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1978-04-28 第84回国会 衆議院 建設委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年四月二十八日(金曜日)     午前十時四十一分開議  出席委員    委員長 伏木 和雄君    理事 小沢 一郎君 理事 塩谷 一夫君    理事 渡辺 栄一君 理事 井上  泉君    理事 中村  茂君 理事 北側 義一君       有馬 元治君    大塚 雄司君       住  栄作君    谷川 寛三君       登坂重次郎君    中島  衛君       松野 幸泰君    井上 普方君       福岡 義登君    吉原 米治君       渡部 行雄君    谷口 是巨君       古川 雅司君    瀬崎 博義君       中川 秀直君  出席国務大臣         建 設 大 臣         国土庁長官   櫻内 義雄君  出席政府委員         国土庁長官官房         長       河野 正三君         国土庁計画・調         整局長     福島 量一君         国土庁土地局長 山岡 一男君         運輸省鉄道監督         局長      住田 正二君         建設大臣官房長 粟屋 敏信君         建設省計画局長 大富  宏君         建設省都市局長 小林 幸雄君         建設省河川局長 栂野 康行君         建設省道路局長 浅井新一郎君         建設省住宅局長 救仁郷 斉君  委員外出席者         住宅金融公庫総         裁       大津留 温君         参  考  人         (日本住宅公団         総裁)     澤田  悌君         参  考  人         (日本住宅公団         理事)     有賀虎之進君         参  考  人         (日本住宅公団         理事)    江里口富久也君         参  考  人         (日本道路公団         理事)     吉田 喜市君         参  考  人         (本州四国連絡         橋公団総裁) 尾之内由紀夫君         参  考  人         (本州四国連絡         橋公団理事)  蓑輪健二郎君         建設委員会調査         室長      川口 京村君     ————————————— 委員の異動 四月二十七日  辞任         補欠選任   谷口 是巨君     草川 昭三君   中川 秀直君     田川 誠一君 同日  辞任         補欠選任   草川 昭三君     谷口 是巨君   田川 誠一君     中川 秀直君 同月二十八日  辞任         補欠選任   伊賀 定盛君     井上 普方君   中川 秀直君     田川 誠一君 同日  辞任         補欠選任   井上 普方君     伊賀 定盛君   田川 誠一君     中川 秀直君     ————————————— 四月二十六日  公団賃貸住宅大量建設等に関する請願(瀬崎  博義紹介)(第三五七九号)  同(伏木和雄紹介)(第三六二二号)  同(板川正吾紹介)(第三六五五号)  同(稲葉誠一紹介)(第三六五六号)  同(新村勝雄紹介)(第三六五七号)  同(高沢寅男紹介)(第三六五八号)  同(安島友義紹介)(第三七一九号)  同(伊藤茂紹介)(第三七二〇号)  同(小川国彦紹介)(第三七二一号)  同(小川省吾紹介)(第三七二二号)  同(加藤万吉紹介)(第三七二三号)  同(木原実紹介)(第三七二四号)  同(沢田広紹介)(第三七二五号)  同(渋沢利久紹介)(第三七二六号)  同(高田富之紹介)(第三七二七号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  建設行政基本施策に関する件  国土行政基本施策に関する件      ————◇—————
  2. 伏木和雄

    伏木委員長 これより会議を聞きます。  建設行政基本施策に関する件及び国土行政基本施策に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  両件調査のため、本日、田本住宅公団総裁澤田悌君理事有賀虎之進君、理事江里口富久也君、日本道路公団理事吉田喜市君、本州四国連絡橋公団総裁尾之内由紀夫君及び理事蓑輪健二郎君に参考人として御出席を願い、御意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 伏木和雄

    伏木委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  4. 伏木和雄

    伏木委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。井上普方君。
  5. 井上普方

    井上(普)委員 貴重な時間をいただきまして質問させていただく機会を得させていただきましたことを心から感謝申し上げます。  このたびの大臣所信表明にもございますが、建設省公共事業はまず第一番に経済回復ということを中心にして組まれておるように書かれてございます。そこでこの予算をあずかる建設省の責務はきわめて重く、公共事業の円滑かつ効果的な執行を図るための体制整備を行い、所期の目標を達成するよう努める所存であります。こうあるのでございます。  景気回復のために公共事業をする、これは当面の目標でございます。しかしながら、どういたしましても国民の需要にこたえあるいは立ちおくれた社会資本の充実のためにやるのが建設省の本来の仕事ではなかろうかと私は思うのであります。そういう面からいたしますと、建設省当局にとりましてはまことに耳の痛い話かもしれませんが、しばらくお聞き願いたいと思います。  四十六年あるいは四十七年当時公共事業を大量に行いました際に、工事のしやすいところをまず先にやって、工事のやりにくいところは後回しにしようという傾向があったことは、大臣もあるいは事務当局もお認めになるところだろうと思うのであります。仕事が多いので、それじゃ工事のしやすい方へ金を回そうという傾向がとかくあった。そのために、たとえて言いますならば、東京湾湾岸道路は今日までおくれております。あるいはまた環状八号線、これもおくれております。あるいは東北自動車道路東京都内乗り入れ……(「みんな知事が悪いのだ」と呼ぶ者あり)知事が悪いとは申しますものの、工事のむずかしさ、買収の仕方、これに全力を挙げてやらなければならない。だから私が先ほどから申しておりますように、仕事のしやすいところばかりに金をつぎ込む傾向があった、このことを私は率直に認めなければならないと思うのであります。この点について、執行に当たっての大臣の御決意のほどを承りたいと思うのであります。
  6. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 過去におきまして、公共投資工事の容易なところから手をつけてきたんじゃないか、そういうふうに御指摘になれば、私としてはそういうこともあったかなといま回想をいたしておるところでございますが、かといって現在はどうかということになりますと、これは申し上げるまでもないことですが、公共事業についてはいろいろ準備の必要がございます。用地取得であるとか、最近では環境評価調査とかいうことで、そのためにせっかくやる方は一生懸命ここからやらなければならぬといっても、その交渉なり環境関係で非常にむずかしい面が出てくる。そういうやむを得ざる交渉上のこと、あるいは環境上のことでございますから、工事のむずかしいところが残っておると言われれば、それは私も現段階においては認めなければならないところだと思います。
  7. 井上普方

    井上(普)委員 私は、金がたくさんついた場合には、とかくむずかしいところよりもやさしいところ、あなたのおっしゃるように、用地取得がむずかしいとかあるいは環境問題でうるさいところはひとつほっておこうじゃないかという傾向がいままであった。これは全力を挙げてやらなければならない問題であると思うのです。使う金がたくさんあるからほかへ回せばいいじゃないかという傾向がいままで確かにあった。これを私は決意を新たにしてやっていかなければならないと思うのであります。  公共事業というのは、景気回復という意味もことしは大きく持っておりますけれども、やはり公共事業の本来の性格からいたしまして、特に本年におきましては、大量の公共事業が投ぜられるのでありますから、心してやっていただきたい。過去におきましてはそういう傾向は多々あったのであります。この点をひとつ御注意願いたいと存ずるのであります。この点につきましては、大胆あるいはまた建設省のお役人にとりましては耳の痛い話かもしれませんけれども国民サイドに立った考え方をしていただきたいと思います。  次に、西欧各国を回ってみますと、個人住宅がかなり古い物が残っておるのであります。そして労働者住宅の中に入りましても、家具等々は、われわれ日本人労働者と比べましてはるかにりっぱな物がある。一体どこにその原因があるかということを私も考えました。  これは、やはり日本家屋西欧各国における家屋構造の差であろうと思うのです。日本家屋でございますならば、いままでだったら七、八十年あるいは四、五十年、大体一世代、二世代住宅というものはつぶしていった。しかし、パリにおいて見られますように、ナポレオン当時の都市計画で現有でも住宅がそのまま残っておる。こういうような観点からいたしますならば、これは住宅に対する個人消費が非常に高いがために個人資産もなく、また社会資本もしたがって乏しかったのじゃなかろうかと思われるのであります。もちろん西欧諸国におきましては植民地を持っておって、そして国家財政が豊かであったという一面はありましょう。しかし、個人資産というものがどうしてあれほど残っておるんだろうかということを考えるならば、やはり住宅耐久性が長かったことにあるんじゃなかろうかと私は考えるのであります。  そこで住宅局長にお伺いするのですが、近ごろつくられております一般的な住宅、これはどれくらい耐久性を持っておりますか。耐用年数はどれくらいとして計算しておりますか。それからプレハブ住宅におきましてはどれくらいを計算しておりますか。ひとつお伺いをしたいのです。それと同時に耐久性についていかなる研究住宅局としてはやられているか。この点をお伺いしたい。
  8. 救仁郷斉

    救仁郷政府委員 先生指摘のように、わが国住宅ストックの問題と、ヨーロッパにおける住宅ストックの問題は基本的に考え方が違っていると思います。これは歴史的に、わが国木造住宅中心であった、ヨーロッパ諸国においては石造あるいはれんが造というものが中心であったということに当然起因しているわけでございますが、それと同時に、最近の、特に戦後の傾向といたしましていわゆる大量消費大量生産、そういったアメリカナイズされた消費構造になって、むしろ住宅そのもの資産というよりも耐久消費財というような見方をされるような面も出てきた傾向はございます。決してこの傾向は好ましいことではございませんで、やはり住宅というものは相当耐用年数を持った資産として考えるべきではないかというような考えを持っている次第でございます。  お尋ねの、現在の私どもの指導しております耐用年数目標でございますが、経済的な耐用年数は、税制上は一応二十四年ということになっておりますが、私どもは、少なくともこれが三十年以上物理的には耐用年数が持ち得るようなもの、これは木造でもプレハブ住宅でもそうでございますが、そういった感覚、考え方で指導しているつもりでございます。
  9. 井上普方

    井上(普)委員 そこで大臣、いまの考え方でございますと、一世代でともかく住宅がつぶれていくということになりますと、そこにおえらい退官せられた方々がおられますが、恐らく皆さん方退職金で自分の家がようやくできたという状況だろうと思うのです。そこで、一世代、二十四年とかあるいは三十年単位の住宅ではだめだ、やはり国民が将来にわたってともかく豊かな生活を保つためには、日本住宅を長持ちさせるような、耐久性を持つような研究をされる必要があるのではなかろうかと私は考えるのです。  いままででございましたならば、あるいは昭和四十五年までは、ともかく家は建てればいいんだ、何とか雨露をしのげばいいんだというような考え方で来られたでしょう。しかし、これからは個人資産を豊かにする、あるいは社会資本を豊かにする、あるいは国家資産を豊かにするという考え方に立つならば、住宅というものを耐久性のあるものに切りかえなければならない時期が来ておると思うのであります。もちろん、その間には住宅に対する手入れ、これも必要でしょう。私のくにのことを申してまことに恐縮なんですが、元禄年間に建てた家というのがまだ徳島では残っております。恐らく大臣の国元でも残っている家があるだろうと思うのです。こういうのはやはりそれなりに金をかければ三百年近く残るんだが、それには大変な金がいまかかりましょう。その金をかからないように、しかも耐久性のあるようなものを建てる必要があるんじゃなかろうかと私は考えるのであります。  これはまことに大ざっぱな大局論であります。しかしそれに対して建設省研究をし、また国民に指導する責任があろうかと思うのです。大臣、いかがでございますか。
  10. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 現在の全国の都市状況を見ますと、自動車時代にふさわしいような機能を十分持った都市になっておるかというと、まだまだ理想から言えば緒についた程度のところだと思うのです。そこで今後の近代都市を考える場合に、住宅はどうするか、将来の展望の中にこれからの住宅を考えるときに、井上委員のおっしゃっておるような、もっと耐久性の強い建築物はどうか、こういうことになりますと、これからの近代都市にはそういう耐久性のあるものが——防災の上からいっても、また日本のような地震国ということを考えてみると、いろいろな点から御意見のような方向に考えていくべきである、こう思います。  ただ現状におきましては、戸数は充足されて、さあこれから質の必要性ということにはなっておりますが、その質を庶民の収入の状況からどの辺に持っていくかという現実の面から考えると、井上委員のおっしゃっておるようなところへ持っていくのには、なおある程度の時間的必要があるのではないか。現在ハウス55の研究開発は、あるいは民間におけるプレハブ状況は従来のものよりはよくなっておると思いますが、それがおっしゃっておるような将来に向かっての耐久性あるものかというと、まだ不十分であることを認めざるを得ないと思います。
  11. 井上普方

    井上(普)委員 アメリカ大量消費財的な考え方日本住宅にも及んできておる、こう申されますけれども、実際アメリカの田舎の都市、あるいはまたニューヨーク近郊を見ても、あれは二十四年やあるいは三十年で消費される家じゃありません。やはり七、八十年はもつんじゃなかろうか、こういうような家が主たるものでございます。日本の近ごろのミニ開発に見られるがごとき家は二寸五分の柱ですよ。こういうような家をこのまま建てさせていいものかどうか。もう少し私は、先ほども申しましたように、国家的な見地からいたしますならば、やはり耐久性のある住宅を考える必要がもうきておるのではないか、それがいま建設省研究を待っておるのではないかと思うのであります。  近時コンクリートブロックの家がたくさん建っております。夏はあれくらい暑いものはございません。一戸建てブロックの家でございますと、夏は十二時過ぎになってようやく摂氏三十度になる、そんな状況です。冬は寒い。私もそこに一年住んでみましたけれども、これはたまらぬという気がいたしたのであります。屋根はどうかというと、十年しますと雨漏りがし出す。セメントの漏水防止技術は世界に冠たるものだと技術陣は私らにも申します。しかし耐用年数屋根が漏水しないでもつのはどのくらいだと聞けば、大体十年だと言います。現に私もこの間新幹線で名古屋付近を走っていますと、右側にブロックの長屋がずらっとありましたが、それは尾根を取り払って、上にトタン屋根を張っていました。こういうような基礎的研究がいま求められておるのではなかろうかと私は思うのです。そういうのがおろそかになっているのではないですか、いかがでございますか。
  12. 救仁郷斉

    救仁郷政府委員 住宅耐久性の問題については、私は二つ問題があるんではないかというように考えております。  一つは、ただいま先生指摘のいろいろな材料あるいは屋根ふきの、工法、そういった単純技術と申しますか、技術面研究がございます。これは建設省といたしましても、建築研究所におきましてそういった基礎材料的な耐久性の問題はいろいろな形で研究を進めております。先生ごらんになったかどうかわかりませんが、筑波学園都市に移ります建築研究所の中にも、非常に大きな敷地の中に、いわゆる耐候性試験と申しまして、結局野天にいろいろな材料を並べましてそれがどういうような変化を起こすかというような実験施設も持っております。また、そういった自然現象耐久性を判断するだけでなくて、赤外線、紫外線等を照射いたしまして、たとえば一年のものを一日でそういった耐久性を試験するというような装置の開発も進めております。そういったものを利用しまして個々材料あるいは個々のものに対する研究につきましては私ども相当力を入れているつもりでございます。  それからもう一つの問題は、そういった個々材料といいますよりも、むしろ住宅構造そのもの、たとえば木造よりもブロック造ブロック造よりも鉄筋コンクリート造の方が耐用年数が長いのは当然でございますから、そういった面で、これはむしろ住宅政策といったような面からそういったものの普及を図っていくということが大切ではないかというように考えている次第でございます。
  13. 井上普方

    井上(普)委員 しかし、先ほどお話がありましたが、大体日本住宅というのは二十四年から三十年というのが耐用年数であるという現状を踏まえて、やはりこれに大きな金を投じて耐久性をさらに長引かせる努力をやっていただきたいと私は思うのです。大臣はこの点はいかがでございます。
  14. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 住宅局長から現在の研究の模様の一端を申し述べたところでございますが、井上委員のおっしゃるような将来の住宅あり方を考えますときに、もっと研究体制を充実する必要性は私も認めるところでございます。
  15. 井上普方

    井上(普)委員 お認めになったならばこれを早速実行に移していただきたいということをお願いいたしておきたいのであります。  さらに、そういういまのお考え方では、現状からするならば二十年、三十年でともかく耐用年数はなくなるんだ、しかし、国家的な見地からするならば耐久性を持たす鉄筋とかそういうものの方がいいんだというようなお話だと私は承った。そこでそれほどの家を、個人資産を、現在の所得階級諸君が持てるかということになると、私は持てないと思うのであります。  そこで私は、わが党がいつも言っておることでもありますし、公共賃貸住宅耐久性のあるものを大量に建てる必要がある。大臣、これは私が年来感じておるところでございますので、ここでも一回ほど申したこともあるし、予算委員会でも印したこともあるが、ひとつお聞き願いたいと思うのです。  これから老齢化時代を迎えます。そういたしますと昭和六十五年には、御承知のように若年労働者四人に対してお年寄りは一人ということになるのです。年金制度一つ見ましても、好むと好まざるとにかかわらずこれは賦課方式に移行せざるを得ない。いままでの積立方式は破綻を来してくることは明らかでありますその上へ持ってまいりまして、御承知のように国の財政は大量の国債発行時代であります。これを直すにはどういたしましても増税せざるを得ません。このことも既定の事実であります。その税金の取り方についてはいろいろ問題がありましょう。しかしながら、企業から取ったといたしましてもそれはまた物価にはね返ってくることは明らかであります。国民全体から見るならば増税という考え方になってくる。税の負担は重くなってくる。私も五十三歳でございますが、昭和六十五年が来ますと老齢人口の中に入ってくる。そのときに若いゼネレーションの諸君が、年金はお年寄りにはこれだけ出さなければならないし、税金もたくさん出さなければならないし、しかし二十年、三十年前の政治家は、あるいはお年寄りは一体どうしたのだろう、われわれに何を残してくれたのだろう、こういう感じを持ってくるのではなかろうかと思うのです。したがって、われわれ、これはイデオロギーやそんなの問題ではないのです。世代間の争いが起こってくると私は思う。  でありますから、この際、私といたしましても、こういうような公共事業を大量に投資する時代におきましては、まず公共賃貸住宅というものに対しまして、快適な住宅、しかも先ほど申しましたような長い間社会的資産として残る、これを大量に建てるのが現在の政治に求められておるところじゃなかろうかと考えるのであります。しかしながら、遺憾ながら第三次五カ年計画公的賃貸住宅戸数というものはどんどんと減っておる現状であります。まことに残念でなりません。もちろんその間には住宅公団あるいは各地方自治体、いろいろ問題がございましょう。しかし抜本的にこれを直すのには土地政策以外に道はないと私は考えるのであります。そして都市近郊あるいは快適な、都市近郊には遠くて狭くて高いいまの公団住宅とは全く反対の住宅を次の世代の諸諸君のためにいまから大量に建てる必要が私はあると思う。  将来若い諸君住宅をつくろうと思っても住宅はつくれない。おやじの住宅をもらおうかといいますと、先ほど言いましたように二十四、五年ぐらいでつぶれてしまうのです。一体どうしたらいいのだということになると思う。ここで私らはあくまでも大局に立った公共賃貸住宅というものを主にした住宅計画でなければならぬと考えるのですが、大臣、御所見はいかがでございますか。
  16. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 井上委員のご心配になっておるように、ことしあたり公営住宅公団住宅建築戸数が減っております。しかし従来の公団住宅が、どちらかというと現代の諸情勢に適合しておらないところがあって、しばしば御批判を受けたような大量の空き家を抱えておる、こういうことで、五十三年度はそういうものを改造するとか二戸を一戸にするとかいうことと新たに建てるものとを総合して考えると、私は必ずしも五十三年度中に提供される公団住宅が減ったということにはならないんじゃないかと思うのです。  いまいろいろ御意見を述べられたように、できるだけ質のいい公団公営住宅をつくって、そしてそれがまた社会経済情勢にふさわしく、希望者にふさわしく提供されるということであれば好ましい姿だと思うのでありまして、ことしはそういう御批判を受けておりますが、公営公団による質のいい物を提供するということについては、われわれとしても当然そのように考えていくべきだと思います。
  17. 井上普方

    井上(普)委員 私が先ほど来申しておりますこの質問は、ここ一年や二年のことを申しておるのじゃないのです。将来の日本あり方というもの、国のあり方というものはどういうようにあるべきかということを中心にして物事を申しておるつもりなんです。そういう点を大臣にお聞き取り願いたいのです。私どもは、どういたしましても、快的な、しかも公共賃貸住宅を大量に建てることこそ、将来の子孫、若い諸君に残す政治家の務めであろうと考えるのであります。そういう点で、第三次計画を見ましても、個人住宅中心にしたようなやり方は改むべきであるということを再三申しておるのであります。  この点につきましてはその程度にいたしておきますが、次に、この大量の公共事業費を使うに際しまして、それが効率的なものであらねばならないということは当然であります。しかしながら、先日の官房長のお話によりますと、建設省の入札というのは指名競争入札を原則としておるんだ、こういうことをおっしゃられました。官房長、覚えておいでになりますか。私はこれは間違いだと思う。また、その後であなたは会計法並びに予決令のことをお述べになりまして、会計法、予決令のとおりにやっておりますというようなお話もあった。使い分けをされておる。会計法及び予決令によりますならば、指名競争入札というのは例外中の例外の処置として認められておる制度であります。しかも、その指名競争入札のときには「なるべく十人以上」という言葉が使ってあります。そのとおり行われておるかというと、私はいま行われていないと思います。例外中の例外が建設省の原則となるということは、私は大きな間違いだと思うのであります。これは言葉じりを取り上げて言っておるのではない。それが原則として普遍的に建設省で行われておることは私も認めます。また、指名競争入札に適合する入札制度になっておることも認めます。しかし、原則はあくまでも公開入札であることをお忘れになっていただいたら困る。そこで、例外が原則になっておるこの現状を直す必要があるんじゃなかろうかと私は思う。  先日も大蔵省当局にこのことを質問いたしたのであります。そうしますと、会計法及び予決令の原則はあのまま置いておいた方がいいなんということを申しておりました。おかしいじゃないか、例外のない原則というものはあるけれども、初めから例外を原則にしておるような法律なんというものは変えてしまえ、こう申したことがございます。  戦後、昭和二十五年に入札制度の勧告がございました。審議会があって勧告をせられた。その後、入札制度について審議会を開いたという例を全然聞いておりません。あるいは昭和三十七、八年、河野建設大臣当時にジョイントベンチャーという制度を入れてきた。このジョイントベンチャー方式につきましても、これまた審議会にかけることなく、行政措置で一方的に今日まで来ておることは御存じのとおりであります。しかし、いまの建設業界の実情を見るときに、果たしてこれでいいんだろうかという感がするのは私一人じゃないと思う。あのときのジョイントベンチャーは、中小企業に技術を与えるんだとか、あるいはまた資本力を増加させるんだとかいうような意味でやられた。それが、ジョイントを組みましても、あるいは裏ジョイントだとか、そういうことでもうすでに崩れ去っておることは私が言うまでもございません。そして入札制度になれば、御承知のようにボスが介在して談合が行われておる。談合罪に適合するかしないかは別といたしましても、仕事の回し合いということが半ば公然として行われておる。そして政治権力と結託いたしましておのれの仕事を獲得するために狂奔する、こういうのが現実の土建業界の実情じゃございませんか。  また、その権力を握った者には、私の徳島県におきましてはこういう事例がある。知事選挙に協力した者に対しては入札に加えるけれども、協力しなかった者は入札に加えないということを半ば公然と知事は公言しておるのであります。ここにモラルの退廃が行われてくることはもちろんであります。そして知事はいわく、権力者はいわく。何と言うかというと、不公平の公平だとこう言う。公平の不公平という言葉は私は聞くのだけれども、不公平の公平とは一体何だと言うと、選挙で手伝ってもらった者に対して功績を与えること、功労を与えること、これは不公平であっても結果から見れば公平である、こんなへ理屈を申しまして、ともかくやられておるのであります。  こういうようなことを考えますならば、ここで入札制度の合理性というのを考えなきゃならぬと私は考えるのですが、大臣、いかがでございます。ひとつ大局論からお話しになっていただきたい。個々の問題についてはお話しいただかなくて結構なんです。
  18. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 いまの建設業界の全般的な傾向として、井上委員のおっしゃるような批判されるべき面を私は否定はいたしません。そういう事実も、いろいろな角度から見てときにあるんじゃないかという感じは、私はいたします。  しかし、いま、大局的に言えとこうおっしゃったので思いつくままに申し上げますと、現在、土木建築の業界がやっております。資本力とか技術力とか、いろいろな点からA、B、C、D、Eというふうなランクを設けて、そしてそのランクに見合うような仕事に対して指名入札をさせるという行き方は——いま公開入札について御意見をおっしゃったわけですが、しかし、すべての場合にあらゆるものが公開入札で応じてくるということよりも、いまのような五つぐらいのグループに大きく分けて、そして仕事の性格上Aグループにはこの程度仕事がふさわしいのでないか、あるいはEについてはこうだというようなある秩序をつけながら指名入札を行う、これは一つの行き方である。すべての機会に公開入札はなかなかできにくいのであるから、そういうやり方をとったということについては、いまの立場になっていろいろ聞いてみて、それが適正に行われておる上においては、これは秩序ある入札をしているな、こういう感じを私は持っておるわけであります。
  19. 井上普方

    井上(普)委員 秩序ある入札が行われておるか行われておらぬか、これは氷山の一角として再々出てくる談合入札あるいは収賄事件等々であらわれておるのであります。先般も大阪府においては、下水道工事に当たって談合が行われた。これは談合事件として検察当局が取り上げておることは大臣御存じのとおりです。ああいうのは氷山の一角なのです。あれは弱小中小企業の連中でございますけれども、大手の間にこういうことが半ば公然と行われ、あるいは各地においては土曜会であるとか建友会であるとかというようなものが行われて、権力と密着しながらともかく公共工事の入札が行われておることは、これは世間の常識なんです。こういうことを私どもが直していくためには、やはり根本的にいまの入札制度が果たしてどうなのだ、いまやっておるA、B、Cそのもの自体につきましては私はある程度の合理性を認めます。しかしながら、これを一体どういうようにしてよりよいものにするか。あるいはジョイントベンチャーにいたしましても、一つの業者がとっても裏ジョイントとかなんとかというような言葉が出てくる。この入札制度をひとつ根本的に検討し直す時期に来ておるのじゃないだろうかと私は考えるのです。そういう点でお尋ねしておるのでございますが、大臣、どうもそういう点につきましての大局的な見地といいますと、これでいいのだというようなお話でございますが、私はどうも腑に落ちないものがたくさんある。これはなお一層御研究していただきたいことを申し添えておきます。  最後にお伺いするのですが、一昨日井上泉君から質問がありましたが、鉄監局長出ていますね、明石鳴門ルートの橋には、これは新幹線を乗せるというのは、昭和四十六年でございましたか、決めたとおりであります。しかしながら、昨今聞きますというと、本四連絡橋の昨年の十二月に発注すべき下部工の一部及び上部工がいまだに発注されていないという話を承るのですが、そのとおりですか、どうでございますか。
  20. 尾之内由紀夫

    ○尾之内参考人 お答えいたします。  大鳴門橋の下部工につきましては、すでに着工いたしておりまして、おかげさまで今日現在約三七%進捗いたしております。ただいまお話の点につきましては、上部工事、主としてタワーあるいはアンカーフレームの問題かと思いますが、私どもといたしましては、遅くとも昨年末あるいはことしの一月には発注いたしたい、こういうことで準備いたしてまいりました。しかしながら、大鳴門橋の併用橋問題につきまして新たな問題が発生いたしまして、これについて明らかな方針が出るまで発注をストップするように、こういう指示を受けておりますので、ただいまその発注ができない、こういう状況にございます。
  21. 井上普方

    井上(普)委員 鉄監局長、そうすると新たな事態が発生したというのは鉄道側にあると考えるのですが、どうでございます。その理由は何でございます。
  22. 住田正二

    ○住田政府委員 いま発注がおくれているのは、鉄道の方に問題があるということでございます。この問題につきましては、前回の委員会井上委員にお答えを申し上げたわけでございますけれども、併用橋が決まりましたのは四十八年でございます。先ほど四十六年とおっしゃいましたけれども、四十八年でございます。その当時は、御承知のように、全国に新幹線を七千キロ昭和六十年ごろまでにつくるということが考えられておったわけでございますけれども、その後オイルショック等によりまして、日本経済をめぐる環境が大いに変わってきておりますし、同時にまた国鉄の財政状況も、その当時は毎年三千億ぐらいの赤字であったわけでございますけれども、いまや一兆円近い赤字になって、国鉄の体力も非常に弱まっておるわけでございます。そういうような情勢の変化を踏まえまして、明石鳴門ルートの併用橋計画というものについて事務的に再検討する必要があるんではないかということで、建設省、国土庁といろいろ話し合いをいまいたしているところでございます。  この問題につきましては、事務的な考え方と同時に、政治的ないろいろな御意見もございますし、また地元の長い歴史的な経緯というようなこともありまして、いろいろ意見が分かれておるようでございますけれども、私どもといたしましては、一日も早く関係者のコンセンサスを得て適切な措置を講じたい、そういう努力をいたしたいと考えているわけでございます。
  23. 井上普方

    井上(普)委員 いまあなたは、地元とのコンセンサスを得たい、こうおっしゃいましたが、どんな努力をなさいましたか。そして、政治意見もたくさんあると言いますが、政治意見とはどんなことですか。
  24. 住田正二

    ○住田政府委員 この問題は、いろいろな角度からいろいろな意見があるということは御理解いただけると思うのですけれども、私どもはいま事務的にいろいろ詰めている段階でございます。事務的に出た結論について関係者の皆様に御了解を得るように努力をいたしたいと考えておるわけです。
  25. 井上普方

    井上(普)委員 事務的手続というのは四十八年の閣議決定であり、したがって、建設省、運輸省が本四公団に対して命令した、あのことを忠実にするのが事務的手続じゃないのですか、どうです。
  26. 住田正二

    ○住田政府委員 明石鳴門ルートの併用橋は閣議決定で決めたものではございませんで、運輸大臣が鉄道建設審議会に諮問いたしまして、その答申を受けて本四架橋公団に基本計画の指示をいたしたものでございます。  ただ、この問題の扱いについては、三ルートをどういうふうに決めるとか、あるいは一ルート三橋を決めるということにつきまして、政治的という言葉があるいは適当ではないかもしれませんけれども、決められた経緯があるわけでございまして、そういうことに関連していろいろ御意見があると思います。県によりましては、長い間の歴史的な経緯も十分考えてもらいたいというお話もございますし、そういうことをいろいろこれから伺いながら、一日も早く方針を決めたいと考えているわけでございます。
  27. 井上普方

    井上(普)委員 局長、方針というのは決まっているのでしょう。それをひっくり返す所存でしょう。変えよるのでしょう、あなた方はいま。それが事務的に考えて、先ほどお話があった新幹線の延長問題とかあるいは三全総の計画の問題とか、あるいは国鉄の財政の問題で、いままで決まっておったのをひっくり返そうとする努力をあなた方はいまなさりよるのでしょう。それで、この十二月ごろに発注しなければならぬのが今日まで延び延びになっているのじゃないですか。どうなんですか、その点はっきりしていただきたい。既定の方針でいくのだったらそのままいけばいい。あなた方は、財政的な理由、国鉄財政の理由あるいは新幹線の延びのぐあいから言って、これじゃひょっとすると新幹線を乗せるにはあるいは三十年先、あるいは五十年先になるかもしれぬ、こういう考え方があるからそういうことをおっしゃっているのじゃないのですか、どうなんです。
  28. 住田正二

    ○住田政府委員 いまお話のございました新幹線がいつできるかというような問題が一番中心になるわけでございますけれども、そういう点を前提にいま事務的にいろいろ検討をいたしているわけでございまして、その上で関係各省の大臣の方にもお話をして最終的な方針を決めたいということでございます。
  29. 井上普方

    井上(普)委員 そうすると、その最終的な結論を得て大臣の方に行くまでには、地元とのコンセンサスを得るわけですね。地元とのコンセンサスって、地元にどんなことを言うのです。県知事に言っているのですか。あるいは地元の国会議員に全部了解を得たのですか。少なくとも私は全然あなたからそういう話は承っていない。徳島県の知事だって話聞いたことがないという。言ってないのですか、言っているのですか、どうなんです。
  30. 住田正二

    ○住田政府委員 先ほど申し上げましたように、現在事務的に詰めている段階でございますので、その結論を待って関係の方々とお話し合いをしたいということでございます。
  31. 井上普方

    井上(普)委員 そうしますと、これは鉄道建設審議会というのはいつごろ開催されるかわかりませんね。どのくらいになるのです。二年先になるのですか、三年先になるのですか、どうなんです。
  32. 住田正二

    ○住田政府委員 現在の併用橋の計画を変更するためには、先ほど申し上げましたように鉄道建設審議会に諮問をする必要があるわけでございます。鉄道建設審議会にいつ諮問するかという問題につきましては、別の委員会で福永運輸大臣が御答弁申し上げているわけでございますが、できるだけ早く開くように努力をしたいということをお答えになっておるわけでございます。
  33. 井上普方

    井上(普)委員 早くしたいとおっしゃるが、地元のコンセンサスを得た上で鉄建審にかけるのでしょう。そう理解してよろしいですね。
  34. 住田正二

    ○住田政府委員 この問題についてはいろいろな御意見があるわけでございますから、そういう御意見を十分お伺いした上で審議会にかけたいと考えておるわけでございます。
  35. 井上普方

    井上(普)委員 そうすると、これはいつになるかわからぬじゃありませんか。五十七年度中には完成させるということになっていたんだけれども、一体いつ鉄建審にかけるのか。先ほどはコンセンサスとおっしゃった、今度は地元とのお話し合いをした上で、こうおっしゃる。コンセンサスなんですか、単なる話、上からの通達だけなんですか、どっちなんですか。
  36. 住田正二

    ○住田政府委員 この問題については、先ほど申し上げましたようにいろいろな意見があるわけでございます。したがいまして、完全な意見の一致ということは非常にむずかしい場合もあり得るかと思いますけれども、その場合にどういうふうにするかということは、これは大臣の御判断になる問題ではないかと思います。
  37. 井上普方

    井上(普)委員 最終的には大臣の御意見になると言うけれども先ほど来おっしゃっておるのは、われわれは早いこと、ともかく先ほども話がありましたように、公共事業の早期発注というのが景気回復に大きな意味を持つということで、本四連絡橋もその一つだということで新聞にわんわん書いている。それはともかくといたしまして、いつになったら十二月に発注しなければならぬものが発注できるんだ、そんなにおくらしておって五十七年度中に果たしてできるのか、私は大きな疑問を持つ。こういうことはひとつ早いこと、あなたの方は事務的、事務的と言えば同じでしょう。変えるとするならば地元と話し合いをして、そして両大臣とも話し合いをすることでしょう、変えないとするならば現在のままいけばいいんだから。ここらあたりをともかくはっきりさせていただきたい。そして早急に結論を得て、ともかく早いことやっていただかぬことにはたまったものじゃない。どうです。
  38. 住田正二

    ○住田政府委員 先ほど来申し上げておりますように、私どもとしては一日も早く解決したいということで現在努力をいたしておるわけてございます。
  39. 井上普方

    井上(普)委員 特に、いわゆる地元というものの了解を得るようせいぜいの努力をお願いいたしたいと思うのでございます。  終わります。
  40. 伏木和雄

  41. 谷口是巨

    谷口委員 私は、きょうは順序をちょっと変えまして地元の問題から先にやりまして、それから一般的なものに触れたいと思います。  いつも時間が足りませんで、し残してばかりおりますが、きょうはさらに理事会のもたつきというか、五分間さらに短縮されましたので、非常に心の中では燃えておるわけでございますがいたし方ございません。  私は、長崎県の地元にあります国道三十四号線に関連をいたしまして伺いたいのですが、非常に渋滞が激しいわけであります。したがって、これをどうするかということが非常に大きな問題でございますが、現在長崎バイパスというのができまして非常に緩和されているわけでございますが、これもすでに相当飽和状態に近づいているわけであります。したがって、今度九州横断道路ができますと大変なことになるだろうと思うのです。したがって三十四号線の解決は焦眉の急である、このように私たちは考えておるわけですが、その中で特に混雑が激しいのは日見道路の問題ですが、この辺の改築については五十三年度どのように考えておられるか、簡単で結構ですから伺っておきたいと思います。
  42. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 国道三十四号線の長崎市内に入る区間の問題でございますが、御指摘のように、交通量は大体長崎市周辺で一日に二万台から三万台に達しておりましてかなり混雑を呈しておるわけでございます。これにつきましては、現道の混雑を解消するために日見バイパスというのが計画されております。延長七・一キロでございますが、これまでルートとその構造等について検討を進めてまいったわけでありますが、昭和五十二年の十月に終点寄りの長崎市内一部区間、一・一キロにつきまして都市計画の変更が行われまして、その線に沿って現在用地買収に着手することができる運びになったわけでございます。五十三年度におきましては、この用地買収を引き続き促進するとともに、馬町交差点部の工事を実施することといたしておりまして、五十三年度の事業費としては約十億を計上いたしております。
  43. 谷口是巨

    谷口委員 局長はこの前長崎県を視察されましたので十分におわかりと思いますが、非常に大きな問題でありますからぜひ急いでいただきたいということを意見として申し述べておきます。  それからこの三十四号線のいわばバイパスみたいな役目を果たすと言われておる、特に長崎市では外環状線と呼んでおりますが、この外環状線の計画は現在どのようになっていますか。
  44. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 いわゆる長崎外環状道路につきましては、これは、長崎市に集中する放射幹線道路の交通を効果的に分散導入させる目的で計画されているものでございますが、全体計画としましては延長が二十二キロでございます。このうち先ほど出ました日本道路公団の長崎バイパス、それからただいまの国道三十四号線の日見バイパスとの間を結ぶ延長五・八キロにつきましては、直轄事業としてすでに事業化されております。現在この区間につきまして環境に関する調査を実施しておるわけでございます。長崎市の郊外部を通ることになりますので、この環状道路につきましては当面環境に関する調査を十分慎重にやってまいりたいというふうに考えております。一応総事業費としてはこの五・八キロの区間だけで二百数十億かかる事業でございますので、やはり相当期間もかかりますし、調査を進める一方、長崎市周辺におきます先ほどの日見バイパス、あるいは高速道路の進捗状況、そういう他事業の進展、それから自動車交通の推移等を見ながら検討してまいりたいというふうに考えております。
  45. 谷口是巨

    谷口委員 この問題については、地元の中にも現在の計画のままでは納得できないといういろんな意見があることはご承知と思います。慎重にやっていただきたいと思いますが、これは第八次計画の中で実施されるかどうか、簡単で結構ですから一言答えてください。
  46. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 先ほど申し上げましたように、非常に大きな事業費がかかりますことと、環境対策を慎重に考えなければならない仕事でございますので、十分調査いたしまして、地元のコンセンサスが得られ具体的に着工できる段階になりますれば、五カ年計画の中でスタートしていきたいというふうに考えております。
  47. 谷口是巨

    谷口委員 もう一つは、局長も御承知のように長崎駅前の交通量はものすごいものであります。これをどうにかして緩和したいということで地元でも頭をひねっているわけですが、要するに浦上川のあの道路を通ってそして対岸に車を誘導して、いわゆる橋を渡そうということでいま旭大橋が計画されて着工されておるわけですが、これは財政難その他いろいろな経済問題から延び延びになっておるわけですけれども公共事業費の使い方についてもたとえば新たに用地買収だとか何だとかという、そういうように消化しにくいような要素のものにお金を突っ込むということもありましょうし、またそういう問題が非常に少ないものにお金を突っ込んでいくという考え方もあると思いますが、この旭大橋なんかは、今度の大幅な公共事業費の増加に伴ってもっと完成年度を短めるような、そういうことが真剣に考えられているだろうと私は思いますが、本省の考えいかがですか。
  48. 小林幸雄

    ○小林(幸)政府委員 旭大橋は四十七年度に着工したものでございますが、その後の総需要抑制その他の理由で大分おくれております。総事業費約三十八億円程度と考えておりますうち、五十三年度末までに二十億余りを進捗させる、ほぼ五〇%程度でございます。当初計画では五十七年三月の完成を予想しておりましたけれども、いま地元からもいろいろ御意見がございますので、五十五年度中に供用開始できるようにしていきたいということで、五十四年度以降もそういう心構えで予算措置を図っていきたいと考えております。
  49. 谷口是巨

    谷口委員 五十五年度に供用開始ということでございますが、地元としてはもう本当に、それをもっと縮めてもらいたいという気持ちが非常に強いことを御理解いただきたい。  それから、実はもう一つ大きな問題があるわけでございますが、これはもう新聞にも再三再四、長年にわたってずいぶん取り上げられておる問題でございますが、長崎県諌早市の貝津−下大渡野間の五・二キロメートルの国道三十四号線諫早北バイパス建設の問題について伺っておきたいと思います。  このバイパスは昭和四十九年に着工されておるわけですが、これまでに全体事業量として大体九十六億円、そのうち約三〇%を施工しておるということでございますが、これが西諌早ニュータウン、この中を突っ切っていく道路であるわけです。したがいまして、この問題について地元の方で非常に異見があり、反対も一部非常に強いわけでございますが、五十一年八月からこの工事は中断されたままになっておったわけですが、長崎工事事務所が今月の十六日から再開するという方針を決めた。ところが、この問題の経緯の中に、住民が納得しない限り着工しないという約束が実は取り交わされていたということでありまして、そしてまた、このことで非常に強い抗議が行われてこの着工を見合わせた、こういういきさつがございますが、この問題について、ひとつ簡単に要領よく状況を説明願いたい。
  50. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 諫早北バイパスの問題でございますが、これは四十七年度に事業化されたことになっておりまして、その後、大体百億近い金を投じて、すでに用地につきましては五十年度までに先行取得しておるような状況でございます。御指摘のような事情で地元からいろいろ反対の意見が出ております。長崎県の住宅供給公社が施工しております諌早ニュータウン内を通過するために、環境問題で私どももいろいろ配慮したつもりでございます。必要な区間につきましては、車道の各側に幅十メートルの環境施設帯を設けて沿道環境の保全を図るように考えて計画しておるわけでございます。  事業の実施に当たりましては地元説明会を何回も開催しておりまして、事業の実施方法と環境に与える影響並びにその対策についていろいろ御説明をし、関係住民の御理解と御協力が得られるように努めてきたところでございますが、しばらくストップしておりました。ただ、ああいった高速道路との関連あるいは大村の空港の開設に伴う交通量の増加等を考えますと、一日も早くあのルートを完成する必要があろうかと思います。バイパスの建設に対しまして現在一部の住民の方々から反対がありますが、そういうような事情で今後とも仕事について広い地域からの要望が強いわけでございますので、関係自治体を通じまして住民の理解と協力を得るように努めて、事業の円滑な促進を図るために一層の努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  51. 谷口是巨

    谷口委員 実はこの問題は、あなたがいまお話しになったように、最初は都市計画街路として、いわゆる貝津破篭井線として計画をされたわけです。したがいまして、このニュータウンに入居する方々に対するいわゆる案内資料、こういうものに対しては、いわゆる貝津破篭井線としては都市計画街路である、生活道路であるというふうに説明がなされた経緯があるわけですね。ところが、それが途中で建設省がこれを結局譲り受けたというか計画を踏襲した。そのことについて説明会がなされたわけですけれども、説明会がなされたときには、その土着の方々の説明会はなされたのですけれども、入居予定者であるニュータウンの方々には残念だけれども通知は行っていないし、したがって、説明も行われていない、納得もしていないままに、いわば突如としていわゆるバイパス的な道路として発表されたということが一つの大きな反対の原因にもなっているわけですが、この点についての見解はいかがですか。
  52. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 従来こういった大規模なバイパスをやる場合に、それが公団等の大きな団地を通過する場合に、入居者あるいは入居予定者の道路計画への理解というものが十分徹底してなかったということでいろいろトラブルが起きるケースが多いわけでございますが、これも一つの典型的な例になるわけだと思います。その辺、現場に言わせればまた現場の事情もあるわけですが、やはり何といいましても現段階で、過去のいきさつはあろうかと思いますが、道路の必要性環境対策についての十分な説明をいたしまして御理解を得るとともに、やはり今後の事業を遂行する場合の姿勢として、こういった事態を十分に参考にいたしまして、これからの幹線道路の整備の円滑な執行ができるように考えてまいりたいと考えております。
  53. 谷口是巨

    谷口委員 当初の責任は県の住宅供給公社の方にあったと私は思います。たとえば次長の談話としても「北バイパスに変更されたものを説明しなかったのはこちらの手落ちである。しかし歩道もあるし、生活道路だ。住民が理解してくれるまで住民側と何度でも話し合う」こういう談話を過去に発表したこともあるわけです。また、建設省長崎工事事務所の副所長談話としては、「北バイパスは環境基準を超える騒音、排ガス公害はないと思う。さらに障害壁など検討して沿線住民の了解をとりつけ円満に工事を進めたい」このようにも言っておるわけです。ところがいままでとってこられたいろいろな実際の行動といいますか、説明会の状態をずっと見てみますと、言われたとおりの、親切な温かい、住民に何とかひとつ理解してもらいたいという気持ちのあらわれがどうも見られない。非常に通り一遍の、いわば説明会をやったぞ、これで納得せぬか、こういうようなことがうかがえるわけです。  私がいまここで申し上げておりますのは、新聞だとかあるいは現地の方々のお話を聞くわけでございますが、こんなに重大な問題になっておる状態なのに、たとえば当委員会に所属している私、その一員でありますが長崎県の地元の国会議員としてただ一人の建設委員なんです。ところが、そういう私に対してもいまだに地元からの一遍の説明もなされていない。こうこうこうだからこういうふうに尽力願いたいという話もなければ、こうこうなっておりますという話も何の話もない。私たちは土、日に帰るだけですから、連絡がつきにくくて、あるいはつけたくとも連絡がつきにくい面があったのかもしれませんが、私はその辺について住民が怒るのももっともだろうなという感じをまず第一印象として持ちます。  新聞の記事を見ても、たとえば朝日新聞の五十二年三月二十三日、これなんか見ても、九地建から出されたいろいろな分析データも、表を出された。ところが、出されたけれども、表のナンバーも削ってあるし具体的ないろいろな地名あるいは数字などもみんな消してあるのですよ。そういうものをぽんと出してきて、さあ資料を出したぞ、納得しろでは、これは住民もやはり都合が悪いからデータを伏せたのじゃないかと疑いたくなると思うのです。しかもその説明が十分になされていない。あるいはまた五十二年九月九日には、長崎から子供たちが転校したわけですけれども、非常に環境がよろしいものだからぜんそくが治ったのに、また再発した、こういうことが新聞にも取り上げられている。また五十二年十月十五日にも記事が取り上げられている。こういうふうに再三再四取り上げられているわけです。  私も現地を何度も見てきましたけれども、確かに私は住民が反対する、心配する根拠があると思う。たとえば西諌早中学校あるいは小学校、幼稚園もこれからできるわけです。養護学校それから鎮西学院などがある。その横を道路が通るわけですから、その地点は総体的な計画からいくと四重奏になると私は思う。ランプウェー上下二本です。それが今度はまた国道三十四号線があるし、長崎本線が通っているし、長崎本線の地下トンネル、こういうことからなってくると、やはりもっと親切な、もっと手の行き届いた説明をやって住民の納得を得なければいけないのだと思うのです。  しかもそういう中で、住民の反対がある閥は着工はいたしません、どういう形か知らないが、そういう約束がなされているそうですね。それを突如として納得ができたということで十六日に着工すると発表してしまった。地元の諌早市も非常に驚いて、結局約束が違うじゃないかということで抗議を申し込んでまた着工が中止になった。  こういう一連の動きを見て、これじゃ公共事業がなかなかいきにくいじゃないか、うまく実現できないのじゃないか。一生懸命やっていらっしゃることは私は理解いたします。だけれども、そのやり方についてもっともっと神経を使わなければならない問題があると思う。たとえば、この長崎の問題もそうでございますが、この次に取り上げようとしておりますのは、全く同じような問題が大分の別府の真ん中を通っていく道路、これは公団の方ですね、これも全く同じようなケースだと私は思うのです。  こういうことを考えてみますと、私はそういうことを踏まえまして質問したいのですけれども、たとえば建設省にしてもあるいは公団にしても、一つの卒業を計画してこの場所にしたいと路線を決めますね。決めて計画案として住民に示す場合、それは単なる説明だけにすぎないのか、あるいは住民の方々のいろいろな意向を聞いて変更する余地があるものなのか、これはいま一つ公団の方から答えてください。
  54. 吉田喜市

    吉田参考人 ただいま御質問がございました九州横断自動車道湯布院−大分間約三十九キロでございますが、この道路の中にいま御指摘の問題があろうかと思います。  この道路につきましては、私たち四十八年の十月十九日に大臣から施行命令をいただいたわけでございまして、各種の調査を行いまして、その結果昭和五十二年三月三十一日に路線発表を行ったわけでございます。現在は、この三十九キロの間別府市内のところ約四・九キロを除きまして大部分には中心ぐいを打ち、現在設計協議中でございます。  ただいまお話しの点は、別府市の南立石あるいは堀田という地区で、道路延長にいたしまして約六百メートルの個所、この地区におきまして別府地区九州横断自動車道建設反対連合会という組織がございまして、この方々から路線を住居地域から避けて山側に振ってくれ、こういうふうな要求をされた、この問題であろうかと思います。  道路公団といたしましては、施行命令をいただきますと、直ちに整備計画策定の際の建設省調査なさいました路線を中心に、地形調査あるいは土地の利用状況調査、それから土質調査あるいは環境の現況調査、こういうものを行いまして大体の路線を決める、かような姿でございます。その段階におきまして、大体線が決まった段階において関係の行政機関の方々、ここの場合では大分県あるいは別府市、そういうふうな市のそれぞれの責任の方々、知事さん、市長さんあるいはそれぞれの議会の方々、それからその地域における公職の代表者、こういう方々の御意見をお聞きして路線がどうだということを聞いて、それを勘案して路線発表を行うわけでございます。  特にこの別府におきましては、御案内のように地形的に申しまして三方が山に囲まれ、一方が海だ、こういうふうに非常に限定された地形でございます。しかも御存じのように、ここは温泉を中心とした国際観光都市でございます。したがいまして私たち、温泉が非常に大きな観光資源であるということから考えまして、温泉問題については特に入念な調査を行い、それからまた関係の、特に行政関係者と申した方がよろしいかと思いますが、住民の方一人一人じゃなくて、行政関係者の方々の意見を十分伺った上で路線を決定したわけでございます。  それで、反対連合会側からの山側に路線を振れ、どうだというふうな御要求がありましたのは昨年の四月二十五日でございます。道路公団といたしましては、これを受けまして、もう一度改めて山側の路線の再検討を行いました。  その結果は、やはりいまの堀田地区を避けてさらに山側に入るということになりますと、道路そのものがトンネル構造になります。ところがこの地域につきましては、鶴見岳を発生源とする火山岩地帯でございますから非常に地質構造が不安定でございます。そこでトンネルをつくることは非常にむずかしいということが一つございます。  それから二番目には、この地区から扇山と申しますか、若干東の方へ進んだ場合、ここで別府が生きております温泉源である地下水を断ち切るという形になってまいります。こういうことが二つ目の問題。  それから三番目には、どうしても別府にインターチェンジをつくる必要がございます。そうしますと、私たちが取りつけようと考えて施行命令をいただいております別府一の宮線という主要地方道、ここまで高低差が約百十メートルぐらいございまして、非常にこの取りつけがむずかしく、そのためには新しい住宅地をさらにつぶさなければならぬ、かような問題が出てまいります。さような結果を得ました。  そこで、地元の方が御提案になる山側のルート、それはともかくいま申しましたような次第で非常にむずかしい、しからば山側にもう少し寄せ得るルートはないだろうかというふうな検討もいろいろ行ってみたわけでございます。しかし実際には、山側にはたとえば恵下団地という新興の住宅団地ができておる、あるいは既存の住宅地が多数ある。そこでインターを設けますと、さらに住居地をつぶす割合が大きくなります。したがいまして、地元の要求である住居地を避けてほしいということと若干違反する形になろうかと思います。  そういうふうな結果を踏んまえまして、昨年の十二月五日以降今日まで反対連合会の代表の方々と数回話し合いをしております。すでに五回やっております。来月の四日にももう一回お話をいたしたいというふうに考えておりますが、なかなか合意が得られない。主として会長、事務局長という幹部の方がやっております。現在は、さらにその連合会の構成の各種団体の方々とお話をいたしたい、こういうふうに考えておりますが、まだその機会を得られず、状態が平行になっておるというのが現状でございます。なお今後は十分誠意を持ってお話をしてまいりたいと思います。特に環境問題については十分配慮をしてまいりたい、かように考えております。
  55. 谷口是巨

    谷口委員 非常に御丁寧な答弁をいただきましたが、時間が気になります。もう少し簡便で結構でございます。  それで、道路局長に伺いたいのですが、いま公団の考えを聞きましたけれども、現実にいろいろ実情を聞いてみても、計画案として出されたものがなかなか住民の方々の御意向というものが反映できにくい。いわば住民側から見れば、もうこれは最後決定だぞ、おまえたちはのめ、こういう形に映るような説明会になっているような気がするのですね。現実は、本当に住民の方々がいつも困るわけですから、道路ができて幸せだ、幸いだというのはほかの人たちであって、実際に立ち退きやら道路をとられたりあるいは被害を受ける方々が真剣になるのはあたりまえのことです。そういう問題についてどうですか。
  56. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 御指摘の点は大変むずかしい問題で、私ども現在非常に悩んでいる問題であるわけでございます。  道路を建設する場合には、ルートの選定につきましては、比較線を何本も引きまして、いろいろなコントロールポイントを考えながら、家にかからないように、また道路としての機能を十分全うするような形で慎重に選んでおるわけでございますが、この選んだルート、幾つかの比較線について事前に関係地方公共団体等と十分調整を行って決定しておるというのが実態でございます。と申しますのは、個々のかかる方に相談しながらルートを決めるということは、現実的には不可能でございまして、やはり地域としましては、その道路をつくることはまあまあ全体として賛成だ、つくってほしいということになるわけですが、現実にそこに一本のルートを引きますと、そのルートに沿ってかかる人あるいはごく沿道の周辺の人が非常に具体的な利害関係をそこで生じるということから、反対の方も出るし、賛成の方も出るということで、今度はルートを振ってみましても、新しく引かれたルートについてまた直接的な利害関係が出てくる、そっちの方から反対が出る。そうすると最初決めたものを新しいルートの方へ振りかえるということは、前のルートに決めること以上に非常にむずかしい問題が出てくるというようなことがございまして、非常に問題でございます。  そういうことで、一般的には地元説明というのは、関係地方公共団体等のルートの調整がなされた上で事業に着手する直前にいろいろ御説明しているわけですが、その段階では、いわゆる総論には賛成していたんだけれども、各論の段階になってもう反対だというのがたくさん出てまいりますので、その段階でいろいろ御理解いただくために、それ以後できることといいますと、道路の構造面でいろいろ迷惑のかからないような方法でやっていくということで、構造面での対応は、かかる方あるいはその周辺の住民の方の意見を十分反映した形でつくっていくということは十分やっておるつもりでございますが、その辺の兼ね合いが非常にむずかしい問題でございまして、われわれこれから大きな道路をやっていく場合、地元のコンセンサスと一言で言いますけれども、それは何かということをやはり具体的に考えていかなければならないということで、一つの大きな課題というように考えております。  今後も十分研究しながら、できるだけ地元の御理解のできるような形で道路をつくっていくという姿勢でまいりたいというように考えております。
  57. 谷口是巨

    谷口委員 諫早北バイパスの問題についても、本当に約束をした以上は、これはやはり約束を守るように努力をしなければならぬと思う。約束を守らないで一方的に通告をしてやっていくというような印象を与える、これでは決して地元の方の同意は得られないだろう。これはひとつ十分慎重におやりいただきたい。  最後に、これは大臣に御意見を伺いたいのですが、実は先ほどからるる申し上げましたように、建設省としても公団としても一生懸命やっておる。やっておるけれども、やはりお役人さんですのでどうしても漏れるところが出てくるんでしょう、いわゆる現地の方々に納得をさせるということがなかなか十分に行われていないということは、私たち認めざるを得ない。住民から見ると、非常に一生懸命やっておるのにかかわらず、不親切に見える。データを付したって、データを付した理由をよく説明すればいいんだけれども、説明しない。そして突っ込まれてあわてふためくということにもなっていくわけですね。また、たとえば私先ほどもちょっと触れましたように、こういうふうに問題が紛糾しておるのに、私たちになぜ一言でもみずから説明をする機会を求めようとしないのか。その面非常に積極性が欠けておるのではないか。  それからもう一つ私つけ加えたいのは、いわゆる今度の公共事業というのは景気浮揚のための大きな役割りを受け持つわけです。したがって、実際は予算の使用については非常に順調にいかなければいかぬわけですね。そういうことからいっても、住民の協力を得るということは非常に大切であって、事前に十分な手を打つ、これはもう一番大事だと私は思う。そういう手の打ち方が足りなかったのが、いま一番大きな問題になっておる成田の空港の問題の大きな原因になっておると私は思う。そういう大事なことが、まだもう一歩、あと二歩も慎重にやらなければならないことが、私は残っておるんじゃないかと思う。  一生懸命やっていることが、その誠意が疑われる、一生懸命努力している人たちがみんな悪者にされている、こういうことに対して私はさらに再考する余地が実はあると思うのですけれども大臣の見解を伺っておきたいと思います。
  58. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 現にいま御批判のあるような問題が起きておりますから、私としては努力が不十分であった、御批判の点は今後そういうことのないように十分参考にしなければならぬと思いますが、総括的に言いますと、建設省の路線決定だとか用地取得の場合、手前みそではありますが、従来、比較的順調にいっておる。相当な経験者が精力を傾けてやっておるわけでありますが、数の中にはいま御批判のようなことがあることはまことに遺憾であります。しかし、きょうの御審議の模様から、公団にしてもまた道路局の方にいたしましてもいろいろと参考になる点がございましたから、またわれわれの立場についても、もうルートが発表された後これを変更することの非常にむずかしい点などをるる申し上げたわけでございまして、谷口委員にもまた御理解をいただき、手順の不十分な点については一層努力をいたしたいと思います。
  59. 谷口是巨

    谷口委員 大臣の答弁をいただきましたので私はもうこれでやめますけれども、また次の問題へ入ると時間を超過いたしますのでこれで切りますが、私は何も建設省公団が一方的に悪いとは言ってないのです。一生懸命やっているけれども、その尽くし方がもう一歩も二歩ももっと考えるところがあるんじゃないかということで大臣の答弁を求めたわけです。そういうところを今後も十分に気をつけてやっていただきたい。  また、地元の問題であれば、先ほどもちょっと問題がありましたが、地元のわれわれにもどんどん積極的に実情を説明し、協力を求めるということも大事じゃないでしょうか。そういう面でよく事情がわかればさらに地元の方ともお話ができるし、またいろいろな面でお互いの間に立つこともできる。そういうことを私は将来の大きな課題として、また大きな要望として申し述べて、私の質問を終わります。
  60. 伏木和雄

  61. 瀬崎博義

    瀬崎委員 まず公団住宅の問題でお尋ねをしたいと思うのです。     〔委員長退席、北側委員長代理着席〕  今度の家賃改定で、公団公団住宅の入居者に対して送りつけている「家賃等通帳」によりますと、改定前家賃、それから改定後家賃、五十三年九月分家質等収納報告票などがあるわけですね。特に、この五十三年九月分家賃等収納報告票の中には、私の持っている例は改定前一万四千百円、改定後二万九千七百円という見本なんですが、改定後の一万九千七百円という欄の下に家賃とだけ記入されていて、金額欄が空欄のところがあるわけですね。これはすでに新聞等でも報道されているところであります。そうしてその説明の中に、「改定月分以降の家賃について、この通帳に表示された家賃額以外の額(ただし、従前の家賃額以上の額に限ります。)をお支払になるときは、2にかかわらず」、つまり改定後家賃、この場合で言えば一万九千七百円にかかわらずこれを受領しますので、所要の手続でお支払いください、このように書いているわけですね。だから極端なことを言えば従前の家賃、つまり現行家賃に一円でも百円でも多い払い込みさえ行われればこれは受け取るという意味だと思うのですが、そうですか。
  62. 有賀虎之進

    ○有賀参考人 いま先生お話がございました、私ども昭和五十三年度の家賃の収納のための通帳、これにはそういうようなぐあいに書いてあるのはそのとおりでございます。そしていまお話がございましたように、値上げ後の家賃、それから値上げ前の家賃、それより上乗せしたいまお話しの一円とか百円とかございましたけれども、極端なことを言えばそういう家賃の場合でも公団としては受領するという意味でございます。
  63. 瀬崎博義

    瀬崎委員 では今度は受け取った後の問題なんですが、その説明の最後の方にただし書きがしてありますね。「(これは、借家法第七条第二項に規定する家賃のお支払として、受領することとなります。)」とあるわけです。この借家法の七条二項を見ますと、「借賃ノ増額ニ付当事者間ニ協議調ハザルトキハ其ノ請求ヲ受ケタル者ハ増額ヲ正当トスル裁判が確定スルニ至ルマデハ相当ト認ムル借賃ヲ支払フヲ以テ足ル但シ其ノ裁判が確定シタル場合ニ於テ既ニ支払ヒタル額ニ不足アルトキハ不足額ニ年一割ノ割合ニ依ル支払期後ノ利息ヲ附シテ之ヲ支払フコトヲ要ス」という条項ですね。そこで公団がこういうものをただし書きにつけたということは、訴訟を起こす用意をもってこの通帳を送りつけた、こういうふうにわれわれは受け取るべきなのか、別にそういうことではないということなんですか。
  64. 澤田悌

    澤田参考人 私どもは今回の家賃の改定は、あらゆる角度から考えまして慎重に案を練りまして、この程度のことは終局的には入居者の方々に御了解を得られるものという考えのもとに手続を進めておるものでございますが、手続に関するいろいろな規定等はやはり周知していただくことが大切でございます。それでそういう文言も付記しておるわけでございまして、実施期日までには大方の入居者の方々にこの改定の趣旨が御理解願えて、訴訟というようなことに至らないことを私は極力念願いたしておりますが、最終的に場合によってはあり得るということは規定の定むるところで、それによって裁判の判定を受けなければならないということが規則にあるわけでございます。それを念のために書いたという趣旨でございまして、できるだけそういうことに至らないようにという心情は毎々申しておるとおりでございます。
  65. 瀬崎博義

    瀬崎委員 現在公団には、私もここに完本を持っておりますが、このような不当な公団家賃値上げ通知に関する不同意の通告書の署名が届いていると思うのです。私どもの聞いているところでも、すでに第一次分として入居者世帯数の半分以上の不同意書が提出されておるということを聞いております。そこで、いま総裁の言われるように十分御理解がいただけるだろうと思うと言うのなら、それなりの努力を公団はしていると私は思いたいのですよ。そこで、この不同意者に対して不同意の理由等を聞く、こういうふうな措置をとっているのですか。
  66. 澤田悌

    澤田参考人 従来この問題が起こりましてから現在に至るまで、入居者の方々への御理解を得るための周知活動、これは私ども真剣に取り組んでおるところでございまして、五十三年の四月下旬、二十五日ぐらいまでの間に各団地の自治会等に対する説明の回数は、各支社別に合計いたしますと八十一回に及んでおるのであります。それから電話による問い合わせの対応件数等も多いときは日に百件も超えております。だんだんと四月になってはその回数も減っておりますけれども、私どもから家賃改定の通知を差し上げ、それをごらんになっての反応というのがいま出ておるわけでございまして、それによってだれが反対をし、だれが賛成をしておられるかということもだんだんと仕分けができつつあるところでございまして、御指摘のように不同意の署名運動がいま行われておりますが、これはかなりの数に上っております。これはもう御指摘のとおりでございます。それで、九月までの実施期間中にそういう方々に対しても、入居者の方々の姿勢がおのずとはっきりしてきておりますので、今後も引き続き、先ほど申しましたように、この程度の値上げは御理解願えるようにということを極力努力をしていくという姿勢で臨んでおるわけでございます。
  67. 瀬崎博義

    瀬崎委員 きょうは本会議の都合で非常に時間が限られておるわけですから、質問にだけ答えていただきたいのです。  問題はこの不同意署名をどのように公団が扱っているか、ここを聞いているんですね。ここをお答えいただきたいんです。
  68. 有賀虎之進

    ○有賀参考人 これは私ども、不同意署名といいますが、従来から行われていた反対運動の一環の一つだと思っています。そういう点で、私どもの方の公団の各支社等に持ってまいりますので、現在の段階ではこれを受け取っておるというだけの措置でございます。
  69. 瀬崎博義

    瀬崎委員 いろいろ問題はあったにせよ、本委員会及び参議院の建設委員会では申し合わせが委員長よりなされております。これに対しては櫻内建設大臣は十分に尊重する、こう答えておりますね。特に参議院の方の申し合わせの七項ですか、そこには明確に「入居者の意向を聞く」こと、それから「民主的な配慮をすべきである。」こと、こういうふうにうたわれているわけですね。大臣、いまのように不同意書が続々と送りつけられている。いま入居者の約半分、最終的には公団自治協の話では七割ぐらいに達するであろう。これに対しては、単なる反対運動の延長だ、したがってこれに積極的に不同意の理由を聞く等対応はしない、こういう態度を表明されているんです。これでは入居者の意向を聞くことにならないでしょう。民主的な配慮にならないでしょう。大臣、十分尊重すると答えられた以上、こういう公団の態度を改めさせていただきませんと、総裁が主観的に願望するような、さっき念願と言われましたが、裁判に至らずして円満な解決は決してあり得ないと思うんですね。大臣の答弁を求めます。
  70. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 私はその不同意書というものを見ておりませんから実情がちょっと判断しにくいのでありますが、総裁あるいは理事からのお答えからすると、反対運動の延長である、こういうふうにとられておるようですから、恐らくそういうふうに受け取られる書面と申しましょうか、そういうものが参っておるんではないか。したがって、参議院なり衆議院の御決議に反して住居者の意向を聞いておらないんだ、こういう範疇には入らないものではないかと一問一答の中から察しておるわけであります。
  71. 瀬崎博義

    瀬崎委員 これは重大な問題だと思うんですよ。大臣自身がそういう態度では、ますますもって入居者とそれから公団並びに政府との理解関係などはあり得ないと思うんですね。同時にそうなってくると、あの申し合わせの、いわばあれは値上げを認めているような前提があるので私どもも非常に慎重な態度をとったわけでありますが、それはともかくとして、いろいろと民主的な条件がついている。都合の悪いところは無視する、こういう態度ではないかと思うんですね。こういう点で現在の大臣並びに総裁の態度は、これはいずれまた入居者がそれなりの判断をしてそれなりの対応をとるであろうと思いますけれども、私は遺憾千万だと思うんですね。  そこで、これもいろいろとこういう理解が得られない一環だと思いますが、ちょうど一年ほど前の本委員会で、私は王子五丁目団地の駐車場料金が月額一万七千円、高過ぎるということを指摘したことがあります。このときの示されました原価構成要素は、地代相当額が一万六百四十五円、地租公課二千三十円、償却費千六十八円、管理事務費六百五十七円、維持管理費が二千六百円、締めて一万七千円。このうちの維持管理費二千六百円のうちの千五百円は空車引当金だ、こういうことだったんですね。こんなに高い空車引当金、空車引当金自身が私は不当だと思うけれども、千五百円は不当だ、こう思っておった。ところが、国会での答弁がその後いろいろ追及されたんでしょう、特に前のわが党の衆議院議員であった中島武敏さんが私の部屋へ来て、いろいろ公団や団地サービスを追及されたら、実は千五百円は全部が空車引き当てじゃない、そのうちの九百円が空車引き当て、それから六百円が実は貸し倒れ引当金だ、こういうふうに説明を変えたわけですね。このこと自体も私は非常にけしからぬ、そのときそのとき逃れの数字合わせをやっているんじゃないかという疑問を現に持っているわけであります。現在は一〇〇%この駐車場は使われているんですね。そういう状態でもこの空車引当金の九百円は取っていくのですか。
  72. 有賀虎之進

    ○有賀参考人 お尋ねの王子五丁目の駐車場の料金の内訳につきましては、先生の御指摘のとおりでございます。空車引当金につきましては一〇%以内ということでやっておりますけれども、王子五丁目については、大体使用料金につきまして八・八%ぐらいになっております。そこでこの内訳でございますけれども、いまお話もございましたように、空車の料金分と貸し倒れ準備金分と両方入っております。いま団地サービスの全体の平均で見ますと、空車の率が大体六%ぐらい、それから貸し倒れ準備金に相当する部分が二%ぐらいで八%ちょっとでございますけれども、王子五丁目の場合も、やはりいま申し上げましたように八・八%程度でございますので、この仕組み自体は妥当なものである、こう考えております。そして会社の駐車場全体としての経理をいたしておりますので、そのときによりまして満杯になっておる駐車場もあり、あるいはもっと空車のひどい駐車場もございますが、平均的なもので処置していきますので、この料金につきましては現在のまま据え置いていきたい、こういうふうに考えております。
  73. 瀬崎博義

    瀬崎委員 要は、満杯にさえなっておれば、いわゆる空車引当金とかあるいは貸し倒れがなければ、この引当金は全部団地サービスの利益になる、こういうことですね。
  74. 有賀虎之進

    ○有賀参考人 この特定の王子五丁目の駐車場についてだけ見ればそういうことになりますけれども、いま申し上げましたように、全体として平均的な率でやっておりますので、それよりも多い駐車場もございまして、したがって平均的なことでもって判断していきたい、こう思っております。
  75. 瀬崎博義

    瀬崎委員 しかも地代相当額も非常に高いことから、これが公、いわゆる住宅の土地代から生まれてくる家賃の中に算定された地代相当額と、それから駐車場部分に織り込まれた地代相当額が二重になっているんじゃないか。つまり二重取りではないかというふうな指摘もあったんだけれども、これはそんなことはないという説明だったのですが、これは現在公団の駐車場全体についていわゆる二重取りというふうなことはしていないということなんですか。
  76. 有賀虎之進

    ○有賀参考人 近年になって設置しておる駐車場につきましては、初めから駐車場の部分につきましては土地を別にいたしまして経理いたしましたので、そういうことはございません。  ただ、古い団地につきましては、初めに駐車場の計画はございません。後になって、最近になって駐車場を設置するというふうな場合には、地代は全部住宅地となっておりますので、その場合には、そこから取りました地代については団地環境整備費というようなことでもってまた再び団地に還元するというふうな措置でやっております。
  77. 瀬崎博義

    瀬崎委員 滋賀県の石山団地の駐車料金ですと、これは五千円ですね。この場合のいわゆる原価構成はどうなっています。
  78. 有賀虎之進

    ○有賀参考人 石山につきましては、先ほど申し上げましたように、従来駐車場のなかったものにつきまして昨年緑地等を削ってつくった、そういう事情にある駐車場でございまして、公団からの地代は六百円でございます。そのほかここに団地サービスが駐車場としての投下をいたしまして、それの減価償却が約千円弱、修繕費等が千二百円程度、管理事務費が千三百五十円、そのほか空車引当金等を入れまして全体で五千円、こういう内訳になっております。
  79. 瀬崎博義

    瀬崎委員 私が聞いているのは、先ほどの王子五丁目の使用料金の構成要素、これはこの前の説明では全体の駐車場に共通ということだったのですね。それに合わせて答えてほしいのです。
  80. 有賀虎之進

    ○有賀参考人 石山団地につきましては、公団からの賃貸料が一台当たり六百円、減価償却に相当する部分、それ以後は団地サービスの費用になるわけでございますけれども、減価償却に要する費用が九百九十三円、修繕費相当額が千二百十五円、管理諸経費が千三百五十円、空車貸し倒れ引当金が四百十六円、一般管理費相当額が四百二十六円、合わせて大体五千円ということでございまして、算定の方法は公団からの賃貸料の差がございますけれども、そのほかは石山につきましても王子五丁目につきましても全く同様な方法で算定いたしております。
  81. 瀬崎博義

    瀬崎委員 それじゃ環境整備に回したと言われるのだけれども、その六百円でこの石山団地のどの部分の環境整備をやったのですか。
  82. 有賀虎之進

    ○有賀参考人 これは公団として、全体として扱っておりまして、また個々の団地につきまして環境整備の個所をどこにしたらいいかということでもってやっているわけでございまして、これでもって石山団地のどこをというお話でございましたけれども、現在ちょっといまそこまで詳細な資料がございませんので、お答えできませんけれども御了解いただきたいと思います。
  83. 瀬崎博義

    瀬崎委員 事実上何も環境整備をやっていないわけなんです。  大体先ほど言いましたように、国会で千五百円が空車引当金だと答弁したものでさえ、高過ぎるのではないかと後で突っ込まれたら、いやこれは空車引き当てと貸し倒れ引き当てに分かれているのだ、こういうふうに説明を変えているわけでしょう。しかもその場合の説明で、現在の団地サービスに対して駐車場の土地を貸す場合には必ず住宅部分の土地とは分離している、二重に地代を取っていないという話だった。ところがこの場合は、現在の敷地の中に去年の十一月つくられてオープンされておるわけですね。もし公団の説明どおり二重取りを避けるとするならば——これは二百四十台の駐車場なんです。一台十三・五平米の計算で出してみますと、ざっと三千平米余りになってくるのです。全体の面積の十数%に該当する。したがって、現在の地代計算額は二千四百円ですから、二重取りを避ければ少なくも三百円ぐらいは減額になるはずなんです。さらに今度の改定家賃は三千百円とあなたの方で予定していますから、これでいけば四百円ぐらいは下げなければいかぬことになるわけですね。ここで二重取りになっているわけです。  そういうことに対しては今度は環境整備に回したのだ、こういうふうに逃げ口上を言うわけですね。ところが実際には環境整備は何一つやっていない。現実は二重取りのままなんです。  だから、少なくも二重取りしないというのであれば、しかも、いま私どもは妥当だと思っていないけれども、家賃改定作業をやったわけなんですから、その機会にでも三重取りを避けようと思えば、つまりこの駐車場に使っている土地の分だけは家賃の方の地代相当額から差し引く、こういう手続ができたはずなんですね。なぜこの点公団として、そのような二重取りはしないという方針なら方針で、しかも家賃改定作業のときにその処置を織り込まなかったのですか。
  84. 有賀虎之進

    ○有賀参考人 住宅の家賃の方は一定の基準で決めておりまして、いまお話しの変更の際にどうしてこれを考慮しなかったのかということでございましたけれども、これは先般来御説明申し上げておりますように、家賃の不均衡是正ということでもって額を算定しておりまして、家賃の水準がどの程度が適当かということが基本の考え方になっております。したがって、特に駐車場の分ということでもって下げるという措置はいたしておりませんけれども、私どもといたしましては、いま先生お話の中に二重取りというお話もございましたけれども、徴収の仕方といたしましてはそういうようなかっこうになっておるかもしれませんけれども、この駐車場による地代の収入した額につきましては、公団といたしましては環境整備費の中に入れまして団地の環境に全部充てているということでございますので、私どもといたしましては、駐車場を利用する方からは取りますけれども、それを全体の中に還元いたしますので、実質的には居住者の方に還元されておる、こういうふうに考えておるわけでございます。
  85. 瀬崎博義

    瀬崎委員 それでは、いわゆる駐車料金の方から上がってくる地代相当額はきちっと、六百円でしたか、これの二百四十台分計算できるわけですね。だから金額も期間に応じてきちっと計算できるわけですから、これが団地のどの部分の環境整備に使われるかということについては、公団としては明確にしますね。
  86. 有賀虎之進

    ○有賀参考人 石山団地につきましても、今後環境整備はやっていくつもりでございますので、その際に、どういうようにやっていくかということは明らかになることと思います。
  87. 瀬崎博義

    瀬崎委員 これは何も石山団地に限らない。たとえば大阪の東淀川の団地だって同じケースです。団地は二十年以上も前にできている。その団地の用地の中、つまり緑地を削って駐車場をつくっているわけですから、本来ならばその分だけ住宅用の土地は減っているわけです。したがって家賃に含まれる地代相当額はその時点で二重取りを避ける方針があるならば減っていなければならないわけでしょう。あなた方みずからわれわれに説明している方針と違ったことをやっておって、指摘されたら、これを環境整備に回すのだと言うのだけれども、その点についてはわれわれも一度きちっと各団地の分について金額を計算して提示をするから、それに見合った環境整備をどう行うのか、これははっきりと公団で実行するということを総裁の方から約束しておいてほしいのです。
  88. 澤田悌

    澤田参考人 御趣旨に沿って検討いたします。
  89. 瀬崎博義

    瀬崎委員 もしそれをやらないというなら、二重取りを避けるために当然家賃の方から差っ引くべきだと思うのです。その点も総裁、よろしいですか。
  90. 澤田悌

    澤田参考人 先ほど有賀理事から申しましたように家賃の体系、あり方にいきなりそういう駐車場の代金を関連させることには問題がございます。ですから、従来緑地であったものを削って駐車場にした場合には、二重取りを避けるとともに、その駐車場料金として上がったものを環境整備に充てるという原則が妥当なのではないかと存じております。
  91. 瀬崎博義

    瀬崎委員 もともと公団の説明は、きちっとこういうふうに住宅と駐車場の用地を分けてやる、こういうことだったのです。ところが、この後からできた駐車場についてはそういう方針をとっていないということがいま明らかになってきたのです。その場合三重取りになるから、それを避ける論理として環境整備に充てる、こういう話をしているのでしょう。だから、その分については明確に居住者に環元されなかったら、どう理屈をこねてみても地代相当部分は二重取りになるわけですね。  だから、そういう点で、もしその金額が明らかにされ、環境整備が要求されたにかかわらずそれを実施しないときには、当然家賃算定の根拠になっている土地そのものの面積が減り、同時に土地の価格も減るわけですから、これが家賃算定に機械的にはね返ってきて当然だと私は思うのです。その点だけは重ねて念を押しておきたいと思うのです。  続いて、同じく衆参両院の建設委員会の申し合わせの中には、母子、老人それから身障者等の困窮世帯について特別の配慮をすべきである、こういう事項があるわけです。これもまだ検討中で結論は出ていないらしいですね。一体この検討の作業はどの辺まで進んでいるのか、どういう基準でこれを出そうとしておるのか、いつごろから実施するつもりなのか、この点について簡単に答えていただきたいと思います。
  92. 有賀虎之進

    ○有賀参考人 国会の要望を受けまして、建設大臣が認可するに当たりまして、私どもの方の公団にもそういう条件を付されてきたわけでございます。したがいまして、現在検討中でございますが、激変緩和の措置の一つとしまして、老人、母子、身障者の方について生活困窮者に準じた措置をとるようにというふうなことになっております。したがいまして、私ども、その内容といいますか、基準、それからその事務的な手続、こういったものをどういうふうにしようかということについて現在検討中でございまして、当然のことながら、九月の家賃の改定時期までに十分間に合うようにやっていきたい、こういうふうに考えております。  まだ最終的に決まっておりませんけれども、いま申し上げましたように、生活保護世帯に準じた世帯につきまして、たとえば契約名義人が一定の年齢以上の老人の場合とか、あるいは配偶者のない女性の場合、あるいは心身障害者のある生活保護世帯につきましては、大体生活保護世帯に準じたような措置をとっていきたいというふうに考えておるわけでございます。現在検討中でございますが、私どものめどといたしましては、来月いっぱいぐらいかけまして検討内容を最終的に詰めまして、その後居住者にもPRし、それから九月の前、八月にはそれぞれの手続を経て私どもの方の審査も終えて、九月からの家賃の払い込みにつきましては、それらの方々につきましては十分減免措置が行われるような措置に間に合わせるようにいたしたい、こういうように考えております。
  93. 瀬崎博義

    瀬崎委員 空き家の解消も、これも申し合わせ事項の重要な一つであります。この間から建設省の発言の中でも、いわゆる公営住宅として自治体に買い取ってもらうというふうなことを言い出してますね。これは結論として言えば、公営の補助額に切りかわった分だけ国の補助額がふえて、その分家賃が下がる効果があらわれるということをねらったのだと思うのですね。これにしても現在のやはり買い取る補助になれば、公営住宅法上一定の問題点はあると思うのですね。法改正が必要かもしれないということも聞いております。どっちみち国、公をこういう形で手術をするのであれば、現在の公団法を改正して、現在三分の一相当額の補助が出ている現状を三分の二相当の補助に改めていけば、同様の効果を生むのじゃないかと思うのですね。大臣、この点いかがですか。
  94. 救仁郷斉

    救仁郷政府委員 現在の公的賃貸住宅の体系が、いわゆる公営住宅階層と申しますか、全所得分位の中で三三、四%の方々、こういった方々に対しては、地方公共団体が公営住宅として建設し、入居願うというシステムになっております。その上の階層に対しまして公社住宅公団住宅というような形があるわけでございまして、先生おっしゃるようなことも一つの案だとは思いますが、そういったいわゆる公共団体と住宅公団、公社住宅といったようなもののいわゆる仕分けというものがその辺で非常に不明確になるのではないかということで、私どもとしては、現体系のもとにおいては、やはりそういった高率の補助を出してそして低所得者の方に住んでいただくというものは、公共団体に譲って管理してもらうということが筋ではないかというふうに考えております。
  95. 瀬崎博義

    瀬崎委員 次は、住宅金融公庫の問題でお尋ねします。  いわゆる金融公庫の資金を借りて民間賃貸住宅を建設する場合の、これは具体的に起こっている問題であります。家賃の積算根拠に基づいて計算された個々住宅家賃は、これは公庫法によって建設大臣が定める額を超えてはいかぬということになっていますね。もし家主がこのような規定を無視して、公庫の承認も得ないで決められた家賃を超えて入居者から取るというふうな事態が起こったときには、公庫はどういう処置をとるのですか。
  96. 大津留温

    ○大津留説明員 御指摘のような事態が間々ございますのは大変遺憾でございます。そういう事態が起きました場合には、まず、手続がとってないのは手続をとりなさい、その手続をとったとしました場合の、家賃を超えて取っている、これは速やかに是正をしていただく、それでもなお家主さんの方でそういうことを是正なさらないというような場合には、公庫からお貸ししたお金を即刻全額返していただく、こういう措置をとることにしております。
  97. 瀬崎博義

    瀬崎委員 これは君古屋で柴田荘という公庫の金を使って建てたアパートがあるわけです。そして、四十一年入居当時一万七千三百七十円の家賃であった。これがいわゆる基準なんですね。五十年にはこれを三万五千円取っているのです。さらに家賃を全体として三万七千円に上げる、こういうことを去年要求をしてきたために、しかもそれに加えて敷金三カ月分のほかに礼金十八万七千円も取る、こういうふうなことになっている。もちろんこの場合、家賃変更承認の手続はとってないわけです。  これではたまらぬというので、入居者の方々は去年の二月に公庫の名古屋支所に対して、公庫が法律に基づいて家主の不当な行為をやめさせるように指導してほしいという申し入れをされている。ところがその後今度は家主の方から、自発的にと言えば言葉はいいのでありますが、結局法律の制約を逃れるという意図のもとに、借りている金の残金を一挙に返してしまったわけですね。  そこで、そのたな子の人たちは名古屋支所に対して、こんなことでは困るからちゃんと指導してほしい、重ね重ね要望をされたわけであります。これに対して支所長が、そんなのは大家とたな子の関係であって公庫には関係ないとか、一万円や二万円上げたからといって家主を告発するなど考えられないとか、全部償還してきたから公庫とは関係ない、こういうふうに言って取り合おうとしないわけですね。これはテープにその発言が残されているわけであります。  このように、不当な値上げだということで是正を求められれば、借りている金の残金を返してしまって、それでそれに対して公庫が、では関係なくなったんだということでそれ以前の不法行為を見逃すとすれば、これを皆がまねし出したら大変なことになると思うのですね。建てるときだけ公庫の金を借りておいて、家賃上げるときには全部返して上げていく、こういう点について一体どのようにこれを是正するのか、公庫の態度を聞きたいと思います。     〔北側委員長代理退席、委員長着席〕
  98. 大津留温

    ○大津留説明員 公庫の関係は、御指摘のように融資という関係で家主さんとつながっておるわけですね。したがって、この融資の関係がなくなると関係はなくなるわけですが、しかし、それじゃおっしゃるように金を返してしまえばどういうことでもやり得かという、それでも因りますから、柴田荘の場合も返済が行われましたけれども、過去の違反については是正してくださいということを厳重に家主には言ってあるのです。  しかし、これはちょっとそれ以上の強制力が実はございませんので、家主の良識にまつ以外はないと思うのですが、このケースにつきましては、たな子から家主を訴訟しているということもございますし、また逆に家主さんの方では、家賃値上げの訴訟を起こしているというようなことで裁判に係属中でございますので、その辺は裁判の公正な判断を待ちたい、それが一番妥当じゃなかろうか、こういうふうに考えます。
  99. 瀬崎博義

    瀬崎委員 これは大臣に伺っておきたいのです。  公庫法の精神から言っても、いまのようなケースがあってはならないという点で、わざわざ大臣認める家賃以内にしろ、それだけの手続も定めていると思うのです。しかも、現在のケースは、すでに不当な値上げをやってしまってから、後でいろいろ突っ込まれて金を返しておるケースですから、金を返す以前の問題については当然公庫に責任がある話なんですね。こういうふうな点で、先ほど公庫の総裁は、大家とたな子が裁判ざたをするようではかなわぬと、こういう話なんですが、大臣も当然監督官庁として、そういうことを簡単に訴訟にゆだねるんだという総裁の姿勢はどうかと思うのです。しかも、たな子の方は、要は公庫の方さえきちっと指導して話し合いをレールに乗せるならば訴訟は取り下げてもよいという態度もとっているし、またそうでなかったら、今後全部これが広がっていって、問題があればすぐ裁判だ。これは長くかかるでしょう。そういう点では、たな子の権利は全然守られない、公庫融資は非常に悪用される、こう思うのですが、いかがですか。
  100. 救仁郷斉

    救仁郷政府委員 債務を返済するまでのそういった不当な家賃を取っていたということに対しては、これは当然行政あるいは公庫の責任もございます。したがって、これは十分そういうことが是正されるように強い指導をしたいというふうに考えております。
  101. 瀬崎博義

    瀬崎委員 時間が来ておりますので、最後に再び公団に戻りまして、私、三月にプール制値上げの問題と絡んで、おんぼろ団地住宅をほったらかしにして値上げはけしからぬということで、その団地の調査を要請され現地へ行ってきたのです。  二、三の例しか言えませんけれども、たとえば奈良県の学園前団地の場合は、これはいわゆるまだ星型の一番古い住宅ですね。窓枠が現在なお木製のままなんです。もうガタピシですね。したがって、どんどん雨が中に漏りますから、畳が腐ってしようがないので、まあこんなことをしたら怒られるんだけれどもと言いながら、じゅうたんをめくりますと下は板敷きにしてあるわけですね。そうでもしなければやっていけない、こういうようなものもあります。  それから、上牧町の片岡台団地、大きな団地ですね。ここには在来工法の団地とPC工法の団地があります。PCの方は大末建設だったと思いますが、これは一見してわかる大きなクラックがあちこちにありまして、ずっといろいろ詰めて目張りしてありますから醜いことおびただしいのです。中へ回りますと、特に両つまに面した押し入れなどは、そういうクラックのところに置いてあったふとんなどが非常に極端にかびている、こういうふうな事実も起こっております。  そういういわゆる欠陥と思われる団地、それから本来ならば公団が理由のいかんにかかわらず改善していなければならない団地が放置されている。こういう問題について積極的に住民の苦情も聞いて改善されることを要望したいのであります。お答えいただいて終わりたいと思います。時間が来ておりますので簡単に……。
  102. 江里口富久也

    ○江里口参考人 お答えいたします。  学園前団地木製建具の件ですが、経年によってふぐあいとなった場合は、公団の修理義務に係るものについては申し出の都度、修繕しております。今後とも迅速かつ適切に処理していく所存でございます。  また、片岡台団地のPC工法のクラックの件でございますが、鉄筋コンクリート構造の建物というのはクラックがある程度出るのはやむを得ない構造でございます。クラックが出たからと申しまして、直ちにそれが欠陥だということにはつながりませんが、そういう先生指摘のような居住者の生活に不都合があるような場合は、直ちに補修しております。また今後ともそういうものが起きましたら、直ちに対処したいと考えております。ただ、今回の先生の御指摘の団地がどの程度のクラックであるか、早急に実情を調査したい、そのように考えております。
  103. 伏木和雄

  104. 中川秀直

    中川(秀)委員 本会議まで残す時間非常に少ないし、食事抜きというのも不健康でありますから、できるだけ簡単に問題点を一点くらいにしぼりましてお尋ねしたいと思います。  まず大臣、福田内閣は昨年来、行財政の改革ということについて大変御熱心であったわけなんですが、しかし現実問題として竜頭蛇尾、悪口を言う人は竜頭無尾だと言う人もいる。非常に後退をしてしまったということがあるわけであります。内閣の一員として閣僚の一人として、この行政改革に対して大臣がどういう御見解を持っておられるか、まずお伺いをしたいと思います。
  105. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 行政管理庁におきまして行政簡素化あるいは行政整理を逐次遂行しておることはそれなりに効果が上がっておる。国土庁と建設省がどうかなんという問題がある中に私は就任したのでありますが、大きな機構改革につきましては、むしろいま国政上どんどん遂行しなければならない問題がたくさんある、国政に渋滞を来すようなことがあってはいけないということで、ものによっては行政機構いじりになって、いま申し上げたような問題を起こすことにむしろ現在困る点があるというような考え方が私にはあるわけであります。しかし、幸い私のそういう考えについて、いま私の関係する面については大きな問題は残っておらないと思います。行政管理庁は手まめに事務の簡素化や、あるいは行政管理庁が大所高所から見てこの程度の機構については検討すべきだということについて私は別に異論はございませんが、私の所見といえば、いま申し上げたような大きな機構いじりによる国政渋滞などを来すよりは、どんどんまだやらなければならぬことがあるじゃないかというような考え方が一面にあるわけであります。
  106. 中川秀直

    中川(秀)委員 わかりました。私はきょうは大きな建設省と国土庁の統合問題とか、そんなことをお尋ねしようとは、時間もありませんので、そういうつもりではないわけであります。いま大臣が御発言になりましたように、まだまだやらなければならないことがたくさんあるという、そのたくさんある中に、建設省関係でもずいぶんあるわけです。たとえば昭和四十九年の十一月に行政監理委員会から許認可事務についてこういう整理統合をしなさいという答申が出ております。その答申の中で建設省関係が十五事項指摘をされているわけであります。その十五事項指摘された中で、今回の許認可一括整理法の中で取り上げられて、すでに措置済み、まだ法案は参議院へ送付されたばかりでありますが、少なくとも今回の法案までに措置済みというものが五つございまして、残るまだ十事項、七割くらい残っているという状態であります。これは各省と比較いたしますとちょうど中くらいでございまして、全くやってないというところもありまして、建設省はちょうど悪い順番から並べますと、ワーストテンすれすれくらいというような感じなんであります。そのことについて二、三、全部はとてもやれませんから、残っている問題をお尋ねしたいと思うのです。  残っている問題をあえて申し上げますと、道路法四十七条の二「特殊車輛等の通行の許可」これをもっと簡素化しろということもまだ未措置であります。「一般自動車運送事業の免許等に際し提出した道路管理者の意見の報告」これはその都度報告は要らない、定期報告にすべきだ。この緩和ということがございます。それから建築基準法の六条、これは古い問題でありますが「建築確認」、これがまだだめである。それから地代家賃統制令の関係で四事項未措置であります。あとは「住宅金融公庫の資本金の増加の認可」という問題等、計十事項指摘をされておるわけであります。  そのうちのまず「建築確認」でありますが、「建築確認」は、御案内のように「建築主事を置かなければならない。」という義務設置のところ、これは人口二十五万以上の政令指定市及び都道府県ですが、それと任意設置のものと二種類あるわけですが、この四十九年の行政監理委員会指摘によりますと、いわゆる任意設置の任意特定行政庁の場合、「人口十万未満の市でも確認業務を行っているところがある反面、人口十五万以上二十五万未満の市で任意特定行政庁となっていないところが約半数近くみられる。」年々増加する一方の建築確認申請、ましてこれから大変な住宅投資も予想される中で、「よりきめ細かい建築行政を推進するため、各地方公共団体の実態を考慮しつつ特定行政庁の一層の拡大を図るよう措置する。」こういう答申なわけですが、その後もう四年もたっているのですけれども現状は一体どうなっていますか。たとえば任意設置のもので幾つ設置をされておって、十万未満で幾つ、十五万から二十五万未満で幾つなのか、あわせて任意の設置をしてないところの数は幾つなのか。その辺はいかがですか。この答申のとおり進んでいますか。
  107. 救仁郷斉

    救仁郷政府委員 御指摘のとおり四十九年の行政監理委員会の答申は、建築確認事務というのは非常に地域に密着したきめ細かい行政が必要なので、そういった市にできるだけおろすようにというような勧告だったと考えております。私どもは、建築基準法体系になりましてからこういった特定行政庁の制度をとっておりまして、これをそういった末端の市にできるだけおろすことが望ましいということで指導をしてきているところでございます。  ただ、現実にそういった末端の市になりますと、財政負担の問題等におきましてそういった行政事務をふやすということに対して消極的な面がございます。それに対しまして、そういった建築行政関係の交付税の算定を有利にしていただく、改善していただくということも自治省にお願いして、逐年これも改善されてきております。その結果私どもも都道府県と一緒になって、そういった行政専務を特定行政庁になってやっていただきたいという形で市長さん等にお話ししているわけでございます。  四十九年八月一日現在で特定行政庁が百七十七ございましたが、これが本年四月一日現在ではちょうど二言ということになって二十三地方公共団体ふえておるということでございます。人口区分別に申し上げますと、人口二十五万以上のものは、これは法定の設置でございますが、九十市でございます。それから御指摘の人口二十五万未満で十五万以上、これが四十九年にはまだ半数ぐらいなってないということでございましたが、四月一日現在では五十三市のうち三十三庁ということで、これはまだ私ども十分であると考えておりませんが、六三%に上がってきております。それから人口十五万未満につきましては三十市ということになって合計で二百ということになっております。こういった特定行政庁の数をふやすということにつきましては、先ほど申し上げました地方交付税の算定の基準も有利にしていただくとかいったことを通じまして、今後とも推進してまいりたいと考えています。
  108. 中川秀直

    中川(秀)委員 この答申よりも四、五年前ですが、四十五年の国会で当時の大津留住宅局長が「とりあえず五年間に三分の一はひとつみずから行なうように指導したい、」こういう御答弁をなさっているわけですが、いま御答弁がありましたように現実は遅々として進まない状況のような感じであります。これは、この行監の答申の趣旨というものの御評価もあるわけですが、それだけ評価をしているならば、これから特に住宅投資、住宅建設戸数もふえてまいるわけでございますから、大車輪でおやりをいただくようにさらに御努力を願いたい、こう思います。建築確認のことはそれだけにいたします。  それから、時間もありませんから端的にお伺いいたします。  地代家賃統制令の関係で四事項この行監答申では指摘をされています。この指摘事項は「地代、家賃の額の認可」「地代、家賃の統制額の増額の認可」「地代、家賃の統制額の減額の認可」「貸主の統制額の届出」、この四事項でありますけれども昭和二十一年にできたこの法律が昭和二十五年以前の借地借家のみを対象にしていて非常に少数のものにしかすぎないので、一定の猶予期間を置いて同令の効力を失わせることをしなさい。「廃止」ということをこの行監答申では出しているわけでございます。  現実問題として今度の一括整理法でも「貸家組合の設立の認可」については、実質的な活動を行っていないというので廃止をいたしました。この「地代、家賃の額の認可」とかいった部分はまだ手をつけないということになったわけですが、現在どれほどの借地借家があって、そのうち地代家賃統制令の対象になっているのが大体何割くらいあるのか、数がどのくらいあるのかまず端的にお伺いして、それから質問をさせていただきたいと思います。
  109. 救仁郷斉

    救仁郷政府委員 いま資料を持ってきておりますが、細かい数字は後でお知らせしたいと思います。借家で約百数十万軒あったと思います。それから借地がたしか四、五十万敷地あったんじゃないかと記憶しております。全体の中で約一〇%ちょっとという感じじゃないかと思います。
  110. 中川秀直

    中川(秀)委員 この行監答申も「地代、家賃の動向、物価情勢、低所得者層対策等を考慮しつつ、一定の猶予期間を置いて同令の効力を失わせることとする。」こういう指摘になっているわけですが、今回組合の方は廃止をすることにして、統制令の許認可部分については廃止をしなかった理由は何ですか。
  111. 救仁郷斉

    救仁郷政府委員 先ほど申し上げましたように、地代家賃統制令は百数十万というのを対象に一応まだ動いております。したがいまして、先ほど先生も御指摘になりましたが、四十九年の行政監理委員会の答申では「一定の猶予期間を置いて同令の効力を失わせることとする。」というような表現になっております。  また、建設大臣の諮問機関でございます住宅宅地審議会の五十年八月の「今後の住宅政策の基本的体系について」という答申がございます。その中でも同じように、現在地代家賃統制令はいろんな問題を起こしているか、ただこれを直ちに廃止することはいろんな波及の問題があるので、これをできるだけ実態に合うように告示の改定を行い、そして実情にできるだけ近づけた上で廃止の方向に持っていくべきであるというような答申をいただいております。そういう線に沿って私どもは五十一年、五十二年というように、最近では毎年そういった告示額の改定を行いまして、できるだけ世の中の実態に合うような形で改定を行い、そして将来の方向としてはこれを廃止の方向に持っていきたいというような考えでいるわけでございます。
  112. 中川秀直

    中川(秀)委員 二十五年以前はそういう統制があって、それ以後はしないという、ごく単純に考えるならばこれも不公平の一つかもしれません。いずれにいたしましても、猶予期間を置いても廃止の方向に持っていけという答申が出てからもう五年以上経過しているわけでして、この問題もひとつ大いに前向きに取り上げてお進めを願いたい、このように思うのでございます。  それからもう一つ、これは行監答申でも何でもありませんが、また許認可ということでもないんじゃないかという気が私はいたしますけれども、全国知事会が昨年の七月に出した「地方行財政に関する今後の措置についての報告」という知事会側の要望がひとつ建設関係で出ているわけです。いわゆる「建設省所管里道等の法定外公共物の管理処分」、こういうことで恐らくお読みになっていると思いますが、この建設省所管の国有財産で都道府県の行政区域内に存在するものは、国有財産法あるいは施行令等で知事に委任をされているのです。ところが、「日常的には管理及び処分体制も十分でなく、消極管理がその実態である。」これは知事会が自分で言っているわけですから、確かなことだと思いますが、また同時に「公共物の不法占使用、官民境界等について紛争が多発している。」管理事務費は国庫補助は全くない。「改善意見」として、新たな何らかの立法措置を考えて「一元的処理を可能とすることが絶対に必要」だということと、それから「二以上の市町村の区域にわたり」「管理を必要とするものは知事の管理処分とし、その他のものは、市町村長に管理処分させる」、零細で広い地域に散在をしているものも非常に多いので、実際上そうでなければ困難だ、管理主体を明確にしろ、あるいは「公共物の用途廃止後の処分については、道路法、河川法の例に準じて、地方公共団体の権限」にしろ、こういうあれもこれもの意見ですが、全部が正しいとは思いません。しかし、そういう改善意見が出ておるわけなんですが、建設省の見解並びにこういう意見に対してどうなさろうとしているのか、ひとつお伺いして私の質問を終わりたいと思います。
  113. 粟屋敏信

    ○粟屋政府委員 御指摘知事会の報告については、私ども十分承知をいたしております。知事会の報告に述べられております公共用財産の管理の方向については、私も基本的に同意見でございます。  ただ、これはあくまでも国有財産でございまして、国有財産法で現在管理されておるわけでございますので、国有財産の総括官庁、法律の所管官庁であります大蔵省と十分協議をする必要があると考えております。建設省といたしましては、本年度の予算におきまして公共用財産管理制度調査会の経費がつきましたので、現在知事会、市長会、町村会に対しても委員としての御参加をお願いをして早急に結論を出すべく、いま御相談をしている最中でございます。
  114. 中川秀直

    中川(秀)委員 それで結構ですが、もう一問だけ大臣にお答えをいただきたい。  実は一昨日の事務次官会議でもこの問題は取り上げられた問題です。補助金の事務手続の簡素化に関する行監委員会の答申が出まして、私も全部目を通してみましたが、本当に驚くべき事務量であったり、あるいは時間がかかったりしている。建設省は、そのうちで文部省やその他の省庁に比べますと、交付決定やそういう時期は何といっても景気回復をかけてもおりますし、比較的成績はいい方なんです。いい方ですが、たとえば各出先機関と国との協議の際に都道府県が立会をしたり、あるいは出先機関と都道府県の段階で、これは自治体の問題ですが、市町村に立会をさせたりというようなケースが、これは建設省のケースではありませんけれども、農林省あたりでもずいぶん挙げられている。その出張旅費や何やら大変な金額になるという、あれはたしか農林省の構造改善関係の補助金だったと思いますが、一県当たり大体六、七人必ず出てくるというような感じになっている。  実はこの知事会の意見でも、これは全部が全部だとは思いませんが、五十年度の国道改良事業で約十億円の補助事業ですけれども、出張旅費が五千七百万円、出張したのが三十八人ですか、そしてその他いろんな職員が仕事にかかって延べ千九百七十二人かかって、その他そういう経費を何もかも入れてしまうと一億八千八百万円かかったという、こういうデータが出ているわけですね。これはやはりいろんな事業について、荒舩長官は五千億円ぐらい、公務員にして十二、三万人、補助金の事務手続に人がかかっている、こういうことは大いに簡素化していかなければいけないんだ、こういうような御答弁も出ているわけですが、大臣建設省仕事についてこの点、指摘が、こういう方途で悪いんだということはないわけですけれども知事会の一つ意見の中にはやはり大変な状況、人数が要るんだということも出ているわけでして、大いに改善を願わなければいけない、八月ぐらいまでには何らかの改善措置をしなければいけないというきのうの事務次官会議の結論も出ているようですけれども大臣の御見解伺って終わりにしたいと思います。
  115. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 一つには公共事業の推進の上におきまして、でき得る限り補助金事務の簡素化に努めておるところではございますが、しかししさいに検討いたしますれば、なお改善の余地はあろうかと思います。また、昨日の事務次官会議のことをおっしゃっておられますが、きょう閣議の方におきましても、八月まてに各省とも補助事務の簡素化について見直そう、こういうことになっておりますので、ただいまの御発言の御趣旨は十分念頭に置いてやってまいりたいと思います。
  116. 中川秀直

    中川(秀)委員 終わります。
  117. 伏木和雄

    伏木委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後一時十八分散会