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1978-05-10 第84回国会 衆議院 科学技術振興対策特別委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年五月十日(水曜日)     午前十時三十三分開議  出席委員    委員長 岡本 富夫君    理事 小沢 一郎君 理事 大石 千八君    理事 佐々木義武君 理事 中村 弘海君    理事 石野 久男君 理事 日野 市朗君    理事 貝沼 次郎君 理事 小宮 武喜君       伊藤宗一郎君    玉沢徳一郎君       塚原 俊平君    原田昇左右君       与謝野 馨君    安島 友義君       上坂  昇君    近江巳記夫君       瀬崎 博義君    中馬 弘毅君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      熊谷太三郎君  出席政府委員         科学技術政務次         官       上條 勝久君         科学技術庁長官         官房長     半澤 治雄君         科学技術庁研究         調整局長    園山 重道君         科学技術庁原子         力局長     山野 正登君         科学技術庁原子         力安全局長   牧村 信之君         科学技術庁原子         力安全局次長  佐藤 兼二君         資源エネルギー         庁長官官房審議         官       武田  康君  委員外出席者         科学技術庁長官         官房参事官   児玉 勝臣君         外務省国際連合         局外務参事官  矢田部厚彦君         外務省国際連合         局科学課長   太田  博君         資源エネルギー         庁長官官房原子         力産業課長   山本 幸助君         参  考  人         (電気事業連合         会副会長)   正親 見一君         参  考  人         (動力炉・核燃         料開発事業団理         事長)     瀬川 正男君     ————————————— 本日の会議に付した案件  核原料物質核燃料物質及び原子炉規制に関  する法律の一部を改正する法律案内閣提出第  四二号)      ————◇—————
  2. 岡本富夫

    岡本委員長 これより会議を開きます。  核原料物質核燃料物質及び原子炉規制に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出があります。順次これを許します。玉沢徳一郎君。
  3. 玉沢徳一郎

    玉沢委員 われわれ日本国が今後二十一世紀に向かって生活をし、生きていくためにはどうしてもエネルギー確保する、それをいかにして確保するかということが、これは全国民の最大の念願である、かように考えるわけであります。したがいまして、エネルギーをいかに確保するかということは民族的な課題であり、また国の安全の保障に関係する重大な問題である、かように考えるわけであります。  そこで、現在わが国エネルギー大半石油でもって占められておるわけでございますが、しかし、この石油も限界がある。したがいまして、石油にかわるべきエネルギーというものをいろいろな形で模索をしておるわけであります。たとえば地熱とか風力であるとか波力であるとか太陽熱であるとかいろいろな研究が進められておるわけでございます。しかしながら、やはり私ども確保しなければならぬエネルギーというものを見た場合に、石油と同時に、同じ効率を持ち、われわれに大きなエネルギーを与えるものはやはり原子力ではないか、かように考えるわけでございます。  そこでこの原子力でありますが、原子力といいますと、わが国唯一原爆被爆国でありますから、原子力を進めていく場合におきましては非常に大きな不安があると思うのであります。そういう不安を一つ一つ克服をしまして、やはり国民エネルギーとして確保していかなければならぬのであります。核の再処理というものはやはり自国でもってそれを確保するという努力をしていかなければならぬ。しかし、同時にまた、原子力というものは国民に対しましていろいろな不安を与えておりますから、こういうものを十二分に安全処置を講じながらやっていかなければならぬ、かように考えるわけであります。わが国が将来に向かいまして今後原子力発電その他エネルギーとして、石油だけでは足りないという観点から、今後の原子力発電に対する需要というようなものの見通しをどのように考えておられるか、まずもって御質問いたしたいと思います。
  4. 武田康

    武田政府委員 お答え申し上げます。  御指摘のとおり、現在石油エネルギー供給大半を占めているわけでございますが、将来石油がそのままで続くとはなかなか思えないわけでございます。したがいまして、ありとあらゆる新しいエネルギーといいますか、ほかのエネルギー代替エネルギー開発を進めなければいけないというのが基本的な考え方でございます。  ただ、エネルギー開発はいろいろな段階のものがございますので、本当に現実、実用的に使い得る、あるいは相当まとまった量使い得るというものは自然に限られてまいります。その意味では石油代替エネルギーとして最も期待されるのが原子力でございます。そういうことで原子力開発に最大限の努力、もちろん安全を前提にしてでございますけれども、そういう努力を傾注しなければいけない、こう考えているわけでございまして、実は昨年の夏に総合エネルギー調査会でまとめていただきました中間報告によりますと、これは長期と言いながら実は十五年先までのものでございます。昭和六十年度で、規模で言いまして原子力三千三百万キロワット、それから六十五年度で六千万キロワット、全エネルギーに対する比率にいたしますと、昭和六十年度が七、八多、それで昭和六十五年度でも一割程度のものでございます。そうでございますが、それから先に向かいましては具体的なプランといいますか、オーソライズされたものはございませんけれども、将来もっとその比率が上がっていくという可能性を持っているわけでございますが、さしずめこれから十年、十五年の間にエネルギー総量の一割は原子力でカバーしていきたい、こういうようなことで進めているわけでございます。  ちなみに、現在運転中のものが八百八十万キロワットでございまして、これから昭和六十年までその約四倍にしていかなければいけないわけでございますが、そのうちの大体四分の三までは具体的に建設に入っておりまして、あと残りの部分、簡単ではございませんけれども、これは国民方々の御理解と御協力を得、それで官民の総力を挙げまして達成していくというようなことで努力をしている次第でございます。
  5. 玉沢徳一郎

    玉沢委員 将来わが国エネルギー総量の一割程度確保していきたい、こういうことであります。そうしてまいりますと、エネルギーを十二分に活用する、こういうような観点から核の再処理というものは必要になってくると思うわけでございます。  そこで、この法案は、従来原子力研究所あるいは動燃事業団というものだけがそうした再処理事業を行うことができるということを民間に対しましても門戸を開く、こういう趣旨であると思うのでありますが、民間にこうした道を開く場合に、やはり安全あるいは技術あるいは周辺の人々に対する安全の処置というものは万全を期さなければならぬと思いますし、また経済効果その他も見なければならぬと思うのであります。科学技術庁見解としては、まあ動燃事業団で始められた第一再処理工場の結果を見た上でのことだと思うのでありますが、経済的にも技術的にも見通しができた、かような見解を示しておるようでありますが、この安全の処置とかんがみまして、その点について本当にそういうような見通しでやっていけるのかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
  6. 山野正登

    山野政府委員 先生指摘のとおり、原子力発電の定着を図りますためには、再処理を含めまして燃料サイクルをできるだけ自主的にかつ国内に確立するという必要があるわけでございますが、御質問の再処理につきましては、まず技術面について申し上げますと、現在東海工場で進めております再処理技術と申しますものは、欧米諸国におきましてすでに二十年以上の実績のある技術でございます。現在の東海工場自身はフランスからの技術導入によって運転を進めておるわけでございますが、今後この東海工場建設経験、今後の運転実績経験といったふうなものを十分に活用いたしまして、第二再処理工場はできるだけ自主技術でつくり得ると思いますし、またつくらなければならないというふうに考えております。  それから経済性の問題でございますが、この経済性についてはいろいろなとり方があろうかと思いますが、たとえば燃料サイクルのコストというものを、再処理をしないでウラン資源を使い捨てにする場合と、それから再処理をしましてウランプルトニウムリサイクルをして再利用する場合、この比較をいたしますと、アメリカ規制委員会における検討結果あるいは私どもが部内で行いました検討結果、さらにはシンクタンク等を利用して行いました検討結果等を見ますと、ごくごくマクロで申し上げまして、リサイクルをする方が大体一割前後安くなるのではないかというように考えております。  それから第三点の安全の確保につきましては、これは原子力平和利用を進めるに当たりまして申すまでもないことでございまして、今般の法改正におきましても安全規制面の強化というのが一本の柱になっておるわけでございますから、今後ともその点には十分意を尽くしたいというふうに考えております。
  7. 玉沢徳一郎

    玉沢委員 そこで、技術については自主技術をできるだけ確保したい、こういうことでございますが、何せ今後十三年間もあることでございますので、やはり私はエネルギーを自分の手で確保するということは大変重要であると思いますので、自主技術といいますか、われわれ自身でやったものをやっていく、また技術者もそういうものを十分利用してやっていく。ただ外国技術のみを追うということだけの姿勢ではちょっと足りないのではないか、私はかように考えるわけでございます。  さて、次に安全の面でございますけれども科学技術庁としましては放射能物質による国民に与える被害を最小にすべき責任を持っておる。これは再三国会でも申し述べておるわけでございますが、ただ安全というものに対してまだ十分な国民的な認識が得られておらないのではないか。そのために、わが日本唯一被爆国であるということから、核といいますとすぐアレルギーを起こしまして、強いて言いますならば、「むつ」問題の根源もそういうところから出てきたのじゃないか、私はそう考えるわけであります。ただ、核というものは恐ろしいものであるがゆえに、やはり正確な知識を持ちましてこの危険を国民全体で克服していくということがなければ真の国民エネルギーになり得ないのではないか、今後もトラブルは続くのではないか、こういうふうに考えるわけでございます。  そこで当委員会におきましても、日本の核の問題につきましては、安全施設その他は十分できておる、私はかように感じております。ただ、あり得ないことかもしれませんけれども日本工場なり核施設その他で事故が起きた場合に、相当広範囲にいろいろな危険を及ぼす可能性があるのではないか。そうした場合に正確な核に対する、放射能に対する知識というものがなければ被害も相当大きくなるのではないか。こういう点につきまして科学技術庁としましては、国民に対する核の知識放射能に対する知識、そういうものをどのような形で知らしめておるのか。この点についてはいかがでしょうか。
  8. 山野正登

    山野政府委員 国民一般原子力の安全に対する漠然たる不安というものが、平和利用を進めます上におきまして非常に大きな障害になっておるということは御指摘のとおりでございますので、私ども原子力必要性のみならず、安全性につきましての普及啓発活動というのは従来とも格段の力を入れておるわけでございます。これは一科学技術庁のみが行える仕事でもございませんので、関係省庁はもとより、関係の諸機関も動員いたしまして、できるだけ総合的にまた統一的に行おうということで、しばしば会合を持ちまして歩調をそろえて進めておるわけでございます。  内容としましては、一般のマスコミを使います方法とかあるいは映画会講演会といったふうなものに加えまして、最近におきましては原子力モニター制度といったふうなものも新設いたしまして、できるだけ国民一般とかあるいは特に原子力立地地域住民の御意向というものも十分に吸収して、そしてそれにこたえる形でこの不安感払拭というものに努めてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。これは私、非常に狭い意味での不安感払拭のための施策というのを申し上げておるわけでございますが、さらに広くは、先般本院で御審議を煩わしました基本法等改正による体制の整備といったふうなものも、広い意味では先生指摘不安感解消のための大きな前進であろうかと考えております。
  9. 玉沢徳一郎

    玉沢委員 それで、わが国では核実験に対する反対運動が非常に盛んでございます。私の感じかどうかわかりませんけれども日本国内の核に対しても非常に反対運動が強い。またどちらかというと自由主義陣営資本主義諸国核実験とかそういうものに対しての反対が強い。ところが往々にしてお隣の中国とかソ連実験をした場合には、余り国民世論喚起がなされないのであります。  私、事実を確認したいのでありますが、たとえば中国等でいままで二十数回核実験が行われているそうでございますが、そうした場合に放射能日本に降ってくる。ところが、放射能というのは資本主義の国の放射能共産主義の国の放射能もおしなべて日本国民にはイデオロギーを抜きにして降ってくるわけでございまするから、この危険性というものを私どもは十分承知しておかなければならぬと思うのですね。ところが、非常に強烈な放射能が降ってきたときでも国民は余り関心を持たない場合が多い。聞くところによりますと、まあ二週間ないし三週間でそういう放射能は消えるというふうに聞いておりますけれども、一時的であっても放射能原子力関係施設で行われている規制値よりも高くなったというような場合もあったのではないか、そういう事実も聞いておるのでありますが、いかがでしょうか。
  10. 牧村信之

    牧村政府委員 核実験影響わが国に対してきわめて直接まいりますのは、先生指摘のように、中国で行われる核実験が一番多いわけでございます。先生指摘のように、中国核実験というのは、昭和三十九年以来すでに合計二十三回行われておるわけでございます。そこで、この核実験が行われたという情報をキャッチいたしますと、全国的に設けられました放射能監視網がございまして、そこで御指摘のように一週間ないし十日平常値に戻るまで監視体制をとっておるわけでございますが、その際にいわゆる規制値よりも高い放射能を検出したことがあるかということの御質問でございますけれども、たとえば日本原子力研究所のJRR4という原子炉がございますが、ここの冷却水放射能を常時監視しておるわけでございますが、この実験の後フォールアウトがこの冷却水に混入いたしまして、その原子炉冷却水監視レベルを超える値を出したことがございます。それで、その放射能を感知いたしまして直ちに原子炉所要の停止の措置をとったわけでございます。しかし、これは部分的に降下した放射能影響でございます。私どもそれよりも問題にすべきと思いますのは、広域的に大量の放射能が落ちる、このことが問題でございますので、この対策放射能対策本部という内閣に設けましたところで各省庁と協力して測定を初めもし大量に落ちてきた場合には所要措置を講ずるための体制をとっておるわけでございますが、実は十九回の中国核実験時におきまして、これは場所的には一部の地域でございますが、新潟におきまして比較的高い放射能が降下したことがございます。これは雨水とかちり等観測したものでございますけれども、一平方キロメートル一日当たり降下量が八十四ミリキュリーというようなのが最高でございます。  そこで、放射能対策本部といたしましては指標を二つつくっておりまして、第一次の指標といたしましては月間降下量が一平方キロメートル当たり二・五キュリー以上ある、このような値を超えた場合には全国的にもっと観測を厳しくする。それから第二次は、それの十倍でございますけれども、一平方キロ当たり二十五キュリーの月間降下量がある場合には食物あるいは飲用水等制限等も含めた諸措置を講じなければいけない、こういうような指標を実はつくっておるわけでございます。  そこで、先ほど申し上げました輪島の例は、第一段階指標の二・五キュリーというものの約倍の五キュリー、こういうようなのがただいままでの最高でございます。したがいまして、ここに一月ずっとおりますと人体の被曝量というのが約五百ミリレム、自然放射能を超える量が一時的には降った。ただし、これも急激に放射能の強さは弱まりますので、それほど問題にならなかったわけでございますので特別の対策はとらなかったわけでございますが、その地域観測は強化したという前例がございます。
  11. 玉沢徳一郎

    玉沢委員 全国的に観測体制はできておるということでございますので安心いたしたのでありますが、この放射能の問題は単に日本だけでなく外国からもたらされるところに問題があるわけですね。たとえば当委員会でも問題になっておるわけでありますが、先般ソ連原子力衛星が落ちてきたのですね。それから、ことしの文春の四月号に、米大統領のニクソンの補佐官であったハルドマンが「獄中からの告発」という手記を発表しておるわけですね。そうしますと、つまり中ソ戦争が始まればソ連中国核工場を攻撃する、そうすると大変な量の放射能が出まして日本は場合によっては全滅するかもしれない、こういうようなことが出ておるわけですよ。私は中ソ戦争というものは絶対あり得ないことではない、かように思うのです。だから、国際政治というものを見てまいりますと、かつて中ソというものは一枚岩であるということを非常に宣伝した方々がおりますけれども、中ソというものは民族的、歴史的に何百年間も闘争を続けておるわけでありまして、たかだか一九四八年に中国共産党政権ができたからといって中ソが一枚岩になるような要素はないわけでありまして、いまベトナムカンボジア国境戦争をやりますと、ベトナム寄りであったソ連は何らかの指示を与える、中国寄りであるカンボジアに対しましては中国ベトナム中国国境紛争というものを起こして支援をする。そうしますと、今度はブレジネフさんがシベリアに参りまして中国にアジを加える。こういうようなことで、こうした国際政治の大陸の動向というものをよく見きわめた上で、われわれは決してあり得ないことではないというふうな観点から受けとめなければならぬと思うのであります。そういう面におきまして、監視体制を強める。  同時にまた、広島の例でもそうでありますけれども、そういう放射能が降ってきた場合に建物の中に入っておった人は非常に安全であったとか、こういういろんな例があるわけでございます。唯一被爆国であるならば、私どもはそういうものを十分に生かしまして、核に対していかに安全の処置をとるかということは十二分に研究しなければならぬと思うのですね。だから、観測体制を強めるというだけではなくして、科学技術庁としましては、核に対してはどういう正確な知識を持ってそういう危険を乗り越えていくかということも十分にひとつ配慮してもらいたい、そういうふうに考えるわけです。そうした点におきまして、あくまでも国民放射性物質による被害をとにかく最低に抑えるというのが科学技術庁の任務であるわけでありますから、起こり得るあらゆる事態に対しまして国民を守っていく、そして指導していくのだ、こういうことでなければ、ただ核がこわいから、恐怖だから反対だ、これでは国民のための原子力エネルギーというものは確保できないと私は思うのです。いかがでしょうか。これはひとつ大臣の御決意をお伺いいたしたいのです。
  12. 熊谷太三郎

    熊谷国務大臣 いま核の危険につきましていろいろ御発言がありました。日本だけで原子力平和利用をやっております限りはいま御心配のようなこともまずないと考えますが、国際的なそういう原子力の問題を考えますと、やはりそういう点までにいろいろ配慮しましてそして万一の場合に備えねばならぬ、こういうことは至極ごもっともな御意見であると考えるわけであります。これは一つには防衛的な問題でございますから、特にこれはわれわれとしましても研究しなければなりませんが、防衛庁におきましてもひとつ御関心を持っていただかなければならぬと思っております。そうして両方共同いたしまして将来のそういう問題に対処してまいらねばならぬ、このように考えておるわけでございます。
  13. 玉沢徳一郎

    玉沢委員 大臣の御決意を聞きまして安心したわけでありますが、どうか今後とも十分検討をしていただきまして御研究を賜りたい、そして安全に対しましては万全を期していただきたい、かように考えるわけであります。そして、国民の不安を一つ一つ除くということが、何回もくどいようでありますがとにかく大事なことである、核再処理を進める上におきましても大事なことである、こう考えるわけであります。  そこで、核の再処理わが国の核のエネルギー確保というものをさらにより一層進めていく場合におきまして一つの大きな問題点となりますのは、やはり外国の不安に対して日本がいかにこたえるか、かようなことであると思うのであります。つまり、外国日本の核の再処理に対しましてはいろいろな角度から懸念を表明しておるわけでございます。と申しますのは、日本がかつて軍事大国であった、こういう悪夢から去ることができない、どこかにぬぐい去ることのできない不信感があるわけですね。したがいまして、日本が核再処理というようなことでプルトニウムその他を持ちましてまた原爆、水爆をつくるのじゃないか、こういうことなのです。そうするのであれば、ともかく核再処理についてはアメリカに任せろとか、国際的な機関で制約するとか、こういうことになってくるわけなのです。そういう場合に、われわれが、これほど核兵器はつくらないということを内外に表明しているにもかかわらず、たとえばアメリカにおきましては、東京新聞の一月二十八日に載っていますけれども海空軍情報部報告によりますと日本核保有国に将来なるであろう、こういうような結論を下しているわけです。それからイギリスのサンデー・タイムズ、これは読売新聞の二月六日号に載っておりますけれども、これも同じような懸念を表明しておるわけなのです。つまり、わが国の最も友好国と言える国々におきまして、こういうような疑惑を受けている。これは、国際会議とかわが国外交政策におきまして、本当に日本核平和国としての生きる道というものを世界の国々に納得せしめる努力をしているのか、こういうことになると思うのですよ。だから、国際会議に出席するわが代表団スリーSをもって旨としておる、シッティング、スマイル、そしてサイレントですね。つまり座って、笑ってやっておる。わが日本政府機関を代表する代表団方々はそういうことはないと思うのでありますけれども民間でもいろいろなところでそういうことが指摘されているわけですね。  そこで、こうした報告が出された場合に、特にアメリカ海空軍情報部が出したものなんかは向こうの政府機関とみなしていいと思うのです。外務省はこういうものに対しまして、つまりわが国核武装国になるのじゃないのだということをどのような形で世界じゅうに向かって説得しておるか、これをひとつお答えをいただきたいのです。
  14. 矢田部厚彦

    ○矢田部説明員 ただいま御指摘の問題につきましては、政府当局といたしましては、平和憲法というものを持ちます平和国家といたしましての日本のイメージを世界じゅうに確立するということのためにあらゆる機会を通じまして努力いたしておるわけでございまして、これは国連でございますとか軍縮委員会でございますとか、あるいはその他もろもろの機会におきまして万全の努力をいたしておるわけでございまして、私どもといたしましては、少なくとも各国の有識者と申しますか関係者と申しますか、そういうサークルにおきましては、わが国が核兵器国になるというような意図を持っていないことははっきり了解されておるというふうに存じております。しかしながら、御指摘がございましたように戦後三十数年たちました現在におきましても、わが国のそのような平和的な意図につきまして、必ずしも世界じゅうに十分な認識が行き渡ったということにはあるいはまだいっておらないかとも存じます。さらに将来の問題といたしましては、御指摘のございましたような予測、推測といったようなものが行われていること、これもまた事実であると存じます。  それで、御指摘のございましたCIA報告なるものにつきましては、これは報告の性質上私どもといたしましてその内容を確認する、その真偽を確認するというような立場に実はございません。しかしながらこの報告が書かれた時点が一九七四年というふうに言われておりまして、そうであるといたしますと、これはわが国が核不拡散条約を批准いたします前の段階のものでございますので、その後わが国は御承知のように核不拡散条約を批准して核兵器国にはならないという決意を、これは条約上もはっきりと国際社会に示したわけでございますので、このCIA報告なるものにつきましては格段の措置はとることはいたしませんでした。  さらに御指摘のございましたサンデー・タイムズの記事でございますが、これはそのただいま問題になりましたCIA報告なるものを引用した推測記事でございますが、これは実は日曜版の新聞に出ました小さな記事でございましたので、かえってこれに特に反論するというようなことのために波紋を大きくしてはいけないという考慮から、これにつきましては特に措置はとりませんでした。  しかしながら、実は先生指摘のこのサンデー・タイムズの記事のまたしばらく後に、三月二十一日、二十二日付に、同じイギリスのデーリー・ミラー紙が、これはウィンズケールにおきます日本の使用済み燃料の委託再処理と絡めまして、日本が最近に核武装をするというような大きな記事を実は連載で出しまして、これは私どもといたしましてやはり影響するところが多いと判断いたしましたので、在イギリス加藤大使からデーリー・ミラー社に厳重抗議を申し入れまして、その後この抗議文を引用いたしましたイギリス原子力公社ヒル総裁の投書、この投書は、日本の使用済み燃料をウィンズケールで再処理するということは、日本の核武装などというものとは全く関係がないことである、日本政府はそういう意図を全く持っていないものと自分たちは了解しておる、そういう趣旨の投書を「デーリー・ミラー」紙が掲載いたしました。
  15. 玉沢徳一郎

    玉沢委員 今後、こういうような記事が出た場合には、ためにする一つの牽制とも考えられるわけですね。言論の自由でありますから、それは別に制限をする必要はないかもしれませんが、わが国のイメージというものがそういうもので非常に傷つけられまして、やはり国際的なものにはね返ってくるということを十分注意しまして、やっていかなければいかぬ。特に、日本で五月、間もなくINFCEの第四部会が開かれるわけですね。そういうものに対しまして、日本としましても積極的にわが国の権利というものを確保するために主張していかなければならぬ、かように考えるわけであります。また一方、米国におきましては、核の不拡散法をつくりまして、これの適用等につきましても、将来懸念されるわけでございまして、こういうものに対処していかなければいかぬ。INFCEの第四部会における、これはわが国が議長国でありますから、やはり国際的な戦略というようなものを明確に出しまして、国際理解を深めると同時に、やっていかなければいかぬ。そういう点に関しまして、わが国としましては、INFCEに対しましてどういうような主張をやっていくのか、こういう点についてお伺いをいたしたいと思います。
  16. 山野正登

    山野政府委員 国際核燃料サイクル評価計画と申しますのは、要するに原子力平和利用と核不拡散の強化という二つの相反する問題につきまして、その調和点を求めてまいろうという問題でございまして、御指摘の第四作業部会というのがこのINFCEの中心的な役割りを果たす作業部会になっておるわけでございます。  わが国原子力平和利用につきましては、ウラン資源そのものが国内にきわめて乏しいわけでございますので、海外から入れましたウラン資源を最大限に活用する必要があるということでございまして、そのためにも、先般来、先生指摘のとおり、国内に核燃料サイクルを確立する必要があるわけでございますが、そういうわが国エネルギー政策上からの原子力平和利用の基本方針、つまり、国内に核燃料サイクルを確立する必要があるということにつきまして、原子力委員会を中心にしまして、関係省庁間で意思統一を十分に図りまして、わが国の基本的な立場を堅持しながら、しかも、国際的には核不拡散の国際的努力に協力してまいるという基本方針で臨むということにいたしております。
  17. 玉沢徳一郎

    玉沢委員 そこで、ウランにつきましては、カナダで取って、そしてアメリカで濃縮をいたしまして日本に持ってくる。大体そこが大きな窓口になっておるようでありますが、したがって、そこを押さえられますと、日本は何ともできない、こういうような状況になっておるわけですね。そこで、もちろん今後ともアメリカに理解を求めるのは大事だと思いますが、やはりそうしたアメリカだけの影響力のもとにならないところでウラン資源確保し、日本自身で濃縮ウランを製造することができないかどうか、こういう点も、やはり将来の見通しとして確保しておかなければならぬのじゃないか。その点をまずお伺いいたします。  それから同時に、マリにおきまして鉱区が設定された。非常にいいニュースでございますが、これは今後どういうような形でやっていくのか。  それから、核の再処理におきまして、やはりウラン精製とプルトニウム精製ということになってくると思うのでありますが、プルトニウムをどういうように使うかという点を明確にしておきませんと、何か第二処理工場ができるまでイギリスとフランスに委託するわけでしょう。ところが、それはINFCEの結論がつかない限りは使わないというような考え方をいまから持っているようでは、これはきわめて消極的ではないですか。プルトニウムを十分使うんだというところにおいて、初めて再処理の効果が十分出てくるわけでございまして、そういう面にももっともっと政府は積極的に取り組んでいいのじゃないか、かように思いますが、それについての御見解を承りまして、終わりにいたしたいと思います。
  18. 山野正登

    山野政府委員 まず、天然ウラン確保策でございますが、御指摘のように、わが国は現在、長期契約等で確保いたしておりますうち、カナダに依存するものが全体の四割程度を占めておりまして、これが格段に多いというのはおっしゃるとおりでございますが、それ以外に豪州あるいはアフリカ等、できるだけわが国が自主的な探鉱活動をしまして、いわゆる開発輸入が可能になるように努力をしておるところでございまして、現在進めております長期契約に加えまして、将来は、できれば全需要量の三〇%程度開発輸入といったふうなもので賄ってまいりたいというふうに考えておるわけでございます。  その一つ努力が、マリの探鉱活動でございまして、これは、昭和四十九年に動燃事業団がマリ国に鉱区を取得しまして、現在は三十三万平方キロメートル、大体日本の全国土に匹敵する大きな鉱区を取得して探鉱活動を行っておるわけでございまして、将来ともこのような活動を拡大してまいりたいというふうに考えております。  それから、プルトニウムの利用方法でございますが、私どもは、INFCEの結論が出るまで、プルトニウムの利用について方針を決めないという態度では決してございませんで、先ほども申し上げましたように、ウランの有効活用というのは至上命令でございますので、今後のわが国におきます実用炉のあり方としまして、いまの軽水炉に続きまして、高速増殖炉というものをぜひ開発していこうという方針も明確に打ち出しておるわけでございますので、むしろこの高速増殖炉におけるプルトニウムの活用、あるいはそれに至りますまでの間の軽水炉におけるプルトニウムの利用、いわゆるプルサーマルの推進といったふうな方針を明確に打ち出してINFCEに臨んでおるというのが現状でございます。
  19. 玉沢徳一郎

    玉沢委員 私は、エネルギー日本自身確保するということにおきまして、やはり核の再処理ということは、われわれが避けては通れない問題だと思うのであります。そうした意味におきまして、やはり民間においてやるという点におきましては私は賛成でありますが、同時に、やはり国内の不安あるいは外国の不安というようなものに積極的に理解を求めて、これを強力に推し進める、こういう決意でぜひ臨んでいただきたい、かように考えるわけであります。  以上をもちまして、質問を終わります。(拍手)
  20. 岡本富夫

  21. 近江巳記夫

    ○近江委員 まず初めに、基本的なことについてお伺いしたいと思いますが、御承知のように「むつ」の事故を初めてといたしまして、各原発におきましてはトラブル、事故等が相次いで発生いたしておるわけでございます。こうした点を踏まえまして、今日までのいわゆる原子力行政のあり方に対する政府の反省というものについてお伺いしたいと思うわけです。さらにまた、国民の理解と協力を得ながら原子力行政を進めていく、そういう政府の基本方針というものにつきまして簡潔にお伺いをいたしたいと思います。
  22. 熊谷太三郎

    熊谷国務大臣 ただいま、今日までのいろいろの経過を反省しまして、わが国原子力行政を円滑に進めていくことについての基本的な方針を言えというお話のように承ったわけでございます。一々細かいことは申し上げませんが、もちろんわれわれといえどもあるいは政府といえども、今日までの原子力行政のあり方がすべて万全であったということは決して言えないわけであります。したがって、いろいろな事例を謙虚に反省いたしまして、そしてさらに改善すべき点は改善し、その万全を図っていきたいと考えるわけであります。  特に原子力の問題につきましては、安全ということが大きな問題であります。この安全の問題につきましては、二つの点を考えていかねばならぬと考えておりまして、もちろん第一は、安全の追求ということはもうこれでいいという限界はないわけでありますから、不断にあらゆる方法を尽くして安全の推進ということを図ってまいらねばならぬと思います。それからいま一つは、この安全性に対する国民の皆様の御納得、御理解ということがまだ不十分である。それがまたいろいろの実務を進めます上の隘路にもなっているわけでございますので、安全性に対する国民方々の御理解と認識を得る、こういう面も非常に大切であると考えておるわけであります。  そういう二つの点を考えながら、特に安全の問題につきましては従来の反省すべき点は十分反省いたしまして、今後一層十分な原子力行政の進展を図ってまいりたい、このように考えるわけでございます。
  23. 近江巳記夫

    ○近江委員 この安全という点につきまして長官も非常に留意なさっておる、その焦点は合っておると私は思うのです。ポイントという点でお答えになったわけでございますが、原子力局長にこの同じ点で、特にどういう点を最も今日まで反省をしてきたのか、この点について再度お伺いしたいと思います。
  24. 山野正登

    山野政府委員 実は昭和四十九年に原子力船「むつ」が放射線漏れを起こしまして、このときに大山委員会が単に「むつ」問題のみならず原子力行政全般にも関係すると思われる諸点からいろいろ解析をし政府に意見を申し述べておるわけでありますが、この中で私どもが最も重点的に考えております問題は、政府、事業団並びに電力会社等各関係機関がおのおのの分に応じて責任を明確にして原子力平和利用を進める必要があるという点でございます。先ほどの御質問にもございましたが、たとえば原子力平和利用を進めるに当たりましてその必要性とか安全性といったふうなことを周知徹底するにしましても、おのおのがその立場、立場から十分に整合性をとりながら、かつまた協調しながら進めていくという必要があるということ、あるいはまた各種の研究開発といったふうなものを進めます場合にも、国は国、民間民間というだけではございませんで、たとえば安全研究をとりましても、国は国の責任において果たすべき安全基準等の策定のための安全研究を進め、民間は信頼性向上をし、稼働率を上げるための安全研究を進める、両々相まって全体としてわが国に最も適した原子炉といったふうなものができ上がっていくといったふうなことにする必要があるわけでございます。  また、原子力船そのものにつきましても、政府あるいは事業団さらに造船会社といったふうなものがおのおのの立場においてその責任を明確にし、その責任は自分が全面的に背負って立つという覚悟を持って進める必要があるとも考えているわけでございまして、そういう関係機関の密接不可分な協力体制というものを今後とも大いに進めていく必要があると私は考えております。
  25. 近江巳記夫

    ○近江委員 この問題、突っ込んでいきますと相当細かい点に入ってこようかと思いますし、時間がありましたら、後でまたお伺いしたいと思います。  次にお伺いしたいことは、いわゆる最近の原発の稼働の問題であります。各年度別、見てまいりますと、稼働率、設備利用率等非常に低下いたしてきております。当然安全という点を基本として政府としてもいろいろ整備の問題等十分留意されておられると思うわけでございますが、また今日までむしろ国会において各発電所のそうした事故なりトラブル、そういうことを指摘して初めて明るみに出るというふうなことも再々ございました。そういう中で、国民のいわゆる安全性に対する疑問、不安というものが私は非常に高まっておると思うのです。この稼働率、利用率の問題につきまして、どうして年々低下をしてきておるか、問題点をひとつ簡潔にお答えいただきたいと思うのです。今後どういう方針で進んでいかれるのか、以上についてお伺いしたいと思います。
  26. 武田康

    武田政府委員 御指摘のように、昨年度原子力発電所の平均的な稼働率、非常に低かったわけでございます。四二%前後、時間稼働率でいいましても四七%前後でございます。実は五十一年度は少しよくて、五十年度はまた五十二年度同様、ちょっといいのですけれども低かったわけでございまして、毎年コンスタントに低下しているわけではございませんが、五十二年度はまことに残念な状況だったわけでございます。  その原因でございますけれども原子力発電所は一年動かしますととめまして、スケジュールとしては、三、四カ月をかけて各部の点検をいたします。何分パーツがたくさんございます。そういった点検の過程で、たとえば配管のひび割れを見つけたとかあるいは蒸気発生器の細管に漏洩があったとか、そういったようなトラブルあるいは故障または故障に発展しそうな故障のもとが発見されますと早速手直しをするわけでございます。実は放射線下作業だものでございますので、その処理にかなりの長期間を要しまして、三、四カ月の予定が長いものでは一年もかかってしまったというようなことがあったわけでございます。一方、いい発電所はかなりいい稼働率で動いている例もございますが、平均的には先ほどのようなトラブルの処理に時間のかかった発電所が数があったものでございますので、下がってしまったわけでございます。  さて、一方の対策と今後の見通しでございますけれども、私どもとしてはかなりな手入れをすでにいたしましたので、この昭和五十三年度には時間稼働率で六割を超し、たとえば六五多くらい、それから電気が出るという方の利用率で五五多を超すというふうな見通しを現在持っておりまして、これがその後もそういった調子で続いていき、目標としては七〇、これはやや希望が入りますけれども、そういうところまでできるだけ持っていきたいなというふうに考えておるところであります。その裏づけになります対策は、すでにトラブルの発見され、あるいは故障のもとになるようなものにつきましての手直しというのをかなりやっておりますが、これがまだ少し残っておりますので、それをさらに継続して続けるのが一つでございます。一方、信頼性の向上のために必要なことなのでございますが、原子力機器等の品質管理体制、これはつくるところから組み立てるところまで全部入るわけでございますが、そういった品質管理体制の強化というのを行います。それからさらに、現在改良標準化という仕事を推進しておりまして、現在途中段階でございますが、こういったことをあわせ推進いたしまして、稼働率の向上に努めていきたいというふうに考え、それぞれの分担に応じて努力しているところでございます。
  27. 近江巳記夫

    ○近江委員 この稼働率なり利用率を高めるということのみにウエートがかかってきますと、これはまた非常に整備の問題等におきまして大きな穴があきますと大変な重大事故につながるわけでございますので、この点は十分留意をしていただきたいと思います。     〔委員長退席、大石委員長代理着席〕 また、こうしたいわゆる率の低下自体、努力をなさることは当然といたしまして、実証炉ということで、これはもう完全に技術的にも評価されるものであるという答弁をよく政府はなさっておりますけれども、まだまだ基本的に問題が山積しておるのじゃないかという大きな疑問と不安を感じるわけであります。そのことをまず申し上げておきたいと思います。  次にお伺いしたいと思いますのは、現在稼働中の原発におきます使用済み燃料の貯蔵量、また貯蔵の方法はどのようになさっているか、また貯蔵余力はどのようになっておるか、これは各発電所別にもしおわかりでしたら、データ等ございましたらいただきたいと思うのですが、ございますか。
  28. 山野正登

    山野政府委員 ただいま運転中の原子力発電所は十五基あるわけでございますが、この十五基の原子力発電所の使用済み燃料貯蔵量というのは、五十三年三月末現在でございますが、約三百六十トンになっております。このうち軽水炉関係が十四基ございまして、三百二十トン、それから東海ガス炉が一基で四十トンというのがその内訳でございます。
  29. 近江巳記夫

    ○近江委員 貯蔵余力はどういうふうになっていますか。
  30. 山野正登

    山野政府委員 貯蔵のプールの容量でございますが、加圧水型の炉におきましては約三分の八炉心相当分、それから沸騰水型の炉につきましては約四分の六炉心相当分がその容量になっておるわけでございますけれども、現在、先ほど申し上げました軽水炉関係十四基の全貯蔵容量の合計と申しますのは約千九百七十三トンということになっております。
  31. 近江巳記夫

    ○近江委員 いまイギリス、フランスに対して委託をなさっているわけでございますが、現在どういう状況になっておるか、また今後の見通し等につきまして要点をお答えいただきたいと思います。
  32. 山野正登

    山野政府委員 ただいま海外に委託しておりますものは、過去に契約しましたものが概数にしまして約千八百トンばかりあるわけでございますが、これに加えまして、昨年の九月でございましたかフランスのCOGEMA社と千六百トンの再処理委託契約をいたしまして、さらに、同量の委託契約を恐らくは今月中に電力会社と英国のBNFLとの間に締結するという運びになろうかと考えております。
  33. 近江巳記夫

    ○近江委員 英国と契約なさろうとなさっておる量は、大体どのくらいになっておりますか。
  34. 山野正登

    山野政府委員 同量と申し上げて非常にあいまいでございましたが、フランスと同量の千六百トンでございます。
  35. 近江巳記夫

    ○近江委員 それでこの法案を提出なさって、民間処理をしていこうということでございますが、いまこの再処理をめぐります国際情勢というものが非常に流動化いたしておるわけでございます。そういう中で本法案を提出されてきた、そのことの意味についてお答えいただきたいと思います。
  36. 山野正登

    山野政府委員 核燃料サイクルをめぐりましては、御指摘のようにただいま国際的に核燃料サイクル評価計画というものが進んでおりますし、またアメリカが核不拡散法というものを制定いたしまして、今後関係国に原子力協定の改定等を求めてくるといったふうなことも予想されるわけでございまして、おっしゃいますように国際的に核燃料サイクル問題というのは相当流動的な要素があることは否み得ないところでございます。  しかしながら、わが国が今後エネルギー政策上、当面の石油代替エネルギー源としまして原子力平和利用を進めますためには、どうしてもウラン資源の有効利用、有効活用ということは不可欠の要件でございますので、先ほど申し上げますように、現在のところは海外に使用済み燃料の再処理をお願いしまして急場をしのぐという方法に頼っておりますけれども、将来はぜひ国内に核燃料サイクル、特にそのかなめでございます再処理事業というものを確立しまして、天然ウランそのものは海外から入れますけれども、その後は国内でサイクルをしまして有効利用ができるように、そういう道を開いていきたいというのがわが国原子力平和利用の基本方針でございます。  したがいまして、確かにINFCE等国際的ないろいろな絡みはございますけれども、そうかといってわが国原子力平和利用の基本方針というものを簡単に曲げ得るものではないわけでございますので、むしろわが国の確固たるそういう不動の基本方針というものをINFCEの場あるいは二国間交渉の場等におきまして十分に相手の国々に理解していただきまして、わが国が今後とも原子力平和利用を円満、円滑に進め得るように諸外国の理解と協力を求める、そういうふうな方向で進むべきであると考えておるわけでございます。  今後再処理事業国内に確立しますためには、これまで行いました調査によりますと相当長いリードタイムというものが必要なわけでございますので、ただいま申し上げましたような考え方に従い、かつ海外に委託しておりますものにできるだけ早くわが国の自声的な工場が仕事が引き継ぎ得るように、ただいまからその準備作業を始める必要があるというふうに考えているわけでございまして、そういう意味で今般規制法の一部改正ということをお願いしておるわけでございます。
  37. 近江巳記夫

    ○近江委員 INFCEに臨むわが国の態度につきましていまお答えがあったわけです。そこで、先ほど私が申し上げましたように、国際情勢が非常に流動化いたしておるわけでございますが、特に米国の問題ですね、核不拡散法が成立した。そうなってきますと、同法成立によりますわが国への影響につきましてどのように受けとめておられるか、もう少し掘り下げてお伺いしたいと思います。
  38. 山野正登

    山野政府委員 米国の核不拡散法と申しますものは、これは非常に大きな目的の一つとしまして、米国から輸出します原子力関連資材につきましてその輸出の規制を強化しようということがございます。そのための措置といたしまして、米国から輸出しました核物質についてこれを再処理いたします際には事前に米国の同意を求めるように相手国に求めるということ、また米国から天然ウランを輸出して相手国が濃縮をするという場合にも米国の事前同意を求めるというふうにするとか、さらにまた高濃縮ウランあるいはプルトニウムの貯蔵につきましてもその貯蔵施設について米国の事前同意を求めるように義務づける、いろいろな規制の態様が織り込まれておるわけでございます。このうち現行の日米協定にもある条項、たとえば再処理についての事前同意といったふうなものは現行の協定にもあるわけでございますが、これについては当面それほど大きな影響はあるまい。と申しますのは、たとえば東海の再処理工場につきましては昨年の日米共同決定によりまして二年間の運転が認められておるわけでございまして、これは今回の核不拡散法におきましてもグランドファーザークローズということですでに適用免除といったふうな扱いになる問題になっておりますので、当面直ちに影響はないし、また協定改定になりましてももともと現協定にあった問題でもあるわけでございますが、これと違いまして新しく濃縮についての事前同意あるいはプルトニウム高濃縮ウランの貯蔵施設についての事前同意といったふうな問題、これは今後米国がわが国にいかように具体的に要求をしてくるかということによってわが国への影響というものがわかるわけでございまして、先般、米国からこの法案につきましてのごく概括的な説明ということを事務的にわが国に対して行った事例はありますが、まだまだ将来いかような形でわが国に協定改定交渉を申し入れてくるか不明の段階でございますので、いま直ちにその影響を具体的に御説明申し上げ得ないわけでございますが、しかしいずれにしましてもわが国原子力平和利用というものはこの米国の核不拡散法によって不当に損なわれないように、十分相手側にわが国の立場を主張してまいりたいというふうに考えております。
  39. 近江巳記夫

    ○近江委員 昨年の日米共同決定によりまして二年間、単体抽出方法によって運転するということになったわけでございますが、二年後ということになってきますと五十四年の九月ということになるわけですが、他の方法によってやれということになってまいりますと、たとえば混合抽出ということも予想されるわけでございますが、こうなった場合、影響をどういうふうに考えておられますか。
  40. 山野正登

    山野政府委員 動燃の東海再処理工場の三年目以降の運転方式につきましては、これは日米共同決定にうたわれておりますようにINFCEの検討の成果あるいはわが国におきます混合抽出法についての研究の成果といったふうなものから判断いたしまして、混合抽出法が技術的にも経済的にも有効に利用し得るというふうに日米両国が合意した場合には混合抽出法に切りかえようということになっておるわけでございまして、混合抽出法に将来切りかえてまいりますためには、そういうふうな前提条件がすべて満たされる必要があるわけでございます。来年の九月というのはそれほど長いリードタイムがあるわけでは決してないわけでございまして、その間、われわれもINFCEで技術的、制度的な代替案といったふうなものについての検討というのは関係国と協力して鋭意進めるわけでございますし、また国内における混合抽出法あるいはこれに関連しました共沈法の研究といったふうなものも進めるわけでございますが、そういう努力の結果にもかかわらず来年の九月以降、第三年次以降も混合抽出法は利用し得ないというふうな見通しになりました場合には、再度従来の、混合抽出法によらない単体抽出法による運転につきまして米国の理解を求めるための交渉というものも始めなければいかぬだろうと思っております。これも来年の秋を待つことなく、できるだけ早期に米国と接触を保ちながら随時情報を交換して、今回の二年間の運転に引き続きまして大きなブランクができないように配慮していきたいというふうに考えております。
  41. 近江巳記夫

    ○近江委員 この東海村の再処理工場運転状況、私たちも専門家ではありませんから余り細かいことはわかりませんけれども、しかし非常に初歩的なトラブルが続発しておるということを聞いておるわけでございますが、政府としてその点はどのように受けとめ、また動燃等に対してどういうような指導監督等をなさっておられるか、ひとつ要点をお答えいただきたいと思います。
  42. 牧村信之

    牧村政府委員 動燃の再処理工場がスタートいたしますに当たりまして、この安全性確保ということについてはきわめて慎重な態度で臨むように動燃事業団をして指導しておるわけでございますが、役所におきましてもその規制について万全を期する体制で臨んでおるわけでございます。  そこで、この工場運転するに当たりましては原子力委員会の中に核燃料安全専門審査会というのを設けております。これは専門部会の一つでございますが、ここで各ステージにおきましての安全の審査を万全を期しておるところでございます。ここで先生指摘の初歩的なトラブルが多発したということでございますが、まずホット試験を行います前に、工場ができ上がりまして通水試験あるいは化学薬品を入れた試験、それからコールドの天然ウランを用いた試験、この段階におきまして施設のいろいろな点におきまして水漏れであるとかというような機器のふぐあいというのが数多く発見されたことは事実でございます。それらのものをすべて改良しあるいは修理した上で去年の秋からホット試験に入ったわけでございます。  現在ホット試験を行っている最中でございますが、そのホット試験につきましても、最初は原子炉で余り燃えていない原研におきますJPDRの使用済み燃料を使い、その後発電炉のBWRの燃料を使い、それからさらに照射度の高いPWRの燃料を使うというような三段階のホット試験をすることにしておりまして、現在先ほど申し上げましたJPDRとBWRの燃料の試験という二段階が済んで、近くPWRの燃料を使用しての試験が始まる、それが終わりますとことしの夏ごろまでに総合試験をするということでホット試験が終了する予定でございます。  そこで、先ほど申しましたコールドテストにおきましては非常に多くのトラブル等が出て世間を騒がせたわけでございますが、ホット試験に入りましてからはそれほどのものが出ていないことも事実でございますし、トラブルといたしましては約七件ございますが、これも管理上のミスあるいは運転員がなお運転マニュアル等の訓練が不十分であったというような点等が主とした問題点でございまして、この聞こういう七つのトラブルが出ましたときに、それを地元あるいは報道機関等に遅滞なく連絡することを怠ったというようなものがありまして、トラブルをより大きくしたようなきみもございますけれども先生指摘のように管理上のミスあるいは非常に初歩的なミスが中心でございまして、約七件出ましたけれども、最近の第二ランのBWR等の試験に入りましてからはその件数も非常に減ってまいっております。     〔大石委員長代理退席、貝沼委員長代理着席〕 したがいまして、この調子で安全に十分注意しながら進めば、再処理工場の試験運転は十分に安全に済ませ得るものと考えておる次第でございます。そこで、この試験が済んだところで原子力委員会の核燃料安全専門審査会におきまして試験結果を再度安全評価いたしまして次のステップに進むというような体制で進めていきたい、かように考えておる段階でございます。
  43. 近江巳記夫

    ○近江委員 そうしたトラブルが七件発生したということをいまおっしゃっているわけですが、御報告によりますれば、管理あるいはまた技術者の訓練不足、そういう問題が非常に多いように思います。こういう点は動燃等に対して十分強力な指導をする必要があるのじゃないかと思います。そういう報告を聞きますと、われわれとしては非常に不安を覚えるわけです。わが国においては再処理技術はまだまだ確立をされておらない。そういう中で果たして民間にそういうものをやらしていっていいのか。非常に問題が多いのじゃないかと思うのです。素朴に言ってそういう不安は政府としてはお持ちじゃないですか。いかがですか。
  44. 山野正登

    山野政府委員 現在進めようといたしております再処理工場の使用技術と申しますのはいわゆるピューレックス法と呼ばれるものでございまして、これにつきましてはアメリカ、イギリス、フランス等においてすでに二十年以上の実績のある技術でございます。またわが国も、フランスからの技術導入ではございますが、すでにパイロットプラントを建設いたしまして、現在試運転をしておるわけでございまして、こういう建設とか運転経験という自分の身につけた技術というものも将来活用できるわけでございますので、これから準備段階に入りまして大体一九九〇年ごろを目標にした第二再処理工場というものは十分につくり得るだけの技術的なベースはすでにあるというふうに私どもは考えておるわけでございます。もちろんこれは技術のことでございますから、日進月歩をいたしますので、今後とも世界的な進歩の状況とにらみ合わせ、またわが国における自主的な研究成果も取り入れていく必要が当然あるわけでございますが、基本技術は確立されておるというのが私どもの考え方でございます。
  45. 近江巳記夫

    ○近江委員 基本技術は確立されているとおっしゃっているわけですが、原発同様まだわれわれとしては非常に大きな不安を持っておるということを申し上げておきたいと思います。  現在、電気事業連合会の中に再処理会社設立事務室、これは従来は濃縮・再処理準備会というものがあったようでございますが、そういうものを設けて検討作業が進められておるということを聞いておるわけですが、その構成メンバー、業務内容、あるいは第二再処理工場建設候補地点の選定等を行っているのかどうか。また、本法案がいま国会に提出されておるわけでございますが、民間検討、準備等をやっておられるのか、そういう状況についてお伺いしたいと思います。
  46. 山野正登

    山野政府委員 民間における第二再処理工場建設準備状況でございますが、昭和四十九年に電力業界が濃縮・再処理準備会というものを設けまして、この準備会が中心になって四十九年以来準備作業を進めておるわけでございますが、サイト関係技術関係等幅広い準備活動をいたしております。  まずサイト関係については、具体的な候補地点を選定しますための調査を実施いたしております。これは現在時点においてはあくまでも地図上における調査でございまして、まだまだ現地に赴いて調査をするという段階までには至っておりませんが、日本全域にわたって候補地点の選定評価といったふうなことを進めております。  それから技術についても、動燃の再処理工場で得られました経験とか技術を今後最大限に活用するわけでございますが、これにあわせまして海外の最新技術といったふうなものについてもいろいろの調査をしておるということでございます。  それで、こういった活動をいたしておりました準備会がことしの四月に発展的に解消をいたしまして、電気事業連合会の中に再処理会社設立事務室が設立されまして、濃縮・再処理準備会の仕事を引き継いでおるわけでございますが、現在この再処理会社設立事務室はまだまだ小さな世帯でございまして、事務室長以下数名の者をもって構成されておるという現状でございます。ただいま御審議をお願いしております法案の成立を待ちましてこの設立事務室をさらに発展させまして、今後用地の調査あるいは新会社の設立準備作業といったふうなものに取り組んでまいることになろうと考えております。
  47. 近江巳記夫

    ○近江委員 候補地の問題等については地図上の調査等をいままでやってきたのだとおっしゃっておるわけですが、いままでのそういう電気事業連合会の動き等からしまして、実際に地図の上だけの調査であるということですか、もう一度お聞きしますが……。     〔貝沼委員長代理退席、小沢(一)委員長代理着席〕
  48. 山野正登

    山野政府委員 従来は図面上における調査のみでございます。もちろん今後はその中の有望地点について現地における調査というものを進めていくことは当然のことだと考えております。
  49. 近江巳記夫

    ○近江委員 私がそれを再度政府に確認をしたということは非常に意味があるのですよ。私はいま原子力行政の基本的な今日までの反省ということを聞いたわけですが、そういう点については実施のそうした事業団なり原発会社なりとよく連携をとって、技術の問題等についても今後はすべてよく相談して同じ態勢で前進をしなければならぬというお話もあったわけでございますが、先ほどの答弁で、いわゆる地図上だけの調査であるということを重ねておっしゃっておるのですね。私はここに重大な「MA−T計画調査」というのを入手しているのです。これは徳之島の調査ですけれども、七十四ページにまたがる設計書みたいなものです。政府は地図上だけだ、そういう報告を聞いているとおっしゃるのですが、「MA−T計画調査 昭和五十年三月財団法人日本工業立地センター」、これは第二再処理工場の詳細な計画ですよ。いままで政府は全くつんぼさじきに置かれているのですか。これはどういうことなんでしょうか。
  50. 山野正登

    山野政府委員 工業立地センターの調査につきましては、五十年当時だったか五十一年だったか記憶はちょっと判然としませんが、私も新聞で拝見しましたが、これはあくまでも濃縮・再処理準備会の活動ではないというふうに私は考えております。
  51. 近江巳記夫

    ○近江委員 再処理のためじゃないということをあなたおっしゃっていますが、これは再処理工場のいわゆる測量から何から全部やっているのですよ。前書きを見ましても、「本調査は、奄美群島第二の徳之島における使用済核燃料再処理工場の適地性を調査したものであるが、単に企業サイドから適地を選定するのではなく、地域住民の利益付与に留意して、再処理工場の徳之島における位置づけを検討するとともに、地域の所得、文化水準の向上、工場従業員と地域住民の融和の場の在り方等を含めた再処理工場の立地手法について検討したものである。とかく核アレルギーの著しいわが国において再処理工場建設することには、この実現の過程で多くの問題が生じることも考えられるが、原子力が、わが国の今後の有力なエネルギー源の地位を占めるであろうことは疑問の余地がなく、またそれに必要な核燃料の需給体制の安定をはかるための再処理工場建設は不可欠の条件ということができよう。以上の事情に鑑み、本報告書が再処理工場建設推進の踏台として役立つことを期待するところである。」  工場の規模はどうなるか、これを一遍ごらんになってください。原発であろうが何であろうが原子力施設なら何でもいいという計画と違うのですよ。再処理工場としてこれだけの計画ができているのですよ。政府がそういういわゆるつんぼさじきで知らないというところにこれは非常に問題があると私は思うのです。こういうことになってきますと、ますます不安というものが高まってくるわけですよ。政府の何も知らないところでどんどん物事が進んでいる。だから、いわゆる公開の原則だ、いや何だといろいろ言っておりましても、結局それじゃ不都合なことは全部隠しておるのと違うか、国民は皆こう思うのですよ。本当にこれを見たことないのですか。お見せしましょう。委員長、いいですか。大臣ちょっと……。
  52. 山野正登

    山野政府委員 御指摘の調査書につきましては、先ほど来申し上げておりますように濃縮・再処理準備会がやったものだとは考えませんし、また電力会社等がやったものだとも考えておりませんが、私の記憶が正しければ、恐らくはその地域住民の代表の方々等が中心になって工業立地センターの方に依頼されてやられたものだというふうに考えておりますが、これは私自身、その報告書の内容というのは一度も拝見したことはございません。
  53. 近江巳記夫

    ○近江委員 だから、少なくともそういう動き等につきましては政府がやはりよく報告をおとりになる、そういう盲目であるということ自体が私は非常に問題だと思うのです。大臣、どう思いますか。
  54. 熊谷太三郎

    熊谷国務大臣 私も細かいことは余りよくわかりませんが、このお話のありました件については、電事連が直接に調査研究をしているところではない、こういうふうなことかと存じますが、本当に先生のおっしゃるように何から何まで、できれば全部キャッチしておいだ方がいいのではないか、このことはごもっともであると考えます。
  55. 近江巳記夫

    ○近江委員 いま大臣が御答弁になったように、少なくとも政府はそれだけの優秀な皆さんがいらっしゃるのだし、機関があるのですから、常にそういういろいろな事業主体のところともコミュニケーションを図っておられるわけなんですから、そういうことを知らないという、こういうことが大変国民不信感というものを高めるのですよ。そうするともう、政府の答弁なんていいかげんなことばっかり言っている、その場だけの答弁にすぎないのじゃないか、こういうことになってくるのですよ。私は常にそのことを皆さん方に申し上げたい。  それからあくまで調査計画ですから今後どうなるかわかりません、法律自体がまだ通ってもおらないわけですから。いずれにしろ、私が特に言いたいのは、何回も言いますが、政府はもっとしっかりしていろいろなことをよくキャッチして——これだけ国民が注目しておる原子力問題なんですよ。こういう点は本当に心から反省してもらわないと困りますね、そう頼りないことでは。よろしゅうございますか。もう一度大臣お答えください。
  56. 熊谷太三郎

    熊谷国務大臣 いまお話のありました種類の資料等につきましては、できるだけひとつ入手しまして検討するようにいたしたい、このように考えます。
  57. 近江巳記夫

    ○近江委員 これはあくまで調査研究段階ですから、もっと具体的になってくればまたやっていきたいと思います。次に進んでいきたいと思います。  民間に再処理事業をやらせることに伴ういわゆる安全確保のあり方の問題でございます。プルトニウムを抽出の際のいわゆる核不拡散のための対策について心配はないか。それからまた問題になっておりますこの核ジャックの防止体制、これについてはどのようにお考えか、この二点についてお伺いしたいと思います。
  58. 牧村信之

    牧村政府委員 再処理工場安全性、特に核不拡散に対する考え方、核ジャック防止に対する考え方につきましてお答え申し上げます。  再処理工場の安全の規制は当然国が原子炉規制法に基づいて厳重に行う所存でございますが、これが国営のたとえば動燃事業団と民営の会社ができて行われるというときに当たりまして、本質的に異なるような規制が行われるべきものではないと考えております。現在の法律におきましては、動燃事業団という国の監督下にある法人にのみ行わしめる体制になっておるわけでございます。私ども法律に基づきまして行う規制と、それから先ほどもお答え申し上げましたが国の持っておる監督権、それを加味いたしまして、現在、再処理工場規制を行っておるわけでございます。それに加えまして原子力委員会の安全専門審査会の審議の御意見をいただきつつ、この二つの規制法並びに監督権をもって現在やっておるわけでございます。  しかしながら、この法律をお認めいただきまして民営の工場が動くということになりますと、現在の規制法では不十分でございます。したがいまして、その民営化に備えまして規制体制を整備いたしたいというふうに考えておるわけでございます。  そこで今度の改正におきましては、この民間が行う再処理工場の実施者は、通常の原子力発電のようにその資格を持っておればどこにも許可するというような方法でやるつもりはございませんで、特定の資格を備えた者を指定してやらしめるということ、それから規制の方法につきましても、設計から建設運転の各段階におきましても、必要な十分な規制を行い得るように法律改正をお願いしておる次第でございます。  それから核不拡散並びに核ジャックの防止等の安全面でございますけれども、これにつきましてはすでに先生も御存じと思いますけれども、NPTに加盟いたしました際に、規制法の改正国内法の手当てとして行わさせていただいておりますので、これは主としてIAEAの査察あるいは国内の査察体制というものにつきましての改正が先国会でお認めいただきまして、それの拡充強化と、その法律にのっとりまして十分な規制を行うという体制で臨んでまいりたいと考えております。  それから、近時核ジャックに対しましてのいろいろな問題が指摘されておるわけでございまして、この核ジャック等の問題に対しまして再処理工場というのは非常に大きな地位を占めた施設であろうかと思いますので、現在動燃の再処理工場につきましても、国際機関等で定め、勧告を受けておりますPP対策上のレベルのものはすでに私どもとしては確保させて十分な体制をしいておるところでございますけれども、なお国内あるいは国外の最近の情勢から、それを強化することにつきましていま関係機関と鋭意検討を進め、成案を得たものにつきましては逐次実施せしめるというふうな体制をとりたいと考えております。したがいまして、民間の再処理工場がこれから先でき上がりますのは十数年先でございますけれども、このようなものを踏まえまして十分な措置をとってまいることができると思いますし、とってまいらなければならない、かように考えておる次第でございます。
  59. 近江巳記夫

    ○近江委員 十分そうした万全の体制を考えていく必要があろうかと思います。  それから高レベルの放射性廃棄物の処理、処分の問題でございますが、再処理をするということになってきますと、そういう高レベルの廃棄物というものが出てくるわけです。これはいま世界的にも非常に問題になっておるわけですが、現在の技術レベルで本当にこの処理ができるのかどうか、今後の研究開発のスケジュールについてはどのようになっておるのか、この二点についてお伺いしたいと思います。
  60. 山野正登

    山野政府委員 高レベルの放射性廃棄物の処理、処分につきましては、これは現在まだ研究開発段階にあるわけでございまして、原子力委員会が決定しました方針に基づきまして所要研究開発を進めておるわけでございますが、基本的にはこの高レベル廃棄物を安定した形に固めまして、これを一次貯蔵した後に最終処分をするという方向で考えておるわけでございまして、そういうパターンで処理、処分をすべく、今後処理につきましては十年程度で実証試験を行い、処分につきましては数年間のうちに方向づけをいたしまして、昭和六十年代から実証試験を行うということを考えておるわけでございます。  フランス、西独、わが国と同じように再処理事業を進めていこうとしておる国につきましても、ほぼ同じ考えに沿って高レベル廃棄物の処理、処分というものを考えておるわけでございまして、固化処理につきましては大体においてガラス固化という方向で研究開発が進められておりまして、フランス等はわが国よりも相当先を走っておるわけでございますが、できるだけ今後の再処理事業にそごを来さないように鋭意開発を進めたいというふうに考えております。
  61. 近江巳記夫

    ○近江委員 こういう点におきましても、まだまだ問題が解決されておらぬわけですね。そういう中で進めていこうとなさっておられる点については大きな問題があろうかと思います。  最近、米下院政府活動委員会は核燃料に関する勧告案を採択しておりますが、これはどういった内容であるか、またわが国政府の考え及びこの対応というものについてお伺いしたいと思います。
  62. 牧村信之

    牧村政府委員 大変答弁がおくれて申しわけございませんが、先生指摘の件は、米下院におけるブルックス委員会が、原子力発電所の許可をこの廃棄物処理等が完全に保証され、安全な処分が保証されるまでは進めないという趣旨のあれかと存じますが、これにつきましては現在外務省等を通じましてこの詳細をとって、わが国への影響等につきまして、アメリカの考え方あるいはそれがどう日本影響するかということにつきまして検討をいたしたい、かように考えております。
  63. 近江巳記夫

    ○近江委員 この勧告書は重大な意味を持っているわけですよ。米下院政府活動委員会、いま局長おっしゃったようにブルックス委員長ですね。今月一日です。使用済み核燃料の確実な処分方法が確立されるまでは政府はこれ以上原子力発電所の許可を行うべきではない、そういう勧告書を採択しているのですね。一方、米内務省の地質調査局ラドリンスキー局長代行も同日報告書を発表して、その中で、大量の放射性物質の安全な処分を保証することは永久に不可能かもしれない、このように警告しているわけです。現在ではもう恒久安全策はない。議会のいわゆる勧告の採択あるいは政府報告、この核燃料の始末をめぐって警告が相次いでおるわけです。こういう重大なことを、先ほど私は知らない間にこういう調査が行われておるという指摘をしたが、少なくとも日米間というものは、総理も行かれて、帰ってきて、きのう本会議でもいろいろな質疑応答があったわけです。日米間というものは最も緊密にしなければならぬ。一日に発表している、それを科学技術庁や通産省は全然報告も受けていない。総理が言っていることと全然違うじゃないですか。こういう重大なことをあなた方は真っ先に連携をとり、わが国政府としてはどう対応すべきなのか。そういうずさんなことでどうしますか。これだけ国民に心配をかけている行政でしょう。日米間が緊密にいかなければならぬ——何も緊密なことをやっていないじゃないですか。どうなんですか。これは、大臣答弁してください。
  64. 熊谷太三郎

    熊谷国務大臣 いろいろのお話でございますが、やっていないわけではありませんが、今度の訪米には間に合っていないということにあるいは相なるかもしれませんが、事の性質上よほど慎重に検討しなければなりませんので、まだそこに至っていない。決してやらないわけでもないし、やるつもりがないわけでもありませんので、もちろん今後十分慎重に調査いたしまして、またそれに対するいろいろな方針を立ててまいりたい、このように考えております。
  65. 牧村信之

    牧村政府委員 大臣が御答弁したとおりでございますが、現在の廃棄物処理に対する安全につきましてちょっと補足させていただきたいと思います。  確かに、先ほど原子力局長が答弁申し上げましたように、最終処分につきましては、これから十年間程度研究開発をいたしまして、最終的な処理、処分の方法を確立した上で、安全性を確認した上で処分しようという研究開発を鋭意進めておるところでございますけれども、現在の再処理工場につきましては、その技術が完成するまでは、再処理工場から出てまいります高レベルの廃棄物は工学的に安全に貯蔵するという方法で、その貯蔵ということで対処しておるわけでございまして、この貯蔵につきましては十分安全性の審査等もいたしております。また今後も必要があればこの貯蔵の研究開発も万全を期する所存でございますので、現在の核燃料開発事業団の再処理工場安全性、これの外部に対する放射線の影響ということは万全をもってやり得るものと確信しておるわけでございます。
  66. 近江巳記夫

    ○近江委員 下院の政府活動委員会がこれだけの採択をして勧告をしておるわけですね。これは米政府にとりましても衝撃的な勧告だと私は思うのですよ。これに対してアメリカ原子力委員会、政府は、どういうように議会が採択をした勧告に対応するのですか。わが国政府としてもこれは重大な問題でしょう。この辺の政治的な連携なくして皆さん方はどうやって原子力行政をやっていくのですか。余りにもずさん過ぎますよ。ぬるま湯の中につかり過ぎですよ。もっと敏感に反応すべきじゃないですか。採択した勧告の本文なり何なりをアメリカから取り寄せましたか。また向こうの政府の対応の仕方等についてどういう考えを持っているかということを米政府に聞きましたか。
  67. 牧村信之

    牧村政府委員 新聞にも書いてございますように、この勧告が当面政府を拘束するものではないと言われておるわけでございますが、これはいままでに在京の大使館等を通じ、あるいは外務省等を通じてこれからいろいろ詳細を調べてもらうようにすでに手配しておるわけでございますので、その辺も含めまして早急に調査をしたい、かように考えておるわけでございまして、大臣もその点を御答弁いただいたと思っております。
  68. 近江巳記夫

    ○近江委員 政府で本文なりをおとりになれば、ぜひ資料として提出をしていただきたいと思うのです。  これは議会といわゆる行政との関係ですから、それは何も勧告があったからといってすぐに結果は出ないかもわかりませんよ。しかし、これは大変な勧告なんですよ、議会で採択をしておるのですから。そういう大事なことを、非常にゆっくりしておる。国民の皆さんがたとえば原発の設置場所等についていろいろな問題の提起もしてくる、また言っているなというような感覚で、一〇〇%そうとは言いませんけれども、皆さん方はもうそういう点は非常に不感症みたいになってきておる。すべて原子力行政というものについては、何となしに国民の不安なりそういうものを敏感に感じ取って、そして誠心誠意安全性向上のためにやっていこう、そういうような問題、そういうことにつきましても非常に純感になってきておる。だから、こういう重大な、議会でも採択されているものは、とる気ならばその日にだってとれるはずじゃないですか。たとえば電話送稿でもさして、テープに吹き込んで直せばいいじゃないですか。そういう敏感さがない。そういうことばかりやっているから、国民の信頼、納得、協力というものが得られないのですよ。どう思いますか、大臣
  69. 熊谷太三郎

    熊谷国務大臣 大変敏感さがない、あるいは、お言葉を十分お聞き取りできませんでしたが、鈍感でないかとか、あるいは不感症になり過ぎているんじゃないかというふうなお言葉がありましたが、その御趣旨は十分了承いたしますが、やはり言いわけをするわけではありませんが、そのような提言に対しましては、ただ提言の文書だけを——これは新聞を読みましても一応出るわけでございますから、それはそれといたしまして、やはりそれに対するさしあたっての反響でありますとか、あるいはそれに対する米政府の態度でありますとか、そういうこともあわせて入手いたしまして慎重に検討しなければならぬ。むしろそういう本文だけではなしに、いろいろな関係筋のそれに対する反響といいますか、態度というものを集めて検討しなければならぬということでおくれているものと思っております。  それからもう一つ原子力行政に対して非常に国民の理解や納得が得られないとおっしゃることは、これもわれわれが常に反省いたしておるところであります。一生懸命、政府全体を挙げまして理解や納得がいくように努めておりますが、なおその努力が十分実を結んでいないことは率直に認める次第であります。  いま時間がありませんから具体的なことは申し上げませんが、いろいろお話のありました御意見につきまして、われわれが考えなければならぬ点はさらに一層思いを新たにいたしまして考えまして、何とかして少しでも御発言の趣旨にありましたように、そういう御理解や納得がより進むように努力してまいりたい、このように考えているわけでございます。
  70. 近江巳記夫

    ○近江委員 それは大いに敏感になって、本当に努力してもらわないと、あれもやっています。これもやっています。そんなことを言っていたって、まあ同じような感覚でやっておって、そんなことで国民が本当に安心できるかと、正直申し上げてそういう気持ちですよ。  私は何点かいろいろな問題を具体的に指摘したわけでありますけれども、この再処理に伴う技術的な未熟性、あるいは激動しておりますそういう国際情勢等から見まして、わが国の場合、民間による第二処理工場建設に着手するという問題につきましては、まだ時期尚早ではないかと言わざるを得ないと思うのです。これに対して政府の見解を問いたいと思います。
  71. 山野正登

    山野政府委員 ただいま考えておりますこの第二再処理工場の出現の時期と申しますのは、大体一九九〇年ごろを考えておるわけでございまして、これからまだ十数年間あるわけでございます。これはやはり敷地の選定作業から始めまして、設計、施工、運転開始に至るにはそれだけのリードタイムが要るということでございますので、できるだけ早く準備活動に入らなければならないという要請が一方にあるわけでございます。  それから技術的に見ますれば、先ほど申し上げましたように、諸外国における研究開発あるいはわが国における建設運転実績といったふうなものを踏まえ、かつ第二再処理工場の具体的な設計作業に入ります数年先までにはさらにこの東海工場運転経験も積まれるわけでございますので、そういったふうな成果を織り込んでこの第二再処理工場というものの建設運転に行くということは技術的に可能であるというふうに私どもは考えておるわけでございまして、むしろ現在の時点でかかる法制上の整備等もしまして諸準備をしませんと、いつまでたってもわが国の再処理というものは海外に依存するという形にならざるを得ないわけでございますので、ひいては核燃料サイクルの自主性も損なうということにもなりかねないわけでございますので、ぜひその辺を御理解いただきますようにお願い申し上げたいと考えております。
  72. 近江巳記夫

    ○近江委員 そんな可能性だけで、はい、そうですがと言うわけにいかぬですよ。そういう技術の未熟な中におきまして、それをはい、そうですかという、そんな安易なことでは国民の皆さんを納得させるわけにいかぬと思うのです。政府としては本当に、私が冒頭に申し上げたように安全性の問題を柱として、真剣な、腰を据えた原子力行政に対する取り組みがないと、いままでの技術の上にただ乗っかって何とか進めていけばいい、そういう甘い気持ちでこれからの原子力行政が進めていかれると思ったら大間違いです。重大な警告を発しておきます。  時間の関係で、次に移りたいと思います。  この間伊方原発の訴訟問題、判決がおりたわけですが、科学技術庁としてはどのように受けとめておられるのですか。
  73. 熊谷太三郎

    熊谷国務大臣 この問題につきましては、先般来参議院におきましても、また本院におきましてもたびたび御意見を承っておるところであります。あの判決におきまして一応政府としての主張が認められた点は、それなりに評価いたしておりますが、しかしそれは、そういう判決によって勝ったとか負けたとかというようなそういう甘い考えではありませんで、あれを謙虚に受けとめているわけでございます。そういたしまして、いろいろな点も反省いたしておりますが、われわれとして最も考えなければならぬことは、やはり住民の方々に一層の御理解と御納得を求めてまいりまして、そして願わくはそういういろんなトラブルがなるべく起きないようにということを念頭に置きまして、そしてああいう裁判に対するわれわれの反省あるいは検討の結論としたい、このように考えておるわけでございます。
  74. 近江巳記夫

    ○近江委員 この伊方原発のほか、福島第二原発、東海第二原発の二カ所につきましては、行政訴訟が起こされておるわけです。それから川内原発、柏崎・刈羽原発、この二カ所につきましては、行政不服審査法に基づく異議申し立てが出されております。また福井県におきましては、原発建設の可否は住民投票によるという条例の制定を請求する行政訴訟が起こされておるわけです。これらのほか、原発建設につきまして、準備中、計画中あるいは候補地に挙げられたところを含めまして、周辺住民及び漁業関係者などから反対運動が生じておる事例は非常に多いわけであります。原発の設置につきましてこれだけの紛争が起きておるというこの事実、政府はこれまで安全を軽視したとまでは極言はしませんけれども開発の方に非常に力がかかっておったということは事実だと思うのです。そういう開発を優先させてきた基本姿勢にその問題点、責任があるのじゃないか、私はこのように思うわけです。政府としましてはこの点についてどのように反省なさっておりますか。
  75. 熊谷太三郎

    熊谷国務大臣 お話しのように非常にたくさんのそういう事件なりあるいはこれに準ずるようなことが起きておりますことは、大変遺憾に思っているわけであります。政府としましては、今日までもそうでございましたし、今日以後におきまして一層そういう点を十分に反省の資といたしまして、いつも申し上げておりますように安全性第一、また安全性に対する国民方々の不安と疑念を極力少なくしてまいりまして、その理解と納得に努めてまいりたいと考えているわけであります。これは単に言葉で申し上げるだけではございませんので、いろいろ手を尽くし、工夫をいたしましてやってきておりますが、やはり現実にそれだけの結果があらわれておりますことは、これはやはり政府といたしましてもその無力といいますか、至らざるところを考えなければならぬと思っております。  また、こういう私どもの努めてまいりましたことが必ずしも少しも効果が上がってないというわけではありませんけれども、やはりそういうことはそういうことといたしまして、そういううまくない結果としてあらわれたことを取り上げてわれわれとしては今後の検討の資にしなければなりませんので、それは言葉どおり今後ともひとつ十分その趣旨を体しまして努力いたしたい、このように考えているわけでございます。
  76. 近江巳記夫

    ○近江委員 それでは具体的に聞きますが、その反省の上に立たれまして、これからの行政訴訟あるいは異議申し立て、反対運動等に対してどのように対処なさっていかれるのですか。
  77. 牧村信之

    牧村政府委員 行政訴訟等に対しましては、ただいま大臣からも御答弁したわけでございますが、私どもといたしましては、今回の伊方の裁判の詳細なる検討もまだ済んでおりませんけれども、その点を十分慎重に検討した上、当方としてなお対処しなければいけないことにつきましてはそれぞれ所要の点を十分検討した上で裁判に対処したいと思っております。  それからもう一点、反対運動等に対します対処でございますが、これは何といっても安全性に対しまして私どもの取り組み方がなお不十分の点があり、こういうようなことになったのを深く反省しておるわけでございますけれども、私どもの方の考え方もお聞きいただき、できるだけ今後は対話をできるような形をぜひ確立してまいりたいと考えておるわけでございます。幸い本院を通していただきました基本法の改正によりまして、安全委員会並びに規制の一貫化が図られることになるわけでございますが、これが参議院段階で法案が通りますと、その安全体制を踏まえまして特に地域住民方々との間の対話を確立するという意味で、今後はその発電所ができるごとにできるだけオープンな公聴会、公開ヒヤリングと申しますか、対話を含めた公開ヒヤリング等を開催する、あるいは原子炉のトラブル等あるいは従業者の被曝の量、そういうような問題あるいは環境に与えた放射線の量、こういうような問題につきましても十分全施設につきまして調査を厳重に行い、その結果を公表するというようなことも含めまして御理解を賜っていくというふうな施策を強力に進めてまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  78. 近江巳記夫

    ○近江委員 この伊方の原発裁判におきまして、国側は、原子炉規制法は、原子炉の設置者、すなわち電力会社等に設置の資格を与える趣旨の法律で、一般住民の被害を防止し救済することには法益は及ばない、したがって住民の原告適格に疑問があると主張したという発言が本科学技術特別委員会の参考人からなされているわけですが、国側が本当にそういうような主張をしたとすれば、それは私は大きな間違いだと思うのです。松山地裁の判決も、原子炉規制法は公共の安全とともに住民の権利、利益を保護する趣旨であるということを明示しているわけですね。これについては政府はどう思うかという点が一点です。  それから、原告に対して行政処分取り消し訴訟の原告適格が認められたということは、私は非常に注目したいと思うのです。今回の判決理由の中で、原発の周辺に居住する住民はいずれも原告適格を有すると明言されている。これに対して政府としてはどういう所見を持っているか。今後、いずれの場合でも政府は、原告や申し立て人に適格性があるという見解で、その前提のもとに対処すべきであると思うのですが、その点についてどういう決意をなさっているか。以上の点についてお伺いしたいと思います。     〔小沢(一)委員長代理退席、委員長着席〕
  79. 牧村信之

    牧村政府委員 ただいま先生から御指摘のございました原告適格の件でございますが、判決につきまして、私どもも謙虚に受けとめなくてはいけない問題だと考えております。  ただ、裁判におきましては、それぞれの原告側の主張がおのおの異なっておるわけでございます。たとえば、伊方の裁判の場合におきましても、この原告適格の問題をお互いに議論いたしたわけでございますけれども原子力発電一般に共通する漠然たる危惧、疑念に対して原告側は主張された、当方は、伊方においてはこうなんだということで主張をした、その結果、その原告適格の問題の疑義が生じてああいう論争になったことも事実でございます。その結果が先般の判決であったわけでございますので、この判決の中身を十分検討いたしまして、今後の裁判、福島であるとか東海の裁判につきましても、いままで原告適格の問題で議論を進めておるわけでございますけれども、それに対して今後の対処方針をこれから検討してまいりたいというふうに考えておる段階でございます。
  80. 近江巳記夫

    ○近江委員 まだペンディングの問題かもしれませんけれども、非常に聞く方としては足りない答弁だと思います。やはり少なくとも、謙虚に国はそういう問題につきましては受けとめて、そして主張すべきは主張していく。しかし、そういう気持ちがなければ、これは私は非常にまずいと思いますね。  先ほどの今後どう対処していくかという私の質問に対して、対話等を十分やっていきたい、あるいは調査結果等を公表していくというようなお話もあったわけですが、特に公聴会等の問題につきましては、それは非常にいろいろな問題があろうかと思いますけれども、スムーズにいっていないわけですね。公聴会のあり方、また中身の問題等につきましても、本当にやはり住民が納得できるようなやり方ということを考えていかなければいけないと思うのですね。その点についてはどのようにお考えですか。
  81. 熊谷太三郎

    熊谷国務大臣 裁判の結果につきまして謙虚に反省すると申し上げておりますことは、たとえ当方の主張が認められた点についても、もう認められたからこれでいいんだというふうな考え方ではなしに、まあ前々から検討はしておりましたが、さらにこの結果によりまして、そういういろいろなお申し立てになった——たとえ当方の主張が認められたといたしましても、先方の御主張についてはなお一応検討いたしまして、今後のいろいろ問題の進め方の資にしたい、こう思っておるわけであります。  それから、公聴会の問題でございますが、公聴会といいましても、単に公聴会ですべての住民の方々の納得がいくようにという——これはきわめて理想的な話でありまして、願わくは、その趣旨のとおりの公聴会が開かれますことを念じますけれども、しかし現実の地元の情勢というものは、あるいは多少御理解いただいているかもしれませんが、きわめて複雑であると考えているわけであります。同じ反対をされあるいは同じ疑念を表明される側におきましても、いろいろな種類が強いて言えばあるわけでございまして、率直に言えば、とにかく何でもかんでも何か一つ欠点をつかまえて、そうしてそれを攻撃の資にされようとする向きも、多くの例の中にはないではありません。しかし素朴に、純粋なお気持ちでいろいろお考えになって、これはどうも腑に落ちない、これは不安だというような向きもあるわけでございます。これは私が言葉で申し上げるだけではなしに、実際の現状がそういう現状でもあります。したがって、われわれとしましては、公聴会はもちろんやりますけれども、しかし、そういう皆様方の予備知識といいますか、そういう一般的な原子力発電所の安全性の諸問題に対する御認識をまた十分進めていただくように、いろいろな方策も講じなければならぬ。いろいろなそういう環境といいますか、地固めも一方においていたしまして、そしてなるべく正常な公聴会が開かれるように、いろいろな点から検討してそういう方向に向かって進んでまいりたいと思っているわけでございます。
  82. 近江巳記夫

    ○近江委員 住民が不安を感じて指摘することが攻撃である、やはりその辺の感覚が問題なんですよ。心配だから疑問点を聞くわけなんですから、政府は本当に自信を持っておるならば、的確にお答えになればいいじゃないですか。そういうことを避けようという気持ち自体が、あなた方にこそくなことがある。安全性等についてもまだ十分な自信がない。答弁できない。だから避けよう避けようという形で、そういう気持ちがあるから、公聴会だってスムーズにいかない。すべてあなた方に、政府にあるのです。原因は。何も指摘する住民が悪いような——別に悪いとははっきりおっしゃっていないけれども、非常に困るというようなニュアンスが漂っている。そういう考えはもう消しなさいよ。ですから、本当に住民の皆さんが納得する、そういうきちっとした体制を整備していく、これが一番大事だと思うのです。  それで、この公聴会等のやり方につきましては、いままで私も何回も論議してまいりましたけれども、大型化の場合であるとか集中化の場合であるとか、こういう点につきましては、各原子力施設全部について公聴会をやればどうかということを私が提案したときに、十分検討しますというお話でありましたが、その後検討しましたか。
  83. 牧村信之

    牧村政府委員 公聴会制度につきましては、原子力行政の体制検討いたします内閣に設けました原子力行政懇談会におきましてもいろいろ議論をいただきまして、その結論が政府側に示されております。そこの場でも指摘を受けておりますように、今後安全委員会ができまして行う公聴会というものは、従来原子力委員会が定めております一定の大型化のものとか等々の条件をつけておりましたけれども、今後はすべての発電炉につきまして公聴会を行うべきであるというふうな御意見をいただいておりますし、私どもといたしましては、新しい体制のもとで新設されるすべての原子炉についてぜひ公聴会を開いてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  84. 近江巳記夫

    ○近江委員 それは一歩前進で評価できると私は思います。いま局長が御答弁になったように、どうかひとつ今後各地におきましてきちっとした公聴会の運営をやっていただいて、そういう手続を踏んで進めていただきたい、これを特に要望いたしておきます。  それから、時間の関係もございますから最後に一点だけ聞いておきたいと思いますが、この伊方の原発裁判におきまして、裁判所の要請に対してさえ企業秘密を理由として資料の提出を拒んだということがあったということを聞いているのですが、事実であるかどうか。それを踏まえて、この原子力基本法の公開の原則に反する疑いがあるわけでございますが、今後は極力そういうような秘密主義を排除するように政府としては努力すべきだと私は思うのです。こういうことがまた非常に大きな問題の積み重ねになっていくと思うのですね。その基本的な姿勢につきましてお伺いしたいと思います。
  85. 熊谷太三郎

    熊谷国務大臣 御発言の趣旨に関しまして十分留意してまいります。
  86. 牧村信之

    牧村政府委員 伊方の裁判におきまして提出命令が出たわけでございますけれども先生御承知のように軽水炉は外国技術を導入して国産化等がされておるわけでございまして、商業機密に関するものにつきましてはやはりその権利は認めていかなくてはならないというようなことで、きわめて限られたものにつきましては提出をいたしておりません。そういう事実が確かにございました。  ただ、その後私どもといたしましては原子力委員会に諮りまして、そういう安全審査にかかわる資料は可能な限りすべて出すようにしてほしいということで電力会社あるいは電機メーカー等に指導しておりまして、どうしても出せないような商業機密については、それはやはり財産を守るという別の観点がございますので行われておりませんけれども、その数は最近におきましては非常に減ってきております。たとえば伊方の二号炉については、そういうような企業機密のために出せなかった資料は一点もございません。そのほか、最近設置の許可をいたしました柏崎あるいは川内等におきましても、きわめて少ない一件ないし二件というふうな部分的なところにつきましての企業機密で出していないものがあるというふうなことでございますので、ほとんどすべてのものが最近におきましては公表されておるという段階になってきております。  以上でございます。
  87. 近江巳記夫

    ○近江委員 時間がないから終わりますが、どうかひとつ公開の原則にのっとってさらに努力をしていただくよう強く要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  88. 岡本富夫

    岡本委員長 午後一時三十分再開することとし、この際休憩いたします。     午後零時五十四分休憩      ————◇—————     午後一時四十二分開議
  89. 岡本富夫

    岡本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  去る四月二十七日の決定に基づき、本日は参考人として、電気事業連合会副会長正親見一君及び動力炉・核燃料開発事業団理事長瀬川正男君の御出席を願っております。  参考人の方に申し上げますが、御意見は質疑応答の形で承りますので、さよう御承知願います。  質疑を続行いたします。与謝野馨君。
  90. 与謝野馨

    ○与謝野委員 現在懸案となっております再処理事業民間に門戸を開放しようというこの法案は、昨年の通常国会にも別の法案と一緒に提出をされましたが、これだけ切り離して廃案になったいきさつがございます。一年がかりの法案であるわけでございます。  そこで、科学技術庁としては、非常に大事な、必要な、緊急を要する法案と考えてこの法案に対して取り組まれておられるのか、その辺の御決意をまず政務次官にお伺いしたいわけであります。
  91. 上條勝久

    ○上條政府委員 参事官からお答えいたします。
  92. 児玉勝臣

    ○児玉説明員 お答えいたします。  ただいま先生からお話がありましたように、この法案は民間処理のための改正と核拡散防止条約に関連する問題とをあわせて昨年の国会に提出したわけでございますけれども、核不拡散条約に関連する問題につきまして十二月の初めまでにどうしても国内体制を整えなければならないという事情もございまして、民間処理の問題を除外いたしまして規制法の改正をしていただいたわけでございます。しかしながら、再処理民間の参加ということは、これからの日本の核燃料問題を考えましたときに非常に重要な問題でございますので、続けて今国会に御審議をお願いしておる次第でございます。  申すまでもございませんが、核燃料サイクルの第一のかなめと申しますのは、再処理事業、すなわち原子力発電の中でできますプルトニウムという非常に付加価値の高い核燃料物質をさらに次の発電事業に利用するということで、その意味で核燃料サイクルは非常に重要な問題でございます。特に資源の乏しい日本の国としては、核燃料サイクル国内での成立ということのためには、民間処理を成立させなければいけない。特に民間といたしましたのは、再処理技術というのがもうすでに二十年にわたる海外での経験を積んでおるということが一つ。それから、最近ホット試験をしておりますが、動燃の東海再処理工場における経験も、ことしの秋にはいよいよ本格運転ということに相なりまして、日本国内における経験もだんだん蓄積されてまいりました。そこで、昭和六十年において三千三百万キロワット、六十五年において六千万キロワットというように原子力発電が今後ふえてまいりますと、累計七千トンに及ぶ膨大な使用済み燃料が出てまいりますが、そういう再処理について、もうすでに技術的にある程度経験を積み実用化のめどのついたものについては、わが国としては民間にそれをやらせるということでもあるし、また、いつまでも現在動燃事業団でやっておりますような税金主体といいますか国の費用を主体とした経営形態ということでは国の財政の問題にも問題がございますので、民間を参加させまして、受益者負担の原則にも基づきましてこの再処理事業を行わしめる、そういうことで民間の再処理事業の参加というのは欠くことのできない問題であろうかと思います。
  93. 与謝野馨

    ○与謝野委員 きょうは外務省の方はお見えになっていないのですが、再処理の問題というのは実は非常に重要な国際政治の問題でありまして、国際関係を抜きにしては論じられない問題でございます。  そこで三点についてお伺いいたしますが、一つは、昭和五十二年に再処理に関する日米交渉がとりあえず二年間の問題としてまとまったわけでございます。それから、現在、INFCE、核燃料サイクルの再評価計画の中でもこの問題は取り上げられているわけでございますし、また、欧州の現状を見ますと、再処理に関しては米国と欧州がやや対立関係に入ってきたのではないかという感じがするわけであります。さらに、ウィンズケールの再処理工場の拡張に関しまして米国の国務省が横やりを入れたというニュースもありますし、また、フランスは米国とユーラトムとの協定の改定交渉を拒否したというニュースもございます。  これは通産省の山本原子力産業課長にお伺いしたいわけでございますが、日本民間原子力産業あるいは原子力発電を推進するという立場から、この三点について知っておられることをお伺いしたいわけでございます。特に再処理に関する日米交渉の際に、宇野長官と米国側との合意の中で、大きな動きはしないけれども法律改正、用地の取得、会社の設立等、こういう問題は日本側でアクションをとっていい、こういう合意になっていたはずでございますが、この辺につきまして、ひとつ政府としての御確認を願いたいと思うわけであります。
  94. 山本幸助

    ○山本説明員 お答え申し上げます。  まず第一点の、昨年の東海村の再処理工場をめぐる日米交渉の経緯でございますが、この交渉によりまして、御高承のとおり、二年間にわたりまして、動燃の工場につきましては試運転が認められるということになったわけでございます。その際に、次の段階でございます。ただいま問題になっております第二再処理工場についてどうするかということにつきましても、当然アメリカの方の交渉担当者の念頭にございまして、この点につきましては、私ども日本の政府としましては、第二再処理工場へのステップは非常に重要である、これはわが国原子力発電の推進にとって不可決であるということにつきましては、事情を繰り返し説明をいたしたわけでございます。その結果、先生指摘のとおり、先回の日米交渉の最終的な共同声明におきましては、新たなメジャームーブはとらないということになっておりますが、この中には、現在国会の御審議をお願いしております法律改正あるいは用地の選定、その他会社の設立準備というようなことにつきましては、これはそのメジャームーブには入らないということにつきまして、公式ないし非公式の形でもってアメリカ側の了解を得ているわけでございます。  第二点でございますが、INFCE、先生指摘の国際核燃料サイクル計画という国際的な核燃料サイクルにつきますいわばお勉強会が、二年間にわたる長期の計画のもとに進められております。この中におきまして、再処理問題につきましては、グループ四、第四分科会ということで非常に大きなテーマの一つとなっております。この第四グループにおきまして、現在再処理について一体どう持っていくか、この点につきましては、先生指摘のとおり、アメリカとしては再処理につきましては延期すべきであるという基本的なポジションをとっておりますが、日本及びヨーロッパは、そういうことでは今後の原子力開発に支障を来すということで、今後この点につきましては、相当ホットな議論がなされるということを考えております。私どもとしましては、今後世界のエネルギー事情から見まして、原子力開発の推進は不可欠である、しかもウラン資源の有効開発がきわめて重要であるという背景のもとに、私どもが主張しております再処理、高速増殖炉という路線は世界的な理解と同調を得るもの、そういう基本的な方針のもとに、現在INFCEのこの検討に臨んでおります。  それから第三番目でございますが、先生指摘の、イギリスのウィンズケールの再処理工場建設に関連しまして、アメリカ政府がこれに横やりを入れているというお話でございますが、これにつきましては、現実は、ウィンズケールの公聴会の際に、日本がこれに再処理委託をした場合に、それはオートマチックにアメリカは認めるのだというような内容の証言をイギリス側の担当者がしたということに対しまして、アメリカ側としては、そういうことはアメリカとしてはコミットしていないということについて、アメリカ側がその内容をクラリファイしたというのが実情のようでございますが、そのほかにアメリカ側としてイギリスに対して、ウィンズケールの再処理工場に対して、あるいは何らかの交渉ないし接触をしているかどうかということについては、私ども存じません。     〔委員長退席、貝沼委員長代理着席〕 しかしながら、御承知のとおり、昨年九月日本とフランスは、フランスのCOGEMA社との間で再処理の委託契約を結びましたけれども、イギリスにおきましては、ウィンズケールの公聴会の結果待ちということで、若干その建設の計画が、確定がおくれております。しかしながら、先般公聴会の結論も前向きということ、さらにそれに基づきます議会の承認も得られましたので、イギリスのウィンズケールの再処理工場の計画も順調に進むということになっているかと存じます。
  95. 与謝野馨

    ○与謝野委員 そこで、政府に特にお願いをしておきますが、再処理事業民間に開放するということは、これは日本原子力発電の将来にとりましても最重要の問題でありますけれども、同時に政府としてやはり国際問題、国際関係の中で、再処理の問題をきちんと解決するという姿勢がございませんと、日本法律を幾ら変えてもしようがないという話にもなりますので、その辺をしっかりした姿勢で取り組んでいただきたいと思うわけであります。  そこで、次は参考人にお伺いしたいわけでございますが、日本の電力会社は、ある一定の計画、それから将来の予想に基づいて原子力発電所の建設をやっておられるわけですが、再処理の需要というのは一体どういうふうに出てくるのか、その点について概略の数字で結構でございますので、将来、ここ十年か二十年にわたる再処理の需要、毎年のトン数をお伺いしたいわけであります。
  96. 正親見一

    ○正親参考人 お答え申し上げます。  御承知のとおり、わが国には現在十五基で八百七十八万キロの発電所が稼働しておりまして、これから出ます再処理所要量累積が約四百トンと相なっております。これは東海の一号を除いての話ですが、そういう使用済み燃料を排出いたしております。昭和六十五年度の目標が、先ほどお話がありましたが六千万キロワット、これに対しまして大体試算いたしますると八千トンを上回るもの、かように考えております。
  97. 与謝野馨

    ○与謝野委員 そこで、現在すでに何基か稼働しておりまして、実際に使用済み燃料が出てきているわけでございますが、動燃の再処理工場でやっておられる分、今後やられる分、それからフランスのCOGEMAあるいはイギリスの燃料公社等との契約分がございますが、現在の契約をそのままずっとやっていくとしまして、契約期間も切れる、あるいは契約のカバーしている量では日本から出てくる使用済み燃料の再処理は間に合わない、そういう時点というのは一体いつごろでございましょうか。
  98. 正親見一

    ○正親参考人 まず、使用済み燃料の再処理につきまして、各社とも、御承知のように、とりあえず動燃事業団の東海再処理工場へ再処理を委託しまして、これが大体年二百十トンぐらいの能力を持っております。これを超える分につきましては、ただいま先生の御指摘のとおりに、海外に委託をいたすわけでありまするが、現在のところ昭和六十五年までの海外委託量が大体決まっております。この内訳は、URGに対してすでに千五百トンの契約が終わり、さらにイギリスのBNFLあるいはフランスのCOGEMA、この双方で三千二百トンを契約ができるようになっておりまして、この海外分が全部で四千七百トン程度になります。これに東海村にお願いする二千三百トンを足しますと、大体七千トン程度が再処理見通しがつきまして、これは六十五年までということに相なっております。  したがいまして、私どもといたしましては、六十五年以降の核燃料サイクル国内自立のたてまえということから第二再処理工場の需要を自分でぜひ賄っていきたい、かように考えております。何とぞよろしくお願いいたします。
  99. 与謝野馨

    ○与謝野委員 そこで、大体昭和六十五年には海外との契約も切れる、あるいは再処理の需要が処理能力をオーバーする、そういう時点が六十五年としますと、いま参考人が御指摘になったように、六十五年前後と申しますか、六十五年から七十年ぐらいの間には少なくとも第二工場がないと日本原子力発電所というのはうまく動いていかない、こういうことですが、再処理工場というのは規模も非常に大きいですし、費用も大変かかる、一体だれがやるのか。民間に再処理事業の門戸を開放いたしましても、再処理事業という、資金も非常に長い間寝ますし、また収益も確かでない、そういう事業を一体だれがやるのかという問題があるわけでございます。お伺いしますと、電力各社とも再処理の問題に関しましては各社共通のコンセンサスというものができ上がりつつあって、いままでもいろいろな準備的な作業もやっておられるように聞いておりますが、正親参考人にお伺いしたいのは、そういう電力会社九社の、あるいは十社の第二再処理工場に対する意欲、姿勢、それからもう一つは現在まで行われてこられました準備作業、そういうものについて詳しくお伺いしたいと思うわけであります。
  100. 正親見一

    ○正親参考人 お答えいたします。  昨年原子力委員会の核燃料サイクル問題懇談会あるいは通産省の総合エネルギー調査会におきまして第二再処理工場民間で行うという答申をされておりまして、私どもといたしましては、この答申に対しましてわが国産業界全体の問題としてこれを取り上げまして、電力を中心としてエンジニアリングあるいは非鉄金属あるいは化学等、関係の業界が総力を集結してこの企業化に全力を傾注することといたしております。私どもとしましては、動燃事業団の東海再処理施設から得られました経験とその技術を最大限に活用させていただき、これを民間に企業化することは十分に可能だと考えておりますし、また、わが国原子力開発の推進上早期にこれを実施しなければならないと決意をいたしておる次第でございます。もとより再処理施設建設には多額の資金と長年月を要しまするほか、安全の確保の面あるいは国の御指導、御援助を賜りませんと容易でございませんので、何とぞこの上ともお力添えをお願いしたいと存じます。  なお、電力各社の足並みがそろっているか、あるいはその意欲はどうかということでございますが、現在各電力会社によりまして、多数の発電所を有して運転している会社と現在計画中の会社とございますが、これは先ほど来話がありましたように、従来のウラン精鉱の確保、さらには海外濃縮の委託という面で、各社ごとにあるいは各社共通の場として相携えまして今日まで既契約なり今後の計画をいたしておりますので、第二再処理工場につきましては六十五年ごろの完成を目途といたしまして、その必要性につきまして、またその実施につきまして各社間で何ら足並みの乱れはございませんし、意見は一致しております。  以上でございます。
  101. 与謝野馨

    ○与謝野委員 そこで瀬川参考人にお伺いしたいわけですが、昨年動燃の再処理工場が稼働し始めまして一年になっておりませんけれども、その稼働実績並びに御経験に照らしてどういう御感想を持っておられるか。  それともう一つは、再処理経済性の問題でございますけれどもアメリカはもう軽水炉の燃料は再処理しないで長期貯蔵をしておくんだ、こういう考え方のようでございますし、実際政府が料金を取って再処理をしないで使用済み燃料を預かる、こういうこともするように聞いております。当初日本原子力発電所を建設するときの経済性の計算というのは、トン当たりの再処理費が大体五百万ぐらいだろう、こういう話で始まったわけですが、実際には、いま一トン再処理しますと一億八千万とか二億円とかという膨大な金が要る、こういう現状でございます。  そこで瀬川参考人にお伺いしたいのは、動燃の再処理工場運転をされまして、その信頼性と申しますか、そういう運転経験の問題を一つお伺いしたいのと、再処理というのは経済的な問題として一体ペイする問題なのか、あるいは日本としてエネルギー確保、核燃料サイクルの確立という面から大事なのか、そういう二つの観点からこの問題をお伺いしたいわけであります。
  102. 瀬川正男

    ○瀬川参考人 初めに東海プラントの現状を申し上げますと、御承知のように昨年の九月に日米交渉が妥結しましてすぐ、余り日にちを置かずに原子力研究所のJPDR燃料を引き取りまして、これは三トンぐらいでございましたが、つまり余り燃焼度の上がっていない、軽く燃えた燃料から最初本番のテストにかかるという考え方で原研のJPDR燃料をまずホット試験をやりまして、続いてことしの三月までに東電さんの福島炉の使用済み燃料約五トンを処理いたしまして、近く関西電力さんの美浜炉の使用済み燃料を約六トンばかり、これは五、六月中に本番の処理をいたすつもりでございます。  こういう昨年の九月以来現在までの経過は、要するにそれ以前のウランだけによる試験、われわれはコールドテストと言っておりますが、いま申し上げたように、昨年の九月末から本番の使用済み燃料でホット試験をやっておるわけでございまして、いまのところこの本番のホット試験はほぼ順調に推移しておるというふうに申し上げていいかと思います。したがって、先ほどお話に出ましたように、ことしの秋にさらに燃焼度の高いものに引き続き移りまして、秋ごろから本格操業に入りたいというのが現状でございます。  ただ、いま申し上げましたように、私どもはいままでの本番のホットテストと言いながら燃焼度が低い方からだんだん試験をやっておりますので、決してうまくいったというふうに油断するのは禁物だというふうに考えております。  それではいままでの経過から見て、経験上どういう感じを持っておるかということでございますが、その前に第二工場民営につきましては、私どもの方といたしましては、いま申し上げたような東海プラントの本格的運転をこなしていくとか、諸般の技術開発をやっていくというようなことで、東海発電所の安定確立をまず第一の仕事にして考えますと、第二工場の準備というようなことは私ども動燃事業団としては、ちょっと余裕が見出せないと思いますので、そういう意味におきまして、この際民営という道を開いておいて、それによって、電気事業なり化学工業、重電機工業、そういう全産業界の協力を得る道をこの際開いておいた方が私はよいのではないかというふうに考えております。私ども自身、この東海プラントを建設する過程から試験運転に至る経過におきまして、実は日本の化学工業界にもずいぶんと参加を呼びかけ、また運転要員の派遣等もずいぶんお願いしましたが、何分にもいままでの原子力界の状況といたしましては、そういう化学工業界等の核燃料サイクル分野に対する関心というものは、私はきわめて低調であったというふうに考えておりまして、私どもも人を集めるのにずいぶんと苦労をした覚えがありますので、この際民営の道を開いて、そういうふうに全産業界の協力を要請するという方向は妥当ではないかと思うわけでございます。  ただ、経験上から意見をつけ加えますと、要するに再処理技術というものは、非常に高度の化学、工学、それに非常に高いレベルの放射能処理技術をつけ加えたものでありまして、そういうものはどういうことかといいますと、いろいろトラブルが発生したときに手直しをするとか、あるいはこういうところを改善したいというときに、非常に困難な作業になる。普通の化学工業のように、手を入れてネジを締め直すなんというようなことは簡単にはできないことでございまして、まず放射能を取り除くという作業だけでも一カ月、二カ月はすぐ飛んでしまうというような技術でございます。また私どもは、実際には東海プラントの建設昭和四十九年の終わりに終わりまして、五十年から試験に取りかかったわけでございますが、ウランだけによるコールドテスト、並びにさっき申し上げた燃焼度の低い使用済み燃料のホットテスト、これを加えますと、約三年間試験をしておる。少し長過ぎたのじゃないかと思いますが、入念に入念にというようなことで、かなり試験運転に時間をかけた。その三年間の試験期間中に、大小取りまぜて約百カ所くらい手直しをしております。したがって、私どもはこの手直しの際にいろいろな工夫をいたしまして、改善、改良を加えましたので、当初の設計とはかなり姿の変わったものになっておると思うわけでございまして、十年前に設計したやつだから古いんじゃないかというふうに考えるのは、必ずしも妥当でないと思いますが、つまり、最近の世界じゅうの傾向等もある程度取り入れて手直しをするついでに改良を加えたというようなことが申し上げられるかと思います。したがって、再処理技術におきましては、いま申し上げた手直しとかあるいはトラブル発生のときの処理対策、そういう経験というものは、再処理の場合にはノーハウ的なものであるというふうに私は考える次第であります。事実、各国とも再処理工場におけるトラブルというものは余り詳細には発表しませんし、またそれの処理経過、対策等についてほとんど情報交換は行われないという傾向が見られますので、私はそういう意味におきまして、民営第二工場建設におきましては、第一工場のそういう経験というものを十分に生かしていただけるように、どうか各方面の御配慮をお願いしたいというふうに考えております。  第二に、私どもは、御承知のロンドン協議等の経過を考えますと、将来再処理技術に関する国際移転というものはかなり制約が加えられるようになるのではないかということを考えまして、昨年あたりから再処理施設における機器の国産化というものを準備すべきであるというふうに政府にも申し上げて、ことしの予算からそういう関係の予算をいただいておりますので、第二工場等のための機器の国産化のために試験的な機器の発注を行いましていろいろなRアンドDを加えるということは、私は非常に大事なことではないかというふうに考えております。  最後に、まあ老婆心としてつけ加えますと、先ほど申し上げましたように、私どもの東海プラントというものもだんだん安定した運転技術を習得してまいりまして、現在環境に御迷惑をかけるということもありませんし、また、従業員に対して安全管理上大きな影響を与えるということもいまのところ考えられないというふうに思っております。しかし、先ほど御指摘のように、再処理工場というものは稼働率が各国ともなかなか上がっていかないじゃないかというふうなことも、また一方において見受けられるわけでございますが、私はいま申し上げましたように、いわゆるピューレックス法に基づく再処理技術というものは、私ども自身だんだん腕が上達してきた、大丈夫これは本格運転に持っていけるというふうに考えておりますので、第二工場が詳細設計等を経て建設にかかるまでには十分時間もございますし、ピューレックス法の再処理技術というものは十分第二工場において安定した姿を描けるのではないかというふうに考えております。一方、この経済性の問題につきましては、単に再処理プラントだけのコストだけで考えるのが妥当であるかどうか私はちょっと疑問を持つわけでございまして、核燃料サイクル全体のメリット、日本における核燃料サイクルに対して再処理プラントがどういう貢献度を持っているか、やはりその面も判断に加えるのが当然ではないかと思います。先生が先ほど御指摘になった、再処理費というのは前は一トン当たり五百万円というようなことを言うておったじゃないかとおっしゃられるような時期もございましたが、しかし考えますと、アメリカ、フランス、イギリスとも日本に対して最初再処理の役務サービスを申し出たころは、すでに軍用のお古の再処理工場を利用した役務サービスでございまして、その当時のサービスの価格というものはほとんど新設の場合には私は当てはまらないのではないか。また、この十年間の間に非常な物価の上昇等もございますので、私は確かに、私もときどき東海プラントも千五百万円でやりますなんということを五、六年前は考えておったわけでございますが、とうていそれでは追いつかないという点は、これは認めざるを得ないと思いますが、いま申し上げましたように、新しい工場としての国際比価というものから見ると、そんなに各国とも食い違いはないのじゃないかと思いますし、また日本の再処理による回収されたウランプルトニウムの利用を考えますと、これは非常に大きなメリットがあるという点を御判断願いたいと思うわけです。  それから、これは御質問になかったことをつけ加えて申しわけないわけでございますが、老婆心のついでに申し上げますと、再処理プロセスからプルトニウム燃料加工に至る過程を、どういうふうに今度の法律改正によってお考えになるのかよくわかりませんですが、私は、このプルトニウム燃料加工等の分野につきましては、これは何も法律改正なんかやらなくても、民間でいまでもやろうと思えばやれるわけでございますが、それでもやはりやらないわけでございまして、やはりプルトニウム燃料の加工というような問題は、現実の情勢展開に合わせて考えていくべきでありまして、むしろ当面はやはり政府援助等を期待しながら、弾力的に経過的に考えていった方がいいのではないか。プルトニウム加工やら、あるいは高レベル廃棄物の中間貯蔵問題等もそうでございますが、そういうふうに最終プロセスを民間でおやりになるのは結構だけれども、さらにダウンストリーム分野においては、私は経過的な実情に即した考え方をとる方が日本としてはいいのではないかというふうに考えております。
  103. 与謝野馨

    ○与謝野委員 そこで、正親参考人にお伺いしたいわけですが、いま瀬川参考人のお話をお伺いしますと、技術的にも大変むずかしい分野ですし、また実際の運転に至るまで非常に大変な作業の要る第二再処理工場であるわけでありますが、電力会社は大変その第二再処理工場に意欲をお持ちでございますが、資金の問題は、恐らく電力会社中心に産業界挙げて私は確保できると思いますが、一つ技術の分野、特にケミカルエンジニアリングというのは、電力会社にとりましてはいままでわりあい縁の薄い技術分野であったのではないかと思いますし、また実際のプラントの運転というのは、あるいは実際に運転開始に至るまでは、いま瀬川参考人から御指摘がありましたが、これはテクニカルノーハウの分野が非常に大きい、こういうお話でございますが、まず第一点お伺いいたしたいのは、電力会社の方々の頭の中にありますのは、一つ工場の規模あるいはその工場建設に至るまでの用地の取得、設計、建設、試運転、こういうために非常に長いリードタイムが必要ですが、そういうリードタイムをどのくらいに考えておられるのか、あるいは技術の習得あるいは運転要員の確保、こういうものを一体どういう協力体制でやられるのか、そういう点をお伺いしたいと思います。
  104. 正親見一

    ○正親参考人 お答え申し上げます。  前の先生の御質問になりました準備はどうかということもあわせて申し上げまするが、実は社長会議におきまして、昭和四十九年に濃縮再処理準備会をつくりまして、ここで事業化に必要ないろいろな問題の調査とか研究を進めてまいり、その計画の具体化に努めてまいりましたが、去る四月、ことしの四月ですが、同準備会を発展的に解消いたしまして、新しく電気事業連合会に再処理会社設立事務室をつくりました。これは新会社の設立準備を進めるためでございまして、今後はこの設立事務所を中心といたしまして諸般の準備を進め、法改正後できるだけ早い機会に新会社を設立したい、かように考えております。  次に、第二再処理工場の青写真と申しますか、進め方についてちょっと御説明をさせていただきますと、今回の法改正の骨子が、再処理事業を行う者は平和目的のみの使用とかあるいは計画的遂行、技術的能力及び経営的基礎、災害防止への適合などが骨子でございまして、これについてそれぞれ内閣総理大臣の御認定を受けることになっておりますので、今後各方面とも十分お打ち合わせをいたしながら進めてまいりたいと存じております。  現在考えております構成員は、先ほど申し上げましたとおり、電力会社のほか電機メーカーあるいは金属鉱業、化学工業界、エンジニアリング会社等、民間の産業の総力を集結することといたしておりまするが、新会社はまず用地取得から業務を開始する考えでございます。  現在考えておりますものは、用地面積はおおむね二百万坪程度と考えておりますが、核拡散防止の観点から、将来はやはり再処理されたウラン等の成形加工もできれば同じ用地で行うというようなこともできるように配慮いたしまして、いわゆる政府の考えております核燃料パーク構想も慎重に検討を進めることといたしたいと考えております。  なお、再処理施設でございますが、大体年間千五百トン程度といたしました場合には、これに必要な資金が大体現在価額にいたしまして四千ないし五千億円程度と見込んでおります。  さらに、第二再処理工場で必要とします技術並びに技術者につきましては、先ほど来申しましたとおり、動燃事業団東海再処理工場で得られましたる経験技術を最大限に活用させていただく所存でございますし、そのときに必要ないわゆる技術者、特にケミカルエンジニアもそうでありますが、これらの必要な技術者につきましては、従来から動燃事業団にその養成をお願いしておりましたが、各電力会社から派遣しておりまする養成員のほかに、今回さらに幹部技術者約二十名を各社から追加派遣させていただきまして、技術の習得あるいは研修をお願いしておるわけでありまして、こういう面で電気事業者といたしましての技術者の要員の充実を図ってまいりたいと思っております。一方また、メーカーとか動燃さんにも専門家が逐次育っておりまして、私どもといたしましては、当面必要な技術者は一応確保できるもの、かように存じております。  以上でございます。
  105. 与謝野馨

    ○与謝野委員 そこで、瀬川参考人にお伺いしたいわけですが、日本の千代田化工とか日本揮発油とかケミカルエンジニアの会社は幾つかございますけれども、動燃のつくりました再処理工場、これはフランスのサンゴバンと日本揮発油株式会社がやられたと思いますが、瀬川参考人が御判断されて、その設計の問題としての日本技術の能力はどの辺にあるのか、あるいはその機器をつくる能力というものは、日本の産業は再処理工場に関してはどの程度まで来ているのか。あるいは先ほど御指摘になりましたように、外国から技術とかテクニカルノーハウが再処理技術に関しては出にくくなってきているということですから、当然日本としては日本の自前の技術というものを取得しなければならない、それも五年から十年ぐらいの短期間に非常にレベルアップしなければならないということでございますが、簡単で結構でございますけれども日本技術水準というものは、再処理工場に関しましては一体どの程度まで来ているのか、その御判断をお伺いしたいと思うわけであります。
  106. 瀬川正男

    ○瀬川参考人 なかなかむずかしい御質問でございますが、私ども建設に着工したのは四十六年でございまして、建設工事そのものは非常に順調に進みまして、四十九年の末にはできてしまったわけですが、もちろんこれはお話のフランスのサンゴバンと日本の日揮というものをジョイントにした企業体と契約をしたということでございますが、問題はむしろその後でございまして、試験運転をやりながら、——特にコールドテストにおきましてかなり大幅な改良工事をやった。そういうことを日本揮発油等も一緒になってやったという関係から考えますと、私はピューレックス法に関する限りは、動燃の担当技術者日本揮発油とが一体になって設計しろと言えば、設計はできないとは言えないと思います。しかし、先ほども申し上げましたように、それでもなおかつよその国の経験というものをできるだけ取り入れるほど安全であるということが非常に大事なことだと思いますので、仮に日本経験した技術者を集めて設計ができるにしましても、海外の再処理関係をコンサルタントにするということは、少なくとも安全運転を期する関係から見ると、これはもう絶対必要であるというように考えます。そういう観点からいきますと、やはり運転の回数の多い外国の会社の方がそういうところが、つまり回数が多いだけ強味があるというふうに考えますが、いずれにしても単に設計だけの問題ではなくて安全運転を考えるなら、外国経験もできるだけつけ加えるようにすることは絶対必要であるというふうに考えております。
  107. 与謝野馨

    ○与謝野委員 そこで、再処理工場ができるといたしましても、実際に使用済みが燃料を再処理するためには幾つかの周辺技術がきちんとしていないとだめなわけであります。一つは、使用済み燃料をいかに安全に輸送するかという問題であろうと思いますし、またもう一つは、出てまいります廃棄物をどうするかという問題であろうと思いますが、まず使用済み燃料の輸送の問題につきまして、電力会社はいままで御経験があると思いますが、その御経験に照らして、いままでの状況をお伺いしたいと思います。  それから高レベルの廃棄物につきましては、いまガラス固化技術というものが開発されているわけでございます。これは瀬川参考人にお伺いしたいわけですが、そのガラス固化技術というものはいま一体どの程度技術まで来ているのか。将来の見通しとして、日本はこれからどの程度この分野における努力をされるつもりなのか、この二点についてお伺いしたいと思います。
  108. 正親見一

    ○正親参考人 使用済み燃料につきましては、現在動燃の東海工場にすでにお願いして実施いたしましたのは二十六トンございます。これには専門のNTSという会社をつくりまして、現在のところ東京、関西、それから原電、この分の第一回二十六トン分を輸送させていただきまして、現在のところ余り御心配になることはないように思っております。
  109. 瀬川正男

    ○瀬川参考人 御質問の高レベル廃棄物のガラス固化についてでございますが、これは確かに日本はもともと再処理工場が一番おくれておった関係上、高レベル廃棄物そのものが存在しなかったわけでございまして、本物の品物がない限り、それのガラス固化技術もなかなか早く取りかかれないというのがいままでの経過でございますが、しかしフランスあたりが非常に積極的で、高レベル廃棄物のガラス固化は、自分たちはすでにコマーシャルベースにまで持ってきたんだというようなことに刺激されまして、私どももガラス固化に関しまして、一昨年から一応コールド試験といいますか、要するに本番の使用済み燃料から取り出したものでないイミテーションの廃棄物をつくってガラス固化の試験は逐次やってまいりましたが、一応でき上がった真っ黒いガラスのかたまりそのものは、見たところはおれだってできるというふうに考えるわけでございますが、問題は、再処理工場が本番の運転をして本当の高レベル廃棄物が出たときに、これをいかにガラス固化に持っていくかということは、いわゆるホットテストを行うための厳重な遮蔽をした構築物がないと、本番の高レベル廃棄物の取り扱いは許されないわけでございまして、そういうわけで、私どもは一口でCPFと申しておりますが、ケミカル・プロセス・ファシリティーズ、これを目下東海で建設中でございまして、これは非常に厳重な遮蔽建築物の中で、現在出つつある高レベル廃棄物を実際にガラス固化に持っていこうというふうに考えておりますが、先ほど申し上げましたように、コールドテストでのガラス玉はりっぱにできるわけですけれども、問題は、本物のガラス玉ができ上がったときに、それがさらにガラスの中へ閉じ込めたときにうまく熱が放散できるかどうかとか、あるいはそういう固化体を水の中で貯蔵している間にどういう変化が起きるかとか、そういうことはこれから取りかかるわけでございます。しかし、第二再処理工場ができ上がって運転に入るのは昭和六十五年近くかとも思いますが、そのころから第二再処理工場の高レベル廃棄物が出てくるのでございまして、したがって、私どもはそれまでの間、つまり約十年間というものは、さっき申し上げたCPFという構造物の中でそういう固化技術の本格試験をやって、第二工場の高レベル廃棄物の処理に十分間に合うことができるのではなかろうかというふうに考えております。  ただ、フランスはガラス固化がいいと言う、あるいはアメリカはメタル固化の方がいいと言う、これはどっちがいいか私どもも今後しばらくさらにRアンドDを加えないとはっきり言えないと思いますが、しかし私ども日本でそういう技術を自分でRアンドDをしておくということは、仮に国産固化技術が間に合わなくて海外の固化技術を第二工場が取り入れる際においても海外技術の評価が可能である。つまり選択するだけの基盤を持っていなければならないというようなスケジュールで進んでおります。
  110. 与謝野馨

    ○与謝野委員 ありがとうございました。  時間が参りましたので、最後に一問だけ御質問させていただきたいわけでございます。  いま全体お伺いしますと、技術の問題、設計とか製作は動燃と日揮が組んでやって、コンサルタントを使えばいい。それだけ技術水準は高くなっている。運転要員等についても電力会社は過去においてもまた現在においても積極的に養成をするという姿勢でやっておられるようでございます。  そこで、最後にお伺いしたいのは、再処理工場建設するというのは恐らく経済的には余りペイしない仕事ではないかと思うわけでございます。しかし、核燃料サイクルを確立するあるいは使用済み燃料の再処理の始末をきちんとするという面からは経済性を無視しても日本エネルギー産業全体としてはどうしても取り組まざるを得ない問題であるわけであります。こういう大変厄介な問題に対する民間の取り組み、現在のところは電力会社を中心にしてこれに取り組むという御決意のようでございますが、最後にもう一度、民間第二再処理工場建設への意欲、姿勢というものについて正親参考人に改めて御決意のほどを御披瀝願いたいと思うわけであります。
  111. 正親見一

    ○正親参考人 先ほど申しましたように、私ども電気事業者としましては、今後のエネルギーの主力が原子力発電でございますので、これに関する一連の核燃料サイクルの確立というものを早急にしませんと、電気事業の経営の基本課題に触れてまいりますので、これは各社挙げてこれに取り組むという決意をいたしております。  経済性の問題につきましても、いろいろ計算の方法もございますが、現在の海外委託の例から申しますと、現在価格でトン当たり大体八千万円程度に相なっておりますので、第二再処理工場ではまず七千万円程度でなかろうかということを想定しております。海外の場合にはこのほかに輸送費がトン当たり三千万円ぐらいかかりますので、やはりみずから出した廃棄物をみずから処理いたしまして、コストダウンはもちろんのこと、自主体制の確立を早く図っていきたい。同時に、先生御承知のとおりこの再処理によるウランの節約、これは資料がいろいろございますが、天然ウランでは二五%前後、濃縮役務で一五%前後の節約となるということも総合勘案して、これはペイできると考えておりますので、一日も早くこの法案を通していただきまして早く事業化に着手できるようにぜひぜひお願いしたいというのが私ども決意でございます。何とぞよろしくお願いいたします。
  112. 上條勝久

    ○上條政府委員 冒頭に先生からお名指しをいただきましたので、私からも重ねてちょっとお答えを申し上げたいと思います。  この再処理の問題はいままで参考人の方からもいろいろ御発言がありましたように、国際的にもまた国内的にも非常に重要な問題でございまして、しかも長期的な展望に立っていまから取り組んでいかなければならないという事情にございますので、私ども政府といたしましては、ぜひとも今国会においてこの改正法案が通過できますように切に心からお願いを申し上げておる次第でございます。  なお、国際間の問題も大事でありますから、外務省とも十分連絡をとりながら、緊密な連携のもとに対処してまいりたいと存じます。よろしくお願いいたします。
  113. 与謝野馨

    ○与謝野委員 どうもありがとうございました。  以上をもちまして質問を終わります。
  114. 貝沼次郎

    貝沼委員長代理 次に、小宮武喜君。
  115. 小宮武喜

    ○小宮委員 私は法案の質問に入る前に、原子力船「むつ」の修理問題がいよいよ大詰めにきたような感じがいたしますので、この原子力船「むつ」問題について若干質問を行いたいと思います。  御承知のように原子力船「むつ」の受け入れについては地元長崎県と佐世保市とでは異なった態度を出しておるわけですけれども、最近になって久保長崎県知事が原子炉封印の条件ならば受け入れてもよろしいという柔軟な態度を示してまいりました。これに対して科学技術庁は難色を示しておるようでありますけれども科学技術庁としてはあくまで従来の核燃料棒つきの既定方針で進むのか。政務次官、その点いかがでしょうか。
  116. 上條勝久

    ○上條政府委員 お答えいたします。  御指摘のとおりでございまして、長年にわたりまして相当な経費もつぎ込み、時間もかけまして「むつ」問題は今日に至っているわけでありますが、政府におきましても誠心誠意、一生懸命この問題の解決のために地元長崎県、市とも折衝を重ねてまいっておることは御承知のとおりでございます。おかげをもちまして漸次住民の方々を初めとする知事さん、市長さん方の御理解も前向きに得つつあります。しかし、この封印等の問題につきましては、技術的にきわめて慎重に検討しなければならぬ問題でありますので、政府におきましては十分慎重な態度で検討を重ねておる段階でございますが、いずれにいたしましても何とかいけるというような技術的な見通しもつきかけておりますので、ぜひひとつそういう方向で、知事さん、市長さん並びに県民各位の御理解のもとにこの問題が一日も早く解決することを念願しておる次第でございます。
  117. 小宮武喜

    ○小宮委員 前回の委員会まではまだ事業団の方で十分検討しておるからというようなことでありましたけれども、事業団の方でも結論を出し、そしてまた「むつ」総点検・改修技術検討委員会の安藤委員会でも原子炉封印でも修理は可能だという結論が出たように新聞報道でわれわれは承っておるわけですが、私が聞きたいのは、いずれにしても長崎県と地元佐世保市とは意見が食い違っておるわけですから、そういう中で要請する場合に、もし核封印方式で可能だとすれば、長崎県の県知事が示したようなことで、科学技術庁としてはたとえば原子炉封印方式でひとつ修理をお願いしたいという要請をするのか、それとも従来の方針で燃料棒づきの修理で要請するのか、どちらかということを聞いておるわけです。
  118. 上條勝久

    ○上條政府委員 それでは最初に、技術的な面がありますので、参事官から先に答えまして、そして私からお答えいたしたいと思います。
  119. 児玉勝臣

    ○児玉説明員 ただいま先生から御指摘のありました核封印の問題でございますが、核封印というのは、これは長崎県知事が申されたことでございまして、具体的に私たちの方に提示がございましたのは原子炉圧力容器のふたを撤去しないで工事ができないか、そういう御提案でございます。それからコントロールロッドを動かします駆動のスイッチを知事に預けるということでどうか、そういう二つの御提案を、非常にあれですが、文学的な表現で核封印とこう申されておるわけでございますが、先ほど先生からお話がありましたように、安藤委員会におきましては、圧力容器のふたを撤去しないで工事ができるか——工事ができるかと申しますのは、一昨年改修工事、総点検を長崎県にお願いしたわけでございますけれども、その項目に従いましてすべての工事ができるかどうか、そういうことでその遮蔽改修の問題につきまして検討を行ったわけでございます。非常に作業空間が狭くてむずかしいのでありますが、そういうことで、今度一応の技術可能性ありということの結論が出ましたので、ただいま政府部内の各省との検討、それを進めております。できましたら、なるべく早くその結論を得まして再要請したい、こう思っております。
  120. 小宮武喜

    ○小宮委員 原子炉封印方式で要請するのか、あるいは従来のように燃料棒づき修理の受け入れと、どちらを要請するかということで検討しておるということですか。
  121. 児玉勝臣

    ○児玉説明員 核封印方式で作業ができるという結論が得られましたので、長崎県民の御希望に沿えられるならば圧力容器のふたを撤去しないで工事をするということでいきたいと思っております。
  122. 小宮武喜

    ○小宮委員 それでは、妙な言い回しをやらぬでいいから、はっきり長崎県の受け入れの条件に沿って要請をするということなのか、その点はっきりしてください。
  123. 上條勝久

    ○上條政府委員 先ほど申し上げましたように、長崎の知事さんから一つの提案があったわけでございます。その提案に対しまして、これは非常に大事なことでありますから、十分技術的に検討しなければならぬ。検討した結果いけるということでありますれば、政府といたしましては、関係機関と十分に話を詰めました上で知事さんの御提案に従って再要請をするという方向でただいま詰めておる、こういうふうに御理解をいただきたいと思うわけでございます。
  124. 小宮武喜

    ○小宮委員 そこで、もう新聞報道では、大体十日から十三日ぐらいまでの間に要請するであろうということが地元の新聞紙上では大々的に報道されておるわけですけれども、その点については要請をいつするのか、いつごろするのか、その点の見通しについて明らかにしてもらいたい。
  125. 児玉勝臣

    ○児玉説明員 ただいま政務次官が申されたような方向で政府部内の検討を進めておりまして、早急に内容を固めまして再要請したい、こう思っております。
  126. 小宮武喜

    ○小宮委員 皆さん方はなかなか慎重に答弁をされておるようです。政府部内の検討が終わるのはいつですか。
  127. 児玉勝臣

    ○児玉説明員 各省との折衝それから最後には原子力関係閣僚懇談会にもかけなければいけませんので、その辺の事情をお察しいただきましてひとつお願いしたいと思います。
  128. 小宮武喜

    ○小宮委員 非常に慎重に答弁されておるようですけれども、もう事ここに至っては明らかに、いつごろします。こういう方法で要請しますというぐらいやはりはっきりしないと、大体官僚の答弁というのはいつも揚げ足を取られないように、言質を与えないように上手に逃げるというのが模範答弁かもしれませんが、そういうことをいままでもやってきたからまた原子力政策についていろいろな問題が起きているわけです。  余りこの問題を長く言うとあれですから法案の審議に入りますが、最後に、もしいまのような、状況で近々のうちに要請があったとします。そうしますと、これは関係閣僚懇談会とかいろいろな手続があるでしょう、それからまた原子炉規制法によって六十日前にいわゆる入港届を出さなければいかぬ、いろんな問題が出てまいりますね。そうしますと、五十三年度の予算には修理費が本格的に計上されていないわけです。もし佐世保に五十三年度内に入るようになった場合には、それは本格的修理費は計上されておらないから修理はせずにただ点検という形だけでごまかすのか、あるいは五十四年度の予算に計上するにしても、大体八月が概算要求でしょう、その概算要求までにそういう手続が終わっていよいよ入港されるのか、それはまだわかりませんけれども、そういう場合に、五十四年度の予算の概算要求時期は八月ですから、それまでにどうするのか、あるいはそれまでに入った場合はほかの予算措置ででも修理をするのか、その点だけ最後に聞いておきます。
  129. 児玉勝臣

    ○児玉説明員 非常に仮定が多くてむずかしいことでございますけれども、まず、まだ佐世保に受け入れていただくという御返事もいただいていないいまからいつ入港するというのは大変おこがましい話でございますが、入港したといたしましても、船体点検とか総点検とかいろいろな点検をしなければなりませんし、具体的にまた基本計画を策定した後安全審査をお願いしなければなりませんし、そういうような手続がございまして、実際に施工というのは、五十三年度予算におきましては遮蔽改修、修理というのは二億四千六百万要求はしておりますけれども、具体的な工事というものの費用は入っておらないわけでございます。いま先生指摘のように、非常に順調に設計等が進みまして、その工事に取りかかれるというような事態になりましたら、その時点で財源問題をあわせまして措置を考えさせていただきたいと思います。  また、五十四年度にはどういうふうにするかというのは、これはまだ若干月数がございますが、入港時期を見たところで、来年度のそういう予算上の問題についてその時点でまたやりますが、具体的な工事ができますように積極的な予算を要求したい、こう思っております。
  130. 小宮武喜

    ○小宮委員 法案に入るのですけれども、私は最近聞き捨てならぬようなことを耳にしておる。というのは、前国会で事業団法が修正成立する際に、政府というかあるいは政府の個人というか、あるいはまたある政党の個人というか、そういう中で、佐世保では「むつ」の修理は行わないとか、佐世保には入港させないとか、しませんとか、そういうことが申し合わせというか密約というのか知らぬけれども、そういうことを最近耳にするのですが、これはもし事実とすれば重大な問題です。こういう事実がないかどうか。
  131. 児玉勝臣

    ○児玉説明員 一昨年二月に申し入れをしたわけでございますが、それ以来一貫いたしまして長崎県、佐世保市に対して修理をお願いしてきたところでございまして、先生指摘のような問題については一切承知しておりません。
  132. 小宮武喜

    ○小宮委員 時間が許せば、ここに議事録があるが、これを私が読み上げれば、何かこの中に臭いものが含まれておるというような感じを持っておるのだけれども、もう時間が、これだけに終始するわけにいきませんから自重しますけれども。  法案についての問題でございますが、先ほどからいろいろ質問もあっておりますけれども原子力開発利用を円滑に進めていくためには、いわゆる核燃料サイクルのかなめである再処理の自主体制の確立が必要であるということは言うまでもありません。しかし再処理の民営化についてはいろいろ疑問もあるようですけれども、私はやはり一刻も早く第二再処理工場建設に着手しなければならないというように考えるわけですけれども、今後のわが国の再処理需給に的確に対処していくためには、わが国の再処理需給のバランスがどうなっておるのか、この点はひとつ科学技術庁質問したいと思います。
  133. 児玉勝臣

    ○児玉説明員 お答えいたします。  原子力発電の規模が、昭和六十年で三千三百万キロ、六十五年で六千万キロ、そういうふうに仮定いたしますと、再処理に必要な量は、昭和六十年で年間五百トン、それから累計で三千八百トン、六十五年におきまして年間千二百トン、累計にいたしまして約八千トン生ずることになっております。
  134. 小宮武喜

    ○小宮委員 この再処理の民営化について、電力業界としてのメリットはどこにあるのか、これは科学技術庁……。
  135. 児玉勝臣

    ○児玉説明員 民営化のメリットでございますが、第一には国の方から見たメリット、それから電力会社自身から見たメリット、二つございます。  電力会社の方から見たメリットということの御指摘でございますが、まず民間としてやった場合の問題としては、一つは、要するに受益者負担といいますか、電力会社の使用済みの燃料を自分の経営主体といいますか、自分と同類のいわゆる経営主体において再処理してもらう。そういうことで、核燃料サイクルの中での一つの融通性といいますか、核燃料サイクル全体でどう見るかということの弾力性というものが考えられるかと思います。
  136. 小宮武喜

    ○小宮委員 正親参考人、どうでしょうか。
  137. 正親見一

    ○正親参考人 先ほど申し上げましたように、電力会社の経営、特に供給安定のための中心が原子力でございまして、電気事業といたしましては、原子力発電所の運転の円滑化を達成いたしませんと供給の安定ができませんので、私どもといたしましては、これには全力を挙げて闘う——いや、努力するつもりでございます。したがいまして、発電所の建設に、運転に必要な一連の核燃料サイクルの安定化のためには、現在一番おくれております再処理工場について、ぜひみずからに必要なものはみずからつくり、みずから出した廃棄物はみずから処理していくということによって皆様の御期待に沿い、供給の安定化を図りたい。経済的な面につきましては、先ほど申しましたように、海外に現在委託しておる価格とそれから第二再処理工場でつくります価格というものを現時点で比較いたしまして、国内の方が安い。さらに、海外へ持っていきます場合には輸送費が非常に高くなりますので、そういう面からも民間でこれをぜひやらしていただきたい、かように考えております。
  138. 小宮武喜

    ○小宮委員 ひとつ全力を挙げて闘うぐらいの意気込みで取り組んでもらいたいと思いますけれども、しかし、再処理会社の経営形態はどうなりますか。
  139. 正親見一

    ○正親参考人 これも先ほどちょっと触れましたが、民間でいたしますときには、電気事業がまず中心になりまして、これは非鉄、それから電気機械メーカー、さらに化学関係あるいはエンジニアリング会社というものを全部動員いたしまして、これらを集結して会社をつくりたい。大体、資本金その他についてはまだ考えてはおりませんが、先ほど申しました準備事務室で早急にこれを検討したい。とりあえず、一番必要なのはやはり用地の手配でございまして、恐らく用地の手配には、私ども過去の発電所の経験からいたしますと、三年ないし五年、さらには場所によってはもっと時間がかかっておりますので、まず用地の手配に早く入たりいということと、もう一つ、片方のいわゆる技術それから技術者確保ということは先ほど申し上げたとおりでありますが、動燃事業団経験を十二分に活用さしていただきまして、これをやっていきたいと思っております。  なお、必要な資金は、先ほど申しましたように現時点におきまして四千億ないし五千億というものが資金にかかると思っておりますが、これにつきましては、もちろん政府、関係者の御協力を賜りたいと思いますが、これには努力をしたいと考えております。
  140. 小宮武喜

    ○小宮委員 まあ再処理技術を、動燃事業団は事業団として、電力会社として、その技術のマスターをどうしますか。何かそういうような準備がいろいろ検討されておりますか。
  141. 正親見一

    ○正親参考人 お答え申し上げます。  動燃事業団さんができまして以来、電気事業といたしましてもこれに必要な出資、さらにはまた役員、あるいは必要な技術者、職員を派遣しておりまして、かなり勉強をさせていただいております。それからもう一つは、動燃事業団さんの技術、ことに経験が一番大事だと思っておりまして、これを基礎にして技術を取り入れていきますが、先ほど来瀬川理事長からも話がありましたように、その間の海外の技術評価というものもあわせ取り入れましてこれを進めてまいりたい、かように考えております。
  142. 小宮武喜

    ○小宮委員 技術の習得、習熟のために何かそういうような具体的な手を打ってあるわけですか。
  143. 正親見一

    ○正親参考人 現在、濃縮再処理準備機関におきまして海外その他の技術の習得もやっておりまして、このうちのいわゆる再処理部というのがございまして、これがずっと全体的な勉強をいたしておりますと同時に、高級な技術の習得には、先ほどもちょっと申し上げましたが、現在動燃事業団で研修しておりますもののほかに、各電力会社から約二名ずつ高級技術者を今回動燃さんに派遣させていただきまして、ここで十分に研修して、そこで習得したい、かように考えております。
  144. 小宮武喜

    ○小宮委員 第二再処理工場国内建設するにしても、この建設から運転開始まで相当長期間を要するわけですが、その期間をどれぐらいに見ておるのか、その点いかがですか。これは電事連の正親参考人にひとつ。
  145. 正親見一

    ○正親参考人 お答えいたします。  過去の発電所建設経験から申しまして、先ほど申しましたように、用地だけでも三年ないし五年はかかるということから、実は最低十年、恐らく十数年はかかるという覚悟をいたしておりますので、さような面から申しましても、私どもは六十五年には完成じたい、かように考えておりますので、できるだけ速やかにこの法案を通していただきまして着手できるようにぜひお願いしたい、かように考えております。
  146. 小宮武喜

    ○小宮委員 今後わが国の使用済み燃料の発生量はどれくらい見込んでおりますか。
  147. 正親見一

    ○正親参考人 お答えいたします。  これは先ほど科学技術庁からもお話がありましたように、現在で累積約四百トンでございまするが、いわゆるわれわれの原子力発電所の達成目標と申しますか、昭和六十年度三千三百万キロワット、昭和六十五年度六千万キロワットに対しまして試算をいたしますると、六十年度で約四千トン、六十五年度で約八千トンを上回る、かように考えております。
  148. 小宮武喜

    ○小宮委員 第二再処理工場ができ上がるまでは海外委託ということになるわけですけれども、海外委託で、先ほどもいろいろ御答弁にありましたけれども、これにしてもいろいろ問題が出てくるのではないかというふうに考えられるわけですが、先ほど説明がありましたように、第二再処理工場が十年間かかる、昭和六十五年をめどにしておるということになると、その間はすべて海外委託でやっていくというふうに理解していいのですね。
  149. 正親見一

    ○正親参考人 さようでございます。
  150. 小宮武喜

    ○小宮委員 正親参考人に対する質問はこれぐらいにいたしますから、先ほど申し上げましたように、断固闘ってひとつ完成するようにやってもらいたい。
  151. 正親見一

    ○正親参考人 どうも恐れ入りました。
  152. 小宮武喜

    ○小宮委員 次は、瀬川参考人に質問しますが、東海村の再処理施設については運転開始時に若干トラブルが発生したようでございますが、最近の運転状況はどうなっておるのか。それらのトラブルはすでに技術面で解決できたのかどうか。さらに、今後の運転スケジュールについてひとつお聞かせ願いたいと思います。
  153. 瀬川正男

    ○瀬川参考人 ただいまの御質問につきましては、御承知のように昨年の九月十二日に日米交渉が暫定妥結いたしたわけでございますが、私どもはそれを待ちかねて、その一週間後からいわゆる使用済み燃料を処理するホットテストと言っておりますが、それ以前は私どもは使用済み燃料のかわりにウランを溶かしたもので模擬試験に当たるコールドテストというものを二年半ばかりやっておったわけでございまして、九月の末から本物の使用済み燃料の処理を開始した。最初は原子力研究所のJPDRという試験炉のごく軽く燃えたものの使用済み燃料を約四トンばかり処理いたしたわけでございまして、それに引き続きましてことしの二月に東電さんの福島炉の使用済み燃料を四・七トンでございましたか処理いたしまして、近く関西電力さんの美浜炉の使用済み燃料をすでに受け入れましたのでそれの処理に取りかかるという過程を踏みまして、ことしの秋ごろには本格的な操業に入りたいというふうにスケジュールを考えておりますが、その間全然トラブルがなかったわけではございませんでして、私どももそのたびにトラブルの処理対策に非常に苦労いたしました。その苦労といいますのは、現場におきまして、御承知のフランスのサンゴバンという会社と日本日本揮発油という会社、この二社に私ども技術協力契約をいたしておりますので、この二社の人たちと私どもの現場の従業員、この三者が一体になってその都度トラブルの処理をいろいろと工夫しながら進んできたわけでございます。先ほども申し上げたのでございますが、そういうトラブルの処理経過あるいはそれに対する手直しの技術、こういうものは非常に重要な経験でございまして、ある意味ではそういう経験はノーハウ的なものであるというふうに私は考えておりますが、事実各国の再処理工場も自分がどういうふうに手直しをやって進んできたかという実例はほとんど情報交換をしないというふうなことでございますので、再処理工場の本当の腕前がいいか悪いかはこの手直しをいかに乗り越えていくか、その経験を十分自分の技術として確立していくという点が非常に大事な点ではないかと思っております。
  154. 小宮武喜

    ○小宮委員 この第二再処理工場建設について、わが国では再処理工場運転できるか、これは東海村の問題がやはり一番中心になるのですが、そういう東海の再処理施設が本格的に稼働して十分その成果を見定めた上で第二再処理工場建設も開始をすべきではないかという議論もあるわけです。だから、そういう意味で、そういうことを十分やってから法改正をやった方がいいのではないかという声もあるのですが、こういう意見、見方に対して瀬川参考人はどのように考えられますか。
  155. 瀬川正男

    ○瀬川参考人 先ほど正親さんからもお話しありましたように、恐らく第二工場昭和六十五年完成を目標にして進むと思われます。したがって、完成まではいまから十二、三年の時間があるわけでございます。ただし、着工に至るまでは恐らく用地交渉並びに、設計も概念設計、詳細設計、機器の製作設計というものは少なくとも三、四年はかかると思いますので、現地交渉とかそういう設計等に最低五年はかかるのではないかと思われます。しかし、その間に現在私どもの東海プラントの本格運転もことしの秋からかかるとすれば、さらに五年間の技術の習熟が得られますので、私はそういう動燃の得た経験技術というものが民営第二再処理工場に反映する時間的余裕は十分あると思います。一応そういうふうにお答えしておきます。
  156. 小宮武喜

    ○小宮委員 米国のウエストバレー、ミッドウエスト及びバーンウェルの三工場はやはり中断のやむなきに至っておるということを聞いておるわけですが、このような事例を見るときに、再処理技術がまだ日本では未熟ではないのか、そのために第二工場建設準備に着手するのは時期尚早ではないかというような意見もあるのですが、この点についてどのように考えますか。
  157. 瀬川正男

    ○瀬川参考人 アメリカの再処理工場が、あるものは運転の途中で放棄した、あるものは完成した後の試運転でつまずいた、また一番新しくて大きいアライドケミカルのバーンウェル工場は、再処理工場はほぼ完成したけれども、それに引き続くプルトニウム転換プラント等は着工がひっかかっているというふうな状況でございまして、私は一つ一つ全部原因が違うと思うわけでございます。一番古いNFSの小さな工場が途中で放棄されたのは、新しい原子力放射能に対する管理の規制が非常に変化してきたということによって、新しく出直そうというわけであれは放棄された。また、GEのモーリス工場は余りに簡素化あるいはコンパクト化をねらって非常に小さく設計した、そのために私が先ほど申し上げた手直しというものが非常にむずかしい設計であった。ことにGEの場合には、現在日本やイギリス、フランスが採用している湿式のピューレックス法を最初は考えずに、半乾式というものを最初考えて取りかかったわけでございまして、その点にも失敗の原因があったようでございます。  私が最も注目するのは、一番新しくて大きいアライドケミカルのバーンウェル工場でありますが、この場合は再処理プロセスそのものは何も彼らはあきらめたわけではないと思うわけでございますが、それに引き続くプルトニウムの転換、加工、その面が、アメリカ政府の規制方針がはっきりしないために、その辺で手待ちになってしまっている、つまり再処理プロセスそのものでは私はあのバーンウェルはまだ失敗したという事態には立ち至っていないというふうに考えておりますし、またフランスのラアーグも私どもと同じように、ある意味では私ども先生であったわけでございまして、これはピューレックス法で現在ようやく運転にこぎつけておるわけでございます。これはやはり湿式ピューレックス法に依存して動燃の技術等を十分に取り入れながら民営第二工場建設されるのは不十分だというふうには考えていないわけであります。
  158. 小宮武喜

    ○小宮委員 施設建設とか運転については技術が十分に熟して、安全性確保されるということが大前提でありますけれども、一方において国の安全規制体制が十分に整備され、国民が納得のいく形で安全性確保されていくことがまた重要だと思います。その意味で、国の安全規制体制は今後第二再処理工場建設のタイミングに即応して十分整備していくだけの見通しがあるのかどうか、これはひとつ科技庁にお答えを願いたい。
  159. 佐藤兼二

    ○佐藤(兼)政府委員 まず第一点といたしまして法制度面の体制整備というものもひとつ問題だろうと思います。  本件につきましては、現在御提案申し上げております改正法案の中身といたしまして民営化の制度を導入するということとあわせまして、規制面の整備ということを図るという意味で、新たに定期検査の制度それから使用前検査制度というような制度も導入いたしまして、そういう規制面の体制を充実するということを考えておるわけでございます。これが第一点です。  それからなお審査行政を進める上において新たな基準を設定すべきじゃないかという問題があろうかと思います。それなしにはやはり納得はいかないという点もございます。その点につきましては私どもは現在動燃事業団の再処理工場の安全審査等の経験、それから諸外国におきます諸規制制度の状況あるいはそれに伴う知見というものを総合しまして新たな基準の整備を現在検討作業中でございます。原子力安全委員会等が発足するような暁になりました場合はそれをさらにその委員会にもお諮りしまして、その基準の整備に万全を期したいというふうに考えております。  なお、規制行政に関します人員体制面の問題に関しましては、幸いにいたしまして現在の核燃料問題の重要性にかんがみまして、昨今の人員削減にもかかわらず、五十三年度におきましてはそれなりの定員の増加も認められておるというような状況にありますが、これでもって満足というわけじゃございません。今後は新たな第二再処理工場等の問題の進展状況に合わせまして人員の充足等に努めてまいりたい。  なお、付言いたしますと、御案内のように原子炉規制法の改正におきまして、原子力安全委員会の発足ということをお認めいただくことになりますと、この再処理問題につきましても当然ダブルチェックということをわれわれはお願いすることになろうかと思いますので、そういう面におきましても国の安全規制行政体制というのはそれに対応するような整備は十分なし得るだろうというふうな考えを持っております。
  160. 小宮武喜

    ○小宮委員 この再処理施設から発生する高レベルの廃棄物の処理、処分の方法は、まだ開発されていないように思われますが、高レベルの廃棄物の処理、処分の研究開発はどのように進んでおるのか、その点ひとつお答え願いたい。
  161. 児玉勝臣

    ○児玉説明員 高レベル放射性廃棄物の処理対策につきましては、原子力委員会がすでに設定しております方針にのっとりますが、その方針と申しますのは安定な形態に固化し、一時貯蔵した後処分することを基本的な考え方としております。このため、処理、貯蔵につきましては、今後十年程度で実証試験を行いまして、処分につきましては当面地層処分に重点を置き、今後三、四年のうちに処分方法の方向づけを行い、昭和六十年代から実証試験を行うことを目標としております。     〔貝沼委員長代理退席、委員長着席〕 この方針に基づきまして、現在動燃事業団におきまして、固化処理につきましてはガラス固化の研究開発を行っておりますし、また地層処分につきましては地層の選定調査を行っておりまして、両者とも六十年代の初めには実証試験にかかる予定になっております。今後とも動燃事業団を中心に、原研それから国立試験研究機関等との連携を図りつつ、積極的に研究開発を進めていくことといたしたいと思っております。
  162. 小宮武喜

    ○小宮委員 第二再処理工場建設計画とこの廃棄物の処理、処分計画とは、整合性を考えてやられておるのですか。
  163. 児玉勝臣

    ○児玉説明員 第二再処理工場運転開始が昭和六十五年というところを一つの目標としておりますが、ただいま申し上げた高レベル廃液固化処理も、実は六十年当初から試験を開始いたしまして、約五年程度の実証をした後、第二工場にそれを適用する、第二工場といたしまして実際に高放射性廃棄物が出てまいりますのは六十六、七年から出てまいりますが、すぐには処理はできませんで、タンクの中で当分冷却させなければいけませんので、実際に固化になりますのは七十年ぐらいになろうかと思います。そのときまでにはこの技術が十分実証されておるというふうに考えております。
  164. 小宮武喜

    ○小宮委員 現在はどういう処理方法でやっていますか。
  165. 児玉勝臣

    ○児玉説明員 現在、東海再処理施設で出てまいります高放射性廃棄物は、ステンレスの九十立方メートルのタンクが四基ございまして、そのタンクの中にただいま貯蔵しております。
  166. 小宮武喜

    ○小宮委員 六十五年までに処理、処分の方法を研究開発すると言うけれども、その間この四基で足りなければまた貯蔵タンクをふやすということになるわけですか。
  167. 児玉勝臣

    ○児玉説明員 一応この四基で、フル運転になった場合に約五年もつという計算になっておりますが、足りなくなった場合には増設いたしますし、またいまそのタンクに入れておりますのも、固化技術が進んでまいりますと、もっと減容をいたしまして、たくさんの量がタンクにためられるということにもなりますので、たとえば十五年間ということで次々とふやすことになるかどうかというのは、また固化技術の進展いかんということであろうかと思います。
  168. 小宮武喜

    ○小宮委員 この放射性廃棄物の対策の問題ですが、現在でも原子力発電所とかあるいは原研の施設から出される低レベルの放射性廃棄物の処理にしても、ドラムかんで貯蔵しておるわけです。今後さらにこの低レベルの放射性廃棄物もドラムかんで貯蔵するような方法でやるのか、その点の研究開発はどうなっておるのか。
  169. 児玉勝臣

    ○児玉説明員 原子力発電所に発生いたします低レベルの廃棄物につきまして、いま先生おっしゃるとおりドラムかんに入れまして倉庫に入れておるわけでございますが、これも海洋投棄の試験というのも近々考えておりまして、それが成功いたしました暁には、最終的な処分方法として海洋投棄を考えておりますし、また一方では、地層に安全に埋めるという方法の研究開発も進めております。そういうことで、どういうような手法が最終的にいいのか、またドラムかんが非常に多くなることは事実でございますけれども、いますぐに原子力発電所からどうということでもございませんので、もうしばらく時間をかけて研究開発をし、その最もいい方法をとりたい、こう考えております。
  170. 小宮武喜

    ○小宮委員 科学技術庁では、海洋投棄の方針で財団法人原子力環境整備センターでその準備が進められておるようです。できれば七九年度から試験的に海洋投棄を行いたいということのようですけれども、この海洋投棄にしても、これはなかなか漁民の方々反対がやはり強うございますから、そういう意味では、国民のコンセンサスを得るためには、いまのようなことでは恐らくコンセンサスを得るということはむずかしいのではないか、こういうように考えます。その意味で、実際海洋投棄の方針が決まった、あるいは地中に埋める問題にしても、国民のコンセンサスの問題がやはり大事なんで、その方針は決まっても、やろうとすれば必ず反対が出てくるということは十分予想されるわけですから、そういう問題についてどのようにして国民のコンセンサスを得ようと考えておるのか、そう簡単にはいかぬと思うけれども、どうですか。
  171. 佐藤兼二

    ○佐藤(兼)政府委員 御指摘のとおり、問題が問題だけに、まず何をもっても十分なる安全の評価をはっきりするということ、かつまた、それを踏まえて関係するところの方々に対する御理解をいただくというような手順が大切であろうと思います。かつまた、海洋投棄の問題になりますと、これは国内的な問題だけじゃなくて国際的な協調問題ということもありまして、その辺に対する配慮はきわめて十分でなくちゃいかぬと思っております。  なお、事前の安全の評価問題ということにつきましては、私どもといたしましては、局内に安全評価検討会というものを内部的に設けまして、それなりの安全評価の作業は進めております。現在その結果に基づきまして原子力委員会の方にもお諮りしている途上でございます。その結果が出ました場合は、それをもとにしまして関係方々に対する御説明などを進めてまいりたいというふうに考えております。
  172. 小宮武喜

    ○小宮委員 瀬川参考人は私は質問はもうございませんから……。  それからこの問題に関連して、廃棄物の処理、処分についてINFCEでも、現在第七作業部会でこの廃棄物の処理の問題についていろいろ審議が進められておりますけれども、INFCEの第七作業部会における廃棄物の処理問題の審議状況はどうなっておるのか、その点、これは外務省でも結構ですし、科学技術庁でも結構です。
  173. 太田博

    ○太田説明員 お答えいたします。  ただいま先生指摘のようにINFCEの第七作業部会で最終廃棄物の処理、処分の問題が討議されておりまして、現在のところ、いろいろな種類の燃料サイクル、これでそれぞれ廃棄物の問題がどういうふうになるかということの比較検討をやることになっております。まだ詳しい具体的な問題点の詰めた検討というのはこれから行われることになっておりますけれども一つの問題として指摘されておりますのは、アメリカあたりが使用済み燃料を再処理をしないで永久に貯蔵する方法を言っておりますけれども、これについてはいままでの第七作業部会の議論の過程では、むしろ批判的な見解が各国から述べられておりまして、今後この点も一つ検討される問題だろうというふうに考えております。
  174. 小宮武喜

    ○小宮委員 この再処理問題にしても、御承知のように核不拡散の立場から非常に厳しい状態でございますけれども、INFCEそのものは参加各国を拘束するものではないということを言っておりますけれども、事実的には、われわれが見てみますと、今後世界の原子力平和利用の方向を左右するような重大な意味を持っておるというふうに考えるわけですが、動燃工場運転期間が二年に限られたのも、その結果とも考えます。このINFCEの最近の状況及びわが国の対応について、ちょっと外務省の方から御答弁を願いたい。
  175. 太田博

    ○太田説明員 お答えいたします。  INFCEは御案内のように昨年の十月に発足いたしまして、ちょうど半年たったところでございます。それで、発足後八つの作業部会それぞれにおきまして二年間の作業の進め方、方法、日程等についてまず審議をいたしまして、そろそろ各作業部会ともまさに実質的な審議に入りつつあるところでございます。とは申しましても、各作業部会ともそれぞれの検討を行いますために必要な基礎的なデータあるいはアンケート、これの収集にいま全力を挙げているところでございまして、これらのデータをもとにいよいよこれから本当に実質的な討議が展開されるという段階でございます。  ちなみに、これは来週でございますが、再処理プルトニウムの利用等を扱います第四作業部会、これはわが国がイギリスとともに共同議長国の任に当たっておりますけれども、第四作業部会の会合が東京で行われることになっておりまして、第四作業部会についてはこれが一つの重要な会議になるというふうに考えております。
  176. 小宮武喜

    ○小宮委員 いまINFCEの第四作業部会の問題が出てまいりましたけれどもわが国はもちろん、世界各国でもやはり第四作業部会の問題を一番注目しておると思うのです。その意味では、今月の十五日から十九日まで第四作業部会が東京で開催されるということを伺っておるわけですが、この第四作業部会は他の作業部会より審議が一番進んでおるということもわれわれは承っておるわけですが、この第四作業部会の審議の状況なり、現状どの辺まで審議が進められておるのか、その点について外務省からひとつ御答弁を願いたい。
  177. 太田博

    ○太田説明員 お答えいたします。  第四作業部会におきましては、今度の東京会合までに再処理問題等について各国に対して質問書…が出されておりまして、再処理計画を含みますこれの報告を収集するのが一つと、それから再処理工場のベースケースと申しておりますけれども、モデルケースと申しますか、抽象的な一つのモデルケースを考えまして、それについてのいろいろな分析を行うというのが、今度の東京会合でのもう一つの議題でございます。  それからもう一つは、各国のウランの需給状態を調査いたしまして、どのような地域において再処理が必要かというような問題についてのペーパーが提出されることになっておりまして、これについても検討を行うということになっております。  全体といたしまして、大体今度の会合までに、いままでに考えられていた従来の再処理方法、これに基づきます再処理のいろいろな問題点について検討いたしまして、それの中間的なまとめを行うのが今度の東京会合でなかろうかというふうに考えております。今度のこのような討議を踏まえまして、これから次第に、制度的な代替方法あるいは技術的に従来の再処理方法にかわる方法、これらの各種の方法につきましても検討を行っていく、そういうことになろうかと思います。
  178. 小宮武喜

    ○小宮委員 このINFCEの会合の開催状況並びに開催予定を見ますと、第四作業部会は東京会議までは決まっておりますけれども、あとの予定は全然ないように見受けられます。そうなると、この東京会議で最終結論が得られるような見通しがあるのかどうかという感じを持つわけですが、東京会議でこの第四作業部会は大体終了するということになるのですか。
  179. 太田博

    ○太田説明員 お答えいたします。  ただいま御指摘のようなことではございませんで、先ほど申しましたように、今度の会議はいわばいままでの作業の中間的なまとめということかと思われます。その後の審議の進め方につきましては、今度の東京会合で日程について参加国と協議されることになっておりますけれども、まず六月にINFCEの技術調整委員会、いわば執行委員会的な会合でございますが、これが行われることになっておりまして、この六月の技術調整委員会で第四作業部会を初め八つの各作業部会のそれまでの作業の進捗状況が報告され、名前の示すとおり、もし各作業部会間の作業の調整が必要な場合にはこの調整が行われまして、その後の各作業グループごとの作業の日程について審議が行われることになっております。したがいまして、第四作業部会につきましては、今回の東京会合、それからそれに引き続いて行われます六月の技術調整委員会、これを踏まえましてさらに引き続き審議が行われるということでございます。
  180. 小宮武喜

    ○小宮委員 今回のこの法改正の問題にしても、このINFCEの結果、すなわち再処理についての国際的な方向が決まった段階あるいはわが国として自主的に再処理をやっていけるという見通しがはっきりした段階で踏み切るべきではないかというような議論もあるわけですけれども、これについて政府はどう考えておるのか、その点お答えを願いたいと思います。
  181. 上條勝久

    ○上條政府委員 今回はこの法改正をお認めいただきまして、民間でも再処理事業を行うことができるということにしていただきまして、国の再処理需要に的確に対応できるというふうにしていただきたいということでございますが、その施設建設には先刻来申し上げましたとおりかなり長期間を要することでもありまするし、したがいまして、一刻も化く建設の準備体制の整備にかからせていただくということが非常に必要であろうかと思うわけでございます。それと同時に、再処理わが国といたしましてはその立場上どうしてもやらなければならぬということでございますが、国際的な配慮からいたしましても、やはり国内的にも国際的にもそういう一貫したコンセンサスをいただいておくということがきわめて大事なことであるという認識に立っておる次第でございます。そういう意味から、INFCEの結論を待つということよりも、むしろこの機会にひとつそういう体制をつくり上げていただくということを私どもはこいねがっておる次第でございまして、どうかひとつぜひとも本改正案の成立につきまして先生方の格別の御理解と御協力をお願いしたいと思う次第でございます。よろしくお願いいたします。
  182. 小宮武喜

    ○小宮委員 外務省にさらにお聞きしますけれども、INFCEの第四作業部会の中での各国の主張を見てみますと、英国とフランスは使用済み燃料を再処理して得られたプルトニウムを高速増殖炉に使うという政策だ。また西ドイツと日本は、再処理で抽出したプルトニウムを高速増殖炉の実用化までのつなぎとして軽水炉に利用する方針だ。一方アメリカは、再処理を中止し高速増殖炉の計画を延期しておるということの中で、アメリカの代表は余り積極的な発言が作業部会の中ではやられていないということも聞くわけですけれども、そういうことを考えてまいりますと、われわれはINFCEの第四作業部会の結論を非常に注目しておるわけですけれども、イギリスだとかフランス、日本、西ドイツに比べて案外アメリカの方は、核不拡散という立場から余り積極的な発言をしていないということを聞くわけですが、これは事実でしょうか。そういうことで果たして第四作業部会は合意が得られるのかどうか、そういう気がしてならないのですが、どうでしょうか。
  183. 太田博

    ○太田説明員 お答えいたします。  INFCEの創設を言い出したのは御承知のようにアメリカ自身でございますが、INFCEの発足当初、実を申しますとわれわれが当初予想していたのに比べますとアメリカがわりに低姿勢といいますか、われわれが承知しているアメリカの考え方を余り大上段から言ってこなかったという印象があったことは事実でございます。ただし、これをもちましてアメリカがINFCEに対して熱がないのではないかというふうに結論づけることはできないと考えておりまして、一つには、アメリカがINFCEを非常に重視している観点から、INFCEが無事に発足するように当初から押しつけがましいような態度はとらなかったという政治的配慮があったかと思われるとともに、もう一つアメリカは、いまいわゆるシンクタンク等を駆使いたしまして、再処理問題その他各問題についていろいろなブレーンを使いましてペーパーの作成、調査等を行わせているようでございます。したがいまして、こういう結果がそろそろ出てくるころでございまして、むしろこれからアメリカがINFCEの各作業部会を通じまして、日本等に対して相当手ごわい理論闘争を仕掛けてくるのではないかというふうにわれわれは考えております。
  184. 小宮武喜

    ○小宮委員 そういう見方もよく理解できます。ただ、私たちが考えるのは、INFCEでどういう結論が出ようと、たとえば日本アメリカの間には日米原子力協定があるわけですからそこでいつでも首根っこを押さえられるぞ、あるいはアメリカとユーラトムとの間にもやはり協定がある。だからINFCEにかかわりなくアメリカとしては自分たちの政策を個々の原子力協定、こういうところでいつでも主張ができるし、そこでINFCEがどうであろうと原子力協定の改定の中で再処理問題について彼らは自分たちの主張を主張できるし、またそれがノーと言えばINFCEがどういう結論を出そうが実際はできないのだというような考え方もあるのではないかという見方もできるわけですが、その点いかがでしょうか、そういうことはないというふうに考えられますか。
  185. 太田博

    ○太田説明員 お答えいたします。  確かにただいま先生指摘のとおり、アメリカは二国間の原子力協定によりまして再処理についてアメリカの政策を需要国側にのませるような仕組みになっております。たとえば再処理で申しますと、アメリカの事前同意がなければアメリカ産の燃料は再処理できないということは二国間の原子力協定に含まれているわけでございまして、その限りにおいては御指摘のとおりだと思います。ただし、具体的にこの再処理の事前同意権をどのようにアメリカが運用していくかという問題になりますと、私どもといたしましてはINFCEにおける国際的な評価の作業、これが非常に大きな影響を持ち得るのではないか。アメリカは当初から各国がアメリカの政策に批判的であることを承知の上で、先進原子力国のみならずインド、パキスタンあるいはブラジル、こういう国にまで声をかけましてINFCEを発足させました真意を考えてみますと、アメリカの核不拡散に対する考え方をできるだけ多くの国に理解してもらおう、そうして国際的なコンセンサスとまではいかなくても大方の見解として、国際的な見解アメリカ見解ができるだけ反映されるようにしようというふうに考えているものと思われます。したがいまして、確かに二国間協定で権利はございますけれども、たとえばもしINFCEの結論が再処理をやることについてきわめて積極的な結論が出たといたしますと、アメリカ法律的に二国間協定でノーと言えるにしても、国際的な世論あるいはそういうINFCEにおける国際的な考え方、これの政治的な圧力というのは非常に大きく受けざるを得なくなるのではないか。したがって、アメリカといたしましても自国の考え方をINFCEの最終的な結論にできるだけ反映させたいと真剣に努力しているものというふうに考えます。
  186. 小宮武喜

    ○小宮委員 私は、日米原子力協定の問題を非常に重要視しておるわけですけれども、INFCEは来年の秋ころまでに結論をまとめるということになっているわけです。その中でアメリカは核不拡散法を成立させたという問題が一つ出てくる。そういうことによって審議の波乱が予想されることもありますし、INFCEの結論も出ない時期に、たとえばわが国やユーラトムに対して原子力協定の改定に即時応ずるよう申し入れをしておるというふうなことをいろいろ考えてみますと、アメリカは本気でINFCEの討議に参加しておるのだろうかという疑問も出てくるわけです。その点についての所見はどうですか。
  187. 太田博

    ○太田説明員 ただいま御指摘のようにアメリカがINFCEの結論を待たずに先般成立した核不拡散法に基づいて各国に二国間協定の改定を求めているあるいは求めようとしているということは事実でございますけれども、先ほど申しましたように二国間協定とINFCEとの関係といいますのはなかなか複雑な要素がいろいろございまして、アメリカとしてもINFCEと関係なしにアメリカの核不拡散政策上関係国に求める輸出規制という面もございますし、それから協定上の規定よりはむしろその運用の面でINFCEの結果が大きく響いてくるという面もあるかとも考えられます。われわれといたしましては、もしアメリカのアプローチがINFCEの結果の先取りになるようなことがございましたら、これは断固として排するという基本的な態度をとっております。
  188. 小宮武喜

    ○小宮委員 INFCEに臨む態度として原子力委員会はINFCE対策協議会というものをつくっておるし、外務省、通産省、科学技術庁ではINFCE対処方針検討委員会を設けてINFCEに臨む態勢をいろいろ検討をしておるわけですが、実際にINFCEが動き出してみると、INFCEに対する思惑が関係者の中で立場によってそれぞれ違ってきておったということで、INFCEの日本代表団は非常に戸惑ったという話も聞いているわけですが、そういう事実はないですか。
  189. 児玉勝臣

    ○児玉説明員 先生ただいま御指摘のとおりINFCEの内容が非常に広範かつ基本的な問題を含んでおりますので、国内での処理という問題についても多方面にわたっております。原子力委員会、それから科学技術庁外務省、通産省、それぞれにおいて十分検討しなければなりませんが、互いに緊密な連絡をとりつつやっていくということを基本的な合意としております。また原子力委員会においてINFCE対策協議会を設けてわが国のINFCEへの適切な対応策を総合的に検討しております。また一方、外務省の対処方針検討委員会原子力委員会の決定等に基づきましてINFCEの各作業部会への参加に際しての個別的対処方針を策定する場合に必要な助言を与えることとしております。それから、民間各界及び関係行政機関のコンセンサスを得るため原子力委員会の中に原子力国際問題等懇談会を設けましてINFCEの基本的な考え方等を審議しております。そういうようなことで意思の統一を図りつつ対応しておる次第でございます。
  190. 小宮武喜

    ○小宮委員 原子力委員会原子力国際問題等懇談会をことし三月に発足させて、再処理プルトニウムの利用についての基本的な考え方を審議してINFCEに臨む方針を決めたわけですが、原子力国際問題等懇談会を設けたというそのことは、私が先ほど申し上げましたようにたとえば原子力委員会外務省科学技術庁、通産省あたりでつくっておるINFCE対処方針検討委員会との食い違いがあったからさらにこういうものを設けたということではないのですか。
  191. 児玉勝臣

    ○児玉説明員 先ほど申し上げましたようにINFCEに関するいろいろな検討事項、これは官民非常に広範囲にわたっておりまして、民間各界と関係行政機関とのコンセンサスを得るためということでこういう機関ができたわけでございます。
  192. 小宮武喜

    ○小宮委員 それではわが国としてはINFCEの結論が出ないうちに日米原子力協定の改定交渉に応ずるのか、INFCEと原子力協定改定交渉との関係をどう見るのか、その辺について政府から、外務省でも科技庁でも結構ですから御答弁を願いたい。
  193. 太田博

    ○太田説明員 お答えいたします。  先ほど申しましたように二国間の原子力協定の改定交渉問題とINFCEの作業の関係はなかなか複雑でございまして、一面的に必ずしも割り切れないところがあるわけでございまして、アメリカとの二国間協定の改定交渉にINFCEの結果が出る前に応ずることそれ自体は直ちにINFCEの結果を先取りすることには必ずしもならないのではないか。したがいまして問題はその交渉——あるいはアメリカの考えておる、あるいは提案されるでありましょう改定の草案、これはわが国の場合、ユーラトムの場合、同じでございますが、これの内容それからその交渉の進め方、これらによるものというふうに考えております。したがいまして、わが国といたしましても、たとえばユーラトムのアメリカに対する反応ぶり、それからアメリカわが国に対する働きかけの仕方、それらを見きわめました上で、先ほど申しましたようにいずれにしてもアメリカと話し合いをすることがINFCEの結果の先取りにならないように十分注意していきたいと考えております。
  194. 小宮武喜

    ○小宮委員 先月二十四日に行われた日米原子力協定の改定予備交渉の中で、アメリカからモデル協定案みたいなものが出されたというふうに伺っておるわけですが、そういう内容のものが出されていますか。
  195. 太田博

    ○太田説明員 お答え申し上げます。  モデル協定なるものがそのときに提案されております。ただ、いま先生が予備交渉というふうに申されましたが、先月の二十四日、二十五日に東京で行われました会合といいますのは交渉には至らない段階の話し合いでございまして、アメリカが核不拡散法についての説明をわが方にいたしたということでございます。  それから、そのときにアメリカ側がわが方に提示いたしましたモデル協定と申しますのは、これは日米間で交渉をするための資料というものではなくて、核不拡散法にアメリカが各国にいずれ交渉して締結を要請すべき協定に盛られる事項というのが列挙してございますけれども、そういう輸出規制の諸要素を仮に協定の形にするとどういうことになるかという意味でのモデル協定でございますので、いわば核不拡散法の説明の一つの方法であったということでございまして、われわれもそう理解しておりますし、アメリカ側も説明に際してはそういうふうに言っておりました。
  196. 小宮武喜

    ○小宮委員 最後に、五月三日に行われた日米首脳会談で、福田首相は、日本の使用済み核燃料の再処理の方針を強く主張するということを四月二十六日の参議院の本会議質問に対する答弁の中で明らかにしておるわけですけれども、この日米首脳会談においてこの再処理の問題について話し合いが行われたのかどうか、また福田首相から、そういうことで主張されたのかどうか、その辺についてはいかがですか。
  197. 太田博

    ○太田説明員 お答えいたします。  先般、ワシントンで行われました日米首脳会談におきましては、この問題につきまして総理の方からカーター大統領に対しまして日本の基本的な立場、すなわち日本が平和愛好国家として核不拡散に対しては特殊な関心を抱いていること、しかし同時に、資源小国であるわが国としては、再処理を含みます原子力平和利用を推進することが死活的な重要性を持つものであるということを強調されたというふうに承知いたしております。  これに対しましてカーター大統領は、原子力平和利用と核拡散の防止の両立について、たとえばINFCEがそういう点についての回答を与えることを期待しているというふうに総理に答えたというふうに聞いております。
  198. 小宮武喜

    ○小宮委員 時間が来ましたので、きょうはこれで質問を終わります。
  199. 岡本富夫

    岡本委員長 次に、中馬弘毅君。
  200. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 この第二処理工場が議題に上るのは、資源も何もない日本にとってむしろ遅きに失したと考えております。少し当初にさかのぼりますけれども、三十二年に核原料、核燃料物質及び原子炉規制法が成立をした当初、なぜこの再処理事業民間で行うことを禁じたのか。これは四十四条で禁じておりますが、その経緯あるいは理由といったことをお聞かせいただきたい。
  201. 児玉勝臣

    ○児玉説明員 お答えいたします。  法案が成立した当時におきましては、まだその再処理事業、再処理技術というものがどういうものであるかということについて平和利用としての十分な認識がなかった、要するに軍事利用としてはあることはわかっておったわけでございますけれども、それを平和利用としてどのように位置づけるかということについてわかっておらないために、日本の国としてはまずその技術研究開発に制限させるということであったと了解しております。
  202. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 同じ一つの核燃料サイクルの中で製錬事業、加工事業、発電事業、こういったのは民間で行うことができることになっておって、現実にやっておるわけでございますが、何かそこで問題がありましたか。
  203. 児玉勝臣

    ○児玉説明員 再処理事業というのは御承知のようにプルトニウムが出てまいりまして、いわゆる核兵器に使える物質を生産するという問題がございまして、そういうものがどのような技術のもとにまたどういうような形態で出されるかということについてまだ十分な認識がなかったし、また原子炉基本法といたしましても、原子力平和利用という立場からいきまして、そういうプルトニウムまたはプルトニウムを生産する技術に対する担保が十分でないときに、政府直轄の研究所以外にそういう道を開くということについて十分な検討がなされていなかったというふうに理解しております。
  204. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 ということは現在では、民間にやらしても大丈夫だということになったという御判断でございますね。
  205. 児玉勝臣

    ○児玉説明員 その後、動燃事業団におきまして再処理工場がつくられまして、いろいろとその政策それから運転経験が積まれましてその本格運転見通しがついたということで、プルトニウムの問題それから安全に運転できるという一つのめどがついたということは言えるかと思います。
  206. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 この一つの経緯を見ておりますと、役所といいますか、お上がやれば安全で効率的で、民間にやらすとその辺が非常に危ないのだというような、何か明治政府以来の基本的な考えがあるような気がしてならないわけです。しかし事実は、むしろ民間に任せた方が時によっては効率的であったり、あるいはそれなりのお役所的な無責任ではない場合が出てくるかと思うのです。そういうことで、こういう形で民間に任してやらされるということは、こちらはそれなりに評価しているわけでございます。今後もそういう形で進めていただきたいという気がいたします。  それにしましても第二工場の完成は一九九〇年、そうしますと、先ほど言いましたようにもっと早くやっておくべきだった。というのは、原子力発電所が各地でできて、使用済み核燃料が相当出てまいります。そうしますと、やはり海外委託分のウエートが非常に高くなってくる。その高くなってくる中でいま、国際的な関係を見ましても、そういったものが国際的な戦略に使われたりするようになってまいります。そうしますと、果たしてそれで大丈夫なのかという気がするわけです。現在の東海工場だけだと累計二千三百万トンしかできず、この状態が十数年間続くわけでございますけれども、その間の手だてが果たして大丈夫なのかどうか、御所見をお伺いしたいと思います。
  207. 児玉勝臣

    ○児玉説明員 先ほど来需給バランスの問題が出ておりましたけれども昭和六十五年で六千万キロワットの原子力発電所が開発されましたときには使用済み燃料が排出されますのが約八千トンでございまして、海外委託、それから国内のいわゆる東海の第一再処理工場でできますものが約七千トン、そこですでに約千トンばかり不足分が出ておるわけでございます。そういう意味では先生がおっしゃるようにその工場建設をもうちょっと早めてもいいのではないかということもございます。一方、七千トンのうちの約二千二百トンは東海の再処理工場でいたしますけれども、それ以外の問題につきましては海外に委託しなければならないということで、これはフランス及びイギリスの長期契約ということになっておりますので、その長期契約をほごにするということはまずなかろうということで考えております。
  208. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 このことに限らずいままでいろいろ非常に危ない綱渡りをしてきたわけでございまして、しかしいままではそれで何とかいけたから問題がなかったという気がするわけですが、この問題にしましても非常に危惧される問題だと思うのです。そうしますならば、たとえばいまの東海工場処理能力が年間二百十トンですか、これを増設とか何かして短期的に少しは上げるとかいったことが技術的に可能なのかどうか、その辺をお伺いしておきたいと思います。
  209. 児玉勝臣

    ○児玉説明員 現在の東海の再処理施設の増設というのは、いまのところ技術的にも不可能でございます。
  210. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 それはどういうことででございますか。敷地がないとか、あるいは全く同じような工場をもう一つ横につくるということだって考えられるわけですね。
  211. 児玉勝臣

    ○児玉説明員 工場を別につくるという発想でございませんで、現在ある設備の中で一部分を増設してその処理能力を高めるということはできないわけでございます。また、工場の増設については現在考えておりません。
  212. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 そうしますと、果たして本当に一九九〇年にできるのかどうかというそのことに非常にしぼられてくるわけでございますけれども、これこそ成田の問題がいい例でございますが、予定した年から七年間も八年間もおくれているような状況ですね。そういうことで一九九〇年に予定しておりますこの第二工場が果たして完成できるのかどうか、そのことから考えたときに、その間の手だてをどう考えておられるのか、もう少し責任ある御答弁をお願いしたいと思うのです。
  213. 児玉勝臣

    ○児玉説明員 先生がおっしゃいますように、昭和六十五年、一九九〇年にはその海外委託の契約も切れますし、それから排出されます使用済み燃料の量も非常に膨大になりまして、一九九〇年というのが日本の国の核燃料サイクルの上での一つの剣が峰と言ってもいいのではないかと思います。そういう意味では、非常にまなじりを決して第二再処理工場の運開というものを考えなければならないということで今回お願いしておる次第でございます。
  214. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 先ほど瀬川参考人からもお話がありましたが、この東海工場技術経験を第二工場に生かしていくということでございますが、その中で外国のコンサルタントを使うといったようなお話も出てまいりました。いままで日本の産業は確かに外国から技術を学んで完成してきたわけでございますけれども、いまではほとんどのものが自主技術といいますか、プラントとして外国へ輸出するぐらいの力は持っております。現実に、アメリカはともかくとしまして、西ドイツやフランスと日本はほとんど同じ時期にこの平和利用を始めたのではないか。それなのにいまだに技術的な意味外国に頼らざるを得ぬというのはどういうところに原因があるか。これは、やはりこの経験を生かして本当に自主技術に持っていくべきだと私たちは思っております。核燃料サイクル自体にしましても、平和利用という面であれば今後後進国あたりもどんどんできてくるかもしれません。そのとき、技術を輸出する。資源はなくても技術的には日本はちゃんと確立しておって、それを輸出できるということにしていかなければならないと思うのですね。そういう点から、もう少し自主技術といいますか、第二工場にそれを生かしていくことはお考えにならないのかどうか。
  215. 児玉勝臣

    ○児玉説明員 再処理工場に使います技術というのは国産技術として独立できないという事情はなぜかという御質問でございますが、一つは再処理工場の、要するに商業規模と申しますのが千トンから千五百トン以上ということになっておりまして、そういう規模でいきますと、それだけの規模の再処理工場を持てる国というのは、相当な原子力発電所を持っている国でないと必要もございませんしまた設置もできないわけでございまして、言うなれば、非常に長期間にわずかな設備ができるということで、その技術の拡散が非常にはかばかしくないわけでございます。したがいまして、どうしても自分自身でつくって自分自身でその経験を積んでいくということでその技術を移転させていくという以外に方法はないのがこの再処理技術の特徴ではないかというふうに思うわけでございます。  それで先ほど、フランスの技術技術導入しましてつくったわけでございますけれども日本の国なりにその技術を直したというお話がございましたけれども、まさに日本的な再処理工場という意味では、たとえば放出低減化技術というようなものも日本技術でもって開発いたしましたし、現在クリプトン回収施設のむずかしい技術にも挑戦をしている次第でありまして、そういう意味では単なる再処理工場ということではなくて、日本の国の中に適した再処理工場のあり方というものを模索しているわけでございます。  そういうことで、こういう経験を積んだ上で、第二再処理工場技術というものがますますすばらしいものになるように努力していく所存でございます。
  216. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 ということは、やはり西ドイツやフランスにかなりおくれておるという認識に立っていいのかと思いますが、それがたとえば諸外国に対して技術自体を輸出できるのはいつごろと踏んでおられますか。
  217. 児玉勝臣

    ○児玉説明員 非常にむずかしい御質問でございますが、一つの予想みたいに考えますと、ハードの問題につきましては、先ほど来動燃の理事長が申されているように、つくることについては、いまでも外国においてつくることはやぶさかではないと思います。しかしながら、そのできました機械をどのようにオペレーションするかということについてはまだ十分な経験を積んでおりませんので、やはりここ十年近くの経験がなければ外国へ行って指導するというだけのノーハウは得られないのではないかというのは、これは私の私見でございますが思っております。
  218. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 では、この第二工場を設置するについて先ほど来いろいろなお答えも出ておりますが、二百万坪、四、五千億という、本当に国家的な大きなプロジェクトになってまいりますと大変なことだと思うのですね。特にこの立地の問題、もちろんまだ場所とかいったような話は出てこないと思いますが、これこそ先ほどの成田の問題ではないけれども、いままでのやり方ではかなりの反対運動すら出てくる可能性があると思っております。これは各地の原子力発電所で現実に起こっている問題でございます。そうしますと、いままでと違った何か、PRの仕方、国民、住民に納得をさせる方法、どういうことを考えておられるか。特に国民に対してのPRといいますか、原子力教育みたいなのが非常に欠けている気がするのです。原子力と言ったら、わかりませんというのがほとんど大半の人なんです。やはりこれではいかぬという気がします。教育の場で、あるいは小学校や中学校から、それこそ明治の初めのときには電気と言ったら何かわからなかったと同じような意味で、原子力というものを基礎的なところから教育していくというようなことも必要じゃないかという気がいたします。そういうことも含めて、今後このプロジェクトを進めていかれるに当たりまして、どういう具体的なPRの方法を考えておられるか。
  219. 児玉勝臣

    ○児玉説明員 第二再処理工場をつくるに際して、先生のおっしゃるとおりいろいろとそのコンセンサスづくりが大変であるということも私たち考えておりますし、その第一の問題といたしましては、現在あります東海の再処理施設を安全に、クリーンに運転してみせるということがまず一番大事なことではないかと思います。やはり国民に説得性のある安全を証明してみせるということでありまして、それに対して、先ほど来申しましたように放射能低減化施設というようなものを開発しておりますし、そういうことのじみちな努力が、やはり周辺住民の理解と協力を得る第一ではないかというふうに考えております。  また国民全体に対しましても、原子力平和利用原子力開発というのがエネルギー政策上いかに重要であるかということ、それでまた再処理工場というのが核燃料サイクルのかなめとしていかに大事であるかということについては、今後とも精力的によく御説明していきたいと思っております。
  220. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 細々したところはほとんど前の質問者で出ましたので、以上、民間の活力を生かして、そして本当の日本自主技術を高め、そして国民の理解をもって進めていただくことを心から要望いたしまして、質問を終わらせていただきます。
  221. 岡本富夫

    岡本委員長 次回は、明十一日木曜日午前十時理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時三十三分散会