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1978-04-20 第84回国会 衆議院 科学技術振興対策特別委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年四月二十日(木曜日)     午前十時四十九分開議  出席委員    委員長 岡本 富夫君    理事 大石 千八君 理事 佐々木義武君    理事 中村 弘海君 理事 石野 久男君    理事 貝沼 次郎君 理事 小宮 武喜君       伊藤宗一郎君    佐藤 文生君       玉沢徳一郎君    塚原 俊平君       渡辺 栄一君    安島 友義君       上坂  昇君    近江巳記夫君       瀬崎 博義君    西岡 武夫君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      熊谷太三郎君  出席政府委員         科学技術庁長官         官房長     半澤 治雄君         科学技術庁原子         力局長     山野 正登君         科学技術庁原子         力安全局長   牧野 信之君     ————————————— 委員の異動 四月二十日  辞任         補欠選任   中馬 弘毅君     西岡 武夫君 同日  辞任         補欠選任   西岡 武夫君     中馬 弘毅君 同日  理事小宮武喜君同月十九日委員辞任につき、そ  の補欠として小宮武喜君が理事に当選した。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事補欠選任  核原料物質核燃料物質及び原子炉規制に関  する法律の一部を改正する法律案内閣提出第  四二号)      ————◇—————
  2. 岡本富夫

    岡本委員長 これより会議を開きます。  理事補欠選任の件についてお諮りいたします。  昨十九日理事小宮武喜君の委員辞任により、理事が一名欠員となっております。その補欠選任を行いたいと存じますが、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 岡本富夫

    岡本委員長 御異議なしと認めます。よって、理事小宮武喜君を指名いたします。      ————◇—————
  4. 岡本富夫

    岡本委員長 核原料物質核燃料物質及び原子炉規制に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、提案理由説明を聴取いたします。熊谷国務大臣。     —————————————  核原料物質核燃料物質及び原子炉規制に関する法律の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  5. 熊谷太三郎

    熊谷国務大臣 核原料物質核燃料物質及び原子炉規制に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明いたします。  原子力開発利用は、わが国におけるエネルギー安定供給に重要な役割りを果たすものでありますが、その円滑な推進を図るためには、原子力発電所からの使用済み燃料を再処理し、計画的かつ安全に処分するとともに、回収されたウラン及びプルトニウムをリサイクルさせて使用することにより、限られたウラン資源を有効に利用することが不可欠であります。この再処理は、いわば核燃料サイクルのかなめとも言うべきものでありまして、エネルギー資源に乏しいわが国にとっては、とりわけ重要な意義を有するものであります。  このような観点から、核燃料サイクル確立の一環として、原子力平和利用と安全の確保を図りつつ、使用済み燃料の再処理計画的に推進する体制を確立するとの基本的考え方のもとに、これまで動力炉・核燃料開発事業団において、東海村にわが国初の再処理施設建設を進めてまいりました。本施設につきましては、一年半にわたる慎重な試験を重ねた後、米国との間の交渉を経、昨年九月から使用済み燃料を用いた試運転に入っているところであり、本年秋には、本格的な操業に入ることとなっております。  もとより、この再処理施設のみをもって今後のわが国の再処理需要に対処することは不可能であります。したがいまして、当面はやむを得ず、海外への再処理委託と本施設によって対処することとしておりますが、それ以降のわが国の再処理需要適確に対処していくためには、今後、動力炉・核燃料開発事業団等における技術と経験の蓄積の上に立って、新たな再処理施設建設を進めていくことが不可欠であります。  加えて、再処理施設建設には十年以上という長期間を要することを考え合わせますと、その建設準備に一刻も早く着手しなければならない時期に立ち至っておると考えます。  現在、再処理事業につきましては、動力炉・核燃料開発事業団及び認可を受けた場合の日本原子力研究所に限り、これを行うことができることとなっておりますが、前述のような諸情勢に対処し、新たな再処理施設建設に、わが国の総力を結集して当たり得るよう、再処理事業を行うことができる者の範囲を拡大するとともに、それに伴って、再処理事業規制の一層の充実強化を図る等の措置を講ずる必要があります。  一方、国際核燃料サイクル評価、INFCEの開始等、核の不拡散をめぐる世界の情勢はとみに厳しさを増しつつありますが、わが国としましては、原子力平和利用と核の不拡散は両立し得るとの基本理念に立脚し、使用済み燃料の再処理プルトニウム利用計画的に推進し得る体制を確立し、もってわが国の自主的な核燃料サイクルを確立するとの基本的考え方を国際的にも強く貫いてまいる所存であります。  以上、本法案を提出いたします理由につきまして御説明申し上げました。  次に、本法案要旨を述べさせていただきます。  第一は、動力炉・核燃料開発事業団及び日本原子力研究所以外の者も、内閣総理大臣の指定を受けた場合には再処理事業を行うことができることとすることにより、再処理事業を行うことができる者の範囲を拡大することであります。第二は、再処理事業者は、再処理施設について内閣総理大臣使用検査及び定期検査を受けなければならないこととする等、再処理事業規制に関しその充実強化を図るとともに、関係規定整備を行うことであります。  以上、この法律案提案理由及びその要旨を御説明申し上げました。  何とぞ慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願い申し上げます。
  6. 岡本富夫

    岡本委員長 以上で提案理由説明は終わりました。     —————————————
  7. 岡本富夫

    岡本委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出があります。これを許します。大石千八君。
  8. 大石千八

    大石委員 この核原料物質核燃料物質及び原子炉規制に関する法律の一部改正、これは大臣趣旨説明にもありましたように、やはりこれからだんだん問題が深刻化してくるエネルギー効率化ということのために、特にわが国のように資源小国と言われる国にとりましては、エネルギー確保のためにあらゆる観点からその方策を考えていかなければならないことは当然のことでありますし、そういう問題意識の中からやはりやらなければならない法律改正であるというふうに認識をしておるわけであります。高度経済成長がしばらく続いた日本が、あのオイルショック以後、低成長に移行せざるを得なくなってきたというような状況の中で、しかもこのままいけば大変に深刻ではないかと言われる雇用問題も有効求人倍率〇・五というような状況になっているところでもありますし、雇用問題、国民生活の安定という見地に立っても、どうしてもこの経済安定成長させていくために最大の努力をしなければならぬ。そのために政府は、最低条件として経済成長率ことしも七%という目標を掲げておりますし、そして一九八五年から九〇年ぐらいにかけて、国民生活の安定、雇用の安定ということを果たすために、どうしても五、六%の成長はこの十年前後はやはりやっていかなければならぬだろう、このような一つ目標があるわけでございます。それに従いまして、いろいろな経済政策の上でこのような経済成長率を保っていくということは当然行われるわけでありますが、いかに経済政策の上でそのような目標が考えられても、経済成長を達成するためには、必然的に伸びていくエネルギー確保というものが基本的になければならぬわけで、エネルギー確保なしに、経済政策のみでこの十年間、年間五、六%の成長を続けていくことは不可能なわけでございます。そういう意味から言いまして、わが国の場合は資源をほとんど外国に依存している、九〇%の資源依存率でありますし、その最も基本的なものになっている石油に関しては九九・七%という、もう一〇〇%に近いものを海外からの輸入に仰いでいるわけでありますし、そういう意味を考えましても、この経済安定成長のためにやらなければならないエネルギー資源確保ということは、これからのすぐ近い将来、二、三年後とは言わないまでも、もう少し後の、五年から十年くらいにかけての問題としては特に現実化してくるのではないかというふうに思うわけです。  そういうような状況でございますけれども、この石油にかわるエネルギーあるいは石油をどの程度これからも確保できると見込んでいるのか、特に中長期の展望から石油をどの程度これから確保していけるのか、あるいは石油のみには頼れないという現状から、それにかわる代替エネルギー確保する見通しはどのようになっておるのか、つまり経済成長をさせるためのエネルギー確保するための、特に中期的な見通しということを承りたいと思います。
  9. 山野正登

    山野政府委員 将来の経済安定成長にとりまして、エネルギー需給問題というのが大変重要な問題であるということは先生指摘のとおりでございまして、私どももそういう意味合いにおきまして、長期エネルギー需給安定化ということについて政府全体として努力をいたしておるところでございます。  現在のところ、昨年の九月の総合エネルギー対策推進閣僚会議におきまして、通産省から提示されました需要見通しというものが関係閣僚によって了承されておりまして、これが現時点におきますわが国長期エネルギー需給見通しであり、かつまた諸施策努力目標にもなっておるわけでございます。それは、できるだけエネルギー輸入依存度を減らして自給率を高める、それがまた安定供給への道であるという基本的な考え方に沿っておるものでございます。  その見通しによりますれば、官民挙げて省エネルギーとかあるいは新エネルギー開発等努力をするという対策促進ケースと呼ばれておるものを例にとりますと、昭和六十年度時点でなおかつ輸入石油を四億三千二百万キロリットル、全体の約六五・五%の輸入を予定いたしておるわけでございます。それよりさらに五年おくれまして昭和六十五年度時点をとりましても、なおかつ輸入石油は五七・一%という数字になっておりまして、今後この需給の安定を図るためには、引き続きできるだけ輸入依存をしない新エネルギー開発というものが必要なわけでございます。私どもとしましては、水力とか地熱といったふうな純国産エネルギー研究開発努力というものを続けるのは当然でございますが、これに加えまして、近々のうちに、最も量的に石油代替エネルギーたり得る原子力というものに最重点を置いて開発を進めてまいりたいと考えております。  この原子力に着目いたしますと、昭和六十年度が対策促進ケースで約三千三百万キロワットという目標になっておりまして、これが全一次エネルギーの七・四%ということになっており、電力設備容量ではたしか一八・数%になっておったかと存じますが、これを今後ともできるだけ大きなシェアに持っていきたいというのが私どもの考えておる線でございます。なお、原子力開発目標値につきましては、ただいま原子力委員会におきまして長期計画の見直しという作業をいたしておりまして、恐らくこの六十年度の三千三百万キロワット前後になるとは思いますが、ことしの夏ぐらいに最終成案を得るという運びになっております。
  10. 大石千八

    大石委員 エネルギー自給率を高める、つまり海外からの輸入資源に頼るのではなくて、国内で開発して自給率を高めるということで、やはりその中の基調となる中心的なものが原子力であるということは万人の認めるところではなかろうかというふうに思います。  そこで、原子力平和利用ということはもう二十年来言われていることでありまして、これは、国内的にも国際的にも、原子力平和利用というものを推進をしていくという雰囲気は最近に始まったことではない。二十年来言われているところでございますけれども、実際問題としては、原子力平和利用のために原子力発電所建設ども推進していかなければなりませんが、これが平和利用の名のもとに幾らやっても、やはりかつての日本が唯一の被爆国であるということもありましょう、あるいは企業に対する国民不信感というものもありましょう、そういう点が重なって原子力発電所建設を進めることにおいて大分障害がある、なかなか建設がスムーズに進んでいないという現状でございますけれども熊谷国務大臣は、以前から原子力発電所に関してきわめて御熱心に推進もされましたし、そのための立地条件整備ということに関しても、並み並みならぬ御熱意を示しておられたわけでありますけれども、今後、これは何としても住民理解というものが必要でありますので、数字の上で計算をしてもなかなかそのまま推進するものではない。その辺の住民感情も十分に考慮しながら、発電所建設のために努力をしていかぬといかぬわけでありますけれども、その辺の事情に見識の深い国務大臣に、今後の原子力発電所の設置のためのいろいろな問題点、それから努力すべき点をお伺いしたいと思います。
  11. 熊谷太三郎

    熊谷国務大臣 先ほど来お話のありましたように、わが国エネルギー源確保いたしますことは、わが国にとってきわめて重要な課題でございます。これらのエネルギー全般の問題に関しましては、主として通産省などを初めといたしまして、それぞれその推進を図ってきておられますが、特にわれわれ科学技術庁といたしましては、原子力平和利用推進するというたてまえから、原子力発電推進については至大な関心を持っているところでございます。  ところで、原子力発電推進がなかなかはかばかしくまいらないということも御指摘のとおりでございます。これにつきましてはもちろんいろいろの原因がありますけれども、つづめて言いますと、立地地元住民理解不足といいますか、反対というか、それが大きなネックになっているということは、これまた申し上げるまでもないところであります。そこで、何とかして立地関係住民方々理解と共鳴を得るということが重大なポイントになってくるわけでありますが、どうしたらそういう点を推進していけるかということになりますと、いろいろの考え方があるかと存じますが、私どもの乏しい経験から考えますと、やはり何といたしましても反対根本原因というものについて検討して、その解明を図っていかねばならぬということになるかと思うわけであります。  そこで、現在地元においてあらわれております反対というものの本質を考えてみますと、大体二つになるかと考えているわけであります。  それは、一つは非常に強い反対でありまして、場合によっては反対のための反対と考えなければ理解のできないような反対、そういうものが一つあるように思います。  それからもう一つは、これはやはり原子力発電ということが非常に新しいエネルギー源でありますので、ことに放射線を出すといったような原因もありまして、原子力発電所に対する不安あるいは疑念、そういったものが中心になって自然反対する、こういう趣旨反対もあるかと考えるわけであります。  そこでわれわれとしましては、どちらの反対もぜひ御理解願って賛成していただかなければならぬわけでありますが、まずもってさっき申しましたうちの第二の反対つまり別基本的に反対とか賛成とかというのではないが、疑念や不安があって、そして結局反対せざるを得ないといったような、そういう反対に対する方法がまだ十分確立されていないのではないか、このように考えるわけであります。  と申しますことは、現在わが国で八百万ないし最近の状態によりますと約九百万キロワットの原子力発電所があるわけでございまして、それぞれ受け入れてもらっております府県あるいは市町村等があるわけでございます。これらは一応御理解の上、受け入れてもらっているわけでありますが、しかし受け入れてもらいながら、なおかつ、逐年いろいろの同じような要望が繰り返されているという実情であります。  ということは、せっかく受け入れてもらっております地元府県市町村政府の間にも、なお原子力推進理解に関して不十分な点がある、こう考えざるを得ないと思うわけでございます。そこで、何としましてもこういう点を解消しまして、政府とそれから受け入れてもらっております府県なり市町村との間のすきがない渾然一体となったそういう状態を確立していく、これが第一の反対も第二の反対もおのずから解消していく道ではないかと考えるわけであります。  こういうふうに府県市町村政府とよく理解が通じて、そして政府と同じような方針でいろいろな施策を進めていただきますならば、おのずからそういう不安が解消していく、こういうように思っておりますので、御承知かと思いますが、本年の一月に原子力発電立地推進懇談会というものを設けまして、その第一回の会合を一月に開いたわけでございますが、そのときに、従来の要望なりあるいは現在の段階におきますいろいろの問題点をいろいろ開陳いただきまして、そしてそれを鋭意目下検討している最中でございまして、それらの結果を近く、来月早々にでも第二回の懇談会を開きましてそういう点も詰めてまいる。そういう会を今後逐次重ねてまいりまして、そして立地関係地元方々の御理解を得ていく、これを一つ考えているわけであります。もちろんいろいろな方法がございますし、もっと重要な問題もあるかと思いますが、現実に即しました一つの立地問題の解決策としまして、そういうことを特に私どもが考えて実行に移しておるということを御理解いただければ、大変幸いかと存ずるわけでございます。
  12. 大石千八

    大石委員 確かに、大臣述べられませんでしたけれども、これは通産省などの意向もありまして、交付金の増額とか、そういういろいろな財政的な裏づけなどを加えることによって促進をすることももちろん考えられているようでありますけれども、まさに大臣のおっしゃるように、やはりこの問題は安全に対する住民信頼ということがまず第一でありますので、そういう点では、今後ともその基本の問題に関して、誠心誠意住民信頼感を得るための努力を続けていただきたい。何と言いましても基本的にそれが解決されなければ、いかにほかの手だてを講じたとしても、これは推進するという方向には行かぬだろうと私も考えますので、ぜひ大臣の御高説どおり今後とも努力していただきますように御期待を申し上げる次第でございます。  さて、原子力発電原子力平和利用ということ、言ってみれば資源のない日本の国のエネルギー自給率を高めるということは、先ほど局長の御説明にもございました。しかし、この原子力開発そのもの自体ウランという資源を必要とするわけでありまして、さらにエネルギー自給率を高めるということになりますと、そのウラン燃料を有効に使うことがさらにエネルギー自給率を高めることにつながることは申し上げるまでもございません。そういう意味では、今度わが国にとりましての自主的な核燃料サイクルを早急に確立していくという必要性が、もう一面で大変重要になってくるのではないかと思います。そのために、去年の九月でございましたか、東海村で再処理施設運転を始めているということでございますが、もちろんこれが実用化されるまでには非常に長い計画、息の長い努力が必要でございます。  そういう意味では、去年の東海村の動燃の再処理工場を初めといたしまして、これから将来に向かってどんな方向でやられるのか。当然今度の法改正は、民間委託をして、民間の方でも積極的に再処理をやってもらえるようにいまから準備をしなければ、将来に対して禍根を残す、将来に対する問題として非常に心配だという点があろうと思いますが、そういう民間委託という意味も含めて、今後の再処理へのわが国としての心構えをひとつお聞きしたいと思います。
  13. 山野正登

    山野政府委員 核燃料サイクル需給上、できるだけ各ステージにわたりまして自給率を高めるための努力を進めておるわけでございますが、その中で再処理需給関係はどうなっておるかということを申し上げますと、先ほど御説明申し上げました原子力発電規模、すなわち昭和六十年度に三千三百万キロワット、六十五年度に六千万キロワットという原子力発電規模を前提としました際にどういうふうなことになるかと申しますと、昭和六十五年度までに再処理の必要な使用済み燃料の量が約八千二百トン出るわけでございます。この八千二百トンのものを再処理する必要があるわけでございますが、ただいまのところは先生指摘のように、動燃事業団東海処理工場試運転をしておるだけでございますので、早急にわが国にこの再処理需要を賄い得るだけの再処理施設というものをつくる必要があるわけでございまして、大体昭和六十五年ぐらいを目標にしてその建設に着手したいというふうに私どもは考えておるわけでございまして、ただいま御審議願っておりますこの規制法改正案というのは、まさにそのための改正の御審議をお願いしておるわけでございます。  その間のつなぎとしましては、すでにヨーロッパに委託しておりますものに加えまして、昨年の九月にフランスに千六百トンばかりり使用済み燃料の再処理委託契約を結びましたし、また近々のうちに、英国に対しましても千六百トンの使用済み燃料の再処理委託契約というものを結ぶつもりでおりまして、これらを、わずかではございますが、東海処理工場玉処理供給量と合わせますと、先ほど申し上げました八千二百トンという需要にほぼ見合う。これは若干不足ではございますが、ほぼ見合うだけの数字になり得るわけでございますので、民間による第二再処理工場ができるまでの間は、不本意ながらそういうふうに海外委託によって需要を賄っていくというふうに考えております。
  14. 大石千八

    大石委員 そこで、東海村の再処理工場がスタートしたわけでありますけれども、スタート当初はいろいろ不備な点等指摘をされまして、その前途をやや心配をされたわけでございますが、その辺の事情、そしてその後の状況など御説明をいただきたいと思います。
  15. 山野正登

    山野政府委員 動燃処理工場の最近の運転状況でございますが、日米協定決定後、昨年の九月二十二日に使用済み燃料の再処理を開始したわけでございますが、昨年中に原子力研究所のJPDRという、動力試験炉使用済み燃料約三・三トンの再処理を実施いたしました。ことしの二月から東京電力の福島一号炉、これは沸騰水型でございますが、これの使用済み燃料約四・七トンの再処理を開始いたしまして、三月中にその再処理を終えております。ただいまこの再処理の結果について分析等作業をしておるという状況でございます。  今後の予定としましては、関西電力の美浜二号炉、これはPW型でございますが、これの使用済み燃料の再処理を予定いたしておりまして、これをことしの夏ぐらいまでに済ませまして、その後ことしの秋から本格運転に入る、そうして来年の秋ぐらいまでに日米共同決定で合意いたしております九十九トンの再処理を終了したいというふうに考えております。最近は、動燃処理工場もわりとスムーズに運転されておるというのが近況でございます。
  16. 大石千八

    大石委員 東海村の再処理工場規模も小さいわけでありますし、将来商業用として実用化していくためにはもちろんこれでは大変に不十分でございます。そのために民間委託というような面も考えながら、さらに実用化された場合に、さらに効率をよくするための工場建設促進ということをやっていかなければならぬわけであります。そのために本法案を早期に成立させるということもわが国の重要なエネルギー対策上から必要なわけでございますけれども、それまでには大変長いリードタイムもかかるということになります。そういうことから考えた場合のこの後の工場建設に関しては、やはりいまは具体的に日本の再処理工場を少しでも早く実用化していくためにはどのような手だてをしなければならぬのかということに関しては、いま科技庁の方ではどのようなお考えでございますか。
  17. 山野正登

    山野政府委員 ただいままでのところ、私ども動燃の再処理工場建設運転につきましては、海外の技術に相当大幅に依存してまいったわけでございますが、今後はできるだけこの貴重な建設運転経験、技術というものを最大限に活用して、第二再処理工場建設を進める必要があろうかと考えます。  それにいたしましても、これまで民間の濃縮・再処理準備会という組織が検討いたしました結果によりますれば、商業規模の再処理施設計画いたしましてから運転に入りますまでに大体少なくとも十数年、まあ十三年程度と言っておりますが、十数年の年月が必要であるということも言われておりますので、先ほど申し上げました技術の活用に加えまして非常に前広な諸準備の開始ということが必要かと存じます。  そういう意味で、ただいま御審議いただいております法案を一日も早く成立させていただきたいと願う次第でございますが、それにあわせまして、産業界の方もできるだけ早くしかるべき準備組織をつくりまして、所要の準備に着手していただくように指導してまいりたいというふうに考えております。
  18. 大石千八

    大石委員 そこで、国内の問題としては、やはり広く国民理解を得て再処理工場促進され、そしてエネルギー問題の解消といいますか解決に向かっていく体制を整えていくということが非常に大事だと思いますが、問題は国内のことだけにとどまらないで、去年の日米再処理交渉に見られるように、特にアメリカが核拡散の防止のために、いままで核の平和利用促進ということをうたっていながら、最近は核拡散の防止という観点からこの再処理に関してブレーキをかけてきている。まあ幸い去年の日米交渉では、二年間の猶予期間——INFCEで二年間でいろいろ調査をし、そして核の平和利用のためにこのINFCEというものをつくってやっているわけでございますが、二年後にはさらにその結論によってどうなるかわからぬという面も一つあるわけでございます。核の平和利用推進しながら、これが一方では核の拡散になるのではないかという心配——わが国におきましては当然原子力平和利用に限られておりますので、わが国の問題としては、世界の国の中で、たとえばアメリカが日本に対して厳しいチェックをするという心配をしてもらう必要もないぐらい、わが国としては平和利用に対しての国民の気持ちが強いし、核兵器をつくるということに対する国民反対の気持ちも強いわけでございますから、その点は私は、なお一層そういう機運を国内でも盛り立てていって、平和利用に限るということで、わが国の国是としてこれから進んでいくべきだ、こういうふうに思いますが、全体の問題としては、わが国のそのような主張が必ずしも入れられかねるという面があるわけであります。  一方においてINFCE加盟国は四十カ国程度でございますけれども、その中で実際に核保有をしている国が六カ国、しかし潜在的に核保有できる能力を持つ国と見られるのが二十カ国くらいあるそうでございます。日本も当然その中に入っているわけでございますけれども日本の場合はそのような心配はない。またそういうムードを国民的な合意の中で盛り上げていくべきだと思いますが、現実問題としては、二十カ国くらいが技術的に核兵器をつくる能力を持てるであろうというところに今日の平和利用をしていくための、特に再処理工場をつくっていくための一つの大きな国際的な問題があるように思うわけでございます。わが国はそういう状況の中で、さらにいま大臣局長がおっしゃいました再処理施設を進めていくためには、相当の説得力と相当の決意というものがなければならぬと思いますが、そういう点に関して大臣の所見を伺いたいと思います。
  19. 山野正登

    山野政府委員 先に細かい問題についてちょっと御答弁申し上げておきます。  先生指摘のように、原子力平和利用と核の不拡散を強化するという、この二つの相反する方向につきましての調和点を求める作業というのをINFCEでいま進めておるわけでございまして、わが国もこの四十カ国、四国際機関の一員としまして積極的にこれに参加し協力しておるわけでございます。特にいま議案の対象になっておりますこの再処理につきまして、第四作業部会というのがございまして、日本はその議長国にもなっておるわけでございまして、できるだけわが国の主張を貫き得るように最大限の努力をしておるという状況にございます。  わが国の主張はどういうことかと申しますと、基本的には、世界的な核不拡散を強化しようというこの流れに対しては、わが国も国際社会の一員としまして大いに賛成をしておるわけでございまして、これにはもちろん応分の協力をしていくわけでございますが、それによって原子力平和利用の権利が不当に損なわれてはいけないというのがわが国の主張でございます。先生もおっしゃいますように、現在の技術、また現在のわが国における政治的、社会的諸要件といったようなものを考えました場合に、わが国においては十分に平和利用を進めながらも、核の不拡散ということは担保し得るという立場に立っておるわけでございまして、そういう主張をできるだけこのINFCEの場で関係国の理解を得るべく努力をしたいという基本的考えでございます。  そういったわが国の主張が果たして通るであろうかという御疑念でございますが、先ほどもお触れになりましたように、米国は新しい核の不拡散法というものを成立させまして、どちらかと申しますと、この原子力問題というのを核不拡散強化という側面からアプローチしようとしておるわけでございます。これに対しては、いずれこの国内法をもとにしまして、わが国に対しても協定改定等の申し入れがあると思いますが、昨年の日米原子力交渉で見られたような双方の十分な理解があれば、本件についても必ずや両国が満足し得る合意点というのは探し得ると考えておるわけでございまして、それに対応すると同じ立場で、INFCE並びにそのINFCEに引き続きますわが国原子力開発利用を展開するに際しましての各国との協力折衝といったふうなものを進めてまいりたい。基本路線は核不拡散に協力しながらも平和利用を進める、その平和利用を進めるに際しまして、できるだけINFCEのごとき国際協力の場で、広く各国のコンセンサスを得るというのが基本的考え方でございます。
  20. 熊谷太三郎

    熊谷国務大臣 INFCEの内容、推移等に関する具体的な経緯につきましては、いま局長からお答えしたとおりでございます。もちろんお話のように、この再処理の問題につきましてもいろいろむずかしい問題がありますことは御指摘のとおりでございます。  やはり第一には、INFCEなどにあらわれておりますように、国際的な理解ということが非常に大きな問題の一つであると考えます。これにつきましては、わが国の従来からの原子力は、平和目的に徹するということを基本といたしまして、今後の国際的ないろいろな折衝を進めましてその理解を深めてまいらなければならぬと思うわけでございます。わが国としての基本的な信念はもとより確立をしてはおりますが、やはりその点、国際的により理解してもらうというためには、今後ともいろいろ格段の努力も工夫も必要であると考えまして、そういう点に慎重な配慮を続けてまいる決意でございます。  先般、原子力委員会の中に、経団連の土光会長を座長とします原子力国際問題等懇談会というような一つの組織も設けまして、特にそういう関係の人々を集めました機関によりまして、そういう懇談会によりまして、一層そういう国際問題の処理を強化してまいりたい、このようなことも考えているわけであります。  それからもう一つは資金の問題であります。これは再処理だけではありません、今後の日本の所要の原子力発電所——むしろ研究の面でございますが、この研究開発を進めてまいりますためには巨額の資金が必要でございまして、これは近いうちに原子力委員会としても一つの成案をつくりまして、そしてこれは非常に大きな問題でございますので、内閣全般として、政府全般として御協議を願ってその結論をつけなければならぬ、このように考えておるわけであります。資金の問題は決して簡単な問題ではないということもこの際、一層の御理解をしていただかなければならぬと考えるわけであります。  それからもう一つは、技術の問題でございますが、これはいま、東海村の原研におきまして着々その試験的な処理事業が進んでおります。これは今後、日本の現在の水準から言いますならば、私は必ずこの技術的な問題は処理できると考えているわけでございます。  もう一つは、さっきから言います立地問題でございますが、これもいろいろむずかしい問題ではありますが最近、立地問題に対するあるいは原子力発電全体に対する国民的な理解が相当広がってまいったように思っておりますので、この点をさらに努力しまして立地問題に当たりたい、このように考えているわけであります。  このようないろいろな問題がありますが、それぞれの問題に応じまして全力を挙げて再処理事業推進を図ってまいりたい、そのためには、何といたしましてもこの法案を一日も早く御理解の上、成立をお願いしたいと考えるわけでございます。
  21. 大石千八

    大石委員 日本のそのような立場を、やはり説得力を持ってこれからもいろいろな交渉をしていく、特に日米間の問題として大事だと思いますが、アメリカの方の姿勢としては、核不拡散法に見られるように、再処理工場方々にできるということに関しては非常に強い覚悟で、またそれを防ごうという姿勢が見られると思います。  それで、問題になりますのは、日本の場合の主張は、ウラン資源というものを確保する保証がないではないか、そのためにも再処理が必要だという主張が日本のような国にとっては当然一番大事な基本的な問題になるし、またそれを主張することから始まるわけでございますけれども、アメリカは、そのためにウラン長期安定供給をしていくんだということも言っております。  それから、現在の世界の天然ウランの推定埋蔵量など、出ております予測の数字でございますけれども、簡単に言ってしまえば、経済的に使用し得るウラン資源が大体三十六年ぐらいだ。これはもちろん予測の数字でございますから正確なものではございませんでしょうが、三十六年間ということが言われているわけでございます。いまから三十六年後というと二〇一五年ぐらいになると思いますが、再処理工場が完成して実用化できるようになるのが大体一九九〇年以降、二〇〇〇年ぐらいになると思いますが、そうすると、その残された十五年間より再処理工場の実用化がおくれるとするとウラン燃料が全くなくなるという計算になってくるわけであります。実用化の問題も今世紀のおしまいの方になるだろうと考えますが、ウラン燃料が三十六年間はあるだろうということを考えますと、アメリカの考えとしては、何とかその間持たせて、来世紀になれば、太陽エネルギーをいまのようなちゃちなものでなくて、相当大きなエネルギーとして使えるようになるのではないか、あるいはこれは日本でぜひ進めていかなければならない問題でございますけれども、核融合の研究の推進ということになりまして、一九九〇年以降に実用化されるであろう核燃料の再処理施設のために、いまから危険な核兵器がつくられる可能性のあるようなものをつくっていくことのメリット、デメリットというようなそんなちっぽけなものでなくて、非常に幅の広い人類的なメリット、デメリットの問題になりますけれども、果たしてそのように将来にしか実用化できない、そしてウラン燃料は三十六年ぐらいだ、そういうメリットと、それから現実問題として起こり得るかもしらぬという核兵器の核拡散していくのではないかという問題、この辺を、アメリカが考えていることは相当デメリットの方が大きいのではないかという主張を、ある意味では日本の心構え全体として相当持っておりませんと、相当説得力を増してくるのではないかという感じがいたします。しかも、日本の立場でどうしても必要だということでなくて、世界的に、国際的の見地に立った上での再処理工場必要性というものも一面で主張していきませんと、日本の国内だけの問題では、世界全体のことを考えているアメリカの主張にはやはり説得力において弱い面もあるかもしらぬ。日本もそういう意味においては、国内の事情だけでなくて、その国際的の問題の中で、アメリカのそういう主張にまさるだけの説得力というものを、日本の国内事情を離れた場でまた持つ必要がありはしないかというように私は考えるわけでありますけれども日本の立場としては、日本資源小国であり、どうしても必要だということ以外に、国際的見地から、核拡散よりもさらに世界の資源を有効に使っていくということのメリットを強調する、説得性というものをやはりこれから考えていくべきではないかというふうに思います。  これは私の意見でございますからお答えいただかなくても結構でございますけれども、その辺をひとつ今後とも考えていっていただきたいというふうに思うわけであります。  それから再処理事業の民営化ということを考えていく上におきまして、何といっても、これを民間委託することに対して、国民の間からもそれでよかろうかという声も出てくることは当然予想されることでございます。その場合に何が問題かというと、やはり民間委託した場合の安全性の問題ですね。これを商業ベースに乗せるためにどうしてもそういう点が無視されはしないかということで、安全面から民間委託に対して反対の声が出てこないとも限らぬと思いますが、そういう点では、民間委託した場合の安全の確保を考えておかなければならぬし、その心構えがあってこそ、初めてこの法案が成立を見るわけでございますから、そういう意味において、民間委託した場合の安全確保という問題をいまどのように科技庁としては考えておられるか、御説明いただきたいと思います。
  22. 牧野信之

    ○牧野政府委員 再処理工場の安全ということはきわめて重要なことでございますし、現在、動燃事業団におきます再処理施設運転に当たりましても、規制法並びに動燃事業団を監督する立場としての科学技術庁として、十分な措置を講じておる次第でございますけれども先生指摘のように、第二工場を民営にした場合に、現在私どもが行っている以上に十分な措置を講ずることは当然必要な問題と考えておりまして、今回の法改正によりましても、第二工場を対象にした際に、必要最小限のと申しますか、万全の規制強化を図っておると考えております。  その点につきましてやや具体的に申し上げますと、まず、民間の再処理工場を今回の法改正で、たとえば原子力発電所のようにだれにでもできるような制度をとっていないということ、これは指定制度を設けたということでございます。  この指定制度と申しますのは特許的な制度でございまして、一定の資格を持った者に限り指定して事業を行わせしめることができるようにしてあることでございます。これは安全の確保のみならず、先生指摘の再処理工場から出てまいりますプルトニウム等を計画的に管理し、利用していくということの面からもこういう制度をとらしていただいておるわけでございます。  そのほか、現行制度にございません施設の安全規制につきましては、使用検査の制度を設けること、あるいは定期検査の制度を設けること、また施設ができ上がりまして、この施設運転計画であるとか、プルトニウム利用考え方とか、こういうようないろいろな使用計画の届け出の義務を課すというふうな制度を新設させていただきたい、このように考えておる次第でございます。  それから、もう一点といたしましては、法令的にはございませんけれども、ただいま国会で御審議いただいております安全委員会の設置をお認めいただきますと、すでに私ども準備を開始しておりますけれども、この第二再処理工場の安全規制を行うためのいろいろな技術基準、安全規制のための基準とか目安とか、線量管理の目安というようなものにつきましても、動燃事業団の再処理施設経験を踏まえ、また、外国の同様の基準等の調査等をいたしまして体制整備いたしたい、こういうふうに考えております。  それからもう一点。このただいま御審議願っております基本法の改正が行われますと、安全委員会ができるわけでございますが、私ども科学技術庁が行います規制あるいは安全審査につきまして、必要なダブルチェックを安全委員会が行うというふうな制度に相なりまして、十分安全を確保し得る体制が確立されるものと期待しておる次第でございます。
  23. 大石千八

    大石委員 時間も来ましたので、最後にもう一言。  プルトニウム抽出の際の安全ということ、特に、プルトニウム抽出の場合、他にみだりに使われる、あるいはテロリストあたりがそれを利用する心配はないだろうか。日本の場合は、そういう可能性はいまの状況では非常に少ないと思いますけれども、そういう点もやはり考慮しておかなければならない。そういう点での安全対策という面もしっかりやっていかなければなりませんが、その点に対する御決意を伺いまして、私の質問を終わりたいと思います。
  24. 熊谷太三郎

    熊谷国務大臣 安全問題、それから特に核ジャックの問題に対する御心配でございますが、これは、特にプルトニウムなどを扱いますので、非常に大きな問題であることは御発言のとおりでございます。いろいろな具体的方策が考えられるわけでございますが、そういうあらゆる方策を推進いたしまして万全の体制をとってまいらねばならぬ、このように考えております。
  25. 大石千八

    大石委員 それでは、これで終わります。
  26. 岡本富夫

    岡本委員長 次回は、来たる二十六日水曜日午前十時理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午前十一時五十三分散会      ————◇—————