は入れるとともに、あと二項、三項はそれを決めます際の手続を付加したわけでございます。それで、決めるのは、前の臨時措置法下においても、政府が決めるというものを具体的には閣議決定でやりましたので、今後も閣議決定で決めるべきものであるというふうに実は考えております。  ただ、これを決めるに当たって、一体だれが閣議に持ち出していったり、あるいはこれは関係県もいろいろあるわけでございますし、審議会というのも別途あるわけでございますから、そういうものに対して意見を聞いたりするのかということになるわけでございますが、この府県計画というものの重要性ということからいたしましても、むしろ内閣総理大臣審議会なり知事意見を聞くのが適当であろうという判断に立ちまして、そういう仕組み方をいたしたということでございます。
  23. 林義郎

    ○林(義)委員 どうもお答えがはっきりしないのですが、ほかの方も質問されるのでしょうから、この問題は保留にしておきましょう。どうも私はよく納得がいかない。権限範囲内だということなのかどうなのかということをはっきりさせてもらいたいと思うのですが、どうも明確な御答弁がないので、この点は保留させてもらいます。  次に、私は、瀬戸内海をひとつきれいにしていくということが、大臣、先ほど申しましたように、国民的に一番の願いだと思うのですね。この中で、今度は総量規制をやっていこうというふうな話である。それから埋め立ての規制も引き続いてやっていこうという話でありますが、今後、浄化するということになりますと、正直申しましてどうしたらきれいになるか。汚れておるものをきれいにするということである。簡単なことでありまして、このコップの中へ水を入れますね。これを浄化するというのはどうしたらいいかということになれば、非常に簡単なことで、入ってくる水がきたない氷であったら、これはどうにもだめである。入ってくる水をきれいにしましょう、それから、もしも水の中にきたないものがあったら、それを除くのがきれいになるんだろうと思うのです。だれが考えたところで、この理屈は私は変わりないと思います。まず、流入規制を今後おやりになるということでありますが、現実には瀬戸内海というのは大変に汚れておる。確かにだんだんときれいになってきましたけれども、まだまだ汚れておる。赤潮の発生などもまだ依然としてふえ続けておるというふうなことであります。そういったことでしたら、流入規制と同時に、瀬戸内海の中をひとつ大掃除するというふうな考え方を持つのがやはり当然ではないか、それが常識の考え方ではないか、こう私は思うのです。そういった物の考え方は、大臣、どう思われますか。そんなものを掃除することはないので、入るものだけ規制しておけばよろしい、こういうふうにお考えになりますか、大臣、どうでしょうか。
  24. 山田久就

    山田国務大臣 林委員指摘される点、見方によってはそれは一つ考え方かとも思います。しかしながら、そういう意味できれいにするということになりますると、他にもいろいろな事業というものが、それに限らず、埋め立ての問題にしても何かいろいろ事業があるわけでございまして、これは一つの政策の問題としての角度からこれに対処していく一つの事業として考えていくというような考え方も、実際問題としてはあり得るのじゃないか。その考え方自身については、きれいにするためなどという雄大なる方針は、われわれもそれはわからぬことはございませんが、ただ、いま申し上げたような考え方に立って、一つの別個の事業計画として考えていくということも、実際問題としては、その方が実際的じゃないかという考えも成り立つのじゃないか、こんなふうに思っております。
  25. 林義郎

    ○林(義)委員 私が大臣にお尋ねしたいのは、物の考えとして、物をきれいにするというのは、そこに汚い物が入らないようにするのと、それから入って汚くなっているところを掃除する、これはもうだれが考えたって普通の考え方でして、入ってくる物だけでやろうなどという考え方考え方としておかしいのだと私は思います。大臣は、何かそういった考え方もあるがと、こうおっしゃいますが、私は、考え方としては両方やるのが普通の考え方だろうと思いますが、どうなんでしょう。
  26. 山田久就

    山田国務大臣 それは、素直に、外から入ってくる物、中にある物を除くというのは、考え方としては私はわかると思うのです。ただ、方法としてどんな方法かということはまた別問題といたしまして、考え方としてはわかります。
  27. 林義郎

    ○林(義)委員 私は、それは方法にいろいろ問題があると思います。しかし、そういった考え方でやることが私は素直な考え方、やり方であろうと思いますし、かねがね申し上げているのですけれども、ヘドロの処理をやっぱりやっていかなければよくならない、こう思うのです。  最初に申し上げましたように、タイやサワラの銀鱗が躍るような瀬戸内海にしたい、こういう話だ。タイの生産などというのは、この法律をつくったころには非常に生産量も落ちておったわけであります。やはりそこで、銀鱗が躍るような形でもってやっていくということも必要でありますから、瀬戸内海栽培センターなどというものをつくりまして養殖をして稚魚を放流してやっていくということである。しかし、単に稚魚を放流するなどということだけではなかなか魚は育ってくれない。それは、やはりきれいな海、藻場、アジモ場とかというものがあるような海にしていく、魚が本当に生育していけるような環境づくりをしていくということが私は必要なことだろう、こう思うのです。  瀬戸内海には瀬戸内海の漁業規制というのがあります。その漁業規制を見ますと、やはり余り小さな魚はとるなというふうな、網目の規制とかなんとかいろいろやっているのですよ。だから、そうしたような意味瀬戸内海漁業資源の宝庫として再生させていく、昔の海に返せという意味の話ではなく、むしろいままで汚れたものを除いて瀬戸内海漁業資源の宝庫として考えていかなければならないだろう。申すまでもありませんけれども、二百海里問題などということが起こってきて、北方の魚はなかなかとれなくなってきている。けさも党の部会でいろいろ話をいたしましたが、なかなか諸外国との話し合いがきつくなってくる。そうしたときに、やはり国内において漁業資源を確保していくという努力政府としては続けていかなければならないと思います。そういった意味から考えましても、私は、瀬戸内海を単に昔に返すということではなく、新しい、お互いの国民のたん白資源の重大な供給基地としてもう一遍見直していくことが必要ではないか、こう思うのですが、この辺につきまして、大臣はどういうふうにお考えになりますか。
  28. 山田久就

    山田国務大臣 先ほど申し上げましたように、考え方としては、いま御指摘になったような、きれいな水、きれいな海を持つという基本政策についてどういうことが考え得るかということは、これはもう重要なことでございまして、そういう意味において、いまのヘドロ問題なんということも重要な一つであるということは、考え方としては私は林議員と同感という立場でございます。ただ、これを不可分のものとして、今後の方法論として持っていくことがいいかという点については、多少検討すべき問題があろうかと思います。
  29. 林義郎

    ○林(義)委員 水産庁から来ておられると思うのですが、水産庁の方は、瀬戸内海重要性についてどういうふうに考えておられますか。瀬戸内海についても正直に申し上げて見方がいろいろある。もう死の海だからしょうがない、あれだけ工場立地ができたから、なかなかできないのだという考え方もあるでしょう。その辺は政府の方として、三全総なんかもありますね、そういったような考え方から、瀬戸内海を再びよみがえらせたならば、いま六十万トンほど魚をとっていますけれども、たとえば百二十万トンの魚まで持っていけるような可能性が一体あるのかどうか。その辺のきわめて大ざっぱな話ですけれども、どういうふうに考えられるか。それから水産庁の方としても、瀬戸内海に栽培センターをつくっておられますから、やはりこれを拡大強化していくということが方向だろうと思うのです。そうした意味で、先ほど申しましたように、単に魚だけでなくていろいろなものをやっていくことが必要だろうと私は思いますが、そういった物の考え方について水産庁当局ではどういうふうに考えておられますか。
  30. 山内静夫

    ○山内説明員 お答え申し上げます。  瀬戸内海は、沿岸漁業といたしまして、日本沿岸漁業にとって非常に大きなウエートを持っているわけでございます。  過去におきまして、水のきれいな時代にはいろいろな魚がいた、こういうことも十分立証されております。瀬戸内海が汚濁されるにつれまして魚種的に変化が出てきた、こういうことが一つ言われます。     〔委員長退席、水田委員長代理着席〕 汚染に強い、どちらかというとカタクチイワシであるとかあるいはイカナゴ、こういうものが増加する、アサリ、モガイが増加する、半面、タイとかクルマエビ、こういうものが減少している、こういう現象があらわれているわけでございます。瀬戸内海臨時措置法ができましてから、汚染がとまる、こういうことから、瀬戸内海の漁獲量は大体七十万トン台を、多少年変動ございますが維持している、こういう現状だと思います。  今後、よりきれいになった場合、何万トンまでふえるか、こういうことはちょっとお答え申しにくい事柄でございますが、これから栽培漁業等の振興を図れば当然何十万トンかの上積みができるのであろう、こう期待しているわけでございます。
  31. 林義郎

    ○林(義)委員 そこで、今度総量規制という考え方で、水質汚濁防止法改正されてやるということになっておりますが、水産庁の方にもう一つお尋ねをしたいのです。  生活排水の中では下水道水と屎尿と二つに分けて考えていいと私は思いますが、屎尿というのは本来は山や畑に返すべきものだろうと私は思うのです。有機物でありますし、植物の栄養分になるわけですから、本来は、自然の生態系からすればそういった形で循環させるのがいいんじゃないか、こう思うのです。海の中に流れ込んで海の中の栄養になるということも私はあると思うのですが、いまや富栄養化ということで、栄養分が少したまり過ぎておるから問題が出てきておるのだろうと思うのです。そこで、いま廃棄物処理法の施行令を見ますと、屎尿等については海洋投棄はこれを慎むようにしなさい、こういうふうな訓示規定があります。しかし、考えてみますと、日本をめぐる海の中で、太平洋には黒潮が流れている。その黒潮の流れているところというのは実は貧栄養、栄養分が非常に足りないということで、これは学説的にもはっきりしているわけであります。貧栄養のところに栄養分を持っていって少し栄養をつけた方が本当はいいんだろうと私は思うのですね、魚の生育ということから考えるならば。この前も参考人の方に来ていただいたのですが、高知大学の先生か何か発表されたもので、屎尿を加工処理しまして、屎尿の中に汚いゴムサックであるとかいろいろなものが入っているかもしれませんが、そんなものはのけて、珪酸か珪藻土で加工してやっていったならばバクテリアの発生には非常にいいんだという論文が出ています。そういった点から考えると、一概に海洋投棄がいかぬという理屈はどうも古い理屈ではないか。むしろそういったお互いの生態系の問題を考えたならば、そこはもう少し私は研究をしてみる必要があると思いますが、純粋に水産の立場において、その辺はどういうふうに考えられますか。
  32. 山内静夫

    ○山内説明員 水産生物の生育につきまして、ある程度の栄養化、こういうことは必要不可欠なことでございます。従来、屎尿投棄等につきまして、瀬戸内海沿岸各県の屎尿投棄を太平洋の沖合いでやっていた、こういう事例がございました。これにつきまして、一般論としては富栄養化、こういうことがプランクトンの発生等にとってプラスになる、こういうことは言われておりますが、いざ実際魚をとっている人々は、大体マグロ類、それに類似した魚が多いわけでございますが、その腹の中に屎尿投棄の中のいろいろの夾雑物が入っていて、商品価値がダウンする、こういうことから、単純なる屎尿投棄は困るのだ、こういう言い方が非常に強い、こういうことから屎尿投棄についてのいろいろの反対論が出ている、こういうのが現状だと思います。
  33. 林義郎

    ○林(義)委員 お話がありましたように、夾雑物があるから問題だと思うのですね。先ほど申しましたように、夾雑物はやはり除いて、そういった加工というものをやりながら海をある程度まで栄養分をつけていくということは、水産資源の確保のためにということからすれば、私はいいことではないかと思うのですが、非常に問題があるのでしょうか。
  34. 山内静夫

    ○山内説明員 これは黒潮の流域におきまして、どの程度の屎尿投棄等あるいは肥料の関係でもよろしゅうございますが、栄養分をつけたらどういうようになるか、こういう問題につきまして、まだ未経験の分野でございまして、どの程度効果があるとか、あるいはプラスになるかということは、ここでは一概に答えられない現状だと思います。ただ一般論から言えば、栄養化、こういう問題はある程度必要なことである、これは当然だ、こう理解しております。
  35. 林義郎

    ○林(義)委員 ぜひいままでの既成概念にとらわれずに、そういった研究もひとつしていかないと、水産の方としても、単に海は自然に与えられたものだから、勝手にしておいたら必ず魚がとれるよなどという時代じゃなくなっちゃったのですから、栽培漁業なんかもまさにそういう考え方ですし、そこをぜひこれからやっていくことが私は必要ではないか、こう思うのです。  そこで、先ほど申しました貧栄養、富栄養、こうあります。瀬戸内海の中に流せば屎尿などというものは富栄養の有力な原因になる、たれ流しをすればますます富栄養になりますし、私のなにでは、排出基準は大体BOD三〇から五〇PPmという形になっておると思うのです。厚生省の方、おられると思いますが、これを三次処理——この五〇PPmぐらいになりますと、一般の産業排水からの規制よりは、はるかに緩やかな規制である。一般の産業排水の方も一五PPmぐらいのところまで持っていっているわけですから、そういった技術的な形でさらにBODの負荷量というものを下げるわけにはいかないのか、下げればこれは金がかかる、こういうことである。そうすると、幾ら金がかかるか、その金がかかるということと、今度はその海洋投棄のコストがかかる、そのコストの比較の問題だろうと思いますが、そういった形で、とにかく屎尿投棄するのは絶対に困るからということでやってみたところが、何のことはない、BOD二〇なり五〇というものは必ず瀬戸内海の中に入るということになったら、それ自体が富栄養の大きな原因になるのではないか、私はこう思うのですが、厚生省は一体どういうふうにこの辺を考えておられますか。
  36. 森下忠幸

    ○森下説明員 私どもの屎尿処理施設でございますけれども、構造からいたしまして、現在BODで三〇PPmまでは確保できるということになっております。それよりさらに濃度を下げるためには、いまおっしゃいましたような三次処理のような高度処理をしなければならぬということでございます。先生おっしゃいますように、外洋に持っていって投棄したらどうかということは実はあるわけでございますが、現行の法制のもとでは、廃棄物の最終処分に関する基準の設定に関する事務ということで、環境庁の方でああいう規定を設けておられますので、それに沿いまして、実はいまのところ第四次の計画でも、全国ベースで見ますと、いま行われております海洋投棄が陸上で処理されても十分なだけの施設の整備量は確保しておるわけでございますが、実際個別の市町村といたしましてはなかなか整備がむずかしいということもあるもので、これはせんだっても社会労働委員会の方でもそういった御指摘があったわけでございますが、現在、屎尿の海洋投棄につきまして、瀬戸内の各県と高知あるいは和歌山の間で自主的な協定が結ばれておりまして、この協定の中で本年の八月三十一日までに海洋投棄をやめるというふうなことになっておりますけれども、市町村が大変努力しておりますが、その間に整備が終わらないというところもございますもので、そういうところにつきまして、県の方から厚生省に要請がありますれば、それについてこの海洋投棄の期間を延長するというふうなことも考えてまいりたいと思っております。ただいまのところ、積極的にこの海岸投棄を進めるというふうなことは実は考えておらないわけでございます。
  37. 林義郎

    ○林(義)委員 大臣にお尋ねしますけれども、この海洋投棄問題というのは環境庁長官の所管事項なんですね。いま水産庁、厚生省に私聞きました。水産庁の方でもやはりある程度までは富栄養というものは考えなくちゃならない、こういうことなんです。それから厚生省の方は、実は金の問題があるし、いろいろ地元の問題がある、それはだれだって、屎尿を自分の家の前に捨ててよろしいという人はいませんよ。しかし、全体から考えたならば、一つの新しい方法をやはり考えていかなくてはいかぬのじゃないか、こう思うのです。いままでどおりの考え方でやっておったのでは非常に金がかかったり、非常にむだなことになっていることも私はあると思いますから、これは環境庁長官少しお考えをいただいた方がいいのではないか、私はこう思うのですが、いかがなものでしょう。
  38. 山田久就

    山田国務大臣 いま御指摘になったような有機物、これはいろいろな観点から、いま御指摘のように、やはり考えていかなくてはいかぬという点もあるやに考えられますので、ひとつ研究さしていただきたいと思います。
  39. 林義郎

    ○林(義)委員 今度の総量規制でやる場合に、私は二つ問題があると思うのです。はっきり問題点だけは指摘しておきますが、一つは、この瀬戸内海につきましては、総量規制をやると同時に工場の立地規制をやる、こういうふうな形で、立地についての許可制になっております。ところが、瀬戸内海以外の伊勢湾なり東京湾につきましては、総量規制によりまして、各工場から届け出である。届け出をして、どのくらいの量が毎日流れますというふうな話になっておりまして、そこは届け出であって、排出量の規制だけが一般の総量規制である。同じ法律の中で瀬戸内海のものだけについて特別に許可制をとるというのは、何か特別の理由があるだろう、こう思うのですよ。その点がどうもよくわからないのです。総量規制をやるのでしたらそれでいいのではないか。というのは、私は、企業の活動というのはできるだけ自由にしておくべきである、いたずらに抑えるべきでない、こういうふうに考えますので、必要最小限度の規制政府はかけていくべきではないか、こう思いますし、現行法では確かに特定施設の設置の許可というものがあります。ありますが、これは、その当時としては非常に臨時的、緊急的にやっていこうという形で、三年間だけはストップしてくださいということがあったわけです。しかも二分の一カットなどという相当に強力な規制をやっていくのだから、そのほかの方もちょっとがまんしてもらいましょうというふうなかっこうでやったわけでございますが、今度恒久法になると、その辺の理屈は一体どういうことになるのかというのが第一点。  それから第二点は、総量規制の中に、総量削減計画というのは目標を定める、こういうことになっています。私は、総量削減計画というもの、が、いまの下水道の整備計画、屎尿の処理計画その他からしますと、余り高い目標にならないんじゃないか、大ざっぱに言っても、たとえば二分の一カットなどというような話には、とてもじゃないが私はできないと思うのです。場合によりましたら、ある水産学者によれば、いまの汚濁量よりは若干ふえるということが考えられる。それはなぜかと言えば、うなずかれている方もおられますけれども、人間の生活程度が上がっていけば廃棄物というのはふえるのです。屎尿はふえませんよ。しかし家庭生活のごみというのは、生活程度が上がれば必ずふえるのです。たとえば、毎年GNPが七%上がる、七%五年間で、ごみの量が同じようにふえると考えれば、三五%ごみの量は上がるわけですね。そのごみの処理を、三五%上がるやつを、今度はいまのごみの量よりはダウンしてやれるということは——たとえば三五%以上ですから四〇%とか四五%、五〇%というようなところに持っていかなくてはならぬ、そのくらいのことが一体やれるのかどうかという心配を私は非常にしておるのです。  第二番目の問題については、これは建設省下水道部の方の方おられると思いますが、下水道部の方から、下水の処理をいま計画してやっておられますから、その計画によっていまの汚濁量よりはどのくらいになるかという点をひとつはっきりさしてもらいたい。そうしないと、これは実は目標をつくったが大した目標じゃないじゃないかというような話になっても、環境庁長官、困られることになると思いますから、その辺ちょっと建設省の方から、大体どのくらいになるのかということをひとつお示しをいただきたいと思います。
  40. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 第一点の特定施設の設置の許可制の関係でございます。ただいま先生方からお話ございましたように、現行臨時措置法におきまして、特定施設の許可制というものがこの瀬戸内海について採用されておるわけでございます。一般的には水質汚濁防止法によりまして、瀬戸内海以外につきましてはこれは届け出制でございます。今回この改正法案を検討いたしました際に、この特定施設の設置の許可制というものをどうするかという問題があったわけでございますが、この特定施設の設置の許可というものにつきましては、臨時措置法の時代におきまして、物の計画等であれば、これは一〇〇%そういうものの計画等が完了すれば目的を達したということになるわけでございますけれども、瀬戸内海の水質等を考えますと、産業系排水の二分の一カットというようなことで相当の成果をおさめておることは事実でございますけれども、なお水質環境基準の全面達成という問題につきましてはまだ達成をいたしておらないという状況でございます。したがいまして、そういうような状況下にありますので、産業排水の二分の一カットというようなものを総量規制というものに発展的に解消といいますか、発展的に引き継いでいくというやり方をとっておるような状況下でございますので、この特定施設の許可制といいますものも、先生のお話では臨時緊急の措置ということで入れたという経緯があったようなお話でございますけれども、それにいたしましても今回はこういう特定施設の許可制といいますものはやはり存置をしていくことが適当であろう、こういうふうに判断をいたした次第でございます。  それから第二点の総量削減計画関係でございますが、下水道関係につきましては建設省の方から具体的にお答えいただきたいと思いますが、この総量削減計画におきまして目標を一応定めますけれども、その際に、たとえば産業系排水というような問題につきましては二分の一カットというようなことで相当やってきておることは事実でございます。したがいまして、今後これが、先生がただいまおっしゃいますように、さらに二分の一カットというような、そういう大幅なカットは期待できないのではないか。具体的な数字は申し上げかねるわけでございますが、感触としては産業系排水についてはそうでございます。あとは生活系排水に対する期待が相当大きいわけでございます。その面については、さらに建設省の方から具体的なお答えがあろうかと思います。
  41. 井前勝人

    ○井前説明員 主として生活排水を対象にいたします下水道整備につきましては、御承知のように、現在、第四次の下水道整備五カ年計画で実施しておるわけでございます。この五カ年計画は五十一年度から五十五年度の五カ年になっておるわけでございますが、下水道の五カ年計画の最終年度でございます昭和五十五年度には全国レベルでは普及率を四〇%と考えておりますが、当瀬戸内海地域につきましては約四七%にまで高めることができるというふうに考えております。ずばりCODの量その他に換算することは若干むずかしゅうございますが、普及率で見ますと約四七%に引き上げることができるのではないか。また、削減計画そのものの目標期間がまだはっきりしておりませんけれども、当然、下水道の五カ年計画とのずれが出てくると思います。下水道は五十五年に終わりまして、次は恐らく第五次の五カ年に入りますので、私どもとしましては、その削減計画に全わせて第四次五カ年、さらに第五次五カ年の中でその生活系にかかわる汚濁のカットを優先的にやっていかなければいけないということでございますので、いまのところ、第四次を超えた範囲のカットの推定というのはなかなか困難でございますので、少なくとも現在の五カ年の終了時点では、普及率に換算しまして四七%ぐらいにはなるであろうというふうに考えております。
  42. 林義郎

    ○林(義)委員 ちょっと時間をもらってもう一点お尋ねしますが、たとえばCODを二分の一カットすることを考えますと、瀬戸内海の下水道普及率が現在三〇%である、それを七〇%くらいにまで上げるということを考えなければ、二分の一カットにならないわけですね。下水道普及率を一%上げるには全国で約四千億円ぐらいかかるということが大体いままでの計算から言われている。瀬戸内海は低目に見積もって全国の五分の一である。七〇%まで上げるわけですから、七〇%マイナス三〇%イコール四〇%、それで計算いたしますと、三兆二千億円ぐらい金がかかるわけですね、下水道整備で。これは最初に申しました入る方のやっと下水道の整備でやるわけですね、三兆二千億ぐらい金がかかる。そうしたときに、私はヘドロの処理をやるということも一つ大いに考えていいんじゃないかと思うのは、ヘドロ。まあいろいろと言われております。環境庁でも水産庁でも調査されておる。ある場合には二億立米と言う、ある場合には一億三千万立米と言われておる。一立米当たり一万五千円の処理料をかけましても二兆円か三兆円ぐらいの話になるのだろう。こう思うのですね。そうしたことからしますと、金目の問題としてこのヘドロの処理ができないということはないのではないか、本当にきれいにするという物の考え方からすれば。ただ、あと技術的にどうかという問題がございます。これは運輸省なり建設省で、建設省は護岸工事の方でいろいろやっておられますが、運輸省の方でしゅんせつ工事などやっておられたところの技術として、その金目の問題は予算がありますから別にしまして、しゅんせつをやったときにたとえばほかにヘドロが散ってしまうとかヘドロの後処理が問題であるとかということはあるでしょうし、いまからいろいろな技術開発をやらなければならないかもしれませんけれども、技術的に絶対不可能だということはないと私は思いますが、その辺は運輸省、いかがなものでしょう。あるいは建設省の方でも、もしも何か技術的な問題で考えておられることがあったらお答えください。
  43. 久田安夫

    ○久田説明員 量の問題がございますけれども、現在、私ども、港湾内にたまっております汚泥のしゅんせつを実施しております。大体数十万立米以下ぐらいの規模でございますが、この程度の規模の汚泥の処理技術に関しましては、そのために必要なしゅんせつ技術、これはすでに開発されておるというふうに考えております。ただ、大量になりますとやはり範囲も広がってまいりますので、やはりいまと同じ方法ではまずいのではないかと思います。したがって、広範囲にかつ薄い層で汚泥が存在いたします場合には、それに適当な方法についてさらに今後開発が若干必要かというふうに考えておりまして、この点につきましては、実はすでに昭和五十一年度から港湾事業費の中で調査を継続いたしております。今年度も続けて調査を実施していきたい、かように考えておるところでございます。
  44. 川本正知

    ○川本説明員 建設省におきましては、海底のヘドロしゅんせつということにつきましては、静岡県の牛臥海岸で実施した例がございますが、その場合には特に問題はなかったように聞いております。ただし、先生御指摘のような瀬戸内海とかそういった点でありますと、いろいろ問題が出る可能性は確かにあろうかと思います。そういった点につきましても、過去におきましては、いま申し上げましたように余り問題はなかったわけでございますが、今後の問題といたしましても、十分関係機関とも連絡をとりながら研究をしていかなければならないのではないか、そう思っております。
  45. 林義郎

    ○林(義)委員 確認をしておきますが、運輸省、建設省、あれですか、技術的に絶対不可能だろうということはないのだろうと思うのですね。不可能だという言葉自体がおかしいことかもしれませんけれども、やはりこれから技術開発をやっていくということは、ちょうどオランダが埋め立てをやりましたときも大変な技術開発があったと私は思うのです。それと同じような技術開発というものを日本がやっていく必要があるのではないだろうか。これは単にそういったしゅんせつだけではありません。世界的に食糧問題が言われているとき、たん白資源の問題が言われているときですから、そういった意味で、ひとつ水産の方での技術開発もやはりやっていく必要があるだろうし、いろいろな形の生態学的な研究も進めていくことが私は必要だろうと思います。いまの段階ではそんなものは不可能であるとか、およそ論理的に成り立ち得ないというようなことではないと思いますが、その辺はどうなんでしょう。同時に、水産庁の方もその辺をちょっと後で御答弁ください。
  46. 久田安夫

    ○久田説明員 可能か不可能かという問題につきましては、実はお金の問題に関連いたします。ある程度のお金をかけますれば現在の段階でも可能でございますが、やはりできるだけ効率的な工法というものを今後開発しなければいけないということで、たとえば瀬戸内に一番適した工法はどういう工法があるかということを現在調査研究しておる、こういうことでございます。
  47. 山内静夫

    ○山内説明員 ヘドロの海底における堆積が瀬戸内海におきまして低酸素水塊であるとかあるいは赤潮発生一つの原因、こう考えられておるわけでございます。水産庁といたしましては、ヘドロの堆積によって漁場の効用が著しく低下した沿岸水域におきまして沿整事業の一環としてこれを行うというかっこうで現在進んでおるわけでございます。ただ、問題点といたしまして、ヘドロのしゅんせつの際の汚濁の問題、それからしゅんせつしたヘドロを投棄する場合におきまして有害物があった場合に、これが水産資源にどういう影響を与えるかという問題を今後とも研究する必要があるのではないか、こう考えておる次第でございます。
  48. 林義郎

    ○林(義)委員 大臣、私もこの法案は、法律というものはそういうものだろうと思いますが、人間がつくるものですから決して完全なものだとは思いません。人間がつくるものが不完全だという意味において私は完全なものではないということだと思います。しかし、最初に申し上げましたように、哲学を持っている法律ですから、長官として単に環境庁規制の問題だけではなくて、先ほども私は各省にいろいろお話しをいたしました、各省の中でも技術的には可能であるあるいはいろいろな問題があるということがありますから、私は、そういった哲学のもとにいろいろ事をやっていくならば、いま申し上げたようなことこそ取り上げていただかなければならない問題だろうと思うのです。これは環境庁権限外のところもたくさんあると思いますが、ひとつ国務大臣として、私はこの問題をぜひ取り上げていただきたい。最初に返りますけれども、瀬戸内海住民の切なるこの願い、そしてまたこれは国民的な願いに上げていかなければならない大問題でありますから、ひとつ内閣の大きな仕事として取り上げていかなければならない。これはもう内閣だけの話じゃないと思うのです。本当は国会議員すべてが考えて、いま申し上げたような考え方で物を処理していかなければならない、こう思うのです。ひとつ大臣のその辺の御決意あるいは御見解を承って、私の質問を終わります。
  49. 山田久就

    山田国務大臣 この問題についての非常に大きな関心、熱意、私は、いま日本を取り巻いておるこの海、水というものの自然環境あるいは資源の上からの重要性ということを考えたときに、非常に長期的な、また抜本的な技術的な見地から、この問題は幾つかのうちの大事な問題として考えていくに値する問題である、こう考えておりますので、先ほど申し上げましたように、ひとつそういう立場から検討させていただきたい、こう思っております。
  50. 林義郎

    ○林(義)委員 ありがとうございました。
  51. 水田稔

    ○水田委員長代理 次に、馬場昇君。
  52. 馬場昇

    ○馬場(昇)委員 まず、大臣に御質問申し上げますが、昭和四十八年に五党一致の議員立法として臨時措置法ができたわけでございますけれども、これができましたときに、沿岸住民だけではなしにすべての国民が大きな期待をこの法律にかけたわけでございます。しかし、現実を見ますと、CODの汚濁負荷量の削減によりまして水質改善などに一応の成果はあったけれども、全体の瀬戸内の保全それから回復ということにとっては、議員立法によりますこの臨時措置法の今日までの効果といいますか、非常に非力であったと私は思うのですけれども、これに対する大臣の御見解をまず聞いておきたいと思うのです。
  53. 山田久就

    山田国務大臣 馬場委員から、常時この問題についての非常に大きな関心と、また、そういう意味での激励等を賜っておるのは、私としても非常に多とするところでございます。確かに瀬戸内の環境保全法というものは、いろいろな観点から皆さんの努力によって生まれた法律でございます。したがって、それについてはいろいろな見解もございましょうけれども、他面、相当な成果を上げ得ているというところもむろん認めて差し支えないのじゃないかと私は思っております。環境保全に関する一般的な制度という点になりますれば、御案内のように汚濁防止あるいは自然景観の保全等に関してすでにいろいろな法制が整備されており、また、この後継法自体は特別な法的性格を持っているということからいたしまして、基本的な制度創設というよりは、むしろ瀬戸内海の特殊性に即して、現行制度に必要な限度で特例措置を定めていこう、そして少しでも基本的な目標により多く貢献するようにという趣旨のものをつくり上げていこうということでわれわれは努力したつもりでございます。したがって、後継法案はこのような観点からわれわれとしてもいろいろ検討いたしまして、理想というものを考えながらも客観的に諸般の必要あるいは現実的な可能性ということの限界点、いろいろなものを考慮に入れてつくったつもりでございまして、現在の臨時措置法に比べても内容としては相当充実してきておるというふうに私は考えておりますし、今後、基本計画の実施の推進と相まって、瀬戸内海環境保全の対策が相当大幅に拡充強化されていくということを期待できるものではないかと考えているような次第でございまして、この点については、いろいろな御批判もあろうかと思いますけれども、ひとつ十分御理解と御支持を賜りたいというふうに存じている次第でございます。
  54. 馬場昇

    ○馬場(昇)委員 ただいま長官は、臨時措置法が相当の効果を上げたものと思うという評価をなさったわけですけれども、先ほど言いましたように、この法律は非常に非力であって大方の国民の期待を裏切ったというぐあいに私は考えておるわけでございまして、具体的に言いますと、産業排水にかかわる汚濁負荷量が予定した四十七年の二分の一になったのか。さらにこの法律に書いてあります瀬戸内海日本の漁業の一大宝庫になったのか。なっていないのです。そしてまた、世界において比類のない美しさを誇る景勝の地に果たして戻ったのか。戻っていない。こういうぐあいに考えるわけでございまして、私は、今後の継続法においてもそういう反省の上に立ったりっぱな法律をつくらなければならないと思うのです。このことについては水かけ論的な議論はいたしませんけれども、具体的に一つ指摘しておきますと、四十八年に臨時措置法ができて、瀬戸内海環境保全に関する基本となるべきいわゆる基本計画を速やかに策定するということが法律にうたわれておるわけです。ところが、この基本計画が果たして速やかに策定されたでしょうか。これは五十三年、ことし策定された。このことは法律の非力の上にも行政の怠慢がここにあったのではないかと私は思うわけでございます。そしてまた、この法律も行政の怠慢を許すような規定になってしまっておって、またこの規定政府によって無視された、その結果が余り効果を上げていない、こういうことだと私は思うのです。たとえば、この基本計画を速やかに策定しなければならないとなっているのが何でことしになったのか。これは理由は余り聞きませんけれども、これは果たして法律趣旨に合致しておるのか。怠慢ではなかったのか。長官どうですか。
  55. 山田久就

    山田国務大臣 いま御指摘のような点、表面的には確かにそういう点があったと思います。この基本計画については、これをつくらなければいかぬというのがいろいろな状況でこれまで延びていたようなことがあったようでございまして、過去の経過については事務当局からお答えさせていただきたいと思います。
  56. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 現行法の三条の規定によりまして政府は速やかに環境保全基本計画策定しなければならないとなっております。そこで、この計画につきましては、きわめて重要な計画であるということでございますので、環境庁といたしましては、五十年二月に瀬戸内海環境保全審議会基本計画基本考え方について御諮問申し上げたわけです。審議会においては計画部会という部会まで設けまして、この計画はいかにあるべきか、その性格なり内容等について何回も慎重に討議をされまして、その結果、部会から審議会に報告され、審議会としての答申を五十一年十二月にちょうだいをいたしました。われわれといたしましては、この五十一年十二月一日にいただきました答申を尊重いたしまして、環境保全基本計画を立てるべく策定作業を進めてまいったわけでございますが、一方、後継法の問題がございます。したがいまして、政府としては、一方で決めます基本計画の中の特に法律的な事項というものが後継法の中にまた盛り込まれていくべきである、したがって、基本計画後継法案の施策の柱といいますか、そういうものが整合性を保つようにということを考えながら両者を詰めてまいったわけでございます。そういうことで、速やかに策定しなければならないというのに対して非常に遅くなったという問題はございます。それだけに審議会としても慎重に検討されましたし、また環境庁としても、この内容はまた各省と非常にかかわりの深い事項がいっぱいございますので、そういうこともございまして各省との調整等にも手間取った関係もございますけれども、後継法案との法律事項の整合性の確保という問題にも配意をいたしまして、そこで去る四月二十一日に閣議決定をいたした、こういうことでございます。おくれた点については申しわけないと思います。
  57. 馬場昇

    ○馬場(昇)委員 大臣、この時限立法で速やかに策定せいということになっているわけですね。これがこの法律趣旨でしょう。四十八年にこの法律はできたわけですが、いま五十三年になって後継法との整合性を考えたなんと言うのは、そういう行政は怠慢とは言われないでしょうか。その辺の反省がなければ私は次の質問にも移りたくないくらいの気持ちがいたします。それは大臣、どうでしょうか。
  58. 山田久就

    山田国務大臣 四十八年にできて、その中に「すみやかに、」と、こうあるのですが、いろいろ説明を受けてみるといろいろな事情があったようです。にもかかわらず非常におくれているという点、そういう怠慢があったのじゃないかというおしかりでございまするが、まあ私自身からなかなか言いにくい問題ではありまするけれども、そしりを免れないという点はあるやに自覚いたしております。
  59. 馬場昇

    ○馬場(昇)委員 やはりこの後継法でも、そのように行政から無視されるというような点が多々あると私は思うのです。そういうことですから、前の法律の反省というものを十分聞いておかなければ審議さえもできないくらいの気持ちがするのです。  そこで、話を先に進めますけれども、五十三年四月に閣議決定をし策定されましたこの基本計画、これもいまのような論法でいけば私は非常に心配なんです。だからこれについて質問しておきますけれども、この瀬戸内海環境保全基本計画の達成目標の年次というのはいつくらいまでを考えておられるのか。それで、この達成の中身は非常に抽象的です。この達成の内容というのをどのように考えておられるのか、このことについて御答弁いただきたいと思うのです。
  60. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 お答え申し上げます。  閣議決定いたしましたこの基本計画には、第一、「序説」というくだりがあるわけでございますけれども、これにつきましては、この「計画策定の意義」というところで「環境保全に係る施策を総合的かつ計画的に推進するため」のものであるということと、それから「計画の性格」ということで「目標を達成するために講ずべき施策等の基本的方向を明示するものであり、」ということ、さらに「計画範囲」というものが書いてあるわけでございます。したがいまして、ただいま先生から、一体この基本計画の目標達成年次はいつかという具体的な御指摘でございますが、これは長期的な計画ということで一つ基本的な方向というものを明示したものでございますので、特にこれの達成目標年次というようなものを具体的には規定をしておりません。
  61. 馬場昇

    ○馬場(昇)委員 いまのような答弁では、先ほど言いましたようなきれいな海になり、世界に誇る景勝の地を復活し、魚の宝庫になすというふうな意欲がうかがわれないし、また後継法でもそのようなことにはならないのじゃないか、私はこういうぐあいに思います。  そこで、私ども社会党は、おおむね昭和三十年当時の瀬戸内海海域の環境を目標にする、そしてそれを二十年間で達成をする、そういう年次をつくる、そのために五年ごとに事業計画を定めていく、こういうことを法律にうたい込めば私が言ったような心配はないし、そして法律が志向しておりますきれいな海になるし、魚の宝庫にもなるし、景勝も保たれる、あるいは回復する、こういうぐあいに思うのですけれども、私がいま言いましたようなこの見解に対して、環境庁はどのように考えておられるのかお尋ねしておきたい。
  62. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 まず一つは、昭和三十年当時の水質を保持するといいますかそれを目標にするという点でございますけれども、昭和三十年代からいわゆる高度経済成長といいますものが経過をして今日に至っているわけでございます。そこで結局、瀬戸内海につきましても、その沿岸なりあるいは瀬戸内海そのものの利用というものにつきましても、社会経済的な背景といいますものは三十年ごろと、高度経済成長を経て現在に至っておる、その現在とでは相当変化をしてきておる、そういう状況といいますか現実というものを抜きにして三十年当初の環境の状況あるいは水質の状況に復元するということは、現実問題としてはきわめて困難ではないかというふうに考えます。  たとえば水質保全という面を限ってみましても、その三十年当時の瀬戸内海の水質の現状はどうであったか、状況はどうであったかということにつきましては、非常に資料が乏しゅうございます。したがいまして、客観的具体的に当時の瀬戸内海の水質はこうであったというような裏づけの資料といいますものは、瀬戸内海というものを全体的にとらえて物を言うというようなデータは非常に少ない。そういうことからすれば、どうも三十年当時の環境なり水質というものを目標にするというのは必ずしも適当ではないのではないか。ただ、水質保全行政としては、では何にも目標なしにやっていそのかということになりますと、これはもう先生御存じのとおり、公害対策基本法によります環境基準の設定等もやっておりますから、瀬戸内海についても環境基準の当てはめをやっているわけです。その当てはめた環境基準を達成維持するというのが水質保全行政の行政目標でございますので、それに向かっていきたいということで、目標はそれに置いているわけでございます。  それからもう一点は、二十年というような達成期限をめどにして、五年刻みぐらいに事業計画を立ててそれに向かって接近していく、こういうやり方はどうだ、こういうことでございますけれども、この環境保全基本計画につきましては、この内容をごらんいただきますとおわかりいただけると思いますが、具体的な基本的な施策といたしましても、第三のところで十二項目ほど項目を列挙して書いておると思います。したがいまして、たとえば下水道なり屎尿処理施設といいますものは、これは下水道法なり下水整備緊急措置法というような法律で、それぞれその具体的な計画といいますか、何か法律的に定められた線で手続が進むわけでございますね。そういう別に法律によりまして計画があるものがございます。それから逆に、試験研究だとか技術開発というようなくだりにつきましては、これは主として法律という問題よりは、やはり予算措置その他を充実しながら、研究テーマも学者諸先生のこれぞというところにポイントを置いた研究というものを推進していくということでやっていくべきものだろうと思いますし、いろいろこれは雑多でございます。したがいまして、これを一律に二十年で目標達成だ、しかも、それを五年刻みでということを、環境保全ということでは共通性はあるんだろうと思いますけれども、具体的な施策の種類、内容、性格等によって一律にはちょっといかないのではないかというふうに考える次第でございます。
  63. 馬場昇

    ○馬場(昇)委員 大臣にお尋ねしたいのですけれども、結局昭和三十年と私が言いましたのは、いまも二瓶さんから答弁もあっているのですけれども、高度経済成長政策が始まるころの年ですね。だから、高度経済成長政策でもってこのように瀬戸内海が破壊された、こういうぐあいにも私たち考えるわけです。だから破壊されたものをもとへ戻す、こういうような考え方を私たちは言っているわけでございます。  それから、いま局長から答弁がありましたように、二十年、それで五年ごとに事業計画を立てろと私は言っているのですけれども、これはやはり目標を持たずにとか内容を持たずに抽象的に言うと、さっき言ったように、この法律は行政によって無視されてしまう、こういうぐあいに思うわけですし、羅針盤をつけずに船を出したってどこへ行くかわからない、あるいは進まないかもしれない、こういうぐあいに思うのですよ。こういう物の考え方というものについて、大臣はどうお考えですか。
  64. 山田久就

    山田国務大臣 考え方そのものは、私は確かにそういう考え方努力するということは私は一つの方向だろう、こう思っております。ただ、非常な客観情勢のいろんな違いがございまして、そういう点を具体的にたとえばどうするかという点にはなかなかいろんな問題があろうか、こう思います。でき得ればいまお話のような点、あるいは実際問題としてはしかしながらなかなか難点があるというようなことが結局こういうことに落ちついたというようなことになって、いろいろおしかりもございましょうけれども、方向としては、それは確かに一つの方向であろうという感じを持っております。
  65. 馬場昇

    ○馬場(昇)委員 だれでもが知っているわけですけれども、環境庁としては、まだ私が言ったようなこともひょっとしたら考えたかもしれないし、いまの長官の答弁は、環境庁はこうだったけれども、他の省庁との関係だとかあるいは予算の関係だとかと、非常に後退しておるような印象を与えるのです。環境庁長官の意欲というものは、私が言ったような趣旨で、そのような目標と内容を定めて着実に、ほかの省庁の反対があってもそれを説得して、予算をとって積極的にやるんだという意欲をこの法律を通す前提としてきちっとしておかなければいけないんじゃないか、こういうぐあいに私は思うのですよ。その点についても大臣からさらに答弁していただきたいと思うのですが、さらに、余り時間もございませんけれども、私は、一番よく知っているのは、いま局長昭和三十年当時のデータがないとかなんとか言いましたが、私はデータはあると思うのです。あそこの住民は、先祖代々ずっと住んでおる。この人たちが一番よくそれを知っているのです。そこで、抽象的な話じゃなしに、たとえば府県で計画を立てる、こういうようなときに、たとえば市町村長だけじゃなしに、その沿岸に住んでおります関係住民意見を聞く。そうしたら三十年時代がどうであったかということはよく知っておるわけですから、そういうことは、私がさっき言ったような目標になるわけです。そういうことを含めて、ぜひ府県計画を立てるというようなときに、市町村長さんなり特に関係住民意見を聞く、このことは最低必要と思います。これは必ずしなければならぬことだろう、こういうぐあいに思いますし、このことはまた、行政が怠慢であっては困るから、できればそのことを法律の中にうたっていただきたい。これは最低の希望として私はそう思うのですけれども、これに対して、長官のお考えはいかがでございますか。
  66. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 やや技術的な問題もございますので、私からお答えいたします。  問題は、府県計画を立てます際に関係の市町村長なり住民意見を聞くというふうにすべきではないかということですが、府県計画は、これは基本計画に基づきまして関係府県におきます環境保全の長期的それから基本的な方向について決める、こういうものでございます。したがいまして、個別具体的なそういう計画ではない、こういうことでございます。関係市町村の方も、これは数を調べてみますと五百三十三ほどございます。十一府県でございますから、一県平均五十ぐらいの町村数になるわけでございます。したがいまして相当多数に上るわけですが、この関係市町村長の意見を聞くということを法律上義務づけるというのはどうも必ずしも適当でない、こういうように思います。県全体といいますか、にわたったそういう個別具体的な計画ではない、基本的な総合的な計画である、こういうことの性格から見て必ずしも適当ではない、こういうふうに考えておるわけでございます。  それからもう一つは、住民意見を聞くということでございますが、これもただいま申し上げましたような個別具体的な計画ではございません。したがいまして、それぞれの住民の利害に直接関係あるということではない。もちろんそれは県民なりでございますから関係ないわけではございませんが、直接的に利害に関係があるというものではございませんので、住民一人一人から意見を聞くというようなことを、これも法定する必要はないのではないか、かように考えておるわけでございます。
  67. 馬場昇

    ○馬場(昇)委員 大臣、質問は連続していっているわけですけれども、基本計画にも目標がない、達成する年次計画もない。それからいまの答弁を聞いておりますと、府県段階の実施計画でも同じような答弁があっているわけですよ。私がここで言っていますのは、本当に一番よく知っているのは住民だと思うのです。だから、こういう環境行政をする場合、住民から学ぶということが非常に大切なことだ、こういうぐあいに思います。いま、具体的個別的ではないからあるいは町村の数が多いとか直接住民に利害関係がないからと言われますけれども、ものすごく関係があるわけですよ。そして、あなた方が知らないような目標、どうやって年次計画で事業をしていくか、そういうことは住民に聞けばわかるはずなんです。そういう意味において、国民に学びなさいとか住民に学びなさいという意味を含めて、最低これはやはり県の実施計画をつくるときには市町村長なりさらには関係住民から意見を聞くということを法律上うたい込むべきだ、これなしには効果が上げられない、羅針盤のない船のような法律になってしまう、こういうぐあいに思うのですけれども、大臣、それはいかがなんですか。私どもとしては、本当にここらの修正案でも出してこれを通さなければこの法律は全く機能しないというぐあいに思うのです。私どもはそういう強い決意——これは基本的な問題だろうと思うので、大臣基本的な考えを聞いておきたい。
  68. 山田久就

    山田国務大臣 先ほどちょっと局長の方から答弁いたしましたが、地方住民の利害関係というものは密接な関係を持つであろうし、それから状況によっていろいろな考え方が吸い上げられるということは、実際問題として行われていくであろうというふうにも私は予想しております。ただし、技術的な面から見て、これを法律上義務づけるかどうかという点については、われわれの検討では、そこまでいく必要はないのじゃないかということで、現行のようなことで十分いろいろな目的を達し得るという判断に立って立案いたしたような次第でございます。
  69. 馬場昇

    ○馬場(昇)委員 この議論はまた後で続けますが、本会議関係で休憩後に質問を続行いたしたいと思います。
  70. 水田稔

    ○水田委員長代理 この際、暫時休憩いたします。     午後零時五十分休憩      ————◇—————     午後五時十分開議
  71. 久保等

    久保委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  瀬戸内海環境保全臨時措置法及び水質汚濁防止法の一部を改正する法律案質疑を続行いたします。馬場昇君。
  72. 馬場昇

    ○馬場(昇)委員 午前中、少なくとも瀬戸内海環境保全基本計画、この達成目標の年次をはっきりすべきじゃないか、あるいはその内容をさらにはっきりさせるべきだ、こういう点について質問をいたしましたし、さらに社会党が、三十年当時の瀬戸内海地域の環境を目標にして、二十年を達成目標として五年ごとの事業計画をつくるべきだ、こういう質問をいたしましたし、住民が一番、三十年当時のことも知っているわけでございますので、府県計画を立てる場合に最低、市町村長や関係住民意見を聞くというようなことを法律の中にうたうべきだ、こういう質問をしたところでございますけれども、残念ながら長官初め局長から十分な答弁を得られなかったわけでございますけれども、こういうことではこの継続法もまた住民の期待を裏切るのではないかと非常に心配をしております。しかし、この点については、さらに同僚議員も質問をすると思いますので、一応強く要望するという立場でこの問題を終わりたいと思いまして、具体的な対策について御質問を申し上げてみたいと思います。  まず、自然海浜の保全、特に埋め立て問題について御質問を申し上げますけれども、この埋め立て問題というのが高度経済成長政策の中で瀬戸内海の自然を破壊して、海の自浄能力、浄化作用、こういうものを奪ってしまって瀬戸内海を破壊した元凶の大きい一つになっておるわけでございます。瀬戸内海環境を復元しよう、きれいにしようと思うならば、原則として埋め立てというのは今後禁止すべきだろう、こういうぐあいに思うのですけれども、これに対するお考えを聞いておきたいと思うのです。
  73. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 瀬戸内海の埋め立てでございますが、これにつきましては、基本になります法律、公有水面埋立法という埋め立て関係法律があるわけでございますが、この法律の面におきまして環境保全上の配慮の規定等があるわけでございます。そのほかに瀬戸内海環境保全臨時措置法の十三条の規定がございまして、瀬戸内海の特殊性を十分配慮すべしという規定があるわけでございます。具体的にはこの規定に基づきまして瀬戸内海環境保全審議会、これに諮問をし、答申をちょうだいいたしております。埋め立てについての基本方針と普通言っておりますが、この答申をちょうだいいたしました。したがいまして、現在はこの基本方針に照らしまして個々の案件ごとに、海域環境保全あるいは自然環境保全、水産資源の保全というような観点から瀬戸内海の特殊性に十分配慮するよう指導をやってきておるというのが現在までの姿でございます。  問題は、その結果、この臨時措置法施行後の埋め立て件数なり面積、これは施行前に比べますと、件数において大体半分、それから面積において四分の一という埋め立て免許の姿になっております。したがいまして、そういう面ではこの十三条の規定というものが相当生かされてきておるのではないかというふうにわれわれは考えておるわけでございます。今後ともこの基本方針の趣旨にのっとりまして、瀬戸内海の埋め立てにつきましては環境保全という面に十分配慮し、その面に遺憾のないような方向で対処をしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  74. 馬場昇

    ○馬場(昇)委員 法十三条に基づきましていろいろ御指導は行われておるようでございますけれども、これではやはり不十分ではないか、単なる届け出だとか助言、勧告とか、こういうことでは不十分であって、少なくとも助言、勧告とともに規制すべきではないか、こういうぐあいに思うのです。実は私も幾らか知っておるのですけれども、環境庁のもともとの考え方というのは規制の強化ということも考えておられたようでございますけれども、私どもが見ますと、各省庁の圧力と言えばなんですけれども、各省との調整の中で環境庁考えは後退したんだ、こういうぐあいに思っておるわけでございますが、少なくとも自然海浜保全地区を定めて、地区内の埋め立てというのは規制すべきではないか。さらに言うならば、環境庁の次官通達もありますけれども、これを今度の法律の中で条文化する、そうしたらこの埋め立て問題が自然環境を破壊するということが少なくなる、強化される、こういうぐあいに思うのですけれども、その点についてのお考えはいかがですか。
  75. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 先ほど埋め立ての問題といたしまして、いわゆる十三条の規定によります件につきましてお答えを申し上げました。特別措置法という今度の改正案におきましてもこの十三条はそのまま踏襲をしていきたいというふうに考えております。  ところで、別途、自然海浜の保全ということで、従来、海水浴とか潮干狩り等に使われておりますそういう自然海浜を保全していったらどうかということで、新しく自然海浜保全地区の指定制度を実は改正案には織り込んだわけでございます。いま御指摘のように、この法案考えます際の過程におきましては、届け出を受けた後で工作物の新築等につきまして、一種の許可制でございますが、規制というような形のものをやったらどうかということを検討したことは、先生御指摘のとおり事実でございます。  ただ問題は、この制度のねらいというものをよく考えますと、自然海浜の保全地区の指定というものを相当やっていただきたいとわれわれは思っておるわけです。問題は、その届け出を受けた後、これに対して規制をかけるという話になりますと、これは一つの財産権への規制になりますから、損害の補償といいますか損失の補償規定等もどうしても要るということになるわけでございます。そういうようなものになりますと、これは知事さんの方においても指定というものについて消極的になるのではないか、むしろそれよりは指定ということを現にやりまして、後は届け出を受けた行為につきまして助言、勧告ということで十分対処し得るのじゃないか、こういうものを指定した趣旨その他についてよく県民の方等にも御理解いただけば——それは行為の問題としては、確かに許可の方が助言、勧告よりは法律的にも性格の強いものでございますけれども、それを強くすることがかえって——この指定制度というものが、相当広く指定が展開されていくかどうかということを考えますと、むしろ助言、勧告の方がよろしいのではないかというふうな考え方に立ちまして、最終の法案の方はそういうような仕組みにいたした次第でございます。
  76. 馬場昇

    ○馬場(昇)委員 局長の答弁は、午前中から聞いていますと、非常に消極的で、本当に瀬戸内海を生き返らせよう、また、目的に示しておりますことを完遂しようという意欲を感じられなくて残念です。いまのお話も、規制ということまで考えられたのは事実ですから、それが各省庁との連絡の中で後退してしまいまして、指導、助言という形になってしまったわけですけれども、こういう点について、後退した、各省庁からの圧力を正当化したような答弁をなさってはなはだ残念ですけれども……。  大臣、これは原則的な話ですけれども、世界に類のない瀬戸内海ですし、魚の豊庫にもしよう、海を生き返らせようというこの法律ですから、原則としてはやはり埋め立てなんかは今後あの地域は余りやるべきじゃないんじゃないか、原則として禁止すべきじゃないか、自然海浜保護というのも、やはりそこに指定地域を設けて規制まで加えた方がこの法律の効果が上がるんじゃないか、それは環境庁サイドの使命じゃなかろうか、私はこういうぐあいに思うのですけれども、大臣、いかがお考えでございますか。
  77. 山田久就

    山田国務大臣 御承知のように、埋め立て問題等については、従来どおりの規制ということで対処していこうと——先ほど、全部禁止したら、こういうお話もございました。これはなかなか実際問題として、やはり今後の——あの地域は、文化的、経済的、日本のいわばセンターをなしているようなところでございます。したがって、規制ということになっておれば、それについてそれなりに目的を達するための対処はできるということで、そのままこれは引き継いでやっていくということにしたわけです。  いまの海浜の保全ということ、これはいわばいろいろレクリェーションの場なんかを保全していってやろうということなんですけれども、先ほど局長からも答弁いたしましたけれども、 つまり、押されて後退したということじゃなくて、実際問題として、この補償ということがすぐひっかかってくるということになってくると、実際その行政をやっている地方庁としては、ちょっとこれについては消極的になってくるという方面の要素の方がむしろ強いんじゃないか、それならばやはり助言、勧告ということで網をかけて、ちょっと行政指導というのはいろいろあれがございますけれども、実際問題として、それによって目的を達成していく方が、むしろこういうものを設定した趣旨により多く沿うんじゃないか、そういろいろ情勢分析をやった結果でございまして、いわゆる後退というようなお話がございましたけれども、別にそういう角度じゃなくて、むしろもっと積極的な理由でこれを選んだ、この点はどうかひとつ御理解いただきたい、こう思うわけでございます。
  78. 馬場昇

    ○馬場(昇)委員 私は、どうしても積極的な理由でそうしたとは受け取れなくて、やはり後退をしたという立場でこういうことになったとしか理解できないのです。規制して金が要るということであれば、国の予算を出すとか、あるいはいろいろ考えればいいことであって、やっぱり積極的に保全しようということであれば金という問題は解決すると思うのです。それが隘路でこういうことだということではどうも納得できないのですが、時間が非常にございませんので、次の問題に入りたいと思います。  まず、CODの総量削減について、これはもう時間がありませんから端的にお答えいただきたいと思うのでありますが、総量削減の目標値と目標年度についてどう考えておられるのかということと、それからさらに、この問題については行政の立場考えることになっておるわけでございますけれども、やっぱり行政がこれをやる場合には、一歩後退した立場で言うのですけれども、民主的な機関をつくって、そして国民住民意見を聞いて総量規制をどうすべきか、そういうことを考えるべきだと思うのですけれども、この総量削減の問題についてお考えを聞いておきたい。
  79. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 総量規制制度の中で、総量削減基本方針というものを内閣総理大臣が定めるということにいたしております。その総量削減基本方針におきまして、削減の目標それから目標年度等を定める、こういうふうにいたしております。  問題は、その際の、まず目標年度でございますけれども、これはおおむね五年後がどうであろうかというふうに現在のところ考えております。問題は、その五年後の目標といいますものをどういうふうに算定をしていくかということになるわけでございます。  先生御存じのように、水質保全行政の行政目標というのは水質環境基準の全面的な達成ということでございます。したがいまして、瀬戸内海であれば瀬戸内海の各水域に環境基準の当てはめが行われておりますが、これの全面達成というものを究極的な目標といいますか、目途にしながら、とりあえず五年先の目標というものを決めてそれを達成する、そして、次にまた目標を定めてそれに向かっていくということで、着実に、段階的に環境基準の全面的な達成に向かって進んでいきたいという考え方です。  その際の目標量のはじき方は、一つは、何といいましても、現状の流入総量といいますか、たとえば今後この法律が御審議いただいて成立を見るということになりますれば、一年を超えない範囲内で政令で定める日から施行になります。そういたしますと、まあ来年になろうかと思いますが、その時点で一番最新のデータ、たとえば五十一年度なら五十一年度の瀬戸内海流入する水の汚濁負荷量の総量、これが一番最新のCODのデータだと思います。それをまずとらまえるというのが一つでございます。  そして今度は、その流入現状総量というものにつきまして、今後産業活動も伸びます。日本経済がやはり今後伸展いたしますから、伸びます。人口もまたふえると思います。そういう人口、産業活動の伸び、これは汚濁負荷量をふやす要因になろうと思うのです。それから、逆に、その排水処理技術の水準というものが今後どうなっていくか。さらに、いま相当あります技術でも、最新技術でも、どう普及していくか、そういうような排水処理技術のレベル、これを見きわめる。それから下水道の整備、これの方も所管省の建設省が相当張り切ってやっておられますので、そういうものの見通し、これはマイナス要因でございます。そういうプラス・マイナスの要因というものも勘案をしまして、そして実施可能な限度において削減を図るということで、単なるそろばんを合わせただけじゃありませんで、究極的には水質環境基準の全面的な達成ということが目標でございますから、そういうことも頭に置いて削減を図るという意欲を込めて五年先の流入目標総量を決めるわけでございます。  ところが、その流入目標総量といいますのは、たとえば河川を通じて内陸部から流れて入ってくるものがございますので、これをさらに工場なり事業場にCODの削減をお願いするという際には、むしろこれをフィードバックして発生ベースに切りかえなくちゃならないわけでございます。その発生ベースの目標総量、これをこの総量削減基本方針において決めるということでございます。これは発生源別あるいは都道府県別にもその際は決めるわけでございますが、そういうようなやり方で目標を決めたい、こう思っておるわけでございます。
  80. 馬場昇

    ○馬場(昇)委員 非常に時間がございませんので、なかなか議論ができないのですけれども、大臣、いま総量規制の目標を局長から言われたのですけれども、行政ベースでいろいろなことを検討されるのも結構です。当然やらなければならぬことですけれども、このことについて、やはり広く国民とか住民意見というのを聞いていただきたい。当然のことだろうと思うのですけれども、聞き方等については、いろいろ民主的な機関なんかつくったら私はいいと思うのですが、その聞き方はいろいろありましょうけれども、原則として総量規制の目標値等について住民意見を聞くという姿勢はお持ちでございますか、それをひとつ確認しておきたいと思います。
  81. 山田久就

    山田国務大臣 総量規制という問題になりますると個々の住民には利害関係が非常に多いのでしょうけれども、しかしながら、むしろその地方の担当しておる行政機関等ではそれをそういう観点からいろいろな資料を勘案してなし得る立場にはあるでしょうけれども、まあお気持ちはよくわかりますけれども、住民という形において意見を一々聞くという点は、実際のこのような、やや専門的なものを要する点についてはちょっとなじまないのじゃないかというふうに考えておるわけであります。
  82. 馬場昇

    ○馬場(昇)委員 午前中からも言っておるのですけれども、やはりこういう問題では、長く先祖代々からそこに住んでいた人、こういう人たちはやはり最大の学者ですよ、よく知っているのですよ。これは数字的にとか学問的にとかじゃなしに、生活の中から、経験の中から知っているわけですから、それを住民一人一人を呼んで聞けとか、必ずどうとかではなしに、そういうことを聞く姿勢を持って、やはり謙虚に行政をしていただきたいということを申し上げておきたいと思うのです。時間が非常にございませんものですから、これはぜひそういうことを長官に要望をしておきます。  次に、富栄養化対策の問題についてお聞きいたしますが、赤潮の被害というのはやはり年々増加しておる。これは間違いないのです。臨時措置法ができましてから今日に至るまでも大型の赤潮なんかどんどん出ておりまして、これは減っていない。私はふえていると思うのですけれども、これにつきまして、まず赤潮発生のメカニズムが十分解明されておらない、こういうことでございますので、端的に質問いたしますけれども、それぞれのところで研究はしておりますが、総合研究機関というようなものを設けて、一日も早くこのメカニズムの解明をなし遂げるということをぜひやっていただきたい。いろいろ各地でやっていますのを集めますと、きのうの参考人の話もありましたけれども、相当なところまでいける。個々にいろいろやっておりますものですから、これを集めましてさらに強力にして、予算もつけて、総合研究機関というようなものをつくっていただいて早く解明していただきたい、こういうことが第一点でございます。そしてさらに、これは言うならば国際的にもいろいろ連絡をとりながら、そういう研究の先進的な部分を受け入れるとか、そういうことまでする必要があろう。一日も早くやりませんと、これは漁民その他にとっても最大の敵ですから、二百海里時代の漁業問題については後で申し上げますけれども、そういう総合研究機関等をつくって解明していただきたい。これに対する御見解をお聞きいたしたいと思います。  それから、この問題につきまして、燐については原因物質としていろいろ指導、助言ということがとられておりますけれども、窒素は入っていないのです。これは「その他」ということになっておりますから当然入っておるのじゃなかろうかと思うのですけれども、窒素ということも明らかになっているのですから、「燐」という言葉は出ておるわけでございますが、窒素というものをぜひ含めていただきたい。  この二つについていかがですか。時間がありませんから、簡単に言ってください。
  83. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 赤潮等のメカニズム解明のために総合研究機関を設けて解明に当たらせたらどうかという御質問でございますが、総合研究機関というようなものをつくるとすれば、用地の選定から始まって、それから今度はその土地を買収する、さあそれから庁舎を建てる、機械をあれする、定員をあれする、これはやはり相当長期的な年月もかかると思います。したがいまして、ただいま先生からもお話がありますように、いろいろな各種の大学なりあるいは国立の研究機関なり県の試験場等もございますから、そういう面での赤潮研究者というのが第一線におられます。こういう方々を糾合しましてプロジェクトチームといいますか、そういうやり方で推進する方が研究効率といいますか、そういう面からもむしろ現実的ではなかろうかというようなことで、そんな方向で、現在、赤潮研究会等もつくって進めておる次第でございます。それから第二点は、「富栄養化による被害の発生防止」という規定改正法案に織り込んだわけでございます。その際には「燐その他の政令で定める物質」ということで、指定物質削減指導方針を定めることを長官が指示できるということにしていますが、当面はこれは燐というものを考えております。  なぜ窒素までできないのかということでございますけれども、燐と窒素というのはよくパラレルに言われるわけでございますけれども、事の性格からいたしますと非常にこれが違うわけでございます。窒素の場合にはその存在形態も大ざっぱに言って四種類ぐらいある、燐の方は単純で二種類ぐらいだ。それから、削減の技術等にいたしましても、燐の場合は凝集沈でんといいますか、ああいう硫酸礬土等を使えば相当落ちるという削減の技術的めども出ておる。ところが、窒素の方は号う簡単にはいかないわけでございます。そういう薬剤を使ってすっと落とせるというたやすいものではございません。したがいまして、これは非常に技術的にも経済的にも、また削減というものについての基盤ができていないというふうに考えるわけでございます。もちろん燐の方も十分かと言えば必ずしも十分ではございませんが、瀬戸内海の赤潮が先生おっしゃるように多発化し広範化しておるということからしてほっておけないということで、行政指導という手法ではございますが、燐については先駆的にスタートさせてみたいということでございます。
  84. 馬場昇

    ○馬場(昇)委員 では、窒素については原因物価と考えておられないのかどうかということも端的に聞いておきたいと思うのですが、問題は、その燐につきましても——私は窒素についてもそうしていただきたいわけですけれども、この量をどのくらいにして、削減の目標をどう立てておるのかということなんかがやはり不明瞭でございますので、この辺についてもう一点聞いておきたいと思うのです。  それからもう一つは、やはり富栄養化対策の中で、これは通産省来ておられたらお聞きしたいのですけれども、これは端的に答えていただきたいのですが、富栄養化対策の中で工場排水の位置づけというのを、この法案の中にもあるわけでございますけれども、どう位置づけておられて、この法律の中で位置づけたその位置づけの中で、通産省としてはどういう対策を立てておられるのか。この基本計画の中でも、工場は脱燐の処理施設だとか、その他の負荷量を軽減する措置をとる、こういうぐあいにありますが、通産省はこれを受けてどういう対策をいま立てておられるのかということについて、二点お尋ねしておきます。
  85. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 窒素が富栄養化の要因物質ではないのかというお尋ねでございますが、窒素も富栄養化の要因物質の一つでございます。  それから、燐の削減の場合の量なり、あるいは目標年度等でございますが、これも大体総量規制と同じように、やはり五年後ぐらいのところを目標年度に考えて、大体その目標量をはじきます手法も、CODの総量削減の場合に準じたやり方で、産業の伸び等の増加要因と、それから下水道の整備のマイナス要因等々から見て、実現可能な範囲考えたい、こう思っておるわけでございます。  それから、通産省の方に工場排水の関係でのお尋ねがございますが、私の方でいろいろ調査をやっておりますので、便宜私の方からお答え申しますが……(馬場(昇)委員「通産省から言いなさいよ」と呼ぶ)全体的な量だけ、ちょっと申し上げておきます。  これはいろいろ環境庁が調査しましたものでは、瀬戸内海につきましては、まず燐の方から申し上げますと、発生負荷量で一日約五十トンということでございます。その際に、生活排水と産業排水、これがどの程度のウエートになっておるかという面につきましては、生活排水が約七割弱、大体七割程度、それから産業排水が二割強ということで、燐の場合は、非常に生活排水のウエートが高うございます。  それから窒素の方でございますが、これも発生負荷量ベースで見ますと、燐の十倍の約五百トンでございまして、生活排水が四割強、それから産業排水が三割強というようなことでございます。
  86. 左近友三郎

    ○左近政府委員 工場排水の富栄養化に及ぼす影響ということにつきましては、やはりその排水の中で燐とか窒素というようなものが排出されるということでございますので、富栄養化の原因その他についてはまだまだ検討すべき点がありますけれども、こういう物質について極力排除を図っていくということは必要であろうと考えまして、御指摘基本計画にも脱燐の処理施設の整備その他を掲げておるわけでございますが、実際問題といたしましては、やはりこれについての脱燐あるいは脱窒素の技術の研究開発を進めて、それを実施させるということに考えておりまして、通産省の所管の工業技術院の傘下の研究機関でいろいろ研究をしておりますが、燐につきましては、無機化合物になっております燐についての除去技術は大分進んでまいりまして、これについてはその技術の普及、指導を図っております。ただ、有機質の燐とかあるいは窒素の除去技術については、まだまだ未確立の分野が多いものでございますので、これは今後とも研究を急ぎまして、そしてなるべく早く基本計画にありますような指導ができるように進めてまいりたいというふうに考えております。  大体、以上のような点で、現在、通産省の方も、この富栄養化対策に対して十分工場を指導してまいりたいというふうに考えております。
  87. 馬場昇

    ○馬場(昇)委員 研究段階というような話も答弁で大分あったのですけれども、いまのお話にありましたけれども、たとえば燐とか窒素とかいうのは工場の中で処理してしまって、要は外に出さない、いまも下水道なんかに出しているわけですけれども、外に出さないというような検討はやっておられないのですか。
  88. 左近友三郎

    ○左近政府委員 いま申しました処理技術は、工場の中でそういう処理施設を設けて燐なり窒素を落とすということでございますので、目標といたしましては工場の中で極力燐、窒素を落としていくという指導を進めてまいりたいというふうに考えております。
  89. 馬場昇

    ○馬場(昇)委員 それで、ここで一つだけ長官に要望をしておきたいわけですけれども、やはり何といってもその富栄養化対策については、先ほどから言っていますように、赤潮のメカニズムというものについては一日も早くやらなければならないし、これは瀬戸内海だけの問題だけではないわけです。もう日本全国、二百海里時代の沿岸漁業にとって最大の敵ですから、これは本当に、プロジェクトチームをつくってやるとおっしゃいましたけれども、当面はそこから発足しながら、さらに総合研究機関等でもつくってぜひやっていただきたいと思います。  それで、燐、窒素、こういう問題につきましても、やはり削減の目標というのをきちっと出して、先ほど何割、何割とかおっしゃいましたが、とにかく目標をつくって、こういうぐあいになくするのだということでやっていただきますし、さらに、通産省につきましては、これは含まれておるものはもう外には出さない、そうすると研究も何も要らぬわけですから、出さぬという指導をすればいいわけですから、そういう面についてもぜひ十分やっていただきたいということを要望しておきたいと思うのです。  次に、大型船舶、巨大なタンカーの問題について、これはもうたびたび議論されておりますとおりに、漁業者の安全操業にとっても大変な障害になっているわけでございますし、油の流出事故の危険性等を含めまして、瀬戸内海環境保全のためにはこの大型タンカー、巨大タンカーの航行規制は絶対に必要である、こういうぐあいに思うのですけれども、この法律ではその規制が出ておらないわけでございます。私は、少なくとも瀬戸内海におきましては、やはり船の航行等と対比した場合に、漁業者の安全操業確保というのに重点を置かなければならない、こういうぐあいに考えるわけでございますし、特に瀬戸内海の漁業は夜の操業が非常に多いわけです。非常に危険でございます。  まず、その巨大タンカーの航行規制というものは現在の法律では十分できないわけでございますので、この法律ができるこれを機会に、この法律でその規制をやってはどうか。ところが残念ながら載っていないわけです。そういう意味で、巨大タンカー等の大型船舶の航行規制の問題等についてどう考えておられるのか、聞いておきたいと思うのです。
  90. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 巨大船等の航行安全対策でございますけれども、この面につきましては、所管の運輸省におきまして、海上交通安全法等々の法律によりまして、巨大船を含めた船舶の航行規制等が現に行われているわけでございます。  環境庁といたしましては、この油濁事故の防止、これが非常に大きな問題であろうという認識に実は立っております。日ごろ何PPm以下にというようなことで排出規制等を上乗せ等をかけてやっておる、そういう際に、大型タンカーが衝突をするというようなことで原油その他を排出すれば、これは相当の大きな環境汚染を来すわけでございます。したがいまして、環境汚染を来さないようなという角度で、環境庁としては、この油濁事故防止という観点で、今後とも運輸省の方には万全を期するように強く要請をしてまいりたいと思っております。  したがいまして、この後継法に入れましたのは、むしろ「海難等による油の排出の防止等」ということでその油濁の防止関係規定を織り込んだ。直に航行規制という問題については、これはむしろ運輸省の方でさらに万全を期していただく強く要請もしていきたい、こう思っておるわけでございます。
  91. 馬場昇

    ○馬場(昇)委員 大臣に、これは環境庁長官とともに国務大臣山田さんに聞きたいのですけれども、やはり先ほど言いましたように、油濁事故はもちろんそこから危険性が非常に多いし、事実そういうことがやられておる事故があるわけですけれども、さっき漁業の安全操業というものも含めまして、やはり大型船舶、特に巨大タンカー等の航行規制というのは運輸省が現在の法律でやっておると言いますけれども、実際、瀬戸内海では行われていないわけですよね。だから、こういう点でいまの法律ではだめなんだということを私は言っているわけで、だからせっかくこの法律は継続法をつくるときに、国務大臣として瀬戸内海環境を守る、あるいは漁業を守る、海を守るという立場から、あんな大きい何百メートルという巨大タンカーがあの小さな海に来ること自体が無理なんですよね、そういうことを含めまして、やはりこの法律で何とか運輸省なんかとも話されて、その規制というのをやるべきじゃないか、やるべきじゃなかったか。また、修正すればできるわけですから、まだ成立していないわけですから、これについての大臣考え方を聞いておきたいと思うのです。  それからもう一つは、ビルジの排出の規制について、時間がありませんので、いろいろ議論したかったのですけれども、やはり小さい百トン以上とか三百トン未満とかこういう船舶からの油の排出についても規制をすべきだと思いますが、問題はいろいろここの法律の中にもありますけれども、これは必ずそういうことを講ずるものとするというような立場後継法を成立させた方がいいのじゃないかと私は思うのです。ビルジの排出の規制は必ず講ずる、こういう立場法律つくりたい、こういうことを思うのですけれども、これに対してはどうですか。
  92. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 一つはビルジの排出でございますが、規制でございますが、これは三百トンといいますものを百トンまで下げたらどうかということを、法案の検討の過程において検討したことはございます。ただ問題は、これにつきましては特に既存船等につきましては、船体の構造を変えるといいますか、改造しなくちゃならぬという問題もございますし、船自身は瀬戸内海だけ走っているわけではないというようなこともございますので、この問題はむしろ後継法というよりは、別途の法律の方で手当てした方がよかろうということで落としたわけでございます。  そこで、新しく挿入しましたのは、この「海難等による油の排出の防止等」ということで、「海難等による大量の油の排出の防止」。ですから、タンカーがぶつかって油が大いに流れるというようなものを防止したり、あるいはその排出された油の防除について「必要な措置を講ずるように努めるものとする。」というふうにやったわけでございます。その点について、ただいま先生が、努めるのじゃなくて講ずるというふうにぴしゃり書いたらどうか、こういう御指摘だと思います。問題は、これを「講ずるように努めるものとする。」というふうに規定いたしました趣旨は、この線にのっとりまして今後、政府の責務として努めていくわけでございますけれども、この措置の中には単に行政運用だけでいいというものだけでなしに、物によっては法律立法措置といいますか、そういうものも伴うこともあり得るという感じがいたします。したがいまして、立法措置まで含めての講ずるものとするというのでは、これはやはり国会の御審議を得ませんとちょっと簡単に法律できませんので、政府という角度で言うとすれば「努めるものとする。」ということの方が穏当、妥当ではなかろうか、こういうような感じでここでとどめたわけであります。
  93. 山田久就

    山田国務大臣 大型タンカーの航行規制の問題ですけれども、これは御承知のように、大型タンカーに事故が起こった場合の問題はもう周知のところでございます。したがって、われわれは、全く先生と同様に、一体この置かれている環境から言いまして、どのような航行の安全のやり方をやる方が一番そういうことを防止するという目的に合致するか、そういう角度で、つまり現行法による航行安全の問題等も含めて非常にこれ検討しました。  目的はとにかく事故防止、どういうやり方が一番役に立つのかということ。事実、石油の基地も瀬戸内海の中にはございます。その場合に、たとえば夜間の航行の禁止をする場合に、一体今度昼間の問題としてどういうことが起こってくるかとか、いろいろな点を航行安全という非常に技術的なあるいは専門的な立場から詰めた結果が、結局現在の安全法によって海上保安庁なり運輸省がやっておる現行の方法によってなおさら注意してやるということでやる方が一番その目的を達し得るという、われわれの技術的な、つまり目標を達する実際上の点から、こういうようなことによる方が一番いいという結論に達したわけでございまして、その点では、大まじめに非常な責任を感じてずいぶん追求した結果であるということをひとつ御理解いただきたいと思うのであります。
  94. 馬場昇

    ○馬場(昇)委員 ちょっと御理解できないのですがね。問題はどうして安全をするかということを超えているのですよ、瀬戸内海に対する巨大タンカーが入ってくるというようなことは。だから、こういうことについては安全をどうするかということを大まじめに考えるというのは、ピントが少し外れていると言うと失礼ですが、おくれている。そういうことで、問題はやはり規制する以外にない。三百五十メートルくらいのあの大きいタンカーが四百メートルくらいの水路のところに入ってきたらどうしますか。こういうことは常識で考えられない問題ですから、安全をどうするかという問題じゃなしに、規制をするということで考えなければ、あそこの事故を防ぐとかあるいは漁業の安全操業ができるということはあり得ない、こういうことを思いますので、そういう方面で、ひとつ十分さらに検討していただきたいと思うのです。  時間が非常にございませんので、次に漁業問題について申し上げますが、質問をたくさん申し上げますので、一括して答えていただきたいと思います。  問題は臨時措置法が制定されましてから漁業被害は減少したかどうかということですけれども、私は漁業被害は減少していない、こういうぐあいに思います。そういう状況の中で、日本が、本当に遠洋漁業、大企業の漁業、そういう方向にばかり行っておりまして、いま二百海里の時代を急速に迎えて大変困った状況にあるわけですけれども、国民の動物性たん白質はぜひ確保しなければならぬわけでございますので、勢い考えられることは、沿岸漁業の振興でございます。これは当然考えておるわけですけれども、この沿岸漁業の振興の中で、瀬戸内海をどういうぐあいに水産庁は位置づけておられるのか、こういうことを聞いておきたいと思うのです。この法律にも沿岸漁業の一大宝庫にするのだ、こういうぐあいに書いてございますけれども、少なくとも、いま沿岸漁業でどれだけの漁獲高を上げて二百海里時代に対応しようとしておるのか、その中で瀬戸内海をどう位置づけておるのか、現在六十万トンぐらい、沿岸漁業の二五%ぐらい漁獲量を上げているわけですけれども、これをどういうぐあいに持っていこうと考えておるのかということを聞いておきたいと思うのです。  それからもう一つは、たくさんの魚種、魚介類があるわけですけれども、どういう魚種をどのようにしてあそこで振興していこうと考えておられるのかということを聞いておきたいと思うのです。  さらに、これは環境庁基本計画の中にもあるわけですけれども、「水産資源保全上必要な藻場及び干潟並びに鳥類の渡来地、採餌場として重要な干潟」を保全する、ヘドロの処理の措置をとる、こういうぐあいになっていますけれども、また、そのほかに砂利採取等もいま現在行われておる、こういうことがございますけれども、この基本計画で盛られました、いま言った干がたをつくるとか、ヘドロを処理するとか、こういうものをどういう計画でやっていこうとしておられるのか、それと瀬戸内海の漁業の振興というものがどう関連さしておるのか、こういうことが一つでございます。  そして、漁業振興はこの法律の中でどのような位置づけになっているのか、水産庁の計画とこの法律との位置づけの問題でございます。  それから、さらに養殖裁培漁業についてちょっと申し上げておきたいのですけれども、この基本計画の中でも養殖漁場の底質の悪化については「漁場管理の適正化に努める」というぐあいになっているのですけれども、これはどういうことか。ハマチ養殖ならハマチ養殖を、これは現在では非常に底質の悪化の原因になっておるわけですけれども、これをやめさせるのか、あるいはこれをほかの魚種に変えるのか、こういう問題がございます。多分、こう言いますと、密殖をやめるとかあるいはタイなんかと一緒に養殖をするとか、こういうぐあいにおっしゃいますけれども、そういうことを規制した場合に漁業権との関係はどうなるのか、こういう問題についてひとつ聞いておきたいと思いますし、それからさらに赤潮も含めて、被害がたくさんあっておるわけですけれども、この被害の救済に必要な措置というものは、現在は十分でない。漁業者の被害の救済を、どのように十分な手だてをとろうと考えておられるのか、こういう点について、水産庁と環境庁からお答えいただきたい。
  95. 山内静夫

    ○山内説明員 お答え申し上げます。  まず、第一番初めの、二百海里時代における瀬戸内海漁業の位置づけの問題でございます。瀬戸内海は、御存じのように平穏な内海であり、漁船漁業にしても、養殖漁業にしても非常に適した条件にある。これは万人の認めるところでございます。なお、市場的に見ても比較的大都市に近い、こういうことから流通的にも恵まれている。こういう観点から瀬戸内海、こういうものは注目に値する内海である、こう考えておるわけでございます。このような現状から見まして、カキ、ノリ、ハマチの養殖漁業であるとかあるいはクルマエビ、タイ、カレイ、こういう魚種を対象とするいろいろの漁業あるいはカタクチ、イカナゴ等を中心とする船引き網漁業、こういうものが盛んであるわけでございます。先生御指摘のように、瀬戸内海の漁業をわが国の沿岸漁業に対比いたしますと、最近年次におきまして約七十万トン、こういうことで、全国沿岸漁業の約二十数%を占める。しかも鮮度の新しい魚である。こういうことから、わが国沿岸漁業に占める割合は非常にその位置が高い、こう理解しておるわけでございます。水産庁といたしましても、今後ともわが国沿岸漁業の、ことに瀬戸内海につきましては、沿岸漁業生産の重要な海域として振興を図ってまいりたい、こう考えておるわけでございます。  それから第二番目の、瀬戸内海漁業の振興を図るためにどのような施策を、こういう御質問でございますが、瀬戸内海の漁業につきましては、従来、海域的に非常にすぐれている、こういうことから養殖漁業の振興を図ってきたところでございます。さらに加えまして、全国に先駆けまして国営の栽培漁業センターを設置いたしまして、マダイ、クルマエビ、ガザミ等の放流を行うことによりまして資源の涵養に努めているところでございます。このほか、漁場環境保全であるとか、魚礁の設置等、生産基盤の整備、開発、こういうことを実施しながら、瀬戸内海漁業の振興を図ってまいりたい、こう考えておるわけでございます。  それから二、三前後いたしますが、養殖漁業の問題でございまして、ハマチ等の赤潮に弱い魚につきまして水産庁はどういう考えであるか、こういうことでございます。ハマチ養殖につきましては、いろいろ世間にうわさされますように、現在の養殖方法によりますと、ハマチによって摂取されなかった残りのえさであるとか、あるいは排出されましたふんが海底に堆積いたしまして、これが自然浄化を上回った場合には漁場を汚濁する、こういう性質を持っておることは御存じのとおりでございます。それで、これにつきましては養殖の密度、投餌方法など養殖管理を適正に行わなければ、魚種のいかんにかかわらず赤潮が発生する、こういうことでございますから、この問題につきまして今後とも十分検討していかなければならない、こう思っておるわけでございます。したがいまして、魚類の養殖に当たりましては、養殖の管理を適正に行うよう、これからも指導していく所存でございます。  まず第一番目といたしまして、漁場の自浄力を考慮しました適正な放養の密度であるとか、あるいは漁場の管理技術等を主な内容とする指導指針を現在作成中でございまして、これからも指導を強化していく、こういう考え方でございます。このほか、赤潮に強いマダイ、クロダイ、こういうものを新しい魚種として普及に努めてまいりたい、こういう所存でございます。なお、漁業権等につきましては、漁業権の切りかえ等で十分対応できるのではないか、こう考えておるわけでございます。  それから、赤潮の救済関係でございます。赤潮の防除の関係につきましてはいろいろ施策を講じているわけでございますが、いざ赤潮が発生した場合における救済対策でございます。現在、赤潮関係の被害の救済対策といたしましては、養殖共済の赤潮対策、こういう措置がとられております。掛金は国が二分の一、県が二分の一、こういうかっこうで、被害があった場合は漁業者の負担がなく赤潮の共済措置による救済が受けられる、こういう方向をとっておるわけでございます。なお、単価その他の問題につきましていろいろ問題がある、こういうことは十分承知しておりまして、この点につきましては徐々に改善してまいりたい、こう考えております。  以上でございます。
  96. 馬場昇

    ○馬場(昇)委員 質疑の時間が来ましたので、最後に長官に一点お尋ねして終わりたいと思うのですが、いまの水産庁に対しましては、やはり二百海里時代ですから、少なくとも国民の動物性たん白質を確保しなければなりませんし、一大宝庫となるように全力を挙げてやっていただきたいと思うのです。  最後に、この法律についての財政問題等について、やはりその財政の計画とか見通しとかいうのはどういうぐあいに考えておられるのかということと、もう一つは、今日のように地方財政が非常に危機に瀕しておる。この法律によって地方自治体はやはり負担にたえ得ない、こういうことも考えられるわけでございますが、この財政問題に対して、大臣、十分な措置を講じていただきたいということが一つ。  それから午前中から質問しておりますけれども、私はこの継続法ということでは、やはり臨時措置法と同じように行政のサボタージュというか、あるいは他の省庁に遠慮するとかいろいろございまして効果を上げ得ない。私の質問に対しましても十分なお答えをいただいていないのです。私はもう少し、たとえば瀬戸内海の総合調査というものをやりまして、とにかく瀬戸内海というのは世界における閉鎖性水域の典型的な事例であるわけでございますから、また、かけがえのない国民の財産ですし、そういう意味において瀬戸内海の自然の特性と利用の許容性等について総合調査を行って、そして国民の合意を得てさらにりっぱな施策を講ずべきである、こういうぐあいに思います。  やはりこのような、いまのような法律環境回復では十分でない、こういうぐあいに思いますので、瀬戸内海の総合調査をきめ細かく実施して、さらにこの法律というものを強化しなければならない、こういうぐあいに思います。そういうことなしには本当に瀬戸内海の問題の真の解決はあり得ない、こういうぐあいに思うのですけれども、財政問題と瀬戸内海の総合調査という問題についての長官のお考えを聞いて質問を終わりたいと思います。
  97. 山田久就

    山田国務大臣 この瀬戸内海法基本的な目的にかんがみまして、できるだけ財政面も、また調査の面も含めて、われわれ、なし得るところはひとつあらゆる努力を払ってやりたい、これが私どもの立場でございます。  実際問題として、これは確かにその機構の問題あるいはあの地域が非常に裕福な地域である、こういうようなことのためにいろんな難点がございますけれども、にもかかわらずこの趣旨にかんがみてできるだけの努力はいたしたい、こういう覚悟で対処したいと思っておりまするので……(馬場(昇)委員「総合調査はやらないのですか」と呼ぶ)総合調査という問題も含めて、ひとつ十分検討して対処してやっていきたいと考えておる次第でございます。
  98. 馬場昇

    ○馬場(昇)委員 質問を終わります。
  99. 久保等

    久保委員長 次に、土井たか子君。
  100. 土井たか子

    ○土井委員 建設省は御出席でいらっしゃいますか。——まず、それじゃ建設省に私お尋ねしましょう。  昭和四十四年の建設省調査の結果がデータとしてあると思うのですが、瀬戸内海の海岸線の状況です。総延長が幾らで、そして自然、半自然海岸というのが何キロメーターか、建設省からちょっとお知らせいただけませんか。
  101. 川本正知

    ○川本説明員 いま手元にその資料がございませんので、後ほど調べて御報告したいと思います。
  102. 土井たか子

    ○土井委員 これは後ほどとおっしゃいますが、私の手元にあるので、ひとつそれじゃまず申し上げましょう。四十四年では総延長が五千九百キロメーター、自然、半自然海岸が約三千五十キロメーター、こういう数字が建設省の調査結果として出ておるようであります。それ、もう一度確認してみてください、これはすでに調べている数字として出てきていますから。  それで環境庁にひとつ、それじゃ再度この問題についてお尋ねをしますが、環境庁では昭和四十八年に同じく総延長が何キロか、自然、半自然海岸が何キロかという調査結果を出していらっしゃるようですが、これは何キロですか。
  103. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 四十八年に環境庁の自然保護局で調査をいたしました。そのときの結果では、瀬戸内海の総延長五千四百八十三キロでございます。純自然海岸はその約四割でございまして、二千二百二十八キロメーター、それから半自然海岸、これが二四・一%のウエートでございまして、実数が千三百二十一キロメーターでございます。そのほかは人工海岸ということで三五・三%のウエートでございますが、千九百三十三キロメーター、大体そんな姿になっております。
  104. 土井たか子

    ○土井委員 この瀬戸内海についての海岸線状況を調べる場合の総延長というのは、これは一定の距離であって、どういう状況の変化があろうとも総延長の距離数というのは変わらないというふうに考えなければならないんじゃないですか。いかがです。
  105. 出原孝夫

    ○出原政府委員 先生の御指摘のとおり、理論的にはそういうことになるわけでございますが、海岸線というのは御案内のように非常に屈折をしております。それで調査をするときの調査者の技術的な問題でございますとかいうようなことで、そのときどきの調査によって総延長が結果的にかなり異なってくるということがあるわけでございます。したがいまして、大づかみなところでお考え願うというよりやむを得ないかと思います。
  106. 土井たか子

    ○土井委員 これは異なことをお伺いするわけであります。いろいろそれは、まあ三分の理をお説きになるのも結構でありますが、これはやっぱり科学的に考えて——総延長が大変に違うんですよ、建設省と環境庁の調査結果のこのデータを見ますと。約四百キロメートル違うんです。これはわずかの差ではないと思う。なぜこれほど違うかというのをまずお尋ねしたいと思うのです。どういう調べ方をなすっているのか。つまり、はかり方の起点と終点が違うということもあるかもしれない。起点と終点が違うということになると、瀬戸内海の海岸線に対する認識が建設省と環境庁とでは違うということにもなってまいりますので、これはちょっと問題だと思ったりもいたします。いかがです。
  107. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 建設省の調査の場合はどの範囲にしたのかよく存じませんが、環境庁の場合の四十八年の調査におきましては、環境保全臨時措置法第二条によります瀬戸内海範囲ということで海岸線を集計したものでございます。
  108. 土井たか子

    ○土井委員 それは環境庁のお考えはわかりますが、この臨時措置法を施行するに当たって、いろいろ関係各省庁と連絡協議なさるということでなければ基本計画策定できない、そういうかっこうですね。建設省が一体この海岸線に対しての認識をどう持ってどういうふうな調査を進められたかということを恐らくお調べになっていらっしゃるだろうと私は思うのですが、その点、環境庁としては把握されていますか。いかがです。
  109. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 詳しくは私もわかりませんが、ただ建設省のやはり所管の事務といいますか、所掌事務に照らして、国土の保全等、海岸法という法律関係の方も、港湾とか、何か特殊なものはよその省になりますが、そこを所管している役所として、そういう国土の保全等の立場といいますか、そういう観点からの調査ではなかろうか、かように思います。
  110. 土井たか子

    ○土井委員 まあ、いずれにしろ、ちょっとこれは腑に落ちない。これは一回検討してみてください。数字の上でこれほど隔たりがあるというのはどうもおかしいのですね。四十四年と四十八年、四年違うじゃないかということじゃなかろうと思うのです。そうそうこの海岸線がその四年間にむちゃくちゃに変わったとは思えません。ですから、その辺ひとつ調べていただく必要があるように思います。
  111. 信澤清

    信澤政府委員 確かに先生御指摘のように、調査によって本来同じものが違った数字が出てくることになったわけでございますが、今回の場合は二つの理由がございます。  一つは、瀬戸内海というものの範囲が、これは先ほど水質保全局長が申されましたように、臨時措置法に言っている瀬戸内海の区域をとっているということでございますね。したがって、瀬戸内海の概念が違うということが一つございます。  それから、四十八年の自然保護局の調査は、これは実測いたしておりません。地図の上でやっておるわけでございます。したがって、自然海岸であるとか半自然海岸であることは現地で見ておりますけれども、距離その他は地図の上で、ある簡単な器械がございますね、あれを使ってやっております。したがって、瀬戸内海は島嶼が非常に多いわけでございます。そこで、島嶼部については正確な数字が出てこないということから、結果的には、恐らく全国的に見ましても、建設省の御調査よりも海岸線の距離数が少な目に出ております。こういうことがございます。  そこで、先般、国土利用計画法で土地利用基本計画つくります場合に、実はこの点が一つの問題になったわけでございます。そこで、政府としては統一的な海岸線の距離その他を明確にする必要があるということで、この点につきましては今後国土庁で統一的な調査をやる、こういうことを政府としては決めておるわけでございます。
  112. 土井たか子

    ○土井委員 そうすると、いま信澤局長からの御答弁によると、この瀬戸内海環境保全臨時措置法の一部改正、これは名称を改めて、今回、瀬戸内海環境保全特別措置法となるわけでありますが、今後、この法律に従って考えられる瀬戸内海の海岸線というのは、国土庁でいろいろと統一したものを調べることを委託されているわけですか。
  113. 信澤清

    信澤政府委員 私が申し上げましたのは、各省の調査の結果にずれがございますので、やはり用土の基本的な計画を立てるという立場から、海岸線の実測等については国土庁の調査をもっていわば正本とする、こういうふうな調査を国土庁がやるということでございます。したがって、瀬戸内海地域について国土庁が調査をいたすというふうにおとりになりましたら、私の答弁が悪かったわけでございますので、訂正させていただきます。
  114. 土井たか子

    ○土井委員 では、国土庁の実測に従ってこの瀬戸内海の海岸線というのをどこからどこまでと考えるかということは、当環境庁がお考えになるということになるわけですか。
  115. 信澤清

    信澤政府委員 これは私から御答弁するのが適当かどうかわかりませんが、この特別措置法で言う瀬戸内海範囲というのは政令で定めることになっておるわけでございますから、したがって、イニシアチブは環境庁がもちろんとるわけで、政府としてこの特別措置法が適用される瀬戸内海の海域の範囲というものはそれによって決まってくる、こういうことになると思います。
  116. 土井たか子

    ○土井委員 そうすると、国土庁に実測をということをおっしゃったのはいつ決まったのですか。
  117. 信澤清

    信澤政府委員 先ほど申し上げましたように、国土利用基本計画、土地利用基本計画でございますが、これを決めましたのがたしか昭和五十一年だと思いますが、その決める過程でいろいろの資料を使ってみますと、たとえば海岸線のみならず、森林の面積等についても統計その他各省によって大分違うわけでございます。特に、海岸線についてはその差が著しい。これは調査方法と申しますか、使っている数字に余りに開きが多いということで、国土庁が統一的な調査をやることによって、それをもって政府のいろいろな計画の資料に使う、こういうことを決めたわけでございます。
  118. 土井たか子

    ○土井委員 そうすると、昭和五十一年以前の指数というのはいろいろ開きがあるのはあるままに置いておいて、五十一年以降についてそれをひとつ統一的にさせていこうということに改めてなったというふうに理解させていただいてよろしいですか。
  119. 信澤清

    信澤政府委員 そういう方針を決めたのが五十一年でございますから、五十一年以降の数字が直ちにそうだということではございません。
  120. 土井たか子

    ○土井委員 では、局長、明確にひとつ答えてみてください。それじゃいつから信用すればいいのですか。
  121. 信澤清

    信澤政府委員 海岸線を調査しますそれぞれの目的がございます。したがって、一般的には海岸の御所管は建設省でございますから、建設省の数字をもって正しい、より実際に近いというふうに考えるべきだと思います。環境庁の調べましたのは、先ほど申しましたように、いわゆる緑の国勢調査と言われるあの調査の中で、主として距離については地図の上ではかったわけでございますので、島その他の部分について非常に屈折がはなはだしいというような部分については必ずしも正確にはかっていないというふうに考えております。
  122. 土井たか子

    ○土井委員 これは、自然海浜というのが一体どういう状況にあるか、埋め立て計画が進めばどういうことになるかということを考える場合に、やはり海岸線に対して事実は事実として掌握しておくということは基本的な問題じゃないかと私は思うのですね。だから、そういうことからすれば、いまいろいろな目的に従ってはかり方がおのずと異なってくるがごとき趣旨の御答弁でありますけれども、環境庁としてはひとつそこのところ、しっかりと把握しておいていただきたいなと思いますよ。これ、大丈夫ですね。大丈夫なんですか。
  123. 信澤清

    信澤政府委員 先ほども申し上げましたように、土地利用基本計画をつくる際に余りに数字の違いが大きいということで問題になった経緯があるわけで、その点の御指摘を先ほど来受けているものと承知いたしておりますので、政府としては、今後、国土庁がその間の各省の調整をやって正確な距離を出すようにいたすという方針を五十一年に決めたということでございます。
  124. 土井たか子

    ○土井委員 これは、しかし、なかなかむずかしい問題であろうと私は思いながら、次に聞きたいのですが、いまこの総延長というのは、昭和四十四年当時建設省が出されたキロ数に比べると、四十八年の環境庁のいわゆる緑の調査の時点で測定されたキロ数の方がはるかに少なくなっているのですね。ところが、その次に、自然、半自然海岸のキロ数を見ますと、四十四年当時の建設省の数字に比べて、四十八年の環境庁の緑の調査の結果の方が大変に広がっているのですよ。大きくなっているのです。総延長は少なく、自然、半自然海岸は多いというのが環境庁の緑の調査結果として出ているこの内容なんですが、私は大変おかしいなと思うのは、この四十四年から四十八年の間、具体的に四十四年、四十八年という数字は出ておりませんけれども、今回いただいたこの法律案の、環境庁がお出しになった参考資料の中でも、「埋め立て免許の実績」というのが現に出ておりまして、瀬戸内海については四十六年から四十八年十一月にかけて六千二百五ヘクタールという数字が出ています。これは埋め立て免許についての実績ですから、事実埋め立てたか埋め立ててないかという問題もあろうかと思いますけれども、この自然、半自然海岸が四十四年当時に比べまして減ることはあってもふえることはなかろうと思うのです。これが逆に、総延長は少なく、自然、半自然海岸が、環境庁の調査結果では建設省の調査結果に比べてふえていっているというのはどういう理由なんですか。
  125. 出原孝夫

    ○出原政府委員 この環境庁の調査をいたしました場合の基本は、先ほど企画調整局長からも申し上げましたように、地図の上ではかったということが一つでございます。それから第二番目は、それぞれの海岸について純自然海岸か、半自然海岸か、人工海岸であるかということで、純自然海岸というのは全く手の加わっていない海岸、それから人工海岸は、埋め立てたとかいうような形で完全に自然を失ったもの、その中間のものを全部半自然海岸ということで整理をしたものでございます。それが結果的に御指摘のような大きな矛盾を持っておりますので、実は緑の国勢調査、今年度と来年度にわたって第二回目を行う予定にいたしておりますが、その点につきましては、十分注意をして整理をしてみたいというふうに考えております。
  126. 土井たか子

    ○土井委員 十分整理をするとおっしゃいますが、どういう整理をなさるのですか。これは要は自然海岸とか半自然海岸に対しての認識が建設省と環境庁とで違うのじゃないですか。環境庁はなおかつこれを半自然海岸だというふうに認識なすっても、建設省の方はもはや半自然海岸とは呼ぶにふさわしくないという認識をこの状況に対してお持ちになっていらっしゃる場合には、こういう数字の結果というのは出てこようと思います。環境庁の方は半自然海岸ともう呼ぶことができないような海岸についてまでまだまだ大丈夫だ、半自然海岸なんだという認識をお持ちになっていたんじゃなかろうかという危惧を私、持つわけですが、いかがなんです。むしろ建設省よりもそういう問題に対しての厳しい考え方環境庁は持って当然だと思うのですよ。これが逆にこの数字を見ていたら、建設省に比べて環境庁の方が非常に甘い考えをこういう問題に対して持っていらっしゃるゆえにこういう数字が出てきたのじゃないかという憶測をする人がいます。大丈夫ですか、この憶測というのは間違っていますか。
  127. 出原孝夫

    ○出原政府委員 環境庁といたしましては、昭和四十八年の緑の調査が実は初めての調査でございます。したがいまして、その当時の担当をする者が大がかりの調査の中の一環として、その当時できるだけの知恵をしぼったものであると思いますけれども、御指摘のような問題も出てまいっておることは承知をいたしておりますので、第二回目のときに十分検討いたしたいというように考えております。
  128. 土井たか子

    ○土井委員 聞いていますと非常に不安がつのる一方の御答弁なんです。二回目の調査には非常にその点を留意して検討したいといういま御答弁ですが、どういうふうに留意なさるのです。どういうふうなことに注意をして検討なさるのです。
  129. 出原孝夫

    ○出原政府委員 御指摘のように、また先ほど申し上げましたように、定義の問題から出てまいると思います。したがいまして、調査の様式から入らなければならないという問題がございますし、それから調査の技術的な方法について環境庁より建設省の方が元来はより正確におやりになっておると思いますが、その辺のところを踏まえまして、私どもの方できっちりすべきものをきっちりした上で第二回目の調査に当たりたい、こういうことでございます。
  130. 土井たか子

    ○土井委員 これはほかの地域と違って、わざわざ特別措置法というのをつくる地域なんですね。なぜ特別措置法というのをこの瀬戸内に対して用意しなければならないかという認識を強く持っていただきたいなと思いますよ。この辺が建設をなさる当事者である建設省が考えられることに従って環境庁が海岸線に対しての認識をお持ちになるというのは、私はこれは逆立ちしたありさまだと思うのです。むしろ環境庁がこの自然海岸というものに対してやはり徹底した認識を持っていただかなければならない。半自然というのだって、ちょっと手を加えたらこれは自然じゃないんですよ。したがいまして、もう厳し過ぎるくらい厳しいこの問題に対する認識を持っていただかないと、実は何のための環境保全特別措置法かわかりません。その辺はひとつ環境庁がまず主になって、こういう問題に対して他省庁に対してひとつ意見を調整させていく役割りを徹底的に担うという約束、できますね。これははっきりしておいていただきたいと思います。長官、大丈夫ですか。
  131. 山田久就

    山田国務大臣 いまわれわれがその点についての定義、そういうものをはっきりさして調整して間違いのないように努力する、そういうことにいたしたいと思います。
  132. 土井たか子

    ○土井委員 これは非常に努力の成果なんでしょう。なぜかというと、大変に時間がかかったのですから。速やかにというのがどの程度の時間が考えられているかというのは、これを見てよくわかったわけでありますが、瀬戸内海環境保全基本計画の中にも自然海岸というものを、自然海浜の保全ということについて具体的に項目を起こして書いていらっしゃるわけですよね。したがって、こういうことからすると、自然海浜の保全ということが今回の特別措置法を具体的に施行しようとすると考えられなければならない問題だということは言うまでもない。この自然海浜と、それから少しもう手を加えている半自然海岸というものに対しての認識をひとつここで新たに考えていかなければならないようないままで取り扱いをなすってきたのかとむしろ聞きたいくらいです。いままでのやり方について、これは私はほめたことじゃないと思うのです。非常にずさんだったということがこの点についてまず言い得るかと思いますので、ひとつこのときを改めて徹底的に、二度とこういうことを環境庁としては言われないように取り組んでいただきたいなと思います。環境庁長官のただいまの御答弁では、調整をしてという用語をお使いになった御答弁でございましたが、他省との調整という言葉を聞くだびごとに私はぞっとするのであります。とにかく他省がどういうことを言うかによって、ずいぶん環境庁もみずから言うことをやめてしまったり、出すものを引っ込めたりいろいろなすったという過去の経緯がございますので、この節の調整というのは環境庁が先頭に立った環境庁主導型の中身でなければならない、このことを再度確認させていただいて、次に進みたいと思います。環境庁長官、この点はよろしいですね。
  133. 山田久就

    山田国務大臣 御趣旨の点、よく頭に入れさせていただきまして努力する所存でございます。
  134. 土井たか子

    ○土井委員 この自然海浜保全の問題なんですが、これは環境保全臨時措置法が施行されてからこちらにCOD、汚濁負荷量についての四十八年施行の瀬戸内海環境保全臨時措置法によっての産業排水の問題を取り上げて論議されるたびごとに、これは三年以内に四十七年時点の半分に減らすという義務づけはみごとに実行されたというのをあちらこちらで聞きます。五十二年の測定では目標を三三%も上回って達成されたというふうなこともよく聞きます。ところが、これは内容は、それぞれの企業が努力をした、各自治体が努力したということをしきりに言われるわけですけれども、しかし、CODの、汚濁負荷量の半減というのは、不況で企業活動が停滞したということも大きな要因ということを認めざるを得ません。もし不況でなくて、企業活動が停滞していなくて、相変わらず景気がよくて企業活動が旺盛になった場合、一体いまと同じような状況がつくり上げられただろうかどうだろうかと思いますと、私はこの点は疑問なしとしないのです。こういうことから言いますと、目標値を景気が好転してもなおかつ維持できるかどうかという問題、これは単に企業活動が盛況であるか不況であるかというふうなこととは別に、もう一つやはり自然の自浄能力といいますか、そういう点から考えていくと、自然海浜がどれだけ残されていくかということと非常にかかわり合いを深く持つだろうと私は思うのですね。これは、これからいろいろ経済活動というものがどっちの方向を向くかということとあわせて考えてまいりますと、景気が好転して企業活動が盛況を呈しても常に問題になる問題だと私は思います。だから、そういう側面から考えていくと、もうすでに質問の中では再三再四にわたってこの点は出されたと思いますが、自然海浜保全という点から考えて、単に地区内において工作物の新築や、それから土地の形質の変更や鉱物の採掘、土石の採取なんかに当たって、その行為をしようとする者は届け出だけでよいというのはちょっと問題があるんじゃないか、届け出と許可制というのは違いますから。昨日の参考人の中からそういう意見が出ておりましたけれども、やはり届け出だけでこれを済ますというのは手ぬるいんじゃないかというふうに思われますが、二瓶局長、いかがです。これはどうして許可制にできなかったのですか。
  135. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 自然海浜保全地区制度につきまして、これを届け出制でなしに許可制になぜできなかったかということでございます。これは私たちの方も、実は、法案検討の過程におきましては、許可制といいますか、そういう公益性ということも検討した時期もあったわけでございます。ただ、自然海浜保全地区制度といいますものを仕組みます際に、公益性という角度でやりますれば、当然財産権等をセーブするという形になりますので、これに対しては損失補償等の措置等も必要になってまいるではないか。したがいまして、そういう損失補償というようなことを伴う財産権の制約といいますか、そういうものを伴うというものよりは、むしろ届け出にして助言、勧告という形で、こういう工作物の設置等について助言、勧告等を行うということの方が自然海浜保全地区の指定が進むのではないか。したがって、この地区の指定をするということに相当ウエートを置きまして、むしろ届け出を受けて、その後の工作物の設置等についての助言、勧告ということの仕組みの方がいいのではないか、かような観点でそういうふうに直したわけでございます。
  136. 土井たか子

    ○土井委員 二瓶局長、私にはどうもその点がぴんと来ないのですが、自然海浜の保全というのは、自然のままに保全しようというところが目的なんでしょう。ここにいろいろな工作物をつくったり、土地の形質を変更させたり、土石の採取をやるなんということは、つまり自然を損なうことなんですね。特定の人がこの自然海浜として指定されている場所を私物化することはできません。そういう人たちに対して、どうぞおやりなさい、届け出さえやればやらせてあげますよというのは、どうもこれは本来の自然海浜のあり方として間違った取り扱いじゃないかと私は思うのです。いまの御答弁を聞いていても、どうも届け出だけの方が自然海浜を保全するのには適切だと思われるというふうな御趣旨のことをおっしゃいますけれども、むしろこれは、本来なしてはならない行為をここで認めていこうということをわざわざ十二条の七で規定されているわけでしょう。だから、このことに対しての規制は厳しくやるのが当然なんじゃないですか。本来なしてはならぬことを特例として認めましょうという中身なんじゃないですか。そうすると、このことに対する規制というのは、特定的に厳しくやるというのが本旨だと私は思いますが、届け出じゃなく、したがって許可制ということの方が、通常考えられるいろいろな手続から言うと、厳しいわけなんです。この辺の配慮があってしかるべきだと思うのですが、いかがなんですか。
  137. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 この自然海浜保全の物の考え方は、海洋レクリエーションの場等を確保していこう、海水浴とか潮干狩り等で地域住民の方々が利用をされておられる、そういうような自然海岸を末長く、利用も適正に行われるようなという角度で指定をしたいということでございます。自然海岸全般を指定するということではございません。それが一点。  それから、問題は、この行為の届け出に対しまして規制、許可制といいますか、そのことでございますが、それは届け出をさせまして、これに対して勧告、助言をやるということよりは、規制をするということの方が法律的な効果といいますか、そういう面からすれば厳しいわけでございます。御指摘のとおりでございます。問題は、この自然海浜保全地区制度といいますものを考えます際にも、現在も瀬戸内海につきましては、自然公園法あるいは自然環境保全法等々によりまして地域の指定といいますか、公園等が設定されておるわけでございます。それで十分カバーし切れないところがあるわけでございますが、その面につきましては、こういうようなもので保全と利用の適正化を図ってはどうかということでございます。したがいまして、規制そのものは勧告、助言よりは強いわけでございますけれども、むしろ知事さんと県においてこういう地区を大いに指定してもらいたい、こう思っておるわけです。そういうことからすれば、むしろ規制というよりは届け出で勧告、助言の方が指定が進むのではないか、そのことについては、地域の住民の方々もこの制度の趣旨というものも十分御理解いただければ、簡単に届け出だけで、助言、勧告で、すぐ工作物の新設ができるというわけではあるまい、むしろ指定の促進といいますか、その辺に相当焦点を置いたということは事実でございます。
  138. 土井たか子

    ○土井委員 だけど、これはおっしゃっていることを聞けば聞くほど私はわからなくなるのです。何のためにこれを指定するのです。保全するために指定するわけでしょう。むしろ許可制でなくて届け出の方が指定をスムーズにできるとおっしゃるのは、どうも私には解せないのです。これは環境保全というものを、自然のありさまのままでやっていこうというところに趣旨があるのであればあるほど、いろいろ手を加えることに対してはやりにくい状況をつくっておくということの方が指定はしやすいのじゃないですか。そうなると、法的効果としては、より厳しい、届け出よりも許可をというのが通常考えられるあり方だと思うのです。私は、いろいろ手を加えるのがやりやすいように配慮なすったためにこれは届け出になっているのだなというふうにしか読むことができません。だから、せっかく自然海浜の保全という地域指定をやってみたものの、その地域指定の意味がないような場合すら、この結果起こってくるのじゃないか。第一、先ほどおっしゃったような海水浴場として整備するということのために、なぜ、そこに鉱物のいろいろな採掘や土砂の採取などの行為をするものについてまで配慮する必要があるのですか。そういう人たちについて認めてあげましょうという必要があるのですか。私はどうも、趣旨からすると、ここに決めていらっしゃる行為の範囲というのは逸脱していると思いますよ。だから、その辺はどうおっしゃっても、私は届け出というのは甘過ぎる、やはりこの辺は、この自然海浜の保全ということを徹底して考えていただくという立場からすると、本来許可制でなければならなかったのじゃなかろうか、むしろ、許可制より何よりも、一切こういう行為は認めないということの方が、私は徹底していいというふうに考えております。だから、そういう点から再度ひとつ御答弁をいただきたいと思うのです。
  139. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 先生のお話で、許可でなしに届け出にして工作物の新築等をやりやすくしているのではないかという趣旨のお話がございましたが、むしろ私たちの方は、もちろん、法的な規制の拘束力という面からすれば、許可制等に比べますると、届け出をさせて助言、勧告をするというのは弱いと思います。それはそのとおりでございます。しかし、問題は、規制をするということのみに重点を置きますと、なかなかこの地区指定が現実問題として設定がむずかしいということになっても、これもアブハチ取らずになりますので、むしろ、これは指定というものを相当やってもらいたいという考え方を持っておりますので、指定の届け出と助言、勧告という方が指定しやすいのではないか。実際問題として、こういう地区が自然海浜保全地区として指定されますと、届け出を出せばすぐできるよということで、簡単に工作物の新築等が現実問題としてはできるというようなことは、いろいろの面もございましてできないのではないか、むしろそういう地区指定を進めたいということから、この方が適当ではないかと考えた次第でございます。
  140. 土井たか子

    ○土井委員 そうすると、いまの御答弁からしたら、許可制という四角四面なやり方でやるよりも、届け出の方が範囲を広く自然海浜に対してこの海浜保全の指定地域としていくことができるのじゃないかという御趣旨ではなかろうかと私は思うのです。  そこで、一番最初にお伺いをしました瀬戸内海の自然海岸について、環境庁がいま認識されている自然海岸のどの程度を自然海浜保全の指定地域にしていくことが可能とおおよそのところ考えていらっしゃいますか。
  141. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 海岸線の関係につきましては、先ほどの四十八年の環境庁調査の純自然海岸、半自然海岸等数字は申し上げたわけでございますが、自然海浜の保全地区ということで一体何キロメートルをここで当て込んでおるといいますか計画をしておるかというお尋ねでございますけれども、これはまだ何キロメートルというところの具体的なところまでは詰めておりません。今後こういう制度をつくりまして、これは県の固有事務ということで県が条例でやっていくわけでございますが、今後、県の方とも十分打ち合わせて、この趣旨に合致したような海浜につきましては極力指定をするように、県の方に強く呼びかけていきたいと考えておる次第でございます。
  142. 土井たか子

    ○土井委員 これは関係府県の条例事項だといういま御答弁なんですが、瀬戸内海環境保全基本計画の中にもこれはわざわざ一項起こして環境庁としては考えていらっしゃる部面ですから、先ほどの御答弁にございましたとおり、自然海岸と半自然海岸についての概念を確定して、今回、二回目の緑の調査というものをおやりになるわけでしょう、だからその中で現在の自然海岸については、少なくとも自然海浜の保全ということから考えたらもうこれに手は加えない、できる限りこの地域に対しては自然海浜の保全地域として考えていくということを基本に据えてひとつ取り扱いを進めていただかなければならないのじゃないか、このように思います。この点どうなんてす。
  143. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 先ほどもお答え申し上げましたように、この自然海浜保全制度でございますけれども、これは瀬戸内海の純自然海岸、あるいはまた半自然海岸まで入れてもいいかと思いますが、これを全面的に指定していこうという考え方ではございません。先ほど言いましたように、自然公園法とかなんとかは別にいたしましても、要するにこういう自然海浜であって、かつ海水浴場なり潮干狩り等の海洋性レクリエーションの場等に現に使われておる、将来もそういう姿で利用の適正化を図っていくというべきところをむしろ指定していきたい、こういうことです。それで問題は、結局これも瀬戸内海環境保全審議会の答申のときもそういう趣旨の答申がございましたので、これを何か具体化をいたしたいということで今回こういう地区制度を考えてみた、こういうことでございます。
  144. 土井たか子

    ○土井委員 そうしましたら、いまの御答弁ではその点ははっきり聞かしていただくことは御無理だろうと私は思いますけれども、第二回目の緑の調査の結果として、少なくともいまここで問題になっている自然海浜の保全の指定としてふさわしいと思われる地域が何%くらいかという目安くらいは環境庁として出しておいていただく必要があるであろうと思います。この点、調査の結果から出せるでしょう。
  145. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 自然海浜保全地区の指定要件に合致するという形のものを具体的にどう考えるか、この辺については水局でも五十三年度予算に基礎調査の経費も取ってございますが、その辺の物差しと、あと自然保護局の方で今度やられます第二回目の緑の国勢調査、この辺とのあれで物差しがはっきりせぬとまた食い違ってもまずいですから、その辺をあれした上で、ただいま先生のおっしゃるように、一応のめどのつくような形のものは把握をいたしたい、こう思っております。
  146. 土井たか子

    ○土井委員 さて、この今回の法案瀬戸内海環境保全臨時措置法の一部改正というかっこうで提案をされておりますけれども、いわば瀬戸内海環境保全臨時措置法という時限立法に対して内部を一部改善して、この後、永久法として題名を改めて瀬戸内海環境保全特別措置法という法律立法されるというかっこうだと思うのですね。だから明確に言うと、今回審議しているのは瀬戸内海環境保全特別措置法審議しているというかっこうだと思うのです。このとおりに理解してよろしいですか。
  147. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 それはそのとおりと考えます。
  148. 土井たか子

    ○土井委員 特別措置法というのは特別法ですから、一般法に優先して考えられなければならないという、いわゆる法理的な原則がございますが、この点もそのように考えてよろしゅうございますね。
  149. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 特別措置法というふうにいたしたわけでございますが、実は瀬戸内海環境保全、これについての法制は多々ございます。水質汚濁防止法、海洋汚染防止法、公有水面埋立法、いろいろの法律がございます。それはそれぞれ瀬戸内海に適用されるわけでございます。そのほかに瀬戸内海については、この臨時措置法時代から第三条で、瀬戸内海が比類のない美しさを誇る景勝地漁業資源の宝庫だ、こういう基本的な考え方が明示されておるわけでございます。  そういう瀬戸内海の特殊性というものにかんがみまして、一般的な法制のほかに、瀬戸内海についてこの特殊性から見て必要な措置というものを特別にオンするということは必要であろう、そういうことでこの特別措置法というものを考え、また時限法でないということで「臨時」というのも取った、こういう考えでごございます。
  150. 土井たか子

    ○土井委員 ちょっと私の言っている趣旨局長にはおわかりいただけてないのかもしれません。これはおっしゃるまでもなく、公有水面埋立法とか港湾法とか、ほかに国総法、新産都法、工特法だとか名前を出したら切りがないのですが、瀬戸内海にも関係のある法律と言えば、いろいろあると思うのですよ。ただしかし、それは瀬戸内海によらず全国一律に適用される法律なのですね。今回審議しているこの特別立法は、瀬戸内海についてのみ適用される法律でしょう。そういう意味から言うと、他の一般法とあえて私は申し上げますけれども、全国一律に適用される法律と内容が競合した場合、この瀬戸内海については瀬戸内海環境保全特別措置法というこの法律が優先的に考えられなければならないんじゃないか。これは局長、特別法は一般法にまさるというのは法理なんですが、このように理解して間違いないと私は思いますが、いかがでございますか。
  151. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 先ほども申し上げましたように、第三条で、瀬戸内海環境保全基本理念というものが明示されておるわけでございます。したがいまして、一般的によその地域につきましていろいろな法制もあるわけでございますけれども、そこでたとえば法制度がないというような分野についても、これは特別法としてこの特別措置法の中に、瀬戸内海の特殊性にかんがみて新規の施策といいますかよそにない施策というものを織り込むということは当然あり得る。それが先ほど申し上げました自然海浜保全地区制度もそうでございますし、あるいは富栄養化対策というようなものもそうでございます。  それから、競合するというお話でございますが、たとえば特定施設の設置の問題等につきましては、それは水濁法では届け出制になっておりますが、この法律におきましては、臨時措置法時代からそうでございますけれども、特定施設の設置の許可制ということで、そこは、法律的には水濁法の特定施設の扱いについては特別法的な立場にもある、こういう姿になっておると思います。
  152. 土井たか子

    ○土井委員 これはどういうことで私がお伺いしているかというと、自治体にいろいろ埋め立ての問題に対しては免許権がございます。しかし、この埋め立てを必要とするいろいろな事業の中には、国が計画をする大規模埋め立てが必要な事業というのがあるわけですね。きょうは建設省や運輸省にもわざわざここに御出席をいただいているわけですけれども、国の事業で計画される大型のものについての取り扱いは公有水面埋立法とか港湾法とか、それぞれ関係法律に従って手続がとられるというかっこうになっておりますけれども、かてて加えて、この瀬戸内海環境保全特別措置法によって規制を受けるという部面も当然この瀬戸内海の地域においては出てくるわけですね。いま運輸省の港湾局長がここにお出ましでありますが、たとえば港湾計画というものを考える場合、ここに私が持ってまいりましたのは運輸省から出ている指数なんですが、大阪湾内外貿別の港湾取扱貨物量というのがございます。これについては、昭和五十五年ということを、一つは予測値を立てていろいろこれに従っての計画というものを港湾計画としてお持ちになるというかっこうだろうと思うのですが、たとえば、外貿については昭和四十九年当時と対比しますと昭和五十五年というのは、これはずいぶんふくれ上がるわけですね。昭和四十九年というのが八千七百万トン、それに対して昭和五十五年というのが一億二百万トンというぐあいに大変これはふくれ上がるわけですね。ふくれ上がるということになると、それに従って必要な港湾計画というものを整備していかなければならない。しかし、大阪湾というのは、言うまでもなく瀬戸内海の今回の環境保全特別措置法の対象区域にすっぽりはまる場所であります。したがいまして、ほかの地域と違って、やはりこの特別措置法規制を受けなければならないという部面が出てまいりましょう。どういう点にこれは御留意なさいますか。そしてある場合においては、大阪湾の内外貿別の港湾取扱貨物量に対しての予測量というものを変更させていかなければならないという部面もあるいは出てこようと思います。環境保全ということから考えていくと。港湾計画変更させるということは、したがって、こういうことの貨物取扱量の内容というものが変わっていくということを当然ながらこれは認知しなければならないわけでありますから、こういうことも考えられると思うのですが、この点についてどういうふうに考えられます。港湾計画について、瀬戸内海環境保全特別措置法というものが今回制定される、いわば従来の臨時措置法というのは一部改正されるということになると、ずいぶんこれに拘束を受けるという点で変わりが出てこようと思いますが、この点どのように考えていらっしゃいますか。
  153. 大久保喜市

    ○大久保政府委員 お答え申し上げます。  いま先生の御指摘のように、港湾の計画をいたします際には、その地域地域の経済活動に関連して予想されますところの港湾貨物量というものを前提にいたしまして港湾管理者が港湾計画を立てているわけでございます。それで、その際に大阪湾の沿岸の各港湾管理者が五十五年を予測しましたところのそれぞれの背後地域の経済活動に見合ったものの貨物量の予測値が、先生の御指摘のような形のものでございます。  それで、そういうような地域社会のニーズにこたえての港湾計画を立てるに当たりまして、瀬戸内海であるがゆえに瀬戸内海の水質環境を悪化させないようにしなければならないとか、いろいろ瀬戸内海環境保全、在来ですと臨時措置法、今度特別措置法になるわけでございますが、こういうような瀬戸内海の特殊性に配慮しての港湾整備に当たっての環境に対する配慮ということを十分考えていかなければならないのは事実でございます。しかしながら、瀬戸内海環境保全特別措置法によって港湾取扱貨物量を変えるべきではないかというような点につきましては、現在の港湾行政の仕組みは、御承知のように、港湾管理者が地域社会の人々の負託にこたえて空間利用計画を立てていくというたてまえになっておりますので、何分にも高密度社会であり、人口も稠密であり、また経済活動も活発な空間でございますので、そこに知恵と技術と資金とを投入いたしまして、さらに時間をかけて環境の創造という、つくり出していくという努力をしなければならないというのが現実ではなかろうかというふうに考えておる次第でございます。  それで、御承知のように現在のところ、瀬戸内海環境保全臨時措置法ができましたのが四十八年でございます。たまたま当時、御承知のように公有水面埋立法改正もなされまして、それから港湾法の大改正もなされたわけでございます。いずれも、公有水面埋立法あるいは港湾法というのは一般的に瀬戸内海に限ったことではございませんが、当時、環境の問題に対して特に配慮しなければならないという観点が強く打ち出されまして大改正を見たわけでございますが、その上に瀬戸内海については瀬戸内海環境保全臨時措置法趣旨を体しまして対応しなければならないというふうに行政といたしましては取り組んでいるわけでございます。それで現在、大阪湾の周辺の各港におきましての港湾計画につきましては古いまま、まだ改定していないものもございます。しかしながら、部分的に改定してきておるものもございます。たとえば尼崎、芦屋、西宮港につきましては甲子園浜の砂浜、野鳥の来る場所、こういうところを残せという地域社会の御要望もございます。そういうようなことを踏まえまして、昨年港湾計画変更をいたしました際に、ただいま申し上げましたようなことも十分配慮いたしまして港湾管理者が計画を改定いたしました。私どもも港湾管理者に極力そういうような機会をとらえて、よりよくなるような改定をするように指導、助言をしているのが現状でございます。
  154. 土井たか子

    ○土井委員 いま、はしなくも局長が御答弁の中で出されました、具体的な問題が一つ出てまいりましたから、抽象論で言うよりも具体的なことで、今回の環境保全基本計画の中にございます下水道の整備の問題にまつわることを聞いてみたいと思うのです。  港湾計画というのは本来、下水道整備をする場合に必要ないろいろな手続とは別だと思いますが、港湾計画は一体何法によってどういう手続を必要とするんですか。
  155. 大久保喜市

    ○大久保政府委員 お答え申し上げます。  先ほど申し上げましたように、港湾管理者がみずからあずかっておりますところの港湾区域の空間利用計画、これを港湾法の定めるところによりまして、手続によりましてつくるという仕組みになっております。その際に、先生いま御指摘の下水道の処理場の問題、これは背後地域の社会の非常に大事な施策でございますが、しかし、その場所が内陸部に取れないという現実が地域社会としてございまして、それをどこかにつくらなければならない。それで考えられることは、前面の海域に求めざるを得ない。それで、たまたまただいま申し上げました港湾区域の中で、当時はもっと港湾の取扱貨物量は伸びるという想定のもとに埋め立てのわりあいに規模の大きい計画があったわけでございますが、その後、計画の見直しをいたしまして、その空間の中にそういう処理施設の用地を確保できないかというようなことがございましていわゆる港湾区域の空間利用計画の中にその空間を編み出すということを港湾計画の中で取り組んだわけでございます。それで、それのためには、これはもちろん港湾管理者だけではございませんで、御承知のように地方公共団体が港湾管理者、あそこの場合で言いますと兵庫県が港湾管理者でございますが、地元の西宮市、そういうようなところの要請等もくみ取りまして、地方港湾審議会にもかけまして、それでただいま申し上げましたような形に計画を修正したというのが現実でございます。しかし、そこの上において下水道の処理施設をつくるとかそういうようなことになりますと、これはまたさらにそれぞれ下水道の行政をあずかっている分野がございます。そちらの方でその上に重ねていろいろな手続を踏まなければならないということになるわけでございます。
  156. 土井たか子

    ○土井委員 これは港湾施設の一環として下水処理場というのがあるのですか。本来、港湾施設と下水処理場というのはまるで別のものであって、下水処理場は渡湾施設と言えないんじゃないですか。したがいまして、港湾計画の一環としてとおっしゃいますけれども、これ自身は、非常にそういう点で、従来はとり得ないものをここの中にはめ込んだか。こうじゃなかろうかと思いますが、いかがなんです。
  157. 大久保喜市

    ○大久保政府委員 お答え申し上げます。  私の説明が若干足りなかったように思います。港湾計画におきましては、港湾施設とそれから用地造成計画があるわけでございます。それで、現在の港湾計画におきましては、要するに用地造成計画の中にさらにその用地の将来の用途ということを予想いたしまして、用地造成計画をこの港湾区域の中において策定したということでございます。
  158. 土井たか子

    ○土井委員 そこで港湾局長、その用地計画ですが、当初の用地計画と現在の用地計画計画変更していっていると思うのですが、当初の用地計画はどういうことでこの埋め立て用地が考えられたんですか。
  159. 大久保喜市

    ○大久保政府委員 ただいま手元に詳細の当時の計画資料を持ってきてございませんが、考え方といたしましては、変更以前の計画におきましては、将来の港湾取扱貨物量とそれからそれに見合ったところの港湾施設用地、たとえば上屋とか倉庫用地、そういうようなもののほかに、港湾の周辺では立地条件がよろしいものですから、工場の立地とかそういうことも予想されるわけでございます。そういうような工業用地、そのほか港湾では緑地等もございますが、ともかく港湾にまつわるところのいわゆる港湾としての機能を確保し、しかも環境を整えるための用地をそこのところに計画しておったわけでございます。ところが港湾の取扱貨物量も見直しをいたしまして、その地域の当面の貸物量の予測としましては、当初わりあいに長期的に見ておった取扱貨物量を若干修正いたしまして、取扱貨物量も若干減る予想を立てたわけでございます。それからいま一つ、たとえば工業用地とかそういうようなものにつきましては、いろいろと環境条件等も配慮いたしまして、減らすことの可能な部分も出てきたわけでございます。そういうようなやりくりといいますか見直しをいたしました結果、ゆとりも出てきた。それに一方、需要といたしまして、下水道の処理用地を必要とするという需要も出てまいりまして、そこいらのところを総合的に調整いたしましたのが改定計画というふうに理解いたしておる次第でございます。
  160. 土井たか子

    ○土井委員 つまり、ただいまでは不必要になるところまで埋め立てを当初計画して、それに対しての免許が出て、そしてそれに対しての用地ということを当初考えていたのだけれども、ただいまはそういう必要がなくなったので、その用地に対しての利用計画変更されたというかっこうなんですね、端的に言うと。本来、埋め立ての中身をずっと見ていきますと、免許を受けている埋め立てでも不必要な埋め立てというのはかなりあるんですよ。当初計画では必要であった埋め立て用地が経済変動に従って不必要になってくるという側面を非常に持つわけですね。私、なぜこういうことを言っているかというと、この埋め立てというものが、高度成長当時は言うまでもなく、その後においても経済優先で考えられているという点がそもそも大変な問題なんです。経済的な需要があるかないかということに従って考えられたものは、やがてその経済的な需要が成長率が低下すればなくなっていくという部面は非常にあるわけでありますから、そういう点からすると、せっかくこれは埋め立てに対して免許を受けているのだ、埋め立てて何かほかの用途に使ったらどうかというので、埋め立てそれ自身をやめるのではなくて、埋め立ては埋め立てとしてやって用途を変更させていくという部面が非常にあるわけですね。これは一たん埋め立てに対して免許は出たけれども、その後この用途に従って使う意味がなくなったという埋め立ての地域に対してはむしろその免許を取り消す、免許を撤回するということが非常に必要じゃないかと思うのですが、どのようにお考えになりますか。
  161. 大久保喜市

    ○大久保政府委員 お答え申し上げます。  先生御指摘のように、すでに得ておりますところの埋め立て免許と申しますのは、公有水面埋立法の大改正以前に免許を取得しておるところでございます。それで四十八年の公有水面埋立法改正の際、公有水面を水面でなくする、それで別の用途に使うということは、公有水面を水面でなくすることの損失と、それから土地として使うことの効用との比較考量のもとにおいて免許すべきである、行政処分すべきである、そういう一つの判断がございまして、それで改正法におきましては土地利用計画等につきまして相当厳しくチェックするようになったのが現実でございます。  それからいま一つ、その土地改造と申しますのは、やはり土地造成の経済性ということを勘案いたしますと、単発的にごく短期間の見通しのもとにぽつぽつと継ぎ足していくというよりも、やはり総合的な空間利用計画の整合性のとれた形において計画を決める方が空間利用計画上は好ましいということもございますもので、計画といたしましてはわりあい長期的な計画をしておきながらも、実際に公有水埋め立ての免許という行為の際には、ただいま申しましたように、公有水面埋立法手続を相当厳格にやるように、四十八年の改正以降はなっておるのが現状でございまして、また、その免許を受けたときの用途を変更するということにつきましては、埋立法の中においてそれを制限するような規定も加えられた状況でございますので、今後につきましては、在来よりは相当に改善されるものと私ども考えておりますし、また、そうしなければならないと考えておる次第でございます。
  162. 土井たか子

    ○土井委員 いま局長から御答弁がございますが、建設省も御出席ですね。今回の瀬戸内海環境保全基本計画にございます下水道の整備というのは建設省の所管でしょう。そうですね。建設省の所管である下水処理場というのが港湾計画の対象となっているということ自身は、これは違法じゃないかという向きの認識を持っていらっしゃる方々があるわけですが、この点はどうなんですか。本来港湾施設と言えない下水処理場を港湾計画の対象とするということは間違いだというふうに考えられているわけですが、この点、建設省としてはどういうふうなお考えなんですか。
  163. 高橋進

    ○高橋説明員 お答えいたします。  下水道のサイドからの手続といたしましては、都市計画法上の都市計画決定なりあるいは事業認可、それから下水道法の事業認可というものがそれぞれ必要でございます。そちらの下水道サイドではそういった手続をやるべきものでございます。それがたまたま港湾計画の対象地域内に用地を持ちます場合に、それが港湾計画の内容としていろいろ考えられるということにつきまして、直ちに違法とか、そういった問題はないのではなかろうかというふうに考えております。
  164. 土井たか子

    ○土井委員 ただしかし、港湾計画の対象として下水処理場というものが建設されるのについて、下水処理場を建設する施行者というのは、これは県じゃなくて、先ほど局長が言われた西宮市に例をとりますと、西宮市なんですね。そうすると、いまこの瀬戸内の環境保全特別措置法に従って考えていった場合に、環境影響事前評価というものを実施する必要が出てまいりますね、この海域に及ぼす影響というものはあるわけでありますから。したがってこの環境影響評価を実施するのは県なんですか、市なんですか、この下水の処理場について言うならば。これは海を埋め立ててやるのですよ。港湾計画の一環としてやるのですよ。海を埋め立てて、そこに下水処理場をつくるというふうな場合、この環境影響評価についてやる主体者はだれなんです。
  165. 高橋進

    ○高橋説明員 環境影響評価の内容そのものにつきましては若干問題がございますけれども、おっしゃいますように、下水道事業の実施主体は、公共下水道でございますれば下水道管理者ということでございまして、問題の場合は西宮市かと思います。その限りにおきまして、いろいろ事業実施に当たりまして、周辺に与える影響とか、そういったことにつきましては事業主体としての西宮市も当然考慮すべきものというふうに考えます。
  166. 土井たか子

    ○土井委員 下水の処理ということに対しては用地を取得することがなかなかむずかしいという実情が自治体には現にございまして、陸地に求めることがむずかしいために海上を埋め立てまして、そこに下水の処理場を設置するという例が出てまいります。これは一例や二例じゃございません。こういう場合、特に今回のように港湾計画の一環として下水の処理場をつくるということになると、経費の点から言っても非常に経済効率がよいということで自治体は、やり方としたらこういう方策をとるということがこれからどんどん出てこようと私は思うのです。ところが、今回、港湾計画の一環として下水処理場を計画している当の施行者である西宮市は、環境影響事前評価を実施するということを、県がすべきだと言って逃げているのです。やってない。そうして、しかも、この終末処理場に対して、いろいろと関係人に対して説明はしない、意見を述べる機会というものは認めない、そういう事情というものが今日に至っても延々と続いているわけなんです。今回の法律からすると、いろいろ埋め立ての問題に対して自治体に全権を委任するようなかっこうになります。それぞれの自治体において埋め立ての問題を取り扱う場合にどのような事前調査をどういうかっこうでやったらよいかという手法が、確立されたようであって、まだ確立されておりませんから、したがって、いろいろな取り扱いようが出てこようと思うのです。今回は、事前にどういう調査をどれだけやるということが必要であるかという義務づけがはっきりしないまま、この問題は、県だの、やれ市だのと、お互いがお互いに責任を持っていって、義務を相手方にたらい回しをすることをずっとし続けて今日に来ているのです。これは何といってもやはり環境庁として、少なくともこういう埋め立ての問題については、地域の住民に対して実情を説明することから、いろいろな意見を聴取することから、さらに公聴会の機会なんかについても設けるということをはっきりさせておく必要があると、この一例を見た場合にだって言うことができると私は思うのですよ。この点がすっぽり考えられていないというのはどういうことなんでありますか。
  167. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 埋め立ての問題につきましては、先ほど来、港湾局長の方からもお話がございましたように、埋め立て関係基本となります法律は公有水面埋立法でございますが、これにつきましても、四十八年の改正のときに、環境保全に配慮するという角度改正が織り込まれておるわけでございます。特に瀬戸内海につきましては、そのほかに十三条の規定というものによりまして、瀬戸内海の特殊性に十分配慮すべしということで、その面で具体的なやり方としては、審議会の答申も得まして、埋め立ての基本方針というものを軸にしまして、個別案件等について審査をいたしておるわけでございます。もちろん瀬戸内海の埋め立てにつきましては、この十三条の規定で特殊性に配慮するという問題がありますほかに、当然埋め立てということにつきましてのアセスといいますか、そういうものを運用の問題としては現実には行っておりまして、それと両方あわせて、瀬戸内海環境保全に資するという、確保していくという角度で現在取り組んでおるということでございます。
  168. 土井たか子

    ○土井委員 万事運用にゆだねられるというところに実は問題があるんじゃないでしょうか。認識の相違によってこの取り扱いはずいぶん違いますよ。関係十一府県、それぞれ違います。ましてや、こういう市段階の自治体の下水道の計画なんかについて言うと取り扱いが千差万別。陸地に対しての用地取得が容易にできることだったら、こういう問題はまだ別の解決の方法があると私は思うのですが、陸地で用地取得をすることがだんだん困難です。したがって、下水の処理場に対して埋め立ててやるという方策がずんずん出てくるわけですね。したがいまして、埋め立てについては、少なくとも事前影響評価に対しての調査というものをどういう手法でやるか、住民の参加をどういう方法でやるかということくらいは、必要最小限度の中身としてきちっと持っておく必要があるだろうと私は思います。万事条例にゆだねる問題じゃないと私は思う。このことについては、少なくとも特別法をここに用意されているわけですから、特別法の趣旨としてそれくらいは必要最小限度用意をされるのが私は条件だと思うのですが、この点はいかがなんですか。
  169. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 埋め立てを初めといたしまして、開発行為等によりまして環境に大きな影響を与えるというようなおそれのあるものについてはアセスをやろうということで、しかも、その法制の整備ということで、企画調整局が中心にアセスの問題には取り組んでおるということでございまして、そういう問題につきましては、この十三条の規定の運用の問題もございますけれども、そういう一般的なアセスの仕組みといいますか、そういうものも当然整備されて、いずれそれもかぶってくるということになろうかと思います。
  170. 土井たか子

    ○土井委員 二瓶局長、それは御答弁で抽象論を百万遍聞かされたって、現実の問題に対して何の対策にもならないです。先ほど港湾局長からの御答弁の中にあった西宮の埋め立て計画は現に裁判ざたになっているのですよ。なぜかというと、これは埋め立てについて当然とるべき事前の住民に対するいろいろな対策というのが何ら講じられなかったというところに問題があるのです。これでもし全部、いままで現行法から考えても間違いがないと言って施行者が着手して強行したとしましょう。後々大変な混乱ですよ。成田の二の舞、三の舞を瀬戸内海全域、各地でやらなければならない。少なくともこれは特別法でしょう。アセスメント法ができるまで待てという問題じゃないと私は思います。アセスメント法というのは、全国一律にこれによって影響評価をやりましょう、そして、住民参加をどういうかっこうで考えるかということをこの法律によってやりましょうという法律でしょう。だから、先ほど私が特別法ですねと言った意味はそこにもあるのです。やはり瀬戸内海について環境保全ということを熱意を持って環境庁がやろうとするなら、少なくとも埋め立てについて必要最小限度条件を整えるということからしたら、埋め立てに対して間違いのない、大丈夫の埋め立てだという一つの決め手をここにきちっと用意しておく必要があるのじゃないですか。抽象論ではこれはだめなんです。この点は非常に大事な問題だと思います。アセスメント法ができるまで待てと言われるけれども、これ、何年待たされているのです。ここにお出ましで恐縮ですが、建設省や運輸省や通産省の方が余りいいお顔をなさっていらっしゃらない、したがって、今国会で果たして出るのや出ないのやら、またまたわれわれは、期待をかければかけるほど裏切られる気持ちが強くなる一方じゃないですか。現にこの特別法審議の際に、特別法についてはそれくらいの気持ちがやはり環境庁にあってほしいと思いますよ。これは環境庁が主導してつくられる法律でしょう。環境庁の姿勢の見せどころはここですよ。そういうことだから、他の省庁に押し切られて、いまだに約束を果せないで、アセスメント法というのは日の目を見ないということだと思うのですが、埋め立ての問題については、これくらいの手法をきちっとここに法制化しておく必要が私はあると思う。どうです。もう一度局長、しかとした答弁を聞かせてくださいよ。
  171. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 問題は、この瀬戸内海環境保全特別措置法といいますものを、どういうふうな法制に物を考えるかということでございます。もちろんその中身の施策としてどういうことがやり得るかという問題と絡むわけでございますけれども。問題は、瀬戸内海につきましては、先ほども申し上げましたように、第三条に瀬戸内海環境保全の理念といいますか、これが明定されておるということでございます。したがいまして、そういう瀬戸内海の特殊性というものを踏まえまして、それに必要な限度においての特例措置というものをむしろ盛り込んでいくということではないかというふうな一つの観念をいたした次第でございます。したがいまして、いろいろな法制があるわけでございますけれども、あらゆる法制面を皆この特別措置法に取り込んでというわけにもまいらぬのではないか。したがいまして、それぞれの法制ということで物を考えますほかに、特に瀬戸内海の特殊性というものにかんがみて、よその地域ではやっていない施策もここはやるべきだというものを入れたり、あるいはよそでは届け出だというようなものも、さらにそれを強化して許可制にするとかいうようなことがあるのであろう。したがって、基本的な制度の創設なりそういう角度のものはこの特別法で処理するということではなしに、むしろ基本的なものは基本的な制度として、全国的な制度の中で考えるべきではないか。一般的なそういう施策のほかに、ここで特殊性にかんがみて瀬戸内海環境保全を図るという角度での施策をオンするという形ではないかというふうに考えたわけでございます。
  172. 土井たか子

    ○土井委員 それはいま二瓶局長がおっしゃるのは、当然だれでも考える理屈なんです。当然あるべき基本というものがいまないのですよ。当然あるべき基本だったら、とっくの昔に環境庁の責任においてつくられてしかるべきなんですが、それがないのです。したがって、せっかくこの特別措置法を実行しようとしても、仏つくって魂入れずのかっこうになりますよという実例を、先ほど西宮の例などを挙げて申し上げた。だから、埋め立て計画については、この埋め立てについて環境保全の点から大丈夫だというところまで持っていく——埋め立て全面禁止と私は言いたいですよ。でも、そうはなっていないのです。そうすると、せめて埋め立てについては大丈夫だというような決め手をひとつこの法律の中で用意しておく必要があるのじゃないか。基本的な問題にまつべきだとおっしゃるかもしれないけれども、この法律で先取りしていいじゃないですか、基本的なものがいままだないんだから。環境庁として当然持っていなければならない基本的なものを環境庁はいま手の内に持っていないんだから、この法律でその基本的なものを先取りしていいじゃないですか。先取りして、さらに整備していっていいじゃないですか。基本的なものがなければこの特別措置法でできないという弁法は、私は成り立たないと思いますよ。あるべきものがない、これがまさにおかしなかっこうなんです。だから、そのことを考えて、今回の特別措置法の中で用意されてしかるべきだと私はあえて言いたいのですよ。  それでは申し上げますけれども、この法律と同時に、アセスメント法案というのは出していただけるのですか、これを採決するまでに。どうなんです。
  173. 信澤清

    信澤政府委員 従来から再三御答弁申し上げておるように、この国会で御審議を煩わすようにいたしたいというふうに考えております。
  174. 土井たか子

    ○土井委員 この国会といったら、何日で会期が終了するのでしたっけ。
  175. 信澤清

    信澤政府委員 今月の十七日でございます。
  176. 土井たか子

    ○土井委員 まょうは何日でしたっけ。
  177. 信澤清

    信澤政府委員 五月の九日でございます。
  178. 土井たか子

    ○土井委員 そうすると、余すところの日数は指折り数えてもうわずかですが、提案をされて、当衆議院において十分に慎重審議をやるだけの時間的予定が立つというふうにお考えですか。
  179. 信澤清

    信澤政府委員 本来ならば、その国会の会期中に十分御審議いただくというたてまえであるはずだと思います。しかし、いろいろの先例等を見ましても、ともかく国会に御提案申し上げ、御審議のきっかけをつくる——それをもって足りるということを申すわけではございませんが、ともかく御審議をいただくということが、それなりに重要な法律というものも過去においてもあったはずだというふうに思うわけでございます。
  180. 土井たか子

    ○土井委員 まことに苦しい答弁だと思うのですね。何のために審議するのです。これは法律を成立させるための、お互い苦労して審議を重ねるわけですよ。いまこの時間になってなおかつこれを審議しているのは、この法案を成立させるための努力をいまやっているのです。今会期中にこれは成立させるための努力ですよ。衆議院を通過させて、参議院で何とか成立するまで持っていきたいという努力をいまやっているのです。アセスメント法は、提案してからその時間的余裕がないままに提案しさえすればよいという問題じゃないでしょう。これはやはり、今国会に提案するということをおっしゃる以上は、どうか成立をお願いしますと政府は提案されるのが政府立場だと私は思いますよ。提案しさえすればよい、審議するのに意味がある、まるでオリンピックみたいなことを言われるけれども、国会を余りにもばかにした物の言い方じゃないですか。私は、それは少し行き過ぎた答弁だと思いますが、どうですか。
  181. 信澤清

    信澤政府委員 行き過ぎた答弁でございますので、取り消さしていただきます。
  182. 土井たか子

    ○土井委員 この問題については、従来から懸案事項なんです。これは環境庁長官も、先代、先々代、さらに先々々代からのいわば遺産を背負って、ただいま環境庁長官としてのその責務についていらっしゃるわけでありますけれども、私は、今国会必ずアセスメント法というものを提案したいという気持ちで取り組んでおりますという当初からの環境庁長官のここでのごあいさつも聞きました。ただしかし、これは言われた以上はやはり果たしていただかなければならぬと思うのです。いまのような局長答弁ではおぼつかない。今国会の中で成立を期していまがんばっているこの法案の中に、私は少なくともそういう趣旨のことがうかがわれてしかるべきだという意味でこの法案についても吟味を進めたわけでありますけれども、しかしこの点は、特別措置法の以前にある従来のこの暫定的な時限立法一つも改善されてない部面であります。少なくともこの臨時措置法について、この点に対しての改善がある今回は時限立法でない恒久的な法律というものを、環境庁としては、当然あのようなごあいさつになった長官だからお考えになるであろうと私は予期した、この点は私はまことに残念に思えて仕方がないのですが、環境庁長官、どのようにいま考えていらっしゃいますか。
  183. 山田久就

    山田国務大臣 アセスメント法でございますが、十分な余裕を持って審議するように持っていきたい、これは当然われわれの立場であるとはっきり申し上げていいと思います。時間がかかるのにはそれなりの理由があって、そしておくれている、これは非常に残念でありますけれども、しかしながら、最後においてもこの問題の所期の目的を達成するということのために、私どももいまなお最後の努力をいたしておるところでございます。いま御指摘のような点については、無論これについてはアセスの、事前の評価というものの重要な点を加味したいという点が実はそこにあったわけでございます。  さて、それができなかったときにどうするか。特別立法であるからということでございます。それはそれなりに、われわれとしてもこれについては非常に検討してまいりたい、こう考えております。  非常に足りないじゃないかというようないろいろな御指摘でございます。これは私は、いろいろな見方があろうか、こう思います。しかしながら、やはりこの点については可能な限度において、とにかくできるだけこの基本的な方針に合うようにというつもりで、それなりの客観的な要請、いろいろなものも取り入れながら、われわれは努力したつもりでございます。この点は、外交辞令じゃなくて、率直に言ってそう考え努力したつもりでございます。
  184. 土井たか子

    ○土井委員 その努力の跡は、今回の瀬戸内海環境保全臨時措置法の一部改正の、いま申し上げているいろいろなアセスメントについての手法を具体的に生かすという部面では、どのような点にどのようにあらわれていますか。
  185. 山田久就

    山田国務大臣 後継法として、重要な部分において、皆さんの御努力になった点、これを引き継いでまいりますと同時に、この機会に、一つの今後の体制として、これはなかなか強い反論や何かがございましたけれども、この総量規制の体制というものを導入して、今後の水質保全ということのために、その点のきっかけをここにりっぱに努力しながら織り込んだ。あるいは富栄養化に対する被害発生防止、これについては規制したらいいじゃないか、これは一つの見解の相違だと思います。われわれは科学的に見てやはりそれについてはっきりしたことが言えないという点については、それなりに努力規定ということでいくのが限界であり、実務的な方法だと考えるのでございまして、この点を取り入れたという点でございます。また、自然海浜の保全という点を取り入れた点、また、海難等による油の大量排出防止、排出油の防除方法に関する必要な措置の実施の件について、これも実際の問題を考慮しながら、とにかくこの規定を入れたこと、あるいは赤潮発生機構の解明という点を入れた点等がわれわれの新たに追加した努力の点でございます。
  186. 土井たか子

    ○土井委員 この点は、もう私の持ち時間が終了したという紙が先ほどから参っておりますので質疑を終了しなければならないわけでありますけれども、どう考えても不十分だと思うのです。この点は大変な手落ちのある法律で、実際問題、これを施行したときには、やはりこの点がなければ、このせっかくの特別措置法意味がないと思われる例が必ず一例や二例すぐに出てこようと私は思っておりますけれども、これはお尋ねしても再度同じような御答弁しか出てこないだろうと思います。  さらに、もう一問だけ、私はこの点をお伺いして、きょうは終わりにしたいと思いますが、下水道の整備については、何といったって自治体のそれを整備していく費用負担が大変なんです。先ごろ来この委員会においても傾斜配分などの問題が取り上げられておりますが、これは大枠で枠組みをした中での傾斜配分ということになりますと、同じ瀬戸内の十一府県の中でも、お互いどこに重点を置いてこの下水の整備計画をやっていくことが当面急を要する問題かで先取り合戦が私は起ころうと思うのです。傾斜配分の問題を一方的に政府が決めましても、そうはなかなか地元の事情が許されないというふうなことも私は出てこようと思いますので、ひとつこの十一府県の代表と第三者を交えて、この傾斜配分の問題も含めて下水道の整備の問題で特別のプロジェクトを組んでいく必要が、私は費用負担の問題についてもあろうかと思うのですが、この点のお考えはどうでしょうか、何らか建設的な意見があったら聞かしていただきたいと思います。
  187. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 下水道の整備でございますけれども、これにつきましては、今後、瀬戸内海の地域につきましては総量規制制度というものを導入をしていきたいという考えを持っておりますし、また、富栄養化防止ということも、燐等につきまして実施をしていきたい、こう思っておりますが、こういうものを実施に移すという際に、きわめて重要な施策であるわけでございます。特に生活系排水につきましては、その中核となる対策かと思います。したがいまして、この下水道整備の促進という問題につきましては、今後とも所管の建設省にも要請をして、総枠そのものも逐次拡大をしていく。現在の下水道整備計画は、五十五年度までということで、第四次でございますが、いずれまた第五次という問題も登場してまいると思いますので、その点は総枠の要請もしていきたい。  問題は、今度はその枠の中での予算の傾斜配分といいますか、重点配分ということでございますけれども、どこに配分していくか、こういうことは所管の建設省の方でお決めになることでございます。しかし、ただいま申し上げましたような、総量規制なり、あるいは燐の削減というような問題がございます。したがいまして、環境庁といたしましても、総量削減基本方針策定なり、あるいは指定物質削減指導方針の策定を指示をするというような場合におきましては、十分建設省と連絡を密にして、その間、そごのないように、この傾斜配分の問題につきましても留意していきたい。したがいまして、関係十一府県というものも入れてのプロジェクトチームというようなものを特別に設けるというようなことは、特に必要はないのではなかろうか、かように考えられる次第でございます。
  188. 土井たか子

    ○土井委員 この費用の点では、いまの御答弁で、なおかつ私は釈然といたしませんが、もう一つ、同じような費用の点で押さえておきたいのは、海底の汚泥の除去について、この基本計画の中で述べられているのですが、実際問題費用負担という点になってくると、いろいろな点で難点が出てまいります。  たとえば、一例を挙げますと、兵庫県の高砂市なんかについては、有名なPCBの汚染地域でございまして、これを除去するのに高砂市は、国の方の除去基準の一〇PPmをはるかに上回るPCBに対して、工事をある会社に請け負ってもらって除去したという例があるのですが、除去した結果、これに必要な費用というのは九億をはるかに上回る大変な費用になったわけですね。ところが、この費用について、高砂市の場合なんかは、PCBを出している発生源がはっきりわかっているわけであります。片やは鐘淵化学であり、片やは三菱製紙なわけですが、お互いがこの費用に対して、発生源は相手方であるというなすり合いをやって、一向に支払わない。そうすると、このPCBの除去を決めた自治体も大変困ってしまうし、第一、この工事を自治体から請け負ってやった会社側、この例について言うならば、東亜興発なんというふうな会社があるわけでありますが、この除去をやったことに対して、全然費用が支払われないというかっこうのものであります。現に、このことに、高砂市の場合は、とうとう強行手段を講じまして、事業負担法の適用という方針をとったわけでありますが、しかし、片や会社側について言うと、行政不服審査法に基づく異議の申し立てというので、これで応酬するということにもなりまして、行きつくところ、こういう問題は悪循環なんですね。これはせっかく環境庁として、この基本計画の中で、「国が定めた除去基準を上回る底質の除去等の促進を図るものとする。」とお決めになりましても、具体的にこういう問題が巻き起こっておりますが、こういうことに対しての解決法としては、環境庁としてはどういうふうに考えていらっしゃるのですか。
  189. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 基本計画の第三の八に、確かに先生御指摘のとおり、水銀またはPCB等の有害な物質を含むヘドロ、これは「国が定めた除去基準を上回る底質の除去等の促進を図るものとする。」ということで書き込んでございます。ただいま御指摘の高砂西港のPCBのヘドロでございますが、これにつきましては、三菱製紙あるいは鐘化等々が話し合いをしまして、ここで環境汚染を来すということで、早急に事業者負担法の適用をせずに、企業者負担という角度においてこの除去事業を実施したわけでございます。そういう意味では、環境そのものは、底質の除去というものはできたわけでありますが、先生御指摘のとおり、この除去した後の費用負担といいますか、そちらの面については、三菱製紙と鐘化という大企業同士でお互いになすり合いといいますか、やっておるというのが確かに現実でございます。この面につきましては、かねてから環境庁の方でも、地元県の兵庫県等にも連絡をとりながら、この両者の仲介といいますか、その辺のことも指導もしたわけでございますが、両方とも突っ張っておりまして、大阪の簡易裁判所等にもいろいろ話を持ち上げてみたりというようなことで、なかなかその辺が解決されておらぬ。現状においてもそこまで行っておらぬということは御指摘のとおりでございます。  ただ、この問題は、それならばほうっておいてながめておくのかと言うと、そういうわけにもまいりませんので、これは県の方とも十分連絡をとりながら根強くその辺の努力には取り組んでいきたい、こう思っております。
  190. 土井たか子

    ○土井委員 なおかつ、具体的にはまた次回にひとつ質問を続行することにいたしまして、本日は、当特別措置法についての審議をこれで終わりたいと思います。
  191. 久保等

    久保委員長 次回は、明十日水曜日午前十時理事会、午後一時より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後七時五十七分散会