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1978-06-14 第84回国会 衆議院 科学技術振興対策特別委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年六月十四日(水曜日)     午前十時三十分開議  出席委員    委員長 岡本 富夫君    理事 小沢 一郎君 理事 大石 千八君   理事 小宮山重四郎君 理事 佐々木義武君    理事 石野 久男君 理事 貝沼 次郎君    理事 小宮 武喜君       玉沢徳一郎君    塚原 俊平君       中村 弘海君    原田昇左右君       与謝野 馨君    渡辺 栄一君       上坂  昇君    馬場猪太郎君       近江巳記夫君    瀬崎 博義君       津川 武一君    中馬 弘毅君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      熊谷太三郎君  出席政府委員         科学技術庁長官         官房長     半澤 治雄君         科学技術庁計画         局長      大澤 弘之君         科学技術庁研究         調整局長    園山 重道君         科学技術庁原子         力局長     山野 正登君         科学技術庁原子         力安全局長   牧村 信之君         資源エネルギー         庁長官官房審議         官       武田  康君  委員外出席者         科学技術庁長官         官房参事官   佐伯 宗治君         大蔵大臣官房企         画官      柏谷 光司君         運輸省船舶局首         席船舶検査官  赤岩 昭滋君         気象庁観測部参         事官      末広 重二君         自治省財政局調         整室長     小林  実君         消防庁地域防災         課長      中川  登君     ————————————— 委員の異動 六月十四日  辞任         補欠選任   瀬崎 博義君     津川 武一君 同日  辞任         補欠選任   津川 武一君     瀬崎 博義君     ————————————— 本日の会議に付した案件  閉会中審査に関する件  科学技術振興対策に関する件      ————◇—————
  2. 岡本富夫

    岡本委員長 これより会議を開きます。  科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出があります。順次これを許します。貝沼次郎君。
  3. 貝沼次郎

    貝沼委員 きょうは、先般の一九七八年宮城沖地震の一部の問題、それから最後に、もう一点は海洋開発の問題について質疑をいたしたいと思います。  そこで、十二日に起きた一九七八年宮城沖地震、これは想像以上の惨事が出たわけでございます。そこで、当委員会といたしましても、地震予知問題につきましては何回となく議論がなされておるわけでありますが、果たしてこの地震について予知というものがどれだけの効果があったのか、この点について私は伺っておきたいと思いますが、どれだけの予知ができたのですか。気象庁からお答えを願いたい。
  4. 末広重二

    末広説明員 お答え申し上げます。  今回の地震につきましては、率直に申し上げまして私ども観測陣は残念ながら前兆現象らしきものは把握できませんでした。と申しますのは、三陸沿岸と申しますか、東北地方沖合いに発生いたします地震は、海岸から百キロとか二百キロとか大変離れた沖合いに発生する地震でございまして、むしろ私どもは直接の震害よりは津波による被害を食いとめるという方へいままで重点を置いてきたわけでございます。しかし、今回の都市構造による被害ということは、大変予期せざる被害を出しましたので、やはり今後は予知ということにも重点を置かざるを得ないと思います。したがいまして、東海地方等で展開されております常時監視体制というようなことも、将来は日本全国にだんだん及ぼしていくという方向へ検討しなければならないと思っております。
  5. 貝沼次郎

    貝沼委員 大きな地震なんですが、それが予知できなかった。これは、やはり日本予知技術の大きな問題を提起していると思うのですね。それで、宮城県沖の地震につきましては、これは東海のように頻繁ではありませんけれども、最近非常に起こっておりますね。たとえば、今年の二月二十日にもマグニチュード六・八の強いものが起こっておるし、それから今回のマグニチュード七・五ですか、ずいぶんひどい惨事が起こった。あるいはこの方面に、たとえば震源地を含む北緯三十八度から三十九・五度、あるいは東経百四十一度から百四十三度の地域、この辺は過去五十二年間の数字が出ておりましたので私は見たのでありますが、マグニチュード六以上の地震が二十六回も起こっておる。マグニチュード七以上の大地震が四回も起こっておる。中でも昭和十一年の十一月の金華山沖地震、それから昭和八年の三陸沖地震、これでは死者が三千人くらい出ておるというふうに、決してこれは全然予知がわからないということは私はおかしいのであって、これだけ重大な地域に対してむしろ手薄であったのではないか。それで、先ほどの答弁でもちらっと出ておりましたけれども東海方面と同じように全国的ないろんな計器を、たとえばひずみ計とか海底地震計とかこういったものを将来考えるということだろうと思うのですけれども、いままでのやり方の中で、私は非常にここは手薄な感じがするわけです。むしろ、行政としてここはポケットになっておったのじゃないかという感じがするわけでありますが、やはり一生懸命やったことはやったわけですか。
  6. 末広重二

    末広説明員 先ほどの御説明を若干繰り返すことになりますが、ただいま先生御引用になりました昭和八年の三陸の大地震、これは地面の揺れたことによる死傷者はゼロでございまして、三千人のとうとい犠牲というのは、これは全部津波のために生じたわけでございます。また、昭和十一年の金華山沖地震でも非住家が三棟つぶれただけで、これという被害はなかったわけでございまして、私ども行政といたしましては東北地方でこわいのは、直下型は別といたしまして、沖合いで起こる地震に対しては津波であるということで、これに対してはできるだけの措置を講じてきたわけでございまして、今回も地震が起こりまして六分前後で津波警報を発令いたしたわけでございます。しかし、昔と違いまして都市構造が大きく変革してまいりましたために、昔何でもなかったような地震でも将来は大きな被害につながるという事実は厳しく認識いたしまして、御指摘の点を十分踏まえて今後予知ということについても検討してまいりたいと思います。
  7. 貝沼次郎

    貝沼委員 言葉じりをとるようで申しわけありませんが、昔何でもなかったような地震というのは、今回のようなマグニチュード七・五とかあるいは六とかというのは何でもない種類に入っておるわけですか。
  8. 末広重二

    末広説明員 お答え申し上げます。  昭和八年あるいは昭和十一年の三陸沖の大地震金華山沖地震、これは両方とも、前者はマグニチュード八以上、後者もマグニチュード七・七であったと存じますが、何分陸地から震源地が離れておりますのが東北地方沖合い地震の特徴でございまして、地面の揺れるということに直接原因する被害はなかったわけでございます。そういう意味で、私ども津波の方に行政的な重点を置いてきたわけでございますが、今回のとうとい教訓を踏まえまして、現時点の防災に合わせるように今後考えていかなければならないと思っております。
  9. 貝沼次郎

    貝沼委員 御検討願いたいと思います。  それからもう一点は、この宮城県沖の地震の発生のメカニズムですね。これは東大の浅田先生のコメントが載っておりましたが、要するにまだそのメカニズムはほとんどわかっていないということのようでありますが、これはどうなっておるのですか。
  10. 末広重二

    末広説明員 お答え申し上げます。  浅田先生のおっしゃいましたのは、地震が起こりましてから時間がそうだっていないので検討の度合いが進んでいないという意味でおっしゃったと思いますが、きのう、きょう、鋭意データを集めて検討いたしました結果、やはり昭和十一年の地震もそれから今回の地震も、太平洋沖合いから圧力を受ける、つまりプレートに原因いたしまして陸の側がはね上がるメカニズム地震であるということがほぼ間違いないことが突きとめられましたので、さらに詳しいことは今後の調査研究にまたなければなりませんけれども、あの地帯で起こりますプレートに原因する構造性地震である、かように考えております。
  11. 貝沼次郎

    貝沼委員 それから、今回の地震の結果を踏まえて考え直さなければならない、いろいろな観測体制も将来考えるということでございますが、確かにそれは私は要求しなければならぬと思いますけれども、それに直接関係してくる問題としては、恐らく来年度からの予算要求あるいは具体的な計画、こういったものが当然出てくるだろうと思います。これについては何かこれだけはというものはお考えございますか。
  12. 園山重道

    園山政府委員 私から全般的なことをまずお答え申し上げたいと思います。  先生指摘のように、今回の地震が起きまして、私ども、内閣に置かれました地震予知推進本部事務局を預かります科学技術庁といたしましても、ますます地震予知について鋭意努力をしなければならないという感じを深くいたしておるわけでございます。  今年度予算につきましては、昨年度から二九%増の約四十九億円でございますかを計上いたしておりますけれども、たまたま来年度五十四年度からは、文部省にございます測地学審議会が第四次の五カ年計画を立てられる初年度でございまして、現在測地学審議会で全般的な地震予知計画を検討しておられるところでございまして、近々にその建議が出されると伺っておるところでございます。  御承知のように、地震予知、まだ非常に学術的面を多く含んでおりますので、行政機関、大学相協力いたしまして予知の実を上げていかなければいかぬということでございますので、文部省測地学審議会で五十四年度から始まります五カ年の計画を立てられるところでございますけれども、伺うところによりますと、その五カ年間の経費数百億円ということを頭に置いておられるというようにも伺っておりますので、その建議が近々に出されますので、これに基づきまして五十四年度の予算、各省庁、大学、協力いたしまして、できるだけ先生指摘のような危険のある地帯については予知の実が上がるように予算要求をいたしてまいりたい、このように考えております。
  13. 貝沼次郎

    貝沼委員 それで技術的な問題で先ほどちょっと申し上げたんですが、ひずみ計、それから海底地震計。ひずみ計はすでにもう東海地方を中心に設置されておると聞いておりますが、海底地震計は来月末ぐらい、これは観測でありますから、東海に敷設されようとしているらしいという記事が出ておるわけですが、この仙台方面は大体どういうことをやれば一番効果的なのか、この辺は何かお考えはございますか。
  14. 末広重二

    末広説明員 お答え申し上げます。  何分、東北太平洋沿岸沖地震震源地陸地から離れておるということが東海地区地震と大変違ったところでございまして、観測の手をやはり海の中へ伸ばしていくということが一つのポイントになろうかと思います。こういった点も含みまして、ただいま科技庁の方から御答弁のありました測地学審議会建議の中に盛り込まれつつあるというふうに伺っておりますので、私どもはこの建議を真剣に受けまして対処してまいりたいと思っております。
  15. 貝沼次郎

    貝沼委員 それじゃ、その予知の方はひとつしっかりお願いいたします。  それから次に、この地震で起こった問題で、石油タンクが亀裂を生じた、そして重油が流れ出したという問題がございます。岡山県の水島は私のところなんですけれども、かつて三菱石油重油タンクが漏れまして、そうして非常に海が汚れたわけでございます。こういったところから、コンビナートに対する防災あるいはその研究等については非常に関心を持ってきました。そしてあの後、国会におきましても、コンビナート法の制定であるとかあるいは消防法施行令の改正であるとか、いろいろ行われたわけでございます。またあのとき、全国タンクにつきましては総点検をしておるはずであります。これは消防庁がやっておるはずであります。そのときの資料も私いま持っておりますけれども、悪いものについてはすでに補修をし、そして恐らく、その後あるものについては間違いのないものだけが使われておる、こう私は判断してきたわけでありますが、今回ああいうように仙台において東北石油仙台製油所石油タンク三基が地震によって破損して重油が流れ出した。こういうことはなぜ起こったのか。要するにこの三基のタンク、あのとき点検をしたときに合格したものであったのか合格しなかったものなのか、この点についてお答え願いたい。
  16. 中川登

    中川説明員 お答えします。  あの三つのタンクにつきましては当時の検査では合格しております。
  17. 貝沼次郎

    貝沼委員 当時の検査で合格をした、それにもかかわらず今回ああいう事故が起こっておる。これは何を意味するのか。
  18. 中川登

    中川説明員 当時の検査におきましては、一応不等沈下の点だけを検査したわけでございますけれども、そのほかの問題等もあったかもわかりません。現在これにつきましてはどういう原因で起こったかということは、消防庁からも担当官を派遣いたしまして調査をいたしておるところでございますので、それが終わり次第判明すると思います。現在のところ現地の方ではどうも近寄りがたいような状況ですので、まだはっきりしたことはわかっておりません。
  19. 貝沼次郎

    貝沼委員 いや、そんなことを聞いているんじゃない。この前水島コンビナートであれだけの石油タンクが切れまして、そして瀬戸内海はずいぶん汚れたわけですね。それで、なぜこういうことが起こったのかということでずいぶん研究したわけですね。そして消防法施行令までも変えたわけでしょう。この中には耐震の問題も相当詳しく、地震の影響についても計算の仕方まで全部やっているわけですね。ですから、地震のことはそのときは考えなかったということではないと思うんですよ。どうなんでしょう。
  20. 中川登

    中川説明員 そのことにつきましては、そのために新しい基準をつくって、新しいタンクについてはその基準どおりやっているということでございますけれども、古いタンクについてはいろいろ問題がございますので、一応の検査を経たこと以上には新しい基準には従っておりません。
  21. 貝沼次郎

    貝沼委員 新しい基準をつくって、まあ古いのはそれを基準に合わすということは大変なことだからそれには従わないで、そしてさらに、わきの方を囲むとかフェンスを張るとか、いろんなことでカバーしようという、それは私はわかっているんですよ。わかっておりますけれども、少なくともこれだけの基準がなければタンクとしては危ないという判断がなされておるわけですね。しかも仙台地震の起こるところなんです。そしてそのタンク設計そのものについても、たしかマグニチュードはかなり大きなところで設計がなされておるわけでしょう。それがこの事故を起こしておるわけですね。したがって、これだけの基準がなければならぬというものをいまとりあえず使っていかなければならないならば、何も一〇〇%使わなくても、いつでも対応できる態勢にしておかなければならなかったでしょうし、それから、恐らくそういうものは当分来ないだろうという判断があると私は思うのです。ところが、現実にこれだけのものが破れて油が出ておるということは、やはりそのときの設計に問題があるし、その後の行政的な管理において非常に問題がある、こういうふうに私は思うわけでありますが、この点はいかがですか。
  22. 中川登

    中川説明員 管理につきましては、古いタンクにつきましては古い基準でやっているわけでございますけれども、そのために一応防災診断項目というものをつくったわけでございますけれども、その後で特に耐震項目というものをつくりまして、一応新しい耐震項目診断項目を定めまして、それについて現地の方を指導していきたい、こういうように考えているわけでございます。
  23. 貝沼次郎

    貝沼委員 いろいろなことをおっしゃいますけれども現実に破れたのです。これはどうなんですか。当然であったのですか、まずかったのですか、どっちですか。
  24. 中川登

    中川説明員 その点は、現地調査して、その調査の結果を見ないとわからぬと思います。
  25. 貝沼次郎

    貝沼委員 私は、どうも理解に苦しむのですけれども、要するにタンクはあったのですよ。これは政府がこれでよろしいと言ったものです。消防庁が行って検査をして、これでよろしい、それが地震があって破れた、それはどうなんですか、破れてもよかったのですか。
  26. 中川登

    中川説明員 破れることはいいことではございません。そのために一応危険物技術基準委員会というものでその点を検討している最中でございます。
  27. 貝沼次郎

    貝沼委員 ですから、それはいろいろあるでしょうけれども、要するに現実は破れておるのだ。現実はそういう事故が起こっておるのだから、政府はそれを素直に認めなければいけないのです。まずかったということを認めなければいけない。そうして、どこに問題があるかということを探し、たとえば基準の問題で問題があるなら、それも変えなければならぬでしょうし、当時の総点検においては、たとえば地盤沈下の問題について主に調べたということは、地震についてはそう調べてないことでしょうから、そうするともう一度——日本列島にはコンビナートはたくさんありまして、たくさんタンクはあるわけですから、これは石油だけじゃありません、ガスタンクだっていろいろあるし、現実に、新潟の地震のときでもあれだけの事故が起こっておるし、さらにルーマニアのコンビナートにしても火の海になったということは当然もう知っておる話でありますから、日本コンビナートにそれが起こらないという保証はないわけですね、あなたの答弁からいきますと。そうすると日本国中大変なことなんですよ。私なんか倉敷におったら、そんなことをやってたら、まくらを高くして眠られぬ。したがって、国民に対して、今後そういうことは一切ありませんという安心を与えるようなことは、政府としては何をなさるのですか。
  28. 中川登

    中川説明員 一応基準を見直しまして、そうして悪いところは直していくというふうにやりたいと思います。
  29. 貝沼次郎

    貝沼委員 それは仙台タンクについての話でしょう。いま切れてはおらないが、あなたの言うように、前の基準でできておるものがたくさんあるわけでしょう。ことに高度成長期にできたものが多いわけでありますから、したがって、それ自体にもう一度地震の目から判断を下さないといかぬのじゃありませんか。そういう意味で、もう一回調べる、総点検するという考えはありませんか。
  30. 中川登

    中川説明員 新しく基準を調べまして、悪いところがあればやり直しをするというふうに考えております。
  31. 貝沼次郎

    貝沼委員 どうも話か合わないのだけれども、悪いところがあればというのは、油が漏ったらということですね。
  32. 中川登

    中川説明員 そういうことではございませんで、理由を調べまして、どういう理由かわかりましたならば、そういうふうな同じような欠陥があるものについては、その点はやり直しするということであります。
  33. 貝沼次郎

    貝沼委員 地震についての耐震立場からの総点検政府はしておらないわけでしょう。それをどうして判断されるのです。
  34. 中川登

    中川説明員 もう一度、基準委員会の方において、耐震的にどういうふうにやるかということを調べまして、そうしてその基準に合わない分を順次やりたいと思います。
  35. 貝沼次郎

    貝沼委員 そうじゃなしに、五十二年二月に、すでに耐震についての政令がこまごまと定められておるわけでしょう。ところが、この法律の目からいまあるコンビナートタンクについては、政府としては点検はしておらないわけでしょう。なぜ、まずこれでやろうとしないのですか。それで見て、今度はこれは問題がありそうだというものについての対策を立てなければならぬわけでしょう。すでにこれはもう大丈夫だというものは、大丈夫という判断を下し、そして国民安心を与えなければなりません。どうなのかわかりません、何か問題があったらやります。そういうのんきなことを言っていては困ると思うのですよ。
  36. 中川登

    中川説明員 その点につきましては、各事業において点検をしてもらって、そして悪いところはやり直してもらうというふうなことになると思います。
  37. 貝沼次郎

    貝沼委員 どうも話が進まなくてぐあいが悪いのだけれども事業所点検してもらうというのは何ですか。
  38. 中川登

    中川説明員 こちらの方で調べますけれども
  39. 貝沼次郎

    貝沼委員 事業所点検するということは、自分で点検させるということでしょう。そうではなしに、やはりこれは国の手で点検しなければだめですよ。その辺の姿勢消防庁がしっかりしていかないと、こういう事故はまだまだ起きますよ。私は、今後もうこういう問題は起こしてはならないという立場から、よければよいでいいわけですから、点検をやりなさい、こういうふうに言っておるわけです。してはいけない理由があるのですか。
  40. 中川登

    中川説明員 いけないということはございません。
  41. 貝沼次郎

    貝沼委員 それじゃ点検されるのですか。
  42. 中川登

    中川説明員 順に点検していきたいと思います。全部一度にやるわけにいきませんので、必要なところからやっていきたいと思います。
  43. 貝沼次郎

    貝沼委員 非常にむずかしい日本語で、私、よくわかりませんけれども、順にということは、一つやって、三年待ってまた一つやっても順なんですね。それから、一生懸命やっていっても順なんです。だから、そういうあいまいな言葉ではなしに、とにかく全部当たります。ただ、制限があることですから一遍にはできないけれども、全部早急に当たりたい、そういう姿勢くらいは見せなければまずいのじゃありませんか。どうですか。
  44. 中川登

    中川説明員 そのとおりでございます。
  45. 貝沼次郎

    貝沼委員 ここでつけ加えておきたいのは、いまは石油タンクについて私は申し上げたわけでありますが、タンク石油だけでなく、ガスその他いろいろあるわけであります。したがって、そういうようなほかのものに至るまで、要するに、危険物の規制に関する政令で定められておるようなものについて点検をしていただきたい、そうして国民安心を与えていただきたい、こういうふうに私は、コンビナートのところに住む者の一人として特に要望したいと思いますが、いかがでしょう。
  46. 中川登

    中川説明員 そのとおりいたします。
  47. 貝沼次郎

    貝沼委員 くどいようだけれども、もう一点。今度は安全基準の問題でお尋ねしておきたいと思いますが、五十二年二月に改正された政令に載っておるものの方法でいったならば、今回のような日本に起こるような地震については大丈夫という確証は得られておるわけですか。
  48. 中川登

    中川説明員 確証ではございませんけれども、おおむね大丈夫であるということになっております。
  49. 貝沼次郎

    貝沼委員 おおむね大丈夫ならば、もし事故が起こったら責任はどこにあるのですか。
  50. 中川登

    中川説明員 その事故のために二次、三次の対策考えているわけでございます。
  51. 貝沼次郎

    貝沼委員 いや、責任を聞いているのです。消防庁検査して、これはよろしいですよ、ところが、それが事故が起こった、それはだれの責任になるのかということを聞いておるのです。
  52. 中川登

    中川説明員 お答えいたします。  被害想定といいますものは、絶対大丈夫というふうなものはできないようになっておるわけでございます。そのために二次、三次の防護対策を立てるということが原則でございます。二次、三次の防護対策を立てるということになっております。
  53. 貝沼次郎

    貝沼委員 それはわかるんですけれども、それはそうなんですよ、そうなんだけれども、これは大丈夫だと言うから安心して使うわけでしょう、何とか石油さんは。ところが、地震が来てぽかっと穴があいた。そのときに、民間に対しておまえの管理が悪いからだ、こういうふうにいくのか、いや、検査するときに落ち度があったという判断に立つのか、どっちの方になるのでしょうね、こう聞いておるわけです。
  54. 中川登

    中川説明員 地震対策を立てる場合に、一応地震の大きさの想定をいたしまして、それ以上の大きさになった場合につきましては、そこまでのことは考えていないということでございます。
  55. 貝沼次郎

    貝沼委員 あなたの答弁を聞いていると、私は実際ようわかりません。それは事故が起こると想定してやったらおかしいんですよ。だけれども、土手を築き、フェンスを張るようにしておるということは、あり得るということを考えてやっているんですよ。だから破れることはあり得るし、それから前の基準でつくったものは仙台と同じようにこれからあり得るのですよ。だから、あり得ても仕方がないというふうに言う理屈だっていまは成り立つのです。だけれども、そのときに、これから新しい基準でいった場合には、検査する方が責任を持って、大丈夫だ、こういうふうに言うのか、それとも、それでもなお地震事故が起こった場合は、それを持っておる会社の責任ですよ、こういうふうにおっしゃるのか、どっちなんですかということを聞いているわけです。
  56. 中川登

    中川説明員 検査の方にはそれ以上の責任はないというふうに考えております。
  57. 貝沼次郎

    貝沼委員 要するに、じゃ検査検査だけやってくる、それで後、何が起こってももうこっちの責任じゃありませんということですね。おかしな検査だと私は思うのですが、検査というのはやはり責任を持ってやってもらわないと、検査を受ける意味がないのです。どうもその辺おかしいですよ。どうなんですか。
  58. 中川登

    中川説明員 検査の場合は検査基準の分までは大丈夫だ、こういうふうにするわけでございます。
  59. 貝沼次郎

    貝沼委員 もうやめますわ。だから、基準のところまで責任を持つのだから、基準に問題はないかということも検討してくれと私は言いたいのです。基準自体に問題はないのか、こう言いたいのですが、ここは見直す考えはありませんか。
  60. 中川登

    中川説明員 基準を立てる場合に一応地震の想定をいたしますけれども、その地震想定につきましてはある程度までしかできないということでございます。被害の想定の範囲が決まっておるということでございます。その想定を超えたような場合については検査いたしましてもその責任を負えないということになります。
  61. 貝沼次郎

    貝沼委員 要するに、私は、そういう行政のあり方は非常に頼りないという感じをいま受けました。これでは国民は、消防庁検査してくれたんだからもう大丈夫だろう、うちの近くにはタンクがあるけれども、この間消防庁が来てやっていったから、検査して大丈夫だと言ったから、恐らく大丈夫だろうと安心できないと言うんですね。消防庁検査した以外のことがあれば何が起こるかわからぬ、これでは国民安心できません。その点はひとつ慎重に検討していただきたいと思います。  それから、時間がありませんから、次の問題、海洋開発です。あと五分ぐらいしかありませんのでまとめて言いますから。  それで、これは最後に政治的な判断が必要になってまいりますので、委員長にお願いしておきたいと思いますが、大臣が入ってこられたときに、大臣から一言だけこの結論についての答弁をいただきたいと私は思っておりますので、よろしくお願いします。
  62. 岡本富夫

    岡本委員長 承知しました。
  63. 貝沼次郎

    貝沼委員 海洋開発日本の国は海洋国でありますから、これは当然力が入らなければなりません。特に国土は狭いし、それから陸上の生物だとかあるいは鉱物資源に乏しいわが国にとっては、食糧資源、エネルギー資源、あるいは産業用及び生活用空間の拡大、このために海洋開発が非常に重要になってくるわけでありますが、それにもかかわらず、現在、日本海洋開発は各省にまたがってばらばらにあるわけですね。ばらばらというのは非常に言葉が悪いんですけれども、非常に分かれております。そこで、日本海洋開発の方向というのはどっちの方向にいくのか、どこに一番方が入り優先順位というのはどうなっておるのか、この辺のところが非常につかみにくいのですね。  そこで、私は、諸外国の状況はどうなっておるかということを聞けばよろしいのですけれども、時間がありませんから調べてみました。そうすると、たとえばアメリカあたりは、海洋大気局NOAAそれから環境保護庁EPAとか、きちっと一うあるわけですね。それからさらにフランスにおいても国立海洋開発センターとか、あるいはそれのもとにいろいろとつくられておるようであります。それからイギリスにおいても海洋技術協議会というのがありまして、その下にいろいろな機構がつくられておる。あるいはカナダにおいてもカナダ海洋学委員会ですか、こういうのがあって、その下にいろいろある。ソ連の場合は、これはちょっと違いますけれども、ゴスプランでやっておるというぐあいに、各国とも一つのまとまったものを持ってやっておるようであります。  ところが、日本の場合は、海洋開発というのは非常にあちこちにあるわけですね。やっておることは一つ一つりっぱなことをやっておるのですけれども、まとまりの点において欠けておるんじゃないか。役所を統合せよと言うとまたこれややこしい問題になりますから、そこまで私は言いませんけれども、少なくとも海洋開発を進めていく上においてたとえば海洋開発基本法、こういうような法律をつくって、そしてまとまった形で海洋開発が進められていくという方法をとらなければならないのじゃないか、こういうふうに思っておるわけであります。これを主張したいわけでありますけれども、いま大臣おりませんが、どなたか答えられる方いらっしゃいますか。
  64. 園山重道

    園山政府委員 お答えいたします。  先生指摘のように、日本にとって海洋開発は大変重要なことであると私どもも認識いたしております。それで、現在海洋開発につきましては、各省庁、御指摘のようにいろいろ関与いたしておりますので、日本海洋開発の方向を審議いたしますために、総理の諮問機関といたしまして海洋開発審議会というのが設けられておりまして、私ども科学技術庁がその事務局を務めております。これは、今日言われます海洋開発というものが先生指摘のように、海洋のエネルギー、資源、スペースというものをより人類に有効に活用するということで、そのために新たな海洋開発技術を適用していくという観点から、私ども科学技術庁にその事務局がゆだねられているものと思われます。したがいまして、私ども科学技術庁でございますけれども、この海洋開発審議会は、単に科学技術の問題だけではなくて、先生指摘の体制の問題、あるいは法体系の問題も含めまして審議をする場でございまして、先般、新しい諮問といたしまして、長期的展望に立つ海洋開発の基本構想とその推進方策という諮問が出されました。来年の夏を目標といたしまして、鋭意審議が進められているところでございます。  先生指摘のように、基本法という問題もございますけれども、この新たな海洋開発というものは、先ほど申し上げましたように、新たな科学技術の適用ということでございますが、御承知のように、従来からの水産海運その他を含めまして、非常に多くの分野が関与いたしておりますので、これにどのような体制、どのような法体系というものが適当であるかということには、十分慎重な審議が必要かと思われます。御承知のような国際的な海洋法会議もまだ決着をいたしておりませんが、これらの動向を見ながら、この海洋開発審議会で鋭意御検討を願っておるところでございますので、私どもといたしましては、その海洋開発審議会の御結論を待って、政府としてのあるべき施策をとってまいりたい、このように考えておるところでございます。
  65. 貝沼次郎

    貝沼委員 最後に、一言だけ伺っておきたいと思います。  この審議会の結論はいつごろ出る見通しでございますか。
  66. 園山重道

    園山政府委員 来年の七月ないし八月に答申をいただく目標で、いま御審議を願っておるところでございます。
  67. 貝沼次郎

    貝沼委員 終わります。
  68. 岡本富夫

    岡本委員長 次に、小宮武喜君。
  69. 小宮山重四郎

    ○小宮委員 私は、原子力船「むつ」の問題で若干質問したいと思います。  政府の再度にわたる原子力船「むつ」の佐世保港修理要請を受けて、長崎県、佐世保市とも、それぞれ臨時県議会、市議会を開いて、受け入れ賛成の議決をいたしたわけでございますけれども、正式回答は、漁連とかあるいは被爆者団体の理解と協力を求めた上で回答するということが言われておりますけれども、正式の回答の時期はいつごろになると思っておりますか。
  70. 山野正登

    ○山野政府委員 先般、県議会におかれまして、いわゆる核封印方式による総点検、遮蔽改修についての受け入れの議決をいただいたわけでございますが、その報告に上京されました久保知事並びに副知事初め事務当局の方々と懇談しましたときに得ました感触では、地元とされましても、お説のとおり、できるだけ漁業者団体あるいは被爆者団体等、幅広い御理解を得た上で、もし可能であれば今月中にも回答したいといったふうな御意向であったやに考えております。私どもも、できるだけ早く御回答をいただくように、重ねてお願いした次第でございます。
  71. 小宮山重四郎

    ○小宮委員 回答の時期の見通しについては、科学技術庁としては、まだ把握していないということですか。  それから核封印方式の修理の問題でございますけれども政府の総点検・改修技術検討委員会、いわゆる安藤委員会ですか、ここでは安全に改修できるという結論を出しておりますが、原子炉を封印して原子炉の制御棒を動かさない場合、果たして原子炉内部の点検が完全に行われるのかという、これは素人でございますが、ちょっと疑問があるわけです。こういう核封印方式で修理、点検をやるとした場合に、当初原子炉の上ぶたを外して修理をする場合と同様の修理、点検の目的を達成し得るのかどうかという疑問がありますが、その点いかがですか。
  72. 山野正登

    ○山野政府委員 いわゆる核封印方式によりまして、遮蔽の改修と機器の総点検が当初予定したとおり全部できるかどうかという御質問だと存じますが、現地で言っておられます核封印方式なるものの実体と申しますのは、一つは、圧力容器の上ぶたを撤去しないで総点検、改修を行うということ、二つ目には、回航に先立ちまして、長崎県知事に対し、原子炉運転のために設けられております運転モードスイッチのかぎと制御棒駆動盤のかぎを引き渡しまして、必要なときに事業団が県知事の了解を得てこれを借り受けて使用する、そういうふうな形をいわゆる核封印方式と呼んでおるわけでございます。  そのような条件で果たして所期の遮蔽改修、総点検の目的を達成し得るかどうかという点につきましては、「むつ」の総点検・改修技術検討委員会、いわゆる安藤委員会に諮りまして御検討願ったわけでございますが、まず遮蔽の改修ができるかどうかという点につきましては、圧力容器の上ぶたをとらないで作業をいたしますために、作業性は若干低下するわけでございますが、しかし遮蔽改修という目的は達成し得るという結論をいただいております。  それから、制御棒駆動軸の点検が可能かどうかということでございますけれども、これにつきましても、通常は、県知事が先ほど申し上げましたかぎを管理、保管しておられるわけでございますが、必要な際には、事業団が県知事の方に要請しまして、県知事の判断のもとにこれを借り受けまして、所要の制御棒駆動試験を行うということでございますので、これにつきましても行い得るというふうに考えておるわけでございます。したがいまして、いわゆる核封印方式によりまして当初予定いたしました遮蔽の改修と総点検というものは、全項目行い得るというふうに考えております。
  73. 小宮山重四郎

    ○小宮委員 遮蔽改修の問題は、核封印方式でやり得たとしても、いま言われておるように、やはり内部に圧力容器はあるし、そして二基の蒸気発生器があるし、加圧器室などがあって非常に狭いので行動が制約されるわけですね。したがって、作業する人員もやはり制約を受けるし、そういう意味では仕事がやりにくいということはよくわかります。しかし、いま言われておるように、制御棒の駆動実験など原子炉の安全総点検ということになるとちょっとむずかしいのではないかと考えるわけです。  そこで大臣が、参議院の決算委員会でありましたか、必要な場合は知事からかぎを返してもらうんだということを言われておるわけですね。そうすれば、改修は終わったとしても一総点検をする場合はやはり知事からキーを返してもらって、そこで点検をやるということになるわけですか。
  74. 山野正登

    ○山野政府委員 総点検のうち制御棒駆動機構の試験の実施につきましては、先生指摘のように、長崎県知事の了解を取って、その管理保管しておるかぎをもらいまして、これを使って駆動機構試験をするということになります。
  75. 小宮山重四郎

    ○小宮委員 長崎県議会での知事の答弁の中には、そういう問題もいろいろ質問が出て、知事としては、それはもう工事や総点検がみんな終わってからでなければ返さぬのだというような意味のことも言っているわけです。したがって私は、そういうような意味では完全に総点検がやれるのだろうかという心配もしておるわけですけれども、それはまた後でいろいろ触れます。  そういうふうに非常に狭いところでやるので、核封印方式での修理期間はもともと大体三年間の予定でございましたが、三年で済むのかどうか、もっと、やはり三年以上かかるのじゃないかと考えるのですが、どうでしょうか。
  76. 山野正登

    ○山野政府委員 従来修理期間が約三年と申し上げておりますのは、回航いたしました後安全審査を受け、詳細設計をして修理工事を行う、この全期間を大体三年程度というふうに見ておるわけでございます。  この期間に行います作業の一つに、圧力容器上ぶた上部の遮蔽改修という工事があるわけでございますが、この圧力容器上蓋上部の遮蔽の改修自体は、確かに作業性が低下しますので若干修理期間は延びるのでございますけれども、全体の遮蔽の改修と総点検というものの中に組み込まれておりまして、部分的にその作業だけが三カ月延びるということでございまして、これが全体に影響を及ぼして、全体の工事期間三年間がさらに延びるという性格のものではない、つまり当初予定しました全所要期間三年間のうちには十分に終了し得る作業であると考えております。
  77. 小宮山重四郎

    ○小宮委員 だから当初の計画と今度は変わったわけですから、その意味でやはり核封印方式による改修計画というものを早期に明示すべきではないか、こういうように考えます。いままでの修理、点検の要領でそのままやれるかどうかということになると、若干変わってくるのではないか、こういうように考えますので、そうであれば、やはり今度の核封印方式の場合の改修計画を早急に明らかにすべきではないか、こういうふうに考えますが、どうでしょうか。
  78. 山野正登

    ○山野政府委員 御指摘のとおりでございまして、いまの修理の手順と申しますのは二つあろうかと思いますが、一つは小さくミクロに見まして、圧力容器の上ぶた上部の遮蔽改修というものを、従来考えておりましたように上ぶたを取って作業をするということではなくて、上ぶたをしたままで作業するというふうに変えたわけでございますので、その作業手順というものは従来考えていたものとは変わるわけでございますから、この点はもちろん十二分に詰めます。  それからいま一つは、総点検の一環としての制御棒駆動機構の試験でございますが、これも現地の知事にもいろいろ御意見があろうかと思いますので、全体の総点検の中でどの時期にこれを行うかといったふうなことも今後詰めてまいりたいと考えております。
  79. 小宮山重四郎

    ○小宮委員 先ほどちょっと触れましたけれども、大臣は、修理期間中に必要とあれば、修理の途中でも原子炉運転のモードスイッチのかぎと制御棒駆動盤のかぎを県から返してもらえることもあり得るという発言をされたということをわれわれは聞いておるわけですが、この問題は、今後政府と長崎県なりあるいは佐世保市との間に、修理、点検に関する協定書をどうせ結ぶわけでしょうから、その結ぶ場合にはこの問題も協定書の中に含まれるかどうか、その点いかがですか。
  80. 山野正登

    ○山野政府委員 地元とどういう当事者がどのような内容の協定を取り交わすことになるかという問題につきましては、これは長崎県知事と佐世保市長から、政府の再要請を受け入れるという御回答をいただきました後、地元関係者と至急協議して詰めてまいりたいと考えておる問題でございまして、現在の時点ではまだ協定の中身といったふうなものを具体的に詰めておりませんので、お説のようなものがこの中に入ることになるかどうか、これはまだ疑問でございます。
  81. 小宮山重四郎

    ○小宮委員 協定書は大体いつごろ締結するというように考えておられるのですか。協定書にしてもやはり一つのタイミングがございますから、協定書をはっきりした上で入港という問題も出てまいりましょうし、そういう意味では長崎県なり佐世保市もいろいろ考えてはおられるでしょうけれども、やはりいつごろまでに協定書を結びたいと政府考えておるのか、その点いかがですか。
  82. 山野正登

    ○山野政府委員 地元からの御回答があり次第、先ほども申し上げましたように、その後の作業というのは円滑に進めたいと考えておりますので、地元の受諾の御回答があり次第至急作業に入りまして、できるだけ短期間のうちにまとめ上げたいと考えております。
  83. 小宮山重四郎

    ○小宮委員 特に今回の佐世保修理受け入れの中でも漁民の方々が一番心配したのは、やはり「むつ」が修理後もそのまま佐世保市にとどまって、ずるずると母港化されるのではないかということが非常に大きいわけですけれども、佐世保港を母港化しないという確約はできますか。
  84. 山野正登

    ○山野政府委員 ただいま佐世保港に協力をお願いいたしておりますのは、同地におきまして修理をするためということでございまして、母港問題につきましては、この修理港問題が決着を見次第、至急に母港選定作業に入りたいと考えておるわけでございまして、ただいま長崎県と佐世保市にお願いしておるのは、あくまでも母港問題と切り離した修理港についての協力要請であるというふうに割り切っておるところでございまして、この点は先生も十分に御承知いただいておることだと考えております。  今後の作業としまして、母港選定の際に特定の地域を名指しで、どの地点は候補に入る、どの地点は候補に入らないといったふうな表現というのは、大変微妙な問題でもございますので、そういう意味で最後の点につきましては、いまのところは御答弁を御了解いただきたいというふうに考えております。
  85. 小宮山重四郎

    ○小宮委員 母港という定義ですけれども、母港というのはあくまで定係港ということに政府考えておるわけですか。
  86. 山野正登

    ○山野政府委員 通常母港と申しております際は、附帯陸上施設が設置されて、燃料交換等所要の作業を行い得、かり「むつ」についての維持管理業務等も行うような港といったふうなことで考えておるわけでございまして、法律上の定義があるわけではございません。
  87. 小宮山重四郎

    ○小宮委員 この母港問題について、大臣はたしか六月二日の参議院の科学技術特別委員会で、久保長崎県知事から佐世保港修理受諾の回答があり次第直ちに母港選定に着手し、来春までには決定したいという考えを明らかにしているわけですね。したがって、いま一部科学技術庁の中では三年間の修理が終わるまでに母港を選定すればよろしいというような考え方もあるようですけれども、大臣はもう来年の春までには母港を選定したいというような答弁をされておるようですが、これは事実ですか。
  88. 山野正登

    ○山野政府委員 私ども、母港選定作業というのは、できるだけ早く進めたいと考えておりまして、修理期間の三年間のうちに決まりさえすればそれでいいというふうに考えておるわけではございませんので、来春までに決めることを確約できるかどうか、これは別問題といたしまして、修理港決着し次第なるべく早く決めたいというふうに考えております。
  89. 小宮山重四郎

    ○小宮委員 やはりなかなか母港問題も、そう考えるように簡単にはいきませんから、その意味では早くから選定作業に入るというのは私は必要だと思います。その場合に、ちらほらいろいろ新聞報道の中にも出ておるわけですが、母港の場合はこれは複数を考えておるのですか、その点いかがですか。
  90. 山野正登

    ○山野政府委員 母港の複数論と申しますのは、これは原子力船「むつ」だけ一隻を考えました場合には、必ずしも母港が複数でなければ「むつ」の支援ができないということではないと考えておりますが、やがて来るべき原子力船の実用化時代というものを考えますと、国内に原子力船の母港というものが複数あってもよいというのは当然言えることでございまして、そういう長期的な見通しにおきまして母港複数論というのはあり得ると私ども考えておるわけでございます。くどいようでございますが、「むつ」のために二つ以上なければならないという趣旨ではなくて、あくまでもそういう将来を展望しました上での考え方ということでございます。
  91. 小宮山重四郎

    ○小宮委員 佐世保の場合、今回の修理、点検ですか、今後も修理、点検は佐世保港で行うというふうに考えておられるのか、佐世保港の修理、点検は今回限りなのか、今後もその「むつ」の修理、点検は佐世保で行うというように考えておられるのか、その点、ひとつわかっておれば御参考までにお聞きしたい。
  92. 山野正登

    ○山野政府委員 今後の運びというものを考えました場合に、佐世保港で所要の修理、総点検を行いました後は、新しく決められます定係港に参りまして出力上昇試験以降の開発業務というものを進めていこうというふうに考えておるわけでございますが、そういう新しい定係港に移動しまして以降の開発段階において再度手直しが必要であるといった事態が起こった場合には、その内容によりましては洋上で修理し得るものもあるかもしれませんし、あるいはものによりましては新しい定係港に帰って修理が可能のものもあるかもしれません。また、場合によってはしかるべき修理港において、造船所の施設等のある修理港において修理をする必要があるといったふうな場合もあるかもしれませんが、一番最後のような場合には、改めてその時点でどこの港にお願いするかということを決めようというふうに考えておるわけでございます。現時点で考えておりますのは、あくまでもただいま予定いたしております遮蔽の改修と総点検を行うための港として佐世保港に協力をお願いしておるということだけでございまして、それ以上のことについては現在何事も決めてもおりませんし、お願いいたしてもおりません。
  93. 小宮山重四郎

    ○小宮委員 ただいまの話によれば、一応改修、総点検をやって出力上昇試験は母港でやる、そこで、将来問題があった場合には、また佐世保に再要請して修理をしたいという話のようですが、私が言っておるのは、今回の改修、総点検に関連しての限定された問題じゃなくて、今後原子力船「むつ」としてやはりこれは四年に一回は定期検査だとかあるいは二年に一回は中間検査、いろいろあるわけですから、そういう場合に、やはり佐世保港を利用するのか、その都度そういう設備があるところに一回一回変わっていくのか、佐世保は「むつ」の修理港として将来どういうふうに利用するかは別としても、修理をする場合は佐世保で修理するのだというふうにはまだ決めていないということですか。それで、その場合もまた再要請するということですか。
  94. 山野正登

    ○山野政府委員 将来の修理という場合に、定期的な点検とそれから不測の事態が起こりましたときの修理と二通りあろうかと思いますが、このいずれの場合につきましても、現在まだ特定の港というものを考えておるわけではございませんで、これは今後の課題だと思っております。また、一つの港を特定してその場所だけを利用するようにするのか、あるいはトラブル等の発生した場所に応じてその都度適当な港にお願いをすることにするのか、これも今後の課題というふうに考えておりまして、ただいま何も決めておりません。
  95. 小宮山重四郎

    ○小宮委員 それから、「むつ」の総点検、改修費は一体どれくらいになるのか。よく新聞報道では三十億とか四十億とか言われておりますけれども、われわれも実際に公式にはまだ聞いたことがございませんが、大体改修費は一体どれくらい見込んでおるのか。また、今度核封印方式になれば、その分だけ期間も長くなれば修理費もかさむというふうに考えますけれども、見当でもいいですから大体どれくらいと見込んでおりますか。
  96. 山野正登

    ○山野政府委員 先ほども説明申し上げましたように、今後の修理と申しますのは、回航いたしました後規制法上の諸手続を済ませ、その上で具体的な修理の工事に入るわけでございまして、時期としましては早くとも五十四年度以降でございます。そこで、来年度の予算には所要の金額を計上する必要があるわけでございますので、ただいま事業団において鋭意積算の作業を進めておるところでございますが、まだ、いまの時点では数字を申し上げ得る段階になっておりませんので、いましばらくお待ちをいただきたいと思います。
  97. 小宮山重四郎

    ○小宮委員 確かにいま言われておるように、五十四年度からは本格的な点検、修理、改修作業に入るわけですから、その意味で私が言いたいのは、いわゆる五十四年度の予算編成の大綱の概算要求は各省大体八月ごろやるわけでしょう。したがって、概算要求時期に間に合うのかどうか。局長も大体知ってはおるでしょうけれども、なかなか言いにくいものだからそういう答弁をされるのだと思いますが、それは概算要求には間に合うというふうに考えていいですね。
  98. 山野正登

    ○山野政府委員 五十四年度の概算要求時点にはぜひ間に合わせたいと考えております。
  99. 小宮山重四郎

    ○小宮委員 長崎県から正式に受諾回答があってからの佐世保入港までの手順をひとつ説明願いたい。
  100. 山野正登

    ○山野政府委員 長崎県知事と佐世保市長から再要請につきまして受諾の回答をいただきました後は、規制法上の手続あるいは回航上の手続等を至急に進めたいと考えておるわけでございますが、具体的には規制法三十六条に基づきます入港届というのがあるわけでございます。これは大湊港におきまして臨時航行検査のための出入港というのがあるわけでございますが、そのためとか、あるいは佐世保に回航いたしますための入港といったふうなことがございますので、これらにつきまして入港届というものを事業団から総理大臣に提出をする必要がございます。  さらに、佐世保港に回航いたしますために、船舶安全法に基づく臨時航行検査というのを受ける必要があるわけでございまして、これも回航に先立ちまして運輸省の検査を受けようと考えております。  さらに、佐世保港に回航いたしました後、原子炉設置の変更許可の申請といったふうなものも必要でございますので、これらにつきましても所要の時期に所要の申請を行って、規制当局の審査を受けたいというふうに考えております。
  101. 小宮山重四郎

    ○小宮委員 それらの手順を経て実際に佐世保港に入港する時期はいつごろになるのか、いろいろマスコミ等で九月とかなんとか報道されておるようですが、政府もこういう公式の場で質問するとなかなか口がかたくて、案外そうでないところでは九月ごろだとかいろいろな話をされておるようですけれども、公式の場で大体いつごろになるくらいは言っていただかぬと、やはりわれわれも県民の代表として質問しておるわけだから、その点ひとつ明確に、何月何日ということは言えなくても、大体いつごろぐらいかは言っていいのではないですか。
  102. 山野正登

    ○山野政府委員 先ほど申し上げましたようないろいろな手続というものを全部済ませますのに、大体二カ月ないし三カ月という期間が必要かと考えておりますので、長崎県知事と佐世保市長から受諾するという御回答をいただきまして、少なくともその程度の期間が手続だけでも必要であるということでございます。したがって、地元の御回答がいつになるかによって何月になるかという計算ができるわけでございますが、受諾の御回答を起点にいたしまして二カ月ないし三カ月ということであろうかと考えております。
  103. 小宮山重四郎

    ○小宮委員 また、「むつ」の佐世保入港に当たって一番心配されておるのは、かつてアメリカの原子力潜水艦が寄港した際、魚価が暴落して漁業者が泣いたという経験がございます。それだけにまた同じような事態が発生するのではないかというような心配も大きいわけですが、そうした魚価が低落したとか暴落した場合の漁業補償措置についてはどういうふうに考えておるのか。これはひょっとしたら水産庁を呼んだ方がよかったかもしれませんが、しかし、科学技術庁としても大体の答弁はできるでしょう。
  104. 山野正登

    ○山野政府委員 風評等によります魚価の低落について何らかの対策を講じてほしいという御要望は、県並びに佐世保市当局から私どもに参っておりますので、現在どのようなメカニズムでどの程度の対策が必要かということを私ども検討を始めておるところでございます。これは、地元の方から再要請を受け入れましょうという返事がありますと、至急に先方も交えて具体的な最終の詰めに入ろうと考えておるわけでございまして、その際は、先生がおっしゃいますように、関係の省庁ともよく相談をしながら詰めていきたいというふうに考えております。
  105. 小宮山重四郎

    ○小宮委員 これは、いろいろマスコミあたりでも具体的に金額まで出ておるような記事があるわけですけれども、それもいまの場合にはっきり最終的な決定がなされたわけではないので、なかなか言いにくいことと思いますが、こういった漁業補償の問題についても、どういう形にするかは別として、やはり誠意をもって取り組んでもらいたいと思う。  それからもう一つ。たとえば修理、点検を終わるまでに母港も決めると言っておるわけだから、その意味では、母港も決まった、修理、点検も終わったとした場合に、原子力船「むつ」は母港にそのまままた係留しておくのか、あるいは今後原子力船「むつ」をどういうふうに活用するかということを当然考えておかなければ、たとえ「むつ」を修理しても、それを何に使うのかということになるとまだ明らかになされておりませんので、何のために「むつ」を修理するのかという声すらも素朴な声としてあるのですよ。だからそういう意味で、「むつ」の修理、点検を終わって、母港も決まったら何に使うのか、この際ですから、その点の何かお考えでもあればお聞かせ願いたい。
  106. 山野正登

    ○山野政府委員 「むつ」の修理が終了いたしました後の開発の進め方ということにつきましては、すでに政府としましては方針を決定いたしておりまして、修理が終了した暁には新しい定係港に回航しまして、その新しい定係港におきまして出力上昇試験を行い、かつまた海上の試運転も行う予定にしておりまして、大体これに一年間程度は必要かと考えております。この海上試運転を終了いたしました後、実験航海を予定をいたしておりまして、まず当初三年間の実験航海におきましては、操船に熟達するための航海、それから諸規制あるいは安全性の確認のための航海、さらに出入港の経験を得るための航海といったようなことを考えております。  当初三年間の実験航海が済みました後、さらに引き続き二年間の第二次の航海も予定いたしておりまして、この実験航海におきましては、信頼性の確認とか安全基準策定のためのデータの蓄積を図るといったふうなことを行いますとともに、原子炉関連機器の安全性の研究に資するための各種の試験といったふうなものも同時に行いたいと考えております。この合計五年間の実験航海を終了しました後は、「むつ」の開発の成果を総合的に取りまとめることを予定いたしておりまして、大体これに一年間を考えております。これが済みました後は、「むつ」は大体開発の目的というものは達成し得たと考えるわけでございまして、その後の「むつ」の措置につきましてはその時点で考えたいというふうに考えております。
  107. 小宮山重四郎

    ○小宮委員 この問題について科学技術庁と運輸省、日本原子力船開発事業団で構成する何か原子力船長期ビジョン検討会というものが設けられて、原子力船「むつ」を海洋観測船として活用するとか、あるいは原子力船事業団を原子力船研究所に改組して、移動原子力発電所としての機能を持つ新型原子力船を開発することなどを骨子とした、何か報告書が科学技術庁に提出されるとかされたとか、こういう話を聞くわけですが、これは事実ですか。
  108. 山野正登

    ○山野政府委員 科学技術庁の内部に原子力船の長期ビジョン検討会といったふうなものはございませんで、恐らく当庁の内部におきまして職員が、事業団の職員並びに運輸省の職員を交えましていろいろ勉強会、検討会を開いておるようでございますが、それを仮に長期ビジョン検討会といったふうな名前で呼んでおるのではないかというふうに推察するわけでございます。したがいまして、その勉強会の過程で、いま御指摘のようないろいろな話題は出たかもしれませんが、それは科学技術庁として何らそういうふうな方針を決めたものでもございませんし、また、いずれそういったようなものを内容とする報告書が出るといったふうなものでもないというふうに考えております。
  109. 小宮山重四郎

    ○小宮委員 時間も来たようですから、最後に、現行の原子力船開発事業団法は昭和五十五年十一月末までになっておるわけですが、この法案を上げる際、与野党とも基本的に合意を見ていた原子力船研究所法案というのはいつごろ国会に提出するのか、事業団法が切れるまでにこの研究所法案を出すのか、その辺の研究所法案提出の時期等について、また、これを出す意思があるかどうかということも含めてお聞きしておきたいと思います。
  110. 山野正登

    ○山野政府委員 原子力船の研究所、厳密にはいまの事業団を研究開発機関に移行するために必要な法案につきましては、先般の本院における御審議の経過等も私ども十分に踏まえて、ただいまその準備作業を進めておるところでございまして、いまの時点で確約はいたしかねますが、私どもの目標としましては、次の通常国会にも提出し得るようにといったふうな気持ちで現在種々の準備を進めておるということでございます。
  111. 小宮山重四郎

    ○小宮委員 質問を終わります。
  112. 岡本富夫

    岡本委員長 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時五十四分休憩      ————◇—————     午後一時七分開議
  113. 岡本富夫

    岡本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。貝沼次郎君。
  114. 貝沼次郎

    貝沼委員 午前中に海洋開発につきまして質問をしたわけでありますが、ちょうど大臣御不在でありましたので、大臣からの答弁のみ保留してございます。大臣からの率直な見解を承りたいと思います。
  115. 熊谷太三郎

    ○熊谷国務大臣 どうも失礼いたしました。  海洋開発につきましての先生のお尋ねは、今後海洋基本法の制定といったものが必要になってくるのではないかと思うが、科学技術庁としての所見はどうかというようなお尋ねかと思いますが、それてよろしゅうきいましょうか。——これにつきましては、午前中も政府委員から事情なりあるいはその考えについて一端を申し上げたかと存じますが、私どもといたしましても、今後海洋開発が次第に盛んに行われるという傾向といいますか、趨勢でございますので、先生のお話のように、今後海洋基本法という問題につきましては前向きに検討していくべきものであると考えるわけでございます。
  116. 貝沼次郎

    貝沼委員 終わります。
  117. 岡本富夫

    岡本委員長 次に、石野久男君。
  118. 石野久男

    ○石野委員 科学技術庁にお尋ねしますが、今月の初めにも鳥取、島根の方で地震がありました。それからまた、今度宮城県沖におけるところの地震かありまして、この問題については余り——きょうは気象庁は午前中おいででしたけれども、私は科学技術庁に、こういう地震が起こるところはみな、いずれのところも原子力発電所の敷地に関連しているところが多いのですね。これほど地震が原発の敷地近在で頻発するということになりますと、原子力発電所をつくる敷地設定に当たって地震との関係を相当真剣に考えなくてはいけないのではないかというふうに私は思うのですが、科学技術庁としてはどういうふうにお考えでしょうか。
  119. 牧村信之

    ○牧村政府委員 わが国の特殊性、地震の多発国であること、このような点を考えますと、原子力施設の設置に当たりましては耐震につきまして非常に重要性を置いてこの安全性を審査することは当然のことであると考えております。  たとえば宮城県沖の地震というのは、この地区でも比較的地震が多発されておるわけでございます。そういうような今回の地震にかんがみましても、安全審査に当たりましてこの地区の地震対策につきましては慎重に検討を加えておるところでございまして、たとえばこの地区で設置の許可をいたしました福島の発電所あるいは女川の発電所等につきましては最大限の地震対策を講ずるという趣旨の安全審査が行われております。たとえばこの地震設計に対します審査の仕方は、当委員会でもすでに何回かお答えしておりますが、静的な地震動に対しましては関東大震災並みの〇・二Gの三倍の強度、それからあわせて動的な解析におきまして、基盤に与えるその地域の過去最大の地震動を想定いたしましてそれで動的の解析をする、そのいずれかでかい方の数値を用いまして設計に反映させていくということで考えております。例示的に申し上げますと、東北の女川におきましては二百五十ガルの動的解析というものを想定して耐震設計をしておる。わが国のもう一つ代表的な中部の浜岡がその設計値が三百ガルでございますので、これは浜岡よりは若干少ない動的設計でやっておりますけれども地震に対する配慮を特にしておる設計で進めておるというようなことが言えるかと存じております。このようなことから、この地方の過去の地震歴あるいは周辺の活断層等の活動性等を配慮して常々安全審査に反映しておるところでございます。
  120. 石野久男

    ○石野委員 安全審査に当たって耐震性の問題は十二分に配慮しているということについて、結果的にはどうなるかわかりませんけれども、事前の配慮のあり方としては一応それに対応するだけの努力をしているという御答弁はいつも承っておりますから、私はその点はもうそれを信頼したいと思いますけれども、しかしこのように近来列島全体にわたって各所に地震が多発化してまいりますと、地震予知の問題についてさえも必ずしもまだ十分でないということになりました場合、特に地震によってもし被害を受ければ予想もしないような事故を発生するだろうと思われる原子力発電についてはやはり一層その配慮が必要であろうかと思います。  私のお聞きしたいことは、すでにもう安全審査によって耐震性の問題は論議しておるのだからいいという態度で、各発電所ともそういう立場で見ておっていいのだろうかどうだろうかということを私は実は心配しているわけです。特に、今度女川がそうですし、島根の方も、先日の地震、どこまでどういうふうに影響するかわかりませんけれども、問題がありました。それから地域住民から言えば、伊方におけるところの沖合いの活断層との関係はどうだろうかという心配もしている。こういうような問題について、従来もう大丈夫だ、大丈夫だということで過ごしてきている、そういう対応の仕方でいいかどうかということを私は懸念するものですからお尋ねするのですが、自然現象として出てくる地震の発生と、それから一般地域住民がそれに対して不安を感じていろいろな要望をしていることとの兼ね合わせを、監督官庁としてどういうふうに見るか、これか非常に大事なように思われます。いままでのように一概にもう大丈夫だ、大丈夫だということでいいのだろうかどうだろうかということの心配を私はするものですから、この際、地域住民がいろいろな不安を感じておるようなことについてはいま一度再考して決して行き過ぎでもなければ、それはむしろ住民に対しても安心感を与えることですし、また自然現象として出る地震に対しての予知対策としても方策が出てくるだろう、こういうように思うので、この際科学技術庁としては、このような引き続いての全国至るところに起きる地震の動きについて、予知のいかんにかかわらず対応するという姿勢を示すべきでないだろうか。特に私は、伊方などで活断層について海溝の問題が非常に不安であるという訴えをしていることについて、それはもう大丈夫だということだけで過ごすことについては、ちょっと誠意がなさ過ぎるのじゃないか、あるいは問題が起きることに対する配慮が足りないのじゃないだろうか、こういうふうに感じますが、そういう点についてどういうふうにお考えでしょうか。これは安全局長もそうですが、大臣のお答えもひとつ聞いておきたいと思います。
  121. 牧村信之

    ○牧村政府委員 原子力施設の設置に当たりまして、ただいま先生が御指摘のように、わが国は設置の場所によって、地質の状態が非常に複雑でございまして、それぞれ違うわけでございますので、今後ともその安全審査に当たりましては、その地域の回りの断層、特に活断層の状況、先生指摘の大きな構造線等に対する配慮、これは今後とも十分配慮してやっていかなければいけない問題と考えております。  また、そのような地元の御懸念に対しては、安全審査を御信頼をいただけるようなことで進めなければいけないというふうに考えております。残念ながら二、三の地域におきましてその辺の御懸念が住民の方の反対という形であらわれておることはきわめて残念に思っておりますので、私どもとしては今後は先生指摘のような配慮をぜひ安全審査にも取り入れるというような前向きの姿勢で行ってまいりたいと考えております。  なお、たとえば伊方におきましては、あの地域地震の方の特定観測地域に当たっておりますことも配慮しまして、たとえば地震の微震動計を原子力施設に特に設置して地震に対する絶え間ない警戒をしておるというようなことも事実なされておりますので、そういうような面からのアプローチも、発電所それぞれの特性においても今後勉強していくということも必要かと考えます。  また、安全審査の指針におきましても、各界の権威を集めまして、地震に対する安全審査の万全を期すような基準の整備というようなものに努力を払ってまいりたい、かように考える次第でございます。
  122. 熊谷太三郎

    ○熊谷国務大臣 原子力発電所の地震との関係でございますが、これはお話のようにもちろん従来とても地震がございましてもそれに十分耐えられる、そういう設計を目指してきておるわけでございまして、われわれとしてはもちろんこれで十分であるとは思っておりますけれども、しかしいまお話しのように現実にそういう個所の近くに地震が頻発するということになれば、さらにそれによって住民の方々のいろいろな御心配がまた起きてくるということも当然でございます。したがって第一には、現在までのところでは十分安全に支障はないとは思っておりますが、決してこれで足りるというような安易な気持ちではなしに、さらに今後もほかに考慮すべき点はないかどうかということを絶えず検討していかなければならぬ、その覚悟で進んでいかねばならぬと思っております。  それからいま一つは、住民の方々が持たれます考え方、たとえば不安があるとかそういう疑念を持たれることと、たとえわれわれが安全であるとは思っておりましても、必ずしもそれが直ちに住民の方々に映るものではないということもよく心得ておるつもりでございます。先ほど例に出されました伊方の問題につきましては、大変御心配をかけ、われわれとしても決してただ無意味先生の御趣旨に沿いかねたということではありませんので、これについてのいろいろな私どもの事情はまた機会を改めて申し上げることといたしたいと思いますが、決して先生のそういう御心配を、何にも心配がない、そんな必要はないというような単純な気持ちで御趣旨に沿わなかったという意味ではないことだけをひとつここで申し上げておきたいと存じます。
  123. 石野久男

    ○石野委員 伊方問題はもうすでに裁判も終わって、一応裁判の結論は出た。しかしあと住民はそれに納得しておりませんし、本委員会にも請願が出ておるわけですね。これは私は予算委員会のときもお尋ねしたのですが、率直に言って伊方発電所の沖合いに幅七、八百メートル、深さ十五メートルないし二十メートルの海溝が長さ二十五キロぐらいにわたってあるということが大体どなたが見てもはっきりしている。それはどういうふうにできたかということについての見解が違うわけですね。科学技術庁の話では潮流でできたという話ですし、他の地質学者はそうではないということで、見解が違います。  ここではその論争はいたしませんが、地域住民はこういう問題について疑問があるからボーリングをしてくれということの要請をしているわけです。請願もまたそういう形で出ている。この点について政府は電力会社に対してはもとよりのことですが、監督官庁の立場からしてもこの住民の要望にこたえるような用意を私は望みたいと思っております。現状、裁判闘争の中ではその必要がないということで押し切られておりますが、しかし地震がこのように各方面に出てまいりまして、しかもそれについていろいろ不安を感じている住民運動があるということになりますと、そういうことに対しても一応新たな事情として、民心を安定させるという意味からしてもそういうボーリングなどについて積極的に住民の声を聞いて対応するというようなことの配慮が行政官庁として必要なんじゃないだろうか、こういうふうに私は思います。こういう点について一応お考えいただけるかどうかということだけを、結論はいいですから、もう全然そんなものは考えないのだという態度なのか、その点はまた考えてみようということなのか、ちょっとお聞かせいただきたい。
  124. 牧村信之

    ○牧村政府委員 この伊方のといの問題につきましては、先生指摘のような経緯がございまして、私ども現在住民の方から出ておりますボーリングを打ってくれという御要請に対しては、安全審査で十分検討を行った、またこのようなといの性状を地盤の下まで含めて検討する、さらによいと考えております音波探査等によって十分検討した結果を審査に反映したということもございまして、現段階におきまして地域住民の方の御要請に沿うことは考えておらない次第でございますけれども、なおこの問題につきましては一部の住民の方が非常に不満をお持ちであることは事実でございますので、この点についてはこれからも可能な限り地元に対して審査の中身等を御説明し、またそれに御理解を得るような線で努力してまいりたいと考えておる次第でございます。
  125. 熊谷太三郎

    ○熊谷国務大臣 私からも重ねてお答え申し上げます。  具体的には政府委員の申し上げたとおりでございますが、しかし、先ほど申し上げましたようにそれでもういいのだというふうな気持ちでいるわけではないわけでございまして、要は、何とかして住民の方々の御不満、御不安を取り除くように今後も最善の努力をしてまいらねばならぬ。その方法、内容につきましてはいろいろ検討さしていただきまして、そういう方向で最善の努力をしたい、このように考えておりますから御了承を願います。
  126. 石野久男

    ○石野委員 これはひとつ十分考えていただくようにお願いしておきます。  それから、再処理工場で汚染の事故が最近続いてあるようです。去る五月二十六日に事故があり、またこの九日にも、やはりフォークリフトで高放射性固体廃棄物の貯蔵庫に運搬する作業を終えた後でチェックしたところが、いわゆる汚染があったということも報じられておりますが、その状況はどんな状況ですか。
  127. 牧村信之

    ○牧村政府委員 まず五月二十六日のトラブルについて御説明いたします。  このトラブルを起こしました場所でございますが、これは主工場の三階にございますいろいろな工程中からとりました分析試料を操作するサンプリングの操作室で起こったわけでございます。このサンプリングの操作を行う部屋と申しますのは、グローブボックスの中で操作されるわけでございますが、試料を注入したり、一定の容器に入れたりというものをグローブボックスの外から、一つのトングと呼んでおりますがそういうものを使って操作をするという作業をいたすわけでございます。当然外側で作業員がトングをつかみましていじるわけでございますが、そこでボックスと外面との間の仕切りがあるわけでございます。その仕切りがビニール製のじゃ腹で外界と内部とを仕切っておるわけで、このじゃ腹に微小の穴があいたと考えられております。そこから操作しております試料の水溶液がしみ出てまいったということでございます。サンプリングを操作しました液体は放射性のセシウム等が比較的多量に入った液でございましたので、したがいまして被放射能が非常に高い液でございます。そのきわめて微量な液が漏れたわけでございますけれども、外側に与えました汚染としては、基準値は下回っておりますけれども相当高い放射能がごく微量漏れた、その漏れたものが着衣に付着したことと、それから一部床に飛散したものがくつを通じましてその操作室の床を汚したということでございます。この発見は、作業が終わりまして退出時に行うハンド・フット・モニターによって発見したわけでございます。発見後直ちに除染を行いまして、管理レベル以下に除染をしたということでございます。それから、その漏れた、サンプリング等をいたしますベンチにつきましては、ビニールカバーをもう一枚余分に付加しまして漏洩がないことを確かめて、現在作業に当たりましては念のためにゴム手袋、くつカバーを着用するということで常時観測しながら作業を進めております。近く予定されております定期修理の期間に、これを徹底的に直すということで対処をすることにいたしております。  ここで一つ問題でございましたのは、このようなトラブルが起きたときに、役所と動燃事業団との間の約束事でございます。こういうトラブルは多少にかかわらず報告する、しかもそれを外部に発表しようという約束があるわけでございますが、それが工場の長までは行ったわけでございますが、これが動燃の本部並びに科学技術庁にも報告がなかった、新聞報道によりまして、国会の先生の御指摘によりまして私ども調べて初めてわかったという、きわめて遺憾なことがあった次第でございます。  それからもう一点、六月九日の汚染のことにつきまして御報告いたしますが、これは六月九日でございます。それで、これは同じく分析所で発生いたしました固体廃棄物、これは試料びん等でございます。こういうような廃棄物をキャスクに入れて放射性の廃棄物貯蔵所に持ってまいりまして、そこで貯蔵しておく、廃棄するという作業でございます。これはフォークリフトに積みまして、作業員がついて現地貯蔵所に行き、ここで取り出してキャスクを除染してそれで作業が終了するわけでございますが、この取り出した後、除染作業が不十分であったということで、作業をいたしました作業者の一名の作業衣に汚染を生じたということと、それからフォークリフト自身にも一部の部分に汚染を生じた。これを発見して直ちに除染はいたしました。     〔委員長退席、大石委員長代理着席〕  ここでこの対策でございますけれども、この廃棄物を積み込むときに、積み込んで搬出する前にキャスクの除染が徹底的に行われたかどうか疑問がございます。それから取り出した後、除染を完全に行わなかった、この二つの点についてやや従業員の作業に欠けるところがあったということが考えられますので、その除染の徹底を図るということを直ちに指示しております。  それぞれの事故につきましては、当方といたしましても作業マニュアルの徹底等をさらに十分に厳守するようにということで担当理事等に対して注意を促しておるところでございます。
  128. 石野久男

    ○石野委員 五月のトラブルにしても六月のそれにしても、いずれにしても再処理工場、これは同じところで同じような事故が出ているんならまだ話はわかりやすいのですが、場所が皆違うんですね。片方は定期修理のときに手を加えなければならぬような問題であり、片方は操作上の問題であるというような、同じように汚染の事態になっても、しかも高放射性の物体を運ぶに当たったりあるいはサンプリングするに当たっての、至るところにそういうものが出てくるというところにこの問題がある。だから放射性管理の問題あるいは作業上の注意の問題としてまだ再処理工場作業の中には至るところにそういう、まあこれはミスというのですか何というのですか、事故というところまでいかないのかどうか知りませんけれども、これは管理上の問題に多分にあるのかどうなのかということを疑問に思います。そういう点、単に情報をキャッチしたとか報告を受けたというだけの問題ではないような気がいたしますが、その点について局長はどういうふうにお考えになっておりますか。
  129. 牧村信之

    ○牧村政府委員 最初に申しました五月二十六日の汚染につきましては、これは先ほども、ちょっとわかりにくかったかもしれませんが、トングというものを外から操作する、当然それをもうすでに数千回操作しておりまして、これはある程度時期が来れば摩耗等か起こりますので、定期的にと申しますか、定検時に十分検査して取りかえ等を行うことを考えておったわけでございますが、たまたまその定検に至るまでにこういうピンホールが起きたということでの除染でございます。  私考えますのに、この辺はこういうものを扱う前に汚染があるかどうか、漏洩があるかどうかを十分確認するような一つのマニュアルが必要ではないか、それと、こういうような損耗する種類の機器について今後十分定期的な検査並びに取りかえ計画というのを厳重にすべきでないかというふうに考えております。またその辺につきまして動燃事業団の担当理事ともいろいろ話し合いましたところが、向こう側もそういうような線でのマニュアル等の整備を図りたいという話をしておりましたので、ぜひその辺を厳重にやってほしいというふうに申した次第でございます。  なお六月九日につきましては、これはもう作業者の当然やることが怠られておった、この管理上と申しますか、その問題がございますので、これにつきましては、こういうことをやるときに十分その作業者に教育訓練をすべきではないかと考えております。  なお、こういうような問題につきましては、特に汚染物を次の貯蔵庫等に運びます場合には、動燃の通常の考え方に、放射線管理者を立会人としてつけることが通常でございます。今回の場合はそれが十分行われていなかったというようなことで、動燃といたしましては、そういう放射線管理の範囲が、常に立ち会って作業員の安全を確保しつつ作業が行われるようにするというふうな改善が必要ではないかというふうなことを考えておりまして、この点については担当課との間でいろいろな話し合いが行われておるところでございます。
  130. 石野久男

    ○石野委員 時間がありませんのでこれ以上お尋ねしませんけれども、新しくマニュアルをつくるとかあるいは管理上当然やらなければならぬことをやらないということに対してはもっと厳しい監督をされることが大切だと思いますから、それはひとつ注意してほしいと思うのです。  それから、今度の九日の場合は十日にはもう報告はあったようでございますけれども、先月問題があってしかられたからというので、今度早かった。しかし、この次また忘れられては困るので、やはり事故が起きたときはすぐ報告するということに対しての厳しい管理監督を特にお願いしておきたいと思います。  きょう大蔵省と自治省の方においでいただいておりますが、実はチッソの水俣患者に対する補償措置についてお聞きしたいのです。  これについてはいま政府保証の問題が具体的にまとまっているような、あるいはまた県との間に県債発行についての話し合いもついているような新聞報道等を聞いておりますが、まず最初に自治省はこれをどういうふうに扱っておられるのか、その点を先に聞かしてもらいたい。
  131. 小林実

    ○小林説明員 チッソ対策のための県債発行につきましては、いままで熊本県は、万一の場合県の負担がないようにしてもらいたいという強い意向を示しておられましたが、若干これにこだわらないという意向を示してきておるわけでございます。そこで、現在熊本県の意向に沿って政府部内で検討を進めておるところでございます。
  132. 石野久男

    ○石野委員 現在チッソにおいて補償すべき金額の総額は幾らになって、何人になっておるのですか。
  133. 小林実

    ○小林説明員 詳細な資料は持ってきておらないのでございますが、五十二年度におきましては補償金支払いといたしましては約五十二億支払ったというふうに聞いております。
  134. 石野久男

    ○石野委員 県の負担の問題あるいは県が政府に要望している問題について大体話し合いがついたという新聞報道を聞いておりますけれども、それは総額幾らで、どういう形で、どういうふうにするということなのか、もう少し細かく説明してもらいたい。
  135. 小林実

    ○小林説明員 全体の具体的な数字等の話は、認定する患者の数とかその辺で大きく変わってまいりますので、私どもが議論をしておりますのは基本的な考え方として物事を整理して対応措置を考えておるわけでございます。  一般的に万一の場合という御懸念の質問がされるわけでございますが、私どもは、チッソが万一の場合ということのないように十分な措置を講じて、患者に対する補償支払いが全うされるように対策考えたい、こういう観点から政府部内で検討を進めておりますので、御了承いただきたいと思うわけでございます。
  136. 石野久男

    ○石野委員 全うできるように考えておるということの具体的な内容、そしてそれをどういうような方法でやろうとしているか。新聞には相当いろいろ出ているけれども、どこまで本当だかちょっとわからないから、それでちょっと聞かしてもらいたい。
  137. 小林実

    ○小林説明員 具体的な内容につきましては現在政府部内で検討中でございますので、一々御説明することにつきましては御容赦いただきたいと思いますが、要するに、この補償金支払いを確保するために県債でどの程度の範囲まで転貸債を認めればいいのか、その場合の資金の引き受けをどこがするのか、それからその発行条件につきましてどういうふうに考えたらいいのかということを検討しておるわけでございまして、内容につきましては、まことに申しわけないのでございますけれども、御容赦をいただきたいと思います。
  138. 石野久男

    ○石野委員 これは御容赦いただきたいということですが、実はこれを私はあなた方に来てもらってお聞きするのは、われわれがいま法案審議をしております科学技術庁の再処理工場の問題とやがて関係する問題が出てくるものだからこれをお聞きするのです。それでしかも新聞にはもういろいろなことが出ているわけですから、その県債発行について、転貸債というものの発行の仕方、引き受けなどについても新聞はいろいろ書いておりますが、県知事との間にあなた方が折り合いがついた、話し合いがついたという内容は、どこまで話し合いがついているのですか。
  139. 小林実

    ○小林説明員 先ほどお答えいたしましたように、県債発行につきましては最初県の方は、県に負担がないような形でなされるのであれば特に問題はないわけでございますが、軽微なものであればやむを得ない、こういうことで変わってきたわけでございまして、それを踏まえての対処の仕方でございます。われわれといたしましては、チッソが補償金支払いのためにどうしても県債を発行してもらわなければ資金繰りができないという範囲でこの県債発行という問題が出てくるのだと思いまして、その辺につきまして政府部内でいま検討しておる。県債発行の総額につきましては、私どもは必要最小限の範囲、こういうことで検討に当たっているということでございます。
  140. 石野久男

    ○石野委員 その必要最小限というのは総額に対してどの程度のものであるか、あるいはまた、被害者、いわゆる患者に対してどの程度まで補償ができるという額なのか、そこらのところは、その必要最小限というのはどういうことを言うのですか。
  141. 小林実

    ○小林説明員 いずれにいたしましても、最高限は補償金支払いに要する額ということになるわけでございまして、そのうち、チッソ株式会社等が自分で対処できるものもございますので、その辺のところで、なるべく県債発行の額を最小にとどめたい、こういうことで政府部内で検討をしておるわけでございます。
  142. 石野久男

    ○石野委員 話はそれじゃ進まないのだ。チッソが引き受けられるという額、そしてチッソが引き受けられないという額については政府がそれじゃ全部めんどう見ます。そういう気持ちでやっているのですか。
  143. 小林実

    ○小林説明員 まだいま検討中でございますので、説明が要領を得ないのは申しわけないのでございますけれども、いずれにいたしましても、先ほど申し上げましたように補償金支払いを確保するための措置でございますから、補償金支払い額を対象といいますか、限度といいますか、そういうものを一つのめどに置きまして、そこでチッソが資金ショートをしない範囲で県債を認める、こういうことで検討をしているわけでございます。具体的にどうこうということにつきましては、実はまだここでお答えできる段階ではございませんので、どうか御了解をいただきたいと思います。
  144. 石野久男

    ○石野委員 具体的なものがわからなければ、決まっていない限りはそれはわからないのでしょうから、そこまで私は聞こうと思っていない。だけれども、いまあなた方が県債を発行してこの問題に対処しようという意図もわかります。ただ、その県債を発行する場合に、転貸債を発行されて、それはどういう条件でどういうふうに引き受けしてというような問題を考えないままに転貸債云々という問題は論議できないだろうと思うのですね。あなた方に一応その構想があるでしょうから、それを聞かしてもらいたい。それで、その問題について、自治省だけでなしに、大蔵との折衝もあるのだろうから、その大蔵との折衝はどういうふうにしているのかということについてお聞きしたいのです。
  145. 小林実

    ○小林説明員 先ほど来のお答えのとおりになると思いますが、結局、県債で引き受けるものにつきましては、なるべく有利な条件で引き受け、また有利な資金で引き受けができるようにということをお願いしておるわけでございまして、いま検討中でございますので、それを一々どういうことを言ってどういうことになっているのかということは、何遍も同じ答えで申しわけないのでございますけれども、御容赦をいただきたいと思います。
  146. 石野久男

    ○石野委員 私は細かいことを聞いているのではないので、その引き受けた県債、転貸債を発行して引き受けしたことと、それからチッソの最終責任との関係はどういうふうに考えているのかということなどについて明確にひとつ……。
  147. 小林実

    ○小林説明員 私どもは、今回の措置はあくまでもチッソが補償金支払いを確保できるように、非常に長期の措置になるかと思いますが、いわば資金繰りの一環として措置をする、こういうふうに考えているわけでございまして、最終的には、いずれにいたしましてもチッソの責任におきまして補償もしていただきますし、県債を発行したものにつきましては全部お返しいただく、こういうことで対応策を考えておるのでございます。
  148. 石野久男

    ○石野委員 その長期というのは、大体どのくらいを目安に置いているのですか。
  149. 小林実

    ○小林説明員 その点もちょっとお答えがむずかしいと思うのですが、私ども、いろいろございますいまの地方債につきまして、相当有利な条件でお貸しできるような形にしたいということで、政府部内で検討しておるわけでございます。
  150. 石野久男

    ○石野委員 その有利な条件ということについて、引き受けは、政府みずからの引き受けはどのくらいにする、あるいは民間金融機関とかその他のところへはどの程度にするというような、比率の問題等はどういうふうにお考えになっているのですか。全額政府が引き受けるのですか。
  151. 小林実

    ○小林説明員 一般的には政府資金で引き受けていただくのが条件がよろしいわけでございまして、できるだけ政府資金でまず引き受けをしていただく。なお足りない部分につきましては関係金融機関等にもお願いをするというような形で対処したい、こういうふうに考えているわけでございます。
  152. 石野久男

    ○石野委員 大蔵はこの問題についてどういうふうにお考えでおられるか。
  153. 柏谷光司

    ○柏谷説明員 この問題につきましては、先ほど自治省からお話がありましたけれども、最終的に決まっていないというのが現状でございます。しかしながら、私ども、基本的にはこういう考えでおります。  水俣病の補償につきましては、チッソがあくまでも責任を持つべきである。このことは民事責任上からも明らかでありますし、また汚染者負担の原則からも明らかであります。それはそうなんですが、もし仮にチッソが水俣病の補償金を支払えない、あるいはチッソが倒産するというような事態になりますと、これは患者救済のためにも大きな問題を起こすだけではなくて、その地域の雇用の問題あるいは地域の経済振興の問題にも大きな影響を与える、これは、事、私企業の問題だけではないということを考えております。そこで、私どもといたしましては、先ほど申しました汚染者負担の原則、これを守りつつ、しかもチッソから患者に対して救済をさせる、そういう方向が一番望ましいのではないかと考えております。  じゃ、具体的に何を考えているかと申しますと、私どもといたしましては、やはりチッソはつぶれずに、チッソが今後収益力を上げまして、その収益力で患者救済をさせるということがいいのじゃないかと考えております。現在、御存じのとおりチッソというのは、構造不況の問題もございますし、それから患者がふえまして、患者が急にふえたことに伴いまして、補償金の、特に一時金の支払いがふえております。そのために資金繰りがおかしいのですけれども、その一時期を融資でつなげれば、やはりチッソの近代的な設備とか技術力からいいまして当然収益力は向上するだろう、それによりまして患者の救済に充てるということを考えております。そのために現在、たとえば県債を発行いたしましてそれをまた県からチッソに転貸するということを考えております。ただ、その際にその引き受けをどうするかということは、先ほど自治省からいろいろ細かい話がございましたけれども、あの辺を含めまして、私どももいろいろな角度から検討しております。まだ政府としては決まっていないということであります。
  154. 石野久男

    ○石野委員 政府としては決まっていないが、こういうふうに期待はしているけれども、非常にチッソの現状からいえば資金繰りは苦しいわけですね。それに対して一定の転貸債を発行して、引受者を、政府が全部自分で引き受けてしまえば何でもないだろうけれども、そうでないとすれば民間の会社なり金融機関なりにそれを頼まなければならぬですね。そういう頼む仕事なども政府なり大蔵がめんどうを見るという腹でおるのですか。
  155. 柏谷光司

    ○柏谷説明員 私どもは、先ほど申しましたとおり、チッソの債務を国が肩がわりするという気はございません。あくまでも水俣病の患者に対する救済についてはチッソが見るべきでございます。ただ、私どもは、この問題はただ私企業の問題だけではなくて、地域振興あるいは雇用の問題あるいは患者救済という社会的な問題があろうと思います。そういう観点から、県が融資する場合にはやはり県の財政に負担がかかるというようなことはできるだけ避けたい、そういう方向で検討しております。
  156. 石野久男

    ○石野委員 県に財政負担をかけないでめんどうを見てやりたいということですから、当然知事が要求しているように、政府がめんどうを見てくれ、こういうことになってくるわけですね。もちろん最終的にはチッソに責任は持たすつもりであっても、金繰りの面で政府がめんどうを見てやろう、それは長期に非常に有利な条件でというのが自治省の意見でもありましたし、恐らく大蔵もそういうふうに考えるのだろうが、大蔵はそのときに全部政府でそのめんどうを、たとえば財投の金を使うとか何か、いろいろあるのでしょうけれども、そういうようなことの方策を政府みずからがやるのであればもう問題はないでしょうけれども、一般の民間企業なりあるいは銀行筋にそれを頼むということについての目安、成功するかしないかがあるわけですから、そういうようなことについては大蔵はどういうふうに見ておるのか、あるいはまた、自治省も、その点についてはどういうふうに工作しようとしているのか、そこのところをひとつ聞かしてもらいたい。
  157. 柏谷光司

    ○柏谷説明員 この問題につきましては、国だけじゃなくて、やはり県においてもある程度の負担をせざるを得ない。と申しますのは、先ほど申しましたとおり、この問題は社会的な問題で、国の問題であると同じように県に対しても、やはり地元の問題もある。片や国がまるまるめんどうを見るということじゃなくて、やはり国としては、国民の税金を預かっておるのでありますから、おのずからそこに限界があるだろうと考えております。したがいまして、国ができるだけのことはやる、場合によっては一部は民間の金融機関に負担してもらう、むろんチッソにも負担してもらうということを考えております。ただその場合、どこまでをどうするか、国はどこまで見るか、あるいは県がどこまで見るか、銀行はどうか、民間企業はどうか、それはそれぞれの、たとえば県なり民間企業なりチッソなりがそれぞれ皆さん要求を持っておられますね。また私どもも持っております。その辺はこれから先いろいろ折衝して詰めていかなければいけない、まだその辺は決まっていないというのが現状でございます。
  158. 石野久男

    ○石野委員 その折衝をいまやっておるということで、大体目安としてはそれらの話をいつごろまでにまとめるつもりでおられるのですか。
  159. 柏谷光司

    ○柏谷説明員 私どもといたしましては、できる限り早くやりたいと思っておりますが、何しろ相手がございますし、いつということはお約束できませんが、できる限り早くやりたい、そう考えております。
  160. 石野久男

    ○石野委員 新聞情報等によると十四日、十五日、きょうあすぐらいの間にこの関係の閣僚会議などを開いて詰めていくというような情報も聞いておりますけれども、大体そんなふうな作業をやっておるわけですか。
  161. 柏谷光司

    ○柏谷説明員 できるだけ早くやるのが望ましいのですが、いずれにしても、いま相手がございますから、いつになるかと申せませんけれども、できるだけ早くやりたい、それが現状でございます。
  162. 石野久男

    ○石野委員 もう一つ、県がどのくらい持って、国がどのくらいのところまでということについてはまだ決まっていないというのですが、最初の段階で、沢田熊本県知事は国は一〇〇%めんどうを見るべきだということを言っておった。それが自治省の話によりますと、ある程度は県もめんどうを見ましょう、そのことについてはやりましょうというような腹になったということを聞いておりますが、大体国がこのチッソの補償についてめんどうがみられるという額は、いま総額およそ五十二億と言っておりますけれども、どの程度のところぐらいまでは皆さんは予算的な面からいっても措置できるのだろうか。そこらのところはどのくらいの目安が立てられておるのですか。
  163. 柏谷光司

    ○柏谷説明員 先ほど自治省から申し上げました五十二億という数字は五十二年度の補償金支払い額でございます。ところが、これからの救済の問題は今後どういうお金が要るかという話でございまして、これは先生御承知のとおり、認定患者がどうなるかあるいはチッソの収益がどうなるかとか、将来のいろいろな予測、いろいろな不確定な要因もございますので、現在どうかということはなかなか決められないというのが現状でございます。
  164. 石野久男

    ○石野委員 そうしますと、いまチッソ救済で県債発行という問題についての現状の話し合いというのは、どこのところまで決める気持ちで作業を進めておるのか。たとえば認定患者の数がこれからどのくらいふえてくるかわからないという問題が一つあるわけですね。その認定患者の問題で、情報によると、もう早い時期にそれを締め切ってしまうというような意向もあるように聞いておりますけれども、そういうことに対する制限とか何かは別に加えないで、認定患者の発生というものは将来に期待しておるわけですか。
  165. 柏谷光司

    ○柏谷説明員 患者の認定をどうするかという話、これは実は環境庁であって、私たちのところでは直接関与していないのですけれども、私どもといたしましては、いまどこまでいっているか、とにかく県債を発行してそれを転貸するという方向で処理したいと考えておりますけれども、その県債に伴ういろいろな問題をどうするかという話は現在検討中でございまして、まだ結論を得ていないというのが現段階でございます。
  166. 石野久男

    ○石野委員 もう一度お伺いしておきますけれども、最終的に発生者負担ということで処理しなくちゃならないということへの努力をなさっている、しかし、もし倒産というようなことがあるとすればこれは国が全部めんどうを見なくちゃならないとか、県が全部めんどうを見なくちゃならないという腹づもりはあるのですか、どうなんですか。
  167. 柏谷光司

    ○柏谷説明員 現段階では、とにかくチッソに補償金支払いをさせる、チッソをつぶさないという方向で検討したいと思います。それが現状でございます。
  168. 石野久男

    ○石野委員 わかりました。  これは科学技術庁に伺います。実は高レベル廃棄物の処理について、特に原子力委員会が高レベルの廃棄物の永久管理の問題については国が責任を持ってやるということを言っている。同時に、これの技術的な責任を持って国がやるということについては、処理の仕方等について企業に任せるよりも国がひとつしっかり安全に管理するということの意味ですが、同時に経理的な側面は、これは発生者負担でいきましょうということになっている。現在のチッソの問題で言えば、いまチッソを倒さないようにしていくという努力をしているのだというところが限界なんですよ。時間がないので私は余り詰められなかったのですが、もしつぶれてしまったらどうなるのだという問題が一つ幾ら努力してもあるわけですよ。そういうような場合、チッソのような場合は、被害を受けた、汚染なりあるいはそれによって障害を受けている患者というのは、ふえてもそう——これからどのくらいふえるかわかりませんけれども、大体もう先が見えているような気がするのですよ。ところが原子力の場合、特に高レベル廃棄物の場合になりますと、やはり管理年限も非常に長きにわたりますし、それから構造物等がなかなかいまの段階では処理する目安もついていない。こういうことになった場合の発生者負担という問題を、単に株式会社何々電力会社というようなそういう形だけではちょっと処理しにくいような感じもするわけなんです。このときに、発生者をどのように永年にわたってつかむかという問題についてどういう発想があるか、考え方があるのかということ、これをひとつ聞かしておいてもらいたい。
  169. 山野正登

    ○山野政府委員 先生指摘のように、原子力委員会は五十一年の十月に放射性廃棄物対策という問題につきまして委員会決定を行っておるわけでございます。その中で、高レベル放射性廃棄物の処理につきまして、処理自体は再処理事業者が行うけれども、処分につきましては長期にわたる安全管理が必要であるので、国が責任を負うこととする、しかしながら、必要な経費については、発生者負担の原則によることとするという決定をいたしておるわけでございまして、私ども、この廃棄物の処分という問題につきましては、もともと事業者が行うべきものと考えられなくはない問題でございますが、ただ、長期にわたる安全管理が必要であるということから国が責任を持ってやっていくこととしたものでございますので、その費用につきまして事業者が負担をするというのは当然のことであろうというふうに考えておるわけでございます。  どういうふうにして発生者負担をさせるかという具体的な問題につきましては、先ほど申し上げました同じ決定の中で、「必要な経費については、発生者負担の原則によることとする。これらの具体的内容及び方策については、今後の研究開発等の進展に応じて検討するものとする。」というふうになっておりまして、この点は先生も御指摘のように、技術的に今後開発すべき要素というものもたくさん残っておるわけでございまして、そういった問題を詰めました上で、具体的にその内容を決めていこうとしているわけでございます。  御指摘のように、確かに将来できます再処理事業者と申しますのは私企業でございますので、論理的には会社がつぶれまして支払い不能といったふうな事態が絶対ないということは言えないかもしれませんけれども、いま国会の方に御提案申し上げております法案で考えております内容と申しますのは、御承知のように単なる許可制ということではございませんで、指定制というものを再処理事業者には適用しようとしているわけでございます。つまり、許可制の場合に比べましてより厳しい基準で指定をしようとしておるわけでございまして、申請者の経理的な基礎というものも通常の許可制以上に厳しくチェックするということになると思いますし、またこの再処理会社というものを進めていく主体というのは、公益事業を営んでおります電力事業というものが中心になって進めていくというのが実態でもございますので、論理的には可能性はございましても、まあ実態の問題としましては、発生者負担を守らせることが不可能になるというふうな事態というのはまずまず起こり得ないのじゃないかというふうに考えておる次第でございます。
  170. 石野久男

    ○石野委員 発生者負担の実態的な状態がきわめて不安定になるというようなことはなかろうという意味は、たとえば株式会社何々再処理会社ということになりますか、その再処理工場の株式会社ができて、それは場合によれば会社がなくなるという危険性はないわけではない。けれども、それにもかかわらず、そんなことはないだろうという裏づけになるのは、電力事業界が後ろにいるからだというふうな意味合いだとすれば、そういうふうに私はいま受けとめたのですが、そうだとすると、結局、この永年にわたるところの経理的責任というものは、株式会社何々再処理工場というのじゃなくて、それの背景にある電力事業界がそういうものに対する担保を提供する、こういう意味でいま局長はお話をなさったのですか。そこのところ、もう一度ひとつ。
  171. 山野正登

    ○山野政府委員 まだ具体的に問題が起こっておりませんので、債務を保証する、担保するといったふうな問題としては論じにくいわけでございますが、私が申し上げておりますのは、一般論としまして、民間の再処理会社の計画を現在進めておりますのは電力会社が中心になっておるわけでございます。そういう意味で、恐らく将来できます再処理会社というもののたとえば株主構成といったふうなものは、そのような電力会社のような経理的に非常に強い基盤を持った会社が中心になって構成されるのじゃないかという趣旨で申し上げておるわけでございます。
  172. 石野久男

    ○石野委員 電力会社が株主になって一つの再処理会社というものをつくる。しかし人格としては電力会社とその株式会社とは違うわけですね。しかし、その再処理株式会社なるものが倒産するかもしれない、あるいは解散するかもしれないということがありましても、電力事業それ自体は恐らく人類が電気を要求する限りはあるんでしょうから、そうすると、やはり再処理工場に関する高レベル廃棄物の永久管理についての保証、担保というものは電力事業界そのものがするということでないと、安定した印象を与えることはできないというように感じられる。したがって、再処理株式会社というものの裏にその保証、担保というものをどうしても縛りつけるというか、そういうことの必要性が出てくるような気がいたしますが、その点についてはどういうふうにお考えですか。
  173. 山野正登

    ○山野政府委員 私は先ほど例示的に電力会社と再処理会社との関連といったふうなものを申し上げたわけでございまして、現在の時点ではあくまでもこれは仮定の議論でございまして、将来再処理会社がどのような株主構成になるものやら、あるいはまた先生が御指摘のような事態は万々起こらぬとは思いますが、もしそれに似たような事態が起こりまして発生者負担の原則が貫きがたいといったふうな事態が起きるといった場合には、その具体的な態様に応じましてこの原則が貫き得るような最善の道を考えていかなければならないというふうに考えておるわけでございまして、その中にはあるいは先生のおっしゃるようなしかるべきものの債務の保証といったふうなことも起こり得る問題でございましょうが、現在の時点でだれがどういう形で保証するかといったふうなこともなかなか論じにくい問題でございますので、将来再処理会社ができ、また先ほども申し上げましたように、この委員会決定の中身がいま少し具体的に進展を見ました段階でその辺のことは明瞭に決めていきたいというふうに考えております。
  174. 石野久男

    ○石野委員 「むつ」の問題についてお聞きします。  佐世保重工の問題は経営の問題としてずいぶん騒がれておりますけれども、いまその問題は抜きにしまして、「むつ」は佐世保重工の経営とは全く関係はないものだというような認識で私たちは来ておるわけですけれども、それはそういうふうに見ておってよろしいでしょうね。
  175. 山野正登

    ○山野政府委員 先生の御指摘のとおりでございまして、現在進められております佐世保重工の再建問題というのは、あくまでも地域経済に対するインパクトを考慮しての問題、あるいは雇用安定化の問題、あるいは造船不況対策という観点からの対策でございまして、「むつ」とは全く別の次元の問題であるというふうに考えております。
  176. 石野久男

    ○石野委員 佐世保重工の救済策と別途な形で県知事なりあるいは佐世保市長なりが「むつ」の受け入れについていろいろ論議しておるようです。私は、「むつ」は、むつ市との四者会談等の約定事もあり、何とかしてあそこから出さなければならぬという実情が現在あると思っておりますが、この「むつ」が仮に佐世保に行って佐世保で修理を行うというようなことがあります場合、行く時期にもよりますけれども、本年度、「むつ」の修理に対してどのぐらいの予算を組んでおるのですか。
  177. 山野正登

    ○山野政府委員 「むつ」の佐世保におきます修理と申しますのは、回航後大体三年ぐらいを予定しておるわけでございまして、回航しました直後におきましては、各種ハードウエアの点検をいたしましてふぐあい個所を発見する、また遮蔽の改修につきましては、規制当局に設置変更の許可申請をいたしまして、安全審査を経ました上で詳細設計を行い、そしてこの三年間に、滞在する末期のころに具体的な修理作業を行うというふうに考えておるわけでございまして、そういう意味で、具体的な修理のための予算というものは昭和五十四年度の予算に組み込むことを予定いたしておりまして、現在、そのための積み上げ作業というものを事業団において進めておるわけでございます。したがいまして、五十三年度におきましてはさして大きな金というものが相手方の会社に支払われるといったことにはならないと思いますけれども、御参考までに、五十三年度の認可予算のうち関係するものの予算額を申し上げますと、遮蔽の改修につきましては二億四千六百万円、安全性の総点検につきましては三億四千万円という予算が計上されております。
  178. 石野久男

    ○石野委員 運輸省おいでになっておりますね。——「むつ」の修理が行われることについて、炉の修理が行われるわけなんですが、私ども聞いている範囲での修理というものは、船舶技術上から言って、原子力船「むつ」が船舶局によって一応船として認可された、そのときの構造から見ると、やはり大分違ったものになってくるのだろうというふうに予測されるのです。私などの考えでは、どうも修理に、ストリーミングを防ぐための上ぶたを新しくつけるというようなことで大きい重量が同時にかぶさるということになってくる、これはどうも船舶の運航上支障がきやしないだろうかなというような素人考えをしているのだけれども、船舶局の方ではそんな点については、船舶航行技術上から言って船は完全に安定だということが言い切れるのだろうかどうだろうか、そこをひとつ教えてもらいたい。
  179. 赤岩昭滋

    ○赤岩説明員 先生指摘のとおり、この「むつ」の遮蔽改修を行いますと、原子炉の周りに遮蔽材等がつけ加わるわけでございますので、現在よりも重量がふえるということになろうかと思います。それで、その改修工事によりましてどの程度の重量がふえて、それから船の重心がどのように動くかということにつきましては、改修につきましての基本計画が固まった段階でないと詳細な計算ができないわけでございます。しかし、その検討の過程で、事業団の方で一応想定した重量で検討しているわけでございますが、それによりますと、重量増加は約三百五十トン程度というふうに考えられておるわけでございます。この程度の増加ですと、大体重心の位置が十センチほど上に上がるというふうな計算になっているわけでございます。しかし、「むつ」につきましては、復原性につきましても船体の強度につきましても非常に十分な余裕があるようにできておるわけでございますので、この程度の重心の増加あるいは重量の増加ということで船の復原性あるいは強度に特に問題になるようなことはないだろうというように考えておるわけでございます。ただ、最終的にこういう設計がまとまりました段階では、原子炉等規制法あるいは船舶安全法でさらに詳細なチェックを行いまして、安全性に問題がないようにしたいというふうに考えておる次第でございます。
  180. 石野久男

    ○石野委員 私は余り技術的なことはわかりませんけれども、とにかく、総トン数は九千トンですか八千何百トンですか、そういう船ですから、その船で三百五十トンになるのか、それ以下になるのか、それ以上になるのか、まだそれもはっきり計算は出ていないようでございます。最初の時期に聞いたトン数は非常に多かったのですが、だんだん、だんだん少なくなってきて、少なくても結構ストリーミングを防ぐことができるような設計に多分なるのでしょうけれども、炉の問題はとにかく船舶局とはちょっと違うと思うのです。けれども、従来、船の安全性に対する一定の認可を与えておった当時から見れば、そういうふうに重心移動もありますし、復原の問題については、船舶技術上全天候に対する計算はしているのだろうから、私どもは余りそれをとやかく疑問は持ちませんけれども、しかし、いずれにしましてもいい方向には出ていないわけですよね。やはり危険性の多くなる方向へ向いていることは間違いないのだろう、こういうように思いますので、ちょっとお尋ねしました。  しかし、船舶局の方で大丈夫だと言うなら、私はそれを信頼いたしますけれども、あとは炉の修理が本当にストリーミングをなくするかどうかという問題でございますので、これは科学技術庁の方にちょっとお聞きしますけれども、技術屋がいろいろ設計をして修理をなさるのですから、余りあれこれは言いたくありませんけれども、しかし、ストリーミングの外側だけ押さえて炉に火入れをして、臨界に達した後における炉内の燃料棒の燃焼状態なり何なりというようなものについて大山委員会はいろいろ検討を加えていたようでございますけれども、こういうものの修理をした後の点検作業というのは、さきの委員会でも、母港でやるのであって修理港でやらないのだということを、いつの大臣だったか、そういう大臣答弁をいただいておるのですが、そのことはいまでも別に変わりはないのでしょうね。     〔大石委員長代理退席、委員長着席〕
  181. 山野正登

    ○山野政府委員 現在修理港で予定しております遮蔽の改修と総点検の内容と申しますのは、従来国会で御説明申し上げておりますものと全然変わっておりませんで、同じ内容を考えております。したがいまして圧力容器の内部の点検につきましては、ただいまお願いしております修理港では行うことは予定いたしておりませんで、必要とあらば新しい定係港に移動しました後に検討する問題であろうかと考えております。
  182. 石野久男

    ○石野委員 修理は、炉の中に手を加えるということはいまのところ、ないのでしょう。
  183. 山野正登

    ○山野政府委員 ございません。
  184. 石野久男

    ○石野委員 長崎県の県知事は、さきに、燃料棒を抜き取った後であるならば引き受けますということを言っていた。それが今度、燃料棒を封じ込めた形で受けとめます。こういう形に変わったわけですよね。しかも、そのことを実証するために、キーは知事が預かります。こういうことで県民からの納得を受けとめたんだ。ところが科学技術庁の方は、キーが必要なときにはいつでも知事からお借りできるのだということをさきの委員会答弁をされております。  そこで、そのキーを借りなければならない必要性というのは、どういうときに必要になってくるのですか。
  185. 山野正登

    ○山野政府委員 ただいま、原子炉の運転モードスイッチとそれから制御棒駆動盤のかぎとを県知事に管理保管してもらおうということにしておるわけでございますが、将来、総点検の中の制御棒駆動機構の試験というものを行う時点では、これらのかぎが必要でございますので、その時点で県知事の了解を得てかぎを使わしてもらって、この制御棒駆動機構試験というものを行うという運びになろうかと思います。
  186. 石野久男

    ○石野委員 制御棒駆動試験というのはいわゆる総点検の中の一部分でしょう。
  187. 山野正登

    ○山野政府委員 そのとおりでございます。
  188. 石野久男

    ○石野委員 先ほども私は確かめたように、総点検は修理港でやらないということになっておるのでしょう。それと総点検の中の一部分にあるものとは別個に切り離すわけですか。
  189. 山野正登

    ○山野政府委員 修理港で行いますのは、いわゆる遮蔽の改修という問題と、遮蔽の改修と別個に、原子炉プラントを中心にしました重要な機器についての安全性の総点検というものを予定いたしておるわけでございます。先ほど修理港で行わないと申し上げましたのは、圧力容器内部の点検は行わないと申し上げたわけでございまして、これは当初から修理港で行う予定にいたしていなかったものでございます。したがいまして、圧力容器内部の点検ではない、その原子炉プラントを中心にしました安全上重要な機器の総点検というものは、従来どおり行う予定にいたしております。
  190. 石野久男

    ○石野委員 そこのところがなかなか一般の人たちにも理解しにくいし、それからわれわれもやはり疑問を持っておるところなんです。いわゆる上昇試験という、修理が終わって、その修理が完全に引き取りができるようにできておるかどうかというのは、修理における設計どおりに仕事ができておるかどうかである。その設計どおりにできていればストリームが起きないんだというのがこの修理なんですね。ですから、国がこれに修理の費用をかけて作業をする、それがもし引き取ったときにいま一度同じようなストリームが起きるようなことがあれば、これは修理が完結していないわけですね。そういうふうに受けとめていいわけなんでしょうね、どうなんですか。
  191. 山野正登

    ○山野政府委員 そのとおりだと思います。
  192. 石野久男

    ○石野委員 そうしますと、重要な機器の点検という問題は、炉の中に対しては何も手を加えないんだ。制御棒の駆動装置というのは炉の中に入っているものなんでしょう。だから、そうすると炉の中に入っているようなものを、なぜ重要機器だから点検しなければならぬという事情が修理作業の中で必要になってくるのですか。
  193. 山野正登

    ○山野政府委員 総点検の中で行いますのは制御棒の駆動機構の試験でございまして、炉内の制御棒につきましてどうするこうするといったふうな話ではないわけでございます。炉の外にございます駆動機構について、駆動機構が円滑に作動するかどうかというテストをする、こういう趣旨でございます。
  194. 石野久男

    ○石野委員 そうすると、キーを借りるというのは、炉の中の問題には全然手を加えない、炉の外の部分についての電縫なんですか、それはどういう関係になるのかわからないけれども、そういうようなところという意味ですね。
  195. 山野正登

    ○山野政府委員 圧力容器と言う方が正確かと存じますが、圧力容器の中には手を触れないという点はそのとおりでございます。
  196. 石野久男

    ○石野委員 このキーを、修理完結時におけるところの出力上昇試験に至る時期に重要機器の点検をしたのでは遅いのですか。
  197. 山野正登

    ○山野政府委員 私どもが制御棒の駆動機構の試験を修理港で行いたいとしておりますものは、本来的には、遮蔽の改修と制御棒の駆動機構試験というものは全く別の問題ではございますけれども、しかし、圧力容器の上ぶたの上部の遮蔽の修理をいたします際に、制御棒の駆動装置というものを一時取り外して行うことがあるわけでございます。そこで、遮蔽改修工事が終了しました時点で駆動装置をまた取りつけますので、その際にぜひこの試験を実施したいと考えておるわけでございます。
  198. 石野久男

    ○石野委員 私はまだ十分わかりませんけれども、大体意味はわかりました。  そうすると、言うところのキーを借り入れるということの意味は、炉のいわゆる圧力容器の中には全然手は触れないのだということですね。そこが非常に不明瞭であるということがまたわれわれの理解を誤らせることになりますのでお尋ねしました。  そうしますと、いまそういうような佐世保に原子力船「むつ」を持ち込むということについての作業は、佐世保重工の会社の経営維持ということとは無関係であるけれども、修理港としてあそこへ持ち込もうということについての科学技術庁考え方は変わっていない。現状では、この修理港へ原子力船「むつ」を持ち込むための正式手続というようなものなどはもう準備しておられるのですか。たとえば佐世保市に対して、あるいはむつ市に対して、それぞれ手続等についての段取りはしておられるのですか、どうですか。
  199. 山野正登

    ○山野政府委員 今後、長崎県知事と佐世保市長から国の要請をお受けしましょうという返事がありました時点から、いろいろな手続が始まるわけでございます。その手続の内容としましては、原子炉等規制法に基づきます入港の届け、また、現在停泊いたしております青森県から長崎県に回航するために、この回航に先立ちまして、船舶安全法に基づく臨時航行検査の受検、それからまた、そのほか原子炉等規制法に基づきます設置変更許可の申請といったふうなことが考えられるわけでございますが、そういった問題につきまして、現在まだ地元から正式の受諾の御返事がない段階でございますので、いろいろと下準備をしておる段階でございます。
  200. 石野久男

    ○石野委員 長崎県会は受け入れについての方針を決定したようでございます。しかし、県民の中にはこれに対して依然として反対の声が強い。この原子力船「むつ」の処理に当たっては、科学技術庁責任を持ってやるのですか、運輸省が責任を持ってやるのですか。これはどちらになるのですか。
  201. 山野正登

    ○山野政府委員 「むつ」問題と申しますのは、直接担当いたしておりますのは、先生御高承のとおり日本原子力船開発事業団でございまして、この事業団が全責任を持って進めておるわけでございますが、これの指導監督と申しますのは、科学技術庁と運輸省が共管で所管をいたしておりまして、双方がそういう意味では指導監督の責任を持っておるというふうに言えようかと存じます。
  202. 石野久男

    ○石野委員 時間がありませんから、もう一問だけお尋ねしますが、原子力基本法の改正が今度参議院で成立したわけですね。そうしますと、これから後は、新しい基本法によるところの監督官庁というものが出てくるわけですが、その場合でもそういう共管になるのですか、どうなんですか。
  203. 山野正登

    ○山野政府委員 先般御審議をお願いしました基本法等の改正で一貫化が図られましたのは、これは規制体系につきまして一貫化が図られたわけでございまして、そういう意味合いからは、「むつ」につきましては科学技術庁が一貫してこれを規制するということになろうかと思います。先ほど私が申し上げました科学技術庁と運輸省が共同で指導監督の責任を持つと申しますのは、そういう規制面ではございませんで、むしろ原子力平和利用を推進すると申しますか、原子力船の開発を進めるという立場から、両方の共同責任で進めていくということを申し上げておるわけでございまして、具体的な形としましては、現在の事業団というのは科学技術庁と運輸省との共管になっておるという形があるわけでございます。
  204. 石野久男

    ○石野委員 いろいろ問題がありますけれども、時間がございませんので、後日また質問させていただきます。
  205. 岡本富夫

    岡本委員長 次に、原田昇左右君。
  206. 原田昇左右

    ○原田(昇)委員 私は、科学技術の振興と国際原子力問題について御質問をしたいと思います。  ただ、大臣がおいでになりませんので、初めにざっと御質問して、大臣がおいでになりましたら、また大臣から御答弁をいただかせていただきたいと存じます。  まず、科学技術の振興に関しまして御質問します。  人類の歴史を振り返ってみますと、科学技術の進歩、発展こそ、近代社会建設の原動力となっていたことは明らかであります。今日、資源有限時代を迎えまして、エネルギー、環境、食糧等の問題を克服しながら活力ある社会をつくり上げていくためには、人類の未来を切り開く科学技術の開発を促進することが肝要であり、われわれがこれに向けて努力を傾けることは、今日の世代が次の世代に対して負わなければならない大きな責務だと考えます。特に、天然資源に恵まれない、国土の狭小なわが国においては、結局は人間の能力、科学技術の開発力に頼らざるを得ないわけでありまして、したがいまして、総合的かつ先導性のある科学技術政策のもとに、強力な科学技術の研究開発を推進することが重要であります。  しかしながら、わが国の研究開発投資を見ますと、その額は、五十一年度において二兆九千億であって、この金額を対国民所得比で見ますと、わずか二%にすぎないという状況であります。欧米に比べてもかなり低い水準であります。しかもこの数字は、近年低下傾向にあるわけであります。わが国全体の研究費のインフレ部分を除いた実質値を見ましても、四十七年からは横ばいとなっておって、研究開発投資にとって最も重要な研究開発が停滞傾向を示していることは明らかだと思うのです。  このように、わが国の研究開発投資の伸びが停滞傾向にあることは実に憂うべき状況でございますが、この点について政府の見解を伺いたい。
  207. 大澤弘之

    ○大澤政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生からお話がございましたように、科学技術というものが、これからの社会にとりまして、あるいは人類の将来にとりまして、非常に大事であるということにつきましては、私どもも全くそのとおりに考えておりますし、これは単に日本だけの問題ではございませんで、世界の先進国が現在みんな考えておるようなことでございます。そして、その科学技術を進展させていくためには、やはり研究投資というものを拡大していかなければならない、これもまた、日本のみならず世界の先進国が共通に考えておるところでございまして、私どもも、これからの日本あるいはもっと広く見まして地球、人類ということを考えますときに、科学技術の研究投資というのを拡大していかなければならない。御指摘のように、現在停滞傾向にございます。これはやはり世界経済が一般的に停滞傾向にあるということの影響かと思いますが、世界のほかの国におきましても研究投資というのが多少停滞の傾向にございまして、近年、そういう先進国におきましても、研究投資を拡大していかなければならないのじゃないかという声が強うございますので、私どもそういうふうに線をそろえながら、日本の研究投資に関しましてもどんどんふやしていくという方向で努力をしていかなければならないという覚悟を決めております。
  208. 原田昇左右

    ○原田(昇)委員 研究投資が停滞傾向にあるというのはいま経済が停滞傾向にあるからということを申されましたけれども、それは確かにそうかもしれないのですが、経済が停滞傾向にあるときこそ、公共投資等の比率を上げていかなければならないのですねしたがって、私はこういうときこそ、現在二%そこそこの研究投資比率というものをGNPの三%台ぐらいに持っていってもらいたい。要望しておきます。  次に、わが国の研究開発活動の大きな特色というものは、民間が大きなウエートを占めておる。民間の比率が七割、政府の負担はわずか二七%にすぎないというところだと思うのです。西ドイツ、アメリカは政府が五割強、フランスに至っては六割ということになっております。このような経済が停滞しておるときに、民間研究投資に大きい期待をかけることは非常に困難だと思うのです。このような理由から、今後政府において税制等の活用によって民間に対する刺激策を講ずることは当然のことでありますけれども、それと同時に、わが国が主体になって活発な研究開発活動を行う必要があるし、そのためには、従来にも増して政府の研究投資の抜本的強化を図る必要があると思うのです。  しかるに、日本予算を見ますと、五十三年度の一般会計予算で見て、一般会計の伸び率が二割強、あるいは三〇%台の伸び率を示した公共事業費といったものに比べまして、科学技術振興費の伸び率はわずか八・三%、エネルギー関係費を加えても一一・九%、非常に低い比率にあることはまことに遺憾だと思うのです。今後、原子力とか太陽エネルギー等のエネルギー開発はもちろんのこと、宇宙開発とか海洋開発とかライフサイエンスとか、こういった先導的な科学技術、また地震予知を初めとする防災技術とか、社会開発関連の研究開発、いろいろ政府が主導して行わなければならぬ研究開発があると思うのですが、これを積極的に推進していくことが必要だと思うのです。このような観点に立って、政府は今後大幅な研究開発投資を拡大する必要がありますが、いま述べたような私の見解について、あなたのお考えを伺いたいと思います。
  209. 大澤弘之

    ○大澤政府委員 お答え申し上げます。  いま先生、数字をいろいろ挙げられまして御指摘いただきましたとおりでございます。一つには、最初にお話がございましたように、日本の場合には政府の投資が大変少ない。こういう不況の時期であるから、民間に期待することばかりではなくて、政府の投資を欧米並みの、数字の御指摘もございましたが、そういうふうに引き上げるべきだというお話がございまして、私どもそういうふうにあるべきだと考えておるわけでございますが、ちょっと中身に立ち入って申し上げますと、欧米の政府が投資をしておりますものを分析いたしますと、やはり先導的な分野あるいは基盤的な分野に対しまして、政府の投資が大変多いわけでございます。日本でも原子力、宇宙といった分野につきましてはかなり、いま御指摘がございました欧米並みの投資と申しますか、お金を入れておるのでございますが、私ども分析をいたしましたところでは、多少欧米と違っております点は、日本の場合には航空機と電気の関係の投資が欧米に比べて多少少な目になっております。これは、特にヨーロッパあるいはアメリカの諸国は飛行機に対する研究開発というのに大変政府の投資が多うございまして、その分がそのパーセントに効いておるということではございませんけれども、かなり大きな部分がそういうところにあるのではないかという分析をいたしておるわけでございます。  お話がございましたように、政府の部面としてはやはり先導的、基盤的な分野での研究投資をふやしていくということが数字の上では大変大きな結果になるのではなかろうか、こういうふうに思っておるわけでございます。  それから、後段お話がございました日本としての心構えでございますけれども、私どもも、先ほども申しましたような事情にございますので、政府のことしの予算が必ずしもいい数字でなかった点は十分反省をいたしておりまして、大いに科学技術振興費の拡大を来年度に向かって努力をいたしたいと考えておる次第でございます。
  210. 原田昇左右

    ○原田(昇)委員 いろいろ御苦心なさっておられると思いますが、どうも私は、科学技術庁はいまの体制では迫力がないという気がするのです。今後五年間に政府投資を五〇%、比率でそのくらいにしてもらわなければいかぬ、現在の三倍以上になるわけです。やれますか。
  211. 大澤弘之

    ○大澤政府委員 具体的に年数と数字を御指摘いただいたわけでございますが、具体的な数字と年数につきまして、私ここでお約束というようなことはできないのでございますけれども、これは科学技術庁のみならず、政府の研究投資といいますか、科学技術振興費は各省にもまたがっておるわけでございます。科学技術庁といたしましては、それを取りまとめるという役割りもあるわけでございますので、ただいま御指摘のような方向で大いに努力をさせていただきたい、こう考えております。
  212. 原田昇左右

    ○原田(昇)委員 私は、やはり大事なことは人類の未来を開くような未来技術については、この研究開発活動は政府が主導して計画をつくり、また民間と国の持ち分をうまく調整して、そして全体として整合性を持って強力に推進することが必要だと思うのですね。この点が確保されて初めて抜本的な研究投資の拡充とか研究活動の活発化ができるのじゃないかと思うのです。また、それがあって初めて、広く産業界なり国民の合意ができると思うのです。  そこで、原子力、宇宙等についてはわりあいビッグプロジェクトに手厚い投資が行われておるように見えますけれども、そのほかについては全く話にならぬという状況ですね。  私はここでひとつ提案したいのですが、たとえば未来技術研究開発促進法というようなものを、これは仮称ですが制定して、政府が幾つかの未来技術を挙げて、そしてそれに研究開発五カ年計画というようなものを立案して、これに基づいて効率のいい体制で研究開発を進めていったらどうか。五カ年計画の目標として、先ほど申し上げたGNPの研究開発投資は三%台、それから政府の比率は五割以上、こういうようなところへ持っていってもらいたい、こういうように考えておるのですが、いかがですか。これは大臣が来たらぜひ伺いたいと思っております。
  213. 大澤弘之

    ○大澤政府委員 具体的に御指摘があったわけでございますが、科学技術の振興につきまして、振興法案と申しますか、そういうものを制定して進めるべきであるということにつきましては、歴史的なひもときでございますけれども、当委員会におきましてもかなり前にそういうことにつきましての御議論があったわけであります。当時は、主として科学技術基本法というようなことで、もう少し、振興というよりは基本的な意味合いのものがあったわけでございますが、その後情勢が変わってまいりまして、先生指摘のような、むしろ新しい部面についての振興を達成するような法律を考えたらいかがかという御指摘は受けておりまして、私ども科学技術庁といたしましても、ずっとそれ以来検討してきておるのでございますが、やはり法律ということになりますと、法律に盛り込むような具体的な内容と、それを政府全体としてサポートするというようなことが必要なために、来ておるのでございますが、だんだんこういうように経済が不況になり、あるいは将来にわたっての心配事と申しますか、そういうことがふえてきておる世の中になってまいっておりますので、ただいま先生指摘がございましたことにつきまして、私どももここでまた想を新たにしてこういう問題を本当に考えなければならぬのではないかということをいま議論しておりますので、慎重に検討をさせていただきたい、こう思っておるわけでございます。
  214. 原田昇左右

    ○原田(昇)委員 議論ばかりしていてもどうにもならないのですよ。  何かいま審議会みたいなものがありますね。何という審議会ですか。
  215. 大澤弘之

    ○大澤政府委員 御指摘のは科学技術会議でございます。
  216. 原田昇左右

    ○原田(昇)委員 その科学技術会議では何をやるのですか。
  217. 大澤弘之

    ○大澤政府委員 科学技術会議は、設置法で決めておるわけでございますが、わが国の科学技術の振興についての長期的、基本的な方策を考えるということと、長期的、基本的な研究の目標を定めるというのが任務になっております。
  218. 原田昇左右

    ○原田(昇)委員 そこで、科学技術会議でいろいろお出しになっておられるのもちょっと拝見したことがあるのですが、何か非常にいいことを書いてあるのだけれども、具体的にどういうようにしたらやれるのかということが書いてないんですね、こういう技術の開発を図る、努力するというような。これではいつまでたっても堂々めぐりで、一向実施に至らないのではないかと思うのです。私はぜひ次の通常国会にこの法律を提案していただいて、私どももお手伝いしますから、具体的に今度の予算でひとつ着手をしてもらいたいと思うのですが、いかがですか。
  219. 大澤弘之

    ○大澤政府委員 お答え申し上げます。  いまここでお約束するというわけにはまいらぬのでございますけれども先生の御趣旨を体しまして検討させていただきたいと思います。
  220. 原田昇左右

    ○原田(昇)委員 この問題については、大臣がおいでになったらもう一回お尋ねします。  それから、特に海洋開発については、二百海里時代になってきており、日本の海域も従来に比べて十数倍にふえておるわけですね。この水域を十分に調査、利用すれば、その経済的、社会的効果というのは相当期待できるのではないかと思うのです。  こういったことについても大いにやらなければいかぬ分野だと思うし、また一方、地震予知の研究の重要性ということは従来たびたび指摘されておるわけですが、一昨日御承知のような地震があって、かなりの人命の損傷、物的被害が出ておる。地震予知の研究については抜本的に拡充する必要があると思うのですが、この辺についての科学技術庁姿勢を伺っておきたいと思います。
  221. 佐伯宗治

    ○佐伯説明員 御説明いたします。  御指摘のとおり、海洋科学技術につきましては、二百海里時代を迎えて飛躍的に増強されなければならぬ、推進されなければならないということで、科学技術庁におきましても、五十三年度予算では、対前年度約二倍というようなことで相当な増加を図り、推進しているところでございます。中身もいろいろございますが、時間の関係で御説明は省略させていただきますけれども、そういうことで五十四年度以降もどんどん推進していくつもりでございます。  また一方、御指摘地震予知につきましては、先生十分御承知のとおりでございますけれども、これも毎年三〇%から五〇%以上というような予算の増加を見ておりますけれども、なお全国地震多発地帯もございまして、まだ不十分な点もございますが、なおこれも第四次の測地学審議会建議を受けまして、五十四年度以降十分に拡大されていくというふうに確信いたしております。
  222. 原田昇左右

    ○原田(昇)委員 どうもちょっと頼りないのですけれども海洋開発についてはもうちょっと海洋開発の目標なり何なりを設定していただいて、その目標に合った研究開発を国がうんとやるという形をとってもらえないかと思うのです。いろいろやっておられるのはわかっておるのですが、どうも目標設定がはっきりしない。  それから、地震については何か測地学審議会の結論を待ってなんということなんですが、もうずいぶん議論があるのですね。測地学審議会なんてもうとっくに案を出しているんじゃないですか。もうちょっと具体的に、どの程度の地域についてどういうことを考えるかということをしっかりひとつ検討していただきたいと思います。
  223. 佐伯宗治

    ○佐伯説明員 御説明いたします。  海洋開発関係につきましては本年の二月、海洋開発審議会に「長期的展望に立つ海洋開発の基本的構想及び推進方策について」という諮問が出ました。来年の夏を目途といたしまして、西暦二〇〇〇年の社会における海洋開発の構想、西暦一九九〇年ごろまでの開発目標あるいはその具体的な方策、海洋科学技術推進方策、こういった四点につきまして答申をまとめていただく予定になっております。これが出ますれば飛躍的な推進が図られるものと期待しております。  また、御指摘地震予知関係につきましては、測地学審議会の第三次建議が五十三年度で終了いたしまして、五十四年度からの分につきまして第四次建議として現在審議中でございまして、間もなくまとめられることと思います。それをもとにいたしまして、各省庁が十分地震予知体制について、あるいは予算について協議をしながら推進していくものと考えております。
  224. 原田昇左右

    ○原田(昇)委員 いまの海洋開発地震について審議会でやるというお話、いつまでに出るのですか、結論は。
  225. 佐伯宗治

    ○佐伯説明員 海洋開発関係につきましては、来年の夏に最終的な答申が出る予定でございます。それから、先ほどの測地学審議会の第四次建議につきましては、恐らく七月中にはまとまるものと見ております。
  226. 原田昇左右

    ○原田(昇)委員 海洋開発、来年の夏じゃあんた予算に間に合わないです。それから、地震も七月じゃもう大体政府の原案はできちゃっているからもらったってしょうがないです。そんなんじゃ話にならぬですよ。
  227. 佐伯宗治

    ○佐伯説明員 御説明いたします。  海洋開発審議会の最終答申は来年の夏でございますけれども、中間答申はことしに一応出ます。そういったことを踏まえて……(原田(昇)委員「ことしいつですか」と呼ぶ)海洋法の関係がございまして、軽々に結論は出せないだろうと思いますけれども、それを踏まえながら最終答申としましては、来年の夏ということで目標を置いております。
  228. 原田昇左右

    ○原田(昇)委員 海洋法の関係と言ったって、海洋法はいつできるかわからないのですよ、そんなのは。来年の夏できる保証はない。国内の研究体制はもういいじゃないですか。わが方は二百海里を宣言しているのだから、海洋法と関係ないですよ。ちゃんとやってください。
  229. 佐伯宗治

    ○佐伯説明員 確かに御指摘のとおり、完全にマッチするものではございませんけれども、なお国際的な動向あるいは社会経済の動向、こういったものを見ながら最終答申を固めるということで進めておるわけでございます。
  230. 原田昇左右

    ○原田(昇)委員 先ほど大臣お留守のとき御質問したのですが、私は、どうも科学技術の研究開発投資というのが日本にとってもまた人類の未来にとっても非常に大事だという気がするのですね。しかるに、科学技術の研究投資の費用というのがGNPの比率でも二%程度にとどまっており、各国から比べると著しく低い。しかも最近伸びが少ない。それから、同時に政府の比率というものが、欧米諸国はみんな五割以上です。日本だけがわずか二七%、こういう非常に憂うべき状態であります。私はこの際、ぜひともこれを抜本的な拡充をし、政府が主導的になって基礎的な、人類の未来を開くような科学技術開発については促進を、推進をすべきである、こういうように考えまして、できれば次の国会あたりに未来技術開発促進法というようなものを制定して、政府が人類の未来を開くような本当の基本的な技術について幾つか項目を挙げて、その開発五カ年計画というのを定めて、そうして五年後の目標としては少なくとも研究投資がGNP比率で三%台、そして政府の投資の比率は少なくとも五年後五割、このくらいにひとつ高めるということをはっきりうたうということをやっていただきたいと思うのですが、大臣の見解をひとつ伺いたい。
  231. 熊谷太三郎

    ○熊谷国務大臣 いまいろいろ一般の科学技術といいますか、技術の研究開発費が非常に各国と比べて少ないし、また官民の比率が、非常に民間が多くて政府関係が少ない。これらの問題についていろいろ御指摘があり、それから未来の技術開発のために、せめて五カ年計画くらいでそういうものの推進を図るべきである、これについてどういう考え方かというお尋ねかと存じますか、もちろんそういう研究開発投資の拡大、あるいはいま一七%しかない政府投資を将来早い機会に五〇、五〇の比率にすべきである、あるいはそういう未来開発の技術について、そういう法律をつくって推進すべきであるといったようなことに関しまして、御趣旨につきましてはもちろん同感でございます。  具体的には、いつ幾日どうということは申し上げられませんが、いまの研究開発投資を国民所得の三%までにきわめて近い将来に上昇すべきであるということは、すでに科学技術会議でも示されている点でありまして、われわれとしましては鋭意その線に向かって推進を図るべきであると思いますし、また、官民投資の比率を早く五〇%目指して拡充すべきである、したがって、その点に向かっても科学技術庁が中心となりまして推進していかねばならぬと思っております。  それから、いまの法律の問題でございますが、これは具体的に必ずしもその趣旨にぴったりと沿ったような運びができますかどうか、これはここで断言はできませんが、十分検討いたしまして、御趣旨の線に沿うように努力をしてみたい、このように考えております。
  232. 原田昇左右

    ○原田(昇)委員 大臣から非常に前向きの答弁をいただいて、非常に評価するところでございます。ただ、どうもいままでの科学技術庁のあり方を見ておりますと、計画局あたりは非常に問題意識はあるのでしょうけれども、余りにも慎重過ぎまして、非常に私は残念だと思うのです。この際、ひとつ断固たる決意で大臣の意向を受けて、日本の将来、人類の未来にかかわる研究投資でございますから、大いにがんばっていただいて、やはりこの法律制度というものは一つのソフトウエアなんですから、これがやはりできればみんながそれに向かって関心が集まり、みんなが支持してくれるわけです。ぜひともそれによって予算で勝負する、こういうことになっていかなければならぬと思うのでありまして、私たちも及ばずながら与党として大いに御支援申し上げるつもりでございますので、がんばっていただきたいということを要望しておきます。  次に原子力の問題に移ります。  資源小国のわが国として、石油代替エネルギー源としての原子力に期待するところが非常に大きいわけでございますが、それにつきましても、核燃料サイクルの早期確立ということが絶対に必要だと思うのです。しかし、問題は兵器としての核の拡散防止政策と二つをいかにうまく両立させるかということであろうかと思います。そこで、昨年のロンドンにおける先進国首脳会議で、福田総理も出席されたわけでございますが、その際の合意として核の平和利用と核不拡散との二つの目的を両立する道を探るという合意がなされて、そしてその道を探るための場として国際核燃料サイクル評価、INFCEが設置され、現在ここでこの問題を取り上げておるというように了解しておりますが、そういうことですか。
  233. 山野正登

    ○山野政府委員 先生、お説のとおりでございます。
  234. 原田昇左右

    ○原田(昇)委員 それでは、INFCEでどのように調整が行われ、いつまでにこの処方せんが出るのか、伺いたい。
  235. 山野正登

    ○山野政府委員 ただいま核燃料サイクル評価におきましては、世界から四十カ国、四つの国際機関が参加しまして、先生がおっしゃいましたように原子力の平和利用と核不拡散強化の両方の両立する調和点を求めての作業が進められておるわけでございます。具体的には八つの作業部会が編成されまして検討が行われておりますが、このうちこのINFCEの中で最も中心的な活動を行うと思われます再処理とプルトニウム利用についての検討を行っております第四作業部会と申しますものには、わが国も議長国の一員としまして大いに活躍をいたしておるわけでございまして、いまのところ見通しとしましては昨年の十月にこの評価計画が発足したわけでございますが、約二年間の検討期間ということが合意されておりますので、大体来年いっぱいぐらいには結論を得るといったふうなことで、鋭意作業が進められておるという現状でございます。
  236. 原田昇左右

    ○原田(昇)委員 何か具体的な中間的な結論はあるのですか。
  237. 山野正登

    ○山野政府委員 まだ作業を始めまして約半年でございまして、私がただいま申し上げました第四作業部会を例にとりますと、現在までのところ行われておりますのは、たとえば再処理につきましては、従来の再処理方法、再処理技術についての技術的、経済的あるいは核不拡散上のいろいろの観点からの評価といったふうなことをするということと、さらに従来の再処理方式にかわる代替の再処理技術、再処理方式につきまして同じような検討を行うというふうな仕事があるわけでございますが、いまのところ第一の問題の従来の再処理方式、再処理技術というものを評価しますためのベースになりますモデルケースというものの設定をしようとしておるわけでございまして、先般東京におきまして東京会議が開かれたわけでございますが、これにドイツ並びにわが国から一案を出しまして、これの本格的討議というのは九月ごろに始まるということでございまして、いまようやく作業が本格的に進もうという段階に達したというところでございます。
  238. 原田昇左右

    ○原田(昇)委員 それでは、この間の東京会議でIEAの会議も行われましたね。そのときの認識は、原子力についての役割りというものについてどんなふうであったわけですか。
  239. 山野正登

    ○山野政府委員 IEAの東京理事会は四月の十二日、十三日に東京で開かれたわけでございまして、加盟国十九カ国のエネルギー政策とエネルギーの研究開発計画の審査報告が行われたわけでございます。その中で審査報告に基づく理事会の結論の中に、原子力につきましては原子力が石油輸入量の増加を抑えるというIEA加盟国全体にとっての目標達成のために重要な役割りを果たすものである、そういう認識を示しております。特にわが国のエネルギー政策の審査の結論といたしましては、公衆に対しまして将来のエネルギー需要に対する原子力の重要性の周知徹底というものの必要性を特に指摘をいたしております。このように原子力につきましては国際的にも一致した認識、つまり石油輸入量の増加を抑えるためにはぜひ原子力の開発を進めなければならないということでは一致いたしておりまして、私どもとしましても今後ともこの線に即して進めてまいりたいというふうに考えております。
  240. 原田昇左右

    ○原田(昇)委員 いまのお話、ぜひひとつ国内にもPRしていただいて、まだわが国では原子力開発について疑問を持っておる政党とか国民の一部に反対分子もおるわけですから、ぜひPRをしていただきたいと思います。  それから先般ロックフェラー財団によって発表された報告書というものは高速増殖炉開発についての米国の最近の動きの一端を示すものと思われますが、その概要とこれに対する政府の見解をお尋ねしたいわけです。
  241. 山野正登

    ○山野政府委員 ロックフェラー財団が最近発表しました高速増殖炉の開発に関する報告でございますが、概要としましては、まず第一点は、米国内外の諸情勢を検討した結果、高速増殖炉の開発推進が早急に必要であるという点、第二点は、米国としてはいわゆるカーター政策、つまり高速増殖炉の商業化の努力を現時点では無期限に延期すべきであるというカーター政策は変更して高速増殖炉に関する国際協力に積極的に臨むべきである、取り組むべきであるという点、第三点は、国際協力を進めることによりまして米国の世界的な指導性の確保あるいは核拡散の効果的な阻止、それから停滞いたしております高速増殖炉の技術の効率的な開発といったふうなものができるという点、さらに第四点としまして、具体的な進め方としましては米国と日本、わが国との協力体制を早期に確立して、可能な場合には英国との協力も検討すべきであるという点、最後に、スケジュールとしましては、百万キロワット級の商業用の実証炉三基を西暦二〇〇〇年ごろまでに開発する案が最適であるといったふうな内容になっております。これはあくまでも米国の民間の一財団が出したものでございまして、従来の高速増殖炉の商業化を延期することを表明しておりました米国のカーター政策に対して、果たしてこれがどの程度の影響を与えるものであるかといったふうなことは、現段階ではもちろん明らかでないわけでございまして、私どもとしましても、コメントは差し控えるべきではないかというふうに考えますが、翻ってわが国の立場と申しますのは、原子力の開発利用を進めるに当たりまして、そのもとになりますウラン資源というものが国内にほとんどないという状況にあるわけでございますので、今後原子力平和利用を進めるに当たりましては、何としても国内に乏しいウラン資源というものを最大限に有効活用しなければならないという至上命令があるわけでございますから、今後とも高速増殖炉の自主開発というものはぜひナショナルプロジェクトとして進めてまいりたいというふうに考えております。
  242. 原田昇左右

    ○原田(昇)委員 いまのロックフェラー財団の報告書の概要、大変参考になりました。ぜひひとつコピーをいただきたいと思いますが、これが米国の政策にどういうように影響を及ぼすかということについては、非常に重要な問題であり、わが国にとっては非常に望ましい方向だと思うので、ぜひともひとつその辺は科学技術庁としても、また外務省としても十分トレースをしていただきたいと思います。  それからなお、高速増殖炉がフランスあたりは開発が相当進んできて、それに伴ってウランの価格はいま相当下がってきておるということも聞くのですけれども、高速増殖炉の開発というのは、ぜひともわが国初め資源のない国としては真剣に取り組んでいかなければならない問題ですから、できるだけこのロックフェラー財団のこういう趣旨を生かしながら、アメリカにもこの点を大いに了解してもらう、また国際的にもこういうものを了解してもらうわが国の主張の助けにもなると思うので、大いにひとつやっていただきたいと思うのです。これを要望しておきます。  それで、時間もありませんので、次に移りますが、米国の核不拡散法の成立に伴いまして、米国としては既存の二国間協定の改定等の措置をとらざるを得ないというようなことになってくるんじゃないかと思うのですね。ところが、INFCEではまだ審議中だというようなこともあります。そこで、わが国として、協定改定交渉を向こうが提起してくる場合にどういうようにやっていくかということが一つの問題と思うのですが、わが国では、すでに現行の日米協定では、欧州に比べて著しく不利な協定が結ばれておりまして、米国産使用済み燃料を再処理するに際してのアメリカとの同意を必要とするというような条項は、すでに織り込まれちゃっているわけですね。さらにそれに上乗せされたらたまらぬと思うのですが、この点はどうかということ。現行協定で大体必要にして十分じゃないかとも思うのですが、そういうように考えてくると、わが国にとってとりあえずの最重要課題は、日米協定の改定問題よりは、むしろあと一年余りに迫っておる東海の再処理施設運転に関する日米共同決定であると考えます。この間も私ども東海の再処理施設を見せていただいたんですが、非常にりっぱな施設でもあり、私は、ぜひこれの運転を確保し、また民間による新しい再処理工場の設立が一日も早くできることが大事だと思うのですが、日米間の交渉に備えて、政府として準備をどのように進めていくのか、その方針をお尋ねしたいと存じます。
  243. 山野正登

    ○山野政府委員 最初に、先生がお尋ねになりました米国の核不拡散法に対するわが国の対処でございますが、これはまだ先方から協定改定の申し入れがあったわけではございませんけれども、いずれそういうふうな事態があれば、これは御指摘のようにINFCE等ともきわめて密接な関連を持つ問題でございますので、そのような関係のある諸問題を頭に置きながら、広い視野からわが国の国益を損なわないように、対応を誤りなきようにしなければならぬと考えております。現在試運転をいたしております東海の再処理工場の第三年次以降の運転につきましては、さきの日米交渉におきまして、三年目以降の運転については、INFCEの結果並びに二年間のわが国における混合抽出法を中心にした研究開発の成果といったふうなものを十分に踏まえて検討しましょうという約束になっておるわけでございまして、私どもはこの約束に従いまして、国際核燃料サイクル評価には積極的に参加をしまして所要の検討を進めておりますし、また国内におきましては、混合抽出法を中心にしまして関連の技術開発というものを進めておるわけでございます。このようなものの成果を踏まえまして、これはいまのところ、来年の九月までが当初の二年間でございますので、できるだけ前広に米側と接触を保ちまして、昨年の日米交渉はやはり相互の理解の上に立って解決を見たものであるという認識を私どもはいたしておるわけでございますが、、そういう観点から、十分に日米間の理解を深めながら満足のいく合意を求めてまいりたいというふうに考えております。
  244. 原田昇左右

    ○原田(昇)委員 いまのお話、私はなかなかむずかしい面もあるんじゃないかと思うのですね。混合抽出法なんというのは、来年の九月までに結論が出るとはちょっと思えないような感じもしますし、ぜひとも日本立場を米国によく伝え、また米国の中でもロックフェラー報告のような違った種類の考え方も出てきておるわけですから、がんばっていただきたいと思います。  それから同時にお聞きしたいのは、何かマーシャル群島に核燃料センターをつくって、日本に建設、管理をしてもらったらどうだというようなことを米国側が考えておるという新聞報道がありますが、これについて具体的にそういう事実があるのか、またそういうアプローチがあったのか、またそういうことについてどう考えるのか、伺いたいと思います。
  245. 山野正登

    ○山野政府委員 仰せのような地点を指摘しましてのわが国に対する提案とか申し入れといったふうなことはもちろんないわけでございまして、いろいろ最近の新聞紙面をにぎわしております核燃料銀行であるとかあるいは地域核燃料センターといったふうな構想につきましては、若干非公式な情報といったふうなものは入手いたしております。特に核燃料銀行というものにつきましては、昨年のINFCEの設立総会で、カーター大統領がその演説の中で、核燃料の二国間供給が一時的に停止された場合に燃料の供給源となり得るような国際核燃料銀行を設立すべきであるといったふうな構想を示しておりまして、これにつきまして、去る四月のINFCEの第三作業部会で米国が若干の説明をいたしておりますので、その辺の情報は若干持っておりますが、冒頭に御指摘のようなものにつきましては、私どもそのような事実もなかったと思いますし、何ら情報に接しておりません。
  246. 原田昇左右

    ○原田(昇)委員 いま具体的な提案はないのだというお話でございます。それならそれで結構なのですが、わが国としては核不拡散の見地からの規制面におけるいろいろな対処というものにとかくとらわれがちでございますけれども、むしろ積極的に開発面において国際協力の重要性ということを大いに推進しなければならぬ立場だと思います。そういう意味で、いまの核燃料センターを設置する問題も、わが国の研究開発の自由度さえ確保できるのなら大いに協力してもいい問題じゃないかと思うのです。また、核融合とか高速増殖炉等の巨大プロジェクト開発についての国際協力についてもぜひ推進すべきだと思います。それについての政府の見解を伺いたいと思います。  それと同時に、時間もございませんが、核燃料サイクルの確立について、いわばその再処理とか放射能廃棄物の処分等のダウンストリームの関係はかなり議論もされておりますけれども、サイクルの出発点となるウラン資源の確保ということも非常に重要だと思うのです。ウラン資源の自主開発を資源国との関係で推し進めていくこと、これはまた大変むずかしい問題ですが、動燃がマリとかニジェールあたりでやっておられるということも聞いておりますし、これら諸国との密接な協力関係をつくり上げつつ、ウラン資源の自主開発を積極的に進める必要があると思うのです。これについての見解をあわせて伺いたいと思います。
  247. 山野正登

    ○山野政府委員 まず、核融合とか高速増殖炉という巨大プロジェクトの開発についての国際協力に対してどう考えていくかという問題でございますが、このような計画というものはあくまでも自主的な立場で自主技術で進めてまいりたいということを私どもは念願いたしておりますけれども、あわせて、できるだけ研究開発の効率化を図るという面から、御指摘の国際協力も積極的に進めてまいりたいと考えておるわけでございます。  具体的には、核融合につきましては米国、ソ連、IAEA及びOECDのIEAという諸機関と協力関係を持っておるわけでございます。また高速増殖炉分野につきましては米国、西独及び英国等の間におきまして、また高温ガス炉の分野におきましては西独との間に協力関係を持っておりまして、協力を推進しておるわけでございます。  第二点のウラン資源確保の問題でございますが、現在わが国は約十五万トンばかりのウラン資源を確保いたしておりまして、大体昭和六十年代の半ばぐらいまでの所要量は確保いたしておるわけであります。これはウランの探鉱から資源入手まで、きわめて長期を要するものでもございますので、引き続き現在の契約分に加えまして、長期契約の確保を図るとともに、御指摘のようにみずから海外に出てまいりましていわゆる開発輸入を図るということがぜひ必要であろうかと思っております。     〔委員長退席、貝沼委員長代理着席〕 将来は全所要量の三分の一程度をそのような開発輸入で賄うということを目標にいたしておりまして、現在動燃事業団の調査探鉱あるいは金属鉱業事業団の成功払い融資による民間企業による探鉱開発というものを進めておるわけでございまして、ウラン資源国との友好関係を保ちながらそのような海外探鉱開発を積極的に進めてまいりたいと考えております。
  248. 原田昇左右

    ○原田(昇)委員 最後に大臣にお聞きしたいのですが、原子力開発の一番の問題点は、わが国の自主的な核燃料サイクルの開発を確立していくということだと思うのです。INFCE等々の議論もございますけれども、この点をアメリカにもよくわからせていく努力をし、また自主開発を進めると同時に国際協力も大いにやっていくという姿勢でぜひやっていかなければならないのじゃないかと思うのですが、この点について大臣の御決意を伺いまして、質問を終わります。
  249. 熊谷太三郎

    ○熊谷国務大臣 仰せのとおりでございまして、資源がほとんどないところにいろいろな技術もおくれておりますので、自主開発ということに今後とも一層力を入れてまいりたい、このように考えます。
  250. 貝沼次郎

    貝沼委員長代理 次に、津川武一君。
  251. 津川武一

    津川委員 きょうは、原子力船「むつ」のことと、今度の十二日に発生した宮城沖地震に関連して予知技術の向上について質問しょうと思って通告しておきましたが、地震予知技術の方が非常に問題がありますので、それだけにさせていただいて、原子力船は次の機会にさせていただきたいと思います。  きのうの政府部内の検討でも、今度の地震予知はできなかった、そんな意味のことを言われたような記事も拝見いたしました。しかし、私たち振り返ってみますと、この地域にも大変地震があります。東日本における昭和以後の被害地震マグニチュード七・〇以上のものを見ましても、現在まで二十四回起きております。この中で、一九三三年、昭和八年、三陸沖地震では、マグニチュードが八・三、被害は壁に亀裂を生じた程度であったが、死者三千八人、流失家屋四千九百十七戸、流失船舶七千三百三、宮古、石巻などで震度五の地震になっております。一九三九年、男鹿半島地震マグニチュード七・〇、死者二十七人、住家全壊四百七十九戸、最大震度は秋田で五度。もう二、三拾ってみますと、一九五二年、昭和二十七年、十勝沖地震マグニチュード八・一、死者二十八人、家屋全壊八百十五戸、船舶流失四百四十八、ここでも五の震度でございます。一九六八年、これは一九六八年十勝沖地震と命名されて、マグニチュード七・九、死者五十二人、建物全壊六百七十六、こういうかっこうになっております。また、一九七八年、伊豆大島近海地震、死者二十五人、家屋全壊九十四、これだけの被害を受けているわけであります。  こういう状態を踏まえまして、どうしても予知観測、情報伝達、この技術の開発が決定的に必要となっておりますが、観測、情報伝達、予知、これをどのようにされてきたか。こういう犠牲をそのままにしてきたのじゃないかという不信を国民に持たれておりますが、その点をまず説明していただきたいと思います。
  252. 佐伯宗治

    ○佐伯説明員 御説明申し上げます。  専門的なことにつきましては気象庁末広事官から御説明申し上げることになると思いますが、全般につきましては科学技術庁の方から御説明いたします。  御指摘地震予知に関しましては、昭和三十九年にようやく測地学審議会の第一次建議が出されまして、行政的に組織的な地震観測体制というのがまとまって、それの第三次まで来たわけでございますが、大学につきましては明治時代から相当深く研究されておりますが、ただいまも申し上げましたように、行政面ではようやく十年余りということで、しかし、この十年間に測地学審議会の第一次から第三次までの建議を受けまして、着々と全国的な観測網、あるいは測量、こういったものの整備が行われてきたわけでございます。先般成立いたしました大規模地震対策特別措置法によりまして、先ほどの御指摘の情報伝達関係あるいは地震予知情報の発行責任者と申しますか、予知情報を出す責任者というものも決まりまして、今後、五十四年度から始まります測地学審議会の第四次建議以降にまた地震予知関係の建議が出てまいるということで、さらに全体として推進されていくものと考えております。
  253. 津川武一

    津川委員 この点での具体的な検討、研究はどうされたか、気象庁から伺わせていただきます。
  254. 末広重二

    末広説明員 地震予知をいたしますためには、地下での地震のエネルギーのたまる過程あるいは地震の起こります寸前の状態変化に随伴して、いろいろの現象が起こります。     〔貝沼委員長代理退席、委員長着席〕 これは、地震活動、地殻変動、地下水の変化、地球電磁気学的性質の変化、あるいは最近は動物、魚類等の生態の異常というようなこともその中に含まれておるようでございますが、こういった幅広い観測をいたしまして、それの総合的判断のもとに地震の接近を知るというのが手法でございまして、多くの分野がこれに関係いたしますために、やはり日本学術会議の場でまずいろいろな論議をいたしまして、それを行政に結びつけるという、橋渡しでございますか、これを文部省測地学審議会がややまとまった形で行政当局に建議をする。それを受けまして、地震予知推進本部がこれを実行に移すという手法をとっておりまして、最近の四、五年間はある意味では目覚ましい躍進が遂げられたと思っておりますが、もちろん、最近の被害等を考えますとこれは決して十分ではないわけでございまして、今後ともこういった手法を取りながら、技術の練摩と申しますか、観測の強化を図ってまいりたいと思います。
  255. 津川武一

    津川委員 実は、ことしの二月二十日、仙台沖に地震が起きました。そのとき私は、末広さんに予知できなかったのかとお尋ねをしたら、予知できなかったと答えておる。さらに、その点でもう少し私が質問したら、「宮城県沖の地震マグニチュード七程度でございました。ただ、あの辺で起こります地震は、海岸から非常に沖合いに離れておりまして、直接地面が揺れるということによって起こります被害よりは、実は津波の方がこわいわけでございまして、この津波警報ということに関しましては、現在も相当の手だてが講じてございまして、私ども地震が起こりまして十分か十五分くらいで津波警報をお出しできるような体制をとってございますので」御了解いただきたいと。さらに私が聞きましたら、この仙台沖地震が「海岸から相当離れていたわけでございまして、東海あるいは南関東に比べますと、観測網の強化という点では施設がまだそこまで進んでおりませんでしたので、あの宮城県沖の地震に関しましては、予知情報をお出しできるような前兆は、残念ながらつかんでおりませんでした。」いま末広さん、学者としていろいろなことを答えていただいた。だが、それでは何にもならない。具体的にどうするかという点、先ほど幾つかの例を挙げたけれども、こういうふうに昭和に入ってからもマグニチュード七以上のものが二十四回も起きているのです。これに対してこういうことなんです。六月十二日の宮城沖地震、これは前兆でつかまえることができたか、どんな観測装置をしておったのか、どんな予知体制をしいておったのか、具体的に答えていただいて、そして不十分であれば、どう反省して、具体的に、こういうことがないようにするためにどうするのかということを答えていただかないと、被害者も国民も納得できないと思うのです。きわめて具体的に答えていただきます。
  256. 末広重二

    末広説明員 お答え申し上げます。  東北地方被害を及ぼします地震は大体二通りございまして、先生冒頭に御引用になりましたけれども、たとえば昭和八年、一九三三年の三陸沖地震は三千名以上の犠牲者を出しましたが、これはことごとく津波による犠牲者でございまして、ただいまこの前の私の答弁を御引用いただきまして恐縮に存じますが、そのときにも申し上げましたとおり、地動による被害はその場合はほとんどなかったわけでございます。昭和十一年の金華山沖地震の折にも、今回の地震を上回るマグニチュードでございましたけれども、やはり地震動そのものによる被害というものははなはだ僅少でございました。これに比較いたしますと、これも先生一つ例をお挙げになりましたけれども、たとえば一七六六年のマグニチュード六・九の津波地震、一七九三年のマグニチュード六・九の鰺ケ沢の地震、さらには一九一四年の秋田県の地震等、東北地方の内陸で起こります地震、これはマグニチュードはせいぜい七程度でございますけれども、これはいわば直下型として作用いたしますために、これは地震動による直接の被害が生じます。いままで、これを踏まえまして、沿岸沖合いで起こります地震に対しましては、海岸から離れているということもございまして、予知技術上もなかなかむずかしい、しかしこわいのは津波であるということで、津波に対します伝達施設、判断装置を充実してまいりました。また、内陸の地震は、できれば予知をしたいところでございますので、たとえば私ども気象庁でございますと、この五十二年度に青森、山形、大船渡のそれぞれの近くに全く新しい高感度の観測所をつくりまして、テレメーター装置で内陸部の地震の監視をする。また一方、東北大学では、研究ベースでございますけれども仙台の青葉山、それから北上、日本海の方の秋田にそれぞれ中枢を置きます十数点の地震観測と地殻変動の観測所を設けられまして、これは全部やはり仙台に集中するということが、昨年度でございましたか完成いたしまして、この体制で内陸性の地震は何とか前兆をつかまえよう、それから、外洋型の地震津波の方が主な被害であるから、これは津波警報を迅速に出そうということでやってまいったわけでございます。今回の地震につきましても、津波警報の方は発震後七分程度で警報を出したというわけでございますけれども、私どものいままでの考えを改めなければならないという点は、従来は被害を起こさなかったような地面の震動あるいは震度でありましても、上にあります構造物あるいは社会制度といったような、生活制度と申した方がよろしいかと思いますが、それが変わってまいりましたために、従来被害を起こさなかったような地震でも被害を起こすことがある、現実にそういうことが起きたわけでございますから、私どもはこの辺を深刻に受けとめまして、外洋型の地震でも必ずしも津波だけを注意するのでは十分でないということで、今後はこういった外洋型の三陸沖地震に対しましても、何とか予知につながる前兆をつかむべく、東海地方あるいは南関東でとっておりますような手法を拡大いたしますと申しますか、東北三陸沿岸地方にも適用していくということを考えなければならないと思っております。ただ、何分現実の問題といたしまして、いま発生の危険が云々されております東海地震等は、陸地のすぐ沖合い、あるいは震源地の一部分は陸地にかかるというふうに考えられておりますが、それに比べますと、三陸沖地震宮城沖地震陸地から離れておりますために、予知につながる前兆をつかむということの技術的困難さということはあるのだということは御理解いただきたいと存じます。
  257. 津川武一

    津川委員 末広さんの説明、学者だから国民には説得力ある説明かもわかりませんけれども、いけませんよ。海の中で起きた地震津波だけがこわい、そうやってきたというのでしょう。一九六八年の十勝沖地震、これは何が一番やられたと思っていますか。がけ崩れですよ。家が壊れていますよ。死んでいる人たちは、へいが壊れてそれで死んでいます。これは大きな教訓で、今度の宮城沖地震の前駆をなすものです。あなたは、三陸沿岸のものは海底の地震だからと言ってきた。ぼくは、これは国民に対して非常に失礼な言葉だと思います。虚心坦懐に一九六八年の十勝沖地震の批判を、教訓を受け継がなければならない。いまこの宮城県沖の地震から批判、教訓を受け継ぐというのはとんでもない話です。  そこで、もう少し具体的に進めていきます。これで気象庁も一生懸命だろうけれども、一番熱心なのは大建設会社です。仙台市に続々と専門家を送り込んでおります。これは言うまでもなく鹿島建設、大成建設、清水建設、こうして自分たちが建てた建物がどうだったかということの検討を始めている、技術者を送り込んでいる。東京、神奈川、横浜、これがいま現地調査団を送っているのだ。これが本当の態度だと思う。したがって、六八年の十勝沖地震でどうしたかということを私は繰り返して言うわけだ。そこで、いろいろなこともあるだろうけれども、ここの三陸の海底に地震計などを置くことがぜひ必要だと思うわけです。この点はどうされるのか、ひとつ明らかにしていただきたい。  もう一つは、政府の機関である国土地理院が去年の十一月十日に出した「地震とその予知」で、観測強化地域として静岡のところを挙げておって、特定観測地域として全国に九つ挙げている。これに三陸が入っていないのです。つまり、極言すれば、観測を放棄した、怠った、そうして六月十二日の地震に遭った、こう思うわけです。深刻に考えてみてください。これで徹底的に、この点で何があったのか、どうすれば予知できたのか、そういう点の検討をして、ここで、海底の地震計だとかこういう点で、秋田の方が特定観測地域になっていて、三陸が怠られている。歴史的に見て、先ほどあなたが話されたとおり、抜くことのできない心配な地域なんです。重ねて方針を伺わせていただきます。
  258. 末広重二

    末広説明員 御説明申し上げます。  私ども、第二十勝沖地震で、すでに世の中が変わってきたために、震害ということも様相が変わってきたということに対する認識をもっと深刻にすべきであったという御指摘の点は、深く反省いたしております。  今後でございますが、内陸部に対しましては、いま申し上げましたとおり、いろいろな施設が続々できておりますので、これを将来、やはり常時監視に結びつけるということで予知へ前進する。それから、東北の沖合いに起こります地震に対しましては、やはり観測の手をその真上に伸ばすという意味で、御指摘海底地震計ということは非常に有力な観測手段になると私ども認識いたしております。この第一号は、来月の末に東海地方に設置される予定でございまして、私どもは、何分多額の御負担を国民の皆様におかけする事業でございますので、まずこの第一号の観測状態をよく見まして、できるだけ早い時期に、必要と思われる他の地域にも二号の海底地震計を敷設するという方向で、ただいま、先ほど申し上げました測地学審議会の方で御審議願っておりますので、先生指摘の方向へ観測強化が進んでいくことと存じます。
  259. 津川武一

    津川委員 特定観測地域はどうです。三陸は。
  260. 末広重二

    末広説明員 御説明申し上げます。  秋田県が特定地域になりながら三陸が特定地域になっておらなかったといういきさつにつきましては、最初に御説明いたしましたような考えが若干その背後にあったと思いますが、今回、こういう事態でございますので、社会の被害の様相がもう十年前と違うのだということを認識いたしまして、私ども、たとえば地震予知連絡会等の場でこれをもう一遍洗い直しまして、当然必要とあらば特定地域に指定する分には決してやぶさかではないわけでございます。
  261. 津川武一

    津川委員 そこで長官、こんな情勢なんです。海底地震計をやるとかなりの費用がかかるわけなんです。しかし、何としてもここのところは抜くことができないし、いままでの参事官説明でわかったでしょう。あそこの地震津波ばかりこわいと思っておった、ところが、六八年のあの地震と今度の地震で非常に多くなって、ここいらで政府としてはこういう予知観測のために思い切って科学技術の振興、予算を投じなければならないし、大臣も先頭に立たなければならないと思いますが、ここいらで大臣のお気持ちを伺わせていただきます。
  262. 熊谷太三郎

    ○熊谷国務大臣 いま東北関係の地震の問題につきましていろいろお話があったわけでございます。それにつきまして政府委員の方からいろいろお話がございました。(私語する者あり)
  263. 岡本富夫

    岡本委員長 静粛に願います。
  264. 熊谷太三郎

    ○熊谷国務大臣 そこで、私は実は専門家でございませんので、正直のところ、余り細かいことはわかりませんから、あるいは私、誤っている点があるかもしれませんが、要するに、いろいろ観測の不備なところもあった、したがって、そういう点を十分ひとつ検討して、今後さらにその強化を図っていこうということもございました。それから、それはむろん、いま予知推進本部の本部長でございますから、十分ひとつその点は考慮いたしまして検討しなければならぬと思っておりますし、御承知のように、今回の緊急立法の特別措置法によりまして、その予知の関係もさらに緊急特別措置法との関係でどういうことになるか、その点もにらみ合わさなければならぬことになりますが、当分は、とにかく私ども責任でございますから、観測体制を強化してまいりたいと考えております。  ただ、私もこの地震が起きましていろいろ調べました範囲では、残念ながら日本のいまの予知技術ということは非常にまだ心もとない。と申しますことは、いま一番観測網が強化されておりますのは御承知のように東海地方でございます。先般の伊豆地震のときに幾らか予知らしきものが一時間ほど前に出されたわけでございますが、どうもそれも十分の自信を持って出されたかどうか、その点もなんでございますし、ことに今回の仙台地震につきましては、東海並みの観測網が仮にありましても、いまの海底地震計というのはよくわからぬのですが、それでなく、ただ、東海地方の特別地域にありますような観測体制をとりましても、今度の地震のように海のずっと沖合いで起こりましたそういう地震については果たして予知し得たかどうかということはかなり疑問じゃないか。要するに予知体制の技術も非常に未熟でありますし、それから、未熟でありながら、なお一層未熟は未熟としましてそれなりに観測網を強化しなければなりませんが、そういう点につきましても非常にまだ不十分である、こういうふうに考えておりますので、予知技術の推進ということと観測網の強化ということの二点をさらに今後ひとつ十分推進してまいらねばならぬ、このように考えるわけでございます。
  265. 津川武一

    津川委員 そこで、もう一つは、昨年の秋の日本地震学会で若い研究者が、これは東大の理学部の地球物理教室の竹内研究室の瀬野という方でございますが、この人が「宮城県東方沖に将来、マグニチュード七・七クラスの大地震が起こる可能性がある」ということを発表しているのです。詳しいことは省きますが、この人の説によりますと、八十年から百年の間に起きてくる。しかも、そのときには、こう言っております。「巨大地震と内陸部で起こるM六以上の直下型地震との間には強い関係があり、直下型は巨大地震発生の五十年前から十年後の間に起こりやすい」。そうして、前に起きてから八十年前後に起きておる。今度起きた地震が、この瀬野さんが言った起きるという心配のある地震であるならこれで済んでいるのです。ところが、津波が来なかったところから見るとそれではないらしいと言うのです。とすれば、瀬野さんという人が指摘した大きい地震が起こる可能性がきわめて近いわけです。この研究はどんな研究であるのか。これをどう評価されておるのか。したがって、あそこの東海の御前崎のところに海底地震計を設置する、と同時に、こういう学説というものを幾らかでも評価することがあるならば、次を待たないで直ちに海底地震計を設置する必要があると思うのです。これが一つ。  時間がないからもう一つ続けて言います。  いまいろいろ大学を通じて試験研究をやっていると言っておるが、八一尺これは一八九六年にM七・六、一九〇一年七・七、一九〇二年に七・四、一九三一年に七・六、一九三三年八・一、一九四五年七・三、六八年七・九、ここを観測する測候所、弘前大学の地震研究所、これが仙台を中心にして一つの連結、こういう点では全く空白だというのです。仙台を含めて予知体制は全く空白である。ここいらの八戸、青森、弘前大学の地震研究所、仙台のセンターにテレメーターでいいから要求する。こういう予算要求してもうんと言ってくれないのだ。あなたは進んでいると言っている。予算はうんと言ってくれない。この二点を答えていただいて、最後にテレメーターの問題は科学技術庁に答えていただきましょう。
  266. 末広重二

    末広説明員 御説明いたします。  御指摘の方の学説でございますが、統計的研究と申しますのはいろいろいままでなされておりますが、やはりこういった地震のような自然現象では、揺らぎと申しますか、何年ごとのごとという年からの前後の不確定性が非常に多うございますので、私どもといたしましてはやはり地下の現実にある状態を地球物理的に把握して次の地震がどの程度逼迫しているかということを調べるということへ重点を置いておりますが、こういった過去の地震の起こり方が十分な参考になります。したかいまして、これに対して注目を払っているということはもちろん当然でございます。  海底地震計を引き続き設置してはどうかという御提議でございますけれども、先ほども申し上げましたとおり、何分にも非常に多額の御負担をいただくことになりますので、現在の私どもの気持ちといたしましては、まず東海沖に据えつけましたものが見込みどおりきちっと動くかどうかということを少なくとも一年間は確かめさせていただいて、その上で改良すべきことは改良して次に備えるというのが、やはりかかります費用等を考えますと、ゆっくりしているようではあるけれどもこれが一番確実かつ迅速な道である、こう考えているわけでございます。
  267. 佐伯宗治

    ○佐伯説明員 御説明いたします。  先ほどの先生指摘の大学関係につきましては、科学技術庁に調整権は全然ございません。ただ、気象庁におきましては八戸にございまして、これはテレメーター化されております。それから東北大学関係につきましては仙台に中心がございまして、多くの観測点、いま手元にございますのでも二十何カ所ございますが、これは仙台に全部直結しております。
  268. 津川武一

    津川委員 これで終わりますが、最後に、末広さん、瀬野徹三さんのは統計的な研究だと言っているけれども、あなた自身よく見られているでしょう。あの研究はこうなっているのですよ。何と言っているかというと、「巨大地震は、東から押し寄せてくる太平洋プレート(岩盤)が日本列島の下に潜り込むため生ずる」、その場所がまさにあれで、きわめて地質学的なんですよ。過去の持っている統計的なものでないので、簡単に何か統計的だというように片づけないで、あなた自身の発言というのはかなり国民に影響が大きいものだから、虚心坦懐にそこいらを見る。研究してみると言うからいいけれども、そういうことを要望してもしあなたに何か発言があれば聞いて、なければこれで終わります。
  269. 末広重二

    末広説明員 今回の地震が御指摘のような性質を帯びていた可能性はこの二日の調査で相当明らかになってまいりましたので、エネルギーがどのくらい解放されたか、まだ残っておるか、その辺は十分早急に検討いたしまして国民の皆様に明らかにいたしたいと思います。
  270. 津川武一

    津川委員 終わります。      ————◇—————
  271. 岡本富夫

    岡本委員長 この際、御報告申し上げます。  今国会、本委員会に付託になりました請願は、伊方原発周辺地域及び同海域の諸調査実施に関する請願一件であります。この請願の取り扱いについては、先刻の理事会において協議いたしたのでありますが、委員会での採否の決定は保留することになりましたので、さよう御了承願います。  なお、本委員会に参考送付されております陳情書は、お手元に配付してありますとおり、原子力の安全規制確立に関する陳情書一件であります。念のために御報告申し上げておきます。      ————◇—————
  272. 岡本富夫

    岡本委員長 次に、閉会中審査申し出に関する件についてお諮りいたします。  科学技術振興対策に関する件について、議長に対し、閉会中審査の申し出をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  273. 岡本富夫

    岡本委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  引き続きお諮りいたします。  核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案について、議長に対し、閉会中審査の申し出をするに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  274. 岡本富夫

    岡本委員長 起立多数。よって、本案は、議長に対し、閉会中審査の申し出をすることに決定いたしました。  次に、閉会中審査のため、参考人から意見を聴取する必要が生じました場合、人選その他所要の手続等につきましては、あらかじめ委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  275. 岡本富夫

    岡本委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  次に、閉会中審査のため、委員派遣の必要が生じました場合、派遣委員、派遣地及び期間並びに議長に対する承認申請の手続等につきましては、あらかじめ委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  276. 岡本富夫

    岡本委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  本日は、これにて散会いたします。     午後四時十二分散会