運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1978-04-18 第84回国会 衆議院 決算委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年四月十八日(火曜日)     午前十時三十一分開議  出席委員    委員長 楯 兼次郎君    理事 宇野  亨君 理事 國場 幸昌君    理事 葉梨 信行君 理事 森下 元晴君    理事 馬場猪太郎君 理事 原   茂君    理事 林  孝矩君       津島 雄二君    西田  司君       小川 国彦君    村山 喜一君       春田 重昭君    安藤  巖君       中馬 弘毅君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 福永 健司君  出席政府委員         農林省構造改善         局長      大場 敏彦君         運輸大臣官房長 山上 孝史君         運輸大臣官房審         議官      真島  健君         運輸省海運局長 後藤 茂也君         運輸省港湾局長 大久保喜市君         運輸省鉄道監督         局長      住田 正二君         運輸省自動車局         長       中村 四郎君         運輸省航空局長 高橋 寿夫君         海上保安庁長官 薗村 泰彦君  委員外出席者         警察庁交通局運         転免許課長   三上 和幸君         警察庁警備局警         備課長     若田 末人君         経済企画庁総合         計画局審議官  石田  徳君         環境庁大気保全         局特殊公害課長 波多 秀夫君         大蔵省主計局司         計課長     石井 直一君         資源エネルギー         庁石油部開発課         長       鈴木玄八郎君         気象庁予報部長 窪田 正八君         会計検査院事務         総局第三局長  松尾恭一郎君         会計検査院事務         総局第五局長  東島 駿治君         日本国有鉄道総         裁       高木 文雄君         日本国有鉄道常         務理事     田口 通夫君         日本国有鉄道常         務理事     高橋 浩二君         日本国有鉄道常         務理事     篠原  治君         日本国有鉄道常         務理事     馬渡 一眞君         参  考  人         (日本住宅公団         理事)     今野  博君         参  考  人         (新東京国際空         港公団総裁)  大塚  茂君         参  考  人         (新東京国際空         港公団理事)  角坂 仁忠君         参  考  人         (本州四国連絡         橋公団理事)  蓑輪健二郎君         参  考  人         (宅地開発公団         理事)     北川 博正君         決算委員会調査         室長      黒田 能行君     ————————————— 委員の異動 四月十八日  辞任         補欠選任   高田 富之君     小川 国彦君   山口 敏夫君     中馬 弘毅君 同日  辞任         補欠選任   小川 国彦君     高田 富之君   中馬 弘毅君     山口 敏夫君     ————————————— 四月十三日  昭和五十一年度一般会計歳入歳出決算  昭和五十一年度特別会計歳入歳出決算  昭和五十一年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和五十一年度政府関係機関決算書 は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  昭和五十年度一般会計歳入歳出決算  昭和五十年度特別会計歳入歳出決算  昭和五十年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和五十年度政府関係機関決算書  昭和五十年度国有財産増減及び現在額総計算書  昭和五十年度国有財産無償貸付状況計算書  (運輸省所管日本国有鉄道)      ————◇—————
  2. 楯兼次郎

    楯委員長 これより会議を開きます。  昭和五十年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、運輸省所管及び日本国有鉄道について審査を行います。  この際、お諮りいたします。  本件審査のため、本日、参考人として本州四国連絡橋公団理事蓑輪健二郎君、日本住宅公団理事今野博君、宅地開発公団理事北川博正君、新東京国際空港公団総裁大塚茂君及び理事角坂仁忠君出席を求め、意見聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 楯兼次郎

    楯委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、参考人からの意見聴取は、委員の質疑により行いたいと存じますので、さよう御了承願います。     —————————————
  4. 楯兼次郎

    楯委員長 それでは、まず、運輸大臣から概要説明を求めます。福永運輸大臣
  5. 福永健司

    福永国務大臣 昭和五十年度運輸省所管一般会計及び特別会計決算につきまして、その大要を御説明申し上げます。  まず、一般会計について申し上げます。  第一に、運輸省主管歳入でありますが、歳入予算額三十四億三千四百三十一万円余に対し、収納済歳入額は四十億三千百五十二万円余であり、差し引き五億九千七百二十一万円余の増加となっております。  第二に、運輸省所管一般会計歳出につきましては、歳出予算現額七千四百八十八億六千五百八十九万円余に対し、支出済歳出額は七千二百十五億六千二百万円余でありまして、その差額二百七十三億三百八十八万円余のうち、百九十七億八千八百二十万円余を翌年度へ繰り越しましたため、差し引き七十五億一千五百六十八万円余が不用額となっております。  次に、特別会計について申し上げます。  まず、第一に、自動車損害賠償責任保険特別会計でありますが、保険、保障及び業務の三勘定を合わせて申し上げますと、収納済歳入額は八千九百七十四億五千八百四十三万円余であり、支出済歳出額は二千八億五千五百十万円余でありまして、差し引き六千九百六十六億三百三十三万円余の剰余を生じ、この剰余金は、翌年度歳入に繰り入れました。  第二に、港湾整備特別会計でありますが、港湾整備及び特定港湾施設工事の二勘定を合わせて申し上げますと、収納済歳入額は二千七十九億七千八百七十九万円余であり、支出済歳出額は一千九百三十億八千六百四十四万円余でありまして、差し引き百四十八億九千二百三十五万円余の剰余を生じ、この剰余金は、翌年度歳入に繰り入れました。  第三に、自動車検査登録特別会計でありますが、収納済歳入額は百七十三億五千三百四十五万円余であり、支出済歳出額は百三十八億四千八百五十六万円余でありまして、差し引き三十五億四百八十八万円余の剰余を生じ、この剰余金は、翌年度歳入に繰り入れました。  第四に、空港整備特別会計でありますが、収納済歳入額は九百七十九億一千六百七十一万円余であり、支出済歳出額は八百七十三億二千百九十五万円余でありまして、差し引き百五億九千四百七十五万円余の剰余を生じ、この剰余金は、翌年度歳入に繰り入れました。  以上が、昭和五十年度運輸省所管一般会計及び特別会計決算大要でありまして、このうち重点施策につきましては、お手元に配付いたしました昭和五十年度決算概要説明書をごらんいただきたいと存じます。  何とぞよろしく御審議のほど、お願い申し上げます。  次に、昭和五十年度日本国有鉄道決算大要を御説明申し上げます。  昭和五十年度における日本国有鉄道運輸成績は前年度に比し、旅客収入は約一七%増加しましたが、貨物収入横ばいの状態でありまして、損益勘定におきましては、収入済額は二兆四千百八十五億八千百二十五万円余、支出済額は二兆四千九百七十二億九千七百六十八万円余となり、支出収入を超過すること七百八十七億一千六百四十二万円余となりましたが、これは予算上の区分による収支決算の結果でありまして、いわゆる損益計算上では九千百四十七億三百十五万円余の純損失となり、昭和五十年度末の繰越欠損金は三兆一千六百十億二千二百三十五万円余となっております。  次に、資本勘定におきましては、収入済額は一兆六千七百四十二億三千七百二十万円余、支出済額は一兆六千九百三十六億三千六百二十一万円余であり、また、工事勘定におきましては、収入済額は八千百二十九億八千百三十三万円余、支出済額は七千八百七十九億四千六百四十三万円余となっております。  最後に、昭和五十年度予算執行につきまして会計検査院から不当事項として指摘を受けた点がありましたことはまことに遺憾にたえないところでありまして、今後さらに予算効率的運用一段努力をいたすよう指導監督してまいりたいと考えております。  以上、大要を申し上げました。なお、概要につきましては昭和五十年度日本国有鉄道決算概要説明書によって御了承願いたいと存じます。  何とぞよろしく御審議のほど、お願い申し上げます。
  6. 楯兼次郎

  7. 松尾恭一郎

    松尾会計検査院説明員 昭和五十年度運輸省決算につきまして検査いたしました結果の概要説明申し上げます。  検査報告に掲記いたしましたものは、本院の注意により当局において改善処置を講じた事項二件でございます。  その一は、臨港道路新設工事におけるアスファルト舗設費積算に関するもので、港湾補助事業のうち臨港道路新設工事におけるアスファルト舗設費については、各事業主体がこの種工事に適用するものとして定めている積算基準に示されているアスファルト舗設歩掛かりにより積算していましたが、この歩掛かりはアスファルトプラントの現況及び最近の施工実態に適合したものとなっていないため、アスファルト舗設費積算が適切を欠いていると認められるものが見受けられました。  その二は、ケーソン製作工事における鋼製型枠費積算に関するもので、港湾補助事業のうち防波堤工事に使用するケーソン鋼製型枠費については、各事業主体積算基準に示されているコンクリート用鋼製型枠損料を適用して算定していましたが、この鋼製型枠損料は最近の施工実態に即応したものとなっていないため、鋼製型枠費積算が適切を欠いていると認められるものが見受けられました。  そこで、以上の二点について、当局注意しましたところ、運輸省では、それぞれ五十一年十一月に各港湾建設局等に対して通達を発し、補助事業審査に当ってはこれらの工事積算施工実態に適合した歩掛かりにより算定されているかどうかを特に確認することを指示するなどの処置を講じたものでございます。  以上、簡単でございますが、説明を終わります。
  8. 楯兼次郎

  9. 東島駿治

    東島会計検査院説明員 昭和五十年度日本国有鉄道決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明申し上げます。  検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項三件、意見を表示しまたは処置を要求した事項二件、本院の注意により当局において改善処置を講じた事項一件でございます。  まず、不当事項について御説明いたします。  検査報告番号七十四号は、のり面点検用通路新設工事施行に当たり、鉄筋コンクリート土め板設計と相違して施工したものでございます。  新幹線総局名古屋保線所施行しましたこの工事は、盛り土区間のり面に一・五メートル間隔に長さ一・八メートルの鉄筋コンクリートくいを建て込み、くいとくいとの間に鉄筋コンクリート土め板を二枚ずつ積み重ね線路側山土をてん充し、その上に鉄筋コンクリート製歩行板を敷設して保守用点検通路とするものであります。  そして、この土どめ板は、主鉄筋の配置されている側を表にして使用しなければ所定の強度が得られないものでありますが、出来形についてみますと、施工延長一千三十九メートルに使用した土どめ板千三百八十六枚のうち千百二十七枚が表裏を反対に施工されておりまして、土圧に対する力が設計に比べて著しく低くなっていると認められるものでございます。  検査報告番号七五号は、旅客車給水作業を請け負わせるに当たり、契約方法が適切でなかったため不経済になったものでございます。  この作業は、盛岡鉄道管理局で、青森運転所構内において旅客車水タンクに給水するもので、契約単価算定に当たっては構内作業ダイヤに対応し、作業員監督員が専従することを前提に積算しておりました。しかし、作業実態を見ますと、本件給水作業は同運転所構内で、本件契約の相手方に別途請け負わせている旅客車の洗車、車内清掃等作業と一貫して行っている状況でございました。  したがって、両作業を一括して契約することとすれば、上記の監督員が不要となるなどのため、支払い額が節減できたと認められるものでございます。  検査報告番号七六号は、構内旅客営業料金収受に当たり、算定を誤ったため収受額が不足していたものでございます。  盛岡鉄道管理局及び仙台鉄道管理局で、構内旅客営業料金収受するに当たって駅構内立ち売り営業における営業料金計算を誤ったり、店舗営業における営業料金算定に当たって、店舗位置が臨時的であるとして営業臨時承認をしていたものについて店舗位置が確定した後も臨時承認営業料金としていたり、また、売場面積等の変更に見合う適正な営業料金算定していなかったりしたため、収受額が不足していたものでございます。  次に、意見を表示しまたは処置を要求した事項について御説明いたします。  その一は、緩急車等への暖房用燃料積み込み作業に関するものでございます。  この作業は、貨物列車に連結する緩急車等に対し、寒冷期暖房用燃料として灯油または石炭を積み込むもので、これを外部委託するなどして実施しておりますが、作業実施状況を見ますと、原則として停車する駅または操車場間の燃料消費量に見合うだけの灯油平均で二・四リットル、または石炭平均で四・八キログラムを停車する駅等ごとに人員を配置して積み込ませておりました。  しかし、緩急車等に備えつけられている燃料容器灯油で四十または五十リットル、石炭で四十五キログラムと大きいものでありますから、現行の積み込み方法を改めて一車一回当たりの積み込み童をこの容器に見合ったものにし、積み込みを行う駅の数及び積み込み回数を減らせば積み込み経費を節減できると認められたものでございます。  このような事態を生じましたのは、緩急車等燃料積み込みについて、乗務員乗務区間消費量だけを各駅等で積み込めば足りるとする長年の慣行によっていたことなどによると認められますので、今後の積み込みに当たっては、緩急車等運用に適合した積み込み方法等を定めるとともに、合理的経済的な積み込み作業を実施して経費の節減を図るよう改善処置を要求したものでございます。  その二は、特急券等準備に関するものでございます。  乗車券類を発売している駅、車掌区等における特別急行券特別車両券等料金関係乗車券類保有等について検査しましたところ、基準規程趣旨が徹底していなかったなどのため、所定数量を上回って保有しているのに請求したり、算定基準により算定された数量を大幅に上回る数量請求したりして、昭和五十年九月末現在における総保有数量基準規程による適正数量の二・三倍に相当する一億七千二百六十八万枚に上っている状況でございました。また、料金改定時におけるこれら乗車券類請求及び印刷の実情を調査しましたところ、五十年九月、本社から新料金による特急券等準備方について通達が発せられるなどしているところから、同月中には料金改定実施期日が明らかになっていたと認められるのに、駅等では、十月の請求に当たっても、依然として旧料金による乗車券請求していたり、印刷場では十月以降も旧料金乗車券印刷したりしているものが一千五百十八万枚もある状況でございました。  以上のような状況でありましたので、同年十一月の特急料金等改定に伴いまして料金改定後過渡的に使用した分を除き一億二千三百一万枚、製作価格にして二億三千百七十一万円が廃棄処分されておりました。しかし、このうちの一億百七十万枚、製作価格にして約一億八千八百五十万円につきましては、駅等での保有数量が適正であり、また、五十年十月以降旧券の印刷を取りやめていたとすれば、このような不経済な事態は生じなかったものと認められます。  このような事態を生じましたのは、駅等乗車券類請求基準どおりに行わなかったこと、駅等を管理する総局等乗車券類保有及び請求について適切な指導監督を行っていなかったこと、料金改定時において、請求及び印刷数量の調整について適時、適切な処置を講じなかったことなどによると認められますので、総局等管理機関においては、駅等に対して、乗車券類保有及び請求について基準規程趣旨を徹底させるとともに乗車券類保有及び請求の適否について適切な調査指導監督の充実を図り、また、料金等改定時には旧料金による乗車券類請求及び印刷について、適切な処置を指示するよう処置を要求したものでございます。  次に、本院の注意により当局において改善処置を講じた事項について御説明いたします。  これは、テレビジョン受信障害対策工事委託に関するものでございます。  この工事は、東海道及び山陽新幹線建設等に伴う沿線地域テレビジョン受信障害対策として共同受信施設設置等施工するものでありますが、これらの工事施行については、社団法人鉄道通信協会委託していて、日本国有鉄道としては、協会との協定により、協会が要した工事費委託費として支払うこととしており、その工事費積算に当たっては、協会が労務歩掛かりを作成し、日本国有鉄道承認を受けてこれをもととして算定することとしているものであります。  しかしながら、本院において施工実態調査しましたところ、本件工事に使用している同軸ケーブル及び機器類等は、国鉄において本件工事の労務歩掛かりを承認するに当たって審査の資料として使用した国鉄本社制定電気関係工事予定価格積算標準に定めている電気通信設備機器類とは異なり、軽量で簡単な構造のもので、その取りつけも容易であるため、労務歩掛かりは、国鉄承認した歩掛かりを相当程度下回ると認められたので注意したところ、国鉄では実態調査して適正な労務歩掛かりを協会に作成させて、これを承認するという処置をとったものでございます。  なお、以上のほか、昭和四十九年度決算検査報告に掲記いたしましたように、工事用品準備要求等について処置を要求しましたが、これに対する日本国有鉄道処置状況についても掲記いたしました。  以上、簡単でございますが、説明を終わります。
  10. 楯兼次郎

  11. 高木文雄

    高木説明員 昭和五十年度日本国有鉄道決算につきまして、ただいま、運輸大臣から予算区分に基づく収入支出決算状況の御説明がございましたが、日本国有鉄道法第四十条に基づく財務諸表により、経営成績概要を補足して御説明申し上げます。  昭和五十年度におきましては、旅客輸送量横ばいとなりましたが、貨物輸送量は前年度より減少いたしました。  これを収入面でみますと、営業収入は、旅客収入一兆三千百五十一億二千五百三十七万円、貨物収入二千四百十五億四千六百七十二万円、雑収入六百六十四億六千三百五十六万円、助成金千九百七十七億九千六百七十万円、合計一兆八千二百九億三千二百三十五万円となっております。  なお、助成金は、工事費補助金財政再建債利子補給金及び特別利子補給金であります。  この営業収入を前年度と比較いたしますと、旅客収入千八百九十九億七千三百九十二万円、率にいたしまして一七%の増加貨物収入十億三百四十七万円、率にいたしまして零%の増加雑収入八十六億千五百四十九万円、率にいたしまして一五%の増加助成金四百九十九億二千四言九十四万円、率にいたしまして三四%の増加合計二千四百九十五億千七百八十二万円、率にいたしまして一六%の増加となっております。  輸送量につきましては、旅客輸送量二千百八十八億千四百一万人キロ貨物輸送量四百七十三億千四百四十万トンキロと、それぞれ前年度に比べますと、旅客横ばい貨物は一〇%の減少となっております。  営業経費は、極力経費の節約に努めてまいりましたが、仲裁裁定等による人件費増加物件費増高借入金の増大に伴う利子増加等がありました結果、営業経費合計は二兆七千四百四十四億三千六十八万円となりました。  この内訳は、人件費一兆二千六百六十三億四百五万円、動力費千八十七億七千三百七十五万円、修繕費四千四百二十一億千五百三十七万円、業務費二千二百三十億二千六百五十九万円、租税及び公課百八十七億五千百九十六万円、営業費計二兆五百八十九億七千百七十二万円、利子及び債務取扱諸費四千五十四億九千六百三十六万円、減価償却費二千三百四十八億四百二十万円、固定資産除却費百八十三億六千七百二十九万円、繰延資産償却費二百六十七億九千百十一万円、資本経費計六千八百五十四億五千八百九十六万円、合計二兆七千四百四十四億三千六十八万円であります。  以上の結果、営業成績は、営業損失は九千二百三十四億九千八百三十三万円となり、営業外利益八十七億九千五百十八万円を含めて純損失は九千百四十七億三百十五万円となりました。  このため、前年度から繰り越された欠損金二兆二千四百六十三億千九百二十一万円と合わせて繰越欠損金は三兆千六再十億二千二百三十六万円となりました。  次に、設備投資概要を御説明申し上げます。  昭和五十年度は、東北新幹線大都市圏輸送対策主要幹線の電化及び複線化安全対策及び公害対策合理化等の諸工事を実施いたしました結果、設備投資額は七千八百七十九億四千六百四十四万円となりました。  なお、昭和五十年度設備投資額事項別内訳は、新幹線二千七百四十六億三百三十六万円、大都市圏輸送八百四十六億八千九百七十五万円、幹線輸送千七百十五億千四百九十四万円、安全公害対策合理化等二千五百七十一億三千八百三十九万円、合計七千八百七十九億四千六百四十四万円であります。  この設備資金調達は、そのほとんどを外部資金によりました。  新たに長期負債増加となる外部資金調達額は、資金運用部等からの借入金一兆八十三億円、鉄道債券発行額五千四百四十五億千七百八十万円、合計一兆五千五百二十八億千七百八十万円であります。一方、長期負債償還等に伴う減少額は三千百十六億四千九百六十九万円でありまして、この結果、長期負債は前年度に比べて一兆二千四百十一億六千八百十一万円増加し、昭和五十年度末において六兆七千七百九十二億九千九百九十五万円となりました。  また、資本金は、一般会計より七百億円を受け入れ、昭和五十年度末において四千五百六十億千六百八十二万円となりました。  なお、負債資本総額のうちに占める負債の比率は、前年度の一〇九%から一二二%となりました。  最後に、昭和五十年度予算執行につきましては、会計検査院から不当事項三件と是正改善処置を要求された事項二件の御指摘を受けました。  このことは、まことに遺憾にたえないところでありまして、今後、さらに予算効率的運用一段努力をいたす所存でございます。
  12. 楯兼次郎

    楯委員長 これにて説明聴取を終わります。     —————————————
  13. 楯兼次郎

    楯委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がございますので、順次これを許します。葉梨信行君。
  14. 葉梨信行

    ○葉梨委員 私は時間をいただきまして、きょうは通勤交通について少し伺いたいと思います。  特に通勤通学輸送のうちでも大都市圏の通勤通学輸送が問題でございます。地方中核都市あるいはその他の都市間、町村間の通学問題もそれぞれ問題でないわけではございませんが、最もネックになっておりますのは大都市の輸送であろうと思います。  そこで、私自身が常磐線を利用しまして毎日通勤をしておりまして、国鉄、地下鉄等にお世話になっております。そして過去十年あるいは二十年前に比べますと大変通勤輸送に国鉄その他の輸送機関が努力をしておられることに私は深い感謝の念を持って毎日利用させていただいているわけでございます。それをあらかじめ申し上げまして、少し伺いたいと思います。  特に国鉄が大変努力をして、赤字というような異常な事態の中で新規投資をしてこられましたが、ここ十年あるいは十五年来の過去の投資の実績などをまず伺わせていただければありがたいと思います。
  15. 福永健司

    福永国務大臣 葉梨さん冒頭にお触れになりました大都市及びその周辺の通勤通学輸送の改善強化という点につきましては、私も強くそれを感じております。常磐線でお通いだというお話を伺いましたが、私も大宮から都心に出てくるのに、自動車でございますと悪くすると二時間余かかります。国鉄でございますとまあ五十分内外で来られるわけでございます。この二面だけからいたしますとなかなかいいということでございますが、その国鉄がうんと込んでしまってどうしようもないということでございます。したがって、国鉄は申すに及ばず民鉄等においても、いま御指摘の面からする輸送の改善等については全体として大いに努力しなければならぬと考えております。  以下、国鉄及び民鉄それぞれ監督をする者及び担当をする者からお答えをさせることにいたします。
  16. 高木文雄

    高木説明員 昭和三十年以降しばしば長期計画を立てておるわけでございまして、昭和五十二年度までに二十年間で約八千億を投入いたしました。中央線の中野−三鷹間、東北本線の赤羽−大宮間、常磐線の綾瀬−我孫子間、総武線の東京−津田沼間、東海道本線の東京−品川間、関西では片町線、こういった点につきまして線増をいたしました。また総武・成田線、関西本線の電化を進めました。その他編成をいたしております車両数を長くする、あるいは快速運転を行うというようなことをいたしております。  以上が大体の概要でございます。
  17. 葉梨信行

    ○葉梨委員 そこで、いろいろな投資を国鉄がしておられると思いますが、通勤輸送対策としてどれくらい力を入れておられるか、ちょっと細かくなりますけれども総投資額に占める国鉄の投資の比率をちょっとお示しいただきたいと思います。
  18. 高木文雄

    高木説明員 数字は持っておりますのですが、いま出て参りません。すぐお答えいたします。
  19. 馬渡一眞

    ○馬渡説明員 この十年間、五十二年度は一応予算の数字で計策をいたしまして、それから新幹線の分も合わせまして、総投資額に対しまして約八%でございます。
  20. 葉梨信行

    ○葉梨委員 最終的に八%ということだけでなくて、ここ何カ年か、五カ年計画を何回かおやりになったということを実は承っておりましたので、第一次計画、昭和三十年代スタートしたころはどれくらい投資されて、その次はどうかということを伺いたかったわけでございますが、先に進みまして、そういうことで経済成長とそれから都市への人口の集中ということに対応して、通勤通学輸送の強化に努力をしてこられた、それを私は高く評価しておりますが、最近経済の成長率が落ちついてまいりましたし、都市への人口集中という傾向もやや落ちついてきましたけれども、問題をたとえば関東地方にしぼりましても、南関東、それから千葉、埼玉、そういう地域は大分人口の動きが落ちついてまいりました。しかし、北関東、茨城、栃木、群馬等は、これから人口が大分ふえてくるような趨勢にあると私は承知しておるわけでございます。  そういう意味で、いままで人口増加と競争をしておったというような通勤通学対策が、これからは先行投資といいますか、ある程度の予測に基づいて先回りの投資をしていくべきであろうと思います。そういう意味で、国鉄当局としてどういうポリシーで臨まれようとしておられるか、これを伺いたいわけでございます。
  21. 高木文雄

    高木説明員 御存じのように国鉄は現在、全体として経営は必ずしも十分でございませんし、五十年度営業成績は、先ほど御説明いたしましたときに触れましたように旅客輸送は全体として横ばいという状況でございました。戦後長い間少しずつ輸送量がふえてきておったわけでございますけれども、五十年度には横ばいという状態になりました。しかし、こうした状態の中におきまして大都市を中心とするところの通勤輸送の必要性は減るどころではなくてますますふえておる、また現実に乗っていただくお客様も通勤輸送地帯では決して衰えていないという現状でございますので、私どもといたしましては、ただいまお触れになりましたように通勤輸送には全力を尽くしてまいりたいと思っております。  その際、御指摘のように先行投資をすることは本来望ましいことであるわけでございますけれども、まだどうも在来線全体として投資が少しおくれぎみになっておりまして、そのためになかなか先行投資までは手が回りかねる、先行投資の必要性と意義は痛感はいたしておりますが、現在程度の投資規模では先行投資までは手が回りかねるというのが現状でございまして、率直に言って、きわめて残念でございますけれども、そういう実態になっておる次第でございます。
  22. 葉梨信行

    ○葉梨委員 そういうお話になりますと、国鉄のお苦しみは私ども与党としてもよくわかっておって昨年の運賃法の改正等が行われたわけでございますが、特にこういう通勤通学輸送対策として国鉄の投資の中で国庫補助というのが重要な役割りを占めると思うのでございます。そういう意味で、国庫補助の補助額の趨勢といいますか最近の状況などをお示しいただきたいと思います。
  23. 住田正二

    ○住田政府委員 国鉄のやっております大都市交通線に対する助成は二つございまして、一つは、大都市交通施設整備費補助、これは国鉄が行います事業費の三割を助成するという制度でございます。それからもう一つは、鉄建公団でつくりましたD線、具体的に言いますと関東では武蔵野線が該当いたしますが、それの公団借料の三〇%を助成するという二つの助成をやっております。ともに五十二年度から発足した制度でございまして、五十二年度予算では二百五億、五十三年度では二百五十三億でございます。それから鉄建公団の借料についての助成でございますが、五十二年度が二十億、五十三年度が二十三億でございます。
  24. 葉梨信行

    ○葉梨委員 国の補助と同時に運賃の問題があると思います。きょうはこれが主眼ではございませんので深く触れるつもりもございませんが、通学定期についての割引の問題と通勤定期についての割引の問題、また考え方が多少違うと思いますけれども、そこらについて今後どうなさるか、国鉄総裁のお考えも承りたいと思います。
  25. 高木文雄

    高木説明員 御存じのとおり、通勤につきましては、法律上五割割り引くということが一つの原則として定められておりまして、現在はその法律に定められた限度いっぱいいっぱいまでちょうだいをいたしておるわけでございます。この制度につきましては、私どもといたしましては法律の制限がいささかきつ過ぎるのではないかというふうに考えておりまして、もう少しよく勉強いたしました上で、しかるべく制度の手直しについてお願いに出たいと思っておるわけでございます。  通学の方は、総平均で大体八一%強の割引になっておりまして一八%前後だけいただいているという考え方でございます。これは普通の運賃との比較においてそうなっておるわけでございます。したがって、法律上の制限とは関係なくいろいろな経緯から割引率が大変高くなっておるわけでございますが、これは経営的には経費との関係で全くバランスを欠いておるわけでございますので、私ども経営の方の立場からは、もう少し現実的な割引率に直させていただきたい、割引率を少し減らすことを御容赦願いたいと思うわけでございますけれども、しかし一面において、やはり家計費に及ぼす影響は無視することができないわけでございますので、その辺を十分考えながら少しずつ是正の方向をとらせていただきたいものだというふうに考えております。
  26. 葉梨信行

    ○葉梨委員 通勤通学輸送の改善のいろいろな指標みたいなものがあると思います。国鉄がこのごろ冷房車を大分増結されておる、あれは大変大きなサービスではございますが、もっと基本的なサービスは、混雑度といいますか定員に対してその何倍ぐらいお客さんが通勤通学輸送のピーク時に乗るかという、それがあると思うのでございます。  昭和四十年と五十一年の東京近辺あるいは大阪近辺の各線別の混雑度のデータをちょうだいしておりますが、大分よくなってきております。東海道線が、四十年度一七三%が五十一年度で二七二%、これは悪くなっておりますね。そういう例もございますけれども、中央線、山手線あるいは常磐線、総武線等々は、二八〇から二九〇が二三〇から二四〇になるというように大分改善はされてきておりますけれども、どうも私どもの実感としては何か、特に一部ではございますけれども、たとえば千代田線の北千住から西日暮里間などはもう年を追うごとに混雑度が上がってきている、こういうようなところもあるわけでございます。  そこで、国鉄といいますか運輸省といいますか、大体どこまで持っていきたいということで作業をしておられるか、そこらを伺いたいと思います。
  27. 住田正二

    ○住田政府委員 どこら辺までラッシュ時の混雑度を下げていくかというのは非常にむずかしい問題でございますけれども、理想的には、一五〇ぐらいまで下げられれば通勤の方々は非常に楽に電車を利用できるのではないかというように考えております。現在国鉄の方も先ほど御指摘のように下がっておりますが、私鉄でようやく一九〇ぐらいに下がってきておりますので、一五〇というのはかなり商い数字になるわけでございますけれども、できるだけそういう方向に持っていくように努力をいたしたいと考えております。
  28. 葉梨信行

    ○葉梨委員 込まない電車は結構でございますが、やはり日本の国の力に相応した程度というのがあろうと思うのです。私ども素人として考えますと、朝電車でもって、できれば立って新聞が読める程度であればいいなと思うのでございます。一五〇といえば大変理想的ななにですが、二〇〇ぐらいでしょうか、そこらまでいけばいいのかなと私は思っておりましたが、鉄監局長から大変すばらしい数字を聞かせていただいて、そういう方向に努力をしていただきたいものでございます。  ところで、私、これから特に問題をしぼりまして、常磐線、特に茨城県内の状況について少しく質問をさせていただきたいと思います。  県が行いました人口調査がございますが、昭和三十年に茨城県は二百六万人でございました。四十五年に二百十四万人、五十年に二百三十四万人、人口増加のテンポはこれまで大したことはございませんでしたが、昭和六十年には三百万人、昭和七十五年には四百万人、こういうことで、千葉、埼玉あるいは神奈川県のような増加の趨勢をたどるであろう、こう言われているわけでございます。茨城県内を通る国鉄の主なものは、東北線の一部、それから常磐線でございますが、常磐線にしぼって、特に東京に近くてこれから人口増加が激しいであろういわゆる県南、土浦と取手の間について見てみますと、この常磐線の沿線各駅周辺の市町村の人口を合計してみますと、昭和五十年には大体三十六万七千人、昭和六十年に五十三万八千人、昭和七十五年には八十八万五千人、こういう推計がされておりまして、五十年に比べて六十年では一・四七倍、五十年に比べて七十五年では二・四一倍の増加になるであろう。この人口増加をした人がすべて通勤通学輸送客として乗ってくるわけではございませんが……。  また、この通勤通学輸送についてどうなるかという推計が県当局によって行われております。茨城県の首都圏に通勤通学する人は、常磐線沿線はすべて取手から利根川の鉄橋を越えて千葉県、東京へと入ってくるわけでございますが、この千葉と茨城の県境における輸送需要の調査がございまして、四十九年には三万七千八百人、三万八千人ぐらいであったわけでございますが、昭和六十年には十一万三千人になるであろう。この輸送需要全部が通勤時間帯、ピークの時間に集中するわけではありませんが、大体輸送需要の三二%くらいがそのピークに集中するであろうという一つの計算方式がございますが、いずれにしましても、五十年に比べて十年後には輸送需要が三倍になる、こういうことは明らかでございます。  そうしますと、これに対しまして、常磐線の茨城から千葉に入った地点における混雑度、あるいはさらに千葉県の各駅から乗車する人たちによってもたらされる混雑度というのは大変なものがあろうと思うわけでございます。  こういう状況に対応しまして、私どもも目で見ておりますけれども、国鉄当局が行われた施策というものがございます。昭和四十六年四月には、先ほどのお話にもございましたか、綾瀬−我孫子間が複々線化されました。快速電車と緩行電車が分離されて運転が開始されました。そして、各駅停車の電車は北千住から地下鉄九号線、霞ヶ関まで直通乗り入れで始まったわけでございます。このために私どもは大変便利をさせていただいております。昭和四十七年の十月には快速電車が八両から十両に増結されまして、昭和五十年の三月には勝田−上野間の中距離電車、いわゆる赤電が朝夕のラッシュ時間に増発を一本ずつしていただいたわけでございます。こういうことで、大変な努力をしていただいて今日に至っておりますが、これから人口増加に対応しまして、十年後には三倍、あるいは三倍にならなくても三倍に近い数字が出てくるであろう、こういう推計がされておるわけでございますので、これにどういうふうに対応していくかということが問題でございます。  そこで、具体的に少し伺ってみたいと思いますが、一つは在来線の活用という問題があろうと思います。一つは増発でございます。もう一つは車両編成を長くするという問題でございます。あるいは区間電車をひとつ新設する、こういうようなことがあろうと思いますが、これらについて、現在中期的な見通しのもとに考えておられる対策をお示しいただきたいと思います。
  29. 高木文雄

    高木説明員 お示しのとおり、常磐線は大変混雑をいたしておるわけでございまして、いまお話しのように、少しずつ増強を図ってまいりましたけれども、まだまだこれから、残念ながら需要に応じ切れない状況になってくるのではないかということで憂慮いたしております。  当面の対策といたしましては、我孫子−取手間の複々線化を行います。いま工事をいたしておるわけでございます。また、いまお触れになりましたように、中距離電車の増発あるいは編成の増強ということをやっていきたいと思っております。しかしながら、最終的には、上野の受け入れのところが非常に線が細いものでございますから、なかなか抜本的な対策が立たないということで苦慮をいたしております。しかし、当面はいま申しました増発と編成の延長をもってとりあえず対処してまいりたいというふうに考えております。
  30. 葉梨信行

    ○葉梨委員 もう一つ考えられる対策としましては、設備増というものがあろうかと思うのでございまして、いま取手まで来ております快速電車をせめて土浦まで延ばしてもらえば、取手−土浦間の通勤者が大変助かるのではないかという声が強いわけでございます。と申しますのは、実はこの県南地域は団地の開発が非常に盛んでございまして、特に龍ヶ崎の近郊には、宅地開発公団が茨城県としては特に歴史的に大きな団地開発をしておりますし、それから、取手から下館へ参ります関東鉄道の沿線には住宅公団が大きな団地を幾つかつくり、またつくりつつあるわけでございます。そういうことで、とにかく編成を長くするとか増発を図るくらいではカバーできないのではないか、こういう心配があるわけでございます。  この快速の土浦までの延長ということ、千代田線を取手に延長するお話は先ほど承りましたけれども、快速の延長についてどういうお考えでおられるか、具体的にお示しをいただければ幸いに思います。
  31. 高橋浩二

    高橋説明員 取手から土浦までというお話でございますけれども、ただいま藤代付近で直流と交流の切りかえという問題がございますので、もし延ばすとすればいまの緩行線を延ばすということになりますけれども、この交流、直流の問題が一つございます。ただいまのところは、列車本数的には上野から取手までの間はこれ以上なかなか増発ができないという状況でございますので、本当に取手から先の方の混雑を緩和するためには根元のルートを太くしなければならないという基本問題がございます。  しかし、いま先生のおっしゃいますように、取手から先についても住宅開発等が盛んにいま行われておりますので、取手−土浦間の混雑を緩和する、あるいは列車本数をふやすためには、ただいまの中電の本数をふやしていくというのがとりあえずの対策かというふうに考えておりますが、いま申したようないろいろな点で実は問題がございますので、とりあえずは中電の増発ということで対応せざるを得ないかなというふうに考えております。  ただし、この場合にも、根元の方の本数が制限されておりますので、中電とただいまの快速との振りかえといったようなこと等も考えて、とりあえずの輸送力増強というふうに考えております。
  32. 葉梨信行

    ○葉梨委員 とにかく、先ほどちょっと私申し上げました龍ヶ崎周辺の団地でございます。きょうは宅開公団の理事さんも来ていらっしゃいますが、私、かわりに自分で申し上げますと、北竜台団地、竜ヶ丘団地、この二つでもって七万五千人の新しい人口が張りつくわけで、これがすべて東京への通勤着になるとは限りませんけれども、大変な、あの地域にとっては革命的な通勤人口の増加が見られるわけでございます。  それからもう一つは、関東鉄道の常総線の沿線につきましても、戸頭公団団地が二万人の予定でございますし、北守谷が三万二千人、南守谷が一万七千人、その他民間の団地も完成するでございましょうから、関東鉄道の輸送力の増強も早急に行っていかなければならないと思いますが、どうも私ども見ておりまして、関東鉄道はいわゆる私鉄の中で中小でございます。なかなか経営が困難じゃないだろうか。恐らく輸送力増強ということは、いまの単線から複線化しなければならないと思いますが、複線にするのに、私ども関鉄の重役さんに伺いましても、とにかくお金がないという話が先に出てくるわけでございます。  そういう意味では、私は私鉄助成ということが大きな運輸省の政策にならなければならないと思いますが、具体的にどういう援助政策があるか、そこらをお聞かせいただきたいと思います。
  33. 住田正二

    ○住田政府委員 私鉄に対する助成でございますが、大手の場合には、複々線工事をやるとかあるいは新線工事をやる場合には鉄建公団に工事をやらせまして、でき上がった施設を大手の私鉄会社が長期の年賦によりまして買い取るという制度が一つございます。それから、中小につきましては、鉄建公団ではなくて開銀からの融資でやっております。金利が六・五%、二十年という長い期間でございます。また、中小につきましては、開銀融資のほかに施設の近代化に対する助成あるいは踏切の改善に対する助成等を行っております。
  34. 葉梨信行

    ○葉梨委員 それから、つけ加えますと、線路の増設とか車両の増結その他のほかに、お客さんを受け入れる各駅の改良ということが重要な問題になると思うのです。土浦駅からずっと南へ参りまして、各駅の改良をしませんと、ラッシュアワーに悲惨な事故が起こらないとも限らないような状態の駅がございます。たとえば取手駅等は、いまのような跨線橋の状況で二倍、三倍の乗客がごく短時間にラッシュしてまいりますと大変なことになる。そういうことで、これはもう答弁を求めませんけれども、先ほど総裁が言われたように先行投資をするというお考えで改築の構想を進めていただきたいと思うわけでございます。  さて、先ほど昭和六十年の時点の輸送需要について申し上げましたが、茨城県が交通学者でございます八十島教授を委員長としまして、十五人ぐらいの委員を委嘱しまして、昭和五十一年の九月から県内の通勤輸送についていろいろ研究しております。その研究の数字をちょっと拝借しまして申し上げてみますと、取手−藤代間で輸送需要が、昭和六十年が十万五千人、七十五年になりますと二十万二千人でございます。これがずっと南へ下ってまいりまして北千住−松戸で申しますと、昭和六十年で三十五万八千五百人、七十五年で五十六万人、こういう驚くべき需要の増大が予想されるわけでございます。これが全部ラッシュ時に一どきに車に乗るということではございませんが、こういうことに比例して大変な人が電車を利用するわけでございます。  そういうことで、昭和六十年ぐらいまで、これからの七、八年は在来線の先ほど申し上げましたような改善で何とかやっていけるとしても、その後の十年あるいは十五年後には、このままでは常磐線はパンクするのではないかと私は素人なりに心配しておりますが、国鉄当局としてのお考え、予測をお聞かせいただきたいと思います。
  35. 高木文雄

    高木説明員 御指摘のように、六十年代になりますと常磐線はいまの施設では十分私どもの使命を果たせないような状態になるのではないかということの認識を持っておるわけでございまして、何らかの対策を考えるべき時期がだんだん迫ってきておるというふうに思っております。
  36. 葉梨信行

    ○葉梨委員 茨城県のいま申し上げました委員会では、第二常磐線をつくりましょう、こういうアイデアを出しているわけでございます。県の話を聞きますと、石岡から分岐いたしまして学園都市、それから取手と水海道の中間地点を通って利根川を渡り、野田近辺からさらに下りまして田端に至る線はどうか、こういうことで具体的にいろいろ需要予測をしているわけでございます。  いまこれについてやるかやらぬかというようなせっかちなお話は申し上げませんけれども、首都圏の中で茨城、栃木、群馬が比較的放射線状の交通網の密度が薄く、したがって、地域の人口の張りつきぐあい、開発がおくれていたというそういう客観的な首都圏開発の意味からする状況もございますし、国鉄の財政状態等は私ども承知しておりますけれども、将来の北関東の開発という意味で県の考え方、これは一つのアイデアであろうと思いますけれども、十分に御考慮いただいてこれから御検討を願いたいと思います。  つけ加えますと、県は大変欲張っておりまして、そのほかに新線計画を三つぐらい立てておるようでございます。しかしそれを一々申し上げておってもいまの話にはならないと思いますが、一つついでに申し上げますと、成田ニュータウンと東京都心との間に県営鉄道を敷くというお話がございますが、あのニュータウンからさらに北に上りまして竜ヶ崎ニュータウンまでつなげばどうか、こういうようなアイデアもあるわけでございまして、これもあわせて御検討願いたいと思います。  さて、そこで通勤輸送につきましてざっと御質問申し上げましたが、茨城県の鉄道の問題で大きな課題になっておりますのは、いま建設途中でございます鹿島線でございます。鹿島線につきましては佐原、香取から北鹿島までは開通いたしまして、例のコンビナートの製品の輸送あるいは旅客の輸送等をしておられるわけでございますけれども、予定線に入っております北鹿島から大洗を通りまして水戸へ抜ける路線の完成が一日も早くあれとわれわれは期待をしているわけでございます。  そこで伺いますと、昭和五十四年ぐらいに完成の予定であった鹿島線が建設が大分おくれているようでございますが、これからどんな予定でこの工事を進めていかれるか、あるいはいま予定がおくれているネックは一体何と何なのか、そこらについてひとつお聞かせをいただきたいと思います。
  37. 住田正二

    ○住田政府委員 鹿島線につきましては、いまお話がございましたように、十七キロはすでに完成して開業いたしております。あと残っております水戸−北鹿島間が五十三キロございます。このうち用地につきましては八五%の買収が終わっております。また路盤工事につきましては六九%が竣工いたしまして、現在残りについて鋭意工事をやっております。  予算状況でございますが、総工事費が四百七十一億円でございまして、五十一年度までに二百二十四億円を使っております。また五十二年度では三十三億円を配分いたしております。現在AB線につきましては御承知のように重点的に予算を配分いたしておりまして、この鹿島線については重点的な配分として、三十三億円を使っているわけでございますが、先ほど申し上げましたようになお相当の残工事がございますので、三十三億円というのは重点的に配分はいたしておりますけれども、なお相当の年月がかかるということでございます。工事がおくれている原因といたしましては、やはり予算上の問題ということであろうと思います。  なお、これは一つお願いを申し上げておきたいわけでございますけれども、AB線の建設は、いま申し上げましたように特に鹿島線については重点的にやっているわけでございますが、完成後に相当大きな赤字が出るということでございますので、地元の協力もぜひお願いしたい、地元の協力を得て、できるだけ早く完成したいというように考えているわけでございます。
  38. 葉梨信行

    ○葉梨委員 鉄監局長最後に言われたことは鹿島線だけの問題ではございませんから、これは地方線全体の対応の仕方ということで私は伺っておくわけでございます。  水戸−大洗間、これは昔海浜電車がございまして、これがいま取り払いになっておりますが、もう水戸−大洗間、参りますと高架線がほぼできておるわけでございます。もう二年前か三年前ぐらいにできて、汽車というか電車が走らない、こんな不効率な話はないわけでございます。ですから、私ども茨城県の者としましては、少なくもまず水戸−大洗間ぐらいは開通させてくれたらいいじゃないか。そう申しますと、大洗と北鹿島の間の方々にしかられるかもしれませんけれども、正直そんな感じがするわけでございます。なぜできないのか、そこらをもうちょっと詳しく御説明願いたい。
  39. 住田正二

    ○住田政府委員 AB線の場合には、部分的にかなり工事が進捗している場合もあるわけでございますけれども、やはり鉄道でございますので、一つのある駅からある駅まで完成しませんと鉄道は通らないということになるわけでございます。それで、いま御指摘の水戸と大洗の問題でございますけれども、水戸に入るところに問題がございまして、そこの工事がおくれておりますのは恐らく都市計画の関係ではないかと思いますが、そういう点が解決いたしませんと水戸に取りつけることができない。そういうことで、外見的には一部かなり工事ができているところもございますけれども、そういう問題を解決しませんと実際の運行ができないということではないかと思います。
  40. 葉梨信行

    ○葉梨委員 完成の時期でございますが、いま言われたようなそういう問題を地元の知事さんや市長さん、あるいは町村長さんと協力をしまして、私どもは話し合いをつけて、できるだけ鉄道にも御協力をしていきたいと思うわけでございます。それで、完成は何年ぐらいになるのですか。私どもとしては、ことしが五十三年度でございますから、あと三年、五十三年度、四年度、五年度、五年度が無理としても、六年度ぐらいにはもう全線開通へ持っていってもらいたいと思っておるわけでございます。この点についてもう一度お聞かせいただきたい。
  41. 住田正二

    ○住田政府委員 先ほども申し上げましたように、予算が全体といたしまして四百七十億円ぐらいかかるわけでございます。五十二年度までで二百五、六十億使っておりますので、なお二百億近い資金が必要であるという状況でございます。重点的に配分しておりますが、大体重点線区として出しておりますのは三十億程度でございまして、そういう点から申し上げますと、なお四、五年はかかるということでございます。御指摘のように、五十五、六年までに完成はいたしたいと思いますけれども、そうなりますと、他の方の予算を削ってこなければいかぬということにもなりかねないわけでございまして、そういうことで、地元の協力もぜひお願いしたいということを先ほど申し上げたわけでございまして、できれば地元の協力を得てできるだけ早く完成したいというように考えているわけでございます。
  42. 葉梨信行

    ○葉梨委員 地元はもう皆さん協力するつもりでおります。  それからお金の問題があるということでございますが、これはまた私どもが今度は国鉄の応援団となって、できるだけ早く資金を集中的につけられるようにしたいと思いますので、地元の皆さんの気持ちをよく体して仕事を進めていただきたいと思います。  順序がちょっと後になりましたけれども、先ほど御質問申し上げました茨城県の常磐線の輸送力増強の問題につきましては、私は、特に国鉄だけが苦労をされるということではなくて、地元の市町村あるいは県、それから大きな人口増を来す事業をしておられる宅開公団あるいは住宅公団等が定期的に集まって、輸送力増強方策というものをそれぞれの立場から御相談いただくことが必要ではないかと思うのでございます。そういう組織というか−組織ということではありませんが、そういう集まりをして積極的に進めていただきたいと思いますが、最後にそれについてお考えを伺って、質問を終わりたいと思います。
  43. 福永健司

    福永国務大臣 いま葉梨さんのおっしゃるような意味において相談をする、まあ言うなれば一種の協議会的なもの、それも結構だと私は思います。私どもの方からどうこうと言うべき問題ではございませんが、地元の皆さんがそういう御熱意をお示しになりますのならば、われわれもそれにこたえての熱意を示していく必要があろう、そういうふうに考えます。
  44. 葉梨信行

    ○葉梨委員 どうぞよろしくお願いいたします。  ありがとうございました。
  45. 楯兼次郎

    楯委員長 森下元晴君。
  46. 森下元晴

    ○森下委員 成田の不祥事件、開港準備の問題、それから尖閣諸島周辺におきます領海侵犯の問題、それからきょう第二波のストをやっております国労、動労の問題、運輸省もなかなか大変でございまして、運輸大臣初め運輸省の方々の御心労を察するわけでございます。  私は、陸上、海上、航空と、三つの運輸省所管にわたって質問をしたかったわけでございますけれども、時間の関係で初めに陸上、いわゆる鉄道問題、その中で本四架橋の問題にしぼってまずお尋ねしたい。そして時間がございましたら、次に海上の問題、いわゆる海上保安庁の方の所管の尖閣諸島周辺におきます領海侵犯問題、これに移りたいと思います。航空の方は、もう時間がないので恐らく質問できないと思いますので、これは次の機会に保留をしたいと思います。  三月二十八日の参議院の建設委員会運輸省の山地国鉄部長は、四国新幹線の問題でこういうふうに答弁をしております。要旨は「四国新幹線大阪−大分間の完成など見通しを立てるのも難しい。大鳴門橋の新幹線併用部分に対する国鉄の分担金は、金利だけでも国鉄を圧迫するので、併用を見直すべきだという議論を内部でしてきた。」それから「大鳴門橋の計画から新幹線併用を外すため、鉄建審にかけるよう、関係者間のコンセンサスを得る努力をしている。しかし新幹線整備法に基づく四国新幹線の基本計画はなんら変更するものではない。」こういうふうに答弁をされております。  それから四月十四日に住田鉄監局長は、紀尾井町の赤坂プリンスホテルで開かれました高知県関係者との懇談会でこういうふうにおっしゃっておるようです。「大鳴門橋に新幹線を通すのは国民経済的にも問題があり計画を変更したい。その際四国新幹線はトンネルにすることになるので単独橋が正式決定されれば、明石−鳴門のトンネル調査を始めたい。」それから「計画変更を鉄道建設審議会に諮る際は徳島、高知など関係県の了解を得ることを前提にする」こういうふうに実はおっしゃっております。  その内容を見ますと、現在の国鉄の財政内容を見ましても、併用橋の場合は六百億ばかりの巨額の金を運輸省が負担するわけでございますから、これも大変でございますし、大阪から淡路を通って四国それから大分県、これが四国新幹線のルートでございますけれども、これができ上がるには二十年も、遅ければ三十年も四十年もかかるのではなかろうか。残念ながらわれわれ自身もそういうふうに予想をされるわけです。そのために運輸省の持つべき六百億の負担金、これが金利等を考えますと、現在の貨幣価値でも二千億も三千億もかかる。効率的に非常によくない。われわれも、決算面から考えましても、併用橋ができて早く開通できればいいと思いますけれども、現実はそう簡単なものじゃないということを考えまして、最善よりもむしろ次善の策をとって、そして単独橋でもいいから早く橋をかけてもらいたい。いろいろ条件はあると思いますけれども、実はそういう方向で進んでもらいたいと私は思うのです。  そこで、いろいろお聞きになっておると思いますけれども、運輸大臣に次のことをずばりお聞きしたいわけでございまして、ひとつ明快にお答え願いたい。  まず、大阪から四国を通りまして大分へ参ります四国新幹線、これはすでに豊後水道、大分と愛媛県の間ではトンネル調査をやっております。運輸省予算を二億円ばかり毎年つけておりますから実績がございます。そういうことで、併用橋問題は別にして、四国新幹線は絶対に断念しないのだ、あくまでもやるのだ、これをまずお聞きしたい。  それから、鉄建審、先ほど私が申し上げました鉄監局長国鉄部長の発言の内容にも、鉄建審とか閣議でこれは前に併用橋ということで決めておりますから、これをおろすのはそう簡単にいかないと思うのです。その点やはり運輸大臣の決断によって早く決まる。しかも、不景気なときでございますから、早く公共事業をやらなくてはいけないし、下部構造は大鳴門の場合はできておりますから、上部構造にかかる場合に併用か単独かということが非常に問題になりますし、どうしても六月までに決めないとまた一年延ばされる。実は昨年も予算をそのまま使わずに置いてあるようなことでございまして、これも決算から見ましてもまことに効率の悪い問題でございますから、ひとつ大臣の方からお答え願いまして、また具体的な問題は鉄監局長の方から補足していただいても結構でございますから、大臣からよろしくお願いします。
  47. 福永健司

    福永国務大臣 まず四国新幹線の件につきましては、お話にもありましたように、これの計画には変更は別にないわけでございます。率直な話、やりようにもよりますけれども、どっちが先になるか、これはなかなか、世に急がば回れというような言葉等もございますので、今後どうなるかと思います。そういうように私は思いますけれども、いずれにしてもその四国新幹線につきましては、考え方を変えるものではなく、推進していきたいと存じます。  それから、鉄道建設審議会との話等につきましては、いま閣議で決めたかのようにお話がございましたが、これはどっちでも大した差はないと言えばそれまででございますが、閣議で決めたのではなくて運輸大臣が決めたことになっております。いずれにいたしましても、それについて変更する措置を講じなければならないことは、これはもう御指摘のとおりでございます。  なかなかこの節、運輸省に振りかかってまいります問題が多い。一方においてはやれとおっしゃるし、一方においてはやるなと言う方が実は多いのでございます。気の弱い小生、いろいろ悩んでおりますが、いずれにいたしましても、お話のように決めるべきことは決めていかなければならない。せいぜい努力をいたしたいと存じます。
  48. 住田正二

    ○住田政府委員 鳴門大橋と明石大橋の併用橋でございますが、これは閣議了解とか閣議決定ということではなくて、運輸大臣が鉄道建設審議会に諮問いたしまして、その答申を得て、本四公団に併用橋でやるように基本計画で指示をいたしたものでございます。
  49. 森下元晴

    ○森下委員 鉄道建設審議会ですね、四月の上旬ということでわれわれ非常に期待しておったのですが、いろいろな問題が起こったものですから延びておるし、いろいろ関係府県とも連絡を意欲的にやっておるようでございますけれども、私は、でき得ればこの四月中にぜひお願いしたい、またやるべきである、こういうふうに実は思っておるのですが、大臣の方で、非常にむずかしい問題がございます。一〇〇%了解を得るということは非常にむずかしいと思うのですけれども、少なくとも四月中にできなければ連休明けぐらいにはひとつ鉄道建設審議会を開いていただきまして、前向きでやるという私はお約束を得たいと思います。この点、どうでございますか。  もう六月からこれやってもらわないと、また一年延びますからね。景気浮揚ということで公共事業で大型予算をつけておるわけでございますから、その点ひとつでき得れば四月の下旬でも、どうしてもぐあい悪いときには連休明け直ちに、ぜひ私は鉄建審ではっきりしてもらいたい。どうでございますか。
  50. 福永健司

    福永国務大臣 森下さんお話しのように、私どもも実は四月、なるべく早くやりたいというような気持ちがあったことは事実でございます。正直に申します。いろいろございまして、そういうように運んでいっていないということを大変残念に思いますが、いま、いつ開くということを申し上げると、すぐこれまたいろいろなことになりますので、よく森下さんのお話を伺っておいて……というように存じます。いずれにしても、できるだけ早いことが望ましいと思っていることに変わりはございません。御了承いただきたいと存じます。
  51. 森下元晴

    ○森下委員 この併用橋か道路橋かという問題は、地元の国会議員もわれわれも含めまして十数年前から論議されておる問題でございまして、運輸省だけの責任じゃなしに私どもの責任も実はございます。しかし、政治家である以上、やはり決断すべきときには決断して、県民なり選挙民からの非難を受けることもあるだろうし、先見性がいかになかったかということの批判を受ける場合もあると思うのです。しかし、やはり決断すべきときには決断して、そして後の批判を受けていくのが、批判を避けて通れないのが政治家の一つの宿命でございますから、あえて私も申し上げるわけでございます。  そういうことで、はっきり言いにくい点もよくわかりますが、ひとつ意欲的にそういう方向でぜひお願いしたい。これは尖閣諸島の問題や成田の問題よりは、国内の問題でございますから簡単にいけるし、われわれ自身も、関係機関、また関係民に呼びかけて了解を得るように努力をしていきたいと思います。  それから、これは国鉄の財政上の問題、運輸省のそういう効率的な資金の問題もございますけれども、もう一つ安全性の問題が実はあるわけです。きょう気象庁も来ていただいているわけでございますけれども、二月二十八日、江戸川区の地下鉄東西線、荒川中川鉄橋で電車が脱線転覆して、二十一人が重軽傷を実は負っております。警視庁の捜査一課とそれから小松川署が、原因追及のために中央大学の理工学部の古川浩教授に鑑定を依頼しておる。その結論が出ておりますけれども、この鉄橋は下があいておりますから、下から風が吹き上げて、地下鉄は新幹線と同じようにわりに軽くできておるように思うのです、予想せざるような事故が起こりまして転覆した、そういうような事故が実は起こっております。いわゆる箱型の鉄橋があだになっておる。風もかなり、瞬間風速四十三メートルというふうな横風が吹いておるのですが、流体力学の関係で下から非常に吹き上げた。スピードがあればあるほど浮力がつきますからひっくり返っておる。  私、なぜこれを申し上げたかというのは、この軽い電車が非常に風に弱かった、そういうことから考えまして、海上六十メートル、八十メートルというような海峡にかける橋を通る電車とか汽車の場合は、その風に非常に弱いのじゃないだろうか。台風の場合は全部汽車をとめますけれども、普通の風の場合でも特殊な風が吹くと私は思うのですね。そういう面でも、これはもちろん鳴門海峡とか明石海峡だけの問題じゃなしに、やはり瀬戸内海含めまして海峡の、しかも高いところにかける橋、これに対してそういう非常に軽い電車とか汽車の場合の抵抗力と申しますか安全性の問題ですね、こういう問題も私は同時に実は考えておるわけです。  東西線を例にとったわけでございますけれども、気象庁の方にひとつ当時の気象状況、これをちょっと簡潔で結構でございますから、御答弁願いたいと思います。
  52. 窪田正八

    ○窪田説明員 二月二十八日の気象状況を簡単に申し上げます。  この日は、二十八日の前から前線が近づいてまいりまして、かなり強い風が吹き始めておりましたが、九時ごろ温暖前線が通過して、そのあと寒冷前線の通過するときに、非常に狭い範囲内で強い風の観測がございました。気象庁の観測ではございませんでしたけれども、東京都の観測で大体二、三キロから七、八キロの南西の方向に、五十メートル前後の強い風の観測がございます。  以上であります。
  53. 森下元晴

    ○森下委員 気象庁の場合はそういう海峡の気象条件の調査はやっておりませんし、公団の方は実はやっておると思うのですが、これは別にします。  とにかく、地上で予想せざるような突風が、横風だけではなしに縦、横、斜めから吹く。特に下から吹き上げる風というものは非常に浮力を加速するわけでございますから、非常に危険なわけです。こういう点でも併用橋に対する安全性の問題、これも十分にやらなくてはいけない、こう思っておったやさきにそういう問題が起こったものですから、それが単独橋にするという理由にはならぬにしても、他の地域でそういうような計画がございます場合には、風に対する考え方を十分認識してもらいたいという意味で申し上げたわけでございます。  それから、これは前提条件でえらい申しわけないのですが、仮に併用橋が道路橋になった場合に、運輸省の負担しております四一%が全部建設省関係の費用に回るわけでございます。現在建設省の方は地元負担というもので公団債を引き受けていただいております。建設省の割合は五九%でございまして、それを政府債を出したり関係府県の、たとえば兵庫県が三六・五%、神戸市が二二・二%とか徳島県が二〇%、高知県が五・三%、そういうふうに割り振っているわけです。この率が変わってくるわけです。そういう意味で、関係府県もかなり負担が増すのじゃないだろうかというようなことで、いろいろ条件的にそういう面でまた陳情等が出てくると思います。  その点私は触れないのですが、その本四連絡橋の債券を出しておりますが、この取り扱いの金融機関、これは取引指定金融機関というものがございまして、都市銀行、地方銀行、それから地元関係の公金取り扱い指定銀行、こういうところでこの債券を取り扱い、また債券をできるだけ売っていただくために努力をされております。それで政府引受債とか二号縁故債とか三号縁故債、こういうもので、これはもちろん債券でございますから、金利がついて返ってきますから問題はないと思うのですが、その中で、これから恐らく単独橋にいく場合にはまだまだこの債券をお願いしなくてはいけない。だから、いま申し上げた金融機関だけでなしに、たとえば相互銀行関係とか、農協関係とか信用組合、そういう金融機関まで呼びかけて縁故債を募らなくてはいけない、こういうことになると思うのです。現在私どもが陳情を受けておりますのは、たとえば相互銀行協会というのが全国にございます。そこから、縁故債の募集に協力するけれども、扱いをさせてくれぬのじゃないか。せっかく金を集めましてもそれが都市銀行に入ったり地方銀行の地元関係県の公金取り扱い指定銀行に入ってしまって、われわれは何のために協力をしておるかわからない、そういう不公平がございますし、やはり大蔵省の監督で相互銀行にしても、将来は農協あたりでも扱ってもらってもいいと思うのですが、そういう点で不公平が生じております。景気浮揚のためにはそういうような地方の公金取り扱い指定銀行でない銀行まで協力を求めるし、またそういう機会を与えるのが当然だろうと思うのですが、これは前提でございまして、この縁故債をどんどんふやさなくてはとうていこの橋はできないということから、そういう面の質問でございます。  これはどなたから答弁していただきますか、本四公団の方から簡単に御答弁願います。
  54. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪参考人 私の方の事業を執行いたしますために財政投融資の資金並びに縁故債を利用しておるわけでございますが、縁故債につきましては、鉄道の縁故債については公団が直接都市銀行から借り入れておるわけですが、道路関係の縁故債については県のあっせんを得まして県内の金融機関、広い方面から縁故債に協力していただいておる次第でございます。現在それの建設局で扱います資金の取り扱いについては大体県の公金を取り扱っておる金庫銀行といいますか、そういうところを私の方の資金の取り扱い銀行に指定しておるわけでございまして、それにつきましては、ただいま先生のお話にありましたように今後縁故債の金額も相当ふえてまいりますし、県の金庫銀行だけでなく広い金融機関から縁故債を募集しておることもございまして、今後は県の意見も聞きながらそういう建設局の資金の取り扱い銀行についてこれから検討してまいりたいと考えております。
  55. 森下元晴

    ○森下委員 これで終わりますけれども、いまの点を十分御配慮いただいて、広く利用できるように機会を与えていただくようにお願いしたいと思います。  それから、海上保安庁の方、せっかく尖閣諸島の問題でお聞きしたかったのですが、去年、北方の方へ参りまして納沙布岬まで回ってきたのです。今度は南方でございまして海上保安庁も大変でございます。海上保安庁関係の予算も非常に微微たるものでございます。装備、人員ともにこれからしっかりしていただきたい。また次の機会に海上保安庁問題とかまた成田の問題について御質問することをお約束いたしまして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  56. 楯兼次郎

    楯委員長 次は、馬場猪太郎君。
  57. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 三月一日の予算委員会の分科会におきましても、運輸大臣、そして総裁からも御答弁をいただきました城東貨物線についてお伺いいたしたいと思います。  重複を避けまして、総裁も言葉の上だけじゃなしに、もういよいよ真実差し迫った問題として積極的にやりたい、こういうふうにおっしゃっていただいているのですが、具体的にそれじゃその取り組みについては、そういうプロジェクトについての機構とかあるいは人員配置とか、そういうのはどういうふうになっておるんでしょうか。
  58. 高木文雄

    高木説明員 城東貨物線の問題につきましては、用地の相当部分がすでに確保されておりますのですけれども、しかしなお用地問題で地元の方方との間のお話し合いを十分つけなければならない地区がいろいろございます。  そこで、それにつきましてはやはり鉄道だけじゃなくて、ある程度都市計画との関連というような問題もまた出てまいるわけでございまして、私の方が将来計画としてこれに速やかに取り組むということをだんだん腹固めをいたしてまいりましたので、主として大阪市あるいはその関連の市にお願いをいたしまして、関連市の間で最初にまず御相談を願い、そして主として用地問題、あるいはいま申しました区画整理等の問題を含む都市計画等につきまして、いろいろと御協議を進めていただきたいと思うわけでございます。  国鉄自体といたしましては、大阪工事局を中心にこの仕事に取り組むわけでございますけれども、大阪工事局はかなりの大きな規模の工事局でございますし陣容もそろっておりますので、特に増強というようなことをいたしませんでも当面の仕事には取り組んでまいれるだろうというふうに思っております。
  59. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 高橋理事も、地元関係市との意見が十分まだ調整できてないという答弁もいただいているのです。どの部分がどういうふうな調整を要するようになっておるのか、ひとつお教えをいただきたいと思います。
  60. 高橋浩二

    高橋説明員 この線につきましては、地元から非常に古くからいろいろ御要望がございました。私の方も五十年ごろから正式に書面をもちまして、関係市に対しまして、どういうルートでどういう構造のものをつくる場合に、地元としてどういういろいろの御要望なり問題があるかということについて、意見照会という形で協議を申し上げております。  ところが、それによりまして地元からの御要望の非常に大きなものは、まず駅の位置の問題が一つございます。駅付近では当然いろいろ駅前広場その他の関係等、都市計画とすべて調整をいたしませんと、駅の問題については解決しない問題がございます。  それからその次の問題として、従来からあります城東貨物線は、部分的には高架といいますか高くなっておりますけれども、ほとんどが盛り土で構成をされた路盤でございます。それに対しまして複線化するときに、その線路を一部寄せてでも土を取って高架にしてほしいという強い要望がございます。  それから途中いろいろ道路がございますので、道路と交差する空間の高さにつきましても、必ずしも道路法の基準による四・五メートルというものがとれてないところがございますので、これらもこの際正規の高さがとれるような形にしたいというような御要望が強く出ております。  それらをすべて調整をしていかなくちゃなりませんけれども、いま申し上げました駅の問題及び高架化の問題につきましては都市計画事業が絡みますので、御一緒に御協議をして、その費用の負担等についてもいろいろこれから御相談をしていかなくちゃならないというふうに考えております。したがいまして、私の方からも関係市並びに大阪府に対しまして十分協議のできる連絡会等を持ちまして、それらの点について具体的に詰めていきたいというふうにただいま考えて、そういう方向で大阪工事局を中心に現地と御協議を申し上げているところでございます。
  61. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 いま言われた駅の位置であるとかあるいは立体化の構造の問題であるとかあるいは道路の交差の問題、どれもが全部協議がまだ未調整なんですか。
  62. 高橋浩二

    高橋説明員 もう一つ申し忘れましたけれども、まず基本のルートの問題が一つございますが、新大阪付近から途中まではただいまの城東貨物線とほとんどそのまま並行させてつくるということになろうかと思いますが、それから南側につきましてはいろいろのルート等もございますので、この点についてももう一つ実は協議しなければならぬ問題が残っております。  いま先生の言われる高架化の問題あるいは駅の問題等について、地元からの御要望の位置及びどの区間を高架化してほしいということについては、概略御要望を承っております。しかし、これはいま申し上げましたように都市計画事業と御一緒にしないとできない問題でございますので、その点についてまだ十分、じゃどういう構造をどういう費用の負担でやるかということについての突っ込んだ具体的な協議がなされてないというのが実情でございます。
  63. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 四十八年にも磯崎総裁のときに調査に着手すると言われておりますし、四十九年にも藤井総裁が本格的着工の意思を表明しておられるんですね。それでいまだに地元の調整がちっとも進んでおらないんですか。その間、そんなに長く地元の調整、かかっておるんですか。
  64. 高橋浩二

    高橋説明員 いま先生のおっしゃいますように、四十八年、四十九年等、国会でも総裁が先生のおっしゃるように本格的に協議を進めたいというふうに申し上げております。私の方は、それを受けたわけではございませんが、前からこの問題についてはいろいろ研究いたしておりまして、したがって、いままで書類をもって自治体等にお示しをしなかったのを、五十年になりまして書類をもってお示しをし、五十二年になりまして地元から御要望を正式に承るというようなことをいたしております。しかし、この問題はいま申し上げましたように、非常に地元に費用的に御負担のかかる問題がたくさんございまして、その辺が基本的に自治体等の財政事情の問題もあろうかと思いますし、具体的になりますとなかなか話が煮詰まらないということで、ただいま考えておりますのは、関係市の方御一緒に寄っていただいて、そして大阪府あるいは大阪市長さんを中心にして関係機関相寄っていただいた連絡協議会のようなものを持って、その調査の進め方及び実際の具体的な設計等についてお打ち合わせをしないと、具体的にどうも進みがたいなということで、ただいまそういうふうに運ぼうというふうに考えておるところでございます。
  65. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 いま四つ目に言われた基本ルートも、まだ決まっておらないのですか。
  66. 高橋浩二

    高橋説明員 大阪における都市交通審議会の十三号答申というのがございまして、これはただいまの城東貨物線を主として、城東貨物線沿いと申しますか、ただいまの城東貨物線の単線を複線化しまして、そうして新大阪から杉本町付近の電化、旅客輸送をするのがよろしいんじゃないかというふうに、大阪の都市交通審議会等ではそういう答申がなされております。そういう意味では、そういうルートの一つの案がございますわけでございますが、私どもはこの線自体の最近における通勤客の状況、あるいは都市間といいますか紀伊方面との連絡等を考えて、その辺のルートについてはなおもう少し検討すべき余地があるのではないかというふうに考えておりますけれども、これは国鉄だけで考えてもどうにもならない問題でございますので、それらを含めまして関係地元市町村、県府等と御一緒にこの問題をもう一遍詰め直していかなければならないのではないか。そのうち新大阪から途中までといいますか、加美付近くらいまでについてはほぼただいまの城東貨物線沿いであるというふうに考えております。
  67. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 まだルートまできちっと決まっておらないという状態であれば、都市計画審議会にかける段階までまだまだ至らないわけですね。都市計画審議会にかけるような状態にはいつごろになったらできるのでしょうか。
  68. 高橋浩二

    高橋説明員 私の方のルートは、ルート自体は都市計画審議会とは違いまして、先ほどから申しております駅付近及び高架化事業についてはこれは都市計画事業でございますので、それについては個々に駅付近のこの部分を高架化するということはそれぞれの都市計画事業としてかけてまいるわけです。したがって、まずルートを一つ協議いたしまして決めて、そしてどこに駅をつくるかということを決めまして、その駅付近のどこの部分を高架化事業にするかということを各駅付近ごとに決めまして、それが決まりますとおのおのの自治体が都市計画審議会にかけて、それの鉄道の方は私の方で運輸大臣の認可をいただき、そういう道路に関係するものについては自治体から出していただいた都市計画審議会で決めていただくということで、駅付近の問題が決まっていくのではなかろうかと思っております。
  69. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 駅の位置自体もなかなか決まらないということですが、それでは駅は全部で大体幾つくらいの予定なのですか。
  70. 高橋浩二

    高橋説明員 まだ私の方だけで決められない問題ですから、正確に申し上げられませんけれども、ほぼ二キロ付近ごとに——非常にいろいろの、国鉄線もございますが、多くの私鉄とこの城東貨物線が交差をいたしております。ただいま駅はございませんけれども、城東貨物線と私鉄と交差している区間がございます。それで、常識的に考えまして国鉄線あるいは私鉄線と交わるところにはまず駅を設けるのがよろしいのじゃないかというふうに私の方は考えておりますけれども、この駅を設けるにつきましても、従来からある線で旅客を輸送してそうして駅をつくる場合には地元の方々と駅の費用の分担という問題も出てまいりますので、したがって、駅を決めるについては地元の方々と十分御協議を申し上げなければ駅の数等も決まってまいりませんが、大体通勤を主とした線でございますので、二キロに一ヵ所ぐらいの駅をつくるということになるのではないかというふうに考えております。
  71. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 それでいけば何ヵ所くらいの駅になるわけですか。
  72. 高橋浩二

    高橋説明員 ただいまちょっとその駅の個所数が手元にございませんが、延長から見まして七、八ヵ所になろうかというふうに思います。
  73. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 七、八ヵ所になるとしたら、それは何市とのかかわり合いになるのですか。
  74. 高橋浩二

    高橋説明員 主に大阪市と東大阪市と、松原市に関係するかしないか、これはルートによります。多分吹田は駅は関係ないと思いますが、あるいは吹田市も関係するかと思いますが、大阪市、東大阪市が主でございます。
  75. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 恐らく吹田市は二キロの範囲内だと思います。そうすると、大阪市と東大阪市だけなんですよね。松原市は加美よりずっと南部の方ですから、まだまだ検討の余地があると思うのですけれども、その二市だけでもまだ協議が進まないのですか。  運動当時は七市だったと思うのです。ですから、二市ぐらいだったら、両市長とも非常に積極的に言っているわけですから、協議がもっと進んでいなければいけないんじゃないでしょうか。地元の側と協議と言われるけれども、むしろ国鉄側のたたき台というものがまだ出されていない、事務的なおくれというのが主因じゃないでしょうか。
  76. 高橋浩二

    高橋説明員 一応私の方の駅及び駅に取りつくところの線路の高さ等について、これは図面を持って市にお示しをいたしてございます。それに対しましてもう少し線路を高くして高架にしてほしいという御要望も承っております。そういう意味ではほぼ決まっているのでございますけれども、基本の問題は、いま申し上げました費用の分担の問題が出てまいります。この点についてはまだ十分御説明もしておりませんし、また御協議もしておりませんので、どうも費用の分担が出てまいりますと、少し長い目で、計画を早目に決めて、そして実行段階に移していくというのが通例でございますので、私の方もそういう意味の計画は早く決めたいと思っておりますが、自治体との間でその費用の問題になりますと、まだうまく話し合いができていないというのが事実でございます。
  77. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 余り細かくお聞きしたくはないのですが、ただ漠然と、やることはやるんだけれども、いつごろというめどを示すことはひとつ御勘弁願いたいという総裁の御答弁もありますし、そうなれば事務的にどの程度進んでいるか、そして言葉だけではないと言われることが実際に具体的にどこまで進んでいるかということをお伺いしたいために言っているのですが、いまのお話を伺うと、むしろ地元負担という問題が問題になっておくれておるんだというふうに受け取れるのですが、そうじゃないのですか。
  78. 高木文雄

    高木説明員 私もそう詳しくは存じませんが、先般も実は市長ともお会いをいたしまして、機会がありましたのでこのことについていろいろお話をいたしたわけでございます。  一つの問題点は、常務理事が御説明申し上げましたように、大部分が盛り土でできておりますので、地域の住民の方々のお気持ちとしては、極論すると、それを全面的に最近の高架化構造に変えてほしいという気持ちがあるわけでございます。これは従来からの都市側と鉄道側との約束によりますと非常に多くの負担が都市側にかかってくるということでございます。そのことが最近になってだんだん御理解がいただけるようになってまいりました。都市側としても全面的に盛り土をのけるということは少し無理だということがだんだん御理解いただけてまいりました。  と同時に、現在貨物が走っておりますので、毎日従来どおりの仕事をしながら盛り土をのけて高架にするというのは大変手間のかかる工事でございまして、新しく新線をつくって高架化するという場合と比べまして比べものにならないぐらい工費がよけいかかるわけでございまして、そのことについてどうもばかに国鉄が言うのは金がかかるじゃないかという疑問があったわけでございますが、最近現実に、この城東貨物線の旅客輸送化ということと関係なく一、二の部分で道路との関係を円滑にいたしますために高架化事業をやった地区がございまして、その工事のやり方を、現地にお住まいの方が目の前で工事をやっておりますからごらんになって、なるほどこれは金のかかる厄介な仕事だなということがだんだんわかってくださるようになってきました。そう全体を高架化しようということを考えてもそれは現実的でない、よって、何ヵ所か、下の道路計画との関係上当面必要なところに限ろうではないかということについて、都市側といいますか、住民の方々も、ここ数カ月といいますか半年ぐらいの間に急激に理解が深まってまいりました。  したがって、それでは今度は個所数を限定して考えましょうという空気になってきておりますので、先般市長とお会いいたしましたときにも急速に都市側の計画を進められるというお話でございましたので、私どもそれを期待いたしておるわけでございます。  ある意味では、おっしゃいますように負担の問題だということも言えるわけでございます。しかし同時に、負担のルールは全国的に決まっておりまして、これは大変大きな負担になるので都市側に御迷惑とは思いますけれども、私どもとしては、いまこのルールを変えるわけにはいきませんから、個所数をなるべく必要最小限度のところに限定して、それによってポイントが決まりましたならば計画の具体化を早く煮詰めてしまいたいということでございまして、先ほど来御指摘のように、何年も同じような御答弁を繰り返してきたのは大変恐縮でございますが、いよいよ現実性を帯びてきたということをいま御説明できる事態になりましたので、先般の予算委員会でもかなり積極的に申し上げたわけでございまして、その点御理解をいただきたいと存じます。
  79. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 全国的な分担の約束がございますと言われたのは、結局運輸省と建設省の協定に基づく費用負担ということで、いわゆる運建協定に基づいてということになるわけでございますね。それがある程度前進を見たということは、建設省との話し合いがある程度進んだということなんですか。
  80. 高木文雄

    高木説明員 そういう意味ではございませんで、運建協定を前提として高架化事業を進めるとすれば、都市側の負担が具体的に一ヵ所について、あるいは百メートルにつきといいますか、どのぐらいかかるということの御理解を都市側で持っていただけるようになってきたわけでございます。しかも、そのもとの工事費がずいぶん高いものにつくものでございますから、どうしてそんなに高くなるのかということの御理解がなかなか進まなかったわけでございますけれども、いま申しましたように、現実にいま何ヵ所かでやっておりまして、その工事を目の前にごらんになって、なるほどこれはずいぶん手間のかかる仕事だなということをわかっていただけたものですから、が言っている工事費はそうむちゃくちゃに高いものではないということもおわかりいただけましたし、そうだとすれば、都市側も運建協定のことはよく御存じのわけですから、今度は高架化の個所数を減らすことによって現実的なプランに切りかえていこうということになってきたわけでございます。  運建協定そのものはずっと厳として決まっておるわけでございまして全国それでやっておりますので、それを変えるとかなんとかいう意味ではないわけでございます。
  81. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 そうしますと、立体化の方も大分詰まってきたし、駅の個所についてもある程度の見通しがついたということですから——見通しがついたかどうかばまだ承っておりませんけれども、いつごろになったら都市計画審議会にかけてきちっと正式に発足できるような見通しが立つのでしょうか。
  82. 高橋浩二

    高橋説明員 ただいま総裁が御説明申し上げましたように、費用の負担あるいは駅の位置等について、両方でいま言った具体的な協議をいたしましょうという雰囲気になってまいりました。そこで私の方は、大阪市、東大阪市、それから二、三の近傍の市の方々もまるっきり駅については関係なしといたしませんので、そういう方々に御一緒に集まっていただきまして具体的に詰めていきたい。都市計画審議会の方は、それが決まってまいりまして、これは市及び県の方で都市計画審議会にかけていただく問題でございます。  しかし、その前には当然道路関係については、あるいは都市計画関係につきましては、国、建設省等とお打ち合わせをした上で計画を決めて、あるいは予算の支十年度等も決めて相互に計画を決めていくという段取りになろうかと思います。いま総裁から申し上げましたように、できるだけ真剣に詰めていきつつあるというふうに申し上げた方がよろしかろうと考えます。
  83. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 この前も言われたように、特に大阪というのは雇用問題が厳しいところでもありますし、一日も早く実現を望んでいらっしゃるのですが、いままでの御答弁を伺いますとそこそこ前向きで進んでいるように思いますが、せめて今年度内にでも前向きで進めるような見通しというのはございますか。
  84. 高橋浩二

    高橋説明員 いま今年度内にというお言葉、どこまでということになりますけれども、私の方は、ごく近いうちに関係市、府の方寄っていただきましてその進め方等について御協議申し上げたい。それ以後は、おのおのの機関がおのおのの上部機関といいますかまた国との相談等もございまして、それでどういうふうに進めていくか、進める順序も皆さん寄っていただいて決めていきたいと考えております。
  85. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 できるだけ早期に協議を進めていただきたいと思います。  片一方の片福線の方は、この問の御答弁をお伺いしても、まだ十分な調査もできておらないということなんですが、そういう体制もまだとれていない。率直に言って見通しは非常におくれるというふうに受け取っていいですか。
  86. 高木文雄

    高木説明員 大阪の交通網整備、特に通勤通学対策としては、いまお触れになりました片福線の問題と大阪環状線の問題が一番大きな問題だと思っております。それで、率直に申しまして、両方一斉に手をつけるということは事実問題として困難が伴いますので、どちらからか順序をつけてやっていかなければいかぬと考えております。その場合に、片福線については、現在片町線と福知山線についてそれぞれ複線化なり電化なりということを進めておるところでございまして、これがある程度進みませんと、片町線と福知山線の結びをつけるということの意味が余りないといいますか、片福連絡をやることのメリットが出てこないという感じを持っておりますので、私どもは現在のところでは、この二つのテーマのうちのいずれをより優先的に手をつけるべきやということについては、環状線の方を先にやるべきだということでほぼ腹固めをしつつあるところでございまして、そういう意味で片福線も決して忘れているわけではないわけでございますが、順々に物事を進めていくという趣旨から、環状線の方を先にやるように運輸省にお願いに出たいという感じでいまおります。
  87. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 城東線、片福線については、総裁御自身も言葉だけじゃないんだとおっしゃっているわけですから、その言葉を信頼申し上げてできるだけ早期に進めていただくことをお願いして、この項は終わりたいと思います。  次に、軽自動車の問題で、五十年九月一日から運輸省令の改正に伴って三百六十ccの軽自動車の生産をやめられ、五百五十ccに格上げをされたわけですが、そのときに運輸省としては、五百五十ccと百九十cc上がったけれども、車の機能そのものには直接関係なく、あくまで公害防止あるいは安全装置等といったことについての対策だということでお進めいただいたわけです。  ところが、二年たってみますと、三百六十ccを利用されていた方々が実際に車を買いかえる段になって、最近迫ってきているわけですが、三百六十ccの免許で五百五十ccの車に乗れないという事態の人たちが非常にふえてきたという問題について、運輸省としては今日までどういうふうに対策をおとりいただいたのか、お教えいただきたいと思います。
  88. 中村四郎

    ○中村政府委員 ただいま先生申されましたように、軽自動車につきましてこれは省エネルギー、省空間の面からいきましてもわが国の道路事情にマッチしているということで、われわれもその普及に努めてまいってきておるわけであります。  そこで、五十年規制あるいは五十一年規制というような自動車排出ガス規制に対応いたしまして、軽自動車の規格を三百六十ccから五百五十ccに拡大したわけであります。  その場合におきまして、運転免許の関係につきまして、私どもは警察庁の方にも御連絡をとりまして、三百六十ccの軽自動車を運転していた人がそのままの形では五戸五十ccの新規格の軽自動車の運転ができなくなりますので、そのためには普通自動車の限定免許につきましてその解除を促進していかなければいかぬということで、私ども、警察庁と関係団体ともキャンペーンを半年ほど張りまして、教習所の確保なり、そこの優先的な受講なりで皆さん方の便宜を計らうという形で、新規格の運転免許を取れるように努力をしてまいってきておるわけでございます。
  89. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 当然そのとき、五十年九月現在で軽免許を持っていらっしゃった方がどれぐらいあって、そしてどれぐらいの方が新しく講習を受けて限定免許から普通免許になれるかという数字も検討されたと思いますが、その当時はどれぐらいありましたか。
  90. 中村四郎

    ○中村政府委員 私どもの方で正確な数はあれでございますが、当時八十万程度と考えておりました。現在、いまだ四十四、五万程度残っておると聞いておりますが、警察庁の方では正確に把握しておられると思います。
  91. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 警察庁の方が把握しているのは当然なんです。しかし、運輸省が規格を変えられるのだからどれだけ不便を感じる人があるかということを掌握しておってこそその対策が立つのでしょう。  そのうちでどれぐらいの人が一年間に免許取り直し可能かという数字もおわかりでしょうか。
  92. 中村四郎

    ○中村政府委員 私どもとしましては、三百六十ccの軽自動車の運転免許を持っておる方につきまして、その当時すでに軽自動車免許は廃止されておったわけであります。したがって、その方々は三百六十ccの軽自動車を運転するためには普通自動車の限定免許ということで継続されるわけであります。したがって、今後これが五百五十ccに拡大され、そこへ三百六十ccの免許を持っている方が新規格を運転する場合には、先ほど申し上げましたように、キャンペーン等を張って便宜を計らった上で普通自動車の限定免許の解除を促進をしよう、こういう考えであったわけであります。
  93. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 最初に申し上げましたように、百九十ccのアップ分というのは機能向上とかいう意味ではないわけでしょう。あくまで公害だとか安全対策でしょう。機能上は変わらないわけですね。そうすると、幾らPRしてもキャンペーンを張っても、高年齢者の方々であるとか非常に多忙でなかなか行けない方とか、どれぐらいの人たちが免許更新可能でどれぐらいの人たちがなかなか最後まで免許の更新ができないか。投書なんかによりますと、六十代近くになったりあるいはそれ以上になると、十六回ぐらい通ってなかなかうまく免許の切りかえができないということがたくさんあるわけなんです。当然そういうことを予想されたと思うのです。  その間のことについては、かつてマイクロバスについては限定免許ということで、現在持っておるものについては本当に簡単なテストで当分乗れる措置をとられた例もあるわけなんですが、そういうことができるかできないかについて、警察庁との間には交渉をなさったのかどうか。
  94. 中村四郎

    ○中村政府委員 私どもとしましては、軽自動車の規格改定をいたします際におきましても警察庁の方に御連絡をとりまして、ただいま先生が申されたような配慮が可能かどうか、こういうことを一御依頼したわけでございます。  現在、先ほど申し上げましたようなキャンペーンをやっておってもなおかつ相当多数の方々が残っておる状況から見まして、さらに私どもの方でこれを何らか救済する方法が考えられないか、こういうことにつきまして警察庁の方にもお願いを重ねておるわけであります。
  95. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 警察庁の方にお願いをしたけれども、結果的にはお願いしたとおりにならなかったということなんですね。  警察庁の方からおいでになっていると思いますが、運輸省との協議の過程でそういう問題についてどの程度まで御議論になって、どういう経過をたどってそれが認められなかったのかということを教えていただきたいと思います。
  96. 三上和幸

    ○三上説明員 当時三百六十ccから五百五十ccに変わるにつきまして警察庁といたしましても検討いたしたわけでございますけれども、四十三年に軽免許を廃止いたしまして、交通安全上の配意からその以後は普通自動車免許によって当時の三百六十ccにつきましても運転していただこうという基本的な考え方がございましたので、この問題につきましては、先ほど運輸省からお話がございましたように、私どもも協力をいたしまして限定解除の促進に努めてきたところでございます。
  97. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 そういうことでなしに、運輸省の方から限定免許を当分続けることができないかというお話はなかったのですか。
  98. 三上和幸

    ○三上説明員 お答えいたします。  ただいまの問題につきましてもいろいろ議論があったと思いますけれども、当時の考え方としては、基本的には三百六十ccに限定しているものについては解除促進でいこう、五百五十ccについては普通免許が必要だという考え方に立って恐らく話が進められたと理解しております。
  99. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 三百六十ccは試験を受け直してもらって、普通の五百五十ccの免許に取りかえてもらう、警察庁としてはそういう方針だと思うのですよ。ただ、それは車の機能が上がったからそれに対応して安全策として普通免許に取りかえてもらうということなんですが、一方、先ほどお話があったように、現在でも四十五万もまだ免許を取りかえられない人がいる。主として中高年の人だと思うのですよ。中小企業の人たちだと思うのですよ。町工場の人たちだと思うのです。そういう人たちへの配慮についてお互いの間で何らかの話し合いがあったのかなかったのかということなんですよ。
  100. 三上和幸

    ○三上説明員 当時の細かいいきさつについては私は詳細存じ上げておりませんけれども、その問題につきましてもいろいろ検討したと思いますが、それは解除促進ということである程度いけるのではないかという考え方だったと私は理解しております。
  101. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 警察庁の方針どおりで運輸省の言うことを聞きませんという態度なんですか。それとも協議はしたけれども、こういう理由でそれはだめだという経緯があるのですか。そういうことがなかったら検討したことにならないじゃないですか。四十年に道交法が改正になり四十三年から実施しているわけですから、そういうことは早くわかっているわけですから、その上でなおかつ五十年の九月に車両の基準が変わったわけでしょう。ですから、当然そういう議論があってしかるべきだと思うのですが、両者の間に議論はあったのですか、なかったのですか。運輸省の方でも結構です、主張したら主張した、しかし、どういうわけでそれができなかったという結果をお知らせいただければいいと思うのです。
  102. 三上和幸

    ○三上説明員 その問題については、細かい議論、どういういきさつがあったのか、ちょっと私も当時の記録等調べたのですが、詳細はわかりませんのでつまびらかに御答弁できませんけれども、いろいろな配慮を持って当時も両省庁で検討したというふうに私は理解しております。
  103. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 制度が変わればあるいは法律が変われば、それによって利益を受ける人もあれば不利益をこうむる人もあるのは当然なのです。ですから、その不利益を受ける人たちに対する対策というのは当然運輸省としても考えていらっしゃるはずなのに、それが明らかでないということは、いまここでそれ以上申し上げませんけれども、協議の内容について、過去のことはわからないとおっしゃるのですから、三上さんの方からひとつ資料を出していただきたいと思います。  同時に、運輸省の方でもそういう主張をなさったのかどうか。前の宇野車両課長に対して、警察と連絡をして善処をするというお約束をなさっているのですね。ですから、善処をするということだったのですから、その宇野課長当時にどういうふうな経過で善処をするというふうに言われたのか、お知らせいただきたい。
  104. 中村四郎

    ○中村政府委員 その当時のいきさつについて私どもが伺っているところでは、この拡大に伴いまして、従来の軽自動車の運転免許というものがそのまま適用できないかということをお願いしたというふうに聞いております。
  105. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 運輸省の方はお願いしたと言っているのですが、そうすると警察庁の方は、お願いされたことについてどういう理由でできないかということをひとつ理由を明らかにしていただきたいのです。過去のことでわからないと言われるなら、その資料、審議経過をお出しいただきたいと思います。
  106. 三上和幸

    ○三上説明員 当時の基本的な警察庁の考え方としては、やはりこの問題については基本的に、その当時としては四十三年に法改正をして、三百六十ccの車につきましても普通自動車免許が必要だ、そういった交通安全上の配意からいろいろ検討して、そうしてその結果運輸省からのお話も含めて検討をして、やはりこの問題については、交通安全上の配意もした上で、これは基本的には限定解除の審査によりまして、この限定解除審査そのものにつきましては現在の普通免許の取得と比べましてはるかに簡易な技能審査方法を用いておりますので、それによって相当数のものが解除できるというふうに見通しを持ったというふうに考えておるわけでございます。当時の考え方としては、そのことによってこの問題の解決を図ろうというふうに考えたというふうに思います。
  107. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 幾ら議論しても、結果は四十五万の人たちが三百六十ccの免許で、新しい免許を取り直すにしても、時間的にも費用の上からいってもなかなか取れない。しかも新しく免許を取り直すときには、身体障害者の方なら自分の車を持ち込むということもできますけれども、そういうこともできない。普通免許で現在三百六十に乗っておって、普通の乗用車でテストを受けるわけですから、受かる率も少ない。安全の対策上厳しくするのだというたてまえについては、それもわかります。が、しかし、現実に四十五万の人たちが免許を持っておらないために乗れない。いままだ軽免許の車で修理をしながらでも乗って行けますけれども、ここ一年それがだんだんふえてくるのですが、これに対する何らかの対策というのは考えられないものでしょうか。  ひとつ運輸大臣の方でも、その手当てを考えてやるというようなお気持ちはございませんか。
  108. 福永健司

    福永国務大臣 先ほどからお伺いいたしておりまして、御主張になるお気持ち、よくわかります。努力いたしたいと存じます。
  109. 三上和幸

    ○三上説明員 基本的には先ほども申し上げました警察庁の考え方はあるわけでございますけれども、先生御指摘のように、現実に四十五万の方がまだ免許の切りかえができないという実情もございます。それと、現実に、先ほど来お話ございますように、旧規格の乗用の軽自動車につきましてはこれが生産をされておらないというような実情もあります。そういう意味で、実態調査し、また交通安全の問題にも配慮しながら、排気量五百五十ccの限定免許を希望する人の取り扱いにつきましては、法的な措置をとることが必要かどうかということも含めまして、その対策をいま現在検討しているところでございます。
  110. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 もう時間が参りましたので、なお観光政策の問題及びアルバイト運転手の問題を予定しておりましたが、もう省略いたしたいと思います。次回に譲りたいと思いますが、いま運輸大臣おっしゃったことは、自治大臣あるいは警察庁長官等といろいろお話しをいただいて、何らかの経過措置を考えていただくということになるのでしょうか。
  111. 福永健司

    福永国務大臣 免許証をどうこうするということは警察の方でございますから、そういうことができるように、私は先ほどからお話を伺っておって努力をしたいと思う。私が、そういたしますというお答えはできませんが、御了承をいただきたい。
  112. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 終わります。
  113. 楯兼次郎

    楯委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時五十七分休憩      ————◇—————     午後三時四十四分開議
  114. 楯兼次郎

    楯委員長 休憩前に引き続き開議を開きます。  質疑を続行いたします。原茂君。
  115. 原茂

    ○原(茂)委員 きょうも国鉄の問題についてお伺いしたいのですが、総裁がまだ来ていません。来ていても、せっかくですから大臣に二つばかりお伺いしようと思っていました。  一つは、尖閣列島の問題ですが、保安庁を管轄する責任者でもある立場で簡潔にお伺いしたいのですが、ソビエトの条約交渉に関しては、やはり四島返還問題がまず最近は一番目の前に来ています。この領土問題の解決がなければ条約問題その他はなかなかに入れないという態度が、いまほとんど国論のような状態になっています。それで、今日、日中平和友好条約を締結しようという機運は相当なものがあります。しかし、たまたま尖閣列島問題が出てまいりました。尖閣列島の領土問題に関しては、いろいろ曲折はありましたけれども、一応いわゆる小異と考える。条約という大同につくために小異はまあ、たな上げだ、こういった考えで条約の締結を急ごう、あるいはしなければいけないという、これは自由民主党内にもその意見があり、政府全体としてどんな意見になりますか、最近決まると思いますが、そういうことを考えますと、ここに、ソ連に対する態度と中国に対する態度、特に領土問題を中心にして、およそちぐはぐな感じがいたします。  それで、私どもがどうこうしようというのではありません。われわれの立場は、いまのところはやはり小異を捨てて大同につくべきであろう、条約を早く締結すべきだというのが当面する党の態度ではございますが、大臣、国務大臣として、またあそこを警備し、実際に第一線で今日まで接触を行われてまいりました大臣として、いまのようなソ連の領土問題に対するもの、中国に対する条約を前にした尖閣列島という日本の固有の領土に対する問題、この問題のちぐはぐな矛盾に対してどうお考えになっているか、まずお伺いしたい。
  116. 福永健司

    福永国務大臣 私は、海上保安庁を主管いたします立場におきまして、この尖閣列島の問題につきましては、純粋に海上保安という見地で対処してまいったわけでございます。まあ、偶然という表現が行われております事件でございますが、偶然が相当時間がかかっておりますので、私もこれには弱ったものだ、こう思っておるわけでございます。私はあの問題につきましては、あくまでも平和的に処理すべきであるという観点から、私が用いました言葉から申しますと、海上保安庁に対しまして、冷静にしてかつ毅然と対処すべきである、こういうことで貫いてまいりました。いやしくも感情的な行動があってはならぬという一面と、同時に、であるから、多勢に無勢というようなことで、海上保安という使命を帯びつつも、どうもびくびくしているというようなことであってはこれまたならない。でございますから、冷静にしてかつ毅然と対処せよ、こういうことを言ってまいったわけでございますが、まあ大体そういうことで現時点までやってきたつもりでございます。  私は、この問題につきましては、原さんいまお触れになりましたが、実を申しますと、いま申しましたような態度で終始いたしておりますので、正直に申しまして、北の方の四島とこの問題はというようなことは余り念頭に置いて比較しつつ対処していたというわけではございません。私といたしましては、平和的に対処する。そして日中問題に対しましては、まあ、いままでのいきさつもございますが、平和促進という考え方に基づいてやる。  したがって、海上保安庁としての対処がそういうことに差し支えのあるようなことでないように、問題は全然別である、こういう立場で終始してまいった次第でございます。
  117. 原茂

    ○原(茂)委員 これ以上深くお伺いしません。私は、国務大臣として、いま言った対ソ、対中の矛盾をどうお考えになるかをお伺いしたのですが、言いにくそうですからお伺いをしません。しかし、長過ぎる偶然という、いい言葉を使いましたが、まさに私も同感であります。このことはやはり中国という国柄もあるでしょう。あるいは今後日中の条約交渉をはさんでのいろいろ思惑もあるのかもしれません。いずれにしましても、国務大臣であり自民党の重鎮としては、この問題に毅然たる態度で対処をしていただくように私からも要望をしておきたいと思います。  もう一度言っておきますが、現在のわれわれの立場からは、やはり小異を捨てて大同につくという考えで日中には対処してよろしい、こういう考えをいま持っていることもあわせて申し上げておきます。  二つ目にお伺いしたいのは、きょう、あしたストがまた集中的に行われますし、まことに遺憾なことだと思います。これも予算を要求し、大蔵との折衝を行い、そうして予算がすでに通ったその中身に、五%、二・二%、合計七・二という予算はすでに支払うことになって組まれているわけです。こういうことになりますと、従来もそうですか、当然必要があって要求をして、そしてその予算が査定の後に通って、まあまあベースアップの五%というようなものが予算で通過をしていればこの範囲で払うということは、総裁としての当事者能力として私は当然だと思うのですが、これは大臣、どうお思いになりますか。
  118. 福永健司

    福永国務大臣 なかなか物の言い方はむずかしいと思いますが、予算とそれから現実に賃金をどう決めるかということは、これは関係があるようなないようなわけでございます。ない場合に、いままでも法律的に対処するそれなりの規定もあったわけでございますが、急激に上がるようなときに予算がないから出せないのだというようなわけにいかぬと同様に、予算編成時においていろいろ考えておったそのようなままで世の中が動く、ことに賃金情勢等がどう動くかということとはかなり微妙な関係にあるわけでございます。ではございますが、当事者たる責任者においては、予算がそうだから必ずそれだけやるというものではなくて、やはり諸般の事情をよく見きわめて対処すべきものである、そういうように存じますから、私の立場では幾らでなければならないということを言うわけではございませんが、国鉄当局ではそうしたいろいろな事態を考えつつ今度の数字表明ということにもなったと思うのでございます。  今後どういうように経過いたしますかは別といたしまして、予算に七・二というのがあるから、それではぎりぎりにやるか、あるいはそのときの情勢ではそれではまだ足りぬというような事情等もございますので、そこらのところに国鉄の経営者としてのやはり苦心もあろうか、こういうように存ずるわけでございまして、私といたしましては、その数字はあるけれども、直ちにもってそれを使ってよろしいとか使っていけないとかいう、単純にそういうものではない、こういうように考えております。
  119. 原茂

    ○原(茂)委員 総裁がどんな考えで、これにどう対処をしているかは別として、ぼくが大臣にお伺いしているのは、少なくとも予算というのは議会の議決を経たら法律と同じ効果があるものです。予算は全く法律と同じであります。議決された以上はこれを実行する義務を内閣は負うわけであります。  そういう観点から言うと、予算に計上されているものを、その範囲で総裁なら総裁が必要と認めて予算の要求を行い、折衝の結果それが認められ、予算となって、法律となって議決を経て発効をした以上は、これを施行する責任、義務をすら総裁として負うべきだと私は思う。そのことを大臣、国務大臣としては言明をしなければいけないと思うのです。大蔵官僚がどのように圧力をかけているのか知りませんが、どうも私ども周りから見ていますと、大蔵省のいわゆる全体的ないろいろなにらみ、いろいろな景気浮揚の問題、あるいは今日の経済的な指数の問題、あるいは民間において賃金の上がっていく状況等を勘案した中で、やはりある極のリーダー的な、指導的な、模範的な、ガイド的な役割りを果たすという意味も含めて、どうもことしは四%以下にすべきだというような政治的な配慮が、法である予算を曲げて施行させるような圧力が、大蔵省なり、またこれに加担する国務大臣としての大臣なども、そういった雰囲気にすでに内閣全体がなっているために、高木総裁としても、どうも自分はこれだけは必要だ、状況を見てこの予算を組むべきだと考えて獲得したものを実行する、しかも当事者能力ありとしてやっていいはずのものを実行することすらできないような、そういう圧力が総裁にかかっている。それがいまストライキを起こすような原因になっているのだと私は思うのですが、大臣、どうでしょう。
  120. 福永健司

    福永国務大臣 予算にどれだけあるからということで、直ちにそれが賃金の決定そのものに決定的な影響を及ぼすものではないと私は考えるわけでございまして、国鉄の責任者がいろいろな事情、情勢等を勘案して、どういうようにするのが最も正しいか、最も適当であるかということを責任を持って考えていくものだ、こういうように考えるわけでございます。  したがって、このことは、予算をもって足らない場合についても同じように、必ずしも同じではございませんが、よく似た考え方で処理しなければならぬ部面もあるわけでございますが、ただいまお話の点につきましては、もとより予算にある額につきましてはいま御指摘になるようなことも言えるわけでございまして、私どもといたしましては、国鉄の経営全体を考えて、特に賃金などという非常に大事な問題につきましては、責任ある国鉄総裁以下がいろいろ考えていくのでありますから、別に幾らでなければいけないというようなことを申しているわけではございません。  ただ、われわれの顔つきをどういうふうに判断をされるかということがあるいはあったかもしれませんが、そういうことはないわけでございますが、しかし、私は、いずれにしても長い目で見て、いろいろ問題がある中で国鉄をりっぱにやっていくということはなかなか骨が折れる、特に賃金については骨が折れるであろうことを私は思うわけでございます。思えば思うほど、そうみだりに牽制するというようなことはしていない、こういう次第でございます。
  121. 原茂

    ○原(茂)委員 わざわざ総裁の意見を聞かないのですが、私は大臣のその説明では納得しないのです。先ほど申し上げたような信念的な理由から、やはり不当な圧力が総裁の方へかかっているのだ、したがって、いまのストが起きるような原因になっている。そうでなければ、少なくとも予算上七・二を必要だとして要求をし、それが認められて通った七・二。それを四%以下にしか回答できない、払わない。このギャップは、およそ大蔵出身の高木さんにしては、何と言うのですか私よりまだ少しずさんといいますかルーズ過ぎて話にもならないですね。大変な金額ですよ。大変な率の違いです、七・二と三・八では。こんな大きな違いがあるほど見込み違いといいますか、予算要求から今日までわずかな時間の間に、国鉄全体の経営を見ていながら、見ている立場にありながら、しかも人件費に関してこんな半分に近いようなものをいまになって払うのが経営全体からいって当然なんだ、こんなことがもし理論的に通ったとすれば、高木さんがいかにずさんで全然数字がわからない、私にすると信用できない人間だ、こう思わざるを得ない。今後はこんないいかげんな予算要求をしては困るというふうにすら思うのです。  ですから、あえて高木さんにこれを質問しているのじゃない、大臣に対して、不当なそういった内閣全体が圧力的な空気をつくっている、大蔵を中心にした空気が、ついに高木さんをして三・八などという回答をなさしめている。高木さんがそんなにずさんな、七・二を要求しておきながら日ならずして、今日にして、わずかな時間で三・八なんということを言うはずがないというふうに私は信じていることだけを申し上げておきます。  もうこれ以上言ったところで、大臣がそれじゃひとつ七・二にしてやろうなんということを言いそうもない顔をしているし、高木さんに対して、おまえ七%払え、予算があるじゃないか、おまえはちゃんと正確に経営全体を考えた上に要求したはずなのに、なぜいまごろ三・八などと言うのだと、監督者としては国鉄総裁に対して厳しい訓告をしなければいけないと思うのです。私が大臣なら言いますよ。おまえは何だ、その予算の要求の仕方は、何をしているんだ、こう言うのが大臣の立場だと私は思うということだけを申し上げておきます。それ以上言ってもどうも、あと高木さんが大臣の補足のように、大臣の言っていることがいかにも正しいんだ、もうおれは考えたんだがこうなんだというもっともらしい言いわけをするに決まっていますから、総裁には聞きません。  その問題は時間がないのでそれだけにしておきますが、あと小さい問題から少し、最後に黄害たれ流しの問題に入ります。  最初に長野県の塩嶺トンネル、これも現在工事が進行中ですが、いま何か問題点がありますか。  それから、いままで決めた予算の範囲で現在やっていける自信がありますか。  それから、完成の見込みをいつと現在お考えになっていますか。  この点を三つに分けて……。
  122. 高橋浩二

    高橋説明員 お答えいたします。  非常に長い間、この岡谷−塩尻間の複線化ということでスタートいたしまして、ただいまトンネルの工事にかかっております。岡谷市内の通過に関しまして非常に大きな地域の方々の反対がございました。おかげさまでほぼ反対の火は下火になってまいりました。ただいまその点につきましては岡谷市を中心に私どもと地元の方と三者の間で協議を進めておりますので、これは間もなくこの区間については工事が始められると考えております。  一番工期を支配いたしますのは、ここに六キロ余りの塩嶺トンネルがございまして、ただいまのところは塩尻方からしか掘削ができませんので塩尻方から掘削をいたしておりまして、ほぼ六キロのトンネルのうちの半分を掘削を終わっております。引き続き工事を進めておりまして、残り約三キロぐらいになってまいりますので、大体私の方の技術的な見当からは一年に一キロ掘削ができるだろう、したがいまして、あと三年ありますとトンネルの掘削は完了できるというふうに考えております。そういたしますと、大体トンネル自体は五十五年度いっぱいに完成いたしまして、あと軌道工事、電化工事その他を引き続いて行えば五十六年度中には営業開始ができるのではないかという見込みで、ただいま工事を進めているところでございます。  予算につきましては、ただいまのところまだ詳細に詰めておりませんが、トンネル自体の非常な湧水の問題等が起こりまして、あるいは岡谷市内の環境整備の問題、塩尻方にも同じ問題がございまして、そういう環境整備等いま鋭意地元と詰めておりますので、そういうものがはっきりいたしますれば予算の増額等の必要が出てくるのではないかというふうに考えております。  ただいまのところはほぼ半ばを過ぎたというところでございますので、今後鋭意工事を進めてまいりまして、五十六年度中には完成をさせたいというふうに考えております。ただいまの問題は、特にトンネルに関しての問題は、トンネル掘削によりまして非常に多くの水が出ておりますので、それに伴う渇水問題等が地元で大いにいろいろな面で御迷惑をかけておりまして、それに鋭意協議をいたしまして対処をいたしておるところでございます。
  123. 原茂

    ○原(茂)委員 そこで塩嶺の工事中の大きな難問になっている小野地区の減水問題ですね。きのう現地へ工事事務所の次長さんその他が行って話し合いをしたようですが、どんなふうでした。
  124. 高橋浩二

    高橋説明員 小野地区と申されるのに塩尻市の小野地区と辰野町の小野地区という両方がございまして、昨日現地で話し合いがございましたのは辰野町の小野地区について渇水問題をどう対処するのだという話し合いが行われたというふうに聞いております。これまでは塩尻方の方については実は早くから工事にもかかっておりまして、早くからこの問題がございましたのでいろいろ対応をしていたのでございますけれども、辰野町については比較的最近の問題でございまして、しかもトンネルから.距離が離れている関係もございまして、私の方も十分な対応をいたしておりませんでした。昨日、五項目についての御要望書が出たようでございます。それについて、各項目ごとに現地でいろいろ打ち合せをして、直ちに対応するもの、なお引き続き調査をして対応するものというふうに区分けをいたしまして一応御納得をいただいて、私どものやるべきことについては直ちに処置をするということで、きのうの協議は一応別れたというふうに聞いております。
  125. 原茂

    ○原(茂)委員 最近辰野町小野地区の問題が起きたというふうなおっしゃり方ですが、そんなことはないので、もうずいぶん古いんですね。現地にとっては非常に重大問題になっているわけですよ。余り支障があってはいけないという配慮が町長にもあるようで、関係者の中にもあるようですから、余り詰めたことをお伺いしませんが、三つお伺いしたい。  一つは、あの減水問題の因果関係です。トンネルとの関係は一体どうなんだろう。それが一つ。  トンネルとの関係が原因して非常な減水が起きているのだということになると国鉄としても大変だというので逃げ腰で、まあまあそのことには触れない、そのことには答えないままに、そのくせ相当の金額で細かい手当てを現にどんどんしているんですね。これからするんじゃない、現にしている。そういう予算の出どころは一体どこなんですか、それが二つ目です。  三つ目には、あの小野川島の駅から見ても大体トンネルの方が二・四五メートルくらい下なんです。あの低い小野川島の駅からも、まだトンネルの方が二メートルちょっと下なんですよ。というようなことは調査しておわかりになっているのだろうと思うのですが、私はそういったことを第一の問題と関係して考えたときに、多く申し上げる時間がないし、また言わない方がいいようですから言いませんが、因果関係というものをどうしても緊急に、そうであるとかそうでないとか、トンネルが原因であるとかそうではないということくらいははっきりしないと、いろいろなところに矛盾が起きてくる。わずか一億、二億の金を使うのでも、その金の使い方、出どころは一体どこなんだというような追及も起きてまいります。  したがって、現地で一番要求しているのは、とにかくわずかな時間で諏訪湖一杯くらいの水がいまぐっと出ているわけですから、その水を自分のところへもう一遍還元するような方法をとってもらいたい、そうでないと横川川みたいなものまでが大変大きな減水の状態になって、川の役目を果たさなくなるだろうというような心配すら地元では持っている。地元住民としては為政者その他がどんなに頭をなでようとも、自分たちがはだで知っている先祖代々の土地の水が現に大変なくなっている状態だ、このままほっておいたら大変だ、あの川も干からびてしまうだろうというような心配を持っている現在、私は、原因不明のままに国鉄があそこへもここへもいわれなき手当てをすることをやっていいかどうかに実は疑問を持っているのです。  同じ金を使ってあそこの減水、あそこの農地にいろいろな手当てをしているようですが、その因果関係としては間違いなくトンネルを掘削したための減水なんだあるいはそれとは全然関係ないんだと、もう長いのですから科学的に答えをぴっちり出して、トンネルに関係ないものだったら住民自身が解決すべき問題です。トンネルが関係するんだといったら、国鉄中心に各省庁全部が一緒にならないとこの問題の解決はできないと思います。国鉄だけでやる問題じゃない、農林省から建設省から全部が一緒にならないといけない問題ですという意味で、私は申し上げた。  この三つに分けた質問に答えていただきたい。
  126. 高橋浩二

    高橋説明員 トンネル掘削と渇水の問題の因果関係は非常にむずかしゅうございまして、私の方も全国各所でトンネルを掘削いたしておりますけれども、正確に因果関係を把握することは非常に困難でございます。この塩嶺トンネルにつきましても、そういう意味でいろいろな学者の方々の御意見も拝聴して因果関係の究明に努力をいたしておりますけれども、正確な判断は非常にむずかしいということで、一〇〇%正確でなくても、飲料水等については、その事実が発生した場合にただいまのところは応急処機ということで個々の問題に対処をいたしているのが実情でございます。  このトンネルでただいま掘削しておる区間は塩嶺累層という層を掘削いたしておりまして、あと数百メートル進みますと塩嶺累層を突破いたします。そういたしますと、この塩嶺累層に絡む渇水の問題については比較的解明がされてくるのでありますが、これは秋までかかると思いますけれども、間もなく塩嶺累層を突破する予定でおります。それまでは応急処置ということで対応いたしまして、その時点で水脈の変化その他をもう一度正確に調査いたしまして、そこで最終的な渇水に対する補償の問題あるいは恒久対策を進めたいと考えておる次第でございます。  なお、予算はどこから出るんだという御質問でございますが、これは隧道工事で応急処置ということでただいま取り仕切っております。
  127. 原茂

    ○原(茂)委員 秋にそれが一応めどがつく、そのときに因果関係に対してもしっかりした結論を出したいといういまのお話ですから、もうそのときを待つよりほかないと思います。それ以上がたがた言ってもしょうがない。  ここで一つだけ確認しておきたいのですが、岐阜の工事局が辰野町長と接触した中でこういうことを言っている。「国鉄側が五十一年三月に町と交わした七項目の覚書の趣旨は将来にわたって有効であり、減水対策に関しては塩尻市北小野と辰野町南小野の差別はない。」こういうことをはっきりと言明をされているのですが、この内容を当局としてお認めになりますかどうか。  それからもう一つは、国鉄の岐阜工事局長工事事務所の野村所長ですが、これはごく最近ですが、「小野地区の減水問題は国鉄としても責任を持って対策を検討しており、今後具体的な事業についても地元とよく話し合いたい。」と答えています。この二つのことを中央の当局として確認をしていただきたいと思います。
  128. 高橋浩二

    高橋説明員 最初に先生の申されました七項目の項目はいま私の手元にございませんが、後で申された四項目についてはただいま手元に覚書を持ってございます。ここに書いてございますことについては前提条件がその点では少し不明確でございますけれども、はっきり申し上げれば、塩嶺トンネルに起因して因果関係の明確なものについては処理をするということだと思いますけれども、一応ここに書かれてございます処理については、先ほど申し上げましたように私の方もいろいろな技術的な調査を行いまして因果関係を明らかにいたしまして、恒久的な処置についてはここに書かれてありますとおり処理をしていきたいというふうに考えております。
  129. 原茂

    ○原(茂)委員 それは結構です。  次に、振動病についてお伺いします。  長野県の木曽福島保線区の職員六十人の検診の結果、十四人がさらに経過観察が必要だと診断され、うち有志十人が症状があると診断されるなど、木曽福島を中心にしてにわかに振動病がクローズアップされてきました。去年の十二月にこの振動障害について国鉄本社と関係労働組合とが共同で調査をすることを決めて、まず去年の十二月十九日と二十日、医師九人による合同調査班を長野鉄道局に派遣したはずですが、その結果とその後の対策はどうなっているかということが一つ。  それから、この共同調査に先駆けて保線区関係職員全員の精密検査を進めていたはずです。長鉄局は昨年三月までに木曽福島保線区以外の七百六十人にも問診による一次の集団検診を実施したはずです。七月までには東京の中央鉄道病院で百二十人の二次検診を終わったはずですが、医師の診断結果は一体どうなったんでしょうか。それが二つ目です。  それから、この問題に対する関係労働組合機関との話し合いはいまどうなっていますか。  この振動障害に対する今後の措置、対策はどうするおつもりですか。  五つ目に、職業病の認定は林野と同じように当然しなければいけないと思いますが、認定はいたしますかどうか、これは一緒に答えてください。
  130. 高橋浩二

    高橋説明員 五十一年の木曽福島の問題、ございましたが、関係労働組合と協議をいたしまして、いま先生の申されるようにいろいろ共同調査の実施について具体的な詰めを行いました。  まず、全国的にはタイタンパーを使用しておる職員について逐次臨時健康診断ということでただいま実施中でございまして、およそ半数の者が健康診断の受診を終わっており、なお引き続きその他の者については診断を行っております。特に長野地区で申し上げますと、木曽福島保線区以外の保線区、いま先生の申された約七百名の者について第一次検診を行い、その中から約百二十名の者が二次検診を必要とするという判断で、引き続き直営医療機関で二次検診を行ったところでございます。その二次検診の結果は、いま直ちに要観察というものに当たる者はございませんでした。しかし、これはもう少し、もう一、二回継続的に検診をする必要があるということで、また引き続き半年なり一年たった時点で検診を行うというふうに対処していきたいと考えております。  これは、非常に暖かい場合と非常に温度の低い場合でいろいろ状態が変わるようでございますので、そういうことも考えた検診を行いたいというふうに考えております。
  131. 原茂

    ○原(茂)委員 結局、いまどういう処置をしているのかだけ、検診の結果がわからないと職業病その他はちょっと無理でしょうから、現在このような患者と思われる者にどういう処置をしているかだけもう一度。
  132. 高橋浩二

    高橋説明員 木曽福島の要検診者についてはそれぞれ医者が観測をいたしておりますが、全般的に振動に伴う白ろう病については、まず作業時間等をある一定の時間に規制をして、短い時間の繰り返しということにするのが第一点。  それから、私どもはいろんな技術開発を行いまして、タイタンパー自体の振動強度を減らすべく、これはタイタンパーの改良になりますけれども、それを技術開発としてただいま何組か試作をいたしまして、それでテストをいたしております。その結果がよろしければ、振動の強度で言えば約半分ぐらいまでいま下がる見通しが立っておりますけれども、そういう装置を行いますと目方が重くなるとか、あるいは長さが少し長くなるので扱いにくいとかいう他の作業上の問題が出てまいりますので、今度はその点の改良を行いまして、そうしてよいものをつくりたいということで研究をいたしております。  それ以外になかなかすぐには機械の改良はできませんので、とりあえずは手に直接振動が伝わるのを少しでも少なくするという意味で、そういう防護の手袋を使用するといったような処置をしてとりあえずは対処をしていこうということで、関係機関、関係組合とも話し合ってそういうような作業体制で臨んでおる次第でございます。
  133. 原茂

    ○原(茂)委員 それでは最後に、黄害についてお伺いしますが、五十年の三月二十日に、私、この委員会で細かく数字を挙げていろんな御質問を申し上げた。それに対して当局からお答えをいただきました。その記録はもうお読みになってきていただいていると思います。したがって、繰り返しませんが、当時私がこれはまあまあよかったなと思ったのは、五十三年までには二十二基地を完成するという、これが私たちのいま懸命の目標であるし、これは必ずやります、そういうことが記録にありますね、山岸さんかだれか知りませんが。  で、現在五十三年度に二十二基地が完成する見込みがあるか。ないとすればその理由は何か。どんどん立て続けに言いますから、ひとつお答えをいただきたい。  たれ流しの車両にタンクを取りつけようとしても、そのタンクをつけたところでそれを処理する基地が整備されない限り意味がない。したがって、タンクを取りつけられるようにはしてある。そうして基地が整備されたらすぐにタンクをつけよう、こういうことになっていると思うのですね。  現在基地が、いま言ったような第一の質問にありますように、一体二十二、五十三年度完成といったものが——いまできているものは六ヵ所しかないのです、六基地しかないのですね。あといろいろ折衝中だ何だというもの、たくさんいろんな資料をいただきました。ですから余り細かいことをおっしゃらないでもいいんですが、そういうような基地が六ヵ所しかできないんだ、基地がうまいぐあいに整備できないからタンクが取りつけられないんだという、かつてからの悪循環をいまだに繰り返していて、なおかつ五十年に約束した五十三年度には二十二ヵ所完成する、こういったことができないという理由だろうと思うんです。まずその理由かどうか、そこまで答えてください。
  134. 高橋浩二

    高橋説明員 五十三年度までに二十二基地を完成させたいというふうにお答えを申し上げました。ただいま先生のおっしゃいますように、きょう現在で完成いたしたのは六基地でございます。それ以外の基地については、鋭意工事を進めておるわけでございますけれども、一番問題は、方式には二通りございまして、一つは基地で汚水を処理して川に放流する方式と、処理は一部するんですけれども、したものを市等の下水道に放流する、二つの方式がございまして、私の方はできれば下水道放流というのが一番よろしかろうと思いますけれども、現実にはなかなか下水道の整備がされてないという地区もございまして、また河川に放流する場合には地元の方々の御反対も非常に多くて、実は二十二のうち残り十六についてはただいままだ工事中だというのが実情でございます。  これは鋭意進めてまいりまして、なおかつ下水道の整備の促進方もいろいろ建設省その他にお願い申し上げて、できるだけ早く完成をさせたいということで、工事をただいま進めておるところでございます。やはり先生のおっしゃいますように、基地ができませんと、タンクの準備はいたしておりますけれども、できますとタンクはすぐ取りつけるということで使用開始に持ち込みたいというふうに考えております。
  135. 原茂

    ○原(茂)委員 そこで、途中でちょっと聞いておきますが、全国でいまふん尿たれ流している量は一日どのくらいになりますか。特に中央線を聞いてみたら、一・八キロぐらいという計算のようですが、私どもが計算する量とはおよそ違っているんですが、少な過ぎるのですが、それも正しいかどうか。年間にするとどのくらいになるんですか、中央線だけで四百五十キロリットルぐらい。それから全国ではどのくらいになりますか、たれ流ししている量は。
  136. 高橋浩二

    高橋説明員 前回五十年に、先生からこの問題についてやはり御指摘がございました。私の方は五十一年の三月から一年間かけまして、部外の方方の御協力をいただきまして実態調査をいたしました。その結果、特急を利用する方の使用回数あるいは急行の利用客の使用回数、普通客とを分けまして、おのおのその抽出によって便所の使用回数、使用量について調査をいたしました。  その結果でございますが、一応私の方の推定いたしておりますのは、一日に全国で百二十二トンの屎尿が放出されるというふうに予測をいたしております。先生の御指摘の数よりは少のうございますけれども、私の方はそういう実態調査に基づきまして推定をいたした数字でございます。  中央線につきましては、一日に十八・五トンという計算でございます。
  137. 原茂

    ○原(茂)委員 その計算の仕方、いろいろあるから、数量の違いはいいんです。いまおきます。少なくとも十八トンにしろ百二十五トンにしろ、たれ流しでもって浴びっ放しで、いつかも言ったように飯を食っていたってそれを一緒に食っている。それから沿道にある家なんか、レールのすぐ下にずっと軒を並べているところがいっぱいあるんですよ。そこに全部たれ流して行っている。噴霧の状態でもって全部家の中に飛び込んでいる。夏なんか大変なものですよ。とにかく、大体平均して二十メートルぐらいは両わき四散するわけですからね。それを急行なんかのあのスピードでまき散らしていくというような状態を何年、今日までやっているのですか。これは公害中の公害ですよ、こんなことは。したがって、急遽やらなければいけないんですが、いま言ったように六基地しか完成してない。長野に基地が設けられる、それで完成はというと、いま長野市の了解を得て下水道へ放流することを認めてもらったらできるが、その議会の推移を見なければこれもわからないというので、七つ目の長野の基地すら完成しそうな状態だが完成できない。  それで、ここで二つお伺いしたいのですが、現在の特急とかタンクをつけている車両は、あのタンクがいっぱいになったときにすぐに基地に行けるような状態になっていない。中央線などはそれがないのです。そうすると、特急でタンクはついていて、なおかついっぱいになったときにはどこへあふれるのですか。たれ流しと同じことをやっているんじゃないでしょうか。タンクがついているからもうたれ流していないのだというような装い、そういう雰囲気ですけれども、どうもタンクがついていても温水していくのではないかというふうに考えるのです。一体いまの容量だけで絶対に大丈夫なんだと言えるのかどうか。一定の算定の基礎、一人が〇・幾らずつ小便にしてもふんにしてもやるんだという計算はありますけれども、一体満員のときにも同じようにあのタンクでぴしっと納まっているような状態でいるのか。あそこだってあふれて、タンクをつけていてもたれ流しをやっているのではないかというように考えるが、これはどうか。これが一つ。  それからもう一つは、今度は基地の問題なんですが、いま言ったように、基地をつくるという考え方の中で、いま考えているのは大基地方式といいますか、非常に大きな基地です。その基地が適当にできるかというとなかなかにできないし、住民パワーで河川に放流することもだめだ。薬品できれいにしてもだめだ。しようがないから下水道を使わしてもらいたい。しかし、自治体はなかなかうんと言わない。しかも、大基地方式で考えたときに非常にこれはむずかしいんじゃないかと私は思いますので、むしろ思い切ってここで発想の転換を行って、中基地、場所によっては小基地、本当に小さいものを幾つもつくるというくらいな考え方になった方が、タンクがいっぱいになったときに適当に細かく吸い取るような施設を考えておきさえすればあふれることもないんじゃないか。タンクをつけたら絶対安心だなどというのは間違いだという感じを私は前提にして言っている。  しかも実際には大基地はなかなかできないということになる。いま二十二できたらいいんじゃない。二十二できたってこんなものはわずかに五〇か六〇%しか消化できないはずなんです。今後を考えると、先へ行くほどますます設置が困難になってきます。ということを考えたら、この大基地といういまのような考え方で行き詰まっているよりは、私はむしろ発想の転換をして、中基地、小基地と言っていいかどうか知りませんが、小さいものをいっぱいつくるということを考える方が賢明だし、工期は早くいくんじゃないかというふうに思います。  二つ目の問題は総裁から答えてもらいます。第一番目の問題は他の方で結構です。
  138. 高橋浩二

    高橋説明員 タンクの容量が、私の方は三百リットルの容量を持っておりまして、四日に一回は必ず基地に帰ってくるということで、特急、急行の列車の運用をいたしております。したがいまして、四日間で三百リットルを超さなければよろしいわけですが、実際の調査では三百リットルを超しませんので、四日ごとに基地に帰ってきて屎尿を抜き取るということをただいま実施いたしておるわけでございます。決してオーバーフローするということはなくて、タンクからオーバーフローは現在のところさせておりませんということを申し上げておきたいと思います。
  139. 高木文雄

    高木説明員 御指摘のように、この黄害問題を早く解決しなければならないということは全く同感でございます。  そこで一つの方法は、いまの二十二基地をどうやって速やかに解決をするかということで、繰り返し関係市町村にお願いをしておるわけでございますけれども、基地の所在地が比較的住宅地から離れておるところにございますので、当該市町村の中でその地域が比較的優先順位が後だというような事情からおくれているものもございますし、それから本来都市側におきましても下水道整備を進める計画をお持ちになっておるけれども、都市の中のどの部分に処理場をつくるかということが都市側の中でなかなか最終的決定に至らないということのために、おくれているものもございます。そうした個々の事情をいま個別に相当詰めてきておりますので、五十三年はお約束の日を守れませんでしたけれども、そうだからといって全然見通しがないということではございませんので、いまのところはいまの方式で進めていきたいというふうに思っております。  たとえば、そういう大規模の処理施設をつくりませんで、市内のいまの下水道未整備地域について、各住家の処理に当たっておりますバキュームカーを走らせて抜くというやり方を現在普通の住宅地でもやっておるわけでございますから、何かそういう方式をとれないかということも一方において研究はしてみておりますが、どうも基地の所在地はレールが敷いてありますために、そこへ自動車を入れてくることが非常にむずかしいということのために、私も素人でよくわかりませんけれども、そういう方式はどうだというようなことを言ってみたのでございますが、具体的に研究してくれましたけれども、どうもうまくいかないということで、その方法は私も提案してみましたけれども、うまくいかぬというので、いまのところ一応だめということになっています。  しかし、そうだからといって二十二基地ができるまで漫然と引き延ばしのようなかっこうになるのは適当でございませんし、それから非常に困りますのは、ある線区を走っております列車の基地が、一ヵ所でなくて二ヵ所にターミナルがあって交互に走っている場合があるわけですが、両方ができませんと、A地点にターミナルを持っている編成の方はすでに基地が整備されましても、B地点の方ができませんと、特急が全体としてできないということになりまして非常にぐあいが悪いので、うまく整々と全部がある時点にそろうかどうかというようなことも、もう少し具体的な進捗しない事情を詰めながらいま研究しております。  これらについては、結果はどうもうまくいっておりませんけれども、途中の勉強は先生の御指摘がありまして以来、その後大分真剣味を増して研究をしておりますので、大体いつごろにどうできるかということを、もう少したちましたならば明快に申し上げられる時期がくるのではないかと思っております。私も一生懸命やっておりますので、もうしばらく御猶予をいただきたいど思っております。
  140. 原茂

    ○原(茂)委員 これで終わりますが、最後に大臣に一つだけお伺いしておきたい。  その前に念を押しておきますが、いまのタンクの下に穴をあけてたれ流しているようなことが私はあると思うのです。それからあふれている状態があると思っていますが、全然ございませんという答えがございました。後でもう一度お調べいただいて、そういうようにぴったりと言い切って、絶対にタンクからあふれているということはないのだ、こういうことが言えるかどうかをひとつお答えいただきたい。  大臣には、こんなことは公害中の公害なんです。生きている生の人間にぶっかけている。ところが、このことをやかましく言っている労働組合は、施設労という小さなわずか六千人の組合なんです。六千人くらいの組合の要求などは、これは私のひがみかもしれませんが、私は何も施設労と関係ない。しかしぶっかけられる方なんです。被害をこうむっている方なんです。ただ冷静に考えたときに、国鉄当局としても、国労だ、動労だ、鉄労だなどという数の多い組合と比べるとわずか六千人の施設労という組合、その要求なんかはまあ適当に応対しておけばいいんだというような考え方、ほかにまだ重大なことがあるような気がして。ところが、実際には一番、私はいま国鉄の問題の中ではこのふん尿のたれ流しほど国土を汚し、大衆に大きな被害を与えている公害はないと思う。それを要求する組合の数が少ないためにこれが軽んじられているというふうに思えてならない。そんなことは皆さん自身の感じでどうでもいいかもしれませんが、ぶっかけられている方はたまったものじゃない。組合だってぶっかけられています、保線区の諸君は。しかし、それ以外に一般住民が大変迷惑をしている。これに対しては、いま私が言ったように、総裁は中基地、小基地というようなものに対しての検討を本当に発想転換のつもりでやらなければいけないと思うのですが、それに対する明快な、そういう検討をするというお考えはないようですが、私は、大臣の立場で思い切ってこれを進めないと、二十二基地ができたって処理は半分程度なんだ。あとどうするのか、まだとにかく先へ行けば行くほど困難ですから、したがって、大臣としてこれに対しては特別な決意を持って対処してもらわないといけないと思いますが、締めくくり的に大臣の決意を聞いて、終わります。
  141. 福永健司

    福永国務大臣 先刻来お話を伺いつつ、御説まことにごもっともであると私は存じます。そういう認識の上に立って本問題の解決に対して鋭意当局が当たるように私からも強く申したいと存じます。お話しのように、施設労の組合の方々等は数は少ない、こういうわけであるが、多い少ないにかかわらず、この重大問題に対して国鉄ないし運輸省がいかにあるべきかということは、もうあえて議論は必要はないと思います。御説の意を体して努力をするように私の方からも特段の配意をいたしたいと存じます。
  142. 高橋浩二

    高橋説明員 ただいまタンクが車両についてはおりますけれども、基地はできてないためにそのタンクを使用しないで、そのタンクにストレーナーという穴をあけるものを入れまして、それで従来どおり線路に放出して捨てるというのは、ただいまございます。それはいま先生御指摘のように、見かけ上はタンクがついておりまして放出しておりますが、これは基地ができましたら直ちにストレーナーを取りましてふたをいたしましてタンクの本来の使用にするというものがただいまございますので、先ほどのお答えについてはそれだけつけ加えさせていただきます。
  143. 原茂

    ○原(茂)委員 終わります。
  144. 楯兼次郎

    楯委員長 村山喜一君。
  145. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 私は、三点につきまして大臣または関係者にお尋ねをしてまいりたいと思います。  まず、タンカー等の石油備蓄の問題でございます。  政府は石油開発公団法を改正をいたしまして公団による石油備蓄の実施を計画いたしておりますが、その内容はどういうふうになっているのか、この点について恒久対策と暫定的な対策と両方に分けておるようでございますが、その説明をまず資源エネルギー庁の方から伺いたいと思います。
  146. 鈴木玄八郎

    ○鈴木説明員 タンカー備蓄は国家備蓄の一環として恒久タンクによる備蓄体制が整うまでのつなぎの措置として行うものだということでございまして、石油開発公団法の改正を待って実施いたしたいと考えております。タンカー備蓄を実施するに当たっては関係者の協力を得ることがぜひとも必要であるというふうに考えておりまして、通産省、運輸省を初め、各省集まってタンカー備蓄合同委員会を設置いたしまして、いま準備を進めているところでございます。最初に申し上げましたように、公団備蓄は恒久的な措置としてはタンクをつくりまして備蓄を進めるわけでございますが、それまでのつなぎの措置としてタンカー備蓄をいたしたいというふうに考えております。
  147. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 その内容ですよ。というのは、私が言うのが間違いがあるかどうかお答えをいただいて結構なんだが、恒久タンク建設用地は陸上に三ヵ所、そういうことですか。
  148. 鈴木玄八郎

    ○鈴木説明員 恒久の備蓄として考えておりますのは一千万キロリットル、地点としては一応三ヵ所というふうに考えているところでございますが、具体的な地点についてはまだ決まっているわけではございません。それからタンカー備蓄につきましては五百万キロリットルということで予算を計上いたしまして、本年度から実施いたしたいというふうに考えております。
  149. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 それは二十五万キロリットルの容量を持つ二十万トン級タンカーを二十隻借りる、こういう計画ですか。
  150. 鈴木玄八郎

    ○鈴木説明員 船の大きさにつきましてはいろいろございますのでまだ決まったわけではございませんが、いろいろの点から考えまして余り小さな船を使うというのはいかがかというふうに考えておりますので、できる限り、諸般の情勢が許す限りの大きさの船を使うということになるかと思っております。細かい点についてはまだ検討中でございますので、決定いたしておりません。
  151. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 そこで海運局長に尋ねますが、そういうような計画が進められておるわけでありますが、現在安全の確認というものが最大の問題だと思うのです。鹿児島に日石の基地がございまして、これは陸上にあるわけですが、二十万トンタンカーあたりが中近東から原油を運んでまいりまして、そうして石油タンクに移しかえをする。その場合に操作のミスがありまして、やはり中和剤をまいたりして汚染をしたものを除去するための作業等を何回かやっております。また、その廃油を運ぶ船が今度は沈没をして、鹿児島湾内の漁業に大きな損害を与えたということなどもあります。そういうようなことから中和剤をまいた結果、そういうような油類を好む魚、ボラは廃油のそういうようなのを食べるのですが、そのために石油臭くなって、その魚をとって食べてみてもとても食べられるものではない、こういうようなのが現地に出ているわけですよ。陸上のタンクの場合でもそういうような事故がやはりあります。  ところが、今度こういうようなつなぎの措置としてタンカーを用いまして五百万キロリットルの備蓄をしよう、こういう計画が進められておるわけでありますが、台風やその他、日本列島は常襲地帯でありますから、そういうものから安全を確保するためにどのような措置がとられておるのか。これを係留するということになると、そういうような備蓄に適した二十万トン級のタンカーを使うということになれば、二十五万キロリットルぐらいの油を積み込んでいるのですから、喫水線から少なくとも十三メートルぐらいの深さを持った港でなければ、私は係留できないだろうと思うのです。そういうような港がどれだけ日本の国内にあるのか、このことを明らかにしてもらわないと、安全性の問題について確認ができない、そういうように思うのでありますが、これは担当の局長の方からでも結構でございます。お答え願います。
  152. 後藤茂也

    ○後藤(茂)政府委員 タンカーに原油を積みまして備蓄に使いました場合の安全性について御説明申し上げます。  タンカーを原油の備蓄に使いますにつきましては、考え方として、使い方に二つあり得るとわれわれは検討の段階で考えております。  一つは、タンカーを適当なる泊地に完全に固定してしまいまして、浮かんだ石油タンクといったような形にして、その中に原油を貯蔵するやり方。もう一つは、これは事実上その方がよろしいと考えているわけでございますけれども、タンカーがある泊地に泊まりますにつきましては、一担緩急ある場合に動きやすい状態、つまりいかりは船から一ヵ所だけおろす、いわば潮の流れ、風の流れのまにまに一つの点を中心にしてタンカーがぐるぐる回るような状態にしておく、いかりを揚げればいつでも船が動ける状態である、かつタンカーには通常洋上を航海している場合と同じだけの人が乗っておる状態、こういうふうにしてタンカーに原油を備蓄する方法と、この二つの考え方が検討の段階ではあったわけでございます。  いま申し上げましたように、ただいまエネルギー庁と御相談をして、備蓄にタンカーを使うにつきましては後者の方法が適当ではないかとわれわれとしては考えておりますので、泊地に一点錨泊という形で、航行中と同じようにそこに人を乗せて原油を備蓄するということを考えております。したがいまして、タンカーは通常、たとえばペルシャ湾から日本の喜入なら喜入に航行しているのとちょうど同じ状態で、ある泊地に泊まっているということでございまして、安全に関するいろいろな法規といったようなものは航行中と同じような状態で適用されるし、また原油の流出、汚濁その他の関係を未然に防止するための対策というものは、通常のタンカー航行状態とほぼ同じような状態で確保される、このような状態を今度のタンカー備蓄についてはわれわれとしては考えておるわけでございまして、それらの方策につきましては、いま申し上げましたような理由でほぼ完全なものではないかと思っております。  現実にそのような泊地があるかないか。現実の泊地の選定につきましては、さらに公団等の準備が進みます段階でございまして、ただいまどこも決まっておりませんけれども、一般論といたしましては、適当な外海に向かっておってそして適当な水深がございまして、余り深うございますと錨泊に適当ではございませんし、浅うございますと先ほどおっしゃいましたように底がつかえますが、適当な浅さでそのような泊地というものは、地図の上では日本の沿海には相当多数候補地としては考えられるものがございますから、五百万キロリットル程度のタンカーの備蓄の容量としては十分にあるものと考えております。  ただ、最初に申し上げましたタンカーの安全ということにつきましては、具体的な泊地が決まれば決まったでまたその泊地についての、天象、気象、海象をよく考えた上でさらに必要なる安全対策ありやなしやという問題を検討することになろうかと思います。  また、先生お触れになりましたように、たとえば喜入といったようなところでは、日常の業務として、運んできました原油を一度陸揚げする、さらに二次輸送のための小型タンカーにそれを積みかえるということがございまして、その作業の過程におきましてもしかすればそれが間違って漏れるというようなことが過去においてあるいはあるのも事実でございますけれども、ただいま御説明申し上げております泊地にタンカーを置いて原油を備蓄するという場合には、積んだ原油はそのままそっくり積んだままそこに置くわけでございますし、これを揚げるときにはまた適当なタンクのある場所に移動してそこで揚げるわけでございます。したがって、原油の積みおろしということは、そのタンカーの備蓄をする場所では行われない、こういう状態でございます。したがいまして、これからさらにエネルギー庁と相談を進めながら具体化を進めてまいりたいと思いますけれども、原油を洋上備蓄するということの安全性につきましては、今後とも、いずれ将来決まるであろう地元の方の納得のいくような安全措置を講ずべきことは当然であろうかと思っております。
  153. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 そこでお尋ねをいたしますが、いま説明を聞いておりますと、外洋に面した沿岸や湾内、そこに錨泊をするということでございます。台風が来たときにはいかりを揚げてどこかに退避するということを考えているのだろうと思うのです。しかし、台風は進路を急に変えることもありますし、それで自分たちが思っているようにはいかぬわけですから、そういうような意味では、過去において新潟におけるジュリアナ号事件というのがありました。今度フランスでアモコ・カジス号事件ですか、「海外ニュースガイド」で見てみますと、タンカー座礁による沿岸汚染は、きれいな海にするのには一万人の人間の二ヵ月間の労力が必要である、こういうのが報道として出ているわけですよ。したがいまして、そういうような万全の措置はおとりになったとしても、万一そういうような台風等によりまして沿岸を汚染するというような事故が発生した場合の補償措置は考えていらっしゃるのですか、それが一つ。  それから第二点、そういうふうになりますと経済性の問題が出てくるのですよ。だから、恒久的なタンクができるまでは二年間ぐらいはそういうふうにして洋上に浮かべているということになりますと、一キロ当たり経費をどれだけ見込んでいるのですか。そうすると、そのための金はだれが負担をするのですか。石油公団が負担をするのですか。値上がりになる分は、今度は損をするわけにまいらぬのですから、消費者に売り渡すということになりますのでそれだけ消費者が負担をするということになりますか、それが第二点。  第三点は、後の質問との関係もありますが、今度新大隅開発計画、これは三全総の中でもそういうようなことで計画をされている。志布志のCTSの建設が計画の中に入っております。そういうような地域は、将来CTSをつくることになっているのだから、この際それまでの間暫定的に錨泊による洋上備蓄という形でおまえのところを使わしてくれというような申し入れをすでにされておりますか、されておりませんか。現地の新聞あたりでは、大変執拗に通産省あたりからは言ってきている、だけれども、そういうようなことをやったら大変なことだというので、県は拒否しているというのが新聞に出ておりましたが、そういうような微妙な情勢の中にあるところに割り込んでいくという行政の姿勢が、問題をさらに紛糾をさせることになってくると私は見ているのでありますが、そういうような問題を処理するのにどういうことをお考えになって下交渉をやっていらっしゃるのか。やっていらっしゃらないとするならば結構でありますが、その事実関係について明らかにしてもらいたい。以上三点。
  154. 後藤茂也

    ○後藤(茂)政府委員 お尋ねの第一点、万一タンカーが事故を起こして汚染の損害を与えた場合にどうなるのだという点についてお答え申し上げます。  さきにも御説明申し上げましたように、備蓄に使いますタンカーは、いつでも外に向かって動き出せるような状態で泊地に係留されるわけでございまして、何がしかの、台風等の事故があれば当然外洋に向かっていわば退避、避難をするという行動に出るかと思います。御指摘になりましたように、先日のフランスの事故、あるいは六七年のトリー・キャニオン事件、これらはすべて航行中浅瀬に乗り上げたという事故でございまして、台風が来たから深い方の海に逃げていくということが通常考えられます備蓄タンカーの場合には、恐らくまさかの場合の事故ということの可能性につきましても、航行中のタンカーに比べればその確率ははるかに少ないかと思います。  ただ、タンカーのことでございますから、万一の事故ということが全くないとは申せません。その場合の補償につきましては、一昨年の国会におきまして、御審議、可決成立をいただきました油濁損害賠償保障法及びそれと同内容の国際条約がございまして、航行中であるとこのように備蓄用に使う場合とにかかわりませず、この種の原油をタンカーに積んでそれを扱います船主は、強制的にその油濁損害についての保険を掛けておくことが義務づけられておりますし、そのような保険証書を見せるのでなければ日本の領海に動くことはできないというシステムになっております。  さらに、この保険はある程度の金額の上限がございますけれども、仮に万一その上限を上回った損害が起こった場合に対処いたしまして、現在はCRISTALと称する石油業界全体でつくります世界的な保険機構がその賠償補てんをやるシステムになっております。  さらに同様に、一昨年のこの国会において御承認をいただきました基金条約というものがございまして、将来、これは恐らく近々今年じゅうにそうなると思いますけれども、各国政府が金を持ち寄った損害賠償基金、その条約が発効いたしますと、その基金が動き出しまして、その基金によって、船主が掛けております保険というものでカバーし得ない損害というものは補てんされるというふうなシステムになっております。  私が御説明申し上げましたのは、通常の航行するタンカーが起こす事故についての補償機構の御説明でございますけれども、そのシステムは、当然にただいま考えられております洋上にタンカーが原油を備蓄する場合にも適用されるものでございますので、そこらについては万全の対策がとられているというふうに申し上げてよろしかろうかと思います。
  155. 鈴木玄八郎

    ○鈴木説明員 先生から御質問がありました第二点のタンカー備蓄のコストでございますが、タンカー備蓄のコストは、立地地点の自然条件、社会条件、それからタンカーの船型あるいはタンカー市況等々によって変動いたしますし、他方、陸上備蓄のコストも立地地点によっていろいろ条件が異なりますので、単純な比較は困難でございますけれども、仮にかなり変動の大きい水面使用料を除外して、そのほか幾つかの前提を置いて試算をいたしますと、タンカー備蓄のコストは約四千三百円前後という試算がございますが、新規立地のタンクの備蓄よりも若干安いという試算もございます。これはいろいろな前提がございますので単純な比較は困難でございますけれども、そういうことでございます。  それから、タンカー備蓄に必要な資金につきましては、これは国家備蓄でございますので、石油公団に計上いたしまして、用船料、あるいは油を買っておきますのでそれに必要な資金の金利が必要でございますけれども、そういった資金につきましては石油公団に予算を計上しているところでございます。  それから、三番目のタンカー備蓄の錨泊地についての問題でございますが、タンカーの錨泊地点については、地元の協力を得つつタンカー備蓄を安全に実施できるような、先ほど局長から御説明がありましたような条件を備えた地点につきまして選定するということになるわけでございますが、いずれにせよ、地元の納得を得ることが必要であることは当然でございます。ただ、具体的な地点につきましては、それぞれの地元との関係もございますので、いまの段階で明らかにすることはお許し願いたいと考えております。
  156. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 水面使用料を除いてキロリットル当たり四千三百円ということで、こういうのはだれも余り歓迎しないのですよね。来てもらいたくないのですよ。それはやはり漁業振興の上から考えると、地元にとってはそんなにプラスにならないという問題がございますから、たとえば陸上だったら固定資産税が入りますよね。洋上の場合には入らぬでしょう。それはどうなんですか。そういうようなメリットは何もないじゃないですか。メリットがあるのですか。
  157. 鈴木玄八郎

    ○鈴木説明員 今年度予算で地元に対して立地交付金を準備しておりまして、一キロリットル当たり百円ということで予算を計上しているところでございます。配分の仕方その他につきまして、細目はまだ決まっておりません。
  158. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 一キロリットル百円ですか。そうして先ほどの説明で、万一の場合には補償措置があると言っても、皆さん方が交渉をされて、では私のところで引き受けましょうというところが出てまいりましたか。
  159. 鈴木玄八郎

    ○鈴木説明員 現在検討中でございますが、決まった地点はまだございません。
  160. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 そこで、私は、やはりこれはタンカーが今日遊んでいる、タンカーを持っている船会社が大変困っている、それを助けるのには非常に役に立つ考え方だと思うのですよ。そういうような点から打ち出された一つの政策ではないだろうかとわれわれは見ているのです。そういうような陸上におけるタンクの施設ができるまでの間と言いますが、陸上におけるそういうような恒久的な施設が今日たやすく得られるような状況でありますか。それがない場合には、やはりずっと暫定措置が今後も続いていくというふうに考えるのですか。
  161. 鈴木玄八郎

    ○鈴木説明員 陸上の施設につきましては、五十七年度までに一千万キロリットルの所要の施設をつくるということで検討を進めているところでございます。五十三年度、五十四年度に用地を探しまして、五十七年度までには段階的に一千万キロリットルに必要な施設を確保いたしたいと考えておりますが、実際の作業は石油公団法の改正が成立してからということになるかと思います。
  162. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 そうすると、何年間洋上に、タンカーに蓄えるわけですか。  それでもう一つは、この前運輸技術審議会から運輸大臣に対しまして、四月の七日ですか、「浮遊式海洋構造物(貯蔵船方式)による石油備蓄システムの安全指針に関する答申」というのが出たようでございますが、これは陸上の恒久タンクとの関連性はどうなるのですか。これができたら洋上で備蓄をする、これは陸上で備蓄をするのと同じなんだ、こういうとらえ方でやろうとしているのですか。
  163. 鈴木玄八郎

    ○鈴木説明員 最初の御質問でございますが、石油公団の恒久施設につきましては、五十五年度から五十七年度までの間に完成するということで考えているところでございます。  それから、陸上基地と私先ほど申し上げましたが、訂正させていただきます。恒久的な備蓄の施設ということでございますので、いまお話がありましたようなものも恒久施設の一部になるかというふうに考えております。
  164. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 いずれにいたしましても、そういうような恒久備蓄の二重殻構造を持っている貯蔵船方式のタンクの場合であるならばある程度の安全性のなにが保障されるような気もしますが、タンカーの場合には二重殻にはなっていないわけです。そういう意味で、じゃおれのところで引き受けようというのが果たして出てくるだろうか。CTS基地をつくることで一生懸命であっても、タンカーまで引き受けましょうというのはなかなかむずかしいのじゃないだろうかということを指摘をしておきたいと思います。  質問の時間の関係がございますので次に入りますが、国鉄新幹線の建設の問題です。これは九州新幹線の関連の問題でお尋ねをしておきたいと思います。  そこで、三全総の計画をつくりました状況は、私も審議会の委員でございましたからよく知っております。そのときに、十ヵ年計画の政府投資を二百十兆円、それから十五ヵ年の分を三百七十兆という、一つの長期経済見通しをもとにしていろいろその作業をやった結果、国土庁では、原案として全国の幹線道路は一万キロというのは明確に出したのです。  ところが、新幹線の問題については政治家の方からいろいろ意見が出まして、現在のような表現になった。現在のような表現というのは、御承知のように整備計画五線についてはまず環境調査をやるんだ、それから国鉄財政再建の成果を見なければわかりません、経済社会情勢の推移を見きわめた上で順次その建設を図る、こういう前提条件が三つあるわけですね。  ところが、その後盛んに九州新幹線の建設も七月ごろには決断をするのだというような情報が流れて、そこで私は経済企画庁にお尋ねをしたいのは、状況が、三全総を策定をしたときに決めたような状況の変化が今日出てきていると考えられるのかどうか。  それから、これは大臣にお答えをいただきたいのですが、自民党の幹部の人でもそういう時期があるのだということを言っているようにわれわれの耳には聞こえてくるのでございます。そこで国鉄にこれをやらせるということは、先ほどの決算の報告を見ましても三兆円余りの大変な赤字がございます。したがいまして、これはつくるとするならば財投資金を使ってつくった場合には赤字になることは間違いないのですから、無利子の資金を用意して、つくるとするならばつくる以外にない。だから無利子の資金というのは一体どこにあるかということになってまいりますと、この問題はきわめて大きな問題を抱えておるのだと思うのでございますが、それに対する大臣はどういうお考えをお持ちなのか、お聞かせをいただきたいのであります。  まず第一点、経済企画庁の方から答えて、そのあと大臣答えてください。
  165. 石田徳

    ○石田説明員 先ほど先生、三全総の数字を挙げて御質問がございましたが、われわれのいま持っております昭和五十年代前期経済計画におきましては、先生も御承知のように、これは公共投資は全部で五十年度価格ベースで百兆でございますし、また交通関係、新幹線を含め鉄道八兆円という数字が実は出ております。その後つくられました三全総における先ほどお挙げになった数字だと思いますが、いずれにいたしましても、今後これを実行に移す場合には、これも先生お挙げになりましたように、国鉄の再建の成果なり、またその後の経済社会情勢の推移を見て、長期的な観点に立ってこれを実施していくということになろうかと思いますので、そういう判断は直接の御担当の省庁の御判断でこれからおやりになるのではないかと考えます。
  166. 福永健司

    福永国務大臣 国鉄は赤字がうんとあるし、これ以上また赤字がふえるようなことをそう簡単にさせてはかわいそうというか、必ずしも適当ではないという考えがある一面において、新幹線のようなものは運賃収入等での計算における損得だけを言っているのでいいか。つまり赤字は若干出ても、国民全体から見るとぜひやってくれという希望も非常に強いのでありますから、その点をどう考えるかというようなこと等が錯綜するわけでございまして、私どもの方へもぜひつくれと言ってあちこちから話がございます。それはそれなりに理由があると思います。同時に、私といたしましては、赤字の王様は国鉄という表現をされておるときに、王様はますます王様らしくするのもいかがかと思います。  そこで実は最近、正面に申し上げますが、景気浮揚というようなこと等も考えつつ、この際新幹線等も、いまやっておるのは、東北とか上越とかいうのは別といたしまして、さらにいま村山さんからいろいろお話がございましたが、ある意味では凍結されたようなかっこうのものについて、この際考えようじゃないかという話がございました。私は、ある意味においてこれはこれなりに歓迎もするところでありますが、そこで関係閣僚等がいろいろ相談をいたしました際に、いま村山さんお触れの、金はかかるしこれは容易じゃないんだから、無利子とかなんとかそういう方法を考えてやらなければ、そういうことをせずにただ新幹線を引け引けと言ったって無理なんだということを申しまして、そのときに、私、たとえば建設国債とかあるいはその他のいま先生おっしゃる無利子のような特別財源を特に考慮して新幹線の建設ということを考えなければ、実際は赤字がどんどんかさむようなことじゃ容易じゃないじゃないかということで、私なりの議論を展開いたしました。そのときはおおむねごもっともだということで、大体そういう考え方をそれじゃ検討しようということになっております。なっておりますが、まだ財布を握っている方から、それじゃこっちの方へは幾らどうしてというふうなところへは、正直のところいっておりません。おりませんが、いままでのように出すことは全然出すと言わずにやれやれという話よりは、ある意味で私はよほどの前進のような気もいたします。  そこで、言うなれば、いまはそういう意味から言いますと一つのチャンスでもございます。何とかしてその辺をうまく進めたいと思っておりますし、望みなきにあらずという判断をいたしておる次第でございます。
  167. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 大臣、それは財源との関係がありますからなんでございますが、そういうような財源の見通し、無利子の資金の見通しがつけば大臣としてはやりたい、こういうようなお気持ちであるというふうに見てよろしゅうございますか。
  168. 福永健司

    福永国務大臣 多くの国民の要請等もございますし、議員の皆さんからのいろいろのお話等もございまして、正直に申しましていま村山さんおっしゃるような気持ちで実は私はいる次第でございます。
  169. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 残りました時間の中でもう一点だけお尋ねいたしますが、航空政策の問題でございます。  四十七年の七月の運輸大臣通達がございまして、これは日航と全日空と東亜国内航空のそれぞれのいわゆる路線の事業区分の通知でございます。これは今日なお生きている、こういうように見てよろしゅうございますな。
  170. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 四十七年の大臣通達を出します前に、実は四十五年の十一月閣議了解がございまして、その閣議了解は同じやはり四十五年の秋の運輸政策審議会の答申を受けているわけでございまして、したがいまして、閣議了解の方が太いタッチで書いてございます。四十七年の大臣通達の方は、それをブレークダウンしたものでございますから多少きめの細かさがありますけれども、大綱といたしまして四十五年から七年に至ります一連の国内航空企業の運営体制につきましては、今日なお私どもはそれに準拠いたして仕事をいたしているところでございます。
  171. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 わかりました。四十五年の十一月二十日の閣議了解並びに四十七年七月一日の運輸大臣通達、これが基礎である。その中には、年間の利用率が七〇%以上の路線についてはダブルトラックを実施するという方針が出ておりますね。これも確認してよろしゅうございますか。
  172. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 大臣通達にございますいま先生お挙げになりました文句は、もとになりました政策審議会の答申の中に、需要の多い路線を一社が独占をするとやはり独占の弊が生ずるから、複数企業で公正競争をして利用者の利便を害しないようにというところが基本になっておるわけでありまして、それを七〇%という具体的めどを大臣通達で出したわけでございまして、私どもおおむねそういう考え方で仕事をしております。
  173. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 鹿児島−東京、大阪−鹿児島、これは七〇%をはるかに超えておる路線だというふうに思うのでありますが、それは現在はどうなっておりますか。
  174. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 鹿児島と東京、鹿児島と大阪を結ぶ路線は非常に需要が多い路線でございまして、逐年ロードファクターが上がってまいりまして、五十二年暦年の実績では鹿児島−東京が七一・九%、鹿児島−大阪が八〇・一%でございまして、確かにこれは需要の多い路線と言えるわけでございます。私どもはこういう路線につきましてはダブルトラックという政策を加味していくことが、先ほどからの閣議了解なり大臣通達の線からいうと好ましいと思いますけれども、従来残念ながら羽田空港につきましては、これ以上新しい便数を入れる枠がございませんでした。それから大阪空港につきましても、エアバスの導入ということとの兼ね合いで、漸次そういったことをしてきましたけれども、エアバス導入がまだ計画半ばにして足踏みしているというような状況がございまして、これはなるべく近く解消したいと思っておりますけれども、そういう羽田及び伊丹という両方の大変過密な空港の現状というところから、このダブルトラックをやるにふさわしい需要があるのにかかわらずできなかったというところでございます。  しかしながら、今後成田の展開とともに羽田にも余裕ができますし、また大阪空港もエアバス導入とともに発着枠があいてまいりますので、いよいよそういった政策を実施に移していく基盤ができてきたという状況でございます。
  175. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 そういうようなチャンスでなければ、いまのような過密状態の中では無理だった、やろうと思っておったけれどもできなかったんだ、こういう当局説明でございます。そこで私も、成田の問題は後ほど小川君も質問をされますが、成田の問題がスムーズに解決をしてまいりました後は、それだけいまの羽田なりは余裕が出てくるわけですから、その中でやはりダブルトラックの実施をやるというのが、これはやはり運輸大臣として決められる方向だというふうに確信をしておるわけでございますが、大臣いかがでございますか。
  176. 福永健司

    福永国務大臣 成田のことにつきましては、いろいろ私もこりておりますので、近くどうということは余り言いたくないのでございます。しかし、せっかくの村山さんのお話でございますから、いま計画しておりますとおりに進行いたしますとするならば、すぐにというのもいかがかと思いますが、遠からずダブルトラック等も実施していくべきだと考えます。ことに、鹿児島−東京等についてはそういうことを考えていかなければならない、こう思います。現に、もう四月十一日付で申請等も出ております。そこで、適当な時期を見計らって運輸審議会にもかけた上で決定しなければならぬ、こういうように考えております。
  177. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 わかりました。  それで私は前、田村運輸大臣がいらっしゃるころに、この航空政策の中で取り上げた問題がございました。それは、いま鹿児島空港は国際空港に指定をされておりまして、日本航空機が香港のあたりまで飛んでいっているのです。それは週に三便あります。そういうようなのを調べ上げてその乗車効率というのですか、利用率を調べてみると、国際線なるがゆえに、博多経由で鹿児島から東京までの間、幾ら空席があっても乗せてくれない、こういうようなシステムになっていることがわかったのです。それで空港施設等も、荷物の検査やそういうのがどの程度できるかというのを調べ上げてみましたが、税関なりあるいは植物検査なりそういうような施設等もちゃんとありますので、省エネルギーという問題からこの問題を考えたらどうかという質問をいたしたわけでございますが、非常にむずかしい問題を背景にしているので慎重に検討をするというような結果になったわけであります。  そこで、われわれもこの路線はよく利用をしているわけでありますが、いま全日空の独占路線でありますので、なかなか思うように切符が取れない、こういうような事態もございます。それで、いまおっしゃるように東亜国内航空も四月十一日に運輸大臣に申請を出しているようであります。しかもこれは県議会の方からも意見書が参りまして、離島との航空路と接続をするというような関係もあるものですから、そういうような意味においてぜひ実現を図ってもらいたいという強い要請が参っております。それと同時に、いま申し上げましたような日本航空のそういう国際線の国内における運用との問題、これらの問題をあわせて検討をしていただいて、公正な競争原理が働く中でお客を中心に問題をとらえて解決を図っていただくように要請をしておきたいと思うのですが、それらの問題について御検討をいただくことに対する大臣のお考えをお聞かせをいただいて、終わりたいと思うのですが、いかがですか。
  178. 福永健司

    福永国務大臣 二つお話しの片一方の方につきましては、御説もよく念頭に置いて検討させていただくことにいたします。  国際線の、たとえば鹿児島を経て香港へ行くというようなのは、まさにお客の観点からすればお話のようにすることがまことにいいじゃないか、燃料節約等にもなるじゃないかということでございますが、なお若干の点でなかなかめんどうがあるようでございます。  私は余り詳しくはございませんが、必要でございましたら局長等からもお答えさせますが、私は私なりに、むずかしければむずかしいでどうしてそういかないのかというようなこと等についての検討をし、そしてその検討の結果前進ができるのならこれも考えなければならぬと思うわけでございます。前と後との検討、結果的に言うと一方の方がちとむずかしそうな感じがいたします。率直に申し上げておきます。
  179. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 確かにこの問題はデリケートな日航と全日空との利害関係も入っておりますし、国際的なそういうような路線の取り扱いの問題、むずかしい問題が入っておりますが、福永運輸大臣は大物大臣でございますから、そういう点は快刀乱麻で片づけていただいて、やはり省資源エネルギー時代の中でからの飛行機を飛ばさなくても、お客がいっぱいおるときには何とかしてもらえないだろうかというのは、飛行機を利用する住民の声であり、国民の声だと思うのですよ。ですから、別に支障があればあれですが、実務的にやろうとすればできないことはない、そういう条件を備えておる。このことを私の方では申し上げて、十分検討をお願い申し上げておきたいと思います。  終わります。
  180. 楯兼次郎

  181. 小川国彦

    小川(国)委員 運輸大臣にお尋ねをしたいと思いますが、五月二十日の強行開港は非常に無謀なことだ、私どもはこういうふうに思っております。福田赳夫氏だけのメンツのみで開港するというようなことで地元民は非常に困惑している、こういう状況にあります。  なぜ無謀か、具体例を挙げて取り上げたい。いろいろ問題は多いわけでございますが、環境問題にしぼって質問をさせていただきたいと思います。きょうは三十分というように時間が非常に限られておりますので、私も簡潔に質問をいたしますので、ひとつイエス、ノーという形で簡潔な御答弁を大臣以下の皆さんにお願いをしたいと思います。  まず最初に、環境問題の前提として、大阪空港訴訟の高裁判決というものがございますが、大臣はこれを御存じでございますか。
  182. 福永健司

    福永国務大臣 その判決のあることは存じておりますが、余り詳細は存じません。
  183. 小川国彦

    小川(国)委員 この判決は三点あるのですが、その中できわめて重要な一点があるのです。大臣はこの三つの判決の主要な内容についてもやはり御存じではないわけでございますね。
  184. 福永健司

    福永国務大臣 あなたほどに詳しくは存じません。
  185. 小川国彦

    小川(国)委員 大変残念なことですが、その次に、それでは環境庁、国が定めました環境基準を’守れということでございますが、運輸大臣はこの環境基準については御存じでございますか。
  186. 福永健司

    福永国務大臣 何か子供が試験されているようなお問い方でございますが、イエスかノーかと言えば、ノーでございます。
  187. 小川国彦

    小川(国)委員 空港の環境基準についても大臣は御検討なすったことはございませんか。——結構ですよ、大臣が答弁できなければ。
  188. 福永健司

    福永国務大臣 先ほど答えたとおりで、子供に試験をするような聞き方をされても、私もそういうのに対してはノーと答えます。
  189. 小川国彦

    小川(国)委員 私はやはり前提として環境問題という空港の欠かせない重要な側面というものがあるとするならば、やはりその大阪空港訴訟の高裁判決というものがどういう点であるのか、それから国が定めている空港の環境基準というものはどういうものなのか、この点は試験ではなくて、大臣の常識として知っておいていただかなければならない問題じゃないか、こういうふうに思うわけです。そういう点がなくて、それじゃどういう対策があるのかということになると、非常に心もとない感じがするわけでございます。特にいま成田開港については、自民党の中では機関銃を撃っても開港せよ、こういう議論まで出ている状態ですが、それでは五月二十日に開港するからには環境状態については万全だというふうに大臣は思っておりますか。
  190. 福永健司

    福永国務大臣 開港には差し支えないと考えております。
  191. 小川国彦

    小川(国)委員 大臣として非常に不見識な答弁だというふうに思うのです。環境状態は万全だというふうにおっしゃるならば、それではいま政府、公団の進めている環境対策で、騒音激甚地区に移転すべき民家が何戸残っているか、大臣は御存じですか。
  192. 福永健司

    福永国務大臣 四十二戸と聞いておりますが、詳細は主管の局長等から答えさせます。空港公団からも来ております。
  193. 小川国彦

    小川(国)委員 私の調査では四十五戸。大臣いま四十一戸とおっしゃいましたが、これは開港前に移転はできるのでございますか。
  194. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 これは公団で主として仕事をしてもらっているわけでございますけれども、環境基準は五十三年の十二月が中間目標達成時点でございます。私どもは開港までにこれを仕上げるのが理想だと思いますけれども、これは無理だと思います。しかしながら、五十三年の暮れまでには完了いたしまして、環境庁の告示の中間基準には達成せしめたい、こう思っておるわけでございます。
  195. 小川国彦

    小川(国)委員 この四十一戸は、運輸省が告示をして、ここは住めないところだから移転させるということを決めたわけですよ。これはなぜ開港前に移転できないのですか。
  196. 大塚茂

    大塚参考人 公団としましては極力お勧めをいたしておりますが、いろいろ御都合がございまして、なかなか全部の御承諾をいただけないというのが実情でございます。
  197. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 簡単に補足いたします。  これは住めないところだとおっしゃったわけでありますが、航空機騒音防止法の規定によれば、そうではなくて、移転をしたい方には移転補償を出すという対象になっている地域でありますので、住んじゃいけないという場所ではないわけでございます。先生もちろん御存じでございますが、補足させていただきます。
  198. 小川国彦

    小川(国)委員 そういうごまかしの答弁をするからこの問題も住民の納得を得られないわけなんです。  昭和五十一年の二月に空港公団が出された「新空港だより」というニュースがあるわけです。この中では「騒音区域が指定されました」ということで、航空機騒音防止法によって運輸省から告示された。「騒音区域の指定は新空港の場合、開港前に騒音対策を積極的に進めるといった見地から行われており、」こういうことなんです。そういうことを言われておって、しかも「昭和五十三年末目標の環境基準に先がけて、公団は五十一年度に実施する予定です。」これは空港周辺の人家全戸に配ったパンフレットに書いているわけです。これは五十一年二月号で、五十一年に完了する、実施する予定だ、こう言ったものが、五十三年の四月時点にまだ完了していないわけです。  いまの航空局長の答弁だと、五十三年十二月までにやる。また半年先に延びてしまっているわけですよ。それは総裁が言うように事情があるとは言いながら、納得する条件が得られないから放さないわけですよ。そういう人たちを四十五戸もいわば騒音激甚地帯に放置したまま開港して、その人たちの人権は一体どうなるのか、人権はじゅうりんされたままでいいのか、この点大臣にお伺いいたします。
  199. 福永健司

    福永国務大臣 人権じゅうりんというお言葉でございますが、いままでもいろいろ話し合ってまいり、これからも話し合わなければならぬと思いますが、われわれはわれわれなりに誠意を尽くして臨みたい、またいままでも臨んできたと思うのでございます。問題のとらえ方を小川さんの質問のようなことで、人権をじゅうりんしたままでいいのかと言われれば、それではいけませんと答えるよりしょうがありません。
  200. 小川国彦

    小川(国)委員 私は、この四十五戸の人々から騒音訴訟が起こると思うのですよ、差しとめ訴訟が起こると思うのです。大阪空港のときには予測できなかったけれども、今度の場合にははっきり予測できるわけですよ。そういうような予測できる対策を放置したまま人権無視でやっていく、これは政府としては非常に許されない問題だと思うのです。  もっと具体的に伺いますが、運輸大臣はこの騒音地区へ行ったことがございますか。
  201. 福永健司

    福永国務大臣 その近傍には参りましたが、小川さんが言われる一々のところへ行っていろいろ検討したというほどのことはいたしておりません。
  202. 小川国彦

    小川(国)委員 公団総裁や環境庁にもお伺いいたしますが、騒音激甚地帯それから民家防音地帯、ここへ行って騒音被害度の調査をなさったことはございますか。
  203. 大塚茂

    大塚参考人 騒音テストフライトのとき、現実に行って音を聞いております。
  204. 波多秀夫

    ○波多説明員 環境庁といたしまして、これまでのところ現地に参りまして調査をしたことはございません。しかしながら、現地の状況調査、確認する必要があるということは認識いたしておりまして、私、開港までにぜひ参りたい、かように考えておるところでございます。     〔委員長退席、原(茂)委員長代理着席〕
  205. 小川国彦

    小川(国)委員 次に、政府や公団が防音工事を必要と認めた民家で、なお実施してない戸数は何戸ございますか。これは大臣の方から。
  206. 福永健司

    福永国務大臣 二百五十戸と聞いておりますが、詳細は公団等から答えさせます。
  207. 大塚茂

    大塚参考人 昨年十二月末現在で二百九十二戸ですが、この三月末で二百五十戸になっております。
  208. 小川国彦

    小川(国)委員 これの民家防音工事もやらないで開港しようということでございますか。これは大臣に伺います。
  209. 福永健司

    福永国務大臣 ただいま御質問のような点につきましては、できるだけのことをやって臨みたいと考えております。
  210. 小川国彦

    小川(国)委員 私は、これは政府や公団の怠慢以外にないと思うのです。現地の辺へは行ったことはある、音は聞いたことがあるということですが、大臣も総裁も環境庁も、この騒音激甚地帯の、皆さんの方の数字で言えば移転さるべき四十一戸それから民家防音工事を行わなければならない二百五十戸、これはまさに運輸省の告示で五十一年いっぱいに実施すると約束したものが、いま現在実施をされていないわけです。それぞれに不満や要求があって、現状よりもマイナス面が多くて解決されないからこそそれぞれの要求を持ってしているわけなんで、それぞれの関係の責任者が直接話し合ってそういう住民の意見を聞かれたことはございますか。
  211. 福永健司

    福永国務大臣 お話しのようなことは、できれば私みずからもいたしたいところでございます。実際問題として私どももいまのところ国会や何かでちっとも離れられない状況でございまして、意に任せないことははなはだ残念に思います。空港公団の総裁以下、関係の諸君も大いに努力をしてくれているところでありますが、いまのお話等も伺いつつ思いますことは、われわれ一同なお一段努力をいたしたいと考えます。
  212. 小川国彦

    小川(国)委員 私は、これは政府の怠慢以外になかったというふうに思うのですよ。開港前に皆さん方は、たとえばアクセス道路をつくると言って二十億、国道の改修をやると言って三十億、これで五十億ですね。今度の過激派対策の防備と言って五十億です。ざっとこれだけでも百億の予算を投じているわけです。  この四十一月の移転なり、あるいはまたいま皆さんが言われた二百五十戸、たとえばこの二百五十戸の移転についても、全戸防音を要求している人たちです。これを考えると、仮に一戸六百万かかるとすると、約十五億です。十五億の金があればこの皆さんの要求に対する一応の対応策は組めるわけですね。その予算も皆さんは組もうとしない。現状の一室、二室の欠陥があるもので、しかも八百戸のうちいままで皆さんが実施した民家防音は雨漏りしている。トイレがない。手洗い場がない。そういうような欠陥だらけの民家防音に加えて、八百戸のうちまだ二百五十戸残っているわけです。  一番ひどいのは、四キロ滑走路の延長上の岩山地区です。あの鉄塔のあった真下に住んでいる岩沢政雄さん外三戸は百二十ホンを記録しているわけです。その三戸が昨年の夏から公団に移転要求をしているわけです。ところが、これまでの間に代替地を見せてくれたのはわずか一回。しかも、富里の子供たちの運動場で、農業できるような土地ではないというのですね。何か木の大枝が揺れて家の障子ががたぴしいっている。皆さんは鉄塔は取り壊したかもしれないが、その真下に住んでいる人家に対して、この半年間に交渉がわずか数回で、農家としてまともに移転すべき代替地もないのです。いまやっているところは二ヵ所とか三ヵ所に畑が分かれてしまっている。農家というのは、自分の家が畑のど真ん中か田んぼのど真ん中なり近接地にあって初めて成り立つのであって、耕地を三分されてしまったところに移転しろと言っても移りようがない。百二十ホンの激甚地帯の三戸ですらまだ未交渉の状態で置かれている。  そういうような代替地がない実態も大臣は認識がないと思うので、これは農林省がおいでになっておりますからお伺いしたいのですが、この代替地問題について農林省には御相談はあったのでございますか。
  213. 大場敏彦

    ○大場政府委員 農林省は、もとより閣僚協議会の場だとか、あるいは建設本部の本部員というかっこうで参画はいたしておりますし、農業問題についての御協力はしているわけでございますが、代替地問題につきましては、これは計画でも直接公団が実施なさるということでございますので、公団あるいは地元の県でそれぞれ対応なさっている、こういった現状でございます。  私ども、意見をお求めならばいつでも知恵なり御協力はするつもりでありますが、公団が責任を持ってなさっていることを見届けているというところでございます。
  214. 小川国彦

    小川(国)委員 いま大臣もお聞きになったと思うのですが、農民の移るべき代替地をつくる一番適当な役所である農林省に、この十二年間相談がないわけです。ナショナルプロジェクトと言いながら農林省に代替地のことは全然相談がなかった。だから農民の満足する土地が見つかるはずはないのです。  しかも、空港公団は、公団法では農地を取得できないのです。だから、やっていることは、不動産屋のようにこっちの土地を見つけては農民を一回連れていく、気に入らなければまた次を探すという形で、まとまった土地を集めて、そうしてきちっと、たとえばオランダが干拓地に代替の農場をつくったようなことは公団はできないのです。できないから不動産屋のようなことをやっているので、農民が行くべききちっとした農地ができない。大臣、こういう実態をどう思いますか。
  215. 福永健司

    福永国務大臣 御注意はありがたく拝聴しておきますが、あんたのように人をぼろくそに言うだけのことでも現地の連中がかわいそうだと私は思う。  なるほど、農地については農林省でしょう。だがしかし、東京の本省でそんなことをすることも必要であるかもしれませんけれども、現地は現地で大いに努力していると私は確信をいたしておるわけでございます。  こういうことにつきましては、いませっかく御注意をいただきましたので、その御注意を体しまして今後もなお一段と督励いたしたいと思います。しかし、過去にどうだったということで、あなたが決めつけられるほど何もしていないとは私は思いません。その部署その部署でみんな一生懸命にやっている。そういうことならそういうことであなたも、造詣が深いそうですから、こんなところでそういうことを言うだけでなくて協力してくださいよ。お願いします。いまの御注意はありがたく拝聴しておきます。
  216. 小川国彦

    小川(国)委員 大臣、私もやってきている。騒音対策一つとってみましても、私は県会議員で、県に騒音対策をやらせるのに五年かかっているのですよ。騒音対策を取り上げたのは県ですよ。民家防音工事を実施したのも県なんだ。国は何もやらなかったのですよ。千葉県が二十数億も立てかえて代替地をつくり、六億も立てかえて防音対策をやって、その金を後から国からもらっている始末なんですよ。だから、現地、現地と大臣おっしゃるけれども、政府や公団においては農民の土地政策も騒音対策も全くやってこなかった。私が厳しく言うのは当然のことなんですよ。そういう結果が今日の事態をあらしめているわけです。農民の本来的問題が解決すれば過激派集団の問題なんか翌日解決する問題ですよ。農民や周辺住民の問題を今日まで放置している。いろいろなうそをついたりだましてきた。そういう積み重ねが今日の事態になっているということを十分私は認識していただきたいと思うのです。  それでは、もう一つ伺います。  昭和五十八年の環境基準についてこの時点まで達成を目標にしていると思いますが、環境庁は成田空港についても当然環境基準の達成はお考えになっていらっしゃるわけでしょう。
  217. 波多秀夫

    ○波多説明員 新東京国際空港につきましても環境基準を達成すべく努めるべきものと考えております。
  218. 小川国彦

    小川(国)委員 そうしましたら今度は運輸省か公団に伺いますが、昭和五十八年に環境基準を達成するために、滑走路一本の場合何戸移転して何戸防音しなければならないか、それから滑走路が三本の場合何戸移転して何戸防音しなければならないか、この対策はどういうふうに立てておりますか。
  219. 大塚茂

    大塚参考人 五十八年達成目標のために五十八年の予測コンターを作成をしなければならないわけでございます。  御承知のように五十八年の目標は、住宅専用地は七十、その他は七十五ということになっておりますが、現在の音の予測技術から申しますと、八十五以下についてはまだ正確な予測の技術が開発されておりません。そういう点を目下運輸省において研究中でありまして、五十八年暮れまでにはそれを完成し、五十八年の予測コンターを作成する。それができませんとその中に何戸あるのかということも現在はっきりしない状況でございます。
  220. 小川国彦

    小川(国)委員 私はここにも政府、公団の怠慢があると思うのですよ。  昭和五十八年の予想コンターについてNHKの総合研究所のコンピューターを使って出した資料があるのですが、それでいきますと、航空機の種類、騒音は大きく変わる見通しはない。航空機の種類をいまのままと仮定していくと、昭和五十八年の環境基準でいけば一日十五機しか飛べないことになるわけです。運輸省は先ほど環境基準を守るとおっしゃったわけですから、一日十五機だけ飛ばせばいいということになるのですか。
  221. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 先ほど公団総裁がお答え申し上げましたように、五十八年の最終目標に備えての騒音コンターの正確な予測手法がまだございません。NHKのも一つの手法かと思いますが、私どもはもう少し自信を持ってやれる手法をいま開発しているところでございまして、年内いっぱいくらいはかかると思うのであります。それを開発した後におきまして早速コンターを引きまして、その上でどのくらいのことになるのかを踏まえて所要の施策を講じてまいりたいと思っております。  何せ五十八年時点における機種構成あるいは発着回数等の予測もいろいろのファクターがございます。私は、いま御指摘のような十五機しか飛べなくなるということにはならないと思いますけれども、その辺も含めまして、今後の手法開発を待ちまして十分検討していきたいと思っております。
  222. 小川国彦

    小川(国)委員 こういうことも研究していないわけで十五機ということはないと言うなら、局長、ないと言う根拠をお出しになってくださいよ。  この十二年間皆さんが何もやってこなかった。空港をつくることだけやって、大阪空港裁判のように周辺住民のことを全く放置してきた、周辺住民の対策を全くないがしろにしてきた結果が、今日の事態を引き起こしている。しかも、五年後にはもうはっきり環境基準というものを達成しなければならない状態にありながら、その対象になる民家の戸数も把握していなければ、結局こういう結果になるというのは——私はこの十五機は結論だけ言っているのですが、その過程を言うと長くなりますけれども、少なくとも民間の研究所ですらそういう予測調査ができるのに、国の機関がこういうことをやっていないということはどういうことなんですか。この研究調査をする機関がないんですか。
  223. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 国のやります予測手法は、その結果に基づいて直ちに告示等にもなるものでございますから、やはりいろいろ慎重なアプローチをしていかなければならないというところから、そう簡単にいかないということを申し上げたわけでありまして、私ども努力を怠っているわけではございません。
  224. 小川国彦

    小川(国)委員 私は、いま現場に残されている移転、民防、これの放置といい、それから五年後の予測といい、まさにこれは政府が五月二十日開港と言いながら環境問題は切り捨てていく、しかも一番重大な周辺住民と話し合わなければならない基本的な調査もやってない、こういうことでは成田空港の今後というものは非常に大きな問題だと思うのです。イギリスやオランダの新空港づくりを見ますと、こういうところの環境対策というものを十分にやってきているわけです。今度、関西新国際空港についてはあなた方は三年間で六十億円かけて環境アセスメントをやっているんですが、成田についてはなぜやらないんですか。この点、大臣いかがですか。
  225. 福永健司

    福永国務大臣 いろいろやっております。詳細は局長以下から答えさせます。
  226. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 関西新空港でわれわれがやろうとしておりますような規模では成田では従来やっておりません。それは、航空機のもたらす騒音被害、これから起こる環境問題というものに対する世の中全体の取り組みというものが、いまと十三年前とではやはり違っていたということであろうと思います。私ども言い逃れするつもりはございませんけれども、そういったことで、関西空港につきましては現在のそういった要請に基づきましてしっかりした手法でやろうということでございます。いまのような時代でありまするならば当然成田もやったと思いますけれども、当時としては残念ながらそこまで思いが及んでいなかったということで、六十億円もかけたものはいたしておりませんが、かなり小規模のものはいたしたということでございます。
  227. 小川国彦

    小川(国)委員 寡聞にして成田の環境アセスメントをやったというのは聞いてないのですが、大臣はいろいろやったと言うのですが、どういうことをおやりになったのですか。
  228. 福永健司

    福永国務大臣 ほかの連中から答えさせます。
  229. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 当時環境アセスメントという言葉がありませんでしたので、そういった形でのものはいたしておりませんけれども、やはり当時としては当時なりに、昭和四十年当時にこの場所を選ぶという前の段階におきましては、関係の閣僚懇談会等もつくりまして、そういった中でいろいろな問題を議論したわけでありますけれども、何せ航空機騒音問題というものが今日ほどクローズアップされていなかったという時代でありますので、先生が今日御批判になれば、私といたしましても、本当に十分であったということをやったかと言われますと、それはそうじゃないと思いますけれども、当時としては当時なりにやるべきことはやったと思います。
  230. 小川国彦

    小川(国)委員 私は質問していると時間がありませんから、当時としてやったとおっしゃる環境アセスメントの調査をやった資料を、これは委員長を通じて提出をお願いしたいと思います。  私の意見としては、これは大阪をやるなら、同じ国民として成田もいまからやはり環境問題をやってもらいたい。  それから最後に大臣に、去る三月二十八日私は話し合いということで農民代表と行ったのです。大臣何か逃げて、四時間も雨の中待ったけれども、とうとう大臣には会えないで帰ってきたわけなんですが、しかし私は、大臣が話し合うと言うなら、話し合う相手はやはり農民だけではなくて、空港周辺に住んでいる騒音地帯化するところの十万近い世帯の住民の代表ともやはりきちんと話し合う必要がある。こういうことを行わないで開港すると、結局大阪空港のように住民訴訟が起こって国が負ける。国が負けるということは、やはり国が正しくない、あなた方が正しくないからそういうことが起こってくるのだということになると思うのです。そういう点について腰を据えた、本当に農民の一人一人、住民の一人一人を納得させ、理解を得、協力を得るまでの話し合いを、五月二十日ということにこだわらず、とことん本当に政府が案を持って話し合いをやるだけの腰を据えた考え方が政府にあるのかどうか、この点大臣に伺いたい。
  231. 福永健司

    福永国務大臣 私は、いま小川さんおっしゃいます住民の方々等とはお目にかかったりその他いろいろの方途を講じて、ぜひ心の交流が行われ、理解が深まるようにということを望んでいるものでございます。  先般おいでをいただきましたときには、私はずっと参議院の委員会その他で全然動けませんでした。おいでになる大体の時間はわかっておりましたしするものでございますから、何とかなれば私が行くし、もし私がどうにもならぬときには、とりあえず事務次官がお目にかかっているように、その間に自分が手がすけば伺う、こういうようにいたしておったわけでございます。小川さんも別室におられたことも私は知っております。     〔原(茂)委員長代理退席、委員長着席〕  そこでようやくにして夕方委員会の方が終わりましたから、私、少し体もぐあいが悪かったから医務室へ飛び込みましたところ、血圧をはかられて、二百三十以上もあるからここでしばらく寝ていなければだめだと言われました。言われましたけれども、私も気性が気性でございますから、小川さんほどではありませんけれども、私はすぐにこれから行くからと言って、実は夕方でございました、電話をかけましたところ、三十分間予定のところを二時間おられていろいろ話を伺ったし、また向こうでも聞いてくだすって、もう福永健司、とても無理だろうからというので、大分前にお帰りになった、こういう話で、私、大変残念に存じました。  私も一遍心臓のとまった男です。こういうことでお役に立つなら、私のけちな命ぐらい何とも思っておりません。でございますから、私はそういう決意のもとにお目にかかってお話をしようということ、そのときもそうでございました。いまいろいろお話等もいただいておりますが、話し合いにつきましては小川さんも熱心に進めていただいておりますし、そのお気持ちは私よくわかっております。だが、そういうお話があるなしにかかわらず、まさに先ほどからお話しのようなことを心得て臨むべきものだと私は重々考えております。でございますから、五月二十日とその日にかかわらず大いにやれというような意味でございますが、私はそのお話のように、大いにそういうことにも努力したい。努力すべきことはまだまだたくさんございますが、この点は非常に大事なことである、私はもともと考えておりますが、いまのお話を伺いつつも特にしみじみ感じておるところでございます。そういう気持ちで今後に対処したいと存じます。
  232. 小川国彦

    小川(国)委員 農民はこの長い、苦しい空港の問題の闘いを十二年間命がけでやってきているわけです。政府から見ればほんの少数の一握りの人間かもしれませんけれども、自分たちの生活権をかけたその主張を十二年間やってきているわけです。そういうものを政府が何回でも話し合いをして、その話し合いの中でくみ取る。農民も命がけでやってきているのですから、大臣も命がけで取り組んで、この話し合いの中から何とか曙光を見出すような努力をこれからも続けられるように要望をして、私の質問を終わりたいと思います。
  233. 楯兼次郎

    楯委員長 春田重昭君。
  234. 春田重昭

    ○春田委員 非常に時間が長くなっておりまして、大臣また政府委員におかれましても大変お疲れだと思います。また本日は高木総裁にも御出席をいただいておるわけでございますけれども、私数点にわたりまして御質問いたしますので、どうか誠意ある御答弁をお願いしたいと思います。前もって要望しておきます。  最初に成田問題でございますけれども、まず確認したいのは、五月二十日開港、五月二十一日運航開始の予定という形になっておりますが、現時点でこの日は間違いありませんか。
  235. 福永健司

    福永国務大臣 五月二十日の開港はすでに決定もいたしましたし、ぜひそうしたいと思います。  運航開始につきましては、これは実際面からいろいろ検討されることでございましょうから、二十一日以後は当然できる状態に置くべきだと思いますが、実際に飛行機がどういうようになりますかは、私は二十一日の日には何機着くのがいいとか何機飛ぶのがいいとかそういうことは言っておりませんが、五月二十日の翌日以後は当然やれる状態に置かなければならぬ、こういう所存でいままで物を申しているわけでございます。
  236. 春田重昭

    ○春田委員 開港までにはいろいろな問題が残されていると思いますけれども、その残された問題とはどういうことなのか、御説明願いたいと思います。
  237. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 開港までにしなければならないことは幾つかございます。  一つは、先日壊されました機器の復旧でございますが、これはもう済んでおります。  二つ目は、当日の経験にかんがみまして、念には念を入れまして防備体制を強化するという意味で、約五十億円の予算をかけまして各般の施設の強化をいたします。これは一部取りかかっておりまして、五月半ばにはほぼ開港に支障ない程度には完成をする予定でございます。  それから三番目には、警察にお願いいたしまして万全の警備体制を敷いていただくということでございます。  それから四番目には、これが一番基本的な問題でございますが、現地の反対農民との間にパイプをつくりまして対話をしていく、そうして農民の人たちの希望するような、たとえば新しい農地づくりというふうなものにつきまして国も力をかしていくということであります。  この四点が私は開港までにする仕事であると考えております。
  238. 春田重昭

    ○春田委員 四番目の反対住民、反対同盟との話し合いでございますが、幾つかの条件が出ているみたいでございますけれども、お互いの話し合いがつかないでも開港される予定なのかどうか。
  239. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 昨日反対同盟が声明書というものを発表いたしまして、先ほど内容証明つきの郵便で送ってまいりましたものが到着いたしまして、大臣にお目にかけたわけでございます。新聞に報ぜられたとおりのことが書いてございます。ああいったものを声明をするということは反対同盟のいまの立場とすればあるいはそうかもしれないけれども、あれには私どもとしてとても応ずるわけにいかないことがたくさん書いてございます。  しかしながら、そう言っていたのでは話になりませんので、私どもは、彼らのたてまえはたてまえといたしまして、やはりあくまでも対話をしていきたい、その対話の糸口をつくりたいという努力をいまなお続けているところでございます。
  240. 春田重昭

    ○春田委員 三番目の警備状況でございますが、警察庁にお尋ねいたします。  警察庁としては、いま空港警備隊というのが構想として上がっているそうでございますが、これはどういう形の警備体制なのか、御答弁願いたいと思います。
  241. 若田末人

    ○若田説明員 お尋ねの空港警備隊につきましては、名称もまだ仮称でございまして現在検討中でございますが、人員につきましては千五百名でございます。その経費負担等につきましては、特に国家的な性格が非常に強い面もございますので、いろいろむずかしい面はございますけれども、全額を国庫負担にお願いしたいというようなことで検討いたしておるところでございます。
  242. 春田重昭

    ○春田委員 そこで、千五百名の空港警備隊でございますけれども、この人員ですね、全国から集められると思うのですが、どういう形で募集されるのですか。
  243. 若田末人

    ○若田説明員 お尋ねのとおりに、いまの時期に急に募集をすること、千五両名を直ちに集めるということは大変むずかしいことでございますし、また警察官は、募集いたしまして直ちに職務につくわけではございません。大学卒業は半年の教養期間がございますし、高校卒業は一年間の期間が必要でございます。そういうことでございますので、その間は原則的にはいまの応援体制——現在も各都道府県の警察官約二千名の応援をもらっておりますが、この応援と千葉県の警察官をもちましてしばらくの間警備をやってまいりますけれども、その間といえども一時も早くやるべく各県にも募集の面でいろいろ援助をお願いしまして、なるべく早く発足をいたしたい。また千葉県出身の各都道府県に行っております警察官等もおりますので、そういう面の協力もいただきまして、千葉県の方に帰る警察官がおりましたら、教養もできて.おりますので、そういう面も含めて、少数の人数でございましても早急に発足をして順次充実をしてまいりたい、このように考えております。
  244. 春田重昭

    ○春田委員 この空港警備隊というのは暫定的なのか、恒久的な存在としていくのか、この辺はどうなんですか。
  245. 若田末人

    ○若田説明員 現在の成田空港を取り巻きます情勢から考えますと、一応現時点では恒久的に考えておりますが、将来大変平和になりましてすべてが解決いたしましたときには、また別な対処の仕方があろうかと思います。
  246. 春田重昭

    ○春田委員 一応恒久的ということでお考えになっているみたいでございますが、全国から精鋭部隊を集めるわけでしょう。経験者を集めるわけですね。当然、各県におきましてはそのあいた分は不足になるわけでございますから、補充が必要になるわけです。この空港警備隊については一応費用は国家で持とう、千葉県警ではないという考え方があるみたいでございますけれども、全国から募集してあいたその警察官の補充というのは国で持つのか、いわゆる地元で持つのか、その点はどうなんですか。
  247. 若田末人

    ○若田説明員 空港警備隊につきましては、千葉県の警察官としてやるわけでございますが、お尋ねのように非常に国家的な性格がございますので、例外的に国庫支弁をお願いするわけでございまして、いろいろ各県の支援もいただいて空港警備隊を早急に設置をいたしますが、そのあいた分については各県におきましてそれぞれまた募集をいたしまして埋めるわけでございますので、各県の警察におきまして責任を持つわけでございます。
  248. 春田重昭

    ○春田委員 そうしたら、当然府県議会がその費用を持つわけでございまして、その辺の府県議会と地元と国の話し合いというのは行われているのですか。
  249. 若田末人

    ○若田説明員 ただいまお尋ねの件をちょっと整理をいたしますと、人員が当面間に合わないので応援して空港警備隊を早急に補充するというようなことで、ある意味で出向と申しますか、その県の警察官が千葉県出身者でありますような方々に来てもらうというようなことで、跡を埋めるのはその県でまた募集した新しい警察官で埋めるということと、先生お尋ねの成田の警備について、空港警備隊とは別に、そういう名称のもの、それは千五百でございますけれども、それとは別に、現実にいま事案が起こる、あるいは起こるかもしれないというようなことで、五月二十日の開港に向けての警備に各県から応援をもらうことがございますが、これは別な問題でございまして、各県からそのために応援をもらう警察官はいわゆる空港警備隊ではございませんで、その県の警察官を二週間なり三週間なり応援をいただくわけでございますが、この機動隊の応援につきましての活動経費につきましては国庫で支出をすることになっておるわけでございます。
  250. 春田重昭

    ○春田委員 ちょっと時間がないので、この問題はおきます。  次に、過激派のねらいというのは燃料輸送ルートが次のねらいである、このようにうわさされておるわけでございますけれども、これに対する警察庁それから国鉄当局の警備はどういう体制をとっているのか、御説明願いたいと思います。
  251. 若田末人

    ○若田説明員 国鉄燃料輸送関係の警備についてのお尋ねでございますが、これは開港前に何回か運んだ経験がございまして、すでに五万数千キロリットルが貯蔵されておるわけでございます。  その経験から申しますと、千葉ルートと鹿島ルートというのが二つございまして、鹿島ルートは茨城県と千葉県にまたがるわけでございます。千葉ルートの方は千葉県だけによるわけでございますが、輸送の便数が鹿島ルートの方が約倍ほどございます。そういうことと、しかも二つの県にまたがるというようなことでございますので、前回行いました経験から申しますと、警備の警察官は鹿島ルートに約二千、それから千葉ルートに約千というようなものを張りつけまして、国鉄当局と緊密な連絡、連携のもとに、ヘリコプターその他等いろいろな機材も十分に活用いたしまして、警察官を沿線に配置する等してやっておるところでございますが、三月二十六日の過激派のああいう過激な行動に徴しまして、国鉄当局でもやっていただいておるようでございますが、公団による空港警備と同様に、自主的に物的にも沿線の警備を強化していただくというようなことで、フェンスを張っていただくとかその他のいろいろな対策も講じていただきつつあるところのようでございますので、そういう物的な防護施設と相まって警備の万全を期してまいりたい、このように考えております。
  252. 福永健司

    福永国務大臣 警察の方でも一生懸命にやってくれております。それは恐縮に存ずるわけでございますが、同時に運輸省のもとの国鉄等でもこれについてはできるだけのことをしなければならないのは当然でございまして、具体的なことにつきましては担当者からお答えさせることにいたします。
  253. 田口通夫

    ○田口説明員 国鉄の方は、まず設備の問題でございますけれども、先ほど大臣からお話ございましたように、まず防護さくをつくりまして、先ほど警察庁からお話ございましたように、特に重点は北鹿島から成田間がかなり侵入しやすい状況でございますので、できるだけさくを設けたい。それからまた、非常に重大な鉄橋あるいは隧道、そういうところでは警備員詰め所を置きまして、随時必要な時間に警備を行う。あるいは重大な問題は変電所でございまして、変電所のためのさくを設けるというようないろいろなことを考えております。  それから人的な措置といたしましては、やはり公安職員等の警戒、さらには警備保障会社等と現在話し合っておりますが警備員の配置、そういうことで異変がありましたときの情報を極力早くキャッチするというような対策を現在講じつつございます。
  254. 春田重昭

    ○春田委員 先ほど警察の方がお答えいただきましたけれども、あれは備蓄のための警備状況でしょう。今後、本格的ないわゆる燃料輸送が行われるわけでございますけれども、それについても三千名張りつけるわけですか。  それと、国鉄の方でございますけれども、いまガードマンないし公安職員ないし国鉄職員で警備をやっていきたいという御説明がありましたけれども、もう少し具体的に、何名ぐらいでやりたいのか、その辺両方からひとつ御説明いただきたいと思います。
  255. 若田末人

    ○若田説明員 いまお尋ねの件でございますが、当面五月二十日前後の輸送が開始されましたときにはそういう体制で参りたいと思っておりますし、それから以後情勢に応じまして、情勢が悪くなればまたふやすこともありましょうし、また情勢が落ちついてまいりますれば重点的な警戒になろうかと思います。
  256. 田口通夫

    ○田口説明員 公安職員につきましては、約八十名程度考えております。それから警備員につきましては、現在要注意個所が四十ヵ所ございまして、これには恐らく最小限二名は張りつけなくちゃならぬというふうに考えております。
  257. 春田重昭

    ○春田委員 だから、ガードマンは合計何名なんですか。
  258. 田口通夫

    ○田口説明員 四十ヵ所非常に重要な場所がございますので、そこに最低二名は必要であると思いますので、合わせまして八十名ということでございます。
  259. 春田重昭

    ○春田委員 その重要な個所というのは、たとえば空港内のタンク、また成田の土屋ですか、あそこもタンクがあるそうでございますけれども、そういう点も警備されるんですか。
  260. 田口通夫

    ○田口説明員 国鉄が主としてやります四十ヵ所と申しますのは、たとえば踏切とかあるいは隧道の入り口で上から物を落とされると困りますので、そういうようなところをやりまして、現在の鹿島なり京葉なりのタンクはそれぞれ臨海鉄道の沿線にございますので、これは臨海鉄道の方でそれぞれ警察等と十分連絡をとりながら警備をされるというふうに聞いております。
  261. 春田重昭

    ○春田委員 このルートは大体百キロあると聞いているのですけれども、百キロあるのを百名足らずの——公安職員が四十名加わりますから百二十名ですか、警察は、ほとんどそういう本格的になりましたら当てにならないと思うんですよ。したがって、この貨車輸送ルートというのは、パイプラインができるまでは、この公安職員とガードマン合計百二十名でやっていくわけでしょう。それが百キロあるわけですね。それで十分守れますか。
  262. 田口通夫

    ○田口説明員 土屋の基地という話がございました。まずその前に、私回答いたしませんでしたけれども、土屋の基地のタンクは空港公団が運営いたしておりますので、警察庁の方と十分話をされて警戒されると思います。  それで、沿線のことでございますけれども、先ほど申し上げましたように、確かに人数だけでは八十名、八十名ではとても百キロあるところは大変じゃないかということでございますが、私ども設備を重点にいたしまして、情報をできるだけ早目にキャッチするということを中心に考えておりまして、基本的な、たとえば橋梁の爆破等そういうことよりも、国鉄でできる限度といいますのは、いたずら程度をできるだけ早くキャッチして未然に列車その他の支障を除く、こういうふうな体制で臨みたい。やはり重点は、設備をどういうふうにしていくかということで解決をしていきたいというふうに考えております。
  263. 春田重昭

    ○春田委員 いずれにしてもこの貨車輸送ルートにはいろいろな問題が残っていると思います。成田の土屋から空港までの八キロくらいのパイプもあるみたいですけれども、これについても深さ一メートルくらいしか入っていませんので、その破壊工作がないとはいえませんし、本当にそういう問題では、マスコミでもとらえていますけれども、次のねらいはこのルートであると言われるだけに、ひとつ万全な体制というものをとっていただきたい。  時間がありませんので次に進みます。  そこで、大臣にお尋ねいたしますけれども、この貨車輸送というのは暫定的であって、三年後にはパイプラインを敷設することになるわけでございます。若干コース等も変更になったみたいでございますけれども、現時点で三年後パイプラインが必ず敷設できる、開通できる、そういうめどはどうですか、ありますか。
  264. 福永健司

    福永国務大臣 本格パイプラインの敷設ということはぜひ必要でもございますし、それもただいま三年ということでいろいろ折衝も開始し、その手順で進めておるわけでございます。心配すればきりがないと言えばないのでございますが、私どもはどうしても計画どおりに進めたい、こういうように強く考えておるところでございますし、私はそれができると信じておる次第でございます。
  265. 春田重昭

    ○春田委員 これは着工したら建設期間というのはどのくらいかかるのですか。
  266. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 空港公団の試算によりますと、着工いたしまして二年九ヵ月かかると思っております。若干短縮は可能かと存じますが、どんなに短縮いたしましても二年半ばかかると思います。したがいまして、逆算いたしますと、ことしの秋には着工いたしませんといけないということでございまして、現在空港公団は千葉市を初め関係沿線の市町村と話し合いを詰めておるところでございまして、順調に話し合いは進んでおると考えております。
  267. 春田重昭

    ○春田委員 地元との話し合いがことしから始まったみたいでございますけれども、いまの航空局長の話では順調にいっているという話でございますが、私の聞いている範囲内では、非常に難航していくのではないか、したがって、この秋までに話し合いの打開の方向にはいかないのじゃないか、したがって、二年半かかるのだったら三年以内というのは非常にむずかしい、こういう感触を私は得ているわけでございますけれども、いまの局長の話からいったら何とか秋に向けていきたいということでございますので、それを信じてこの場では一応質問を終わりたいと思います。  さて、この貨車輸送の問題でもう一点だけ気にかかるのは、備蓄のためには管理職の方ががんばって輸送したわけでございますが、その後、動労も協力するということで何か話し合いがついたみたいでございますけれども、その点は間違いないのですか。
  268. 田口通夫

    ○田口説明員 ただいま御指摘のとおり間違いございませんが、現在、職員が乗ることについての労働条件等について団体交渉を現地でやっております。
  269. 春田重昭

    ○春田委員 続きまして、空港問題が出ましたので関連いたしまして関西新空港についてお尋ねいたしますが、この関西新空港につきましては、四十九年八月、航空審議会から答申が出されておるわけでございます。この答申の中には、調査期間を五十三年いっぱいで終わる、そして開港目標として大体六十年代の初め、こういう形で答申されておりますけれども、大臣の感触としてどのようにお考えになっていますか。
  270. 福永健司

    福永国務大臣 御指摘になりましたようなぐあいに進みますと大変結構だし、私もそれが望ましいと思うのでございますが、現実はそれよりも若干おくれております。しかし、このおくれておりますという中で地元の皆さん等がいろんな調査をし、いろんな協議をしということで進めていただいております。これも十分やりませんと、さっき小川さんにしかられたような話で、若干おくれたということは、これははなはだ残念に思いますけれども、後になっていろいろ足りなかったということよりはまだましだと思いまして、なお念を入れているところでございますが、私といたしますと、もうこの後だんだんいろいろ時間も迫ってまいりますので急ぎたい、そういうように考えております。
  271. 春田重昭

    ○春田委員 調査は五十一年度から三年以内という形でされているみたいでございますけれども、調査の終わる段階というのは大体何年ぐらいをめどにされておるのですか。
  272. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 実は当初は五十一年度から三年間でやるつもりにいたしておりましたけれども、まず気象、海象等を調べるための観測塔を泉州沖及び陸側に建てるという話がございまして、これに対して地元の反対が強うございまして、実質的に一年間ほどおくれました。もちろんほかの調査はもう始めておりますけれども、いまの問題がございましたものですから、五十三年度中に全部終わるということは無理になりました。やはり五十四年の半ば過ぎくらいまではかかると思いますが、なるべくおくれを取り戻しまして早く調査を終わりたいと思っております。
  273. 春田重昭

    ○春田委員 この空港も、先ほどと同じようにお尋ねいたしますけれども、着工して大体どれぐらいで完成するのですか。
  274. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 これはどのような工法をとるかということによりましてもかなり左右されてくると思います。しかしながら、事前に十分調査をいたしまして、調査結果をすべて地元に公表し、その公表した結果を関係府県知事の段階でまとめてもらって、よしとなったときから着工するわけでございますから、成田空港のように着工してからおくれるということはないと思うのであります。したがいまして、完全な工事期間だけ見ればいい、こう考えますが、大工事でございますから、やはりどんなに早くても五年は見る必要があると思います。
  275. 春田重昭

    ○春田委員 そこで、いまの建設工法でございますけれども、答申の中でもいろいろな形でされておりますが、原則として主体としては埋め立てというのが答申の中にありますけれども、それは予算委員会で大臣が、いわゆる現状の社会情勢、経済情勢を踏まえて、現時点でならば浮体工法だって考えられる、その方がいいんじゃないか、そういう御答弁をなさったと聞いておりますけれども、大臣のこの発言の理由、その辺をもう少し明確にしていただきたいと思います。
  276. 福永健司

    福永国務大臣 私はどれがいいと断定的に言ったのではございません。よく御承知のように、航空審議会の答申は、もうずいぶん何年か前の話ではございますが、埋め立てを主体とするという表現になっております。そこで、埋め立て、桟橋方式、浮体工法等いろいろあるわけでございますが、埋め立てには埋め立てなりにいろいろな問題がございます。私が浮体工法を申しましたゆえんのものは、別にそれに限るという表現ではございません。いろいろな問題があるだけにみんなで相談して、これがいいあれがいいというようなことにするには、いろいろなことをよく研究してもらって、また必ずしも一つの工法によって埋め立てだけでとか桟橋だけでとかということでなくて、いろいろ組み合わせて最もよき空港をつくるというようなこともあり得ると思います。  それにかてて加えて、私の所管でございます造船が非常に不況にあえいでいる。もとですとそんなに安くああいう作業をというようなことは、造船でも余り考えてなかったのでございますが、いま日本ではそういうことでもまさに世界で一番先に進んでおりますだけに、もしそういう技術が生かせることができると、それに携わる労働者諸君がこのごろのように職を失っていくということが相次いでいるというようなことはぜひ防ぎたい、こういうことを私はいろいろ考えまして、こういうことも考えてもらってはどうかということで御検討いただいておる、こういうことでございますので、その後の技術水準等のここのところでの長足の進歩等もございますし、またいろいろの観点からみんなが考えてくれておりますから、その結果どれがいいということを決めていただけばよろしい。そういう意味で、私はかなり前に行われた答申そのままであるのがいいかどうかもあわせて考えてもらえばよろしかろう、こういう気持ちでああしたことを言った次第でございます。
  277. 春田重昭

    ○春田委員 浮体工法でやっている空港というのは世界のどこかにあるのですか。
  278. 福永健司

    福永国務大臣 一部その種のないしそれに近い方法をとっているところもございましょうが、全体がそういうような空港というのはまだないと思います。  ただ、空港ではないが、そういう施設も世界のあちこちに多少はあらわれつつあります。たとえばいま話題に出ております関西の新空港がどうこうというような、これは決してそういうようになると決まったわけでもございませんけれども、そういう大変大きなスケールのものはあらわれてはおりません。
  279. 春田重昭

    ○春田委員 不況産業を救おうという意味で大臣の発想があったと思いますけれども、発想はいいとしても技術的には非常にむずかしい面が残っているんではなかろうかと思いますので、より慎重を期していただきたいと思います。  最後に、関西新空港がもし完成した場合、現伊丹空港の存続、廃港という問題があるわけでございますけれども、これはどのようにお考えになっていらっしゃいますか。
  280. 福永健司

    福永国務大臣 昭和四十八年七月でございましたか、大阪国際空港騒音対策協議会に対しまして運輸省が、「大阪国際空港の将来のあり方については、関西国際空港の開港時点にこれを撤去することを含めて検討するものとし、検討に際しては地元公共団体の意思を十分尊重する。」こういうように回答いたしております。私はこの考え方によって、いままでの空港はどうするかということは地元とよく相談いたしまして最も納得のいく措置をとりたい、そういうように考えております。
  281. 春田重昭

    ○春田委員 いずれにしましても、関西新空港も成田空港を他山の石として、より慎重を期していただきたいと思います。  それでは、続きまして国鉄の問題でございます。  高木総裁御出席いただいておりますので、御質問いたしたいと思いますが、国鉄の累積赤字は五十年度に三兆一千六百十億円に達したわけでございますけれども、五十一年度で特別勘定に移しかえた二兆五千四百四億円と、固定資産再評価積立金の減額によりまして整理した五千六百四億円、合計三兆一千八億円を減額したにもかかわらず、なお五十一年度損失が九千百四十一億円出ましたので、したがって、これを合計いたしまして九千七百四十二億円となっております。また各年度の純損失は年を追うごとに高くなっていることは、いかんともしがたいことでございます。  そこで、高木総裁が就任してことしで二年におなりになりますけれども、かかる状況回復のためにいかなる措置を講じてこられたのか、お伺いしたいと思います。  さらに大臣としてもこういう現状をどのようにとらえておられるのか、あわせて御答弁いただきたいと思います。
  282. 高木文雄

    高木説明員 現在の国鉄の財政状況は、率直に言って破産とも言うべきものであろうかと思います。収入支出がつじつまが合っていないわけでございまして、五十一年度では九千百四十億、そして五十二年度にもほぼ同じ赤字が発生したわけでございます。その構造は、別の表現をとりますと、大体収入が二兆で経費が三兆というようなことになっておるわけでございますので、企業としては体をなしていないということでございます。  その対策といたしましては、やはり事業体でございますから収入をどうやって上げていくか、あるいは経費をどうやって節するかという、結論としましてはきわめて簡単なことでございますけれども、その二つしかあり得ないわけでございます。一昨年の国会におきまして非常に御迷惑をかけながらかなり大幅の値上げを認めていただきました。また昨年の国会におきまして運賃法定主義の手直しをしていただきましたのも、適時に収入を上げさせていただきたいというところから出ておるわけでございます。  経費を節するにはどうしたらよろしいかということになりますと、何と申しましても圧倒的に人件費の多い産業でございます。そういう点から言いますと、人の使い方の能率化ということを図ることが何よりも大事なことになってまいるわけでございます。しかし、決してむだな人がいるとも思っていないわけでございまして、ずいぶん長い間、少ない人で運営するにはどうしたらいいかということを繰り返してきておりまして、人の数もだんだん減ってきておりますので、さらに少ない人でやるということはなかなかむずかしいわけではございますけれども、しかしいろいろ新しい機械設備を導入するというようなことであるとか、あるいは勤務の仕方をいろいろ変えることによって人を減らしていく工夫をしなければならぬと思っております。  その具体的な手だてといたしまして、一昨年ぐらいから貨物輸送をもう少し能率的にやるようにしたいということでいまそれと取り組んでおるわけでございまして、このことはたとえば取扱駅の数を減らさなければならないというふうなことで、利用者、国民の皆さんにも御迷惑が及ぶのでございますけれども、現在貨物の赤字が大変大きな額になっております関係上、貨物運営の合理化ということにまず取り組んでおります。それから先どういうふうにしてだんだんつじつまが合うように立て直すかという問題があるのでございますけれども、またそれは非常にむずかしい仕事であるわけでございますけれども、何はともあれ今日の問題としては貨物問題に取り組んでそれを具体的に数字の上にあらわれてくるようにしなければならないと思っております。  また、このような赤字の中には、本来国鉄では何ともいたし方のない部分もいろいろございますので、毎年かなり多額に政府からの助成をふやしていただいておるわけでございますけれども、話の筋道として、税負担といいますか一般会計負担で持っていただいてもよろしいものもあると思いますので、さらにそういうものを縦から分析し横から分析しまして、理屈のつく部分については、やはりこういう公共福祉的な事業でございますから、そういう面については、納税者の御納得の得られるような筋道の部分につきましては、助成を今後もふやしていただきたいというふうに私は思っておるわけでございまして、なかなか容易ではございませんが、あの手この手を組み合わせて何とか再建のめどを立てたい。まだ現状でははっきりそこまで至っていないというところでございます。
  283. 福永健司

    福永国務大臣 国鉄を何とか建て直さなければならないということは、私は私の立場において強く念願しているところでございます。だが、なかなか容易でないということも現実でございます。いま高木総裁がいろいろ申し上げたのでございますが、そういう点につきましてはわれわれもともに考えなければならぬこともたくさんございます。     〔楯委員長退席、村山(喜)委員長代理着席〕  しかし、国民全体が、赤字の中、国鉄はよくやっているなと言ってくれるようなところが相当ないといかぬと私は思っております。この点については私は厳しく対処いたします。いろいろな点でそういう努力をして、なおかつ容易でないと思います。  先ほど話があった、たとえば一例を挙げてみますと、国鉄の負担ということで確かに社会福祉的な大きな割引なんかというようなのもございますし、その他学生なんかについては、場合によったらこれは本当は文部省が考えなければならない問題であるかもしれません。こういう問題が幾つかございます。こういう点につきましては、余りそればかり先に言うと必ずしも国民から覚えがめでたくなくなると思うわけでございます。いまのような話等につきましても、逐次関係閣僚会議等を進めまして、まだこれも本格的に動いておりませんが、そういうようなことにも対処していきたいと思います。  そしていろいろやっても、なおかつすぐにどうというわけにはなかなかいかないと思います。相当かかると思います。しかし、わが国には長く忍耐強く解決していかなければならない問題も幾つかございます。私は、国鉄のこの問題はまさに大きな政治課題の一つであると考えるわけでございまして、いま申しましたような考え方はまだまだたくさんあるわけでございますけれども、国民の注視の中で本当に愛される、信頼される国鉄にしながら、これを何とか再建していく、建て直していくということにいたしたいと強く念願している次第でございます。
  284. 春田重昭

    ○春田委員 ただいまの説明、特に総裁のお話の中で、国民の負担も願いたいし、政府の援助もいただきたい、それ以上に国鉄も一生懸命努力をやっています、こういうお話があったわけでございますけれども、しかし毎年純損失が一兆円に近い額が出ているわけでございます。このように赤字が続いている国鉄でございますけれども、国鉄法の施行令第一条というのがありますが、それを改正して国鉄の出資による企業を次々と設立されているわけでございますが、たとえば昭和四十六年十二月に施行令を改正したことによって新たに二十九社が設立されておりますが、その理由というものはどういうものか、御説明願いたいと思います。
  285. 篠原治

    ○篠原説明員 国鉄法第六条に基づきまして設立いたしました会社は、現在時点、本日ただいまの時点で五十七社ございます。この会社はいろいろございますけれども、その目的は必ずしも国鉄の関連事業収入を上げるというような、今度改正をお願いいたしましたような趣旨とは違うわけでございます。  たとえて申し上げますならば、臨海鉄道等につきましては、部外資金を活用いたしまして臨海工業地帯の鉄道を整備をいたして国鉄の輸送力を確保するとか、あるいは部外能力の活用によって物資別適合輸送体制をつくるとか、こういうようなことでいろいろ書いてございますけれども、簡単に申し上げますと、施行令の第一条に書いてございますものは、国鉄の輸送を確保するというのが主たる目的でございまして、それから上がるとこころの国鉄の関連事業収入的なものではない。国鉄の輸送力を確保し、かつ輸送を確保し、国鉄営業の増進に資するというのが目的でございます。そういうような目的によって設立されたものでございます。
  286. 春田重昭

    ○春田委員 私は誤解しているんですかね。私の資料では、国鉄施行令第一条の第七号、第八号、第九号で二十八社、第六号で一社だけ設立されているわけでございまして、臨海鉄道事業等も傘下にありますけれども、いまこれを聞いているんじゃないのです。  そこで、このいわゆる施行令第一条によって国鉄が出資している会社が二十九社あるわけでございますけれども、現在その実態というものを私お尋ねしたいわけでございますが、収益を上げている企業と、収益を上げていない、いわゆる赤字が出ている企業があると思います。そこでその数を出していただきたいと思います。
  287. 篠原治

    ○篠原説明員 ただいまの先生の御質問と少し数が違うわけでございますけれども、決算で申し上げますならば、五十二年度はまだ決算が出ておりませんので、五十一年度の数字で申し上げますと、いま先生がおっしゃいましたのは一条のうちの一部分の御質問だと思いますけれども、ただいま持ってまいりましたのは一条に基づきますもの全部書いてございますが、五十一年度全部で四十六社ございます。四十六社ございますうちで、その時点で開業いたしております分は四十一社でございます。会社はできましたけれども、まだ会社の工事中であるというのが五社ございます。四十一社のうちで当期で利益を出しましたのが三十社でございまして、当期で欠損を出しましたのが十一社、こういう計算になっております。
  288. 春田重昭

    ○春田委員 そこで、経常収益を上げていない会社が十一社ということでございますけれども、この会社の赤字になっている理由というのを一つ一つ聞いたらちょっと時間がありませんのでなんでございますけれども、その主な理由というのはどういう理由なのか。
  289. 篠原治

    ○篠原説明員 ただいま申し上げましたうちの赤字の会社、先ほど申し上げました建設中のものは論外といたしまして、十一社でございます。十一社のうちの大半はターミナルビルでございます。ターミナルビルは、会社はつくりまして営業はいたしました。ただし、開業いたしましてもあの種のものは二、三年たちませんとなかなか経常利益を生まないというのが会社の性格でございます。それで、十一社のうちの大半はオープンいたしましてから一、二年のものでございます。したがって、三、四年たちますならば大半の会社は当期利益を計上されるであろうと考えますし、それ以前に閉業いたしました分の実績を見ましても、大体開業いたしまして四年ぐらいたちますと利益が出てまいるのが大半でございます。その他二、三ございますけれども、この種のものは後二、三年で大体当期利益は出るであろう、かように考えております。
  290. 春田重昭

    ○春田委員 施行令第一条第六号によって設立されました京浜パイプライン株式会社というのがあります。御存じだと思いますが、この企業はいかなる目的のために設置されたのか、背景について御説明いただきたいと思います。
  291. 田口通夫

    ○田口説明員 背景を申し上げますと、すでに御存じのとおり、国鉄のトランクライン建設、川崎地帯、横浜地帯から八王子を経て南埼玉へ参りますトランクラインの建設と対応いたしまして、まずトランクラインの集油所まで各メーカー、精油所から持ってこなければなりませんので、それの建設のために京浜パイプライン株式会社というのを四十七年に設置をいたしたいということでございます。
  292. 春田重昭

    ○春田委員 私の調査では、この企業は四十七年の一月に設立されております。経常利益、当期利益はいずれも今月までゼロで推移しております。さらに資本金は四億円で、そのうち一億八千万を国鉄が出資しているわけでございますけれども、今日までその四億円のうち約二億円が食いつぶされている状況になっているわけですね。その理由はどういう理由なんですか。
  293. 田口通夫

    ○田口説明員 すでに御存じでございますが、現在開店休業、もっぱら調査をやっておるということでございまして、御指摘のとおり流動資産と有価証券等の運用によって営業収入、収益を上げまして、人件費その他事務費等を賄っておりまして、すでに貸借対照表、損益計算書でお示しいたしましたように、逐年三十万円ないし四十万円の赤字を出しておるという現状でございます。  したがいまして、今後は、いま御指摘がありました現在の二億円の資産をいかに上手に運用しますか、一方人件費、事務費等を極力切り詰めた中で、開業までいかに経費節減と資産運用による収入努力していくかということがかぎだと思っておりますし、逐次その方向で努力をさせるつもりでございます。
  294. 春田重昭

    ○春田委員 私が聞いているのは、そういうやりくりで当面をしのぐというものではないのですよ。四十七年一月に設立して、事業は全然やっていないわけでしょう。その理由は何なのかと聞いているのです。
  295. 高木文雄

    高木説明員 一口に申しますと、パイプラインによって油を輸送することについて、国民といいますか関係地域住民の不安感が非常に強いわけでございまして、いまのところパイプラインによって油を運ぶことについて沿線住民の了解がなかなか得られないということでございます。  そこで、どう考えるべきかということでございますが、実はあの横浜、川崎から八王子に至る地区につきましては他に貨物専用別線をつくりましたというような問題がありましたり、あるいはまた他の線の問題で残念ながら住民の皆さんとの間で理解が得られないまま推移している問題がございますので、この際余り無理をしてもいけないのではないかという問題がありますのと、もう一つは、先ほどちょっとお触れになっておりましたように、成田空港へ運ぶパイプラインの問題で千葉県の方で了解が得られなかったために今日に至っているという問題があります。  そういうパイプラインによる油輸送アレルギーみたいなものがまだとても簡単には解けない状態にあるわけでございまして、私どもは列車で、タンク車で軌道の上を油を運ぶよりも、むしろパイプラインの方が安全であると確信いたしておるわけでございますけれども、なかなか了解が得られないという現状でございます。  何とか千葉の問題と並行しながらパイプラインによる油輸送について関係者の方々の不安を取り除いていかなければならぬ、大変気の長い関係になっておりますが、いい時期をつかまえて精力的にやりたいと思っております。そのいい時期がまだ来ないということで、会社はできましたけれどもいま実は休止状態にあるわけでございまして、大変残念でございますけれども、現状としては余り無理にも進められないという段階であります。
  296. 春田重昭

    ○春田委員 たとえばこの会社が半年前、一年前に設立されてその後全然動いてない、実を言うと成田の問題もあるし地元の了解もないから現在このように休眠しているのだ、そういうのなら理由だってある程度わからないこともないのですよ。ところがすでに、六年前設立されているわけでしょう。それがいまさら成田の問題が出てくるというのは余りにも主体性がないではないですか。国鉄としては本当にパイプラインを引く腹なのか、それとも社会情勢の変化で需要もないし、地元の了解もないから白紙に返してやめていく腹なのか、どっちなのですか。
  297. 高木文雄

    高木説明員 世界各国の例を見ましてもパイプラインによって油を輸送するのはある意味では常識的な方法として広く受け入れられているわけでございます。わが国の場合にもそういうことを考えて、国内の消費量がどんどんふえてまいりましたからレールで運ぶのは適当でないということで、場所によってはパイプラインに置きかえていきたいということで法律ができて今日に至っておるわけでございますが、時たまたま成田の方でああいう問題も起こりまして、パイプラインで送ることができなくてやむを得ず先ほどお尋ねがございましたようにタンク車を使って運ばざるを得ないといういわば時代逆行的なことに追い込まれているわけでございますが、千葉の方でもタンク車によって運びますのはあくまで暫定輸送方式であって、究極はパイプラインになるという方向にいま進んでおりますところを見ますと、だんだんと日本の皆さんの間でパイプラインによる輸送の有効性について理解が広がっていっていると思いますから、むしろこのチャンスをつかんでパイプラインについての有効性をまず関係の方々によく理解をしていただくことを進めていったならば、決して実現できないことではないと思っております。  ただ、いかにもパイプライン問題は、成田問題の一つの大きな問題になったことでもおわかりいただけますように、拒否反応が非常に強いわけでございますので、そういう意味では余りあせってはいけない、いずれそこへ到達しなければいけないが、余りあせってもいけないということで、いまは進めないままにしておるということでございます。
  298. 春田重昭

    ○春田委員 あせってはならない、それはわかりますよ。趣旨もよくわかりますけれども、約四億円のうち一億八千万円、約四五%国鉄が出資をしているわけです。設立されたのが六年前ですよ。それがいま開店休業で全然動いていないわけですから、四億円のうち二億円は人件費等で食われてもうないわけでしょう。国鉄は先ほどお話があったように毎年毎年九千億ないし一兆円近い赤字が出ておるわけですよ。先ほど総裁もおっしゃったように国民の皆様の御了解をいただかなければならない、値上げをしてもらわなければならないわけでしょう。最終的には国民のツケになってしまうわけですよ。そういうことを考えたら、余りにも見通しが甘いというか、計画性が全然なかったと言って指摘されても、どうしようもない問題ですよ。最近成田の問題が出てきたからそれを取ってつけて言っているみたいでございまして、私から言って余りにも主体性がないように思って、この問題については本当に真剣にそちらで考えているのかどうか。先ほどの話から言ったら、成田の方のパイプラインは大体秋ごろくらいまでにめどをつけたいという話があったのですが、それと並行してこの会社はその推移を見ていきたいというお考えなんですか。
  299. 高木文雄

    高木説明員 率直に申しまして、成田のように緊迫性がないものでございますから、現在はとにかくレールで運んでおるわけでございまして、これは非常に長く続いておるものでございますから、仮に成田の方が、先ほどの政府委員の御答弁のように、この秋までに大体了解がとれて進むといたしましても、そのおかげでこちらも話し合いがすぐつくというところまでにはなかなかいかないと思います。  そこで、率直なところ、いまはちょっと手を休めておるといいますか、わけでございまして、実際は現在のところほとんど経費がかかりません。相当多くの金額が過去においてかかっておりますが、これは調査をやっておったからかかったわけでございますが、いま休眠状態でございますので、そう経費もかかりませんので、その分は先ほど田口常務理事がちょっと触れましたように、残っております資本金運用等によって、少なくとも資本の食いつぶしにならない程度には持っていかなければならない、そして様子を見てもう一遍改めて活動を開始するようにしてはどうかというのが現状でございます。
  300. 春田重昭

    ○春田委員 いずれにいたしましても、こうした、いわゆるつくったわ、その後全然動いていないという企業が、やはりそのまま放任されていたというのは私は問題だと思うのですよ。先ほど、ターミナルビル等も赤字が出ているけれどもこれは必ず将来黒に転換するということで理事のお話もございましたし、そういう面はいいとしても、全然動いていないのですから、確かに職員等は削減されまして現在は常勤の方が三名だけだと聞いておりますけれども、三名でも年間にすれば相当の費用が出ていっているわけですよ。そういう点を考えてみたときに、こうしたいわゆる赤字というものは最終的に国民の方へツケが回されるわけでございますので、その辺は真剣にひとつ考えていただきたい。  もう一つ。この際、こうした問題が発生したわけでございますから、やはりこの国鉄傘下の、いわゆる資本を投じたそういう企業等は、もう一回洗い直してほしい、この点を要望しておきます。  最後に、大臣として、こうしてこの一つの例を申し上げたわけでございますけれども、国鉄が大変なのはわかりますけれども、こうしたいわゆる非常に甘い計画のもとでされた企業もあるということを知っていただきたいと思うのですよ。そういう点で大臣の御決意を聞いて、終わりたいと思います。
  301. 福永健司

    福永国務大臣 いろいろ有益なお話を伺いました。さなきだに苦しい状況にある国鉄でございますから、いまお話がありましたようなそういう関連事業等については、これは本当に厳しく見ていかなければならぬと思います。私もそういう気持ちで、今後これに厳しく対処していきたいと存じます。
  302. 春田重昭

    ○春田委員 せっかく国鉄の問題が出ましたので、一点だけ確認いたしますけれども、昨日の新聞で報道されました公共企業体等基本問題会議意見が出ましたいわゆる国鉄分割構想ですね、国鉄は都市間輸送のみに限って、国電、地方線は特殊会社運営にしたらどうかという、こういう意見のあれが出ているようでございますけれども、大臣の感触はどういうようにお考えになっていますか。
  303. 福永健司

    福永国務大臣 あの種の意見が出ましたので、これはこれでよく検討をしなければならぬと思います。まだ私あんまり詳細なところまで検討するに至っておりませんが——新聞に出ただけで、本当はまだ出てないそうでございます。しかし、一般にはそういうような誤解もあるかと思います。私自身もそういう勘違いをいたしておりました。  そこで、あの種のアイデアが新聞等にも相当広く出ておりましたのでございます。これも確かに一つの考え方ではございましょうが、なかなかそう簡単にいかぬと思います。まあ赤字をなるだけ解消するという観点からしますと、あれもなかなか有力な意見だろうと思いますが、国民サイドから見ますと、ことに地方の人口が余り多くないところの人たちから見ますと、そのまま、赤字か、それではおれたちが皆引き受けてやろうと言うてくれるかどうか、そう簡単な問題でもないと思います。これはいろいろの角度からよく検討しなければならぬと思います。正式にそういうものが出れば、それに基づいて私もよく検討してみたいと存じます。
  304. 春田重昭

    ○春田委員 次に、石油の備蓄でございますけれども、先ほども若干質問が出ておりましたけれども、この石油の備蓄につきましては、九十日備蓄を民間、その後は国家備蓄ということで進められたわけでございますけれども、最近話題になっているのに洋上備蓄とタンカー備蓄というのがありますけれども、最初に、洋上備蓄でございますが、現在長崎県の上五島で民間が主体として進められているみたいでございます。三菱が中心となってやっているみたいでございますが、この企業と住民、特に漁業関係者との活し合いというものはどのような形で進んでいるのか、政府としてはこれに対してどのように対処していくのか、お答え願いたいと思います。
  305. 福永健司

    福永国務大臣 漁民の方々等との話はわりあいにうまくいっているという説もあるし、いろいろこれからよく協議していかなければならぬという注意等も、両方私伺っております。     〔村山(喜)委員長代理退席、委員長着席〕  そこで、そういうことにはもちろん気をつけなければならないと思いますが、地元の漁民ではないような人々からも、実は、これはなかなかおもしろいし、それなりに現地にある程度の収入等もあるということから、歓迎している向き等もございます。ですが、これは総合的によく考えてみなければならぬと思いますが、これの安全と関連いたしましてすでに答申等も行われております。でございますから、いろいろこれから進めていきたいと思いますが、現在の日本の諸般の事情を考えると、ああいう考え方も、いま日本がここで、いろいろの技術等も開発された段階においてやっていくのがいいじゃないかという意見もかなりございます。  そういうわけでございますから、そういうことを総合いたしまして、うまくいくということになれば進めていきたい、こういうように考えておる次第でございます。まだ決定的に何もかも決まったというところへはいっていないということで御理解をいただきます。
  306. 春田重昭

    ○春田委員 四月七日に審議会の答申が出たそうでございますけれども、それを受けて国として具体的な安全指針といいますか基準というものをつくる必要があると思うのですが、それは大体いつごろまでにつくる予定なんですか。
  307. 真島健

    ○真島政府委員 お答えいたします。  いま大臣から申し上げましたように、全部がこの方向に向かってセットされたというわけではございませんけれども、私どもこういう構想がある、したがいまして、こういう非常に膨大な量を貯蔵船方式でやるということにつきましては、初めての経験でもございますので、先生御指摘のように、運輸技術審議会にこの安全についてのチェックポイント等について御諮問申し上げまして、七日に答申をいただきました。この答申には、非常に詳細な項目にわたりまして安全のチェックポイントについて盛り込まれております。私ども、これから早急にこの答申に基づきまして、この答申を具体的な技術基準に引き直す作業をやっておりますが、できる限り早くこの作業を完了いたしたい、できれば五月の終わりごろまでにはこの作業は完了いたしたい、このように考えております。
  308. 春田重昭

    ○春田委員 時間がありませんので、次にタンカー備蓄に移ります。  先ほど、タンカー備蓄につきましては、政府側から五百万キロリットルを大体目標としていくという話がございましたけれども、タンカー備蓄はあくまでもつなぎである、こういう形になっておりますが、これはいつまでをつなぎとしているのか、御説明願いたいと思うのです。
  309. 鈴木玄八郎

    ○鈴木説明員 お答えいたします。  石油公団の備蓄の恒久タンクの建設につきましては、今年度から用地の取得にかかりまして、五十五年度から五十七年度にかけて完成という予定で考えているところでございます。したがいまして、それまでのつなぎとしてタンカー備蓄をいたしたいということでございます。
  310. 春田重昭

    ○春田委員 ということは、三年間と見ていいわけですね。
  311. 鈴木玄八郎

    ○鈴木説明員 五十五年度にはタンクの一部が完成するというふうに考えて準備をいたしておるところでございますので、今年度五十三年度からになりますと、三年まででなくてもう少し短い期間にあるいはタンクのできる可能性もあるかと思います。細かい点につきましては、石油公団法の改正がまだ国会を通過いたしておりませんので、その後で細かい点について詰めたいと思っておりますが、非常に大ざっぱに申し上げますと、そういうことでございます。
  312. 春田重昭

    ○春田委員 五百万キロリットルを備蓄するいわゆるタンカーでございますけれども、これはどれぐらいの規模のタンカーが何隻ぐらい必要なのか、またそのめどがあるのか。時間がございませんので、ひとつ要領よく答えてください。
  313. 鈴木玄八郎

    ○鈴木説明員 船の大きさにつきましてはまだ決定しているわけではございませんが、いずれにしても今後の運営とかコストの点を考えますと、余り小さな船を使うということは適当ではないのではないかと考えております。実際どの程度の船を使うかという点につきましては、今後運輸省とも十分に相談いたしまして決定いたしたいと思っております。
  314. 春田重昭

    ○春田委員 さらに、停泊地の問題でございますが、これは運輸省が探すのか、それとも通産省が探すのか、どちらなのですか。
  315. 鈴木玄八郎

    ○鈴木説明員 タンカー備蓄を実施いたしますのは石油公団でございますが、まだ石油公団法の改正が、先ほど申し上げましたように成立しておりませんので、現在通産省と運輸省を中心にいたしまして合同委員会を設置いたしまして、諸般の準備を進めておるところでございます。したがいまして、公団法が通りますまでの間の準備につきましては、両省を中心にいたしまして検討を進めたいと考えているところでございます。
  316. 春田重昭

    ○春田委員 両省の話し合いはいいわけですよ。どっちが主体なんですか。
  317. 鈴木玄八郎

    ○鈴木説明員 率直に申し上げまして、町方で一緒にやっていると申し上げたらよろしいかと思います。
  318. 春田重昭

    ○春田委員 一説によると、通産省はこれは運輸省だ、運輸省は通産省だ、お互いが言い合っているということも聞いているわけでございますが、いずれにしてもうまい話し合いをやって、そういうけんかはしないようにしていただきたいと思います。  先ほどの、このいわゆる停泊地につきましては、交付金ですか立地交付金キロリットル当たり百円を市町村に渡すということでございますが、漁民関係にはその補償というものは与えられるのですか。
  319. 鈴木玄八郎

    ○鈴木説明員 先ほど申し上げましたように、立地交付金は地方公共団体に交付するものでございますので、補償あるいは水面使用料と言った方がよろしいかと思いますが、そういったものにつきましてはしかるべく補償をするということで考えているところでございます。  それから、決して両省で逃げ合っているつもりは全くございませんで、共同歩調で一生懸命やっているつもりでございます。
  320. 春田重昭

    ○春田委員 その漁業補償は、新聞等によりますと、キロリットル四百円という形になっておりますけれども、これは間違いないですか。
  321. 鈴木玄八郎

    ○鈴木説明員 予算積算といたしましては四百円でございます。実際の補償は個々具体的な場合に応じて支払うという形になるかと思いますが、補償基準につきましては、まだ完全なものはでき上がっておりません。
  322. 春田重昭

    ○春田委員 そうしたら、大体両方合わせて五百円。五百万キロリットルだったら大体年間二十五億円という形になってしまうわけですね。そう見ていいわけですか。
  323. 鈴木玄八郎

    ○鈴木説明員 もし水面使用料をキロリットル当たり四百円ということで払うとすれば、どなたにお払いするかは別といたしまして、四百円の水面使用料とそれから百円の立地交付金が毎年支払われるという形になるかと思います。
  324. 春田重昭

    ○春田委員 そういう停泊の場所はいま検討中だという話がございましたけれども、一部、長崎の橘湾におきましては、地元の知事さんないし市長さんが、そういう交付金なり補償をくれればOKしてもいいというような感触があったと聞いておりますけれども、その点どうなんですか。
  325. 鈴木玄八郎

    ○鈴木説明員 具体的な錨泊の地点につきましては、地元との関係もございますので、大変申しわけないのでございますけれども、現段階では政府側からはお答えできないということで御了承願いたいと思うのです。
  326. 春田重昭

    ○春田委員 それから、コストの問題でございますが、先ほどの説明では、陸よりも若干安くなるんではないかという話がございましたけれども、いろいろな漁業補償等の問題を考えれば、いわゆるタンカー備蓄の方が高くつくのじゃないか、それが消費者の方へはね返ってくるのじゃないかという考え方もありますけれども、その点明確にひとつお答え願いたい。
  327. 鈴木玄八郎

    ○鈴木説明員 コストにつきましては、立地点の自然条件とかあるいはタンカー市況等によってタンカーの方のコストも変わると思いますし、それから恒久施設による備蓄につきましても、立地点によってかなり違うわけでございますので、単純に比較するのは非常にむずかしいと思います。  先ほど申し上げましたのは、水面使用料を除外いたしまして幾つかの前提を置いて試算をしたものでございまして、これによりますと、新しい地点での恒久施設に比べて若干安いという試算もあるということでございまして、すべての場合にこれが適合するとは私も考えておりません。
  328. 春田重昭

    ○春田委員 いずれにいたしましても、この石油の備蓄という問題は非常に急務になっているわけでございますけれども、どういう遊休タンカーを選ぶか、それからどこの所属の船舶会社になるか、この辺は船主協会等との話し合いになると思いますけれども、一部いわゆる政治家とのつながりとかいううわさもされておりますので、いずれにしても後ろ指の指されない、ひとつきれいな形で進めていただきたい、このことを要望いたしまして、時間が来たようでございますので、私の質問を終わります。  どうもありがとうございました。
  329. 楯兼次郎

    楯委員長 安藤巖君。
  330. 安藤巖

    ○安藤委員 私は、新幹線の騒音公害の問題についてお尋ねしますが、まず国鉄総裁にお尋ねしたいと思います。  御承知のように、新幹線鉄道騒音に係る環境基準についての告示が環境庁から昭和五十年七月二十九日に出されまして、主として住居の用に供される地域と、商工業その他、住居の用に供される地域以外の地域を、前者が七十ホン以下、商工業その他の地域が七十五ホン以下に騒音を下げるという基準を示されておるわけですが、そのうち既設の新幹線鉄道に係る期間、これは八十ホン以上の区域では三年以内に達成するようにということになっております。昭和五十年の七月二十九日ですから、三年以内ということになりますとことしの七月二十九日が期限でございます。きょうはもう四月十八日ですから三ヵ月ちょっとぐらいしかないのですが、その達成の見通しについてまずお尋ねをいたします。
  331. 高木文雄

    高木説明員 はなはだ申しわけないのでございますけれども、結論的にはこの七月までに達成するということは事実問題としてできない状況でございます。  なぜそうなったかということでございますが、防音対策は大別して二つあるわけでございまして、まず国鉄が自分の方でいろいろ処置をいたしまして音を出さないようにするいわゆる音源対策というのが一つございます。それから、いろいろ処置をいたしましてもどうしてもいまの技術では音が出るという場合に、いろいろ学校なり住宅なりにつきまして防音工事をいたすというものがございます。大別して二つでございます。  前の音源対策というのは具体的には防音壁をレールの両側に立てる、あるいは、橋げたで音が出ます部分について防音工事をするというのが主体でございます。この音源対策の方は本日の段階でほとんど終了をいたしました。お約束の三年以内ということにどうにか追いついたわけでございます。  しかし、それだけやりましてもどうしても八十ホンを超える音が出る地域がございまして、主としてレールと家屋なり学校なり病院なりが接近している、本当に軒先を走らせていただいているという場合には、まだそれだけの工事をいたしましても八十ホン以下に下げることができない現状でございます。  そこで、それらの場合には市町村の皆さん、職員の方々にお立ち会いをいただいて、そして何ホンあるかということを調べなくてはならぬわけでございまして、その上で家屋につきましていろいろ対策を立てる。二重窓にするとか、そういうことをやるわけでございますが、その前提としては沿線の青の高いところについて一戸ごとに騒音測定をやらなければならないわけでございます。この騒音測定は、大変長いところでございますし、戸数にしまして東京−博多間で一万八千戸ぐらいになるんではないかというふうに推定されますので、国鉄の手だけでは手が足りませんものでございますから、市町村にお願いをいたしまして、市町村に仕事を私の方から委託をいたしまして、そして測定をしていただいておるわけでございますが、必ずしもどこの市町村でもこの委託に応じてくださるという事情でございませんために、まだ測定作業がなかなか進まないということでございまして、ようやく最近に至りまして騒音測定がだんだん終わりに近づいてまいりまして、その結果、どこのおたくについてどういう工事をやればいいかということがほぼ確定してきたというところでございます。  したがいまして、騒音の状況がわかってまいりましたから、いよいよ各御家庭あるいは公共施設について防音の工事に入る段階になってまいったわけでございます。いろいろな慕情がございまして、私どもとしては何とか三年以内にやらねばならぬということで、少なくとも八十ホンを超えるようなところについては早くやらねばならぬということで、相当人を配置をいたし、積極的に取り組んでまいったつもりでございますが、何分非常に対象戸数が多いという関係もありまして、そういうふうにおくれておる次第でございます。  ただ私も、この三年というお約束がございますので、これまで大変気にしておったわけでございますが、なかなか進まないので、私ども自身がいらいらしておったのでございますが、ごく最近の心境といたしましては、最近一年間ぐらいに関係市町村の御協力が非常に積極的になってまいりましたものですから、作業も大分進んでまいりました。したがって、測定もほぼ終わり、いよいよ工事の方のお話し合いに入れるという段階になったのが概況でございまして、三年内は無理でございますけれども、それにいたしましても一日も早く処理をしてしまわなければならないというふうに考えております。
  332. 安藤巖

    ○安藤委員 いまの御答弁によりますと、音源対策の方はほとんど終了したというふうに言っておられるんですが、そしてこれからは家屋等の防音工事の方だ。そうしますと、今後音源対策の方はもうおやりにならないということなんでございましょうか。
  333. 高木文雄

    高木説明員 現在持っております技術ではやり得るところまでやったという、私、技術屋でございませんからよくわかりませんが、専門家の意見では、現在持っております技術でやり得るところまではやったということでございます。しかし、それで満足をいたしておるわけではございませんで、技術開発を進めていかなければならないわけでございます。こういうものは実験室でやりましてもなかなかうまくいきませんので、現実に現場でやらなければならないということがございます。  そこで、現在東北新幹線の一部の線区がもうすでに相当長距離現実に使える状態になっているところがございますので、これを開業までの間暫定的に騒音対策の実験線に使うということを考えておりまして、そこの実験線で部分的にいろいろな工法をとってみる。その工法の結果、いま考えられておりますいろいろな施工のやり方、これをやることによってどの程度音を減らすことができるかということを現実的に汽車、列車を新幹線を走らせながらやってみるということに取り組むつもりでございまして、この東北新幹線の建設がすでに完了した部分を使いまして開業までの間にやる実験、これによってどの程度新技術を引きずり出すことができるかということに一番大きな期待を私どもは持っておるわけでございまして、それを進めることによってうまく新技術が開発されますならば次の段階に入り縛るというふうに考えております。
  334. 安藤巖

    ○安藤委員 そこで、総裁に注意を喚起しておきたいのですが、いま音源対策についてもっと技術開発を進めたいと言っておられる点について、もっと積極的にやっていただきたいと思うのです、これは環境の基準なんですから。環境というものは、いま家屋あるいは病院等の建物の防音壁を強化したり、あるいは気密サッシを使ったりなんかして、屋内はある程度七十ホンかあるいは七十五ホンになるかもしれませんけれども、人間は屋内ばかり、あるいは病院の中ばかり、あるいは建物の中ばかりで生活しているわけじゃないのですよ。環境というのは、屋内よりも、屋外の公園とか道路とか、そういうところの騒音がもっと低くならなければ、環境基準が達成したとは言えないと思うのですね。だから、現実に、これは一つの例を申し上げるのですけれども、名古屋市が昭和五十一年の九月から同年の十二月十日ごろにかけて調査をしたのですが、この調査の方法は、念のために申し上げますと、「環境保全上緊急を要する新幹線鉄道振動について当面の措置を講ずる場合のよるべき指針について」という告示が出たのですが、この告示の定める新しい測定方法によって測定したのです。ところが、この調査をした期間といいますと、大体いまおっしゃったような音源対策がもう進んできておる段階の年月なんですが、それでも一応の基準にしておられる線路から二十五メートルの地点、そこで、これを全部申し上げておる時間はありませんけれども、たとえば名古屋市の中川区の柳堀通というところは九十ホン、それから南区の塩屋町というところでは百ホン、そのほか八十以上というのがずらっと並んでおります。もう一つ九十二ホンは熱田区の六番町、それから緑区の大高町というところも九十二ホン、こういうことになっております。これは屋外で、その環境は全然八十ホン以下になっていない、百ホンのところすらあるということなんです。  大気汚染でも、屋内がきれいならいいじゃないかということにはなっていないと思うのですね。やはり大気を測定して、その大気がきれいになったかどうかということでやっていると思うのです。だから、騒音の場合は、建物の防音工専をやればそれで済むということでは決してないということを十分認識をしていただかなくてはならぬと思うのです。大臣は、私のいま申し上げておることににっこり笑ってうなずいておられたのですが、全くそのとおりなんで、そういう方向について、上級官庁としての指導監督機関としての指導をもっと強めていただきたいと思うのですが、いかがでしょう。
  335. 高木文雄

    高木説明員 私どもも決して現状で満足しておるわけではないのでございまして、何とかもっと音源対策を進めなければならないと考えております。  私もよくわかりませんが、技術専門家の意見によりますと、非常に異常な高い音が出ます原因は一体何か。簡単に申しますと、車両の方に原因があるのか、あるいは軌道の方に原因があるのか、あるいはパンタグラフと架線の接触摩擦というようなことから出てくる音が大きいのか、そのいずれの部分が、どういうふうに、どこから、そういう異常音が出てくるかということがまだ十分究明されていないわけでございます。  そこで、まず、なぜ音が出るかという、その原因を調べなければならぬわけでございますけれども、これは実験的にやってみませんと、営業線でその原因を追求することはどうもむずかしいわけでございますので、そういう実験線を短期間、二年間ほどでございますけれども、ちょうどできた路盤があるところを使いまして、もっぱら東北新幹線のためというよりは、東海道、山陽新幹線を含めまして、新幹線全体の騒音対策を立てるために、音の出る原因を追求するわけでございます。これはかなりの金も使い、人も使いしてやるつもりでございますので、その原因の追求の結果どういう結果が出ますか、明快なる答えが出ますかどうか、大いに期待をしておるわけでございますが、それが出ましたならば、それに応じて対策を立てる。  何しろ原因がわからないために、十分対策を立てるポイントがつかめていないという現状でございますので、沿線の皆さんには大変御迷惑をかけておりますけれども、怠けておるわけではないのでございまして、いろいろ一生懸命やっておりますので、ひとつその辺を御理解いただきたいと存じます。
  336. 福永健司

    福永国務大臣 国鉄の総裁がなかなかむずかしいような話もしておりますが、先ほどから伺いまして、私は私でせいぜい努力をいたしたいと存じます。
  337. 安藤巖

    ○安藤委員 先ほど申し上げました環境庁の基準によりますと、七年以内、十年以内というふうに区切ってございまして、最終的には十年以内に七十ホンを超えるところも対象にしておりますね。だから、七十ホンを超えるところということになりますと、いまの線路の横二十五メートルぐらいじゃなくて、もっと広がるのではないかと思うのです。百五十メートルぐらいに広がるのではないかという話がありますが、そういうふうに見ておられるのかどうか。もしそうなりますと、いまの東京−博多間一万八千戸どころの騒ぎではなくて、もっとたくさんの家屋、あるいはもっと広い範囲の環境を守らなければならぬということになってくるのですが、これに対してはどういうようなことを考えておられるのですか。
  338. 高橋浩二

    高橋説明員 ただいま新幹線が二百キロの走行をいたします場合に、いま先生は特殊な個所で九十ホンというお話がございましたけれども、これはもともと鉄げたの上を二百キロで走った場合に、恐らく最初は百ホン以上あったと思いますけれども、その鉄げたにつきましては、下の方を覆いまして防音工等を施して、ただいまのところは九十ホンから、うまくいっているところで八十五ホン程度まで下がってまいりました。それから、コンクリートの高架橋の区間につきましては、当初九十ホン程度でございましたものが、ただいま八十二、三ホンから、場所によりましては八十ホンをわずかに下回るというところもございますが、ただいまのところは八十二、三ホンというところが平均の値、そこまでようやく下げることができたわけでございます。  したがいまして、音源対策としては、いまの東海道新幹線では、防音壁をやることによっては、ほぼ八十ホン程度までしか音源は下がらないのではないかというふうに予測をいたしておりまして、あととりあえず、わずかではございますけれどもやり得る対策というのは、砂利の下にゴムを敷き込むとか、あるいはレールの上のでこぼこを極力平滑にするように、レールを短期間の間にきめ細かく削正をしていくとか、そういうことによってまだ数ホンは下げ得るのではないかというふうに予測をいたしております。  しかし、いま総裁からのお話もございましたように、音の出てくる場所が、レールと車両との接触部分だけではございません。車自体が振動して出る音、それからパンタグラフと架線との接触部分から出る音、これらが総合されて、ただいまの八十二、三ホンになっておるようでございます。このおのおのがどういうふうな音を出しているかは、先ほど総裁が申しましたように、実験線で究明をしていきたいというふうに考えまして、それが究明されれば、どこまで音源で下げられるかということがわかることになると思います。  いま仮に音源として八十ホン程度出ておりますところは、いま先生のおっしゃいますように、二十五メーターの地点で約八十ホンでございますから、七十ホンまで下げるためには、百五十メーターぐらいの距離を離れませんと、ただいまのところでは七十ホンにならないということでございます。これは片側百五十メーターでございますから、両方で三百メーターの区間の家屋に対して、七十ホンですと処置をしていかなければならないというのが現在の技術の限界でございます。  先ほど申し上げました音源の出るところを今後技術的に究明することによって、まだもう少しでも音源で下げますれば、百五十メーターが百メーターになるか八十メーターになるかというようなことをあわせて究明するとともに、国鉄だけでは解決できない場合にはいろいろ緩衝地帯の設置、公園の設置等もあわせて、いろいろ都市計画上の措置等もお願いをしてこの問題を解決していかなくちゃならないかなというふうに考えておりますが、いずれにしても、近く開始いたします東北線の小山の実験線でまず技術的な究明をいたしたいというふうに考えております。
  339. 安藤巖

    ○安藤委員 そこで、私が申し上げたいのは、いろいろ技術開発をしておられるということはわかりますが、先ほど総裁も八十ホン以上のところ、八十ホン以下にならないところは、少なくともそういうところはということで、家屋に対する防音工事ということだというふうにおっしゃったんですが、いろいろ技術を開発されて、いまおっしゃったようなところへ到達することができるまでの間、都市部分でもいいです、減速を含めた音源対策、これはやはり考えるべきじゃないかと思うのです。というのは、一つのよりどころとしては、五十年六月二十七日の中公審の答申の中に、「音源対策の強化」という項で運行方法の改善ということもうたっているわけですね。だから運行方法の中には、ダイヤの組み方等々いろいろあると思うのですが、ある程度スピードを落とせば相当騒音が少なくなるということは実験上はっきりしているのですが、そういうようなことも考えられるべきではないかと思うのですが、いかがでしょう。
  340. 高木文雄

    高木説明員 騒音対策としてスピードを落としてはどうかという御議論があるわけでございますが、スピードを落とすことによって非常に大きな効果があるということでありますれば、それも一つの考え方として考えられるわけでございますけれども、私が承知しておりますところでは、新幹線の機能をほとんど放棄をするという程度にスピードを落とせば別でございますが、いまの東京−大阪間三時間十分を多少あんばいするという程度ではなかなかそこまで騒音が落ちないというふうに報告を受けておるわけでございます。私どもといたしましては、やはり三時間十分というのが一つの商品価値として評価をしていただいております関係で、何とかそういう方法でなしに研究をしたいという、打開をする道を発見したいという強い念願を持ちまして、そういう手間もかかりますし、お金もかかりますけれども、実験線で技術を開発したいということにいま執念を燃やしておるわけでございます。いまのところ、スピードを落とすということは考えておらないのでございます。
  341. 安藤巖

    ○安藤委員 その問題はいろいろやっておると大分時間がかかりますので、私は騒音の問題はひとつここで打ち切りまして、もう一つお尋ねしたいことがあるのです。  それは、名古屋市内の八田というところの貨物ターミナル、それと連動いたしましての南方貨物線というのがいま建設をされておるところでございますけれども、時間がございませんので簡単にお答えいただければありがたいのですが、この建設のねらいですね。  これは最初の計画よりも五年か六年、もう完成時期がおくれているというふうにも聞いておりますが、完成の時期はいつごろと見ておられるのか、まずこの二点をお尋ねしたいと思います。
  342. 高橋浩二

    高橋説明員 名古屋地区における、主としてコンテナ輸送貨物の増大に対しまして、これは八田ターミナルを新しくつくることによって名古屋地区のコンテナ輸送を潤滑に行いたいというのがターミナルの主たる目的でございます。  なお、それにつながりますいわゆる南方貨物線は、大府−名古屋間の東海道本線に、ただいま一日に、旅客列車と貨物列車合わせまして約四百本ぐらいの列車が走っておりますが、このうち貨物関係が約半分でございます。それを新たにつくりました南方貨物線に通しまして、それが八田貨物ターミナルに通ずるような路線にいたしまして旅客貨物を分離する。その結果、いま使っております東海道本線の方を主として旅客に使うことによって、通勤対策あるいは都市間輸送等の旅客輸送の便宜の増大を図ろうというのが、当初の建設の目的でございました。
  343. 安藤巖

    ○安藤委員 完成時期……。
  344. 高橋浩二

    高橋説明員 完成予定は、ただいまのところ五十五年の秋、十月を完成目標に努力いたしております。
  345. 安藤巖

    ○安藤委員 そこで、このターミナルと南方貨物線建設、そして業務開始に当たって環境アセスメントをきちっとやって、それに基づいて名古屋市当局といろいろ協議をしておられるというふうに聞いていますけれども、その環境アセスメントというのはもうでき上がっておるのかどうか。そして名古屋市との間の協議の進行ぐあいはどういうふうになっているのか、いかがでしょうか。
  346. 高橋浩二

    高橋説明員 八田の貨物ターミナルにつきましては、名古屋市長と私の方の現地の岐阜工事局長の間で、開業をするまでにまず環境アセスメントの手法及びどういう環境の水準にするかということを両者で十分協議をいたしまして、そして開業までに環境アセスメントを行いますということを、名古屋市長との間で覚書を結んでおります。  それに従いまして、私の方はただいま名古屋市と、いま申し上げました手法だとか環境の水準だとかというものについてお打ち合わせをいたしておりますが、騒音の問題以外についてはほぼ同じような意見になっております。騒音の問題については、それのあらわす基準等が非常にむずかしい問題がございまして、まだ完全な了解に達しておりませんが、協議を進めておるというのがただいまの状況でございます。
  347. 安藤巖

    ○安藤委員 そこで、貨物のターミナルといいますと、コンテナ輸送が中心だとおっしゃったのですが、貨物をトラックが運び込むわけですね。運び込んでまた出ていくトラックということで、相当トラックの出入りも激しいということになろうかと思います。地元の住民の人たちはそういう点についての公害問題について、当然のことながら相当大きな関心を持っておられるということも御存じだろうと思うのですけれども、住民との間にいろいろなそういう公害の問題について、こういうことになりますと、アセスメントにも基づいてちゃんと説明して、防止すべきは防止すべきだと思うのです。  そういう住民との協議、それから住民を含めて名古屋市当局との間の公害防止協定、こういうものをおつくりになる、あるいは協定を結ばれるというようなことは考えておられるのかどうか、お尋ねしたいと思うのです。
  348. 高橋浩二

    高橋説明員 名古屋市との間で環境の予測については協議を十分いたしたいと思いますが、たとえば八田のターミナル等につきまして、騒音の出る原因は列車による騒音と、いま先生のおっしゃる自動車による騒音、それからもう一つ、自動車によります大気汚染といいますか道路混雑といいますか、そういう問題があろうかと思います。これがどういう——トラックの台数あるいは列車の台数ということは正確に数字で予測が可能でございます。そこで、そういうアセスメントについては明確になると思いますけれども、たとえばいま貨物扱い年間百万トンをとりあえず考えておりますので、そういたしますとコンテナは発着合計で一日に約六百個か七百個ぐらい、そういう数字ははっきりするわけでございます。  そこで、いま先生公害防止協定と申されますけれども、鉄道については私の方が運営をいたしますので比較的明確にできると思いますけれども、道路等については、いわゆる道路を利用される方は別のものでございますので、一般にも道路をつくるときに公害防止協定というものはちょっと考えられないのでございます。そういう意味で、道路を走る車との関係については私の方もちょっと責任が持てませんので、そういうものはちょっとつくりにくいのではないかとただいまのところ考えております。
  349. 安藤巖

    ○安藤委員 もう一点だけ。  いまおっしゃった道路の方は一応別にして、南方貨物線と貨物ターミナルとの関係での公害防止協定あるいは住民の人たちとの協議はどうかということなんです。
  350. 高橋浩二

    高橋説明員 環境アセスメントをやりますと、それの予測値に対して、これは市との間ではどういう基準値以内にするということは協定をしたいと思っております。
  351. 安藤巖

    ○安藤委員 終わります。
  352. 楯兼次郎

    楯委員長 次回は、来る二十日木曜日、午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。     午後八時一分散会