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1978-04-27 第84回国会 衆議院 公害対策並びに環境保全特別委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年四月二十七日(木曜日)     午前十時三十三分開議  出席委員    委員長 久保  等君    理事 相沢 英之君 理事 池田 行彦君    理事 登坂重次郎君 理事 林  義郎君    理事 島本 虎三君 理事 水田  稔君    理事 古寺  宏君 理事 中井  洽君       高村 坂彦君    関谷 勝嗣君       友納 武人君    萩原 幸雄君       福島 譲二君    大原  亨君       土井たか子君    馬場  昇君       坂口  力君    工藤  晃君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (環境庁長官) 山田 久就君  出席政府委員         環境庁長官官房         長       金子 太郎君         環境庁長官官房         審議官     石渡 鷹雄君         環境庁企画調整         局長      信澤  清君         環境庁自然保護         局長      出原 孝夫君         環境庁水質保全         局長      二瓶  博君         厚生省環境衛生         局水道環境部長 国川 建二君         通商産業省立地         公害局長    左近友三郎君         資源エネルギー         庁公益事業部長 服部 典徳君         運輸省港湾局長 大久保喜市君  委員外出席者         厚生省環境衛生         局水道環境部環         境整備課長   森下 忠幸君         林野庁指導部長 須藤 徹男君         水産庁研究開発        部漁場保全課長 伊賀原弥一郎君         工業技術院総務         部産業公害研究         調整官     水谷 久夫君         運輸大臣官房環         境課長     中島 眞二君         運輸省港湾局環         境整備課長   須田ひろし君         海上保安庁警備         救難部長    村田 光吉君         海上保安庁警備         救難部航行安全         企画課長    渡辺純一郎君         建設省都市局下         水道部長    井前 勝人君         建設省都市局下         水道部公共下水         道課長     遠山  啓君         建設省河川局水         政課長     安仁屋政彦君         特別委員会調査         室長      綿貫 敏行君     ————————————— 委員の異動 四月二十七日  辞任         補欠選任   藤本 孝雄君     関谷 勝嗣君   岩垂寿喜男君     大原  亨君 同日  辞任         補欠選任   大原  亨君     岩垂寿喜男君     ————————————— 本日の会議に付した案件  瀬戸内海環境保全臨時措置法及び水質汚濁防止  法の一部を改正する法律案内閣提出第七五  号)      ————◇—————
  2. 久保等

    久保委員長 これより会議を開きます。  瀬戸内海環境保全臨時措置法及び水質汚濁防止法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。池田行彦君。
  3. 池田行彦

    池田(行)委員 かねてから懸案でございました瀬戸内海法後継法がようやく審議される段階になったわけでございますが、私はまず最初に、非常に利害の錯綜したと申しましょうか、いろいろ関係方面意見の分かれているこの問題につきまして、こうやって政府案としておまとめになりました、これまでの大臣初め御当局の皆様方の御労苦に対して、本当に御苦労さまと申し上げたいと存じます。  さて、そうやって出てまいりました政府案でございますが、これを拝見してまいりますと、いろいろ新規施策も盛り込んでおられます。何といっても総量規制の導入というものは大きなものでございますし、さらに、富栄養化対策としての全燐を対象としました行政指導あるいは自然海浜保全対策とか、さらに、海難による油の排出防止、あるいは赤潮発生機構解明についての努力規定とか、非常に盛りだくさんなのでございます。  しかしながら、こういった新規施策の盛り込まれました政府案に対しまして、見方はまだいろいろのようでございます。一方におきましては、まだ不十分と申しましょうか、手ぬるいのじゃないかという批判もあるやに聞いておりますし、また他方におきましては、もうすでに現行法相当厳しい規制をしている、そもそも出発点が、乱暴とまでは申しませんけれども、かなり勇猛果敢に割り切ってつくりました法律でございますので、かなり厳しいものであった、それをさらに上回る規制を今回されるということについてはどんなものであろうかといった声も民間にあるようでございます。  とりわけ、この瀬戸内海という地域は、もとより非常に世界に誇るべきすぐれた景観を持った地域でございますし、また、ここの環境保全には万全の注意を払わなくてはいけない。あるいは、ここのところ大分進んでまいりましたと申しましょうか、戦後急速に進んでまいりました環境の破壊というものを何とか防がなくてはいかぬといった考慮はもちろんございますけれども、しかし同時に、全国人口の二六%、四分の一がここへ住んでおる、あるいは産業の面で申しましても、製造品出荷額の三割以上をつくり出している、そういう地域である、こういったところも十分考えなくてはいけないんじゃないか、余りそういったその地域住民あるいはその産業というものを考えずに突っ走られては困るんだがといった声もあるやに聞いております。  そういった見ようといいましょうか、さまざまな見方があるのでございますが、長官とされましては、こういった見解というものを十分しんしゃくされながら今回の改正案提出されたと存じますけれども、この辺について、長官見解をまずお伺いしたいと思うのでございます。  それと、もう一点でございますが、それに関連しまして、現行臨時措置法、これについてはいろいろな評価があると思います。先ほども申しましたように、相当思い切った規制最初に設定いたしました。しかし、その後の経過を見ますと、たとえばCODの負荷の半減目標については十三〇%の超過達成というような成績をもたらしておりますし、また、瀬戸内海透明度もずっとふえてきておるようでございます。四十七年当時五メートルくらいだったのが、最近は七メートル近くなっておるというふうに聞いておりますし、また、埋め立ての問題につきましても、その環境保全との関連考えながら十分配意してまいりまして、面積で見ますと大体四分の一程度まで下がっていくというふうに、予想以上と言いましょうか、まあ相当成果が上がっておるというふうに私は見るのでございますが、長官現行法の諸措置による効果というものをどのように評価しておられるか。それを踏まえて、どのような考え方に立って改正案の立案に当たられたか、そういう点についてまずお伺いしたいと存じます。
  4. 山田久就

    山田国務大臣 ただいま池田委員から、特にいろいろ配慮の言葉をちょうだいしまして恐縮に存ずる次第でございますが、御案内のように、瀬戸内海法というのは、美しい自然景観と貴重な漁業資源豊庫としての特殊性、こういうものを踏まえてこれに対処していこうということでございます。ただ一方、この沿岸については、昔から歴史に照らしましても日本の文化の中心であり、これはまた一つの経済的な意味での発達の実績を持っておる、そういう集中された地域であることは御案内のとおりであるわけでございます。したがって、特別の環境保全対策を推進する必要があるとの観点で、しかしながら、この地域は、先ほど申し上げましたような目的から特別の対策を推進する必要があるというような観点に立って、それで瀬戸内海法が制定されていることは御承知のとおりでございます。したがって、本法案においては、このような瀬戸内海特殊性を配慮いたしまして、先ほど指摘になられましたような総量規制の実施、富栄養化対策自然海浜保全などという新たな施策を盛り込むことにしたものでございまするけれども、この場合においても、今後における人口産業の動向、そういうようなものにつきましては、その他のいろいろな客観的な、合理的な要請というものをこれについては十分勘案していくという立場に立って、国民生活の向上という点の重要性にも配慮して、そして対処してまいりたい、こう考えたわけでございます。  ちなみに、われわれといたしましては、一般的に、後継法というものはこれで全部をやっていこうというわけじゃなくて、無論目的達成のためにはそれぞれの、あるいは水質汚濁防止法というものもありますし、あるいは海洋汚染防止法あるいは公有地埋め立ての法であるとか、あるいは自然公園の問題あるいは海上交通安全法あるいは海上衝突予防法というような基本的な法律があるわけでございまして、そう特別なものをつくろうということよりも、ここら辺を踏まえて、そして同地域特殊性というものを考えて、その特徴を生かすというものをやっていこうという考えに立脚している。この点はひとつよく御理解をいただきたい、こう考えておるような次第でございます。幸いにして、今日までのこれらの努力が総合いたしまして、いま御指摘になりましたような水質その他について、まだ不十分な点がありますけれども、しかしながら相当程度実績をおさめてまいってきておる、こういうふうに考えているのでございまして、なお、現状においてこれに付加してというようなもの、皆さん方のいろいろの御意見は虚心坦懐にこれを承る。無論漁業関係はもとよりのことでございますけれども、あるいは赤潮関係のものであるとか、あるいは埋め立てについてのいろいろな御要望であるとか、そういうものも含めての関係皆さん方の御要望も聞き、また経済方面の方も同じように合理的なものはこれを聞いて、十分それを生かして、先ほど申し上げましたような客観的、合理的なものに持っていこうという努力をやってきたつもりでございます。足りないというような点はいろいろありますけれども、そういう抽象論よりも、むしろ盾には両面、しかし合理的なものについてはこれを取り込んでということで対処したのが今度われわれの提出したような案でございまして、御指摘のように、この際あわせて水質総量規制というものについても、いまいろいろなことを言っているけれども、しかしながら、燐の問題にいたしましても、家庭用排水ということが一番大きな目的である、この現状はやはり考えながら、われわれはそれがどこまで技術的に可能かというものを無視してやるわけにはいかないので、いわば、きわめてそれらの点を勘案しての客観的そして合理的な対策後継法考えたというのがわれわれの立場でございまして、どうかひとつ御理解いただきたいと思います。
  5. 池田行彦

    池田(行)委員 どうもありがとうございました。ただいまのお言葉で、大体今回の後継法の性格なり、これを御提出に至るまでの基本的なお考えというのはよくわかりました。  いま最後のところでもちょっとお話があったのでございますが、燐のお話がございました。これは局長にちょっとお伺いしたいのでございますけれども、今回燐等に対する規制を導入されたわけでございますが、現段階では水質汚濁防止法の方でもまだこれを規制していない、そういう段階だと思うのでございますが、そういった状態の中で瀬戸内海についてのみこの法律において行政指導を行っていこうとされる、そこのところの趣旨と申しましょうか、その考え方というものをちょっとお聞かせいただきたいと思うのでございます。
  6. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 燐につきましては、ただいま先生から御指摘がございますように、水質汚濁防止法によります排水基準、こういうものの設定は現段階においてございません。そういうあれがない段階でなぜ瀬戸内海だけについて燐の削減対策といいますか、富栄養化対策というものを、行政指導ベースではあるけれどもこれをやるのか、こういうお尋ねであろうかと思います。  問題は、排水基準等がないわけでございますが、瀬戸内海につきましては、先ほど先生からお話がございましたように、CODにつきましても、透明度につきましても、四十七年当時に比べますと改善を見ておるわけでございます。それで、瀬戸内海相当水質はよくなったなというふうな感じがしておったところが、昨年の八月末も大規模赤潮発生した。あれは一つのティピカルな現象でございますけれども、そのほかにもいろいろ、海水浴遊泳禁止の日が続くとか、あるいはプランクトンが死んだときの悪臭で大阪湾等におきましては近所の住民が悩まされる、そういう話もある。したがいまして、排水基準等はまだ設定し得る段階までにはいっていませんが、さればといって、瀬戸内海はそれでは何もしないで放置していいのかという話になると思うわけでございます。  私たちといたしましては、そういう意味では、ばりっとした近代兵器並みのりっぱなものというふうにはゆめゆめ考えておりませんけれども、しかし、この後継法を提案する際に何らかこの富栄養化対策は織り込みたい、いまの科学的知見その他から見てぎりぎりの線で考えてみて、まあこの辺のものというのを、よその地域に先駆けて先駆的にでも瀬戸内海にやってみてはどうかということで、今度の法案の中に富栄養化による被害の防止規定を入れたわけでございます。したがいまして、燐につきましては、いわゆる行政指導ベースということでございますけれども、そういう線で排出源の方々の御協力も得ながら、ともどもに燐の削減に協力していただこう、こういうことで考えたものでございます。
  7. 池田行彦

    池田(行)委員 わかりました。ただいまの局長お話でもちょっと出てまいりましたけれども、確かに瀬戸内はきれいになったけれども、ああいった大規模赤潮発生するという状態で、今後この問題もいろいろ考えなくてはいかぬと思うのでございますが、しかし、現在の段階では、何といいましても赤潮発生機構そのものが、メカニズムが十分解明されていないということでございます。したがいまして、今回行政指導が入ったからといって、必ずしも、たとえば赤潮発生と既往の燐の排出との間に相当因果関係と申しましょうか、そういうものがあるのだ、そこまでを前提しているものではないというふうに私は了解しております。いずれにしても、この問題については、赤潮発生メカニズムの早期の解明、そしてこれを防止する技術を早く開発するために努力していただく、これが肝要であろうと思いますので、その面において今後一段の御努力をお願いしておきたい、こう思います。  さて、その次に、自然海浜保全の問題でございますけれども、現在、自然海浜につきましては、自然公園法なりあるいは自然環境保全法等の既存の法制のもとでいろいろ措置されております。とりわけ瀬戸内海の場合にはかなりの地域国立公園の区域に入っておりますし、そういった意味では、本当に大切な、貴重な、どうしても保全しなくてはいかぬ地域というのはすでに守られておるのではないか、その上にさらに新たに自然海浜保全制度を今回の改正案に盛り込まれた。これはどういうふうなお考えに基づくものだろうか。そこをちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  8. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 ただいま先生からお話ございますように、瀬戸内海自然海浜、これにつきましては、自然公園法によります自然公園制度、あるいは自然環境保全法による自然環境保全地域制度というような制度があるわけでございます。自然公園という面については、瀬戸内海主要部分がこれでカバーされておるというのが瀬戸内海の実態でございます。そういうことでございますから、その指定されているところは、自然海浜は当然そういう制度の中において保全されていくだろう、こう考えております。ただ問題は、そういう指定の網の目がそうきめ細かいというわけではどうもないようでございますので、まだそういう網のかぶっていないところで自然海浜があり、そこが海水浴なり潮干狩り等に利用されておるというところがあるわけでございます。そういうところにつきましては、やはり自然海浜保全する、しかもそれが海水浴等レクリエーションの場に今後とも末長く使われていくということを何か考えていく、そういう仕組みをこの際考えてみてはどうかということで考えたのが今回の自然海浜保全制度というものでございます。
  9. 池田行彦

    池田(行)委員 いまのお話をお伺いいたしますと、入浜権なんという概念がいろいろ一部言われておるようでございますけれども、入浜権というのは一体どういう権利なのか法律学的にも非常に問題があるようでございますが、決してそういったものを認める方向とかなんとかそういうものではないというふうに了解してよろしいかと思いますが、それは間違いないようでございますね。
  10. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 ただいま入浜権の話が出たわけでございますが、環境権の一種として入浜権というものを認めるべきだ、海は万民のものであるというようなそういう思想があるわけでございます。ただ問題は、これが果たして権利ということで見られるものであるかどうかということにつきましては、いろいろ議論のあるところでもございますし、また判例等もまだ十分にないというようなことでございますので、この入浜権というものにつきましては、法曹界といいますかそういう面での今後の一つの大きな検討課題だろうと思っております。私たちの方でこの自然海浜保全制度ということを考えましたのは、入浜権関係をどうするという意味ではございません。それとは関係ございません。ただ、一般的に自然の汀線を保持してくれとかあるいは海洋レクリエーションの場を確保してくれというような意見要望を大分承っておりましたので、この後継法というものを考えます際に、一つの新しい仕組みとしてやはり取り組んでいくべきではないか、こういうことで考えたものでございます。
  11. 池田行彦

    池田(行)委員 わかりました。  次に、同じ海浜関係で、埋め立て問題でございますが、埋め立てにつきましては、現行臨時措置法でも、十三条で瀬戸内海特殊性に配慮していくということになっておるわけでございます。その運用成果でございましょう。法律施行前と比べますと、現段階では大体件数でも半減面積で四分の一ぐらいになっておると思うのでございますが、ただ一方では、本当に沿岸部環境保全するために必要な埋め立て、これもなかなか思うに任せないという声もときにあるようでございます。  本日は具体的な問題をあれこれ申しませんけれども、たとえば、私ども地元にございます海田湾なんかにつきましては、あれは周辺の環境保全のためにもむしろ埋め殺した方がいいんじゃないか、こういった見方も非常に強いわけでございますけれども、そういった状況下で十三条をこのまま存続されたのはどういうふうなお考えであろうか、具体的な問題についてのお答えは本日は求めませんけれども一般論としてお伺いいたします。
  12. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 一般論ということで個別の案件の問題でなしにお答え申し上げますが、現在、御承知のように臨時措置法の十三条、この規定に基づきまして瀬戸内海審議会からいただいた答申、埋め立て運用に関する基本方針というのがございますが、これを物差しにいたしまして、一般的な公有水面埋立法との絡みでのアセスのほかに、瀬戸内海については、さらに、いま言った埋め立て運用基本方針をプラスした物差しとして個別案件審査等を行って現在に至っているわけでございます。問題は、ただいま先生からお話ございましたように、いろいろな廃棄物関係でどうしても埋め立てが要るというような御意見も聞いております。もちろん廃棄物そのもの減量化なりいろいろなことに努力していただいてなおかつ何ともならぬ、陸上埋め立てが原則でございますが、陸上埋め立て都市化や何かが進んで簡単にそれが得られない、これを海面の埋め立てに求めるあるいは埋め立て用材に使うというような場面もあろうかと思います。ただ問題は、この埋め立てにつきましては、いろいろないま言いましたようなケースもございましょうし、その他の問題もございます。いずれにいたしましても、環境保全というものに十分配慮した形で、いま申し上げました運用基本方針というものに照らして今後ともこれで処置していくのが適切ではないか。先生からも、それでやってきて、件数面積とも大幅に減っておる、こういう実績もございますので、これがいままでのあれではだめであったということが出ておればまだしも、そういうことでもございませんので、私たちはいまのやり方を存続する、こういうかっこう運用さしていくべきではないかということで、法律は存続のかっこう考えてみておるわけでございます。
  13. 池田行彦

    池田(行)委員 次に、時間も余りございませんので、水質汚濁防止法との関連で若干お伺いしたいのでございますが、今回、総量規制対象水域政令指定となっておりますが、瀬戸内海の場合には当然これが対象になるものと了解しておりますが、それでよろしゅうございましょうか。  それから、瀬戸内海については、もうすでに現行法のもとで先ほどから申し述べますように非常に削減措置が進捗しておるということでございます。これ以上にさらに厳しい規制をして、それが総量規制によって抑えていく余地があるのかないのかという問題が一つ。  それから、さらにその中で産業系排水生活系排水とあるわけでございますが、これまで産業系排水については相当改善が見られておりますので、個々に見れば若干の改善余地があるところもあると思いますけれども、全体としてはもう限界に近くなっているんじゃないかという見方が強うございます。とりわけ現在は御承知のとおり非常な不況である。とりわけ瀬戸内海地域構造不況業種が集まっておりまして大変でございます。私ども地元の広島県なんかもまだ稼働率ピーク時に比べて二割ぐらい落っこちておる。全国はもうピークを回復したようでございますね。そういう状態である。こういった状況の中でいまのような姿になっておるわけでございますから、さらに産業系について非常に厳しい規制をするというのは果たしてうまくいくのかなどうかなという疑問があるのでございますが、その点をお聞きしたい。これが二番目でございます。  それから三番目に、今後進めるとすればどうしても生活排水対策を思い切ってやらなくちゃいかぬと思うのでございます。そういった方についてどういうふうな具体的な施策考えておられるか、これに関連しまして、これは建設省から来ていただいておると思いますが、特に下水道の関係について、現状瀬戸内全国がどうなっているかという点、それから今後どのように配意していかれるつもりか、その辺もお伺いしたいと思います。まず環境庁から。
  14. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 まず第一点は、総量規制関係の中の指定水域はどう考えており、瀬戸内海はどうかということなんですが、総量規制制度そのものにおきましては、指定水域政令で決めるという形にしております。ただ、瀬戸内海につきましては瀬戸内海後継法といいますか、その中で内閣総理大臣CODに係る総量削減基本方針を定めるものとするということで、これは政令指定をまつまでもなく、この法律が成立して施行されるということになりますれば、当然、瀬戸内海指定水域になるということでございます。したがいまして、その辺は東京湾なり伊勢湾とはちょっと違うということでございます。  それから第二点は、瀬戸内海につきまして総量規制で、特に産業系等についてこれ以上厳しくする余地があるのかどうかということでございます。  現行臨時措置法下におきまして、例のCODの二分の一カットの措置、これを産業系排水の面についてはお願いをしておったわけですが、これは過般も申し上げましたように三割の超過達成をしておるということでございます。  問題は、今後総量規制を実施していく際に、これは単に産業排水のみならず生活排水等を対象にしてやっていくわけでございますけれども、その際に産業系関係というのをもっと削減する余地があるかないかということですが、ただ、私たち考え方からすれば、全体的に見ますと、前の臨時措置法のときに二分の一カットという線が出ておりますが、そういうような大幅な削減ということは産業系排水については期待できないのではないか。あの臨時措置法段階においてああいう措置によって、言うなればぜい肉は相当落ちてしまっているという感触を持っております。問題は、ただ、余地がないかということにつきましては、余地はないとは言えない、あると私は思っております。といいますのは、どうもあの三割超過達成の確認調査を分析検討した際も、業種によりましては、パルプの方が非常に御熱心に非常に大きくやった。したがって、よその方は余り努力しなくても超過達成をしたというようなこともどうもあるようでもございます。したがいまして、今後そういうところは一層の努力をしていただくという余地はあろうかと思います。  それからまた、今後、特定施設の許可制ということは存続しますが、その許可を受けながら工場の新増設ということもあろうと思います。そういう新しくつくる工場につきましては、最新の機械も、新しくつくるわけでございますから、レイアウトの時代からそれを考えていただいて取り入れていただくとか、いろいろなことを考えていきますれば、やはり削減余地はあるというふうに見ておるわけでございます。  しかし、それにいたしましても、産業系というよりも、全体的に見ると生活系を今度取り込んでいくわけでございますが、どうも生活系の方が非常に立ちおくれているではないか。確かにこの生活系の方については下水道の整備なりあるいは屎尿処理施設なり屎尿浄化槽なりいろいろな対策があるわけですが、下水道の面につきましても、普及率の点について、まだ瀬戸内海は、五十一年度末で三〇・五%というようなことでございますし、今後ともこの辺は充実してもらわなくてはならぬ。あるいは屎尿浄化槽の問題についても、維持管理その他について所管省において十分徹底をしていただくとかいろいろな余地が大いにあろうと思います。そういうようなことを総合的に講じまして、この総量規制の目標量といいますものの達成に努力してまいろうかと考えておる次第でございます。  以上でございます。
  15. 池田行彦

    池田(行)委員 もう時間が来たようでございますが、同僚議員の時間を若干ちょうだいいたしまして、あと一、二お願いいたします。  その前に建設省の方……。
  16. 遠山啓

    ○遠山説明員 わが国の下水道は非常におくれております。先生承知のように、五十一年度末におきまして普及率が二四%という状態でございます。そのうち瀬戸内海につきましては、ただいま御報告ございましたように、三〇・五%の状態でございます。  今後の方針といたしまして、われわれ現在、下水道の第四次五カ年計画を推進中でございまして、この線に沿ってまいりたいというふうに思っております。この五カ年計画によりまして全国の普及率を四〇%にしたいと思っておりますし、瀬戸内海の水域につきましては四七%に持ってまいりたい、かように思っております。
  17. 池田行彦

    池田(行)委員 ただいま二瓶局長の方からいろいろお話がございました。産業系の方については、まだ余地はあるけれども余り大きなものは期待できないというお話でございましたので、そのあたりを、もとより環境保全は大切な話ではございますけれども先ほども申しましたように、この地域住民の暮らしあるいは産業も完全に無視するわけにはいかぬ、本当に万全の配慮をしながら進めていただきたいと考える次第でございます。  また、生活排水対策については、これは思い切って進めていただきたいのでございますが、特に下水道の話についても、いま建設省からお話がございました。一部には、この地域について高率の補助をという話もあるようでございますけれども、日本全体として見ればこの瀬戸内地域は先進地域でございますし、なかなかそういった特別措置を講ずるにはほかの観点から見ればいろいろ障害もあると思います。しかしながら、いまお話のありました五カ年計画の中であるとか、あるいは年々の予算編成の過程において、瀬戸内について十分な配慮をお願いしておきたい、こう考える次第でございます。  それからもう一点、最後になりますが、今回の法律の負荷の削減と申しましょうか、瀬戸内が汚れていくのを防いでいこうという、そういったことが主体になっているわけでございますが、一部には、それでは抜本的な解決にならないんだ、これまで多年にわたって堆積されましたヘドロの除去なくしてはどうにもならぬじゃないか、こういった御意見もあるようでございます。これはこの法律とは直接関連いたしませんが、将来の問題として大規模なしゅんせつをするとか、もちろんその場合二次公害に対する配慮というものは十分必要だと思いますが、そういった構想その他いろいろあるようでございますけれども、そういうものについてどのようにお考えになっているかということが一つ。  それから、水産庁に来ていただいていると思いますが、いま瀬戸内なんかでいろいろやられております養殖漁業、特にハマチにつきましては、汚染のためにいろいろ被害を受けるという面もございますが、また一方においてはみずからも汚染の原因者になっているのじゃないかという面もあるようでございます。そういったことで、今後の瀬戸内の漁業を考える場合に、こういったハマチの養殖なんかを今後とも進めていくのか、あるいはむしろ藻場をつくっていきまして、そこでタイだとかガザミだとかいったような高級魚の方の増数をさらに図っていくのかとか、海洋牧場なんという構想も聞かれるようでございますが、その辺についてもちょっとお話を伺いたいと思います。
  18. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 それでは最初のヘドロの関係をお答え申し上げます。  瀬戸内海に確かにいろいろヘドロが堆積しておるわけでございます。こういうヘドロにつきましては、港湾の方の関係につきましては運輸省、あるいは河川につきましては建設省、漁港区域内というようなことになりますれば水産庁、そのほか漁場の機能回復というようなこともございますし、あるいはまたPCBとか水銀というような有害のものがありますれば、これは企業が中心でヘドロの回収をやるということで、必要なところは逐次予算措置その他も講じながらしゅんせつをやってきておるというのが現在の姿でございます。  ただ、一般的にといいますか、あるいは大々的にといいますか、そういう個所以外に堆積しているヘドロを処理したらどうか。このヘドロからいろいろなものが溶け出すと、そのことがCODを増加したり、あるいは燐の負荷を与えるということもあるようでございます。したがいまして、そういうものも処理したらどうかというような御意見もございます。ただ問題は、これを考えます際にはいろいろな検討すべき課題がいっぱいあるわけでございます。一般的にやると言えば、まず量がすごく膨大な量になる。また、それをやるとすると経費もまた非常に多額になる。あと、下手なやり方をすれば二次公害を起こすということもございますし、その掘り上げたヘドロを海面の埋め立てに使うのか、海洋投棄で、太平洋の沖に持っていって捨てるのかということもございますし、一体、費用をだれが負担するのかということもございます。また、そういうことをやって水質保全という面にどの程度の効果があるのかというようなこと等もございまして、これらの問題につきましては、やはり今後調査研究を続けていくべきではないかというようなことでございます。そういうような知見の集積というものもやった上で、どのように対処するか慎重に考えるべき問題であろう、かように考えておる次第でございます。
  19. 伊賀原弥一郎

    ○伊賀原説明員 今回の法改正も踏まえまして、水産庁として瀬戸内海についてどういうような考え方をとっていくかというお尋ねだと思いますけれども、第一に、瀬戸内海につきましては、かかる情勢でございますので、沿岸漁業といたしまして、漁船漁業につきましても養殖漁業につきましても、きわめて操業条件のいい地域でございます。こうした中で、漁場としての利用もきわめて高い地域でございますので、今後とも水産庁としては、沿岸漁業振興を積極的に図っていく必要があるというぐあいに考えているわけでございます。  先生先ほどハマチの問題等もおっしゃいましたし、また藻場の造成、海洋牧場の問題等をお話しになったわけでございますが、ハマチの自家汚染と申しますか、そういう問題につきましては、この法律におきましても、総量規制だとか、あるいは燐の指導だとかいう中で、従来なかった分野についても取り込んで指導をやっていくという方針が書かれておりますけれども、その中で、水産といたしましても、みずからの中で汚染をするような部面がありますれば、十分、全体の方針の中に沿いましてみずからを規制していくというやり方をとっていかなければならぬというぐあいに考えているわけでございます。  それから、藻場造成と海洋牧場という問題でございますけれども先生先ほど言われました海洋牧場というのは、言うなれば現在言われております栽培漁業というもの及びその延長のものという意味でおっしゃったのだと思いますけれども瀬戸内海につきましては、全国に先駆けて国営の栽培漁業センターを設置いたしたりしておりますし、それから、魚礁の投入だとか、そういうことの生産基盤の整備だとか、漁場関係保全とか、そういういろいろな事業をやってきております。瀬戸内海につきましては、この法律の施行によりまして、少なくとも汚染の防止と申しますか、汚染の進行というのが防止されていくということでございますので、その上に立ちましてこうした施策を積極的にふやしていき、また、内容も充実していくという方向をとっていきたいというぐあいに考えているわけでございます。
  20. 池田行彦

    池田(行)委員 最後に長官に、お伺いしたいのでございますけれども、この法律案、いろいろな見方はあると思いますけれども、現在の瀬戸内の置かれた状況あるいはいろいろな技術的な面等を考えますと、いろいろ相矛盾する要請の中で本当にベストに近いといいましょうか、ベストと申し上げてもいいと思いますが、そういった案を出していただいていると思います。そういった意味におきまして、私は、この法案を早急に成立させていただきまして実施に移すべきものと考えるわけでございますが、長官とされまして、この法律に基づく施策の実施についてどういう決意を持って臨まれるおつもりか、それを伺いまして、私の質問を終わりたいと思います。
  21. 山田久就

    山田国務大臣 幸いにして皆さんのお力添えで本案が成立した暁におきましては、先ほど来申し上げました総量規制あるいは富栄養化対策等の施策について最大限の努力を推進いたしまして、本来の瀬戸内海環境保全という基本的な点で万全を期してまいりたい、こういう所存でございます。それにつきましても、これは本案の早期成立ということのお力添えを得なければ実現しないわけでございまして、どうぞひとつ特段の御協力をお願いいたしたい、こういう所存でございますので、どうぞよろしくお願いいたします。
  22. 池田行彦

    池田(行)委員 ありがとうございました。終わります。
  23. 久保等

  24. 関谷勝嗣

    関谷委員 先ほど池田議員が質問いたしましたことと多少重複する問題も出てくるかと思いますが、私は、各論的なことを中心にしてお考え方をただしたいと思うわけでございます。  環境庁という役所でこの場合の任務というのは第三条に明記をされておるわけでございますが、環境庁はいわゆる事業官庁ではないわけでございまして、調整官庁という言葉が的確かどうかは知りませんが、そういう内容の官庁であるということで、公害の防止、そして環境保全というのが中心課題であることはわかっておるわけでございますが、その場合に、日本のこのように領土の狭い点あるいはまた、資源がほとんどないようなことを考えたときには、ただ保全というだけ、すべてを現状維持の形にしておくというのが基本的な環境庁考えであるのか、あるいは、こういう社会でございますから発展をさせていかなければならない、そういうときには、どうしても、ある意味においては、物を壊して新しいものをつくらなければならないというふうに、非常に矛盾した運営が役所の中にはあるのではなかろうか。そのことを私は非常に心配するわけでございまして、大臣のそういう問題に対する基本的な考え方というものを、まず最初にお聞かせいただきたいと思うわけです。
  25. 山田久就

    山田国務大臣 ただいま御指摘いただきましたように、環境庁の任務というものは、基本的な健康の問題というような意味において公害から健康を守っていく、そしてまた、われわれの生活をはぐくんでいる自然環境、これはわれわれの母なるものといいますか、そういうものでございまするので、そういうものの保護整備ということを考えていかなければならぬ。しかし、とどのつまりは、このことはわれわれの快適な生活というものをつくり上げていくということでございまして、特に、最近のように人口というものが過度に、先進国の場合においては都市にいやおうなしに集中してくる、しかも、日本の場合には居住地域というものが非常に限られておるということになってまいりますると、その意味において人工的な意味での環境づくりというものは、土地政策というものとも加味いたしまして、単に住居のみならず、もうそれを支えていく経済活動の仕事の地域、工場、いろいろなものについての要請もそういう意味では当然入ってくることによってわれわれの快適な環境づくりというものができてくるわけでございまして、つまり基本的な任務とともに人工的な意味での環境づくりという中に基本的な要請というものを加味しながら、そうしてそういう面もひとつ十分要請を取り入れてこれに対処していって、とにもかくにも、われわれにとって快適な環境づくりということをわれわれの任務としておる、こう考えているわけでございまして、どうか御了承いただきたいと思います。
  26. 関谷勝嗣

    関谷委員 その開発に対しては十分なる留意を払うということでございまして、どうも世間一般で抱いておる感覚といいますと、たとえば私の地元の問題にいたしましても、材木の貯木場をつくろうとすると、そこには野鳥の巣がある、そこで産卵もやっておるわけだから、そういうところを開発するわけにはなかなかいかない。あるいは道路をつくる場合にも自然破壊が大きいというようなことで、世間一般でいま環境庁がどういうことかというアンケート。そういう内容がどういうものであるかというのは見ておりませんが、いわゆるいい意味の開発をやるということを抑えていくような感覚がどうもあるのではなかろうかというような気がするのでございますが、その点は長官、どうでございましょう。
  27. 山田久就

    山田国務大臣 先ほど申し上げましたように、われわれには基本的な環境庁としての任務が存するわけであります。つまり、その場合に、これはもう人間が生きていくという以上、経済的な要請を無視してそれでやっていけるというわけのものではない、当然そういうことは加味されていかなければならぬ。それぞれによってそれぞれの官庁としてそういうことのためにがんばっておられるところもあるわけであります。われわれとしては、無論、それが経済の要請であろうがあるいは自然界の方からの要請であろうが、いろいろな合理的な要請には十分耳を傾けながら、そうしてわれわれの本来の任務をやっていかなければいかぬ。いわば科学的でなければならぬし、客観的でなければならぬし、また合理的でなければいかぬ、そういうようなつもりで対処していくつもりでやっておるわけであります。
  28. 関谷勝嗣

    関谷委員 そういう点でひとつ、いろいろのケース・バイ・ケースであろうと思うのでございますが、御努力をお願いいたしたいと思うわけでございます。  早速、今回の法案に入りたいと思うわけでございますが、瀬戸内海環境保全措置法と水質汚濁防止法改正案というのは、これは一つ法律案で今回提出をいたしておるわけでございますが、その一本にいたしました理由を述べていただきたいと思います。
  29. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 瀬戸内海環境保全臨時措置法の一部改正と水質汚濁防止法の一部改正、これが両方一本になった姿での法案を御審議いただいているわけでございますが、なぜこれが一本になっておるのかということでございますが、現行臨時措置法をごらんいただきますとわかりますように、一つは、第四条に産業排水に係るCOD、汚濁負荷量の二分の一カット、これの規定があるわけでございます。それから十八条という規定がございまして、ここでは量規制を速やかに導入すべきだという趣旨の規定がございます。後継法におきましては、こういうような規定を踏まえまして、産業系排水の二分の一カットの措置、これをむしろ産業系のみならず生活系まで取り込むんだというかっこうで、発展的にこれを引き継いでいくというような考え方総量規制の実施を考えたわけでございます。  ただ問題は、総量規制瀬戸内海だけやるので、あと東京湾、伊勢湾はやれないということにしますのは、はなはだもったいない話でございます。と申しますのは、これはCODにつきまして東京湾なり伊勢湾なり瀬戸内海を比べてみますと、この三つの中では、CODについては瀬戸内海が一番よろしいわけでございます。これは恐らく、産業系排水の二分の一カットに非常に御協力いただいた、これは地方公共団体なり企業の方もあろうと思いますが、そういう成果というものもございまして、東京湾なり伊勢湾よりも、CODに関しては数字で見る限りはよくなっておるわけでございます。したがいまして、こういう総量規制というものを制度化するということを考えました際には、瀬戸内海は当然、いま言った規定もございますから導入するということはもちろんでございますが、東京湾、伊勢湾もやはり広域的な閉鎖性水域でございますから導入し得る、そういう仕組みにしてみたらどうかということで水質汚濁防止法の改正を考えたわけでございます。これは東京湾、伊勢湾まで織り込もうとすれば、どうしても瀬戸内海法後継法の枠をはみ出ます。したがいまして、そういうことでこれは水質汚濁防止法の改正ということで考えたわけでございます。  ただ問題は、先ほど言いましたように、物の考え方としては、いま言いましたような産業系排水の二分の一カットを発展的に引き継ぐ、あるいは十八条の量規制の導入を速やかにやるべしというものを受けてやる総量規制でございますので、これは非常に密接不可分というふうに考えまして、一本の法案ということで御提案するのが適当ではないかということで、そういうことにいたした次第でございます。
  30. 関谷勝嗣

    関谷委員 総量規制がその中に新しく入ってきて、それも含めて水質汚濁法と不可分であるということで一本化されたということであるわけでございますが、瀬戸内海の場合、県の段階においてすでに総量規制的なことを現にやっているところもあるわけでございます。そういうところもたくさんあるわけでございますが、先ほどおっしゃられましたように、産業排水に係るCODの負荷率というものを見てみましても、それも削減されておりますし、海水の透明度を見ましても、四十七年には五メーターぐらいであったのが、五十一年には六・九、約七メーターぐらいまで見えるようになってきたということで、総体的には非常によくなってきておるのが現状であろうと思うわけでございます。  そこで、その上にはっきりと立法化をいたしまして総量規制をやらなければならない、たとえば現時点で改善が十分になされていないというのであれば、またそういうようなことを出してくるのもいいのであろうと思うのでございますが、総量規制をやるということがまた、濃度プラス総量でございますから、どうしても、もう一つ加重された法律の内容になってきておるわけでございまして、果たしてそこまでのことが必要であろうかどうかという疑念を多少抱くのでございますが、その点に関してはどうでございましょう。
  31. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 先生からお話ございましたように、瀬戸内海等におきましても、COD等に関する限りは、四十七年当時に比べまして非常に改善の兆しが出ておる、透明度もよくなっておるということは確かにあるわけでございます。しかし、そういうことで果たして総量規制というもう一つ新しい規制方式といいますか、それの網をかぶせる必要があるのかということでございますが、例の産業系排水ということだけで見ますと、先ほども三〇%の超過達成という問題がございます。しかし、これは達成したといって気を抜きますと、またおかしくなるという場面もあるでしょう。今後ともやはりそこは、達成してもさらにこれを維持すべきでございますし、また日本経済が今後伸びるということを仮定いたしますと、産業活動も今後ふえていく、さらに人口もふえていくということを考えますれば、汚濁負荷量というものはふえるわけでございます。したがいまして、今後こういう広域的な閉鎖性水域というものについて、水質改善環境基準の達成維持というものを目途にしてやはり進めていくべきではないか。現状におきましては、瀬戸内海にしろ、東京湾にしろ、伊勢湾にしろ、環境基準の全面的達成ということはまだ実現しておらないわけでございます。そういうことで、現在の濃度規制というやり方のほかに、こういう広域的な閉鎖性水域については総量規制という方式を導入して、環境基準の達成維持ということを目指して進んでいくのが水質保全行政のあり方でもあろうということで、そういう法律制度化したいということでお願い申し上げておるわけでございます。
  32. 関谷勝嗣

    関谷委員 そういうことで総量規制をやります場合に、瀬戸内海で、これは後ほどどれだけというものを決めて、また各県に割り振りをするわけでございますけれども、その規制以上の総量が出た場合には、今度は、どう言いましょうか、濃度規制というものをもっと厳しくやっていかなければならないという形になるのですか。総量規制でたとえば一つの県が幾ら以内というようなことになった場合、どうしてもそれ以上の量が出るということがあるわけでございますが、そういう場合には今度は濃度をまた高めるという形でやるのか、それとも、ただ各工場で自分の工場においてはこれだけのものが出るのだということがあれば、それはそのまま認められるのか、そのあたりの内容はどうなっておるのでしょうか。
  33. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 まず、この総量規制制度考えております際に、ちょっと申し上げておきたいと思いますのは、いわゆる規制という角度で考えておりますもの、これは一定規模以上の工場なり事業場でございます。それ以外のものについては行政指導削減に御協力いただくということでございます。  問題は、その総量規制対象になります工場、事業場、総量規制でございますから、これについての汚濁の許容量というものは一体どうやって出てくるかということがあるわけでございます。これは、今度は量でございますから、ただいま先生からお話がございましたように、水量掛ける濃度でございます。そうすると量が出るわけでございます。そこで、工場につきまして、うちの〇〇鉄工所は一日当たり何トンの水を出すのだということを県の方に届け出てもらうということです。これはもう排水量がそこで、お役所の方と工場、事業場の方では、あそこの工場は何トンの水が出るということが固定するわけですね。それで、一応その量を決める。それからもう一つ、今度は基準の方ですね、これをどう決めていくか。これは総量規制基準というものを知事が決めますが、その決めるについてのいろいろなことは総理府令で国が示します。ここで業種ごとに、鉄工業であれば大体の濃度は幾らというのを、幅をこちらが示しますから、各県でそれを決める。そうしますと、工場自体で、うちのところは何キログラムというのが大体わかるわけです。排水量というのは決まっています。それからいま言った濃度がどうということで、うちはCOD何キログラム、これは守らなくちゃならぬということになるわけです。問題は、あとは国の方から県の方に目標量というものを示します。ただし、県の方に示す目標量は、冒頭申し上げましたように、単なる規制部分だけじゃございません。行政指導でお願いをする部分まで全部入り込みます。したがいまして、極端に言えば、ある程度たれ流ししている部分まで全部入れた負荷量がいくわけでございます。その中の規制部分の関係のものが工場の方にいくというか、工場で計算すればわかるわけでございますけれども、という話になるわけでございます。  したがいまして、なかなかその目標までいかないから濃度規制をどんどんかけるのじゃないかというお尋ねかと思いますけれども、濃度規制の方は濃度規制として、いままでやっておることは堅持してもらいますが、あとは総量規制ということでやりますから、事CODに関しては総量規制の基準という、そちらの面で対処すればよろしいのではないか、こういうふうに考えております。
  34. 関谷勝嗣

    関谷委員 総量規制を実施することによって負荷量がどの程度削減できるかという、その予測はどんなものでございましょう。
  35. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 問題は、この総量規制制度というものを実施した場合、一体負荷量はどの程度削減になるかというお尋ねでございますけれども、これは今度の総量規制制度仕組みをごらんいただきますとおわかりのとおり、あくまでもねらいとしては水質環境基準の達成維持というのがねらいでございますが、さしあたりは目標年度ですね、恐らく五年なりになるかと思いますが、そういう先の目標年度の数字を削減目標量として決めるわけでございます。  問題は、その五年程度の先の目標量を決めるときにどういう決め方をするかというのが、これは法律の方にも書いてございますが、一つは、産業活動の伸び、人口の伸びというような汚濁負荷の増加要因というものは織り込みます。それから、逆に今度は、排水処理技術のもっと能率のいいのがどんどん普及するというか、その辺の普及度をどう見るか、下水道の普及率の見通しをどう見込むかというようなことで、マイナス要因を見込む。そういうプラス・マイナスをして、しかも現実問題としてどの程度まで実施可能であるか、まあこの辺までいこうやという数字が出てくるわけでございます。これが削減目標量になるわけでございます。  したがいまして、今後それを決めます際には、各県からのいろいろなヒアリングもやります。知事さんの方におかれて県勢発展計画でいろいろ持っておられると思いますから、その構想、計画も聞かないといかぬと思います。また企業の所管省にもいろいろ聞くというようなことでございますので、いまそのめどを、じゃ、具体的にどの程度かと言われますと、いまのところは数字的にはこうだということは申し上げかねるわけでございます。ただ問題は、けれども感触ぐらいはあるじゃないかという話になりますと、先ほど池田委員の御質問に対してもお答え申し上げましたように、感触とすれば、産業系排水といいますものは相対的に見ますれば、二分の一カットとかいうようなこと等もございまして、瀬戸内海については今後は余り大幅な削減というのを期待するのは無理じゃないかという感じは持っております。ただ、そういうことからすると、むしろ生活系排水の方は、どうもいままでの対策の立ちおくれといいますか、いろいろな事情があったとは思いますけれども、下水道の普及率も五十年度末でまだ三〇・五だというようなことからいたしますと、今後、瀬戸内海水質保全ということを考え、この総量規制の達成という問題を考えていく際には、やはりそういう面に十分配慮をしたかっこうで目標値を決め、またこれを必ず達成するように、この削減の方途を関係省庁ともども着実に実施をしていくということでやっていくべきであろう、こう思っております。
  36. 関谷勝嗣

    関谷委員 各論的なことに入るわけでございますが、総量削減基本方針を見てみますと、指定水域ごとに総理大臣が作成をして、また、総量削減計画は総理大臣が承認するということになっておるわけでございますが、さらに公害対策会議の議を経ることになっておりますが、この会議の構成の内容と、その公害対策会議の結果をまた得なければならないというその理由を御説明いただきたいと思います。
  37. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 この総量規制制度につきましては、総量削減基本方針、これは内閣総理大臣が立てる。また、県の方で総量削減計画を立てる際には、今度は内閣総理大臣の承認が要る。内閣総理大臣が承認する際には公害対策会議の議を経なければならぬ、こういう仕組みにいたしておるわけですが、大分ややこしい感じになっておりますが、これは、一つは、まず総量削減基本方針は水域ごとに決めるわけです。瀬戸内海総量規制基本方針東京湾総量削減基本方針ということで、指定水域ごとに決めるわけでございますけれども、問題は、なぜそうかということになりますと、これは広域的な閉鎖性水域を対象考えておるわけでございます。したがいまして、瀬戸内海におきましては少なくとも十一県は関係してまいる。東京湾におきましては三県が関係ありますが、また埼玉県もお仲間入りしていただきますれば四県になるというようなことで、複数の県がかんでまいるわけでございます。したがいまして、やはりこの面についてはある程度各県とも軌をそろえてやっていただくということからいたしまして、やはり内閣総理大臣指定水域ごとに基本方針を決めるし、また、その線に基づいて各県にいろいろ割り当てたものがございますが、県で計画を立てた際も、やはり基本方針との整合性、それからよその県ですね、隣接県ともある程度足並みがそろうということが必要であろうということで承認制にかからしめたわけでございます。ただ問題は、その承認制にかからしめた際に、公害対策会議の議を経るということにしております。この公害対策会議につきましては、先生案内のとおり、公害対策基本法に基づいて設けられておるものでございます。これは単なる審議機関でございませんで、審議、推進の機関ということになっております。関係閣僚がメンバーになっておりますが、このメンバーは一体どういう閣僚かということでございますが、結局法務、郵政、外務、この三大臣以外の大臣がメンバーになっておりまして、内閣総理大臣が主宰して進める、こういうことでございます。ですから、単なる審議だけじゃなしに、審議、推進するということがございますので、むしろここにかけて、そのメンバーである関係閣僚の方々もその気になって、大いに所管行政の面で、下水道なり屎尿処理施設なり張り切ってやっていただければ幸いであるということでこれを入れておるわけでございます。
  38. 関谷勝嗣

    関谷委員 水質汚濁防止法の十三条の二を見ますと、御承知のように、指定地域内事業場以外の汚濁発生源に対しては指導、助言、勧告をすることができるとなっておるわけでございます。この中には、一日五十トン未満の小さな工場であるとか、先ほど触れておりましたが、生活排水、そういうものがあるわけでございますが、この指導、助言、勧告とあるわけでございますが、実際問題としてどういうようなことをやるのか。その五十トン未満の小規模の工場排水にいたしましても、あるいは畜舎の排水など、ちょっと考えてみますと、量も少ないし、大したことないじゃないか、生活雑排水ですか、いろいろな排水もまあまあだろうというのでございますが、こういうものそれ自体が少ないようでございますが、これが何万というふうにかたまって出るわけでございますから、これはもう想像以上に蓄積といいましょうか、量になってしまう。ですから、これを単に助言とかそういうようなことだけで対処するのでいいのであろうかということを感ずるのでございますが、もう少しこれを詳しく、かつまた、指導要綱などももっと詳しく示すべきではなかろうかということを感ずるのでございますが……。
  39. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 法案の、水濁法改正の十三条の二、これに指導等という規定を盛り込んでおるわけでございます。結局、総量規制制度ということで今度考えておりますものが、規制対象ということで、総量規制基準というものの対象になるものと、それ以外のもので、行政指導というようなことで、COD削減努力をしていただくところと、こういうふうに二色に分かれておるわけでございます。  問題は、この指導等の対象になりますもの、これは非常に広いわけでございます。工場、事業場で言いますれば、一定規模以上のものが規制で、それ以下のものがこちらに入ってくる。これは法律事項ではございませんが、現在考えておりますのが、日量五十トン以上のものを規制をしたいと思っておりますけれども、そうすると、それ以下の工場が非常に多いわけでございます。それから未規制の工場も相当ございます。あるいは養殖漁場等につきましても考えたい、こう思っております。したがいまして、ここで法律の方で必要な指導、助言、勧告とこう書いてございますけれども、この面につきましては、知事さんがこの指導、助言、勧告をやります際にはいろいろの問題があると思います。養殖漁場について指導する場合には、これは未規制業種の工場に対するものとは大分違ってまいると思います。やはり先生からお話がございましたように、こういうものの一つの要綱といいますか要領みたいなもの、マニュアル的なものでしょうか、そういうものも、やはり国の方からも知事さんの方には、指導するときにはこういうのを参考にしてくれというものもお示ししたらどうかと思っております。あとテレビなりあるいは新聞なりいろいろな面でも、一般家庭等にも呼びかけるとかいろいろなものがございまして、これは精粗さまざまでございます。その態様に応じていろいろ御協力をいただきたい。とにかくCODの汚濁負荷量を流すものはすべて減らすことに努力しましょうという、一つの国民運動的なことも必要だと思っておりますので、いろいろあるということでございます。
  40. 関谷勝嗣

    関谷委員 さきにそちらから答弁された中にあったわけでございますが、確かに国民に、全体でそういうことに協力をしようというような指導というものが欠けているのじゃなかろうか。もっと環境庁がそういうような点に力を入れていただきたい。ちりも積もれば山となるではないのでございますが、本当に少しのものでも大変なことになるのではなかろうか、そういうような、多少宣伝と言うとおかしいのでございますが、今後そういう方にも手を伸ばしていってもらいたい、そのように思うわけでございます。  総量規制のことはこのあたりで終わって、あと瀬戸内海環境保全法の方に移りたいと思うわけでございますが、きょうの朝日新聞に、瀬戸内環境を守る連絡会事務局長、弁護士をされておる方でございますが、西村さんというのがちょうど「瀬戸内海保全に望む」というようなことで記事も載っておったようでございます。この方の新聞そのままの意見でいくと、まだ十分に瀬戸内海が守られていないというような内容であるわけでございますが、いずれにしましても沿岸の者が非常に注意を払っておるわけでございまして、今後とも汚濁防止のために最大の努力をしていただきたいと思うわけでございます。  現在の臨時措置法の第三条に基づきまして瀬戸内海環境保全基本計画というものができ上がっておるわけでございまして、これを読んでみますと、この内容がすべてこのようにでき上がりますと大した瀬戸内海になるわけでございますが、この富栄養化による生活環境に係る被害というものが、大きなもので一体現在どういうようなことが出てきておるだろうかということをまずお聞きしたいと思います。
  41. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 まず具体的にどういうものかというお尋ねでございますので具体的に申し上げますと、まず一番ティピカルといいますか、また社会的にも問題にされますのは、いわゆるハマチ養殖の漁業被害というのが一番大きいことでございます。そのほかにも海水浴場の利用障害といいますか、海水浴場が閉鎖の日が続くというようなことが現にございます。そのほか、赤潮プランクトンが斃死をする、その際に非常に悪臭が出まして、地域住民が悩まされておる。これは大阪あたりからよくそういう苦情が出てまいっております。それから、海草の一種でございますがアオサというのがございまして、これがやはり異常繁殖いたしまして砂浜に打ち上げられ、緑のじゅうたんを敷いたようなかっこうになっておるというようなこともございます。それからまたプランクトンの死骸、赤潮は生物でございますが、これの死骸が海底に沈降します。そうすると、これが分解をするときに酸素が要るわけでございまして、酸素が吸われまして貧酸素化して、底の方に住んでおりますいろいろな貝が斃死をするというような問題等々が具体的にはございます。
  42. 関谷勝嗣

    関谷委員 そのように赤潮が多発化しておるということが瀬戸内海の大きな問題になっているわけでございますが、この赤潮発生原因というものが十分に解明をされていない。ただし、改正法案にはそれが織り込まれておるわけでございます。その調査研究というものを今後またどのように進めていこうとしているのか。そしてまた、その原因が完全に理解されていない、不十分な時点において燐の削減対策というものが入ってあるわけでございます。ノリとかカキの漁場においては逆に燐や窒素が必要であるというようなことも言われておるわけでございまして、そういうような点を含めて、今後この赤潮対策、特にまた燐の削減対策というものに対してどのような姿勢で臨んでいくのか、それをお聞かせいただきたいと思います。
  43. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 赤潮発生メカニズムにつきましては、過去からいろいろ研究者の方々に御努力いただいて、研究に携わっていただいたわけでございますが、なお現段階において未解明でございます。ただ、この問題はほっておけないということで、今回も後継法案の中には赤潮発生機構の解明努力するということの改正を一部織り込んでございます。問題は、こういうメカニズム解明が十分でない、しかしその段階富栄養化対策というようなことで、行政指導ベースではございますが、燐の削減を現在考えておるわけでございます。どうも発生機構がはっきりしないのに燐の削減対策考えるというのは時期尚早ではないかというような御指摘もございます。問題は結局、発生機構の解明というものはまだ不十分でございますけれども、しかし、この富栄養化の原因というものが燐なり窒素なりの栄養塩類であるということは間違いないわけでございます。したがいまして、先ほど言いましたような具体的な被害があるわけでございますので、こういう富栄養化防止するという角度に立って、この燐の削減対策というものについてはまだまだ研究の余地もあろうかと思いますけれども、しかし、いまやれることはやはりやるべきではないかということで、先駆的に、行政指導ということでございますけれども、これでもって削減努力をしていきたいということでございます。
  44. 関谷勝嗣

    関谷委員 その解明のためにも努力を大いにしていただきたいと思うわけでございます。  先ほどの質問にもちょっと出ておったようでございますが、自然海浜保全制度があるわけでございますが、これは行為規制をやっておるわけではなくして、工作物の新築等の届け出あるいは勧告、助言という方法をとっているわけでございますが、それくらいのことでこれもまた完全に保全目的を達成することができるのであろうかという心配を抱くわけでございますが、この点はいかがでございましょうか。
  45. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 自然海浜保全制度というものを今度後継法考えてみたわけでございます。ただ、この制度は、言うなれば瀬戸内海というものの自然海浜考えました際には、これの保全についての大どころはやはり自然公園法なり、都市計画法なりによる緑地保全地区というのがございますが、そういうようなことで行為規制をやってこれを確保していくというのがウエートとしては非常に多いと思うのです。ところが問題は、自然海浜といって海水浴とか潮干狩りに使われているところ、これはそう広大な面積でございませんので、大きく自然公園の網をかぶせたところは入るわけでございますけれども、それから落ちこぼれておるところが相当あるわけでございます。そういうところは、今後も、自然海岸という形での保全と、レクリエーションの場としての適正な利用、こういうものを考えていくべきではないかということで考えてみたわけです。ただ問題は、その際にこれが指定されますと、工作物の設置等について届け出等があるわけであります。あとはその後で、今度は勧告、助言がいくということでございますが、これの物の考え方としては、あくまでもこれは地方公共団体の固有事務という考え方で仕組んでございます。したがいまして、県の方で条例でもって決めていくという仕組みにいたしてございます。したがいまして、これは行為規制というようなことでなくとも、条例でここは自然環境保全地域であるということがはっきり指定になれば、いろいろ県民の方々、その関係住民の方々等の御理解と御協力を得て、これは行為規制でなくとも、助言、勧告でも、ここは自然海浜保全地区だよということがはっきりすれば、なかなか工作物の設置等々のことは行えないのではないか、指定ということで十分意義がある、これは確保できるというふうに考えて、あえて規制措置までしてございません。
  46. 関谷勝嗣

    関谷委員 法案検討の過程で、タンカーの夜間航行の禁止をやろうとかあるいは船舶のビルジの排出規制の強化を検討しておったわけでございますが、改正法案ではこれが織り込まれてないわけでございますが、その経過。それからまた、三百トン以下の船舶においてはビルジの排出につき規制がないわけでございます。これは運輸省にもお聞きしたいわけでございますが、やはり先ほど言いましたように、生活排水も徐々にたまってくるように、三百トン以下——船の構造上、三百トン以下のものでは規制がやりづらいということもあるのかもしれませんけれども、こういう船舶に対してもできることであればやはり一つ規制というものがあってしかるべきではなかろうかと思うわけでございますが、この点はいかがでございましょう。
  47. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 法案作成の過程においていろいろな案があったわけでございますが、その一つとして、ただいま先生から御指摘をいただいたタンカーの夜間航行の原則的禁止ということ及びビルジの排出規制の強化ということについて検討したことは事実でございます。問題は、そのタンカーの規制について、今回の案には入っておらないわけでございますが、その辺の経緯はどうかということでございます。  いろいろ検討いたしますと、まず、瀬戸内海におきますタンカー等の船舶の航行安全については、すでに海上交通安全法あるいは海上衝突予防法等々の法体系において、瀬戸内海現状に即した航行規制が現に行われております。それからまた、このとき考えましたのは、全タンカーの夜間航行の禁止ということでございます。したがいまして、大型のみならず小型も全部ということで考えてみたわけですが、全部夜間航行をとめますと昼間の方に集中しまして、かえって昼間の航行がふくそう化する。余りふくそうし過ぎると事故が起きるかもしれぬという話もございますし、さらにいろいろと荷役形態が変わるということがあるようでございます。昼入れて夜走っていくというのが、夜はだめということになりますと、その辺の荷役が変わってくるとか、いろいろな問題がございます。そういうことで、いろいろ検討した結果、最終案にはこれを織り込んでおらないということでございます。  それから第二点の、船舶からのビルジの排出でございますが、これにつきましては海洋汚染防止法規制が行われておるわけでございますが、この規制強化をこのときはちょっと考えてみたわけなのです。ただ問題は、これもよく詰めてみますと、どうも船舶の設備の手直しといいますか、船舶構造といいますか、そういう問題につながってくるわけです。結局、油水分離器をつける必要がある、あるいは油水分離器をつけられなければ貯油槽炉要るけれども、現在、汽かん室その他のところにそのスペースがない、しかし、これをつけないと瀬戸内海を通れないという話では大変であるということと、船それ自身は瀬戸内海だけ走っているわけではございませんので、伊勢湾なり東京湾の方までも来るわけでございます。したがいまして、こういう構造的な話に直に関連してくる問題は、瀬戸内海のみを対象とする制度にはどうもなじみにくいということで、今回はこの後継法から落として、織り込まなかったということになった次第でございます。
  48. 中島眞二

    ○中島説明員 現在未規制となっております総トン数三百トン未満の船舶からのビルジの排出規制の必要性があるということについては、先生指摘のとおりでございます。そこで、私どもといたしましては、瀬戸内海のみを航行する船舶ということではなくて、全船舶を対象としてこのトン数を引き下げる方向で目下検討を加えております。
  49. 関谷勝嗣

    関谷委員 時間が来ましたから終わります。
  50. 久保等

    久保委員長 次に、島本虎三君。
  51. 島本虎三

    ○島本委員 具体的な問題に入る前に、まず、提案されたことに対して、私は、その努力に一応敬意を表します。これは昭和四十八年、三年間の時限立法で、議員立法として成立した法律案であるということは、長官を初め皆さん十分御承知のとおりであります。この三年以内に瀬戸内海環境保全臨時措置法の条項に従って基本計画を立てて、後継法をつくって、いまから二年前にこの法律はすでになくなるはずのものであったのでありますが、それが環境庁の手でできなかった。そして二年間延長して、ことしの十一月までにこれをつくらなければならない、こういうことになっている法律なのであります。したがって、これは議員立法であるということ、二年間延長されたということ、こういうことから、もうすでにどうにもならなくなった、土俵際に追い詰められたのがいまの環境庁の実態なのであります。そういうことから、提出がずいぶんおくれました。しかしながら出てきたということを、一応私は結構であるというふうに評価するものであります。  しかし、内容を見ると、乙女のような弱い感じもがすることは否めないのであります。何か重大な干渉が他の省庁からあったのか。なかったとしたら余りにも遅過ぎましたが、これは能力の違いか、環境庁の怠慢か、いずれだったのでしょうか。長官、おわかりになっている点だけでもいいから、はっきり答えてもらいたいのであります。
  52. 山田久就

    山田国務大臣 ただいま、今次の提出に対して過分なお言葉をちょうだいいたしまして、まことに恐縮にたえません。  瀬戸内海環境保全の臨時立法の目的等は明示してあるとおりでございますけれども、これについてはそれなりのいろいろな基本的な法律があることは御承知のとおりでございます。そういう意味においては、今度この特別の法律をつくるについては、基本的な問題との調整、いろいろな点を要することがあったことは御指摘のとおりでございます。私どものたてまえといたしましては、かねてから、こういうものはできるだけ、科学的と言えばあれですけれども、科学的でなければならぬし、客観的でなければならぬし、かつ合理的でなければいかぬ。そういう意味においては、これは先ほどもちょっと指摘したとおりでございますけれども、漁業団体はむろんのこと、赤潮関係、自然団体その他各般の団体からの要請あるいは経済界の方の要請等もむろんありました。そういうものも含めて、それらの点については、盾の両面と申しますが、合理的な面については虚心坦懐、これに耳を傾けながら、できるだけ客観的、実際的なものに持っていって、かつ時期に間に合うようにということで一生懸命になって努力した結果でございまして、それはそれなりのわれわれの信念から考えて合理的と言えるものについては調整を図った点でございまして、いろいろ御教示を仰ぎながらも、考えとしてはそういうことを言っております点等をどうぞ御理解いただきたいと思います。
  53. 島本虎三

    ○島本委員 大臣にお願い申し上げます。十分合理的な、科学的な、客観的な見地から出した、この三つはいつも聞いておりますから、この言葉ではなしに、具体的な御返事をこれからお願いしたい。その点、私からお願いいたします。  遅くなったのならそれだけよいものが出てくるというのが普通のわれわれの考え方なんであります。理解なんであります。しかし、先ほど言ったように弱い感じをぬぐい去ることはできない。ある人は、これはベターであり、中にはベストであると言う人もあるわけですが、われわれはどうしてもそう考えることはできない。そういうことからして、これはせっかく出たのであるから、私の後からは具体的な問題でいきますが、私からはちょっと基本的な問題で伺いたい、こう思います。長官が答える場合は、合理的に、科学的に、客観的にというこの三つはいつも言うことで聞いておりますから、今度はこれを言わないで、具体的な問題を言ってください。  瀬戸内海環境保全基本計画の作成に当たっては、計画案を瀬戸内海環境保全審議会に諮ることになっておりますが、この法律案を出す場合には、これをはっきり諮るという手続上の問題には御遺漏ございませんか。
  54. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 基本計画は、現行臨時措置法に基づきまして四月二十一日の閣議で策定を見たわけでございます。この基本計画につきましては、瀬戸内海審議会で十分御検討いただきました。これは基本計画の基本的考え方ということについて御諮問申し上げまして、それについての答申を五十一年十二月にちょうだいをしたわけでございます。したがいまして今回、この四月二十一日に政府として策定した基本計画案につきましては、この答申を尊重し、これに即して策定をしたわけでございます。  ただ問題は、最近の新しい施策の進展といいますか、そういうものも織り込んで基本計画というものをつくったわけでございます。たとえば答申の場合は、水質保全については、瀬戸内海にふさわしい排水規制をやるべし、こうなっていたのでありますが、水質総量規制制度を導入するとか富栄養化防止対策をやるとかいうことが後継法との整合性を保つという観点で、新しい施策も織り込んで、それで今般政府として答申を尊重しながら閣議決定をして正式に決めた、こういう経緯でございます。
  55. 島本虎三

    ○島本委員 関係省庁との間に難航があったというのは前からよく知っています。確かに難航していたでしょう。しかし、ようやくまとまって、十七日に開かれた中公審の水質部会及び瀬戸内海環境保全審議会、この懇談会ですか、懇談会ということになるとこれは少しおかしいんじゃないか、こう思いますが、懇談会に諮った、そして同法案は二十一日の閣議で政府案として決定して国会審議の場へ移った、こういうことになっている。懇談会にして閣議決定して出した、これはどういうことでしょう。
  56. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 この基本計画の策定の問題はきわめて重要でございますので、これにつきましては瀬戸内海審議会に御諮問申し上げて、長時間をかけまして答申をいただいた、それが五十一年十二月一日でございます。その答申を尊重して政府としてその基本計画を決める、これは当然政府として決めるものでございますから閣議決定ということをやるべきである、こう考えたわけでございます。  ただ問題は、政府がこの閣議決定をする際に、前に非常に長い時間をかけてこの審議会で御検討していただいて御答申をいただいたわけでございますから、これを閣議決定してから御連絡するというのは審議会に対してはまことに失礼な話でございます。したがいまして、大体二十一日の閣議にかかるめどが立ったものでございますから十七日、これは月曜日で国会の委員会等も余りない日でございますので、急拠審議会先生方にお集まりいただきまして、答申のときはこういう形になっておりました、それを尊重しましたがこの部分は新しい施策としてこう変わりましたということを説明をしたわけでございます。  これは前に、そういうことで、基本的考え方ということで非常に詳細にわたった答申をちょうだいいたしておりますので、さらに諮問、答申ということは必要なかろうということで諮問、答申はいたしません。  もう一つは、これは正式な審議会でなくて懇談会という形にしたということでございますが、これにつきましては、正式な審議会ということにしておかしいとかそういう話はさらさらございません。ただ問題は、まだ最後的に閣議等で決まる前の話でございますし、この基本計画のみならず法案の内容等についても一応その骨子についてお話しするということでございますので、むしろ懇談会形式でよろしいのではないか、かような判断のもとに懇談会形式でお集まりいただきまして御説明をした、こういうことでございます。
  57. 島本虎三

    ○島本委員 瀬戸内海環境保全臨時措置法第一条並びに二十三条によって、これは重大なものであります。せっかくやったのなら、この法律に基づいてきちっとしてやっておいた方がなおいいのですが、懇談会としてやった以上、全部集まらせて成立しない、したがって懇談にしてこっそりこれを通したのかという疑惑が生まれるからそこを聞いているのです。正式にやったのなら、なぜ懇談会なんてつけるのですか。疑惑の生まれるような要素は一つもなかったということですね。このことは、瀬戸内海環境保全審議会に重要なことについて諮らなければならないことになっているのだから、この計画は最も重要なんですから、前の基本的な考え方については諮ったのですから、したがってこれにつきましても諮らなければならないことは当然であります。これを審議会ではなくて懇談会ということにしてやったというのはちょっとおかしいな、私はこう思ったのですが、疑義をはさむ余地一つもないのですか。なぜこれを正式の審議会にして諮らなかったのですか。これは懇談会でなければだめだったのですか。
  58. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 前に、この基本計画の基本的考え方につきまして御諮問申し上げ、非常に長時間にわたって御検討の上答申をいただいた、この其本計画の策定というもの、これはまさに非常に重要事項でございますので、それを調査、審議していただいたわけでございます。  問題は、今度、その答申を尊重し、これに即しつつ政府としての基本計画案を固めたわけでございます。正式に閣議決定するめどがついた時点におきましてこれを審議会の方々に報告をするということにしたわけでございますが、諮問事項もないわけでございますので、一応審議会の懇談会というかっこうでやってみたわけでございます。お尋ねのように、これは必ずしも懇談会でなくちゃならぬということはございません。あるいは先生おっしゃるように、審議会の方がむしろよかったのかもしれません。特にどちらでなくちゃならぬという意図的なものもございません。ただ、私たちの方としては、この法案等の説明も同時にやりましたけれども、これもまだ正式に政府として固まったものでもないし、一応懇談会形式で事前に御説明したらどうかということでやっただけでございます。何ら他意はございません。
  59. 島本虎三

    ○島本委員 やはりそういうような点できちっとやっておいた方がいいです。これは確かにあなたのおっしゃったように、昭和五十一年十二月一日に基本的考え方が出ました。それ以来二年四カ月でしょう、今度出すまでに。その問に情勢の変化がやはりあったでしょう。そうすると、改めて審議会意見を聞くというような態度でこれはやるべきじゃありませんでしたか。それをやらないから懇談会にしたのかな、こうもさえ思うのでありますけれども、それにしても、この中に総量規制以外は何も出ていないのですね。そうすると、基本計画をつくると言いながらも、総量規制以外には何も出ていない、こういうようなことになるわけであります。それと、懇談会でやったということが何かしらぎごちない。余りこういうような、疑われるようなことはしない方がいい。きちっとしてやった方がいいのです。最近、腰が弱いと言われておりますから、そういうようなことがないようにするためにも、きちっと今後やってください。  十二月一日の瀬戸内海環境保全審議会から受けた答申、その作成された基本計画、これについてちょっと伺ってみたいのです。  基本的考え方に基づいて基本計画が作成されたのですね。それには間違いないと思うのです。しかし、「留意事項」というのがございますが、この留意事項の一について、この計画に含まれていますか。見てください。
  60. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 五十一年十二月一日にいただいた答申、これには「留意事項」というのがついてございます。二つございますが、ただいまのお尋ねは第一点の方の留意事項かと思います。  この第一点の留意事項は、「水質保全の目標に関しては、環境基準を達成している海域であっても利用目的等をも考慮しつつ、当該環境基準よりも良好な水質を可能な限り維持する方向で水質環境基準のあてはめの見直しを行うこと等についても検討をする必要がある。」こういう御趣旨でございます。  ただ、私たちが今回閣議決定をした基本計画というものを考えました際に、この留意事項の一をどういう形で対応したかということになるわけでございますが、現在、瀬戸内海につきまして、環境基準の当てはめ、これをやっておるわけでございますが、この当てはめられた環境基準といいますものがまだ全面的に達成されておらない。おらないからこそ総量規制というものを、単なる濃度規制以外にも新しく導入をしたいということでございます。いまあります環境基準の達成さえもできないということでございます。したがいまして、この環境基準の当てはめの見直しをやるべきではないか、検討すべきじゃないか、確かにこれは一つ検討課題だと思いますけれども、いまあるものもまだ達成していないわけでございますから、考え方としては総量規制を導入して、いまある水質環境基準の達成維持、これがまず先決ではなかろうかということで総量規制導入に踏み切ったわけでございますが、この問題については先の検討課題ということで、今回のこの基本計画の中には、この見直しの検討というくだりについては織り込んでございません。
  61. 島本虎三

    ○島本委員 これはやはり答申に基づいてやるのでありますから、「瀬戸内海環境保全臨時措置法第三条の瀬戸内海環境保全に関する基本となるべき計画の基本的な考え方について」これが答申であります。やはり基本ですから、そのうちのまた基本ですから、その基本のうちの一つをはずしてやるというのは、これはどうもおかしいのです。したがって、出てくるこの計画そのものはやはりおかしい。  それを順次お考えを聞かなければならないのでありますけれども、今度出されたこの基本計画についてはどうですか。きわめて抽象的で、具体性に乏しい。たとえば可及的速やかであるとか、早期にとか、こういうようなことなんです。最近の法理体系で暫定措置法なんかつくっても、二十五年もある暫定措置法もあるから、それからいうと、可及的速やかといっても五十年くらいたってもいいんだ、こういうような大それた考えはないと思うのであります。しかし、それにしても目標については漠然とした表現にしかなっておらない。これは普通、計画は、目標年次についてこうなりますよ、そしてその計画で目標をいつまでに達成する、これをはっきり明確にすべきでありませんか。これが私は普通の計画だと思う。まして基本計画はそうあらなければならないと思うのであります。  これで見ますと、総量規制、これは環境基準とリンクしない、単独で歩いている。瀬戸内海は工業と生活排水で汚染されているけれども、下水道の整備は困難、まだ不十分、そして産業排水規制しても生活排水が進まない以上、やはりこの環境基準の達成は実現できない、これはわかりますよ。しかしながら、環境基準はいつ達成されるのか、これがはっきりしないとだめじゃありませんか。これを書いていないで基本計画、計画だけやっても、これは単に作文にすぎないじゃありませんか。基本計画である以上、いつまでにどうするんだ、これをやって基本計画、これが、この中身を見ますと、なかなか名文でありますが、しかし、これは名文であっても実施までの到達距離が長過ぎる。見て、読んで、いい感じだけれども、内容は漠然としている、こういう感じのものになってしまっているのであります。  環境基準はいつ達成される、こういうようなものを書かなかった理由はどうなんです。
  62. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 今回のこの環境保全基本計画、これには環境基準の達成の時期、そのめどというようなことは書いてございません。  環境基準につきましては、先生案内のとおり、公害対策基本法第九条に基づきまして設定をいたしておるわけでございます。したがいまして、この環境基準といいますものの達成維持といいますものが、一つの行政目標でございます。そういう観点からいたしまして、瀬戸内海に当てはめられた、各水域ごとに当てはめられた環境基準の全面達成、これに向かって水質保全行政といいますものを今後強力に展開をしていくということだと思っております。  問題は、この環境基準の達成のめどというのはいつになるかというお尋ねでございますが、先ほども若干お話し申し上げましたが、今後もやはり汚濁負荷量といいますものがいろいろふえてまいります。したがいまして、これは産業活動の伸びなり人口の伸び等でふえるわけでございますし、また、これを落とす技術の問題、これの方もまだ発展すると思いますが、そういうようなことを踏まえつつ、逐次着実に、やはりこの環境基準の達成維持というものに向かって行政を展開していくということであろうと思います。したがいまして、じゃ、これが一体二十年先か十年先か、いつかと言われましても、これは維持達成すべき行政目標として行政を展開していくということには間違いございませんが、いつまでにということを明確に申し上げかねるわけでございます。そういうこともございまして、この環境保全基本計画にはそういう面のめどというようなものが明確にはいたしてございません。
  63. 島本虎三

    ○島本委員 せんばかりはっきり言わなくてもいいですよ。これは各省庁からいじめ回されて突き飛ばされて、そしてどうにもしようがなくなって、ことしじゅうにやらなければならない、仏の顔も二度、三度拝まれない、何とかしてつくらなければならないから、せめて言葉でもよくしようとしてつくったのがこの計画ですよ。なるほどいい言葉ですよ。きれいなバラにはとげがあるように、きれいな言葉に内容がないんだよ。こういうのじゃ困る。こういうようなものよりもっときちっとした、中に「下水道等の整備促進」なんてあって、「廃棄物の処理施設の整備及び処分地の確保」、具体的に言っているでしょう。これはどうするのだというところまできちっと目標を決めて、その具体的な年次も決めて、そしてこういうようにしてやる、なぜそれができないのですかね。大分いじめられただろうと思っているのでありますけれども、それにしても実施面で抽象的であってはならないと思うのです。二瓶さん、それいいですか。いまのこの法律案、これは抽象的である。具体性を持たせるためには、たとえば、下水道計画の五カ年計画、廃棄物処理施設の整備計画、それから国土利用計画、いわゆる三全総、それから近畿圏整備計画、こういうようなものがあるはずでありますが、新産都市なんというのもあるのですね、こういうような計画もありますが、こういうようなのとリンクしてこの基本計画とすり合わして、そして整合していなければならないはずでしょう。それはそれ、これはこれ、幾らやったってこれは基本計画じゃありません。これとはっきりリンクしておりますか。基本計画とこれらのいろいろな計画とリンクしておりますか。整合しておりますか。これは、建設省も来ておりますが、下水道整備五カ年計画、これと基本計画の裏づけありますか。廃棄物処理五カ年計画、これと結びついておりますか。年次計画の中にこの基本計画がどのように組み込まれておりますか。この点を明らかにしてもらいたいと思います。
  64. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 今般政府において策定をいたしました環境保全基本計画、これにつきましては、計画の性格等にも書いてございますように、今後目標達成すべき施策の基本的方向、こういうものを明示をする、そして瀬戸内海環境保全に関します諸計画に反映をさせる、それとともに諸施策の実施に当たっての指針にするというような性格のものでございます。したがいまして、この環境保全基本計画といいますものが一種の事業計画的なものというふうには仕組んでございません。ただいま先生から御指摘のありましたようないろいろな下水道の関係あるいは廃棄物関係等々の事業計画等も現に別途あるわけでございますけれども、そういうものも今後の瀬戸内海水質保全等を軸にした環境保全というものの目標を達成していくための講ずべき施策として有力なものでございますので、そういう面のものも、この計画の方向を十分反映させながら実施に移していくということを強く期待をしておるわけでございます。  なお、この基本計画といいますものが今後、現在御審議をいただいております後継法案におきます基本計画とみなすという規定になっております。したがいまして、今後あの法案を成立さしていただきますと、国のベースの基本計画に基づきましてさらに府県の方でもっとブレークダウンいたしまして、その府県の実態に合った環境保全の府県計画といいますものを策定をしていただく、より具体性のあるものにこれをペースにしてまた考えていただく、そういうことによっていろいろ具体的な事業の面にも反映をされ、水質保全等を含む自然環境保全環境保全が図られるように強く期待をしておるということでございます。
  65. 島本虎三

    ○島本委員 建設、厚生と、この五カ年計画は、それぞれ計画は五カ年ですからいいのですが、年次はどうなっていますか。そしてこの瀬戸内海の基本計画、瀬戸内海部門に限っては基本計画と合わせた方が効率がいいし、一番成果も上がるんじゃないか、こう思うのでありますけれども、この点はどういうふうになっていましょう。
  66. 井前勝人

    ○井前説明員 下水道関係について申し上げたいと思います。  ただいまの私どもの下水道五カ年計画は、昭和五十一年度から昭和五十五年度までの五カ年計画にセットされております。今回の環境庁保全基本計画によりましていろいろの基本が示されるわけでございますが、私どものこの五カ年計画との整合性といいますか、この基本計画に対する取り組み方につきまして御説明したいと思います。  この基本計画の中身の中で私ども関係いたしますのは、まず一つ水質総量規制が実施される、第二は燐の負荷量の削減を図るための下水道の促進、6は一般的に「下水道等の整備の促進」というふうになっておりますので、これらを受けまして、具体的には、総量規制の場合の都道府県が決める削減計画を受けて、では府県ごとの削減計画に対応して五カ年の中でどのようにすり合わしていくかということになろうかと思います。ただ、問題は、基本計画の目標年次とかそういうものがまだはっきりしておりませんので、私どもは一応五十五年で切れますが、当然下水道も第五次の五カ年計画というものはあり得るわけでございますから、第四次または第五次の中でこの趣旨には十分対応していけるのではないかと考えておるわけでございます。
  67. 国川建二

    ○国川政府委員 お答えいたします。  廃棄物の処理施設の五カ年計画でございますが、そのうちの屎尿処理施設について申し上げますと、御承知のように、五十一年度から五十五年度までの全体計画を決定しているわけでございまして、全体の事業量といたしましては、屎尿処理施設につきましては日量一万六千キロリットルを五十五年度までに整備するという内容になっているわけでございまして、五十一年度から事業が進捗しているわけでございますが、ただいまも建設省の方からも話がございましたように、下水道と屎尿処理施設でカバーするわけでございますけれども、ただいまお話ございましたように、具体的な府県別計画等が定まっていきました場合はこの計画の中で十分調整してまいりたいと思っておりますし、これは第四次でございますけれども、引き続き第五次等も十分考えられますので、その内容面におきまして十分勘案して調整していきたいと思っております。
  68. 島本虎三

    ○島本委員 建設、厚生ともこれは五十一年度から五十五年度まで、こういうふうにセットされているのであります。この年次計画の中にこの基本計画が組み込まれていて成果が上がるし、今後は瀬戸内海のこの事業量、これは瀬戸内海中心に傾斜配分も考えられなければだめなんじゃないか。こういうようなものを基本計画の中にきちっとさせるべきじゃないか。もうすでに建設の方も厚生の方もこういうふうにやっていて、考え方もあるじゃありませんか。協力する体制があるのだから、やはりそれに合わせて傾斜配分、こういうふうにして、自然還元サイクルに乗って自浄作用がきちっと行われるようなことまできちっとする、この計画が基本じゃありませんか。どうもばらばらと、名文であって、一片の作文と思われる。黙っておけば作文になってしまうのではないかと思うのでありますが、これはやはり瀬戸内海の事業量に合わせて、瀬戸内海中心に、本法によって傾斜配分というようなものを十分考えて協力すべきじゃないかと思いますが、これは建設、厚生いかがですか。
  69. 井前勝人

    ○井前説明員 基本計画を受けまして各府県がつくります府県計画の中で、その煮詰まりぐあいを見まして、それに対応するように私ども予算的には十分配慮していきたいというふうに思っているわけでございます。
  70. 国川建二

    ○国川政府委員 具体的な計画が決まりますれば、重点的に予算等の調整等につきまして配慮していきたいと思っております。
  71. 島本虎三

    ○島本委員 環境庁も、そういうふうに協力体制が整っているのですから、きちんとこの基本計画、実施計画に合わせて、そして傾斜配分させた上で実を上げるように、これからも大いにがんばってもらいたい、これを強く要望いたしておきます。大臣もわかったでしょうから、この点を要請いたします。  それから次に、この基本計画の中にございます「史跡、名勝、天然記念物等の保全」、これについて伺いますが、史跡、名勝、天然記念物等の文化財の保全に当たりましては、開発の関係とリンクされておりますかどうか、保存基準の設定はどうなっているか、これを伺いたいのでありますが、どういうふうなことになっていましょうか。——では、わからなければ、私からひとつ要請して、その線に沿ってどう考えているかはっきりさせてくださいよ。  これはもう開発の関連がリンクされていなければだめなんです。それと保存する基準の設定、これがきちっとしていなければだめなのであります。幾らやるからといったって、リンクもない、そしてその基準も設定されていない、これだったらもうどうにもなりません。文化財の保存については、運用の中で保存の基準が示されているでしょう。しかし、あえてこの基本計画に乗せてきた以上は、瀬戸内海の保存の新しい基準、これを考える必要があるのではないか、このことですよ。漠然とただ乗せてやっていたら作文です。いまのような具体的な基準並びにリンク、こういうようなものを考えながらこれをやるというなら計画です。まさかこれは作文じゃないでしょう。もうすでに一方は文化財保存についてはできているんです。運用の中で。せっかく瀬戸内海の方でこれに乗せるんですから、それくらいきちっと考えてもしかるべきじゃありませんか。これはどうしましょうかね。
  72. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 史跡、名勝、天然記念物等の保全の問題でございますが、ただいま先生のお尋ねの面について、所管の文部省の方、来ておりませんので、的確なお答えができかねますことは申しわけございませんが、この基本計画の面におきまして一応目標というのを掲げ、それに対する施策の方向ということで記述をいたしておるわけでございます。「その指定、管理等に係る制度の適正な運用等によりできるだけ良好な状態保全するよう努めるものとする。」という、やや抽象的な話になっておりますが、ただいま先生からお話しございましたような開発とのリンクの問題とかあるいは保存基準の問題等々につきましては、十分文部省の方とその面についてはさらに連絡もし検討もしてみたい、こう思っております。  どうも的確なお答えでなくて恐縮でございます。
  73. 島本虎三

    ○島本委員 謝るならこれ以上追及もできないですが、文部省の方ではできているのです。文化財の保存についての運用の中で保存の基準というのが示されて、きちっとされているのです。せっかくこれを今度瀬戸内海の方へ持ってきて、その中のものをやるというのですから、それ以上のものでなければならない。それをただ漠然としてやっているから、これは作文じゃないかと言うのです。そうでは本当に困るんじゃありませんか。だからこういうような点、よくやらぬとだめです。  時間も来たようでありますが、次のためにこの瀬戸内海環境容量をもう設定すべきである、こう思っているんでありますけれども、これに対する考え方はどうですか。
  74. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 いまの先生のお尋ねは、瀬戸内海環境容量というものを設定すべきではないかというお尋ねだと思うのですが、環境容量といいますもの、これはどういうものであるか、また、それが具体的にどういうふうにして判定できるものか。まあ瀬戸内海といいますか、要するに川とか海とかの自然浄化能力といいますか、そういう作用によって水の汚濁が浄化力の範囲内であればきれいになるということがよく言われます。そういう意味では何となく環境容量というような感じのものがあるわけでございますが、ただ、具体的に環境容量というものの定義なり、あるいはまたそれが定義としてわかりましても、それは数字的に一体どのくらいのものになるものだというのは、現段階においてはまだそれを算定するだけの知見なり手法等が確立いたしておりません。したがいまして、今度の総量規制制度考えます際なりその他基本計画で考えます際にも、環境容量というのは一応の考え方としては何となくわかるのでございますが、具体的にどうかというお尋ねにつきましては、現段階ではそんな状況でございます。
  75. 島本虎三

    ○島本委員 基準を決めます。何を中心に基準を決めましょう。やはり総量規制という以上、いつでもそれがりっぱな状態で保たれるようにする。この瀬戸内海一帯は、水、空気、今度、本四架橋なんかの問題を含めて大気の問題も問題になってくるでしょう。それから騒音、こんなのも当然問題になってくるでしょう。それに振動なんか、あるかないかわかりません。しかしながら、いま考えられるのでもこの三つぐらいはきちっとしたものにしておいて、それ以上はだめだ、こういう考えがあってそこに基準ができるんじゃありませんか。したがって、これ以上はだめなんだ、それをオーバーしたものに対しては削減計画を立てさせて浄化させる、そこまでみんな持っていく、大体この辺だ、こういうようなきちっとしたものがあってもいいんじゃないかなと思うんです。局長考えておられないようですが、それならば、あの環境基準というものは何をもとにしてつくりますか。
  76. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 環境容量といいますものについては、この概念といいますか定義ははっきりしてもおらないし、また、それを具体的に数字にあらわすことが現段階で無理である。そういう状態において水質保全行政なりあるいは具体的に総量規制制度というものを考えます際にも、一体何を具体的な目標にするかということになるわけでございますが、われわれといたしましては、先ほど来御答弁申し上げておりますように、水質環境基準の達成維持、これが行政目標でございます。したがいまして、瀬戸内海に限らずよその水域におきましても、この環境基準の達成維持というものを目途にいたしておるわけでございます。  ただ問題は、この目途にしたものを具体的にいつまでに達成できるかとかいう問題につきましては、いろいろ今後の負荷量の増の要因もございましょうし、あるいは削減技術の進展もございましょう、マイナス要因もございましょう、そういうものも踏まえながら着実にこの環境基準の達成維持というものに向かって施策を強化していく、あるいは施策を充実していく、実施をしていくということではなかろうかということでございます。  現在の環境基準は何に基づいてやっておるかということになれば、これは公害対策基本法第九条にもございますように、健康項目は全国一律でございますが、生活環境の項目につきましては利水目的に応じまして、あるいは漁業用とか、あるいは川でございますれば水道用の水源として使うとか、いろいろなことも頭に置きながら、AとかBとかいう当てはめをやっておる、こういう次第でございます。
  77. 島本虎三

    ○島本委員 予鈴が鳴っておりますからこれで終わって、この次にまたやらしてもらいます。  委員長、どうも御苦労さまでした。
  78. 久保等

    久保委員長 この際、午後二時より再開することとし、暫時休憩いたします。     午後零時五十二分休憩      ————◇—————     午後二時一分開議
  79. 久保等

    久保委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  瀬戸内海環境保全臨時措置法及び水質汚濁防止法の一部を改正する法律案の質疑を続行いたします。島本虎三君。
  80. 島本虎三

    ○島本委員 この際、瀬戸内海環境保全、それと同時に総量規制、こうなりますと、水質の場合には特に屎尿の高度処理を行うことによってCOD及び窒素、燐を除去する対策の強化が必要になるわけであります。もうこうなった以上は、これを政策的に取り上げてきちっとしなければならない、こう思うのであります。これはいわゆる基本的計画とマッチするものでなければならないのでありますが、やはり厚生省も政策的にこの点をきちっと考えて対処してもらいたいと思いますが、これに対する考えを聞かしてもらいたいと思います。
  81. 森下忠幸

    ○森下説明員 お答えいたします。  屎尿の高度処理ということでCODあるいは窒素、燐の除去対策を強化していくべきではないかというお尋ねでございますが、現在のところでございますと、実用化されております一番新しいフローによりましてもなかなか多額の施設整備費が要りますし、維持管理にも多額の経費を要するということで、一般的にただいますぐ高度処理を行うということにつきましてはなかなかむずかしいと思いますけれども、今後の具体的な総量規制のあり方とかあるいは下水道サイドでどのように対応されるかというふうなことを勘案しながら前向きに検討してまいりたい、こう考えております。  それから、特定の地域でございますけれども、放流先の条件が厳しくて、特殊な水域でいろいろな制約があるというふうな場合に高度処理をしなければならないということで、CODあるいは窒素、燐の除去を行う必要がある場合には、これは実際に幾つかの例がございますけれども、こういう施設をつくらなければならぬというものにつきましては、現在でも私どもは援助しておるわけでございます。ただ、残念ながらいまの技術では金がかかるということでございますが、それでやっておるわけでございます。今後は、施設整備の段階で、もっとコスト的にも整備費も安くしかも維持管理費も安いというふうなものの開発にも努めてまいりたい、このように考えております。
  82. 島本虎三

    ○島本委員 水質汚濁防止のためには、下水道計画とあわせて、それが完全にできるまでの間は屎尿処理計画を完備しなければならないわけであります。この点については、なかなか容易でないもののあることは十分承知しております。たとえば、下水道計画が進まない以上、屎尿処理——屎尿処理問題は、現在の状態で一日四十八トンだとすると、全部合わせてやると一日五十三トンになる、果たしてこれでいいのか、こういうことになりますと、これは問題があります。やはり高度処理ということ等も政策的にこれを行う必要があるのではないかと思いますので、この点を十分考えてこれは環境庁でも対処すべきであると思います。せっかく厚生省からいまのような答弁を承りましたが、これをあわせてマッチさせて計画を組むべきであると思います。いかがですか。
  83. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 水質保全を図るという観点からいたしますと、生活排水対策が非常に重要でございます。下水道の整備という問題もございますが、ただいま先生から御指摘のございます屎尿処理の関係も非常に重要な分野でございます。したがいまして、この面につきましては、ただいま厚生省の担当課長からも答弁がございましたが、現在、二次処理というような角度でいろいろやっておりますが、さらに後次処理といいますか、そういう面についても検討するということでございますので、環境庁といたしましても十分その面については実態に応じて三次処理の導入というようなものも具体的に考えていただきたいということで、強くこの面も要請をしていきたいと思っております。
  84. 島本虎三

    ○島本委員 次には、前の質問者であります池田関谷委員からの質問もあったのでありますが、見地が若干違うのであります。ビルジの規制についてでありますけれども環境庁の当初の案にはビルジの規制の強化があったように承っておるのでありますが、これは何も規制されておらない。油濁防止で盛り込まれたのは海難による油の排出防止のための指導、取り締まりの強化の努力目標だけだ。そうすると前回よりもこれは後退したのではないか。いろいろいままでの答弁は聞きました。しかしながら、全国的であろうと瀬戸内海の区域内であろうと、これはやはり規制し、水質汚濁防止のための対策をきちっとしなければならないことは当然でございます。なぜビルジの規制の点に手を入れなかったのか。運輸省の方では入れなくてもいいような、規制するはっきりした方法があるのかどうか、これは環境庁に聞いてもしようがありませんから、まず運輸省に聞きます。
  85. 村田光吉

    ○村田説明員 ビルジの件につきましては、直接海上保安庁の所管ではございませんが、運輸省の方といたしましても、瀬戸内海の船舶だけではなく全国的な規模で上限三百トンを少なくする、その幅を広げるというふうに聞いております。
  86. 島本虎三

    ○島本委員 大久保港湾局長、これは何かはっきりした運輸省の方針があるのですか。
  87. 大久保喜市

    ○大久保政府委員 ビルジの規制の問題につきましては、実は私、所管でございませんので、いま御指名ございましたが、私、御答弁申し上げる立場に現在ないわけでございます。何かの手違いで担当の者がただいま出席しておりませんことをおわび申し上げます。
  88. 島本虎三

    ○島本委員 では環境庁
  89. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 運輸省のビルジの関係の担当の方が来ておられないようでございますので、環境庁の方からお答えを申し上げたいと思います。  法案策定の過程におきましてビルジの排出規制をさらに強化するということを検討したことは事実でございます。ただその際に、三百トン未満のものがいまたれ流しになっておる、これを百トンにまで下げる、こういう措置瀬戸内海についてとることにいたしますと、こういう船につきましては油水分離器をつけるということが必要になってまいる。それから、どうしてもそういう器械がつかない場合においては、そのビルジをためておきます貯油槽が必要になってまいる。そういたしますと、現在の既存船につきましては、こういう器械を置くべきスペースも現在ないわけでございます。船の改造という問題に発展をいたします。したがいまして、これは船舶構造の問題ということに相なるわけでございます。しかも、これは瀬戸内海法のみでこれを規定するということになりますと、伊勢湾を航行しているときは要らないが、いよいよ瀬戸内海に入る段になるとこの器械がないと入れないということで、船は瀬戸内海だけを航行しているわけでもございませんので、これはやはり瀬戸内海法という世界でやるにはどうもなじみにくい、むしろ全国的な角度でこれは考えるべきであるということでございまして、そういうことから、今回はこの瀬戸内海後継法には織り込んでおりません。  ただ、運輸省の方におきましては、海洋汚染防止法の改正というようなことで、今後このビルジの排出規制の強化というものを改正案に盛り込んでいきたいということで検討を進めておるということでございます。
  90. 島本虎三

    ○島本委員 これは運輸省の方、呼んであるのですが、見えてないのですが、いま二瓶局長が言ったその事情はわかるのです。三百トン未満のものを百トン未満のものまで規制をする考えでそれが担保できるんだ、これが論拠なんです。しかしながら、海洋汚染防止法改正法案、これはもう国際条約批准に伴う国内法の調整がいま難航しておるのです。そういうようなこともあって今国会に提出の見通しが立たない。したがって、見送りの公算が強いということでしょう。そういうようなのに依拠して、それを担保にしてやっていいのか。やるというなら、今国会は出せないが、来国会には間違いなく出せます。こういうようなことを断言できますか。それもできないのに担保することができますか。これは運輸省、どうなんですか。——これは委員長に要請しますが、港湾局長だけじゃ無理なようですから、これの関係の運輸省の係を四十五分までに到着するように呼んでおいてもらいたい。  これは担保するのでなければだめなんです。そうでなければ、環境庁がきちっとこれを取りまとめないとだめなんです。これは多分運輸省の方ではやるからということで、あなた安心した。しかし、これが難航して、調整できなくて見送りの公算でしょう。それなら次の国会には必ずやりますというなら合うわけですよ。それさえ断言できない。あなた、断言できますか、二瓶さん。
  91. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 ダンピング条約の批准案件、それからそれに伴う国内法体制の整備ということで海洋汚染防止法を今国会に提案したいということで、条約につきましては外務省、法案につきましては運輸省が今国会提出予定法案ということにいたして、いろいろその辺の提出のための努力をしてまいったわけでございますが、私が聞いております範囲では、現段階においてまだ提出はしてないわけでございます。  問題は、そういうことがございますが、そういうさなかにおいて、この後継法案の中で、いま言ったビルジの排出規制という問題が別途検討されたわけでございます。ただ、このビルジの排出規制の強化というものが後継法案の中から、一応当初案から落ちたということにつきましては、これは船体構造の関係ということで、地域的な面で措置するのにはなじまないということで、今回は盛り込まなかったわけでございます。  ただ、ただいま先生からもお話がございましたように、それなら全国的なものである、したがって、海洋汚染防止法の改正ということを今国会を予定して当初考えておったはずだ、今国会がそれが万一見送りになるとすれば、次の通常国会等に必ず出すということを確約できるかというお尋ねでございますが、この面につきましては、条約の関係が、批准案件は外務省であり、また海洋汚染防止法そのものは運輸省の方の関係でございますので、所管外の私から、次期国会は必ず出しますということは断言できません。ただ、環境庁といたしましては常々ダンピング条約の早期批准と海洋汚染防止関係の徹底というものを強く期待もしておりまして、この問題については非常に重要な関係がございまして、前からも外務省、運輸省とも連絡をとりながら強くその辺の要請もしてきた経過もございますので、今国会が万一見送りになるとすれば、次期通常国会には必ず提出してもらうように環境庁としては強く要請をしてまいりたい、かように思います。
  92. 島本虎三

    ○島本委員 それをやらないと担保にならないのです。これをやってようやく一対、合わせて一本なんです。あなたの方が引いた、向こうの方も引いた、どうにもならない。それは出てこないとだめなんです。出る要件がまだまとまっていないのです。  大臣、これはやはり大臣もきちっとして早く提案するように、あなたの方からも閣議を通じて要請すべきだと思いますが、いいですか。
  93. 山田久就

    山田国務大臣 それは努力をいたしたいと思っております。
  94. 島本虎三

    ○島本委員 次に、埋め立て規制の点については臨時措置法より一歩も出ていないというのはどういうわけですか。これはもっと規制すべきだと思うのですが、規制の点においては、これは、前とそれから後継法との関係、どうなっていますか。
  95. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 埋め立て関係規定のことでございますが、現在、現行臨時措置法の十三条の規定がございまして、埋め立ての免許等に当たりましては瀬戸内海特殊性に十分配慮すべしということになっております。そして、これに関します具体的な埋め立て運用基本方針というようなものにつきましては、瀬戸内海環境保全審議会の調査、審議を経まして、この答申を受けまして運用基本方針というものを決めております。で、個々の案件につきまして環境庁環境保全上の意見を求められてまいっております。その際に、この物差しといいますものに照らして、一般的なアセスメントのほかに、特に瀬戸内海地域につきましてはこの十三条の「特別の配慮」という角度から、海域環境あるいは水産資源の保護というような観点に留意して個々の案件審査をやってまいっておるというのが実態でございます。その審査をやりました結果、法施行前に比べて法施行後におきましては、大体件数において半分、それから面積等において四分の一程度にこの埋め立て関係が低下を見ておるというようなことで、いわゆる臨時措置法の十三条によります埋め立てに関する「特別の配慮」というものは、その趣旨が十分生かされてきておるというふうに考えます。  したがいまして、今後、後継法におきましてこの埋め立て規制をどうするかという際に、もちろんこれについては硬軟さまざまの意見がございます。全面的に禁止すべきだ、凍結すべきだという意見もございますし、また、必要最小限度のものは認めるべきだというような御意見もございます。廃棄物を処理するものだけは別扱いにせよという意見もございます。多々いろいろな意見がございましたが、私たちとしては、むしろ、現在のこの運用のやり方で相当効果が上がったということを踏まえまして、後継法におきましてはやはりこれを継続していく、存続していくということで対処してしかるべきではなかろうかというようなことで、後継法では前と同じ規定ということで考えておるわけでございます。
  96. 島本虎三

    ○島本委員 ちょっとお伺いしますが、建設省、運輸省、この瀬戸内海臨時措置法ができて五年間になるわけでありますが、この五年間に埋め立て計画は瀬戸内海はどれほど進捗しておりますか。
  97. 安仁屋政彦

    ○安仁屋説明員 埋め立てにつきましては、特に計画というのをつくりましてそれが何%進捗しているという観点でとらえておりませんが、ちなみに実績を申し上げますと、私ども四十七年度から五十一年度までの五カ年というのをとっておりますが、その五カ年で建設省所管分でございますが、竣功は九百九十五ヘクタール、約千ヘクタールでございます。一方、免許の方は、同じ五カ年間におきまして五百十一・八ヘクタールということで、竣功面積に比べて新規の免許面積というのは大分減っている、こういう状態でございます。
  98. 大久保喜市

    ○大久保政府委員 お答え申し上げます。  ただいま建設省の方からお答えございましたように、いわゆる埋め立て計画というような形では決まったものがございませんが、実績で申しますというと、若干建設省の方と年度のとり方が狂っておりまして恐縮でございますが、港湾区域内における埋立地の竣功の面積が四十八年度から五十一年度まで四カ年でございますが、五千百二十四ヘクタールございます。  なお、ちなみに、すでに免許を受けまして造成中と申しますか、工事中の面積は現時点におきまして七千六百ヘクタールございます。
  99. 島本虎三

    ○島本委員 建設省でも九百九十五ヘクタール、運輸省では七千六百ヘクタール、五年間でそれだけ埋め立てている。これも原則禁止なのにそれほどいっている。何にもならないじゃありませんか。これは合法的な免罪符を与えるだけだ。これで漁民の方では、漁業の見地からして埋め立てを禁止してくれという要請が来ているんです。せっかく瀬戸内海環境保全臨時措置法をやっているこの五年間の間にもそれほど進んでいるじゃありませんか。これは何にもならないじゃありませんか。これは具体的にはどういうふうになっているのですか。規制すべきじゃないんですか、しなくてもいいんですか。いまのとおりでいいんですか。いまの臨時措置法のときでもできたんです。それを引き継いだ特別措置法をやっても同じようにいくじゃありませんか。こういうようなことではしり抜けもいいところじゃありませんか。これはどこが規制できるもとなんですか。改めて二瓶さんに聞きますよ。
  100. 大久保喜市

    ○大久保政府委員 私、先ほど申し上げましたのは、竣功したものが五千百ヘクタールでございまして、過去に免許をとりましてまだ現在工事中のものが七千六百ヘクタールでございます。この造成中の埋め立てと申しますのは、大体大きな埋め立てといいますか、五十ヘクタール以上の埋め立てと申しますと、やはり工事期間が五年、十年というような期間で免許を取得してございます。そういうようなものがございますもので、この七千六百ヘクタールが臨時措置法ができてから免許されたものというわけではございませんで、過去に免許を受けてそれで工事中のものが相当の部分でございますので、一言申し添えます。
  101. 島本虎三

    ○島本委員 大体年次で言うと四十八年から本法が施行されていますから、したがって、それと一年の違いがあってもほぼ合うのです。ですからそれを聞いたわけですけれども、これは環境庁、いまのような緩い規制の仕方、これは規制ではありませんね。これじゃ、じゃんじゃん必要によって埋め立てる。これは埋め立てられないような何か規制があるのですか。
  102. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 ただいま運輸省並びに建設省の方からも答弁があったわけでございますが、臨時措置法が四十八年の十一月に施行になったわけでございますけれども、それ以降、この臨時措置法の十三条の規定といいますものが現実的に動き出したわけでございます。埋め立ての免許の際に瀬戸内海特殊性に十分配慮すべしということになったわけでございます。問題は、その免許の時点と、それから現実にその免許権者が、免許を受けた者が埋め立ての工事にかかる、また、かかってから大きいものであれば五年、十年とかかるわけでございます。したがいまして、私が先ほど埋め立ての免許の実績ということで法施行前と施行後ということで件数で半分、面積で四分の一ぐらいに減っておりますと申し上げましたのは、いわゆる免許の際に配慮すべしという免許ベースでもって比較をしたものでございます。したがいまして、過去に埋め立ての免許を受けまして、まだ工事にかかっておらなかった、それが工事にかかってきて、いまでもまだ工事をやっているものもございましょうし、免許を受けたが、いまでもまだ工事にかかっていないものもあろうと思います。したがいまして、そういうもので竣功ベースであれば幾ら、工事中のものが幾らということを港湾局長先ほど数字を申し上げられたと思うのです。したがいまして、私たちといたしましては、むしろこの後継法の十三条の規定というものが、免許ベースでこういうことを考えるべきだという面については、確かにそういう面で挙がっておりますので、これはそういう考えで、抑制の方針といいますか、そういう考え方を念頭に置きながら、いまの運用基本方針というものを尺度にしながらケース・バイ・ケースでむしろやっていくということは効果的なものである、かように判断をいたした次第でございます。
  103. 島本虎三

    ○島本委員 これはよほどしっかりしないとだめなんです。申請してくるのは都道府県の知事でしょう。知事がこれに対してまた審査したりするでしょう。それに対して環境庁は任してあるでしょう。申請者が知事であって、そして知事が審査する、こういうことになったらとんでもないことになります。したがって、これはやぶにらみみたいな法律になってしまうわけです。これは合法的に埋め立て計画を容易に認めるような形になっているんじゃありませんか。配慮、確かに配慮はあります。配慮はあるけれども、配慮するだけでは是認じゃありませんか。瀬戸内海東京湾、大阪、ああいうような方面はもう規制でいいのです。現行法でどうしてもやむを得ないというならば、現行規定の解釈、この分をわかりやすいようにしてください。すべきです。この審査埋め立ての影響が軽微だということで認めているでしょう。軽微だから認める、どういうものが軽微なのか、どういうものが軽微でないのか。軽微であるということの基準がありますか。物差しもない。それは自由裁量の部分が多過ぎるわけです。これを少なくしないといけない。姫路、愛媛県の西条、これは最もひどい審査じゃありませんか。非難ごうごうですよ。軽微だ、こういうようなことでやっている。これに対して依然として、政治的な介入もあった、こういうふうにさえ言われているじゃありませんか。これが依然として配慮、配慮だけでやっていくとするならば、これは是認と同じだ、何にも実効が上がらない。この埋め立て規制は初めから原則禁止だったんだから。それがいろいろ必要な場面は認めるというようなことがいまのようにして野放しみたいになっている。だから、今後これをそのままやっていくとしたならば、二瓶さん、ここが大事です。運用と解釈。これを具体的にして、そしてそのための物差しをきちっとつくっておくべきだ、こう思いますが、この点に対して的確な答弁をしてください。
  104. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 この埋め立て関連につきましては、いろいろ御意見がございます。われわれも全面的に禁止すべきだ、現在やっておる工事も凍結すべきだという御意見も確かに承りました。それから、むしろ必要最少限のものは認めるべきであるという立場の御意見もございます。それから、産業廃棄物だけは別扱いにしてくれという強い意見もございます。いろいろな意見が確かにございましたが、先ほど申し上げましたような免許ベースといいますか、これで見ました埋め立て件数面積等、施行前と施行後を比べました際に、抑制的な感じで対処してきたわけですが、その効果は上がっておるというふうに見まして、これは存続をするということに一応判断をしたわけでございます。  問題は、それにいたしましても、これの運用という問題についての具体的な物差しはどうなのかということですが、これにつきましては、埋め立て運用基本方針につきまして審議会に諮問し、その調査、審議をいただきまして、答申を受けて物差しを決めておるわけでございます。もちろん、この運用基本方針物差しといいますものが、なるべく具体的にということで、審議会先生方もいろいろ検討された上で現在の運用に関する基本方針を決めておられるわけでございますけれども、もちろん、この中で、軽微であることを確認することとか、いろいろな点が書いてございます。この軽微とはどこからどこまでかという、どのくらいが軽微で、どれ以上は軽微でないのかというような数量的なものは、なかなか一律に申し上げかねる問題もございまして、運用基本方針ということではこういうような物差しになっているわけでございます。  個々の案件が参りました際に、この運用基本方針の趣旨を体しまして一般的なアセスメントをやりますほかに、瀬戸内海地域埋め立てについては、この物差しに照らして、その影響が軽微であるとかいうようなことを十分確認した上で、環境保全上の意見を運輸省等に回答をしておる、こういうことで運用してまいっておるわけでございます。  今後ともこの埋め立て運用基本方針あるいはこの十三条の規定を設けた趣旨というものを十分体して、われわれ環境庁としてこれを運用します際には、十分その辺を心得てやってまいりたい、かように思います。
  105. 島本虎三

    ○島本委員 前に言ったように、姫路や愛媛の西条は最もひどい審査で、これは軽微だというとこで許した。これが政治的な圧力ではないかということで非難ごうごう、こういうようなことからして、現在のとおりやらなければならないとするならば、運用、解釈、これを具体的にして、そのための物差しもつくっておいて、今度は誤解のないように運用すべきだ、このことについてはきちっとやっておいてもらいたいと思うのですが、大臣、これはよろしゅうございますか。
  106. 山田久就

    山田国務大臣 善処したいと思います。
  107. 島本虎三

    ○島本委員 それじゃ次に進みます。  原子力発電または火力発電というようなのが、瀬戸内海のこの範囲内での計画がいまありますか。
  108. 服部典徳

    ○服部政府委員 電力会社の電力立地の計画でございますが、電気事業法に基づきまして、毎年度、電力の施設計画というのが提出されてまいっております。最近時点におきまして提出された施設計画によりますと、五十三年度におきましては四地点、いずれも火力でございますが、全体で三百七十五万キロワット、これを電調審に上程をいたしたい。それから、五十四年度でございますが、五十四年度については若干未確定の要素がございますが、火力二地点、原子力二地点、合計五百二十五万キロワットというのが、電調審に上程をしたいということで会社側から希望として出てきておる計画でございます。
  109. 島本虎三

    ○島本委員 もしこれがそのまま通ったとした場合の瀬戸内海環境はまた変わりますよ。こういうようなことに対して、環境庁の方ではきちっとした指針がありますか。火力、原子力発電、こういうようなものをやった場合に、この瀬戸内海の中で——いまの計画を聞いたでしょう。これにきちっと対処した環境保全のための対策を伺います。
  110. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 ただいま資源エネルギー庁の担当部長の方からお話もございましたように、今後、電調審にかける案件というようなことで、火力なり原子力の発電所の関係を予定しているようでございます。この電調審にかけます案件につきましては、環境庁におきまして、特に企画調整局が主管となりまして、いわゆるアセスメントを個別にやっておるわけでございます。その結果、環境に及ぼす影響というようなものを最小にし、未然防止という角度で取り組んでおるわけでございます。したがいまして、今後、瀬戸内海地域におきまして、ただいまのような発電所の案件が出てまいります際には、当然、企画調整局中心に、水局、大気局等々タイアップしまして、慎重厳正なアセスをやっていくということになる、こういうふうに考えております。
  111. 島本虎三

    ○島本委員 それも言葉じゃありませんか。いまのようにして、原子力の場合には、自主、民主、公開の原則があるのです。それでもなおかつ日本は自主じゃないでしょう、アメリカから持ってきている。そうして、それも公聴会もなし、やっても形式だけ。そして秘密裏にこれは実施してしまう。方々でトラブルが起きたりしているのはそのせいです。まして火力発電、これまた、瀬戸内海の中にあって環境が変わっちゃうのです。そういうようなものに対しての対策もなしにこれをやるなんということは言語道断と言わざるを得ませんし、これに対するはっきりした規制、これに対してはっきりした対処する方法、こういうようなのも現在のところでは考えてないのでしょう。
  112. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 ただいま、火力と原子力と二つあるわけでございますが、原子力の方につきましては、環境庁の方といたしましては、この発電所による温排水相当の温排水を出しますので、これに対する影響というものについての審査をやっておるわけでございます。そういうことで火力とやや違うところがございますが、ただ、これらの問題につきましては、現在、電調審付議案件について事前にアセスをやっておるわけですが、これをむしろ法制的にはっきりしたいということで、企画調整局中心でアセス法案に現在取り組んでおるということでございまして、そこをしっかりせよというお話でございますが、そういう方向に沿いつつ企画調整局中心でアセス法にいま取り組んでおるという次第でございます。
  113. 島本虎三

    ○島本委員 これからの問題として、私もその点は非常な関心を持ちながらこれから監視していきたい、こういうように思います。  瀬戸内海の大型船舶の航行について、前にもこれは池田関谷委員の方からもまた質問があったわけでございます。しかし、それにも増して私、ちょっと聞いておきたいのですが、瀬戸内海で、これは大型タンカーまたは夜間航行、こういうような見地からして、安全性が一番要求されるのであります。この場合に、この瀬戸内海の事故の数は、年間幾らくらいございますか。
  114. 村田光吉

    ○村田説明員 昭和五十二年、衝突は百三十五件、そのうち十一件がタンカーでございます。これはいずれも隻数で申し上げます。乗り上げが百十六隻、乗り上げのうち十二隻がタンカーでございます。機関故障その他の海難が三百十四隻、そのうち十四隻がタンカーでございます。合計五百六十五隻、そのうち三十七隻がタンカーということになっております。なお、大型船、およそ一万トン以上でございますが、五十二年の一万トン以上の海難は、同じく衝突が二件、乗り上げが七件、その他三件、計十二件ということになっております。
  115. 島本虎三

    ○島本委員 こういうふうな状況で、一体大型タンカーの航行は安全だと言えるんですか。そしてこれに対して何も規制しなくてもいいんですか。これで瀬戸内海環境保全が完全に守れるんですかね。二瓶局長、いまの年間五百六十五件ですか、それで一万トン以上のタンカーの座礁が七件、衝突が二件——間違えましたか。
  116. 村田光吉

    ○村田説明員 一万トン以上は、これはタンカー、貨物船、旅客船含めた数字でございます。衝突が二件、乗り上げ七件、その他三件、計十二件、このうちの一件がタンカーでございます。
  117. 島本虎三

    ○島本委員 他の省庁の方はどうもありがとうございます。よく教えてくださいました。  それで、これほどあるのにタンカーに対する規制をやらないで、瀬戸内海は安全でしょうか。これでいいんですか。いまのデータを聞いて、なおかつ、いまのように大型船舶の航行に対しては野放しにしておいてもいい、瀬戸内海環境保全考えられる、こういう自信をお持ちですか。
  118. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 瀬戸内海のタンカーその他の航行規制の問題でございますけれども、タンカーに限らず船舶全体の航行の問題、この安全の問題につきましては、運輸省におきまして、海上衝突予防法あるいは海上交通安全法等々の法体系によりまして、瀬戸内海の実情に即した航行規制が行われておるわけでございます。この航行規制というような角度の問題、これにつきましては、一般的なものとしては、やはり海上交通安全法体系の中で考えるべきものというふうに考えます。  ただ、環境庁として非常に関心を持っておるといいますのは、やはり事故等によります大量の油の排出によります海洋汚染、これが環境保全という問題からいたしますと非常に心配でございます。したがいまして、そういう角度から、いろんな船舶がありますけれども、特に原油を満載したそういう大型タンカー等について、何か油の排出という問題がないようなことを極力考えるべきではないか。昨年の四月にアストロレオ号と幾春丸が釣島水道で衝突をいたしまして、千二百キロリットルほどの油が流れました。積んでいたものは八万キロリットルということで、水島流出事故の十倍でございます。そういうことで、愛媛県の住民、漁民、非常に心配しておりましたし、われわれ自身も非常に心配をいたしておるわけです。そういうことでございます。  ただ問題は、ただいまありましたように、ぶつかる際も、タンカーだけが気をつけても、タンカーでないものが気をつけないでぶつかればやはり衝突になるわけでございまして、そこは海上交通安全という角度で、海上交通安全法なり海上衝突予防法というような角度でこれは対処すべきことではないかというふうに考えたわけです。ただ、先ほど申しましたような事故による大量の油の排出というのが非常に心配でございますので、この面につきましては、運輸省等において現在の法制のもとでいろいろ最大の努力をされておるわけではございますが、さらに一層の御努力をお願いをしたいということで、こういう油濁防止努力規定を特に挿入をする案を提示しているわけでございます。
  119. 島本虎三

    ○島本委員 それで、いよいよ瀬戸内海の場面で、私としては時間ですからこれが最後になりますけれども。漁民の中には保安林や魚つき林の助成事業の推進、これを要望しています。それと同時に、埋め立ての全面禁止の措置を図られたいという要請が漁民から強いのであります。それと漁業被害の補償制度をつくってもらいたい。ことに赤潮なんかによる漁業被害についての救済制度をつくってほしい、こういうような要望が強いのでありますが、瀬戸内海関係の保安林それから魚つき林の造林事業、こういうようなのはまだまだやっておらない。はげ山、そのままにされている。そういうようなものに対して手をつけなければならない。同時に埋め立ての全面禁止、こういう措置もとってもらいたいという強い漁民からの要請、それと被害の補償、こういう制度を確立してもらいたい、こういうような強い要請があるのであります。  水産庁も来ておりますが、水産庁もこういうような点、聞かないわけじゃないのですが、進んで瀬戸内海のあの荒らされた、がらがらになった山に林をつけたり、また、赤潮による被害、こういうようなものに対してきちっと制度を確立したり、こういうようにしないのですか、これは林野庁と水産庁に特に伺います。
  120. 須藤徹男

    ○須藤説明員 お答えいたします。  瀬戸内海地域にかかります。これは沿岸だけの統計がございませんが、府県十一県につきまして、五十二年三月三十一日現在、約百万八千ヘクタールの保安林が配備されております。そのうち沿岸には約三万五千ヘクタールの保安林が配備されておりまして、そのうちただいまお話しございました魚つき保安林が約八千ヘクタールでございます。第三期保安林整備計画、これは昭和四十九年度から五十八年度に至ります十カ年計画でございますが、約十九万四千ヘクタールの保安林の配備が計画されておりまして、今後この計画の促進に努めていきたいというふうに考えております。  なお、この十九万四千ヘクタールと言いますのは、冒頭に申し上げましたように、沿岸だけではございませんで、瀬戸内海関係ございます府県十一府県の合計の面積でございます。
  121. 伊賀原弥一郎

    ○伊賀原説明員 先生からお話がございましたように、赤潮で一たび被害を受けました漁業者につきましては、大変な借財も背負いますし、大変な問題でございます。この点につきましては、四十七年に起こりました当時につきましては余り大きな、りっぱな制度というのはございませんで、漁業者も大変苦しんだわけでございますけれども、その反省も踏まえまして、現在、赤潮の被害につきましては、養殖共済制度というものがございますが、その中に異常な赤潮についても共済金が支払われるような赤潮特約という制度を設けてございます。この赤潮特約の制度につきましては、この特約にかかります共済掛金につきましては、三分の二国が出しまして、三分の一都道府県が出すという制度で、漁業者に負担のかからないという形になっております。  ちなみに、昨年起こりましたいわゆる播磨灘の異常赤潮につきましては、約三分の一相当ぐらいのものがいわゆる共済掛金でてん補ができた。さらに、そのあと足りませんものですから、制度資金等を融通いたしまして、漁業者の再生産とかそういうものに支障がないような措置をとったところでございます。この制度につきましては、五十三年度におきまして、より実態に合わせるということで、共済の単価と申しますか、一匹幾らということで共済を掛けるようになっておりますけれども、その単価を実態に合わせて高くするとか、あるいはいままで共済に加入できなかったような地域についても加入の区域をふやすとか、そういうことをいたしておりまして、この制度の充実を図っております。  赤潮につきましては、現在この制度が中心になっておりますし、また、この制度相当なところまでてん補できるという考え方を持っておりますので、この制度を充実あるいは維持していくということによって対処したいというぐあいに考えている次第でございます。
  122. 島本虎三

    ○島本委員 最後の締めくくりになります。これはやはり環境庁も、いまのようにして赤潮による被害という点で、起こってからの被害が、いまあれほど漁民が苦しんで、いろいろ自分らで制度をつくってやっているのです。その辺も考えて、このメカニズムを早く解明してきちっとするように、強く要請しておきます。  まだまだ聞きたいことがあるのですが、もう時間が来てしまってだめになって残念です。いつの日にかまたやりましょう。これはやればやるほど内容があいまいです。したがって、これはもっともっとメスを入れなければならないのでありますが、他の人が入れてくれるかもしれません。私は、また暇があったらやらしてもらいます。  ビルジの規制の点、これはついに来なかったのですが、中島環境課長、来ているのですか、一言だけ答えてください。  来国会に海洋汚染防止法を改正して、現在ビルジについて三百トン未満を百トン以下に下げる、こういうような規制をする考えがあるということを聞いたのです。現在のところ海洋汚染防止法改正案は、国際条約批准に伴う国内法の調整でちょっと難航しているように聞きましたが、今国会の提出はできないだろうと思うのであります。来国会には間違いなくこれを出して、そしてビルジ規制に対してこれは花を添える、こういうようなことをきちっと約束してもらいたいのです。間違いありませんか。
  123. 中島眞二

    ○中島説明員 いま先生おっしゃいましたビルジの排出規制につきまして、ノンタンカーにつきまして、現在総トン数三百トン以上ということになっておりますのを原則として百トン以上に引き下げるということにつきましては、私どもの方の懸案でございまして、今国会には諸般の事情から法案提出はできないという事態になっておりますけれども、次期通常国会にはぜひ提出できますように、最善の努力を傾けたいと思っております。
  124. 島本虎三

    ○島本委員 終わります。
  125. 久保等

    久保委員長 次に、水田稔君。
  126. 水田稔

    ○水田委員 島本委員の方から環境容量の問題についての質問をいたしましたが、局長意味がよくわからぬ、こういう御答弁があったわけです。いまの法律というのは臨時措置法で、三年間でCODを二分の一にカットするという応急的な措置です。瀬戸内海をどう考えるかということになれば、当然それはあの地域から流入する汚濁物質を全体的に処理できなければ、それも抑えなければならぬだろう。それから、あそこの海の持っておる自然浄化力が一体どういうものなのか。また、それが全体としてと同時に海域ごとにまた非常に違ったものがあるとか、浅いところ、あるいは地形が入り組んでおるところ、潮の流れが余りないところ、あるところ、そういう違い等があって、全体の自然浄化力を求めることはなかなかむずかしいとは思うわけでありますけれども、少なくとも今回の法律というのは恒久法としてやろう——いまそれを求めるとするならば、膨大な調査をやらなければできないことは私もよくわかるわけです。しかし、いま環境庁がやろうとしておるのは、今日指定しておるところの、水域ごとの環境基準を達成するということにしかすぎないわけですね。それで果たして未来永劫いいのかどうかということは、私は問題だと思うのです。そこで、一つは試行錯誤を繰り返しながらでも、かつて資料として残っておるもの、現在のいろんな手法を講じて、ある年次まではここまでやってみよう、それが行き過ぎかあるいはまだ足りないかという、そういうことを繰り返しながらでも一つの新しい恒久法としてやる場合は指標というものを決めるべきじゃないか。先ほどの論議を聞きまして、やはり環境庁はこの法案の中にそういう考え方を盛り込むべきではなかったかと思うのですが、どのようにお考えか、まずお伺いしたいと思います。
  127. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 環境容量という概念といいますか、これがどうであるか、それから、具体的にそれでは瀬戸内海なら瀬戸内海環境容量はいかがかという話になるわけでございますが、ただいま先生からもお話がございましたように、いわゆる自然の浄化力というものを一応環境容量という感じで一般的には考えられるわけですが、ただ学問的にこの面がまだ十分確立しておらないということでございます。したがいまして、この環境容量というものを水質保全行政の一つの目標にするということは、現段階においてはきわめて困難である、かように私は考えます。それでは、水質保全行政の目標というのは一体何をめどにしているかということに相なりますれば、これは先ほど来申し上げておりますように、公害対策基本法に基づきましていわゆる環境基準というものの設定がなされておるわけでございます。海域についてはこういう類型があるというのが一応決まっております。それを生活環境項目につきましては、それぞれの水域の利用目的というものに照らしまして環境基準の当てはめをやっております。瀬戸内海についても当てはめをやっておるわけであります。したがいまして、瀬戸内海水質保全を今後図っていくという際には、われわれといたしましては、この環境基準の達成維持、これが行政の目標である、かように理解をいたしておるわけでございます。  問題は、たとえば総量規制というようなものを今回実施をしていく、その際に、環境基準の達成維持、法律では「確保」という表現を使っておりますが、これが究極の目標でございます。しかし、一挙にここまでいかないということで、目標年度というものを五年なら五年先というようなところに設定をして削減努力をして、一歩でも二歩でもこの環境基準の維持達成に向かって着実に歩を進めていくという手法を考えたようなわけでございます。したがいまして、いろいろ試行錯誤でもいいから、こういう恒久法というものができるときに何かそういう手法を決めるべきではないかというお話でございますけれども、われわれといたしましては、一応環境基準の確保というところを究極の目標にいたしまして、さしあたりCODについては五年先程度をめどにした削減目標量を決めて対処していきたい、かように考えているわけでございます。
  128. 水田稔

    ○水田委員 先ほどの論議も同じなんですが、いま当てはめてある海域ごとの水質現行法三条、また政府案の第三条も同じでありますが、ここにすばらしいことが書いてあるわけですが「瀬戸内海が、わが国のみならず世界においても比類のない美しさを誇る景勝地として、また、国民にとって貴重な漁業資源の宝庫として、その恵沢を国民がひとしく享受し、後代の国民に継承すべきものであることにかんがみ、瀬戸内海環境保全上有効な施策の実施を推進するため、」云々ですから、これはいわゆるいまの当てはめた水質が守られればいいという考え方ではなくて、こういう雄大な瀬戸内海環境保全という根本的な考え方をここで打ち出しているわけですね。そうすると、私、いますぐできるとは思わぬ。たとえば瀬戸内海へ太平洋から何年で水が出入りするかというのは、五十年という説もあれば三十年という説もある。わからないわけですから、それが出てこないことには計算もなかなかできない。あるいは海域ごとの潮の流れ等を解析するにしても、大変なロードが要るわけです。これは呉にある通産省の試験所で私あれを見て、そのときに技術者に聞いたのです。これを使ってそういう計算できますかと言うと、いまのままではできませんが、機械と人を入れて金をかければできるという話もあったわけですが、莫大な金が要ると思うのです。だから、それをやれとは言いませんが、少なくともそういったことを求める、瀬戸内海はどこまでやれば、あるいは入ってくるものをどこまで抑えれば、いわゆる自然の浄化力によって自然環境が、水質が守れるというその手法というもの、あるいは目安というものを求める努力は、この法律の中でも当然すべきじゃないか、このように思うのですが、その点、いかがでしょうか。
  129. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 現在、水質保全行政の目標ということで考えます際には、公害対策基本法に基づいて決めております環境基準の達成維持である、かように理解するわけです。これは水域によっていろいろ違いますので、瀬戸内海についても現在の利水、将来の利水、そういうものも十分踏まえた上で、A、B、Cとかいろいろ類型の当てはめをやっているわけでございます。問題は、その当てはめられた水域がそれでは現在達成しておるのかということになりますと、ただいま先生からもお話がございましたように、五十年に一回水が交換するとかいうようなことも言われております閉鎖的な水域でございますので、現在、当てはめた環境基準さえもまだ達成維持されておらないわけでございます。したがいまして、まずこれを目標にして、着実にそれを達成するように、この達成維持というものを目標にしながら、逐次具体的な施策を講じて水質改善を進めていくべきではないか、かように考えているわけです。先ほども島本先生から、審議会の答申の留意事項の一、環境基準の見直しという問題、当てはめの見直しまでやれ、これを織り込んでいないのはという御指摘もあったわけでございますが、現在、当てはめたものさえもそうでございますので、まず、これを達成するというのが先だろう、また、その後、あるいは見直しということで、より厳しい線に当てはめを変えていくということも今後はあろうかと思います。それは、先の大きな検討課題でございますが、さしあたりは、現在の当てはめた環境基準の達成維持、これに向かって邁進をしていくということが現実的な対応ぶりではなかろうか、かように思います。
  130. 水田稔

    ○水田委員 いまの答弁から、いまの水域ごとの環境基準を守っても瀬戸内海水質はそれでいいとは言い切れないという意味合いだと思うのです。だから、その場合、さらにまた厳しい当てはめの見直しということも言われるわけでしょうから、そうしますと、これは時限立法じゃないわけですから、それへ向かっていく努力ですね、そういうものはどこかに規定すべきではないか。先ほど来言いますように、本来求められるべき水質というのは、個々の基準というのはいまは決められない、しかし、少なくともこういう状態水質ということぐらいは言えるのではないか。いまこの水準まで持っていけということを入れろという意味ではなくて、そういう検討も、この法律が成立した後に、そういう作業なら作業、努力をしていくとか、そういうことは当然やるべきではないか、そういうぐあいに思うのですが、その点はいかがですか。
  131. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 ですから、私申し上げましたのは、環境容量とかという角度の自然浄化力、これを計量的にどうというようなことは、現実問題として、学問的にもまだ確立しておりませんので、これは無理である。無理であれば、それじゃ何も目標なしにきれいにしようと言うだけ言っておるのかということに対しては、そうではなくて、それは環境基準の達成維持というのが水質保全行政の一つの大きな目標である、こういうことを申し上げたわけでございます。したがいまして、瀬戸内海については、個々に当てはめられた環境基準の達成維持ということに向かってかねてから努力をしておるわけでございますけれども、何十年に一回しか水が交換しないというような広大な閉鎖性の水域でございますので、濃度規制で上乗せを大分かけたというようなこともございます。あるいは公防計画によりまして、下水道の整備だとかいろいろな問題も特に配慮をした。しかし、それでなおかつ現時点においては、いま当てはめておる環境基準の達成維持というものがまだできておらないということでございます。今後、産業活動もふえる、あるいは人口もふえるという際に、いまでさえもそうであれば、やはり新たな行政手法というものを取り込みながら、環境基準の達成維持という行政目的に向かって進むべきではないかというようなことから、総量規制の導入ということを新たなる手法として、現在の濃度規制、公防計画の策定に加えた一つの新兵器として、今度の法案の中に織り込んだということでございます。したがいまして、長期的な面ではいろいろなお考えもあろうと思いますけれども、さしあたり当面の目標として考えていくべきものは環境基準の達成維持であろうということを申し上げたわけでございます。
  132. 水田稔

    ○水田委員 それでは、堂々めぐりしますので、いま局長が何回も言われる海域ごとの当てはめた環境基準を達成するのに何年ということをお考えでしょうか。
  133. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 環境基準の達成維持というのが行政目標でございます。その際に、たとえば総量規制ということで考えております際のCODというようなものの環境基準の達成ということはいつになるかということでございますけれども、達成のめどといいますものが、これは明確にはいつということは、遺憾ながら申し上げられないと思います。と申しますのは、現在CODについての環境基準が達成されてないわけでございますけれども、今後もやはり産業活動の伸び、人口の伸びというものがございまして、COD負荷量は増加するわけでございます。他面、排水処理技術の普及、能率のいい排水処理施設が普及するとか、あるいは下水道が整備をするというマイナス要因というものもございます。そういうものを考えて、逐次環境基準の達成維持に向かっていくべきであろうと思います。ただ、今回仕組んだ総量規制の面においては、一応目標年度というものを決めて、たとえば五年なら五年先というものを決めてそれでやっていくということでございます。もちろん、その五年先でまだ達成してないとすれば、恐らくまた次の五年という問題といいますか、次の対応策がやはり考えられるのじゃないか。あくまでも究極の目標は水質環境基準の確保ということでございます。そういうことの着実な努力の積み重ねということによって環境基準の達成維持というのがいつになりますか、明確には申し上げかねますけれども、達成される時期が来るということを強く期待し、希望し、それに向かって進んでいく、こういうことでございます。
  134. 水田稔

    ○水田委員 私は、先ほどの答弁と矛盾すると思うのです。私どもは、わかりませんけれども瀬戸内海を守っていくためにはどこまでやるかというところを、目標を探すこともひとつ努力してもらいたい、こう言っておるわけです。それはいまの法律のもとでは基準がないからそれはできない、こう言われた。いまの水域ごとの当てはめというのは中公審でちゃんと基準が出ておる。それを目標にやればよい。目標に向かって進むのであれば、五年なら五年という年次でやるということを目標なら目標にすべきだと思う。目標があるわけですから、ないのにやれというのではないですから。それは五年が無理なら、もちろん人がふえ、それから下水道が整備される、そういう条件が入ることはちゃんと計算に入れながら、そして何年間でするというのは、やはり行政の努力目標としては当然出てくるべきだと思う。全体の指標を出すということではない、大変計算のむずかしい指標を出すということじゃないのですから、いま現実にある目標に向かって何年で努力ということは、これは当然努力目標として入れられるべき性格のものだ。先ほどの問題とは違うと思うのですね。それも同じようにやってみて、できなければまた五年というのは、それは非常に消極的な考え方ではないかと思う。ですから、少なくともいま定められておる水域ごとの基準については何年で達成するということは言えないことはないと思うのですね。いまの答弁では、五年を一応目安にやるけれども、できなければ次だ、こう言う。少なくともそれをそこまでには達成する、この前は臨時措置でさえ汚染負荷量をCODで三カ年間で二分の一カットする、それで、実際二分の一カットしたと計算されているわけですから、そういう意味での、やはり恒久法になれば、いま定められた環境基準というのは達成する、少なくともそのくらいの意欲を持ってやってもらわぬと、これはせっかく恒久法にしてもむずかしいと思うのですよ。むずかしいと思うけれども、少なくとも環境庁がそのくらいのやはり意欲を持って取り組むべきだと私は思うのです。もう一度、ひとつその点、御答弁願いたい。
  135. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 水質環境基準の達成維持というのが、これがあくまでも水質保全行政の行政目標でございます。したがいまして、われわれといたしましては、この目標の達成のために従来から努力してきたわけでございますが、特にこういう瀬戸内海のようなところは、広域的な閉鎖性水域、周りに工場、人口等が集中をしておるというところでもございますので、なかなか従来の努力だけでは達成できぬということで、新しく総量規制という手法を戦列に加えた、こういうことでございます。  それでは、その戦列に加えた総量規制というものをやります際に、では直ちに環境基準の達成ということで、環境基準とリンクした量というものを目標年度にして、これを五年なり十年で達成するかという話になりますと、現実問題として、この環境基準の全面的な達成維持というものを前提とした目標量の設定というのがきわめて実施困難である、非現実的なものになるというふうに考えられます。したがいまして、むしろわれわれといたしましては、実施可能な限度で、やはり目標というものはただ飾っておけばいいというのでございませんで必ずそれは達成してもらうということに立って実施可能な削減目標量を決めて、それは五年先であれば五年先というもので決めて、それでCODの汚濁負荷を出すもの、すべてのものが企業には規制ということになりましょう、大きいところのものは。小さいところのものは削減努力。一般家庭にも努力をしていただくという国民運動的な気分で、考え方で、この水質浄化とCOD削減ということにともども努力をしていただいて、それで現実的に達成可能な目標というものに向かって、まず五年なら五年間で努力していただく。それで達成をした、しかしまだ将来の行政目標たる環境基準の達成維持というのには手が届かない、それだったら第二弾をやるということで、逐次その目標に向かって進んでいくということが現実的な行政手法としてのあり方ではなかろうか。今後、産業活動の伸びがどうかという場合も、二十年先、三十年先というのは国の方も計画はございません。したがいまして、県の方にどうだと言いましても、やはり五年先ぐらいの県勢発展計画はありましょうけれども、そういう先のものもございませんので、その辺はやはり現実的なそういう計画等もよくヒアリングして踏まえてやっていくのが現実的な対応ではなかろうか、かように考えておる次第でございます。
  136. 水田稔

    ○水田委員 ますますわからぬようになりましたね。この法律をつくって一体何年でこの三条に言う状態瀬戸内海に返そうというのが環境庁のお考えですか。  それからもう一つは、さっきはそういうぐあいにお認めかと思ったが、違うようですが、いまの海域ごとの環境基準が守られればこれで瀬戸内海は一切大丈夫、こういうぐあいに御判断かどうか。その二つをひとつお答えいただきたいと思うのです。
  137. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 現在、環境基準というものの達成維持が目標でございまして、その環境基準の当てはめというものを現にやっているわけでございます。その当てはめた環境基準といいますものが、これがまだ達成をされておらない、これの達成というのが行政目標である、したがって、これに向かって邁進するということでございます。問題は、先ほど島本先生から御指摘いただきましたのは、審議会の答申の際に留意事項というのがある、それにはその当てはめの見直しということも検討すべきだとされておるが、その分については今度閣議決定した基本計画には何ら触れておらぬではないかということを指摘されたわけでございます。ですから、環境基準といいますもの、このものを当てはめたものの達成維持が目標でございます。しかし、これを当てはめたものを達成するのがまず先決でございますけれども、これの見直しということは全然あり得ないのかと申しますれば、現在でもSOxにつきまして見直しの関係を大気局で作業中でもございます。私が言っておりますのは当てはめの見直しなんでございますけれども、やはりその後の利用目的等もございますし、そういう面に照らしての見直しというものは、これはあってもいいと思います。しかし、現在がまだ当てはめたものが達成してないので、それは先の検討課題であろうということで、基本計画にはまだ織り込んでおりません。織り込まなかったわけでございますということを申し上げたわけでございます。いずれにいたしましても、見直しても見直さなくても、いずれも概念としては環境基準の世界の中での話でございまして、環境基準の達成維持といいますものがわれわれの水質保全行政の行政目標であるということでございます。
  138. 水田稔

    ○水田委員 もうそんなに同じことを何遍もくどくど答えていただかなくていいのです。一つは、いま当てはめられた環境基準が守られれば、それで瀬戸内海環境保全というのは水質に関しては事足れりと私は考えていない。局長はそれでいいと考えておるのか、そこまで行けば。それを行政の目標と言うのは私はわかりますよ。だけれども、実態としてどこまでやったらいいかというのはいま計算のしようがない状態です。ですから、その点は達成すれば事足れりと考えておるか。そうではないと考えておる節の答弁がずっとあるわけですよ。だからそれは、それだけではいけないかもしれぬ、そういう点はよく調べないととか、そこまで持っていった状態の中でさらに再検討しなきゃならぬのならならぬということを言ってもらえればいいです。  それからもう一つは、いま当てはめられた環境基準を守るために、決めても何年でできるかわからぬようなことでは、ここまでよごれてきた瀬戸内海を本当に回復させようという意欲に欠けておると言われても仕方がないと思う。少くとも、いま当てはめられた水質については、たとえば十年なら十年、そしてそれは五年ごとの二カ年計画でやる、そこでさらに、その間に将来どこまで持っていくかという検討をした上で改めて水質の当てはめを再検討するならするということならわかるわけです。それを言っているわけです。だから、いまの基準に何年で持っていこうとするのか、それはこの法律をつくると同時に環境庁の姿勢の問題を示すわけです。ここまではむずかしいけれども、十年で五カ年計画の二回でやるのだ、もう一つは、そこまで行った段階で、それだけで十分かどうかというのは十分わからぬから、先の問題はさらにその時点までに調査を進めて、この法律の精神に適合するような検討を進めるなら進める、私はそういうことならわかるのですけれども、どうも先ほどから同じことを答えられておるから、いま私から申し上げたことをおわかりいただけると思うので、二つだけ答えてください。
  139. 久保等

    久保委員長 答弁者に委員長の方から申しますが、もう少し簡明直截にひとつ御答弁願います。
  140. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 それでは簡明直截に申し上げますと、環境基準の達成維持がどのくらいでできるか、五年か十年か二十年か、感触として申し上げますと、恐らくその間にはできないと思っております。したがいまして、先ほど来いろいろ申し上げました将来の検討課題というのも相当先の話でございます。しかし、われわれは、環境基準の達成維持は、水質保全行政の行政目標としてそれに向かって邁進しなくちゃならぬ責務があるわけでございますので、それに向かって着実に進んでいくということで、まず五年先のものの削減目標は実施可能の範囲で決める。そしてその時点でまた次のあれを実施可能の範囲で決める。一歩一歩、カメの歩みかもしれませんがやっていきたい、こういうことを申し上げておるわけでございます。
  141. 水田稔

    ○水田委員 これは大臣にぜひ聞きたいのです。大変重要な発言なものですから。私どもは、いまの当てはめた水質環境基準が守られて、それだけで一体瀬戸内海はいいかどうか、まだまだ疑問を持っているわけです。それを何とか、とにかく取り返そうという気持ちで瀬戸内海法後継法の問題に取り組んできたわけであります。しかし、この法律でやって五年たっても十年たっても二十年たっても、いま行政目標とされておる基準さえ達成できないということなら、それができるように、もっとほかの項目についても厳しい規制をするという法律でなきゃならぬ。大臣はその点はどうなんですか。この法案は、いまの瀬戸内海の実態についてまだまだそぐわないほど非常に手だての薄い結果になっておる。各省の論議の中でなったのでしょうが、そのことについては大臣は責任がある。少なくとも、それは、二十年なら二十年目標で、五カ年計画で四次でやりますとか、あるいはここまでぐらいならぼくは十年で、五年五年ぐらいでやってもらいたいと思うのですが、それができないような法案になったということについて、大臣はどういうぐあいにお考えになるか、聞かせていただきたいと思います。
  142. 山田久就

    山田国務大臣 簡単にお答えします。  ちょっと誤解があるんじゃないかと思うのです。われわれは瀬戸内海の水をできるだけ早くきれいにしたいという信念と熱意に燃えておるのです。現在なぜそれがいまの環境基準にも達していないか、理由があるのです。それは、これを汚している家庭の雑排水とかそういうものの規制、コントロールですね。たとえば下水道の整備をわれわれは非常に熱望して鞭撻しているけれども、まだそこにいってない。あるいは個人のいろいろな汚物とかそれから家庭排水も、そういう意味でコントロールされてない。あるいは中小企業の五十トン以下のところのそれもまだ達成されてない。しかしながら、やがてこういうものが規制されて、そうして一日も早くその目的を達するためには、やはり一つの体制づくりをやらなければいかぬ。そこで総量規制というようなものも、各方面のなかなかむずかしい問題があるにかかわらず、そういう体制をつくってそのもとに今度は進んでいこう。いま法制で全部を規制していこうといっても、まだなかなかでき上がっていないことで、いまコントロールできないけれども、とりあえずその点については行政指導という形で、少しでもその目標を達成するために、われわれはそういう決意を持って体制づくりに進んでいこう、こういうことでございます。しかしながら、いますぐここで目標がどうだこうだと言うことは、熱意はあふれているけれども、そういう問題を抱えているから、それは技術的にちょっと不確定な要素があるので無理だ。しかし、その決意を持って総量規制にまで入っていったらというわれわれの政治目標、そういう点を御理解いただければわかっていただけるのじゃないか、こう思うわけでございます。
  143. 水田稔

    ○水田委員 下水道がおくれておるのは、何もその地域住民の責任じゃないわけです。私は、政府の責任だと思うのですよ。  大臣、それじゃお伺いしますが、瀬戸内海沿岸の下水道整備を促進するためには何と何をやれば進むとお考えでしょうか。
  144. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 下水道の整備でございますが、一つは、これの事業量に見合った財政的な裏づけが必要かと思います。それで現在の第四次下水道整備計画、これは全国ベースで申し上げますが、五十一年から五十五年まで予備費を含めまして七兆五千億という計算になるわけでございます。最終的には、五十五年度末で全国ベースで四〇%に引き上げたい。これは五十一年度からスタートしていますが、五十年度末が二二・八%でございます。それで考えますと、私も環境基準のあれを、同じことを繰り返してもというので非常に端的に申し上げたんですが、一%上げるのに大体四千億かかるわけでございます。現在の下水道の整備が、五十一年度末で全国ベースで二四%でございます。したがいまして、今後これをさらに七四%、あと五〇%上げるとすれば、目の子で見ますと二十兆円でございます。この二十兆円を国費及び県費あるいは市町村費で出すわけでございますが、これが簡単に五年でいくかという話になりますと、現実問題としてはなかなかいかないのではないか。そういうことも念頭に置きまして、総量規制ということで産業排水生活排水、これを対象にして、汚濁を流す者はすべて削減努力しましょうということで国民運動的にやりたいと思っているわけですが、問題は生活系排水対策のおくれでございます。したがって、このおくれを取り戻すためには、膨大な財政投資が国、地方公共団体に要請されるわけでございますが、現在の情勢並びに今後の安定成長の伸び率等を考えますと、五年で、十年でというわけにはいかないのではないかということを念頭に置いて、先ほど感触ではございましたけれども、はっきりした簡潔な答弁をせよという重ねての御要請でございましたので、そう簡単にはいかないのでございますということを申し上げたわけでございます。
  145. 水田稔

    ○水田委員 いまの答弁よりもっと簡潔にお願いしたいのです。私は、大臣にそんなことをお伺いする気持ちはなかったのですが、政府の責任をたなに上げて——いままで瀬戸内海沿岸の下水道の整備がおくれてきたのは、社会資本に対する金のかけようが少なかったからという、そういう責任があるわけです。そこで、進めるためには、一つは事業量の傾斜配分をよそよりはやらなければならぬでしょうし、それから、市町村なりの財政を考えれば、その部分については補助率を上げるというようなことを考えなければならない。そういう努力大臣がされたかどうか、その上でそういうことがあるのですと言われるならいいのです。むしろこの目標が二十年たってもできぬというばかげた話にはならぬ、もう少し大臣が、本当にやる気なら。この法律をもっとすっとしたものにして、この法律の第三条に書いてある、こういう瀬戸内海を守るとするならば、やるべきことがもっとあったじゃないですか。もっと本気でそこらあたりは取り組むべきではなかったかということを言いたいために、大臣にわざとお伺いしたわけで、そういう細かい何千億ということは要らぬわけです。その二つのことをやったかやらなかったか、あるいは、今度の問題でこの中には出ておりませんが、大臣がそういう努力をされるかどうかですね。いま申し上げた予算の事業費の傾斜配分、そして、そこでは一般的な、全国で二四%というのは関係ないわけです。とにかく、あの閉鎖水域に入る分だけは何としてもほかよりも早く下水道整備をしなければならぬとすれば、補助率を上げなければ市町村は事業はできないわけですから、そういう点について大臣はどういう取り組みをされるか、それをひとつ御答弁いただきたいと思うのです。
  146. 山田久就

    山田国務大臣 私も、世の中のいろいろなキャリアをしてきまして、そうでくの坊でもないと、こう思っておるのでございますけれども、しかしながら、いま御指摘の点、まさにそのとおりでございます。したがって、事実、今年度予算について大変われわれも力説しまして、それで下水道というものについて非常な努力を、私も閣議でも主張いたしました。ただ、いま言われる地域の差別を設けるという点は、これは御指摘の点ももっともなのでございますけれども、これには長いいろいろないきさつがございまして、したがって、明文上これを差別するという問題は、私もでくの坊だとは思っていませんけれども相当な力は持っておると思っておりますけれども、しかしながら、これはなかなかむずかしい問題になっているわけでございます。一々ここのところでは申し上げませんけれども、これは大変むずかしい。したがって、実際問題として、その努力の点を行政上の裁量ということで、この方面について、ひとつできるだけ瀬戸内海の、この法律の趣旨に合するように、いろいろ各方面でも力添えを得る、こういう点については私もやった。各みんな協力して、その点については努力いたしました。それなりの事情、なかなか御理解いただけないかとも思いまするけれども、ひとつ御理解いただければ幸せだと思っております。
  147. 水田稔

    ○水田委員 大臣、差別なんて言われるとぼくは大変だと思うのですが、差別じゃないのです。これは、現行法にも、臨時措置法でも、この瀬戸内海沿岸については特殊性につき十分配慮というのは入っているわけですから、当然の義務として建設省に要求を、これまでもしてこなければならなかった問題です。そういう点で、さらなる努力要望しておきます。  質問がちょっと飛びましたけれども、下水道へ入ったものですから。先ほどの島本委員の質問にも建設省の方からお答えがあったのですが、傾斜配分と補助率のアップをやらなければ実際には瀬戸内海沿岸の下水道の整備というのは進まないと思うのです。全国平均みたいなところでやられたのでは、先ほど来言っておるように、二十年たっても現在当てはめた環境基準は守れないということを担当の局長が言われるわけですから、建設省どうですか、その二つの点は。傾斜配分というのは、これは予算の中での行政裁量ということであっても、心がけをきかしていただけばいいわけですが、補助率のアップは、その点ではこの地域については法律の改正まで伴う問題です。その点について建設省はどういうぐあいに考えておられますか。——来ておられませんか、それじゃ建設省は後にします。  それでは、この問題ばかりやりましても時間が経過いたしますので、なお、大臣なり局長見解としては、瀬戸内海環境保全するためにはまだまだ不十分な点がある、こういうぐあいにお考えだということに理解して先へ進めたいと思います。  次は、これだけの汚染がされた地域ですから、確かにいろいろな規制についても各省からの注文もあって十分な規制ができないにしても、一つは、ここまで来ますと、埋め立てが無差別にやられていって、そういう中で海岸が荒されている、そのことが自然環境の問題なり、稚魚の育つ場所をなくしていったり、というようなことになってきたわけでありますし、また、播磨灘には大量の重金属を含んだヘドロ、大阪湾なんというのは何メーターあるかわからぬぐらい、あるいは三豊ではパルプの廃液の問題、あるいは水島港では高濃度の油分を含んだヘドロ等が堆積しておるわけです。そこで、これは一遍にいらいますと二次汚染の問題とか、さらに生態系を破壊するという、今日汚れたままでできておる生態系というのが狂ってくるという問題がありますから、できないにしても、少なくとも瀬戸内海環境保全していこうとすれば、一つ規制一つはこれまで汚された、壊されたところを復元していくということが柱にならなければ、本当の意味七の環境を守るということには、保全していくことにはならぬと思うのであります。残念ながら、この環境庁の案にはそういった復元の考え方というのが表へ全く出てないわけです。その点について、いま私が申し上げたような自然海浜の問題なりあるいはヘドロの問題なり、慎重にやらなければならぬ問題ではありますが、少なくともこれから規制を強めていくと同時に、この面は取り組むべきことだ、こういうぐあいに思うのですが、御見解を聞きたいと思います。
  148. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 冒頭ちょっと申し上げますが、先ほど、この環境基準の達成というようなことで、相当年数もかかる、非常にむずかしい問題だということを申し上げたわけですが、そのことによりまして、この後継法につきまして、あるいは総量規制の導入の水濁法はきわめて不備である、こういうふうに理解するというお話でございますが、私の方といたしましては、そういうような実態がございますので、むしろそういう面をさらに強化していく。現在の濃度規制あるいは公防計画の策定というようなことで対処してきたわけですが、それだけでは不十分なので、総量規制という枠組みをこの際導入して、それに向かって前向きに取り組んでいく、こういう積極的な、意欲的な姿勢で臨んでおるというふうに御理解をいただきたいというふうに思うわけでございます。  それから、次いでお尋ねの方に入りますが、これは、復元というのがさっぱり入っておらないということなんですが、ただ私の方でも復元ということの概念が十分わからぬわけでございます。たとえば、ヘドロという話も出ましたが、ヘドロにつきましては、水銀、PCB等の有害物質を含んでおります汚泥、こういうものにつきましては、企業負担を軸にしながら早期に除くべきであるということをやってまいっております。さらに一般的にも、港湾等につきましては運輸省の方で精力的にしゅんせつをやっておられますし、河口部につきましては建設省におきましてヘドロのしゅんせつをやっておる、さらに水産庁におきまして漁港区域内とかあるいは広く漁場の機能回復という角度でヘドロの除去等にも取り組んでおられるわけでございます。したがいまして、今後ともそういうたぐいのヘドロの除去、それをすることによって復元をするということについては、当然その方向で必要な地域についてはヘドロの除去を展開していくべきだ、かように考えております。  それから、海浜の問題につきましても、いろいろ埋め立て等によって海浜が失われているという向きもあろうかとも思います。しかし、こういう面につきましても、今後いろいろ養浜事業というような人口養浜の関係等も運輸省等においてもいろいろ考えておられますし、そういう意味ではこれも一種の復元ということかなという感じもいたします。  そういうことで、必要な分野につきましては、逐次そういう面の事例として挙げられたヘドロなりあるいは養浜事業等は講じてまいっておる、今後とも講ずるつもりでございます。
  149. 水田稔

    ○水田委員 局長、運輸省がやるしゅんせつというのは、あれは別に環境問題じゃないのです。あれは悪くするかもしれません、航路の問題でやるわけですから。それから建設省がやるあれは、これも環境問題でやるわけじゃなくて、河川の治水の問題だろうと思う。ですから、それは問題外のものが入っているわけでありますから、私が申し上げましたように、瀬戸内海環境問題をこの法律でとにかくやろうということになれば、柱は二つあるわけですね。一つは、とにかく規制という問題、一つは、これまでに野放しのような形で荒らしてきた瀬戸内海を、復元という言葉がわからなければ、回復のための措置でもいいですし、もとに近いところへ取り戻すための措置と言ってもいいと思うのです。しかしそれをやるにしても、大々的にやることは大変危険だということは私も知っておりますから、そうじゃなくて、単にPCBとか水銀とかそういうものがあるところだけではなくて、もっと多くのもので汚されておるところを計画的にやった方が、全体の環境を見ながら、コントロールしながら回復を図っていくことの方がいいのじゃないか。それは個々の官庁よりも、瀬戸内海問題をこの法律でやろうとするわけですから、当然この中で二つの柱の一つとして復元問題を考えるべきではなかったか。いま説明されたことではきわめて不十分だと私は思います。十分できるということは納得できませんが、さらにそれを進めるためには、この法案に入れずにやれる方法があるなら教えていただきたいのです。
  150. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 ただいま先生お話で、一つ規制というやり方で、今後発生する汚濁を規制等によりまして削減するという問題、そういうのが一つ当然あり得る。それからもう一つは、たとえば過去において蓄積したヘドロ、こういうものの除去というようなことによりまして、蓄積したものから出てまいる二次汚濁といいますか、こういうものに対処していくという二つのことをやるべきではないかという御趣旨かと思います。  問題は、たとえば水質ということで見ます際に、CODというようなものにつきましても、現在のフローといいますか、この面の規制ということによって環境基準の達成維持に向かっていくわけでございますが、もう一つは、蓄積しているヘドロ、そういうものからのいろいろな溶出等によるもの、あるいはプランクトンの発生に伴います内部生産、二次汚濁と言われますが、この辺の対策というのがありませんと、環境基準の達成維持はCODについても非常にむずかしいわけでございます。この面につきましては、中公審の水質部会でも総量規制をやります際にいろいろ検討されましたけれども、この二次汚濁、ストックの問題、これは非常にメカニズムがまだよくわからぬ、この面については今後とも取り組むべきであるという御指摘をいただいております。しかし、それまで、全部わからない問題は、何も新しい手法はやらずに、濃度規制で、あとは公防計画の策定でやっていったのでは何ともならぬので、とりあえず一次汚濁でも対処し得る枠組みを早くスタートをさせたい、そして着実に一歩でも二歩でも、カメの歩みかもしれませんが、環境基準の達成維持に向かっていきたいということで考えておるわけでございます。
  151. 水田稔

    ○水田委員 それではこの問題の最後に聞きますが、たとえば二次汚染なり、現在成り立ってきておる生態系を大幅に崩さない形の中で部分的な人工海浜をつくること、あるいは人工藻場をつくること、あるいは高濃度汚染海域のヘドロをしゅんせつすることは、瀬戸内海環境保全上それは効果があるものか、全く効果がないものか、その点はどういうぐあいにお考えですか。
  152. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 たとえば、いま挙げられました中でもヘドロでございますが、これは有機汚濁のヘドロ、相当濃厚なヘドロというものは、今後とも回収といいますかヘドロの除去はやはり進めていくべきものではなかろうかと思います。  その際の費用負担問題がございます。たとえば、先ほど先生が挙げられました三島、川之江のパルプ工場のあれということになりますれば、それは経費負担等もそこが中心になろうと思いますけれども、その費用負担問題は別にしまして、企業にしろあるいは国の面でも予算措置を拡充する等して、そういう問題はやはり取り組んでいくべきものと思います。  それから、藻場なり人工海浜の問題につきましても、これはなるべくそういう環境整備事業という角度でいろいろ運輸省なり建設省も取り組んでおります。ただ、河口の洪水時のあれとか、あるいは航路の関係でというだけではなしに、最近は大分環境整備といいますか、そういう角度も加味していろいろ検討しておられるようでございますので、こういう面も極力充実してもらおう、こういうふうに考えております。こういう面はやはり水質保全その他の面にプラスになる、こう理解をしております。
  153. 水田稔

    ○水田委員 そこで、今度の法案で、自然海浜の問題については、勧告、助言ということになっておるわけです。これは一体この程度のことで十分な効果を上げるのかどうかという疑念があるわけですが、その点はいかがですか。
  154. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 瀬戸内海自然海浜、これの保全という面におきましては、大きなウエートを占めますのは自然公園法であろうかと思います。もちろんそういう面で相当保全されておるところがあるわけでございますけれども、他方、そういう大きな網のかぶっていない小さな海浜があるわけでございます。しかし、これがまた海水浴場なり潮干狩り等地域住民の方々に非常に利用されておるという実態もあるわけでございます。したがいまして、こういうものを保全するというような仕組みを何か考えるべきではないかということで、今回、後継法の中にこの関係規定を織り込んだわけでございます。ただ、この織り込みました姿のものは、これはあくまでも関係府県の固有事務という角度で仕組んでございます。したがいまして、関係府県が条例によって地域指定もできるし、また条例によりまして工作物の設置等の行為、これは届け出制にするし、そしてその届け出を見て、これはどうも問題かなというところは助言、勧告というような仕組みにしたわけでございます。  それで、いまのお尋ねは、この助言、勧告というのはなまぬるいんではないか、むしろこれは行為規制、公用制限というような角度のものでやらないと効果が上がらぬじゃないかという御趣旨かと思います。問題は、これは助言、勧告あるいは行為規制ということにおいては多少の差異は確かにあろうかと思います。しかし私は、この制度の一番の大きな効果は、むしろこういう制度によりまして、一応の固有事務ではございますが、自然海浜保全地区として指定をされたというこの現実が非常に強い大きな効果を持つものというふうに強く期待いたしておりまして、勧告、助言と行為規制という面については、規制の方が助言よりは強いというのは法律的にもわかりますけれども、むしろ大きな効果は、その指定効果が非常に大きいものと理解をしておりまして、その辺をこれで十分であろう、こういうふうに最後は判断をいたしたわけでございます。
  155. 水田稔

    ○水田委員 局長は、規制と勧告、助言というのは違うということはよく御承知だし、また、規制でやりたいというお気持ちがあったということも事実だろうと思うのです。法案としては、こういうぐあいに出てきたわけですが、これで県なり市町村が固有の事務として条例制定する。これは法律的な問題として、条例の中に罰則を入れることはできますか。
  156. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 条例につきまして罰則を設けることは地方自治法上認められております。
  157. 水田稔

    ○水田委員 それでは、海上保安庁来ていただいていますね。  先ほど島本委員の質問に対して、瀬戸内海における船舶の事故の状況が御説明あったわけですが、これは事故率はどの程度になっておりますか。たとえば一万トン以上の船舶の航行数に対する事故率、これが外洋における場合、いわゆる瀬戸内海以外の日本の周辺における場合、そういう点はわかりませんですか。
  158. 渡辺純一郎

    ○渡辺説明員 私どもの方では要救助海難船舶というものの実数はつかんでおりますけれども、保有船舶に対して、あるいは航行の程度、何マイル船が航行したかということに対しましての事故率という計算は、現在時点では行っておりません。
  159. 水田稔

    ○水田委員 それでは、瀬戸内海のようないわゆる狭水道といいますか、狭い海域と外洋との間では、事故の起こる確率といいますか、その辺はどうですか。
  160. 渡辺純一郎

    ○渡辺説明員 日本沿岸の海域におきまして海上保安庁で関係いたしました要救助海難船舶というものにつきましては、やはりふくそう海域でございます東京湾、伊勢湾それから瀬戸内海の三海域につきましては事故の占める割合は非常に高いという結果が出ております。
  161. 水田稔

    ○水田委員 たとえばの例ですが、二十万トンから二十五万トンぐらいのタンカーが大体十二万キロリットルぐらい、まあ半分ぐらいおろして内海に入るわけですが、それは内海を走る場合にどの程度のスピードで走り、とっさの場合かじを取ったときに、そのスピードならどの程度から、かじがきき始めるものですか。
  162. 渡辺純一郎

    ○渡辺説明員 船舶の操船性能に関する所管は海上保安庁ではございませんけれども先生指摘の大型タンカーにつきましては、その操船性能が悪いことは自明の理でございまして、私どもはこういうことを前提といたしまして、瀬戸内海地域を初めとするふくそう海域につきましては、海上交通安全法海上衝突予防法、港則法等により必要な規制を行っているところでございます。
  163. 水田稔

    ○水田委員 タンカーだけでなくて、大型の船が操船上大変やりにくいもので危険が多いということは言えるわけですね。そうしますと、タンカーと他の貨物船との衝突も大変危険だし、午前の説明の中でも相当の事故が起こっておるし、実例もあるわけでありますが、現在の航行規制というのが、明石海峡なり備讃瀬戸なり水島航路なり、そういうところでありますが、釣島とかクダコという狭水道、ここで事故も起こったわけでありますが、それ以外にも、いまのこの状態の中で航行の規制考えないと、こういう狭水道における事故というのはなかなか防げないのじゃないか、そういう気がします。特に私ども心配するのは、三菱石油で例があったわけでありますが、あれは陸上のタンクでありますが、一たん大型タンカーが、これまでは全部出ておるということはないのですが、積んでおる十万キロリットルとか十二万キロリットルが全部出た場合には回復することのできない損害を与えるという心配をするから、こういう大型船舶の航行については何らかの規制考えるべきじゃないか、こういうように考えておるわけですが、いまやっておる規制で十分とお考えか、さらに何らかの航行の規制をお考えになるのかどうか、その点、ちょっと聞かせていただきたいと思います。
  164. 渡辺純一郎

    ○渡辺説明員 先ほど申し上げましたとおり、瀬戸内海地域につきましては八つの航路を指定いたしまして、一定の長さ以上の船舶に対しましては、航路航行の義務づけ、航路の右側通航、速力制限等の特別な航法を遵守させまして、船舶交通の整理を図っておるわけでございまして、さらに巨大船等に対しましては特別の灯火、標識を義務づける。さらに航行予定時刻等を通報させまして、進路警戒船の配備をすべきこと、あるいは夜間を避けまして昼間に航行すべきこと等の必要な指示を行うことによって船舶交通の安全を図っているところでございます。また、海上衝突予防法によりまして、それ以外の狭水道につきましても右側端通航の特別の航法の規制を行いますとともに、夜間灯火の表示を義務づけること等、灯火あるいは形象物の表示義務をも課しておるわけでございます。さらに港則法によりまして、港内における特別の航行上の規制をかけることを行っておりますが、また大型タンカーにつきましては夜間入港を禁止するというような規制を行っているわけでございます。さらに一般的な規制としまして、海上交通法令の遵守の徹底、海難防止思想の高揚、あるいは当庁の巡視船艇による指導、取り締まりの強化等、船舶交通の実態に応じまして所要の安全対策を講じておりまして、万全を期しているところでございます。なお、今後、瀬戸内海における船舶の交通状況に変化がありますれば、それに対応しまして所要の対応措置考えてまいりたい、かように考えておるところでございます。
  165. 水田稔

    ○水田委員 いまの前段で読まれたこと全部がまともにやられておれば、事故が起こるわけがない。それで事故があるから、事故が起きないような方法を何か考える必要があるんじゃないか。  そこで、いま釣島、クダコの御答弁がなかったですが、そういうところで現に事故が起こる。先ほど答弁のあったことから言えば、それがきちっと守られていれば事故が起こるわけはないわけですから、そういう点では、一つ瀬戸内海全域についてなお危険なところもあるし、そういう航路指定をしたところでも事故が起こるわけですから。たとえばトラフィック・セパレーション・スキーム・システムとか、そういったことをもう少し——この瀬戸内海の特別法でやることは、海員組合等も違う法律の中で規定されることは実際航行をやる場合に困るという話もあったわけでありますが、しかし、海上交通安全法なり海上衝突予防法なりあるいは航行の安全に関する諸法の中で、いまのままではわれわれとしては安心することはできないし、それから年々の交通量を見ましても、年々大型の船が瀬戸内海へ入ってきておる。これはある程度の船舶通航の容量というものも考えなければならぬという時代も問もなく来ると思うんですね。ですから、状況の変化ということは、たまたまこの四十九年、五十年、五十一年と生産量が落ちておるからこの交通量ですけれども、このままでいいわけじゃないわけでありまして、いま五〇%か七〇%の操業率の鉄鋼なり石油化学なりが八〇%から八五%の操業率になれば、当然それでなくてもふえてきておる船がさらに一挙にふえるという事態があるわけですから、そういう点では海上交通に関する法律の中で何らかの実効ある法改正というものを考えなければならぬと思うのですが、そういう点で何か御検討なさるお考えがあるかどうか、聞かせていただきたいと思います。
  166. 渡辺純一郎

    ○渡辺説明員 先生最初の御質問のときに答弁が不十分だったわけでございますが、わが国の沿岸海域におきまして起きました海難事故は、五十二年は八百二十九隻あるわけでございます。この海難原因を見てみますと、その八十数%が見張り不十分、船位不確認、操船不適切等の運航の過誤によるものと思われるものが占めておるわけでございまして、私どもはまず第一に、そのいろいろな法律関係規制の徹底ということを考えまして、講習会あるいは海難防止思想の高揚あるいは海難防止強調週間の実施というようなことで安全の確保を図っておるわけでございます。さらに、先ほど先生から分離通航の話が指摘されたわけでございますけれども、海交法の航路以外に、友ケ島水道でございますとか釣島水道につきましては、行政指導といたしまして通航分離帯を設けまして分離通航の指導を行っておるということでございます。
  167. 水田稔

    ○水田委員 法律を見ると、それを守れば一つも事故は起きぬようになっているわけでしょう。それが現に起こる。外洋で起こっても困るわけでありますが、少なくとも瀬戸内海という特殊な地帯を考えるときに、まあ一〇〇%ということは言えないにしても、九九・九九九というスリーナインぐらいの確率で事故が起きないという対策を講じなかったら、これは大変なんです。ですから、この瀬戸内海法へ本来入れてもいいわけですが、そこらあたりいろいろ事情があって入らなかったわけであります。しかし、だからといって瀬戸内海の航行の安全の規制がいまのままでいいとはだれしも思ってない。ですからそれは所管の海上保安庁の方で、安全のための措置を、法改正が必要な部分についてはやるとか——行政指導だけでは私は足りないと思うんですね。そういう点、ぜひ検討してもらわなければならぬと思うのですが、いまの御答弁では、何回聞いても検討されるお考えがないようです。  それではもう一つ関連してお伺いしますが、瀬戸内海に入ってきておる大型船舶、これはタンカーだけではなくて、大きい外航船で、外国の船でたとえば置籍船というのがありますね。それはどの程度の比率入っていますか。
  168. 渡辺純一郎

    ○渡辺説明員 私どもは、船舶の航行規制に関しましてはいずれの国籍も問わず規制を行っておりまして、どこの国の船籍であるかということについては所管でもございませんし、ただいま、まことに申しわけございませんがデータを持ち合わせておりません。
  169. 水田稔

    ○水田委員 別に置籍船だから差別して取り締まれという意味じゃないのですが、これまで国際的に大きな事故が起こっておるものの多くはいわゆる置籍船によって起こっておるという事実から見れば、瀬戸内海の航行の安全という点から言えば、そこらあたりは、一つは事故が起こったときの後処理の問題も国際的に問題になるし、もう一つは、そういうところは非常に安い賃金で船員を使うために、船長だけは先進国の人が乗っておっても、あとは本当に船員として通用するかどうかという者を乗せて通るというところにもこの瀬戸内海での事故の問題があるわけですから、海上保安庁としては、航行の安全という点からでもそういう点はちゃんとチェックして、そういうものが何回も入ってくるなら、そんなものは入ってくれるなというくらいのことはやらなければ瀬戸内海の航行の安全は図れない、こういうぐあいに私は思うわけです。ですから、航行の安全の問題について、海上保安庁として瀬戸内海については、瀬戸内海法には入れなかったけれども、独自でさらに安全確保のための検討を、いまのままでいいとはどんなことがあっても言えないはずですから、検討する、何遍でもそれは言います。時間が来るまででもこれは言いますから、あなたでだめなら、局長なり長官なりに来てもらうまで質問を留保してでも待ちますから、御答弁願いたいと思います。
  170. 渡辺純一郎

    ○渡辺説明員 ただいま先生から御指摘のありました外国船舶の対策につきましては、私どもも外国船舶の安全対策を十分に考えなければいけないということで、一昨年来、各港ごとに外国船の安全対策協議会というのを設けさせまして、外国船に対しましては諸種の対策を講じさせているところでございます。さらに瀬戸内海等の狭水道に入る場合には、ふなれな外国船に対しましては水先人の乗船を徹底させるということを行いますとともに、いろいろな海上交通関係の法令につきまして外国の文章によるパンフレットを作成しまして、配布等の業務を行いまして安全対策を期しておるところでございます。なお、今後、交通状況の変化に対応いたしまして、瀬戸内海における海上交通規制等については対策を検討してまいりたい、かように考えております。
  171. 水田稔

    ○水田委員 検討していただくということですが、どうも答弁を聞いておりまして積極的にそういう感じを受けないものですから、帰られたら、この委員会で、瀬戸内海法に入らなかったけれども、この瀬戸内海の航行の安全ということについては検討するようにと非常に強い意見があった、こういうことはぜひ長官まで伝えてもらいたいと思います。  そこで、いまの答弁の中で、そんな答弁をされると、海上保安庁はじっと現状、実態を見て、本当に安全についてやっておるんだろうかという疑問がわくので、ちょっと申し上げておきます。が、たとえば瀬戸内海に入る外航船で水先案内人を乗せることが港によって指定されているところ、指定されていないところもあります。そして、その船長は三回その港に入れば水先案内人をつけなくていいのです。そうですね。それ以上は義務づけられない。それから、水先案内人は二十万トン、二十五万トンの操船をずっとやってきた人がほとんどではないわけでしょう、老齢の方々、一万トン前後の船を操船してこられた方。一万トンと二十万トンの船の操船の仕方というのは全然違うわけです。それを水先案内人をつけてというようなことで安全と言われるのであれば、海上保安庁は実態を余りにも無視した安全対策考えておると言わざるを得ぬわけであります。本当の意味での瀬戸内海というのは、一回大きな事故があればほとんどの漁業が壊滅をするという危険をはらんでいるということを、海上保安庁も十分腹に入れて安全という問題に取り組んでもらいたい、このように思います。  それからもう一つは、担当かどうかわかりませんが、船舶の構造で、普通の大型船は皆二重底ですが、タンカーは二重になっていないわけです。ただ、国際的にはいま、やはり安全ということから二重底にすべきではないか、あるいはいわゆるバラストウォーターを入れるタンクを別に、金はかかっても海洋汚染という観点からやったらどうかというような意見が出てきておるわけでありますが、タンカーは二重にしたらぐあいが悪いことが何かあるのでしょうか。それはわかりませんか。担当が違いますか。——それでは、答弁する人がおられぬようでありますから、それはやめておきます。  それでは、発電所の問題ですが、これも島本委員から質問をされたわけでありますけれども、原子力と火力は若干現行の手続が違うようであります。原則的な流れは同じのようでありますが、発電所を建設する場合の環境問題だけで結構ですが、そういう手続がどういうぐあいにされておるか、これは通産省の方に来ていただいておると思いますので、ひとつお答えをいただきたいと思います。
  172. 服部典徳

    ○服部政府委員 発電所の立地に伴います環境問題の手続でございますが、まず発電所の立地に関しましては、最初の手続が電源開発調整審議会の決定を得る。略称で電調審と申しておりますが、電調審の決定を見まして、電源開発基本計画にその発電所の立地を組み入れるという手続が最初にあるわけでございます。その際には、通産省といたしましては電気事業者から環境影響調査を行いました結果の報告書を提出させまして、同じく通産省に置かれております環境審査顧問、学識経験者をもって構成しているわけでございますが、その環境審査顧問の意見を聞きまして、その結果を環境庁を初めといたしまして関係各省と十分に調整を行いまして、その結果電調審の決定に至る。電調審の議を経ました後は電気事業法の手続に入るわけでございまして、電気事業法の第八条によります電気工作物の変更の許可という行為があるわけでございますが、その際にも、ただいま申しました電調審の結果を参酌して許可を行う。さらに、電気事業法四十一条に基づきます工事計画の認可という手続がございますが、この際にもそういった環境問題について参酌をして認可を行う、これが一連の手続でございます。
  173. 水田稔

    ○水田委員 環境審査の顧問を二十ないし三十名置いておるということでありますが、これは学識経験ということですけれども、たとえば何人かの例を挙げてほしいのですが、大気汚染、温排水、その他各分野に関する学識経験者がそれぞれおられると思うのですが、どういう方でしょうか。  それから、顧問というのは、これは法律に基づいたあれではないのですが、恐らく資源エネルギー庁の通達によるのでしょうが、法的にどういう資格の方になるのでしょうか。
  174. 服部典徳

    ○服部政府委員 環境審査顧問でございますが、これは資源エネルギー長官の委嘱によりまして決まっているわけでございます。  それから、環境審査顧問というのはどういう人たちかというお尋ねでございますが、それぞれ御専門によりまして分野を分けておりますが、大気関係の分科会に属する方、それから温排水関係の分科会に属する方、その他植生、地熱といったような分類でそれぞれの分科会に顧問の方に所属をしていただく。主として大学の先生あるいは国立の試験所の所長さんといった方々がメンバーでございます。
  175. 水田稔

    ○水田委員 いま言われたように、どういう役職の方か、名前までは結構ですが、役職で言ってください。
  176. 服部典徳

    ○服部政府委員 顧問会の長をしていただいております方は、工業技術院の公害試験研究所の所長の方でございます。以下、工業技術院傘下の試験所、それから各大学、それから海洋生物環境研究所等の所属の方でございます。
  177. 水田稔

    ○水田委員 等じゃなくて、二十人全部じゃなくていいですから、七、八人、そんな役所の人だけじゃなくて、学者とかなんとかそういう人のそれぞれの専門をちょっと言ってみてください、どういう役の人か。
  178. 服部典徳

    ○服部政府委員 環境審査顧問の方に自由に意見を述べていただくということから、私どもといたしましては、いままで顧問の方の職名、氏名というものの公表はひとつ御容赦願いたいということで取り扱っておりますので、ひとつよろしくお願いいたしたいと思います。
  179. 水田稔

    ○水田委員 そんなばかげた話はないので、発電所をつくるということからいまどれだけ大きな社会問題になっておるかという点がありますので、委員長、現在の顧問の氏名、職業の一覧表、そういったものを資料として要求をいたします。
  180. 久保等

    久保委員長 政府側の方でその資料はどうですか。
  181. 服部典徳

    ○服部政府委員 先ほどの答弁の繰り返しになりますが、私どもといたしましては、顧問にお願いしたときも公表を前提といたしておりませんし、また、自由な御意見をいただくに当たりまして、やはり氏名、それから職名というのはひとつ御容赦をいただきたい、かように考えるわけでございます。
  182. 水田稔

    ○水田委員 資料要求をいたしますから、それでは後で理事会に諮っていただいて、出していただきたいと思います。
  183. 久保等

    久保委員長 それでは、理事会に諮ることにいたします。
  184. 水田稔

    ○水田委員 それでは、引き続いて質問いたします。  それから、この審議の中で、一つは電調審の委員大臣が入っているわけでありますが、これは実務の点ではちょっと無理だろうと思いますので、実際は電源開発審議会の幹事の方々のところで実際の環境庁意見が述べられると思いますが、これは企画調整局長が行くことになっておりますが、ここでの審議、論議はどの程度の資料に基づいてやられるのですか、お伺いしたい。
  185. 信澤清

    信澤政府委員 ただいま公益事業部長からお話ございましたように、資源エネルギー庁で調製されました環境審査報告書というものを各省もらいまして、それを基本に論議をいたすわけでございますが、私どもの場合には、別途都道府県から別の観点からする資料の御提出を願いまして、それらを照合の上しかるべき意見を申し上げる、こういうことをいたしております。
  186. 水田稔

    ○水田委員 いまの局長の答弁でいいますと、そうすると、この資源エネルギー庁の審査基準の強化という通達に基づいてやられておる該当の会社の影響審査室といいますか、それだけでは不十分な点があると考えてやられておるわけですか。
  187. 信澤清

    信澤政府委員 私は、不十分だからということで府県の意見を聞いているというわけではございません。それなりに年々改善が加えられ、りっぱな審査報告書だと思うわけでございます。  ただ、私どもは、発電所ができまして、それに伴う汚染負荷量の増加という範囲だけで議論するわけにまいりません。やはり広域的な地域というものをとらえて、その負荷量がその地域でどういう意味を持つかというものを、発電所の立地点からだけではなくて、かなり広範囲にわたって調査をし判断を下す必要があると考えておりますので、それに必要な資料を都道府県からいただいておる、こういうことでございます。
  188. 水田稔

    ○水田委員 電調審に出ておりますのは、温排水関係で言いますと海象、魚類の生息の状況等の環境条件、排水計画及び影響低減計画、温排水の拡散状況、周辺の魚類等に与える影響、その他、こうなっておるわけですね。いま建設される発電所というのは、少なくとも二十万キロとかあるいは七十五万キロとか大きなものです。瀬戸内海一つで見るわけにはまいりません。その海域が非常に入り込んだ湾をなしておるとか、あるいは海流の関係であるとか、海の深さの問題であるとか、与える影響というのはきわめて複雑な影響を与えると思うのです。そういう点についてはきわめて専門的な調査がされなければなりませんし、それからもう一つは、発電所から出ます温排水というのは、全体のカロリーで言えば、それはどうしても、温度を下げて出す出さぬの問題ではなくて、カロリーというのはその発電所の能力によって決まってしまう。そういう点からいって、瀬戸内海全体にいま排水しておる温排水の熱量というもの、そういった全体の問題、それから地域の問題というのは総合的に考えなければならぬと思うのです。  そういう点で、私は、この電調審でやられておる環境影響調査といいますか、レポートというものは、これだけ見る限り、たとえば審査委員さえ教えてもらえないわけですから、十分ではないと思うのです。そういう点がこの中で十分論議されておるとお考えでしょうか。
  189. 信澤清

    信澤政府委員 温排水の問題、大変重要な問題であることは先生指摘のとおりでございます。また、環境庁自身も、温排水環境基準ではございませんが、何か基準をつくるとき、あるいはいまお話しの拡散式についてシミュレーションモデルをつくるというようなことを従来からやっておるわけでございます。ただ、残念ながら結論を得ておりません。  そこで、いまのお話のような電調審にかかりました場合には、いろいろ地域によって特性があるわけでございますから、そういった地域の特性を考えながら、一応現在の段階で得られております知見に基づく調査をいたしまして、ちょうど瀬戸内海に必ずしも妥当しておりませんが、一般的に申しますれば、ノリ養殖等がございます場合には温度差一度、その他の場合には温度差二度というぐらいのことを私どもは目安にいたしておりますが、最終的な判断は、これは漁業の問題でございますので、水産庁その他の御意見を聞いて対応しているというのが実情でございます。
  190. 水田稔

    ○水田委員 漁業の問題だけではないと思うのです。全体の環境にきわめて影響があるし、これ以上発電所を瀬戸内海沿岸につくるということは、全体的な水質の問題にかかわってくる、そういう点はもう時間がありませんから多く申し上げませんが、たとえば、このレポートには、その設置されるところの海域の地形なり水深なり海流なり、それに対してどういうあれが流れることによって影響を与えるかというようなシミュレーションのようなことがされたものが出されておりますか、どうですか。
  191. 信澤清

    信澤政府委員 私は、直接、そういうものが出ているかどうか、審査は各局で分担しておりますので、つまびらかにいたしませんが、少なくとも、幾つかのシミュレーションモデルを過去、環境庁も研究してまいっておりますので、そういうものを使ってやっているはずでございます。
  192. 水田稔

    ○水田委員 環境庁がやっておるかやってないか聞いておるのではないのです。電調審に、局長が幹事として出席しております会議にそういう資料が出されているかどうかということです。
  193. 信澤清

    信澤政府委員 出ております。
  194. 水田稔

    ○水田委員 まだこの問題は大分やらなければなりませんが、時間が参りましたので、一応きょうはこれで終わりたいと思います。
  195. 久保等

    久保委員長 大原亨君。
  196. 大原亨

    大原(亨)委員 社会党は、後継法につきまして、瀬戸内海環境保全特別措置法という後継法法律案の大綱をつくりまして、大体準備をしたわけでございます。  それを大体頭に置きながら、最初は二、三点質問いたしますが、第一は、今回のこの後継法の第三条にございます基本計画についてでありますが、これは法律的な問題です。それで臨時措置法の中には、先般の一般質疑のときにも指摘をしておいたのですが、この第三条は、言うなれば、当時議員立法をつくるときにほうはいとして起こる、瀬戸内海だけでなしに、日本全体の国民の世論を代表する非常に憲章的な高いレベルの規定を設けよう、そうして、それに従って基本計画を策定をするということを政府に義務づけよう、こういう点が臨時措置法の最大の問題点でございました。たとえばCODの二分の一カットとか埋め立て規制、十三条の問題もあるのですが、しかし問題は第三条の問題でございました。それに基づいて基本計画をつくるわけですが、われわれがそのときに想定いたしましたのは、基本計画はかなり、たとえば特別の立法とか法的な規制を伴う、しかも具体的な内容を持ったものでなければならないのではないか、こういうことで時限立法の三カ年が延長されて五カ年間になりましたが、その期間に政府が最大の努力をすべきであるという観点で第三条をつくったわけであります。新しい後継法の提案によりますと、やはり私ども要望いたしましたように、第三条には非常に高い水準の憲章的な宣言規定が入っておるわけでありますが、しかし、「基本となるべき計画を策定しなければならない。」というのも、大体そのまま受けましてやっておるわけであります。ですから、臨時措置法の間にそういう目標を持った基本計画ができていないということは、これは政府の怠慢であると思うのですが、いまさらこれは追及はいたしません。  そこで、私どもは、瀬戸内海環境保全措置法をつくりますときに、こういうことを考えたわけであります。それは、後継法の中に基本計画を入れる、それから基本的な事業計画を入れる、そして事業計画に基づく都道府県知事の、第一線の自治体が行います実施計画をつくる、その大きな枠を後継法において規定をすべきではないか、こういう考え方でわれわれの法律を組み立てたわけであります。私は、そういう点で、きわめて今日の情勢でむずかしいことはわかるのでありますけれども努力をされたことを否定するわけではないのですが、そういう問題について触れないで、簡単にこの一条を設けて、そして臨時措置法の期限が参りまして新しい法律を提案する前に、閣議決定で基本計画を策定されたわけであります。これは、臨時措置法の精神から言うなれば大きな後退ではないか、こういうふうに考えるわけですが、そういう基本的な問題につきまして、ひとつお答えをいただきたいと思います。
  197. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 ただいま大原先生から御指摘がありますように、まず、現行臨時措置法の第三条、これに「瀬戸内海環境保全に関する基本となるべき計画を策定」という規定がございまして、政府は計画を策定しなければならないという規定があるわけでございます。そこで、これが策定に向かって瀬戸内海審議会に五十年に諮問をし、五十一年の暮れに答申をいただき、その基本的考え方という答申に即してこの基本計画の策定というのに取り組んだわけでございまして、ただいまお話しございましたように、政府は策定しなければならないということでございますので、これは去る四月二十一日に閣議決定ということでこの基本計画の策定をいたしたわけでございます。  そこで、この策定いたしました計画といいますものが、今回の後継法法律では附則の方で、これが新しく附則の二条におきまして、臨時措置法段階で策定した計画は、後継法の三条の規定で策定されたものとみなす、こういうみなし規定を置いて引き継いだわけでございます。問題は、その後で、引き継いだわけでございまして、この基本計画に沿って今後とも瀬戸内海環境保全施策を展開していくということになるわけです。ただ問題は、新しい後継法にまたやはり第三条というのがあって、「策定しなければならない。」という規定があるわけでございます。なぜそれを書いたかということになりますと、これは一回策定いたしましたものではございますが、さらに今後は、後継法は恒久法という考え方に立っておりますので、将来もう一回つくり直すということだって事態の進展によってはあり得ようし、あるいは一部修正という、変更という場合もあり得よう。したがって、そういう場合の根拠として三条に書き、また、その場合の手続はどうするのか、政府が決めるというのだけれども、どういう決め方をするかというようなことを、二項、三項というものをこの三条に設けまして、審議会意見を聞くとか、関係の知事さんの意見を聞くとか、いろいろなそういう手続まで整備をいたした、こういうことでございます。  なお、何かこの基本計画の関係で事業計画なりあるいは実施計画なりというような、そういう具体的な計画というものを期待されておられるようでございますが、私たちといたしましては、この臨時措置法段階で基本計画を決める際も、一体どういう性格のものにし、どういうような形の、中身のものにするかということについては、これは先ほども申し上げましたように、瀬戸内海審議会に諮問をして、それでこういうかっこうでどうだろうかという形の基本的な考え方がついておりますけれども、非常に詳細な答申をいただいたのでそれを尊重し、それに即して、新しい事態も若干織り込みまして四月の二十一日の閣議決定をしたということでございます。  ただ問題は、私の方は、われわれの考えとしては、ただ基本計画というものが中央ベースで、国ベースで決めただけでそれで十分かという問題になりますと、瀬戸内海は非常に関係府県が多うございます。したがいまして、やはりそういう基本計画の線に即して各府県がその実態に応じた環境保全の計画という、府県計画というものをやはり策定していただく。そのことが地についた環境保全施策の展開にプラスになるのではないかということで、政府案ということで御審議いただいております法案には府県計画の規定を入れたわけでございます。  ただ事業計画、実施計画というかっこうでやりませんのは、これは環境保全法という角度でございまして、いろいろ事業に関係するものについては、下水道であれば下水道法という法律がございます。あるいは下水道整備緊急措置法という法律もございます。あるいは廃棄物処理施設等につきましては、これはいわゆる廃棄物処理法と俗称言われておる法律があり、またこれも緊急措置法があって、第四次五カ年の整備計画等もやっておるということで、いわゆる瀬戸内海後継法環境保全法ということで事業法ではないという感じに立ちまして、この計画の方につきまして事業計画というものを決めていくというのはどういうものであろうか、ただこの基本計画が国のベースあるいは今後府県で立てられます計画というものにつきましても、それぞれそういういろんな事業の下水道の計画もあるでしょう、そういうようなものに反映をされていくということを強く期待をしておるということでございます。
  198. 大原亨

    大原(亨)委員 これは法律の組み立て方の本質的な問題ですが、閣議決定でやる場合に比較的拘束力のあるのは、下水道とか道路とかいうふうな事業計画は閣議決定がかなり守られておりますね。しかし、閣議決定でいろいろな基本計画等を策定いたしましても抽象的で、ある場合には守られたためしがないわけですよ。これはいままで中期計画だって、あるいは池田さんここにおられるが、お父さんの所得倍増計画は、ちょっと爆発的にふえたくらいのものでありまして、あと全然二年か三年で、私も予算委員を長くやりましたが、計画を立てましても、総合的な抽象的な計画は二年たちましたらおじゃんになっておるわけです。だから、やはり中身をきちっとしなければいけないのじゃないかということですね。それから、下水道とか廃棄物などというふうな一般的な五カ年計画などがあることは承知いたしておりますが、やはり瀬戸内海の特殊事情を考えて、それに対して特別の措置をとる、一般法に対しまして特別法、こういうふうな特例の上乗せをするというふうな考え方でないと、これは全体の中から特別措置法をつくっていくという法律の趣旨を貫徹できないのではないか。私どもは基本計画をつくって、基本計画におきましては、昭和三十年現在のこういう環境基準に戻していく、そのために総合的にどうするかという計画をつくる。それを基本計画にいたしまして、そうして事業計画におきましては二十年を目途にいたしまして、そして一定の計画とつくる。その際に五年計画を積み上げていく。その際の事業計画の中身はかくかくのものであるということを、事業の内容を列挙をいたしたわけであります。そしてこれを実施するに当たりましては、実施計画をつくる場合にそれぞれの府県に傾斜配分等を考えまして、実施を自治体に移していくわけですが、その際に、知事が実施計画を実行するに当たりましては住民が参加する道を開いていって、そして住民意見を入れながら瀬戸内海をきれいにしていく、そういう大きな組み立て方で実質のある中身を盛るべきではないか、こういうふうに考えたのが、われわれの大綱と皆さん、政府が出しまして善意はわかりますけれどもヤマブキのような基本計画との差があるのではないか。これが第一点の問題点でありますが、大臣眠いようでありますから、御答弁をいただきたいと思います。
  199. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 ただいま大原先生から、政府案に対しまして先生方の方で過般発表されました大綱との仕組み方の大きな相違点、これを述べられたわけでございます。  それで問題は、政府案の方では基本計画というのがございまして、これをベースにしながら府県の実態に応じた府県計画を決めていくというスタイルで物を考えておるわけでございます。それに対しまして先生の方では、基本計画というのがございましたほかに事業計画、実施計画という形で構成をされておられる。この基本計画の策定の際に、昭和三十年当時の環境に戻すということをめどにしてということがあるわけでございます。ただ、この三十年当時の環境に戻すという問題につきましては、この三十年当時の環境というのがどうかということが、これは部分的な、局部的な資料は若干あろうかと思いますが、何しろ水濁法も施行になりましたのが四十六年以降ということでもございます。したがいまして、なかなかその辺の指標といいますものを、これをめどに行政がやっていくというほどのがっちりしたデータはないと思います。そういう面で、多少この辺につきましては問題ではないか。われわれは先ほどの水田先生に対する質問にも答えましたように、現在当てはめております環境基準、これの達成維持に向かって邁進をしていきたい、こういう角度でございます。
  200. 大原亨

    大原(亨)委員 それで、昭和三十年は根拠のある数字、データがないというようなお話ですね。  ちょっと聞いてみますが、具体的な問題でやってみましょうか。昭和三十年以降、高度成長に入りましたのが昭和三十五年以降ですが、しかし資料はあるでしょう。建設省環境庁、あるでしょうが。昭和三十年以降は、公有水面を工場その他のために埋め立てました。それ以降のやつは、政府のはこにあるのですよ。この埋め立てたのは大体浅いところ、経済効力のあるところを埋め立てたわけですよ。日本の埋め立ては、そういう海を埋め立てましたならばこれは自分の土地だというふうな考え方がありましたから、高度成長時代は物すごい利権の対象であったわけです。そこで土地問題が一つその背景にあるわけですけれども、その埋め立てました面積はどのくらいか、それぐらいは客観的な一つの基準があるでしょう、そのくらいは資料があるでしょう、具体的な問題点に入りますから。——では、こんなことで時間を食ってもしようがないから、わかる程度でいいですよ。それに近いようなやつを言ってください。政府のここに出している資料にもあるよ。
  201. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 これは建設省の方の資料に基づいて過去の分をながめてみますと、戦後二十四年から四十四年までの間に瀬戸内海埋め立てられた面積が百六十三・四平方キロメートル、こういう数字に相なっております。
  202. 大原亨

    大原(亨)委員 それからずっと今日までの累計へそれを言ってください。
  203. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 いま申し上げましたのが二十四年から四十四年までのものでございます。
  204. 大原亨

    大原(亨)委員 四十四年以降はそこにあるとおり……
  205. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 それから後、ややちょっとつながらないかもしれませんが、私たちが今度は免許ペースでもってこの施行前と施行後というものを対比をいたしておるわけでございますが、これは四十六年の一月から四十八年の十一月一日、要するに臨時措置法の施行の前日まででございます。この間におきましては六千二百五ヘクタールという数字になっております。それから、四十八年十一月二日から臨時措置法が施行されたわけでございますが、昨年の十月末で締めますと、二千百五十八ヘクタールということでございます。
  206. 大原亨

    大原(亨)委員 二十四年から四十四年までは約十一年ですが百六十三ヘクタールで、問が二年間飛びまして、四十六年から四十八年の二カ年間で六千二百五ヘクタール、四十八年から二千百五十八ヘクタールということでありますね。だから、それはこれを見てもわかるのですが、高度成長以来、瀬戸内海は波も静かだし臨海工業地帯でいいということで、だあっとここに殺到したわけです。この前の集中審議のときに通産省や建設省、経済企画庁に出てもらいまして、これからの産業構造で議論をしたのですが、省資源型、それから環境型、知識集約型、新しい産業構造はそういう点をポイントに置きながらやるのだ、もう工場の立地の可能性はありません、通産省もこういう答弁をしておりましたね。これからはうんと変わるわけですけれども、いままではあそこへ殺到してコンビナートができて、鉄にいたしましても石油工業にいたしましても、物すごい重化学工業を集約いたしまして瀬戸内海が汚染されたわけですね。  そこで、これだけの埋め立てを、たとえばいま話がありましたように、復元することが必要ではないかということで、私ども法律案の中には第五に、事業計画を策定いたしまして、第七項には人工海浜、人工藻場の造成、こういうふうに一つの項目を入れまして、とにかく遠浅を、コストの安いところをだあっと埋め立ててコンビナートをつくったわけですから、これからの埋め立て規制の問題を頭に置くわけですけれども埋め立てる場合にはそれだけの遠浅はやはり人間の力でつくっていく。そういうことで、いままで失われたそういう遠浅を復元をしていくという計画、昭和三十年当時に返していくという考え方で、そういう遠浅の問題、藻場の問題、これは一つの例ですが、そういうことも長期、中期の計画を立てて計画的にやらなければ、浄化能力がもとに返らないのではないか、この憲章の第三条にある、この美しい自然と資源を子々孫々に伝えるのだ、そういうことにつながる基本計画にならないのではないか。そういうことを法律上裏づけて、国全体としても、重化学工業がここへ殺到したためにこういうようになっているわけですから、高度成長で失われた遠浅を計画的に復元することも、一つの事業計画の中で項目を決めておいて、その具体的な内容を盛っていって、五カ年計画を、これは四回ですが、何回も重ねて、そして一定の目標を実現すべきではないか。たとえば、瀬戸内海では、沿岸地方においても最近ちょっと突堤をつくります。そしてここへ山から土砂を流します。そういたしまして遠浅をつくる。貝が出たり、そういう藻場をつくるというふうなことを市町村によってはやっているわけです。そういうことを計画的に盛った事業計画というものをやるべきではないかと思うのですね。いま局長も、将来のある機会においてはこの閣議決定の基本計画も修正すると言われた。閣議決定ですからすぐ狂うてくるからということもあるが、修正するということもあるのだから、その中には法律上は私どもが言うようなこともあるということを期待したいわけですよ。期待したいわけですが、そういうことはいまの政府ではなかなかできないだろうと私は心の中では思っておるわけです。  そこで、例を挙げましたし、いままでも議論がありましたが、そういうことを考えて、瀬戸内海をきれいな海にして子々孫々に伝えるという基本計画と事業計画、そういうものを将来ヤマブキのような閣議決定の中身として盛ることができるものであるかどうか、私の期待を込めて質問をいたしますが、いかがでしょう。
  207. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 最初にちょっと数字のあれを申し上げます。先ほど、昭和二十四年から昭和四十四年、百六十三・四平方キロメーターということを申し上げたわけですが、これはヘクタールに直しますと、一万六千三百四十ヘクタールに相なります。確かに相当埋め立て量になっておると思います。これは二十年間でございます。  それから埋め立てにつきましては、ただいま先生からお話がございましたように、一般的にはやはり遠浅のところを埋めるのが効率的であろうということで、あの海域が埋め立てられてきておるということは大体そのとおりでございます。そういうことで、藻場なり干がたなりが失われたり、いろいろなことがございます。  問題は、こういう面についての復元ということが考えられないかということでございます。しかも、それが基本計画の中にある程度事業計画的な形で織り込めないものかというお話かと思います。この基本計画は現行臨時措置法に基づく基本計画ということで、最近、四月二十一日につくったばかりでございます。したがいまして、すぐこれを修正するということは考えておりません。もちろんこの基本計画でも、「藻場及び干潟の保全等」というようなことで、先生から申されれば非常に抽象的だとおしかりをいただくかもしれませんが、一応その辺の施策の基本的方向は織り込んでおるところでございます。  問題は、後継法の方にも第三条の規定を置きまして、政府は「策定しなければならない。」という規定も置いておると申しましたのは、やはり後継法は恒久法ということでございますから、四月二十一日に閣議決定した基本計画は新法で策定したものとみなすという規定に当然なってつながっていくわけでございますけれども、しかし、一たん決めた環境保全計画が、今後の事態の進展がどうあろうと一切この文章がいじれないというのはおかしいということでございまして、事態の進展によってはやはり環境保全施策の充実強化ということで策定をし直すとか、あるいは一部変更することが将来の問題としてあり得ようということで、法律上そういう規定を織り込んだということを申し上げたわけでございます。したがいまして、最近つくったばかりの基本計画にそういう問題についてのやや具体的な規定をさらに追加するということは、いまのところ、つくったばかりでもございますので考えておりません。
  208. 大原亨

    大原(亨)委員 高度成長で重化学工業のコンビナートが集中したわけですが、そこでヘドロがばあっと海底に堆積したわけです。それを近代技術を駆使して計画的に清掃していく。それはポンプ船だって、吸着用のポンプ船で二次汚染を起こさないものがあるわけですから、そういうもので計画的にやるということがないと、この美しい景観と自然と資源を子々孫々に残すというわけにいかぬのじゃないか。これは埋め立てと同じような考え方でございます。したがって、いままでの質疑応答で明らかなように、かすかなる期待を持たれておることはわかりますが、そのことについても具体的な裏づけの内容はない、こういうふうに理解いたしまして、これは時間をかけてもなんでございますから進みたいと思うのです。  たとえば基本計画の中で、最後に「国の援助措置」ということで、「国は、この計画に基づき地方公共団体等が実施する事業について、その円滑かつ着実な遂行を確保するため必要な援助措置を講ずるよう努めるものとする。」と、「努める」とか「ものとする。」とかいうふうに非常にかすかに書いてあるわけです。したがって、たとえばこういう事業計画をやるが、国はきちっとこういう財政の裏づけをしなければならないというふうな書き方にこの閣議決定のランクを上げまして、やはりきちっとすべきではないかということが一つあるわけです。これは議論いたしましても時間がたつばかりでございますから次に参ります。  そこで、社会党の考え方とこの法律案の大綱、皆さん方の出されましたところで違うところをもう一つ申し上げますが、それは水質富栄養化防止についてであります。いままでいろいろ議論をいたしましたが、私ども社会党は、燐の排出につきましては第十一条において一定の科学的な基準で法的な規制を加えるべきである、窒素の問題につきましては行政上の指導措置でやるべきではないか、これが一番確実で現実的な措置ではないかということで法律の組み立てをいたしておるわけです。しかし、政府が出されました後継法によりますと、燐の排出につきましては、社会党案の窒素の排出の制限と同様に、十二条の三と十二条の四と十二条の五におきまして行政指導措置を設けられておるわけですね。私どもは、燐については、科学的な根拠がやや明確になっておるときですから、きちっと基礎に置きました規制措置をする、窒素については、技術上の開発の点も考え行政指導でいく、こういうことの方がやはり花も実もある法律案ではないかというふうに考えておるわけです。政府は、窒素には触れておりません。果たして燐だけについて行政指導赤潮メカニズム一つにアプローチすることができるものであるかどうか、総量規制の問題点にアプローチすることができるものであるかどうか。——頭をひねる必要はないですよ、私が言ったことと政府の言っていることが違っているわけですから。それについて、確実にできるものであるかどうかという点を質問いたします。
  209. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 御審議いただいております政府案におきましては、一つは、富栄養化防止といいますか被害の発生防止という条項を設けまして、一応法律の形としては指定物質ということで指定をすれば、燐その他のものもできるわけでございますが、当面は燐を指定しようかと考えておるわけでございます。そして行政指導ベースでもってこの削減に取り組んでいこうという姿にいたしております。  それとともに赤潮という話も出ましたが、赤潮メカニズム解明というものがまだ十分できておりませんので、この面につきましては、御審議いただいております法案の十八条に、赤潮発生機構の解明に努めるものとするという形で新しく挿入をしたということでございます。  この赤潮発生機構の解明という問題につきましては、かねてから赤潮研究者の方々にいろいろ取り組んでいただいておるわけでございますが、事が事でございまして、簡単にこのメカニズムがわからぬというのが現状でございます。ただ、今後とも引き続きこの面については解明努力していくということを盛り込んだわけでございます。  一方、この努力規定がありますほかに、現実的な問題といたしまして、冒頭申し上げました燐の削減対策というものを考えたわけでございますが、この考え方は、表題にもございますように、「富栄養化による被害の発生防止」ということでございまして、赤潮発生防止とは端的に書いてないわけでございます。要するに燐なり窒素たりが流入するとそこで富栄養化の現象が出てまいるということでございます。このことのためにいろいろな影響が出るわけでございますが、赤潮は、この富栄養化の問題の際の窒素、燐という一つの栄養塩類を栄養素として赤潮生物というものが増殖をする。ただ、ああいうふうに、なぜある時期にある種類の赤潮生物が一挙に大量に発生するかということになりますと、これは海象、気象、いろいろな要因が絡み合って出るわけでございます。燐なり窒素なりの濃度が毎年変わらない場合がありますが、それでも発生したりしなかったり、そこは海象、気象の問題等がいろいろ絡んで好適な条件になったときに発生するということでございます。しかし、富栄養化の要因の物質として燐、窒素があるということは否定できない通説になっております。したがいまして、富栄養化による被害の発生防止に取り組んでいきたいということで、行政指導ベースでございますが、十二条の三というのを織り込んだわけでございます。  問題は、なぜ燐は規制ができぬかということになりますと、一般の汚濁物質でございますれば少なければ少ない方がよろしいわけでございますが、片方は栄養分でございますから、全然なくなってしまったら、水清くして魚すまずとなりまして、何ともならぬわけでございます。少なくしてはだめだし、多くしてもだめだ、どの辺がいいのかというのがなかなかわからないところでございまして、環境のクライテリアみたいなものも要るのじゃないかということで、研究者の方にもいろいろ検討してもらっておりますが、これはなかなか困難でございます。したがって、望ましい環境水質のレベルが燐についてもはっきりしておらないのに排水規制をかけてここまで落とせと言っても無理でございますし、また排水技術そのものについてもいろいろ技術的な問題がございます。しかし、燐の方につきましては、凝集沈でん等によって大分削減のめどが立ってきたということでもございますので、排水規制というか排水基準は、現在、水濁法体系上設けておらないわけでございますが、赤潮発生とか海水浴場が閉鎖になるとか、富栄養化によりますいろいろな被害が頻発しておるという現実を踏まえまして、何もしないでおくというわけにはとうていまいらぬ、COD対策だけに血道を上げているわけにもいかない、それとあわせて何らかの手だてでこの燐対策に取り組んでいくべきだ、いまの知見その他からすれば規制というものは無理だ、しかし、行政指導でその削減の一応のめど等も出して何とか燐を排出する者がそれぞれ削減努力をしていただこうということで、この規定を設けたわけでございます。  問題は、今度は窒素はどうかという話になるわけでございますけれども、窒素については燐よりもなおむずかしゅうございます。排水処理技術という問題についても、まだ技術的なめどは十分ございません。形態からいたしましても、燐の場合はトータル燐と燐酸態燐の二種類に大体分かれると思いますが、窒素の場合はトータルNのほかに亜硝酸態窒素、硝酸態窒素、アンモニア態窒素、いろいろ種類がございまして、これらのものを削減していくについては手法がむずかしい、しかもまた凝集沈でんというような簡単なやり方ではできないということで、いろいろ技術開発の検討中でございますので、今回は政府案としては燐の行政指導による削減、こういうベースで法文化をいたした次第でございます。
  210. 大原亨

    大原(亨)委員 これも議論しておると切りがないので、いまの答弁を受けて質問をつないでいきますが、社会党の考えておる法律の内容と政府案と違う第三の点はいまの問題です。つまり、赤潮メカニズムを研究する際に、やはり独自の環境庁主導の研究体制ないしは研究機関が必要ではないかということです。いままで臨時措置法をつくりましてから五カ年間たっておるわけですが、わかったようなわからぬような答弁をずっと繰り返してきたわけでございます。当時あなたは何しておられたかわからぬが、農林省におられたかな、五年前といま答弁の中身は余り進んでいない。山田長官に至るまでですよ。いろいろな環境庁長官がいました。ほらを吹く長官もいたし、余りやらない人もおったし、一生懸命やった人もおった。しかし答弁の中身は余り変わっていないわけです。  そこで、学者の多くの意見もそうですが、日本の行政あるいは研究体制の欠陥は縦割りなんです。通産省でしたら重化学工業に研究機関が従属する、運輸省でしたら交通運輸、造船関係に従属するわけです。水産庁ですと魚の環境を守ることを主として考えておるわけですから、おいしい、きれいな魚が生き生きと、まああなたの答弁によると適当に汚れている方がいいわけですが、そういう生き生きと魚が生息できる環境、二百海里時代にわが国の一つ沿岸漁業の方向として子々孫々につないでいく漁業というもののあるべき姿を追求するために、水産庁にも南西海区の研究所とかたくさんの研究所を置きました。県に水産試験場等もあります。しかしこれは縦割りでありまして、水産庁の研究所が大きな声を出して赤潮の被害や環境汚染を指摘しようといたしますと、高度成長時代には圧殺されたわけです。そういうことを言うな、そういうことを言うと漁民がコンビナート設置反対に立ち上がる、そこでそういうことを発表してはいけない、こう言って抑えてまいりまして、環境保全については今日のこの実情を迎えたわけですね。あなたは農林省におられたそうですから、うなずいておられるから、そのことを肯定されておるというふうに私は理解する。つまり日本は縦割りの研究体制でありますね。だから、環境問題とかあるいは生活行政における厚生省というのは本来横割りでありますから、やはり生活とか地域とか環境の実態に即した研究が総合的に継続的になされないと、赤潮メカニズム解明することはできないのではないか。これは、五カ年間の過去を振り返ってみましても、きわめて明らかな事実であります。そこで私どもはいろいろ考えまして、やはりあの瀬戸内海の汚染のメカニズムを究明する総合的な研究機関が必要ではないか、こういう考え方に到達をいたしたわけであります。そこが違う点であります。違う点わかりましたか。長官、わかりましたか。私が言っていることわかりますね。ノーかイエスかだけでよろしいから、言ってください。
  211. 山田久就

    山田国務大臣 一つは、これはやはり赤潮そのものの科学的な解明の非常なむずかしさというところに起因しているのだろうと私は思います。にもかかわらず、それは確かに縦割り、横割りという機構の問題、これのいろいろな長所、欠点というものも御説のとおりであります。従来は先生が御指摘になりましたとおりに、赤潮に関する調査研究というのは大学でやるとかあるいは国立の研究所でやるとか、府県の水産研究所でやるとか、いろいろそういうことが行われてまいりました。しかし、一般的な赤潮発生機構の解明というものを進めていくという段になりますると、これは広く赤潮に関する知見の収集、整理とともに、未解明な分野についての組織的な調査研究を行うことが確かに必要であると思います。  実際問題として、ちょうどこのために昨年の八月から、大規模赤潮発生ということに備えまして、関係機関の間に、環境庁、水産庁が共同いたしまして、大学、水産研究所、国立公害研究所なども協力して、赤潮研究会というようなものを開催して今日に至っております。むろんこれは一つの調整の横割りの機関ということで、先生指摘のような公共的な機関じゃございません。確かにそういう点は望ましいということ、それは私もそうだと思います。ただ、どうもこのごろは機構の問題というのはなかなかむずかしいところがありまして、あれでございまするけれども、ともかくもそういうものには多少の前進をもって総合的な研究を進めるというような努力はわれわれとしてやっておるわけでございまして、こういう研究体制の整備のあり方というようなことについても、ひとつ十分研究、討議を重ねて、そうして応ずるような体制の方にいきたい、こういうような考えを持っておる次第でございます。
  212. 大原亨

    大原(亨)委員 ちょっとこれに関連いたしまして、通産省に。  五年前に討議したことがあるのですが、やはりわれわれも研究については環境庁が主導権を持った研究体制が必要であるということで、通産省がやっております。呉にあります瀬戸内海の水理模型でありますが、これは莫大な費用をかけまして、そしてやったわけですね。あれはできましてからかなり時間がたちましたが、効果がありましたか。
  213. 水谷久夫

    ○水谷説明員 お答えさせていただきます。  中国工業技術試験所の水理模型は、瀬戸内海環境保全に資するため、瀬戸内海水質状況を相似則に基づいてシミュレートし、その変化を事前に把握することを目的としております。  具体的に申し上げますと、本模型によりまして、瀬戸内海の海流現象、大規模埋め立て計画や排水放流計画の適否、排水拡散現象、海中構築物の影響、海水交換等、瀬戸内海全域の汚濁防止のための種々の研究を行うために設置したものでございます。  これまでの研究成果といたしましては、まず、基本的な課題といたしましては相似則の確立でございます。水理模型では瀬戸内海の海流と相似させることが基本でございますので、このための研究を行ってまいりましたが、複雑な瀬戸内海の海流のうち潮汐流につきましては潮位、位相、流速、流れの方向に関しまして、相似性を確立してございます。  次に、水質汚濁拡散予測技術の確立でございますが、これは染料を水質の汚染因子に見立てまして、汚濁拡散実験を実施いたしております。この結果、河川及び埋め立て地からの汚濁負荷が内海にどのような影響を及ぼすかが判明しております。これらの実験結果は報告書で広く公表してございます。  以上でございます。
  214. 大原亨

    大原(亨)委員 これ以上瀬戸内海はどんどん埋め立てをしてもよろしゅうございますか。それでは水理模型の運営の仕方を聞いていくのですが、広く開放しているという話がいまありましたが、最近耳につきやすい言葉ですが、やはり運営上、そのとき議論いたしまして、確かに技術スタッフを持っているのはやはり通産省です。工業技術院ですから。ですから、それを外して環境庁に持っていきますと、環境庁は予算も少ないし、人間もおらぬから、あれはよう運営できぬだろうという話でした。宝の持ち腐れだろう、こういうことでありました。そこでたとえ通産省が持っておりましても、大学その他に広く開放いたしまして、そうして研究者の参加を得て、一定のプロジェクトを組んで研究開発をするということでございましたが、それは言葉だけであって、実行できていない、私はこういうふうに考えるのです。反論があれば言ってもらいたいのですが、時間が大分たちましたから、反論は許しません。  そこで、私は事実を指摘しておきます。そこで私はこう思うのですよ。通産省の水理模型もあれば、それから水産庁の研究所もあれば、それから県の水産試験場その他これに類する試験場もあるわけです。大学の研究機関もあるわけですね。ですから、一歩譲って、環境庁は設立以来かなり日はたったわけですから、予算をうんと組んでやればできるわけですが、それは第一義としますが、それを一歩譲りましても、やはり環境庁はしっかりプロジェクトを運営する予算を持っておらなければいかぬ。そうして赤潮発生したときにあわてて学者を臨時に委嘱してやるというのではなしに、学者や専門家も恒久的に委嘱をいたしまして、あらゆる研究所や機関を駆使いたしまして、そのプロジェクトの目的を達成するような総合的な継続的な研究が必要です。そういう予算措置をしなければ、五年間ほとんど進んでいないような赤潮メカニズムを究明することはできない。  われわれ社会党の法律案は、独自の研究開発機関を持つべきであるということですが、しかし、これは百歩譲りましょう。いまやりそうにないから百歩譲って……(発言する者あり)これは文句が出ておるようですが、後で反駁してください。譲って、しっかりと思い切った予算を計上して、環境庁が予算を握っていて、きちっとあらゆる機関に対しまして予算等の関係を中心に、継続的に総合的な研究をできるようにすべきではないかというのが、学者や専門家の最低の意見なんですよ。そうしないと、いつまでたちましても、環境汚染の一つの中心である赤潮メカニズムを総合的に究明して総合計画をつくることはできない、実のある基本計画をつくることはできないというのが必然の結論であると私は思うのです。一体、どのくらいの予算を組んでおるのですか。これからどうしようというふうに思われるのですか、環境庁長官。あなたの決意のほどをお答えください。
  215. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 環境庁は、設置法の規定に基づきまして、「関係行政機関の試験研究機関の公害の防止等に関する経費及び関係行政機関の公害の防止等に関する試験研究委託費の配分計画に関する事務を行うこと」というのがございます。これに基づきまして、環境庁の中では、企画調整局に研究調整課という課がございまして、いわゆる試験研究機関の公害に関する研究の共同研究的な重要なテーマのものでございますが、これにつきましては一括計上ということで、環境庁に予算を一括計上いたしまして、そしてその辺の調整を、後で移しかえを各省にしてやっていくということを一方やっております。  五十三年度は、この分は三十億円でございます。(大原(亨)委員「去年は」と呼ぶ)去年は二十八億でございます。
  216. 大原亨

    大原(亨)委員 後継法をやるような中身ではない。水産庁も内海水産区に予算を持っておって、たとえば赤潮発生したというときには、それをキャッチするのにはいろいろな水質検査等をやっているのですが、それをキャッチするのは、聞いてみると、海上保安庁でもない、やはり水産庁がやるらしい。そしてどういうふうに栽培——たとえばハマチにいたしましても何にいたしましても、これは回避したらいいということの警報を出したりする誘導装置も的確にできていないのじゃないか、これは一つの例ですが、とにかく縦割りの研究体制をきちっと環境庁中心の、環境保全を中心の総合研究体制に切りかえる、そして、それをずっと積み上げて研究機関をつくっていくというふうな、中心的な機関をつくっていくというふうなことをしないと、瀬戸内海の総合計画は立たない。科学的なデータなしに立つわけはない。そういう点では、予算を移しかえて、前のとき、そういう議論をしたから、予算を集めたごとく見せておるけれども、全部ひもがついていて、環境庁の発言力はないのではないか。継続的な組織的な研究はできていない、こういう反省があると私は思うのです。あなたが答弁されたような予算の調整については私は承知いたしておりましたが、その点は新しい環境庁長官の決意が必要であります。  時間がわずかになりましたが、埋め立てについての現行法の十三条を後に引き継いでいくというのですが、あの十三条は非常に厳しい禁止なんです。これについては業界その他では文句が出ておることは、意見の出ていることはよく承知しておる。なぜ厳しくしたかというと、やはり高度成長時代の埋め立てについては原則的に禁止して、総量規制や総合対策を立てた上でこの問題を総合的に考えていこうという前提なのです。十三条は、第三条の憲章的な規定を受けて、そうして公有水面埋立法建設省の管轄にあるが、アセスメントの適用を受けているわけです。そこで、アセスメントの埋め立てについての適用は、先導的に瀬戸内海はやっているわけです。だから、これは住民が参加いたしますと、これはきちっと適用いたしますと、非常に厳しい規定になるわけであります。野放しにしておけば、これはもう住民が自覚しなかったら何にもならぬが、そういうことになっているわけであります。  しかし、その際に、たとえば復元計画の問題でも、私どもとの違いについて、事業計画との関係で議論いたしましたが、私は、科学的な瀬戸内海の浄化計画を立てることが必要である、埋め立で規制とアセスメント法等との関係も、これはきわめて重要な問題である、アセスメント法をいつ出すかという問題と深い関係があります。時間もあと一分になりましたから、アセスメント法をこの国会に出すのか出さぬのか、長官、これはあなたの政治責任でございますから、局長から答弁しちゃいけません、長官の御答弁をいただきたいと思います。
  217. 山田久就

    山田国務大臣 随時表明しておりますように、このアセスメント法案重要性にかんがみて、八次国会へということで引き続き全力を尽くしている次第でございます。
  218. 大原亨

    大原(亨)委員 あなたは、どうやら会期が延長になるようなことを予定しておられるらしいが、これは非常に不謹慎な言葉であります。  これ以上のことは、問題点だけ指摘しておきまして、私の質問を終わります。
  219. 久保等

    久保委員長 次に、古寺宏君。
  220. 古寺宏

    ○古寺委員 最初に手続上の問題を承りたいと思いますが、瀬戸内海環境保全審議会が基本計画の考え方について答申を行って瀬戸内海環境保全基本計画というものができ上がったわけでございますが、昭和五十年二月二十一日に審議会に対して諮問されました内容に対する答申が五十一年の十二月一日に出されているわけでございます。したがいまして、いわゆるこの諮問の内容というものは昭和五十年以前の時点の問題についての諮問であるわけでございます。今回、後継法が新しくできたわけでございますので、当然この基本計画につきましては、環境保全審議会に諮問をいたして、審議をしてから決定をすべき計画ではないか、こういうふうに考えるわけですが、なぜこの審議会に諮問をしなかったのか承りたいと思います。
  221. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 ただいま先生からお話ございましたように、審議会の方に対しましては、基本計画の基本的考え方というものにつきまして五十年の二月に諮問をし、五十一年の十二月一日答申をいただいた、こういうことでございます。この答申をいただきまして、この答申を尊重し、この答申の線に沿い、基本計画の策定作業に取り組んでまいったわけでございます。この答申がありまして以後、いろいろ施策の進展といいますか、そういう面も見られました。したがいまして、その面は今回新たに織り込んだわけでございます。たとえば、水質関係等につきましては「瀬戸内海にふさわしい所要の排水規制を実施する」云々というくだりがございますが、こういう面につきましては、今回総量規制の導入ということを考えておりましたので、そういうような総量規制制度の実施というかっこうにより具体的なものにするとともに、現在御審議いただいております後継法案との整合性というものも確保して、過般二十一日に閣議決定をいたしたわけでございます。  それで問題は、この答申を受けてから今回閣議決定するまでに相当の日数がある、したがって、その後の事情変化も考えて、諮問ということで考えるべきではないかというお尋ねでございますが、これはやはり瀬戸内海環境保全の目標を掲げ、さらにこの達成のための基本的な施策の方向というものを内容にするものでございますので、大筋の基本路線といいますものは、この五十一年十二月一日にちょうだいいたしました答申の線でよろしいと考えたわけでございます。ただ、先ほども言いましたような、その後の施策の進展と後継法との整合性の確保ということがございますので、これは政府の責任において基本計画も決めますし、後継法案につきましても政府として閣議決定をした上で国会に提案をするということでございますので、この辺は諮問ということでなくて、むしろこういう経過であるということを御説明申し上げる、報告をする、なお御意見等があればその際に伺うということで十分ではなかろうか、かように判断をいたしまして諮問等はいたさなかった次第でございます。
  222. 古寺宏

    ○古寺委員 私は、これでは諮問できないような内容ではないかと思うのです。と申しますのは、五十一年の十二月一日の答申とこの基本計画というのは、もう写真で複写したような、そっくりそのままの内容になっているわけですね。ですから、こういう答申をいただいて、今回この基本計画を出されるまでの間、環境庁は一体何をしておられたのか、まさに行政の怠慢をみずからこの計画の中にわれわれに公表しているようなものではないかとさえ考えられるわけなんですが、どうしてこの答申をそっくりそのまま、印刷がちょっと違いますが、内容はそっくりでございます。どういうわけなんですか。
  223. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 答申を何か複写したようなという、そっくり同じという御指摘でございますが、先ほど申し上げました基本計画というものが長期的な計画でもございます。しかも、今後の目標を掲げ、それに達成するための基本的な施策を書いたということでございますから、そう大きく変わるということは方向としてはあり得ないというふうに考えます。答申を尊重し、それに即してつくったものですから、そういう意味では非常に答申と似ておるということは事実でございますが、しかし、これにはまた、先ほど申し上げましたように、一つ水質汚濁の防止の面におきましては「水質総量規制制度の実施」というのもございますし、それから「富栄養化による被害の発生防止」というくだりもございます。あるいは「油等による汚染の防止」という面も、具体的な表現その他施策も織り込んで書いたつもりでございます。それから、「自然海浜保全等」のくだりも充実した表現にいたしております。  そういうようなことで、非常に尊重するという角度から見ましてそっくりのものもございますし、他方、尊重しながら、今後の長期的な計画でございますから、新しい施策の方向を今度織り込めるものは織り込んだ。しかも、他方、後継法というものとの整合性というものにも留意をした。  問題は、いままでゆっくりやっていて怠慢だというおしかりもございますが、やはりこの基本計画と後継法というものが法律的な事項といいますか、こういう面につきましてはまさにうらはらになります。したがいまして、後継法に何を盛り込むべきかというようなことにその間、大分取り組んでまいったということは事実でございます。法案とこの基本計画案、これは四月二十一日の閣議に、両方どもそこで整合を図った上、閣議決定をさせていただいたということでございます。
  224. 古寺宏

    ○古寺委員 そこで、この瀬戸内海環境保全計画を策定するわけなんですが、策定計画は各府県がつくるわけでございますが、その各府県が今後府県ごとにこういう基本計画をつくってまいる場合に、この基本計画がもとになりますね。したがって、この基本計画そのものに各府県の意思なりあるいは住民の意思なり、また瀬戸内海にはいろいろな種類の産業があるわけで、介在しているわけでございますから、そういう瀬戸内海の実情に合った基本計画でなければならないわけでございます。特にその中で、住民の意思というもの、住民意見というものが十分に反映されていなければならないわけでございますが、この基本計画の中には住民意見というものは具体的にどういう形で盛り込んでございますか。
  225. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 府県計画につきましては、これは基本計画に基づきまして、関係府県の実態に応じましてそれぞれ関係府県知事が定めるということで、御審議いただいております後継法の第四条にそういう規定を盛り込んだわけでございます。問題は、この府県の知事さんはいわば県の総合行政ということを担当されておられるわけでございますから、そういう立場からいたしまして、当然、これに盛り込みます施策の内容、こういうものに応じて市町村の意向というようなものも十分組み入れながら策定していくということになろうかと思います。したがいまして、そういう意味地元意見というものは反映されるものと考えるわけでございます。  ただ、いま御指摘ございました住民意見といいますか、それはどうかというお尋ねでございますけれども、これは府県計画という県レベルの計画でございます。したがいまして、何か特定施設を設置する、それが環境に影響はありはせぬか。いま許可制をしいておりますけれども、その際には事前のアセスメントといいますかもやり、その結果も公告縦覧するというようなことの制度になっております。あるいはアセスメントの問題がいろいろ現在問題になっておりますが、いわゆる開発行為その他のことで物が何かそこでできるわけでございますね。そういうときに、それが環境に影響を及ぼしはせぬか、これは大きな影響を及ぼしては大変でございますから、そういう面で事前評価をやり、住民の方々の意見等も取り入れていくといいますか聞くというような仕組みというものは考えるわけです。これは、府県計画というものは府県全体のレベルの計画でございますので、そういう意味では、住民個々の方から御意見を聞くという形でなくてよろしいのではないか、かように考えておるわけでございます。
  226. 古寺宏

    ○古寺委員 瀬戸内海環境保全をこれから推進していくためには、やはりどうしても地域住民の協力なしにはできないと思うのです。先ほど局長さんが一大国民運動を展開して住民にPRをして御協力をしていただくのだ、こういうようなお話を盛んに力説しておられましたが、この基本計画というものが本当に民主的に住民の意思と共通した願望と申しますか、共通したものを持っていなければこういう計画というものは推進されないと私は思うのです。そういう意味におきまして、今回の計画というのは非常に天下り式の計画のような感じを抱くのです。  そこでお聞きしますが、総量規制の問題がございます。総量規制は、たとえて言えば瀬戸内海なら瀬戸内海地域指定して、そして一律の総量規制というものをなさるわけでございますか、どうですか。
  227. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 総量規制につきましては、この制度仕組み等につきまして水質汚濁防止法改正案の中に盛り込んでおるわけでございます。ただ問題は、その際に、地域政令指定する、あるいは対象になる項目は指定項目として政令指定するというような形で水質汚濁防止法の改正の方には書いてございます。ただ、瀬戸内海ということに相なりますと、今度は後継法の方に、それを瀬戸内海については十二条の二という規定を挿入いたしまして、CODに係る総量規制につきましては、内閣総理大臣は「総量削減基本方針を定めるものとする。」というふうに明定をいたしておるわけでございます。したがいまして、瀬戸内海につきましては、この法律が御審議の結果成立させていただきますと、当然にこのCODに関する総量規制については政令指定をまつまでもなく導入をされるということに相なるわけでございます。その他の東京湾なり伊勢湾は政令等の指定をまって導入される、こういうことになるわけでございます。  なぜこう違うかと申しますれば、現在の臨時措置法総量規制を導入すべしというのが十八条にございますし、また四条で産業系排水に係る二分の一カットというものがCODについてございますが、それを発展的に組み入れるということで瀬戸内海は必ず総量規制はやる、こういうことに仕組んだわけでございます。
  228. 古寺宏

    ○古寺委員 そうしますと、瀬戸内海関係の各府県は、いわゆる総量規制に基づいた削減計画というものを立てなければいけませんね。では、その総量というのは一体何を目標に決めるわけですか。総量を規制するわけでしょう。その総量というのは何を目標に決めるわけですか。
  229. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 総量削減計画といいますか総量規制をやります際に、各県に、たとえば瀬戸内海であれば瀬戸内海で各県に削減目標量の割り当てをいたします。問題は、そのときの一応のめどはどうかということになりますが、これは先ほども申し上げましたように、瀬戸内海水質環境基準の確保というのを目途にしてということでございます。目標じゃございません。直にではございませんで、これは目途ということで、あくまで行政目標としてこの水質環境基準の達成維持がございます。これを目指して進んでいくべきであるという見地に立って目標年度、たとえば五年先なら五年先というところにおきます削減目標量を決めるわけでございます。したがいまして、この五年先の目標量といいますのは、これは今後の産業活動の伸びなり人口の増なりそういう汚濁負荷量のプラス要因と、排水処理技術の普及とかあるいは下水道の整備の見通しとかというマイナス要因とを勘案いたしまして実施可能な限度で削減を図ろうということで考えた場合の目標量でございます。そういうことで、これを各県ごとにこういう形のものがおりていくわけでございます。
  230. 古寺宏

    ○古寺委員 この答申の「留意事項」と申しますか、これがきょうここで何遍も論議されておったようでございますが、「環境基準を達成している海域であっても利用目的等をも考慮しつつ、当該環境基準よりも良好な水質を可能な限り維持する方向で水質環境基準のあてはめの見直しを行うこと等についても検討をする必要がある。」こういうふうに明記をされているわけでございますが、瀬戸内海環境を、特に水質保全していく上においては、いままでCのランクのものがBになる、Bを今度はAの当てはめを行うというように、徐々に水質を回復していくということが必要になると思うのですが、そういう点は何か考慮されていないというような先ほど局長さんのお話でございましたが、これはどういうわけでございますか。
  231. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 確かに瀬戸内海審議会の五十一年十二月一日の答申には「留意事項」というのがございまして、そのうちの第一点にただいま先生がおっしゃられたくだりがあるわけでございます。その際に、瀬戸内海全体が広うございますので、それぞれ水域を区切りましてAとかBとかCとかという形での類型指定、通常当てはめというのをやっておるわけでございます。そこで問題は、現在当てはめたもの、CならC、これをいまのお話ではBにしようということでございますが、その現在の当てはめた姿のものでさえもまだなかなか達成できておらないということでございますので、まずこの達成をすることの方が先決であろうというふうに考えたということでございます。先決に考えたわけでございますが、それだったらこの達成というのは簡単にできるかねということになりますと、なかなかこれは簡単ではございません。私の感触では、いまのあれもやはり相当の年数はかかるでございましょう。将来の見直しという問題にということも、これは将来の検討課題としてあろうかと思いますけれども、当面はやはり現在の当てはめた環境基準の達成維持というところに焦点をしぼって、これに向かって邁進するのが先決であろう。そのためには従来の濃度規制あるいは公防計画の策定というような手法だけではまずまず困難だ、広域的な閉鎖性水域においては。そこで総量規制という新しい手法もそれと並列して環境基準の維持達成、いま当てはめられたものの全面達成に向かって邁進をしたい、こういうことでございます。
  232. 古寺宏

    ○古寺委員 どうもその辺が……。全面達成するためには、やはり悪い類型のところはいい類型にランクを上げていきまして、そして全体として総合的に水質がよくなる方向に、改善する方向に持っていくのが私は常識だと思うのですが、そうすると現在はまだ一カ所も環境基準を達成した地域はないわけですか。
  233. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 これは一カ所もないという意味ではございませんで、環境基準の達成というのは、五十一年度の公共用水域の測定結果によりましても、瀬戸内海につきましてはCODに見る限り七二%の達成率になっているわけです。いまAとかBとかCとかございますけれども、現在当てはめたものが環境基準に達しているかどうかということを水域ごとに比率で出しますと、七二%は達成した。しかし、残りのものも達成しませんといけませんので、それに向かってさらに総量規制も導入しながら努力していきたい、こういうことでございます。
  234. 古寺宏

    ○古寺委員 そうしますと、一つには、いわゆる類型の当てはめの見直しが必要であり、もう一つは、総量規制を行うとしても、やはりCODの二分の一カットは達成していないところがあるんですから、まだそのままにしておいてよろしいんじゃないか、こういうふうに考えるのですが、どうですか。
  235. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 いや、二分の一カットの措置産業系についてやっておるわけでございますが、ただ、あれは総量規制ではございませんで、いわゆる二分の一カットするために濃度規制の上乗せ条例を逐次かけるというやり方を臨時措置法はとったわけでございます。ただそのときに擬制的に水量を幾らと見て計算すると量が出てくるわけで、そういうやり方をとったわけです。ですから、あれは産業系排水についての量規制ではないわけです。濃度規制なんです。ところが今度の総量規制といいますのは、従来のPPm規制のほかにグラム規制になるわけでございます。何キログラムという守らなくちゃならぬCODの量が工場に行くわけでございます。そこが違うわけでございます。したがいまして、問題は、いまの濃度規制といいますものは上乗せ条例で各県がやったわけですが、これは今度別に廃止する気はございません。これは県の方がそのまま据え置きで横すべりで行くと思うのです。そのほかに総量規制生活系まで抱き込んで減らしてもらわぬと、環境基準がまだ七二%しか達成していませんから、これを一〇〇%に向かってやっていくために努力していただこう。     〔委員長退席、島本委員長代理着席〕 まあ内部生産の問題もございますが、こちらはなかなか、からくりがわかりませんので、いろいろ研究をしていきますけれども、そういうことで、いま汚濁の負荷量を出しているところは、出している人すべて努力していただきたい、こういう考えでございます。
  236. 古寺宏

    ○古寺委員 いま局長さんがおっしゃるのは、ちょっと誤解していると思うんですね。総量規制を入れたというのは、いままでのppm、濃度だけではいかぬので総量規制を導入したわけですから、これはよくわかるのですが、その総量規制も今度は総量規制には上乗せ基準というものはつくらぬ、こう言っているわけですね。その上乗せ基準をつくらないのはどういうふうにしてカバーしていくか。それは結局は環境基準を達成するいままでのような方法でもって、排出基準でこれをカバーするとかいろいろな面でカバーしていくわけでしょう。ですから濃度と量と両面作戦で水質をよくしようという考え方でなければいかぬと思うのです。先ほど局長さんのお話を聞いておりました際には、もういままでのPPm方式は全部要らないのだ、全部総量規制万能で、もう一切要らないのだというようなお話に聞こえたものですから、いま念のためにお尋ねしたわけでございます。  次は燐の問題でございます。富栄養化対策として燐の削減の問題があるのですが、この削減に当たって指導指針というのですか指導方針というのですか、指導方針というものを定めて、そしてこれを各関係府県知事に対して指示をする、こういうふうになっているわけですけれども、この指示というのは、先ほど行政指導とおっしゃっていましたが、どういう内容のものでございますか。
  237. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 御審議いただいております瀬戸内海法の十二条の三という改正のくだりでございますが、環境庁長官が知事さんに、指定物質削減指導方針を決めるべきことを指示するわけです。決めてくれというのを指示するわけでございます。     〔島本委員長代理退席、委員長着席〕 その決めてくれという指示をする際には、「削減の目標、目標年度その他必要な事項を示して」指示をするということでございます。瀬戸内海関係十一県ございますから、燐の問題はなかなかむずかしい。したがって、うちの県は関係ないから向かい側の県だけやってくれ、こう言われましても困るのでございまして、そこはやはり斉一にやっていただかないとまずいだろうということで、環境庁長官から、削減の目標はおたくの県はこの程度、目標年度は五年先なら五年先というようなことで一応指示をする。その指示を受けて、この削減指導方針というものは知事さんが決めるわけでございます。
  238. 古寺宏

    ○古寺委員 そうしますと、瀬戸内海全体として燐をどのくらい削減したらよろしいというふうに環境庁はお考えになっていらっしゃるのか。それに大体合わせまして各府県も燐の削減計画というものを立てられるんじゃないかと思うのです。そういう全体の、瀬戸内海としての燐はこのくらい削減すべきであるという目標がなければ、勝手に各府県がつくりなさい、こういう指針をつくりなさいというふうに指示しましても非常に困るんじゃないかと思うのですが、この点はいかがでしょうか。
  239. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 もちろん県の方に、この法律が成立して後、施行になりますれば、当然、削減の目標なり目標年度を示すわけでございますが、県別に示すにつきましては、当然、瀬戸内海全体として燐の負荷量の現状がどうであるか、あるいは今後五年後などにはどのぐらいに持っていくべきかというような一つ考えを持ちましてその上で環境庁長官が県に指示をする。もちろんこの指示された際もいろいろな削減を指導することになりますが、指導する際のマニュアルといいますか、ガイドラインといいますか、こういうものもやはり示してやりませんと、具体的に助言、勧告は県がするんだよ、こう言われましても、実際問題としてはむずかしかろうと思いますから、そういうようなガイドラインといいますか、マニュアルといいますか、そういうものも示したい、かように思っております。
  240. 古寺宏

    ○古寺委員 それと同時にあわせまして、削減していく場合には、当然、燐の環境基準あるいは排水基準というものを定めなければならないのではないかと考えられるのですが、その点に対する御準備はできておりますか。
  241. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 燐につきましては、知事さんの方でこの指導方針に基づいて行政指導ベースで燐の削減を要請するというスタイルをとっているわけでございます。これが規制でないのは緩いではないかというような御指摘もあるわけでございます。その際もお答えを申し上げたわけでございますけれども、現在、水質汚濁防止法の面におきまして排水基準を決めております項目がございます。健康項目なり生活環境項目がございますが、こういうたぐいのものは主として、少なければ少ない方がよろしいという角度でむしろ排水基準というものを決めているわけでございます。ところが燐というような話になりますと、これは汚濁物質というよりも栄養物質でございます。したがいまして、全然なくても困りますし、多くても困るというたぐいの物でございまして、環境水質におきます燐の望ましいレベルとは何ぞやというのがまだ実は決まっておらないわけでございます。したがいまして、今度は、排水をする際もどのレベルまで落とせば環境水質がこの辺になるかという関連も、まだそういう意味では環境水質のレベルが決まっておりませんから、決めようがない。したがって、現在、水質汚濁防止法体系の中に燐というものは顔を出しておらないわけでございます。先ほど申し上げましたCODはすでにございまして濃度規制をやっておる。それだけではしょうがないので、濃度規制プラス総量規制というものを考えているわけでございますが、燐はまだ濃度規制対象にもなっておらないということでございます。これは非常にむずかしい問題でございます。さればといって、ほっておけません、瀬戸内海富栄養化の被害というのが現実的に非常にございますので。しかしそういう事情からして、そういうばりっとした規制ということは現在の科学的知見その他からできないわけでございますが、放置ができないので、行政指導という手法でございますけれども、何らかこれを実施する法的な足がかり、整々と各県がやれる、またやっていただくという形のものを織り込んだ、こういう次第でございます。
  242. 古寺宏

    ○古寺委員 そういう全体としての削減は、どのくらい削減したらいいかというガイドラインなりそういうものは一応環境庁が示す、それで方針を各府県がつくるということになるのですが、いまのお話ですと、多くても困る、少なくても困る、ですから基準を決めるわけにもいかない、こうなっているのですけれども、では、行政指導をする場合には何を基準にして、どういうような形で行政指導をなさるわけですか。
  243. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 現在、瀬戸内海におきましては、富栄養化が進行いたしておりまして、そのことによりまして、いろいろな要因が加味されるわけですが、赤潮発生を見る、あるいは海水浴場の遊泳禁止の日が続く、あるいはアオサが海岸に打ち寄せるというような問題が各地に起きておるわけでございます。したがいまして、この瀬戸内海におきます富栄養化の進行に歯どめをかけたいということでございます。したがいまして、五十年の推定値ではございますが、燐の流入負荷量といいますものが瀬戸内海で一日当たり三十五トンと言われております。したがいまして、今後、汚濁の流入量というようなものがさらにふえるというようなことがあっては、ますます赤潮の多発化、悪質化、さらにいろいろな富栄養化に伴う被害がどんどんふえてまいるということは問題である、少なくともこの進行には歯どめをかけたいという角度に立って目標量等を決めたい、こういうことです。問題は、では目標量は国で決めて県に割り当てる、県の方は工場等に、これは規制じゃございません、行政指導ですが、削ってくれ、落としてくれとお願いをするわけですが、そのときには、こういう業種については燐についてはこのくらいまで落とせるはずである、落としてもらいたい、この業種はこうだという、ある程度業種ごとのめどは、これはマニュアルといいますか、でございますが、そういうような姿のものもやはり県にも示しませんと、県の方も指導ができないと思います。個々の工場なりに対してお願いする際の物差しでございます。これもつくろうと思っております。
  244. 古寺宏

    ○古寺委員 関係の府県が十一府県でございますか、ございますが、その府県の中には、仮に、こういう方針をつくってくれ、こういうふうに法律で定めましても、これは努力目標ですからうちの県はとてもそんなむずかしいことはできない、あるいは今度は各県によりましてみんなばらばらの指針をつくってやった場合に、これは一体どこがこの問題を調整していくのでございますか。あそこの県に行ったら、こういう工場に対してはこういう指導をしている、こっちの府はこういうような指導をしている、それからこっちの県は、うちはとてもそんなまだはっきりしない燐の指針、方針なんというのはつくられない、こういうふうになりましたら、一体これはどうなるのでございますか。どこが収拾するのですか。
  245. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 まず一つは、これは少なくとも十一県は現在関係府県になっておるわけでございます。したがいまして、燐削減対策につきましてもやはり各県とも足並みをそろえてやっていただかないと困るという考えに立つわけです。そこで、この指定物質削減指導方針というものを燐についてつくるようにという指示を環境庁長官から知事さんにいたすわけでございます。そのときに目標とか目標年度も示します。そういうことで県ごとに指示をします。そこで、知事さんの方におきましてその指示に従って指導方針を決めようとするときは、環境庁長官に事前に報告をもらいます。事後では、先生おっしゃるような事態もなきにしもあらずと思いますので、事前にちょうだいをいたしまして、その報告を見て、ある県がうちは知らぬよという顔でございますれば、いろいろ要請もしたい、こう思っております。  それから問題は、そういうことで指導方針は決める。しかし、知事さんはこの指導方針に従って、個々の工場なり、事業場なり、養殖漁場なり等につきまして、必要な指導、助言をやっていただくわけでございます。その際に、化学工場なり食品工場なり、同じというわけにまいりませんから、そこはそれなりに、化学工場はこうである、食品工場はこうである、ハマチの養殖漁場に対してはこういう助言をしてもらいたいというマニュアルをつくって知事さんに渡す、知事さんの方はそれに即しつつ、もちろん県の実態も多少は加味が入ると思いますが、そこで行政指導ベースで燐の削減方を強く要請をしていく、そして目標を目標年度で達成するということを期待いたしておるわけでございます。
  246. 古寺宏

    ○古寺委員 期待では、果たしてその期待どおりいくかどうか。期待に終わった場合にこれは大変でございますよね。ですから、この辺はもう少し詰める必要があるのではないかと思うのです。  なお、富栄養化の、赤潮の原因としてヘドロの問題がございます。汚泥の問題これにつきましては、基本計画の中にもこの泥の問題が載っておるわけでございますが、十二ページに「海底及び河床の汚泥の除去等」と載っていますね。そこで、きのうでしたか、局長さんと汚泥の問題でお話ししましたが、これが現在は、PCBと水銀しか除去の暫定基準がないわけですね。ところが、各国の底質のいろいろなデータを見ますと、スウェーデン、デンマーク、いろいろなところがございますが、たとえば重金属のいろいろな研究が進んでおります。そういう水産動植物あるいは水質に影響のあるような底質あるいは汚泥については、やはり十分に対策を検討する必要があるのではないか、こう思うわけなんです。  そこで、水産庁の方いらっしゃいますか。きょうは時間がありませんので、余り申し上げませんが、こういうような水銀あるいはPCB以外の他の物質によって環境にいろいろな影響を及ぼすという底質あるいは汚泥の研究というものが、わが国でも当然なされているでしょうし、各国でも行われているわけでございますが、その点についてはどういうふうにお考えでしょうか。
  247. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 現在水銀及びPCBにつきましては、暫定除去基準というものを定めてございます。その他の重金属については定めておりません。なぜ水銀とPCBについて暫定除去基準を定めたのかということになりますが、この水銀とPCBにつきましては、いわゆる蓄積性の汚染問題があるわけでございます。水俣の水俣病に象徴されておりますとおりでございます。したがいまして、厚生省におきまして、まず魚の暫定的規制値というものを決めてございます。これはトータル水銀が〇・四、アルキル水銀が〇・三PPmということで決めておるわけでございます。それ以上の魚は、現在、自主規制をやらせておるわけでございます。水俣湾の魚も、人体に影響があるということで、いまとらせておりません。そういうことでやっておるわけです。  問題は、結局、そういう魚が出ないようにするためにどうしたらいいか、どの程度のヘドロをさらったらいいかということで考えておりまして、ヘドロをそういうことでさらうのが暫定基準でございます。そこで当てはめまして、それぞれ水俣湾も洗おうかという話がいま進行中ということでございます。  その他の重金属につきましては、これは蓄積性汚染がございませんし、またこういう重金属の、しかも有害性のもの等がございますれば問題でございますので、全国的に公共用水域の水質の調査をやっておるわけでございますが、健康項目につきましてはほとんど一〇〇%といっていいくらい問題はないという現実でございます。したがいまして、いま直ちにこの暫定除去基準というものを重金属についてつくらなくてはならないという緊迫性なり必要性は乏しいのではないか、かように考えておる次第でございます。
  248. 伊賀原弥一郎

    ○伊賀原説明員 ただいま環境庁局長の方から話があったわけでございますけれども、私どもの理解しておりますのも、いわゆる泥の除去につきましては、生物に蓄積されることによりまして人体にまで影響が出てくるということを抑えるための基本になることとして泥の除去の方が必要な場合に除去基準が決められているというぐあいに理解しておるわけでございます。  それで、私どものいろいろな調査等がございますけれども、その他の重金属につきましても、確かに水産動植物に蓄積されるものもございますけれども、動植物自体の生育に大きく影響を与えるとか、いわゆる骨が曲がってくるとか、そういう大きな障害が出てくるというような話は聞いておらないわけでございまして、そういうこともあり得るのかもしれないとは思いますけれども、私どもの範囲内では心得ておりません。一応そういうものを防止するためには、重金属とかそういうものが河口域とかそういうところに大きくたまらないようにしていただくということが基礎でございますので、水質汚濁防止法に基づく排出基準等を厳格に守っていただくというようなことによりまして、そういうことが起こらないように、関係省庁に十分連絡してまいりたいというぐあいに考えておるわけでございます。
  249. 古寺宏

    ○古寺委員 この答申の「水質保全等に関する目標」の三番目でございますが 「水銀、PCB等の人の健康に有害と定められた物質を国が定めた除去基準以上含む底質が存在しないこと。また、その他有機物の堆積等に起因する悪臭の発生水質の悪化等により生活環境に影響を及ぼす底質については、必要に応じ、その悪影響を防止するための措置が講ぜられていること。」こういうふうに書かれてあるわけでございますが、これがこの基本計画の中には今度は抜けているのですね。基本計画の中にはございませんね。どういうわけですかね。
  250. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 あの答申にいたしましてもあるいは基本計画にいたしましても、大体似たようなスタイルになっているわけですが、最初に「第2 計画の目標」といいますか、これは計画の方でいきますと、結局「水質保全等に関する目標」というのがありまして、そしてその後で今度は第3でございますが、「目標達成のための基本的な施策」というのがまたあるわけです。したがいまして、この水銀、PCB等のといいますか、ヘドロの除去については目標のくだりに文章がございます。そしてまた後で、その基本的な施策のところにまた書いてある、こういうことでございまして、ただいま先生が読み上げられましたくだりにつきましては、「水質保全等に関する目標」というところでは全く同文であるわけでございます。  それは、こちらで言えば三ページの(3)というところでございます。「存在しないこと。」と言って、後に、四ページに「また、」と言って、先生が落ちているではないかと言われたくだりがここに書いてあるわけでございます。これを受けまして十二ページの8ということで、「海底及び河床の汚泥の除去等」ということで、それに見合ったような角度で施策の方向を書いてある、こういうことでございます。
  251. 古寺宏

    ○古寺委員 これはこの法律、法文ではどこですか。
  252. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 これは基本計画ですから、ヘドロとか藻場とか、環境保全に関するいろいろな目標なり施策の方向を書いているわけでございます。  法律の方におきましては、特に現在の後継法といいますか、改正案文にはございませんけれども現行法臨時措置法そのまま存続をいたします分に入っておるわけでございますが、現行法の十四条におきましては、「下水道及び廃棄物の処理施設の整備等」というくだりがございまして、この中に「汚でいのしゆんせつ」というようなことが書いてございます。したがいまして、簡単に申し上げれば、国及び地方公共団体は汚泥のしゅんせつに必要な事業の促進に努めなければならないという形になろうかと思います。これは法律でございますから細々しくは書けませんで、いろいろなものとくくったかっこうで抽象的に規定されているわけでございます。
  253. 古寺宏

    ○古寺委員 そうしますと、この水銀とPCB以外の他の物質による汚泥についてもしゅんせつをしなければならない、こういうふうに理解していいでしょうか。
  254. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 基本計画の方で二つに書き分けてございますのは、一つは水銀、PCB等ということで、いわゆる有害なものということで、しかも先ほども申し上げましたように、いわゆる蓄積性汚染ということで、魚を通じて人間の体に蓄積をして病気になるというくだりのものについて、いま暫定除去基準を決めております。そういうヘドロをしゅんせつするということがございますが、「その他有機物の堆積等に起因する」もの、これは、たとえばパルプ工場等におきましては、田子の浦の例にも見られますように、瀬戸内海におきましても、三島、川之江地区等のパルプ工場から有機物のパルプ廃液との絡みのヘドロが相当堆積されておるわけです。これも逐次、いま取ってはおりますけれども、これは水銀、PCBじゃございませんけれども、やはりそういうものは取るべきであろう、もちろんこのほかに、漁場の機能回復の観点なりあるいは河川なり、港湾の環境整備事業というような角度で、環境の面にも配慮しながら、有機物のヘドロのしゅんせつもやっておる、必要に応じて実施をいたしておるということでございます。
  255. 古寺宏

    ○古寺委員 その他の有害物質と底質の関係につきましては、次回にまた改めてゆっくりあれすることにいたしまして、今度のこの法律の中の「自然海浜保全地区の指定」でございますが、これは現在までに海水浴場なりあるいは何かレクリエーションの場として使われているところだけがこの対象になっているというふうに私読んだのでございますが、これはどうなんでございますか。
  256. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 自然海浜保全地区という制度といいますか、そういう仕組みを法制化してみたいということで考えたわけでございますが、この十二条の六という規定にもございますように、ここに要件が書いてございます。「水際線付近において砂浜、岩礁その他これらに類する自然の状態が維持されているもの」、それから二号として、「海水浴、潮干狩りその他これらに類する用に公衆に利用されており、将来にわたってその利用が行われることが適当であると認められるもの」ということで、いわゆる自然の姿で、なおかつ海水浴等に利用されておる、こういうところを保全し、適正な利用を将来にわたってやっていくべきところという感じでございます。  もちろん、具体的なこれの運用の問題といたしましては、自然の状態が維持されているという際に、たとえば台風の関係もあって多少そこに堤防をつくった、その前面にまた砂浜ができておるというようなときには、堤防がちょっと入っているから自然じゃないというリジッドに考えるかどうか、これは運用の問題でございますけれども、物の大ざっぱな考え方としては、自然の姿の海岸で、それに海水浴等に公衆の方々が非常に利用されているところ、そういうところを将来末長く保存していきたい、こういう思想でございます。
  257. 古寺宏

    ○古寺委員 そうしますと、現在残っている自然海浜、こういうところはその地域指定してできるだけ将来のために残しておくべきだと思うのですが、埋め立てとこれとの関係はどうなりますか。こういう地域埋め立てをするというような申請が出てまいった場合にはどういうふうにしますか。
  258. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 十二条の七に「行為の届出等」という規定がございます。自然海浜保全地区ということで指定をされる、そうしますと、この「地区内において工作物の新築」なりといって例示が書いてございますが、「その他の行為をしようとする者」に届け出をさせ、そして届け出た者に対して助言、勧告ができる、こういうくだりになっておるわけでございます。物の考え方といたしましては、「その他の行為をしようとする」という「その他の行為」というものに埋め立て関係は入ります。ただ問題は、入りますが、すぐ隣の次の条文に、また、「埋立て等についての特別の配慮」、十三条というのがあるわけでございます。これは新旧対照表でごらんになられた方がいいかもしれませんが、十三条として次にございます。埋め立てにつきましては、行為の届け出というものよりは、むしろ埋め立ての許可申請というものを免許権者にまず出さなければならないわけでございます。したがいまして、埋め立ての許可申請を出せばもう、これは知事さんでございますから大体届け出とイコールになるわけでございますけれども、問題は、埋め立ての方はさらに特別の配慮の規定もございますし、そういうことで、現実問題としては、この十三条の規定等によって、この自然海浜保全地区というようなところでの埋め立てというものもチェックされるということに実際問題としてなるというふうに考えておるわけでございます。
  259. 古寺宏

    ○古寺委員 これは、原案では必要な規制ということだったと思うのですが、それが勧告、助言というふうに変わったわけですね。これはどういうわけですか。
  260. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 法案を策定いたします過程において、これを規制というふうに考えたことも確かにございます。問題は、もちろん法律的な見方からいたしますると、勧告、助言よりは規制の方が行為規制としては強いものでございます。ただ、現在考えた最後の案は、関係府県は条例によりということで、いわゆる県の固有事務ということで考えております。したがいまして、勧告、助言という形にしてみたわけでございますけれども、これにさらに特定のこの瀬戸内海の各十一県だけに、東京都や埼玉県と違って、行為規制の権限存付与するという仕組み方が非常に問題になるわけでございます。そういうことでございまして、むしろこの規制でやるか、勧告、助言でやるかという問題よりは、むしろこの制度のねらいとしては、地区指定というものが現実にされますと、そういう規制とか助言、勧告という問題以上に、県民その他の方々がその辺にはよく目を光らすはずでございますので、十分目的は達成できるのではないかというふうな考えで、助言、勧告でよろしかろうというふうに判断をしたわけでございます。
  261. 古寺宏

    ○古寺委員 時間になったようでございますので、もう終わらなければならないわけでございますが、この基本法ができて、実際に今度はこれの実施計画なり事業計画というものがなければ目的を達成することができぬと思うわけですが、これは各府県がいろいろな計画を立てる、あるいはまた、建設省は下水道事業を行うとか、いろいろ、きょうありましたね。けれども、そういうような総合的な事業計画の調整というものは、環境庁がやらなければ所期の目的の達成はできないじゃないか、こういうふうに考えるのですが、この点については、この法律ではどういうふうになっているわけでございますか。
  262. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 基本計画が臨時措置法段階で、この四月二十一日、策定されたわけでございますが、これが今後、後継法で決めた基本計画とみなすということで引き継がれるわけでございます。問題は、国の段階だけでこの基本計画をつくっておるだけでは十分でございません。関係県が多うございますし、やはりこの線に即して県が実態的に環境保全施策を展開していただくということが必要であるという考えに立って、府県計画というものを新たに策定をするということを織り込んだわけでございます。もちろん、県の方でこの府県計画をつくります際には、その点で、下水道の整備の問題もございましょう。あるいは藻場干がたの整備の話もあるかもしれません。各般の環境保全施策がこの府県計画にも盛り込まれるわけでございます。もちろん県の方におきましては、大体、県は総合行政を担当するといいますか、そういう角度でやっておられます。特殊の国家の地方支分部局が抜けている面も絶無ではございませんけれども、大部分は知事さんが総合的にやっておられますので、県で府県計画を立て、これが施策を実施する際には十分調整が図られるものと、このように考えます。
  263. 古寺宏

    ○古寺委員 いかに知事さんが府県の計画を立てられましても、財政的な裏づけがなければ事業の推進というものはできないわけでございますので、そういう面に対する政府の考え方、この点について、大臣から承りたいと思います。
  264. 山田久就

    山田国務大臣 この基本方針に基づきまして、その趣旨が具体的に実現するようなふうに、われわれとしては政府の立場で、いわば総合調整あるいは内面指導というか、そういうことで督励していくというようなことで所期の目的を達成することに努力いたしたい、こう思っております。
  265. 久保等

    久保委員長 次回は、明二十八日金曜日午前十時理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時三十七分散会