○
中村(茂)
委員 ですから、その不
均衡を生じた——それは
経済環境か値上かりになってくる、それに伴って、
個別原価でありますから、それで算出した
家賃は年々上がってきた。しかし、それは
入居している
人たち、
家賃を納めている
人たちには別にどうこうという
関係はないと私は思うのです。
ところが
値上げの
理由を見ると、何か不
均衡が生じてきて、入っている
人たちが悪いような印象を受けるような
内容を言っているわけでありまして、「社会的不公正を増大させることとなり」というような
言い方が出てきております。
それともう
一つ、
公団の
経営のあり方、私はあえて言えば、ずさんな
経営というふうに言いたいのですけれども、それが
家賃をより高めている大きな
原因になっているのではないか。私はこの点を
中心にこれから
指摘してみたいと思うわけであります。
ここに「
昭和五十一年度
決算検査報告 会計検査院」という
報告書がございます。
会計検査院も
建設省の
過剰接待でおしかりを受けて、今後厳格にやっていくという、こういうところの
資料でございますから、客観的に見てここに出てきている
数字がこの際使わせてもらうのに一番妥当ではないかと私は考えまして、この中に出てくる
数字を使わせていただきたいというふうに思うわけであります。
いま申し上げました
報告書の百七十一ページの後段からちょうど一ページ半ばかりにわたって
指摘しているわけでありますが、一ページ半ばかりでありますからそれをそのまま一応朗読してみたいと思うわけであります。
三
日本住宅公団の
公団住宅において
(一)
新築空き家一万四千五百二十三戸(
建設費千四百七十九億四千九百四万余円)
(二)
住宅の用に供することができないまま
保守管理されている未
募集の
新築住宅一万七千五百三十二戸(
建設費千四百三十八億五千四百万余円……
以下ちょっと省略いたします。
しかも、これら
新築空き家や未
募集の
新築住宅は、
前記のように
住宅難世帯が特に多いのに
公的資金による
住宅建設がはかどっていない
大都市を抱える都府県及びその周辺の県において多く見られる
状況である。
このような
事態が生じているのは、
土地取得費が特に
大都市を
中心として高騰したこと、
土地取得費の軽減が図られ、また、その
取得が比較的容易であることから、
都市の
中心部から遠隔の地域に立地する場合が多いこと、
関連公共公益施設整備のための
費用の
負担が増大しこれが
供給価格に転嫁されることなどによって、
供給される
住宅は、
通勤等に不便なものや、
居住面積の狭いものや、
家賃等の高いものが多くなっていて、立地、
規模等の
質的充足を求めるようになった近年の
住宅需要に合致しないものとなっていることによると認められる。
上記のような
状況がこのまま推移すると、
公的資金による
住宅の
供給はなお必要であるのに、
住宅建設のために投入された
財政資金がその効果を発現しない
事態が継続すると認められる。
更に、
日本住宅公団においては、
前記の
新築空き家や未
募集の
新築住宅のほか、既に
発生済みで未
しゅん功の
住宅が十二万五千百九十九戸(
賃貸用特定分譲住宅を除く)の多数あり、このような
状態となっているのは、
住宅建設計画の達成を急ぐ
あまり着工の
目途も立っていないのに発注し、いまだに着工していなかったり、発注後相当期間経過した後に着工したりしたことが主な
原因となっていると認められ、また、これら未
しゅん功の
住宅のうちには、
前記の大量の
新築空き家や未
募集の
新築住宅のある団地に建設されるものがあることなどからみて、完成しても
空き家となるおそれがあるものが多数含まれていると認められる。
また、同
公団が
前記のように
新築空き家や未
募集の
新築住宅を保有していることによって、これらの
管理経費として五十一年度中に合計八億四千六百万余円を
負担しているほか、
新築空き家についての五十一年度分の
収入減相当額は
計算上六十六億五千五百五十七万余円に達し、一方、未
募集の
新築住宅に係る完成後五十一年度末までの
金利相当額は四十七億六千万余円に及んでいる。これは、
先ほど申し上げましたように、
会計検査院が正式に
報告した
内容であります。
私は、これをずっと通読いたしまして痛切に感じたわけでありますけれども、ここ数年間
空き家という問題が大変問題になってきた。しかし、これは五十一年度のものでございます。もう一年経過しているわけでありますが、それではこの五十二年度中に、いま問題になっておりました
空き家対策なりこれが
解決し、少なくなってきているかと言えば、それは逆であります。多くなってきている、全然
解決のめどが立っていない、こういう
状況であります。
私は何でこれをここで取り上げたかというと、このような
状態を未
解決のままにしておいて単に一部
値上げをしてみたところで、これからの
公団経営というものについてやはり根本的にメスを加え、立て直す方向を考えておかなければ、どうにもならぬじゃないか。あえて言えば、こういう
経営の
内容が、
値上げによって
入居している人に
負担させようとしているのではないか、こういう
言い方が出てくるのは、私は当然だというふうに思うわけであります。
そこで、少し
計算をしてみました。いま二つの
空き家があるわけでありますけれども、それは合計してみますと三万二千戸になします。そこの
建設費は約三千億です。それだけのものがねんねしているというわけなんてすね。それかも、実際に
入居していれば入ってくる分、
管理経費八億四千万円、それから五十一年度分の
収入減、この
相当額六十六億五千万円、
金利四十七億六千万円、ですから、実際に入ってくる分が百二十二億入ってこないでいる。これは、
先ほど大臣から
説明がありました今度の
値上げによって、七月からでありますから百七十億、
値上げによって
収入を得ようとしているその七〇%に当たるわけであります。
それから、私もこの
報告を読んでびっくりしたのですけれども、未
竣工の
住宅、これが何と十二万五千戸もある。それを三万二千戸の
建設費に該当する三千億、これで推算してみますと、ここのところにねんねする金が一兆二千億という膨大なものがそういう
推計として出てまいります。
そこで私は、
経営内容がどういうふうになっているかということで若干調べてみたわけでありますけれども、
昭和五十一
事業年度、この
賃借対照表の
資産の部を調べてみました。
住宅資産、これは一兆六千七百五十三億円になっております。それから、
住宅建設仮勘定、これが一兆五千三百九十九億円になっております。ですから、
住宅総
資産は三兆二千百五十二億円であります。ところが、
先ほど申し上げましたように未
竣工の
住宅、ここへ
推計でありますけれども一兆二千億、それから
空き家でねんねしている三千億、一兆五千億でありますから、
住宅総
資産の三兆二千億、こういうものと対比してみますと、四七%が言えば
不良資産だ、こういうふうに私は言わざるを得ないというふうに思うのです。
ですから、
値上げ、ここへばかり取っついてしまって、この
内容がどういうふうに
解決していけるのか、
総裁の見通しと
考え方についてひとつ明らかにしていただきたいというふうに思います。続いて
大臣の
考え方もお聞かせいただきたい、こういうふうに思うのです。