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1978-06-08 第84回国会 衆議院 科学技術振興対策特別委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年六月八日(木曜日)     午前十時十一分開議  出席委員    委員長 岡本 富夫君    理事 小沢 一郎君 理事 大石 千八君   理事 小宮山重四郎君 理事 佐々木義武君    理事 石野 久男君 理事 日野 市朗君    理事 貝沼 次郎君 理事 小宮 武喜君       中村 弘海君    原田昇左右君       与謝野 馨君    上坂  昇君       近江巳記夫君    瀬崎 博義君       中馬 弘毅君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      熊谷太三郎君  出席政府委員         科学技術庁長官         官房長     半澤 治雄君         科学技術庁原子         力局長     山野 正登君         科学技術庁原子         力安全局長   牧村 信之君         科学技術庁原子         力安全局次長  佐藤 兼二君         資源エネルギー         庁長官官房審議         官       武田  康君  委員外出席者         参  考  人         (動力炉・核燃         料開発事業団理         事)      中村 康治君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  核原料物質核燃料物質及び原子炉規制に関  する法律の一部を改正する法律案内閣提出第  四二号)      ————◇—————
  2. 岡本富夫

    岡本委員長 これより会議を開きます。  核原料物質核燃料物質及び原子炉規制に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本案審査のため、本日、参考人として動力炉・核燃料開発事業団理事中村康治君から意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 岡本富夫

    岡本委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。     —————————————
  4. 岡本富夫

    岡本委員長 質疑の申し出があります。順次これを許します。石野久男君。
  5. 石野久男

    石野委員 法案審議動力炉核燃料物質使用済み燃料の再処理ということですので、その点で、現に作業しております動燃団理事長さんに、きょう実はいろいろ御意見を承りたいと思いましたが、理事長さんおいでになるのに都合が悪いそうでございまして、中村参考人においでいただきまして本当にありがとうございます。最初中村参考人にお尋ねするのですが、その前に、昨日は私ども事業団へ参りましていろいろお世話になりました。ありがとうございました。  昨日もいろいろお聞きしたのですが、再処理工場民営化させるについては、再処理事業というものがどの程度安定的に成長しているかということが一番われわれにとって重要な課題でございます。そういう意味で、現在ホットテストをやっておられますから、いろいろな経験を積んでおるわけでございます。この経験の中から、事業団が当初予定をしておりました一日〇・七トンの作業をするということについていささかも問題はないのだろうかどうだろうかというようなことをやはり最初にひとつお聞かせいただきたいと思います。
  6. 中村康治

    中村参考人 お答えいたします。  理事長が参るべきところを、どうしても所用がございまして、やむを得ざるところで私がかわってお答えいたします。  昨日先生方がおそろいで私ども東海処理施設を御視察いただきましてまことにありがとうございました。  昨日、現地でも御紹介、御説明いたしましたように、昨年九月二十二日、最初JPDR、原研の動力試験炉燃料勇断を開始いたしまして、今日までJPDRキャンペーン三・三トン、それから福島BWRキャンペーン四・七トン、それから関西電力の美浜の二号炉PWR燃料を六・四トン処理をいたしました。その間私どもといたしましては、最初経験でございますが、その前にウランテストを相当期間、十分時間をかけて手直しするところも直し、また従業員教育訓練も重ねまして、おおよそ所期のような進行をしていると考えております。しかしながら、何しろ初めての経験でございまして、ふなれに基づくトラブルの経験幾つ経験いたしました。で、こういうふなれな問題、それからもう少し操作がうまければという問題はございましたけれども、本質的にあの施設でごらんいただきましたように、メカニカルチョッピングと言っておりますが、機械的な勇断をいたしまして、それを硝酸で溶かして、あと溶媒抽出で不純物、核分裂生成物を除き、あるいはウランとプルトニウムを分けるという、本質的なプロセスとしては十分満足すべき成果があったと考えております。  その間、それぞれの機器の作動、その機器設計仕様に対応しているかどうかというような測定、分析も行いました。また各キャンペーンの後で結果をまとめまして、原子力委員会に付設されております核燃料安全専門審査会下部機構の方に御報告申し上げて、御専門立場からの評価、検討もお願いいたしました。  ということで、いままでのところ、率直に申し上げて一・五カ月ぐらいの日程のずれはございますけれども、およそ予定どおり進行していると考えております。  ただし、先生の御指摘の一日〇・七トンの設計能力に対応する試験はこれからでございまして、昨日も御説明いたしましたように、いまPWRキャンペーンを終了いたしまして、その後私どもこれをギャランティーテストと言っておりますけれども、その試験をやるための整備、メンテナンスをやった上で、来月後半からこのギャランティーテストに入ります。したがって、一日〇・七トンの処理を行っても大丈夫であるかどうかということは、いままでの経験から概想をいたしましてまず間違いないというふうに考えておりますけれども、非常に正直にお答えいたしますと、これはやってみなければわからぬというところも正直に言ってございます。しかし、いままでの経験から考えまして、著しい支障は起こさないでこれは乗り切れるものと信じております。  以上でございます。
  7. 石野久男

    石野委員 これは初めてのことですから、これからやってみないとわからないということも数多くあると思うのです。しかし、その場合に、経験からして一番心配だなと思われる点はどういうような点なんでしょうか。
  8. 中村康治

    中村参考人 技術的に一番心配だなというところは格別にございません。しかし、原理的に申し上げまして、溶媒抽出に使っておりますのは、先生も御承知のようにTBPという有機溶媒を使っております。この有機溶媒は、もともとその計画でございますけれども、いわゆる照射損傷、放射線によって特性が傷んでまいります。先ほど御説明いたしましたギャランティーテストの前にはもう一度有機溶媒を取りかえまして、さらのものからスタートしたいと考えておりますけれども、これがバーンアップ、燃焼率及びその処理量がふえるに従ってその損傷が進むというのは避けられない現象でございます。これを動かして処理をしていく間にいわゆる除染係数、分配の程度がだんだんに悪くなっていくという一応の一方的な傾向が出てまいります。ざっくばらんに申し上げますと、それをどの程度になだめつすかしつしながらうまく使いこなしていくかというのが、これは一つの私ども課題だと考えております。
  9. 石野久男

    石野委員 私は余り技術的なことはわかりませんけれども、そういうような、やってみなければわからないこと、そしていろいろと仕事に入りますと、当然損耗が出てきます。損耗に対応する対策というのが、ただその部品の取りかえだとか機材の取りかえだけで済む場合は余り問題はないと思うのです。しかし、設計機能上からいって問題が出てくるという可能性どもまだ不確定でございますね。ですから、そういうようなことを、経験上からいたしますると、大体安定的に自信が持ち得られると思うのはどのくらいかかるんだろうか、素人的にそういうふうにわれわれは感じるわけです。なぜそういうことを言うかというと、昨日も皆さんからお話しありましたように、世界じゅうで再処理工場がいま安定的に運転しているところはないわけですね。それで、東海が一番自信を持って作業をしている、こういうお話をきのう聞いてきたわけでございますから、その東海のいわゆる事業団においてすらまだ初歩的な段階です。だから、そういうようなことなどから、どの程度経験を積めばそういうことになり得るのだろうかという私たち心配といいますか、疑問があるわけでございますけれども、これはざっくばらんに、当たるか当たらないかは別として、あなたの考え方というようなものをちょっと述べていただきたいと思う。
  10. 中村康治

    中村参考人 私ども、私どもなりに一つの予想もしておりますが、実は、過日東京でINFCEの第四作業部会の会合がございました。このサブグループAの方が再処理専門議論する場でございますが、そこではからずも出てまいった議論がございました。それは設計能力と実際の稼働率との関係はいかんという話題でございました。そのときに、再処理について経験を持っている国の人たち経験を持たない国の人たちではかなり認識の差がございました。  たとえば、ドイツが工業的再処理施設ベースケース、モデルケースというのを報告いたしました。ここに提案しておりますのは、年間稼働率が百七十五日から二百五十日の間、一年三百六十五日を全部動くものではなくて、百七十五日から二百五十日と考えている、そして初期使用年ぐらいはこの稼働率の低い側で進むであろう、こういうことを言っておりました。それに対してイギリス側も、初期の五年ぐらいは設計能力いっぱいにはなかなかいかぬものだというような発言をしておりました。各国ともいずれも言っておりましたのは、その施設を設置する安全評価環境評価では、その設計能力いっぱいの場合にどうなるかということで評価をしている、そのことが結局再処理コストあるいは核燃料サイクルコストというものの評価一つ議論の過程で出てまいった言葉でございます。  私どもも、先生指摘のように、設計能力としては一日〇・七トンということでございます。最終的にはこれを年間三百日稼働して二百十トンということで皆様方に御説明しておりますけれども、この二百十トンという設計能力いっぱいに持っていくのにはかなりの時間がかかると考えております。  昨年、御承知日米処理交渉、ここで私どもが提案して説明をいたしましたのは、第一年度が二十七トン、第二年度が四十トン、それから百三十トン、百七十トンというふうに、年数を追って設計能力に向かっていくんだという、こういう説明をしたことがございました。  以上でございます。
  11. 石野久男

    石野委員 年間二百十トンにいくまでの期間にしましても、いよいよ本来の作業に入って数年以上の年月が必要になるように見受けられます。そういう意味からすると、再処理工場民営問題というものを論ずるということでの時間的な諸問題というのが新たに出てくるような気が私はするわけですね。たとえばここで法案審議をしております。これができて、民間処理工場ができるのは大体十年後だ、あるいは十五年後だということになりましても、いままでの経験からすると、大体十年後、十五年後に初めて作業にかかるのか、これはもういま法案ができたから、設計段階から工事段階への準備にずっと入っていくのかによってもずいぶん違うわけですね。  私、ちょっとあなた方の経験からお聞きしたいのですが、第二再処理工場ができればすぐそれをやる新会社ができるように聞いておるわけです。その新会社設計なりあるいは工事に対して具体的に入っていく時間というのは、皆さん経験からすると、どのぐらいたった後になりましょうか、そこをちょっと御説明を願えませんか。
  12. 中村康治

    中村参考人 お答えいたします。  すでにこの委員会で何人かの参考人からお聞き及びのように、まず最初サイトを決める、サイト選定するまでの作業がかなり時間がかかるであろうと思われます。いままでの議事録を拝見いたしますと、三ないし五年という数字が出ておりました。これもやみくもにサイトが決められるのではなくて、およそ概念としての施設の骨格、物の流れ、それから廃棄物の発生、環境影響というような概念設計をつくりまして、それによって、もしこのサイトに置くとして一体どういう影響があるだろうかというようなことを含めて、サイト選定の時間が必要だと思われます。それである程度進行してまいりますと、今度は建設のための詳細設計にかかるということになると思われます。詳細設計が完全にでき上がる前、およそでき上がったという段階から、いわゆる設置許可申請、そのためのいろいろな手続が入ります。私ども経験によりますと、詳細設計を用意いたしましたのは、昭和四十年の十二月から昭和四十四年の一日までかかっております。そして設置許認可の具体的な行為に入りましたのが昭和四十三年の八月から四十六年の六月と、かなり時間がかかっております。これはそれぞれの作業を進める、それが置かれるべきサイトとの関係ということで、少しその間に作業が行ったり来たりという時間がございます。  そういう経過を進めまして、設置許可も得られ、地元のいわゆるアクセプタンスも得られ、さて建設にかかるということになりますと、これは私ども経験から考えまして、まあ四年から五年というふうに見ればいいのではないかと思われます。  それで、私ども経験から申しますと、それから後が非常に大事でございまして、いわゆる化学テストケミカルテストと言っております。あるいは照射してないウランを使いまして、その施設特性あるいは操業性を確認するというのが、これは時間をとっておかなければいけません。たしか瀬川理事長参考人として申し上げたのも、そこら辺の趣旨が含まれておると記憶しておりますが、普通の施設と違いまして、建物の施設ができた、すぐ次の日から設計能力いっぱいで本作業というわけにはまいらない、こういうものと了解しております。
  13. 石野久男

    石野委員 詳細設計をどういうふうにつくるかということで、現在の東海のいわゆるサンゴバン方式ですね、民営の場合、この方式を拡大して工場を設置するといいますか、作業に進むということについては、やはりそういう方式のほかに考えられないのだろうかどうだろうか。経験からどうですか。
  14. 中村康治

    中村参考人 第二再処理工場の具体的な計画については電力界の側でいまいろいろ計画を検討しておられる最中でございまして、この協議会には私ども理事長協議に参画しているということで進めておられます。したがって、いま私としては、第二再処理工場詳細設計はだれがどこでどういうふうにしてやるかということは詳しくは存じておりません。恐らくまだ決まっていないのだと思われます。  ただ一般論として申し上げますと、私ども東海工場先生指摘のフランスのサンゴバン社の協力を得て設計し、建設の指導を求めたわけでございますが、その間世界じゅう技術進歩、私ども自身認識進歩もございまして、あの施設部分部分機器がそっくりそのまま拡大されるものとは思いません。部分的により大型の、より燃焼率の高い燃料処理するという工業施設としての第二再処理では、ここはこういうふうにしたらどうだろうかといういろいろ気のついたところもございます。たとえば第一サイクルと私ども申しておりますが、一番最初核分裂生成物をおよそ除染する、共除染と言っておりますが、ここは私どもはミキサセトラでやっております。これは世界じゅう傾向あるいは私ども経験から考えてみて、ほかの方法の方がいいのではないかと考えております。しかし、それ以外のところはほとんどあの施設、あの概念が使われるのではないかというふうに存じております。その場合に私ども経験をできるだけ吸収していただくように、これは正親参考人もおっしゃっておりましたけれども、できるだけ利用していただくように私どもも即応しているつもりでございます。
  15. 石野久男

    石野委員 これは動燃団自体としては、第二再処理工場をつくるという気持ちはあるのですか、ないのですか。
  16. 中村康治

    中村参考人 私ども動燃先生承知のようにいろいろな範囲にまたがる業務を担当しておりますが、文字どおり開発が第一の責任だというふうに考えております。私ども開発してきた成果がだんだん産業化されるというのが基本的な考え方であろうと私ども認識しております。
  17. 石野久男

    石野委員 動燃団一つ技術を持ち、そして経験を持って新しいものに取り組んできている。民営へ移るということの前に、動燃団が第二再処理工場、もう一つつくろうということを考えているかどうかは、事業団自身の問題でもあると同時に、原子力政策そのものにもかかわりがあると思います。そういう意味で、経験を積み重ねたものをもう一度自分たちで繰り返す、それを拡大したところで繰り返すということを自分たちでやる方がいいのか、あるいは民間にそのまま技術をぱあっと渡してしまうのがいいのかという点は、われわれこういう立法府におる者からすればいろいろ考えさせられる問題なんですね。そういう点で、余りあちらこちらと考えないで、あなた方の経験からしてどちらがいいものだろうかということについての所見をもう一度聞かせてください。
  18. 中村康治

    中村参考人 多少私個人の見解になるかもわかりませんが、原子力利用ということで考えますと、資源存在量そのほかから考えてみて、行く行く高速炉時代にならなければならないというのが大方の認識であると思います。私ども高速炉炉そのもの開発はおかげさまである段階を超えつつございますが、今度は高速炉核燃料サイクルというものを同じく開発いたしませんと高速炉時代に入れません。あるいは廃棄物処理の問題、昨日も御説明いたしましたように、高レベル廃棄物そのものから言えば、いまの軽水炉燃料から出てくるものも高速炉あるいは新型転換炉の再処理をやって発生するのも、量の多い少ないという違いはございますが、性質は同じでございます。したがって、この廃棄物処理の問題は、いまの軽水炉核燃料サイクルにおける技術開発しなければならないと同時に、より高濃度の高レベル廃棄物が出てくる高速炉核燃料サイクル時代に早くその答えをつながなければならないというわけでございます。したがって、私ども軽水炉燃料処理経験を一応踏まえまして、ある時期もちろん責任を持ってやらせていただきますが、その経験一つ産業界における大型の再処理工場に反映していただきたいし、一つ動燃のもう一つの使命でございます新型炉開発に必要な核燃料サイクルを早く形成させるために進んでいかなければいけない。非常に正直に申し上げますと、私ども人的にも能力的にも限界がございます。したがって、私どもとすると、こういう開発要素の多いものに次から次に重点を移していくのが今後のあり方だと考えております。
  19. 石野久男

    石野委員 そうしますと、率直に言って、民営に移す場合には、その経験に基づいてどういうことに注意すべきかということでのあなた方の考え方ですね。たとえば技術的な面において、あるいは人の問題で、あるいは財政的な経理問題、それから特に、先ほどもサイトの問題がありましたが、この敷地問題ということについて、もし民営にするならばこういうことを注意すべきだというあなた方のお考えがあれば、それをひとつ聞かせてもらいたい。
  20. 中村康治

    中村参考人 先生の御指摘のように、いろいろの局面に分けて考えさせていただきますとお答えしやすいかと存じます。  まず技術そのものでございますが、もうすでに申し上げているように、われわれの経験がこのままでいいと思っている部分、これを何とかしなければいかぬと思っている部分幾つかございますが、そういったものの設計を将来の大型施設設計にぜひ反映していただくようにしたい。一方、私ども経験を御専門立場核燃料安全専門審査会でもいろいろ評価、検討していただきます。そこら辺の学識経験者の御意見も含みながら、この次のものはかくあるべきだという見解幾つか出てくると思われます。恐らく今後第二再処理工場設計を決めるための——どういう機構になるかわかりませんが、そういう機構を当然電力界としてもお考えになるはずでございます。その場合に私ども専門家をその会議に参加させるということも一つでございましょうし、それからまた主な経験を持っておる者を、頭の中も含めてお手伝いに向けるということもございましょう。それから技術とちょっと絡んでまいりますが、再処理という仕事を担当いたしますと、どうしても国際問題の影響を受けざるを得ません。具体的には保障措置というのが適用されるわけでございまして、この保障措置をいかに効果的に、いかに信頼的にするかというのは、これは世界じゅう一つ課題だと私ども考えております。この保障措置あり方工場設計計画最初から織り込んでおくということが非常に大事だと思います。そういったことは、私どものいまの保障措置の適用のあり方を今度は電力界でお考えになる皆さんも、われわれの中に入って経験をしていただきたい。たしか正親参考人がお答えしておるようでございますが、電力界から基幹になる技術者を数十名、さしあたっては約二十名と言っておりますが、お預かりして、だんだんそういうところから覚えていただきたいと考えています。  したがって、話題はその次の、人の問題におのずから入ってまいりますが、恐らく千五百トン級の再処理工場ということになりますと、従業員は千人から千百人、あるいははもうちょっと多くなるかもわかりません。私どもいま四百五十人をもってあの一連の施設を動かしておるわけでございますが、やはりすべての施設、すべての装置を自動化というわけにまいりません。したがって、この再処理工場運転員をどうするかというのは、私どもも痛切な体験をいたしましたが、第二再処理工場にとっても重大な問題であろうと考えます。所定の計画に合わせて千人から上に及ぶ人をどう養成していくかというのも大きな課題だと思いますが、それに私ども施設教育訓練という立場でもお役に立つと考えております。  それから土地の選定、これは私ども安全審査でお願いして、環境影響はないというふうに評価された施設から、さらに御承知のようにいろいろな試験研究施設をいま取りつけつつございます。そういう開発施設技術的な、あるいは経済行為も含めまして実用可能性があるということであれば、大型施設であっても環境影響をそう一次比例で大きくしないでも置ける可能性はございます。そういったことが今度はサイト選定一つの条件にもなってまいります。こういったことは、すべてがいま満足いく答えがあるわけではございませんが、努力をしている最中でございまして、そこら辺の進行あるいは見通しといったものが第二再処理工場サイト選定に当然利用されてしかるべきだと考えております。  それから経営の問題でございますが、御承知のように、私どもの再処理動燃事業団法に基づいて区分経理要求されております。この法律の指示に従いまして、再処理にかかわる仕事を独立的な帳票管理をしておるつもりでございますが、たとえば入ってくる方のお金で申し上げますと、開発研究要素の非常に多いもの、これは政府出資にお願いしてあります。そして、かなり事業的に見通せるものは政府保証銀行融資から借入金で賄っております。それから、何がしかはコスト計算をいたしまして、料金として支払っていただく、つまり収入見合いの予算もございます。それから物によっては、核物質民間電力所有をしているというのが現在の形でございまして、その所有者立場から望ましいという施設の追加の要求がございます。そういうものもございますが、たとえばウランの貯蔵庫をもう少しふやしたい、これなんかは一つの例でございますが、こういったものを民間出資をお預かりしてやっているということでございます。  そういうことで一応の経理区分と一応の財政経営を試みておりますが、しかし、なかなか実態を考えてみると、稼働率との関係、それからいろいろな未知のものに遭遇するというような関係で、当初は私どもの再処理工場の建設計画では比較的借入金中心でやっていけるというふうに考えておったわけでございますが、そうはいかぬということで、政府側からも直接御援助をいまいただいているという状況でございます。ここら辺が将来の第二再処理工場の場合に想定されるものが十分最初から織り込まれるということが必要になると思います。そういうふうなことから、第二再処理工場設計、したがって建設資金の推定なんかにも私ども経験がかなり反映されることになります。  しかし、先ほども申し上げましたように、こういう事業でございますので、経営上の稼働率を何日と見て計画するか、あるいは一つの予算行為としてどの程度の予備費を手元に置いておくかといったことは、かなり考慮の余地が残っているのではないかと考えます。
  21. 石野久男

    石野委員 中村参考人はいまINFCEの仕事にも参加しているようでございますが、そういう国際関係のいろいろな折衝の中で、核燃料サイクルの自主性を確立するということについて、外から見るとなかなかむずかしい情勢にあるのではないだろうかというふうに考えられますが、中村参考人の感触として、わが国の核燃料サイクルの自主性確立ということとそういう関係はどうなるか、特に日米原子力協定との関係など、将来どういうふうな問題が出てくるか、そういう点についての所見を伺えればひとつ……。
  22. 中村康治

    中村参考人 INFCEについては、先日田宮参考人がある程度説明しているようでございまして、私も速記録を拝見いたしました。     〔委員長退席、小沢(一)委員長代理着席〕  御承知のように、INFCEという国際的な核燃料サイクル評価技術会議と申し上げていいかと思いますが、これは総会とその下に八つの作業部会が分かれております。これも御承知のとおりでございます。その第四作業部会というのが再処理とプルトニウムの取り扱い、熱中性子炉へのリサイクルを特に議論する場と設定されておる。そういう意味で、外務省の政府委員も申しておりましたように、この第四作業部会は言うならばINFCEの一番大事な目玉でございます。そういうことで、政府の御配慮もございまして、この議長国をどこにするかということは会議の持っていきぐあいに非常に大きな影響があるということで、いろいろ手を打たれまして、最終的には日英が共同議長ということでやっている。田宮参考人は日本側の共同議長の一人ということで非常に努力していらっしゃる。私はいままでこの第四作業部会会議のときに外務省から日本代表という辞令をいただきまして出席をしてまいりました。  それで、田宮参考人も申しておりますように、一応二年間というのがこのINFCEの作業計画ということで合意されている、そのうち最初の半年がいま経過したというのが現在の実態であります。したがって、第四作業部会の中で議論がやっと入り口に入ったという程度でございます。  一応、物語としては、現在の各国の計画がどんなものかという調査が第一でございます。それから現在の技術がどんなものだというモデルケースを調べる。そのモデルケースが一体どんな効果があるか、これは資源節約の効果、それから環境に対する効果、あるいは核不拡散問題に関する効果、いろいろな評価項目がございますが、このいろいろな評価項目をやる。それから追っかけて、それではかわりになる技術がどんなものがあるか、その技術が何で、それがどういう効果があるかという評価をする。それからさらに追っかけて、いわゆる仕組み、国際的な仕組みとか制度ということでどんなものがかわりにあるか、それがどういう効果があるかというふうに、作業を順次階段並行的に進行するというのがわれわれの第四作業部会のスケジュールでございまして、現在のところ第一に申し上げた現状の調査がおよそ終わりつつあるという段階でございます。したがって、一番政治的、国際的に議論される問題はまだこれからの問題でございまして、どういう展開になるか予断が非常にむずかしいと思います。しかしながら、いままでの第四作業部会あるいはサブグループの会合で見ますと、わが国と同じような政策を考えている国、具体的に申しますと西ドイツなんかはその例でございますが、そのような国もある、それから再処理とプルトニウムを高速炉に必ず持っていくんだということでわが国の考え方とある程度共通性がある、たとえばイギリス、フランスというような国もございます。したがって、アメリカの基本的な考え方はいろいろ聞いておりますけれども、この国際核燃料サイクル評価計画の中である一つ答えだけが出てくるとはとても考えられないというような感触でございます。
  23. 石野久男

    石野委員 そうしますと、INFCEで問題になっております単独抽出かあるいは混合抽出かという問題について、日本が現在考えているような単独抽出での作業をINFCEの中でかち取る、そういうようなことができるという見通しを持っていられるか、そしてまた、そのことが第二再処理工場との関係でどういうふうに関係してくるかというこの間の見通しにつきましてはどうですか。
  24. 中村康治

    中村参考人 世界じゅうの再処理が、先生も御承知のように軍事用の再処理から技術が育ってまいりました。それをいろいろ、平和利用核燃料サイクル用の再処理ということで、だんだん合理化もされてきておるわけでございますが、そういうことで、基本的にいま世界じゅうがやっておりますのはいわゆる単体抽出ということで、再処理のいろいろな方法がございますが、これが最も確立された技術であるという、これは共通認識でございます。しかしながらこの単体抽出、再処理の後で硝酸プルトニウムが出てまいります。硝酸プルトニウムをその次のプルトニウム燃料に持っていく場合に、この硝酸プルトニウムの溶液を酸化プルトニウムに変えなければなりません。これは転換という工程でございますが、酸化プルトニウムということになると、いわゆる核兵器に対しての距離がわりあいに近くなってくる。いま私どもが加工工程で、あるいは私どもでなく世界じゅうのプルトニウム燃料加工施設でやっているのは酸化プルトニウムの粉と酸化ウランの粉をまぜて、それで燃料体に仕上げるというのが世界じゅうの標準の方法でございます。したがって、いま開発されて一番頼りになるというのは、再処理では単体抽出、転換では同じく単体転換、それから加工ではいまの機械混合法、こういうことになるわけです。しかし、核不拡散という立場、核ジャック、核物質の防護という立場から見ると、核兵器になるべく余り近くないもので平和利用で使いたいというのもこれも一つの理念でございます。もともと平和利用核燃料サイクルの場合に、使用済み燃料の中にウランとプルトニウムが入っている、それから最終的に使うのは同じくウランとプルトニウムが入っているということで、論理だけでいくと平和利用核燃料サイクルではすべてを完全に分離しなければならないという理由はないように論理からは成り立ちます。ただそれが理屈で望ましいことと、現実にできることとのギャップの問題かあります。昨日も御説明いたしましたように、私どもは昨年の日米共同コミュニケの線に従って、この再処理でコープロセスをやるとどういう技術上のむずかしさがあるか、すぐにできないというのは一体何ができない、すぐできることは何だということをただいま実験研究的にやっているわけでございまして、これも昨年の決定が九月でございまして、六カ月、七カ月という経過でございまして、いま結論を申し上げるにはちょっと早過ぎると思いますが、そういう技術的な根拠に基づいて今後のあり方をまた議論する、それが国際核燃料サイクル評価、INFCEの場でも議論される、こういうことになると存じております。
  25. 石野久男

    石野委員 国際的な関係で核拡散を防がなければならないということの要請と、核燃料サイクルの自主性を確立して技術の確立を持つための経済的、経営的な側面での可能性の問題とはまた当然絡み合ってくると思うのです。いまの見通しからいってアメリカが要請している混合抽出という問題に動燃団が突っ込んでいった場合、経済的な側面からするというと、どういう影響が出てくるんですか、経営的な側面は。
  26. 中村康治

    中村参考人 混合抽出と一言で言いますが、実はその中でウランとプルトニウムの割合をどのぐらいにするかあるいは核分裂生成物除染ぐあいをどのぐらいにするかということはかなり幅がございます。たとえばある極端な意見では、全然ウランとプルトニウムを分離しないままで最終製品にしようというのも一つ考え方でございます。ところがもしそれをやったといたしますと、これは高速炉燃料には使えないプルトニウムになってしまいます。いわゆる核分裂性の濃度が足りないということになってしまう。したがって、われわれは高速増殖炉の開発というものを一つの使命と存じておりますので、それに使えないような混合抽出の割合では困る、しかもそれが最終製品として高速炉燃料として使われる場合に、いわゆる成分の変動の許容幅というのは非常に厳格に抑えなければなりません。そういったところからむしろ議論は、プルトニウムとウランの割合をどうするかというのが一つ議論でございまして、その割合がウランの側になればなるほど施設の配管の変更とかタンクの大きさをふやすというような影響がよけい大きく出てまいります。ただ、言葉だけで純粋の硝酸プルトニウムが出てこないで、何らかのウランがまざっておるという程度の混合比であるならば、これはいまの装置で、操業条件を変えるだけでもそういうことになります。しかしこれでは核不拡散という精神から考えると相手側にとってはとても許容できるものではございません。それでどの辺が財政的あるいは期間影響が少なくて、そしてわが国といたしましても核不拡散というのは共通する理想である、世界各国がそういうはらはらするというような状態で使われることのないものであることはやはり望ましいと考えられます。その基礎研究をいま担当しているというわけでございまして、具体的にどの条件にするかというのはこれからの勉強のいかん、これからの交渉のいかんにかかわっていると了解しております。
  27. 石野久男

    石野委員 事業団がいろいろな再処理をやりますことは一つには燃料サイクルの確立ということもありますけれども、いま一つはその後の廃棄物処理の問題が当然出てくるわけでございます。この高レベル廃棄物についての処理、特に永久管理の方法についてこれはわが国だけではなしに世界じゅう大問題だと思います。この廃棄物、特に高レベル放射性廃棄物というものの永久の管理、処理、こういう問題について技術的な側面、それから経済的といいますか経理的な側面、そういう面での一定の方向がないままに再処理工場が進むということについて問題があるのではないだろうかという気がいたします。特に再処理はおのずから電力コストにもかかわってくるわけでございますから、そういう意味でこの高レベル放射性廃棄物の永久管理あるいは処理についてどういうようなお考えをお持ちになっておられるか、ひとつ御所見を承りたい。
  28. 中村康治

    中村参考人 先生も御指摘のように、廃棄物処理の問題は単にわが国だけではなくて全世界、国際的な問題でございます。少し立場が違いますが、先ほど御説明いたしましたINFCEの第七部会がこの廃棄物の管理をテーマに部会がつくられております。INFCEでそれを取り上げましたのは再処理をしてプルトニウムを使った方がいいのか悪いのかというところからINFCEがスタートしているわけですが、そこら辺を議論するためには、使用済み燃料のままで捨てられるか、再処理をして廃棄物処理をするか、その辺が技術的経済的な効果もどうだというのがどうしても一つの要因になるわけでございます。そういったことでこの廃棄物処理あるいは技術の見通し、経済の見通しというのも私どもの第四部会でも議論しておりますし第六部会がこの使用済み燃料をどうするかという部会でございますが、そこでも議論している最中でございます。したがって、いまのところまだ断片的に出てきている認識を御説明することになりますので、INFCEの進行の結果、国際的な合意がこうなるということで多少修正があるかもわかりませんが、中間段階認識を申し上げます。  廃棄物処理、特に先生指摘の高レベル廃棄物、確かに問題でございます。しかしながら、電力を発生させたメガワットイアー当たりの発生量で見ると、これは余り大きな量ではございません。しかし一方この高レベル廃棄物は、一リットル当たりあるいは一立方メーター当たりの被放射能が非常に高いという問題と、その中にいわゆるアクチノイド系の非常に寿命の長い半減期の長い元素が含まれている問題等がございます。そのことがこれの取り扱い技術の問題、最終的には処分をどうするか、そういう問題につながっているわけでございます。一応世界的な認識、私ども認識しておりますのは再処理をやって分離いたしますと一トン当たり大体五百リットルくらいの高レベル廃液が液体状態で分離されます。これは硝酸水溶液の形でございますが、これを施設の中で厳重に、漏れのない、仮に漏れたとしてもかくかくしかじかという対応策をやったタンクにためる。五年ぐらいたちますと寿命の短い核分裂生成物がずっと減ってまいります。そうすると一リットル当たりの発熱容量も変わってまいります。そこでその段階でもう一度煮詰めますとさらに容積が減ります。そうして五年とか十年たったところで一応世界的ないまの認識ではこれをガラス固化にする、そうするとさらに容積が減ります。このガラス固化したものを厳重な容器、これはステンレス系のものでございますがそれに詰めて、そしてその後十年ないし三十年ぐらい水で冷却保管する、そうなるとさらに崩壊が進行いたしまして今度は空冷状態で置いていていいという状態になります、そこで貯蔵施設をもう一度空気冷却の施設に置いてさらに十年とか三十年というのが中間貯蔵される。それで最後が、いま世界じゅう認識は地層内処分、地層の安定なところで埋め込んでしまう、これもいきなりぽんと処分して捨ててしまうというのではなくて、監視つきで異常があれば取り出すというような考え方でさらに二、三十年めんどう見よう、そうしていろいろな観測も続ける、そこでその環境影響の測定もやっておよそいいということになったらそれが処分ということになる、こういうのがいま世界じゅう認識でございまして、私どもも全く同感に思っております。  したがって、いまそこら辺までを含めてそれぞれの技術がいま確立しているかというと、これはまだ開発途上の部分もございます。したがってそのコストをいま正確にキログラムウラン当たり何ドルにするかというのは幅がどうしてもございます。このコストの評価もINFCEで議論しておりますけれども、これも幅がございますが、キログラム当たり五十ドルという幅から二百五十ドルという幅ぐらいのところで見ておるのが数字としてはございます。しかしいずれにいたしましても、最初に申し上げました電力発生のメガワットイアー当たりの廃棄物の量ということで考えますと、これはほかの在来化石燃料に比べると圧倒的に少ない量でございます。たとえばもしそれだけのものを石炭でやったとすると、実は石炭の中にも自然放射能が幾つか混在しておりますけれども、この量の多さとその質の問題から見てこれはそう容易に先が見通せるものではないという意見もございます。
  29. 石野久男

    石野委員 いまの御意見からいたしまして、高レベル放射性廃棄物の永久管理の問題についてまだ正確なコスト計算はできていないけれども、他の燃料物質と比較すれば案外に量的にも質的にも扱いやすいといいますか経済的にも対処しやすいというふうな御意見のようにお聞きしましたけれども、そういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  30. 中村康治

    中村参考人 いま余り安易に考えているわけでは決してございません。しかし量だけで計算いたしますと、わが国が西暦二〇〇〇年までに発生する高レベル廃棄物をかくかくしかじかで固めておいたとすれば、その固めたのをキャニスターと言っておりますが、キャニスターを並べる面積を考えますと神宮プール二つ分くらいのスペースがあればいい、こういう勘定になります。ただそれは勘定でございまして、だからといってそこら辺のプールに置いてくるというようなものでは決してございません。したがって、廃棄物問題を議論していただく場合に、量の問題と質の問題とがごっちゃにされて非常に問題なやつがたくさんあるというふうにお考えになるのも、局面によっては正しいと思いますが、局面によっては問題をかえって誤解させるおそれがある、私どもはそう考えております。
  31. 石野久男

    石野委員 いま重ねてお伺いしますが、質の問題と量の問題とがありますからそれを混同してはいけないという御意見はよくわかりました。問題になりますのは、こういうふうに高レベルの放射性廃棄物処理を永久管理をするということについては、突っかかりの感じとしては非常にむずかしいような気がするわけです。ですから、それをどういうようにするかということでわれわれが安全性の問題や何かもいろいろ含めて心配するわけです。同時にまた、技術の側面だけじゃなしに、経済的な側面からもやはり心配があるわけです。いま中村参考人のお話を聞いておりまして、それはそうだけれどもやり方によってそんなにむずかしくはないよというような感じも受けるわけなんですよ。だからそういう受けとめ方でいいかどうかということをもう一遍ちょっと……。
  32. 中村康治

    中村参考人 問い詰められますと非常にお答えしにくいのですが、いま全然問題がないと申し上げているわけでは決してございません。しかし今後も時間経過とともに技術開発を続ける、しかもそれが一国だけの問題ではなくて世界じゅうの問題としてみんなで協力の可能性がある、そしてたまたま各国では軍事用の再処理から発生している廃棄物が非常に多い量が前に存在している、これを何とか処置しなければいけないというのが各核保有国でのいまの問題でございまして、そういったことはそっくり技術としては、軽水炉核燃料サイクルで発生する高レベルの廃棄物処理にも使える、そういったことが相反映しながらやっていくならば、われわれも人頼みにしないで国内で最善の努力をつぎ込んでいくならば解決の道は生まれるであろう、生まれなければならない、むしろそんなふうな認識でございます。
  33. 石野久男

    石野委員 実は高レベルの放射性廃棄物を非常に長期にわたって処理、管理しなくちゃならないという問題は原子力発電の発電コストと無関係ではないわけですね。それをどういうふうにわれわれは受けとめるかということできわめて重大だ、こう思っておるわけです。したがって、この問題の処理に当たっては、いまも中村参考人からも話は聞きましたが、これは大臣にひとつお聞きしたいのでございますが、結局はこういう長期にわたるところの管理、処理、こういう問題にかかる経費なんですよね、金なんですよ。それをそういう廃棄物を発生させた経営体がやはり受け持つべきか、あるいはそれは政府がめんどうを見るんだというふうにするか、いずれにしても国民の税金か電気料金かにかかるのですが、どういうふうにいまお考えになられておるか、ひとつ大臣の所見を聞かせていただきたい。
  34. 山野正登

    ○山野政府委員 廃棄物処理処分のコストにつきましては、これは昭和五十一年に原子力委員会が基本的な方針を決めておりますが、その中におきまして、処分につきましては、その費用は発生者負担とする、しかしながら管理については国が責任を持って行うといったふうなあらましの決定がございます。したがいまして、発生者が負担するということになろうかと思います。
  35. 石野久男

    石野委員 大臣のお考えももちろんそのとおりだろうと思います。発生者負担ということになれば当然計算をしなければいけませんが、やはり再処理もさることながら、そうした高レベル廃棄物の永久管理、処理という問題についてのコスト計算、こういうようなものは一定程度出ておるのですか、どうですか。
  36. 山野正登

    ○山野政府委員 これは先ほど参考人からも説明がございましたように、まだまだ技術開発途上の問題でございまして、コスト計算をするに当たりましては相当大胆な種々の前提を置いて計算しなければならないという状況にございますので、精緻な計算というのはないのでございますが、たとえば米国のNRCの行いましたGESMOの検討でございますとか、あるいはERDAの行いました検討といったふうなものがございます。そのうち、たとえばGESMOの一つのケースというものをとってみますと、キロワットアワー当たりの発電コストにいたしまして大体十七・九六ミルという発電コストのうち、これは廃棄物処理処分だけではございませんが、これに再処理を含めた、再処理処理廃棄物処分、この三つを合算しましたコストが〇・六五ミルということになっておりますので、先ほどの発電コスト十七・九六ミルに比べまして大体四%程度の量かと思います。これは最初に申し上げましたように一つの試算にしかすぎないわけでございまして、前提の置き方で大きく変わりますし、また今後の技術開発等によって左右されるわけでございますが、しかし、あらましのオーダーとしましては確かに先生指摘のように核燃料サイクルコスト、特にダウンストリームのコストというのは発電原価にもちろんあるわけでございますが、その全コストに対する寄与率というのは大体オーダーとしてその見当という一つの考察ができようかと考えます。
  37. 石野久男

    石野委員 アメリカあたりでもこの高レベル廃棄物の放射性廃棄物処理ということについての技術的、経済的、経理面的な計算というのはなかなかつかみにくい情勢にあると思います。私どもがいま再処理工場民営に移そうという法案審議するに当たって非常に大事なことは、原子力発電による発電コストというものが本当に火力、水力に比較して安いのかどうだろうかということ、そういう側面も含めて計算をしなければいけない、こういうことだと思うのです。これはきょうの論議の前提になってくることですが、先ほども話がありました再処理工場それ自体についても稼働率をどういうふうに見るかということでずいぶんとこれの見方が違ってくるわけでございますね。しかも稼働率問題は再処理工場だけじゃない、日本の原子力発電所自体についても問題があるわけなんです。私は再処理工場は、とにかく放射性廃棄物がどんどん出てくるから再処理工場はつくらなければいけないということは当然のことなんだし、そのままではなかなかほかもできないということもあるから当然やらなければならぬものになってくるかもしれませんけれども、しかし、そこから出てくるいろいろな問題と関連して、それでいいのかどうかということがなかなか問題がございます。稼働率の問題で、たとえば再処理工場の場合、一年三百六十五日を全部稼働するということは定期検査とか何かありますからとてもできないことでございますけれども、大体いまの経験からしまして、こういう工場がやっていくためには、少なくとも一年のうち、稼働率、利用率といいますか、そういうものはどの程度の比率であると経済的にペイしていくというふうに中村参考人はお考えになりますか。
  38. 中村康治

    中村参考人 再処理工場稼働率を制限する要因は、施設のメンテナンス、修理という要求が出てくるというのが一つございます。それから、法令、監督官庁による検査というのも一つの要因でございます。もう一つ忘れてならないのは、先ほど申し上げました保障措置の適用という問題がございます。実はわが国の政府もいまIAEAと交渉をいろいろお願いしている最中でございますが、いわゆる物理的たな卸し計量、これをわれわれPIT、フィジカル・インベントリー・テーキングなんという用語を使いますが、これは、核物質を非常にいかがわしい流し方をしているわけではないという証明をするためには、ときどきとめて施設を空っぽにして核物質が帳簿とどうなっているかというのを照らし合わせるという仕事でございます。これは国内の規制法でも要求されておりますが、一応いままでは年二回というのがわが国の規制法の要求でございまして、これで国際的にも十分満足できるはずであるということを私ども主張しております。しかし、一方、国際的にこれを疑う立場で非常に厳格にやるとすれば、回数を多くしたいということがございます。このPITは、そのやり方にもよりますが、完全に中にたまっているものを吐き出して分析してということを言いますと一月ぐらいかかります。したがって、先ほど西ドイツの例で申し上げましたように、一年三百六十五日のうちよくいって二百五十日、あるいは百七十五日というのが常識的な範囲だろうと思っております。
  39. 石野久男

    石野委員 百七十五日なんというようなことになれば五〇%を割ってしまうのです。二百五十日になれば少し上がりましょうが。この再処理工場は、当然それだけのものは必要だということですから、それはコストにみんなひっかかってくるわけです。再処理工場の設置をどうしても必要とする前提になる原子力発電所の場合、これは通産省あるいは科学技術庁等にお聞きしたいのですが、いまお手元に表をお配りして、見ていただいたかどうかわかりませんけれども、実は資源エネルギー庁から出していただいておりますわが国の原子力発電所の時間稼働率及び設備稼働率というものをずっと見せていただいておるのです。昨年度も決していい成績ではございませんでした。  アメリカの軽水炉などでも、私はいまから二、三年前の予算委員会でも申し上げましたけれども、軽水炉のいわゆる運開時点から経過年度をたどっていきますと、軽水炉というのはどうも数年たたずして非常に稼働率、利用率が落ちてしまうということを私は申し上げたことがあるのです。  わが国ではそういう経験が乏しかったので実はその点については余り触れずにきました。しかし、もう大分経過年数もたっておりますので、BWRあるいはPWRをそれぞれ運転開始年月から年次別にずっととって表を整理してみまして算出してみましたら、いまお手元で見ていただいているような表になるのです。  これはきわめて利用率が悪いのですね。年度別の利用率は非常にいいとか悪いとかということを常に通産省から表をいただいておりますけれども、炉自体をずっととってみますと、どれを見ましても、BにしてもPにしましても初年度は皆それぞれいい。二年度もいい。三年度ぐらいまではどうにかいっても、四年目、五年目ぐらいになるとぐっと悪くなってしまうのですね。     〔小沢(一)委員長代理退席、委員長着席〕  再処理工場の問題も、原発の電力料金が水力や火力よりも安いのだからというのでやっているわけですが、こういうような炉の実態から見まして、とても軽水炉の電力というのは安くなるどころじゃない、経営自体が発電所はやっていけないのじゃないかというように思います。新しく炉の設置申請が出ました場合、原子力委員会あるいは科学技術庁なり、今度基本法が改正になりましたが、今度はそうすると通産省などが全部これの認可に当たりますが、こういう問題について炉の設計上の問題についてば何一つ手を加えないでいくということはあり得ないことだと思いますけれども、わが国の原子力発電所を炉型別、運開経過年度別に見た場合のこの数値をどういうようにお考えになりますか。ひとつこれは科学技術庁なり通産なりの御所見を聞かせてもらいたい。
  40. 武田康

    ○武田政府委員 お答え申し上げます。  いま表を見せていただきましたので、恐らくこういう表をつくりますとこういうような数字に大ざっぱになろうかと思います。ですから、この表自身につきましては先生指摘のとおりと思います。ただ、先生もよく御承知のとおり、この一両年でございますけれども、個別発電所ごとに定期検査の過程等々でいろいろ特定な故障といいますか事故といいますかそういう手直しをいたしております。この中の個別発電所で申し上げますと、たとえば福島第一の一号機、二号機、それから美浜の一号機、これはまた別の理由でございますが、福島一号、二号につきましては、配管のひび割れあるいはノズルの問題ということでこの一両年手直しのために定期検査でとめて、定期検査そのものは順調にいけば三、四カ月で終わるわけでございますが、手直しが物によりまして半年、もっとかかりまして、一年近くとまってしまっているというようなことでございます。また一方、美浜につきましては、蒸気発生器細管のリークというので、そのもとが何分にも水の中に入れておりました薬、これがたまってということで、その除去がなかなかできないという事情もございまして、まだしばらくとまっておりますけれども、三年ちょっととまった。同時に、その過程では、先生から御指摘のございました燃料棒破損事故が後でわかったというようなこともございまして、それも含めて三年、もう少しとまりますので四年近くとまることになろうかと思いますが、そういった事故、故障、あるいは高浜一号も全く同様の理由の蒸気発生器細管リークで、これも水の中に入れております薬の除去をしなければいかぬというようなことでかなりな期間とまっていた。  こういうふうに特定の発電所で特定のトラブルあるいは手直しというようなことで非常に時間がかかったわけでございます。そんなことで昭和五十年度、昭和五十二年度、いずれも設備利用率の方で申し上げますと四一、二%というようなことがあったわけでございます。したがいまして、それが至近年度でございますので、確かに先生のおつくりいただきました表のように年数がたてばたつほど下がっている、こういうことが出ているわけでございます。  では、今後この傾向が続くかどうかということでございますが、先ほど申し上げましたような特定の部分、配管なりノズルなりあるいは蒸気発出器という部分の手直し作業、これがまだ完全に済んだわけではございませんけれどもかなり進行しております。そういう意味でそういったものの出てくる可能性といいますか、確率とでもいったようなものは今後減ってまいるかと思います。そういう経験を生かして、いまつくっているものあるいはこれからつくるものにつきましては、あらかじめ手直しに相当することを設計上できるものにつきましては採用いたしておりますし、それから改良・標準化作業ということで、改良・標準化の第一次設計ができまして、これからつくるものはそういったものに沿っていく。これは一つは、手直し等々の作業を容易にするというような要素も中に入っておりますので、仮に手直しが将来起こる場合におきましても、そのために必要な時間というのは短くなっていくだろう、こんなような措置をいたしております。またデータ的にも、昭和五十三年度につきましては実はやっとまとまったはかりでございますが、この五月の実績で申し上げますと、全体の平均でございますが、時間稼働率で六〇%をちょっと超し、設備利用率、ちょっとうろ覚えでございますけれども、五四、五%になっていたかと思います。五十三年度発電所全部を足しましての平均値は、恐らく時間稼働率では六〇を超し、設備稼働率では五五を超すというようなことで、私どもとしては、昭和五十年度及び昭和五十二年度、残渣が少し残っておりますけれども、その二年はやや例外的な、異常に平均稼働率の低かった年度である、こう考えておりまして、本年度、これは予測の話でございますので、断定するとまた間違ったりするかもしれませんけれども、本年度はさっき申し上げたような数字。それでもうしばらくたちますと、設備利用率でも六〇台になっていくというようなことが、先ほど申し上げましたような手直し、補修の進行、その経験の新しい発電所、別の発電所への採用、さらに改良・標準化ということでできていくのではなかろうかと思っているわけでございます。  もう一点、こういうふうにたとえば昨年のように四〇%の利用率でございますと、先生指摘のように、原子力発電のコストは安いんだというふうな言い方はなかなかむずかしくて、どうかなというふうに首をひねるような稼働率でございます。いろんな計算をいたしますと、実は同じ稼働率のもとでは、きょう現在の原子力発電所建設中のものを含めまして、火力に比べて二、三割安いような試算になります。そして原子力発電所の稼働率が仮に四〇%でも、六〇%台ぐらいの稼働率の火力と計算上の比較でございますが、大体似たようなもので、そんなに極端にコストが悪いということではございません。しかし、同じ電気を出すものでございまして、火力も原子力も将来とも生き残るといたしますと、同じ製品でございますから、お互いに競争いたしまして、似たようなコストになるというようなことであろうかと思いますので、原子力の稼働率が四〇とか五〇とかいうような低いものでいいと思っているわけでは決してございませんで、私どもの目標としては七〇というような数字が欲しいわけでございますし、現実にも六〇%台は続けていきたい。実は残念ながら五十二年度はだめでございましたが、五十三年度もいま申した六〇台の利用率というのはちょっと無理かと思っておりますけれども、この一両年たちました段階で、先ほどの改良・標準化なり手直しなりの効果が十分に出てくるということになりますと、その域には達するんじゃないか、こう思っているわけでございます。
  41. 石野久男

    石野委員 いろいろお話がありましたが、実は軽水炉の問題については、日本の場合がこうでほかは違うんだというわけではないのですね。アメリカの場合は、現在百六十何基か稼働しているはずです。やはりそこの統計をとってみましても、いわゆる商業運転を、一つ一つの炉の年数別をずっととっていきますると、大体五、六年のころが、三年から六年ぐらいのところで六〇%ないし六七%程度のところへ行っておりますが、十一、二年のところへ来ると、大体三九%ぐらいに落ちているんですよ、これはどの炉もその開始年数からずっと経過年数をたどってきた場合。こういう状態のもとで年間平均稼働率が高いというのは、新たに参加する炉がある場合のことなんであって、新しい炉の参加がなければ、全体として稼働率、利用率は減っていくわけですよ。たとえばBの場合で言えば、いまここに通産省から出しておりまするBWRというのが全体で六基あるわけです。六基について初年度の設備利用率を見ますと、これは平均でいきますと、六〇・五%、次年度が五六・三%、三年度四七%、四年度が五九・七%、五年度が三二・六%、六年度で三四・七、七年度三七・三、八年度三七・四。PWRの方は、初年度七四・五、土年目が五三・八、三年目が四二・九、四年目が二七・一、五年目が二五・八%、六年、七年というのはこれは美浜がゼロになっているわけですが、それに比べて東海のコールダーホール型の炉は、一、二、三、四のパーセンテージはちょっとこの表には出ていませんが、昭和四十一年運開しまして、五年目のときが利用率が六一二%、六年度六九・七、七年度六七・四、八年度七〇・四、九年度六七・九、十年度六八・二、十一年度六九・五、十二年度、昨年度ですが六七・八%、こういうふうになっている。この軽水炉の場合とコールダーホールの炉とのこういう利用率の差はどこから来ているとお考えになられるのか、これをひとつ御説明いただけませんか。
  42. 武田康

    ○武田政府委員 東海発電所、先生指摘のようにガス炉でございます。ガス炉と軽水炉では、温度条件とか圧力条件等、または被曝管理あるいは放射線レベルということで言いますそういうレベルあるいはそういうもののある場所というのがいろいろ違っておりますので、そこが一つベースにあるわけでございます。  もう一つ、あと二点つけ加えさせていただきますと、実は東海発電所につきましてもいろいろなトラブルがございました。そのトラブルは、現在でもゼロとは申し上げません。現在でも少しはあるのでございますが、いろいろなトラブルを経まして、それでこんなような運転のやり方をしたらいい、こんなような管理のやり方をしたらいいというようなことが、実はこの数年間非常に安定的に運転している一つの大きな要因でございます。  それからもう一点、東海発電所で軽水炉と非常に違っているところは、実は燃料をいわば毎日取りかえる、運転中に取りかえるようなやり方ができるデザインでございます。ガス炉はそういう性質のことが楽にできるわけでございます。したがいまして、ほかのBWRとPWRはいわば毎年一回燃料を取りかえをいたしまして、燃料取りかえのために、これは定期検査の中に組み込まれておりますから、それだけで完全に違うとは言い切れませんけれども燃料取りかえのために一カ月とかそういう期間余分にかかります。そういったような要素が、東海発電所の場合にはございません。これも一つの大きな要因であろうかと思います。そのほか、発電機が二台ございまして、片方が故障いたしましても原子炉の方はそのままでもいいというようなこともございます。そういったようなもろもろのものの積み重ねといいますか、これが現在東海発電所が非常にいい稼働率あるいは稼働状況を示している理由かと思います。  一方、軽水炉の方でございますけれども先生おつくりいただきました表を借用させていただいて申しわけないのでございますが、福島第一の一号機の七年目それから福島第一、二号機の三年目、それから美浜の一号機の四年目から七年目まで、それと高浜一号機の三年目、この七つ、八つのデータ、これは実は先ほど申し上げました手直しに非常に時間がかかってしまって、いわば一年じゅうとまっていたに非常に近いという状態のものでございます。実は私どもも、先生の御指摘もございますのでいろいろ勉強しておるのでございますが、まだサンプルの数がたかだかタイプごとには五つ、六つしかないものでございますので、統計的な傾向というものを把握するまでに至っておりません。ただ、いま申し上げましたような、実はまだ数字が入りませんが、浜岡の一号機が多分三年目にはかなり低い稼働率になるのかなと思っておりますけれども、現在定検中でございますので、そういった一年近くとまってしまったようなものを除いて、考えていきたい。と申しますのは、一年近くとまってしまったようなものにつきましては、さっきのように材料を取りかえるとか、あるいは燐酸ソーダを抜くとか、そういう作業をしておりまして、そういう作業進行し、手直しが終われば、それに起因するものはなくなるわけでございまして、かなり回復する。これは将来のことでございますので、その予測なので、実現してみないとはっきり胸を張って申し上げるわけにはまいらぬのでございますけれども、そういうものはやはり手直しが済めば直っていく。したがって、それは一〇〇%稼働するわけではございませんけれども、そういったものが六割なり何なりという稼働をするというふうに考える。そういたしますと、必ずしも年数がたったから、この先生がおつくりいただいた表のように三割台まで下がってしまうんだということではないのではないか。これは、これからの実績を見なければいけないわけでございますが、そういうような判断がベースにございまして、先ほど申し上げましたような予測、あるいは私ども考え方ができているわけでございます。
  43. 石野久男

    石野委員 炉が試験場だとか研究所の中に入っているのであれば、いまの審議官の言ったようなことでよろしいと思いますけれども、そうでなく、商業用炉ということになれば経営の問題にかかわってきます。こういうような状態のもとで、もし、たとえば東京電力にしましても関西電力にしても、ほかの電力会社が水力、火力というのがなくて原子力だけだったら、これで経営がやっていけるだろうか、その場合の電力料金はいまのような状態でいいのだろうか、こういう問題が当然出てきますね。そういう問題については、指導官庁としてどういうふうにお考えになりますか。
  44. 武田康

    ○武田政府委員 現在、原子力発電の電力に占めますウエートは、電力の総設備規模が一億キロワット程度でございまして、原子力発電が一千キロワット程度でございますので、一割程度でございます。一割程度でございますので、たとえば福島第一の一号機、二号機とも、一年近くとまってしまったという状況でも、何とか夏のピークを乗り越え、それから経営的にも破産をしなくて済んだというふうに考えられるわけでございます。  そういう意味で、先生の御指摘のように、原子力しかない、火力もなければ水力もないという状態で、各発電所の平均稼働率が一割とか二割とかというような状態であれば、これはとても経営が成り立たないものと思います。ただ、現実に起こっております現象は、幾つかの特定発電所につきまして非常に手直しが時間がかかってしまったということでございまして、仮に原子力発電所が百台あるという前提で考えてみますと、これは百台のうちの五台なり十台なりがそういう故障を起こしておるというようなことが最もあり得る状態でございます。そういう意味で、全体平均、マクロに考えてどうかということがより一層問題になろうかと思います。その場合にも、やはり六〇%程度のものが稼働してくれなければ、少なくとも時間稼働率で言えば、定期検査が三、四カ月かかりますので、七〇%というと一〇〇%稼働でございますが、時間稼働率で六〇%台のものでなければ困るわけでございます。  先ほど、稼働率改善策ではございませんが、稼働率改善に結果的になるであろう改良・標準化作業を一生懸命進めておるというのも、これはトラブルの要因を減らし、また手直しが必要になったときに、手直しを容易にし、同時に放射線被曝を減らす、あるいは信頼性を向上するというようなことでございまして、そういったものを私どもとしても進めておりますし、一方電気事業者に対しましては、事故なりトラブル、故障、こういったものを起こらなくする、起こりにくくなるような品質管理の徹底、これは電気事業者自身もやることでございますし、また、機械をつくるメーカーもやらなければいけないことでございますが、そういう品質管理の徹底ということを常日ごろ指導しているところでございます。  御指摘のように、こんなに低い稼働率では、何とか昨年は乗り切りましたものの、これが続くようでは全くいかぬものでございますので、私どもとしても、一方で改良・標準化をやり、一方で品質管理の徹底という指導をしているわけでございます。
  45. 石野久男

    石野委員 私は、きょうの法案審議の過程でなぜこれをこういうふうに皆さんにお尋ねするかというと、原子力発電を前提として再処理工場ができるわけですから、このような状態のもとで、ことしは、予算の中でも原発予算だと言われるほど原子力の開発には力を入れているわけですけれども一つ一つの炉は当初年度においてはある程度の利用率を持っております。しかし、四、五年たつとこういう状態になってくれば、日本の国全体としての国民経済の上から言いましても問題がある。こういうのに多くを期待して日本の産業が動いていくことがいいのかどうだろうか。また、有限の資源がこういうところへむだ遣いになってしまうのと違うかという疑問さえ出てくるわけです。  そういう意味で、監督官庁がただことしある炉を全部そろえてこういう平均率を出すだけじゃなくて、軽水炉というのは大体BとPの二つになっているわけですし、日本にはこれ以外はないわけですよ。それがどの炉もみんな同じような経過をたどって、時間稼働率にしても、あるいは設備利用率にしても、漸減していく。しかも、漸減しているところが経営が成り立たないところまで落ち込んでいくということになりますと、これは原子力政策上問題があるのじゃないかということを実は憂えるのです。これは一たん設計等について十分経験に学んだ設計変更なり材質変更というものをした上で、新しい設計と新しい材質を使ったようなもので審査あるいは設置許可というようなものが行われないと、同じような経緯をずっとたどっていく、愚の骨頂だと思うのです。新しく原子力基本法が改正される、そしてそこにこの経験が何も入り込んでこないというようなことでは意味がない、こういうように思うのです。  これは原子力局の方へ聞きますけれども原子力委員会の方あるいは科学技術庁ですか、許可申請をしておるところの炉は、当初に設置許可をしました炉と設計上非常に大きな改善が行われているんだろうかどうだろうか。そして、そういうようなことについて、当然のこととして日米原子力協定などとの関係もあり、あるいはGEやウェスチングハウスとの関係もあったりして、その交渉もされなければ当然できないんだろうと思いますけれども、そういうような手だてというものはどういうように行われてきているのか、その間の事情をちょっと説明してもらいたい。
  46. 牧村信之

    ○牧村政府委員 個々の炉によりまして事情は若干違いますが、最近安全審査で行われている原子炉につきまして、これは主として通産省の先ほどお話がございましたような標準型の炉、あるいは過去の経験を踏まえて改善を加えた炉が基本設計の方に取り入れられて出てきております。  その主なものは、保守、点検に当たりましての作業性を向上させるというようなこと、あるいはトラブル等におきましては、そのトラブルの原因等を踏まえた新しい材質を使うというような観点からの設計になってあらわれてきておると思います。したがいまして、今後通産省の改良型の試作が進みますと、なお一層、先生の御指摘なさるような御趣旨の炉が出てくるものと期待しておる次第でございます。
  47. 石野久男

    石野委員 いろいろな説明はありましても、現状、各炉ごとにおけるところの時間稼働率にしても、設備利用率にしましても、決してかんばしいものじゃありません。こういうような情勢のもとで、依然として炉の設置許可というものが従前の状態でずっと進められていきますと、憂うべき結果が出てくるだろう、こう思います。私の感じでは、こういう状態のときには、やはり一度どこかでチェック、見直しをする休憩時間を持って、干して仕事に入ることがよろしいのではないだろうかというように思うのです。それでありませんと、同じような轍をどの炉もどの炉も踏んでいくというようなことはむだなことだ。同時に、そのことはまた再処理工場にも影響するわけですよ。ここでもし、私ども予定するような形で足踏みしていくということになれば、第二再処理工場というのはそんなにばたばた急ぐ必要もない、そういうようにも思うのです。  これは大臣にお尋ねしますが、大臣もこの表をごらんになっていただいていると思いますけれども、この表は私が恣意的につくったのじゃない。皆さんのところから出ている表を並べかえただけにすぎない。だから、皆さんがつくっても同じ表になるはずです。こういう状態を見ていて、原子力を指導監督なさる大臣として、わが国の原子炉あり方の問題、どうあるべきかということについての御所見をひとつ承りたい。
  48. 熊谷太三郎

    ○熊谷国務大臣 先ほど来お話がありますように、最近の稼働率が悪いということにつきましては、遺憾であると考えております。  これに関連して、原子力行政といいますか、原子力の問題に関してどう考えるか、御所見はということでございますが、決定的にいまどうこうという、最終的といいますか、結論的な考えを申し述べるのは早計かと存じますが、事態の推移を、重大な関心を持って十分見詰めていかねばならぬということだけは申し上げることができると考えます。
  49. 石野久男

    石野委員 いずれにしても、この原子力発電所の現状のもとで、それぞれの電力会社というのは、実を言いますと、とても採算点に乗るような経営の実態ではないと私は思っているのです。たまたま水力、火力の発電量なり買電におんぶしている。あるいは、最近では円高によるところの差益などがあって、経営を安易にしている。そういうことで経営がうまくいっておると思いますけれども、東京電力とか関西電力のようなこんな大きいところでも、それぞれの炉がこんな状態であれば、とても経営はやっていけるはずはないと思うのです。したがって、やはり原子力行政の上での指導は、そういう点をもう少し見詰めてやるべきだというように思いますので、私はこの問題はまた他日論議させていただきたいと思うわけです。  法案審議の問題で、第四十四条で一つお聞きしますが、政令でいろいろと決めることになっておりますけれども、どういうことを内容として四十四条の政令をおつくりになろうとしておりますか。
  50. 牧村信之

    ○牧村政府委員 本条で定めます政令の内容につきまして、御説明いたしますが、これは原子炉と同様でございますが、申請の単位であるとか、事業計画書、事業見積書等申請書に添付する書類を定めさせるようにいたしたい。それから、申請の単位につきましては、製錬事業あるいは加工事業等と同様に、事業所ごとにするということを現在考え、準備を進めておる次第でございます。
  51. 石野久男

    石野委員 四十四条の二項の三で「使用済燃料の種類及び再処理能力」というふうにあります。この「使用済燃料の種類」というのは、どういうものがいま予想されておるのですか。
  52. 牧村信之

    ○牧村政府委員 この「使用済燃料の種類」でございますが、一般的には高速増殖炉あるいは新型転換炉あるいは軽水炉等々があるわけでございますが、民間が当面考えます第二再処理工場の場合には、当然軽水炉の燃料を中心に計画が進められるというふうに考えております。
  53. 石野久男

    石野委員 四十四条の二の三号に、基準として「事業を適確に遂行するに足りる技術的能力及び経理的基礎があること。」という、この「技術的能力」の目安といいますか、これはどういうところで線を引いたり、基準として設けるつもりでございますか。また、経理の問題についてはどの程度のところまでのことを「経理的基礎」と言われるのか。
  54. 牧村信之

    ○牧村政府委員 第二再処理工場というのはきわめて規模が大きい再処理工場になると予想されるわけでございますので、この「技術的能力」並びに「経理的基礎」というものの判断はきわめて重要なことであろうかと思っております。  まず、「技術的能力」につきましては、当初建設が進むわけでございますが、その後工場ができ上がりまして運転に入るということで、その二段階技術的な能力の審査が行われると考えております。それで、当然これは動燃の再処理工場経験を踏まえた技術的能力を判断することになると思いますが、当面、第一ステップの技術的能力としては、そういう工場建設する能力があるかどうか、それから後段にまいりまして、運転する能力があるかどうかということでございますが、何分にも長期の建設計画でございますので、技術者等の養成の計画等も勘案しつつ、技術的能力は判断すべきであると考えております。  それから経理的な問題につきましては、これが電力界を中心といたしまして関連する産業界が総力を挙げて建設する計画になろうかと思いますけれども、この工場建設し、運転していく資金的な裏づけが十分あるかどうかを審査することになろうかと考えます。
  55. 石野久男

    石野委員 技術の面では工場設置能力、それからまた運転能力と二つに分かれる。その基礎になるのは、結局経理的な基礎が確立していなければそれらのことはできないだろうと思う。その経理的基礎は、先ほどちょっと電力業界という言葉がございました。民間に移管ということになりました場合には、いろいろな考え方がある、しかし、おおよその見当としては電力業界が合同出資をするような形で新会社をつくるというふうに聞き及んでおるわけです。  許認可をする政府の立場からして、民営というものの意味は大体そういう電力業界を単位にする、個々の電力会社というようなふうに移っていく可能性ももちろん含んでいるんだろうと思いますけれども、その可能性があるのかどうか、そういう点についての考え方をひとつ聞かしていただきたいと思います。
  56. 牧村信之

    ○牧村政府委員 民間に再処理事業を行わしめるときの基本的な考え方にかかわる問題だと思いますけれども、その点も私ども踏まえまして、四十四条で民間の再処理事業者を、指定制度という考え方で指定するということになっております。これは、ただいま先生がおっしゃられましたように、ある資格を持った者が申請すればだれにでも許可が与えられる、資格を持っておれば発電炉の場合はいろいろな電力会社が出してきて許可が与えられておるわけでございますが、そういうようなケースを考えておりませんで、特定の資格を持った者に限って指定をして事業を行わせるというふうな考え方で進めておる次第でございます。
  57. 石野久男

    石野委員 この四十四条におけるところの「同項の指定をしてはならない。」というこの指定ですね。この指定は、要するにこの資本金の方からどういうふうに推しているのか、経営体の構成メンバーというものでそれを考えているのか、大体この指定に値する民間会社というのはおよそどういうような内容と資格を持っているものでなければならないか、政府の考えているところはどういうところですか。
  58. 牧村信之

    ○牧村政府委員 いま考えられます会社は、当然通常の株式会社になると思いますが、これの経理的な能力あるいは技術的な能力等を見ます場合に、この事業を継続的に長期にわたって遂行していく能力ということを見るための重要な基準でございます。したがいまして、経理的能力で申し上げますと、資本金が十分である、またいろいろな融資等を受けて工場建設等が行われると思いますが、そういう融資の保証が十分とられているかどうかというようなこと等を含めて考えておるわけでございます。  この再処理工場というのは、先ほども指定制をとりましたところで説明しましたように、核燃料サイクルのかなめでございます。再処理というのは、しかもその核燃料サイクルの中核でございますので、多額の資金、人材が必要でございますので、申請に当たりまして、その辺のことにつきましては、技術的な基礎につきましては原子力安全委員会、それから経理的な基準につきましては原子力委員会意見を十分尊重して、行政措置を進めていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  59. 石野久男

    石野委員 資本金が十分にあればということになれば、ずいぶん大きい会社もあるわけです。電力会社としては当然相当大きい資本金を持っているわけですから、こういうような株式会社で単独の会社がみずからやろうというような場合があったときに、この指定の問題と触れるような内容が指定条件の中に出てくるのですかどうなんですか。そこをちょっと聞かせてください。
  60. 牧村信之

    ○牧村政府委員 許可の基準には、単に経理的な基礎あるいは技術的な能力、こういうものだけではなくて、この再処理工場の指定制度には、わが国の原子力開発計画的な遂行にマッチしておるかどうか、これがまず第一点の非常に重要なとこりでございますので、その辺との兼ね合いを十分考慮しながら審査が進められるというふうに考えております。
  61. 石野久男

    石野委員 ざっくばらんなところを聞きますけれども、単独の電力会社がやろうとする意図があるかどうか私はわかりませんけれども、新しい再処理工場というものを電力業界が全部共同出資でつくられる、そういうようなところで再処理をさせるということになりますと、許可官庁の立場かりして、これはもちろん原子力委員会であるとか安全委員会の両方の意見が出てくるのを聞かなければならないわけですけれども、現在の考え方からして、大体そういう共同出資の会社ができてしまえば、単独の電気会社などには、許すというか許可するお考えは持っていないというふうに見ていいのか、それともそれは、そういう申し出があれば、法律上どこにもとめるところがないのだから、そういう者にも許さざるを得ないというふうに考えていられるのか、そこのところをちょっと……。
  62. 牧村信之

    ○牧村政府委員 この指定制度を考えました趣旨が、先ほども説明いたしましたけれども、国にとっても非常に重要な仕事でございますので、個個の電力会社が、私もやりたいと言ったときに簡単に指定するつもりは現在のところございません。当然電力会社並びに関係業界が共同出資でつくられるこの限られたものに、当面一社しか考えておりませんけれども、そこにやらせるというふうに持っていきたいと考えております。
  63. 石野久男

    石野委員 施設の位置の問題です。これは申請者が当然自分で申請の内容として位置を選んでくるわけですが、指導官庁として再処理工場民間工場ができる場合のそういうサイトですね、それは少なくとも環境との関係などを考え施設の大きさ等も考えて、どういうようなことをいまその立地条件として考えていられるか、そこをちょっと……。
  64. 牧村信之

    ○牧村政府委員 私から先に、規制面の観点からのお答えをさせていただきたいと思いますが、現在原子力委員会の下に再処理技術基準等を検討しておる部会を持っておりまして、サイトにかかわる規制のためのいろいろな環境放射線の目安線量であるとか、そういうような個々の規制基準、こういうものにつきましての検討はすでに始めておりまして、動燃のホット運転の試験、あるいは近く行われます本格操業のデータ、あるいは外国におきます再処理工場の発表されておるデータ等等を検討いたしまして、規制基準につきましては逐次整備を進めていきたい、かように考えております。
  65. 山野正登

    ○山野政府委員 敷地につきましては、現在電力業界で準備組織をつくっていろいろ検討しておるわけでございます。先ほど来の御質問にも関連しますが、恐らく一九九〇年から二〇〇〇年ぐらいまでを見越した場合に、二〇〇〇年時点で原子力発電規模がどの程度かわかりませんけれども、その時点で一億数千万キロワットといったふうなものを頭に置いた場合には、再処理工場のスケールメリットを考えますと、そうたくさんの工場があり得るはずはあり得ないわけでございまして、一九九〇年から二〇〇〇年にかけましては、第二工場、第三工場といったあたりが精いっぱいかと存じます。そういうことで、現在、準備組織が立地の選定を進めておるわけでございますが、現在まだ図上において選定をしておる段階でございまして、細かい点はもちろん決まっていないわけでございますが、大体日産にしまして五トンの再処理能力の工場というものを頭に置いてあらましの作業をしておるようでございますが、敷地面積にしまして、大体二百万坪程度、しかも、これは使用済み燃料の搬入といったふうなこともございますので、できれば港湾施設のあるところ、かつまた、できるだけ人口稠密の地を避けるといったふうなあらましの見当で現在作業を進めておる、こういう段階でございます。
  66. 石野久男

    石野委員 約二百万坪から三百万坪に及ぶ土地をいま内陸地で求めるということは非常にむずかしい問題だろうと思うのです。それと同時に、周辺人口との関係もあると思います。先ほど来、中村参考人からは、ホットテストの場合においてはきわめて順調にいっているということを聞いているのですけれども、本番に入っていったときに、いよいよ本格操業というような形になったらどういうものが出てくるか、やはりなかなか不安な材料もないわけじゃないし、またわからない点もたくさんあるというようなことを考えますと、事故などを予想したくないけれども、そういうようなことの場合に、できるだけ安全確保ということは当然考えなければならぬ。そうなりますと、私は、もうこういうものをやることについては、相当広大な土地なり、あるいは周辺市街地と隔絶されているようなところ、一番早い話が、島のようなところがどこかに見つかれば、一番そういう問題の解決になってくるかもしれない。私ども自身としては、再処理工場の持っている、軍事利用だとか、あるいは安全性に対する危惧だとかいうことで、実を言うと、率直に言って必ずしも賛成はできないのです。しかし、こういうような状態で原発はどんどんできていく。肥つぼのように廃棄物はたくさんだまってくるというようなことになると、それをやらなければならぬということでの要請がこういうふうになってきた場合の民間経営ということについて、いろいろな不安を感じるのですね。私は、先ほど皆さんに見ていただいたBとPとの操業率と、それから東海村、これはコールダーホール型、ガス型だからと言いますけれども、そういうことを除いて、これは単純な考え方でいくと、もちろん日本原子力発電所も民間電力会社の共同出資に基づいているものではあるけれども、一定程度、半公共的な運営の形がある。その他のいわゆる株式会社とちょっと違った運営が行われてきているように思う。そういうふうに半公共的というか、公共的運営が行われているからこそ、利用率とか何かが高くなっているというような結果が出ているのじゃないか。いわゆる株式会社何々というようなところでやると、どうもやはりそういうようなところがおろそかになっていって、その結果として利用率、稼働率が下がっていっているのではないかという受けとめ方を私はするのです。そういうことから見れば、再処理工場の運営についても、動燃団がやっておるということになれば、これは実を言うと一つの半官半民みたいなものですよね。しかし、今度は完全な民営になってきますと、運営の指針というものは大分違ってくる。そこらのところを監督官庁の側から見て、同じように見ていけるのかどうかということが一つあります。  それからまた、民間処理工場ができます場合の人的要素の問題について見ましても、これは先ほど中村参考人からもお話がありましたように、やはり相当程度の習熟した熟練工をつくらなければいけないわけですよね。現在、動燃が四百人か五百人。ところが、千五百トンをやるということになれば、中村参考人の言葉をかりてすると、千人ないし千百人のそういう習熟した技術屋さんを養わなければいけない。そういう場合の人員養成についても、それをどこがやるのかという問題、各社ごとにばらばらでやらすのか、新しい会社がそれをやるのか、こういう問題について、これは一つの指導が必要になってくるのじゃないか。その点、政府はどういうふうに考えていられるか。なぜこういうことを言うかというと、動燃やあるいは原研等に各電力会社から出向で技術習熟に来ている方々が、必ずしも習熟した技術一つにまとめて成果を上げるという結果は出ていないんですよ、国の立場からしますると。そういう過去のわれわれの苦い経験、各社別の企業サイドにおけるところのエゴというものがやはり出てまいりますが、それを今度の民間処理工場の場合、どういうふうに克服するのか、そこのところを二点、聞かしていただきたい。
  67. 山野正登

    ○山野政府委員 まず第一の問題でございますか、監督官庁としてどのように監督していくか、また管理していくかという問題でございますが、私どもは、電力事業というものが本来民営であるという点に着目しまして、広い意味での電力事業の一環である再処理事業というものも、民間の活力を活用すべく、民営にするという方針をとったものでございますが、再処理工場民営で運転されたからといいまして、規制法上の管理あるいは監督といったふうなものを動燃事業団に比較いたしまして、十分にできる、できないといったふうな議論はあり得ないと思うわけでございまして、経営主体が特殊法人であれ、あるいは完全な民間の株式会社であれ、何らこの規制面においては差異はないというふうに考えておるわけでございます。  それから、第二再処理工場の必要な技術者の養成でございますが、これは先ほども中村参考人が述べておられましたように、やはり技術者を養成する中心的な場と申しますのは、動燃の再処理工場であろうかと思います。それ以外に、原研等、要すれば活用しまして、現在、すでに各電力会社から何名かの方々が派遣されておるわけでございますが、将来、現在御審議を願っております法案が成立いたしまして、正式に準備会社が発足するという暁には、現在、すでにいろいろ勉強に参加している方々の糾合を求めまして、また、新しい会社におきましてもさらに引き続きそういう関係の機関の場を活用しまして教育を続けるといったふうなことで、必要な技術者の確保に努めてまいることになろうかと思います。これにつきましては、私どもといたしましても、また原子力委員会といたしましても、この法案が成立し次第、必要な指導といったふうなことは進めてまいりたいというふうに考えております。
  68. 石野久男

    石野委員 いま人員の教育の問題について指導をするということについても、どういうふうにやるかということは今後の問題でしょうが、やはりサイトの問題でどういう場所を選ぶかということは、私は、実は東海の近くにおりますから、いまはまだ大したことはないけれども、何かあったときには大変だという心配を常に持っているわけなんですよ。  そこで中村参考人に、いまの状態のもとで、ホットテストの中で、設置許可をもらったときの放出放射能の一つ予定基準といいますか、予定の数量があるわけですね、それと今日の実情とはどういうふうに見合っているのかということをひとつお聞きしたい。  それからもう一つは、これは科技庁の方からお聞きしたいのですが、サイト設定について、先ほど条件がありましたが、私は周辺に市街地があるようなところではどうしてもまずいと思うのです。海岸線で港のあるところという条件を一つ聞きました。これは船で運んでくることですから、それは陸地を運ぶよりも船の方がいいと思います。そうなってきた場合の立地条件というのは、内陸地でそういうものが見つかるのか、あるいは島のようなところを考えておるのか、そこらのところを、これはあなた方の方は指導でしょうけれども会社ができたら会社が主体的にやるのでしょうが、指導の方が私はやはり大事だと思うので、この際ひとつそこらのところをお聞かせ願いたい。
  69. 中村康治

    中村参考人 最初の御質問にお答えをいたします。  安全審査のところでいろいろ最大限に見積もって環境影響評価していただきまして、それに基づいて私ども保安規定というものを設けまして、その一段下で管理しております。それでいままでのところ、先生も御承知のように、まだ燃焼率がそう高くないものをぽつぽつやっているという段階でございまして、いまの結果だけで将来どうだと言うのはちょっと早計だと思いますが、いままで放出として記録されている、たとえばクリプトン、これはわりあいに正直に物理的計算と比例しております。安全審査段階では、一日〇・一七トンを、二万八千メガワット・デー・パー・トンまで燃えたもので百八十日冷却したものを処理すればかくかくしかじかのキュリー数が出るということで評価をいたしました。それに対応して、いまの燃焼率が低い、処理量が少ないというので換算をいたしますと、実際の発生量というのは理論値に非常によく合っております。具体的に申しますと、保安規定で、三カ月平均でかくかくしかじかといったものの、いまはまだ一けたないし一けた半下でございます。  同じことで海洋放出、これは安全審査段階に比べましてさらに低減化するということでE施設を追加してございます。そういう関係もございまして、いまのところ、保安規定、安全審査で書いたものに対して二けたから三けた下である、こう申し上げさしていただきます。
  70. 山野正登

    ○山野政府委員 サイトの予想地点でございますが、これは私自身選定の調査作業に参加しておるわけではございませんので、実際には存じませんが、先ほど申し上げましたように、港湾の施設というのは恐らく重要な問題になろうかと存じますので、内陸に求めるといったふうなことはあり得ないのではないかと考えます。かと申しまして、それでは直ちに島かとなりますと、島になるかあるいは通常の海岸線になるか、この辺は今後の検討課題であろうかと考えておりまして、そういう幅広い範囲でいま選定作業を進めておると考えております。
  71. 石野久男

    石野委員 最後に大臣にいま一つ確かめておきたいのですが、再処理工場民営にするということになりました場合の管理監督という問題は非常に重要だと思うのです。先般基本法の改正のときに、原子力安全委員会それから原子力委員会、それぞれ八条機関であるけれども、報告聴収の権限だとかあるいは十分意見を尊重するということについて、言うならば三条機関と同じような効果を持たしめるような内容をもってわれわれは法案審議をしたわけです。再処理の場合、この私たち考え方というものが徹底することが非常に大切だと思います。そういうことについてことに長官としてはどういうふうに考えておるかということを一応聞いておきたいと思います。
  72. 熊谷太三郎

    ○熊谷国務大臣 先刻来申し上げましたような理由で、第二再処理工場民営ということを考えているわけでありますが、特に安全確保上非常に重要な問題でもありますし、官営であろうと民営であろうと、本当に国の安全確保に関する方針が徹底的に貫かれますように、政府としては責任を持ってその指導監督に当たるべきであると考えております。
  73. 岡本富夫

    岡本委員長 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時二十七分休憩      ————◇—————     午後一時十八分開議
  74. 岡本富夫

    岡本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。日野市朗君。
  75. 日野市朗

    ○日野委員 動燃からおいでいただいておりますので、まず動燃の方のいろいろな見解を伺ってまいりたいと思います。  きのう再処理工場を拝見してまいりました。非常にみごとにやっておられると思いまして感心してきたのでありますが、私、幾つかの感想と申しますか、気づいた点についてちょっと教えていただきたいと思うのであります。  再処理工場動燃でつくられたその基本的な考え方といいますか、動燃事業団法によりますと、再処理及び保有について計画的かつ効果的に行うんだというふうに書いてあるわけなんです。これは言うまでもなくわが国で初めての試みでありまして、いろいろな御苦労がおありである。まさに手探りでずっと進んで来られたような御苦労もあったんじゃなかろうかと思います。  それで私伺いたいのは、まずいわゆる核燃料サイクル、これを一応ずっと試みていくという理論的なそして技術的ないろいろな探求があったと思うのですが、そういう理論上、技術上のいろいろな問題点と取り組んでこられたと同時に、これを官業運転まできちんとできるものというような考え方もあわせてこの再処理に取り組んでおられるのか。それとも、まず理論的なところの解明をやっていこうというお考えの方に重点が置かれているのか、どちらなんでしょう。
  76. 中村康治

    中村参考人 昨日はどうもありがとうございました。  お尋ねの点でございますが、実は私どもの再処理最初計画は非常に古い時代からでございます。動燃の前身の原子燃料公社時代に、原子燃料公社法にすでに再処理というのが使命の一つとして書かれております。そこで、原子燃料公社ができた直後から再処理の基本計画にかかりました。その当時、私自身も企画室の一係員ということで参画しておりましたが、具体的に申し上げますと、昭和三十三年から三十五年ぐらいがこの基本計画の時期でございました。そのころに、再処理というものをある仕事として考えなければならぬ。一つは、技術があるか、どうやって展開するかということ、もう一つは、何のためにやるかということと二つでございます。  それで、ちょうどそのころに、原子力研究所の方でも基礎技術開発ということで再処理の基本技術の研究がすでに担当されておりました。手元に資料がございませんので、年数はひょっとしたら違っているかもしれませんが、原子力研究所の方に、われわれ通称ホットケーブと言っておりましたが、当時の資金で十億円ぐらいかけて、たしか年間三トンか四トン処理できる試験施設をつくられました。その後に続くのが当時の原燃、われわれ動燃の再処理施設だ、こういう位置づけでございました。  基本研究は原研のそういう仕事を引き継ぐ。したがって、私ども原子力研究所の方に若い研究員を派遣して、一緒にそのホットケーブの建設あるいは運転にも参画させていただいておりました。それで、その後に置くものは、位置づけでいきますと、実証規模のものでありたい。つまり、遠い将来、いま先生方に御検討をお願いしているような商業規模の大規模なものにはね返るぐらいの規模のもので研究的運営をしなければいけない。それがどのぐらいの規模だろうかというのがずいぶん長い間の議論でございました。  たしか昭和三十六年に、原子力委員会専門の方たちを含めて海外に調査団をお出しになりました。その当時の世界の情勢、それからプロセス、あるいは規模、こういったものを御調査いただきまして、その結論に従って、およそ一日一トンぐらいのあるいはその前後のあたりで、それぐらいの規模のもので、プロセスとしては、今日やっておるピューレックス法でよかろう。このぐらいになると、およそ経済的運営を考える規模になっている、こういうのが結論でございました。  一トンとか〇・七トンといいますと、そのものは、酸化ウランというのは御承知のように比重が一〇でございまして、本当のボリュームといいましょうか、容積にいたしますとわずかなものでございます。ですが、核燃料ということで見ますと、百万キロ当たり平衡状態で三十トンの使用済み燃料が年々出てくるという計算になっております。したがって、私どもの最終的に決めた〇・七トン・パー・デー、年間二百十トンという設計能力は七百万キロの軽水発電所に対応するということで、ちょっとした規模のものではあります。しかし、それぐらいの規模のものをやっておけば大規模工場経験にはね返るであろう、これは基本的な考え方でございました。  それから核燃料サイクルという点で、非常に早い時期から、これはわが国民の経験からも生まれてきたのだと思いますが、再処理をやった後のプルトニウムをどうするかというのが最初から関心事で、計画の中の一つでございました。  そこで、昨日御案内いたしませんでしたが、昭和三十七、八年にプルトニウム燃料の研究開発施設を予算措置をしていただきまして、そして再処理が実際動いてプルトニウムが出てきたときにそれをどうするかというのにある程度道をつける必要があるということで、当時の原子力局の皆さん方の御指導もございまして、この施設をつくって動かしてまいりました。  具体的には、プルトニウム燃料を実際使い始めたのは昭和四十一年一月からでございました。その当時から、プルトニウムの使い方としては、軽水炉にリサイクルすること、それから理論的には将来はプルトニウム高速炉に持っていくものということで、プルトニウム燃料部での研究は、両方の燃料開発するということで着手いたしました。ちょうどそのころに新型動力炉開発の必要性を国内挙げて御認識をいただきまして、この委員会でも全党一致で御承認いただいて、今日の動燃が生まれたわけでございます。  そういうことで、われわれのプルトニウムを使う目標は高速増殖炉あるいは新型転換炉というところに重点が移されておりますけれども、軽水炉にリサイクルするというのも初期開発研究の一つだということで使命を感じて担当しております。  少し長くなりましたが、最初から、単に研究だけの施設だということではなくて、研究もやりながらその将来につなぐためのものであって、その期間には、いま動きつつある軽水炉の相当規模の再処理サービスもするものという、幾つかの性格を持って生まれたと御理解いただきたい。  以上でございます。
  77. 日野市朗

    ○日野委員 実証それから研究的な運営、経済的な運営、それぞれいろいろ考えて、プルトニウムをどうするかというようなことも考えておられるようなんですが、私、実際に見せていただいて気になった点をちょっと挙げてみたいと思うのです。  キャスクに入った燃料棒、使用済み燃料がプールの中に持ち込まれる。そうすると、プールは非常に清潔で非常に機能的であるだろうと思うのですね。ただ、それは燃料棒がきちんとなったままで入ってくるということがどうも前提になっているように思うのですね。そこで、たとえば折損した燃料棒であるとか、あの操作の中での折損というようなことが果たして十分考え込まれた上であそこのプールの部分ができているのかどうかということになると、ちょっと疑問じゃないかなというふうに思ったのですが、いかがなものでしょうか。
  78. 中村康治

    中村参考人 お答えいたします。  キャスクに入ったのが、昨日ごらんいただきましたようにトレーラーであの建物の中に入ってくる。それをつり上げて一度キャスクの全体をサーべ一する。そして取り出しプールにどぶんとつけます。そこでふたをあけることになりますが、その前の外面の除染、それからそのキャスクの中に冷却水が入っておりまして、その水をサンプリングで取り出すということができます。その水なり外面からのチェックで、中身の燃料に破損があるかないかは測定できます。モニターいたします。それで、取り出しプールと貯蔵プールとを別にしてございますのは、取り出しプールの方はより汚れがあり得るという場所でございます。そこで、燃料を取り出しますが、実際問題として、全然破損のない燃料ばかりではございません。ある程度のものはある。これは、一応軽水発電所の設置安全審査段階評価されていると同じような割合の破損があり得ると想定いたしまして、そこで、あのプール水は、お気づきだったと思いますが、循環いたしまして、そして汚れを取る、あるいは冷却をしているという循環系を持っております。十分な能力を持っておりますので、ある時期はプール水の平均汚染度がちょっと上がりますけれども、それは時間とともにすぐもとに戻るだけの除染能力を持っております。それで、仮にそういう破損燃料があったといたしましても、あのプール、大きい方の貯蔵プール全体に汚れが広がるということはできるだけ避けたい。それで取り出したものがすぐ勇断処理にかかるわけではございませんので、あの貯蔵プールにはある程度期間いることになります。そこで、そういう燃料はもう一度、お気づきだったと思いますが、バスケットがございまして、かん詰めにいたしまして、不要なプール全体の汚れを起こさないように管理してございます。そして、実際勇断というところに持っていく段階ではふたをあけて、インクラインルートを通って、勇断セルに向かいますが、これは時間軸が少ない、こういうふうに一応の安全評価をして、それだけの対応を持っているつもりでございます。
  79. 日野市朗

    ○日野委員 たとえば美浜一号炉燃料棒の折損事故というのがあったのは御存じだと思うのですが、あのような状態になった燃料棒なんかもやはり受け入れて再処理をするだけの設備は整えてあるというふうに伺ってよろしゅうございましょうか。
  80. 中村康治

    中村参考人 残念ながら私自身その破損燃料の実態は新聞報道されたものの程度しか存じておりません。しかし先ほど申し上げましたように、五%ぐらいのものが破損があって、リークがあるとしてもという前提で考えておりますので、ちょっと言葉がうまくないですが、たとえばメロメロになっているというようなものはとても引き受けかねます。しかし大部分が健全であって、どれか一つにピンホールがあるとか、あるいは端っこがなくなっているとかという程度のものは吸収し得ると考えておりますが、具体的な状況がわかりましたら、それなりの評価をした上で取り扱うことになると思います。
  81. 日野市朗

    ○日野委員 これは、私、プールのところで若干の質問を御案内いただいた方にしたわけなんですが、私、質問をしてその答えを聞きながら、動燃のいまつくっている再処理工場というのは研究ということに重点がちょっと置かれ過ぎているんじゃないかな、非常に技術屋的な答えだなと思ったのですが、そういう燃料棒なんかここでは受けつけませんよというような答えが実はあったわけなんですよ。これはあの工場をじいっと一生懸命研究しながらつくられた立場としては、私、心情的には非常にわかるような感じがするのです。それで私は実はそういう心配を持ったものですから、少ししつこく伺うわけなんです。そういった破損がある燃料棒でも、これはイオン交換樹脂をフィルターにしてやっておられるようですが、それで十分に対応し切れるものだというふうに伺って差し支えありませんか。どうもそこいらの考慮が若干欠けているのではないかと思います。
  82. 中村康治

    中村参考人 私が申しましたのは、操業が十分なれた上の話でございまして、現場での御質問は、いまはどうだというふうに受け取ったのではないかと考えます。そもそも、御説明いたしましたように、ホット試験そのものも燃焼率が低くて、だんだんに経験を積んで進む、こういう計画を持っております。そういうことで私どもの状態は、電力会社の側でも十分御理解をいただきまして、出荷のときに発電所サイトのプールでの状態を一応確認した上で送っていただいておる。最初からかなりの破損といいましょうか、かなりのリークのあるものをいますぐ受け入れるつもりはございません。やはり経験とともにでなければいかぬ。しかし設計上はそれだけの裕度を持っている、こう御説明したつもりでございます。
  83. 日野市朗

    ○日野委員 それからもう一つ気になった点は、燃料棒を切断する場所がございますね。あそこなんかも、私、マシーンの刃というものはもっと別の形のものを実は想定していたものですから、実に意外だったし、あそこから汚染されたほこりのようなものも出るでありましょうし、一番汚染度の高いところだろうと思うのですが、それは何か遮蔽されるといいますか、何かケースのようなものでもあって、その中で切断されるのかなとも思っていたのです。ところが、あの部屋そのものがその設備だと言えばそれきりでしょうけれども、非常にむき出しの形で存在しているわけですね。あれを見て、ちょっと意外な感じなんですが、あそこなんかやはりかなりほこりなんかが出るということからもかなり汚染されるというふうに理解してよろしいのでございましょうね。
  84. 中村康治

    中村参考人 大変大事なところにお気づきでございまして、これを詳しく申し上げると私どものノーハウの御説明になるわけですが、実は外国の専門家なんかが来ましても、あの前後の仕組み、設計思想は非常にびっくりいたしまして、おまえのところはきれい過ぎる、よくうまく考えたということをよく言われます。どういうふうになっているかと申しますと、あの勇断セル、私どもメカニカルセルと申しておりますが、あれはコンクリートの厚みが一・八メートルもございまして、重遮蔽されている。したがってその中に使用済み燃料がそのまま持ち込まれても外部には完全に遮蔽ができております。  ところで剪断でございますが、剪断というのが一般的にどうもわかりにくいのですが、燃料棒は模型やあるいはどこかの発電所で現物もごらんでございましょうが、燃料棒があるすき間をもって並んでいる、その束を切るということになります。切るときには、押しつけますと燃料棒がぐっと押しつけられる。ちょうど菜っぱを押し切るのと同じでございます。そこで剪断は、剪断というよりも押し切りというふうにお考えいただいた方がいいわけでございます。そこで、刃の損傷というのは最初から一番注意しなければいけないところでございます。刃といっても、包丁のような薄い刃ではございません。これぐらいの分厚さのある、ちょっと角度を持っております。しかも一枚の刃ではなしに、ぎざぎざの段になっているというような構造でございます。しかしそれにもかかわらず、押し切るとほこりが立つということが考えられます。あの勇断セル全体はなるべく汚さない、汚れていてもいいのですが、汚さない方がいいということで、ほこりの立ち得る勇断のところをさらにケースで囲ってございます。そしてその部分のほこりが外にうやうやっと巻き上がらないように空気を引いているのでございます。その部分だけ空気を引くということをいたしますとほこりが舞い散らない、そういうような工夫がしてございますので、あのメカニカルセル、勇断セルというのは非常にきれいだ、非常にうまい考え方だ、こういうことになっておりますが、どうも自画自賛でまことに恐縮でございます。
  85. 日野市朗

    ○日野委員 本当に私も非常に感心をして拝見をしてきたわけなんですが、ただ、見ておりますと、配管、配線、それからいろいろな部品が複雑になっているようなんですが、あれの保守、管理ということになると、かなり頻繁に室内に立ち入ることが必要になってくるのではなかろうかなと感じるわけです。そうしますと、当然そこの中に入っていろいろ作業をする場合、除染という作業が必要になってくるのじゃないかと思いますが、そこいらの配慮なんかはどのようにしておられるわけでしょうか。
  86. 中村康治

    中村参考人 現場で担当の者が御説明いたしましたように、あの再処理には、われわれはセルと言っておりますが、コンクリートで囲ったセルがたくさんございます。特定の仕事ごとに特定のセルに囲うという基本概念でございます。実は、外国でうまくいかなかった再処理施設は、それを同じ部屋でやってしまうという概念のところもございました。そういう経験があるので、初期建設費は高うございますけれども、セルを別々の構造にしたというのが最初考え方。それと、配管、配線が複雑だと当然なるとおっしゃいましたが、確かにあの施設全体では、建設所長も御説明いたしましたように、総配管延長が百二十キロメーターもございます。しかし、一番ホットなところでは、保守しなければならないような部分をセルの中から外へ出すようにしてある。右側に掛け図でちょっと御説明をしていたと思いますが、たとえばバルブのようなものがあったといたしますと、そのセルの中にバルブを入れるのではなしに、配管を延長してきまして、そのバルブ部分だけをコンクリートの中に小さな小部屋を設けておるというような工夫がしてございまして、基本的にはホットなところに直接飛び込まなくても保守できるという計画でございます。  それから、最初に御指摘のございました剪断セルなどでは、マニピュレーター、俗に言うマジックハンド、あれが幾つか取りつけてございましたように、遠隔操作で保守をするという概念でございます。しかし、それにもかかわらず、どうしても遠隔操作でもだめ、それから最初から用意をしてあった部分保守でもだめというような場合には、全体を除染いたしまして、可能な限り汚染水準を下げるということでございます。したがって、その除染をまた遠隔でできるようにすでに配管計画がされておりまして、薬液を含んだ水、あるいはその前にサンドブラストをかけるというよりなのも自動化の対応がしてございます。そういりことをやると、またその水が廃棄物になる、それの処置も一応考えてございまして、そういうことで、法令に許される計画被曝という規定がございますが、それに耐える程度まで除染をした後で、先生のおっしゃる飛び込んで直接保守をするということもケースとしては考えております。その場合は全部、完全に外から空気を送った状態で防護服をかぶって中で作業をする、こういうことになると思います。ここら辺のことはいままでウランテストの経過で何回か訓練しているつもりでございます。
  87. 日野市朗

    ○日野委員 除染の基本的な方法としては、ふき取る、水で洗う、こんなことにならざるを得ないのだろうと思うのですが、それの廃棄の方法はどんな方法を考えておられますか。
  88. 中村康治

    中村参考人 いまもちょっと申し上げましたように、水ばかりではなくてサンドブラストのような形で取るという考え方もございます。それから、ふき取るということもございます。  水は、実は私ども非常に注意をしなければいけませんのは、水が減速材になりますので、いろいろ核分裂性の物質のあるところに不用意に水を入れるということは基本的に好ましいことではございません。いずれもそういう評価をした上で水を流すなら流すということで考えておりますが、そこで発生する水は高レベル廃棄物と同じような扱い方でするということで、あの施設の中に受け取りのタンクがございまして、それだけはまた別系統で処理をする、こういうことになります。
  89. 日野市朗

    ○日野委員 各方面での配慮がかなり払われているようでありますが、あの工場を見て、経済的な運営についての見通し、これは大ざっぱで結構ですから述べていただきたいと思います。
  90. 中村康治

    中村参考人 現在ホットテストをやっているのはごらんいただいたとおりでございまして、これは私どもにとってまさに試験でございまして、残念ながら製品の品質だとか歩どまりなんかとても保証できない。そこで、この試験運転に限り特別料金ということで原子力局にも財政当局にも御了解いただいた料金でチャージをいただいております。本操業になってくれば、逆に私どもの運転の結果で、どの程度の歩どまりでどの程度の品質のものが出るかということがある程度保証できるようになります。そういうことになれば、かかった経費を算定してちょうだいしなければならぬということで、予算的には一応関係官庁で御了解いただいたものがございますが、これは相手のある問題でございまして、まだ約束された結論は持っておりません。  しかし、その場合に、いわゆるコスト回収主義ということで、午前中石野先生の御質問に余分なことまでお答えしたようでございますが、部分的に借入金でやっている。これはその借入金を返済する義務を伴っております。そういうことで、ある料金計算の場合に、どの辺でキャッシュフローがクロスポイントに入るかということもいろいろ御相談しながら料金を決めさせていただく、こういう基本姿勢でございます。
  91. 日野市朗

    ○日野委員 午前中の石野委員との一問一答を私も伺っていたわけですが、要は、再処理だけでは商売としては成り立たぬと見ざるを得ないのじゃないかと思うのですが、いかがなものでしょうか。
  92. 中村康治

    中村参考人 私は商売をやったことがないので、どういう環境で商売として成り立つと言っていいかどうかわかりませんが、一応コスト主義ということで言うならば、資金返済なり運用なりにかかわる費用、運転にかかわる費用をある期間で回収していくという考え方、詳しくは存じませんが電力料金の決定もコスト主義ということでおやりになっている。普通の商売というとコストの上に利潤なり何なりを含むことになると思いますが、一応私どもの指導されている立場はコスト主義ということで考えさせていただいております。
  93. 日野市朗

    ○日野委員 第二工場民間でという構想がいま出されているわけなんですが、なかなか答えにくいかと思いますが、どうでしょう、民間でやって、これは一つの企業として成り立つとお考えになれますか、意見を求めてしまうことになって恐縮なんですが。
  94. 中村康治

    中村参考人 結局事業として考える場合に、どうも専門外で余分なことを申して申しわけありませんが、とにかく資金が要る。その資金の金利というのは、その事業体の信用度なりその事業の信用度によって変動するものと了解しております。それで、確かに資金の回転率、投下総資本の回転率ということで見ますと、非常に回収に時間がかかる仕事でございます。ですが、もしそれがコスト、料金との間であるバランスがとられるならば——また企業としては資金を回収しなければならぬわけですね。その辺が、世界各国でのいろいろな再処理事業の形態がございますが、詰まるところは売り手と買い手ということになると思いますけれども、わが国で考えられている第二再処理工場というのは、結局日本の電力界だけがカスタマー、お客さんである、それが建設の資力の責任をとろうと言っていらっしゃる、そういう意味で、独立のどこかの商売というのとは大分違うのではないかと私は想像しておりますが、お答えになったかならないか……。
  95. 日野市朗

    ○日野委員 お答えになりにくいことだと思いますので、この程度にしておきたいと思います。  それから、この再処理工場とずっといままで取り組んでこられて、いろいろな理論的な面での集積、技術面での集積がございますが、これの管理はどのように現在なされているのでしょうか。
  96. 中村康治

    中村参考人 私ども動燃事業団一つの法人でございまして、みずからを守る権利と責任を持っております。それからまた、世界的な認識でいたしますと、核不拡散云々の点から言っても、センシティブな技術に入ります。そういう意味で、私ども経験なり情報なりというものはきわめて慎重に取り扱っているつもりでございます。しかし、一方原子力基本法で要求される条件も当然ございます。それで、細かい技術的な中身についてはしかるべき対応策をとらなければいけませんが、一般的な経験、結果はいろいろな場を通じて公表させていただく、そういうふうに動燃内部の判断で情報管理をさしていただいている、そういう状況でございます。
  97. 日野市朗

    ○日野委員 今度は科技庁の方にも伺いたいのですが、要するに、いままでのノーハウですね、これはこの法案が通ったとして、再処理会社がいま準備中なわけですが、この新しい会社にどのようにして引き継いでいくのか。引き継ぐといいますか、新しい再処理会社なるものはどのような形で動燃がいままで開発してきたものをもらっていくというか、引き継いでいくというか、やるような構想になっておりますか。
  98. 岡本富夫

    岡本委員長 ちょっと日野君、中村参考人が二時までで帰りたいという約束になっておりますので……。
  99. 日野市朗

    ○日野委員 その一点だけ。
  100. 山野正登

    ○山野政府委員 現在、将来の再処理会社の主体に考えられておりますものは、電力会社が中心でございまして、これに化学工業界等の関連の会社というものも共同参加して設立されるというふうなことになろうかと思うのでございますが、この中心に考えられております電力会社等はすでに動燃事業団の再処理工場に二十名ばかりの人員を派遣しておりまして、この方々は再処理工場で働きながら技術の習得ということもすでにやっておるわけでございますが、将来再処理会社というものがつくられました暁には、このように各社から現在動燃に派遣されておる方々というのは新しい会社に糾合されまして、そういった方々が技術陣の核なっていくものと考えられます。もちろんその再処理会社が発足した後も同様に再処理会社から動燃事業団の方に人は派遣されるでしょうし、また新しい再処理会社が敷地の選定あるいは設計さらに建設、各段階におきまして事業団技術、資料の提供とかあるいはそれ以外の形での技術支援というものも当然あると考えられますので、そのような方法によりまして、できるだけ動燃開発し蓄積した技術、知識を第二再処理工場に生かしたい、このように考えております。
  101. 日野市朗

    ○日野委員 動燃に一点だけちょっと伺っておきます。  現在のINFCEの作業はどの程度まで進んでいるか。大体の四分の一ぐらいだというような午前中のお話だったのですが、第四作業部会に限ってで結構でございますから、現在どのような作業をしておって、どのような方向に進みつつあるのか、その点かいつまんで伺っておきたいと思います。
  102. 中村康治

    中村参考人 午前中石野先生の御質問にもお答えいたしましたが、第四作業部会作業計画といたしまして、現在の技術が何で、どういう問題だ、それからかわりになる技術が何であって、どういうふうに評価されるか、かわりになる制度、仕組みが何であって、それがどうであるかという二つの仕事が並行的に展開しております。  現在は、最初仕事の、いまのものが何だといり調査が終わりまして、それの評価を始めている最中。それから第二の技術的にかわり得るものは何かということはこの次の九月の会議幾つかのペーパーが出てまいりますが、それのための準備をいましている最中、現在はそういう経過でございます。したがいまして、来年の一月から全体が、三つの作業がおよそ答えに近いようなのが出てまいりまして、そこでどうするかというのが来年の春以降、秋の議論になるだろう、そう推測しております。
  103. 日野市朗

    ○日野委員 じゃ中村参考人に対する私の質問はこれで終わります。  いま中村参考人にINFCEの方に出ておられての感想をちょっと伺ったのですが、またさっきの科技庁の質問に戻りますので、よろしくお願いしたいと思います。  現在の第一再処理工場とでもいいますか、現存する再処理工場、これは第二再処理工場ができるということになった場合どのように取り扱っていかれるお考えなのか、科技庁の見解を伺っておきたいと思います。
  104. 山野正登

    ○山野政府委員 動燃事業団の再処理工場は先ほど参考人からも御説明がありましたように、いわば国内に再処理技術を確立するための実証工場的な性格を強く持っておるわけでございまして、商業的な活動を主目的としたものではないことは明らかでございますが、この動燃工場技術開発技術確立の目的を達成しました後は、引き続き所要の研究開発というのは当然この施設を使って進めるわけでございますが、あわせて、せっかくございます再処理能力の活用も図られていこうかと思います。  そこで、この動燃の再処理工場の耐用年数がどの程度あるかということでございますが、たとえば十数年ある、十五、六年あるというふうな仮定に立ちますと、第二再処理工場が完成いたします一九九〇年ごろというのはまだ運転しておるわけでございますので、その時点におきましては第二再処理工場の運転と並行して動燃処理工場の運転も行われておるというような実態はあろうかと思います。そのときには両方ともその規模に応じた再処理の需要を消化するという形になろうかと存じます。
  105. 日野市朗

    ○日野委員 再処理工場技術、理論、そういったものをそっくり民間の再処理会社の方に引き継ぐというような構想はお持ちではないのですか。
  106. 山野正登

    ○山野政府委員 第二再処理工場建設するに当たりましては、できるだけ国内の技術を活用する、できれば国内にございます自主技術だけでつくりたいという願望があるわけでございますので、そういう観点からも、お説のとおり動燃の再処理工場技術というものは可能な限り第二再処理工場の方にバトンタッチしてまいりたい、そういう技術の移転というものを今後できます再処理会社ともども政府におきましても十分な指導をしたいというふうに考えております。
  107. 日野市朗

    ○日野委員 これは中村参考人にも聞いたのですが、現在の再処理工場は確かに実証的な研究工場的な色彩が非常に強いわけなんですが、どうもこれまでのいろいろな答弁なんかから見ても、再処理そのものとしては、営業的な採算を考えてみた場合は、これは最初から合わないんだというふうに見た方が適切ではなかろうかなというふうに思うのです。そうすれば、大体お客さんは電力会社だ、だからそのほかのところでは再処理工場そのものの独立採算ということは考えなくたっていいんだというような考え方中村参考人もそのような趣旨でお答えになったんじゃないかと思うのです。私が見ても、これは再処理工場そのものではなかなか採算がとれるものではないというふうに思うのですね。そうすると、勢いこれは国の方からいろいろな手当てをしていくというようなことが必要になってきはしないかと思うのですが、その辺の見通しはいかがですか。
  108. 山野正登

    ○山野政府委員 第二再処理会社が採算がとれるかどうかという点でございますが、採算がとれるということは、原価の中にかかったコストが全部見れるかどうかということでございますので、再処理会社が行う再処理に対してかかったコストに若干の利潤というものを加えたベースで電力会社と契約ができるかどうかという点にかかっていると思うのでございます。もしそういう仮定で考えました場合に、かかったコストというものを電力会社が全部見るとなれば、当然に再処理会社は採算に乗るということになると思うのです。  けさ石野先生に御答弁申し上げましたように、米国等でも、将来再処理をした場合の発電コストはどうなるであろうかといったふうな検討をしておられますが、NRCの行いましたGESMOの一例で見ますと、発電コストの中に占めます再処理、それ以降の廃棄物処理処分まで含めまして大体全体の発電原価の三・六%程度、これはある一つのケースについての試算でございますけれども、そういうことになっておるわけでございます。先ほど申し上げましたように、第二再処理工場のコストを見る、つまり第二再処理工場を採算ベースに乗せるということのための電力原価へのはね返りというのはたかだか数%程度ということでございますので、私は再処理事業というのはそういう意味合いからは採算に乗り得るものであると考えております。
  109. 日野市朗

    ○日野委員 これは将来の見通しをめぐっての議論になるので恐縮なんですけれども、採算がとれなかったからこの再処理工場はつぶしてしまえというわけにはいかないわけですね。それからまた、電力業界がこれは余りにも再処理にかかるコストが高過ぎるというので、発注を外国にするというような事態なんかも想像されるんじゃないかと思いますが、そういう事態について検討しておられますか。
  110. 山野正登

    ○山野政府委員 現在電力会社は、この第二再処理工場ができるまでのつなぎとしまして、イギリス、フランスに再処理の委託契約をいたしておるわけでございますが、この契約内容を見ますと非常に高い契約になっておるわけでございまして、安易に海外に再処理委託をするということにつきましては、経済性の側面からはかなり問題があるということを痛切に感じておるわけでございます。そういう意味で、できるだけ第二再処理会社におきまして、先ほど申し上げましたような趣旨における採算がとれるように努力をしてまいるわけでございますが、むしろ経済的に有利な場合には国内の再処理会社をおいて海外の委託を考えるというのではなくて、やはり核燃料サイクルを国内に確立するという点を優先いたしまして、仮に外国の再処理会社と比べても十分採算上有利な立場に立つというふうな方向で、何とか国内の再処理会社というものを育成してまいりたいと考えております。     〔委員長退席、石野委員長代理着席〕
  111. 日野市朗

    ○日野委員 さっきからしつこく聞いているわけなんですが、経済性の面、情報管理の面で、いままでの経験とか技術というのは非常に貴重なものかすでに集積されているので、こういうものをやはり国できちんと管理しておくという必要があるのではないかというふうに私は思うのです。そういった面から言うと、民間にそれらを任せるというのはどうも私には賛成できかねるのです。むしろ諸外国でとっているような公社方式、公団方式の方がはるかにすぐれているのではなかろうかというふうに思いますが、いかがでしょう。
  112. 山野正登

    ○山野政府委員 再処理事業の海外における事業主体でございますが、お説のような公社形態をとっておるのはイギリス、フランスといった例もあるわけでございますけれども、それ以外の西独とかアメリカという国々は、私どもが現在考えておりますのと同じように民営という方向で再処理事業考えておるわけでございます。経営主体が国であるか民間であるかによりまして再処理工場でできます特殊核物質等に対する管理監督というふうなものが変わってくるわけでもございませんし、また、必要な技術情報というふうなものが経営主体が民間であるために不用意に散逸するといったふうなこともないわけでございます。このあたりは十分に今後法の運用等を通じまして政府が指導監督していくべき問題であるというふうに考えております。
  113. 日野市朗

    ○日野委員 今度はちょっと質問を変えます。前回の私の質問の続きになります。  日米原子力交渉の結果の共同声明の第二項であります。ここでこの間もちょっと読み上げましたけれども、INFCEの作業期間中「プルトニウム分離のための新たな再処理施設に関する主要な措置はとらないとの意図を有する」という日米の共同声明があるわけです。これについて前回は、これはメジャームーブメントという英語の訳であるというふうなお答えもありましたし、それまでの交渉の経緯から見て、本法律案のような法律の改正をやることについては一向差し支えないんだというような答えがありました。私も一応英文を当たってみたのでありますけれども、共同声明の文章づらから見る限りどうもそういう解釈はちょっととり得ないのではなかろうか。メジャームーブメントという中にはやはり物理的な問題だけではなくて政策の立案というようなこと、それから国の基本的な政策の変更というようなことも含まれているのではなかろうかというふうに思うのです。そして、その裏づけにもなるんではなかろうかと思うのですけれども、第二項のいまの部分のもうちょっと前の方にこういうふうな記載がありますね。「現時点では、商業利用に供される段階にはなく、その尚早な商業化は避けられるべきであるとの見解を共有する。」こういう部分がございますね。こういう部分とあわせて考えてみると、民間で再処理業務をやるというようなこと、これはまさに共同声明の内容から見ると、「再処理施設に関する主要な措置」に当たるのではないか、このように私には読めてしょうがないのですが、もしアメリカ側とこの点について、このような法律案を提出するということは差し支えないのだという合意があったとするならば、日米の原子力交渉のどの段階であったのかひとつ明らかにしていただきたいと思うのです。日米原子力交渉の中には幾つかの重要な会談、会議が行われているのですが、それをひとつ特定していただけませんか。
  114. 山野正登

    ○山野政府委員 この共同声明に盛られております「主要な措置」という言葉の解釈でございますが、先般私が御答弁申し上げましたのは、メジャームーブ、主要な措置という言葉が先にありまして、それを日米間でどう解釈するかということで先般申し上げたような解釈になったという経緯ではございませんで、むしろ日米交渉のさなかにおきまして日米双方がおのおのの事情、おのおのの主張というものを繰り返しまして、その内容を共同声明に盛り込むに際しまして「主要な措置」という言葉でもってあらわそうというふうにしたわけでございまして、そういう意味では因果関係は逆転しておるわけでございます。そのような話し合いが行われましたのは、日米の交渉のうち東京における最後の会談、昨年の八月の末から九月の初めにかけてであったかと存じますが、その際に、わが国の今後の再処理についての考え方、これは今回御審議をお願いいたしております法律案に盛られておる趣旨、つまり動燃の再処理工場に引き続いて第二再処理工場民間主体でやりたいという将来構想、それからプルトニウムの利用についての考え方といったふうなことを先方によく説明いたしまして、その際に、第二再処理工場については法律の改正が必要であるとかあるいは民間における準備主体はどうなっておるとかあるいは法律の改正が行われたらどういうふうな手順で本件は進められるであろうかといったふうなことにつきまして日本側からしさいに説明をし、これについて米側は十分に理解を示したわけでございまして、そのときにこのINFCEの期間中は日本側も、法律の改正とかあるいは会社の設立、また立地の選定といったふうな作業は結構として、具体的な第二再処理工場建設作業といったふうなものにはお入りにならないでしょうね、そのような措置をとる意図はないでしょうねという確認がありまして、そのとおりだという話になったわけでございまして、その内容を「再処理施設に関する主要な措置はとらない」と表現をしたわけでございます。したがいまして、字句の解釈と申しますよりもむしろ実態が煮詰められましてそれをこのような字句で表現されたというふうに御理解いただく方がよろしいかと存じます。  それから第二点でお触れになりました「その尚早な商業化は避けられるべきであるとの見解を共有する。」という問題でございますが、これは、再処理事業についての尚早な商業化という意味ではございませんで、プルトニウムの軽水炉へのリサイクルという問題につきまして、その商業利用の問題を説明しておるわけでございまして、再処理とはまた違う問題でございます。
  115. 日野市朗

    ○日野委員 いま山野局長が言われたのは、第三次日米原子力交渉、当時の宇野科技庁長官とスミス・アメリカ主席代表との間の交渉でございますか。
  116. 山野正登

    ○山野政府委員 そのとおりでございます。
  117. 日野市朗

    ○日野委員 その合意は議事録とか議定書とかそういったものに文章化されておりますか。
  118. 山野正登

    ○山野政府委員 議事録とか議定書といったふうなものは何も残しておりません。関係者の記憶並びに各人のメモに残っておるだけでございます。
  119. 日野市朗

    ○日野委員 これは非常に重大な部分であると思うのですね。その当時のアメリカの核燃料政策、そしてカーター大統領が非常に張り切ってカーター政策を打ち出して、その政策をめぐって日米間でここのところはかなり激しいやりとりがあった部分だろうというふうに私は思うのですが、一応そういう重要な部分についてであれば何らかの合意をきちんとした記録にとどめておくということが必要なのではなかろうかと思うのです。そうでなければ、こういう共同声明というような声明が出されれば、この共同声明に書いてある文章が何よりもまず両国間を拘束していく。まず拘束の基準を探るとすれば、この共同声明がまず第一だと思うのですよ。そうしますと、この第二再処理工場をつくるんだという政策の立案というのは、これは日本の再処理の将来ということを展望すればきわめて重大なことであり、またこのことについてはアメリカ側もきわめて重大な関心を持っていたことではなかろうかと思うのですね。私の感想を申し述べさせていただければ、「主要な措置」ではない、この第二再処理工場をつくるためのこの法律整備が重要なことではないというふうにはとうてい思えないと思うのです。いかがでしょう。ここは重要か重要でないかという水かけ論になってしまうかもしれませんが……。
  120. 山野正登

    ○山野政府委員 これは日米両国がそのような意図を有するというところでございまして、双方の共通した見解を述べ合っておるところでございますから、特にこれによって権利義務関係を生ずるといったことではないかと存じますけれども、その実態は先ほど私が御説明申し上げたとおりでございますし、この日米交渉の後に出てまいりました国際核燃料サイクル評価の場におきましても、わが方は全く同様な意向というものは絶えず表明しておるところでございますし、また近々のうちには例の米国の核不拡散法に伴う話し合いといったふうなことあるいはまたさらに動燃の再処理工場の第三年次以降の運転についての日米の話し合いといったふうなこともあろうかと思いますが、そういうあらゆる機会を通じまして昨年の九月の日米交渉におけるわが方の主張した日本の立場というのを再確認し、先方によく理解をしていただいていくつもりでございますので、これによって特段の日米間のトラブルが起こるといったふうなことはあり得ないだろうというふうにに考えております。
  121. 日野市朗

    ○日野委員 大臣に今度は伺いますので。大臣は、この日米交渉の経過及び共同声明から見て、この第二再処理工場をつくるための法律案を整備するということに何のためらいも感じておられないのかどうか。私これは勘ぐりかもしれませんけれども、アメリカのエネルギー政策、これと対抗してといいますか、アメリカが何と言おうとも日本は日本の道を進むんだぞという覚悟のもとに、場合によってはアメリカとのいろいろな共同声明や交渉などにあらわれたアメリカの見解をも押しのけても進んでいくという覚悟でいまおられるのかどうか。
  122. 熊谷太三郎

    ○熊谷国務大臣 いまお話しのように、何のためらいも感じないで現在の法律を無理にいま——無理といいますか、推し進めていくのかというお尋ねでございますが、まあ法案の御審議を願っております以上は、ぜひともこの法案の成立ということをお願いしてはおりますが、しかしいろいろなアメリカとの事情を考えて、今後こういう法案を進めてはいきたいが、しかしアメリカともよく協調しながらこの法案の成立をお願いしていく、そして日本の必要とします再処理の事業が自主的に日本で行えるように進めてまいりたい。決してそんな悲壮な気持ちで、アメリカが何と言おうとこれをやるんだというふうな、そんな気持ちではありませんが、何とかしてひとつアメリカ側とも円満に了解を進めながらこの法律の成立を進めてまいりたい、お願いしてまいりたい、こういう考えでございます。
  123. 日野市朗

    ○日野委員 時間が参りましたので終わります。
  124. 石野久男

    石野委員長代理 次に、小宮武喜君。
  125. 小宮武喜

    ○小宮委員 第二再処理工場設計建設に当たっては、東海の再処理工場経験技術を最大限に活用することが私は必要だと思います。そういう意味で、動燃の再処理工場安全審査に当たって審査の際の基本的な考え方、特に留意された点はどういう点か、その点ひとつお伺いします。
  126. 牧村信之

    ○牧村政府委員 先生御存じのとおり、原子力発電所から出ます廃棄物等はきわめて低レベルのものが中心でございますが、再処理工場使用済み燃料を化学的に処理いたしますために、低レベル、中レベルあるいは高レベルの廃棄物が出てくるわけでございます。したがいまして、この管理を安全に行ない得るような設計でなければならないということが最も大事なことであったかと思います。その際に、直接放出されます低レベルの気体に放出する分あるいは海水に放出する分、これにつきましては、世界各国の放出量、放出基準、これの数百分の一程度におさめるべく非常に厳密な安全審査をしたわけでございます。  それともう一点は、将来さらにそれを低減化できるような配慮をするということで、いろいろな研究開発施設を据えつけさせるというようなことも一つ非常に重要な観点で審査が行われた、このように理解しております。
  127. 小宮武喜

    ○小宮委員 第二再処理工場施設東海村の再処理工場の七倍にも当たる大規模なものでございますから、そのままそっくりというわけにはまいりませんでしょうけれども、たしかこの前の参考人意見の中にも、原子力発電所とそれから再処理の場合の安全についてはこれはやはり別個に考えるべきだというような参考意見が述べられたことも私記憶しておるわけですが、そういう意味で再処理施設についての安全性の確保とそれから安全保障措置についてどのような配慮を払うつもりなのか、その点をひとつお伺いします。
  128. 牧村信之

    ○牧村政府委員 まず安全上の問題でございますけれども、これは現在原子力委員会の下部の専門部会におきまして、第二工場にアプライします審査の基準を鋭意検討中でございますが、その中におきましても、放射性廃棄物等の放出レベルをできるだけ低くするという点が重要な項目に入ってこようかと思っております。     〔石野委員長代理退席、委員長着席〕 この辺の最終的な判断は、現在動燃事業団の再処理工場ですでに動いている研究開発施設あるいは近く建設を進めます低減化のための開発施設、こういうようなものの成果を十分反映しつつ低減化を図っていきたいというふうに考えておるわけでございます。  それから保障措置の問題につきましては、先生御存じのように先国会におきまして日本もNPT下のIAEAとの保障措置協定をお認めいただきまして、その際、国内法の規制法につきまして御改正をいただいたわけでございますので、これによりまして万全の体制をつくり、国内の保障措置を充実してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  129. 小宮武喜

    ○小宮委員 この動燃処理施設技術についてさらに今後技術の改良を必要とされるのか、あるいは改良する余地があるのか、その点の見解をひとつお聞きしたいと思います。
  130. 山野正登

    ○山野政府委員 もともと技術というものは日進月歩でございますので、すでに基本的には確立された技術ではございますが、将来ともどんどん技術開発というふうなものはあわせて進められていくべきものだと思いますけれども、現在の動燃工場を将来の民間第二再処理工場にアプライする場合に考えなければならない問題というのは、一つはスケールが現在の年産二百十トンから千五百トンばかりに相当大幅にスケールアップされるという点でございまして、そのための臨界管理の問題であるとかあるいは自動化の問題、遠隔操作の問題等々、そういうスケールアップに伴う技術開発要素というのも相当あろうかと考えております。
  131. 小宮武喜

    ○小宮委員 それでは第二再処理工場建設に当たっては一応の技術基盤は確立されておるというふうに理解していいですか。
  132. 山野正登

    ○山野政府委員 現在のピューレックス法と申しますのは、すでに海外におきましては軍事利用等を含めまして二十年程度の実績があるわけでございまして、十分実用に耐え得るものと考えますが、国内におきましても、現在の動燃工場というものはフランスからの技術導入によったものではございますが、その建設経験あるいは運転の実績といったふうなものから、第二再処理工場をつくる技術的なベースというものはできたというふうに考えております。
  133. 小宮武喜

    ○小宮委員 特に再処理を進めるに当たって環境問題が一番大きな問題になると思いますが、この環境問題について特に留意すべき点があればどういう点ですか。
  134. 山野正登

    ○山野政府委員 放射能の放出低減化の問題であろうかと考えますけれども、この問題につきましては、現在動燃事業団におきましていわゆるE施設というものを建設しまして、いま実験を進めておるわけでございますが、近くこれを実際に再処理工場に組み入れるということを考えております。さらにこれに引き続きまして、昭和五十四年くらいでございましたか、Z施設という放出をEよりもさらに十分の一程度に下げる技術開発というものを進める予定にいたしておりまして、これも完成し次第、動燃工場に組み入れるということを予定しておるわけでございますので、このような成果というものも当然に第二再処理工場に引き継いでまいりたいと考えております。
  135. 小宮武喜

    ○小宮委員 それから、法案と関連する問題ですけれども、去る五月二十四日に東京電力、関西電力など九電力と日本原子力発電は、イギリスの核燃料公社と一九八三年から九年間に合計一千六百トンの使用済み燃料の再処理委託に関する長期契約を調印したということが報道されておるわけです。また、九電力と原発は、昨年九月末にも今回の英国核燃料公社との契約と同じ内容の再処理委託契約をフランスの核燃料公社との間にも結んでいるわけですが、この再処理委託は、いわゆる日米原子力協定によってアメリカとの事前同意が必要となってくるわけですが、これらの問題についてはアメリカの同意を取りつけ得る見通しがあるかどうか、この点ひとつお聞きしたいと思います。
  136. 山野正登

    ○山野政府委員 わが国から使用済み燃料を海外に移転します際に、日米協定に伴う先方の、米国の事前同意でございますが、従来の実績から見まして、米国はケース・バイ・ケースに承認するという立場をとっておるわけでございまして、わが方から要求をしました時点で、その必要性を確認してこれを許可するという立場をとっておるわけでございます。今後とも、いま御指摘のイギリス、フランスヘの再処理委託にかかわるものにつきましてもケース・バイ・ケースで処理すると考えられますが、その必要が起こるのは一九八二年以降でございますので、いまの時点で包括的に結構であるといったふうなことは先方は言っておりませんけれども、その時点で船積みごとに先方の了解はとれるというふうに考えております。
  137. 小宮武喜

    ○小宮委員 今回の場合は、まだまだこれからの問題でございますけれども、アメリカとしては、やはり核拡散防止法が成立したのを契機に、一層許可基準を非常に厳しくしていくという方針が打ち出されておるようであります。だから、今回のフランス、イギリスとのこの再処理委託についても非常に強い姿勢でこれを認めない、拒否するというような姿勢もうかがわれておるようでございます。ただ、ケース・バイ・ケースで何とかなるのじゃないかというような見方もありますけれども、それは甘い見方じゃないかというような気もするのですが、その点どうですか。
  138. 山野正登

    ○山野政府委員 米国が最近特に海外移転の事前承認に当たりまして厳しい立場をとっておるという点でございますが、これは特に厳しい立場をとるという通報が先方からあったわけではないわけでございますけれども、米国としては、核不拡散という観点から安易には認めないといったふうな立場をとるであろうということは容易に想像し得るところでございます。わが方は、国内のエネルギー事情から原子力開発というものを進めざるを得ない立場にございますし、また、原子力利用を進めるに当たっては、再処理事業というものは、国内にウラン資源を持たないわが国にとっては必須の要件でもあるわけでございますから、そういうわが国のエネルギー事情、原子力利用の事情というものを先方に従来も十分に説明しておるわけでございますが、将来ともよく説明いたしまして、先方が海外移転を認めない場合には、極端に申し上げれば、国内の原子力発電所の運転というものが停止するといったふうなこともあり得るわけでございますので、その辺をよく説明すれば、その必要性というのは十分に理解してくれると考えております。
  139. 小宮武喜

    ○小宮委員 再処理委託契約が調印されても、もちろん調印そのものについてイエスかノーかの態度を向こうは示すわけではなくて、核使用済み燃料を輸出する場合に、具体的にやはり許可申請をするわけですから、そのとき待ったをかけられたら非常に困るわけですよ。だから、その意味では、たとえばわが国の電力各社も、現在でもイギリス、フランスの核燃料公社との間に約二千七百トンの再処理委託契約を結んでいるわけですが、これは昭和五十八年までということになっておるようですが、この契約分についてもやはり問題が出ておるのじゃないですか。その点、この分については全然問題はございませんか。
  140. 山野正登

    ○山野政府委員 過去に契約いたしましたもの、つまり原子力発電株式会社と英国のBNFL、また東電並びに関電とURGとが契約したものがあるわけでございますが、それに絡みます事前承認につきましては、原子力発電株式会社はすでに本年中に引き渡すものにつきましては先方の承認を得ております。それから東京電力の次回引き渡し分と、関西電力の次回並びに次々回の引き渡し分、これは現在先方に申請中でございまして、船積みの必要性というものを説明しているさなかでございます。
  141. 小宮武喜

    ○小宮委員 だから、五十八年度までの長期契約の一部として、ことしの二月上旬に関西電力、東京電力、日本原子力、三社が、百五十トンの使用済み燃料のイギリス向けの輸送についてアメリカに申請をしたところがアメリカではなかなか承認を渋っておりましたけれども、最終的には日本原子力発電の分だけは、これまで数年間輸送してきたという実績があるという理由で、これを約十トンの輸送を認めた、こういうことを聞いておるわけですけれども、そういう意味ではケース・バイ・ケースということもありますけれども、やはりそう安易に期待するのは非常に困難ではないかと思うのです。したがって、三月以降の日本側の申請はすべて保留しておるという話も伺っておるわけですが、事実ですか。
  142. 山野正登

    ○山野政府委員 先ほど御説明したとおりでございますが、数字を申し上げますと、日本原子力発電株式会社のものにつきましては、本年の四月の積み出し分八・一トン、それから本年の九月の積み出し予定分八・一トン、この双方につきましてこの三月に承認を得ております。  それから、東京電力の本年九月の積み出し予定の二十四・三トン、関西電力の本年八月積み出し予定の十三・四トン並びに五十四年一月の積み出し予定の十五・六トン、この三件について先方に説明しておるところでございます。  それで、ケース・バイ・ケースに必要性を認定してという場合に、最も大きな問題というのは貯蔵プールの容量の大小でございまして、どの程度貯蔵余力があるかという点が先方の判断の一番大きな根拠になろうかと思います。
  143. 小宮武喜

    ○小宮委員 日本原子力発電の分だけ許可したという中には、やはりいままで数年間の実績があったということと、関西電力、東京電力はまだ貯蔵する余力があるという判断もされたようでございます。ただ、余力があるというふうに判断されておるわけですが、それではどの程度関西電力と東京電力は余力があるのか、その点はいかがですか。
  144. 山野正登

    ○山野政府委員 東京電力、関西電力は炉ごとに違うわけでございますが、本年の三月末現在の貯蔵余力というものを申し上げますと、これは使用済み燃料の冷却池の容量から一炉心分及び現在の貯蔵量を除いた余裕の数字でございますけれども、東京電力福島第一の一号が十六トン、二号が二十五トン、三号が二十四トン、五号が五十二トン、それから関西電力の美浜一号が三十六トン、二号が二十八トン、三号が百トン、高浜一号が八十七トン、同じく二号が九十九トン、そういった状況でございます。
  145. 小宮武喜

    ○小宮委員 今度、特に八月に数十トンの使用済み燃料を日本がイギリスに積み出す予定になっておりますけれども、この点はいまアメリカ側と話し合いをしておるというところで、まだ許可がおりたということではないのですね。
  146. 山野正登

    ○山野政府委員 そのとおりでございます。
  147. 小宮武喜

    ○小宮委員 この問題について電力業界では海外再処理契約委員会なるものを設けて、スミス・アメリカ核不拡散交渉特別代表と海外委託再処理の許可を得るために交渉をするとか、あるいはもう交渉されたかどうか知りませんが、その話が伝わっておりましたけれども、この交渉の結果はどうでございましたか。
  148. 山野正登

    ○山野政府委員 関西電力の副社長等を中心にしまして電力業界の幹部が先月中旬に訪米しまして、新規の海外再処理の委託契約につきまして米国の国務省あるいはエネルギー省といった関係者に会いまして、わが方の事情、立場というものなるる説明したわけでございます。  これは先ほども申し上げましたように、これにつきまして先方の包括的な事前同意を取りつけろという趣旨ではございませんで、前広にわが方の事情というものを時に応じて絶えず説明をして先方の理解を十分に深めていこうという趣旨で行われたものでございまして、帰国しての報告によりますと、先方は十分に理解を示したというふうな報告でございました。
  149. 小宮武喜

    ○小宮委員 アメリカの場合は、既契約分については何か尊重する態度のようでございますけれども、どうも本音は、わが国が独自の判断で自由に勝手にイギリス、フランスといろいろ追加契約を結ぶということに不満を持って牽制しようという意図があるのではないかというふうにも考えられますが、そういう考え方は全然ないですか。
  150. 山野正登

    ○山野政府委員 現在話題になっております再処理の海外委託についての事前同意という問題を離れて考えました場合に日米間で原子力の平和利用につきまして若干のニュアンスがあるということは御指摘のとおりだと思うわけでございます。核燃料サイクル評価におきましても、わが国の立場と米国の立場、これは基本的に大きく懸隔があるものだとは思っておりませんけれども、わが方は平和利用の推進という点にウエートがあり、先方は核不拡散の強化という点にウエートがあるといった程度の差はあろうかと思うわけでございます。  ただ、そういった立場の違いというものが直ちに、先ほど来話題になっております再処理委託のための海外移転の事前同意の判断をしますときに、米国がそのことを判断の一つのよりどころにしておるかどうかという点は疑問でございまして、私どもは、米国はそのようなINFCEの検討は検討として、これは将来課題でございますので、現時点におきましては、わが国の必要性というものを冷静に判断して処理してくれておるものというふうに考えております。
  151. 小宮武喜

    ○小宮委員 先ほど、各電力会社の貯蔵の余力というか能力についていろいろ説明があったわけだけれども、そういう各電力会社の貯蔵能力いっぱいになったらアメリカが委託処理の輸送を認めるという保証は何もないわけでしょう。そうなった場合に、おまえのところはまだ貯蔵の余力はあるからまだまだことしいっぱいはいいんだとかあるいは来年まで待てとかそういうことであれば、余力がなくなった場合は輸送の許可をするということになるでしょうけれども、そうでない場合に、たとえば承認が得られない場合あるいは大幅におくれるようなことがあって貯蔵能力の限界を超えるということになってきた場合に、いま局長も言われたように発電所そのものが運転をストップするとかいうような事態にまで発展するのではないかというような心配もするわけですが、その辺の心配はないですか。
  152. 山野正登

    ○山野政府委員 貯蔵能力の限度を超えれば当然原子力発電所の運転をとめざるを得ない、これはお説のとおりでございます。米国が感情的になって本件を武器に日本と何らかの交渉をするといったような立場にあれば別でございますが、先ほど来申し上げておりますようにわが国の事情というものを十分理解しておる限りにおきまして、そのような理不尽な扱いといったようなことはしないだろうというふうに確信しております。
  153. 小宮武喜

    ○小宮委員 うがった見方をしますと、いま核拡散防止についてのINFCEの会議が開かれておるわけですが、そのINFCEの結論が出るまで、すなわち五十四年の秋ごろまで、アメリカはやはりいまのような態度をとり続けるのではないか、その間いわゆる凍結するというような考え方もあるのではないかというふうに考えられるのです。  この前ちょっと話をしましたように、この再処理問題は今後の日米間の大きな問題になってくると思うのです。そういう意味日米の原子力協定の改定交渉はいつごろから始まるのか。
  154. 山野正登

    ○山野政府委員 まだ米側は何ら意思表示をしておりませんので、いつから始まるかちょっといま申し上げかねますけれども、そう遠くない機会に先方から意思表示があるのではないかというふうに考えております。
  155. 小宮武喜

    ○小宮委員 先月の十五日から十九日まで東京で開催されたINFCEの第四作業部会で、同部会の議長でもあるマーシャル・イギリス原子力公社副総裁から核の再処理やプルトニウム管理に関していわゆるマーシャル・ペーパーと呼ばれる提言が、正式ではありませんけれども、なされておるやに聞いております。これは各国政府に提示されたように伺っておりますけれども、この提言の内容について御説明願いたい。
  156. 山野正登

    ○山野政府委員 マーシャル・ぺーパーなるものは、厳密には今回の東京会合ではございませんで、前回のウィーン会合におきまして英国のマーシャル氏が個人的に行った自分の講演の草稿を参考として配付したものでございますが、その内容は、使用済み燃料を再処理せずにそのまま貯蔵することはプルトニウムを含有する使用済み燃料が無制約的に蓄積されることになり核不拡散上不利である、そこで、再処理を行ってプルトニウムを取り出し、これを高速増殖炉等において燃焼させた方がよい、再処理は、単体抽出ではなく、核分裂生成物を完全には除去しないでおく部分処理法で行うべきである、そういったふうなことがこのペーパーの骨子でございます。
  157. 小宮武喜

    ○小宮委員 いまの提言の内容から見ますと、その考え方は大体わが国の基本線とも一致するのではないかと考えます。ただ、問題は、単体抽出か混合抽出かという点で、この提言の内容から見れば、単体抽出反対だ、混合抽出にすべきだという点で日本側との食い違いがあるようですね。したがって、東京会議でわが国が提出した核燃料処理商業計画の内容は——今度の東京会議でこういうものを提出したわけでしょう、これはわが国が計画しておる第二再処理工場との関係はどうなるのか。何か提出したのじゃないですか。
  158. 山野正登

    ○山野政府委員 今回の東京会合におきましては、従来方式の再処理工場の経済性、あるいは議定書問題、さらに保障措置の問題といったふうないろいろな観点につきまして将来検討するベースになりますモデルケースの設定という目的があったわけでございますが、このモデルケースの設定ということのためにわが国からも一つの資料を提出したわけでございまして、これは第二再処理工場そのものの構想ではないわけではございますけれども、内容としましては、プルトニウムを単体で抽出する施設、いわゆるピューレックス法を用いた再処理工場で定格処理能力一日五トンという規模のものを参考として配付いたしました。
  159. 小宮武喜

    ○小宮委員 だから、マーシャル・ペーパーなるものとわが国が考えておるものとは、ただプルトニウム単体抽出か混合抽出かの違いがあるわけですけれども、混合抽出というとアメリカの考え方に近いものになっておると思うのです。そういう場合に、マーシャル提言というものがINFCEの第四作業部会の中でいかなる影響力があるのか。仮にたとえば日本は単体抽出をやっておる、マーシャル提言は混合抽出だという場合に、INFCEの第四作業部会に及ぼす影響力については大体どういうふうに考えられますか。
  160. 山野正登

    ○山野政府委員 第四作業部会におきます今後の作業でございますけれども、これは大きく分けて二つございまして、一つは、単体抽出法による従来の再処理技術につきまして、先ほど申し上げましたそのモデルプラントを設定しまして、その経済性、安全性及び核拡散の防止上の評価といったふうなことについて検討を行うわけでございますが、その従来方法の検討結果をベースとしまして、さらに混合抽出法であるとかあるいはマーシャル・ペーパーにございますような部分処理法といった代替の再処理技術といったふうなものを評価する、この二段構えの評価予定しておるわけでございます。そういう意味でこのマーシャル・ペーパーと申しますものは二段目の検討を行う場合の一つのケースとして扱われるというふうに考えております。
  161. 小宮武喜

    ○小宮委員 INFCEの結論あるいは日米原子力協定の結果いかんによってはわが国の第二再処理工場建設にもやはり影響が出てくるのではないか、こういうように考えます。そういった意味では、われわれもわが国の核燃料処理商業計画というか核燃料サイクルを推進してもらいたいというように考えるわけですが、いま申し上げました、ように、この法案が成立してもやはり第二再処理工場建設までには十年間を要するわけですから、そのためにも法案の成立をわれわれは急がなければならないと考えておりますけれども、その間イギリス、フランスとの海外再処理委託の問題がいまのような状態であればわが国の原子力発電建設にもまた支障を来すようなことも考えられないでもない。そういう意味で、ひとつ今後ともわが国の核燃料サイクルの問題を、電力会社もそうですが、政府もこれに積極的に取り組んでもらいたいし、また、さしあたりそういった電力会社等の再処理問題についても、それはただ単なる電力会社がやるのだということでなくて、政府もやはりその解決にみずから乗り出すべきであるというふうに意見を申し上げるわけですが、それについてひとつこれは大臣の所見を伺って私の質問を終わりたいと思います。
  162. 熊谷太三郎

    ○熊谷国務大臣 先般来お伺いしております御意見は、現在の再処理問題についてもアメリカを中心としたいろいろななかなかむずかしい問題があるのではないかということでございまして、非常にその必要を痛感しながらもこういう困難を乗り越えてやっていくのについてはどういう考えかというようなお尋ねかと存じております。全く先生が御指摘あるいは御心配していただくとおりでありまして、アメリカとしては、核不拡散を貫きますために、日本が資源のないことを率直に言えばいいことにして、今後もさんざん、適当な言葉ではありませんが、いじめてくるものと覚悟しなければならぬと思います。しかし、わが国といたしましては当面計画されました原子力発電は何としても確保すべきであり、また、それに伴いますいわゆる核燃料サイクルの確立ということは不可欠の要件であります。いろいろな困難もありますし、前途のことを考えますと必ずしも楽観を許しませんけれども、しかしわれわれが、この原子力発電の確保とそれに伴う核燃料サイクルの確立ということは、わが国の生存にとりまして不可欠の要件でありますから、この点を率直にまた強力に主張し、あわせて核不拡散にも十分協力していくという熱意と誠意を示しますならば、今日までの経過から顧みましても、われわれのこの考え方は実際に貫き得るであろう、また貫かせなければならぬという決意で進むべきである。したがって、この第二再処理事業の問題につきましても、何といたしましても一刻も早くこれが着手できますようにということを心から期待し、念願しているものでございます。
  163. 牧村信之

    ○牧村政府委員 先ほど私の答弁の中で誤りがございますので修正させていただきます。  先ほど安全基準の作成につきまして原子力委員会専門部会で検討しておるように発言いたしましたが、実は間違いでございまして、科学技術庁におきまして現在検討中でございます。これの成案が得られ次第、委員会ベースの御検討をいただきたいというふうに考えておるわけでございます。
  164. 小宮武喜

    ○小宮委員 質問を終わります。
  165. 岡本富夫

    岡本委員長 次に、瀬崎博義君。
  166. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 私はまず動燃東海処理工場で五月二十六日に発生している放射能の人身被曝事故について伺っておきたいと思うのです。  報告によれば五月二十六日の午後四時半ごろにサンプリングベンチで二名の従業員のくつの底に汚染が発見されたというのですね。チェックしたら最高で五掛ける十のマイナス四葉マイクロキュリー・パー・平方センチメートルの汚染が発見された。床の汚染については六掛ける十のマイナス五乗マイクロキュリー・パー・平方センチメートルだ。この原因としてはサンプリングベンチのボールジョイン卜部分から漏洩があったと思われるということなんですけれども、一体どういうふうな漏洩であったのか、どういう欠陥があったのか説明してほしいと思うのです。
  167. 牧村信之

    ○牧村政府委員 この漏洩がありましたところは分析試料の調整等を行うところでございますが、そこのサンプリングベンチのトングというものを使用していろいろな操作をするわけでございますが、ベンチ内と外部の作業者との間を取り結ぶところがボールジョイン卜部でございますが、通常そこはビニール製のじゃ腹によりまして内部と外部を区分けしておるわけでございますが、このじゃ腹の一部に非常に小さな破損があったというふうに考えておるわけでございます。現在、その異常を発見いたしましてからさらにビニールカバーを付加いたしましてシールしております。またサンプリングベンチの作業時には念のためにゴム手袋、くっカバーを着用するということで対処しておるところでございます。
  168. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 このサンプリングベンチについてはかってウランテストに入る前に労働組合がかくかくしかじかの危険個所がある、手直しの必要な個所があると指摘した約八十項目の中にも入っていたのですね。かつ動燃開発事業団東海事業所安全衛生委員会の検討調査報告書、五十一年二月二十七日付のものであります。かつて私も引用したこともありますが、その中でもサンプリングジャダを引き抜いた後で針先より液の流出があり、ジャダの外側やベンチ内で汚染される、またジャダ投入口がベンチ上面に四本あり、気密維持に不安がある、気送管が詰まりやすい、トング操作がしにくいなどの指摘があるわけであります。特に問題があると安全衛生委員会指摘したところなんですが、じゃ、この指摘が出てから今回の事故が発生するまでの間にそういう指摘に対してどういうふうな改善措置がとられておったのか説明をしてほしいのです。
  169. 牧村信之

    ○牧村政府委員 いま手元にその辺の詳細な資料がございませんが、記憶によりますと、定期的にこういうものはよく点検して、必要があれば取りかえていくというふうなことを小まめにやるような措置をとってあったと考えております。
  170. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 特に当時動燃の担当課は、気密維持についてベンチごとに再検討し、投入口の本数を減らし、気密維持を確実にする、投入時の気密を保持する方式を採用する、こういう改善案を安全衛生委員会に示したようなんです。気密を維持するということは、先ほど言われたような微小な穴がたとえカバーにあいたとしても、この中の放射能が外に漏れないような、そういうことが気密の維持だろうと思うのですが、果たしてこれが完全に達成されていたのかどうかわれわれには疑わしいわけなんですが、この気密の維持がやかましく言われているにかかわらず、なぜ放射能がそういう小さな穴から外に漏れたのか、そこの点はどうなんですか。
  171. 牧村信之

    ○牧村政府委員 このベンチの操作を相当回数行ったわけでございますが、そのためにベンチの一部が摩耗して、その上にかけてありましたビニールのカバーに若干の穴があいておったために外に出てきた。しかし、装置自体の、装置と申しますかベンチ自体の全体の負圧、気密性、これはそれほど大幅にその機能を落としたということではないようでございます。
  172. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 私の聞いていることに答えていないのです。つまり気密機構が完全であれば、つまり負圧が働いておればそのようなビニールカバーのきわめて小さな穴といいますか欠陥から外に放射能の漏れるわけがないと思うのです。漏れるということはその気密構造そのものに問題があるのではないか、こういうふうに聞いているわけなんです。
  173. 牧村信之

    ○牧村政府委員 ここの今回のトラブルを起こしました、扱っております放射性物質が液体でございますので、液体がにじみ出てきたというふうに考えられておるわけでございます。
  174. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 液体がにじみ出ると言われるけれども、そんなに簡単に液体がにじみ出るほどビニールカバーの寸前まで液体が来ているわけですか。
  175. 牧村信之

    ○牧村政府委員 取り扱われております液体はセシウムが入っておりますので、にじみ出ることはあり得るというふうに聞いております。
  176. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 セシウムが入っているからにじみ出るか出ないか、それは私もよく知らないけれども、問題は、そういうところへにじみ出てくるとすれば、これは毛管現象か何かだろうと思うのだけれども、そうするとじゃ腹のピンホールのあった地点の相当近い場所にその放射能を含む、セシウムを含む液がなければならぬということになりますが、そういうような構造のところの事故なんですか。おかしいよ。
  177. 牧村信之

    ○牧村政府委員 ベンチでもって液体の操作をしておるわけでございますので、ベンチ自体がそういう放射性物質に汚染されるということがあるわけでございますので、そういう可能性は十分考えられるということでございます。
  178. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 可能性が十分考えられるという答弁なのであって、科技庁が果たしていま言われたような仕掛けで液が漏れたということを現地に行って確認したんですか、どうですか。
  179. 牧村信之

    ○牧村政府委員 すでにこのことにつきましては、検査官を派遣して確認してきております。
  180. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 それでは、その検査報告書というものを出していただきたいのですが、委員長、要望しておきたいと思います。
  181. 牧村信之

    ○牧村政府委員 検査報告は近く検査官から出されますので、必要があればごらんに入れることはできると思います。
  182. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 同時に、その検査に当たって、いわゆる気密機構自身が完全であったかどうか、その点の点検はしてありますか。
  183. 牧村信之

    ○牧村政府委員 気密機構につきましても点検いたしまして、気密機構につきましては異常がなかったというふうに報告を受けております。
  184. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 その検査に行った日はいつですか。
  185. 牧村信之

    ○牧村政府委員 六日の日でございます。
  186. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 これは今週の月曜日、つまり五日の日に、参議院の原子力基本法等改正案の審議に関連して、科学技術委員会と商工の委員会の連合審査が行われた際に、わが党の市川議員が事故があったのではないかと指摘したわけですね。そのときに科技庁は、そういう事故は知らないというふうに答えているんですね。ということは、結局共産党の指摘を受けて、それから動燃に問い合わせをして、事故を確認して、翌日検査に行った、こういう順序になっているわけですか。
  187. 牧村信之

    ○牧村政府委員 先生のおっしゃるとおりでございます。
  188. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 二月十日だったと思うのですが、クレーンホールで被曝事故がありました。その件を私が二月十六日の本委員会で質問をしたわけですね。そのときに牧村局長は、対外発表については、この汚染について所内に周知させ、所内の対策を立てることを十分し、また所内の作業員等に、同種の作業をしておる方々に十分周知し、今後の自覚を促す。それからこの程度の汚染については直ちに外部に発表することなく、後でまとめて報告するようなシステムを動燃が政府側に申し入れておった。しかし、動燃の置かれている現在の社会的な立場も考慮すると、このような考え方が直ちに一般の人に受け入れられるとは限らないから、再度検討し直せ、こういう指示をした。その際、この汚染の事実の公表もあわせて検討するよう指示した。「今後はこういうような発表をしないということをしないように指導し、動燃も了承した次第でございます。」こう明確に答弁していますね。ところが今回全くこれが守られなくて、事もあろうにわが党に指摘されて、一たんそこでは知らぬ存ぜぬと答えたが、後で調べてみたら事実あった、こういう科学技術庁にとってはきわめて不名誉な、権威のない失態が起こったわけでしょう。  そこで、これは大臣に伺いたいのです。そのときに私は、従来から動燃にはこういう事故を隠す体質があるということから、大臣に対して、文書にするか口頭によるかは別にして、一度厳重に動燃に対する注意をするように、こう求めたわけですね。そういう姿勢をみずから示していただくべきではないか、こう問うたことに対して熊谷国務大臣は、明確に「承知いたしました。」こう答えていらっしゃる。一つは、さて、大臣みずからがそういう明確な注意なり処置をとられたかどうかということ、いま一つは、それにもかかわらず重ねてこういうことが起こったということについて、大臣は具体的により厳重な処置をどのようにとるお考えなのか、この点を伺っておきたいと思うのです。
  189. 熊谷太三郎

    ○熊谷国務大臣 「承知いたしました。」という点につきましては、お話のあった日から少し後でございますが、ちょうど大洗、東海村の施設を視察いたしましたので、その点私の方から動燃に申し伝えたわけであります。それで、いろいろ問題の内容にもよりましょうけれども、どんなトラブルであっても、この際やはり問題となるようなものはすぐに報告すべきであるというふうに考えておるわけでありますが、私どもが注意いたしましたのにもかかわらずそういう報告が早急になされなかったということは、大変遺憾であると考えております。  なお、具体的にどういう処置をとるかということでございますが、この点についてはもう少し検討させていただいて処置を考えたい、このように考えます。
  190. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 すでに国会で大臣みずから、二度とこういうことの起こらないように、報告をしないというふうなことのないように厳重な処置をとると一度ここでおっしゃって、それが守られていないわけですね。だから当然考えるにしても、より以上実効性のある強力な措置でなかったら意味がないわけでしょう。だからその点で、まず第一に、従来大臣がとってこられた処置以上の強力な措置をとる意思があるのかないのか、こういうことと、そして必ずそれを大臣みずから実行するのかどうか、その姿勢をはっきりさせていただきたいと思います。
  191. 牧村信之

    ○牧村政府委員 今回のトラブルにつきまして、動燃並びに私どもが行いましたことを先に御報告させていただきます。  市川先生の御指摘を受けまして直ちにその事実関係を調べたわけでございますが、その日の午後にあったことがわかったわけでございます。したがって、先ほど申し上げましたように、当方からも検査官を派遣して、その実情を調べさせたということでございます。トラブルの内容は、先ほど先生が御指摘されましたとおりの現状だったわけでございますが、報告が来なかった実情をいろいろ調べますと、今回の場合、現地の再処理建設所長がトラブルを知りまして、それを本社の方にも連絡しなかった、これは体内被曝等がなかったということ、それから基準値よりもずっと下回った汚染であったということもあったようでございますけれども、そういうようなことで動燃本部から私どもの方に連絡がなかったわけでございます。先ほど先生がお読みになりました私の答弁の考え方はいまも変わっていないわけでございまして、動燃との間には、ささいなことも報告せい、そしてそれを発表するということで合意をしておったわけでございますが、そのルールが今回は破られたわけでございます。したがいまして、私どもの一義的な立場は、動燃の職員のルール違反であるという観点に立っておるわけでございます。その辺に関しまして動燃自身がこれをどういうふうに責任を感じるかということを検討せいと、まずそれを指示したわけでございます。その結果動燃の方では、昨日でございますけれども、副理事長名をもちまして文書により、建設所長に対して厳重な注意を与えたということをいたしております。それと同時に担当理事名をもちまして各事業所に、こういうことがあった、で、こういう譴責処分をしたということを連絡した上で、今後その他の施設においてもこういうことがないようにという文書を出したやに報告を受けております。したがいまして、今回の件は、先ほど大臣も申しましたが、私どもにとりましてきわめて遺憾と思っておりますが、このような動燃の処置が徹底し得るというふうに判断しておりますので、いましばらくこの動燃の処置を見守っていきたいというふうに現在のところ考えておる次第でございます。
  192. 熊谷太三郎

    ○熊谷国務大臣 いま大体申し上げましたが、私どもとしましては、言ったことが守られないということについて大変遺憾に思っておるわけでございます。それに関しまして、今後の問題でございますが、ただ同じようなことを言っても、これはまた非常になまぬるい話でありますから、要するにどうしてそれを報告しなかったのかという点については、報告しなかった側にもまたいろいろな言い分もあるかと思いまして、そういうことでは切りがありませんので、これは私の考えでございますが、ひとつ技術面からもう少し具体的な標準を考えまして、そういうことを考えられるかどうか十分わかりませんが、何かの基準を立てまして、この基準以上のことは必ず報告するということをもう一つつけ加えた方が徹底するのではないかというふうに考えておりますので、先ほど申し上げましたように、私としては、このままでなしに検討さしていただく、こういう考えを申し上げたわけでございます。
  193. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 私は、東海の再処理工場の位置づけ、それから果たしている役目、そういうことに対する政府側の認識にも問題があるのではないかと思うのです。そこからこの事故に関する過小評価も生まれてくる。これは政府、動燃自身が繰り返し言っているように、言うならば実験的な性格を持った、研究的な性格も持った施設なんでしょう。だからそういう意味から言えば、故障やトラブル、事故のどんなケースに対してもそれには慎重な態度で臨む、分析や検討を加える、これがまず必要だと思うのです。この認識が欠けている。  それから、もう一つの問題は、要は人身被曝のオーダーが低ければ大したことがないんだ、これがいかぬと思うのです。いま言ったように、本当にパイロットプラントとしての役割りを果たさせようと思えば、早く事故を知って、早くこの原因を究明しなかったら意味がない。といいますのも、この事故の起こったのは五月二十六日でしょう。科技庁の係官が行ったのは六月六日でしょう。その間十日間ありますね。この間このサンプリングベンチは使用を続けておったのですか。使用を停止しておったのですか。どちらですか。
  194. 牧村信之

    ○牧村政府委員 私先ほど申し上げましたように、ビニールカバーを付加して対策をとったと申し上げましたが、そういう対策をとった上で使用を継続しております。
  195. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 そうなってきますと、一度科技庁の担当官を派遣した調査結果を専門家の検討にゆだねないと何とも言えませんけれども、事故当時の状況が、十日もたった時点では、使用を続けているのですから、果たして残っておったのかどうか疑問に思うわけです。そう簡単に、いやセシウムが入っておったから漏れたんだと言われても、本当にそれが事故の原因だったかなと、素人考えだけれども、私は首をかしげざるを得ないわけです。何せ十日もたっている。その間機械が動いているわけですから。こういう点から言っても、少なくとも放射能が外に漏れるべきではない気密機構のところで漏れているのですから、これは重大だという認識のもとに直ちに手を打つ、このことが確立していないと、これはそういうパイロットプラントといいますか、実験施設としての役には立たない、そういう用をなしていない、こういうことになるのではないかと思うのです。大臣、そういう重要性がこの東海の場合あるわけですから、そういう意味合いからも、基準をつくるのはいいけれども、その基準についてはよほど厳格な科学的な検討を加えたものでなければならないということ。それと同時に、大臣が注意して守られなかった。大臣の権威にもかかわる問題なんだから、私は、理事長を一遍呼び出して、注意するぐらいのことはあってもいいと思うのですが、この点はいかがですか。
  196. 牧村信之

    ○牧村政府委員 サンプリングベンチを引き続き使うに当たりましてはビニールカバーをかけて、漏洩がないことを確認して、それで作業を継続しておるわけでございますし、近く定期の修理に入るわけでございますが、その際には完全なオーバーホール等もして、さらに安全性を向上させるという措置をとることになろうかと思っております。  それから、(瀬崎委員「そのとき調査しなければだめじゃないですか。」と呼ぶ)これは、私ども報告を受ける期間が、先ほども指摘のように、十日近くかかっておりましたので、動燃の現場のいろいろの検討は行われた上でこういう措置がとられたわけでございます。  それからもう一点、大臣が理事長を呼びつけるという問題につきましては、先生の御指摘でございますので、引き続き検討したいと思いますが、問題は、ルール違反を動燃がやったことでございます。私はこの問題に対して、動燃責任者が、しかもルール違反をやったということを非常に重く見ておるわけでございまして、その点に対して動燃がどういう措置をするかということを十分検討せいという結果、先ほど申し上げましたような措置をとってくれたということを現段階においては評価しておる次第でございます。
  197. 熊谷太三郎

    ○熊谷国務大臣 いま、動燃理事長を呼んで、注意ぐらいしたらいいじゃないか、こういうようなお話でございますが、さっき申しましたように、一遍一遍いろいろな事故があって黙っていたとか、報告を怠ったとかと言われることが問題になりますのもどうかと思いますので、さっき言いましたように、こういう基準といいますか、こういう程度のことは、現場でどういう考えであろうとやはり一応報告すべきだというふうなことがまとまれればそれをまとめまして、その上でひとつ理事長とも直接会って、そういう従来の点について遺憾の意を表しますとともに、今後そういうことをぜひ守ってくれるようにというふうによく話したらどうかと思っているわけでございます。
  198. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 大臣のせっかくの答弁ではありますけれども、ある意味では一定の基準をもうすでに科技庁は出しているのですよ。たしか局長の通達で、人身被曝のあったような事故については、たとえ軽微なものでも全部報告しろ、こうなっているのじゃないかと思うのですよ。だから、新たな基準をつくる前に、少なくとも従来科技庁が出しているそういう通達の基準に基づいて、きちっと動燃事業団の方が守るかどうか、その確認を何としてもこの際きちっとやってもらわないと、何をやってみたって、結局外から見れば、科技庁と動燃がぐるになって、できるだけこういうものを外部に出さないように、出てもできるだけ小さなものに見せるように、こうなっておると思うのです。やはりもしもいまの段階で大きな人身被曝があったら大変なことで、その一事をもって、もう東海工場は失格になるわけでありますが、たとえ、注意に注意を重ねているのだから、被曝のオーダーで低くても、事故そのもののよって来る原因は非常に重大な場合がありますから、そういう意味で、特にこの際そういう報告というものは厳密を期してもらう必要があると私は思うのです。新しい基準はともかくとして、従来の基準を守っていないということについての厳重な措置というものを、私は重ねて大臣に要望したいと思うのです。
  199. 熊谷太三郎

    ○熊谷国務大臣 これは承知いたしました。
  200. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 前回も承知しておられてそれが守られなかった。私はもう一回それを見守りたいとは思いますが、きちっとやってほしいと思います。  次に、先日専門家各位を参考人に招いて、いろいろ本法案についての意見を聞いたわけですが、その中で、田島参考人初めほかの方もずいぶん指摘をされておりましたが、高レベル廃液の貯蔵問題ですね、これをお尋ねしたいと思うのです。  特に田島さんは、五十一年十月八日の原子力委員会決定は具体性、現実性がなくて、また、それに向かって事態が進んでいるかどうかも疑わしいというふうな指摘をされておったわけであります。その結論として、国は高レベル廃棄物処理処分の方針をまだ立てるに至っていないという御指摘でもあったわけです。政府としてはこういう御意見を率直に認めるのか、それとも何らかの与論を持っているのか、まずその点を伺いたいと思います。
  201. 山野正登

    ○山野政府委員 原子力委員会におきましては、高レベル廃棄物処理処分についての方針というのを五十一年の十月に決定しておるわけでございまして、現在これが高レベル廃棄物処理処分についての最高の方針でございますが、先生承知のように、現在あわせて原子力平和利用の長期計画の改定作業も進めておられるわけでございます。この場におきましてこのような過去の委員会の決定といったようなものは全部持ち込みまして、もう一度見直しをしておるわけでございまして、その意味合いからは本年夏ごろには新しいものができてくるというふうに考えております。
  202. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 一方で再処理民間に拡大する法律を出しておきながら、再処理工場の一環である高レベル廃液の処理処分については、まだ方針の見直しが行われておるということなんですね。  また、同じく田島参考人は、いま主としてその処理処分の技術的な方向がガラス固化の方向を向いているけれども、ガラス固化しても、水に溶け出す危険性があるというふうなことも指摘をされておりました。雨量が多い、あるいは地下水が豊富なわが国で果たしてこれが最も妥当な案であるかどうかというふうな疑問を呈されておると思うのですね。この点についての政府の考えはどうなんですか。
  203. 山野正登

    ○山野政府委員 最終処分につきましては、おっしゃるように、欧米諸国におきまして地層処分というのが中心的な研究課題になっておりまして、そういう方向で現在進められておるわけでございます。そこで、わが国におきましても、地層の特性と申しますのは、欧米とはかなり違った、またユニークな特性を持っておるわけでございますが、今後この調査を進めまして、わが国に適した処分方法といったようなものを開発していく必要があろうかと思います。またあわせて、海洋底の処分という問題につきましても、今後国際協力の場を通じて必要な調査というものを進めてまいりたいと考えております。
  204. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 技術的な処分方法も、わが国に適した方法は現在模索中ということですね。しかし、最終的に高レベル廃液の処理処分、管理の責任はやはり国で持つ以外にないだろうというのが、参考人意見でもあったわけでありますが、この点は政府はいかがですか。
  205. 山野正登

    ○山野政府委員 処理につきましては再処理会社責任を持ってやっていくことになると思いますが、処分につきましては、最終責任は国が持つ、しかしながら、費用につきましては、発生者負担の原則によりまして発生者が持つ、このような考え方でございます。
  206. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 今回の法改正で再処理事業民間への門戸開放が進むわけでありますが、その民間がやれるとされている再処理事業の範囲の中には、当然のことながらその高レベル廃液の貯蔵という部分も入っているのじゃないですか。
  207. 山野正登

    ○山野政府委員 高レベル廃棄物の一時的な貯蔵というものは含まれております。
  208. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 わざわざ一時的な貯蔵というものは含まれておると言われたけれども、じゃどの点からが現在の法改正の対象外になるのですか、貯蔵について。
  209. 山野正登

    ○山野政府委員 最終的な地層処分というものは範囲外になろうかと思います。
  210. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 じゃ、そのことは法律上どこに明記されるのですか。
  211. 牧村信之

    ○牧村政府委員 この高レベルの地層処分と永久の貯蔵と申しますか、これにつきましては現段階では研究開発段階でございます。たとえば、先ほども参考人からのお話もございましたように、そういう処分が行われるのは、研究開発終了後でもなお三十年以上の後に処分が行われるわけでございますので、研究開発の進展あるいはその安全解析、こういうものが確認された段階で必要があれば法改正をしていく必要があろうかと考えております。
  212. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 それはおかしいじゃないですか。現在、山野原子力局長の答弁からいけば、高レベル廃液の部分について、一時貯蔵は民間の範囲だ、それから最終処分、つまり地層処分、これは民間の範囲外だとこう言われたわけでしょう。そうすると法律のどこかに再処理事業とは少なくとも一時貯蔵の部分までだ、一時貯蔵を過ぎた次の最終処分については別の定義づけが法律のどこかになければならぬということになるじゃないですか。それは一体どこにあるのかとこう聞いているわけです。
  213. 牧村信之

    ○牧村政府委員 先ほども答えいたしましたように、この永久処分につきましては、まだ研究開発段階でございまして、その実体がないわけでございます。したがいまして、その実体がつかめる段階で規定していきたいというふうに考えております。
  214. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 実体がないというのであれば何も民間の再処理工場だってまだ実体がないわけでしょう。しかし、少なくとももし再処理事業に手をつけるということになった場合にはいやおうなしにその一環として永久貯蔵、永久処分ということはついて回るわけですね。この部分についていわゆる再処理事業概念の中に入っているのか入っていないのか、このことだけは現時点で手をつけるに当たってすでに問題になることじゃないかと思うのですね。そのことを明確にしないなら、再処理事業の終点は一体どこなんだということが不明確じゃないですか。法律上非常に欠陥があるということになるじゃないですか、いかがですか。
  215. 牧村信之

    ○牧村政府委員 この処分の問題につきましては、いまの法律の体系では扱い切れない問題があるわけでございます。したがいまして、現在の法律では保安のために講ずべき措置として再処理事業者が行いますのは、ガラス固化体にしたものをキャニスターというステンレスの容器に入れて一時貯蔵する、この期間までを法律体系では縛れるようになっておるわけでございます。その後の処置につきましてはまだ研究開発が進んでおりませんし、たとえば動燃事業団の再処理工場におきましても、今後三十年以上の期間のうちにこの問題が起きてくるわけでございますので、慎重な検討を加える時間は十分あるというふうに考えておるわけでございます。
  216. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 そこが問題だろうと思うのですね。確かに動燃事業団のようにいわゆる国に準ずる機関がやっている場合なら再処理した当然の帰結として生まれてくる高レベル廃液の最終処理処分、長期の管理、これは国でやることは比較的容易でしょう。しかし、今度は民間にやらすわけですね。少なくとも民間の、まず立地、それから建設等々に十分法律的な制約が加わってなかったら、その後始末を国がする場合に、これは非常に困るのだというようなことになったときには大変なことになると思うのですね。だから再処理工場にいやおうなしについて回るこの高レベル廃液の半永久的な管理については、少なくとも民間に門戸を開放するこの時点で法律上やっぱりセットになって出てくる、明記されてあたりまえだし、それが政府として国民の安全に責任を持つ由来だと思うのですね。これ一体どうしますか。
  217. 牧村信之

    ○牧村政府委員 この使用済み燃料の最終処分につきましては、国の責任において処分するという方針を出しておるわけでございますので、その点につきましてまだ法律的な措置が講じられていないということを申し上げておるわけでございます。
  218. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 それなら少なくとも一時貯蔵とは一体どういうことを意味するのか、このことぐらいは法律にきちっと定義しておかなければ、一体一時貯蔵が何年に及ぶものなのか、どういう形態のもとで貯蔵したものを一時貯蔵と言うのか、こういうことがはっきりしないじゃないですか、それはどうなんですか。
  219. 山野正登

    ○山野政府委員 先ほど安全局長が答弁したとおりでございますが、保安のために講ずべき措置の中に、「再処理事業者は、次の事項について、総理府令で定めるところにより、保安のために必要な措置を講じなければならない」とありまして、その中に「使用済燃料、使用済燃料から分離された物又はこれらによつて汚染された物の運搬、貯蔵又は廃棄」というのがあるわけでございます。そこでこの総理府令で定めるところによりましてこの廃棄につきまして必要な措置を講ずるわけでございますが、この措置の中身というものは今後総理府令で必要な基準というものを定めるわけでございます。したがって、いま先生指摘の一時貯蔵はどうするかという問題につきましては、この府令の中でその必要な基準というものは決められていくことになろうかと考えます。なおこの府令を決めるにつきましては、もちろん再処理工場で厳重な安全規制を行うということ、安全確保を行うというのが最大の眼目でございますので、そういう観点からこの府令はつくることになるというふうに考えております。
  220. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 この論議を整理する意味ではっきりさせておきたいことは、まず政府答弁からいわゆる高レベル廃液の最終処理については現行法では扱い切れない問題だ、こういうことは明瞭になりましたね。全く、言えば、しり切れのままとにかく民間処理に見切り発車するという内容の改正だということがここで一つ明らかになった。次に、総理府令は改正しなければならない、これはいまはっきりしましたね。ところが問題は、総理府令、政令でそういう廃棄の処置について一時貯蔵というものについて決めるのはいいけれども、少なくも先ほどの局長答弁は概念として再処理事業の中に入るものと、それから再処理事業の中に入らないいわゆる永久貯蔵に関する部分と分けてきたわけでしょう。だから、それを法律できちっと区分け、区分というものを明確にしておかなかったら政令の基準もできてこないということになるじゃないですか。その点はいかがですか。
  221. 山野正登

    ○山野政府委員 先ほど申し上げましたように、廃棄の技術的基準につきまして、総理府令を定めるわけでございますが、その中に一時貯蔵ということが明確にわかるような記載になろうかと思います。その記載の裏返しとしまして、永久処分というものは再処理事業者が行う事業の中には含まれないという解釈になろうかと思います。
  222. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 そういう解釈を法律の中にうたわないで当然必要となる永久処分をたな上げしたまま法律の見切り発車などはわれわれ国会側として認められますか。だから少なくとも、技術的にはまだ未解決の問題であったとしても、ここで線引きをして、ここからあとは国の管理に属するのだということは、これはもう政令じゃなしに法律上明確にされなければならないことじゃないですか、区分していくのなら。
  223. 山野正登

    ○山野政府委員 永久的な処分につきましては先ほども申し上げましたようにまだ研究開発段階にあるわけでございますので、今後の研究開発成果を見まして、それによって必要な法制面の整備を行おうということを考えておるわけでございます。もちろん考え方によりましては、物によりましては、そのようなものも合わせて同時に法制化をするというのが望ましいという観点もあろうかと存じますが、このような新しい技術につきましては、その技術開発のテンポに応じましてある程度そういう関連する法案につきまして提出の時間的な差があるというものもまたやむを得ないことかと考えております。
  224. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 もう一遍再確認しておきたいのですけれども、では現行法で規定されている再処理事業の範囲というものはその高レベル廃液のいわゆる永久処分、つまり最終処分、これを含んでいるのか含んでいないのか、この点はどうなんですか。
  225. 山野正登

    ○山野政府委員 この規制法におきます再処理の定義というものはあるわけでございまして、第二条に、「この法律において「再処理」とは、原子炉燃料として使用した核燃料物質その他原子核分裂をさせた核燃料物質から核燃料物質その他の有用物質を分離するために、使用済燃料を化学的方法により処理することをいう。」こういうふうに再処理自体は定義をせられておるわけでございますが、これに付帯する周辺の問題としまして、いまのような、一体再処理事業者の行う事業の中に最終処分は入るか入らないかといったような議論もあろうかと思いますが、そのような問題は先ほど申し上げましたような整理で、府令等において明確に境界線は引いてまいりたいと考えておるわけでございます。
  226. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 問題をごまかしてはいかぬ。私が聞いているのは、現行法で言う再処理事業の中に局長が言ったいわゆる高レベル廃液の最終処分というものは入っているという解釈に政府は立っているのか、入っていないという解釈に立っているのか、どっちなんです。
  227. 山野正登

    ○山野政府委員 先ほど来申し上げておりますように再処理事業者の守備範囲というものに最終処分というものは入れて考えておりませんので、入れるつもりはございません。
  228. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 それでは、法律が言う再処理事業の範囲にはこの高レベル廃液の最終処分は入っていないのですね。     〔委員長退席、小宮山委員長代理着席〕
  229. 山野正登

    ○山野政府委員 入っておりません。
  230. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 結局これで明らかになったことは、現行法では法律の及んでいない部分がこの核燃料サイクルの中にあるということになったわけでしょう。そういう状態のままでこの危険な再処理民営など認められますか。  これは委員長は大変お急ぎだけれども、こういう重大な問題、つまり法律の網のかかっていない部分があるということが明瞭になった。この点では非常に慎重な審議が今後必要だ、こういうことを申し上げておきたいと思うのですが、委員長の御見解も承って私は終わりたいと思います。
  231. 小宮山重四郎

    ○小宮山委員長代理 瀬崎君にお答えします。  瀬崎君の御意見は御意見としてお伺いいたします。
  232. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 終わります。
  233. 小宮山重四郎

    ○小宮山委員長代理 次に、貝沼次郎君。
  234. 貝沼次郎

    貝沼委員 きのう現場の視察に行ってまいりまして、いろいろ具体的なところを見させてもらったわけでございます。そこで、時間もありませんので、ごく簡単に二、三点だけ伺っておきたいと思います。  まず初めに、この再処理工場の工程の中で、再処理が行われ、ウランの精製が行われ、ウランの濃縮、脱硝が行われる、これがUO3となって貯蔵される。それからもう一方は、プルトニウムの精製、そしてプルトニウム濃縮がなされて硝酸プルトニウムとして貯蔵される、こういう図をいただいておるわけです。  そこで、私がこれから申し上げますのは、第二再処理工場ができた場合の話をするわけでありますが、第二再処理工場で再処理で出てきたUO3、これはどのコースを通るのかということですね。出てきたウランはさらに濃縮をされ、そして燃料棒に加工されて、使用されるという段階になるのだろうと思いますが、それは、濃縮するのは、たとえば人形峠なのか、そしてさらにそれが加工工場にいって燃料となるのか、この一点を説明していただきたい。  それからもう一つは、プルトニウムの方ですね。これは濃縮というふうにこの図面では書いてありますので、ことさら濃縮をするのかということですね。ただ濃縮だけでは私よくわかりませんので、ことさら濃縮をするのか、それとも出てきたままという意味なのか。  それから、硝酸プルトニウムで貯蔵する場合、これはいつまで貯蔵するのか。高速増殖炉ができるまで貯蔵するのか、それともある程度の時期だけ貯蔵して、転換工場に移して、そうして加工工場に移すのか。この辺のところを御説明願いたいと思います。
  235. 山野正登

    ○山野政府委員 再処理事業と申しますのは、申すまでもなく、使用済み燃料の中に残されております有用物質を再利用するというのが目的でございますので、いま御指摘使用済み燃料から出てまいりました減損ウランというのは当然再利用したいわけでございまして、これは人形峠になるかどこになるかわかりませんが、将来の国内の濃縮工場で濃縮をして再使用するということになろうかと思います。  それからプルトニウムでございますが、これは現在の動燃工場では硝酸プルトニウム溶液の形で工場内のプルトニウム貯蔵施設の中のステンレス製のプルトニウム貯槽に貯蔵されておるわけでございます。本件につきましては、昨年の日米原子力交渉におきまして、当面この硝酸プルトニウム溶液を酸化プルトニウムにかえます転換施設建設というものを見送る約束をいたしておるわけでございまして、将来、現在進めております混合抽出法、共沈法等の研究開発の進みぐあいを見まして、今後つくります転換工場が従来考えておった単体の転換工場であるかあるいはウランとプルトニウムの混合した形での転換工場になるか、その辺の見きわめをつけるまでは硝酸プルトニウムの形で貯蔵するということを予定いたしております。  なお、これも最後の姿と申しますのは混合酸化物燃料としまして再利用するつもりでございますが、その際プルトニウムの濃縮ということは予定いたしておりません。
  236. 貝沼次郎

    貝沼委員 そうしますと、どういう方法になるかは別としまして、転換工場というものが必要になってくるということですね。この転換工場はどういう手続でできるわけですか。     〔小宮山委員長代理退席、委員長着席〕
  237. 牧村信之

    ○牧村政府委員 この動燃の再処理工場の中に転換施設がございますので、変更の許可を求めてくる予定にされております。
  238. 貝沼次郎

    貝沼委員 そのことは、第二再処理工場から出てきた硝酸プルトニウム、それからさらに転換工場という場合は動燃の中の転換工場予定しておるということですか。
  239. 牧村信之

    ○牧村政府委員 そういうことではございませんで、動燃の再処理施設から出るプルトニウムの転換をする場合に動燃みずから転換施設を持つ、その必要な時期に、日米間の話し合い等を踏まえて施設計画が立ったときに設置の変更が出てくるということでございます。したがいまして、第二再処理工場ではまた別の転換施設等が当然必要になろうかと思います。
  240. 貝沼次郎

    貝沼委員 そこで、当然必要になるのですが、それはどの法律によってできるのですかということを尋ねておるわけです。
  241. 牧村信之

    ○牧村政府委員 再処理の変更許可で扱おうと考えております。
  242. 貝沼次郎

    貝沼委員 再処理の変更許可で扱うということは、転換工場は再処理に含まれるという判断ですか。
  243. 牧村信之

    ○牧村政府委員 先生おっしゃるようなことを考えておりますが、再処理工場としてでなくて、場合によりましたら燃料の加工メーカーがこういうことをやるということがあった場合には、これは加工の方で規制するというようなケースも当然あり得ますけれども、現段階においては当然再処理工場施設として扱われるものと私どもは見ております。
  244. 貝沼次郎

    貝沼委員 そうですか、ぼくはちょっと違うような気がするのですがね。再処理工場が、これは第二再処理工場民営なんですね。そうすると、転換工場民営でやるということですね。これは再処理工場民営化はうたってありますが、転換工場は書いてありませんね。これはどうなんですか。
  245. 牧村信之

    ○牧村政府委員 再処理施設が当然入るものと考えておりますので、この法律改正によりまして民営で行われるものと思っております。
  246. 貝沼次郎

    貝沼委員 それじゃ今度は、燃料加工する場合、プルトニウム燃料をつくる場合、この場合はどういうふうに考えておりますか。
  247. 牧村信之

    ○牧村政府委員 加工につきましては、加工事業のところで規制することになっております。
  248. 貝沼次郎

    貝沼委員 この加工工場は、これは民営は認めるのですか、認めないのですか。
  249. 牧村信之

    ○牧村政府委員 すでに加工工場につきましては、民営が認められております。
  250. 貝沼次郎

    貝沼委員 そうすると、第二再処理工場で出てきた硝酸プルトニウム、それを転換工場で転換しますね。それからプルトニウム燃料をつくりますね。これも全部民営でよろしいわけですね。そうすると、これはもしそれでよろしければ、このプルトニウムの管理がやかましく言われておるわけですが、それで本当に管理できるのでしょうかね。
  251. 牧村信之

    ○牧村政府委員 すでに、法律上プルトニウムの燃料加工につきましても、必要な安全審査等を受けてできるようになっておるわけでございます。  それで、プルトニウムの管理の問題でございますけれども、これは先生すでに御承知のように、規制法の中に国内の保障措置を行う体制が法律上組み込まれておりますので、民間であろうと国に準ずる機関、動燃のようなところが行おうと差別なくプルトニウムの管理の問題につきまして規制をし得るようになっておりますので、十分その区別なく行えるものと考えております。
  252. 貝沼次郎

    貝沼委員 そうすると、動燃の場合は、これはもう半官半民みたいなものですから、事業団ですからよく見えますが、いよいよ民営化をしてそして民営でもってどんどんプルトニウムの燃料までつくる、そうして燃料をつくってさらにそれを貯蔵するのか、あるいはそのころ高速炉ができて使うものかそれはわかりませんけれども、要するに第二再処理工場ができるということは、もう国の方、いわゆる原子力委員会あるいは原子力安全委員会の方でチェックはするけれども、プルトニウムそのものはもう民間の力でどんどん動いていくという、こういうことですか。
  253. 牧村信之

    ○牧村政府委員 現在におきましても、プルトニウムの所有権というものは民間に認められておりまして、それで運用されておるわけでございます。したがいまして、再処理等によりまして抽出されましたプルトニウムは当然民営の形で管理がされる。それに必要な規制措置は十分とる必要はございますけれども、その体制はすでに整備されておりますし、今回の再処理規制の強化を図っていただくことによりまして、さらに万全なものになるというふうに考えておる次第でございます。
  254. 貝沼次郎

    貝沼委員 私はその辺を考えてみましても、ちょっと手放し過ぎるのじゃないかという感じが実はするわけであります。ことに、プルトニウムの場合は非常に議論の多いものでありますから、そういう意味において、安全委員会がより力を発揮しなければならないだろうと思うわけでありますが、一抹の不安はあるわけであります。  それから、先般の参考人の方々の御意見で、いろいろございましたが、中でも、科技庁の皆さんも聞いておられたわけでありますからわかると思いますが、一つは臨界管理という問題は、スケールアップされるとやはり問題だ。したがって、これについての低減化を固めておく必要がある、もっと低くしなければならないという意味の御意見が、これは田島先生から出ておりました。  それからもう一つは、先ほども問題になっておりました高レベル廃棄物の処分方法を固めておけということです。先ほどの質問のやりとりを聞いておりますと、これから研究するのだということですけれども、ただそれだけでなく、いつまでにどの結論を出すということをやはりきちっとしておかなければならないのじゃないか、こう思うわけであります。  それから、ハイレベルの処分も、やはり限定された期間だけ安全であればよろしいというものではこれはありませんので、ほとんど永久的に安全でなければならない問題ですから、そういう意味から、さらに研究をしておく必要があるという意味のお話があったと思いますが、こういう御意見について科技庁としてはどういうふうにお考えですか。
  255. 牧村信之

    ○牧村政府委員 まず、臨界管理のお話でございますが、これは、当然第二再処理工場というのは大量のプルトニウム等を現在の動燃事業団に比較しましても扱うわけでございますので、この臨界管理という問題は非常に重要な問題でございます。通常、この再処理工場におきます臨界管理は容器の形状、幾何学的な形状を考慮する、それから工程中におきまして、プルトニウムの入っております。液体のプルトニウムの濃度を規制する、もう一点は、場合によりましてはカドミウムなどを近傍におきましてその連鎖反応を邪魔するような物質を用意するというふうなことなどが行われるわけでございまして、これにつきましては、すでに現在の再処理工場におきましてもこの臨界管理、臨界にならないような管理につきまして、各種の考慮が払われておるわけでございます。  先般来の参考人の方の臨界管理についての御意見でございますが、当然これは再処理施設の安全に絡まる問題でございますので、私ども、すでにその安全審査に当たりましての基準等について勉強を始めておりますが、安全委員会発足後の非常に大きな仕事として専門部会等を設置しまして、この問題については十分対処していきたいというふうに考えておる次第でございます。  それから、高レベルの廃棄物処理につきましては、先ほどからいろいろ御指摘は受けたわけでございますが、最終処分につきましては、国の責任で管理するという方針を原子力委員会で出していただいております。この方針に沿って今後の研究開発段階の進展を見ながら所要の措置をとってまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  256. 貝沼次郎

    貝沼委員 それでこのハイレベルのことで一言だけ確認をしておきたいと思います。  ただいまのお話のとおり、これは五十一年十月八日の原子力委員会の対策では、いまの答弁のとおりに、「処分については、長期にわたる安全管理が必要であること等から、国が責任を負うこととし、必要な経費については、発生者負担の原則によることとする。」こうなっておるわけですが、これが事故を起こした場合の責任はどこにあるのですか。
  257. 牧村信之

    ○牧村政府委員 そのようなことがないように管理しなければいかぬことではございますけれども、国が責任を持って管理するということでございますので、当然、万一の場合が起きたときは国の責任になるかと考えます。
  258. 貝沼次郎

    貝沼委員 それから話は変わりますが、使用前検査のことで三点ばかり確認をしておきたいと思います。  いままでの法律では「施設検査」今度は「使用前検査」こういうふうになっておりまして、内容としても、いままでは再処理施設工事についての内閣総理大臣の検査を受けることになっておりましたのが、今度は「工事及び性能」について受ける、こういうふうに「性能」というのが入ってきております。いまの動燃の場合は、この施設検査でいっておるわけですね。第二再処理工場はこの使用前検査でいくわけですが、「性能」が入らなければならないということはどういう理由によるものですか。
  259. 牧村信之

    ○牧村政府委員 この使用前検査の条項を入れました目的は、再処理工場の安全の確保をより万全にすることを考えて入れたわけでございます。  先生指摘のように、現行の規制法ではこの使用前検査がないわけでございまして、施設検査のみで合格証の発行ができるようになっておりますが、この点につきましては動燃事業団ともいろいろ協議いたしまして、原子力委員会の御方針もございまして、再処理工場の運転に万全を期するために、現在試運転をやっておりますが、こういうものを十分行った上で施設の検査を完了し、合格証を出すような体制を運用上やっておる次第でございます。
  260. 貝沼次郎

    貝沼委員 この性能を調べる場合は、これはホットテストでやるわけですね。そうすると、この性能を調べるというのは、実際に使用済み燃料を使って、そうしてホットテストをやって初めてわかるのですか、それとも、それは使わないでもこの性能はわかるわけですか。
  261. 牧村信之

    ○牧村政府委員 この使用前検査につきましては、私どもはホット試験を行わせて、それで性能を確認したいというふうに考えております。
  262. 貝沼次郎

    貝沼委員 そうすると、この使用前検査の使用というのは商業用に使用という意味でよろしいわけですね。
  263. 牧村信之

    ○牧村政府委員 先生のおっしゃるとおりでございます。
  264. 貝沼次郎

    貝沼委員 動燃の場合に、施設検査が終わってからぼろぼろと何かかんかトラブルみたいなものがあったようでありますけれども、あの程度の検査になるのですか、それとも、ああいうものとは比較にならないほど厳重な検査をするということですか、その辺はいかがでしょう。
  265. 牧村信之

    ○牧村政府委員 この使用前検査の実施につきましては、今後固めてまいりたと思いますが、動燃の現在行っておりますウラン試験の結果等を踏まえて検査すべき項目等を固めてまいりたいというふうに考えております。したがいまして、十分ウラン試験を行わせてその性能を確認したいというふうな考え方でございます。
  266. 貝沼次郎

    貝沼委員 最後にもう一点だけ確認しておきたいと思います。  それは、定期検査というものが入ってまいりまして、そして「毎年一回定期に行う検査を受けなければならない。」こういうふうになっております。したがって、次に必ず問題になってくるのは、この再処理工場稼働率ということが問題になってまいりますが、稼働率というのは正常で何%と考えたらよろしいですか。
  267. 牧村信之

    ○牧村政府委員 今回の法改正によりまして定期検査を毎年一回やるということでございますので、相当期間その定期検査の期間があるわけでございますが、先ほども他の先生からの参考人に対する質問にもございましたように、百七十日から二百五十日ぐらいが通常の運転期間である、したがいまして、工場が設立されて逐次その稼働期間を向上し、フル稼働になったときに、可能であれば二百五十日ぐらいの運転が確保できるようにすべきではないかというふうな考え方で進むべきじゃないかと思っております。
  268. 貝沼次郎

    貝沼委員 終わります。
  269. 岡本富夫

    岡本委員長 次回は、来る十四日水曜日、午前十時理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時十八分散会