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1978-02-17 第84回国会 衆議院 公害対策並びに環境保全特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年二月十七日(金曜日)     午前十時三十分開議  出席委員    委員長 久保  等君    理事 相沢 英之君 理事 池田 行彦君    理事 登坂重次郎君 理事 林  義郎君    理事 島本 虎三君 理事 水田  稔君    理事 古寺  宏君       高村 坂彦君    戸沢 政方君       西田  司君    橋本龍太郎君       土井たか子君    坂口  力君       竹内 勝彦君    東中 光雄君       工藤  晃君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (環境庁長官) 山田 久就君  出席政府委員         環境政務次官  大鷹 淑子君         環境庁長官官房         長       金子 太郎君         環境庁長官官房         審議官     石渡 鷹雄君         環境庁長官官房         会計課長    高橋 盛雄君         環境庁企画調整         局長      信澤  清君         環境庁企画調整         局環境保健部長 山本 宜正君         環境庁自然保護         局長      出原 孝夫君         環境庁大気保全         局長      橋本 道夫君         環境庁水質保全         局長      二瓶  博君  委員外出席者         特別委員会調査         室長      綿貫 敏行君     ————————————— 本日の会議に付した案件  公害対策並びに環境保全に関する件(公害対策  並びに環境保全基本施策)      ————◇—————
  2. 久保等

    久保委員長 これより会議を開きます。  公害対策並びに環境保全に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。島本虎三君。
  3. 島本虎三

    島本委員 先般、環境庁長官所信表明がございました。まさによい文句でありまして、私も二回以上は読ましてもらったのでありますが、所信表明を勉強したことは、かつて余りありませんでした。今回、できはわりあいにいいようであります。  長官に、この件についてあえてお伺いしておきますが、この所信表明は、単なる長官考え方だけじゃなくて、この実行について大臣国会国民に約束したものである、私はそういうふうに受け取りたいのでございますが、そのとおりでよろしゅうございますか。
  4. 山田久就

    山田国務大臣 私の方針を端的に国会及び国民に対してお示ししたものとお受け取りいただきたいと思います。
  5. 島本虎三

    島本委員 これを読んでみまして、前回長官所信表明と大体似ているところもございますが、斬新だと思われる点がございます。それは連帯協調を強調している点でありますが、今回は特に「国際的な」という連帯協調を特に二回ほど使ってございますが、国際的な連帯協調というのはいかなる意図でございましょうか。前に大きくなったのでございましょうか、ぼやけたのでございましょうか。
  6. 山田久就

    山田国務大臣 われわれの直面している環境問題というものは、いわばこれは全地球的な問題であり、またそういう観点から問題に取り組んでいく必要がある、こう考えております。そういう意味において、今後の問題を考えていく視野の置き方、そしてまた現にそういう意味での国際協力関係は、これはOECDの中におきましても、あるいはIMCOという形で国連の形態の中におきましても、そういう点の協力関係発展途上国も含めて非常に進められておるところでござます。むろん二国間においては、日米関係あるいはカナダその他の国との関係がございますけれども、そういう広がりの視点で私はこの問題を考えていく、そこに連帯協調を求めてやっていくということが目的を達成する上で非常に重要であると考えておったので、その点に触れたような次第でございます。
  7. 島本虎三

    島本委員 その御意見前回までは余り聞かれなかった意見でありまして、その点はぜひとも長官として——全地球的なことを言う人はきらいだ、こういうような発言さえも飛び出したことのある委員会でありますから、それをいま逆に、全地球的な国際協力も必要だという考えに立たれたということ、私はそれを評価しておきたい、こう思うのであります。  それともう一つは、昭和四十九年六月五日に自然保護憲章が制定されているのであります。この自然保護憲章には各政党も参加して、NHKの大ホールでこれは行われたものであります。当時は皇太子夫妻も出席されておったのであります。登坂重次郎氏も出席し、それに対して意見を述べられておったのであるし、もちろん私も出席さしてもらいました。なかなかりっぱな意見であります。この中で、第三項は行政の中に取り入れる、こういうような約束をはっきり言明されたのでありまして、それは私はなかなか進歩的な言動だと思っているのであります。したがって、この自然保護憲章に対して大臣はどのようにお考えでしょうか。行政の中にこれを取り入れていきたい、こういうようにお考えでしょうか。所信表明の中にはございませんけれども、あえてこの点を伺いたいと思います。
  8. 山田久就

    山田国務大臣 御承知のように、自然環境というものはわれわれの人間生活と非常に微妙な連帯関係を持っているものでありますが、これを育て、はぐくむ母体である、こう言って差し支えないと思います。そういう意味において、非常に有識経験皆さん方が相集まって、それで憲章をつくられたということは、これを高く評価し、われわれとしてもこの憲章十分頭に置いて、そしていろいろ行政の上に寄与したいというふうに考えております。
  9. 島本虎三

    島本委員 よろしゅうございます。  長官、その中の第三項には、これはやはり重大な一つの項があるのであります。「開発は総合的な配慮のもとで慎重に進められなければならない。それはいかなる理由による場合でも、自然環境保全に優先するものではない。」こうあるのであります。当時、三木環境庁長官でありましたが、その後総理大臣にもなられたのでありますが、これを行政の中に取り入れる、このことをはっきり言明してございましたことを、この機会に長官にはっきり申し上げさしておいてもらいたい、こう思うのであります。  それで、話を進めさしてもらいたいと思いますが、昭和五十一年の十二月二十四日、これは福田内閣のキャッチフレーズとして、あの清新さ、この代表格として登場した昭和のトリオ、その一人が、最年少閣僚として注目された前石原長官だったわけであります。就任記者会見で、日本の愛する風土がゆがんでしまった、まほろば精神を強調され、当時は斬新な話題を提供してくれたのであります。いまその額は長官執務室に張られてございます。この一年間いろいろな話題も提供され、事件もありましたけれども、最後はついにタカのつめを出して退場した、私はそういうように承知しているのでありますが、第九代目の長官として、今度はその重厚さを買われて登場したのが山田長官であります。温故知新とも言われておりますし、調査なくして発言なし、こうも言われておりますし、人のふり見てわがふり直せ、こういうような言葉もあるようであります。この一年間、前長官の時代を振り返って長官としてはどのようにお考えでございましょう。そして今後はどのように対処する決意でございましょう。
  10. 山田久就

    山田国務大臣 私は、御案内のように、ずっと世界をあちこち行き、そして日本人自身、またわれわれというものを、そういうような広い立場で自分を反省し、そしてまたわれわれの生活考え、またわれわれの今後の生き方についていろいろ考えさせられる、そういう経歴の中に私は育ってまいりました。したがって、当時からそういう意味でこの環境問題というものについては大変大きな関心を持っておったようなわけでございます。いわば日本の持つこの恵まれた環境の中でわれわれの生命を公害から守り、そしてまた環境保全し、さらに進んで今後よりよい環境をつくるということのために、及ばずながら皆さん方の鞭撻とお知恵を拝借しながらがんばっていきたい、これが私の本意でございます。  前長官の件につきましては、私、批判は好きな方ですけれども、しかし、余り人批判はしないということを信条にいたしておりますので、その点はどうかひとつ御勘弁をお願いいたしたいと思います。
  11. 島本虎三

    島本委員 やはり批判と非難は違います。どういうような場合でもお互い批判し合って、そして向上を図り、そのものを育成し、伸ばしていく。非難するということは悪いんですが、お互いに反省し合うことはいいんではありませんか。そういうような意味で私も環境行政にはずっと今後も対処していきたい、こう思っている一人なんであります。  長官、私の場合には、この環境行政を点検する物差しというものもちゃんと持っていなければならないんじゃないかと思っているのです。いつでも場当たり的であってはならないと思っているのです。私にはいままで四つの判断基準と申しますか、要件があると思っていました。いまでもそう思っています。  その一つは、開発による環境破壊をどこまでストップをかけたか。第二番目としては、従来のppmどまり公害行政をどこまで引き上げたか、すなわち対症療法から未然防止にこれを引き上げたか、こういうような意味であります。第三番目は、住民環境保護運動期待や声にどれほどこたえることができたか、どう対処できたか、これが第三番目の物差しであります。第四番目は、財界、大企業、こういうようなものの圧力をどの辺まではね返せたか、これが私の持っておる物差しの四番目に該当するのであります。  したがって、第一の物差し開発による環境破壊をどこまでストップをかけることができたか、この問題に対して、この一年間をずっと見ておりました。  昭和五十二年一月には、多くの環境自然保護団体反対、こういうようなこともありました国立公園内の日光バイパス、この計画環境庁がお認めになった。昭和五十二年四月には、瀬戸内海環境保持とそれから自然保護観点から問題があるのじゃないかと言われた本四架橋の最悪ルート、児島・坂出ルート早期完成同意した。五十二年八月には、石油コンビナート中心の大規模工業開発基地計画むつ小川原開発計画これに同意を与えた。こういうような件が一年間にございました。そのほかに、ちょっと意外だったのは、町民のほぼ半数の反対があると言われた愛知県の中部電力の渥美火力、こういうようなのもお認めになった、その後トラブルがあるようでありますが……。そのほか五十一年度の火力計画が出たものに一〇〇%の同意を与えた。さらに埋め立てを原則的に禁止し、抑制すべしと、こういうようなことになっていた瀬戸内海の沿岸で、五、六カ所の大型埋め立て計画にこれも同意しようとしているということをわれわれは承っているのであります。  そうすると、これはまほろば精神とはまさに縁遠いのじゃないか、国土の破壊は急ピッチに進められかねないのじゃないか、まほろばどころか情緒豊かな日本風土をかき回すような行為になるのじゃないか、むしばんでしまうような結果を招来するのではないか、こう思われるのであります。これを長官として、前の一年間の行政をどのように評価されましょうか。当然とお考えになっておられましょうか。この辺に対しての見解をお聞かせ願いたいと存じます。
  12. 山田久就

    山田国務大臣 いまいろいろ御指摘がございましたけれども、御案内のとおりに、いろいろな開発計画環境関係、これは一つ基準により、またきわめて冷静にいろいろな判定を下さなければならぬものだという一般的な考えを私は持っております。  ただいまの御指摘の点、私といたしましてもいろいろ今後、その点についての評価等、あるいはまた、これから環境庁として評価するものも入っているやに考えまするけれども、ひとつ十分に考えさせていただきたいと思います。  ただ、いずれにいたしましても今日、環境問題というものと開発関係は、とにかく事が起こってということではなくて、事前に科学的、客観的な評価というものが一定の基準によって行われるということが一番望ましいことでもあるし、またそれが一番有効でもあり、効率的でもある、私はこう考えておるわけでございまして、かねて懸案のいわゆる環境アセスメント法、ああいうような環境評価の枠組み、制度、こういうものもぜひつくり上げるということによって、そういうものに最も合理的に対処するように努めたい、こう考えておる次第であります。
  13. 島本虎三

    島本委員 どうも長官、つかみようがなかったのであります。どういうふうに解釈したらいいのか、第一の物差しをもってして、長官のいまの御答弁では一体どういうふうに解釈したらいいのか、ちょっと困るのであります。しかしながら、もう少し長官としても、いままでの行き方、これを十分見て、今回の予算はそれ以上の今度は公共投資公共事業、こういうようなものを押しつけられますから、そこをはっきりしておかないと根本を誤ることになるのです。したがって、入る前に長官にこのことをひとつ提起しておいたわけなんでありますが、御答弁はどういうふうに受け取っていいのか、私ちょっとわかりませんが、ひとつこれは宿題にして、私の物差しにはまらなかったということにいたします。  第二の物差しであります。第二の物差し、すなわち従来のppmどまり公害行政をどこまで引き上げたか、これは対症療法から未然防止に引き上げたか、この行政結果であります。  これを見る場合に、従来の後追い行政対症療法どまり公害行政から公害未然防止を実現できる環境行政の確立が急務であるということを、長い間指摘されてきているわけです。長官もすでに御存じのように、水俣病対策一つ見てもこれがはっきりわかるじゃありませんか。本当にこれは予防対策、すなわち対症療法よりも未然防止、これが必要だったのであります。それを怠った結果がいま如実の例としてあらわれているのが、いま悩んでおられる水俣病対策ではございませんか。そうしてみると、そのための代表選手というのはちょっと言葉がおかしいのでありますけれども、これは環境影響評価法、いわゆるアセスメント法法制化だ。ところが、この問題については、歴代長官は出す必要を唱えております。三木総理大臣に至っては、環境庁長官のころから、総理大臣になって本会議の席でもこれを言っているのであります。しかし、依然としてできておりません。福田総理も、かつてこれを言ったのであります。今回は言っておりません。しかしながら、やはり環境影響評価、これこそがこの未然予防につながる立法なんであります。いま準備中だということを聞くのでありますけれども、環境庁事務当局の足を引っ張るような一つの動きが前一年間で見られたということを私は遺憾に思っているのであります。  開発メリット評価すべきだ、こういうような言葉が当然、長官の口から出ました。これは通産当局考え方が同じでありまして、法制化にはブレーキをかけ、経団連や経済界を喜ばしたことになってしまったわけであります。最後には福田総理におもねって法案をまとめ切れなかった、これが幕切れでございました。それだけではございません。他の省庁との間に渡り合って一生懸命やっていた総指揮官とも言うべき柳瀬企画調整局長を首にしてしまった。ちょうどそれは私が委員長のころであって、その理由一つさえ伺い得なかったのであります。  さらに、この環境行政は人の健康保護だけじゃなくて、生活環境の質を向上させる施策が必要である。そのためにこそ都市計画、それから土地利用計画、こういうようなものに鋭く切り込まなければならないはずであります。この面でも、この前一年間では、猪突といいましょうか、旅先で国土庁との併合論を打ち上げて、当然こういうものに対して、話し合いによって、ここまで環境庁としては手を入れないと環境を守り切れない、こういうようなことを、わかっていながら、これは猪突旅先での発言がついに閣議の中でも田津長官等にかみつかれたり、物議を醸したりして大事な問題でけんかをぶちかけた、こういうようなことになってしまったじゃないですか。私は、これは本当に残念なんであります。そして結果残ったのは、アメニティー懇談会をつくって、その中でいろいろ討議しただけで終わってしまったのであります。大事な問題に対して、それはもうそらしておいて、そしてどうということのない問題を残してしまった。こういうようなことは私は高く評価はされないんじゃないかな、こう思っておるのであります。  この前長官の一年間の指導性や清新さ、こういうようなものはほとんど現実の環境行政に出なかった。あなたはどう取り組み、どう環境行政にフォローするつもりでしょうか。アセスメント開発メリット評価するということを骨子とするか、基本的な考え方について、いまこの際、基本的ですから、長官、語るがごとくにお知らせ願いたいのであります。
  14. 山田久就

    山田国務大臣 アセスメントについての考え方は、先ほど島本委員に私の考え方をお話ししたつもりであったのですけれども、要は、環境保全ということがわれわれの任務ですから、したがって、それについての一つ基準ルールというものをつくり、そして事前にこれを評価にかけて、客観的、そして合理的にその評価が行われて、われわれの環境保全任務が建設的に達成されていくというような体制づくりをやるべきである、これが基本的な考え方でございます。  いろいろまだ問題があって進まない、こういう点は私も残念だと思っております。ただ、環境庁のこれまでの努力とも相まちまして、このアセスメント法、この一つの行き方というものがやはり基本的に必要だということについての認識は大分浸透してきたんじゃないか、楽観するわけじゃないけれども、私はそういうふうに思っております。ただ、あえて、私も役人生活なんというものをしてきておりますけれども、官庁の間の権限というものの調整ということは想像以上になかなかむずかしい点がある。これは、そのやり方についていろいろ意を用いなければならぬ点もあると思います。と同時に、またいろいろ抱えている各官庁仕事の態様というものが必ずしも部分的ではない。これは非常に長い道路建設というものをやっているものとあるいは工場とかその他の部分的な立地というものをやっているもの、あるいは水に大変な関係を持っているものと、いろいろ形態が違っておりますし、またすでにそういう半ばアセスメント的なものが法制化されているというような部門を一つの地ならしに持ってくるという仕事になってきますと、いろんな考慮があってやはりひっかかっているというのが、また外から見れば何をしているのだと言われるようなことかと思いますけれども、ひとつこの困難を克服するために尽力はいたしておりますけれども、そういうことのために手間取っておる。われわれとしては、何とかして日の目を見るようにこれをがんばっていきたい、実現を期したいということで尽力いたしておるような次第でございます。
  15. 島本虎三

    島本委員 この問題につきましては、前々回、前回から今回にかけて、出す出すと言っていながら出ていないのがいわゆる環境アセスメントなんであります。その中に、前回は、いま申し上げましたように、大事な点に対して一つ疑義が生じてきているわけであります。開発メリット評価すべきだ、これをはっきりと環境影響評価の中に評価すべきだ、こういうようなこともありますから、いまの長官としては、アセスメントはこの開発メリット評価するということを骨子にする考え方なのですかどうかと言うのですが、これはイエス、ノーでも答えられるのじゃございますまいか。
  16. 山田久就

    山田国務大臣 この環境影響評価というのは、やはり環境というものを保全して公害を予防していく、それから、長い目であるいは広い目でより快的な環境をということが問題の中の一つルール基準の決め方の実は骨子になっているものと思います。無論開発計画であるから、そういういろんなことをねらってやっていくのが開発一つ目的でございましょう。しかしながら、アセスメントというのは全く環境という見地からのルール基準の決定ということでございまして、いまお話しの、メリット評価という意味は、ちょっと私も、そういう発言があったかどうかということ、余り承知していないのですけれども、しかし考え方はいま申し上げたようなことが主であって、当然そのことで行われ、いろいろなことが考案されていくべきものだというふうに私は了解し、またそういうようなことで進めていきたい、こう考えております。
  17. 島本虎三

    島本委員 もし私が言ったようなことをそのままお認めになる場合には、自然保護憲章、この第三項に完全に違反することになるわけでありまして、この点は十分長官もお考えおき願いたいと思います。  第三の物差しであります。これは住民運動、そして環境保護運動、こういうような運動に、期待や声にどれだけこたえ、どう対処してきたかというこの一年間の反省、これであります。  私はこれを見る場合には、去年の二月でございましたか、例のテニス事件、こういうようなことがございまして、それ以来、環境庁は常時入門規制を実施するような、事実上、住民運動団体であるとか被害者との交流、これに門を閉ざしたかっこうになってしまったわけであります。歴代長官だれもしなかったことを行って、他の省庁もそれが波及したとさえ言われております。大体、環境庁はどういう役所なんでしょうか。これは住民運動に支えられて育ってきた住民サイド役所である、私はそういうように考えておるのであります。それだとすると恩をあだにしたということになりませんでしょうか。その理由一つとして、人前で話したくないという人のためにもそうしたんだというのであります。人前で話したくない陳情というものはどんな陳情でしょうか。むしろそれこそそこに問題があるはずじゃないかとさえ思われるのであります。住民運動などに入門規制をやる暇があるならば、当然、従来の開発行政における権力や企業の横暴にこそ総点検を下して、そして規制をすべきだ、こうさえ私ども思うのであります。  いま私のこの考え方は、環境庁ができて以来の私の考え方であり、いままでの長官はそれによってずっと筋を通してこられたのであります。前回は、これがいまのように閉鎖的になりました。これを長官はどうお思いでしょうか。それと同時に、記者クラブとの関係はどうなってございましょうか。あわせてお伺いいたします。
  18. 山田久就

    山田国務大臣 環境行政の大きな目標というものが、国民の健康、これを公害から守る、またわれわれ国民生活環境というものを保全していく、こういうことでございまするから、まさに国民生活と切っても切れない、そういう関係にあるものであるはずでございます。したがって、これについての忌憚のない国民意見、要望、こういうものは私は十分取り入れられてやっていかなければならぬ。これはいま島本委員指摘のとおり、当然大きな柱でなければならない、私はそういうふうに考えております。無論、中にはためにするための妨害あるいはほかの目的のための個人的ないろいろなことでの妨害などは排除されるということでなければならぬと思うけれども、本来は、いま申し上げたようなことでなければならないと思っております。そういうことで私も今後対処していくつもりでございますし、実は環境アセスメント法というものの非常に大事な一つは、つまり利害関係のある地元関係民の声を十分に反映さしていくということが最も重要な問題の一つになっている、またしようと思っているということでも、この間のことはおわかりいただけると思います。  環境庁いろいろ出入りの問題という問題につきましては、これはちょっと余談みたいなものですけれども、どうかと思って私もちょっと調べてみたところが、あそこに役所が三つか四つあって、その点、ほかの方は全くまた違うことでそう簡単にいかないんだというようなこともあるようでございますが、むきになるのもまたあれかと思いまして、そういう点は今後のことということに考えておりまするけれども、まあ国民自身の生活、これに密着したもの、その声を聞いていくことこそが大事な尺度でなければいかぬ、それに沿って行われるべきだという点、島本委員の御見識と全く一致しておりますので、どうかそのように御了承いただきたいと思います。
  19. 島本虎三

    島本委員 記者クラブとの関係はどうなっていたかと、具体的な問題の……。
  20. 山田久就

    山田国務大臣 記者諸君の大変な寛容なる御配慮によりまして、これまでのところ非常に円満にいけるような状態をつくっていただいておって、私も非常に感謝いたしております。
  21. 島本虎三

    島本委員 では第四の基準でありますが、これは、一年の間に財界や大企業の圧力をどこまではね返し本来の姿勢を保たれたかということであります。  これにつきましては、やはり何か、私は仄聞するのでありますけれども、青嵐会に所属する議員の選挙区の個別の開発問題を環境庁事務当局に持ち込まれ、圧力をかけられている例が幾つかあるということを承ったのであります。私は余り望ましくない——余りじゃありません、こういうようなことは望ましくないと思っているのであります。元来、環境行政は政治的圧力や干渉、こういうようなものを排除しなければ国民期待と信頼に沿い得ない、こたえられない、こういうような行政のはずでありまして、この第四の基準も私としては評価することはできない、こういうようなことになっております。  したがいまして、少し話を進めてみますと、この過去の一年間の環境行政を点検する物差しのどれ一つにもはまらなかったという私の結論になったわけであります。  今度はやはり長官としては、新しくこれは就任されましたし、その重厚さとその見識は世界に広まっておる、こういうことさえも聞くのであります。外交の面でもなかなかおやりになっているということを聞くのであります。今度だけはこの四つの物差しにはっきりはまる、この基準にはまるような行政をあなたの手ではっきりやってみせてもらいたい、このことを私は強く希望しておきます。受け入れてもらえましょうか。
  22. 山田久就

    山田国務大臣 ただいま島本委員から、御鞭撻と激励を得まして、感謝にたえません。不敏でありますけれども、むちうって、環境庁のこの使命と責任ということについては一生懸命になってやってまいりたいと考えておりまするので、ひとつ忍耐と寛容をもちまして御指導のほどをよろしくお願いいたしたいと思います。
  23. 島本虎三

    島本委員 次に、環境政務次官にお伺いしたいのであります。  昭和五十一年十月二十九日、当時の丸茂環境庁長官のもとに今泉正二政務次官がおられました。そして、昭和五十一年十月二十九日でありますけれども、瀬戸大橋の建設促進に関する陳情を受けられました。その際に、建設に反対するような議員には一票も入れなさんな、こういうような、建設政務次官かと思われるような答弁をして、そして昭和五十一年十一月四日、この席で丸茂環境庁長官から遺憾の意の表明があり、本人から釈明があったことを御存じでしょうか。
  24. 大鷹淑子

    ○大鷹政府委員 新聞で読みました程度には存じ上げております。
  25. 島本虎三

    島本委員 環境庁の政務次官は、最近往々にしてタレント性を帯びてきた。タレントと言われる人たちが政務次官に登場してくるような傾向ができてきて、失敗の第一歩がここにあったわけであります。そして、この昭和五十一年十月二十九日にやった発言に対して、十一月四日の本委員会で「去る十月二十九日の瀬戸大橋の建設促進に関する陳情に対する私の答弁は、環境を守るべき立場にある環境庁の政務次官として、まことに不穏当なものであり、深く反省をいたしているところでございます。」その他、この理由を三枚にわたって読み上げたのであります。あえて言うと、読み上げさせられたのであります。私は、あなたはそういうようなことをしてもらいたくないし、するような人じゃないと思います。見識はもっともっと高いものがあると思っております。また、動物愛護の点でも深くその道に精進されているということも聞いておるのであります。  私は、やはりタレントと言われる中にも環境保全環境庁の設置法を十分読んでこられまして、その趣旨に沿った行政を進める、いわば皆さんは長であります。一歩も踏み外してもらいたくないのであります。そういうような場合にはうれしいのでしょうか、往々にしてそういうようなことがあるのでありますが、あなたが就任されたときに、私のところに就任のあいさつが参りました。その就任のあいさつ状には、環境庁政務次官、参議院議員山口淑子とあるのであります。多分、大鷹淑子というのが任命された本当の名前じゃないかと私は思うのであります。大鷹淑子と書いて、もしわからなければ、そばに山口淑子と書いてあるのが常識じゃないかと思うのです。山口淑子の方が数倍字が大きいのでありますが、これは一つのタレント性じゃございますまいか。私は、あなたにこの道を踏み外してもらいたくないし、前例を踏襲しないでもらいたいからあえてこのことを申し上げたのであります。これに答弁させるのは酷のようでありますけれども、ひとつ、今後のために何か言ってもらいましょうか。
  26. 大鷹淑子

    ○大鷹政府委員 島本先生、確かに大鷹淑子として政務次官の拝命をいたしております。ただいまの先生の大変厳しい、また温いおしかりと申しましょうかアドバイスには、心から感謝申し上げております。  私ごとで弁解がましくなりますけれども、山口淑子という名前は両親がつけてくれました本名でございまして、それを何十年と使ってまいりましたこともございましてつい出てしまいますけれども、やはり大鷹というふうに、政務次官といたしましてはけじめをつけて、これから折り目正しくしていくことが当然であるということを、いま改めてお誓いをさしていただきたいと思いますし、また自然保護憲章を私の心ともし、またこれを使命といたしまして、これから一生懸命に環境庁のお仕事にがんばっていきたいと思っておりますので、ますます御指導いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
  27. 島本虎三

    島本委員 次に私は、本題に入って、環境庁当局の行政に対する一つ一つの事柄について伺いたいと思います。  五十三年度の総予算は三十四兆二千九百五十億円、一般公共事業関係は三四・五%のアップで一兆三千二百八十二億円増であるということを伺っておるのであります。環境予算の伸び率は来年度で九五%と、本年度の伸び率の一七%より七・五%も逆に下回っております。本年度予算の伸び率一七%に比較して少ないけれども、環境保全行政の推進の上からこれで十分やっていけるでしょうか、この点についての御所見を伺います。
  28. 山田久就

    山田国務大臣 御承知のように、今回、諸般の状況から、景気の回復、特に国内需要の拡大というようなことで公共事業関係の予算が非常に伸びて、その他について勢いいろいろな圧力を受けたというような結果になってまいっておりまして、その伸び率が御指摘のようなことになったことは大変遺憾であったと思います。にもかかわらずこの範囲内において、せいぜい与えられた使命、責任をひとつ一生懸命になってやりたい、こう思っておりまするので、どうかまた、そういう点についてはお力添えが得られれば非常にありがたい、こう思っております。
  29. 島本虎三

    島本委員 事務当局はこれでやれるのですか。
  30. 金子太郎

    ○金子政府委員 五十三年度予算は、編成方針といたしまして、公共事業等は大幅に増額いたしますが経常経費はできるだけ伸び率を抑えるということでございました。環境庁の予算は、御承知のとおり公害健康被害補償費用を除きましては事業費的なものはございません。調査的なものが多いわけでございますが、九・五%の伸び率の中でも水俣病対策費では五割以上伸ばす等、必要な経費は確保したつもりでございまして、私ども来年度の事業の遂行に支障はないと考えております。
  31. 島本虎三

    島本委員 必要な事業と言って、それは対症療法のことでしょう。もうすでに先取りが必要であって、事前予防が必要な段階だということは御存じでしょう。国の方でいま大型の公共事業をがんとやって、十五カ月予算で景気浮揚のためにいまやろうとしているのでしょう。それに対して、環境保全するために、公害を起こさないために、必要な経費できちっとこれをフォローするのでなければならないでしょう。事務当局、ただ念仏を唱えていてもだめなんです。この伸びはほとんどは下水道の伸びでしょう。環境庁は、本年度、閉鎖性の水域についての総量規制考えておられるでしょう。下水道について、特に閉鎖性水域面に関する地域に対してどの程度下水道の整備費が充てられているのですか。そういうような点等についてもきちっとフォローしているのですか。あるいは事務当局で打ち合わせができているのですか。ただ口でフォローしますとかできますと言ったって、あとは全部やれないで終わっているじゃありませんか。ただ口だけじゃだめなんです。具体的に御答弁願います。
  32. 金子太郎

    ○金子政府委員 先ほども申し上げましたように、環境庁の予算には事業費というものはほとんどございません。下水道の予算は建設省の予算に計上されておるわけでございます。したがいまして、環境保全全体を考えます場合には環境保全関連予算を見ていただくことになりますが、その環境保全関連予算は前年度に比べまして三割以上ふえております。なかんずく下水道整備事業費は五三%の伸びになっておりまして、政府全体といたしましては最重点的に配分されたというふうに承っております。
  33. 島本虎三

    島本委員 したがって、そこを問いただしているのです。そのことは私も調べました。いまこの閉鎖性水域の総量規制をやる、こういうような計画でありましょう。法案も準備されているでしょう。これは建設省がやるとするならば、これらの場所、東京湾、伊勢湾、瀬戸内海、こういうものに重点的に配分を求めるような内折衝ぐらいしていないと、いまのようなことは言えないでしょう。これはできているのですか。もっとしっかりと環境庁は物を申すべきじゃありませんか。その権限があるはずです。皆さんの中にははっきり権限があるでしょう。設置法の四条、六条、偉大なる権限があるのです。それをやってないから言うのです。もっとしっかり物を申してもいいじゃありませんか。これあたり建設省にはっきり取りつけてありますかどうか。余りくどくどしたことはいいですよ。
  34. 金子太郎

    ○金子政府委員 建設省に対しましては、瀬戸内海を初めとする閉鎖性水域に来年度の公共事業費の中の下水道関係予算を重点的に張りつけるように強く要望いたしております。ただし、各方面から御要望のございました閉鎖性水域にかかわる下水道補助率のアップにつきましては、予算折衝の段階で、それは無理だということで、あきらめざるを得なかったといういきさつがございます。
  35. 島本虎三

    島本委員 もっともっと環境庁自身は時代の先取りをしないといけないのじゃありませんか。そして公害行政に対しては、もっと現地主義をはっきりとるのでなければならないのではございませんか。いまのような状態でこれは少し私としては手ぬるいと思います。その結果、ここに、六ページの中にはっきり言っているでしょう。「大規模な公共投資による経済産業活動の刺激が要請されていますが、このような情勢にあっても、環境保全の基本的条件が保持されるよう十分留意して」います。留意するだけじゃだめです。具体的に先取りしないとだめだということです。私はそれを強く申し上げておきたいと思います。これは大臣、そうじゃございませんか。
  36. 山田久就

    山田国務大臣 まさに御指摘のとおりでございまして、したがって総量規制、それから瀬戸内海の後継法というようなものを考えておりますので、瀬戸内海を中心にしてこの下水道の問題については、特に私も閣議で発言して、水質の保全のためには何といっても下水道だ、こういうことで発言しておって、また半ばそういう関係で生まれてきたものでございますので、特にこの方面について建設省の方が意を用いるようにということは、私も指示しておりますし、また、事務当局もそのつもりで接触を保っているはず、こう了解いたしております。
  37. 島本虎三

    島本委員 所信表明の八ページの中ほどにあります「環境保全長期計画の達成」についてちょっとお伺いしてみたいと思います。  長期計画、これを十分フォローするためには、経済社会全般にわたって環境庁が強力な発言権を持たなければ長期的環境管理は行えないのではないか、こういうように思うのであります。したがって、環境保全の長期展望について長期計画をフォローしていくためには予算と権限、こういうものも十分なくてはならないと思うのであります。現在の体制では後追い的な調査に終わるおそれがございませんか。また、長期計画を実効あるものにするためにも地域環境管理計画、この策定を急ぐべきじゃないかと思うのであります。いまこの地域環境保全計画、これをやっているのは具体的にどこがございますか。
  38. 信澤清

    信澤政府委員 いろいろな県でこういう試みがございますが、かなり進んだ形でやっておりますのは、一つは宮城県でございます。もう一つは兵庫県。その他の県についても、漸次お話しのような方向に持っていくための調査その他を進めておるというふうに承知いたしております。
  39. 島本虎三

    島本委員 そしてこの予算、権限とも十分ではないんじゃないか、こういうように私が見ているのは、この予算書の中にはっきりと環境保全の長期展望千九百十一万五千円、これだけ計上されているのであります。千九百万円程度でこれは長期計画をフォローできましょうか。それも地域環境管理計画、この策定を急がしてこれをやるにしては、余りこれはおざなりな金額じゃございますまいか。もっとやるならばきちっとして、これはもっとこの辺では大枚をと申し上げるのもおかしゅうございますけれども、もっともっと考えてしかるべきだ。千九百万円で日本全国のやつをやる、これはできましょうか。
  40. 信澤清

    信澤政府委員 お話しのように、長期計画を実施するための費用として考えますと千数百万ではできないというのはそのとおりでございます。ただここで申しておりますのは、長期計画を昨年の五月に策定いたしたわけでございますが、その後のいろいろな事情の変化に対応しながら長期計画そのものを見直していく、こういうふうな経費でございますので、いわば調査費でございます。その意味をここに書いてあるわけでございまして、具体的な長期計画の実施については、これは環境庁全体の予算の中に、たとえば先生さっきから御指摘のように、閉鎖性水域の対策のためのいろいろな経費あるいは短期環境管理のための経費、こういったものがすべて言ってみればこの計画実施のため、計画実現のための経費でございますので、そのように御理解いただきたいと思います。
  41. 島本虎三

    島本委員 したがって、私は、地域環境管理計画の策定こそ急ぐべきである、このことを申し上げているのであります。どうもその方面でも時代の先取り、こういうようなことはまだまだ環境庁はなっていないじゃありませんか。もっとこの点はひとつ、時代の趨勢に沿う以前に環境庁としては一歩踏み出していないとだめだ、このことを私は、いまの答弁を聞いて痛切に感じました。大いにこの点は鞭撻しなければならない、こう思っております。これはただでは済みません。  そして同時に、これはどうでございましょうか。窒素酸化物の総量規制の実施、これについては、NOx対策の長期スケジュールでは固定発生源について昭和五十三年度としており、また長官所信表明の中にもこれははっきり出ているのであります。「総量削減計画の基礎となる汚染予測手法の確立を図り、汚染の著しい地域を対象に総量規制に着手したいと考えて」いる。いつからこれは実施するのですか、この際明らかにしてください。
  42. 橋本道夫

    橋本(道)政府委員 窒素酸化物の総量規制問題でございますが、現在、環境基準の問題の根底になる判定条件等の中公審の答申が近く出ますので、それを待ってことしの五月中には新しい改定の方針を打ち出しまして、まず一つは、特に汚染の著しい地域について指定をしていくということがまず来年度内です。それから先の問題は構想でございますが、調査をするとして大体一年少しかかると思います。それからそれを実際基準に直すとしまして、それがまた大体一年近くかかると思います。そういう点で実際基準がきっちりできてそれが動き出すには、大体本年から三年ぐらいかかるだろう、そういうことでございまして、実行していくのは、全体としてやはり五十年代いっぱいぐらいかかる仕事であるというぐあいにお考え願えれば結構であります。
  43. 島本虎三

    島本委員 それは五十何年、五十年代いっぱいというのはあと何年という意味ですか。
  44. 橋本道夫

    橋本(道)政府委員 いま構想として申し上げたわけでありますが、五十年代に複合汚染の問題を考慮に入れて、ばいじんからNOxからハイドロカーボンからSOx全部抑え込むというのを進めよう、その一環としての窒素酸化物対策ということとして御理解を願えれば結構でございます。
  45. 島本虎三

    島本委員 大臣にお伺いしますが、地盤沈下対策について、所信表明では一言も言及していないのでありますが、この問題は前回、前々回からも問題になっておるのであります。総理大臣環境アセスメントについての所信は今回なかった。しかし大臣は、これをきちっとやりたいと言っている。しかしながら、この地盤沈下対策について、いままでやるということでありましたけれども、今回は、この所信表明の中に一言も言及されていない。これは環境庁があきらめているのじゃないと思いますが、大臣どうなんですか。
  46. 山田久就

    山田国務大臣 島本委員もうよく御案内のとおり、この地盤沈下というものは、一たび失われますと取り返しのつかない重要な問題であることは、われわれもよく認識いたしております。したがって、このことについては、地盤沈下防止のための処置ということは非常に考えている、われわれも法制化を非常に努力しているわけでございます。まだ関係方面との調整が、いろいろな点から重要点について整っておらない、そういう状況にあるのが現在の状況であります。なお、この点について、ひとつ補足的に事務当局からも説明させたいと思います。
  47. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 ただいま大臣からお答え申し上げたわけですが、若干補足いたしますと、地盤沈下に関します総合法制の面につきましては、環境庁としてもかねてから地盤沈下防止法案ということの提案を意図しておるわけでございます。  ただ、この地盤沈下につきましては、各省におきまして、それぞれの立場から法案を提出したいという考え方を持っております。国土庁におきましては、地下水保全または国土保全という見地に立ちまして、地下水の保全及び地盤沈下の防止に関する法律ということを提案をしたいということで考えておりますし、建設省におきましては、地下水は現在私水でございますけれども、これを公水的に考えて河川水とともに表裏一体として管理をいたしたいということで地下水法案の提案を考えておるわけでございます。他面また通産省におきましては、そういう総合的な立法の姉妹法という見地に立ちまして、工業用水使用適正化法案というものを提案をしたいという考え方でございます。したがいまして、環境庁と各法案を提出したいという役所間でそれぞれ話し合いの場を持ちまして、調整に努力をしておるわけでございますが、それぞれの観点からの法案ということでございまして、なかなかその調整は率直に申しまして難航をいたしております。  ただ、ただいまお話しございましたように、環境庁としてはあきらめているのかということにつきましては、あきらめてはおりませんで、根強くこの調整を了して、一本の法案ということで政府提案できるように努力をしたいということで、目下調整を進めておる、こういう状況にございます。
  48. 島本虎三

    島本委員 少し水はよどんでいるようです、水質も少し悪化しているようです。いまいろいろ御答弁があったり、この予算書を見たりしていまして、地盤沈下対策については、これはもうぜひやりたいと言っていた問題ではございませんか、何かまたこれもおかしくなってしまった。環境庁はどこに良心があるのか、こう言われますよ。まして、御存じのように閉鎖性水域、この総量規制をいま考えて実施する法案を練っておられる、その最中に水質調査船の整備費の補助打ち切り、これはどういう理由なんですか。実情はどうなんですか。現在まで八隻程度だと承っておりますが、むしろ、閉鎖性水域の中には全部こういうようなものをやって、各県でそれを調査するのが妥当だと思うのでありますが、打ち切るというのは、行き方と逆行していませんか。
  49. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 水質調査船の補助金でございますが、これが五十三年度、ただいま先生からお話しございましたようにゼロでございます。言うなれば打ち切りという形でございます。問題は、この水質調査船につきましては、ただいま先生からもお話しございましたように、四十九年度以来補助を続けておりまして、現在まで八隻につきまして補助をいたしております。五十三年度の予算要求に当たりまして、この水質調査船の希望があるかないか、この面につきまして県等に照会をいたしましたが、県では要望がございません。したがいまして、補助金を取りましても補助の受け手がないというような姿になりますので打ち切ったということでございますが、それとともに、他面、五十三年度の水質関係予算におきましては、先ほど来先生からもお話しございましたように、水質の総量規制の制度化をぜひ実現をいたしたいということで、この水質の総量規制制度に伴います所要の予算というものを新規の予算として相当多額の要求をいたしまして、これの計上を見ておるわけでございます。その際に、たとえばこういう水質の監視というような面につきましては、モデル事業ではございますけれども、三分の二補助ということで、一カ所ですが、一億一千万の補助というようなものをたとえばモデル事業で考えております。このモデル事業で考えておるということは、いずれモデルが済めば普及事業として考えたいということを実は心組みにして出しておるというしろものでございます。したがいまして、水質調査船の方につきまして現在、需要が一巡したといいますか、希望がないわけでございますが、今後はテレメーター等、そういうようなものの整備を図って、総量規制というものの実効をはっきり測定して確認をするというようなことの方にむしろ重点を置きたい、そういう考え方で水質調査船の方は打ち切りといいますか、結果論としてはそういう形になるわけでございますが、そういう考え方に立脚してやった措置でございます。
  50. 島本虎三

    島本委員 二分の一補助ということでは各県から要請が出にくいいまの情勢だ、こういうような点では、瀬戸内海関係の地域、ここの総量規制を行うような強い要請があるのでありますから、これの指導はもっと強力にすべきじゃなかったか、こう思っているのでありますが、この点も少しとろいのじゃありませんか。  同時に、十八ページにちょっと載っております水俣センター、いま内閣の方でこの設置法の問題をいろいろやっておられるようでありますけれども、これは四十八年に、当時、三木長官のときだったと思いますが、水俣病の研究、治療、リハビリテーションをあわせ持つところのセンターをつくりたいという構想だったはずであります。そしてこれが水俣センター、当初の構想から見るとずいぶん後退したものではございませんか。これはまた八人ぐらいで発足するようでありますが、どの程度の研究なんですか。当初の構想よりもこれは構想の面で相当後退している。それと同時に、建物が大きいのに中に入る人が少ない、これは一体どういうようなことになっておりましょうか。われわれはこれは賛成なんです。しかし、当初の構想よりもぐっと下がっているから、この点で公害行政のいまの一つの悩みというか、一歩踏み出せない、こういうようなことが感じられるのであります。これはどういう構想ですか。当時は確かに研究、治療、リハビリテーション、これをあわせ持つセンターという構想であったはずでありますが、そうですか。
  51. 山本宜正

    ○山本(宜)政府委員 お答えいたします。  先生御承知のように、昭和四十八年の五月に、当時の三木長官が現地におかれまして、本センターの設置のことをお話しされました。実は、私も当時同席をしておったわけでございます。その後、四十九年に、このことに関連いたしまして、現地の医療需要の調査をいたしております。それの材料を踏まえまして、その後、五十年になりましてから、慶応大学の教授、熊本大学の医学部長、それから熊本県知事、それから市長、市民病院の院長というような方々、そのほかの二、三の方々に、このセンターの建設準備検討会というものを設けていただきまして、数度にわたる御検討の結果の基本構想を五十年の十二月にちょうだいしているわけでございまして、環境庁といたしましては、その後、この基本構想に基づきまして基本的な設計検討を行って、今日に至ったわけでございます。先生御指摘のように、現在、五十二年度におきまして建物がおおよそ完成いたしまして、これから内装、それから内部の設備の充実等が図られまして、五十三年度におきまして、後半に業務が開始されるように計画をしているわけでございます。  御指摘のように、全体の建物に対しまして初年度の人員が少ないというようなお話でございますが、やはりこういった研究を始めるに当たりまして、逐次内容の充実を図っていこう、こういう考え方でございまして、行く行くは、あの建物の形にそぐうような人員を整備させていただきたい、かように念願いたしておるわけでございます。また、水俣病というものの重要性を考えまして、この研究センターに従事する方々といたしましては、今日的な水俣病の研究に意欲を持っている方だけでなしに、今後水俣病の研究に従事しようという方々を、他の研究機関あるいは大学等から得まして、逐次内容の拡充を図ってまいりたい、かようなつもりで臨んでおるわけでございます。
  52. 島本虎三

    島本委員 もう時間にもなって残念ですが、積み残しが若干できてしまいました。それで大臣、これ一問にして、二つお伺いしますから、皆さんの方でそれぞれ適確な答弁考えてください。その後で大臣に要望をして終わるわけであります。  一つは、国立公園の民有地の買い上げです。これは、文化庁の史跡買い上げに比較して、環境庁の場合は全然効率が上がっていないじゃありませんか。文化庁の史跡等の買い上げについては、毎年一〇〇%の実績が上げられているのであります。環境庁の場合には、国立公園の民有地の買い上げ、これは交付地方債発行総枠六十億、これが消化し切れないで、そしてまだもたもたしている。そして新聞等でははっきりたたかれている。買い上げ方式の抜本的な改正がいままさに必要じゃないかと思うのであります。こういうような点について、お考えがはっきりとあったら、その関係当事者が示してください。都道府県は公債を出して十年間で買い上げる、国は十分の十から十分の五までの間、三段階にして、都道府県に利息や元金、こういうものを交付する、そういうようなことになっておりますが、本年までの実績は、まるで活用されていないじゃありませんか。これは、資源というようなものは民間に任しておいたら破壊されてしまうから、早く手を打たなければならない、こういうようなときに、もうすでに文化庁では一〇〇%をこなしております。環境庁は積み残しばかりやっている。これはやはりこの方法に問題があるんじゃないかと思いますが、この買い上げ方式の抜本的改正、これを考えているかどうかをはっきり示してください。それが一つ。  もう一つは廃棄物対策でありますが、厚生省が、最終処分地の確保難が生じている地域については、基本構想というようなものをまとめるための予算を要求しておるのでありますが、環境庁も、この廃棄物の問題に対しては積極的であるべきはずであります。しかし、所信表明から見ると余り積極性がないのじゃないかと思われますのは、十六ページに、これがほんのちょっぴり載っているだけであります。これは積極的にやるべきである、こう思います。これに対して、簡単にして要を得た答弁をしてください。
  53. 出原孝夫

    ○出原政府委員 国立公園とか、あるいは鳥獣保護区の特別保護地区等につきます買い上げにつきましては、御指摘のように六十億の枠がございますが、消化は比較的困難な状況にございます。特にこれは昭和四十七年度から計上してきたものでございますが、最近におきます土地……(島本委員「最近はいいから、改善案」と呼ぶ)それで今年におきましても、すでに二億程度、さらにあと二億程度の買い上げは予定をいたしておりますので、この程度は消化が可能であるかと思います。  ただ、都道府県の財産になるものでございますので、負担関係につきましてはなかなかむずかしいかと思いますが、県の当局者が事情を十分承知しておられない部分もあるように見受けられますので、これは私ども十分県と接触をして、よくPRをいたしたいというように考えております。
  54. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 廃棄物の関係の予算に関連しまして、ただいま先生から、最終処分地の確保の経費といいますか、そういう面の予算、これは厚生省の方にはあるが環境庁にはないではないかというお話でございますが、実は、近畿圏あるいは首都圏におきます廃棄物、これは、近畿圏なり首都圏は都市化されておりますので、なかなか捨て場がない。したがいまして、国等が中心になって埋立地等をつくりまして、そこへ広域的な廃棄物の処分場をつくるべきであるという話が具体的にございます。これにつきましては、厚生省がひとつやりたい、運輸省もやりたいという話がございまして、環境庁も当然入りまして三者でいろいろ話をいたしました結果、広域的な最終処分場、これをつくるための調査、検討の経費を、厚生省で五千万、それから運輸省も五千万という同額をそれぞれつけるということで、環境庁の方はその調整役等をやらしていただきまして、そういう形で予算の計上を見ておるわけでございます。
  55. 島本虎三

    島本委員 若干積み残しはございましたが、予算について、所信表明についての私の質問はこれで終わるわけであります。  最後に、大臣並びに政務次官、同じ国会議員という立場で、今後、環境行政を進めるその立場で、いつでも時代の先取りをすることを忘れないようにして環境行政を実施してもらいたい。それと、公害対策、こういうようなものに対しては机上の判断ではなく、いつも現地主義をとって、現状に即したような行政をしてもらいたい。三つ目には、環境影響事前評価。これは個々の縦割りで実施したいのが実施官庁、事業官庁。しかしながら、日本の国土を守るために横断的にこれを実施する使命を持っているのは環境庁であります。環境庁からこれを外したならば、まさに画竜点睛を欠くと言われてもどうにもしようがない問題なのでありますから、この点を十分留意して、今後一層研さんし、鞭撻してもらいたいと思う次第であります。ことに環境庁の場合には、環境庁設置法四条、六条の中にございますように、はっきりと調整権があります、そして勧告権もあります。総理大臣にかわってもやれます。こういうような権限があるのでありますから、いかに庁でありましても、環境庁でありましても、この点、一歩も引かない意気で今後環境行政を実施してもらいたいと思います。公害、こういうようなものは、ただたれ流しをするから公害です。しかし、こういうようなものに対してももっともっとこれを企業化すると、りっぱに資源として残るのであります。そういうような点も考えて、いま不況になればなるほど公害行政がまさに生きてくるものである、諸般のこういうような行政の中にこれは活を入れてもらわなければならない問題である、こう思うわけであります。まあ、質問に関連いたしまして、いま若干のことを申しました。  お忘れにならないでもらいたいのであります。いつでも時代の先取りをしてもらいたい、現地主義でやってもらいたい、この環境アセスメントが生命であるということを忘れないでもらいたい、このことを強く要請し、最後大臣から決意をちょうだいして、私は終わらしてもらいます。
  56. 山田久就

    山田国務大臣 ただいま、特に島本委員からお示しのあった三つの点、これはまさに環境行政というものを遂行する上において遺憾なきを期する、これにおいての非常に重要な点であると私も考えております。非常な御鞭撻に接しまして、まことにありがとうございます。この点、十分に留意して、使命と責任を遂行していく上に遺憾なきを期したいと思っております。どうぞよろしくお願いいたしたいと思います。
  57. 島本虎三

    島本委員 御健闘を祈って、終わります。
  58. 久保等

    久保委員長 次に、水田稔君。
  59. 水田稔

    ○水田委員 四年にわたる長期の不況の中で、環境庁仕事というのは大変大事な場面を迎えておると私は思うのです。特にことしは、昨年総理も提案を言いながら流れてしまったアセスメント法案の問題、さらにはこれはことしの十一月に切れるわけでありますが、瀬戸内海環境保全臨時措置法の後継法の問題などきわめて重大な問題を抱えておる。そういう中で、ともすれば、不況でありますから関係省庁の抵抗なり業界の抵抗というのは非常に強いことが当然予想されるわけであります。しかし、それだけに環境庁仕事というのはことしは大変重大だと思うのです。  そういう中で、出発点として、豊かなことはいいことだということで、使い捨てを奨励した時代があったわけです。その当時の経済優先であるとかあるいは物が豊かであればいいという考え方が、今日の公害を起こしてきた一番の出発点でありますから、そういう産業優先あるいは経済優先という考え方が誤っておったという反省が環境行政の出発点でなければならぬと私は思うのであります。この点について長官は、福田内閣の国務大臣として、そういう反省のもとに環境行政に取り組む考え方を持ってもらわなければならぬと思うのですが、いかがお考えでしょうか、まずお伺いしたいと思います。
  60. 山田久就

    山田国務大臣 まさに水田委員の御指摘のとおりに、いわば復興から成長へという中で、わが環境行政もいわば公害との戦いというような形とさえ言われるような状況であって、これはわれわれの成長への反省から出発したものであった、こう思います。今日においてもこの基本的な点はわれわれの墨守していかなければならぬ点だと私は考えております。
  61. 水田稔

    ○水田委員 そこで長官にお伺いするのですが、環境問題を考える場合、私は、いまのやり方にもまだまだ考え方に問題があると思うのですが、人間というのは一体何だろうかということをまず考えなければならぬと思います。長官、人間というのは、環境問題、環境行政考える上でどういうぐあいに、何とお考えになっていますか。
  62. 山田久就

    山田国務大臣 なかなか哲学的なお話で、未熟者の答弁、むずかしいのですけれども、しかしながら、何といってもわれわれは、これはすべてについてそういうことが言い得るかとも思いますけれども、やはり人間というものが、われわれのこの地球の中で生きている、あるいは国家の中で一つの集団をなして生活をしていく場合の中心になっているものである、こう考えております。自然の恩恵、そしてまた微妙な相関関係というものがございますけれども、その中において、やはり人間生活というものをあくまで中心に、そして自然との調和を考え、そしてわれわれの生活の発展を考えていくということでいかなければならないわけで、何と申しますか、逆に言っての人間の説明ということで、御趣旨には沿わないかもしれませんけれども、しかしながら、まさにこの人間生活、人間の物心への一つの生き方、これこそがいろいろな意味において中心にならなければならないという考えだけをひとつ御理解いただきたいと思います。
  63. 水田稔

    ○水田委員 私は哲学的にむずかしく申し上げたのじゃないのです。とらまえ方として、人間というものは動物であり生き物である。ですから、東京を見ても、トンボやチョウチョウは、環境がすめなくなれば消えてしまう、滅亡していくわけですね。人間もこの地球上の生き物としてそういう条件の中にいる。このことを長官、腹の中へ入れて、そうしないと窒素酸化物の問題やあるいは赤潮の問題等についてもとらまえ方が違ってくると思うのです。そういう意味で申し上げたので、ひとつこの点は腹の中へ入れておいていただきたいと思うのであります。  次は、これは島本委員からも質問いたしまして、全くそのとおりだ、こういう御答弁だったのでありますが、私は、前の長官批判するとかなんとかではなくて、少なくとも環境庁国民の声を背景に、非常に抵抗の強いいろいろなものがあるわけですから、それに対して立ち向かって、国民の命や健康を守るということをやるのであれば、やはり開かれた省庁環境庁ということを具体的につくり出していかなければならぬと思うのです。先ほどの答弁で、島本委員の御説のとおりですということでありますが、少なくとも開かれた環境庁として具体的にどういうことをやっていこう、そういうことを、お考えがあれば聞かしていただきたいと思うのです。
  64. 山田久就

    山田国務大臣 われわれのいろいろな行政を進めていく場合に、特に利害関係者と申しますか、そういう意味での国民の声というものは率直に、真剣にこれを吸い上げる、そういうものを十二分に参考にしてやっていく、そういう態度を、これはいろいろな場面において随所でそういう声との接触、それを吸い上げていくということで善処してまいりたいと考えているわけであります。
  65. 水田稔

    ○水田委員 具体的に言いますと、先ほど島本委員も触れましたように、環境庁にとってお気に入らぬ住民運動の代表が来るかもしれません。あるいはそれに対して新聞記者は立ち会わせないとかなんとかという、そういったようなことは具体的なものとして、一年間の反省として私はあると思うのですね。そこらあたりを一体具体的に——国民の声を背景にということなら、制限してはならぬと思うのです。そういったことについて具体的にどうお考えか聞かせていただきたいと思うのです。
  66. 山田久就

    山田国務大臣 もう私は、自分のこれまでの習慣といたしましても、経験からいっても、いろいろなことのこだわりを持ってやろうなんとか障害というようなことを考えていくつもりは一切ありません。
  67. 水田稔

    ○水田委員 それでは、環境庁は開かれた省庁として、長官はそういう決意で取り組まれる、こういうぐあいに理解してよろしゅうございますか。
  68. 山田久就

    山田国務大臣 そのとおりでございます。
  69. 水田稔

    ○水田委員 長官所信表明の三ページにこういうことが書いてあります。「すなわち、生産、消費その他の社会的諸活動のさまざまな要因を含め、」云々、こうあるわけですね。これは、昨年一年間、前長官との論議は、いわゆる産業との調和という問題です。これが法律の条文から除かれたいきさつからいって、環境行政というのは産業との調和に優先するもの、こういうことでありますが、この長官所信表明からいきますと、どうも産業との調和ということが考えられておるのではないか、そのことをこういう表現をされたのではないかと思うのでありますが、その点についての長官の見解をお伺いしたいと思うのです。
  70. 山田久就

    山田国務大臣 その点はちょっと、私はその個所は全く違った場面のことを申し上げているわけでして、いま御懸念のようなことは全くないと思います。と申しますのは、われわれの環境行政の中身は、むろんわれわれの健康を守る、そして生活環境保全するということなんですけれども、特にわれわれが与えられている現在の都市生活の場面というものを、総合的、長期的な観点で、人為的につくられていく環境というものを少しでもより快適なものにするということでわれわれがもっと努力しなければならない。先ほどもちょっとその話があったようですけれども、そういう点についてのわれわれの発言といいますか協力、こういうことをもっと考えていかなければならぬ。私も長い外国の経験があります。見まして、われわれの住宅あるいは住宅を取り巻く生活環境、特に道路の問題から、あるいは広場、公園、そしてまたビジネスのセンター、それから工場、あるいはわれわれの消費のセンターをなすマーケット、こういうようなものの都市計画としての配置というようなものが、非常に快適な環境づくりということを十分に取り入れて、そうしてこういうものが織りなされてつくられておる。われわれは今後、長期計画の場合には、そういういろいろなわれわれの生活の態様というものを、しかしながらそれが全部よりよきバランスのとれたいい環境づくりということで行われるべきである、こういう点について申し上げたわけでございます。
  71. 水田稔

    ○水田委員 これは昨年一年間、前長官が産業との調和をことさらに打ち上げるものですから、特に国民全体の中に疑念があると思います。さらに、不況の中ですから、新長官においてはぜひ環境優先ということでひとつ考えていただきたい、このように申し上げておきます。  次は、これは昨年、政府の内部の調整ができなかったということで、三月十四日をめどに提案ということで結局出てこなかったわけでありますが、ことしは何としてもこれはつくってもらわなければならぬし、同時にそれは日本環境を守り得る、そういう内容を備えたものでなければならぬと思うのであります。これは、内容の細かい点は私ども別の機会に改めて質問いたしたいと思いますが、実は新聞報道によりまして、たとえば瀬戸内海の大型タンカーの夜間の航行禁止の問題について、運輸省からクレームがついて難航しているというような報道もあるわけであります。昨年も考えてみますと、これは都市計画に対する住民意見は、その現在の法律の中で意見を聞いておるではないか、あるいは通産省では発電所の建設についてということなどのクレームがついて、結局は提案されなかったといういきさつがあるわけでありますが、こういう運輸省との間の新聞報道のような事実があるのかどうか、まずお伺いしたいと思います。
  72. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 瀬戸内海の臨時措置法がことしの十一月で切れますので、現在、後継法案を作成すべく、法案等もいろいろ案文をつくりまして検討を進めておるわけですが、その過程におきまして関係省庁の感触といいますか等もサウンドいたしておるというのが現況でございます。後継法の中に環境保全施策としてどういう新規項目を盛り込むかということでございますが、その点はいまいろいろ検討中でございますので申し上げかねますけれども、ただいま御指摘のタンカーの関係につきましては、ひとつそういう夜間航行等の規制といいますか、そういうものも盛り込んでみてはどうか。去年の春でございますか、アストロレオ号と幾春丸が釣島水道で衝突をしたということで、大分心配されたという現実もございますので、そういう面を踏まえていろいろ考えておるわけでございますが、運輸省との関連におきましても、航行規制の面につきましては当然話をいたしております。ただ、運輸省の方は海上保安庁その他でいろいろ調整、取り締まり等をやっております。海上交通安全法なりいろいろな法規がございましてやっておりますので、その面の角度からの意見をまたいろいろ向こうとしては言っております。したがいまして、現在そういうことでいろいろ調整をやりつつあるという段階でございます。こちらとしてひとつそういうものは盛り込めないかということで検討していることもまた事実でございます。まだそういう調整の段階ということでございます。
  73. 水田稔

    ○水田委員 環境問題を考えるときに、先ほど来申し上げますように、不況業種であるとか、あるいは各省庁の事業の関係からの抵抗というものはきわめて強いということが予想されるわけです。昨年ああいう失敗をしておるわけでありますから、今年はよほどの決意を持ってやらなければ、この法案が日の目を見ないのではないか、そういう懸念を私どもは持つわけであります。そこで、長官の決意のほどを、この問題についてはお伺いしておきたいと思うのであります。
  74. 山田久就

    山田国務大臣 瀬戸内海の方はことしで切れるということで、いまいろいろ、ただいま局長からも話がありましたように相談しているわけで、これは相談の過程ではいろいろな意見も当然出てくるかと思いまするけれども、意見があってむしろしかるべし、そこをお互いに虚心垣懐、合理的な点に落ちつくということでやっているような次第です。  いま御指摘の点はアセスメント法のお話じゃないかと思うのですけれども、これも先ほど来、島本委員に対して事務当局から話がございました。とにかくいろいろ、本来の権限あるいは法律あるいは自分の抱えている仕事の態様の違いというようなことで、まあ基本的な点では一致しているけれどもまだもみ抜いているというようなことでございまして、せいぜいわれわれとしては一生懸命になって、ひとつ実現に向かって全力を尽くしてやっていきたいと考えている次第であります。
  75. 水田稔

    ○水田委員 ちょっと質問の中で環境影響評価法案と瀬戸内海法を混同いたしました。その点、訂正いたしておきます。  引き続いて瀬戸内海問題で、いまそういう論議がされておるわけでありますが、長官所信表明によりますと、「瀬戸内海につきましては、同海域における環境保全の現状と将来の展望を踏まえつつ、」云々とあるわけでありますが、これは先ほど島本委員からも指摘されましたように、三〇%を超す公共事業が国の予算で組まれながら、環境庁の予算が伸びない。ですから、これは形としては環境行政が相対的にとにかく下回ってくるということを予算の裏づけの点で明らかに示していると思うのであります。たとえば、瀬戸内海問題を考える場合、これも全項目にわたっての質問は改めて別の機会にやらしていただきますが、赤潮対策一つ、これは瀬戸内海というのはCODももちろん問題ですが、赤潮については、窒素、燐の問題を含めてまだまだメカニズムもわからないということが言われながら、どんどん回数なり被害金額もふえていっておるわけです。これは瀬戸内海臨時措置法ができまして以来のあれをちょっと拾ってみてもらったのですが、それはありませんで、昨年とことしの赤潮対策の環境庁や水産庁の予算をトータルしてみたわけです。五十一年度と五十二年度を比較してみますと、それはわずかに四%しかふえてないわけですね。赤潮問題というのは、たとえば昨年の播磨灘の赤潮のときに、引田町あたりでは、ここへ赤潮問題の研究所を持ってきてもらいたい、土地はもう町で出すからという要望があったわけです。ですから、赤潮についてはそれができないにしても、各研究機関がばらばらにやっておるわけですから、それを調整するぐらいの予算は五十三年度で当然要求してしかるべき、そしてそれが瀬戸内海法の後継法の中に入るべきだと考える。そういう点では、所信表明にあるようなきれいごとではなくて、実際の予算の裏づけその他から見て、あるいは具体的な施策の面で、本格的な取り組みがやられようとする姿勢が見受けられないわけですね。長官、この点について、これまたひとつ決意のほどを聞かしていただきたいと思うのです。
  76. 山田久就

    山田国務大臣 赤潮対策については、今度の後継法の中では一つの重要な問題としてわれわれも対処していこうと考えております。この赤潮問題については、科学的な面でのいろいろの対策も進んでおって、燐を少なくさせていくということも大分進捗しておりますけれども、一方、洗剤を使う家庭用排水の問題になりますと、実は下水道の完備と切っても切れないような関係でもあります。したがって、そういう点については、御承知のように下水道の完備ということについて、特に瀬戸内海地域に重点を置いてやるということで話し合って、その方も進めております。  なお、その他の点についても、いま申し上げたような考慮から、少しでもなし得る範囲においては赤潮の対策というものをやっていきたい。その事業をやっていく点ではよその関係省の方でやっておりますので、方針としてはそういう点でやっているわけで、あと補足的にひとつ局長の方から御説明いたさせたいと思います。
  77. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 富栄養化、赤潮対策の予算の関係でございますが、環境庁の面におきましては、富栄養化、赤潮対策と言います際に、直に赤潮という関係の方は比較的少のうございます。富栄養化対策ということで、むしろ赤潮の発生の要因物質の一つでございます燐とか窒素とかそういうものに対するいろんな対策をやっていきたいということで、従来からも収支挙動調査等をやっておりますが、特に五十三年度からは新規といたしまして、燐等につきましての環境ガイドラインあるいは排水処理技術のガイドライン、これの策定調査に取り組んでいきたいということで、そういうものの新規計上を見ておるわけでございます。  それから、赤潮そのものにつきましては、リモートセンシングを利用いたしました形で赤潮の予察の関係の予算を計上しております。それから水産庁が、まさにこれは赤潮を軸にいたしましていろんな予算を計上いたしております。  それから、もう一つ申し上げますと、五十二年度予算にいたしましても五十三年度予算にいたしましてもそうでございますが、五十二年度予算におきましては、先生御存じのとおり、昨年の八月二十八日に大規模赤潮が発生いたしましたので、これの要因解析その他につきまして研究機関を動員いたしましてやるということで、赤潮研究会というものを組織して、香川大学の岡市先生なりあるいは南西海区水研の村上先生等々にいろんな研究をやっていただいておりますが、これらの所要の経費につきましては、研究促進調整費という枠予算がございますので、それに基づきまして経費を出しておるということでございます。したがいまして、五十二年度でそういう総合的な各研究機関を動員しての研究の成果が十分でなければ、五十三年度もそういうことをやるということも検討いたしたい、かように思っておりますので、既定の予算のほかにそういう枠予算というようなものも十分活用しつつ、赤潮の研究等については重点を置きまして取り組んでおる、こういう次第でございます。
  78. 水田稔

    ○水田委員 時間がありませんので、最後に、島本委員の質問に対する関連質問というようなことになりますが、窒素酸化物に対する対策についての答弁があったわけです。これは聞いておりますと、いまそれぞれのコンビナートの操業率で五割から七割、排煙が減っております。そういう中で硫黄酸化物については、使う燃料が変わってきますから、値段の点で大体ペイする。窒素酸化物というのは全くコストにオンすることになるということで、なかなか抵抗の多いものです。  それから、これは環境庁が、それぞれの地域の環境保全計画がありますが、その中で結局、ほとんど在来の手法による排煙中の窒素酸化物の減少しかやられてない。これは環境庁の姿勢によって進む進まないが決まると思うのです。先ほどの答弁ではそこらあたりが当初からだんだん後退したような印象を受けるわけです。長官に、この点をきちっと進める決意をぜひこの際表明していただきたい。その答弁を聞いて、私の質問を終わりたいと思います。
  79. 橋本道夫

    橋本(道)政府委員 長官の御答弁の前に一言だけ事務的にお答え申し上げさせていただきたいと思います。  いま先生の御指摘のように、脱硝施設の進行という問題につきまして問題点があることは事実でございます。ただ実際問題といたしまして、非常な無理をして脱硝施設をつけさせてみて、見ていますと、確かにものすごくエネルギーを食う、猛烈なスペースを食うという問題もあるわけでございます。そういうことで、やはり発生源対策として最適化をしていくことはどうしても必要なのではないかということでございます。そういう点で、一方では、いま先生の御指摘のように、稼働が下がっているということでの汚染の改善もかなりあるだろうと思いますし、また産業界は、いまのままの構造で全部進んでいくような形での計算をしておりますが、いまのままではとうてい将来動きようがないと思います。そういうこともすべて計算に入れて、またエネルギーの供給につきましても、質の問題等を考えますと、これは相当長期にわたることを考えなければならないということで、環境庁の姿勢としては一歩も下がっておりません。ただ、世界で最も新しいものを試行的にやってみておって、日本の窒素酸化物の汚染は、世界的には中等度程度のところで最も進んだことをやっているという事実だけは、ひとつ御理解を願いたいと思います。
  80. 山田久就

    山田国務大臣 いま局長からお話し申し上げたとおりでございますが、とにかく健康項目にも関することでございまするので、われわれとしては、これについては誠心誠意取り組んでやっていきたいと思っております。この間、最も冷静に、技術的に、客観的に取り組んで所期の成果を上げるように努めるということで、その決意は持ってやっておりますので、どうかよろしく御了解をお願いいたしたいと思います。
  81. 水田稔

    ○水田委員 終わります。
  82. 久保等

    久保委員長 次回は、来る二十一日火曜日午前十時理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時二十三分散会