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1978-04-21 第84回国会 衆議院 決算委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年四月二十一日(金曜日)     午後一時開議  出席委員    委員長 楯 兼次郎君    理事 宇野  亨君 理事 國場 幸昌君    理事 葉梨 信行君 理事 森下 元晴君    理事 馬場猪太郎君 理事 原   茂君    理事 林  孝矩君       西田  司君    野田 卯一君       村上  勇君    村山 喜一君       春田 重昭君    安藤  巖君       大成 正雄君  出席国務大臣         通商産業大臣  河本 敏夫君  出席政府委員         通商産業大臣官         房長      宮本 四郎君         通商産業大臣官         房審議官    島田 春樹君         通商産業大臣官         房審議官    山口 和男君         通商産業大臣官         房会計課長   小長 啓一君         通商産業省通商         政策局長    矢野俊比古君         通商産業省通商         政策局次長   花岡 宗助君         通商産業省貿易         局長      西山敬次郎君         通商産業省産業         政策局長    濃野  滋君         通商産業省立地         公害局長    左近友三郎君         通商産業省機械         情報産業局長  森山 信吾君         資源エネルギー         庁長官     橋本 利一君         資源エネルギー         庁長官官房審議         官       武田  康君         中小企業庁長官 岸田 文武君  委員外出席者         公正取引委員会         事務局取引部下         請課長     菊池 兵吾君         警察庁刑事局保         安部保安課長  柳館  栄君         法務省刑事局刑         事課長     佐藤 道夫君         大蔵省主計局司         計課長     石井 直一君         大蔵省銀行局総         務課長     石川  周君         大蔵省国際金融         局企画課長   橋本 貞夫君         工業技術院標準         部長      下邨 昭三君         消防庁危険物規         制課長     小池 次雄君         会計検査院事務         総局第四局長  阿部 一夫君         中小企業金融公         庫総裁     渡辺 佳英君         中小企業金融公         庫総務部長   平山 平吾君         中小企業信用保         険公庫理事   上国料 巽君         中小企業信用保         険公庫経理部長 杉山  孝君         決算委員会調査         室長      黒田 能行君     ————————————— 委員の異動 四月二十一日  辞任         補欠選任   山口 敏夫君     大成 正雄君 同日  辞任         補欠選任   大成 正雄君     山口 敏夫君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  昭和五十年度一般会計歳入歳出決算  昭和五十年度特別会計歳入歳出決算  昭和五十年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和五十年度政府関係機関決算書  昭和五十年度国有財産増減及び現在額総計算書  昭和五十年度国有財産無償貸付状況計算書  (通商産業省所管中小企業金融公庫中小企  業信用保険公庫)      ————◇—————
  2. 楯兼次郎

    楯委員長 これより会議を開きます。  参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  昭和五十年度決算外二件中総理府所管中科学技術庁について、来る二十五日、東京大学名誉教授国立相模原病院顧問長野泰一君、東京大学医科学研究所附属病院放射線科科長飯野祐君の両君に参考人として出席を求め、その意見を聴取することにいたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 楯兼次郎

    楯委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  4. 楯兼次郎

    楯委員長 昭和五十年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、通商産業省所管中小企業金融公庫及び中小企業信用保険公庫について審査を行います。  まず、通商産業大臣から概要説明を求めます。河本通商産業大臣
  5. 河本敏夫

    河本国務大臣 昭和五十年度通商産業省所管歳入歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  まず、一般会計歳入歳出決算につきまして御説明いたします。  通商産業省主管歳入につきましては、当初予算額は四十七億一千百四万円余でありますが、予算補正追加額二十二億一千三十六万円余の増加がありましたので、歳入予算額は六十九億二千百四十一万円余となっております。  これに対しまして、収納済歳入額は六十八億七百五十万円余でありまして、これを歳入予算額と比較いたしますと、一億一千三百九十万円余の減少となっております。  これは、特許庁における刊行物の売り払いによる収入が予定より少なかったこと等によるものであります。  次に、通商産業省所管歳出につきましては、当初予算額は二千八百九十二億九千百六十万円余でありますが、予算補正追加額四十三億六千百九十一万円余、予算補正修正減少額六十五億四千六百三十九万円、総理府所管から移しかえを受けた額百十四億七千九百六十三万円余、前年度からの繰越額二百五十九億一千四十二万円余の増減がありましたので、歳出予算現額は三千二百四十四億九千七百十八万円余となっております。  これに対しまして、支出済歳出額は二千九百六十二億一千七百三十三万円余でありまして、その主なものといたしまして、中小企業対策費九百八十七億五千三百五十五万円余、科学技術振興費五百八十五億九千五百八十万円余、経済協力費五十六億一千二百七十七万円余、公共事業費二百七十五億三千五百六十七万円余等となっております。  この支出済歳出額歳出予算現額との差額は二百八十二億七千九百八十五万円余となっております。その差額のうち、翌年度へ繰り越しました額は百八十九億一千百六十五万円余でありまして、不用となりました額は九十三億六千八百十九万円余となっております。  次に、通商産業省所管の各特別会計決算について御説明いたします。  第一に、電源開発促進対策特別会計であります。  収納済歳入額は四百四億一千七百二万円余、支出済歳出額は百十七億九千五百二十八万円余であります。  収納済歳入額支出済歳出額との差額は二百八十六億二千百七十三万円余でありまして、翌年度へ繰り越しました額は二百十七億五千九百九万円余、剰余金は六十八億六千二百六十四万円余となっております。  第二に、石炭及び石油対策特別会計であります。  まず、石炭勘定であります。  収納済歳入額は一千二百二十一億二千五十六万円余、支出済歳出額は一千百二億三千九百十六万円余であります。  収納済歳入額支出済歳出額との差額は百十八億八千百四十万円余でありまして、翌年度へ繰り越しました額は三十三億四千二百十八万円余、剰余金は八十五億三千九百二十一万円余となっております。  次に、石油勘定であります。  収納済歳入額は四百八十三億五百十一万円余、支出済歳出額は四百十五億五千九百十二万円余であります。  収納済歳入額支出済歳出額との差額は六十七億四千五百九十八万円余でありまして、翌年度へ繰り越しました額は三十六億六千四十三万円余、剰余金は三十億八千五百五十五万円余となっております。  第三に、アルコール専売事業特別会計であります。  収納済歳入額は百六十八億四千五百二十四万円余、支出済歳出額は百六十七億五千七百四十七万円余であります。  この会計損益計算上の利益は十億一千七百七十五万円余となっておりますが、その全額を運転資金増加に充てることとし、翌年度以降において納付することといたしました。  第四に、輸出保険特別会計であります。  収納済歳入額は八百八億九千三百五十四万円余、支出済歳出額は百三億二千八百三十一万円余であります。  第五に、機械類信用保険特別会計であります。  収納済歳入額は二十九億二千六百二十二万円余、支出済歳出額は四億二千五百五十五万円余であります。  なお、一般会計及び特別会計事業の詳細につきましては、お手元にお配りいたしております「通商産業省所管昭和五十年度歳入歳出決算概要説明書」に記述してありますので、ごらんいただきたいと存じます。  最後に、五十年度通商産業省所管決算につきまして、会計検査院から不当事項として指摘を受けたものがありますことは、まことに遺憾に存じております。  今回、不当事項として指摘を受けましたものは、中小企業設備近代化補助金財源とする都府の貸付金運営が当を得ないもの二件であります。  この指摘事項につきましては、直ちに返還を命ずる等、その是正、改善の措置を講じたところであります。  今後は、この種の事態の発生を未然に防止するため、より一層の指導、監督等を行い、かかる事態の絶滅に努力いたす所存でございます。  以上をもちまして、昭和五十年度における通商産業省所管一般会計及び特別会計決算に関する御説明を終わります。  何とぞよろしく御審議のほど、お願い申し上げます。
  6. 楯兼次郎

  7. 阿部一夫

    阿部会計検査院説明員 昭和五十年度通商産業省決算につきまして検査いたしました結果の概要説明申し上げます。  検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項二件でございます。  これらは、中小企業者設備近代化に資するため、無利子で融資する貸付金財源として国が都道府県に交付した中小企業設備近代化補助金に関するものでございまして、その貸し付け適否等について調査いたしましたところ、当該年度設備を購入することとして貸し付けているのに実際には購入されていなかったりしているものなどがありまして、いずれも貸し付け補助の目的に添わない結果になっていると認められるものでございます。  以上、簡単でございますが、説明を終わります。
  8. 楯兼次郎

  9. 渡辺佳英

    渡辺説明員 昭和五十年度における中小企業金融公庫業務について、御説明申し上げます。  当公庫は、昭和五十年度の当初貸付金を八千九百四十四億円と定められましたが、不況長期化に伴い、中小企業をめぐる経営環境が極めて厳しいものとなってきたこと等から、下期中小企業金融対策として、一千六百八十億円の貸付金追加が認められましたので、これにより、前年度実績に比較して一〇・五%増に相当する一兆六百五十九億六千六百二万円を中小企業者に対して貸し付けたほか、設備貸与機関に対して八十五億三千四百三十七万円余、中小企業投資育成株式会社に対して十七億円の貸し付けを行い、総額一兆七百六十二億三十九万円余の貸し付けを実行いたしました。  中小企業者に対する貸し付け一兆六百五十九億六千六百二万円のうち、設備資金は、その四七・七%に相当する五千八十億九百五十四万円余、運転資金は同じく五二・三%に相当する五千五百七十九億五千六百四十七万円余となっており、また、直接貸し付けは一兆六百五十九億六千六百二万円の五四・八%に相当する五千八百三十七億六千三百八十万円(一万七千七百四件)、代理貸し付けは、同じく四五・二%に相当する四千八百二十二億二百二十二万円(四万五千八百九十七件)となっております。  年度末総貸付残高は、二兆四千二百八十八億六千五百八十四万円余で、前年度末に比べ三千五百二十二億八千七百二十四万円余、一七%の増加となっております。  昭和五十年度融資に当たりましては、不況下における企業経営の維持、深刻化する公害、環境問題への対応等厳しい事態に直面している中小企業者に対し、経営安定化のための資金について、業種、地域の実情に応じたきめ細かい配慮を払うとともに、中小企業者事業活動円滑化設備合理化省力化環境保全等に資する緊要な資金について配意してまいりました。  また、前年度に引き続き、中小企業近代化促進法指定業種に属する中小企業者構造改善事業等に必要な資金及び流通機構近代化合理化産業公害の防止、産業安全の確保等のために必要な資金についても、積極的に対処してまいりました。  一方、こうした中で、景気対策の一環として、一般金利水準引き下げられたことに伴い、貸付利率引き下げを行いました。  なお、昭和五十年度におきましては、中小企業者の一層の便益に資するため、堺出張所を新設するとともに、奈良出張所を支店に昇格させました。  最後に、当公庫損益計算について申し上げますと、昭和五十年度におきましては、貸付金利息収入等の総益金は二千四百八十三億四千二百八十五万円余、借入金利息事務費、滞貸償却引当金繰り入れ等の総損金は、二千四百八十三億四千二百八十五万円余となりました。この結果、利益金は生じなかったので、国庫納付はいたしませんでした。  以上をもって、中小企業金融公庫昭和五十年度における業務概況の御説明を終わります。
  10. 楯兼次郎

  11. 上国料巽

    上国料説明員 総裁はあいにく病気のために休んでおりますので、かわりまして御説明させていただきます。  中小企業信用保険公庫昭和五十年度業務概況につきまして、御説明申し上げます。  御承知のとおり、五十年度景気低迷状況を続け、企業倒産が大幅に増加するなど、中小企業経営環境には非常に厳しいものがありました。  このような情勢下に、中小企業金融の一層の円滑化を促進するため、信用補完制度におきましてもその充実強化が図られた次第でございます。  すなわち、中小企業信用保険法改正により、無担保保険及び特別小口保険保険限度額が引き上げられるとともに、同法施行令改正により、保険料率引き下げが実施されました。  このほか、国の一般会計から保険事業の円滑な運営を図るための原資として、保険準備基金五十億円及び信用保証協会保証活動円滑化を図るための原資として、融資基金百八十億円、合計二百三十億円の出資が行われるなど、本制度の一層の推進強化が図られた次第でございます。  まず、保険事業について見ますと、公庫が全国五十二の信用保証協会との間に締結いたしました保険契約に基づく保険引き受けは、件数で百一万七千件余、金額で三兆五千五十六億三千三百九十二万円余になっております。これを前年度に比較いたしますと、金額で三千三百四十七億八千九十七万円余、比率にいたしますと、一〇%の増加になっております。  この結果、昭和五十年度末の保険引き受け残高は、件数で百六十二万件余、金額で五兆六千八百七十四億五千四百十一万円余となっております。  なお、保険金の支払いは四百八億六千三百六十二万円余になりまして、これを前年度の二百五十七億八千三百二十四万円余に比較いたしますと、金額で百五十億八千三十七万円余、比率にいたしますと五八%の増加になっております。  一方、信用保証協会に対する融資事業につきましては、昭和五十年度におきまして国の一般会計から新たに出資されました百八十億円及び既往の貸し付けに係る回収金六百九十億二千九百万円、合計八百七十億二千九百万円をもちまして、長期貸付八百六十八億八千六百万円、短期貸付五千万円、合計八百六十九億三千六百万円の貸し付けを行いました。  この結果、昭和五十年度末における貸付残高は千二百二十九億七百万円になっております。  次に、収入支出及び損益概況について申し上げます。  まず、収入支出について申し上げますと、収入済額は三百八十九億九千四百四十二万円余、支出済額は四百二十七億七千五百十万円余でありまして、差し引き三十七億八千六十七万円余の支出超過になっております。  損益計算につきましては、さらに支払備金等整理を行いました結果、総利益及び総損失は同額の六百五十二億五千四百九十九万円余でありまして、損益を生じませんでした。  以上、簡単でございますが、昭和五十年度業務概況につきまして御説明申し上げた次第でございます。
  12. 楯兼次郎

    楯委員長 これにて説明の聴取を終わります。     —————————————
  13. 楯兼次郎

    楯委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。森下元晴君。
  14. 森下元晴

    森下委員 わが国経済は三つのむずかしい問題を抱えて、この打開のために苦悩しております。その一つ不況よりの脱出、それから円高をどうするかという問題、それから経常収支黒字の問題、これを抱えております。  そこで、四月十八日の新聞にこういう記事が載っておりました。黒字減らしで二十一日に閣僚会議をやる。その内容は、政府海外経済協力を推進する。昨年、東南アジアへ総理がおいでになったときに、日本経済大国としての力を対外援助を通じて役立てるため、五年間に倍増させる、こういう国際的な公約をしてきたわけでございます。それでもちょっとなかなか追っつかぬものですから、今回の閣僚会議で三年間で援助を三倍にしたい、こういうような内容新聞記事でございますけれども、この点、通産大臣、きょうそういう意味の閣僚会議があって、そういう内容でお話しなさるのか、それを初めにちょっとお伺いしたいと思います。
  15. 河本敏夫

    河本国務大臣 本日、朝八時から九時まで経済対策閣僚会議がございまして、検討いたしました事項が三つございます。その一つ緊急輸入対策の拡充であります。それから第二が経済協力を拡大していこうという考え方、それから第三が円高差益消費者に還元すべきであるという、それに基づいての諸対策、以上三件を相談をしたわけであります。  いまお尋ねの問題は第二の経済協力に関する問題でございますが、わが国海外経済協力先進工業国の中で比率から言いますと一番低い方にございます。こういうことでは経済大国日本として大変遺憾な状態でございますので、この経済協力を飛躍的に拡大をしていくという方向を今回確認をしたわけでございます。  これまで発展途上国等に対する開発援助はおよそ五年以内に倍にしよう、こういう方針が決められておりましたが、それではいかにもスピードが遅いわけでございますので、これをもっと短縮いたしまして、たとえば三年以内に倍にしようとか、そういう機運がきわめて強くなってきております。しかし、本日の段階ではまだ最終の結論は出ておりませんで、後引き続きましてどの程度促進するかということについては後日正式に決定することになっております。
  16. 森下元晴

    森下委員 ごていねいなお答え、ありがとうございました。日本経済大国そして援助小国、こういうことを欧米から批判されております。いま大臣からもお話しございましたように、ODAの対国民総生産、GNP比率が非常に低いわけでございまして、現在は〇・二%ぐらいでございます。これを大体〇・七%ぐらいまで高めてくれというのが関係国からの要望でございまして、それまでいかぬにしても〇・三%とか〇・四%ぐらいまでは持っていかないと、とうてい先進国としての資格がない、そういうふうに私自身も思っております。  そこで、同じ援助でも、その援助資金日本製品を買い付けるのでは結局それだけの黒字は減らぬわけでございまして、アンタイドローンと申しますか、製品の買い付けの義務を伴わない内容のものに切りかえていく、こういうこともこの新聞では書いてございます。  そこで、通産省では前から砂漠緑化という問題、これは通産省がどの程度規模でやれるか、私自身通産省の次官のときにそれを担当いたしまして、いろいろ悩んだり、私なりの考え方現地まで実は行ったわけでございますけれども、中途半端な援助では果たして成功するかどうかということでございます。砂漠緑化という問題はなかなかそう簡単にいきにくいように私は思います。日本沙漠開発協会という協会がございまして、千代田化工建設の出雲井さんがその理事長で、財界が中心になりましてやっております。通産省の方から大体三分の一ぐらいの政府援助が出ておりまして、鳥取大学の佐藤教授中心になりまして現地に若い研究員を送って一生懸命やっております。昨年は三宅副議長もおいでになりまして、現地を見てこられておりますし、実はかなり力を入れておるわけなんですが、果たしてこの程度規模アラブ首長国また砂漠の国が期待するほどの成果が上がるかどうか。万一失敗すれば非常に日本に対する不信感が出てくるわけでございまして、この点関係の方から、この程度でずっと続けていくのかどうか、これを簡単で結構でございますから、まずお答え願いたいと思います。
  17. 矢野俊比古

    矢野政府委員 ただいま先生から御指摘がございましたアブダビの実験農場、御承知のとおり昭和五十一年十一月に実験を開始してすでに一年半を経過しておるわけでございます。いろいろの資金的な悩み、あるいはいわゆる砂漠の砂じんというようなものが農場に非常に大きな影響があるということで、相当大きな負担をかけたこともございまして、そういう点ではいろいろ私ども関係者ても協力を求めて一応軌道に乗せております。もちろんいまの状況で十分かという点につきましては、私どもはいまは実験中でございますし、砂漠緑化技術確立ということが目標でございますから、この技術確立がいわゆる実効が上がるような方向でさらに大いに力を入れていかなければいけない、こういうふうに考えております。
  18. 森下元晴

    森下委員 私はそういう種類の海外援助というものは、日本からそういう援助という行為を示して、そして日本にない石油とか天然ガスをいただいてくる、そういうような一つの条件サービス的にやっておるんじゃないか、予算を見ましてそういう感じが実はせぬこともございません。やはり砂漠の国の人が何千年の悲願である緑化問題等でございますから、通産省だけのベースじゃなしに、国として大々的にひとつ取り組んでいくべきである。先ほどお話しございました政府対外経済協力の大筋に乗せてやるべきである。過去にやったことは非常にそれなりの効果はございますけれども、私はこのままではしりすぼみになるような感じがいたすわけなんです。  そのほかにブラジルでこれからやろうとされておるようでございますけれども、いわゆるマンジョカという芋をつくりまして、それからアルコールをとっていこう、これも考え方としては非常にりっぱでございます。いわゆるでん粉アルコールに変えよう。太陽エネルギー土地から吸い上げた栄養分によってでん粉をつくる、そしてアルコールにしていこう。これでございましたら、太陽エネルギーは永久的でございますし、地力も使い方によれば永久的でございますから、いわゆる大地の栄養太陽エネルギーでん粉からアルコールをつくっていこう。ブラジルのような広大な土地でございますから、これは将来の一つエネルギー源としても重要である。千葉先生が一生懸命やっておられます。これも通産省が非常に援助しておるわけでございますけれども、私は、通産省資金の問題、また省としての一つ限度がございますので、こういう問題はもう少し上の段階でやるべく通産省からひとつ働きかけてもらいたい。それがひいてはまた、海外援助が将来の日本貿易にそれだけ貢献する、こういうふうに実は思います。  もう一つ大きなプロジェクトと申しますが、計画がございまして、今後の問題としてわれわれもやりたいと思うのは、インドの砂漠緑化なんです。アラビアとか、いわゆる雨の少ないところの砂漠は、これは砂をとめてあとは水をどうするかということでございますけれども、インドの砂漠は雨季と乾季とございまして、かなりの雨量がございまして、地下にはそれだけの貯水された地下水がございます。だから、むしろアラビアの砂漠よりも簡単に緑化できる要素がございます。福岡県に住んでおります杉山龍丸という方がそれに一生命懸取り組まれております。この方は杉山捨丸という人のお孫さんで非常に有名な方でございますけれども、国連の援助も受けて非常に熱心にやっておられます。実は私、あさってそこへ一遍訪ねていっていろいろ御意見を聞きたいと思うのですが、そういうふうな援助の形、これは必ず日本人の真心というものがインドとか、またアラブの国、またブラジルというところに残るわけでございまして、ひとつ将来の問題として、通産省が音頭を取っていただきまして、通産省予算内ではとうてい足りっこないし、また限度がございますので、いわゆる黒字減らしという、日本経済をどうするかという、こういう非常に大きな問題のときに、思い切ってそういう資金が堂々と出せるように、しかも、日本の善意というものがそういう国々に通ずるように御配慮願いたいと思います。  そこで、ひとつ大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  19. 河本敏夫

    河本国務大臣 森下議員がかねがね世界の砂漠緑化、こういう雄大な事業に熱心に取り組んでおられることに対しては、私は敬意を表しておるものでございますが、幸いに本日の会議で、海外経済協力を飛躍的に拡大していこう、こういう基本方針が決まりましたので、幾つか細々進めておりました開発事業プロジェクト、協力事業、こういうものも画期的に進むのではないか、このように私どもも期待をいたしております。相手のアブダビ政府もこの事業には大変強い期待を持っておるようでございますから、予算面でも十分配慮するよう政府部内をまとめてまいりたいと存じます。
  20. 森下元晴

    森下委員 この問題は自民党だけではなしに、三宅副議長も非常に力を入れられまして、超党派的にやろうというような力強い後押しもございますので、ひとつよろしくお願いしたいと思います。  次の問題に移ります。  次の問題は、原子力の平和利用の問題、特に発電用原子炉の商業製品としての開発の問題です。去年の決算委員会で通産省所管のときに質問をさせていただいたわけでございますけれども、その後情勢も多少変わっておりますし、将来わが国が知識集約型の産業、いわゆる商品として輸出するには最もふさわしい発電用の原子炉の開発であるべきである、私は実はこのように思っております。かつては造船においては世界一でございましたし、いまは電気製品とか自動車は非常にいいわけでございますけれども、これがアメリカとかヨーロッパに集中的に輸出されるものですから、ダンピングでないだろうかというようなことを言われまして、また、いろいろ告訴までされてやっておるようでございますけれども、自動車とか電気製品も結構でございますが、単体で二千億、三千億もするそういう高度な知識集約型の軽水炉、これに私はもう少し力を入れてもらいたい。これは科学技術庁の方へも申し上げなければいけない問題でございますけれども、私は、商業製品として将来日本の輸出産業の花形として伸びるためには、ぜひこの原子炉の開発を——しかも、御承知のように軽水炉はいまアメリカからほとんど買っておりまして、アメリカの軽水炉は一〇〇%安全だというようなことでアメリカに頼ったのだろうと思いますけれども、残念ながらあちこち故障が起こりますし、アメリカで同じ型のもので故障があった場合には、日本で使っておる同じ型のものは全部ストップしなければいけない。原子力発電の効率がいま非常によくないと実は聞いております。  最近、東京電力がドイツからKWUの、これはクラフトベルクウニオンというシーメンス系の会社ですが、ここから発電用の加圧型の原子炉を買いたいというふうなことも新聞に載っております。西ドイツはすでにブラジルに五基も契約して着々とやっておると思うのです。イランにも建設しております。  このドイツと日本は、原子力の平和利用のために出発したのは大体同じ時期でございますけれども、その金の使われ方が全然逆でございます。日本の場合は、将来は軽水炉はもうアメリカに頼ればよろしい、だから日本は高速増殖炉、それから核融合の方をやる方がいいんだというような考え方で、これは私は思い違いだと思うのですが、少し早とちりしたような感じで、それに数千億の金を出しております。しかし、軽水炉の開発のためには残念ながら三百億か四百億ぐらいの金しか出しておらない、こういう現状なんです。だから、原子力の平和利用の方向、方針が間違っておったんじゃなかろうか。その点ドイツは初めから軽水炉の開発に力を入れて、アメリカ型でない、いわゆるドイツ型の軽水炉をつくるんだということでやってきた。そして標準型の、いま申し上げましたKWUの加圧型の製品がまさに日本にまで入れられようとしておる。  こういう状況で、日本はかなり立ちおくれをしておりますし、一昨年五月に締結いたしました核拡散防止条約の内容を見ましても、この第四条には、平和利用のためには絶対にこれを応援する、こういうことを実は書いてあるわけなんです。しかし、どうも情勢が多少変わってまいりまして、アメリカが日本に対して少し干渉をし過ぎる。何かこう日本自身日本型の軽水炉を持つことにアメリカの干渉があるようにわれわれは実は感じます。われわれは核防条約を批准いたしまして、そしてそれに批准さえすれば、平和利用であれば——この条約の第四条には、原子力の平和利用は、加盟国の基本的権利であり、条約のいかなる条項も、この基本的権利に影響する解釈を行ってはならない、こういうことを書いてあるわけでございますけれども、残念ながら国際査察の問題等で実はアメリカからも国際信義に反するようないろいろな注文がつけられております。  たとえば人形峠なんかのパイロットプラントですね。これは五十四年の六月、運転開始予定でございます。これについても、少なくともイギリス、西ドイツ、オランダ、この三つの国で構成しておりますウランの濃縮共同体、これはURENCOという名前で呼んでおりますけれども、この程度の国際的な査察を受け入れることで済むと思っておりましたけれども、残念ながら実はそれ以上の厳しい査察を受けるようなんです。  もちろん日本がこれを軍事に利用するはずもございませんし、いわゆる濃縮ウランをつくる場合には、海外に委託する場合と、何カ国かで共同利用する場合と、自主技術の三つがあるわけですが、その自主技術の人形峠の問題さえも干渉をされようとしておる。何か産業スパイを入れられるような感じで、このためにどうしても日本型の軽水炉ができないように私は思うわけなんです。この点、大臣の御見解は多少違うかもわかりませんが、将来の日本の花形、知識集約型の軽水炉を商業製品としてつくっていく場合に、私はこれがかなり足かせ、手かせになるような感じがしておるわけでございます。  この点につきまして、これは通産省だけの所管でございませんけれども、簡単で結構でございますから、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  21. 河本敏夫

    河本国務大臣 日本の原子力発電はいま一千万キロを超えまして、アメリカに次いで世界第二位の地位にあります。したがいまして、この面で大きな役割りを果たしておるわけであります。  そこで、これまでは高速増殖炉を将来開発いたしまして、そのために核燃料の再処理、一連の事業を進めておるわけでございますが、これは私は原子力平和利用の本筋だと考えておりますけれども、いまのお話はそれには時間がかかり大分先のことではないか、だから現在の軽水炉をもう少し改良して海外にもどんどん出すということをやる必要があるのではないか、軽水炉の開発にもある程度取り組んでおりますけれども規模がきわめて小さいのではないか、こういう御指摘だと思いますけれども、その具体的な内容につきましては、政府委員から答弁させます。
  22. 武田康

    ○武田政府委員 先ほどのドイツの例のように日本でもいわば日本の自主的な軽水炉を持つべきではないかという御指摘でございますが、まことにごもっともでございます。  私ども予算を使いまして昭和五十年度からそれに取り組んでおりまして、これは軽水炉の安全性、信頼性の一層の向上、従業員の被曝の低減等を図るための自主技術に基づく改良を行って、その成果を踏まえた標準化を行い、わが国に適したいわば日本型とも言うべき軽水炉を確立するということでございます。それで、六カ年計画でございますが、現在官民協力してその改良標準化の作業を進めておりまして、いままでのところ格納容器の拡大ということを中心にいたしまして第一次の改良標準化プラントにつきまして標準仕様の作成をすでに終わっておりまして、これからつくります現実の原子炉に適用しようという段階までいっております。さらに信頼性なり経済性の向上を目指しまして、第二次の改良標準化を進めているところでございます。
  23. 森下元晴

    森下委員 通産省もその問題については前向きでやっておると言われました。それを大々的にやっていただくようにひとつお願いしたいと思います。  昨年、東北電力の女川原発の建設が地元の漁業組合の決議によって拒否されておりますが、この内容を見てみました場合に、原子力発電、特に放射能に対する恐怖心とか、補償金が少ないとかいう問題では決してないようでございます。温排水の問題でございまして、非常にあったかい水がたくさん出て魚がすめなくなる。現在の漁民全部でございませんけれども、大体全国的にかなりの部分は原子力発電についての勉強がかなりできておりますから、そのものの安全性については前に比べて理解度が強くなっているように思うのです。  ただ問題は、排熱公害をどうするかということです。現在の原子力発電のエネルギーは、直接これが電気を起こしているわけでございませんで、原子炉によってこの熱を蒸気にしてタービンを回しておる。これは石油を燃やして蒸気をつくってタービンを回すのと理屈は同じでございます。残念ながら発電効率が非常に悪くて三分の一くらいの効率しかない。三分の二は熱になって外に排出される。これは原子炉の問題と同時にいわゆる電気発電の効率の問題、これも実は検討をしてもらいたいと思っております。そういう問題が解消された場合には温排水の問題もかなり解消する、そして漁業関係の方も理解を示して予定どおりの原子力の平和利用が電力の確保ということで進んでいくのじゃないだろうか、このように思っております。  そこで、高速増殖炉また新型転換炉を直ちに中止してどうこうということでございません。繰り返しになりますけれども、まず軽水炉をマスターしてもらいたい。それから排熱の少ない改良型の、日本型の軽水炉の自主開発を進めてもらいたいと思います。そうしなければ、現在、きげん取りの教育行政と言われたり行き過ぎた福祉行政と言われておりますが、それに加えて無意味な原子力部門のむだ遣いという一部の声も実はあるわけでございますから、そういう面でもひとつ大いにチェックしてもらいたい。そして現在ドイツがやっておりますように、アメリカよりも安全で効率の高い日本型の軽水炉を将来商業製品にして出していただくようにお願いしたいと思います。  最後でございますが、これは要望だけ申し上げて御答弁は要りません。  非常に不況で、会社が倒産したり、また国民のふところはかなり先行き暗いものですから財布のひもを非常にきつく締めておるような関係もございまして、販売店とかまた消費者そのものにかなりの不安を与えておるいわゆる月賦制度、割賦販売法の問題でございます。  いわゆる大量生産大量消費の両循環に大きな役を示してこれに貢献してきたのも割賦販売によってでございますけれども景気が悪くなって倒産等がふえますと悪循環になって実ははね返ってまいります。たとえば四国の今治の波止浜造船、私も見に行きましたけれども、会社が倒産した、ローンでまだ金が全部終わっておらない。個人の貸借対照を見ますとなるほど品物は家にたくさんございましても大きな赤字がある、夜逃げをしなくてはならないという現実的な姿があるわけであります。  いわゆる割賦販売法の制度、こういう問題の見直し等についても、好況の時代と不況の時代、これは消費者と販売業者の両方にわたるわけでございまして、当時といまとではかなり差が出てきておると私自身も考えるわけでございます。ひとつ割賦販売法、特に冠婚葬祭の互助会等につきましても通産省として新しい事態に応じて内容をよく研究、検討し、また認識してもらいたい、これを通産大臣にお願いをいたしまして、ちょうど時間となったようでございますので、私の質問を終わります。  どうもありがとうございました。
  24. 楯兼次郎

    楯委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後一時四十九分休憩      ————◇—————     午後三時十八分開議
  25. 楯兼次郎

    楯委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。原茂君。
  26. 原茂

    ○原(茂)委員 きょうは耐久消費財の標準化その他をまず先にお伺いして、最後にまた、それらを含めて大臣に二、三所感をお伺いしたいと思います。  耐久消費財、特に電化製品中心に考えてみたのですが、米国なんかでは、家庭用の電気製品等に関してその安全性あるいはエネルギーの消費、こういうものについて、買い手がある銘柄をほかのものとよく比較をしたいと思う。特にその機器の耐用年数とかいわゆるライフタイム・コストといいますか、買った価格に維持費やその機器を使うために必要なエネルギーの使用を加えた合計額といいますか、そういうものを比較した資料がなかなか買い手の手に入らなかった。ところが、最近になってこれに対するめどがついたと言われています。世界的にも、特に日本はそうですか、エネルギーの効率的、能率的な使用に関する関心の高まりあるいは消費者運動、そういうものが原因して、国としてアメリカはこの問題に取り組んで約一年になります。  米国の議会では、各種の連邦機関に対しまして、主な機器の性能に関しての基準を設定するように要請する法令を制定しました。  二つ目に、NBS、すなわち米国国家標準局もこの関連機関の一つです。ここは主として長さや大きさ、時間などの測定値、それから原料の性質のようなことを扱う役所なんですが、これまで消費者問題を積極的にしかも定期的に取り上げてきたNBSと言われます米国国家標準局、ここに消費者用の製品技術センターというのがありますが、その技術センターでは、消費者に対して機器の耐久性と能率に関する情報を大量に提供するという作業に専門に取り組んでいます。この作業が完成しますと、ある種の大型機器では、たとえばトースターとか湯沸かし器、冷凍冷蔵庫、洗たく機、冷暖房機などの標準的な状態で使用しているときに必要なエネルギーの量や、そのエネルギーが使われた結果のエフィシェンシー、効率について、ラベルで明示して販売するようなシステムができるわけです。これによって、買い手はそのラベルをよく見ますと、ほかの品物と見比べまして、価格は安くてもエネルギーの需要が多くて、しかもその効率が悪ければ、長い使用期間中決して安くないということが、買い手、ユーザーに判断ができる、こういうラベルが張られることに近くなります。  日本も、省資源時代と言われている現在、最もこれが必要でございます。買い手のわれわれユーザーの家庭の出費もむだのないようにするためにも、このアメリカのような統一的な資料作成に手をつけるときが来たのではないかと思うのです。業者あるいは業界にいままでは任せきりのような状態になっておりましたが、特にエフィシェンシー、使用熱量に対する効率、これをあらわして初めて、われわれは幾多のメーカーの品物をラベルを見ただけで、政府の保証するマークがあれば本当にどっちが安いのか高いのかということの判断ができるわけですから、非常に大事なことと思いますので、単に業界に任せるというのではなくて、政府自身が責任を持って、このような、たとえば家庭電気製品等の主なものに対しては、そのエフィシェンシーというものを表示するということをやるべきだと思うのです。これが基本的には、素人であるわれわれユーザーが、どれが安いか高いかの比較になりますし、同時に熱の消費に対してその効率のいい悪いを判断することで、家庭の出費も非常に助かる、エネルギーの消費節約にもなる。いまやあふれるように各家庭に電気製品は行き渡りつつあるわけですから、これの使うエネルギーをいかに節約するかということは非常に大事な問題であります。  したがいまして、いま第一点としてお伺いしたいのは、単なる耐久性だけでなくて、入力に対して出力等のいわゆる効率に関する数字をラベルに張る、そこまでもう一歩進めていく必要があるんじゃないか。御存じのように、現在品質表示その他が行政指導その他で行われています。たくさんのものを見ましても、ただ入力が幾ら、容量はどのくらいでございます。コードの長さはどうですというだけです。その機器の効率というものは出てない。したがって、本当の意味の、これが長い間使って単価にふさわしい安いものなのか、他の製品の効率と比べると結果的には長期使用の中で高くつくものであるという判断などがユーザーにできるようなラベルを張る、こういうことにいままでと違って一歩踏み込んだ親切な行政があってしかるべきだと思うのですが、こういうような考え方をいましていますか、あるいは全然考えていないのか。いま考えているのでしたら大至急に実施する必要があると思いますが、その御意思があるかどうか、検討されているかどうか。  私が前段に申し上げたような、アメリカの標準局において近く実施しようとするこのシステムを研究されたり、あるいはもうすでにしておられるのか、この二点に分けて、まず最初にお伺いします。
  27. 森山信吾

    ○森山(信)政府委員 耐久消費財に関しまして、特にいわゆる家電製品につきまして先生からの御質問でございましたのでお答え申し上げますと、現在私どもが家電製品につきましていろいろ検討いたしております法律的な根拠といたしましては、一つは家庭用品品質表示法というものがございます。それからもう一つは電気用品取締法でございまして、前者につきまして申し上げますと、ユーザーの方がいろいろな製品をお買いになります際にどういう品質であるかということをおわかりいただくためのラベルを張ってもらう、こういうことを義務づけておるわけでございます。それから、後者につきましては、いわゆる電力消費量につきましての表示を求めておるわけでございますが、先生から御指摘のございましたエフィシェンシーの問題に関します限りは、現在法律的な裏づけは全くないわけでございまして、ただいま御指摘のございましたアメリカ等におきますそういった動きにつきましては、私どももよく勉強しておるところでございますけれども、現在私の方の工業技術院で、そういうことに踏み切る前の段階といたしましていかにして調査をするか、その調査のやり方につきまして、エフィシェンシーの問題及び耐久性の試験研究というものをどういう基準でつくっていったらいいかということを研究しているという段階でございまして、そういうものの研究結果を待ちまして検討を進めてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  28. 原茂

    ○原(茂)委員 現在は手がついていない、また考える時期に来ていないというのですが、私は、同時にこれは工業技術院その他が考えていい問題だ。いま工業技術院なり通産省中心でやっていることが終わったら、それからいまのエフィシェンシーに関する表示を次に考えるという必要はないと思う。いいことであるなら、現にやっているいまの技術中心の品質表示その他あるいは調査、こういうものをやる過程で効率を表示するという一つ追加目標を与えてそして検討をしていいのじゃないかと思う。どうでしょう、そうすべきじゃないでしょうか。おくれ過ぎてしまうと思いますが、いかがですか。
  29. 森山信吾

    ○森山(信)政府委員 省資源の立場あるいは省エネルギーの立場から言いましても、先生指摘の点は大変重要な問題だと私ども考えております。さらに、ユーザーの方々が商品を選択されます場合の一つのスタンダードになるわけでございますので、双方ともにメリットがあるのではないかということでございます。  先ほどお答えいたしましたように、大前提といたしまして私どもはそれに踏み切るための調査をまず実施すべきではないかということでございまして、後ほど工業技術院の方から現在の進捗状況につきまして御答弁があろうかと思いますが、私ども考え方といたしましては、そういった政策目標というものを前提に置きながら、どういうステップで作業を進めていったらいいのか、その辺の試験研究をまずやるべきではないかということでございまして、そういう線で現在進んでおるわけでございます。目標といたしまして、先生の御指摘になりました点は私どもも全く同感だというふうに考えております。
  30. 原茂

    ○原(茂)委員 いまの答弁で、調査が先で試験研究をやって、そうしてその問題に入っていくというように、切り離して現段階が終わった後というのじゃなくて、やはり同時に、調査、試験研究をやっていく過程で、いま私の申し上げたような効率の表示というようなものも、まあまあおまえの言うとおり考えてみょうという意思表示に聞いてよろしゅうございますか。それが一つ。  工業技術院からおいでいただいていますから、いま私の申し上げたような、局長のお答えいただいたことに反駁、反論しながら、私は同時に電気製品の性能、耐久性、こういうものを考えていくときにはエフィシェンシーは当然考えられているのですから、このエフィシェンシー、効率の表示というものに対しても一緒に現在やっている作業の中に追加して考えていってもそう大した困難はないのじゃないかと思うのですが、これは工業技術院の標準部長さんでわかるかな。  どうぞ、先に局長さんもう一遍。
  31. 森山信吾

    ○森山(信)政府委員 品質表示上ラベルを張らせるという問題との関連だというふうに了解いたしますが、先ほどお答え申し上げましたとおり、一つの法律的な根拠といたしまして家庭用品品質表示法というものがございますので、その現行法律の範囲内でただいま先生から御指摘のございましたことが実施できるのかどうか、その辺の法的問題もあわせて検討する必要があろうかと思います。  したがいまして、私どもは、まず技術的に究明できる問題を工業技術院を中心に急いでやっていただくのが手っ取り早い作業になるのではないか、こういう観点で作業を進めてまいりたい、かように存じておるところでございます。
  32. 下邨昭三

    ○下邨説明員 一口に家電製品と申しましてもたくさんの製品がございます。それぞれについてその性能がどういうものであるか、品質がどういうものであるかというようなことについて検討した結果を規格の中に織り込むという形で持っていきたいということでございます。中には品質、性能についての表示ができておるものもございます。その規格に合っているものについては、審査の上許可された工場に対しましてJISマークの表示という形で品質が良好であるということを指示しているものもございます。  もう一つの点で耐久性能の問題がございますが、耐久性能というのは非常に技術的にむずかしい問題でございまして、現在その試験方法について検討をしているところでございまして、試験方法の統一ができませんと、数字がばらばらになりまして良否の判定がかえってむずかしくなるというような問題がございますので、現在鋭意検討中でございます。
  33. 原茂

    ○原(茂)委員 この問題は非常に大事な問題で、いきなり具体論に入って大臣恐縮ですが、いまお聞きになったようなことで、素人の私が申し上げるのですからもちろん御理解いただいたと思うのでありますが、下邨さんの答弁は少し現在のJISマークの表示される内容と絡めながら答弁がありました。私はやはり国家的な立場で、省資源という、特にエネルギーは重要な問題でございますから、エネルギー問題で国民に知らず知らずに協力をしてもらうという意味で、大変効率の表示ということは必要だと思います。  アメリカなんかはもう相当進んでしまって、これが法令によって連邦にはもうすでに指示がされたわけでありますが、これは全米に近々のうちに行われると私は思います。事によったら、アメリカが今日まで調査研究をした過程を勉強に行ってでも、早期にいま取り入れられる範囲のものから——確かに電気用品は非常に種類が多うございますから、これ全部の必要はない。アメリカだって大型と言われるものにまず限定をして即実施という方向にいるようであります。わが国も、小さい電気アイロンに至るまでとは言いませんから、そういったもののアメリカにおける実施直前の、いままでの経過なり、その実態というものを勉強してでも、わが国がすぐ取り入れていいものは取り入れるという姿勢が、やはりエネルギーを大事にしようという、しかも知らず知らずに国民の側もエネルギー消費に対して節約という意味の協力をしてもらえるという意味では、非常に大きく家庭電気用品が行き渡っている今日、大事な仕事だ、国家的な仕事だ、私はこう思いますので、いいということがわかっているんでしたら、早急にこれが実施できるかできないかも含めて、アメリカ等の調査を行い、ヨーロッパ諸国の調査も行いながら、ぜひひとつ私はこの効率の表示というもの、しかもはっきりとユーザーが安心して買えるようなJISマークの中にこれが取り入れられて、製品を買おうとしたときにA、B、Cのメーカーの製品のどれがいいか、本当に安いのかの比較ができるようにしてやるという家庭経済への寄与をも考えて、即座に発動すべきだと私は思うのですが、大臣いかがでしょうか。
  34. 河本敏夫

    河本国務大臣 いま担当局長からは、実施するという前向きの方向で調査研究を進めたい、こういうことを言っておりますが、せっかくのお話でございますから、この調査研究を早めるようにしたいと思います。
  35. 原茂

    ○原(茂)委員 そこで、いまのJISについて少しお伺いをして、具体論に入っていきたいと思うのですが、工業標準化法、これは二十四年に制定されて以来今日に至っておる非常に古いものですが、この基準適用のJISマークというのが、いま物を買おうとするわれわれが一番信用するに値するよりどころになっております。ただ、これはややもすると、考え方によると、企業サイドのものなんです。端的に言うとメーカー規格と言っていいような、それを使用するわれわれ消費者、すなわちユーザーの規格でないという節々があります。これは一考に値すると思うので、二十四年制定以来非常な古さも感じますし、現在にそぐわない面もずいぶんあるわけですから、どうせこれの改定は必要になると思います。もうすでにそれをお感じになって仕事をされていると思うのですが、この機会にもう一つの大事な問題として、企業サイド、メーカーサイドの規格といういまのJISのあり方に対して、いわゆる消費者側の規格と言えるような面も考慮するということがまず第一に必要じゃないかと思いますが、この点どうでしょうか。第一点。  二つ目に、これらの家庭電気製品など、私に言わせると特にメーカーの御都合主義のいまの規格でなくて、消費者の立場に立って使用の規格、消費者規格といったようなものを取り入れると、たとえば家電製品どもう一段進めて、どのメーカーのものでも部品その他の互換性があるようにして、部品交換が非常に容易にできる、メーカーは違っても。主要な部品に対する互換性、インターチェンジアビリティー、こういうものが確立されるということは、非常にいろいろな面でまた家庭経済に寄与していきます。このことも二つ目に考慮すべきだということを含めて、第一の問題を考えるべきではないかと考えましたが、いかがでしょう。それが二つ目。  三つ目。現行のJIS規格、これは余りにもいわゆるコンポーネントといいますか、あるいは部品規格、これに重きを置き過ぎていて、消費者が買おうとする商品はコンプリートされたものなんですが、そのJISというものの規格の焦点が部品部品に置かれている。でき上がった完成品に対してのいわゆるJISという考え方にはちょっと遠い面がずいぶんある。こういう点も、われわれが買うのは全体にでき上がった商品なんですから、商品の一部である部品にJISがあっても、商品全体に対する信頼性というものにはどこかに少しギャップが出てきて信頼が置けないという心配があります。これも何とか考えなければいけないのではないかというふうに考えますが、まずいま言った三つに分けて、工業技術院からお答えをいただきたい。
  36. 下邨昭三

    ○下邨説明員 第一点の、使用者の規格になっておるかという点でございますが、JISの原案作成あるいは審議に当たりましては、日本工業標準調査会という場で十分審議をしていただくことになっております。そこにおきましては生産者、使用者、中立者、そのバランスが保たれた上で十分な審議がなされておりますので、使用者の意見も十分反映させ得ると私どもは考えております。  それから、第二点の互換性の問題でございますが、家電製品に例を挙げますと、家電製品の部品につきましては、たとえば螢光ランプとか乾電池もございます。それからコンセントとかスイッチとかいろいろな部品がございますが、そういうものについてJISが制定されておりまして、互換性の確保を図っております。  それから、完成品についてでございますが、個別商品につきましては、先ほどもお答え申し上げましたが、品目は非常にたくさんございますが、その中で重要なものについて取り上げまして、品質、性能のほかいろいろな定格がございますが、そういうものについて流通とかあるいは消費の公正化、合理化を図る観点からJIS化を進めております。交換機能部品につきましても実態に即して交換性の拡大あるいは品質の向上を図ってまいりたいというふうに考えております。
  37. 原茂

    ○原(茂)委員 私の先ほど言った、まあ常識上大型といいますか中型以上の電気製品、家電製品で完成品にJISマークがついているものは何割ぐらいありますか。  それから、いま互換性があるとおっしゃいますが、つくりつつあるとおっしゃるのですが、一体いま何割ぐらい互換性があると思いますか。パーツ全体から言って何割ぐらいが互換性があるとお思いになっているのですか、現在。
  38. 下邨昭三

    ○下邨説明員 家電製品につきましては、現在四十八品目の完成品につきまして規格ができております。  それから、部品につきまして何%と申し上げるのは非常にむずかしゅうございまして、先ほど申しましたようなコードとかコンセントとかプラグとか、そういう種類のものでございます。
  39. 原茂

    ○原(茂)委員 四十八品目というのはいわゆる中型以上の電気製品の何%になるか、感じでいいですからおっしゃってください。それが一つ。  いまの電気製品は工業技術院の調査研究が終わってJISマークが全部についているというふうに聞き取れてしまう。その全部が四十八品目だというふうにいまの答弁を聞いているとごまかされそうな気がする。毎年毎年どのぐらいJIS規格の認定をしているかという数を見ても、多いときで一年で十八か二十しかやっていない。少ないときは非常に少ないですよ、年間。いまの電気製品の数から言って何割になると思いますか。四十八品目JISマークがついています。交換する部品はコードだ何やかにやだとおっしゃいますが、そういうものがいわゆる主な部品ではない。心臓部と言われるようなトランスでございますとか、あるいはスピーカーでございますとか、ないしはコンデンサーでございますとか、とにかくある種の電気製品に大方使われているような、そういったものにまだ互換性というものが手が届いていない。非常に重要な部分なんです。コードはどこへ持っていっても、アイロンでも電気がまでも湯沸かしでも使えますという互換性だけを考えているというのは上っ面の互換性なんであって、私のいま言っている互換性というのはそういうものではない。一体そういう互換性を考えたときに何%ぐらい互換性がすでにあると言えるのかという、二つに分けてもう一度答弁してください。
  40. 下邨昭三

    ○下邨説明員 先ほどの物の例でございますけれども、大体家電製品の大物と申しますと幾つあるかというのはちょっと数え切れないのでございますが、たとえばということで例を挙げますと、電気掃除機とか電気こんろ、アイロン、電気オーブンから電子レンジ、それから大きなものでは電気洗たく機、電気冷蔵庫、ルーム・エア・コンディショナーその他の品目がございます。  それから、交換部品につきまして、まだ一部ではないか、こういうことでございますが、確かに私どももまだ十分とは考えておりません。家電製品のようにいろいろと常に技術的に改良を加えながら使用者の利便を考えていくというものでございますから、独自の技術開発に基づく設計によって行われることがございます。それが結果的に部品の交換性を持たせることが困難なものもございますけれども、われわれといたしましてはできるだけ広い範囲で統一化し、あるいは単純化可能なものについて技術進歩を阻害しないように考慮しながら標準化を図るようにしていきたいと思います。
  41. 原茂

    ○原(茂)委員 これだけ余りやっているともう後が進まなくなるのですが、私、承知の上で少し過酷な要求なり注文をつけようという立場できょうは物を言っていますから。ただ、全体的に言って、前段に申し上げた効率の問題も含めて、いま国家的に熱エネルギーの消費に対して何とかしてこれを少しでも減らしていきたいという目的があるわけですから、それに沿うというような大きな意味の思想も取り入れながら、工業技術院の皆さんにもあるいは通産省の皆さんにもこの種の問題に取り組んでいただかないといけないなと思いますから、少し過酷なことも多少あるかもしれません。しかしながら、そういったことに対して相当の注意どころか大きな目標を設定していかないといけないときがいま来ているんだということもどうか理解しながら、御答弁を願いたいと思うのです。  次に進みます。これも三つ先にお伺いしますが、JISの指定を行う、いまお話のありました日本標準調査会、ここにユーザーの代表その他が十分にいて審議をして決定いたします。こうおっしゃるのですが、この本会議というのか総会、これは五十年度に一回しか開いていない。五十一年度は全く開かれていない。五十二年度も一回だけなんですよ。先ほど、いかにもこれがあってここでみんな十分に討議し審査してやっていくからいいんだというような御説明があったのですが、実際には調査会そのものはこんなていたらくで、何も機能してないと言うと怒られますが、余り期待はできない。しかも二百四十人もいるのですから、この総会を開くのは大変だと思います。しかし、標準化の実質的な決定機関といいますか標準会議、こういうものをお持ちになっていますが、これとて年に十三回、月一回強、これが実質的な決定機関ですが、これも余り数多くは持たれていない。ところが、まだ指定を待っている品物、指定をされていない品物の数は非常に多い。まだこれに追いついていないというのが現状だと思います。  これは何とかしてもうちょっと早く、能率を上げて指定ができるものは指定する。総会ももちろん、標準会議ももちろん、これを頻繁に開くなどして、その下の作業は大変でしょうけれども、とにかく未指定の多くの品物に対して早く指定するということをすべきだと思いますが、このスピードアップをするようなことができないものかどうか。現状のスピードで今後もいくとおっしゃるのか。これが第一点です。  第二点は、JISの指定ですが、さっきおっしゃったように調査会で行われるという。形式的にはそうだと思います。この場合工業技術院から調査委員の判断材料として提出される資料というのは、先ほどもちょっと触れたようにメーカーサイドばかりの資料なのだと私は思うのです。消費者代表の委員、実際のユーザー代表と思われる人は委員にほとんどいないんですね。ここに名簿がございますけれども、二百四十名の中にわれわれのような日常これを本当に使っているような人々がいるかというと、そう言っちゃ失礼ですが、私の見た範囲では二人ぐらいしかいない、婦人代表とか。余りいないように思いますが、あったら指摘していただいて結構ですが、いないように思う。この消費者代表の委員といわれるものが消費者の見地からの判断をしようとしましても、消費者の側からの資料がないと、この判断はできないのだろうと私は思うのです。この点に関する改善の必要があるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。これが二つ目です。  三つ目に、しかもその指定も、何年か何カ月かもうすでに売られているポピュラー化したようなものを後になって指定をするという後追いの指定がいつも行われていて、指定される前にすでに買われている。使われている。JISマークがないから売ってはいけないという法律はない。したがって、現実にはある程度使われて、ある程度買われて、ある程度家庭に入って、そうして大衆化したその後で、結果的に、物理的に時間的にそうなるのかどうか知りませんが、指定がされるということが多いと思うのです。工業技術院で実際にある製品を十分に検討して、これなら売ってよろしいとJISマークをつける許可をします。JISマークがついたから売ってよろしいというようになってから製品が売られていくという法律制度にはなっていないと思うのですが、私の考え違いならお教えをいただきたい。  結果的にいつもある程度品物が出ていっている。ユーザーに買われている。使われている。悪い話ですが、まるでそれを見て、大して害もない、大して欠陥もないようだというのでJISを与えるような感じすら受ける。そんなやり方じゃないことはわかりますが、どうも後追いになっていることは間違いない。日進月歩するいまの技術改革の時代に、先取りという言い方はどうか知りませんが、新しい品物が出ようとしたときに、メーカーの方もまあある程度商品化しようという自信ができたときにいち早く出す、申請をしたらそれを受け付けた技術院は、まだ実際に市場に出回らないうちに、その前に、これも先ほどの何とかして早目、早目に、もっとスピードアップする方法はないかと言ったのと関連しますが、まだ売られていないもの、これから売ろうとするものに対してJISを与えるかどうかの判定というものができるなら原則として行われるようにしていくべきだ。そういうふうになることの方が、新しい技術、しかも効率的ないいものが常に買い手のわれわれの側に、JISマークがあるから安心して入手できるような方法になっていく。いつでも使われてしまってからその後JISマークということのないようにすべきではないかというふうに思うのです。そういうようなことをいまやっているだろうと思うのですが、それがどのくらいあって、後からJISマークが与えられるものの率はどのくらいになっているのかということも、あわせて三つ目にお答えをいただきたい。  以上、三点です。
  42. 下邨昭三

    ○下邨説明員 第一点の、総会が二年に一回だ、それから標準会議が一年に一三回ということでございます。総会は二年に一回開きまして二百四十人の委員の方に集まっていただきます。二百四十人全部にいつも集まっていただくというのはなかなか大変でございますから、そこで部会の編成をいたします。標準会議というのが基本的な立案ということで持たれます。それから各種の専門的な規格を審議する部会を持つことにしておりまして、二十九部会持っております。その下に専門委員会が多数ございまして、その専門委員会で実質的な細かい審議がなされるわけでございます。先ほど生産者、中立者それから使用者のバランスのもとに、こう申し上げましたけれども、これは専門委員会の場でそういう構成で審議が公正になされているかということをチェックするということでございます。専門委員会の場で結論が出ますと、部会に持ち上げましてその部会でさらに検討する。部会で検討ができますと、調査会としての答申になるということでございます。  審議のスピードについてはいろいろ御批判もございますので、私どももできるだけ早く規格を制定あるいは改正していきたいと考えておりますが、スピードを急ぐ余り一方で雑なものをつくるということになっても困るということで、慎重にしかも急ぎながらという態度でございます。  それから、第二点の問題も、いまお答え申し上げましたように、消費者の意見というのは専門委員会の場でも入っておりますし、部会の場でも入ってくるということでございます。  それから、指定の時期の問題でございますが、JISの制定の時期というのは非常にむずかしい問題でございます。技術進歩を阻害するようなことがあってはならない。あるものができた、そこですぐ規格をつくってしまった、そうするとそこで技術がストップするというようなことになっては困るわけでございまして、ある程度成熟度が認められてから規格化するのが適当なものもございます。ほとんどがそういうものだと思います。  ただ、非常に基本的な問題につきましては、早目に規格を決めないと混乱のもとになるというようなことがございますので、その辺は専門の方、関係者の方にいろいろと御意見を伺いまして決めていきたいと考えております。
  43. 原茂

    ○原(茂)委員 私が第一に申し上げた、ユーザーサイド、消費者サイドの論議、調査、そのための材料が不足している、また、消費者サイドの代表として参加しているはずの調査会のメンバーを見ても、ほとんどそういう人は見当たらないといった心配は、依然として解消しないのです。専門委員会、標準会議、下へ行けば行くほど専門家、技術家集団という形の論議になっていくわけですから、したがって、依然として私がいま心配しているようなことが解消していかない。  そういった面では、いま下邨さんから言いわけを聞いて、何とか原に納得させようというような御答弁かと思うのですが、私なんか納得しなくてもいいので、私の言っていることを取り入れられる時期があったら取り入れていただくような配慮をしていただくと、何をやったらいいか、どんな人がそこに来たら、あるいは消費者サイドの材料としてはどんなものがあったらいいかということがわかるはずですから、チャンスがあったらそういったことをやっていただくようにという考え方で物を言っているのだということも頭に入れておいて、御答弁を願いたい。ただ、いまこうしております。こういう方針です。こうやっていますと言うだけで何とか糊塗していくのではなくて、一つの提案と考えて、取り入れられるものは取り入れていただくということを前提に考えていただきたい。  また三つお伺いします。  一つは、いまの規格を国際的、あるいは日米二国間という話もすでに進んでいるようですが、それで規格をつくっていこうという話し合いが進んでいるようですが、それはいまどうなっていますか。  また、国内でも、現行のJISを社会的要請に対応した抜本改正を行うべきだという機運があるようですし、そのことはすでに御承知と思いますが、現行JIS規格の制定以来この改定あるいは見直しを一体いつおやりになりますか、これが二つ目。  三つ目に、日本貿易国なんですから、輸出しようと思うと先方の規格に合わせて改造して輸出をしています。ところが、いま円高対策あるいは国際ラウンド等、アメリカばかりではない、EC諸国の要求などを考えましても——これは後で大臣にお伺いしますが、通産省は輸出シェアの抑制なんということを考えているようですが、そればかりではなくて、この間西独の経済省の次官が、下手な輸出規制よりは輸入の拡大を日本は考えるべきだ、これはドイツの立場も考えて物を言ったのだと思うのですが、来日してそういうことを言われています。私も同感です。余り輸出規制、規制ということになると、国際的な、経済的な、かつて犯した過ちをまた犯すような危険があるだろうと私は思う。  そういう意味からどんどん輸入の拡大をしなければいけないという観点から言ったときに、外国から日本へ輸出されるこの種の製品に対しては、日本のJISに相当するような規格をぴしっと要求して、それが満たされたものが日本にどんどん入ってくるということになる方が望ましいと思います。電気製品等を使う国民の生活、経済等を考えたときにもそれが必要になってくる、そういうことを考えます。日本から輸出するものだけ向こうの要求に従った規格に改造していくだけでなくて、日本が輸入するものに対してJISに相当するような何かを日本は要求して、ぴしっとわれわれの必要とする規格に合ったものを輸入できるということを一歩進めてやるべきだと思うのですが、この点はいかがでございましょうか。これは通産省でしょう。  この三つ、またお答え願いたい。
  44. 下邨昭三

    ○下邨説明員 国際規格の問題でございますけれども、国際規格を審議する場としていろいろなものがございますが、その代表的なものといたしましては国際標準化機構というのがあります。ISOと言われているものでございます。それから、IECと呼ばれております国際電気標準会議というのがございまして、この二つが国際規格の中心的な作成、普及機関でございます。  わが国といたしましても、ISOに対しましては昭和二十七年、IECに対しましては昭和二十八年にそれぞれ日本工業標準調査会が加入いたしまして、国際規格の原案の作成、あるいは審議を通じまして国際規格の作成、普及に努めてきております。国際規格と国内規格との整合性につきましては、常にその確保を図るべく努力しているところでございます。  もう一つ、法改正の問題の御質問がございましたが、工業標準化法は御指摘のように昭和二十四年に制定された法律でございまして、過去五回ぐらい改正が行われてきております。最近の社会の要請もその当時のものとはいろいろと変わってきております。先ほどから御指摘の省資源、省エネルギーの問題あるいは消費者保護の問題といったような社会的要請の問題がございます。それからもう一つは、国際的な動きというものにどう対応していくかということがございます。こういういろいろな変化を慎重に見きわめながら、各界の御意見を伺って、この法律がいまの現行法でいいのかどうかということを検討していきたいというふうに考えてきております。
  45. 原茂

    ○原(茂)委員 そこで、いま私が聞いた国際的なその話し合いというもの、二十七年、二十八年に二つに日本も加盟してやっていることは知っていますが、現在話し合いがどこまで進んでいるのか、規格の整合性の問題で何か進歩があったのか。
  46. 下邨昭三

    ○下邨説明員 整合性確保の問題につきましては、IECについて調査をいたしましたところ、IECとJIS規格との整合性でございますが、六五%程度のものについて合っておる。その残りが多少違っておるというような結果が出ております。
  47. 原茂

    ○原(茂)委員 私が二番目に質問した、やはり日本に輸入するものを日本にあるJISに相当するようなあるいはそれに準ずるものに規格をきちっと合わせてもらえるように、日本に対する輸出国に対して、たとえばいまの電気製品等を輸入する場合にはそういったことをきちっと要請をして、日本へその品物が改造されて入ってくる、日本が輸出をするときにそのことを相手の要請に従って考慮していると同じように、日本にも相手国から考慮して輸出をしてもらおうということは、やはりこの際やるべきだと思う。  国際的な話し合いもその一環として必要になるんだが、現在、いまお話しのあったように遅々として進まない。その点ではまだ具体的にそういったことが進んだ状況になっていないということになれば、何らかの方法を講じて日本が輸入を拡大したい、しようと考える政策を持っているんですが、その場合、ただ向こうの規格に合ったものが日本にどんどん輸出をされては困る。日本のいま持っている電気製品の規格に準じたもの、それに相当するものに改造をしてやはりわが国への輸出をしてもらおうというくらいの考えを持っていいんじゃないかという質問ですが、これにはどうですか。
  48. 森山信吾

    ○森山(信)政府委員 外国品をわが国へ輸入する場合の規格の問題でございますが、工業標準化法に定めるJISの問題と若干違う問題であろうかと私は理解をいたしましてお答えを申し上げる次第でございます。  その前に、先生から御指摘のございましたように、わが国の家電製品その他耐久消費財を海外に輸出します場合に、相手国の国内法によりまして制限を受けているものにつきましては、当然ながらわが国もそれに従いまして輸出をしているわけでございます。その際に、わが国の輸出の便宜上、一部の検査日本の国内でやるような、いわゆる検査の代行を日本の国内で引き受けるような努力もいたしておりまして、そういった相手国の法令による検査ではございますが、簡便な方法ができるように、それぞれの国と話し合いをしながら、そういった輸出に支障のないような努力は続けておるわけでございます。  一方、逆にわが国に入ってくる場合でございますが、これはたとえば家電製品で申し上げますと、たとえば家庭用品品質表示法でございますとかあるいは電気用品取締法がございまして、日本の国内で最低要求をいたしておりますものにつきましては、当然輸入品につきましてもこれを適用するということでございます。  それから、自動車なんかもその一番いい例ではないかと思うわけでございますけれども、外国との間の貿易上の摩擦問題が起こってまいりますと、よく相手国から言われますことは、日本検査がなかなか厳しくてそれが輸入阻害要因になっているではないか、こういう指摘もあるわけでございまして、冒頭に申し上げましたように、わが国におきまして他国の法令をできるだけ簡単にクリアできるような代行の制度もとっておりますので、外国品を輸入する場合につきましても、相互主義という観点からもそういう措置を講ずる必要があるのではないかということでございます。  長々と申し上げましたけれども、ポイントは、輸入品につきましても国内法と同様の法的な制限は十分やっておるというようなことでございます。
  49. 原茂

    ○原(茂)委員 局長、私はきょうは現状がどうなっているか、現状を認知しようとしているんじゃない。一番最初に提案したように、もっとインターチェンジビリティーの問題なりエフィシェンシーの問題なりというものからずっと言ってきたんですが、こういう互換性というものもやがて国内でもっと進めていく、そのときに向こうからこっちへ入ってくるものも日本の互換性を考えた規格に適合するようなもの、そういったJISに準ずるようなものもこちらから大胆に要求して、向こうで必要があれば改造をして日本へ持ってこさせるようなことを、いまずっと引き続き私の考えている範囲で、あしたのことを考えたときにそのことが必要ではないか。そういうことを大胆に要求をすべきだ。その前提はいま言ったように、いまのままじゃ困るので、もっと心臓部の互換性をぴしっと確立するという前提なんです。そういうことも技術院でやってもらう。  同時に、それを受けて輸出入をすると春には、やはり日本人のために、むだをなくすために、あるいは省エネルギーのために、あるいは家庭経費の節約のためにも、ちょっと間違いがあったからといっても部品の交換ができるというようなことを一歩進めてやってもらいながら、同時にそのことは外国に対しても、いま日本が輸出するときに日本の中に検査の代行機関のあることは知っています。やっています。そのときにでも、やはり向こうの要求がある最小限度のものは改造をして出している。その改造が満足にいっているかどうかを国内において代行として検査をしている。向こうから日本へ入ってくるものに対してもやはり同じようなことをするその前提は、一歩進めた技術院を中心の互換性、心臓部の互換性をやはり確立する。そういうことを進めてもらいながら、そのことを前提にして、やはり向こうから日本に来るものに対しても、そのことを配慮したような要請を大胆にしていくようにしなければ輸入の拡大はないだろう、こういう私の意思なんです。もう一度局長お答えいただきたい。
  50. 森山信吾

    ○森山(信)政府委員 国際的な商品の流通という観点から申しますと、ただいま先生の御指摘になりました点は、まことに有意義な御提案であろうかと思います。ただ、家庭用の電気製品というものに限って考えてまいりますと、その仕様なりあるいはその用途なりがかなり国際的に違う面もございます。したがいまして、一概にすべてそういう方向でやるということはなかなかむずかしい問題はあろうかと思いますが、国際的に流通するような商品につきましては、そういう考え方は当然に推考すべき問題ではないか、こういう感じがいたします。  ただ、ここで輸入品につきまして特に著しくそういった要請を行いますことが、逆に輸入の阻害であるというような非難をされる向きもございますので、その点は先生も御理解いただいていると思いますが、そういうことに配慮しながら御提案の趣旨を検討させていただきたい、こういうふうに思う次第でございます。
  51. 原茂

    ○原(茂)委員 いまのは国内の問題ですが、そこでこの問題の最後に、現状は家庭用の電気製品の修理期間といいますか、無償でやるとかやらないとかいう修理期間というものを明示した保証書、いろいろなことが書いてありますが、その保証書を製品に添付するということが現在法律では決まっていない。しかし、場所によっては、特に地方自治体でそれをやろうというので厳しく条例で決めているところもあります。私は、この保証書の添付というものをなぜここで法令化してぴしっとさせないのか、メーカーの勝手で、メーカーがやれるところは保証書をつける、物によっては保証書をつけていますが、それがついていないものが非常に多いということを、ただ行政指導の範囲で放置していていいのかどうか、実は疑念を持っています。しかも、この部分は有料で修理をいたします。この部分は無償で結構でございますという区分までメーカーによってまちまちで、みんな違っているということを考えますと、東京、川崎、神戸などがすでに自治体の条例でやっているようなことを国としてもうやっていいんじゃないかと思うのですが、まだ何かの理由でそれができないのでしょうか。  とにかく保証書というものがある方がわれわれとしては非常に安心ですし、したがって、保証書の添付というものに対する義務づけを法律によって全国一斉に行わせる。自治体が勝手まちまちにやっているということのないようにすべきではないかという感じがしますが、この点はどうでしょう。最後にこれだけ伺います。
  52. 濃野滋

    ○濃野政府委員 私からお答え申し上げます。  ただいま先生の御指摘の保証書の問題でございますが、御指摘のように一部の地方公共団体で保証書に関する規制と申しますか、取り扱いに関する規定を設けております。ただ、主として耐久消費財が中心でございますが、これは地域的なものではございませんで全国的なものでございますから、やはり全国的な目で見なければならぬという問題意識を私ども持っております。  いろいろな問題がございますが、保証書の問題を取り上げますときに検討を要する一つの大きな問題は、民法、商法等の関係の法律問題がすべての問題を検討する一番根っこにございますので、実は私ども産構審の流通部会におきまして、この保証書の問題をどう取り扱うかという問題意識からすでに検討を開始しておりまして、特にただいま私が申し上げました民法、商法との関係、たとえば瑕疵担保責任の問題等でございますが、これはちょっと私ここで資料を持ち合わせておりませんが、専門の法律学の先生方を中心にすでに数回の会合をいたしまして、なるべく早い機会にこの問題に対する取り扱いの結論、法律的な解釈の結論を出してもらう、これが出ました段階で、ただいま御指摘のように、その次の段階といたしまして直ちに法律というかっこうにするかどうかはなおいろいろ意見が出ると思いますが、少なくとも一つのガイドラインと申しますか、そういうものを決めまして、ただいま御指摘のような地域別の取り扱いではなしに、全国的な統一をした保証書の取り扱いの基準を決めていきたい、こういうことで検討を進めております。
  53. 原茂

    ○原(茂)委員 わかりました。細かくは後で別の時間にまたお伺いしますが、一点だけ、エネルギー、特に石油の備蓄問題についてお伺いしておきたいと思います。  国際エネルギー機関の理事会がこの間東京で持たれまして、そこで大変貴重な結論を出したようです。アメリカに一番過酷な結論になっているように思いますが、次いでは日本になると思います。日本に対して特にエネルギーの節約あるいは代替エネルギーの創出、こういうものに対する日本の工夫なり努力が足らないという指摘があのときなされました。全くもっともだと思うのです。いまサンシャイン計画にしても原子力発電にしても何にしても、大変これは大きな問題を抱えて、まだまだこれが安定的なわが国の代替エネルギーの創出だということにはならない状況で、恐らく政府の立場でもエネルギーが一番頭の痛いところだと私は思うのです。  しかしながら、万難を排して備蓄をしなければいかぬというので九十日の備蓄をお考えになっている。これはある意味では民間主導といいますか、それでやっているわけですが、民間の現在の七十五日分ですか、あと九十日分にするための備蓄の施設づくり、基地づくりなどを考えながら四苦八苦している状況は私はわかりますが、それともう一つは、ただ民間主導で政府援助するというだけではなくて、政府みずからが備蓄をするということにもう踏み切らなければいけない時代が来ておると思う。アメリカがとにかくドルがあんなに安くなろうと油の備蓄については目の色を変えている。素人が周りから見ると、ずいぶん大胆なことをやっているなと思います。日本なんかはなおさらエネルギーは余裕がないということを考えますと、やはりエネルギーの備蓄というものは非常に緊急を要する仕事だろうと思いますから、政府のおしりをたたいても早くこれが達成できるように考えていきたいと思います。しかし、いまの方針だけを見ていると、やはり備蓄の方針にもうちょっと工夫をこらしたらどうかと思う。  素人考えでわかりませんが、たとえば、いま日本にあるガソリンスタンドは全国で約八万カ所固定タンクがあるわけです。移動式のものはだめですけれども、こういうガソリンスタンドの地下タンクに、原油でなくて精製した品物を入れる。現在平均すると二十から三十キロリットルぐらいのものがガソリンスタンドに地下貯油されているわけですが、こういうものをもっと大胆に活用して、新設のガソリンスタンドには、国家にかわって委託を受けて保管をする義務を負わせる、既存のガソリンスタンドにも、現在一つのタンクは消防法その他で決められてキロリットル単位で、それが地下に入るわけですが、これをたとえば十本持っているところはそこに要請をして拡張ができるなら五基あるいは同量の十基ふやすというようなことをやると、私の計算では、少な目に見ても——いま一々数字を申し上げませんが、政府がこれから貯蔵、備蓄をしようと言っている、大きな基地を設け、タンクで備蓄をと考えているものを、しかも何か緊急事態が起きたときには、精製してある油というものはその小さな細かい地域割りに備蓄されていますから、政府の命令で輸送も楽に、その地域住民に対するサービスが、緊急事態にもわりあいに行き届きやすいというようなことをいろいろ総合的に考えたときに、私は、いまの既存のガソリンスタンドにも、余裕のあるところには国が思い切って費用を負担して保管をしてもらう。というようなことになりますと、いま約八万基地あって、平均十基、最低に見て十本というふうになりますと、優に八十万キロリッターというものが、既存のものにふやしてもらっただけでもできる。新しいガソリンスタンドの施設に対してはもう義務づけるというようなことをしていけば、いわゆるこういった備蓄というものがそう困難じゃないのじゃないか。  これは素人考えで、わかりませんよ。きょう、消防庁から来てもらっていますが、そんなことをすると安全性が云々とか何か問題があるのか。私は、現在あの過密な都市の中にガソリンスタンドがどんどんある。そこでは、もうわれわれもたばこを吸うようなことを平気でやる、危険物もどんどん通っているというところにガソリンスタンドが現にあるわけですから、精製された油が貯油されているわけですから、どうもガソリンスタンドを考えて備蓄をやるという——いま政府の考えている非常に困る大きなタンクを備蓄に、洋上でどうの、陸上ではどうの、住民パワーがどうのと言っている最中に、私はガソリンスタンドというものをもっと活用すべきだ。これに思い切って政府が大変な多額の、どうせ何千億円という金を用意していま備蓄をしようとしているのですから、それをこれらのスタンドに与えて、そこに保管を命ずるという、しかも油がガソリンにしても灯油にしても保管が二年になった、五年になったからといって変質するというような心配も私はないように思う。こういう点、考えていいのじゃないかというのを、これは一つの素人の提案ですが考えてみましたが、いかがでしょう。そういうことができるものかどうか、技術的な問題を先に聞いて、それがもし安全性その他から消防法上差し支えがないということになるなら、大臣、どうですか、こういうことを思い切って備蓄の方法の一つとしては検討してみていいのじゃないか。それも大臣から答えていただきたい。
  54. 河本敏夫

    河本国務大臣 わが国先進工業国の中でエネルギーの面では一番条件が悪い国でありまして、特に石油は非常に弱体でございます。そこで、できるだけの備蓄をしていこうということでいろいろ工夫をしておりますが、いまの御提案はなかなかおもしろい構想だと思いますが、ただ、研究すべき課題といたしましては、保安の面でどうか、こういう問題が一つあろうと思います。それからコストの面でどうなるか、こういう問題があると思います。それから管理の面でどうか。こういう幾つかの問題がございますが、これは私どももこれまで検討したことがございませんので、一回よく関係者が集まりまして検討させていただきたいと思います。
  55. 原茂

    ○原(茂)委員 これはちょっと時間を勘違いしでいまして、私いま気がついたのですが、少し早く始まったのを忘れちゃって、終わる時間だけ最初から考えていたものですから勘違いをしたのですが、ひとつ消防庁から、保安の問題という中で、現在のガソリンスタンドがたとえば十基入っている、それを場所があって二十基なり十五基にしたときにいわゆる安全性、保安の面で不安があるかどうかだけ一点、後から答えていただきます。  それから、大臣にお伺いしたいのですが、先ほど話の出ましたような西独の経済省の次官がこの間日本へ来て言った輸出規制という問題ですが、通産省はすでに輸出規制の方針を打ち出しましたけれども、あれは非常に大胆な方針で五項目ぐらい新聞には載っておりました。しかし、考えようによっては、先ほど申し上げたようにやはり輸入の拡大というものにもっと力を入れて、輸出規制というものをやって世界全体がかつての保護貿易化したときの——日本自体もまたそのどろを、潮をかぶるわけですから、非常に危険だという意味では、むやみに輸出規制というものに走ってはどうかなという感じがいたします。  そういう点から考えたときに、やはり何かの方法をと言いますか、いまの内閣では一番実務に詳しい、しかも政治家である河本通産大臣だからあえて聞くのですが、私はいま一般に言われているようなものでなくて、ここにもうちょっと何か工夫がこらされていいのではないかと思うのですが、輸出規制にかわる輸入の拡大というものを、いま言われている以外に大臣としては何かやはりお考えになるべきだと思うのですが、それが何もないのかということになると、私は河本大臣通産大臣になった意味が余りないと思うのです。このときだから私は河本さんにはうんと期待をしたいと思うのですが、この点何かやはり考えるべきではないか。素人なりに私も考えがありますが、これは時間の都合であえて提案をいたしませんが、大臣がおありならお聞かせいただきたい。これが第一点。  二つ目に、雇用の問題について、現在のような状態でいきますとまだまだ雇用というものはぐんぐん窮屈になっていくだろうと思います。現在はいろいろな形でまだ直接首切りというようなところへいく前の、企業がみんな苦しんで、いわゆる首切りに準ずるような手当てで生き延びを一生懸命やっている。ところが、いまの経済景気の状態から言いますと、まだまだ企業は坂を上り詰めていない。非常に危険なところがずいぶんあると思います。ということになりますと、私は近く直接あそこで何百人、ここで何千人の首切りというような事態がすぐ目の前にくるような気がしてならないのです。これも私は実務家の大臣としてはやはり何か雇用創出——極端にいま危険が迫っているときに、そういうことにならないような、いわゆる通産行政を通じての手がないものだろうかというふうに考えて、きょうぜひ大臣のお考えをお聞きしたいと思ったわけですが、その二点、ひとつお考えがあればお伺いをしたい。
  56. 小池次雄

    ○小池説明員 ただいまの点でございますが、先ほど大臣からお話があったわけですが、備蓄政策の面から言いましてこのような方法でもって通産当局の方においてやっていくというような線が仮に出ますならば、それに呼応する安全、保安面に対応して考えていく必要があると思います。同時にまた、新設の場合におきましては敷地等から見まして当初の設計の段階で十分な配慮等も保安面でできると思いますが、既存の面に関しましては、ややもすると敷地が現在法律上の目いっぱいであるというような面、あるいはまた地下タンクでございますので、地下を掘り直して改修工事というものが行われるわけでございます。したがいまして、それらのいわゆる改修工事上の面の難点等が経済的負荷という点でどのようになってまいりますか、これらの面がある程度憂慮されるのではなかろうか、このように思うわけでございます。
  57. 河本敏夫

    河本国務大臣 先ほどのお尋ねの第一点でありますが、すなわち現在の政府のとっておる貿易政策は少しおかしいではないか、こういうお話でありますが、事実私どもも現在の貿易政策、まことにいま残念に思っておるのです。輸出貿易を制限をしなければならぬ、大変残念であります。しかしながら、何分にも五十二年度百四十億を超える経常収支黒字で、貿易じりでは二百五億ドル以上の黒字になっております。そこで万やむを得ず、とりあえずの措置といたしましては、行政指導で昨年の数量横並びということで当分指導をいたしますが、しかしながら、一面、大規模な緊急輸入をぜひ実行に移したいと考えております。先般来関係各省でずっと作業を続けておりましたが、大体構想がまとまりましたので、けさ緊急の経済対策閣僚会議を開きまして、そしてその方針を決めましたが、この制度をうまく活用いたしますと、相当大規模な緊急輸入ができるはずであります。そして一応一年を通じての制度ということにいたしておりますけれども、特にこれを上半期に集中して実行に移したいと考えております。そして一刻も早く現在の国際収支の流れ、貿易収支の流れを方向転換をしたい。つまり収支バランスがとれるような方向に輸入の拡大を持っていきたい、こう思っております。  去る四月十五日に行政指導を中心とする貿易の進め方について通産省から発表いたしましたが、この発表の中におきましても、貿易の流れが変わったならば現在の政策は変更したい、こういう趣旨のことも書いております。それは要するに、現在の貿易を制限するというやり方に対しては通産省は決して満足していない、一刻も早くこのような状態を抜け出して、そしてどんどん伸びるものは伸ばしていく、こういうことにしなければならぬと考えておりますが、繰り返して恐縮でありますけれども、現在のような大幅な黒字ではかえってそれが導火線になりまして世界全体に保護貿易、こういうことになっては大変でございますので、緊急の避難措置としての現在の貿易政策である、このように御理解賜りたいと思います。  それから、第二点は雇用の問題でありますが、ことしの政府経済政策を決めます場合に一番考慮いたしました点は二つございますが、その一つは雇用対策であります。その第二が先ほど申し上げました国際収支の均衡ということでございます。この雇用問題を解決するためには、どうしても現在の産業全体の操業率を高めなければいかぬ。操業率を高めるためにはとにかく内需の拡大をしなければなりませんので、そこで七%の経済成長を達成するということを目標に設定をしたわけでございます。これが達成をされますと、雇用問題全部が解決するわけじゃありませんけれども、ある程度は雇用問題は前進すると考えております。  民間あたりではこれは無理だろうというようなことを言っておられますけれども、しかし政府は、総理大臣も繰り返して言明をしておられますように、情勢の変化に即応して機敏大胆に対応する、そして万難を排して政府の責任でこの目標を達成をしたい、こういう決意を述べておられるわけであります。私どもは、日本経済には相当な潜在的なエネルギーがあると思っておりますので、政策を間違わないように進めていくならばこの達成は可能である。そして雇用問題を解決したい、このように考えておる次第でございます。
  58. 原茂

    ○原(茂)委員 終わります。
  59. 楯兼次郎

  60. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 私は、廃棄物とその再利用に関する問題について、お伺いをしてみたいと思います。  最近の廃棄物は一般用の家庭廃棄物や産業廃棄物、都市系の廃棄物等々、推定十三億トンと言われておりますし、三十五、六年当時から比べて一人当たりの家庭用の廃棄物だけ考えてみても、五百十五グラムから三倍になっておるというふうな状態が続いております。したがって、それこそごみに埋もれて暮らさなければならないような事態が大都市周辺にはたくさんあるわけですし、そのために第四次の計画で厚生省においても一次処理に対して焼却率をふやすとか、あるいはまた最終処理地を新しく求めるとかいうような対策を立てていらっしゃるけれども、しかし幾らそういう対症療法をやってみても、現在のままでいきますならば産業社会の進展とともにごみの量もますますふえると思いますし、そういう意味ではまずごみを減らしていく、廃棄物を減らしていくということも今後の重要な課題だと思います。  特に、減らしていくということになりますと、生産段階からのブレーキをかけるとか、あるいはまた質的、量的に生産を考えていくというような問題も考えていかなければならぬと思いますので、当然通産省としての今後の産業構造の問題にまで及んでくると思いますので、ひとつ基本的な考え方をお聞かせいただきたいと思います。
  61. 左近友三郎

    ○左近政府委員 御指摘のとおり、産業活動が非常に高度になってまいりますと、そこから出てまいります廃棄物は非常に大量になりますし、しかもまた、それによって消費活動が増加いたしますと生活廃棄物も増加をするということでございます。したがいまして、それを減少させるためにいかなる対策をとるかということが非常に大きな問題になってまいりますし、一方資源問題から考えてまいりますと、資源有限ということが叫ばれておりまして、現実に各種の資源についても再利用を図らなければ有限な資源を活用できないという点がございます。  したがいまして、通産省といたしましては、そういう廃棄物の減少、それによるごみ公害減少と、それから資源の再利用による活用、そして資源有限時代に備えるという二点から、再資源化政策という形でこの問題を取り上げておりまして、これについて今後、御指摘のように現在発生するごみを処理するというだけでなくて、生産方式そのものもごみを余り出さないという形に持っていくということでございます。  生産活動というのは、本来は原料を十分利用するということが一番いいことでございまして、廃棄物を出すということはそれだけ生産活動に効率的でないということにもなるわけでございますので、生産活動に廃棄物が出ないようなことをやること、さらには産業構造を変えまして、大量に廃棄物が出るような産業から資源を有限に使い尽くす産業構造に持っていくというような点を考えておりまして、とりあえずこの資源再利用という面でいろいろな対策を講じております。したがいまして、われわれの基本的な考え方といたしましては今後の産業構造も含めて産業廃棄物を減少させる、そして資源を活用するという点を強力に推進してまいりたいと考えております。
  62. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 いま言われたようにごみを少なくするというサイドと省資源ということ、これは産業構造の改善に当たっても、いま、までは高度成長路線に乗っておるときには、本来資源が少なかったはずなのに、いかにも資源が豊かにある、いわゆる資源の多消費型の構造の産業をずっと続けてきたわけですから、産業構造の転換そのものはそう簡単に三年や五年でできるわけでもありませんし、現実にいま日本のあらゆる生産構造はまだ高度成長時代のままのものが非常に多い。それがまた今日の不況に大きく影響していることも事実ですし、そういう意味では、省資源型の生産構造に変えていかなければならぬというふうにいま言われたとおりだと思いますが、それについていままでの物の考え方は、まず生産がある、メーカー側の発想で、企業側の発想で物がつくられ、そして消費者サイドの考え方というものなしにつくっていった。それが先ほど原委員からもお話のあったように、消費の過程では互換性もないとかJISマークの問題でもって議論があったわけですが、さらにそれが廃棄の段階でまたいろいろ問題が起こっておると思うわけです。したがって、今度は逆に生産からではなしに廃棄を前提として、廃棄から生産というものを考えていくというふうな考え方に立たなければならないと思いますし、その点はいかがなものでしょうか。
  63. 左近友三郎

    ○左近政府委員 先ほど申し上げました基本方針に立ちまして、やはり産業廃棄物というものをどう持っていくかということが重点でございます。それに従いまして、おっしゃるように廃棄の面からどう産業を持っていくかということになろうかと思いますが、通産省が従来やっておりますのは、鉄くずとか故紙とか廃プラスチックとか、個別の廃棄物をどのように有効に活用するかという点を考えておりますが、さらにそういう廃棄物が有効に回収され、また再利用されるためには、実はもとの製品の生産段階から廃棄物の回収がしやすいようにしなければいけないということを考えております。  たとえて申し上げますと、書籍なんかをつくるときにのりを使いますが、そののりの性質によりましては後の故紙の利用が非常に制約されるということがございます。したがいまして、この書籍をつくる段階でののりを後の故紙の利用に便利なようなのりにかえていくというふうな、つまり製品段階、製造工程を将来の回収に便利なようにするというような問題もございます。  したがいまして、先ほど申しましたいろんな廃棄物の回収の過程で、回収自身でなくて、その廃棄物を出す製品の規格だとか製法というようなものを変えていくという点を、現在研究をしております。
  64. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 ですから、考え方としては全く私どもも同じような考え方なわけですが、文章にしたり言葉にするのは非常に簡単ですが、これを実際に産業構造に及ぼしていこうということになれば、その一つの企業なら企業のいままでの生産システムを全く変えていかなければならぬ問題でしょうし、それだけに時間的にも相当かかるでしょうし、あるいはまた費用の上からもいろいろの問題もあるでしょうし、そしてまた企業自体のそれだけの意欲ということも問題になるだろうと思います。それには通産省である程度一つのモデルをつくるとか、あるいはまた企業が乗ってきやすいように、さらにまた消費段階では、あるいは廃棄段階では、消費者が乗ってきやすいように、そういう下地づくりというものがやはりなされなければならないと思うのですが、そういうことについていま具体的にはどういう調査研究なりあるいはまた実験をやっていらっしゃるのか。  このいただいた資料によりますと、いろいろ自動車の廃車処理の問題であるとか、古い紙をどういうふうにして使うとか、あるいは鉱滓を有効利用促進する、こう項目は書いてあるのですが、いろいろのやっていらっしゃる研究の内容について、できるだけ具体的なものからひとつお示しいただきたいと思います。
  65. 左近友三郎

    ○左近政府委員 この再資源化については、やはり三つのポイントがあろうかと思います。  一つは、やはり再資源化技術、これはもとの製品の製造技術の転換も含めてでございますが、その技術の開発というのが第一点。  それから、そういう技術に従って再資源化する事業に対しまして、そういう設備の設置その他に対しまして、金融、税制上の助成措置をやるというのが第二点。  それから第三点は、そういう再資源化のためのいわばPRをし、情報を提供するという点だろうと思います。  そして第三点についていまやっておりますのが、いろんな面がございますが、一つ大きくやっておりますのが、財団法人のクリーン・ジャパン・センターというのがございまして、そこで再資源化の実証プラントの建設というのをやっております。これはたとえば家庭電気製品を回収いたしまして、これをいろいろなたとえば電線とか金属類だとか、そのほかガラスだとか、そういうふうなものにそれぞれの回収品を一挙に出すというふうな技術とか、あるいは廃タイヤを処理いたしましてゴムの原料にするとか、そういうふうなことを都市と提携をいたしまして回収の実証プラントを建設しております。それからあと、回収システムの実験ということで、モデル都市と組みまして、たとえば空きかんの回収等につきましてこのクリーン・ジャパン・センターが協力いたしまして、地域の住民の方の分別回収と協力をして効率的な回収を図るということをモデル的にやってみるというような点もやっております。  そのほか、従来とも商品として売られております鉄くずだとかあるいは故紙というようなものにつきましては、景気の変動によりまして値段が安くなりますとなかなかそういう故紙だとか鉄くずの回収がうまくいかない。しかしながら、そういうことでせっかくの資源が利用されないのはもったいないということで、安定的に回収できるような備蓄を進めるとか、そういう具体的な政策もそれぞれの業界において行っております。
  66. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 いま御説明のあったクリーン・ジャパン・センターですか、そのほかは大体技術的な研究であるとかあるいは理論的な問題とか、そういうことなんですが、実際に実戦部隊として新しいモデルを一つつくるための活動をやっていらっしゃるのはこのクリーン・ジャパン・センターだということらしいですが、ここに、クリーン・ジャパン・センターの中に、たとえば五十年、五十一年、五十二年、ずっと通じて、リサイクルセンターにおける実証プラントの設置というのが一億七千五百万、一億七千五百万というふうに大体同じような金額のが三年とも続いてやっておりますが、具体的にはこれはどういうふうなプラントを設置されておるのか、そういうことについてお教えいただきたいと思います。
  67. 左近友三郎

    ○左近政府委員 第一年目にやりましたのが、先ほど申し上げました家庭電気製品の資源の回収でございます。これはたとえばテレビなどをそれぞれ分解して回収するのではなしに、テレビをそのまま機械へ投げ込みますと機械の中で分別処理されるというシステムをやっておりまして、千葉県で市の御協力を得て実施をしております。  それから、第二年目にやりましたのが大阪でやりましたものでございまして、これは廃タイヤを冷凍いたしまして細かく分解する、そうしてゴムのいわば細かい粒子を得るというふうなことでございます。こういうふうな廃タイヤにつきましても、冷凍法でやりますと、再生したゴムの質が非常によくていろんな方に利用しやすいということでございます。  第三年次で、これはまだ計画中でございますが、やっておりますのがプラスチック類を有効に燃焼させるという方式を考えております。
  68. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 最初に言われたその家電のリサイクルセンターというのはもう一番古くからやっていらっしゃるわけで、実際にはまる二年になるかならないか知りませんけれども、五十年度予算ということですから一応二年間このプラントを設置して実働していらっしゃるわけですから、それについていままでの経験からどういう点がよかったかということで、今後さらにそれを広げ得る余地があるのかどうか、そういう点についてまだまだ実験段階でしょうからわからない点もあると思いまするけれども、今日までの経過の中で、後発といいますか後からこういったものを取り入れたいという希望を持っている市町村も、現に最終処理場がなくて少しでもごみが減らせたらという希望を持っているところがあると思いますので、そういう点についてわかる範囲でお知らせいただきたいと思います。
  69. 左近友三郎

    ○左近政府委員 家庭電気製品の再生処理という方式をやってまいりまして、いろいろな実験をやった結果でございますが、一つは、最近の不況とも関連しておるのでございますが、処理いたしますと、金属も針金、銅製品、鉄とか、いろいろなものに分かれますし、そのほか繊維類も分かれますが、残念ながら大量処理をしておりませんので、比較的コストが高いという点もございます。そういうように出てまいりましたものを廃品として売りますと、現在の状況ではまだコストを償うのに足らないという問題がございます。したがいまして、原料つまり廃棄物をどうしてうまく収集をしてその処理場に持ち込むか、その持ち込むのもまた経費を使いますと高くなります。したがいまして、研究の結果、これから改善しなければいけないのは、廃棄物の収集のシステムとそれの規模に適合した設備をうまく配置することではなかろうかということでございます。  いろいろとそのほか技術的な問題がございますが、やはり基本的にその問題を解決しないとなかなか普及しないということで、今後は、都市によりまして廃棄物の量が違いますので、その量に合った規模の処理施設を、大きいものとか小さいものとかうまくつくらなければいけないという点もございます。これによって、また規模の大小によって効率が違い、コストも違ってまいりますので、そこをどう合わせるかということがこれからの研究課題だというように承知しております。
  70. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 このプラントを入れることによって、自治体側はどういうメリットがあるのでしょうか。
  71. 左近友三郎

    ○左近政府委員 自治体側といたしましては、従来、そういうかさの高い家庭電気製品、冷蔵庫だとかテレビだとかいうものでございますので、焼却もできませんので、どこかに埋め立てておったわけでございますが、埋め立て用地というものも御案内のとおり非常に不足しております。したがいまして、これを機械にかけて個別の資源に回収すれば、後の処理が非常に楽になるということでございます。  その回収のシステムでございますが、従来の自治体の回収システムに乗せてやりますれば手間は同じでございますが、そういう家庭電気製品だけ何かうまく回収システムを考えまして、それは先ほど言いました処理経費で賄うといたしますれば、自治体のごみ処理経費なり人員がそれだけ浮くということにもなります。やはりこれは組み合わせ方ではございますが、そういうメリットがあろうかと考えております。
  72. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 最初に私も申し上げましたとおり、その試験段階の中でこれからシステムを変えていかなければならぬ。むしろ廃棄から考えて生産にと申し上げたのですが、いままでの試験の経過の中から具体的に、現在の生産をこういうふうに変えたら廃棄物として処分しなければならない部分が少なくなるのだということについては、まだ明らかになっておりませんか。ある程度そういうことについてのヒントが与えられたかどうか、そういう点についてお知らせいただきたいと思います。
  73. 左近友三郎

    ○左近政府委員 これをやってまいりましたときに出てまいった問題は、やはり製品の規格化と申しますか、使います材料が、たとえば同じ金属製品にしても若干ずつ成分が違っておるということがございますと、後、資源として回収をいたしましても、それもまた種類が違ってまいりますと、後の処理あるいは利用がむずかしくなります。したがいまして、たとえば鉄なら鉄を使うならば、同じ規格の鉄を使ってもらいたいということがございます。  そういう点で今後は、後の処理がしやすいためには、そのもとになる製品の規格等を統一してもらう必要があるのではないか。それを具体的に、製品別にどうしたらいいかというのはこれからの検討でございますが、大ざっぱに申しますとそういう問題が一番大きいと思います。
  74. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 わずか二年であってもそういうメリットが出てきたということですが、大阪のタイヤのリサイクルセンターで行われておる結果については、いま申し上げたような次の生産段階に役立つという問題は生まれてきておりますか。
  75. 左近友三郎

    ○左近政府委員 タイヤについては、まだ実験が、途中でございますのではっきりした成果は出ておりません。ただ、タイヤについては、先ほど申しましたように、処理をした後で細かいゴムの粒子が出てまいりますが、現在の時点では、不景気ということもございまして、ゴムなどについては新製品を使っても十分ペイするという問題がございます。したがいまして、出てまいりました再資源化製品をどういう形で使ってもらうかという点で、価格面その他に現在の事態では若干問題があるというのがいま具体的にわかっておる点でございます。
  76. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 こういう実験的なプラント設置を大体何カ年計画で、どれぐらいの規模でおやりになるのか。本来、基本的な物の考え方というものを確立しておったならば、たとえば再資源化の基本計画作成というのが五十三年度に載っておりますけれども、こういったものが先にあっていまのシステム化の施策などをやられるだろうと思うのですが、そういうことはいまのところ大綱的には示されていないわけですから、一つ一つ実際やっていらっしゃるところから、どれぐらいの規模でやれば新しいシステム化ができるかというようなことについて、大体の予想がついたかどうか、お知らせいただきたいと思います。
  77. 左近友三郎

    ○左近政府委員 従来は、いま申し上げましたような新しい再資源化技術というものができましたら、それを取り上げて毎年一つのプロジェクトごとにやってまいりまして、一プロジェクトは二、三年ないしは四、五年かかって実験をやってめどをつけるという形でやってまいったわけでございますが、御指摘のとおり、そういう具体的にわかったものからそれぞれやっていくというだけではなしに、全体の計画の中で秩序立ててやっていく方が望ましいという反省がございまして、五十三年には予算をいただいて全体の計画を立ててやっていこうということでございます。現在その計画を検討中でございますので、従来の方式をどう改めるかという点についてはもう少し時間をいただきたいと思います。
  78. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 その次の項目に、先ほどもちょっと言われておったのですが、各種方式による空きかん等の回収実験ということで、初年度は五十年度で三千六百万円ですか、この年はどういう関係か三分の一しか予算を使っておりませんね。五十一年も五十二年も引き続いて行われておりますが、これはそれぞれどういう実験をなされたのか、お教えいただきたいと思います。
  79. 左近友三郎

    ○左近政府委員 クリーン・ジャパン・センターの、いま申しました分別収集をやっております地方自治体と協力をしてやりますシステムづくりでございますが、具体的に申しますと、現在まで、昭和五十年度には沼津市、五十一年度には町田市、広島市、宇部市、五十二年度には日立市というふうな市と提携をしてやっております。五十年度は、実はクリーン・ジャパン・センターの設立が少しおくれましたので、予算が全部使えなかったということでございますが、たとえば沼津市の例を申し上げますと、市が清掃事業の一環といたしまして、地域の自治会だとか老人会に協力していただいて、資源ごみ、つまり再生可能なもの、たとえば空きかんとか空きびんとか、そういうものを自治会とか老人会の方が分別収集をされて、そうしてそれぞれそれを資源化させるという方式を、いわば沼津方式ということでやっておられるわけでございますが、それに協力をいたしまして、五十年の十一月から五十一年の三月までの間、空きかんの回収について老人会とか自治会がお使いになります特に必要な回収の袋だとか、簡易な施設だとかいうようなものをこちらが提供して、そしてそれをどういうふうに流通できるかというようなことを実験をしてみたということでございます。  あとの市町村も、それぞれ市町村でそのように地域住民の方と協力して分別収集をやる実験をやっておられますので、その実験にわれわれが参加をいたしまして、それに必要な経費の一部をわれわれが出す。また、そういうアイデアにわれわれも参画いたしまして、そういう点についてこちらの持っております知識も供給いたしますとともに、具体的にやりましたところの経験をわれわれは吸収するということでございまして、現在、このような市でやりました経験は、クリーン・ジャパン・センターでまとめまして、データとして公表をしております。  これはつい最近できたわけでございますが、今後もそういうことでそういう市町村と協力をし、またその結果をまとめて、さらにこれから計画しておられる市町村にPRをしていこうということでございます。
  80. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 特に東京もそうでしょうけれども、大阪あたりでも、私どもの門真市だとかあるいは守口市、寝屋川市、枚方市というようなところも、全部いまも二次処理、最終処理場がなくて実際困っているような実情なんです。ですから、一日も早くその減量ができるような方法がないだろうかということで模索している段階ですから、そういったそれぞれの市では、分別収集をどうしてやるべきかということを試行錯誤をしながらいま素案をつくっているわけなんですが、実際に分別収集をやっておられて、そして後のリサイクルとどういうふうに結びつき、どういう点ではやりよかったけれども、どういう点では非常にやりにくい点があるのだという実験段階での結果なんかを公表していただいたりあるいは報告していただければ、いまやろうとしている市町村には非常に役立つと思うのです。  これは新聞で見たのですが、広島県あたりでは何か半減したというようなことも載っておりましたが、そういうことが直ちにできるのであれば、もう一年しか最終処理地がないというところが二年延び、三年延びるわけですから、直ちにでもそういうことにとりかかりたいという意欲がいまずいぶん盛り上がっているわけです。残念なことに、そういう資料がまだ公開されておりませんが、具体的にこれから取り上げようという市町村に役立つようなことがあれば、ひとつ教えていただきたいと思います。
  81. 左近友三郎

    ○左近政府委員 先ほど申しましたように、従来までやりましたものについてはクリーン・ジャパン・センターでごく最近まとめましたので、それは非常に御参考になろうかと思います。これについて市町村に周知徹底するような手段を講じてやってまいりたいと思いますし、いま直接、都市のごみ収集は厚生省が所管でやっておられますので、厚生省とも御相談をして、そういうルートからもそういう点は周知していただきたいというふうに思っております。
  82. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 これは主として市が中心でやっているということであって、通産省の方はどういう形でそれに乗っていっているということですか。指導を通産省がしているということですか。
  83. 左近友三郎

    ○左近政府委員 市とタイアップしてやりますのは、先ほど申しましたクリーン・ジャパン・センターがやりますので、通産省としてはクリトン・ジャパン・センターを指導して、クリーン・ジャパン・センターが具体的にこの分別収集をおやりになる市町村とタイアップしてやるということでございます。  もちろんクリーン・ジャパン・センターのそういうタイアップするに必要な経費は、われわれの方から助成をしておるわけでございます。
  84. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 そのクリーン・ジャパン・センターからは市町村に対して何らかの、たとえば半額補助をするとかそういった誘導的なことをやっていらっしゃるわけですか。
  85. 左近友三郎

    ○左近政府委員 説明会その他を随時やりまして、そういう御希望のあるところと接触をしておるわけでございます。
  86. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 いま聞きましたのは、具体的に助成措置として、たとえば分別収集のために要る費用の半額補助をするとか、そういう具体的なことは現在やっていらっしゃるわけですか。
  87. 左近友三郎

    ○左近政府委員 クリーン・ジャパン・センターがそういう実験をやりたいという御希望のある市町村と話し合いまして、市町村がその実験的な実施をおやりになるときに必要な、収集をするために町内会の方が集めるためのかごだとか、そういうものに対する助成というような形でやっておりますし、そのほか、やり方その他の御相談に乗るということを、これは具体的な物ではございませんが、いわば知恵の面での御援助も差し上げておるということでございます。
  88. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 先進的なことをクリーン・ジャパン・センターにやっていただいているわけで、できるだけそれを広げていただきたいとは思いますが、このクリーン・ジャパン・センターの構成を見ますと、商工会議所の会頭だとか、経団連の代表であるとか、いわゆるほとんどが経済界の大物と言われるような人たちばかりで構成されておるわけなんです。もちろん生産側の立場でいろいろと対策を練られるわけでしょうけれども、実際にはいま言われたように、市町村の協力あるいはまた市民の皆さんの協力がなければシステム化の問題等はございませんけれども、そういう意見を徴収できるような何か組織というものはこの中にはないのですか。
  89. 左近友三郎

    ○左近政府委員 クリーン・ジャパン・センターの設立の経緯から申しますと、実は商工会議所が日本をされいにする運動というようなこともやっておられましたし、あるいは産業界がやはりみずから、先ほど申しましたように廃棄物も出すわけでございます。そういう点で、日本の廃棄物処理というものが前進するということについて社会的に貢献ができるというふうなことで集まってできたという経緯がございますので、従来はそういう役員になっておりますけれども、今後普及するというような点から言いますと、現実にやっておられる方との連携もよくしなければいけないと思いますので、その点は十分検討いたしたいと思います。
  90. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 こういうメンバーだけを見ますと、本来生産者側が自分の責任で処理しなければならないものを、国の補助を得て、いわば省資源対策というものを自分の費用の中でやらなければならぬものを、国から相当額の補助をもらってやっている。いわば便乗しているように受け取られるかもわかりません、こういう面だけであれば。  特にいま申し上げたとおり、地域との協力、自治体との協力ということがなければ、幾らここで新しいアイデアを出し、新しいプラントをつくったりしても、これはなかなかシステム化してそれが採用できるまでに至らないわけですから、そういう点についてはどうもこの構成メンバーだけ見ますと誤解を受けるおそれがありますけれども、そういう点については、もっと広く市民側あるいは自治体側の参加ができるような組織に変えていかれるというようなお気持ちはございませんか。
  91. 左近友三郎

    ○左近政府委員 一つは、今後のクリーン・ジャパン・センターの運営を通じて、そういう誤解のないような、地域と密着した運営をやりたい、行動をやりたいと思いますが、その運営につきましても、何らかのそういう声が反映するような考え方をわれわれも研究してみたいというふうに思います。
  92. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 最後ですが、去年あたりから、資源再利用のための立法措置として、産業廃棄物の再資源化促進法というものが出るようなうわさも出、あるいは新聞にも一時出たことがありますが、一向にそれがまだ表面化しておりませんけれども、これについてはどういう経過をたどって現在どういうふうになっているのかを、ひとつ教えていただきたいと思います。
  93. 左近友三郎

    ○左近政府委員 実は昨年、いまお話しのような法案をつくろうということで大分内部で検討したわけでございます。しかし、検討の過程で、やはり先生も先ほどおっしゃいましたように、再資源化という問題は、産業政策全体に非常に深く関連をしております。それからもう一つは、地方自治体の行っております清掃行政といいますか、ごみ収集の問題とも深くかかわっております。したがいまして、そういうものと整合のとれた形でできませんと、むしろ問題が出てくる。昨年はそこまでなかなか詰められなかったということでございます。  本年も、いろいろ検討しておりますが、なおもうしばらく検討する必要があるという結論で、本年の法案提出は見送ったわけでございますが、決してこの法案をわれわれが全くあきらめたわけではございませんで、先ほど申しましたいろいろな調査研究の結果を積み重ねて、この法案を将来完成させたいと思いますが、そのときはやはりいろいろな政策と十分整合性のとれたものとして法案をつくりたいというように考えております。
  94. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 見通しとしては大体いつごろそういうものをお示しになるのか。といいますのは、結局、現在は省資源時代だ、そして再利用を考えて省資源の時代に合うような産業政策も考えていかなければならぬというかけ声はあるのですが、具体的な基本方針もまだ決まっておりませんし、法案の予定もまだないということですから、そういった見通しをお示しいただくことによって、積極的に行政が乗り出しているのだということがわれわれにとってわかるわけですから、今後の方針等をひとつお知らせいただきたいと思います。
  95. 左近友三郎

    ○左近政府委員 なるべく早く結論は出したいと思っておりますが、ただ、先ほど申しましたポイントの中でも、今後解決を要すべき点がまだ相当ございます。したがいまして、いつまでということをこの際申し上げるのは非常にむずかしいと思うのですが、前向きの姿勢でこの問題を解決して、一つずつ問題を解決していくということで、なるべく早い提案に踏み切りたいと考えております。
  96. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 最後大臣から、事務当局はできるだけ早くと言っておりますけれども、再資源化法の促進についてどういうふうに考えていらっしゃるのか、ひとつお答えをいただきたい。
  97. 河本敏夫

    河本国務大臣 産業廃棄物の処理の問題、それから産業廃棄物の再資源化の問題、都市におけるごみ処理の問題等、これは一連の問題で、非常に大きな課題だと思います。やはり何らかの立法措置が必要だと思いますので、いま作業を進めておるところでございますが、できるだけ急ぐつもりでございます。
  98. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 終わります。
  99. 楯兼次郎

    楯委員長 次は、村山喜一君。
  100. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 最近の鉱工業生産動向というものを見てまいりますと、生産指数やあるいは出荷指数が上昇をいたしまして、三月における国内の自動車の販売台数やあるいは二月の全国百貨店の売り上げ、そういう指数から見まして、また製品在庫指数が下降をしているという状況の中で、経済企画庁や日銀あるいは大蔵省は、底入れをした、明るさが出てきたと、こういうふうに見ているようでございますが、通産大臣はどういうふうに今日の景気動向を見ておられるのか。新聞を見ておりましたら、どうも通産大臣は非常にシビアに問題をとらえておるように報道をしておりましたが、最近の景気動向というものに対してどういうような感度でおられるのかという点を、まず初めにお伺いをしておきたいと思うのであります。
  101. 河本敏夫

    河本国務大臣 最近の経済指標を見ますと、やや明るい徴候が見られます。昨年の十月に五十二年度の第一次補正予算、この一月に引き続きまして第二次補正予算、比較的小規模でありますけれどもこれが実施に移されておるという、それも若干の効果があったのではないかと思います。しかしながら、まだ本格的に明るさを取り戻した、こういうことではどうもないような感じがいたします。  そこで、政府の方といたしましていま一番大きく取り上げております課題が、昭和五十三年度予算が去る四月四日に成立をいたしましたが、このうち政府関係の公共事業、相当金額になりますが、これを上半期に集中して執行していこうという考え方、特にこの四月−六月の第一・四半期にさらに集中させよう、そういう考え方でいま進めております。これは相当大規模でございますので、これからは相当な効果が出てくると期待をいたしております。  それから、さらにもう一つの緊急対策といたしまして、いま残念ながら若干貿易の制限を行っておりますが、こういう不自然な事態を解消するためにも、さらにまた、日本が保護貿易の引き金になることを解消するためにも、大規模な緊急輸入を開始することにいたしております。  いまこの二つを緊急課題として取り上げ、進めておりますので、私どもは、本格的にある程度の明るさが見え始めるかなというのはもう少し時間がかかるのではないか、このように考えております。
  102. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 五十二年度経常収支が先般報告がありましたが、黒字で百四十一億ドル。輸出が八百三十二億ドルに対しまして輸入が六百二十六億ドルでございますから、貿易収支で二百五億七千百万ドルの黒字が出た、こういうような状況の中で五十三年度に入っているわけでございますが、けさほど経済閣僚会議でいろいろお決めになりました、その緊急輸入の内容は一体どういうようなものをお考えになっているのですか。
  103. 河本敏夫

    河本国務大臣 けさほど経済対策閣僚会議を開きまして、三項目ばかりのことを決めました。その一つが緊急輸入でございます。第二が経済協力の拡大、第三が円高差益消費者に還元するという対策、この三つを決めました。  そこで、お尋ねの緊急輸入の内容でございますが、一つ製品輸入の拡大であります。飛行機とか船舶とかあるいは大型機械、こういう製品輸入の拡大、それから第二は、資源、エネルギー関係の備蓄の強化、こういうことを内容といたしております。  それで、当然それに対しては金融が必要でございますから、これまでの外貨貸し制度内容改善いたしまして、金利等もある程度引き下げることにいたしております。それからさらに、これまでの外貨貸し制度は期限が三年ということになっておりますので、新たに期限十年という長期の外貨貸し制度も発足させることにいたしております。こういう二本立ての外貨貸し制度を活用いたしまして緊急輸入を図っていこう、こういう考え方でございますが、関係各省の大臣が一定の基準に合ったものを推薦をいたしまして、その推薦に従って緊急輸入の手続を進める、こういうことでございまして、相当大規模になると期待をいたしておりますが、現在の経常収支の動きから見まして、これを上半期に集中して執行したい、このような方向で進めていくつもりでございます。
  104. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 そういたしますと、緊急輸入のなには、いまから各省別にこういうようなものを自分のところでは買うのだというようなことで、そういうような要求項目を出し合わせて全体の数量と金額を決める、こういうことになるわけでございますか。その場合には、どれぐらいのものを予想しておいでになるのですか。
  105. 河本敏夫

    河本国務大臣 これはもう二、三カ月前からずっと準備を始めておりましたので、大体各商品ごとの見当はついておると思うのです。  そこで今後の運用いかんでございますが、最小の場合でもやはり四十億ドルぐらいにはなると思っております。情勢いかんでは百億ドルぐらいを目標にしたい、こういう考え方でございます。
  106. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 情勢のいかんというのは、これはたとえば経済の五十三年度の見通しの中で経常収支については六十億ドルに減らすというような問題が出ましたが、昨年の五十二年度経常収支が百四十一億ドルも出た、こういうようなことで政府の見通しをすでに上回っておる。そういうようなことから経常収支を減らしていく、その中で七%成長の実質を確保する、こういうような一つの政策目標がございますから、それに対応して、場合によれば百億ドルになる場合もあるぞ、こういうようなことでございますか。
  107. 河本敏夫

    河本国務大臣 そのとおりでありまして、経常収支は一応六十億ドルということを目標にしておりますけれども、緊急輸入によりまして六十億ドルがさらに縮小するという傾向になれば、これはもう当然日本の輸出はある程度伸ばしていいわけでございますから、そういういろいろな兼ね合いを総合的に判断しながら臨機応変にやっていこうということで、ある程度の幅を持たせまして緊急輸入をできるものは大いにやったらいいじゃないか、ただし、国民経済上これが有益でなければならぬことは当然でありますが、そういう判断を加えながら、できるだけ規模を拡大していこう、こういうことで先ほど幅を持った数字を申し上げたわけでございます。
  108. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 そこで、この考え方日本の産業構造の問題との関連が出てくるだろうと私は思うのでありますが、その質問に入ります前に、産業構造のビジョンというものをつくられましたね。四十九年、五十年、五十一年、そして五十二年には、今度はそのビジョンをどういうふうにして実現していくのかということで、五十二年八月には産業構造審議会の方から報告が出されております。私も一応全部目を通してみたのですが、その問題については後ほどお伺いしますけれども、今日なお依然として需給ギャップは解消されていない、こういうことが言われておるわけでございます。  中でも、たとえば鉄鋼の場合等は高炉六十五のうち二十二が火をとめている、今後十年間は高炉をつくる必要はない、こういうことが言われておりまするし、一億四千万トンの製造能力に対して一億トンをちょっと上回っているという稼働状態であります。造船の場合にも、これは所管は違いますが、千九百万トンの製造能力があるのに対して、受注量はことしあたりは三百万トン程度ではないだろうか、こういうことが言われているわけでございますが、そういうようないわゆる需給ギャップというものが今日どの程度になっているのか、そしてそれを解消していくのには何年かかるというふうに見ておいでになるのか、それと緊急輸入との関連性はないのか、こういう問題を考えなければならないだろうと思うのでございますが、ただいま大変雄大な規模の、四十億ドルから百億ドルという大きな規模内容の話をお聞きいたしましたので、その点について説明を願いたいと思うのです。
  109. 河本敏夫

    河本国務大臣 現在の日本産業の平均の操業率は大体七五、六%だと想定をしております。先ごろからこの統計のとり方が若干変わっておりますけれども、大体そういうことではないかと考えております。適正操業率はどの程度かということでありますが、九〇%ぐらいになれば非常に好況になった、こういう感じが出てくるだろうと私は思います。しかし、九〇%に持っていくためにはやはり若干の日数がかかる、二年ないし三年かかるのではないかと思いますが、だから適正操業率をどう見るかによって需給ギャップは違ってくるわけでございますが、いずれにいたしましても相当低い操業率にあるということであります。  しかも、この中には一〇〇%の操業率で非常に好調な業種も若干はございます。しかしまた、中には操業率が五〇%以下になりまして非常に困っておる業種も相当ございます。いま造船など例をお挙げになりましたが、造船などはまさにその例でございます。鉄鋼などは大体六七、八%操業だと考えております。でありますから、現在の日本の産業の特徴を一口で申し上げますと、非常に調子のいい業種と非常に調子の悪い業種、この二つのグループが同時に存在をしておる。これが日本の産業の特徴であろうと思います。  そこで御案内のように、一般的な景気対策のほかに、いわゆる構造不況業種対策、それと日本経済一つの特徴であります中小企業のウエートが非常に高いものでありますから、中小企業対策を特別に重視しなければなりませんので、この中小企業対策に格段の努力を続けておるわけでございますが、この三本立てで、一般的には内需拡大策、不況業種に対する特別の対策、それから中小企業に対するいろいろな対策、この三本立てで産業政策を進めておることは御案内のとおりでございます。  そういう中におきまして、産業構造の転換はいかにあるべきかということでありますが、いまお述べになりましたように、四十九年以来何回かローリングプラン等をつくりましたが、五十二年度はつくりませんで、五十三年度には、いま産構審で作業していただいておりまして、近く結論が出る予定でございます。  一つの目標はこうしてできましても、それじゃその方向に産業構造がうまく転換するかといいますと、景気がこのような状態ではなかなかむずかしい。やはり産業構造の転換は経済がある程度の活力を持っておりませんとできないわけでございまして、産業構造転換という考え方から言っても、何とか現在の景気を一刻も早く回復をしたい、そのように考えております。  それと緊急輸入との関係は何ぞや、こういうことでございますが、緊急輸入は、先ほども申し上げましたように、貿易の収支バランスが崩れておりますので、この崩れたバランスを取り返すために緊急対策としての緊急輸入を進める、こういうことでございまして、このバランスが回復をいたしますと、先ほど申し上げましたように、何も貿易の制限をする必要はないわけでありまして、貿易の制限を解きますと、やはりある程度景気対策上からも非常に好ましい結果が出てくると期待をいたしております。たとえば、仮に数量的に五%伸びますと一兆一、二千億の数字になりますから、波及効果等を考えますと、経済成長にも相当大きな影響が出てくる、こういうことも期待できるわけでございます。  しかし、現在は残念ながらそれができませんので、貿易のバランスを取り返してそういうことができるような客観情勢をつくり上げたい、こういうことで緊急輸入をしておるわけでございまして、そういう意味で関係があるということは言えると思います。
  110. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 そこで、産業政策局長にお尋ねをいたしますが、産業構造のビジョンを見ながら、そして五十二年の八月のビジョン実現のためにという報告書を見ながら、過去のそういうようなデータなりをもとにして予測をされて、その予測の数値を引き伸ばしながらあるべき産業の姿を想定して、そしていろいろ苦労をしていらっしゃる姿はよくわかるのですが、たとえば、ことしの民間設備投資の牽引力になるのは電力投資なんですね。これは恐らく三兆円以上のものを目指してやるということになってこざるを得ないと私たちも見ているのでありますが、五十一年度の産業構造の長期ビジョンの中身を見てまいりますると、三十六ページから三十七ページにかけまして民間設備投資及び民間企業の粗資本ストックの一覧表が出ております。     〔委員長退席、原(茂)委員長代理着席〕  その中で、電力・ガス・水道、この中から伸び率は三・九%という姿の中で昭和六十年度を想定しながら、そして昭和六十年度のそのストックの数量もあらわしていらっしゃるわけですが、こういうような円高不況の中で、しかも外貨が大変な姿の中で蓄積をされていく。経常収支は、当初は七億ドルの赤字になるであろうという見通しが、とんでもない百四十一億ドルの黒字になった、こういうような状況で、対外的には円の力が非常に強まっている。その中から黒字基調は続いて、円高基調というのはまだまだこれから続いていくかもしれない、こういうような状況の中にございます。その中で、先ほどの御説明を聞いておりますと、国内の操業率はまだ七五、六%のところにある、そういう中で不況が続いて、国内では円の価値というものが非常に低い、こういうような状態の中で民間の設備投資の問題を考える場合には、やはりそういうような需給ギャップが非常に大きいところに設備投資をせよと言ったって設備投資ができるはずはないのでありますから、やはり電力投資というようなものに先行投資的にそれをやらざるを得ないという経済運営にならざるを得ないと思うのであります。  そこで私は、石油パニックを受けまして不況のどん底に落ち込んで、それから徐々に日本の企業が持っている活力によって一つの回復の過程をたどりながらこれから向かうべき産業というものの想定をしてこられた、その時点においてはこういうような数字が出てこざるを得なかったと思うのでありますが、現在の時点において、やはり産業構造のビジョンというものはもう少し再検討をして、円高基調の中でこれから日本の産業がどういうふうにして生き延びていくのか、その中におけるところの産業政策というものがなければどうにもならないのではないだろうか、そういうように考えているのですが、いま確かにことしの通産省の三本の柱というのは、内需の拡大や、あるいは不況業種対策中小企業対策というような問題に重点を置かれるということもわかりますけれども、それと同時に、これからやはり中期、長期の見通しの中で日本の産業構造のあるべき姿を求めながらそういうようなものに対する戦略産業の位置づけを図っていくためには、いままでに苦労してつくられましたものをもう一回見直してみる、こういう必要がもう来ているのではないだろうかと考えるのでございますが、当局は、それに対してはどういうような感度をお持ちでございますか、その点について説明願いたいと思います。
  111. 濃野滋

    ○濃野政府委員 お答え申し上げます。  先ほど大臣からも御答弁がございましたように、あるいはただいま先生の御指摘にございましたように、オイルショックを契機といたしまして起こりました経済成長の屈折と申しますか、前々から、七〇年代に入りますと従来の高度成長の姿は変わってくるのではないか、おぼろげながらそういう感じというものは、日本国内いろいろな面で出ておったわけでございますが、この長期不況の中でもとの道には戻らぬというかっこうがはっきりいたしました。ただいま御指摘の五十一年度の長期ビジョンをつくる際等におきましても、そういう問題意識は出したつもりでおります。  ただ、先ほど先生のお触れになりましたように、五十二年度、不確実性ということを非常に強調いたしまして、御指摘のように、長期ビジョンという姿で将来の産業構造のあり方を何かつくり上げるには不確定要素が非常に多い、また、この長期のビジョンを、私どもが独自にと申しますか、あるいは勝手に一つの姿を描くというのはなかなかむずかしい問題でございまして、やはり主要な産業界あるいは関係の学識経験者の方たちと一緒に考えていくというためには、どうも雰囲気が不確定要素が多いということで、先ほど先生指摘のような、昨年はむしろこれからの問題を探っていく上での問題点を指摘した、その中に、いま電力投資の問題でお触れになりましたが、やはり設備投資というものをどう考えていくべきであるか、あるいはいわゆるエネルギー問題と絡みまして、エネルギーの消費構造というものをどう考えていくべきであるか、あるいは、従来からもいろいろ問題がございましたが、今後の産業構造政策の中でやはり産業調整問題というのが非常に大きなウエートを占めてくる等々の、いわば問題意識の提示をしたわけでございます。  しかし、一方、各方面でやはり将来の長期のビジョンをはっきりさせることがこれからの経済運営の上でも非常に必要であるという御意見が非常に多くなりまして、ただ、こういう情勢の中で非常にきれいな将来の産業構造のビジョンというものをつくることは大変むずかしい問題ではございますが、しかし先ほど大臣のお話がございましたように、昨年からことしにかけまして、いろいろな面で今後の方向を示唆する基礎というのがだんだん出てきたような気がいたします。たとえば、構造不況問題等も、昨年の初め以来各業種別にどの産業がどういう点を問題として抱えておるかという問題点は大分浮き彫りにされてまいりましたし、設備投資の沈滞の中にありながら、これから民間設備投資の中核になるようなものは大体どういう業種であるかということも、おぼろげながら一つ方向が出てまいりました。私どもは、そういうことで大変むずかしい問題ではございますが、先ほど大臣の御答弁にございましたように、ひとつ本年度は従来と同様に、四十九年、五十年、五十一年にビジョンをつくりましたが、そういう新しい要素を入れまして産業構造の長期ビジョンというものに取り組んでみたい、こう考えまして、現在その準備を進めておるところでございます。
  112. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 大臣、この問題は非常にむずかしい問題でありますが、われわれもわれわれなりに、新しい戦略産業というのは一体何だろうか、新しい産業政策というのはどういうものなんだろうかというものを模索しながら、一体産業構造政策というのは市場構造を前提とした企業の投資領域に関するものなのだろうかという問題を、疑問を感じながらもいろいろと研究をしているわけです。もちろん、断絶をした姿の中でいきなり新しいものをつくり出すことはできないわけであります。そういう意味から、たとえばアメリカあたりが社会開発産業というものを一つの戦略産業にして、住宅や新交通システムや公害企業の制御というものを取り上げておるわけでありますが、今日新たに三全総も出てまいりまして定住圏構想というものが出てまいったわけであります。また最近言われるように、過密都市の再開発の問題というのは、工業用水であるとか交通管制の問題、水処理の問題大気汚染の問題、そういうものをコンピューター化してとらえていくという形をとっていけば、これはもう最高のシステム産業ではないだろうかということも指摘をされているわけであります。大臣の頭の中に、従来の構想は構想として、そしていま見直しの作業でアセスをやっておるわけでございますが、それはそれとして、通産省大臣として、また河本さんは自由民主党の中ではきっての経済政策者だとも言われているわけですから、今後の戦略産業の位置づけをどういう構想で描いていらっしゃるのか、お考えをお持ちであるならばお聞かせをいただきたいと思うのです。
  113. 河本敏夫

    河本国務大臣 これは先ほども局長が答弁いたしましたように、産業構造審議会に産業界、学識経験者、各方面の意見を集めまして、幅広く将来を展望したいということでいま準備をしておりますので、私から結論がましいことを申し上げるのはいかがかと思います。  しかし、この作業をいたします場合の背景として考えなければならぬことは、一つ昭和四十八年の秋に起こりましたオイルショックだと思います。それ以来、省エネルギー省資源問題、それから単にそれだけではなく、新しいエネルギーの開発、原子力の平和利用、こういうことが非常に大きく取り上げられておりますので、この問題が当然一つの大きな議論の柱になると考えております。  それからもう一つわが国にとりまして留意しなければならぬのは、近隣の発展途上国の非常な追い上げということであります。相当広範囲に追い上げが進んでおりますので、それが全産業の分野で今後十年、二十年先を展望した場合にどの程度のものになるか。一応の試算はできてはおりますが、これとわが国の産業構造のビジョンをどう考えるか、こういうことも当然一つの検討の柱になると思います。  それから、昨年の秋には、先ほどもお話がございましたが、三全総が長い間の議論を経ましてようやく最終的に政府決定になったわけでございます。今後十年間に二百四十兆円という膨大な社会開発のための投資というものが必要であるということが規定をされております。大体の方向も述べられておるわけでございますが、これも当然この作業をする場合の一つの大きな参考の柱になると考えております。  そういう中にありまして、当然産業の高度化ということが考えられるわけだと思いますが、幾つかの要素がございますので、そういうことを全部詰めまして、そして専門家、それから学識経験者によく検討してもらおう、こう思っております。  ただしかし、様子は刻々に変わっておりますから、やはり絶えずローリングプランで見直しが必要だと私は思いますし、幾らりっぱな計画が教科書のようにでき上がりましても、先ほど来申し上げますように不景気でもう産業が息も絶え絶えである、こういうことでは幾らいい案ができましても転換する活力というものが生まれてまいりません。だから、何と申しましても、景気をよくして産業界に活力を取り戻すことがその前提条件として絶対必要なことだと私は考えております。
  114. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 今日大変な株価の上昇というのが現象的にあらわれております。公定歩合の下がるのと反比例をいたしまして株価だけは大変な勢いで上昇を続けている。  考えてみれば、投資をするものは株しかない、こういう姿の中で、資金はだぶついているという姿の中から異常な株価現象というものが生まれてきているのだと私たちも判断をしているわけであります。したがいまして、潜在的な投資意欲というものはあるんだけれども、どこにそれを投資をしたらいいのかというその投資先がわからない、これが今日の状態ではないだろうかと思うのでありまして、そういうような意味においては、目標が明らかになってこない。そういう意味においては、いま大臣が言われた方向は大体私たちも考えておる方向でございますので、今日息も絶え絶えの状態にあります日本の企業に一つの目標を与えながら誘導をしていく政府の責任というのはきわめて大きいと思いますから、十分に早目にそういうふうな措置をお出しいただいて対策を打っていただくように要望を申し上げておきたいと思います。  そこで、第二点の円高による企業の為替差益の問題でございますが、先ほどの説明を聞いておりますと、それを還元するという問題が入っているやに承ったのでございます。  そこで、予算委員会に提出をされました資料によりますと、円高による企業の為替差益は、電力会社が一千億円、ガスの大手三社で百八十億円、こういうのが出されました。しかし、そのときのレートの換算は、大臣承知のように、一月以降は五十二年の十二月の平均為替レートの一ドル二百四十二円で推移するという前提で計算をいたしているのでありますが、四月の二十日の中心相場が二百二十二円七十銭というふうになっております。とするならば、今日一年間に得られましたところの、四月から三月までの電力会社なりガスの大手三社の為替差益というものは、これよりももっと大きなものがあることは間違いない。あるいは石油やLPGの輸入の為替差益というのも五十二年の上期にはトータルで九百四十二億円という数字が出されているわけでございますが、そういうような意味においてはこれももっとふえていることは間違いない。  こういうふうに考えてまいりますると、その為替差益のなにがどの程度になっているのかというのがやはり問題であります。その点を明らかにしていただきたいのと、一つは、これは産業構造の問題にも関係がありますけれども、ビジョンを見てまいりますると、アルミなどという電力を食う産業は、今後電力の安いところで生産をしてそれを輸入するという体制をとるということや、あるいは企業の合理化をやって、製錬と製品との調整の措置をとらなければならないとかというようなのが書いてございます。あるいは石油化学が今日非常に衰退をしているというのはナフサの原料が高過ぎたからだというようなことも言われるわけでございます。  そういうような意味において、いま稼働率が五〇%を割っているような産業に、この円高の為替差益の中で還元をするというのは、そういうような意味の還元の仕方というものもあり得るし、あるいは消費者に直接還元をするという方式もある。  通産大臣は、電力料金の問題等は値上げになる分を抑えておくという意味において、一年なりあるいは二年間は値上げはできないような形にするのが消費者還元だというお話もされたやに承るのでございますが、為替差益のそういうようなものをどういうふうにして還元をしようということを閣議で御相談になったのでございますか。内容説明してください。
  115. 河本敏夫

    河本国務大臣 為替差益の還元ということは、これはどうしてもやらなければいかぬということでございまして、ただ、業種ごとあるいは製品ごとにいろいろ事情が違いますので、それぞれの事情に応じて最もいいと思われるような方法で為替差益を還元をしていこう、こういう基本方針を決めたところでございます。  たとえて申しますならば、電力、ガスなどは据え置きをできるだけ長く続けるのがよろしかろう、こういうような結論でございます。それはどうしてかといいますと、五十一年に現行料金を設定をいたしまして、電気事業法に基づいて原価計算をしておるわけでございますが、五十三年度以降には値上がりの要素が相当ございます。たとえば資本費の負担もふえておりますし、それから修繕費、人件費等も相当上昇をいたしております。だから、値上がりの要素も相当あるのです。しかし、為替差益の金額もいまお示しがございましたように相当大きなものがございます。そこでこの際は、値上がりの要素もあるけれども、この為替差益を還元するという意味において、原則として二年間は現行料金を据え置くべきである、こういう方針を決定をいたしました。ガスにつきましても同じような方針を決定をいたしまして、本日正午、電力会社の代表、それからガス会社の代表を呼びまして、その方針について協力方を要請をいたしまして、両業界ともこれを了解されたところでございます。  それから、石油は非常に大きな為替差益が出ておりますけれども、別途これも非常に大きなコストアップ要因も出ております。でありますから、巷間伝えられるようなそういう大幅な黒字ではありませんけれども、しかし、昨年の年末に灯油の引き下げについて相当協力をいたしておりますが、さらに、全体として石油の価格を引き下げることによって、そして消費者利益を還元するという全体的な対策のほかに、特別に国際価格よりも大変割り高になっておりますナフサについては、これをできるだけ国際価格に近づけていくという方向に進めるようにということを、本日、石油業界の代表を呼びまして協力を要請をしたところでございます。その方向で努力をする、こういうことで御理解をいただきました。  業界ごとによりましてそのように事情が違いますが、さらに農産物とかあるいは電信電話の料金、航空料金、こういう問題についても本日はある程度の方針が明らかにされましたが、これは通産省の管轄でありませんから、政府の発表いたしました文書で御承知おきいただきたいと思います。  そのほかにいろいろな製品輸入がございます。製品輸入につきましては、昨年二回にわたる価格動向の調査を企画庁が中心になっていたしておりますが、さらに今回第三回目の調査をするということでいま準備が進んでおります。調査が終わり次第その資料を公表いたしまして、輸入製品の価格はこのように動いておりますよ、これだけ当然安くならなければならぬはずですよというそういう資料を消費者の皆さんに参考資料として提供していこう、こういうことで調査準備をいま進めておられるところでございます。  いろいろな方法がありますが、とにかくこれだけの円高ということでありますならば、これはやはり取り扱い業者がその利益を独占すべきものではない、可能な限りこれを消費者に還元をしなければならぬ、当然なことだと私どもも考えまして、各省ごとに強力な行政指導をやっていこう、こういうことにいたしております。  ただ、いまアルミのことをちょっとお触れになりましたが、アルミは電力を非常に多量に消費をいたしますので、電力料金即アルミ料金と言っても過言ではないくらい関係が深いのでありますけれども、ただ、全部を電力会社から買っておるのではございませんで、買っております電力は、アルミ会社の消費いたしております約二割強であります。あとは電力会社との共同発電あるいは自家発電、こういうことになっておりまして、必ずしも電力料金だけでは解決できない非常にむずかしい幾つかの要素がございますので、これは構造不況業種対策として抜本的な対策を進める必要があろうかと考えております。
  116. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 そこで、その問題はさておきまして、時間がございませんので、非常に小さな問題に急に入るようでございますが、不況の中で、しかも低成長下で中小企業がどういうふうにして生き抜いていくのかというのは、これは通産大臣が一番頭を悩ましていらっしゃる問題だと思うのでございます。  そこで、私は、いろいろな措置を政府もおとりになり、あるいは政府の機関もそれに対応してやっているものだと思うのでございますが、この中で中小企業業種転換というのがございましたが、これは実績を調べてみますると、どうも非常に低い数字のようでございます。  そこで、この融資金額なりあるいはどういうようなふうに推移をしているのか。中小企業金融公庫の担当者の方からと、それからなぜうまくいかないんだろうかという問題については、行政当局の方から説明を願いたいのです。
  117. 岸田文武

    ○岸田政府委員 あらかじめ中小企業庁から御報告をさせていただきます。  事業転換法が一昨年の十一月に制定をされました。その後の状況を見ておりますと、三月に業種指定をいたしまして、その後、各都道府県で個別の企業の認定に移ったわけでございます。今日までの認定件数合計が約五十二件と記憶いたしております。当初半年ぐらいは、準備あるいは調整のために余り申請がございませんでしたが、最近では、大体月に十件ぐらいの申請が行われているという状況でございます。ちなみにドルショックのときの例を見ますと、四年半余りの期間にわたって六十数件でございますから、その当時に比べればかなり高い水準ということが言えるかと思います。しかし、それでもまだまだ件数としては少のうございまして、潜在的に事業転換の問題を考えなくてはいかぬなあと感じておる中小企業はまだまだ多いのではないかと考えておるところでございます。恐らく中小企業としては、いままでのままの経営ではなかなかやっていけない、しかし新しい分野に行くにしても、この不況の中でどこへ行ったらいいんだろうかというような点が一番悩みの種ではないかというふうに感じておりまして、そういう点につきましては、極力情報の提供あるいは具体的な相談、こういうことに力を入れていきたいと考えております。  金融面等の措置につきましては、公庫の方からお答えをいただきたいと思います。
  118. 渡辺佳英

    渡辺説明員 お尋ねの事業転換について中小企業金融公庫からどのくらい金が出ておるかという点でございますが、確かに先生のおっしゃいますとおり、そんなにたくさんは出ておりません。     〔原(茂)委員長代理退席、委員長着席〕 私どものところの事業転換に関連する貸し付けというのは三通りほどございまして、事業転換を内容とする貸し付けに対しては、普通は貸し付け限度というものがありますけれども限度を超過して貸し付けることができるという限度超過貸し付けというのと、それから、前からやっております公害関係事業転換をしなければならないというものに対する公害転換というのと、それから、先ほど中小企業庁長官からお話のありました転換法に基づいて転換する場合の貸し付けというのがございますが、その三つに分けて申し上げます。  限度超過貸し付けの方は、昭和五十二年の四月から十二月で五件、三億五千万、それから公害転換が、同じ五十二年の四月から十二月まで十六件で五億六千七百万、それから転換法の関係は、これも四月から十二月、年末までの数字でございますが、十五件で五億八千五百万というような数字になっております。  この事業転換というものは考えましても実行はなかなかむずかしいので、出おくれてはおると思いますけれども、これから漸次ふえていくのではないかというふうに考えております。  以上でございます。
  119. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 そこで中小企業庁長官に私はお尋ねいたしますが、国際分業の進展に対応をして、長期的には付加価値の高い商品供給に転換をしなさい、そして技術集約的産業へ転換するということがビジョンの中にも出ているわけでございます。しかし、どういうような業種に転換をしているのかというのをいろいろ聞いてみますと、どうも望ましい業種に転換をしているとは、そういうような理想に向かって転換をしているとは思われないような内容になっているとわれわれは聞いているのですが、その点はいかがでございますか。
  120. 岸田文武

    ○岸田政府委員 いままでの転換の認定をしました企業につきまして実情を見ておりますと、大部分がいままでやっておりました仕事の経験を生かして親類筋の業種へ転換をしていく、こういう形が一番主流でございます。そのほかに知人、友人等の経験を活用して新分野へ展開をするという形態もかなり含まれております。いま御指摘ございましたような御意見に関連をしてよく出されますのは、飲食店がかなり多いんじゃないかというような御意見でございますが、いままでのケースで見ますと、一割弱が飲食関係のところへ転換をいたしております。ただ、これも先ほど申しましたように知人、友人の経験をいろいろ生かし、あるいは国道沿いの立地条件を生かしというような形で転換が図られたものでございます。私どもは、どの業種へ行くことがよいか悪いかということは、あらかじめ設計図をつくってそれに誘導するという形はとらず、やはり企業自身が、いま置かれた環境及び従来の経験を生かして、最も効率よく生き延びていくにはという知恵をこらして業種を選定していただくというのが基本ではないかと思っております。  ただ、そうは申しましても、全体の経済の動きがどうなっていくのか、またこれからの成長がどういう業種で重点的に見込まれるのか、こういった情報につきましては、なるべく手厚く供給をすることが必要であろうと考えまして、中小企業振興事業団の中に転換のための特別の室を設けまして、各種の業種の実情及び将来性、また、そこへ転換するときの問題点等についての資料を整備し、提供をいたしておるところでございます。
  121. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 今日の市場機構の最大の弱点というのは、提供されるその情報だけを信頼をすることができない、こういうような悩みがあるところに問題があると私たちも見ておるわけです。したがいまして、そこには転換をしていくのに非常にむずかしい点があるであろうということもよくわかるわけでございますが、いまスムーズに行きつつあるということでございますから、もう少し経過を見守ってみたいと思っております。  そこで、大蔵省も見えておるわけでございますが、最近、帝国興信所の五十二年度の倒産件数と負債総額の発表は新聞で見ました。それから全銀協によります銀行取引停止の件数等は見ております。そういう状況の中から傾向値はその中で把握ができるわけでございますが、行政をあずかるところとしては、そういうようなところの情報だけに頼っていて一体いいんだろうかという気がするのでございます。この点については、東京商工リサーチあたりの調べ以外に、これは間違いないという客観的な数字を何らかお持ちであるのかどうかですね。その点についてお答えをいただきたいのが第一点でございます。  それから中小企業庁は、負債総額が一千万円以上の企業でこれだけつぶれました、こういうような数字は御承知だろうと思うのですが、一千万円以下の負債でつぶれた中小企業が一体どれぐらいあるんだろうかというような問題について調査をされたことがあるんであろうか。また、そういう意味からは、きょうは中小企業信用保険公庫の方もお見えでございますが、この中で代位弁済等をやってそういうような中小企業の倒産に対処して処理をされたものが一体どういう件数になっているのか、それぞれのお立場から御説明を願いたいと思うのです。
  122. 岸田文武

    ○岸田政府委員 新聞等で倒産の状況を報告いたします場合に、帝国興信所あるいは東京商工リサーチの資料がよく引用されておりますし、私どももよく引用いたしておるところでございますが、御承知のとおり一千万円以上が対象でございます。  もっと網羅的に倒産の状況を把握することができないかということで、私どももいろいろと勉強いたしてみました。考えてみますと、倒産の原因としては、取引停止処分を受けること、破産、和議あるいは会社更生等の手続を経ること、こういった点の姿がわかれば大体全貌がわかるだろうと思いまして、取引停止処分につきましては全銀協の資料の中の個人非企業を除いた数字を引用し、また破産、和議等につきましては最高裁の資料を引用し、両方をあわせまして大体の全貌を把握しておるというのが実情でございます。  その中で、一千万円以上につきましては、銀行の資料を活用しながら、民間金融機関が業種別あるいは原因別の分析をしておられますので、私どもとしてもそれは有益な資料と思いまして活用いたしておるところでございます。  お尋ねの一千万円未満の対象、これの全貌を明らかにすることはむずかしゅうございますので、私どもは主要な都市についての調査を補足的な形で実施をいたしておるところでございます。お話がございましたような形でもし全貌をやるということになりますと、民間の調査とかなり重複する面ができてまいりますので、果たして効率的であるかどうかという点が問題になろうかと思います。  ただ、それでも倒産の状況については極力実態を把握することが必要であることは当然でございますので、御承知かと思いますが、本年四月から倒産共済制度が発足し中小企業共済事業団がその任に当たることになっておりますので、この仕事ぶりを見ておりますれば、もっと新しい角度から倒産の実態がいろいろ明らかになるのではないか。この点、どういうふうな形でデータをまとめていくか、いま具体的な相談をいたしておる最中でございます。
  123. 石川周

    ○石川説明員 銀行行政を預かる立場からは、金融取引の過程におきまして生じますいろいろな統計をそれぞれの立場から把握するようにいたしております。日本銀行、全銀協等の統計がそれでございますが、その中で御指摘のように取引停止処分が統計的に把握されております。私ども、現在のところ、そのほかに新しい統計を把握するという考えは特に持ち合わせておりません。
  124. 上国料巽

    上国料説明員 信用保険公庫からお答え申し上げます。  信用保証協会で債務者にかわりまして金融機関に対して弁済しましたものを代位弁済と称しておりますが、これの昨年度の実績を申し上げますと、件数にいたしまして約五万件、金額にいたしまして千四百九十五億、金額で対前年比一三七%となっておるわけでございます。それに対しまして、支払いました保険金は九百七十三億、対前年割合一三六・七%という状況になっております。
  125. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 最近の全国銀行の貸出金の償却額を調べてまいりましたが、大変な伸びで、そういうような償却をせざるを得ない状態が出ております。保険金の支払いが約一千億に近くなってきている、代位弁済の数がふえてくるということは今日の景気を示す指標だと思うのでありますが、そういう意味から、行政庁としてもっと的確にいろいろな——いま中小企業庁長官からお話をお聞きいたしまして、しばらくしたらその実態がもっと完全な意味で捕捉されるだろうとは思いますが、まだまだ十分に調査が行き届いているとは思わないのでございます。その点についてもひとつ御検討をいただきたいと思っております。  最後になりましたが、一つだけお尋ねをいたして、また私の所見も申し上げておきたいと思います。  中小公庫貸付金の基準利率の問題、それからこれの特別貸付の割合の内容説明を願いたい。  それから、時間の関係で全部まとめて言いますが、現行の基準金利が七・一%でございます。これは大蔵省の方でも説明を願っていいのですが時間の関係で省略しまして、いわゆる長期のプライムレートが七・一%に相なっております。そうなってまいりますと、最近は資金がだぶついておりますから、長期で貸した方が銀行としても利ざやが確保できることに相なりますから、そういう意味ではプライムレートの適用業種を拡大をしていく。このようなことになっていくならば、いわゆる一流企業、大企業に対してはプライムレートを適用し、競争力のない中小企業の場合には七・一%の標準金利を適用していくことになってまいりますると、一体制度金融、政策金融の価値があるのだろうかという気がしてならないのでございます。  そこで、円高不況の問題等に対しては一般会計の中から融資の措置については資金的な手当てが講ぜられておるわけでありますけれども、それはわずかの数字であるということになると、公定歩合が下がり貸付金利が下がっていく中からプライムレートが下がっているわけでございますが、そういうような制度的なものとの関係においていまのような状態で果たしていいのだろうかということについて疑問を感じているのですが、それについてはどういうふうにお答えをいただけるのか、それぞれの立場で説明を願いたいと思うのです。
  126. 岸田文武

    ○岸田政府委員 中小企業の経営にとりまして金利が相当の圧迫要因になっておるという声は、私どももたくさんの中小企業から聞いておるところでございます。したがいまして、政府関係金融機関の金利につきましては、下げられる条件ができました都度できるだけ下げるということで大蔵省とも調整をし、今日に至っております。先般、三月二十七日でございましたか、〇・五%の追加引き下げを実施したところでございます。  なおまた、特定の場合における特利等につきましても、目下大蔵省と調整を図っておるところでございます。  これらを通じて見まして、先ほどお話がございましたように、大企業と比べてどうか、一般の中小企業金融機関と比べてどうかという点が問題になります。七・一%という金利は大企業のプライムレートと同率であることは御指摘のとおりでありますが、中小企業金融機関の貸出金利と比べますとなおかなり低い水準にあるということが言えるのではないか、それだけ政府関係金融機関としても努力をしていると申せるのではないかと思っておるところでございます。  特定の場合には、たとえば円高緊急融資あるいはマル経資金等につきまして利子補給を行っており、また商工中金に対して大幅な政府出資を行っておりますということも御承知かと思うわけでございます。  これらを通じまして私ども中小企業の方々から受けます印象としては、やはり政府関係金融機関に対する期待というものは依然として大きい。資金量を少しでも確保してもらいたい、また年末等には適時適切な資金量の追加をしてもらいたいという声は毎年私ども聞いておるところでございまして、そういうような環境から中小企業の総借り入れに対する政府関係金融機関の比率も決して下がっておりません。そういうことで、今後とも政府関係金融機関に大いに期待をしていただけるように努力をしていきたいと思っておるところでございます。
  127. 渡辺佳英

    渡辺説明員 私どもの特別貸し付けについてお尋ねがありましたけれども、昨年の十二月末現在で、件数で四万八百十三件、金額で三千八百七十七億ということになっておりまして、全部の貸し付け残高に占めます割合は、件数で一五・三%、金額で一二・七%ということになっております。  それから、先ほど中小企業庁長官から答弁がありましたけれども、中小公庫の立場といたしましても、もちろん中小企業者の方では金利は低ければ低いほどいい、これはよくわかるわけですが、金利についても一種の値ごろ感といいますか、水準がございまして、現在のところ決してそれに対して金利が高いから公庫から逃げていくんだというような声はほとんど聞いておりません。現に資金需要は非常に旺盛でございまして、その処理に追われているというような状態でございます。  以上、お答えいたします。
  128. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 これで終わりますが、直貸しの場合はその保証料もそういうように払わなくてもいいわけですけれども、代理貸しの場合等は、最近景気が悪いものですから、その保証協会の保証をとってこいというケースが多いわけです。その金利がまた一%加算をされるというようなことも考えますと、やはり今日のこの不況の中で苦しんでいる中小企業の金融措置というものは、まだまだ十分でないんじゃないかという気がしながら、片一方、大企業の場合には、プライムレートの適用されるようなところは安い金利でやっていけるという、その問題が今日なお格差として残っているということを指摘をしておいて、私の質問を終わりたいと思います。
  129. 楯兼次郎

    楯委員長 林孝矩君。
  130. 林孝矩

    ○林(孝)委員 大臣にお伺いいたします。  最近金の延べ板がはでに売られておる、第三の金ブーム到来、そのようにも言われているわけでありますが、都内のあるデパートでは一日に三キロの金が売れている、こういう報道もあります。これは物価高であるとかあるいはデノミ云々というようなうわさ、そのように揺れ動く世相から暮らしを何とかして守りたい、そういう庶民の動きであるとも言えるわけです。  四十八年の金自由化以来、金の市場というものが自然発生的に形成されつつあるわけです。現実には日本の金の取引市場は非常に未成熟、その中から社会問題となって起こっていることは大臣も御存じのとおりだと思います。金の取引業者、それらのものが取引する市場が、この三、四年間に雨後のタケノコのように出てきているわけですね。最近の新聞の求人広告、こういうものを見ましても、ゴールドアナリストとかゴールドプロモーター、こういう広告が掲載されて、この不況下でセールス要員の募集をしているところもある。  そこで、お伺いしますが、現在こうした業者あるいは市場というものはどれほどあるのか、お答え願いたいと思います。
  131. 河本敏夫

    河本国務大臣 金の取引の現状について話をせよ、こういうことでございますが、これは現物取引と先物取引とございまして、その具体的な内容につきましては政府委員から答弁をさせます。
  132. 山口和男

    山口(和)政府委員 金の地金に関する先物取引、いわゆる延べ取引と俗称いたしておりますが、これに関係のございます市場を開設している業者につきましては、過去に調べた段階では九業者が存在するという情報がございますが、しかし、これらの取引市場は離散が非常に激しくて、非常に流動的でございますので、その後、最近の時点で、あるいはさらに増加しているのではないかと推測されます。
  133. 林孝矩

    ○林(孝)委員 具体的ではないですね。  では、一部の業者がこうしたいかがわしい行為の結果、犯罪というものが生まれる、そういう温床となっているおそれがあるわけでありますけれども、警察庁はこうした実態を把握しておりますか。
  134. 柳館栄

    柳館説明員 お答え申し上げます。  金の延べ取引あるいは先物取引による損害がどういうぐあいになっているかということの実態の詳細は、把握いたしておりません。
  135. 林孝矩

    ○林(孝)委員 これは通産省にもう一回お伺いいたしますが、こういう実態の把握というものはどこが所管して行うということになりますか、その判断、見解をお伺いします。
  136. 山口和男

    山口(和)政府委員 商品取引所法に関連いたしております取引員がこの金の先物取引に関与しておるという限りは、商品取引関係の所掌をいたしております通産省である程度把握しまた指導をすることは可能でございますが、取引員以外の金の取引業者につきましては、その実態把握というのは、実際問題といたしまして、大変遺憾ながらなかなかむずかしいわけでございます。そういうことで、私どももできるだけ把握に努めておるわけでございますが、警察等とも協力をしてやるということになろうかと存じます。
  137. 林孝矩

    ○林(孝)委員 警察と協力して把握する、その対象は取引員が対象である、取引員外は把握しにくいということですが、警察庁もそういう認識でありますか。
  138. 柳館栄

    柳館説明員 お答え申し上げます。  私どもがこういう金の延べ取引あるいは先物取引等に関与いたしますのは、そこに犯罪がある疑いがある場合に関与をいたしていくわけでございますので、全般的にそういう業界がどうなっておるかとか、あるいは被害全体が全国的にどうなっているかということには、関与をいたさないのでございます。
  139. 林孝矩

    ○林(孝)委員 問題は、現物取引ではなしに先物取引が行われていることにある、私はそう思います。それに関連して投機的な動きが起こる。一部の業者は、特に全く無知といいますか知識を持ち得ていない大衆、庶民に対して甘言を用いて働きかける、そうして多額の金をだまし取っているという実例があるわけであります。大きな社会問題になってきているわけですが、その前に伺っておきますけれども日本の国内の金需要、これは現在どうなっていますか。
  140. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 年によって違うわけでございますが、大体年間百ないし百二十トン程度でございます。
  141. 林孝矩

    ○林(孝)委員 そうしますと、月平均して約十トン、こういう平均値が出てきます。ところが、金の市場では、この二年あるいは三年前までは、一市場一日五十キロぐらいの取引であった。ところが、最近、一日に一市場三ないし四トンの出来高、このようにデータは示しておるわけであります。一日に一カ月の需要の二分の一ないし三分の一の取引がなされている、こういうことになりますね。しかも現物の受け渡しを行わない、いわゆるマネーゲームのような大量の取引がなされている。この先物取引が素人である一般市民を巻き込んで、被害が各地で続出している。このような悪質な商法といいますか、これに対してどういう見解をお持ちになっているかということが一点。  そして、具体的にそうした悪質商法の実態というものを通産省は御存じかどうか、お伺いしたいと思います。
  142. 山口和男

    山口(和)政府委員 金の取引が、現物について適正な流通経路で取引されている限りはそれほど問題はないわけでございますが、先物取引というような形で先に決済が行われるということになりますと非常に危険性を伴うわけでございまして、そういった取引によりまして一般大衆が損害を受けるということは、大変重大な問題であると考えます。そういう意味で、一般大衆はそういった取引にできるだけ近寄らないように啓蒙していく必要があるというように考えておるわけでございますが、私どもが発行いたしております「消費者ニュース」等におきましても被害事実がいろいろと報告されておりまして、相当の件数金額に上っております。昨年の四月から一年間に消費者相談室に相談のございました件数が、全部で十七件、被害総額三千二百万円ということで、このほかに金額の不明なものが九件ばかりあるわけでございます。
  143. 林孝矩

    ○林(孝)委員 一つの例を申し上げますが、これは新聞に報道されたものであります。「“黄金の日日”の夢破れ 金相場素人投資家の被害続出」という見出しで、第二のマルチ商法になるのではないかという憂えが述べられております。これは全く悪質なセールスマンの口車に乗って娘の教育費まで失ってしまった、こういう実例でありますが、埼玉県の例です。この埼玉県の例については警察庁は知っておりますか。
  144. 柳館栄

    柳館説明員 お答え申し上げます。  私どもも、先生がただいまお持ちの新聞記事で初めて承知いたした次第でございます。
  145. 林孝矩

    ○林(孝)委員 それから、主婦に言葉巧みに誘いをかけて三百七十五万円もの金を出させた、結局百八十万円の被害を与えたことに結果的にはなっているわけですけれども、この業者は、通産省公認の市場だ、このように言って安心させて、もうけさせてやるから任せなさい、こう言って金を預かって八回も相場を張っておる、こういう実例がありますが、これは通産省、御存じでしょうか。
  146. 山口和男

    山口(和)政府委員 そういう事実を公認したことはございません。
  147. 林孝矩

    ○林(孝)委員 警察庁はどうでしょうか。
  148. 柳館栄

    柳館説明員 私どもも存じませんです。
  149. 林孝矩

    ○林(孝)委員 それから、一部のいわゆるお金を持っている人だけではなしに、被害者は平凡なサラリーマンあるいはタクシーの運転手、そうしたところから家庭の主婦、こうしたところまで及んでおる。一説によると、こうした悪徳業者は百社に及ぶと言われております。こういう悪質業者が警察に逮捕されているという実例、これも御存じないでしょうか。
  150. 柳館栄

    柳館説明員 お答え申し上げます。  現在まで一件ございます。その内容を申し上げますと、詐欺罪等によって送致いたした事件でございますけれども、詐欺の被疑事実を申し上げますと、貴二貿易という会社があるわけでございますけれども、そこの社長らが共謀いたしまして、昭和五十一年十一月十八日ごろから昭和五十二年三月三十一日ごろまでの間、金取引の顧客四十八名に対して、全国貴金属取引協会中央金市場の立会人でないのに同市場の立会人であるごとく装い、かつ金地金は値の動きが激しくて営業性の薄い商品であるにもかかわらず、金は換金性が強く着実に値上がりするなど、事実に反することを申し向けて欺罔し、保証金、追加保証金名下に六千五百八十四万五千円をだまし取ったという被疑事実でございます。
  151. 林孝矩

    ○林(孝)委員 それはどういう会社で、どういう協会等に所属しておるのですか。
  152. 柳館栄

    柳館説明員 お答え申し上げます。  この貴二貿易といいますのは、日本国際金取引協会というところに所属しておる会社でございます。ここに所属しておる会社でございますけれども、これが先ほど被疑事実で申し上げたようなことで金を集めまして、それでそのやり方が詐欺であるという認定を私どもがいたしまして送検した。こういうことでございます。
  153. 林孝矩

    ○林(孝)委員 これを法務省は起訴しましたか。それから公訴事実、罪状、そうした点についてはどうなっておりますか。
  154. 佐藤道夫

    佐藤説明員 お答え申し上げます。  ただいまお尋ねの事件につきましては、札幌地検におきまして昨年九月二十九日と十二月八日の二回にわたりまして札幌地裁に公判請求をしております。  公訴事実の概要はただいま警察庁の方から紹介のあったものとほぼ同様でございまして、この事件はただいま札幌地裁において公判中ということでございます。
  155. 林孝矩

    ○林(孝)委員 それから警察庁にお伺いいたしますが、長崎で、長崎県警捜査二課と長崎署が協力して捜査に当たっている件については報告が入っておりますか。
  156. 柳館栄

    柳館説明員 現在長崎県において捜査中であるということは聞いておりますけれども、その詳細な内容の報告はいまだ受けておらないところでございます。
  157. 林孝矩

    ○林(孝)委員 これは、七億円を集めて先物取引ということで蒸発してしまって、被害者がこれは非常に大きいわけですけれども、そういう事件でございます。  それから、先ほど、ある主婦の例については全然御存じないという話でございましたが、これについてはこちらに資料があります。  さらに、これは警察庁と法務省とにお伺いしておくわけですが、これらの事犯の取り締まりの方針、それについては警察庁、法務省両当局はどのように立てられておるのか。
  158. 柳館栄

    柳館説明員 お答え申し上げます。  こういった事案といいますのは、善良な国民に対しまして大きな被害を与えるという事案でございます。したがいまして、私どもといたしましては、既存の法令の中で適用できるものを大いに活用いたしまして積極的に取り締まりを進めてまいりたいと考えております。
  159. 佐藤道夫

    佐藤説明員 検察当局におきましても基本的な考え方は警察と同じでありまして、広く一般大衆に被害を及ぼすような案件につきましては、刑法上の詐欺罪あるいは横領罪等の関係罰則を活用いたしまして、厳正に取り締まりを行っていくということでございます。
  160. 林孝矩

    ○林(孝)委員 さらにこういう例もあります。三十キロの金を三千九百万円で買えるということで、先物取引の話を持ちかけて、解約を申し入れると百二十万をよこせとおどしたという被害もあるわけです。この件については警察庁は御存じでしたか。
  161. 柳館栄

    柳館説明員 お答え申し上げます。  私どもは全国的な組織でございますので、それぞれの都道府県警察におきましていろいろな事件をやっている可能性は大いにあるわけでございます。特にこの種の金の先物あるいは延べ取引等に関連しての詐欺事案というものは相当あるだろうと思いますけれども、それが私どもの方に報告が参りますのはかなり固まった段階で参りますので、それ以前の段階では報告が来ないということで、いま先生のおっしゃった事案の具体的な内容については報告を受けておりません。
  162. 林孝矩

    ○林(孝)委員 さらに、金五キロを七百三十六万円で注文させて保証金として百万円を取った。その一週間後に相場が百円下がったと言って追加金を要求してくる。これは十二カ月の先物取引でありますけれども、こういう話は聞いたことありますか、警察庁。
  163. 柳館栄

    柳館説明員 ただいま先生のおっしゃったような具体的な内容の事案としてのとらえ方は聞いておりませんけれども先生のおっしゃったような手口でいろいろなことが行われているということは一般的に承知いたしております。
  164. 林孝矩

    ○林(孝)委員 いま例示いたしました実例というものに対する詳しい資料がここにありますが、こういう件は、冒頭、警察庁は全然実態について把握していない、こういう答弁であったわけです。具体的な事例を挙げて中で把握しているという実例が一つありました。これはすでに裁判になっておる。全然関知していない——こういう被害者は警察に相談に行っているのです。応対した人の名刺まで持って帰っている人もおります。そういうふうな実態であるからして報告も来ないわけです。  これは通産省に相談に行った場合も同じです。通産省にこうした相談に行った場合、通産省はどういう扱いをするか。先ほど十数件被害の相談を受けたと、これに対しては通産省はどのように処理したんですか。
  165. 山口和男

    山口(和)政府委員 先ほど申し上げました当省の消費者相談室へ相談に来られました事例は、それぞれ若干ずつ申し出の内容が違ってはおるわけであります。たとえば、金の延べ払い取引を行って仕切ったけれども証拠金等が返してもらえないとか、あるいはまた、安全な投資だというようなことで参加したけれども差損が出て両建てを強要されたとか、そういった形でいろいろと相談、苦情が参ったわけでございます。私どもはこれを受けまして、中にはそういった金の取引、特に先物についての取引が現在の商品取引所法による上場商品でないというふうなことを余り十分認識されてないというような場合もございますので、そういった点につきましては十分現状の制度説明し啓蒙していくということと同時に、また状況によりましては警察にも照会をいたしましてその後のフォローをしていただくというようなこともやっているところでございます。  先ほど申し上げました中で、尼崎の例でございますが、一件につきましては最終的には告訴になった事例もございます。
  166. 林孝矩

    ○林(孝)委員 そういうことを警察は答弁していないじゃないですか。通産省が警察に照会したのは一件だけですか。
  167. 山口和男

    山口(和)政府委員 告訴になりましたのは、先ほど申し上げました中で一件でございますが、警察の方に御照会をしましたのは数件あるわけでございます。
  168. 林孝矩

    ○林(孝)委員 数件というのは何件ですか。
  169. 山口和男

    山口(和)政府委員 四件ぐらいでございます。
  170. 林孝矩

    ○林(孝)委員 警察庁は、実態把握していないとか、先ほどからの答弁を聞いていると全然耳に何にも入っていない、こういう印象を私は受けたわけでありますが、通産省が四件、被害者から相談を受けた中から警察に照会しておる、これも御存じないのですか。
  171. 柳館栄

    柳館説明員 先ほど実態について承知していないというお話を申し上げました趣旨は、業者の数であるとかあるいは市場数等の実態についてはわからない、こういうことを申し上げたのでございます。  それから、検挙につきましては、一件検挙したということでございます。その他、告訴、告発等があった場合におきましても、それが詐欺であるのかあるいは横領であるのかといったような具体的な事案に即しての法律判断というものが必要になってまいるわけでございます。そういったものの中に通産省の方から御連絡いただいた事案もある。しかもそれはいまそれぞれの都道府県におろして検討させておるという段階でございます。
  172. 林孝矩

    ○林(孝)委員 法に触れる行為を公然と犯して、そして中には商取法違反、そんなものは十分に承知しているとうそぶくような連中がおって、予備知識も全然ない市民を食い物にしておるという実態に対して、通産大臣は実態を調べて法に触れるものにはしかるべき措置をとる、これは国会での昨年の三月の答弁です。その後どういう対応をしたのか。それから、ことしの予算委員会においても通産大臣の答弁があります。通産省はどういう対応をしたのか、調査状況はどうなのか、告発措置等はどうなのか、この点はいかがでしょうか。
  173. 山口和男

    山口(和)政府委員 先ほど申し上げましたように、商品取引員が金の先物取引に関与しておる場合があるといたしますと非常に問題でございまして、取引所に対する信頼問題等にもかかわってまいりますので、こういった商品取引員に対しましては、そういった取引に関与しないように通達をいたしまして指導してきておるところでございます。そういった点につきましては、昨年来常時注意を与えておるところでございます。  ただ、取引員以外の金取引業者につきまして判明いたします場合には、一応呼びまして話を聞いたりヒヤリングをするわけでございますが、その答えが現物取引だというような形になってしか返ってこないというようなケースもございまして、ただいままでのところ実態把握が遺憾ながら大変むずかしいという状況でございます。  一般大衆がこういったことによりまして被害を受けるということは大変重大な問題でございますので、私どもで出しております「消費者ニュース」におきまして、取引の危険性を十分解明し啓蒙していくということで、こういった取引に関与することのないようにPRをしてきておるところでございます。
  174. 林孝矩

    ○林(孝)委員 たとえば昨年の五月の「消費者ニュース」を見ますと、通産省は多額の被害が出ておるということを発表しておるわけです。被害を受けた人から相談があった、その相談に乗ったというのは調査じゃないですね。通産省が積極的に実態の把握だとか言葉では言いますけれども、実態を把握するためにはどういう行動をとればいいのか、実態を調査するということは一体どういうことなのか、この点が全くはっきりしていないのです。だから、後を絶たずにどんどんどんどん犯罪がふえている。どういうように考えておりますか、この実態を調査するということはどういうことを意味するのですか、通産省の見解を伺いたい。
  175. 山口和男

    山口(和)政府委員 いろんな情報を収集いたしました中で、ある程度業者が判明しておるという場合には、これを呼びましていろいろ実情について調査をするというようなことになるわけでございます。先ほど申し上げましたように、対象が取引所法による取引員でない場合に、それを徹底的につかまえて詳細把握いたしまして追及していくということがただいままでのところ遺憾ながら非常にむずかしいという状況でございます。
  176. 林孝矩

    ○林(孝)委員 たとえば新聞に、日本経済新聞であるとか、毎日新聞であるとか、サンケイ新聞であるとか、あるいはテレビ等に、こうした犯罪が行われた、こういう報道が過去になされております。一つの情報が提供されておる、それに対して通産省はどういう行動をとったか、これに答えられますか。
  177. 山口和男

    山口(和)政府委員 これは公認ではございませんけれども日本貴金属取引協会とか全国貴金属取引協会とかいう名称をもってそういったグループを編成してやっておるというような情報につきまして、種々な方面から入りました情報に基づいて一応実情の解明はやっておるわけでございますが、そういった関係者をできるだけ呼びまして内容について調査を進めておるわけでございますが、先ほど申し上げましたように、現物取引だというような説明で逃げるというようなこともございまして、徹底した追及というのはなかなかむずかしいところでございます。
  178. 林孝矩

    ○林(孝)委員 簡単なんですよ。被害者から具体的にこういう業者が渡していった資料等取り寄せれば、現物であるか先物であるか一目瞭然で、皆さん方専門でしょう、業者が現物だと言っても、現物か先物かわかるじゃないですか、それが調査なんです。これを通産省がやってないというところに一つの大きな問題がありますよ。  それからもう一つ問題を言いますと、通産省が出しておる「消費者ニュース」では市民に危険ですからと呼びかけておる、これは事実ですね。ところが、その金取引に乗らないようにというふうに国民に呼びかけながら、「通産省公報」によりますと、ここに「東京自由金市場相場」、三月二十五日から三月三十一日の金相場。「消費者ニュース」では危険を呼びかけて、「通産省公報」では広告を出しておる。これは一体どういうことですか。それから「通産ジャーナル」のことしの四月号、これは通商産業大臣官房広報課の編集です。ここにやはり広告を出していますね。通産省は広告料を取っているはずなんです。これは一体どういうことですか。そして、この広告を出しておる取引協会、この協会の中にこうした事件を起こしているところが入っているじゃないですか。こういうところと通産省とはどういう関係になっておるのですか。片一方では国民に奨励している、片一方では国民に危険を呼びかけておる。説明してください。
  179. 山口和男

    山口(和)政府委員 ただいま先生からお話のございましたとおり、「通産ジャーナル」四月号あるいは最近の「通産省公報」に金の取引につきましての広告が出ておることは事実でございます。広告担当者の連絡というのが不十分であった結果と思いますが、大変遺憾なことだと存じております。この広告は、当省の業務とは直接は全く関係がないわけでございまして、そういった趣旨をこれらの関係誌に掲載するように、ただいま手続をとっておるところでございます。
  180. 林孝矩

    ○林(孝)委員 よくないことなんですか、いいことなんですか。何か前半よくないということを言って、後はあいまいなような答弁だったですが、もう一回明確にしてください。
  181. 山口和男

    山口(和)政府委員 大変遺憾だと考えておる次第でございます。  ただ、内容につきまして、通産省関係がないということをさらに記事として出すという手続をいまとりまして、誤解の生じないようにしたいと考えておるところでございますが、連絡が十分でなく、そういった形で広告が掲載されたということにつきましては、大変遺憾だと考えております。
  182. 林孝矩

    ○林(孝)委員 これは通産省関係ないというような問題じゃないじゃないですか。通産省関係あるわけでしょう。  私が指摘しているもう一点は、こういう通産省大臣官房広報課が編集している「通産省公報」、こうしたところに、国民にこういうものは危険ですよということを片一方で呼びかけて——「消費者ニュース」、これも通産省が出しておる。そして、片一方でこういうものを掲載しておる。こういう実態自体は、通産省関係ないとかということじゃなしに、あってならないことでしょう。どうなんですか。内容について云々というよりも、掲載されたことはあってよくないことなんでしょう。どうですか。
  183. 山口和男

    山口(和)政府委員 非常に遺憾なことでございますので、十分注意したいと考えております。
  184. 林孝矩

    ○林(孝)委員 それで、この広告に出ているところの協会に所属している悪質業者が、先ほど私が指摘した中にあります。これなんかは通産省公認市場を名のっておるのですよ。そして、通産省の指導通達が来て、十五万円の保証金だったものが三十万円に引き上げられた、こうして安心させて、金をだまし取っておる。こういう実態なんです。みんなこんな姿勢だから、悪質業者が出る。金を取引している者が全部そうじゃないと私ははっきり申し上げます。その中に、これは取引員も含んで対象にして考えて、こうした業者がおる。取引員以外だと、先ほど申し上げましたように百社に上るだろう。こういうのが全国動き回っておるわけなんです。  大臣は、ことしの二月十五日の予算委員会で、いかがわしい仕事をしないように商品取引所会員に行政指導しておるというように答弁されております。いま私が具体的な例として挙げたのは、つい最近の例もありますけれども、前の例もあります、いろいろな時期のがありますが、このいかがわしい仕事をしないようにという大臣の真意はどういう点にあるのか。  それから、先ほど官房の答弁がございました、いま私が指摘した、こうした協会の広告を「通産省公報」であるとかあるいは広報課の編集の出版物の中に掲載しておるという点、大臣はどう受けとめられておるか、この二点をお伺いしたいと思います。
  185. 河本敏夫

    河本国務大臣 一つは、商品取引所の会員が金の先物取引に関しましていかがわしい取引をするということは、これはもうどうしても避けなければならぬことでございますし、そういう点でいかがわしい取引は当然注意をするという趣旨のことを申し上げたわけでございます。  なお、通産省関係の文書等で、いまお伺いいたしますと誤解を生じた点があったようでございますが、そういう点につきましては十分注意をいたしまして、今後そういうことのないように配慮をいたします。
  186. 林孝矩

    ○林(孝)委員 それから、通産省のこの問題に対する姿勢の中で、「消費者ニュース」を通して注意しなさいと一般市民に呼びかけられている、これを私はよくないと言うのではありません、評価します。しかし、それだけでは片手落ちで、先ほどから審議官にも話をしておりましたように、やはり通産省としてこうした実態を調査する——これは大臣が先ほど退席されておったその間の議論でありますから、大臣考え方を伺っておきたい。積極的に通産省がそうした実態について調査するという行動を起こさないと、これはなかなか解決しないと思うのです。そういう行動に伴って警察庁も法務省も協力するということになるのではないか。先ほどからの議論の中でこの通産省、法務省、警察庁という協議、連絡、こうした犯罪が起こらないように予防するという行動、これは非常にバランスを欠いておりますし、また今日までのこうした実態に対してどう考えてきたのか、どう取り組んできたのかわからない。この点についても具体的な問題として、ただ決意だけではなしに、通産大臣として私は明確にしておくべきではないかと思うのですけれども、いかがでしょうか。
  187. 河本敏夫

    河本国務大臣 金の先物取引につきまして詐欺行為またはそれに類似の行為が後を絶たないようでございますから、通産省に与えられました権限をフルに発動いたしまして、できるだけの調査をし、そしてまた、それを防止するためのできるだけの対策も考えてみたいと思いますが、必要とあらば警察当局とも十分連絡をいたしまして対処をいたします。
  188. 林孝矩

    ○林(孝)委員 金に対する考え方が、時計だとかネックレスだとか歯だとかいう意識から、財産として金が持てるようになったということで、今後さらに変わっていくと思うわけでありますが、もう一つは、ことしに入って、四十八年のいわゆる金の自由化からさらに完全自由化に移行したということで、金を外国に持ち出して向こうで売ることも自由でありますし、向こうで買ってそのまま置いておいて売ることも自由になったわけですね。そういう場合に、外国には金のマーケットというのがあるわけですが、日本にはない。  こうしたことから、金の売買はいわゆる現物の取引に限られておる、先物取引はできない。しかし、こうした先物取引をやっている。こういう犯罪行為を取り締まるということと同時に、取り締まれる環境をつくる必要もあるのではないかと思うのです。たとえば商取法第八条の適用が果たしてなされるかどうか、適用してこの犯罪行為を取り締まることができるかどうかということ。それが不十分である、商取法違反という犯罪の構成要件が成立しない場合は法改正も考えなければならない、こういう意味で具体的な検討をすべきではないか、これは二つの提案でありますけれども、この点はいかがでしょうか。
  189. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 先物取引の弊害をなくすために正規の取引所の上場商品にしたらいかがかという御提案かと思います。せっかくの御提案でございますので検討させていただきたいと思いますが、非常にむずかしい問題もあるわけでございまして、御承知のように国際的な先物金市場といたしましては、ロンドン、チューリッヒ、香港あるいはニューヨーク、こういった市場があるわけでございますが、こういった市場につきまして私たちの承知しておりますのは、そういう外国におきましてはいわゆる商業銀行がみずから取引に参加するとかあるいはその取引に参加する人に対して膨大な信用を供与しておる、非常に多額の金融が必要になってくる、こういう問題がございます。国内で上場する場合に、これは国際商品でございますから国際的な連関において考えるとした場合に、果たして現在の日本の銀行法あるいは為替管理のたてまえからいたしまして、さような膨大な信用の裏づけができるかどうかといったような点が、問題点ではなかろうかと思います。  まさに御指摘のように、法規に従って上場し得るならば、先ほど来の問題点はかなり解決するとは思うわけでございますが、そういった制度の差といったようなこともございますので、今後の検討課題にさせていただきたいと思います。
  190. 林孝矩

    ○林(孝)委員 時間が来ましたので、最後にこれを大臣にお伺いいたします。  先ほど来実例を挙げ、また問題点を指摘してまいりました。これに対して大臣の答弁があったわけでありますが、いまの長官の答弁の内容と同じことを大臣もお考えになっておるかどうか。いわゆるこうした犯罪を起こさないために、予防するためにはどうしたらいいかという問題提起なんです。私は、そういうことに対して二つの意見を申し上げた。通産省の所管の責任大臣として、担当大臣として、いまの長官の御答弁にあった内容と同じと理解していいのか、また大臣がこの件に対してさらにこういう考えを持っておるということであれば、その見解をお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
  191. 河本敏夫

    河本国務大臣 金の取引を今後どうすべきかという考え方につきましては、いまの長官の答弁と全く同意見でございます。
  192. 林孝矩

    ○林(孝)委員 終わります。
  193. 楯兼次郎

    楯委員長 安藤巖君。
  194. 安藤巖

    ○安藤委員 私は、新商業調整法とか新小売法と呼ばれておりますけれども、小売業の調整等についていま通産省では新しい立法を考え、その準備中というふうに聞いております。  そこで、大臣にお尋ねしたいのですが、その準備状況と、国会へ提案をされるのはいつごろになりそうかということを、まずお尋ねしたいと思います。
  195. 河本敏夫

    河本国務大臣 いま御質問の件につきましては準備をいたしております。準備も最終段階でございますが、なお各方面との調整が残っておりますので、若干の時間がかかろうかと思います。何とか今国会に間に合わせたいと思って作業しておるところでございます。
  196. 安藤巖

    ○安藤委員 聞くところによりますと、五月の十三日ごろに閣議で決定をして国会へ提出する運びだということでありますが、その点はいかがですか。
  197. 山口和男

    山口(和)政府委員 ただいま法制局の審議等の準備を進めておりまして、できるだけ早く提案の状態になれるようにいたしたいと考えておりますが、もう少し時間がかかるかと存じます。
  198. 安藤巖

    ○安藤委員 そこで、その関係でお尋ねしたいのですが、現在大規模小売店舗法と小売商業調整法、いわゆる大店法と商調法という二つの法律があるのですが、これを一本化するのだという構想のように伺っておるのですが、新しい法律ができますとこの二つの法律は廃止ということになるのかどうか、お尋ねいたします。
  199. 山口和男

    山口(和)政府委員 この二月から産業構造審議会の流通部会と中小企業政策審議会の合同の委員会を開いていただきまして、種々この問題について検討をしていただきまして、去る四月十三日に一応それぞれの審議会で意見具申というものが承認されて、通産大臣及び内閣総理大臣にそれぞれ提出の運びになったわけでございますが、この意見具申の中では、大規模小売店舗法と、いわゆる商調法、小売商業調整特別措置法につきまして、両方の錯綜した関係整理して一本化を図っていくというのが適当であろう、こういうようになっております。
  200. 安藤巖

    ○安藤委員 一本化を図る方向だということですが、現在の商調法の関係では、あるいは一本化の法案ができたにしても、たとえば商調法三条の小売市場の許可制の問題とかあるいは十五条の都道府県知事にあっせんまたは調停を求める規定だとか、そういうような規定が相当有効に働いている面もあるので、それを残してほしいという希望が相当強く出ているということは御存じだと思うのですが、それは一本化された中に反映されていくのか、あるいは組み込まれていくのかどうか、お尋ねいたします。
  201. 岸田文武

    ○岸田政府委員 いま御指摘ございました中で、小売市場の問題につきましては、従来商調法の適用を受けながら一部大規模店舗法の適用を受けるのではないか、この辺の法律的な扱いがかなり錯雑をしていたという問題がございました。今回は新しい観点で調整のルールをつくる際に統一的に調整を行うというような形で解決をしていきたいと考えておるところでございます。ただ、そうは申しましても、小売市場は長い伝統を持ったものでございます。特に一般大衆の生活必需品の供給機関として役割りを果たしてまいりましたし、またそれなりの団結を行ってきたという事実は私どもよく承知をいたしておりますので、先般いただきました答申におきましても、入居する零細小売商の保護を図られるような新しい位置づけを頭に置くようにということを言われております。私どもそういう考え方で処理をしていきたいと思っております。  それから十五条のあっせん、調停制度につきましても、新しい立法の内容いかんによりますが、やはり、幅広くあっせん、調停を行う一般的な規定というものが必要なのではないかという気がいたしております。この辺は立法の段階で詰めていきたいと考えておる点でございます。
  202. 安藤巖

    ○安藤委員 そこで、いまいろいろ準備をしておられる新しい法律につきましては、スーパーなどが進出してくる場合に許可制ということではなくしてすべて届け出制ということで一貫していくというふうに聞いております。通産省の方の諮問をされた原案にもそういう方向が出ておるわけですけれども、これにつきましては許可制にすべきだという意見が、中小商工業者あるいは商店街の振興会あるいは小売市場の人たちあるいは商店街の連合会などから、いまお話があった合同委員会の中でも相当強く出ているということも聞いております。この許可制にすべきだという要求については、何らかの形で新しい法案の中に組み込まれるようなことは考えておられるのかどうか、お尋ねします。
  203. 山口和男

    山口(和)政府委員 先ほど申し上げました審議会の意見具申の際に、許可制を採用してはどうかという御意見が、ただいま先生から御指摘ございましたように出ておったことは事実でございます。しかし、また一方、規制強化は絶対に反対であるというような意見が、消費者の方々あるいは大型店の方々から出されておりまして、そういった点を総合勘案いたしまして届け出制でいってはどうかというように、ただいまのところ考えておるわけでございます。
  204. 安藤巖

    ○安藤委員 そこで、新しく準備されている考え方、あるいは法案の中に、出店停止の勧告あるいは命令を出せるようにするということも聞いておりますが、それも原案の中にたしかあったと思うのですけれども、これで許可制という要望に対して相当こたえることができるというふうに考えておられるかどうか。
  205. 山口和男

    山口(和)政府委員 ただいま現行の大規模小売店舗法におきまして、第七条で、大型店舗の開設が周辺の中小小売商業に与える影響が大きいというような場合に店舗面積の削減、減少を勧告することができるというようになっておるわけでございますが、これを徹底してまいりますと、事実上店舗の規模を最小限度に縮めていくべきである、こういうような問題になってくるわけでございまして、そういった勧告がいかにあるべきかという点につきましては、その状態によりまして、ある特定の要件を満たすような場合には相当厳しい勧告というものが必要ではないかと考えられるわけでございまして、そういったことも加味して新しい法律の立案に当たってまいりたいというように考えておるわけでございます。許可制とは基本的には違っておりますが、そういった点については、ある程度厳格な運用ができるような法律を考えてみたらどうかということで、いま検討しておるところでございます。
  206. 安藤巖

    ○安藤委員 相当効果が上がるようなことも考えておられるという御答弁でございますが、いまおっしゃった大店法の七条による開店の延期あるいは面積を少し狭めよとかいった趣旨の勧告をすることができるというようなことであるわけですね。そして、この法案が審議されておった段階で、延期の問題については無期限の延期もあり得るというような御答弁もその当時あったと聞いております。しかし、実際問題として、昭和四十九年の三月一日から昨年の十二月末までで千百七十九件の申請があったんですが、実際にいま言いましたような延期の勧告というのはわずかに十件だけであった、しかもほんのわずか開店を延期するようにというのにとどまっているということも聞いております。  だから、そうしますと、やはりこの出店停止の勧告あるいは命令ということがあっても本当に実効ある措置がとられるのかどうかという点については、小売業者あるいは商店街の人たちは相当懸念をしております。ですから、これは届け出制ですと原則は認めて、そして例外は停止ということになるわけですね。許可性ということになれば原則は認めず、例外として許可するということになります。だから、周辺の商店、小売商の人たちあるいは商店街に相当大きな影響が与えられるという場合はもちろん不許可ということにしてもらわなくちゃなりませんが、そういう影響がない場合にだけ認める許可制というのが相当強い要求だと思うのですね。いま規制強化に反対という意見もあるということですが、やはり小売の人たちの営業と生活を守る、それが地域経済の円滑な発展にもつながるし、ひいては消費者のサービスにもつながるという考え方からすれば、前の百貨店法に戻って許可制ということに戻るべきではないかというふうに思うのですが、いかがですか。
  207. 山口和男

    山口(和)政府委員 許可制の問題につきましては、昨年の七月以来小売問題懇談会等での議論を踏まえ、またこの二月からの審議会での御議論等踏まえまして、現在の小売業の段階近代化の状態等を勘案いたしまして、やはり届け出制を基本とするということであるべきではないかという審議会の意見答申が出ておりますので、そういう考え方に沿って進むことにいたしたいと考えております。
  208. 安藤巖

    ○安藤委員 その議論をしておりますと時間がかかり過ぎますので、次の問題に移ります。  通産省の原案によりますと、都道府県知事の意見を反映するような仕組みに持っていきたいというふうに言われておりますけれども、基本的に考えられますのは、周辺の商店に大きな影響を与えるかどうかということで、その辺の問題は地方自治体の首長である知事が一番よく知っているからその意見を反映するということはわかるのですが、そういうことのほかに、たとえば土地の異常な暴騰を引き起こす、そういうようなことから公共計画なんかをやり直さなくちゃならぬというような意見とか、あるいは学校、道路、下水道など公共設備の手直しをしなければならぬとか、あるいはそこに大きなスーパーができることによって交通問題についても相当配慮しなければならぬ、交通公害ということも考えなければならぬというようなことについての知事の意見が出された場合も、これは相当程度参酌される、あるいはそういう意見も反映されるということになるのでしょうか。
  209. 山口和男

    山口(和)政府委員 今度の法律作成につきましては、できるだけ都道府県知事の意見がくみ入れられるようなことを考えてはどうかということで検討を進めておるわけでございますが、基本的には周辺の中小小売商業への影響についての意見ということになるわけでございます。実際上の問題といたしましては、都道府県知事がたとえば経由官庁になるというようなことによりまして、その送付の過程で意見を出していくということで、地元の地域的ないろいろな問題が都道府県知事を通じて反映されてくるということが期待されるわけでございまして、ただいま先生の御指摘のございましたような点につきましても、事実問題として反映されていくというように考えるわけでございます。
  210. 安藤巖

    ○安藤委員 それから、これまではスーパーの建物を建設するための届け出あるいは出店のための届け出、これがなされる前に地元の商店街の人たちあるいは小売商の人たちといろいろ協議をするあるいは調整をするというような段階が事実上行われてきておったと思います。それがよく事前調整というふうに言われておるわけですけれども、そういうような行政指導を尊前調整ということでやっていくというようなことは、新しい法案の中では考えてはいかないということになりますか。
  211. 山口和男

    山口(和)政府委員 現行の大規模小売店舗法では、建物設置の届け出から全体の期間が六カ月ということになっておりまして、その中で勧告期間が三カ月あるわけでございます。そういった関係もございまして、事実上事前の商調協に時間がかかるというようなことが起こっているわけでございますが、これはもう少しそういった法律にできるだけ即した形で運用ができるように改善する必要があるのではなかろうかということで、審議会の意見答申の中でもこの期間をもう少し延ばして、実際上の調整、検討の期間をその法律の中でできるだけやれるようにしてはどうかという趣旨の内容が盛り込まれておりますので、できるだけそういった事前審査が必要でないようにやっていきたいと考えておるわけでございます。
  212. 安藤巖

    ○安藤委員 事前調整は必要でないようにやっていこうということですと、そういうことはなくしてやっていこうというお話のようなんですが、その期間を延ばすというお話がございましたが、それはどれぐらいの期間をいまお考えになっておりますか。
  213. 山口和男

    山口(和)政府委員 ただいま検討中でございますので、しかと申し上げる段階にはございませんが、少なくとも倍ぐらいの時間をかけてやるというようなことが必要ではなかろうかというように考えるわけでございます。
  214. 安藤巖

    ○安藤委員 倍ぐらいということになると、六カ月の場合で一年くらいということになろうかと思うのですが、通産省の原案が出されたころからいろいろ小売商の人たちあるいはその団体の人たち、振興会あるいは連合会の人たちが心配しておりますのは、事前調整というのがなくなって、それ以外のいまおっしゃったような調整をやるということなんだけれども、仮に一年ということになりましても一年が過ぎたらもうしまいだということで見切り発車をされてしまうのではないか、結局は認められるということになってしまうのじゃないかという懸念を非常に強くしておられるわけですけれども、そういう懸念についてはどういうふうに対応していくということを考えておられますか。
  215. 山口和男

    山口(和)政府委員 先ほど申し上げましたように、勧告につきましては従来の大店法よりももう少し厳しい勧告ができるようなことを考えていくというようなことも加えまして、実際の調整につきましてはできるだけ法の範囲内でやれるようにするのが適当ではないかと考えておるわけでございます。従来の審議期間の実例等も見まして、できるだけ実情に即し得るような期間にしてまいりたいと考えております。
  216. 安藤巖

    ○安藤委員 いろいろ考えておられることはわかりますけれども、いま私がお尋ねしたような、いままでは事前調整ということで相当小売業の人たちの意見を聞いてもらう期間があった。今度は一年に延ばすということを考えておられるということですが、結局一年ぽっきりになってしまうと、一年と決まっているのだからそれでおしまいですよ、あなた方の意見はもうこれ以上聞きませんよということになってしまうのじゃないか、この点を非常に強く懸念しておるのです。だから、いまおっしゃったように、一年の間にとにかくいろいろ意見を聞いて努力する、そういうような方向で考えているということはわかるのですが、その間にも意見の調整ができず、地方部会あるいは審議会へ諮問してそれが出たらそのままいくのだ、こういうことになるわけですか。
  217. 山口和男

    山口(和)政府委員 現在の調整につきましては、商工会議所、商工会に設けられております商調協を活用して調整に当たっておるわけでございます。そういう点につきましてある程度改善を加えるということも含めまして、審議会をできるだけ活用する方向で持っていきたいというように考えておるわけでございます。そういうことをあわせまして、審議期間の中でできるだけ結論が出せるように進めていくということにしたいと考えております。
  218. 安藤巖

    ○安藤委員 そこで、いまお話が出てまいりました審議会、それから私の方から言いました地方部会、知事の意見が出されて、それから通産大臣の方からこの地方部会に諮問されるというかっこうになるというふうに、従来の運営からしましてもそういうことになろうかと思うのですが、地方部会などは商調協の意見を聞くという仕組みが出てくると思うのですが、問題にしたいのは、地方部会の中に小売業者の声を反映するということで小売業者の団体の代表を入れるというようなことは考えておられますか。
  219. 山口和男

    山口(和)政府委員 地方部会の構成等につきましてはさらに検討を加えて決めてまいりたいと考えておりますので、ただいまのところ特別の成案を持っていないわけでございます。
  220. 安藤巖

    ○安藤委員 まだ成案を持っておられないということであれば、この中に小売業者の声が反映するようなことを考えていただきたい。といいますのは、これは四十八年七月十一日ですが、大店法の採決のときに、大店法の審議会あるいは商業活動調整協議会、いわゆる商調協ですね、この組織及び運営については消費者及び中小小売業者及びその従業員の意見が十分に反映される措置をすることという附帯決議が衆議院の商工委員会でなされております。だから、この附帯決議の趣旨にも沿って、まだはっきり成案が出ていないということであれば、小売業者の意見を反映するようなことを考えていただきたいということを要望しておきます。  それから、通産省の原案によりますと、千五百平米未満、五百平米以上の中小小売店舗の関係については公示を加味した申し出制ですか、そういうことを考えておられるようですけれども、この申し出をする者の資格は、いままででも任意団体は入れないとかあるいは法人格を持った団体だけだとかいうようなことがあっていろいろ意見が出されてきております。新しく考えておられる法律案の中では、商店街の団体とかあるいは小売市場の団体とか、任意団体なんかを申し出団体に組み入れられるお考えはあるのかないのか。いかがでしょうか。
  221. 山口和男

    山口(和)政府委員 全体の仕組みに関しまして現在法制的な問題等を含めてさらに検討を進めておるところでございまして、ただいまの事項につきましてはまだ検討中ということでございます。
  222. 安藤巖

    ○安藤委員 検討中ということであれば、先ほどの問題と同じように、法律的な用語で言えば任意団体にも権利能力なき社団というのもあるが、きちっと意見を集約し統一のとれた組織もあるわけですから、そういう団体の意見も反映するということをお考えいただきたいということを要望しておきます。  そこで、公正取引委員会からも来ていただいておりますので、時間がありませんが簡単にお尋ねしたいと思います。  具体的に申し上げますと、豊田自動織機の特別協力金の問題なんです。特別協力金の問題につきましては公正取引委員会の方から考え方のパンフなどもいろいろ発行されておりますので細かいことはお尋ねいたしませんけれども、具体的には最初豊田自動織機が下請企業に対して発注をします。発注をしたときの合意に基づく代金から後から特別協力金という名目で徴収をして、結局は代金を減額して支払っているということで、これは文字どおり下請代金支払遅延等防止法第四条一項三号に違反するものであることは明らかなんです。そこで、その下請業者の人たちが豊田自動織機に対しまして、それは違法ではないか、返金すべきではないかということを追及いたしましたところ、やり方がまずかった、現在のやり方では下請法に違反していることになるということを豊田自動織機の重役を認めて、四月一日からはそういうことはやりませんということを約束した。そしていままでの分を返せという要求に対しましては、返すことは返すけれども下請業者からの申し出があれば返す、申し出がなければ返さないということなんです。しかし、実際問題としてそういうような申し出をすることは非常に困難である。うっかり言ったらもう仕事はやらないぞということになってしまうおそれがあって、なかなか物言えばくちびる寒しという状況であることは御承知のとおりだと思うのです。  そこで、下請と相談をして返すということではなくて、公正取引委員会の方から、そういうものは申し出のあるなしにかかわらず直ちに返すべきであるという強力な指導をしていただきたいと思うのですが、いかがでしょう。
  223. 菊池兵吾

    ○菊池説明員 お答えいたします。  ただいまの豊田自動織機の件につきましては、衆議院の商工委員会におきまして安田議員の方からも御指摘がありまして、その他公取に陳情等もございましたので、下請法の四条一項三号に違反するのではないかということで現在調査中でございます。調査の結果そういう事実がございましたならば、しかるべき措置をとりたいと思います。
  224. 安藤巖

    ○安藤委員 しかるべき措置の中には当然返金をさせるということも入っていると考えていいかどうかが一つ。  時間がありませんので、もう一つは、名古屋市に本店のあるブラザー工業株式会社、ミシンで有名な会社です。ここがやはり三%の特別協力金を取っているという話を聞いております。一次下請のブラザー精密という会社があって、その一次下請からさらに二次下請に行くと、二次下請の人は合計五%の特別協力金を取られる。結局はブラザー精密が二%の特別協力金のピンはねをしているというような事実も聞いております。その点もしっかり調査をしていただきたいと思います。  だから、最初の、しっかりした措置、行政指導をするということは、返金をさせることも入っているのかどうかということと、これについても調査をしていただけるかどうか。この質問で、私は終わります。
  225. 菊池兵吾

    ○菊池説明員 下請法の不当値引きに該当するという事実がありますれば、その減じた分について返せという勧告もできることになっております。ただ、現在調査中でございますので、お答えはできかねます。  あとブラザーの件につきましては、早急に調べてみたいと思います。
  226. 楯兼次郎

    楯委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後七時五十八分散会