○渡部(一)
委員 いま御
交渉の途中ですから、そういう御答弁でも涙をのんで勘弁することにいたしまして、そのかわり、しっかりがんばっていただくようにお願いしたいと思うのです。
ですから私は、覇権の問題に関して
わが国の側がこれまで一生懸命
中国と
交渉し続けてきて、問題を
詰めてきたこの事実というものを積み重ねて、
わが国周辺の諸国にも十分の説得を行いつつ、このようなよい
状況にある日中
交渉というのはないわけでありますから、この時期を逃さず、
日本の長い安定のために本
交渉をまとめていただきたいと思うわけであります。
二月の二十一日の参議院外務
委員会において
外務大臣は、当時、もうあと一、二回の韓念竜・佐藤大使間の
詰めを行えば様子は大体見えてくるだろうと、その冒頭には、
外務大臣の訪中もあり得るのだと表明されました。
大臣はかねてより慎重居士である福田
総理に対して、あるときは前になり、あるときは後ろになりつつ、押したり突いたりけ飛ばしたりしながらこの問題を進めてこられた実績があります。その御苦労はまことに高く評価しているわけでありまするけれ
ども、福田
総理の周りを
外務大臣が取り巻いては何か叫び立てている感じもするわけであります。
それで、行きたいのだ、
中国に行きたいのだと言っておられることは明らかにわかる。
中国に行けと言われたら行く決意があるということもわかりました。みんなが行けと言ったら喜んで行くという
姿勢のあることもわかります。そしてできたら私の意思としても行きたいのだと言っておられることもわかりました。しかし本当に行かれるのかどうかさっぱりわからない。だから、新聞の見出しで外相訪中という見出しはもういままで何十回出てきたか知れないけれ
ども、余り何回も見出しに出てお行きにならぬとすると、オオカミと少年みたいなもので、しまいにみんなが愛想を尽かして、また同じことを言っているなということになりかねないと私は思います。
特に
相手が信義の国でありますし、今度は
中国の第四項目において、
園田外相が訪中なさりたいとおっしゃるのであれば喜んでお迎えすると、
中国政府までがそれをこちらが要求する前に述べたわけでありまするから、事は重大になってきたと私は存じます。あと
交渉を進めるためには佐藤・韓念竜氏の間で
詰めるべきテーマはもうほとんどなくなってきていて、そしてあとは
覇権条項に対する
政治的
決断が必要だとまで
外務大臣はおっしゃいました。佐藤大使は現地における記者会見において、弾はすでに撃ち尽くしたと述べております。こういうことを
考えてみますと、外務省
関係ではやるべきことは
大臣以下やり尽くして、
総理のサインを待っておる、福田
総理が口を開くのをじれながら待っておる、そして待ちくたびれておる、もうあくびが出るほど待っておるという感じではないかと私は思うわけであります。したがって、この
交渉を進めるに当って、もはやある
意味の打ち合わせがどこまで来ているのかということが何回も問われているのもそこに原因があるわけであります。
私はそこで、その辺の雰囲気をお
伺いしたいわけでありますけれ
ども、要するに
決断をして――
交渉のとびらはもうあいているわけでありますし、
中国側の四項目を見ると
交渉する態勢はすべて整い、玄関口を
向こうは開いているわけであります。カードのすべてが開いているわけではないが、少なくとも玄関だけは開きました。わが方も玄関口を開くときが来た。では、どういう開き方をするのか、そして本当に
交渉を始められるのか、問題はそこにあると思います。その辺をでき得る限りお話ししていただけませんか。