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曽祢委員 次に、日中平和友好
条約の
締結前に中国側の領有権の主張に対する問題を
解決しておけという
議論が国内にもあるようです。自民党の党内にもそういう意見とそうでない意見があるようですが、私はこの問題については、やはり類型のいろいろな似たような問題に対する
日本側の態度との関連で考えていく必要があると思います。類型の問題というのはそれぞれのケース・バイ・ケースで違いますけれ
ども、とにかく
日本の領土であるのに外国側に占拠されておるケースと、外国側からまだ領土権に関する主張があるけれ
ども日本がほぼ有効的に支配しているケースと違うと思うんですね。たとえば、言うまでもなくソ連との間には北方領土、少なくとも国民のコンセンサスから言えば北方四島の不法占拠の事態が続いている。しかもそれは
向こうがもう完全に有効的に支配している。この問題。それについては、わが方としては、そういう事態を平和
条約の
締結によって固定化することは絶対にできぬ。また平和
条約を結ぶ前に、どうしてもこの四島の返還が、少なくとも平和
条約の
締結と同時に行われる必要がある、こういう態度をとって、これはこれなりに国民のコンセンサスによる支持があると思う。
今度は
日本と韓国との間の竹島問題、これは今度の尖閣諸島に関する
日本と中国との
関係に非常に影響がある似て非なる事件だと思うんですね。竹島も
日本の領土であることは明瞭なのに、はっきりとこれは実力的には
向こう側が半分以上支配している状態でしょう。しかもその状態がありながら、
日本は韓国との間に御承知のように日韓基本
条約、これをもう六五年に結んでいるんですね。そのときから今日に至るまでその他いろいろな、たとえばいまもまだ
国会で問題になっているいわゆる大陸棚
協定の問題等々、この韓国の不当な支配に対して、
日本は、それはあるけれ
ども日韓
関係については
条約を結んだり何かしている、こういう事態がある。
ところがこの尖閣諸島に関しては、今度確かに中国側のどういう間違いか知らぬけれ
ども漁船の侵犯事件が起こった。これが全くの独立なハプニングだと仮に見れば、中国側は領有権は主張しているけれ
ども、
日本が完全に支配していることは間違いないんですね。先ほ
ども、さらにこの支配の事実をもう少し強くしろなんていろいろな
議論はある。そんなことなくとも、領有権の主張はあったけれ
ども、
日本が有効的に支配している
日本の領土なんですね。あのハプニングの漁船による不幸な領海侵犯というものがなくなり、そういうことの再発防止ができれば、この尖閣諸島に関する
日本の主張は事実において確認されて、それに対して中国がチャレンジはしているが、これは法律的にチャレンジしているだけなのです。それをほっておいて日中平和友好
条約を結んではいかぬというのが一部の世論にある。自民党の一部にもかなり強いようだ。それはちょっとおかしいのじゃないか。それでは韓国との
関係はどうだということになると思うのですね。
ですから、そういうふうにひとつ物を整理して考えてみる必要があるのじゃないか。つまり、言いかえれば平和友好
条約の
内容の問題がありますよ。これについては後で時間があれば私の意見も申し上げますけれ
ども、それはそれとして、少なくともこの不幸なる漁船による領海侵犯事件が一応
解決し、再発防止に見込みがついたならば、まず自民党の党議を固めて、そして日中平和友好
条約の問題に入ることに妨げはない。これは三つの例から見て、
日本が有効に支配しているところなんですから、
向こうから領土権のクレームがあったからといって平和友好
条約の
締結を妨げるのはおかしい、こう考えるが、外務大臣のお考えを伺いたい。