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1978-04-13 第84回国会 衆議院 科学技術振興対策特別委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年四月十三日(木曜日)     午前十時三十分開議  出席委員    委員長 岡本 富夫君    理事 小沢 一郎君 理事 大石 千八君    理事 佐々木義武君 理事 中村 弘海君    理事 石野 久男君 理事 日野 市朗君    理事 貝沼 次郎君 理事 小宮 武喜君       伊藤宗一郎君    玉沢徳一郎君       原田昇左右君    与謝野 馨君       安島 友義君    上坂  昇君       近江巳記夫君    瀬崎 博義君       中馬 弘毅君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      熊谷太三郎君  出席政府委員         科学技術庁長官         官房長     半澤 治雄君         科学技術庁原子         力局長     山野 正登君         科学技術庁原子         力安全局長   牧村 信之君         科学技術庁原子         力安全局次長  佐藤 兼二君         資源エネルギー         庁長官官房審議         官       武田  康君         運輸省船舶局長 謝敷 宗登君  委員外出席者         大蔵省主計局主         計官      角谷 正彦君         運輸大臣官房技         術安全管理官  片岡 栄夫君         運輸省自動車局         整備部車両課長 丹羽 一夫君     ————————————— 本日の会議に付した案件  原子力基本法等の一部を改正する法律案(内閣  提出、第八十回国会閣法第二五号)      ————◇—————
  2. 岡本富夫

    岡本委員長 これより会議を開きます。  原子力基本法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出があります。順次これを許します。貝沼次郎君。
  3. 貝沼次郎

    貝沼委員 基本法の一部改正につきましては何回も質問をしてまいりましたが、いままでの質疑を通じて疑問に思う点は、安全委員会それから原子力委員会、この二つ委員会独立性中立性、それからさらに安全委員会審査能力、こういったものが本当に確保されるかどうかという点であります。当局の答弁によりますと、それは必ず確保されるという確信ある答弁であったと思いますが、私どもはこういうような点から、行政委員会というものを実は主張してきたわけでありますけれども、やはり制度そのものもそういう問題があると同時に、その制度が生かされるかどうかということはその運用にかかわっておる問題でありまして、どういう人を人選するか、またその運用の姿勢ということが一番問題になると思いますけれども、この点についての大臣の見解を承りたいと思います。
  4. 牧村信之

    牧村政府委員 私から先に、詳細につきまして若干お話をさしていただきます。  両委員会独立性については法案で明らかに明記されておることでございまして、それぞれ独立諮問機関といたしまして、それぞれの所掌事項審議するという形をとることになっておりますので、先生御疑問の独立性が失われるということはいささかもないと私ども確信しておる次第でございます。  それから、審査能力の件につきましては、審査委員の数を大幅にふやすあるいは専門委員の数をふやすということで、安全委員会下部の各部会の活動も非常に活発に行い得るように予算措置等を講じることができておりますので、私どもの方の科学技術庁に設置いたします。主としてダブルチェック所掌する安全調査室の新設と相まちまして、十分な審査が行えるように運用してまいりたい、かように考えておるわけでございます。  それから、先生行政委員会を御主張なさっておるのはかねてから聞いておるところでございますけれども行政懇におきましても、ダブルチェックというものは、安全委員会と申しますか諮問委員会がわきで十分チェックする方が中立的であり、また公正な審査ができるというのが数々の意見結論でございまして、私どもとしてもその方法が一番いいんではないかというふうに考えた次第でございます。  それからもう一点、委員人選につきましては、これは原子力安全関係専門家の中から、中立的なしかも重要な事項を大局的に判断し得る方を選任させていただきたいと考えております。また選任に当たりましては、両院の御意見を聞いて公正さを確保したい、かように考えておる次第でございます。
  5. 熊谷太三郎

    熊谷国務大臣 ただいまお尋ねのありました独立性の問題あるいは能力の問題、それから運用問題等につきましては、ただいま相当具体的に局長からお答えしたとおりでございますが、私といたしましても全く同様に考えておる次第でございまして、独立性ないし中立性は厳に保持できると考えておりますし、運用の点につきましても、人選なりその他実際の規制等につきましては、現在考えられる最善の程度におきまして、その職責を尽くしていただけるものと確信をいたしておる次第でございます。
  6. 貝沼次郎

    貝沼委員 特に運用の面については、ひとつうんと神経を使ってやっていただきたいと思います。  それから安全委員会下部組織は、たしか政令で定めるのだろうと思いますが、この前の理事懇あたりでは、いろいろと具体的な話が出ておるようですが、その内容について本委員会では直接発言がなかったように私記憶しておりますので、大体どういう内容のものを考えておられますか。
  7. 牧村信之

    牧村政府委員 下部組織でございます各種専門部会につきましては、新しく安全委員会ができますと、安全委員会で御決定をいただくわけでございますが、専門部会等運営規制委員会決定で定めたい、かように考えておる次第でございます。また、そこの組織としていま予想されておりますのは、当面八つの専門部会を設けることを考えております。
  8. 貝沼次郎

    貝沼委員 その考えておる専門委員会の名前などは、腹案がありましたらおっしゃっていただきたい。
  9. 牧村信之

    牧村政府委員 原子炉安全専門審査会は現在は法定化されておりますけれども、今回の改正によりまして法定化されない機構になりますので、原子炉安全専門審査会一つ下部機構として、このほかに核燃料安全専門審査会、それから三番目に原子炉安全技術専門部会、これは安全基準等の作成を実施するものでございます。それから四番目に、環境放射線モニタリング中央評価専門部会原子炉施設等安全研究専門部会環境放射能安全研究専門部会放射性廃棄物対策技術専門部会核物質防護専門部会、これが直ちにつくられるべきものだと考えております。
  10. 貝沼次郎

    貝沼委員 いま局長から、原子炉安全専門審査会については現行法において法制化されておる、ところが今度の改正案は、政令になるかどうかわかりませんが、要するに安全委員会において定めるというふうに取り扱いが大分変わってきておるわけでありますが、どうしてこういうふうに法制化から外さなければならないのか、その理由はいかがですか。
  11. 牧村信之

    牧村政府委員 今回原子力委員会二つに分けて、新しい原子力委員会原子力安全委員会と二分するわけでございますが、二分されて新しくできます原子力安全委員会は、その設置法等におきまして明らかに安全規制に係る業務を明定してございますので、その下部機構におきます審査会をさらに法定化する必要はないと判断して、現行の法定化されているものを法定化しないような改正にいたした次第でございます。
  12. 貝沼次郎

    貝沼委員 いまの説明ですと、安全委員会をきちっとつくったからということでありますが、やはりこの委員会でも、原子炉安全専門審査会とかあるいは核燃料安全専門審査会というようなものは現行法にもあったわけでありますし、信頼の度を高める上において非常に重要な役割りを持っていたというようなところから、あえてこれを法制化してもいいのではないかというような意見もたしかあったかに記憶いたしておりますが、これは法的にまずいのでしょうか。
  13. 牧村信之

    牧村政府委員 私ども、現在提出して御審議をいただいておる方式で十分であると考えておる次第でございます。原子力安全委員会諮問機関でございますので、その下の一つ諮問機関的なものをさらに法定することは必要ないという判断であったわけでございまして、それが第一点でございます。  また、原子炉安全専門審査会につきましては、現在の規定では法定されておりまして、委員の数も三十名以内というふうなことになっておりまして、なかなか弾力的にその数をふやすというような運用がしにくい点がございまして、私ども現在考えております事務局案としては、これを大幅にふやしてその機能を強化したいというふうなことも考えておるわけでございますので、このようなことにつきまして政令で定めるよりは、むしろ委員会自体決定によりましてこの部会運営していきたいというふうに考えた次第でございます。
  14. 貝沼次郎

    貝沼委員 言わんとするところはわからぬことはありませんけれども、要するに、きのうも何回も申し上げたのですけれども原子力安全性、それに対する国民理解を求めようとするためには、ただ単なる理屈だけではいかないわけでありまして、一般国民から見て、確かに安全性は確保されておるなというものがないと、これはできないわけであります。そのために行政の改革をやったり、あるいはいろいろな手続をとるわけでありますから、したがって、いままで法制化されておったものが今度はなくなってしまうと、一面安全委員会ができて非常に力強くなったような感じを受けるわりには、どこへ行っちゃったんだということにもなりますので、法制化をしてまずくないものなら、これはやってもいいんじゃないか、むしろその方が安心するのではないかと、こう私は思うわけでありますが、いかがでございますか。
  15. 牧村信之

    牧村政府委員 先ほどからも申し上げたように、安全委員会という非常に強力な機関をおつくりいただくことになるわけでございますので、その下部機構としての専門審査会につきましては、運用によりまして、十分先生指摘の責任を果たすように運営していきたい、かように考えておる次第でございます。
  16. 貝沼次郎

    貝沼委員 それから、このスタッフが、いまたしか百七十五名ぐらいを考えておるようでありますけれどもアメリカNRCなんかと比べますと、日本の場合は非常に規模が小さいわけですね。もっともアメリカの場合は軍事的な問題もあるわけでありますから、直接比較をするということはむずかしいかもしれませんが、それにしても、たとえばNRCの場合はたしか二千七百人ぐらいのスタッフですね。予算も、七八年度予算で三億ドルというふうに、非常に膨大なものがついておる。それに比べて日本の場合は、百七十五名、しかも非常勤が圧倒的に多く、予算もたしか十八億五千万というふうに、非常に規模が小さいわけです。それで、この非常勤という問題、それから人員と予算措置の問題で、一緒に比べることはできないにしても、まだまだ不足なのではないかという感じがいたしますが、この点はいかがですか。
  17. 牧村信之

    牧村政府委員 確かにアメリカNRCは、私の手元の数字では職員が約二千三百人ということになっておりまして、日本の場合と比べまして格段の数字上の違いはあろうかと思います。先生指摘のように、これは軍事的なものも持っておりますし、発電炉の数にしましても米国は日本と比べて圧倒的に多いというようなことも考えなければいけないかとも思います。そういうようなことをいたしましても、日本の体制が、私ども予算等で確保しましたものが、通産省等も含めまして、完全に十分なものかということにつきましては、一〇〇%十分であるとは言い切れない面もあろうかとは思いますが、原子力発電の推進の度合いに応じて、今後とも私どもといたしましては拡充強化を図っていきたい、かように考える次第でございます。また、安全審査会等原子力委員会下部機関専門委員の数等は、確かに百七十五人と現行よりも大幅にふやすことができたわけでございますけれども、これにつきましても必要に応じ増強してまいりたいと思いますし、新しい制度としては、その下に、仕事を手伝っていただく調査員という制度もございまして、そういう方々人数確保等も図りつつ、万全を期してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  18. 貝沼次郎

    貝沼委員 もう一点は、この安全委員会スタッフ非常勤ですね。非常に非常勤が多いわけでありますが、この非常勤でなければならない理由非常勤の方がメリットがあるならばその理由でも結構です。常勤ではまずいならそれでも結構です。どういうことですか。
  19. 牧村信之

    牧村政府委員 これは先生日本雇用状態というものを考えましたときに、この安全委員会等原子炉審査等を行ってもらう方々は、非常に学識経験の高い方を必要とするわけでございます。このような高度の知識をお持ちの方を日本雇用制度で役人として雇うということは非常に困難でございます。したがいまして、現状の日本制度におきましては、非常勤の方にお願いするというのが最も効率的な運営方法でないかというのが私どものいまの結論でございます。
  20. 貝沼次郎

    貝沼委員 優秀な人材を集めるだけなら、私はそれで集まると思いますよ。だけれども、持続して仕事をやっていく、そしていままでの経験を積み重ねて今後安全審査に当たっていくということを考えると、しょっちゅうかわるような非常勤ばかりじゃやはり心もとないんじゃないか。専門的にそれを常勤としてやっていく人を持っておらないと、いつになっても官庁の方はだれかから知識をいただいて、だれかにお願いしてやってもらって、そして、その資料だけもらって国会答弁する、こういうふうになったのではうまくないと思うので、やはり科技庁あるいは科技庁にある事務局で、本当に積み重ねを持った、歴史のある専門委員会というものでなければならぬと私は思うのですが、この点はいかがですか。
  21. 牧村信之

    牧村政府委員 先ほどの、専門委員非常勤にした方がいいという説明の中で一つ言い落としていることは、ただいま先生の御指摘もあったかと思うのでございますが、こういう先生方は、常に新しい技術をみずから研究し、あるいは調査されておる、こういうような知識も非常に得やすいわけでございますので、私ども非常勤にいたしたいということでおるわけでございます。  しかしながら、それだけでは確かに、先生おっしゃるような問題も起きようかということも配慮いたしまして、実は、今度新設いたします科学技術庁安全調査室運営につきましては、十一名の人数で発足するわけでございますけれども、ここの職員につきましては、他の行政職方々とは違って、長くここで安全審査業務をやっていただくような人をふやしていき、安全審査能力を一段と高めていきたい、このように考えておる次第でございます。
  22. 貝沼次郎

    貝沼委員 参考までにお尋ねしておきたいと思いますが、この非常勤スタッフは大体一年単位で選ばれるのですか。どういうふうにお考えなんでしょうか。二年とか三年とか……。
  23. 牧村信之

    牧村政府委員 通常の審議会等委員につきましては、最近は委員継続年限というのが制限されておりますけれども安全専門審査会の場合任期は二年でございますけれども、その大部分の先生は留任を重ねてきておりまして、総理府等基準をはるかにオーバーしてお勤めいただいている先生が大多数でございます。したがいまして、二年の任期ではございますけれども、それが二年ごとにすっかりかわってしまうというようなことでない運営を行っている次第でございます。
  24. 貝沼次郎

    貝沼委員 その専門審査会の方はわかりました。  それから、この安全委員会原子力委員会が何か意見が合わない場合、お互い連絡をとり合って相談をするということになっておりますが、これで結論が出ないということは考えられるのでしょうか、どうなんですか。
  25. 牧村信之

    牧村政府委員 法律規定には連絡をするという項目がございます。行政懇でも、両者はお互い意見を尊重し合う必要があるということは言っておりますけれども、これは独立機関でございますので、連絡はしますけれども所掌につきまして調整し合うということはいたさないように運営すべきだと私ども考えております。したがいまして、連絡を十分行ってその辺が意見が異なるようなことがあるかどうかの問題でございますけれども、これは所掌が明らかに分かれておる問題でございますので、意見が異なるというのはちょっとおかしなことじゃないかと思います。たとえば、安全研究の進め方などにつきましては、予算との関連等でいろいろあり得ることでございますが、少なくとも審議し、決定することにつきましては独立でございますので、連絡を十分にすれば十分でないかというように考えておる次第でございます。
  26. 貝沼次郎

    貝沼委員 それで、安全委員会安全審査をしますね、これはかなり権限のある審査になりますけれども、やります。そのやったことがわれわれ国民の側からわかる方法、どういう安全審査をやり、その結果、たとえばまずい場合はこういう勧告をしたということを国民の側でわかる方法はどういうことになっていますか。
  27. 牧村信之

    牧村政府委員 制度といたしましては、私どもいま月報考えておりまして、そこで審査結果あるいは審議決定したこと、あるいは、いま議論して詰めておる最中でございますが、事故、故障等のデータ、こういうようなものも含めて取りまとめられたものにつきまして月報に記載していきたいというふうに考えており、必要な予算も、約六百万円でございますが確保されております。また、最近は、安全審査の結果を地元方々がぜひ聞きたいというような声も上がっておりますときには、地元の市町村あるいは都道府県の御協力をいただきまして、そこへ説明に行くというような努力も、これからはしてまいりたいと考えておる次第でございます。
  28. 貝沼次郎

    貝沼委員 その月報発行元科技庁になるのですか、安全委員会になるのですか、総理府になるのですか。
  29. 牧村信之

    牧村政府委員 取りまとめ、編集は私どもがいたしますが、安全委員会名で発行したいと思います。
  30. 貝沼次郎

    貝沼委員 その月報に盛られることは、安全委員会がたとえば資料の要求をしたり報告書を取ったり、あるいはいろいろ検査をする、勧告をする、これは必ず漏れなく記載されなければならないようになりますか。
  31. 牧村信之

    牧村政府委員 重要なことは漏れなく発表することになると思いますが、これも、安全委員会ができますと、直ちに月報編集の方針と申しますか、それをお決めいただいて、それに基づいて事務局編集し、委員会にごらんいただいた上で発行するというふうな手続になろうかと思います。
  32. 貝沼次郎

    貝沼委員 重要なことという条件がつきましたのでよくわからないのですけれども、ほとんど記載されるというふうに理解してよろしいですか。
  33. 牧村信之

    牧村政府委員 そうお考えいただいて結構だと思いますが、個々に聴取したのをそのたびに全部ということになるか、あるいはそれを取りまとめて一年に一遍とかにまとめるとか、そういうようないろいろなやり方があろうかと思いまして重要なことということにかえさせていただいたわけですけれども、そういうつもりでございます。
  34. 貝沼次郎

    貝沼委員 それじゃ、その点はそれだけにして、公開ヒヤリングのことで通産省にお尋ねいたします。  きのうも公開ヒヤリングのことをちょっとお尋ねしたのですが、今度の第一次の公開ヒヤリングは、言いっ放しや聞きっ放しではない、お互い地元住民とよく話し合いをするというふうに答弁がありましたが、その場合、お互い話し合いをしてもなかなか結論が出ない、理解ができないという場合が出てくると思いますが、こういう場合はどこまで話し合いというものをされるかということですね。公開ヒヤリングは、たとえば一日なら一日という時間を切って終わるのか、あるいはいろいろな問題が出てきたら何日もかけて、ある程度の時間をかけてされようとなさるのか、この辺のお考えはいかがなんでしょうか。
  35. 武田康

    武田政府委員 第一次の公開ヒヤリング通産省が担当するわけでございます。それで、私ども、従前のもろもろ公聴会等々の例を勉強し、そして、そのやり方として、できるだけ地元でとか、あるいはできるだけ関係住民方々意見を伺うというようなことでいま詰めているところでございますが、具体的に何日間なのか、あるいは何時間なのかという点までの詰めが終了しておりません。ただ、私どもとしては、御意見はいろいろな御意見があるわけでございまして、その御意見種類等がいわば出尽くすようなかっこうのことをできるだけ考えたいと思っておりますが、公開ヒヤリングに参加する方々にいろいろな御意見方々がおありかと思いますし、先生指摘のとおり答えが出ない、あるいは平行線で議論が続くということももちろんあり得るかと思います。私どもとしては、そういった場合におきましても公開ヒヤリングで出ましたもろもろの御意見、その中で取り上げるべきものは取り上げる。しかし右、左に分かれているような御意見があるとすれば、これはやはり行政庁判断といたしまして、私どもは私ども立場から行います安全審査会、あるいは許可なりのときにその公開ヒヤリングにおきますいろいろな御意見をいろいろしんしゃくし、そして有効なものは取り上げていくし、また関係官庁に必要のものは伝えていくということで使わせていただくというようなことで考えておるわけでございます。
  36. 貝沼次郎

    貝沼委員 有効なものは取り上げていくということなんですね。そうすると、やはり公開ヒヤリングというのは設置者側のためにあるのか、住民側のためにあるのかという問題ですね。いま有用なものを取り上げていくとなると、これは設置者側立場になるわけですね。そうじゃなしに、疑問のあるところはあくまでも納得をいただくよう説明するというのが本当なんじゃないでしょうか。これはどうなんですか。
  37. 武田康

    武田政府委員 公開ヒヤリング制度、これは第一次も第二次もそうかと思いますけれども住民方々に御理解をいただく、あるいはそういう御理解をいただくような場所を提供するというとちょっと表現が悪いのでございますが、場所をつくる。そして原子力の問題は安全の問題、その他の問題、いろいろございますので、やはり二段階に分けてということで、第一段階は私どもが担当するわけでございます。ただ、公開ヒヤリング答えが出る場合もあるかと思いますし、出ない場合もあるかと思いますが、私ども、それがそのままその線に沿ってということよりは、むしろその公開ヒヤリングの過程を通じましてもろもろ問題意識あるいは問題点、それからできればそれの解決策というものを一方通行じゃなくて対話形式で見出し、あるいはそういう取っかかりをつくる。私ども立場は、むしろ第一次公開ヒヤリングにおきましては、説明者原子力発電所を設置したいという電気事業者であり、電力会社であり、それからいろいろ意見を述べられる方は関係のある地域住民方々ということで、そのいわば仲裁役というのか、行司役みたいなものが私どもの役目でございまして、私どもとしては行司役としての判断を、私どもが行います安全審査検討あるいは結果、または許可検討または結果というものに十分しんしゃくし、取り入れて、そして反映をさせていきたい。したがいまして、先ほど有効なものはと申し上げましたのは、行司役としての私どもが取り上げるべきだと判断したものは取り上げるし、それから御意見がいろいろあるかと思うのでございますが、そのうちやはりこれは結果としては取り上げられない、しかしそういうものにつきましても十分御理解をいただく必要がございます場合には、その理解を深めるのは第一義的には発電所をつくる電気事業者役割りである。ただし、これが役所仕事または法律の解釈等々に関係するものでございますれば、これは役所の現場である私どもがまたその点を十分御説明をするというようなことであろうかと思っております。
  38. 貝沼次郎

    貝沼委員 その行司役ということはよくわかりますが、行司役ならちょっと伺っておきたいのですが、いままで公聴会というのをやってきましたね。行司役立場から、公聴会というのは成功だったのかどうか、これが一点。  それからもう一点は、先日、日本で初めての原子力発電所の汚職事件がありました。そういうことは行司役立場からどういうふうにお考えになりますか。
  39. 武田康

    武田政府委員 公聴会は、いろいろな種類がいままであったかと思います。これは原子力のみに限らずでございますが、まず、原子力に関連する公聴会という点につきましては、これは原子力委員会のおやりになったことでございますので、むしろ科学技術庁からお答えいただくのが適切かと思いますが、私ども通産省は別の意味の公聴会をいろいろやっております。  それで、この評価はいろいろあろうかと思いますけれども、私ども通産省として、原子力が必ずしも話題ではございませんけれども、行っております公聴会につきましては、やはりそこでいろいろ出てまいりました御意見、それを、従来の例は一方通行的公聴会も多かったかと思いますけれども、そこで出てきた御意見につきましては、十分私ども行政に反映させるような取り上げ方をし、もちろんそれをそのまま採用したかどうかという点はいろいろございますけれども、そういう意味で公聴会というのは、私はある意味の価値があるものだと思っております。同じようなことで、話題が違いますけれども、新体制のもとで行われます。そしてまた私どもが担当する第一次公開ヒヤリングというのは価値のあるものだと私、確信しておりますし、また運用上も価値のあるものにつくり上げていかなければならない。そういう意味で内容検討しているわけでございます。  それから第二点につきましては、これはこの一月だったかにあった事件をお指しになっていることかと思いますけれども、私どもとしてああいうような事態が発生しましたことはまことに遺憾に思っておりまして、当該電気事業者に対しても厳重に注意をし、そしてああいうことがないような体制の整備というのをやらせるように指導をし、当該会社も反省して、チェック機能の充実等いろいろ改善を考えているということでございまして、私どもとしては、まことに遺憾なことでございまして、今後ああいうことがないように、十分な指導をしていきたいというように思っているところでございます。
  40. 牧村信之

    牧村政府委員 原子力発電所公聴会の過去の実績につきまして私から御説明申し上げます。  いままで公聴会の形式をとれたものは、福島原子力発電所公聴会がございます。これは四十八年度に実施いたしたものでございまして、四十人の意見陳述者から陳述を求めただけのいわゆる一方的な公聴会でございました。  それから柏崎につきまして実施を図ったわけでございますが、最終的には、知事から治安的な心配もあるということで断られまして、これは地元関係者から文書によりまして質問を受けまして、原子力委員会安全審査終了後文書でお答えしたというふうな変則的な公聴会がございます。  しかしながら、この安全委員会ができましてからは、二回の公聴会のうち二回目につきましては、原子力安全委員会が主宰いたしまして、説明者は各主務官庁が行うという形式を考えておりますが、ここでもできるだけ陳述者が意見を述べ、また必要に応じてこちらが説明できるような意思の疎通を図ったものにいたしたい。また、その意見につきましては、安全審査に反映し、その結果につきましては、説明書を公表するというようなことで安全委員会主宰の公開ヒヤリングをできるだけ行っていきたい。ただ、地元の事情その他がありまして、形だけのものをやるというのは何ら意味がないわけでございますので、その地元の事情等を勘案しながら適宜実効あるものに定着化を図っていくという努力を進めてまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  41. 貝沼次郎

    貝沼委員 とにかく公聴会のイメージがあるものですから、この公開ヒヤリングは私は真っ先にやるのが非常に大事だと思うのですね、誠意を持ってやらなければならぬと思います。  それから、先ほど汚職の問題をちょっと出したのですけれども、要するに、ああいう問題が起こるのは、法的に問題があるのか、人間が悪かったのかということなんですね。どっちにしても、法的に問題があるならあるように、今度の体制というものはそれにこたえるようなものでなければなりませんし、人間に問題があるならばその指導強化ということが私は大事だろうと思います。そういう点で、今後こういうことが起こってはなりませんが、この点について通産省の決意を聞いておきたいと思います。
  42. 武田康

    武田政府委員 先生指摘のとおり、あのような事件は二度と起こしてはならないわけでございます。私どもとしましてはあれをきわめて遺憾に思っており、かつ当該電気事業者に対しまして厳重に注意をし、そして体制の整備をやらせるべく指導し、また当該電気事業者も反省して、そういう方向の措置をとって体制の締め直しをしているところでございます。私どももこれからああいうことがないように、一層厳重に指導していきたいと思っておるところでございます。それからなお、ほかの当該電気事業者以外の会社に対しましても、同様な意味で同様な指導をいたしたところでございます。
  43. 貝沼次郎

    貝沼委員 次に、運輸省にちょっと伺っておきたいと思います。  きのうから運輸省はいろいろなことで問いただされておるわけでありますが、通産省でいまやったようなことがいよいよ実用船の段階になりますと運輸省に来るわけであります。ところが、運輸省の場合はちょっと状況が違ってくるわけですね。たとえば立地条件といいましても、船は動くわけでありますので、その辺のところが固定したアセスメントではありません。そういう関係から、まず基本計画ですが、原子力安全委員会審査をいたしますその基本計画の設定をするところ、これは通産省ではちゃんとできておりますけれども、運輸省の方ではだれがこれを作成しようというふうにお考えなのか。これは腹案だろうと思いますけれども、一応お答え願いたいと思います。
  44. 謝敷宗登

    ○謝敷政府委員 現在原子力船開発に関します基本計画がございます。これは開発のための基本計画であろうかと存じます。したがいまして、研究、開発のための原子力船をつくりますときは、基本計画があらかじめ早期に、非常に前広に決められることになると思いますので、その時点で通産省がおやりになっているような公開ヒヤリングについてはやれるかと考えますが、実用船につきましては基本計画というような形では出てこないのではなかろうか、こう考えております。したがいまして、基本的には行政懇意見を私どもも十分「むつ」等の経験で痛感をしておりまして、原子力船の安全問題につきまして公開ヒヤリングを実施するという方向で検討をしてまいるつもりでございます。  そこで、先生指摘のように船は動くということがございます。したがいまして、原子炉等規制法によりまして炉の設置許可を出す前に、私どもとしては公開ヒヤリングが必要かと考えておりますが、その際は主として母港を中心にしまして、地域の住民を対象とする公開ヒヤリングという形になろうかと思います。この際は設置許可の前でございますので、私ども行政庁としての安全審査が終了し、原子力安全委員会ダブルチェックにかける前でございます。したがいまして、そこで第一次と第二次があるいは相前後してくっつくかもしれません。したがって、時期的な問題はちょっと通産省の基本計画、設置許可と違うと思います。そこで、母港を中心としました地域住民についてはそういう形でできるのではないかというふうに検討をしてまいるつもりです。  ただ、動くわけでございますから、実用船につきましては、基本的には現在国際条約で原子力船についての安全に関する規定がありますのは、海上における人命安全条約というのがございまして、そこで原子力船については原子力船安全証書というものを持ってまいって、さらに安全評価説明書というものを持つということになってまいります。そこで私どもとしては、原子力船が他の港湾に入港する場合という点につきましては、先ほどの母港を中心としました公開ヒヤリング内容を広く公開いたしまして、それによって広く一般国民の方の御理解を得るということが一番適切ではないか、こういうふうに考えております。
  45. 貝沼次郎

    貝沼委員 もう一点確認しておきたいのですけれども、基本的な考え方として、原子力実用船の場合は先の話だと言えば先かもしれませんが、サバンナが入ってくることだってあり得るわけでありますから、そこでちょっと聞いておきたいのです。  基本的に場所というものについて、たとえばいままでの話ですと、原子力船「むつ」の定係港はと、こう言葉がくっついておったわけですね。そうすると、定係港というものは船によって決まるという考え方でこれからいくのか、それとも原子力船の定係港があって、いろいろな原子力船がそれを利用することができるという考え方でいくのか、この辺のところがいまはっきりしておりません。したがって、運輸省としてこれからは大体どういう基本的な考え方でいくのだろうか。たとえば原子力船「むつ」の定係港、こういうふうになりますとサバンナが来ても入れないわけであります。総理大臣許可をすることになるんでしょう。それから今度は別に原子力船の定係港、こういうふうになりますと、そのときの状況によってまた使用することができるようになると思うのですが、この点はどういうふうに考えたらよろしいでしょうか。
  46. 謝敷宗登

    ○謝敷政府委員 基本的に原子力船が定係港というものを持つという性格を持っておることは、燃料の交換その他で放射線災害防止上重大な支障がないようにということが他の一般船舶と変わっておるわけです。したがいまして、実用原子力船の時代といいますのは、頭にありますのは、それぞれの船が燃料交換等あるいはそれに関連する修理等を行います定係港、母港といいますか、そういうものと、それからそういう実用原子力船が一般の通常の航行のために入港する場合と、二つに分けて考えるべきものかと考えます。したがいまして、外国の原子力船が入ります場合は、これは原子炉等規制法で設置の許可という概念で規制をするわけでございます。したがいまして、外国の原子力船が本邦水域に入りますときは、最初に入りましたときに、入港を予定しております港湾周辺の地域住民を対象にしまして、先ほど国内の原子力船の場合に炉の設置許可ということで公開ヒヤリング考えたわけでございますから、本邦水域に最初に入りますときに入港を予定しておる地域というものを考えるのがよろしいのではないか、こういうふうに考えております。
  47. 貝沼次郎

    貝沼委員 時間が来ましたので、通産省に一点だけ伺って終わりたいと思います。  西ドイツの場合は、この安全審査のために技術検査協会、いわゆるTUVというのが組織されておりまして、民間機関でもっていろいろやっておるということでありますが、日本の場合近い将来あるいはもっと将来、こういうことを考えるという気持ちがあるのかないのか、この点だけ伺っておきたいと思います。
  48. 武田康

    武田政府委員 ドイツでは州政府なり何なりが許可等をいたします場合に、先生指摘のような技術検査協会が安全性のチェックをいろいろするというようなこと、必ずしも原子力のみでございませんで、非常に広い範囲の仕事をしているようでございますが、そういうのが定着しているようでございます。国柄も違いますので必ずしもそのまま日本に持ってくるという性質ではないかと思っておりますが、一つやり方には違いないというのが私の感じでございます。ただ、日本制度で近い将来そういうようなことがあり得るか、あるいは遠い将来ということでございますが、私自身はいまのところ国がやらずに民間がやるというような制度に移すことは全く考えておりません。ただし、私ども審査の過程でもろもろのクロスチェックをしたりなんかすることが必要でございまして、現在でも原子力研究所等で原子力委員会の方からいろいろなことを頼まれてなさっているようでございます。そういったような意味で、専門家を使っていくあるいは利用させていただくというようなことは、将来に向かっていろいろな意味で考えていかなければいけないかと思いますが、具体的に考えておるわけではございません。将来の課題の一つかということでございます。
  49. 貝沼次郎

    貝沼委員 終わります。
  50. 岡本富夫

    岡本委員長 貝沼次郎君の質疑は終了いたしました。  次に、石野久男君。
  51. 石野久男

    ○石野委員 科学技術庁長官にお尋ねしますが、原子力基本法改正を必要とするという事態を引き起こしたのは原子力船「むつ」の事故からでございます。この際、原子力船「むつ」の問題についてその後どういうふうに政府は対処しておられるか、またあの問題の処理をどういうふうに決着をつけようとしておるか、その点をひとつ先に聞いておきたいと思います。
  52. 熊谷太三郎

    熊谷国務大臣 現在の「むつ」の問題につきましては、従来からたびたび申し上げておりますので、従来の経緯はまた御必要があれば繰り返しますけれども、一応従来の経緯はこの際省略いたしまして、現在の状態について簡単に申し上げたいと存じます。  御承知のように、昨年の十一月の末に私が就任していろいろな状態を聞きました。この状態におきまして、さらにこの上は長崎県に対してひとつ受け入れをお願いしたい。先ほど申し落としましたが、いろいろ条件があったようでございますので、政府としての現状をお訴えをしまして、佐世保港において修理の引き受けをひとつ御了解願えるようにしていただきたいということを十二月早々にお願いした次第でございます。当時、長崎県の知事は、一月には選挙が控えているので、選挙が済んだならばまたいろいろお話を伺うが、選挙が済むまではひとつ待ってもらいたいということでございまして、選挙が済みました後、三月十五日になりましたが、お目にかかりましていろいろお願いをしたわけでございます。  そこで、長崎県の知事としては、非常にむずかしい問題であるが、しかしどういうふうにしたら政府からの要請にこたえることができるか、ひとつわれわれとしての対応の条件を考えてみようということでいろいろ御検討を願っている状態でございまして、その御検討の期間が継続している、このように考えているわけでございます。  そこで、今後長崎県からこういうことならば受け入れてもいいという御返事をいただくことを期待いたしましてお申し入れをお待ちしているというのが、一言で申し上げますと「むつ」に対する処理の現状でございます。  なお、御必要があればまた細かい点もあるいは申し上げることがあるかもしれませんが、大体の経緯はいま申し上げたようなところでございます。
  53. 石野久男

    ○石野委員 原子力船「むつ」をどういうふうに扱うかということについての見方にはいろいろあると思いますが、現地にはいろいろな科技庁なり政府に対して受け入れるか受け入れられないかということについての条件があるのかと思いますが、政府に対してはどういうような条件を地元の方では出してきておるのでしょうか。それと同時に、また政府はそういう長崎県とか佐世保とかいうようなところに対してはどういうような要請をしておるのか、そういう点をもう少し細かくひとつ説明してください。
  54. 熊谷太三郎

    熊谷国務大臣 御承知のように、昨年の四月に佐世保港ではこのまま受け入れていいという御決意があったわけでございます。長崎県としましては、入港を認めるとしても燃料棒を抜いた状態においてしか受け入れられない、こういうお話だったわけでございます。これは当時として大変むずかしい話であったかと思いますが、一応その趣旨に沿っていろいろ研究をいたしまして、燃料棒を抜くということは、もちろん安全に抜き得るというような研究もしたわけでございますが、その後いろいろ検討を重ねてまいりましても、これをどこで抜くか、あるいは抜いた燃料棒をどう処置するか、どこへ置いておくかというような問題に逢着いたしましたが、理屈はとにかくとして、たとえば長崎県で、あれは不安だから抜いて持ってこいと言われましたが、その不安なものを抜かせていただくところもありませんし、それから置いていただくところもないという現状になったわけでございます。そこで、いまは抜くとか抜かないとかということは考え方としては第二として、どういうぐあいにしたら長崎県としては現状のままで佐世保港での修理を受け入れていただけるということになりますか、ひとつ何とか御考慮願いたい、こういうことでお願いしているわけでありまして、それは先ほど申し上げたとおりでございます。そのお答えがまだいま来ていないというのが現状でございます。  長崎県や佐世保に対してどういう要請をしようとするのか、あるいは何か申し出があるかとかいういろいろなお話がありましたが、正式にはいまそういうお申し出はございません。巷間伝えられるところによれば、いろいろなことが見返りといいますか条件とかというようなものとして言われていることはよく知っているところでございます。     〔委員長退席、小沢(一)委員長代理着席〕  ただしかし、私どもといたしましては、やはり県の御判断におきまして、県民の方が大体御納得いけるような方法で、佐世保修理をお認め願えるという話がつきました上で、ついては、国の政策に協力するから、ひとつこういうことを地元に対して協力せよというようなことがあるとしますれば、そういう話が一応つきましたことを前提としまして、そういうお話し合いにはできるだけ応じなければならぬ、このように考えておりますが、一応そういう話は抜きにしまして、まずもって現状のままで佐世保に修理港を引き受けてもらえるかもらえないかということがまず前提の話である。その話が基本的に合意できた上でなければ、そういうほかの話は正式に受け入れる、あるいは正式に検討することはできない、このような態度で臨んでおりますが、最初に申し上げました受け入れそのものが、まだお返事がありませんし、また、したがって、そういうふうなお申し出を正式に受けている段階でもない、こういう状態でございます。
  55. 石野久男

    ○石野委員 政府が受け入れてもらいたいというその現地の方での受け入れについての正式な条件申し入れ等はないが、巷間伝えられるようなものは承知している、こういうお話でございますが、その巷間伝えられる、承知されているというふうに大臣理解をしておられる、そういうことを私は余りわからないのですよ。どういうようなことが巷間伝えられておるのか。そういうような点、大臣からひとつ聞かしてもらいたい。
  56. 熊谷太三郎

    熊谷国務大臣 巷間伝えられているという言葉は余り適切ではございませんが、これは昨年来からある話でございますが、この際長崎新幹線を、五整備路線の中に一応予定されておるわけでございますが、それを間違いなくやってほしいというようなこともいろいろ話題になっているものと思っております。  それからもう一つは、これは条件というわけではないかと思いますが、風評によりまして、魚価の低落でも来した場合にはどうしてくれるか、これはわれわれとしましてはそういうことはあり得ないと考えておりますが、しかし将来のことでございますから、そういう御不安がないような手段を講じなければなりませんので、それに対する考え方、これは条件というわけではありませんが、そういう話も聞いているということを申し上げておきます。  それからもう一つは、これはこの間たしか、参議院でございましたか当院でございましたか、お尋ねがあったわけでございますが、佐世保におきます佐世保重工業、これが前々から造船不況の一端としまして非常に経営が困っておられるというようなことを聞いておりますが、それが急に非常に急迫した状態になりましたので、これを救済しようというような話が出まして、これを政府は見返りにするのではないかというようなお話がたしか国会で出たかと存じますので、一つの造船会社を救済するなどということは、政府としてはなかなかむずかしい問題である、ことに科学技術庁といたしましては非常に困難な問題でございますので、そういうことは考えておりませんということをお答えしたわけでございますが、ただ、これは国全体の経済的な行政の面から雇用関係その他に非常に大きな影響のありますものを、そのまま何の手も尽くさないでほっておくということは、そういう見地からはあり得ませんので、管轄の官庁が相当のいろいろな方策をお考えになることと思いますし、われわれもいままでいろいろお願いした立場もありますので、できるだけの御協力はしなければならぬと私は思っておりますが、どうもそれが見返りだというふうに言われているかとも思いますので、いわゆる巷間伝えられているという内容を言えというお話でございますから、そういうお話もあるということを申し上げたつもりでございます。大体そのような点が、巷間というのは適当じゃありませんが、正式の申し出ではありませんので、そういう言葉を使ってお答えするようなわけでございます。
  57. 石野久男

    ○石野委員 そうしますと、原子力船「むつ」の問題については、いま巷間伝えられると言われるようなものとして大臣が言われた三つの内容をもし申し入れがあるとするならば、政府としてはそれを受けて立つという考え方でいるということでございますか。
  58. 熊谷太三郎

    熊谷国務大臣 大体そういうことでございますが、この際ひとつはっきり明らかにしておきたいことは、われわれとしましては、佐世保港としては現状のまま受け入れるということは前からお話を承っているわけでございますが、県とされましては現状のままではどうも不安があるというような御様子、状態になっているわけでございます。それで、そういう不安を大体解消することができるから受け入れてやるというお話が本筋においてできました上で、こうして国の政策を受け入れるから、政府としてできる、いろいろな地元のために国の政策として協力できることがあったらばせよということがあれば、これはいたさなければならぬと思っております。ですから、その内容とか程度は、そういうわけでございまして、いまはっきりしたことは言えませんが、できる範囲の御協力は当然しなければならぬ。しかし、話はまずそういう本筋の話が合意できなければ、国がこういうことをいたしますから「むつ」を受け取ってくれ、こういうことは断じて言わない、こういうつもりでございます。
  59. 石野久男

    ○石野委員 原子力船「むつ」の問題について、いまお話を承っておりますと、主として経済的な諸問題に関連してこの問題の処理をしようとしておる。私どもは「むつ」の問題の非常に重要な点は、原子力船「むつ」が本当に原子力船として安全な状態にあり得るようにするということに基本がある、こう思っております。ですから、事故を起こした原子力船「むつ」というものを本当に安心して運航ができるようにするための努力が政府にとって必要なんだ、こういうように思っておる。しかしずうっと聞いておりますと、そのことに対する意図よりもむしろここで起きてくるところの作業量なりあるいは経済的効果なりというようなところに問題が、受ける側も渡す方もどちらもそこを焦点にして原子力船「むつ」の扱いが行われるように見られる。これは非常に不本意なことです。もっと積極的に原子力船「むつ」の基本的な解決、こういうような問題に取り組む姿勢を科学技術庁に求めたいと思う、あるいは運輸省に求めたいと私は思います。そういう点では政府のとっておる態度は非常に遺憾なように私は思うのです。やはり原子力船「むつ」の問題が起きて、そこで私たちが教訓として学ぶべきことは、開発優先に過ぎたから安全性がおろそかになったのだというこの教訓、この反省というものがどうも事後の事態処理に当たっても十分じゃないように思いますし、そしてまた、今回の原子力基本法改正に当たってもやはりそういうことが何となく改正法案の内容の中ににじみ出てきているというように思われる。私はこの原子力船「むつ」の問題がいたずらに、国家の要請であるから、景気振興のために云々というようなことで処置されることは非常に遺憾だと思うのです。やはり一つの企業体に息を吹き返させるようにするという行為は政府としては何らかの形でとらなくてはならないかもわかりませんけれども原子力船「むつ」の問題がそういうものと引きかえにされるということになりますると、いわゆる原子力安全性に関する問題は吹っ飛んでしまう、本質をたがえるものになると思います。そういうような点について、これは科学技術庁長官の本当の気持ちをこの際聞いておきたいと思うのです。国家の要請であるからというようなことでこの安全性の問題をおろそかにするような扱いだけは厳に慎しんでいただきたい、こう思いますが、いかがでございますか。
  60. 熊谷太三郎

    熊谷国務大臣 おっしゃる御趣旨はごもっともでありまして、私どもも国家の要請ということを結論としては申し上げましても、その方法としましてただそういう「むつ」の今後のあるべき本質的な問題を誤るようなことがあってはならないと思っておるわけでございます。ただ、あのときのあれに対する反省の委員会、名前ははっきり覚えておりませんが、「むつ」総点検委員会でございますか、あの委員会で今後「むつ」の進むべき道というようなものが、非常に権威ある御意見で政府は答申を受けているかと思っているわけでございます。それは当時起きました問題、この放射線漏れが設計量を相当にオーバーしたことはまことに遺憾である、ただし、これを今後真剣に反省して、そういう問題の解決に当たるために正当な修理を進めていくことが、この際、原子力船「むつ」の問題を進めていくべきあり方である、余りうまい言い回しではありませんが、何かそのようなお答えが出まして、その線に沿ってひとつ「むつ」の修理を進めていきたい、これが本旨でありまして、この本旨を進めることにわれわれとしては努力しているわけであります。それを、先ほどから繰り返して申し上げておりますように、経済問題と絡み合わせて解決する、そのようなことはいささかも考えていないわけでございまして、十分言葉は尽くせませんが、この点を繰り返し申し上げたような次第でございます。
  61. 石野久男

    ○石野委員 基本法改正を論ずる上において、よって来た原因である原子力船「むつ」の問題の処理の仕方というものは全然無関係のものじゃございません。基本法改正と同時にこの「むつ」の取り扱いの問題についても、やはり十二分にその関連性の中で、それこそ整合性のある扱いをしてもらわなければ困る。ことに一般の地域住民が納得できないような形でこれを無理押しするというようなやり方をしますれば、必ず将来禍恨を残すでありましょうし、そういう点は十分注意していただきたいと私は思います。原子力船「むつ」問題については各地に及ぶ影響が大きうございまするので、そういう意味での扱いをやはり十分注意してもらいたい、こういうように私は念願しておきます。  質問いたしますが、私は、やはりこの法律改正に当たって一番大事なのは、何遍も申しておりますように、炉の設置許可の権限が三分割されることにあると思うのです。その三分割されたものを——私たちはこれに反対ですけれども、もう情勢の推移はどうもそうなってくる、政治勢力のの関係でそうならざるを得ないということになれば、あくまでもこの状態を、安全性の問題で帰一性を確立するという方向をやはり少しでも確保しておかなくてはいけない、こう思うのです。     〔小沢(一)委員長代理退席、貝沼委員長代理着席〕 三省庁に分離した許可権というものを安全性の問題で統一的に把握しようとすれば、何といっても原子力委員会二つに分けた原子力安全委員会の権限、機能というものがそれに対応しなければいけない。そういう立場からすると、安全委員会なるものは独立の発言力を持つ機関として、いわゆる国家行政組織法の三条機関の権限を持つことを望む、このわれわれの態度がなかなか認められないような情勢にある。八条機関という形でこの委員会が機能、活動するということになりました場合に、この委員会委員の選出というものは非常に重要だと思うのです。学識経験者と一般に言われる人々をこの中に網羅しようとしておるわけですが、関係する省庁として特に科技庁がこの委員会委員の選出に当たってどういうような配慮をされておるか、その点をひとつ聞かしてもらいたいと思います。
  62. 牧村信之

    牧村政府委員 先生指摘のように、この安全委員会の大変高い権限を十分機能するためには安全委員会委員方々人選がきわめて大事なところであろうかと思います。この人選に当たりましては、安全にかかわります各専門分野の学識経験の非常に高い方をぜひ選びたいというふうに考えております。またその人選に当たりましていささかも公正さを欠くようなことがあってはならないというふうに考えておる次第でございます。その観点からも、今回の法案でもお願いしておりますように、人選された者を両院の意見を聞いて定めるというようなことでその公正さを確保してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  63. 石野久男

    ○石野委員 両院の意見を聞いてということですが、大体当局としてはこの委員にはどういうような識見あるいは人格を持っておる者を期待しておりますか。
  64. 牧村信之

    牧村政府委員 原子力にかかわります科学技術的な御見識の高い方がまず第一条件であろうかと思います。それからその人選に当たりましては、中立的に大所高所の御判断をしていただける方であるということがきわめて大事なことではないか、かように考えております。
  65. 石野久男

    ○石野委員 そのような要請を具体的に裏づけるための措置としては、どういうことをお考えになりますか。
  66. 牧村信之

    牧村政府委員 この原子力安全委員会所掌の最も重要なことといたしまして、ダブルチェックを行うわけでございますが、私どもの方としましては、ただいま申し上げましたような識見をお持ちの方で、長期間にわたって在職していただけるような方をぜひ探したいということを考えておる次第でございます。これから法案の改正がお認めいただけるようになりましたならば、直ちにそのようなことにつきまして、慎重に検討を進めてまいりたいと考えておる次第でございます。
  67. 石野久男

    ○石野委員 この委員の選出に当たっては、科技庁なり政府の方から人物の推薦などをして、それを国会なら国会検討を願うというようなことをなさるのですか。それとも国会の方から推薦をする人物について、あなた方の方、政府の方で確認をし、しかもその上で国会の承認を得るというような手順を踏もうとしておるのか、どういうような順序、方法でそういう人物選出をしようとしておりますか。
  68. 牧村信之

    牧村政府委員 ただいま先生の御指摘のことは、これから科学技術庁として大臣等とも相談しながら進めていくわけでございますが、この安全委員会委員になられる方には専門的な学識経験をお持ちの方をぜひ選びたいということを考えておるわけでございますので、いろいろなところと御相談することはあろうかと思いますけれども、その進め方につきましては、先生指摘のような各党の御意見を聞くとかいうふうな政治的な判断というものは、それほど求めるべきではないというふうにも考えられますし、慎重に対処してまいりたいと考えておる次第でございます。
  69. 石野久男

    ○石野委員 政治関係、特に国会における政治関係の方向からそういう要請があった場合に、政府はどういうふうにそれを受けとめる用意がありますか。     〔貝沼委員長代理退席、委員長着席〕
  70. 牧村信之

    牧村政府委員 そのような御意見がいただけました場合にも、原子力安全委員会委員は専門知識を要し、比較的長期間在職することができ、行政庁等と一線を画した姿勢を示していただかなければなりませんし、科学技術的な大所高所の御判断もできる方というような、人選に当たってのいろいろな基準と申しますか、そういうこともこれからつくりつつ判断するわけでございます。その結果、その方が非常に適当であれば当然候補として上がってくることもありましょうけれども、ただいま申し上げました判断基準と申しますか、そういうことの方がむしろ重要でなかろうかというふうに考えられるわけでございます。
  71. 石野久男

    ○石野委員 そうしますと、この委員会委員というのは、国会の承認があったとしても、主としてそれは政府の意図によってもう限界が定められている、こういうふうに受けとめてよろしいわけですね。国会意見というのはその中には余り入れないという方針ですか。
  72. 牧村信之

    牧村政府委員 私がただいま申し上げましたのは、政治的な意見というものは取り入れるべきではないと申し上げた次第でございます。
  73. 石野久男

    ○石野委員 政党の方で要請をするということは、必ずしも政治的なというわけではないと思うのです。したがって、国会意見として委員の推薦などがあった場合の扱いの問題について、当局はそれをどういうふうに受けとめるのか。それは国会で決めてくればいいんだということになるのか、それともあなた方の方で決めたものを国会の承認をもらうことにするのか、その点はどうなんですか。
  74. 熊谷太三郎

    熊谷国務大臣 大変重要な委員の選任のことでございますから、いろいろいま御熱心な御発言がありますことは重々私どもとしても了承するところでございます。ただわれわれとしましては、必ずしも政党とかあるいは何々の世界とかそういうことにこだわらず、御意見があれば広く承りますけれども、しかし、その選定はやはりわれわれが責任をもっていたしたい、このように考えており、その上で国会の御検討をお願いする、こういうつもりで進んでまいりたい、かような次第でございます。
  75. 石野久男

    ○石野委員 原子力安全委員会委員、これは国会の承認事項になるのと違うのですか。
  76. 牧村信之

    牧村政府委員 国会の同意を必要とすることになっております。
  77. 石野久男

    ○石野委員 そうだとすると、いま大臣は責任を持ってと言いますけれども大臣の方の責任でやるとするなら、国会の同意を得るというようなことは無意味になってくるのと違いますか。
  78. 熊谷太三郎

    熊谷国務大臣 責任を持ってという言葉が余り適当でなかったかもしれませんが、一応われわれが選定をいたしまして、その上で国会の御承認を願うということになりますので、われわれの選定が誤っていたならば、決してそれを強行するような手段もありませんし、方法もないわけでございます。しかし、ただ候補者を選びますのにわれわれが責任を持って、こういうふうに申し上げた次第でございます。
  79. 石野久男

    ○石野委員 私は、大臣のいまの答弁はちょっと理解に苦しみます。これは後でまた考えさしていただきたいと思います。  お尋ねしますが、安全委員会というのは非常に大事な仕事をするのですが、その安全委員会には事務局がない。そして科学技術庁の安全局がこれをやる。これは当面こういうふうにするという考えなのか、将来にわたっても安全委員会なるものは事務局を持たないで、科学技術庁原子力安全局というようなものが事務を全部世話していくことにする考えであるのか、そこのところの政府の考え方を聞かしていただきたい。
  80. 牧村信之

    牧村政府委員 この安全委員会事務局につきましても、行政懇談会におきまして意見が出されておりまして、独立事務局が望ましいということを言われております。しかしながら、それをつくるのは非常に困難であろうから、当面は科学技術庁が中立的な立場に立ってやれというふうになっておるわけでございます。その辺の御意見を踏まえて私どもといたしましては、安全局の中ではございますけれども、特に安全委員会の重要な役割りでございます安全審査関係を中心とする業務につきましては、専任の原子力安全調査室を設けさせていただきまして、ここで業務を担当させるというふうな改善をいたしまして、この行政懇談会の御意向をくみ入れつつ対処しておるつもりでございます。
  81. 石野久男

    ○石野委員 局長の言い分はそういうことだと理解しましても、改正法案の中でいきますならば、むしろ特に重要な役割りをする安全専門審査会などは、従来法定の機関としてあったものを今度は政令機関に言うなれば格を落としてしまうというような、われわれから見れば軽い扱いになっていく。だから局長の言うことと事が全く逆になっていくのですね。重要視しているのじゃなくて、むしろ非常に軽く扱われるというふうに理解しますが、それはどういうことですか。
  82. 牧村信之

    牧村政府委員 私どもはきわめて重要視しておる、そのあらわれと御理解いただきたいのでございますけれども、法定化されたために現在の安全専門審査会は定数が三十名という枠に縛られて、その充実を図ることが非常に困難な状況でございます。また、安全委員会というきわめて所掌のはっきりした権限の高い諮問機関をおつくりいただくことになるわけでございますので、その下にある専門審査会がたとえ法定化されないものであっても、安全委員会の権限を持っておりますので、その機能を十分に果たすことによりまして国民の御理解が得られるものというふうに考えて、このような制度にした次第でございます。
  83. 石野久男

    ○石野委員 ちょっと論理が矛盾しているように思うのです。現在の法体制から言えば法定の機関から政令機関というように非常に格下げになっていく、そのためにかえって人員の増加ができない、そんなことはないと私は思うのです。むしろ逆に法定の機関であることの方が人員増加等においても主張権を持ち得るのだろうと私は思うのです。そしてまた、そこで出る結論等についての発言力なり第三者に対する波及効果も期待でき得るように思われるのです。  いま局長の言われることは逆なように思う。どうも言葉の上で聞いていると、何か非常に安易に、人員の増加も簡単にできそうに見えるし、技術者もどんどん集められるように思われるのですけれども、そんなことはいまこの委員会でこの法案を審議しているわれわれには通用しない答弁とは違うのですか。そんなこと本当にできるのですか。
  84. 牧村信之

    牧村政府委員 若干先ほどの答弁が不適切であったかと思いますが、私どもとしてその必要がないと判断いたしましたのは、安全委員会という権限の非常に強力な土俵をここに新しくお認めいただけるわけでございますので、その下の機関につきまして、確かに法定化された方がよかったという御意見も、私ども指摘を受けてわからぬわけではございませんけれども、十分大きな強い土俵の中の安全専門審査会をほかの専門部会と同様にいたしましても十分機能を果たし得ると考えたからでございます。
  85. 石野久男

    ○石野委員 答弁のための答弁をしないで、本当のことを聞かしてもらいたいのですよ。実際、安全委員会という非常に権限の強い土俵ができたので、こういう答弁ですけれども、われわれから見ると、確かに安全委員会というものはできましたが、これは先ほど来言っているように八条機関で、いわゆる総理の諮問機関にすぎないわけです。  先般来、この委員会の長の問題について私は何遍か質問しておりますが、この委員会の長がどのように第三者に対する発言力を持ち得るかということになると、第三者に対しては発言力はない。総理の諮問に答えるというところでとまってしまうわけです。いろいろな手当てをしても、機構上はどうしてもとまってしまうのです。それですから、私どもとしては、そういうところが持つ発言力を強化するために、何とかそれを補強しなければならぬと考えておる。総理が積極的に、これに専門になってやってくれれば別ですけれども、総理は内閣全体を総括しておりますから、この問題について専念してやるということはなかなかむずかしいし、同時にまた、八条機関であって、委員長学識経験の高い方であったとしても第三者に対する発言力はない、政府部内においては閣議にも出席できないということになってくるから、われわれはその発言力の弱さを非常に感ぜざるを得ないわけです。したがって、意見を述べたり、あるいは運輸省や通産省科学技術庁に対する意見を述べたとしても、意見の尊重ということがどの程度まで行き届くかということについてさえも危惧を持たざるを得ない、こういうふうに感じます。  そういう状態であるだけに、あの事務局というものについては、積極的に専門の事務局を持つようにさせて、つくり上げる意見というものがなお一層充実し、客観点にも信憑性をかち取り得るようなものを確保しなければいけない。そうなってくれば、行政懇の方でも意見があったと言われるように、一日も早くこれが独立事務局として安全委員会に寄与できるような体制づくりをすることが望ましい、こういうふうに私は思うのです。そういう点についての政府の考え方、あるいはまたそれをどのように実現しようとするか、そういう意欲がどのようなところにあるかということをひとつお聞かせいただきたい。
  86. 牧村信之

    牧村政府委員 行政懇におきましては、先ほど御説明いたしましたように独立事務局があった方がいいのだという御意見をいただいておりますので、この独立事務局の問題につきましては今後の重要な検討課題として慎重に検討してまいりたいと思います。
  87. 石野久男

    ○石野委員 時間が余りありませんが、大蔵省来ていますか。これは本当は大臣に聞いておきたいことだったのですが、この法案の改正に伴って運輸省なり通産省安全性の問題についての審査機構を新たに設備しなくてはなりませんし、またそれに伴うところの人員の増加は必然でございます。そういうときの機構改革なり人員増加に対する予算的措置の問題等について、あらかじめこの法案の改正を契機として当然予算措置をするという腹構えがあってしかるべきだと思いますが、そういうことをこの法案改正に当たってお考えになっておられるかどうか、一言御答弁いただきたいと思います。
  88. 角谷正彦

    ○角谷説明員 まず通産省の問題でございますが、ことしの予算に関連いたしまして、実は科学技術庁の中にございます原子力安全局の原子炉規制課の中で現在実用発電炉安全審査をやっている方々は十三名でございます。今回実用炉について通産省が所管することになることに伴いまして、それら十三名の方々通産省に振りかえることとし、予算措置を講じておるわけでございます。  なお、運輸省の問題につきましては、これは今後の原子力船輸送の実用化の推移、そういったことに対応して運輸省から具体的に御相談があった段階におきましては、機構、定員の問題でございますので、行政管理庁とも御相談しなければなりませんけれども、大蔵省といたしましては、その段階において遺漏のないように措置してまいりたいと考えております。
  89. 石野久男

    ○石野委員 これは将来のことでありますが、定員の関係等に関連し予算の問題が伴ってくるのですから、当然そのことを予想しておいてもらわぬと困ると思うのです。  運輸省来ておりますね。私は昨日もお尋ねしたのですが、運輸省で特に輸送の関係での保安規定といいますか、こういうものの整備についてどの程度の対応なり準備があるか。ことに廃棄物だとか使用済み燃料等の運搬は、法改正の中では、企業内、工場内における保安規定等についてはそれぞれ明記されておりますけれども、工場外運搬の問題について、特に業者に下請したときなどの保安規定の問題についてはどうも十分に配慮が行われていないように思われる。そういう点についてどういうような対応を持っておられるか。
  90. 片岡栄夫

    ○片岡説明員 運輸省におきましては従来から安全輸送対策を行っておるわけでございますが、昨年の十一月に輸送関係の三省令の改正を行いました。すなわち危険物船舶運送及び貯蔵規則、放射性物質等車両運搬規則並びに航空法施行規則、この三省令でありまして、本年一月一日から施行いたしております。この改正は、最新の国際規則でございます。九七三年の国際原子力機関規則に準拠し、また、わが国の原子力委員会の輸送安全基準に準拠したものでございます。  具体的には、輸送基準を詳細に定めまして、たとえば積みつけの方法、混載の制限、標識の義務づけとかいうような非常に詳細な技術基準をこしらえました。さらに海上輸送並びに航空輸送につきましては、一定以上の危険性を有する放射性輸送物については運輸大臣の輸送物にかかわる安全性の確認、それから個々の輸送に関する安全性の確認、こういう業務を取り入れることにいたしました。陸上輸送につきましては、ただいま御審議をいただいております法案の改正が行われました暁には同じような確認制度を取り入れたいと考えております。
  91. 石野久男

    ○石野委員 一つ輸送に関してお尋ねしておきますが、輸送を受託した業者から下請にいく場合がございます。そのときに、その下請に必ずいわゆる安全に関する主任技術者等を配置するというようなことの規定は明確にいたしますか、そこらのところをはっきりしておいてもらいたいのです。
  92. 片岡栄夫

    ○片岡説明員 主任技術者は法制上はっきり明記はしてございませんが、それと同等の者をたとえば非常に危険性の高い使用済み核燃料等の輸送については同行させるような義務づけを行っております。
  93. 石野久男

    ○石野委員 その案文はすでにできておるのですが。もしできておるとすればお見せいただきたいし、できてないとすればそれを早急に作案してもらわないといけないと思いますが、いかがですか。
  94. 謝敷宗登

    ○謝敷政府委員 使用済み核燃料発電所の構内から船によって運搬される例が多いと思います。そこで、先ほど官房の担当管理官から話が出ましたが、私どもとしましては昨年の十一月十七日に船舶安全法によって省令を改正いたしまして、本法律案改正に盛られております内容を省令で先に規定をいたしております。したがって、その省令については一般的に公示しておりますので差し上げられると思います。  基本的には科学技術庁、運輸省、それから実際の立会検査を行います海運局というものの責任を明確にいたしまして、実際の核燃料物質の容器の問題、容器の登録の問題、輸送物の確認については科学技術庁でお願いしまして、それの証明書を私どもが受けまして、輸送物の確認をし、輸送計画の確認をし、それでその計画に基づいて現地で積みつけ検査及びコンテナの収納検査をする、先ほどの放射線主任技術者の点につきましては輸送計画書の確認の段階でそれを確認する、こういうことになっております。
  95. 石野久男

    ○石野委員 法令上の文言は幾ら書かれても、実際にそれを運搬するに当たっては、船の場合であれば船長以下いろいろ一応の予想される人員はちゃんとはっきりしているのですが、陸上の場合になりますとトラックの運転手はどういう方であるかというようなことはなかなか事前に確認はできない。しかも運搬に従事する運転手さんは注意力なりあらかじめ予備知識を持った方でなければ、普通の運搬と同じような考え方で輸送の任に当たった場合には事故の発生率は非常に多くなるだろうと思います。したがって、放射性物質の運搬については少なくとも現実にその場に当たる作業員の一人一人にその認識が十分徹底していなくてはいけないと思うわけです。この配慮がなかったら、どれだけわれわれが論議をしても全くむだになってしまうと思います。その点についてどの程度の配慮をなさるおつもりであるか、現になさっておるか。省令をまだ私は見ておりませんけれども、そういう細かい指示が行われるように作業が進んでいるのかどうかお聞かせ願いたいのです。
  96. 丹羽一夫

    ○丹羽説明員 先生御質問の陸上の自動車輸送の問題でございますが、核燃料等の放射性物質の運搬は、いわゆる長い経験といいますか、そういう専門的な経験と実績を持っている限られた運送事業者によって運搬させるということで、現在のところ四社ないし五社に限定して輸送させるようにしておりまして、その五社についても慎重な輸送計画を立てて、そして実際に運転する運転者も社内でそういう知識、技能について相当十分に教育を受けた者を選任するように指導しております。  実際の法令上の手当てでございますが、昨年の十一月にその車両運搬規則を改正いたしまして、特に実際の輸送に当たっては、核燃料等また廃棄物の大量の放射性を有する物を運ぶ場合には単に運転者だけでなしに核燃料その他原子力に関する深い知識を持った専門家を同行させることを義務づけておりますし、また、輸送する場合、輸送の期日、それから経路等も十分明示して、しかも警察当局、関係機関に十分連絡し届け出た上で運ぶというような手当てをするように省令を改正したわけでございます。
  97. 石野久男

    ○石野委員 そういう省令の改正したものについては一応後で資料をいただきたいと思います。  その場合もそうですし、それから海上の場合もそうですが、それぞれ技術者や運転に従事する者はそれだけの能力を持っておりましても、交通でございますから相手があることなんです。航空の場合は航空指令塔があって航路の指令をやっております。だけれども、陸上の場合はそういう指令は恐らく行われないだろうし、海上においても危険物を積載しておる船だからほかのものはよけなさいということは恐らくできないのだろうと思います。そういう問題、陸上、海上ともに危険物を積載しているものについての交通整理と申しますか、安全確保というような問題について、いま陸上の場合は警察ということがありました。海上の場合はどういうふうになさいますか。
  98. 謝敷宗登

    ○謝敷政府委員 海上の点につきましては、まず使用済み核燃料を運搬するのは専用船を持つ専門の会社でございます。その会社では乗組員全般について、原子力についての講習をいままで十分やっておるというふうに聞いておりますし、それからさらに運送マニュアルにつきましては、運輸大臣が承認をしております。そういうことが一点でございます。  それから、御指摘のありました二点目の交通の安全の問題、他船との問題につきましては、運送計画の中で運航の計画を明記してございます。これを海上保安庁に通報するというシステムをとっておりまして、必要な場合は、陸上と同様、海上保安庁が港長の権限を持ちまして、安全に関して種々の規制もしくは誘導ができるというシステムになっております。
  99. 石野久男

    ○石野委員 要するに放射性物質の運搬ということについては、放射性物質なり原料物質の危険ということをわれわれは盛んに論議しているけれども、移動するということになってまいりますると、移動経過の中で起きる問題の処置については全然われわれの及ばないものですから、やはり当然交通政策の中でそれを措置するようにしてもらわないと困ると思うのです。その配慮は十分してもらいたいし、またそういうことについては、われわれのわかるような資料を後でもらいたいと思います。  時間が来ましたから、私はここまでにとどめておきます。
  100. 岡本富夫

    岡本委員長 核燃料の運搬のいろいろな政省令、出せますね。
  101. 謝敷宗登

    ○謝敷政府委員 はい、出せます。
  102. 岡本富夫

    岡本委員長 本会議散会後再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時二十四分休憩      ————◇—————     午後三時二十一分開議
  103. 岡本富夫

    岡本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。小宮武喜君。
  104. 小宮武喜

    ○小宮委員 基本法改正案についてはこれまでもたびたび質問してきましたけれども、事ここに至って、私はさらに原点に返って確認の意味でまた質問をいたしたいと思います。  昭和三十一年に原子力基本法が制定されてからすでに二十二年を経過しておりますが、この間にわが国の原子力情勢も大きく変化をしております。すなわち、わが国の原子力発電はすでに一千万キロワットを超え、アメリカに次いで世界第二位になろうとしておりますし、一方では、高速増殖実験炉の「常陽」や国産新型転換炉の「ふげん」が臨界を迎えるなど、技術の多様化が進んでおります。こういう状況の中で、昭和四十九年に発生した原子力船「むつ」の放射線漏れ事故を契機に、原子力行政に対する国民の不信が高まり、この「むつ」事件に対する反省として原子力行政懇談会が設置され、その行政懇意見をほぼ全面的に取り入れたのが今回の原子力基本法改正である、こういうように考えるわけですが、行政懇意見改正法案との相違点はどこどこか、相違点があれば、その点御説明願いたいと思います。
  105. 牧村信之

    牧村政府委員 先生指摘のように、今回の原子力基本法改正は、「むつ」問題を契機として、安全行政の強化を図るべしという各界の御意見を踏まえまして、原子力行政懇談会で種々の議論がされ、一つ結論をお出しいただいたわけでございます。それを受けて政府としては法の改正をお願いしておるわけでございますが、基本的にはこのお考えをすべて取り入れておると私ども考えておる次第でございます。
  106. 小宮武喜

    ○小宮委員 これは、行政懇談会の中での意見として、開発と規制を同じ機関が兼ねるのはおかしいとか、「むつ」事件に見られるように安全規制行政に一貫性が欠けて、責任が不明確であるというような批判を踏まえて新たに原子力安全委員会が設置されたもの、こういうふうに考えます。しかし、提案されている安全委員会諮問機関であるので、行政委員会にしなければ権能が弱いということで反対だという主張もありますけれども、政府の見解はどうですか。
  107. 牧村信之

    牧村政府委員 御指摘のように、行政懇において原子力安全委員会のあり方について種々の議論がされたことは事実と伺っておりますが、原子力の安全の重要事項所掌する安全委員会といたしまして、その重要なダブルチェックをするということについては、行政庁が行いました第一次の審査をただいま御提案のような審議機関安全委員会行政委員会でないこの機関において中立的に審査した方が、安全の確保の上で望ましいのではないか。行政委員会のような組織をつくりますと、これは一つ役所になってまいりまして、適当でないだろう、政府の外で、離れた立場で十分チェックした方が望ましいという御結論をいただいておるわけでございます。私どもも、政府としてもその点いろいろ議論いたしました結果、行政懇意見どおりやった方が望ましいという判断のもとに、ただいまのような御提案をお願いしておる次第でございます。
  108. 小宮武喜

    ○小宮委員 確かにこれまでの原子力委員会は、原子力の研究、開発及び利用に関する事項について企画し、審議し、決定することを本務としながらも、一面、その過程で安全に関する審査も行ってきたということから、安全に関する審査はむしろ従属的であったのではないかというような批判もあったわけですけれども、そのために改正案では安全審査を本務とする原子力安全委員会を設けられたと思います。私は原案賛成の立場ですから、この原子力安全委員会を設けたことだけでも原子力政策上重要な意味を持ち、その効果も大いに期待できると考えているわけです。  仮に安全委員会行政委員会として独立した行政権限を持たせるということになれば、詳細設計において所管行政事務との関係で、従来経験を持っている通産省並びに運輸省などの行政機関の廃止にもつながってくるというふうに考えられます。問題は、これら行政機関が行う詳細設計についても、安全審査についてダブルチェックをすることこそが安全確保のために意義が大きいと私は思っておりますが、この私の見解に誤りはないかどうか、ひとつ御答弁を願いたい。
  109. 牧村信之

    牧村政府委員 先生指摘のように、安全審査会が基本設計以降の問題について何にもしないということであれば、いろいろ問題があろうかと思います。しかしながら、設工認以降の段階でも完全なダブルチェックをいたしますと、この設工認以降の検査等々の問題はきわめて膨大な仕事量でございます。これを安全委員会がすべてするということは本当に必要かどうか、また非常に問題が出てこようかと思います。それよりも私どもといたしましては、基本設計の審査を行いましたときに重要事項を指定いたしまして、この問題については必ず設工認各段階において報告をとり、それを審議し、意見を申し述べるという形で進めていきたいと考えておるわけでございます。  それで、安全委員会は、規制業務を行うほかに規制政策の大綱についていろいろな審議をするところでございます。そういう重要な仕事もございますので、現在のところはただいま申し上げましたような考え方で進めていった方がよろしいのではないかというふうに私ども考えておる次第でございます。
  110. 小宮武喜

    ○小宮委員 また行政懇では、規制の一貫化については、商業用発電炉の場合は通産省、研究開発は科学技術庁原子力船は運輸省がそれぞれ一貫して設置許可から運転管理に至るまで安全行政を行うことを提案しておるわけですけれども、この責任の明確化、規制の一元化ということで、事業実施官庁原子炉の設置許可を行った場合に、依然として開発優先につながるという反対意見もありますが、これに対する見解はどうですか。
  111. 牧村信之

    牧村政府委員 確かにそういう御批判を伺っておるわけでございますが、今回の改正は、規制の一貫化を図ると同時に、安全委員会の設置というものもあわせてお願いしておるわけでございます。この安全委員会におきまして十分なダブルチェックを行うことによりまして、安全性を損なうということはないようにしてあると考えておる次第でございます。
  112. 小宮武喜

    ○小宮委員 私の意見を言わせてもらいますと、原子炉等の設置について総理大臣、つまり科学技術庁による規制の一元的一貫化を図ろうとすることは、実績のない科学技術庁がこの発電炉、舶用炉について、詳細設計にまで安全に関与して責任を持たなければならないことを意味するわけですが、それは私は、科学技術庁がそういう発電炉の問題あるいは舶用炉の問題の詳細設計にまで責任を持つということは物理的にも不可能であり、原子力の安全確保にとって私はむしろマイナスになるような気がいたします。そういう立場から、むしろそれよりは、過去の実績と経験のある通産省並びに運輸省に基本設計から運転管理まで一貫して責任を持たせ、それを原子力委員会及び安全委員会がチェックする体制の方が原子力開発と安全性の確保によりプラスになる、私はこう思っておるのですが、いかがですか。
  113. 牧村信之

    牧村政府委員 私ども先生の御指摘のとおりと存じまして、そういう点で実用の発電炉につきましては通産省、実用の舶用炉につきましては運輸省に設置の権限を移管しまして、私どもは、研究開発段階にある原子炉あるいは実験炉等を一貫して規制を行っていくというふうに改正をさせていただいておる次第でございます。
  114. 小宮武喜

    ○小宮委員 法案を見ても、各省が行った安全審査について、また原子力安全委員会がさらにダブルチェックを行う、それからそれとは別に、地元との意思疎通を図るため、二回にわたって公開ヒヤリングを行う措置をとることになっておりますけれども、私は、このダブルチェックを行うことこそ新設の目的と存在の意義がそこにあると考える。しかし、要は、これを実効的に行い得るか否かが最も重要であると思うのですが、その点いかがですか。
  115. 牧村信之

    牧村政府委員 新しい委員会がつくられるわけでございますが、その実効の実を上げるために、安全委員会機構等に、十分な業務ができるよう、たとえば専門委員の大幅な増員等を図っておる次第でございまして、安全委員会自身の人員体制あるいは予算等の大幅の措置をとるとともに、私ども科学技術庁原子力安全局の内部機構といたしまして、この安全委員会ダブルチェックを補佐する機構も新しく予算で認めていただいておりますので、そういうもので一体となりまして、実を上げてまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  116. 小宮武喜

    ○小宮委員 次に、原子力委員会原子力安全委員会の対等性の問題でございますが、行政懇では、原子力委員会の長には国務大臣を充てるべきであるという意見と、学識経験者を充てるべきであるという意見の両論が併記されているわけです。私は原子力委員会の任務を考えるとき、その審議結果と内閣全体との間に緊密な連係プレーが成立することが非常に大事ではないかと考えます。したがって、前者の方があるべき姿ではないかと考えます。また安全委員会委員長についでも、一部には国務大臣を充てるべきだという意見もありますけれども、安全の確保という観点からすれば、当然専門的知識を持つ学識経験者を充てるべきであり、ただ原子力委員会とのバランス上の問題だけで原子力行政の一体性が保たれるということにはならないと思うのです。むしろ私は、そうした場合に弊害さえ起きる心配がございます。そういう意味で、いわゆる原子力委員会安全委員会委員長の配分によって、両委員会の対等性が脅かされるという考え方もありますけれども、この両委員会の対等性についてはどう考えますか。
  117. 牧村信之

    牧村政府委員 現在の法案では、原子力委員会は引き続き国務大臣である科学技術庁長官委員長を相務めることになりますが、安全委員会委員長学識経験者でということでお願いしておるわけでございます。  先生指摘独立性につきましては、安全委員会並びに原子力委員会、それぞれ独立諮問機関でございますので、委員長が国務大臣であるなしにかかわらず、十分対等性を持った機関であると私ども考えておりますし、運営におきましても、いささかもその独立性を損なうことはないものと考えておる次第でございます。
  118. 小宮武喜

    ○小宮委員 次は、この委員会運営についてでありますが、原子力安全委員会の重要性は論を待たないところであります。一方、これを機会に原子力委員会の果たすべき役割りと今日的意義の問題でございますけれども原子力委員会は今日の情勢を踏まえて真にその任務を全うしてきたかどうか、また、今後のあるべき姿はいかなるものかといったような点について、これは早急に検討を開始する時期に立ち至っているのではないか、こういうふうに考えます。これはまた十分、今日の原子力行政の中で原子力委員会の果たす役割りについては、いろいろ一般質問の中でじっくり一時間ばかりやりますけれども、そういった意味で、この前からいろいろ出ておりましたように、たとえば安全委員会を取ったら原子力委員会何をするのか、いろんな問題がありましたけれども、私はいまこそ原子力委員会が、これからの日本原子力行政はいかにあるべきかという、根本的に検討しなければならぬ問題が山積しておるわけですから、原子力委員会安全委員会を取ったら何もないのではないかというようなそういう考え方には私は立ちませんけれども、そういう意味で、もっともっとやはり原子力委員会というのは、根本的に政策決定なり今後のあるべき姿を検討するためにはいろいろな問題がまだたくさんあるわけですから、本来の原子力委員会の任務に立ち戻って検討すべきだ、こういうふうに考えるわけです。しかし、行政懇でも、行政的な実務に煩わされず、基本的な施策について運営が行われるよう配慮すべきであるという意見もつけられております。この意見原子力安全委員会についても私は同様だと思います。この意見を踏まえて、今後両委員会運営に慎重な配慮が必要だと思いますけれども、所見はどうですか。
  119. 牧村信之

    牧村政府委員 全く御指摘のとおりであろうかと思います。特に私の局で担当いたします新しい原子力安全委員会ができました場合には、先生の御趣旨を十分に踏まえまして、大局的な運営が行われるように配慮させていただきたい、かように考えておる次第でございます。
  120. 小宮武喜

    ○小宮委員 原子力委員会にしても安全委員会にしても、特に学識経験者の場合はやはり常勤先生方が少ない。問題がある場合には、非常勤方々にしても、いろんな自分の仕事関係でなかなか本来の任務に没頭できないといううらみもありますので、そういうような点は十分配慮してもらいたいと思います。  それからもう一つ。ただいまの質問の中で申し述べましたとおり、今回の法改正を契機として、まずやはりそれぞれの行政庁が第一次的責任を負って審査を行うことになるわけですが、またその行政庁としてそれにこたえるための準備と決意があるかどうか、この点は当委員会でも通産大臣を呼んだり、あるいは運輸大臣を呼んだりしたわけですけれども、これらについて、まず通産省からお答え願いたい。
  121. 武田康

    武田政府委員 私ども通産省におきましては、法案作成の前提になりました行政懇談会の議論の過程、それから昨年来国会で御審議いただきました過程を通じまして、行政体制が変わる、そして先ほど先生指摘になりましたように、第一次審査から運転まで一貫して実用炉につきましては通産省が担当する、その責任は非常に重いものと考え、いろいろ準備を進め、また考えてきたところでございます。  具体的には、原子力安全関係を担当いたします組織の強化あるいは人員の充実、それからおります人間の能力の充実といったようなことに努め、かたがたことしは予算的にも、この法案が成立し、そして行政担当がかわることになれば、直ちにそれが実現できるような定員上、組織上あるいは予算上の措置というものを準備しているわけでございます。そして私どもといたしましては、もちろんこれから先も毎年充実していかなければいけないと思っておりますけれども、さしあたり現に原子力委員会科学技術庁でなさっている仕事通産省として引き継ぐに足るだけの十分な準備をして、そして安全の確保という非常に重い責任を果たすべく十分なことを、体制整備でき次第、私どもとして実行していくという決意を持っている次第でございます。
  122. 小宮武喜

    ○小宮委員 理事懇の中でも通産省考え方はいろいろ聞きましたので、内部に入っていろいろ突っ込んでお聞きすることは割愛しますけれども、いずれにしても、その準備と決意というものをいま申し述べられたように、今後、万全の措置をとってもらいたいということを強く要請しておきます。  また、行政懇での検討及びその後の検討で、規制の一貫化こそは国民の信頼を得る上で現実に即した方法であるという結論もありますけれども、この原子力行政については、もう言うまでもなく、原子力船「むつ」事件における責任回避問題あるいは原子力発電所における事故問題とか国民の不信を招くような事態が起きている中で、この規制の一貫化によって通産省並びに運輸省は第一次審査を行うことになるわけですが、事業所管庁として、安全審査がややもすれば開発推進の方向に引きずられるのではないかという疑念が一部にあります。もしそのようなことが生ずれば国民の不信感を一層助長する結果にもなり、今回の法改正の趣旨を損うことにもなりますので、この点に関して、再度通産省と運輸省の所信を承っておきたいと思います。
  123. 武田康

    武田政府委員 先生指摘のように、当通産省原子力の開発も担当しているわけでございます。そして御指摘のように、安全と開発を同時に行政庁として担当したときに、開発に引きずられるのではないかというような御疑念をお持ちの方が一部おられるということでございます。それは非常に残念なのでございますけれども、私ども自身としましては、原子力の開発というのは促進すべきものと考えておりますけれども、開発の前提になりますのは十分安全を確保し、そしてそちらの方で全く問題がないというようなことが実態的にも実現しており、かつ、それを理解していただくという状況でなければいけないわけでございまして、私ども大臣は「急がば回れ」という表現をお使いになっておられますけれども、そういう気持ちで私どもも安全の確保に対処していきたいと思っておるわけでございます。  かたがた、従来も基本設計の後、詳細設計以降運転にわたりまして、私どもは十数年にわたりまして安全の確保ということに努力してきており、その中で安全の確保というのは非常に大切なことであるというのは実は身にしみて感じているわけでございます。そして開発も一方でやらなければいけない仕事でございますが、同時に、開発の前提はまさに安全の確保であるというのが私ども実務を通じましても十分自覚しているつもりでございます。これから先、基本設計段階につきましても私どもが担当することになるといたしまして、従前にも増しまして安全の確保という重大な責任、同時に権限でもございますが、これは非常に重いものと受けとめまして、万全の措置をしていきたいと思っておる次第でございます。
  124. 謝敷宗登

    ○謝敷政府委員 運輸省で原子力船を担当している船舶局の立場といたしまして、「むつ」の問題が起こりまして以来、いわゆる大山委員会、「むつ」放射線漏れ問題調査委員会審議の過程あるいは原子力行政懇談会の審議の過程及び報告によりまして、私どもといたしましても原子力にかかわる安全の問題の確保については十分心して、身にしみてその重大性を感じておるところであります。その後、技術的にもあるいは「むつ」の問題、改修、総点検につきましても科学技術庁と共同して、種々の御提言を入れながら進めているところでございます。  今回の法律案改正によりまして船舶に搭載されます原子炉について、私どもの所管として設置法に基づきます設置許可、それの前提となります安全審査が責任と任務ということになるわけでございますが、その点につきましては、私どもとしまして従来の経験を生かしまして、まず対応する体制を検討していきたいと考えるわけです。  昨日も、理事懇あるいは私からも御答弁申し上げましたとおり、法律案が成立いたしました後、直ちに準備の体制を整えまして、そこで新しい法律成立後の諸手続の準備、政省令の準備、さらにはそれに基づきます諸基準の作成の検討、さらには今後に備えまして従来からやってまいりました人材養成を計画的に遂行していくための検討、同時に船舶安全法に基づきます諸検査基準検討、策定の作業を始めまして、実用原子力船の時代に備えていきたいと考えております。その中で実用原子力船が実現する段階に対応する体制つくりについても御審議の結果を十分考慮いたしまして、実行可能な、責任を持てる体制をつくり上げてまいりたい、こう考えております。
  125. 小宮武喜

    ○小宮委員 理事懇の中でもいろいろ指摘がされましたように、運輸省の取り組む体制というのは通産に比べれば劣っているのではないかというような指摘もありましたので、いま局長が言われたように、やはり万全の体制を整えてもらいたいと思います。  最後に、これは要望ですけれども原子力の平和利用は、国民の健康と安全の確保が大前提であることは申すまでもありません。安全の確保がなければ原子力の平和利用もあり得ないということなんです。しかし、もちろん行政の体制がただ整備されたからといって、自動的に安全が確保され、国民の信頼が回復されるとは私は思いません。原子力安全委員会は、やはり人を得なければならないと思う。同時に、一層の安全研究が必要ではないか。そういうことから、ただ機構だけできたから、体制だけできたからということで安全が確保されるということは、われわれは考えておりません。やはり問題は、人の問題なんです。だから、そういう意味で、この新しい体制のもとで、原子力安全委員会原子力行政の立て直しに十分な自覚を持って取り組んでいただきたい、こういうふうに考えるわけです。これは要望ですけれども、これについて大臣から所見を承って、私の質問を終わります。
  126. 熊谷太三郎

    熊谷国務大臣 いろいろお話しになりました点につきましては、申すまでもありません。何といたしましても安全の確保ということが第一でありまして、それには、人や金だけででき上がるものではないので、何としても人間が第一であるという御意見、これもごもっともであると存じます。十分御発言の趣旨を尊重いたしまして善処いたしたい、このように考えます。
  127. 小宮武喜

    ○小宮委員 終わります。
  128. 岡本富夫

    岡本委員長 小宮武喜君の質疑は終了いたしました。  次に、瀬崎博義君。
  129. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 従来、科学技術庁原子力委員会ラインの安全審査の場合、その審査技術のレベルアップといいましょうか、そのためには原子力研究所等で相当な安全研究が行われておったわけですね。今後、通産省が事実上、安全審査については基本設計から詳細設計、建設、運転、全部やるわけなんですが、当然、その場合も、きのう繰り返し言われていました、人数は大幅に減るけれども、それは安全審査技術レベルをアップすることによってカバーできる。では、そういう研究機関というものは通産のどこが受け持つのですか。
  130. 武田康

    武田政府委員 基本設計段階につきましての安全審査通産省が担当することになるわけでございますが、行政部門の要員といたしましては、現在科学技術庁で担当されているメンバーにちょうど見合います十三名の定員増のつけかえでございますが、それをしていただく、こういうことになっておりまして、体制整備とともにそういった数の面が私どもの方で増強されるわけでございます。そういった意味で、人数自身は減るわけでございません。ただ、学識経験者の方々にいろいろお願いする点につきましても、増強は図っておりますけれども、これはまた来年以降、業務の増加等々に伴いましてさらに充実すべきものと、こういうふうには考えているわけでございます。  さて、現在までの原子力研究所等におきます安全研究、これは現在の安全審査におきましても非常に重要なものとして役立っているものと私ども考えて、そう見ているわけでございますが、通産省安全審査をやります場合にも、やはり同様なもろもろ安全研究の成果というものを活用させていただくということは今後とも必要である、こう思っておるわけでございます。しかし、原子力安全研究というのは、やはりそういう能力のおありのところでございませんとできないわけでございまして、残念ながら、当通産省の中の組織に現在の原子力研究所に相当するものがございません。そして、原子力研究所は今後ともまたそういう研究をなさる、こう理解しているわけでございます。  したがいまして、安全審査の第一次を私どもが担当するといたしまして、これは役所的にいけば組織が違うわけでございます。それから、予算の取り方等もまた区分されているわけでございますけれども、そういったところでなさる研究の成果というものは十分私どもとして活用させていただきたい。また、物によるとは思いますけれども、そういったところでやっておられるような、たとえばデータの分析であるとか、コードの作成であるとか、あるいはそれによる勘定なりチェック、こういったようなものも私どもとしては利用させていただきたいと思っておるわけでございます。  そして、今後安全審査第一次につきまして、ずっと将来にわたって私ども担当するわけでございますが、その過程では、現在でもそれがあるかと思いますけれども原子力研究に限らず、もっと広い範囲でそういう研究機関なり専門機関なりの勉強の成果というようなものを利用させていただいて、私どもの担当しております安全審査内容をより一層充実するようにということを図っていく必要があろうかと思っております。
  131. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 そう時間を割り当てられているわけじゃないので、聞いていることだけに答えればいい。わかり切った説明は省いてほしいと思うのです。  私が聞いているのは、原子力研究所に相当するような研究機関通産省は持っているのかどうか、また、設ける意思があるのかどうか、このことを聞いたわけなんです。いまの話は、現在ある原子力研究所を利用する話ばかりであって、通産省が主体的に、安全審査に欠かせない安全研究のための伝統ある原研に匹敵するような研究所は持とうとしていないということが明らかになった、そこが大事だと思うのです。いま自分で説明されたように、やはり安全審査そのものが研究開発の途上にある。このためには、あれだけの蓄積のある原子力研究所をそう簡単にはつくれるものじゃない、こう言われているわけですね。そういうものの上に今日まで原子力委員会科学技術庁の方が、これも完全ではないけれども安全審査が成り立っておったわけでしょう。結局、実務だけは、今度の法改正で、一足飛びに通産省は全部分捕っちゃったけれども、肝心のその裏づけになる研究体制の方は科学技術庁のところにあるものを全部お借りしますと言う。だから、こういう点から考えても、この許認可権やいわゆる基本設計の第一次安全審査を分割するよりも、科学技術庁を中心にやっている方が研究という面とは一体になって、まだしも整合性がある、こういうことがはっきりしたと思うのです。  運輸省の船舶技研では、原子力船の研究部門を持っているわけですが、これは安全審査のための技術研究が重点であったのか、それとも舶用炉の開発研究が重点であったのか、また、今後この法改正で研究の分担はどうなりますか。簡単に答えてください。
  132. 謝敷宗登

    ○謝敷政府委員 船舶技術研究所には原子力船の研究部門を設けております。これにつきましては、舶用炉に関します安全性及び性能向上と二つの目的がございます。したがいまして、性能向上につきましては従来から進めておるわけでございますが、この両面での研究の結果、取り組みの成果につきましては、私どもの見ているところでは、原子力研究所と並びまして、舶用炉についてはかなりポテンシャルが高いと思います。そこで、今後もこの研究の推進によりまして、安全審査のための基礎資料及び新しい安全検査方法の確立のためには十分成果が期待できる、こういうふうに考えております。
  133. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 全く皮肉なことなんですね。通産省の方は、安全審査の実務の方はきわめてスピーディーに、準備手回しよく引き継いだわけです。ところが、この研究体制はまるっきりないわけですね。運輸の方は、軍務の面はまあ渋々引き受けたようなかっこうになっていましたね、きのうの運輸大臣答弁で。ところが、曲がりなりにも研究体制は持っているという。まことに不つり合いな話だと思うのですね。いままでですと、たとえば「むつ」の修理等に関して長崎県が政府に質問状を出した。それに対する回答などはすべて科技庁、運輸省連名で出ましたね。またこういうものをもっとわかりやすくした色刷りのパンフレットなども科技庁、運輸省合同で出しているのです。この法改正が、われわれは反対だけれども通ったとした場合、今後こういう「むつ」に関する扱いは共同でやられるのか、それとも科技庁だけがやることになるのですか。
  134. 謝敷宗登

    ○謝敷政府委員 この点につきましては、原子力船開発事業団の監督は科学技術庁と私ども共管でございます。  それからもう一つは、船舶安全法の立場で、原子炉以外の点につきましての検査は依然引き続き私どもが担当いたします。  したがいまして、その両者の立場から、今後地元住民の御理解を得るための資料の作成等につきましては共同でやってまいるつもりでございます。
  135. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 当然この中に安全審査に関するものがありますね。そういう部分についてもあくまで運輸省も共同で責任を負います。こういうことですか。
  136. 謝敷宗登

    ○謝敷政府委員 私どもとしましては、私どもの持っております技術を、船舶技術研究所及び私どもの従来やってまいりました詳細設計のデータを科学技術庁に協力をいたしまして提出をする、こういうことでございます。
  137. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 そうすると、これは科技庁の方に聞きますけれども、結果的には「むつ」に関してはいままでと変わらないわけですか。
  138. 山野正登

    ○山野政府委員 私は、この問題は、研究、開発の推進という問題と、規制という問題と分けて考えるべきだと思うのでございます。  研究、開発の推進という面からはただいま船舶局長答弁いたしましたように、内閣総理大臣原子力の研究、開発を推進するということについての指導権限を持っておりますし、それから運輸大臣は、造船、海運の発達を図るという固有の権限があるわけでございますので、「むつ」の開発というのはこの両方が密接に協力をしながら進める必要がある問題でございますから、そういう意味において、原子力船「むつ」の研究、開発の推進ということは内閣総理大臣と運輸大臣とが共管で進める、これは今後も変わらないと思うのでございます。  それから、規制の面は推進の共管とまた別次元の問題でございまして、今回の法改正によりまして、現在の「むつ」は科学技術庁、将来の実用船は運輸省というふうになるものだと理解しております。
  139. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 だから、対外的にいわゆる政府の責任を明らかにして、何らかの意思表示をする場合、いま安全審査を含めて科技庁、運輸省合同でやっているのですね。いまの運輸省の話だと合同でやっていくようなお話なんだけれども国民から見れば、これでは今度の法改正はどこにあらわれたのだ、こうなるわけでしょう。そこで改めて、科技庁はそれでよいのか、こう聞いているわけなんです。
  140. 山野正登

    ○山野政府委員 私は今後出しますパンフレットの性格によると思うのでございますが、研究開発の推進を内容としたものであれば当然従来どおり連名でまいりますし、規制業務についての話であれば新しく決まった担当区分に従ってやるということであろうかと思います。
  141. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 その一つをとってみても両省の見解がやはり違ったニュアンスで出てくるのですね。だから、本当を言えば、こういうものでも、安全審査部分と研究、開発に関する部分と分かれてくるというのが国民に対する正しい責任の持ち方だろうと思う。そういうところは答えられないという現状なんですね。こちらから言われなければはっきりしないわけでしょう。  さらに、きのう、政令にゆだねられる事項として研究炉と実用炉の一定の区分が示されましたね。日本ですでに営業用としてあるいは経済性を持って運転されているものは実用炉だというふうな見解を示されたのですが、たとえばいま電源開発株式会社が考えているCANDU型の原子炉の輸入などが出てきた場合、日本では全く初めてのことになる。これは一体研究炉の概念に入るのですか、実用炉の概念に入るのか。つまり、科技庁が所管するか、それとも通産が所管するか、どっちですか。
  142. 牧村信之

    牧村政府委員 CANDUをわが国に導入する場合に、確かにCANDUというものが主としてカナダにおいて実用炉として運転されておるわけでございますが、日本に持ってまいります場合にいろいろな問題がないわけではございません。たとえば耐震構造がカナダの設計どおりでいいかどうかというような問題もあろうかと思います。したがいまして、外国の運転の実績等もどう判断するか、日本に持ってまいりましたときにどの程度の改造が行われる必要があるかというような問題等を十分踏まえて、今後その導入が具体化しました段階で慎重に検討をしたいと考えております。  なお、その検討は、当然原子力委員会並びに新しくできます原子力安全委員会意見を聞いた上で、実用炉とするか研究段階のものとするかを決定することになっておる次第でございます。
  143. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 いまの答弁からも推察されるように、現在の原子炉はいわゆる世界で実用炉だといって使われているものでも、さてこれをわが国にということになるとそのけじめがつけにくいという現実のあることを局長もお認めになっているわけですね。そういう点では、今回の三分割には非常に無理がある、こういう点を大臣に私、よく言っておきたいと思うのです。  次に、きのうの審議の中で、特に運輸大臣答弁等から出発点となった、行政改革に生かされるべき「むつ」の教訓がほとんど具体化されていないということが明らかになったわけなんです。結局、実用の発電炉安全審査体制だけがきわめて簡略化されながら、スピーディーにいま具体化されているということなんですね。  改めて私たち初心に立ち返って考えたいと思うのです。「むつ」を契機に政府の原子力開発は国民の信頼を全く失ったわけでありますが、その信頼を回復する道は、一つは「むつ」の教訓を政府の原子力行政の改革に生かすこと。現在はそうなっていないと思うのです。いま一つは「むつ」そのものの処理、処分を正しく行うことにあると思うのです。この両方がちゃんとでき上がりませんと国民の信頼などとてもじゃないが回復されない。  そこで、その「むつ」問題についてちょっと伺っておきたいのです。大臣が就任されましてから「むつ」問題で長崎県や佐世保市の関係者とお会いになったことが何回で、またどういう方々とどういう内容でお会いになったのか説明していただきたいと思います。
  144. 熊谷太三郎

    熊谷国務大臣 「むつ」問題について私が就任以来だれと何回会ったか、こういうお話でございますが、あるいは余り正確には申し上げられぬかもしれませんが、長崎県知事それから佐世保市長には数回にわたってお目にかかりました。それから、あとは長崎県の県会議長、長崎県の県会の方数人、佐世保の市会議長さんあるいは佐世保の商工会議所の方、そのほかにもまだ若干会っているかと思いますが、大要を申し上げますとそのようなことでございます。
  145. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 私たちはよいことだとは思っていませんが、政府としては早く佐世保に修理港を引き受けてもらいたいと思っているのでしょうね。だけれども、それだけお会いになってもまだ正式要請が出せない段階なんですが、では地元側の方々大臣意見と一番対立する点はどこなんですか。
  146. 熊谷太三郎

    熊谷国務大臣 大変むずかしい問題でありますが、私どもとしましては修理をお願いしますのに格段心配はないと考えておりますが、そういう点につきまして、やはり若干の不安や心配が地元におありじゃないか、この点が違うと言えば、現在まで多少違っているのじゃないか、このように考えております。
  147. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 新聞等によりますと、いや今月末ぐらいに要請があるのじゃないかとかいろいろ載っていますね。現在膠着状態なんですが、この情勢にどういう変化が起きたとき、あるいはまた言葉を変えますと、新しくどういう条件が生まれたときに、政府としたら要請の決断に踏み切れる時期、こういうふうにお考えになっているのですか。
  148. 熊谷太三郎

    熊谷国務大臣 いま再要請というお言葉がございましたが、再要請という言葉に匹敵するかどうかはわかりませんが、長崎県の知事には何とかしてひとつ現実の状態で修理ができるように、ひとつ改めてお考えいただけませんかというお願いは、すでにいたしておる次第でございます。形の上で再要請かどうかはわかりませんが。  そこで、長崎県の知事とされましても、大変困難な御様子ではございましたが、一応ひとつ考えてみようということでいろいろ御検討をしていただいておる、このように承知しております。
  149. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 多分県知事側は、いろいろと考えておられる、検討していらっしゃる内容の具体的なあらわれなんじゃないかと思うのですが、去る四月八日には、記者会見で原子炉封印案というのを発表されておるわけですね。一応何回か知事ともお会いになっている大臣が、いまいろいろと苦心しておられるようだと知事の態度を評価していらっしゃる。その久保知事が発表されたこの原子炉封印というものは何を意味すると科技庁の方はお考えになっているのでしょうか。
  150. 熊谷太三郎

    熊谷国務大臣 私どもの方は、非常にデリケートな問題でございますから、改めてはっきり一つ一つその内容がこうだということを承るまでは、これという見解を申し上げる段階ではないと考えております。
  151. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 これは技術的になんですがね、大体知事さんが困った立場だとおっしゃるのは、やはり核抜きということを議会の決議も含めて、県側も意思表示をすでにされている、こういうところから、いろいろと大臣の要請を受けても困ったということになるのじゃないかと思うのですね。それにかわるものとしての封印案だろうと私は思いますね。だからこれは、知事のどういう思惑があるかというのは別にして、そういう背景のもとに封印するということになれば、考えられるのは原子炉のどの部分の封印だと科技庁の方は考えていますか。
  152. 山野正登

    ○山野政府委員 この原子炉の封印につきましては、県当局がいま言っておられるわけでございまして、私どもの方にはまだ具体的な御説明はないわけでございますから、私どもが想像でとやかく申し上げるのはいささか当を欠くと思いますので、ひとつ御答弁は御容赦願いたいと思います。
  153. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 しかし、大臣がいま言われたように、正式と言っていいかどうかわからないけれども、再要請はした。知事は考えましょう、こうおっしゃった。そういう結果として封印案が出てきた以上は、科技庁としてこれに対する対応を考えていなかったというのは、これは無責任だと思うのですね。そこで、ではどこを封印するとかどういう内容を持つ封印かは別問題として、もしこの封印案で長崎県、佐世保市の意見が一致してきた場合、これは受けて立つ用意が科技庁にある、こういうふうにわれわれ考えていいのですか。
  154. 熊谷太三郎

    熊谷国務大臣 先ほど申し上げたとおりでございまして、ただ封印ということだけでこれを受けて立つ用意があるかないか聞かれましても、ちょっといま公式にお答えはできかねます。
  155. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 そちらで言われないから、こちらからちょっと具体的なケースとしてお尋ねしてみたいのです。これは少し技術的に答えてほしいのです。  この封印が圧力容器の上ぶたの封印をする場合、こうなりますと、現在科技庁が計画している総点検並びに改修は可能ですか、不可能になりますか。
  156. 山野正登

    ○山野政府委員 圧力容器の封印ということは、上ぶたの封印ということが具体的にどういうことをすることを上ぶたの封印ということなのかによるのでございますが、その具体的内容によりまして、これは至急原子力船事業団に調査を依頼する必要があると思います。
  157. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 その封印が文字どおりの意味に解釈して、いわゆる上ぶたが絶対外せないようなという意味での封印、こういうことであった場合、総点検や改修が現在の計画どおり行うことが可能ですか。
  158. 山野正登

    ○山野政府委員 それも含めまして、必要になりましたときに事業団に検討させます。
  159. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 事業団に検討させなければわからないほど、科技庁はこの問題に対して無知識なんですか。
  160. 山野正登

    ○山野政府委員 ある程度の判断はできますけれども、これは私ども行政官がそういう技術的な微細な部分まですべて判断するのは危険でございますので、そういう任務を持っておる事業団に検討させると申し上げておるわけでございます。
  161. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 すでにちゃんと長崎県などにも回答している政府側の文書で、たとえば改修工事の内容としていろいろと具体的な手法というものを述べていますね。たとえば、圧力容器上ぶたの搬出とそれから仮ぶたの設置などというふうな作業工程があるわけです。もし封印の結果この上ぶたが外せないということになったら、具体的に言ってこういうことは不可能になってくるのじゃないですか、いかがです。
  162. 山野正登

    ○山野政府委員 一番最初に申し上げましたように、封印ということの中身がまだ具体的に地元から説明ない時点でいろいろ仮定の議論をするということは、また先方にも悪い影響があると思いますので、何とか御答弁は容赦願いたいとお願いする次第でございます。
  163. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 じゃ格納容器の上ぶた封印、あるいは上ぶたを外せないように封印するというふうなことを意味する場合、この一番焦点の遮蔽の改修工事はこれでなお可能か、あるいは不可能になるとお考えですか。
  164. 山野正登

    ○山野政府委員 せっかく重ねてのお尋ねでございますが、私ども立場というのは先ほど来申し上げているとおりでございまして、これはぜひ地元からの説明があって内容がはっきりしました段階でお願い申し上げたいというふうに考えております。
  165. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 逆に言いますと、現在久保知事が発表された封印案なるものは、そういう技術的な具体的な内容は全く持たない、ただ単に言葉として封印というものが打ち出されたにすぎない、いまこの程度の科技庁理解ですか。
  166. 熊谷太三郎

    熊谷国務大臣 いろいろのお尋ねでございますが、先ほどからあるいは無責任とか何も知らないとかというお話がございまして、大変恐縮でございますが、非常に大切な重要な問題であり、またきわめてデリケートな点もございますので、正式にこういう点がこうだ、ああいう点がこうだということは差し控えさせていただきたい、このように申し上げているわけでございまして、決してその問題、いろいろおろそかに考えているわけではございません。
  167. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 逆に言いますと、大臣にもう一遍お尋ねしますが、一応科技庁としてはいま公表はできないけれども、いろいろな封印のケースを想定して、それに対する対処案は考えている、こういうふうに理解しておいていいのですか。
  168. 熊谷太三郎

    熊谷国務大臣 まだ結論までは至っておりませんが、あらゆる場合を想像はしまして、こういう場合はこうか、ああいう場合はこうか、こういう検討はいたしております。
  169. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 「むつ」の原子炉の燃料棒は、あれは製作後何年くらいたっていますかね。
  170. 山野正登

    ○山野政府委員 炉の中に、装荷しましたのが四十七年でございますので、かれこれ七、八年たっていると思います。
  171. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 しかし、それは炉に装荷してからの年数でありますから、それ以前につくられているわけでしょう。実際製作した年数からいって十年ぐらいになるんじゃないですか。そこで、確かに実際燃焼はわずかしかしていませんね。だけれども、たとえさらのものでも、十年近くたってくれば、一度点検してみないと、これを実際に使うということは私は危険だろうと思うのです。今回のこの「むつ」の総点検の中に燃料棒の点検はたしか入っていないと思うのですが、この燃料棒の点検はしないまま、いまの計画では始運転に持っていこう、こういうことですか。
  172. 山野正登

    ○山野政府委員 この総点検、遮蔽改修の具体的内容につきましては、先生御承知の安藤委員会に見ていただきまして、これなら妥当であろうという話になっておるわけでございますが、それによりますれば、燃料棒につきましては、製造工程時の検査の結果、それから圧力容器に装荷します際の検査、その後一次冷却水の定期的な検査等によりまして、その健全性というものが確認され得るという結論になっておりまして、おっしゃいますとおり、今回の総点検においては燃料棒を引き上げてこれを直接チェックするということは入っておりません。
  173. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 それから、政府側としては幾ら急いでも、なかなか修理問題がうまく思惑どおり片づかない最大の原因は、やはり長崎県の核抜きでなら受け入れましょう、こういう態度にあると思うのですね。率直に言いまして、むつ市の母港も含めて、現在日本原子力船「むつ」の燃料棒を引き抜き得る法定条件を備えた場所はあるのですか。
  174. 山野正登

    ○山野政府委員 先生のおっしゃいます意味が、技術的に燃料棒を抜き得るかどうかという点でございますれば、現在の定係港以外にもあり得ると思いますけれども、これが直ちに実際にできるかどうかということはまた別の問題だと思います。
  175. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 私が聞いているのは、現状のままで、現在日本法律のもとで、燃料棒を抜き得る場所があるか、こういうふうにお聞きしているのです。
  176. 山野正登

    ○山野政府委員 現在はございません。
  177. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 結局、「むつ」でやろうとしたところで、新たに安全審査のやり直し等々の処置を行わない限りは、現状のままでは燃料棒を抜けないわけですね。だから、大臣、率直に言って、長崎県が核抜きでならとおっしゃっているわけだけれども、核抜きに応じ得る体制というのは現状ではない、このことだけははっきりお認めになりますね。
  178. 熊谷太三郎

    熊谷国務大臣 ちょっといま御質問の趣旨がはっきりしなかったのですが、ひとつもう一遍おっしゃっていただきたい。
  179. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 ただいま山野原子力局長は、現状の状態のままでは、法律的に言って、核抜きで持ってこいと言われても、燃料棒を抜く場所はない、こうおっしゃったわけなんです。だから、せっかく長崎県が核抜きでならよろしいと言ってくれたにしても、いま政府はそれに応ずる体制がない、こういうことだけははっきり認められますね、こう言っているわけなんです。
  180. 熊谷太三郎

    熊谷国務大臣 核抜きということになりますと、技術的だけでなしに、いろいろな理由から簡単に核を抜き得る場所は困難でございます。
  181. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 ですから、久保知事のいわゆる封印案というものが核つきでもない、核抜きでもない第三案だとかあるいは事実上これで核抜きを認めたことなんだといわれていますけれども、現実の問題としては、むしろこの封印案というものは核つきの方に一致している案ではないか。またそうでなかったら政府側としてそういう案を出してもらったところで「むつ」は持っていけない状態になる、こういうことではないのですか。
  182. 熊谷太三郎

    熊谷国務大臣 そのとおりでございます。
  183. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 最後なんですが、西独のオットーハーンですが、私どもが聞いております情報、これはもうすでに報道も出ておりますが、西独政府は今年限りで航海費援助予算を打ち切る、後継船建造も行わない、こういうふうな決定をしたと伝えられているわけであります。政府の調査では、この点が一体どうなっているか、お答えをいただきたいと思います。
  184. 山野正登

    ○山野政府委員 オットーハーンのその後の状況でございますが、私どもが確認いたしておりますところでは、すでにオットーハーン号は過去十年間にわたりまして原子力船としての実験航海を終えまして十分な開発の成果を上げ得たという評価をしておるようでございます。現在オットーハーン号の運航に当たっておりますGKSS社の財政事情から見まして、今後さらにこの運航を続けますためには、近々のうちに核燃料の入れかえということが必要なわけでございますが、これを含めまして、将来四年間に相当量の資金量が要るというふうなことでございまして、現在のところ、今後オットーハーン号の運航は停止するという方向で考えられるということであります。
  185. 岡本富夫

    岡本委員長 瀬崎君、約束の時間が過ぎましたから終わらせてください。
  186. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 最後に、このオットーハーンがこれで係船されると、西欧諸国で動いている原子力船があるかどうかということをお答えいただきたいことと、私はこういう現状から見て、改めて大臣としては日本で「むつ」をこのまましゃにむに修理していくこと自身が国益なのかどうかは、もう少し世界の大勢なりあるいは科学的な面からも検討されるべきではないかと思うのです。この二点質問して終わります。
  187. 山野正登

    ○山野政府委員 西欧で現在運航しております原子力船としましては、アメリカのサバンナ号は、同じく実験目標を達成いたしまして現在係留中でございますので、ソ連のレーニン号とアルクチカ号、この二隻がございます。これ以外にさらに第三隻目の建造に着工したというふうに私どもは承知しております。
  188. 熊谷太三郎

    熊谷国務大臣 しゃにむに「むつ」を修理を急ぐ必要があるかどうかというお話でございますが、別にしゃにむにという意味ではありませんが、当面一刻も早くこの「むつ」の修理を進めたい、このように考えております。
  189. 岡本富夫

    岡本委員長 瀬崎博義君の質疑は終了いたしました。  次回は、来たる十九日水曜日午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。     午後四時二十九分散会