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1978-04-12 第84回国会 衆議院 科学技術振興対策特別委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年四月十二日(水曜日)     午前十時七分開議  出席委員    委員長 岡本 富夫君    理事 小沢 一郎君 理事 佐々木義武君    理事 中村 弘海君 理事 石野 久男君    理事 日野 市朗君 理事 貝沼 次郎君    理事 小宮 武喜君       伊藤宗一郎君    玉沢徳一郎君       塚原 俊平君    原田昇左右君       与謝野 馨君    安島 友義君       近江巳記夫君    瀬崎 博義君       中馬 弘毅君  出席国務大臣         通商産業大臣  河本 敏夫君         運 輸 大 臣 福永 健司君         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      熊谷太三郎君  出席政府委員         科学技術庁長官         官房長     半澤 治雄君         科学技術庁原子         力局長     山野 正登君         科学技術庁原子         力安全局長   牧村 信之君         科学技術庁原子         力安全局次長  佐藤 兼二君         資源エネルギー         庁次長     大永 勇作君         資源エネルギー         庁長官官房審議         官       武田  康君         運輸省船舶局長 謝敷 宗登君  委員外出席者         科学技術庁原子         力安全局原子炉         規制課長    早川 正彦君     ————————————— 四月七日  核原料物質核燃料物質及び原子炉規制に関  する法律の一部を改正する法律案内閣提出第  四二号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  原子力基本法等の一部を改正する法律案内閣  提出、第八十回国会閣法第二五号)      ————◇—————
  2. 岡本富夫

    岡本委員長 これより会議を開きます。  原子力基本法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。日野市朗君、
  3. 日野市朗

    日野委員 運輸大臣がお見えでありますから、まず運輸大臣に伺いたいと思います。  運輸省では、原子力基本法等の一部を改正する法律案、これによっていわゆる舶用炉についてこれから設置許可についてのいろいろな事務取り扱うことになるわけであります。そこで、現在の原子力船に関する運輸省のいわゆる規制体制、これを簡単に御説明いただきたいと思います。
  4. 謝敷宗登

    謝敷政府委員 現在の体制につきましては、先生御案内のとおり法律改正前でございますので、原子力船むつ」につきまして、炉規制法詳細設計以降船舶安全法によって検査をしております。したがいまして体制といたしましては、首席船舶検査官船舶局に置かれておりまして、そのもとにおきまして次席船舶検査官船舶検査官を持ち、さらに地方に船舶検査官を置いて対応するというほかに、船舶技術研究所原子力船部を置いて安全等研究調査に当たっているのが現状でございます。
  5. 日野市朗

    日野委員 今度原子力船に搭載する舶用炉についての規制は、現実にもし法が改正になった場合、これはどのように行っていくつもりなのか。その法的な根拠と、それから運輸省考えておられる構想、それをちょっとお示しいただきたい。
  6. 福永健司

    福永国務大臣 いろいろ御質問をいただくわけでございますが、運輸大臣といたしまして、まず考えておりますことの一端を申し上げ、この委員会に初めてお伺いをいたしましたので、お聞き取りをいただき、御質問等もさらにしていただければと思いますが、原子力船につきましては、米ソ独ではすでに原子力第一船の試験を終わって、実用化に備えております。また、政府間海事協議機関、IMCOにおいても、原子力船安全基準を国際的に統一する作業が進められております。世界有数造船国であり、かつ海運国でありますわが国にとって、先進諸国におくれをとらぬよう原子力船時代に積極的に対応することはきわめて重要なことと考えております。このためにも、原子力船安全確保はきわめて重大なことであると考えており、今回の法改正により、実用原子力船原子炉について新たに原子炉等規制法に基づく設置許可等業務を担当することとなりますので、これに対応した万全の体制整備を図る所存でございます。  具体的には、改正法案成立後直ちに部内原子力船安全対策室を新設し、さらに実用船計画が具体化する段階でいろいろの体制整備を図る、所要の具体的措置をとる、こういうことにいたしたいと存ずる次第でございます。  なお、ただいまの御質問の点について、詳細には局長から答えさせることにいたします。
  7. 謝敷宗登

    謝敷政府委員 まず、先ほど大臣の御答弁にありましたように、実用原子力船が出現する前の段階につきましては、法律改正案成立しましたら、直ちに部内検査測度課長を長といたします原子力船安全対策室を新設して、必要とする準備作業を進めていくことにしております。たとえば原子炉等規制法改正法に基づきます関係基準準備でありますとか、あるいは原子力船関係要員養成の推進でありますとか、行政体制整備計画でありますとか、あるいは船舶安全法に基づきます原子力船安全基準整備強化というものに努めてまいりたい。この対策室におきまして、先ほど大臣が述べられました実用原子力船対応する体制整備につきましても、さらに詰めてまいりたい、こう考えておる次第でございます。
  8. 日野市朗

    日野委員 いま大臣からもお考えが表明されましたし、それから局長からも話が出たのですが、われわれは、この原子炉取り扱うについては非常に慎重であらなければならないと思うし、その技術というものも、一朝一夕にして成るものだとはとうてい思えないわけです。本来であればかなり研究を進めて、もう万遺漏なく就航できるはずであった原子力船むつ」が現在の状況になっているという一例を見ても、それはわかると思うのであります。  そうすると、今度の原子力基本法等の一部を改正する法律案ですが、本法律案国会に出されてもうすでにかなりの長年月を実は要しているわけなんであります。これは問題点がそれだけ多い法案だということをも意味するわけでありますが、これが出てきてすでにかなりの時間がたっているにもかかわらず、運輸省の方ではどうも余りこの法律案成立した場合のことについて真剣に考えていないような感じがする。言葉じりをとらえるようでありますが、いま運輸大臣がおっしゃられた中に、この法律案ができたら直ちにこの対策に着手するという話なんでありますが、具体的に運輸省内の体制をどのように整備していくかという作業に着手されたのは、そういうことを考え作業に着手されたのは、大体いつごろからですか。
  9. 福永健司

    福永国務大臣 ただいま御指摘のごとく、非常に大切なことではあるが必ずしも完璧でないというおしかりをいただいたのですが、私、率直にある程度そうであると思います。しかし、この問題につきましては運輸省が所管しておりまする事情からいたしまして、わりあいにこの種のことにいろいろ研究等を進めている人間が多くて、関係の他の省庁等へも私どもの方から訓練されて相当になった連中が行っているというような事情等にもかんがみまして、人的には必ずしも大いに不足しているという程度であるとは思いません。ただ、いまも御指摘がございましたように、新しい部門であり非常に大切なものでございますから、これはもう一生懸命努力をいたしまして十分に間に合うようにしていかなければならぬわけでございます。  そういうわけで、いつからというお話でございますが、これはもうずいぶん前からこの種のことには意を用いてきておりますが、形の上で何局とか何課ということで大きく担当しているような形でないということが、ちょっと見ますとそんなことでいいのかというようにも見えるわけでございますが、何しろ役所というものは、いよいよ法律が通って、これに基づく諸般のことが明白にならないと、それまでに人間定員をとったりいろいろだ準備をするということは、これまた相当めんどうなところでございます。そういう意味で、いまもお話がありましたように、もっと前からその種のことがいろいろできていればなおよかったと私も思いますし、御指摘のとおりごもっともに存じ上げる次第でございますが、そういうように素地はできておることでもあり、これから、先ほど法律が通りましたら直ちにと確かに私申し上げたのでございますが、まあ通るよりも、さらに言うならば、いまもおしかりをいただきましたので、今日以後直ちにもうそういう準備にかかりまして、私の責任において必ずそういうことができる体制を確立するということにいたしたいと存ずる次第でございます。
  10. 日野市朗

    日野委員 事は原子炉安全性にかかわる問題でありますから、この原子炉安全性というのは、技術的な水準ということもさることながら、問題はその安全性に対するモラルといいますか、精神状態が非常に大事なことだと思うのです。残念ながら現在の運輸省取り組みを見ておりますと、原子力船にこれから取り組むんだ、舶用炉取り組むんだという気魄が全く見られないのですね。私は別に通産省をほめるつもりはありませんが、通産省それなり発電炉についての準備をしておるような形跡は一応は整えておられるようなんですが、そこのモラルといいますか、安全問題に取り組まなければならないという強い覚悟のほどについて若干聞いておきたいと思います。
  11. 福永健司

    福永国務大臣 御指摘のように、この種のことにつきましては強い気魂を必要とし、それなりに積極的に取り組まなければならぬことは当然でございます。いまいろいろお話があったように、そういう点でどうも運輸省は少し上品で気魄がないかに見えたことは残念に存じますが、私もまあ幾らか年はとりましたけれども、若いときからわりあいに気魂があった方でございまして、御注意を体しまして、大いに運輸省関係者を督励して、いまおしかりを受けた分は必ず近く取り返して、まあよかったと言っていただけるようにいたしたいと考えております。
  12. 日野市朗

    日野委員 私の質問を終わります。
  13. 岡本富夫

    岡本委員長 次に、石野久男君。
  14. 石野久男

    石野委員 運輸大臣にお尋ねしますが、原子力基本法改正を必要とするというその一番の原因になったのが、原子力船むつ」の事故の問題です。原子力船むつ」の事故はああいう形で世間を騒がせましたが、あの中から私ども行政面で何を学ばなければならなかったかということでずいぶん論議をいたしました。運輸省は、あの「むつ」の事故から、行政的にはどういうことをしなければならない、何が欠点だったというふうに感じているか、その点をひとつこの際お聞きいたしておきたい。
  15. 福永健司

    福永国務大臣 石野先生いま御指摘の点につきましては、いろいろ過去の経験によって学び取っているわけでございますが、科学的ないろいろの点は局長からもお答えさせますが、私が考えますことは、まずこの種の問題に取り組む心構えについて、ここで新時代に対処する強さと大きさをもって臨まなければならぬということを強く感じておるわけでございます。そういう観点からいたしまして、科学的根拠を持ったこと等について幾つか事務当局でも私に進言しておりますこともございますし、その所信としているところ等もございますので、局長答弁もあわせお聞き取りをいただきたいと存じます。
  16. 謝敷宗登

    謝敷政府委員 「むつ」の問題につきましてはいろいろなところで御論議をいただきまして、私どももその教訓を踏まえて対応しているわけでございますが、一つは、技術的に申し上げますと、放射線漏れという事態に対応しまして、私ども研究所検査機関との連携を密にするという点で、いわゆる実務検査研究との連係プレーを確立していくという点につきまして、事故後から直ちにやっておりまして、現在も続けておりますが、研究所と私ども船舶局との連絡を定例的にやっていくということで、技術的な向上に努めたいと考えております。  それから二点目は、確かに「むつ」の問題につきまして、私どもとしましては、現在の一般船舶検査体制の中で、「むつ」につきまして船舶安全法及び原子炉規制法詳細設計以降を担当してまいったわけでございます。その点につきまして、これから法律改正され新しい時代対応するためには、安全法検査強化はもちろんでございますが、炉規制法に伴います詳細設計以降の点につきましても、やはり体制人員を充実して対応しなければいけない。この二点と、それからもう一点は、人材養成技術の蓄積というものをどういうふうにしてやっていくか。この三点がおしかりの点か、こう考えて、その三点につきまして今後とも努力をしてまいりたいと考えております。
  17. 石野久男

    石野委員 技術的な問題とか何かもいろいろありましょうが、やはりこの問題が起きた原因は、一般的に言えば基本設計詳細設計との連携が十分にいかなかったということだと言われているわけですね。しかも、そのことから一貫性必要性があるのだという結論を行政懇が出した。運輸省はいままで詳細設計の方を担当しておったのですが、その中でこういう事故が起きたということになりますと、いまもお話があるように、安全性に対する体制整備というものが十分でなかったということの教訓があるということでございます。そういう教訓に学んで、もし基本法改正が行われる場合に、これらの問題に対しての対応ということはどういうふうにお考えになっておられますか。
  18. 謝敷宗登

    謝敷政府委員 四十九年の「むつ」の事故に関しましては、技術的にもいろいろ指摘をされております。その中で、基本設計詳細設計から施工に関しますまで、いろいろ問題があるわけでございますが、先生指摘のように、基本設計から詳細設計段階でのミスということになろうかと思います。これが基本設計までさかのぼりますかどうかは、現在「むつ」総点検・改修技術検討委員会におきましていろいろ議論をして問題を詰めておるところでございまして、そこの技術的な点については今後も詰めてまいります。ただ、これからは基本法の一部改正法案成立によりまして、少なくとも安全審査の中での重要な問題であります基本計画基本設計詳細設計につきましては、実用船につきましては運輸省が担当してまいりますし、「むつ」につきましては、研究開発段階でございますので、科学技術庁が担当することになりますが、その際におきましても、私どもとしては「むつ」の経験を十分学ぶべく、科学技術庁と緊密な連絡をとりながら、その成果を吸収して実用船時代に備え、かつ部内人材養成体制強化をあわせ行うということでやってまいりたい、こう考えております。
  19. 石野久男

    石野委員 現状研究船である「むつ」についても十分な体制はなかったのですが、今度基本法改正の意図するような体制をつくらなければならないということになりますと、基本設計段階から詳細設計段階まで運輸省が持たなくてはならなくなりますが、いまのところはまずそれに対する対応姿勢は十分でないのだろうと思いますけれども、そういうものに対する対応姿勢というものは現在あるのですかどうですか。
  20. 福永健司

    福永国務大臣 いまお話しのように、諸般対処措置を講じていかなければならないわけでございますが、私ども考えておりますことの一部といたしましては、安全審査を担当する課の新設、安全審査官配置次席検査官等を含む検査官体制充実等——こういうものができたからそれでいいというものではございません、先ほどからお話もございますように、それらの部署に有能な練達の人間を置かなければならないことは当然でございます。これらの点に重々配意して対処したいと考えております。ただ、また現在何課に何名というようなことを言うのは、法案が通ってからでないと、またやればやったでおしかりを受けるということになりますので、御了承いただきたいと思います。
  21. 石野久男

    石野委員 法案が通らない前にいろいろなことをやれないということはよくわかりますけれども、少なくとも今度この法案改正になりますと、大臣設置許可権限を持つわけです。したがって、従来原子力委員会がやっておったその体制を十分備えなければならないわけです。もし原子力委員会が持っておった体制をそろえるとすると、およそ人員はどのくらいの新しいものを持たなければならないのか。それの構えはどういうふうにしているのか、そのことをひとつ聞かしてください。
  22. 謝敷宗登

    謝敷政府委員 今度の法律改正によりまして、原子力基本法等に基づきまして原子力委員会原子力安全委員会ができるわけでございます。したがいまして、私どもとしましては、設置許可の申請が出てまいりますと、それに対応いたしまして規制法に基づきまして安全審査を行い、それを原子力安全委員会及び原子力委員会に御諮問申し上げるという対応になるかと思います。したがいまして、安全審査を担当しかつ規制法関係を担当する課が要ろうかと思いますが、それとあとは許可後の検査という体制と二つ要ろうかと思います。  この点につきましては、実用原子力船の量なりに対応いたしますものですから、当初としては少なくとも両方合わせまして二十名を超えるような人数が要ろうかと考えておりますが、これは今後、実用原子力船対応して量等を頭に入れながら検討してまいりたいと考えております。
  23. 石野久男

    石野委員 少なくとも原子力委員会安全審査にかかわっておった体制と同じ程度のものを必要とすると考えていいのではないかと思いますが、その点についてはどうですか。
  24. 謝敷宗登

    謝敷政府委員 従来の安全審査にかかっている人数と、少なくとも量を勘案の上、同程度は必要である、先生指摘のとおりだと思います。
  25. 石野久男

    石野委員 しかも、その人員は従来運輸省におった人ではない。新たにその技術を持った人を充てなければならないのではなかろうかと思いますが、いかがですか。
  26. 謝敷宗登

    謝敷政府委員 私どもは従来、原子力船開発が始まりましてから新しい時代対応するために、科学技術庁原子力局あるいは現在分かれました安全局に人事の交流をやっておりまして、そこで実務経験を持っておる者がすでに十九名ほどおります。さらに現在出向中の者が五名おります。したがいまして、実務としましてはこれらの者が中心になりまして、さらに原子力研究所等の研修、海外留学等終了者二十四名、それから運輸省船舶技術研究所原子力船部の二十三名を、その任務とその人たちの持っております技術的な経験、素養をもとにしまして適材を配置すると同時に、関係学識経験者意見を十分聞くような体制をつくり上げていく必要があると思います。
  27. 石野久男

    石野委員 いまおっしゃられた人員というのは現在仕事はしてないのですか。
  28. 謝敷宗登

    謝敷政府委員 現在は「むつ」の関係でございますので、現在実際に「むつ」、原子力船関係しております者は、これは他省庁で恐縮でございますが、出向中の者五名、それから運輸省船舶技術研究所原子力船部の二十三名でございまして、残余の者は他の業務配置をしております。
  29. 石野久男

    石野委員 科学技術庁にお尋ねしますが、原子力に関連する原子力委員会審査部門人員と、とにかく許可を与えるまでにその作業に当たる人員というのは大体どのくらいなんですか。
  30. 牧村信之

    牧村政府委員 この基本法等一貫化体制が通りました後は、役所の方の原子炉規制課というところが……(石野委員「違う、現在」と呼ぶ)現在四十名でございます。これが二十名に相なります。それから原子力委員会安全関係でございますが、安全専門審査会が現在定員三十名でございます。
  31. 石野久男

    石野委員 少なくとも現在の状況のもとではそれだけの人が動いている。これでも十分じゃないんだろう。これも基本設計だけですからね、詳細設計はありませんから。そうしますと、新たにこの改正が行われたときに必要とする人員体制整備ということになれば、相当人員を必要とするし、しかも、それは単なる学卒であるというわけにはいかない。皆それ相当専門家でなければならない、そういうことだろうと思いますが、そういうように考えてよろしゅうございますか。
  32. 謝敷宗登

    謝敷政府委員 先生指摘のように、現在科学技術庁で担当しておられます安全審査関係は、発電炉それから「むつ」、全部総合してのものでございます。したがいまして、実用原子力船対応する運輸省陣容としましては、実用原子力船量等によりまして、先生の御指摘の点を十分頭に入れて陣容を整えるということかと思います。  それから人材につきましては、まさに先生おっしゃったとおりでございまして、学卒者では直ちに責任ある職に当たることはできませんので、これらにつきましては、現在も科学技術庁で「むつ」を担当している審査官に私ども出向者が当たっておりますし、従来の出向者十分経験を踏んでいると思いますので、それらを核にいたしまして、補助者その他が適時加えられるように、今後も人材養成配置等について十分、御意見はごもっとも考えますので、そのようにしてまいりたいと思っております。
  33. 石野久男

    石野委員 大臣にお聞きしますが、この基本法改正になりますと、大臣のもとに舶用炉許可権限が与えられるわけですね。基本法の意図するものは、炉の許可とか何かということよりもっと大きな意味で、核の軍事利用平和利用とに関係して、軍事利用を拒絶し、平和利用の側面でやはり三原則にのっとった、そういうたてまえの行政措置をしなければならない。こういう基本法精神がございますが、少なくともこの舶用炉なら舶用炉許可を与えるということになりますと、基本法精神に基づいてそれを行わなければならなくなります。  そこで、私は大臣にぜひお尋ねしておきたいことは、これを許可するに当たって、ただ形の上だけでこの許可権を持ったのでは意味がないのですね。自分の力で第三者に対して、国民に対して、決して非難を受けないような許可のあり方でなければいけないと思う。そうなりますと、体制整備ということは非常に大切だと思うのです。いまのところ、いろいろな理屈はありますけれども運輸省には全然これを受けとめる体制はないと思うのです。そういう受けとめる体制がない中でこの基本法改正が行われるということについては、立法の立場に立っている者からすると非常に問題がある、こう思っております。あえてこの際運輸省としてはこの許可権運輸大臣が持たなければならない理由があるのだろうかどうだろうかということの疑問を私は持つのです。そういう点について運輸大臣は、むしろこの際は従来の原子力委員会、今度は安全委員会もできますけれども、そういうところに許可権は持たしておいて、将来のことなんだから、その間いろいろ運輸省としての体制ができた中でこういう法の改正をするのがいいのではないかという一つの疑問を私は持っております。その点についてどういうふうにお考えになるかということ。  それからいま一つは、時間がございませんので私は重ねてお尋ねしますが、核の問題で、最近は原子力発電所がたくさんできまして、使用済み燃料とかあるいはその他廃棄物等運搬業務が頻繁に行われるようになってまいりました。この問題もまた運輸省の担当だろうと思うのです。ところが、運搬業務についての規制というのは明確ではない。特に委託された業者に対する規制措置というものはほとんどないと言ってよろしいのではないだろうか。新しく改正される法案のもとでは一層それが危険に感じる面がございますが、そういう点に対してはどういうような措置をなさるつもりでおられるか。  以上の二点についてひとつお答え願いたい。
  34. 福永健司

    福永国務大臣 重大な許可権限が与えられる、これに対して体制整備しなければならない、当然でございます。いま、今日までの諸般事情から見て、これではどうも頼りないじゃないかという御心配をいただいておりますことを大変恐縮に存じます。しかし、そういうことになってうまくいかないというようなことであっては、これは大変申しわけないわけでございます。この点については先ほどからもいろいろ申し上げておりましたし、私が特に感じますことは、これからしばらくの間に、世界にはいろいろな説がありますけれども、急速に原子力船時代に進んでいく、こういう情勢下にあって、世界の中でわが国が造船とか海運とかに占める位置等にかんがみまして、どうしてもこうした方面についてはむしろ先進国にならなければならぬというような必要性もあろうかと思うわけでございますが、そうした場合に、いまもお話がございました、たとえば非核三原則というような考え方を堅持しながら、なるほどということにやっていくところに日本の原子力船政策があるべきだ、こういうように思うわけでございますから、平和利用に徹しつつ諸般体制を整えていく。そこで、いまちょっと私申し上げましたが、一九八〇年代にはどうだろうとか、その後はどうだろうとか、いろいろな見通しを世界ではしておりますが、いずれにしても、余り遠くない間にこの原子力船実用化というものは急速に進展していくものと見られますので、先ほどからお話しのように、この法律ができました途端においても心配のないようにやらなければならぬということは重々ごもっともでございますが、これに留意しつつ本格的な原子力船実用化時代に備える、やや少したった後の対処方策についてもこれは一生懸命考えていかなければならぬ、こういうふうに思うわけでございまして、それらについて大いに努力をしなければならぬと存じます。  なお、核運搬の業務規制等につきましては、多少具体的にも考えておりますことがございますので、局長から答えさせることにいたします。
  35. 謝敷宗登

    謝敷政府委員 原子力発電所等の運転の数が多くなってくる事態等に対応いたしまして、放射性物質の運搬につきましては、運輸省といたしましても、私ども船舶局あるいは海上保安庁、鉄道監督局、航空局等を総括いたしまして、官房で連絡会議を開いて対応してまいっております。その結論といたしまして、今度の法改正におきましては、従来から船舶と航空は一貫して運輸省が担当してまいったわけですが、陸上の輸送につきましては、従来は事業所ごとに輸送の監督が行われていたということになっておりましたものを、事業所の構内につきましてはそれぞれの所管大臣が、それから構外の輸送につきましては運輸省が一元的に責任を持って行う、こういうことに相なろうかと思いますが、これらに対応いたしまして、最近では主として放射性の強い物質につきましては船等が主となってまいっております。したがいまして、私どもは従前から使用済み核燃料の運搬の専用船をつくり、それにつきましての具体的な実際の積みつけ等に至りますまで監督検査をしております。これらの点につきましては、国際的な取り決め以上に私どもとしては日本の現状考えてやっておるところでございます。今後とも、使用済み核燃料等の運搬の増加に対応いたしまして、さらに安全を旨といたしまして任務に当たっていきたい、こう考えております。
  36. 石野久男

    石野委員 輸送の問題は非常に激しくなってくると思いますし、この規制が十分でないと、危険物を持ったものが右往左往するわけでございますから、これについての体制整備、特に規制措置としての法規定というものは非常に大切であろうと思うのです。これは後でまた論議をしなくちゃいけないと思いますが、そういう点は特に注意してもらいたいと思います。  私は、大臣にいま一つお聞きしておきたいのですが、御承知のように、今度の法改正によりますると、従来、総理大臣が一括許可権を持っておったものを運輸大臣、通産大臣、それから科学技術庁長官ということで三つに分かれるわけです。したがって、原子力基本法が少なくとも核の問題について、先ほど申しましたように平和の問題あるいは軍事に利用されないようにということの両側面を踏まえて一元的にこれを総括しておりましたものが、今度許認可が三元的なものになってしまうわけです。したがって、核に対する、特に安全の問題についての一元的な管理監督というものをやはり期待するとすれば、原子力安全委員会権限というものが一定の力量を持つところになっていなくちゃいけない、こういうように私ども思うのです。したがって、この安全委員会は可能な限り私たちは三省に対して発言権の持てるものにならなければいけない。そうしますると、国家行政組織法の関係から言えば、第三条機関というようなものにするのがやはり改正の趣意に一番沿うものじゃないだろうか。特に原子力基本法に基づいて原子力委員会があったということを考えますと、私は、むしろ原子力安全委員会なるものは八条機関というようなことにしておかないで、行政組織法の三条機関としてこれを設置するということがいいと思いますけれども、そういうこと等にした場合に、運輸省としては非常にまずい点がございましょうか。また、大臣という立場からしてそういうものについてどういうようにお考えになっているか、ひとつその所見を聞かしていただきたい。
  37. 福永健司

    福永国務大臣 いまのお話の点は、政治全般として深く考えなければならぬ点であろうと思うわけでございまして、一元的に措置していた、このことは、これで精神分裂を来さないという意味において大変結構だと思いますが、しかし、いままでよりはこういうことに関する仕事の量なり対処方策というものがかなり大きくなってきた、広くなってきた、こういうような情勢下に、いまお使いになりましたお言葉を拝借いたしますと三元化するということでございますが、私は、この三つに分かれるということによって、いま申しましたように、精神分裂的なことになってはこれは大変まずいと思うわけでございまして、あくまでも、この三つになったということは、それぞれの責任分野においてベストを尽くして、単に一元的にやっていたときよりもはるかに効率的なものになるように相協力して実を上げさせなければならぬ、こういうように思うわけでございます。  私も、もともと役人でも何でもございませんが、どうも役所というのは、わしの方、わしの方というようなことを言うのが——いや、この問題じゃございません。この問題じゃございませんが、あるものでございます。私もいろいろな仕事をいたしまして、いまとは言いません、過去においては、これはいかぬなと思ったことも実はあるわけでございます。そこで、この問題につきましては、先ほどからいろいろお話のありましたようなことにつきまして、御注意があったようなことについては、ぜひ過ちのないように対処していきたいと思うわけでございまして、権限があるがゆえに発言権をというような考え方よりも、むしろ相協力して総合的にいかに成果を上げていくかということ、これを十分考えていかなければならぬと思います。  そこで、そういうこと等につきまして、いまも先生から御示唆がありました点等につきましては、これはなお内閣全体としても検討しながら進むべきものである、こういうように思います。御意見を参考にさせていただいて、今後、私は私なりに対処してまいりたいと存じます。
  38. 石野久男

    石野委員 ちょっと時間がございませんけれども、もう一度。  大臣、いま参考にとおっしゃっていますが、私の聞きたいのはむしろ、三分化しましたから、安全の面で一括するという意味で、原子力安全委員会というものかやはり三条委員会として発言権を持つようにした方がいいのではないかというふうに私は思いますが、大臣としては、この原子力安全委員会というものを、八条委員会として総理の諮問機関——総理の諮問機関になりますると、私たちは、いろいろな法改正についての論議をしまして、修正もするけれども、結果的に八条機関というのは、総理に耳打ちするにすぎなくなるのですよ。第三者に対して公然と発言をする力はないのですよ。それではまずいから、やはり三条機関ということで、公的な発言のできる、そういうものにする方がよろしい、そしてそのことが、三元化したものを、安全の面できちっと精神分裂をしないようにできる可能性を持つのだから、そうした方がいいのじゃないかというふうに私は思いますし、政府がそれをあえてしないという理由は何なのかという疑問を持ちますから、大臣にそのことを聞いているわけで、いま一度ひとつ大臣の所見を聞かせてもらいたい。
  39. 福永健司

    福永国務大臣 どうもこの問題運輸省がどうあるべきだと言うのは、余り適当であるかどうか——もし適当であるとすると、ほかから文句か出るという、かえってそういうことになりはしないかというような気もするわけでございますが、いまお話を伺っておりますと、私、かなり石野説に共感も覚えているわけなんです。率直に申しまして。しかし、今度政府がああいう案を出しましたその理由もまた、これはいろいろに言われておりますし、よく御理解をいただいておるとおりでございますが、これはこれなりにまた理由のあるところでございますが、しかし私は、私自身はあえて固執いたしません。いまのお話のような点も運用面等でおしかりを受けるようなことのないようにしなければならぬ。法律というものは運用いかんによってずいぶん違ってまいります。その点を私は、いまのお話等を参考にさせていただきますと先ほど申しましたことは、制度発足後における運用方式として十分考えてまいりたいという意味で申し上げたわけでございまして、重々気をつけさせていただきたいと存じます。
  40. 岡本富夫

    岡本委員長 次に、貝沼次郎君。
  41. 貝沼次郎

    貝沼委員 大臣にお尋ねいたしますが、いままで大臣答弁を聞いておりまして、非常に微妙ないろいろな発言がなされておるようでありますが、いま、体制の問題でありますが、体制もさることながら、運輸省自体がこの問題をどのように深刻に受けとめておるかということがまず第一の問題だろうと私は考えております。  そこで、現在、原子力船むつ」が実際研究開発段階でありますので科技庁に所属するわけでありますけれども、あえてこれを権限を三分して、そして運輸省にその許認可権を持っていかなければならないという、その理由についてはどのようにお考えですか。
  42. 福永健司

    福永国務大臣 まず第一に、この問題の受けとめ方について、どうも運輸省は深刻さに欠けているというような御指摘でございます。そうであるとは私は思っておりませんが、もしそういうように見える節がございまするならば、大いにこれからの対処方策について、さらに一段と考えてまいらなければならぬと思うわけでございまして、関係の者に私からもこのことは、御注意をいただいたことについて強く申しておきたいと思うわけでございます。  「むつ」につきましては、御理解をいただいておりますとおり、これは「むつ」そのものについて大きく変わるということでなくて、「むつ」については従来からも科学技術庁を中心に御心配をいただいておる、この形はそのままであって、これを別にして、ほかのものについて権限上の、ただいまもお話のあるような変化等もあるわけでございます。これらにつきましては、ちょっと見ますと、これは役所が幾つかあってセクショナリズムな論議というように受け取られないとも限りませんが、私はこの問題についてはそういうことはないと、こういうように考えております。私どもの方でも、こういうことが適当であろうという意味においての発言はしておりますが、何が何でもうちがそうでなければなんて、そんなけちなことは私は絶対言わせないつもりでおるわけでございます。高度に、また広い角度からながめていただいて、適切な措置を講ずるということ、これは行政の方においても責任は十分あるわけでございます。ただ、いま出しております案によって、これが適当なんだというように政府が考えておりますということは、これはもうそのとおりでございます。そういう意味で、いろいろ御注意等があります点については、さらに行政のあり方等において欠点のないようにしていきたいと考えておるのでございます。
  43. 貝沼次郎

    貝沼委員 私の質問は十一時五分まででありますから、いままでダブった点は余りお尋ねしないつもりでおります。  そこで、いまの大臣答弁を私聞いておりまして、はっきり言ってちょっと心配ですね。ですから、原子力船むつ」はああいう状態でありましたけれども研究開発を一生懸命やって、そして将来原子力船というものが、あるいはどういう時期になるか知りませんが、どうせ日本としてはやる時期が来ることは間違いないわけでしょう。そういうようないろいろなビジョンの上から考えたときに、運輸大臣のいまの答弁だと、別に運輸省がやらなくたっていい、運輸省が特別やりたくてしようがないということもないのだというような話では、私はいままで政府委員から聞いてきた話からはずいぶん違う感じを受けておるわけであります。  したがって、もう一度お尋ねします。要するにこれからの原子力船に対するビジョン並びにその上に立って運輸省のあり方、決意とか、そういったものを踏まえて答弁していただかないと、安全性というものは確保されないと思います。本当に安全性というのは、技術屋がいろいろなことで安全だ安全だと言っても、現在安全性は確立されていないわけです。それはどこかといえば、国民の目から見てなるほど安全だという、そういう手続であるとか、行政機構であるとか、こういう面で納得がいかないから安全性の問題がたくさん出ておるわけであります。そういう立場からこういういろいろな行政懇意見などがありまして、私は出てきておると思うのです。ところが、いまの答弁では私はどうも納得できません。もう一度お願いいたします。
  44. 福永健司

    福永国務大臣 御心配をいただいて大変恐縮に存じます。  原子力は、特に原子力の中でも原子力船に関する部分等につきましては、まさにこれからの人間生活に——これは扱いようを間違えては大変なことでございますが、適切な用いようによっては人間に新しいビジョンを与えるものであることは当然です。したがって、この新たなビジョンを持った原子力船等について、それなりのビジョンを持った行政等も行われなければならぬことは当然でございます。私の申し上げたことが、上品な言い方をしましたので、運輸省必ずしももらわぬでもいいみたいに聞こえたとしますと、私の言葉が足りなかったので、ひとつ御理解をいただきたいと思いますが、私はそういう意味で、こういうことが適当であるという物の言い方をいたしておりますという表現をいたします。自分の方が欲しいから何でもこっちだということは、われわれ気が弱いからそうは言えません、こういう意味でございます。したがって、それが適当であるという表現で私自身もいたしておるのでございますが、しかし、これとていま御指摘のように、そういう表現だけではちょっと頼りないじゃないかとおっしゃるのも、これはごもっともであるように思います。そこまで言っていただきましたので申しますと、運輸省といたしましては、いまもビジョンという言葉によって表現されましたが、新たなるビジョンを描きつつ、抱きつつ、この問題に精力的に取り組んでまいりたい。したがって、どうぞ法律において明確におまえの方でやれというようにお決めいたたくことは、心から念願するところであります。ただ、初めからそれを言うとまたそれはそれでしかられるかもしれませんでしたので、遠慮をしたわけでございます。気魄は強く持っているつもりでございます。
  45. 貝沼次郎

    貝沼委員 時間がありませんので、先ほど大臣答弁の中に、この法律が通過したならば、その後実用の原子力船計画が具体化する間にいろいろなことをやるというような意味に私は聞こえたわけでありますが、実はこの「間」というのは私は余り気に入らないわけであります。そうではなしに、先ほど真っ先に質問いたしましたように、「むつ」の問題とこの運輸省権限を移譲するという問題、これは非常に関係が深いわけですね。しかも、その「むつ」が科技庁に今度は所属するのだということは、やはり運輸省権限移譲することが基本になっておるわけであります。そこをはっきりしておかないと、何かわけのわからないことになってしまう。したがって、すでに法体系をつくる実体というものはそこにあるわけです。しかしながら、現実にまだ実用炉はないわけですね。したがって、その実用船ができるまでは、法体系がなくていいということではないのです。これはなければならないのです。なければならないけれども現実にありませんので、いつでも対処できるようにしておかなければなりません。したがって、そのためには、実用船ができるまでの間ゆっくり構えられておったのでは、これは理論的におかしいのです。直ちにこれはかからなければなりません。ただし、人員の問題であるとか予算の問題とか、こういった問題は、現実にまだないわけでありますので、それは日の目を見るのは後になるかもしれませんけれども、その辺の考え方、これをはっきりと答弁をいただいておきたいと思います。
  46. 福永健司

    福永国務大臣 これまた私の言葉が足りなかったかと思います。先ほど石野さんにお答えいたしました言葉の中で、いま御指摘のようなふうに聞こえるかもしれないことを私確かに申し上げました。しかし、あのときに申しました言葉にもおおむね明確にしておきましたように、「むつ」のこと等も考えて、現実に即した措置、これは非常に大切でございますが、それに合わせまして、いま現実的な措置について十分配意いたしますと同時に、原子力船等が相当大量に実用化されていく段階までには、あわせてこういうようなことで一層の人的充実等も図ってまいりたいと思います。こういうつもりで申し上げたのです。先ほど指摘のような現実に即した体制整備等がもちろんより先のものでございまして、これを大いに一生懸命にやりますと同時に、また、将来に向かってはあわせてこうありたい、こういうつもりで申し上げた次第でございまして、両方言ったためにどうも片一方の方が軽くというように聞こえましたとするならば、私の本意ではなかったわけでございます。いま申し上げたような意味において両者をあわせ申し述べたという次第でございます。
  47. 貝沼次郎

    貝沼委員 終わります。
  48. 岡本富夫

    岡本委員長 次に、瀬崎博義君。
  49. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 時間が短いので、ひとつ簡潔な御答弁をお願いしたいのです。  今回の法改正に当たって、よいか悪いかは別にして、通産省の方は実用発電炉安全審査体制について、たとえば原子力発電安全課を一課、二課に分けるとか、定員をふやすとか、あるいは技術顧問会を増員するとか、そういう構想、準備を持っておったわけですね。これに比べて運輸省の方は、それに匹敵するような準備とか構想は練られていなかった、このことだけははっきりお認めになりますね。
  50. 福永健司

    福永国務大臣 これも見方でございまして、早目にいろいろ言うということも、備えを前もって示すということで大変いいと思いますが、率直に申しまして、いま御指摘のように、私どもの方は、どちらかと言うと、制度発足を待たないで余りいろいろ言ってはということであったと思いますが、熱意という点から言うならば、むしろしかられながらもいろいろ申し上げる方がよかったというように、いまとなっては感じております。
  51. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 いまの大臣の当初の答弁からいけば、通産省が早まり過ぎたというふうに結果としてなると思うのですね。  そこで、お伺いしますが、きょう初めて、原子力船安全対策室が当面の体制づくりとして出されました。これは予算要求を伴っているのかどうか、また全員が兼務になっているのかどうか、この点をはっきりしてください。
  52. 福永健司

    福永国務大臣 これは先ほどお話通産省がどうというふうに批判しているわけではございません。いろいろ流儀がございまして、通産省通産省の流儀でやっておるのでありまして、これはこれでやればいいと思いますが、私ともの方の連中は、どちらかと言うとその点がむしろ消極的と見えるようなことであったことは大変残念で、今後大いに気をつけていきたいと思うわけでございます。  若干具体的に申し上げました点につきまして予算等はというわけでございますが、いまだ予算化はされておりませんけれども法律か通りまして必要が起こりましたときは、私のみずからの責任において必ずそういうことになるようにいたしたいと思っております。
  53. 謝敷宗登

    謝敷政府委員 先生指摘原子力船安全対策室は、部内限りの組織でございまして、併任でやってまいります。
  54. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 いま重大な発言があったと思うのですね。少なくとも「むつ」の教訓から出発して、原子炉安全審査体制についてはもっと一貫した体制、また責任の所在が明確にならなければいけないということであったにもかかわらず、通産は通産で勝手にやっているのだろう、運輸は運輸の考え方でやるんだろうということは、この重要な原子炉の安全検査体制について、政府で統一した基本方針がないということが暴露されたと思うのですね。事は重大だと思うのです。  続いて申し上げますが、六日に運輸省から、一応の準備状況といいますか構想について説明がありました。その理事懇談会で、当初赤岩首席検査官が見えられて、要は現状原子力船についての、つまり「むつ」の安全審査体制の説明があった。現状のままで今後もやっていける、あるいは現状以上のことは何も考えていない、こういう説明があって、これでは問題にならぬではないかということになった。午後改めて謝敷船舶局長がお見えになって、ここで初めて、仮称ではあるが安全審査官なるものをつくろうかと思う、しかし、それも現在の検査官の系列の中に入れるのか、それとも外に置くのか、そういうことは全然考えていない、あくまでもこれは局内の非公式の検討事項です。そういう説明であった。私どもがいろいろ尋ねた中で、結局、具体的な体制準備ができないのは、体制をつくろうと思えば法律と実態とがそろってこないとできない相談なんだ、要は実態が、当面起こりそうにないのだから、そういう意味では体制考えられないのです。こういう説明であったわけですね。さらにその後、科技庁の佐藤原子力安全局次長から補足説明がありました。この運輸省の実用舶用炉の問題について、実態面からは許認可権を早急に運輸省に移さなければならないという必要性は確かにないんだ、ないんだけれども法改正をする以上、形を整えざるを得ないので、今回のこういう措置をとっているということがあったわけですね。そうして、きょうは改めて説明によれば、全部兼任ではありますけれども、いまの安全対策室なるのをつくる、こうなっておる。これはまさに二転、三転のいい見本だと思うのですね。  こうなってきた真相といいますか、本質を率直に言っていただきたい。運輸大臣としては、この実用舶用炉設置の許認可権の設定を直ちに運輸省に行う必要はない、これがもともとの考えだった。しかし、そういうことがこの法改正成立の大きな障害になってきた。そこで急ごしらえの構想が局長によって打ち出され、それでも納得が得られないので、きょうまた新しい構想なるものを出してきた、こういうことではないのか。この点はいかがですか。
  55. 福永健司

    福永国務大臣 まず通産省や私どもで大変食い違いがあるかのようなお話でございますが、私はそういう意味で申し上げたのでなくて、構想そのものには別段食い違いがないが、進め方に多少の違いがあったという点を申し上げたのでございまして、その点も言葉が足りなかったことはおわびしておかなければならぬと思います。  運輸省から出ましたものが、いろいろ御説明申し上げたが、今日までの経過等を見るときにどうも一貫してないという点は、私はおわびをしなければならないと思います。確かに同じじゃなかった。同じじゃなかったけれども、説明の仕方がまずかった。こういうことに急に根本的に変わったというわけではないのでございますけれども、そこがどうもおしかりを受けるようなことであったことは、これはむしろ私は責任者といたしまして、だれがどうということでなくておわびをいたします。そういういろいろな疑念を生ぜしめたという意味においては、今後も大いに注意をしなければならないと思うのでございますが、いま申し上げておりますことが本心でありまして、それが初めから伝わっていたことを望むわけでございますけれども、不幸にしていまもおしかりをいただいたようなことでございます。いろいろしかられるからその都度いろいろ言った、それほどのことではないのでございまして、権限等もなんならもらわなくてもいいのだというような意味じゃないのです。そうじゃないので、先ほども申し上げたように、これが適当であろうというような意味で、実は表現があるいは弱かったということもあろうかと思うのでございます。無理やり奪取して——という言葉はいかがと思いますが、そういう気魄のこもった表現が確かになかったのでございますが、腹の中ではぜひそうしていただきたいと強く念願しておる次第でございます。  なお、ひとつ局長に補足させたいと思います。
  56. 謝敷宗登

    謝敷政府委員 私どもは、今回の法律案成立いたしますことにつきましては、政府案をつくる段階、あるいは原子力行政懇談会の時代からずっと対応して検討してまいったわけでございます。したがいまして、私どもの方としては、現在実用船につきまして所管を云々ということであれば、いまの法案が最も適当だ、こう考えております。したがいまして、これで実用原子力船対応いたしましてすぐ体制ができていなければいかぬわけでございますが、そういう意味から、私どもとしてはその時期等も十分頭に入れております。そこで原子力船安全対策室、従前は、法律案の審議のときには別の室をつくっておりましたが、これを切りかえるといいますか、これを拡充強化するという意味原子力船安全対策室をすぐつくりまして、実用原子力船が出ましたらいつでもこういう体制でいきたいということを確かに基本的な考え方として局内で検討しております。こう申し上げたわけでございます。したがいまして、その点では、今後原子力船安全対策室を中心にしまして、懇談会で申し上げました審査官体制検査官の体制についても、十分実用船対応できますように、他の省庁の例も十分参考にさせていただいて体制づくりに励みたい、こう考えております。
  57. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 局長はそうは言われるけれども、私はそのときに、具体的にもし二、三年先に実用船の許認可を求められるというような事態があるならば、当然のことながらここに準備は出てきているはずだ、逆に実態がないために準備がなかったということは、まだまだそういうふうな許認可申請はあり得る現実は生まれない、そういう認識からじゃないかと聞いたら、そうだということを答えていらっしゃるわけですね。だからその点では答えも首尾一貫させてほしい。全く運輸省の説明や答弁は首尾一貫していない、この点は大臣が何と弁解されても避けがたい事実だと思うのですね。  最後にお伺いしたいのは、これほど重要な許認可権が運輸大臣の手元に設定されるわけですが、当然国会審議の段階でその許認可権に伴う審査体制やあるいは審査内容がどうなるのか、これはもうそのことをはっきりしなければ認めようがないわけですね。こういうことを抜きに、ただ単に形だけ許認可権をつくるということは国民に対して無責任だと思いませんか。
  58. 福永健司

    福永国務大臣 いまいろいろおしかりをいただいて弁解の余地がないとおっしゃいますが、ある程度弁解の余地がないと思いましたので、私おわびをする方が早いと思っておわびをしたわけでございますが、気持ちはひとつ御了承いただきたいと思います。しかし今後これはうんと気をつけさせたいと思っております。  いまお話しの審査等につきまして、それらに関する体制ができていなければ、ここで法案を通し、また世間からもいろいろ見て安心ができぬじゃないかというお話でございますが、この点につきましては、いままでいろいろ言っておりますが、あれだけではまだ十分だとは必ずしも私は思いません。鋭意法律の施行に符節を合わせまして、それらの点を強化し、過ちがないように万全を期していくようにしたいと思います。
  59. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 終わります。
  60. 岡本富夫

    岡本委員長 次に、日野市朗君。
  61. 日野市朗

    日野委員 本法、つまり原子力基本法等の一部を改正する法律案は、従来の原子力行政、これをかなり大きく方向を変えてしまうわけであります。そこで、われわれは従来から原子力行政が安全性に対して払う考慮、配慮、こういったものが必ずしも十全ではなかったのではなかろうかという反省を持っているわけなんであります。その一例が原子力船むつ」の舶用炉放射線漏れであり、また実用発電炉と言われるものもかなりのトラブルが現に発生していることが周知されているところであります。また再処理工場、いまこれがホットランを続けているわけでありますが、この中においても幾つかのトラブルがあるやに聞いております。     〔委員長退席、小沢(一)委員長代理着席〕 これらのものに対する反省が十分組み入れられて本法律案の提案になったかどうかということにつきましては、われわれ非常に危惧の念を持たざるを得ないのであります。つまり、本法律案がもし成立した場合、これが従来の原子力行政が持っていた、開発を非常に促進しようとする方向に急ぐ余り、原子力基本法が持っている公開の原則というようなものをややもすれば覆い隠してしまうような、そういう危惧をわれわれは持っているわけであります。  そこでこれから若干の質問をさせていただきたいと思います。  まず、本法律案によりますと、従来法律事項であった原子炉安全専門審査会、これが今度は法律上姿を消すようであります。これについてはどのような措置をなさるおつもりなのか、これは科学技術庁に伺いたいと思います。
  62. 牧村信之

    牧村政府委員 ただいまの原子力委員会のもとにございます原子炉安全専門審査会が法定されておりますが、今回の法改正におきまして法定化していないわけでございます。これは原子力安全委員会を新しくつくっていただくことをお願いしておるわけでございまして、安全委員会の所掌の業務がきわめて明確に明定されておる、その下にございます組織につきまして特別に法定化する必要がないだろうということで判断したものでございます。しかしながら、法定化はしておりませんけれども、この原子炉安全専門審査会を廃止するつもりは毛頭ございません。われわれといたしましては、むしろダブルチェックを十分に行い得るような体制として、その増員も図ってこのダブルチェック業務を充実したいというふうに考えておる次第でございます。
  63. 日野市朗

    日野委員 ダブルチェックのための業務原子炉安全専門審査会が必要だというお考えであろうかと思います。この法案で規定せられている原子力安全委員会は委員五人をもって組織して、そのうちの二人は非常勤、こういうような体制の中では、実際の実務を行っていくという面からは、下部の機関とも言うべき実際の審査を事細かく行っていく安全専門審査会というものはより強力なものとならなければならないだろうとわれわれも考えているわけでございます。  そこで、この安全専門審査会、これはどのような根拠のもとに設置されるのか、そしてその内容はどのようなものになるのか、詳しくお話しをいただきたいと思います。
  64. 牧村信之

    牧村政府委員 この改正案がお認めいただけますと法定化されなくなるわけでございますので、これはこの安全専門審査会を置くということ、並びにその所掌事務をどうするかということにつきましては、新しくできます原子力安全委員会自身の手で決定されることになるわけでございます。  私ども事務局としては、そういうような点につきましていろいろ検討を進めておるわけでございますが、五十三年度予算におきまして、先ほども申し上げましたけれども原子炉安全専門審査会の専門委員の数を増加し、その増強を図るということでございます。その仕事でございますけれども、当然ダブルチェックをすることになるわけでございますが、行政庁が行いました第一次の安全審査につきまして、その安全に関するダブルチェックを実施することに内部規定ではっきりさせたいというふうに考えておる次第でございます。
  65. 日野市朗

    日野委員 よくわからなかったのですが、これはまだ原子力安全委員会ができないという段階では将来の構想として想定していただくわけなんでありますが、事務当局としてのお考えは専門委員会をどのような法的根拠に基づいておつくりになるのか、その人数はどういうふうに考えているのか、そういうことを伺ったつもりなんですが……。
  66. 牧村信之

    牧村政府委員 ただいまの制度の原子力委員会にもいろいろな各種の専門部会を設けておるわけでございますが、法定化されているのは原子炉安全専門審査会だけでございます。したがいまして、原子力安全委員会ができましたときに、原子力委員会が持っておりますと同じように専門部会の一つとしてこの安全専門審査会を設けるということになるわけでございます。  法的根拠といたしましては、原子力委員会のいまの法令でございますが、参与または専門委員をもって構成する専門部会を置くということがあるわけでございますので、それに準じて安全委員会のもとに参与または専門部会委員をもって構成する専門部会を置くという運営規程を定めたいというふうに考えておるわけでございます。
  67. 日野市朗

    日野委員 そうすると、それは政令とか規則とかいうものではなくて、内部的な内規というような形のものになりますか。その根拠を教えてください。
  68. 牧村信之

    牧村政府委員 政令で設けるわけでございませんで、新しくできます原子力安全委員会専門部会運営規程というようなものをつくりまして、内規として委員会決定のもとに行いたい、かように考えておるわけでございます。
  69. 日野市朗

    日野委員 これは運営規程ということになりますとかなり拘束性の薄いといいますか、科学技術庁または原子力安全委員会そのもので改廃がかなり自由に行われ得るものだというふうに私たち理解するわけなんでありますが、この点について、この運営規程をつくって、そして専門審査会というものに非常に強い発言力を与え、そして強固な存在にしていくんだというふうなお考えはお持ちでしょうか。
  70. 牧村信之

    牧村政府委員 ただいま先生指摘の改廃が自由であるというふうなこと、確かに運営規程で改廃はできるようになっておるわけでございまして、専門委員の中で原子力委員会としてはそういうふうに運営もできるわけでございますけれども、この安全委員会の所掌と申しますのは、安全の確保に関します規制を行う重大な任務を持っておりまして、行政庁が行いました安全審査につきましてダブルチェックする任務を負うわけでございますので、そのような科学技術的にもきわめて高度の専門的な事項を審議する必要がございます。これをわずか五人の、わずかと申しましたらちょっと語弊がございますが、五人の安全委員会委員だけでとうていできるものではございません。したがいまして、この安全専門審査会を内部規程でつくったといたしましても、これは安全委員会が存続する限りは当然あわせて併設され、必要に応じ増強していくというような考え方で進まなければいけないものだというふうに考えております。
  71. 日野市朗

    日野委員 専門審査会の構成人数はどのくらいにするのか、どのような人たちを任命することになるのか、任命権者はだれであるか、常勤、非常勤の別、そういった点についてどのような構想をお持ちか、伺っておきたいと思います。
  72. 牧村信之

    牧村政府委員 現在事務局が考えておりますのは、人数は現在三十名でございますが、これを四十五名に増員いたしたいと思っております。  その構成でございますが、学識経験者による非常勤の方を、主として大学の先生あるいは原子力研究所研究者等によって構成いたしたいというふうに考えております。その専門も原子力工学あるいは環境関係専門家、地質、地盤等を含めました専門家をもって構成いたしたい。  それから専門委員の任命は内閣総理大臣が任命することになろう、そういうふうに考えております。
  73. 日野市朗

    日野委員 専門委員会についてはわかりました。  それでは運営規程でほかにも、いろいろな各方面の専門家等による専門委員会、これを設置するというお考えがおありですか。
  74. 牧村信之

    牧村政府委員 現在、私ども事務局構想でございますけれども原子炉安全専門審査会のほかに、核燃料の関係、再処理であるとか燃料加工施設あるいは輸送等に関連いたします安全問題を担当する核燃料安全専門審査会、これを含めまして、当面八つほどの専門部会を設置することを考えております。  安全委員会陣容強化と相まちましてさらに必要なものをふやしていきたいというふうに考えておりまして、現在原子力委員会の下に、約百六十名だったかと思いますが、専門委員がいるわけでございますが、今度は安全審査会を含めまして、安全委員会だけで百七十名の専門委員をもってこれらの部会を構成していきたい、かように考えております。
  75. 日野市朗

    日野委員 いま核燃料等に関する安全専門審査会については名前が出ましたが、その他どのようなものを構想しておられるか、具体的に名前を指摘してお示しいただきたいと思います。
  76. 牧村信之

    牧村政府委員 原子炉並びに核燃料の安全審査会のほかに原子炉安全技術専門部会、それから環境放射線モニタリング中央評価専門部会、それから原子炉施設等安全研究専門部会、環境放射能安全研究専門部会、放射性廃棄物対策技術専門部会、核物質防護専門部会、これらの八つが、現在も原子力委員会の中にございますが、これらを増強し、直ちに設置いたします。これらのほかになお必要なものはつくってまいりたいということでございます。
  77. 日野市朗

    日野委員 これはいろいろな各方面からの必要であるという声が出れば、それを十分検討して新たな専門部会をつくるのはやぶさかではないという御趣旨に伺ってよろしゅうございましょうか。
  78. 牧村信之

    牧村政府委員 おっしゃるとおりでございます。
  79. 日野市朗

    日野委員 次は、通産省に伺いたいと思います。  いままで通産省は特に発電用原子炉についてはかなりの豊富な経験をお持ちであろうと思いますし、いままでいろいろなトラブルであるとか、それから想像もできなかったような事態がいろいろ炉に発生する、それで現在稼働率が非常に低下しているというような事態なんかにもいろいろ対処してきたわけでありますから、特に本法律案通産省の所管とされる実用発電用原子炉、これについてはかなり経験をお持ちであろうと思います。その経験を十分これからも、この法律案が通過すればという前提がありますが、私はそうそう簡単には通過しないだろうと思いますけれども、通過をすればいろいろのことを配慮しながらやっていかなければならないと思います。  それで、この法律案対応してこの法律案通過後の新しい体制がどのようになっていくか、これを詳細に御説明をいただきたいと思います。
  80. 武田康

    ○武田政府委員 私ども通産省では、原子力発電が始まりまして以来、電気事業法の関係で、設計の段階から運転の段階までいろいろな意味で保安、安全の確保というのを担当してまいりました。それで、今回この基本法等改正ができますと規制行政の一貫化、それは用途別とでも言うような一貫化でございますけれども、その観点で、現在原子力委員会科学技術庁でなさっておられます最初の基本設計の審査、安全審査段階から一貫して私どもが担当することになるわけでございます。     〔小沢(一)委員長代理退席、委員長着席〕  その体制でございますけれども、従来からの私どもの仕事ということで安全行政体制の充実を図ってきたところでございますが、この法案成立しました後、現在原子力発電の安全を担当いたします原子力発電安全課というのがございますか、これを二分割——分割と言うとちょっと語弊がございますけれども、拡充して二つの課にいたしまして、いま安全第一課、安全第三課と仮称いたしておりますが、それと、別途現在ございます原子力発電課という、いわば原子炉関連の担当課が三つの課になるわけでございます。  いま組織のことを申し上げましたが、実は現在の安全審査会の事務局をされております科学技術庁には、規制課のほかにいわば安全審査の統括をするような方々、安全審査管理官と伺っておりますが、そういう方々が何人かおられます。同じような体制を私ども法律ができました後つくりたいということで、私どもでは現在統轄安全審査官がそういった安全審査業務をまとめておりますけれども、それが一人おりますが、これを四人にしたい、つまり三人増強する、こういうようなこと。それから、同時に安全審査官の充実も図っていくというようなことで、人員といたしましては十六名の増加というようなこと、これは中央関係でございますが、それを図っていきたいと考えているわけでございます。もちろん、従来からやっております詳細設計以下の段階につきましても従来の体制を続けていくわけでございまして、結果的には原子力安全部門の担当が中央ベースで五十名をちょっと超える、五十一だったと思いますが、五十一名になり、それから地方関係検査関係も含めて百名というような体制人数的にはやっていきたいと思っております。  また、科技庁の事務局、それから安全審査会ということでいろいろ先生方の知恵をおかりしている、あるいは先生方自身にやっていただいている面が現在の安全審査にあるわけでございますが、私どもでもやはりもっぱら行政部門のみの処理でできないような問題もございますので、これまた従来から顧問の先生をお願いしておりますが、そういった顧問の先生方も今後質量ともに充実していきたいというふうに考えている次第でございます。
  81. 日野市朗

    日野委員 いま大体こういうふうに課を分けたり安全審査官を置いたりということはわかりました。  それで、原子力発電課を原子力発電安全第一課、第二課と分ける、それから統括安全審査官を置くというようなことなんですが、それぞれの課の所掌することを、これは余り詳しくやられると時間がなくなりますので、かいつまんで……。
  82. 武田康

    ○武田政府委員 三課と申し上げましたが、そのうちの仮称原子力発電安全第一課につきましては、現在、科技庁、原子力委員会がやっておられます安全審査、それから私どもがやっております詳細設計の審査、いわばそういう設計段階とでも申したらいいかと思いますが、その審査中心の課と考えております。  それから、仮称でございますが、原子力発電安全第二課、これにつきましては、それ以降のいわば運営をチェックするとでも言ったらいいかと思いますが、そういった運営担当課といいますか運営管理課といいましょうか、そういったようなものが中心と考えております。  それから、原子力発電課は、これは発電の推進であるとか研究業務等を頼んで、いわば将来に向けての開発業務とでもいいましょうか、こういったものが中心でございます。  なお、原子力発電安全第一課、第二課、いずれも仮称と申し上げましたけれども、きわめて細かいデティールにつきましてはなお詰めが進行している段階でございます。
  83. 日野市朗

    日野委員 いま大体のものを御説明いただいたのですが、特に発電用原子炉についてはいろいろなトラブルが起きることが多いわけでありまして、われわれはこれはまだ研究段階であるという印象を非常に強くしているのでありますが、そういったいろいろな問題が起きる、また起きる可能性を秘めているわけでありまして、その研究業務というのは非常に重要ではなかろうかというふうに思うのです。それから、世界各地での原子炉についてのいろいろな情報、こういったものも必要になってくるかと思いますし、もはやもう日本はアメリカに次ぐ世界第二の原子力発電国というところまできているんじゃないかと思うのですが、そういった各地の炉のきちんとした情報を集める、管理に遺漏なきを期する、こういったいろいろな安全関係業務が必要になってくると思います。そういった研究、情報の収集、これはどこでやることになりましょうか。
  84. 武田康

    ○武田政府委員 先生指摘のとおり、原子力に関連いたしますいろんな研究は非常に大切でございますし、また情報の収集あるいはその流通、またそれを活用することは非常に大切なことでございます。ただ、研究業務のうち本当の研究科学技術庁がなさっているわけでございまして、私どもがやるべきことは、研究につきましても情報の一環としてその結果を活用していくということが中心になろうかと思います。そういったような意味で、それも含めまして技術情報をいかに集めいかに活用するかという、その集める機能でございますが、これはどちらかといえば、先ほどの三つの課で申し上げますと、原子力発電課が中心になって集める。しかし、やはりそれぞれもちはもち屋でございまして、情報の中身を評価し活用するというのは、安全の問題であれば安全部門が活用するわけでございますし、それからほかの問題であればそれぞれの部門が活用する、こういうことでございます。  私どもとしては、従来からも日本の中は私どもが直接見ているわけでございますが、海外の状況、それは開発状況も安全研究状況も、あるいは先ほど指摘のございました事故、トラブルというような状況も、あるいは原子炉をいかに改造するかという議論等々、これもできる限り直接集める努力をしておりますし、また科学技術庁あるいは原子力委員会相当大きな機能をお持ちでございますので、連携を密にいたしまして、そちらからの情報も十分いただき、いただいた限りの情報あるいは集めた限りの情報はできるだけあらゆる面にフィードバックするということの努力はしているつもりでございますが、なお不十分な点もあろうかと思いますので、今後ともその努力は続けたいというのが私どものポジションでございます。
  85. 日野市朗

    日野委員 今度は通産が発電炉については基本設計からやるわけですね。私は、通産というのはいままでいろいろな原子炉についての規制や何かをやってきて、場合によっては科技庁よりも豊富な経験を持ち、いろいろな情報を持っているのではなかろうかと思います。そして、それがややもすれば科技庁の方にきちんとレポートされていないというような事態が残念ながら幾つかあったのではないかというふうに思うのです。それが今度は、通産の方では、もちろんそれをきちんと科技庁の方にレポートしてやるということも必要なことでございますが、それと同時に、独自に、いままでの集積されてきた経験とか情報というものを基本設計段階から生かしていくことが必要じゃないかと思うのです。それらの研究というものは主として科技庁の仕事ですよということで、一方科技庁は基準さえつくればよろしい、その基準に合わせて通産省の方では第一次の審査をやりましょう、これでは私は足らぬと思うのです。この点について通産省はどう考えておられるか。また科技庁の方もどのように考えておられるか。いままでの経験等から今後の問題についてどう考えておられるか、これは通産省と科技庁と両方から伺っておきたいと思います。
  86. 武田康

    ○武田政府委員 今回の法律が制定されますと、先生指摘のとおり、基本設計段階から実用発電炉につきまして一貫して私ども通産省が審査をする、こういう形になるわけでございます。それで、今日現在は、基本設計につきましては安全審査会、科学技術庁が担当され、それから詳細設計以降を私ども通産省が担当しているわけでございますが、実は従前から、先生指摘のような詳細設計以降あるいは運転段階における問題点というのは、基本設計にもはね返しているのが現状でございます。はね返し方は、私どもとしましては、重要なことにつきまして原子力委員会安全審査会あるいは科学技術庁事務局に情報として御報告する、あるいは御連絡するというようなことを従来からお互いの連携でやっておりまして、これは科学技術庁あるいは安全審査会の方で基本設計の審査をなさる場合にフィードバックをしてお使いになっている、こう聞いておるわけでございます。  それで、現在、発電用の原子炉はすでに実用段階になっているとはいいながら、改良すべき点というのがいろいろたくさんあるわけでございまして、そういったものは設計段階でいろいろ知恵をしぼる。知恵の結果として出てくるというのもございますが、先生指摘のように運転でいろいろな問題があった、あるいはこんなトラブルがあった、事故があったというような経験をフィードバックすることは非常に大切でございます。そういった意味では、規制行政の一貫化ができて以降、私ども通産省が全部を担当するかっこうになりますが、この段階におきましても、従前に増しましてより一層フィードバックをし、基本設計から運転に至るまで従前以上に万全の措置をとっていきたい、こう考えておる次第でございます。
  87. 牧村信之

    牧村政府委員 現行法では、先生おっしゃいますように安全審査のみを原子力委員会が行っておるわけでございますが、実は原子力委員会決定をもちまして、詳細設計以降の重要な事項につきましては、発電炉でございますと通産省から報告を受けて、必要な調査、審議を行いまして通産省意見を述べるというような制度を設けておりまして、安全専門審査会の中に発電炉部会というのを設けまして、設工認以降の重要なものについてのチェックをできるような体制をすでにしいておるわけでございます。  本法がお認めをいただきまして安全委員会ができました後も、当然必要な行政庁からの規制にかかわる報告を受けられるわけでございますが、制度としても、安全委員会に内部の制度として現行のやり方をさらに続けていき、必要に応じその業務強化してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  88. 日野市朗

    日野委員 私たちが一番これで危惧するのは、何といっても、通産省基本設計段階から関与をしていく、通産省基本設計から第一次的な安全審査をやっていくということになりますと、どうしても通産省あたりの感覚としてはまず採算ということ、それから電力業界のエネルギー不足の大合唱、こういったものに流されて、ややもすればきちんと安全性を守っていこうという強いモラルに欠けてくるのではないかということなんです。これは科技庁でこういう基準を定めました、原子力安全委員会で定めた基準はこうであります。これはその基準には沿っておりますというところで、単に安全性検査、チェックというものがその基準にパスするかどうかということだけに主眼が置かれて、それに伴って出てくるいろいろな安全の側面から見逃してはならないことが見逃されるような運営になるのではないかということを非常に危惧するわけであります。そういったことのないように、これはもう通産省としてもまず安全第一という考え方をとってもらわなければ、とうていわれわれは信をおくことができないという感じがしているわけなんでありますが、そこらについてはいかがでしょうか。
  89. 武田康

    ○武田政府委員 原子力発電に限りませんけれども、何らかの危険を伴うものを扱う場合に安全確保というのは、先生指摘のように何か物事をいたす場合の大前提でございます。特に原子力の場合にはそれがまさに本当に大前提であるというふうに私どもも同様に考えている次第でございます。  それで、いま、第一段階安全審査が科技庁、原子力委員会安全審査会から通産省に移る、そうすると、通産省というイメージでは安全をおろそかにするのではないかという御疑念がおありということでございますが、そういう御疑念をお持ちの方がおられるというのは私どもとして非常に残念でございます。実は通産省は、必ずしも原子力問題のみではございませんけれども、現在原子力部門を担当しております資源エネルギー庁は、過去数十年来安全行政を、これは別の意味での安全行政で電気事業法の体系でございますが、扱ってきたところでございまして、そういう安全の確保がきわめて大切である、それはまたしんの疲れる仕事であるということを十分理解したメンバーで構成されているわけでございます。また、原子炉等規制法そのものの内容が変わるわけではございませんで、原子炉等規制法あるいはその政省令で決め、またはいろいろな安全基準が決められているものをそのまま引き継ぎ、また技術の進歩に応じてそれをなおさら充実していくというポジションで引き継ぐわけでございますので、安全の確保という点が、私どもはもちろん開発業務等もやっておりますけれども、ほかの観点から曲げられるということは決してないと私どもは確信している次第でございます。
  90. 日野市朗

    日野委員 もっともっと聞くことがいっぱいあったのですが残念ながら時間がなくなりました。特に私は原子炉の設置、運転等に関する規則にのっとりまして現実の安全性チェックというものがどのように行われているのかということをずっとチェックしてまいりたいと思ったのでありますが、この継続は必ずやりますよということをお話ししておきまして、きょうのこの質問は一応これで終わりたいと思います。
  91. 岡本富夫

    岡本委員長 午後一時より再開することとし、この際休憩いたします。     午後零時休憩      ————◇—————     午後一時一分開議
  92. 岡本富夫

    岡本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。瀬崎博義君。
  93. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 現在原子炉基本設計の第一次安全審査は、実務的にも原子力委員会が行っているわけだけれども、今度の法改正によって新しい体制になった場合、その基本設計の第一次安全審査は、発電炉については通産省に引き継がれるわけですね。通産省
  94. 武田康

    ○武田政府委員 いまのお話のとおり、この法安が成立いたしますと、原子力発電所、実用の発電炉でございますが、これの基本設計の審査は、通産省が引き継ぐということになるわけでございます。
  95. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 現在の原子力委員会安全審査体制でありますが、原子炉安全専門審査会の法定の定数及び現在の実際の人員は幾らですか。
  96. 牧村信之

    牧村政府委員 定数三十名でございまして、実人員三十名でございます。
  97. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 学識経験者と行政職の割合はどうなっていますか。
  98. 牧村信之

    牧村政府委員 行政職は二名でございます。
  99. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 新しい通産省体制になった場合の話ですが、私たちはそれがいいと言っているのじゃないけれども、なった場合、原子炉安全専門審査会が担当している部分は、通産省のどの部署が引き継ぐわけですか。
  100. 武田康

    ○武田政府委員 私どもがいま考えておりますことで申し上げますと、原子炉の第一次安全審査は、公益事業部に原子力発電安全課というのが現在ございまして、それを一課、二課に拡充する予定でございますが、その第一課が担当いたします。  なお、学識経験者先生方との関連についてちょっと一言つけ加えさしていただきますと、私ども原子力発電の安全の関係をいろいろ御意見をいただくために顧問の方をお願いしてございます。その顧問の方をやはり拡充、充実いたしまして、第一次の基本設計段階安全審査につきましてもいろいろ御意見を伺い、そして行政判断に誤りのないようにしたいと考えている次第でございます。
  101. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 私が聞いているのは、現在の原子炉安全専門審査会法律で定まっていますね。三十人の方が携わっていらっしゃるのですが、この部署は今度の新しい通産の体制のどこへ引き継がれるのですか、こういう質問なんです。
  102. 武田康

    ○武田政府委員 新しい体制のもとでは、私どもの方では行政部門安全審査をいたします。しかし、そこが知恵の足りないところもございますし、いろいろ専門の方の御意見を伺いたい場合もございますので、先ほど申し上げましたように、顧問の学識経験者をお願いしており、それを現在以上に充実したいということでございます。  なお、別途私ども行政庁が行います安全審査の結果につきまして、私どもとしては許可等を行います場合に、新設される安全委員会に諮問をしてその御意見を伺い、尊重するということになっておりまして、かたがた、そちらの方も別途先生方の会合をお持ちになると伺っておるわけでございます。
  103. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 私は何もダブルチェックの側の方を聞いているわけじゃない。それは全く新しく生まれる体制ですからね。現在原子力委員会が行っている安全審査実務を引き継ぐとおっしゃるから、安全審査会はどこへ行くのか。いまの答弁からいきますと、原子力発電安全第一課と、それから技術顧問ですか、そういうところが両方で大体それを引き継ぐ、こういうふうに考えればいいように受け取れるのですね。そうですが。
  104. 牧村信之

    牧村政府委員 この法案がお認めいただけますと、現在原子力委員会が行っております基本設計にかかわる安全審査につきましては、安全委員会が行わなくなるわけでございますが、新しい安全委員会としては……(瀬崎委員「通産のどこへ引き継ぐか、それだけ答えてください」と呼ぶ)それは引き継ぎませんで、私ども安全審査の機能はそっくり新しい安全委員会のダブルチェックの機構としてそれを充実強化していきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  105. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 安全審査会は当然引き継がれる。それはわかり切った話だ。安全審査会が行っていた仕事は通産のどこが引き継ぐのか、こういう質問をしているのです。
  106. 武田康

    ○武田政府委員 通産省行政部門が引き継ぐわけでございます。ただし、現在行われております安全審査学識経験者の方々が参加されているわけでございまして、私ども行政部門といたしまして、そういう勉強はいろいろいたしておりますが、足りない部分があることもまた確かでございまして、そういった部分につきまして、専門の学識をお持ちの学識経験者の方々、これは顧問と言っておりますけれども、その顧問の方々多数の方に意見を出していただき、そういったものを参考にしながら行政判断をしていく、こういうことでございます。
  107. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 その顧問はそれでは法定になるのか、ならないのか。それと、今度の基本設計安全審査が新しく加わって、一体何人の顧問をお選びになろうとしておるのですか。
  108. 武田康

    ○武田政府委員 現在考えておりますのは、機能は違いますが、現在顧問の方を二十数名お願いしております。今度この法律に伴いまして基本設計安全審査も私どもが担当するということになりました場合には、その人員を充実して、現在考えておりますのは四十五人ぐらいと考えておりますけれども、充実していきたい、こう思っているわけでございます。
  109. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 原子力委員会には専門部会というのがありますね。八専門部会、そこに政令で百四十人以内の専門委員が置けることになっているのですね。この専門部会並びに百四十人の専門委員の方の中で原子炉安全審査に関与していらっしゃる人数並びに部会はどういうのがありますか。
  110. 牧村信之

    牧村政府委員 まず原子炉安全専門審査会は、法定のものでございますので、別でございます。  それから、核燃料安全専門審査会というものを専門部会と同様の方式で持っております。これが四十名の専門委員を持っております。(瀬崎委員「原子炉安全審査関係あることを言ってください」と呼ぶ)失礼いたしました。  原子炉安全審査に関連いたしましては、原子炉安全技術専門部会というものがございます。専門委員の数は十七名でございます。
  111. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 安全審査をやる場合には、いま言われた原子炉安全技術専門部会以外に、たとえば環境放射線モニタリング中央評価専門部会とか原子炉施設等安全研究専門部会——安全研究なしになかなかレベルは上がらないと思うのですが、環境放射能関係の安全研究専門部会、それから放射性廃棄物対策技術専門部会、恐らく最近であれば核ジャック対策も要りますから、核物質防護専門部会、こういうのも大なり小なり関係していると見なければならないのですか、あるいは安全審査を補佐しているといいますか、どうですか。
  112. 牧村信之

    牧村政府委員 おっしゃるとおり、それぞれの専門部会等の所掌の中に安全審査を補佐するものが当然あるわけでございます。たとえば環境関係の専門部会にいたしましても、その環境に及ぼす影響等の審査をし、あるいは現実の発電所の現状がどうであるか、その対策を審議しておるわけでございますが、それが安全審査にはね返るのは当然だと考えております。しかしながら、一応別の部会でそういうものをやっておるわけでございます。
  113. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 確かに専門部会の中には、長期計画専門部会のように明らかに安全審査とは無関係の、開発の方の部会だと思われるものもあるわけですね。大まかな見当で結構なんですが、この安全審査を補佐してきたと見られる専門委員の数は、百二十人中大体何人ぐらいと見られますか。
  114. 牧村信之

    牧村政府委員 先生方の中には重複する方もあるわけでございまして、はっきりと申し上げかねるわけでございますけれども、現在私どもの方で専門委員として安全関係のお仕事をしていただいておる方は約七十名程度でなかったかと思っております。
  115. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 先ほど通産省は、学識経験者の御知恵もかりたいので顧問を置くと言いましたね。それは安全審査会との対比でそういうふうにお答えになっておるのですが、では現在、一応政令で補佐役として置いておる専門委員が、安全審査に大なり小なり七十人ぐらいは関与しておるであろうというお話、これに該当するものとして通産省はどういう制度を考えておるか、あるいはそういうものは全然念頭にありませんか、いかがですか。
  116. 武田康

    ○武田政府委員 私ども考えておりますのは、行政が責任を持つ体制考えておりまして、そういう意味の顧問でございまして、そういった意味では現在の安全審査会の人数と、それから顧問の人数を直に対比してということとはちょっと実態がずれるかと思います。そういった意味で少し先生方にお願いする内容が変わってはまいりますけれども先ほど申し上げましたように、現在四十五名ぐらいと考えておりますが、そこまで顧問の方を拡充していきたいと思っておるわけでございます。
  117. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 それは先ほど言われたでしょう。四十五人にはなるけれども、それは現在すでに詳細設計以後のいろいろなことを顧問に相談している、その人数が二十数人ある、それへの上乗せでしょう。それをまるまる新たな体制と言われては錯覚が起きるわけですね。ごまかしてはいけない。  そこで、今後行政が責任を持つと言われたのですが、それでは、現在科技庁がやっている安全審査との関係は一体どうなるのかという点ですが、現在の科技庁の原子力安全局の中で、基本設計安全審査関係している人員はどうなっておるのですか。
  118. 牧村信之

    牧村政府委員 お答えする前に、先ほどの専門委員の数で、炉の安全審査に関連して私が「七十名」と申し上げましたが、三十名でございます。燃料の方を入れた数字を申し上げましたので、三十名ということに訂正させていただきたいと思います。  それから安全審査に関与している現在の担当に原子炉規制課というのがございます。この定員が四十名でございます。
  119. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 今度基本設計の第一次安全審査が通産へ移行するのに伴って、その規制課は何人減ってきますか。
  120. 牧村信之

    牧村政府委員 二十名減ることになります。
  121. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 通産の方での安全審査体制になるのだけれども、第一課で基本設計安全審査をやると言われましたね。ここは基本設計安全審査だけですか。
  122. 武田康

    ○武田政府委員 現在仮称でございますが、原子力発電第一課で基本設計審査をすると考えておりますが、基本設計審査のみじゃなく、基本設計詳細設計の審査、これが中心と考えております。
  123. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 そうしますと、当然詳細設計基本設計はいやでも分かれなければなりませんね。基本設計はどうしても安全委員会のダブルチェックにかけるわけですから。その中の構成は大体どうなりますか。三十人の内訳ですね、基本設計担当、詳細設計担当を分けて考えると、どうなりますか。
  124. 武田康

    ○武田政府委員 現在のところ、詳細設計以降を担当しているわけでございますが、詳細設計の審査に十三、四名が当たっておりますので、それが現状でございます。それから一方、科学技術庁から十三名、統括安全審査官、いまの名称は安全審査管理官でございますが、管理官を含めて十三名移管することになっておりますので、大体十何名かが基本設計の担当に当たるということになろうかと思います。
  125. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 しかし、安全審査技術的な問題だけではなしに、事務的な問題もいろいろ伴うと思うのですね。したがって、科技庁の方で二十人減ってくるということは、つまり基本設計安全審査がなくなったら、それだけ減員を意味するのですから、つまり、いままで科技庁が二十人で担当していた基本設計安全審査を通産の方へ持っていった場合には、十七人で担当する、こういう形になるのですね、通産省
  126. 武田康

    ○武田政府委員 いま詳細に詰めをしていますので、差し引きいたしますと十七、まあそんな数でございますが、一言だけつけ加えさせていただきますと、私どもの承知しております限りでは、科学技術庁規制担当の規制課は、実用発電炉安全審査のみではなく、ほかのものもなさっておられますので、単純な規制課の減員の数と私どもの安全第一課でふやすべき人員とがどんぴしゃり合うものでは必ずしもないかなと思っております。
  127. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 それじゃ科技庁に聞きますけれども、確かに今後科技庁では実用発電炉基本設計はなくなりますね。だけれども、それ以外に、現在やっている安全審査で、なくなる業務があるのですか。たとえば現在実用舶用炉安全審査をやっていて、これが今度の改正運輸省に移るからといって、その仕事も減るということは現実にはありませんね。「むつ」は「むつ」として科技庁に残るのでしょう。いかがです。
  128. 牧村信之

    牧村政府委員 行政庁の審査によりまして、確かに通産省に実用の発電炉権限を移管するわけでございますから、その関係は減るわけでございますが、ふえる要因といたしまして、いままで通産省で設工認以降をやっていただいておりました動燃事業団の原型炉、こういうような業務は当省が一貫して規制をするわけでございます。そのほか、先生指摘の「むつ」の一貫しての規制がふえるわけでございます。私ども先ほどは単純に二十名減りますと申し上げましたけれども、それぞれのふえる仕事に対しては定員をふやしておるというふうに考えております。
  129. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 それは当然の話なんです。だから、通産の言われるように科技庁の二十人減る分の中には実用発電炉安全審査以外の仕事も減るからだという論理は成り立たないということは明らかになりましたね。だから、こういうことになるでしょう。科技庁が現在まで行ってきたいわゆる行政部局としての安全審査体制よりも、通産の方の新しい基本設計安全審査体制は減員になる。さらに、現在の安全審査実務は、原子力委員会安全専門審査会、これは法定で三十人。それ以外に補佐役として、訂正されました人数をとっても三十人の専門員が補佐しておる。この方は、結局技術顧問が十数人ふえる以外はどこかに消えていくわけです。どう比較してみても、現在の第一次の安全審査体制が、今度の通産への移行によって強化されたとは見られない。むしろ弱体になったというか、あるいは合理化されたというか、対比すればこういうことにしかならないと私は思うわけですね。  そこで、安全第二課の方は、何人でどういう仕事をされるのですか。
  130. 武田康

    ○武田政府委員 現在考えております仮称でございますが安全第二課の方は、現在二十一人と考えておりまして、細目を詰めておるところでございますが、仕事といたしましては、先ほど基本設計なり、詳細設計の審査、これが終わったものを引き継ぎまして、それから運転に至るまで、そういういわば検査が中心とでもお考えいただいたらいいかと思います。
  131. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 具体的に言いますと、使用前検査とか定期検査事故調査、保安規程の審査等々、こういうものが主と考えていいわけですか。
  132. 武田康

    ○武田政府委員 いまお話しのようなものと考えていただいて結構でございます。
  133. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 それじゃ、いまおっしゃった二十一人の中で、それに実際当たる電気工作物検査官は何人の予定ですか。
  134. 武田康

    ○武田政府委員 新体制として十三名を考えております。
  135. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 切りのいいように昭和五十年当時電気工作物検査官は何人いらっしゃいましたか。
  136. 武田康

    ○武田政府委員 十二名でございます。
  137. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 それはおかしいですよ。五十年の三月ですからいまからちょうど三年前、本委員会で、当時の原子力発電課長だったと思うのですが、高橋さんが答えておられますが、本省関係がやっている検査はいま言われた内容で、これは変わりません。実際やっておりますのは安全審査関係は七人、検査関係は十六人、このように答えておられまして、これは議事録に残っています。これはどっちが正しいのですか。
  138. 武田康

    ○武田政府委員 電気工作物検査官というのは、原子力もやりますし、それ以外にたとえば水力発電所とか送電線とか、ほかのものもやっているわけでございます。実は、原子力の分野は大変なものでございますので、当時の原子力発電課で自前で確保していたのが十二名でございますが、先ほどの数字、ちょっと私も正確に覚えておりませんが、十六名とおっしゃったその差は、ほかから動員して事実上やっていたという意味ではなかったかと思われます。
  139. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 それじゃ、当時、十六人と高橋さんがお答えになったうち、原子力の専任は十二人で、あとはまあ応援だったとしましょう。じゃ、今後の新しい体制で、いま十三人とおっしゃいましたね。これ以外に何か応援という兼務型の人がその課の中にいるのですか。それともいないのですか。
  140. 武田康

    ○武田政府委員 今後も必要に応じましてそういう応援を考えるということでございまして、いまちょっと人数を調べさせておりますが……。  先ほど私は十三名と申し上げましたけれども、新体制に伴いまして、動員するのを入れまして二十五人ぐらいまでにしたいということで、いま詰めておるようでございます。  なお、全く別途でございますが、地方の通産局にも同様な意味検査官がおりまして、これまた原子力検査にも関与しておるわけでございます。
  141. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 それは、溶接検査等々、地方でやるのはまた地方でやると、明確に分けて当時高橋さんは答えているのですよ。本省が受け持っている部分についていま私が言った数字を挙げているわけです。いま検査官か第二課で二十一人中十三人だとお答えになり、後で応援を入れて二十五人ぐらいだと言われたか、その応援というのは、つまり火力とか水力の方の担当者が必要に応じて応援に回るということなのか、この法案が通れば第二課が直ちにそういうふうにふくらむということなんですか、どっちなんですか。
  142. 武田康

    ○武田政府委員 原子力発電第二課の人数といたしましては先ほど申し上げました十三名でございまして、先生指摘のように、火力とか水力とか、要するにほかの部門から広援を求める、こういう意味で残りの分を申し上げたわけでございます。
  143. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 だから、武田審議官の数字をとりますと、三年前とにかく専任の検査官は十二人であった、これが今度の新しい発足体制では専任の検査官は十三人である、このことは確認できましたね。  さて、当時高橋さんが国会でどういう答弁をされたかちょっと読んでみますと、私が、本省が担当するとはいうものの、先ほど挙げたような検査は座っておってはできない、一々現場に行かなければいけないというふうに聞いておるが、この人数では大変だろうなと思うのですがいかがですかと、こういうふうに尋ねたことに対して、高橋氏が「おっしゃるとおりでございまして、私ども必死にやっておるというのが正直なところでございます。数字で申し上げますと、大体稼働日数が、本省関係で二百日を超えるというような状況でございまして、現在は八基でございますので、そういう状態で何とか……」と、こういう答弁になっているんですね。じゃ、いま動いているのは一体何基で、建設中は何基になりますか。
  144. 武田康

    ○武田政府委員 現在営業運転をいたしておりますのが十四基でございまして、建設中か十一基、それから建設の準備をしておりますのが六基でございます。
  145. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 専任の検査官が十二人で当時八基で必死だ、一年のうち二百日以上出張になってくる、こういう状態を説明されているんですね。いまおっしゃったように、ぐっとふえているわけでしょうそれをわずか一名ふえただけで一体どうなるのですか。当時が必死であれば、今後はどういう形でこれを追っかけようとするのですか。
  146. 武田康

    ○武田政府委員 検査官といえども人間でございますので、やはり休むときは休まなければいけません。それで、先ほどおっしゃったような二百日を超えるというと、ほとんどべたに出かけているかっこうでございますが、そういった状態があったこと、それから現在でもたまに起こり得ることは事実でございまして、これは改善しなければいけないと私ども思っております。それで、過去三年来、五十年との対比で申し上げますと、確かに当時の原子力発電課、あるいは新体制原子力発電安全第二課の専属の人数を比較しますと十二と十三で、一方で発電所が倍近くになっておるわけでございますので、とてもじゃない、こういうことでございますが、私どもやっていますことを幾つか申し上げさしていただきますと、先ほどのように、当時もよそからの応援を求めておりましたが、応援の程度は、実は当時より現在の方が二倍か三倍ぐらいに充実されています。しかしこれは、それだけで全部済むわけでございませんで、一方で通産局への頼み方といいますか、五十年当時本省でやっていた分の一部と現在通産局にやってもらっているという意味での応援も求めているのが一つでございます。それから検査そのものも、これまた一つ技術の進歩があるものでございまして、幾つかの経験を踏みますと、全く同じ調べをするのに前は一日かかったけれども今度は半日で済むというような部分が部分的にはございます。そういった意味で、マンパワーといいますか、人日で考えました場合の処理能力というのは当時よりはいささかふえておる、こういうかっこうでございます。  しかし、先ほど先生の御指摘のように、私どもこれでもう十分満足すべき数字と思っておるわけではございませんで、これから先も、もちろん発電所もふえることでございますし、一方、先ほどのような余りべたに出かけてばかりいるというのはちょっとまた非常に大変なことでもございますので、そういった改善も含めまして、今後とも毎年実員なり——安全二課であるかどうかは別でございますが、安全二課自身の配属のメンバーもそうでございますし、それから応援の求め方もそうでございますが、こういったものを充実していきたいと考えておるわけでございます。
  147. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 科学技術庁長官、居眠りされているので聞いておられたのかどうか知らないけれども、お聞きになっておりましたか。いまのでわかったと思うのですね。  まず、基本設計の第一次の安全審査を現在科技庁と原子力委員会がいわば車の両輪のような形でやっている。この体制を通産へ引き継ぐわけなんだけれども、決して人数だけで比較できるものではないと言われるけれども、現在、まず直接の政府職員の人数からいっても、通産へ移ることによって減ってくるわけですね。これは明らかになりました。  それから、原子力委員会相当数の学識経験者の応援を得ているわけでありますが、これは比較にならないくらい大幅に通産へ移行されることによって減ってくる。このことも明らかになりました。そういう点では、どんな抗弁をしてみたところで、この基本設計の第一次安全審査は今度の法改正によって弱体化される、あるいは言葉が悪ければ合理化されて手間が省かれる、こういうことだけは明確だと思うのです。  それだけではない。今度の通産の方の組織がえ、つまり原子力安全課を第一課、第二課に分けられるわけなんです。この結果、従来通産が安全課一本でやっていた詳細設計以降の諸検査、そのうち詳細設計は第一課に移されるのですが、したがって、残る検査の方になりますね。こういう点についても、現在の原子力発電所がこの三年間で倍にもふえているという事態に照らして、専任の検査官はわずかに一名しかふえない。当時でも火の車で必死でやって年間二百日以上の出張だ。こういう事態であったのが一体どういうふうにしてやれるのだろうか、不思議だと思うのです。それに対するいまの説明は、一つはよそからの応援が多くなる。よそから応援を多くとれば、そちらの方、つまり火力になるのか水力になるか知りませんが、そちらの方の体制が弱まるのは決まり切っている。それから、いままで本省でやった仕事を一部地方の通産局に移管していく。これは結局検査の格を落としているということになります。決して検査されている内容が私は悪いとは思いません。しかし、事実重荷が地方通産局へ行くわけでしょう。これは移しかえに過ぎないと思うのですね。  それからもう一つ検査技術の進歩なるものが挙げられました。しかし、ではこの三年間で目立って検査技術の進歩にどういうものがあったのか。これはいずれ今度参考人がおいでになるから、知はそこで一遍聞いてみる重要な宿題になったと思うのです。むしろ最近の事故の発生率等々から目れば、もっと綿密にやる必要があるのではないかというのが国民の期待だろうと思うのです。  そういう点では、結果的に、詳細設計以降の段階についても、今度のこの法改正によって生まれる新体制は、弱体化あるいは合理化といいましょうか、よい意味での合理化じゃなしに、できるだけ手間を省いていくという方の合理化、こういう方向へ行くのじゃないかと思うのです。科技庁長官、こういうふうなことで、そもそもこれの出発点になった安全審査体制をもっと強化しようじゃないか、こういうことにこたえているとお思いになりますか。     〔委員長退席、貝沼委員長代理着席〕
  148. 熊谷太三郎

    ○熊谷国務大臣 なかなかむずかしいお答えをしなければなりませんが、さっきのいろいろなこちらの答弁、それからいまのいろいろな御意見を承っていまして、これだけからそれができるかできないかということを私の立場から判断しろと言われましても、ただいま申し上げたとおりむずかしいと思います。ただしかし、こういう法改正が実現していくということもやはり安全性の推進ということが第一の主眼でありますから、そういういまのいろいろな応酬の内容はとにかくといたしまして、私は必ず安全性をさらに現実に高めていくということに努力していただけるものと思っております。
  149. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 これが最後なんですが、午前中も運輸大臣答弁の中に、通産は通産独自のやり方でやっているのだろう、うちはうちだ、こういうふうな話が一つあって、果たして今後の安全審査について統一的な責任の所在が一体政府にあるのかどうか疑わしい。今度の法改正によって移行する新しい体制と現在の体制と比較して、安全審査が一体強化されたことになるか弱体になったことになるか、この判断をいま一応原子力基本法に基づいて一本で原子炉安全審査を受け持っている科技庁長官ができないということになってくると、これまた新しい体制の移行に伴って政府の責任のある判断は一体だれがすることになるのだろう、こういう疑問が残るのですね。そこにわれわれがこのように許認可権を三分割してしまうことの危険というものを感じているわけです。決して現状がいいと言うのではないけれども、本当に余りにも今度の法改正の出し方が無責任だと思うのです。大臣答弁の必要があればおっしゃっていただいて結構でありますが、私はこれで終わります。
  150. 熊谷太三郎

    ○熊谷国務大臣 いや、判断がむずかしいということを申し上げましたのは、いま、さっきお答えしましたのと瀬崎議員の御発言と両方だけから簡単に判断して表現をするのはむずかしいと申し上げたのでございまして、私は、こういう法が改正になりますと、それに従って通産省なり運輸省なりはそれぞれ万全を尽くして安全が確保できますように努力していただけるものと信じております。
  151. 貝沼次郎

    貝沼委員長代理 次に、日野市朗君。
  152. 日野市朗

    日野委員 午前中時間が途中で切れましたので、それの引き続きの質問になるというふうに御理解をいただきたいと思います。  まず通産省にお伺いしたいと思います。午前中に、本法律案法律として成立した後の機構の構想についてのあらましを伺いました。いろいろ聞き漏らした点もありますので、その点について伺いたいと思います。  現在も設置してあるわけでありますが、原子力発電技術顧問会がございますね。これは通産大臣の個人的な諮問機関というような説明は従来からなされていたわけでありますが、その位置づけは本法律案法律として成立した後にも変更はないものでしょうか。
  153. 武田康

    ○武田政府委員 新体制におきましてもやはり同様に顧問の先生をお願いしたいと思い、かつ拡充したいと思っております。ただ、その位置づけは、現在も通産大臣の諮問機関で省議決定でこういうものを置いているわけでございますが、そういった点につきましては同様に考えております。
  154. 日野市朗

    日野委員 これはいまさら指摘するまでもないところでありますが、従来から、原子炉についてのトラブルがあったりどこかにたとえばクラックであるとかそういったものが発見されたというような場合に、顧問会にいろいろ相談をしてそれに対処してこられたと思うわけであります。ところが、私たち見ておりまして、顧問会というところが余り信用ができないのではないかと実は率直に思っているわけなんでございます。たとえばクラックなんかは、これはノズル部分とはいっても、原子炉本体でありまして、それに対するクラックを、鋼板がかなり厚いのだから多少削り取っても構わぬのだというような結論なんか出しておられるわけなんですが、われわれこれを見てみまして、顧問会というのはかなり開発の推進に熱心な部分であって、非常に安全性に対する配慮に欠けているような感じを率直に言って持っているわけなんですが、これについて通産省がそのとおりです。あなたの考えているとおりだというお答えをなさるはずもなし、できもしないだろうと思うのですが、そういった顧問会の置かれているそもそもの趣旨といいますか、特に安全性という問題についての配慮がどの程度なされて顧問会が置かれているものであろうか、その点私、非常に疑問に思いますので、その点についてのお答えをいただきたいと思います。     〔貝沼委員長代理退席、委員長着席〕
  155. 武田康

    ○武田政府委員 先生指摘のトラブルあるいはノズルのクラックの処理等、顧問会の先生方の考え方といいますか、向いている方向といいますか、これについて御疑念をお持ちのようでございますけれども、顧問会そのものは、実は私ども前々から詳細設計あるいは運転段階につきましての安全確保の責任を持っておるわけでございまして、たとえば事故に対する対処でもあるいはトラブルの処置でもやはりその一環でございますが、そういった判断をいたします場合に、何分原子力というのは専門分野が非常に多数にまたがり、いわばそういういろいろな方面の方々の、あるいはいろいろな方面の知識を持っていなければいけない面もございまして、これが行政部門のみではとても処理し切れない面があるということで、そういう安全に関する問題の判断をするときに、行政部門として迷うようなこと、あるいは学識経験者意見を聞いてみたいと思うようなこと、こういったものにつきまして御意見を伺うということでもともとつくったものでございまして、むしろ安全を確保する、そのための行政部門の判断に誤りがないようにいい御意見を出してもらうというようなことでございます。  それからなお、たとえばノズルのクラックの問題、この処理は、一般論としては何通りかのことがございます。全部取りかえて新しいものに直してしまうというのもあれば、あるいはそこに封印をするわけではございませんが、上に何か覆いをしてしまう。または削ってそれで滑らかな表面にする。何通りかの処理の方法がございまして、そういった中でどれを選ぶか、あるいはどれとどれがいいんだろうかというようなことが実は私どもも迷うところもございまして、あるいはこれでいいかなという一応の判断をいたしておる、そういうことを先生方に御相談したわけでございます。  なお、そういったクラックなり傷なりの処理は、傷の程度にもよりますが、ある程度までのものにつきましては、原子力の分野に限りませんけれども、削り取って表面を適切に処理するというようなプラクチスがいろいろな分野で過去何十年来行われておりまして、したがいまして、この範囲のものであれば安全であるというような判断はある程度行政部門でもできますが、そこは念には念を入れまして、専門家の方々にこういうことでこれだけこう削るのはどうだろうというようなことで伺ったものでございまして、そういう安全とかいうような問題を全く考えずに形式的に伺っているとかいうことでは全くございませんで、安全確保を念には念を入れてというような観点から顧問の先生の御意見を伺い、私どもの判断が間違いないようにしているわけでございます。
  156. 日野市朗

    日野委員 この諮問機関である顧問会、これのメンバー、これはどういうふうにして選任され、何人になっていますか。
  157. 武田康

    ○武田政府委員 現在お願いしています顧問の方の数は二十七人でございます。  それから、どんな方にお願いしているかということでございますが、原子力詳細設計、運転等々を扱うわけでございますので、原子炉工学とかあるいは核熱関係の問題であるとかまたは機械工学であるとか電気工学とかあるいはケミカルの関係だとか、また中に燃料が入っておりますので、燃料の関係とか、それから同時に耐震性の問題等もございますので、そういった関係の方とか、それぞれの分野におきます専門の学識経験をお持ちの方をお願いしているわけでございます。
  158. 日野市朗

    日野委員 従来の例を見ますと、これはまず基本設計についてチェックをする立場にあられた方が、さらにこの諮問機関である顧問会の中にも入っておられたというような例がございましたね。
  159. 武田康

    ○武田政府委員 基本設計意味が、現在の原子力委員会安全審査会のメンバーということでございますと、先生指摘のとおりでございます。
  160. 日野市朗

    日野委員 そういうすぐれた理論上の学識を備えられ、技術的な点にも明るいという方はそんなに人数が多いわけではございませんので、これからもそういった事態というものは起こってくるのじゃなかろうかというふうにも考えられるのですが、いかがでしょう。
  161. 武田康

    ○武田政府委員 各専門分野の学識経験という点だけから考えますと、先生の御指摘のようなこともあり得るわけでございます。ただ、新体制という表現を使わしていただきますが、法律成立して後の新体制におきましては、私どものやるべき仕事は、行政部門としての基本設計安全審査、安全の確認をする。一方別途原子力安全委員会のダブルチェックということになるわけでございますが、その場合には、私どもがお願いするいろいろな先生方、それから安全委員会の方もいろいろ先生方をお願いして安全審査会をおつくりになるやに伺っておりますので、そういった場合にはそのメンバーは、ダブルチェックでございますので、重複しないのが原則だと思います。そして私どもは、その方向でいま細目の検討をしているところでございます。
  162. 日野市朗

    日野委員 まさにいま武田さんのおっしゃったように、これからもしこの運営が顧問会がそのままずっと存続されていくとすれば、原子炉安全専門審査会に入っている方がまた通産省原子力発電技術顧問会に入っているというようなことになると、これは全く八百長になってしまうわけです。ダブルチェックの機能というものは全く果たせないことになってしまうのではなかろうかと思うのです。私は、原則上も例外上もこんなことは本当はあってはいけないだろうというふうに思うのです。それで、私は、省議決定でこの顧問会が置かれているということなんでありますが、安全委員会の中で原子炉安全専門審査会なりまた安全委員そのものなり、そういうところにポストを持たれる方が絶対に顧問会に入らないという基本方針、これをきちんと決めてもらいたいと思うのですが、そういうことができますか。科技庁と通産省と両方から伺いたいと思います。
  163. 牧村信之

    牧村政府委員 メンバーの選定の最終決定は当然新しい安全委員会が決めるわけでございますが、私どもただいま先生が御指摘ございましたようなことで対処したい。いままでの体制は、原子力委員会詳細設計の審査、そういう観点でやっておったわけでございまして、通産省の方は設工認以降とある意味ではダブる方が安全の確保という考え方から妥当な面もあるわけでございますが、今後は行政庁の行う安全審査のダブルチェックを行うということでございますので、先生指摘のように、メンバーがダブるということは避けなければならないことと思っております。
  164. 武田康

    ○武田政府委員 新しい体制は、行政庁における基本設計安全審査安全委員会における行政庁としての審査結果のダブルチェック、こういうことでございますので、その趣旨から、先生指摘のような方向で私どもはいま細目の検討をしているところでございます。
  165. 日野市朗

    日野委員 午前中に通産の方から御説明いただいた新体制の中で原子力発電安全第一課、これは仮称だということですが、そこに統括安全審査官を置かれるということですが、これは具体的にどのような業務を担当するのか、これを詳しく御説明をいただきたいと思います。これは現在科学技術庁にあるのと同じだというような説明がありましたが、何しろきょうの質問は記録に残しておくことが重点でございますので、ひとつ煩をいとわずお話をいただきたいと思います。
  166. 武田康

    ○武田政府委員 統括安全審査官は現在も一人おりまして、これは詳細設計以降の安全審査、私どもがいまやっております安全審査を統括しているわけでございます。  さて、新体制では詳細設計以降もそのままやるわけでございますので、そういったグループが必要でございます。一方、基本設計のグループも必要になります。基本設計のグループは一つでは足りないなと思っておりまして、二つ、三つ考えているわけでございます。そして、そこには安全審査官、専門の能力を持った人たちが五人、六人というようなグループをつくって、たとえば許可申請がございますと、それを耐震的にどうである、それから外部との関係で放射能のレベルがどうである、あるいはこの部分の核熱設計がどうであるというような、いろいろな専門的なチェックをするわけでございますけれども、そういったものをまとめる人というのがグループごとに必要であって、これまたまとめ得る能力を持った人でなければいけないわけでございますが、そういったグループを新体制では四つ考えたい。その四つのグループの長に統括安全審査官というようなタイトルをつけたい、こういうことでございます。
  167. 日野市朗

    日野委員 今度はちょっと運輸省に伺います。  午前中に大臣が来て、何かわかったようなわからないような答弁をいろいろやっていかれたので、それから私いろいろ考えてみまして結局どうもよくわからないのですが、まず一応考えておられるのは当面する問題の処理ということだろうと思うのですけれども原子力船安全対策室というものを考えておられるという御説明がございました。まずこれが何をするのか、そこの点を、これもできるだけ詳しくお願いをしたいと思います。
  168. 謝敷宗登

    謝敷政府委員 今度の法律改正案成立をいたしますと、直ちに原子力船安全対策室をつくるわけでございますが、これは第一には新しい法律に基づきましてまず安全審査に対する政省令等をつくるという仕事が一つ。それから次に、人員養成についての計画的な促進をするというのが二番目の仕事になります。それからさらに、三番目としまして、一応原子力船対応するために、船舶安全法に基づきます検査の基準及び関連いたします手続について改善すべき点があるかどうかについての検討をするという三点になろうかと思います。
  169. 日野市朗

    日野委員 対策室でありますからこれからの問題をいろいろやっていかれるのでしょうが、特に原子炉基本設計についての勉強というのもこれからどのように進めるかというようなことも決まってくるのでありましょうが、その具体的な諸基準等については、これは舶用炉という特殊性から独自の基準を持って開発していく、研究していくという考えもお持ちでしょうか。
  170. 謝敷宗登

    謝敷政府委員 私どもとしましては、「むつ」の計画が検討されておりました時期に、当時の造船技術審議会におきまして各部門ごとに専門委員会を設けまして、かなりの長期間にわたって基準についての検討をいたしまして、現在原子力船特殊規則というのを船舶安全法に基づきまして持っております。これは船舶安全法でございますので、設計から検査までの段階全部についての規定を盛り込んでおる省令でございます。それから、それの詳細につきましては、検査官が準拠すべき検査心得あるいは手続等の内部規定をつくり上げておるわけでございます。したがいまして、法律成立いたしました後におきましては、原子力船について基本設計から行政庁におきます安全審査を行うわけでございますから、これに炉規制法の新しい任務を入れまして、どう改善をすべきかにつきましてはもちろん検討を進めてまいります。その過程で私どもとして一番重要と考えておりますのは、やはり今回の原子力船むつ」の経験が非常に重要だと考えておりまして、この点につきましては従来以上に科学技術庁から情報がスムーズに流れ、それをまた十分検討して、検査の基準なり検査のやり方、審査の基準、審査のやり方に反映をしてまいりたい、こう考えております。
  171. 日野市朗

    日野委員 科学技術庁との連絡というのは非常に重大なんだろうと思うのですが、この法案に対する対処の仕方についても、どうも科学技術庁運輸省との間にきちんとした連絡がなかったのではなかろうかなという感じを実は私非常に強く持っているんです。これからは特に技術問題や何かで非常に太いパイプが科技庁と運輸省との間になくてはいけないのだろうと思うのですが、どうですか、いままでの法案に対処するやり方から見て、船は船だ、研究炉は研究炉だというようなそれぞれの、さっき運輸大臣役所というのはなかなかなわ張り意識の強いところでというようなことを言っておりましたけれども、そういった弊害が現在あるんじゃないのですか、どうでしょう。
  172. 謝敷宗登

    謝敷政府委員 現在の体制を申し上げますと、まず「むつ」の問題につきましては、技術的な総点検、改修につきましては科学技術庁運輸省の両者で検討委員会を設けております。したがいまして、「むつ」に関し技術的な情報の交換あるいは内容のチェック、改修の点検あるいはその他の部分の総点検、これらのものについては両者で一緒に委員会でやっております。したがいまして、両省庁から委員が出ております。その他、学識経験者となっておりますので、ここでは十分——太いパイプでなくて、一体になってやっております。  それから二つ目の方法といたしましては、原子力船事業団につきましては共管でございますので、私どもからも専門家が行っておりますし、科学技術庁からも行っておられまして、実際面におきましても、そこでも十分同一の考え方に立ってやり得るような体制になっておるかと思います。  それから、法律の過程でいろいろございましたのですが、もちろん私どもは同じ政府部内でございますので、法律改正案の当初から関係省庁と十分打ち合わせをしながらやってまいったわけでございますが、ただ、私どもの足らない点があったことにつきましては深くおわびを申し上げたいと思います。
  173. 牧村信之

    牧村政府委員 科学技術庁運輸省関係につきましては、ただいまの謝敷局長から御答弁のとおりでございますが、この法案成立後、安全委員会ができるわけでございますが、安全委員会は、何も科学技術庁の所管を審議するだけのところではございませんで、原子力の安全行政の全般につきまして、各省庁にまたがることを審議するわけでございますので、私ども、その事務局の中心になって運営していくわけでございますが、その安全委員会の場で、十分各省庁との連携、政策の斉一化を図りつつ各省庁がやっていただくようなふうに、安全委員会の審議事項等を十分行っていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  174. 日野市朗

    日野委員 実用原子力船が具体的に問題になってくるまでにはかなりの時間があるだろうということは、これはだれしも異論のないところだと思うのです。そういうことから、恐らく運輸省の方も対応がおくれてきているのではないかとも思うし、午前中、福永大臣が、やればやったでおしかりを受けるというようなことを話していたのも、そのことの裏づけになるのではなかろうかというふうにも思うわけです。  それで、一応運輸省の見通しというようなものを若干聞いておきたいのでありますが、実用原子力船の問題が具体化してくるというのは大体いつごろのことと見ておられるかということについて、まず聞いておきたいというふうに思うわけです。
  175. 謝敷宗登

    謝敷政府委員 従来からも原子力船の利点についてはいろいろ言われておりまして、在来の舶用機関に比べて非常に燃料の積み荷量が少なくて済む、あるいは高馬力が得られる、こういう利点があったわけでございまして、そういう考え方からいたしますと、従来は大型タンカーなり高速のコンテナ船というのが対象になっておったわけでございます。  それで、いつという点につきましては、いろいろな見方があろうかと思います。たとえば、昭和五十年に行われました国際会議でもいろいろな見方が出ておりますが、一九八〇年代の後半には実用原子力船が出てくるのではなかろうか、こういう見方が一般的と考えてよろしいかと思います。ただ、当面を申しますと、御承知のように大型タンカーを中心とした過剰船腹という議論がありまして、ややもしますとそれに目を奪われがちでございますが、私どもとしましては、最近の造船、海運等を考えてみますと、やはり新しい技術によります新しい分野で、他といたずらに競合して造船所をふやすということでない分野への展開ということを、大臣も言っておられますし、私どもも真剣に考えておるわけでして、その意味におきましては、原子力船という問題は、海運なり造船の両方にとりまして、私どもとしては非常に重要と考えております。  出現の時期の点につきましては、見方としては一九八〇年代の後半、どのくらいの時期かということになりますと、現状の過剰船腹の状況等から見て、いろいろ御議論があるところかと考えております。
  176. 日野市朗

    日野委員 実用原子力船必要性ということになると、いろいろな議論があると思うのです。  客観的に見て、いろいろこれはもっと立て直したいという希望は別として、日本の海運界もそれから造船界も、もうかっての栄光というのはないというふうに私は見ていいんじゃないかと思うのです。特に造船業界の現在の不況なんというのは、これは一時的な不況とはとうてい言えないのであって、もはや造船日本ではなくなってきているのではないかと思うのです。これまで後進国と言ってきたところに、もう日本のお客さんというのはどんどん取られてしまって、とても太刀打ちできないような状況になっているわけです。こういう状況の中で、原子力船をどんどん研究開発していく必要というものがどの程度あるかということについては、私は非常に疑問だと言わざるを得ないのですが、どのようにお考えになっておられますか。
  177. 謝敷宗登

    謝敷政府委員 最近の造船の構造不況論につきましてはいろいろ誤解があるようでございますので、御説明をさせていただきたいと思いますが、現在のところ、昭和三十年代の前半から最近に至りますまで世界の第一位、最近の数年間をとりますと五〇%というようなシェアを持っていたわけですが、これがどうして不況という問題、これは構造不況と循環不況の両者だと言われておりますが、問題になってきているかと申し上げますと、単なる技術及びコストの競争力におきましては、まだ黙ってほっておきますと世界一で、かなりのシェアを取りまくるかと思います。この点で、欧州なりその他の国から——やはり国際協調ということで、いろいろな観点から総合的に見ますと、従来のシェアをふやさないという状況関係各国との協調を保っておるというのが一点でございます。  それから第二点としまして、いま先生指摘になりました開発途上国がどんどん船をつくってくるではないかということにつきましては、確かに従前一〇%以下であったものが十数%に上がってきております。ただこれは、一言で御説明をいたしますと、言うなれば自国の造船業を中心とした工業化計画を立てまして、それに補助金なりあるいは自国船の発注ということで出てきておる姿でございまして、国際的にフリーに競争した場合にどうかという点になりますと、これはまだまだの段階ではないかと考えております。  なぜ構造論が出てきておるかといいますと、一つは、そういった国際協調の面からの制約、もう一つは、開発途上国の工業化政策の一環としての造船業の発展を、フリー競争で押しつぶすというようなこともこれはできかねるというようなことで、従来、市場経済主義あるいは自由競争主義でやってまいりました日本の造船業にとっては、一つの構造的な新しい対応をしなければいけない、こういうことでございます。  それから第二点の循環的な不況は、御案内のように、大型のタンカーの過剰船腹が、重量トンで三億トンのうち一億トンというふうなことを言われておりまして、これの解消が循環不況の基本となることは当然でございます。ただ、少なくともこの両三年ぐらいで設備の過剰を処理し、さらに技術的には、日本の造船技術、新しい展開を含めまして可能性が十分ありますし、現実にもあると私ども考えておりますので、そういう意味におきまして、たとえば大型海洋構造物でありますとかあるいは原子力あるいはLNGとか、こういう分野こそ他と協調しながら伸ばしていく分野ではないか、こういうふうに考えております。
  178. 日野市朗

    日野委員 その意気込みは非常によくわかるのですが、ただ、どうでしょう、現在の造船業界や海運業界において原子力船に対する需要、どうしても原子力船が欲しいという熱意というものはもうすでになくなってしまっているんじゃなかろうかというふうに私考えるわけなんです。原子力船については、「むつ」をめぐっていろいろ問題があり過ぎまして、これは政府にもメンツがあるでありましょうし、それからせっかくあそこまでつくった「むつ」の処遇をどうするかというシビアな問題がございますので、そういうことから今度炉の一つのジャンルとしての舶用炉というものを本法律案の中でも盛り込んでおいたというような感じが強いのです。運輸省の方がこの法律案対応するいろいろな体制づくりや何かについても余り熱意がなかったかのように見えるのは、まさにその反映ではないかというような感想を私持つのですが、いかがなんでしょうか。
  179. 謝敷宗登

    謝敷政府委員 海運業界、造船業界は当面非常な不況に入っておるわけでして、そういう意味で新しい意欲というものがかげりがちなことは、先生指摘の面があろうかと思います。舶用炉につきましては、先ほど申しました大型タンカー等が中心になりますので、そういう意味におきまして二重に原子力タンカーについての消極さが出てきているかと思います。  ただ、造船にいたしましても海運にいたしましても、当面の事態の回避のほかに長期的な議論をしていないわけではありませんで、LNG、原子力船も含めまして私としては全くこの分野であきらめておるというふうには感じておりません。これは参考人の方、いろいろな方にお聞きいただいても、決してあきらめ切っておるという事態ではなくて、ただ当面の不況に目を奪われている余り、なかなか積極的な姿勢に出てこれないというのが実態かと考えております。
  180. 日野市朗

    日野委員 これはちょっと酷な質問になりますが、この法案で、舶用炉設置許可についての業務運輸省に押しつけられてむしろ迷惑だというようなお考えなんじゃありませんか。
  181. 謝敷宗登

    謝敷政府委員 この点につきましては、迷惑ということを考えたこともございませんし、先ほども御説明申し上げましたように、外国ではすでに舶用炉開発は終わっている、こう見ていいかと思います。そういう意味におきまして、原子力船事業団におきまして「むつ」の舶用炉を完成していただき、続いて新しい分野として原子力船を期待するわけでございますので、その他の部門をやります従来の船舶安全法と一貫してやるべきだという考え方は、法案の政府部内での検討の過程においても初めから変わっておらないつもりでございます。
  182. 日野市朗

    日野委員 今度は質問が変わりますが、これからは三つに分割されて、原子炉について基本設計段階から安全性チェックを三つの省庁でそれぞれ行われることになるわけでございます。通産にしても運輸にしても、これから一体どういうふうにこのチェックをやっていくかということについては初めての経験になるのではないかというふうに思うわけなんです。  そこで、まず科技庁に伺いたいと思いますが、原子炉の設置、運転等に関する規則によりまして、原子炉の設置の許可の申請を出す。申請があった場合に、申請書には第一条の二に書いてあることがずっと記載してあるわけでございますね。よろしゅうございますか。それでまず、安全性チェックは申請書の記載事項とどのような関係を持って行われるのか。この規則の第一条の二にずっと規定してあることだけでもかなり膨大なものになりますので、これをどのように安全性のチェックをしていくかということ。一概にお答えになるのは非常に大変なことだろうとは思うのですが、おおよそどのようなメカニズムに従って行われていくのかということの御説明をお願いいたします。
  183. 牧村信之

    牧村政府委員 二十三条で設置の許可の場合の申請書の提出を規定しておりますが、原子炉の設置、運転等に関する規則の方で、それの詳細につきまして申請事項を規定しておるわけでございます。それぞれの申請事項につきましてさらに説明書というものを徴取いたしまして、それに基づきまして、現在の私どもの方式でございますと、原子力委員会安全専門審査会事務局が一体になりましてその審査を進めていくのがやり方でございます。
  184. 日野市朗

    日野委員 その審査の進め方なんですが、申請書の記載事項の一つ一つについて、それぞれの基準が定まっていて、それをチェックしていくというような形をとるわけでしょうか。
  185. 牧村信之

    牧村政府委員 細かい点については担当課長から説明させますが、その事項ごとにということではなくて、安全審査会で一つの物差しとして、かねてから御説明申し上げております安全審査に必要な基準なり指針が決められております。その指針なり基準に基づきまして個々の事項について検討を加えていくというふうな態勢で行っておる次第でございます。
  186. 早川正彦

    ○早川説明員 補足して説明さしていただきたいと思います。  局長の方からただいまお話しいたしましたけれども、「許可の基準」というのが規制法の二十四条にございます。これは四項目ございまして、第一点が、平和利用開発利用の計画的遂行等がございまして、第四号に「原子炉施設の位置、構造及び設備が核燃料物質核燃料物質によって汚染された物又は原子炉による災害の防止上支障がないものであること」これが決まっておるわけでございます。これを受けまして具体的に審査をするわけですが、ただいまお話がありましたように、その具体的な適用、考え方、あるいは審査の内容というものは、原子力委員会でいろいろ御検討いただきました審査指針、こういうものにのっとりまして審査をするわけでございますが、一部審査会等におきましてはさらに詳細な内規というものも決めているわけでございます。それから、新しい問題につきましては、審査会がみずからその場でケース・バイ・ケースの御判断もいただくということになっております。
  187. 日野市朗

    日野委員 そういった指針とか基準、これは具体的なものについては原子力委員会などで決めたものでございますね。法によって決まっているもの、これはもちろんございますね。それからさらに細かい点になると、委員会安全審査会ですか、そこらでずっと基準を決めているというふうに伺ってよろしゅうございますか。
  188. 牧村信之

    牧村政府委員 おっしゃるとおりでございます。
  189. 日野市朗

    日野委員 どうなんでしょう、通産とか運輸は、これから基本設計をするに当たってそれらの基準というものが統一性を保たれるものなのかどうかについてですが、科学技術庁、通産、運輸、それぞれが現在持っておられる安全審査指針であるとか基準であるとか・それが統一的に行われるものであるかどうか、科学技術庁の見解、通産の見解、運輸の見解、それぞれ伺います。
  190. 牧村信之

    牧村政府委員 現在の原子力委員会も、先ほど御説明いたしましたように安全の基準あるいは審査の指針、これを決めておるわけでございますが、新しい安全委員会ができましてからも当然それを新しい安全委員会の決定とする必要があるし、新しい技術の進展に対応して審査基準あるいは審査指針を整備していく必要があるわけでございます。このような指針につきましては、当然各省庁もこれにのっとって行政庁の審査が行われる必要があろうかと考えております。したがいまして、安全審査の基本的なあり方にかかわる基準の整備というのは安全委員会のきわめて重要な任務であろうかというふうに考えておる次第でございます。     〔委員長退席、貝沼委員長代理着席〕
  191. 武田康

    ○武田政府委員 ただいまの三省庁で統一性が保たれるかどうかという点でございますが、私どもといたしましては、新体制のもとで、原子力規制法の体系のもとでの安全規制を担当するわけでございまして、その意味先ほどからお話が出ております指針とかあるいは目安とか、こういったものも同じものが使われるというふうに理解をしておりまして、かたがた安全委員会が新設されるわけでございまして、そこのダブルチェックというのがあるわけでございますので、そういった意味も含めまして安全審査の内容といいますか、考え方といいますか、それが各省ばらばらになるということではないと思っております。  ただ、一言だけつけ加えさせていただきますと、現在決めておられます指針とか目安につきましても、たとえば軽水炉の指針とかというようなたぐいの特定の用途に着目したものがございます。私どもが使います実用発電炉と船なり研究炉というものとは機能が違うものもございますので、そういった物が違うために違う部分があるという考え方は出てくるかと思いますが、指針になるべきもの、基準になるべきものにつきましては整合性が保たれるし、また、保たれるようなことを私どもとしても考えていかなければならない、こう思っております。
  192. 謝敷宗登

    謝敷政府委員 新しい原子炉規制法成立いたしますと、三省庁で設置に伴う安全審査を行っていくわけでございますが、この点については基本的に指針の統一をどうするかという点は最初から問題があったところでありまして、その意味で原子力安全局長からお話のありました、原子力安全委員会が統一的な安全指針を出しまして、それに基づいて各省庁が実施いたす、こういうことと考えております。
  193. 日野市朗

    日野委員 これは統一性ということが必要になってくるだろうと思うのですが、私ここで心配するのは、さっき武田さんも指摘されたように、特定の用途によってそれぞれ違ってくることがあり得るだろうというようなお話をなさった。これはまさに私たちそこのところを非常に心配している点なんですが、たとえば発電炉なら発電炉通産省の方ではかなり多くの経験の積み重ね、資料の積み重ねができるわけであります。しかしながら、ややもすればその経験安全委員会の方の経験にならない。また舶用炉なら舶用炉でも同じようなことが言えるのではなかろうかと思って、そこのところを非常に心配するわけなんです。つまり実用発電炉については安全委員会の方がむしろ通産に遠慮をするような事態が出てくるのではないかというようなことを心配するのですが、これは牧村安全局長、どのようにお考えになっておられましょうか。
  194. 牧村信之

    牧村政府委員 行政が行います規制が今回一貫化されることに伴います御指摘のような御懸念であろうかと思うわけでございますが、先ほどから御説明しておりますように、新しく安全委員会が発足するわけでございます。ここの所掌は、原子力規制の政策に関すること、またダブルチェック等規制業務を行うことということで所掌事務が明らかにされており、ここにおきまして行政庁の行う安全審査のダブルチェックをいたすわけでございます。この間におきまして、私どももまた原子力安全委員会も十分新しい進展あるいは原子炉の運転等にかかわります情報も加味して審査を行わなくてはならぬわけでございますので、その辺の御懸念のような点は全くないものと私は考えております。安全委員会権限の中に、関係行政庁が行います規制に関する情報につきましても、関係行政機関から情報を出していただくような規定が特に加えられておるわけでございますので、その御懸念は全く要らないと考えておる次第でございます。
  195. 日野市朗

    日野委員 そういう規定があることはよくわかるわけですが、ただしどの程度通産省や現実に炉を所有する電力会社のようなところがストレートに情報を提供してくるかということについて、私は非常に強い懸念があるわけでございまして、安全委員会の方に立ち入りの検査をすることは一応できるような規定があるように読みましたが、立ち入り検査ももちろんするし、随時報告を求めるというようなかなり強い権限安全委員会に与えておきませんと、通産や運輸が暴走するおそれなしとしないのではないかという懸念を私持ちますので、その意味質問なのであります。
  196. 牧村信之

    牧村政府委員 先ほど答弁の補足を若干させていただきますが、実は現在の原子力委員会のもとにも原子炉技術専門部会というものを持っております。ちょっと名前は不正確かとも思いますが、安全基準であるとか新しい審査の目安をどうしたらいいかというようなことを常設的に議論している部会がございます。     〔貝沼委員長代理退席、委員長着席〕 ここでは、先生ただいまおっしゃられましたような設工認以降の問題、運転上の問題等も持ち寄りまして、いろいろな技術的な議論をしておるわけでございますので、通産省に渡ったからといってその情報が入ってこないということは考えておらない次第でございます。また規制法の総括といたしまして科学技術庁としても必要な検査等につきましても、場合によっては立ち入りが全く不可能ではございませんし、十分その辺は整合性がとれるものと確信しておる次第でございます。
  197. 日野市朗

    日野委員 ぜひともそこのところはきちんと、安全委員会が各省に対してにらみをきかすといいますか、そういうふうにやってもらいたいと思うのです。  あと問題は、特に通産なんかにおいて具体的にももう発生している問題でありますが、それぞれの発電炉を持っている会社がきちんとした報告を上げないというような事態が現実にも起こっているわけでありますね。たとえば美浜の原子力発電所の燃料棒の折損事故というような問題について、これはもう電力会社の方はこれを秘匿していたという非常に不幸な事態、またけしからぬ事態があったわけですが、そういう事態をきちんと掌握して安全委員会の方に伝えるというような体制は通産ではどのように組んでおられますか。
  198. 武田康

    ○武田政府委員 いろいろな現場でのデータ、これは建設から運転までかかるかと思いますが、そういったものにつきましては、私どもいろいろな意味で報告をとっておるわけでございます。  それから今後の新体制におきましては、原子炉等規制法による報告も含めてということになるかと思いますが、そういったもので先生指摘のようないろいろなデータが私ども通産省に上がってまいります。こういったデータにつきましては、実は、重要なものにつきまして従来からも原子力委員会あるいは科学技術庁といろいろ御連絡し、あるいは御報告しというようなことを現実にいたしてきておりまして、これは新体制安全委員会ができ、また行政の担当分野が変わりましても、同様なことを私どもとして続けるつもりでございます。  なお、いろいろな報告のとり方等でございますけれども、これは年とともに私どもも少し知恵が進んできたわけでございますが、法律上の報告はもちろんのこと、微細なトラブルというようなデータにつきましても、これはフィードバックいたしまして、設計段階なり運転なりいろいろな面にはね返らせるわけでございまして、そういう有用性がある。また一方では、何か起こりました現象につきまして明確に分析し、評価し、それからそれを一般の方々にお知らせするということはまた必要なことである。両面から、私どもとしては軽微なものの情報も拾い上げて、吸収し、それからまたそういったものは、その方がいいものにつきましては評価し、公表するし、また現在の原子力委員会あるいは科技庁等々にも御連絡しまたは御報告するというようなことをやってきておりますし、これはまた今後とも一層間違いのないように続けたいと思っておる次第でございます。
  199. 牧村信之

    牧村政府委員 行政庁間のお話はそういうことでございますが、現在の原子力委員会がその問題に対してどう対処しているかをお答えしたいと思うのですが、実は、美浜の問題等も踏まえまして、昭和五十一年に原子力委員会決定をいたしまして、詳細設計以降の重要な問題につきまして行政庁の行った処理方針につきまして、原子力委員会として意見を述べる必要があるということで、その体制を決めたわけでございます。  そこで、安全審査等で特に重要と思われた問題につきましては、通産省等が行います設工認に当たっての、実施したいという方法なりその結果なりをその都度報告し、安全審査会におろしまして、安全審査会で審議するという体制をとったわけでございます。  また、御指摘の故障であるとかトラブル等につきましても、この決定のときに、その問題についても逐次報告するようにということでの指示を決定いたしまして、各省庁に協力していただいておる。したがいまして、こういう事故、トラブル等が起きますと直ちに通産省等から報告がありまして、重要なものにつきましては安全審査会で事故対策等を含めて検討し、通産省の行う対処について了解を与えておるというのが現状の姿でございます。これを、安全委員会ができましてからも当然引き続き実施していくことを考えておる次第でございます。
  200. 日野市朗

    日野委員 特に通産や運輸にお願いをしたいのでありますけれども、軽水炉と先ほど武田さんおっしゃいましたが、特定の用途に供する炉についてはやはりいろいろな経験というものが積み重ねられていく。そうすると、それらの中にはこれは数字的に表現できないものなんかも非常に多いわけでございますね。それで、その基本設計からの安全審査をやるということになりますと、まず安全委員会の方でこういう指針を出している、こういう基準を定めている、だからそこのところをチェックポイントにして、そのチェックポイントに機械的に合致しているからいいんだということで、つまり安全審査が、その基準や指針に合致しているかどうかということだけを事務的に判断するということに限定されてしまわないように、やはり安全性というものは非常に重要に考えなくてはいかぬということで、まさに親身になっての審査といいますか、安全性ということを念頭に置いた真剣な検査をやってもらえるような態度を非常に強く希望したいと思うのですが、いかがでしょうか。
  201. 武田康

    ○武田政府委員 私ども現在の法体系のもとでも詳細設計以下の審査をいたしているわけでございまして、詳細設計はいわば、基本設計段階でこういう考え方である、まあ設計の哲学とでも言いましょうか、それからこういうようなファンクションである——重要な機能でございます。というようなあたり、これを受けてやっているわけでございます。したがいまして、私ども現在やっていますことも、先生のおっしゃった親身になって真剣にやっているということでございますが、さらに新体制に移りますと、根っこの方も私どもがまず第一にやるわけでございますので、これは先生指摘のとおりでございまして、ここにこういう条文が書いてあるのでおざなりにそれに合っていればいいというようなことは決して考えずに、真剣に取り組んでいきたいと思っているわけでございます。  それから、私どもさしずめ軽水炉を担当することになるわけでございますけれども先ほど用途によってと申し上げましたのは、たとえば軽水炉と高速増殖炉では全く違う機能があるので、そういう部分については違ってしまうであろう——考え方は違わないかもしれませんが、ということを、マイナーな点を申し上げたわけでございまして、先ほどの私の御説明がちょっと誤解のもとになったようでございますので、むしろ、もともと原子炉のタイプなり何なりでの機能が違う、役割りが違うという部分は違うんだ、それはあっても仕方がないけれども、統一性、整合性は保たれる、こういう意味でございましたので、補足させていただきます。
  202. 牧村信之

    牧村政府委員 ただいま通産省の方から御説明があったとおりでございますが、原子力委員会が現在決めております基準なり目安というものをもとにして安全審査を行っておるわけでございますが、特に安全審査の指針等を具体的に審査に応用いたしますときに、私どもの受け取りでは、こういう基準があるが、ここのところだけ通っておればということで審査が進むものではございませんで、物によりましては、設計の概念からそれを理論的に解析したりすることも必要でございまして、申請者からその基礎設計に使ったそういう理論的な解析をとってそれをチェックする、また、必要があれば審査会は独自に必要な数値を入れて別の、たとえば私どもでは現在やっておりますのは、原子力研究所等にお願いいたしまして再計算をさせる、そういうような評価もするようなことを決めておるわけでございまして、決して形式的な基準を決めておるということではございませんので、十分審査の万全は保ち得ると思いますし、もし仮に形式的な審査を行政庁が行ったといたしますと、安全委員会に参りましてダブルチェックするときに、重点事項につきましてはいままでと同じようなチェックもするわけでございますので、当然そこで通らないというケースが出てくるわけでございますので、行政庁がそのようなことで手を抜くというようなことはあり得ないと私ども考えておる次第でございます。
  203. 謝敷宗登

    謝敷政府委員 私どもが担当いたします舶用炉につきましては、一般的には原子炉安全性に関して、先ほど申し上げました統一安全指針というものに準拠するわけでございますが、舶用炉として、遮蔽の問題あるいは動揺、振動、傾斜等の問題がございます。これらにつきましては、従来から「むつ」の炉によりまして、原子力委員会の専門安全審査会で十分御審査をしていただいておりますし、また「むつ」の放射線漏れにつきましても、内容につきましては私どもの専門委員会の方から十分報告をしてございまして、舶用炉の特性につきましても、新しくできます原子力安全委員会で十分その点につきましての重要な指針についてはいただけるものと考えておりますし、私ども自身でも、その点については従来の審査あるいは検査を通じての技術を蓄積しておりますので、これらの点につきましては、十分統一安全指針に盛られた重要な指針にのっとりまして、基本設計詳細設計等の段階におきましても、安全についての検査については、先生指摘のような姿勢でやってまいりたい、こう考えております。
  204. 日野市朗

    日野委員 私は非常に心配するのは、通産にしても運輸にしても、ちゃんと安全委員会が出した指針のとおりでございます。基準のとおりでございますと言って、ダブルチェックを受けるために安全委員会に出す。そうすると、安全委員会も、ああ指針が守られているな、基準が守られているな、はいそれではオーケー、こういうような形になったのではダブルチェックなどというものは意味がないと思いますので、そういう点について非常に強い懸念を持っている。特にこれからエネルギー不足の大合唱がさらに強まって、もっとどんどん実用炉をつくらなくちゃいかぬということになって、そこらの審査が形式に流れるおそれがあるのじゃないかということについては非常に強い懸念の意を表しておきたいと思います。この点についてはどんなに心配しても心配し尽くすということはないのであって、そこらを万全の体制、万全のモラルで臨む必要があるだろうと思いますので、そこのところを指摘して、次の質問をいたしたいと思います。  現在、原子力行政では、基本法にちゃんと公開の原則が載っているわけですね。それで、公開ということは、特に日本においては非常に重要な意味がある。それから、公開の原則が守られていないではないかという不信感が、現在の原子炉の立地なんかについても大きく、やはり住民感情なんかを逆なでしているというような事態が現実に存在するわけなんですが、これから安全委員会というようなものをつくってダブルチェックをするというような際に、原子力安全委員会は一体いま何をやっているかというようなことを広く国民に知らしめる、こういうことは公開の原則からいって非常に重要なことだと思いますが、これについてはどのような手段、方法を考えておいでになりますか。
  205. 牧村信之

    牧村政府委員 新しい安全委員会がいろいろな重要事項につきまして審議し、決定するような際、そういうようなものにつきましては、その際、適時にもちろん公表されていくべき事柄だと考えております。しかしながら、現在も原子力委員会が行っておりますが、委員会月報というのをつくっておりますが、私ども事務局のいまの考え方といたしましては、当然安全委員会委員会月報というようなものを考えてまいりたい。安全委員会がその期間行いました重要な決定をそこに収録する、あるいは安全委員会業務の動きというものを含めたものにいたしていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  206. 日野市朗

    日野委員 いま月報の話が出ておりますが、現在はどうなんでしょう、原子力委員会のいろいろな基準を新しく決めるとか、それからいろいろな勧告なんかも行っているような例もあったかと思いますが、そういうことはすべて月報に収録されて公表されているということでしょうか。
  207. 牧村信之

    牧村政府委員 少なくとも原子力委員会が決定した事項につきましては「原子力委員会月報」に報告されております。私ども安全委員会ができたときの月報は、たとえば、ただいまもお話がございましたけれども、基準等が定められれば当然そういうものも含まれるでございましょうし、原子炉の運転の状況と申しますか、環境モニタリングの結果であるとか、場合によりましてはトラブル等の集計したもの、そういうものも含めて安全委員会月報を考えていきたい。もちろん、この安全委員会月報をつくるということの決定は新しい委員会が決定することでございますが、事務局としてはそのようなことを現在考え、検討を加えておるところでございます。
  208. 日野市朗

    日野委員 この委員会論議でも、いろいろ公開の問題について非常に強く、従来の原子力行政は公開の原則において不十分だったのではなかろうかという見方があり、また不信感もいろいろ表明されてきたように私は思うのですが、そうしますと、今度は事務当局としては安全委員会月報というようなものをつくって、これは細大漏らさずということは不可能でありますが、その中のエッセンスともいうべきものはその中に収録してこれを公表するということになると思いますが、その予算的措置なんかはできておりますか。
  209. 牧村信之

    牧村政府委員 私どもは、原子力基本法のもとに安全委員会ができるわけでございまして、基本法の中に先生おっしゃいます成果の公開というようなものも入っており、それを逸脱するようなことはゆめ考えたことはないわけでございますが、今後も万全を期してまいりたいと思います。  なお、月報についての予算措置につきましては、原子力安全委員会全体で、本年度予算でございますが、二億を予定しております。これは前年度の七千八百万円に比べて大幅な増額でございます。この中に安全委員会の月報を含めまして予算措置がとられています。月報の予算は約六百万確保しております。
  210. 日野市朗

    日野委員 ずいぶんいろいろのことについて伺いましたので、きょうはこの程度にいたしたいと思います。
  211. 岡本富夫

    岡本委員長 次に、石野久男君。
  212. 石野久男

    石野委員 通産大臣にお尋ねいたしますが、原子力基本法改正に伴って炉の認可権を、従来総理が一括して持っておった一部分が大臣のところにまた所轄になることになりますが、原子力問題は他の産業部門とは別個な形で基本法規制を受けて、重要な安全性の問題等についての規定がございます。大臣のところへ今度は認可権、許可権というものが行くに当たって、これは非常に初歩的な質問になって失礼になるかもしれませんけれども大臣原子力基本法というものをどういうふうに受けとめておられるかというその所感をまず最初に聞かしていただきたいと思います。
  213. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 原子力平和利用を進めていきます上におきまして、私どもが一番大事だと考えておりますことは、一つ安全性の確保ということでございます。一つは環境の保全、さらに立地問題につきましては住民と十分な話し合いをして、完全な合意を得ていく。以上、三点が一番のキーポイントではないか、このように理解いたしております。
  214. 石野久男

    石野委員 原子力基本法は、言うまでもなく核が軍事利用されないことを強く要求しておりますし、そういう要請に基づいて平和利用するに当たっては三原則というものを規定して、それを義務づけるということになっているわけです。それの中からいま大臣の言われるような問題が出てくる、こう思うのですが、この三原則の問題というのは、言うことは非常に簡単ですけれども、実際にやるについてはむずかしい問題だと思います。     〔委員長退席、小沢(一)委員長代理着席〕 特に通産省が従来原子力に対してかかわってきた問題点から見ますると、なかなか自主、民主、公開というこの問題の実施というのが特に通産の場合ではむずかしいように受けとめられる面がございました。大臣がその所掌の仕事の内容からくるこういう問題点をどのようにして克服し、そしてこの三原則に即応するような体制に持っていくかということを私たちは率直に申しますと非常に心配するわけです。そういう点について大臣が確固とした方針を持っていないと、私たちとしてもちょっと原子力問題についての行政上の不安を感じるので、大臣、その点についてひとつ所見を聞いておきたいと思います。
  215. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 原子力政策の基本につきましては、原子力基本法の第一条に目的が明記してありまして、私どもは常にその基本的な考え方に立って物事を判断をしておるわけでございます。
  216. 石野久男

    石野委員 今度法の改正によって、従来許可権というものが総理にあったやつを通産大臣が一部持つわけになりますから、そういう問題が原子力基本法第一条の規定に基づいていわゆる軍事利用にならないように、あるいは平和利用の側面できちっと抑えられるようにということについて、今度は運輸、通産、科学技術庁という三省庁に分割されるということになりますると、一般的に見ますると、どうもやはりその間に差が出てきて、これを原子力基本法の方向で一元的に抑えていくということは非常にむずかしくなりはせぬだろうかというふうに私たちは懸念いたします。そういう点について大臣は、そんな懸念はないんだというふうにお考えであるとするならば、それはどういうふうにしてそういう懸念をなくするという考え方を持ってそういうふうな考え方になられるかということをひとつ聞かせていただきたい。
  217. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 そういう御質問の趣旨を体しまして、基本的には原子力基本法精神にのっとるわけでございますが、安全性の問題、環境保全の問題、住民との対話、こういう点について十分な配慮を払っていきたい、こういうことを申し上げたわけでございます。また、その方針を強力に進めでいきますために、通産省におきましてもある程度の機構の改革を行っていきたいと考えております。
  218. 石野久男

    石野委員 今度の法案改正によりますと、少なくともこういうような三元的になったものを、原子力安全委員会というものをつくることによってダブルチェックする、こういう体制になっているわけです。それに伴って機構の改正をする決意であるといまお話がありました。当然そうしてもらわなくちゃならないわけですけれども、その機構の改正というものをどの程度になさるお考えでございますか。少なくとも、従来原子力委員会が持っていたそういう体制にまで一応の機構、体制というものを持っていかなくちゃいけないだろう、人員もまたそれに相当するように整備しなければならないだろうと思いますが、そういうような決意でおられるのかどうか。
  219. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 もうすでに一部実行に移したものもございますし、これからやっていこうとしておるものもございまして、具体的な詳細につきましては、政府委員から答弁をさせます。
  220. 大永勇作

    ○大永政府委員 通産省におきましては、昨年の七月から原子力発電安全課を新設いたしておりますが、今回の法改正に伴いまして、安全規制をさらに強化するために、安全担当課をさらに一課増設するということにいたしておりまして、予算でも認められておるところでございます。同時に、従来一名でございました統括安全審査官三名を含めまして十六名を増員するということで、一層安全規制に万全を期したいと存じます。これによりまして原子炉安全関係人員は、電気工作物の検査を含めまして百六十五名になる予定でございます。
  221. 石野久男

    石野委員 機構を整備し、人員をいろいろそれに見合うようにしていくに当たっても、実は、通産省の受け持つのは実用炉の関係になるわけでございます。そうしますると、炉はいろいろの型もありますし、特に軽水炉なり高速増殖炉あるいは新型転換炉、それぞれ同じ炉でありましても技術的には違った要請が出てくると思います。したがって、そういう側面における人員整備に当たっては、もう原子力委員会とか安全委員会とかあるいはまた科学技術庁だとかいうようなものに仕事をゆだねないで、全部自分で処理をするという構えでなければならないと思いますけれども、そういう構想で整備をなさいますかどうですか。
  222. 大永勇作

    ○大永政府委員 通産省検査関係につきましては、すでに年間約百七十件の工事計画認可の審査、それから年間約六百件の検査をやっておりまして、かなり経験を積んでおるわけでございますが、先生指摘のように新しい炉も出てまいりますので、その人材養成、訓練ということはきわめて大事なことだと思います。これに関しましては、科学技術庁で実施しておられます原子力留学の制度あるいは原研でやっております原子炉研修、アイソトープ研修、さらには放射線医学総合研究所でやっております放射線防護課程の研修等々の研修に積極的に参加いたしまして、新しい技術対応する人材養成に引き続き努めてまいりたい、こういう覚悟でございます。
  223. 石野久男

    石野委員 この法律改正されますると、当面当然のこととして、そういう仕事を通産省独自でやらなくちゃならなくなりますが、それに対応するだけの人員はもう整備できる見通しがございますか。それともこの法律改正された後、その種の問題でたとえば科学技術庁等にまだお願いしたり協力を求めなくちゃならないような情勢なのであろうかどうか、そういう点について……。
  224. 大永勇作

    ○大永政府委員 先ほど申し上げました定員の増加及び機構の拡充につきましては、予算措置はすでにとられておりまして、この法律改正が実施に移されますと同時に、これが働き得るという形にする所存でございます。
  225. 石野久男

    石野委員 私は、今度この法律改正が行われた後、人員整備等については、従来皆さんが予想した以上にその整備の内容充実のための努力をしなければいけないだろうと思うのです。同時にまた、予算措置もそれに伴わなければいけないだろうと思います。  時間がありませんから私は細かくは言いませんけれども、現在通産省原子炉の問題について予定しておる予算だけでは、とてもとても十分であるとは私は思わないのです。したがって、この法律ができると、当然直ちにその整備に当たるべき予算の編成がなされなければいけないだろう。この法案の意図するものが、最終的にはダブルチェックなんですから、ここでやったものを再度こちらでやるという形になってまいります。したがって、従来原子力委員会がやっておったものそのものを皆さんがやらなければいけないわけです。それだけの予算措置人員整備が必要になってくる。その構えがないままにこの法案をわれわれが通したら、そこに必ず実施面における欠落事故が出てくるわけです。そういうものがあるかどうかということについてわれわれはやはり不安を感じるわけなんです。ですから、これは大臣にお尋ねしますけれども、従前のまだ法改正のないままに予算を組んでおったもので充足するという考え方は余りにも安易であり過ぎるし、私はそれで納得できないのです。それでいいとは思っていません。だから、法が改正されれば、それに改めてそういう予算措置が伴わなければならないと思うのです。それに必要とする人員計画なりあるいは予算の計画というものがもしあるとするならば出してもらいたいし、ないならば、それは明確にひとつ後でも示してもらう必要があると思いますが、大臣はそういうことについて積極的に体制づくりをするという用意があるか、またどういう決意でおられるか。
  226. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 この法律改正は前からお願いをしておりまして、もし法律改正が実現をいたしましたら、通産省におきましてやらなければならぬ仕事はどういうものかということにつきまして、十分私どもも理解をしておりました。そういうことから、先ほど次長が申し上げましたように、人の面、予算の面でいろいろ必要な対策をとってきたわけでありますが、御心配のございますように、もし万が一、何か人が足らないというようなことにでもなればこれは大事なことでございますから、直ちに必要な措置を講じます。
  227. 石野久男

    石野委員 これは機構の分割というだけの問題じゃなくて、安全性の問題は原子力について最大の課題として論議されておるし、特に本法改正の動機になったのが原子力船むつ」の事故です。その事故に伴って、行政懇が総理の諮問を受けていろいろ審議をした結果、どうも基本設計詳細設計との一貫性を欠いておったからということで、従来一元的に処理されていたものを今度は各省に分割して一貫性を確立する、こういう方針を出されたわけです。  われわれはそれに非常に疑問を持っておるのですけれども、とにかくその一貫性を確立するということになりますと、体制としては一つのものが三つに分かれるのですから、素朴な考え方として三倍の機構なり人員を要するであろうということになるわけです。大臣はいま、かねてから予定しておったからと言うけれども、実際に予算面にはそういう予定しておったようなものは出ていませんよ。ですから、やはりこの改正を行えば、当然のこととしてそういう予算措置なり人員措置をすべきであると私は思います。これは積極的にやっていただきたい、こう思うのです。  そこで、私がいま一つ大臣にお尋ねしておきたいことは、たとえばすでに例のあります。美浜の一号炉で燃料棒の折損事故がございまして、そして今日まだ運転再開ができないような事態にあることは御承知のとおりです。ここで問題になりました点は、要するに事故があったことが隠蔽されていた、隠されていたということ、そして、それを通産省の定期検査のときに見つけ出すことができなかったという問題があるわけなんですね。この種の問題は、定期検査官のミスだと言うだけでは済まされないような内容を持っていると思います。従来はこういう問題について、原子力委員会とそれから通産省との間の双方の兼ね合いでそれを見るという体制がありましたけれども、今度は通産省は独自で基本設計から詳細設計まで一貫的に見ることになるわけですから、もしこういうようなことが将来何回か出てくるということになると、かえって通産省にそういう権限を持たしていくということが非常に心配になってくるのですね、国民の側からすれば。そういう問題について大臣はどういうように補完し、不安感を除くという体制をとるか。これは行政上の問題であるか、管理監督の精神の問題であるかは別としまして、もっとはっきりした責任体制というものを確立しないと、国民の側からすれば非常にこれは心配だ、安全性安全性と言うけれども、こんなことではどうなるんだというような不安を持ちますが、こういう問題について、大臣はどういうふうに対処しようとしておられるか、大臣の所見を伺っておきたい。
  228. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 今度の法律改正通産省に与えられました権限と責任というものは、私は非常に重いと思うのです。これからはエネルギー政策の一つの大きな柱が原子力政策でございますが、これがうまくいくかいかないかということは、一にかかって通産省対応にあると私どもは痛感をいたしております。したがいまして、いまお話がございましたようなそういうことに対しましては、とにかく批判を仰がないように、通産省として十分よくやっておるという評価をいただくような方向で行政措置をとってまいりたいと考えておりますが、その具体的な進め方につきましては、政府委員から答弁をさせます。
  229. 武田康

    ○武田政府委員 先ほど指摘の美浜の点につきましては、当時におきまして、私ども燃料についての検査を立ち会い項目としていなかったというような経緯から、その時点において知ることができず、かつ、会社からも報告がなかった事例でございます。まことに残念なケースであり、会社に対しては厳重に注意し、また必要な措置をとらせたところでございます。その経験にもかんがみ、またそれ以外の点につきましても、微細なことといえども報告を受け、それを評価し、また一般の方にお知らせするというような措置を、それ以前から本とり出しておりましたが、さらに美浜の問題を契機にいたしましてより一層その方向で努力をしているところでございますし、また一方、安全委員会との関係等につきましても、私ども通産省として情報を持っていてそれをそのままにしているのではなくて、重要なことについてはそういう関係のところに御報告しあるいは御相談するというような措置をこの二、三年来とり出して、それがさらに充実しているところでございます。先ほど大臣からも申し上げたわけでございますが、安全審査の第一歩、基本設計段階通産省の行政責任でやらなければいけないというのが、この法の改正の趣旨でございますので、その点につきましては私ども責任重大でございます。これを大臣お話のとおり、通産省はよくやっているというようなことで御評価いただけるようにすべく、私ども努力したいと思っておるところでございます。
  230. 石野久男

    石野委員 皆さんの努力次第だということですけれども、いろいろ努力はなさっておりましても、こういう非常に初歩的で、とにかくそんなことがあったんじゃどうにもならぬじゃないかというようなことが現実に出てきちゃったという経験を持っておりますので、特にそれが通産の場合、われわれはどう考えても、通産大臣考え方なんかから見ましても、どうも安全性よりも開発の方が優先だ、最近は雇用の問題を原子力で解決しようというような大臣考え方もあるようでございますが、私はそういうようなことで、もしこの基本法改正があなた方の所管の問題として処理されたら、これは大変なことになっちゃうだろうという心配を実はしております。  原子力船むつ」の事故によってわれわれが教えられたことは、行政上からいって開発優先であってはいけないんだ、安全確保第一というのが教訓だったと思うのです。そういうような意味で私たちはこの基本法改正というものを見ますると、どうもやはり開発優先の方向へ改正の趣旨が行っているのじゃないかという疑問を持たざるを得ない。そうならないためにも、ひとつ過去の経験にかんがみて、もう少し責任体制というものを業務運営の中ではっきりさせるという目安がなければならぬだろう、こう思うのです。だから、基準が与えられたというだけじゃなくして、監督業務の上における責任の問題というものをどこかではっきりさせるということがありませんと、特に私は通産の場合は疑問を持たざるを得ない。そういう点について大臣は何か感じているようなことございませんか。
  231. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 通産省が安全の確保よりも開発を急いでおる、そういう懸念がある、こういうお話でございますが、現時点で、そのようなことではなかなか原子力平和利用というものは進んでいかない、原子力発電というものは進んでいかないと私は思います。やはり安全の確保、それから環境の整備、地元の方々の完全な理解、これがありませんと、とても開発などは進むものではない。だから、むしろ開発を進めようと思えば、この基本に立ちまして、急がば回れということわざもございますが、むしろそういう考え方に立って進めていくことの方が、より開発が進むのではないか、こういう考え方でございますから、そういう点を十分心して進めてまいりたいと思います。  なお、責任体制を明確にすべきではないかというお話でございますが、これはごもっともお話でございますので、責任体制だけは明確にするような方向で指導します。
  232. 石野久男

    石野委員 原子力問題、特に平和利用の問題では、安全性の問題が非常に大切であるということを、特に大臣がこの席で申し述べられたことについては、私は同感です。しかしまた、開発を非常に急がれており、特に景気問題と関連して、大臣が原発の問題に非常に力を入れておるということが、ややもすると開発を優先させる考え方に基づいておるのではないかという誤解も持ちます。私は現にそう思っているのです。いや、そうでないんだという大臣のただいまの御答弁は、率直に申しまして、非常に高く私は評価いたします。  そこで、安全性を確立するということについて、ダブルチェックの問題がございますが、ダブルチェックの問題は、幾つかの意味がありますけれども、持に今度の改正法案の上からいきますると、従来、総理のもとに一括許可権を持っておったものを、三省庁分割という形にしておるという、このことについての安全性の帰一性をダブルチェックで求めておるのだ、そこで確保するのだ、こういうことであろう、私はこういうように思うのですが、大臣はその点についてはどういうふうにお考えになりますか。
  233. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 いま繰り返しお述べになっておりますように、今度の法改正の中心はやはりダブルチェックだと私も考えております。  そこで、繰り返すようですけれども、やはり安全性の確認ということを一番の基本、中心に置きまして、すべての政策を進めていかないと、実際は何もかもおくれてしまう。これは過去の経験だと思います。でありますから、その点は十分心して進めてまいります。
  234. 石野久男

    石野委員 大臣にお尋ねしたいのですが、実は、安全性の確認という問題で、こういう法の改正が行われて、原子力委員会原子力委員会原子力安全委員会というふうに二つに分かれます。原子力安全委員会の持つ任務というものは非常に大きいと思いまするし、またダブルチェックはここで確認をされることにもなるのだ、こう思います。  そこで、私は、原子力安全委員会というものがダブルチェックをするということについての整合性をそこで確認し、その権威を確立するという意味からいたしますと、原子力安全委員会というものは、総理の諮問機関であるいわゆる国家行政組織法の八条機関というものよりも、三条機関としての位置づけを持った方がよろしいのではないか、こう思います。大臣は、この点についてどういうふうにお考えになっていらっしゃるか、御所見を承りたいと思います。
  235. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 行政委員会、いわゆる三条機関とすべきかどうかにつきましては、原子力行政懇談会でも検討をされまして、その結果、現在出されております法案の形にまとまったと私どもは承知しておりますが、通産省といたしましても、原子力安全委員会のみが行政機関として安全審査を行うよりは、行政庁が行った安全審査のダブルチェックを行う方がより慎重、かつ客観的な安全規制が行われると考えております。  また、原子力安全委員会は、行政委員会、いわゆる三条機関ではないものの、御承知のとおり、意見の尊重義務等、通常の諮問委員会より強い権能を有することになっているところでありますが、さらに運用の面におきまして、原子力安全委員会に十分意見を伺う等、実用発電用原子炉の安全規制に万全を期してまいりたいと存じます。
  236. 石野久男

    石野委員 それは大臣、形式の答弁になるのですが、私どもが率直に言って、原子力安全性を確保しようという意味におけるダブルチェックは、行政庁がやったものをダブルチェックすればいいんだということであるならば、むしろ行政庁に権威を持たすというのであるならば、実を言うと余り権威もないような安全委員会を持ったって別段意味がないのじゃないかというふうに考えるのです。安全委員会がダブルチェックの任務を持つということは、少なくとも行政庁がやったものに対して、やはり勧告をするという力がなければだめなんですよね。したがって、勧告をするということの意味は、力があるということでなければいけない。国家行政組織法に基づくところの力の関係からしますると、どうも総理の諮問機関というだけでは、事実上、力にはならない。もう総理に耳打ちをするだけにすぎなくなるわけですよ。やはり皆さんに対する強制力といいますか、規制力というものはどうしても小さくなってまいります。同時にまた、行政庁としても聞きおく程度にすぎなくなってしまうだろうと思う。  それをどういうふうにして補強するかという問題は、われわれとしても非常に苦慮するところなんです。ずいぶんいろいろ考えて相談をしまして、法案の修正とかなんかということも考えたりするけれども、結論としては、八条委員会は八条委員会なんですよね。意見の尊重とかなんとか言ってみたところで、八条委員会は八条委員会なんです。そういうようなことでは、やはりどうも安全性に対するわれわれの確信というものは導き出すことはできないんですよ。しかし、受けとめる方が、もし八条委員会意見を三条委員会が出したと同じように受けとめるという体制がどこかにあれば、また別ですよ。そういう体制というものを別に法律の上で保障されるわけでも何でもありません。行政面でそれをどういうふうに受けとめるのか、その姿勢が皆さんの方にあるのかということを私どもとしては聞いておかないと、ちょっと意見の尊重ぐらいでは納得できないのですが、あなた方の方で、その意見の尊重ということについてどういうふうに受けとめ、どういうふうにそれを具体化するという腹構えなり受け入れ態勢があるのですか、その辺をちょっと聞かしてもらいたい。
  237. 大永勇作

    ○大永政府委員 ただいま大臣から答弁がございましたように、この原子力安全委員会につきましては、通常の諮問委員会よりも意見の尊重義務があるという点で強い権能を持っているわけでございますが、われわれ通産省といたしましては、この意見の尊重というのは非常に重い尊重であるというふうに考えております。現在におきましても、原子力委員会も諮問機関でございますけれども、実際問題といたしまして、原子力委員会を通らないで原子炉設置の認可が行われるということはとうていあり得ないわけでございまして、そういう意味では単に尊重義務と書いてございますが、これは非常に重要な規定であるし、またわれわれは非常に重いものとして受けとめておるということでございますし具体的には設置許可段階はもちろんのことといたしまして、設置許可の際に安全委員会に報告をし、検討すべきものとされたような事項につきましては、その都度安全委員会の御意見を承る、また不幸にして事故がありましたならば、それの処理方針につきましても安全委員会の御意見を承る、しかもこれは非常に重い意味を込めまして、十分尊重するということでまいりたいということでございます。
  238. 石野久男

    石野委員 非常に重い意味ということの意味は、原子力安全委員会があなた方に意見を言い、勧告をする、そういうふうなことについて意見があった場合には、その意見を聞く、守る、こういうふうに受けとめてよろしいかどうか、そこのところはっきりさせてください。
  239. 大永勇作

    ○大永政府委員 意見を守るということでございます。
  240. 小沢一郎

    ○小沢(一)委員長代理 関連質問を許します。日野市朗君。
  241. 日野市朗

    日野委員 先ほど大臣原子力平和利用に当たっての姿勢を述べられた。その中には安全性ということを非常に重要視するということが入っているわけでございます。私もその姿勢については非常に高く評価したいと思うわけでありますが、ややもすれば通産省というのは業界側であるというふうに見られがちであります。不幸にして業界側であったというようなことが結果的に明らかになった事実も過去においてはあるわけだ。つまりオイルショックのときの石油業界との癒着というような問題なんかもわれわれ目の当たりにしているわけでありますが、今度のこの基本法改正を、ややもすれば電力業界が歓迎しているというようなことも仄聞することがあるわけであります。私はここらで通産省と電気事業を営む人たちとの間に癒着があったのでは、これは大変だと実は思っているわけであります。  そこで通産省の基本的な姿勢を伺いたいのですが、もしこの安全委員会等の勧告とか、そういったものを電力業界が受け入れない、またそれに背くというような事態が起きた場合、通産大臣としてはどのような措置を講ぜられるか、原子炉をストップするというような強い措置まで含めて考えておられるかどうか、伺いたいと思います。
  242. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 安全委員会との関係につきましては、いま政府委員が答弁したとおりでございまして、この意見は守っていく、こういう考え方でございますから、その基本方針に沿って電力業界を指導をいたします。
  243. 日野市朗

    日野委員 指導するという内容はさまざまあり得るわけでありますが、現在も原子炉がストップしているというような事例がございます。それほどの強い姿勢をもってこれから電力業界に臨んでいくというお約束をここでひとつとりたいのですが、どうでしょう。
  244. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 そういう方針で指導いたします。
  245. 日野市朗

    日野委員 もう一つ原子力発電所の立地等において住民の意向を大事にするということも、先ほど大臣おっしゃられたわけでありますが、現在多くの立地問題での悩みがあるようであります。そういった現地の反対をしている人たちとの間で、通産省なんかもその話し合いの機会を持つ、または電力業界にもそのような話し合いを積極的に勧めるような御意向をお持ちかどうか。
  246. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 第一義的には電力会社が地元の住民の方々と話し合いをする、そして理解を得るというのが筋道でありますが、しかしそれだけではなかなか話が進まない、こういう場合には通産省自身が場合によっては乗り出して、そして背景について説明をする、そういうこともやらなければいかぬと考えております。
  247. 日野市朗

    日野委員 電力会社なんかにも話し合いを積極的に進めるように指導するというお考えもおありですね。
  248. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 これはやはり話し合いをしませんと問題は解決しませんから、これまでも話し合いで進めておったわけでございますが、しかしこの話し合いが不十分である、そういうところからなかなか問題が進展しないという場合も往々にしてありますから、もっとしっかりした話し合いを進めていく、こういうことが必要だと思いますし、時と場合によっては通産省はそれをバックアップする、そうして住民の皆さん方の御理解を得る、こういうことも必要だと考えまして、いまその方向で進めておるところでございます。
  249. 日野市朗

    日野委員 最後に一点ですが、現実には電力会社と反対派住民と言われる人々との間には話し合いの機会なんかないのですよ。むしろ住民の方が話し合いたいという希望を出しても、その面会すら拒絶するというのが現在の電力会社の状況であります。こういう状況を解消して話し合いの方向に進めるということは、これはお約束いただけるでしょうか。
  250. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 常識上とてもお話し合いをすべき相手ではないという場合もあるかもわかりませんね。でありますから、普通考えまして当然話し合いをしなければならぬという人たちとはやはり話し合いを避けてはいかぬ、私はこう思います。
  251. 日野市朗

    日野委員 最後に、これは要望になりますが、話し合いをすべきではないなどという人たちというのは現実に存在しないのであって、むしろ電力会社あたりの非常に固陋な態度が、そういうふうに反対派住民と言われる人たちの態度を変えていっているという点は十分に認識してもらいたい、このことを最後に要望いたしまして私の発言を終わります。
  252. 小沢一郎

    ○小沢(一)委員長代理 石野君の質疑は終了いたしました。  次に、貝沼次郎君。
  253. 貝沼次郎

    貝沼委員 通産大臣にお尋ねいたします。  先ほどから行政委員会の話、それから尊重義務の話が出ておりまして、私はくどくどダブったことを申し上げようとは思いませんが、本来私どもも行政委員会を主張してまいりました。したがってその答弁は必要ありませんけれども、今回、諮問委員会ではあるが、しかし内容的にかなり行政委員会に近いものであるということだろうと思うのですね。先ほど、尊重するということは守るということであるというふうな明確な答弁がありましたので、私はその言葉が決してうそにならないようにしていただきたい、こう思っております。  そこで大臣にお伺いいたしますが、原子力の発電を進めていこうとするならば、やはりどうしてもパブリックアクセプタンスというものが非常に大事になってくると思うわけであります。そこで、いかに官庁当局が一生懸命説明をしてもなかなか理解が得られない、これは一体どういうところに起因するとお考えですか。
  254. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 私は電力会社もとにかく一生懸命やられたと思いますし、役所もとにかく一生懸命やったと思うのです。ただしかし、一生懸命やったがそれで果たして十分であったかどうか、これはまた話が別だと思いますので、一生懸命やると同時に十分な内容の話し合いをする、そういうことが必要だと考えます。
  255. 貝沼次郎

    貝沼委員 私はいままでも話し合いはしてきたと思うのですね。ところがそれがなかなかうまくいかない。そこで一つには今回の基本法改正という問題が出てきたと思うのですね。単なる説明だけでなく、手続あるいは行政の体制、こういったことが国民の側から見て納得のいくようなものでなければならないということが大きなポイントではないか、こういうふうに考えておるわけであります。したがってそういう面から、たとえば公開ヒヤリングとか、こういったことが行われるようになるだろうと思うわけでありますが、この点についていかがでしょう。
  256. 大永勇作

    ○大永政府委員 原子炉の設置をする場合には公開ヒヤリングの実施をするということが先般の行政懇の方針として決まっておるわけでございます。これは先生指摘のように、国民あるいは住民との意思疎通を図り、住民の方々の理解と協力を得るための有力な方策であろうというふうに考えております。現在の原子力基本法の一部改正成立いたしました場合には、速やかに公開ヒヤリングを開催し得るよう、公聴会の事例等につきましても十分現在検討を進めておるという状況でございます。
  257. 貝沼次郎

    貝沼委員 ついででありますから、その公開ヒヤリングのやり方、だれが聞きだれが答えるのか、この辺のところを具体的にお願いいたします。
  258. 武田康

    ○武田政府委員 御意見の中の原子力行政懇におきます公開ヒヤリングは二段階あります。第一段階は、現在の電源開発調整審議会の議にかける前という段階でございまして、第二段階は、行政庁における安全審査がほぼ完了したというか、安全委員会に御意見を伺うというような段階でございます。  第一段階のものが私どもの担当になるわけでございます。第一段階はいわば発電用の原子炉についてでございますが、通産省が主催者でございまして、場所としてはできるだけ地元、これは知事等の御協力がなければいけませんが、地元の場所で、そして内容的には原子力発電所の設置に伴う諸問題ということで、その中には環境問題等々あるいは安全の問題等もいろいろ出てくるかと思いますが、そういった諸問題でございまして、集まっていただく方々あるいは意見を述べていただく方々は、いわば地元の関係者とでもいうような方々、それから説明するのはその原子力発電所を設置したいという電力会社で、しかし御意見の内容なり何なりの内容次第では、たとえば行政官庁がお答えしなければいけない部分等もあるかとも思いますので、通産省のみならず関係の行政機関の方あるいは地方公共団体の方に御発言いただくようなこともあろうかというようなことで考えております。  いわば、一方交通的なしゃべりっ放しということではございませんで、対話形式というようなことを頭に描いているわけでございます。そしてそこで出ましたいろいろな御意見は、通産省自身が処理すべき案件の範囲内であるものにつきましては、私ども通産省の許認可あるいは審査等々に有用な御意見はそれで反映させるし、他の所管庁に関係する部分につきましてはお取り次ぎするなりそこに参加していただくなり、こんなようなことを頭に描きまして、いま細目をいろいろ詰めておるところでございます。
  259. 貝沼次郎

    貝沼委員 いま地元の関係の方々という話がありましたが、これは、たとえば地元で推薦する学者であるとか専門的にお互いの話の通じる人も含まれておりますか。
  260. 武田康

    ○武田政府委員 先ほど申し上げましたようなことで、いま具体的な検討が進行中でございます。一方、行政懇談会の御意見の中に、公開ヒヤリングとともに公開シンポジウムというような御提言もございます。むしろ公開シンポジウムの方が、いま先生から学識経験者の方というお話でございましたので、そういう方々にいろいろ御意見を出していただき御議論をいただくには、あるいはその方が適切なのかなという感覚もございます。しかし、公開ヒヤリングの第二段階、それからいまの公開シンポジウム等は、科技庁中心といいますか、あるいは安全委員会かもしれませんが、そういうようなことで、私どもももちろん関与いたしますけれども通産省のみで判断する問題ではございません。しかし、それらもひっくるめましてお互いにいまそれぞれの部署ごとに細目の検討が進行しているところでございます。
  261. 貝沼次郎

    貝沼委員 大臣にお尋ねいたします。  いま日本の原子力発電は各駅停車みたいにとまっておるわけですね。稼働率が低いということが非常に問題になっております。これはいま直接には通産省になるわけでありますが、なぜこんなに低いのでしょうか、この点についてお尋ねいたします。
  262. 武田康

    ○武田政府委員 先生指摘のように、現在の原子力発電所の稼働率は、昭和五十二年度実績で、時間稼働率で四六%台、それから設備稼働率で四一%台でございまして、低い要因は、毎年定期点検をいたしておりますが、定期点検の過程で手直しをすべきもろもろの場所が発見され、そして一つの手直しに二カ月、三カ月、一カ所だけではないケースもございますので、長いものにつきましては一年かかってしまうというケースもございまして、もちろん発電所によっては非常に順調に運転しているのもございますが、発電所によりましては一割以下の稼働率もございました。そういうようなことで手直しにずいぶん時間がかかっているというのが一番大きな要因であろうかと思います。
  263. 貝沼次郎

    貝沼委員 何といったって稼働率が上がらなければ、原子力発電に対する信頼というものはなかなかできないと思うのです。私も実際現場の方へ行きまして、なぜこんなに定期検査が長いのかいろいろ聞いてみました。そうすると、うそか本当か知りませんが、通産省の方から点検に来ていろいろやるのだけれども、むしろ現場の技術者の方が知識が上であって、通産省の技官の方にレクチュアしてからやらなければならない、それでずいぶん時間がかかるのだという話がありました。私はこういうことはあってはならないと思いますし、またそのための通産省人材の育成ということは非常に大事な問題だろうと思うわけです。したがって、原子力委員会の所掌事務の七にも「研究者及び技術者の養成訓練」ということが出ておりますけれども、両方の関係においてどこが責任を持ってそういう人材の育成をやるのか、通産省通産省で独自にやるのか、この辺を一点承っておきたい。  時間がありませんので、まとめてもう一点だけ伺っておきますが、原子力安全委員会と企業機密との関係ですね。安全委員会がいろいろなものを要求する、その場合に企業機密とぶつかってしまうと果たしてどうなるのかということです。この辺の考え方はどう考えたらいいのか。  もう一点は、実用炉については通産省だというふうに二十三条で決まっておりますけれども、実用炉というのはどういうものを言うのか、この点についてわかりません。政令で定めるようでありますけれども、要するにどういう条件を満たしたものが通産省の所管になるのか。  この三点について御意見を伺って終わりといたします。
  264. 武田康

    ○武田政府委員 検査関係の第一点でございますけれども、私ども検査官が現場に行きまして立ち会いをし、チェックをいたすわけでございます。技術といってももろもろの中身がございまして、たとえば製造技術、運転技術といった点につきましてはもちろん現場の人の方がよく知っている点がたくさんございます。しかし検査というのはあるチェックポイントを定めましてチェックし、評価するということでございまして、これもまた一種特殊な技術でございます。そういう点で私どもは十分な能力を持ち、資格を持つ検査官を養成しているわけでございます。かたがたその検査官は原子力発電所の建設から運転あるいは設計等につきましての勉強ももちろんいたしております。しかし、特定の現場の特定の部分につきましてもちろん検査官よりも能力のある方が現場にたくさんおられるわけでございまして、そういう方々からお話を伺うことは当然あり得ることかと思いますし、またお話を伺って評価することが必要なケースもございます。ただ先生から御指摘のように、検査官の能力が低いがために時間が余分にかかっているというような非難なり誤解なりのないように私ども努めなければならないと思い、一生懸命に人材養成はしているわけでございます。  それから、人材養成通産省通産省として努力いたしておりますが、これはいわば仕事をすることによるトレーニングそれ自身もございます。一方では、先ほども話題になったことでございますが、たとえば科学技術庁あるいは原子力委員会で留学制度をおつくりになり、あるいはだれでも——だれでもと言うとおかしいのですが、ほかの私どもも参加できるような研修制度等一般的な制度もおつくりになっていらっしゃいます。そういったものはできるだけ利用させていただくというようなこともいたしておりますし、一方、海外の情報も含めまして、いろいろなデータを集め、読むというような自分自身の勉強もして努力しているところでございます。  なお、各関係のところみんなそれぞれなりに、あるいは他の部分を使う場合もございますが、人材養成に努めているかと思います。  先生質問の第二点、安全委員会と企業機密、第三点、二十三条における実用炉と研究炉の区分につきましては、むしろ科学技術庁から御答弁いただくのが適切かと思います。
  265. 牧村信之

    牧村政府委員 安全審査等に使います企業機密の点につきましては、当然原子力技術というものは非常に先進的なものでございますし、また、現在建設されております軽水炉というものは相当の部分が国産化されておるとはいえ、外国からの技術導入によるものもあるわけでございます。このような技術の中に企業秘密があることは事実でございます。これらのものをすべて公開することはきわめてむずかしいことであると考えておりますけれども安全審査等に使います企業秘密については、私どもの立場としては、安全に対する国民の納得を得るということが非常に重要でございますので、可能なものはできる限り出していただくというふうなことで産業界を指導してまいりたいと考えております。  それから、実用段階研究開発段階原子炉の区分でございますけれども、この区分の仕方につきましては、研究開発段階にあるかあるいは実用段階かということを政令で決めるわけでございますが、これを決めます場合にあらかじめ原子力委員会並びに安全委員会意見を聞いて政令で定めるというのが今回の改正の規定になっております。  私どもといたしましては、研究開発段階にある原子炉とは、技術的あるいは経済的な性能を実験あるいは実証をしようとしている段階原子炉研究開発段階であるというふうなことで判断すべきではなかろうかというふうに現在考えております。  また、実用炉ということでございますが、たとえば軽水型原子炉で現在すでに電力会社等が建設しておる原子炉でございますが、実用の事業の用に供されており、世界的にもそれが認められておる、また経済的であるというふうな認定がされるものを考えておりまして、軽水炉並びにそれの改良型あるいは標準化をしたような原子炉については実用炉であるというふうに考えておる次第でございます。
  266. 小沢一郎

    ○小沢(一)委員長代理 貝沼君の質疑は終了いたしました。  次に、瀬崎博義君。
  267. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 通産大臣に伺います。  今回の原子力行政改革の発端というのは原子力船むつ」の放射線漏れ事故にあったわけであります。ところが、これまでの審議で、「むつ」に縁の深い肝心の運輸省の方は今回の法改正の受けざらについてはもともと新たな準備を何も持っていなかった。もっと言えば、構想すら当初の段階はなかった。この一週間、二転、三転したわけであります。これに引きかえて、通産省の方の準備はきわめてよろしいし、対応はきわめて早いわけです。この違いはどこから出てきたのかということに対して、午前、運輸大臣は重大な発言をした。つまり、通産は通産のお考えでやっているんだ、運輸は運輸なんだ。原子炉安全審査について政府の一貫した責任を打ち立てなければならないというところからもともと出発した行政改革の法改正でありながら、その法改正そのものについて政府の首尾一貫した方針がないことがくしくも表面化してきたわけですね。そうなった以上は、初心に返ってもう一遍検討し直すべき事態に遭遇している、こう私は思っているわけです。  そこで、通産の対応がそのように運輸とは本当に対照的に素早いわけですね。これは通産としてはまさにわが意を得たり、かねがねそういうことを期待しておった、そういうことのあらわれと理解してよろしいか。
  268. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 これはいまお話がございましたように「むつ」の問題からスタートいたしまして、原子力行政懇談会を有沢先生を座長にいたしまして、長い間、三十四回も開きまして、ようやくまとまり、国会でも数回にわたって御審議をいただいておる、こういうことでありますし、それから原子力発電、原子力平和利用を進めるということは、エネルギー政策の最大の柱だと思うのです。でありますから、通産省が常に準備をしておる、これはもう当然のことであると私は思います。
  269. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 では、その際通産省は、これによって今後原子力発電の立地あるいは原子力開発が推進しやすくなったというふうに理解をしているのか、むしろこの法改正を機会に安全審査の方をより充実させるべきだと考えているのか、どちらですか。
  270. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 原子力発電、原子力平和利用を本当に強力に推進していこうということのためには、先ほども申し上げましたように安全性の確保という点でしっかりした対応策を打ち出していきませんと、これは現実問題として進まないわけであります。でありますから、くどいようでありますけれども、急がば回れという言葉を使いまして、安全性の確保ということこそ原子力平和利用を進める最大の前提条件である、こういうことを申し上げたわけでございます。
  271. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 これもさきの通産省事務当局との質疑応答の中で、あるいはこの前の理事懇談会の通産当局の説明で明らかになったことですが、いままでは原子炉基本設計の第一次安全審査原子力委員会科学技術庁が車の両輪としてやってきた、その仕事は通産省が今度受け継ぐ、こういうことですね。問題はその新しくできるであろう通産省のいま考えられている体制であります。現在行政機関としては科技庁の安全局規制課が四十人で担当しておる。今度の基本設計安全審査の通産移行によって二十人減った。つまりいままで二十人で担当しておった。ところが通産が新しくつくる安全第一課の基本設計担当は十七人だ。結局ここでも従来より三人減員ということです。  次に、現在安全審査実務原子力委員会自身も行っているわけです。その法定の安全専門審査会には三十人おりまして、そのうち学識経験者が二十八人を占めているとのことであります。ではこれに該当する通産省体制はどうなるのかと聞けば、新たに基本設計安全審査を受け持つので技術顧問を十八人ふやしたいということです。ここでも明確にダウンしているわけです。  さらに、原子力委員会には政令によって専門委員百二十人を置けることになる。現に置かれていて、これが安全審査を補佐しているのですが、補佐している専門委員の数は大体三十人であろう、こういう科技庁の説明です。ところが、これに当たるような通産での新しい制度、体制考えられていない。  こういうことで、現在科技庁と原子力委員会が共同でやっている基本設計安全審査に比べれば、これからやろうと計画されている通産省安全審査は明らかに人数的にも大幅に縮小される。これでいけば期間が長引くか手間を省くかどっちかしかないと私は思うのです。  さらにもう一つ重大なことは、詳細設計以降は従来も通産がやっておった。これが今度の法改正後充実されるのか、それとも縮小になるのか、この点なんですが、この点については、詳細設計は現在の十三人がそのまま十三人担当、こういう話である、これは一課の方でやる、二課がいわゆる使用前検査であるとか定期検査であるとか、保安規定の審査であるとか、事故調査に当たる。この人員は主として電気工作物検査官がやるわけであるけれども、これは十三名でやるというのですね。たまたま三年前、ちょうど昭和五十年に本委員会で私がこの問題を尋ねたときの担当検査官は十二名だと言った、一名しかふえない。当時八基の原子力発電所を受け持つのに、必死でやって一年のうち二百日以上出張の必要があると、当時のたしか高橋原子力発電課長が答えているのです。議事録にもある。現在どうしてやれるのか。こういうことを私は率直に質問して大変だと言っているわけですね。  だから、結局基本設計段階詳細設計以後の段階もすべて通産省へ移管されることによってこれまでよりはわれわれから言わせれば非常に弱体化なんです。通産省の方から言わせれば合理化と言うかもしれませんが、こういうことは大臣としても率直にお認めになりますね。
  272. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 今度の法律改正通産省のしなければならない役割りというものは非常に大きくなっております。つきましては、それに対応するために機構の整備人員整備をいろいろやっておるわけでございますが、現在十分な対応策を考えておるわけでありますけれども、もう一回その内容につきまして政府委員から答弁をさせます。
  273. 武田康

    ○武田政府委員 第一段階安全審査につきましては、科学技術庁から十三名の定員の移しかえをいたすことになっております。それが現在科学技術庁において実用発電炉につきまして安全審査を担当しているメンバーと伺っておりますので、私どもといたしましてはそれにさらに二、三人加わって安全一課で処理するということでございます。そして一方、検査の方につきましては、確かに安全課プロパーの検査官の数は余りふえておりませんが、別途ほかから応援する、あるいは通産局に一応当時やっていた仕事をやってもらうというようなことによりまして、新体制に移りましても十分な審査、検査ができるというふうに確信を持っております。  ただこれから先発電所もふえてまいることでございますし、それから突発のことも起こるかと思います。そういった場合にはさらに今後これだけでもう十分ということではございませんで、毎年その充実を図っていく必要はあろうかと思っております。
  274. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 それはもう論議済みであって、数字のトリックであって、現に科技庁の方の規制課の人数が二十人減ることは事実なんですね。これは当面安全審査に当たる人とその事務整理等に当たる人もいるわけなんですから、そういうふうな現実をきちっと踏まえて体制というものを検討すべきだと思うのですね。  「むつ」の数訓としては一つの大きな柱は開発規制は分離すること、これがあったわけですよ。ところが今回の法改正は逆に実用発電炉についてはその第一次の安全審査、つまり規制開発通産省へ集中された、同じような形で実用舶用炉と称するものは運輸省に集中される、こういうことでは事志と大きく違ってしまっているわけですね。  そこで、せめてダブルチェックだけでも一貫させるべきではないか、こういう野党側の、全部ではありませんがきつい主張があって原子力安全委員会は行政委員会にすべきである、こういうことであったわけですね。   一応そこで大臣にお聞きしておきたいのですが、ダブルチェックは基本設計から詳細設計、それから着工の認可、定期検査等々全部に及んだ方がよいというお考えをお持ちですか、それとも、これはそもそも基本設計だけでよいものだ、こういうお考えですか。
  275. 大永勇作

    ○大永政府委員 先生御承知のように、基本設計段階では全部チェックを受けます。それから基本設計段階でこれこれの事項は安全委員会のチェックを受けるべしという指定を受けたものは審査を受けるという形でやっていきたいと存じております。
  276. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 私は、これは非常に高度の政治問題にしてきたわけです。現在そういう野党側の主張に対して、自民党の方から許容し得る修正限界として報告徴収権というものをこの安全委員会に付与する、これで代替する、こういうことなんですね。そこで大臣に聞いているわけなんです。そのことによって、ではすべての各段階について必ず通産省安全委員会のチェックを受ける、こういうふうにここで確約できますか。
  277. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 安全委員会から注文を受けましたものに対しては、すべてその手続をとるつもりでございます。
  278. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 それじゃ私、伺いますが、現在原子炉等規制法においては、確かに詳細設計以降の原子力委員会安全審査は適用除外しておるわけですね。そこで、そこまでの気持ちがあるなら電気事業法の方で詳細設計以降も必ず原子力安全委員会意見を聞かなければならない、それを尊重しなければならない、こういう項目を入れればきちっと制度化されるわけですね。この件について内閣法制局に確認を取ったのでありますが、第三部の高橋参事官は、政策がそのように決定されれば立法作業は可能である、こう回答しておるわけです。大臣、そういうふうな御意思がありますか、ありませんか。
  279. 大永勇作

    ○大永政府委員 ただいま大臣からも御答弁申し上げましたように、基本設計段階安全委員会からかくかくしかじかのものは安全委員会のチェックを受けるべしという指定を受けました項目につきましてはもちろん安全委員会の審査を受けるわけでございますが、工認の段階というのは先生も御承知かと思いますが、非常に微に入り細をうがったものでございまして、その全部につきまして安全委員会の審査を必ず受けるという形は現実的ではないというふうに考えております。
  280. 小沢一郎

    ○小沢(一)委員長代理 瀬崎君、時間ですのでまとめてください。
  281. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 これは最後なんですが、だから私は大臣答弁をしてほしい、こう言っているわけですね。何も微に入り細をとか、そんなことを聞いたのではなくて、原子力安全委員会に指定されたものについてダブルチェックを受けるというぐらいなら、これは通産省が所管している法律があるわけですね。電気事業法、ここでそのことを明確にすればいやでもおうでも安全委員会のチェックは通産省が主体的に受けざるを得なくなるわけですね。こういうことをやる意思があるかどうかということを大臣に聞いているわけなんです。
  282. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 どの範囲の検査、どの範囲の設計というふうなことはきわめて専門的な知識を必要とするものでございますから、そこで政府委員から先ほど答弁したとおりでございます。
  283. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 どの範囲かは別にして、一定のチェックは受ける意思があるということを政府委員は答弁しているわけですね。だから、それを電気事業法の中へ明記してはどうか、こういう私の提案について大臣はいかがですか、こう聞いているわけです。
  284. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 それは先ほど答弁をしておりますように、安全委員会から要請を受ければ、それは全部ダブルチェックを受けるようにいたします。
  285. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 やる意思がないというふうに承りました。  終わります。
  286. 小沢一郎

    ○小沢(一)委員長代理 瀬崎君の質疑は終了いたしました。     —————————————
  287. 小沢一郎

    ○小沢(一)委員長代理 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本案審査のため、来る十九日、参考人の出頭を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  288. 小沢一郎

    ○小沢(一)委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  次回は、明十三日木曜日、午前十時理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時九分散会