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1978-04-21 第84回国会 衆議院 外務委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年四月二十一日(金曜日)     午前十時四十四分開議  出席委員    委員長 永田 亮一君    理事 大坪健一郎君 理事 奥田 敬和君    理事 塩崎  潤君 理事 毛利 松平君    理事 井上 一成君 理事 渡部 一郎君    理事 渡辺  朗君       稲垣 実男君    川田 正則君       木村 俊夫君    鯨岡 兵輔君       小坂善太郎君    佐野 嘉吉君       竹内 黎一君    中山 正暉君       福田 篤泰君    河上 民雄君       久保  等君    高沢 寅男君       中川 嘉美君    柴田 睦夫君       伊藤 公介君    楢崎弥之助君  出席国務大臣         外 務 大 臣 園田  直君  出席政府委員         外務政務次官  愛野興一郎君         外務省アジア局         次長      三宅 和助君         外務省欧亜局長 宮澤  泰君         外務省中近東ア         フリカ局長   千葉 一夫君         外務省経済協力         局長      武藤 利昭君         外務省条約局外         務参事官    村田 良平君         外務省国際連合         局長      大川 美雄君  委員外出席者         外務大臣官房領         事移住部外務参         事官      橋本  恕君         外務省アメリカ         局外務参事官  北村  汎君         外務省欧亜局西         欧第二課長   荒舩 清彦君         外務省経済局国         際経済第二課長 土居 信良君         外務省条約局外         務参事官    山田 中正君         外務省情報文化         局文化事業部外         務参事官    平岡 千之君         大蔵省銀行局保         険部保険第二課         長       森田  一君         運輸大臣官房政         策課長     永光 洋一君         運輸省海運局外         航課長     塩田 澄夫君         運輸省船舶局検         査測度課長   辻  栄一君         運輸省航空局監         理部国際課長  山田 隆英君         運輸省航空局飛         行場部長    田代 雅也君         運輸省航空局技         術部検査課長  大島 士郎君         建設省道路局道         路交通管理課長 浪岡 洋一君         外務委員会調査         室長      高杉 幹二君     ――――――――――――― 委員の異動 四月二十一日  辞任         補欠選任   松本 善明君     柴田 睦夫君 同日  辞任         補欠選任   柴田 睦夫君     松本 善明君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  世界観光機関(WTO)憲章締結について承  認を求めるの件(条約第三号)(参議院送付)  許諾を得ないレコード複製からのレコード製  作者の保護に関する条約締結について承認を  求めるの件(条約第六号)(参議院送付)  船員職業上の災害防止に関する条約(第百  三十四号)の締結について承認を求めるの件(  条約第九号)(参議院送付)  航空業務に関する日本国イラク共和国との間  の協定締結について承認を求めるの件(条約  第七号)  日本国イラク共和国との間の文化協定締結  について承認を求めるの件(条約第八号)(参  議院送付)  安全なコンテナーに関する国際条約CSC)  の締結について承認を求めるの件(条約第一〇  号)(参議院送付)      ――――◇―――――
  2. 永田亮一

    永田委員長 これより会議を開きます。  世界観光機関憲章締結について承認を求めるの件、許諾を得ないレコード複製からのレコード製作者保護に関する条約締結について承認を求めるの件及び船員職業上の災害防止に関する条約締結について承認を求めるの件の各件を議題といたします。  各件に対する質疑は、去る十九日に終了いたしております。  これより三件に対する討論に入るのでありますが、別に討論申し出もありませんので、順次採決をいたします。  まず、世界観光機関憲章締結について承認を求めるの件について採決をいたします。  本件承認すべきものと決するに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  3. 永田亮一

    永田委員長 起立総員。よって、本件承認すべきものと決しました。  次に、許諾を得ないレコード複製からのレコード製作者保護に関する条約締結について承認を求めるの件について採決をいたします。  本件承認すべきものと決するに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  4. 永田亮一

    永田委員長 起立総員。よって、本件承認すべきものと決しました。  次に、船員職業上の災害防止に関する条約締結について承認を求めるの件について採決をいたします。  本件承認すべきものと決するに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  5. 永田亮一

    永田委員長 起立総員。よって、本件承認すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました三件に関する委員会報告書作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 永田亮一

    永田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
  7. 永田亮一

    永田委員長 航空業務に関する日本国イラク共和国との間の協定締結について承認を求めるの件、日本国イラク共和国との間の文化協定締結について承認を求めるの件及び安全なコンテナーに関する国際条約締結について承認を求めるの件の各件を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。井上一成君。
  8. 井上一成

    井上(一)委員 まず私は、航空業務に関する日本国イラク共和国との間の協定審議関連して、昭和三十四年に日米間で取り交わされました輸送力条項適用に関する合意議事録という秘密文書があるということについては、先般の委員会においても園田外務大臣は、土井委員の質問に答え、これを認め、遺憾の意を表明されたわけであります。この秘密文書をたしか他の委員会提出をされたように記憶しているわけでありますけれども、当委員会にも資料として提出をしてもらいたいわけでございますが、委員長、そのようにお取り計らいをいただけるでしょうか。
  9. 北村汎

    北村説明員 ただいま先生指摘の、昭和三十四年に日米両国政府航空当局間で航空協定輸送力条項の細目について取り決めた文書、これは合意議事録でございますが、これの提出ということを御指摘になりましたのですが、この文書につきましては、その要旨を国会で御説明したことがございます。その文書自身は、外交文書でございますので提出はいたしておりません。要旨は、次のとおりでございます。  本件合意議事録は、協定輸送力条項適用について討議が行われた際に、協定第十条から十二条の原則のもとで、航空企業は不合理な運航回数を勝手に増加するというようなことを企てたり、あるいは相手国企業に対して不当な影響あるいは損害を与えることを目的とした競争手段をとらないということが合意されたことにかんがみ、アメリカ政府から事業計画変更申請があったときは、それは日本政府としてその事業計画変更協定輸送力条項に違反するおそれがあると思われるとき以外はその申請を許可することとし、そのおそれがあると思われるときには、その理由アメリカ政府に通知いたしまして、一定期間運航後協議するということになって、いわゆるこれが事後審査主義を確認した文書でございます。  補足いたしますが、この文書自体外交文書でございますので、提出することは差し控えさせていただきたいと思います。
  10. 井上一成

    井上(一)委員 他の委員会では提出をされたように聞き及んでいるのですが、それはいまお答えになった要旨でございますか。
  11. 北村汎

    北村説明員 他の委員会でもこの文書提出したことはございません。ただ、ただいま私が御説明いたしました内容を御説明したことはございます。
  12. 井上一成

    井上(一)委員 委員長に重ねてお願いをしたいと思います。いまお答えがあったわけでありますけれども、私はできれば書面にていただきたい、こういうふうに思うわけです。  この秘密文書米国側太平洋線定期便について自由に増便させることができ、しかも日本側はそれを拒否できない、自動認可しなければならないということになっているわけです。いわば非常に不平等な取り交わし条約でありまして、これを是正しなければ、さらに日米間の不平等はますます拡大をしていくのではないだろうかと思うのですけれども、いかがでございますか。
  13. 北村汎

    北村説明員 ただいま先生指摘のとおり、日米航空関係は一九五二年、すなわち占領の終わりました年にできました現行協定が、やはり非常に不平等な面を持っておりますので、その点につきましては私どもとしてもここ一年半ほど鋭意その改定に努力してまいったわけでございますが、先ほど指摘の一九五九年の合意議事録の運用につきましては、この間、三月にワシントンで交渉いたしました際には成田空港離着陸枠がまだはっきり確定いたしませんし、物理的に空港能力の点で制限がございますので、今後この合意議事録に沿ってそのままこれを運用するということは物理的に不可能な場合があるということはアメリカ側にはっきりと申してきた次第でございます。
  14. 井上一成

    井上(一)委員 せんだって当委員会富田審議官は、日米航空交渉において事がスムーズに進まないことについて、「アメリカサイドとしては日米航空協定日本側にとって不均衡であるということをなかなか認めようとしないというところに、大きな問題があろうと思います。」このように答えているわけです。日本側としては、便数にしろ以遠権にしろ、何をとっても不平等だらけ日米航空協定の不均衡を、アメリカが全く認めようとしないことを私は全く逆に理解ができないわけであります。このことについてさらに詳しく御説明をいただきたいと思うわけです。
  15. 北村汎

    北村説明員 先般の当委員会運輸省富田審議官がそういう説明をされた趣旨は、カーター大統領以下現在のアメリカ政府は非常に自由な航空企業の運営、特にチャーター自由化とか低運賃とか、そういうようなことに非常に大きな関心を持って、そういう方向航空企業を運営していこうということを考えておりまして、そういう観点からすれば日本空港事情制約というものはその方向を阻むものである、こういうようなことで、アメリカ側としても、決して現行協定が完全に平等なものであるというふうに考えておるとは、私どもは考えておりませんけれども向こうとしましてはそういう日本側空港事情制約とか、あるいはいろんな時間の制約とか、そういうような制約をもって航空協定そのもの不平等というものは相殺されるのであるというような感じを持っているという趣旨を申し上げたのであろうと思いますが、アメリカ自身協定改定に応じております。応じておりますが、その不平等自身を認めるという発言は航空交渉交渉の場面においてはいたしてはおりませんけれども航空協定改定に応じるという態度を示しておりますので、これはやはり粘り強く交渉していくべきことかと考えております。
  16. 井上一成

    井上(一)委員 アメリカ側が認めているという具体的な点についてお聞かせをいただきたいと思います。
  17. 北村汎

    北村説明員 先般、三月に交渉いたしました際に、私どもとしましては地点追加あるいは以遠権追加、そういうことを要求いたしましたが、これにつきましてはアメリカ側はそれに応じるという構えを示したわけでございます。ただ、それに応じるに当たっては、チャーター自由化、低運賃導入、あるいは空港でのいわゆる離着陸の枠の増大、こういうようなことを要求してまいりまして、その要求が私ども現状において応じることのできないほどのものでございましたので交渉は物別れになったわけでございます。しかし、地点追加そのものについては向こうは認めるということは、やはり向こうがいまの地点及び以遠権不平等性を暗に認めておるということは言えるのではないかと思います。
  18. 井上一成

    井上(一)委員 たとえば、具体的にロサンゼルスヘの乗り入れ権だとかニューヨーク以遠権を獲得した、そういうことがあったとしても、やはりそれの見返りとしてチャーター便自由化だとか定期便増便だとか、アメリカはそれなりの要求をしてきているわけなんですよ。決してわが国と平等な、公平な形での取り扱いじゃないわけなんです。そうでしょう。
  19. 北村汎

    北村説明員 まさに先生おっしゃいますように、私どもとしてはあくまでも協定の中での不平等を是正したいという要求を言い続けてきておるわけでございますけれどもアメリカ側はそれに対してチャーター自由化あるいは低運賃導入、そういうこととひっかけてと申しますか、それと関連させるような態度をとっておるということについては先生の御指摘のとおりでございます。
  20. 井上一成

    井上(一)委員 早く言えば、現在の日米航空協定わが国の側からは不平等であるという認識を持っておる。しかし、アメリカサイドからすればそういう認識を十分に持ち合わせておらないということが先般の運輸省航空局富田審議官答弁の中でも披瀝されているわけです。私はこのことはアメリカの大国主義的な発想の最たるものであるというふうに受けとめるのですけれども政府はどうこれを受けとめ、どう考えていらっしゃるのですか。
  21. 北村汎

    北村説明員 もともとこの協定ができましたのは、先ほども申し上げましたように占領の終わった年でございまして、当時の日航はほとんど飛行機もなかったような状態で、かつその当時のアメリカは、世界の翼をほとんど独占しておったような状態でございます。そういうような国際航空環境のもとにおいてできた協定というものは、それはある程度不平等なものであらざるを得なかったという経緯はよくわかるところでございますけれども、その後日本側といたしましても、ロサンゼルスへの乗り入れ、あるいはニューヨーク以遠権、そういうものを、非常に激しい交渉をして一つずつ積み上げてまいったわけでございます。  なお、それでもまだ地点の点において、日本からアメリカ側へは七つの地点にしか乗り入れられないのに、向こう側からは十一の地点乗り入れられるとか、あるいは以遠権において、向こうは無制限の権利を持っているとか、そういうような不平等はいまなお存するわけでございます。  ただ、航空企業関係におきましては、これは日本だけではございません、アメリカのほかの国との航空交渉においても、これはきわめてタフな交渉が行われておりますので、そういうことで、私どもとしましても日本の権益を守り、不平等を是正するために努力しておる次第でございます。
  22. 井上一成

    井上(一)委員 いまの答弁の中でも、日米間の不平等というものは存在する、こういうことです。私は、この秘密協定破棄することが日米間の不平等を是正する第一歩である、こういうふうに思うわけですけれども外務大臣、この点についてはどうお考えですか。
  23. 園田直

    園田国務大臣 御存じのとおり、英国米国関係では、交渉の経過において破棄をして、その後妥結したわけでありますが、英国米国チャーター自由化、それから低運賃導入ということでは共通の基盤がありまして、破棄をされてもその基盤の上で話ができたわけでありますが、日本立場を非常に異にしておりますので、破棄した後の状態を考えると、必ずしも英国のように日本は有利にならない、こういうことも勘案しつつ、幸いアメリカ交渉をやろうということでありますから、粘り強く、破棄するだけの決意を持って交渉すべきであると考えておるわけであります。
  24. 井上一成

    井上(一)委員 ここで私は、いま外務大臣破棄するだけの決意を持って今後の交渉に臨むということでございますので、その決意を了としたいと思うわけであります。  なお、今回の日米航空交渉において、米国成田空港における米国航空会社発着回数の枠の大幅な拡大要求してきたということでありますけれども、その要求は具体的にどういうものであったのか、ここでお聞きをしたいと思います。
  25. 山田隆英

    山田(隆)説明員 お答えいたします。  現在羽田では、アメリカ航空企業発着回数のうち約三分の一を使用しております。今後成田開港いたしましても、当面いろいろな制約から発着枠増大は無制限にはいかないかと考えておりますが、その場合に、増加いたしました発着枠のうち、従来の比率でもってアメリカ発着枠を増加してほしいというのがアメリカ側の基本的な考え方でございます。
  26. 井上一成

    井上(一)委員 具体的に、現在羽田では何便であって、成田に対しては何便要求してきたのですか。
  27. 山田隆英

    山田(隆)説明員 交渉がまだ継続中でございますので、細かい数字については申し上げるのをちょっと差し控えさせていただきたいと思いますが、まず、現在の羽田におきます米企業発着数でございますが、一応米企業の枠といたしましては三百三十二発着ございます。それに対しまして、全体の国際線の発着枠というのは、これは週間でございますが、千三十四、したがいまして、先ほど申し上げましたように、おおむね米企業発着枠というのは三割になっております。それで、今回三月の交渉におきましては、この比率でもってふやしたいというのが米国側主張でございます。
  28. 井上一成

    井上(一)委員 私の方の承知している範囲では、現在三百三十二便、これは確かにそのとおりですけれども要求はそれに対する三〇%増の週四百二十五便、チャーター便については、羽田空港の枠が現在七十便、要求としては、初年度二百便、三年後には千便だという要求があったというふうに把握をしているのですが、それにほぼ間違いないですか。
  29. 山田隆英

    山田(隆)説明員 私が先ほど申し上げましたのは、定期航空発着枠でございまして、確かに先生がただいまおっしゃいましたように、そのほかにチャーターについての発着枠の保証を求めてきております。いまおっしゃられました数字については、おおむねそのような主張を先方はいたしております。
  30. 井上一成

    井上(一)委員 そこで問題になるわけなんですが、秘密協定がある限り、非常識とも言えるぐらいの増便要求アメリカがしてきた場合に、ある程度のまなければいけないというようなことになるのではないだろうか、こういうふうに思うのです。このことについて政府の見解をここで承っておきたいと思います。
  31. 北村汎

    北村説明員 先ほども御説明いたしましたように、この五九年の合意議事録適用をそのまま保証するということは、現在の日本空港事情からいって不可能でございます。したがいまして、その不可能であるということをこの間の交渉ではっきりと私どもアメリカに対して申してまいりました。ですから、これはいままでも、過去六年間にわたって羽田空港能力制限がありましたために、事実上はアメリカ側はこの合意議事録があるにもかかわらず、さしたる増便計画を出してきてなかったわけでございます。今後もそういう状態は続くぞということをはっきりとアメリカ側に申しております。
  32. 井上一成

    井上(一)委員 秘密協定がある以上、一定アメリカ要求を無条件に近い形でのまざるを得ないということなんです。そういうことになると、いまも申し上げたように、非常識に近い要求がなされても、それは拒否をしたということですけれども、それではわが国立場に立ってどこまで拒否がし続けられるのか、また逆に、それならば秘密協定破棄するのだという強い姿勢を時には示すべきだ、これはそういうことで、外務大臣も強い姿勢、強い決意を持っていらっしゃるので、私は、何らその秘密協定にとらわれることなく、破棄するのだという前提に立って強い姿勢で取り組んでほしい、こういうふうに強く要望しておきます。  次に、私は、このことにも関連をしていくわけでありますけれども、われわれは現在の成田空港開港については、現状のままではその開港を認めるわけにはいかないという強い姿勢を持っておるわけでありますけれども、この成田空港新規乗り入れを希望している現在までの国は何カ国ぐらいあるのか、念のために聞いておきたいと思います。
  33. 山田隆英

    山田(隆)説明員 お答えいたします。  これまで東京国際空港新規乗り入れを希望しております国は三十二カ国でございます。このうち、イラクのほかサウジアラビアとはすでに航空協定締結のための交渉を行っております。そのほか、最近特に熱心な国といたしまして、スペイン、ニュージーランド、フィンランド、ポーランド、バングラデシュ、アフガニスタン等がございます。
  34. 井上一成

    井上(一)委員 今後ますます国際交流が盛んになるにつれて、いわゆるアメリカのみの増便を認めて、国際交流を希望するいわゆるイラクを初めとする三十数カ国あるいはそれ以上の関係国乗り入れ希望をたな上げにするようなことにでもなれば、これらの国々との友好関係にも影響を及ぼす。あるいは、そればかりではなく、片一方では日米間の不均衡がより拡大をされていく、こういうふうにも思うわけであります。そういう観点からしても、日米間の秘密協定というものはこの際思い切って破棄すべきである。私はここで重ねて、その決意のほどを政府にお聞きをしたい。
  35. 北村汎

    北村説明員 先ほど大臣から御説明ございましたように、この合意議事録というもの、またそれが協定と一緒になっておるわけでございますけれども、これを破棄しなければならぬような事態があるということも含めまして、いろいろこれから粘り強く毅然たる態度交渉を続けていく所存でございます。
  36. 井上一成

    井上(一)委員 破棄する強い決意を重ねてここで確認をしたわけであります。秋に再開が予定されておるその交渉には、ぜひその強い姿勢を崩さずに対応をして、いわゆる日米間の不平等是正に取り組んでもらいたいと思います。  さらに関連をして、私は中東問題について触れておきたいと思います。  現在までイラクに対する経済協力は、四十八年、四十九年に、三木特使あるいは中曽根通産大臣が訪問し、経済協力を約束してきたわけでありますけれども、約束をされたそのことについての実施状況はどのような状態なのか、具体的にひとつ説明を願いたいと思います。
  37. 武藤利昭

    武藤政府委員 イラクに対する経済協力についてでございますが、昭和四十九年の一月に中曽根大臣がおいでになりまして、そのときに政府べースの円借款民間信用供与を合わせまして、二千九百八十億円ばかりというものを提供する用意があるということを申されたわけでございます。  その実施状況につきましては、私が直接担当しております円借款について申しますと、ハルサの火力発電所あるいは化学肥料工場計画等につきまして、七百四十五億約束したうち三百六十四億円が出ておる。おおむね半分ぐらいの施行状況になっておるわけでございます。ただこのほか、後になりまして、一九七七年でございますが、さらに二千九百四十億円、これは民間借款でございますが、これも追加して供与しようという話になっておりまして、この全体を合わせますと、いままでのところ大体二五%くらいが実施済みであるというのが現状でございます。  その実施状況が二五%にとどまっております理由は、イラク側におきまして開発計画の見直しあるいはプロジェクトの変更というようなことがございまして、最終的に計画が固まらないという事情があるわけでございますが、少なくとも円借款の部門につきましては、すでに海外経済協力基金との貨付契約なども締結済みでございますので、計画が固まり協議が調い次第、迅速に施行できる状況にあるというのが現状でございます。
  38. 井上一成

    井上(一)委員 資料による限り、イラクに対する経済協力は比較的順調に進んでいるような印象を持つわけでありますけれども、いわゆるわが国と中東諸国の関係は、近年ますます深まりつつある。そういう中で、中東はわが国のエネルギー資源の供給先であるということだけでなく、貿易面においても重要な役割り、地位にあると思うのです。  本年一月、園田外務大臣が中東を歴訪されたわけであります。各国の首脳と活発な意見を交換された。いわばそれらの会談を通して、それぞれの国の指導者は、中東和平のためにわが国、いわゆる日本の果たす役割りに対する期待が非常に高まってきた、こういうふうに私は受けとめているわけであります。そういう中で、とりわけ経済協力を強く望んでいる。がしかし、その経済協力の約束がさまざまな障害で十分に約束どおりに果たされていないというような現状である。相互の安定した友好関係を維持していくためにも、約束されたことが十分果たせるように努力していかなければいけないわけでありますけれども、今日までのそのいわば経済協力の進捗状況というものについて、ここでイラクに限らず中東諸国に対してわが国の果たしてきた役割り、あるいは協力をしてきた度合いというものをいま少し具体的にお聞きをいたしたいと思うわけであります。
  39. 武藤利昭

    武藤政府委員 中東に対しますわが国経済協力につきましては、先ほど先生の方からお話がございました三木特使及び中曽根通産大臣の中東訪問を契機といたしまして、画期的に進捗を見せたわけでございます。その後実現いたしました具体的案件につきまして若干申し上げますと、たとえば、エジプトなどに対しましては、スエズ運河の拡張計画、商品借款等かなりのものが出ておりますし、イラクにつきましては、先ほどちょっと触れましたように化学肥料プロジェクト、火力発電所等実施に移されているということでございます。また、サウジアラビアとの間にも経済技術協力協定というものを結びまして、すでに二回、この協定に基づきます合同委員会というものを開きまして、二回目の合同委員会はつい先日、東京で開かれたというような状況でございます。  中東の国は産油国でございまして、非常にお金持ちの国あるいは余りお金を持っていない国、さまざまでございますので、わが国経済協力も国別にそれぞれの国の事情を勘案しながら行っているわけでございますが、一般的に申せますことは、産油国の場合でありましても、日本の技術に対する期待というものはかなり高いわけでございまして、技術協力等の面で協力をしていくということでございまして、中東に対する技術協力は最近非常にその比率を高めているというようなところが現状でございます。
  40. 井上一成

    井上(一)委員 外務大臣が十一時半に退席をされるので、ここで大臣に二、三承っておきたいと思います。  エジプトのエル・サウイ情報文化相が四月一日、園田外務大臣を訪問されて、いわゆるサダト大統領の伝言として、できる限り早く日本を訪問したいとの希望が伝えられたことであるわけでありますけれども、いつごろ来日することになるのか、日程等についても話し合いが持たれたのかどうか、お聞きしたいと思います。
  41. 園田直

    園田国務大臣 答弁する前に、ちょっとニュースが入りましたので御報告をいたします。  ニュースが入って、外務省で確認をしたところ、パリとアンカレッジ間で大韓航空機が行方不明になりまして、今朝の二時にアンカレジ着のものがいまなお到着していない。ハイジャックであるのか、事故であるのか、いまのところ不明であります。特に、乗客九十名の中に日本人が四十八人ぐらい乗っておられる、乗組員十六名の中に日本人が一人おられる、こういうことで、ただいま関係公館には速やかに情報収集をし、対応の処置の準備をしろ、こういう指令を出しております。  ただいまお尋ねの、サダト大統領訪日の件は、向こうの方も強く希望しておられるし、こちら側もなるべく早くおいでになるように申し出ておるところでありますが、向こうの方の都合でなかなか日程が決まりませずに、ただいま外交チャンネルを通じて両方で相談をしておるところでございます。
  42. 井上一成

    井上(一)委員 外務大臣は中東訪問から帰国をされたときに、福田総理に対して、なるべく早い適当な時期にエジプトを含む中東諸国を訪問するよう進言をされたということでありますけれども、その後一向にその気配が見えないわけであります。これは立ち消えになってしまったのか。あるいはまた、時期を見て福田総理は歴訪されるお考えを持っていらっしゃるのか、外務大臣からお聞きをいたしたいと思います。
  43. 園田直

    園田国務大臣 私が訪問しました際、訪問先の国々から正式の招待もあり、私もまた中東の重要性にかんがみて総理がぜひ歴訪されることが必要である、こういうふうに考えましたので、約束もしてまいりました。帰りましてから、総理にこの点を特に一番最初に意見を申し述べましたところ、総理も、それは必要であるという御同意がありました。ただいま、いつごろになるか、日程等詰まっておりますけれども、少なくともこれは重要なことであるし、約束でありますから、ぜひ実現するよう日程の詰めをやっているところでございます。
  44. 井上一成

    井上(一)委員 西ドイツのシュミット首相は昨年暮れから正月にかけてエジプトを訪問して長期滞在をして、そして中東外交を積極的に推進してきた。わが国が、先ほど指摘をしたように中東外交が立ちおくれている、私自身は少なくともそういう認識に立っておるわけでありますけれども、それを取り戻すという意味からも、ぜひ私自身、いま外務大臣からお答えがありましたけれども、総理みずからが中東を訪問をし、より強い積極的中東外交を推進すべきである、こういうふうに思うわけであります。重ねて外務大臣の考えをお聞きしたいと思います。
  45. 園田直

    園田国務大臣 私も御発言のとおり全くそのように考えておりまして、これはぜひ実現をするように努力をしたいと考えております。
  46. 井上一成

    井上(一)委員 さらに私は質問を続けたいわけでありますけれども、時間の関係がありますので、後の質問については次回に留保するということで、とりあえず私の質問を中断いたします。
  47. 永田亮一

    永田委員長 高沢寅男君。
  48. 高沢寅男

    ○高沢委員 私は、安全なコンテナーに関する国際条約についてお尋ねをいたしたいと思います。  初めにお尋ねしたいことは、この条約ができた目的は何か。非常に総論的なことでありますが、最初にそのことをお尋ねをいたしたいと思います。
  49. 大川美雄

    ○大川政府委員 この条約は、コンテナの構造上の安全要件を国際的に統一することを通じまして、コンテナの取り扱い、それの積み重ね、それから運送における人命の安全を図るということと、それを通じてコンテナによる国際輸送を助長すると申しますか、容易にすることを目的といたしております。
  50. 高沢寅男

    ○高沢委員 この条約は、一九七二年の十一月に国際コンテナー輸送会議で八十六カ国が集まってそこで採択をされた、こういうことであります。それからこの条約が現実に効力を発生するというにば、十カ国が批准の手続を終わるということが条件になっておりまして、七七年の九月六日に十カ国の批准ができて効力を発生した。こういうふうなことでありますが、まずお尋ねしたいのは、七二年の八十六カ国が集まってこの条約を採択をしたとき、この八十六カ国の中へ日本は入っていたかどうか、これをまずお尋ねしたいと思います。
  51. 大川美雄

    ○大川政府委員 日本はその中に入っておりました。
  52. 高沢寅男

    ○高沢委員 その後、先ほど言いましたように、十カ国の批准ができてこの条約は効力を発生したということですが、その十カ国はどことどこであるかということをお聞きしたいと思います。
  53. 大川美雄

    ○大川政府委員 十カ国が批准をいたしました順番に申し上げますと、ハンガリー、チェコスロバキア、スペイン、ドイツ民主共和国、フランス、ニュージーランド、ルーマニア、ドイツ連邦共和国、ソビエト連邦、ウクライナ、この十カ国でございます。
  54. 高沢寅男

    ○高沢委員 それから、その十カ国の後で現在までの間に批准の手続をとったのはどういう国がありましょうか。
  55. 大川美雄

    ○大川政府委員 六カ国ございます。それを順番に申し上げますと、白ロシア、ブルガリア、アメリカ合衆国、インド、リベリアそれからイギリスでございます。
  56. 高沢寅男

    ○高沢委員 いま国会で、コンテナー条約わが国承認することが求められて、政府の提案の説明ではそれが非常に急がれているということであるわけですが、わが国が、輸送におけるコンテナというものを非常に利用する国であることはもう明らかであるわけですが、そうであるとすると、最初の八十六カ国の一つとしてわが国条約の作成に参加した、そしてあと十カ国の批准で効力が発生するという場合に、なぜ日本はその十カ国の真っ先に批准の手続をとって効力発生を促進するというような立場に出なかったのか。いわば十カ国はほかの国で批准ができて効力が発生して、そしてその後で、さあこの条約が効力を発生したから早く入らにゃいかぬ、そこで早く国会が承認してくれというような形になっておりますが、私はその前後の関係に少しちぐはぐがあるのではないかというふうに感ずるわけでありますが、その辺の事情は一体どういうことであったのか、お聞きしたいと思います。
  57. 大川美雄

    ○大川政府委員 この条約先ほど説明申し上げましたような目的がございますので、その目的を達成するためには、できるだけ多くの国々がこの条約に定めた制度を取り入れるということが、条約の実効性を確保する上で望ましいということでございますが、そういう見地から、わが国といたしましては、各国特にコンテナをたくさん持っている国々がこの条約締結するかどうかという各国の締結状況を見きわめてまいった次第でございます。  先ほど先生の言われましたとおり、昨年の九月六日に発効いたしまして、その後、ことしに入りましてからアメリカ、イギリスという有数のコンテナ大国が次々とまた批准してまいっております。いまや世界のコンテナの大半を所有している国々がこの条約締結国となっておりますので、わが国としても早急にこれを締結する必要があるというふうに考えた次第でございます。
  58. 高沢寅男

    ○高沢委員 なるべく多くの国が加入をすることがこの条約の実際の効果を確保する道であるということは、確かにそのとおりです。しかし、そうだからといって、日本以外のほかの国もそうなることを期待して、自分の国よりよその国がなるべくたくさん入ってくれるのを待っていて、そしてもう相当多数の加入国ができ、これなら効果が期待できるから、それじゃわが国も入りましょうというような形を、これは当然どの国もそれぞれそういう考慮があろうかと思いますが、日本のようなコンテナの輸送に非常に大きな関係のある国は、むしろ先に入ることによって条約の効果を高める役割りを果たして、それによってほかの国の加入を促進するというようなやり方をすべきではなかったか、こう私は思うわけです。先ほどの御説明で西ドイツも入りましたね、それからフランスも入りました。それから最近アメリカもイギリスもと、確かにコンテナという関係では主要な国が全体入ってきた。そこで日本が入る、こうなると、これらのコンテナに関係する非常に大きな国というような関係の中では、やはり日本は一番最後になったような形になるんじゃないかと思うのですが、そういう意味において、これはこの条約だけではありませんが、どうも何事も日本の外務省のやり方は、ほかの国はどうするかという模様をながめていてそれからわが国も、こういうようなことになるケースが非常に多いのじゃないのか。今度の場合もそういうふうな姿になっているんじゃないか、こう思うわけです。その意味においては、これはこれですでに現在に至っているわけでありますが、これから他の各種の国際条約があろうかと思いますが、それが非常に有意義な、必要な条約であるというような場合には、日本はむしろ先んじてそういうものに加入をして、それによって他の国も加入をするようにこれを促進していく、こういう前向きの立場をとることが必要ではないかと考えるわけですけれども、この点について将来のこともありますからひとつお考えをお聞きしたいと思います。
  59. 大川美雄

    ○大川政府委員 言われましたとおり、確かに日本といたしましては、こういった内容的に特に異論があるものでもなく、かついずれ発効することがはっきりしていまして、締結することがそれなりの意義があるという条約につきましては、できるだけ積極的に取り組んで、早くその締結手続を踏んでいくことは望ましいと思います。でございますから、確かに従来ともやや締結がおくれることもございましたけれども、今後こういった条約につきましては、われわれの事務能力の許す限りにおきまして、できるだけ積極的に取り組んでまいりたいと思います。
  60. 高沢寅男

    ○高沢委員 ぜひそういう立場でこれからはやっていただきたいと思います。  そこで、日本がこれに加盟をいたしますと、西ドイツやフランスやあるいはまたアメリカやイギリスや、コンテナをたくさん保有している主な国がそろってくるわけでありますが、そこで、この国際運送におけるコンテナをたくさん保有している国の条約の中へ入ってきた、そういう関係のコンテナの保有個数、それからそれのパーセント、あるいはまたそれらの国がコンテナ専用船というものを持っていると思いますが、そういう状況、こういう条約との関係におけるそれらの状況について御説明をひとつしていただきたいと思います。
  61. 辻栄一

    ○辻説明員 御説明申し上げます。  コンテナの保有大国といたしましては、米、英、日、独、仏というところが大きいところでございます。  コンテナの保有個数は、現在世界で約百六十万個と言われておりますが、これら五つの国を足しますと、六五・七%の保有量に達しております。御質問の個々のコンテナの個数につきましては、アメリカが四十二万五千、二六・七%、イギリスが二十五万九千、一六・二%、日本が十五万一千、九・四%、西ドイツが十三万九千、八・七%、フランスが七万五千、四・七%というような状況でございます。  コンテナの専用船の保有量につきましては、アメリカが百二十八隻、イギリスが五十七隻、日本が四十四隻、西ドイツ三十八隻、フランス二十一隻というような状況になっております。
  62. 高沢寅男

    ○高沢委員 そうすると、いまの御説明で、結局この条約の目指したコンテナの輸送に関する安全確保、そのための各種の検査や試験やあるいはまた承認、こういうふうな手続がこれによって十分実効が上げられるというようなことになる、こう見ていいのかどうか。そこの評価をひとつ専門家の立場からお聞かせいただきたいと思います。
  63. 辻栄一

    ○辻説明員 これらのコンテナに関する保有大国がこの条約に加入いたしますれば、これらのコンテナの安全規制が国際的に均一になるという点、それからこれらの検査等が、お互いに認め合うというようなことで、コンテナの安全保持の面からいいましても、それからコンテナの流通の面からいきましても非常に貢献するものというふうに理解しております。
  64. 高沢寅男

    ○高沢委員 日本がこの条約に加盟をいたしますと、これによって引き受ける義務と申しますか、責任といいますか、それはどういうふうなものを引き受けることになるのか。それからその関係で、そういうふうな責任を果たすために当然国内的ないろいろな体制あるいは制度が必要になるかと思います。そういう国内の体制や制度の関係はどういうふうになるのか、その関係をひとつ御説明を願いたいと思います。
  65. 大川美雄

    ○大川政府委員 日本がこの条約締結国になりました場合の義務から御説明申し上げますが、これは御審議いただいている条約のテキストの第四条と第五条に書いてございます。  要約いたしますと、コンテナの試験、検査及び承認に関する国内手続をこの条約が定めている基準に従って定めるという義務が一つございます。  それから二番目に、この条約のほかの締約国がコンテナに対して与えた承認を受け入れると申しますか、認容し、そういったほかの締約国の承認を受けたコンテナを監督するに際しましては、そのコンテナがこの条約に定める型式の有効な、いわゆる安全承認板を掲げているかどうかを確かめる、その限度においてのみ監督を行うというのが二番目の義務でございます。
  66. 辻栄一

    ○辻説明員 条約を実施いたしますための国内法制上の措置について御説明申し上げます。  この条約は、国際流通をするコンテナを適用の対象といたしております。わが国は島国でございますので、この国際コンテナはすべて海上コンテナということになるわけでございますので、国内法令の手当てといたしましては、船舶安全法上の安全に必要な設備であるというふうにとらえまして、この船舶安全法によりまして関係の省令を改正いたしまして、この条約上の検査を実施するための国内法上の諸法令はすでに整っております。昨年の九月六日にこの規則改正を実施いたしまして、すでに検査を実施しておりまして、その検査の内容も条約の内容と実質的に同等の検査を行っているわけでございます。  しかしながら、これらの検査をすることによって発行いたしますところの安全承認板というものにつきましては、今回の条約の改正によりまして、これが従来国内的なものであったものが国際安全承認板ということになりますので、条約締結いたしました際には、その関係の規則改正をさらにやるというようなことを考えております。
  67. 高沢寅男

    ○高沢委員 いま運輸省から御説明のあったことはこういうふうに理解していいですか。この条約の附属書がありますね。この附属書でコンテナの試験や検査や承認、保守に関するいろいろな具体的な取り決めがされておるわけですね。そうすると、この附属書の具体的な基準といいますか、スタンダードを実際上受ける形の国内体制はすでにできている、ただ、CSCという条約に加盟して、それをパスしたものにつける「CSC」はいまの国内体制ではまだ使っていないけれども、今度条約に入ればそういう同じ、いままでにできておる基準で、あとはもう「CSC」をつければいいんだ、こういうふうな国内の関係はできているんだ、こういうふうに見てよろしいわけですか。
  68. 辻栄一

    ○辻説明員 そのとおりでございます。
  69. 高沢寅男

    ○高沢委員 次へ進みたいと思います。  そのコンテナの関係で、日本が現在コンテナを生産している。しかも、その生産の面で日本は非常に大きなシェアを占めておる、また輸出の面においても大きなシェアを占めている、こういうふうに聞いているわけでありますが、日本の産業でコンテナをつくる、それから輸出をする、こういうふうな関係がどういう実態になっているかをお尋ねしたいと思います。
  70. 辻栄一

    ○辻説明員 先生御案内のように、わが国世界第一位のコンテナ製造国でございまして、一九七六年には約九万四千個、これは、コンテナはいろいろ大きさがございますが、すべて八フィート、八フィート、二十フィートという標準型のものに換算しての数字でございますが、これが九万四千個の生産をいたしておるわけでございまして、これは世界製造量の約六〇%というふうに言われております。このうち大部分は外国向けのものでございまして、同じ年度におきましては、その約八〇%が輸出用に向けられておるわけでございまして、その数が七万九千個というような数字になっております。
  71. 高沢寅男

    ○高沢委員 いま言われたその輸出の相手国ですね。イギリスやアメリカやフランス、西ドイツというようなコンテナ大国と言われる先進国的な方面へ向くものと、それから発展途上国へ向くものとあるかと思いますが、その内訳は大体どんなふうな姿になっていましょうか。
  72. 辻栄一

    ○辻説明員 詳しい統計資料がございませんので、非常に概略の数字でございますが、輸出コンテナのうちアメリカ向けが約七十数%という数字を占めております。そのほかの残りの分につきましては主として開発途上国向けでございます。
  73. 高沢寅男

    ○高沢委員 条約の第四条の1の中にこういうふうな言葉がありますね。「もっとも、主管庁は、正当に権限を与えた団体に対し、試験、検査及び承認を委託することができる。」つまりこれは、このコンテナの試験や検査や承認を行うその手続といいますか、あるいは権限といいますか、その委託を正当に権限を与えた団体に与える、こうなっておりますが、これは日本の場合にはこの団体に該当するものはどういうものがあるのか、お尋ねをしたいと思います。
  74. 辻栄一

    ○辻説明員 わが国の場合は、条約附属書の二章の四規則及び五規則によりますコンテナの型式の承認、これにつきましては運輸大臣がみずから行うということにいたしておりまして、この代行機関はつくっておりませんが、第六規則にある「製造中の検査」ということで、運輸大臣が設計承認をいたしましたその設計どおりにコンテナが現に製造されているかどうかということの検査、私どもこれを検定と呼んでおりますが、この検定については代行機関をつくっております。その代行機関は、従来こういった船舶用品の検定を行ってまいりました日本舶用品検定協会という団体がございますが、この団体に委託をするということにいたしておりまして、現に昨年の秋以来型式承認を行いましたのは約二十型式承認やっております。舶用品検定協会におきましてこれまでに検査いたしましたコンテナの数が約三千七百個程度の実績が上がっている現状でございます。
  75. 高沢寅男

    ○高沢委員 その日本舶用品検定協会、そのほかにフランスのビューローベリタス、BVと称する検査団体にもそういう業務を委託しておるというふうなことがあるかに聞いておりますが、その関係はどういうふうになりましょうか。
  76. 辻栄一

    ○辻説明員 御指摘のBV船級協会と申しますのはフランスの船級協会でございまして、フランス政府のコンテナに関する検査の代行権限をとっている団体でございます。フランスが先ほど申しましたようにすでに条約に加盟をしておるということから、わが国の輸出用コンテナの大部分は従来このBV船級協会の検査を受けて、そして国際安全承認板を持って輸出されているというような現状でございます。
  77. 高沢寅男

    ○高沢委員 いまの点ですが、そうするとこういうふうに理解していいですか。フランスは日本より先にこの条約に加盟した、そこでそういう輸出用あるいは国際輸送に使われるコンテナをこの条約に定める試験、検査あるいは承認をする、そういうことができる立場になった。日本はそれよりおくれて今度加入するということになりますが、その間の時間のずれ、その間をフランスのBVという検査団体に頼んできた、こういうふうに理解していいわけですか。
  78. 辻栄一

    ○辻説明員 私ども船舶安全法によって行いますところの検査は、日本のコンテナオーナーの所有するコンテナ、これに対してのものでございます。輸出用のコンテナにつきましては所有者は外国人になるわけでございますから、船舶安全法は必ずしも適用にならないわけでございまして、輸出用のコンテナをどこの検査団体によって検査を受けるかというのは、製造者あるいはコンテナ所有者の任意というかっこうになっているわけでございまして、検査を委託したというわけではございませんが、そういったようなことで実体的には輸出用コンテナの大部分をビューローベリタスが検査をこれまでやってきているというようなことでございます。
  79. 高沢寅男

    ○高沢委員 そうすると、今度わが国はその条約に加入するということになりますと、いまのこの日本の舶用品検定協会と、それからフランスのBVの両者の間にどういう新たな関係が生まれることになりますか。いわば競争関係といいますか、そういう関係でどうなるかということをちょっとお聞きしたいと思います。
  80. 辻栄一

    ○辻説明員 これまでのところですと、わが国の舶用品検定協会は国際承認板を張れなかったという点において大きなハンディキャップをこのBVに対して負っていたわけでございますが、これからはわが国も国際承認板を張れますので、自由な立場でこのフランスの船級協会との競争ができるというような状態になろうかと思います。
  81. 高沢寅男

    ○高沢委員 念のためにお聞きしますが、大体コンテナというものはその本体がどのくらいの値段のものであって、この試験検査そして承認という、こういうふうな手続をとるにはどのくらいの費用がかかるものか、念のためにお聞きしたいと思います。
  82. 辻栄一

    ○辻説明員 コンテナにはいろいろ種類がございまして、一概には申せないのでございますが、非常に一般的な一般貨物用のコンテナにつきましては、いわゆる八、八、二十という八フィート、八フィート、二十フィートのサイズのものでございますが、これで綱鉄製の物で約五十数万円ないし六十万円になるかもしれません。それからアルミでつくりましたものですと、これにさらに二十万円程度の加算があるといったような金額になるようでございます。  型式承認並びに検定の手数料につきましては、型式承認、これは国が行うものでございますけれども、一般コンテナについては一型式につきまして九万八千円、それからフラットラック型と申しまして、コンテナでも天井のついていないコンテナがございますが、これにつきましては六万八千円という数字になっております。それから一個一個の検定手数料でございますが、これは一般コンテナが二千八百円、フラットラック型の物が二千二百円ということになっております。
  83. 高沢寅男

    ○高沢委員 実態はよくわかりました。  それで、附属書Iの第四規則にこういうような表現があります。「主管庁は、そのコンテナーがその要件に適合していると認める場合には、申請者に対しその旨を書面によって通告するものとし、その通告は、製造者に対し、当該設計型式の型式シリーズコンテナーに安全承認板を取り付ける権利を与える。」こういうような表現があります。これで見ますと、コンテナをつくる製造業者に安全承認板をつける権利を与えるというようなことになりますと、自分でつくったものに自分で安全だという板をつけるというようなことで、そこに何か非常に安易な水増し的な運営がないかどうかというふうなことを感ずるわけですが、この件はどうでしょうか。
  84. 辻栄一

    ○辻説明員 この条約の規制の仕方につきましては、いわゆる検査に関する条約といたしましてはかなり緩やかな規制をいたしておりまして、先生指摘のように型式承認を受けますと、メーカーは国際承認板を張る権限を与えられるというようなことになっております。しかしながら、私どもの国内規定におきましては、先生指摘のような問題点もあろうかと存じますので、わが国の場合には、先ほどの舶用品検定協会が一々検定をいたします。検定をいたしましたそのコンテナにつきまして安全承認板を取りつけ、かつ、これに検査終了後に刻印を打つというようなことによって不正を生ずることを避けているわけでございます。
  85. 高沢寅男

    ○高沢委員 つまり、いまの御説明は、その舶用品検定協会の方の目はちゃんと届いている、そこで大丈夫という確認があって初めて承認板もつけられるし刻印も押せる、こういうふうなことで、その点は心配ないという御説明ですが、念のためにお聞きしますけれども、万一そのコンテナで、安全だと刻印の押されたもので事故が起きたというような場合に、その事故に対する責任といいますか、メーカーもありましょうし、それから協会もありましょうし、それから主務官庁というような関係で、責任関係というのは三者の間でどういうことになるか、これをお尋ねしたいと思います。
  86. 辻栄一

    ○辻説明員 コンテナ関係の事故の責任関係につきましてはかなり複雑な問題でございまして、むずかしい御質問でございますが、御質問の趣旨は、むしろ検査等の関係において、民間側の責任関係等がどういうふうに影響を受けるかというようなことであろうかと存じます。一般的に申し上げまするほかはないのでございますが、メーカーというのは、やはり通常予想されるような事故を防止できるようなしかるべき設計を行い、製造を行うという点において責任を持っております。と同時に、ユーザーサイドは、その物を適正に使用し保守をして、事故を防止するというような義務を有しているかと思いますし、これらは、それぞれの事故の態様に応じましてケース・バイ・ケースで処理されるものと存ずるわけでございますが、このメーカーとユーザーとの間の義務関係につきましては、このような検査制度が導入された場合にも、基本的には影響は受けないというふうに理解しているわけでございます。すなわち、私ども、検査をいたします場合に、その目的は、先ほども申し上げましたようなメーカーとユーザーの間の私的な関係のみでは安全確保が十分でないというふうに判断される場合におきまして、その行政上の監督的な見地から行う大局的な検査を実施するんだというふうに考えております。したがいまして、この検査は、一〇〇%の安全を保障しようという趣旨のものではなくて、国民に対する行政サービスとしてどの程度のものが必要であろうかというようなことから判断して実施されるものであるというふうに考えております。したがいまして、事故があったからといって、直ちに検査機関が責任があるとかないとかいう話にはもちろんならないわけでございます。しかしながら、規則に違反して検査をするとか、あるいは違法な検査を行って間違った勧告をしたというような場合に、それは検査団体なり監督官庁なりの責任が問われるということは当然であろうかというふうに考えております。
  87. 高沢寅男

    ○高沢委員 ここで、念のために、そういうコンテナをつくる日本国内のメーカーですね、どんな業者があるか、ちょっと聞かせていただきたいと思います。
  88. 辻栄一

    ○辻説明員 現在コンテナをつくっております主要メーカーは、わが国におきましては九社ございます。東急車輌製造株式会社、これがトップメーカーでございまして、わが国生産量の五割以上を生産しているわけでございます。そのほか、日本トレールモービル、日本フルハーフ、富士重工、三菱重工、馬淵建設、アルナエ機、関東自動車工業、神鋼ファウドラー、これらのメーカーが鉄製あるいはアルミ製、ときによりますとFRP製のコンテナをつくっているわけでございます。
  89. 高沢寅男

    ○高沢委員 ここで、コンテナのことから関連して、海運関係ということに多少広げてお尋ねをしたいと思うのですが、わが国は、発展途上国に対していろいろな海上輸送、船舶や運送の関係の技術協力や援助もやっているかと思います。そういう援助と、最近よく言われる、発展途上国がその面に進出をしてくると、国旗差別政策というようなものをとって、わが国の荷物はわが国の船で運ぶというふうな問題が出てくる、これは当然国際関係において一定の対立の問題になってくる、そういう援助し、そして発展途上国のその面の発展を促進するという面と、現実に今度は日本の海運とのぶつかり合いになってくる、こういう関係をどういうふうに調整されるのか、その辺のお考えはいかがでしょうか。
  90. 武藤利昭

    武藤政府委員 わが国経済協力の一環といたしまして、開発途上国に、船舶に関します有償無償の資金協力あるいは技術協力を行っているわけでございますけれども、従来わが国が行っておりました資金協力は、有償であれ無償であれ、内航船、訓練船等の小型船が主でございまして、ただいまお示しがございましたような国旗差別との関係というものは生じておらないのではないかというふうに理解いたしております。
  91. 高沢寅男

    ○高沢委員 それから、いまはどうか、私、詳しくは存じませんが、一時アメリカ関係で、いわゆるシップアメリカン、こういう政策があって、アメリカがいろいろな関係で輸出したり、あるいは援助で与えたりするそういう荷物はアメリカの船で運ぶというようなことがあったことを記憶しておりますが、現在は、こういう関係はどういうふうになっておりましょうか。
  92. 塩田澄夫

    ○塩田説明員 お答え申し上げます。  アメリカの国旗差別措置といたしましては、大体三つに分けられると思います。  一つは、一九〇四年にできました貨物優先積み取り法という法律がございまして、これによりまして、軍需物資の一〇〇%を米船に留保いたしております。  第二は、一九三四年に上下両院合同決議によりまして、政府関係機関の融資によって輸出する農産物等の生産物の一〇〇%を米船に留保いたしております。ただし、輸出入銀行の融資によるものにつきましては、相手方に五〇%のウエーバーを認めるということにしております。  第三に、一九三六年に制定されました商船法という法律がございますが、この法律によりまして、たとえば援助物資等の政府関係貨物の五〇%をやはり留保いたしております。
  93. 高沢寅男

    ○高沢委員 いま説明された三つのアメリカの措置は、現在も生きているわけですか。
  94. 塩田澄夫

    ○塩田説明員 現在も生きております。
  95. 高沢寅男

    ○高沢委員 そうすると、その面において日本の海運とのぶつかり合いというものは、現実には、現在は別に政治問題にはなっていないということで考えていいのか、あるいは、いまの円高ドル安という経済環境の中で、この問題がまたアメリカから対日関係経済要求としてずっと出てくるというふうな可能性があるのか、その点はいかがでしょうか。
  96. 塩田澄夫

    ○塩田説明員 ただいまの御質問でございますが、まず日本の海運に対する影響でございますが、もちろん、米国がこういう国旗差別政策をとる、政府関係貨物を自国船に留保するということは、日本船にそれなりの影響はあると思いますが、現在、この問題が両国間の非常に深刻な問題になっているわけではございません。したがいまして、また、米国側から、この問題につきまして日本に対しまして何らかの要求をするということは、現在のところは考えられないと思います。
  97. 高沢寅男

    ○高沢委員 大蔵省、見えてますね。――一つだけお聞きしたいと思います。  このコンテナの輸送で運ばれる荷物、そうでなくて、従来のようなバラ積みの輸送で運ぶ荷物、これは荷物の事故の起き方にずいぶん違いがあると思うのです。コンテナの方がずっと安全輸送になると思うのですが、そういう場合の海上保険との関係というものでお尋ねしたいのですが、そういう実際の事故率等に大きな違いがある荷物に対する保険の保険料とか、そういうふうなものの適用のやり方は、それだけの違いを認めているのか、同じような一律の扱いをしているのか、その辺の関係をちょっとお聞きしたいと思います。
  98. 森田一

    ○森田説明員 海上貨物保険のうちで大宗を占める外航貨物保険につきましては、原則として自由量率になっておりまして、保険会社と顧客との相対で決定されることになっておるわけでございます。  外航貨物保険の料率というのは、船齢とか貨物の種類とか、あるいは積み荷の状況、顧客の過去の実績、担保範囲等契約条件のほか、国際相場も勘案しまして、個々の契約ごとに決められておるのが実情でございます。  先生の御指摘のように、わが国も四十年代に入りましてコンテナ化が進みまして、現在ではコンテナ輸送というのが主流になっておるわけでございまして、一般の貨物についてもコンテナ輸送とバラ積み輸送を区別する意味はなくなってきておるわけでございます。  コンテナ化のこのような問題については、確かに事故率の低下につながる面があるわけでございますけれども、逆に貨物によりましては密閉による温度上昇とか汗ぬれとか、そういうような面もあるわけでございます。しかし、これらを全面的に総合勘案しまして、コンテナ化による保険料率の引き下げという要因につきましては、すでに個々の契約の中に織り込まれておるとお考えいただいてよろしいかと存ずるわけでございます。
  99. 高沢寅男

    ○高沢委員 それじゃ、私がきょうお尋ねしたい最後の問題になりますが、ことしの三月、日ソの合弁輸送会社という案が出てきて、しかしこれについては、日本政府当局としてはこれを不許可にされた、こういうことが新聞の記事でも出たわけであります。この不許可の理由をお尋ねしたいということが一つですが、同時に、ここで私がこの問題を出すのは、いま私の承知しているところでは、ソビエトは第二シベリア鉄道、バイカル―アムール鉄道というこういう鉄道をいま建設しておる。これがあと五年くらいたつとできるというような予定だそうですか、これができてくると太平洋からヨーロッパに対する輸送の関係に非常に大きな変化が出るのじゃないかというふうに考えられるわけです。その場合に海上輸送、そして陸上の鉄道輸送、ここのところを貫くコンテナ輸送というものが非常に大きな動脈になってくる、私はこういうように考えますが、そういう状況に対して日ソの合弁の輸送会社という考え方を、これはこの三月に不許可ということになったわけですが、ただ不許可ということで済むのかどうかということが一つあろうかと思うわけです。  これは将来を展望した場合に、非常に大きな世界的な輸送動脈の変化というものが出てくるわけですから、そうであるとすれば、むしろもういまから日本政府当局としても、ソ連の政府当局と正面からひとつこの問題を取り上げて協議もする、そしてまた何か協定を結ぶものがあれば協定を結ぶ、あるいはまた、合同でやるそういう事業体をつくるということが必要であるとすればそういうものもつくるというような、何かそのときになってあわててどうするこうするじゃなくて、いまからそういう何年か先を見通して積極的に対応するというやり方をされた方がいいのじゃないか、こう考えるわけですが、この三月に不許可にされた理由と、同時に、そういう数年先へ向かっての一つの展望というものについてお考えを聞きたいと思います。
  100. 永光洋一

    ○永光説明員 お答えします。  御指摘の案件は、ソ連の全ソ対外輸送公団、SVTと申しておりますが、日ソ間の貨物輸送にかかりますところの仲介、あっせん、あるいはいわゆるシベリアランドブリッジと申します日本と第三国間のシベリア経由貨物の連絡調整、こういうものの事業を目的としまして、日本側の三社と合弁で日ソ国際輸送株式会社、これをニソトラと略称申しておりましたが、設立するために株式取得申請を去年の九月に行ったものであります。本申請につきましては、受理後、関係各省におきまして検討しました結果、シベリアランドブリッジ輸送は、社会経済体制の異なるソ連を主要経路にするものでありますので、日欧間の貨物輸送におきまして、その輸送シェアがこれ以上大幅に拡大していくことにつきまして、わが国の国際貨物輸送、ひいてはわが国経済安全上の問題がやはりあるというようなことだとか、あるいは本件企業の出資者でありますところのSVTが、御承知のとおりと思いますが、いわばソ連の輸送業務を一元的に取り扱っております公団でございまして、そういうものの影響力を背景としまして、積極的なソ連線の拡大策というようなものと相まち、わが国の海運業あるいは国際貨物輸送業界というものに与える影響面におきましてのことを勘案いたしまして、認可をいたさないことにいたしたわけでございますが、一般的に、このシベリアランドブリッジにつきましては、シベリアランドブリッジ輸送が日欧間輸送手段の選択の機会の増大につながるということにつきましては、われわれも認識しておるわけでありますが、しかし、その輸送が日欧間輸送の中で非常に重要なシェアを占めるというような事態に至った場合に、わが国の輸送体系の安定性という観点からは問題があるというふうに予想されますので、今後のシベリア鉄道云々というような貨物輸送の将来につきましては慎重に対処していきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  101. 高沢寅男

    ○高沢委員 五、六年先ということですけれども、こんなものは、もう時間はあっという間にたつわけでありますから、事態に立ちおくれないように、いまからひとつ先見的な立場で十分検討されて、積極的に対応されるということが必要だと思います。それを要望いたします。  以上で私の質問を終わります。
  102. 永田亮一

    永田委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時十七分休憩      ――――◇―――――     午後三時三十二分開議
  103. 永田亮一

    永田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。井上一成君。
  104. 井上一成

    井上(一)委員 私は、日本国イラク共和国との問の航空業務に関する協定の件で引き続いて若干質問をいたします。  航空局にお尋ねをいたしたいわけでありますけれども、外国の航空機の給油については現在どのようなシステムで補給しているのか御説明をいただきたいと思います。
  105. 田代雅也

    ○田代説明員 それぞれの航空会社が、空港におきます給油会社と契約を結びまして給油をしているわけでございます。
  106. 井上一成

    井上(一)委員 その給油会社というものは国が何らかの形で指定をするわけですか。
  107. 田代雅也

    ○田代説明員 国の管理しております土地を借用いたしまして行う事業といたしまして、空港の中にございます各種の事業の中で第一類構内営業ということで「航空機燃料供給固定施設提供業」こういうものがございます。これにつきましては地方航空局長がその営業の承認をいたしまして、かつその料金につきまして承認を要する業種となっておるわけでございます。
  108. 井上一成

    井上(一)委員 私はここで、いわゆる空港の中で、国の所有する土地を特定の企業に貸していく、あるいは貸された後どういうような運営をしていっているのか、詳細について、いまお答えをすぐにいただくことができなければ、改めて関連して、給油関係でなく、航空機にかかわる、あるいは空港ターミナルの中における一切の関連の事業を含めて詳細に私の方へ文書で提示をしていただきたいと思うのですが、委員長、お取り計らいをいただきたいと思います。
  109. 田代雅也

    ○田代説明員 先生の御指示のございました資料につきましては、用意いたしまして提出いたしたいと存じます。
  110. 井上一成

    井上(一)委員 そこで、私は次に、さっき私の質疑の中で、外務大臣が特別報告ということで、大韓航空機の行方不明という表現で御報告があったわけでありますけれども、その大韓航空機が聞き及ぶところによりますと、ソ連に強制着陸をさせられた、何らかの理由だと思いますけれども。このことについて事実関係をひとつ詳細に御報告いただきたいと思います。
  111. 愛野興一郎

    ○愛野政府委員 その後、まだ完全に詳細というわけにはまいりませんが、現状を申し上げますと、二十日パリ発アンカレジ経由ソウル行きの大韓航空九〇二便がノルウェーとの連絡を最後に連絡を絶った。同便には日本人客五十名が搭乗いたしておりまして、そのほか韓国人三十五人、その他二十七人等々であります。当初クルーには日本人スチュワーデスがいるとの情報があったが、それは誤認であった。それから二十一日十二時四十分大韓航空東京支社から、九〇二便はソ連に強制着陸させられた旨正式発表があった。それより前から在米カナダ、ソ連、韓国各大使館、アンカレジ、エドモントン総領事館等にて電話等にても事実確認に努力をいたした。そして在米、在韓大使館より米政府筋の情報として、米国のレーダーは九〇二便がソ連領空に侵入したことは確認をしている旨報告があった。ソ連領内への着陸についてはフィンランド国境近くに強制着陸させられたとの情報があるわけでありますけれども、これも現在のところ未確認である。ソ連側は三時現在未発表である。こういうことであります。日本人の乗客名につきましては、運輸省航空局の方でほぼ判明いたしておるようでありますけれども、まだ幼児の名前とか、あるいはまたローマ字の関係等ありまして、全員確認をしておるというような状況ではないわけでありますが、ほぼ氏名は確認をいたしておる、こういう現状であります。
  112. 井上一成

    井上(一)委員 いまの報告では、アメリカないしはその他の国からということですけれどもわが国の在ソ大使館、いわゆるモスクワの日本大使館からは、このことについて何らかの報告が寄せてこられたのですか。
  113. 愛野興一郎

    ○愛野政府委員 この情報がありました際に早速外務省から訓令はいたしておりますが、調査をして直ちに連絡をすると言ったまま、ソビエト駐在の大使館筋からはまだ詳細な報告があっておりません。
  114. 井上一成

    井上(一)委員 わが国の大使館からこのような出来事に対して何ら報告が入らないということは非常におかしいのじゃないか。正常な外交関係を樹立しているわが国の大使館が承知をしないということはどういうことなんですか。
  115. 愛野興一郎

    ○愛野政府委員 アメリカ、韓国、カナダ等の大使館からはそれぞれ正式な連絡があっておりますが、ソビエトから在ソビエトわが方の大使館に対して全然連絡がないわけであります。わが方の大使館としてはソビエトに折衝しておるわけであります。
  116. 井上一成

    井上(一)委員 アメリカなり韓国なりカナダの大使館の方からは連絡があるけれども、モスクワのわが国の大使館からは何ら連絡がない、これは非常におかしいのですよね。政務次官、どうお考えになられますか。非常におかしいというか、全くもってこれは理解ができません。いま現在も訓令を出して督促をしているのかどうか。外務省は、この問題をどのように感じていらっしゃるのか。これぐらいという非常に安易な考え方に立っているのじゃないですか。少なくともその中には日本人の乗客が五十二名搭乗しておったという事実があるわけなんですね。それに対して、乗客の保護という見地に立ってどういうように対応されようとしておるのか。
  117. 愛野興一郎

    ○愛野政府委員 わが方としては、ソ連の大使館を通じて執拗に、ソ連大使館に発表、また連絡、詳細な調査報告を求めておるわけであります。それが残念ながらソビエトの方が全然わが大使館の方にまだ連絡をするような確認状況がないようなわけでありまして、私どもとしては非常に心配をいたしておりますし、またこの問題に関します限りにおきましては、ソビエトのこういったあり方につきましては非常に遺憾千万である、こういうふうに考えておるところであります。
  118. 井上一成

    井上(一)委員 私は、三十数カ国と航空業務に関するいろいろな協定を結ぶ中で、とりわけイラクとの航空協定審議の中で、この問題をやはり重要でもあり緊急でもあるという形の中で質問をしているわけなんですが、人道上だけの問題という取り組みにとどめるのか、あるいは御承知のように韓国とソ連とは国交が正常化いたしておりません、そういう中で政治レベルの問題としてでもこの問題は処理をしようという考え方を持っているのか。わが外務省は、先ほども申し上げたように、日本人乗客の保護に対するわが国の対処をどうしようとしているのか、ひとつお答えをいただきたいと思います。
  119. 愛野興一郎

    ○愛野政府委員 この日本人の乗客の人命保護あるいはこういった事態の処理につきましては、政治的にもまた実務的にも全力を挙げて対処をしなければならぬ、こういうふうに考えておるところであります。決して人命軽視等々をやっておるわけではないわけでありまして、外務省としてももう執拗に在ソビエト大使館を通じて詳細報告方をソビエト政府に申し入れておるわけでありますけれども、残念ながら、いかなる事情であるかわかりませんが、ソビエト政府の方がまだ未確認であるというわけであります。
  120. 井上一成

    井上(一)委員 この審議の間にでもより詳しい情報、そして政府の確たる対応をできるだけ早く当委員会に報告を願いたい、こういうふうに思います。
  121. 愛野興一郎

    ○愛野政府委員 当委員会に連絡があり次第、確実に御連絡を申し上げるということをお約束いたしたいと思います。また、こちらの方に報告があるということになっておるわけでありますから、それが参りましたら御報告を申し上げたいと思います。
  122. 井上一成

    井上(一)委員 航空協定の中で、やはりこのような問題を起こさないためにも十分各国との相互連携あるいは相互理解を深めるべきだということを特に要望して、次に、日本国イラク共和国との間の文化協定について若干の質問をいたしたいと思います。  まず、この文化協定の第一条では、学者、研究員、芸術家等の交換を奨励することになっているわけでありますけれども、その実績と今後の計画について説明をいただきたいと思います。     〔委員長退席、奥田委員長代理着席〕
  123. 平岡千之

    ○平岡説明員 お答えいたします。  文化協定一条は、一般的な人物交流及び団体の間の交流の助成ないし奨励をうたう規定でございまして、人物交流につきましては民間のものと政府間のものとがございますが、民間レベルの各種の人物の交流を奨励し、他方、政府、各省庁の派遣、受け入れを行う、研究者の交換等を促進する、こういうふうになっておるわけでございます。  項目別に御説明いたしますと、まず、学者、研究者の交流につきましては、日本政府、それから日本学術振興会、こういう団体の派遣、招聘計画によりまして、年間に一人ないし二人の日本人研究者がイラクに派遣されておるわけでございます。  次に、学生の交流でございますが、日本政府奨学金によりまして、四十九年は一名、五十二年は三名のイラク人留学生を受け入れておりますし、他方、わが国の学生は四十九年から五十二年まで毎年一名、これは日本側の国費という意味の国費留学生としてイラクに派遣されております。  なお、イラク政府奨学金による日本人留学生の受け入れはいままで行われておらない状態でございます。  最後に、芸術家、文化人等の交流につきましては、国際交流基金を通じまして、年間一人の年もあり七人ぐらいまでいった年もございます。こういうように、日本人をイラクに派遣しているほか、他方、イラクからも年間一人ないし二人のイラク人を招聘している、こういう状態でございます。  なお、今後の計画でございますけれども、五十三年度につきましては国費留学生一名を招聘することが決まっておりますほかは、本年度の全般の人物交流事業につきまして、現在各国からの要請を集計いたしまして計画を作成している段階でございますので、具体的には決まっておりません。  以上でございます。
  124. 井上一成

    井上(一)委員 いま説明があったわけですけれども、非常に中東文化との交流がお粗末だということに尽きると思うのです。これを機会にこの協定締結を記念して、より両国間の文化交流を奨励する意味で何か基金のようなものをつくる考えを持っていらっしゃるかどうか。同時に相手国民への奨学金の供与、貸与の現状は現在どうなっているのか、この点についてお尋ねをいたします。
  125. 平岡千之

    ○平岡説明員 お答えいたします。  わが国は、イラクから日本政府奨学金留学生、いわゆる国費留学生でございますが、これが四十九年度に一名、五十二年度三名受け入れておりまして、先生指摘のとおり決してまだ十分とは言えない状況であると思います。  他方、基金という御意見が出まして、それにつきまして私ども、まずは国費留学生の枠をだんだんふやす方向に持っていくべきであるということを考えておるわけでございまして、特定国との交流を目的とする基金を設けるよりはその方が効率的ではないかというふうに考えておるわけでございます。  現在の奨学金供与、貸与の実情でございますが、人数で申しますれば、先ほど申しましたように、四十九年に一名で五十二年には三名でございます。御質問の趣旨は、特に内容を具体的にということでございますね。わが国の留学生は、研究留学生と学部留学生に分かれておるわけでございまして、待遇の内容につきましては、たとえば旅費はエコノミークラスで往復旅費を出してもらう、これはその他の研究留学生も同様でございます。給与につきましては、学部留学生は月額九万七千円、それから研究留学生の方は十三万三千円、こういうふうにランクがつけられておるわけでございます。そのほか研究旅費であるとか渡日一時金であるとか、下宿料補助であるとか医療補助であるとか、授業料、こういう形の助成が出ておるわけでございます。     〔奥田委員長代理退席、委員長着席〕
  126. 井上一成

    井上(一)委員 これは委員長にお願いをしたいのですが、私が質問したことに対して的確にわかりやすく答弁をしていただかないと、限られた時間で委員会運営をスムーズに持っていくためにも、ひとつ政府側に注意を促していただきたい。よろしゅうございますか。
  127. 永田亮一

    永田委員長 わかりました。
  128. 井上一成

    井上(一)委員 さて次に、書籍だとか刊行物の交換がどのようにして行われているのか、あるいは日本語からアラビア語へあるいはまたその逆の翻訳が行われているのかどうか、この点についてもお尋ねをいたします。
  129. 平岡千之

    ○平岡説明員 お答えいたします。  書籍、刊行物の交換でございますが、わが国国際交流基金を通じましての交換の制度がございます。イラクに対しましては日本関係図書の寄贈をこの国際交流基金を通じて行っておりますほか、政府発行の各種の広報資料をアラビア語で作成いたしまして、アラブ諸国に広く配布して、日本の紹介に努めているわけでございます。また最近、民間におきましても、日本とアラブ諸国間の主として経済関係の報道を中心とする雑誌がアラビア語で刊行されております。  他方、翻訳でございますけれども、アラビア語の日本語への翻訳につきましては、アラブ諸国の近代文学の著名な作品の幾つかが、日本人の手によりまして直接日本語に翻訳され、刊行されております。アラビア語の方から日本語への翻訳につきましても、最近のエジプトの作家タハ・フセインの作品二つ等ぽつぽつと翻訳が行われ、刊行されているわけでございます。
  130. 井上一成

    井上(一)委員 ラジオだとかテレビの番組の交換あるいはイラク国の劇映画の上映ではどのようなものが行われたのか、また両国間で、これらの機関の協力関係はどうなっているのか、この点についてもお聞きをしたいと思います。
  131. 平岡千之

    ○平岡説明員 お答えいたします。  まず、具体的なテレビ、ラジオ番組の交換につきましては、この協定が署名されたことを記念いたしまして、最近わが方の大使館より、松竹がつくりました「同胞」という映画でございますが、これをイラクのテレビ局に提供いたしまして、イラク全国に放映されたということがございました。他方、イラクからわが国への商業ベースによる劇映画というものは輸入された実績がございません。  もう一つの御質問の点でありますわが方とイラクとの間の機関の協力関係でございますが、最近ではイラクの国営通信とわが方の共同通信社との間に協定が結ばれまして、協力関係が強化されましたほか、イラクテレビ、これはイラクの国営のテレビ会社でございますが、わが方の民間テレビ局と番組交換の話し合いを続けておるわけでございます。  以上でございます。
  132. 井上一成

    井上(一)委員 スポーツ団体あるいは青少年団体の交流の実績はどうでございますか。
  133. 平岡千之

    ○平岡説明員 お答えいたします。  イラクわが国との間のスポーツ交流は民間ベースによるものが中心でございまして、政府といたしましては、交流基金を通じまして、最近の例では五十一年十二月に卓球指導のための選手団をイラクに派遣しました。それから、本年度はわが国伝統スポーツ、柔道等でございますが、こういうものの選手団の派遣を予定しているわけでございます。
  134. 井上一成

    井上(一)委員 では、私はここで少し角度を変えて、中東文化とはどのようなものを意味するのか、あるいは西洋文化、東洋文化と比較してどのような特徴があるのかについてお尋ねをいたしたいと思います。
  135. 千葉一夫

    ○千葉政府委員 中東文化とは、俗に言いますと、やはりアラブの文化というものが最も中心的存在かと存じます。しかしながら、もとより中東にはアラブ以外にもイランあるいはトルコといいましたような、いわゆる非アラブの国々もありまして、それぞれに古い伝統文化を持っておるわけであります。強いて言いますれば回教の文化である、それが基盤になっておると言うことができるかと思います。そこがいま御指摘の東洋文化あるいは西洋文化と相当な差があるところかと思います。  もとより、中国にも御案内のとおり回教の伝統がございますし、西洋でも、たとえばユーゴスラビアでありますとかアルバニアでありますとか、ああいうところは相当大きな回教徒人口もございます。しかしながら、にもかかわらず中近東が第一に回教文化であると言うことができる基盤としましては、回教を信じておる人口が最も多いということ、それから回教のいわゆる聖地でございますメッカでありますとかメジナでありますとかエルサレムでありますか、そういうものが集中しておる、しかし、それ以前に回教の基礎となった一神教の伝統というものが中近東において芽生え、そしてはぐくまれてきた、この事実であるかと思います。この一神教の伝統というものは、もとよりキリスト教がこれを継承しているわけでございまして、そこに西洋文化と中東文化との若干のかかわり合いがある、こういうことが言えるかと思います。  しかしながら、現在それを発現いたしております形態は、まるで違うと言いますと多少言い過ぎでありましょうけれども、非常にそれぞれの色彩といいましょうか、それぞれの感覚といいましょうか、何よりもそれぞれの歴史が違うわけであります。  次に、東洋文化との関係でございますが、東洋と西洋とは昔から例のシルクロードを通じて結ばれておりましたし、さらには南方のカイロを経由する連絡もございました。したがいまして、非常に東洋と西洋、そしてその中間にあります中東といったものはお互いに影響し合っているわけであります。現に、インドネシアのごときは回教文化の花を咲かせているわけであります。  しかしながら、やはり、これもさっきの西洋と同じでありますが、ここに厳然たる差がございます。そして中東と東洋との差の方が、中東と西洋の差よりは大きい、こう言えるかと思います。  そこで、東洋に位置いたしますわが日本としましては、まず西洋文化の研究に取り組んだという歴史があるのはもとより御案内のとおりであります。これは、何といいましても日本の近代化という歴史的な事実の所産であります。しかしながら、やがて時代がたちますと、中近東というものの重要さ、これがあらゆる面におきまして、文化のみならず政治、経済その他におきまして非常にわが国にとって大事であるという事実が発生し、それに基づく事態の認識というものも出てきたわけであります。  これらに基づいて、やはり中近東の国々との文化交流をやっていかねばならない、現代におきましてはそれらをやる一つのよいやり方としては文化協定を結ぶことである、こういうわけでやっておる次第でございます。
  136. 井上一成

    井上(一)委員 宗教的ないわゆる背景の中での違い、これはぼくはよくわかるのです。とりわけ日本としては、中近東、中東文化との交流をよりこの機会に深めなければいけない、そういう意味では私も賛成でありますし、より推進をしていかなければいけない。しかし実態は非常にお粗末なんですね。ただこういう協定を結んだら事が足りるのだという認識がやはり実態を非常にお粗末なものにしておる。だから、文化の発祥の起源でもあるのだというぐらいの強い認識の中で中東文化の位置づけをしながら、わが国の文化交流に大いに役立たせなければいけない、こういうふうに思うのですが、いかがですか。
  137. 千葉一夫

    ○千葉政府委員 ただいま先生のおっしゃいましたとおりでございまして、残念ながら、日も浅いということもございますが、日本と中東の文化交流はまだまだ緒についたばかりかと存じます。  しかしながら、この点につきまして、これではいけないのであるという意識は日本じゅうに非常に強く広がっていることは御案内のとおりでございまして、外務省といたしましても、すでに約五十名になんなんとするアラビストを養成しておりますし、こういったようなところをバネにしまして、今後先生の御指摘のとおりの方向に向かいまして努力いたしていきたいと存じております。
  138. 井上一成

    井上(一)委員 そこで、私はさらに、いままでに文化協定を結んだ国はどことどこなのか、あるいはこういう種類の文化協定を結ぶことによってその相手国との間でどのような交流が深められていったか、少し具体的に事例を挙げて説明をいただきたいと思います。
  139. 平岡千之

    ○平岡説明員 お答えいたします。  いままで日本文化協定を結びました国は十六カ国ございます。フランス、イタリア、メキシコ、タイ、インド、ドイツ連邦共和国、 エジプト、イラン、パキスタン、英国、ブラジル、ユーゴスラビア、アフガニスタン、ベルギー、オーストラリア、カナダ、以上の十六カ国でございます。  こういう国と文化協定を結びまして、その協定に基づきまして、人物交流、芸術交流等を中心とする各種分野の交流が行われている事情でございます。こういう交流の基礎が文化協定によって非常に明確になる、そこで一層容易かつ円滑な遂行を期待できる、こういう状態でございます。  そのほか、いま文化協定以外に、若干の社会主義国とは文化取り決めと申しまして、行政取り決めで結んでいるものもあるわけでございます。  以上でございます。
  140. 井上一成

    井上(一)委員 私は、具体的に一、二の事例を挙げて、十六カ国との文化協定を結んだ、その相手国との間でどのような交流がなされたのか、交流を深めたことの具体的な事例を一回教えてください、説明をしてください、こういうことなんです。
  141. 平岡千之

    ○平岡説明員 文化交流の内容はきわめて多岐にわたりますが、たとえば最初に、よくわれわれが公演関係と申しておりまして、フランスから劇団が来るとか、それからわが国の諸種のお能とか歌舞伎のような古典的なものが行くとか、そういう演劇の交流でございまして、御案内のように、たとえば具体的な例と申しますれば、映画を送りまして向こうで上映させることとか、劇団で言えば「風の子」という劇団がカナダで公演するとか、他方、人物交流につきましては、先ほどイラクの例で申しましたような留学生の受け入れ、派遣、諸種の分野でやっておるわけでございまして、予算もそれに伴いまして少しずつふえておるわけでございます。  非常に最近の大きな例で申しますれば、唐招提      ――――◇―――――  非常に最近の大きな例で申しますれば、唐招提れましたが、これは日本の唐招提寺から鑑真像を持ってまいりまして、加えて東山魁夷画伯のふすま絵が展示され、非常な盛況をおさめた、こういう例もございますし、また、オーストラリアに歌舞伎が派遣されて大変な好評を博したことも、最近本邦の新聞に報道されているとおりでございます。
  142. 井上一成

    井上(一)委員 いま説明のあった十六カ国の中にアメリカなりソビエトがないわけであります。日米、日ソ間に文化協定がないわけでありますけれども、何か理由があってのことなのか、その辺の事情をひとつ御説明をいただきたいと思います。
  143. 平岡千之

    ○平岡説明員 お答えいたします。  先生指摘のごとく、日米間にも日ソ間にも文化協定がございません。しかしながら、日米間におきましては昭和三十六年六月に池田・ケネディ会談の共同声明が発せられまして、ここにうたわれておりますとおり、日米両国間の文化及び教育上の協力の拡大を検討する委員会というものを設立することが合意されて、この合意に基づきまして、昭和三十七年から日米双方の政界、財界、学界、学識経験者等を代表とする日米文化教育会議、通常カルコンと呼んでおるものでございますが、これが一年置きに日本アメリカ日本アメリカというふうに交互に開催されておりまして、ここで両国間の各種の交流の方途について活発な議論が行われているわけでございます。そこで実質的には文化協定に一般的に規定されるような諸活動がカバーされておるというのが現状でございます。  次に日ソ間につきましては、昭和四十七年に日ソ文化取り決めというものが締結されまして、これは先ほどちょっと申し上げたような行政取り決めの一種でございまして、両政府間の政府レベルの文化交流について取り決めておるわけでございます。しかしながら、ソ連はかねてからもっと広範な分野の文化交流について取り決める包括的な文化協定というものの締結を希望しておるわけでございまして、昭和五十一年グロムイコ外務大臣が参りました際も、こういう協定締結に関する交渉を開始するということを共同コミュニケにうたったわけでございます。これに基づきまして、わが方はいまソ連から提示されました協定案を検討し、またわが方の対案を提示し、両方の案がありまして、これらをめぐって交渉が現に行われておる、こういう段階でございます。
  144. 井上一成

    井上(一)委員 日米、日ソ間では、いま答弁があったそのような形の中で事が足りる、足りているのだという御認識なのか、あるいはこのような形で文化協定を結んでいくべきだというお考えなのか、どちらでございますか。
  145. 平岡千之

    ○平岡説明員 もとより予算上の制約もございますし、私ども現状にすっかり満足しているようなわけでは全くないわけでございまして、今後いよいよ進捗していくためにはあるいは文化協定締結が非常に有効だということが全般的な両国関係のもとではっきりする時点はある、これは主としてアメリカについて申し上げたわけでございますが、ソ連との関係につきましては、この交渉が少しも早く双方の満足する形で妥結することを希望し努力している最中でございます。
  146. 井上一成

    井上(一)委員 日米、日ソ両国間に対しても、いわゆる文化協定を結ぶ努力をしている、こういうことですね。
  147. 平岡千之

    ○平岡説明員 ソ連につきましてはもちろんでございます。  アメリカにつきましては、現在のところ協定締結の話は特に進んでおりませんけれども現状が御案内のごとくかなり活発でございますので、いずれはそういうことを検討する時期が来るかと思われます。
  148. 井上一成

    井上(一)委員 さらに、八条では、この協定を実施するために混合委員会が設置されることになっているわけです。その日本側イラク側の構成ですね、そして今後の活動計画はどうなのかをお尋ねいたします。
  149. 平岡千之

    ○平岡説明員 お答えいたします。  最初に混合委員会の構成でございますが、日本側委員といたしましては、従来の例にならいまして、これが東京で開かれる場合には外務省の代表者を委員長といたしまして、委員には文部省その他関係省庁の代表者、それから国際交流基金等政府関係法人の代表者、これらに加え、必要に応じまして民間の有識者、こういうもので構成することを考えております。また、バクダッドにおいて開かれる場合には、これらに加えまして在イラク大使館の館員が代表委員になるということが予想されておるわけでございます。  次に、イラク側委員につきましては、いままで私どもが折衝した感触といたしましては、イラクの対外文化活動を規制、監督している高等教育科学研究省という省がございまして、これを中心といたしまする関係各省庁の代表によって構成されるということが予見されておるわけでございます。  今後の活動計画でございますが、この協定が発効いたしますれば、今後わが国イラクにおきまして交互に定期的に会合するということになろうと思います。しかし、具体的な活動計画につきましては、また、発効後何カ月たって最初の会合を持つとか、どういう間隔で開かれるとか、これらのことは今後外交ルートを通じて詰めていく話でございまして、現在のところ確定したことはございません。
  150. 井上一成

    井上(一)委員 福田総理はマニラ提言で心と心の触れ合いだというようなことを言われているわけなんですけれども、そういうことにもかかわらず、東南アジア諸国で協定があるのは、先ほど説明の中では、タイ国一カ国であるわけであります。今後もっと協定を結ぶ相手国をふやしていくべきである、より交流を深めていくべきである、こういうふうに思うのですが、いかがでございますか。これは政務次官からひとつお答えをいただきましょう。
  151. 愛野興一郎

    ○愛野政府委員 わが国は、東南アジア諸国の重要性にかんがみまして、従来からこれら諸国との文化交流実績の積み上げに努力をいたしておるわけであります。特に国際交流基金の文化交流事業を例にとりますと、アジア地域は、北米地域と並んで、基金発足以来の最重点地域になっておりまして、五十一年実績で全体の二五%以上を占めておるわけであります。外務省といたしましては、基金事業を中心として東南アジア諸国との文化交流実績を今後とも一層拡大するように努力することはもちろんでありますが、先生の意を体して文化協定も結んでいかなければならぬことはもちろんであります。現在先方から文化協定締結の申し入れが全然ないわけでありますから、先生の意を体しながら、ひとつ前向きに検討していきたいと考えております。  それから、先ほどの大韓航空の問題でありますが、重光ソビエト大使から電報が参ったのでは、現在、ソ連外務省の航空当局並びに日本課長を通じまして詳細の調査報告を求めておるわけでありますけれども、確認を求めておるわけでありますけれども、なお関係方面に照会中ということで、ソ連の本国政府からはまだ詳細確認がなされておりません。なお、アメリカのモスクワ駐在大使館からも、ソ連外務省のアメリカ部等々と接触をいたしまして詳細確認を急いでいるところでありますけれども、現在のところは残念ながらまだ確認に至っておらないわけであります。外務省といたしましても、鋭意この詳細確認に努力をいたします。
  152. 井上一成

    井上(一)委員 大韓航空の件については早急に詳細を把握されて、御報告をいただくことを願っておきます。  なお、この日本国イラク共和国との間の文化協定締結するに際し、これを契機にアジア諸国は言うに及ばず、世界各国とのより深い文化交流を一層進められるように強く要望して、私の質問を終えたいと思います。
  153. 永田亮一

    永田委員長 中川嘉美君。
  154. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 まず私は、安全なコンテナーに関する国際条約、こちらの方を先に伺ってまいりたいと思います。  一九六〇年後半に始まったこのコンテナによるところの輸送ですけれども、これは大変急速な進展を見せているわけで、コンテナ輸送のメリットですね、これはもう当然あるわけですけれども、具体的にどんなメリットがあるのかこの際御説明いただきたい。また、定期外航航路、これに稼働してかなりの収益を上げているように聞いているわけですけれども、今日までのコンテナ輸送の実態、これもあわせて伺っておきたいと思います。
  155. 辻栄一

    ○辻説明員 コンテナ輸送のメリットにつきましては、運送業者の面及び荷主の面、両面からのメリットがあると存じます。  まず第一に、運送業者の立場からいたしますと、コンテナ専用船は船型が大きくなっている、かつ速力も早いということで、たとえばカナダ航路におきまする在来船との比較では、所要航海日数がほぼ半分に短縮できる。従来六十日ほどかかっておりましたのが、コンテナ専用船の場合は、これが一カ月程度で済むということでございまして、貨物量で二、三倍の輸送能力が出てきております。そういうことから、輸送効率がきわめて高くなる。また、コンテナ船の回転率がよいということは、船員一人当たりの貨物輸送量を増大せしめる。したがって、船員費を大幅に減少させていくというようなメリットが一つ考えられるわけでございます。  荷主の立場から申しますと、コンテナリゼーションによりまして、包装費が大幅に節減できる。また、荷役の際の抜け荷が減少するなど、いろいろなメリットがございますほか、さらに昼夜雨天を問わず荷役が可能となるというようなことで、荷物の到着が従来に比して飛躍的に早まるというようなメリットが挙げられております。  このようなコンテナ輸送のメリットを反映いたしまして、国際運送におけるコンテナ化は一九六〇年代の後半に開始されたのでございますが、その後急速に普及してまいりまして、国際運送に使用されるコンテナは、世界で申しますと一九七二年におきまして五十五万個という数字でございましたが、これが一九七七年では百六十万個に増大しておる。コンテナ船の隻数につきましても、七二年で百二十九隻が、七七年では四百二十九隻に増大している。日本の場合ですと、七二年コンテナ個数が六万五千個から七七年の十五万一千個に増大し、かつ七七年代におきましては専用船の数が四十四隻という数字が出ておりますように、最近の五年間でほぼ三倍の増加を示しているわけでございます。  また、わが国の貿易に占めますコンテナ化された荷物の割合、いわゆるコンテナ化率は次に示すとおりでございまして、雑貨類が多い輸出においてコンテナ化が特に進展しております。一九六九年では輸出の場合に八・三%のコンテナ率が、一九七六年ではこれが二八・三%に増加し、輸入の面におきましても六九年三%が、七六年一四・六%というような増加を示しておるわけでございまして、特に欧米主要先進国との貿易におきまするコンテナ化率は九〇%を超えているというのが実情でございます。
  156. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 この条約そのものは安全なコンテナーに関する国際条約ですから、この安全要件ということが大変重要であることは、これはもう言うまでもないわけです。  そこで伺いたいのは、今日までコンテナ自体の欠陥によるところの人身事故とかあるいは貨物の損害、そういったものはどの程度発生しているのか。関連した御質問は午前中も出ていたようですけれども、さらに、二国間あるいはそれ以上の複数国で未解決となっているような事故があるのかないのか、この辺はどうでしょうか。
  157. 辻栄一

    ○辻説明員 コンテナリゼージョンの初期におきましては、人身事故につきましては、アメリカ等において多少あったような報告がございますが、その後メーカーあるいは取り扱い業者がなれてきたこと、及び国際規格でありまするところのISO規格というものが普及してきたというようなことによりまして事故が減少しておりまして、コンテナの事故は近年きわめて少なくなってきております。過去五年間におきましてコンテナの損傷による人命事故というものは報告されておりません。  次に、コンテナ貨物の損害の実態でございますが、これは現在のところ明確な統計がございませんのではっきりしたことは申し上げられませんが、ただ、コンテナ自体が何らかの原因で破損したというような統計が若干ございます。コンテナの損傷に伴う貨物の損害、または航行中に荒天操業によりまするところのコンテナの流失事故、こういったものによる貨物の損害が大体五十件程度で推移しておるようでございまして、運送個数十五万個というのがわが国の保有量でございますが、これを考えますると非常に少ないということが言えると存じます。
  158. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 本条約の批准に際して国内立法措置を講ずる必要がないということは、すでに、この附属書に定めた基準に沿ってコンテナの検査とか承認を与えてきたというふうに解釈をしてもいいか。また、もしそうであれば、わが国がこの条約に定める基準に従ってコンテナを製造し、検査し、あるいは承認を与えるようになったのはいつごろであるか、この辺はいかがですか。
  159. 辻栄一

    ○辻説明員 コンテナの安全にかかわりまするところの規格あるいは試験の方法等の基準につきましては、これはこの条約ができますよりずっと昔、一九六一年から検討が進められておりまして、先ほど申し上げました国際標準化機構、ISOと略称しておりますが、ここにおきましてコンテナの寸法規格並びにそれの安全性の試験に関する基準が制定されておったわけでございます。そのISOはほかの工業化製品と同様にかなり普及をしておりまして、今日製造されております国際コンテナにつきましてはその大部分、大部分というよりかほとんど全部がこのISO規格によっていると申しても過言ではないかと存じます。  次に、検査のやり方でございますが、これは従来から民間レベル、たとえば、船の検査を実施しておりますところの船級協会などによって、民間レベルで自主的な検査が行われておったわけでございまして、こういうようなことから先ほど説明しましたようにコンテナの安全性というものが高まってきておったわけでございます。今回のこのコンテナー安全条約の安全基準も大もとはこのISOの規格がもとになっておりまして、これを強制的な性格の強いこの安全条約に採用するということから、多少の修正を行ってつくられたものでございます。  これの国内法制上の手当てといたしましては、昨年の秋に船舶安全法関係の省令を改正いたしまして、この条約と全く同じ内容の検査をする制度をつくったわけでございます。したがいまして、今回の条約批准に関しましては、この規則を若干手直しする、すなわち従来の規則により取りつけました安全承認板を国際承認板に合わせるという作業が行われればよろしいというふうに考えております。
  160. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 それでは、隣国である韓国とか中国、こういった国々との間の運送についても、コンテナの使用量というものは非常に多いのではないかと思いますが、こういった両国がこの条約の未締約国であるという理由、それからもし加入するとすればその見通しはどんなものか、この点についてお答えをいただきたいと思います。
  161. 大川美雄

    ○大川政府委員 韓国がこの条約に入るかどうかということにつきましては、実は、昨年韓国にありますわが方の大使館を通じまして先方の意向を照会してみたことがございますけれども、その時点では近く締結の手続をとるのだというような回答があったいきさつはございます。ただ、その後この条約の寄託先でありますロンドンのIMCO、政府間海事協議機関の事務局からは、韓国がこの条約締結したというような正式の通報はございませんので、韓国のはっきりしたその後の意向は私どもはつかんでおらない次第でございます。  それから中国につきましては、実はこの条約の採択会議自体にも代表を送っておりませんでしたので、現在この条約締結するという意向があるというような情報はございません。
  162. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 この条約ではコンテナの安全度に対する規格基準というものは定められているわけですが、容積の制限に関する国際基準はないものかどうか。現実には見当たらないわけです。特に道路が狭くて交通事情の悪いわが国の場合は、大型化されたコンテナの陸上輸送、これはもう当然制限されると思うのですが、道路法等の車両制限との関係はどうなっているか、この点をお答えいただきたいと思います。
  163. 浪岡洋一

    ○浪岡説明員 わが国の道路法におきまして、道路の構造の保全と交通安全の見地から、たとえば長さ十二メートル、重さ二十トン、幅二・五メートルというような一定の要件を超える大型な車につきましては、原則的に通行を禁止いたしております。ところが車両の構造が特殊であるとかあるいは積載物が特殊であるとかいうような場合には、道路運送業者から道路管理者あてに通行の許可の申請をいたさせまして、道路の幅員だとか、交差点の形状、橋梁の荷重制限その他の観点から、道路管理者で経路につきまして審査の上、可能なものは通行許可を与える、こういう制度になっているわけでございます。
  164. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 この条約は、航空輸送のためのコンテナについては除外されているわけですが、なぜこれを外したのか、航空輸送に関する安全基準はないというふうに解さざるを得ないわけなんですが、この点はいかがですか。
  165. 辻栄一

    ○辻説明員 この条約は通常、海陸一貫輸送に用いられております先生よく御承知の四角いコンテナ、これを対象といたしまして、それが通常どんな力を受けるかというようなことを予想いたしまして、その外力に基づきまして安全要件を定めた条約でございます。航空輸送の用に供せられまするコンテナは、これとは全く形状も違いまして、海陸の一貫輸送が行われるものではございませんし、その特殊な運送形態によりまして、形であるとか取りつけの仕方であるとか、また荷重の条件が全く違うものでございまして、この条約で定めまするところの安全要件とは著しく違った要件に従って製造され、取り扱われているという実態から、この条約適用外になったものというふうに理解しております。  なお、航空用コンテナの具体的な基準等につきましては航空局より答弁させます。
  166. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 航空輸送のためのコンテナの場合は、聞くところによると、大半はアメリカで製造されているというふうに聞いておりますが、航空機で運ばれても当然陸上輸送ということは考えられるわけで、空港から何らかの形で運ぶとなれば、やはり陸上輸送にならざるを得ない。したがってこういったことについて、航空輸送のためのコンテナに関しても何か条約化されているのかどうか。もしそうでなければ、なぜ条約化されないのか、今後の見通しというものはどうなのか、この辺はいかがですか。
  167. 大島士郎

    ○大島説明員 お答えいたします。  航空用のコンテナにつきましては米国製が多いということと、航空の関係ではアメリカの基準というものが非常に大きな比重を占めておりまして、米国の航空規格に航空用コンテナの規格がございます。わが国につきましては、日本航空が使用するコンテナにつきましては米国の航空規格を満足するコンテナを使用させることといたしておりますし、また国際的に、航空会社の国際団体である定期航空運送協会、いわゆるIATAでございますが、IATAにおいて米国の航空規格に基づいたコンテナの規格を採択しておりまして、それを航空会社が使用しておるというのが現状でございます。また、わが国で国産いたしますコンテナにつきましては、航空法に基づく検査を行って航空局の承認を取得させております。
  168. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 コンテナによる国際運送を促進するためには、コンテナ自体の安全性もさることながら、運送人の責任原則の確立といったものが必要ではないかと思いますが、こういったことについての現状はどうなっていますか。
  169. 大川美雄

    ○大川政府委員 コンテナ運送による国際運送で、陸海陸あるいは海陸、陸海、いろいろの形で運送手段を変えて輸送する場合がしばしばございますけれども、そういった場合の運送人の契約上の責任について新しい条約をつくろうという動きがございます。これは国際複合運送というふうに言うのですけれども、国際複合運送条約というものをつくろうという努力が国連の貿易開発理事会、UNCTADの場で進んでおります。その中にどういう事項を盛り込むかということにつきましては、実は意見が分かれるところでありまして、運送人の契約上の責任、いわゆる私法上の問題だけを取り扱うのがいいのではないかという意見と、そういった私法上の問題のほかに荷主と運送人の協議を行うための制度を盛り込むべきであるとか、あるいは通関の問題についていろいろ規定するとか、そういった議論もございまして、この条約の作成がどのようにいつ完成するか、ちょっとまだいまの段階では見通しの立たないような状況でございます。
  170. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 国際複合運送条約というのがありますが、現在UNCTADでもって草案を検討中であるというふうに聞いております。これに対するわが国態度と見通しというものはどんなものか。それから複合運送条約というのがありますけれども、一九六九年の万国海法会の東京総会で草案が採択されている。この条約といま申し上げたUNCTADで検討中の条約とはどのような関係性があるか、この点についてお答えをいただきたいと思います。
  171. 大川美雄

    ○大川政府委員 これは実は同じものを目指しての二つの異なった努力とでも申しましょうか、万国海法会におきましてつくられた草案がありましたけれども、これは先ほど私が申しましたいわゆる私法上の問題を主として取り扱うことを目指したものでございまして、言いかえれば、運送人の契約上の責任に主眼を置いている条約でございますけれども、途中からこの話が国連貿易開発会議の場に移されまして、そこで今度はさらに協議制度でありますとか、通関上の問題を取り込んだいわゆる公法問題も入れようという話になりまして、海法会での作業は一応打ち切られて、場はUNCTADの場に移されているというような状況でございます。
  172. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 わが国は一九七一年にコンテナーの通関条約に加入しているわけですけれども、この通関条約コンテナーの通関手続に関する条約であると聞いているわけですが、いわゆる通関手続に関する条約であると同時に安全に関する規定というものがあるわけで、この通関条約と本条約との関係はどのようなものか、関連性について御説明をいただきたいと思います。
  173. 大川美雄

    ○大川政府委員 コンテナーの通関に関する条約というのは一九五六年にできまして、五九年から発効いたしております。わが国も七一年にその条約に入っておりますけれども、その内容は、コンテナの通関手続を簡易化し、それでもって国際運送におけるコンテナの使用を発展させるために、たとえば輸入税及び輸入制限を免除されるコンテナについての一時輸入の制度を設けておりますし、それから税関の封印を施したままで輸送を行うことを認められる技術的な条件を定める等といったようなことを内容にいたしております。私の承知している限りでは、安全上の問題についてはこの条約では取り扱っていないと承知しています。
  174. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 この通関条約先ほど申したようにコンテナの通関に関してということで、また免税をしたりあるいはコンテナの国際運送を促進する趣旨条約でもあるわけですが、ソ連とか中国その他の社会主義国は現在加入しているのかどうか、もししていないならばその理由はどういうところにあるのか、またこれらの国々の今後の見通し、そういったものについてお答えをいただきたいと思います。
  175. 大川美雄

    ○大川政府委員 コンテナーの通関条約は途中で一度改正されておりまして、一九七二年に改正条約が採択されてそれが七五年に発効いたしておりますが、改正前にはソ連は入っておりませんけれども、改正された条約にはソ連も締約国として入っております。中国についてはいずれにも入っておりません。中国の意向については、私ども実はよく承知いたしておりません。
  176. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 大体コンテナー条約についてはこの程度にしておきたいと思います。  実はきょうはイラクとの文化協定ということで御質問を考えていたわけですけれども、時間にもよりますが、先ほど来大韓航空の問題も大変に心配されているわけで、私は例の航空協定の方を先にやらしていただくという形をこの際とりながら、大韓航空の問題について、若干それに関連して質問をさせていただくことにしたいと思います。  いま非常に問題になっている大韓航空機の件ですけれども、これは場合によれば人命にかかわることでもあるわけで、大韓航空機のソ連への強制着陸事件そのものは、同機の乗客の大半、大半といいましても五十二名ですか、これが日本人であるということ、これは政府として当然見逃がせない問題であると思います。特に韓国はソ連と国交がないということで、アメリカもしくは日本を通じなければ情報入手とかそういったこともできない。先ほど井上委員の質問からもうすでに一時間半ぐらいたっていますか、かなり時間が経過しているわけですけれども政府はその後何か新たな情報、事実関係を掌握したのかどうか、もし若干でも詳細な情報が入ったとすれば、この際ひとつ教えていただきたい、このように思います。
  177. 橋本恕

    ○橋本説明員 事件が発生いたしまして直ちに外務省はアメリカ、ソ連、韓国、これらの関係公館に訓令いたしまして、大韓航空KE九〇二便のその後の行方について全力を挙げて情報を集めろ、それから事実の確認を急げという訓令をいたしてございます。  その後、アメリカ筋から先ほど先生指摘のようにソ連の領土に強制的に不時着陸させられたという情報が入りました。それから韓国政府もそれを確認いたしております。そこで、それを聞きまして直後にモスクワの日本大使館に訓令をいたしまして、ソ連政府に、こういう情報があるが事実はどうなのか、特に機体並びに乗客、乗員の安全、これを中心に大至急事実確認を急げという指示をいたしました。それからさらに、どの地点に着陸したのかというようなことも含めまして、事実関係の確認を急いでおります。  その後外務省が得ました情報によりますと、韓国政府はその後アメリカ政府に対しまして、韓国とソ連との間に外交関係がないので、ひとつアメリカ政府から事実の確認とそれから乗客、乗員の引き渡しということをやってほしいということを依頼したということがほぼ確認されております。  それから、本日午後の三時過ぎでございますが、在京の韓国大使館から私ども外務省の方に、本国政府の訓令によるということで公式に依頼がございまして、先ほど来の問題の韓国大韓航空九〇二便、ボーイング707でありますが、これがソ連の領土内へ不時着陸させられたことが確認いたしました、そこでこれとの関係で、日本政府が外交チャンネルを通じて乗客、乗員の安全の確認、それから航空機の機体、乗客及び乗員の早期返還についてぜひともひとつよろしく御協力願いたいという要請が参っております。
  178. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 韓国は、ただいま御答弁の中にも出てきておりますが、ソ連との間に外交関係を有していないということで、本件事件に関してソ連との接触には限界があるのではないか、そしてソ連と外交関係を有するわが国としては、この際種々の措置を講ずべきではないか、このように思うわけですね。この点に関していま一度明確なお答えをいただきたいと思います。
  179. 橋本恕

    ○橋本説明員 先ほどお答え申し上げましたとおりに、まず第一に事実の確認を大至急急ぎまして、先ほど申し上げましたような諸点についての事実が確認されますと間髪を入れずに、先生指摘の人道問題という観点から、日本政府といたしましても、乗客の安全確保並びにできるだけ早く日本にお帰りになれるように、さまざまの方法で、考え得るあらゆる方法で全力を尽くしたい、このように考えております。
  180. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 この大韓航空機のような民間航空機が、許可なくして他国の領空を飛行した場合の取り扱いに関する国際法、これはどのようになっているか、お答えをいただきたいと思います。
  181. 山田中正

    山田(中)説明員 お答え申し上げます。  今回の大韓航空機がどのような事情でソ連領空に入り、どのような形で着陸いたしましたかにつきまして、いまだ具体的事実関係がつまびらかでございませんので、どのような国際法が適用になるかということをはっきり申し上げる段階ではないわけでございますが、一般論として申し上げますと、一九四四年にシカゴで作成されました国際民間航空条約第一条におきまして、締約国は、その領域において完全かつ排他的な主権を有しておると規定しておりますし、また第六条におきまして、民間航空機の「定期国際航空業務は、締約国の特別の許可その他の許可を受け、且つ、その許可の条件に従う場合を除く外、その締約国の領域の上空を通って又はその領域に乗り入れて行うことができない。」と規定されております。これが現在一般的に通用いたしております国際法と私ども観念いたしております。大韓航空につきましては、ソ連は、韓国の定期航空業務に従事する航空機につきまして、自国の領空の通過を認める協定を行っておりません。したがいまして、もし大韓航空機が、たとえ過失でございましてもソ連領空内に立ち入ったといたしました場合には、ソ連としては強制着陸等しかるべき措置をとる権限があるわけでございます。ただ、もし大韓航空機が何らかの事情によって航行の安全が維持できないような事態で、乗客の安全を維持するためにソ連鎖に緊急着陸したというふうな場合であったといたしますれば、これはいわゆる遭難航空機でございますが、その場合には人道的な見地からの非常に緊急的な事態でございますので、一種の緊急避難ということで他国の領域に入りましても違法性が阻却される。また人道的見地から、各国はそういう航空機に対してはできるだけの援助を行うというのが通常の慣習であろうかと存じます。
  182. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 同機に対するソ連政府の扱いとしてどのようなことが予想されるかという問題ですが、いま遭難機の場合の御説明があったわけですが、領空侵犯として扱うならどうなるか、この点をお答えいただきます。
  183. 山田中正

    山田(中)説明員 領空侵犯でございますと、先ほども申し上げましたように、ソ連が排他的な権利を持っておるわけでございまして、それに従って着陸命令を出して着陸させたものであろうと思います。その後の機体及び乗客の処理をどのようにするかということにつきましては、特に定まった国際法というものは別にございません。
  184. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 時間がありませんので次々聞いていきますが、同機は自動管制装置を積んでいたのかいなかったのか、さらにどこの国の管制下にあったのか、この辺はどうでしょうか。わかればお答えをいただきたいと思います。
  185. 橋本恕

    ○橋本説明員 問題の自動管制装置といいますか、自動飛行制御装置を積んでいなかったという情報が確かにございます。これは新聞報道にも外電にも一部あらわれておりますが、それをも含めて、先ほど申し上げましたとおりに関係在外公館を通じて現在確認中でございまして、現在の時点では、明確な事実関係は残念ながら判明いたしておりません。
  186. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 すべての民間航空機は全世界的に航空管制塔、オフィスの管制下にあるわけですが、事故機の管制、これはいまお答えをいただいたとおり受けとめるとして、この九〇二便の日本側管制はどこからどこまでであるか、この辺はおわかりになりますか。
  187. 橋本恕

    ○橋本説明員 ただいまの先生の御質問につきましては、残念ながら私は全くの素人でございまして、現在のところ航空当局の専門家から説明を受ける時間的余裕をまだ持っておりませんので、御勘弁願いたいと思います。  ただ、これも情報として御参考までに申し上げますと、私どもが入手しております情報に基づいて申し上げますと、オスロの上空を通過したということば確認されております。オスロの上空を通過した以後、この飛行機は消息を絶っておりますが、一番最後の消息は、カナダ北方のカナダ軍の管制ステーションに対して、カナダ北方に向かうという連絡がその後あったということでございました。これも未確認情報でございますが、実際にはフィンランドの領土を越えて約二、三百キロ入ったところのソ連領に不時着したという情報がございます。これも現在確認中でございます。
  188. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 それでは、専門的なことになるということであるならば、できれば資料として提出を願えればと思うわけですが、民間航空機に対する米軍管制網、これによる管制はどうなっているのか、また、わが国の自衛隊あるいは各種管制システム、こういうところではどこまで監視ができるのか、これらの点について、いまお答えそのものが困難であるということであれば、資料として御提供をいただきたいと思いますが、この点いかがですか。
  189. 橋本恕

    ○橋本説明員 運輸省を初め関係方面に早急に連絡いたしまして、御希望の資料を用意するように努力いたします。
  190. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 大韓航空は韓国所属航空機であるということは当然ですが、同機の通過あるいは乗員とか乗客の安全確保、それから事態の究明、こういったことには日本政府として当然関与、協力しなくてはならないということは先ほど来言ってきたことです。一体日本政府としてどうする気なのか。きょうは外務大臣いらっしゃらないのですが、本当に外務大臣として直ちにソ連側に直接の注意を喚起すべきではないかと私は思うわけです。大臣がいらっしゃらないということなんですが、政務次官の御意見を伺いたいと思います。
  191. 愛野興一郎

    ○愛野政府委員 先生のただいまの御発言は、大臣、政務次官ならずとも日本人として全く同じ考え方であると考えております。したがって、外務省も運輸省航空当局も誠心誠意の努力をいたしておるわけでございますが、何分にもわが国の航空機じゃないということでありまして、同時に韓国とソビエトとの国交がないというようなことでなかなか確認がおくれておるというわけであります。外務省といたしましては、ソビエト本国政府にこういったことの詳細の確認を急ぎますとともに、前向きに、積極的にいろいろな状況確認を急いでいきたい、こういうように考えております。
  192. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 最後にもう一点聞いてまいりたいと思います。  同機及び乗員、これは日本人がたくさん入っておりますが、これらの補償はどうなっているのかという問題です。拿捕の場合とか墜落など、いろいろなケースがあると思います。大韓航空機に乗ること自体、法的に見ても他の航空機に乗るよりも危険ではないかという気がしてくるわけですが、もしそうならば、日本国民にそれなりにそういったことを徹底せざるを得ないのではないか、させるべきではないか、こういうふうに思います。こういった点についてどのように考えておられるか。また、韓国は航空安全に関する各種協定に入っているのかどうか、この点についてもあわせてお答えいただきたいと思います。
  193. 橋本恕

    ○橋本説明員 前段の部分についてお答えいたします。  私が承知しておりますところでは、大韓航空は、機体それから乗員、乗客の安全についてイギリスの保険には入っている、こういうふうに理解いたしております。
  194. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 それでは、時間もちょっと中途といいますか半端になっておりますので、次回に引き続き、この航空協定は留保させていただいて、それと、さらにもう一つの条約等の質問にも入ってまいりたい。きょうはこの程度で一応終わっておきたいと思います。
  195. 永田亮一

    永田委員長 渡辺朗君。
  196. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 私は五十分いただきましたけれども時間も大部遅くなっておりますから、なるべく短く、半分くらいでと思っております。  第一番目に、コンテナーの安全に関する条約の問題に関連をいたしまして、幾つかお聞かせをいただきたいと思います。  この条約に加入がおくれたのは一体なぜでしょうか、このことを聞かしていただきたいのです。それに伴って、フランスが代行して検査を行っていた、検査料もフランス側の方が取っているというふうに聞いておりますけれども、その実態はどうでございましょうか。海運国でございますから、こういう条約というものにはいち早く日本は入るべきであるし、積極的な姿勢を示すべきであると私は思いますけれども、いかがでございましょう。
  197. 大川美雄

    ○大川政府委員 この条約は、その前文にも書いてございますとおり、コンテナの国際運送における人命の安全を高めること、それからコンテナによる国際運送の円滑化を図ることを目的にしておりますので、その目的を有効的に達成するためには、できるだけ多くの国々が、ことにコンテナをたくさん持っておる国々が、この条約に決めている制度を取り組んで、この制度が広く世界に受け入れられるということがまず必要でございます。そこで、わが国といたしましては、そういったコンテナの保有量の多い国々が、この条約に対してどういう態度をとるかということを現在まで見きわめてきていた次第でございます。昨年の九月に至りまして条約も発効いたしまして、その後に、ことしに入りましてから、アメリカでありますとかイギリスでありますとか、非常にコンテナ保有量の多い国々がさらに相次いで批准の手続をとりましたので、大体コンテナの大半を所有している国々がこの条約締結したことになりますので、もう日本としても早急に批准の手続をとるべきであろう、こういうふうに判断した次第であります。
  198. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 いまコンテナの多い国がとおっしゃいましたけれども日本世界的にも多い国の一つではないでしょうか。そういうところが逆に先に入っていくことが大事だと思うのですが、関連して私ちょっとお聞きしましたフランスがずっと代行して検査料を取っておる。この問題については実態はいかがでございますか。
  199. 辻栄一

    ○辻説明員 コンテナに関する検査制度、条約関連する検査制度をわが国において確立する以前の状態におきましては、ISO、国際標準機構のつくりました基準によりましていろいろな民間レベルの検査団体による検査が行われていたわけでございます。わが国におきましては日本海事協会あるいは日本海事検定協会、そういった団体がこういう民間レベルの検査を行っておりましたし、外国におきましても著名の船級協会、フランスにおける御指摘のBV船級協会あるいはアメリカのAB、イギリスのロイド、こういった団体がコンテナの検査を実施していたわけでございます。わが国におきましては、これらの民間レベルの検査のうち、わが国の生産量の約八割程度は輸出用のコンテナなんでございますが、輸出用コンテナにつきましては先ほどのフランスのBV船級協会がその大部分を検査しておったというのが実態でございますが、その原因の一つは、BV船級協会がコンテナの検査に一生懸命力を入れていたということと同時に、フランスが比較的早期に条約を批准して国際安全承認板を張ることをBV船級協会に許していたというような事情もあったかと存じます。今後、この条約を批准いたしますと、わが国の検査団体として今度指定しておりますところの船用品検定協会におきましても国際安全承認板を張ることができるというようなことになりますので、これから輸出コンテナの検査の点につきましてもBV船級協会と肩を並べた検査の実施ができるのではないか、漸次検査量が拡大していくことを私どもは期待しておるわけでございます。
  200. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 私は、コンテナ輸送に関連して、さらに日本関係する定期船同盟の状況というものについてお伺いをいたしたいと思いますが、どなたか説明をしていただく方はいらっしゃいますか。
  201. 塩田澄夫

    ○塩田説明員 お答え申し上げます。  コンテナに関します定期船同盟といたしまして、まずわが国をめぐる定期航路全体としましては約三十四ございまして、これらの航路におきまして約六十の定期船同盟が結成されております。コンテナに直接関連いたしますのは、このうち約三分の一に当たっております。わが国の海運会社のうち定期船を経営しております各社がこれらの定期船同盟に参加をいたしまして、わが国の貿易物資の安定輸送に貢献しておるわけでございます。  定期船同盟につきまして最近の状況を簡単に申し上げますと、従来の伝統的な各海運会社に加えて開発途上国のナショナルラインの進出が顕著でございまして、日本の海運会社もこれらのナショナルラインと協調しながら航権の維持、航路の安定に努めております。  また、最近の問題といたしましては、わりあいに最近深刻な問題になっておりますのは、ソ連を中心といたします東欧圏海運がわが国を初め世界の主要航路に三国船として配船をいたしておりまして、これが必ずしも海運同盟に参加しない、別個の海運活動を続けることによりまして定期船同盟にかなりの影響を与えております。
  202. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 定期船同盟に対して非常に大きな影響を与えている、そして将来もこれはわが国の海運という観点から見た場合に大変深刻な問題になるであろうソ連を中心にした東欧圏の国々、盟外船の活動、こういったものがいま出てきております。これに対してどのような対策を講じたらいいとお考えになっておられるのか、これを聞かしていただきたいと思うのです。  昨年でございましたか、いわゆる国旗差別対抗法が制定されておりますけれども、これによって規制ができるのか。できないとするならば新しい対抗法を考えなければならぬのではないかと思いますが、それをも含めまして、現在の盟外船の活動によるところの脅威の実態、こういったものをひとつ御報告いただけたらと思います。
  203. 塩田澄夫

    ○塩田説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生が一般的に盟外船とおっしゃいましたのですが、当面ここでは問題となるのは一般の盟外船では必ずしもございませんで、国家貿易国――東欧圏諸国を中心とする国家貿易圏による盟外船活動が当面の定期船経営に非常に大きな影響を与えるわけでございます。  先ほど指摘のいわゆる国旗差別の対抗立法を昨年制定していただきまして、一部の国旗差別の措置につきましてはこの法律を活用できるわけでございますが、当面問題になっております東欧圏海運につきましては、これが国旗差別措置をとっているということではないということ、それからもう一つは、東欧圏海運は主として三国間輸送に従事する、日本にとりましてはその直接の関係の航路でございますが、東欧圏海運にとりましては三国船活動であるという意味で、昨年制定をしていただきました国旗差別対抗立法によりましては措置をすることができないと考えております。  ただ、盟外船の問題に対する措置と申しますのは、これは従来のOECD加盟国の海運政策等ともかなり関係がございますので、現在OECDの中でもこの問題について共通の問題として検討が行われております。私どもといたしましても、わが国海運の健全な発展を図るために、これらの動きに対応いたしまして、世界の海運秩序のあり方を踏まえつつ、先進海運国とも協調しながら対策を現在検討しておるところでございます。
  204. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 いかがでしょう、新たな立法措置は必要だとお考えでございますか。
  205. 塩田澄夫

    ○塩田説明員 何らかの措置は必要かと考えておりますが、現在までのところまだ結論を出しておりません。
  206. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 あなたはたしか先週OECDの海運委員会に参加してお帰りになったと思います。違いますか。  その際に、その目的は、OECD諸国と、ソ連船対策の歩調を合わせようとしておられる。こちらの方で一つの対抗策というものを持っていなければ、よその国と歩調を合わせようというのはちょっとおかしい。その意味で、やはり何らかの案をお持ちではないかと思いますが、いかがでございましょう。それなしで対策を協議されたのでございますか。
  207. 塩田澄夫

    ○塩田説明員 お答え申し上げます。  ただいまの御質問に対しましては、OECDで検討しております内容と申しますのは、まだそれほど具体的な問題を検討しているわけではございません。各国の海運政策はこうあるべきだということを一般的な形でいま検討している最中でございます。この結論を待たないでわが国だけが特別の措置をとるということはいかがと考えますので、OECDの方の検討結果なども踏まえつつ対策をとりたいと考えております。
  208. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 オランダもすでに立法をしておりますね。イギリスもやっておりますね。西ドイツもそうでございます。イタリアもしている。アメリカではいまマーフィー法案ですか、そういう形で、下院で何か審議をしているというふうに聞いております。たとえばそういうものに歩調を合わせて日本もやはり考えねばならぬと思うのですけれども日本のことはさておいて、いまアメリカで行われているマーフィー法案の審議の状況というふうなことについて御報告いただけませんか。
  209. 塩田澄夫

    ○塩田説明員 お答え申し上げます。  いま御指摘ありましたマーフィー法案という法律は、現在アメリカの下院で検討されている法律でございまして、現在アメリカの海運法、シッピングアクトという法律がございますが、その法律の改正案でございます。  この改正法の内容は、米国貿易に従事する米国船以外の定期船会社であって国営海運会社である場合には、連邦海事委員会、これは米国の海運法を施行している行政委員会でございますが、その連邦海事委員会に対して運賃率表を届け出をして、その運賃率が公正かつ合理的であるということを立証しなければならないという義務を新たに課すことにいたしております。連邦海事委員会は、この申請がありますと、その運賃率に関しまして他の船社とのコストの比較等を行い、果たして届け出があった運賃率が公正かつ合理的であるかということを審査をいたしまして、不適合な場合にはその運賃を認めないという措置をとれることにしてある点がその要点であります。  アメリカがなぜこのような法律を検討しているかと申しますと、先ほど申し上げましたように、東欧圏の海運が定期船同盟に必ずしも参加することなく、非常に特殊な運賃制度を導入して定期船同盟の活動を危殆に瀕させるような行動をとっておりますので、このような法案が検討されることになったものと理解しております。私どももこの法案の成り行きについては非常に興味を持って注目をいたしております。
  210. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 私、政府の方にぜひお願いしたいと思うのです。コンテナの安全性ということももちろん重要であります。しかしながら、それを運搬する日本の海運業がソ連船のダンピングによって将来大変な脅威を受けるということになっては、これは何のための安全かということにもなってまいります。したがって、そういう点で、たとえば日本、欧州の船主にいたしましても、船主協会なんかがソ連の船会社、FESCOなんかを同盟に入れようということを試みたけれどもやっぱりだめだった。こういうことになりますと、日本政府が他国の政府にもダンピングをやめるようにというような強力な働きかけをやっていただきたい。これをひとつ要望させていただきたいと思います。  次に、時間の関係で、イラクとの文化協定及び航空協定について関連して質問をさせていただきたいと思います。  私疑問に思うのですけれども、まずこのたびイラクとの航空協定ができた。ほかにたくさんの国々が同じく乗り入れをしたい、航空協定を結びたいというふうに日本に申し入れてきていると思うのですが、何カ国ぐらいございますか。
  211. 土居信良

    ○土居説明員 お答え申します。  ただいま三十二カ国からそういう申し入れが来ております。この中にはイラクも含まれております。
  212. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 三十二カ国から来ていて、その中にイラクが入っている。そうすると三十一はまだずっとウエーティングリストみたいなものと理解してよろしいですね。そうすると、イラクは私賛成でございます。その立場から言うのですけれども、その三十一の国々がどこか知りませんが、何か判断の基準があって選んでいって日本とその某国と協定を結ばれるのか、その基準というのがよくわからないので教えていただきたいと思います。
  213. 土居信良

    ○土居説明員 お答えいたします。  私どもいま申し上げます四点を一応基準として考えております。  まず第一点は、相手国の政治、経済、外交、文化等の各分野におけるわが国にとっての重要性、それから二番目に、両国間の航空需要見通し、路線の採算性及び旅客の利便、三番目として、乗り入れ計画及び路線開設に伴うわが国航空企業に対する影響、四番目として、ハイジャック関連条約への加盟等、ハイジャック防止対策への配慮、大体このようなことを考えております。
  214. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 外務大臣おられませんけれども、イラン、サウジアラビアとの航空協定が今国会に提出される予定であったように、私前に外務委員会の方に出された書類で見たような気がいたしますが、それが今回は出てきておりませんけれども、何かそういう基準に外れるような問題があるからということでございますか。
  215. 千葉一夫

    ○千葉政府委員 お答え申し上げます。  この両国は、実はまだ交渉が妥結いたしておらないわけでありまして、基準と言えばそういうふうな見方もありますでしょうが、もっと根源的に言いますと、お互いに折り合いがついておらない、こういったような状況でございます。
  216. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 それから、たしか園田外相が前に中東訪問をされたときに、アラブ首長国連邦ともいろいろとお話をされた、そして航空協定締結についても熱心に話し合いが行われたということがありましたけれども、これも同じようにまだ話し合いがついておらぬというふうに理解してよろしいのですか。
  217. 千葉一夫

    ○千葉政府委員 園田外務大臣がことしの初めにアラブ首長国連邦のアブダビに参りましたときは、実は航空協定締結の話は出ておらないわけでございます。アブダビにわが方の日航機が飛ぶときに、そこへ寄港させてくれという話でございまして、その後の状況について一口で申しますと、ただいま日航は寄港のためのアラブ首長国当局の許可取りつけ手続を進めておる、こういうわけでございます。ちなみに大体六月からアブダビに南回り欧州線を週一便入れたい、さらに秋ぐらいになりますと、他のルートで参りますところの週一便を入れたい、こういう目標を持って向こうの許可取りつけを進めておると聞いております。
  218. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 私、先ほどもちょっと触れました基準の問題にもう一遍返りますけれども、その基準というのは大変抽象的な基準であるように私は思うのです。ですから、三十一も待っているというような場合に、優先順位をどうつけられるのかな、しかも成田空港開港もおくれているということになって、どのようにされるのか。先般、昨年の十二月でございましたけれども、たとえばフィンランドの総理大臣日本に参りまして、そのときにたしか航空協定締結を申し入れているはずであります。そしたら成田空港開港したらなどというようなお話もあったやに聞いております。それで、いまそういうようなものがどんどんおくれていくとなると、国際的にも大変マイナスではないかと思うのですが、フィンランドの申し込み、そしてその締結の見通し、こういったものについて御報告いただけませんでしょうか。
  219. 荒舩清彦

    荒舩説明員 お答えいたします。  フィンランドは一九七一年以来、わが国に対して航空協定締結を希望しておりまして、昨年二月、コルホネン外務大臣わが国を公式訪問いたしました際にも、また御指摘のとおり昨年末ソルサ首相が来日いたしました際にも、これについて先方より強い要望が出されております。その他外交チャンネルを通じましてしばしばこの要望が繰り返されております。こういうようなことを受けまして、両国の航空当局間で三回にわたりまして非公式の協議が行われております。  しかしながら、航空協定締結の際予想されます開設航空路に対します需要の現状及び見通しに関しまして、両国の航空会社の間におきまして大きな見解の相違がございますために、航空協定締結交渉はいまだ開始されてないというのが現状でございます。
  220. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 いまの大きな見解の違いというのは何でございますか。
  221. 荒舩清彦

    荒舩説明員 具体的な見通しの相違及び現状につきまして、先ほど答弁の内容にもございましたけれども、両国間の旅客の需要に関しまして、かなり大きな開きがあるということを聞いておりますけれども、具体的には航空当局の方々の専門的な御意見をお聞きした方がよろしいかと思いますので、それを待ちたいと思います。
  222. 山田隆英

    山田(隆)説明員 お答えいたします。  先ほど外務省の西欧二課長から御答弁ありましたように、これまで航空当局間で三回ほど非公式の協議を行っております。第一回目は四十九年一月、第二回目は五十年八月、第三回目は五十一年四月、都合三回行っております。それから、そのほかに航空企業間でも、フィンランド航空と日本航空との間でも技術的な面についていろいろ意見交換を行っております。これまで日本側とフィンランド側で話してきておりまして大きく意見の違いましたのは二国間の需要の見通しということでございます。フィンランド側は航空路が開設された場合にかなりの需要が発生する、具体的に申しますと、一九七五年の予想でございますが、大体一万人ぐらいというふうに見ております。それに対しまして日本側で推定いたしますと二千人足らずではなかろうか、こういうことでございます。仮に日本側数字によりますと、一便飛ばした場合に、お客が一機の四分の一ぐらいにしかならないのではないか、そういうことからいって、私どもとしては、いまだ日本とフィンランド間に十分な需要がない、こういうふうに考えておるわけでございます。
  223. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 もう一つ、イラクとの文化協定、これに関連をいたしまして、私は、文化協定を結ぶということは、より両国間の緊密な国民的なレベルにおける交流が促進されるということで大変結構なことだと思うのです。ただし中東の場合、特に私は政治的な問題と文化的な交流というものは大変に関連を持っている、それだけにあえてお尋ねをしたいと思う点があります。  昨年の十二月でございますけれども、トリポリ会議が開かれた。参加国五カ国、そしていわば反エジプト統一戦線の結成、そこにイラクは参加しております。最終的には共同声明を出すときに退場した、こういう状態でございますが、このイラクと反エジプトのアラブの統一戦線組織、こういう関係というのは現状においても十二月からずっとそのままの状態が続いているのでしょうか、事態の変更があったのでしょうか。つまり中東平和に対するイラクのこれからの立場というもの、こういうものを示している政治行動であったと私は思うので、それについてお尋ねをするわけでございます。
  224. 千葉一夫

    ○千葉政府委員 確かに先生指摘のとおり、中東におきましてはあらゆる事象の裏に政治がきわめて密接に絡んでおることは事実でございます。わが国といたしましても対中東外交を推進するに当たりましては、その面を慎重に検討してやっておる次第でございます。ただし、日本はアラブ・イスラエル紛争の当事国でももちろんございませんし、また、和平を望む点におきましてはどの国にも劣らないくらい熱心ではございますが、直接和平のプロセスに立ち入っておるわけではございません。そういう関係もございまして、わが国が中近東のある国と航空協定締結するための交渉に入る場合に、必ずしも直にそれが他の国から見て敵対的な、ないしは非友誼的な行為とはとられないということも言えると思われます。この場合、御指摘イラクとは一九七五年から交渉を開始いたしておりまして、したがいまして、昨年御指摘のサダト大統領の和平イニシアチブと、それに反発する諸国の政治行動、こういったようなことのはるか以前からやっておりまして、実質的妥結も御指摘のトリポリ会議より前にできておったわけでございます。署名はことしの三月でございますが。そういうわけでございますので、御懸念の点はいまのところでは大丈夫だと思いましてこちらの御審議をお願い申し上げておる次第であります。もちろん、今後他の国々との同様協定締結に際しましては、先生指摘の点をよく遵守いたしまして、十二分に検討してから取りかかりたいと思っております。
  225. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 先ほど航空協定についての基準をお聞きしました。そのときに、第四番目にはハイジャック関係の問題について発言がございました。それだからこそいまよけいにこの問題を聞いているわけであります。パレスチナ民族自決権についてわが国の国連代表は、第二十六回国連総会で、パレスチナ人の民族自決権に関する決議案に賛成しております。そうなると、私どももこれから文化的にも、あるいは多くの旅行者たちも行く、そういう交流が盛んになってくる。このパレスチナ人の自決権、この範囲をめぐって、実はトリポリ会議で対立をし、そしてまたアラブ諸国が分裂をしている。したがいまして、それに対するイラク態度というものがやはり重要なので、ハイジャックや何かの原因もまたそういうところにも出てくるのじゃあるまいか、そういう懸念があるから聞いております。  そういう観点からひとつお答えをいただきたいと思うのですが、このパレスチナ人の自決権というものについては、次官、今日においても、国連総会において日本代表が態度を出しましたその態度変更しておらない、わが国態度は自決権は支持するという立場でございますか。
  226. 愛野興一郎

    ○愛野政府委員 そのとおりであるというふうに私どもは考えております。
  227. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 その場合の自決権の範囲というのは、具体的にはどういうものを意味するのでしょうか。たとえば、パレスチナ人の独立国家をつくるということも自決権であります。それから、ある種の限定された自決権を持ったホームランド建設というのも自決権の内容になります。いろいろな形態があろうと思いますけれども、どれを指しての自決権にわが国賛成をしたのか、ここら辺についていかがでございましょう。
  228. 愛野興一郎

    ○愛野政府委員 パレスチナ人の自決権の行使というものは、パレスチナ人自身が決定すべき問題であるわけでありますから、この自決権の行使がいかなる態様となるかは、私どもがいろいろと言うべき筋合いではないと思っております。  しかしながら、わが国としては、このパレスチナ問題は中東紛争の核心をなすものでありますから、中東地域における公正かつ永続的和平が達成されるためには、安保理決議二百四十二が全面的に実施されるとともに、パレスチナ人の民族自決権を含む国連憲章に基づく正当な権利が承認、尊重されることが必要である、こういうふうに考えておるわけであります。
  229. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 もう一つ確認をさせていただきたいと思うのです。一九七三年に中東問題に関して官房長官談話が出ておりますけれども、これは現在でも中東に関する日本立場を表明するものである、変更はないというふうに考えてよろしゅうございますか。
  230. 愛野興一郎

    ○愛野政府委員 七三年の官房長官談話以来一貫して、何ら変更はないというふうに考えております。
  231. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 どうもありがとうございました。これをもって終わります。
  232. 永田亮一

    永田委員長 次回は、来る二十六日開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時四十四分散会