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1978-01-24 第84回国会 衆議院 建設委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日昭和五十二年十二月十九日)(月 曜日)(午前零時現在)における本委員は、次の とおりである。    委員長 伏木 和雄君    理事 内海 英男君 理事 塩谷 一夫君    理事 渡辺 栄一君 理事 中村  茂君    理事 福岡 義登君 理事 北側 義一君    理事 渡辺 武三君       有馬 元治君    江藤 隆美君       小沢 一郎君    大塚 雄司君       瓦   力君    坂本三十次君       住  栄作君    谷川 寛三君       中尾 栄一君    中島  衛君       松野 幸泰君    渡辺 紘三君       井上  泉君    伊賀 定盛君       佐野 憲治君    吉原 米治君       渡部 行雄君    谷口 是巨君       古川 雅司君    西村 章三君       瀬崎 博義君    刀祢館正也君 ————————————————————— 昭和五十三年一月二十四日(火曜日)     午後五時三十二分開議  出席委員    委員長 伏木 和雄君    理事 小沢 一郎君 理事 塩谷 一夫君    理事 渡辺 栄一君 理事 井上  泉君    理事 中村  茂君 理事 福岡 義登君    理事 北側 義一君 理事 渡辺 武三君       有馬 元治君    江藤 隆美君       大塚 雄司君    瓦   力君       坂本三十次君    住  栄作君       谷川 寛三君    登坂重次郎君       中島  衛君    渡辺 紘三君       伊賀 定盛君    吉原 米治君       渡部 行雄君    谷口 是巨君       古川 雅司君    西村 章三君       瀬崎 博義君    伊藤 公介君  出席国務大臣         建 設 大 臣 櫻内 義雄君  出席政府委員         建設大臣官房長 粟屋 敏信君         建設省計画局長 大富  宏君         建設省住宅局長 救仁郷 斉君  委員外出席者         参  考  人         (日本住宅公団         総裁)     澤田  悌君         参  考  人         (日本住宅公団         理事)     沢田 光英君         参  考  人         (日本住宅公団         理事)     有賀虎之進君         参  考  人         (日本住宅公団         理事)     櫟原 利嗣君         建設委員会調査         室長      川口 京村君     ————————————— 委員の異動 一月七日  辞任         補欠選任   刀祢館正也君     永原  稔君 同月二十日  辞任         補欠選任   中尾 栄一君     登坂重次郎君 同月二十一日  辞任         補欠選任   永原  稔君     田川 誠一君 同月二十四日  辞任         補欠選任   田川 誠一君     伊藤 公介君 同日  辞任         補欠選任   伊藤 公介君     田川 誠一君 同日  理事野中英二昭和五十二年十一月三十日委員  辞任につき、その補欠として小沢一郎君が理事  に当選した。 同日  理事福岡義登君同日理事辞任につき、その補欠  として井上泉君が理事に当選した。     ————————————— 昭和五十二年十二月十九日  住宅基本法案岡本富夫君外二名提出、第八十  回国会衆法第七号)公営住宅法の一部を改正す  る法律案岡本富夫君外二名提出、第八十回国  会衆法第八号)  住宅保障法案下平正一君外六名提出、第八十  回国会衆法第三三号)日本住宅公団法の一部を  改正する法律案岡本富夫君外二名提出、第八  十回国会衆法第四八号一 昭和五十三年一月十九日  琵琶湖開発事業に関する請願山下元利君紹  介)(第一七二号)  下水道整備事業に対する補助枠拡大等に関す  る請願椎名悦三郎紹介)(第一九〇号) 同月二十三日  東京湾岸道路及び国道三五七号の建設計画中止  に関する請願瀬崎博義紹介)(第三三五  号)  日本住宅公団賃貸住宅家賃プール制反対に関  する請願伊藤茂紹介)(第三三六号)  岩木川、平川改修及び堤防築堤工事早期実施  に関する請願外一件(津川武一紹介)(第三  三七号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事辞任及び補欠選任  国政調査承認要求に関する件  参考人出頭要求に関する件  住宅に関する件(日本住宅公団家賃変更申  請に関する問題)      ————◇—————
  2. 伏木和雄

    伏木委員長 これより会議を開きます。  この際、理事辞任の件についてお諮りいたします。  理事福岡義登君から、理事辞任申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 伏木和雄

    伏木委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  引き続き、理事補欠選任の件についてお諮りいたします。  ただいまの理事辞任による欠員及び去る十一月三十日理事野中英二委員辞任による欠員、計二名の理事補欠選任を行いたいと存じますが、これは先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 伏木和雄

    伏木委員長 御異議なしと認めます。よって、理事に       小沢 一郎君 及び 井上  泉君 を指名いたします。      ————◇—————
  5. 伏木和雄

    伏木委員長 次に、国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。  すなわち  一、建設行政基本施策に関する事項  二、都市計画に関する事項  三、河川に関する事項  四、道路に関する事項  五、住宅に関する事項  六、建築に関する事項  七、国土行政基本施策に関する事項 以上七項目について、建設行政及び国土行政の実情を調査し、その運営を適正ならしめるため小委員会の設置、関係方面からの説明聴取及び資料要求等の方法により、本会期調査を進めるため、議長の承認を求めることとし、その手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 伏木和雄

    伏木委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  7. 伏木和雄

    伏木委員長 住宅に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本件調査のため、本日、日本住宅公団総裁澤田悌君理事沢田光英君、理事有賀虎之進君及び理事櫟原利嗣君参考人として御出席を願い、御意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 伏木和雄

    伏木委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、参考人からの御意見質疑応答の形式でお聞きすることといたしたいと存じますので、さよう御了承願います。     —————————————
  9. 伏木和雄

    伏木委員長 次に、去る一月六日建設大臣提出されました日本住宅公団家賃変更申請につきましては、今日非常に国民的関心が高まっております。本問題の経緯及びその内容等につきまして建設大臣説明を求めます。櫻内建設大臣
  10. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 昭和五十三年一月六日付で日本住宅公団から賃貸住宅家賃改定について承認申請提出されましたが、その概要は次のとおりであります。  一、申請理由として、公団では、賃貸住宅家賃空き家家賃として変更されたものを除き、入居時の家賃を一切変更することなく今日に至っており、その結果、新旧住宅相互間における家賃に著しい不均衡が生じているほか、建設年度の古い住宅に必要な維持管理経費の確保が困難となってきており、このような状況をこのまま放置することは、公団住宅居住者間における家賃負担の不均衡をますます拡大させるばかりでなく、その他の賃貸住宅居住者との間の不均衡をも拡大させ、社会的不公正を増大させることとなり、また良好な居住環境維持も困難となるおそれがあるとしています。  二、次に、家賃値上げが行われる住宅は、昭和三十一年度から昭和四十七年度までに管理開始された賃貸住宅であり、変更家賃の算定に当たっては、公営限度額方式に準じて算定した額と基準家賃との差額の二分の一を加えた額を基準とし、最高引き上げ額は七千円としております。この結果、平均約四千五百円の引き上げ額となります。また、実施期日は本年七月一日であり、その増収額は、必要な維持管理経費と、家賃の抑制に要する費用に充てることとしております。  三、次に、昭和五十年度から昭和五十二年度に管理開始された住宅は、最近の建築費及び用地費の高騰の影響を受け著しく家賃が高額となっておりますので、本年七月一日を目途傾斜期間の短縮、家賃の引き下げ、据え置き等を行うこととしております。  以上が、今回の申請概要であります。  建設省としては、現在慎重に検討を重ねておりますが、本日の建設委員会においても、この件について十分御意見を拝聴させていただきたいと考えております。     —————————————
  11. 伏木和雄

    伏木委員長 質疑申し出がありますので、順次これを許します。中村茂君。
  12. 中村茂

    中村(茂)委員 まず最初に、今回の値上げ理由、何のために値上げする必要が生じたのか、端的にお答え願いたいと思います。
  13. 澤田悌

    澤田(悌)参考人 お答えを申し上げます。  申請をいたしました趣旨は、先ほど大臣から御説明がありましたが、そこにも触れておりますように、公団住宅家賃は、空き家家賃といたしまして再入居した方々にはかなりの改定をいたしておりますが、それ以外は今日まで一切改定いたさないでまいっておるわけでございまして、その間新旧住宅相互間の家賃に著しい不均衡が生じておるのでございます。公団発足当初、昭和三十一年度でございますが、供給した住宅平均家賃は四千六百円でございますが、それと比較いたしまして、昭和五十一年度に供給した住宅につきましては、一戸当たり月額二万四千百円の国からの援助を受ける等いろいろな負担を軽減いたしました結果においても、なお平均四万七百円となっておるという状況でございまして、これは八・八倍もの格差を生じておるのでございます。  一方、所得水準も上昇いたしまして、建設年度の古い住宅入居者家賃負担率は一般的に見て著しく低下いたしておりまして、二%を割るというものも出ている状態でございます。  また、近年におきます公営住宅家賃改定を見てまいりますと、すでに九十万戸改定されておると言われておりますが、本来公団住宅入居者方々所得水準よりも低い方々を対象にいたしますそういう公営住宅家賃よりも公団住宅家賃がむしろ低くなっておるというような状況が生じておるのでございまして、このような負担の不公平が拡大いたしますことは社会的にも問題であるということでございます。  その後、御承知のように物価、人件費等の上昇に伴って良好な居住環境維持、保全が困難になってまいっておるという状況でございます。  このような実態に対しまして、すでに建設大臣諮問機関でございます住宅宅地審議会からも、新旧住宅相互間の家賃の不均衡是正を図って社会的不公正の是正に努めるべきであると指摘されておるような次第でございまして、こういう状況を踏まえて家賃改定申請いたしたような次第でございます。
  14. 中村茂

    中村(茂)委員 その理由についていまお聞きしたわけでありますけれども、その値上げ理由である家賃の不均衡はどうして生じたのでしょうか。総裁考え方をひとつお聞かせ願いたいと思います。
  15. 澤田悌

    澤田(悌)参考人 この理由はいろいろ考えられるわけでありますが、基本的には家賃決定というのが御承知公団法施行規則第九条によって行われておるわけでございまして、いわゆる原価主義というのが基本でございます。もちろん十条で、状況が変わり、あるいは不均衡が生じたならば、建設大臣承認を得てこれを改定することができるとありますけれども、最初決定は、年々九条の原則によって決められておるわけであります。したがいまして、毎年経済情勢変化によりまして建設原価その他が変わってまいりますと建築費にも影響があります。そうするとだんだん家賃が高くなってまいることは自然の勢いでございまして、市中民間賃貸住宅は二、三年ごとに見直しがなされておるのが常識的な経済現象でございますが、特に昭和四十七、八年以後、石油ショック前後からの日本経済の激動の時代におきましては、土地代建設費資材費等に非常な変化が起こったわけでございまして、その結果、従来の原則によります家賃決定に従いますと、先ほども触れましたように国の非常な考慮が加えられておるにもかかわらず飛び抜けた家賃になる。たとえば三DKで以前は一万円以内であったというような家賃が、幾ら工夫をしても六万円、七万円というようなことになってまいる。しかもそれでも世間一般民営住宅家賃よりは低いのでありますけれども、不均衡が非常に拡大したということは否定できないのでございまして、そういう状況を踏まえて改定申請したような次第でございます。
  16. 中村茂

    中村(茂)委員 ですから、その不均衡を生じた——それは経済環境か値上かりになってくる、それに伴って、個別原価でありますから、それで算出した家賃は年々上がってきた。しかし、それは入居している人たち家賃を納めている人たちには別にどうこうという関係はないと私は思うのです。  ところが値上げ理由を見ると、何か不均衡が生じてきて、入っている人たちが悪いような印象を受けるような内容を言っているわけでありまして、「社会的不公正を増大させることとなり」というような言い方が出てきております。  それともう一つ公団経営のあり方、私はあえて言えば、ずさんな経営というふうに言いたいのですけれども、それが家賃をより高めている大きな原因になっているのではないか。私はこの点を中心にこれから指摘してみたいと思うわけであります。  ここに「昭和五十一年度決算検査報告 会計検査院」という報告書がございます。会計検査院建設省過剰接待でおしかりを受けて、今後厳格にやっていくという、こういうところの資料でございますから、客観的に見てここに出てきている数字がこの際使わせてもらうのに一番妥当ではないかと私は考えまして、この中に出てくる数字を使わせていただきたいというふうに思うわけであります。  いま申し上げました報告書の百七十一ページの後段からちょうど一ページ半ばかりにわたって指摘しているわけでありますが、一ページ半ばかりでありますからそれをそのまま一応朗読してみたいと思うわけであります。  三 日本住宅公団公団住宅において  (一) 新築空き家一万四千五百二十三戸(建設費千四百七十九億四千九百四万余円)  (二) 住宅の用に供することができないまま保守管理されている未募集新築住宅一万七千五百三十二戸(建設費千四百三十八億五千四百万余円…… 以下ちょっと省略いたします。   しかも、これら新築空き家や未募集新築住宅は、前記のように住宅難世帯が特に多いのに公的資金による住宅建設がはかどっていない大都市を抱える都府県及びその周辺の県において多く見られる状況である。   このような事態が生じているのは、土地取得費が特に大都市中心として高騰したこと、土地取得費の軽減が図られ、また、その取得が比較的容易であることから、都市中心部から遠隔の地域に立地する場合が多いこと、関連公共公益施設整備のための費用負担が増大しこれが供給価格に転嫁されることなどによって、供給される住宅は、通勤等に不便なものや、居住面積の狭いものや、家賃等の高いものが多くなっていて、立地、規模等質的充足を求めるようになった近年の住宅需要に合致しないものとなっていることによると認められる。   上記のような状況がこのまま推移すると、公的資金による住宅供給はなお必要であるのに、住宅建設のために投入された財政資金がその効果を発現しない事態が継続すると認められる。   更に、日本住宅公団においては、前記新築空き家や未募集新築住宅のほか、既に発生済みで未しゅん功住宅が十二万五千百九十九戸(賃貸用特定分譲住宅を除く)の多数あり、このような状態となっているのは、住宅建設計画の達成を急ぐあまり着工目途も立っていないのに発注し、いまだに着工していなかったり、発注後相当期間経過した後に着工したりしたことが主な原因となっていると認められ、また、これら未しゅん功住宅のうちには、前記の大量の新築空き家や未募集新築住宅のある団地に建設されるものがあることなどからみて、完成しても空き家となるおそれがあるものが多数含まれていると認められる。   また、同公団前記のように新築空き家や未募集新築住宅を保有していることによって、これらの管理経費として五十一年度中に合計八億四千六百万余円を負担しているほか、新築空き家についての五十一年度分の収入減相当額計算上六十六億五千五百五十七万余円に達し、一方、未募集新築住宅に係る完成後五十一年度末までの金利相当額は四十七億六千万余円に及んでいる。これは、先ほど申し上げましたように、会計検査院が正式に報告した内容であります。  私は、これをずっと通読いたしまして痛切に感じたわけでありますけれども、ここ数年間空き家という問題が大変問題になってきた。しかし、これは五十一年度のものでございます。もう一年経過しているわけでありますが、それではこの五十二年度中に、いま問題になっておりました空き家対策なりこれが解決し、少なくなってきているかと言えば、それは逆であります。多くなってきている、全然解決のめどが立っていない、こういう状況であります。  私は何でこれをここで取り上げたかというと、このような状態を未解決のままにしておいて単に一部値上げをしてみたところで、これからの公団経営というものについてやはり根本的にメスを加え、立て直す方向を考えておかなければ、どうにもならぬじゃないか。あえて言えば、こういう経営内容が、値上げによって入居している人に負担させようとしているのではないか、こういう言い方が出てくるのは、私は当然だというふうに思うわけであります。  そこで、少し計算をしてみました。いま二つの空き家があるわけでありますけれども、それは合計してみますと三万二千戸になします。そこの建設費は約三千億です。それだけのものがねんねしているというわけなんてすね。それかも、実際に入居していれば入ってくる分、管理経費八億四千万円、それから五十一年度分の収入減、この相当額六十六億五千万円、金利四十七億六千万円、ですから、実際に入ってくる分が百二十二億入ってこないでいる。これは、先ほど大臣から説明がありました今度の値上げによって、七月からでありますから百七十億、値上げによって収入を得ようとしているその七〇%に当たるわけであります。  それから、私もこの報告を読んでびっくりしたのですけれども、未竣工住宅、これが何と十二万五千戸もある。それを三万二千戸の建設費に該当する三千億、これで推算してみますと、ここのところにねんねする金が一兆二千億という膨大なものがそういう推計として出てまいります。  そこで私は、経営内容がどういうふうになっているかということで若干調べてみたわけでありますけれども、昭和五十一事業年度、この賃借対照表資産の部を調べてみました。  住宅資産、これは一兆六千七百五十三億円になっております。それから、住宅建設仮勘定、これが一兆五千三百九十九億円になっております。ですから、住宅資産は三兆二千百五十二億円であります。ところが、先ほど申し上げましたように未竣工住宅、ここへ推計でありますけれども一兆二千億、それから空き家でねんねしている三千億、一兆五千億でありますから、住宅資産の三兆二千億、こういうものと対比してみますと、四七%が言えば不良資産だ、こういうふうに私は言わざるを得ないというふうに思うのです。  ですから、値上げ、ここへばかり取っついてしまって、この内容がどういうふうに解決していけるのか、総裁の見通しと考え方についてひとつ明らかにしていただきたいというふうに思います。続いて大臣考え方もお聞かせいただきたい、こういうふうに思うのです。
  17. 澤田悌

    澤田(悌)参考人 会計検査院決算に関する指摘の事実は、いま御指摘のとおりであると存じます。それで、こうした問題を解決してから家賃値上げ等をしてはどうか、まずそういう御趣旨がございます。  私、公団に就任いたしまして宅地の問題、それから家賃改定問題を引き継ぎまして、これはなかなか重大問題でございますので、いろんな角度から検討いたしました。しかし、この問題は、先ほど申し上げましたような家賃自体に重大な問題、改善すべき問題を含んでおりますので、これ自体は別問題としてと言うと語弊がありますけれども、公団か、いろいろの問題をほかに抱えておりますが、それを解決しなければこの家賃問題に触れないというのは、私は適当でないと考えたのであります。それと同時に、それらの未入居問題あるいは保守管理住宅をたくさん持っておるというような問題、そういう問題を既存の入居者に転嫁しよう、そういうものでもないということを明確に私は認識をいたしたのでありました。  たまたま未入居住宅問題や長期保有土地問題が、家賃改定時期とほとんど同時期に発生いたしましたために、関連性があるように誤解を生んでおる面もございますが、公団としては、これははなはだやりにくいときにいろんな問題が同時に発生しておるという点は率直に認めざるを得ないのでありますが、先ほども申しましたように、別個の事柄としてそれぞれの解決全力を尽くしたいと私は考えておるのであります。  それで、未入居住宅長期保有土地の問題につきましては、公団内部経営改善推進本部を設置いたしまして、その解決全力を挙げて鋭意努力をいたしておるところでございます。未入居住宅問題につきましては、先ほど完成しないものが十二万幾らあるという御指摘ございましたが、それはそのとおりでございますが、しかし通常は二年分ぐらいか仕かけ品としてあるわけでございまして、十二万幾らが全部困った問題というのでは実はないのでありますけれども、いずれにしても御指摘のように、未入居住宅保守管理を入れると三万以上あるということも事実でございます。こういうものに対して応急的な改善策を鋭意とりましたことは、かねがねいろんな機会に申しておる点でありますと同時に、基本的な改善策住宅需要需給状況の徹底的な調査とか、そういったものから始めた基本的な対策も立てまして、この未入居問題を片づけたいと全力を尽くしておるのであります。  それから、未利用地問題も御指摘をいつも受けるのでありますが、これにつきましても一つ一つ地区について、その未利用になっておる原因一つ一つつぶしまして、全力を挙げて見直しを行っておるのでありまして、会計検査院から指摘された以後、すでに一地区公共団体学校用地として売却をいたしました。数地区については、近く事業に着止できる見込みもできつつあります。そういうことで、これらの問題はいずれにしても公団としては全力を尽くさなければならぬ問題でありますから、真剣に公団を挙げて努力いたしておるのでありますが、家賃改定の問題はこれと並行いたしまして、先ほど申しましたような趣旨の実現のためにお願いをいたしたいということで申請をいたしたような次第でございます。
  18. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 中村委員がお示しの会計検査決算報告、これは住宅公団経営内容を分析しておりますとともに、またそういう経営状況に陥った社会情勢なども分析をしておると思うのです。これらを住宅公団は十分踏まえて、経営改善のために全力を尽くすべきものだと思います。ただいま総裁からもその趣旨の御発言がありましたので、私はそれを信じて、努力をしてもらいたい。  なお、家賃改定につきましては、それらの問題と並行いたしまして、先ほど説明申し上げた公団側の申請理由に基づいてのことであると、私はそのように受けとめておる次第でございます。
  19. 中村茂

    中村(茂)委員 私は、はっきりしためどを言っていただきたかったのです。私どももこの問題については、一年以上もいろいろ論議してきた問題でありますし、この問題だけ論議していると時間がたちますから、ただ一生懸命やります。努力します。こういうことではもう私ども納得できないところまで実は来ているんです。これ以上追及いたしませんけれども、その点をよく肝に銘じておいていただきたいというふうに思うのです。  なお、これに関連して申し上げておきたいというふうに思いますのは、この空き家問題それから土地の問題もあるんですけれども、時間がございませんから言及しませんが、そういう遊休土地、どうにもならない長期保有土地、こういうものと全体的に合わせて建設省の中にも対策委員会が設けられて、六項目の解決していくべき項目を決めて対処してきたはずであります。しかし、その六項目のうち手をつけたのは、今回の家賃値上げだけ、そのほかはほとんど解決していない。その点を私はこの際指摘しておきたいというふうに思います。別に回答は要りません。  そこで、具体的な問題に入っていきたいというふうに思いますが、この公団住宅家賃問題が論議され始めて、建設省考え方として私どももいろいろな資料をいただいたわけでありますけれども、その中の一つに「公団住宅家賃について(メモ)五十二年八月」こういうプリントがありますけれども、今回申請されたのは規則十条に基づいた値上げ、しかもそれは三十一年から四十七年までの分について値上げをする。もう一つは、やはり十条に基づいて五十年から五十二年までの分を値下げする。こういうふうな内容であります。  そうなってまいりますと、いままで言われてまいりましたように、四十八年、四十九年のあいている分はどうなるのか、それから新しく五十三年度からできていくいわゆる家賃の設定はどうなるのか、それはやはりそのたびたびに申請して認可をもらってやっていくのか。それから三年ないしは五年ごとにこれは見直すんだ、こういうふうに言われてまいりましたけれども、申請の中、それから先ほど大臣説明の中には、その点は全然入っておりません。いま申し上げた点についてひとつ明らかにしていただきたい、こういうふうに思います。
  20. 有賀虎之進

    ○有賀参考人 ただいまのお尋ねの四十八年、四十九年についてはどうかという問題でございますけれども、これは基本的には、先ほど来申し上げましたような理由によって、三十一年かも四十七年までの分につきまして改定するわけでございますから、考え方といたしましては、その五年経過した時期が来れば改定すべきものと考えております。しかし、これはまだ来年以降の問題でございまして、今回の申請内容には入っておりません。したがいまして、もしやるとすれば、その都度申請をしまして承認をいただいてからやる、こういうことになってまいります。  それからお尋ねの五十三年度の方はどういうことでもやっていくかということでございますが、従来のような方式でやっている場合はそのままでございますけれども、私ども常々言ってまいりましたように、五十三年度のものにつきましても、たとえば現在の状況から見まして傾斜期間が十年というのは先行き大変不安があるということで、できますれば五年程度に短縮していきたいとか、そういうふうなことを考えておりますので、この場合にはやはり省令の十条によりまして別定めということで承認申請してやりたい、こういうふうに思っております。  それからお尋ねの三ないし五年に見直すということがございましたけれども、これはもちろん住宅宅地審議会の御指摘にもございますように、ある程度定期的に見直せということになっておりますけれども、これはその後の経済事情等々慎重に見て考えていかなければならない問題と考えておりますので、現在のところ具体的にどういうふうに定期的に見直すかということにつきましては、まだ定まっておりません。そういう事情でございます。
  21. 中村茂

    中村(茂)委員 それでは今回の値上げ家賃の呼び方からいくとどういう値上げになるのでしょうか。いままでは私どもは公団家賃個別原価方式という言い方をしていたのですけれども、今度はどういうことになるのですか。
  22. 有賀虎之進

    ○有賀参考人 現在の家賃につきまして、第九条によりまして原価をもとにしていたしておりますので、通称個別原価主義と申しておりますけれども、今回値上げする家賃は、御承知のように九条に基づいて原価は算定されておりますけれども、事情の変更によりまして十条で変更することができるということになっておりますので、それによって適正な家賃に変更するということでございまして、変更した後の家賃を通称何と言うかということにつきましては、広い意味ではやはりこれも原価に基づいて算定されたものを変更された家賃であるということしか、通称どういう名称がいいかということにつきましては適当なものがないのではなかろうかと思っております。
  23. 中村茂

    中村(茂)委員 建設省にお聞きしたいのですけれども、公団家賃はいまのような、何と呼び名をつけていいかわからないような、原価で計算してその都度改正していくというような行き方でいいのか。それから国全体の家賃体系というものはどういうふうに持っていったら一番理想的なのか。特に公団中心で結構でございますから、いまの考え方をひとつ明らかにしていただきたいと思うのです。
  24. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 中村委員承知のように、五十年八月の住宅宅地審議会の答申があるわけでございます。その答申では応能家賃制度の導入を図るようにという基本的な方向を示しておりますけれども、しかし現行制度のもとにおいても家賃の定期的見直し等により新旧家賃の不均衡是正に努めるべきだという提言も行われておって、そういう趣旨を踏まえての今度の家賃改定である、こういうふうにわれわれは考えておるわけでございます。また、今後におきましてもそういうことがあってもしかるべきではないか、このように考えております。
  25. 中村茂

    中村(茂)委員 住宅局長にちょっとお聞きしたいと思うのですが、審議会の経過は私は大体承知しているつもりです。その上に立って応能家賃という問題が相当論議されました。それからプール原価方式、これは特に公団の場合にどうだろうということが論議されてきたと思うのです。それからこのプール方式の問題については、私どもが本委員会の中につくりました小委員会にも考え方が示されました。その後この値上げが起きてくる段階で、当初はどういうプールにしても、原価がつくにしてもつかないにしてもプール方式だ、こういうふうに言われてきたと思うのです。先ほど申し上げました私どもが昨年いただいた中にも「一、基本理念……プール方式の採用」となっている。先ほど聞きますと、大体この考え方に基づいての今回の値上げ申請になっているようであります。ということになると、原価方式に基づいてのプール方式、こういうふうに今度の改正でなったのか、原価方式に基づいてのプールというものは全然消えてしまっているのか、その点についてひとつ明らかにしていただきたい、こういうふうに思います。
  26. 救仁郷斉

    ○救仁郷政府委員 先生御承知のように、住宅宅地審議会の答申の中では、長期的には応能家賃制度を含めて基本的体系を検討すべきであるという御答申をいただき、また一方で現行制度の家賃の中で不均衡是正を早急に図るべきであるというような御答申をいただいているわけでございます。それに関しまして今回の値上げの問題が出たわけでございますが、長期的な問題として現在住宅宅地審議会家賃体系はいかにあるべきかという御諮問を申し上げ、鋭意いろいろ御検討を願っているところでございます。  ただ応能家賃という問題は、御承知のように個人の所得に応じて家賃を決めていくという方式でございます。これは私ども、非常に理想的な姿としてはあるべき姿かもしれませんが、日本の現状で果たしてそこまでいけるのか。特に低所得層を対象としました公営住宅の場合はともかくといたしまして、公団住宅のような中堅勤労者階層を対象とした住宅家賃の体系のあり方としてそこまでいく方がいいのかどうかという問題は、現在審議会でもいろいろ御検討願っているところでございます。  一方プール家賃という問題、これは総括原価方式と私ども呼んでおりますが、これはイギリスの公営住宅が現在採用している方式でございまして、もちろん全体の原価というものをはじきまして、建物の古さ、立地あるいは設備の新旧、そういったものを総合的に勘案いたしまして全体の総原価を個々の住宅に配分していくというようなやり方でございます。私どもは、少なくとも応能家賃という将来の姿に達するまでの一つの過程として、公的住宅についてそういった考え方があるのではないかということで検討もいたしましたし、先生御指摘のように、昨年の小委員会においてもいろいろ御説明申し上げたところでございます。しかし今回の値上げの問題を実際に当てはめてまいりますと、そういった全体の総括原価プール方式という方式にはほど遠い、たとえばさっき先生御指摘ございました百七十億の増収が今度あるわけでございますが、その中の三十億分につきまして新規家賃の引き下げの方に回すというふうなことでございますので、今回のあれはプール方式というよりもむしろプール的な考え方も取り上げた家賃是正というように私ども表現している次第でございます。
  27. 中村茂

    中村(茂)委員 私は、家賃全体から考えてみた場合に、いま言われたそこが問題だと思うのです。プール的な考え方を取り入れた、こういうふうに言うけれども、将来プール制に持っていこうとしていれば、若干近づけるという意味でそういうこともうなづけますね。  それから、応能家賃というような方向に持っていくとすれば、前段でプール制を全面的に採用するか。プール制に持っていく前に今度不均衡是正ということで値上げした中でプール的な考え方を取り入れていくか。順序がそうですからわかりますけれども、上の方がどうなるかわからない、検討中だ、こういうふうに言っている中でプール的な考え方を取り入れていく、それが私は納得できない。  不均衡是正なら不均衡是正できちっとやってください。そしていま言われた百七十億の増収の中からも三十億だけプール的な考え方でこっち側へ持ってくる。抑制の方に持ってくる。こういうことではなしに、維持、管理費の方できちっと使っていただけばいいのです。だから家賃のそういう方向がわからない段階で、そこのところだけ一部分三十億だけ持ってくる。ですから私先ほど公団の全般的な運営のあり方、ずさんな経営、そういうものについて指摘したのです。そうしたら、不均衡是正とは全然別問題だ、不均衡是正是正で上げるのだ、空き家対策の方はまた一生懸命真剣にやります。関係ありませんと言いますけれども、金でつながってきている。ああいうものがきちっと直って増収がきちっとあって、円滑な運営ができていれば三十億なんというものは、先ほど言ったようにいつでも出てくるものだ。幾らでも解決できるものだ。それを、たとえ三十億でも持ってこよう、そこに私は非常に問題があるというふうに思うのです。だからその考え方は捨ててください。どうしても私は納得できません。  そこで、もう少しその点について申し上げておきたいというふうに思うのですが、これは住宅宅地審議会住宅部会基本問題小委員会の第十三回の議事報告、その中にこういうふうにやりとりした項目がございます。まず谷さんが、「不均衡是正を目的とするのだから、公団住宅内部の均衡中心に考えれば良いのではなかろうか。さらに、どちらかと言えば均衡の問題はさ程触れなくても、ランニングコストの赤字による値上げ必要額との対比で十分説明がつくと思う。」まだ修理費等がこれだけかかるのだから、不均衡是正の中でこれだけ上げると言っても、そちらの方へ十分かかるランニングコストの説明をすれば値上げ理由がわかるはずだ、こういうふうに言ったら、参事官「ただあまりそれを強調すると新規家賃の引き下げに回せる分がなくなってくる。家賃の上げ巾が高いという批判に対してランニングコストだけでもこれだけかかると補足的に説明することで良いのではないかと考えている。」ですから、値上げのときにもうプール的な考え方で、いかに値下げの方へそれを持ってくるかということを考えて、不均衡是正という名のもとに値上げしているのだ、こういうことを私は指摘せざるを得ない。ですから、もとになる家賃がどういうふうになってどうなるんだ。ただプール的な考え方などというものは捨てていただいてけじめをひとつはっきりさせて、その点を十分考えて大臣承認していただくように強く要請しておきたいというふうに思います。  それから次に、適正負担率という問題が出てくるのですけれども、適正負担とは何ですか。
  28. 救仁郷斉

    ○救仁郷政府委員 これは家計の中で、収入に対して家賃負担がどれくらいが適正であるかというような率でございます。これは学界の中等でもいろいろ昔から研究がなされ、諸外国におきましてもいろいろ資料もございますし、あるいは御承知のように、ヨーロッパ等ではすでにそういった適正負担率という概念のもとにいろいろな住宅施策が行われているというようなこともございます。五十年八月の答申の中では、第一分位について一五%、第三分位については二〇%前後だったと思いますが、そういった適正家貸負担率というものを一つの限度として政策を考えていったらどうかというような一応の答申がなされておりますが、ただその数字自身は、現在改めて住宅宅地審議会に諮問して検討していただいているというのが現状でございます。
  29. 中村茂

    中村(茂)委員 今度の答申の中には全然こういう字句は出てこないのですが、先ほど申し上げましたような、いままで私どもずっと聞いてきた中では、五十年から五十二年までの値下げの分で上申が出ている。その中で適正負担率にしたいのだという考え方が出てきておりましたし、新規の五十三年度からのものについても、そういう適正負担率というような考え方でいくというような考え方が出てきたわけですけれども、これは消えてしまったのですか。
  30. 救仁郷斉

    ○救仁郷政府委員 それは消えておりません。私どもは、一応第三分位の勤労所得階層の収入の大体一六、七%のところをめどに公団家賃水準を決めていきたいというように考えているわけでございます。
  31. 中村茂

    中村(茂)委員 そうすると原価方式は捨てるということですか。
  32. 救仁郷斉

    ○救仁郷政府委員 先ほどもお話ございましたように、完全に原価方式を捨てるわけではございませんが、むしろ住宅の総建設費の調整、あるいは傾斜家賃での調整、そういったものも踏まえまして、そういった適正負担率に近づけるような努力をしていきたい。もしどうしてもそういった適正負担率ということがそれだけでは確保されないという場合に、先ほど申し上げました古い家賃値上げによる増収の一部も使わしていただきたい、こういうのが今回の趣旨でございます。
  33. 中村茂

    中村(茂)委員 その論議はまた続けますが、きょうはそれで終わりにしたいと思います。  次に、激変緩和の措置をとりなさい、これはずっと言われてきたわけですが、今回の値上げでその考え方が取り入れられて上申されたのかどうか、公団側にお聞きしたいと思います。
  34. 有賀虎之進

    ○有賀参考人 御指摘のように、今回の値上げ申請におきましては、十分激変緩和につきましては配慮してやってきたと考えております。この方式は公営限度額方式で算定すると申し上げておりますけれども、その算定いたしました差額につきましては二分の一とする、あるいは先ほど来申し上げましたように、頭を七千円以上のものは七千円とするというふうにいたしまして、十分激変緩和につきまして配慮してまいっておる、こういうふうに考えております。
  35. 中村茂

    中村(茂)委員 率で見ますと、一番上がっている人が二・四三、一番少ない人で一・一八ですから、二倍以上に率としては上がっているわけですが、この激変緩和というのは、平均で物事を言うのではなしに、個々の家賃について言っていることだというふうに思うのですが、その点はいかがなんでしょう。
  36. 有賀虎之進

    ○有賀参考人 激変緩和につきましては、いま御指摘のように倍率の問題もございましたけれども、私どもとしましては、家賃は生活費の中でどのぐらいのウエートを占めていくかということが大事なことでございまして、そういう観点から先ほど申しましたように七千円で頭切りするということでもって十分激変緩和に配慮した、こういうふうに考えておるわけでございます。
  37. 中村茂

    中村(茂)委員 平均すれば対象について三七%ということですけれども、これは公共料金ですから、いま考えた場合に三七%ということだけでも私は大幅だというふうに思うのです。ところが、個々に当てはめると、先ほど申し上げましたように二倍半。確かに安いからと言えばそれまでですね。しかし、安いようにそこのところでかかった原価について家賃の方式をとっているわけです。いずれにしてもその方式をとってきているのですから、その方式の上に立って家賃値上げを考え、不均衡是正というふうにやった場合に、二・四五も上がって、これで激変緩和を考えたかどうかということは、率から見ていけば考えていない。率なんということは全然問題ないのだ、適正家賃というものはここまでで、いままで安かったから、二倍になろうが三倍になろうが、金額からすれば六千六百円程度だからこれは何もないのだ、激変暖和ということについてそういう考え方だとすれば別問題。しかし私は、やはり家賃で個々に当てはまっている以上、しかも個別原価方式でそのことを負担して入居してきた以上、やはり率についてもある程度考えなければいけないのではないか、こういうふうに思うのです。
  38. 有賀虎之進

    ○有賀参考人 改定の方式でございますけれども、これは古いものを上げる場合に、古さあるいは質的格差というふうなものを十分考慮に入れた公営住宅の限度額方式というものを採用したわけでございます。しかし、これではまだ非常に高くなるということで、それを二分の一にするというふうに考えたわけでございます。しかしなおそれでも高いので、七千円で頭切りして実施していきたい、こういうことでございまして、その結果、物によりましては先生御指摘のような二倍あるいは二倍を超えるものということもございます。先ほど来申し上げましたように、率について全く考慮を払わないかというと、そういうものではございませんけれども、基本的あるいは具体的にはその上がる額というものについて最も注目して配慮すべきものではなかろうか、こういうふうに考えております。
  39. 中村茂

    中村(茂)委員 大臣、いまいろいろ論議してきましたように、私はやはり率もある程度考えなければいかぬと思うのです。これは二倍以上ですからね。七千円で頭を切ったと言っているけれども、もう千円下げて六千円で切ったっていいと思うのですよ、技術的にむずかしければ。個々に当たっていくなら。いずれにしても、承認の際、そういう率などについても、激変緩和ということは、急に大幅な値上げをしてはいけないぞ、こういうことを言っているのですから、これはもう審議会の中でも、激変緩和の措置を十分とって値上げに踏み切りなさい、こう言ってきている問題でありますから、十分考えていただきたい、こういうふうに思うわけです。これは答弁は要りません。  それから、先ほどもずっと論議したわけでありますけれども、増収額の使途について、維持管理費とそれから値上げの抑制分に使うのだ、こういうふうになっている。さっきの体系からして維持管理費だけにすべきだ、私はこういうことを先ほど主張したわけなんです。そこで少し聞いておきたいというふうに思うのですけれども、この維持管理費というものは中身はどうなんです。維持管理費はどういうものに使うのですか。
  40. 有賀虎之進

    ○有賀参考人 維持管理費につきましては、私どもとしましては、主として修繕等に使いたい、こういうふうに考えております。
  41. 中村茂

    中村(茂)委員 いまの入居者に対する修善費というものは、私もいろいろ聞いてびっくりしたのですけれども、普通の場合には畳とか障子とかそういうものは大体家主が持つ。しかし、畳にしてもそういうものにしても支出というものは一切個人負担ですね。ただ箱を貸しているだけですね。確かに、言われておりますように、物価がこれだけ上がってきたりすると、当初入っていた修繕費というものは少なくなってきていることは間違いないと思うのです。ですから、増収になった分については、まだまだ修繕費というものは足りないと思うので、全額やっぱり使うようにしていってもまだまだ不足じゃないか、こういうふうに思うのですけれども、そこら辺のところはどういうふうにお考えですか。
  42. 有賀虎之進

    ○有賀参考人 修繕につきましては、先生いま御指摘のような畳とかふすま、こういったものにつきましては、公団の賃貸契約書では入居者方々負担ということになっております。それはどういうことかと申しますと、民間などでそういうものを全部家主が負担されているというような例もございますけれども、私どもの家賃は、むしろそういうものも入居者方々負担していただくということで家賃のもとを算定いたしまして、家賃の軽減を図ると同時に、かえってその方が公平を期するゆえんであるというふうに考えているからでございます。  それから、いまの増収の分は全部修繕に使ったらどうかというお話でございますけれども、修繕というものは、かねて御説明を申し上げたとおり、なかなかいろんな周期がございまして、一概にことしはこれだけ、あるいはそのとおり毎年毎年というふうなものでもございませんで、年々積み上げてやっているわけでございますけれども、今回の家賃値上げ趣旨が、必ずしも修繕費に幾らかかるからその分だけ上がるというふうなものでもございませんで、不均衡是正して不公正をなくしていきたいということから来ているものでございますので、一部の増収分につきまして家賃の抑制に回るということがあっても、これは不適当だというふうには考えていないわけでございます。
  43. 中村茂

    中村(茂)委員 空き家家賃の場合には、ある程度直したり修理したりして、そのかわり家賃もいままで入ってきているものより高くした。しかし、今回の改正によってその差はほとんど縮まっている。まだ空き家家賃の方が少し高いのですけれども、もう相当縮まってきた。それで、やはり修繕費等はこれだけじゃとても足りない。何かいまの説明によるとなかなか修理していくのがむずかしいと言うけれども、これぐらいの金ですから、やはりそういう維持管理費の方へ全部使うようにひとつしていただきたい、これが私の要求です。  時間がございませんから一括申し上げたいというふうに思うのですか、住宅宅地審議会でこの問題について大臣が行ってこんなふうにしたいということで御意見を聞いただけですけれども、諮問事項にして正式にこういう審議会に諮問したらどうだろう。いままでも家賃のあり方なりいろんな問題について諮問してきたわけでありますから、やはりそういうところの正式な意見などを聞く。  それから、入居者の皆さんがつくっております自治協なりまたは入居者、こういう人たち対策が非常に不足していたのではないか。お聞きしますと、この値上げの問題についても一回何かチラシが配られただけだ。これは先ほどもちょっと触れましたけれども、空き家家賃の場合には、空になったところにこれだけ修理して少し高くして入れているわけですよね。しかし、入居している人のを上げるというのは、やはり居住権の問題もあるし、よほど慎重にやらなければならぬ。普通の家でも、これだけひとつ値上げしたいと思うけれども、こういうことで値上げしなければ——ひとつ協力してくれ、こういうふうにやるものだと思うのです。今度は入居している人の値上げでありますから、遅くはないと思いますから、これから積極的に、せっかくこういうところでつくっている組織、入居者対策というものを真剣にやっていただきたいと思います。  それと、最後に大臣にお願いしておきたいと思うのですが、いま国会開会中ですね。きょうも本会議でわが党の中村議員がこれをやりました。私どもきょうやるわけですが、開会中でございますから、恐らくこの開会中はいろいろ、特に予算の審議等出てくるわけでございまして、いままで私ども聞いてきた限りでは、今月末に何か承認したいというようなお考えのようでありますけれども、もう長い間の懸案でありますし、ここまで来てそんなに焦る必要はないわけでありますから、もう少しあらゆる面の意見をお聞きの上に承認の手続をとっていただきたいということを強く要求しておきたいと思います。その点だけ……。
  44. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 私が申し上げるまでもなく、この家賃問題につきましては、国会におきまして、前国会も前々国会も相当な御論議をちょうだいし、また小委員会も設置していただいておる、御答申もいただいたという状況にあると思うのであります。また住宅宅地審議会の方におきましても、先ほど申し上げたような答申、また今回の場合、報告にとどめた点に先ほど御質問ございましたが、これは基本的な問題でない、御答申の線に沿っておるということから報告にとどめる、しかしもちろん審議委員の皆さんの御意見を十分承っておる、また国会の方も衆参におきましてこうやって委員の皆さんの御意見を踏まえて、そして最終的な判断をいたしたい、こういうふうに私は考えております。
  45. 中村茂

    中村(茂)委員 最後に委員長にお願いしておきたいのですが、時間が来て十分審議できないわけでありますので、きょうはただ言いっ放しというようなかっこうになっておりますから、できたらいろいろな問題について、理事会などについても機会があったら私どもの意見を十分聞いて審議していただきますよう、これは委員長に特にお願い申し上げておきたいと思います。  終わります。
  46. 伏木和雄

    伏木委員長 承っておきます。  次に、古川雅司君。
  47. 古川雅司

    古川(雅)委員 冒頭大臣から御説明がありましたとおり、去る一月六日付で日本住宅公団から公団賃貸住宅家賃改定について建設大臣に対して承認申請提出され、本年七月一日をめどにこの家賃改定の実施をすると言われております。  時間の関係で、最初大臣に対して五点にわたりましてお伺いをしていきたいと思いますのでよろしくお願いいたします。  まず最初に、ただいまもございましたが、この承認を一月、今月じゅうに出すと言われております。先ほど大臣は、十分に検討して、意見を拝聴して合意を成立させたい、このようにおっしゃっておりますが、実際問題として、建設省公団の間にすでに合意を見ているのでこうして承認申請に踏み切ったのではないか、この点が一点。  第二点として、去る一月の十日、建設大臣並びに公団総裁は福田総理にお会いになって、この公団家賃値上げ申請に関して報告をされたと聞いております。その際、総理はスムーズにやってくれというように言われたとも伝えられておりますが、総理との打ち合わせの内容について若干御報告を願いたいと思います。  第三点は、今回のこの公団家賃改定については、公共料金の一つとも言える公団家賃が国民、特に住民の意思が直接反映されないまま建設大臣承認だけで決められるという行き方について、大臣はどのような見解を持っていらっしゃるか。  第四点、特に住民の組織である公団の自治協を窓口にして十分話し合ってほしいという要求が従来から出されております。長谷川建設大臣も、話し合いについては十分合意をされていると聞いておりますが、この点についてどのような努力をしてこられたか。  そして第五点に、今回の家賃改定については、非常に重大な問題を含んでいるわけでありますが、これをもし申請のまま大臣承認をされて、以後ゆゆしき問題が発生し事態が混乱に陥った場合、これは建設大臣の責任として受けとめられるのか、あるいはまた申請提出した公団総裁の責任と受けとめたらいいのか、この点について明確に御答弁を願いたいと思います。  以上五点にわたって建設大臣に伺ってまいります。
  48. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 公団建設省の方で合意を見ておるかどうか、これが第一点でございますが、そのようなことはございません。現在こうやって、私どもの最終判断をいたしたいと皆さんの御意見をちょうだいしておるという段階でございます。  それから総理とのことについてのお尋ねでございますが、これは後ほど必要があれば総裁がお答えをいたすのが適当ではないか。私は同席をいたしておりませんので御了承をお願いしたいと思います。  それから、住民の意思か反映されずに——お言葉はそうでなかったのですが、私が一方的にやるんじゃないか、こういう御趣旨ではなかったかと思うのでありますが、この点は、前大臣当時にもずいぶん関係者の方々からの御意見もあり、また先ほどから申し上げておるように、国会でもお取り上げになっておるし、私が就任後にも、申請前は申請前の状況で非常に多くの陳情書をちょうだいいたしました。それから、申請後にはまた非常に熱心に各方面からおはがきもちょうだいしておる。さらには建設省の方に相当大量の要請書もいただいておるということでありますので、これは相当に関係住民の皆さん方に今回の値上げ問題についての趣旨は徹底している、大変恐縮ですが、そういう判断に私は立っておるのであります。まことに恐縮ですが、本当に熱心にいろいろ参っておりますので、そういう受けとめ方をいたしております。  それから自治協の関係についての御質問でございましたが、公団はこれだけの問題を申請する以上、やはり御努力をなさっておるものと私は信頼をしておるわけであります。どの程度であったかという私の質問には、文書をもって四回ぐらい関係住民にその趣旨を徹底しておるということでもございます。また、私もより一層その理解をちょうだいする方がよろしいということで、それぞれの団地の管理者もおられることでありますから、公団に対しましては、そういう点は批判の出ないように一生懸命やってもらいたいという指導で参っておるわけでございます。  それから最後の、結論が申請のままであったらどうという前提でのお話でございますが、各般の状況判断の上に、それから、それぞれこうやって御意見を徴しておるのでありまするから、承認するかしないかという最終的判断は私がいたします。そういう立場にございまするから。しかし、それについていろいろ御批判があるといたしましても、それは私の職務上の行為であって、私は、まあ御批判が出てもそれはやむを得ないものである、しかし責任はどうかこうかと言われてみますると、現実にその衝に当たっておるのでありませんから——その判断のよしあしについての御批判は受けるつもりでございます。
  49. 古川雅司

    古川(雅)委員 大臣に重ねて伺いますが、今月中実施というのは巷間では既定の事実としてささやかれているわけであります。これは今後の推移を見ていけば事実はもうすぐ明らかになるわけでありますが、そうなりますと、私たちがいかに提言をしても、あるいは住民の皆さんがいかに要望を託しても、大臣申請承認してしまえば、そうした提言や要望というものは一切盛り込まれないという不安が非常に大きいわけであります。もしそれを翻して、こうした提言や私たちの意見大臣が受け入れるとすれば、この公団申請は一応却下しなければならない、差し戻さなければいけない、こういう事実になりますが、この点いかがでございましょうか。
  50. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 かねて私申し上げておりまするが、今回の申請に伴っての御論議の中には、先ほどからの御論議のとおり、住宅公団のあり方などについてもあるわけでございます。あるいは、もっと大所高所から考えますると、こういう場合の家賃はどうするんだ、これも御論議があるわけで、それらのことは私どものこれからの行政の上に当然考えて反映させていかなければならない問題も多々あるわけであります。ただ、この値上げそのものずばりのことについては私の判断をいずれはしなければならない、こう思っておるわけで、その場合に、客観的にいろいろ御批判が出る場合もあろうかと思いまするが、しかしまたこれが実施の上には、七月一日というふうにお願いしておるのでありまするから、全くのがんじがらめのもとにいくものではない。総裁もいろいろこの申請に伴っての実施の上に考える余地というもの、それは非常に狭い道であっても、実施の上においては私はいろいろ反映するものがあるものと、こう思っておる次第であります。
  51. 古川雅司

    古川(雅)委員 住宅公団総裁に同じく総括的に四点ほどにわたってお伺いしてまいりましょう。  先ほど来議論が出ておりますが、まず最初に、いわゆる住宅公団経営の改善の実を住民に示す前に、こうした家賃値上げを先行させたということに対して非常に強い不満があるわけであります。繰り返し言われておりますとおり、三万戸に及ぶ空き家、千六百ヘクタールにも及ぶ長期の使用不能土地、こうしたものに対する具体的な見通しが何ら立っていないわけでありまして、法令に反しなければよいという一方的な値上げ攻勢というふうにとれるわけでありますけれども、この点についてどう考えていらっしゃるか。  第二点は、昨年の十二月以来一家賃改定の通告書と言われるいわゆるチラシが数度にわたって配布されました。この点も非常に住民から不評を買っているわけでございまして、住宅公団が住民のコンセンサスを得ようというまじめな態度がそこには見られない。これは投書やあるいは新聞報道等にも非常にたくさん出てきております。  一例を挙げますと、その文章の中に、古い団地の家賃が安過ぎ、最近の高家賃との差がひどい、そうした社会的不公平を是正するんだという言い方、あるいは国鉄運賃も米価も上がった、したがって公団も、発足以来二十年も家賃改定されていないんだから、こんな例はほかにないんだというような言い方、これは全く住民の感情を逆なでするような、いわゆるコンセンサスを得ようという真摯さに欠ける、そうしたチラシの内容、私もこれを見まして非常に意外に思っております。  それから第三点目には、いわゆる団地住民との話し合いの内容でありますが、これもあえて私は居住者、契約者一人一人と話し合いをしていけ、ひざ詰めで話し合いをして理解を得ていけと、そこまでは申し上げません。ただ、私意外なのは、単一団地ごとに十分な説明すらなされていない、この点に非常に大きな疑問を抱くわけであります。  第四点は、さっき大臣にお伺いした五番目の問題でありますが、今後混乱ないし事態が非常に重大な局面になったとき、大臣の御所見は先ほど伺いましたが、総裁としてはその責任をどうお考えになっているか。  以上四点について御答弁願いたいと思います。
  52. 澤田悌

    澤田(悌)参考人 公団がいろいろこういう情勢激変の時期に難局に立っておることは御承知のとおりでございまして、先ほども御説明申し上げましたように、未入居住宅とか長期未利用土地というようなものを抱えておって、それなのに家賃改定をやるのは何事か、こういう第一の御質問と思いますが、先ほどもるる申し上げましたように、私は、この二十年間そのままになってきた家賃改定というのをなお放置しておくことは妥当でない、経済常識に反するこの事態是正する必要がある。したがって、公団が不行き届きでいろいろ御非難を受ける事態を招いていること、このことは一層責任を加重した考えのもとに是正全力を挙げるというのは当然でございます。私は、これは並行して公団を挙げて難局打開に努め、家賃の問題についても大方の御理解を得て実現いたしたいと考えておる次第でございます。  それから居住者の皆さんとの対話と申しますか、意思疎通という問題につきましては、私ども非常に気を使って努力をいたしておるのでございますが、一遍の予告もなしにビラをよこしたのはけしからぬというような御非難から、少しも会ってくれないというような御指摘までいろいろあるのでありますが、実は私どもの考えでは、いろいろ新聞等で言われておりますけれども、あらゆる機会にできるだけたびたびパンフレットなり営業案内なりによって皆さんにいろいろと御理解を願う資料を差し上げるということにいま一生懸命努力している段階でございまして、しかも、皆さんがおいでのときは少しも会ってくれないというようなことのお話もございますが、実はそうではございません。いわゆる自治協の皆さんにもその他の方々にも、去年の十二月以来本社では定期的にあるいは随時お目にかかっております。最近で五回そういう機会がありました。東京支社で九回、関東支社で六回、関西支社で八回というふうに、居住者の皆さんがおいでになっていろいろと御説明を申し上げておる次第でありまして、現に昨日も東京支社には四百九十人の方々がいらっしゃいました。いろいろお話をしたわけでございます。関東支社にも五十団地二百三十人の方々がおいでになっております。私どもこれは喜んでお目にかかり、お話を申し上げたいと存じておる次第でございます。その辺をよく御理解いただきたいということを特にお願いを申し上げる次第でございます。  そういうことで話し合いということについて、私ども支社にいろいろとその担当の部門も設けまして努力いたしておりますのでよろしくお願いを申し上げます。  それから責任の問題でございますが、先ほど大臣からお話ございましたが、この実行の責任は一切私がとります。これは明確に申し上げておきます。
  53. 古川雅司

    古川(雅)委員 質問を進めますが、まず公団に伺います。  今後さらに地価の高騰や建築資材の値上がり等が当然予想されるわけでありまして、いわゆる高家賃を呼ぶことは当然であります。今後、昭和五十三年以降に建設をし、管理開始になるものについてはどのようにお考えになっているのか。先ほどの御答弁ではちょっと明確ではございませんでした。簡潔にひとつお願いいたします。
  54. 有賀虎之進

    ○有賀参考人 公団供給していきます家賃につきましては、従来からとっておる措置でございますけれども、公団は中堅勤労者の所得に対しまして大体平均で一六%前後、こういうふうなことで最初家賃を設定していくことは従来どおりの考え方でございます。  なお、今後五十三年以降につきましては、従来とっておりました傾斜家賃の期間が十年というふうなこともございまして先行き不安があるということもございますので、できますれば五年程度に短縮していきたい、このように考えておる次第でございます。
  55. 古川雅司

    古川(雅)委員 大臣、これは非常に重大な問題だと思います。  建設省にお伺いいたしますが、いわゆる家賃の仕組み、家賃体系の制度的な抜本的改革については、先ほど一部御答弁がありましたけれども、いわゆる住宅宅地審議会の答申云々という隠れみのに隠れて建設省自体考え方というのは明確にしていらっしゃらないのじゃないか。したがって、住宅公団の今後のあり方等とも考え合わせまして、この点についてもう少し明確にお答えをいただきたいと思います。  特に、地価の上昇については非常に重大な問題でありまして、昭和三十年を一〇〇といたしますと、昭和五十年、この二十年の間に六大都市の市街地の価格が三一九二、約三十二倍、それに対して勤労者の実収入は八五五で約八・五倍、消費者物価が三五七で約三・五倍という実態でございます。  これに加えまして、水資源の確保の問題これは非常に困難でありますし、また交通機関の未整備、地方財政の圧迫等、特に人口抑制策から地方公共団体のいわゆる団地建設お断りという事態が続発をしているわけであります。要するに、団地建設に伴う公共公益施設整備費の負担が非常にふえておりますので、地方公共団体としてはこうした団地建設お断りという事態につながっていると思われます。  これは、自治省が出しております「自治体の住宅対策に関する意向調査」の中で、「市町村の住宅建設抑制理由」という意向調査の中にその第一位を占めておりますのは、いま申し上げた関連公共公益施設整備費の財政負担が大きい、実に八二・一%の市町村がこのように回答しているわけであります。  公団住宅家賃は、公団住宅の建設に伴うこれら公共公益施設整備費が入居者負担になって、高家賃になってはね返ってくる、そういう実態でありまして、この問題の解決を図らなければ、今後建設される公団住宅家賃というものは、さっきも指摘いたしましたとおり必ずや高家賃になりまして、再度値上げ値上げと繰り返さなければならないという事態は目に見えているわけであります。そういう観点から、家賃体系の制度的な抜本改革について見解を述べていただきたいと思います。  あわせて、賃貸住宅相互間の家賃均衡という問題でありますが、公営、公社住宅家賃、あるいは民間住宅値上げということに今回の公団家賃改定がつながっていかないか。すでにこれも巷間伝えられておりますが、公団家賃改定値上げを待って一斉に民間住宅家賃値上げをしようという動きが見えているわけであります。この点についての見解もあわせて建設省からお答えいただきたいと思います。
  56. 救仁郷斉

    ○救仁郷政府委員 まず最初に、公団住宅家賃が高くなってきた最大の原因は地価ではないかという御質問でございますが、これは御指摘のとおりでございます。幸いに現在地価は鎮静傾向にはございますが、しかし、これは今後とも地価の推移というものに全体として注意をしながら、こういった建設を進めて、あるいは各般の地価対策を進めていくべきものだというように考えております。  それから第二に、その中でも特に関連公共施設の問題につきまして二つの問題点を御指摘いただきました。一つは、その負担によって地方公共団体が団地お断りというような形で公的な住宅建設がスムーズにいかない問題、第二は、その関連公共施設の負担が地価、ひいては家賃あるいは分譲価格にはね返っているではないかというような御指摘、これもごもっともなお話でございます。  私どもとしましては、こういった問題を解決いたしますために、関連公共施設の整備ということに従来とも力を入れてまいったわけでございますか、あるいは立てかえ施行の問題等で力を入れてきたわけでございますが、五十三年度におきましては、政府の予算原案の住宅対策費の中に、従来の公共事業費のほかに三百億の予算を計上いたしました。従来の公共事業とあわせてこれを執行することによりまして、そういった団地建設がスムーズにいくと同時に、そういった地価あるいは住宅価格の低減に努めてまいりたいというように考えている次第でございます。  それから今回の公団住宅値上げの問題が公営住宅あるいは民間の住宅に波及するのではないかというようなお話でございますか、まず公営住宅につきましては、百六十万戸の管理戸数がございますが、そのうち地方の町村の公営住宅等を除きまして、大都市公営住宅につきましては、百六十万戸のうちの九十万戸につきまして、五十年八月の住宅宅地審議会の御答申を受けてからすでに是正が終わっております。先ほどもお話し申し上げたかと思いますが、たとえば東京都の都営住宅是正を行いました。その結果、公団住宅よりも都営住宅の方が高いという現象も起こっております。したがいまして公営住宅に関しましては、今回の公団住宅家賃是正が、さらにそれを上回る引き金になるということは私どもは考えておりません。  それから第二に、民間住宅の問題でございますが、今回の住宅公団家賃の引き上げ、是正が心理的な影響を与えるということはあえて私は否定しないつもりでございます。しかしながら、現実の民間家賃の動きを見ておりますと、公団の五千円あるいは七千円という家賃に引っ張られているのではなくて、むしろ新規家賃の五万円あるいは六万円という家賃の方に引きずられている傾向が強いと考えております。したがいまして、そういった新しい方の家賃を下げるという措置を同時にとることによりまして、私どもは決してそれが民間家賃の引き下げになるとまでは申しませんが、少なくともそれが悪い影響を与えるということにはならないというように考えております。
  57. 古川雅司

    古川(雅)委員 時間が迫りましたので、ただいまの御答弁は非常に問題を含んでいると私は思いますが、質問を進めます。一括してお伺いをいたしますので、公団から明快に御答弁をいただきたいと思います。  まず最初に、変更家賃引き上げ額は、対象住宅平均で約四千五百円、引き上げ率が約三一・五%と言われております。これは決して低いものではないと思います。その算定に当たって現行家賃との差額が「七千円を超えるときは現行家賃に七千円を加えた額とする。」という、この「七千円」という金額でありますが、抑えてありますものの、これは住民にとっては非常に大きな負担になります。これは二年ないし三年という経過措置を経て徐々に引き上げていくというようなことは当然考慮されなければならないと思うのですけれども、この点この申請の中にうたわれておりません。この点どうなるのか。  たとえば大阪市の此花区の伝法団地にお住まいのある方から資料を出していただきました。昭和四十五年十二月から四十七年三月まで入居の方で二DK、四十七平方メートルの住宅でありますが、当初二万二千七百円であったものが、いわゆる傾斜家賃制度のもとに過去五年間にわたりまして年々七百円ずつずっと上がってきたわけであります。やっと五年たってこれが落ちついたところで今度の家賃改定でありまして、ここで大幅な値上げが予想されるわけであります。数字的にもこれはわかっておりますが。これは非常に大きな負担である。これは一例であります。こういった方々に対してどう対応していくのか、これが第一点。  二番目に、家賃の変更による増収額は、五十三年度で約百七十億円、平年度になりますとこれは約二百三十億円と見込んでおるようでありますが、その使途については、一つには必要な維持管理経費に約百七十億円、二番目に家賃の抑制に要する費用として六十億円を充てたいとしておられます。この維持管理費の百七十億円についてでありますが、これは修繕費のほかに、管理事務費、固定資産税というようなものも含まれるのではないかと思いますが、この使途について、特に修繕費につきましては、過去の実績を見ましても今回これをどれだけ充てていくかということは非常に注目されているところであります。しかし、こうした修繕費に、値上げ増収額を充てるのだということは一つ大きくPRをしていらっしゃいますけれども、各所の団地から非常に苦情がたくさん寄せられております。  ここに一例を挙げます。久米川団地から寄せられた資料でありますが、これは読み上げます。「昭和三十三年入居以来二十年の間、貸し主である公団は自己の積極的義務である修繕、維持管理等を怠り、現在の居住環境は畳、建具はないも同然、浴室には浴槽なし、ふろがまなし、加えて本体である敷居、かもい、床等もがたがた」がたがたです。もう欠陥です。「外に面する戸、窓等も二十年の自然的摩耗、腐食、老朽化にて、家賃収受の契約条件である公団の提供すべき使用収益の質量の低下は甚大であります。」このように訴えております。さらに問題なのは、「ついては、久米川公団九百八十余戸、約四千名の居住者は自治会を通じて公団当局に会談を求めて十数回その理由の明確な説明を求めたるも、維持管理、補修計画の有無すらも不明なりと回答することを拒否し」、このように訴えております。これはこの団地だけじゃありません。随所からこういう要請が寄せられているわけであります。こういった実態を踏まえて、修繕費にこれこれの費用を充てるということは非常に説得力に乏しいと思うのでありますが、いかがでありましょうか。  第三点といたしまして、家賃の引き上げをうたって一応のPRをしておりますが、その第二点に、特に未入居の多い団地三十九団地約一万三千戸を適用予定戸数として三、四年を限度として家賃を据え置くというように説明をしておられます。これは申請書の中です。据え置けば入居をするという見込みが立っておるのか。そういう目途を立ててこうした対策をお立てになったのかどうか。さらに、この点については、わが党が従来からこうした新築、特に新築の空き家については一DK二戸を三LDKにまとめ、あるいは二DK二戸を四LDKあるいは五DK等に改修をしてそして入居をさせてはどうか、あるいはまた二戸を一括して入居許可を与え、特に老人世帯等の便に供してはどうか、こういう提案もしておりますが、こういうことについては今回何らこの申請の中には盛られておりません。この点はどうなっているのか。  時間の関係で非常に急いでお尋ねをいたしましたが、以上三点、明確に御答弁を願いたいと思います。
  58. 有賀虎之進

    ○有賀参考人 第一点の七千円というものにつきましてどういうふうに考えているかという点でございますが、先ほど来申しましたように、私どもとしましては、激変緩和という点に千分配慮して決めたもの、こう思っております。先ほど大阪の例もございましたけれども、私どもが七千円というものを算定するに至りました経緯は、私どもの公団住宅が存する十大都市といいますか、その辺の公営住宅値上げ状況、こういったものも十分配慮いたしまして、私どもは二年ないし三年にわたって順次上げていくという方法しかとっておりませんけれども、しかるがゆえに七千円というところで頭打ちにしているわけでございまして、公営住宅の中には一万五千円というふうなぐあいに上げていく例もございます。そういった点も十分配慮いたしたものと考えております。  それから、二番目の修繕の点でございますけれども、従来私ども切り詰めた経営をしておるのでございますけれども、私どもとしましては、住宅の機能に支障がないようにということで配慮してきたと考えておる次第でございます。  また、先ほどお話ございました増収額についてでございますけれども、これは当面、五十三年度には全収入が百七十億でございまして、そのうち大体百四十億程度、こういうものも修繕の方に回せると思いますので、従来やってきたことに加えて、修繕周期が参りまして相当程度手を入れなければならぬというふうなものがございますので、これらについて計画的に対処していきたい、こう考えております。  それから最後に、先生御提案の一戸を二戸にしたり、またペアで老人住宅のようなものを進めたらどうかというふうなお話でございますけれども、私どもも先年来未入居住宅の解消に当たりまして、計画、設計面で改善を加えるということをしたり、あるいは二戸を貸したりというふうなことを進めてまいったわけでございますけれども、これにつきましてはそれなりの効果があったと考えておりますので、今後ともこういう面を進めていきたいと考えております。それから老人住宅の点につきましては、今後は大型住宅というものを建設いたしましてこれに充てるほか、先ほど申しましたように、一世帯に二戸貸すという制度も今日とっておる次第でございますので、この制度の活用によりまして対処していきたい、こういうふうに考えております。
  59. 古川雅司

    古川(雅)委員 終わります。
  60. 伏木和雄

    伏木委員長 次に、西村章三君。
  61. 西村章三

    西村(章)委員 先ほどの質問と若干重複いたしますが、まず最初に、現在の公団経営内容について具体的に質問をいたします。  多くの空き家があると言われておるのでありますが、最も新しい時点で、募集をしても入居者のない新築の空き家は全体で幾らあるのか、また完成はしているが募集しないままになっている住宅は何戸であるのか、さらにこれらの住宅入居を図るために公団はどのように努力をされたのか、もう一つ、これらの未入居住宅による五十一年度での収入見込みの減額は幾らであったのかお尋ねをいたします。
  62. 澤田悌

    澤田(悌)参考人 現在と申しますか、昨年十二月末現在が最近の数字でございますが、いわゆる未入居住宅戸数は一万五千六百一戸でございます。それから募集をしないで保守管理をいたしております。これはいろいろな理由がございますが、それが二万三千四百八戸、また、その結果五十一年度におきます未入居住宅関係する家賃及び割賦金の収入減相当額は三十八億円でございます。なお、分譲住宅には最初契約一時金というのを取ります。それを含めますと六十六億円になる、こういう結果でございます。  これに対する対策といたしましては、先ほど来も申しましたが、未入居住宅につきましては応急対策と恒久対策と申しますか基本対策を定めまして、応急対策といたしましては、狭いものを二戸合わせて一つにするとか、その他環境の整備、いろいろの付属の施設、物置でございますとか、自転車置き場ですとか、いろいろなそういう施策をつけ加えまして、これも先ほど理事からもお答えいたしましたが、それなりの効果を上げております。今後もいろいろ工夫を加えまして進めてまいりたいと存じておる次第でございます。
  63. 西村章三

    西村(章)委員 公団の五十一年度の財務諸表によりますると、長期借入金は総額で四兆三千二百億円余りであります。これに対する支払い金利は年間総額で正確には幾らに達するのでありますか。
  64. 有賀虎之進

    ○有賀参考人 二千七百二十億円でございます。
  65. 西村章三

    西村(章)委員 さらに、公団資料によりますと、五十二年九月現在で長期保有地というものは約千六百ヘクタール近くに達しております。その購入総額は約九百七十二億円、これに対する五十一年度分の金利はどれぐらいになりますか。  また、これらの土地の大半は昭和四十五年から四十九年の五カ年間に取得をされたものでありますが、この五年間に取得した土地のうち長期保有地となっているのはどれぐらいのパーセンテージでありますか。なぜこの時期に取得をした土地の多くが長期保有地となったのか、この点について答えていただきたい。
  66. 沢田光英

    沢田(光)参考人 先生がおっしゃいました長期未利用地、これの五十一年度分の金利は七十二億でございます。ちなみに、いわゆる住建部門と宅地開発部門と両方にわたってございますが、その内訳は、住宅建設部門が四十億、宅地開発部門は三十二億でございます。  次いでの御質問でございますが、この五年間に住宅公団では住宅建設部門及び宅地開発部門両方合わせまして五千四百四十五ヘクタールの土地を取得してまいりました。そのうちこの五年間に発生しました長期保有地というのは千百九十八ヘクタールでございます。したがいまして、その比率は二二%、かようなことになってございます。  なぜこういうふうなことになってきたかという御質問でございますが、先生御指摘のこの五年間の中でも特に四十八年に取得いたしましたものが長期保有地の大半を占めてございます。と申しますのは、四十八年度はいわゆる一億総不動屋と申しますか、土地に関しまして非常にブームを巻き起こしまして、この際、官と言わず民と言わず土地を非常に買ったわけでございます。私どもの公団におきましては、やはり土地がなければ家も建ちませんし、そういうことから多少の買い焦りがあったということは申し上げていいんじゃないかと思います。そういう買い焦りの実態ということはどういうことかといいますと、民間と競合して買うときには値段の問題等で余りいい土地でないということもある。さらには、私どもが買います場合には地方公共団体に大きな影響を与えますので、これの御承認を得る、かようなかっこうになってございます。一応そういうことをやってございますが、その後、そういう買いました土地を持ったわけでございますが、世の中が変わってまいりまして安定成長に入った、あるいは公共投資がなかなか急にできない。そういうふうに条件が崩れていきまして、そういうことのためにこの四十八年を中心に買いました未利用地がいまだ眠っておるということでございますが、先ほど総裁から御説明もございましたように、一般論では、たとえば都市計画区域に入れてもらう問題もございます。あるいは関連公共施設を充実していただく、こういう問題もございます。しかしいずれにいたしましても、そういうふうな問題を含んでおりますのは個々の団地でございます。個々にシラミつぶしに私どもは鋭意やっておりまして、先ほど総裁申し上げましたように、すでに売却の済んだものもございます。さらには数団地については着工の見通しがついてきておる、これには建設省委員会等で関公費をつけていただく等の御配慮を得た上で大分見通しがつくものが出てきておる、かような状況でございます。
  67. 西村章三

    西村(章)委員 いずれにいたしましても、金利負担というものは増大するような傾向が非常に強い、またこれが公団経営の最大の負担になっておる、ひいては将来の新築住宅の高家賃につながるおそれもある、こう考えるわけでありますが、長期借入金の金利負担の軽減を図るため、何よりもまずこのことをやらなければなりません。その意味で、政府が来年度予算で三百六十億円の補給金、また百億円の出資金など、公団に対して六百三十億円近い一般会計予算を計上したことは、いわば一歩前進であります。それなりに評価はできますが、しかしその額は決して十分ではございません。また、五十四年度以降についてどのような予算を講じていくのかも明らかではございません。たまたま本年は景気回復の目玉として住宅建設を位置づけられておることによりまして、政府も従来よりかなり増額したものと思うのでありますが、政府は五十四年度以降も一般会計からの出資やあるいは利子補給、これを拡大させて、長期借入金の利子負担を軽減させるべきだと思うのでありますが、今後の方針について政府の見解を承りたい。
  68. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 ただいま御質問がございましたように、五十三年度の要求では六百三十億円、一般会計から公団へいろいろな形で支出をすることになっております。そこで、これらのことが住宅公団経営の上に大いに寄与しておると思うのです。不十分というお言葉もございましたが、われわれとしては相当の支出をしておると思いますが、五十四年度以降につきましては利子補給を、いま私どもの考え方としては一つ住宅建設費の補助の意味合いで出そう、従来の利子補給の考え方のものと二つに分けて、五十四年度につきましては拡充をしてまいりたい、これはこれからの問題でございますから、どれぐらいとお尋ねがあってもちょっとお答えしにくいのですが、できるだけ拡充するように努めたい。ただ公団への出資金、これにつきましては、いまのところことし特にお願いしたという考え方に立っておるのでありますが、いずれにしても公団のいまの状況からいたしまして、できるだけ国庫助成をいたし、多少でも経営の上に寄与してまいりたい、このように考えております。
  69. 西村章三

    西村(章)委員 次に、家賃値上げそのものにつきましてお伺いをいたします。  今回公団申請されております家賃値上げ理由は、維持管理費の確保であるとか、あるいは高家賃引き下げなどをうたっておるようでありますが、最大の理由公団住宅相互間の不均衡是正だ、われわれはかように受けとめております。この不均衡とは、具体的に言いますと最近の管理開始住宅、これと昭和三十一年ごろの管理開始住宅との差異を具体的に指しておるのかどうか、いかがですか。
  70. 有賀虎之進

    ○有賀参考人 私どもが家賃を決める場合には、先ほど来申し上げておりますように、年々の家賃につきまして、その年の勤労者の平均所得に対しまして二八%前後というふうなことでもって家賃の水準を決めております。したがいまして、適正といいますか、そういった負担率で決めた家賃の水準、こういったものに対しまして古いものがどの程度の水準にあるかということを基本に考えておる次第でございます。
  71. 西村章三

    西村(章)委員 いま答弁をいただきましたが、一六%平均で考えておるということでありますが、具体的にはここにも書いてありますように、三十一年度に供給した住宅平均家賃四千六百円に対して、昭和五十一年度に供給した住宅平均家賃は四万七百円で八二八倍だ、こう言っております。ということは、最近において管理開始がされた住宅と三十一年ごろの住宅との差が余りにも大きい、こういうことでございますね。
  72. 有賀虎之進

    ○有賀参考人 基本的にはそのとおりでございます。ただ、三十一年のもの、あるいは五十一年のものと比べてみます場合には、そのほか規模等についても相当差かありますので、中身といたしましては、規模等も配慮いたしまして実質的な家賃の水準の差、こういったものを見て判断しているわけでございます。
  73. 西村章三

    西村(章)委員 結局、古い家賃を最近の家賃に引き上げていこう、こういう姿が見えるわけであります。それなら、最近の住宅家賃まで古い住宅家賃を引き上げるというのがいわゆる不均衡是正だとお考えですか。
  74. 有賀虎之進

    ○有賀参考人 具体的に家賃の引き上げに当たりましては、私どもといたしましては、もちろん当該の住宅の古さとか質の格差とか、そういったものを考慮しなければならないと判断しておるわけでございます。したがいまして、先ほど来申し上げました公営住宅の限度額を算定する方式というのは、それぞれ住宅につきまして、古さあるいは質的格差というものを配慮して定められる方式でございますので、そういったものも十分配慮した上で計算いたしまして、その間の不均衡是正したい、こういうことになるわけでございますけれども、従来から申し上げておりますように、家賃が急に上がるということは、その生活その他にとりまして大変重要なことでございますので、十分な激変緩和措置をとらなければいかぬということで、二分の一にしたりあるいは七千円の頭切りをしたり、こういったことをして家賃の不均衡是正をしているわけでございます。
  75. 西村章三

    西村(章)委員 たとえば、ここに公団入居者に対してお配りになったビラがございます。その中で「家賃改定を行う理由について」というところの第一項に「建設年度の古い住宅と最近供給した住宅とでは、その古さ、質的な差はあるにしても、立地条件の良さなどを考慮すれば、かなりの家賃格差があるといえます。」こう言っておるわけであります。必ずしも古いところが便利がよくて新しいところが便利が悪いということにはならないわけであります。そういう立場でものを考えてまいりますと、同一年度に建てたところでも立地条件がいいか悪いかによって格差かある、不均衡がある、かように判断もされるわけであります。一体何を基準にして不均衡とおっしゃるのか、その辺を明らかにしていただきたい。
  76. 有賀虎之進

    ○有賀参考人 具体的には、公営限度額方式で算定する場合におきましては、建物等につきましてその古さとか質的格差が十分配慮されていると同時に、そういった立地条件等につきましては、地代の算定におきましてその固定資産税等をもとにしてやりますので、十分その関係が配慮されるようになっている、こういうように考えるわけでございます。
  77. 西村章三

    西村(章)委員 今度の基準を申し上げておるのではないのでありまして、不均衡をどうとらえておられるのか、何を基準に不均衡とおっしゃるのか、この辺を聞いているわけであります。
  78. 有賀虎之進

    ○有賀参考人 不均衡をとらえる場合は、先ほど来申し上げましたように、古い住宅家賃の水準、それから新しい住宅家賃の水準、こういったものから判断するわけでございますが、具体的には先ほど申し上げたようなことに注目して判断しておるわけでございます。
  79. 西村章三

    西村(章)委員 この基準というものを明確にしなければ今後すべてが不均衡となるおそれがある、私はそう考えるのであります。したがって、この不均衡基準というものを、今度の値上げについていまいろいろと答弁をされましたけれども、どうも筋が一本通っておらぬ、はっきりした基準というものを持っておられないのではないか、かように考えるのでありますが、いかがでございますか。
  80. 救仁郷斉

    ○救仁郷政府委員 ただいま公団から御説明したとおりでございますが、私ども公平に比較するといたしますと、たとえば現在古い住宅をそのところにそのまま建てるとした場合にどれぐらいの費用がかかるかということをまず基準にして考えます。それから地代につきましても、昔買った用地の取得原価でなくて、現在の固定資産税評価額を基準にして比較した場合にどうなるか、その場合には当然建物の古さなり設備の古さなりそういったものも考慮して比較すべきだと思いますが、そういったことを基準に不均衡というようなことを判断してまいりたいというように考えておるわけでございます。
  81. 西村章三

    西村(章)委員 どうもその不均衡基準というものがはっきりしたものではないように思うのでありますが、時間がございますので次に進みます。  今回の値上げ対象は四十七年以前の管理開始分でありますが、五十四年度にはさらに四十八年以降の管理開始分について波状的に値上げを予定しておる、新聞にも若干載っておるわけでありますが、そう総裁自身がお考えだ、こういうことであります。  そこで、このように順次値上げをしていくということは、今後周期的、恒常的になるおそれが非常に強いし、このことは実質的に現行の個別原価家賃との間に矛盾を生ずるのではないか、かように思われますが、いかがでございますか。
  82. 澤田悌

    澤田(悌)参考人 五十四年度にさらに値上げをするのではないかという点が最初の御質問のようでございます。  今回の値上げは四十七年度以前に入居を願ったものでありますが、それでは四十八年度をどうするかということとの関連の御質問のように思いますけれども、これは今度の値上げ申請には入っておりません。ですから、四十八年度、一年たってそのぎりぎりの年度のものを来年どうするかという問題は、そのときの情勢によって改めて申請をして御承認を得る、こういうことになろうかと存じておるわけでございます。
  83. 西村章三

    西村(章)委員 いま一番恐れられておりますのは、今回値上げ予定の分につきましても、またまた数年を経ずして不均衡是正の名目で再び値上げするような事態になるのではないか、入居者方々が一番恐れておるのはこの点にございます。値上げに対する歯どめかある意味では必要なのでありますが、この程度といいますか、こういうものを考えておられるかどうか、お聞かせをいただきたい。
  84. 澤田悌

    澤田(悌)参考人 いろいろそういう点についての御心配はごもっともだと存じます。住宅宅地審議会の御意見でも、三年ごとぐらいには見直すべきであるというような御意見すらあるわけでありますし、一般の民間住宅につきましては現に三年ごとぐらいに改定されておるのが実情でございます。しかし私ども、二十年余放置されておったものを、今回、格差是正と申しましても、あるいは不均衡是正と申しましても、とても十分ではありませんけれども、いまの案の程度をここで大方の御理解を得て値上げしようというのでありまして、この次またやるのかというようなことはいまのところ全く計画にございません。これはまた何年かたってそのときの経済情勢を見て、大方の御理解を得られるようであれば申請をして実行すべき問題でありまして、この次また何年か後にどうするのだということを現在申し上げる用意は全くないのでございます。
  85. 西村章三

    西村(章)委員 将来の値上げについては灰色のようでございますが、今回の住宅公団家賃値上げ問題といいますものは、将来あるべき姿の家賃制度、これが確立をされていないままに、単に不均衡是正という目的をもって暫定的に値上げをしょう、こうするところにいろいろな問題を生み出し、入居者の不安を増幅していると思います。しかしながら、家賃制度の改定はいろいろむずかしい問題もありますので、今回の家賃改定には間に合わないかもしれませんが、もしも再度家賃改定を行うことが必要となるときは、それ以前に将来あるべき姿の家賃制度を確立してから行うことが必要である、かように思うわけでありますが、この私の見解についてはいかがお考えでございますか。
  86. 救仁郷斉

    ○救仁郷政府委員 先ほどもお話し申し上げましたように昨年、建設大臣から住宅宅地審議会に対しまして、公的、民間を含めまして恒久的な家賃体系のあり方を御諮問申し上げているところでございます。この家賃の問題は、御指摘もございましたように、非常にむずかしい問題ではございますが、住宅宅地審議会で毎月一回ぐらいいろいろ御議論をいただいております。私どもとしますれば、できれば年内にそういった御結論をいただきたいというような感じを持っております。したがいまして、御指摘のように次回のもし必要があるころまでには何らかの基本的なそういった家賃体系というものの政策を確立したいというのが、私どもの願いでございます。
  87. 西村章三

    西村(章)委員 最後に、今回の値上げについては、いやしくも入居者負担を求める以上、その負担がむだにならないように住宅公団の抜本的な再建と住みよい公団住宅の建設に努めなければなりません。そのために政府及び公団当局はこれまでの経営のあり方を真剣に反省をされまして、公団再建のために思い切った対策と十分な予算措置を講ずべきであると思います。こうした対策が全くないままに、みずからの経営ミスを安易に入居者に転嫁をするだけの値上げであってはならないと思います。この際、政府と公団当局は住宅公団の再建のために最大限の努力を払うべきだと思いますが、最高責任者である総裁大臣からそれぞれ決意のほどをお聞かせをいただきたい。
  88. 澤田悌

    澤田(悌)参考人 まことにごもっともな御指摘でございます。私どもいろいろな問題を抱えながら入居者方々に御負担をかけるわけでございます。その責任と、われわれかみずから厳しくおのれを律して、公団全力を挙げて問題の解決と有効な——家賃値上げの結果、それか皆さんのために有効に効果を発揮するように全力を尽くすべきであると考えておる次第でございます。
  89. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 ただいまのお言葉どおり、この家賃値上げというものが最終的結論を得られた後におきまして、当然住宅公団としてはその経営に万全の策を講ずべきであると思います。  また、私は所管の大臣といたしまして、御質問にもありましたように、国費も相当投入いたしまして、利子補給、環境整備などもやっておるのでございまするから、かりそめにも住宅公団経営が従来のままの姿であったとするならば、それは私としても大きな責任を感ずる次第でございまして、ただいま総裁が決意のほどを言われておりまするので、私は総裁を信じ、また国としてでき得る限りのことをしてこの公団経営の改善を十分やってまいりたい、このように考える次第でございます。
  90. 西村章三

    西村(章)委員 ただいまの決意を強力に実践をしていただきますように強く要望いたしまして、私の質問を終わります。
  91. 伏木和雄

    伏木委員長 次に、瀬崎博義君。
  92. 瀬崎博義

    瀬崎委員 まず大臣にお伺いをいたしますが、家賃の新旧格差の是正とか不均衡是正理由に、当面三十六万世帯の国民に実質平均五千三百円、最高で二・四三倍の家賃値上げを迫ることは、この深刻な不況のもとにおいて国民生活に極度な圧迫になることは火を見るより明らかであります。したがって、当然のこととして、このような格差、不均衡が一体どうして生じたのか、国民が住宅に困っていながら入れられないような高家賃が一体なぜ発生したのか、その責任はどこにあるのか、これが明らかにされなければならないと思うのです。大臣はこの空き家原因となった高・遠・狭、なかんずく高家賃原因と責任か公団住宅の古い居住者にあるとお考えなのか、ないとお考えなのか、明確な答弁をお願いしたいと思います。
  93. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 ただいま公団において空き家がある、未利用のものがある、そしてそれについてはきょうも御審議に際して決算委員会報告も取り上げられてその事情というものが分析されておる、そこで一番問題なのが高・遠・狭のいまの御指摘であると思います。これは現在の一般的な諸情勢の上から見て、そして現在の住宅公団空き家とか未利用のものについて言われた言葉だと思うのであります。したがって、現在居住されておられる方の建物が高・遠・狭である、その範疇の中で問題になっておるというようには私は取り上げておりませんです。
  94. 瀬崎博義

    瀬崎委員 私の質問していることにのみお答えいただいたらいいのであります。今日生じている、いわゆる今回公団が名目とした不均衡あるいは新旧格差、こういうものの発生の責任が公団の古い住宅居住者にあるとお考えなのか、いや、そういう人たちの責任ではないんだ、そういうお考えなのか、どちらですか。
  95. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 責任の所在というとなかなかむずかしい問題だと思うのです。それは空き家については一次、二次と料金を引き上げたのでありまするが、一般的には引き上げようとしても引き上げられなかったという過去の経緯もあるわけでございます。そういう経緯からいたしまして、表面的には二十年以上も放置しておったという、そこに責任があると思いまするが、また値上げをしようとしてできなかったという、そこにも原因があると言わなければならない。公団自体は上げなければならぬと思いながらもできなかったのですから、そういう点に責任があると思います。
  96. 瀬崎博義

    瀬崎委員 結局、大臣は高い住宅が生まれた原因にはお答えになっていない。ということは答えられないということだと思うのです。これはだれがどう見ても現在古い公団住宅入居している方々には責任がありません。  次に、初年度増収百七十億円、平年度二百三十億円と予定されておりますが、このうちから初年度三十億円、平年度六十億円を家賃引き下げに回す、このように先般理事懇談会でも政府は答えている。こうなってきますと、これは明らかに今日までの個別原価主義から新しいプール方式、あるいはプール制的な家賃体系への変更というふうに認めていらっしゃるのかどうか、その点をお尋ねします。
  97. 救仁郷斉

    ○救仁郷政府委員 今回の公団申請の問題でございますが、これは先ほど来御説明しておりますとおり、いわゆる原価に基づきます。現在の九条に基づきます家賃を、公営限度額方式に基づきましてその二分の一を変更しようという問題でございます。したがいまして、あくまで原価を基準にしていることには変わりございません。したがいまして、十条によって変更するものではございますか、あくまで九条の原価を基準にして変更しているんだというように御理解いただきたいと思います。
  98. 瀬崎博義

    瀬崎委員 それでは、値上げの増収分から三十億あるいは六十億を回そうという発想はどこから出てきたのですか。
  99. 救仁郷斉

    ○救仁郷政府委員 今回の値上げは、たびたび御説明しておりますとおり、いわゆる不均衡是正ということでございます。したがいまして、その不均衡がどこにあるのか、あるいは不均衡是正するにはどうするのかということの具体的な幅につきまして、先ほど来申し上げております算定方式を使ったわけでございまして、その不均衡是正した増収額をどう使うかということは別問題でございます。
  100. 瀬崎博義

    瀬崎委員 五十三年度の政府予算案の中には、いわゆる百億円の出資金、古い住宅の環境整備に使うという金がありますか、これはほとんどが古い住宅の修繕費等に使われるものと見ていいのですか。また同時に、いわゆる値上げによる増収分から初年度で百四十億使うというのと同性質の金と見ていいわけですか。
  101. 有賀虎之進

    ○有賀参考人 五十三年度に政府から出資していただくことになっております百億円は、いわゆる修繕というものではございませんで、四十七年度以前の、今度の値上げの対象団地、これの環境整備といいますか、施設整備というふうな方に使用したい、こう考えております。  したがいまして、今回の値上げの増収分による百四十億は一般の修繕に使う予定にしておりますので、使う対象は違うように考えております。
  102. 瀬崎博義

    瀬崎委員 具体的に一例か二例挙げてどう違うか説明してください。
  103. 有賀虎之進

    ○有賀参考人 今回、出資をしていただきます百億円の方は、たとえば団地の集会所とか運動施設とか、そういったものを整備していきたいと考えておるわけでございます。それから、増収によって得られる修繕費は、もうすでに十五年とか二十年とかたちますと、相当計画的に修繕しなければならぬ部分が出てきております。そういうものにつきまして、たとえば住棟の屋根の防水、こういったものについて計画的に修繕に入っていきたい、こういうふうなぐあいに違うわけでございます。
  104. 瀬崎博義

    瀬崎委員 それでは大臣にお伺いしますが、こういう方式は今後継続して行われるのですか。
  105. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 それが好ましいかどうかは別といたしまして、現状からいたしますると、このような方式がもとになっていくと思います。
  106. 瀬崎博義

    瀬崎委員 そういうふうに区分けして行うのであれば、今後継続されなかったら、一時的な整備に終わってしまうことは、だれが見ても明らかだと思うのです。そういうことの方針が明確に確立しているかどうか、これはやはりはっきりさせてもらう必要があると思います。  次に、今回の大臣認可の範囲の問題ですけれども、これは値上げの必要性あるいは値下げの必要性だけを認可するのか、また、値上げ、値下げの方法だけの認可なのか、あるいは個々の団地の家賃の額を一定の幅を持って認可しようとするのか、それとも個々の団地の値上げ、値下げの額そのものを認可しようとするのか、そのどれに当たるわけですか。
  107. 救仁郷斉

    ○救仁郷政府委員 今回の認可の対象となりますのは、家賃の変更の基準でございます。したがいまして、まあどれに当たるかとおっしゃいますと、先生が最後から二番目におっしゃいましたある幅を持って認可するという性格の問題でございます。したがいまして、その幅の範囲内では、住宅公団総裁が個々の住宅家賃決定するというようなかっこうになろうかと思います。
  108. 瀬崎博義

    瀬崎委員 その個々の家賃決定はいつしようと思うのですが、また、どんな形でいわゆる入居者との間で合意を得ようとしているのですか。
  109. 澤田悌

    澤田(悌)参考人 この家賃改定の問題でございますが、これは法律的ないわゆる合意を必要とするものかどうか、そういう合意を得なければできないという問題ではないと考えておるのであります。しかし、いろいろ御意見のございますように、居住者方々にとって重要な問題でありますから、あらゆる手段を尽くして御理解を得た上で実行いたしたい、かように考えておる次第でございます。
  110. 瀬崎博義

    瀬崎委員 一般の公営住宅の場合の入居者住宅を所有している自治体との取り決めと、それから契約に基づく公団居住者との関係、ここにはどういう違いがあるわけですか。
  111. 救仁郷斉

    ○救仁郷政府委員 住宅公団の場合には、いわゆる民法上の借家契約ということになっております。公営住宅の場合には、これは学説が完全に一致はしておりませんが、私どもの立場は、いわゆる公共物の使用料というような考えでおります。しかし、学者の先生の中には、それは一般的に民法の規定を受けるけれども、法律の規定にある範囲内で特例としてあるんだというような説をなさる方もいらっしゃいます。その違いはございますが、たとえば東京都の住宅供給公社の住宅がございます。これは公団と同じ性格だというように私ども考えております。
  112. 瀬崎博義

    瀬崎委員 じゃ、契約によって関係が結ばれている公団の場合と、それからいわゆる使用料という形で関係が結ばれている公営の場合と、家賃の変更などを行う場合にどういう配慮の違いが生まれてくるわけですか。
  113. 救仁郷斉

    ○救仁郷政府委員 公営住宅の場合には、家賃は条例で決めることになっております。したがいまして、家賃の変更も条例で決めることになっております。ただ、公団の場合には、入居者方々との契約になっております。  法律上だけの議論をいたしますと、公団の場合でも、そういった大臣の認可によって、必要があるとしたら公団家賃の変更をお願いすることができることになっております。これは法律上だけの問題でございまして、両方ございますが、実際の問題としては、公営住宅の場合でも公団住宅の場合でも、入っておられる方々の御理解を得る努力をすべきことは当然のことだと考えております。
  114. 瀬崎博義

    瀬崎委員 これは自治省が出している「地方財政用語辞典」なんですが、ここに契約の場合と使用料の場合と書いてあります。契約については「二つ以上の当事者の合意(相互に対立する意思を表示し、合致すること。)によって成立する法律行為」だから、これは少なくとも契約を結んだ当事者が合意をすることが前提である。一方、使用料の方は、住民にかわって議会が条例に基づいて家賃額を改定すればこれは行政行為として、悪い言葉ではあるけれども居住者に押しつけることができる、この違いは御存じなんでしょうね。
  115. 有賀虎之進

    ○有賀参考人 私どもの公団住宅の場合でも、先生おっしゃられるように双方の契約でございまして、これは当初契約する場合は双方の合意に基づいて契約しているわけでございます。しかしながら、先ほど来御議論のあるところの家賃の増額請求、こういうものにつきましては、私どもの契約書におきましても、公団均衡上必要があるときには増額を請求することができるということになっておりますし、借家法等におきましても、増額請求につきましては、先ほど総裁が御説明申し上げましたとおり、合意によらなければならないというものではなくて、一方の通知によって成立するというのが通説でございます。
  116. 瀬崎博義

    瀬崎委員 あなたたちは、合意を得ることが原則だと言いながら、片一方では合意を得なくたってできることだということを強調するのでしょう。矛盾していると思うのです。これは国会での答弁もあることだし、大臣としても当然個々の入居者に対する説明を十分に行い、合意を得る努力を公団が行うように今後指導してもらいたいと思うのです。  時間の関係がありますので次を急ぎますが、今回の家賃改定には引き下げ申請も出ているわけであります。五十三年度について言えば、五十年から五十二年度供給分の引き下げは二万四百戸で、平均の引き下げ額二千六百円。七月からですから九カ月になりますね。これを計算いたしますと、四億七千七百三十六万円になります。それから五十三年度の新規供給分についても引き下げを必要とするということであります。戸数は、公団の概算要求で見ますと二万七千戸になっていますね。これは一体幾ら引き下げるのかと聞いても、まだそこまでは見通しが立たない、こういう公団の話でありますが、一応五十二年度供給分の住宅の初年度引き下げ額を聞きますと、二千円強ということであります。したがって、私の方の推計で、一戸当たり二千五百円の引き下げが必要になるだろう、あるいは大き過ぎるかもしれませんが計算しました。もちろん年度当初から入居できるものもあれば、年度末入居もあるでしょうから、これが響いてくる期間は六カ月と見ました。そうしますと、これで四億五百万円になります。合わせまして八億八千万円が五十三年度の引き下げに要する財源ではないかと思うのであります。  これに対して三十億円を値下げに振り向けるというのが政府の説明ですが、余りにも差が大きいですね。残り二十二億は何の引き下げに使うのですか。
  117. 有賀虎之進

    ○有賀参考人 先ほどお話ございましたように、この三十億の中身といたしましては、まず五十三年度に管理開始いたします賃貸住宅約二万六千戸程度、これにつきまして私どもの現在の考えでは一万六千五百円程度ぐらいの引き下げになるのではなかろうかと思っております。したがって、これに要する費用が約二十五億円、それから先ほどお話ございましたように五十年度から五十二年度までのものにつきまして平均で二千六百円程度、こういう引き下げになるわけでございますが、これが約五億円程度、こういうことで三十億円ということになるわけでございます。
  118. 瀬崎博義

    瀬崎委員 もしそれで計算いたしますと、今度は三年間か四年間初年度家賃を据え置く措置をとるわけでしょう。しかもそれは二十五億が丸々一年間に響いてくる。そうしますと、五十四年度は一体幾らの引き下げ財源が要ることになりますか。
  119. 有賀虎之進

    ○有賀参考人 引き下げにつきましては、今回の申請でも、こういうしかじかの理由のあるところにつきましては引き下げることができるということであって、これから団地ごとにあるいは付近の家賃の事情等も調査いたしまして具体的に決めていくことでございますので、まだ確定的な数字が出るわけではございませんが、先ほど私が申し上げました約二十五億円が五十三年度、こういうことと、もう一つは過去の五十年から五十二年までにつきまして五億円、こう申し上げたことについてお話し申し上げれば、五十四年度につきましては二十五億円が約五十億円程度に、それから五億円が約八億円程度になるのではなかろうか、こういうふうに考えておる次第でございます。
  120. 瀬崎博義

    瀬崎委員 それでほぼ六十億近くになるでしょう。そのほかに五十四年度の新規供給分の引き下げ措置を講じないと、またそこに大きな格差ができるでしょう。だから、もしいまの有賀理事計算からいくならば、この六十億では早くも五十四年度で今回の値上げ措置の財源が足りなくなる、こういう計算が出てくるじゃないですか。五十年から五十二年度供給分の値下げ額が約八億、それから五十三年度新規供給分二万六千戸とあなたおっしゃった、これの引き下げに五十億、これでほぼ六十億要ってしまうのです。では、五十四年度に新規供給する分の引き下げ額、どうせ五十三年度とほぼ同等額要るでしょうから、これを二十五億としてごらんなさい、約八十億要るのです。さっきから、今後は上げない上げないと言いながら、今回の値下げ措置をこのまま約束どおりやっていこうとしたら、早くも五十四年度でまた引き上げをせざるを得なくなる。算術が合わないじゃないですか。これは一体どういうことですか。
  121. 有賀虎之進

    ○有賀参考人 五十四年度につきましては、幾らくらいの家賃にするかということはいま定めておりませんので、それについての所要財源は明確に出ないわけでございます。そういったことで、いまの私の申し上げました、あるいは先生が御指摘の六十億円といった中にはその分は入っておりません。
  122. 瀬崎博義

    瀬崎委員 これが最後であります。  いまのように値上げの増収分の一部を値下げに回すと言いながら、その計算根拠はいまわれわれの手元には全然示されていない。仮にこちらが推計した数字で言えば、逆に取り過ぎのような計算になる、非常に取り過ぎになる。ところがいまの有賀理事計算からいけば、これは五十四年度で確実にいわゆる財源が足りなくなる。どっちにしたってそんな大きな開きのままで、それでなくても責任のない既存の居住者から値上げで取るのは間違っているところへ、全く根拠のないような数字で吹っかけているということは言語道断だと思うのです。だから、もしも本委員会の審議を聞いて大臣が正しい判断をしようと言われるならば、私は、まず今後の引き下げによる財源がどういう経緯を示すのか、その資料はきちんと出してもらいたいし、大臣もそれを見てからこの申請に対する判断を決めていただきたいと思うのです。  こういう状況のもとで、先ほど来の政府、大臣の態度などは、どうしても今月中には認可をしたいような口ぶりですから、これを本委員会が黙って見るわけにはいかぬ。  私どもは、後ほどぜひ理事会を開いていただいて、政府に対する決議を本委員会としてされるよう——一応共産党としてもその案文を用意しました。「政府は、公団家賃値上げ申請にたいして、月内にも認可しようとしているが、家賃値上げ申請は、政府・公団経営のズサンさ、住宅政策の失敗のためつくり出した高・遠・狭の責任を古い住宅居住者に対する家賃の一方的な値上げによって尻ぬぐいするものであり、認める訳にはいかないものである。この高・遠・狭、とりわけ高家賃と三万九千戸にのぼる新築空家発生の原因になった、地価と建築費の暴騰を放置した問題、政府が必要な資金の供給を行わず、民間資金依存からくる利子負担のため家賃原価の五六%が利子で占められている問題、利用方法のない千六百ヘクタールに及ぶ遊休地の負担分、河川、下水道、小・中学校建設など団地開発にともなう負担家賃算入問題の解決等を何ら示さないまま、軽々に値上げを認可すべきではない。公団住宅居住者は、百二十五万名にのぼる家賃値上げ反対署名を行っている。また、全団で五十五に及ぶ都府県、市町村自治体が、公団家賃値上げに反対する決議及び意見書を採択している。公団住宅の契約は、当事者間の合意を必要とするが、居住者、団地自治会に対し何らの説明もなされていない。十分な説明会、対話等を尽くし納得を得る必要があることは言うまでもない。国民及び自治体からこのような強い反対意見が出されている以上、これらの意見を十分にくみ取り、今回の値上げ計画は撤回すべきである。」以上であります。  これを委員長のお手元にお届けしておきますので、よろしくお取り計らいをいただきたい。その理事会は、ぜひこの本委員会後に開いていただきたい、お願いします。
  123. 伏木和雄

    伏木委員長 先ほど中村委員の御発言もありますし、それとあわせて理事会で検討をいたします。  次に、伊藤公介君。
  124. 伊藤公介

    伊藤(公)委員 今度の住宅公団家賃値上げの問題について、私どもは住民の皆さんからも多少お話を伺いながら、昨年の十二月の暮れに百二十万という大変な署名をもって一方的な住宅公団家賃値上げには断固反対である、こういう現実に入居をされている方々の意思表示を署名をもって実は私は見させていただきました。百二十万という数はもう御承知のとおり大変な数でございます。公団の賃貸に入っている、実際に入居している方々が百六十五万、分譲は二十四万人おられるわけでありますけれども、その中の百二十万の方々がすでに昨年の暮れまでには、はっきりこの一方的な値上げの提案には断固反対である、こういう意思表示をされました。私も、この署名を見ながら、実際に私もいま東京の町田市の鶴川団地というところに住んでおりますから、公団内容については私も多少理解をしているつもりでございます。公団には個々の、それぞれの置かれているいろいろな状況がございます。一律に古い公団住宅あるいは新しい公団住宅といって識別ができない。あるいは団地の中にそれぞれの要求も異なっているわけでございます。こうした背景の中で、去る十二月の二十二日、急遽十二月にこれは公団の問題を本気になって考えようではないかということで、国会の中に日本住宅公団を考える、また日本の将来の住まいを考える国会議員の会、こういう会を結成をしようということで皆様方にお呼びかけをしました。同僚の議員とともに、櫻内建設大臣就任早々でございましたけれども、公団家賃値上げについては慎重に検討してほしい、その内容等についても文書でお持ちを申し上げました。就任早々であるので恐縮だがまだ十分な検討をしていないので、これからゆっくり時間をかけて検討します。こういうお話で私どもとの面会が終わったわけでございますが、率直に公団からこうした提案がなされた時点で建設大臣、あなたの率直な御見解をきわめて簡単にお伺いをしたいと思います。
  125. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 私、就任後非常に重要な問題がここにある、またただいまの伊藤さんの御質問のことも現在でもよく記憶をしております。  そこで、そういうことでありまするから、私も相当精力的にこの問題に関心を持って見て、そして最近における新聞の論説であるとか、また居住者の皆さん方からのおはがきであるとか、いま百二十万の署名のこともお話が出ましたが、そういうものであるとか、でき得る限りの検討をいたしました。  そこで私の得ておる認識は、これが徹底をしておらないというよりも、相当徹底しておるという私は判断です。それで住宅公団の方へ聞いてみても、その文書の内容はいろいろ批判があるかもしれませんけれども、大体四回にわたってやっておる、と。しかし、これは広範囲のことですから、全部そこまでやっているかどうかは私はつまびらかにいたしませんけれども、私の調べたのではそういうことでありまするから、だから私としては、この問題に対する意見の相違はあっても、認識は十分、その批判の向きもまた要請をしている向きも皆あるのではないか、こういうふうに踏まえておるわけでございます。
  126. 伊藤公介

    伊藤(公)委員 私は、実際に入居をされている方々が、突然、今回は公団家賃値上げをするんだ、こういうお話を聞いて恐らくびっくりして、どうしても家賃値上げは反対だ、しかしその内容は一体どういうものか、なぜゆえに上げなければならないのか、また、七十年間の減価償却だということで、入居をするときにはかなり無理をして高い家賃でもがまんをして入った現在入居している方々が、七十年間の人生計画を立てて、そしてここでじっくりいろいろな計画を立てて生活をしよう、こういって入居をされた方々が、ここで値上げをされるということはとても大変であるということで意思表示をされたわけであります。  しかし、なぜ値上げをされるのかという内容については、いささかの説明も今日まで行われていない。わずか一枚のチラシ、ビラをもって値上げをしますというのでは、これは入っている借家人の方々と家主の公団の方のお話し合いは十分だとはとても言い切れないと私は思いますけれども、大臣のお考えはいかがでしょう。
  127. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 伊藤委員公団にお住まいで、いろいろの点について私としては敬意を表して聞かなければならぬと思います。私の方は、受けた書面であるとかあるいはお会いに来られた方々の御意見などを通じまして、たとえば私の手元にあるチラシなどを見ますると、非常に詳しく、もう私もわからないぐらいな専門的なことにまでわたる内容のものになっておるのですね。そういうものにつきましては、建設省内の住宅局の方へこれはどういうことになっているか、どういうことになっているかというように検討までしておって、それでその折に、私の感じでは、ここまでのことを言われておるということであれば、これは大体の御理解を得られるような下地にはなっておる、こういうふうに見ておるのであります。これは私の率直な見方を申し上げるわけであります。
  128. 伊藤公介

    伊藤(公)委員 時間が限られておりますから、私はそれ以上は申し上げませんが、建設大臣の認識と私の認識とはきわめて大きな隔たりがあるということを私の認識として申し上げておきたいと思うのです。  一片のチラシで値上げを通告をするというのでなしに、しかもいまその文書についてはいろいろな細かいことも書いてあるではないか、理解をしているではないかという大臣の答弁でありますけれども、それでは実際にいま団地に入っていられる百六十万を超える皆様方が、実際になぜ上げられるのだろうか、私たちは七十年間個別減価償却だ、こういって入って、そういう認識できた。昭和三十一年に公団が発足をして今度初めて値上げをされるわけですから、この値上げをされるということは、またこの次も国鉄と同じように、赤字になった、値上げをしてくださいという、まさに新しいスタートになるのではないかというおそれを非常に持っている。しかも公団住宅家賃というものは民間家賃にも大きな影響を与えるわけですから、そういう意味でぜひひとつ、私の認識は違うということを改めて大臣に申し上げて、次の質問をさせていただきたいと思います。  先ほど質疑の中で、住宅に関する審議会の答申によってというお話がずいぶん出ておりました。この審議会のメンバーの方々はどういう方々か、ちょっとお知らせをいただきたいと思います。
  129. 救仁郷斉

    ○救仁郷政府委員 詳しい御質問でございますれば、いますぐ資料を取り寄せてお答えいたしますが、これは住宅宅地審議会という性格上、国民各層のいろいろな代表の方々にお入りいただいているというように私ども考えております。たとえば、労働組合の代表の方々あるいは消費者団体の代表の方々、それから当然のことでございますが、学識経験者、そういったメンバーで構成されている審議会でございます。
  130. 伊藤公介

    伊藤(公)委員 いま私どもは公団家賃値上げの問題を審議しているわけでございまして、この審議会の中に実際に住宅に住んでいる方々の声が反映されるということが私はとても大事だと思うのです。メンバーの発表がなかったわけでございますけれども、政府機関等々の中にはいろいろな審議会等がございますけれども、必ず学識経験者だ、文化人だという名前が出るわけでございますが、本当に現実の生活の中から出されてくる意見というものを審議会の中で確実に受けとめて、そして政策に生かしていっていただきたい、このことを強く要望をしておきたいと思います。  私は、今度の家賃値上げに関しまして、なぜ家賃を上げなければならなかったのかという原因をやはり明確にしていかなければならないと思うのです。それはたとえば——まあ、住宅の問題は何といっても土地の問題でありますから、長期遊休土地の問題がずいぶん議論をされましたけれども、高過ぎる土地の問題、それから第二には、地方自治体の過大な公共あるいは公益施設の要求というのが最近は非常に強くなっているわけでございます。公団の皆様はこのことをひしひしと感じられていると思いますけれども、この問題も非常に大きな問題。第三点は、一概に私は天下りがいけないとか、役人の方々がということを申し上げるつもりはありませんけれども、今度の家賃値上げ等々の問題になってきますと、やはり遊休土地の問題あるいは利子補給の問題あるいは空き家三万九千戸の問題、そしてそういう中で、どうも公団の役員の皆さんは十三人のうち九人までは天下りじゃないか、われわれの気持ちなんか少しもわからないじゃないかという住民の皆さんの声が充満をしてきているわけでございます。きょうずっと議論をされてまいりました空き家三万九千戸の問題あるいは長期の遊休土地千六百ヘクタール等の問題あるいは公団の今日のあり方の問題等について、建設大臣、率直に、このままのあり方で一体いいと考えているのか、あるいはいけないとすればどこをどう改革をすべきとお考えでしょうか。
  131. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 経営の現在の状況については、先ほど来御質問で明らかになっておるわけでございまして、当然そういう点は改善されるべきだと思うのであります。国としても、これも御説明を申し上げましたように、利子補給や、またいま御指摘にあったような自治体の公共公益施設への影響を考えて、それらの施設を十分にするようにということで両々相まって改善をして、住宅公団賃貸住宅そのほかを御利用の方に少しでも御不安のないように努めるのが私どもの当然の任務である。  しかし、ここで私は皆さんの御理解を得たいことは、住宅公団というこういう機構で、りっぱな総裁以下の役員がおられるのでありますから、どちらかというと余り政府の方に頼り過ぎて、そしてその責任が緩慢になるというような事態になってはいけない。だから私は就任後、澤田総裁以下を信じて、そして真剣にやってもらうのが一番であるという気持ちを非常に強く持っておるということは申し上げておきたいのであります。そういうことによりまして、住宅公団に対するいろいろな批判が一日も速やかに解消して、お住まいの方々も安心していけるような、そういう住宅公団の運営を期待しておるわけでございます。
  132. 伊藤公介

    伊藤(公)委員 私は、公団の高家賃をまず引き下げるためには、先ほどの答弁の中にもございましたけれども、公団住宅というものが中堅勤労者対象の住宅であり、しかもきわめて平均的な方々に活用をしていただいている公団住宅の性格を考えますと、現実に入居をしている方々に対して過大な負担をかけるという形ではなしに、公団の借入金に対する国の利子補給あるいは政府の公団に対する予算等について、もう少し大胆に公団に対して支援をしてやるべきではないか。公団も、入居している方々に対してではなしに、政府に対してそういうきちっとした要求をすべきだと私は思いますけれども、大臣総裁ともに短い時間の中で御答弁をお願いいたします。
  133. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 私、ただいま申し上げたように、余り過度になってそれが安易な原因になってはならぬということは、これは伊藤委員にも御理解をちょうだいしたいと思うのです。  この二十年の経過を考えてみまするに、所得の増加であるとか、あるいはお勤めの方であれば、それぞれの会社の住宅手当などが二十年も据え置かれておるところなんというものは私はないと思うのです。ですから、そういう点でこの値上げにつきましても、入居しておられる方も、これは二十年も二十数年も放置されておったということが私は問題だ。しかし調べてみると、空き家の方は改善された、上げようと思っても上げられなかったという事情もわかってまいりました。しかし、収入もある程度上がり、また住宅手当も全然据え置きだなんというところは、私は調べてみたけれどもないのでありますから、やはり物をよくするというときは、われわれも真剣にやりますが、御協力もお願いしなければならぬ。特に伊藤委員お住まいでありますから、これは私、お願いをしておきます。
  134. 澤田悌

    澤田(悌)参考人 大事な点の御指摘でございますが、大綱はいま大臣から申し上げたとおりでございますけれども、住宅公団一つの企業体として考えますときに、それは政府機関としての特別な企業体でございまして、勤労者層のために優良な、しかも安い家賃住宅供給するというのが基本的使命でございますから、その使命に合うように全力を尽くすのが私どもの立場でございます。そして、現に利子補給その他、資金は全部政府資金で賄っておるわけでございます。政府の非常な配慮のもとに安い家賃でいけるよう努力をしておるわけでございまして、そういうことでございますから、一般の民間住宅に比べて家賃が安いのは当然でございます。しかし、それが安過ぎるようになっても、これはまた政府の援助があるだけに問題がございます。  それで、先ほど大臣からもございましたように、公共公益負担等の御配慮を含めて、われわれこれからいろいろと政府に要請してまいりたいとは思いますが、同時に甘え過ぎてはいかぬ、われわれの企業努力をこれからも真剣に努めて、経営の改善に邁進したい、かように考えておる次第でございます。
  135. 伊藤公介

    伊藤(公)委員 利子補給をしても、たとえば昭和五十二年度ですと、補正予算で三百五十億円の利子補給がされた。ところが、これは住宅公団の一日十億円の利子補給——借入金の利息ですね、借金を返す一日分にしか当たらない。結局、政府がいろいろな補助をしても、いろいろな赤字の借金をしたその埋め合わせにしかすぎない。こういう形では、公団のこれからの経営を考えますと、いつまでたっても、これを出発にして家賃はまた次に上がるのではないかという心配が非常にあると思うのです。  それで私は、値上げに関して基本的に、日本の平均的な公団住宅に住んでおる方々家賃の体系というものを、一体どこに基本を置いてやっていくことが正しいのかという家賃体系をきちっとつくっていかなければならないと思うのです。  時間が参りましたから最後の質問になりますけれども、建設大臣は、たとえば収入の何%が家賃として一番適当であるとお考えになっているのか。念のため申し上げておきますと、いま日本人の平均的な給与が、三十人の従業員を抱えたと言われる事業所を基準にして見ますと十七万三千四百五十五円、平均家賃はいま、公団住宅は四万七百円ということでございますが、一体どこに日本の平均的な方々の住まいの、月収の中に占めるパーセントを置くのかというきちっとした体系をつくっていかなければいけないと思いますが、いかがでしょうか。
  136. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 これは私が独善に陥ってもいけないのでありまして、審議会の方に恒久的な家賃の上げ方については学識経験者を初め委員方々にいま御諮問を申し上げておって、ことしの秋くらいには御答申が得られるのではないかということで、その方に私はお任せしたいと思いますが、大まかに、これも住宅局長からもお答え申し上げておるように、一体応能家賃はどれくらいかということから検討してまいりますると、収入の一五%くらいなところを一つのめどにして考えたらいいのではないか。しかし、審議会の方の御意見を尊重したいと思います。
  137. 伊藤公介

    伊藤(公)委員 数少ない大衆的な人気があると言われる建設大臣の就任されて初めての仕事が、公団にお住まいになっておるきわめて多くの方々の強力な反対の中で家賃値上げなどということにならないように強力にお願いを申し上げまして、私の質問を終わります。
  138. 伏木和雄

    伏木委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後八時三十五分散会