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1978-04-21 第84回国会 衆議院 公害対策並びに環境保全特別委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年四月二十一日(金曜日)     午前十時三十三分開議  出席委員    委員長 久保  等君    理事 相沢 英之君 理事 池田 行彦君    理事 登坂重次郎君 理事 林  義郎君    理事 島本 虎三君 理事 水田  稔君    理事 古寺  宏君 理事 中井  洽君       戸沢 政方君    萩原 幸雄君       井上 一成君    馬場  昇君       坂口  力君    東中 光雄君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (環境庁長官) 山田 久就君  出席政府委員         環境庁長官官房         長       金子 太郎君         環境庁長官官房         審議官     石渡 鷹雄君         環境庁企画調整         局長      信澤  清君         環境庁企画調整         局環境保健部長 山本 宜正君         環境庁自然保護         局長      出原 孝夫君         環境庁大気保全         局長      橋本 道夫君         環境庁水質保全         局長      二瓶  博君  委員外出席者         大蔵大臣官房審         議官      大場 智満君         大蔵省銀行局銀         行課長     吉田 正輝君         文化庁文化財保         護部記念物課長 横瀬 庄次君         林野庁林政部管         理課長     渡邊 信作君         水産庁漁政部沿         岸漁業課長   鶴岡 俊彦君         水産庁研究開発        部漁場保全課長 伊賀原弥一郎君         通商産業省基礎         産業局基礎化学         品課長     児玉 幸治君         運輸省航空局飛         行場部長    田代 雅也君         建設省都市局下         水道部公共下水         道課長     遠山  啓君         建設省道路局国         道第二課長   松井 宏一君         建設省道路局地         方道課長    三野栄三郎君         自治省財政局調         整室長     小林  実君         日本国有鉄道建         設局停車場第一         課長      田中 道人君         特別委員会調査         室長      綿貫 敏行君     ————————————— 委員の異動 四月二十一日  辞任         補欠選任   土井たか子君     井上 一成君 同日  辞任         補欠選任   井上 一成君     土井たか子君     ————————————— 本日の会議に付した案件  公害対策並びに環境保全に関する件      ————◇—————
  2. 久保等

    久保委員長 これより会議を開きます。  公害対策並びに環境保全に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。馬場昇君。
  3. 馬場昇

    馬場(昇)委員 山田長官は、環境庁歴史をたどってみますと、第九代目の長官のようでございます。  ちょうど一カ月前になるわけですけれども、三月十九日の日曜日に、機動隊を入れられて、水俣病患者強制排除を第九代目の山田長官が行われました。私は、この行為というのは環境庁歴史に汚点を残した、こう言わざるを得ないのでございます。これは、私が単にそう言うんじゃなしに、かつての環境庁長官でありました自民党の大石さんでさえも、新聞のインタビューに答えながら、およそ信じられない話だ、あってはならないことだ、こういうことを言っておられるわけでございます。患者さんが強制排除のときにけいれんを起こして痛む体の全身で抗議をした、訴えたあの姿を大臣はどう考えておられるのか。私は、警察官を入れての強制排除というあの行為を見まして、失礼な言い分になるかもしれませんけれども、長官はまだ水俣病のことを本当に御存じないんだなと思いました。そして、今日の認定不作為違法状態、これがいかに患者を苦しめておるか、こういうこともまだ十分御存じないんじゃないか、こういうぐあいに思いましたし、この水俣病に対する国の責任というものも感じておられないんじゃないか、こういうことを私は思いました。なぜ水俣病人類社会公害原点というのか、環境庁というのは何のための役所か、こういうことを問わざるを得ないのでございます。  しかし、私は、きょうはここで時間がございませんので、そういう議論はいずれ後日に譲りたいと思いますが、最低この場所でそういう反省を踏まえながら、次の二点についてまずお伺いをしておきたいと思うのです。  その第一点は、前の石原長官水俣に、現地に行かれました。三木長官現地に行かれました。私は、ぜひ山田長官にも水俣現地に行って、環境庁長官としてあるいは人間として、水俣病の痛みというものを感じていただきたい、知っていただきたい。これが山田長官水俣病行政環境庁行政をなさるのに欠くことのできない必須条件であろう、こういうぐあいに思うのです。  そこで、第一点として、ぜひ長官水俣に行っていただきたい。このことについての長官のお考えを尋ねておきたいと思います。
  4. 山田久就

    山田国務大臣 環境庁というものの任務責任、そういうものを私も深く自覚しておる人間といたしまして、ただいま指摘せられたような先ごろの出来事、繰り返すようでございまするけれども、われわれとしてはこういうようなことが起こらない、これを心から念じて、少しでも平常の形においてお互いの意見を交換して、まだ足らないいろいろな問題について、ひとつできるだけ皆さんのために対処することができるように、このことを念じ、また今日においてもその私の信念、願望はちっとも変わりはございません。なかなか長い歴史、複雑な背景をいろいろ持った問題でございます。足らざるわれわれが勉強しても、その真のところを捕捉する、これについてはいろいろのむずかしい点があろうかと思います。  いまちょうどお尋ねの点でございまするけれども、そういうような意味におきまして、適当な機会にぜひ私も出かけていって、少しでも私の理解と認識、そうして対策の飛躍という意味において寄与するよう努力いたしたいと思っております。
  5. 馬場昇

    馬場(昇)委員 これは、私の国会におけるお願いというよりも、本当に患者さん初め地元の人たちすべての希望でもあるわけですし、そしてまた全国の公害に携わっておる者とか、いや、全国民希望だと私は思いますので、いま長官が、水俣にぜひ行ってみたい、勉強したいとおっしゃいましたことをぜひ実行していただきたいと思います。  次に、もう一つ、これはこの前、内閣委員会でも長官に御質問を申し上げ、検討するという約束をいただいたわけでございますが、いま水俣病の問題にとっていろいろ問題があるのは御承知のとおりで、長官もむずかしいとおっしゃいましたが、それもそのとおりです。  そこで、二十年以上たっている中で、国や歴代環境庁長官が本当にだれもやってくれなかったことがあるのです。このことが混乱の基盤になっておると私は思うのですが、そのことは水俣病の広さとか深さとか悲惨さとか、この実態というものの総合調査を国の責任、国の力、国の行政で一回もやったことがないんですよ。そういう点につきまして総合調査法というような法律でもつくって、そうしてその深さ、広さ、悲惨さあるいは社会的な問題を含めて実態を明らかにして、その上で水俣病行政というもの、環境行政というものをつくり上げなければ本当の意味水俣病行政にはならぬ。二十年たって総合調査もしなかったという大変な過ちを犯しておると私は思うのです。いまからでも遅くないと思うので、ぜひ法律を必要とすると私は思います。ある程度予算も必要とすると思うのですが、ぜひ水俣病総合調査法というようなものでもつくって水俣病総合調査をしていただいて、そしてすべての実態を明らかにして、その上で水俣病行政を打ち立てていただきたい。こういうことをこの前も大臣質問をいたしました。大臣からは十分そういうことを検討してみるというような御答弁をいただいておるわけでございますが、ああいう事件のあった直後でございますし、やはりここで反省をして、原点に返ってこの問題に取り組むという姿勢をも含めながら、この総合調査問題についての大臣の御見解、御決意を承っておきたいと思います。
  6. 山田久就

    山田国務大臣 御承知のように、県として四十六年から四十九年に一応の健康調査というものが行われたということを私も聞いて承知しております。しかしながら、いま馬場委員の御指摘のごとく、この問題の非常な長い歴史、また深さ、そして広がり、そういうようなことを考えてみたときに、いま御指摘のありました総合調査という問題も、この前ちょっとお話し申し上げましたように、この問題についてはもう一度その真相というものをよく把握しながら、私はその問題も含めて真剣に対処する方法を検討したいと申し上げましたが、今日においてもそういう考えに変わりはございません。この問題は、いまちょうど立法の問題なんかの御指摘がございましたけれども、関係するところもいろいろあります。体制づくりというような問題もいろいろあろうかと思います。     〔委員長退席島本委員長代理着席〕 そういう点を総合いたしまして、ぜひ真剣に検討し、取り組んでいくような態度で臨みたい、こう考えている次第でございます。
  7. 馬場昇

    馬場(昇)委員 これも何回でも申しますけれども、あの不知火海沿岸には三十万人ぐらいの住民が住んでいるわけでございまして、そして、これはもう水俣市だけでなしに、対岸の天草、鹿児島県の広がりもあるわけでございます。そういう意味でこれをやらなければ、たとえば認定促進の問題をやろうとしたって、どれだけどんどんふえてくるかわからないというときに、立てられないわけですよ。たとえば患者補償をするという場合にしたって、どれだけふえるかわからない、これじゃ対策立てようがないわけでございますから、そういう問題について、何回目の大臣にもその都度私は申し上げておるのですが、検討してみたい検討してみたいと言って今日まで実現していないんですよ。だから山田さん、あなたの大臣時代に、やはり自分大臣時代には検討して、十分検討した上でいいですが、実行に移すというところまでいきたいのだという決意のほどをちょっとお聞きしませんと、前の何人かの大臣答弁されたと同じような内容ですし、そしてその大臣が実行されておられませんものですから、私はなかなか不安でございます。そういう意味で、ああいう事件のあった直後ですから、原点に返るという意味も含めまして、もう本当にやるのだ、そういう気持ちでおるのだという御決意をぜひ御披瀝を願いたいのです。さきほどのではちょっとはっきりしませんでしたので、失礼ですけれども、もう一回御答弁願いたいと思います。
  8. 山田久就

    山田国務大臣 この問題に対する私の取り組む信念姿勢については申し上げたとおりでございます。私は、いま御指摘のような点、いろいろな意味から私個人としてはぜひやはり考えてみる必要があるのじゃないかということで、私のときに、これはいろいろな問題がございますので、いまここで即答というのはあれですけれども、実現に移すというようなことを考えながら、ひとつ取っ組んでみたいということを考えておる次第でございます。
  9. 馬場昇

    馬場(昇)委員 ぜひひとつ、よろしくお願いしておきたいと思うのです。  次の点に移りますけれども、私は最近、幾たびか環境庁を訪ねました。あの環境庁に行ってみますと、鉄のとびらが閉めてございます。テントが玄関、入り口に張ってございます。ものすごい入門のチェックが行われております。縦に物々しい掲示が示されております。ガードマンが警備をしておるわけでございます。これが環境庁だろうかと、私は行くたびに感じまして、残念でならないわけでございます。  私は、水俣病二十年の歴史の中で、こういう経験を、今度を含めてもう一回やっております。それは、ちょうどチッソが東京駅の前、丸の内の本社のあるビルに鉄格子を張りめぐらして患者に対した。このときのことを思い出します。全くこれとうり二つの同一の姿であると私は思います。あの鉄格子をのかしてチッソ患者さんを話し合わせる、そして協定書をつくる、私も努力いたしました。そのときの長官三木さんでございました。三木さんも誠心誠意やってくれました。鉄格子が外され、チッソ患者さんたち補償協定書をつくり上げたときの話でございます。あのチッソが張った鉄格子、それを環境庁が張っている。私は本当に残念でたまらないわけでございますし、そういうことを考えますと、住民に門を閉ざした環境庁というのはもう死んだ環境庁ではないのか、ああいう状況では存在価値がないのじゃないかとさえ私は思います。これは私一人ではありません。国民の多くの人たちがそういうことを感じ、新聞等にも投書なんかさえ国民の心ある人がしておるわけでございます。  そこで私は、その環境庁を、私には死んだように見える環境庁を、任務を失ったように見える環境庁を生き返らせるために心から大臣に提案をしたい、こういうぐあいに思います。  まず、環境庁長官が、山田さんがみずから、入門規制なんかというのはきょうからでもいつからでも取り払います。鉄さくも取り払います。そして、開かれた環境庁にします。その姿勢でもって、患者さん誠心誠意話し合おうじゃございませんかということを患者さんに呼びかけてみてください。そうしたら、そういう姿勢長官が示されますと、患者さんというのは必ず理解してくれると私は信じております。そういう意味で、いろいろな前提だとかなんとかと言わなくて、私の行政姿勢はこうです。私はこうします。だから皆さん誠心誠意理解し合って話そうじゃないか、こういう呼びかけを長官にしていただきたいということを申し上げるわけですけれども、長官態度を聞いておきたいと思うのです。
  10. 山田久就

    山田国務大臣 正常な話し合い、このことは私自身最初から言っており、そしてまた、今日のようなかっこうがまだ継続していること、非常に私は遺憾だと思います。このルールづくりについては、私もこれを命じておりますし、また、私自身としてはそのことを表明して、打ち合わせをやって、一日も早くということを念じているわけでございまして、また、事実そのことの話し合いも進んでおるというふうに私も了解しておりましたけれども、ちょうどこの前の不正常な状態が尾を引いているというか、まだその点が後を引いていること、私も非常に残念だと思っております。  いま御指摘の点でございまするけれども、この時点正常化のための一つのイニシアチブ、このことを改めて私としても考えて、早く両方が正常な形でいくようにひとつ努力をいたしたいと思いますし、また、この間においていろいろ御心配をいただいておりまするけれども、先生等のお力添えもわれわれとしては相得られることができればというようなこともあわせて考えておるようなことでございまして、ひとつこの点、御理解いただきたいと思います。
  11. 馬場昇

    馬場(昇)委員 事情を私もよく知っておるわけでございますけれども、正常な話し合いということをよくおっしゃいますけれども、何でああいうことが起こったのかということも大切でございます。たとえば、歴代環境庁長官のときに座り込みは行われていないのです。山田長官のときに座り込みが行われた。きょうはそういうことを議論する時間がございませんから、私は言いませんけれども、そうしますと、ああいう正常でない状態になった原因はどこにあるのか、そういうことにも触れざるを得ないわけです。  それから、私が提案しておりますのと一次元後退した御答弁があっておるのですけれども、言うならば、国は加害者という立場にあるわけですし、そして、いま何ら具体策を出していない、十分答えもしていないという状況でありますし、加害者被害者に対してルールづくりを、また権力を持っておる者が被害者に対してルールづくりを、こうしなければ会わないんだ、それは本末転倒だろうと私は思うのです。だから、大臣の口から、正常であったかどうかということの原因がどちらにあるとか、あるいはルールづくりを提案するというのじゃなしに、とにかく誠心誠意私は話し合います。その態度を示すということ、そのことがおのずから患者さんたちに、こういうりっぱな長官ならば混乱しないようにやろうということを自分たち考えさせるような態度を、まず長官、とっていただきたい。そうしたら、患者さんたちは、自分たちでそれは考えますよ。そういうことを実は私は言っているのです。だから、正常であればとかルールづくりをすればとか、そういうことなんか大物の大臣は言われなくて、誠心誠意話し合いします。患者さん、私の気持ちをわかってくれ、理解してくれ、理解してくれたらいまでも門を解きますよ、こういうことをおっしゃると、私は患者理解してくれると思う。そういう意味で私は質問をしておるわけです。だから、私の質問に端的に答えていただきたいのは、誠心誠意話し合いをします。そのためにはきょうからでも鉄さくは取り外します。患者さん、私の気持ちを了解してくれ、理解してくれ、これを呼びかける気はないかどうかということを聞いているのです。私もそういう呼びかけが行われますと、患者さんたち理解を得るためには労をいとわないつもりでございますので、その点についてお答えをいただきたいと思うのです。
  12. 山田久就

    山田国務大臣 いま御指摘のようなこと、それはとりもなおさず私自身立場でございます。ルールづくりというのは、私の方で決めたことをこうやれと言うなんてちっとも考えていない。ただ、そういうものについてはお互いに話し合って、こういうことということにいける、そういうことの場所、きっかけ、まあいろいろなことが行われるようですけれども、私自身立場はもう、いま先生の御指摘のようなことで、要は、その具体的な話し合いの道をぜひいろいろ適当な方法で開いて、それで一日も早く正常化するように持っていきたい、こういう私の考えでございます。     〔島本委員長代理退席委員長着席
  13. 馬場昇

    馬場(昇)委員 大臣、どうもまだ私の言っていることが十分御理解いただけていないようですけれども、では端的に申し上げますが、きょうこの場所で、国会で、国民に対してあるいは私の質問に対して、とにかく患者さんとは誠心誠意話し合う、そして、患者さんが長官気持ち理解すれば、きょうでもあすでも入門規制をやめます。こういう態度でございますかどうか、尋ねておきたいと思うのです。
  14. 山田久就

    山田国務大臣 私の申し上げた立場は、もういつでも虚心坦懐に話し合おうというつもりです。したがって、そういうことについて患者皆さん理解して、それじゃそういうふうにしてやろうじゃないかということに相なれば、もう喜んで、ひとつそれを実現するように持っていきたい、これが私の立場でございます。
  15. 馬場昇

    馬場(昇)委員 では、さらに具体的に聞いておきますけれども、私は、長官患者さんと誠心誠意話し合いと言っている、それを理解してくれ、すると、患者さんたちもその長官の心を理解して、じゃ話し合おう、そういうことで、まあ正常な形で話し合おうと理解した場合、それをきょうまた皆さん方事務当局話し合いをしまして理解し合えば、きょうでもあの入門規制は解除していただけますね。
  16. 山田久就

    山田国務大臣 何というか、馬場先生は非常に御苦労人でいらっしゃるから、したがって、この問題をお詰めにならなくても、何かわかっていただけるのじゃないかというふうに考えておりまするので、この程度でひとつうまくいくようなふうに、よろしくお願いしたいと思います。
  17. 馬場昇

    馬場(昇)委員 苦労人外務省高官上がりの、上がりと言っては失礼ですけれども、御出身の方とではなかなか合わないのですね。実は、苦労人云々の話ではなしに、二十年も死ぬ思いの苦しみをした患者さんですよ、相手は。だから私は言っているのです。私が話をして患者さんたち誠意を示したって、いや解かないんだと言われたら、これこそ子供の使いみたいになってしまう。だから、端的に言って、あなた方の気持ち患者さんの気持ちが通じ合い、理解し合えれば、きょうからでも規制を解きますか。
  18. 山田久就

    山田国務大臣 ですから、そういうふうなことを両方がわかり合えば、その結果道を開く、それが私の態度だ、こういうことでございます。
  19. 馬場昇

    馬場(昇)委員 それで、この点については私も理解をし、双方が理解をし合えるように全力を尽くしてみたいと思いますから、きょうからでもひとつその努力を、この質問が終わったら、私やります。ぜひ一日も早く開かれた環境庁にしていただきたい、そしてまた、患者さんたちと本当に誠心誠意話し合いをしていただきたいということを申し上げておきたいと思います。  次に私は、認定促進の問題について御質問々いたしたいと思います。  このことは、即不作為の違法であるという判決が出て、違法状態がまだ続いているわけでございますから、認定促進イコール不作為違法状態解消ということでございますけれども、これについて御質問を申し上げたい。  まず、これは事務当局で結構でございますが、現在の申請状況、そしてその処分状況についてまず明らかにしていただきたいと思います。
  20. 山本宜正

    山本(宜)政府委員 昭和五十三年の三月末現在の数字でございますが、現在、認定申請件数が六千百九十二件、処理済み件数が千四百六十一件、未処理件数が四千七百三十一件、うち保留が千七十六件となっております。
  21. 馬場昇

    馬場(昇)委員 現在四千七百三十一件の未処理、約五千件近い未処理を抱えておるわけでございます。このような状態というのは、不作為違法状態解消できておる状態考えておられるのかどうか、このことについて、環境庁見解を聞いておきたいと思う。
  22. 山本宜正

    山本(宜)政府委員 一昨年の暮れに不作為違法の判決が県に出されまして、その後、昨年の七月の時点で、当時におきます三千六百人の未処理につきまして、一応三カ年計画の処理を検討協議いたしまして、その線に沿っての事業が現在進みつつあるわけでございます。したがいまして、そういう意味におきましては、その当時の状況からいたしまして不作為違法状態については解消へ向かっている、こういうぐあいに考えられるわけでございます。  実は、先ほど申し上げましたように、その後、申請者が急激にふえているというような状況並びに審査に当たりまして保留件数が多い、こういったような事情変更がございまして、これにつきましては、私ども、実態を踏まえて、今後の解消を県とも相談をしながらいま詰めておる段階でございます。
  23. 馬場昇

    馬場(昇)委員 ちょっといま質問の途中でございますけれども、大臣が途中で中座なさるという情勢でございますので、いまの質問と全く別な話になるわけでございますけれども、大臣に一、二点聞いておきたいと思います。  患者補償の問題ですけれども、いま患者補償を完遂するためにチッソの救済問題なんかが議論されておるわけでございます。これは後で事務当局にも質問するわけでございますけれども、いまの補償法加害企業が倒産した場合に被害者をどう救済するかということを予想していない法律になっているわけでございます。そこで私は、この前、大臣にもお聞きしたのですけれども、水俣病を例にとってみますと、チッソが危ないという状態にあるわけで、鋭意それを努力されておるわけでございますが、補償法一般論を含めて、この前、加害企業が倒産した場合、患者補償はどうなるのか、それはやはりぜひ検討すべきだというような話をして、これはまた後で事務当局とも詰めますけれども、検討するという答弁を得ておるわけでございます。しかし、ここでは水俣病に関してだけ申し上げますけれども、この前、大臣に御質問いたしましたら、いかなる状態になっても患者補償が完遂できるように環境庁としては最善の努力をいたしたい、こういうようなお答えをいただいておるわけでございますし、その立場で関係閣僚会議に臨んでおるんだという答弁を聞いておるわけでございます。具体的内容については後で事務当局質問しますけれども、いま患者さんたちの最も深い心配というのはそこにあるのです。そういう意味で、関係閣僚会議でやっておりますけれども、環境庁長官として、いかなる場合においても水俣病患者補償が完遂できるようにやっていただきたい、このことについて、大臣の御見解を聞いておきたいと思うのです。
  24. 山田久就

    山田国務大臣 この問題の持つ特殊な性格にかんがみまして、法律上のたてまえ、いろいろなことがございます。にもかかわらず救済ということの基本的なものを達成させる、このことのために環境庁立場としてはひとつ全力を尽くして対処していきたい、こういうふうに思っております。
  25. 馬場昇

    馬場(昇)委員 いかなる場合でも補償が完遂できるように最善の努力を尽くしていくということでございますので、ぜひよろしくお願い申し上げておきたいと思います。  そこで、また話はさっきの質問に戻ってくるのです。  具体的なこと、事務的なことになりますけれども、補償法の第一条、目的のところには、被害者の迅速な保護というぐあいになっているわけです。申請をして三年も四年も五年も六年も認定の処分措置が行われない。これはまさにおかしくて、不作為の違法の判決も出ているわけです。いまさっき部長は、三カ年で処分を完了するということを打ち出して、そういう方向に努力をしておるというお話があったのですが、この公害補償法で言いますところの迅速な処分というのは大体何年と考えておられるのか、この辺を明らかにしなければ、不作為の違法云々ということ、それをどう具体的に解消するかという話がかみ合わないのです。そういう点について、何年と考えておるのかという点とあわせて、認定問題についていまいろいろ議論が行われ、対策が練られておるわけですが、この補償法に言う認定問題の責任は県にあるのですか、国にあるのですか、このことをぜひ明らかにしておいていただきたい。この二つが明らかにならなければ対策立てよう、あるいは議論のやりようがないとさえ思いますので、明らかにしていただきたい。
  26. 山本宜正

    山本(宜)政府委員 迅速な処理ということにつきまして法の一条に規定しておるわけでございますが、この法律のできた由来を考えてみますと、本来、民事的な手段によって補償が解決されるべき問題でありますのに、それを法律によりまして健康被害の賠償というものを定型的、画一的に行政の制度として処理していこう、こういう考え方で立法されたわけでございまして、本法制定以前に判決がございました、いわゆる四大公害裁判というようなものの経緯を見てまいりますと、被害の発生と原因との間の因果関係等をめぐる争いから、その解決には大変時間と労力を要したのが実情でございます。本法は、このような実情にかんがみまして、因果関係等につきまして制度的な取り決めを行いまして、専門家を直接介在させることによって当事者の話し合いや裁判等の民事的な解決の方法と比べてより短時日でその解決を図る、こういうことを目的として制定されたものだと理解しておるわけでございます。  このように、迅速な保護ということにつきまして、解決までの期間を具体的に何年というように想定したというものではないと解しているわけでございますが、他の手段と比べてより短期間で解決を図るというのが本法の趣旨だと考えておるわけでございます。  なお、昨年の七月におきまして、当時の状況下におきまする認定促進ということの計画として、一応三年をめどにして解消するということを立てたわけでございますが、これはやはり認定を行うに当たりまして、検診の業務あるいは審査の業務といったような人的あるいは物的な要件等を考えまして、当時の状況として立てたわけでございます。  なお、この認定についての責任につきましては、やはり国といたしましては法律上いわゆる機関委任事務として知事に認定の仕事を委任し、そして知事の責任において認定をしていただいている、かようなわけでございます。
  27. 馬場昇

    馬場(昇)委員 全然はっきりした答弁になっていないわけでございますけれども、迅速というのは期間を何年と区切ったものではないというようなお考え認定業務をやられるから、不作為の違法の判決が出てしまうのです。あの裁判の判決環境庁は厳粛に受けとめられたはずです。そして控訴をされなかったのです。あの判決は、二年という計画を出しておってそれが実行されていないということが不作為の違法であるというような判決の理由にもなっておるわけでございます。そこで、三年ということで計画を立てたと言われるわけでございますが、私は、申請したら直ちに処分が行われる、それがこの法の趣旨だろうと思うのです。ここで二年か三年か、あるいは直ちにかと議論したって水かけ論になると思いますから申し上げませんが、認定したら直ちに処分が行えるという状況をつくり上げる、これがこの法の趣旨であるというぐあいに考えてぜひ行政をやっていただきたいということを申し上げておきたいのです。  それから、この問題についての責任はどこにあるか、法律上機関委任事務だから県にある、こういうようなお話でございましたが、これもまたここで議論したって私は水かけ論になると思うので、具体的に聞きます。熊本県で、これは国の業務であるから機関委任事務を返上すると県議会が決議をして知事に申し込んでおる。いまこれは取り下げたのですけれども、このようなことをするのは全然筋違いのことであるのかどうかということをひとつ聞いておきたいし、もう一つは、水俣病は二十六県ぐらいにいま患者がわたっております。そして、熊本県の知事は、口を開けば熊本県の処理能力を越しておるということを言っておるわけでございますけれども、この二点についてのお考えをただしておきたいと思うのです。
  28. 信澤清

    信澤政府委員 前段のお話は法律問題でございますので、私からお答えさしていただきます。  先ほど部長が答弁いたしましたように、機関委任事務である以上、これは法律でそう決められたわけでございますから、みだりにこれを返上するとか、その事務の執行を怠るということはできないというのが法律的な考え方でございます。
  29. 山本宜正

    山本(宜)政府委員 知事が、他県の処理等につきまして、ひとつ国の方でやってくれないかというようなお話もございまして、私ども、国でやるという形ではないのですが、他県の人たちについての検診が促進されるような対策につきましては、それぞれの地域の医療機関等にもお願いいたしまして、その促進方を図りつつあるわけでございます。
  30. 馬場昇

    馬場(昇)委員 血も涙もないような法律論を言われるわけですけれども、具体的には関係閣僚協議会等に諮られて国が一生懸命やっていることは知っているのです。そうしなければどうにもならぬ問題であるということは御理解いただいておると思うのですけれども、問題は、やはり私は、法律のたてまえ上機関委任事務だから、最終的責任は国がとるけれども、県が主体的にどんどん地域住民患者の意見を聞いてやってくれ、こういう態度行政をすべきだと思うのです。国が責任を逃れておるから、そこのところに水俣病問題が解決しないがんがあると私は思います。熊本県では、いまの皆さん方の法律論に対しまして、国に責任があるという裁判を起こすべきだという世論が最近盛り上がっております。こういう状態考えながら、国も責任があります。しかし法律のたてまえ上機関委任事務になっているから、あなたたちがどんどん地域住民患者の意見を聞いてやってくれ、最終的に責任は国がとりますよ、こういう行政姿勢でぜひやっていただきたい、こういうことを思うのです。法律論は抜きにして、現実の問題として、これについてどういう行政姿勢態度を持っておられるのか、大臣に一言聞いておきたい。
  31. 山田久就

    山田国務大臣 機関委任事務ということの法律論は先ほど局長からお答えしたとおりですけれども、問題の重要性ということで国がいろいろな角度からこれに応ずる処置を考えなければいかぬということを考えておればこそ、関係各省その方面とも連絡をしてその対処をしているわけでありまして、政治的にはそういう立場で国が努力しよう、目下そういうことの尽力中であるということ、これで御理解いただきたいと思います。
  32. 馬場昇

    馬場(昇)委員 いずれにしても不作為違法状態というのは私は解消していないと思いますし、そしてまた、現実五千人近い認定申請者が審査という小さい針の穴に向かってうごめいているわけですよ。これは大社会問題でもあるわけでございます。そういうところで、現在、環境庁でもいろいろ議論をなさっておるわけでございますが、最近、特別立法をしてこの認定促進を図るべきだという意見がございます。そういうことで、現在、特別立法ということをどういうところにどういうぐあいに考えて研究しておられるのか。また、その特別立法のほかに、いま五千人おる人たちをどうやってスムーズに流れるような方法を検討しておられるのか。今日、不作為違法状態解消のために、認定促進のためにどういうことをやっておられるのかということについて聞いておきたいと思うのです。
  33. 信澤清

    信澤政府委員 ただいまの御質問にお答えする前に、先ほどの御答弁でございますが、私は法律的に申したわけでございまして、現実の行政運営については、先ほど大臣から御答弁したとおりでございますので、私どももそのような心組みで取り組んでおるつもりでございます。  まず、お尋ねの立法措置でございますが、これは、政党政治でございますから、私どもが知らないということは言えませんが、与党が熊本県の知事にお約束をした、こういう事柄でございます。特別な立法措置をやるかどうかということは、いまの法律で本当に動かないのかどうか、こういうことにかかわるわけでございまして、必ず立法措置をやるというふうには私どもは承知をいたしておりません。しかし、先ほども部長から御答弁いたしましたように、目下、いままで非常に苦しんで努力してこられた、その意味では、いろいろなお考えを持っておられる県の御当局と問題を煮詰めております。したがって、その煮詰めた結果、いまの法律では対応できないという結論を得ますれば、与党と御相談をいたしまして、私どもは私どもの立場で党の方にそういう御意見を申し上げたい、こういうふうに考えております。
  34. 馬場昇

    馬場(昇)委員 答弁一つ漏れております。現在の五千人をどうやってスムーズに流れるように検討しておるのかという質問に対しては答えがなかったのですが、それをお答えいただきたいと思うのです。  いまの問題について具体的に聞きますが、いまの補償法でやるわけですけれども、特別立法の場合、熊本県のせっかくの要望で検討しておる、あるいは与党から言われたということですが、一番困っているのは、保留者が非常に多い、千幾ら出ているわけです。この保留者について熊本県はものすごく困っている。全体の流れについては後で答弁を受けますから、それでまた議論しますが、保留者にはもうどうもしようがない、手のつけようがないというぐらいにいま困っておる。この辺について特別立法をしてもらってはどうかというような意見がありますし、私もその辺について特別立法するのは必要じゃなかろうかというぐあいに思うのですよ。その辺についてどう検討なさっておるのかということをさらに詳しく答弁していただきたい。
  35. 山本宜正

    山本(宜)政府委員 具体的に検討している経緯につきまして御報告したいと思います。  今週までに約四週間にわたりまして、県の事務当局の数名に上京してもらいまして、私どもも担当者が各週それぞれ三日、かん詰めになりまして検討しているわけでございます。まず、保留者が多いというところが昨年の計画以降における一つの問題点でございますので、この保留の解消につきまして、どういう内容の保留というものがあって、それを解消するためにはどういう策を講じたらいいか、こういったような保留の内容の検討を進めながら、それの解消策を幾つか立てております。その解消の仕方につきましては、現在の制度の中でできることもあるように思われるところもございますし、また、それを越えている部分というようなこともあるわけでございますが、いずれにいたしましても、その問題点のえぐり出しということから、それの解消策ということについての議論を進めておるわけでございます。また、その解消策を進めるに当たりまして、その周辺でいろいろな手だてを整備していかなければならない問題もございます。たとえば検診の件数をふやすといたしますならば、検診医をどのようにして確保し、かつ、ふやすかというようなこともございまして、そういったような周辺整備の問題も含めて議論をしているわけでございます。現時点におきましては、県と私ども気持ちを一致させまして、具体案を幾つか並べてございます。これにつきまして、それぞれ関係の向きにも相談をいまかけているわけでございまして、県におきましては、それをまた持ち帰って検討する、私どもも部内で現在検討しておりまして、そういったことをいま少しやりまして、具体的な策が実るもの、かように考えておりますし、検討に当たりましては、夜を徹するような形でエネルギッシュにやっているつもりでございますので、いましばらくお時間をちょうだいいたしますならば案が出てまいるのではないか、かように考えているわけでございます。
  36. 馬場昇

    馬場(昇)委員 一つ重大な問題についてここで御質問をしておきたいのですけれども、実は、きょうの熊本の地元の新聞に、熊本県知事が語ったということで、例の四十六年の次官通達——これは内容は違うのです。よく言われております疑わしきものは認定、この言葉自体が私はおかしいと思うので、あの次官通達の疑わしきものというのは、四分、六分で六分が疑わしい、四分が本当だというのでなしに、医学的に言って十の中で九はもうはっきりしている、一がどうもまだわからない、そういうものが疑わしいというようなことであるわけですけれども、通称疑わしきものを認定といいますと、水俣病でない者を認定しているんではないかというような、そこににせ患者というような発言なんかも出てくるわけですけれども、それと全然違うわけで、この四十六年の次官通達というのは、やはり水俣病行政の中で環境庁がとられましたりっぱな姿勢だったと私は思うのです。ところが、知事の発言としてこれを改正したい、こういうようなことが出ておる。それがいまどこかで議論されておる、こういうぐあいに出ておるわけです。きょう知事も来ているんですけれども、その知事がまたきょうもそういう議論をするんじゃなかろうか、こういうことも含めたような意味の記事であるようでございます。こういうことをなさるといいますと、これはもう水俣病の本質を知らない者のなすわざでしかありませんし、環境行政をものすごく後退させることであるし、さらには、この問題についてのものすごい混乱というものも起こり得るわけでございまして、事実、これを前進させるために、具体化するために症例研究班だとかあるいは認定のいろいろな具体的なことをお医者さんなんかも寄ってやっているわけです。前進させるために、具体化するためにずっと環境庁もやってきたわけですから、そういうことも含めまして、これを後退させる、撤回するということになりますと環境行政の自殺行為だと私は思うのですけれども、これに対してそういう報道が行われておるということでございますので、これに対する環境庁のはっきりした、こういうことで問題が起こらないような、皆にはっきりわかるような明快な答弁を求めておきたいと思うのです。
  37. 山本宜正

    山本(宜)政府委員 先生のお尋ねの中にもございましたように、当時の次官通達並びに、私、当時公害保健課長をいたしておりましたが、課長通達で若干の細部にわたっての内容を盛っておるわけでございますが、それが巷間、疑わしきは認定せよという非常に短い言葉に要約されたばかりに、非常に私は誤解を招いていると思います。それにつきまして、当時の大石長官国会答弁で申しておりますように、医学的に疑わしいというのは、たとえば何々の疑いというときにはこういう解釈で何々の疑い、こういうのが医学的な解釈であるというようなことを長官は言っておられました。私ども、当時の精神は現在も受け継がれておるし、昨年七月の次官通達なり当時のいろいろな県に対する指導につきましてもその線が継続されていると考えております。したがいまして、現時点におきましては、私は、あの通達を変えるというようなことにつきましては検討もいたしておりませんし、考えてもおりません。
  38. 馬場昇

    馬場(昇)委員 これはもう当然の姿勢であろうと思います。だから要望ですけれども、あれを具体化し発展させることこそ考えなければならぬわけでございますので、これを後退させたりあるいは撤回する、こういうことは絶対にあってはならないということを考えておりますので、その線でがんばっていただきたいと思います。  そこで、中身についてもいろいろ聞きたいのですけれども、時間がありません。いま鋭意検討中ということですけれども、それではやっぱり国民や県民は納得しないと思うのです。じゃ、具体的にいま五千人おる、こういう人たちを、このような方法でスムーズに流れるようにして不作為違法状態解消する、そういう具体案、さらには特別立法、保留者なら保留者、どこになるか知りませんけれども、特別立法についてもこういうことでつくるとかつくらないとか、いわゆる結論を出す、そうしていわゆる認定業務の促進、裏返して言いますと不作為違法状態解消、この具体策というのはいつごろ出るんですか。このことをひとつはっきりさせていただきたいのです。
  39. 山本宜正

    山本(宜)政府委員 先ほども検討の経緯につきまして申し上げましたように、やはりこの問題というのは、根の深い過去の歴史実態認定業務についてもございますので、それと同時に、この認定審査の仕事に携わっていただいておる先生方という人のこともあわせ考えなければなりませんので、そういった意味でいろいろな方策を数案考えておるわけでございます。それぞれの立場におきまして内容的に検討いたしておりますので、いま直ちにこういった案で行こうということを具体的に申し上げる段階ではないのでございますが、私どもといたしましては、五月あるいはそのぐらいの時点一つの成案を得たい、こういう予定でがんばっているところでございます。
  40. 馬場昇

    馬場(昇)委員 五月中に成案を得るというようなことでございますが、これについてぜひひとつお願いしておきたいのですけれども、水俣病行政は特にですが、患者理解なしには何も進まないということはもう御承知のとおりでございます。どういう案が出ても患者さんが理解しないとその案は実行にも移されない、地域住民の支持がなければこれまた実行に移されないということでございますから、ぜひ検討の過程で患者さんたちの意見というものも十分に入れて、いま言明していただきました五月中にはぜひりっぱな案をつくっていただきたいということを要望いたしておきたいと思います。  時間がございませんので、もう一点に移りたいと思うのですけれども、これはチッソ救済の問題でございます。チッソの救済あるいは助成という問題が議論されておるわけですけれども、これは何回も私も質問をし、御理解、御了解を願っておるわけでございますが、何も国が企業を助けるというような単純なものじゃないわけでございまして、これは患者補償を完遂するためにやるんだ、こういう雇用不安の状況の中で従業員の雇用確保という大きい意味もあるんだ、地域振興、あの芦北、水俣地域というのは物すごく経済的にも落ち込んでおるわけです。ここに特別立法をつくってくれという要望もあっているのは御承知のとおりですが、そういうことで地域の振興、こういう立場からチッソ救済策をやっておられるわけでございますが、特にチッソ救済といいましても水俣工場の存置強化、こういうことが重点であらねばならないと考えておるわけでございまして、そういう意味から水俣工場を存置強化する、チッソをそういう意味において助成、救済する、そしてチッソ責任を果たす、チッソ責任を果たさせる、こういうことでチッソを倒産さすべきではないという形でいま救済策が議論されておるわけでございます。これについては、長官の基本的なチッソ救済に当たっての態度姿勢というものを聞きたかったわけですけれども、これはこの前も大臣答えていただいておるのですけれども、これは局長からでも、そういう方向について、チッソ救済に当たっての基本的な考え方ということについて、ちょっと聞いておきたいと思うのです。
  41. 信澤清

    信澤政府委員 私どもはチッソを救済するということを目的としているわけではございませんで、先生お話しのように、チッソ患者の救済について引き続き所要の措置が講ぜられるようにする。同時に、いまお話ございましたように、水俣市におけるチッソの持つ地域的な意味というものがかなり大きいわけでございますから、さような意味でのその地域の経済の維持、この二つの観点からチッソに対してどう対応すべきかということを考えておるわけでございます。
  42. 馬場昇

    馬場(昇)委員 大事なことが一つ抜けているんですけれども、従業員の雇用の確保というのをしょっちゅうあなた方も言っておられるわけでございますし、あそこをつぶしてはいかぬというようなことも含めて、この三本の柱でもってやっているということを聞いていたんです。局長はその辺を抜かしておられるけれども、故意に抜かしておられるのか、忘れられたのか、いま答弁していただきたいと思うのですが、そこでやっぱりチッソは倒産させないというぐあいに全力を挙げておる、こういうことですね。
  43. 信澤清

    信澤政府委員 私が申した地域経済の維持と申しますのは、雇用問題、その他の社会問題を当然含むというふうに御理解いただきたいと思います。いまお話しのように、そういう観点からチッソを存続させるということを目標に私どもとしては努力をしたいということを申しているわけでございます。
  44. 馬場昇

    馬場(昇)委員 そこで、通産省と大蔵省に聞きたいのですけれども、最近、四月末にチッソは倒産するんじゃないか、五月末には倒産するんじゃないか、このようなことが現地では流布されておるのです。いわゆる四月危機説、五月危機説というようなものが言われておるわけでございますが、それについて通産省はどう認識しておられるのか、そしてどういう対策をそれについて考えておられるのか。また、大蔵省についても同じ質問ですけれども、両方から、担当し具体的にやっておられて、どういう認識かということをお聞きしたいと思うのです。
  45. 児玉幸治

    ○児玉説明員 チッソの経営状況につきましては、随時会社の方から報告を徴しているところでございます。  ただいま先生から、四月倒産説という大変物騒なお話があったわけでございますけれども、四月を何とか乗り切れるかどうかという点につきましては、最近も会社の方からいろいろ状況を聞いたわけでございますが、これは製品を売っております販売業者あるいはチッソが材料を買っております仕入れ先というものがございますけれども、その双方の協力を得まして四月は何とか乗り切れるのではないかという感じになっているところでございます。五月の問題につきましては、これはなかなかいまのようにむずかしいぎりぎりのところでいろいろ協力を得ながら進んでいるわけでございますので、先のことをはっきり申し上げることは困難でございます。
  46. 吉田正輝

    ○吉田説明員 大蔵省といたしましては、関係いたしますのは、支援している金融機関の問題かと存じますが、具体的には私ども、四月、五月倒産というような物騒な話は承知しておりませんが、金融機関として許される範囲内でできる限りの支援を行う、そのような指導を行っていきたい、かように考えております。
  47. 馬場昇

    馬場(昇)委員 四月は乗り切れるだろうという話がありましたし、五月はまだわからない。大蔵省は、四月倒産、五月倒産、そういう物騒な話は全然聞いていないというような答弁でございましたけれども、ここで後でまた質問をするわけです。いまは関係閣僚会議で救済策を考えておるということで、これがいつ出るかということも後で質問をしたいのですけれども、考えておる最中に倒産したら何にもならぬわけです。そういう意味で、具体的救済策が出るまでは、通産省にしてもあるいは大蔵省にしても、関係する立場において絶対に倒産させないように指導をするあるいは何かの対策を立てる、こういう決意でおられるのかどうか、この辺についてまず両方から聞いておきたい。
  48. 児玉幸治

    ○児玉説明員 チッソ対策につきましては、これは関係各省いろいろ詰めをして、いろいろ知恵をしぼっているところでございまして、これもいつまでも知恵をしぼっているだけではしようがないのでございまして、できるだけ早く具体的な案を固めなければならないというふうに考えております。したがって、その間におきまして、先生指摘のように万一というふうなことになったのでは、何のために努力をしているか意味がなくなるわけでございますから、これは精いっぱいに支えるように最善を尽くしてまいりたいと思っております。
  49. 吉田正輝

    ○吉田説明員 承りますところによりますと、チッソがなかなか窮状にあることは事実のようでございます。いまお答え申し上げられますのは、許される範囲内でできる限りの支援を行うよう指導をしてまいりたいと思っております。
  50. 馬場昇

    馬場(昇)委員 これは倒れたら元も子もないわけでございますので、ぜひ救済策の出るまでは、そういうことのないように、全力を挙げてやっていただきたいと思うわけでございます。  そこで、チッソ救済策の内容についてお尋ねをしておきたいと思うのですが、これはこの前質問いたしましたときに環境庁長官も、まずチッソの救済策の内容というものは、チッソ自体が対策考えるべきだ、そしてまた、こういうことでというお願いを、資料も整えて持ってくるべきだ、こういうふうな意味答弁もあっておるのです。もう一つは、さらに大臣は、現地と言われたから多分熊本県だろうと思うのですけれども、熊本県がイニシアをとるべきだ、熊本県から何か具体策を言ってくるべきだ、こういう答弁をされました。  そこで、チッソと熊本県から具体的に対策というものについて政府に話があっておるのかどうか、こういうことにつきまして、これは各省庁にかかわりがあると思うのです。だから、通産省あるいは大蔵省、環境庁あるいは自治省にも関係あるのですが、そういう省庁に対してチッソ並びに熊本県は、どういう対策をしてくれという申し出をしておるのかということについて、各省庁から来ておる者からお答えをいただきたいと思うのです。
  51. 信澤清

    信澤政府委員 チッソからは、民間金融機関からの支援だけでは患者に対する補償を全うすることができない、ついては何らかの公的援助をいただきたい、こういうお申し出はいただいておりますが、具体案の御提示はございません。少なくとも私どもの役所にはございません。  それから、先ほど大臣が申し上げました、県がまず話を出すべきだという御意向は、全般的な問題について県というわけではございませんで、先ほど先生お話しのように、地域の経済、雇用問題、こういうものに深くかかわりある問題でございますから、県が全く知らぬ、つまり全部国でやれという態度はおかしいではないか、こういう意味で仰せられたのだというふうに思っております。
  52. 大場智満

    ○大場説明員 大蔵省に対しましては、県の方からも、また会社の方からも、直接具体的な提案というものはございません。
  53. 児玉幸治

    ○児玉説明員 通産省に対しましては、チッソの方からは会社の窮状を説明しておりまして、それに対して何か政府の方で対応策を立てて何とか当面を乗り切らせてほしいということを言っております。具体的にあれをこうしろ、これをこうしろ、あるいはこれをこうしてほしいというふうな要望、希望というものは出ていないわけでございます。それから、熊本県の方からは、私どもの方には直接話は何も参っておりません。
  54. 小林実

    ○小林説明員 この問題につきましては、県の方から具体的な相談は何もございません。また、チッソの方からももちろんございません。
  55. 馬場昇

    馬場(昇)委員 いま各省庁に、チッソ並びに県からの話というものについての状況を聞いたわけですが、話があるなしにかかわらず、関係閣僚会議のために各省庁の連絡会をやっておられるわけでございます。この各省庁の連絡会で、通産はこうした方がいいじゃないか、あるいは自治省はこうした方がいい、あるいは大蔵はこうだ、環境庁はこうだ、その各省庁連絡会で具体的案を煮詰められておるということを私は知っているのです。そういうことで、どういう案を各省庁が持ち出しておるのか、どういう議論にいまなっておるのか、そういうことを聞いておきたいと思うのです。
  56. 信澤清

    信澤政府委員 いろいろ各省間で相談をしていることは事実でございますが、先ほど通産省からお答え申し上げたように、いろいろ知恵を出し合っているという段階でございまして、具体的なものがすでにできているという状況ではございません。
  57. 馬場昇

    馬場(昇)委員 知恵を出している段階をここで答弁しろといっても、なかなか言いにくいのじゃないかと思うのですが、局長一つ聞いておきますけれども、いま議論しておることは事実ですから、問題は基盤を聞きたいのです。一年にどのくらい補償金をチッソは要ると思われるのですか。患者補償金を一年に大体百億くらい要るのじゃなかろうかと私は思うのですけれども、一年に百億円要る。じゃ、ことし百億、来年百億、それは何年続くのか、申請状況がどういうぐあいになってきて、患者がどういうふうにふえるか、こういう基盤がなければ、何の対策を立てるにしてもなかなかむずかしいのじゃないかと思うのです。それとも一年ごとに、そのときそのときに立てる対策考えておられるのか、いずれにしても、チッソ補償金がどのくらい必要なのか、それは将来どう見通しなのか、こういうことはどのように考えていまやっているのですか。
  58. 信澤清

    信澤政府委員 金額が問題であることは御指摘のとおりだと思いますが、ただいまの段階では、金額よりも、どういう方法で何をやるかということの方がむしろ重点でございまして、その点の論議が中心になっておるわけでございます。
  59. 馬場昇

    馬場(昇)委員 もともとどれだけ補償金が要るかというふうなことを、金額は問題でないと言われますけれども、どういう方法にしても、その方法で金を出すわけですから、結局金額がわからなければ成案を得られないわけですけれども、これについては余り時間がございませんので、この辺にしておきます。  大蔵省にお聞きしたいのですけれども、実は四月の十七日の地元熊本の新聞に、一面トップに大見出しで、実はこういうことが出ておるのです。これはごらんになったと思いますから御承知と思いますけれども、現在大蔵省を中心にして検討しておるチッソの助成策、こういうことで出ております。これは県債を発行して、そうして政府、資金運用部ですけれども、これと興銀がそれを半分ずつ引き受ける、償還に際しては政府を優先させる優先弁済つき県債発行方式、こういうのがあるかどうか知りませんけれども、そういうぐあいに書いてございます。これがほぼ固まった、こういうぐあいに出ておるわけでございます。そうしてさらに具体的に、現在大蔵省と興銀が調整作業を行っておる、興銀はなかなかそれに反発して、県債は一括政府が引き受けるべきだ、こういうことを言って、まだ話がついていない。そうしてまた、国はこのことについて、いずれにしてもいざという場合は一〇〇%国が補償をしなければいけないのだ、県債は出さないのだ、こういうようなことを言っている。そうしてこのことについて、さっき言いました今週中に、この今週中ですよ、今週中に各省庁連絡会議で大筋をまとめて、月末の関係閣僚会議で政府方針の決定に持ち込む、こういうような記事が出ておるわけでございます。これに対して、通産省は通産省でいろいろやっておると思うのですけれども、これは大蔵省はこうやっておると書いてあるのですから、このことについての大蔵省のいまの検討、各省庁にさっき聞きたかったのですけれども、時間がありませんので、大蔵省はどういう検討をしておられるのだ、このことについての見解を含めてお答えをいただきたい。
  60. 大場智満

    ○大場説明員 先ほど先生から御指摘もございましたのですが、チッソへのサポートを考える場合に、一体金額がどのくらいになるかという問題が一つあるわけでございます。この問題につきましては、いま認定の問題について環境庁で勉強なされておる。本来ならば、その勉強の結果が出ませんと、なかなか金額の問題が確定しないという問題が一つあると思います。ただ、先ほど先生からも御指摘がありましたように、チッソ自体がかなり窮状にあるということも事実でございますので、私どもは、環境庁における御検討も伺いながらチッソ支援の問題を考えざるを得ない、こういう立場に置かれているわけでございます。  御指摘のありました地方債問題につきましては、先ほど申し上げましたように、県の方からも何の要請もございませんし、また会社の方からも特段の要請はないわけでございますが、関係各省庁で知恵を出し合っておるときにそのような問題についても議論がされていることは事実でございます。ただ、具体的にどのようなというところまでは至っておりません。
  61. 馬場昇

    馬場(昇)委員 これは各省庁連絡会議で議論なさっておると思うのですが、私がいま質問したのに、これは大蔵省がまとめの責任官庁じゃないから言えないと思うのですが、今週中に省庁会議で結論を出して月末の閣僚会議にかけると出ておることについて、これはやはり環境庁の、補償という意味から言うと、責任があるのじゃないかと思うのですが、環境庁にこの新聞記事の日程的なこと、今週中にやって月末にやる、このことについての見解をお聞きしておきたいと思うし、もう一つ環境庁に、じゃ、いまの案はPPPの原則はどうなるのかということを一つ聞いておきたいと思うし、県債発行ということになりますから、自治省の管轄と思うのです。この案について自治省はどういう見解をいま示しておるのか、両方に聞きます。
  62. 信澤清

    信澤政府委員 お話しのような、新聞記事に関連するような連絡会を開くという御通知はいただいておりません。きょうは金曜日であすは土曜日でございますが、そのようなお話を伺ってはおりません。  それからPPPとの関係でございますが、先般も御説明いたしたと思いますが、やはりチッソに何らかの救済策を講じて、そうしてチッソ患者に対する支払いをする、これがむしろPPPにかなう施策ではなかろうか、私どもはそのように考えておるわけでございます。
  63. 小林実

    ○小林説明員 各省の連絡会議で、救済策に関連いたしましていろいろの御提案があることは事実でございます。  その中の一つといたしまして、県債発行方式も議論になっていることは事実でございますが、この点につきましては、この委員会でも申し上げたかと思いますが、自治省といたしましては、補償金支払いのための地方債発行は困難である、こう申し上げているわけでございまして、いまでもこの見解は変わりございません。従来からこの見解を申し上げているわけでございます。
  64. 馬場昇

    馬場(昇)委員 もう一点。これは私も想像もできるし、話を聞いているのですが、もう一案、いまの案と違いまして、経済界にひとつチッソ救済の協力を求めよう、それから、いま言った興銀を含めました金融団にチッソ救済の協力を求めよう、まして県もやはり幾分かは負担しなければならぬだろう、また国もどうにかしなければならぬだろう、こういうようなことで、何といいますか、平等じゃないでしょうけれども、各セクションで平等負担主義といいますか、そういうようなことで検討して、たとえばこの前、国会で私が議論いたしました県債方式は、これはだめだという答弁もありましたし、日本開発銀行法の改正、これもやはり困難だという報告がありました。では、興銀なんか金融団が出して、万一の場合にはそれを国が補償するという方向はどうだというようないろいろな案が出ている。こういうような出た案をみんなまとめてしまって、四つあれば足して四で割るとか、こういうような総合的な救済策というのが議論されておるというぐあいにも聞いておるのですが、これについてはどのような議論の経過になっておりますか。これは局長に。
  65. 信澤清

    信澤政府委員 手元に持っておりませんので正確ではございませんが、昨年六月二十八日の閣僚会議の申し合わせの中にも、一般的に経済界の御協力を得てチッソの財政健全化を図る、こういう趣旨のことが書いてあるわけでございます。したがって、金の分担ということだけについて経済界に云々するということではなくて、やはりたとえばチッソの製品について、その販路について業界内部で譲り合うとか、いろいろな考え方があると思いますが、そういう問題を含めてそういうことを申しているわけでございます。ただ、いまお話しのように、金の分担関係を四等分するとか三等分するという議論は、私どもいたしたことはございません。
  66. 馬場昇

    馬場(昇)委員 いろいろ議論なさっておるのは結構ですが、これは私は、政党といえばすべての政党、さらに大きく広げますと、やはり国民のコンセンサスというものがなければ、どういう案でも実行不可能だと思うのですよ。そういう意味におきまして、何としても、国民理解を得るとなりますと、やはり議論についてはある段階で国会なんかで議論をするとか、相当納得するような手はずをせぬと、実行ができないのじゃないか、こういう検討過程で、その代表として国会等にも報告をなさるつもりがあるかどうかということを一点と、さらに、もう時間が来たわけですけれども、これは局長、いつまでにチッソ救済についての成案をつくり上げるのだという目標でもって現在やって、大体いつごろこの成案が出るだろうという日程的なことについて、これはやはり早くしなければ、さっき言ったように、途中でダウンしたら困るわけですから、いつごろまでにその成案ができ上がるような考え方でいま議論をしておるのか、日程的にいつ成案ができ上がるかという二点について聞いておきたい。
  67. 信澤清

    信澤政府委員 私の方の立場から申せば、ただいま先生おっしゃったように、できるだけ早くということでございまして、いつまでというタイムリミットをつける気はありませんけれども、できるだけ早く成案を得るように御協力をいただきたいというお願いをいたしておるわけでございます。  それから、その過程において国会で御審議をいただくというようなことは、大変これは国の行財政に深いかかわりのある問題でございますので、そのような運びにいたすことはきわめて困難だというふうに考えております。
  68. 馬場昇

    馬場(昇)委員 ちょっと、いまのわからなかったので、もう一度言ってください。
  69. 信澤清

    信澤政府委員 国の行財政にきわめて深い関連を持つものでございますので、やはり政府が責任を持ってやるべきことでございますから、国会に検討段階で逐一御報告するということは困難であるというふうに考えます。
  70. 馬場昇

    馬場(昇)委員 これは、行財政にかかわればかかわるほど、国会にも逐一報告せよというのは、私もなかなかこれは無理だと思うのですけれども、ある段階については、何らかの方法国民が了解し合うという方法をとらなければいけないと思うのですよ。国会の場というのは一つの例を申し上げたわけですけれども、やはりある程度了解し合わなければ、これはできたってなかなかむずかしい問題になるだろう、こう思うわけでございます。  それからもう一つ、あなたは非常に抽象的な答弁をするけれども、このことについては、ちゃんと熊本県にも約束してあるんですよ。これは自民党とか——熊本県は、こういう問題について五月中旬にそういう成案が出るということで、この前、県会で予算を通し、委任事務返上を撤回しているのですよ。私は、さっきの認定促進の問題と同じですけれども、少なくとも五月末ぐらいまでには必ずこの案を出さなければ話にならぬ。事実そういう方向で進んでおるのも知っておるのですけれども、五月末ぐらいをめどに成案をつくるという方向であなた方はやっているのじゃないですか。そうしなければまた困ると思うのですが、その日程について、さらに具体的に答えていただきたいと思う。
  71. 信澤清

    信澤政府委員 私は、自民党がチッソの支援策をいつまでに決めるというお約束をした点については存じておりません。先ほどの立法措置について考えるという点は、私どもの仕事と大変関係が深うございますから、それは伺っておりますけれども、前段のお話は伺っておりません。それから、その意味から申しまして、できるだけ早い機会にということは私どもの念願でございますので、それを五月中に決めるということで作業しておるということも、これまた私としては申し上げるような事情にございませんので、その点は御容赦いただきたいと思います。
  72. 馬場昇

    馬場(昇)委員 大臣に聞きますけれども、これは四月危機、五月危機というチッソの危機説もあるし、困っているのは事実ですよ。そして、いままで局長はなるべく早くと言いますけれども、何をするにしても、めどをつけないで作業するというのはあり得ないです。だから、このチッソの救済策というのは、いつごろまでに大体政府の成案を得たいというめどをつけてやっているのか。これは最終的には閣僚会議の権限で、そこで決めると思うのですけれども、大体いつごろまでに成案を得るように、たとえば閣僚会議で、あなた方の各省庁連絡会議に指示しておるのか。大臣の救済策の成案を得るめどということについて、最後に聞いておきたい。
  73. 山田久就

    山田国務大臣 われわれは、無論いろんな関係から五月中というようなことを頭に置いてますけれども、しかしながら、実は成田の問題等々と重複いたしておりまして、したがって、そこら辺のことが、まあ、あれは延びていったような関係で、ちょっと具体的にという点、そういうかかわりをいま生じています。しかしながら、いま申し上げたようなラインで、できるだけひとつ早くやりたい、これがいま私どもの考えでございます。
  74. 馬場昇

    馬場(昇)委員 時間が来ましたので、これで質問を終わりますが、いま大臣も成田の問題とかかわっておると、この問題が成田とどうかかわっているか私はわかりませんけれども、いま五月中をめどにやっている、少し延びるかもしれぬという話でございましたけれども、早くひとつつくり上げていただきたいということですし、それから、局長に言いましたけれども、つくり上げるに当たっては、やはり国民みんながなるほど賛成するというようにつくり上げるためにも、関係方面とは常に連絡をとりながらやっていただきたいということをお願い申し上げまして私の質問を終わります。
  75. 久保等

    久保委員長 次に、井上一成君。
  76. 井上一成

    井上(一)委員 まず私は、大阪国際空港に関連して一、二質問をいたします。  せんだって、四月十三日、大阪国際空港における国際線等のエアバスの増便計画が一方的に発表されたわけでありますけれども、このことについて、周辺地域自治体はどう受けとめているのか、当局はどのように把握しているか、まずお聞きをいたしたいと思います。
  77. 田代雅也

    ○田代説明員 四月十二日に、大阪国際空港におきます第二次エアバス増便計画、地元の関係十一市の方々にお集まりいただきまして、四月四日、五日に行いましたテストフライトの結果の公表とあわせましてお示ししたわけでございます。  エアバスの導入問題につきましては、ちょうど一年前、昨年の五月にテストフライトを行いまして、その段階におきまして、低騒音機の導入ということが空港の環境問題に非常に重要な意味があり、かつ効果があるということで、在来の音の高い機材を漸次エアバスに切りかえていくというスケジュールを発表いたしまして、その当時の地元に対します御説明、あるいはこのこと自体は十一市協の総会の御承認を得たわけでございますけれども、昨年の十月時点で大体五十便、それから六カ月後、つまりエアバス導入から六カ月後の十一月ごろには七十便、それから昨年のエアバス導入から約一年後のことしの五月に百便、在来機からエアバスに切りかえていくということを当時御相談申し上げたわけでございます。  しかしながら、昨年の十月ごろまではそのスケジュールに従いましてふえてきたわけでございますけれども、発生源対策だけではなしに、環境対策、周辺対策というものをあわせて行うことが必要であるという地元の強い御要請から、その後のエアバス増便が進んでいなかったわけでございますが、ことしの一月の下旬に私どもの局長現地に参りまして関係者の方々と御相談申し上げた段階で、やはり何と申しましても空港の騒音問題を解決するためにはエアバスをふやすことが必要であるということで地元にお願い申し上げまして、その後、四月にテストフライトしたわけでございます。十二日にその結果の公表とあわせまして地元に御提示をしたわけでございますが、私どもの方といたしましては、地元の基本的なその点につきましての御了承を得たと考えておるわけでございますけれども、地元の方々のお立場といたしまして、その点につきまして、各市あるいは関係者の方々寄りまして、かなりニュアンスにつきまして違いがあることは事実でございます。
  78. 井上一成

    井上(一)委員 一昨日も運輸大臣に、地元の自治体から、いわゆる増便計画に対する抗議がなされたと承っておるわけでありますけれども、それでは、関係市町村が賛成をされたということとこの抗議とはどういうような、相矛盾したことになるのか、あるいはあなた方のおっしゃっていることが早合点なのか、これはどっちなんですか。
  79. 田代雅也

    ○田代説明員 ただいまお話し申し上げたとおり、地元の代表の機関でございます関係十一市の協議会におきまして、エアバスを全体の半分、つまりジェット機総発着二百便の中の半分、百八着までふやすということにつきましては原則的に同意をいただいておるわけでございます。しかしながら、いま申しましたように、発生源対策のみでなしに、周辺対策をあわせて行うことが必要であるという方々の御意見もございまして、エアバスの増加が当初のスケジュールどおり進んでいないわけでございます。一昨日、豊中市議会の空港対策特別委員会の方々が運輸省にお越しになりまして、いろいろな話を聞いているわけでございます。その際にも、周辺対策を並行して行えない限りエアバスの増加については同意できない、その点について抗議をするという御指摘がございました。私どもの方は、やはり発生源対策と周辺対策というものは表裏の関係があるわけでございますし、周辺対策につきまして全力を挙げて取り組むので、エアバスの増加につきましても御了承いただきたいということで御説明申し上げたわけでございます。
  80. 井上一成

    井上(一)委員 発生源対策と周辺対策は表裏一体である、抗議があったということは事実である、地域対策のおくれがその抗議の形になってあらわれたということであるならば、では地域対策でおくれているとお認めになっていらっしゃる、数々おくれているわけなんですけれども、早急に取り組まなければいけない点も含めて、どのような認識に立っていらっしゃるのか、説明をいただきたいと思います。
  81. 田代雅也

    ○田代説明員 大阪空港周辺対策につきましては、昨年の四月の時点、つまり当初のエアバス導入の時期に運輸省といたしまして、地元に対しまして、運輸大臣見解あるいは航空局長見解、さらに激甚地区の市と取り交わしました十項目の覚書というものがあるわけでございます。私どもといたしましては、やはり空港の存続する限り、これは全国の空港いずれも同様でございますけれども、航空機から発生いたします騒音等の公害につきまして周辺対策というものを鋭意行わない限り航空の将来はあり得ないという基本的な認識のもとに、従来から周辺対策の充実に努力してまいりまして、大阪空港におきましては、大阪空港周辺整備機構という組織をも設けまして、その点につきまして鋭意努力を重ねてきたわけでございます。しかしながら、やはり公害対策と申しますのは非常にいろいろむずかしい問題もございますし、いろいろ地元の住民の方々からの御要望に対しまして私どもとしまして一〇〇%の満足を与えていないということにつきましては、非常に申しわけなく思っているわけでございます。現時点におきまして、私どもとしましては、五十三年度に周辺整備のための新制度を大蔵省の方からもお認めいただきまして、今後もその点につきまして鋭意取り組んでいくつもりでおりますが、地元の方方からいろいろ不十分であるという点の中に幾つかの項目があるわけでございますけれども、たとえば周辺の町づくり計画というものがまだ必ずしも具体性に乏しい問題、あるいは周辺の移転なり民家防音工事の遂行に当たりまして借地人、借家人等の方が一般の持ち家の方々に比べて進んでいないという点、そのほか、たとえば事故防止のための施策が十分でないとか、幾つかございます。私どもとしましては、これらの問題につきまして、今後ともまじめに取り組んでいきまして、できるだけ早急に住民の方々の御理解を得るように努力してみたいと考えているわけでございます。
  82. 井上一成

    井上(一)委員 限られた時間なので、要領よく、私の質問の要旨に対して的確に答えてください。  いま言ったように、やはり数限りない地元の地域対策に対する満たされてない部分があるわけなんです。私は、一、二その点について、さらに深くお聞きをしておきます。  いま、借地人、借家人対策というものについても若干触れられたわけであります。これは、所有者の同意を得られないという場合にはこれらの人人に対してどういうふうに対応していかれるのか、説明を願いたいと思います。
  83. 田代雅也

    ○田代説明員 借地人、借家人がそれぞれのその物の所有者の同意を得られない場合に移転補償あるいは民家防音工事が行われないという問題、これはいま地元で非常に問題になっておるわけでございます。しかしながら、借地、借家、これらの不動産関係の権利関係というのは個々の方々、すべて千差万別でございます。一律に共通の制度をそれに対してつくるということが非常にむずかしい状況でございますが、私どもといたしましては、先ほど申しました大阪空港周辺整備機構ないし私どもの出先機関でございます大阪航空局の職員を督励いたしまして、ケース・バイ・ケースに、その出てまいりました一つ一つの案件につきまして具体的に十分状況を把握し、それらについて適切な処置を講ずるように、従来からも指導し、今後も強く指導していきたいと考えておるわけでございます。
  84. 井上一成

    井上(一)委員 いま、十分取り組みを強めていきたいということでありますけれども、整備機構が説得に行くということを、高橋航空局長の指示でそういう取り組みをされるということを聞いているわけなんです。そういうことで問題が解決できると思っていらっしゃるのかどうか。
  85. 田代雅也

    ○田代説明員 ただいま申しましたように、借地、借家人の関係、それぞれ権利関係は千差万別でございます。私どもといたしましては、ただいま先生の御質問にございましたように、周辺整備機構を督励いたしまして、一つ一つについてなし崩しにその問題を解決するように、鋭意当たらせたいと考えているわけでございます。
  86. 井上一成

    井上(一)委員 では、ここでは私は、具体的に地名なりを申し上げるわけですけれども、野田町周辺のいわゆる商店街を中心とした周辺対策について、即刻そのような行動に移されるということでよろしゅうございますか。
  87. 田代雅也

    ○田代説明員 環境問題に関係いたしますすべての地区につきまして鋭意努力いたしたいと思っております。
  88. 井上一成

    井上(一)委員 私は、あえてここで特定の地域、それはもう全般に対して対応していかなければいけないわけですけれども、とりわけ野田町の商店街の中では移転のテンポが早まっていっているわけなんです。いわば歯抜けのような状態で、商店が営業を持続していくということにも非常に困難なことになりつつある。そこで、今度は、いわゆる移転補償あるいはその補償価格という問題が緊急な問題として提起されるわけでありますけれども、現在の提示されておる価格で移転が可能なのか、あるいは移転補償が十分なんだとお考えになっていらっしゃるんでしょうか。
  89. 田代雅也

    ○田代説明員 国の命を受けまして周辺整備機構が実施しております移転補償の価格につきましては、基本的に国のその用地取得に関します統一的な基準の枠の中で処理される原則があるわけでございますけれども、しかしながら、空港周辺の移転を促進するためにはその基準の中で最大限の努力をしなければいけない、その中で十分な泳ぎをして地元の方々の合意を得ることが必要であることが第一と、もう一つは、いま周辺整備機構が実施しております代替地の造成事業を促進いたしまして、仮にその移転をされる方々がその補償価格につきまして御満足いただけない場合でも、できるだけその代替地をそういった方に安く譲り渡すことによりまして移転を促進することが可能ではないか、そのような点につきまして今後努力していきたいと考えておるわけでございます。
  90. 井上一成

    井上(一)委員 代替地というお話もありました。私は、ここで代替の問題も触れたいと思うのですけれども、それよりも飛行場部長、これはいわゆる担当者ということでなく、本当にいまの提示をされている額が、その額で移転可能なのかどうか、実際常識的な判断として私は余りにも低いのじゃないか、こう思うのです。ただうなずくだけでは私としては困るので、本当はそういう額では移転はでき得ません、しかし何とか協力をして、いまの国家予算の中でこうこうなんだと言われるのか、いまの提示をされている額で移転が可能な額だとお考えになっていらっしゃるのか、いかがですか。
  91. 田代雅也

    ○田代説明員 価格自体につきましては、個々の物件の所有者の方々といろいろ交渉しなければいけない問題があるわけでございます。現在、大阪空港周辺におきまして移転補償の結果、かなり移転が促進されたところもあるわけでございますが、そういったところにつきましては価格につきまして合意を得たわけでございます。しかしながら、やはり必ずしも価格の問題で折り合わない方方が非常に多うございます。私どもといたしましては、やはりそういった方々にいまの代替地の提供あるいはそのほか金融関係の面におきましてのお世話等々、今後十分住民の方々の御満足いただけるような施策を進めていきたいと考えておるわけでございます。
  92. 井上一成

    井上(一)委員 代替地の提供と言われるけれども、これは一つの例ですけれども、住宅公団の北豊中団地、御存じですね。これは五百戸がもうすでに入居されていると聞いているのです。千戸が九月だ。しかし、これについても、もし移転をする場合には、家賃がどれだけなのか、あるいはその家賃が営業を保障するに十分であるような適正な家賃であるのか。原価主義の方針から言って高家賃であるわけなんですね。それでまた、この家賃すら決まってないのですよ。いまさっき言うように、融資制度を何ぼしたって、これはそういう発想はよくないと思うのです。貸付金ですべてを処理していこうということは、これはどうせその貸付金は返済をしなければいけない。いわゆる営業から利潤を得て、そして返済をしていかなければならない。むしろそれよりも実態に即した移転補償というものをやはり国は正しく認識して、実態に応じた移転補償をすべきであると私は思うのです。だからもう一度——それは合意をした部分もあるかもわかりませんけれども、なかなか現状では実態と隔たりがある。ひどいところでは坪単価二十万ぐらいも隔たりがあるのじゃないかというふうにも私は思うわけであります。いかがですか。
  93. 田代雅也

    ○田代説明員 代替地につきまして、実は本年度から国の補助方式が変更になりました。それから、共同住宅というものを同時に大阪周辺整備機構で整備しているわけでございますけれども、そういったものに対する家賃の低廉化のための施策というものも今回強化されているわけでございます。私どもといたしましては、具体的な補償価格というものにつきまして統一的な基準があるわけでございます。その統一的な基準の中で最大限努力いたしますと同時に、こういった代替地の提供につきまして、今後ともなお一層強力に施策を講じまして、住民の方々の御満足を得たいと考えておるわけでございます。
  94. 井上一成

    井上(一)委員 見通しとしてはいつをめどに持っていらっしゃるのですか。エアバスの導入はたしか、四月二十五日でしたっけ。だから、そういうことで、対策は十分でないわ、それ以前に既成事実をつくっていこうということになるわけです。だから、そういう点について、もう少し見通しもはっきりと示していただかなければいけない、こういうふうに思います。
  95. 田代雅也

    ○田代説明員 環境庁のお定めになりました空港の周辺の騒音環境基準の中間目標達成時期が、ことしの十二月に参るわけでございます。私どもといたしましては、やはりその環境基準というものが運輸省にとっての至上命令でございます。そこに集中いたしまして、今後、施策を重点的にやっていきたいと思っておるわけでございます。
  96. 井上一成

    井上(一)委員 ということは、周辺対策についても十二月をめどに最大限の努力をするというふうに受けとめてよろしゅうございますね。
  97. 田代雅也

    ○田代説明員 周辺対策と申しましても多種多様、いろいろな施策がございます。従来すでに行い得たもの、現在進行中のもの、あるいは非常に困難であるけれども何とかして私どもとして達成しなければならないもの、いろいろあるわけでございます。十二月に参ります中間目標を達成するということがわれわれにとっての至上命令でございますので、十二月までにやるということではなしに、すべての施策を集中してやっていきたいと考えているわけでございます。
  98. 井上一成

    井上(一)委員 私は、ここでさらに環境庁長官質問をいたしたいと思います。  いわゆる豊中市の南部のある小学校の校長先生は——この地域は公害健康被害補償法の地区に指定をされているわけなんですけれども、五十二年度の健康診断が実施されて、総合判定の結果、健康指導を必要とした児童が二十五名に達したわけなんです。さらにこのほかに、公害認定患者として十二名の学童が在籍をしている、こういう事実があるわけなんです。全くもって、児童の健やかな成長を望もうとする基本的な児童福祉法、そういうものあるいは子供たちの健康を阻害するこういう要因をつくり出しているいまの大阪国際空港周辺下の環境についてどう受けとめられ、これに対してどうお考えなのか。
  99. 山田久就

    山田国務大臣 御承知のように、公害基本法の中でも、健康項目というのはわれわれが一番重きを置いてこれに対処しなければいかぬ、こう考えているところでございます。まあ、そういうような事態になっているのははなはだ遺憾でございまして、私といたしましては、このことについて是正されるように、環境庁立場としてひとつできるだけの努力をいたしたいと思っております。
  100. 井上一成

    井上(一)委員 長官、これは大気汚染が大きな原因なんですよ。だから、それに対して、いまお答えがあったように対応されるということですね。  さらに、その騒音が子供たちに与える影響、落ちつきのない子供あるいは何をしてもすぐに飽きる子供、いわゆる情緒不安定な子供になりやすい、こういうような環境である、こういうことなんです。本当に子供たちが健やかに健康に成長することへの社会の責任ということを考えたら、長官、どうお考えなんですか。これは時を経ずして対応しなければいけない問題だ。エアバスのフライトもあなた方にとっては大きな問題かもわかりませんけれども、そこに住む、そこで学ぶ子供たちにとっては、そんなことよりも、みずからの健康を保持するための大人の手だて、政治の手だてが必要なんですよ。環境庁長官、いかがですか。環境庁長官、あなたの理念というものを聞かしてください。
  101. 山田久就

    山田国務大臣 先ほど申し上げましたように、これは子供の健康、そういう意味においての騒音、大気、こういう問題については、その影響するところがいま御指摘のとおりでございます。したがいまして、これに対しては基本的に、是正のためにいろいろ全力をもってひとつ臨みたい、こう考えている次第です。
  102. 井上一成

    井上(一)委員 私は、環境庁長官に、ただここだけの答弁で済むことなく、一度そのような子供の教育を受けている現場に足を運んで、どういう実情であるかということを認識していただきたいと思うのですが、きょうあすの問題でなくとも、実情を認識したい、教育環境を承知したいという考えに立って、努力をしていただけますか。
  103. 山田久就

    山田国務大臣 ひとつ、そういうふうな立場努力したいと思います。
  104. 井上一成

    井上(一)委員 さて、私は、最後になりましたけれども、今度は都市における大気汚染の問題について、若干の質問をいたしたいと思うのです。  具体的には、大阪府の北部地域、淀川に面した北部一帯の交通渋滞は非常に地域の生活環境を阻害している、破壊しているという現状であるわけであります。とりわけ、その周辺では、大阪府が流通機構の整備を図る北部流通センターを設置して、府民の消費、流通機構をより整備していこうという努力をしているわけであります。  それに関連して、茨木−寝屋川線は、いまだ淀川にかかる橋梁は片側しか完成されておらない。あるいはこれに付随して、正雀−一津屋線と大阪市道との連携が十分なされておらない。そんなことがより交通渋滞をもたらしておる、こういうふうにも思うわけです。できれば、このことについて、きょうは建設省から三野地方道課長にお見えいただいておりますので、現状というものの認識と、それから、それに対する今後の対応という点について、建設省のお考えをここでお聞かせをいただきたい、こういうふうに思います。
  105. 三野栄三郎

    ○三野説明員 お答えいたします。  最初の府道茨木−寝屋川線の問題でございますが、国道一号線から淀川を渡ります淀川新橋、これは暫定の二車で四十八年に供用いたしております。その後、引き続きまして、大阪流通業務団地の造成に関連いたしまして、その橋梁から取りつけ道路の工事を始めまして、今年の四月に暫定二車で供用するということになっているわけでございますが、もともとこの道路の計画は四車の計画でございまして、橋梁もピアがもうすでにできております。また、取りつけ道路につきましても、用地は四車の買収をさせていただきまして二車で供用しているという実態でございますが、私どもといたしましては、この北大阪流通業務団地が今年の五月に業務を開始することになっておるようでございますので、この流通団地の業務の開始によって周辺の道路の交通量がどういうふうになるのか、そういうことがまず問題になろうかと思います。府といたしましては、やはりこういう大きな交通の集中してくる個所でございますので、この流通団地の業務の開始にあわせまして、交通の実態調査を進めたいというふうに話しております。したがいまして、その実態調査を踏まえて、暫定二車で供用いたしておりますけれども、その後引き続いて四車をやるのかどうか、その辺はいま申しましたような調査の結果を踏まえて、今後、府と協議をして固めていきたいというふうに考えております。  それから、第二点の府道正雀−一津屋線から淀川の堤防を使いまして大阪の市道につながる区間の道路の問題でございますけれども、約九百メーターの区間が堤防にいわゆる公共の道路が現在ないわけでございます。管理用道路になっているわけでございます。その区間と申しますのは、淀川の派川であります神崎川がここから分派をしているわけでございまして、そこに樋門がございますし、また、その若干離れたところに取水口のために樋管も通っているというような実態でございますので、この堤防に道路を接続する、つくるということになりますと、やはりそういった河川の工作物の管理上の問題がまず重要なポイントかと思います。したがいまして、私ども、この間に道路を設置するという場合には、やはり河川管理者の意見を聞かなくてはならぬわけでございまして、私が得ております情報では、地元の摂津市から淀川の工事事務所長あてに、この堤防を市道として利用したいという協議が参っておるようでございまして、河川管理者としても、いま申しましたような点を十分検討して、早く結論を得たいというふうに申しておるわけでございます。道路サイドと申しますよりは、やはり河川管理者の考え方をまず聞かなければ結論が出ない問題だというふうに思っております。
  106. 井上一成

    井上(一)委員 最後に私はもう一点。国鉄の鳥飼貨物ターミナルが昭和四十四年から計画をされて今日まで、地域住民の反対の中でこれが経過をしてきた。地域住民は、やはり住宅環境、生活環境を守るという立場に立ってこの路線の反対をしているわけです。とりわけ、住宅地域のど真ん中を通過する計画になっているわけです。こういう計画が地域環境を破壊することであり、また、この路線の変更を考えるか、あるいはこの路線についてもうあきらめるか、何らかの対応を迫られておる時期だと思うのです。ここで国鉄に、この路線の廃止あるいは変更を含め、通過する地方自治体の意見を十分尊重するように、ひいては住民の意見を十分尊重するように私は強く願うわけでありますが、国鉄のお考えを聞かせていただきたい、こういうふうに思います。
  107. 田中道人

    ○田中説明員 ただいまの御質問ですが、鳥飼貨物ターミナルにつきましては、摂津市にその場所がございます。それから、引き込み線は茨木市を通ることになるわけでございまして、鳥飼の貨物ターミナルの用地は、すでに三十年代に用地を買わせていただきまして、本線と大分離れておりますので、そのターミナルに至る単線の引き込み線を建設するのに用地買収で約数年もめているわけでございます。ただ、計画をいたしました時点では、それほど人家の密集地帯を計画したわけではございません。その後、確かに周りに相当の住居ができております。それで、現在まで、その間約五キロございますが、地元の市それから市議会、地元に対策委員会等がございますので、その辺とよく協議をいたしまして、現在のところ約九割方買収ができておりますし、それに基づきまして市の道路のつけかえ、それから用水等のつけかえも同時に行われておりまして、私たちといたしましては、大体九割方御了解を得ておりますので、今後とも市、それから市議会、地元とひとつよくお話し合いをしながら工事を進めていかせていただきたい、かように思っております。
  108. 井上一成

    井上(一)委員 地域環境を破壊しないという前提に立って、たとえそれが完成でなくても、九割方事が運んでおったとしても、今後たとえ一割でも少数だということで切り捨てないように、十分その方々あるいはその市民の意見も尊重しながら事に当たってもらいたいということを要望して、質問を終えます。
  109. 久保等

    久保委員長 次に、古寺宏君。
  110. 古寺宏

    ○古寺委員 最初に環境庁にお尋ねをしたいと思いますが、融雪期を迎えまして十和田湖あるいは奥入瀬の渓流の河川の水質が非常に年々汚濁の傾向が強まっております。それからまた、この国立公園内の土砂崩れあるいはがけ崩れ等が増加をいたしておりますが、その主たる原因は何であるというふうにお考えになっているか承りたいと思います。
  111. 出原孝夫

    ○出原政府委員 御指摘のように、国立公園におきます湖沼あるいは河川につきまして汚濁の問題が部分的ではございますがあるようでございます。環境庁といたしましても、これらにつきましては心配をいたしておりまして、昭和四十六年から湖沼の水質の調査を実施してまいってきております。十和田につきましても、十和田湖がわが国でも有数の貧栄養湖として水質の良好な湖でございます。したがいまして、これらの水質を維持していくということは、いわゆる山紫水明の地を維持する大きな課題でございます。  これらの水質が若干最近悪化の傾向があるようでございますが、これは一つは、湖沼周辺の観光施設等からの排水によって水質が徐々に変わってくる、しかも、まだ下水道の施設が十分できていないというような場合に起こってくる問題でございます。  他の一つは、国立公園の地域で考えましても、いろいろな意味において利用と自然の保護というものが調和を保たなければならないわけでございますが、いろいろな意味におきます開発行為もございます。それによって若干の汚濁を来すという場合もございます。大体考えられる大きな原因を大別すればそのようなところかと思います。
  112. 古寺宏

    ○古寺委員 いま私がお伺いしておりますのは融雪期を迎えてですから、まだ観光客はほとんどいないわけでございます。そういう時期にこの奥入瀬の渓流あるいは十和田の湖水が汚濁する原因は一体何というふうにお考えか、この点をお尋ねしているわけでございます。
  113. 出原孝夫

    ○出原政府委員 失礼いたしました。  雪解けの時期におきましては、雪解けの水が湖水に入るということによって生ずる、特にその量が多い場合に問題がございます。十和田湖について申しますと、融雪期に一部逆送水をしておるものがございます。他の地域から湖水の水面を維持するために水を導入するというようなこともやっておりますので、環境庁といたしましては十分事業者に注意するように指導はいたしておりますが、あるいはそれが原因になる場合もあり得るかと思います。その他、地域の開発に伴いまして、融雪した水が十和田湖に流れるときに地域のどろその他をあわせて十和田湖に流し込むということもあるように承知をいたしております。
  114. 古寺宏

    ○古寺委員 そういう原因もございますけれども、私がいろいろ調査をし、あるいはお聞きしている範囲では、十和田湖周辺の国有林の伐採です。特にブナを主とする原生林の伐採が非常に進んで、荒廃してしまっているわけです。飛行機から見ますと、湖岸を残しましてほとんどの国有林が伐採されて、そこに針葉樹の杉の木を植えているわけですね。こういうような国有林の伐採が今日のこういうような汚濁の最大の原因であるというふうに言われておりまして、これは参考のためにいま長官に写真をお見せいたしますけれども、ほとんど坊主山に等しい状態になっております。したがって、雪融けになりますと河川が汚濁をするというのは当然のことでございまして、今後この貴重な十和田湖の国立公園の自然環境を守るためには、やはりいままでのような無計画な環境行政ではいかぬと思うわけでございます。  そこで、最近——最近と申しましてももう十年も前からの問題でございますが、奥入瀬渓流の自然環境の保護と交通の混雑を解消するためにバイパスをつくるべきであるという世論が非常に高まりまして、地元あるいは県当局からもそういうお話が環境庁の方にも参っていると思うわけでございますが、このバイパスのルートの問題なのですが、県がいま進めようとしておりますところの小尻辺林道というのがございます。それから、かつて日本コンサルタントにお願いをいたしまして診断をいたしました焼山−宇樽部間のいわゆる惣辺バイパスというルートがございます。そのいずれを将来の環境保全のために選ぶべきかということが大きな問題になっているわけでございますが、この点について、環境庁としてどういうふうに現在お考えになっているのか、まず承りたいと思います。
  115. 出原孝夫

    ○出原政府委員 県から奥入瀬の渓流のバイパスのルートといたしまして環境庁に意見をいただいたのは、昭和五十年のことでございます。その後いろいろ県の方とやりとりをいたしておりますが、環境庁といたしましても県の意思表示をいただいたものにつきまして、公園計画の中でそれが実現できるかどうかということにつきまして検討をいたしておるところでございます。  なお、いま先生からお話のございました、地元の方でコンサルタントに依頼をしてお考えの話ということにつきましては、私どもの方としては、県からの申し出もございませんので、具体的にはまだ承知をいたしておりません。
  116. 古寺宏

    ○古寺委員 こういう国立公園の中に道路建設が行われる場合には、環境庁としては、景観に与える影響ですとかあるいは環境保全ですとかそういう立場で、一体どういうふうに道路建設をチェックしているわけでございますか。
  117. 出原孝夫

    ○出原政府委員 国立公園におきます道路の建設は、御指摘のように、自然景観に与える影響が非常に大きい可能性を持っておる開発の行為であるというように考えております。したがいまして、道路計画が立案されあるいは工事が実施されるというときに際しましては、環境庁といたしましては事業主体に対しましてあらかじめ、自然環境の保全上重大な支障をもたらすことのないよう、影響の内容とか程度、保全対策あるいは代替案の比較検討を含む調査研究を行わさせまして、その上で、その結果を徴しまして、環境庁として慎重に対処いたしたいということで従来からやっておるところでございます。
  118. 古寺宏

    ○古寺委員 特に、こういう国立公園の場合には、道路建設というような大きな事業が行われる場合には事前の影響評価、環境アセスメントをきちんとやって、そして国立公園の景観を維持していくようなことを考えなければいかぬのではないかと思いますが、どうでございますか。
  119. 出原孝夫

    ○出原政府委員 大きな道路の事業計画につきましては、特に国立公園の特別地域等に差しかかる重要な施設につきましては、環境庁といたしましても事前に自然環境に与える影響等を十分承知をした上で対処すべきものというように考えております。御指摘のことにつきましては、私どももできる限りの努力をいたしたいということで従来からやっておるところでございます。
  120. 古寺宏

    ○古寺委員 小尻辺林道等の国道一〇二号線のバイパスにつきましては、林野庁と県側と意見が対立というわけでもないのでしょうが、現在まだ食い違いがあるようでございますが、林野庁がこの小尻辺林道等のバイパスに対して懸念を持っている点はどういう点でございますか。林野庁にお伺いします。
  121. 渡邊信作

    ○渡邊説明員 お答えいたします。  小尻辺林道の周辺は、先生御案内のとおりシラス地帯でございまして、融雪時、それから豪雨のときに災害が発生するおそれがあるわけでございまして、このような地質の地域にいまの林道の幅よりもかなり大きい道路を建設される計画でございますが、林地の崩壊を未然に防止するために十分な災害防止施設をやっていただかなくてはならない、こういうふうに思っております。特に、のり面の安定には相当な配慮が必要かと思っております。これらの点につきまして、現在、青森県と青森営林局の間で調査、協議を進めているところでございます。
  122. 古寺宏

    ○古寺委員 焼山から宇樽部に至る惣辺林道等を一〇二号線のバイパスとすることについては、林野庁はどういうふうにお考えですか。
  123. 渡邊信作

    ○渡邊説明員 惣辺林道等を利用いたしまして国道一〇二号線のバイパスを作設することにつきましては、先ほどと同じように、災害の防止等森林の機能を保持する措置が十分講ぜられなければならないということでございまして、そういうことで災害防止の結論が得られれば、林野庁といたしましてはそれによって対処したいと思っております。
  124. 古寺宏

    ○古寺委員 一番最初に私が申し上げましたように、河川の汚濁、湖水の汚濁、がけ崩れの原因は、これはあなた方が国有林をむやみやたらに伐採するからそういうふうになっているのですよ。ここに写真がございます。これは黄瀬林道の写真でございますが、こういうふうに、もうまる坊主にしちゃっているのだ。それが、災害を防止できればいいとかどうとかとおっしゃいますけれども、もう木を切ってしまっているのでしょう。そして、いま県が行おうとしているところの小尻辺林道には、わずかにブナの原始林が残っているのですが、それをまたいま伐採しようとしている。そういうものを、責任を持ってあなた方は国有林を管理してもらいませんと、十和田の周辺はもう木が一本もなくなってしまいますよ。こういう高い、六百メートルも七百メートルもあるところに杉などの針葉樹を植えて育つというふうにお考えですか。また、防災ができるというふうにお考えですか。そういう点をはっきりしていただきたいのです。
  125. 渡邊信作

    ○渡邊説明員 小尻辺林道周辺の森林の施業につきましては、先生指摘のとおり、国立公園特別保護地区、それから特別地域、砂防地域ということで、かなり法的規制がございまして、林野庁といたしましては、これらの地域をこれらの目的にかなうように施業をいたしておりまして、特に保護地区、特別地域につきましては禁伐ということで対処しております。
  126. 古寺宏

    ○古寺委員 次に、建設省にお伺いしますが、現在の国道一〇二号線につきましては一方通行あるいは遊歩道にいたしまして、バスパスは焼山から宇樽部に至る惣辺林道が環境面からも問題がないので、このルートについて整備をすべきではないか、こういうように私は考えるわけでございますが、この点について建設省はどういうふうにお考えでございますか。
  127. 松井宏一

    ○松井説明員 お答えさせていただきます。  一般国道の一〇二号線の奥入瀬の渓流沿いの区間は、非常に幅員が狭うございまして、改築の必要がございます。それに加えましで、当該区間は十和田八幡平国立公園の特別地区でございますので、その対策といたしましてバイパスを計画させていただいているところでございます。昭和四十八年から植生とか動物等の自然環境調査を行いまして、その成果をもとにいたしまして路線を小尻辺林道沿いに選定いたしまして、現在、環境庁に対しまして工事の許可を申請中でございます。また、これと並行いたしまして営林局とも協議中でございまして、これらの調整が終わり次第着工させていただきたいというふうに存じております。  それから、なお、焼山から宇樽部に至ります惣辺の林道沿いにつきましては、道路の延長が小尻辺の林道沿いに比べましてかなり長くなりますし、また、この間の自然環境にも配慮すべきものがございますので、採択させてもらっておりません。いずれにいたしましても、自然環境に配慮すべき地域でございますので、関係省庁と十分調整を図りまして、環境問題を生じないように県当局を指導してまいりたいと思います。
  128. 古寺宏

    ○古寺委員 現在の一〇二号線というのは、道路構造令からいきましても、一次改良あるいは二次改良が全く不可能に近いわけでございますので、現在の一〇二号線につきましては、やはりルートを変更いたしまして、正規の新しいルートをつくって、きちっとした一〇二号線というものを建設をすべきであるというふうに私は考えますが、いかがでございますか。
  129. 松井宏一

    ○松井説明員 現在の奥入瀬渓流沿いにつきましては、御指摘のように非常に幅員狭小でございまして、また拡幅もむずかしゅうございますので、新しいバイパスといたしまして、現在、小尻辺林道沿いのルートを考えさせていただいているところでございます。
  130. 古寺宏

    ○古寺委員 日本コンサルタント・グループがかつて診断した内容によりますと、小尻辺林道につきましては、幅員四メートルの幅で砂利道として、迂回路として使うのならばよろしい、こういうふうに診断をいたしております。そして、有料道路あるいは観光道路の立場では、いま申し上げておりますところの焼山−宇樽部ルートを考えるべきであるという結論を下しているわけです。しかも、日本コンサルタント・グループの、実際にコンサルタントに当たった方々は、恐らく建設省の大先輩の方々ではないかと思います。内容が、非常に科学的にきちっと資料も出ているわけです。こういうような、かつてりっぱな診断をしていながら、これが全然活用されずに、環境庁もまたこれをチェックすることもなしに、あるいはまた建設省も小尻辺林道をバイパスとして建設することを一応認めているというようなことでは、私は、十和田の国立公園の自然景観は保護できないと思うのです。こういう面で、やはり環境庁がきちっとこの点の自然保護という見地からこれに歯どめをかけませんと、取り返しのつかないような事態が発生する危険性がございます。こういう点につきまして、この十和田八幡平国立公園の計画の見直しが考えられているようでございますが、この中で道路計画についても見直しをするというお考えはお持ちでございますか。
  131. 出原孝夫

    ○出原政府委員 すでに先生御案内のように、この道路のバイパス計画の出ておりますそもそもの原因は、奥入瀬地区の国道一〇二号線でございましたかが生活道路であるということで、観光客だけについて規制をするというわけにはまいらない実情がございます。したがいまして、生活道路としての役割りを果たしつつ、国立公園の計画の中にうまく組み込まれる必要がございます。そういう意味におきまして、地元の青森県からも、私どもは、この道路についての協議を受けたわけでございまして、私どもも、もちろんこの問題といたしましては、国立公園計画の中で対処すべきものであるというように考えておりますので、この道路計画に伴いまして、当然、公園計画の見直しも必要であるというように考えております。
  132. 古寺宏

    ○古寺委員 文化庁にお伺いいたしますが、昭和五十年の四月八日に文化庁は道路の新設を許可しておりますが、これはどういうわけでございましょうか。
  133. 横瀬庄次

    ○横瀬説明員 奥入瀬渓谷は、昭和三年に十和田湖及び奥入瀬渓流という名前で名勝及び特別天然記念物に指定しておりまして、昭和二十七年にさらに特別名勝に指定しております。御質問にありました小尻辺林道の拡幅の問題でございますが、昭和四十九年の十二月に青森県知事から許可申請があったわけでございますが、この小尻辺林道のうちで最も北寄りの方でございますが、惣辺と言っております地帯の九百二十メートル程度のものがこの指定地域に入るわけでございます。これについて、四十九年の申請がございまして、これを検討したわけでございますが、奥入瀬渓流を守るというためには、この国道一〇二号線にかわるバイパスが必要であるということと、それから、この特別名勝及び天然記念物としての価値の中心は、渓流沿いの景観というものが第一でございまして、これから離れて現存しております林道の改良というのは、それによる影響が現在よりはずっと少なくなるというふうに考えたということと、それから、この計画に当たりまして、弘前大学におきまして、このあたりの植生の調査をしてございますけれども、私どもの指定しております最も北寄りの部分、九百二十メートル程度のところは、両側がほとんど杉の人工林になっておりまして、そういった意味から、天然記念物という観点から考えました場合に比較的に価値の少ない地帯であるということから、この部分、九百二十メートルについて現状変更の許可をしたものでございます。
  134. 古寺宏

    ○古寺委員 どうも文化庁の許可の仕方は安易じゃないかと私は思うのです。この調査の報告書の内容を見ましても、問題が非常にたくさんあるわけですね。それをあなた方の方では、非常に簡単な気持ちで道路新設を許可しているわけですね。ここにはカモシカもいるし、いろいろな貴重な鳥類もおれば、いろいろな植物もあるわけです。そういうものを、これはいろいろ調査の報告書もございますけれども、全然検討しないで簡単に許可をしたというふうに考えられるのですが、どうなんですか。
  135. 横瀬庄次

    ○横瀬説明員 私どもの態度といたしましては、文化財保護法上の許可申請がございました場合に、その部分について調査をし、あるいは検討するということで対処していかざるを得ないわけでございますが、この最も北側の部分についてだけが指定地になっておりまして、この周りについては、先ほど申しましたように価値が比較的低い部分でございましたものですから、それに基づいてほかのメリットということを考えまして、許可をしたわけでございます。その当時はバイパスの設置問題について、これがかなり煮詰まった形で私どもの方に申請がございまして、そういう青森県からの説明がございましたものですから、そのことについてだけ検討をしたというような形になっております。
  136. 古寺宏

    ○古寺委員 この点につきましては、文化庁が最も厳しい立場で取り組んでいただかないと困るわけでございまして、一応許可をしても、なおかつこれには条件がついておるようでございますので、今後もう一度再検討いたしまして、いろいろな問題が発生しないように、ひとつ十分に注意をしていただきたいということをお願いをしておきたいと思います。  次に、全国の国立公園の中における湖沼の汚濁の問題があるわけでございますが、自然公園の観点から、一般的にどのようにこの問題に環境庁が対応していらっしゃるか、お伺いしたいと思います。
  137. 出原孝夫

    ○出原政府委員 当初にも若干申し上げましたように、国立公園における湖沼の汚濁につきましては、これが汚濁してくるということは、自然景観の保護上重要な問題でございます。  それで、まず私どもといたしましては、実態を十分承知をする必要がございますので、昭和四十六年から、十四の国立公園の四十八の湖沼につきまして、その実情を調査をいたしてきておるわけでございます。十和田湖につきましても、昭和四十七年にその調査を行ってきたところでございます。
  138. 古寺宏

    ○古寺委員 国立公園の湖沼の中で、現在、下水道の整備事業が行われている地区は何地区ぐらいございますでしょうか。
  139. 出原孝夫

    ○出原政府委員 建設省にお願いをいたしまして、特定環境保全公共下水道の中で自然保護の下水道として実施をしていただいておりますのは、昭和五十二年度で十五カ所でございます。
  140. 古寺宏

    ○古寺委員 その十五カ所の中には十和田湖が入ってないようでございますが、これはどういうわけでございましょうか。
  141. 出原孝夫

    ○出原政府委員 御指摘のように、十和田湖についてはまだその計画の中に入ってございません。それにつきましては、昭和五十年でございましたか、青森県で建設省の補助を得て、その計画に関する調査をされたようでございます。その計画を建設省に出した上で御承認を願うという段取りになるわけでございますが、十和田湖は青森県と秋田県の両県にまたがっておるところでもございますので、その計画につきましては、青森、秋田両県の調整も必要であるということで、環境庁の出先の機関も間に入りまして、その調整をお願いしておるところでございます。
  142. 古寺宏

    ○古寺委員 水産庁にお伺いしたいのですが、最近のヒメマス等の十和田湖の内水面漁業の状況はどういうふうになっておるか、承りたいと思います。
  143. 鶴岡俊彦

    ○鶴岡説明員 十和田湖におきます漁業は、ヒメマス漁業が主体でありまして、そのほかコイ、フナ、エビ等であります。大体漁獲量は五十年が四十七トンでございます。そのうち三十九トンがヒメマスということになっております。大体四十トン前後の生産量が上がっておる、漁獲金額にしまして約四千万程度でございます。それから、関係の漁業者は約六十名というふうに承知いたしております。
  144. 古寺宏

    ○古寺委員 水揚げ量は少ないかもしれませんが、非常に貴重な資源であるわけでございますが、今後、道路建設等が行われまして、シラス地帯でございますので、火山灰等がこの湖水にどんどん流入した場合にはどういうような影響が考えられるでしょうか。水産庁にお伺いします。
  145. 伊賀原弥一郎

    ○伊賀原説明員 御承知のように、十和田湖につきましては、非常に冷たい水域でございまして、そしていわゆる貧栄養湖ということで、ヒメマスが主体の生育がされているわけでございますけれども、いわゆるサケ・マス類の性格からいたしまして、土砂等の懸濁物質が非常に多量に入った場合には、何らかの形で、えさの面につきましても、ヒメマスの生育につきましても影響が出てくるであろうということは一般的に言えるわけでございます。しかしながら、水産関係のいろんな影響の中で、土砂とか懸濁物質の影響というのはきわめてわかりにくいものになっておりまして、ほかでもいろいろ問題が出ておりますけれども、影響をいわゆる数字的だとかそういう面でやりますには、懸濁物質というものがメカニックの面でも、影響を与える機構という面でもきわめてわかりにくい面になっておりまして、そういう実情になっているということでございます。
  146. 古寺宏

    ○古寺委員 水産庁はこのヒメマスの振興対策としてはどういうような対策をお考えですか。
  147. 鶴岡俊彦

    ○鶴岡説明員 ヒメマスの振興につきましては、青森と秋田両県で、十和田湖ふ化場協議会というのを設置しておりまして、ヒメマスの資源調査と人工ふ化放流事業をやっております。ふ化放流尾数は毎年大体二百万尾程度を放流しているというふうに県から報告を受けております。
  148. 古寺宏

    ○古寺委員 それで振興ができるわけでございますか。今後増産できる可能性がございますか。
  149. 鶴岡俊彦

    ○鶴岡説明員 両県で協議をしながら進めておるわけでございまして、現在のところは毎年二百万尾程度の放流を実施して振興を図るというふうにやっております。
  150. 古寺宏

    ○古寺委員 十和田湖の湖水の問題は非常に重要な問題でございますが、下水道の整備について建設省はどういう対策をお考えなんでしょうか。
  151. 遠山啓

    ○遠山説明員 先ほど環境庁からも御説明ありましたように、建設省としましては、昭和五十年度でございますが、流域総合下水道計画調査というのを青森県に補助をいたしまして実施いたしました。現在この調査結果に基づきまして、流域別下水道整備総合計画というのが策定されつつあります。近くこの作業が完了いたしますが、休屋地区というようなところにおきましての下水道整備につきましては、ただいま行いましたこの計画の一環として下水道の計画が要望されているものと承知しております。建設省としましても、自然保護のための下水道につきましては、特定環境保全公共下水道という事業によりまして実施するのが適当であるというふうに考えております。第四次下水道整備五カ年計画におきましても、この事業の執行を重点項目として取り上げているところでございます。
  152. 古寺宏

    ○古寺委員 先ほどの環境庁のお話によりますと、全国ですでに十五カ所の地区でもって特定環境保全公共下水道の工事がもう始まっているわけですね。十和田の休屋の場合はこれから計画をつくってこの事業に入る、こういうわけなんでございますが、このおくれている原因は一体どこにあるのですか。
  153. 遠山啓

    ○遠山説明員 こういう十和田湖とかそういった水域におきます下水道整備計画というのは、非常にむずかしい計画の内容を持っております。したがいまして、河川流域全体をながめましてその中で実施していくのが、将来を見渡した上で一番適当なやり方でございまして、その計画がいまやっとでき上がった、これに基づきまして今後の措置が行われるという予定でございます。
  154. 古寺宏

    ○古寺委員 十和田湖の休屋の場合は、新井田川河口水域流域別下水道整備総合計画、そういう総合計画の一環として行われることになるわけなんですが、この新井田川河口水域の環境基準というものが定められております。その環境基準を達成するためにこういうような整備計画というものが行われるわけなんでございましょう。どうですか。
  155. 遠山啓

    ○遠山説明員 下水道の設置の目的そのものが水質の保全のためにございますし、ただいま申し上げました流域別下水道整備総合計画というのは、そういった環境基準を達成するための下水道の基本計画でございます。
  156. 古寺宏

    ○古寺委員 環境庁にお伺いしますが、現在この新井田川河口水域の環境基準に対する水質の状況はどういうふうになっておりますか。
  157. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 新井田川の環境基準の話でございますが、実は、十和田湖と奥入瀬のだけ手元に持っておりまして、いま持っておりませんので、後刻申し上げたいと思います。
  158. 古寺宏

    ○古寺委員 新井田川河口につきましては、ある程度水質はよくなっていると思うのですが、まだまだ環境基準の達成はむずかしいと思います。そういう面からいたしますならば、この総合計画というものがもっと速やかに行われなければなりませんし、しかも、十和田湖の自然環境を守るためにはもっと速やかにこの計画も実施できなければならないと思うのですが、他の地区に比較してこの計画が非常におくれているということは非常に残念な、遺憾なことだと思うのです。今後、ひとつこの特定環境保全公共下水道につきましては、できるだけ早く完成できるように、建設省としても指導、援助をしていただきたいと思うのです。この十和田湖の場合は青森県と秋田県、両県にまたがっております。しかも、この下水道工事を行おうとすれば、その主体になるのは当然十和田町とか小坂町、町が事業主体となって行わなければならないと思う。その場合に、予算規模によりましてはとても町村の財政では賄い切れないというような問題もあってちゅうちょしている面もあるのではないか、こういうふうに思うのですが、その辺の事情につきましてはどういうふうになっておりますか。
  159. 遠山啓

    ○遠山説明員 第一点の青森県と秋田県の両方にまたがる下水道計画が必要ではないか、それをまず実施するについてどういう方策で現在までやっているかという問題でございますが、いずれかの県に属します市町村にどちらかが委託をするという形で実施するのが一番多いケースとなっております。  それから、二番目の地方財政が非常に規模が小さくて下水道を実施するのには大変ではないかという点でございますが、下水道につきましては、国庫補助並びに起債の充当という点におきまして財政措置は非常に手厚くいたしております。しかしながら、都道府県によりましては、なお市町村に対しての援助というのも行われておるのが実情でございます。これは全部の県ではございませんけれども、一部の都道府県で実施いたしております。
  160. 古寺宏

    ○古寺委員 この特定環境保全公共下水道につきましては、管渠は十分の六、それから処理場については三分の二を国が負担してくださる、残りの十分の四と三分の一を事業主体になる市町村が負担をするということになるわけなんですが、大体現在十五カ所行われているそうでございますが、十和田湖と同じような規模で行われる事業でもって予算規模はどのくらいなものでございましょうか。
  161. 遠山啓

    ○遠山説明員 十和田がまだ実際に出てきておりませんので、私、その規模、概念がちょっとわかりにくいんでございますが、いままでの感じから見てまいりますと、たとえば北海道で、阿寒湖等でやっております阿寒湖周辺の観光地の下水道、ああいったような規模に相なろうかと思います。
  162. 古寺宏

    ○古寺委員 これはお願いでございますが、後ほど全国十五カ所の事業別の地域あるいは予算規模、都道府県の援助等の資料を私にひとつ御提出をお願いしたいのですが、よろしゅうございますでしょうか。
  163. 遠山啓

    ○遠山説明員 政府委員室を通じましてお答え申し上げたいと思います。
  164. 古寺宏

    ○古寺委員 いま建設省の方から——十年くらい前に私どもが何とかしてこの十和田湖の下水道を推進したいと思った時代には、まだこういう制度が発足をいたしておりませんで、町村が自力でやるということは非常に大変なことであるということで今日まで延び延びになっておったわけでございますが、環境庁は十和田湖の湖水を保全するということに対して非常に熱意が足りないというふうに私は感ずるのですが、環境庁はこの問題についてはいままでどういうふうに推進してこられたか、お伺いしたいと思います。
  165. 出原孝夫

    ○出原政府委員 自然保護下水道につきまして、公共下水道整備の五カ年計画の中に明記して組み入れられたのが昭和五十一年度からでございます。五十年度、実行上お願いをするようになったということで、まだ三年でございます。したがいまして、十和田関係につきましては環境庁といたしましても、ここの水質から言いまして、昭和四十七年の調査でも透明度が十二メートルから二十メートル程度の、日本の湖沼の中ではトップクラスではございませんけれども、かなり重要なものでもございます。したがいまして、できるだけ早くその施設ができますように、また関係省の協力を得るように努力いたしたいと考えております。当面につきましては、各種施設に対しまして、浄化槽の設置に加えて土壌浸透処理の技術を指導するということで対処せざるを得ないというように考えております。
  166. 古寺宏

    ○古寺委員 最後に大臣に。こういう十和田の国立公園のようなところの道路建設あるいは国有林の伐採計画、こういうものが自然を破壊していく、一方では急がなければならない下水道事業というようなものが十和田の場合は非常におくれている、問題が非常にたくさんあるわけです。これを管理しているのは環境庁でございます。こういう面につきましては、貴重な日本の国立公園を守る意味におきましても環境庁はもっと積極的に取り組んでいく必要があるし、特に道路のバイパス建設の問題につきましては、今後十二分に検討する必要があると思うわけでございますが、大臣のお考えを承って、質問を終わります。
  167. 山田久就

    山田国務大臣 いろいろ御指摘の点、非常にごもっともな点が多々あると思います。ひとつ十分注意をめぐらしまして自然環境の維持、保全、こういうものに遺憾のないように、ひとつできるだけ努力いたしたいと思います。
  168. 久保等

    久保委員長 次回は、来る二十五日火曜日午前十時理事会、午前十時三十分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後一時三十三分散会