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1978-02-10 第84回国会 衆議院 建設委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年二月九日(木曜日)委員長指名で、 次のとおり小委員及び小委員長を選任した。  住宅宅地問題に関する小委員       小沢 一郎君    大塚 雄司君       塩谷 一夫君    渡辺 栄一君       中村  茂君    吉原 米治君       北側 義一君    渡辺 武三君       瀬崎 博義君    田川 誠一君  住宅宅地問題に関する小委員長 塩谷 一夫君  中小建設業振興に関する小委員       谷川 寛三君    中島  衛君       中山 正暉君    渡辺 紘三君       井上  泉君    渡部 行雄君       古川 雅司君    西村 章三君       瀬崎 博義君    田川 誠一君  中小建設業振興に関する小委員長                 井上  泉君 ————————————————————— 昭和五十三年二月十日(金曜日)     午前十時三十三分開議  出席委員    委員長 伏木 和雄君    理事 小沢 一郎君 理事 塩谷 一夫君    理事 中山 正暉君 理事 渡辺 栄一君    理事 井上  泉君 理事 中村  茂君    理事 北側 義一君 理事 渡辺 武三君       内海 英男君    大塚 雄司君       瓦   力君    谷川 寛三君       登坂重次郎君    中島  衛君       松野 幸泰君    渡辺 紘三君       伊賀 定盛君    福岡 義登君       吉原 米治君    渡部 行雄君       谷口 是巨君    古川 雅司君       西村 章三君    瀬崎 博義君       甘利  正君  出席国務大臣         建 設 大 臣         国土庁長官   櫻内 義雄君  出席政府委員         国土庁長官官房         長       河野 正三君         国土庁計画・調         整局長     福島 量一君         国土庁土地局長 山岡 一男君         国土庁大都市圏         整備局長    国塚 武平君         建設大臣官房長 粟屋 敏信君         建設省計画局長 大富  宏君         建設省都市局長 小林 幸雄君         建設省河川局長 栂野 康行君         建設省道路局長 浅井新一郎君         建設省住宅局長 救仁郷 斉君  委員外出席者         大蔵省主税局総         務課長     梅澤 節男君         文化庁文化財保         護部長     角井  宏君         住宅金融公庫総         裁       大津留 温君         参  考  人         (日本住宅公団         総裁)     澤田  悌君         参  考  人         (日本住宅公団         理事)     有賀虎之進君         参  考  人         (日本住宅公団         理事)     櫟原 利嗣君         参  考  人         (日本住宅公団         理事)    江里口富久也君         参  考  人         (日本道路公団         総裁)     前田 光嘉君         建設委員会調査         室長      川口 京村君     ————————————— 委員の異動 二月十日  辞任         補欠選任   田川 誠一君     甘利  正君 同日  辞任         補欠選任   甘利  正君     田川 誠一君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  建設行政基本施策に関する件  国土行政基本施策に関する件      ————◇—————
  2. 伏木和雄

    伏木委員長 これより会議を開きます。  建設行政基本施策に関する件及び国土行政基本施策に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  両件調査のため、本日、日本住宅公団総裁澤田悌君理事有賀虎之進君、理事櫟原利嗣君及び理事江里口富久也君に参考人として御出席を願い、御意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 伏木和雄

    伏木委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  4. 伏木和雄

    伏木委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中山正暉君。
  5. 中山正暉

    中山(正)委員 お許しをいただきまして、建設行政一般について質問をさせていただきたいと思います。  私は、きのう建設委員会理事指名をいただいたところでございまして、建設委員会も初めてでございます。しかし、私が建設委員会に所属をしたいと感じましたのは、どんな福祉社会も国家の繁栄なくしては考えられないわけでございまして、特に五十三年度の予算を見ましても、一般会計一般公共事業費で対前年度比三四・八%増の三兆五千四百三十五億円、事業費では二八・七%増の九兆七千四百九億円、財政投融資が対前年度比二一・一%四兆二千八百二億円という大変多額予算が計上されているわけでございます。  妙な話を出すようでございますけれども、易学の方で昨年は丁巳の年と言うそうでございますが、丁というのは火の陰の言葉、火の裏言葉、火が二つ重なりまして炎となる。それから巳年というのは大きく荒れて落ちる大荒落と言って余りいい年回りではないそうでございまして、六十年前のロシア革命、大正六年がそれでございまして、その後シベリア出兵した日本大変悲劇に入っていった。それからまた昭和四年のフーバー不況、これがまた丁巳の年でございます。それからその次が昭和十六年、戦争に必要な資源は二十一あると言われますが、そのうちで十七持っているアメリカと、二十一の中でわずか一つしか持っていない日本戦争に突入した、これは大失敗したわけでございますが、その年もそうでございます。昨年がやはり丁巳の年、ことしはつちのえと言って戊の年、これは昨年に起こった矛盾が大きくなってますます荒れて世の中が乱れてくるというのだそうでございます。  その中で、大体一日百億円をお使いにならないとならない建設大臣、きのうの予算委員会あたり公聴会を聞いておりましても、果たしてこれが執行できるかどうかという大きな危惧の念をあらわす参考人がおられるわけでございますが、成長率七%、ある銀行の調査でも五・六%くらいしかいかないのではないか、コンピューターにはじかしてみるとそうなると言われますが、コンピューターは笑ったり泣いたりしませんので、コンピューターというのは当てにしなくともいいと思いますが、その生きている政治の中でこの大予算をこれから消化していかれる建設大臣がまずもってどういうふうに意欲を持っておられるか、その点に関しまして大臣の御見解を伺いたいと思います。
  6. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 大変な予算でございまするし、また御指摘のような大きな伸び率になっております。ただこれを消化するということでなく、この予算を執行するに伴いまして経済全般に好影響を与えて、そして日本経済不況克服して前途に明るい姿を見出すように軌道に乗せるように努めなければならない。従来概してこういう予算は、予算案が通りますると、個所づけはどうだとか配付はどうだとかいうところから始まりますけれども、そうでなく、この予算を最も有効に民間と相協力して使っていく、こういうような心構えで、何としても経済成長率七%へ持っていく大きな要因でございまするから、精いっぱい努力をして効果を上げたい、こういう心構えを持っておる次第でございます。
  7. 中山正暉

    中山(正)委員 そこで、十五カ月前倒しということでございますが、設計図一つかくにしても、これだけの予算を消化するために役所の力でどんなふうにするか、いま民間との協力というお話がありましたが、その点でこの公共事業を執行するための労働力とか建設資材、それからまた建設業界受け入れ体制、そんなものに対しては万全の処置を講じていらっしゃるかどうか、その辺の御見解を伺いたいと思います。
  8. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 まだ予算は審議中でございまするが、十五カ月予算としての二次補正は国会で御承認をいただいた状況にございます。この二次補正にいたしましても、適確迅速に使用いたし、効果を上げていかなければならない。また同時に、十五カ月予算としての五十三年度に対しても対処していく必要がありまするので、御用始めに建設省には公共事業推進の本部を設けまして、いま御心配をいただきました労働力あるいは資材の問題につきまして省を挙げて支障のないように努力しておるところでございます。また、各地建に対しましては、それぞれの地域実情に応じまして、建設業界を初めとして資材関係方々、また公共事業については建設省が相当の大きなシェアを持っておりまするが、運輸省にしてもまた文部省にしても農林省にしてもそれぞれ公共事業がおありでございまするので、横の連絡も十分とりながら地域地域事情を踏まえて支障のないように努力しよう、こういうことで体制は整えておるつもりでございまするが、個々の事情につきましては、われわれのところに資材面で多少問題があるとか、あるいは労働面では技術工について問題があるとかいろいろ耳にいたしております。しかし、それはそれなりに対策を講じておるところでございます。
  9. 中山正暉

    中山(正)委員 いまのお話のございました専門的技術者の問題とか、それからまた建設資材が確保できるかどうかとか、それから品不足によって値上がりがするという悪い効果が出てくるのではないかとか、いろいろな心配がございますので、そういう面に関しましてもどうぞ万全の御配慮お願いを申し上げ、一日も早く予算案が成立することを私も祈念をいたすものでございます。  しかし、いろいろ見ておりますと、大変建設事業を進めてまいります上に、たとえば政府と違った政治思想を背景にしている自治体というのが非常に多くなっているわけでございます。象徴的なのは、私の地元ではございますが、大阪府でございまして、これはもうたとえば万博までに仕上げなければならない第二阪和国道あたりは三カ所で寸断をされておりまして、和歌山からはずっと道路が入ってくる。ところが大阪へ入った途端にこれが寸断をされて——商売人さんが和歌山との間で行き来して、一日に物を仕入れて何回も行ったり来たりして、そしてその商売人さんがもうかって、税金を納めてもらって国がよくなる。そういう経済効果を逆に減殺をするような自治体の方向というのがどうも私には見えるような気がしてしょうがないわけでございますが、大阪府の年末の陳情がございました際にも、聞いてみますと、たとえば高速道路、いま松原というところでやっておりますが、これでも十三カ所の遺跡調査がなされております。その十三カ所の遺跡調査のうちで七年かかってやっとこれも一カ所済んだきり。そういう政府考えの違う政治勢力といいますか、そういう方々は、万国博であのとき大阪に一兆円落ちましたが、そのうちで大阪市に落ちたものが大体四千億、それから大阪府に落ちたものが二千二百億、三環状縦断放射線その他いろいろなものを含めまして六千二百億ぐらいの金が落ちております。それで大阪経済基盤がぐんと上がりました。それでショックを受けた勢力があるようでございまして、だからといって住民運動をうんとあおって押しかけていく時代ではない。そこで、庶民遺跡保存しようというような考え方に変わってきたようです。  たとえば中之島の古い市役所、マグニチュード五か六のやつで揺れたらもう崩れてしまうような大阪市役所を、地震対策を立てろという連中が今度はこれを保存しろという言い方をしている。不思議な傾向であるわけでございますが、その中で、その政治的目的は何かと言えば、保存という名の妨害でございまして、都市機能をいかに低下させるか。大阪府下岩手県の大体八分の一の広さしかございませんが、人口は岩手県の大体六倍から七倍。そこにひしめき合う都市住民のいら立ちといいますか、そういうものを政治的目的につなげようといいますか、そういう中で荒本−松原間というところだけでも十三カ所の中で一カ所解決しただけだ。  私は大阪府の方に、こういういわゆる庶民遺跡というものを含めてどのくらいあるのかと聞いてみたら、大阪府下に五千四百カ所ある。二千六百年の歴史の中でだれかが生きていた。特に関西は歴史的な土地でございますから、景気浮揚のための道路をつくっているところで、まるで紋次郎ばりのかさを着て竹べらで二千年前のさらを掘っているという形、これはどう見ましても、幾ら政府水源地に水をためても出先の実施行政をやっているところで水道のじゃ口をひねらなかったら、これは不況克服はできないわけでございます。  そんなところで、一体文化財行政というものと建設省がどんなふうな話し合いをされておられるのか。日本道路公団あたりでは「日本道路公団建設事業等工事施工に伴う埋蔵文化財包蔵地の取扱いに関する覚書」というようなものをお決めになってやっておられるようでございますが、大阪のNHKの前に高津宮、これは民のかまどはにぎわいにけりとおっしゃった仁徳天皇の御殿があったところと言われておりますが、その前も両側に道路がつきまして、そしてわずかの間が遺跡調査ということで二年おくれましたために、毎日毎日法円坂高速道路渋滞を重ねておりまして、これが自動車に乗って商売をしていらっしゃる方々、産業の町、商売人の町という大阪方々に不平、不満を大分醸し出している。そんなことを見てみましても、また中国縦貫道路を見てみましても青葉台というところで、わずかの間でとめますために、大阪あたりの会社の管理支配をしていらっしゃる方々は兵庫県あたり、六甲山のふもとあたりから来られるわけでございますが、そこで大渋滞を起こして、これまた大変な悪い効果を及ぼしている。  そういう意味で、遺跡保存するためには一体どういう基準でこれからやられるのか。税金むだ遣いだと言って騒がれる方々——七千億からの成田空港が今日まで放置され、あの鉄塔が建っております下は遺跡でございます。あれを保存しよう、その上に建造物を建てて、そこへ鉄塔を建てて四日も五日も——ああいう団体に対して破壊活動防止法を適用して解散団体に指定をしないという政府も私はおかしいと思うのです。ちゃんと破壊活動防止法という法律をつくって、戸だなの中へ積んであるだけというばかばかしい法律があるわけでございますが、あれも遺跡保存基本の問題になっておりまして物事が進まない。  船舶経済時代には港をつくらなければなりませんし、航空機経済時代には飛行場をつくらなければいけない。この大阪の第二阪和国道の場合にも、今度つくります大阪国際空港に関連をしてくるわけでございますが、そういう意味で、その遺跡保存調査ということで、特に初め計画を立てても学者先生が、大体政府に反対する方々が多いわけでございますが、そういう方々が中に入って遺跡調査をされる。それでまた政府考え方が現場でどんどん曲げられていってしまう。そういうことに対して、一体どんなふうに対処をなさっていかれる御方針か。  そして文化財というのは、学術的に価値のあるもの以外、記録をとって保存をしておくだけというのもありますが、それはもう骨とう品価値と同じで主観的な価値で、回教徒の人がゴルゴダの丘に行っても三文の値打ちもないわけでございますが、それと同じような意味で主観的な価値というものが大変文化財では感覚的に支配をされる。  そういう中で、これから不況克服するためには、二千年前にだれかが食べていたさらよりも、いま生きている人たちのおさらの上に何を乗せて食べさせるかということが大きな問題になってきているときでございますから、それを一体どう解決するかというのは、政治的な責任として大きな問題であると思います。  過去にこだわるのも結構でございますが、われわれには子供の時代、孫の時代にどう責任を持つかという大きな責任があるわけでございますので、日本のために、そういう文化財調査不況克服道路事業にどういうふうに合わせていかれるのか、その辺の御見解を伺いたいと思います。
  10. 浅井新一郎

    浅井政府委員 お答えいたします。  文化財関係調査によります道路整備のおくれに対する御指摘だと思いますが、従来、道路建設に当たりましては、あらかじめルートに沿った文化財存在等分布調査の資料に基づいていろいろ検討して、さらに建設が進む段階で逐次明らかになっていくものを、文化庁あるいは都道府県教育委員会と協議した上で、道路予定地埋蔵文化財調査を実施してきておるわけでございますが、この調査費用も年々ふえてまいっておりまして、昭和五十三年度には高速道路と一般国道直轄事業合わせまして、調査費が五十四億円にも上るというようなことになっております。  道路予定地文化財調査につきましては、分布調査の精度が十分でないために発掘調査中に調査の範囲がだんだん広がっていくとか、あるいは出土品保存方法等で非常に変更が生じる、これはある程度やむを得ないことだと思いますが、それもありますし、またそれにも増して調査員の手不足というようなこともありまして、一般的に調査にかなりの期間を要しているのが実情でございます。  たとえば、御指摘の中にありましたような九州道塚原古墳群あるいは東北道の太田方八丁あるいは御指摘近畿道東大阪北から松原の間、それから国道二十六号線の第二阪和国道などの文化財調査は、文化財調査によって工程の大半が支配されるというような状況でございまして、御指摘のように、五十三年度事業景気回復に資するために道路建設を一層推進しなければならぬわけでございますので、こういった文化財に絡む事業のおくれということがないように、今後文化庁とも十分調整を図りながら事業の円滑な促進に努めてまいりたいというふうに考えております。
  11. 中山正暉

    中山(正)委員 古墳調査費用なんかがみんな企業者負担になって、これが建設費のほかに大きな負担になっておりますが、こういうものを別枠で考えられるというようなお考えはありませんでしょうか。
  12. 浅井新一郎

    浅井政府委員 確かに、先ほど申し上げましたように、年々調査関係の経費がふえてまいっておるわけでございます。ちなみに申し上げますと、昭和五十一年度が、これは直轄国道の例でございますが、六億五千万、五十二年度が八億五千万、五十三年度が九億というふうに件数も費用もだんだんふえてまいっておりまして、この調査に要する金もなかなかばかにならない額になろうかと思います。しかし、基本的には文化財発掘調査費用につきましては、道路事業者負担するということはやむを得ないというふうに考えております。  ただ、出土品保存とか復元あるいは記録等に要する金は本来文化庁予算化して見ていただくのが妥当ではないかというふうに考えておりますが、調査に要する費用は、当然原因者であります道路事業者負担ということでやむを得ないのじゃないかと考えております。
  13. 中山正暉

    中山(正)委員 文化庁、来ておられますね。——文化庁に伺いたいのでございますが、どういう感覚で、私が先ほどから長々と申しましたような第三者的な判断で、これは残すものかそれともすぐに道路工事にかかるかというような判断をされる、その基準と言うと、先ほど言いましたような主観的な感覚が働きますからむずかしいことでございましょうけれども、いろいろなところで建設事業との角の突き合わせということを御経験だと思いますが、文化庁はその辺どういうふうにお考えでございましょうか。
  14. 角井宏

    角井説明員 お答え申し上げます。  いま御指摘のように、建設事業文化財保存というのは矛盾すると申しますか対立する事業でございますので、今日までいろいろと連絡相互に悪かったりというようなこともあったわけでございますけれども埋蔵文化財の中身、それが大事なものである心あるいはさほど大事なものでないというふうなところの判断は、掘ってみないとわからないというところでございまして、今日周知の埋蔵文化財包蔵地考えられておりますものが全国に三十万カ所あるわけでございます。この三十万カ所もしかし、伝承とか調査あるいは文献によりまして決めたものでございますから、もしこれをさらに掘ってみますとそれがそうであったかどうかそれもわからない、こういうようなところがあるわけでございます。したがいまして、建設事業が行われます場合にはできるだけ早く私どもにお知らせいただきまして、相互連絡をしながらできるだけ早く必要な調査をいたしまして、そして残すべきものかあるいは記録保存にとどめるべきものかというような判断をしていく。  いままでこの問題がおくれました一つ原因は、その事前の御連絡が必ずしもスムーズでなかったということ、それからそのはかに発掘職員の問題がございます。発掘職員の問題につきましては、四十九年度全国都道府県に五百名程度でございましたが、五十一年度には千二百名を超えておりますので、大変な勢いで整備がされておるわけでございます。これは交付税の面でも私ども自治省お願いをいたしまして年々ふやしてまいっているわけでございまして、そのほかに国立の奈良文化財研究所埋蔵文化財センターというものを設けまして、そこで各都道府県文化財担当職員に研修をつけまして、そしてこういった発掘調査にたえ得るようにするというふうなこともやっております。それから、補助金を出しまして各都道府県埋蔵文化財センターというものを都道府県立で設立をする。そういったものが現在全国で五カ所ようやくできてまいりました。  こういった体制整備によりまして、最近、幸いにいたしまして特に日本道路公団その他との関係では積み上げがいろいろとできまして、かなり円滑な御連絡ができるようになっておりますので、今後のこうした課題に対しても私ども心して対処してまいりたいというふうに考えております。
  15. 中山正暉

    中山(正)委員 どうぞその辺の兼ね合いをよろしく御判断の上、いま生きている人たちが困窮をすることのないような、そして日本がその体制に見合ったような経済繁栄をしていくように、御配慮をひとつお願いしたいと思うのですが、実は私は、私の愛読書でございます毛沢東語録をここに持っておりまして、これは私の反面教師でありまして、この反面教師であります毛沢東語録の中に「およそ敵が反対するものを、われわれは擁護しなければならない。およそ敵が擁護するものを、われわれは反対しなければならない。」つまり、いまの形で言いましたら、政府がやろうとすることば邪魔しろ、それから、政府がやらないでおこうと思うことはやらせろ。野党がやれやれなどという減税とか、日中平和友好条約なんというものはろくなものじゃないということがわかるわけでありますが、(発言する者あり)それがこの毛沢東語録にちゃんと書いてあるのですから、私はそのとおり読んでいるわけですから、ごじゃごじゃ言われることはないと思うのですが、そういう中での、いわゆる道路に対する感覚——私は大阪知事に告発をされたことがありました。あの人は満州で学校の先生をしていて、いわゆる志賀派でございます。けさ、宮本路線に対する袴田の批判文が朝日新聞に載っております。あの志賀義雄さんと一緒に共産党を除名になった方、それが大阪知事でございますが、それがいま、独立路線共産党が支援しているというのはどうも不思議でならないのです。その辺は別にいたしましても、四十六年に彼が知事に出ましたときに、大阪駅前で私は演説をしまして、日本では共産党のことを赤だと言うのに、あの人は名前を見ただけでもうそつきだとわかる、「クロダ」と言っておる、こう言いましたら私は告発をされましたが、不起訴になりました。これは、彼が間違いなしに共産党員だということを国家機関が証明してくれたのだと思います。  いま、また二つ告発をされておりますが、一つは、共産党の議員がある企業から金を取ったというのが、五十一年の十一月十一日の週刊新潮に載ったのを私が選挙のときに言いましたら、それを訴えられましたし、それからもう一つは、宮本顕治、人殺しというのを言いましたら、これがまたいま告発をされておるわけで、これは袴田さんが証明をしてくれたので、これも不起訴になると思いますが、そんなこんな感じから見ておりますと、大阪知事になりましてから税収はうんとふえているのです。  四十四年、まだ左藤知事時代でございますが、二千二億六千六百万円の税収に対しまして、投資的経費が千百六十四億七千四百万円でした。いまは五十一年のものしかありませんが、四千三百三十二億飛びの百万円、これだけの税収なのに、投資的経費の方は四十四年当時よりも六百億ぐらいしかふえておりませんで、千七百九十三億九千九百万円。いかに革新自治体方々政府の方針に反対をして、さっき毛沢東語録を読みましたとおり、われわれがやろうと思うことをいかにじゃ口で邪魔をするかというのが、いまの政治体制でございます。  ここにも、そこにおられる大塚さんが載っておられる「破綻した革新都政」というのを見ましても、おもしろいことが書いてありまして、小森なる人物が「ナゾの人物登場——陰武者、小森氏とは……」などと書いてありまして、この小森氏の人物像、これが美濃部さんの裏にいるそうでございますが、「いっさいがナゾにつつまれている。小森氏は、いつの場合でも表面に立つことを避けている。都知事選をすすめるうえでも、表だった役割はすべて政党関係者や労組幹部、あるいは学者、文化人らに委ね、自身は舞台裏での演出に専念する。だから「カゲの知事」とまでいわれながら、紳士録や興信録、電話帳にすら「小森武」の名を見出すことはできない。新聞社も、まともな小森氏の顔写真すら持ち合わせていない。せいぜい横顔か、ひどいときには後姿を使った新聞があったくらいである。ときには、真正面の顔写者を載せた新聞をみかけることがあるが、これはよくみると、いまから十年前の写真である。昭和四十年、都議会汚職がもち上ったとき、小森氏は中野好夫氏や市川房枝さんらとともに「都政刷新市民委員会」という組織を結成、自ら代表幹事におさまって、都議会のリコール運動を展開したことがある。新聞社にいまなお残っている小森氏の真正面からの顔写真は、この委員会結成のとき、他の委員とともに記者会見にのぞんだ際のものである。あれから十年、小森氏はその間病気もし、体調もくずしていたといわれ、容貌もかなり変化している。都庁の若手職員や、当選回数の少ない都議会議員、あるいは新しい都庁詰め記者らでは小森氏の顔を識っている者がいない実情である。」  東京、大阪、京都、新幹線のとまるところは全部革新陣営に押さえられているわけでございますが、そういう中でわれわれ都市議員、特に野党の批判を吸う上に、自民党も大都市で、今度は京都は知事を出すということに決定をしていただいたようでございますが、これは、政治体制の全く違うものをこういう形で自民党の政府が温存をしながらこの大型予算を執行しようと思っても、私は無理じゃないかと思うのです。その辺の気概を持っていただかなければ——これは私の意見でございますが、大臣も党の幹部を何度も務められた方でございますから、私は御要望を申し上げておきたいと思うのですが、どうぞ大都市を忘れないようにという意味と、そしてもう一つは、三全総で大開発をしようということで、日本土地の高度利用——私は、いま本当にやらなきゃいけないのは、この狭い、カリフォルニアと同じ大きさしかない日本を四十七も八もの都道府県に分けて、そして大阪あたりの例で見ますと、奈良県の熊野水系の水をもらおうとすると、大阪にはやらない、それから和歌山がどうだというようないつも争い、水争いがいまでも起こっておりますが、こういうものを、これは新全総の中には含まれておったのですが、三全総の中に含まれていないのは、昭和二年に田中義一内閣が道州制案というのを提案しましたが、いまこそ、北海道というのがあるならば、沖縄という名前もやめてひとつ南海道ぐらいにして、日本の大改造というものをやっていかないと、へっぴり腰の三全総と言うと非常に物言いが悪いかもわかりませんが、特に、いまこの委員会にかかろうとしております道路整備緊急措置法及び奥地等産業開発道路整備臨時措置法の一部を改正する法律案、これもどうも本会議の方で干されて、なかなか委員会におりてこないようなムードがありますが、そういう中で大臣は、日本の改造、三全総を実施していく上に、国土庁を兼任しておられる感覚から、そういう日本の道州制案というようなやり方は一体どうしたらいいのかということをどういうふうにお考えか、ひとつ御意見を聞きたいと思います。
  16. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 最近の行政面を見まするに、市町村の関係を超えた広域的な処理をしなければならない。あるいは県ごとの範囲を超えた行政面、これは、ただいま水のことをお取り上げになりましたが、琵琶湖の総合開発なんかは大阪には最も手近な例であろうと思うのであります。私どもは、そういう具体的な事例にはもちろん対処していくわけでありまするが、いま御提案の道州制で一気にすべて考えていくのがいいのかどうか。まあ、三全総についてちょっと物足りないお感じをお示しでございますが、私どものねらいとする自然環境、生活環境、生産環境などの調和をとりながら、人間居住の総合的な環境の整備を目的にしよう、こういう基本的な考え方の上に立ちまして、市町村の範囲、区域を超えた定住圏を考えていこうということで、中山委員のお考えに一歩近い方向は出ておるわけでございまするが、行政区画を一気に道州制にして処理するがいいかどうかということにつきましては、まだ検討の余地がたくさんあるのではないか、このように私は受けとめております。
  17. 中山正暉

    中山(正)委員 私も国会に出る前に、ここにおられる北側議員と一緒で、大阪会議員をやっておりましたことがありましたが、私が市会に出たときに私は野党議員でございました。中馬革新市長が出たときでございましたが、中馬革新市長は初め広域行政論者でございました。道路一つ越えたところでくみ取り料が違う、川一つ越えたところで水道料金が違う、こんなばかなことがあっていいんだろうかということを、革新市長が初めは大変声高らかにおっしゃっていたわけでございますが、総評に反対をされてこの広域行政論がいつの間にか消え去ってしまいました。最後は二億円の家を建ててついにお亡くなりになってしまいましたが、それは競争相手がないのですから、革新市長、道路、下水、水道、地下鉄、後援会、いまのような政治資金規正法の規制がないときでございますから、大変にたくさんの後援会費が集まったといううわさを聞いております。  天網恢々疎にして漏らさずだと私は思っておりますが、その意味大阪なんかを見ましても、あの狭いところに三十二の衛星都市があって、飛行機から見るともう全然区画が一律になってしまっていてどうしようもない。それから神戸からの、尼崎が一番公害の煙を出すところでございますが、隣の県である。私は、こんなものは日本列島を五つくらいに分けて、そして大阪市の市域の狭い部分で三百六十万人いたところがいま二百七十万人に減りました。大ビルばかり建って、昼間人口に対して夜間人口が十倍から十五倍というようなところになってきたのは、大阪市で利益を享受される方は夜寝るだけでほかの市に税金を払っておられる。そして、残ったわりに低所得階層の市民の負担によって金を持っている人たちが市内で金もうけをするという、そういう矛盾をした体制はもっと大きな行政組織で私は一体化すべきではないかということを実は考えておるわけでございます。  時間がございませんから、いろんなことにこだわっておられませんので、先へ進んでまいります。  私は、大阪二十六人の国会議員がいますが、その中の八名という自民党、そして大阪市議会議員九十四名中三十五名の自民党、百五名の府会議員のうちに三十八名しか府会議員がいないという三分の一政党でございますから、その感覚で、自民党を支えている農村体制感覚とは違いますので、激しいことを言うかもわかりませんが、これはやむを得ません。私の政治的立場でございますから、はっきりとこの際に申し上げておきますが、そういう形の中で、私は、建設事業というものが、われわれの政治体制を守るかどうかの、いわゆる決戦の場というと話が大きいかもわかりませんが、われわれの政治姿勢をどう示すかという大きな問題であると思うので、さっき申しましたような、この委員会に私は希望をして実は入ってきたわけでございますが、たとえばいま伊豆地震でがけ崩れだなんと言います。がけが崩れて二十五名の方、本当にお気の毒なことをしてしまいまして、お気の毒で本当に心から御冥福を犠牲になられた方々にお祈りをしたい、こう思うわけでございますが、これは大都市で一体地震が起こったらどんなことになるだろうか、まずその伊豆地震対策、これも死者の冥福を祈る意味で、後にはこういうことを繰り返しませんという意味で、伊豆地震対策に対してどんなふうな手を打っているかということを、まずひとつここでお伺いをしておきたいと思います。
  18. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 ただいま地震による御被害を受けられ、しかも生命を絶たれた方のお話も出たわけでございまするが、現在伊豆地震に対する応急対策はおおむね順調に進んで、私が本部長として気になりますのは、伊豆急行がまだ完通しておりません。稲取のトンネルが非常に大きな被害を受けておる。この復旧について伊豆急行の会社自体としては非常に大きな負担をしなければならないというような事態にいま遭遇しておるわけでございまするが、応急の復旧とか、それから一番問題になりました持越鉱山のシアン対策とか、この地域住民の皆さん方が御心配になる点については、大体解決をしてきておると思うのであります。むしろ、東海大地震説などもございまして、そういう場合に今後はどう対処するのか、伊豆半島の地質の状況からして、われわれの地域心配ないのかというような方向の方に、いま住民の方のお考えは向いておるのではないか。地震の直接の被害につきましては、最善を尽くしておるということを申し上げておきたいと思います。
  19. 中山正暉

    中山(正)委員 どうぞひとつ万全の御処置をおとりくださるように、この際自由民主党の一議員としてもお願いを申し上げたいと感じると同時に、たとえば駿河湾地震に対する予知とかそういうものはわりに関東関係は多いのでございますが、中部地区、たとえば名古屋中心地区、それから大阪を中心にした——大阪も慶長年間に大きな地震が起こっております。私の近くにもそのときの碑が残っております。「嘉永七甲寅六月十四日子刻大地震、市中一統驚き、大道川端にたたずみ、ゆり直しを恐れ、四、五日心もとなく夜を明しぬ。」「同十一月四日辰刻大地震、前に恐れ明地に小屋懸、老小多く小船に乗、翌五日申刻大地震、家くづれ、出火も有、恐敷有様漸治る頃雷の如くひびき、日暮頃海辺一同津浪」とこの碑に書いてあるのでございますが、慶長年間にも、謹慎中の加藤清正が太閤秀吉に呼ばれて急遽出てくるというような大地震がありましたし、それから宝永四年にも東南海道地震、それから安政元年に東海道、南海道地震、それから昭和二年に奥丹後地震、昭和十一年に河内地震、それからこれば戦争中、私も小学校の校庭に逃げ出したことを覚えておりますが、これは戦争中で情報を一切伏せましたから、その大地震のことが軍部によって情報を全部遮断されましたので一般にはわからなかった。いま覚えておりますのは、校庭で空を見たら空にオーロラのような光が光ったのを私は記憶をいたします。それが、日本が運命が変わりかけた昭和十九年、山本五十六が死んだころでございます。それから、昭和十九年の後、昭和二十一年の南海道地震。こういう大きな地震が近畿地区、中部地区にもあるわけでございます。  ところが、地震予知体制というのはもう皆無でございます。こういうところ、大都会に対してはこれはもうもちろん、九州あたり、福岡あたりもそうでございましょうが、裏日本の方は、わりに小さな地震と言うと語弊がある新潟地震なんかもありましたが、福井地震その他ありましたが、そういうところに対する、それぞれの地域に対する地震対策というのはお考えでございましょうか。特に特別立法なんかを考えていらっしゃるかどうか。
  20. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 特別立法のことは考えておりまして、今国会提出の予定にしております。予算関係外の法案は三月中旬ころまでに出すようにということでありますので、それには間に合わせたいと思うのであります。  いま中山委員の御心配の大都市における地震の場合ですね、これにつきましては、災害基本法による防災会議が設置されておりまして、その防災会議におきまして、大都市震災緊急対策要綱というのがございまして、これに伴って日ごろ防災に対する措置を考えておる、こういうことでございます。  大体は災害基本法によりまして大きな災害に対処できるのでありまするが、いまその地震予知のことにお触れでございましたが、災害基本法ではその予知というものをどういうふうに扱っていくかということには欠けておる点がございます。そういうようなことから、全国知事会から、大地震に対する立法の要請があるわけでございまして、この予知の扱いというのはなかなかむずかしい。この間でも、予知を取り違えて非常な混乱も起きたというようなことでありまするので、この点につきましては、関係省庁十分連絡をとって、そういう事態が起きないように、しかし地域住民の方々が一番気にされる、また、問題が起きたら大変なことでありまするので、そういう予知の場合に迅速的確に伝達できるような方途を講じたいといま作業中であるということを申し上げておきます。
  21. 中山正暉

    中山(正)委員 ぜひひとつ……。  大都市の防災対策というのは、たとえば都市再開発事業でありますとか、区画整理事業でありますとか、道路でありますとか、それから新市街地の整備された商業地区とか、一般の都市対策全部が含まれてくるのが防災関係のことであろうと思います。  いまお話がありましたように、その上に考えなきゃいけないのは、災害に遭われる民衆に対しまして、そのときに起こるパニックが最大の問題でございます。  大阪市が出しております「町ですすめる防災活動」こんなにりっぱなものをみんな出しておるのかどうかわかりませんが、この中にも書いてありますのは「地震後は、余震・津波の警報や被害情況などがラジオから放送されます。」そうしたら、私、この間NHKの十七分間の新左翼による電波乗っ取り、もしあんなことがあったら一体どうなるんだろうと思うのです。ラジオを聞きなさいと書いてあって、ラジオ、まじめな顔をして、テレビもつけて見ていたらそこからにせの情報が流される。  日本心配は全く非常時立法がないことでございます。旧憲法は十四条に戒厳令規定がありましたが、戒厳令規定はいまの憲法に皆無です。マッカーサーは、おれがいるからそんなことは心配ないと言ったわけです。それから、その上に自衛隊を当てにして、地連の連絡本部とみんな大阪市とか府とか、正式の場所には自衛隊を呼ばない連中が自衛隊の幹部を呼んで一生懸命防災活動の打ち合わせをいまやっています。革新自治体はそういうときだけ自衛隊を利用するわけでございますが、考えてみると、しかし自衛隊、そんなこと言っちゃ——これは心配をして言うのですが、自衛隊が本当にあてになるのか。海軍刑法がない、陸軍刑法がない、軍事法廷はない、さようならと言われたら退職金持って追いかけなきゃならないという大変物騒なかっこうになっているときに、われわれは民主主義、自由主義というものを守らなければならない、人が自由に物を言える政治体制というものを守らなきゃならないときに、かつて関東大震災のときにも、韓国人が井戸の中に毒を入れたという情報が流れて大虐殺事件につながったこともあるわけでございます。そういう意味で、地震に対してもう一方では民心がそのときにどんなパニックを起こすか。そして、われわれにはいい教訓だったと思うのですが、NHKでさえ十七分間テレビの画面を乗っ取られたわけです。こういう事態を踏まえて、そのときパニックに対する政府対策を、これはもういま御答弁願うのも大変だと思いますから、どうぞひとつお考えおきをいただきたい。老婆心ながら。もちろん私なんかのチンピラ政治家と違いまして、大臣のような大政治家は、国家基盤で、国務大臣としていろんなことを御相談あそばしておられるだろうと思いますから、ひとつその辺について、中山君、任しておけというような御答弁がいただけたらまことにありがたいと思います。
  22. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 いろいろな緊急事態というものを頭に置かなければならないと思います。ただ、現在の大きな災害問題につきましては、今度の伊豆地震の場合は非常災害対策本部、さらに大きな問題であれば緊急災害対策本部で総理みずからが指揮をとられるように災害基本法はなっておると思うのです。この間もああやって原子炉を搭載した衛星が落下した。もしこれが思わないところに落ちたという場合に、そうして被害も大きいというときはどうか。そういうようなときには緊急災害対策本部の設置ということになると思うのでありまするが、いま中山委員はそれよりもさらにいろいろな事態をお考えになっての御心配であったと思いまするので、それらの点について確かに現行法においては欠くるところもあると思いまするので、われわれとして御意見を踏まえてよく研究させていただきたいと思います。
  23. 中山正暉

    中山(正)委員 いま総理がそういうときには指揮をとるというお話をなさいましたが、日本の憲法の中では、総理大臣は、任期が終わるか、死なないとかわれないことになっております。そのときに総理大臣がわあっと拉致されて山の中へでも連れていかれたら一体どうするのだ。生きていたらかえられない。佐藤総理大臣みたいに、おれはもうやめるぞなんて言わないとやめられないのが日本の総理大臣であります。その中でパニックが起こったときに、さあ気がついてみたら、総理大臣は山の中へ拉致されていた。その議論を山中防衛庁長官の時代にもしたことがあります。中山君、心配するな、おれがやると言うから、山の中のどこにいるかわからない総理大臣から、中山長官はおれが首切ったと山の中から言われたらどうするのだと山中長官に言ったことがあります。ですから、それほどいいかげんな砂上楼閣の国家であるということ——太りいく豚は幸せではないという言葉がありますが、日本にその言葉が私は当てはまると思う。太っていく豚は言わずと知れた屠殺場へ向かうわけでございます。その中でどうぞひとつ地震という、だれもないとは言えない、地震がないなんて言えないということでございますから、そういうむずかしい国家体制の中での非常時に対する感覚をどうぞひとつ何かの機会ごとにお出しを願いまして、そして、これは出すとだれかが反対するからなんということではないと思います。国民にこういうことになっているのだぞという危機感を持たせるためには、やはりその中で自分たちの身の安全が——国家の、私は国会議員の務めというのは、国防と治安と、それから教育と、それから外交という四本の柱、特に重要なのはパニックのときの国民の治安であります。こんな平和な時代は何にもありません。新幹線の中で物を置いて食堂へ行っても物がなくならないというすばらしい日本は治安の確立された国であると思いますが、そういう国だからこそ、パニックのときしかねらうときはないわけであります。それをひとつ御感覚の中に入れておいていただきたい、かようにお願いをいたしたいと思うわけでございます。  そこで、あと余り時間もございませんので、住宅の問題でございますが、このごろ、これも革新自治体のいわゆる世の中の進むのを阻害をするような問題として、開発指導要綱とそれから高額の開発負担金というのをとっているということがわれわれの耳にひんぴんと入ってまいります。それから、それが公共公益施設に一〇〇%充当されていない。開発許可とか、それから建築許可とか、上下水道使用許可というのと交換的に、法的な根拠がなくして、違法行為だと思うのですが、開発指導要綱で開発とか、それから住宅敬遠処置をとるために、地方税法での税金としてとらずに、開発負担金として業者に課して、そしてそれを一般財源に入れてほかに流用をしているというような問題が散見をされるわけでございますが、そんなものに対してはどういう御指導をなさっていらっしゃるのか、ちょっと伺わさせていただきたい。
  24. 大富宏

    ○大富政府委員 関連公共公益施設というのは、その名前のとおり、これを整備するのは本来それぞれの所管地方公共団体——市町村が主でございます。が整備すべきだと思いますけれども、ことに四十年代に入りましてから大都市における人口の急増がございました。これに市町村が主体となる公共施設の整備能力が間に合わなかった。これが地方財政の貧困に結びつくわけであります。したがって、勢いこの負担を開発者に求める。その根拠になりましたのが、いまお述べになりました開発指導要綱でございます。現在大都市を中心といたしましてほとんどの市町村が開発指導要綱をつくっていると思いますけれども、これは当初はそういった開発の技術のガイドラインを示すようなものでございましたけれども、最近はほとんどそういった公共公益施設の負担費を開発者に求めるようなことになっているわけでございます。基本はやはり地方財政の負担の軽減をなるべく図るというのが根本だと思いますけれども、いまたちどころにそういう対策ができないということで、やむを得ざる措置としてある程度のことは私もしょうがないと思っておりますが、お述べになりましたように、とられるものがそういった関連公共公益施設の負担費に充てられないで、一般会計に回されているとかあるいは行き過ぎがあるとか、これは法律根拠に基づかない全くの行政指導でございますから、そういった行き過ぎというのは厳に戒めるべきことでございます。私ども関係の省庁、自治省などと共同で実態を調査いたしまして、その適正な運用に心がけていきたいと思っております。
  25. 中山正暉

    中山(正)委員 いまのような問題もありますし、そのほかそういうことをしながら開発許可に非常に日時がかかり過ぎるとか、日照権その他いろいろな問題もある。適切な解決をしなければなりませんが、そういう開発の阻害になっていて——大体日本は太平洋ベルト地帯に人口の八〇%が住んでいる。二%のところに五六%の人口が住んでいると言われる大変山ばかりの国でございますから、地方では教育投資が行き過ぎましたから、地方で教育を受けた人は働く場所が都会しかありません。みんなそこに集まってくる。広いところに住んでいた人が都会では狭いところに住まなければならない。そして国土法とか都市計画法の関係でミニ開発のところに夢を求めて入っていく。そんな都市住民の問題があるわけでございますが、そのときでも、ちょっとでも放出させようとしましても、いま個人の譲渡所得税に対して大変厳しい規制があるものでございますから、小さな土地しか手放さないということがあります。そういう個人の譲渡所得税などに対して緩和措置とかそんなものを考えていらっしゃいますか。大蔵省来ておられますか。
  26. 梅澤節男

    ○梅澤説明員 御指摘の点について御説明申し上げます。  現在の土地重課制度でございますが、これは御案内のとおり五十年度の税制改正、当時は土地問題、それからそれをめぐります特別な国民感情を背景といたしまして、五十五年度までの制度といたしまして重課制度があるわけでございます。  実は五十三年度の税制改正に当たりまして、いま委員が御指摘になりましたような問題の御提起が各方面でございまして、私ども政府の税制調査会でこの問題につきましてはかなりの時間をかけて御議論を願ったわけでございますけれども基本的にはやはり土地政策と税制という関係で見ますと、税制というのはあくまで補完的なものである。そういたしますと、いまの基本的な仕組みを大きく変えることによって果たして土地供給の促進にプラスに働くのか、あるいは土地の価格の問題にどういうふうな影響があるかという困難な問題がございまして、現在の制度は基本的にいましばらく維持すべきであろう、ただ、五十三年度は住宅建設の促進ということが経済政策なり財政政策の一つの大きな柱になっておりますので、税制面でもそれを促進するという立場から、住宅の取得について種々の特別措置を今回講じておるわけでございますが、同時に、住宅建設の促進ということは優良な宅地の供給というものが基本的な条件になります。したがいまして、五十三年度の税制の考え方と申しますのは、そういう優良な宅地の供給にプラスになるような税制上の最小限の手当てをしようではないかということで、個人の場合でございますと特定民間住宅宅地造成事業でございますが、その場合の例の千五百万円の控除の問題につきまして、地主さんが控除を受ける要件を五十三年度緩和したというふうな措置を講じておりますけれども基本的に御提起になりました問題は、今後やはり相当慎重に考えていかなければならぬ問題だろう、そういうふうに考えております。
  27. 中山正暉

    中山(正)委員 時間もございませんが、その他相続税の問題なんかでも土地が細分化されていく傾向があるわけでございます。昔、ばかな者をたわけ者と言ったのは、田をどんどん分けていって零細化していく農民のことをたわけ者と言ったそうでございます。ばかの代名詞になっておりますが、そういうことのございませんように御配慮を願い、時間がなくなりましたので、関西空港の取りつけ道路の問題とか、そういう問題に深く入れませんでしたが、成田空港と同じように、日本経済を支える関西空港とか、その他現在ある伊丹の空港、私は残すべきであると思っております。ニューヨークにも三ヵ所、中距離、遠距離、短距離、三つの飛行場がございます。いま私ども大阪から年じゅう飛行機で行ったり来たりしておりますが、便数は減らされて経済効果を減殺するような調子が見えますし、成田空港を見ましても十一時で飛行場は閉鎖することになっておりますと、羽田から十一便飛んでいたものが六便に減らされる。そうすると京葉道路渋滞をするので、バスに乗って飛行機に乗る人が全部乗りおくれるのじゃないかという心配、何のために成田へ飛行場を持っていったのかわからない、怒りを感ずるわけでございます。そんなことのございませんように、建設大臣の双肩に日本の将来がかかっておりますので、ひとつ御健闘のほどをお祈りいたしまして、時間をちょうだいしましたことを厚く感謝をし、質問の中でいろいろ失礼なことを言ったかもわかりませんが、深く深くおわびをいたしまして質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。(拍手)
  28. 伏木和雄

    伏木委員長 中村茂君。
  29. 中村茂

    中村(茂)委員 私は、まず最初に住宅基本法案についてお聞きしたいと思います。  この法案は住宅審議会の中間報告として答申されてからちょうど五年目を迎えております。三木元総理のときも本会議において、この国会に提案します。こういう約束もございました。その後いろいろと約束をされてきたわけでありますけれども、今回の国会では検討中、こういう法案の取り扱い方になっております。衣食住と言われますけれども、衣と食はまあまあということになってきた。しかし、住については諸外国と比べても非常におくれております。それから、住宅政策全般から見ても土地政策を含めて一つの曲がり角に来ておるのじゃないか。そういう基本的な問題がきちっとしない中で、五十三年度予算は公共投資に膨大な金をかけて、特に住宅については波及効果が大きい、推進をするのだというふうに言っておりますけれども、特に住宅に対する基本的なものを一日も早く定める必要があるんじゃないか、こういう意味でこの住宅基本法についていつ提案しようとしておるのか、大臣考え方をお聞きしたいと思います。
  30. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 住宅基本法の必要性につきまして国会で御要望のあることは、私就任前から存じ上げております。今回検討中と申し上げておりますのは、法案の中身で最も重要であるべき最大の課題というべき住居費負担問題につきましてまだ結論に至っていない。そこでどういう経過になっておるかということを調べてみますと、昭和五十一年五月に、住宅宅地審議会に対し、現行家賃制度をいかに改善すべきかの諮問をいたしておりまして、それでその審議会における住宅部会において小委員会を設けて検討しておる、こういうことでございます。  そこで、小委員会の方がどう答申してくるのだろうか、私、非常に期待をしておるところでございますが、これは確実にそうだとは言い切れませんが、まあ秋ごろにはその結論が得られるのではないかという状況にあるわけでございまして、せっかく前総理もこの問題についての国会答弁をされておるということから申しますると、大変不本意なことでありまするが、重要な問題でなお検討されておるということで、もうしばらく御容赦をいただきたいと思うのであります。
  31. 中村茂

    中村(茂)委員 大臣、もうしばらくと言うけれども、これは私ども社会党ではすでにこの国会に住宅保障法、こういうことで提出して継続審議中になっている。公明党からもこの種の法案が出ているのです。しかも収入に対する家賃の負担率とか規模等についても明確にしながらすでに出しているわけなんです。それがもう当初の中間報告からすると五年を越そうとしておるわけなんです。もうしばらく、もうしばらくと言って五年もたたれたらたまらない。一日も早く、できれば今国会に出すぐらいな気持ちで対処していただきたい、私は強く要求しておきます。  それから次に、既存の建設物の避難施設の整備の促進に関する法律案、これは今国会に出す、こういうふうになっているわけでありますけれどもいまだに出ておりません。この法案も四年越しの法案です。特に中馬元建設大臣が前通常国会に必ず出しますということを約束しながらいままで提出しない、こういう経過になっているわけであります。  先ほど中山委員、もう質問してしまっていないようでありますけれども、いろいろ御意見を聞きました。その中でこういうことを言われたわけであります。道路整備緊急措置法案について議運においてつるされている、こういうことを言われました。そのほかのことについてはその人の自由だと思いますけれども、この問題はわれわれと関係のある問題であります。この法案は御存じのように第八次五カ年計画に関連する問題で、非常に、公共投資というふうに叫ばれている中で重要法案であります。ですから私どもは、重要法案として本会議で趣旨説明する法案だ、こういうことで議運に申し上げているわけであります。特にけさは理事会で、自民党の渡辺理事から日切れ法案だから早く審議されるように協力してもらいたいというふうに野党に要請がございました。私どももそれを受けて、確かに日切れ法案で重要法案だから、議運の方にできるだけ本会議に出してもらうなり努力しましょうということをお約束したばかりなんです。その後、責任のあるこの委員会で、つるすとは何だ。(「しかも理事だよな」と呼ぶ者あり)しかも渡辺委員の要請を聞いていたわけであります。これは撤回していただきたい。  私は何でこの場でそういうことを申し上げるかというと、いま申し上げましたこの既存の建設物避難施設の整備の促進に関する法律案というのは、先ほども申し上げましたように、建築基準法の中でこの規制をするために同時に出されたわけでありますけれども、既存建設物に遡及適用するという分については自民党の提案によって引き抜かれてしまったのです。それでいまだにできないという経過があるわけなんです。私どもは、入れて一緒にやるべきだ、こういうことを主張したわけなんです。そして、中馬元建設大臣が前国会に出すということを約束したときにも、私どもは、必ず出す、そういう約束をしたのだから出しなさいということを強く要求してきたわけでありますけれども、はっきり申し上げて、自民党の意向でついに建設省は出さなかった、こういう経過があるわけであります。だということになれば、どういう重要法案があろうと今度の国会ではこれをまず最優先で審議するのが筋道ではないか、こういうふうに私は思うのです。それがいまだに国会に出てきていない、そういう経過を踏まえて大臣考え方をお聞かせ願いたいというふうに思うわけであります。
  32. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 私が承知をしておる経過、間違いがあったら御指摘をいただきたいのでありますが、さきの通常国会におけるこの委員会、それから理事懇談会の審議経過を踏まえてずっと検討をしてまいった。ところが、理事懇談会において技術基準などについて官民一体となって検討することが必要ではないかとの示唆があったために、建設省におきましては五十二年の八月に学識経験者や関係業界団体関係行政機関等により構成される既存建築物避難施設整備対策懇談会を設置して、既存の建築物の避難施設の整備についてずっと検討しておる、そういう手順を踏んでおるわけですね。私大変お答えしにくいことは、そういう検討をさせておる、先ほどの住宅基本法にしても審議会の方へお願いして小委員会も設けておる、それをいま就任して三カ月ほどの私がすぐ、そんなことはいいんだと言うわけにはこれはなかなかいけないということは中村委員の御理解が私は得られるのじゃないか。そういう手順を踏んだことがいい、悪いは別ですよ、それはそんなはずじゃなかったと。しかし、踏んでおる以上は、私としてはその結論を得るまではどうも困ったものだなあ、こういういまの私の率直な気持ちなのであります。  特にわれわれとして、何というのですか、まあいわゆるよく言う政治判断というようなものでありませんね。事は重大な万一のときの災害に影響する問題で、しかも、技術基準などについて検討する、それも専門的な分野でありまするから、いや、これはそうは言うが国会ではすぐ出せということになっているのじゃないかと、私は率直に言いますよ、そういう検討を省内でしたのですけれども、しかし、こういうことにぶつかると、そんならそのことを率直にこの委員会を通じて私が責任者として言わざるを得ない。だから、今国会の提出法案ということではあるが、ひとつこういう問題を解決をして進まなきゃならないというところに、私は早く結論を得て、そしてお約束を実行したい、そういう気持ちは持っておるが、どうも困った問題だ、きょうも御質問の通告がございましたから、これは慎重に答弁をしなきゃならぬということで、いま申し上げたような検討をいたしたようなわけでございます。
  33. 中村茂

    中村(茂)委員 大臣、それはもとのことをよく理解していただきたいというふうに思うのです。これは熊本のデパートの大火災があって、これはもう大変だ、やはり基準法を改正して、そういう火災に対する防備施設を完備しなければならぬ、基準法改正で出たのですよ、遡及適用も。そのときに実施すればよかった。消防法の改正でスプリンクラーを完備するのも、そういう経験を踏まえて内閣委員会で審議されたのです。ところが、遡及適用だけ外されてしまった。野党は全部一緒にやるべきだと言ったのだ。自民党の方は多数ですから、外したのです。それでは理事懇の中で対策委員会をつくってやっていこうということで、前国会でその委員会はもう消滅してしまった。ですから、もう建設大臣考え方ですぐにでも出せる。ただ対象者の皆さんとよく御相談してと、こういうことを言われました。確かにそういう意見もありました。しかし、それは了解しなければ出してはならないというものではない。その点を十分理解していただきたいと思うのです。今回の住宅公団の値上げ問題についても、居住者の人に相談して、反対があるにもかかわらずそういうものを上げておいて、こういう重要なものについてはそこのところをネックにして、困ったものだ困ったものだと大臣は何回か言っているけれども、これは一日も早く出してください。それ以上答弁の必要はありません。  次に、欠陥住宅問題について御質問いたしたいと思います。  この問題は国会の中でもいろいろ取り扱われてきておりますので、私は、まず最初にこの経過について一応整理をしてみたい、こういうふうに思うのです。  まず、わが党の参議院の小柳委員から昨年の十二月二十一日にこの欠陥住宅の問題について指摘をいたしました。そして、その指摘したものに対して建設省から、一月三十一日に調査の内容を私は住宅局長から報告を受けました。その内容はいろいろありますけれども、大筋として否定的な内容になっております。その後二月八日の日にわが党の井上議員が予算委員会で質問をいたしました。大臣は再調査をさせている段階である、こういう答弁がございました。また昨日でございますけれども、参議院の建設委員会でわが党の赤桐議員が具体的に例を挙げて追及いたしました。そして設計図、仕様書、契約書などの異なっているもの、欠陥、不良、欠落している個所については早急に補修、手直しをする、今後は施工工事の監督体制を強めていく、こういうことがやりとりされました。  整理の関係ですから、特にこれは住宅局長が全部出ていると思いますから、大体こういう整理の仕方でいいのかどうか。
  34. 救仁郷斉

    ○救仁郷政府委員 経過はただいま先生のおっしゃったとおりでございます。
  35. 中村茂

    中村(茂)委員 だとすると、私のもらったその報告はどういうことになるのですか。いままでそれぞれの予算委員会なり参議院の建設委員会でいま申し上げたようなことが行われていて、再調査する、こういうふうになったとすると、あれは撤回するのですか。それとも中間的なものなんですか。これはどういうふうになるのです。
  36. 救仁郷斉

    ○救仁郷政府委員 とりあえず私が先生に御報告申し上げたときは、まだ全部調査を終わっておりません。とりあえず中間的にというお話でございましたので、中間的な報告をしたというようにお受け取りいただきたいと思っております。  これは弁解がましくなりますが、私どもはやはり一番最初に調査を命じましたのは、まず全体的な構造的な欠陥があって危険かどうかということを中心にさせた。それから小柳先生から御指摘がございましたいろいろな具体的なレポートあるいはその個所等を重点的にやらせたために、後で社会党の先生方の現地視察において発見されたような手直しの不良個所等について調査が十分でなかったということに関しましては、おわび申し上げたいと考えております。
  37. 中村茂

    中村(茂)委員 そのときに中間と言ったかどうか私も記憶ございませんけれども、私どもがこういう席で質問したり意見を申し上げたりするには、確実な資料に基づいてやっているわけなんです。それを業者に報告させて、それを取りまとめて大体こんなものですというふうに報告される、そのやり方について私は抗議を申し上げておきたいと思うのです。  ちょうど、これは例は悪いのですけれども、おまえどろぼうをここのところでやったというふうに他の人が言っているけれども本当にやったのか報告しろ、そしてその者がいやどろぼうはやっておりません、それを集めて、私どもはきちんとした資料を出しているにもかかわらず、いやこういうものはございませんでした、こういうふうに言っているのと同じなんです。  ですから私は、これは撤回してもらいたいと思うのです。一応あなたたちの方へお返ししますから、改めて根本的に、大臣も再調査すると言っているわけですから、再調査をきちっとして再提出をしてください。
  38. 救仁郷斉

    ○救仁郷政府委員 なお引き続き調査をその後も続けております。やはり部分的には破壊検査をしなければならないところもございますので、現在、必要だと思われるようなところについては、コアボーリング等を行って必要な強度試験等をするように指示してございます。また、まとまりましたら御報告申し上げたいと思います。
  39. 中村茂

    中村(茂)委員 いまボーリングというふうに言われましたけれども、私どもが、ここのところが大変なことになっていますよ、ここが空洞ですよというふうに指摘すれば、破壊までして調査いたしますね。
  40. 救仁郷斉

    ○救仁郷政府委員 具体的には御指摘を受けました京都市の向島団地でございますが、これは御指摘を受けたところを現在ボーリングして調査いたしております。
  41. 中村茂

    中村(茂)委員 住宅公団にお聞きいたしますが、高幡台団地については、きのうも参議院で赤桐議員からいろいろ指摘したわけでありますけれども、これをどういうふうにしようとしているかということについて答弁がございませんでした。修理するという程度のものでありますが、私はここのところに行っていろいろ調査をし、また専門家にも御依頼をして診断をしていただいた結果、私の結論は、もう修理なんというものじゃない、建て直すべきだ、これこそ欠陥住宅の見本のようなものだ、こういうふうに思うのですけれども、修理じゃなくて建て直すという意思がございますか。
  42. 澤田悌

    澤田参考人 御指摘の高幡台団地の問題につきましては、譲り受け人に御迷惑をかけておる次第でございまして、まことに遺憾に存じております。床版にたわみが生じておるという問題を中心にしての欠陥問題でございます。それで、これをどうすればいいかということにつきましては、目下居住者の方とも協議検討中でございまして、詳しくは担当の理事から申し上げたいと存じます。
  43. 江里口富久也

    ○江里口参考人 先生指摘の高幡台のスラブのたわみの問題でございますが、これについては住宅公団も非常に重大なることだと考えまして、外部の学識経験者による委員会をつくりまして、その委員会でいろいろ実験をしていただきました。その結果、スラブのたわみは、そのとき施工中の幾つかの原因が重なって複合して出てきたというふうに考えられます。実験の結果、そういうふうな結果がわかりました。しかし、たわみを生じましても設計荷重、これは平方メーター当たり百八十キロでございますが、この荷重に対しては十分安全であるという報告も同時に受けております。  しかし、これは実験でございますから、これまでの実際の建物の安全が一番大事なことでございまして、これを実際に確認しなければならないということで、その調査方法について譲り受け人と相当協議を重ねてまいりました。その結果、基本的にその調査のやり方の同意が成立いたしましたので、現在その建物の調査を実施して、近いうちにその結論が出る、そういう予定になっております。今後とも、その調査結果に基づいてどういう補修方法、直すやり方がいいかということを譲り受け人と十分協議をいたしまして、合意に達しましたら、もう早期解決を図って最善の努力を払いたい。  なお二月十八日には、私どもの方の管轄をしております東京支社長が居住者の代表者とお会いしてこの問題について協議をすることになっております。
  44. 中村茂

    中村(茂)委員 きょう私がこの問題を取り上げるというふうに言ったら、私に、この工事をした会社も明らかにさせるのですか、こういう電話もございましたけれども、私はここで会社を発表していただかなくても結構ですけれども、これはどういうところで設計し、どこの会社がこの施工工事を受け持ち、そうして監督はどういうふうになったかということについて、この委員会後で結構ですから、私の方へ報告してください。——答弁はいいです。  それで、私どもも実際に現場に行って、縁の下まで全部入って細かく調査してきております。その結論は、先ほど申し上げたように、これはもう修理なんという段階ではない、もう建て直すべきだ、こういう結論に達しておりますので、また私ども調査結果をおたくへお届けしますから、それも検討の材料にして、最終的に態度を決めてください。要求しておきます。  それから次に、今度は民間の欠陥住宅の問題について触れたいと思いますが、実は、この問題が起きてから私のところに百五十一件の欠陥住宅の問題が持ち込まれてきております。私はそれを見たときに、これはもう大変だな、これはどうやったらいいのかなと思ったのですけれども、そのときに、全部ではございませんけれども、相当かためて持ってこられた方がこういう内容の文書を私のところに置いていきました。「公団、公社の手抜き工事による欠陥団地の例で立証されたように、売り主、元請業者による集合住宅の構造に対する恐るべき軽視の事実がある。建設業者は違反を承知で手抜き工事を行い、また発注者のマンション業者も自己の利益確保のため納期に厳しい制限をつける、法規違反が時間の手抜きという買い主にとり購入後確たる立証がしがたい形で行われ、しかも住宅という高価で簡単に買いかえ、契約解除のできない商品についてであれば、これは悪らつな企業犯罪である。また監督責任にありながら建設業、不動産取引の実態に全く無知な行政の怠慢は厳しく追求されなければならない。」その後もいろいろ書いてありますが、個人にわたる問題ですから省略いたします。こういうふうに大変な民間における住宅欠陥というか、マンション欠陥というか、問題が出ているわけなんです。  私がこれから申し上げることに関連して、私のところへ持ち込まれているものを、ちょうど写真がございますから大臣に見ていただきたいと思いますが、委員長、ひとつ……。
  45. 伏木和雄

    伏木委員長 どうぞ。
  46. 中村茂

    中村(茂)委員 大きい袋に入った下の方に小田急北本マンションというのがありますが、写真が入っていますから、ひとつ見てください。  この小田急北本マンションは、売り主が小田急不動産、施工が清水建設、小田急建設、所在地は埼玉県ですが、完成が四十八年四月ということで、幾つかの欠陥が指摘されておりますが、その中の一つだけ紹介いたしますと、「床スラブの落ちこみがひどい。養生不足(サポートを早く取り外す)か鉄筋が正しく入っていないのか、床スラブが著しく落ち込んでいるため、床のきしみ、木壁と天井の隙間があく、ドアが落ち込む等のクレーム続出、現場工程表を何度要求しても出さない。」これはもうほんの幾つかの一つなんです。  また後楽園マンション、売り主、施工、国分建設、所在地東京都文京区、四十四年入居ですが、この一つを紹介しますと、「八年来の雨漏り 屋上防水不良、鉄パイプ埋込み不良、亀裂等による入居直後からの雨漏りが入居直後からの買主の度重なる請求にもかかわらず、いまだに完全補修されていない。」これは、やはり幾つかの指摘の中のほんの一つでございます。  先ほども、私にこれを届けたときの文書という中にもありますけれども、これはもういままで業者がもうけ主義というか利益確保のために、工期を短縮するとかまたは請負におろすとかいろいろなかっこうで、つくればいい——しかし住宅でございますから、人権にかかわる問題であります。そういう形の中で、東京周辺だけで、いま問題になっているのはこうですということで百五十一件も持ち込むということは、私は、もはやこれは社会問題じゃないか、これに対応できる対策というものをきちっと考えなければいけない時期に来ておるのではないか、こういうことを痛感したじたわけであります。早い話が、こういうふうに私に持ち込まれても、それじゃどういうふうにやって皆さんと相談しながら解決したらという道が実はございません。ですから、悩みに悩んで、ちょうど欠陥住宅が取り上げられるということで持ち込んできたのだというふうに私は思うのです。  その中の、先ほど言いました小田急マンションの例などを見ますと、埼玉県でございますから、埼玉県知事に対して二回にわたって公開質問状を出している。そして知事からはいろいろ細かいことを丁寧に中身に書いてあるわけですけれども、一番最後の方へ来て、「以上、第一回の公開質問について、お答えいたしましたが、第二回の質問にある改善命令等に関しましては、御要望の意に沿うことは困難でありますので、御理解いただきたいと存じます。」ですから、これはどこへ持っていっても、どうも会社へ持っていっても、調査してなんということでらちが明かない。それじゃ知事といって公開質問状を二回も出しながら、知事さんのところへ持っていってもいまのような回答になってしまう。ですから、私は大臣にお聞きしたいというふうに思うのですけれども、こういうものを解決するにはどうしたらいいんでしょうか。
  47. 大富宏

    ○大富政府委員 大臣がお答えになる前に、事務的にお答えいたします。  いま御指摘になりました小田急北本マンション紛争でございますが、これは昭和五十一年十月にマンション問題を考える会というところから私どもの方に苦情処理の申し立てがあったわけでございます。私どもは直ちに業者等も呼びまして事情調査をしたわけでございますけれども、特段欠陥という事実が認められなかった、こういうことでございましたが、いま御指摘になりましたように、入居者の方から今度は排水管の排水能力が十分でないといった問題がございまして、五十二年九月から十月にかけまして埼玉県知事に公開質問状が提出され、埼玉県がこれに対して十分対応いたしたわけでございますが、最終的には特段欠陥と認められるというふうなことが困難だということで終わっているようなわけでございます。  それからもう一つお述べになりました後楽園マンションのお話でございますが、これは私どもただいまお聞きしたばかりでございますので、また十分調査いたしたいと思います。  それから、お述べになりましたように、五十一年の暮れごろから、非常にこういった欠陥マンションに対して、私どもの方に大変ないろいろな苦情申し込みがございました。御案内のとおり、これにつきまして、私どもの方と住宅局と合わせまして連名の局長通達を流しました。これは五十一年の十二月でございますけれども、「宅地建物に係る取引条件の明確化、工事施工の適正化、建築物の設計及び工事監理の適正化等について」ということで通達を出しまして、不動産業団体に対しましては、販売物件を登録施工業者から受け取るときに十分事前に検査を徹底しなさい、それからアフターケアサービスに努めなさい、それから苦情処理体制というのが非常に不十分でございましたので、苦情処理体制整備しなさいということも通達を出したわけでございます。それから建設団体に対しましても、建設工事の施工管理、工程管理の適正化、こういうことも求めたわけでございます。それから、こういったマンションを設計する建築士団体に対しましても、建築物の設計、工事監理の適正化、こういう内容の通達を出したわけでございまして、これに対しまして業界団体がそれぞれ私は対応したと思うわけでございますけれども、お述べになりましたように、いろいろまだこういったマンションにかかわるトラブルが続出しているようでございますので、今後ともこういったものについての指導を強化したいと考えております。
  48. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 ただいま局長より御説明を申し上げさせましたように監督庁といたしましては、不動産業団体または各特定行政庁、さらには都道府県知事に対しまして、いまお取り上げになったような問題にかんがみましてそれぞれの指示をいたしておるわけでありまするが、私は、それだからといってもう通知を出したんだからそれで結構だという姿勢であってはならないと思います。また、それらの通達を受けたものは、その通達に対して誠意をもって履行してもらわなければならない。きょう御指摘のものがいつごろの建築物であるのか、幸いこの通達前のものであるならば通達の効果も上がったと言えるでありましょうが、その辺はつまびらかにいたしませんが、要は欠陥マンション、欠陥住宅があって市民の間に大きな不満があるということにどうこたえていくかということだと思います。  私も娘のために家を建てたことなどの経験がございまするが、その場合、よく記憶いたしませんが、二年くらいの間は、雨漏りしたら直してくれとか、どうもたてつけが悪いから来てくれとか、これは法律上からもそういう場合に工事をやった業者がそれに応ずべきものである。また、私の場合は何回かいろいろなことがございました。それはいわゆるアフターサービスとして当然業者がやるべきことではないか、こう思うのですが、そのアフターサービスなどについても事を欠いておるということになりますれば、その業者については厳重に注意なり、あるいは処分の対象のものであれば処分をしなければならぬと思いまするが、要はせっかくこういうふうに国会の場でお取り上げをいただいておりまして、これに対応して本当に市民の皆さん、利害の関係のある方々が御安心のできるように、監督官庁は監督官庁としての立場で、また業界は業界として、団体団体としてこれらの御注意に対処していかなければならない問題だと思います。
  49. 中村茂

    中村(茂)委員 先ほど言われました建設省が五十一年十二月に出した「分譲共同住宅の安全の確保等について」、そのほかもう一つ通達があるわけですけれども、どうもいまの答弁を聞いていると、これが出してあるからまあうまくいくだろう、こういうことであります。私は、結論的にまた後ほど言いますけれども、この抜け道をみんなやっているんだから、そこのところをきちっとさせるものにしなければ、こんなものを出したって、いま申し上げているように後を絶たない、こういう状況でありますから、そのことをまず頭の中に入れておいてください。  そこで、時間がございませんから次に進みますが、じゃどういうかっこうになってこういうものが出てくるか。私は、この際二つばかりの点をちょっと取り上げてみたいというふうに思うのですが、大体住宅もそうですし、公共投資というふうに言われる土木事業等を含めて余りにも重層下請になってい過ぎる。  ここのところに二、三例がございます。東京都庁の解体工事の請負ですけれども、まず元請は中村工業、下請が小泉興業、それから孫請が並木興産、ひこ孫が渡辺解体興業株式会社、やしゃ孫が渡辺研工業。やしゃ孫というところまでいっているわけですね。それから北陸自動車道路工事の請負形態、これは発注者が日本道路公団高速道路東京建設局新潟工事事務所、元請が西松建設と安藤建設、そして下請が巽建設、孫請が栗田建設、ひこ孫が成海国英という個人、そしてやしゃ孫が共同請負で代表が長谷川修という人になっている。も一つ例がございますが、これは富山県の土木部で発注したのですが、元請が三協建設、下請が梅村義政、これは建設登録がありますが、その孫へ行きますと島田信一郎ということで建設登録なし、ひこ孫へ行くと板垣功という人で、これはやはり業者登録なし。  言えば、こういう重層で下へただ持っていくわけじゃないですから、ピンはねピンはねで行くから二分の一なりそういうふうになってしまう。いま公共投資というふうに言われて五十三年度の中で持っていっても、工事をやるのはみんなこういうかっこうになる。ところが、私はこれをここでやるのを非常にちゅうちょしたのです。何でかというと、そうすれば下の方の人を働かせなくてもいいのか、こういう問題が出てくるから下の方をいじめるじゃないか、こういうかっこうになってくる。だから、この形態がいけないんですね。これは建設業界の一番のうみですから、直すには大変だと思いますけれども、何らかの形でこういうことを直していかなければ、公共投資だなんてどんなにやったって、実際にそこのところへ投資してそこのところへ流す額というのはみんな削られてしまうから、そこで手抜きしなければならない、工期を短縮しなければならない、したがって欠陥が出る。ここですよ。そうすると、大手の方はそれじゃ下の方を使わなくてもいいのかと、それじゃ下の方は困るんです。そこのところをよく考えていただきたいと思うのです。  そういう中で、じゃ下請に行くときにどのぐらい取っていくだろうかということを考えてみますと、これも大臣の方へちょっと渡してください。——これは四十九年十二月二十一日のですけれども、受けた人が名前を出してもらっては困るということでございますから消してございます。元請も困るということで「産」という字だけついているから、その前の方は見れば何だかわかりますけれども、「産」建設で、これは大手の二十社に入る元請ですね。下請は資本金二千万円、年商が五、六億という建設会社ですけれども、東京都の下水道工事。どういう下請契約になっているかというと、二億九千四百万円の受けに対して下請におろした額は二億五千八百七十万円ということで八八%。一二%、三千五百三十万円をピンはねしている。しかも一括下請になっているわけです。一括下請は、御存じのように建設業法の二十二条、二十四条違反であります。それを逃れるためにその契約書の中には三名を元請から常時派遣する。しかし、実態を調べたところが一日も派遣された事実はない。もう完全下請。ただ渡しただけで三千五百万円のピンはね。これがなお下に行った場合には——私お聞きすると、こういう場合に五%というような話がございますけれども、一二%というのは非常に多いんじゃないかという感じがするのですけれども、この実態、これはもう先ほどの通達やそんなものではとても直らないわけでありますから、これを何とかしていかなければどうにもならない事態に来ているのではないか、こういうふうに思うわけであります。大臣の所感をひとつお願いいたします。
  50. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 重層下請の問題は、もうかねて来と申しましょうか、長い土建業界の一つの悪習慣と申し上げてよろしいと思うのでありまするが、重層下請による幾多の問題が惹起されておるということはまことに遺憾なことであります。  そこで、下請をどのように擁護するかということから、土建業界に対しまして、これはひとつ下請を受ける向きにおいても必ずこういうような契約でちゃんとおやりなさいというような標準契約をつくっておるところであります。そういう契約の面からいかないと、仮に不当なことがあった場合に、これはもう訴訟に持っていく以外にはないと思うのですね。そうでなければ、先ほどから御批判が出ておるように、われわれのような行政当局が、こういうようにしなければならぬぞということで、向こうが責任を持ってくれないとそれで終わりになってしまうというおそれがありまするから、しっかりした契約でやれということを指示しておるところでございまして、この重層下請についての御批判は、私はそのとおり受けとめて、こういうことが速やかに解消されることを望んでやみません。
  51. 中村茂

    中村(茂)委員 きちっとした姿勢でこの建設業界の問題、非常にむずかしい問題だと思いますけれども、精力的に取り組んでいただきたい、こういうふうに思います。  それから手抜きというか工期短縮の問題でございますが、これも資料がございますから大臣にお見せいたします。  それは一つのマンションをつくるに、基礎工事から始まってコンクリート詰めを終わるまで一日に数回にわたって写真をきちっと撮ったデータでございます。それによりますと、まず一階にコンクリートを詰めたのが十一月十日午前六時から詰めて、せき板を取り外したのが十一月十二日ですから、この存置期間が一日と二分の一、それから二階についてはせき板の存置期間が一日と四分の三、三階については一日と四分の三、四階については、しかもこれは夜やって二分の一、半日。それから五階については四分の三、六階については四分の三、七階についても四分の三。こんな工事をしてコンクリートがきちっとしていくはずがございません。ところがこれをつくってしまった後、みんな板を張りつけてしまうわけでありますから、こういう突貫工事でマンションというものはでき上がってしまう。ですから、先ほど申し上げましたように雨漏りが出る、四、五年たてばもう大変なことになってくる。基準法ではそれは決まっているのです。どのくらいにしなければいかぬ、どうだ、みんな決まっている。しかし、言えば、これはそっくり基準法違反。ですから、監督がいるというふうに言われますけれども、私は、監督する者と施工する者を同じ会社でやるとかどうとかということではなくて、管理体制と施工体制というものを行政上きちっと確立していって、こういうものを監視していくようにしなければ、なかなかこういう問題は直らぬのじゃないか、こういうふうに思うのですが、この点についての感想を大臣一つ
  52. 救仁郷斉

    ○救仁郷政府委員 先生の御指摘の事実、これは私存じませんが、もしそういうことがあれば明らかに基準法の型枠の取り外し期間に対して違反しておるというように考えております。調べまして、処置したいと考えております。  それからもう一つ先生の御提案でございますが、こういった監督体制というものをもっとはっきりさせるべきではないかということでございますが、これは私どももできればそうしたいと考えております。ただ現実問題として、現在、それでは施工と監督というものを別会社という形で全部ができるかといいますと、残念ながら、日本の現在のそういった体制の中ではなかなかできない。私どもは、こういった建設業の中で施工、監督を、同じところでやる場合でも、たとえば設計部あるいは監督部というようなものとそれから現場の施工の部と組織上はっきり分けて、そういった監督体制というものを強化するように指導すべきじゃないかと考えております。
  53. 中村茂

    中村(茂)委員 住宅公団に質問いたしますが、住宅公団も設計、監督全部持っていて、民間よりもきちっと監督してやっているところだと思いますけれども、欠陥問題について多く指摘されている。  そこで、いま住宅公団の場合に設計、監督を外注でやっているということもお聞きするのですけれども、それがどういう状態になっているのか。それともう一つは、公団職員の現場の監督というか指導というか、そういう定員が非常に不足していて、結果的には欠陥住宅が生まれてしまう、こういう話も聞いているわけでありますけれども、その辺はどういうふうになっているのですか。
  54. 澤田悌

    澤田参考人 相当の事務量でございますので、設計業務につきましてもそれから監督業務につきましてもかなりの外注をいたしております。その詳細は担当の理事から申し上げます。
  55. 中村茂

    中村(茂)委員 しさいな資料にしてください。いま時間がございませんから、それを答弁しているとだめですから、その状況を資料にして——委員長お願いします。
  56. 伏木和雄

    伏木委員長 それは提出できますね。
  57. 澤田悌

    澤田参考人 提出いたします。
  58. 中村茂

    中村(茂)委員 それから次に、ずっと欠陥住宅の問題、マンションの問題、民間を含めて取り上げてきたわけでありますけれども、先ほども言いましたように、こういう問題をなくしていく、そして出た場合にはどういうふうにそれを解決させていくかということについて、いまいろいろ法律があるわけであります。先ほどは通達を出してあるというように言われるのですけれども、政策的に、法律的に考えてみた場合に、諸外国でもありますけれども、住宅性能保証制度、こういうものを研究していって、何とか安心して住める住宅が提供できるようなことを考えていく時期に来ているのではないか。そのもとになる基本法もできていない段階であれですけれども、私どももこの点についてはせいぜい勉強をしたいというふうに思っております。その点についてのお考えを明らかにしていただきたいと思います。
  59. 救仁郷斉

    ○救仁郷政府委員 こういった住宅につきましての欠陥あるいは瑕疵というような問題につきましては、まずそういうものをなくするということが先決問題だと思います。先生の御指摘のような形でわれわれもそれは絶滅を期するわけでございますが、ただこれは残念ながら人間のすることでございますので一〇〇%というわけにはまいりません。そういった場合にそれをどう保証し、担保していくかという問題が起こるわけでございます。そういったことのために、欧米諸国においては数年来、先生指摘のような形の保証保険制度というものが発足しております。ただ、これも実際われわれが調べてみますと、いろいろな問題があって毎年手直しをしながらやっているようでございます。私どもも昨年来調査費予算もいただきましてこの勉強をしているわけでございますが、できるだけ早く私どももこういった保険制度を成立させたいということで、現在鋭意関係業界と詰めているところでございます。
  60. 中村茂

    中村(茂)委員 大臣、いま欠陥住宅の問題を含めて、優良な安心できる住宅を国民の皆さんに提供するにはどうしたらいいだろうか、しかも、これだけ多くの欠陥住宅問題が持ち上がってきている、こういうものに対しても社会問題的な立場でこの対策と取り組む必要があるのじゃないか、こういうふうに私指摘したのですけれども、全般を通じて、この対策の取り組みについての御決意を最後に大臣からお聞きしたいと思います。
  61. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 ただいま住宅局長からもお答え申し上げましたように、建設省といたしましても、これらの事態を踏まえて従来ともいろいろ対策を講ずる研究をしておるという状況にあるわけでございます。きょう問題を提起せられましたが、私承っておって、これは全国的に見る場合は相当なことだなということを痛感せざるを得ません。したがいまして、省内を督励いたしまして、一歩でも二歩でも前進のできるような対策を講ずる、また御提案のような保証会社のようなものについても研究をする、また具体化できるものはするというように、一つ一つ固めてこの事態に対処してまいりたいと思います。
  62. 中村茂

    中村(茂)委員 終わります。
  63. 伏木和雄

    伏木委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時三十七分休憩      ————◇—————     午後一時二十三分開議
  64. 伏木和雄

    伏木委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際、お諮りいたします。  先刻決定いたしました参考人に追加いたしまして、本日、日本道路公団総裁前田光嘉君に参考人として御出席を願い、御意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  65. 伏木和雄

    伏木委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  66. 伏木和雄

    伏木委員長 質疑を続行いたします。渡部行雄君。
  67. 渡部行雄

    渡部(行)委員 建設大臣にお伺いいたしますが、今度の予算は、何といっても景気浮揚の大きな役割りを担っていると言われておるわけです。実は昨年もそういう看板であれだけの大型予算を組んでやったわけでございますが、実際にはその当初の期待というものが全く期待外れに終わってしまい、しかも去る第一次の補正予算というものは円高によって全くこれは吹き消されてしまった。こういうような状態の中で、企業倒産は一年に一万六千件以上を数え、あるいは失業者は百五万人を突破するという、全く最悪の事態に至ったと言っても過言ではなかろうかと思います。そういう中で、景気浮揚をどうしても必要とする、そこでこの予算については、公共投資に最重点を置く方が景気浮揚に大きな役割りを果たすという議論と、あるいはそれは一応認めながらももっと別な下部からの刺激を与えるべきだ、そのためには福祉関係をもっと重視する、あるいは一兆円以上の減税をする、こういうような意見も相当出て、議論のあるところでございますが、結局こういう中でいよいよその予算を各省ごとに分割して実施するとなれば、それは多いほどいいという議論があるかもしれませんけれども、問題はそういう建設省が持っておる公共事業の大半にかかる非常に責任重大な立場で、これから予算執行をしていく中で、一体完全に執行できるのかどうか、そこには何らの不安がないのか、あるいは今度の建設省関係ばかりでなく公共事業団体の景気に及ぼす波及効果はどうなっておるのか、こういうことについてひとつ大臣の所信をお伺いしたいと思います。
  68. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 昨年の経緯にかんがみて、公共投資一本の景気浮揚はどうかというお気持ちをお持ちになりながら、福祉重視、一兆円減税などに触れておられるわけでございますが、建設省で執行に当たる私といたしましては、この公共投資による景気浮揚というのは、いわば国民の血税、それから大幅な国債発行、これも言いかえると国民の貯蓄がここへ出てきますね。だから、建設省公共事業を大いにやるということは、いま設備投資やあるいは個人消費が冷えておるのを財政の上でかわってやるという、そういう私は気持ちなんです。これは経済企画庁は企画庁としてのいろいろお考えがあって、すでに活発な論争が行われておるわけでございまするが、私はそういう気持ちで、したがって建設省関係の国費あるいは財投につきましては、それが民間との協力でよりよく効果の上がるように努めたい、こういう私の執行体制でございます。  従来の生産誘発係数などでずっと検討してまいりますると、まあこの誘発係数についてもいろいろ御論議のあるところでございまするが、道路、治水、公園、下水道、住宅、それに災害関係を勘案していきますと、おおよそ二十四兆近い、詳しく言えば二十三兆五千六百四十九億円の誘発効果があると数字的には出てまいるわけでございまするが、いずれにしても相当大きな効果が出る、こういう前提に立ちまして、ただいま御指摘がありましたこれが消化できるかどうかということにつきまして、これについては政府としては大蔵大臣を中心といたしまして各省事務次官による公共事業推進本部がございまするが、建設省自体も本部を設け、また各地建連絡会議を設けまして、問題になる労務、資材等に遺漏のないように期しておるというわけでございます。
  69. 渡部行雄

    渡部(行)委員 誘発係数が一体係数としては各部門ごとにどういうふうに計算されておるのか。たとえば住宅では二とかあるいは道路ではどのくらいとか、主なもので結構ですからその係数をひとつお聞かせ願いたいと思います。そして、その係数はどういう基礎に立って計算されたのか、お願いします。
  70. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 計算の基礎は、あるいは計算の前提と申しましょうか、それらにつきましては担当官より御答弁させますが、いま手元にあります資料によりますると、道路の誘発係数は二・〇七八、治水は二・一三九、公園は二・〇六八、下水道は二・一二九、住宅は二・二三四でございます。
  71. 粟屋敏信

    ○粟屋政府委員 お答え申し上げます。  いま大臣が申し上げました生産誘発係数でございますが、これは昭和四十五年の産業連関表に基づく係数でございます。
  72. 渡部行雄

    渡部(行)委員 係数は、私の最近調べたところによると、大分政府は高く見ておるようでございます。たとえば、最も誘発効果のあるのは比較的住宅に置かれておるわけですが、その住宅の誘発係数は大体三である、こういうのがいま常識になっておるようですが、ここでは二・二三四ですか、こういう高い係数を用いておられるようです。ですから、計算基礎の考え方がちょっと違っても、こういう膨大な予算の中では相当の誤差が出てくるのではなかろうか。しかも昨年のいわゆる五十二年度予算の波及効果は大体十二、三兆と言われたのですが、その波及効果が出ておれば景気の回復はできた、できるはずだ、こういうのが政府考え方だったと思いますが、今度は二十三兆五千六百四十九億円の波及効果だ、こういうような計算をされております。こういう非常に細かいところまで計算しておるようですけれども、実際その積算基礎が違えば相当また変わってくるだろう。しかも、この計算の中身には物価の上昇率というものを加味しておるのかどうか。  あるいは公共事業の工事の、先ほど来議論のありました手抜き工事、このために相当、たとえば鉄骨五本入れるところを四本でとめたり、あるいは三十センチ置きに鉄棒を入れるところを四十センチ幅にしてその鋼材を節約しておる、こういうような個所が非常に多く見られるわけであります。これは去る五日の全国出かせぎ大会でも、その現場におる出かせぎ労働者が指摘しておったのですが、鉄筋コンクリートの中の鉄棒四本のうち一本は松の木を入れておった、こういう事実も実は発表されておるわけです。いま言いましたように間隔を広げて鉄を組み合わせていく、そうすると最終的には相当の割合でそれが節約されていく、そういう手抜きあるいは欠陥工事による波及が及ばない部分、こういうものを計算に入れてやっておるのかどうか、その辺のひとつ中身をお伺いいたします。
  73. 粟屋敏信

    ○粟屋政府委員 最初に先生指摘になりました住宅に関する係数の差でございますけれども、いままで公表され使っておりますのは、先ほど申し上げましたような四十五年の産業連関表でございます。新しい産業連関表につきましては現在作業中でございまして、ことしの秋か来年になるのではないかというようなことが言われておるわけでございます。先ほど申し上げましたように、四十五年の産業連関表によって試算をいたしたわけでございます。  第二番目でございますが、昨年は十二兆というような数字を申し上げたかと思いますが、これは昨年は最終需要創出効果、いわゆる乗数効果の観点から経済企画庁で使用しております短期パイロットモデルの一・八五倍を使用をいたしまして計算をした数字を申し上げたわけでございます。  なお、物価上昇率につきましては、これはあくまでも名目の事業費で計算をいたしておるわけでございます。  それから手抜き工事云々のお話がございましたが、われわれとしてはそういう事態があってはならないと思いますし、一つ資材量等につきましてはまた別途計算をいたしておりますが、それらにつきましてはあくまでも原単位計算でやっているわけでございまして、手抜き工事等の事態を前提としておりません。御指摘のような手抜き工事があるとすればきわめてゆゆしいことでございますし、所期の産業誘発効果も発現できないわけでございますので、その点につきましては建設省としては発注者としての立場から十分指導をしてまいりたいと考えております。
  74. 渡部行雄

    渡部(行)委員 それでは具体的にお伺いいたしますが、住宅の場合、これはたとえば金融公庫で融資をする、その融資総額がそっくり建築の方に回っていく、こういうふうにお考えですかどうか。その現実といわゆるたてまえとの間にどういうギャップといいますか、ずれがあるかを考えてみたことがあるのかどうか、その辺をお伺いします。
  75. 救仁郷斉

    ○救仁郷政府委員 現在、住宅金融公庫の個人融資につきましては、大体公庫が来年度五百万の貸し付けを行うことになっております。大都市地域の木造で五百万の貸し付けを行うことになっております。実質の融資率は大体四十数%になるというようにわれわれは予想しております。したがいまして、私どもは、これは金でございますので、どの金がどこへ行ったということではございませんが、少なくとも公庫の融資額の約倍ちょっとぐらいの金が実際に建築に投資されるというように考えております。
  76. 渡部行雄

    渡部(行)委員 それでは、今度の住宅金融公庫の対前年比が四五%増になって、それが七千二百五十二億三千五百万円、この増加分が一体GNP押し上げ効果はどのくらい持っているのか、これについてひとつお伺いいたします。
  77. 粟屋敏信

    ○粟屋政府委員 いま御指摘を受けまして概算をいたしてみますと、七千五百億の融資が行われますと、大体それに相当する額が自己資金として投入されるわけでございまして、一兆五千億でございます。GNPとの関係を論ずる場合におきましては、乗数効果の乗数を用いますと一・八倍でございますので大体三兆だと思います。そういたしますと大体GNPに対しては〇・一%というふうに考えております。
  78. 渡部行雄

    渡部(行)委員 そこで、GNPの押し上げ効果については非常に低い数字をはじいておられるようです。大体〇・六%くらい形式上は見込んでおるその数字も出ておるんですが、しかしそれが実質的には〇・三から〇・六%——いまは一%と言ったんですか、〇・一%ですか。どっちですか。〇・一%ですね。それだと非常に少ないわけです。そういう計算の仕方なら相当堅実性が出るのではないかと思いますけれども、三井銀行の調べだと〇・三から〇・四%くらいがGNP押し上げ効果だという数字が出ておりますが、建設省の堅実さをそういう点では一応考えておきます。  そこで、それでは実際に公共投資がどういう部門に波及効果を及ぼしていくのか、どういう産業部門にこれが最も効果的にあらわれていくのか。この対象産業というものはどういうふうに考えておりますか。
  79. 粟屋敏信

    ○粟屋政府委員 ちょっと先にお断わりさせていただきますが、先ほど申し上げましたのは、先生の御指摘で、住宅金融公庫の前年度に対する増加額がどういう押し上げ効果があるかという点で申し上げたわけでございます。民間経済研究機関等でやっておりますのは民間住宅全体をとらえました論議ではないかと思いますので、なおその点の数字の検討は私どももさらにさせていただきたいと考えております。  それから、先ほどの産業別にどういう効果があるかというお話でございますが、先ほどの生産誘発効果、生産誘発係数を分析いたしてみますと、大体建設業に一・〇〇、それから鉄鋼一次製品に〇・一三、金属製品に〇・一一、窯業土石〇・一一、商業〇・一〇、製材、木製品〇・〇九、合計で二・二〇に相なっている次第でございます。
  80. 渡部行雄

    渡部(行)委員 先ほどの数字の問題は、これは民間のを入れないで、そして公庫資金が現実には民間融資の肩がわりに使われておる、そういうことを指摘して、そういうものをいろいろ考えの中に入れて計算すれば現実には〇・三から〇・四%、こういうふうに私は把握してきたわけです。この点の議論はこれ以上する必要はないと思います。  問題は、この公共事業がいま言われたような産業部門に波及していく場合、それはそういう直接波及効果の上がる産業はいいけれども、現実にはいわゆる不況産業と言われるものにはなかなか及んでいかない、こういう点をどうするかというのが、私は本当の不況対策ではなかろうかと思うわけです。そうした場合、たとえばいま繊維なんかはどうにもならない状態になっておる。そういうものを一体今度の予算でどういうふうにてこ入れしていくのか、あるいはその他の不況産業をどういうふうに底上げしていくのか、こういうことになれば、公共事業一本やりではやはり非常にむずかしいのではなかろうか。そういうものを底上げするには、一つ公共事業を中心としたそこに肉づけする減税なりあるいは福祉重点のこの問題とのバランスある財政措置というものが必要ではなかろうか、私はこういうふうに考えるのですが、それについては大臣はどのようにお考えですか。
  81. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 いわゆる構造不況産業と申しましょうか、繊維産業のようなものが一方においてある。そういうものも考えながら景気浮揚ということをやらなければならない、これはお考え、わかりますが、しかし、構造不況産業に対しましては、通産省側でそれに対する施策を進めておることは御承知のところだと思います。したがって私が建設大臣として考えなければならないことは、先ほども申し上げましたように、この大幅な公共事業費というものを適切有効に使うように努める、これが一番私としての任務ではないかと思うのであります。
  82. 渡部行雄

    渡部(行)委員 大臣ですから、これはやはり閣僚の中の、しかも国務大臣は二つの省を兼ねた重要な職責があるのですから、日本の国の財政としてそういう公共事業一本やりに片寄ったものよりも、その一つ公共事業を私たちは否定するのじゃないのです。公共事業も重要だが、さらにそこに、その骨に肉と皮をつけたいわゆる一般庶民の購買力をどう上げるか、このことなしに、ただ公共事業一本やりでいけば、それは必ず国民経済の中に断層が出てくるのではないか、こういうことでございますから、そういう一つの立場で財政全体に対する考え方をもう一度明らかにしていただきたいと思います。
  83. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 大事なことは、一体この公共事業による景気浮揚効果というものがあるかないか、そしていま御質問のように、それが庶民なり一般市民にどう影響していくかということではないかと思うのです。  そこで、御説明申し上げましたように、これは多くの方々の貯蓄を対象にして国債を発行して、そしてそれを使う、あるいは税金を使う、こういうことなんでありまするから、それなりの私に責任があるわけですね。それで、この公共事業事業遂行からどういうふうな効果が出てくるかと言えば、一つにはまず資材ということで、昨年の暮れまで不況カルテルを結んでおった合板だ、セメントだ、棒鋼だ、塩化ビニールだというものが、現にセメントなどについてはもう不況カルテルは解除になっておりますね、そして価格も正常に復しておる。冷え切っておるときには落ち込んでおります。まあ価格はある程度上がる、それが上がり過ぎれば、これは問題であるけれども、正常に復す、こういうことによりまして、これらの産業が在庫調整も終わって動いていくというところが一つのねらいだと思うのですね。  また、この公共事業による雇用の拡大が当然求められるわけであります。関連産業にも雇用の増大、したがって、御指摘のあった失業、これがいま百十万ぐらいになっておるかと思うのですが、それらの失業を緩和していく上に効果があらわれてくるわけでございまするから、私どものいわゆる公共事業による財政浮揚というものはそれなりの効果、これはお認めいただいておるわけでありまするが、さあ、それ以上にいろいろ手が打てるのかどうか、これは現に激しい論争の最中でございまして、私はそれは多々ますます弁ずということだと思うのですけれども、しかし、そのわれわれのとった方針に対して、それじゃもっと減税をやれという場合に、幸いに皆さんの方から減税財源もお示しになって、こういうふうにしたらどうかということがあれば、それはそれとして検討ができます。  ただ、いまの財政の状況の中から、もう一つ国債を発行して減税せよとか、あるいはすでに御審議願っておる公共事業を削って減税せよと、こうなってまいりますると、いま私が申し上げておるようなその行き方について、これは公共事業も必要だが福祉も減税も必要だ、両々相まって、ということになりませんね。だから、私は私の立場から、こういうふうに景気浮揚するのだと、こういうふうに申し上げ、御理解をちょうだいする以外にないと思うのであります。
  84. 渡部行雄

    渡部(行)委員 まあ減税とか財源の問題は、これは社会党でもはっきり発表しておりますから、ここでは議論するつもりはありません。  そこで、次にお伺いいたしますが、それじゃ今度の公共事業に一体どれだけの労働者が吸収されていくのか、その労働者の吸収されていく延べ人数ですね、これと、これから必要とする技能労働者についてはどの程度ここで必要と見込んでおるのか、その数字をひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  85. 大富宏

    ○大富政府委員 お答えいたします。  全体の雇用数量につきましては、予算委員会で問題になりまして目下企画庁が中心に集計作業中でございますので、私どもそういう数字は持っていないわけでございますが、現在建設省所管の公共事業についてだけ限定して、建設省の試みの試算でございますけれども、雇用労働力約九%ぐらいアップ、まあ人数にいたしまして五万人ぐらいの伸び率になるのではないかと思っております。  さらに、この絶対的な建設就労者数については、私どもは余り心配いたしていないわけでございます。一番建設投資がピークになりました四十八年に比べましても、現在建設労働力の吸引力は大体五百万くらいにふくれておりますので、全体的な労働力については心配していないわけでございますが、お述べになりましたように一番問題になりますのは技能労働力でございます。これにつきましては、建設業界は慢性的に技能労働者が不足している、こう言われておるわけでございますが、これは九九・四%までが中小企業だと言われる建設業の体質にも由来しているゆえんでございます。それにいたしましても、四十八年ごろの建設投資が非常にピークであったころに比べますと、いわゆる技能労働者の不足率というのは著しく緩和いたしておる状況でございます。  ただ、主な技能労働者の中で、よく巷間言われておりますように鉄筋工とか型枠工とか、こういうところの絶対数が逐年減少の傾向にございます。しかも高齢化の状況でございまして、型枠工なんかは平均で四十二歳、それから鉄筋工なんというのは三十八歳、次第に高齢化している。この辺に一つの制約要件があるわけでございます。現在までのところ、こういった技能労働者の不足によりまして工事が遅延したというような実態はないわけでございますが、今後やはり地域的あるいは時期的にそういった技能労働者に対する需要が集中するという場合に問題なきにしもあらずということで、現在この技能労働者の確保につきましては、建設業界みずからもひとつ確保努力をするように、さらには労働省におきます雇用改善助成金の活用等によりまして職業訓練等を短期にやってその効果を上げるとか、関係省庁とも十分連絡をとりながら万遺憾なきを期してまいりたいと思っております。
  86. 渡部行雄

    渡部(行)委員 これはそうすると五万人の伸びというと、昨年の建設省所管事業で必要な労働者数というのは一億五千五百七十二万人であったのが、今度は一億五千五百七十七万人ということですか。
  87. 大富宏

    ○大富政府委員 全くこれは現在ただいまにおける建設省の試みの試算でございまして、五十二年度の見込みでは一億六千六百万人目でございます。それから五十三年度の見通しといたしましては一億八千百三十万人日という計算でございます。
  88. 渡部行雄

    渡部(行)委員 これは後から手直しされた数字なら話は別ですが、一億五千五百七十二万人というのは、延べにしてこれは建設大臣が答弁された数字でありますから、それが今度は一億六千六百何万人というふうに言われると、それはどこで手直しになったんですか。
  89. 大富宏

    ○大富政府委員 お答えいたします。  第二次補正をどう見るかということで、第二次補正を五十二年度予算で見ているわけです。
  90. 渡部行雄

    渡部(行)委員 それでは、そこで技能労働者の問題は慢性的不足である、これは労働省の調べでも明らかになったわけでございます。しかも鉄筋工、あるいは型枠大工、あるいはブロック工、タイル工、配管工、左官、こういうのが全般的に不足しておるわけですが、これからこういうふうに風船玉のようにふくらかしてしまった公共事業を実践していくに一番大事な骨格労働者とも言うのが私はこの技能労働者だと思うのです。しかもいま欠陥住宅が指摘され、そして手抜き工事が指摘され、欠陥工事が各所に出ておる、こういう中で、この生命線を握る技能労働者が絶対的に不足しているということは、非常にこの公共事業をいいかげんなものにしがちではないか。しかもこれらの労働者は短時日に養成されるものではないわけです。少なくとも三年くらいは必要とされておるのが常識であります。そういうことを考えていきますと、どうもこの公共事業のふくれ上がりというのは堅実な工事につながらないで、いいかげんな工事がそこから出てくる危険性があるのではなかろうか、その点についてはどういうふうにお考えであるかお尋ねいたします。
  91. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 先ほど局長から御説明申し上げたように、労働省との緊密な連絡の中に、不足する技術労務者の確保に相努めておるわけでございます。  いま、ものによって三年もかかるではないかという御指摘があったわけでありますが、私は三年というものが絶対に必要なものであるかどうかということについては、正直言って認識に欠けるところがございます。しかし、今度の公共事業の大幅増加ということは、昨年の予算当時、それから一次補正、二次補正、特に二次補正につきましては十五カ月予算として臨むということで、おおよそ公共事業がどの程度伸びるかということにつきましては業界においては十分把握のできるところであります。しかも、今度五十三年度予算が通りまして発注されて、そして具体的に工事にかかる間、相当の時間的余裕がありまするので、それぞれの業者が今度は技術労務者が必要だぞ、こういうことで努力を相当にやっておるという事実も勘考いただきたいと思うのです。私は、だからといって技術労務者はもう十分間に合うのである、そしてもう心配ないのだというような軽率なことは申しません。確かに問題点の一つであります。しかし、いよいよこれだけの公共事業をやるというときに、一体消化能力を持てるかどうかということは当初来の大きな課題でありまして、七%を目標としてわが国の経済成長率をそこまで持っていこうということが、いま国際環境の中にあって日本としての大きな使命である、そうすると、そこに多少の困難はあっても、建設省を担当する私は私としての責任を遂行しよう、こういうことで全力を傾注しながら目的に向かっていこうという考え方に立っておるのであります。
  92. 渡部行雄

    渡部(行)委員 御飯を食べるときに、胃袋よりたくさん御飯を食べるということはできないと私は思うのです。それは消化不良を起こすか下痢を起こすかあるいはとうてい入らないというのが自然の原理ではなかろうか。建設省がいわゆる公共事業景気浮揚をしようという意欲はわかりますけれども、その公共事業を完全に消化する能力がなければ消化不良を起こして消化しないままに積み残してしまう。だとすればいま建設省の本当に消化できる能力はどのくらいだろうか。この試算がまず前提に立って、その最大能力を発揮して、そして残った部分は福祉とかその他に回せばバランスのとれた財政になりはしないか。ところが消化能力がないことを知っていて、これは至上命令でやらなければならないとしてやった場合にそこから出てくるひずみが私は非常に心配でならないわけです。そういう点について大臣もう一度お願いします。
  93. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 これは御心配をちょうだいして私もまことにありがたく思うのでございます。私も現実心配をしながらやっておりますけれども、ただ、いまおっしゃるようなもう胃袋が入らないのだ、こういうことではないのであります。過去の実績に徴し、それからただいま申し上げましたようなある程度の時間的な余裕、あるいはその段階を踏んで伸びていっておるわけでございます。したがって、私どもは鋭意業界の責任者ともあるいは関係各省とも緊密な連絡をとりながら、この程度は消化できるかできないかということでまずこの範囲はいけるということで臨んでおるということを御理解いただきたいと思います。
  94. 渡部行雄

    渡部(行)委員 次には、住宅を今回建設するに当たって官民合わせて大体どのくらいの建設戸数を見込んでおるのか、これは住宅局長にお願いします。
  95. 救仁郷斉

    ○救仁郷政府委員 経済見通しの中では民間住宅投資の伸び率名目一三・六%ということに相なっております。そのほかに政府の投資の中にも住宅投資がございます。そういうものを一切合わせましていろいろな試算をしてみますと、大体百六十万戸ちょっとくらいの戸数があれば十分達成できるという試算をいたしております。
  96. 渡部行雄

    渡部(行)委員 さきに新聞では百六十五万戸と出ておって、それに対する住宅金融公庫あたりから百六十万戸くらいという話が出ておったやに新聞等で見ましたが、今度は建設省も百六十万戸くらいと改めたわけですね。
  97. 救仁郷斉

    ○救仁郷政府委員 住宅の投資の伸び率というのは、これは先生御承知だと思いますが、戸数のほかにいわゆる質向上分というのがございます。たとえば一戸当たりの規模が伸びたりあるいは一戸当たりの名目の単価じゃなくて実質の単価が上がったりということがございます。過去の傾向値を見てみますと、そういうものが大体二%ないし多いときには五%ぐらいというようないろいろな幅がございます。そういう幅の中で計算いたしますと、大体百六十万から百六十五万戸ぐらいというそういったいろいろな数字が出てまいりますが、いま私どもはどの辺かとおっしゃられますと、百六十万ちょっとくらい、百六十一、二万戸というような感じではないかと考えております。
  98. 渡部行雄

    渡部(行)委員 そこでこれだけ膨大な住宅が建設されるわけですが、これに必要なのは、対応した宅地供給でございます。そうした場合これに要する宅地の供給面積というのはどのくらい想定しておられますか。
  99. 大富宏

    ○大富政府委員 いまお述べになりました昭和五十三年度に一応百六十五万戸建つ予定で計算いたしまして、これに必要な新しい宅地の所要面積は一万二千五百ヘクタールと見込んでおります。最近、四十七年をピークといたしまして宅地の供給量が漸次落ちてきているわけでございますが、ほぼ一万ヘクタールぐらいは年間確保できるのではないかと思います。そうしますと一万二千五百ヘクタールに若干足りない結果になるわけでございますが、現在区画整理で仮換地が済んでおるところのいわゆるストックの宅地数、あるいは個人が先行的に確保しているような、要するに宅地のストック量というものが現在われわれの見込みで四万ヘクタール分ぐらいあるようでございます。そういたしますと、この五十三年度の百六十万戸分に必要な新規宅地一万二千五百ヘクタールというものは十分対応できるんじゃないかと思っております。
  100. 渡部行雄

    渡部(行)委員 そこでいま非常に問題になっておるのは、今度国土庁の五十三年公示地価の動向速報で明らかになったわけですが、いま公示地価が上昇する傾向に入ってきている。しかも、中でも住宅地は三・三%、こういう上昇率を示しておるわけですが、このままでいくとまた列島改造当時に逆戻りして、地価が非常に暴騰する危険があるのではなかろうか、そうした場合の地価抑制の対策を一体どのように考えておられるのか。しかも、大都市地域での小さな開発、いわゆる、ミニ開発と言われるそういうものについてはますます対象土地が値上がりして、年間約三〇%以上上昇しておるというのでございます。こういうものを考え合わせたときに、建設省はどのような地価抑制対策を持っておられるのか、その辺を明らかにしていただきたいと思います。
  101. 山岡一男

    ○山岡政府委員 先生お話ございましたとおり、ごく最近、十月一日から五十三年の一月一日までの間の地価の値上がりにつきまして、全国の地価公示点のうちから標準地点を抜き出しましてずっとやってまいります中間地価報告をいたしております。それによりますと、十月一日から一月一日までの間では〇・七%の増ということでございます。ちょうど第四・四半期でございますので、年度を通じて見ますと全国計で二・六%の増ということになります。その中でも、おっしゃいますように、住宅地につきましては平均で三・三%の増ということになっております。しかし、最近の地価の変動等を見ますと、消費者物価指数その他から比べてみましても、大体安定的基調で推移しておるのではないかと実はわれわれ考えておるわけでございます。  ただ、昭和五十三年度予算につきまして、先生心配のように、住宅建設それから公共事業等の積極的な拡大が図られております。それにつきましても検討いたしておりますけれども、住宅関係について見ましても、特に大幅な増加を見ました住宅金融公庫の融資等につきましても、その貸付対象は全国に及ぶという点がございますし、公庫等の調査によりますと、その大半は、申し込みの前年度までにすでに敷地を取得済みの方が多いというのが従来の例でございまして、特段大幅な増加はないと思っております。また同じく建設省等の調査によりましても、公共事業等につきましても、その執行に伴って必要となる用地の取得につきましては先行取得がずいぶん進んでおるということでございまして、例年に比べて、新規の公共用地の取得が急増する見込みのものは余りないというふうに考えております。  ただ、国土庁といたしましては、今後とも国土利用計画法の適確な運用によりまして、土地の投機的取引の排除と地価の安定の確保を図っていくということがわれわれの任務でございまして、昭和五十三年度におきましては、地価公示地点を大都市の住宅地を中心に九百地点増加をするとか、それから都道府県の地価調査地点を住宅地を中心にふやすとか、閲覧個所の増大を図って皆さんの便宜を図るとかいうようなことが主でございますが、特にこの十五カ月予算の執行に当たりましては、公共事業が実際に土地を買います場合には地価公示に基づきまして適正価格によって買うということが義務づけられております。したがいまして、その点を正しく励行していただきたいという通達をお願いしたということと、都道府県等に対しましては特に土地取引の監視体制を強化する。それから国土利用計画法の迅速かつ的確な事務処理体制整備に努めるというふうに要請したところでございます。  それからミニ開発のお話が最後に出ておりましたけれども、ミニ開発には二つの側面がございます。特にその問題点の第一は、やはり都市問題といたしまして都市の環境上非常に悪いんじゃないか、安全防災上悪いのじゃないかというふうな問題でございます。その面につきまして、これは建設省あたりとタイアップをして対策を講じてまいるということが一つでございます。  もう一点は、ミニ開発が地価高騰のインパクトにならないかという問題でございます。これにつきましては、実際のところミニ開発の状況を見ますと、生じておるような現状は局部的なものが多いということが一点でございます。さらに小区画ということで売り出しますので、宅地として売るのではなくて建て売り住宅で売るというのがほとんどのケースでございます。したがいまして、正常な取引価格を反映するということから申しますと、一般の地価のつり上げにはそう余り影響はないだろうと思っておりますけれども、十分監視する必要がございます。したがいまして、そういうふうなミニ開発等の生じますところにつきまして地価の点から考えておりますが国土庁といたしましては中間地価調査地点をふやすというようなこと、それから現在国土法にございます規制区域の制度、これにつきまして事前の調査を国土法施行以来ずっと励行してまいっております。その調査地点の選択等に当たりまして、そういうようなものの予想され、もしくはそういうものが起こりそうなところを重点的に事前調査をやっていくということを今後も続けまして、地価の監視を続けたいと思っておる次第でございます。
  102. 渡部行雄

    渡部(行)委員 時間がありませんので次に移らせていただきます。  今度三全総が決定され、さらに今度は第八次道路整備五カ年計画が出されておるわけですが、この中で、特に水系ごとの定住圏構想というものについては非常にすぐれた考え方であると私は思っております。そこで、それではそういう一つの開発方式を全国に均衡のとれたやり方で進めていくにはどうあるべきか、このことを考えますと、大体明治百年私どもの住んでいる会津は戊辰戦役で負けて賊軍になりました。そういう関係で、どういうものかこの明治百年のうちに開発の重点は西日本に置かれて東北は全く置いてきぼりを食ってきたというのが私の偽らざる実感でございます。したがってそういうものを直していくには、むしろこれからは東北重点の開発をやっていかないと、いままでのアンバランスをバランスしていくことは不可能ではないか。そういう点でこの東北横断高速道路、これは文化発展、地域振興のためには非常に重要な役割りを果たすわけでございまして、これがいまだにいわき−平間が予定路線になって、郡山−会津坂下間は基本計画に上がりましたけれども遅々として進まない。この間の質問では三全総が決まり次第それをはっきりさせます。こういう答弁でありましたので、今度は三全総もできたし、道路五カ年計画も新たに発足するわけですから、ここに当たってこの高速道路のとりあえず郡山−会津坂下間を基本計画から実施計画へ格上げと申しますか、そういうことで早期にこの施行命令を発するお気持ちはないかどうか。また、その時期等について明らかにしていただきたいと思います。  時間がありませんからあわせて道路公団総裁にもお伺いしておきます。  しかし、こういう計画というのは建設省で進められている半面、公団は公団なりに、やはりそれをいつでも受けられるという体制で準備をされてきたと思います。そういう点で公団は今日までどのような取り組みをやってきたのか。また、いま施行命令が出されれば即座に対応できる体制ができておるのかどうか。その辺についてお伺いいたします。
  103. 浅井新一郎

    浅井政府委員 お答えいたします。  高速自動車国道建設は、今度の第八次道路整備五カ年計画におきまして、期間中に約千三百キロ供用を図りまして合計で約三千五百キロに延ばしたいという目標を立てております。したがいまして、年間に直しますと平均二百六十キロぐらいのベースで供用を図りたいということでございますが、御承知のように現在施行命令が出て道路公団で抱えております高速道の総延長は四千八百キロあるわけでございまして、このペースでいきますと、四千八百キロが大体十年ぐらいで完成するようなことになります。昭和六十二年ごろに完成というようなことになりますので。  一方、高速道路建設ペースは、現状では、整備計画が出てから大体十年かかって供用に持ち込めるというようなペースでございますので、ちょうど十年後には手持ちの区間が切れるという計算になりますので、いまからそろそろ次の区間の計画を策定しなければならないということでございまして、まあ昭和五十三年度には若干の追加をやはり考えなければいけないのじゃないかというふうに考えておるわけでございます。  御指摘の平——新潟線、これも七千六百キロの予定路線の中の一部でございまして、御指摘のように郡山から会津坂下間に五十六キロが昭和四十八年に基本計画が決められておるわけでございますが、次の段階は整備計画にするということで、これにつきましては現在地方建設局でいろいろ調査を進めております。調査につきましては、いわゆるルート関係調査とあわせて環境影響評価もやることにいたしておりますので、そういう調査が十分進みました段階で、重要な区間について整備計画を決めるという段取りになろうかと思います。  そういうことで、一応五十三年度中には若干の追加を考えることといたしたいと思っておりますので、その中で全国的なバランスを見ながら処理したいというふうに考えております。
  104. 前田光嘉

    ○前田参考人 道路公団におきましては、高速道路につきましては建設大臣から施行命令をもらった区間につきまして建設をいたしておりますが、東北地方におきましては、縦貫道及び横断道含めまして仙台に建設局を設けまして鋭意仕事に励んでおります。  先生指摘の区間につきましては、建設省から整備計画、それに基づく命令をいただき次第、最善を尽くしてその完成に努力する所存でございます。
  105. 渡部行雄

    渡部(行)委員 時間がありませんので最後に大臣から。  大臣建設と国土と両方の責任者ですから、この三全総計画によって水系ごとの定住圏構想がなされ、それに基づいて諸計画が立てられる、たとえばこの利根川、荒川にかかる水系開発の基本計画など。そういうものを見た場合、いまわれわれの一番大きな問題になっておるのは、尾瀬の分水問題でございます。これはもう約二十年間にわたって新潟、福島と、それから栃木、群馬あるいは関東とで対立をしてきた事案でございますが、これは毎年福島、新潟では、尾瀬分水に戦々恐々として反対陳情をやっておる実情でございます。こういうふうなことを長引かしておることは、私は行政の怠慢じゃなかろうかと思うわけです。民心が非常に動揺しておる。政治というのは、ある意味では仕事をすることも大事ですが、人の心を治めることが何より大事なわけでございまして、仕事はむしろ人の心を治める手段であると思うのです。そういう点で、この両県民のみずから悠久の昔から受け継いだ水系がいま他の方面から侵されようとしておるというような心配がある際に、私は、その権限を持っておる建設大臣、そして国務大臣でありまた国土庁長官である櫻内大臣に、この際ひとつこういう問題に決着をつけて、尾瀬分水はしないとはっきりと明言できないものかどうか。しかも、この利根川水系の開発計画には、そういう尾瀬問題が関与しているのかどうか、その辺を明らかにしていただきたいと思います。
  106. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 渡部委員の御質問の前提と申しましょうか御心境と申しましょうか、これはもう私聞いておってよくわかります。ただ、私が、国土庁長官にいたしましても建設大臣にいたしましても、就任後まだ三カ月未満の者が、ずいぶん長い間問題になっておるこの利根川及び阿賀野川両水系の全般的な利水計画に、ここでいま、それはもうおっしゃるとおりでございますと、こういうお答えを申し上げることの方がこれはちょっと軽率ではないかと思うのであります。しかし、過去におきましていろいろ問題があるために、尾瀬分水ということを決定したわけでもなく、利水計画全般の上で、水資源の確保の上にあるいは自然保護の調和などを考えながら検討をされておる、こういうことでありまするから、私もさらによく研究をさせていただきたいと思います。
  107. 渡部行雄

    渡部(行)委員 時間が参りましたので、この点についてはまた後日、後の時間でお伺いすることにいたしまして、本日の質問はこれで終わります。どうもありがとうございました。
  108. 伏木和雄

  109. 北側義一

    北側委員 私は、本日四、五点の問題についていろいろとお伺いをしてまいりたい、かように考えておりますが、まず国土庁からお伺いしたいと思います。  実はただいまも土地局長から渡部委員の質問に対して答弁されておったわけでありますが、先日国土庁が昭和五十三年度の地価の動向速報を発表なさったわけであります。それによりますと、住宅地は大都市圏で三・三%の上昇、こうなっておりますが、私たちの実感といたしましては、三・三%ぐらいの上昇で本当に終わっておるんであろうか、こういう実感を私自身は持っておるわけであります。  そこで私は、実は三・三%という上昇である、余りこのように言われておりますので何とかこれを一遍調べてみたい、かように思いまして、国土庁の地価公示価格、これは昭和五十二年の一月一日の価格と東京都の宅建業協会の地価評価額の同地点の土地単価を十六地点で私調査いたしました。そうしますと、地価公示価格とこの東京都の宅建業協会が出しております地価評価額、これは非常に大幅な格差があるわけです。その実態を私一つの資料にまとめましたので、委員長、ちょっと大臣にこれをお渡ししたいと思いますが。
  110. 伏木和雄

    伏木委員長 どうぞ。
  111. 北側義一

    北側委員 それによりますと、非常に大きな格差があるわけです。どのような格差があるか、それを私少し読み上げてみます。これは十六地点で調べたわけです。先ほど申し上げましたとおり、国土庁の地価公示価格、これは昭和五十二年一月一日の分です。東京都宅建業協会の地価評価額、これは昭和五十二年三月一日の分です。この評価額というのは、この価格であれば土地を売買してもいいであろう、土地を購入してもいいであろうという価格、このように言われております。  そこで、文京区大塚四丁目三十二番三号、国土庁の地価公示価格によりますと平米当たり十八万円、東京都の宅建業協会地価評価額によりますと同じく文京区の大塚四の三十二、平米当たり二十二万七千円、だからその格差は約三割高いです。いわゆる実際の売買価格の方が三割高いということです。同じく文京区関口一の十一の二、平米当たり五十万円です。同じく関口一の十一、これが五十六万円。これは一割です。恐らくこういうところは、もう家の建つようなそういう空き地がないんでしょう。品川区上大崎二の二十七の六、国土庁の地価公示価格は平米当たり九十万円。上大崎二の二十七、同じ場所です。これが百六万一千円。約二割高いです。南大井五の十八の十二、これが十四万五千円です。同じく南大井五の十八、二十七万三千円。これは約九割高いです。目黒区大岡山二の四の七、これは平米十六万八千円。同じく大岡山二の四、これが二十二万七千円。約四割高いです。同じく目黒区鷹番一の九の十七、同じく鷹番の一の九、これが公示価格は十七万八千円、評価額が二十四万二千円。約四割高いです。大田区田園調布三の九の十二、公示価格が二十六万三千円、同じく田園調布三の九、二十八万八千円、これはわずか一割です。同じく大田区の池上二の十二の六、平米当たり十四万円。同じく池上二の十二、十七万六千円。約三割高いです。練馬区田柄五の十の六、平米当たり九万六千円。同じく田柄五の十、十三万九千円。これは約四割高いです。同じく練馬区の谷原三の六の五、公示価格九万三千円、谷原三の六、これが十二万一千円です。板橋区中台二の二十九の五、公示価格平米当たり十万六千円、中台三の二十九、平米当たり十五万二千円、四割高いです。板橋区高島平五の四十三の二、十一万四千円、これは公示価格です。同じく高島平五の四十三、これは十八万二千円、六割高いです。  このようにずっと、まだあと二つあるわけですが、その資料にありますとおり、どれを見ましてもすべて高いわけです。特にこれから住宅が建つであろうと思われるような場所、そういう場所が、地価公示価格と売買されておる価格とは非常に格差が大きいわけです。いま大臣にお渡ししました資料のとおりなっておるわけです。これについて大臣はどのようにお考えになるか、まずそれをお伺いしたいと思います。
  112. 山岡一男

    ○山岡政府委員 ただいま先生の資料拝見いたしました。現地等の詳細よくわかりませんけれども、恐らく届け出制度の枠外のものではないかという感じがいたします。届け出制度の中でございますと、そういうようなものについては十分指導いたしまして、そういう値段がないということになっております。  一般に通常の土地の価格につきまして、公示価格が評価基準を定めておりますけれども土地の価格は一般の財と同様の面がございまして、市場性と収益性と費用性の三側面から評価をするということが必要だということになっております。ただいま先生はその市場性と申しますか、売買事例ということでお示しになったわけでございますが、地価の公示をいたしておりますのは、売買の場合にも売り手市場とか買い手市場という場合を避けまして、地価公示法第四条に定めておりますように、「近傍類地の取引価格から算定される推定の価格」これはいわゆる取引事例比較法と申しております。それから「近傍類地の地代等から算定される推定の価格」収益還元法と称しております。それから「同等の効用を有する土地の造成に要する推定の費用の額」原価法と申しております。それらのものを勘案いたしまして正常な価格を判定するということになっております。で、この三面のいわゆる三面性を十分に考慮いたしまして、正常価格を判定をいたして公示をいたしておるというものでございます。  現在、公示地点につきましては、都市計画区域内につきまして、その宅地及び宅地見込みにつきまして一万六千五百点程度、それからそれと同じく都道府県の圏域の中におきましては、地価の調査地点、これは県がやるわけでございますけれども、これももちろん公示地点と比準をして定めるものでございます。それが全国で二万六千七百地点ぐらいございます。したがいまして、四万数千点の地価のネットワークがすでに組まれておる。したがいまして不動産鑑定いたします場合にも、そういうつり手のところから比準をいたしまして——もちろん時間的な時差の修正もございます。それから周りの開発利益の判定もございます。それらを加味しながら、個々の売買価格が決まってくるということでございます。  特に、最近行っております届け出制度等につきましては、届け出をいただきますと、そういうようなものと十二分に比準をいたしまして、適正な価格の指導をしておるということでございまして、個々のケースといたしまして、たとえば二千平方メートル以下のもので平米当たりが局地的に高いものもあろうかと思いますけれども、そういう以外のものにつきまして、地価公示制度等が基本になりまして十分適正な地価のネットワークが組んでいけるものというふうに、われわれ考えておる次第でございます。
  113. 北側義一

    北側委員 国土利用計画法では、市街化区域は二千平米以下は届け出の必要がないわけです。それはよくわかっております。しかし実際の問題として、このように格差のあることは事実なんです。これはもう隠れもない事実なんです。一般常識では、公示価格というものは低いものだというのは、これは常識化されておるわけです。  そこで、私はある鑑定士に聞いてみたのです。なぜこのようないわゆる地価公示価格が出てくるのか。そうしますと、意外なことをその人が私に言うのです。どういうことを言ったかといいますと、こういうことを言っておるわけです。地価公示価格について国土庁、いわゆる鑑定官と不動産鑑定士による事前の打ち合わせがあるのだと言うのです。そうして、まず第一番に地域別の地価変動率は国土庁から事前に鑑定士に示される。また二番目には、地域要因の変化が多いところは別として、上げ幅を事前に決定する。三番目には、鑑定士が実勢価格の上げ幅を主張しても、国土庁は極力抑えようとする。また四番目には、取引事例に基づいて鑑定士が価格を算定しても、国土庁の意見価格が出される。五番目に、鑑定士に対して、反目的な意見を述べるとマークされて次回からその鑑定士に依頼しない例がある。特に昭和五十一年、五十二年にかけて多かったというのです。このようなことが最近なされておるわけなんです。  私は思うのですが、やはり国民の税金を使って莫大な地価公示地点をつくって、そうして地価公示価格を決めておるのです。それは売買価格と全然かけ離れたものであって、しかも事前工作としてこういうことをやるというのは私はいけないのじゃないかと思うのです。どうですか、その点についで……。
  114. 山岡一男

    ○山岡政府委員 私は、地価公示の評価につきましてはきわめて厳正に行われておるものと確信をいたしております。まず第一に、地価公示価格は、標準地につきまして二人以上の不動産鑑定士または不動産鑑定士補の評価を求めて、その結果決定いたしておりますが、その鑑定評価に当たりましては、全国地域ごとに鑑定上等による分科会を設けます。現在百八十二の分科会がございます。一分科会におきまして地価情報の相互提供、意見交換等を行っております。大体一分科会が最低九回はやるようになっております。  標準地ごとに具体的な鑑定評価をやります。二人の不動産鑑定士による鑑定結果に開差が出る場合がございます。これを調整することになりますけれども、この調整に当たりましては、分科会の構成員の中から選任された経験豊かな不動産鑑定士が第三鑑定を行いまして実施をすることにいたしております。  さらに、このように慎重な手続によって行われました標準地の鑑定評価の結果につきまして、国土庁に置かれております土地鑑定委員会が、これは国会承認の方々委員になっておられる委員会でございますが、最終的に審査をいたされまして、正常価格を判定するという手続になっております。特にその際の標準地の鑑定に当たりまして、不正なこと、もしくは間違ったことをやった場合には罰則の適用がございまして、懲役に科することになっております。したがいまして、そういうふうな事例がございました場合には私ども厳しくは全部でたらめということですか、どうですか。私がある鑑定士から聞いたことはでたらめだということですか。
  115. 山岡一男

    ○山岡政府委員 地価公示は標準地を決めておるものでございますから、それから引っ張りましたものが、時点修正をしたりその他で公示価格より高いものがあるのは当然でございます。ただ、それがでたらめに高いものであった場合には、当然検査をして第三鑑定でもやりまして、必要があれば告発でも何でもしなければならぬということであろうかと思います。
  116. 北側義一

    北側委員 これは私、事実だと思うのですよ。そこで、事実だといったって、ここで論議したって仕方がないからこれはやめますが、大臣、このように非常に格差があるということだけは事実なんですよ。この地価公示法の第一条の「(目的)」には「その正常な価格を公示することにより、一般の土地の取引価格に対して指標を与え、」云々とあるのです。また第二条の第一項には「基準日における」——基準日」というのは一月一日です。「単位面積当たりの正常な価格を判定し、これを公示する」となっておるのです。「正常な価格」とは、第二条の第二項において、自由な取引が行われるとした場合に「通常成立すると認められる価格をいう。」とはっきり載っておるのです。そうして価格がこれだけの格差があるのです。  ある一面から見れば、地価公示価格が非常に安い、それで地価をできるだけ抑えるように努力しておる。そういう目から見れば、これは事実ある程度効果があると思うのですよ。その場合には今度はこの法律は直さぬといかぬことになる。事実売買事例を見たって何見たって全然違うんだ。しかもいわゆる新聞発表等で三大都市圏で三・三%しか上がっていないなんてずいぶんでたらめだと私は思うのです。それを見て、いわゆる家を欲しい、マイホームを持ちたいという人は、一体何を国土庁は言っておるのか、地価公示価格とは何だと、当然そうなると私は思うのです。  だからもし莫大な金をつぎ込んで地価公示地点をつくっていくならば、この地価公示地点の公示価格が厳正に運営されるような方向へ特っていかざるを得ないのじゃないかと私は思うのです。そうしなければこれをやったって何にもならない、私はそのように思うのですが、大臣、どうですかその点。
  117. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 北側委員の御指摘は、御調査のことでございまするから、そういう事実があるだろうと私は思うのです。ただお話の中には、北側委員もおっしゃるように、公示価格との差も、そうないものもあるいは大幅なものもいろいろお示しでございました。私ども国土庁でこれを所管する者から申しますと、先ほど局長が申し上げたように、公示地点数が一万六千五百ある、それから都道府県の行う地価調査地点数、約二万六千七百ある。それらのものが全部お示しのような実勢価格と大きな隔たりがあるとするなら、これは問題だと私は思うのです。こういう例もあるからひとつ君ら注意せい、国土庁長官責任者、よく厳正にやれ、それはもうそのまま私はお受けしなければならない、そのように私は庁内を進めてまいりたいと思います。  それからもう一つ、三・三%の値上がりの問題、これは大変恐縮ですが、率直に申し上げるのですから……。公示価格よりは高い価格である。しかし、それはいつの時点の調査かわからぬが、その前も高かったら上げ幅というものはどうなるかということも考えられますから、だから、この差があるから上げ幅がおかしいぞということに直ちにはつながらない、こういうふうにお聞きしておったわけでございます。
  118. 北側義一

    北側委員 大臣の言うことわかるのです。なるほど三・三、これは前の地価公示価格を実際調べてみたらこうだった。それはそういう理屈は成り立つと思うのです。しかし実際は、ある不動産鑑定士が言うのには、地価変動率を国土庁は事前に鑑定士に示されるというのですよ。そこに問題があると思うのです。それじゃあつくられた地価であって、あくまでも法律でうたわれたような目的に使われないじゃないかというのです。それだったらお金がもったいないじゃないかというのです。そうでないならば、この地価公示地点の地価公示価格が事実使えるような制度を何らかの形で考えなければいけないのじゃないか。  たとえば宮澤さんが発言しておられましたとおり、地価公示価格、これで十年間凍結するとかそういう何らかの形のものがあれはいいのですが、そうでなかったら無意味じゃないか、そういう感慨にとらわれて仕方がないのです。どうです。私の考え、間違いでしょうか。
  119. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 御調査の結果、いろいろ問題点をお挙げになったわけでありますが、国土庁の立場からいたしますと、地価公示というものの効果がある、また地点数も年々ふやしてより以上正確なものにしよう、よくしようとここで努めておるわけです。だから、きょうお挙げになった問題点につきましては、それなりに私どもも検討の一つ一つの要素だと思うのです。もし本当にそういうことがあれば問題でありますから、局長からも申し上げたように罰則もある。だからそれは罰則をしなければならない。御趣旨は、せっかくの公示価格がいいかげんなものになってはいかぬぞ、こういう御指摘でありますから、それはもうそのとおりです。私もよりよくすることについては異論ございません。
  120. 北側義一

    北側委員 そういうことでございますので、時間がないので前へ進めますが、やはり地価公示地点を、いわゆる国の金をかけて設けていく以上は、それはやはり一つ法律にうたわれたような価値あるものに、私はしていただきたいということです。それでなければそういうことをやっても仕方がないということになるわけですから、その点よろしくお願いします。  次に、時間がないので日本住宅公団の問題でちょっとお伺いしてまいります。  住宅公団の宅地分譲についてですが、私の知っている範囲ですと、宅地分譲の条件は頭金が三〇%以上、残金は六カ月ごとの十回払いの五年割賦、割賦限度額は年収の一・二五倍、上物はその土地を購入してから三年以内に建設しなければならない、このようになっておるが、それでいいでしょうか。
  121. 澤田悌

    澤田参考人 公団の宅地分譲の条件はいろいろ定められてございます。これは第八十国会におかれましてもいろいろその改善方の御指摘がございました。そういう点を踏まえまして、その後いろいろ改善をいたしまして、また今度の予算との関連においてなお改善しようとしておる点もございますので、その辺を中心に、きょうは担当の理事に来てもらっておりますので申し上げさせたいと存じます。
  122. 櫟原利嗣

    櫟原参考人 それでは具体的な改善策を中心にして申し上げたいと存じます。  まず第一に、割賦払いによる場合の一時金の支払い負担の軽減を図りますために、二通りございまして、その一つとしては、割賦支払期間につきまして、実は昨年、いまから一年ほど前でございますが、そのときには原則として三年といたしておったわけでございますけれども、これを昭和五十二年度から五年ということに延長いたす措置を講じたわけでございます。したがいまして、ただいま先生が五年とおっしゃいましたのはこの現在の点を御指摘になったものと存じます。さらに五十三年度の予算におきましては、この五年という期間をさらに七年ということに延長する措置を講ずるように予定をいたしております。  それからもう一つ、一時金の負担軽減措置のその二といたしまして、従来譲り受け人が毎月割賦金で支払われる限度額というものが抑えられておりまして、そのために非常に一時金が大きくなるということがございましたので、この限度額を引き上げることといたしまして、従来平均月収の五・五分の一、約一八%を限度といたしておりましたものを、五十二年度から先生指摘のとおり四分の一、二五%に改めた次第でございます。したがいまして、これからいきますと、いま先生の御指摘ございましたように、割賦にできる限度額は、年収で申しますと年収の一・二五倍に相当するということでございます。  それから、次に大きな第二といたしまして、割賦払いによる場合の割賦利息の率について、これも昨年非常に高いという御指摘をいただいたわけでございますが、四十一年度末におきましては年九%でございました。それをその後逐次引き下げてまいりまして、五十二年の十月からは、現在年七・四%といたしております。  それから第三に、これは先生ただいま御指摘のとおりでございますが、住宅建設義務につきましては、実は昨年の現在時点におきましては、契約締結の日から三年以内ということになっておりましたのを、五十二年の九月から一年延長いたしまして、三年以内ということに改めた次第でございます。  以上が大体今回の改善措置の主な内容でございまして、それ以外は従来どおりで、譲渡契約締結の日から、一部の例外を除きまして五年間は第三者への譲渡等の権利の処分を制限する、また同じく五年間の買い戻しの特約を付する、そのようにいたしている次第でございます。
  123. 北側義一

    北側委員 少し変わっておるようですが、一応私のいま申し上げたあれでずっと説明しますと、たとえば先日、一月二十日から二十六日までに募集いたしました港南台地区のいわゆる宅地分譲価格、これを見ますと、一区画当たり最高で一千九百三十五万千七百七十四円、最低で一千四百五十八万八千三十五円、こうなっておるわけです。たとえば総理府統計局の昭和五十一年家計調査報告によりますと、全国平均の勤労者世帯の一カ月当たりの実収入、これが二十五万八千二百三十七円、年収に直しますと三百九万八千八百四十四円、こうなるわけです。現在のこういう数字からながめてみますと、宅地分譲の条件に合わせてこれを計算しますと次のようになるわけです。割賦限度額が年収の一・二五倍といたしますと、年収が三百九万八千八百四十四円掛ける一・二五で三百八十七万三千五百五十五円、こうなるわけです。半年ごとの十回払いの五年割賦ですから、半年ごとの割賦金額は三十八万七千三百五十五円、こうなるわけです。そうしますと、頭金はたとえば最高価格の一千九百三十五万千七百七十四円の場合ですと、一千九百三十五万千七百七十四円マイナス三百八十七万三千五百五十五円、一千五百四十七万八千二百十九円の頭金、こうなるわけです。その金を持っていない人はとてもじゃないがこれは買えぬというわけです。最低の一千四百五十八万八千三十五円マイナス限度額の三百八十七万、それを引きますと一千七十一万四千四百八十円、こうなるわけです。それだけの金がなければこの土地は買えないということになるわけです。しかもそれは三年以内に上物を建てなければならないわけですね。膨大な金額になるわけです。しかも五年間割賦返済をして、そして三年以内に家を建てて、そして莫大な頭金が要る、こうなってしまうと、普通の人じゃとても手が出ないのですよ。  そういう点で私が思うのは、日本住宅公団の目的にうたわれておるとおり、住宅に困窮する勤労者のための公団ですから、やはり何らかの抜本策というものを基本的に考え直さなければいけない時期が来たのではないかということを言いたいわけです。その点どうでしょうか。
  124. 櫟原利嗣

    櫟原参考人 お答え申し上げます。  ただいま具体の、最近募集いたしました港南台地区の宅地譲渡に関して御指摘があったわけでございますけれども、確かに本件港南台地区につきましては、私どもとしては、いままでに譲渡を行いました地区の中では、特殊の事情等もございまして非常に高額なものになったという事情がございます。そのためにおおむねいま先生の御指摘のようなことでございますが、一応港南台地区の譲渡価格の平均で申しますと、一千七百万円程度になっております。それではなぜ先生の御指摘にございましたようにこの地区の分譲価格が非常に高くなったのか。それからまたさらにそれに三年以内の建設義務がある、大変にきついではないかという御指摘でございますが、この点につきましては、まず一つは、本件港南台地区につきましては、一区画地当たり面積が私どものいままで分譲を行いましたものに比べまして規模が平均より大きいという事情がございます。  なぜこれが大きいかと申しますと、多少細かくなって恐縮でございますが、丘陵地帯であって高低差が非常にあった、約百メートルございます。そういうことで、のり面が多いということが一つ。それから全体がおおむね北斜面になっておりますので、日照を確保するという上からやはりある程度の広さを持たないと良好な環境を確保できない、そういったような地形的な問題もございました。それと、そのはかに、特に地元の公共団体、横浜市からの人口集中抑制という非常に強い御方針に基づく要請もございまして、そういったこと等の調整を行った結果、一区画地当たりの面積が三百十平方メートルというようなことで、私どもがいままでに行っております平均規模、特に首都圏地域におきましては二百五十平米でございますので、それから見ますと六十平方メートルも広い、そういうような宅地になったということが一つでございます。  それからもう一つは、この地域につきましては処分価額がほかの平均よりも若干高い。と申しますのは、御承知のような土地柄でございまして、非常に交通条件その他もいいといったようなこと等がございまして、平均に比べて処分価額が高い。そういったようなことから、面積と単価の相乗積としてのこの分譲価額が非常に高くなった、こういうような事情がございます。  御参考までに、五十一年度に募集したものは、首都圏地域につきましては、平均としては一区画地当たり二百五十平方メートル、分譲価額も平均しますと約八百五十万円程度でございます。本年度に募集いたしましたものでも、この港南台を除きますと、平均いたしまして首都圏地域で大体二百五十平方メートル、九百六十万円ということで一千万円を下回っている、そういう状況でございます。  それからまた、御指摘ございました住宅の建設義務、先ほどもちょっと改善策で申しましたが、私どもといたしましては、当該宅地の分譲というものを、本当に住宅に困っている、そういった方に一日も早く利用していただきたい、そういったことと、そのところがいつまでも空き地になっておりますと、良好な市街地としての観点からも好ましくない、したがってできるだけ早く良好な町として成熟、熟成していってほしい、そういったことから、それを余り長い間空き地として放置することは好ましくない、そういう観点もございまして、今回の改正においてせめて一年の延長にとどめたということでございますけれども、これも譲り受け人の方がどうしても三年では非常にぐあいが悪い、無理だといったようなやむを得ない御事情がおありの場合には、別途若干弾力的な扱いというものは従来からも講じておるというところでございます。  なお今回のこの地区については、いま再三申し上げておりますように、やや特殊な事情もございましたので一区画地当たりの面積が非常に大きいということもございますので、この土地をより望ましい利用をしていただこう、そういった観点から、初めての試みといたしまして、この地区については老人同居世帯については一般の応募者の方よりも優先して当選できる、要するに三倍の確率を講ずるといったような措置を講じた次第でございます。  それにいたしましても、今回の地区は、他の一般の地区に比べますと、先生指摘のように、一般勤労者の方にとっては非常に苦しい、そういう事情もございますので、今後分譲宅地の募集に当たりましては、一般勤労者の方にもっと宅地が手に入りやすくする、そういったようなことのために、たとえばいまの三百十平米といったような広いものでなしにもう少し小さ目のものにする、そういたしますと宅地総額も低くなってくるといったこと等、その他さらに一層改善に努めてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  125. 北側義一

    北側委員 港南台団地の場合はそういう特殊な事情があったといまお話を承ったわけですが、いずれにいたしましても、目的にうたわれたとおりの、いわゆる勤労者のための日本住宅公団であるという点を考えますと、やはり一般勤労者が買えるような——そういう金持ちだけが買えるような住宅では困ると思うのですね。そういう点を考慮して運営をやっていただきたい、かように考えておるわけです。  次に、住宅公団の住宅建設に伴います小割り店舗やスーパーについて伺いたいのです。  団地建設をする場合、入居者の利便を図るために、周囲の商店の立地状況等を考えて店舗やスーパーを誘致しておられるわけでありますが、当然公団としては、施行規則第三十五条に賃貸には公募をしなければならない、こうなっておりますので、当然公募なさっておられると思うわけですが、ただ私が承知しておる中に、公団と賃貸契約を持って開いておる店舗の人がいろいろな事情で出ていく場合があるのです。そのときに後へ入るのは、本当は公団の方からやはり公募するとかいろいろなことをしなければならないわけです。ところが、不動産業者が仲介に入りまして、相当な権利金を取って、そして次にその店舗へ入る人をあっせんしておる、こういう事実があるわけなんです。これはちょうど住宅公団を出ていった人のかわりにまたすぐ入る、そういうことと同じようなケースではないかと思うのですが、そういうケースがあるのですが、公団としてはこういう状況を知っておるのか、またそういうものにどう対応なさってこられたのか。
  126. 澤田悌

    澤田参考人 公団はスーパーマーケットあるいは小割り店舗を団地に入れておるわけでございますが、それを賃貸をいたす場合には、一定の範囲内での名義継承の場合を除きまして、営業の委託、転貸等を禁止いたしておるわけでございます。したがって、ほしいままにいま御指摘のようなことが行われておるとは考えませんけれども、そういう事実がありますれば、調査の上厳重な措置をとらなければならないと考えておる次第でございます。
  127. 北側義一

    北側委員 これは公団の方は当然御存じないからそう言うことができるわけでありますが、このように小割り店舗とかスーパーというのは現在敷金六カ月、これを払いますと店舗が出せるわけですね。そこで、周囲の状況によっては、これはやはり周囲に公団住宅がうんと建ってくる、そうしますと六カ月の敷金で非常に莫大な権利を得られるような要素が多分に含まれてくるわけです。そのようなことで、先ほど私が述べましたようなそういう事例も起こってきておるわけなんです。  そこで、出店申し込みの資格とか審査基準、そういうものがあると思うのですが、どのように決めておられるのか、簡単で結構ですからおっしゃってください。
  128. 澤田悌

    澤田参考人 担当の理事から御説明申し上げます。
  129. 有賀虎之進

    ○有賀参考人 お申し込みの資格につきましては、大きく言いまして四つ条件がございまして、一つは賃貸施設、私どもの方は店舗、小割り店舗、スーパー、そういうものでございますが、そういうものを設置目的に応じまして経営する、いわゆる経営能力があるかどうか、これが一点でございます。それからもう一点は、当該賃貸施設と同種または類似の業種の経営経験、要するに経営経験があるかどうか、こういう点が第二点でございます。それから第三点は、賃貸料等の支払い見込みが確実かどうか。それから第四点は、良質なものを低廉な価格でもって販売することができるかどうか。主としてそのような四条件が申し込みの資格の条件でございます。
  130. 北側義一

    北側委員 そこで、いま仰せになりましたとおり、やはり低廉な価格で住民の皆さん方にサービスをしていく、そういう条件も入っておるわけです。そのような莫大な権利が生まれてくる店舗について、複数以上の店舗を構えておるスーパー、これはずいぶんあるわけなんですね。首都圏においては大体上位三社は何団地において営業しておるのか、それをまず聞きたいと思います。
  131. 有賀虎之進

    ○有賀参考人 首都圏におきましては大体現在まで八十二団地、九十二店舗ぐらい出ておるわけでございますけれども、このうち先生お尋ねの複数といいますか、何店舗か出している、こういうようなものを拾いますと、上位三社では、まず第一に青楓チエンストアというのがございます。これが九店舗。それから二番目に地産トーカン、これが八店舗。三番目に東武ストア、これが七店舗出店いたしておるという状況でございます。
  132. 北側義一

    北側委員 実は公団からいただいた資料で私調べましたところ、地産トーカンは埼玉県において七店舗、一県で七店舗ですから非常に多いわけなんですね。ですから、先ほどのいろいろな理論から言いますと、一つの県で七店舗持つということは、やはり競争力というんですか、そういうものは失われていくのじゃないかというふうな心配もあるわけなんです。私の調査したところによりますと、新座団地においては地産が公団の用地として買収されておるわけなんですね。新座の進出スーパーは地産トーカンが出店しておるわけです。そういう点で、公団が用地買収をしたので、そこで埼玉県でそんな大きな七店舗を持つようなところまでいったんじゃなかろうかという疑問が私、出てくるわけなんです。その点、どうですか。
  133. 有賀虎之進

    ○有賀参考人 最初に、埼玉県方面で地産トーカンが数多く出ておるということにつきましてお答え申し上げますが、実はスーパーマーケット業界というのは、最近におきましては相当業界も整備されてまいりまして、先ほど申し上げましたような条件にかなう店舗の業者、これが大分出てまいりました。しかし、私ども公団が団地をつくってから二十年ぐらいたつわけでございますけれども、以前はなかなかそういうスーパー業界というものは整備されておりませんで、数少なかったわけでございます。したがいまして、団地をつくりましてスーパーを募集いたしましても、場合によっては一社とか二社あるいは公団の方で何とか一社探したというふうな例もあるわけでございまして、この場合、地産につきましても特別の事情にあったわけじゃなくて、たまたまそっちの方面に募集した際に、一社ないし二社というようなところでもって地産が参りまして、地産の経営になったというような状況でございます。  それから第二点の新座団地の件でございますけれども、確かに新座団地につきましては、新座第二団地の土地につきまして株式会社地産及び三菱商事会社、これからそれぞれ二分の一ずつ公団は買収いたしております。しかし、私どもの、店舗、スーパーを出しておりますところの新座第一団地、これは昭和四十五年の九月に入居が開始されておりまして、そしてこの団地の住民の利便のためにスーパーマーケットを経営をする業者を募集したわけでございますが、このときには、スーパーを募集した際の応募者は地産だけでございまして、地産にこのスーパーマーケットを経営させておるわけでございます。なお、いま申し上げました第二団地の土地の買収はそれから五年後の五十年十一月に譲渡の申し込みがありまして、五十一年の三月に公団としては取得したものでございまして、その間に特別の事情はございませんので、御了解願いたいと存じます。
  134. 北側義一

    北側委員 やはり先ほどお話にありましたとおり、私、なるほどそういう小割り店舗とかスーパー、これは相当の資金量がないとそういうものの運営をやっていけないということはよくわかるのですが、しかし、最近の情勢を見ますと、四、五社応募しておる、こういうように聞いておるわけですね。そうしますと、敷金を六カ月分納入してそういう店舗が持てるわけでしょう。数をそんなうんとふやしていってもいいものなのかという疑問が出てくるわけなんです。そういう点で考慮しなければならない点も出てくるのじゃないか、こう私は考えておるわけです。この問題については、あと十五分しか時間がないのでほかへ移りますが、また私これもう少し調べましてやらせていただきます。  それから住宅問題なんですが、ことしの昭和五十三年度予算景気浮揚優先として公共事業が三四・五%、非常に伸びたわけです。その中でも住宅建設が特に景気回復の目玉と言われておるわけです。住宅金融公庫融資、前年度より非常に伸びまして四十万戸、そのうち一般個人住宅が三十六万二千戸、このように非常にふえておるわけです。これは予算委員会でも常に論議された問題ですが、公営住宅や公団住宅は非常に数が減っているんですね。たとえば公営住宅の場合、改良を含めないと一万戸の減、公団の場合ですと二万戸の減、こうなるんですね。実際の問題として土地を持たない低所得者、こういう人たちは住宅金融公庫の資金を借りて住宅を建てるというのはなかなか至難のわざなんです。これは計算してみますとよくわかります。  時間がないのでずっと進めますが、私、実は計算してみたわけです。そうしますとどういう状況になりますかと言いますと、今度は緩和措置等ずいぶん講じられておるわけですが、一番問題になるのは、こういう低成長期に入りまして所得と住宅取得費の乖離が非常に大きな問題になっておるわけです。昭和五十二年十一月に発表された住宅金融公庫の「一般個人住宅建設資金利用者調査報告」、これによりますと、首都圏の平均的敷地面積と住宅の平均的工事費で住宅を建設しようと思いますと、大体首都圏の一戸当たりの敷地面積が百九十四・四平米、一戸当たりの建築工事費が九百五十二万円、こうなっております。その宅地の取得価格、これは不動産経済研究所が五十二年に首都圏で売買された宅地平均分譲価格平米当たり六万百二十円、このように言っておるわけです。そうしますと、いわゆる首都圏の一戸当たりの敷地面積が百九十四・四平米ですから、それに六万百二十円を掛けますと一千百八十万四千円、住宅の建築工事費が首都圏一戸当たりの平均額が九百五十二万になっております。この報告では。そうしますと二千百三十二万四千円、こうなるわけですね。この数字は、建設省が発表されました住宅を取得する難易度、それと大体似たような金額が出てくるわけです。  そこで、その資金計画ですが、住宅金融公庫から建築費五百万、宅地購入費三百五十万の八百五十万で、市中銀行の住宅ローン、これは利用者の平均年収が三百五十六万四千円ですから借入限度額として四百万です。そうしますと、八百五十万と四百万は手当てできるわけです。だから、仮にこの価格を宅地から用意しようとした場合には手持ちまたは他から八百八十二万四千円を借りなければならないという計算になってくるわけです。私が計算したところでは。  そうしますと、果たしてそれだけの手持ち資金を持った人がおるのかどうか、しかもこれは返済をずっとしていかなければならないわけです。その毎月の返済額を計算しますと、住宅金融公庫の通常償還が五万二千百九十七円、これが二十五年間ですね。元金の当初一年据え置きというのもありますけれども、それにしてもその翌年からは五万二千百九十七円払わなければならないわけです。市中銀行の住宅ローン、これは仮に毎月均等返済しますと、二十年間三万三千二百五十九円。すなわち大体二十年間というのは毎月八万五千四百五十六円払うようになるわけです。残り五年は住宅金融公庫の五万二千百九十七円、これを返済するわけです。  こうやって見ていきますと、これは非常に大変な数字にやはりなってくるんです。これも先ほどの話と一緒で。そういう点でやはり土地を持っておる人とか土地を借りられる人、こういう人というのは、いまのそういう計算からいきますと限定されてくるんです。  そうしますと、三百万世帯約一千万の住宅困窮者、そういう人たちの住宅対策ということになりますと、やはり公団、公営、これ以外になくなってくるのです。それらががさっと減っておるわけですよ。そこらに私は非常に疑問を持っておるのですが、それについてお考えはどうですか。
  135. 救仁郷斉

    ○救仁郷政府委員 先生のいまのお話を聞いておりまして、われわれも、もし木造の一戸建てを首都圏で求めるといいますと大体そういうような試算をしております。返済額等につきましても大体そういうような試算をいたしております。したがって、公共賃貸住宅の必要性ということはもう言わずもがなのことでございまして、私ども精いっぱいこれをやりたいわけでございます。ところが、現実の問題といたしまして、公営住宅あるいは公団住宅にいたしましてもなかなか計画どおりできていない。これにはいろいろな隘路がございます。  まず第一は、地方公共団体との調整の問題、それから周辺住民との調整の問題、こういった調整を行わなければならない。それから、土地はいっぱいあいているようでございますが、実際にそこに集団的な住宅を建てていくということになりますとなかなか適地——適地という意味は、土地はございますけれども土地が高くてとてもじゃないが公共賃貸住宅の家賃水準で供給できるかどうかという見方からしますと、そういった意味での適地がなかなかそう簡単にまいらないといったようないろいろな問題がございます。  したがいまして、私どもは、いままで御承知のように関連公共施設の立てかえの問題とかいろいろな問題でそれを促進するようにしてきたわけでございますが、ただ残念ながら、昨年もあるいは本年も恐らく計画どおりにいかないという問題がございます。特に来年は、御承知のように三百億の別枠の住宅宅地の関連整備事業の新創設を図りましたり、あるいは公営住宅につきましては二万戸分の用地の先行取得整備というような事業を行いましたりしながら、鋭意実際の計画どおり公的賃貸住宅が建つように努力してまいりたいというように考えておる次第でございます。
  136. 北側義一

    北側委員 住宅金融公庫の総裁もお見えになっておられるわけですが、私は、その次に心配するのは、果たしてこの三十六万二千戸が完全消化できるかという疑問を持っておるわけです。というのは、いままで借りられる人は比較的土地を手当てした人たちがかなり多かったんですね。これからは土地を手当てしてやっていこうとする人は、いま私がお話し申し上げたように非常に大変なんです。いま住宅局長がお話しになりましたとおりちょっとやそっとじゃできない、局長さんでもむずかしいとおっしゃっておるのですから。そうしますと三十六万二千戸消化できるだろうかという疑問があるのですが、その点どうでしょうか。
  137. 大津留温

    ○大津留説明員 私もこの四十万戸が果たして円滑に消化できるかどうか最も心を砕いておるところでございます。その心配の第一は、おっしゃるように土地の手当てが果たしてうまくいくかどうかということでございます。そこで過去の趨勢なり統計なりからいろいろ分析してみますと、いままで公庫を御利用になった方は、大体半分の方は土地は親からもらったとかあるいは借りて建てる、それで半分の方が新たにお買いになるわけですけれども、これも大体五年以上前から用意しておったというような方で、その年にお買いになる一方は大体一五%ぐらいですね、八五%の方はそれまでに用意しておられた。ですが、おっしゃるようにそういう用意しておられた方はどんどんお建てになって、これから建てるという方はその割合が少なくなって新たに手当てしなければならぬ、そこで問題になるわけですね。そういうことでございますが、まあ五十三年度につきましてはいままでの公的あるいは民間の宅地造成をなさって売り出しに出るというようなものがございますし、あるいは区画整理の成果品も出ておるというようなことで、五十三年度は何とか間に合うのじゃないかというふうに推定しております。しかしこれは年々窮屈になりますので、今後のためにも早目にいろいろな手を打っておくということが必要になると思います。
  138. 北側義一

    北側委員 やはり御心配になっておられると思うのですね。  それと、いま一つ私が心配なことは、この一般個人住宅三十六万二千戸、これは全部市街化区域の中に建てなければならないわけです。そうすると、当然膨大な敷地を要するわけです。当然建てかえの用地や、すでに土地を手当てした人、こういう人がおられるわけですね。当年一五%、いま総裁、一年で大体一五%、正式に言うと当年取得した人は一五・七%と言っていましたね。しかしこれ、一年前に取得した人は九・三%なんです。足しますと両方で二五%ということになるのですよ。そうしますと、二年間で二五%の人が用地を取得するわけですね。そうしますと三十六万二千一尺これ掛ける、いままでの例を見ますと一戸当たり大体二百平米ぐらいですから、三十六万二千掛ける二百平米で七千二百四十ヘクタールなんです。その二五%ですから千八百十ヘクタール。三十六万二千戸完全消化したら、二年間で千八百十ヘクタール土地を取得しなければならないということになってくるのです。そうしますと、民間でも、先ほど住宅局長、百六十万戸とおっしゃっておりますね。もちろんこれは公庫の分も含まれておるでしょうが、民間の住宅建設、これは宅地がなければ家が建たないわけですから、それを考えますと土地の値段がやはり上がるのじゃないか。膨大な公共事業、あわせて住宅建設が目玉であって、住宅建設、地価がずっと上がっていくような心配を私はしておるわけです。これは地価の心配要らぬ、一五%ぐらい大丈夫だ、こういうお話もありますが、私の見たところでは地価が非常に上がるのじゃないか、こういう心配があるのですが、それに対してどのように対応なさるのか。
  139. 救仁郷斉

    ○救仁郷政府委員 地価対策の点につきましては都市局長からお答えいたすと思いますが、確かに住宅金融公庫の融資は非常に大幅に今度引き上げました。ただ先生指摘の百六十万ちょっとぐらいと先ほどお答えしておりますが、この戸数の増加というのは、私どもは本年に比べて数%、五、六%のものではないかというように考えております。ですから、政府の公庫資金等は非常に大幅に四五%も伸ばしていただきましたが、ただ戸数となりますと、戸数の伸びは五、六%というところでございますので、ことしと違ってそう大きく地価にその面から、もちろんそれは影響はございますが、そう二倍も三倍も需要がふえて、というような影響はないのじゃないかというように考えております。
  140. 北側義一

    北側委員 そうすると、これは住宅建設は景気対策にならぬじゃないかという論理が逆に裏の面から今度は出てくるのですね。裏の面から見れば、前年度より少しだけふえるのだ、それでは住宅建設は景気対策にならぬじゃないか、こういうことも裏から見ると出てくるわけです。  それはそれで置いて、お答えなさるならなさっでいただいて結構ですが、結局そういう面からいろいろな住宅対策考えてみますと、やはり自治体の住宅対策に関する意向調査、これは自治省がやっておるのですが、関連公共公益施設の整備の財政負担が大きい、これは八二・一%、行政サービスの負担が増大する、六七・九%、これも金が要るということですね。三番目、自然環境の悪化や文化財の破壊を招きたくない、六〇・七%、人口をふやしたくない、五三・六%、結局地方財政を圧迫するから公営や公団、こういうものはつくってもらいたくないのだ、こういう結論になるわけですよ。  だから、住宅局長、いまお話しになりましたとおり、ことし三百億つけた、これは非常にありがたいことだと思うのです。しかし、果たしてこの三百億でいいものかどうかという問題が一点。来年から住宅建設の方向というのはどうなっていくのか。結局、そういう地方公共団体が建てやすくしてやらなければいけないわけですから、そういう三百億と同じような金額が来年から予算編成にずっと出てくるのかどうか、ふえていくのかどうか、そこらのお考え大臣に最後にお聞きしたいと思うのです。
  141. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 住宅宅地の関連公共施設整備を促進する、そのことによって公営住宅の建設に役立てよう、こういうわけでありまするが、三百億円はことし限りか来年も考えるかということにつきましては、いま現在私は、来年も引き続き要求しようとかどうとか考えておりません。というのは、これが果たしてどの程度の成果が上がるかということですね。従来、御承知のように民間デベロッパーに街路も保育所もあるいは下水道も皆かぶせてやっておる。しかし、それはようやれぬということで停滞しておるわけですから、それじゃ自治体の方にそれを進めよう。その進める場合に三百億以外にも——これはお読み願うとわかるように、公共施設整備で、公益の方、学校とか保育所の方の問題を一体どうするかということになるわけですね。それについては、今度国土庁の事業調整費、そういうものの中から考慮し得るように大体話を進めておるわけです。だから、一方において新規の公共の分、それから一方において学校が建たなければいやだというような場合に、この事業調整の方をどうしようかというようなことをあわせて、そしてどの程度促進ができるかということであります。これの成果を見ながら、われわれは当然成果が上がるもの、こう予測はしておるのですけれども、いま、三百億を来年もさらに要求するかということは、それらのことを見きわめて考えたいと思っておる次第です。
  142. 北側義一

    北側委員 もう時間がないのでこれで終わります。まだ質問もずいぶん残っておるわけですが、次回にいたしたいと思います。  三百億、これはちゃんとそれだけの効果が出ると思うのです。金を出すのですから。そういう点で来年からもこの問題については続けていかなければいけないのじゃないか、これは私の見解です。  以上で終わります。
  143. 伏木和雄

    伏木委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時三十四分散会