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1978-08-10 第84回国会 衆議院 科学技術振興対策特別委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年八月十日(木曜日)     午前十一時開議  出席委員    委員長 岡本 富夫君    理事 小沢 一郎君 理事 大石 千八君   理事 小宮山重四郎君 理事 石野 久男君    理事 日野 市朗君 理事 貝沼 次郎君    理事 小宮 武喜君       加藤 紘一君    与謝野 馨君       安島 友義君    上坂  昇君       田畑政一郎君    近江巳記夫君       瀬崎 博義君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      熊谷太三郎君  委員外出席者         科学技術庁長官         官房長     半澤 治雄君         科学技術庁原子         力局長     山野 正登君         科学技術庁原子         力安全局長   牧村 信之君         資源エネルギー         庁長官官房審議         官       児玉 勝臣君         参  考  人         (日本原子力船         開発事業団理事         長)      野村 一彦君         参  考  人         (日本原子力船         開発事業団専務         理事)     倉本 昌昭君         参  考  人         (動力炉核燃         料開発事業団理         事長)     瀬川 正男君         参  考  人         (動力炉核燃         料開発事業団理         事)      中村 康治君         特別委員会第二         調査室長    曽根原幸雄君     ————————————— 委員の異動 七月五日  辞任         補欠選任   近江巳記夫君     有島 重武君 同月十七日  辞任         補欠選任   有島 重武君     近江巳記夫君 八月十日  辞任         補欠選任   中村 弘海君     加藤 紘一君 同日  辞任         補欠選任   加藤 紘一君     中村 弘海君     ————————————— 六月十六日  一、核原料物質核燃料物質及び原子炉の規制   に関する法律の一部を改正する法律案内閣   提出第四二号)  二、科学技術振興対策に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  科学技術振興対策に関する件      ————◇—————
  2. 岡本富夫

    岡本委員長 これより会議を開きます。  科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  科学技術振興対策に関する件について、本日、参考人として、日本原子力船開発事業団理事長野一彦君及び同専務理事倉本昌昭君並びに動力炉・核燃料開発事業団理事長瀬川正男君及び同理事中村康治君から、それぞれ意見を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 岡本富夫

    岡本委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。     —————————————
  4. 岡本富夫

    岡本委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石野久男君。
  5. 石野久男

    石野委員 大臣にお尋ねしますが、原子力基本法は、私、官報を見ていませんですけれども、いつ公布になりましたか。
  6. 牧村信之

    牧村説明員 七月五日に公布いたしました。
  7. 石野久男

    石野委員 原子力基本法公布に伴って、原子力委員会及び原子力安全委員会が発足したわけですが、この委員選考というものはどういうふうに進んでおるか、この際御説明いただきたい。
  8. 熊谷太三郎

    熊谷国務大臣 どういうふうにということになりますと、ちょっと一言にしては申し上げられませんが、たびたび申し上げておりますように、もちろんこの方面の非常に知識の深いお方でなければならないことは言うまでもありませんし、また人柄とされましても、公平な、公正なお方として一般から認識されておりますようなお方でなければならぬと考えております。したがって、この二点に関しまして、われわれとしましていまいろいろ各界にわたって人選を進めているような段階でございます。大体、遅くとも今月中には結論を得なければならぬかというふうに思っておるわけでございます。
  9. 石野久男

    石野委員 今月中に委員選考が終わるということは大体わかりましたが、これはいずれにしましても国会承認事項になるのでしょうね。
  10. 熊谷太三郎

    熊谷国務大臣 もちろん、お話しのとおり国会承認事項でございまして、正式には十月四日までに発足しなければならぬということかと考えております。
  11. 石野久男

    石野委員 人選に当たっていろいろ選考が行われていると思いますが、私はここでお聞きしておきたいのは、基本法の改正に伴って原子力委員会安全委員会と二つに分かれて、しかもこれが許可権者に対するダブルチェックをするという重大な任務を持っておりますから、この人選についてはわれわれも非常に関心があります。従来の経験から見ますると、いろいろそれは見方がありましょうが、どうも委員というのは政府原子力政策に協力すると言ってはいけませんけれども、批判的な立場をとっている者が疎外されているような気がいたします。反対のための反対ということはこれは別でございますが、原子力政策というのは科学技術政策の上でも非常に大きい内容を持っておりますし、ことに放射能問題に対する安全性確保ということについてやはり一番重要な内容を持っておりますから、この人選に当たっては、この方面に対する見識、特に安全性に対する率直な学問的意見の述べられる者、技術的意見の述べられる者を、これは大臣の言う公平という意味を超えてその選に入れなければならぬのではなかろうか、こう私は思います。そういう点について大臣はどういうふうにお考えになっておられるか伺いたい。
  12. 熊谷太三郎

    熊谷国務大臣 御意見のとおりでございまして、いまいろいろそういう点で、微力でございますから果たして御期待に完全に沿えるような人選ができますかどうかわかりませんが、ひとつできるだけわれわれの力として努力いたしまして、そういう御心配、御懸念のあるような点がないような人選を責任を持って進めてまいりまして、国会の御審議を煩わすという考えでいるわけでございます。
  13. 石野久男

    石野委員 選考の内部のことについてわれわれわかりませんけれども、推測する限り、政府は、与党である自由民主党とも折衝しているであろうし、あるいはその関係の業界の諸君とも話し合いをしているだろうと思うのです。そこで、われわれ野党の側に立つ者の意見というのは、従来の例から見ますると、事後承認のような形で押しつけられるという傾向が多いのですよね。今回の場合は、そういう選考過程においてやはり野党各党意見なども十分に聞く用意があってしかるべきだ、こう思いますが、そういう点について大臣はどのようにお考えになられているか、また対処する考え方でいられるか、お聞かせ願いたい。
  14. 熊谷太三郎

    熊谷国務大臣 選考過程におきましていろいろな点を十分考慮に入れなければなりませんから、その必要のためには、あるいは御意見を進んで聞く向きがあるかもしれませんが、これは特に与党であるからあるいは野党であるからというような区別ではもちろんありませんし、また公式にお尋ねするということではありませんが、参考のために御感触を承ることはあるかもしれません。しかし公式にお聞きするということではありません。それから、どなたであれ、これについて御意見がおありになれば喜んで承るということは、先般の国会委員会の際も申し上げたとおりでございます。  何とかいたしまして、力の限り少しでも御信頼に近いような人選を進めてまいりたい、こういう考えでおりますので、また、いろいろ御意見等があれば、広く承ることに決してやぶさかではないつもりでおります。
  15. 石野久男

    石野委員 この問題は、参考とか公式とかという御意見がありますが、国会承認人事でもございますから、当然のこととして国会議運での論議があると思いますし、政府国会との間の折衝も当然なければいけない。そしてそれは、参考というだけでなく、当然のこととして公式な話し合いもあることと思います。したがって、それは与党だけの問題ではなくて、野党にも当然そのことは当てはまるわけですから、単に参考とか公式でないとかということでなしに、この問題について各党との折衝を、これはまあ議運の中でももちろん相談をしなくてはいけませんし、本委員会でも場合によればそれぞれ各党の間でも話があり得ると思いますけれども、そういうようなことがあった場合に、政府はそれに対して耳をかすという用意はございますか。
  16. 熊谷太三郎

    熊谷国務大臣 人事の問題でございますので、そういう運び方については非常に慎重を期さねばならぬと思っているわけであります。したがって、もちろん公式とかあるいは参考とかという言葉は申し上げましたが、そういう余り厳格な意味で申し上げたつもりではございませんので、十分手続関係も考慮し、あるいは人事を運ぶという微妙な点も考えまして、いろいろな点でできるだけ国会の全般的な御了解を得られるような人事考えたい。ただし、われわれの力の限界もありますから、十分それが達成できるようなことになるかどうか、まことに懸念にはたえませんが、そのつもりでひとつ一生懸命人選を進めるつもりでおります。
  17. 石野久男

    石野委員 この問題は国会人事案件にも関係しますから、ぜひひとつわれわれの意向がこの人事選考の中に入って、原子力安全性確保の問題に寄与のできるように願いたいと思っております。  次に、もうそろそろ来年度予算編成に入ると思いますが、科学技術庁は来年度予算の中で、予算編成を行うに当たって何を一番重点として予算編成をなさるか、そしてまた予算の中で科学技術を特にたとえば予算編成上重要視するという主張点があるのかどうか、そういう点について所見を聞きたい。
  18. 半澤治雄

    半澤説明員 お答えいたします。  予算編成作業は現在調整過程にございまして、編成方針というものがはっきり固まったわけではもちろんございませんが、もともと資源のないわが国にとりまして、頭脳の所産である科学技術が重要であるという観点は基本的にあるわけでございまして、やや抽象的ではございますけれども、予算編成に当たりましても、まずその資源エネルギー問題の解決を目指すという技術開発科学技術研究開発、それから科学技術庁任務でもございますが、先導的あるいは先端的な科学技術振興するという観点、それから三番目には、健康で安全な国民生活確保するという観点に立つ科学技術振興、こういった分野重点に志向いたしまして予算編成に当たりたいというふうに考えておりまして、現在長期的にはそういう観点に立って編成作業を進めておるという状況にございます。
  19. 石野久男

    石野委員 そのうちでも特に健康で安全な生活をという問題が非常に大事だと思いますけれども、科学技術開発を特にこの際重要視しなくてはいけないということについて、もうちょっと細かい考え方をひとつ聞かせてもらいたい。特にことしとの比較でですね。
  20. 半澤治雄

    半澤説明員 先ほど来申し上げておりますように現在編成作業中でございまして、各需要原局と申しますか、要求原局との間で調整を進めておりますから、結論的なことはまだ出ていないわけでございますが、予算編成の中で重点的に考えておりますものを先ほどのラインに沿って申し上げますと、つまり国民生活ということだけではなくて、国民生活という観点から見ても先導的、先端的技術も必要でございますし、最初に申し上げました資源エネルギーの制約を解消するという観点からの科学技術も大事でございますから、そういう観点から申し上げますと、まず資源エネルギー関係では、やはり原子力研究開発推進安全性確保あるいは核融合燃料サイクル新型炉の展開といった問題については引き続き力を入れるということでございますし、先導的、先端的技術観点から申し上げますと、宇宙開発あるいは海洋開発側面、リモートセンシング、レーザーあるいは短距離離着陸機といったような問題が先端的、先導的技術の一環として挙がっておるわけでございます。健康で安全な国民生活関係から申し上げますと、防災科学技術、たとえば地震関連科学技術あるいはライフサイエンス、そういった技術開発の促進に力を入れたいというふうに考えておるわけでございます。
  21. 石野久男

    石野委員 資源エネルギー開発について、特に原子力、それから核融合などの新型転換炉、これらに非常に力を入れるというのは従来の方針でもありますけれども、これはここで余り私は論議をするのには時間もございませんが、ただ、原子力開発効果、特に平和利用における原発とかなんかの開発効果が果たしてうまくいっているのかどうかという疑問が数多くあるわけです。特に稼働率などについてそのことが言えると思います。  それから見ると、エネルギーの問題で私は従来もそう言っておりますけれども、資源の少ない日本とは言いますけれども、やはりエネルギーというのは大体太陽エネルギーを中心にして考えるのが筋だと思います。その太陽エネルギーのあり方の問題としていろいろな形態がありますが、ことに最近の情勢から言いますと、二百海里問題を通じて領域が非常に広くなった。その海洋におけるエネルギーをどういうふうに使うかという問題、それからまた、宇宙といっても特に風力とかそういうようなものをどういうふうに使うか、それから地熱の問題をどうするか、こういう問題を通じて自主的なエネルギー開発という側面を特にこの際重要視すべきでなかろうかという考え方を私は持っておりますけれども、そういう点について科学技術庁はどういうふうなお考えを持っておられるか、お聞かせ願いたい。
  22. 半澤治雄

    半澤説明員 ただいま御指摘がございましたが、自然エネルギー、たとえば波力あるいは塩分濃度差を使うとか、あるいは風エネルギーでございますが、ことしから科学技術庁風トピアという呼称で呼んでおりますけれども、風力エネルギー利用といったものにつきましても、五十四年度特にという意味ではもちろんございません、従来から力を入れてきておるわけでございますが、研究開発段階、つまりプロジェクト化するかしないかというその段階段階に応じまして予算規模等は変わってまいるわけでございます。考え方といたしましては、ただいま御指摘ございましたように、風力波力等エネルギー利用につきましても、研究開発を促進するためにいろいろ手を尽くしているという事実はございますが、今後ともそれは続けてまいるという考え方でございます。
  23. 石野久男

    石野委員 予算編成の細かいことの論議は私はするつもりはないのですけれども、方針の問題として、原子力エネルギーは、いずれにしましても、ウラン燃料そのものから言えば、紀元二〇〇〇年代に入れば枯渇することはわかっておりますし、新型エネルギーとかあるいは高速増殖炉というようなものについても、これは資源そのものよりはむしろ、プルトニウムとかなんかによる放射能の問題、特に高レベル廃棄物処理問題等を含めて問題が数多く残る。そういう情勢のもとで、科学技術庁としては、これは通産省と違うのだから、むしろ無公害エネルギーというものを可能な限り国内で開発する、そういうことをいまの段階で積極的にやるべきでないか。  そのことについては、予算規模によってその対応の仕方もずいぶん変わってくるわけですね。従来余りそれは重視されていなかったから、体制もないことはよくわかりますけれども、この際、膨大な予算をその方向に向けるということ、これは非常に大事なんじゃないかというふうに私は考えるのですけれども、そういう着想は科学技術庁としてはありませんか。
  24. 熊谷太三郎

    熊谷国務大臣 先ほどから、さしあたって来年度の予算編成についていろいろお尋ねもありましたし、お答えも申し上げておりますが、御承知のように、非常に重大な、重要な問題ばかりでありまして、どれに特に重点を置くか、その重点も、あるいは予算の額的に重点を置くか、あるいは考えをそちらの方に重点を置くかというような問題も起きてまいりますが、なかなか簡単にこうだということは、率直に言いまして申し上げかねるかと思うわけでございます。  原子力の問題でございますが、これは仰せのように、資源的に言いましても無限というわけにはこれまたいかぬわけでありますし、いろいろ問題もあることも十分承知いたしておりますが、さしあたっての実用的な見地から言いますと、やはり開発推進にいろいろな費用なり精力なりをかけてまいらねばならぬことはやむを得ないところであるかと考えるわけであります。  しかし、さらばといいまして、また、将来の見地から、あるいはいろいろな点から言いまして、あるいは太陽熱利用でありますとか、あるいは海洋エネルギー利用でありますとか、そのほかいろいろなエネルギー資源研究開発ということも十分に考えていかねばならぬわけであります。  大変先の長い話になりますが、たとえば太陽熱をもととします光合成の問題などもすでに研究に着手しておりますので、こういう点も重要な課題として取り上げていかねばならぬ、また、先日行われました海洋波力利用します発電装置、この問題もひとつ今後大いに力を入れてまいらねばならぬ、あるいは風力その他いろいろな将来の有効なエネルギー源として考えられるものはすべて取り上げてまいりまして、それ相応の力を注いでまいりたい、こういうふうに考えておりますので、非常に範囲の広い分野でございますので、簡単に、どれに一番方を入れて、どれはどうだということはすっきり申し上げられませんが、考えられますいろいろな課題を、限られた予算におきましてひとつ十分活用してまいるような編成方針をとってまいりたい、このように考えているわけでございます。
  25. 石野久男

    石野委員 大臣はまんべんなくいろいろなことに全部触れられました。それは全部必要なことですけれども、私は、日本の国の今後の問題は、人口増加に伴う課題として、食糧問題とエネルギー問題が当然出てくるのだし、特にそのエネルギーの問題では、いわゆる石炭にしてもあるいは石油にしてもなかなか容易でない、しかも原子力は問題が多い。それで、われわれとして将来のエネルギー問題を考える場合に、無公害エネルギーというものを考えることが非常に大切だと思うのです。公害を伴うエネルギーというのは、エネルギーをみずからの、タコの足を食うようにして使うのですから、その計算がいま行われていませんけれども、私は、いま一番大切なのは、無公害エネルギーをどういうふうにして早く確保するか、しかも自前で確保するかということに問題の焦点があるわけです。これは通産省はともかくとして、科学技術庁はその問題に焦点を合わせて、そして政府政策、国の政策というものをそこで打ち立てるようにすべく、切実に要求されておる時期であると思うのです。  ですから、昭和五十四年度予算の中でエネルギー問題を科学技術庁として取り上げる場合、それはすぐには実現しなくとも、やっぱり方向性としてそれが予算の上に積極的に出ることが必要なのじゃないか、こういうふうに私は思うので——それで、すべてのものというのじゃないのですよ。とにかく無公害エネルギーわが国確保できるものは何と何なのかということをまずしっかりとつかんで、その問題について政府予算措置を集中的にそこへ投入する、そのことから、そこへ人材を集めていく、あるいは教育する、こういうことが必要なのじゃないかというふうに思うのです。そこで、私は、五十四年度予算編成に当たって、科学技術庁としてはそれをやはり大蔵省総理府に持ち込んでいくというような考え方があってしかるべきじゃないかというふうに思うので、このことを尋ねておるわけです。  特に、きょうなどの新聞で、土光さんが科学技術国債というものを総理に対して要請して、来年度はひとつ科学技術の問題を積極的に取り上げてくれというような要請もしたようですし、総理はそれに対して一応の対応姿勢を示しているように見受けられます。  だから、私は、いまエネルギー問題についての基本的な物の考え方について科学技術庁長官がどういうふうに取り上げるかということの意思を明確にしていただいて、同時にまた、研究開発を大幅に増大せよという要請に対して、科学技術国債というようなものが出てきましたが、こういう問題について、科学技術庁はどういうふうに考えておられるのか。これは大蔵省意見はまた——大蔵省要請していませんからですが、これについての科学技術庁意見をお聞きしておきたいと思います。その点について、大臣の御所見をひとつ……。
  26. 半澤治雄

    半澤説明員 土光経団連会長研究開発費大幅増額ということで総理にお会いになられたというのは、私ども、新聞記事等で承知いたしております。  ただ、行政庁といたしましては、御案内のように、五十四年度の予算概算要求の仕方につきまして閣議了解等もございます。全体の財政事情から見てこういう形で概算要求をすべきだということがございますものですから、一応その線にも沿い、かつ、先ほど来申し上げておりますが、効率的、重点的な予算の組み方をするという観点から調整を行っておるわけでございまして、科学技術国債の問題につきましては、実はまだ事務的に詰めるに至っておりません。応援は非常に心強うございますけれども、全体の行政機関、全体の整理の仕方というものもございますものですから、現在は、そういう閣議了解というようなところに沿いながら、かつ、長期的な観点を踏まえて予算を組むべく作業中でございます。
  27. 石野久男

    石野委員 予算編成についての考え方、特に科学技術国債というようなものについてのあなた方の作業というのはそういうものだということはよくわかりました。  大臣にいま一つお聞きしておきたいのですが、先ほども私は申しましたように、予算編成に当たって、効率的、重点的に予算編成をするという趣旨はよくわかりますけれども、それがどちらを向いているのかということが非常に重要だと思うのです。現在がこうだからということだけで、そこへ効率的、重点的に予算編成方針を当ててしまうということについて、科学技術庁としてそれでいいのかどうかということを私はお聞きしているわけです。特に、無公害エネルギーをどのようにして開発し、将来わが国エネルギーとしてそれを確立するかということについては、研究開発が一番大切なんだと思いますから、そのことを再来年に、その次にというようなことではいけませんから、どうしても来年度予算ぐらいにはそういうことについて積極的な研究開発姿勢が示されるべきでないかというふうに私は思うのです。この点は、内閣予算編成方針の中の従来の観点と違った点として、私はやはり科学技術庁エネルギー問題について大きく主張すべきだろう、すべきであるというふうに思うのですが、大臣はそういうことについてどのように対処されますか、またお考えを持たれるか、ひとつお聞かせ願いたい。
  28. 熊谷太三郎

    熊谷国務大臣 御質疑にお示しになりましたお考えはごもっともでありまして、もちろん、われわれといたしましては、現実処理現実処理といたしますけれども、近い将来の問題としまして、そういう自主的に得られる無公害資源というものについては、十分の関心を持って進めてまいらねばならぬと思っております。  さっき申し上げました光合成とかあるいは波力とか、そういう具体的なプロジェクトは一つの例でございまして、そういう方面に向かって、転換と言いますと語弊があるかもしれませんが、そういう方向十分目を開いて、そういう面の研究開発を積極的に進めてまいる、全く御意見のとおりに進むべきであると考えておるわけでございます。
  29. 石野久男

    石野委員 大臣、これは委員会の答弁だけに終わってもらっては困るのでして、私は、やはり五十四年度予算編成の中にそういうような着想が科学技術庁エネルギー対策として出てくることを期待したいのです。積極的にそういうような努力をしてもらうことを要請するのですが、そういうことを庁内で作業させ、また大蔵との折衝をするというような用意はございますか。
  30. 熊谷太三郎

    熊谷国務大臣 決して答弁だけでは終わらないで、無公害の、将来研究開発に値する、そういうあらゆるエネルギーについて研究開発するということをいま仰せのとおり庁内で決めまして進んでまいりたい、このように思います。
  31. 石野久男

    石野委員 それは、ひとつよろしく努力してもらうようにお願いします。  原子力船「むつ」の問題でございますが、いろいろと長崎、佐世保との間に折衝が行われたようでございますが、この「むつ」を佐世保に回航するというのはいつごろに予定されておるのですか。
  32. 山野正登

    ○山野説明員 ただいまのところ、十月の十二日を入港予定日といたしております。
  33. 石野久男

    石野委員 この際、青森のむつにおけるいわゆる四者協定などの問題は、この「むつ」佐世保回航との間に完全に消化し得るという見通しが立っておるのですか、どうですか。
  34. 山野正登

    ○山野説明員 先般、科学技術庁長官が青森に赴きまして、四者協定の当事者間でいろいろ話し合いを進められたわけでございますが、その際、従来政府が進めてまいりました新しい定係港を決めるに先立ちまして、まず修理港問題の決着をつける、その後四者協定の履行を行うべく新定係港の選定作業に入るという方針は、地元三者におかれましてもよく理解をしておいていただきまして、今般の修理港問題の決着というものも高く評価をしていただいたと考えております。  今後は、四者協定の定係港の撤去という問題をどういう形で具現するかという点につきまして、「むつ」が大湊港を出港しました後、適当な時期にこの協定当事者が再度会いまして協議しようということになっておるわけでございます。  それから事業団におきます修理港へ回航の準備状況でございますが、これもただいまのところ順調に進んでおりまして、十月十二日の佐世保港入港を目指しまして各般の準備というものをただいま進めておるわけでございます。
  35. 石野久男

    石野委員 青森県との四者協定を実施するに当たってまだ後で話し合わなければならぬ問題があるとすれば、どういう問題があるのですか。
  36. 山野正登

    ○山野説明員 私どもといたしましては、船がむつを出港するということによりまして、実質的には定係港の撤去というものに大きく前進したというふうに考えるわけでございますが、なお地元には陸上附帯施設といったふうなものが残っておるわけでございます。こういったふうなものを今後いかに取り扱ってまいるかといったふうな問題もあるわけでございまして、このような問題につきまして出港後適当な時期に協議したい、こういう趣旨でございます。
  37. 石野久男

    石野委員 私の感じでは、協議をしなくても協定は結ばれておるから、あなた方が撤去すればいいんだと思うのだけれども、そう簡単には撤去できないのですか。
  38. 山野正登

    ○山野説明員 四者協定で言っております定係港撤去という言葉の意味でございますが、物理的に陸上附帯施設というものを取り除くということを撤去というふうに理解する解釈の仕方もあろうかと存じますが、関係者は必ずしもその線で考えておるわけではないと私は考えるわけでございまして、そういう趣旨におきまして陸上附帯施設をどのような状態にすれば四者協定に言う定係港撤去ということにかなうことになるか、これは撤去ということの具体的な意味というものも四当事者がよく協議をして決めるという趣旨であろうかと思います。そういう意味で、陸上附帯施設を取り除けばそれでよろしいというふうなことには直ちにはならないと考えております。
  39. 石野久男

    石野委員 そうしますと、むつにおける科学技術庁なりあるいは原子力開発事業団というもののかかわり合いは、むつ港を原子力船「むつ」が出港した後も依然としてかかわり合いを持つということが前提になるわけですか。
  40. 山野正登

    ○山野説明員 出港後の陸上附帯施設の取り扱い等の問題を中心に再度協議をするということでございますから、その限りにおきまして引き続きかかわり合いを持つということになろうかと思います。
  41. 石野久男

    石野委員 再度協議するということは、四者協定のどこから出てくるのです。
  42. 山野正登

    ○山野説明員 四者協定には、二年六カ月以内に現定係港を撤去するとなっておるわけでございますが、この撤去ということは、どうすれば撤去したことになるかということにつきましては四者間でまだ公式的に統一の見解はないわけでございますので、これについて統一の見解を出して、その見解の線に沿ってしかるべき必要な措置を講ずる、それが済めば、現定係港を撤去して四者協定を完全に履行したことになる、こういうふうな運びであろうかと存ずる次第でございまして、そういう意味合いにおきまして、陸上附帯施設についての今後の協議というものは、当然四者協定の中で行ってしかるべきものと考えております。
  43. 石野久男

    石野委員 鈴木善幸氏が四者協定をつくったときの撤去の意味は、本委員会においてはそういうふうな理解の仕方をしていない。とにかく二年六カ月たったら一切これを撤去するというふうにわれわれは理解してきておるし、いま局長が言うような説明の仕方はだれにも聞かなかったし、われわれもそういう理解をしていなかったのですがそういう必要性が出てきたという意味はどういうことなんですか。
  44. 山野正登

    ○山野説明員 このたび大臣が青森に出向きまして、青森県知事、むつ市長並びに県漁連会長と会談しました際に、今後この定係港の扱いについてどうするかという問題につきましては、これは地元の方から現定係港の撤去問題につきましては、船が出ました後別途適当な時期に協議をいたしましょうという提案をいただいたわけでございまして、そういう意味合いにおきましては、政府の方から地元の意思に反してそのような提案をしたというわけのものでもないものでございまして、私は、先ほど来御答弁申し上げておる趣旨におきまして、地元の三者も完全に同意しておられるものというふうに考えております。
  45. 石野久男

    石野委員 そうすると、政府は提案しないけれども、地元で要請があった、こういうふうに理解してよろしいわけですね。
  46. 山野正登

    ○山野説明員 そのとおりでございます。
  47. 石野久男

    石野委員 これは問題を残すと思うのです。四者協定というものが国会等を通じて、しかもわれわれは予算を使って、この協定内容を充実するためにずいぶんと膨大な金を使っておりますね。その当時国会が理解したものと、それからいま四者協定の扱い方についていつの間にか内容が変わってくるということになりますと疑問を残します。私は、きょうは時間がありませんから、これは明らかに一つの疑問を残しておりますから、その問題はそう安易に取り扱われるべきかどうかを後で検討すべきであると思っておりますから、そのように理解してもらいたい。そういう点については政府はどういうふうに考えておりますか。
  48. 山野正登

    ○山野説明員 私どもは四者協定は、昨年の四月の撤去期限は守れなかったわけでございますが、しかし、なお引き続きできるだけこの線に沿って協定を履行すべきものというふうに考えておるわけでございまして、今般わざわざ大臣が地元に赴いて、四者間で話し合いをしたというのもその趣旨に基づくものでございます。そういう意味合いにおきまして、現定係港の撤去という点につきまして引き続き四者で十分話し合いをしていこうということは、従来ややもすれば、政府がその場逃れに事態を引き延ばしておるといったふうな御批判もあったわけでございますが、今回の問題というのは、地元からそのような非常に理解あるお話があり、政府もこれに全く同意したという次第でございまして、四者協定を軽んずるといったふうな趣旨はみじんもないというふうに考えております。
  49. 石野久男

    石野委員 政府の答弁にもかかわらず、四者協定というものは、ただ言葉の上だけでなしに、具体的には予算を相当使っておりますし、やはりいろいろな項目を並べて、そして二年六カ月後に撤去するということを国会は承認しているという実情でございますから、これは後で問題が残るものと私は思います。後日やはり論議しなければならぬ、このように思うのです。  そこで、佐世保とか長崎との間に今度は「むつ」を入れるについていろいろな話し合いがあったと思いますが、その話し合いの中で政府が責任を持たなければならない点というのはどういう点ですか。
  50. 山野正登

    ○山野説明員 「むつ」を佐世保港に回航するに際しまして、佐世保港における修理に関する合意協定というものを関係の五者、すなわち科学技術庁長官、事業団理事長、長崎県知事、佐世保市長及び長崎県の漁連会長、この五者の間で結んだわけでございますが、この中に、地元が修理港要請を受け入れるに際しまして、政府の方にいろいろ要望を申し述べておられるわけでございます。これを順次簡単に申し上げますと、まず政府及び事業団は、「むつ」の新しい定係港をできるだけ早く決定するように引き続き努力するということ、それから事業団は、「むつ」の佐世保港における三年間の修理が終了した後直ちに新しい定係港に回航するということ、また事業団は、佐世保港への回航に先立ちまして、佐世保市並びに県漁連の立ち会いのもとに、原子炉運転モードスイッチのかぎと制御棒駆動盤のかぎを県知事に引き渡しまして、修理期間中県知事がこのかぎを預かるということ、それから四点目は、「むつ」の佐世保港における修理にかかわります放射能の監視体制を整備強化するということ、五点目は、事業団は、「むつ」の佐世保修理に当たりましては、一次冷却水を船外に放出しないことを含めて、環境の保全に十分配慮すること、六点目は、科学技術庁並びに県は、「むつ」にかかわる風評による魚価低落に対しまして魚価安定対策のための必要な措置を講ずるということ、七点目は、県知事、市長及び漁連会長は、必要に応じて、「むつ」の佐世保港における修理に立ち会うことができるということ、さらに第八点目は、県知事、市長、並びに漁連会長は、「むつ」の修理が円滑に遂行されるよう協力するということ、以上のような点につきまして五者が合意を見たわけでございまして、以上申し述べましたうち、政府及び事業団が義務づけられておる問題が幾つかある、こういう状況でございます。
  51. 石野久男

    石野委員 そういうようなもののうち政府及び事業団が義務づけられているものというのはどういうものであるかということ、それからその問題に関連して、財政的措置をしなければならぬような義務づけがあるのかどうか、そこのところを聞かしていただきたい。
  52. 山野正登

    ○山野説明員 まず、新定係港の早期決定、それから修理完了後の新定係港への回航、さらに「むつ」の佐世保港への回航に先立っての運転モードスイッチのかぎ、制御盤のかぎを県知事に預けること、こういったふうなことはいずれも政府並びに事業団の義務でございます。  それからさらに、ただいまおっしゃいました予算に関連するものといたしましては、「むつ」にかかわる風評による魚価低落に対する魚価安定対策として必要な措置を講ずるという問題があるわけでございますが、この問題につきましては、当然今後政府が必要な予算措置を講じてこれに対応する必要があろうかと存じております。  それ以外の問題としましては、放射能の監視体制の整備強化とか、あるいは環境保全に十分配慮する等々の義務があるわけでございます。
  53. 石野久男

    石野委員 そういう約束で十月十二日に回航される。うまく回航されるかどうか私はわかりませんけれども、回航された後のいわゆる修理のおおよそのスケジュールというものはどういうふうになっておるのか。そして、最終的にはいつそれが修理完了で、修理完了の実際の点検というものはいつどこで行われるのか。
  54. 山野正登

    ○山野説明員 修理港において行います作業というのは三つあるわけでございまして、遮蔽の改修と安全性の総点検並びに船体の検査、この三つがあるわけでございます。  遮蔽の改修につきましては、現在、基本設計がほぼ終了に近づいた段階でございまして、近々のうちに設置変更許可の申請を出す予定でございますけれども、これが実際の改修工事に入りますのは安全審査を経ました上で大体五十四年の春ごろになろうかと予想いたしておるわけでございまして、この改修工事というのが五十四年の春以降五十五年、五十六年の当初までかかろうかと考えております。  それから、安全性の総点検でございますが、これはハードウエアについての点検とソフトウエアについての点検と両方あるわけでございまして、ソフトウエアにつきましての点検というのはきょう現在もうすでに進めておるわけでございますが、ハードウエアの機器の点検につきましては、これはやはり佐世保に回航いたしました後行うといったふうなことが主体になろうかと思います。したがいまして、この秋に回航しますと直ちにその作業を始めまして、点検の結果、要すれば原子炉等規制法に基づきます設置許可変更をいたしまして、その安全審査を経ました後で所要の改修工事をするといったふうなことも考えております。これは今後そのような点検の結果にもよるわけでございますので、いついつ終了というふうにいま断定できないことではございますが、遅くとも五十六年の秋までには全部完了するという予定にいたしたいと考えております。  それから、船体の検査でございますが、これは十月十二日に入港いたしますれば直ちに入渠いたしまして必要な検査をいたしたいというふうに考えております。
  55. 石野久男

    石野委員 スケジュールの問題について私はここで論議はできませんし、もう少しはっきりわからなくちゃいけませんが、大体それに要する費用は総額どのくらいと見ておられますか。
  56. 山野正登

    ○山野説明員 ただいま申し上げましたように、この遮蔽改修、総点検の工事期間というのは五十六年の秋までかかるわけでございますので、五十四年度の予算にすべてのものを要求するかどうか、これはまだいまは決めていないわけでございます。恐らく五十四年度に全部の所要経費を計上するということではなくて、五十五年、五十六年と分割して計上するといったふうなことにもなろうかと考えます。ただいま事業団並びにわが方におきまして今月末の概算要求時点を目指して作業をしている段階でございまして、まだ数字を公表できる段階に至っておりません。
  57. 石野久男

    石野委員 およそどのくらいまでかかる予定ですか。
  58. 山野正登

    ○山野説明員 これはたびたび国会で御質問があった問題でございますが、遮蔽の改修と総点検の結果の修理という両方の経費が必要なわけでございます。このうち遮蔽の改修という方はある程度の予測はできますけれども、安全性の総点検に基づきます修理工事というのは、これはもっぱら点検の結果によるものでございまして、未知数でございます。これは今後の点検にまたざるを得ない。そういうふうな状況にあるわけでございますので、いましばらく時間をいただきたいというふうに考えております。
  59. 石野久男

    石野委員 そうしますと、これは予算的に見て全部完了するまでの見通しというものは立っていない。よく新聞などでは五十億だとか六十億だとかというふうに言われておりますけれども、その辺の見当もついていないということですか、どうですか。     〔委員長退席、小沢(一)委員長代理着席〕
  60. 山野正登

    ○山野説明員 余り無責任な数字は申し上げたくないと考えておるわけでございますが、新聞紙面等で言われております数字というのは、これは遮蔽の改修に所要の経費という趣旨で言われておるものと考えておりまして、これが数十億円であるというふうに報道されておるわけでございますが、私はオーダーにおきましてはその程度のものであろうかと考えております。
  61. 石野久男

    石野委員 そうしますと、遮蔽の改修にはそのくらいかかるが、総点検等についてはちょっと見当がつかない、こういうことですね。
  62. 山野正登

    ○山野説明員 そのとおりでございます。総点検につきましては点検の結果によりまして所要の工事が判明するというふうな性格のものでございますので、いまの時点でどの程度ということは申し上げかねる問題でございます。
  63. 石野久男

    石野委員 私もそう思います。この炉は点検するとどのくらい金がかかるかわからない内容を持っている、こう思いますから、それは率直に言って本音だろうと思いますから、そのように承ります。  そこで、この改修工事が行われたときに新たにいろいろな形の遮蔽をするわけでございますが、いわゆる水素化ジルコニウムというのですか、そういうふうなものだとか、あるいは蛇紋岩入りの重コンクリートというようなもの、こういうようなものでいろいろ遮蔽をやっていくということを聞いておりますけれども、物はどうであってもいいのですが、そういう新たに遮蔽される総重量というのは大体どのくらいに設計上なっておりますか。
  64. 山野正登

    ○山野説明員 三百五十トン程度であったかと記憶いたします。
  65. 石野久男

    石野委員 私がその重量問題を重要なものとして考えるのは、やはり船体が必ずしも何万トン、何十万トンというような大きいものではございませんし、しかもそこに新たな遮蔽の大きな重量物が入っていくということになると、船の航行安全性の問題からいって問題があるんじゃないだろうかという素人考えを実はしているわけなんです。それで、われわれが見る限りにおいて、遮蔽はほとんどやはり炉の上部の遮蔽になってくる。そして、いわゆる炉底の方に行くものは重量トンとしてもごく少ないものである、こう思うのです。  そこで、新聞などによりますと、水素化ジルコニウムというのは、大体一個が二十キログラムぐらいのものを二百個ぐらい二段構えで敷き詰めるんだ、こういうふうに言われておりますね。そうすると、これだけでももうすでに四百トンになるんでしょう。二十キロというと二トンでしょう。二百個だったら、二、二が四で四百トンになってしまうんだな。そうでしょう。これは違うかな。二十キロというと二トンでしょう。(「千キロが一トンだ」と呼ぶ者あり)ああそうか、ぼくが見当違いしました。それはわかりました。  それでは、三百トン以上の新たな遮蔽物体は、炉の周辺にどういうふうに重量が分布されるのかということを、いまここですぐでなくてもよろしゅうございますから、後でひとつ説明書をいただきたいと私は思っております。それをひとつお願いしたいと思います。
  66. 山野正登

    ○山野説明員 ただいま御指摘の問題というのは、遮蔽改修工事をしました後、トップヘビーになりまして船の復原性、縦強度といったふうなものに問題が出るのではないかという御指摘だと思いますが、この点につきましては、事業団でも十分に検討いたしまして、そのような問題につきましてはいずれもかなりな余裕を持って安全は確保し得るという結論をいただいておるわけでございます。また、その点につきまして、安藤委員会におきましても検討いたしまして、同じような結論を出しておるわけでございますが、ただいまおっしゃいましたような資料につきましては、詳細なものを御希望であれば喜んで提出させていただきます。
  67. 石野久男

    石野委員 事業団の理事長にお尋ねしますが、この原子力船「むつ」がむつ港を出て佐世保に行くに当たっては、当然のこととして、昭和四十五年十一月十二日原子力委員会が出しております「原子力船運航指針及びその適用に関する判断のめやすについて」というものをお守りになるのでございましょうね。     〔小沢(一)委員長代理退席、委員長着席〕
  68. 野村一彦

    ○野村参考人 お答えいたします。  先生御指摘の指針を守ることは当然でございますが、それに加えまして、その後いろいろと検討いたしました航海の安全のために守るべき事項というものも加味いたしまして、これが安全に航海できるようにやりたいと思っております。
  69. 石野久男

    石野委員 原子力船の基本的な運航条件として、特に事故を起こさないよう設計、建造、運航及び保守が行なわれなければならないのだけれども、原子力船の存在場所について非常に厳しい目安、条件というものが出ておるわけですね。それで、佐世保港に入るこの原子力船「むつ」というのは、局長、これはもう原子力船になっているのですかね。どうなんですか。
  70. 山野正登

    ○山野説明員 「むつ」はただいま船舶安全法に基づく検査の過程にある船でございまして、そういう意味でまだ原子力船となっているわけではございません。
  71. 石野久男

    石野委員 そうすると、「むつ」はこの適用を受けなくてもいいということになりますか。
  72. 山野正登

    ○山野説明員 私が船舶安全法でまだ原子力船になっていないと言う原子力船というのは妥当でないので、まだ正式に船とはなっていないという趣旨でございます。
  73. 石野久男

    石野委員 そうすると、いま理事長からは、原子力委員会の四十五年十一月十二日のそれは守りますと言われたのだけれども、これは原子力船運航指針なんですよね。すると、これは守らなくてもいいということになるのですか。どういうことになるのですか。
  74. 牧村信之

    牧村説明員 ただいまの原子力船「むつ」の状況は、原子炉を冷態停止に保ちましてむつ港から佐世保に運航し、佐世保港におきましても、原子炉を冷態停止のままで修理、総点検を行うことにいたしておるわけでございます。したがいまして、先生御指摘の運航の目安につきましては、原子炉を動かさないでいくわけでございますので、この適用をすべて受けるということではございません。しかしながら、「むつ」におきましていろいろ放射線漏れの事故を起こしたわけでございますが、このような原子炉を積んでおるということにつきましての環境に対する配慮は十分にいたさなければならないというふうに考えておる次第でございます。
  75. 石野久男

    石野委員 そうしますと、その規制といいますか、適用に関する判断の目安というのは、むしろこの四十五年十一月十二日のじゃなくて、三十九年の五月二十七日の「原子炉立地審査指針及びその適用に関する判断のめやす」、これでいろいろ規制といいますか処置なさるのですか、どっちなんですか。
  76. 牧村信之

    牧村説明員 佐世保港に参りましても、ただいま御説明申し上げましたように、原子炉は冷態停止の状況でございまして、全く動かないという条件でございますので、既往の目安あるいは指針を必ずしも守る必要はない。したがいまして、その辺の問題につきましては、「むつ」の現状を踏まえて個々に判断すべきことだというふうに考えておる次第でございます。
  77. 石野久男

    石野委員 「むつ」は冷態停止だからということで、こういう指針を必ずしも守らなくてもいいんだというお話ですが、お尋ねしますけれども、もし何らかの事故によって制御棒が抜けると、これはやはり臨界に達しておるのですから、いわゆる核分裂は進んでいきますね。そうじゃないですか。
  78. 牧村信之

    牧村説明員 先生御指摘のように、仮に制御棒が抜けた場合には当然臨界になるわけでございますが、冷態停止の状態に保つ方法を十分検討いたしまして、その確認が得られれば、先ほど私が申し上げましたような冷態停止の状態が保たれるものと考えておる次第でございます。
  79. 石野久男

    石野委員 御答弁はよくわかるような気がしますけれども、しかし原子力委員会は、たとえば三十九年にしましても、あるいは四十五年の目安にいたしましても、いずれの場合においてもいわゆる想定事故というものをその内容にしているのですね。想定事故というのは、あなた方が考えているそういうようなことを乗り越えてまた事故が発生することを前提にしているわけなんですよ。いまの答弁は、この原子力委員会がいみじくもむずかしい問題、厳しい問題について触れていることを局長は全然無視している答弁になるのと違いますか。
  80. 牧村信之

    牧村説明員 私どもは、この原子力船の運航の目安の方針でございますけれども、これは原子力船が通常の形で運航することを考えてつくられております。したがいまして、現在の「むつ」が佐世保港に回航され、点検、修理を行われるときに冷態停止の状態を保つわけでございますから、当然この目安の中で他に及ぼす影響がほとんどない状態で行われるというふうに考えて、ただいまも御説明申し上げた次第でございます。したがいまして、われわれが今後規制当局といたしまして、原子力船事業団から遮蔽工事あるいは総点検の結果の修理の変更申請を受けた場合に、当然原子力船の安全審査をするわけでございます。その中におきまして、先生の御懸念のような問題も含めて当然安全審査が行われる。ただ、私申し上げておりますのは、そうではございますけれども、原子炉はいかなることがあっても冷態停止の状態で保つということを基本にいまの計画が進められておるということで、その状態を保つようにさせた上で十分安全審査をすることに相なろうかと考えておる次第でございます。
  81. 石野久男

    石野委員 延長していただいた時間がもう来てしまったのでこれ以上お聞きしませんけれども、ただ、局長の答弁は非常に無意味な答弁ですよ。もし局長のそういう答弁が通るとするならば「原子力船運航指針及びその適用に関する判断のめやすについて」とか、あるいはまた「原子炉立地審査指針及びその適用に関する判断のめやすについて」ということで原子力委員会がそれぞれ決めておることは全く意味がなくなってしまう。  いずれの場合も、ここで一言だけ述べてみると「基本的目標」の中のbとして出ておる「更に、重大事故を超えるような技術的見地からは起るとは考えられない事故(以下「仮想事故」という。)(例えば、重大事故を想定する際には効果を期待した安全防護施設のうちのいくつかが動作しないと仮想し、それに相当する放射性物質の放散を仮想するもの)の発生を仮想しても、周辺の公衆に著しい放射線災害を与えないこと。」これがいわゆる仮想事故なんですよ。だから、いま局長が言われるように、十分配慮する配慮すると言っても、それを乗り越えてということがこれに決められておるのですよ。それを無視してそういう答弁をなさっても、私は聞き入れるわけにいかない。  いずれにしましても、私は、もう時間がなくなりましたから改めてこの問題は論議をさせていただきたいと思いますが、事業団が船を回航するに当たって、この指針に基づき、着実にこれに従ってやるということについては幾多の問題を残していると思うのです。特に周辺地の人口構成との関係などから見ます場合に非常に問題が多いと思います。そういう点を無視されたままでこれが回航されるということについては、国民を非常に疑惑に陥れるし、せっかく科学技術庁あるいは原子力安全委員会安全性を期待して決めておりますいろいろなこういう規制が無視されることになるという疑問を私は持ちます。そのことだけをここで申し上げて、きょうは時間が来ましたので私の質問を一応終わらせていただきます。
  82. 岡本富夫

    岡本委員長 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時十三分休憩      ————◇—————     午後一時五分開議
  83. 石野久男

    石野委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。田畑政一郎君。
  84. 田畑政一郎

    ○田畑委員 美浜の原子力発電所第一号炉の問題について御質問いたしたいと思います。  この第一号炉は、燃料棒折損の問題を含めまして、四年間運転休止をいたしておりましたところ、この七月の十八日でございますか、運転を再開してもよろしいということを通産省並びに科学技術庁から許可が出されておるわけでございます。  そこで、まず原則的なことについてお伺いしたいと思うのでありますが、この件につきましては、運転を再開しても大丈夫という確信を持たれた、いわゆる事故が発生いたしました原因等について除去されたというふうに確認をされたと思うのでございますが、間違いございませんか。
  85. 児玉勝臣

    ○児玉説明員 関西電力の美浜発電所一号機の燃料の損傷につきましては、その原因の究明のために、昭和五十一年の十二月から立入調査、それから同社からの事情聴取をいたしまして、さらにその折損燃料棒を原研のホットラボにおきまして試験を行います。また、燃料棒の振動に関する実験、それから海外におきます類似の事象の調査等を行いましてその対策もつきましたし、その対策の結果も実際にとれたことを確認いたしまして、安全と認めたわけでございます。
  86. 田畑政一郎

    ○田畑委員 通産省の方から御答弁がございましたので、さらに児玉審議官にお伺いいたしますが、それでは、私の手元に持っております。月十九日の電気新聞によりますと、「秋口には本格運転」というトップ見出しがついておるわけでございます。この秋口に本格運転という趣旨は、通産省としてはどういうふうに解されておりますか。
  87. 児玉勝臣

    ○児玉説明員 ただいまのところ、美浜第一号の運転の計画といたしましては、七月十八日、延期の解除をいたしました後、燃料の装荷をいたしまして、八月の末、九月の初めぐらいに運転を開始いたしますが、それはSG、蒸気発生器の方の問題についてまだサイクリング運転と申しまして、管内に——管内といいますか、SGの中にたまっております燐酸塩を排出するための運転を数カ月間行いまして、十一月程度までそれを行いまして、十分に燐酸塩が取れたことを確認した上さらにSGの健全性の確認をいたしまして、その上で本格運転、こう考えております。
  88. 田畑政一郎

    ○田畑委員 そういたしますと、一部サイクリングを実施はいたしますが、通産省といたしましては美浜一号炉は本格運転に耐えるという強い確信を持っておられる、こういうふうに考えてよろしゅうございますか。
  89. 児玉勝臣

    ○児玉説明員 ただいまのところ、まず折損の問題についての確認をいたしまして、それからサイクリング運転をいたしました結果、良好であれば十分に運転に耐え得ると私たちは確信しております。
  90. 田畑政一郎

    ○田畑委員 この点、私、明確に聞きたいと思うのでございますが、通産省としては、本格運転に耐えるという強い確信に支えられてのサイクリングであるかどうかということでございますね。まだその点が十分確信は持てないという段階でのサイクリングと、その辺いかがでございましょう。
  91. 児玉勝臣

    ○児玉説明員 SGの問題につきましては、これは先生御承知のとおり、美浜の一号に端を発しましてPWR特有の問題として方々で起こりましたし、海外の問題もございまして、そのときに、水処理の問題として燐酸塩を使う方法からヒドラジンを使う方法に変えた方がよいというようなことになりまして、その変え方に対しまして、温水洗浄それからサイクリング運転ということをもうすでに高浜の発電所でも行いましたし、それから美浜の二号機においても実際に行っておりまして、そのやり方について十分に燐酸塩が取れることは確認されておりますので、美浜の一号におきましてもサイクリング運転において燐酸塩は十分に取れるという確信を持っております。
  92. 田畑政一郎

    ○田畑委員 いまの御答弁によりますと、燃料棒折損とは直接関係のないことで試運転を行うといいますか、そういうふうに理解してよろしいのでございますか。そうですか。
  93. 児玉勝臣

    ○児玉説明員 先生のおっしゃるとおり、折損の問題はバッフルの間隙の調整ということで一応防止できたと確信を持っております。
  94. 田畑政一郎

    ○田畑委員 この件につきまして科学技術庁の担当者の方にお伺いをいたしたいと思います。  と申しますのは、昭和五十三年七月十八日、科学技術庁のいわゆる通達が出ておるわけでございますが、これにも燐酸塩を洗浄させるためのサイクリング問題が載ってはおりますけれども、この再開につきましては、今後いわゆる総合的判断を行うということとかあるいは本格的な運転ではなく予備的な運転であるとか、こういうようなきわめて慎重な言葉遣いが用いられておるわけでございます。したがって、この点、科学技術庁はこの再開についてどのように考えておられるかというところをお伺いしたいと思います。
  95. 牧村信之

    牧村説明員 ただいま通産省の方から本件につきましての措置の御報告があったわけでございますが、一方この問題は燃料破損棒についての措置として私どもは受け取っておる次第でございます。したがいまして、かねてからこの一号炉にかかわりましてSGの問題があるわけでございます。私ども科学技術庁といたしましても、大臣名で十分なチェックをせいという指示文書が出ておることにつきましては先生すでに御承知かと思っております。この措置がいまの時点でなお済んでいない次第でございますので、今回運転を再開することを許可いたしましたけれども、これはあくまでもSGの健全性についての試験をするために必要なものというふうに当面考えておる次第でございます。私どもとしては、この燐酸塩の洗浄等を進めることによって関電側は十分対処できると考えておる、したがいまして、この洗浄をやらして、その上で健全性の問題を判断していただきたいのだという希望が出されてきておりますので、その結果を待って本格的な再開の指示をいたしたいというふうに考えておる次第でございます。したがいまして、これから秋口に行われるであろう運転は、私どもとしては試験的な運転である、それを待って総合的に健全性を評価し、これは当然原子力委員会の安全専門審査会、新委員会が発足すれば安全委員会の安全専門審査会等にも御報告し、御検討いただいた上で行政的には科学技術庁として了承し本格的運転に入っていただくというふうなたてまえで進みたいものと考えておる次第でございます。
  96. 田畑政一郎

    ○田畑委員 言うまでもございませんが、この美浜原子力発電所第一号炉の燃料折損問題につきましては、企業側が長くこれを隠蔽しておりましたこともございます。またわが国ではきわめて重大な特異的な事故でございまして、そういう意味で各官庁が慎重を期せられたということもわかるわけでございますが、同時にこの再開につきましては、これは国民が非常に今後の原子力行政のあり方として注目をしているところではないかと思っておるわけでございます。  ところで、ただいまお聞きいたしましたように、よく似た表現ではございますが、通産省考えておられる積極性、これは言うならば積極的な意見と、それから科学技術庁が述べられましたところの慎重な意見、これはやはり私は非常に食い違ったところがあると思わざるを得ないわけでございます。したがって、今回美浜一号炉のサイクリング開始に当たりましても、これは本格運転を前提としたものではない、もし本格運転があるとするならば、そのときにはもう一遍これはきちんと検査をして手続をとってその区切りをつけたいという考え方と、このまま本格運転に入っていくことを前提としてのサイクリング、これは私は非常に問題がある点じゃないかと思うのです。特に私は福井県でございますから、地元といたしましては、こういう科学技術庁通産省の微妙な考えの違いというもについては深い疑心を持っておるところでございます。この点、この政府部内のわずかなニュアンスの違いと言いますが、事は原子力問題でございます。だからこれは非常な重要な相違ではないかと私は思っておるわけでございますが、この点について一体どういうふうにお考えになるか、もう一遍ひとつできましたならば大臣からはっきりお答えをいただきたいと思います。
  97. 熊谷太三郎

    熊谷国務大臣 ただいま通産省からとわれわれの方からと両様に御答弁申し上げましたが、言葉だけ、表現から言いますと微妙なニュアンスの相違があると言われました田畑委員のお言葉もごもっともでございますが、政府全体としては、一応そういうやり方、サイクリングをやって、よく洗浄をした上で運転に臨めば、大体——大体と言うとちょっと言葉が確信のないような言葉になりますので、本格的な運転と申し上げたつもりでございますが、本格的な運転に入るということに思っております。  ただ、これはわれわれの非常に、何と申しますか、慎重な考え方といいますか、いろいろな問題のあった原子炉でもございますので、どんなささいなことがあってもそれは直ちに取り上げて、そういう不安が、あるいは疑念が起きないようにしなければならない。そうすると、確信は一応ありましても、またどんなところでどういうことがないとも限らないわけでございますから、同じ確信でも慎重な配慮を秘めた確信、こういうふうに考えまして私どもとしてはそういう態度を表明したわけでございますが、これはやはり政府全体の考えというふうにお受け取りいただいていいのじゃないか、一応本格的な運転はいたしますが、きわめて細心な注意で、思わざるトラブルが、あるいは異常がないということを絶対に言い切れるかどうか、考えられる程度ではないと思いますが、そういう万々一の場合も考慮して慎重な態度でいくというふうにお取りを願いたいと思うわけでございます。
  98. 田畑政一郎

    ○田畑委員 大臣、言葉じりをつかまえるわけではございませんが、やはり発言は正確に——私も余り正確な方じゃないのですが、ひとつ正確にお願いしたいと思うのです。  通産省は、本格的な運転ではなく予備的な運転である、そうして最終的に総合的に判断することとしておる、こうなっておるわけでございます。だから今度仮に運転が開始されましても、本格的運転に入る前には、先ほど局長もちょっとニュアンス的に申されましたが、もう一遍仕切りをするというふうに私はお伺いをしたわけでございます。だから、いま大臣のおっしゃるように、本格的運転ではあるけれども、だんだんと慎重を期してうまくやっていきたい、万一のことがあっては困る、こういうようなものではないというふうに私は理解しているのですが、科学技術庁のこの七月十八日の示達、これがいわゆる政府部内の統一した見解であるというふうに理解していいのかどうかということを聞いているわけです。
  99. 児玉勝臣

    ○児玉説明員 私の答弁にちょっと舌足らずの点がございましたので補足させていただきたいと思いますが、サイクリング運転をいたしました後、SGの点検をもう一度いたしまして、その結果を原子力委員会に御報告をいたしまして、その御了承を得た上で本格的運転に入るということで、原子力委員会にもそういうことで御了承を受けております。
  100. 牧村信之

    牧村説明員 ただいま通産省の方から御説明がありましたように、私どももそういう立場で今後検討してまいりたいと思っておるわけでございまして、両省庁の間に考えの違いはないというふうに考えております。
  101. 田畑政一郎

    ○田畑委員 五十二年の十二月、折損燃料棒をいわゆる東海の原子力研究所に輸送するに当たりまして、京都大学の原子炉実験所に対しまして輸送用キャスクを借り入れをいたしました。その際、京大原子炉実験所におきましては、この燃料棒の折損の原因についてひとつ共同研究をやりたい、あるいはお互いに資料を見せ合うといいますか、そういったことが一応原子力研究所との間に話がなされているということを聞いておりますが、御存じでございますか。
  102. 牧村信之

    牧村説明員 正式なそういうただいま先生がおっしゃられましたような要請を受けたとは聞いておりませんが、口頭でそういう要望がなされたというふうに伺っております。  それから、この燃料破損の原因等につきましてのいろいろなデータ等につきましては、私どもの方からも京大の方にはいろいろ御要請を受けまして御説明した経緯もございます。
  103. 田畑政一郎

    ○田畑委員 そういう条件でキャスクを提供したというふうに私は聞いております。  問題は、そういうような話があったことは政府部内も御存じのところですが、京都大学の原子炉実験所が、昨年の八月に政府が出しました「第一号機の燃料体の損傷の原因について」というこの結論について、いま申しました京大の原子炉実験所のメンバーは何らかの参加をしておるのかどうか、これをお聞きしたい。
  104. 牧村信之

    牧村説明員 この原因調査に当たりましたのは原子力研究所でございますので、この原因究明の諸試験には京大の先生は入っておりません。  しかしながら、その結果につきましては、報告書のほかにいろいろな組織の写真、試験を行いましたデータ等につきまして報告してあるということでございます。
  105. 田畑政一郎

    ○田畑委員 私思いまするに、この原子力問題については、公開といいますか、自主、公開、民主の原則があるわけで、一般にその内容を途中においても公開していろいろな学者の意見を求めるということは必要かと思うのです。  ところで、今回の場合は明らかに京大の原子炉実験所がキャスクを提供するに当たって何らかの意味でそういうことが申し合わされているにかかわらず、事前にその意見を聞かないで、原研だけで、あるいは政府でもってこの意見をまとめられたということについては、これは非常に私は納得のいかないものを持つわけでございます。こういう点について一体どういうふうに考えていらっしゃるのかということでございます。
  106. 牧村信之

    牧村説明員 先生御指摘のように、その過程におきまして、京大の御専門の先生方にいろいろお知恵を拝借するというようなことをした方がよかったかとも思いますが、現実には原子力研究所でその原因究明のための諸試験を行いまして、その成果を原子力委員会の安全専門審査会に属しておられます核燃関係の御専門の方々を中心とした先生方にも十分御検討いただいた上で行政庁の原因究明の報告書をつくった次第でございまして、京大の先生という御指摘のあれはいたしておりませんけれども、私どもといたしましては審査会の諸先生の御意見等を賜りつつ報告書をまとめていくというふうな過程を経て、学者の方の意見を取り入れてまいったつもりでございます。
  107. 田畑政一郎

    ○田畑委員 ただいま申しました京都大学の原子炉実験所に対しまして関西電力は資料の提供を拒否してまいったというふうに私は聞いております。もしそういうことがあるといたしますれば、これはまことに重大な問題だというふうに私は思わざるを得ません。だから、この結論についても何となくいろいろな問題が残っているという疑惑があるわけでございまして、もしそういうことがあるとすれば政府はいまからでもこれを是正していくということで企業側にいわゆる指導を行うということはできますか。
  108. 牧村信之

    牧村説明員 この折損事故が起きましてから関西電力が京大の先生方に資料の提供を拒否したという点につきましては私自身その事実を知りませんけれども、この過程におきまして、京大の専門家の方々が現地を視察されましていろいろなディスカッションをしておるということも聞いております。資料の提供を拒んだということは、私事実を知りませんので申し上げられない次第でございますが、そういう経緯がございました。また、原研で試験中の時期におきまして京大の専門家が原研に来ていろいろディスカスした事実もございます。したがいまして、今回の原因究明に当たりましては、私どもとしては京大の専門家の御意見もある程度はお聞きし、またその検討に当たって御意見を組み入れるというようなことが逐次行われたものと考えておりますが、ただいま先生御指摘のようなことが今後ないように、私どもとしてはぜひ指導してまいりたいと考える次第でございます。
  109. 田畑政一郎

    ○田畑委員 昨年八月に出されました科技庁、通産省によるところの「美浜発電所第一号機の燃料体の損傷の原因について」という結論の文書でございますが、この中にこういうことが出ておるわけでございます。いわゆる破損いたしました燃料部分に白色異相部が残っておるという意見が出ておりました。そうして、それは高温によるところのいわゆる溶解によって生じたものではないというふうに結論を出されておるわけでございます。これは結論でございますね。そうならば、一体この白色異相部は何の原因によって生じたのか、これはこれには書いてないわけでございます。この点、いかがでございますか。
  110. 牧村信之

    牧村説明員 ただいま詳しい報告書が手元にございませんのではっきり申し上げられませんが、この白色の部分は燃料使用中に燃料が高温になって生じた結晶体あるいは化学物質でないという結論を出しておるわけでございます。それで、その生成原因につきましても、原研でいろいろ調査研究を進めたと聞いております。ただいまその関係の資料の手持ちがございませんので、後ほど調べまして御報告させていただきたいと考えます。
  111. 田畑政一郎

    ○田畑委員 これは局長に申し上げておきますが、こういう白色異相部というものが生じておる、これは高温が原因じゃないということでございます。しかし、それでは一体なぜ白色異相部などというものが生じてきたのか、それはどういう原因でそうなったのかということは書いてないわけです。これは私は結論としては非常に重要な問題だと思うのですね。だからこの辺のところが学問的にも明確にならないと、一体この燃料折損問題というものが単にいま言いましたようにジェット水流によって起こったものかどうかということについてはこれは結論は出ないわけです。だからポイントみたいなところなんですね。そこが抜けておる。これではいよいよ再開ということになって多くの人が疑問を持つのは当然じゃないかと私は思う。科学者の中にも疑問を持っている者があるわけです。だからもしきょうおわかりにならなければ、直ちにこの辺のことについては、私のみならず日本じゅうに対して公開の措置をとっていただくようにお願いをいたしたいと思いますが、よろしゅうございますか。
  112. 牧村信之

    牧村説明員 ただいま先生御指摘の白色異相部につきまして、この組成は大部分がウランの柱状の結晶が認められるというようなこと、それからもう一つの別の観察として、その異相部につきましてUO2が溶融した組成ではないという確認は行われておるわけでございます。したがいまして温度が上がった結果溶融したものでないことは明らかであるという専門家の御判断でございます。ただその異相部の組織、組成と申しますか、それが学問的に必ずしも明確でないことは先生御指摘のとおりでございます。これはこのような基礎的な今後の研究の問題かと考えておるわけでございます。したがいまして、行政的にこの辺の結果を判断して今後の措置を決めたというふうに御理解賜りたいと考える次第でございます。
  113. 田畑政一郎

    ○田畑委員 それではもう一つお伺いいたしますが、この折損した燃料棒のいわゆる断片を集められたという報告は出ております。しかしそのいわゆる燃料棒の中には、異常にふくらんで、大体正常の倍くらいの大きさに燃料棒がふくらみ上がっていたという情報があるわけでございますが、これについていかがでございますか。
  114. 児玉勝臣

    ○児玉説明員 ただいま先生のおっしゃいましたように、採取いたしました燃料棒によりましては水によって膨張してふくらんだというのがございますが、倍までふくらんだかどうか、ちょっと担当者もよくわかりませんけれども、その辺は、ふくらんだことは間違いなかろうと思います。
  115. 田畑政一郎

    ○田畑委員 燃料棒が水によってふくらむのでございますか。これは私は素人考えですが、水をいつも浴びているのに、そのときだけ水によってふくらむというのはどういうわけですか。どうです。
  116. 児玉勝臣

    ○児玉説明員 燃料棒が完全なときには水と中のペレットとは接触いたしませんけれども、折れまして水と接触いたしまして、それで熱によってジルカロイの被覆がふくらみますし、それからペレット自身もふくらむというわけでございます。
  117. 田畑政一郎

    ○田畑委員 こういう問題はあなたに聞いても水かけ論になるわけでございますが、ただ問題は、そういう事実があるのにそれが報告されていないということになりますと、それはやっぱり政治問題ですね。そうでしょう。だから、私が申し上げておるのは、どういうわけでその折損燃料棒だけが異常にふくらみを持ったのか、なぜふくらみを持つのか、それがあなたのおっしゃるとおりなら、そのことを明確に知らせる方法というのをとるべきではないかというふうに私は思うわけでございます。後ほどまた申し上げます。  それから次に御質問いたします。C三四の燃料棒の折損は、バッフル板のすき間からいわゆるジェット的な水流が入った、こういうことでございますね。それによって振動が起きて折損した、これが結論でございます。ところが、私の聞いたところによりますと、この問題の個所、折損個所のすき間でございますが、そのすき間以上のすき間がほかにもあるということを聞いておるのですが、そこはなぜ折れなかったのか、ここだけがなぜ折れたのかということについて、いかがでございますか。
  118. 児玉勝臣

    ○児玉説明員 いま先生のおっしゃいますように、バッフル板の調整する個所は炉の中に八か所ございますが、折損した場所のバッフル板の間隙よりも広い場所はございました。バッフルの調整の場所は角が、何といいますか、コの字型になっておりまして、食い合わさっておりますので、その食い合わしたところだけの間隙ということじゃなくて、その中の接触がどうなっているかということが非常に問題になるわけでございます。それで、その中の接触の度合いというのが結局わかりませんので、今度対策といたしましては、ピーニングというふうに、角をつぶしてしまう、エアハンマーでつぶすような作業をいたしまして、中でどういうような接触をしていようと外側には水が漏れてこないような対策ということをとりましたので、一概に、すき間というのは一つの目安になっておりますけれども、横流と言いますか、ジェットとして流れてくる水の強さというのはその間隙だけではちょっと推定できないかと思います。したがいまして、そういうことが起こらないようにピーニングをしてしまった。それで大体百分の十から百分の五の間隙以内にするというふうにいたしたわけでございます。
  119. 田畑政一郎

    ○田畑委員 いま私は三点にわたって申し上げました。恐らくそのほかにまだ幾らもあるのだと思いますが、ともかくこの報告書の中にある白色異相部、こういう異常状態が生じているということは書いてあるけれども、原因は何かということは書いてない。あるいはまた、燃料体に異常が生じておるけれども、そのことについて触れられておらない。あるいはまた、いまおっしゃったように、八カ所の水の入るすき間があるにもかかわらず一カ所だけがなぜ折損をしたのかということについて明確な理由は書いてない。だから、言うならば、ここにいわゆる結論は出ているけれども、少なくともこれに副資料でもついていて、きちんとそういう疑問に答えられるようになっておるのならば、なるほど政府のおっしゃるように、これはジェット水流によるところの振動による破損ということに結論づけられるでありましょうけれども、そうした疑問に答えていない以上は、果たしてそれなのかどうかということについてはこれは大きな疑問が残るところです。私は、そういう意味ではこの報告書は非常に問題点を残していると思う。こんなものだけで美浜の一号炉を動かすということは、多くの人の疑問に答えないまま動かすということになると私は思うのです。だから、そういった点については、政府はやはりきちんとやってもらわなければ困ると思う。非常に真剣に心配している者がたくさんあるのです。だから、本当に政府原子力発電所をやるならば、もっと真剣勝負のような気持ちで、大衆の疑問や学者の疑問に答えていくだけの親切な資料を提供しなければ私はだめだと思うわけです。したがって、私はこれらの点について問題点を残しておると思いますので、早急に政府部内で措置をとっていただくように要求をいたしておきます。  それから、もう時間がございませんが、もう一つだけお伺いをいたしておきます。  蒸気発生器の細管について、美浜原子力発電所は約四分の一の細管が欠損をいたしまして、これに栓をして稼働することになっておるわけでございます。今度本格運転が開始されますと、いいということになればフル運転をやるということにもなるわけでございますが、四十九年の夏ごろ、これは日にちは覚えておりませんが、通産省科学技術庁は、こうした欠損した、穴のあきました細管については取りかえをするようにという指示を出したはずであります。これはいかがですか。
  120. 牧村信之

    牧村説明員 私どもの方からは、先生おっしゃられるような指示は出した覚えはございません。ただ、SGの抜本的な対策を立てるようにということは、大臣名で出されております。
  121. 田畑政一郎

    ○田畑委員 その抜本的対策というのは何ですか。
  122. 牧村信之

    牧村説明員 ただいま手元に正確な文書を持ち合わせておりませんが、SGの取りかえを含めて抜本的な対策について検討するようにという検討の指示を出しておるわけでございます。
  123. 田畑政一郎

    ○田畑委員 その資料を求めます。お願いいたします。  そこで、細管取りかえを含むところの抜本的対策を講ぜよという指示が所管の長から出ているにもかかわらず、四分の一の細管に栓をしてこれを動かすということは、これは前の指示には理屈が合わないと私は思うのでございますが、その点はどういうふうにしてこの意見が変わったのですか。
  124. 牧村信之

    牧村説明員 私どもの方の文書に対しまして、関西電力の方から、先ほども御説明いたしましたけれども、なお洗浄によって健全性は保ち得るかもしれないので、洗浄試験をやらせていただきたい、これはただいまも問題になっておりますサイクリック運転のことでございますが、こういう要請が来ております。したがいまして、私どもといたしましては、その結果も見た上で、ただいま先生御指摘の指示文書に対する検討結果を出して、その上でいかなる措置でこの炉を再開させるかということを検討するというポジションに私どもはただいまあるわけでございます。
  125. 田畑政一郎

    ○田畑委員 そうしますと、結局科学技術庁としてはこの細管の取りかえということをも、これはでき得るといいますか、志向していると申しますか、そういう確信に現在もなお立っていらっしゃるというふうに考えてよろしいのですか。
  126. 牧村信之

    牧村説明員 現在その確信というものを先立ってやっておるわけではございません。しかしながら、先ほど通産省の方からも御説明が若干ありました関連する同型の原子炉におきまして、同様の燐酸塩を使っておった原子炉のSGの再開問題につきまして、燐酸塩を使わない方式というものをとっておるわけでございますが、その使っておった原子炉の洗浄を行った結果、非常に成績もいいという事例があるわけでございます。したがいまして、そういう事例も含めて総合的に検討していきたい、かように考えておる次第でございます。
  127. 田畑政一郎

    ○田畑委員 アメリカのサリーという原子力発電所ではやはり細管漏れがございました。細管の取りかえを実施いたしております。恐らく科学技術庁はそういった点も十分御存じの上でこういった問題を前に指示されたものと私は思うのです。それに対しまして企業側は、いわゆるヒドラジンに改めればいまのままでいけるということで四分の一に栓をしているということになっておるのでございますが、こういう企業側の意見にいわゆる原子力発電所問題については厳格な取り扱いをされる科学技術庁が左右をされるということはおかしいと私は思うのです。だからこの件については、いまあなたがおっしゃったようにひとつ実験の結果も少し見たい、こういうことでございますが、やはり科学技術庁が当初出された示達というものについては第一義的に重んじていくという基本的姿勢がなければならぬと私は思う。これは恐らく国民も歓迎していると思うのですね。だからその辺はひとつそういうふうにやっていただくようにお願いをしたい。試験運転の結果は見るけれども、前に出した示達は生きておる、こういう考え方は貫いていただきたい、こう思います。
  128. 牧村信之

    牧村説明員 ただいまも御説明申し上げましたように、そういう抜本的なこと等も含めて検討するようにという非常に強い指示を出しておるわけでございますので、その線を踏まえまして今後の結果等を十分判断してまいりたいというふうに考えております。
  129. 田畑政一郎

    ○田畑委員 こういう問題については科学技術庁が一たん出された指令を緩められるというような形をとられるということは非常におもしろくないと私は思うのです。これからもあることでございますから、念には念を入れて強い方の方針で貫くということを私は強く要望をいたしておきたいと思います。  最後に、ひとつ大臣にお伺いしたいと思うのでございますが、実は私の出身県であります福井県は御案内のように原子力発電所がたくさんある県でございます。そこで原子力問題は常に県内の大問題になっておりまして、たとえば県の中には原子力安全対策課というのがございます。それからまた、衛生研究所には放射能課というのがございます。それから水産試験場には温排水関係の係がございますし、いわゆる専門的な職員も入れまして恐らく二、三十人の職員が小さいわが福井県のようなところで働いておるわけでございます。これは恐らく福島県、茨城県等原子力発電所が集中しているところでは同様かと思います。  そこで、問題は政府でございますが、政府は、原子力問題につきましては、主としてというか政府がこれを運用しているわけでございまするけれども、政府が福井県に置いておりますのは調整官事務所でございます。  ところで、調整官事務所というのは、実際の調整官は四人でございます。そのうち二人は常に本省との間を行き来しておりまして、実際に常駐しているのは二人、そして二、三人の職員がおるというような状況になっておるのであります。行政組織上もこれは何にもいわゆる形式が整っておらないというような状況に相なっておるわけでございまするが、この調整官事務所を本格的事務所に格上げをいたしまして、そうして本当に調整のできるような、技術のわかるような人を少なくとも原子力発電所一基ごとに一人ずつぐらいの割合で配置をした、りっぱな責任を持った国の行政組織といいますか行政体制をとっていただくことが当然ではないかというふうにみんな言っておるわけでございまするが、この点について、ひとつ大臣の今後のお考え方についてお伺いをいたしたいと思います。
  130. 熊谷太三郎

    熊谷国務大臣 私も田畑委員と同様に福井県出身でございますから、具体的内容については別としまして、いろいろそういう政府のすべき点を地方の自治体でおやりになっている点もあるし、考え方によっては調整官事務所のさらに強化ということも必要でないか、あるいは中央と地方の行政的な分担、そういうことも再検討しなければならぬじゃないかということで、福井県は一番大きな例でありますが、大小ともそういう問題があるわけでございます。  そこで、長い間の行政でございますので、なかなか一挙には困難という点もありますが、そういう点を含めまして、御承知の立地問題懇談会で十分検討をいたしておりますので、中央と地方の原子力行政に対する権限なりあるいは義務なりの再検討と、それに伴ういろいろな措置ということをひとつ何とかして早急に結論を出しまして、特に福井県のような場所につきましては特にその点を重視しまして、早急にそういう問題に対する結論を出したい、調整官事務所の強化も含めまして結論を出したい、このように考えておるわけでございます。
  131. 田畑政一郎

    ○田畑委員 終わります。
  132. 石野久男

    石野委員長代理 委員長からちょっとお伺いしますが、先ほど田畑委員から出されておりました欠損燃料のいわゆる欠損原因が不分明だということについて資料を出してほしいということについては、これは後で出してもらえますね。
  133. 児玉勝臣

    ○児玉説明員 はい、お出しします。
  134. 石野久男

    石野委員長代理 じゃ、そのようにお願いします。  次に、貝沼次郎君。
  135. 貝沼次郎

    貝沼委員 大体二つぐらいの問題についてお尋ねをいたします。  まず第一番目は、本日の委員会で真っ先に同僚委員から質問がございましたが、原子力委員会人事の問題でございます。これは、大臣原子力委員長でございますから、大臣にお尋ねいたしますが、要するにあの質問のところで、今月中に何とかしなければならない、理論的には十月の四日までなんだが今月中に何とかという答えがあったと思います。     〔石野委員長代理退席、委員長着席〕  そこでお尋ねいたしますが、これは原子力委員会並びに安全委員会、両方の人事の問題でありますけれども、この人事考え方について一体どうなのか。前の原子力委員、これは前の体制のもとにおける原子力委員であったわけであります。ところが、今回法律の改正が行われましてから、新しく原子力委員安全委員会、安全委員というものができたわけでありまして、おのずから性格は変わってきたと私は思うわけであります。したがって、新たな体制の上に立った人事考え方、こういうものが新しくあってしかるべきではないかというふうに考えたときに、今回の原子力委員人選という問題は、いままでの原子力委員を、たとえば解任をするあるいは各人が全部一応辞表を提出するという、一応全部なしにして、そしてその上に立って人選をやるという考え方に立つのか、それともいままでの原子力委員を土台にしてやめたい者はやめさせる、また残りたい者はそのまま残す、一部差しかえを行うというような姿勢をとろうとするのか、この辺の考え方はどうなっておるのか。この点をお尋ねしたいと思います。
  136. 山野正登

    ○山野説明員 法律上は、原子力基本法の一部を改正します法律の附則におきまして、新しい原子力安全委員会が発足します時点で、内閣総理大臣が指定します二人については、原子力安全委員会の設置の日の前日に任期が満了するということになっておるわけでございます。したがいまして、現在は原子力委員会は定員が七名でございますが、これが二名減少しまして、委員長を含めて五名ということになるわけでございます。委員会自体は、おっしゃいますようにそのまま存続するということでございますが、しかし、せっかく安全委員会というものが新しく発足する機会でもございますので、御指摘のような点も十分に勘案すべきものと考えられますので、その辺も含めて、この際原子力委員会委員人事についても検討しておる、そういうふうな状況でございます。
  137. 貝沼次郎

    貝沼委員 検討しておるのは非常に結構だと思いますが、そういう方向性については、結論はまだ出ておらないわけでございますか。
  138. 山野正登

    ○山野説明員 その具体的な内容につきましては、まだ結論を得ていないという状況でございます。
  139. 貝沼次郎

    貝沼委員 大臣にお尋ねいたしますが、そういう基本的なことがまだ結論が出ておらないのに、先ほどの答弁だと、今月中というふうにお答えになっておりますが、これは可能でございますか。
  140. 熊谷太三郎

    熊谷国務大臣 人事の問題でございますので、余り具体的なことをいまここで申し上げることは多少御遠慮さしていただきたいと存じますが、おっしゃいましたように、原子力安全委員会が発足しなければならぬ、そういう機会でございますので、大体いまお話、御意見にありましたような方向で進みたい、こういう考えだけを申し上げておきます。
  141. 貝沼次郎

    貝沼委員 私がお尋ねしておりますのは、初め尋ねたのは、要するに原子力委員会安全委員会、両方できたわけであります。そこで、原子力委員会の方は従来の原子力委員がおります。そこでこの原子力委員は今回の法改正によって——いままでの原子力委員会開発と規制と両方いわば見てきたわけであります。ところが、今回はそうではない。規制の方はもっぱら安全委員会の方が今度は見ていくことになるというようなところから、性格がずいぶん変わってきておる。それを原子力委員会の方は従来どおりの構成で果たしてよろしいのかということなんです。私はむしろ、それはこの際人事は新しくやり直すべきではないか。おのおのが辞表を提出するなりあるいは解任をするなり何らかの方法において一たんやめて、そしてまたさらに有能な人物として選ばれればこれまたいたし方ないと思いますが、いずれにしてもここに区切りをはっきりつけるべきではないか、こういう考えが私の原子力委員に対する考えであります。  それから安全委員会の方は、これは初めてでありますから、当然その原案をつくって、そして国会の承認を得ることになるわけでありますけれども、その基本的な考え方政府としてはどうなんだろうか。そしてその具体的な名前は今月中に何とか決まり、そして十月の四日までには間に合うように大体決まるようでありますけれども、その基本的な考え方をまず聞かしていただきたい。それがもし決まっていなければ、果たして今月中なりあるいは十月四日ということは本当にできる、間違いないということが、こちらとしては確信持てません。その辺を御説明いただきたいということを聞いておるわけでございます。
  142. 熊谷太三郎

    熊谷国務大臣 さっき大体お答えしたとおりかと思いますが、大体先生がお述べになりました方向考えておるということだけを申し上げさせていただきます。
  143. 山野正登

    ○山野説明員 大臣の御答弁を補足申し上げますが、先生の御指摘の趣旨というのは私どもも十分に理解できるわけでございますので、先ほど私並びに大臣も答弁いたしましたが、せっかく新しい安全委員会が発足する時点でもございますので、御指摘のような要素も十分に勘案して検討しておるさなかであるという御答弁を申し上げておるわけでございまして、その辺でおくみ取り願いたいと存ずる次第でございます。事は人事で非常に微妙な問題でございますので、この際現在の委員は全部やめていただくとかあるいは全部残るとか、そういったふうな表現というのはいささかいまの時点では妥当を欠くことかと存じますので、その辺の御答弁でおくみ取りいただきたい、こういうふうに存ずる次第でございます。
  144. 貝沼次郎

    貝沼委員 微妙な点はよくわかりますが、いずれにしてもこの原子力基本法の改正のときにやはりポイントとなるのは、どんな機構をつくるよりも人事の問題である、その人の問題であるということが何回も何回も強調されたわけでございまして、いまちょうどその人事の問題に差しかかっておりますので、特にこういうふうに希望を述べさせていただいたということでございます。  それから次の問題は、現在作業中の長期計画専門部会での原子力開発利用長期計画の件なんですけれども、この長期計画の改定は四十二年と四十七年にたしか行われたと記憶いたしております。五十二年から五十三年の間ぐらいにまた改定をしなければならないという段階にあると言われてきておりますが、この改定版はうわさによりますと近々に出るようなことを聞いておるわけでございますが、正式にまだ当局から聞いたことがございません。そこで、この改定版が果たして発表されるのか、されるとすれば、いつごろを考えておられるのか、また、その内容というのはどういうような内容なのか、この点について答弁を求めます。
  145. 山野正登

    ○山野説明員 原子力平和利用の長期計画につきましては、御指摘のように、過去四十二年、四十七年と五年ごとに見直しをしておるわけでございます。ただいま、昨年から見直し作業に入りまして、原子力委員会の中に設けました長期計画専門部会というところでこれまでに九回の会合を重ねまして、ほぼ最終案に近いものをまとめつつある段階でございまして、現在のところ、大体来月の上旬ぐらいにほぼ最後の専門部会を開催いたしまして、専門部会としての結論をまとめました上で、これを原子力委員会に報告する、原子力委員会はしかるべき時点でこの専門部会の答申を決定するといったふうなのが今後の手順になろうかと存じます。  そこで、原子力委員会がこの専門部会の答申を得ました後、どの時点で決定するかということでございますが、たまたま新しい安全委員会原子力委員会というものが発足する時点でございますので、ただいまの原子力委員会というものが直ちにこれを決定するか、あるいは部会から答申をもらいました後で新しい原子力委員会にバトンタッチをしまして、新しい原子力委員会がこれを決定するか、その辺の問題につきましては、まだまだ今後の検討の課題になっておりまして、いま現在申し上げる段階ではないと存じます。  それから、この長計の、改定いたしました最終案に近づいておりますものの内容でございますが、今回の見直しの重点としましては、昨今の非常に激動します国際情勢にどのように対応していくかということ、それから、原子力開発利用というものが非常に進展いたしまして、研究開発計画も大幅に伸びてまいっておるわけでございますが、このような開発を今後さらに円滑に伸ばしてまいりますために必要な資金等の確保をいかにしたらよろしいかといったふうな問題が現在見直しをいたしております中心的な課題でございまして、その辺が今般できます長計の目玉と申しますか、大きな特徴になろうかと考えております。
  146. 貝沼次郎

    貝沼委員 そこで、これにも幾らか関係してくるわけでありますが、岡山県の人形峠のウランの濃縮の問題であります。現在、人形峠にパイロットプラントの建設が進められております。これは地元の協力とか理解があったからできたと私は思いますが、しかし、今後の問題としては、たとえば次に実証プラント、それから実用プラント、規模は大体十倍ぐらいずつ大きくなるようでありますが、これがわが国では果たしてどのように運ばれていくかということが地元で非常に関心が持たれておるわけであります。はっきり言って、このパイロットプラント建設後、同じように人形峠、あるいは陳情が津山からも出ておるようでありますが、そういう誘致に働き出しておるようなその近くに実証プラントというものは建設する考えがあるのかないのか、いやそれはもう全然別個なところへ行ってしまうという考えなのか、それとも、場合によっては、この人形峠付近を考えておるということなのか、この辺はどうなんでしょうか。
  147. 山野正登

    ○山野説明員 ウラン濃縮のパイロットプラントをただいま人形峠に建設いたしておるわけでございますが、いまのところ五十四年度には一部の運転が開始され得ると考えておるわけでございます。先の計画でございますが、このパイロットプラントに引き続きまして、さらに経済性についての実現性といったふうなものを確認しますための実証プラントというものを経まして、昭和六十年代の半ばには実用工場に持っていきたいというふうに考えておるわけでございまして、その点は先生御指摘のとおりでございます。  この実証プラントにつきまして、ただいま一、二熱心な誘致をいただいておるということは、私ども大変ありがたく存じておるものでございますけれども、現在のところこの実証プラントの経営主体、建設主体、運営主体と申すべきかもしれませんが、これがまだ決定していない段階でございますし、また実証プラントと申しますのは、パイロットプラントから一けた上というのも御指摘のとおりでございますが、これも究極的にはどの程度の規模のものになるかということもまだ決めかねておる状況にございますので、いま直ちに岡山県下に置く予定であるとかなんとかといったふうなコメントはできかねるわけでございますが、岡山県を含めまして誘致をいただいております各地の御事情というものも十分に配慮しながら、将来慎重に検討して決めていきたいというふうに考えております。
  148. 貝沼次郎

    貝沼委員 いま実証プラントの経営主体が決まっていない、はっきりしないということでありますが、その言葉の裏は、たとえば民間でやる可能性もあるあるいは半官半民でやる可能性もある、こういう意味として受け取ってよろしいですか。
  149. 山野正登

    ○山野説明員 これは、原子炉におきましても全く似たような状況にあるわけでございまして、実用段階に近づくにつれまして、この建設主体、運営主体をどうしたらよろしいかという問題があるわけでございます。将来、建設の主体あるいは運営の主体というものを民間にやっていただくという場合ももちろんあり得ますし、また、官民共同してやるといったふうな形というのもあり得ようかと思いますが、大きな流れとしましては、実験段階から実用段階に近づくにつれまして、民間の方に次第にウエートが移っていく、これはさらに建設、経営主体のみならず資金的にもそのような状況にあるということかと存じます。したがいまして、その辺のことを十分に検討しました結果、責任主体というものを決めてまいりたいというふうに考えております。
  150. 貝沼次郎

    貝沼委員 その意味はわかります。それで、それならばその経営主体というものが、たとえばどういう形のものとして決まるかというその結論はいつごろを目指しておられるわけですか。
  151. 山野正登

    ○山野説明員 これは、早ければ早いにこしたことはないわけでございますが、先ほど申し上げました今般見直します長期計画の中では、まだその経営主体に触れるまでには至らないかと存じますが、今後私どもが考えておりますのは、長期計画自体を毎年見直そうと考えておるわけでございまして、ことしの夏か秋に新長期計画を決めました後にも引き続きこの問題は検討しまして、できるだけ早い機会に長期計画に盛り込みたいというふうに考えております。
  152. 貝沼次郎

    貝沼委員 そうすると、この開発利用長期計画の中に早目に盛り込みたい。この長期計画の中に盛り込まれて初めて経営主体は決まった、こういうことになるわけですか。
  153. 山野正登

    ○山野説明員 経営主体を決めるにつきましては、必ずしも長計の中に書き込む必要はないわけでございますが、原子力開発利用の基本的な指針はすべて長計に盛り込むという趣旨で私はいま申し上げたわけでございます。文字として長計の中に書き込まなければ決定したことにならないという性格のものではございませんが、今後の私どもの作業の努力目標として、そういうふうな機会もございますので、今回長計が済みますけれども引き続き努力を続けてまいりたいという趣旨で申し上げたわけでございます。
  154. 貝沼次郎

    貝沼委員 くどいようですがもう一点。この実証プラントの建設ということを考えた場合、場所選定のための必要な条件はどういうことなのかということですね。運搬その他いろいろあると思いますけれども、いまの人形峠付近、ああいう岡山県の山の上でありますが、この辺は適切な場所なのか場所でないのか、将来考える場合に適切な場所の一つとして考えられるのか、初めからこれはちょっと無理だなという考え方に立って考えられるのか、その辺の感触を知りたいと思うのです。
  155. 山野正登

    ○山野説明員 濃縮工場も一般の工場と立地条件という点においてそれほど異なる特質を持っておるものとは考えないのでございまして、必要な電力とか水とか労働力、さらにまた御指摘のような輸送の便といったことを総合的に勘案して決めるといったことになろうかと存じます。
  156. 貝沼次郎

    貝沼委員 実用プラントについては、これはもう民間と考えてほとんど差し支えない、こう私は思うわけですが、その点はいかがなんでしょうか。
  157. 山野正登

    ○山野説明員 私も個人的にはそのように考えますけれども、原子力委員会並びに科学技術庁としまして、まだ正式に将来の実用プラントは民間主体でやるということを決定しておるわけではございませんので、政府として正式にそうであるという答弁はできませんが、私も同じような意見を持っております。
  158. 貝沼次郎

    貝沼委員 濃縮のプラントの方は大体それくらいにいたしまして、あと五、六分ありますから、最近とみに話題となっておりますATRとCANDUの問題でありますが、政府はいまこれをどういうふうに位置づけようとされておられるのか、この点をずばり聞きたいと思うのです。ATRというのは日本原子力平和利用の上においてどういう役割りに考えておるのか。それからCANDUそのものは今後導入しようと考えるのか、あるいはしたってしようがないと考えておるのか、その辺のところは政府としてはどう考えておるのか、これを聞きたいと思います。
  159. 山野正登

    ○山野説明員 ATRにつきましては、先生御案内のとおり従来の軽水炉の技術を最大限に活用しながら開発できる新型炉という点に大きな特徴があろうかと存じますし、また燃料の利用形態を多様化するとか燃料の有効利用を図る、つまり燃料経済上の特徴というのが非常に大きいわけでございます。特にプルトニウム燃料の実証という面からも非常に意義があると考えておるわけであります。そういう観点から、ただいま開発を進めておるわけでございますが、これが将来の炉型戦略の中でどういう位置づけになるかという点になりますと、大変微妙な点がございます。現在原子力委員会考えられております線、これは過去に原子力委員会の中に新型動力炉開発専門部会というものを設けまして、将来の発電炉型のあり方というものにつきましていろいろ御検討願ったわけでございます。その結論を端的に申し上げれば、今世紀いっぱいは現在実用化されております軽水炉というものを主流に考えますけれども、これに引き続きまして、ウランの有効利用を図りますために高速増殖炉につなげるというのが現在考えられております基本路線でございます。その中におきまして新型転換炉、ATRと申しますものはこの基本的な炉型の戦略を補完するものであるというのが現在の位置づけでございまして、具体的にはどういう意味かと申し上げますと、高速増殖炉の実用化の時期というのは大体一九九〇年代の半ば程度、そのころには実証炉の運転をしたいというふうに考えておるわけでございますが、これもまだまだ先の長い研究開発でございますので、計画の遅延等も多分にあり得るわけでございます。  それからまた、新型転換炉につきましても、これはただいま運転の試験に入っておりますけれども、この運転の成果というものを十分に検討いたしませんと実用化できるかどうかという判断もできないわけでございます。私は非常に両方とも暗い面を申し上げておるわけでございますが、そういったふうな要素をいろいろ勘案しまして、五十年代の半ばぐらいにはこのATRを実用化するかしないかという最終的な決心をしようとしておるわけでございまして、その時点でATRの実用化をしようとなれば、わが国の発電炉の炉型戦略と申しますのは軽水炉からATRに行き、さらにFBRに進むといったようなことになろうかと存じます。  その間におきましてCANDU炉の位置づけでございますが、CANDU炉もまた燃料が非常に有効に活用できるとかあるいは濃縮の必要がない、バックエンドにおきまして当面再処理の必要もないといったようないろいろな利点もある。かつ実用化された炉でございますけれども、これをわが国に導入するに当たりましてはいろいろわが国の安全基準に合致するかどうかといったような問題あるいは当然耐震設計等も含めてでございますが、そういう問題もございますし、先ほど申し上げました炉型戦略のもとで考えております燃料サイクルにも非常に大きな影響を及ぼすものでございます。そういう意味で全体の炉型の中にCANDUを組み込みました場合の費用対効果と申しますか、そういうようなものも十分検討いたしませんと、軽々にCANDU炉を導入するといったようなことは言えないわけでございまして、その辺の問題につきまして現在原子力委員会の中に新型炉につきましての今後の戦略を決めますための懇談会を設けまして、大体本年の暮れを目標にしまして検討作業を進めておる、そういうふうな状況でございます。
  160. 貝沼次郎

    貝沼委員 ATRの実証炉の建設という話が出ておりまして、これについては井上原子力委員長代理が、今年八月までには結論を出す、こういうような新聞記事が三月に出ておったのでありますが、そういう結論というものはいま出ておるのかどうか、これが一点。時間がありませんので、まとめてもう一点だけ聞いておきます。  それからもう一つは、CANDUの問題でありまして、報道によりますと、カナダ政府筋が明らかにしたところによると、カナダのJ・ホーナー通産大臣を団長とする代表団が日本に来て、現在問題になっておるCANDUの電発やあるいは東電などへの輸出についても具体的に詰めるらしいという報道が出ておるわけでありますが、そうなってくると、民間の方がどんどん話が進んでいく場合、国の基本的な態度というものがいつまでもはっきりしないと非常に不都合なことが起こってくるのではないか、こういうふうに私は考えるわけであります。こういう点から考えても、CANDUに対するわが国姿勢というものは早目に結論を出さなければならないんじゃないかと思いますが、この二点について答弁を承りたいと思います。
  161. 山野正登

    ○山野説明員 ATRの扱いにつきましては、現在実証炉建設というものにつきましてまだ正式に決めておるわけではないわけでございまして、実証炉の概念設計を動燃事業団において進めておるという状況でございます。この実証炉の概念設計を進めておるということは、先ほど申し上げましたように、五十年代半ばにATRを実用化しようという結論が出ました際には、直ちに実証炉の建設に移行し得るようにという配慮からそのような準備を進めておるわけでございまして、現在直ちに実証炉の建設を決心したというものではございません。  それからCANDU炉につきましては、カナダとしましては機会あるごとにわが国に対していろいろ売り込みも図っておるわけでございますし、また一方、民間におきまして、将来のいろいろな場合を予想しまして各種の調査、検討が進められておるというのも御指摘のとおりでございます。そういう意味で、CANDU炉を入れるか入れないかという政府方針あるいは委員会方針というのを早目に出すべきではないかという点は全く同感でございまして、いろいろ複雑な事情等はございますが、できる限り早く結論を出すように努力してまいりたいというふうに考えております。
  162. 貝沼次郎

    貝沼委員 最後に一点だけ。このCANDUの導入については井上原子力委員長代理は、三月二十三日の新聞でありますが、その新聞で、今年の予算編成、八月前までには、原子力開発利用長期計画の作成と同時に、CANDU炉導入の態度を決定したい、こういう発言をしておるようであります。これは私聞いたわけではありませんが、そういうことでございました。そういう期限を切ってまではっきり言われると、やはりそのころ出るのかなという感じもするわけでありますが、この点はどうなんでしょうか。これだけを伺って終わりといたします。
  163. 山野正登

    ○山野説明員 この夏までに結論を出すというのは正直申しましていささか無理でございます。先ほども申し上げました原子力委員会の中の新型動力炉開発懇談会という場で検討をいま急いでおりまして、何とかこの年末までにはしかるべき結論を得たいというふうに考えております。
  164. 貝沼次郎

    貝沼委員 終わります。
  165. 岡本富夫

    岡本委員長 次に、瀬崎博義君。
  166. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 まず「むつ」の問題についてでありますが、けさほども石野委員の質問に対する政府の答弁の中で、遮蔽改修部分については一定予算のめどは立つ、数十億円という答えをされた。しかし、総点検の結果起こってくるであろう修理費については総点検をしてみなければめどが立たない、こういうお話であったわけです。  そこでこれは原子力開発事業団の方に伺いたいのですが、遮蔽改修部分は大体設計もできているし工事方法も確立しているし、予算も大体めどが立つ。一番重要な部分は原子炉の圧力容器の内部になるわけなんですが、これはいわゆる核封印つき修理でありますから、その中は点検しようにもできないのじゃないかと思うのです。圧力容器の中を点検するのかしないのか、これが一つ。もし圧力容器内の点検をしないとすれば、そこから修理が新たに起こってくるとは考えられない。としますと、さて原子力船「むつ」で遮蔽部分でもない、圧力容器部分でもない、一体どの部分に数億円とか数十億円を要するような大きな、めども立たないような修理が潜在しているのだろうか、疑問に思えるのです。実際に総点検計画を立てたり改修計画を立てていらっしゃる事業団の方として、総点検の結果生まれてくる可能性のある修理としては、大きな問題としてどういう点を考えていらっしゃるのですか。
  167. 倉本昌昭

    倉本参考人 お答えいたします。  現在ソフトの面からの設計等の見直し、また最近の安全基準が大分シビアになってきたという点、またいろいろ陸上のトラブルが出ておりますので、そういった点についての見直し等進めております過程段階で幾つかの点については補修と申しますか、若干改造を必要とするという点が出てきております。と申しますのは、たとえば工学的安全防護施設と申しますか、その辺のいわゆる多重化、現在一系列しかないものを二系列にふやすとか、またあるいは一次系の漏洩検出計というようなものが現在ございませんので、そういったものの追加工事をやる。また、緊急用のフィルター等につきまして、現在装備しておりますものより最近の新しいもの、汚染除去効率を上げるために、これらのフィルターをいいものに改良するというような点があるわけでございます。
  168. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 いま挙げられたのは三つですね。この工学的安全防護施設の多重化とか、一次系漏洩検出計の追加とか、緊急用のフィルターの改良ひっくるめて、これだったら少なくとも何も点検してみなくちゃということではなくて、現在すでに設計段階ででも予算めどがつくと思うのです。どのくらいの規模のものですか。
  169. 倉本昌昭

    倉本参考人 これらの各点につきまして現在設計を進めておる段階でございますので、まだその概算は出ておらないという状況でございます。
  170. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 いま言われたような項目は、いずれにしろ安全防護の追加設備みたいなものですから何も点検してみなくちゃわからないというものでなくて、これまで三年間もあったのですから、その間に十分設計も行われ検討も行われ、大体の見積もりも立っているはずだと思うのです。一体何をしていたんだろうか、こう思うのですよ。青森を出港して佐世保へ回そうというのが大体が十月七日でしたね。これの臨時航行検査はいつごろ受けるのですか。
  171. 倉本昌昭

    倉本参考人 現在運輸省の方と相談をいたしておりますが、大体九月の半ばごろから受検することになると思います。
  172. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 九月に入ったら佐世保に向けて出港していく準備を整えようというときに、これから国民の血税を使って行おうとする遮蔽改修計画もせいぜい数十億円というめどしか示されないし、これは先ほど言われたような総点検があろうとなかろうと当然めどがついていなくちゃいけない他の部分の改修についてもまだ設計も十分できておりません。こんなことで一体事業団の責任が果たせているのかどうか。一体事業団は何をするところか。技術者や科学者が集まっていらっしゃるのだから、三年もあれば当然いま私が疑問と思っているような点は答えられてしかるべきだと思うのですね。  そこで理事長に伺いたいのですが、新しく就任されて御苦労さんだと思いますが、それでは今後、現在全然めどのつかないこのような修理予算について、めどが立った時点で幾らでも要求して幾らでも政府、特に大蔵省からもらってくる自信がおありで就任されているのですか。
  173. 野村一彦

    ○野村参考人 遮蔽改修並びに安全総点検の予算につきましては、ただいま専務理事からお答えいたしたようなことでございますが、私どもとしましては国民にお約束をして、そして原子力船の安全ということに一番眼目を、当然のことでございますが置いておるわけでございますので、それを確保するための予算、これはもう科学技術庁にもお願いをして十分獲得していただく、そういうためにいま最大限の努力をいたしたい、こういうふりに考えております。
  174. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 それじゃ、その科学技術庁にお願いをしていらっしゃる総額は一応どのくらいになっていますか。
  175. 野村一彦

    ○野村参考人 これは結局、設計に基づきましてあるいは今後の改修の予測に基づきまして私どもとしてはある数字を申し上げて、科学技術庁科学技術庁でまたそれをいろいろと御検討になって、双方から、言わば五十四年度の予算要求を前にして詰め合っておるわけでございます。したがいまして、私どもと科学技術庁との間にも、何といいますか、かっちりした詰めはまだ行われておりませんが、午前中先生もいらっしゃったと思いますが、大体、原子力局長がお答えしたようなオーダーの数字をめぐっていまいろいろとやりとりをしておるわけでございます。
  176. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 そのオーダーというもの自身が数十億円という全くつかみどころのない数字だ。しかも遮蔽改修だけだと言う。総点検の結果必要になるかもしれない追加修理の方は全く五里霧中、こういう話だったのでしょう。だから私は改めて質問をしているわけなんですね。そんなことで、これだけの期間国会でも審議され、国民にも大変いろいろと心配、迷惑をかけた、そして関心を呼んだこの「むつ」問題を、さあ修理に入ってよろしいなどとわれわれは言えないわけですね。血税のむだ遣いは厳に戒められるところでしょう。役に立つ金でなくてはいけませんね。少なくともこれから「むつ」に投じられようとしている費用のめどがもうぼちぼち、船を佐世保に送ろうという時期だから立っているだろうとわれわれは思っているのですね。立っていなかったらこれは大変だと思うのですよ。だから、何も政府側の意向を聞いているのじゃない。事業団は幾ら要求していますか、こう聞いているのです。
  177. 野村一彦

    ○野村参考人 遮蔽改修全体の期間というもの、これは御承知のように約三年間かかるわけでございます。したがいまして、予算の形態といたしましては五十四年度の予算から五十六年度までにまたがるということでございまして、しかもその形態としては、歳出予算のほかに、それを一部含む国庫債務負担行為というものが入るわけでございまして、これは技術的にその額を、もちろん作業をする以上は一つのめどは事業団として私どもなりに持っております。しかし、これは事業団としてのめどでございまして、それをどういう段取りで進めるかということになりますと、そういう三カ年度以上にわたる問題でございますので、きちっとした数字を申し上げ得るにはまだ至っていないということでございます。
  178. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 結局、船を長崎へ回すことばかり急いで、一番審議のポイントになる面をあくまでも表に出さないこと自身、ある意味では国会軽視ではないかと思うのですね。なお、この点は今後われわれも十分監視、追及もしていきたいと思うのです。  五月二十五日の本委員会で熊谷長官は、修理能力の点、安全審査との絡みでですが、こうおっしゃっていますね。退職金も払えないようなSSKを対象にして私が、質問したわけでありますが、そのお答えに、一般的には「経理的なそういう欠陥のある相手を対象として契約することはできない」こう明言していらっしゃるわけであります。その後、SSKは社長もかわりました。さらに、経営陣もほとんど総入れかえで、しかも大幅に役員も縮小されてまいりましたし、また、労働者の方も大幅な合理化が進められている現状でありますが、この一応新しい体制に事実上全面的に移り変わったと言ってもいいSSKをなお工事能力ありと熊谷長官は見ていらっしゃるのか、こういうところにはなかなか「むつ」のようなむずかしい修理は任せられないのだ、こういうふうにお考えなのですか。いかがですか。——これは長官が答えたことに関連があるのだ。
  179. 山野正登

    ○山野説明員 その前に一言お答えいたします。  今後の「むつ」の修理工事の実施者でございますが、これは、「むつ」は佐世保港に入港するわけでございますので、佐世保港に所在いたします佐世保重工というものが関与するということになることは間違いないと思いますが、これに加えまして、過去「むつ」の建造を担当いたしました石川島播磨重工業並びに三菱原子力工業というものも強力な協力者としてぜひ参加してもらいたいと私どもは思っておるわけでございまして、そういう意味におきまして、今後この「むつ」の修理工事を行います主体は佐世保重工、三菱グループ、これに石川島播磨重工、この三者の協力体制で行われていくことになろうかと思います。  そういう意味合いにおきまして、先生の御質問は、佐世保重工に「むつ」修理の技術的能力ありや否やという御質問かと存じますが、いま申し上げましたような協力体制のもとにおきまして十分に修理工事は遂行し得るであろうというふうに考えております。
  180. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 そうしたら、これは事業団の方に伺いますが、このSSK、三菱グループ、石播の三者の協力体制と言ってもいろいろな組み合わせが考えられると思うのですね。地元は地元で「むつ」誘致に当たってやはりいろいろな思惑をめぐらされているわけであります。まあわれわれが常識的に考えたケースとしては、三者のジョイントベンチャー形式、それから三菱、石播がジョイントベンチャーを組んで元請となり、SSKがその下請になるというケース、それから三菱が単独元請になって石播とSSKがその下請に入る場合、それから今回の政治的決着の経緯を踏まえてSSKを元請にして三菱、石播をその下請とする場合、まあ大体、三者の協力体制というふうに原子力局長が明言された以上は、この組み合わせ以外には考えようがないと思うのですね。事業団としてもう船を佐世保に向けるのですね。十月に向こうに入るわけですが、この時点で最も好ましい契約方式、つまり相手側の体制をどう考えていますか。
  181. 野村一彦

    ○野村参考人 ただいまの件につきましては、三者が協力をして工事を実施するということでございます。これをどういう形態でやるかということにつきましては、大臣からもかねがね御指導をいただいておりまして、私どもは、この工事の、何といいますか、それぞれの分担の分野が非常に明確になる、したがって、その責任が明確になるというような形態でこの契約をすべきものだと考えておりまして、その契約の仕方といいますか形態についてはまだいろいろと部内でも詰め、また技術庁の方とも御相談をいたしておりますし、その三者の各グループの担当者ともそれぞれ意見交換をいたしておりますけれども、現在まだ契約の仕方自身についてまとまった考えは持っておりません。
  182. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 ただいま理事長からは、大臣の指導も受けながらという話がありました。そうすると、これは大分大臣の意向が働いている、あるいは今後も働くと思われるのです。大臣は、いま三社の可能な協力体制のケースを私が申し上げましたが、どのケースが最も適しているとお考えなのですか。
  183. 熊谷太三郎

    熊谷国務大臣 大臣の指導を受けてという答えがありましたので、私がどういう考えかということをお尋ねになったかと思いますが、やはり大臣という意味政府という意味でございまして、私も十分に部内の意見調整しました上で、最も適当だと思うやり方を修理までに間に合うように決めたい、こう考えておるわけでございます。  先ほど来、予算問題等についてもいろいろお尋ねがありましたのに対してはっきり具体的な金額を言いませんでしたために、あるいは五里霧中であるとかあるいは国民の血税を使って云々というお言葉がありましたが、われわれとしましては決して費用をむだ遣いしてはならぬということは言うまでもなく考えておるわけでございますから、十分その点は検討もいたしますし、それから大体の見当——全く五里霧中でいるわけではありませんが、しかし国会に出ましてここでお答えしますからには、大事をとりまして、なるべく後でえらい訂正をしなくてもいい、そういう金額を申し上げなければならぬということで、非常に慎重にお答えをしておるような現状でございまして、これを隠しましてやることはもちろんできないことでございますし、第一そういう考えは絶対にありません。     〔委員長退席、貝沼委員長代理着席〕 ほぼこれならば物価その他の変動がなければ大体いけそうだという金額をいよいよ修理にかかるまでに間に合うように決めまして、そうしてその点率直に御報告をしますなり、お答えをすることにいたしておりますので、どうかその点を御了承願いたいと考えるわけであります。
  184. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 とにかく佐世保へ回航する日取りだけを先に決めてしまって、本来ならばその前提になっていなければならない契約方法、契約の相手方、当事者それから大体の予算のめど、こういうものがまだ検討中である。これが事実とするならば、本当に「むつ」の扱いがどこまでも政治的に行われているな、まさに霧の中に「むつ」がある、こうとしか言いようがないのですね。それならば、そんなに急いで佐世保に「むつ」を回すことはないのじゃないか。その前にちゃんと準備をすることを準備をし、われわれに諮るべきことを諮って大いに国会論議も得て、今後の修理の見通しがついて、しかもその修理が役立つという国民の納得を十分得た上で船を動かすのが順当ではないかと思うのです。  同時にもう一つこの問題で伺っておきたいのは、七月二十一日に締結されました佐世保港修理に関する合意協定書、五者協定と言われていますが、この中で新定係港問題に触れられております。佐世保はその対象に入っているのか、あるいは佐世保は除外されていると考えてよいのか、どちらですか。
  185. 山野正登

    ○山野説明員 新しい定係港の選定作業には直ちに着手しようということで現在準備を進めておるところでございまして、先般も私どもの新しい定係港の選定基準の素案のようなものが新聞紙面にも出ましたけれども、これから佐世保回航を待つまでもなく鋭意検討を進めていきたいと考えております。いまの段階で特定の地域が候補地に入っている入っていないということを申し上げるのは、非常に微妙でございますので、その点だけは御容赦願いたいと考えておりますが、何よりも地元の船を受け入れてやろうという御理解がなければ持ち込み得ないわけでございますので、そういう意味原子力船の必要性とか安全性といったふうなものにつきまして十分御理解の得られる地点を選んで、もちろんこれには地理的、社会的ないろいろな諸条件等もございますが、そういったものを勘案して決めていきたいというふうに考えております。
  186. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 現在の選定作業段階では特定の港が対象に入っているか入っていないか言えないということになると、逆にお尋ねしますが、それでは佐世保港、それから青森のむつ港、これが選定の対象から全く除外されているというふうに考えることもまた間違っているわけですか。
  187. 山野正登

    ○山野説明員 地元には、母港、定係港を設置することにつきまして賛成の向きもございますし、また反対の向きもあるということでございまして、現在修理港問題がようやく決着を見まして、これから円満裏に佐世保港に入港させていただこうと思っておるやさきでございますので、そういうときに当たりましてよけいな波紋を起こすといったふうなこと、これは私ども重々慎むべきことだと考えておるわけでございます。そういう意味でいまの時点で特定の港が候補地でないとか候補地であるとかいったふうなことは申し上げかねるということを申し上げておるわけでございまして、ポジティブにもネガティブにも、両方からそうであるとかそうでないとか私ども申し上げる段階にないということでございます。
  188. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 もっと立ち入って質問すれば、要は地元の住民の意向次第では佐世保港あるいはむつ港も当然選定作業の対象内には入ってくる、こういう理解でいいですか。
  189. 熊谷太三郎

    熊谷国務大臣 ただいま局長から申し上げたとおりでございますが、少なくとも現在の段階で、五者協定の第一段に、とにかくそのまま居座って佐世保を母港とすることは絶対しないでほしいという意味のことをはっきり言われておりましてそれに合意しておりますから、いま現在の段階で佐世保港を母港とするということは第一に考えておりません。  それからむつの問題でございますが、これは四者協定をわれわれとしてはもちろん履行するつもりでおりますから、そういう意味合いで、これまだ現在の段階においてこれを母港云々ということは特に申し上げないことにいたします。  したがって、一応新しいところを目標にいたしまして新定係港を一日も早く選定してまいらねばなりません。その基本的な条件と考えますことは、いま申し上げましたように原子力船「むつ」に関しまする地元の十分な御理解を得られるところを当然その候補地として考えなければならぬということでございます。
  190. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 私は私なりに聞いておりまして、大臣の答弁とそれから局長の答弁とは、あるいは意識的にニュアンスを変えているのじゃないかなと思うのでありますが、非常に微妙な違いがあるように思えたのです。そこにまた一つの落とし穴もありそうですね。  そこで、次の問題でありますが、原子力基本法等改正案が七月五日に公布をされました。これに伴って原子力安全委員会を十月四日までに設置すること及び規制の一貫化は来年一月四日までに実施することが決まっているわけであります。  そこでまずお尋ねしますが、遮蔽改修に関する基本計画はいつごろ事業団から申請が出るのかということ、それからその安全審査は原子力委員会の最後の仕事になるのか、新設される原子力安全委員会の最初の仕事になるのか、どっちでしょう。
  191. 牧村信之

    牧村説明員 遮蔽改修の設置変更許可申請がいつ出るかは私どもは聞いておりませんが、聞いておりますところは、恐らく八月中あるいは九月上旬というふうに聞いておりますので、その間のタイミングを考えますと、安全審査は新しい安全委員会のもとに行われるというふうに私どもは考えております。
  192. 倉本昌昭

    倉本参考人 お答えいたします。  ただいまの遮蔽改修にかかわる安全審査と申しますか、設置変更許可申請でございますが、これは現在基本設計と申しますか、これがほとんど終了いたしまして、現在調整を行っておるということでございますので、ただいま安全局長が申されましたように、大体八月末あるいは九月の初めごろには申請を提出することができるのではなかろうか、かように考えております。
  193. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 それでは、遮蔽の設置変更の申請だけではなしに、「むつ」の原子炉の規制並びに安全審査の全体系については、現状から新しい体制にいつから引き継がれることになりますか。
  194. 牧村信之

    牧村説明員 規制の一貫化の関係の改正が行われますのは、明年の一月四日までにその一貫化の手続を済ませる必要があるわけでございます。したがいまして、それ以降基本法改正に基づきます各省庁の責任の役割りが変わってくるわけでございます。しかしながらそれまでの間に、十月四日までに私どもは安全委員会を御設立願いたいというふうに考えておるわけでございますが、ただいま事業団の方から仮に八月末もしくは九月の上旬に申請が出てまいりますと、これは一貫化の法案等が通りました趣旨を体しまして、その間科学技術庁並びに運輸省と協力いたしまして事前の行政庁の審査を進めまして、その結論を得た上で安全委員会ダブルチェックを受けたいというふうなことで仕事を進めたいというふうに考えておる次第でございます。
  195. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 そうしますと、当然のことながら原子炉に関する詳細設計の安全審査とか使用前検査とか、これは将来のことになりますが、定期検査も一応原子力船「むつ」については科技庁が引き継いでいくことになりますね。
  196. 牧村信之

    牧村説明員 来年の一月以降、科学技術庁が引き受けていくことに相なります。
  197. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 その科技庁が引き継ぐ場合の引き継ぎ方なんですが、船舶安全法上の全審査は終わったものとして引き継ぐわけですか。それともその過程にあるものとして引き継ぐのですか。
  198. 牧村信之

    牧村説明員 大部分のものは過程にあるものを引き継ぐことになろうかと思います。ただ、船舶安全法の規制は引き続き原子力船「むつ」にかかっておるわけでございます。形の上では今後ダブルな規制を受けるわけでございますが、それを全く同じことを両者がやるということではなくて、その間につきましては両省庁が十分話し合いしてやり方を決めていくということを考えておりまして、これも来年の一月までにその辺の話し合いを十分いたしまして、引き継ぎを完了いたしたいと考えておる次第でございます。
  199. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 そうしますと、いやおうなしに来年一月四日以降は原子炉等規制法に基づく規制を科技庁は受け持つことになるわけですが、規制法の体系から見た場合、この「むつ」の原子炉については規制法第二十八条のいわゆる原子炉の使用前検査は終わっているとみなすのですか、終わっていないとみなすのですか。
  200. 牧村信之

    牧村説明員 まだ終了しておりません。
  201. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 そうしますと、今後使用前検査を行わなければならなくなってきますが、規制法で見ますと、一応この二十八条で、その工事が前条、つまり二十七条の認可を受けた設計及び方法に従って行われているかどうかを検査することになるのですが、その二十七条とは、つまり総理大臣の認可を受けた設計及び工事の方法ということになりますね、世に言う詳細設計だと思うのです。現在の原子力船「むつ」については、科技庁が使用前検査をしようとする場合、この総理大臣の認可を受けた詳細設計はあるということになるのですか、ないということになるのですか。
  202. 牧村信之

    牧村説明員 先生ただいま御指摘の分につきましては、いままでの法体系では船舶安全法に基づいてやっております。したがいまして、今後引き継いだ後は運輸省がそれに関連することをやっておりますので、それを内閣総理大臣が行ったというみなし条項が今度の基本法等の改正で行われておりまして、それに基づいて私どもが来年一月以降必要な検査等を実施していくということに相なろうかと思います。
  203. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 では、その船舶安全法上のいわゆる設計及び工事の方法と、それから原子炉等規制法で言う設計及び工事の方法というものは全く同一内容のものなんですか。
  204. 牧村信之

    牧村説明員 規制法で仮に一貫して過去に行っておったとしたときにできる内閣総理大臣のそのものと、いま運輸省の方で制定しておりますものと全く同じではございませんが、ほとんど同一のものであるというふうに考えてよろしいかと思います。
  205. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 逆に伺いますが、それじゃ今度遮弊改修の変更に伴って、これまた設計及び工事の方法も変更されてきますね。これは当然出る時期によって違ってきますが、恐らく基本設計の安全審査の先ほどの日時から推して原子炉等規制法に基づき出てくると思うのですね。先ほどの話では、やっぱり船舶安全法の適用も受けながら運輸省とダブルでやっていくんだと言われるのですが、じゃ今度はそれを船舶安全法に移しかえるときにはどの条項をどのように適用するのですか。
  206. 牧村信之

    牧村説明員 御質問の趣旨を確実につかんでおるかどうか疑問でございますが、まず工事につきましては、先生御指摘のように遮弊改修工事につきましては恐らく工事が始まりますのは来年春以降だと思いますので、科学技術庁がその改正された設計に基づきます設工認等をやっていくわけでございます。先生御質問の趣旨が——この原子力船が修理を終わり、実験航海等試験的なことがすべて終わって、これを原子力船として、研究段階が終わったものとして運輸省に引き継ぐ場合には、その後の規制につきましては当然船舶安全法を運輸省が一貫して今後やっていくという形に相なるわけでございます。
  207. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 いや私が言っているのはそうじゃなくて、つまり簡単な言葉で言えば詳細設計、この変更が出されてきた場合、今度はこれは原子炉等規制法に基づいて出されるわけですね。だけれども、一応規制法に基づく原子炉の使用前検査等も、先ほど局長は運輸省の方と共同してやっていくのだ、協力してやっていくのだ、こうおっしゃったので、当然運輸省は船舶安全法に基づいてやるわけですから、そちらの方の詳細設計変更の手続はどうなるのですか、こう聞いているのです。
  208. 牧村信之

    牧村説明員 先ほど私が協力してやっていくと申し上げたところに二つあろうかと思います。  まず遮蔽の工事の変更許可申請が出るわけでございますが、この行政庁審査について過渡期の間におきましては両者協力してやっていくということがまず第一点でございます。  もう一点の問題として、原子力船は今後原子炉の安全につきましては規制法の体系の中で科学技術庁が規制を行うわけでございますが、一方、船舶安全法のもとにおきまして船としての規制は運輸省が引き続き行うわけでございます。したがいまして、船にかかわるものにつきましては当然船舶安全法の規定に基づいて規制されるということに相なるわけでございます。その間におきまして、同じ船につきまして過重なと申しますか規制が行われないように、同じ目的の規制であれば十分話し合って合理的な規制を行っていくということでの科学技術庁並びに運輸省の協力ということを申し上げたつもりでございます。
  209. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 私はいまの一連の政府答弁で明らかになったように、従来原子力船「むつ」の原子炉の製造に当たっては、これはもっぱら科技庁の手から離れて運輸省の船舶安全法上に基づく詳細設計審査あるいはその後の検査が行われたわけでしょう。それを今度は中途から科技庁に引き継ぐことになって、法体系も原子炉等規制法の体系に変わってしまうわけですね。したがって、必ずしも従来運輸省が認可してきた詳細設計と、科技庁が原子炉等規制法に基づいて行ってきたとした場合の詳細設計と一致しないということも明らかになってくるわけですね。しかも大体いままでやってきた人自身が途中で手放してしまって、そして全然いままでやってこなかった人が途中から引き受ける、これも非常に大きな矛盾が出てくるわけでしょう。しかも運輸省の方は協力するとかなんとか言いながら、この前、当委員会の運輸大臣の発言等でも明らかになったように、まあとにかく「むつ」さえ手放してしまえばもう運輸省は原子力船については何もすることがない、だから体制を考える必要がなかったんだ、こういうこともあったわけですね。だからこういう点で、今度の原子力基本法等改正案がどういう意図から出たかは別にいたしまして、この原子力船「むつ」のいわゆる開発研究の一貫性ということから考えるならば、きわめて一貫性のない話になってきている。そういう点では私は、改めてもう一遍科技庁と運輸省がよく協議をして、いままで船舶安全法で途中までやってきた、その詳細設計が基礎にあるわけですから、それに基づいてやっていくんならそれに基づいてやっていくか、または規制法でやるんなら改めてもう一遍規制法に基づく詳細設計段階からの審査もやり直すというふうにして一貫性を貫くか、どちらかにしないと結局また木に竹を接いだような形になって、将来の「むつ」に大きな禍根を残すんではないかと思うんですね。その点の再検討が必要なんじゃないですか。大臣、いかがです。
  210. 牧村信之

    牧村説明員 先生御指摘のたとえば設工認におきまして、規制法上あるいは船舶安全法上で違いが、全く同じでないと申し上げましたけれども、私ども、規制法でやるべきことは船舶安全法のたてまえの上でもやっておるという認識でございます。したがいまして、そういう意味での規制の仕方に大きな狂いがあるというふうには全く思っておりません。  それからこの基本法改正におきまして一貫化する時期につきましては、安全委員会につきましては三カ月以内という御規定をいただいたわけでございますが、行政庁の一貫化に必要な期間というものをこの倍の六カ月をいただいております。この間に十分いろいろな引き継ぎ等を精力的に行ってまいりたいというふうに考えております。そのようなことで先生の御懸念のようなことがないようにやってまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  211. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 もう少しこの問題深めたいのでありますが、時間の関係もあるので、そういう科技庁の答弁がどのように実行されるのかを見きわめつつ、また機会を変えて質問したいと思うんです。  それから、これは八月三日付の読売新聞に、核ジャック対策として警察が直接警備に乗り出すというふうな記事が出ているんですね。約二百人、精強な核ジャック防止部隊を新設する方針を決めて、これを東海村など三カ所に配備する、その予算を来年度概算要求する、そういうことなんであります。一体これ、本当の話なのかどうか、まずこれを大臣に聞いておきたいと思うんです。
  212. 牧村信之

    牧村説明員 私ども新聞記事は承知しておるわけでございますが、これは私どもが検討しておる事柄ではなくて、警察庁の方でいろいろ御議論になってはいただいておるわけでございますが、その中身につきましてはそれが警察庁が決めたことであるとかいうことではないようでございまして、いろいろ内部的に御検討しておられることは聞いておりますが、その詳細についてはまだ私どもの方に御連絡もいただく段階にないという御返事でございます。
  213. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 およそ政府部内で論議もされないようなものが、もし勝手に警察庁で決めて予算要求するなどということになったら、これは学問や思想、研究の自由との関係や憲法との関係から言ってゆゆしき事態だと思うんですが、大臣はこのことを事前に承知していらっしゃるのですか、いかがですか。
  214. 熊谷太三郎

    熊谷国務大臣 まだそういう具体的なことは聞いておりません。
  215. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 全く警察庁のこれは独走だ、勝手な考えだ、こういう理解でいいわけですか。
  216. 熊谷太三郎

    熊谷国務大臣 私はその御判断についてはどうこう判断する立場ではありませんが、ただ私どもとしましては、核ジャックの問題については、特に東海村、大洗の二カ所ないしこれに準ずる場所については、さらに従来の警察体制を強化しまして、緻密な演習みたいなことも具体的にやって、そして警察、警備当局とよく連絡を保つようにということを厳しく言っているわけでございます。したがって、そういう話の結果があるいは多少反映した考え方としてあらわれたのではないかとも思いますが、まだ具体的にこうこういうことにしたということは御連絡も受けておりませんし、また報告も受けておらない、こういうことでございます。
  217. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 対象になっている施設が高度のいわゆる研究機関でありますから、この点では、先ほども申し上げましたように、学問、思想、研究の自由は十分に尊重されなければならない場所ですね。その場所を所管しているのは科技庁長官でしょう。これに何の相談もなしに、勝手に警察庁があれこれ考えること自身、行き過ぎもはなはだしい、民主主義とは根本的に相入れない考え方ではないかと思うのです。  そういう点でさらに大臣に聞いておきたいのですが、いまのところは警察の一方的な考え方だということにしておきましょう。しかし、もしこれが具体化してきたら、科技庁長官に相談がなされてきた場合、科技庁長官どう対応されます。私どもも決して核ジャック対策が不必要だと言っているのではないけれども、少なくとも問題が研究機関のことであるだけに、研究者、技術者含めて十分合意が成り立つような形の警備体制、これは知恵をめぐらせば何も警察の手をかりなくたってできる方法が当然あろうと私は思うのです。そういうことも検討しないで、警察が押しかけるということは、いまの日本のこの政治体制には全くそぐわないと私は思うのですが、いかがですか。
  218. 牧村信之

    牧村説明員 原子力施設にございます核物質の防護につきましては、当然、先生御指摘のように設置者みずからがそういう暴徒等の侵入に対して防護をしていくということがきわめて重要であるわけでございますが、ある段階以上のそういうような襲撃に対しまして、果たして設置者自身のみで防護できるかどうか、これはきわめて疑問でございまして、そういうような緊急の際には、それを排除していただく警備の方の警察等の御協力が絶対必要でございます。このようなあり方につきましては、原子力委員会に設けました核物質防護専門部会でもいろいろ検討をし、その検討の結果につきましては関係省庁に連絡し、かねがね御検討をお願いしておるというのが現状でございます。そのような現状を踏まえて、警察等がいろいろ御検討いただいておるものと私どもは考えておるわけでございます。  一方、この核物質防護の考え方と申しますのは、わが国のような場合には原子力に使います核燃料というものをすべて海外に仰いでおるというようなことから、非常に国際的にもこの問題の重要性が高いわけでございます。かねがね、この防護の仕方というものにつきましては国際原子力機関が一つの勧告をすでに出しておりまして、日本としてはそのレベルに沿って国内の施設の防護体制を逐次整備してきておるわけでございます。そのような勧告の中にも、施設者が行うべき防護体制と、それを支援する警察等の支援体制ということがきわめて重要であるとされておるわけでございまして、私どものただいまの考え方としては、施設者だけでこの問題を解決できるものではない、したがって、有機的にこの結びつきをもちまして、日本の核物質防護の体制を築いていかなければいけないのではないか、かように考えておる次第でございます。
  219. 熊谷太三郎

    熊谷国務大臣 ちょっと補足して申し上げますが、先ほど警備の問題につきまして、研究者の研究の自由その他云々についてお話がありましたが、およそ警備を強化しますことについて、研究者の研究の自由はもちろん、あらゆる自由の問題にそれが及ぶ、自由の拘束に及ぶといったようなことは毛頭考えていない点でございますから、万が一そういうことはないと思いますが、あるとしましても、そういう点は十分私どもとして守るつもりでおりますから、その点ははっきりここで明言いたしておきます。
  220. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 つけ加えるならば、原子力三原則との関係もありますからなおさらのこと、いまの大臣の所信は文字どおり貫いていただきたいと思います。  それから、これは主として動燃事業団の方にお伺いをしたい再処理工場の問題です。再処理工場のプロセスの性能、それから機器作動性、操作性などの確認のためにギャランティー試験というのですか、総合試験とも聞きましたが、これが予定されておるのですね。八月一日から開始されたそうでありますが、もともと、一月三十日の労使協議会では、このギャランティー試験は六月から始める、こういうふうになっておったそうですね。これが二カ月もおくれた理由が何かあったのか、その点を説明していただきたいのです。
  221. 中村康治

    中村参考人 お答えいたします。  確かに、最初は六月くらいから最終のギャランティーテストを計画しておりました。しかしながら、科学技術庁の御指導もございまして、各キャンペーンごとにそれが終わった後で完全にデータを整理いたしまして、安全審査会に御報告する、そしてその次の計画を御理解いただくというような手続をいま踏んでおります。これが一つ。  それからもう一つが、御承知のように国際原子力機関の保障措置というのがございまして、この保障措置についても、昨年九月に合意されました日米共同声明の趣旨に基づいて保障措置の全面的な適用を受け入れております。そういう関係で、その間、分析測定に手間がかかった、こういうような経過で二カ月のずれがいまございます。  以上でございます。
  222. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 この前の当委員会でも、私は五月二十六日にサンプリングベンチ・ナンバーワンで起こりました放射性ミスト漏れを指摘いたしました。このときはビニールブーツのピンホールから漏れたというお話だったんですね。ところが、六月十六日にも、今度はナンバーフォーのサンプリングベンチからも同じく放射能漏れが起こっております。この五月二十六日の漏れとそれから六月十六日の漏れの共通性と相違性、違っておる点はどういうことですか。
  223. 中村康治

    中村参考人 お答えいたします。  現象として起こっておることは共通性がございます。しかし、起こった結果には多少相違がございます。つまり人体に汚染影響があったかなかったかという意味では差がございます。しかし、なぜこの汚染が始まったかという最初の現象は、先生御指摘のようにブーツと言っておりますが、内側に入っておる、ちょうど御婦人方がお使いになる割烹着のそでのようなかっこうをしておるものですが、それにピンホールがあいたものから伝わって出てきた、これは同じでございます。
  224. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 なぜさきの五月二十六日の事故のときに十分調査をして、このわずか二十日ほど後の事故が防げなかったのか、私はどうも疑問なのです。いまおっしゃるように、違いは人体被曝があったのかなかったのかということだけで、漏れが出てきた原因はどうも共通のようですね。その点を理事者側はどう考えていますか。
  225. 中村康治

    中村参考人 先生なら御理解いただけると思いますが、なぜそれが破けたか、その破けた状態がどうなるかというための調査の時間のずれがございます。たまたま、五月二十六日の最初のサンプリングベンチの汚染のトラブル、これは途中で全部とめるというわけにいきませんので、その後の仕事の継続がございました。一応一通りのキャンペーンが終わってからサンプリングベンチの内面を全部除染いたしまして、中のブーツを調べる、そしてブーツを交換するという経過で、実際どの程度に破けているのかということが判明してまいりました。その間、形あるものは破け得るものだという意味合いでの配慮はさせております。そのことで、たとえばサンプリングベンチの前に余分な汚染を残さないようにビニールシートを敷くとか、そういう対策はとっておりました。しかし、現象として同じようなことで汚染がそこから始まったということは、残念ながら共通性がございます。
  226. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 これはやはり二回ともブーツから外に漏れる経路は、トングのボールジョイントのところから漏れるわけですか。
  227. 中村康治

    中村参考人 先ほど申し上げましたように、インターキャンペーンの段階で中を調べてみますと、先ほど申しましたそでの下側の方が破けておりまして、伝わってきたものは、核種から申し上げますとセシウムでございます。これも御存じだと思いますが、セシウム137は一グラム当たり数十キュリーの比放射能を持っております。したがって、外に出てきたカウントされる汚染、そこから勘定いたしますと大体百億分の一から十億分の一グラム程度のものがしみ出している、こう換算することができます。  その微量なものの経路がどういうことになるか、これは余りにも微量でございまして、実は明快には申し上げられません。ただ、最初のブーツがどういうところから破け始めているかという現象については、出し入れをいたしますとしわが寄ってまいりまして、その部分が最初にひっかかりを起こしたという見当はつきました。
  228. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 しかし、われわれ常識的に考えて、漏れてきたのは微量でしょうけれども、要はサンプルびんに一応注射器で液をとるわけですから、そんなに漏れるわけはないと思うのです。サンプリングベンチの受けざらにそんなにじゃぶじゃぶと放射能の漏れた液がたまっているわけじゃないと思うのです。目で見てわかるかわからぬかぐらいのものだろうと思うのです。それがたとえ微量にもせよこう再々漏れてくるようになりますと、これはやはり重大な欠陥の一つではないか。先ほどとめるわけにいかないから十分原因が調べられなかったとおっしゃっているけれども、そこにこそ問題がある。まさにこういう問題は、たとえ運転をとめて全体計画がおくれたにしても、なぜ漏れてくるのか十分に突きとめる必要があるのじゃないかと思うのです。経路がわからないとおっしゃるのですから。こういう点では少し理事長の方から厳格に指導をして、やはりサンプリングベンチで微量のセシウム漏れが起こる原因だけは、科学的にこうだとはっきり自信を持ってわれわれに説明できるところまでは一度究明される必要があるのじゃないですか。
  229. 瀬川正男

    瀬川参考人 ただいまのお話のサンプリングベンチのトラブルにつきましては、私も現場へ行きましていろいろ考えてみたのですが、いまのように内部でじゃぶじゃぶ漏れていることはないわけですが、やはりサンプルびんをトングで取り扱う際に一滴ぐらいこぼすこともあり得るということで、内部汚染はある程度は防げないのじゃないかと思うわけであります。もちろん注意深くやれば、一滴こぼすということもあるいはゼロにいけるかもしれませんが、そこまで期待するのは少し無理かとも思いますので、サンプリングベンチの外に対する漏れを当面どうやって手直しできるか。内側にカバーをもう一つつけるとか、あるいは外側のカバーをもう少し考えてみるとか、当面の対策はいろいろ検討しておりますが、そういう意味で汚染というものはかなり防止できるかと思います。今後このサンプリングベンチの改造等の方向を見出すのにはもう少し時間がかかるかと思います。ただ、汚染の程度等を減少させるということは可能かと私は思っていますが、現状はいま申し上げたとおりでございます。
  230. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 日本で最初の再処理工場の試運転に当たってとかく言われることは、汚染が非常に微量だから大したことないということなのですね。われわれと認識が違う点は、たとえ微量であれ大量であれ、とにかく漏れないはず、つまり内部は負圧にしてある。通常、外国ではブーツはかぶせなくてもいいことになっているのに、日本ではブーツをかぶせたのだ。いわば二重三重に防護しているはずなのに漏れてくる。しかも漏れるもとの量そのものはきわめて微量なのだ。われわれにはちょっと考えられないような事故なのですね。それが、漏れの原因不明のまま次々に運転が前進する、こういうことを憂えるわけです。こういう点では最初の研究開発にふさわしい慎重さというものを持っていただきたいと思うのです。  時間がないのでまとめて申し上げますが、さらに昨年の十月十四日とことしの六月二十一日に、これまた分析場でグローブ破損事故による放射能汚染が起こっていますね。これも大体共通していると思うのです。続いて七月二十五日にはプル燃工場でプルトニウム吸入事故が発生して、このときにはたしか六人からの人体汚染があったように聞いておるわけであります。こうなってくると、重大なプルトニウムを扱っておるところでこういう汚染がなぜもっと早く発見できないのかという懸念をわれわれは持たざるを得なくなる。なぜ六人汚染するまでわからなかったのか。聞くところによれば、当然警報装置等もあるそうですね。最初の被曝発見者がなぜそういう警報を押さないのかという疑問も素朴ながら残るのです。こういう点は何か理由があったのですか。
  231. 中村康治

    中村参考人 私の担当は再処理でございますけれども、プルトニウムを昔やっておったのでお答えいたします。  グローブボックスの内面は、先生も御承知のように負圧に引いてございます。水中で二十ミリから三十ミリの間を常に負圧を維持するということになっています。それで、もし内部の負圧が五ミリぐらいにまで下がってまいりますと警報が自動的に鳴るようになっています。先ほどもちょっと申し上げましたが、プルトニウムも一グラムでおよそ一キュリーぐらいでございまして、非常に少ない量がまず検知されます。その非常に少ない量を通過させるようなピンホールというのは、実際問題としてこの負圧に影響がございません。まず最初に検知されますのは、グローブに手を入れて、手を抜いた途端にサーベーをする。そのサーベーをするところで手に汚れがついているというところからグローブに異常があったということが検知されるわけでございます。たまたまこの七月二十五日の作業は、グローブボックスに手を入れて連続に長時間作業をしておりました。その比較的早い時期にピンホールが発生して、こういう作業をやっている間にその周辺の床あるいは空気に乗っかっていって、流れとして汚染が広がった、たまたま同室におった者がその空気を吸ったので検出をされた、こういう結果になっております。いずれにいたしましても、そこに流れ出したものは、これも推定でございますが、床、そのほかの汚染の面積と汚染の程度から逆算いたしますと、これまた十億分の一グラムぐらいのものが出たと推定されております。
  232. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 また、結局量的な問題で事故が小さいということを強調されようとするのですが、私が言っているのは、第一発見者が、放射能漏れを知らせる警報装置があるにかかわらず、こういうものが押されていないこと自身に不思議を感ずるのです。なぜそんな事態が起こるのだろうか。そうすれば、もっと早く、人数も少なく発見できたのじゃないかというふうに思うのです。  もう時間が参っておりますので、そういう疑問だけを提起してもう一つだけ最後に……。  動燃の大洗の方で、先般MMF、照射材料試験施設の電気機械室で、定期検査作業中に六千六百ボルトの高圧電源に触れて検査員、下請の労働者の方が死亡されるという痛ましい事故が起こっているわけですね。哀悼の意を表したいと思うのでありますが、どうもこれも私ども合点のいかない点があるのであります。  一つは、こういう一種の電源検査だと思うのですが、それを関東電工に発注をし、関東電工はまたこれを下請の古河電設、ここに下請させ、そこの作業員が感電死ということになっているのです。こういうふうなことを下請制度を利用してやってよいのかどうかという疑問が一つであります。  第二に、こういう場合の仕事を発注するときに、関東電工と動燃との間の契約書は一体あるのかないのか、もしあるとすれば、どういう契約書内容になっているのか、一度写しを国会の方に提出していただきたいと思うのです。これが第二点であります。  第三点は、何も今回が初めての経験じゃないそうですね。しかも、当日感電死されたのは、FMF、照射燃料集合体試験施設の方の電源に触れたための感電であったと聞きますが、従来は、このFMFとMMFの電源は同一の引き込み線につながっておったために、もとを切ってしまえば全部これは切れてしまっておった。ところがその後、この回路が改定されて、MMFの方は電源が切れても、FMFの方は電源が生きているような回路構成になった。それが原因だと聞くのです。それならそのことがちゃんと作業員に伝わっておったのかどうか、そのことを伝える方式はちゃんと文書によって行われていたのかどうか。あるいはまた、主任技術者が立ち会っていたのかどうか、こういうふうな点について答弁をいただいて終わりたいと思います。
  233. 瀬川正男

    瀬川参考人 ただいま御指摘の感電事故につきましては、まだ警察で調査中でございますが、前後の状況から判断いたしまして、やはり関電工さんと私の方の工務課の立会人との連携操作が円滑を欠いた、私の方の立会人にもその点注意力が欠けておったと思いますし、私自身も非常に遺憾な事故だと思っております。  いま御指摘の、前に配線を直したのじゃないか、配線を直しておったということをそのときの作業者たちは、関電工さんとかあるいは下請の古河電設等が知っておったかどうかということでございますが、その辺の事実がどうもはっきりしない点がございますが、いずれにしましても、いまのお話のように、古河電設という下請だけが来たわけじゃございませんで、電気工事会社の方も一人来て、それから下請会社も一人来て、二人来ておったわけでございます。したがって、電気工事会社と私の方の立会人との事前打ち合わせが不十分じゃないかというふうに私も感じておりますが、この問題は私も非常に重視しておりまして、これからこういう作業をする前に、相手方工事会社とはあらかじめ作業の手順につきまして十分下打ち合わせができるように、私の方も今後何らかの体制をつくりたいと思っています。
  234. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 理事長は重ねて遺憾の意を表明していますから、責任を感じていると言われるなら、その責任を具体的な事実であらわしていただきたいということが一つと、私のお願いいたしました動燃とそれから関東電工との間でどういう契約書、どういう作業指令書でありますか存じませんが、交わされている書類をひとつ国会の方に資料として出していただきたいのです。この点、これは委員長からも要請していただきたいと思うのです。答弁を聞いて終わりたいと思います。
  235. 貝沼次郎

    貝沼委員長代理 いまの要請の件はどうですか。
  236. 瀬川正男

    瀬川参考人 ただいまの御要望の、契約がどういうふうに行われておったか、それらに関する書類は追って委員会事務局の方に御提出したいと思います。
  237. 貝沼次郎

    貝沼委員長代理 先ほど石野君の質疑に関連して、牧村原子力安全局長から発言を求められておりますので、これを許します。牧村局長。
  238. 牧村信之

    牧村説明員 お許しいただきまして、先ほど石野先生の御質問の中の、原子力船運航指針につきましての「むつ」の取り扱いにつきまして若干私の説明不足あるいはミスもございますので、この際訂正させていただきたいと思います。  先ほど原子力船は冷態状態に置いてあるから原子力船でないのだというふうな趣旨に石野先生がおとりになったやに懸念いたすものでございますので、その点についての修正でございます。  原子力船「むつ」は現在原子炉規制法によりまして設置許可をいたし、建造中の原子力船でございますので、原子力船でないということではございません。したがいまして、この原子力船運航指針というものは、安全審査の基準であるとか運航あるいは入港したときのいろいろな安全に関します指針を定めておるわけでございます。したがいまして、これが全く適用されないというふうな御答弁を若干私申し上げましたのは誤りでございました。  ただ、この原子力船運航指針は、通常、平常に運転して、特に運航に当たりあるいは港に入りましたときは、原子炉が正常に動いておる際のことを幅広く定めたわけでございまして、現状の「むつ」が冷態停止の状態で航海し、港に入るというところでいろいろ違った事情があるわけでございます。したがいまして、この中の指針がすべて適用されるということではないというふうに御判断いただきたいと思います。  ちなみに、この原子力船を冷態停止の状態に置きまして現在もむつに停泊しておるわけでございますが、その際の安全審査におきましても、原子炉が冷態停止の状態で行われておるというケースにおきましては重大な原子力事故が発生することは全く考えられないというふうな趣旨の安全審査の結論も私どもいただいておる次第でございます。  したがいまして、私ども、今後の「むつ」におきます設置変更の許可等につきましては、この指針に基づいて必要な項目については安全審査をいたし、さらに安全のチェックをしていくという考え方でおるわけでございますが、この冷態停止の状態というのは長崎においてもむつにおける状態と恐らく変わりはないと判断して若干先走った御答弁を申し上げたということでございますので、その辺御了承いただきまして、あわせて御訂正をさせていただきたい、かように考える次第でございます。
  239. 石野久男

    石野委員 ただいまの訂正発言がございましたが、幾つかの疑問がございます。ただし、きょうは時間の関係もございますので、私はその疑問を残しておきます。  特に「むつ」がいわゆる原子力船であるかどうかという問題について、法的な立場からしましてもいろいろ問題があるのだろうと私は思っておりますし、基準がどういうふうに適用されるかについて、部分的には適用されるけれども全面的ではないというような取り上げ方についてもまた疑問があります。  そういう問題を残して、いまの局長の補強説明ですか何ですか、訂正発言は聞き取ることはいたしておきます。      ————◇—————
  240. 貝沼次郎

    貝沼委員長代理 この際、お諮りいたします。  去る七月十三日及び十四日の両日、石川県に委員を派遣し、科学技術の実情について調査を行ってまいりましたが、派遣委員より調査報告書が提出されております。  これを本日の会議録に参照掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  241. 貝沼次郎

    貝沼委員長代理 御異議なしと認め、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は本号末尾に掲載〕
  242. 貝沼次郎

    貝沼委員長代理 本日は、これにて散会いたします。     午後三時五十三分散会      ————◇—————