○石野
委員 原子力船「むつ」の問題について、いまお話を承っておりますと、主として経済的な諸問題に関連してこの問題の処理をしようとしておる。私
どもは「むつ」の問題の非常に重要な点は、
原子力船「むつ」が本当に
原子力船として安全な状態にあり得るようにするということに基本がある、こう思っております。ですから、事故を起こした
原子力船「むつ」というものを本当に安心して運航ができるようにするための努力が政府にとって必要なんだ、こういうように思っておる。しかしずうっと聞いておりますと、そのことに対する意図よりもむしろここで起きてくるところの作業量なりあるいは経済的効果なりというようなところに問題が、受ける側も渡す方もどちらもそこを焦点にして
原子力船「むつ」の扱いが行われるように見られる。これは非常に不本意なことです。もっと積極的に
原子力船「むつ」の基本的な解決、こういうような問題に取り組む姿勢を
科学技術庁に求めたいと思う、あるいは運輸省に求めたいと私は思います。そういう点では政府のとっておる態度は非常に遺憾なように私は思うのです。やはり
原子力船「むつ」の問題が起きて、そこで私たちが教訓として学ぶべきことは、開発優先に過ぎたから
安全性がおろそかになったのだというこの教訓、この反省というものがどうも事後の事態処理に当たっても十分じゃないように思いますし、そしてまた、今回の
原子力基本法の
改正に当たってもやはりそういうことが何となく
改正法案の
内容の中ににじみ出てきているというように思われる。私はこの
原子力船「むつ」の問題がいたずらに、国家の要請であるから、景気振興のために云々というようなことで処置されることは非常に遺憾だと思うのです。やはり
一つの企業体に息を吹き返させるようにするという行為は政府としては何らかの形でとらなくてはならないかもわかりませんけれ
ども、
原子力船「むつ」の問題がそういうものと引きかえにされるということになりますると、いわゆる
原子力の
安全性に関する問題は吹っ飛んでしまう、本質をたがえるものになると思います。そういうような点について、これは
科学技術庁長官の本当の気持ちをこの際聞いておきたいと思うのです。国家の要請であるからというようなことでこの
安全性の問題をおろそかにするような扱いだけは厳に慎しんでいただきたい、こう思いますが、いかがでございますか。