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1978-04-19 第84回国会 衆議院 交通安全対策特別委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年四月十九日(水曜日)     午後一時三十一分開議  出席委員    委員長 沖本 泰幸君    理事 加藤 六月君 理事 中村 弘海君    理事 太田 一夫君 理事 野坂 浩賢君    理事 新井 彬之君 理事 青山  丘君       井上  裕君    北川 石松君       玉生 孝久君    水平 豊彦君       吉原 米治君    草野  威君       東中 光雄君  出席政府委員         内閣総理大臣官         房交通安全対策         室長      三島  孟君         警察庁交通局長 杉原  正君         運輸省鉄道監督         局国有鉄道部長 山地  進君         運輸省自動車局         整備部長    犬丸 令門君         運輸省航空局長 高橋 寿夫君         運輸省航空局次         長       松本  操君         建設省道路局長 浅井新一郎君  委員外出席者         警察庁交通局運         転免許課長   三上 和幸君         警察庁警備局警         備課長     若田 末人君         通商産業省産業         政策局商務課長 若林  茂君         通商産業省基礎         産業局化学製品         課長      平河喜美男君         工業技術院標準         部長      下邨 昭三君         運輸省鉄道監督         局国有鉄道部施         設課長     岩橋 洋一君         運輸省鉄道監督         局民営鉄道部監         理課長     中村  徹君         労働省労働基準         局監督課長   小粥 義朗君         日本国有鉄道旅         客局長     畑  耕平君         日本国有鉄道建         設局停車場第二         課長      井上 六郎君         参  考  人         (新東京国際空         港公団総裁)  大塚  茂君         参  考  人         (新東京国際空         港公団理事)  井辻 憲一君         特別委員会調査         室長      綿貫 敏行君     ————————————— 本日の会議に付した案件  連合審査会開会申入れに関する件  参考人出頭要求に関する件  交通安全対策に関する件      ————◇—————
  2. 沖本泰幸

    沖本委員長 これより会議を聞きます。  この際、連合審査会開会申し入れに関する件についてお諮りいたします。  地方行政委員会において審査中の道路交通法の一部を改正する法律案について、地方行政委員会連合審査会開会を申し入れたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 沖本泰幸

    沖本委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、連合審査会開会日時等につきましては、委員長間において協議の上、追って公報でお知らせいたしますが、来る二十六日開会される予定ですので、御了承ください。      ————◇—————
  4. 沖本泰幸

    沖本委員長 交通安全対策に関する件について調査を進めます。  この際、本件について、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本日、参考人として、新東京国際空港公団総裁大塚茂君及び同公団理事井辻憲一君の出席を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 沖本泰幸

    沖本委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、両参考人からの意見聴取は、委員質疑により行います。     —————————————
  6. 沖本泰幸

    沖本委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。井上裕君。
  7. 井上裕

    井上(裕)委員 私は、交通安全対策特別委員会でございますが、地方行政あるいはまた予算委員会分科会、こういうところで質問をする予定であったわけですが、種々関係で取りやめまして、ここで成田空港、さらに成田空港周辺地域の問題一本にしぼりまして、局部的なことで大変申しわけありませんが、御質問いたしたいと思います。与えられた時間がわずか一時間でございますので、ひとつイエスノーか、簡単な答弁お願いをいたしたいと思います。  まず、警察庁交通問題について御質問いたしたいと思います。  昨年の四月六日、この交通安全対策特別委員会で、一年前の春の安全週間質問をさせていただきまして、ちょうど一年になりますが、そのとき開港後の交通事情、たとえば東関東高速道路あるいは京葉有料道路あるいは五十一号線、二九五、二九六、こういう交通渋滞は当初の予想を上回る状態になることが必至でございます。こういうような状態のときに、成田交通管制センター完成いたしました。また県警本部中央センター、さらに市川葛南交通管制センター、こういうものができ上がっておりますが、これが現在どのような効果を発揮しているか、また総括的な空港関連交通管制が一体的に運営されておりますかどうか、この点をひとつ、大丈夫だ、あるいはまだ非常に危険だということを、いままでのことは結構ですから、イエスノーかということで御答弁を願いたいと存じます。
  8. 杉原正

    杉原政府委員 いま成田空港関連道路交通のさばきの問題につきまして、御指摘のようなことがいろいろ心配をされておりましたので、これにつきまして、千葉本部管制センターのほかに、葛南管制センター、それに昨年の十二月に設置されました成田交通管制センター、この三つを制御しながら適正な交通管制をやろうということでやっております。  なお、これにつきましては、さらに可変標識とか監視用テレビとかいろいろな問題がございまして、現在ありますほかに、五十三年度につきましてもまた緊急に措置をしようということでやっております。種々道路条件のもとでの最大限の交通量をさばこう、こういうことでございますが、いまの状況から言いますと、大体やり得るのではなかろうかというふうに考えております。
  9. 井上裕

    井上(裕)委員 開港後の関連道路並びに周辺道路交通量を予測いたしますときに、現在以上の交通整理が、渋滞予想されますので、非常に必要だと思います。後で出てまいりますが、幸いに警備の面におきましては、新たに千五百人という警察官警備に当たっていただけるということでございますが、交通の場合、たとえば開港前後のときは日本全国から応援をいただける。しかしながら、そうでないときにいろいろな事件あるいはまた捜査、そういう点で警察官が不足になる危険性がある。そういうときに、交通機動隊あるいは交通警官、そういうものを私は非常に憂慮する一人でございますが、定員問題であるとかそういう問題について、これまた簡単にお答え願いたいと思います。
  10. 杉原正

    杉原政府委員 成田関連につきましての交通警察体制といたしましては、約三百五十人、これは成田関連道路高速交通隊とか交機隊、他の署というものに関連して投入をしてやろうという計画でおります。この成田道路関連交通警察の問題につきましては、成田昭和四十三年成田空港署を含む四百五十人の定員増がありました。この中にかなりの交通警察人員も入っております。これが成田関連ということで、かなり増強して使われるという状況になっております。
  11. 井上裕

    井上(裕)委員 私も要望をいたしますが、ぜひひとつそういうことで進んでいただきたい、このように考えます。  それから次は道路行政の問題でございますが、この空港関連道路並びに周辺道路は確かに整備されておりますしかしながら、これに伴うバイパスのような大きな流れを処理する道路を建設しなければなりません。空港周辺交通渋滞現実にいま解消されずに、現地周辺住民は非常に迷惑でございます。  そこで、一番通りの多い五十一号及び二百九十六号線の酒々井バイパス工事、これは現在どの程度までいって、またいつごろ完成されるか、これを本当に簡単で結構ですからお答え願いたいと思います。
  12. 浅井新一郎

    浅井政府委員 お答えいたします。  御指摘一般国道五十一号線の酒々井バイパスでございますが、現在全体として三・四キロの計画で進めておるわけでございますが、そのうち現在拡幅部分を除きますバイパス区間が二・六キロございます。この区間につきましては、昭和五十四年度末に暫定車線供用を開始する予定でいま鋭意進めております。  それから、二九六号線の酒々井バイパスでございますが、これにつきましては昭和四十七年度に着工いたしておりますが、現在鋭意施行中でございまして、五十三年度中には暫定車線供用を開始する予定でございます。これは延長約一キロでございます。  以上でございます。
  13. 井上裕

    井上(裕)委員 そういたしますと、これは五十三年度と言いますから五十四年の三月三十一日までには完成するということでよろしゅうございますか。
  14. 浅井新一郎

    浅井政府委員 二九六号につきましては三月三十一日までには完成いたします。
  15. 井上裕

    井上(裕)委員 先ほど申し上げましたように周辺の局部的な道路事情で大変恐縮ですが、佐原市の津宮地先から小見川大橋通り銚子地先に至る三五六号線のバイパスの問題、さらに成田小見川鹿島港に至る大栄町前林地先バイパス、さらに東関道富里インターチェンジ二二九六、また成田東金間を結ぶ富里七栄バイパス、これは千葉県の土木部でもこの地域を非常に重要視いたしておりまして、恐らく建設省の方にもお話があると思います。このバイパスを建設しない限り交通渋滞は目に見えております。開港のときに、千葉県の京葉地帯の市長さんが、この開港に私ども条件つきである、それは大きい道路整備されますが、それに伴い、あるいは渋滞になった場合に、市川船橋あたりにおりていく可能性がある、かえって自分たちが迷惑するということをずいぶん私どもも陳情されましたし、また要請も受けてまいりましたので、以上の道路がどういう状態にあって、いつごろできるのかということをひとつ的確にお答え願いたいと思います。
  16. 浅井新一郎

    浅井政府委員 御指摘路線は、いずれも成田空港周辺にあって将来的にはきわめて重要になる路線だと思います。逐次改良を進めていかなければならぬと思っておるわけでございます。  まず、御指摘の三五六号バイパスでございますが、これは佐原中宿から東庄町東今泉間約二十・八キロの計画でございます。この区間利根川沿いルートでございまして、利根川堤防小段を利用する計画で一応考えておりますが、とりあえず中宿から小見川大橋までの九・四キロの間につきまして千葉県が五十三年度から調査に着手する予定にいたしております。  それから銚子市の松本町から野尻町間の五・一キロでございますが、これにつきましては利根川の河川敷、現在無堤地になっておりますところを利用してルートをとる計画でございまして、昭和五十二年度から千葉県が路線可能性について調査をしておりまして、その結論を待って検討していくことといたしております。  それから県道成田小見川鹿島港線バイパスでございますが、この県道につきましては重要路線としてすでに七六%ぐらいの改良率になっております。この間で、大栄町の前林地先の二キロの間につきまして千葉県が現在改良計画調査中でございまして、五十三年度の調査終了事業に着手したいと考えておるわけでございます。  それから同じく県道成田東金線でございますが、このバイパスにつきましては富里インターチェンジから一般国道二九六号の間の一・二キロを千葉県が地元調整中でございまして、これも調整の結果を待って調査を行いたいと考えております。  それから富里村の西二本榎から笠木野までの一・四キロにつきましては、現在千葉県が都市計画決定準備を進めておりまして、都市計画決定所要調査を行って事業化検討したいと考えております。
  17. 井上裕

    井上(裕)委員 いま申し上げましたように、この空港周辺整備というのは非常に大切なことでありますし、また地元住民も望んでおりますので、局長、ひとつ特別な御配慮でお願いしたいと思います。  次に、成田高速鉄道について御質問したいと思います。  一名成田新線と言っておりますが、前運輸大臣田村さんと千葉県知事川上紀一さんがお話し合いをいたしました。田村構想として打ち出された成田高速鉄道、これは通勤対策あるいは旅客輸送等、さらに千葉ニュータウン人口急増対策といたしまして、輸送手段の今後本当に決め手ともなる大きい問題だろうと思います。  すでに去る四月四日の日に、千葉県あるいは国鉄営団地下鉄あるいは京成、北総鉄道宅地開発公団、こういう方々で、東京成田を結ぶためには皆さん協力を得て成田高速鉄道というものの実現を図っていただきたい。そのために、完成までには幾多の困難が予想されると思いますが、これらの完成予想時期、さらにその見通しを、大体アウトラインで結構ですからひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  18. 中村徹

    中村説明員 先生ただいま御指摘がございましたとおり、昨年の十一月に当時の田村運輸大臣が、新空港アクセス等通勤通学輸送目的とする新しい鉄道構想を提案されました。これを実現していくためには非常に問題点が多うございまして、そういう意味関係者の方が集まって問題点検討しなければいけないということで関係者協議会が四月四日発足いたしたわけでございます。  それで、第一回の協議会がただいま開かれております段階で、今後これがどのように審議が進むかということはまだはっきりいたしておりませんけれども協議会として整備主体とか運営形態路線の設計、輸送需要採算性資金調達といったいろいろな問題を、それぞれ個別に部会等を設けて検討を進めていきたい、こういうことでございます。  いまのところその完成の時期が、いつ着工できるかとか、その結論がいつ出るかということが、まだはっきりした時期が決まっているようなところまでは進んでおりませんので、今後この協議会におきましてこれらの事項について検討の結果結論が出るというふうに承知いたしております。  運輸省といたしましては、協議会結論を待ちましてこの問題に当たりたいと考えております。
  19. 井上裕

    井上(裕)委員 たとえば新幹線を通そう、そういう場合には必ずそこにいろいろな反対があるわけですが、この成田高速鉄道、これにつきましては千葉県知事初め市町村長全員賛成なわけです。しかもあの地域は、鉄道が通っていない本当にむなしい地域でございます。さらにあの地域そのものが印旛沼ということで千葉県のすべての水を潤しておる。そういうところで、非常に待望の鉄道でございます。また、住民市町村長も歓迎していることでございます。さらに、御案内と思いますが、ニュータウンの造成が進んでおりますので、これはひとつ前向きな形で、地元としては千葉県知事が先頭に立ってお願いに上がりますが、ぜひお願いしたいと思います。  次に、空港までの鉄道の乗り入れば京成電鉄が延長いたしましたが、しかしこれは一社でございます。これも私どもは再三にわたりましてお願いをしておるわけでございますが、いわゆる国鉄成田駅の延長は決まっておることと思いますが、着工のプラン、こういうものをひとつお聞かせ願いたいと思います。
  20. 岩橋洋一

    岩橋説明員 いま先生おっしゃいました在来線成田駅からの空港への延長という問題は、現在施工しておりますいわゆる成田新幹線路盤暫定的に使用してということに相なるわけでございまして、現在成田新幹線はなかなか地元の御協力が得られなくて難航しておりますが、成田線交差部から新空港までの間は何とか工事をしたいということで、現在用地買収に入っております。この路盤を使って暫定的にということになるわけでございまして、ただいま監理課長が御説明いたしました成田高速鉄道もこの路盤を使ってというような形にしておりますので、それらの関係を十分検討いたしまして決めたいというふうに考えております。いずれにいたしましても、路盤が早急にできないことにはどちらもできないわけでございます。現在用地買収をしておりますが、まだ所要の一割強しか用地が買えないというような状態でございますので、これに努力しながらその問題も検討していきたいと考えております。
  21. 井上裕

    井上(裕)委員 通勤対策上からも、また空港の問題からも成田佐倉複線化、それはもう行われておるわけでございますが、この促進、また完成の時期、さらにこれに伴いまして、やはり私どもとしては成田佐倉複線化成田線成田我孫子複線化をともに着工していただきたいという要望を出しておったわけですが、成田佐倉間は進んでおりますが、成田我孫子間につきましてはまだ見通しが暗い、こういう点についてお答え願いたい。  さらにまた、四街道駅の橋三化、これも老朽化対策として千葉鉄道管理局でお取り上げになっていただいておりますが、空港周辺整備対策の一環としてこれは現在とられていると思いますけれども、この地域は現在でも急増都市で、すでに五万を突破しておりますが、開港に伴う周辺道路交通の増加が非常に目に見えております。この問題に早急にひとつ着工していただけるか。また、この場合の負担分担、これはひとつ特別措置というもので講じられないかどうか、この点をひとつあわせて御質問いたしたいと思います。  さらに、時間がございませんので、現在、国鉄酒々井という駅があります。これは現在無人駅になっております。無人ということで、過激派ゲリラが二十六日の襲撃事件を含め何度となくここで自由に乗降している。これは国鉄当局警察当局現実に知っているわけです。そこで、この酒々井周辺住民は非常に迷惑であるし、また恐れをなしている。これは非常にゆゆしき問題でございます。私自身、一つの駅というものが一日八百五十人の乗降客がない場合には無人化する、こういうことはよくわかっております。さらにまた、国鉄側としてはこれはまた有人化にすることはとうていできないので、公安官なりあるいは警備体制警察お願いしてやってもらえるということであろうと思いますが、これは一回、二回でありませんので、これからもまたそういうような状態になることが多々あると思います。現在、国鉄は大きい赤字に悩んでおりまして、人員整理であるとか、そういうものはよくわかりますが、これに対してどう対処してもらえるか、その辺のところをひとつあわせてお願いをいたしたい。
  22. 井上六郎

    井上説明員 先生一番初めに御指摘のありました佐倉成田間の複線化の問題でございますが、これは十三キロあるわけでございますけれども、そのうち中間駅の酒々井を中心にいたしまして前後六キロについてはすでに複線化完成しておりまして、残り七キロメートルの複線化は、五十三年三月二日に運輸大臣から複線化をするということで認可をいただきましたので、早速担当する現地工事局工事の指定をすでにいたしまして、現在関係住民方々工事説明をしておる段階でございます。したがいまして、今後用地買収であるとか、あるいは道路との交差、あるいは河川との交差等のいわゆる地元との協議が順調に進んでまいりますと、私どもとしては五十五年の夏ごろには完成させたい、こういうふうに考えておる次第でございます。  それから、我孫子から成田までの成田線我孫子口複線化の問題でございますが、これにつきましては我孫子から常磐線へ乗り入れておるという輸送体系をとっておりますので、常磐線輸送力の動向と、それから我孫子成田間の沿線地域開発あるいは整備状況等を見定めまして検討してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。  それから、引き続きまして四街道駅の橋上化等建てかえの問題でございますけれども、これは先生からも御指摘のありましたように、すでに四十年を経過いたしておりまして、現在木造駅舎でございます。しかも、裏口が現在はないというふうなことで、片側からしか乗降ができないというふうな駅になっておりまして、さきに、これは非公式でございますが、橋上化をしたいということで、現在地元千葉鉄道管理局の方と地元の方との間で下協議ということで協議が進みつつございますけれども、御案内のとおり、財政上は国鉄としても非常に苦しゅうございますので、ほかの駅で行っておると同じような橋上駅にする場合の負担割合についてはぜひこれを地元の方でも御了解いただきたいということで、国鉄としてできる限りの御協力をして実施していきたいというふうに考えておりますので、ぜひひとつ橋上駅のルールに従って正式な協議を進めていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  23. 畑耕平

    畑説明員 酒々井駅の問題につきましては、確かにおっしゃるように無人駅でございます。実は、ちょうどジェット燃料輸送期間中は、いままで一日に一回管理助役成田から巡回しておりまして、そのほかに公安官を配置いたしまして警戒に当たらせておったわけでございますが、おっしゃるとおり成田に近うございますので、いろいろ今後の情勢を見て必要に応じてこの管理強化とかあるいは公安官を配置するというようなことをいたしまして、十分警備強化に努めたいというふうに対策を考えております。そういうところでございます。
  24. 井上裕

    井上(裕)委員 非常に前向きの答弁でありがたいわけですが、私は素人でございますので専門家皆さんの御意見をお伺いしたいわけですが、私は電化というのはやはり複線化でないと意味がないという感じがしております。そういうことで、ぜひひとつ電化複線化、これを実現させていただきたい。  さらに、くどいようでございますが、酒々井駅の場合は確かに乗降客が少ない、さらにまたときどき鉄道公安官あるいは成田から助役さんがおいでになるということでございますが——一度、二度じゃないわけですね。それは住民も知っているわけです。そこらはひとつ、規定では確かにある程度の乗降客、すなわち八百五十人なければいけない、あるいはそういうようないろいろなことがあろうと思いますが、現在ここに快速がとまらないというようなことで、過激派ゲリラというものもここから乗って、しかもここでおりる、そういうことで住民も非常におののいているわけです。もしここに常時駅員がいたらあるいは一一〇番なりあるいはいろいろな方法でできると思うのですね。そういう点で、国鉄警備輸送という点では違うと言われればそれまでですが、規定はそうでありましょうが、ひとつ皆さんのお役所で前向きにこの問題を検討してもらいたい、このように思います。これはひとつ要望だけにしておきます。  それでは、国鉄関係の方はよろしゅうございます。  次に、きょうは運輸大臣にひとつお聞きしたかったわけですが、運輸委員会があるということで、航空局長並びに公団総裁にお聞きいたしたいと思います。  まず最初に、これまでA滑走路一本では一種の片肺飛行のために早急に第二期工事にかかる必要に迫られていたわけです。私は、第二期工事見通しはどうかということをまず最初にお聞きいたしたいと思う。  さらに、これまた時間の関係で続けてお答えを願うわけですが、BランCラン使用目的、これを再確認したい。  まずこの二点について、これは単刀直入で結構ですから、簡単にひとつお答え願いたい。
  25. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 二期工事につきましてはもう速やかに着手したいということで準備を進めているわけでございますが、先生も御承知のように、あの辺一帯埋蔵文化財がございまして、この調査が済みませんと実際に土をいじることはできないということでございまして、現在千葉県の教育委員会埋蔵文化財調査お願いいたしているところでございます。なるべく早くやってもらいたいのですけれども、ことしいっぱいくらいかかるんじゃないかというふうな見通しを持っている向きもございます。その済み次第、今年末早々にも着工をしてまいりたいと思います。  着工後どのぐらいあればでき上がるかという点につきましては、一期工事のときの工程その他も関連して考えますと、着工後やはり四、五年あればでき上がるというふうに考えております。  それから第二の点のB、C滑走路の目的でございます。  まずB滑走路は現在のA滑走路と平行滑走路でございまして、A滑走路だけでは処理し切れなくなった場合における輸送量の増加を処理するということでございますが、それは計算上の話でございまして、実際問題としてはA滑走路一本では、たとえば何か問題があって滑走路が閉鎖になるというふうな場合にすぐ機能不全になりますので、B滑走路がございますればこれをA滑走路のかわりに使えるということもございますので、計算上の問題は別といたしまして、一日も早くA、Bという二本の滑走路が欲しいということでございます。なお、A滑走路は四千メートル、B滑走路は二千五百メートルというふうに長さが違いますが、この点につきましては、計画当初から、B滑走路につきましては近距離国際線等の比較的足の短い路線の発着用に使う、そういうふうに計画をいたしております。  それからC滑走路はいわゆる横風用滑走路でございまして、羽田等にもございますけれども、横風が吹いたときに使う滑走路ということでございます。これも理屈を申しまするならば、成田空港周辺は羽田と違いましてかなり風向きが安定いたしております。一年のうちで横風のために飛べないというパーセンテージは非常に少ないという計算が出ております。計算上では〇・一%という計算もあるわけでございます。そういった意味では、横風用滑走路というのがなくてもA滑走路だけで安全上全然問題はございませんけれども、これも〇・一%というぎりぎりの状態にいかなくても、真横でなくても多少斜めの風が吹けば、C滑走路があるのならばなおより安全な離着陸ができるという意味では、やはりA滑走路を補う意味もございますので、これもBと同じように、できるだけ早くつくりたいと思っております。安全上の見地等を考えますと、B、Cいずれかと言えば、やはりCの方から先に完成させたい、こういうふうに考えております。
  26. 井上裕

    井上(裕)委員 私はここで重大なお話をしたいと思うのです。  B滑走路につきまして私もそういうように指導を受けていたわけです。ところが英国の航空の本あるいはまた有識者に聞いてみますと——現在の成田空港で、反対派はまた一昨日ですか、戸村委員長が非常に強硬な態度で、開港させない、われわれは、話し合いをするためには以下三つの点をのんでもらわなくちゃいけない、そういうことであれば、B滑走路はいまつくらなくてA滑走路だけで開港する、ということはB滑走路は要らないんじゃないか。さらにジャンボ飛行機は二千五百メートルでは飛ぶのが不可能である。万一四千メートルの滑走路が閉鎖された場合は羽田を使えばいい。それよりも、いま世界の趨勢は、滑走路そのものよりも乗降客のいわゆる管理、だからターミナルをつくるとか……。だからむしろ二千五百メートルの滑走路凍結というような形になれば公団としても反対派としても進むべき道が出るのじゃなかろうか。これは一番安全な方法で、いける、こういうふうに思うのです。いままで私は公団並びに運輸省のお話を聞いていてそうだったのかなと思ったのですが、現在そのような状態の中に開港するということは、二千五百がなくてもできるのではなかろうか。いま言う近距離の国際線に使うとかあるいは国内線に使う、ジャンボではないものに使う。現在それが見通しがつかないままで開港するわけですから、私は二千五百のことはもっと考えなくちゃいけない。そうなった場合には、恐らく反対派との話し合いの余地もあるのじゃなかろうか、それを譲ってもらえると。そしてそこへ大きいターミナルをつくって、最重点にターミナルビルをもう一回りっぱなものをつくって——成田空港のイメージアップにつながると思います。この点について、ぜひひとつお聞かせ願いたいと思います。
  27. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 当面A滑走路だけで安全上は問題がないという点は、C滑走路の関連でございますが、Bとの関連で申しますと、これは当面A滑走路がありますれば、年間約五万五千回という国際線の便数は処理が可能でございまして、では、一体どのぐらいまで処理できるのかという点につきましては、A滑走路一本で年間約十三万回まで処理できるということになっているわけであります。したがって、いますぐにB滑走路がなければ成田は片肺空港であるということにならないわけでありますけれども、しかし十三万回という処理能力というもの、これはいずれやはり限界にくるわけでございますので、私どもは将来のことを踏まえまして、A、B両方の滑走路を持ちまして、そしてそれぞれ路線の長さによって使い分けるということが望ましい、そういう考え方で計画をしたわけでございまして、その考え方は今日でも変わってないわけでございます。  なお、ターミナルにつきましては、当然二期工事地域の中にもターミナルの計画を持っております。これはB滑走路に対応するためのターミナルは当然考えておりますので、それはもうBと一緒につくる、こういうことになると思います。
  28. 井上裕

    井上(裕)委員 二期工事におきまして、タ−ミナルをつくることはわれわれもよく承知しておりますが、これはやはり管制能力を高めることと旅客をいかに扱うかということで、いま皆さん計画しているターミナルのようなものでなくて、大きいものをひとつつくって万全を期してもらいたいということでお願いしたわけです。先ほど言うように、いわゆる重要文化財がある、そういうようなことで、延々としてやる。これはやはり役所同士の話し合いがスムーズにいけば、もっともっと早く着工ができると思う。もっともそれについては着工できない要素はあるわけです。こういうものを、もう十一年、十二年を経過していることでございますので、ひとつ引き締めてやってもらいたい。これは要望だけにしておきます。  時間がなくなりましたので、騒音区域の設定について、これはかなりの批判がまだ地元にあります。そこで、開港後、騒音地域から除外されている地域についても被害が発生した場合は、速やかにこの措置が必要と考えますが、この点はもう大丈夫なんでしょうね。これは簡単明瞭でいいですよ。
  29. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 開港後のある一定期間、実績をとりまして、やはり直す必要があるというデータが出ますれば、速やかに訂正をいたします。
  30. 井上裕

    井上(裕)委員 これまた要望ですが、皆さんの場合には、法律、法律でございますが、たとえば一つの町に六つの小学校があった。五つはその騒音の地帯に入っている。一つはちょっと外れた。これは規定外だ。こういう状態になりますと、私どもはもうよくわかっておりますが、その末端自治体の長は、これは住民に対してりっぱな行政というものはできないわけですね。そういう点で、これは一つが騒音区域外ですよ、六つのところ五つ入って一つはちょっと離れた、こういうところは、大変申しわけありませんが、ひとつ臨機応変にやっていただきたい。それがまた住民をなだめる一つの問題でありますし、地方自治体の長としてやはり行政を進めていく上に非常にプラスになる。ひいては私は公団にもプラスになると思います。そういう点でぜひお願いいたします。これまた要望にしておきます。  次に、警察庁にお伺いいたします。  もう私も本会議質問させていただきました。今回の成田空港襲撃事件で非常に痛感したことは、空港公団総裁がいて申しわけございませんが、警察との連係プレーが非常にまずかった。私はこれは公団側に手落ちがあったと思います。これは警察だけ責められておりますけれども。  そこで空港警備隊の新設が決定いたしました。聞くところによると、人員が千五百である。現在千葉県の警察官の数が六千人。そうすると七千五百人になる。その千五百人の警備隊がいるということですが、素人考えでわれわれはそう考えるわけですが、三交代という形になりますと、五百人。すると、いかにも現在は各地区から応援をいただいておって大変心強いわけですが、さあ、いよいよ開港になりました。これは成田空港だけの治安を日本全国警察がやっておるわけにはいかないんで、みんなお帰りになる。さあ、そこで千五百人の、しかも三交代というと五百人。そういうことで私は非常にさびしい感じがする。これは将来やはり増加していく考えはあるかどうか、この点をお聞かせをいただきたい。
  31. 若田末人

    ○若田説明員 ただいま御指摘のとおり、空港警備隊につきましては千五百人で一応発足するような形で現在検討中でございます。これは将来と申しますか、近い将来の恒久的なものでございまして、このたびの五月二十日に向けての情勢等につきましては、全国から御指摘のとおり約一万の警察官の応援をもらいまして、既存の千葉県の警察官と合わせまして約一万三千人の体制で臨む予定でございます。したがいまして、情勢がずっとそういうことで続けば各県には大変迷惑をかけるわけでございますが、それに応じた情勢でやってまいる予定でございます。前回の場合にも一万三千から一挙に落とすというようなことでなくて、八千なり六千なりというようなことで情勢に応じて落としてまいりました、かような次第でございます。  それからただいまお尋ねの千五百人の運用についてでございますが、一応先生指摘のとおりに三交代になりますが、これは警察のやり方といたしまして、当番、日勤、非番というような形でございまして、当番は全員が出ます。日勤というのは約その半数が出ることになりますので、昼間のうちには七百五十が出る形になります。それから空港署に二百二十人、警察官がございます。このうち外勤が約百人ぐらいございますので、約八百は空港自体で持つ。それで飛行場の中を主として空港署が持ちますし、空港警備隊はそれに直近した外部の極左等にも対応いたします。そのほかに千葉県には別に機動隊もございますし、それから県警のあれもありますし、それから近く警視庁等にも機動隊がたくさんおりますので、緊急の場合には応援に向かうというようなことでございまして、前回ああいうことで大変遺憾なことになっておりますので、その点については警備の万全を期すように、また空港公団運輸省等にもお願いいたしまして、物的な自主的警備措置と相まって万全を期す予定でございます。
  32. 井上裕

    井上(裕)委員 力強いお話で、了解いたしました。ひとつ今後の問題を御検討願いたいと思います。  次に、時間がなくなりました。これは公団に簡単明瞭にお願いしたい。聞くことは山ほどありますので。大変細かい問題で恐縮ですが。  この襲撃事件に伴いまして開港が延期になった。これは、このターミナルビルのテナント、多くの皆さんに御迷惑をかけたわけです。そこで空港公団に私は幾つかお伺いいたしたいと思います。  テナント料はどのような仕組みになっているか、これもお聞きしたいわけですが、ちょっと時間の関係がありますので、これは後で文書でひとつお願いいたします。  それから、上下水道、ガス、電気料、こういうものはターミナルの場合どうなっているか、これは文書で結構です。  そこで、いまここでお答え願いたいのは、上水道一立米二百十六円、下水道一立二百四十六円、合わせて四百六十二円で、成田市内の場合、上水道は一立米当たり二十五円、下水道は現在ありません。平均すると、上下水道は市内料金に比べて二十倍なんです。この料金の設定はテナント契約がなされた後に決定したものですね。テナントと皆さんが契約した、その前は水道とか下水道のことはやっていなかった。契約した後に、ばかっと二十倍で出した。これはどのようなことでそうなったのか。また、現在のテナント料は、これまでの開港のおくれに伴ってテナント側の金利負担は全然考慮されていないわけです。特にガス、電気料は当然市内よりも高くなっていると思います。さらに空港公団調査によれば、これはわれわれの方で見たのじゃないですよ、皆さん空港公団調査によれば、開港三年後から見学者は減るということになる。  そこで、これはよく指摘されました、野党の方からずいぶんそのたびに指摘されている四階と五階の条件の差が非常にはっきりしているということ。せめて地元成田の業者だけでもテナント料の軽減を考慮すべきではないか。  たとえば転業対策協議会の場合、十五平米で固定家賃あるいは管理費、空調料金を合わせて月額が九万八千四百円です。地元成田の業者が、テナントの場合は同じ十五平米で最低保証額だけでも十万六百五十円、これは売り上げ歩合がプラスされることになりますね。  そこで、これは私の提案ですが、転対協並みとは言いませんが、四階よりもはなはだしく条件が悪化しております。これも皆さんよく御案内と思います。その他の事情を踏まえて、この売り上げに伴う超過負担額を現行よりダウンして六%くらいに抑えることができないかどうか。これはこれまでずっと苦労に苦労を重ねてきた地元テナントの人たちを救うべき道でございまして、また、これが地元に対します公団のあるべき姿であろうと私は思いますが、この点につきましてひとつお聞かせ願いたいと思います。これも時間があと八分しかありませんので、簡単明瞭にひとつ……。
  33. 井辻憲一

    井辻参考人 お答え申し上げます。  開港がいままで遅延しておりまして、さらに今回の事件によりまして五十日近く延びたというために、テナントの方々、特に零細な方々に非常に御迷惑をかけており、かつ、その方々の実際の経営状況なり金利負担というものについては、私どもといたしましても、何とかして公団でできる範囲内のことはいたしたいということで、種々頭をめぐらしておったわけでございます。  御質問のテナント料あるいは上下水道、ガスはガス会社がやるわけでございますが、上下水道とか電気、冷暖房というような供給料金につきましても、私どもといたしましては何とかしたいという気持ちはもちろんないわけではございませんが、これは独立採算の公団のたてまえといたしましても、実際に要するコスト、過去に投資いたしましたものの回収というふうなものを考えますと、一般の市中よりは高うございますけれどもいただかないと、公団といたしましては立場上経営が非常に困るという点もございます。  上下水道等がなぜ高いかという御質問でございますけれども、これにつきましては、御承知のように北総地帯のほとんど人口がなかったところへ利根川から水を引いて、県負担もございますが、公団だけでも、上水道料金に転嫁しなければいけない投資額が九億余りございますし、そのほかに下水道といたしましても三十七億くらいの投資分担金も払っております。そういう遠いところから引いてきたりあるいは遠いところへ流す下水道管の敷設というようなこともございまして、計算をいたしますと高くなっておるわけでございます。ただ、現行の羽田と比較いたしますと少しは高うございますが、著しく高い、何倍とかいうふうなものではございませんで、それほどでもございません。  いずれにいたしましても、テナント料につきましては、転対協等の方々に対しましては二年間その徴収を免除いたしますということをすでに申し上げております。この歩率によりますテナント料につきまして六%というお話でございますが、私どもといたしましては、羽田に比較いたしまして家賃、供給料金等は多少高うございますが、なお今後実績を見た上で特に問題があるというふうなことでございますならば、そのときに再検討いたしたい、かように考えております。
  34. 井上裕

    井上(裕)委員 私の質問二分であなたの答弁は七分もかかってしまっておるのです。成田の二十倍、市価の二十倍もしておるのです。これは笑い事じゃないのです。よく計算して二十倍なんです。この間あなたは成田だけが地元ではないという発言をしておりますが、それは後で井辻理事取り消してもらいたい。成田地元なんです。食べ物屋をやる人が、水が高いからなるべくお米をといで持っていって向こうでやる、これは笑えない悲劇なんです。そういうことをよく踏まえて、いま言うこれから先あれを見て六%にするとかなんとかいうことでなく、ここではっきり答弁をもらいたいと思います。
  35. 井辻憲一

    井辻参考人 私どもといたしましては、羽田の実績その他業種別に勘案をいたしまして、実績判断の上に立ってパーセントを決めておりますが、ただいま申し上げましたように予測でございますので、実績をしばらく見た上で個々の実態に当だって検討いたしたいという気持ちでございます。
  36. 井上裕

    井上(裕)委員 そこで、もしその実績があなた方の予測より低かった場合には、そういう場合に限っては将来めんどうを見てやるということを文書で確約できますか。
  37. 井辻憲一

    井辻参考人 売り上げが非常に少ない場合につきましては最低家賃になると思いますが、そのことも含めまして、今後そういう場合には検討いたしたいということを文書でお答え申し上げます。
  38. 井上裕

    井上(裕)委員 それでは、文書でそのようにお願いいたします。  時間がありませんので、最後に公団総裁にお伺いいたします。  先週、参議院の交通安全対策特別委員会の席上で福永運輸大臣は、今後空港公団理事ポストについては真剣に考え直していくということを言われたと聞いております。空港公団総裁、監事は運輸大臣が任命する、副総裁理事運輸大臣の同意を得て総裁が選ぶことができる、こういうことを考えますときに、これは千葉県の代議士会あるいは党からも何回も要望が出ておると思いますが、私は答えをいただきたかったわけですけれども、時間があと三分だそうですので、空港公団の人事はどのように選考され、決定されているのか、特に部長クラス以上のトップ人事についてお伺いいたしたい。これは文書で回答してください。たとえば用地買収を中心とする地元住民との接触に当たって今日まで築き上げてきたのは、地元出身者の役員のおかげであります。現在千葉県の出身者というのは、理事たった一人です。かつては副総裁あるいは理事も、用地部長も、次長も、課長も送っていた。それが、県から出ているのがいまはたった一人だ。大変申しわけありませんが、いま週刊誌は、皆さんのことを天下りというようなことでにぎわしている。どの週刊誌にも全部出ている。これは私ども、そういう専門家の役所出身の皆さんでなければ困ることもあるが、やはり地元として地元に精通した理事あるいは役員  あるいは過去その部長として、課長として空港公団で今日まで一番努力した人がいるわけで、この人たちを、たとえば嘱託である人を参与にするとかあるいは理事にしていただくということは、学歴とかいろいろな役所の関係がありましょうが、空港公団総裁として、これからの役員人事、そういうものについて、地元の要求を入れていただけるかどうか、それだけひとつお答えを願います。
  39. 大塚茂

    大塚参考人 運輸大臣とよく御相談をして善処してまいりたいと思います。
  40. 井上裕

    井上(裕)委員 運輸大臣と言いますけれども理事はあなたが任命できるのです。ですから、総裁、ひとつこれはぜひあなたの決断で、いままでやってきた人、AとかBじゃなくて、あなたが正当な目で見て、これだけまじめにやってきた方は空港公団で採ってあげたいと。地元の要求をわれわれがこういうところで言わないでも、そういう人がいればうんとできるわけです。そういう点をぜひひとつ理解していただきまして、そういうことを要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  41. 沖本泰幸

    沖本委員長 太田君。
  42. 太田一夫

    ○太田委員 最初運輸省にお尋ねをいたします。  踏切事故と電車車両という問題でございます。  最近、ダンプが非常に大型、かつまた堅牢になってまいりまして、しかも、政府の公共事業拡大推進方針に相伴いまして、各地区の道路に縦横無尽に走るという現象が出てまいりました。そこで、電車の車両のフロント関係の構造というのが非常に問題になってまいりまして、乗る運転士はもちろんのことでありますが、前部に乗るお客さんまでが、もし踏切の上でダンプにぶつかったときにはどうしようもないなという、非常な危機感が生まれておるのであります。そこで、私は、踏切の事故と電車の車両とトラックと、三題ばなしのようなことでありますが、この問題についていまから十分な用意と対策を立てなければならぬのだろうと思います。  そこで、最初に、踏切事故の最近の傾向とその特徴について伺いたい。これは、この三年間ぐらいどうなっておるかということでございます。
  43. 山地進

    ○山地政府委員 最近の三年間の事故でございますが、昭和四十九年、五十年、五十一年の三年を申し上げますと、それぞれの事故の件数は、四十九年から申し上げますが、二千二百二十二件、五十年が千九百十七件、五十一年が千七百五十八件でございます。それから、それに含まれます死傷者数でございますが、逐次その順で申し上げますが、千八百十二人、千四百三十五人、千二百六十一人でございます。これは、昭和三十五年、大分昔でございますけれども、三十五年には五千五百六十九件、四千三百六十六人でございましたので、それに比較いたしますと大幅に改善されている、かように考えております。  これらの最近の事故の内容でございますけれども、これは、直前横断、踏切の直前で、汽車が来ているのに、大丈夫だろう、こういうような判断で横断する件でございますが、こういうものが大多数でございますので、こういった事故を防ぐためには、踏切の改善ということももちろん必要でございますけれども、踏切通行者の安全交通に対する啓蒙ということが重要であろう、かように考えております。     〔委員長退席、加藤(六)委員長代理着席〕
  44. 太田一夫

    ○太田委員 いまおっしゃった、直前横断が多くなったというのは、四月十九日付の「交通新聞」に「五十二年度踏切事故まとめ」というのが出ております。ここにそういうことが書いてありますが、ことしだけではないのですね。昨年も同じことが書いてある。五十一年度も無謀通行というのは非常に多うございまして、七百五十一件、六四%を占めている。五十二年度の無謀通行は七百二十三件、六八%と報道されておるわけです。その無謀通行というのは、遮断機を無理やり突破するというもの、あるいは警報機を無視して突っ込むというもの、あるいはわかっているのに直前を無理やり通るという、これが無謀通行の三つの種類でありますね。五十一年度七百五十一件、そういうのがあって、五十二年度は七百二十三件ということで、これも報道されておりますから、数は減っておるけれども、パーセントで言いますと、五十一年度は六四%が昨年度は六八%と、ふえておるわけです。しかも、死傷十人以上という重大事故につながった踏切事故というのが二件ありましたね。こういうことから、昔に比べれば減少したかもしれませんが、実は重大な内容の変化を含んでおるのじゃないかと思うのです。そういう傾向は間違いありませんか。
  45. 山地進

    ○山地政府委員 先生の数字が正しいであろうと思います。私いまあの資料を持っておりませんけれども、私の手元は五十一年までの数字でございますが、おおむねそういうような傾向であろうかと思います。
  46. 太田一夫

    ○太田委員 そこで、歩行者の事故というような場合には歩行者が被害を受けます。しかし、大型ダンプの場合におきましては、電車車両そのものが破損をし、運転不能となり、乗務員を含めて乗客の死傷という問題に必ずつながる。しかも、このごろのようにいささか過積ぎみのダンプとぶつかりました際には、土砂が車内になだれ込むということは考えなくてはなりませんから、大変だと思うのです。  そこで、電車車両の構造、特に正面のフロントの、これについて何か堅牢にするとか、これはボデーを含めまして——特に前面あるいは電車の車両、ボデーの強化、堅牢化についての研究というのはなされておりますか。
  47. 山地進

    ○山地政府委員 先生の御指摘のように、運転手の人命を守るということ、それからもちろん乗客の皆さんの安全を守るためにいろんなことを研究しておるわけでございますが、いま先生の御指摘の運転室の強化ということにつきましては国鉄がいろいろと実験いたしておりまして、その結果から、前面外板の板圧を増強する、つまり前の方を強くする、それから柱の部分を強化する、あるいはダンプがかなり背が高くなっておりますので、運転台を高くして、ぶつかったときに少なくとも運転手の方に被害が及ばないようにする、こういうようなことを国鉄、私鉄それぞれにおきまして、新造車、新しくつくった車を中心にいたしまして改善を図っております。
  48. 太田一夫

    ○太田委員 それは通達によりますか、あるいは省令か何か改正をされておやりになりますか。どういう方法でおやりになりますか。
  49. 山地進

    ○山地政府委員 現在いろいろ私どもとしても国鉄、私鉄に指導はしておるわけでございますが、規則面から申し上げますと、国鉄の場合には日本国有鉄道建設規程という規程がございます。それから私鉄につきましては、同じような内容でございますが、私鉄に適用する建設規程というふうに、二つの規則でこれらのことが実行されておるわけでございますが、規則そのものには、いま申し上げました、板圧をどれくらい増強すべきであるとか、そういうような基準というものはいまだできておりません。
  50. 太田一夫

    ○太田委員 それは規則で表示しようとしても少し無理があるようですから、これはどういう方法をおとりになるか知りませんが、何か適当な方法をおとりになって前面強化、ボデー強化ということをおやりになりませんと、いわゆる公共事業拡大化の中で非常に大きな災害を鉄道がこうむるということになりますから、これは国鉄にしても民鉄にしても、しっかりそういうことを監督指導していただくのが鉄監局の任務だと思いますね。そうしていただきたいと思うのです。  それからもう一つ承りたいのは、踏切の推移です。五十一年三月末の統計を発表されておりましたけれども、これの特徴点は何かというと、警報機つきの第三種踏切というのが、民鉄に関しては国鉄よりも減少度が少ないということですね。     〔加藤(六)委員長代理退席、委員長着席〕 国鉄は前年度に比べまして九百十八の減になっておるが、民鉄の方はわずか百九十二減っただけだ。無人踏切を減らしておる数字は国鉄、民鉄とも同じぐらいの数字だ。そうすると、国鉄の方が遮断機をつけるということには熱心なのであって、民鉄は不熱心という形が出てくる。  そこで、なぜ民鉄が不熱心なのか、ここは警戒を要す点でありまして、踏切の安全という点についての何か資金面の手当てとか何かが不十分ということに着目してもらわなければいかぬ。やるだけの合理化をやってしまって、民鉄ではやりようがないというときに、金も思うようには出てこない。あなたの方のいろいろな融資制度の中に持っていこうとしても限界がある。自己負担があります場合にどうにもならない。余りにも少ない第三種警報機つき踏切の減少、これは第三種踏切を第一種にするということですね、遮断機をつけなければいけないということですよ。それがおくれておる。このテンポが鈍っていることは非常に恐ろしいことだと思います。これはダンプが突っ込むのは非常に楽ですからね。ダンプいらっしゃいというようなことで、ダンプと電車、さてどちらが壊れるか。そんなことはわかっている。そういうことを考えていただかないと、これは大変な事故が起きるおそれがある。  そこで、資金が詰まっておると私は思うのですけれども国鉄だろうが民鉄だろうが、みんな金がない時代になりましたね。そこで安全施設がまずいけない。その次には従業員の生活を守ることがうまくいかぬ。運転士というのは幾らぐらいの給料だと思っていらっしゃるか存じませんが、およそ国鉄、民鉄問わず、一人前の運転士さんというのは手取り十二、三万、税込みにして十五、六万なんです。こういうので三人養っていくという生活をしているのですから、よっぽど考えてやらなければいけないと思うのです。春闘はそこで出てくるのです。ところが運輸省の態度は、私は国鉄とかなんとかそれぞれの経営者の態度を言っておるわけじゃない。監督官庁としての運輸省の態度がどうも煮え切らぬと世間では言われておる。きょうは大臣もいらっしゃいませんし、局長もいらっしゃいませんから、責任ある御答弁はいただけませんが、何も住田鉄監局長や大臣が、従業員の生活を守らぬでもいい、それは君たちそこに職を奉じたのが運の尽きだから、夜中だろうが朝だろうが何だろうが、日曜だろうが祭日だろうが、身命を賭して働きなさいなんと言っていらっしゃると思いません。常日ごろの言動からいいまして、理解があると思います。春闘にもしたがって理解があるものと思っておりますが、春闘という言葉は誤解があるといけませんから、生活を守るという意欲にはあるいは生活を守ってやらなければならないということについては御理解があると思いますが、だれか答えられる人がありますか。
  51. 山地進

    ○山地政府委員 いまの従業員の保護といいますか、従業員の生活を守るということは、私は、私鉄の場合には経営者の問題であるし、国鉄の場合でも、同じ経営主体、管理者の問題だと思います。運輸省は、労働問題につきましては権限もございませんし、賃金の問題というのは、労使間が良織に基づいて自主的に決める問題であろう、かように心得ております。
  52. 太田一夫

    ○太田委員 それから民鉄の人いますか。—— 一言言ってください、所感を。
  53. 中村徹

    中村説明員 ただいま国鉄部長が御答弁申し上げましたように、労働問題につきましては、運輸省が直接所管していることでもございませんし、やはり労使間で良識を持って自主的に解決されることを期待しているわけでございます。
  54. 太田一夫

    ○太田委員 それで御正解でございまして、別にいまの御見解は、課長さんであるからとか、だれであるからとんでもない話だと思いません。そのとおりです。よく訓練が行き届いておるし、上意下達していると思いまして敬意を表しますが、きょうを境にして、もしも上の方でお間違いになったときにはあなたの方から注意をしてあげていただきたい。  以上で踏切の質問を終わります。  次に、先回に引き続きまして、昨年、五十二年十一月二日の本委員会におきまして、自動車タイヤの問題につきましてお尋ねをいたしました。そのときに宿題が残されておりますから、それをきょうお尋ねをいたします。  最初に通産省の方にお尋ねをしたいのでありますが、このごろの技術革新とかあるいは商品の開発とか、そういう進歩に伴いまして大量生産と大量販売という体制が定着してきたと思うのです。そこで消費者の方はどの商品がいいか悪いか、買うのに非常に迷うことが多くなる。そこでメーカーの名前とかあるいは政府の保証とか、この保証というのはタイヤの場合にはJISマークというものです。こういうものに頼るという傾向がふえてまいりました。工業標準化法というものに基づくJISマーク表示制度というのができましたのは、使用者の商品の選択に非常に役立っておるわけでありますから、私は非常にいいことだと思うのです。  しかし、タイヤの場合でございますが、いろいろ問題があるわけです。世評にはいろいろなことが言われております。JISマークのあるタイヤもあればないタイヤも売られております。しかし、どちらを買うといえば、消費者はJISマークのある方を買います。通産省の方はタイヤのJISマークを表示する許可については、安全であること、使用者のためになること、そういう確認をしなければならぬという義務があって、そこで通産大臣はチェックの権能を持っていらっしゃるわけです。ところが、タイヤについては軽視されておる傾向があるわけですね。通産大臣は十分確認されてJISの許可をなさっておるのだと私は思うのでありますが、そのJISの許可をなさった後、追跡調査を行ったという話は余り聞いておりません。JISマーク表示を許可された通産大臣というのは一体どういう立場に立つのであろうか。昨年の十一月の本委員会における質疑応答以後、通産省の見解としてはどうなったのでしょうか。
  55. 下邨昭三

    ○下邨説明員 先ほど先生がおっしゃいましたとおり、JISマークの表示許可につきましては、申請のありました工場につきまして製造設備とか検査設備、検査方法、品質管理方法その他品質保持に必要な技術的条件を十分審査いたしまして許可するわけでございます。許可された後のことにつきましては、われわれが立入検査をする、あるいは試買テスト等の方法によりまして品質が確保されているかどうかということについてチェックしているということでございます。
  56. 太田一夫

    ○太田委員 制度としてそんなに悪い制度じゃありませんから、別にけしからぬというわけじゃありませんよ。ですけれども、日本工業規格、JISの制度というのは、国民に商品選択の目印を与え、国民は安心してそれを買うというところに目安を置いてそういう制度をおつくりになったんでしょうと思うのですよね。ところが、新しい車をつくったときには新しいタイヤというのが開発されてJISのないタイヤをつけられるという場合がしばしばありますね。これはJISというものとの関係ではやむを得ないことでしょうか。
  57. 下邨昭三

    ○下邨説明員 JISは工業標準化法によって施行しているわけでございますが、JISの表示につきましては許可をとる必要があるわけです。しかし、JISマ−クがないもので販売してはいけないというようなことにはなっておりません。その辺がJISの限界とも言えるところでございます。
  58. 太田一夫

    ○太田委員 JISマークという制度は、この前のときに工業技術院の分部説明員がおっしゃいましたが、任意制度だとおっしゃった。そんなやさしいというとおかしいが、そんな安易なものじゃないと思います。任意制度というような表現では値打ちがない、価値がありませんね。これは工業技術院の方からこの節、任意制度ということについてもうちょっと御説明をしていただけませんか。
  59. 下邨昭三

    ○下邨説明員 JISは規格といたしまして強制規格ということではないという意味で任意でございます。しかし、JISマークを表示するというところまでまいりますと、JISマークを表示された品物はJISに適合しているということでございまして、JISに適合しないものをJISマークで販売するということはできないということになっております。
  60. 太田一夫

    ○太田委員 それはJISマークというものを国民に推奨する精神ではない。選択の自由が国民にあるんだから、JISであってもなくてもそれは別の問題だということですか。タイヤにおいてはできるだけJISであることを望むが、やむを得ない場合にはJISがないタイヤも売られることがあるというのでしょうか。どういうことですか。
  61. 下邨昭三

    ○下邨説明員 私どもといたしましては、JISマークをすべての商品、すべてのタイヤにつけて売れるということにしていきたいということでございます。しかし、先ほど申しましたが、これを強制するという手段は持っていないということでございます。
  62. 太田一夫

    ○太田委員 そうすると、自動車につけるタイヤの可否というのはだれが判断するのですか。これは運輸省から答弁してください。
  63. 犬丸令門

    ○犬丸(令)政府委員 タイヤは自動車が非常に高速化されてきました現時点におきまして安全上きわめて重要であると考えております。私どもは、従来JIS等に準拠して審査を行っていたところでございますが、必ずしも全タイヤについてJISの指定を受けていないという現状にかんがみまして、少なくとも現時点において自動車の型式指定等の審査の場合におきましては、自動車メーカーにおきまして採用するタイヤ、これと車両との関係におきまして車両の安全性並びにタイヤの耐久性等の品質基準に適合したものを審査資料として提出するよう通達を出しまして、この方針によって二月から実施いたしております。さらにこの四月からは耐久試験に加えまして高温多湿の中に放置したタイヤについてのいわゆる調湿試験でありますが、これをも実施した審査資料を、品質検討書を提出する、こういったことによりまして、少なくとも自動車メーカーにおいて生産される新車に組みつけられるタイヤにつきましては十分な品質のチェックを行ってまいる体制をつくりました。一方、使用過程車におけるところの補給部品等でございますが、これにつきましてもタイヤ協会におきまして自主的な基準をつくっておりますが、これによってすべてのメーカーが試験をして生産、販売いたしておるわけでございます。これにつきましても試験基準を厳しくいたしまして、先ほど申しました耐久試験を厳しくやることによって補給部品についての安全性も確保してまいることといたしております。
  64. 太田一夫

    ○太田委員 運輸省と通産省工業技術院との間の見解の相違があってはいけませんから少し立ち入って聞きますが、工業技術院のJIS規格に適合したものならばJISマークがある、規格に適合しておらなかったらJISマークはないと言うのですが、JISマークがないタイヤというのは標準規格のタイヤじゃありませんから、メーカーとしてそれを装着する場合にはみずからその試験、確認、何かをやらなければ責任が持てませんね。それは大変ではありませんか。荷をかけて長距離走ってどれほどもつかとか、どのくらいの力によって剥離の現象が生ずるかとか、それをメーカーが一々確認をして運輸省に型式承認のときに申請するということじゃ大変ですね。そこのところはやはりJIS制度というものの問題があるようですね。日本工業規格、略称JIS規格というものは、タイヤならタイヤをつくるのに最高の材料と技術とによってつくられたものであって、製品が言うなら保証つきということになる。ないのは保証つきじゃないでしょう。ないのを売っておられたら困るじゃないですか。通産省にお答えいただきたい、ないのを売っても差し支えないのですか。
  65. 平河喜美男

    ○平河説明員 先ほど標準部長がお答えしましたように、JIS制度は強制ではございませんので、それ以外はつくってはいけないという法的な措置はございませんので、製造に対しては禁止はできないと思います。
  66. 太田一夫

    ○太田委員 そうですね、禁止はできませんね。それはいまの制度はそうなんです。それからこの間いろいろの問題が起きた後に、あなたの方からタイヤ協会に対しまして品質管理の向上に努力せよという指示が流れておる。品質管理に努力せよとおっしゃったことは正しい。正しいが、それをしたかしないかということのチェックはだれがやるのかということになると、どうもそこはあやふやでしょう。つくったタイヤメーカー自身がやりましたと言えば、それだけのことに信頼をかけて欠陥タイヤを装着するようなことになったら大変だと思うし、自動車のメーカーそのものにやらせようとしたって、それは私はやったという事実を聞いた覚えがない、例がない。だからJISという制度をおつくりになったことはいいことだと思います。JIS規格は十分利用されたいという立場であるということを、この前のときの分部説明員も工業技術院の立場でお話がありました。もうそれはいいんだ。だったら全部JISにしたらどうですか。ところが新しいタイヤはJISにならないのです。新しいタイヤがJISにならぬというのは、扁平率七〇のタイヤのJISの認知は一九七七年、昨年でございましたね、それまではジャトマ、日本自動車タイヤ協会の認知による七〇のタイヤでございます。それが装着されておる。だったらJISじゃなくて、タイヤ協会、ジャトマの自主規格でいいじゃないか。暫定規格と言ってはいかぬのかもしれませんが自主規格、工業技術院をちょっと外しておいて、日本自動車タイヤ協会の自主規格でタイヤをつくればいいということになる。それが新型車、モデルチェンジの車に装着される。しばしばそういう例がある。どうなんでしょう。
  67. 下邨昭三

    ○下邨説明員 日本自動車タイヤ協会の規格がございまして、これはタイヤ業界の自主規格でございます。これを国が認可するという関係にはないわけでありますが、われわれJISをつくる場合には、業界としての一つの意見と申しますか、素材としてそれを検討し、JISにふさわしいものと考えられる場合にJIS規格にしておるということでございます。
  68. 太田一夫

    ○太田委員 ジャトマ、日本自動車タイヤ協会の自主規格でつくられたタイヤをやがてあなたの方でJIS規格に載せられるということは、別に間違っておると言うわけではない。それはそれでいい。だけれども、そのJIS規格に認定されるまでの間は自主規格になっておる。その協会の自主規格によってつくられたタイヤが新型車に装着される、新しい車に装着される。扁平率七〇のタイヤというのはその好例ですよね。扁平タイヤは七七年、昨年初めてJISになったので、それまで無印で走っておったのではないですか。だからそこのところのジャトマの自主規格というのは、あなたの方ではどうお考えになるのですか。関係ないとおっしゃるのですか。
  69. 平河喜美男

    ○平河説明員 先生指摘のジャトマの自主規格でございますが、メーカーが自分の製品を出す場合には当然規格がございますが、タイヤの場合に特に安全性等について問題がございますので、メーカーが集まりました協会におきまして、諸外国の品質基準等々を参考にしまして決めているのが自主的な規格であり、基準でございます。  この内容につきましては私どもも随時相談も受けておりますし、問題があった場合にはこれについて指導等もいたしております。この前問題がありましたときに、私どもの方の局長からジャトマの会長に対しまして品質基準についての見直しも指示しておりまして、その指示に従いまして、特に耐久性試験についての試験項目も今回追加いたしております。
  70. 太田一夫

    ○太田委員 それが実情でございましょうね。それはわかるのです。わかりますが、ジャトマ、日本自動車タイヤ協会のみずからつくったタイヤ規格というものが価値あるものとするならば、JISマークというものの輝きが消えてきますね。タイヤにジャトマと刻印を打っておけばいいじゃないですか、JISと打てないから。それで済んでいく。ところが問題は車検に起きる、あるいは運輸省の方にはそれが響いてくると思う。いま運輸省整備部長がおっしゃったように、走行試験をやるとかあるいは何か湿度に耐える試験というものを今後つけ加えてもらうということにして研究がされておるというお話があった。どこで研究されておるか知りませんし、あちらこちらで研究されておると思いますが、私はそこでJIS規格の改定のテンポというのが遅いのではないかと思うんですね。一九七七年の改定によって先ほど申しました扁平率七〇のタイヤが、ラジアルミ十二種ぐらいありましたか、これが認知された、JISになった。その前は一九七二年ですから五年ありますね。五年古い七二年のままで七七年まできますから、JISの制度そのものは、科学の日進月歩の技術と何かおくれをとっておるじゃないですか。  そこで今度もう少し機動性あるJIS規格をおつくりになりまして、新しいタイヤの製法が開発されたならば、それがJISとして売り出すことができるような柔軟性のあるJIS制度をおつくりになる必要があると私は思う。七七年の、昨年改正されたJIS規格を七八年度に何か改定をされるやの動きがあるそうですね。普通なら二年か三年だが、これはテンポが速くてよろしいです。どんな点を改正されようとお考えになっておられますか。
  71. 下邨昭三

    ○下邨説明員 JISにつきまして、現在改正に着手しております。一つは従来の材料試験方式から走行試験方式に切りかえようということでございまして、高速耐久性能などによりまして、より一層タイヤの総合性能を上げるように重点を置いていきたいということが一つございます。  それから第二には、高温多湿の状態におきまして使用されても支障のないように性能を規定したいということで検討をしております。  それから第三には、タイヤの摩耗程度を示しますいわゆるスリップサインというのがございますが、そういうスリップサインを表示することも規格の中に取り入れるということを検討しておりまして、近く日本工業標準調査会におきまして結論が得られる見込みでございます。その結論が得られ次第、できるだけ早期に規格を改正したいというふうに存じております。
  72. 太田一夫

    ○太田委員 運輸省にお尋ねをしますが、いまのお話があなたの方の御計画の中に組み入れられて、そこで保安基準等の具体化とか数値化というものが、現在改定作業が進みつつあるのだと理解してよろしいですか。
  73. 犬丸令門

    ○犬丸(令)政府委員 最近におけるタイヤの品質、性能についての必要度でございますが、これはただいま工業技術院から御答弁のございました各項目について私どもきわめて重要だと考えておるところでございます。工業技術院のJISの改定作業にも今後私どもも十分協力し、整合性のとれたものとなるよう、タイヤ関係の基準の強化を私どもとしても図ってまいりたいという考え方でございます。
  74. 太田一夫

    ○太田委員 警察庁にお尋ねしますが、警察庁は昨年の十一月の本委員会における審議の際に、保安基準九条のタイヤの規定というのが若干抽象的であるというところから、現場の取り締まり等において非常に不十分なものがあるということをおっしゃったと思います。そこで今後は運輸省当局とも相談をしていきたい、整備不良車というものの認定が容易にできますようにしたいということをおっしゃったと思います。その後、御相談になったと思いますが、いま運輸省のお話がありましたことと関連をして、あなたの方が現在考えていらっしゃる御見解を承りたい。
  75. 杉原正

    杉原政府委員 御指摘のありましたタイヤの問題、自動車交通の現場を預かっているわれわれといたしましては、大変な関心事でございます。高速交通で運転をする、車を買った立場からいいますと安全なタイヤだという認識でだれでも走っているということでありますし、また個々に、摩耗の度合等につきましても、ある程度安心して走っている、どの段階になればこれはもう使えないタイヤかというのがよくわからない、そういう状況のもとでドライバーは走っているわけであります。タイヤのそういう欠陥なりあるいは摩耗というものは大変な事故に結びつく、そういう観点からいいまして、私ども運輸省の方にお願いをしまして、運輸省を中心に、現在私どもも参加をさしていただいて、このタイヤの摩耗限度についての技術的な検討を進めておるわけでございます。私どもといたしましては、今後とも交通安全を確保するという見地から、この摩耗限度の数値による表示、これができる限り早期に実現されるように、運輸省関係省庁、団体ともよく相談をしていきたいというふうに思っておりますし、すでにことしに入ってからも自動車局を中心にいたしまして、私どもも参加をして、いま各種の試験実施というふうなものを行っている段階でございます。
  76. 太田一夫

    ○太田委員 大分進歩いたしまして、安心をいたします。  そこで運輸省整備部長さん、摩耗の具体的な数値とか限界の表示とかいうことにつきまして、保安基準では、スリップサインの問題も含めましていまどのような見解が浮かんでおるのですか。
  77. 犬丸令門

    ○犬丸(令)政府委員 摩耗限度の明確化という点につきまして、私どもただいま検討会を持っているわけでございます。ただいま警察庁から御紹介がございましたが、警察庁、通産省それから学識経験者、自動車使用者、タイヤ製作者、自動車製作者、こういった各方面の参画をいただきまして、技術的な検討を進めておるわけでございます。具体的な検討内容といたしましては、乾燥路面及びぬれた路面におきまして、タイヤの種類ごとに各種の摩耗状況におけるブレーキ試験、横すべり試験、こういったものを実施いたしておりまして、その結果のデータの解析にただいま努めておるところでございます。  こういったような作業の中から検討いたしまして、摩耗限度の数値を得たいと考えておりますし、またJIS等におきましても、スリップサインの表示を含めた改定も準備されておりますので、JISの改定作業との関連も見まして、できるだけ早い時期に、スリップサインにつきましても、この摩耗限度との関連においてどういったふうにつけていくかという点について各方面と検討協議いたしまして定めてまいりたい、こういうふうに考えております。
  78. 太田一夫

    ○太田委員 そこで工業技術院にお尋ねをいたしますが、JISの中に、先ほどおっしゃった非常にりっぱな御見解がありました。摩耗限度のスリップサインの問題も表示ができるよう、これが取り入れられる御研究をなさっておるようでありますが、科学的、技術的にその数値は日本自動車タイヤ協会の数値に近似しておるのですか、全然違ったものでしょうか。
  79. 下邨昭三

    ○下邨説明員 数値につきましては現在検討中でございますが、関係省庁、それからタイヤ協会等と十分検討いたしまして数値を決めていきたいということでございます。
  80. 太田一夫

    ○太田委員 数値は検討中であるが、警察庁ないしは運輸省、工業技術院、通産省、それぞれ御研究の結果を持ち寄られまして、いずれか一つにお定めになって、それが用いられる、用いられなければ、数値が決まらないとスリップサインが入りませんね。そこで数値が決まり、スリップサインが入れば、道で見ても、君の車はもうスリップサインが出ておるよ、かえなければいけないよ、こう一年生の交通警察官でも言えますね、そこがいいところですね。安全のところです。それは早く結論を出してもらわないと間に合いませんが、結論を急いでスリップサインを規格の中に取り込むと同時に、その数値の確定をお急ぎいただきたいと思います。これはそういうふうに四者それぞれ御努力中だというお話でありますから、その御労苦を多として評価しておきますから、どうぞ急いでいただきたいと思います。  JISについて更生タイヤの問題をお尋ねをいたしますが、更生タイヤというもののJISというのは別につくられる、タイヤとは違うと言われる。これは何か安全上、若干問題があるような気がいたしますが、もう少し細かくおつくりなさったらいかがかという声もありますが、どんなものですか。
  81. 下邨昭三

    ○下邨説明員 新品のタイヤと更生タイヤとは品質が全く同一というわけではございません。したがいまして、更生タイヤにおきましては、たとえば台タイヤの選別をどういうふうにするかとか、あるいは更生方法をどんなふうにしてやるか、作業基準をどうするかというようなことについて定めております。そういうことによりまして使用性能を確保しているということでございます。
  82. 太田一夫

    ○太田委員 使用性能を確保するためには、トレッド部分の改良というようなことが、これが更生タイヤの一番中心のような気がしますけれども、といって、これもJISですからね。JISという権威というものを私は改めて強調してほしいと思うのです。JISの権威が認められるような更生タイヤ、JISの権威が認められるような新品タイヤでなければならないということに今後なっていかなければ、これは私は新しい時代の高速時代のタイヤでございますから、特に大変危ないと思います。したがって更生タイヤについても、これは余りほったらかしにしないで——中小企業が多いですね、更生タイヤは。中小企業が多いけれども、あれは大企業じゃできませんよ、あんな真っ黒になって汚いところで、何がついておるかわからぬタイヤを洗って、そして剥離してそれをみがいてというようなことはできません。これは中小企業の分野を尊重してください。更生タイヤはいかぬというわけじゃない。かなりこれは安いからね。値段六割、性能八割と世間では言っているわけだ。その性能だとか値段というのは定着しておるようですから、それで新品と違っておるということは世間の評判でわかっていますから、それでいいんですが、中小企業がつくる更生タイヤのJIS規格については近代的な状態に合いますように、これもあわせて御検討いただいておきたいと思います。  それから六社のほかのタイヤが売られて、いささか安売りの疑いがあると言われておりますが、別に安売りしていかぬなんというものじゃありませんね、余り同一値段にすれば独占禁止法にひっかかるわけですから。でもタイヤというものが安くあればいいという行き方は、生命の安全を保障するタイヤの使命からしましていささか問題がある。それで理研タイヤとか三ツ星タイヤというものについてはこれもやっぱりJIS規格に合致したものが売られておるものだと理解してよろしいですか。
  83. 下邨昭三

    ○下邨説明員 岡本理研ゴムの工場につきましてはJISの許可工場になっております。それから三ツ星につきましては、タイヤはやっていないというふうに聞いております。
  84. 太田一夫

    ○太田委員 理研タイヤの方はJIS工場であってJISマークが打たれておるもの、それはそれでようございますね。それならばそれでようございますから、最初私が申し上げましたJIS規格の表示の許可を得ないで売られる日本自動車タイヤ協会の自主規格によるタイヤというのはなるべく少なくしてくださることを望むと同時に、それが一つありますと、どんどん無印のタイヤというのが出る危険がありますから、それはひとつ気をつけていただきたいと思います。それはよろしいですね。今後自主規格についてはどうするかということをもうちょっとひとつ科学的に全体的に考え直してもらいたいと思いますが、それはよろしいですね。
  85. 下邨昭三

    ○下邨説明員 できるだけ早くJIS規格に取り入れ、JISマークを普及させたいということでやってまいります。
  86. 太田一夫

    ○太田委員 そこで運輸省いかがですか、そういうことになれば型式承認のときなどにおきましてはJIS規格のタイヤを使うようにということを承認の中の一つの条件に、ポイントに取り入れるべきだと思いますが、どういうふうにお考えですか。
  87. 犬丸令門

    ○犬丸(令)政府委員 JIS規格に適合した製品については十分その性能は評価することができると思います。
  88. 太田一夫

    ○太田委員 そこで運輸省の車検ですね、車検の場合に新しいスリップサインが今度取り入れられるということがある程度決まったといたしまして、その際に一つの何か数値が出ますから、数値が出たものがいままでのスリップサインと同じであるか違っておるかという二つの場合が出てくる。そうすると、その際には同じである場合においてはそれは追認知するというのですかね、それは生きてくるでしょうね。どうですか。いままでのタイヤのスリップサインは生きる可能性がありますか。
  89. 犬丸令門

    ○犬丸(令)政府委員 ただいま関係各方面の御協力を得まして摩耗限度の検討をいたしておるところでございます。その結果どのような数字になってくるかという点について、ただいま私がここで数字そのものを申し上げることは非常にむずかしいと考えますので、その辺の問題につきましては、結果が出た時点におきまして十分検討させていただきたいと思います。
  90. 太田一夫

    ○太田委員 最後に、これは通産省か技術院ですか、どちらでもお答えいただきたい。既存のタイヤ工場に対する新しい目から見ました再確認の何か行動を起こされたとすれば結構でありますが、一度チェックされるべきだと思いますけれども、その点はいかがですか。
  91. 下邨昭三

    ○下邨説明員 昨年問題が起きました後、直ちに関係の工場に立入検査をいたしました。その結果、十分品質管理状況についてJISの許可を継続するにたえるということで継続しております。今後も随時立入検査を行うなどしまして、JISマーク制度の評価を落とさないようにがんばっていきたいと思います。
  92. 太田一夫

    ○太田委員 一社、二社じゃなくて、六社あるとするなら六社、七社あるとするならば七社、一度確認チェックされる必要があると思う。監督責任が通産大臣にありますから、それはなされるべきだ。一社だけということじゃちょっとまずいですね。  それから機械とかいろいろな接着剤の混合とかいうものは自社秘密、企業秘密というようなことになっているものが多々あるようでありますが、JIS規格の中においては十分近代科学を取り入れて、名人芸というようなものが幅をきかすということじゃなしに、どこのタイヤだってまじめにつくったものはまじめなタイヤだということになるようにしてほしいと思いますね。御要望しておきます。  終わります。
  93. 沖本泰幸

    沖本委員長 次に、吉原米治君。
  94. 吉原米治

    ○吉原委員 わが国の運転免許所持者は三千六百万人を超えて、さらに年間百八十万から二百万人ずつの割合でふえ続けている現状でございます。まさに国民皆免許時代、こういうことが言われる今日でございますが、それだけに優秀なドライバーの育成こそが交通安全、事故防止の観点からきわめて重要なことでございます。  そこで、本日は時間の許す限り、自動車教習所を中心として質問をいたしますので、それぞれ的確にお答えを願いたいと存じます。  警察庁に主としてお答え願いたいわけですが、最初にお尋ねをしておきたいのは、全国の教習所の数でございます。これは指定、未指定あるいは中には学校法人のような形態をとっておる教習所もございますので、種類別にひとつ統計的な数字を最初にお尋ねしておきたいと思います。
  95. 三上和幸

    ○三上説明員 現在指定自動車教習所の数は千三百五十一でございます。それから非指定の教習所につきましては昨年末で三百三十五ということになっております。各企業別の内容につきましては、現在ちょっと資料を調べましてお答えいたしたいと思います。学校法人については、これは五十一年の十二月の調査でございますが、五十になっております。
  96. 吉原米治

    ○吉原委員 この数字は、後でまた関係ございますので、最初警察庁にお尋ねをしたわけでございますが、直接警察庁に対する質問とは関係ございません。  そこで、警察庁にお尋ねをいたしますが、いま指定自動車教習所、なかんずく都市部を中心にした教習所で問題になっております。特に交通局長の通達、昭和五十二年十一月二日付の通達の内容でございます。この内容についてまず警察庁の方のお考え方を最初にお尋ねをいたしたいと思います。
  97. 杉原正

    杉原政府委員 指定自動車教習所というものが、先ほど吉原先生からお話がございましたように、安全なドライバーの教育に占める社会的な役割りというのが非常に大きいものがあるということでございますが、特に大都市を中心といいますか、だんだん全国的に高速道路というものの供用が大幅に行われるようになりまして、最近のドライバーというものは、免許をもらうということは、即平場だけではなくて、高速を運転するということが前提になったドライバーという形になりつつあるわけでございます。ただ、高速というのは、平場の運転といささか違いまして、高速に加速車線から入っていく際に、本線を走っている車とうまい合流のやり方、離脱の仕方というふうなもの、それから、ある程度平場では出せないスピードを高速ですと出せるために、そのための運転上いろいろなルールあるいは運転技術というようなものが出てくるわけでございます。  そこで、現在いわゆるドライバーとして教習所で義務として教えていただいている中には、高速につきましては、学科教習が三十時間義務づけられておりますが、その中の二時間を割いて、高速教習という学科があるわけでございます。一応制度の面、いわゆるドライバーが義務としてやりますのは、高速についてはそれだけでございますが、ただ、ドライバーにはなったけれども、高速の運転をぜひ習っておきたいという希望者につきましては、学科を余分に一時間をやる、これは通常の任意で、本人が申し出をすれば教える、こういうことでございますが、もう一つは、技術を習いたい、路上教習の延長として高速を一遍先生の指導のもとでやってみたいという希望者が現実にあるわけでございます。  そこで、そういうふうな希望者について、従来いわゆる教習所がそういう教え子といいますか、そういう人々に対して、それじゃ教えてやろうかというふうなことでやってきておりますのは、教習所を卒業しますと、技能試験は免除になるわけです。それから学科試験を公安委員会で受けるわけですが、その学科試験に合格をした、あとはもう免許証が来るだけということで、免許証が来るまでの間に十日間から二週間の時間があります。最終の試験に合格をしてから以上の者、免許をとった者はもちろんですが、すでに免許証を持っている者並びに、本免許はまだ持っていないけれども、いわゆる最終試験まで合格して免許証が来るまでの期間、その者が希望をした場合に、教習所はこれを受け入れるにはかなり車両等についての物的な面あるいは教習員の技能みたいなものもありますし、それから教習員が、先生として、それじゃ教えてやろうかという理解と協力がなければできないものですから、そういうふうな物心両面の体制が整った教習所については、そういう申し出があった場合には、それが受け入れられるような体制を逐時進めてもらったらどうかということで、ただ、高速教習については非常に危険が伴いますので、その学校のそういうものの体制なりあるいは具体的な教習のやり方を非常に限定をしまして、道路はこういう条件のときにこうするというふうなことあるいは走るときは何キロのスピードまでというふうなことを、具体的に条件をつけた上で、やる以上はこういう形で教習をしてもらった方がいいじゃないかということをお示しをしたわけでございますが、これはあくまでも、事柄の性質上、制度でございません。義務的な免許制度ではございませんで、受ける方もあくまでも任意、それから、やる方もあくまでも任意ということを前提にして推進をしているものでございます。
  98. 吉原米治

    ○吉原委員 いま局長の御答弁なさっておるような趣旨だと、それを素直に各教習所が理解をする限り問題はないと思いますけれども現実は非常に問題になっておる。問題になっておるというのは、あくまでも任意制だということになれば、やる教習所もあるし、やらない教習所もあるということで、全くこれは任意なんです。  ところで、局長、あなたが出しておられる通達の前文でございますね、「別記「高速教習実施要領」による高速教習を行うこととした。本要領に基づく高速教習は、指定教習所卒業者等を対象とした任意の教習であるが、その目的にかんがみできるだけ全指定教習所において実施されるよう趣旨の徹底を図られたい。」これは日本語ですからいろいろな解釈がありますけれども、少なくともこの文章を正しく読む限り、私は、性格は任意であるけれども、やることはもう強制しますよ、つまり趣旨の徹底を図ってほしいということですから、そういう意味では、私はこの通達といえども、各教習所がまじめにそれを取り入れて、法として、制度としてでき上がったものではないけれども現実にはもう制度として受け入れをしようというのが、これが教習所側、企業側の方の取り組みなんですね。そこで、そこに働く指導員との間でトラブルがいま起きておるわけでございますが、仮免許でもってやるわけでございますけれども、仮免許証の裏書きには「高速道路など法令により運転することが適当でないとされている道路で運転しないこと。」こういう注意事項が仮免許証の裏にはあるのです。  いま、一般の路上教習はこの仮免許で指導員がついてやるわけでございますけれども、一般の道路ではやってもよろしいが、さらに高速道路などではやってはいけない。一般の道路では仮免許でやってよろしいけれども、運転してよろしいが、高速道路ではいけないぞ、こういうことになっておるのですが、この点、警察庁みずから注意事項として仮免の裏書きをされておりながら、今度はあえてそれを否定するような指導をされるということについては、いささか矛盾があるように感じますが、いかがですか。
  99. 杉原正

    杉原政府委員 実は、仮免につきましては少し経緯がございまして、四十七年に道路交通法の改正がございました。その四十七年までは、仮免で運転できる条件といたしまして、隣にだれか乗っていなければいかぬわけですが、その乗っていなければならない同乗者につきましては、その車が運転できる資格を持ったドライバーが隣におればよろしい、経験年数を問わないでそういう人が隣に乗って運転すればよろしい。そのかわり道路に限定がございまして、交通頻繁でない道路で運転すること、こういうことが四十七年まで決まっておったわけでございます。  四十七年の法改正によりまして、仮免では同乗者についての資格を強化いたしまして、単にその車が運転できるというだけではだめだ、その車が運転できる免許を取得してから経験三年以上の人を乗せなさい、そのかわり今度は道路を限定しなくいたしました。交通頻繁であるかどうかがわからないということで、道路を限定しないかわりに同乗者の資格を強化をしたわけでございます。したがいまして、法律上は、仮免を持っておれば、同乗者がそういう形で援助いたしますから、そういう支援のもとで運転するから道路は限定はされないということでございます。まずそれが、仮免で道路が限定されなくなったという一つの過去の経緯でございます。  現在、事実上この仮免を持っているときに、教習所では一般的に、試験を通るまでの間は路上教習といっても高速に上げておりませんし、これは事実上の指導でございますが、現在仮免の裏の注意事項に、高速道路その他法令で定める道路では運転しないこととなっております。その法令で定めると言っておりますのは、実は仮免というのは、仮免をあるときに取りますと、仮免取った人は当然普通免許をもらう、本免許をもらうわけですが、仮免を取って、普通の人は教習所に入りますから、これは政令で除いてありますが、教習所に入らないで普通免許を取る人がいますと、その人はまず仮免を取って、仮免をもらった人が普通免許をもらうには、受験資格として、一般の道路で過去三月以内に五日間運転をしなさいよ、そうして初めて普通免許が受けられますよ、こういうたてまえになっておる。そのことが総理府令で受験資格として書いてあるわけです。その総理府令の受験資格の中に、当該五日間の、仮免をもらってから普通免許の試験を受けに来るまでの間に道路で運転しなさいというその道路は、高速は使わないでくださいということが受験資格の中に書いてある。それがたまたま注意事項の中に出ておるということでございますが、先ほど吉原委員から御指摘がありましたように、この表現が必ずしも、法律とそれから受験資格としての、決められております仮免の免許証の裏の注意事項との表現の間に適切を欠くきらいがあるように見受けられますので、その限りにおいて、現在これを変えようということで検討をいたしております。
  100. 吉原米治

    ○吉原委員 表現が適当でないということでござますけれども、少なくとも私は、こういう注意事項は、特に五項なんかを通じてみますと、「運転中は、自動車の前面と後面に「仮免許練習中」の標識をつけること。」これはもう当然やらなければならぬことですね。あるいはこれは法で決まっておるのですか。
  101. 杉原正

    杉原政府委員 法律で決まっております。
  102. 吉原米治

    ○吉原委員 五項目にわたって注意事項が書いてある、その中のある部分は法令に定まっていない、いわば表現が適当でないけれども、強いて言うなら、高速道でやっても違法ではない、こういう見解なんでしょう。五項目のうち、あと恐らく四つは運転者としては当然守らなければならぬ義務だと思う。それを守らなかったら、恐らく処罰の対象になると思うのですね。五つ注意書きを出しておいて、そのうちの一つは、表現は適当でないし、守らなくたって違法じゃありませんというのを入れるというのはどう考えても理解がいかぬです。
  103. 杉原正

    杉原政府委員 これは、高速道路というのは、法律では道路を限定しておりませんで、受験資格で、仮免を持ってから本免を受けるまでに、教習所に入る以外の人が運転をする場合の道路の指定というものを総理府令で書いている、その部分を言っているだけでございますので、全体との絡みで先ほど述べたので、高速道路と書いてあるところが表現が適切でないということで、これは改めた方がいいというふうに考えております。
  104. 吉原米治

    ○吉原委員 おかしいではないかとこちらが指摘をしますと、いやそれは表現が適当でないので修正しますということで、あなたの方の立場はそれで済むかもしれませんけれども、今日まで、仮免では高速自動車道で乗ってはいけないというのが、少なくとも教習所の指導員の常識になっておるわけです。あるいは教習生もそう思い込んでおる。これを修正するということになりますと、どう修正されるのですか。文言はどういうことになるのですか。
  105. 杉原正

    杉原政府委員 文言は、一般的に注意事項に書いてありますように、道路交通法令に従って運転することというのが第一にあると思いますので、それで、その中で集約させてもよろしいものであろうと思います。
  106. 吉原米治

    ○吉原委員 そうすると、具体的には、四項は削除ということになるのですね。
  107. 杉原正

    杉原政府委員 なくても結構だと思います。
  108. 吉原米治

    ○吉原委員 特にこの通達の中で「高速教習実施要領」、この中では任意だと言いながら、実施要領の中には義務づけをされておるように見受けるのですが、そうではございませんか。
  109. 杉原正

    杉原政府委員 やること自身は、先ほど言いましたように義務でございませんで任意でございますが、ただやる以上はこういうことに気をつけて、こういう要領でやってくださいよということを言っているわけでございます。
  110. 吉原米治

    ○吉原委員 この通達の最初に、私は前文について触れましたけれども、どうも任意の教習であるのかどうなのかというのが非常に疑問に思われるし、「別記「高速教習実施要領」による高速教習を行うこととした。」ということで、きちんと、マルを打ってあるんですね。だから精神は任意だ任意だ、こうおっしゃるけれども、具体的には強制をする、どうでもやってもらいたいんだというのが、局長、あなたの真意じゃないんですか。
  111. 杉原正

    杉原政府委員 私の真意はきわめて違うのでございまして、あの通達につきまして誤解が生じたといたしますと、私の不徳のいたすところでございます。そこで、これはきょうやったかと思いますが、この通達を出すことによって第一線の教習所に無用なトラブルが生ずることがあってはならぬし、またそういう状態のままで、教習員の理解や協力を得られないままで教習をするということは、教習の効果から考えてきわめて問題があるという認識でございます。  そこで、この際次のような点を各県並びに教習所まで徹底をするということにいたしました。措置の中身の考え方でございますが、簡単に申し上げますと「高速教習は、高速道路における初心運転者の交通事故の防止を図る観点から希望者に対して任意教習として実施することとしたものである。いうまでもなく、技能教習の実施については、特に物的にも人的にも十分な準備体制が整い、安全で円滑な運営が行われることが前提であり、とりわけ教習時の安全を確保しつつ教習の実効を期するためには、高速教習を担当する技能指導員の理解と協力が肝要である。したがって、技能教習を実施するに当たっては、それぞれの教習所がこれらの点を十分認識のうえ、十分な事前の準備措置を講ずるよう指導すること。」ということを改めて第一線に示達をするということにいたしております。
  112. 吉原米治

    ○吉原委員 文書を見なければ、いま口頭でおっしゃっただけでは趣旨がどうもよく受けとめられませんけれども、少なくともこの通達によって、あなたの方は任意だとおっしゃりながら、現場ではもうどうでもやらなければならぬ課題だというふうな受けとめ方をしておりますから、もし次の通達なり指示文書をお出しになるのなら、前回そういった通達を出しておるけれども、真意はこうだぞという、少なくとも現場が混乱しないような指示文書をお出し願いたい、こう思います。そのことについては結構です。  そこで、もともとこういう高速教習というのは、高速自動車道で非常に事故が頻発しておる、しかも初心者に多いというデータがあるようでございますが、むしろそういう観点からいきますと、こんな危険な道路で初心者を教習するという指導員の立場もさることながら、教習生そのものの命にもかかわる問題でございますから、従来からやってまいりました初心者の若葉マークをつけておる、一人前の免許証を渡しておるけれども初心者は一年に限り周囲の人が保護していかなければならぬ、こういう配慮が現になされておるわけですね。ですから、むしろ高速道に進入する方法がどうかとかあるいは高速自動車道を走る、それは少なくとも頭の中では理解がいっておるわけです。学科、教習を受けておるわけですから。これは一時間やそこら指導員が乗って教習してみても、私はなかなか事故防止という観点からいくと徹底しないと思う。半年も一年も練習をやるというならまた別ですよ。そうでなくてわずか一時間ばかり。高速自動車道に進入する方法だとかあるいはまた追い越しの場合どうするかというようなことは、本来ドライバーが何年間かかって、みずから免許取得後一般の道路を走りながら自分の身につけることであって、指導員が一時間ついてやればもうりっぱに高速自動車道も事故なしに運行できるのだ、そういう内容でないと私は思う。ですから従来やってまいりました若葉マークが少なくともとれるまでの間、すなわち免許を取って一年、こういう初心者については高速自動車道に入ることをむしろ禁止する、そういうことの方が高速自動車道における事故防止という立場から警察庁としてのとるべき道ではないか、私はこういうふうに理解するのですが、局長はどう考えられますか。
  113. 杉原正

    杉原政府委員 吉原委員の御指摘は確かに一つの問題点の御指摘だと思います。ただ、いま世界各国の免許資格というものは、高速道路を外して考えるというふうな免許制度をとっている国というものは必ずしもないように思います。同時に、いま免許というものは生活そのものになっておるという実態が片方でございます。したがって、免許を取って職業運転として運転をしたいという場合に、せっかく会社に採用されたけれども、おまえさんの免許では高速は走れぬというふうなことになった場合の労働上のいろいろな条件等もございます。そういう点等も総合的に考えていきませんと、すぐに高速はだめだということで考えるべきなのか、あるいは免許を出す以上は高速も運転できるようなことを念頭に置いて施策を進めるべきものなのか、十分に私ども今後検討していくべきものだというふうに考えております。
  114. 吉原米治

    ○吉原委員 そこでもう一回局長にお尋ねしたいのですが、教習所に入って修了証明書といいますか技能免状の資格を取って、それから仮免をもらうことになるのですか。
  115. 杉原正

    杉原政府委員 いまの免許の仕組みが若干複雑で、一般に免許、いわゆる本免でございますが、一人前のドライバーになろうとする人は二つの道がございます。まず一つは、指定自動車教習所を出て本免をもらう道と、そうじゃなくて、あくまでも指定教習所以外のところで、指定を受けてない教習所もありましょうし、そうじゃなくて個人的に習うという場合もありましょうしさまざまであろうと思いますが、二つの流れがある。いずれにしましても、教習所に入って本免を受けようとする人は、まず指定教習所で最初、修了証明書というのですが、それが出た段階で仮免の試験を受けて、まず仮免をもらいます。仮免をもらって、今度は教習所の先生に教わって十時間以上路上教習をやるわけでございます。路上教習が終わりますと、卒業証明書をもらえる。これにはいろいろな審査があります。技能検定という制度がございまして検定をするわけでございますが、検定が終わりますと卒業証明書がもらえる。その技能検定を受けて卒業証明書をもらった人は、公安委員会の学科試験を受けて、それに合格をいたしますと本免許がもらえる、これが一つの道でございます。  それからもう一つは、一般の受験者はまず仮免の試験を受けるわけでございます。仮免の試験を受けましてから、これも路上教習が義務づけられております。その路上は先ほど言いましたように、過去三月以内に五日間道路で運転をしなさいよ、その運転をしたことをもって、いわゆる技能試験も学科試験も両方公安委員会で受けなければいけません。その両方が受かりますと本免がもらえるということでございます。  両方とも、仮免をもらわなければ運転ができませんから、仮免をもらってから練習をしまして、それで技能試験を受ける、あるいは技能試験は免除になって、それで学科試験を受けて合格。こういうことで合格して免許証が来ますと、仮免から本免に、こういう切りかえが行われるということでございます。
  116. 吉原米治

    ○吉原委員 そこで今回の十一月二日付の通達の内容というのは、いま局長おっしゃった、合格をしてから免許証が来るまでの間の人を対象にしてやるのだ、しかも希望者についてのみやるのだ、こういうのが通達の内容でございますね。そうするとさつきから説明を伺っておるのですが、本来なら仮免許が出された段階で、高速自動車道路だろうとどこだろうと規制をしないというんだから、どこでもやってもいいという解釈になるのでございますか。
  117. 杉原正

    杉原政府委員 これは一般的にはどこでやってもいいことになります。
  118. 吉原米治

    ○吉原委員 一般的にはどこでやってもいいことだけれども、わざわざ高速自動車道を外して一般の道路で路上教習を十時間以上やるのだ、こういうことになっておるその精神は一体何ですか。
  119. 杉原正

    杉原政府委員 いま私どもが言っておりますのは、少なくとも学科試験も技能試験も含めて最終に試験に合格した者か、あるいはもう本免許をもらった人か、そのいずれかについてだけやってください、それはまだ仮免の路上教習みたいな段階で幾ら希望されても、やはり教習所としても技能の観点からいって決して十分ではないですよ、これは教習所に対して言っているわけでございますから、仮に仮免を持った人が同乗者を隣に乗っけて運転をしたとしても、これは法令上の違反にはならないという問題にはなるわけでございます。
  120. 吉原米治

    ○吉原委員 だから、私は局長の説明ではどうしても仮免許が二種類あるような感じがする。つまり高速自動車道までは連れて上がれない仮免許の取得者、そしてもう一つは同じ仮免許であっても高速自動車道へ乗せて教習するのに適当な人、こういう二種類あるような感じをどうしても受けざるを得ないのです。一般論としては、なるほど道路の指定はしないのだ、どこでやってもよろしいのだ、法違反ではございません、こう言いながら、現実の取り扱いとしては二つの使い分けをしよう、こういうことでございましょう。ですから少なくとも合格して本免が来るまでということは、いわば自動車学校、自動車教習所という企業なら企業でございますけれども、もうその組織から一歩はみ出しておるという人だろうと思う。つまり学校で言えば卒業生。だから、卒業生であるのに、そこの教官、指導員が、本人が希望するからといってそれじゃ教えてあげましょう、一件について三千円か三千五百円か知らぬけれども、料金を取ってやるというようなことは私はどうしても腑に落ちないですし、そこでどうしても仮免許の裏書きに私はこだわらざるを得ない。法律じゃ決まっておらない、あるいはこの表現が適当でないから削除する、こうおっしゃっておりますが、削除するまでは少なくともこの精神に従って私は高速自動車道へ乗せてはならぬと思うのですが、どうですか。
  121. 杉原正

    杉原政府委員 これは法律、政令、規則、この本体が勝負部分でございまして、これから見て、この様式の中の裏側に書いてある注意事項が適当でなければその注意事項を直すべきであるというふうに思います。
  122. 吉原米治

    ○吉原委員 この法律が現状に照らして不適当だということになれば、それは法律の改正もしてやぶさかではございますまい。しかし現に法改正になっていない、あるいは施行令にしても規則にしてもそうでございますが、それまでの段階は少なくとも法治国家としては法の精神を守ってやるのが私は妥当だと思いますが、どうでございますか。
  123. 杉原正

    杉原政府委員 私は逆に、法の精神から見ると、いまの注意事項の方が必ずしも適切な表現ではないというふうに認識をしております。
  124. 吉原米治

    ○吉原委員 どうも局長答弁では納得いきませんが、少なくとも今回のこの通達の精神というのは、高速自動車道における事故を最小限度に防ごう、こういう配慮から出されたものに間違いないと思いますが、現実にやろうとされておることはむしろ事故頻発といいますか、そういう方向に流れやすい。そういう危険なことを実はやろうとしておるわけですから、いま局長はむしろ高速自動車道で教習をやるのが法の精神だ、こうおっしゃっておるけれども、それは反対じゃございませんか。
  125. 杉原正

    杉原政府委員 私は逆のように認識をしております。
  126. 吉原米治

    ○吉原委員 どうもこの問題に関する限り私も納得いきませんし、局長答弁も、そういう誤解があればどうも適当でないからあの部分は削除すればいいんじゃないか。少なくとも私はそんなものじゃないと思うのですね。五つの注意書きの中で四つまでは守らなければならぬ、これを守らなかったら違反として処罰の対象になる、その中の一つは守っても守らなくてもよろしい、少なくとも法の番人である警察庁がそういう見解を出されるということについては、私はいささか納得いきません。  この問題だけで質問をやっておりますとあとの質問ができませんので、納得のいかないままに、通達の内容を誤解のないように再通達を出されるようでございますから、その再通達の中身をまた見せていただきましてから、次回にまた質問の機会がありましたら見解をただしたいと思います。  続いて、自動車教習所の指導員の労働条件についてお尋ねをいたします。  これは労働基準法適用職場でありますから、いろいろ基準法の精神を尊重して労働条件は決められておるわけでございますが、現実には教習所の一日の最高教習時間、大抵の教習所が一人十名、つまり十時間の受け持ち時間があるようでございます。当然のことだと思いますが、基準法三十六条協定は、それぞれの事業場、教習所で労使間でされておると思いますが、これは労働省の方で把握をされておれば、どういう実態なのか、いま最初にお尋ねをしました、全国で指定教習所が千三百五十一、未指定が三百三十五、学校法人で五十、こういう数字になっておりますが、その中の何事業場が一体三十六条協定が労使間で結ばれておるのか、労働省、把握をされておったら。
  127. 小粥義朗

    ○小粥説明員 五十一年に労働基準監督機関の指導によりまして、教習所の連合会が、各教習所についてそれぞれ自主的に基準法の各条項に照らした点検を行ったことがございます。それによりますと、基準法三十六条の、いわゆる三六協定の届け出がなされておりますものは、全体の教習所のうちで約八割という数字が出ております。
  128. 吉原米治

    ○吉原委員 学校法人の組織化をしておるところはどうでございますか。
  129. 小粥義朗

    ○小粥説明員 連合会傘下の教習所という形で数字をまとめてございますので、その内訳については承知いたしておりません。
  130. 吉原米治

    ○吉原委員 そうするとあとの二〇%は三十六条協定がなされておるかおらないか、労働省の方で把握なさっていらっしゃらないようでございますが、この二〇%に相当する事業場については調査されたことがございますか。
  131. 小粥義朗

    ○小粥説明員 実はその連合会の自主点検を行います前に、全国の労働基準監督署を通じまして、全教習所じゃございませんが、約三百ぐらいの教習所について労働条件の実態を調べたことがございます。監督をしたわけでございます。その結果、基準法の各条項についての違反が相当数見受けられましたので、連合会を通じての自主点検という形での指導にさらに入っていったわけでございまして、したがって連合会の自主点検の結果では、なお二割届け出がないという点がございますが、監督機関としてはそれ以前にやった中で、もちろん全部の数ではございません、いま申し上げたように約四分の一か五分の一ぐらいの教習所でございますが、じかに監督官が行って点検をし、監督したことはございます。
  132. 吉原米治

    ○吉原委員 直接事業場に入って調査したことがあるというお話でございますが、きょうは時間ございませんから、事実をおっしゃっておるだろうと思いますから、もしそれが直接監督官が事業場に入って調査をした、少なくともこういうことでございますなら、実績の調査資料をひとつ後ほどお届け願いたい。そして時間短縮の方向というのは、もう教習所の職場に限らずでございますが、今日まで短縮の方向を指導されたことがあるのかということが一つ。  それから、時間がございませんからまとめて質問しますが、路上教習、路上検定中の事故が容易に連想されるわけでございますが、その場合の労働災害として処置された件数が、でき得れば四、五年ぐらいほしいわけですが、データがなければ二、三年で結構ですけれども、労災事案として何件ぐらい過去起こっておるのか、その点をひとつお答え願いたいと思います。
  133. 小粥義朗

    ○小粥説明員 まず、労働時間短縮の指導をしたかどうかという点でございますが、これは先ほど申し上げました監督機関が監督をいたしました際に、特に残業が恒常的に行われている姿が多いという点を見受けておりますので、その点をできるだけ、たとえば交代制の導入であるとか、あるいは営業時間との関係が非常に密接でございますから、その辺の工夫をしていただくとか、さらに残業それ自体は三六協定を結べばできるわけでございますけれども、そうした三六協定を結んでないところについてはちゃんと所定の手続をとるようにというふうなことを指導いたしております。  それから労災の問題でございますが、労災の件数は、実は全業種を幾つかの料率に応じて区分をしまして、その区分ごとにしか労災上の統計の数字が出ておりませんので、自動車教習所に限っての数字は実は私ども持っておりません。これは教育の事業という形で、その他の事業の中に一括含められておるものでございますから、教習所に関しての労災補償をどれだけしたかという具体的な数字はちょっと御報告できないわけでございます。
  134. 吉原米治

    ○吉原委員 労働時間等については、何か連合会のような組織を通じて実態を調査されたというように承ったのですけれども、肝心の労働災害、なかんずく、私どもが非常に危険だと思っておる路上教習あるいは路上検定で一体どのぐらいの事故が起きておるのか、このことが知りたいわけでございます。これは警察庁の方でも把握はなさっていらっしゃらないのですか。
  135. 杉原正

    杉原政府委員 五十二年の路上教習の事故につきましては、件数で申し上げますと、物損が半分ぐらいございますが、要するに、こっちの方に責任のあったもの、相手方に責任があったもの、両方ございますけれども、物損を含めまして、約八百六十件、うち七百件が相手方の責任というふうな感じのデータはございます。
  136. 吉原米治

    ○吉原委員 そこで、労働省にぜひお願いしておきたいのは、言ってみれば素人を指導する立場でございますから、非常に危険な作業で、かなりの神経を使う。単なる荷物なり人間を乗せて走るという熟練運転者の労働時間ではございませんから、少なくとも余分な神経を使うわけですよ。ですから、もっと労働時間の短縮、なかんずく一人の受け持ちの教習生十人というのがどうもいま標準になっておるようでございますけれども、こういった内容についても、労働が過密になっておるという観点から、ぜひ労働時間の短縮、こういう方向をひとつ御指導願いたい、このことをお願い申し上げておきます。  それから、これまた警察庁に返るわけでございますが、自動車教習所の中に指導員がたくさんございますが、アルバイト的な指導員はいるのですか、いないのですか、把握されておりますか。
  137. 三上和幸

    ○三上説明員 これは、その資格につきましては法律並びに政令等で定めておりますので、この資格に従った者について指導を受ければいいという形になっておりまして、ほとんどの者が常用であろうというふうに考えております。
  138. 吉原米治

    ○吉原委員 ほとんどの者が常用であろう、だからアルバイト的な人はおらぬだろう、こういうことでございますが、私もアルバイト的な指導員が本当におるのかなと思って実は警察庁の方にお尋ねしたのですが、大方の皆さんは常用の指導員であろう、少なくとも法的に資格を持った指導員でないとこういう事業場では指導員の働きができないわけでございますから。これは把握されていらっしゃらないようでございますし、私もそれ以上質問をいたしませんが、指導員の資格という問題については、公安委員会でそれぞれ試験をなさるわけです。個人の人に資格を与えるわけですから、自動車の初心者を指導するという資格は、まるまる自動車教習所を離れても消えてなくならないだろうと思うのですが、その点はどうでございますか。
  139. 三上和幸

    ○三上説明員 指導員の資格につきましては、現在、警察庁の定めます法律、政令等に基づく資格について、各公安委員会においてその検定をいたしておるわけでございます。したがいまして、統一された検定の内容で検定がなされておりますので、A県からB県に移りましてもその指導員の資格は通用するというように私どもで指導をいたしております。  ただ、A県からB県に移ります場合に、すでに継続して前の教習所でもやっておるという方もありますし、しばらくとぎれてからB県に移ってやるという場合もございますので、そういう場合についてはB県の方で指導をいたしまして、その後、正式な指導員とするという形をとっておるのが実情でございます。全国統一の基準によってやっておりますので、この関係についてはそういう資格を統一して運用するようにということでやっております。それと同時に、移ります際には、一応届け出を受けて書面審査、面接、口頭試問という簡単な形でこれを受け付けておるのが実情でございます。
  140. 吉原米治

    ○吉原委員 だんだんと時間がなくなってまいりましてあれですが、先ほど労災の現状について聞きましたけれども警察庁の方では、昭和五十二年度に物損が八百六十件起こっておるということでございますが、指導員がついて路上教習あるいは検定員がついて路上検定をやる場合に、検定員なり指導員に対して責任がかかるような内容の事故はあったのですか。主張したいのは、少なくとも仮免許でやる教習生でございますから、指導員なり検定員には責任はないのじゃないかということです。指導員なり検定員にはそういう事故の責任は転嫁されないものだと私は思いますが、いかがでございますか。
  141. 杉原正

    杉原政府委員 先ほど申しましたのはちょっと表現があれだったのですが、八百六十四件というのは物損ではなくて、死亡事故は全然ございませんが、重傷、軽傷、物損を含めて八百六十四件、人数にしますと四百四十七人ということでございます。件数で申し上げますと、八百六十四件の中の百四十一件が教習生側、いわゆる教習車両側、人員の四百四十七人の中では、八十八人が教習車両側、こういう感じのようでございます。  だれが責任を負うか、教習所といいますか、教習生側、車両で言えば教習車両側といいますか、先生か教えてもらっている人かということになりますが、たてまえから申しますと当然に、教習車両について責任があった場合、原則はドライバーであります。ただ、先生というのは、右へ行け、左へ行けと、いろいろな形の指導を具体的にしていますので、それとの兼ね合いで具体的にどっちがどれだけの比重を負うべきかということは、個々具体的にでないとなかなか判断ができないので、一般論としてすべての事故に共通してこうだということはなかなか言えないと思いますが、原則的にはやはり教習生が第一義的に責めを負うべきだというふうに考えます。
  142. 吉原米治

    ○吉原委員 もう五分しか残り時間がございませんので急ぎますが、検定員のみなす公務員という制度があるわけですが、この制度について非常に矛盾を感じておるのです。一定の週の中で二回ぐらい検定があるようでございますが、この日だけはみなす公務員になる。そのほかの日は一般の民間の従業員並みの扱いである。本来、自動車教習所というものは、民間の少なくとも営利を目的にした教習所という制度はあるべき姿ではないのじゃないか、むしろ私企業から公共的、公営的な企業の体質に変えていくべきだという持論を持っておるのです。営利を目的にした民間企業にこの種の自動車教習所などは本来的に任すべきでない、こういう考え方を私は持っておりますが、警察庁の方では基本的なあり方としてどういう認識を持っていらっしゃるか、まだあと質問がありますから簡潔にお答え願いたい。
  143. 杉原正

    杉原政府委員 私ども、基本的には、この営業形態がどうということよりも、物的、人的に適正な、技能試験を免除するにふさわしいような教習が行われる体制のものさえ確保できれば、中身は別に問わないつもりでございます。
  144. 吉原米治

    ○吉原委員 この点については論議のあるところですが、次に行きます。  通産省、お越しになっていただいておるはずですが、お尋ねをいたします。  中小企業近代化促進法の業種指定を受けておるわけでございますが、自動車教習所が業種指定を受けるに至ったその経緯やら目的、内容、理由、こういうものについてお尋ねをいたしたい。特にこれは未指定あるいは学校法人化している企業、職場にも適用されるのか。また、指導員の資質、福祉の向上ということが近代化の中で触れられておりますけれども、指導員の資質の向上あるいは福祉の向上とは具体的には一体何を指しておるのか。また、教習料金の高騰化を抑止するということが触れられておりますけれども現実には教習料金は年々高騰化の方向に行っておる。つまり中小企業近代化促進法の業種指定を受けたそのメリットが現実には出ていないのじゃないかという気がいたしておりますが、時間がないので再質問はしませんから、簡潔にお答えを願いたい。
  145. 若林茂

    ○若林説明員 お答え申し上げます。  自動車教習所業につきましては、昭和五十一年七月に中小企業近代化促進法の指定業種に指定されているわけでございます。同法におきましては、事業活動の相当部分が中小企業者によって行われている業種、それから、当該業種に属する事業が国民生活との関連性が高いサービスを供給するもので、かつ、その業種に属する中小企業の近代化を促進することが国民生活の向上に資すると認められるもの、この二つの要件を要求しておりますが、この要件に自動車教習所業が合致していると判断いたしまして指定したわけでございます。こういう観点から、自動車教習所におきます自動車運転についての教習方法の研究開発、設備の近代化、事業経営の合理化等々を図りまして、自動車教習所業の近代化を図り、もって優良運転者の育成と国民生活の向上に資するということが目的でございます。五十一年の七月九日に指定されたわけでございます。  定められました近代化計画の要旨につきましては、ことしの三月十日付の告示で公表してございますが、近代化の目標といたしましては、第一に教習水準を全国的に向上させること、第二に教習原価上昇の抑制に努めるということ、第三番目に教習体制整備を図ること、この三つを目標としているわけでございます。この目標を達成するために、教習方法あるいは教習用器材の開発でございますとか、指導員、管理者等の質の向上を図るために各種の研修を実施することでございますとか、設備の近代化を図るために新たに教習用の機器の設備投資を行うことでございますとか、そのようなことを決めているわけでございます。  それからもう一つお尋ねの、この近代化計画が学校法人等に適用されるかどうかという点でございますが、中小企業近代化促進法の第二条で中小企業というものを定義しております。その中小企業の定義によりますと、この法律で言う中小企業とは、会社、個人、企業組合、協業組合というふうに限定しておりますので、学校法人は含まれないわけでございます。したがいまして、この法律で近代化計画を定めまして、これに基づいて近代化促進貸し付け等の助成措置を行うわけでございますが、その場合には学校法人には適用されないわけでございます。  なお、当然のことながら未指定の教習所につきましては、これが中小企業でございますれば適用があるのは当然でございます。  ただ、学校法人が適用にならないと申しましても、自動車教習所業全体の近代化ということにつきましては自動車教習所業業界全体の協力が必要でございますので、学校法人の教習所もこの業界一体となって近代化計画で定めております近代化に向かって努力されることをわれわれは期待しておるわけでございます。
  146. 吉原米治

    ○吉原委員 質問の中身に触れられておりませんので、指道員の質、福祉の向上とは一体具体的に何か、教習料金の高騰化を抑止するということに目的があるけれども、そういうことはなされていないのじゃないかという点をお尋ねしたかったのですが、お答え願えますか。
  147. 三上和幸

    ○三上説明員 自動車教習所業の近代化につきましては、通産省と私どもの方の共管でやってまいるわけでございますが、先ほど来先生からもお話がありますように、国民皆免許という時代でございますので、よりよいドライバーに育て上げるということ、これはいま約八割が教習所の卒業者という実情から見まして、そこで教えられる運転というものが内容が充実をしますればこのことが結局りっぱなドライバーが育てられるということにつながりますので、そういう意味においていわゆる指導員の労働条件、あるいはそこの就業の環境の問題、あるいはもろもろの福祉の問題が改善されてまいりますれば、またその指導員の採用の問題、あるいは指導員の研修の問題ということを充実してまいりますれば、よりよいドライバーが育てられるということにつながりますので、いろいろな面から教習所の指導員の全国的なレベルアップを図ることが必要であるということで、指導員の資質の向上ということを申し上げておるのはそういう意味でございます。  それから、いわゆる教習原価の抑制の問題でございますけれども、この問題については確かに現在はマン・ツー・マンで教えております教習がほとんどでございますので、たしか人件費の全体の教習に占める割合というのは六七%ぐらいになっていると思います。そういう意味におきまして、この教習のあり方等につきましてその合理化を図るというようなこと、あるいは経営の合理化あるいはいろいろな器材の導入というようなこと、いわゆる教習内容のいろいろな面での合理化、近代化というものを図ってまいりますれば、ひいてはそういういろいろな形の効率的な運用ができるということで、教習原価の方につきましても引き下げといいますか、そういうことが可能になるであろうということで五十一年の七月に指定になりましたけれども、その指定になりましてから実態調査というものをいろいろやりまして、それに基づいて先ほど通産省からお話がありましたような形で目標を掲げたわけでございます。これが今年の三月のことでございますので、これから五ヵ年にわたりましていろいろな面で近代化を図ってまいりたい、こういうことでございます。
  148. 吉原米治

    ○吉原委員 時間がオーバーしましたので、また後日に譲ります。
  149. 沖本泰幸

    沖本委員長 次に東中光雄君。
  150. 東中光雄

    ○東中委員 成田空港でいわゆる過激派の管制塔破壊等のかつてないような問題が起こりまして、去る四月四日に新東京国際空関係閣僚会議が「新東京国際空港の開港と安全確保対策要綱」を発表しておりますが、五月二十日を開港期日とするということでいま空港の安全のためにいろいろ準備をしておられると思うのです。この第二の、空港の安全強化について、所要警察力を常時配備する、そして万全の警備を行うという一項と、それから二項については、空港外の関連諸施設、航空燃料輸送鉄道等についても、防護強化を図るということが言われておるわけであります。三項では「航空機の運航に対する空港外からの妨害に備え、監視体制強化し緊急事態の即応体制を確立する。」これは主として運輸省関係ではないかと思うのでありますが、「監視体制強化し緊急事態の即応体制」はどういうふうに進めておられるのか、お伺いしたい。
  151. 松本操

    松本(操)政府委員 先生いまおっしゃいましたように、去る四月四日の関係閣僚会議で新たに五月二十日を開港の日と定めました時点で対策要綱が出ておるわけでございますが、いまおっしゃいましたのはその第二の、三番目の「航空機の運航に対する空港外からの妨害に備え、」云々のことでございますが、考えられますことといたしましては、これは従来も例がございましたけれども、たとえば係留気球を浮揚させるとか、あるいは、これはまだその例がございませんけれども、電波妨害を試みるとか、このようなことが一応予想されるわけでございます。   そこで監視体制強化という点につきまして、たとえば係留気球のようなものでございますれば、その位置と高度を速やかに確定いたしまして、これの除去につきましては警察の応援を求める、恐らくそのようになろうかと思いますが、それにも増して、ともかくその位置それから高さ、数、こういうものを速やかに発見いたしまして、必要によりパイロットにも通報しなければなりませんし、警察に依頼して除去するとすれば、その位置決めをしなければならぬ。そのために滑走路上の適当なところに特殊な望遠鏡と申しましょうか、角度と方位のわかるようなものを設置いたしまして常時監視ができるようにする。夜間は無理ではないかというような話もございまして、現在、夜間においても何がしかの、赤外線と申しましょうか、温度差を使ってそういったような異物を発見できるような装置を早急に設置するというふうな方向で検討しておるわけでございます。それから電波妨害のようなものは、妨害が出ましたときに敏速に所要の周波数を切りかえて対応していくというふうな方法がとられる必要があろうかと思います。電波の問題になりますと、私どもだけの問題でもございませんので、郵政省の電波監理局が主としてその任に当たるわけでございますので、技術的な面その他について援助、協力を受けながらこれに対応する対策を確立していくという方向で現在対処している次第でございます。
  152. 東中光雄

    ○東中委員 気球を使ったり、無線の電波妨害、それからラジコンによる爆破というようなことも考えられるわけですが、滑走路上にそういった、これは方向性のあるものですから、監視体制を確立されておるんだと思いますけれども、こういう事態が起これば空港をストップせざるを得ないようになりますね。  それから、監視体制のことはいま言われたわけですが、ここにも書いてありますように「緊急事態の即応体制」というと一体どういうふうにするのか。運輸省だけではないと思いますけれども、これは、即応できなかったら、何といっても国際空港でありますからまた非常な混乱を起こすことになるわけですので、そういう体制という点で言えばどういうことになるのでありますか。
  153. 松本操

    松本(操)政府委員 確かに、おっしゃいますように、即応体制をしくという、文字で書けば簡単な言葉でございますが、実際にこれの完璧を期してまいりますのはなかなか大変でございます。そうは申しましても、おっしゃるように、空港の性質上、国際空港であるとないとを問わず、およそ航空機が離発着しております場所にそのような危険な妨害が行われるということは航空の安全を確保するという意味においてもゆるがせにできない問題でございますので、監視体制の一端を先ほど申し上げたわけでございますが、即応体制につきましては、たとえば気球のようなものは即時撤去する、あるいは航空機がたとえば着陸に入る前でございますれば当然管制官はパイロットにその旨を知らせましてゴーアラウンドをさせるとか、あるいは適当なところで待機をさせるとか、こういうふうな形で対応策をとらなければならないかと思っております。それからまた無線妨害のような場合にも、その程度にもよりけりであろうかと思いますけれども、管制官とパイロットの間の通話用の周波数というものは一つ二つではございませんので、これを任意に切りかえることによって、妨害されていない電波を使って的確な対応策を講じていくというふうなことについても具体的な方策をどうするかという点を含めまして関係の官庁といませっかく詰めておるというのが実情でございます。
  154. 東中光雄

    ○東中委員 警備体制強化警察力の常時配備。そうするとこれは、警察官はどの程度の警備体制に入るのか。たとえば五メートルごとに並んでいるというようなことをやればそれでいいというものではありませんし、そういう状態自体が非常に問題だと思うのです。そういうことについて、特にパイロット関係者は非常に心配をして、航空安全推進連絡会議、御承知だと思いますが、内閣あてに文書の申し入れもしているようであります。そういう人たちに対して、運輸省としてよく話し合いもし、それから協力体制もとらなければいかぬと思うのですが、そういう申し入れに対してどういうふうにやっていらっしゃるか、お伺いしたい。
  155. 松本操

    松本(操)政府委員 いまお話にございました航空安全推進連絡会議のほかにも、たとえば国際的なラインパイロットの協会と申しましょうか、通常IFALPAと呼ばれておりますが、こういうふうなところからも、十分に安全体制について話し合いをしておきたい、こういう申し出がございます。私どもといたしましては、対応するやり方の中の一般に公表いたしかねるようなものについてはお任せいただくということでいかざるを得ないかと思っております。しかし、少なくとも基本的な物の考え方なり、あるいはすぐれて技術的な問題につきましてはこういったような専門の知識、経験を有する方の御意見も、私どもの立場から見ても大いに参考になるわけでもございますので、できる限りお話し合いをすることによりまして、こういう御意見を存分に取り入れて、いまおっしゃいますような安全体制が確実にとれるというふうな措置を講じていく、こういうことで対処してまいりたいと思っております。
  156. 東中光雄

    ○東中委員 それは五月二十日の開港前にもちろんやられるべきだと思うのですが、いつごろやられる予定ですか。
  157. 松本操

    松本(操)政府委員 安全推進会議の方につきましては去る三月十七日付の書簡で一般論的に、つまり成田以外のものを含めまして百項目近いお申し越しがございましたので、これらを全部五月二十日までにこなし切れるかどうかについては私いささか疑問には存じておりますけれども成田開港に直接的に絡む問題につきましてはなるべく早い機会にいたしたい、このように考えております。
  158. 東中光雄

    ○東中委員 それは、成田関係するものは開港前にやるという趣旨にお聞きしたのですが、それでよろしいですね。
  159. 松本操

    松本(操)政府委員 そのように御理解いただいてよろしいと存じます。
  160. 東中光雄

    ○東中委員 それからもう一つ、成田空港では空域の設定に関する問題がいろいろあるようであります。特に北方には四十六キロメートルのところにいわゆる百里基地がありますし、西方には米軍の横田空域に含まれる横田基地それから厚木基地、自衛隊の立川それから入間基地があります。また南方には五十九キロメートルのところに羽田空港があるということで、空域が相互に重なり合っているところが二重にも三重にもなっておるわけです。特に成田から飛ぶ飛行機が百里基地との関係で重なっておるという点が非常に問題になっておるわけでありますが、成田と百里基地とが同時に離着陸をやられる場合、高度差を設けて衝突を避ける方式がとられておるわけですが、定められた高度がとれないような場合が起こったときですね、管制の方へ連絡せいということにこれはNOTAMでもなっているようでありますけれども、実際問題として離陸直後に故障が起こったというふうな場合、これはその故障に対する処置にパイロットとしては全力を注ぐべきであって、管制塔に連絡をするなんというようなことは実際上はできないのじゃないか。私も飛行機を操縦しておったことがあるので、離陸のときあるいは着陸直前ですね、そういうときに故障が起こったときというのは非常に大変なのです。一瞬の措置の誤りも許されぬということですから、その故障の対応に全力を注ぐということになるのは、これは常識だと思うのです。所定の高度がとれないときというのは、何かのそういう事故が起こったときに一般的に考えられるわけですから、そういうときに管制塔へ連絡しろというのは、これはちょっと体制としてよくないのじゃないか、こう思うのですが、航空局はどうお考えになっておるか。
  161. 松本操

    松本(操)政府委員 先生おっしゃいました、成田周辺に幾つかの空港が、三十マイル前後あるいはそれ以上のところもございますが、接近して存在しておる、こういう事実をまず大前提に置きまして、それから管制のありようといたしまして、一つの管制機関は一つの管制空域の中を一元的に管制をする、これを第二の原則といたします。それから、これは出発、進入いずれを問わずでございますが、航空機の飛行コースについては可能な限り平面的分離ということを先行させ、平面的分離がどうしてもできない場合でも、いま先生おっしゃいました高度差と申しますか、垂直方向の分離をするということを第三番目の議論に立てる。それからその操作の仕方、飛び方については、できる限り各種の航空保安無線施設を使いまして、正確にかつ容易に飛べるようにする、これを四番目の原則とする。     〔委員長退席、太田委員長代理着席〕  こういうふうなことを前提に置きまして、どのような形で空域を設定し、どのような形で飛行コースを設けるかということを相当長期にわたり専門家意見も聞き、さらにブライトシミュレーターなどを使って実際に模擬訓練もしてみる、あるいは先ほどもちょっとお話に出ましたIFALPAでありますとか、あるいはIATAの専門家でありますとか、もちろん国内のパイロットの意見も入れまして、いろいろと検討した結果できたものでございますので、まず原則的に十分な安全対策がとれていると私ども思っておりますが、特に先生おっしゃいました高度差だけで実は分離をしてあるわけではございませんので、恐らくいま先生が例示として挙げておいでになりますのは、北向きの銚子2デパーチャーというものとそれから百里空域の中のタカンアプローチ、これの相関関係についての御指摘ではないかと私思います。  これは平面図形的にも三マイルの間隔をぎりぎり狭まったところでつけてございます。さらに、高度的に千フィートの差をつけてあるわけでございます。したがいまして、もし離陸の経路において何らかの故障が起こってどうしても高度がとれない、もちろんそのときにはそういった非常事態に入ったことをいち早く管制塔に通報するというのがたてまえであると私は思いますけれども、それも何らかの理由があってかなわなかったという場合にも、第三番目の安全策として、平面的なコースを守ってもらえるならば、これはぶつからないようになっておるわけでございますが、さらにそれもおかしかった、平面的にも飛べなかったというところまでいったとします。そういたしますと、場合によっては先生おっしゃるような問題が全く起こらないということはない。これは私は理論上の話だと思いますけれども、全くない、絶対ございませんとここで言うほどの理論的な裏づけはないかと思います。  その場合にどうするかということでございますが、これは成田と、いまの例で申しますと百里でございますが、それぞれのレーダーによりまして、自分の飛行機はもちろんのこと、相手の飛行機もモニターをできるようになっております。といいますことば、自衛隊の航空機におきましても民間機と同じようにトランスポンダーを積んでおりますので、トランスボンダーのコードナンバーを、暗号と申しますか、符号と申しますか、これをある一定の数字に合わせておきますと、私どものレーダーでも相手方のレーダーでも、二本棒のターゲットとして確認することができます。したがいまして、それでお互いに見ておりまして、もし何の音さたもないのにコースが接近してくるというふうな異常な事態が発生いたしましたときには、直ちに自分の管制する飛行機に対して退避の措置をとらせる。     〔太田委員長代理退席、委員長着席〕 と同時に、電話機を上げさえすればお互いに相手のタワーが出るようになっておりますので、いわゆるホットラインでございますが、これを使いまして相手機に対して措置をすることもできますし、それが間に合いませんときには、私ども成田のタワーには自衛隊機等の軍用機が専用に使っておりますUHFの波を持っておりますので、このUHFの波をもって直接的に相手機に対して、これは人の管制空域の中に手を突っ込むことになりますが、もう最後の最後の手段という形で、何らかの、右へ曲がれとか左へ曲がれとかいうふうな措置をとることも可能でございます。  さらに、もう一つ大きな前提といたしまして、そういうふうなことが絶対に起こってはいけないわけでございますので、たとえばわが方から北向きに離陸する飛行機があって、そのときにどうしても百里の空域の中で南から着陸するという飛行機がある、両方の空域がぎりぎりの形で使われるという状態が、これは突然起こるわけではございませんので、当然予測をされております。それは管制官の判断によりまして、必要があれば相互に連絡調整をする。これも先ほど申し上げましたホットラインの電話機を上げればすぐ相手が出ますので、連絡調整をとることによって、そういうおそれが予測されるのであれば、初めから排除してしまうということも可能でございます。  幾つか申し上げましたが、御理解いただきたいと思いますのは、五重、六重の安全対策ということが講じてあるわけでございますので、御指摘のようなケース、つまりコースを逸脱するとかあるいは離陸の中途でエンジンがとまるとか、そういうふうなことが、絶対ないというふうなところまで私は申し上げませんけれども、仮にそういうことが起こりましても、それに対応すべき対策というものは十分に措置し得るように私どもいろいろな規程も用意をしておりますし、また、訓練もしておる、このように思っておりますので、まずそういったようなことについては、絶対に起こらないということを期して今後の管制をやっていけるというふうに私どもは考えておる次第でございます。
  162. 東中光雄

    ○東中委員 昨年の二月に羽田でパンアメリカン機が千五百フィートの高度でエンジンから火を噴いて千八百フィートでやっと管制と連絡をとったという事故があったように聞いております。問題は、NOTAMで、定められた高度がとれない場合には管制に連絡しろということが出されているわけですね。そして自衛隊とも連絡する。だから、いま次長の言われた管制側というか運輸省側のそういう何重もの安全対策といいますか、これを想定されるのは当然のことだと思うのですが、パイロットの側から見たら、さあ飛び出したというときに連絡しろ、連絡しておったからそのために事故対応が十分うまくできなかったというようなことになったら、これは本末転倒になりますから、そういう点でこれは非常に矛盾があるのじゃないか。パイロットの方から言えばですよ。できなかったからしなかった、それでもいいのだということになるのか。しなかったからだ、これは後で事故原因をいろいろ言えばですよ、しなかったからこういうことになったのだというようなことにもなりかねないと思うのですね。これは離陸時に事故が起こったときに、所定の高度がとれなかったときに、そういういわば非常のときに連絡をせねばいかぬという体制に初めからなっておるというのは、やっぱりちょっと考えなければいかぬ問題じゃないかというふうに私は思うのですが、そういう点についての考え方はどうなんですか。
  163. 松本操

    松本(操)政府委員 たとえば、いまお話に出てまいりましたような離陸後に何らか非常事態が発生した場合、これは成田でございましょうと、羽田でございましょうと、どの空港でありましても、当然パイロット側はタワーと申しますか、管制機関に連絡をとるように努めるべきであろうかと思いますし、管制官はその事情を承知した以上可能な限り速やかに安全な対策をとるというのはむしろ原則でございまして、成田であるからそうなっているということではないのでございます。  この点、誤解があるといけませんので、あえて御説明させていただきたいと思いますが、北へ向かって上昇いたします場合に、成田から一定の方位の角度のところで二千八百フィートにつきなさい、こういうことが書いてございまして、パイロットは大体離陸をいたします前にそのときの自分の飛行機の目方なりあるいはそのときの気象状況なりというものを十分に計算に入れまして、行けるか行けないかということを判断するわけでございます。それをプランニングと言うのだそうでございますが、そのプランニングの段階で、非常にしばしば二千八百につけないような飛行機が出てくるというのでは、これは始めから私どもの設定したコースがおかしいことになります。そこで、先ほど申し上げましたように、フライトシミュレーター等も使ってチェックをしたわけでございますが、まず相当の目方の、つまり三百五十トン程度のジャンボが、その目方で無風のときに北に飛び上がっても、しかも気温が三十五度という真夏の日盛りのときに北へ向かって上がっても、その位置では二千八百フィートに十分つく、こういう前提でこしらえてございますので、通常の場合には何ら問題はない。  そこで事故が起こったときにどうするか。そこで問題になりますのは、恐らく高度がとれないということではなかろうか。高度というものはだんだんに上がっていくわけでございますから、DME七マイルのところで右に旋回を開始しなさい、こういう規定になっております。七マイルの時点でどの程度の高度になれば、大体ブレーキレリーズから十二マイルあたりのところで二千八百につくかということは、先ほど申しました飛行前のプランニングのときにパイロットには十分にわかっておるわけでございますから、DME七マイルのところで、まずこれで行けるかどうかという判断がございます。しかし事故のことでございますから、そこまではよかったが、それを過ぎてからまた何か起こった、こういうこともございましょう。その場合には、先ほど来申し上げておりますように、平面的な分離も図ってあるわけでございますので、右に回っていてさえくれれば相手の飛行機も右に曲がって、こちらの飛行機も右に曲がっている。つまり、お互いに離れる方向に曲がり続けておるわけでございますので、その間に距離が接近するというおそれはないわけです。けれども、右にもし曲がれなかったらどうするか、これはちょっと私はどういう場合かわかりませんけれども、高度もとれず右に曲がることもできずとなったらどうなるか。その場合は真っすぐ行ってもらうよりしようがない。真っすぐ行った場合にどうなるかと申しますと、相手の飛行機はともかくどんどんと下へ下がって地面に下がってしまうわけです。百里の方の飛行機は。こちらの飛行機は高度がとれなければ水平に飛んでいる。水平も飛べないような飛行機はあるはずがないので、と申しますのは、飛行機の耐空証明を出しますときに、エンジンが二つアウトになっても水平が維持できるということが大前提でございますので、三つとまったらどうするかとまでおっしゃられると私もお返事に窮しますけれども、まず通常の場合でございますれば、通常というのは、事故としてもよっぽど妙てこりんな事故でない限りは、そういうふうなことは起こらないはずでございますし、また管制官の方もレーダーで見ておりまして、当然DME七マイルから右へ曲がるはずの飛行機が真っすぐ行ってしまう、しかもパイロット側から何も言ってこないという場合には、ありとあらゆる手段方法を使ってその飛行機をほかの飛行機から分離してしまうという手段をとるわけでございますので、先生がおっしゃいますようにパイロットが通知しなければどうにもならないというような仕組みになっているわけではございませんし、また事故が起こった後でパイロットが言わなかったからどうだ、こうだと一生懸命に事故の分析をしてみましても、これも余り前向きな話ではございません。  先ほど私がるる前段で申し上げましたのは、その五重、六重と申し上げましたのは、パイロット側において仮に何らの手段がとれなくても管制側から手当てができるようにしてあるつもりでございます。ということの御説明を申し上げたかったわけでございまして、それにパイロットが通常の協力をしてくれるということであれば、それだけ安全度は上がるわけでございますので、御心配のようなことが起こるということは私はまずないと申し上げてよろしいのではないか、こう思っておる次第でございます。
  164. 東中光雄

    ○東中委員 高度がとれなかった場合、とれないことが事前にわかっておる場合はもちろんそうですし、それから飛んでみて火が噴いたというような、そういう特別な事故でないまでも、とれないような状態が起こったときに連絡をするというのがノータムの趣旨だと思うのです。しかし、それが連絡ができなくて、そして七マイルのところで——これは九十度以上もありますからね、百度近くもあるのではないですか、右旋回、というようになっておりますね。七マイルのところから右旋回を開始して、そして二千八百フィートですか、その高度で右旋回するわけですね。ですから、その高度がとれない事態が起こったときのいわば管制塔への連絡義務というものが、高度がとれない事態自体が異常なんだから、そのときの連絡義務というものは、高度という点でそういう義務を課せられているということについて、パイロットの方では不安を感じておるということを私は言っておるわけです。  それで、レーダーでずっと見ておられるわけですが、いま成田のレーダーは四十六年に設置されたいわゆる旧式レーダー、高度が一目ではわからないという段階の旧式のものだ。羽田、大阪空港は五十一年からすでにARTS・Jというものを、これはアメリカで開発されてすでに使われておるわけですね。成田ではなぜこれを使わないのか。大体ARTS・Jというのはどのくらいのものなんですか。そして本当に安全ということを考えれば成田でも当然使うべきではないか、こう思うのですが、その点はどうですか。
  165. 松本操

    松本(操)政府委員 まず最初に、お言葉でございますが、先生、旧式というのはなるべく御勘弁いただきたいので、わが国でレーダーを使っております空港はたくさんございますけれども、おっしゃいましたように東京と大阪だけにARTS・Jと称するコンピューター情報処理のついたのが入っておるわけで、後は全部旧式かと言われると、最新式ではございませんけれども、従来型、在来型というふうに私ども考えております。  そこでARTS・Jを入れた理由について先に申し上げた方が御理解していただきやすいかと思いますけれども、ARTS・Jの在来型のレーダーと違いますところは、飛行機の高さが自動的にコンピューターで計算をされて出てくるわけでございます。これはモードCというタイプのトランスポンダーと呼ばれる一つの仕掛けを積んでおる飛行機についてでございますけれども、そういう仕掛けをつけておる飛行機であるならば、このARTS・Jで見ました場合に、飛行機の高さが何フィートというふうに数字で画面の上に出てくるようになっておる。  そこで、これをつけた場合にどういうふうな利点が出てくるかということでございますが、一番大きな利点は、羽田の場合には四百六十機、大阪の場合にも三百三、四十機を一日に管制しておるわけでございます。その管制官のワークロードの中で一番問題になりますのは、相手飛行機の高さというものを一々聞きまして管制をしなければならないという場合に、通信負荷量といっておりますけれども、たとえば一分間管制をしている間でどの程度しゃべっているか、この通信負荷量が六〇%を超しますと管制官はかなりワークロードが強くなったというふうな、自覚症状のみならず客観的な症状も出てくる。こういうことがいろいろな研究でわかっております。そこでたとえば東京のように一日四百六十あるいは大阪のように三百四十というふうな航空機をさばくということになりますと、やはりそれ相応の機数を同時にさばいていかなければなりませんので、レーダーを用いて、いわゆるレーダーベクターでございますが、平面的な分離という形で空域をいっぱいに使って管制をしながらもやはり高度というものについてはときどき気を使って相手の高度を確認していかなければならない。その場合にARTS・Jを使っておりますと高度が数字で出ておりますので、一々それを聞かなくて済む。つまり非常に多くの機数を扱っておる管制機関におきましては、ARTS・Jを導入することによって非常に大幅に管制官のワークロードが下げられる、こういうことでございます。したがってその逆の言い方をいたしますと、非常におかしな言い方かも存じませんけれども、ARTS・Jを導入したから羽田が四百六十のところが四百八十できるとか五百できるとかいうことではないわけです。むしろ管制官が落ちついて仕事ができるようにしていこうというのが大きなねらいでございました。  では、なぜ成田に入れてないかということでございますが、成田最初のデザインができましたころにはもちろんARTS・Jなどというものはございませんでした。これが入りましたのは四十七年以降、私どもが研究をいたしまして、これはアメリカの輸入ではございませんで準国産品、四十七年以降検討いたしまして五十一年から動き出した、こういうふうな次第でございますので、その時点ではもちろんなかったのでございますが、それを別といたしましても当面成田で扱います機数が大体百五十前後でございます。ですから福岡あたりと大体似たり寄ったり、むしろ名古屋よりも少ない、大阪の半分といったような感じでございますので、管制官のワークロードという点を考えましても、空域のつくり方及びコースのとり方が適切であるならば十分安全にかつ確実にそして円滑な管制ができるのではないか、こういうふうに私ども考えております。したがって途中から計画を変更して急遽ARTS・Jを入れるということをあえてしなかったわけでございますが、しかし将来のことを考えました場合には、もちろん成田状況というものもいつまでも百五、六十機でとまっているというわけではございません。将来の機数の増加あるいは空域の混雑度、そういったようなものを十分ににらみ合わせました上でARTS・Jの導入というようなことも次の計画としては私ども積極的に取り組んでまいりたい、このようには考えております。
  166. 東中光雄

    ○東中委員 百五十便前後といっても、ラッシュ時は相当込むわけですね。どれくらいになるのですか、ラッシュのときの間隔は。
  167. 松本操

    松本(操)政府委員 百五十、割り算しやすいように仮に百六十といたしましても出るのと入るので半分ずつ八十でございますが、大体一時間に十数機というのが一番込んでいる状況でないかと思います。十五機といたしますと四分に一機でございます。込む時間帯というのがどちらかと申しますと夕刻以降、これは国際線の一つの特徴でございますが山が二つございまして、午前中に南向けに出ていくのが込むという時期が一つございます。それから夕刻以降、アンカレッジ、ホノルルあるいは西海岸、こちら向けのトラフィックが込むという山が出てまいります。夕刻の方の山につきましては、大体百里の方はアクティビティーが終わりになってしまっております。羽田の方も国内線ということを考えますと競合する時間帯というのはわりあいに短うございますし、特に空域を分離した後においては成田と羽田の空域が相互に競合するという状態はよほどの特殊な事態でも発生しない限り起こらないように空域が設定してございますので、したがって確かにラッシュのときには四、五分に一機ということがある方向について言えることは事実でございますけれども、その場合の近辺の空域の込みぐあいというものは、現在羽田で管制官が毎日直面しているような状態に比べますとかなり緩和された状態ではないだろうか、現時点での話でございますが、そのように考えております。
  168. 東中光雄

    ○東中委員 ラッシュ時で一番接近しておるのは二分ぐらいというふうに聞いておるのですけれども、いずれにしましても、いまの百五十便というのはどんどん増便を申請して、それこそ競争してやってくるでしょうし、いまそうだからと言って来年はそうであるとは必ずしも限らぬわけ、そういう状態です。そして羽田、大阪に入れてあるのだから、特に百里との関係もこれあり早急に入れる方向でやるべきではないかというふうに思うのですが、予算の措置なんというのは私はよく知らぬですけれども、大体どのくらいのものなんですか。コンピューター・システムの高度が入る分ですが、それはどの程度のものなんですか。
  169. 松本操

    松本(操)政府委員 先生おっしゃいますように確かに込んだときに、たとえば出発機だけを見ますと二分間隔ということがないとは申しません。私平均的に申したわけでございますから、非常に特殊なスケジュールの込んだところで二分間隔に二、三機出ていくということはあろうと思いますが、それはそれといたしましてこの仕掛けを——仕掛けというとおかしいのですが、ARTS・Jをつけますのに二十億はかからないと思いますけれども恐らく十七、八億はかかるのではないかと思います。ただ金目だけの問題でもございませんで、これを動かしますためには何せコンピューターが入っておりまして、それから従来の私どもがレーダーで扱っております技術とはやや質を異にする技術も同時に導入されてまいりますので、管制官の訓練の方はまだわりと楽というと語弊がございますけれども、どちらかと言えば容易でありますが、無線技術者の方の訓練、これをしっかりしておきませんとコンピューターが誤作動をするあるいはプログラムの維持が的確にいかないとか、こういうふうなことが起こりますとかえって宝の持ちぐされにもなろうかと思います。そういう方面をも含めまして、先ほどもお答えいたしましたように成田へのARTSの導入という点については検討してまいりたい、このように考えております。
  170. 東中光雄

    ○東中委員 だから管制官の教育あるいは無線関係の人を含めて人員の配置、と同時にそういう準備もしなければいかぬわけです。だから検討をという段階じゃなくて、そういう方向にすぐに入っていく。すぐに実現できるわけじゃない、準備が要るわけですから、なるべく早くやる方がいいと思うのですが、早くやるという方向で聞いてよろしいですか。
  171. 松本操

    松本(操)政府委員 実はきょうの先生のお話に出てきておりませんけれども、広域管制という問題を関東空域でどうするかというまた別の問題を私ども抱えております。広域管制問題に取り組む場合に全部ARTS方式でいくのか、ARTS方式と在来型の重ね合わせでいくのか、こういったような問題もございます。でございますから、広域管制というものにもしわりあい早い時期に飛び込んでいくのであるとすれば、それを踏まえた上でのARTS方式という考え方をとらなければならない、それから広域管制方式というものの導入にまだ多少時間がかかるというのであれば、分離された空域の中で行う従来方式の管制についてARTS方式の導入をどのようなペースで進めていくかというとらえ方をしなければならない。いずれにいたしましてもARTS方式の導入というものが必要になってくるであろうという点については、私ども先生と同様の考えを持っておるわけでございますので、私が検討と申し上げましたのはこれからゆっくりという意味では決してございませんので、即座にことしどうこうというほど急いでできるものでもないかと思いますが、しかし最初お答え申し上げましたように、前向きに検討と私が申しておりますのはその方向で具体的な対応策を含めて検討しておる、こういうふうに御理解いただいて結構でございます。
  172. 東中光雄

    ○東中委員 最後に。先ほども話が出ておりましたけれども、七マイルのところで急旋回をやる、急上昇、急旋回という状態になっておるわけですが、パイロットは方向と高度の確認作業のために各五回も無線機器の操作をやらなければいかぬ。これは短時間に、しかも急上昇、急旋回中にそういうものをやらなければいかぬ。出発あるいは進入方式を簡略化するというのは本来あるべき方向でありますから、そうい点で言うとこれは大阪空港もそうですけれども、ぐうっと上がっていってすぐ旋回する。私は自分で操縦をしておったころよりも、いまは輸送機に乗っておってひやっとするような急上昇、急旋回をやっていますね、輸送機でありながら。こういうのはなるべく簡略化していくということがいいんだと思うのですが、いまは急上昇、急旋回になっていますけれども、そういう方向に向かって是正をしていくというふうな方向は考えられないのかどうか、その点どうでしょう。
  173. 松本操

    松本(操)政府委員 急上昇、急旋回というふうに一部の方から指摘をされておるわけでございますけれども、この上昇のありようは、実はIATA方式という呼び名で呼ばれておりますやり方でございまして、西ドイツの空港ではほとんど広く採用されておりますし、大阪でも類似の方法がとられておりますし、東京でも近くこれに類似のものをとろう、こういうことにしております。したがって、おっしゃいますほどの急上昇ではないと、まず、これはぜひ御理解いただきたいと思うのです。  それから、急旋回という点でございますが、民間機の旋回角度、これは先生パイロットをおやりになったというので、私よりも詳しいと思いますが、バンク角度二十五度というのが大体限界とプラクティス上されております。この銚子2デパーチャーのバンク角は大体十七、八度、もちろん風向きによりまして二十度程度まで持っていかなければならないかもしれませんけれども、計算の上でも、あるいはシミュレーターの上でも大体十七、八度から二十度程度の間で旋回はできるということでございますので、二十度を超えるようないわゆる急旋回というわけではないというふうにぜひ御理解をいただければと思います。  そこで、上昇、旋回をしながらいろいろなことをしなければならないのは大変ではないかということは、これば確かにおっしゃるとおりでございます。上昇も旋回もなくて、真っすぐずっと上がれれば一番いいのでありますけれども、しかし、いずれどこかで曲がらなければならない。その場合に、大阪のような曲がり方をいたしますとコースがずれるという点で、パイロットは非常に気を使わなければならないという問題がございます。  そこで、成田のコースを引きます場合には、周辺に設置をいたしましたVORあるいはDMEなりをフルに使って、なるべく正確なコースで飛べるようにしようということを配慮いたしました。私、後でいろいろと技術専門の人たちの話を聞いてみますと、多少AIPの書き方が親切過ぎたというか、くど過ぎたというか、これがとれなかったらあれを、あれがとれなかったらそっちをというふうな書き方がしてあるので非常にややこしくなっているようでありますが、たとえば日本航空あたりがマニュアルとして制定しようとしておる案を、私ども話をいろいろ詳しく聞いておるわけでありますけれども、そんなに頻繁にあれを切りかえ、これを切りかえというふうなことにはなっておりませんので、成田と守谷のVOR/DMEにチューニングして離陸をする。途中でその成田の分を銚子に切りかえる。VORの切りかえとしては、途中で一回やれはよろしい。ヘッディングは確かにいろいろと変わりますから、ヘッディングの切りかえは三回ぐらいしなければならないかと思いますが、そう頻繁にあれを切りかえこれを切りかえということをしないとどうしても飛べないというふうな仕組みにはなっていないわけでございますし、現に日本航空の制定しようとしております。恐らくもう制定しておるかと思いますが、フライトマニュアルにおきましても、そういったような頻繁な機器の切りかえということには実はなっていないし、それでも十分に飛べるわけでございますが、今後現実に飛び出してから、またいろいろとパイロットの方々の御意見ども聞きまして、方位でとっておりますものをDMEの距離で置きかえるとか、いろいろと操作を簡略化していく方法はあるのではないかと私は思います。それは当然そういった方向で、操作面を加えて安全さを確保しながら、なるべくパイロットのワークロードを減らすという方向で今後とも研究はしてまいりたい、また、適切な案が出てまいりますれば、どしどし変更していくようにしていくべきではないか、このように考えております。
  174. 東中光雄

    ○東中委員 安全確保という点で、パイロットの意見をよく聞いてやっていただきたいということを要請しておきたいと思います。  時間がありませんので、あと整備部長にお聞きしたいと思うのですが、最近、四月三日ですか、の新聞で、米国本田技研が二日、七六年型、七七年型の同社製乗用車二十七万台について、シリンダーヘッドガスケットの漏れを防ぐために、総額二千万ドルの費用で回収中であると発表したという報道がなされています。回収車には「シビック」「アコード」及びこれらのライトバンが含まれるということが報道されておるわけでありますが、この実情について運輸省……。
  175. 犬丸令門

    ○犬丸(令)政府委員 御指摘のこの点につきましては、アメリカ向けの本田車のうち、七六、七七年の「アコード」「シビック」「シビックワゴン」これらの車が、冬季冷機始動直後に高速高負荷運転を行った場合に、シリンダーヘッドがアルミでございますので、シリンダーヘッドが急に熱せられるために、そこの温度が上がりまして、シリンダーヘッドとシリンダーブロックの間に装着されておりますガスケットに異常な負荷力が加わります。このため、当該ガスケットが繰り返しこのような力を受けた場合におきまして、ガスケットの縁どり部分が変形して圧縮圧力が低下する。このため出力不足になる。こういったような事態が発生したわけでございます。これは相当多かったわけでございまして、このことに対して米国本田としては、当該故障は直接安全性に関係があるというふうには、米国内でもそういった見方をいたしておりませんけれども、故障が発生した場合には、保証期間にかかわりなく無償修理するという措置を講じることとしておりますものでございます。現時点においては、近く実施するということで、まだやっておりません。
  176. 東中光雄

    ○東中委員 これは直接安全性に関係ないと言うけれども、構造的に出力不足が普通の場合と違って起こってくるということになれば、たとえば高速道路なんか走っているときは、やっぱり安全に大いに影響があるわけですね。たとえば最低速度を割って走っておってとっつかまったなんという人もありますからね。だから、安全に直接関係がないというようにいま部長言われましたけれども、間接に安全に関係があってもやっぱりいかぬわけで、同じ種類の「シビック」「アコード」はいま日本で何台ぐらい出ているのですか。
  177. 犬丸令門

    ○犬丸(令)政府委員 「シビック」が、これと同じ型式のものは九万三千七百八十台、「アコード」につきましては八万六千三百台、合計十八万八十台でございます。
  178. 東中光雄

    ○東中委員 これについても、若干の違いがあっても同じ型式でありますから、米国ではリコールしてないまでもそういう措置をとったと発表したということであれば、日本国内でも当然やるべきだと思うのですが、そういう点について運輸省としては調査し、あるいは措置を、どういう指導をされているか、この点をお聞きしたい。
  179. 犬丸令門

    ○犬丸(令)政府委員 アメリカにおきましてこのような報道がなされた時点におきまして、わが国におきましても本田から私どもの方に連絡がございまして、アメリカにおいてこういう措置をとることといたしました、日本の場合には気象条件、寒気の度合いがアメリカ等の場合と相当異なる、それから運転態様も違うのでありまして、このような故障件数はアメリカに比べて格段に少ないのでありますけれども事例はゼロではない、したがってアメリカと同じ措置を講じることにいたしたいと、こういう申し出がございました。私どもといたしましても、この点につきましては、やはりユーザーの保護のためにその措置をとってもらうことにいたしておりまして、近く届け出が出てまいるわけでございます。
  180. 東中光雄

    ○東中委員 こういうことがアメリカで、米国本田がそういう発表をした、これは日本は直接関係はないわけですけれども。そうすると、同種型式の自動車が十八万台も日本で走っておるということになれば、運輸省としては本田からの報告だけじゃなくて、これについて例の道路運送車両法の百条に基づく立ち入りなり検査なり、あるいは質問なりということをやられて、そして運輸省としてどういう実態かということを確認される必要があるんじゃないか。いまお聞きしますと、本田から連絡があったあるいはそういう申し入れがあった、向こうから言ってきたということだけなんですね。これはやはり、事は安全に関することでありますから、運輸省の方からそれは積極的にやられるべきだと思うのですが、そういうことをやられていないように思いますが、どうですか。
  181. 犬丸令門

    ○犬丸(令)政府委員 御指摘のとおり、いわゆるこのリコールの問題につきましては、メーカーが運輸大臣に届け出て必要な措置を講ずるということになっておるわけでございますが、しかしながら、場合によったら必要な措置をとらないかもしれないというおそれもございますので、ここ数年私ども、この欠陥車対策の徹底のためにメーカーに対する監督を強化いたしてきておるわけでございます。もちろん、本省におけるところの欠陥車担当、人数も少のうございますので、まだ満足な状態にはなっておりませんけれども、メーカーにおけるところの、たとえばクレームの処理体制もしくはリコール対策会議といったような内容について、私ども十分監督を行いまして、そしてまた、必要に応じ、できるだけ立入検査によってクレーム関係の資料を調べるということによって適正なリコール制度を推進してまいりたいと考えております。
  182. 東中光雄

    ○東中委員 この「シビック」あるいは「アコード」に対しまして、少なくとも、立入検査をやるかどうかは別として、運輸省として質問をし、ただすものはただす、向こうから言ってきただけじゃなくて。そして、いま本田の言っているのでは、きわめて少ないのだ、処置をするということを言っているようですけれども、そんなこと知らぬ人は、そういう欠陥車であっても知らぬままで済んでしまっていく、何かおかしいなぐらいのことで済んでしまうということになりかねないと思いますので、この車種の自動車を使っている人が全部そのことがわかって、そしてうちのはいいというのだったらそれはいいんです。しかし、わからないままで葬り去られてしまうということではいかぬと思いますので、そういう点で、本田技研に対してそういう発表をはっきりとし、それから無償で補修するということを指導されるべきだと思うのですが、どうですか。
  183. 犬丸令門

    ○犬丸(令)政府委員 運輸大臣に届け出があった時点におきまして、運輸省から記者クラブに対し発表することにいたしておりますし、それからユーザーにつきましては、当該車両の全ユーザーについてダイレクトメールを発送いたしまして処置することにいたしております。
  184. 東中光雄

    ○東中委員 それはこの車種についてですね。
  185. 犬丸令門

    ○犬丸(令)政府委員 そういうことです。
  186. 東中光雄

    ○東中委員 それはぜひひとつやってもらって、安全の確保のために運輸省としてのできるだけの措置をとってもらいたいということを要請して質問を終わりたいと思います。
  187. 沖本泰幸

    沖本委員長 次回は、明二十日木曜日午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時三十六分散会