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1978-03-01 第84回国会 衆議院 建設委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年三月一日(水曜日)     午前十時三十二分開議  出席委員    委員長 伏木 和雄君    理事 小沢 一郎君 理事 塩谷 一夫君    理事 中山 正暉君 理事 渡辺 栄一君    理事 井上  泉君 理事 中村  茂君    理事 北側 義一君 理事 渡辺 武三君       有馬 元治君    内海 英男君       大塚 雄司君    瓦   力君       住  栄作君    登坂重次郎君       中島  衛君    渡辺 紘三君       土井たか子君    福岡 義登君       渡部 行雄君    谷口 是巨君       古川 雅司君    西村 章三君       瀬崎 博義君    中川 秀直君  出席国務大臣         建 設 大 臣         国土庁長官   櫻内 義雄君  出席政府委員         国土庁長官官房         長       河野 正三君         国土庁計画・調         整局長     福島 量一君         国土庁土地局長 山岡 一男君         国土庁大都市圏         整備局長    国塚 武平君         建設大臣官房長 粟屋 敏信君         建設省計画局長 大富  宏君         建設省都市局長 小林 幸雄君         建設省河川局長 栂野 康行君         建設省道路局長 浅井新一郎君         建設省住宅局長 救仁郷 斉君  委員外出席者         公正取引委員会         取引部下請課長 菊池 兵吾君         行政管理庁行政         監察局監察官  新野  博君         大蔵省理財局国         有財産第一課長 秋山 雅保君         大蔵省銀行局銀         行課長     吉田 正輝君         文部省管理局教         育施設部技術参         事官      野村 武一君         社会保険庁医療         保険部健康保険         課長      坂本 龍彦君         住宅金融公庫総         裁       大津留 温君         参  考  人         (日本道路公団         理事)     吉田 喜市君         参  考  人         (地域振興整備         公団総裁)  三橋 信一君         参  考  人         (地域振興整備         公団理事)   石川 邦夫君         建設委員会調査         室長      川口 京村君     ————————————— 委員の異動 二月二十日  辞任         補欠選任   田川 誠一君     中川 秀直君 同月二十一日  辞任         補欠選任   中川 秀直君     田川 誠一君 同日  辞任         補欠選任   田川 誠一君     中川 秀直君 同月二十八日  辞任         補欠選任   福岡 義登君     小林  進君   谷口 是巨君     広沢 直樹君   瀬崎 博義君     寺前  巖君   中川 秀直君     田川 誠一君 同日  辞任         補欠選任   小林  進君     福岡 義登君   広沢 直樹君     谷口 是巨君   寺前  巖君     瀬崎 博義君   田川 誠一君     中川 秀直君 三月一日  辞任         補欠選任   伊賀 定盛君     土井たか子君   渡部 行雄君     岡田 利春君   谷口 是巨君     林  孝矩君 同日  辞任         補欠選任   岡田 利春君     渡部 行雄君   土井たか子君     伊賀 定盛君   林  孝矩君     谷口 是巨君     ————————————— 二月二十三日  道路整備緊急措置法及び奥地等産業開発道路整  備臨時措置法の一部を改正する法律案内閣提  出第一五号) 同月二十一日  信濃川河川敷公共利用促進に関する請願(小  林進紹介)(第一四六四号) 同月二十七日  下水道事業国庫補助に関する請願安藤巖君  紹介)(第一六二三号)  同(田中美智子紹介)(第一六二四号)  下水道工場廃水排水規制に関する請願(安  藤巖紹介)(第一六二五号)  同(田中美智子紹介)(第一六二六号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  道路整備緊急措置法及び奥地等産業開発道路整  備臨時措置法の一部を改正する法律案内閣提  出第一五号)  住宅金融公庫法の一部を改正する法律案内閣  提出第一六号)  建設行政基本施策に関する件  国土行政基本施策に関する件      ————◇—————
  2. 伏木和雄

    伏木委員長 これより会議を開きます。  建設行政基本施策に関する件及び国土行政基本施策に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  両件調査のため、本日、日本道路公団理事吉田喜市君、地域振興整備公団総裁三橋信一君及び理事石川邦夫君に参考人として御出席を願い、御意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 伏木和雄

    伏木委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  4. 伏木和雄

    伏木委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。福岡義登君。
  5. 福岡義登

    福岡委員 永大産業の問題についてお伺いしたいのですが、これは本来ならば裁判所所管事項でありますから、裁判所に要望したい点でございますが、裁判所からの出席をいただくことができませんので、建設大臣を通じまして善処方を要望するという意味で、ひとつお考えなりをお尋ねをしたいと思うのであります。  実は、一昨日、永大本社に行ってまいりました。それで、保全管理人入江弁護士川上社長など関係者とお会いいたしましていろいろ事情をお伺いしてきたのでありますが、一つの問題は、裁判所におきまして更生開始決定がいつごろなされるであろうかということが関係者の深い関心事でございました。われわれが考えてみましても、再建計画を早急に立てる必要がある、あるいは関連企業などの実情考えますと、早急に更生開始決定していただいて、再建計画を立てなければならぬと思うのでありますが、もちろん申し上げましたように、これは裁判所決定することでありますから、行政府で直接どうこうということはできないと思うのでありますが、建設大臣、何かその辺の感触でも得ておられればお聞かせいただきたいと思います。
  6. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 ただいま福岡委員の御指摘の点は、恐らく永大産業倒産に伴う関係者の一番大きな関心事だと思うのであります。建設省といたしましては、この更生法適用の場合に意向を聞いてくるような手順になっておりまして、そういう点から関心を持っておるわけでございますが、意向を聞かれれば、この事業者あるいは関係下請会社保護に万全を尽くすように、そして速やかに更生法適用、またそのことによっての会社再建の図られることを強く要望する考えでおる次第でございます。
  7. 福岡義登

    福岡委員 仄聞するところによりますと、永大産業の場合、早くから実質的に銀行管理というような状態にあったために、帳簿その他関係書類整備されておるために更生開始決定までの調査事務というのは相当スムーズにいっておるようであります。  問題は、今後再建計画が果たして立ち得るのかどうかという判断が中心の作業課題であるようでありますが、四月二十日ごろまでには調査員調査が終わるのではなかろうか、そういたしますと四月中に更生開始決定が可能になるのではないか、こう伺っておるのでありますが、ぜひ建設大臣におかれましても、もちろん通産大臣もそうでありますが、政府といたしまして適切な措置をとっていただきまして、早く更生開始決定されるように強く要望しておきたいと思います。  次の点は、大蔵省にお伺いをしたいのでありますが、保全管理人の一番大きく苦心されておる点は、更生決定までに何としても営業継続していかなければならない。そのために原材料その他を購入しなければならない。御承知のように保全命令が出ておるわけでありますから、債権債務が凍結をされておるわけであります。したがって、これらの原材料購入はすべて現金でやらなければならない、こうなってまいりますから、資金繰りが一番大きな問題のようであります。  そこで、日銀なりあるいは政府金融機関なりあるいは銀行に対しまして格段の協力を求めなければならぬと思うのでありますが、現状について御説明をいただきたいと思います。
  8. 吉田正輝

    吉田説明員 お答えさせていただきます。  今回の永大の場合でございますと、これは先生指摘のとおり裁判所の監督のもとに入っております。更生法申請というのは会社継続前提としておりますので、営業活動をなるべく続けられることがきわめて望ましい、こう考えられるわけでございます。ただし、ただいま保全処分命令が出ておりますので、旧債務、古い債務の弁済が禁止されております。それから、会社財産処分禁止が出ております。三番目に、借財と申しますか、債務を負うことの禁止、その三つが主眼になっておると思うわけでございますけれども保全命令のもとでも現金での処分禁止されないので、現金の支払いは可能でございます。  そこで、裁判所許可があれば、ただいま申し上げましたような禁止は解除されるということのように了解しておりますので、会社営業を続けるためにどうしても必要な場合は、裁判所許可を得まして金融機関から借り入れを行うことができるわけでございます。金融機関といたしましては、裁判所許可があったからと申しまして貸し出しの義務は負うわけではございませんけれども会社再建を進めるために主取引銀行は、受取手形なり売掛金の見合いをして必要な資金の融資ができるわけでございます。  そこで、私どもといたしましては、裁判所許可前提でございますけれども、主取引銀行永大の存続のために必要な限りの融資継続するように強く指導してまいりたい、かように考えております。
  9. 福岡義登

    福岡委員 建設大臣、こういう問題があるわけであります。これも裁判所判断でございますから、行政府なり立法府が直接とやかく言うことはできぬと思うのですが、保全管理の問題であります。  結論から言いますと、実情に即して弾力的な運用をしてもらいたい、こういう要望をしたいのであります。これはさっき言いましたように、裁判所判断でございますから直接われわれがとやかくは言えませんが、たとえば保全管理が規定どおりやられるということになりますと、営業ができない場合もあるわけであります。たとえば例の四百戸近い建築中の住宅あるいは未着工の九百戸に上る住宅、これらはそれぞれ工務店に仕事が行っておるわけでありまして、九百戸はいまから着工するのでありますが、四百戸は着工しておる。いままでの負債を処理しなければ工事を続行しないということを工務店が強く言っておるわけであります。そうしますと、何らかの措置をとらなければ建築はストップして結局利用者に迷惑がかかってくることになるわけであります。  これは一つの例でありますけれども保全管理上いろいろ問題はあると思うのでありますが、実情に即して弾力的な運用をしてもらうように特段の配慮裁判所の方にわれわれとしても要望したいと思うのですが、建設大臣、どういうようにお考えになっておるでしょうか。
  10. 大富宏

    大富政府委員 いまお述べになりましたとおり、現在、住宅土地関係で十三億四千万円ほど前受け金を受けております。それで請け負っておる工事が未着工の分で約七百件、これで前受け金が五億三千万円ぐらい、工事中が三百十七件で五億五千万円ほどございます。おっしゃるとおり、会社自身もこのまま永続的に工事を続けたいと言っていますし、これを購入する側もそのまま解約しないでやっていきたいという意向もございます。先ほど大臣お話しいたしましたように、大阪地方裁判所から会社更生法三十五条に基づく通知が二月二十一日に参っております。それに基づきまして、建設省意見があるなら早急に出せということになっておりますので、こういう問題につきまして瑕疵担保責任の履行とか工事中の住宅の完工、引き渡しに支障がないように裁判所のお取り計らいを願うように建設省意見を早急にまとめたいと思っております。
  11. 福岡義登

    福岡委員 さらに善処していただくように要望しておきたいと思います。  そこで、けさ新聞永大産業関連会社三信ハウス建材、三陽ハウジング、丸二商事の三社が行き詰まった、不渡りを出した、こう書いてあるのですが、永大産業関連企業現状といいますか動向について、わかっておれば御説明いただきたいと思います。
  12. 大富宏

    大富政府委員 私ども承知いたしております数字では、永大産業関係下請工務店約三百業者ございます。そこで、五〇%以上永大産業に依存している工務店が百二十業者あるということでございます。これらの下請工務店は非常に零細でございますが、これらが永大産業の業務不振に関連しまして事業経営支障を生じないように、また当該工務店による工事継続消費者保護という観点から非常に重要でございますので、これらの下請工務店に対します金融上の措置——政府系金融機関ございますけれども倒産関連の指定をするとかいうようなことで、ぜひそのまま事業継続されるような配慮をお願いいたしておるわけでございます。  さらに、先ほど大蔵省の方から御説明がありましたように、主取引銀行あたりにも、これに対する万全の措置をするように建設省もまた要請いたしているところでございます。
  13. 福岡義登

    福岡委員 努力の跡は理解できるのでありますが、先ほども言いましたように、きょうの新聞でも三社が行き詰まっておる。負債額も相当な額に上っておるわけでありますが、最近のそれらの動向あるいは更生開始決定が出るまでの見通しなどについても御説明をいただきたいと思います。
  14. 大富宏

    大富政府委員 いまお答えいたしましたが、けさ新聞に出ておりましたものも関連会社三十一社のうちの問題だと思いますけれども、これにつきましても、更生会社手続をしました二十日の段階におきまして、こういう事態のないように関係六省庁でそれぞれ情報を交換し合いながら、お互いに必要な措置をとるということを申し合わせている段階でございます。
  15. 福岡義登

    福岡委員 けさ新聞によりますと、三信ハウス建材の場合は八十億の負債だと言われておるわけであります。それから三陽ハウジングは五十億、丸二商事は二十億、いずれも大きな負債額でありまして、更生開始決定までにこういうものが続出いたしますと、せっかく更生開始決定されましても再建計画が非常に困難になるのではないかという点を心配いたしますので、万全を期していただきたい、こう要望しておきたいと思います。  もう一つ建設大臣にお伺いしたいのですが、管財人入江先生も特にこの点を心配されておりましたが、更生法申請をしたために官公需指名停止などが出ると、信用不安がさらに一層つのって、再建計画ができるものもできなくなるという非常に大きな心配があったのですが、再建計画ができ、将来の見通しがつくまでぜひそういうことのないように要望したいと思うのですが、いかがでしょうか。
  16. 大富宏

    大富政府委員 官公需関係では、宮城県の住宅供給公社等七件ございます。現在まで更生手続をとったがために契約を解除するとかいう事態は出ておりませんし、その他の機関におきましても指名停止等措置はとっていないようでございます。  私どもも各発注機関に対しまして、今後の進展を十分注意しなければいけないわけでございますけれども、一刻も早く永大産業更生手続で立ち直るように関係機関に呼びかけるつもりでございまして、その旨通達も出しております。
  17. 福岡義登

    福岡委員 次の質問に移りますが、既存建築物防災法についてであります。これは櫻内建設大臣御就任になる前、二代の建設大臣、ある意味では三代の建設大臣にわたると思うのでありますが、長い懸案の事項であります。集約的に次の国会にはぜひ政府提案をするというお話に、本委員会でも大臣が言明されておるわけでありますが、今日なおその法案提出を見ていないわけであります。早急に提案をしてもらいたいと思うのでありますが、どういうお考えでございましょうか。
  18. 救仁郷斉

    救仁郷政府委員 既存建築物避難施設整備促進に関する法律につきましては、先日、二月十日の当委員会において大臣からお答えいたしましたように、昨年の八月以来、当委員会のいろいろな御議論を踏まえまして、学識経験者関係行政機関関係業界代表から成る懇談会を持ちまして、技術基準助成の問題につきまして御検討をお願いしてきたところでございます。  その懇談会におきまして、現在までのところ、技術基準の基本的な考え方については、大体中間的な成案が得られたと私ども考えておりますが、現在、その技術基準をもとにケーススタディー等によって円滑な実施が可能かどうかという点を鋭意詰めているところでございます。また、助成の問題といたしまして、赤字企業に対しまして、どういう措置がとれるかというような残された問題を現在鋭意詰めているところでございます。したがいまして、建設省といたしましては、今国会法案提案するよう、最大限努力をいたしたいというように考えております。
  19. 福岡義登

    福岡委員 いままでこの法案提出できなかったという一つの理由に、消防法で定められましたスプリンクラー設置状況が予想よりも悪い、それらの推移も見守りながらということがあったと思うのでありますが、その後、スプリンクラー設置状況はどういうことになっておるでしょうか。
  20. 救仁郷斉

    救仁郷政府委員 私ども消防庁からお伺いしているところでは、昨年の三月いっぱいで期限の切れるものに関しまして、消防庁からは現在九〇%進捗中だというように聞いております。
  21. 福岡義登

    福岡委員 スプリンクラーが九〇%設置されたということになりますと、当時議論になりました一つの問題はおおむね解決をしたということだと思うのでありますが、あとは先ほどお話がありました技術基準の問題、これも一定の成案を得る段階になった、残る問題は、結局財政、金融という面からどういう手当てをしていくかということに尽きるんじゃないかと思います。したがって、問題の多くは煮詰まってきておるようにお伺いしますし、約束もあることでありますし、社会的責任も本委員会としては持っておるといっても過言ではないと思います。早急に出していただきたいと思いますが、聞くところによると、政府提案法案は三月の中旬を一応めどにしておる、こういうように聞くのでありますが、三月中旬ごろまでに提案できますか。
  22. 救仁郷斉

    救仁郷政府委員 そのように最大限努力をいたしたいというように考えております。
  23. 福岡義登

    福岡委員 最大限努力をしていただきました結果、どうもできなかったというのでは困りますので、ぜひ責任を持って提案していただくように、重ねて要望いたしまして、次の問題に移りたいと思います。  次の問題は、首都移転問題についてであります。  三全総で、御承知のように首都機能移転配置が、国土政策重要課題である、二十一世紀へ向かって国民的規模論議をしなければならない、こういう問題の提起があるわけであります。国土庁長官といたしまして、この首都移転問題についてどういうお考えを持っておられ、その後どういう対策を講じておられるのか、お伺いをしたいと思います。
  24. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 ただいま御質問の中にありましたように、三全総の中で首都移転の問題を取り上げておるわけであります。私もいまの東京都の状況からいたしまして、広く国民各層の御意見を得て、りっぱな首都移転という目的が果たせればというふうに考えておりまするが、これはそう簡単にはなかなかいけない問題ではないか。現に議論の中には、遷都論、分都論というようなこともございます。しかし、国民にとりましても、こういう大きな一つの理想とも言えるような論議が行われ、またそれが現実化する方向に行きますならば、一つの夢とも言うべきもの、そういうものの実現ということにもつながっていくわけでありまするから、私としても広く各階各層の御意見を徴しながらよき結論を得たいものだ、こういうふうに考えておるところでございます。
  25. 福岡義登

    福岡委員 私がお尋ねしておりますのは、国民的合意を得なければならぬ課題である、こういうことでございますので、今後、一体どういう取り組みをしていこうとしておられるのかということが一つ。  もう一つは、政府が具体的にいま首都問題についてどういう対応をしておられるのか、その辺を少し具体的に御説明をいただきたいと思っております。
  26. 国塚武平

    国塚政府委員 ただいま御質問の、現在この問題にどのように対処しているかという部分に関しまして、事務的にお答えをいたします。  国土庁大都市圏整備局におきまして、大都市圏整備推進経費の一部を用いまして、現在、首都機能移転可能性問題点効果等につきまして、基礎的な調査をいたしておる段階でございます。
  27. 福岡義登

    福岡委員 基礎的な調査は当然のことだと思うのでありますが、予算から見ますと、基礎的調査をそんなにできるような状態になっていないんですね。五十三年度予算で、大都市圏整備推進に必要な経費のうちで、首都機能適正配置に関する調査費といたしまして千百四十二万円しかない。一声かけたらこんなものはもうなくなってしまうので、基礎調査をやっておるにしては、少し予算も少ないじゃないか、こう思います。その辺、積極的な取り組みがないように思うのですが今後政府としてもひとつ積極的な取り組みをしていただきたいと思います。  そこで、大臣どうでしょうか、国民的合意国民的規模討論し、こうなっておるわけで、国民的討論の場をつくるべきである、こう私は思うのであります。その構成をどうするかというようなことは、いろいろ議論があると思うのですが、考え方としては、国民各階層からの代表に参加していただきまして、当分オープンの議論をしてみることも一つの方法ではないか、こう思うのですが、政府部内の基礎調査は、さっき申し上げましたようなことで、もう少し積極的にやってもらうことにいたしまして、問題は、国民的規模討論をする場をつくろうじゃないかという私の提案なんでありますが、いかがでございましょうか。
  28. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 金丸国務大臣のときであったと思うのでありますが、また、現に引き続きあると思うのですが、国会におきましては、与野党通じての懇談会をお願いしたように記憶しております。で、今後国民的合意を得るという上におきましては、そういう与野党を通じての懇談会も従来あるということになりますと、その方の御意向がどういうふうなことに進んでいくのか、これは私として一つの大きな関心事であるわけでございます。  一方におきまして、庁内においていま予算が少ないじゃないかと、こういうことでございましたが、基礎的調査も進みつつありまして、まあ仮に福岡委員のおっしゃるように、予算上欠くるところがありますれば、また事業調整費のようなものも使用は可能ではあろう、こう思っておるのでありまするから、私としては、その基礎調査の進み方と、それからできるだけ早い機会に与野党の皆さんの懇談会での御意向もちょうだいしながら、さらに一歩でも二歩でも前進してまいるのがいいんではないか、こういうふうに判断しておるわけであります。
  29. 福岡義登

    福岡委員 首都問題議員懇談会には、私も入っておる一人であります。何回か、たしか九回くらいいままで議論してきました。そこの意見を参考にされることは結構だと思うのでありますが、お願いしたいことは、やはり国土庁長官、これは一長官ということよりも、政府全体の問題だと思うのでありますが、問題提起がしてあるように、国民的討論をする場を、きょうここで具体的にどうこうというお話は聞こうとは思いませんが、将来の方向としてそういう土俵をつくっていただきたいということを強くお願いしたいと思うのですが、いかがでございましょうか。
  30. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 ただいま申し上げたように、庁内の方の準備状況、またせっかくある国会の皆さんの懇談会がどういうふうに御意向を示されるかということを、私としては参考にしなければならぬと思いますが、いま福岡委員のおっしゃる御趣旨につきましては、十分よく検討してみたいと思います。
  31. 福岡義登

    福岡委員 そこで委員長一つ提案でございますが、この首都移転問題は、ただ単に行政府だけの問題ではない、国会も重要な首都機能一つであります。国会としてこれらの議論をする場も必要であるように思います。しかし一これは建設委員会がとやかく言う筋合いの問題ではないのであります。しかし、国土庁は当委員会関係の庁であるということを考えますと、今後どういう方法で議論を進めていけばいいのか、その場所はどういうものが適当なのか、既存の常任委員会でいえばおそらくこれは内閣委員会というようなことになるかもしれませんが、内閣委員会だけでも機能は果たせないように思うのであります。やはり特別の何かを考えていく必要があるんじゃないか、そういうことについて、当委員会がある程度の議論をいたしまして、しかるべきところに提案をするというのが、これは一つの方法ではないか、そういうように提案をしたいと思うのでありますが、いかがでございましょうか。
  32. 伏木和雄

    伏木委員長 福岡委員からの貴重な御意見でございますので、理事会で十分協議をしていただいて、しかるべき方向を出してまいりたい、このように考えますので、御了承いただきたいと思います。
  33. 福岡義登

    福岡委員 次の質問に移りたいと思いますが、住宅行政の問題であります。結論から言いますと、住宅行政を一元化するべきではないかということなんであります。現在住宅行政がどういう状態になっているかということは、もう申し上げる必要もないと思うのでありますが、念のために申し上げますと、建設省建設行政の中心であることは間違いございません。そのほか労働省、厚生省、それぞれ一定の住宅行政をやっておられるわけであります。実施機関の方を見ますと住宅公団がある、あるいは住宅供給公社がある、それに地方公共団体がある、あるいは雇用促進事業団、住宅金融公庫、厚生年金事業団というようにいろいろ分かれておるのであります。まあそれぞれの目的あり、それぞれ特徴的な機能を持っておる点はわからぬわけでもないのでありますが、しかし、総合的な住宅政策を有効に進めるという観点に立ちますと、この現状に対しては少し検討を加える必要があるのではないか、こう思いますけれども、いかがでございましょうか。
  34. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 福岡委員のおっしゃったとおりに住宅行政が建設、厚生、労働の各省、あるいは実施機関としてお示しのような公団、公社、諸団体があるわけでございますが、現在住宅行政を進めていく上に基本的なものとしては、御承知住宅建設五カ年計画がございまして、これに組み入れて毎年度の事業計画や資金計画について関係各省も十分建設省と協議して行っておるわけであります。そういうことで、総合的な調整も図られてきておると思います。今後におきましても、関係省庁とそういう緊密な連絡の上に、この融資基準だとか、あるいはそのほかいろいろ各種条件もございましょう。それらの点について整合性をとりながら進めていきたい、こういうふうに考えております。まあ私から言えば、建設省が中心で五カ年計画でやっておるんだ、これでいける、こういう立場にございます。
  35. 福岡義登

    福岡委員 お話なんですが、少し遠慮をしていろいろ物を言っておられる筋もあるように思いますが、私の言っている意味は、当然この連絡調整をやっていただかなければならぬことはもちろんですが、三省庁に分かれて、しかもこれだけの実施機関をどっと持つことが適当なのかどうか、再検討をするべきだということを言っておるわけであります。  そこで、近く住宅基本法を提案される、その中でいろいろ議論を私どももしたいと思っておりますが、方向としては、建設大臣、どうでしょうか、やはりこれらの住宅行政というのは一元化されるべきである。社会党が出しております住宅保障法はごらんになっていただいておると思うのでありますが、たとえば住宅省というようなものを考えて、総合的に住宅行政を進めていく、こういう提案をしておるのでありますが、住宅省がいいか悪いかという議論は別でありますけれども住宅行政を一元化していくということは絶対に必要なのではないか、こう思いますが、重ねて御見解をお伺いをしたいと思います。
  36. 救仁郷斉

    救仁郷政府委員 私ども住宅政策につきましては、これは当然一元化して日本の国全体の住宅政策として確立する必要があるというように考えております。そして、それを実施する機関としてどういう機関があったらいいか、これを一元化することが果たして国民のためになるのかどうかという問題は、これは別問題であろうというように判断しております。それからもう一つは、国民の側にとりましたときに、窓口の問題がございます。これは非常に広くいろいろ分かれておりますと国民が理解しがたい、どこに相談に行っていいかわからない、そういう問題がございます。したがいまして、私どもは政策は一元化すべきだ、それから窓口も極力国民の理解しやすい形に一本化といいますか、一元化といいますか、単純化すべきだというように考えております。  ただ、その実施機関としてはそれぞれの立場、それぞれの要望、機能というものがございますので、これはこれからの住宅政策の中で、社会情勢の変化等を踏まえて当然調整を図っていかなければならぬことは言うまでもございませんが、必ずしもこれを一元化するという方向は必要ではないのではないかというように考えております。
  37. 福岡義登

    福岡委員 本格的には住宅基本法が出たところで議論をさせていただきたいと思うのですが、いま救仁郷局長のおっしゃったことでは少しわれわれ異論があるのであります。たとえば厚生年金の還元融資承知しておる国民がどのくらいおるか、住宅金融公庫というのは、子供は別でしょうが、国民の大部分の人は住宅資金を借りようとすれば住宅金融公庫とすぐ理解できるのでありますが、わからぬ。あるいは雇用促進事業団が一定の役割りを果たしておることも私は否定できませんが、では国民的にどれだけ理解がいっておるかということはわからない。無知のために利用できない人も相当あるのではないか、こう思うのです。  実施機関を別々に持たなくても、一つ機関が持っておって、その中がいろいろ選択できるように制度を持っておればいいのであって、実施機関を別々に持たなければならぬという、そういう意見には賛成しかねるのでありますが、いずれ申し上げましたように住宅基本法がこの秋ごろには出されるということでありますから、そのときに議論させていただくことにいたしまして、当面は住宅行政を一元化していただくように強く要望する程度にとどめておきたいと思います。  そこで、問題になりました住宅公団の家賃問題でありますが、今回の値上げ措置をされたことについては多くの議論がなされまして、そして結論が出たことでありますから、ここでは重ねて取り上げないのでありますが、一般論でひとつ将来の改善を求めながらお尋ねをしていきたいと思うのであります。  住宅公団からいただきました資料によりますと、現在の家賃構成はこういうことになっておるわけであります。これは原価家賃で算定されておるのでありますが、六万六千七百円、これは傾斜減額ずっとやっておりますから、その中身はいろいろあるのでありますが、六万六千七百円の原価家賃の構成を見ますと、建設費、いわゆる償却費が三万一千五十円、構成比は四六・五%であります。これは建設費に対する利子なんです。それから地代相当額、これも利子なのでありますが、一万三千三百二円で、一九・九%であります。その合計の五二・八%が利子相当分であります。しかも、地代相当額の中には、例の問題になりました公益公共施設負担分がおおむね七%程度入っておる、こういうことでございます。それから修繕費八千四百五十六円で一二・七%、管理事務費が三千六十三円、構成比が四・六%、損害保険料が三百七十八円で〇・六%、公租公課が九千八百六円、構成比が一四・七%、引当金が六百四十五円、こうなっておるのであります。  申し上げましたように、利子相当分が構成比の五二・八%にもなっておるわけであります。これは回収コストが五%で計算されておるようでありますが、このままでずっと将来公団家賃をやっていくということになりますと大きな問題がある。つまり、高いということだけは免れることができないのではないか。抜本的な対策を必要とする政策家賃——原価主義ではやっていけないのではないか、政策家賃の導入をしなければならぬのじゃないか、こう思いますが、いかがでしょうか。
  38. 救仁郷斉

    救仁郷政府委員 先生指摘の家賃の中に占める金利の分が約五三%になっていることは事実でございます。しかしこのことは、金利が多いではないかというよりも、むしろ金利以外の部分、たとえば償却費、元本の償却費でございますが、これを七十年に延長しております。そういった関係で、金利分が多いということは、むしろそれだけ安い家賃の住宅を供給しようという努力の結果だ、私どもはそういうふうに御理解いただきたいというように考えておるわけでございます。しかし、そういった国の利子補給金を入れながらそして五%ないし四・五%という低金利の回収コストで入れながら、ただいま先生おっしゃいました原価家賃で六万六千円というような原価家賃になることも事実でございます。これがやはり現在の国民の所得水準から見てどうかというような問題もあることは事実でございます。  そういった意味で、私どもは、原価家賃というものでこのままずっといけるのかどうかということに関しましては、先日来お話ししてございますように、特に公共の住宅の家賃体系、これは民間も含めなければならない問題でございますが、これからの家賃体系というのはどういう形であるべきかというようなことを現在住宅宅地審議会でも御検討願っているところでございまして、私どももそういった将来の家賃体系というもののコンセンサスを得るように、最大限努力をいたしたいというように考えておる次第でございます。
  39. 福岡義登

    福岡委員 今度公共公益施設の予算が三百億計上されておるのでありますが、さっき言いましたように、地代相当額一万三千三百二円の中に約七%程度の公共公益施設の利子の分が含まれておる、約千円、今度この三百億円が支出されることによって、これはここに影響が出てくるはずなのでありますが、どのくらいの試算をされておるでしょうか。
  40. 救仁郷斉

    救仁郷政府委員 今度の関連公共施設の補助金につきましては、個々具体の団地につきまして個別に当然違うわけでございまして、私どもいろいろなケーススタディーをやっておりますが、公団住宅に例をとりますと、おおむね宅地のコストの五%から一五%くらい軽減になるのではないかというように考えております。したがいまして、仮に平均して一〇%という大ざっぱな計算でいたしますと、五十三年度事業開始するような団地につきまして試算いたしますと、大体三千五百円程度の家賃の軽減に当たるのではないかというように考えております。
  41. 福岡義登

    福岡委員 公共公益問題はそれでわかりましたが、建設大臣どうでしょうか、お聞きのように原価主義でやっていけば相当の家賃になる。いま申し上げました例は、六万六千七百円の家賃であります。それも住宅基本法の提案を待って、そこで議論していきたいと思いますけれども考え方としてはもう原価主義をやめて、政策家賃に切りかえていく、家賃も所得の一定限度に抑える、そういう方向に政策を転換していく必要があると思うのですが、いかがでしょうか。
  42. 救仁郷斉

    救仁郷政府委員 所得に応じまして家賃を負担するというような考え方、これは先生の御指摘のとおりでございますし、また五十年八月の住宅宅地審議会の答申でも、基本的な将来の方向として、応能家賃というような考え方が示されているわけでございます。  私ども考え方としては、少なくとも公共住宅、特に中低所得層に対する家賃政策としては、そういう考え方が正しいのではないか、ただ、実務的にそういったものが具体的にどういった形でできるかどうかというような検討は必要だと思いますが、基本的な考え方はそういう方向であるべきだというように理解しております。
  43. 福岡義登

    福岡委員 次の質問に移りたいと思いますが、土地問題でございます。  現在、公有地拡大法が制定されておることは御承知のとおりであります。ここに具体的な資料を持ってきていないのですが、公有地拡大法に基づいて先買い権を行使されておる実績というのはそんなにたくさんない。いろいろな制約要素がある、こう思うのですが、当面、この公有地拡大法を手直しをいたしまして、もう少し地方公共団体などが用地獲得に便利になるようにする必要があると思いますが、どうでしょうか。
  44. 大富宏

    大富政府委員 現在公有地拡大法、四十七年の十二月から施行になっているわけでございますが、現在までにこれに基づきまして先買いした面積が二千ヘクタール、投資した金額が二千六百億ということになってございます。  御案内のとおり、この公有地拡大法で先買いをする土地は、都市計画施設用地、それから収用事業対象用地、それから、それらの公共事業に伴って代替地が必要になりますが、そういうものに使途は限られているわけでございます。そこで、極力財政事情が許す限りは、いずれそういう公共事業用地になるものは、やはり用地買収というのは非常に時間がかかるむずかしい問題でございますから、あらかじめ押さえておくに越したことはないと思いますけれども、御提案のように、現在はこういう使途というものを限られたものについてだけそういう財政支出をすることになっているものですから、将来何に使うかわからないという使途目的のないものにまでこれを拡大するのは、ちょっとむずかしかろうと思っております。
  45. 福岡義登

    福岡委員 そこで、建設大臣にお伺いしたいんですが、最近土地に対する価値観の転換というものが各方面から提唱されておるわけであります。将来のあり方としては、やはり土地の取引というものを現行のまま放置しておいてよいということはないと思うのであります。しぼっていえば、幾つかの過程を経なければなりませんが、土地の取引は公的機関を通じてやるという方向に向かって努力をしていくべきだ、こう思いますが、いかがでしょうか。
  46. 山岡一男

    ○山岡政府委員 先生提案の、公的取引によりまして原則的に土地の売買をすべきではないかという御提案でございますが、現在のところ、先ほど申されました公有地拡大の方法によりまして、公的なものが民間を買うというのは、届け出制とリンクをしてすでに制度がございます。その資金の充実を図っていくことがその方向に沿うものだと思っております。  あと一般の民間取引につきましては、すべての売買を公的機関がやったらどうかという御提案もあったわけでございますが、現在、これはどうも建設大臣の監督のもとでございますけれども、宅地建物取引業法が施行されておりまして、年間二百五十万件にわたる取引につきまして、約九万人に及ぶ取引業者がおりまして、その適正な執行を監督するということで、十分公正取引の目的は達せられるというように考えております。  なお、投機的な取引の排除と地価の安定を図るということで、私ども所管いたしております国土利用計画法によりまして、一定面積以上のものにつきましては、届け出制を現在義務づけております。これはどちらかといいますと、価格及び利用目的等にまで介入するものでございます。公的介入が十分行われているということでございまして、土地取引の適正化に対しても十分機能しておるとわれわれ考えております。  なお、これは余談でございますけれども、やはり同じような問題につきまして、現在、国土総合開発対策室でいろいろと議論されております。その場合にもすべての公的機関による土地取引ということの制度が検討されましたけれども、やはり事実上無理ではないかということでございまして、相当な例外を設け、さらに努力義務ということで、新しい公的機関にその任務を負わせたというのが現状のようでございます。  なお、その点につきまして、いままでの諸制度等につきましても、もちろんいろいろな問題があろうかと思いますので、十分検討を加えてまいりたいと考えております。
  47. 福岡義登

    福岡委員 土地にはいろいろな権利が絡んでおりますから、そう簡単にできるとは思いませんけれども、遠い将来の大目標は公的取引という方向に行く以外にない、さっきも言いましたように、土地に対する価値観を、各方面から転換するべきであるという提唱もなされておる時期でございますから、遠い将来、そう何十年と限定することはできませんが、できるだけ早い機会に到達する目標としては、そういう公的取引の方向に逐次移動させていくということが必要であると私は思いますが、その論争はこの程度にしますけれども先ほど大富局長が言われました公有地拡大法でありますが、話の内容は私もよく理解できるのですけれども、さりとて現行法のままで十分であるというようにも思わないわけであります。二、三私ども意見を持っておりますが、やはり再検討をする必要がある、こういうように思います。  それから、いま山岡局長がおっしゃいました国土利用計画法でありますが、届け出制は、お話のように一定規模以上は届け出になっておるわけでありますが、問題は、規制区域の指定はまだ全然やっていない。これは地価が急激に上昇する地域というようになっておるのでありますが、私ども考えまして、地価がここ上昇機運に入っておる、あるいはインターチェンジなどの周辺は相当上がっておるところもあるわけでありまして、全国にいままで規制区域の指定が一つもないというのはどうも理解できないのでありますけれども、これは土地取引の許可制なんでありまして、国土利用計画法では一番強いところなんであります。その辺についてもう少しお考えを聞かせていただきたいと思います。
  48. 山岡一男

    ○山岡政府委員 先生お話のとおり、規制区域につきましては、現在まで一件も指定をいたしておりません。ただ、指定の要件といたしまして、都市計画区域におきましては、その全部または一部の区域で、土地の投機的取引が集中して行われる、もしくは地価が急激に上昇するというようなことが指定の要件になっております。現在までのところ、規制区域の指定につきましては、原則として市町村単位くらいが最小ではないか、あるエリアをもってそういう状況をつくる場合を想定いたしております。  それから、さらに地価の高騰と言います場合にも、政令でいろいろと決めておりまして、やはり消費者物価と卸売物価の中の建設資材関係を抜き出しました諸統計等の指数から見まして、それを相当超えるというような場合には、将来許可をしないということを半面決めておりますので、その半面から見まして、そのあたりが指定の目安になるだろうと考えておりますが、そういうものが現在どういうところで起こるかということで、法施行以来、規制区域指定事前調査というのをずっとやっておるわけでございます。現在までのところ、引き続きやっておりますが、まだまだその状況になるものはないというふうに判断をしておりまして、今後もその調査につきましては、そういう点を十分肝に銘じながら監視を続けて、必要があれば規制区域の指定を行うという方針でございます。
  49. 福岡義登

    福岡委員 市街化区域内の農地についてお尋ねをしたいのでありますが、御承知のように、三大都市圏で、A農地、B農地に宅地並み課税を課しておる、大きな矛盾がここの中にあると思うのでありますが、幾ら市街化区域の中でありましても、将来にわたって農業をしていこうという農地に宅地並み課税をすることは間違いである、しかし、近い将来にそれを地目を変更いたしまして宅地にする、地価の上昇を待っておるというようなものに対しては、宅地並み課税をするのは当然だと思うのであります。  そこで、一つ提案じみたことを申し上げるのでありますが、相続税では、御案内のように、二十年間以上引き続いて農業をする場合には、相続税を免除しておるわけであります。ただし、途中で農業をやめて宅地などに地目変更をいたしたり、売ったりいたしますと、相続の事由が発生したときにさかのぼって相続税を取る、こういう制度になっておることは御承知のとおりであります。そこで、この市街化区域内の農地について、いま宅地並み課税をされておるものについてなんでありますが、あなたはこの農地で将来にわたって農業を継続をされる意思がありますか、あるいはないのですかという意思確認をいたしまして、引き続き農業をやっていくというものについては宅地並み課税をはずしていく、そうでないものについては、宅地並み課税はもちろんですが、それ以上のことも考えていく必要があるんではないか、もし調査段階で、引き続き農業をやっていくという意思表示をした人が、途中でもしそれを中断した場合、そういう場合には、さかのぼって一定の課税をするというような、この農地の相続税に準じたような措置をとることが、課税上も公平が期されるし、宅地供給という側面からも一つの効果があるように思うのですが、この問題について検討される御意思がありましょうか、どうでしょうか。
  50. 山岡一男

    ○山岡政府委員 先生御案内のとおり、市街化区域内の農地につきまして、A農地、B農地、いわゆるA、Bにつきましては、現在までに課税の適正化の措置がすでに講ぜられております。C農地につきましては、これは法律の附則で定めておりまして、昭和五十四年度までにその対策を決めるというようなことが決められております。それを含めまして、五十四年度までに、そういうものにつきましての全体的な検討をなさなければならないという時期は来ていると思います。これにつきましては、関係省問で十分協議を要する事項であろうかと思っております。  現在のところでは、A、B農地のそういう課税の適正化が図られておりますものの中でも、減額対象農地ということで、引き続き三年以上農地として保全をするというものにつきまして、適当であると認められたものにつきましては減額措置がとられておるというのが実情でございますが、その点につきまして、先生、おっしゃいますように、長期にわたるものにつきまして、それを市街化区域内にそのまま農地としておくのがいいのかどうか、これはやはり課税の問題のみではなくて、土地利用のあり方についても問題があろうかと思います。関係省庁問で十分協議、検討してまいりたいと考えておる次第でございます。
  51. 福岡義登

    福岡委員 土地制度のあり方について、先ほど私の意見を交えながら御質問したのですが、そのときのお答えといまのお答えと少しずれがあるように思いますけれども、将来、私が申し上げましたように、公的取引ということになってまいりますと、一定の方向が出てくるように思いますが、いま山岡局長がおっしゃいましたのは、市街化区域内にそういう農地があっていいかどうか、国土利用の立場から考えると問題があるというようなニュアンスでございます。それはそれといたしまして、申し上げましたように、私は、課税の公平を期すという側面と、宅地供給を促進するという側面と、両面からこの農地の宅地並み課税については、先ほど一つの相続税の例を出して御質問したのでありますが、検討する段階にきておると思うのですが、重ねてひとつお尋ねしたいと思います。
  52. 山岡一男

    ○山岡政府委員 先ほどの答弁の中で、土地利用と申し上げましたのは、都市計画上の運用上というつもりでございました。関係省庁間で十分に協議をしたいというわけでございます。  それから、検討すべき時期に来たと私も思うと先ほど申し上げたわけでございますけれども、やはり附則にございますように、C農地の取り扱い等につきまして、五十四年度から明らかにすべきであるということが法律上で義務づけられておりますし、さらにいわゆるあめ法によります市街化区域内のA、B農地に対するような特例等も本年度で切れるというようなことでございます。さらに、固定資産税の再評価の年も来年だ。いろいろな意味で、総合的に検討すべき時期は来ておるんじゃあるまいかと思っておるわけでございます。
  53. 福岡義登

    福岡委員 二、三具体的な意見も用意をしておるのでありますが、それは別の機会に譲るといたしまして、重ねて市街化区域内の農地について検討をし、一定の方向を出していただくように強く要望をしておきたいと思います。  それから次は、この行政財産のうち、非効率使用あるいは遊休地というようなものについての対策についてであります。  非常に地価が上昇し、住宅対策上困っておるというのは、もう説明を申し上げるまでもないことで、大蔵省から資料をいただきましたものによりますと、三大都市圏に所在する非効率使用等——等というのは、未利用地が入っておるという意味だと思いますが、行政財産、土地なんでありますが、この状況であります。  首都圏におきまして、十八万一千平米、近畿圏におきまして四万六千平米、中部圏で二万八千平米、合計いたしますと、二十五万五千平米あると、こう言われるわけであります。これを個々に現地調査をしたわけではございませんので、一律に論ずることは適当でないと思いますけれども、この二十五万五千平米のうち、規模からいえばそう大きい規模ではございませんが、しかし七、八万坪の土地があるということでありますから、これを住宅政策上有効に使うということも一つ課題じゃないかと思います。個所数にいたしますと、庁舎等の未利用地というか、非効率使用の件数は十五であります。宿舎の関係で九十一件と、こういうことになって、合計百六件と、こうなっております。  そういう内容でございますが、これは四十八年の五月一日の資料のようでありますけれども、いずれにしても、申し上げましたように、二十五万五千平米あることだけは間違いない。その後どういう変化があったかわかりませんが、住宅公団が家を建てるにいたしましても、あるいは公共住宅を建てるにいたしましても、この土地が一部でも有効に使われれば、住宅対策上非常に有効ではないか、こう思いますが、この非効率使用等の現状と今後の対策といいますか、私の意見を申し上げたのですが、その辺についてお答えをいただきたいと思います。
  54. 秋山雅保

    ○秋山説明員 ただいま御指摘がございました非効率使用と認められる土地等につきましては、私どもといたしましては、庁舎等の集約立体化あるいは移転、再配置ということによりまして土地利用の効率化を図っているわけでございます。このような措置をとることによりましてほかの用途に転用可能になる、こういう土地が出てくるわけでございます。こういう土地につきましては公用、公共用の用途に充てる、これは最優先にしているわけですが、その土地が住宅に向くということであるならば、そのような方向で処理する、これは従来からの方針でございます。今後もそのような方針を維持していきたい、かように考えておる次第でございます。
  55. 福岡義登

    福岡委員 方針どおりにいってないのではないかという実情があるように思うのであります。非効率あるいは未利用というように内容が分かれておるのでありますが、たとえば千葉大学の生物活性研究所、これは二万三千平米ある。あるいは神奈川県の横浜検疫所長浜措置場でございますか、二万九千平米ある。それから大阪の刑務所の西宿舎に一万六千平米ある。あるいは埼玉県の公害資源研究所、これは川口でありますが、八千平米ある。千葉の放射線医学総合研究所穴川宿舎ですか、これは七千平米ある。いずれも勘で言いますと住宅宅地に使える地域にある、通勤その他から考えましてもいいところではないか、こう思うのですが、いま大蔵省の秋山さんから御説明いただきましたけれども、宅地に転用できるようなところは積極的に転用するようにやってきた、こうおっしゃいますが、また今後もやっていこうと思う、こういうお話でございますけれども、いま申し上げましたような、これらは宅地に適当でない場所である、こういう判断で残っておるのかどうか、中身の全部について御説明をいただく時間はございませんが、二十五万五千平米の中に相当宅地にできるところがある、こう思うのですが、こういうものが残っておるのはどういうことなのか、これはだめなのか、その辺の実態はどうでございましょうか。
  56. 秋山雅保

    ○秋山説明員 一般論としてまず申し上げますと、それぞれの土地につきましてはそれぞれの官庁が所管しているわけでございます。その官庁におきまして、現状におきましては非効率あるいは未使用という状態でございますけれども、近い将来何か別な用途に転用する、こういう計画があるところが多うございます。  たとえば一つの例でございますけれども、御指摘がございました放射線医学総合研究所の穴川宿舎、これは千葉にございますけれども、ここには老朽した建物が現在建っております。したがいまして老朽した建物が点々とあるというような非常にむだな使い方だから、ちゃんとした建物をつくったらどうかということを私ども申し上げておるわけでございます。それに対しまして向こうの返事といたしまして、なるほどそのとおりである、だけれども、現在は進入路が狭いということと排水処理の点で何か直すといいますか、市の方と交渉しなければならぬ問題があるとかいうことで、いますぐには直せないのだ、こういうような話でございます。たとえば、そういうぐあいにすぐに直せないというふうな事情もございますので、なお鋭意各省と詰めて御趣旨に沿うようにしたい、かように考えておる次第でございます。
  57. 福岡義登

    福岡委員 個々に言えばおっしゃったような事情があると思うのですが、私がお尋ねをしておるのは、二十五万五千平米の中に住宅用に提供する土地は全然ないのか、いままでできるところは積極的に転用するように努めてきた、将来もそういう考えである、こうおっしゃるから、それでは二十五万五千平米の中にそういうものは全然ございませんか、こういうお尋ねなのでございます。  合計百六件ですか、これが全部適当だとは私ども考えませんが、ある程度この中にあるという判断をするわけであります。大阪の刑務所の西宿舎なんかは、いまから宿舎を建てるといっても、高層化していって空間がふえる分でも減るというようなことはない、有効に使おうとすれば使う方法があるのではないかという気がいたしますが、個々の問題よりも二十五万五千平米の中に住宅用に提供する土地はないのかどうか、あるならばそれを促進していただきたい、こういう御質問でございます。  どうも心配になりますのは、各省庁は少しでも土地をたくさん持っておきたい、手放したくないというなわ張り意識があると思うのであります。私がその省におる場合でもそういうあれが働くと思うのですが、しかし、ここはひとつ総合的に、建設大臣どうでしょうか、閣議あたりで、そういう行政財産の非効率あるいは未利用地があるとすれば、それを精査してそして積極的に住宅用の宅地として、公共住宅なり公団住宅なり建設用に提供するというように促進をしていただきたいと思いますが、いかがですか。
  58. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 三大都圏の非効率、未利用地のことについてのいろいろお尋ねでございまして、御意見はしかと承りました。これは私は行政管理庁にも相談して、そして極力有効に使うようにするがよろしい。そういうことでもなければ、ただ各省庁の問での話ではこれは進まないのではないか。もう一つ高度の立場でやらなければならない。せっかく行政管理庁もございますので、御意見を参考にして相談をしてみたい、こう思います。
  59. 福岡義登

    福岡委員 早急に対処していただきたいことを要望いたしまして、次の質問に移りたいと思います。  地価公示価格と課税基準についてであります。相続税、贈与税の課税基準となります路線最高価格、それから固定資産税の課税基準となる固定資産評価額、各地域でそれぞれやっておられるわけでありますが、これと地価公示価格の関係でございます。もちろん地価公示価格というのは公共工事をやる場合の用地買収の基準になる価格であるし、あるいは土地の取引の基準となる価格である。そういう目的で地価公示制度があることはもう百も承知いたしております。それから最高路線価あるいは固定資産評価がそれぞれ課税の目的で評価されておることも十分理解するわけであります。  したがって、私がここで問題にしようと思いますのは、それらが同一の評価額でなければならぬ、こういうことを言おうとしておるのではないのであります。問題は均衡がとれておるかどうかという点なのであります。大蔵省、自治省、それに国土庁、それぞれから資料をもらいましたものをグラフに引いてみました。そうすると非常に多くのばらつきがある。というのは、評価基準というものが全然異なっておるのではないか。ここへ比較しておりますのは、各都道府県の県庁所在地の同一地点もしくは最も近い地域というもので比較をしてもらっておるのでありますが、極端に差がありますのは、神戸それから札幌、仙台、岡山、松山、浦和、高松、金沢、富山、和歌山、那覇、福島、山形、こういうところが非常に格差があるわけであります。  言葉で説明するよりもひとつこのグラフを見ていただきたいと思うのでありますが——ちょっと大臣それを見ていただきたいのですが、一番上に書いてありますのが地価公示価格であります。その次に空色で書いてありますのが最高路線価であります。それから一番下に黒で書いてありますのが固定資産評価額であります。実線と点線は、実線の方は五十一年、点線の方が五十二年であります。  ごらんになればわかりますように、相続税と固定資産税の関係は、ばらつきがあるにいたしましてもそんなにないのであります。しかし相当あるところもあります。ところが、地価公示とそれらの課税基準になる評価額と比較をいたしますと、読み上げました地点で相当大きな差があるわけであります。国民の側からいたしますと、同じ物件に対しまして国が行う評価が違うということは、やはり行政不信、ひいては政治不信にもつながりかねないと思うのであります。  そこで、初めにも申し上げましたように、地価公示あるいは課税基準、それぞれの目的があって、私は評価額が同一でなければならぬという議論をしようとしているのではないのでありまして、問題は、傾向が同じでなければならぬ、地価公示を一〇〇にいたしますと相続税の評価は八〇%でいい、あるいは固定資産は七〇でいい、そういうように並行して均衡がとれておれば議論はないのでありますが、グラフをお見せいたしましたように相当大きな差がある。これはそれぞれ目的が違うのだからというだけで国民は納得しないのじゃないか、こう思いますが、まずそういう実態についてどういうようにお考えになるか、お聞かせいただきたいと思います。
  60. 山岡一男

    ○山岡政府委員 先生おっしゃいますとおり、公示価格とそれから相続税の最高路線価、固定資産税の最高路線価、私の方でも一遍グラフに落として見ております。確かに相続税の最高路線価の方と固定資産税の最高路線価はおおむね径庭を一にしておりますけれども、地価公示にはばらつきがございます。その点でございますけれども、相続税及び固定資産税評価の路線につきましては、ただいま先生おっしゃいましたとおりそういう税をかける場合の課税標準というものでございまして、それぞれ国税庁、自治省におきまして土地評価審議会、中央固定資産評価審議会等に諮問の上御決定になるものでございます。  その変動の状況でございますけれども、私どもも、そういう地価公示標準地とそれらのところでお選びになりましたものとおおむね場所が近いものにつきましては、比べてみますとおおむね公示価格の五割から六割の問、五十何%というところにほとんどが落ちついております。それ以外の先ほど先生おっしゃいましたような著しく離れているようなものがございます。私、見ましたところ、特に離れているのが浦和等でございましたけれども、これについては現地の標準地と実際のものをちょっと比べてみてもらいましたけれども、相当位置が離れております。  それからなお、そういうようなことから聞きますと、そういうような著しく標準地とお選びになります路線価の地点が異なる場合にも、それぞれのところではやはり公示価格とのバランスを考えながら御決定になっておるというふうに聞いておるわけでございます。なお、細目について個別にもう一遍検討する必要があると思いますけれども、おおむね五、六割という線で落ちついておるというようにわれわれは考えております。  ちなみに、これは国税庁等から御説明があろうかと思いますけれども、四十七年——四十九年に一回地価公示が非常に上がっております。三〇%とか三十何%という上昇があったわけでございますけれども、その際、やはり課税の基準ということでございまして、十分その値上がりといいますか、上昇分を課税標準の方ではお取り入れになりにくかったという事情がございます。その後五十年、五十一年におきましては当時の地価情勢等を勘案されまして据え置かれております。したがいまして地域によりましては地価水準にだんだんアンバランスが出そうだということでございまして、昨年に引き続き微調整を行われたというふうにわれわれは存じておる次第でございます。
  61. 福岡義登

    福岡委員 地点が異なるというお話ですが、私も断りましたように、すべて同一地点での比較ではないということは承知しておるのですが、しかしそんなに離れておるところはないと思うのであります。仮に地点が異なっておるから評価額に差が出るということになるといたしましても、発表されるところは県庁所在地の一番高いところというような認識を、新聞も書くわけですから、国民がそうとることも当然なんであります。そうすると国民の側からいたしますと、どうして同じ国がやるのにこうまで違うのか。さっきおっしゃいましたが、発表された数字だけでいきますと、固定資産税の場合地価公示価格に対しまして最低は二八%なんですね。これは那覇です。最高は八四%の千葉です。これは最低と最高をとったから差もひどいのですが、大体どの辺に入っておるかといいますと、四〇%から六〇%の間に四十七都道府県のうち三十都道府県が入っておるわけですね。しかしその最低と最高の幅を見れば、最低の那覇の二八%、最高の千葉の八四%、こうなっておるわけであります。余り差がひど過ぎるではないか。  それから最高路線価でありますが、地価公示に対しまして最低は那覇、福島が同じでありますけれども、四八%であります。最高はやはり千葉で八四%になっておるわけであります。  こう考えてまいりますと、地点が違ってこういう差が出てくるにいたしましても、国民の側から見ると、そこまでは理解できない。それならやり方を変えて、せめて地点調整くらいやったらどうか。公表する場合の地点調整ですね。バランスがとれておれば、それで一般にも理解できるのではないか。今後のやり方について少し工夫をする必要があるんじゃないかという気もいたしますが、どうでしょうか。
  62. 山岡一男

    ○山岡政府委員 公的土地の評価体系につきましてできる限り一本化すべきだというのは、われわれもそういう方向であるべきだと考えております。四十八年にも地価対策閣僚協議会がございまして、公示価格との関連において公的土地評価の適正化と一本化を図ることを検討したらどうかというふうに示されております。  現在のところわれわれといたしましては、全国に一万六千地点とっております地価公示がやはりそういうものの基準になるものだというふうに思っております。しかし先ほど先生の申されましたように、やはり課税の特殊な点がございまして、いまだ一本化に至らないというのが実情でございますが、いずれにいたしましても、地価公示価格を基準といたしましてそういうものが行われているということに対しまして、今後われわれも一層努力をいたしたいと考えております。  それからその点につきまして、やはり現在も、若干でございますけれども予算をとりまして関係省庁間で研究会をつくっておりまして、現在鋭意検討を進めておるというのが実情でございます。
  63. 福岡義登

    福岡委員 以上で終わります。
  64. 伏木和雄

    伏木委員長 関連質問の申し出がありますので、これを許します。土井たか子君。
  65. 土井たか子

    ○土井委員 建設省のお考えになっていらっしゃる大阪市周辺等幹線道路網整備計画の一環として大阪湾岸道路という問題がございますが、昨年発表されました「大阪湾岸道路調査概要」という資料によりますと、「大阪湾沿岸部に沿って、神戸市垂水区から阪神間、大阪市南港及び南大阪臨海部の各埋立地を経て泉佐野市に至る約八十キロメートルにおよぶ道路である。」こう書いてございます。この大阪湾岸道路について、まず完成時期はいつくらいに考えていま調査をお進めになっていらっしゃるのか、この点はいかがでございますか。
  66. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 御指摘の大阪湾岸道路でございますが、お話にありましたように、全体の延長が神戸市垂水から大阪府の泉佐野までの八十キロのかなり長い膨大な事業でございまして、総事業費も全体としては一兆円を超える事業考えております。  現在いろいろ中身を詰めておるわけでございますが、そのうち中央部の大阪市の港区の港晴地区から大阪府堺市出島西町までの間の十二キロがいま阪神高速道路公団で大阪湾岸線として事業化されておるわけでございまして、これは比較的早くできる。現在までに大体六百億ぐらいの投資をいたしておりまして、これは現在鋭意その完成を急いでおるわけでございますので、大体いまの目標では、この区間につきましては、昭和五十六年度完成を目途に鋭意やっているわけでございまして、それ以外の区間につきましては、御承知のようなまだ都市計画が未決定の区間が大部分でございまして、しかも沈埋あるいは非常に大規模な橋梁計画も中に含まれるわけでございまして、いろいろ臨海部の航路の問題とかあるいはランプの位置とか、そういうものを十分検討した上で都市計画決定をして着工するという手順になりますし、一兆円を超える事業でございますので、いまのところ、いつまでという見通しはちょっとつけておりません。
  67. 土井たか子

    ○土井委員 四十三年度から調査を始められて、五十二年度までの調査として約十二億七千万円の費用がこれに投入されているわけでありますが、五十三年度についてはこの点はどういうふうになっておりますか。
  68. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 調査費につきましては、御指摘のように四十三年から五十一年までの間に約十億の調査費をかけております。それから五十二年度が約三億、二億九千万ということでございまして、五十三年度といたしましては、先ほど申しました臨海部のいろいろな航路関係あるいは橋の計画等をやることになるわけでございますので、大体前年度と同額程度の事業規模になろうかと考えております。
  69. 土井たか子

    ○土井委員 先ほど御答弁をいただきました南行きのルートについては比較的早くこれに対しての建設が現に進められつつあるわけでございますが、この道路を建設する場合の中心と申しますか、いわば大変な幹線という意味を持っております西向きルートですね。この中で特に神戸港の六甲アイランドと大阪の港区を結ぶ距離にいたしますと約二十・五キロくらいになりますか、この間のルートの原案がやがて示されるということが年頭早々から聞かれております。当初の計画からすると、三月末くらいに各関係自治体にルート原案というものが示されるのではないかという予想が公表されていたわけでありますが、この点は少し延引しているのではないかと思いますが、その間の事情はいかがでございますか。
  70. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 御指摘の区間は、いま阪神高速道路公団でやっております区域の以北、神戸の六甲アイランドに至る問でございますが、この間はこれから都市計画決定をしなければならぬわけでございますが、いずれにいたしましても、これは内陸部の交通混雑の非常に著しい区間でありまして、早期に都市計画決定をして、必要な区間からその整備を図っていきたいというふうには考えておるわけでございます。  しかし、御承知のように、臨海部の幹線道路計画というのは非常にむずかしい問題が含まれておりまして、先ほど申し上げましたように、臨港部の埋め立て地域に取りつけるランプの問題とか、それから航路に対するクリアランスの問題、橋の場合にはその橋の高さ、それからそれが取りつけ一の関係で非常に困難な場合には沈埋にするという計画も当然含まれるわけでございます。そんなようなことを、いろいろ計画の中身として複雑なものを解決しながら、いま鋭意調査を進めておるわけでございます。  また、港湾計画との調整等関係機関との協議を重ねまして、今年度末には都市計画決定に必要な計画原案という形で取りまとめたいというふうに考えているわけでありまして、この原案がまとまりますれば、関係地方公共団体に提示をいたしたい。しかし、おっしゃるように、ちょっと計画調整になお時間を要する面もありまして、若干これよりもおくれるのではないかという見込みでございまして、事業化につきましては、埋立地のそういう計画が決まってから、埋立地の土地利用の進捗とかあるいは埋立地、内陸部の交通状況等を踏まえて総合的に判断してまいりたいというふうに考えておるわけであります。
  71. 土井たか子

    ○土井委員 そうすると、ルート原案は精力的に年度内に作成をするということを努力されながら、しかし、少しずれ込むだろうというふうな予測でいま作業をされている最中であるというふうに理解をいたしましてよろしゅうございますね。  それで、いまのは主に都市計画との絡みでございますから、いわば湾岸道路に伴う引き込み線についての問題であり、ランプの位置についての問題などが中心課題になっている都市計画との絡みであろうと思うわけであります。  湾岸道路そのものの工事計画というものを問題にしてまいります場合には、いまも御答弁の中で少し述べられました埋め立てとの絡みが実は出てくるわけでございますね。すでに神戸新港から泉佐野に至るまでの現在埋め立てを行い稼働しているものについて約三千ヘクタール、昭和六十年ころまでには埋め立て計算が公式に認められている範囲で七千五百ヘクタールという、これはすでに建設省が発表されている数字があるわけでございますが、ただしかし、この昭和六十年ごろということを考えてこの数字を出された上で、港湾道路そのものに対しての工事計画というものをお立てになるということには、少しやはり難点がそのうち出てこようと私思うのです。申し上げるまでもなく、いろいろ埋め立てに対して埋め立てを差しとめする訴訟が起こっている地域もございまして、これに対して現に運輸省の方は凍結ということでこの計画についての着工を見合わせる形で臨んでいらっしゃるという地点もございましたりいたしますから、したがいまして、この埋め立てということを前提においては、この道路工事そのものについての問題というのは、やはりこれはちょっと六十年ということを目安にお考えになっている線は変更されてくるんじゃないかということと同時に、この西宮なんかについて申しましても、当初お考えになった時期と比べまして、港湾埋め立て計画そのものが変更されているという条件を持っております。したがいまして、そこに湾岸道路を走らせる位置についても、従来お考えになっていらっしゃる場所と少し変更してくるという、計画変更を余儀なくされるという条件もございますから、これはやはりそういう点から考えて、現在のその引き込み線に対しての内陸部の都市計画との絡みと同時に、いまの湾岸道路そのものの工事に対しては、埋め立てとの絡みで、かなり当初考えられていたこととは計画変更を余儀なくされている面があるかと思いますが、この点いかがですか。
  72. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 御指摘のように、この事業計画を固める上には、いろいろまだ未確定の問題がたくさんございまして、御指摘のような埋立地そのものの進行がどういう形で進むのか、またそれに対する反対等もあるわけでありまして、ただ、この臨海道路は一応埋立地相互を結ぶという計画で考えられておりますので、埋め立てを前提とした土地の上に乗っけていく考え方をとっております。埋め立ての方向が余り定まらない段階事業計画がなかなか固まらないのはおっしゃるとおりのことでございます。  そういうことで、先ほど申し上げましたように、一兆円を超える事業ということもありますし、またその一兆円の事業の中身そのものが、前提となる諸条件がまだはっきり確定していないという面もございまして、現時点でいつごろまでに完成という目標が立てられないのもそういうところにあるわけでございまして、しかもその調査に手間取っているということも、そういう問題が含まれているためになかなか決めがたい問題もあるということでございまして、鋭意今後関係機関と詰めながらそういう見込みをはっきりさせて、同時に事業の計画の中身を固めてまいりたいというふうに考えているわけでございます。
  73. 土井たか子

    ○土井委員 この当初計画をお立てになった中には、国道二号線や国道四十三号線などの阪神間の臨海部の幹線道路の交通量を軽減すること、そうして環境問題を解決するための不可決のプロジェクトだという意味があったことは事実でございます。そういう点からいたしますと、いまのこの埋め立て問題というものが部分的に完成をしていない、また完成時期を待っていてはとても間に合わないというふうな場合には、埋め立てを待たず、その部分に対しては、湾岸道路に対して建設をしていくというふうな心づもりを建設省としてはお持ちになっていらっしゃるかどうか、この点はいかがでございますか。
  74. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 この計画には、御指摘のように、阪神間の現在二十万台を超える交通量の緩和という目的が大きくあるわけでございますが、そういうことで事業計画としては急がれるわけでございますが、埋立地との関連で埋め立てを待っていてはなかなかルートができないということでございますが、そういう埋立地が全面的にストップするような形では非常に問題だと思いますが、ごく一部分の埋立地について、そういう埋め立てが進行しない、はっきりしないという面があれば、全体の計画として大筋が固まれば、その部分的な対応として構造的に処理する方途はあろうかと思いますので、それは橋にするとかあるいは高架にするとか、あるいは矢板で一応せいて部分的な埋め立てを進めるというような、いろんな工法もあろうかと思いますので、そんなことも含めて計画の中身を固めてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  75. 土井たか子

    ○土井委員 昨年の四月十一日にお出しになった、近畿地方建設局から出ておりますが、「大阪湾岸道路の計画概要」というのによりますと、「昭和五十二年度は環境アセスメント等の資料を作成し、地元関係機関等との折衝を行う。」となっております。これもすでに「昭和五十二年度は」という、こういう進め方でこの問題に対しての計画を進行させていらっしゃるわけでありますから、もう環境アセスメントについての資料は整っているわけでございますね。「五十二年度は」ということでお進めになっているはずであります。その資料はいつ公開をなさるのであるかどうかということについて、ひとつお知らせいただきたいと思います。
  76. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 この計画に対します環境アセスメントの調査は、五十二年度から重点的に実施しておるわけでございまして、五十三年度も引き続いて調査項目の主要な部分として取り上げておるわけでございます。しかし、非常に計画の大きな、大規模な事業でございまして、影響するところも非常に大きいわけでございます。しかも、ああいったすでにいろいろ環境問題で言われております国道四十三号、阪神高速等の付近で計画されるプロジェクトでございますので、環境対策につきましては十分慎重に考えていかなきゃいけない。若干の時間がかかっておるわけでございまして、五十三年度の調査の進捗状況を見ないと、いつの時点でこの結果を公表できるか、いまのところちょっとまだ見通しがついておりません。
  77. 土井たか子

    ○土井委員 まだ見通しはついていないという御答弁でございますが、そうすると、五十三年度も引き続き環境アセスメントについては調査を進められて、これを資料として作成をされていくわけでありますが、今後そうしますと、環境アセスメントの内容に対しては、どういう手順で公開をされたり、具体的に地域のそれに対しての理解や了解をさらに得るということをお進めになるのか、その手順についてお聞かせいただきたいと思います。
  78. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 環境アセスメントにつきましては、こういう大規模な道路計画については従来から実施してきておるわけでございまして、これまでは、昭和四十七年に閣議了解という形で決められております各種公共事業に係る環境保全対策に関する閣議了解の線で所要の配慮を行ってきておるわけでございます。これは、大規模な国道とかあるいは高速道路等について、これに基づいてアセスメントを実施してきておるわけでございますが、近くアセスメント法等も審議されるやに聞いております。そういうものが決まりますれば、その線で具体的にやり方が決まってまいろうかと思いますが、従来の方法でやりますと、一応環境アセスメントがまとまった段階で、まあ本四架橋に絡んでやっておりますような手順が恐らく参考になろうかと思います。
  79. 土井たか子

    ○土井委員 先ほど、この湾岸道路建設をいよいよ着工しなければならないという段階に至っても、部分的に埋め立てがまだそれにこたえるべく進行していない場合は、それによらず、場合によったら独自で湾岸道路というものを建設していく御用意もおありになるというふうな向きの御答弁が出ておりますが、この国道四十三号線の対策として、いわば先ほど申し上げたように交通量の軽減、それから環境問題というものを解決するためというふうな向きが当初からの計画の中にはあるわけでありますね。  そこでお尋ねをしたいのですが、この事業主体は一体だれでございますか、この事業の主体は。
  80. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 先ほど説明申し上げましたように、港晴地区から南十二キロの問は阪神高速道路公団でやっておるわけでございますが、それからさらに北に向けて淀川までの問、すでに阪神高速道路公団事業化されておりまして、北に向けても阪神公団でやる姿勢で一応やっておりますので、恐らく阪神公団事業ということになろうかと思いますが、これはもう少し計画の中身が固まった段階判断したいというふうに考えておるわけでございます。
  81. 土井たか子

    ○土井委員 恐らくその阪神道路公団ということになりますと、中身といたしましては有料道路事業ということになるわけでございますね。この四十三号線対策ということからいたしまして、果たして有料道路とすれば交通量の軽減になるかどうかという疑問なしといたしません。そういうことから考えて、どのようにこの点の解決を図ろうというお心づもりをお持ちでいらっしゃいますか。
  82. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 先ほど申し上げましたように、一兆円を超える大規模な道路ということになりますと、しかも比較的早い時点で供用するというような形で考えますと、現在の道路事業全体の予算規模、それから一般国道から市町村道までの道路網を抱えている現状から申し上げますと、この種の事業はどうしても有料道路で一応考えなければ、ほかの道路へのしわ寄せといいますか波及が非常に大きいということから、考えられないのではないかということで、現時点では有料道路事業でやるべきではないかというふうに考えております。
  83. 土井たか子

    ○土井委員 そういたしますと、それは事業計画からすると無理からぬ御事情をいま披瀝されておるわけでありますけれども、しかし大型プロジェクトでございますから、それに対しての財源という問題もございましょう。したがって、それをどう解決するかというのは、やはりこの四十三号線対策になるように道路は建設しなければならないという初志の目的に沿うように苦心をしていただかなければならぬはずだと思います。その点は。  それと同時に、これはいかがでございますか、四十三号線の交通量の軽減ということからすると、現状の四十三号線に対する調査というのは、ひとつ相当本腰を入れてやっていただかないと、これはおっしゃっていることと実際が違ってまいります。私はつい最近、これは関西の方の近畿地方建設局に参りまして、四十三号線の道路についての交通量の調査について、どういうふうな資料がございますかというのを種々いろいろ尋ねました。一年間の中でわずか一日を選んで十二時間を調査した結果がここにあるきりなんです。しかもこれは私、つい先日行っていただいてきたのでありますが、これは四十九年度の観測がやっと出ているかっこうであります。これと現時点はずいぶん違いますよ。したがいまして、建設省とされては、やはり国道四十三号線の交通量というものに対して具体的に、住民の方々からするとなるほどそのとおりだと納得がいくような調査の内容というものをしっかりやっていただかないと、これはいまの湾岸道路建設に先立つ諸条件を整備なすっていると言えないと思うのです。この点はいかがでございますか。
  84. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 二点御質問があったと思いますのでお答えいたします。  一つは有料道路でやった場合に交通量が現実に乗るような工夫をということでございますが、これは道路をつくって乗らないのでは申しわけないわけでございまして、やはり料金を払っても乗れるだけの価値のある道路をそこへつくっていこうということで、まあ取りつけの問題とかあるいは道路の規格の問題とか、そういうことは十分考えてやってまいりたいというふうに考えております。  それから交通量の関係でございますが、四十九年のデータというようなお話がございました。実は全国の交通情勢調査は三年ごとにやっておりまして、そういう意味で四十九年のデータがいままで使われておったわけでございますが、三年目の五十二年度、今年度実は交通情勢調査を実施しておりますので、その全国的な集計をいま急いでおるわけでございまして、そういう資料を十分活用して考えてまいりたいというふうに考えております。  ちなみに現時点では、この大阪湾岸道路の計画交通量としては約十万台程度が将来発生するのではないかというふうに考えておりますが、先ほどの最近の交通量のデータあるいは三全総のフレーム等を踏まえて見直しの作業をやっておりますので、その結果でまたこの計画の中身が若干動いてくると思います。
  85. 土井たか子

    ○土井委員 では最後に、これについては従来、国道四十三号線だけではなくて、全国的に一斉にただいま御答弁のとおりで調査をなさる三年に一度というこの調査があるわけですが、その調査のみによって、この湾岸道路建設について四十三号線の車の台数を軽減することになるという資料として十分だとは、私はとても思えないのです。やはり四十三号線対策としての湾岸道路であるならば、建設省は独自で四十三号線に対しての道路事情、交通量などを徹底的に調査をなさらないと、これはおやりになり方が十分だとはとても言えないと思うのですが、この点ひとついかがですか。四十三号線に対しての交通量をこの湾岸道路建設ということに絡み合わせて、建設省としては大丈夫、これで四十三号線の車の台数は湾岸道路を建設すればこのようになりますという将来像というものを持って臨まれないと、とても地域の納得や御理解を得るということはむずかしかろうと私自身は考えますが、建設大臣、この点はどういうふうに大臣はお考えになりますか。
  86. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 私からちょっとお答えさせていただきますと、まあおっしゃるとおりだと思います。これだけの大事業を計画するわけでございますから、五十二年度の全国交通情勢調査の全国的な数字だけでこういうものを計画するわけにはいかないわけでございまして、もう少しきめの細かい調査を十分にやりまして計画に誤りがないように、そのためにこういう調査費がついておるわけでございますので、交通量調査につきましても、あの付近に重点を置いた交通量調査を実施しながら計画を固めてまいりたいと考えております。
  87. 土井たか子

    ○土井委員 最後にちょっと建設大臣に一言お伺いをしたいのは、これだけ大きな規模の道路計画ということになってまいりますと、現在ございます国道のそれぞれの過密状態、車の台数がもう当初考えられたよりもはるかに上回る大変な量にふえて、そして周辺に対しての環境整備、環境保全ということを考えていかなければならない、そういう意味が片や十分にあります。と同時に、これからの将来像というものを考えてまいりますと、全体を機能的に総合的に考えて、その道路の果たす役割りというものもやはり将来に向けて建設的なものでなければならない。この点はあると思うのですね、これだけもう大変な投資をするわけでありますから。そういうことから考えますと、まさに地点は、運輸省がいま考えておられる泉州沖の関西新空港、したがって考えられるアクセスという意味もこの道路自身が持ってくることは十分に考えられますが、この点は建設省としてはどのようにお考えでいらっしゃいますか。
  88. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 非常に大きな計画でございまして、先ほどからいろいろ御指摘をいただきましたとおりに、これらの計画を進める上に、これは地元住民の理解なくして行い得られるものではないと思います。また、その理解を得る上におきまして事前の十分な調査が必要であるということも当然だと思います。  私は、実は就任後に大阪の講演会に行きましたときに、時間が少しありまして、ひとつ大阪の南港へ行って見てもらいたい、こういうことを阪神高速道路公団の方に言われて行きまして、あそこのターミナルのようなところで湾岸道路についての説明を聞きました。それで、垂水から泉佐野市への間を双眼鏡でずっと見せていただき、これは非常に大きな計画で楽しみがあると思いましたが、またこの関西国際空港のお話もあって、これは非常に大事なアクセス道路であるということもそのとき認識したわけでございます。それらの若干の経験からいたしまして、きょう土井委員の御指摘の諸点につきましては、これは非常に大事なことである、私としても促進をいたしたい気持ちが非常にあるわけでございますが、しかし、それにはそれなりのことをしなきゃならないということがきょうの御質問でよくわかりましたので、それぞれ関係当局に指示をいたし、善処をしてまいりたいと思います。
  89. 土井たか子

    ○土井委員 ありがとうございました。終わります。
  90. 伏木和雄

    伏木委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時三十三分休憩      ————◇—————     午後一時十分開議
  91. 伏木和雄

    伏木委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。古川雅司君。
  92. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 去る二月九日の本委員会で、建設大臣が所信の表明をされました。以下、大臣の所信の中から、道路問題と住宅問題に多少関連をさせながらお伺いを進めてまいりたいと思います。  最初に、道路問題に入ってまいりたいと思いますが、大臣は所信の第三項の道路の整備について、特に今後の道路行政のあり方につきまして、「道路交通の安全の確保と生活環境の改善に十分配意しつつ、幹線道路から日常生活の基盤となる市町村道に至るまでの道路網を体系的に整備するとともに、道路管理体制の強化を図ってまいりたいと存じます。」このように述べていらっしゃるわけであります。  非常に道路に対する需要の高い中ではありますが、私は、特に中国地方を縦貫いたします中国自動車道に対しまして、若干お伺いを進めてまいりたいと思います。  初めに、すでに供用されている区間でございますが、佐用インターチェンジから鳥取市に抜けます一般国道三百七十三号線についてお伺いをいたしたいと思います。  これは中国自動車道の開通に伴いまして、京阪神との産業、経済の一つの大きな動脈になっております。ことにそういう意味では重要路線と考えられるわけでありまして、建設省におかれましても、昭和五十二年志戸坂トンネルの直轄施行に踏み切られました。今日ますますこの三百七十三号線につきましては利用もふえております。しかし、御承知のとおり、非常に幅員が狭隘でありますし、カーブも多い。そういう関係で、交通の安全対策上、整備の急を要すると思われるわけでございますが、この路線の今後の整備計画について御答弁をいただきたいと思います。
  93. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 お答えいたします。  一般国道の三百七十三号線でございますが、これは兵庫県の赤穂市から岡山県の大原町を経て鳥取県の智頭町に至る約六十四キロの路線でございます。現在ほとんど一次改築を終わりまして、九九%の改良率になっております。この路線は、御指摘のように、中国縦貫自動車道の佐用インターチェンジに結ばれておりまして、鳥取、岡山県界にございます志戸坂峠でございますが、これは標高が四百九十五メートルということで、中国山脈を横断する峠といたしましては、比較的、一番標高の低い峠でございまして、これは冬期間の交通確保も容易であるという考え方から、このルートを通じて鳥取市から京阪神方面への交通に大きく役立っておるわけでございまして、この路線は非常にそういう意味で重要な路線であるわけでございます。  こういったこの路線の重要性にかんがみまして、現在唯一の未改良区間でございます志戸坂峠の改築に手をつけたわけでございますが、御指摘のように、国の直轄事業として五十二年度から新規採択をいたしておりまして、志戸坂トンネル、延長が一・六キロございますが、この長大トンネルを含みます八・二キロの改築区間につきましては、この第八次の道路整備五カ年計画におきまして整備を終わることを目途に事業推進を図っているわけでございます。  また、志戸坂以外の区間、一次改築は一応終わったわけでございますが、中国縦貫につながる、鳥取県につながる主要なルートでございます。そういう意味で、一時改築の終わった区間につきましても、県施行で当面手当ての必要な局部的な改良につきましては逐次実施してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  94. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 さらに中国自動車道は本年の十月をめどに北房インターチェンジから三次インターチェンジまでの百・二キロの区間が開通をいたしまして供用される運びになっております。  本日は道路公団の方からわざわざおいでをいただいておりますので、道路公団に最初にお伺いいたしますが、この区間は御承知のとおり山間地帯を縫っているわけであります。開通に伴いまして、住民の間には多少不安が残っているわけでございまして、その一つは災害対策であります。  昭和四十七年七月にこの地方は集中豪雨の非常に大きな被害を受けました。したがいまして、かなり山を削り山をくりぬいて貫通している道路でございますので、これから供用が始まり時がたつにつれて、がけ崩れ等の災害のおそれはないかという非常に大きな心配があるわけでございます。さらに、山間地帯ですから人家が密集するということはありませんけれども、騒音等の環境問題につきましては、一部村落を貫いておりますので、供用後に騒音公害等の問題が生ずるということも考えられます。そういった場合の防災対策あるいは環境保全対策について、すでに事前に検討をしていらっしゃるか、今後さまざまの問題が起こってきたときの対応の仕方について、公団側の御意見をひとつ伺っておきたいと思います。
  95. 吉田喜市

    吉田参考人 お答えをいたします。  ただいまお話がありましたように、中国道の北房−三次間につきましては、この秋に供用開始いたすべく、目下鋭意工事を進めております。  中国自動車道の通過しておりますいわゆる中国山地と称しますところは、地質的に申しますと大体真砂が主体でございまして、それに一部崖堆と、こういうふうな独特の地質状況を示しております。したがいまして、工事にかかる前には、十分事前に土質、地質の調査を行いまして、いまお話のありましたように、長大のり面の出るところにつきましては、のり面の勾配を決める、あるいは防災対策として途中に小段をつくる、こういうふうなことをいたしておりますし、また、切り土の一番下と申しましょうか、道路に直接面する個所につきましては、プレキャストコンクリートの格子枠を用いてのり面の足の保護をする、こういうふうなことをいたしまして現在仕事を進めてまいっております。  先ほどお話がありましたように、たまたま四十九年あるいは五十年に工事中の個所で集中豪雨がありまして、一部のりが崩れた、こういうふうな個所もございます。こういう個所につきましては、私たちといたしましては、再度現地を調査し、その上で、まず、のり面の安定のために、のり面勾配がこれでいいのだろうか、のり面勾配を個所によっては緩くする、そのためには用地の追加買収をする、こういうふうなことを行っておりますし、また当然、のり面から湧水して出てまいります水の処置、こういうものについても万全を期す。同時に、道路に接する一番下につきましては、先ほど申しましたようにコンクリートの枠を設けまして保護をいたし、万全を期しておる。こういうふうなのが現状でございまして、私たちは現状では万全を期して工事をしている、かように申し上げるわけでございます。  それから、騒音の問題につきましては、地元の関係の方々と設計協議の段階におきまして十分協議をいたしまして、それで御納得の上、双方で合意した上で仕事をしておる、かようなことでございますが、まずその原則的な物の考え方といたしましては、騒音問題につきましては、騒音にかかわる環境基準、これの達成をするということを第一目標に置いて設計協議を進めておるわけでございます。現状ではそれに基づきまして必要な個所には遮音壁あるいは遮音築堤、それから道路の沿道との調和のために植樹、植栽、こういうものを実施してやっております。これはすべて設計協議を行いまして関係の方々と合意の上でしておるというのが姿でございます。  なお、いまお話がありましたように、要するに供用開始後、今後新たな事態が起きたらどうするかというふうなお話でございますが、その場合には、よく私たちひとつ実態を調べたい。私たち十分現在までいろいろ実態を調べ、私たちの中で計算をし、将来を予測して環境対策を行っておるわけでございますが、なお供用開始後新しい問題が出た場合には、実態をよく調べて、それが本当に高速道路に起因して起きている問題である、こうした場合には早急に、先ほど申しました環境基準の達成ということを頭に置きまして、処置をするといいましょうか、措置をいたしたい、かように考えております。
  96. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 同じく建設省にお伺いいたしますが、この新しく開通を予定されている北房と三次間、この開通に伴いましていわゆる交通の流れというものが非常に大きく変わってくると思います。それぞれのインターチェンジから山陰、山陽側へ抜ける国道につきましても、当然その交通の流れの変化については予測をしていらっしゃると思いますが、たとえば北房から三百十三号を通って福山へ抜ける線、あるいは東城のインターチェンジから百八十二号線を通って福山市へ抜ける線、また、同じ東城インターチェンジから三百十四号、そして五十四号を経て宍道、松江へ至る線、さらに三次から五十四号線を通って同じく宍道、松江へ至る線、同じく三次インターチェンジから五十四号線を通って広島に入る線、それぞれの線についていわゆる交通量の増加を含めた今後の国道の整備計画というものをお考えかと思います。特に問題になりますのは東城から入っていきます三百十四号線あるいはまた三次から広島へ入っていく五十四号線、ことに広島の入り口になります祇園、この辺は昭和五十二年の全国道路交通情勢調査建設省でしておられますが、この調査によりますと、日量五万四千八百台というふうに報告をされております。そういったことを含めて、こうしたそれぞれの中国縦貫道のインターチェンジから主要都市を結ぶ路線の整備、これが今後大きな渋滞あるいは混乱が予想されているわけでありますけれども、どう対処されるかひとつお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  97. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 お答えいたします。中国縦貫道は、御承知のように現在は北房インターチェンジまで供用しているわけでございますが、これが三次インターチェンジまで約百キロ延びた暁に交通量の流れがいろいろ影響されると思います。  まず考えられますことは、この本線、高速道路の交通は、この開通によって北房−三次間が大体一日当たり六千台から七千台の交通量が通るというふうに想定いたしております。これは大体主として現一般国道の二号線からの転換交通量だと思いますが、この転換によりまして、現二号の交通量は一〇%ないし二〇%軽減されるというふうに見ております。また、この中国縦貫道のこの区間に御指摘のようなアクセス道路、国道が何本か交差しているわけでございますが、たとえて申しますれば、百八十号、百八十二号、百八十四号、三百十三号、御指摘の三百十四号等があるわけですが、これらも高速道路の開通と同時に若干の交通量の増が見込まれると思います。われわれの計算では、これらの路線のうち特に五十四号だけは相当大きな交通量になるのではないか、六千台程度の交通量が追加されるのではないかというふうに考えております。  これに対処しまして、広島市周辺への流入のいろいろな道路計画を、いろいろ応急対策等も含めまして練っておるわけでございますが、その他の国道につきましては、大体五百台ないし千台ぐらいの交通量の増加になるのではないかというふうに見ております。  一方、これらアクセス道路の整備でございますが、一次改築のすでに完了しております五十三号と五十四号につきましては、すでに必要な区間についてバイパスに手をつけております。五十三号は岡山北バイパス、それから五十四号は上根バイパス及び祇園新道といったような二次改築事業が鋭意進められておるわけでございます。これらの進捗を図りたいということと、一次改築がまだ終わっておりません百八十号、百八十二号、三百十三号、三百十四号といったものにつきましては、とりあえず狭隘区間等を中心に事業推進することといたしております。特に三百十四号につきましては、松江方向への重要なアクセス道路となりますので、広島、島根県境の三井野原地区について五十三年度から新たに直轄施行区間として採択することにいたしておりまして、これらの事業を通じて、これら主要アクセス道路につきましてはバランスよく整備を進めることによりまして、せっかくできた高速道路が十分に地域の役に立つように、活用できるように、国道網の整備促進してまいりたいというふうに考えております。
  98. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 大体五十四号線の六千台増は例外といたしましても、その他は大体五百台から千台程度の増を見込んでおられるようであります。当面、渋滞等の極端なおそれのないところは別として、今後の年次計画の進め方ではかなり交通量の変化に対応できないのじゃないか、そういう不安が非常に強く残っておりますので、どうか強力に、なおかつ早急に計画を進められるように要望いたしまして、次の質問に移らしていただきたいと思います。  中国自動車道と並行して山陽自動車道がいま計画をされておりますが、現在ほとんどがまだ用地の買収の段階でありますので、これはごく部分的な特異な例かもしれませんが、広島市の安古市町藤ヶ丘に平和台という団地がございます。ここは昭和四十八年に施行命令が出まして昭和四十九年に地権者に説明を行いました。現地の広島工事事務所の説明によりますと、昭和五十五年に着工が予定されているということでございます。昭和六十年には一日大体一万七千から一万八千台の交通量を予測している、そういう御説明でございました。  私、現地へ参りまして、事情をいろいろ調査をしてまいりましたが、ここで一つ気になりましたことがございますので、道路公団にお伺いをしておきたいと思います。  この計画決定段階ではここは山地だったわけでございますが、その後ここに学校ができまして、いわゆる文教地区になりました。現在小学校、中学校がございますが、やがて高等学校も完成をいたします。そうなりますと、俄然大気汚染や騒音、振動といった環境問題が出てきたわけでございまして、地元の住民の皆さんも非常に心配をいたしております。  これに対して道路公団の方では、掘り割りあるいは防音壁というようなそういう設計も考慮しておるようでありますが、地元はなかなかまだ納得するところまでいっておりません。一つにはルート変更というようなことが考えられますし、それから設計の問題点では、この区間をトンネル化してしまう、道路の上にふたをかぶせてしまうというようなことも要望としては出ております。こういったいわゆる文教地区については、本来考えていなかった、予定していなかったけれども、計画決定以後に文教地区になったというような場合について、道路公団としては今後どのように対応していかれるのか、その点まず御説明をいただきたいと思います。  さらに、今後住民の方からいろいろ説明を求め、あるいは住民の意見というものが出てくると思いますけれども、ひとつこれは親切に対応して説明をしていただきたいというのが私の強い要望でございます。その点についての所感を一点つけ加えていただきたいと思います。
  99. 吉田喜市

    吉田参考人 ただいまお話のありました山陽道の広島市の安古市、いわゆる平和台団地、この付近につきましては、いま先生お話がありましたように、施行命令を四十八年の十月に私たちはいただいております。路線発表は五十年の十月でございますが、路線発表する前に関係の方々といろいろお話し合いを行っておるわけでございまして、その結果ほぼ合意を得てこの路線を決めた、こういう経緯がございます。したがいまして、ただいまの平和台団地のこと、この間につきましても、四十八年の施行命令をいただいて直後でございますが、四十八年の十一月から四十九年の春にかけまして、当時この団地を計画なさっていらっしゃる方々とお話をし、調整をして、あそこに路線を決めた、かような姿でございます。したがいまして、この道路敷というものはその時点でほぼ決まったということで、あそこの中で道路が将来山陽道になるという予定地域につきましては、五十一年と五十二年、去年おととしの年度末にそれぞれ用地を取得しておる、かような姿になっておる個所でございます。  その団地の中に安西小学校あるいは幼稚園、これが比較的道路に近接した個所にございます。特に安西小学校は道路から約八十メートルばかり離れておるわけでございますが、この学校につきましても、この学校が完成いたしましたのが五十一年の四月でございます。一昨年の四月でございまして、したがいまして、われわれが路線を決定する段階の前に、やはり広島県の教育委員会と事前に協議をいたしております。その結果、建物の位置、特にこの学校では道路に近い方に体育館を持ってくる、そして道路から離して校舎をセットする、しかも、たしか体育館だったと思いますが、近い方のガラスの厚さも厚くする、こういうふうなことを協議してここに学校ができたわけでございまして、お話のように、その後、中学校が約三百メーターぐらいのところにできておる、それから近くやはり四百メーターぐらいの個所に高等学校ができるというふうに私たちも伺っております。それで、工事中及び供用開始後のこの地区の環境保全と申しましょうか、どうするかというお話でございますが、私たちはやはりこの沿道の環境保全、それからまた沿道の土地利用との調和というものについては十分考えてまいりたいし、それに必要な措置をやっていきたい、そのためには、地元の方々と十分お話をいたしたい、かように考えております。まだ設計協議がそこまで進んでおりません。一応私が申し上げましたのは、平和台団地の計画者あるいは県の教育委員会とは過去においてそういうふうな話し合いを進めてきておる、しかし、その沿道のそれぞれの方々とはまだそこまで物が熟していない、これから十分お話をして対応してまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  100. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 道路公団の御説明をそのまま私受けまして、次の質問に移ります。  道路問題の最後に、静岡県裾野市に建設を計画しております小泉サファリパーク、いわゆる自然動物公園に関連いたしましてひとつお伺いをいたします。  このサファリパークは、昭和四十七年の秋に計画をされまして、昭和五十二年八月に、いわゆる大規模開発を審議する静岡県の土地利用対策委員会が計画の許可をいたしまして、引き続きまして、ここでいろいろな問題が出てきたわけでございます。たとえば地下水の汚染あるいは自然環境保全の問題、特に動植物の生態系にどのような変化を与えるかというような問題、そして地震対策、こういった問題点について検討が続けられてまいりました。これらの問題につきましてはそれぞれ専門家の先生方の意見も踏まえまして五十三年、ことしの一月二十六日に県は都市計画法上のいわゆる着工許可したわけであります。  問題は、ここで私がお伺いを進めていきたいのは、交通問題でございまして、御承知のとおりこの裾野市は富士と箱根を結ぶいわゆる中枢地点に当たります。道路交通につきましては、東名高速道路の御殿場インターチェンジの開設によって、この辺はいわゆるレジャー地帯でございますので、非常に交通量がふえておりまして、現在でも昭和五十一年八月の調査では、大体日量一万五千台、休日には二万台という計算がなされております。すでに慢性的な渋滞を来しているわけであります。このサファリパークの建設計画によりますと、計画者側の申し出によりますと大体日量三千四百台、人数にして二万五千人、年間百六十万人がこのサファリパークを訪れるであろうというふうに予測をいたしております。いわゆる国道百三十八号線、また国道二百四十六号線、この交通の渋滞が非常に目に見えるようでありますが、さらに県道に至りますと、二十一号、二十四号線がこの心配の対象になるわけであります。いわゆる県側の交通問題に対する見通しでありますが、これに私は非常に大きな疑問を持つのであります。報道によりますと、県の都市住宅部土地対策課では、交通問題は既存の道路でさばく能力があるというふうに断定してこの着工許可に同意をしたというふうに報ぜられているわけであります。しかし現実は、先ほど来申し上げておりますとおり、このサファリパークの開設に伴いまして非常に大きな交通上の障害を来すということが予測されるわけでありまして、建設省といたしましても、国道の整備に関しましては非常に重大な関連がありますので、これは県と連絡をとりながら今日まで至っていると思うのでありますが、その辺の経緯をひとつ簡単にお述べをいただきたいと思います。
  101. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 お話の富士山ろくサファリパークの話は最近聞いたわけでございますが、御心配のように確かに交通問題がいろいろあろうかと思います。私ども考え方では、こういったパークが開園した場合には東京方面からの入園者は大体東名高速道路を利用して御殿場インターチェンジから出入するということが予想されるわけでございますが、御指摘にもありましたように、御殿場インターチェンジはああいった富士、箱根等の観光地を控えているために、その出入交通量は現在でも平日約九千台でございます。休日にはこれが一万八千台から二万五千台になるというようなことでございまして、これを受ける国道百三十八号が交通渋滞をいたしておりますので、これの影響で百三十八号に出られない車が東名の高速道路上に、場合によっては三キロぐらいつながるというようなことになっているわけでございます。そういった実態を考えますと、サファリパークができることによって御殿場インターの交通量の影響が非常に心配されるわけでございます。ただ、交通運用としましては、そういう場合には沼津インターまで流して、沼津インターから入れるというような方法もあろうかと思いますし、またその他の国道あるいは県道につきましても、容量的に十分余裕のあるものもあれば非常に余裕のないものもある。また、それらの道路についての改良計画もいろいろ掲げておるわけでございまして、このサファリパークがいろいろ諸条件がクリアになりまして、諸条件が整って実現した暁に、ここから発生する交通需要がありますれば、これは付近の道路網の整備ということで対応していかなければならないわけでございまして、これらにつきましても今後関係地方公共団体とも十分協議をしまして、慎重に検討してまいりたいというふうに考えております。
  102. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 こうした開発につきましては、これは当然都市計画法上県が着工許可するわけであります。しかし、先ほど指摘いたしましたとおり、こうした大規模開発に伴って、いわゆる交通問題が生じてくるのはこれはもう自明の理であります。したがって国道整備が、こうした計画の着工によって、またサファリであれば開園によって、後追い的な整備になっていくということは避けられないと思うのであります。  当然この静岡県の場合についても、サファリパークの着工許可を出すについては、交通渋滞はこれは非常に大きな問題として心配の種になっていたはずでありますから、先ほど私が言いました県の都市住宅部の土地対策課のコメントも、これはひとつ問題だと思いますけれども、事前に建設省の道路局に対して、この計画の着工について、交通問題に特にしぼって県から連絡なりあるいは相談を受けたという事実はございますか。
  103. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 この計画について道路局の方では、正式な連絡はまだ受けておりません。
  104. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 大臣にお伺いいたしますが、そういう場合、これは非常に問題ではないでしょうか。県の方でこうした開発に対して着工許可をおろす、それを聞いて建設省の方が国道の整備について考えなきゃならない、あるいは従来の計画を変更しなければならない場合もあります。こうした県が許可をおろす場合には、事前に関係の中央省庁と連絡を取り合い、あるいは相談をするのが当然じゃないかと思うのです。特にこの場合、道路につきましては交通の異常な渋滞というものが予想される以上、これは全く当然なことだと思うのでありますが、その点大臣いかがでございますか。
  105. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 私もそのように受けとめました。確かに国の管理する道路にも種々大きな影響があるということでありますれば、連絡の上あるいは協議をしていただく方が好ましいということは、私もそのように受けとめたわけでございますが、しかし道路管理上、法的にあるいは県条例などの上からどういうふうに県が処理いたしたのか、これはよく調べさしていただきたいと思います。
  106. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 じゃひとつこの点については十分調査をしていただきたいと思います。  道路局長に重ねて伺いますが、これは報道を通して私入手した情報でありますけれども先ほど申し上げた県の方で、交通問題は既存の道路でさばく能力があると判断しているわけでありますけれども、これはおかしいと思いませんか。そしてまた、すでに県が着工許可をおろしたわけでありますから、これはいよいよ着工いたしまして、いずれ開園するわけであります。その事態に向かって、何とかこれは国道の整備というのは追いつかなければならない、この計画について緊急に検討していただけますか。
  107. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 恐らく開園に伴う交通需要というのは、相当綿密に調査してみないと、周辺の道路網との兼ね合いでどういう部分がどういうふうに隘路になるか、なかなかわかりにくい問題ですし、また隘路になったものも交通運用の面でカバーできる問題もあります。そういうことも含めまして、県から計画の中身を十分聞いた上で対処してまいりたいというふうに考えております。
  108. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 では次に、住宅問題についてひとつお伺いをいたします。  大臣は所信表明の中で住宅宅地対策につきまして、特に「居住環境の改善等住宅の質の向上に重点を置くとともに、」というふうに述べておられるわけであります。昭和五十三年度の経済成長率七%の達成に当たりまして、政府は公共事業を精力的に行い、個人消費や民間設備投資を刺激しようとしているわけでありますけれども住宅関係につきましては、おのずから直接手を下す公営改良住宅あるいは公団住宅を減少させて、民間の潜在需要の高い宅地建物に力を入れているわけであります。  ところが経済成長は、経済指標で見る限り過去三年間の見通しを上回ったことがないわけであります。ことしこそは、いわゆる住宅投資の十五兆円を下回ることは、これは政府の至上命令である七%の達成に当たっては許されないことであります。したがって、この目標値を達成するにつきましては、今日まで数々のいわゆる阻害要因が考えられているわけでありますが、大臣はこの点具体的にどのようにお考えになっていらっしゃいますか。
  109. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 住宅問題と緊密な宅地問題、これが住宅の阻害要因として一番大きな問題ではないかと思います。ただ、現在住宅金融公庫などでお世話をする分につきましては、大体土地の手配の済んでおるものも多いわけでございまするが、五十三年度を考えてみますると、五万戸程度は土地の手配をしなければならない問題がございます。それから宅地造成につきましては、年々目標どおりに行っておりませんから、したがって私としては、宅地政策についてまず重点を注がなければならない、これが一番の住宅施策を進める上におきまして大事な問題点であると認識しておるわけでございます。
  110. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 住宅宅地建設を阻害する要因について大臣述べられたわけでありますが、私は、阻害要因の一つとして、宅地建物の取引に関係をいたしまして非常にずさんな管理のあり方や構造上の欠陥などが社会的な大きな問題になっているわけでありまして、この点を重視しているわけであります。建設省は、さきに宅地建物にかかる取引条件の明確化、工事施行の適正化、建築物の設計及び工事管理の適正化等についての行政通達を出していると思いますが、通達を出した経緯について御説明をいただきたいと思います。
  111. 大富宏

    大富政府委員 昭和五十一年の十二月十一日に計画局長、住宅局長連名をもちまして通達を出したわけでございますが、これはマンションの普及、一般化に伴いまして、マンションの欠陥とかアフターサービス等に関するトラブルが非常に増加してまいったわけでございます。その原因といたしましては、マンションの建造物そのものの設計とか工事施工等が的確に行われていない場合のほか、分譲業者が購入者に対して物件の説明を十分やっていないとか、アフターサービスの内容の説明が不十分であるとか、苦情に対する処置が適切でない、こういう事例が非常に多く出てまいったわけでございます。このような事態を未然に防止いたしまして消費者の利益を保護するための適切な措置が必要であるという観点から、都道府県知事を初め建設業団体、マンション業者あるいは建築士の団体等について通達を出したわけでございます。
  112. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 よくわかりました。  そこで昭和五十一年度までに建設省に持ち込まれた宅地建物取引に伴う苦情は、建設省のデータによりますと、宅地について千六件、土地付建物については八千五百七十四件、マンションについては千百九十九件、別荘地については千五件、合計一万一千七百八十四件に達しているわけでありますが、苦情を受理されまして以後どのようにこの苦情を処理されたか、処理状況について御説明をいただきたいと思います。
  113. 大富宏

    大富政府委員 お述べになりました苦情の件数は、毎年全国的代行っておりますところの宅地建物取引業法の施行状況調査の結果でございまして、全体で三万件あるわけでございますが、その中で東京とか神奈川とか大阪といった三大都市圏の都府県に対する苦情総数が一万一千七百八十四件ということでございまして、これは五十一年度中の苦情件数でございます。私ども調査によりますと、それぞれ担当部局におきまして関係業者の事情聴取をいたしまして適切な指導が行われ、おおむね解決を見ておるというぐあいに聞いております。大臣についてだけ詳しくちょっと申し上げてみますと、全体で苦情総数が七十九件ございますけれども、解決いたしましたのは二十三件でございまして、その後苦情等がなく、解決したと推定されるものが五十四件、未解決と思われるものが二件ほどでございます。  以上でございます。
  114. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 特に分譲マンションのいわゆる区分所有について、これは民法との関係もありますけれども建設省は具体的に指導を行っていると思います。その点御説明をいただきたいと思います。
  115. 大富宏

    大富政府委員 共同住宅といういわゆるマンション形態、わが国には売る方につきましても住む方にとりましても非常に歴史が浅く、お互い不慣れでございまして、特に建物の推持、管理、利用、こういうものにつきましては居住者相互が連帯、協力いたしまして、これを適正に管理するという姿勢が非常に大事だと思うわけでございます。建設省といたしましてはこういうような姿勢で、管理問題に対しましてはまず管理組合を設定いたしまして、区分所有者の総意に基づいて自主的な管理体制を整えるように指導いたしているわけでございます。  ただ、分譲業者にいろいろいままで不明確な売り方もややあったようでございまして、マンションの敷地につきまして、分譲に当たりまして業者がその一部を所有権を留保する、あるいは専用使用権を設定いたしまして駐車場として利用する。敷地の共有者である区分所有者自身が十分承知しないでそういうような販売形態をとっている。それで後々非常にトラブルを起こすという問題が出てまいりますので、こういうことがないように指導いたしているところでございます。
  116. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 御説明のとおり非常にトラブルが多く、また今日も続いているわけであります。共同住宅も含めて分譲住宅建築物の安全及び管理確保に関する社会的な要請も非常に強くなっているわけでありますが、以下私は五項目に分けまして一般論として要約して申し上げますが、行政通達並びに宅地建物取引業法に照らして、次に挙げる問題点についての建設省の御所見を伺っておきたいと思います。  一、分譲マンションの敷地に設置する駐車場については、本来区分所有者の協議によって設置決定をするわけでありますが、業者が販売するときから駐車場の面積を外して売った場合、しかも建築確認申請には分譲マンションとしてこの駐車場も敷地に含まれている場合、  二、同じく駐車場またはその他においても、この敷地を販売し、区分所有者の敷地になっているにもかかわらず利用権を認めていなかった場合、  三番目に、販売時において売買契約書には購入者に対して土地の持ち分表示がされないまま、また説明のないまま販売されている場合は、大規模な分譲住宅の場合においてもそれなりの事実関係の表示をしなければならない。通常の分譲においては当然表示をしなければならないと思いますけれども、これがなされていなかった場合、この場合には宅建業法四十七条にも関係すると思います。  四、物件説明書には土地付分譲として全敷地面積を表示されているが、売買契約書には底地として、敷地の一部を業者名義にして抵当及び賃貸している場合、  五、説明書には分譲マンションの管理人室を共有部分として表示しながら、業者の専有部分として主張し、登記についても故意に不実のことを告げている場合、  以上五点につきまして、最初に申し上げましたとおり一般論として御説明いただきたいと思います。
  117. 大富宏

    大富政府委員 御指摘ありました五件、いずれも非常に微妙な問題でございまして、中には訴訟になっている問題もございますので、御指摘のとおり私ども考え方、一般論としてお受け取りいただきたいと思います。  まず第一点でございますけれども、マンション分譲の場合は、少なくとも建物の敷地として建築基準法に言うところの容積率、建蔽率に関する規定を満たすために必要な面積、これは共有敷地とすることが望ましいことは当然でございますけれども建築確認の際に、他人の土地を同意を得てその敷地の一部として建築確認をとって利用している場合、宅建業法の解釈といたしましては、その旨を、重要事項といたしまして購入する予定者に十分説明する義務があると思うわけでございます。これを十分してないということでございますと、これはやはり宅建業法四十七条の違反の問題だろうと思います。  それから二番目に、駐車場またはその他においても、この敷地を販売し、区分所有者の敷地になっているにもかかわらず利用権を認めてないという御指摘でございますが、これは区分所有者の共有敷地の一部につきまして分譲業者が駐車場その他を設置して利用権を保留する、こういうことでございますと、やはり契約時に十分そういう内容を区分所有者に明示してないということは、いろいろトラブルもあることでもございますし、そういうことがないように私どもいま指導しているわけでございますが、こういうことありとすれば、やはりこれも四十七条違反ではないかと思います。  それから三番目に、販売時におきまして、売買契約書には講入者に対して土地の持ち分表示がなされないまま、また説明のないまま販売されている場合、およそ私はこういうことは考えられないことだろうと思いますけれども、そういうことがあるといたしますならば、やはり宅建業法三十七条で、これは書面を交付して明確にしなさいと書いてあるわけでございますので、これも三十七条違反、処分の対象というぐあいに考えてもいいと思います。  それから、物件説明書には土地付分譲といたしまして全敷地面積を表示されているが、売買契約書には底地として、敷地の一部を業者名義にして抵当または賃貸している場合、こういう御指摘でございますが、所有権を譲渡をするのは底地だけでありまして、他の部分については所有権を留保する。この底地という解釈でございますけれども、建物の建っている部分というぐあいに解釈いたしますと、このような売り方が好ましくないことはもちろんのことでございまして、これも説明してないということでございますと、やはり四十七条該当の違反だろうと思います。  それから最後に、説明書に分譲マンションの管理人室を共用部分として表示しながら、業者の専用部分として主張し、登記についても故意に不実のことを告げている場合、これは明らかに宅建業法違反の条項と考えます。すなわち、重要事項としての物件説明の義務にも違反いたしますし、これを故意に購入予定者に告げない、あるいは不実のことを告げた、こういう場合も四十七条該当と思います。
  118. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 ただいま一般論として御説明をいただいたわけでございますが、この一般論を引き出しましたその実態につきましては、私も消費者団体の方々あるいは分譲共同住宅を講入された方々から具体的に御説明をいただきまして調査をいたしました。  以下非常に急でありますが、いま一般論として申し上げた具体例を列記いたしたいと思います。  一つ、東京都でございますが、メゾン南ときわ台、一、売買契約書に土地の持ち分表示がないまま販売をしている。二、入居者が税金の支払いより専有面積の合計を出してみると、共有部分として販売した管理人室を元地主の専有部分として土地持ち分の千分比をごまかしていた。三、専用使用権により共有地を駐車場にして不当利得を得ている。という事実が申し立てられております。  二番目に東中野コーポ、これも東京都でありますが、売販契約書の土地表示は、三百三十三・〇二平方メートル掛ける千四百二十一・八七分の六十一・五六となっているが、この分母にピロテイ部分及び不明の数字が含まれており、業者が自己持ち分を主張している。  三、東京都の国際コーポ、売買契約書の土地表示は五百八十四・五八平方メートル、持ち分二千八百五十九・六八分の五十三・一一となっているが、全区分所有者六十三戸分の面積を合算すると、二千四百九十七・八〇平方メートルとなる。差の三百六十一・八八、全体の約八分の一に当たる持ち分を業者が自己のものとして敷地の所有権を留保している。同じく共有敷地を駐車場として賃貸、不当利得を得ている。  東京都の三共マンション並びにマンション清水台ほか。一つ、物件説明書には土地つき分譲として全敷地面積を記載しておきながら、売買契約書に底地として、敷地一部を業者名義として抵当に入れたり、賃貸していた。二、昭和四十九年の建設省指導により土地は返したが、不法建築の社宅撤去に応じない。  さらに検見川マンション、これは千葉県であります。物件説明書には鉄筋コンクリートづくりと表示してあるが、入居後一部界壁、境の壁がブロックづくりであることが判明した。  東京のメゾン麻布、専用使用に該当しない部分の敷地に倉庫を建設、賃貸をしている。  東京の中野スカイマンション、借地で入居者が地代を払っているのに、専用使用権を設定し、特定の者に賃貸をしている。  幾つか例を挙げました。これは先ほど私、一般論として伺った内容の具体的な内容例であります。それなりの対処を今後とも行政指導をすべきではないか、このように考えますけれども、いかがでございますか。
  119. 大富宏

    大富政府委員 私、冒頭に申し上げたわけでございますが、御指摘の案件につきましてはすでに訴訟になっているものもあるようでございますので、こういうことで、御指摘のようなことでありますとということで私お答えしたわけでございますが、いまお述べになりました点についても、やはり事実関係を十分究明しないと結論が出ない問題だと思いますので、私どももあわせて調査をいたしたいと思います。
  120. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 五十一年度の住宅建設状況を見ますと、前年度に対比いたしまして、総戸数ではプラス七・二%、そのうち公的資金によるものがマイナス六・七%、民間資金がプラス一三・一%と、景気の動向の影響を非常に受けやすい民間資金による建設が増大をしているわけであります。この民間の中でも、特に分譲住宅は三四・四%と増加率が最も大きいわけでありまして、しかも五十三年度の住宅建設計画も民間における建設に対する依存度が非常に大きいわけであります。  最後に大臣伺いますが、この分譲住宅に関する管理問題及び工事施工の適正化につきまして、現在全国的に大きな問題になっているわけでありますが、その実態も非常に範囲が広いわけでありまして、なかなかつかみ得ないのでありますけれども、監督大臣としてこの実態の掌握の必要、また今後の対処の仕方についてどのような決意あるいは方策をお持ちであるか御答弁をいただきたいと思います。
  121. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 五十二年度におきましても民間住宅のパーセンテージは非常に大きい、また、五十三年度も計画によれば民間重点ではないか、こういうことからいろいろ御指摘があったわけでございますが、分譲マンションを取り上げてみましても、これはやはり年々非常に増加しておる折からでございますので、この宅建業法に違反するということになれば、それなりに法律上の取り締まりができるわけでございまするが、建物の欠陥であるとか、あるいは管理上の問題であるとか、法律違反とまでいくかいかないか非常に問題でありながら、居住者との間に多くのトラブルを起こす、しかも常識的に見て当を得ない問題が多い、こういうことはまことに遺憾千万なことでございまして、住宅政策を進めておる建設省の立場といたしましては、これらの問題についての指導監督をより一層強化をしてまいりたいと思います。
  122. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 ちょうど残り時間があと三分弱になりました。住宅問題は以上にいたしまして、最後に一問、大臣と、行政管理庁においでいただいておりますので、簡単に御答弁をいただきたいと思います。  入札参加資格の申請手続の簡素合理化についてお伺いいたします。  国の行政機関が契約の締結に当たって、一般競争、指導競争入札を希望する各業者から資格審査書類を提出をさしているわけでありますが、手続が非常に複雑になっておりまして、申請者側から行政管理庁に対して資格審査手続の簡素合理化の要請がなされております。行政管理庁は五十一年に実態を調査しまして、五十二年二月、三月にわたって各省庁に対し、提出書類の統一、手続の簡素化、審査の合理化について申し合わせがなされております。五十三年度各省庁の建設工事競争入札参加資格の申請書を調べてみますと、ほとんどが従来のとおり統一をされておりません。ちなみに申し上げますと、農林省、総理府、防衛庁、法務省、文部省、通産省、住宅公団などが独自の審査書類を使用しているわけであります。公共事業の円滑かつ適正な入札が実施されるためにも、また公共事業の大部分を抱えている建設省大臣としては、ひとつ各省に対して強力に要請をして、この行政管理庁の申し出を受けるべきではないか、このように思いますけれども、いかがでございましょうか。以上、大臣並びに行政管理庁にお伺いをいたしまして、私の質問を終わります。
  123. 粟屋敏信

    ○粟屋政府委員 いま先生指摘のように、昨年の二月十四日に関係省庁、行政管理庁を中心として資格審査手続の簡素化を申し合わせたわけでございまして、建設省といたしましては、関係機関に対しましてその申し合わせに沿って手続の簡素化を図るように通達をいたしたところでございます。  ただ、各機関によりまして事情が異なっている場合がございます。たとえば建設本省におきましても、昨年その申し合わせをいたしました際に、すでに資格審査の受け付けをいたしておりまして、かつその資格審査の有効期間が二年でございますので、かえって途中で変えることは混乱が起きると思いまして、建設本省といたしましては五十四年度から完全実施を図るつもりでございます。各機関ともそれぞれ事情がございましょうが、いずれにいたしましても、その申し合わせの完全履行に努める考えでございます。
  124. 新野博

    ○新野説明員 お答えを申し上げます。  先生お話の申し合わせに関しましては、その後各省の方で実施に移しました場合に私どもの方に御連絡をいただくことになっておりますけれども、現在のところ十三府省のうち八府省では規定を改めて実施するような段取りになっております。その他の省につきましても、次回の審査時、すわなち五十四年度になりますが、それまでには実施に移す見通しであるということでございますので、一応状況を御説明申しておきます。
  125. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 終わります。
  126. 伏木和雄

  127. 瀬崎博義

    瀬崎委員 私は、まず信濃川河川敷問題についてお伺いしたいと思うのです。  福田内閣信濃川河川敷問題に対する基本的な態度については、昨年の十一月二日の参議院決算委員会でも、三木内閣以来「変化はございません。」こう園田前官房長官が言明はしておるのでありますけれども建設大臣がおかわりになったことでもありますし、改めてこの問題についての櫻内建設大臣の基本方針、三木内閣が出した方針に対する継承性の問題を伺っておきたいと思います。
  128. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 国会で御論議いただいて種々問題のあることは承知しております。私の就任直前であったと思いますが、すでに前大臣によって廃川処分が行われておるのでありますから、いろいろ論議をされましたことを念頭に置いて対処していくことは当然のことでございますが、そういう現実に処理をされておるということから、そこから出発する問題はおのずから違うと思うのであります。
  129. 瀬崎博義

    瀬崎委員 三木首相が国会に対して行った公約は、大きく分ければ二つあって、一つは廃川敷処分の問題であります。これは理由はどうであれ、長谷川前建設大臣の処置は不当だ、私どもはこう思っております。同時に、三木内閣からの引き継がれている公約のいま一つは、土地の利用、処分について国民の納得のいく処置をとるべきだということがあるわけであります。この課題については、これは今後の問題でありますし、よりよいアイデアよりよい案があるとするならば、これは建設大臣としても十分検討をされると思うのでありますが、改めてこの今後の土地利用の問題についての三木内閣以来の公約の実行について伺っておきたいと思うのです。
  130. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 十一月一日の廃川処分当時の経緯を調べてみまするに、その土地の処分のあり方につきましては、地元市長との間でこういうふうにやるのだということがはっきりしておると思うのであります。半分は市で利用する、半分は公共的なものに使用する、それも市長の方に相談をする、市は建設省の方に相談をするということになっておると思うのであります。そういうわけで、国民の納得を得る形というものをどういうお考えでお尋ねであるかわからないのでありまするが、そういう処分のあり方についてもすでにはっきりしたものが出ておると思いまするので、私としてそれにどうこうということをいまここで改めて申し上げるのもかえっておかしなことではないかと思うのであります。
  131. 瀬崎博義

    瀬崎委員 いま大臣が言われた半分を市が利用することについていろいろと問題が起こっているのではなくて、残り半分、室町が利用する部分についていわゆるよりよい利用方法、すでに三木首相も公共的な利用がベストであるということを言っているわけであります。それについては、国会にも全面的な公共利用を求める請願書も多数の長岡市民の署名を得て出ておるわけでありますが、当然これも国会審議で行われることであり、大臣は尊重されると思うのですね。それから、私がよりよい方法といったその全面公共利用については、園田前官房長官も検討する、こういう答弁をしているわけであります。それから、建設省がわが党の上田参議院議員に対して答弁書を出しているのですが、それにも「現在のところ、」と断わって、「建設省の行政財産としてこの土地を利用する計画はない。」こういうわけですから、今後、先ほど言いましたようによりよいアイデアあるいはよりよいプランが出てくるならば、建設省としても十分研究もし検討もされてみるべきではないかな、こう思うわけですが、いかがですか。
  132. 栂野康行

    ○栂野政府委員 この室町産業が使うとされています土地につきましての利用でございますけれども、これは五十二年十一月十四日、十五日、当時の丸山次長が現地調査を行ったわけでございます。  その調査項目は、いわゆる土地の利用について新潟県あるいは長岡市でそれを利用する意向があるかどうか、もう一つは、長岡市が譲渡を受ける場合の土地の価格ということでございます。  それで、そのときの長岡市の回答及び新潟県の回答によりますと、県や市としては利用する意向はないということでございます。しかしながら、建設省からわざわざ見えているので重ねて回答いたしますということで、その回答がまた参ったわけでございます。それによりましても、市としましても、現在の市が利用する二分の一で十分である、市全体の公共的な使い方、あそこの地域だけに片寄るのはまずいということ、それと今後の利用計画を見ましても、その土地で十分であるという意向でございます。それから新潟県としても、いろいろ検討してみたけれども県としては利用する意向はないということでございます。  それから、今後の公共的な土地の利用についてでございますけれども、これはやはり県や市や地元の誘致という問題もあろうかと思います。その点、河川管理者としては、こういう問題とはちょっと次元が違ってくると思います。
  133. 瀬崎博義

    瀬崎委員 私が言っているのは、それは現状説明であって、われわれも十分承知をしているわけであります。そういう上で、なお国会には全面公共利用をしてもらいたいという請願も出ているわけですから、この事実はやはり政府も否定はできないと思うのです。したがってわれわれも、別にいまのプランを絶対的なものとするんじゃなくて、これと比較してこういうような方法も国としても考えられるなと、改めて一度地元と相談してみようかというプランが出てくるならば、これは当然検討の対象とされるべきじゃないか、こういうことなんです。これはひとつ大臣に一遍そういう幅広い検討というものをお願いしておきたいと思うのですが、これはひとつ大臣に。
  134. 栂野康行

    ○栂野政府委員 室町産業に渡るであろうとされている土地、これは先生も御承知のように個人の土地、私人の土地でございます。憲法でも私権の問題、個人の自由の問題、いろいろうたわれておるわけでございまして、そういう問題に対しまして行政府としての国が介入するにしましても、限界はあろうかと思います。したがいまして、あの覚書にありますように、いわゆる公益性の強いものを主体に二分の一を利用する、その場合には長岡市の事前の同意が要る、しかもその長岡市が事前同意する場合には建設省に協議するというふうなことで、あの土地がいわゆる長岡市全体の発展のために、市民全体の利益のために使われるというふうにうたわれておるわけでございます。この点につきましては、私たちとしましても地方自治体の長である長岡市長を信頼し、また私たちとしましてもそれがそういう覚書の趣旨に沿って使われるようやはり見守っていきたいというふうに考えます。
  135. 瀬崎博義

    瀬崎委員 しかし、この前、丸山前河川局次長が新潟県を訪ねたときは、いわゆる国の方でプランを持って臨んだのではなかったでしょう。もっぱら受け身になって市や県の意向を聞きに行ったわけであります。それはあくまで全面公共利用の道がないかということでありますから、そういう点では、今度私がいま提案しているのは、国の方でも一度プランを考えてみて、それを持っていって改めて相談する。だからこれは、そういうよりすぐれたプラン、よりすぐれた計画というものがあった場合にと、条件を私はつけているわけです。そういうことについて大臣考えをひとつ聞いておきたいんです。
  136. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 この室町物産が市長との間で覚書を交わしておる。それは恐らくこれだけの論議が行われた後の問題でありますから、そのとおり履行されるであろうと私は予想するわけです。しかし、そういう覚書があるにもかかわらず、それを置いておいて、そして一足飛びに、これはこうしろというようなことをやり得るかどうかということを考えてみますると、それは私はちょっと無理なんではないかと思うのです。せっかくあれだけ御論議があって、国会でも、予算委員会でも問題になる、当委員会でも問題になる、こういうことの結果が、公益性の高いものを主体としてやろうとかあるいは市長に相談する、さらには建設省にも協議をする、こういうことになっておるのですから、私はその辺のことを必ず念頭に置いて処理されてくるものではないか。その際に、もし当を得ない、国会の御論議などにもとるということにつきましては、それは建設省として不当である、適当でないというそういう意思表示をする段階があるものと思うのです。
  137. 瀬崎博義

    瀬崎委員 もともとこれは国会で当時の首相であった田中角榮が寄付してもよいなどと言った問題でもあるわけなんですね。ですから、そういう意味では、坊大蔵大臣も、大蔵省としては最も公共性の方向にこれを使っていくことにしたいとか、あるいは理財局長が、行政目的があって特定の省庁においてその土地の利用計画が立てられ、予算要求としてその土地の購入費ができた場合には国が買うこともできる、こういう答弁も出ているわけです。だからそういう意味で、何も私がいま言っているのは絶対的なものとしてこうしろと提起しているのではなくて、国も国として一度、今後のよりよい公共利用の方法というものを、もしも案が提起されれば検討をされてしかるべきではないか、こういう意味合いのことを言っているわけです。そういう点では、大臣、もし提起があれば検討はしてみられるのでしょう。
  138. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 先ほど私室町物産というふうに申し上げましたが、これは室町産業の間違いでございますから訂正をさせていただきます。  おっしゃっておることは、その御趣旨はわかるのですけれども、また建設省が最終的に、いろいろ御論議もある、こういうことで調査にも行かせる措置をとっておるわけであります。ただそれを、積極的に何か計画でも持っていったらどうか、あるいは今後においてもそういうことをしたらどうか、こういう御趣旨だと思うのでありまするが、その手順がすでにはっきりしておって、そしてその手順の踏まれる段階で、従来行われておる論議から非常に外れる、そういう場合には、それなりの建設省としての指導と申しますか、考えというものを出す段階があるので、こちらが積極的に何かやれということについては、ちょっと私は、もう廃川処分も告示をし、それから市と室町産業との間の覚書もあり、加えて私の引き継いだいろいろな話の中には、国民の理解、納得ということで、一番関係の深い立場にある国民と、こうなれば長岡市であり、その長岡市民の意思を代表する市議会である、また市民の多数の支持を得た市長である、こういう方々が理解を示しておる、納得しておるというものを、それを強いてそれはこういうふうにしろと言うのもどういうものかな、こう思わざるを得ないのでございます。
  139. 瀬崎博義

    瀬崎委員 これ、ちょっと委員長の了解を得て、大臣に見ていただきたいと思うのですが、いま手順ということを言われましたね。そこで、長岡市には長岡ニュータウン開発整備事業というのが現在行われておるわけであります。これは事業主体が地域振興整備公団なんですね。もちろん国の認可を受けて、建設省の認可を受けてやっているわけであります。このニュータウン計画というのは、人口四万人の住宅、学校、保育所、公園、緑地、工業施設、商業流通施設などを組み合わした多様な都市機能の新たな整備を目指しているわけです。長岡ニュータウン開発整備事業に係る事業実施基本計画説明資料というのがあるわけですね。これは認可のときの付属資料なんですが、その中にいまお渡しした図面がついているわけであります。しかもその説明の中に、特に調和を図るべき長岡市の特色の一つとして「現在進行中のものとして信濃川河川敷地(長生橋〜長岡大橋間)に、」まさにこれが問題の河川敷全部に当たるわけなんです。「子供から老人まで幅広い層の利用に供されるよう、各種のスポーツ・レクリエーション施設を主体とする大規模な公園の整備計画がある。と説明されているのです。  その図面をごらんになってもおわかりのように、まさにこれはもう半分だけじゃなしに全部が河川公園になっている。したがって、この廃川敷がもともと河川公園にすべき土地であったことは間違いがないし、また、そういう計画と調和ある組み合わせ事業として長岡ニュータウン計画が進められてきたという経過が先にあるわけですから、地域振興整備公団で引き受けることも可能であろうと私は思います。別にそれを市に押しつけてくれというのではないのです。一度そういう方法の研究も建設省独自には行ってみられたらどうかなと思うのですが、いかがですか。
  140. 栂野康行

    ○栂野政府委員 お答えいたします。  長岡ニュータウン開発整備事業でございますけれども、いま先生がおっしゃいましたように、この信濃川河川敷はレクリエーション地帯に使いたいということでございます。そのときどういうふうな考えでこうなったかわかりませんけれども、現時点におきましては、長岡市が使えます二分の一の土地、あそこにはいわゆる老人ホームとかあるいは市営プール、県立高校、赤十字とかそういうものを持っていきたい。同時にここを緑の広場、この二分の一全体がいわゆる公園であるというふうな構想のもとに、長岡市としては現在自分の土地について構想を持っておるわけでございます。と同時に、この河川敷の前面、いわゆる川の中でございますけれども、ここにおきましても、長岡市としましては、広大な面積にわたる公園計画、いわゆる河川環境整備の中における河道敷の中に広大な公園計画を持っておるということで、ここ全体が一つの大きな公園であろうと思います。したがいまして、室町産業株式会社との間の覚書におきまして、そういうもろもろの総合的な判断に立って、長岡市としては二分の一でいいというふうな結果になったのではなかろうかというように考えます。
  141. 瀬崎博義

    瀬崎委員 しかし、もともと二分の一ではなしに全体が河川公園の計画であり、それが前提でニュータウン事業が進んでいる。しかも、長岡市の回答を見てみますと、土地の先行取得をする場合に財政的な事情もあるということを言っているわけですから、果たしてもともと計画のあったこの河川公園全体の土地を本当に必要としないのかどうか、私は改めて聞いてみないとわからないと思うのですね。その際、いま提起したように財政事情が市におありなら、この整備公団が現在手をつけておる事業なんですから、すでに飛び地が二カ所ある事業なんですから、もう一つ飛び地としてこの河川敷を加えてもいいのではないかという感じもする。こういうことを一遍建設省部内で検討してみられることから出発されたらどうか、こう思うのです。
  142. 栂野康行

    ○栂野政府委員 先ほどの答弁に少し補足さしていただきます。  五十二年の十二月二十二日付でございますけれども、長岡市議会議長高田俊夫さんの名前によりまして、「信濃川河川敷の早期解決と公共利用促進に関する決議書の送付について」ということで、ここにありますような決議書が来ておるわけでございます。これによりますと、南半分も含めた全面的な利用の問題につきましては、いわゆる長岡市が計画しております公共利用というものをおくらせる結果になる、またいたずらに市政の混乱をさせるものであるということで、長岡市議会としましても、この残りの二分の一については現状のままといいますか、覚書の歯どめで十分やっていけるというふうな考え方に立っております。全部を公園にするとかそういうふうな見解は現在はとっておらないということでございます。
  143. 瀬崎博義

    瀬崎委員 それじゃ建設省の方から整備公団で残り半分を検討してみようかという提起をしたことがあるのですか。
  144. 小林幸雄

    小林(幸)政府委員 一般的な問題としてお答え申し上げたいと思いますが、(瀬崎委員「じゃ、この場合だけでいいですよ」と呼ぶ)地域整備公団は、地元の地方公共団体の要請によりまして、地方都市整備の一部のお手伝いをするということになっておるわけでございまして、建設省あるいは国土庁あるいは公団の方から積極的に市の方に乗り出してやるというふうな形で仕事のかかわり合いを持つというふうなことにはなっていないわけでございます。
  145. 瀬崎博義

    瀬崎委員 だから私が聞いたのは、もともと建設省の認可をとる基本計画の中では、この地域が全部公園の予定になっていたわけですね。いまごらんのとおりなんですね。したがって、残り半分の土地についてもこちらから、別に押しつけではないけれども、もし市に意向があるならば、この整備公団で一緒に考えてみてもいいんだというふうな提起をしたことがあるのか。何も事業を押しつけなさいと言っているんじゃない。提起をしたことがあるのかと聞いているのです。それはあるんですか、ないんですか。
  146. 小林幸雄

    小林(幸)政府委員 当該河川敷の部分につきましては、まだ都市計画の決定もなされていないわけでございまして、したがいまして、私どもの方から、そういうふうなサゼスチョンを公団もしくは市に対しましてしたことはまだございません。
  147. 瀬崎博義

    瀬崎委員 そういうわけですから、大臣、もともとあった計画なんですよ。もう一度よく建設省で検討されまして、市にも相談をかけてみる、そういうことを考えてみられたらどうかと思うのですが、いかがでしょう。
  148. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 私もいろいろ問題のあった経緯を踏まえて、先般来、瀬崎委員を初め参議院の方でも同趣旨の御意向などがございましたけれども、ただ私のところへ小林市長が、今後十数年にわたる長期的な展望に立って必要な公共施設の設置を検討しても、今回の廃川敷処分によって長岡市が利用することとなる用地はこれを十分充足し得る、こう言っております。それから、当初この場所に予定していた下水処理場の建設位置を、廃川敷処分がおくれたことなどから他に移したことにより、かなり利用面積にゆとりが生じておるとも言っておる。それから、公共施設の配置は全市的なバランスを考えなければならないとの立場から、この場所にのみ公共施設が集中し過ぎることは好ましくないのみならず、市民感情からしても合意を得がたい、こういうことまで言われておるわけでございます。また、私がお答え申し上げているとおりに、市と室町産業との覚書があって、その覚書の中で十分今後建設省として、もし当を得ないことであるならば、協議の際に発言し得るようになっておる。こういうことから、それを置いておいて、こっちからこうしたらどうだ、ああしたらどうか、それは私はちょっと無理なんじゃないか、こういうことを申し上げておるような次第でございます。
  149. 瀬崎博義

    瀬崎委員 現在室町が取得するであろう半分については、越後交通の本社ビルであるとかあるいはバスターミナル、そういうふうなものが計画として表面化してきているわけであって、決して当初の計画の河川公園となじむようなものではないと私は思うのです。しかもいま公共施設公共施設と言われますけれども、もともとは河川公園の予定地であった。そういう意味で言うなら、整備公団という方法も一つであれば——淀川河川公園は国営ですね。ここは別に本来の河川敷を使っておりますから固定的な施設はつくれないわけでありまして、自然のままの緑地を保存するとか、あるいは野草を植えて人工の緑地にするとか、あるいはまたグランドとか、たこ揚げ場とか、フォークダンス場とかいうふうなものをつくる。サービスエリアとしては、堤防外の接続した民地を買い上げてそこにつくっているというわけですから、そういう国営河川構想をあそこに当てはめれば、まさに市の構想ともマッチして、残り半分の土地とそれからこの信濃川の広大な本物の河川敷を組み合わせますと、治水上も非常にプラスになる案ができますね。だから、市の案は市の案として置いておいて、国は国として一遍そういうことも国家百年の計として考えてみられるのも一つの方法じゃないかと私は思うのですね。いかがでしょう。
  150. 栂野康行

    ○栂野政府委員 この図面をよくよく見てみますと、信濃川河川公園というのは、私が先ほど申し上げました川の中の広大な、現在市が計画しておる公園でございます。この図面を見ますと、信濃川河川公園の陸地側に十一月一日に処分した廃川敷があるわけでございます。その川の中がこの図面によります信濃川河川公園でございます。その点私も間違って答弁しておりました。
  151. 瀬崎博義

    瀬崎委員 いまの国営河川公園の方は……。
  152. 栂野康行

    ○栂野政府委員 この図面によりますと、信濃川河川公園と書いてございますのは、現在新堤と川の間の現在川になっておるいわゆる高水敷を信濃川河川公園というふうに、この図面では区域がはっきりされております。したがいまして、十一月一日に処分いたしました廃川敷とは関係のない地域のことを意味しております。
  153. 瀬崎博義

    瀬崎委員 現地の図面とこの図面とがよく合わないので、われわれはいまの局長の答弁が確かにそうだとは言いがたいのでありますけれども、いずれにしてもその地域が河川公園の最も適地とされているわけですから、だからいま言いました淀川方式で、淀川の場合ですと、京都と大阪府の境から河口までの一帯の河川敷と、それから堤防外の一般の民地をセットにして五百ヘクタールほどの国営河川公園にしていますね。いまの局長のお話でいきますと、こういう構想でいくならば、いま言われているこの河川公園予定地を含めて、ここにはそういう建物などは建てられないはずです。だからそれに隣接した外側、つまり室町の所有になる土地も組み合わせることによって、まさに西の淀川、東の信濃川と言えるような国営河川公園だってでき得るわけですね。治水上はやはりそういうことも考えなければならない部分だろうと思うのです。そういう点では一つの研究課題であろうと思うのですが、これを研究しないというのでは建設省の資格が疑われると思うのです。一度大いに研究してみられたらどうですか、大臣
  154. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 全く白紙の上でいろいろお考え願う、あるいは過去の経緯だけを前提にしてお考え願うというようなことだと、おっしゃっていることわからぬでもないのですが、先ほどから繰り返して申し上げておるように、この廃川処分になったところをずっと検討してみますると、室町産業の、今後市とも相談して公益性のあるものをやる、それについては建設省にも協議するというところは、御承知のように民有地が大部分なんですね。瀬崎委員は、何か建設省の方が案を持っていってそして考えたらどうか、こう言えといっても、どうしてもそこのところがわれわれも役所の立場というものから考えてみてどういうものかなと思わざるを得ないというのが率直な私の気持ちでもあるし、なかなかそうおっしゃるようには無理ではないか、こう思うのでございますが……。
  155. 瀬崎博義

    瀬崎委員 終始何者かに遠慮しているような答弁なので、改めてもう一遍、過去の経緯というものを言われるならば、三木内閣時代からの国会答弁等もこの経緯の一つですから、読み返されて、私どものこの積極的な提案をひとつ建設省も研究、検討されるように要望したいと思うのです。  次に、これは建設大臣も就任早々、減税をとるか公共事業をとるか選択に当たって大事なことは、公共事業による景気浮揚効果というものがあるかないか、それが庶民なり一般市民にどう影響していくかということではないか、こういうふうに言われているわけですね。恐らく庶民や一般市民にどういう影響があるかということについては、よい影響があるという確信の上に立っての話だと思うのです。雇用の拡大、中小企業の経営の安定あるいは一般市民の収入の増加につながっていくであろうという意味だろうと思うのです。その点の私の解釈はいいですね。
  156. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 ただいまおっしゃったそういう考え方を持っておることは事実でございます。
  157. 瀬崎博義

    瀬崎委員 しかも大臣の本委員会での答弁の中で、建設の資材ということでセメントや棒鋼なども一部は不況カルテルが解除になってきたし、価格も正常に復してきたし、在庫調整も進み、操業率も上昇している、そこから民間の新たな設備投資も拡大していく、そういう波及効果が広がるので公共事業政府としてはとっていくんだ、こういうふうに言われております。当然そういう大企業の操業率が上がりまた設備投資も行われればということだと思うのですが、そういう大企業の設備拡大が建設事業として発注される場合に、受注する元請商社とそれから発注者が組んでしまって、結局単価面で、あるいは支払い面で下請業者泣かせになったのでは、これは大臣の発言とは異なる結果になると思うのです。そういう点では建設業者に対する効果的な建設行政が伴って初めて所期の目的は達せられると思うのです。そういう点で元請業者の下請、孫請等に対して圧迫などの起こらないような指導、少なくとも建設業法などを活用した指導は十分できているんだ、こういうふうな認識を大臣は持っていらっしゃいますか。
  158. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 これはもう全く瀬崎委員のおっしゃるとおりでございます。元請、下請、孫請の関係が正常であり適正でなくてはならないと思います。そのための指導はつとにやっておるところでございますが、特に元請、下請、孫請の間でちゃんとした契約を結んでおくという必要があると思うのですね。そういうことから建設省としては、標準契約と申しましょうか、約款のようなものを示して、必ず契約はしっかりしてもらいたい。それからまた、しばしば問題になりましたように、前渡金などがうまく下請へ流れておるかどうか、こういう点につきましては、元請が資材の面の手配をするとかあるいは飯場をつくるとかいろいろありましょう、だから元請は元請のやるべきことを当然やるのでありますが、しかしまた、下請で必要なものが、公共関係であると大体四〇%ぐらいの前受け金が出るのに、下請の方に必要な資金関係があっても元請が全部手にしておるというようなことのないように、こういう点は行政面で指導してまいりたいと思います。
  159. 瀬崎博義

    瀬崎委員 昨年の暮れに私どもがこの委員会で要望したことを実行に移されて、これは公共工事についてだけですけれども、国の支払った金がどのように元請から下請へ流れていったか、調査されていますね。全面的な結果はまだ聞いておりませんが、部分的に聞いたところでは、一番長い手形が百九十日間、一番短いのでも四十日、平均して大体百二十日前後というふうに聞いているわけで、長谷川前建設大臣が、少なくとも元請の支払い手形は三十日以内、こう言ったのとは大きな隔たりがあるわけですね。また、数次にわたっての局長通達も余り生きているようには思えないわけなんです。  しかし時間の関係でそれはさておきまして、ここに一つの、深刻な不況下、一口で言えば大企業の横暴とそれの犠牲にされている中小零細企業の姿の縮図とも言うべき事件が起こっております。これも非常に複雑な事件ですので、ちょっとこの図面を見ていただきたいと思うのです。  五十年の六月十一日に日本鋼管が西華産業に対して日本鋼管扇島第一期工事受け入れ原料試料採取調整設備設計製作据えつけ工事を十億四千万円で発注をしたわけであります。元請の西華産業はこの工事を小川精機に九億一千六百九十万円で下請をさせました。小川精機は、この工事のうちで集じんダクト製作据えつけ工事の部分、これは船から揚げました鉄鉱石のサンプリングを自動的にやる非常に大きな施設なんです。ほこりが出ますから、その集じんのダクト製作据えつけ工事を近藤製作所に下請をさせておりますところが、五十二年六月十六日小川精機が倒産、そのあおりを受けまして近藤製作所も去年の八月倒産、その結果この近藤製作所の労働者はもちろん、さらにその下請の業者あるいはそこに働く労働者が大変な被害を受けているわけであります。  この西華産業というのは、資本金が二十四億円で一部上場です。三菱系の大体機械専門商社であります。この西華は商社ではありますけれども、建設業の許可はとっていますね。
  160. 大富宏

    大富政府委員 お答えいたします。  五十二年の八月に建設大臣許可をとっています。業種は、機械機具設置工事、電気工事、管工事でございます。
  161. 瀬崎博義

    瀬崎委員 この十億の工事のすべてが建設業法の適用を受けているのではないわけでありますが、いま言われましたように、機械据えつけ工事部分は建設業法の適用を受けていると思うし、現場で高いところのいろいろな機械の塗装等もやりますから、これも建設業法の適用を受けるのじゃないかと思うのです。  私ども調査をしております過程で、西華産業の志賀営業本部次長は、売買契約である、売買すれば後のことは知らない、下請に金は行っているものと思っていた、うちは金利を取っただけで鋼管と小川の直接取引と言ってもよい、こういうふうに説明をしたわけであります。一方、一次下請の小川精機の小泉元専務に聞きましたら、西華さんから一切お任せいただいておりましたと言っているわけです。結局、これは建設業法では禁止している一括下請であることをそれぞれの関係者が物語っているんではないかと思うのですが、建設省調査結果ではどうですか。
  162. 大富宏

    大富政府委員 瀬崎委員みずからおっしゃったように、非常に複雑な事案でございまして、私どもがこれを調査依頼を承りましたのはことしの二月三日でございまして、近藤製作所の方からの依頼に基づきまして調査をしているわけでございますが、二月八日と二十二日、二回調査をやりまして、実は本日も午前中やったわけでございます。事情聴取をしておる階段でございまして、まだ一連の契約の内容全貌を把握いたしておりません。大変おくれている事情も、聞きますと、いま御指摘のように一次下請の小川精機が倒産をいたしておりまして、やはり責任者がよく追及できないということで非常に調査に手間取っている次第でございます。  この近藤製作所側の言い分でございますと、日本鋼管から西華産業が受注した工事は全部で七件でございますけれども、これは近藤製作所外数社の再下請グループの未回収金が一億二千九百万円……(瀬崎委員「私の質問にだけ答えてください、一括下請となっているのかどうか」と呼ぶ)その点で、西華産業からきょうの午前中、十時から二時間くらい聴取いたしておりますけれども、契約の全貌についてはまだ十分掌握しておりません。
  163. 瀬崎博義

    瀬崎委員 大体発注方法は、世に言う性能保証契約でありまして、日本鋼管側はこういう性能の設備をつくれというだけであって、日本鋼管側が詳細な設計図を示しているわけじゃないんですね。しかもその日本鋼管の仕様書を見ますと、これなんですが、業者名として栗本鉄工、小川精機と入っているだけで、西華産業などの名前は全然ないわけなんです。したがって、どういう工事内容かの説明も全部小川精機に行っているわけです。競争の結果、小川がとったというケースですね。そういう点から見て、私どもはこれは一括下請の可能性がきわめて強い。しかも、日本鋼管側に一括下請を認める旨の書類を出しているのかとただしましても、あるのは注文通知書以外にないということなんですから、恐らく書面でそういうことは取り交わしたとも思われません。この点では建設省の厳重な調査をまず要求しておきたい。  それから次に、私は現場も視察をいたしました。大体五階か六階の大きな鉄骨の建物であり、これは五洋建設が請け負っているのです。中の設備一切が西華の請負ですね。ところが、いろいろな事情から当初五十一年十一月三十日の納期であったものが大幅におくれて、その結果こういうことになったのです。一つは、五洋建設が機械搬入口の外壁を張ってふたをしてしまった。したがって、直径一メートル以上もあるような大きなダクトを細切れのまま人力で中に運び込まざるを得なくなってしまった。いま一つは、日本鋼管が船が入ってきていることを理由にして機械をどんどん動かし出した、ベルトコンベヤーですが。その運転中の据えつけということになったために、普通は地上でダクトをつないでクレーン車でつって天井へぶら下げるらしいんです。これができなくなった。天井からのつり下げの足場を使いながらウインチ三台で相づりして非常に困難な作業を行った。通常の約十倍ぐらいの労務賃金がかかったであろうことは関係者が認めております。こういうことについては建設省、西華も呼んでいるようですが、説明を受けましたか。受けたか受けないかだけで結構です。
  164. 大富宏

    大富政府委員 第三回目の事情聴取を実はきょう午前中行った段階で、担当は聞いておると思いますが、私までまだ十分掌握しておりません。
  165. 瀬崎博義

    瀬崎委員 そうこうしているうちにどういうことが起こってくるかといいますと、この倒産した近藤製作所の下請人の一人でありました酒井鉄工所も、結局昨年の九月、十月に近藤さんからもらった手形が不渡りになる、経営が行き詰まってきてことしの一月、群馬銀行の磯部支店に百四十八万円の返済がたまってしまったんです。一月二十六日に銀行が酒井さんを呼び出して、なけなしの預金で百四十八万のたまった返済を迫った。酒井さんは、その後の二十八日に百四十万円の手形を決済しなければならぬのでもう少し返済を待ってくれるように頼んだんだけれども、結局、銀行がそれを聞かず、無理やり承諾をさせたような形でその預金でまず返済をさせたために、その後の酒井さん振り出しの手形は不渡りになった。これが二度目の手形事故であったそうで、これで倒産。ところがその三日後に酒井さんの奥さんがこの倒産を苦にして自殺をされているわけであります。  大蔵省にお尋ねしますが、一言、こういう事実を確認されたかどうかだけお答えいただきたいと思います。
  166. 吉田正輝

    吉田説明員 確認いたしました。  それによりますと、私どもと感じがちょっと違いますけれども、大分長い経緯がいろいろございまして、長い間延滞が続いたようでございますが、御本人の御要請により預金を貸付金の返済に充当したというふうに報告を受けております。
  167. 瀬崎博義

    瀬崎委員 それは私もいま言いましたように、一応本人の承諾はとっていることは事実であるけれども、承諾せざるを得ないように持っていったこともまた事実であります。  さらに、その三日前の一月二十五日、高崎社会保険事務所が酒井鉄工所の機械類を社会保険料の滞納理由により差し押さえているんですね。そのときの滞納額は幾らでしたか。額だけ答えていただければいいです。
  168. 坂本龍彦

    ○坂本説明員 金額をお答えいたします。  三十一万一千四百五十五円でございます。
  169. 瀬崎博義

    瀬崎委員 それは社会保険庁に言わせれば当然のことをしたまでだと言うかもしれませんが、実は私この事実を知らなかった。ただ、銀行の方にいろいろ問い合わせしておったら、むしろ酒井さんの奥さんの自殺の直接の原因を言われるならば、この社会保険事務所の保険料の滞納差し押さえが原因ではないですか、こういうことで知ったわけであります。人の命と金とどちらが大事か、これは恐らく聞かなくてもわかっていることだと思います。  問題は、末端でこういう矛盾が起こってくる原因が日本鋼管や元請にあるということなんですね。四十七年三月の計画局長通達では、下請負人の保護について、一つは、下請負人の保護に関する規定は、建設工事に係る元請負人の義務であること。それから、下請負人に対する特定建設業者の指導等の規定は、当該工事の施工に関し全般的な責任を有し、かつ、最も実態を把握し、指導の能力を有する元請負人たる特定建設業者に、下請負人の指導の義務を課していること。それから、元請負人は賃金不払い等の発生が予想されるときは、事前に下請負人等に対し必要な援助を行なうことを明記しているわけです。恐らくこれらが守られておったら、私はこんな悲劇は起こっていないと思うのです。この点だけはもう恐らく三回も事情聴取をされれば建設省は確認したと思います。  そこで私は、せめて事後処理だけでも早くやって元請責任を果たさせるべきだと思うのですが、ここがまたこの会社は誠意がないのです。これも認めておられると思います。おくれればおくれるほどいま申し上げましたように悲劇がまた続くおそれがあるわけですね。この点では建設省のもっと敏速な指導というものを求めたいと思うのですが、いかがですか。とりあえず建設業法上元請が責任を持つべき部分からでも解決を図るべきじゃないですか。
  170. 大富宏

    大富政府委員 三回にわたる西華の方の事情聴取によりましても、西華の方ではれっきとした建設業法の特定建設業者でもございますし、労務者の労賃の立てかえ払いというものについては前向きで善処したいと言っているわけでございますけれども、現在の時点でまだやはり相当近藤製作所との間に申し分の開きがあるようでございますので、その辺はもう少し当事者間で話し合いを詰めさせたいと思いますけれども、労賃の支払いについては前向きの姿勢を持っております。
  171. 瀬崎博義

    瀬崎委員 先ほど建設大臣も、こういうトラブルを起こさないようにするためには契約をちゃんとする必要があると言われましたね。れっきとした一部上場会社である西華産業が下請小川精機に対する発注契約は、私もいろいろと調べてみたけれども、こういう注文書があるだけなんです。これは単に売買のための注文書だとぼくは思いますね。  一つは、これが果たして工事の契約書と言えるものかどうか。これは恐らく建設省も持っているはずです。  もう一つは、この注文書を見ておりますと、何と日付が五十二年の三月十五日、下に決済欄があるのですが、次長の決済欄を見ますと、五十二年の七月十四日になっておる。いわゆる小川の倒産した後なんですね。  こうなってきますと、これは問題が起こってからつじつま合わせに後でつくったものじゃないかという懸念すら起こってくる。少なくも事前に工事契約が結ばれたという形跡がないのでありますが、こういう点では建設省調査で的確な工事契約があったかどうか、また適切な時点に結ばれておったかどうかについていかがです。
  172. 大富宏

    大富政府委員 大臣からも答弁がありましたように、やはり元請と下請関係の仕組みの体制を合理化するためには、建設業審議会からも勧告がありましたように、標準下請契約約款というものをぴしっと結ぶということでございまして、そういう点で御指摘の問題についても十分調査いたしたいと思います。
  173. 瀬崎博義

    瀬崎委員 しかも、私どもが西華産業に、大体どの部分が建設事業に当たるのかをいろいろと問いただしておりましても、売買として小川に渡したのだからその区分がわからないというふうなことでつかみどころがなかった。ところがちゃんとやはり特定業者の許可をとっているわけですから、許可申請書にはちゃんと工事経歴欄があるわけでしょう。「日本鋼管(株) 原料設備サンプラ設計製作据付工事 神奈川三千七百万円」多分これに該当するのだろうと思うのです。そうなってくると、この工事経歴書に書かれている三千七百万という工事高が果たして根拠のある数字なのかどうか、もとを言えば、これを証明するような帳簿、台帳等が西華産業にそもそもあるのかどうか、こういう疑いが出てくるのですが、許可をした建設省としては、この申請書に虚偽の記載があるかないか調べてみましたか。
  174. 大富宏

    大富政府委員 まだそこまでの証票書類の調査まではいっておりません。
  175. 瀬崎博義

    瀬崎委員 一つだけ言っておきますと、この工事の完成が五十一年一月になっているのですが、実際はこれの約一年半後、五十二年六月です。こういう点から二百件ほど工事経歴が載っておりますが、この西華の工事経歴がきわめていかがわしいということだけ私はっきり言っておきたいと思います。  次に、日本鋼管のもともとの発注価格は九億二千五百万であります。結局、栗本鉄工との競争見積もりに勝った小川精機も、ずいぶんと当初見積もりよりたたかれたことを告白しております。結局、鋼管も、五十二年の一月十七日になって、一億一千五百万円の増額を認めております。このときの西華産業の増額要求額は二億円でありました。小川精機が債権者会議提出しております資料によりますと、工事原価が十二億三千八百万円で、三億円の赤字を出したと言っているのです。鋼管が増額に応じたということは、やはり当初の価格が安かったということを一面で認めていると同時に、一面では、西華産業の増額要求の二分の一、赤字の三分の一しか認めていないということは、これはそもそもこの日本鋼管の発注価格そのものがきわめて低かったのではないか、原価を割るような、建設業法で禁止している価格ではなかったか、こういう疑いが持たれる。そこからマージンとして西華が一億二千三百万円、これははっきりしないのですが、そのほかに延滞利息なるものを二千五百八十万円ほど取っているようなんですから、これでは下請はたまったものではない。つぶれてあたりまえという気がするのであります。そういう点では、この西華と同時に、日本鋼管の発注価格が妥当であったかどうか、こういう点にもメスを入れる必要があると思うのですが、この点建設省いかがですか。
  176. 大富宏

    大富政府委員 この問題も含めて調査いたしたいと思います。
  177. 瀬崎博義

    瀬崎委員 時間が迫っておりますので、先を急ぎますが、そのほかにさらにわれわれを驚かした事実があるのです。それは西華産業が小川精機に支払っておりました手形のうち、最終期日の去年十月三十一日分三千万円を、支払い過ぎだとして不渡りにしてまで自己の利益を保全していることであります。もちろん西華は異議申し立て預託金を積んでおりますから、同じ不渡りと言っても、世に言う二号不渡り、つまり銀行取引停止処分とか名前の公表はされておりません。そこで大蔵省に聞きたいのですが、大体この異議申し立て預託金を積んでのいわゆる二号不渡り、これはどの程度あるものですか、それだけを、数だけを答えてください。
  178. 吉田正輝

    吉田説明員 そういう提供金で手形交換所に対して積むわけでございますけれども、その正確な額は把握してございません。
  179. 瀬崎博義

    瀬崎委員 いや、こういう異議申し立て預託金を積んでのいわゆる二号不渡りが、どのくらいの件数が発生するのかということなんですが、実は私自身の調べですから古いのですが、五十一年で言えば、年間全体で四十七万枚ほどの不渡りのうち、二号不渡りというのは一万六千枚ほど、三%、しかもその中で全国銀行協会の話では、一部上場の会社が不渡りするのは一年間にせいぜい十件か多くても二十件だろう。そう見てくると、この西華の処置がきわめて異常、非常識な、余りにも身勝手な処置ではないかという気がするのです。おまけにこの西華の出した不渡り手形を、倒産した小川精機の預金が倒産して半年後にまだ五千万ほど三菱銀行新宿新都心支店に残っておった、この預金と差っ引きしているわけなんです。さらに調べてみますと、小川精機が倒産した六月十六日に、実はその五千万の預金は残っているのです。この日の不渡り額は二千五百万円ですから、決済しようとすればできるのに、しないまま預金を残している、残した預金で西華の不渡りした手形を落としている、こういういきさつが生まれているのですね。こういう事実関係大蔵省調べましたか。
  180. 吉田正輝

    吉田説明員 先生先ほど指摘になりました酒井鉄工所の方は調べがつきましたのですが、いま御指摘の点についてはまだ調べがついておりません。
  181. 伏木和雄

    伏木委員長 瀬崎君、時間ですから、結論にしてください。
  182. 瀬崎博義

    瀬崎委員 大臣、いま申し上げましたのは、西華産業事件と私は言っているのですが、これの概要でありまして、すでに計画局長の答弁のように、建設業法違反の疑いがあって、調べざるを得ない問題が多々あるようであります。私は、この際、およそ商社が形だけ特定業者などの資格を取って建設業を営み、かつ下請させる、こういうケースが相当出ているのじゃないかと思うのです。実体がないのですから、管理能力も技術もないのですから、こういう点では、私は、この件を早く徹底的に調べてもらうと同時に、改めて商社の建設業というものが一体どうあるべきか、果たしてそう簡単にこれに許可を与えていいものかどうか、この点の御検討をいただきたい。これは大臣にお聞きいたします。  それから最後に、公正取引委員会がお見えになっていると思いますから……。いま私が申し上げました中で、当然不公正取引にかかっていると思われる部分があります。建設省通達でも、積極的に公取へ申し出てほしいと書いている部分もあります。そういう点で公取の意見を聞いて、終わりたいと思うのです。
  183. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 西華産業の場合は、先ほどから担当局長よりお答えをしておるように、今後調査をする点が多々あると思うのであります。ただ、ただいま最後におっしゃいましたように、何らの能力もないのに建設業の許可を与えておった、あるいは与えるような場合があるというようなことは、これはもう当を得ないことでありまするから、調査の結果を見てよく検討させていただきたいと思います。
  184. 菊池兵吾

    ○菊池説明員 お答えいたします。  建設業につきまして、不公正な取引方法に該当する取引がある場合には、当然公正取引委員会としても独自に調査をすることはできます。また、建設業法四十二条に基づきまして建設大臣の方から措置請求がございますれば、当然調査を開始しなければならないことになっております。  以上でございます。(瀬崎委員「独自にやるのですか、やらぬのですか」と呼ぶ)  それは、今回の事件につきまして、やるかどうかは、まだ決めておりません。
  185. 伏木和雄

  186. 中川秀直

    中川(秀)委員 当委員会でお尋ねをするのは初めてでございますので、勉強の意味で、多少重複があるかもしれませんが、若干のお尋ねをさせていただきたいと思います。  大臣の所信表明に沿ってお尋ねをしたいと思うのでありますが、まず当面の諸施策につきまして住宅宅地対策をお挙げになっている、この点についてまず幾つかお尋ねをしたいと思うのであります。  政府は、五十三年度に、公的、民間住宅合わせまして百六十万戸程度の新規住宅を建設する予定と言われております。これは昭和四十八年の百九十万五千戸に匹敵する大変な住宅建設ということになるわけでありまして、いわゆる住宅金融公庫融資対象戸数の増枠並びに融資限度額の大幅引き上げあるいは住宅ローンの税額控除等、各種のこの裏づけの対策をおとりになっているわけでありますが、私は、まず第一にお伺いをしたいと思いますのは、この程度の各種施策で、果たして前年実績、五十二年度実績見込みと比べまして二四%増という大変な住宅建設が、この不況下、果たして促進ができるだろうか、あるいは国民住宅取得がそれだけの量で促進されるであろうかということについて若干心配をするわけであります。  ちなみに、大都市周辺部で庭つき一戸建ての住宅を建てようとしますと、どんな安いところでもまあ千五百万以下というところはないでありましょう。年収三百万以上の所得階層が同額の預金を持ったといたしまして、残りを公庫融資限度額いっぱいの五百万、残りの七百万を都市銀行から借金いたしましたとすると、その支払いは毎月大体九万四、五千円ぐらいになる。実に実所得の三〇%をはるかに超える金額になるわけであります。こういうような大変厳しい中で、いまのような程度の融資限度額、あるいは多少税額控除をしたところで年間の最高で六万円といったような対策では、枠はふえたかもしれないけれども、将来の雇用不安もこれあり、この公庫の増枠だけで果たして計画どおりにいくだろうかということは、どうも私は自信が持てない。まずその辺につきまして、建設省の御見解をお伺いしたいと思います。
  187. 救仁郷斉

    救仁郷政府委員 御指摘のように、昭和五十三年度は七%成長ということに合わせまして、民間住宅投資十五兆円、五十二年度に比較いたしまして名目で一三・六%、実質では一〇%弱という成長を見ているわけでございます。それにつきまして、戸数といたしましては大体百六十万戸ちょっと程度だろうというように想像しておりまして、五十二年度の実績見込み見通しの百五十五万戸に比較しまして大体数万戸程度の増加というように想定しております。これは先生指摘のように、まあ地価、建築費が安定しているとはいえ、やはり国民の持ち家を持ちたい、家を建てたいというような方々の所得との間にまだまだ乖離があるということで、来年度の予算編成に当たりましては、枠をふやすと同時に、先生からもお話がございましたようないろいろな負担を軽くして差し上げるというようなことをあわせて行ったわけでございます。  そこで先生指摘のように、その程度の負担で本当に家が建つのがふえるのかということでございますが、私どもはまず、その家を建てたいが償還できるかどうかという、大体年収三百万前後の方々でございますが、そういう方々が非常に迷っておられる、その迷っておられるところというのは国民の所得階層からすると非常に高い密度のところでございますので、そこの方々がちょっと条件がよくなったという形で踏み切っていただければ、私どもは相当な影響が出るのじゃないかというような考えも持っております。  それと同時に、単なる戸数だけの問題ではございませんで、ただいまも申し上げましたが、実質一〇%というのは戸数で大体半分、それから一戸当たりの建築面積の増加等による質の向上分が半分というような想定をいたしております。したがいまして、そういった税額控除あるいは負担軽減措置といったことで、これは庶民が住宅を建てますときには、なけなしの金でぎりぎりいっぱいの建築をするわけでございます。したがいまして、たとえば百平米の家を建てたい、ところがどうしても償還金の金繰りの関係で九十五平米しか建てられない、いままでのそういう方々が計画どおり百平米建てられた、そういう結果になりまして、戸数の方とあわせまして両々相まって一〇%の実質の増加は可能ではないかというように考えているわけでございます。
  188. 中川秀直

    中川(秀)委員 可能と考えておられるという御答弁ですが、いま都市銀行住宅ローンの金利は二、三年前に比べて、大分、二%まではいきませんが一・五ぐらいでございますか、利率は下がっておりますね。しかし、下がっていても、たとえば昨年の実績などを見ていると、前年同期に比べて、下がった時期に発表になった調査なんか見ますと、むしろ一、二%下がっているという、新規貸出額というものは実績としては下がってしまっているという状況ですね。利子が下がっていても将来償還できるだろうかという心配がある。まさにいまお話があったように年収三百万ぐらいの層、これがそういった償還に対して不安感がある。実はここが住宅建設、住宅取得の要望が、二ーズが一番高いところでありますが、そういう方々が利子が下がってもそういうことだということは、なまなかの対策では住宅取得に向かわないということだって言えると思うのであります。ただいまの御答弁、私はやはりいま一工夫、五十三年度は様子を見て、住宅ローンの利子あるいは取得についてのいろいろな助成、繰り延べということもあるかもしれません、いろいろな工夫を年度途中でも実績を見てする必要が生じるのじゃないかという気がいたしますけれども、その辺の弾力性というものはあるのかどうか、ちょっとお尋ねをしておきたいと思います。
  189. 救仁郷斉

    救仁郷政府委員 先ほどお答えいたしましたように、私どもとしましては、現在の経済見通しの中では十分達成できると思っておりますが、やはりこれは民間住宅投資そのものも、全体の経済情勢、いろいろなものに左右されます。したがいまして、私どもは現在の予算の枠組みの中で当然執行していくわけでございますが、法律制度あるいは予算制度という枠組みの中では十分弾力的な考えを持って対処してまいりたいというように考えております。
  190. 中川秀直

    中川(秀)委員 公庫の利用者実態調査を拝見をいたしますと、まさに公庫利用者は三十代、四十代といった若年中堅の年齢層、並びに所得者層が中心であるという、そのような結果が出ているのでありますが、まさにこういった低成長時代に所得と住宅取得費の乖離というものはますます拡大をしている、こういうことが言えると思うのであります。ちょっと長期の問題になりますが、枠の拡大だけではなくて、いわゆる公庫融資の金利体系その他について、持ち家と居住水準の向上に結びつけるきめの細かな発想というものがもう一工夫ないかと思うのであります。いまの金利体系のままでいいのか、それとも長期について考えてみますと、たとえば四十半ばぐらいから住宅取得を決心してお金を借りた、十年後ないし十二、三年後、定年を迎えて、その後は今度はせがれが、息子が、そのおやじが残した債務、残債について返済をしていくというような、二世代にわたる長々期の融資制度とか、いろいろな工夫をしてみる必要があるのではないかと思いますが、その辺の御見解はいかがでございましょうか。
  191. 救仁郷斉

    救仁郷政府委員 先生お話の、いわゆる二世代にわたりまして住宅ローンを償還していくような方式はどうかというようなお話でございます。現在住宅金融公庫ではそういったことで、たとえば返し終わる時期が何歳になろうとも、それは制限を設けておりません。したがいまして、残債はまあ息子さんなり何なりが払っていただくというようなたてまえでやっております。ただ、民間住宅ローンは、これは一般的に申しまして大体七十歳までに償還できるようにというような内規でもってやっているようでございますが、この点につきましても先生のおっしゃるような形で二世代にわたって払えるような方法がないものかどうかということは、検討させていただきたいと考えております。
  192. 中川秀直

    中川(秀)委員 わかりました。御努力をお願いしておきたいと思います。  同時に、住宅問題は大臣、この所信表明にも書いてありますけれども、まさに宅地というものと一体なわけですね。ところが今度の住宅対策というものを拝見いたしますと、宅地対策というものについてはやはり不十分な点が一それだけの住宅取得を進めるため、公庫の増枠あるいはその他いろいろな金融面、税制面からのてこ入れをなさっているわけですが、その一方で、それだけの必要な宅地供給が現状の先細りの中で可能であるかどうかということについては、いま一歩対策、施策が不十分のような気がするのでありますが、大臣の御見解いかがでありましょうか。
  193. 大富宏

    大富政府委員 この第三期住宅五カ年計画に必要な宅地は六万六千ヘクタールと見ているわけでございますが、これは年間に直しますとやはり一万二、三千ヘクタールずつ出さなければいけないわけですが、最近、一万ヘクタール程度にぐっと落ち込んでいるわけでございます。これにはいろいろな事情があるわけでございますけれども、当面はやはり区画整理による仮換地済みのものとか、いろいろストックがあるからいいわけでありますが、事宅地というのはそう簡単に出るものじゃございません。やはり相当長期にわたって一応対策を練らなければいけないわけでございまして、そういう意味では、宅地供給に大変な役割りを持っておる民間の部門、区画整理を含めまして実質約八割ぐらい担当していると思いますけれども、やはり民間のエネルギーを大いに振興することが重要だろうと思うわけです。  今回もそういう意味では、政策金融を拡充するということで、従来住宅金融公庫あるいは開発銀行融資対象地域というのを百万都市に限定しておりましたけれども、これをおおむね五十万都市まで拡大いたしまして、ひとつどしどし民間デベロッパーが活躍するような政策金融の拡充を今後も図りたいと思っております。  そのほかに、住宅団地もそうでございますけれども、宅地開発についていま一番ネックになっておりますのは、やはり何と言いましても関連の公共公益施設整備費が非常に重い負担になっておる。この部面で民間の事業意欲がなかなか出ないという問題もございますので、従来ともいろいろな施策をとっておったわけでございますけれども、従来の施策のほかに、住宅宅地を促進するという観点で、関連公共施設整備促進費ということで三百億別枠を積んだわけでございますが、まだこれで十分とは私ども思いませんけれども、やはりそういった非常に負担になっている部分については今後とも大いに施策を進めなければいかぬだろう。  それからなお、補完的な意味で土地税制についてもこの五十三年度は若干の見直しをやっておりますけれども、この辺の施策も総合的に急ぎながら、いま御指摘のような宅地対策というものを進めてまいりたいと思っております。
  194. 中川秀直

    中川(秀)委員 ただいま局長が数字を挙げられた第三期計画の六万六千ヘクタールでありますが、これは五十一年から五十五年ということになっておるわけですね。この五十一年から五十五年という計画、この六万六千ヘクタールの中に、局長八割と言っておられましたが、これによると民間七四%ということになっておりますけれども、今度の、たとえば景気対策としての公庫四十万戸とか住宅に大変力を入れたということとこの六万六千ヘクタールというもののすり合わせ、整合性というものはかなりお詰めになっておられるのか、あるいは大枠の中で、いずれこれだけ必要なんだから時期を急いだだけなんだよということなのか、各年度の計画としてすり合わせをなさり、その辺の整合性は大丈夫なのかということ、いかがでございますか。
  195. 大富宏

    大富政府委員 これは第三期の住宅八百六十万戸に対応する数字でございます。五十三年度住宅建設、一応百六十万戸程度を見込んでいるわけでございますが、それに要するところの宅地というのは、私ども、新規宅地は大体一万二千ヘクタールぐらい要するのじゃないかと思っておりますが、これは私いま申し上げましたように、ごく最近では一万ヘクタール程度でございますけれども、まだ当面は、区画整理済みのものとかあるいは公的機関の持っておるものとかいうことでストックがございますので、十分賄える。それから、金融公庫融資が四十万戸でございますけれども、それも、マンション購入及び中古住宅分がございますから、個人の住宅は三十六万二千戸ということでございまして、従来の傾向からいたしまして、これについては先に土地の手当てをいたしておりますので、約五万戸分、千四百ヘクタールぐらい用意すれば十分間に合うという見込みでございますので、当面宅地について困ることはないと思っております。
  196. 中川秀直

    中川(秀)委員 わかりました。  もう一点、いわゆる民間供給と公的供給の率、割合でございますが、第二期に比べれば第三期は公的供給が六%ばかりアップをするという、そういう表でございますけれども、現在のような経済情勢の中で、安い良質な宅地の大量供給という問題を民間だけに任せておいていくというだけではないわけでありますけれども、主として民間に依存をするというのは無理な面も幾つかあると私は思うのであります。国や公共団体が土地を取得して粗造成して民間に譲渡をするといった手段がもっと必要ではないかという気が非常に強くいたしますが、その点いかがでありますか。  それと、あわせてもう一点。最近、土地の保有形態についてもメスを入れて抜本的な土地対策をやらなければいけない、これは国土庁の方の御所管になるのかもしれませんが、こういった問題までメスを入れて、いわゆる社会的保有というか、土地そのものは公共のものであるという発想に立った新しい土地制度、政策というものがやはり必要だという声が各方面から上がっているわけでありますが、これについて建設省国土庁当局において何らかの研究をなさっているのか、あるいはなさろうとするおつもりがあるのかどうか、そして、もしなさっておるとするなら方向はどういう方向でおやりになろうとするのか、その辺、基本的な問題でございますので、教えていただきたいと思います。
  197. 大富宏

    大富政府委員 私からは宅地供給の公私分担の割合についてお答えいたしたいと思いますが、お示しのように、実質区画整理まで含めますと民間が八割ぐらいやっておるわけでございますが、やはり土地をいじる、土地基盤を整備するという点については、土地収用権を持たない民間は今後なかなかやりにくい、どうしても今後は公的サイドでそれをカバーしていかなければならないだろう、こういうのがわれわれの気持ちでございまして、第三期住宅五カ年計画につきましては公的の割合を幾らか多くいたしておりますけれども、やはりまだまだそういう宅地供給における民間のエネルギーというものはないがしろにできない、大いにまたがんばってもらわなければいけない分野だろうと思っておるわけでございます。特に民間が間に入りますところの区画整理、これが非常に有効な手段だろうと思っております。したがって、こういうような事業意欲を阻害しないで、民間エネルギーが十分にどしどし活用できるような施策も今後大いにやらなければいけないけれども、やはり公的におきましても、住宅公団、宅地開発公団、地方公共団体供給公社という公的サイドがございますので、これらについてもまた大いにがんばってもらわなければいけないと思っておるわけでございます。  それともう一つ、今後は、宅地供給というのはやはり町づくりの一環でございますから、そういう意味では、そういった都市基盤整備につきましては公的が分担し、上物は民間でやるというような仕組みを考えたらどうだという御指摘でございますが、私ども、それは非常に重要な御指摘だと思いまして大いに検討を進めたいと思っております。
  198. 山岡一男

    ○山岡政府委員 私ども、土地対策につきまして、かなめはやはり地価の安定であると思っております。国土庁といたしましては、地価の安定のために、国土利用計画法の適確な運用ということをまず第一任務だと考えております。  二番目は、やはり宅地の実需に対する供給でございまして、その中の問題の一環といたしまして、いま先生提案のような問題が多々出ております。これはいま計画局長も申されましたように、われわれも、公的機関によります従来のいろいろな事業実施方法に加えまして、やはり新しい方法があれば非常にいいわけでございますから、十分に検討してまいりたいと思っております。  それからさらに税制、これは仮需要の抑制だとか、投機的土地取引の抑制のためにも税制は非常に有効な手段だと考えております。それらにつきましても、あわせて総合的な対策を建設省とも力を合わせて検討してまいりたいと考えておる次第でございます。
  199. 中川秀直

    中川(秀)委員 わかりました。  ただ、私は最後にお尋ねをしたのですが、いわゆる土地の保有形態ですね。私有権の問題について根本的にメスを入れて、今後の土地政策を展開すべきだという意見指摘が各方面にあるわけですが、それについての政府の方向、基本的な見解、これを教えていただきたいというお尋ねをしたのですが、そのお答えをいただきたい。
  200. 山岡一男

    ○山岡政府委員 現在のところやはりそういうふうな新しい制度を考えます際に、何のためかということが一つ必要かと思います。それから土地取引の適正化を守るという点が一つだと思います。それから供給をたやすくする、拡大するという二点だと思います。  そういう意味におきまして、第一の土地取引を公正に行うという点につきましては、現在全国で二百五十万件に及ぶ土地取引が行われておりますけれども、九万を超す宅地建物取引業者の方々が適正に業務を執行しておられます。これを建設大臣が監督しておられるわけでございますが、そういう方向の適正化を今後も図っていくべきじゃないか。  それからもう一点は、やはり国土利用計画法の施行によりまして、現在届け出制によりまして土地の取引の公正ということを図っております。したがいましてその面におきましては、届け出制を的確に励行することになりますと、土地の価格それから利用目的、両面のチェックを行うわけでございまして、公正な取引という面からいたしますと、これは公的な介入とも言えるものでございまして、これらの点を適正にやることが一番大事であろうかというふうに思っております。  それから最後に、いまの供給をふやす、もしくは容易にするという面から申しまして、各種の提言が最近なされております。いずれも非常に根幹的な問題がございまして、先ほど申し上げましたように、そういう面につきましてはいま直ちにここで軽々に結論を出せませんので、十分検討してまいりたいと申し上げた次第でございます。
  201. 中川秀直

    中川(秀)委員 次に、道路の問題について若干のお尋ねをいたします。  第八次道路整備五カ年計画、このことについて若干のお尋ねをしたいと思うのですが、この第八次道路整備五カ年計画は昭和五十年代前期経済計画に従って決定されているわけですが、この経済計画自身が最近の経済財政の実態とかなり乖離をしておるわけであります。これとの関連、位置づけというものをどのようにお考えになっていらっしゃるのか、基本的な問題ですがお伺いをしたいと思うのであります。  私はこの経済計画をもとに決められる第八次計画の道路投資規模というものが妥当であるかどうか、いろいろな議論があることは承知しておりますけれども、特に今後の経済財政事情の変化に対応できるようにかなり弾力的なものにする必要があるような気がするのですが、その位置づけと弾力性というものについて御見解を聞きたいと思います。
  202. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 第八次道路整備五カ年計画は、御承知のように二十八兆五千億という総額でいま案を固めたわけでございますが、これは御指摘のように五十年代前期経済計画の枠組みにすり合わせてあるものでございます。ただ五十年代前期経済計画は、昭和五十一年から五十五年までの計画でございまして、今度の五カ年計画は五十三年から五十七年までの計画でございまして、二年ずれがあるわけでございます。その問いろいろな考え方があろうかと思いますが、前期経済計画は閣議で決められたものでございまして、これは公共投資百兆のうち、道路事業については十九兆五千億の規模で決められております。これとすり合わせた形で二十八兆五千億を考えております。  ただ前期経済計画の見直し等もあるいは将来に向けてあるかもしれませんが、あくまでも現時点では、決められた計画でありますし、また五カ年計画の規模を考える場合には、今後の財政事情、そういったものの制約も考えなければいけない、そういう中でわれわれとしては将来を見通して、大体二十八兆五千億というのは妥当な規模であろうというふうに考えております。ただ、妥当であるけれども、中身を見ますと非常にぎりぎりやむを得ない事業、緊急に整備しなければならぬ事業を盛り込んであるわけでございまして、必要最小限のものというふうにわれわれは考えているわけでございます。  ただ、五カ年計画の執行につきましては、閣議了解の中身にもございますように、今後の経済財政の実情に即して弾力的に実施するというような条項が入っておりまして、こういう中でそのときそのときの財政事情、経済事情を勘案して若干早めたりあるいはおくらせたりというようなこともあるわけでございまして、ちょうど第八次五カ年計画の初年度であります昭和五十三年度、来年度の事業といたしましては、御承知のように道路事業事業費で二八%の伸びになっておりますが、こういう景気事情でございますので、それの前倒しというような形で事業推進を図るというようなことで、弾力的に運営してまいりたいというふうに考えているわけでございます。
  203. 中川秀直

    中川(秀)委員 わかりました。  いまの財源の問題でありますが、いまお触れになりました閣議了解にも書いてあるわけでありますけれども、必要財源のうちのいわゆる揮発油税収入等の特定財源ですね、これはいろいろな議論があるわけでありますが、この特定財源について今後の問題としてどのように考えているのか一遍お伺いしたいと思います。  たとえばその特定財源の問題とあわせて、五十三年度を初年度とする今度の第八次計画の毎年度の事業費の伸び率というものを考えて、一〇%前後、いろいろありますけれども、この伸び率の推計に基づいて現行の財源構成のままで十分対応できるかどうか、これもあわせてお尋ねをしたいと思います。
  204. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 この第八次の五カ年計画を円滑に遂行するためには、財源の確保がきわめて重要な課題でございますが、これにつきましては、実はいまお諮りしようとしております緊急措置法案の成立を待って閣議で最終的に五カ年計画が決定された以後、財源問題については昭和五十四年度予算の編成時までに所要の検討を行うということといたしておりまして、今後十分いろいろな視点から検討してまいりたいと思っておるわけでございます。  そういうことで細かい数字は出ておりませんが、概算でいきますと、いまの要求時点の国費率等を参考にして概算してみますと、国費所要額が約十兆二千億ばかりのものが必要になるわけでございまして、このうち特定財源で賄えるものが約七八%になるわけでございます。これは七次の五カ年計画のスタートのときの六五%の特定財源比率に比べてかなり高いわけでございます。  財源構成については、今後の問題でございますが、今後ともやはりガソリン税を中心とした特定財源を大事に使いながら道路整備を進めていくという姿勢で考えていかざるを得ないんではないかというふうに考えております。
  205. 中川秀直

    中川(秀)委員 そういたしますと、これからの政府部内の御検討の過程で、建設省としてはいま七八%という特定財源の比率をお挙げになりましたけれども、あくまでそれだけは確保するという姿勢でお臨みになる、いろいろ議論はありますけれども建設省としては、これは一歩も譲れないんだというお立場でお臨みになる、こういうことでございますか。
  206. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 七五%の特定財源比率は、現行の税率でそのまま計算して出てくる額でございまして、現行のガソリン税制度を守りながら十分財源を確保して緊急を要する道路整備に充てたいというふうに考えておるわけでございます。
  207. 中川秀直

    中川(秀)委員 次に、高速道路の問題についてお伺いをいたします。  これから年平均二百六十キロずつ整備を進めていくという中長期の整備計画があるわけでありますけれども、現行の料金体系についてまず第一点お伺いをいたしますが、現在キロ十三円五十銭ということでおやりになっているということのようでありますが、いまやっている料金体系、三十年で償還をする計画である、料金は全費用すべての道路で一律に受け持つプール制ということになっているわけですね。  しかし今後の高速道路が、現在供用されている高速道路が東名のような縦断道のように比較的経済性の高い道路であった、また負担能力も高い道路であったのに比べると、いろいろな資料を拝見いたしましても、これからの高速道路は、次第に日本を横断する横断道、経済基盤の弱い、負担能力も比較的弱い、そういう地域に及んでいくということを挙げられているわけでありますけれども、いかに料金のプール制を採用しているとはいえ、必要な事業費に見合うだけの料金値上げというのはおのずから限度があると思いますね。そういった問題について、現在の料金体系のままでいいのかどうかお伺いをしたいと思うのです。  ちなみに、建設のコストも昔に比べると大変高くなっているようでありますし、それから道路公団等では五年ぶりに基本計画路線から五百キロの整備計画に格上げされましたけれども、この施行命令が出るものについて、その際、五割ぐらいの料金値上げは避けられない、こう言っておるわけですが、そのようなことはなかなか簡単にできるものではありませんし、同時にまたこれからの整備計画路線がふえるということを考えていくと、とても料金値上げだけでは対応できないと思います。  その辺のことにつきまして、円滑な高速道路の建設の整備を図るわけですが、よく言われるように、道路公団が第二の国鉄にならないように、何か新しい発想が必要じゃないかということがよく言われているわけでありますが、総合的に、その辺につきまして、どのようにこれから対処なさろうとしているのかお尋ねをしたいと思います。
  208. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 御指摘のように、高速道路の建設は現在料金プール制をとっておるわけでございますが、このプール制をとらなければならない理由はいろいろあるわけでございます。特に大きなポイントといたしましては、高速道路の建設が比較的長期にわたるために、逐次区間的に供用していくというような形をとりますと、その間の建設費の値上がり等で、個別採算制の場合には個々の建設費をペイする形で料金を設定いたしますので、その時点、時点によっておくれた区間につきましてはかなり高い料金を設定することになりますし、早い時点で供用した高速道路については非常に安い料金になるという形で、同じ百キロ行くのでも五倍、六倍というような料金の差が出てくることになります。そういう不合理を避けたいということ、やはり高速道路は区間的に供用することもさることながら、全体のネットワークとして効率的に使うというのが最終的な目標でございますので、ネットワークを確保するということのために採算のいい路線も悪い路線も含めて一体になって使えるような形に早く持っていきたいという考え方で建設いたしておりますので、そういう考え方から、当然料金プール制にせざるを得ないということでございます。  ただ、料金プール制でございますので、今後高速道路の建設が逐次地方に及びますと建設費も非常にかかるし半面交通量の非常に少ない区間に手が伸びていくということになりますと逐次採算制が落ちてくるわけでございますので、それに対する対応といたしましては、やはりまず第一に料金を見合う形に上げる、まだ負担能力が若干あると思いますので、そういうものは若干上げていく。  ただ、これにもおっしゃいますように限界があると思います。そういうことで、やはりできるだけ料金を合理的に設定することとあわせて、まだ足りない分につきましては資金コスト等についての措置も必要になろうかと思いますし、それから逐次建設を始めていく区間につきましては、やはり採算制の高いものから順次やっていくというような考え方等を織り込んで、全体としての採算制を常にチェックしながら整備を進めていくということによりまして、いわゆる第二の国鉄というようなお話がございましたが、そういう事態にならないように運営してまいりたいというふうに考えているわけでございます。
  209. 中川秀直

    中川(秀)委員 プール制は崩さない、若干の料金値上げの負担能力というかまだ幅はあろう。いまおっしゃった資金コストというのはいわゆる利子補給限度ですかね、これも引き上げ等の措置考えなければならぬということですが、それで第二国鉄にならないと言い切れるでしょうか、ちょっとお尋ねをします。
  210. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 やはり建設コストが高速道路についてもキロ当たり二十億、三十億というふうになってまいりまして、七千六百キロの建設ということを考えますと、かなり採算的には苦しくなることは当然予想されるわけでございます。ただ、第二の国鉄というようなお話がございましたが、あえてそういう意味で比較いたしますと、高速道路は国鉄と違いまして、供用した場合には料金徴収業務ぐらいであとは一般利用者が車両を運転して通るというような形で、鉄道と違って大量の労働力を抱えて車を運転していかなければならないというような経常的な金が余り要らないというような面が非常にあると思います。そんなようなことで、建設費を償うということについて資金コスト等で十分配慮してまいれば、ああいう形にはならないでやっていけるのではないかというふうに考えておるわけでございます。
  211. 中川秀直

    中川(秀)委員 それでは本当に一両年内ぐらいに、いろいろな有料道路、高速道路の問題につきましてもいままでと多少違う選択を若干しなければならないような気がするのですが、先ほどの御答弁で触れられましたように、現行六・四%の平均金利までは国が利子補給しているわけですね。これを引き上げることが一つの選択ですね。それから、建設費の二割強がいま用地費だと私は伺っておりますが、これを全部というわけにはいかないでしょうけれども、一定の条件で国が負担して、償還の対象から外すということもまた一つの選択の方法かと思いますね。あとは採算に合わない路線は国が直轄事業としてやる、公道というのはただが原則ですから。西ドイツや英国等は高速道路は全部無料と聞いておりますけれども、そういう三つの方法があると思うのです。これについて今後どのように対処されるのか。第一についてはこう考える、いつごろこうしたい、第二についてはこれこれこうだというようなことについて、基本的な御見解を伺っておきたいと思います。
  212. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 高速道路の償還対象から用地費を外すという考え方でございますが、これは、実は料金プール制の議論あるいは料金の設定の議論等を審議会等でお願いしている段階でもいろいろと意見として出ているものでございまして、そういう考え方一つはあろうかと思いますが、現時点では、御承知のように、いま道路公団で抱えております高速道路は四千八百キロでございますが、これにつきましては、四千八百キロの整備計画を出した時点で採算性をチェックしまして、それに見合う料金を計算いたしまして、あの時点で料金をアップいたしております。そういうことで、その時点その時点で採算性が確保できるように一応チェックいたしてまいっているわけですが、その段階では用地費を含めていろいろ考えているわけでございます。  今後将来に向けて、この用地費をどういうふうに考えるかということはいろいろ議論があるところだと思いますが、これにつきましては、先ほどの資金コストを安くするというような形がいいのか、それとも、そういう用地費については一部公共負担というような形をとるのがいいのか、その辺は将来的には議論のあるところでございますが、現状では、四千八百キロの範囲で何とか採算がとれるような形で、用地費も含めてやっていきたいという考え方でやっているわけでございます。  それから無料化の問題だと思いますが、これは御指摘がありましたように、西ドイツのアウトバーンは無料ですでに六千数百キロの高速道路を供用しているわけでございます。これはやはり西ドイツが、現時点で公共投資の中で相当のシェアを道路投資に割いているということからああいう建設ができるわけでございますが、道路の場合には、もう建設省全体の予算のうちの三分の一ぐらいの事業にだんだんシェアが落ちているわけです。そんな中で一般国道から市町村道まで抱えて、さらにこういう高速道路をやっていかなければならぬわけでございますので、こういう道路につきましては、借金でやりまして料金で返していくというシステムをやはり活用していかなければならないということは、これはやむを得ない事情だと思います。今後もそういう形でやっていきたいというふうに考えております。
  213. 中川秀直

    中川(秀)委員 時間がありませんので、次の問題に移ります。  建設大臣の基本計画、認可を受けております。広島大学の移転に伴います賀茂研究学園都市の問題について若干のお尋ねをいたします。  この問題については、昨年の予算委員会でも私はお尋ねをしているのでありますが、用地の取得が現在大学のキャンパスで九二%、高屋の団地の方はまだ進んでいない、造成は五十三年の秋から着手をしたいという御答弁があったのでありますけれども、用地の取得がそのようなペースであるとすれば、この造成もそういうことでおくれざるを得ないという状況であります。まあ、おくれたには地元の問題もあるわけでありますが、これからのめどですね。これから用地の取得は、住宅団地の方、キャンパスの方をいつごろまでどうしたい、造成はいつごろからしたいという新しいめどをお示し願いたいと思うのであります。おくれたからといってずるずるしようがない、しようがないではせっかくの計画が当初からつまずいてしまうわけでありまして、新しいめどというものをお示し願いたいと思います。いかがでしょうか。
  214. 三橋信一

    ○三橋参考人 お答え申し上げます。  昨年お尋ねのございましたときに一応のめどを申し上げたわけでございますが、その後学園都市のキャンパスの方につきましてはいろいろと進めまして、ただいま御指摘のように約九二%進んでおります。  ただ問題は、この学園都市の造成を始めるに際しまして、門脇川という川がございまして、それの調整池をまずつくってから一般の造成にかかるという順序にいたしませんと、いろいろの事故も予想されますので、そういう順序でやってまいりたいと思っております。ところが、この門脇川の調整池の仕事は県の仕事でございまして、実はこれを含めました用地の買収を私どもの方からいろいろ県にお願いしているわけでございますが、この用地の買収につきまして、農業用水等の水利権その他もいろいろと絡みまして、これが非常におくれました。その結果、遺憾ながら実はまだ造成に着手できないというようなことになっております。  したがいまして、この造成工事には約二年を要するものと思われますが、私どもといたしましては、この調整池の造成の進捗と相まちまして、同時に、文部省の方でも、大学の建物の建築計画をいま御策定中でございますが、これらと見合いまして造成に着手してまいりたい。したがいまして、タイミングといたしましては大体五十三年度から着工に入りまして、当初は五十三年度から約四カ年かかるというふうに申し上げましたが、五十四年度からその一部を大学側にお渡しいたしまして、そして、当初の予定どおりの時期にはこれを全部お引き渡しできるように急いでまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  215. 中川秀直

    中川(秀)委員 そういたしますと、何とか五十三年度中には調整池と関係ないところぐらいから着工するわけですかな。着工して、そして五十四年には大学に渡したい。五十五年の八月がキャンパス移転の開始時期と計画ではなっておるわけですが、その時期はずらさない、こういうことでよろしゅうございますか。
  216. 三橋信一

    ○三橋参考人 誤解をいただくといけませんのでちょっと申し上げますが、五十三年度からは調整池の着工でございます。したがいまして、調整地の着工と相まちまして、私どもの方は五十四年度からこれに着工してまいるということになります。そういたしまして、引き渡しを徐々に行ってまいるということにいたしたいと存じております。
  217. 中川秀直

    中川(秀)委員 私はメモをとりながら伺っておるので、先ほどの御答弁は、五十四年度には一部大学に引き渡すと御答弁があったので御確認をしたわけですが、そうしますと、五十四年度には造成に着工して、どうなんですか、大学に引き渡す時期。したがって大学の移転時期、これの新しいめどはどうなりますか。
  218. 三橋信一

    ○三橋参考人 お答え申し上げます。  五十四年度から一部の引き渡しを行いまして、したがいまして、お渡しするのは当初の予定どおりということにいたしたいと思っております。つまり、四年間かかってやるところを三年間でやるということにいたしたいと思っております。
  219. 中川秀直

    中川(秀)委員 そうすると、造成の着工も、五十四年度でき上がったものから、できるだけ工事を急いで、中身を詰めて、スピードを上げてでき上がったところから五十四年度には大学にお渡しをするということで、開議の時期、スタートを五十五年八月ということは狂わさない、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  220. 三橋信一

    ○三橋参考人 これは非常にくどい御答弁になるかもしれませんが、調整地が二年かかりますが、と同時に、これは文部省からのいわば委託造成のような形になりますので、したがいまして、文部省の方の建物の配置の御計画、これの策定とも合わせていかなければなりません。私どもとしては、いまのところこれらがすべて予定どおりにできるということをもちろん前提にいたしまして、当初の予定どおりにすべてをお引き渡しできるようにいたしたいと思っております。
  221. 中川秀直

    中川(秀)委員 昨年の御答弁では、整備計画を五十二年度中に作成完了予定である、こういう御答弁があるのでありますが、この大学のキャンパス全体の整備計画というものは、今年度中に間に合うのでありますか。
  222. 石川邦夫

    石川参考人 御答弁申し上げます。  整備計画と申しますのは大学の施設の計画でございますが、これはまだ大学の方で最終的に決まっておりません。しかしながら、大体の基本的な方向は定まっておるわけでございますので、一応それに合わせました造成の検討を現在やっておる最中でございます。この点につきましては、大学それから文部省、県その他と打ち合わせいたしまして、現在その準備の作業をやっております。したがいまして、大学の方で最終的な計画ができ上がってまいりますと、それに合わせましてさらに細かい実施の計画に進んでまいる、こういうふうなことになるかと思います。
  223. 中川秀直

    中川(秀)委員 文部省もお越しになっていると思いますが、大学の方の移転の計画並びにその整備計画、いまお尋ねいたしましたが、その辺はどのようになっているか、現況をちょっとお知らせください。
  224. 野村武一

    ○野村説明員 お答えいたします。  ただいま公団の方からお話ございましたように、当初五十三年度から実はかかるつもりでおりましたが、いまのような関係がございまして、五十四年度からの予定になったわけでございますが、文部省及び広島大学といたしましても、五十四年度中といいますか、五十四年度なるべく早くから工事にかかることができますれば、当初の予定の五十五年度に開学といいますか、移転開始といいますか、これが実施可能だ、こういうふうにいま考えておるわけでございます。全体の移転統合の予定といたしましては、五十五年度よりおおむね七年ないし八年という当初の計画どおりでほぼ完成できるのではないか、こういうふうに考えております。
  225. 中川秀直

    中川(秀)委員 最後のお尋ねをいたします。  実は、この学園都市事業は、単に広島大学だけが移転をするということではなくて、実に大きな関連公共事業あるいは一般公共事業を伴うわけであります。  私が、いろいろな関係御当局にお伺いをして試算をしたところによりますと、総額で二千五百三十五億の仕事があるわけであります。それは、大学キャンパスあるいは住宅団地の計画区域内の仕事として二百九十七億、それから東広島市域内の砂防、上下水道、市街地開発等で一般公共事業、市域内公共事業でありますが、これが四百二億、それから広域の河川改修、流域下水道、ダムあるいはバイパス、これは千五百二億、それからいわゆる用地の取得造成、これが三百三十三億、合わせて二千五百三十五億ということになるわけであります。  この事業主体を見てみますと、市が事業主体になる仕事が五百五十億ございます。県が千四百五十億、大学は三億、公団が三百三十三億、国直轄が二百億と、こうなっておるのであります。この市の負担は、市が事業主体になるから必ずしも全部負担するというわけではありませんが、五百五十億、かなりの市負担ということになるわけですね。いま地元の市でそんな負担ができる財政事情にないことはよく御理解をいただいておると思いますが、県並びに市はこれだけの前例もない大規模事業なので、国の大幅な資金援助がなければ実現不可能だ、こう言っております。したがいまして、関係機関が一体となって補助事業を優先的に採択をする、あるいは学園都市に関係をする、特別立法あるいは特別行財政措置によっての補助率の引き上げあるいは地域公団等の長期立てかえ融資、交付税上の特別措置などの措置をとってもらいたい、こう言っておるわけでありますが、こういう取りまとめは私は国土庁あたりでしかできないような気がいたしますけれども、特に特別立法といった問題ということになれば、国土庁でおやりになっていただくしかないと思いますが、この地元要望につきまして、現実の問題としてないわけでありますから計画が破綻をすることが十分予想されますので、その辺どうしていただけるか、御検討願えるかどうか、ひとつ御答弁を願いたいと思います。
  226. 河野正三

    ○河野(正)政府委員 御質問の御趣旨、非常によくわかります。しかしながら、元来この賀茂学園都市の建設につきましては、先生承知のように、地元の県、東広島市の要請に基づきまして公団事業主体となって推進しているものでございます。しかしながら、一方、この区全体の整備考えましたときには、おっしゃるような大変な問題を抱えているかと思います。そこで、十年以上にわたる事業であろうかと思いますが、国土庁といたしましては、公共事業調整費等の活用も考えながら、関係各省庁にわたりますところの調整を十分にやってまいりたい、そして推進をしてまいりたいと考えております。  特別立法のお話につきましては、地元の御要望を聞いてはおりますけれども、当初申し上げましたような特別な事情で、要請に基づいてやっているというような事柄を考え、さらにまた、他の地方にも似たような学園都市構想がございますので、それとのバランス等のことも慎重に配慮しなければならないというようなことで、当面は、現在のところはその必要性を考えていないということになるわけでございますが、ただいま申し上げましたような大規模な面的開発事業一つでございますので、その円滑な促進に十分努めてまいる所存でございます。
  227. 中川秀直

    中川(秀)委員 時間もありませんので、いまの問題につきましては改めてお伺いすることといたしまして、質問を終わります。  ありがとうございました。      ————◇—————
  228. 伏木和雄

    伏木委員長 この際、去る二月二十三日付託になりました内閣提出、道路整備緊急措置法及び奥地等産業開発道路整備臨時措置法の一部を改正する法律案及び去る二月六日付託になりました内閣提出、住宅金融公庫法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。  まず、提案理由の説明を順次聴取いたします。櫻内建設大臣。     —————————————  道路整備緊急措置法及び奥地等産業開発道路整備臨時措置法の一部を改正する法律案  住宅金融公庫法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  229. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 ただいま議題になりました道路整備緊急措置法及び奥地等産業開発道路整備臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその要旨を御説明申し上げます。  現行の第七次道路整備五カ年計画は昭和五十二年度をもって終了することとなりますが、わが国の道路整備水準は、なお著しく立ちおくれた状態にあり、また交通安全対策の強化、道路環境の保全、日常生活の基盤となる道路の整備等道路整備に対する社会的要請は、ますます増大し、多様化しているところであります。  このような状況にかんがみ、政府といたしましては、昭和五十年代前期経済計画及び第三次全国総合開発計画との整合を図りつつ、昭和五十三年度を初年度とする道路整備五カ年計画を策定して、道路を緊急かつ計画的に整備することとし、このため、道路整備緊急措置法及び奥地等産業開発道路整備臨時措置法の一部を改正する法律案提出することとした次第であります。  次に、この法律案の要旨を御説明申し上げます。  第一に、道路整備に対する今日の社会的要請を踏まえて、道路整備緊急措置法の目的を、道路交通の安全の確保とその円滑化を図るとともに、生活環境の改善に資し、もって国民経済の健全な発展と国民生活の向上に寄与することといたしました。  第二に、昭和五十三年度を初年度とする新たな道路整備五カ年計画を策定することといたしました。  第三に、道路整備五カ年計画にあわせて、昭和五十三年度を初年度とする奥地等産業開発道路整備計画を策定するため、奥地等産業開発道路整備臨時措置法の有効期限を昭和五十八年三月三十一日まで延長することといたしました。  その他、これらに関連いたしまして昭和五十三年度における道路整備緊急措置法第三条の規定の適用について特例を設けるほか、関係規定の整備を行うこととしております。  以上が、この法律案提案の理由及びその要旨でありますが、何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。  次に、ただいま議題となりました住宅金融公庫法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその要旨を御説明申し上げます。  住宅金融公庫は、昭和二十五年設立以来国民大衆の住宅建設に必要な資金等を融通することにより、国民の住生活の安定と社会福祉の増進に寄与してまいったところでありますが、現下の経済情勢にかんがみ、国民大衆の持ち家取得を容易ならしめ、住宅の建設の促進に資することが急務と考えられます。  この法律案は、以上のような観点から、住宅金融公庫の個人住宅貸し付け等について貸付条件の改善を図るため、住宅金融公庫法に所要の改正を行おうとするものであります。  次にその要旨を申し上げます。  まず第一に、個人住宅建設資金、災害復興住宅建設資金等につきまして、貸付金の償還期間を、木造等の住宅については従来十八年以内であったものを二十五年以内に、簡易耐火構造の住宅については従来二十五年以内であったものを三十年以内に、それぞれ延長することといたしております。  第二に、昭和五十三年度内に申し込みの行われる個人住宅建設資金に係る貸付金及び住宅改良資金等に係る貸付金のうちみずから居住することを目的とする者に対する貸付金につきまして、一年以内の据え置き期間を設けることができることといたしております。  第三に、償還期間の延長に伴い、北海道防寒住宅建設等促進法について所要の改正を行うことといたしております。  以上がこの法律案提案の理由及びその要旨であります。何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
  230. 伏木和雄

    伏木委員長 以上で両案の提案理由の説明聴取は終わりました。  両案に対する質疑は後日に譲ります。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時二十六分散会      ————◇—————