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1978-04-18 第84回国会 衆議院 公害対策並びに環境保全特別委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年四月十八日(火曜日)     午前十時三十一分開議  出席委員    委員長 久保  等君    理事 相沢 英之君 理事 池田 行彦君    理事 登坂重次郎君 理事 島本 虎三君    理事 水田  稔君 理事 古寺  宏君    理事 中井  洽君       高村 坂彦君    戸沢 政方君       友納 武人君    西田  司君       福島 譲二君    藤本 孝雄君       井上 一成君    東中 光雄君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (環境庁長官) 山田 久就君  出席政府委員         環境庁長官官房         長       金子 太郎君         環境庁長官官房         審議官     石渡 鷹雄君         環境庁企画調整         局長      信澤  清君         環境庁企画調整         局環境保健部長 山本 宜正君         環境庁自然保護         局長      出原 孝夫君         環境庁大気保全         局長      橋本 道夫君         環境庁水質保全         局長      二瓶  博君         建設政務次官  塚田  徹君         建設省河川局長 栂野 康行君  委員外出席者         環境庁水質保全         局企画課長   神戸 芳郎君         環境庁水質保全         局水質管理課長 林   亨君         環境庁水質保全         局土壌農薬課長 松居  努君         厚生省環境衛生         局水道環境部環         境整備課長   森下 忠幸君         厚生省医務局総         務課長     森  幸男君         農林省構造改善         局建設部水利課         長       須恵  務君         農林省農蚕園芸         局農産課長   山極 栄司君         食糧庁業務部需         給課長     松岡  将君         通商産業省立地         公害局鉱山課長 檜山 博昭君         建設省都市局下         水道部長    井前 勝人君         日本国有鉄道環         境保全部長   杉浦  弘君         特別委員会調査         室長      綿貫 敏行君     ――――――――――――― 委員の異動 四月十八日  辞任         補欠選任   岩垂寿喜男君     井上 一成君 同日  辞任         補欠選任   井上 一成君     岩垂寿喜男君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  公害対策並びに環境保全に関する件      ――――◇―――――
  2. 久保等

    久保委員長 これより会議を開きます。  公害対策並びに環境保全に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。島本虎三君。
  3. 島本虎三

    島本委員 環境庁長官もきょうはわりあい顔色がいいようでありますが、周囲の声としては、その顔色にかかわらず腰が弱いという批判が強いのであります。私も長い間環境庁関係するいろいろな仕事というものを見てまいりまして、環境庁だけはいままで順調に育った官庁だ、こう思っていたのであります。今後もそうあってほしいのでありますが、腰が弱いという批判の声に対しては長官としてどのように受け取っておられましょうか、ひとつそのお考えをお漏らし願いたいのであります。
  4. 山田久就

    山田国務大臣 環境庁任務、これは御案内のとおりにもう決まっているところであります。公害からわれわれの健康を守り、環境保全というものに努めていく、このように人工的な環境について、さらに一歩進めて、われわれの快適さというものを長期的な、そして広い視野で考えていく、このことのためにわれわれは全力を尽くしてその任務を達成していきたい。この間において当然いろいろな議論、見方というものがあり得ると思います。しかしながら、この所信を通して所期目的を達成していこうという決意と信念には全く変わりはない、そういう態度で臨みたいと思って努力しているところでございまして、どうかこの点、御理解と御鞭撻をいただきたいと思います。
  5. 島本虎三

    島本委員 議事録には、いままではやはりそういうのが載っているのであります。しかし、ようやく関係法案で顔を出しつつあり、またすぐ出すであろうと思われる瀬戸内海環境保全臨時措置法後継法と言われる恒久法、これもそういう状態にあるということをきょうの新聞で知ったわけであります。これは同慶にたえません。これは早くやって、私にこんな皮肉を言われなくてもいいようにしておいてほしかったのでありますが、それでも間に合ったということは、私はうれしいのであります。  いま、心配することはないということでありますから、安心してお伺いするのでありますが、世上、これを恒久法として設定するのに各官庁から相当の圧力があり、それに屈したとも言われているのでありますが、その点は自信がおありですか。
  6. 山田久就

    山田国務大臣 今日、いろいろな面について、当然それぞれの立場からいろいろの意見があり得るところでございます。ただいま申し上げましたとおりに、これについては、われわれは任務達成という基本的な立場に立って、後継法を早く実現に移したいということで臨んでいるわけでございまして、その点については自信を持って大いにがんばっているつもりでございます。
  7. 島本虎三

    島本委員 がんばっておられるというだけじゃわからない。圧力に屈したとも言われている。したがって、この恒久法を実施するのに自信があるか、的確に答えてもらいたいわけです。がんばっているのだからでは、これはちょっと私の受け取り方では困るのですよ。長官、もう少し的確に答えてほしいのです。それはもう自信がありますと、ぴたっと言ってもらった方が私はうれしいのです。長い言葉になればなるほど、その間に何かニュアンスが違うものもあったりして、これは自信のない証拠のあらわれだな、大概こういうふうになってしまうと思います。短い言葉で的確に答えてもらいたかったわけであります。  ことに瀬戸内海の場合には、いま問題になっているのは総量規制です。総量規制の場合には、窒素、燐、この対策もそのままにしておかれないわけであります。ことに燐の対策は、伝えられるところによりますと、行政指導でお茶を濁すつもりらしい、こういうことであります。いまの状態の中で、これは行政指導でやれるのでしょうかね。これもわからないのじゃないか。だから自信があるのかどうかと聞いているのですが、長官ではわからない。これはやはり規制をきちんとして、それでもいまの状態ではなかなか困難だと言われているのに、間接的に行政指導を強化する、これでできるのですか。私どもとしては、この恒久法だけはきちっとした、だれにも後ろ指を指されないという確信自信を持ったものにして出してもらいたかったわけであります。これは行政指導だという。行政指導だとすると、富栄養化対策効果が上げられるという自信がありましょうか。なぜこれは発生源規制できなかったのか、これを押し通せなかったのか。この点は、だれがどう操作したのかわかりませんが、私は問題だと思うのであります。長官、これはどうなんですか。
  8. 山田久就

    山田国務大臣 私は、自信を持ってこれに対処していくつもりでやっております。なお、それについてのいろいろな議論はありましょうけれども、われわれとしては、諸般の情勢から最善であると信じて対処しておるつもりでございます。  なお、詳細については政府委員から答弁させます。
  9. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 燐の関係でございますが、これは後継法におきまして、ただいま先生からお話がございましたように、行政指導でやるということを規定いたしておるわけでございます。なぜこれは規制という形にならぬのか、発生源に対する規制というわけにいかぬのかということでございますが、実は、燐は汚濁物質ではないわけでございます。一つ栄養物質でございます。したがいまして、普通、汚濁物質であれば、少なければ少ないほどよろしいのでありますが、燐などにつきましては、むしろ余り少なくても困る。さればといって、これが多過ぎますといわゆる赤潮等発生一つ要因というふうにも見られる。望ましいレベルが那辺にありやというところが非常にむずかしいところでございます。  もう一つ削減技術の方でございますが、こちらの面につきましても、窒素の方はまだいろいろ問題はあるのでございますが、燐の方については一応削減の技術的なめどもあるということで、瀬戸内海につきましては、昨年の八月末に大規模赤潮が出た、そういうような事態をも踏まえまして、ここはよその地域とは違って先駆的にひとつそういう行政指導によるものでもやってみてはどうかということで法案に織り込んだ。しかも関係県は十一県という多数にも上りますので、行政指導ということであると、あるところは張り切ってやる、あるところはそうでもないと言われましても困りますので、その辺はある程度一斉にやるというようなことで、環境庁長官の方から一定の指示も出せるようなそういう仕組みも考え法文化を企図しておる、こういう次第でございます。
  10. 島本虎三

    島本委員 考え方です。法案がまだ出てないから。そうすると、環境庁としては発生源規制することは妥当じゃないという考え方だ、こういうことですか。
  11. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 問題は、結局、発生源に対して削減をお願いするわけですが、その手段として、規制ということで、それを守らなければ罰則だというような角度の規制というかっこうでいくのか、あるいは行政指導ですから勧告助言ということでお願いをするというか要請をするということでいくか、いまの科学的な知見の問題からすれば、これ以上あれしたらいかぬというところの規制というところまでには十分科学的な知見なり何なりがいってないしということを申し上げたわけでございます。発生源に対して削減方をいろいろ要請をする、こういうスタイルでございます。
  12. 島本虎三

    島本委員 何だか最後の言葉発生源に対して削減――私は規制という言葉を言ったのです。ただ、私が心配するのは、いまのような不況、いまのような経済情勢の中で、企業そのものも果たして行政指導の面を、罰則もなしにただ受け入れることでこれは解決になるのかどうか心配だ、したがって、これで効果が上がりますか、これなんです。そういうようなことではだめじゃないかというようなことで、他の官庁からも声が出ているでしょう。そういうようなことからして、本当にこれで実効が上がるか、だから確信があるかどうかと初めから聞いているのです。やはり環境庁の方できちっとこれを決めて、そして間違いなくこれは赤潮発生対策として十全だ、こういうなら指導をしていいのです。そのためには規制措置をきちっとしておかないとだめだぞ、こういうように考えられているのです。あなたの方は、こういうのは行政指導だけでやっていけるのだ、これは聞かなくとも罰則も何もない、それでもって結局やれるのかということが心配だと言うのです。心配ないのかどうか、そこをちょっとはっきりさせておきましょう、この際。
  13. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 手法としては、ただいま先生からお話がありましたが、いまの段階では規制というわけにまいりませんので、助言勧告というような形での指導行政指導ということで考えておりますが、この行政指導の面につきましても、いろいろ報告聴取権等知事に与えるというようなことも考えておりまして、この燐の行政指導というものも相当効果があるというふうな運用ができるというふうに考えております。
  14. 島本虎三

    島本委員 窒素は今後どういうようにしますか。
  15. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 窒素につきましては、これは排水処理技術、要するに削減技術面等につきまして、まだ実用化めどが十分立っておりません。大気固定とかいろんな問題もございまして、なかなか技術的に立っておりませんので、今後さらに調査検討といいますか、そういうものを詰めていきたい、こう思っております。さしあたりは燐でやりたいと思っております。
  16. 島本虎三

    島本委員 これは削減技術めどが立っておらない、今後の調査によってこれは考える、こういうようなことですか。今後の調査によってどの辺までどうするのかというような計画もございますか。
  17. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 窒素削減技術の問題につきましては、技術的にまだ開発研究の途上のものでございますから、これにつきましても、いつまでにどうという具体的なめどはございません。ただ、この窒素というものも、削減という問題については、富栄養化対策という観点で やはり大事な問題でございますので、そういう面ではこの開発研究の方は前向きに取り組んでいく、こういう姿勢でございます。
  18. 島本虎三

    島本委員 それはいろいろ今後の問題もあり、法律案が出ていませんから、そのときに十分やりましょう。ただ、一つ、いまのような規制ではなく行政指導で、この厳しい経済情勢のもとで、法律が通ってこれが実施に移されたら、瀬戸内海にはいままでのような赤潮発生しない、こういうような自信はありますか。
  19. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 赤潮発生しないという自信があるかという問題でございますが、問題は、赤潮発生メカニズムというものが、単に燐なり窒素なりという栄養源のみならず、海象、気象、その他の要因が絡まって赤潮発生される、こういうことでございます。問題は、したがいまして、この燐の削減対策というものを進めた場合におきましても、今後赤潮は一切出ないか、こう言われましても、この面につきましては出ないということは断言できない、かように思います。特に問題は、赤潮と言います際も、非常に悪性赤潮といいますか、村上先生などに言わせますと、非常に悪性赤潮ということで、ハマチが死ぬとかああいうホルネリア属のようなものというものが問題なので、一般的なノクチルカ等赤潮というのはそう問題ではない、したがって、ある程度赤潮というものが発生するのも仕方がないのだ、こういう感触も持っておられます。したがいまして、赤潮は絶対出ないという場合のその赤潮とはということになりますと、必ずしも絶対出ないというようなことは言い切れないし、また、燐の削減の方も、先ほど申しましたように少なければ少ないほどいいというのでなくて、やはりどのレベルがということなんですが、なかなかその辺のめどが立たぬ。ただ、考え方としては、現在よりは燐の負荷量というものをふやすということはない、これはふやさないで抑えたいという物の考え方削減指導を徹底していきたい、こういう考え方でございます。
  20. 島本虎三

    島本委員 やっぱり本法ができても赤潮発生を阻止することもできないし、そのメカニズムも十分わかっておらないからしようがないのだということのようですが、これは国民が聞いたらがっかりする言葉でございませんですかね。生活排水の問題もあるでしょう。工場排水の問題もあるでしょう。一つ一つそれを規制して発生しないように努力するのが総量規制の意味じゃありませんか。それだのに、それをやってもさっぱりその点では自信がない。国民が聞いたらがっかりするのです。法律が出たらこれはがっしりやりましょう。  この中で、瀬戸内海の場合、生活排水を含めて下水道計画がやはり大きいと思うのです。この瀬戸内海関係を含めての下水道計画進捗状態はいまどうなっておりましょうか。
  21. 井前勝人

    ○井前説明員 下水道整備につきましては、御案内のように、全国的には第四次の下水道整備五カ年計画を実施しておりますが、その中でやはり瀬戸内海のような特定の地域につきましても、私どもとしては重点的な予算等考えて実施しておるところでございます。ただ、御案内のように、瀬戸内海の十一府県下水道進捗率はまだ必ずしも思わしいものではございません。全国平均が五十一年度末で二四%でございますが、これに対しまして、十一府県平均普及率は若干全国より上回っておりまして、約三〇・五の普及率ではございます。  しかしながら、その中を個別に見てまいりますと非常にアンバランスがございまして、大阪、兵庫などは比較的高い普及率を示しておりますけれども、四国あるいはその他の府県につきましては非常に整備がおくれております。したがいまして、平均では三〇・五ではございますけれども、個々に見ればなおいろいろ問題がございますので、われわれとしては、やはり、いろいろの執行体制等考えながら、ぜひこの地域下水道は早く進めていきたいというふうに考えておるところでございます。
  22. 島本虎三

    島本委員 その考えなんであります。確かに、この五十一年度末の整備状況を見ましても、あえて名前を挙げると、和歌山県はほんの二%、それに、これまた徳島県六%、愛媛県八%、大分県、これは八%。瀬戸内海平均が三〇・五%だというのに、まだまだこういうような状態があるということは、これはやはり総量規制する上からも、この問題に対してそのままにしておけないと思うのです。全国平均二四%には、広島県でさえも、今後はそれに近づけたい、こういうふうに言っているのであります。これは、この進捗率は一六%ですね。  こういうふうにして見ますと、やはりこういうような低いところに対しては、建設省でも、今後、瀬戸内海総量規制を実施する際に、あわせて、こういうように下水道普及状態の劣悪なところに対しては特に指導し、特にこの問題に対しては措置しないと総量規制瀬戸内海は守られないんじゃないか、こう思うのでありますが、これはそのままにしておくのですか。それとも、この法律ができて総量規制を実施する際に、これらのまだ不十分なところに対しての処置は何かお考えですか。
  23. 井前勝人

    ○井前説明員 この非常におくれておる地域につきましては、まず一つは、今度の予定されております法案の中で、削減計画等府県知事がおつくりになるような予定だと聞いております。この段階で、われわれもその府県ごと削減計画に対しまして、一緒になりまして、その削減につきまして十分御指導申し上げたいと思うわけでございます。  次に、いま御指摘のありました府県につきまして、やはり執行体制等も必ずしも十分ではございません。したがいまして、下水道事業は、御案内のように、予算だけでなくて、やはり執行体制充実も必要でございますので、この人の問題につきましては、従来から人の養成、研修その他を通じまして層を厚くするべく努力しておるところでございまして、近年各府県におきましてもそういう方向で充実を図ってきておりますので、こういうおくれている地域の人の問題等も含めて、われわれも一緒になって充実するように指導申し上げたいというふうに考えておるわけでございます。
  24. 島本虎三

    島本委員 せっかく塚田政務次官が来ているのでありますから……。  いま瀬戸内海恒久法ができようとしている。そうすると、総量規制も当然考えられるわけであります。そうなりますと、生活排水工場排水を大きく今後は、規制という言葉でいきたいのでありますが、行政指導の面もあるのであります。しかし、その中でも、行政指導に当然入るべき、本当にただ二%より普及していない、進捗していないようなところが中にあるのであります。特にこういうところに対しては行政指導をしなければだめなんです。そして、補助率が少なければ瀬戸内海に限ってまた考えるとか、特におくれているところに対しては別の方法を考えるとか、何とかしてやらないと、当初の効果は期せられないと思うのであります。いま資料もおありだと思うのですが、これらおくれているところに対して、いま部長の答弁がありましたが、政務次官としても、この点の行政指導の点を今後きちっとやってもらいたいと思うのであります。そうでないと成果は期せられないわけですが、この資料にあるとおりでありますが、これに対して、ひとつ決意を聞かせてください。
  25. 塚田徹

    塚田政府委員 お答え申し上げます。  いま島本委員の方からの御質問並びにそういう御意見等建設省としましても、ごもっともでございますので、いまございました趣旨に沿って、私どもも鋭意努力をしてまいりたいと考えております。
  26. 島本虎三

    島本委員 そうしますと、下水道法で、いま流域下水道へは原則的に工場排水の流入も認められている、こういうようなことになっております。濃度の問題も、それからいろいろな有害物質、こういうような問題も、流域下水道ということになりますと原則的に認められていると、今度はいろいろなものも入るのじゃないか。したがって、所期効果を上げるためには規制はきちっとしないといけないと思うのであります。そのままにして、最終的な点でばかりやっていたら、これは大魚を逸してしまうわけです。この規制をどうするのか、監視はどうするのか、この辺に対して、これはどっちになりますか、やはり建設省の方でしょう。建設省の方ではお考えがあろうかと思うのでありますが、この規制とその監視、このことに対してはどういうふうにお考えですか。
  27. 井前勝人

    ○井前説明員 下水道の役目といたしましては、生活排水並びに事業所排水につきまして下水道整備して水質保全を守っていくということになっております。したがいまして、工場排水下水道に受け入れることになるわけでございますが、御案内のように、昨年下水道法の一部改正をいたしまして、従来、工場排水に対して下水道が少し甘いのではないかというような御批判があったわけでございますので、これに対応いたしまして下水道法の一部を改正いたしまして、公共用水域に出す場合と同じようにきちんと直罰も導入したわけでございまして、すでに昨年の五月一日からその法律は施行になっております。  しかし、これを本当に担保するには、先生指摘のように、やはりきちんとした下水道に接続する地点での監視が一番重要なことでございます。確かに、従来は建設の面に追われまして、そういう維持管理の面では若干体制が追いついていかたいきらいもございました。しかし、それではせっかくつくった下水道目的を損なうわけでございますので、きちんと接続地点における工場排水監視を強化していくということで法律も改正いたしまして、あわせまして、各公共団体に対しましても、政府から条例の制定等をお願いいたしまして、あわせて、やはり監視のためには人を大変必要といたします。それから、機器開発等もあわせて行わなければいけないものでございますので、機器開発なりあるいは監視要員の確保なり、それからまた、そういう人の確保に対しまして維持管理経費も高くなるわけでございますので、適正な使用料等の徴収というようなことも、総合的な御指導を申し上げている次第でございます。
  28. 島本虎三

    島本委員 まあ流域下水道に対していろいろ調査も進められておるようであります。建設省の方でも、いまのように監視は十分やり得る、こういうようなことであります。ただ、学者の中には、これをもって、経費の問題では、これは確かに効率の問題とあわせて有効であっても、余り大きいものでは効果がないんじゃないか、やはり適当に、ほとんど出てくるものに対してはきちっと浄化できる限度を定めて、それ以上の大きいものにしない方が実際効果があるんだ、こういうようなことがいま盛んに言われているのであります。建設省の方では大きければいい、こういうような考えのようでありますが、やはりその辺に若干規制監視が粗漏になるおそれがあるのじゃないか、こう思うのですが、いまの私の質問に対して、はっきりこの辺で見解を明らかにしておいてもらいたいのであります。
  29. 井前勝人

    ○井前説明員 お答えします。  いま先生の、建設省は大きければ大きいほどいいのだという考え指導しているという御指摘がございましたけれども、私どもはそういうことは毛頭考えておりません。やはり、どの程度の規模にするか、ここは単独の公共下水道でいくのか、ここは流域下水道方式でいくのかは、その地方地方の都市の連檐のしぐあい、それから地形のあり方によって決まるわけでございますので、御指摘の大きければいいということでは全く考えておりません。それは、あくまでその地域地域の地形、背景、その他を考え計画は決まるものだと思っておるわけでございます。
  30. 島本虎三

    島本委員 これは、窒素、燐の問題にまた当然入ってくるわけでありますが、そうなったら、その中にも当然これは紛れ込んで入ってくる、この窒素、燐、こういうものをあわせて第三次処理をやれば可能だ、こういうようなことを言われているのでありますが、第三次処理、これをやる意思がおありでしょうか、ありませんか。
  31. 井前勝人

    ○井前説明員 お答えいたします。  一般に三次処理という言葉が言われておりますけれども、この言葉が必ずしも明確でないわけでございます。二次処理での処理では十分できないものに対して、もう一回別なプロセスを加えてなお水質をよくしていくのが通常三次処理だと思うわけでございますが、御案内のように、窒素、燐に対しましては、実は、下水道の二次処理でもすでに相当の程度除去できるわけでございます。通常二割から四割程度は二次処理でも除去できるわけでございますので、やはりこの普及率のおくれている地域は、全体として未処理で流れる窒素、燐の量が大きいわけでございますので、これを部分的な三次処理をするよりも、やはりまず二次処理を早く普及して、全体的に二割ないし四割をカットしていくということが前提ではなかろうか。さらにその後で、それでもなお特定な水域についてはさらに三次処理をして窒素、燐等を除去することが必要だと思うわけでございますが、いま環境庁の方でもお答えがございましたように、燐の除去につきましては凝集沈でん等の比較的簡単な処理で取れるわけでございますが、窒素につきましては、若干技術的にも経費的にもまだ未解決の問題がございますので、並行して技術開発は進めておるわけでございます。したがいまして、そういう特に燐をなお除去する必要がある地域につきましては、場合によっては燐の除去のための三次処理も検討しなければならないというふうに考えておるわけでございます。
  32. 島本虎三

    島本委員 この下水道一緒に、下水道の普及がおくれると屎尿処理施設、この整備が行われなければならないという、これはおもりのような状態になるわけです。いままでの状態を見ますと、やはり下水道関係流域下水道を含めておくれているようであります。いいところはいいのですが、その格差があり過ぎるのであります。そうすると、その分だけ屎尿処理施設の整備の方に向けられなければならなくなって、それは向けられて  いるわけであります。  これは厚生省に伺いますけれども、屎尿処理施設の整備状況はどうなっていますか。
  33. 森下忠幸

    ○森下説明員 お答えいたします。  下水道と同じように五カ年間の計画で執行しているわけでございますけれども、その計画とにらみ合わせてどうかということを御説明いたしますと、第三次の計画、これは四十七年から五十年度までの四カ年でございますけれども、この場合に、計画量に対しまして実際に整備いたしました規模が五八%増し、計画量一〇〇に対しまして一五八に達しております。  それから、現在第四次計画を進めておりますけれども、本年はその第三年次に当たるわけでございますが、第三年次で予定しておりますのが六一%に対して、実際は六八%ぐらい執行するのではないか、こんなふうに予測しております。
  34. 島本虎三

    島本委員 そうすると、屎尿処理この中にはいろいろな関係のものも含むと思うのでありますが、こっちの方は十分以上いっているわけですね。  コレラの発生が最近あったようでありますが、この原因も明らかになったようであります。こういうようなのも、いまの処理施設では十分浄化できないということになるのでしょうか。そうだとすると、不測の事態に対しての処理体制が当然必要だということになるのでありますが、全部これは下水道を通るわけでしょう、今回の場合の病院の場合は、特にこういうようなものもなかったように思うのでありますが、これはやはり大事なところじゃないかと思うのであります。  したがって、浄化槽の維持管理体制がこれから問題になるのではないか、これはもうきちんとしているだろうかどうか、消毒体制なんかどうなっているのか、浄化槽は多様化されておりますけれども、この維持管理基準はきちっとできるのかどうか、今後、やはりこれはいろいろな問題とあわせて重要な問題になってくると思うのです。もちろんこれがもろに入ってしまいますと、瀬戸内海のような閉鎖性水域のところでは、これは赤潮発生のもとになるし、これは総量規制から外れてしまうのであります。  こういうような問題は日本全体の問題ともかかわりがありますからこの際聞いておくのでありますけれども、浄化槽の維持管理体制、こういうものはいまきちっとしておりますか。  それと同時に、コレラの発生した原因は大体わかりましたが、コレラに対しての浄化槽やこういうような装置は完全だったのですか、この機会にこれをはっきりさせてもらいたいと思うのであります。
  35. 森下忠幸

    ○森下説明員 お答えいたします。  私どもの方では屎尿の浄化槽について御説明いたしたいと思いますけれども、屎尿の浄化槽につきましては、全国でおよそ二百三十万基いまあるわけでございます。そのうち、五百一人以上の処理人員を対象にいたしますものにつきましては、専任の技術者がいてこれを管理することになっておりますが、それより小規模のものにつきましてはそういう規定がございませんで、一般には浄化槽の維持管理の業者、廃棄物処理法で言います浄化槽清掃業、こういう者がその管理に当たるわけでございます。しかし法令上は、それを設置しております。あるいは管理しております者が定期的に放流水の検査を受けるというふうな定めがございませんで、任意に、そういった業と契約を結んでおるようなわけでございますので、必ずしも全般的に管理がいいという結果は出ておりません。  五十年度に厚生省が調査いたしました浄化槽の放流水についての検査でございますけれども、大体放流水の基準に合格しておりますのが七〇%ということで、三〇%は放流水の水質が法令で決めておりますものよりも悪かったということでございまして、放流水から見ますと、維持管理状況は必ずしも適正でないというふうに考えられますので、今後その管理体制の強化、維持管理基準の見直しというふうなことについて検討を進めたいと思っております。
  36. 島本虎三

    島本委員 やはりそれが大事じゃないかと思います。維持管理体制の、これは整理ですか、整備ですか、これはやはり今後きちっとしておかないとだめだと思います。  この機会に、しなければならないということはわかりましたが、これは今後きちっとできますね。できるということを期待したいのであります。いまのところはこういうのはまだ不十分だということですが、今後の問題として大丈夫ですか。
  37. 森下忠幸

    ○森下説明員 そういう面で改善しなければならぬポイントは三つほどあると思いますが、一つは、先生いまおっしゃいましたように、浄化槽がいろいろな種類が出てまいったものですから、そういった浄化槽の多様化に対しまして、これに対応できるようなきめの細かな維持管理基準をつくるということ、それから二つ目といたしまして、こういった維持管理基準がいつでも経常的に守られるように、設置者、管理者に対して指導するとともに、これを業としてやっております維持管理業者がございますから、こういった者について地方公共団体を通じて指導するということが二つ目にあろうかと思います。それから三つ目に、浄化槽を設置しておる者に対して、維持管理状況の定期的な検査を義務づけることが必要であろうと思います。  こういった三つの点がまだ現行の法令のもとでは手当てされておりませんものですから、今後、厚生省令等を改正いたしまして、十分管理が徹底できるようにしてまいりたいと、ただいま準備しておるところでございます。
  38. 島本虎三

    島本委員 こういうようなショッキングな報告があったりすると、やはり浄化槽の維持管理にも問題があったということであります。しかし、最近の報道によりますと、浄化槽、これは一般家庭は廃棄物処理法によって水質の基準もきちっと決まっているし、専門技術の管理者も設置しなければならない、こういうようなことになっておるけれども、病院や診療所は法的には何ら規制もなくて、ほとんど精神規定だけしかないんだ、そういうようなことからして今回のようなことが起こったんだ、こういうようなことであります。これを聞いて、私も唖然としたのでありますけれども、八十五カ所の検疫指定港であったからこそわかったのですが、それ以外のところでは患者が出ないとこれに対する対策ができなかったということになってしまうわけであります。いまさらこういうような問題は怠慢じゃないかな、こう思うのでありますけれども、この点は、厚生省の医務局ではどういうふうな指導をなすっておったのでありますか。これはやはり下水道関係の基準ややり方、維持管理が悪いのですか。それとも医務局関係の病院、診療所に対する指導が悪かったのですか。どっちでしょう。
  39. 森幸男

    ○森説明員 ただいま御質問の件でございますが、医療機関におきます浄化槽の維持管理に対する規制の現状でございますが、いま法令では、医療機関のうち病院につきましては、先生あるいは御承知かと思いますが、必ず汚物処理施設を備えて、病毒に汚染し、あるいはその汚染の疑いのある汚物を適当に処理することができるものでなければならないということの規制がなされております。それから診療所では、汚物処理施設というのは、病室であるとか食堂であるとか調理室であるとかそういうものと相当な間隔を保って設けることが決められておる、こういうことでございます。したがいまして、診療所の場合に、必要があればその医療機関の管理者が汚物処理施設を設けて必要な処理を行う、こういうような仕組みになっているわけでございます。  今回コレラの問題が起きましたのは、先ほどお話がございました屎尿浄化槽以外の人工透析の潅流液を流し込む浄化槽にコレラ菌が発見されたというところに問題があったわけでございますが、実のところ、どうしてそういう灌流液が流れ込む浄化槽にコレラ菌が入ったのかというところあたり、私どもも一般的にはちょっと理解ができないような事態でもございまして、この実態関係をはっきりさせなければいかぬというふうに思っております。そういうようなことを前提といたしまして、今後、厚生省として、そういう屎尿浄化槽等についての必要な維持管理ということが問題になるのであれば、先ほど環境衛生局からお語いたしましたのと同じように、十分連絡をとって、いろいろ検討してまいりたいというふうに考えております。
  40. 島本虎三

    島本委員 森総務課長、必要あるならばと言うのですが、もうコレラが出てしまって、こういう事態がはっきりして、必要あるということは明確じゃありませんか。したがってこれは、病院の廃液用浄化槽、これに対しての規制、これに対する指導、こういうようなものが不十分であった、もちろん管理や維持も不十分であった、そういうようなところにあるということは常識的に考えられるわけです。これから必要あるならばというような段階じゃないじゃありませんか。これは、やるつもりなんですか、やらないつもりなんですか。
  41. 森幸男

    ○森説明員 いま先生おっしゃいますように、そこからコレラ菌が発見されたということは確かに事実でございます。ただ実際に、どうしてそこへコレラ菌が混入されていったのか、それが果たしてその医療機関の浄化槽の維持管理に問題があってそういうような事態が発生したのかどうか、この辺はなるべく早急に事実関係をはっきりさせた上で、もしそういう維持管理のところに問題があるということであれば、やはり何らか対策考えていかなければいかぬということになろうかと考えております。
  42. 島本虎三

    島本委員 そこなんですね。問題ならばというんで、もう問題になっているのにまだ考えないで、まだ疑問詞を投じているという点はわからないのですね。そうすると、病院側の廃液用浄化槽、これに対する管理や監督、こういうようなことは不十分だったんでしょう。そうしてこれは結局たれ流しが認められるような制度だったんでしょう。罰則はないでしょう。したがって、川に流れたからそれが下まで行ったということになるんじゃありませんか。これも結局は増殖の温床になったということじゃありませんかね。そうしたならば、今度、一般の家庭の浄化槽、こういうのをきちっとする、それと同時に病院の廃液用の浄化槽に対してもきちっとして、監督しておく、こういうようなことで、両々相まって対策として考えられるんじゃありませんか。どうも、病院の方だけは必要があるならばというふうにして、緩く考えていいんでしょうかね。この点は、環境整備の方と医務局の方の立場、この際にきちっとしようじゃありませんか。
  43. 森幸男

    ○森説明員 いま先生の御指摘の点でございますが、先ほど来何度か申し上げておりますように、今回のこういう事態が起きましたことにつきまして、その原因あるいはそういうコレラ菌の排出経路というようなことを早急にはっきり確かめた上、環境衛生局とも十分相談をして、今後、対策考えていきたいと思います。
  44. 島本虎三

    島本委員 今後、下水道や浄化槽施設の完備、こういうようなことによって再びこういうようなことがないようにぜひしてもらいたい、こう思います。  それで、今度は下水道の技術的な問題にちょっと触れて、瀬戸内海の問題とも関連して聞きたいんでありますけれども、この屎尿処理施設や屎尿浄化槽、これが屎尿を処理してもBODでは五%から一五%、CODでは二五%から五〇%ぐらい放流される、こういうようなことを伺っておるのでありますが、この除去率をもっと高められないのですか。これが高められなければ、瀬戸内海の場合、問題点が残るわけでありますけれども、厚生省どうでしょう。
  45. 森下忠幸

    ○森下説明員 私どもの屎尿処理施設は、先生御承知のとおり、微生物の作用を利用しまして有機質を分解しておるわけでございます。最初の方の段階、一次処理は嫌気性あるいは好気性で消化をするわけでございますが、それに加えまして二次処理で下水道に使われておりますと同じような活性汚泥処理をしております。一次処理と二次処理を合わせまして、先生おっしゃいましたとおり、BODで九五%ぐらいカットできるわけでございますが CODではもっと低くなってしまうわけでございます。このプロセスこのままでもっと除去効率を上げることができるかというお尋ねですと、現在のこのプロセスではもうこれ以上はできないということでございます。現在のプロセスで、しかも現在の管理の仕方、市町村が持っております屎尿処理施設ですと、専門の者がやるわけですが、一般家庭についておりますような浄化槽ですと、あのやり方では、あの構造ではもうこれ以上除去効率を上げることができない、それではそのほかに別な施設を付加する、さっき先生、三次処理とおっしゃいましたが、そういった高度処理、たとえば薬品を使いました凝集沈でんとか砂ろ過、そういったものを、いまあります施設の後ろに付加すれば、もう少し除去率を上げることは可能だと思います。しかし、まだその技術が実は定型化されておりません。それから、建設費が二〇%ないし三〇%アップいたしますし、維持管理費も相当高くなるというふうなことで、これはやはりその水域でのそういうBOD、CODのカットの効果というふうなものを考えながら、経済性もあわせながら選択していくということになると思います。  それからもう一つ、実は、くみ取り屎尿の場合ですと、これは濃度が大変高うございまして、下水道に入ってきます下水の百倍くらいの濃度がございます。BODで約一万三千ございますけれども、この濃度が高いということを逆に利用いたしまして、プロセス全体を変えてしまって、そして窒素なりCOD分を除去するという実験が行われております。大分見通しもついてきましたので、こういったものが実用化されました段階で、薬品処理等にかえまして新しい技術を導入していきたい、こんなふうに考えております。
  46. 島本虎三

    島本委員 それならば高度処理は可能だ、行った例も十分ある、こういうふうなことに理解していいのですか。
  47. 森下忠幸

    ○森下説明員 でございますから、完全に定型化されておりませんが、一部、屎尿処理施設の放流先の下流で上水道が水をとっておるとか、あるいは非常に小さな湖に放流するというふうなところでは、コストアップということを覚悟の上で実施したという例は、わずかでございますが、いままでございます。
  48. 島本虎三

    島本委員 この瀬戸内海の場合に、瀬戸内海関係の屎尿処理施設と屎尿浄化槽から放流されて水中に入るCODの負荷量、この現況とこれからの見通しに対して、どういう見解を持っておりますか、環境庁
  49. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 先生御存じのとおり、現在の臨時措置法の段階では、産業系排水に係るCOD一分の一カットというようなことで、いわゆる産業系排水についてCODの量がどうかということはキャッチをいたしておるわけでございます。しかし、そのほかの生活系のCODあるいはBODというものを全体的にはつかまえておりません。  問題は、今後、後維法というようなものを提案したいと思っていま進めておるわけでございますが、その際に、総量規制というものを実施したい、制度化したいということを考えておりまして、そのときにはCODというものを当面考えたい。  総量規制ということになりますれば、これは単に産業排水に限らず生活系排水というものも取り込んで考えるわけであります。したがいまして、その際の生活系排水ということになれば、下水道の方から放流されるものもございますけれども、そのほか一般家庭から出ます屎尿の関係とかあるいは雑排水、そういうものの量的な問題もつかまえなければならないかと思います。  したがいまして、そういう面につきましても、今後はそういうものをつかまえて、全体としてのCODを、生活系、産業系すべてのものを対象にして、総量を一定量以下に抑えたいということで現在考えております。  したがいまして、ただいまお話ございます浄化槽なりあるいは屎尿処理施設、そういうものから出るものもどの程度のものに押さえるかというようなことも一応積算の問題としては当然出てまいるというふうに考えております。
  50. 島本虎三

    島本委員 そこが一番聞きたいところなんですけれども流域下水道並びに公共下水道、こういうようなものをこれからやって、きれいな水にしなければならない、瀬戸内海を。その瀬戸内海関係の屎尿処理施設、そして屎尿浄化槽、こういうようなものから放流して水中に入るCODの負荷量、将来、現況よりももっともっとこれは少なくしなければならないわけです。果たして少なくなるのかならないのか、この点やはり問題だと思うのですが、専門にこの屎尿処理の関係をやってるのは厚生省。環境整備課長の方ではこれはどういうふうにつかんでいますか。
  51. 森下忠幸

    ○森下説明員 お答えいたします。  人口との関係がございますが、五十一年度末で瀬戸内海関係地域で二千九百万人おられるわけですけれども、そのうちで公共下水道に水洗便所がつながっております人口というのが、私ども調査では六百七十万人ほどでございます。それから屎尿浄化槽につながっておりますのが四百九十万人ほど。それから今度はくみ取りの方になりますけれども、くみ取りました屎尿を公共下水道の方で一緒に処理していただいている、これが百七十万人ほどございます。それから、私どものくみ取り屎尿の専用の施設で処理いたしておりますものが約一千万人、こうなっております。  いまお尋ねの屎尿処理施設それから屎尿浄化槽、それぞれ放流水の中にCODが、処理し切れなかったものが入っておるわけでございますが、これが日量でどのくらいかという計算をいたしますと、五十一年度末で、屎尿処理施設が二十三トン、浄化槽が二十五トン、合わせまして毎日四十八トンのCODがこの屎尿浄化槽と屎尿処理施設から放流されるという計算になります。  五十五年度の推計をいたしますと、五十五年度というのは、実は廃棄物の方の処理施設整備計画とそれから下水道整備計画がそれぞれいまの計画は五十五年度を最終年度としておりますので、その年度で推計いたします。そうしますと、公共下水道は、これがいま六百七十万人、水洗便所が直結しておるものが、一千百万人になるというふうな数字だそうでございまして、そのほかに屎尿浄化槽はこれが五百四十万人にふえる。それから屎尿処理施設で処理しますくみ取り屎尿も一千二百万人分にふえる。こういう計算をいたしますと、私ども関係の屎尿処理施設から出てまいります放流水の中のCODの量が二十六トン、それから屎尿浄化槽につきましては二十七トン、合わせまして五十三トンになりますものですから、五十一年に比べますと、この屎尿処理施設関係だけを限って見ますと五トン、実は五年間にふえる、こういうような計算上の結果になるわけでございます。
  52. 島本虎三

    島本委員 それなら、設備が整備して進捗するとCODがふえるということになるじゃありませんか。これならば、こういうものを減らすためにやることが、結果的にふえるということになってしまったら、これはもう総量規制に対してマイナスになるのじゃないですか。そういうようなことになったら、この点はどうも言葉と実際は違う。この施設整備が進捗してもCODの負荷が増加するということがあってはいけないし、また、そうしないように整備しなければならないのじゃありませんか。これはやはりCOD除去一〇〇%、こういうようなことにしないとだめだと思うのでありますけれども、これはできないですか。
  53. 森下忠幸

    ○森下説明員 この瀬戸内水域でこういう妙な現象が起きますのは、実は相当の量の屎尿が外洋に投棄されておるわけでございまして、その外洋に投棄されている分、あるいは陸上で自家処理などで処理されておりますものが今度は屎尿の陸上処理に切りかえられたために、その放流水の中に若干CODが出てくるということになるものでございます。しかし、瀬戸内全体として考えますと、公共下水道整備、それから浄化槽も大型のものになりますと雑排水も一緒に処理できるわけでございますから、五十五年度時点になりますと、いまたれ流し同然の雑排水が下水道の方で処理されてCODがカットされる分、それから屎尿浄化槽も大きなものが普及いたしますと雑排水はそれで処理されるということでございますので、瀬戸内全体として見ますとCODは当然減るというふうに私は考えております。  屎尿処理の件につきましては、いまの技術ですと、先ほど申しましたとおりに、やはり一〇〇%の除去は困難でございますので、こういった結果が出るわけでございますが、今後さらにこの処理効率を高めるというふうなことの技術開発もあわせまして私ども対策を進めてまいりたい、こんなふうに考えております。
  54. 島本虎三

    島本委員 法律が施行されて、それが進むに従ってCODが減っていくのが逆にふえてくる。やはりこの対策も当然しておかないと総量規制には効果を上げることにはならない。したがって、結果的に、屎尿の海洋投棄が相当の規模で行われていたということになるわけであります。これに対する批判、非難、こういうようなものも若干あったのではないかと思うのでありますけれども、いまの答弁からすると、一〇〇%やれなければやはり外洋投棄もやむを得ない、世界から笑われてもしようがないという結果になってしまうのじゃないかと思うのでありますが、こういうような批判、非難というものはないのですか。
  55. 森下忠幸

    ○森下説明員 お答えします。  海洋投棄量でございますけれども、五十一年度で、全国では毎日一万三千キロリットル――一万三千トンでもよろしゅうございますけれども、一万三千トンの屎尿が海洋投棄されております。これは全国レベルでございまして、収集量の一二%程度でございます。瀬戸内関係は四千二百トンばかり毎日捨てられておりまして、瀬戸内地域で収集いたしました屎尿の一六%程度でございます。  これに対していろいろ批判、非難があるかというお尋ねでございますが、具体的には、以前近海に捨てておりましたときには、これはくみ取り屎尿でございますから、屎尿の中にいろいろな雑物が入っておりますわけで、その屎尿の中のプラスチック類とかゴム類が漁網に付着したということで漁民の方々からおしかりを受けたということはございます。それから、具体的ではございませんけれども、おそれがあるということでは、屎尿中の窒素分や燐分が閉鎖性水域に大量に投棄された場合には赤潮を誘発するのではないかというふうなことが議論されたことがございます。これは直接的な因果関係はよくわかりませんけれども、そういう議論があったことは覚えております。  それからもう一つ、国際的な観点からして、これほどの経済大国がいまだに鑑隊を組んで屎尿を海に捨てておるのはどうかという批判は確かにございます。
  56. 島本虎三

    島本委員 やはり質疑を通じましてある程度明らかになってまいりました。これに対する今後の対策も必要であります。屎尿処理の今後ということに対しても、屎尿処理の望ましい方法、それから今後の開発の動向に係るわけであります。こういうふうにしてみますと、屎尿処理の今後ということに対しては、厚生省では、いま、瀬戸内海のこの閉鎖性水域の中の総量規制を実施するのでありますが、その中で広域下水道普及率を見る場合には、高い県と低い県の違いが多過ぎるのであります。五四%という県があるかと思えば二%という県もあるのであります。こういうふうなものを整備するまでの間には、今後の屎尿処理、浄化槽問題というものもウエートが大きくなるわけであります。したがって、この屎尿処理の望ましいやり方であるとか今後の開発動向いかんに係るのじゃないか、こう思うのであります。法律を実施してしまうと回れ右は許されないのでありますから、この点に対しては、厚生省の方では、きちっとこの法律に合わせた考えを樹立することができますか。
  57. 森下忠幸

    ○森下説明員 今後の屎尿処理の望ましい方法、こういうことになるわけでございますが、せんだって、こちらの委員会で参考人をお呼びになりましていろいろ御意見を求められたわけですけれども、その中で屎尿処理にお詳しい参考人の方が、屎尿をもっと農業利用すべきではないかというふうなことをおっしゃっておられました。屎尿を、そのままではなくて、ある程度加工いたしまして、しかも、それを散布する道具もカセット化して作業の省力化を図ったらどうか、こんなふうな御発言があったように覚えております。  いま行われております屎尿処理の中で、今後改善していかなければならぬという部分がたくさんあるわけですけれども、その中で、現在問題になっているという点から、早急に改善しなければならないものが三つほどあるわけでございまして、一つは用水を削減しなければならぬ。先ほど申し上げましたとおり、くみ取り屎尿は大変濃度が高うございます。下水道の百倍ぐらい濃いものですから、その処理をそのまま活性汚泥にかけるわけではございませんで、一次処理をしました後におよそ二十倍ほどの水で薄めまして、これを活性汚泥にかけるというプロセスになっております。でございますから、たとえば百キロリットルの屎尿処理施設を持っておるところ、これは人口七万人ほどでございましょう。百キロリットルの施設では、一日に二千トンの水を使うということになります。実際言いますと、立地の方からも用水が求められないということでなかなか困難を来しておりますので、この用水を減らすことをひとつ進めていきたい。技術的には二十倍の希釈水じゃなくて、十倍程度でも大体いけるのじゃないかという見通しがついてまいっております。  それから、二番目に重要なことといたしましては、微生物に頼ります屎尿処理でございますので、最終的に微生物の死骸が出るわけでございます。余剰汚泥と言っておりますが、この汚泥を有効に利用しなければならぬ。いまはこの汚泥をそのまま埋めてしまったり、あるいは燃やしてしまったりというふうなことでございますが、これは、できましたならば農業の方で利用していただけないだろうか。浄化槽でもやはり同じように大変発生いたしますものですから、この汚泥の問題につきまして厚生省で研究しておりまして、五十三年度は、この浄化槽の汚泥を土壌改良剤ということでどのくらい使えるだろうか、こういうふうなことを詰めてやっていきたいと考えております。  それから、三番目といたしまして、これは今後のCOD規制との関係が出てくるわけでございますけれども窒素除去をやる必要が出てくる。この場合に、いま行われておりますものは大変コストが高うございますものですから、これをもっと、くみ取り屎尿が濃度が濃いというこの特殊件を生かしまして、何とかこの効率を高めていきたい。  この三つが今後やらなければならぬことでありますし、開発の方向もそちらの方へ実は向かわなければならぬ、こんなふうに考えております。
  58. 島本虎三

    島本委員 同時に、今度は国庫の補助の問題になってくるわけですね。こうしてみます場合には、この屎尿処理の整備に関する国庫補助の現状の中で、補助対象となる事業の種類、これは新しい事業のみが対象になっておって、既存の施設に対しては対象にならないという点、それから、補助率の点を見ると、公共下水道は三分の二であるけれども、この通常の屎尿処理の場合には、公害防止計画地域は二分の一、こういうことになっているのですが、通常は三分の一だ。そうすると、これは建設省関係のものは高率でやって、厚生省関係のものは低率だ、これがごちゃごちゃになって行政上実施されるということは余り好ましくないのじゃないかと思うのですが、これは塚田政務次官、やはりきちっと、あなたも応援して、してやるべきじゃありませんか。何よりもこれは大事な瀬戸内海関係する問題でもあるけれども、いますぐかからなければならない問題の補助率がこういうふうに違っているのです。これはどうでしょう、今後やはり瀬戸内海に限っては補助率も高く見てやる、そうして既存の施設に対しても補助の対象にしてやる、こういうようなことも考えてもいいのじゃないか、こう思うのでありますが、この点は政務次官は無理だろうかな。――それじゃ厚生省。
  59. 森下忠幸

    ○森下説明員 お答えいたします。  補助対象事業の種類でございますが、確かに先生指摘のとおり、ただいまのところ新設事業に限られております。これはやはり屎尿処理も実はまだ整備水準が低うございまして、ああいう一日に一万三千トンというような屎尿を海に捨てておる段階でございますので、これを陸上処理にする施設整備を進める段階は、まず新設を優先ということでいままでやってきたわけでございます。しかし、その既設分の改造もというお話でございますが、改造にもいろいろなのがございまして、使い方が悪かったかして早く寿命が来てしまったので部分的に補修しなければならぬというのもございますし、それから、法令による規制が厳しくなったために、何か後ろの方に設備をつけなければならぬという場合もあるかと思います。使い方が悪くて能力が下がったというふうなものを補修する、こういった改造はとても無理でございますけれども、法令の規制がかかってきた場合には、その手当てについて補助することは必要であろうということで、現在、これはごみの方でございますけれども、ごみの焼却場から出てまいります排水の処理設備、それから昨年から塩化水素ガスの規制がかかってまいりましたものですから、ごみ焼却場の塩化水素ガスの処理装置、こういったものは、改造工事でございましても補助することに五十三年度からなりまして、こういった制度を屎尿処理施設の高度化といいましょうか、法令に基づく高度化といったものには今後取り入れてまいりたい、そういう努力をしてみたいと考えております。  それから、補助率の点でございますけれども、御指摘のとおり、下水道に比べますと大変お恥ずかしい段階にとどまっておりまして、公害防止計画地域のみが二分の一になるということでございます。ただ、私ども、実は屎尿の方の一般的な補助率が三分の一でございますが、ごみの方が四分の一というもっと低い補助率があるものでございますから、何とかごみをまず屎尿並みにして、それから屎尿をだんだん全国レベルで二分の一というふうなことを目指していきたいと考えておりますが、本年までのところ、努力が至りませんでこんなぐあいでございますけれども、今後さらに、この問題は市町村からの要望も大変強うございますので、努力してまいりたいと思っております。
  60. 島本虎三

    島本委員 塚田政務次官もこの点は十分考えて、そして大臣を通してでも、瀬戸内海の方をやらなければならない法律がいま出ますから、その点余りちぐはぐにならないように、いま言ったのも実際でしょうから、その点は十分指導してやってほしい、そう思ったりしてきょう来てもらったのでありますが、その点、調整するように努力してやってください。この点、「はい」だけじゃわからぬから、ちょっとマイクの前に立って……。
  61. 塚田徹

    塚田政府委員 大変失礼いたしました。いまの島本委員からのお話、私どももその御意見に沿って調整をしてまいりたいと思っております。
  62. 島本虎三

    島本委員 やはり屎尿処理の今後としては、住民の協力を得て施設をつくる、こういうようなことは当然必要になってくるわけです。私はいまここでこういうようなことを言う暇もないのでありますが、住民の協力がないままに事業を先行させてしまうと成田みたいなことになってしまうのであります。いろいろな問題等ありましょうけれども、この問題に限ってはいろいろな事案がありますから、今後やはり住民の協力を得て施設をつくる、こういうようなことが必要だと思うのでありますが、この点、特に厚生省、留意していますか。
  63. 森下忠幸

    ○森下説明員 お答えいたします。  こういう廃棄物処理施設は、住民のお出しになったものを始末するわけでございますから、住民それぞれが受益するわけでございますが、先般来この委員会でもいろいろ御質問がありましたように、なかなか協力がうまく行われないというケースがあるようでございます。市町村は大変一生懸命にこの事業に取り組んでおるわけでございますけれども、なかなかうまくいかない、今後どうしたらいいのだろうかというふうなお尋ねでございいますので、なぜうまくいかないのだろうかというふうなことを一応整理いたしますと、五つほどございます。  一つは、どこにつくるかというふうな計画が公にされないまま、何となく、あちらの地域がだめならこちらだというふうなことで候補地が二転三転しておる。その段階で、どうも一般に公開されないでこそこそやっておられるというふうなことが一つあるわけでございます。  それから二つ目に、施設の必要性、つくる必要性、それからその施設がどんな性能のものであるか、どんな機能で、どんな構造であるか、それから、その地域を選ぶということがこういうことで合理的であるのだというふうなことについて、適切な説明が地元になされておらないということがあるわけでございます。  それから三番目に、住民の方の同意の取りつけ方が、大変強引にやられましたり、あるいは同意書がありましても形式的なものであったりというふうな場合があるわけでございます。  それから四番目に、大変重要なことでございますけれども、その市町村の持っております施設が、ほかのごみ処理施設とかほかの屎尿処理施設が、管理がうまくいかないで、それ自体が大気汚染を起こしたり、水質汚濁あるいは悪臭などの公害の原因となっておる、こういったために、今度できる施設もあんなふうに公害が出るのじゃないかという心配を住民の方が持っておられる。こういうことで、住民の方の設置反対の訴えをお取り上げになった、そういうふうな決定が下されるという例もございました。  それから五番目に、そういう施設、みんなが利用する施設でございますけれども、地元に何のメリットもない、こういうふうなことから反対なさる。  恐らくこの五つほどの原因があるのじゃないかと思うのです。  したがいまして、今後、これらの対策といたしましたら、これの一つ一つについて対策を講じるわけですけれども一つには、計画を早目に公開して住民の意見を求める。  それから、地元への説明は、もう十分正しい科学的なデータ、科学的な情報を提供する。  それから三番目に、忍耐強く協力を求めるというふうなことになりましょう。  それから四番目に、先ほど申しました、大変重要なことですけれども、施設の適正な管理について住民を裏切ることのないように、その公害を出さないための施設が実は公害の原因になってしまっては大変なことでございますので、そのために必要な管理体制整備、人員の確保、こういったものもやっていただきたい。  それから、できましたならば五番目の地元のメリットということで、地元に利益をもたらすような方策をあわせて考える。  こういったような方向でやりますように指導しております。  しかし、これには、特に五番目の対策ということになりますといろいろ金もかかるわけでございますので、周辺の環境整備というふうなことをあわせまして、今後、財政面でも私ども援助していかなければならぬと思っております。  とにかく、市町村はこの問題について大変一生懸命取り組んでおるわけでございますが、なかなかうまくいかない。努力しないでうまくいかないのじゃなくて、相当しておるのですがうまくいかないということで、私ども、本当に何とかしてあげなければならぬ、こんなふうに考えております。
  64. 島本虎三

    島本委員 わかりました。やはりそういうような努力をしながらも、いろいろとその細かい配慮もわかるのでありますが、その配慮とうらはらに――ちょっと委員長、それを大臣と委員長政務次官にお配り願いたいのでありますが、許可をお許し願いたい。
  65. 久保等

    久保委員長 はい。
  66. 島本虎三

    島本委員 それをちょっと見てもらいたいのでありますが、特に建設政務次官、これは国がいま景気浮揚策として大型の公共投資も行われておりますし、いま言ったように下水道の施設に対しての補助率も高くつけて、そして実施しようとしているやさきに、住民の協力を得なければならないその住民に、何か悪いものだ、こうあおり立てて差別感を助長するようなやり方、これがあったとしたら、これは好ましくないのじゃないか、こう思うのであります。下水道行政そのものへブレーキをかける結果になりはせぬか、こう思いますが、それを見て、政務次官、どう考えますか。ブレーキにならない、促進になると考えますか。
  67. 塚田徹

    塚田政府委員 ただいま島本委員の方から資料をちょうだいしたばかりでございますので、私も内容をこれからよく勉強しなければなりませんけれども、実際にこういうものが出ているということが事実でございますので、この点は建設省としてはまことに遺憾に思っております。
  68. 島本虎三

    島本委員 それは建設省建設するのに、いま言ったように厚生省の方では、これは正しい科学的な説明も必要だと言うし、忍耐強くやらなければならないと言うし、施設の適当な管理も必要だと言うし、地元へのいろいろな利益も考えてやらなければならないと言うし、これでやるとするなら、それは初めから感情的にあおりつけるという言い方で、これはやはり、建設政務次官としても遺憾だということはわかりましたが、これはあなたの責任でしかるべく善処するようにしてやってもらいたい、指導してやるようにしてもらいたいと思うのです。  それだけじゃないのであります。これはもう下水道労働者の問題でもあるわけです。それをもう一回よく見てください。それは下水道に従事する労働者に対して、汚い仕事をしている者には結婚も不利になる、こういうような宣伝に使っているじゃありませんか。この真意はどこにあるのですか。これは環境整備が焦眉の急でしょう。下水道に働く労働者に対してそういうことを言ったならば、侮辱じゃないですか。こんなことはすべきではないのであります。私は、目的が何だかちょっとわからぬのです。私は、そういうのを見せられて陳情を受けたときに唖然としたのであります。これは労働者に対する侮辱である、労働者に対する問題だ、こう考えますが、環境庁長官、今度はあなたの方、どう考えますか。
  69. 山田久就

    山田国務大臣 いま初めて拝見させていただきました。よく見て、そういうものをひとつ公共の問題の立場から考えて善処したいと思っております。
  70. 島本虎三

    島本委員 これから大いにこの建設のために挺身してもらわなければならない労働者、それに結婚も不利になると書いてあるでしょう。これじゃちょっと私は困るのですね。これもあわせて十分お考えおき願いたいのであります。今度は、政務次官、どう考えますか。
  71. 塚田徹

    塚田政府委員 この問題につきましては、私も、いま御指摘のとおりでございますので、十分に処理をしてまいりたいと考えております。
  72. 島本虎三

    島本委員 この問題の第三番目が一番大事なんです。これはやはり政務次官、地元への利益ももたらせるように指導すべきだ、十分これを理解してもらうべきだ、これは私は正しいと思っているのです。そうすると協力もするのです。したがって正しい科学的な説明も必要なことになるのです。したがって、忍耐強く説得することも必要になるのであります。したがって、施設の適正な管理が必要になってくるのであります。地域住民の神経を逆なでするようなことをそこに書いてあるでしょう。その環境は果たして悪くなっているのか、どう考えますか。後は災害時の避難所になったり、それから落合、三河島の処理場は公園になっているでしょう。それを、もし処理場ができたら不利な見合いになるとか、臭い学校ができる、悪い生徒ができるとか、その地名を言っただけでも不良がふるえ上がるとか、安い土地でも、処理場の通りにあるからいやだとか、これじゃ地域住民を含めてまともな人間が働けない、まともな人間の働いたり住んだりするところではない、こういうような印象を与えるような漫画です。これはまさに住民の神経を逆なでするようなやり方、そして下水の処理場をつくるのに足を引っ張るような書き方です。したがって、目的はどこだかわからないし、それだけ見ると地域住民の神経を逆なでするようなことだ、私は義憤にたえないのであります。これは注意すべきです。りっぱな業績を残して、いま言ったように、地元への利益をもたらすようにするというならば、前例があるでしょう。そういうような説明もきちっとしてやったらなおいいはずなんですがね。私は、そういうような点から本当に遺憾だと思うのです。まして、その写真の中にはかつて政府の高官だった人もいるでしょう、あえて名前は挙げませんけれども。責任政党としてそういうことが再び起こらないように関係方面に対して十分注意してもらいたいと思うのです。いま言ったように、これに対しては労働者、地域住民、それから景気浮揚のための政府の政策に対して完全に協力するようなことでないといけないと思うのであります。最後にもう一回、政務次官決意を聞いておきたいと思います。
  73. 塚田徹

    塚田政府委員 ただいまの問題は、私としましてもまことに遺憾な事態でございます。また、先ほど来厚生省の方から説明もございましたとおり、このような問題等につきましては、住民の皆様方の御協力がちょうだいできますように私どもも十分に気を配りながら前進をしてまいりたいと思います。
  74. 島本虎三

    島本委員 では一この問題に対しては努力を心から期待し、再びこういうことがないように私も祈ってやみません。一切あなたに期待しておきます。  それと同時に、もう一つ、いまお伺いしておきたいのでありますが、先ほどいろいろと、屎尿処理施設というようなものに対しての改造事業にも今後十分補助すべきだ、こう考えるというような前向きの御答弁があったのであります。この場合には、屎尿処理場に対する補助はどれほどになりますか。それから、いま一つつくるのに、一キロ当たり実際はどれほどかかりますか。これはやはり厚生省だと思いますが、何か資料があるならばここで発表願いたいのであります。
  75. 森下忠幸

    ○森下説明員 建設のコストでございますが、五十三年度の予算上の単価は、一キロリットル一日処理いたします施設に対しまして八百七十四万円となっております。これはある時期、単価が実勢に追いつかないということがございまして、たとえば五十年度にはこの単価が三百九十万円でございました。これを五十一年に五百十万円、五十二年に八百十六万円というふうに逐次上げてまいりまして実勢に近づけたということでございます。  これは予算上の単価でございますので、実際におつくりになる施設ですと、施設の内容それから建設、特に建築関係の高度化等によりまして幅がございまして、五十二年の実績ですと、わりあい単価が安くてできたものは七百万円ほどでできております。それから、高いものになりますと一千三、四百万円というのもございます。それから、まれに、基磯工事費に非常によけいかかった、途中で設計変更もあったようでございますけれども、そういったもので一千六百万円ほどかかった例も一つございます。
  76. 島本虎三

    島本委員 この問題に対してちょっと伺いたいのですが、これは何分の一補助になりますか。
  77. 森下忠幸

    ○森下説明員 先ほど申し上げましたとおり、一般の地域は三分の一、それから公害防止計画地域ですと二分の一ということでございます。
  78. 島本虎三

    島本委員 いま私の手元に、これは北海道の富良野市の屎尿処理場建設事業に対する見積書と――いまこの問題で市の方では揺れているのであります。いわゆる第二のロッキード問題が屎尿処理場建設から始まった、こういうようなことで、当時新聞にも出されたりして、いまこの問題が大きい問題になろうとしているのであります。その中に厚生省の屎尿処理の補助が入っているのであります。一キロ当たり二千万円というようなことで、一市三町が一部組合を結成して、四億三千万円の予算で発足して、最後には四億九千万円の決定をした。その間、いろいろ望ましくないようなことが報道されておるのであります。私は、こういうところからそういうような不祥な事件が発生するなんということは夢にも思わなかったのでありますが、この事実は知らないようでありますが、十分調べた上で資料として出してもらいたい。これは昭和四十九年十月から五十年八月十九日までずっと年次別にありますから、この資料を差し上げますから、この実態を調査して私の方に資料として提出願いたい。これは厚生省に要請して私は終わりたいと思いますが、よろしゅうございますか。
  79. 森下忠幸

    ○森下説明員 お答えいたします。  詳細承知しておりませんけれども、古い施設の改造と、それにあわせまして二十五キロの施設をつくったというふうに聞いております。その内容がどうであったかということにつきましては、委員会の方からの御要求でございますれば、資料を整えまして、御提出いたします。
  80. 島本虎三

    島本委員 資料要請いたします。
  81. 久保等

    久保委員長 資料、いいですね。
  82. 島本虎三

    島本委員 最後に、これは疑念を残したまま終わるのはどうかと思いますので、関連質問として水田委員質問を許してもらいたいのです。これは三次処理の実験データについてでありますから、重要でありますので、一、二分時間は延びてもこの問題にけりだけきちっとつけてやってもらいたいと思います。関連質問、水田君にお願いいたします。
  83. 久保等

    久保委員長 関連質問の申し出がありますので、これを許します。水田稔君。
  84. 水田稔

    ○水田委員 先ほどの島本委員質問に対する答弁で、一つは、三次処理をやれば燐の除去はできる、こういうこと、それから厚生省の方では凝集沈でんをやればできるのだ、こういう御説明があったわけでありますが、実際にいまやっておる三次処理というのはそういうことをやってない。硫酸礬土を使った凝集沈でんをやれば燐の除去はできるということはわかっておるわけです。技術的には問題はない。問題は、水の処理に大変金がかかるということと、大量のスラッジが出るということ、その処理が問題だということで実際手をつけておらぬということです。ですから、いまやっておる三次処理というのは、われわれがもらっておるデータによると窒素、燐についてはそれほどの除去率は上がっておらない。したがって、窒素、燐という問題はいま考えておる三次処理では解決できないという理解をしておる。先ほどの答弁では、あたかも三次処理の技術開発ができれば窒素、燐は解決するんだ、まだその技術開発ができないからというような答弁になっているわけですが、それは事実と違うわけですから、その点は、実際に厚生省なら厚生省で現在やっておる三次処理の実験データで、窒素、燐が現在の二次処理と比べてどうなっておるかということを数値で御説明いただきたいと思うのです。
  85. 井前勝人

    ○井前説明員 窒素、燐の三次処理による除去率につきましては、先生のデータがどこのデータか、私もまだ詳細に拝見しておりませんけれども、私どもの目標は、三次処理する場合は、窒素につきましては三ppm以下にしたい、それから燐につきましては一ppm以下にしたいということを目標にいろいろ技術開発をしておるわけでございます。したがいまして、燐の凝集沈でんの場合でも、やはり凝集剤の使用の量その他によりましても確かに実験のデータではいろいろ幅があるわけでございますけれども、目標としてはやはり一ppm以下に抑えていきたい、それから窒素については三ppm以下にしていきたいということで、なおやはりいろいろ技術開発は並行してやっておるわけでございます。
  86. 水田稔

    ○水田委員 具体的に、たとえばいまどういう方式でやった実験の結果はこういう数値が出ておる、こういうものを、いますぐ無理なら、これは資料として要求したいので、ぜひ出していただきたいと思います。
  87. 井前勝人

    ○井前説明員 現在の実験の概要につきまして、データにつきましては後ほど調製いたしまして、御提出したいと思います。
  88. 水田稔

    ○水田委員 本当をいいますと、そのデータをもらってからあとの質問をする方がいいのですが、実は現在の終末処理のやり方を変えることによって、いま実験をやっておられる三次処理よりむしろ窒素、燐が除去できる、こういう実験データもあるわけです。いまのやり方は、単に水を集めて下水道の終末処理場を通して出した、そこのところ、ある程度はCOD等については見ておる、けれども、実は窒素、燐は野放しでいまの下水道の処理はされておるわけです。たとえば曝気時間がいま八時間とすると窒素、燐はこれだけしか除去できない、それをたとえば十二時間にすることによって三割とか四割とか窒素、燐が除去できる、こういうデータは恐らく持っておられると思うのですね。ですから、いまのやり方、現在の下水道処理の管理方法一つ変えるだけでも、たとえば硫酸礬土を使って凝集沈でんをやる以上の、しかもスラッジは出ないわけですから、そういうやり方があるわけですね。実際にはやろうとしない。そういう方法は恐らく御存じだろうと思うのですね。ならば、そういう点の改善を図るということが一つ。  もう一つは、今度の瀬戸内海の問題でも、いわゆる正式の規制値じゃなくて指導基準で燐をやろうというのですが、たとえば窒素についても、私、この前も触れたのですが、大量の窒素が、何千ppmという窒素が工場から出されておるということは、これは環境庁も御存じだと思うのです。これは今回も、いま新聞に報道されておるところでは、どうも野放しのまま。そういう明らかなものは、やらなければ、窒素の入る方を規制しなければ、本当の富栄養の問題というのは解消できないのではないか。あるいは燐についても、瀬戸内海に流れ込む燐が、生活排水工場排水は七、三で、しかも七のうちの半分は洗剤のビルダーであるということはほぼわかっておるわけですから、そうすると、それはいわゆる通産省の方がいまの洗剤の効力の問題で大分抑えてはきておるけれども、それを使わなければ日本人の生活が成り立たないのかどうか、瀬戸内海の富栄養を防ぐために、そういう問題との関連でこれは当然考えるべきだ。  その二つの点を、建設省なり厚生省、そして環境庁から御答弁いただきたいと思います。
  89. 井前勝人

    ○井前説明員 下水道関係につきましてお答えします。  ただいま御指摘のように、現在の二次処理までの技術を、維持管理あるいは技術の改良を含めまして現在以上の窒素、燐の除去率を確保することも、もちろんわれわれとしては技術開発の対象にしておるわけでございます。それから、なお、維持管理を適正にやることによりましても、二次処理水に含まれる窒素、燐の量を低減することも可能でございますので、御指摘のように、まずきちんとした二次処理をしていく、そしてさらに必要があれば三次処理をプラスしていくということが基本であるというふうに考えておるわけでございます。現在、その点の技術開発もあわせてやっておるわけでございます。
  90. 森下忠幸

    ○森下説明員 先ほどお答えしました中で、そういった薬剤を使わないで、屎尿の濃度が高いということを活用して窒素を除去する方法、これは検討してまいりたいと考えております。ある程度その目標は出てきたように思いますけれども、まだ窒素の濃度で数十ppmというオーダーでございます。
  91. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 まず第一点は、窒素と燐と両方あるわけでございますが、現在、環境庁案で考えておりますのは、実用化めどもあります燐、これにつきまして、行政指導によりまして削減対策を進めるということを法文にも織り込んでいきたいということで考えておるわけでございます。窒素の方はどうかということになりますと、先ほどの御質問にもお答えいたしましたように、窒素の方につきましては、削減の技術的な面についてまだ実用化めどが十分立っておらないというふうに聞いております。もちろん窒素の排出の量あるいは濃度、こういう面につきましては、いろいろ企業によったり、いろいろなことをしてみて、非常に多く出すところもあるでしょうし、余り出してないところも現実にあると思いますが、ただ窒素の面につきましては、その面について行政指導をやるということにつきましても十分な物差しといいますか、そういうものがまだ立てる段階には、まだちょっとそこまでには行っておらぬ、こういう認識でございますので、とりあえずはまず燐の方からやっていきたい、こういう考え方でございます。  それからもう一点は、燐につきまして、瀬戸内海負荷量、これが全体では生活系と産業系とのウエートは生活系の方が圧倒的に多くて七、それから産業系が三、大体大ざっぱに言えば七、三の割合だろうと思います。そこでその際に、この七のウエートにあります家庭の方の生活系の中の燐、これには合成洗剤の分が入っておるだろう、家庭雑排水等が入っておるわけでございますから、洗たく機で洗たくした、その水があるわけでございます。問題は、その合成洗剤に含まれております燐分、これの削減の問題がございます。前々からこの面につきましては、所管省の通産省並びに業界の方にも強くその削減方要請をいたしております。ただ問題は、やはりこれが、この燐分が界面活性剤のABSといいますか、あの本体のほかの一つの助剤としてさらさらするとかいろいろそういう非常にプラスになっている面があります。まあ洗浄能力との面もございますが。そういうことで非常に洗浄力との兼ね合いというものもございまして、どこまで落とせるかということでこれは相当研究的な面もございますが、徐々にその面は落としてまいっておりまして、五十一年以来、かつては相当高かったわけですが、一二%以下というところで業界自身も進めておるわけです。現在もさらにこれを下げるべく業界内部で詰めておるということでございます。今後とも環境庁としては、この合成洗剤に含まれる燐分の低下という面については所管省並びに業界にも要請をしていきたい、こう思っております。
  92. 水田稔

    ○水田委員 終わります。
  93. 久保等

    久保委員長 次は、東中光雄君。
  94. 東中光雄

    ○東中委員 私は、新幹線公害についてお伺いしたいのでありますが、経過は非常に長いものであります。  昭和四十七年の十二月に環境庁長官から運輸大臣あての「環境保全上緊急を要する新幹線鉄道騒音対策について」という勧告が出され、五十年七月に新幹線鉄道騒音環境基準が告示され、五十一年の三月五日には「新幹線鉄道騒音対策要綱」が閣議了解されまして、五十一年の三月十二日に環境庁長官から運輸大臣あてに「環境保全上緊急を要する新幹線鉄道振動対策について」という勧告を出されています。五十一年の十二月には「新幹線鉄道騒音・振動障害防止対策処理要綱」というのが発表されたわけでありますが、その後また一年有余を経ておりますけれども、いまなおいろいろ問題が一向に解決つかないというふうな状況にあると思うのでありますが、新幹線の環境保全対策として音源対策はどのように進行しておるか、いわゆる実害補償はどのように進んでおるか、さらに障害防止対策はどういうふうになっておるか、これは環境庁の方も勧告をされ、そこから出発しておることでありますから、環境庁と国鉄からお伺いをしたい、こう思います。
  95. 山田久就

    山田国務大臣 新幹線の騒音については、ただいま御指摘がございましたように昭和五十年に環境基準を告示いたしましたことは御案内のとおりであります。八十ホン以上の区域について三年間の期限は本年の七月に到来するということになりますが、この点につきましてはすでに四十七年の緊急勧告でも示しておるところでありまして、その時点から見ればもうすでに五年を経過しているので、あらゆる努力を尽くして総合的な対策を国鉄としても図るべきである、こういう点をわれわれとしては強く考えておるような次第でございます。  自余の点については政府委員から答弁させたいと思います。
  96. 橋本道夫

    ○橋本(道)政府委員 いま大臣から基本的な問題の御答弁ございましたが、私、担当の局長といたしましては、この七月にまず一番ひどいところの三年の年限が来る、ところがその進捗が余りよくないようなことを新聞で見たりなんかしておりまして、それについて非常に何とかしなければならぬじゃないかということを国鉄の方の側にも私ども要請したこともございます。ただ、そこで地方自治体との関係というところの問題があるということでございまして、これは近畿の滋賀、京都、大阪、兵庫の部長さんが昨年の秋見えまして、国鉄の方からいろいろ業務委託の問題があってなかなかいろいろ問題があり過ぎるんだということがありまして、そのことにつきましては、私どもは国鉄の役割りというのと自治体の役割りというのはやっぱりはっきり分けなければだめなんじゃないか、それからこの問題は、自治省が非常に従来地方自治体に事務をしてもらうとかあるいは課するとかいうことについては最もセンシティブでございますので、自治省と連絡をとって一回、この問題で善処すべきであるということで、自治体を指導したところでございます。
  97. 杉浦弘

    ○杉浦説明員 先生の御質問の項目が三つございましたと思うのですが、まず音源対策につきましては、旧年度と申しますか、五十二年度中にほとんど全線が完了しております。一部工事中ではございますが、継続工事中、こういったところもございまして、いずれにいたしましても、当面、効果の最もございます音源対策につきましてはほぼ終了段階に来ておる、こういうことが言えるんではないかと思います。  それから、二番目の実害補償の件でございますが、これは、住民の方々の申し出によりましてその都度いろいろ調査をいたしまして、そして補修に要する費用を支払っていく、こういうスタイルでございますので、全数がどのくらいあるかというのはちょっとわかりませんが、いままでに終わりましたのは約千五百戸余りでございます。  それからもう一つの障害防止対策でございます。この環境基準の達成に対しまして一番効果的な方策は音源対策ということで、それに全力を挙げておったわけでございますが、それと並行いたしまして、たとえば東海道新幹線なんかの鉄の橋がございますが、こういったようなところの、音源対策はもちろん先ほどの御説明のように終わっておりますが、そういった周辺の、どちらかというと騒音値なんかの高いところ、こういったところを直接国鉄で全力を挙げて施工しております。それから、それ以外の大部分のところは、国鉄といたしましても達成するのに一番早い方法ということで、関係の自治体等に協力をお願いいたしまして、全線にわたっていろいろお願いしてまいったわけでございます。したがいまして、進捗状況と申しますと、まずいままでほとんど国鉄の手で対策を終わりました個所が前年度末で九百戸余りということになりますし、障害防止の自治体に対する協力のお願いの方も逐次好転しつつある状況でございます。いままでに自治体の方で委託を受けていただいたところが四つございます。
  98. 東中光雄

    ○東中委員 順次お伺いをしていきたいと思うのですが、いわゆる実害補償の問題です。いま千五百戸余りしたというお話がありましたが、実害を受けておるというふうに推定される、あるいは国鉄でつかんでおられる総戸数はどれくらいあるのですか。
  99. 杉浦弘

    ○杉浦説明員 これは先ほどもちょっと申し上げましたように、全数としては非常につかみにくうございまして、住民の方々の申し出によりましてその都度調査の上施行しております。
  100. 東中光雄

    ○東中委員 非常に白々しいといいますか、形式的なことをいま言われておる。そんななまやさしいものじゃないのじゃないですか。  私は、ここに昭和五十一年一月十二日の「大阪市東淀川区淡路町 日本国有鉄道新幹線総局 大阪保線所」発の「家屋実害調査について」という文書を持っておるわけですが、あて名は「新幹線沿線の皆様へ」というのであります。  これによりますと、何回か被害について訴えてきているのに対して、「沿線の皆様方の家屋に対する実害状況の調査をさせていただくことになりましたので、皆々様のご協力をお願いいたします。」そして「この書面が到着いたしまして、五日以内にご返送方よろしくお願いいたします。」「一月二十五日までにご返送のないときは調査の必要がないものとして処理させていただきます」こういう文書なんですね。そして「建物調査表」というのがあるわけですが、これは全く形式的なものといいますか、こういう調査表が送ってこられて、これでは何のために調査をするのかわからないし、この調査では被害実情を出すことができないということで、五十一年の初めから地元とはもめているわけですね。これに対して、質問書というか要望書というのが国鉄総裁あてに出されています。それに対して回答も来ておるという経過があるのですが、全部こういう態度で国鉄としては臨んでおられるのですか。言うてきた場合にやるんだというのですか。いわば加害企業ですよ。それが被害者から言うてきたらやるんだ、そしてこういう手紙を「日本国有鉄道」とぽんと出していくという姿勢をいまもとっておられるのかどうか。どうですか。
  101. 杉浦弘

    ○杉浦説明員 実害補償の問題につきましては、全線にわたって構造物あるいは地質の状態その他いろいろございまして、必ずしも国鉄単独で――いまの段階でどういう状況があるかというのは、調査をしてみなければわからないものですから、それはやはり申し入れによってその都度調査をして、必要な経費をお支払いしていくという形で進んでおります。
  102. 東中光雄

    ○東中委員 これは被害を訴えてきた、それに対して被害がどの程度あるか、損害がどの程度あるかということを調査する、それは補償するために調査をするということなんでしょうね。調べてみたけれども、被害があってもなくても、補償するかせぬかはまた別の問題だというふうな尊大な姿勢をとっているわけじゃないでしょうね。
  103. 杉浦弘

    ○杉浦説明員 実害補償の問題につきましては、調査をいたしました結果ある程度被害がありという場合でないともちろん補償ということにはまいりませんので、そういう点を含めて調査をした上でお支払いをするということでございます。
  104. 東中光雄

    ○東中委員 だから、この要望書で被害者側から、この調査は一体何のための調査なんだ、調査をして被害を確認できたらそれについては補償するということではないのかということを何回も国鉄へ言っているわけです。ところが、そのことをどうしても言わない、とにかく一回調査しますということだけなんですね。それで国鉄が調査をしなければもちろん補償もしない、こういう姿勢をとっているのです。一般の企業の公害紛争でもそんな姿勢をとっている企業なんてありはせぬです。国鉄ともあろうものが、国鉄であるからこそ、ちゃんとした姿勢をとらなければいかぬのに、大きな国鉄だからのほほんと控えておって、とにかく一回調べてみなければいかぬ、因果関係がなければどうとは言えないというふうな姿勢できているわけですが、あなた方としては、国鉄の現場ではなくて国鉄本社としてそういう姿勢をとっているのですか。それとも訴えがあれば実情を調査して、被害があれば実態を見て、そしてそれについて補償をするというたてまえをとっているのか。国鉄本社としてはどういう姿勢をとっているのですか。
  105. 杉浦弘

    ○杉浦説明員 先生もちょっとお触れになりましたように、因果関係そのものは、つかむのは非常にむずかしいのでございますが、やはり大多数の住民の皆様方と無用なあつれきを避ける、そしてそういう意味をもちまして、あくまで調査の上、ある程度因果関係ありというものに関してお支払いをしておるということを一般論としてお答えしたいと思います。
  106. 東中光雄

    ○東中委員 あなた方の方針を聞いているのですよ。こういう被害がありますということを、口頭で言う場合もあるでしょうし、ある程度団体というか被害者がみんな寄って訴えていく場合もあるでしょうが、そういうのを聞いた場合には、その実情を調査をして、そして被害を加えておるのだったら、それについては被害があるということがわかれば、当然それは補償するという姿勢で調査に行くのではないのですか。
  107. 杉浦弘

    ○杉浦説明員 何回も同じお答えになりますけれども、やはり調査をしてある程度の因果関係ありということでなければ、全然別のものに対する補償ということにはなりませんので、したがって調査が非常なウエートを占めてくるということになると思います。
  108. 東中光雄

    ○東中委員 因果関係のないものは補償しないのはあたりまえです。被害がないものには補償しないのはあたりまえなんです。だから因果関係のある被害状況を調査をして、そしてそれについては補償をする、そういうたてまえで調査に行くのでしょう、何も関係ないところに調査に行くわけがないのだから。どうなんですか、はっきりしなさいよ。
  109. 杉浦弘

    ○杉浦説明員 ちょっと言葉の行き違いもあるかとも思いますけれども、因果関係があるものに関しては補償するということで、入念な調査をやりまして、しかもその上、個々の住民の方々とは後で示談をして御納得いただいてお支払いをするという方式でやっておりますので、これでもっていままでの実害補償の問題については大多数の方々に御納得いただいておるものと考えております。
  110. 東中光雄

    ○東中委員 千五百軒余りしかまだけりがついてないということでしょう。障害防止対策をとらなければいかぬ新幹線沿線の対象戸数は一万八千戸じゃないですか。
  111. 杉浦弘

    ○杉浦説明員 障害防止対策と申しますのは、先生も御存じのとおりだと思いますが、環境基準に基づきまして八十ホンの対策をやるということでございまして、それにつきましては、先生おっしゃったとおり、現段階では一万八千戸と推定いたしておりますけれども、ただいま全線にわたりまして一戸一戸の測定をやっておりますので、その辺が確定いたしませんと、数には若干の変動があると思いますが、現段階の予測としては一万八千戸でございます。
  112. 東中光雄

    ○東中委員 一万八千戸の障害防止対策をとらなければならぬ対象を推定しておって――障害防止対策をとらなければいかぬ対象というのは障害を受けているということが前提なんですからね。だから、そのうちの千五百戸が被害補償されているということなんですね。もちろん、一万八千戸全部が実害補償しなければいかぬ対象であるかどうかは、それは調査してみなければわからぬ。しかし、一万八千戸に対して千五百戸じゃないですか。それで全部解決がついているなんて言ってのうのうとしていては困ります。
  113. 杉浦弘

    ○杉浦説明員 先ほど申し上げましたように、一万八千戸というのは八十ホンを超えておる、いわゆる音の問題でございまして、そういう家屋に対して民家の防音工事をやる戸数が現段階で一万八千戸ということでございます。最初先生のおっしゃいました実害補償というのは、列車の走行による振動等によりまして起きた実害があれば、調査の上、修復するに必要な費用を補償する、こういうことでございますので、一万八千と、いままで済んでおります千五百というのは直接の関係はございません。
  114. 東中光雄

    ○東中委員 あなたはあくまでも逃げを打つという姿勢をとっていますね。八十ホン以上の騒音がくるくらいの近いところにおる人なんですよ。それが一万八千戸と推定されている。それは振動と騒音とは別ですよ。別だけれども、接近したところにいて、振動でどうにもならないという人がずいぶんたくさんいますよ。私がいま言うた大阪市の東海道新幹線の部分は非常にひどいです。山陽の方へ行っている部分は、これは若干距離を置いている。新しいですから、騒音はあっても振動の方は大したことない、こういうふうなことはありますけれども。もし、あなたが、言うてきた分は全部やっているという姿勢をとっておるというたてまえでおるのだったら、これは事実に反する。先ほど言いましたように、五十一年の一月にそれを出して、いま言いました五日以内に返事をしなかったらないものとみなすなんて、これは大体加害者側の言い分ですかね。債権者側が債務者に対して、返済する義務があるときに、五日以内に返済しなかったらしかるべき処置をとります。あるいは支払いの意思なきものとみなしてどうしますというようなことを言いますよ。被害者側に対していわば加害者側が、五日以内に返事しなかったらないものとみなすというふうな姿勢はどうですか。  これは環境庁にお聞きしておきたい。こういう公害について、いわば加害企業が被害者に対してこういう姿勢で臨んでおるということは、環境を保障し、あるいは公害を防止していくという立場から見て許されるかどうかという点ですが、どうでしょう。
  115. 橋本道夫

    ○橋本(道)政府委員 先ほどの進捗状況の中では、技術の国鉄として発生源をすばらしくやっているということは、私は非常に高く評価して感銘を受けていますが、やはり社会的な対応の仕方になると、空港の場合に運輸省の航空当局がやっているのと比べて、これはかなりな差があるというぐあいに感じております。
  116. 東中光雄

    ○東中委員 かなりの差があるというのは、局長の公式の言葉でありますから非常にえんきょくに言われていますけれども、社会的な関係で言えば、本当になってないですよ。  それで、さっき言いましたこの実害調査の建物調査表というのを見てみた。そうしたら、たとえば「屋根瓦がずれている。屋根瓦が落ちている。「カベ」にひびがはいっている。「カベ」が落ちている。建具が開閉しにくい。塗天井が落ちる。塗天井にひびがはいっている。浴室等の「タイル」が落ちている。浴室等の「タイル」にひびがはいっている。」これがあるのならマルをしろというのです。もちろん「その他」と書いてありますけれども。これは国鉄当局から出してきたものですね。四十七年から被害をこうむって五十一年ですよ、タイルが落ちているといってじっとしておれますか。屋根がわらがずれて屋根ふきをして、またずれると屋根ふきをしたという状態の人が、屋根がわらがずれている、そんな、ずれているでほうっておけるわけはないですよ。いまはもう直してずれていない状態になっている。しかし、ずれてどうにもならないのだという、十年近くの苦労をこの人たちは、訴えに行っているわけですね。何とかしてくれ、補償せよと言うている。それに対して出てきた調査表がこれなんですよ。それじゃだめだから、どれだけ補修をしたか、たとえば「建具が開閉しにくい。」、しにくいからといってほうっておけませんよ。ほんの数カ月とか、あるいは十数日という工事公害なら、いま起こった、こういう状態です。これはあるのですよ、ずっと新幹線が走っているのでしょうが。建具があけ閉めできませんといってじっとしておるわけにいかぬじゃないですか。直さなければいかぬじゃないですか、直さなければ生活できないわけですから。そういうことを私たちは調査表にこういう点で書きたいということを国鉄へ申し入れているのです。たとえば「修理ケ所」、出入り口、ふすま、窓について補修は何回やったか、幾ら費用が要ったか。「屋根のいたみについて」、何年同月ごろかわらがずれ落ちたから、それについて補修をした、その費用はどのくらい要った、また二、三年したらずれてきた、雨漏りするから補修せざるを得ない、そういう経過を一覧表にして、こういうことを出したいからといって国鉄へ持っていったら、受けつけないのです。こういう姿勢を現場でとっているのです。現場の人に聞いてみたら、それは様式が本社から来ているものだから、その様式でやるよりしようがないのです。こういうことを言ってますよ。あなた方が、被害の申し出について期限を切ってこういう対応をしているということについて、いま環境庁から、社会的な対応としては、運輸省の対応と比べて隔たりがあるという表現がされましたけれども、こういう点について、あなた方は本社としてそういう方針でいっておるのか、あるいは現場に任してあるのか、そして、実態を実際に調査するという姿勢をとるのかとらないのか、これをはっきりとしてほしいと思います。
  117. 杉浦弘

    ○杉浦説明員 先生もちょっと誤解がおありになるのじゃないかと思うのですが、いまの淡路町を含めまして、東淀川区の地域につきましては、対策同盟の方からの申し入れもございまして、たしか五百戸余りだと思いましたが、去年の八月ぐらいまでに住民の方々等も立ち会いの上、調査を一応終わったと聞いております。したがいまして、それのいろいろ調査結果の整理等をただいまやっておるのですが、近々、早ければ今月ぐらいからその調査結果に基づきまして個々の住民の方々と示談に入る、こういうことになっておりますので、若干時間的にはかかっておりますけれども、一応必要なものに関しては全数やるということで進んでおります。  それからもう一つ先生の御質問のございました、本社として指導というお話もございましたけれども、直接具体的にこうせいというような指導はもちろん個々についてとっておるわけじゃございませんが、とにかく調査の結果必要なものに関しては示談のような形で最終的にまとめていってほしい、こういうようなことはもちろん申しております。
  118. 東中光雄

    ○東中委員 君は非常に失敬なことを言うね。ぼくは誤解なんかしてはせぬですよ。誤解とは何だい、君。ぼくのいま言ったことで違うところがあるんだったら言ってみろ。こういう文書が出たでしょうが。それを拒否したでしょうが。そしてこういう調査表を出したんでしょうが。こういう調査表というのはあり得ないことじゃないか、本当に実害を調査するというのだったら、継続している長い間のことなんだから、当然、被害者側が言うているのを謙虚に受け入れるのがあたりまえじゃないか。このことを私は言っているんですよ。それを、誤解とは何だ、君。失敬なことを言うな。  いま私が言ったことは、そういうことが現場にあったということは、あなたも聞いているでしょう。本社として聞いているか聞いていないか、まずそれをはっきりしなさい。聞いておったら、これは明らかに国鉄の方は、社会的常識からいって、実害を調査することにこの調査表ではなっていないということを私は指摘しているんだから、その点について改善するならするということを明らかにすべきだ、これを言っているんですよ。
  119. 杉浦弘

    ○杉浦説明員 いま先生のおっしゃいました淡路町の問題につきましては、私、直接ちょっと聞いておりませんでしたので、誤解というのは訂正いたします。私として聞いておりましたのは、東淀川区の全域に関しては調査が終わって、これから示談に入るということを聞いておりましたので、それも早ければ四月早々には入り得る、こういうことを先生まだお耳に入っていないのじゃないかなと思ってちょっと申し上げたのですが、誤解と申し上げましたのは、そういう点で先生御存じなかったのかなというふうに、ちょっと私錯覚いたしましたので、失礼申し上げました。
  120. 東中光雄

    ○東中委員 私はそんなこと聞いていないのですよ。そういうことは知っていますよ。知っていることについて誤解なんという、先回りして何を言っているんですか。  私がいま、再度質問した二つの点についてどうですか。
  121. 杉浦弘

    ○杉浦説明員 淡路町の問題につきまして、私もちょっと聞いておりませんので、調査をいたしまして、後ほどまた先生の方へ御報告申し上げたいと思います。
  122. 東中光雄

    ○東中委員 調査は去年の八月に終わったという文書が来ていることも私は知っています。四月から話し合いに入るということも知っている。しかし、この話し合いの基礎になる調査表なるものは、私がいま言うたように、あなたの方で様式を決めて、実態調査にならないような現状の調査表ですね。何年間か続いておる被害状態調査するということであるべきなのに、現状でかわらがずれておる、あるいは建具が動かないか動くかというふうな調査をやったのでは、これは被害状態を本当に見ようという被害者側の立場に全く立っていないということを私は言っているんですよ。建具が動かなくなって、はい、動きませんと言って、五年間も六年間も、あるいは、新幹線が動き出してから十数年になりますが、その間じっと待っておるんですか。そんなことはできやせぬじゃないですか。そういう点についての調査の態度、実態を調査するという態度に立つべきだということを言っているんですよ。そういう態度に立ちますか、立たぬですか。依然として現状だけを見ていく、国鉄がつくったこの調査表の、いわば一定時点の現状というふうなものだけでいくのかどうかということを言っているのです。態度、姿勢をはっきりさせなさい。どうですか。
  123. 杉浦弘

    ○杉浦説明員 私としましては、いままでやってまいりました方法で大多数の方々の御納得もいただいておると考えておりますので、先ほど先生のおっしゃった淡路町の問題につきましては、私もちょっと知りませんので、少し調査の上御報告申し上げますが、全体といたしましては、今までの方式で支障ないものと考えております。
  124. 東中光雄

    ○東中委員 この「建物調査表」というのをあなた見てください。これは国鉄が出したものですが、これは本社から出したのか、あるいは淡路町だけで出したのか、どうですか。
  125. 杉浦弘

    ○杉浦説明員 建物の実害補償につきましては、新幹線総局が直接責任を持ちましてまとめておりますので、私、この表は直接見たことございませんが、ただ、何か統一をとるために出したかもわかりませんけれども、私もこの表を初めて見ましたので、その辺を含めまして後ほど御報告いたします。
  126. 東中光雄

    ○東中委員 あなたは初めて見たと言うけれども、実際にこれが出されておって、そして裏面に書いてあるような――先ほど私言ったような修理の過去の状況をも書くべきだということで出した。出したけれども、それは拒否されて、そしてその内容はただ聞き取りにとどめた。だから、調査結果として聞きとどめた。被害者側から申し出なければやらぬというたてまえをとっておって、そうして申し出たものについては、こういうことで申し出たい、過去の状態を申し出たいと言うていったけれども、その分はのけておいて、今度は国鉄側の調査という形で調査結果を国鉄なりにまとめているようであります。  それで、ここではっきりとあなたにしてもらいたいと思うのは、先ほど私言っているように、建具が開閉しにくい、あるいは開閉できないというふうなことの現状調査だったら、実害補償というようなことにはならないですね、もう回復しているんだから。だから、回復したなら回復したというそういう過去の実態を調べる、そしてその因果関係がはっきりすれば補償するというたてまえに国鉄としては当然立つべきだと思うのですけれども、この調査表はあなたは知らないなら知らぬでよろしい。しかし、ここに書いてある内容について、これだけではきわめて不十分だということは、これは認めますね、どうですか。
  127. 杉浦弘

    ○杉浦説明員 先生もおっしゃいましたように、過去の状況はもちろんその調査の際に一応お伺いしているわけでございまして、それで因果関係がはっきりすればもちろんそれは支払いするという考え方でいいと思いますけれども、その辺がなかなか過去の状態というのはつかめないのも実態ではないかと思いまして、その辺はとにかくヒヤリングをした結果、そういった調査を含めていままでもやっておりますし、そういう方法でいいんじゃないかと私は思っております。
  128. 東中光雄

    ○東中委員 これからヒヤリングをやり、個々にその実情を詰めて、そして話し合いをする、補償額は、その実害の計算も要るでしょうし、そういうたてまえになる性質のものだと思うのですが、それでいいんですね。
  129. 杉浦弘

    ○杉浦説明員 ただ、その辺が、私もよくわからないのですが、淡路町のケースについては、何回も申し上げますが、私もちょっと聞いておりません。ただ、私聞いておりますのは、淡路町を含めまして、東淀川区の全域について調査を終わったというふうに聞いておりますので、さっきちょっとお約束しましたように、淡路町がどうなっているかをお聞きしました上、お答え申し上げたいと思います。
  130. 東中光雄

    ○東中委員 それは私も、終わったというふうに国鉄側が言っていることは知っていると先ほど申し上げたとおりです。そのことと、それから、この間、私が現場へ行って聞いてみたら、それがどうなっていますというやつがまだ出せない状態なんです。要綱みたいなやつがあるけれども、まだないわけです。それは、被害をこうむっている人は、屋根ふきを二回もし直さなければいかぬ。これは本建築をやって、そしてあの辺では、いわゆるあかのといという、銅のといでやれば一生ものだと言ってつくるんです。それが何か五年ぐらいで腐食してしまったということを言っているのです。それは新幹線にすぐ接着したところなんですけれども、そういうことについて、もう数年あるいは十年近くみんな非常な実害を訴え、不満を持っているわけです。ところが国鉄は、一年余りかかって、やっと調査が終わりました。それから、これから大隅の方から、要するに被害が比較的多いと国鉄が思っているところから話し合いに入っていきます。これでは加害者の立場が被害者の立場とまるっきり入れかわっておるということになるわけです。  時間がなくなりましたから、また引き続いて次にお聞きしますけれども、騒音、振動障害防止対策の自治体への委託問題ですが、これなんか見ておっても、もう国鉄当局の出しておる案というのは、たとえば委託事務のフローチャートということで案を二つ出しておるようですけれども、全く全部自治体にかぶせるようなことになっておる。これは自治体の方から文書で出てきているでしょう。「委託内容を検討した結果、この種の事業は発生源者の責務であり、かつ、自治体としてはなじまない点が多く、貴局から示された業務を全面的に遂行することは極めて困難と考えられます。」という回答をあなた方突きつけられて、そしてその結果、自治体側から言うてきた内容ですね、協力できるものはするけれども、この部分はできないということで、最近合意をしたのと違うのですか。国鉄側が出した案は、まるっきり全部、ほとんど自治体にかぶせるという案だった。ところが今度、国鉄側が全部やるべきだ、協力するのはこの点だというふうに、まるっきり逆に話がついているじゃないですか。こういう委託業務を自治体が受けられないという状態でずいぶん長い間かかっている。国鉄は、自治体に頼んでいます。自治体は、そんなものは受けられません、そんな義務はありません、そしてそのことでずいぶんおくれて、被害者の被害は、事業は進まない。これは国鉄のとるべき態度じゃないですよ。その点についてはどうですか。
  131. 杉浦弘

    ○杉浦説明員 自治体の委託につきましては、先ほどもちょっと申し上げましたように、国鉄として委託の業務内容の原案をつくりまして、これで全線について委託を受けていただくのが一番早いということでいままで協議を重ねてまいりました。ただ、先生もちょっとおっしゃいましたように、自治体のいろいろな能力と申しますか、その辺やら、自治体にいろいろ御事情もございまして、私どもといたしましてはいままでの原案を一〇〇%固執するつもりももちろんございませんで、ある程度自治体側の言い分も私ども理解いたしまして、程度をダウンしたり何かいたしまして、自治体の実情に見合った委託方式をとろうということで最近進めてまいりまして、そういう結果、その全線の自治体側の協力が大変に得られてきたということでございます。
  132. 東中光雄

    ○東中委員 時間がありませんので、きょうはこれで質問を終わりますけれども、淡路町及び新大阪駅周辺の実害補償の問題、あなたはよくわからないとおっしゃるから、調査をして、改めてただしたいと思います。  それから、いまの自治体の問題にしましても、国鉄は、国鉄と自治体という関係じゃなくて、国鉄は新幹線公害については発生源なんだという姿勢を全く忘れてしまっている。ここに非常に重要な問題がある。この点についても、きょうは時間がありませんから、改めて追及をいたしますので、姿勢を根本的に検討し直してもらわないといかぬということだけ指摘をしておきたいと思います。  質問を終わります。
  133. 久保等

    久保委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時五十五分休憩      ――――◇―――――     午後三時四十八分開議
  134. 久保等

    久保委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。古寺宏君。
  135. 古寺宏

    ○古寺委員 最初に、全国のカドミウムあるいは銅等による土壌汚染の現状について、どのようになっているかお伺いしたいと思います。
  136. 山田久就

    山田国務大臣 カドミウム等の農地の土壌汚染、この対策につきましては、農作物の汚染、または生育阻害を防止する、この二つの観点で、地域の実情に応じたような合理的な土地利用及び対策工法に立脚した復元を図ることが肝要と考えておる次第でございます。このために、環境庁といたしましては、農用地土壌汚染防止法に基づきまして、汚染の実態の把握、対策地域の指定及び対策計画の策定等につきまして、その推進を図っている現状でございまして、今後とも関係各省ともよく連絡いたしまして、適切な土壌汚染対策が講ぜられるように関係都道府県指導に努力いたしてまいりたい、こういう意向でございます。  また、市街地等の土壌汚染、こういう方面につきましては、環境への影響が土地の態様によって非常に複雑多岐である一方におきまして、人の健康及び生活環境との関係についても科学的知見がまだ十分でない等の事情があるために、今後ともこれらに関する調査研究の推進など科学的な知見、これの修正に努力してまいりたい、このような方針で臨んでおる次第でございます。
  137. 古寺宏

    ○古寺委員 カドミウムの土壌汚染に対する対策は年々進んでいるわけでございますが、その進捗状況はどういうふうになっておりますでしょうか。
  138. 松居努

    ○松居説明員 昭和五十一年度までの調査結果によりますと、農用地土壌汚染防止法に定められたカドミウム、銅砒素が基準値以上検出された地域全国で百十四地域、六千二百ヘクタールとなっております。現在、このうち、対策地域として指定されておりますのは全国で三十六地域、約四千三百四十ヘクタールでございまして、このうちすでに十九地域、約千六百五十ヘクタールについては対策計画が策定され、対策事業が進められておるところでございます。また、その他の地域のうち三十五地域は県単事業等によりすでに手当て済みであり、残り四十三地域は現在、関係都道府県調査の継続あるいは地域指定等必要な対策について検討中でございます。
  139. 古寺宏

    ○古寺委員 そうしますと、大体いつころまでに対策事業が完了する見込みでございますか。
  140. 松居努

    ○松居説明員 実は、地域によりましてかなり広大な地域あるいは比較的面積的に小さい地域等ございまして、ここで一概に申し上げられませんが、環境庁といたしましては、今後とも関係省庁と連絡の上、早急に対策計画が策定されるよう各県と交渉してまいりたいというふうに考えております。
  141. 古寺宏

    ○古寺委員 汚染米と準汚染米というのがございます。一ppm以上は、カドミウムの場合は汚染米、こう言っておりまして、〇・四ppmから一ppm以下を準汚染米、こう言っておりますが、最近の汚染米の買い上げの数量はどのくらいになっておりますでしょうか。
  142. 松岡将

    ○松岡説明員 お答え申し上げます。  食糧管理法に基づきます米の政府買い入れにつきましては、国民食糧の確保を図る、そういった食糧管理の一環として行っているものでございまして、食品衛生法で販売、加工、そういった処分が禁止されております一・〇ppm以上のカドミウムの含有米については政府買い入れは行っていない、こういうことでございます。ただいまお話のございました〇・四から一ppmのもの、先生いま準汚染米とおっしゃられましたが、このカドミウム含有米、この一・〇以下〇・四以上のカドミウム含有米につきましては、政府で買い入れをいたしているわけでございますけれども、五十一年産米までで十万六千トン買い上げてございます。在庫量につきましては、昨年十月末でございますが、五十二米穀年度末におきまして七万二千トン、こういうことになっております。
  143. 古寺宏

    ○古寺委員 私がお尋ねしているのは、一ppm以上の汚染米を年間どのくらい買い上げているかということでございまして、これは当然企業が存在している場合には企業が買い上げておりますし、企業がいない場合には、秋田県のような場合は県当局が買い上げているわけでございますが、この汚染米の買い上げの数量についてどのくらいであるか、環境庁は把握しておりますか。
  144. 松居努

    ○松居説明員 環境庁の方では詳細な把握はしておりません。
  145. 古寺宏

    ○古寺委員 そうしますと、通産省は把握しておりますか。
  146. 檜山博昭

    ○檜山説明員 お答え申し上げます。  個別の鉱山がもとで汚染されている汚染米につきまして、鉱山が購入するという別個の数字はございますけれども、全体として幾らというふうにはとらえておりません。
  147. 古寺宏

    ○古寺委員 それはどこが掌握をするわけでございますか。環境庁ですか、通産省ですか、食糧庁ですか。
  148. 松岡将

    ○松岡説明員 お答え申し上げます。  食糧庁といたしましては、先ほど申し上げましたように、直接買い入れは行っていない次第でございます。しかしながら、食糧として流通するというようなことがあってはもちろん問題でございますので、地方公共団体等による指導監督のもとに特定倉庫に集結、保管させまして、その処分時点におきまして農林大臣の譲渡許可の対象とする、こういうことでございます。その処分先は都道府県指導のもとに工業用ののり原料に用途を限定して処理する、こういうことでございますが、申し上げましたように、食糧庁といたしましては、その譲渡許可の申請のあった分についての数字は把握してございます。
  149. 古寺宏

    ○古寺委員 準汚染米は、先ほど御答弁がありましたが、五十二年末で七万二千トンでございますか。これは六十キロに直しますと大体どのくらいの俵数になるのでしょうか。
  150. 松岡将

    ○松岡説明員 お答えいたします。  先ほども申し上げましたように、お米の場合は御案内のように米穀年度というものがございまして、十一月一日から始まりまして十月末に終わるわけでございますが、五十二年米穀年度末におきまして七万二千トン在庫しております。  俵数はこれを六十で割りますので、ちょっと計算させていただきます。――約百二十万俵でございます。
  151. 古寺宏

    ○古寺委員 これは食糧事務所の政府の倉庫に貯蔵されているわけでございますが、現在どこの倉庫に大体どのくらい保管されているか、内訳について教えていただきたいと思います。
  152. 松岡将

    ○松岡説明員 五十二年十月末現在、五十二米穀年度末におきまして、全体で七万一千八百六十三トンの在庫がございます。北は青森から始まりまして南は鹿児島まで数字がいろいろ挙がってございます。大きいところで申しますと、秋田が一万四千トン、富山で約二万トン、石川六千トン、そういったところが大きいかと存じます。
  153. 古寺宏

    ○古寺委員 この準汚染米の今後の処理方法についてはどういうふうにお考えですか。
  154. 松岡将

    ○松岡説明員 この〇・四から一ppm未満のカドミウム含有米につきましては、食品衛生法で定められております一・〇ppmという規格基準以下でございますが、これまでの種々の経緯から消費者感情を考慮いたしまして配給を保留している、こういう扱いになっておる次第でございます。したがいまして、現在在庫をしておりますカドミウム含有米でございますが、これにつきましては、古い年産のものから逐次合板の接着剤の原料用として売却しておる、こういうことでございますが、その際、食用への横流れというものを防止するために、政府の委託加工工場におきまして着色米穀粉という形に変形加工して売却いたしております。この処理方法が始まりましたのは四十九年十二月でございますが、以後五十二年十月末まで約三万四千トン程度処理済みでございます。
  155. 古寺宏

    ○古寺委員 百二十万俵、約七万二千トンの準汚染米が倉庫に眠っているわけでございまして、秋田の例で申し上げますと、秋田市の新屋というところに食糧事務所の倉庫が八棟あるのですが、そのうちの七棟が準汚染米でいっぱいなんですね。そうしますと、新米が供出されてまいりましてもそれを農協の倉庫ですとかいろいろなところに保管を委託をしなければならぬというようなことになっておりまして、準汚染米の方は一向に減っていかないわけでございます。それは少しずつは合板用ののりですとかいろいろな面で活用はしているようでございますが、現在ある分については何らかの方法を考えなければ準汚染米の処理というものはできないのではないかというふうに考えるわけです。この面について、やはり食糧庁としても、これは食管制度によって買い上げをしているわけでございますし、金額にいたしましても相当の金額になるわけでございますので、この準汚染米の処理方法については早急に解決の方法を考える必要があろうかと思いますが、その点についてはどういうような研究なり検討がなされているのか、お伺いしたいと思います。
  156. 松岡将

    ○松岡説明員 一・〇ppm未満の食糧庁が現在買い入れておりますいわゆる準汚染米、カドミウム含有米につきましては、食品衛生法で定められております規格基準以下ということになっておりますので、安全性について本来、消費者の適正な理解を得た上で配給するのが望ましいと考えておるわけでございますけれども、過去の経緯がいろいろございまして、現在依然として消費者間におきまして食用としての忌避感情というのがございますので、配給を保留しているという現在の取り扱いを変更するということにつきましては、慎重に検討していく必要があるというふうに考えている次第でございます。  その他の用途に充てていくという問題につきましては、四十九年十二月以来、合板接着剤の原料に売却を開始いたしましたけれども、以後、逐次需要が定着してまいりまして、月間約二千トン、年間で二万四、五千トン程度の処理が可能になってきた、こういうことでございますので、現在在庫しております。万二千トンというのは三年程度で処理が可能ではないか、こういうふうに考えておる次第でございます。  他の用途に充当するという問題につきましては、食糧庁におきましても種々検討いたした次第でございますが、環境の再汚染の問題とか、費用の問題とか、経済性の問題とか、種々な問題が介在しておりまして、現在、合板用途以外に適切な処理先というものを見出し得ない現状にある。それにいたしましても、先ほど申し上げましたように、合板用接着剤としての処理が年間二万五千トン程度可能になってまいりましたので、現在持っております。万二千トンは約三年程度で解消するというように考えておるような次第でございます。
  157. 古寺宏

    ○古寺委員 そこで長官、ちょっとお休みのようでございますけれども環境庁が把握している汚染地域全国で六千二百ヘクタールあるわけでございますね。そのうちで指定地域になっているのが四千三百四十ヘクタールでございます。この指定地域につきましては土壌汚染の対策が順次行われて、汚染米がだんだん減少していくと思いますが、残りの地域につきましてもやはり早急に土壌汚染対策を行いませんと、年々準汚染米あるいは汚染米というものが出てくるわけでございますので、そういう対策を急がなければならないわけなんです。ところが、それが休廃止鉱山対策と並びまして、全国的に非常に膨大な数や面積に上っているものですから、なかなか思うように進まないというような状態ではございますが、これは何としても一日も早く解決を図らなければならないわけでございます。そこで、土壌汚染防止対策環境庁長官はどういうふうにお考えになっているのか、環境庁考え方を承りたいと思います。
  158. 山田久就

    山田国務大臣 先ほどもちょっとお答えいたしましたけれども、土壌汚染対策ということは、農作物の汚染または生育阻害を防止するという二つの観点で、地域の実情に応じて合理的な土地の利用とそして対策工法に立脚して復元を図る、こういう方針でやることが肝要だということでやっておりまして、したがいまして、先ほど申し上げました都市に関する問題とともに、科学的知見が十分でない点については、それを取り入れながら、できるだけ調査研究、科学知見の増大ということで、これにのっとって努力する必要があるということで、われわれも尽力いたしているような次第でございまして、ひとつまた、いろいろな意味での御鞭撻をいただきたいと思っております。
  159. 古寺宏

    ○古寺委員 たとえて申しますと、秋田県の平鹿地区でございますが、これは環境庁調査によりますと、ここだけでもって調査対象面積が千三百十七ヘクタールあるわけです。恐らくこのうちの千ヘクタールは土壌汚染防止対策を行わなければならないと思うわけですが、こういうような膨大な地域の土壌汚染防除対策というものは、一体どういうふうにおやりになるお考えでしょうか。
  160. 松居努

    ○松居説明員 いま先生の御指摘のように、秋田県の平鹿地域につきましては千町歩程度の汚染地域がございます。現在、県はさらに汚染地域を把握するための調査を継続中でございまして、最終的にどの程度の数字になるかにつきましては、なおしばらくかかるかと思いますが、現在、県は各種の対策工法を組みました現地試験を農林省の指導のもとにやってきているという実態でございまして、環境庁といたしましても、県と接触を持ちつつ、なるべく早く対策計画が策定されるよう努力してまいりたいと考えておる次第でございます。
  161. 古寺宏

    ○古寺委員 なるべく早くとおっしゃいますけれども、毎年ここから汚染米が出るわけなんですね。これはこの地域だけじゃございませんですよ。ですから、この千ヘクタールを超える一つ地域をとってみても、いかに防除対策というものがおくれているかということがおわかりになろうかと思うのです。先ほどのあなたのお答えによりますと、六千二百ヘクタールのうち四千三百四十ヘクタールが指定地域になっているというようなお話でございましたが、ここだけでも千ヘクタールあるわけでございましょう。こういうところがなぜ指定地域になっていないのか、その原因について、どういうわけかひとつお話ししてください。
  162. 松居努

    ○松居説明員 先ほど六千二百ヘクタールと申し上げましたけれども、カドミウムによる汚染地域というのは、全国で、カドミウムに限って申しますと五千八百ヘクタールでございます。先ほど六千二百と申しましたのは、銅、砒素を含めまして六千二百と申し上げましたので、五千八百という数字でございます。  それで県では、かなり面積的に広大なものでございますので、一応何年かの調査を継続しながら汚染範囲を明確に確定していきたいということで、現在、調査を継続中でございます。大体三年ぐらいになるかと思いますが、調査につきましてはなお県の方では継続した上、地域を確定していきたいというふうな考え方を持っております。  なお、地域が確定した部分につきましては、逐次対策地域として指定しておりまして、そのうちの増田地域につきましては約四十ヘクタール程度だと思いますが、細かい数字はちょっと記憶しておりませんが、すでに地域指定をいたしまして対策計画を策定しております。
  163. 古寺宏

    ○古寺委員 千三百ヘクタールもあるうちから四十ヘクタールぐらいずつしか指定ができないという理由の一つには、やはり客土をする場合に、そういう土壌がないのですね。千三百ヘクタールの土壌改良をやるためには相当の土壌が必要になります。そういうような土壌がないわけです。そういうものに対して一体どういう方法で土壌改良をやったらいいというふうに農林省はお考えでしょう。
  164. 山極栄司

    山極説明員 先ほど先生の御質問のところで、私の方でちょっと補足を先にさせていただきたいと思いますが、秋田県の平鹿地域は約八百ヘクタールほどございますが、そのうち五十二年度に、先ほど土壌農薬課長御説明の吉野地区、これは増田町でございますけれども、これを地域指定をいたしまして、対策計画を実施に移しておりますし、そのほかの地区につきましては、逐次地域の指定なり対策計画を樹立していく、こういうことにいたしておりますが、それまでの間はカドミウムの吸収抑制の土壌改良、いわば溶燐とか珪カルでございますが、そういうものを散布するとか、あるいは適正な水管理というようなことをやりながら、当面それをしのいでいく、こういうことでございますが、基本的には公害防除の土地改良事業を計画的に進めていくということで、順次計画を県では作成しておるわけでございます。  それから、いまの客土の問題でございますが、私の方といたしましては、できるだけ客土材料を広範な地域から調査によって見出していくということでございますが、客土量が十分ない場合につきましては、いろいろな工法を組み合わせて、客土量を少なくしてもカドミウム米の発生をできるだけ少ないようにしたいということで検討をしておるわけでございます。
  165. 古寺宏

    ○古寺委員 そうしますと、いまの平鹿地区の場合は八百ヘクタールが対象地域だとおっしゃいますが、あと何年したら土地改良が完了しますか。いままでのように地域を指定して、そして土地改良をやっていくと、何年したらこれは全部完了しますか。
  166. 山極栄司

    山極説明員 平鹿地域計画あるいは事業が何年ぐらいかかるかというお尋ねでございますが、いままだ計画が全体として固まってきておりませんので、何年ぐらいかかるかということは申し上げられませんが、できるだけ可能な――百ヘクタール近くになるかもわかりませんけれども、県の方といたしましては年次計画を立ててできるだけ促進を図りたい、こういうことで進んでいるわけでございまして、何年までということは、いまの段階ではちょっと申し上げられる段階ではございません。
  167. 古寺宏

    ○古寺委員 大体土地改良とか防除事業を地方自治体だけに任せるというところに問題があると思うのですよ。やはり工法の問題にしましても調査の問題にしましても、もう少し農林省なり各関係省庁が積極的に応援をしてあげませんと、この土壌改良事業は進行しないわけでございまして、平鹿地区の場合には、現在の進行のスピードでまいりますと百年以上かかる、こう言われているわけです。その間、毎年カドミウムの汚染米と準汚染米が出てくるわけです。そういうことをいつまでも繰り返している、こういう全く無策な行政では私はいかぬと思うのですが、こういう点につきましては、環境庁ももう少し積極的に土壌汚染の対策には取り組んでいただかなければならぬと思うわけなんですが、かねてから、環境庁では土壌の環境基準を設定するということを前から申しておられましたが、この点につきましては、現在どういうふうになっておりますか。
  168. 松居努

    ○松居説明員 お答えいたします。  公害対策基本法には、国は土壌について環境基準を定めるということになっておるわけでございます。ただ、土壌汚染につきましては、その環境への影響の仕方が、土壌の種類、たとえば土壌の母材だとかあるいは化学的性質、さらにはPH等、さらには汚染源の種類なり土地利用の態様によりまして非常に複雑な面がございます。一方、人の健康問題さらには生活環境との関係につきましても、なお科学的知見の十分でない点がございますので、これまでのところ農用地についてカドミウム、銅及び砒素についての土壌汚染対策地域の指定基準を定めておりますものの、環境基準の設定には至っておりません。しかしながら、御指摘のように、土壌汚染にかかる環境基準の設定は環境行政上重要な問題でございますので、今後とも土壌汚染の実態の把握、土壌中の重金属等、有害物質環境に与える影響に関する調査研究の推進等に努めてまいりたいと考えておる次第でございます。
  169. 古寺宏

    ○古寺委員 そこで、局長さんがきょうはいないので本当に課長さんに申しわけないのですが、農林省にお尋ねしたいのですが、地域を指定するまでの一番最初に細密調査をやります。そして地域を指定するまでの順序について、ひとつ御説明をお願いしたいと思います。
  170. 松居努

    ○松居説明員 お答えいたします。  農用地につきましては、農林省の方で概況調査ということで毎年度調査地点を定めて観測調査をやっておられるわけでございますが、そのうち、特に問題の地点につきましては、環境庁の方で都道府県に助成金を出しまして、細密調査を実施しているということでございます。それで、各県では細密調査を実施した上、必要な場合には地域指定を行い、その指定された地域について対策計画を立て、事業を行うという仕組みになってございます。
  171. 古寺宏

    ○古寺委員 細密調査を行った後に防除計画というものをつくりますね。この場合の調査は何と言うのですか。
  172. 松居努

    ○松居説明員 対策計画の策定のための調査をやっておられる県があるかと存じます。
  173. 古寺宏

    ○古寺委員 この細密調査あるいは防除計画策定のための調査に対する費用は、これはどこが負担するわけですか。
  174. 松居努

    ○松居説明員 細密調査に必要な費用につきましては、環境庁の方が都道府県に対して二分の一の助成をしております。また、対策計画策定のための必要な経費については、農林省の方から助成されているということでございます。
  175. 古寺宏

    ○古寺委員 農林省はこの助成を年間どのくらい出しておりますか。
  176. 山極栄司

    山極説明員 土壌汚染関係予算でございますが、農林省関係といたしましては、一つは土壌汚染防止対策事業費ということで、重金属等の概況調査それから現地改善対策試験でございますが、これは、対策工法を検討する試験でございます。それから、いまお話のございました対策計画の作成費、これが合わせまして五十三年度の場合は六千八十二万八千円でございます。それから第二番目の小規模公害防除対策事業費がございますが、これは十ヘクタール以下の小さな事業でございますが、これが四千五百八十一万六千円、第三番目に休廃止鉱山関係のカドミウム吸収抑制土壌改良事業、これは溶燐とか珪カルでございますが、これは七千七百九十六万四千円。それから四番目には公害防除特別土地改良事業、これは十ヘクタール以上の規模のものでございますが、これは十億二千七百九十五万一千円ということで、合計いたしますと農林省関係は十二億一千二百五十五万九千円ということになっているわけでございます。
  177. 古寺宏

    ○古寺委員 地方自治体のお話を承りますと、この予算が非常に厳しいために、思うように調査あるいは計画の策定ができない、こういうことを申しているわけでございますが、その点はいかがですか。
  178. 山極栄司

    山極説明員 いま申し上げたような土壌汚染関係予算でございますが、私の方といたしましては、地元の方から要望がございますればそれを満たすようなかっこうでいままでやってきておりますので、お含み置きいただきたいと思います。
  179. 古寺宏

    ○古寺委員 国から承認になる以前においては、その予算は全部、地方自治体の県なら県の単独の予算である、こういうふうに私は承っているわけでございまして、その点につきましては、もう再三、農林省の方にも陳情もし御要望も申し上げているそうでございますが、ただいまの答弁とは全く実態は違うようですが、これはどういうわけですか。
  180. 山極栄司

    山極説明員 いま申し上げましたように農林省関係予算がございますが、調査関係につきましては私の方の予算ではございませんで、先ほどの範囲の予算が農林省の関係でございます。
  181. 古寺宏

    ○古寺委員 これは時間がもったいないけれども、土地改良計画予算、これはどこが持つわけですか。
  182. 山極栄司

    山極説明員 先ほど申し上げましたように十ヘクタール以下と十ヘクタール以上というふうに分けておりますが、その関係の事業費については先ほど申し上げた予算の中で執行するということになっておるわけでございます。
  183. 古寺宏

    ○古寺委員 今後その点につきましては、十二分に自治体の御要望を受け入れて、自治体任せでなしに、やはりこの予算を十二分に執行して、こういう改良事業が一日も早く進行するようにやっていただきたいと思います。  次は休廃止鉱山の問題について通産省に承りたいのですが、休廃止鉱山の後始末が非常に進んでいないようでございまして、各地でいろいろな問題が発生しているわけでございますが、第一次五カ年計画で終了いたしました休廃止鉱山に対する対策はどのようになっているのか、第二次五カ年計画はどういう計画の内容になっているのか、承りたいと思います。
  184. 檜山博昭

    ○檜山説明員 お答えいたします。  鉱業権者が不存在または無資力の休廃止鉱山につきましては、御承知のとおり昭和四十六年度から補助金制度を設けまして、地方公共団体の実施する鉱害防止工事に対し補助金を交付して、その円滑な実施に努めてきたところでございます。特に昭和四十八年度以降は金属鉱業等鉱害対策特別措置法に基づく基本方針に沿いまして緊急性を要する工事を優先的に実施し、計画的な工事の実施に努めてきたわけでございますが、この結果、昭和四十六年度以降五十二年度までに百十九億円、これは四十八年度からにいたしますと五十二年度まで百十五億円でございますけれども、その工事を実施してきたところでございます。なお、補助率は御承知のように四十六年度当初は三分の二でございましたけれども五十年度から四分の三、こういうふうになっておりますが、ただ基本的方針の策定後でございますが、鉱害規制の強化等あるいはその後の全国的な調査の結果、新たに鉱害防止工事を必要とする鉱山が増加した、こういったような理由によりまして五十二年度末現在でなお相当工事量が残っている、こういうふうになっておりますので、先月、五十三年三月ですが、基本方針の改定を行いまして新たな五カ年計画を策定したところでございますけれども、今後はこの基本方針に沿って五十七年度末までに所要の鉱害防止工事を完了する、こういうふうになっております。ちなみに金額で申し上げますと、四十八年から五十二年度の実績は、これは先ほど申し上げました数字ですが百十五億、それに対して五十三年から五十七年の計画額は約百七十五億、こういうふうになっております。
  185. 古寺宏

    ○古寺委員 この通産省の計画を見ますと、非常に簡単な金額のみをお書きになった計画になっているわけなんです。  それでお願いしたいのは、第一次五カ年計画で、全国何カ所でありますか、いままでおやりになった各休廃止鉱山単位の、どういう事業をおやりになって、予算がどのくらい、経費がどのくらいかかったのか、こういう計画書。それからさらに今後行われますところの五十三年以降五十七年までの第二次五カ年計画のいわゆる百七十五億の予算の内訳でございます。この計画につきまして、何か私、そういう計画書があるのじゃないかと思うのです。こういう簡単な通産省の告示だけでこれが計画書でございます。こう言われても具体的にちっともこっちはわからぬのでございまして、そういう具体的な計画書の資料の提出をぜひお願いしたいと思うので、委員長、そのように取り計らっていただきたいと思いますが、いかがですか。
  186. 久保等

    久保委員長 政府、いかがですか。
  187. 檜山博昭

    ○檜山説明員 先ほど百七十五億の計画お話を申し上げましたけれども、私どもの方といたしましては、この枠の中で県と協議しながら緊急性のあるものから予算の範囲内で順次実施していく、こういうふうなことになっておりますので、現在その内訳をお出しするというわけにはまいらぬわけでございます。
  188. 古寺宏

    ○古寺委員 私がどうも不可解なのは、それでは、昭和五十三年から五十七年までの百七十五億円というのは、いわゆるどんぶり勘定と申しますか、これだけの枠を取っておいて、そしてその枠内で休廃止鉱山に対するいろいろな事業をこれから進める、そういう意味でございますか、いかがですか。
  189. 檜山博昭

    ○檜山説明員 私どもの方にはある程度の積み上げの内訳はございますけれども、それは今後の情勢の変化その他いろいろございまして不確定な要素もございますので、先ほども申し上げましたようにお出しできない、こういうふうなお答えを申し上げた次第です。
  190. 古寺宏

    ○古寺委員 どうもこれは、また出さないのであれば出すまでやりましょうけれども……。  そこで、次へ参りますが、北上川清流化対策の問題として松尾鉱山の問題がございますが、この新中和処理施設、これは現在どこまで進んでおりますか。
  191. 檜山博昭

    ○檜山説明員 お答え申し上げます。  松尾鉱山の鉱害防止対策につきましては、御承知のように北上川水系汚濁対策各省連絡会議の決定に基づきまして、昭和五十一年度から通産省の休廃止鉱山鉱害防止工事費補助金制度によって新中和処理設備の建設が進められておるわけでございますが、昭和五十五年度までに五基を完成する予定でございまして、今年度は十一月ごろになろうかと思いますが、そのうち一基完成する、そして試運転を行なう、こういうふうなことになっております。
  192. 古寺宏

    ○古寺委員 五系列のうち一系列が十一月完成ということでありますが、総体の予算と一系列完成する今年度の予算幾らになっておりますか。
  193. 檜山博昭

    ○檜山説明員 お答え申し上げます。  年度別に見まして、五十二年度、昨年度の工事額は八億四千八百万でございまして、五十三年度は十五億九千六百万、五十五年までのトータルの額は六十五億五千万、こういうふうになっております。
  194. 古寺宏

    ○古寺委員 そこで施設の管理の問題でございますが、一系列年間管理費は大体どのくらいかかるのか、そして管理は一体どこが担当しておやりになるのか、承りたいと思います。
  195. 檜山博昭

    ○檜山説明員 管理関係でございますが、五基で年間五億円というふうに聞いております。  管理主体の問題でございますが、その点につきましては、先ほど申し上げました連絡会議その他これから検討しなければならない問題じゃないか、こういうふうに考えております。
  196. 古寺宏

    ○古寺委員 私は、管理は当然、いままで監督の責任に当たってきた通産省が管理をし運営していくべき問題であるというふうに考えますが、いかがですか。
  197. 檜山博昭

    ○檜山説明員 そのようなお考えもあろうかと思いますが、環境庁を中心にこの問題について、これから検討に入りたい、こういうふうに考えております。
  198. 古寺宏

    ○古寺委員 次に、農林省にお伺いしますが、青森県の大鰐町に虹貝川という川がございます。この上流に現在、灌漑水用のダムを建設中でございますが、そのダム建設中にロックフィルダムで岩石をたくさん使っているうちにマンガンがたくさん溶出をしてまいりまして、そこから上水道の水源として水を取っておったんですが、飲用不可になったというような問題が起きておりますが、この点につきまして、農林省からその内容について事情を説明していただきたいと思います。
  199. 須恵務

    ○須恵説明員 お答えを申し上げます。  早瀬野ダムは農林省の国営の平川農業水利事業の水源施設として一級河川岩木川水系平川の支流、ただいま先生指摘の虹貝川の上流の大鰐町早瀬野地点に築造されました高さが五十六メートルのロックフィルダムでございます。昭和四十八年八月に工事に着手をいたしまして、昭和五十年七月以降、本体の盛り土を開始しまして、現時点で大体七〇%盛り土ができ上がっております。  御指摘のとおり、早瀬野ダム工事のために虹貝川のダムサイトの下流の水素イオン濃度、PHでございますが低下をいたしまして、マンガン、鉄等についても河川の中へ溶出してくるのが認められております。大鰐町の水道の取水地点で五十三年四月の観測でございますが、水素イオン濃度にいたしまして五・九、マンガンが二・〇五ppmという観測が行われております。この原因は、早瀬野ダム築堤材料の岩石等に含まれている黄鉄鉱を中心にいたしました硫化鉱物の酸化による水素イオン濃度の低下と、硫化鉱物、マンガン等の河川水への溶解浸出であるのでありますけれども、それがそれぞれ相乗的に関連し合いまして、さらに鉄バクテリアがこれに働きまして予想外の水質悪化を来したというふうに考えられております。  農林省としましては、専門家によります早瀬野ダム環境対策検討会というのを設置をいたしまして、原因の解明と対策の検討を行ってきております。とりあえず酸性中和の応急策でございますが、河川への石灰石の投入、それから中和プラントを設置いたしましてダム堤体からの浸出水を中和するということをいわゆる暫定措置としてやってやっております。  それから、抜本的な対策といたしましては、ダム堤体表面を覆ってしまう、被覆です。それから原石山の跡地や仮設道路のカット面や盛り土をやはり覆って処理をする、それから浸出水の中和処理のため永久的なプラントを設置する。それから休廃止鉱山の坑口を閉塞する、こういったことを早瀬野ダム環境対策検討会の方針に従いまして、五十三年度から早急に実施する考えでございます。  大鰐町の上水道につきましては、水源切りかえの補償協定を去る二月下旬に大鰐町との間に取り交わしたところでございます。それから、漁業や乳牛等に被害を受けた事例が出てございますが、現在、補償の話し合いを進めているところでございます。
  200. 古寺宏

    ○古寺委員 この早瀬野ダムのございますところの虹貝川の上流には、休廃止鉱山は幾つございますか。
  201. 須恵務

    ○須恵説明員 私の方で押さえておりますのは、坑口五十九カ所という数が押さえられております。
  202. 古寺宏

    ○古寺委員 坑口が五十九カ所、埋設しているものが四十三、閉塞工事を終わったものが五、開口しているものが十あるのです。こういうような休廃止鉱山があって鉱害が明らかにはっきりしている地点に灌漑用のダムをつくらなければならないというところにぼくは不思議を感ずるのですが、どういうわけで――灌漑用水というのは大体鉱毒のない、鉱害のない水を灌漑用に使うわけでございましょう。農林省、どうなんですか。
  203. 須恵務

    ○須恵説明員 灌漑用のダムの調査をする場合には、一応築堤をするダムサイトあるいは築堤材料、これらについて非常に広範囲に調査をいたしまして、先ほど申し上げましたフィルダムというダムのタイプは築堤材料あるいはダムサイトによりまして非常に自由な設計ができることになっておりますので、かなり広範囲にわたって材料とダムサイトの調査をいたします。それらを十分に吟味をいたしまして、最も安い、適した地点にダムをつくるということになるわけでございますが、この早瀬野ダムにつきまして、ダムサイトはかなり何カ所も比較をいたしまして決定をいたしております。それから築堤材料につきましてもずいぶんと調査の手を広げまして現在の採取地点を決めたという経緯がございます。ただ、この築堤材料の中にいまの硬化物質が若干含まれておるということはわかっておったのですが、これが今回出てまいりましたような非常に強い影響を及ぼすというふうには実は私どもの方では考えていなかったということで、現在のダムサイト並びに築堤材料の採取地点を決めたという経過がございます。
  204. 古寺宏

    ○古寺委員 このダムは、お聞きしますと相当の範囲にわたる流域の灌漑用に使われるという目的建設しているようでございますが、私は専門家ではないのですけれども、どう考えてみましてもむちゃなことをおやりになるというふうに感ずるわけなんです。今後、このダムが仮に完成されたといたしましても、やはりマンガンを多量に含んだ、あるいは酸性の水を全部解決するということは不可能に近い、こういうふうに専門家も指摘しておりますね。せっかくのダムをつくりましても、新しい鉱害に対する防除対策をやらない限りはこのダムは使用できないものと私は考えるのですが、いかがですか。
  205. 須恵務

    ○須恵説明員 お答え申し上げます。  将来いわゆる水質が非常に悪化するのではないかという御指摘でございますが、先ほども御説明申し上げましたとおり、ダムをある程度覆ってしまうという防護措置をとりますし、それから原石山等も露出面を吹きつける、あるいは捨て土を適当な方法で覆うというような十分な措置を加えることによりまして、専門委員会の先生方の御意見でも大体PHにして六・〇ぐらいまでには抑え得るであろうというふうに報告が出ておりますので、六・〇ぐらいに抑えられますと十分に活用可能であろうというふうに考えます。
  206. 古寺宏

    ○古寺委員 これは恐らくこれから大変な事態になると思います。しかも、地域的に申しますと、大鰐から弘前市、五所川原市、この一帯の水田が、皆さんこれは灌漑用に使う水でございますので、これはもう大変な鉱害の問題だというふうに私は考えます。  ここで、私が申し上げたいのは、なぜ事前の調査を、いま盛んに言われておりますところの環境アセスメントをきちっとやって、そして、こういうような結果の出ないように対応できなかったかというのが非常に残念なんです。それからもう一つは、これだけの休廃止鉱山がありながら、こういう問題について全然農林省とよく協議をしなかった通産省にも私は責任があると思うのですが、通産省はこのダム建設に当たって何か農林省に助言してくださったのですか。
  207. 檜山博昭

    ○檜山説明員 助言したかしなかったか、私ちょっと存じておりませんが、後ほどお答えしたいと思います。
  208. 古寺宏

    ○古寺委員 それから、水道水も、これは上水道がだめなんです。きょうは厚生省はそっちの方はいらしてないですね。これも大変なんでございますが、この上水道については農林省はどういうふうな対策をお考えですか。これは農林省の方で責任を持っておやりになるのですか。
  209. 須恵務

    ○須恵説明員 先ほどもお答えをちょっと申し上げたのですけれども、水源切りかえにつきまして大鰐町と協議が調っております。やはり抜本的には水源を切りかえて現在の虹貝川の水を飲まないようにした方が完璧であるということから、大鰐町に上水道の切りかえを農林省の補償工事としてやっていただくという方法をとる考えてございます。  なお、その水道切りかえの時期でございますが、これが八月ぐらいまでかかる、七月いっぱいぐらいまでかかる予定でございますので、それまでの暫定的な措置といたしましては、大鰐町にお願いをいたしまして、ソーダ灰の注入によるPHの調整等、浄化対策の強化を図っていただいておりまして、給水の水質にとりあえず支障はないというふうに聞いております。
  210. 古寺宏

    ○古寺委員 この休廃止鉱山については、通産省の方でも早急に調査をいたしまして鉱害の防除対策というものを講じていただきませんと、これは上流にたくさんあるのですから、いつ大雨になって大変な事態が発生するかわからぬような状態なんです。ですから、この問題につきましては、今後十二分に関係省庁が連絡をとり合って、いま水道の問題、灌漑用水の問題をお話ししましたが、水道は切りかえましても、家畜の用水もあるのです。そういう問題についても現地の方々は非常に心配をしております。  なお、早瀬野という部落がございますが、ここの部落の井戸水から相当マンガンが出たり、汚染されているようでございますが、井戸水の方の対策はどういうふうになっておりますか。
  211. 須恵務

    ○須恵説明員 ただいまのところ、私いまの井戸水の被害についての報告を聞いておりませんので、至急調査をいたしまして適切な処置をとりたいというふうに考えます。
  212. 古寺宏

    ○古寺委員 環境庁は、虹貝川の問題については何か御存じでございますか。
  213. 林亨

    ○林説明員 お答え申し上げます。  約十日ほど前でございましたが、青森県からこの虹貝川のダムの件につきまして報告書をちょうだいしております。リコピーいたしたものでございます。なお、私どもから一応県の公害課にも問い合わせて、概況については承知いたしております。  以上でございます。
  214. 古寺宏

    ○古寺委員 これは十日ぐらい前に始まった問題じゃなくて、もう四十八年から工事が始まりまして、それ以来恐らく徐々にこういうようないろんな鉱害が進んできて、それがたまたま問題になったのが昨年の一月ですかのころだったと思うのです。そういう問題でございますので、環境庁もぜひひとつ調査をしまして、十分に農林省とも連携を密にして、この対策考えていただきたいと思います。  次に移りますが、青森県の下北郡に川内町というのがございます。そこには安部城鉱山とか大正西又鉱山というような休廃止鉱山、それから大揚鉱山と申しましてこれは日東金属の所有になっておりますが、こういう休廃止鉱山によりまして相当カドミウムや銅による汚染が進んでおりまして、環境庁の委託調査による細密調査等の結果を見ましても、玄米の中に一PPm以上の米が相当出ているようでありますし、非常に現地にはいろんな健康を阻害されている方々もいるようでございますが、この対策が一向に進んでいないようでございます。この点について、通産省いかがですか。
  215. 檜山博昭

    ○檜山説明員 お答えいたします。  上北鉱山の鉱害防止対策につきましては、金属鉱業等鉱害対策特別措置法に基づきまして鉱害防止事業計画を提出させ、緊急度に応じまして青森県と協議の上鉱害防止工事の促進を図らせておりまして、所要の鉱害防止工事は順調に進んでおる、こういうふうに考えております。  それから第二の、下北川内鉱山の鉱害防止対策でございますけれども、これは昭和五十年度より休廃止鉱山鉱害防止工事費補助金制度によりまして工事を実施してきておりまして、五十三年度中には工事を終了する予定でございます。  なお、御参考までに工事額を申し上げますと、五十ないし五十二年度では三・七億円、五十三年度では一・一億円、合計四・八億円、こういうふうになっております。
  216. 古寺宏

    ○古寺委員 上北鉱山は後でゆっくりお聞きしますが、現在、大正西又鉱山、これはまだ全体計画のために調査中なんですね。それから大揚鉱山というのは、一人監視員がおりまして、石灰で中和をすることになっているのですが、ほとんどたれ流しの状態になっております。その点はいかがですか。大正西又はいつ休廃止鉱山としての鉱害防止事業をおやりになるのか、また、大揚鉱山の現在の鉱害対策、これは非常にずさんな処理がなされているわけでございますが、この点についてはどういうような対策をお考えになっているのか、承りたいと思います。
  217. 檜山博昭

    ○檜山説明員 第一の大正西又鉱山でございますが、これにつきましては、五十六年度鉱害防止工事を完了する予定になっております。もう一つの鉱山の方につきましては、十分な監督をいたしまして鉱害防止に万全を期したい、かように考えております。
  218. 古寺宏

    ○古寺委員 この地域の細密調査環境庁がおやりになったわけですが、どうでございますか。
  219. 松居努

    ○松居説明員 川内町につきましては、昭和四十八年度において約二百三十ヘクタールについてカドミウム、銅についての調査をやっております。
  220. 古寺宏

    ○古寺委員 その内容について、指定地域になり得るのかどうか。
  221. 松居努

    ○松居説明員 川内町につきましては、一ppmのカドミウム米が検出されております。なお、銅につきましても最高一二五ppmの指定基準以上の土壌中濃度が検出されております。  県では現在、対策と並行して、一応われわれが聞いている範囲では、五十三年度中には地域指定を行っていきたいというふうに聞いております。
  222. 古寺宏

    ○古寺委員 最近――最近というか、昨年でございますか、水質あるいは底質等の結果を環境庁に報告をしているわけでございますが、これは内容はどのようになっておりますか。いまのは昭和四十八年の調査でございますが、昨年ですか、調査をしたその内容はどうなっておりますか。
  223. 松居努

    ○松居説明員 われわれの方では、昭和四十八年度に細密調査をした後、土壌調査については、調査は実施していないというふうに聞いております。あるいは底質については詳細に把握しておりません。
  224. 古寺宏

    ○古寺委員 水の方はどうですか。
  225. 林亨

    ○林説明員 お答えいたします。  先生のおっしゃいます地域につきましてつまびらかにいたしておりません。なお、帰りまして当該地域の水質及び底質について報告があったかどうかは調べてみます。
  226. 古寺宏

    ○古寺委員 報告をしているそうでございまして、私、その内容をお聞きしましたところが、環境庁の方では、まだ発表してはいかぬ、現在、内容を分析検討中なので発表してはいかぬ、こういうふうに言われたので、その内容については私に教えるわけにはいかぬ、こういうふうに言われてきたわけでございますので、環境庁に来ているわけでございますから、それをきょうはお持ちでないようでございますので、後ほどその内容について私の方に報告をしていただきたいと思いますが、いかがですか。
  227. 林亨

    ○林説明員 ただいま先生のお申し越しの分につきましては、帰りまして、中で検討いたしましてお返事いたしたいと思っております。
  228. 古寺宏

    ○古寺委員 次は食糧庁にお尋ねしたいのですが、この川内地区で毎年収穫されておりますところのお米でございますが、これはどういうふうになっておりますか。
  229. 松岡将

    ○松岡説明員 ただいま当該地区についての資料を持ち合わせてございませんが、昭和五十年産米で、青森県におきまして五トンのカドミウム含有米を購入している状況にございます。
  230. 古寺宏

    ○古寺委員 昭和五十二年ですか。
  231. 松岡将

    ○松岡説明員 五十年産米でございます。
  232. 古寺宏

    ○古寺委員 それ一回でございますか。
  233. 松岡将

    ○松岡説明員 昨夏とれました五十二年産米につきましては、現在、買い入れが進行しておりますが、一トン程度ではないかというふうに見込まれております。
  234. 古寺宏

    ○古寺委員 次は六価クロムの鉱滓の問題でございますが、東京都それから市川市、北海道の栗山町ですか、処理の費用負担が一体どういうふうになっているか、お尋ねしたいと思います。
  235. 信澤清

    信澤政府委員 まず、北海道の栗山町でございますが、ここでは、当面、北海道それから栗山町それから企業の日本電工でございますが、この三者で三分の一づつ費用負担をするということで事業が進んでいるように承知をいたしております。ただし、道としては全額企業が負担すべきではないかという考え方をお持ちのようでございます。  それから、東京都及び市川市でございますが、これにつきましては、すでに御案内のように、応急対策は企業の負担で実施をしたわけでございます。問題は恒久的な処理対策についてどうするかでございますが、都なり千葉県のお考えは、全額を企業に負担をしてくれということを申されておるようでございますが、会社側はこれに対して、そのとおりいたしますという御返事をしてない、こういう状況のように承知をいたしております。
  236. 古寺宏

    ○古寺委員 六価クロム鉱滓による健康被害の調査の内容はどうなっておりますか。
  237. 山本宜正

    ○山本(宜)政府委員 お答えいたします。  北海道、山形県、埼玉県、千葉県、東京都、広島県、徳島県の七都道県における六価クロム化合物含有鉱滓の埋め立て等に係る地域住民の健康調査が現在までのところ地方自治体の手で行われているところでございます。その結果によりまして、現在までのところクロムによると思われる健康被害というものは見出されてなかったという報告をいただいているわけでございます。
  238. 古寺宏

    ○古寺委員 六価クロム鉱滓の処理方法について、技術的指針であるとか指導をどのようになさっているか、承りたいと思います。
  239. 神戸芳郎

    ○神戸説明員 お答えします。  環境庁といたしましては、昭和五十年の九月に、専門家によりましてクロム含有廃棄物問題技術検討委員会というのを設置いたしまして、この問題に関します技術的な諸問題を検討してまいりました。そしてその結果を関係の自治体、これは十府県ございますけれども、その自治体に示しまして、その処理対象に遺憾なきょうということを指示してきたところでございます。各自治体では、この技術的検討結果を参考にいたしまして、個別の埋立地の状況とか地域の実情、そういうものに即した措置をやってまいりまして、現在のところでは、御指摘にありました北海道の栗山それから千葉県の市川、それから東京都、これらのところは量が非常に多いものでございますから――それ以外の地域におきましては大体環境汚染の心配がなくなってきた。ところがこれらの量の多いところでは、応急措置は一応終わりましたけれども、恒久措置をめぐりまして、どうした、いいかということが、ただいま問題になっているわけでございます。
  240. 古寺宏

    ○古寺委員 残っている市川市と東京都の問題につきましては、何か費用の問題が大きな問題になっているようでございますけれども、この面について、やはり費用負担をどうするかということをきちんと整理をする必要があるのじゃないかと思うのです。こういう問題について中公審なりどこかに検討していただくとか、何かきちっとした負担のあり方というものをこの際明確にすべきであると思うのですが、いかがでしょうか。
  241. 信澤清

    信澤政府委員 御案内のように、公害防止事業については公害防止事業費事業者負担法というのがございます。したがって、この法律の対象になるものにつきましては、それぞれ準拠すべきいわば原則というものが定められておるわけでございます。お尋ねの六価クロムは、実はこの法律の対象になっておりません。したがって、いまお話しのように、費用負担の問題について地方公共団体と企業との間に問題が起きている、こういうことでございます。こういうような問題についてルールをつくるべきではないか、私はそのとおりだと思います。ただ、事柄が千差万別でございますので、すべての場合に当てはまるような尺度をつくるというのはなかなかむずかしい。特に今回の場合について見ますると、実は私ども自身がよくわからない点がたくさんございます。たとえば覆土に使った鉱滓は、会社側に言わせれば土地の所有者の希望によってやったのだ、こういうことを申しておりまするし、その場合に果たして企業責任があるかどうか、こういう点もあるわけでございます。したがって、先ほど御答弁いたしましたように、応急処理は会社の負担でやりましたからそれはそれなりに済んでいるわけでございますが、恒久対策についてはそのような事情を十分調べた上で処理する必要があるのではないか、このように思うわけでございます。しかし、ともかく考え方なりルールをつくるという方向で努力をしていきたいというふうに思います。
  242. 古寺宏

    ○古寺委員 次は、玉川ダムの問題についてお尋ねしたいのですが、建設省はおいでになるでしょうか。――この玉川ダムの進行状態について承りたいと思います。
  243. 栂野康行

    ○栂野政府委員 お答えいたします。  玉川ダムは雄物川水系にあるダムでございまして、洪水調節、灌漑用水、都市用水、それに発電という多目的ダムでございます。それで、五十年度から建設事業に着手しておりまして、ことしの一月に補償基準が妥結し、本年度から工事用道路、本体の準備工事に着手するということで、非常に順調に進んでおるダムでございます。
  244. 古寺宏

    ○古寺委員 このダム建設と同時に玉川温泉の酸性水の中和処理事業、この問題につきまして五省会議が持たれて、その窓口が環境庁ということになっていると承っているのですが、この中和処理事業については現在どういうふうになっているかお伺いします。
  245. 林亨

    ○林説明員 お答えいたします。  玉川温泉からの酸性水の対策につきましては、かねてから秋田県が石灰中和あるいは地下溶透というような方法で対処してまいったわけでございますが、施設あるいはいまの中和の方法が非常に半端と申しますか十分でないということで、たまたま三川ダムの建設を機にダムの所管省でございます建設省にも強く恒久的な中和処理対策、酸性水対策についてお願いをしているところだというふうに承知いたしております。  なお、秋田県は五十年に学識経験者から成ります玉川毒水対策に関する技術検討委員会というものをこしらえまして、ことし一月に最終答申と申しますか、酸性水対策の恒久的な方法につきまして答申を得ております。その内容といたしましては、石灰中和によります温泉水の全量処理という答申の内容でございます。環境庁といたしましては、四十八年九月以来、窓口と申しますか、一県、一省庁だけでも片づかない問題もございますのでいろいろお世話をさせていただいておるわけでございますが、これから具体的に事業主体とか費用の負担問題とかいうことにつきましては、関係省庁及び第一次的には県でございますが、連絡をとりまして、具体化にお役に立てばということで努めてまいりたいと考えております。  以上でございます。
  246. 古寺宏

    ○古寺委員 この玉川ダムの中和処理対策と並行しまして、現在、田沢湖へ酸性水が流れております。これは戦時中に国策として発電所をあそこへつくったために酸性水を田沢湖へ持っていった。そのために、かつては魚がすんでおった田沢湖が現在はもうほとんど魚のいない田沢湖になってしまったわけでございますが、この際、田沢湖をもう一遍昔の田沢湖に復元するためにも、この中和処理対策を行うと同時に、現在田沢湖へ注入しておりますところの水を田沢湖には入れないで何とか田沢湖を蘇生させていただきたいし、さらにまた、仙北平野の年間の水田の減収だけでも約八億円の被害があるというふうに言われているわけなんですね。ですから、田沢湖を蘇生させる意味におきましても、また仙北平野の生産者の米の生産に対する被害を除去する意味におきましてもこの対策はぜひひとつ進めていただきたいと思うわけですが、そういうことも計画の中に含まれておりますですか。
  247. 林亨

    ○林説明員 お答え申し上げます。  環境庁が先ほど先生おっしゃいました各省の連絡会議の窓口と申しますかお取り持ちをいたしております立場から、関係省庁とよく図りまして、今回、玉川ダムにも、特定多目的ダムということでございますので、灌漑用水の供給、あるいは先ほど河川局長からもお答えになりました都市用水等もございます。それで、田沢湖につきましては戦時中の河水統制事業のときの経緯もございますし、また今後の仙北平野の農業用の灌漑の利水の形態、態様というようなことも関係省庁及び県と十分詰めまして、田沢湖の水質の回復ということについては努めてまいりたいと思います。ただし、田沢湖は昭和十五年ごろからだったと思いますが、河水統制事業でそういった酸性化が始まったわけでございますが、今日に至るまでかなりの年数が、三十年余たっておるわけでございます。したがって、回復にも一気に回復ということはなかなかございませんので、やはり気長に、そして一番賢い方法で回復を図って、元来の田沢湖の望ましい水質というものを取り戻したいと考えて、それに向かって努めてまいりたいというふうに考えております。  以上でございます。
  248. 古寺宏

    ○古寺委員 時間がありませんので、最後に上北鉱山の問題について通産省に申し上げたいと思いますが、昨年の八月の大雨の際には、上北鉱山の雨量は百六十ミリでございます。そして、その際のいろんなデータを見ますというと、非常に危険な状態にあるわけでございまして、持越鉱山の例もあるわけでございますので、今後、鉱害の防止計画につきましては、やはり当初の計画どおりに進めていただきたいと思いますし、さらに、総点検を、もう一遍見直しをする必要があるのではないか、そういうように私、考えております。きょうは詳しい一つ一つの問題については申し上げませんが、非常に危険な状態にございます。さらに、坪川の流域の上原子地区あるいは桧川地区等につきましては、ある程度の土壌の細密調査が行われましたが、それ以外の地域については、一遍もまだ調査が行われていないわけです。それから、坪川ダムには相当の鉱津がもうすでに蓄積をされておりまして、この問題につきましても、やはり今後その対策を十分に考える必要があろうかと思いますので、これらの点について、先ほどは上北鉱山は非常によく鉱害防止計画をやっておって、心配がないというような御答弁をあなたはなさいましたが、これはまことに遺憾な答弁でございまして、どうか実態をもう少し詳しく認識をしていただいて、将来禍根を残すことのないように、いままでいろいろ鉱害によって住民は被害を受けてこられたわけですから、そういうことを二度と操り返さないためにも、しっかりした鉱害の防止計画というものをこれからさらに一段と進めていただきたいと思いますが、いかがですか。
  249. 檜山博昭

    ○檜山説明員 調査をいたしまして、県の方とも十分協議し、先生の御趣旨に沿うように努めたい、かように考えております。
  250. 古寺宏

    ○古寺委員 大臣、いま、一連の土壌汚染の氷山の一角でございますが、いろいろ取り上げてまいりましたが、今日、なお、この休廃止鉱山の対策というものは非常におくれておりますし、そのための汚染米が年々出てまいるわけでございますので、どうか政府としても、こういう汚染米に対する対策として、一日も早く土壌汚染の防除事業を積極的に進めるようにお願いしたいと思いますが、大臣の御決意を承って、終わりたいと思います。
  251. 山田久就

    山田国務大臣 健康上の問題にも非常に関係する問題でございます。御趣旨の線に沿って、できるだけ関係各省とも連絡をとりながら尽力いたしたいと思います。
  252. 古寺宏

    ○古寺委員 では、終わります。
  253. 久保等

    久保委員長 次回は、来る二十一日金曜日午前十時理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時二十四分散会