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園田国務大臣 和平工作については、ただいま行われておる和平工作は正しいものであるという世論の喚起についてお願いをしたい。なおまた
米国についても、
自分たちの立場をもっと
理解するように協力してもらいたいということが
一つ。
もう
一つは非産油国の国々がございます。いま苦労しておるのは、サダトのイニシアチブを内心では支持しながらも、それだけに一方に走るとアラブ諸国が足並みがそろわぬので、足並みをそろえつつ、しかもイスラエルも面目が立つように何とかして、最後の一瞬とは言わぬが、ここで和平工作が停滞をするとまた新たなる騒乱の種をまく、こういう和平工作に対する要求と、それから非産油国に対する援助を、サウジアラビア初め産油国と協力をしてやってくれということが
向こうの要求であります。
それからまた、それぞれの国については中東と申しましても立場がいろいろ違います。イラン等は石油以外に鉄鋼その他もできるわけでありまして、未来の国づくりについては非常に具体的な計画を持っております。イランの
総理大臣はなかなか学者でありまして、私に、現在の協力を未来の協力にかじを切りかえるべきだと言っておりましたが、なかなかりっぱな判断だと思っております。
サウジアラビアは御承知のとおりに石油だけであります。一方、ア首連は明治維新にも似たようなところで、それぞれ兵を持ち、それぞれ宮殿を持った方々が集まっておるわけでありますが、明治維新といささか違いますところは、明治維新は
人間が多くて金がなかった。そこで明治の民族は仕方なしに精魂を傾けた。だから明治の民族は足腰が強くなった。ア首連は
人間が少なくて金がだぶだぶしておる。そこで石油でやっておりますけれども、肥満児の心臓が弱ったという
かっこうのところもないではありません。しかもそれでりっぱなことは、みずからが私以上に自覚をしていることであります。
こういうことを
考えながら、これは中東ばかりではありませんが、経済協力あるいは技術協力を黒字減らしなどという大それた
考えを持っては断じていけない。あるいはまた、
日本がよその国を助けるのだという傲慢な
考え方を持ってはいけない。深刻に悩んで、新しい国づくりをしようというその相手の具体的な方針に従って、
日本が相手の欲するところに協力をする、こういうことに経済協力等も変えていかなければならぬのじゃないか。また、プロジェクト等もございますけれども、これもいろいろ
考えなければならぬことでありまして、これは中東ばかりではありませんけれども、大型プロジェクト、大型プロジェクトで工業化していく。そうすると、一方にはこれが
日本の企業進出の手先になって、企業が進出をして、その地域が逆に市場となって搾取をされる、こういうところが非常な問題を起こしております。あるいはまた、そうじゃなくても、ただ単に大型プロジェクトで大きな工業化をすればいいというものではなくて、そこの第一次産品というものあるいはその地域というものを
考えながら、まずこれに第一次工業化をするということから、下から積み上げて工業化をしていかなければ、持っていって、途端にでっかい工場をつくってみても、後々問題が起こるのではないか、こういうことも
考えますので、そういうことも十分考慮しながら、国づくりに参加をさせてもらうという謙虚な気持ちで今後やっていかなければならぬと
考えております。