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美濃委員 いま
大臣のお話を聞いておって、やはり現況では、いま大出からお話があったような状態が動いていくと思うのですね。しかし、一面、考えますと、
食糧については今後貿易上の問題も私は出てくると思うのですね。
一月ころですか、テレビに出ておりましたが、これはNHKが報道しておりましたが、
日本の自動車の売れ行きもそう長くはない。アメリカすら、いま
日本の自動車の売れておるのは、価格
条件でもなければ質的
条件でもない。ただガソリンを食わないという一点にある。アメリカまで行って、テレビがやっておりましたね。
日本の車はガソリンを食わぬから買うんだ、質もよくなければ価格
条件でもない、こうアメリカの消費者が言っておりましたね。
日本のNHKがやったのですが。アメリカが、
日本のいまの自動車と同じような生産
体制にも、工場を直して入ってきた。だから
日本の自動車の売れ行きというものは、もう先行きは余り長くは見込まれぬという。自動車の売れ行きは、いまこれだけ売れておる自動車が、売れ行きが鈍化した。
たとえばその前を考えてみると、
日本の経済成長政策で、戦後の外貨の獲得をして
日本の経済の復興の足がかりをつくった繊維、造船というものはもう構造的不況産業ですね。恐らく三、四年後には、私は自動車も構造的不況産業になると思う。輸出はもう思うようにいかぬ。そうなったときに、いまの自動車にかわるべき商品があれば別ですが、いま自動車が売れておるだけの輸出商品がなかったとしたら、四、五年先に
日本の国際収支はイタリアあるいはイタリア以下の厳しい
条件にならざるを得ないということも、考えておかなければならぬ
条件じゃないのでしょうか。
そうすると、いまの
条件で、農業というのは困ったもので、たとえば牛肉を輸入するあるいはオレンジを輸入するということで、いま生産できておるものをそういう
海外的
条件で破壊してしまうと、輸入すれば供給量が過剰になります。そこには、もう経営維持のできない経済
条件に追い込まれて、いまの生産が破壊されて、四、五年先に国際収支が悪くなったときには取り返しがつかぬと思うのですね。
そういうことを考えますと、われわれとしては何としても、特に
食糧については、やはり
協力輸入というのは避けるべきだ。あらゆる手段を講じて
協力輸入というのは避けるべきだ。不足輸入は当然である。需給上不足するものを輸入することは当然だ。これは積極的に、安定的供給のために、不足量を安定的に買い付けをして供給するという政策は断然であるけれ
ども、
協力輸入だけは、特に
食糧については避けるべきである。いかなる国も避けておるわけであります。
それからもう一つこの機会に申し上げておきたいのですが、ニュージーランドの副総理が去年来て、院内の
委員長室で特に農林水産の国会の連中に会いたい、こう言うので、当時の
委員長以下各党
理事が会ったわけです。そのとき私
どもに開口一番言った話は、うそを言わぬようにしてくれ、ニュージーランドが輸出するものはやはり肉と乳製品しかない、
日本政府の、さも
日本の商品を買ってくれたらあなたのところの肉なり乳製品というものをもっと買いましょうというニュアンスに基づいて、われわれは十五年間も貿易をしてきた、十五年間うそを続けられたと言うのですね。そして結局は、ニュージーランドも経済的の発展途上国ですから、経済的に弱い国だからやはり
日本から輸入超過になる、そういうことをやらぬようにしてくれ、約束を守ってくれということで来ておるので、その約束の解決がつかなければ私は国へ帰れない、十五年間
日本にうそを続けられてきたのだ。
食糧生産というものはどの国も大切なんだ、来てみたら
日本にも酪農があって、
日本の酪農をやめてまでニュージーランドのものを買ってくれなんという気持ちはさらさらありません、うそをつかぬようにしてくれということだったのですね。うそをついては困るのだ。支払い手形がたまるということは個人でも因りますよ。そういう行為に対してわれわれは何とかしてくれという解決を迫って来ておるのだ、買えぬなら買えぬでもいいと言うのですね。買えぬければ物を売らぬようにしてくれ、借金をつくらさぬようにしてくれというのが、ニュージーランドの副総理が私
どもに言われたことなんです。
それからもう一点、この国会は経済国会ですが、こうなってくると農林物資といえ
ども、需要に対する不足量の買い付けは農林省でいいと思うのですね、しかし
協力輸入で相関
関係を
処理するということになると、具体的な需給調整ではないですから、具体的な問題は別としてもこれはやはり外務
大臣、特に対外経済
協力大臣もできたわけでありますから、
外務省の一つの経済外交の方針となってきますね。農林省だけの物の脅え方でなくなってまいります。農林省のいわゆる幹部職員やあるいは農林
大臣が反対しても、やはり
政府全体が
協力輸入ということはより大切だということになると、農林省の反対を抑えてでもそれは押し切っていかれる。たとえば牛肉を例に申し上げますと、今日の農林省の畜産局の見解は、牛肉の消費量は三十二万ないし三万トンである。これは農林水産
委員会の速記録にもはっきり出ております。そのうち
国内の生産量は二十五万ないし六万トンである、不足する輸入量は七万トンないし八万トンということを明言しておる。上期において四万トン、三万五千トンと五千トンの調整をやる。下期四万トン。こういう状態だからもう不足量いっぱい買い付けた。そこへアメリカから横やりが入って、ホテル用という名称であろうとどういう名称であろうと一万トンないし一万五千トン、現実に牛肉の輸入がふえるということになると、やはり生産に対する問題は起きてくるわけでありますね。ニュージーランドの副総理も一概に肉を買ってくれとは私
どもには言いません。国会の
委員長室で私
どもと会って頼まれたことは、買えぬのであれば売らぬようにしてくれ、だまさぬようにしてくれということだったのです。何が何でも買ってくれとは言いませんでしたよ。
日本もやがては、さっき私が申し上げたような
条件で国際収支が悪化しないという保証もないわけですね。そういうことを考えましたときに、ひとつ外務
大臣として
食糧に対する
協力輸入という考えは持たぬようにしてもらいたい、こう思うのですが、いかがですか。