○橋本(道)
政府委員 いまの
先生の御質問の
関係で、
公害健康被害補償法の方からは保険部長から答弁がございましたが、われわれの
大気汚染防止の
関係の、いまちょうど判定条件というのをやっておりまして、近く出てまいりますが、
影響の
関係でどう見ているかということも若干つけ加えて御説明しておいた方がいいのではないかということで、私、いま出てまいったわけでございます。
四十八年に補償法をつくりますとき、私、これを担当いたしましたが、そのころの
汚染は、西淀川も全部が
汚れておった、
ばいじんも
汚れておる、SOxも
汚れておる、NOxも全部
汚れておる、そういう時期でございます。その中で幸いSOxはかなりよくなってきた。しかしながら、
ばいじんはまだ決してそういいと言えるようなところではない。
日本全国が窒素酸化物だけを目のかたきにしておりますが、実は
ばいじんの
汚染の状況というのは、教育で言えば義務教育みたいなシンプルなものですが、これは
日本は非常に劣っております。その関心が余り出ないのですが、実はそれがまだ非常に悪いのが残っておるということで、西淀川を指定したときには確かにSOxを使いました。SOxを使いましたが、西淀のその当時の実態というのは、指定したときにはいずれもが
汚れておったというところであります。いま
議論になっておりますのは、
ばいじんも
汚れてない、SOxも
汚れてない、NOxが高いところがどうかということの
議論になっておるわけでございまして、これはもとの歴史をたどってみてもそういうのがない、ただ、NOxだけが高いというところでどうかということを確めようと思ってやったのが、
一つは沿道調査でございます。沿道調査でやりますと、年平均〇・〇五ぐらいのところで、どうも見てはよくはないが、悪いとぴしゃっと言い切るような科学的な断言ができない。アメリカも同じような調査をしております。やはり年平均〇・〇五ぐらいのところで、少し高いけれ
ども、いろいろな
汚染物質があって、これがNOxだけだと断定できない、同じような状況になっております。
そういう点で、いまはバランスが違っておるがもとはみんなが悪かったというところは、いままず全部指定
地域にかかってしまっています。ですから、西淀川の場合も指定
地域にかかってしまっておるのです。けれ
ども、いまの西淀の
汚染が、それではあるいはすごくいいか、もう文句はないかと言われると、これはまだ確かに
ばいじんが悪い、それからNOxが、まだ年平均〇・〇四をちょっと超えるぐらいのところで、まだ悪いところです。決してこれでいいとは全く思っておりません。ですから、そういう点で
影響はあるやもしれないということは
考えられますが、それでは年平均〇・〇四というようなところで補償に値する患者さんが多発するかというと、それはとうていそういうところには言えないというのが現在の知見でございまして、そこらは、私
どもの方はクライテリアでそれを整理しておりますし、補償法の方では、それではNOxだけが高かったところはひっかかるか、ほかのものは全部低い、NOxだけでもひっかかるか。アメリカの資料を見ますと、年平均が〇・〇八か〇・一ぐらいになると恐らく
日本でもひっかかるのじゃないかと思います。しかし、
日本じゅうを探してもそんなところはありません。ですから、そのような問題は
日本の問題ではないわけです。そうすると、
日本で問題になっているのは、年平均〇・〇五ぐらいのところです。〇・〇五ぐらいのところはどうもちょっと、傾向としては高そうだが、統計的にも言い切りができないという状態であります。
それで、そういうところで今度は
ばいじんとSOxとNOxの三つが一体どんなぐあいに
関係し合っておるのであろうかということの手がかりとして六
都市、五年をやったわけであります。あれを見ますと、
ばいじんとSOxが下がって、NOxがある程度上がって、水平になっても有症率は下がった、こういうデータがあります。そういうようなデータでありますが、しかし確かに相関はある。相関はあるということですから、別に
関係がないとは言い切れないが、どうも見てみると、まだ
ばいじんは相当高い、SOxはまだこれは少し高いぞという状況であります。
ですから、そういう点でまだ複合
汚染としてのあいまいもこたる言い方しかできないので、いま
先生のおっしゃるように、すべてをNOxに結びつけて
議論をするというのは、現在の科学の
段階ではそういう
やり方はとれない、こういうことであります。