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1978-02-15 第84回国会 衆議院 運輸委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年二月十五日(水曜日)     午前十時三分開議  出席委員    委員長 増岡 博之君    理事 石井  一君 理事 浜田 幸一君    理事 坂本 恭一君 理事 渡辺 芳男君    理事 石田幸四郎君 理事 河村  勝君       足立 篤郎君    北川 石松君       佐藤 文生君    関谷 勝嗣君       田澤 吉郎君    西村 英一君       藤本 孝雄君    古屋  亨君       堀内 光雄君    久保 三郎君       佐野  進君    斉藤 正男君       田畑政一郎君    草野  威君       宮井 泰良君    薮仲 義彦君       米沢  隆君    小林 政子君       中馬 弘毅君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 福永 健司君  出席政府委員         運輸大臣官房審         議官      真島  健君         運輸省海運局長 後藤 茂也君         運輸省船舶局長 謝敷 宗登君         運輸省船員局長 高橋 英雄君         運輸省鉄道監督         局長      住田 正二君         運輸省自動車局         長       中村 四郎君         運輸省自動車局         整備部長    犬丸 令門君         運輸省航空局長 高橋 寿夫君         海上保安庁長官 薗村 泰彦君         気象庁長官   有住 直介君  委員外出席者         環境庁水質保全         局企画課長   神戸 芳郎君         労働省職業安定         局雇用政策課長 白井晋太郎君         日本国有鉄道総         裁       高木 文雄君         日本国有鉄道常         務理事     田口 通夫君         日本国有鉄道常         務理事     篠原  治君         日本国有鉄道常         務理事     橘高 弘昌君         参  考  人         (新東京国際空         港公団総裁)  大塚  茂君         参  考  人         (新東京国際空         港公団理事)  角坂 仁忠君         運輸委員会調査         室長      鎌瀬 正己君     ————————————— 委員の異動 二月十四日  辞任         補欠選任   宮井 泰良君     矢野 絢也君 同日  辞任         補欠選任   矢野 絢也君     宮井 泰良君     ————————————— 二月十三日  地下鉄の建設費補助率引き上げ等に関する請願  (石田幸四郎紹介)(第九二三号)  同(上田卓三紹介)(第九二四号)  地方生活路線バスに対する補助強化に関する請  願(伊東正義紹介)(第一一三七号)  地方陸上交通事業維持整備法案等成立促進に  関する請願伊東正義紹介)(第一一三八  号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  陸運海運航空及び日本国有鉄道経営に関  する件等運輸行政基本施策)      ————◇—————
  2. 増岡博之

    増岡委員長 これより会議を開きます。  陸運海運航空及び日本国有鉄道経営に関する件等について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本日、航空に関する件について、新東京国際空港公団総裁大塚茂君及び理事角坂仁忠君の両君を参考人として出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 増岡博之

    増岡委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  4. 増岡博之

    増岡委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。久保三郎君。
  5. 久保三郎

    久保(三)委員 私は、日本社会党を代表して、先般行われました運輸大臣所信表明について若干の質問を申し上げたいと思うのです。  まず一つは、航空に関する問題であります。成田国際空港についてでありますが、すでに政府は三月三十日開港ということで決定をしております。しかし、現在の成田実態を見ますると、三月三十日までに開港するための諸般準備というか、そういうものが必ずしも十分に行われていないばかりか、まだめどのつかないものもあるようにわれわれは思う。また、開港してみなければわからぬものも幾つかあるわけであります。  そういう点からいくならば、先般来からたびたび政府にわが党といたしましても申し入れをしたように、一切の手続を含めて諸般準備ができないままに見切り発車というか、三月三十日の開港だけは断行するというようなことは避けるべきである、そのためには、これまで手おくれになっている、あるいは手がつかぬ問題について極力詰めを行うべきであるという申し入れをしているわけでありますが、その後の状況を見ますると、開港を急ぐことはいろいろやっているようでありますが、どうもその問題点詰めが必ずしも順調というか、精いっぱいやっているとは認められない節があります。  特に問題なのは、騒音問題一つとりましても、騒音コンターは五十一年に告示されているわけでありますが、その後の実験飛行等によりましても、このコンターの告示は変更せねばならぬということになっていると思うのです。ところが、そういう手続もしないままに、あるいは関係者にもそれに対する態度というか考え方も示していないようでありまして、その辺にやはり問題がある。あるいは空港へのアクセスの問題でも、かなり問題が残ったままであって、三十日までにできるという見通しはないと思うのであります。  そういう点考えましても問題があるので、この詰めをどうやって急いでいくべきかということを、政府としてあるいは公団としてどんなふうに考えているのか、これが一つであります。  もう一つは、先般もB滑走路のわきに建てられた鉄塔撤去の問題があります。これは成田空港一つの象徴的な問題だと思うのです。反対派政府並びに公団というか空港設置者との間にいま残っているものは、力の対決ということに尽きるのではないかと思うのです。もともと十一年前から、問題の一つは、十分な話し合いというかコンセンサスを得ないままにやってきた。もう一つは、当面の責任者責任をとらぬままに対策後手後手になってきたということで、それはいまだに完全に直っていない。そういうところに、感情的にも住民の反感を買う種をことさらにまいてきたと思うのであります。そうしてこの際、向こうが力でやるならば、こちらも力でということでやってまいりました。  この第二要塞というかB滑走路鉄塔撤去の問題についても、いろいろ法律的にも問題があるようでありますが、いずれにしても、法的な問題は別としましても、力と力の対決のまま三月三十日を迎えてあえて開港を強行することは、国民としても納得のいかないところであろう。また、将来にわたって不安を残したまま開港することは、航空機輸送の使命からいっても、とるべき筋ではないと思うのです。  そこで、一つ提案をいたします。いまになってこの提案は大変遅いかもしらぬが、しかしながら、これはやるべきだと私は考えている。と申し上げますのは、地元反対責任者政府責任者である運輸大臣並びに総理あるいは公団総裁、こういう者が、話の成否にかかわらず、合いを早急に持っていくべきではないかと思うのであります。いろいろな見方もあると思うのでありますが、しかしながら、一つ手順としてだけでも踏む必要があると私は思う。そうでなければ、問題は解決の糸口を一つも見つけないまま、あるいは努力しないまま強行することになりまして、政治姿勢としてもまずい、あるいは権力者としての姿勢でもまずいと思うので、この提案に対して運輸大臣並びに公団総裁はどう思うかであります。時間もありませんから、成田については後でまた細かい話を申し上げます。  二番目には、日米航空協定の問題であります。  これは不平等協定であるということで、あるいは最近の航空輸送実態からいって、いろいろな問題があって、改定交渉難航難航を重ねております。運輸大臣承知のように、日米航空協定はアメリカの占領時代におけるところの、言うならば遺物にすぎないと思うのであります。言うならば、これを下敷きにして協定はつくられた。占領という権力者のもとにおいてつくられた協定でありまして、もともとつくり出しが不平等であるというふうにわれわれは考えているのです。  そういうことから考えますと、この際、現行日米航空協定白紙に還元する、白紙に還元して改めて交渉をやって新しい協定をつくるということが先決ではないかというふうに思うのであります。いまの協定の手直し、あるいはそれぞれの要求の出し直し、こういうものでは未来永劫にこの問題は片づかぬと思うし、国民的な感情からいっても、日米航空協定は破棄して新しい交渉に移るべきだと思うのでありますが、この点はどうでありますか。  それから三番目には、日本航空株式会社の問題であります。これは昨年の交通安全特別委員会で、ハイジャックあるいはクアラルンプール事故の後、航空局長にも要求しておきました。それは、日本航空経営体質というか経営体制について査察をする必要があるという提案でありまして、航空局長はこれを引き受けたが、その査察の結果はどうなったのかであります。  それからもう一つは、最近、クアラルンプール事故関係した調査で、これがボイスレコーダーからいくと機長ミスであるというふうにとらえる新聞記事が出ている。あるいはそうかもしれません。しかし、昨年の交通安全特別委員会でも申し上げたように、クアラルンプール空港に入る場合のいわゆる最低降下高度、こういうものをよその国は安全度を高めるために引き上げた。ところが、日本航空は従来の二百三十四メートルを二百二十五メートルに下げたということになっているのでありますが、それは現在はどういうふうに措置されているか、この三点についてお伺いをするわけであります。
  6. 福永健司

    福永国務大臣 まず、成田空港の三月三十日開港についていろいろ御心配をいただき、数次にわたる御鞭撻等もいただきまして恐縮に存じます。この分では危ないからちょっと延ばしたらどうかというようなお話等もございましたが、私どもは、いずれにしても、ベストを尽くして、すでに決定をいたしました三月三十日開港の運びとなるように努力しなければならぬということは、強く意識しておるわけでございます。  お話しのような余裕を持った行き方でということになれば、幾らか楽にはなるということでございましょうが、私どもがそういう心構えで臨んでいってはいけない、是が非でもという決意で努力しなければならぬ、こういうように考えておる次第でございます。いずれにしても、若干時間のある間にお言葉に甘えて少し延ばしたらというような気持ちでは私たちはおりません、徹頭徹尾ベストを尽くしたい、こういう考えでいるわけでございます。しかし、それはそれとして、いろいろ御注意をいただいた点は念頭に置いて対処しなければならない、こういうように思います。  力の対決という様相が強く目に映るが、これはいいことではないというお話、私もそのとおりに存じます。力の対決でなくて心と心が触れ合うということの必要は、お話しのとおりであると思うわけでございます。  その点に関して、地元責任者と話し合ってはどうかというお話でございますが、この点につきましては、従来の経緯等もあり、しかし、考え方によっては、従来の経緯だけにとらわれておってはならぬという御注意等も一部含まれているわけでございますが、私どもといたしまして、総理大臣や私やその他何人かが、先ほど御提言のあったような地元責任者と会ってみてはどうかというようなことにつきましては、ありがたい御提言でもございますので、私は私なりに検討をさせてみていただきたいと思います。  しかしこれとても、よほど気をつけてやりませんと、そんなことをやるからおくれたじゃないかといっていろいろおしかりを受けるようなことになってもならないし、総合的にその辺を判断してまいりたいと思います。なおこの上とも御助言等をいただければ幸いである、こういうように思います。  いずれにしても、その種の不安をできるだけ取り去って、すでに決めました日時に間に合わせるようにという努力を、この上とも一生懸命にやらなければならぬと思います。  二番目の、日米航空協定に関する問題につきましては、実は私も、いまでは講和会議国会代表として出席しました国会における生き残りのただ一人の人間になりました。そういう立場からいたしまして、数年前に私、ある用事があってシカゴに参りましたときにも、そういう方面の相当な存在である二、三の人にも会いましたときに、私は私なりの考え方を言ったのであります。ということは、日本はこっちから飛んでいる飛行機シカゴに着陸することはできないというようなことになっておりますが、向こうの方はよほど事情が違うようでありますので、その実例を挙げて私は私なりの考え方を言ったのであります。当時もとより運輸行政に直接関係する立場ではございませんでしたが、そういうことを申しましたゆえんのものは、ただいま久保さん御指摘のようなことが私にも一部頭にございました。  そういうことであったわけでございますが、いまこの協定をどうするかという、言うなれば非常に重要なタイミングのときにまいりまして、まず破棄しておいて、それからやり直すようなことでなければいかぬじゃないかというお話でございますが、果たしてそれがいいかどうか。御心配をいただいておりますように、現在のままでいろいろ交渉している程度ではらちが明かぬじゃないかという点も、御説は御説としてよく承って総合的に判断をしてまいりたいと思います。私といたしますと、ぜひ何とかわが方に納得のいくようなことをと考えますと同時に、余り手荒なことで、これをここで破棄して改めてというようなことはいかがであろうかというようにも考える次等でございます。  これらの点については、専門家の諸君からもその立場においての答弁をさせることにいたします。  第三番目の日本航空株式会社経営等について、査察等について、すでに言ってあるが、もっとこれをしっかりやってはどうかという御説の点でございますが、これまたありがたく私、拝聴いたしておったわけでございます。すでにある程度のことは行われているようでございますが、なお、お言葉の趣旨を体してまいりたいと思います。  これにつきまして、安全度を高める観点からどうするかというような点につきましては、私、必ずしも専門的知識を持ちませんので、専門家からこういう点に触れての答弁を申し上げたいと存じます。  とりあえず私の所見を申し上げて答弁といたします。
  7. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 大臣答弁につきまして、日本航空に対する安全総点検の問題、それからクアラルンプール事故に関する問題について若干補足させていただきます。  まず、日本航空安全体制を確保するための社内点検の問題でございますが、昨年の秋深まりましてからでございますが、日本航空担当部長級を連日呼びまして、現在日本航空のやっておりますところの運航関係のいろいろな問題点をヒヤリングいたしまして、その結果を取りまとめまして日本航空に示して、現在それに基づく改善策検討させているところでございますが、昨年の十二月の七日に、日本航空に対しまして私どもの総点検結果ということで示しましたものをごく簡単に御説明申し上げます。  まず一つは、運航に関する計画担当する部門と実際の運航を実施する部門との両方の間の連携が必ずしも十分でない、そのためにそごが起こる恐れがあるので、連携強化する必要がある、また乗組員の一人一人の技量技術を管理するためには、個人個人パイロットがどういうふうな技術レベルにあるかということを把握することが必要であるわけでありますが、そのために技能訓練路線訓練あるいは各種の審査を行う部門がそれぞれ分かれておりますが、この部門間の連携をもっと強化いたしまして、パイロット個人個人技量レベルというものを正確に把握するという努力をもっと必要とするということを指摘いたしました。  それから二番目には、乗組員の自覚と連帯意識強化というふうな問題についてでございますが、操縦室の中の二人とか三人とかいう乗組員が入りまして一つのクルーを編成するわけでございますが、この二人ないし三人の乗組員相互間が一体となって飛行機の安全を確保するのだという、その連携姿勢連携の精神というものをもっと高める必要があるという感じを持ったわけでございます。  それからまた、飛行機に乗る前に運航管理室におきまして、気象状況とか相手方の空港状況とかにつきまして、いわゆるブリーフィングという事前の説明をすることになっておりますけれども、これが間々形式的に流れているのじゃないか、特に現地の気象等につきましては、もっと詳細に打ち合わせをしていく必要がある、そして納得のいくまで飛行計画検討してから出発をする必要があるということを指摘いたしました。  特に気象状態が悪いときに、進入を断念いたしましてゴーアラウンドというやり直しをする、あるいは他の空港に行くというふうな問題につきましても、もう少し慎重かつ機動的な対応ができるように、あらかじめ訓練をしておくということを指摘いたしました。  三番目に、乗組員に対する教育訓練の問題でございますが、どうも運用規程とかあるいは各飛行ルートマニュアル等に書いております運航方式が、ちょうど受験生が勉強するように頭の中に入れることばかり一生懸命になっておりまして、実際にその飛行実態との関連において体で覚えるということに欠けているのじゃないか、その点についてもう少ししっかりした指導をする必要があるということを指摘いたしました。  それから、日本航空の就航しております空港は、比較的保安無線施設が整っておりますために、時によりましてその無線施設等の機能が停止しているというふうな場合、こういうときに目で見ながら入る進入の方法、これらにつきまして日本航空パイロット訓練をするチャンスが少ないわけでございますが、やはりそういった場合もあり得るわけでありますので、目で見ながら進入する場合、そういったことについての訓練もあらかじめきちんとやっておく必要があるということを指摘いたしました。  それから四番目には、乗組員に対する社内随時審査をいたしまして、通常の手順を逸脱して運航した機長等に対しましては、査察操縦士というパイロット訓練する役割りを持っておるパイロットがおりますが、そういう兄貴分操縦士がいつでも臨機応変に注意ができるようにして、社内に一々臨時審査委員会をつくってというふうな大がかりにする前に、まず兄貴分操縦士が適時適切に指導していく、きめの細かいことをやっていくという必要があるというふうなことを言いましたし、また、そういう指導的立場にある先輩のパイロットが、その経験を活用いたしましていろいろなことについて後輩を指導するという関係がもう一つ足らないのじゃないかということを指摘いたしました。  それから五番目には、機長の養成に関する問題といたしまして、日本航空の持っている路線構造その他からやりにくい点があるとすれば、それについて根本的に改善する必要があるというふうなことを指摘いたしまして、これらにつきまして現在日本航空の中で検討を続けております。一部報告が来ておりますが、なお全体の報告が参りましたときに、総括いたしまして御説明するつもりでございます。  それから二番目の、クアラルンプール事故に関連いたしまして、いわゆるデシジョンハイトと申します。空港進入するかどうかの決断をする場合の高度の問題が議論になっているわけでございますけれども、この点につきましては、マレーシア政府当局が決めましたクアラルンプール空港進入限界高度は七百五十フィートでございました。ところが、日本航空は前に七百八十フィートということを決めておりましたところが、その後のいろいろわが国における進入方式技術的な検討の結果、七百五十フィートでよろしいという結論になりましたために、すでにこのクアラルンプール事故が起こりました前に、七百五十フィートで十分安全だということで、これを改定いたしたわけでございまして、私どもは、このデシジョンハイトを三十フィート下げたことが、直接この事故の原因になったとは思いません。しかしながら、この事故につきましては、目下マレーシア政府責任を持って調査している段階でございますので、私どもも、新聞にいろいろ書いてございますけれども操縦ミスであったのかどうかというふうな点については、予断を持って臨むことはできませんので、目下、マレーシア政府からの正式調査報告を待って必要な処置をするということを考えているところでございます。
  8. 大塚茂

    大塚参考人 成田空港の問題につきましては、かねて先生からいろいろ御忠告をいただいておりまして、恐縮をいたしております。先ほども三月三十日の開港の問題について、また御心配をいただいておるわけでございますが、御承知のように三月三十日というのは、政府関係機関並びに地元の自治体の同意を得まして決定をされた日でございまして、その後、そうした関係の向き向きで、それぞれの担当に応じて非常な御努力をやっていただいております。したがって、御本尊の公団としてはもちろん、公団担当しております仕事について万全を期して準備をいたしておりますので、開港については、先ほど運輸大臣も申されましたとおり、予定どおり断行するということで心配はないというふうに私は考えております。  その中で、先ほど騒音対策について例としてお話がございましたが、確かに騒音テスト飛行をやりました際に、三里塚地区等で高い騒音が記録をされたということがございます。ただ、この騒音テスト飛行というのは、御承知のように非常に制約された条件のもとで行ったものでございますし、その回数もきわめて少ないわけでございます。したがいまして、公団といたしましては、その後も航空会社慣熟飛行が行われておりますので、引き続いて三里塚地区では騒音測定をやっております。その測定によりますと、平均八十五デシベル以下という数値が出ております。これによると、コンターを改正する必要はないということになるわけでありますが、しかし、コンターの正式の改定ということは、これは騒音防止法に基づく環境基準に、測定基準を定めておりますので、開港一定期間以上現実の騒音を連続して測定いたしまして、その結果によってコンターの改正を行うことにいたしたいというふうに考えております。  それから、第二の問題でございますが、反対派と話し合うということを、遅まきながらやったらどうかというお話でございます。これもいろいろ御心配をおかけいたしておりますが、私どもとしては、反対派の中の農民方々とはできるだけお話し合いをしたいということで呼びかけをいたしております。実は、昨年の十一月にも文書で呼びかけをいたしました。その呼びかけをいたしましても、これはこちらの憶測でございますが、われわれと会うということに危険を感じておられるような気配がございまして、なかなかお会いすることができないわけでございます。しかし、御承知のように反対派農民方々は、われわれと話し合いの結果、土地を私どもに譲りまして、脱落をしていく方が、少しずつではございますが、あるわけでございまして……
  9. 久保三郎

    久保(三)委員 総裁、時間がありませんものですから、私の提言についてイエスかノーかだけお伺いしたいのです。
  10. 大塚茂

    大塚参考人 はい。それでは、反対派のリードをいたしております方々と会ったらどうか、これはなかなか結果としてはむずかしいことはわかるが、国民に対する姿勢だけでもという御提言でございまして、私はその意味がよくわかります。私としては、これを避けるつもりはございませんが、何しろ御承知のように反権力、反体制ということを公然と標榜して、あくまで成田空港を廃港に追い込むのだということを貫いてきておられる方々でありますので、そのやり方等については、私ども慎重に対処してまいりたい、政府の御指導も受け、また御相談もしながら、御趣旨を体して対処するということにいたしたいというふうに考えております。
  11. 久保三郎

    久保(三)委員 時間が限られているので、きょうは長い御説明を聞くわけにはまいりませんで、最初にお断りしなくて大変まずかったのですが、成田空港に関して詰めを急いでいるという話だが、私は、別に三月三十日を延ばせとかなんとかいま言っていないのです。三月三十日と勝手にというか関係方面と決めた、決めたのならば、この間の大臣所信表明演説のように、円滑な開港の実現に努力するというのには少しく問題がありはしないかという指摘をしているわけであります。私は、これについて見ていて、どうも自信がなさそうだなという感じがするわけなんであります。だから、延ばせということは私はいまは言わぬ、いまは言わぬけれども、そういう意味であります。  それからもう一つは、体裁だけでも会ってみろということを言っているわけではないんですよ、総裁。会うときには真実込めて会うのが本当なんであって、権力を持っている人がまずやはり誠意を込めて話をするのが筋ではないかというふうに私は思うのです。早く言えば向こうは権力はないのですよ。あるのは反体制、それから廃港を目指すということなんですが、それもあなたは聞いたためしがないのでしょう。反体制というのはどういう意味なのか、廃港というのはどういう意味なのか聞いたためしがなくて、何となく火炎びんを投げつけられたり、鉄塔をつくられる、こういうことだけなんじゃないですか。だから、少なくとも権力者である者は一遍聞いてみろ、聞く必要がある、向こうでもやはりそれに応ずるべきだと私は思うのです。  総裁は、直接土地を提供した農民のことだけおっしゃっておられるけれども、これも当然必要でしょう。しかし、これは提供というよりはもぎ取られたというのが彼らの感じでありますよ。そのほかにも周りの人で、土地には関係ないが、応援体制を組んだ者もいるわけですね。いずれにしても、反対立場におられる者の責任者と一遍真実込めて話をすることは当然ではないかということを言っているんですよ。  大臣検討されるということでありますが、それをやったから延びたなんていうことを後で言われては困る、そういうことを考えていたのでは問題は処理できない。あなたは大政治家なんであって、本当ならもうとっくに総理大臣におなりになるような政治経歴をお持ちの方なんで、この辺でやはり政治家としての決断が必要ではないかというふうに私は思っているわけです。時間がありませんので、ぜひそういうことをされたらどうかというふうに重ねて提言を申し上げます。  次に、当面の問題として造船、海運の不況対策であります。  これはみんな後手後手なんですね。造船にしても、先般の所信演説における操業の調整なんといっても、いままで運輸省がやっている調整の勧告、操短の勧告などは、これは物にならないんですよ。操短の勧告以上にもうこれは仕事がないんですよ、実際的に言って。だから、操短の勧告なんか要らないのです。しかも、これは去年だけで二十件くらい倒産している。つい二、三日前も連鎖反応の倒産があったわけです。いわゆる船舶をつくらせる会社、それから造船や海運会社、この三社がもたれ合いでやってきて、一つがかたっと倒れると連鎖反応で三社全部倒れてくる。これは大体中小造船会社の体質なんです。そういう体質はいまに始まったことではないのでありまして、これに対して先にてこ入れをしなければならぬ。ところが、そのてこ入れを全然しないで操短の勧告などに力点を置いたのじゃないか。  それから、つい最近成立しました円高の臨時措置法ですが、これだって、そういう法律をつくるというからちょっと乗っておこうかということなんですね。われわれから言えば、海運にしても造船にしても、政府当局、運輸省の方では、この法律案にそういう条項があるなら、おれの方でもちょっと不況だから乗っけておいてもらおうかというふうな程度にしか私は見ていない。というのは、私が調査室を通じて調査を始めても、すぐにはわからない。大体当局者がわからないのだから、そういう法律をつくっても、どんなふうに利用されるのかわかったものじゃないという気持ちを私は持っているのです。もっとまじめにやってほしいと思うのです。  いま一つ提言でありますが、御承知のように、日本海運の問題はすでに御案内のとおりである。半分以上は大体外国用船に頼っているわけです。これはナショナルセキュリティーからいっても問題の点があるのです。だからここで、言うならば日本海運日本国籍の船を何ぼ持つか、やはり船腹の策定をして、これを海運会社にそれぞれ持たせる。それを義務づける。そのために必要とあらば、財政措置もあるいは考えたらいいでしょう。  それと同時に、いま不況でありますから、不況なら一番船価が安い時期です。鉄も余っているのです。そうだとするならば、いまが一番海運の体質を変える時期なんですね。いままでは言うならば船腹量の増強でやってきた。今度は船腹量の増強でなくて船腹の質を変えていく、質の転換を図るという時期でありますから、スクラップ・アンド・ビルドを強力に進めるということ。  ところが、ことしの予算案を見ましても、残念ながらこれは腰だめ的な便法であって前進的なものではない。融資条件一つをとってもそのとおり。あるいは枠全体をとってもそのとおり。輸銀の方は利息が、たしかことしの方が上がっている。それまでたしか七%くらいでしょう。ことしは八・一%くらいになっているんですね。そういう事柄一つとっても、残念ながらどうも前向きの姿勢ではない。この際、質の転換のために日本船の適正船腹量を決めて、これを保有することが一つ。  それから、スクラップ・アンド・ビルドを、内航船を含めて強力にやっていく。そのためにはいまの計画造船のあり方も変えていく。なぜ変えるかというと、御承知のように、ちょうど十五年前にかなりの集約があったと思うが、その集約したときと、いまの海運会社の言うなら財務状況を見てみますと、自己資本比率というか、自分の資本比率というのは前より悪いですね。結局、集約しても財務的には海運会社は弱くなっているわけです。それだけに国際競争力はできないわけですね。だから、そういう点も含めて海運政策というのは質を変えていく時代に来ていると思うが、こういうことは考えないかどうか。  それからもう一つは、船員の問題であります。船員の養成の問題にだけしぼってまいりますと、これは養成をしても就職の口はないのでありますから、いまあるところの海員学校の制度そのものについても、改めて雇用制度をあわせて検討する時期に来ているのだが、今度の予算案を見ても、余りその点は触れておらない。これはどうなんだ。  時間がありませんから、海運、造船関係については以上で終わりますが、簡単にお答えをいただきたい。
  12. 福永健司

    福永国務大臣 いま御指摘の適正な船腹量を確保する、こういう点はしごくごもっともでございまして、従来ともその施策は進めてまいりましたが、いま御注意等もいただきつつ、なお一層そういう考え方で臨まなければならない、さように考えます。  また、内航船を含めましてスクラップ・アンド・ビルドについてもっと適切な方策を講じるように、ここでいろいろ不況等その他の事情もあるが、海運の体質改善をむしろこういう際にやるのがいいのではないかという御注意等もございました。せいぜいお話のようなことも頭に置きつつ、海運政策を進めてまいりたいと思います。  二番目の船員の問題につきましても、私はいろいろいま拝聴したわけでございますが、船員についても非常に困った事情でありますだけに、ここで何とかしなければならないということは当然でございます。従来とも施策は講じてまいりましたが、いま御注意のありましたような点について、さらに一層留意して今後に対処したい、さように考える次第でございます。
  13. 久保三郎

    久保(三)委員 関係局長さんがいらっしゃるけれども、時間がありませんから、いろいろお伺いしたいのですが、きょうは割愛して、次の機会にしたいと思うのですが、ただ、いま大臣からも御答弁がありましたが、言うなら海運の質の転換を含めて造船対策も強力にやる方策を早急に出すべきだと思うのです。いままでは、言うならば成り行きに任せているわけです。いま当面の対策は、はっきり言ってやはり金融対策だと思うのです。ただ、その金融対策も的確に行われているのかどうかというのは、大変疑問があると思うのです。長期的には、御承知のように、いま言ったスクラップ・アンド・ビルドによってやる。そのためには、いまの船舶整備公団の仕組みも変えていく必要があろうと私は思う。計画造船の方式、これも考え直さなければならぬ。いずれにしても、そういうのを含めて早急に政策を具体的に出してほしい。  何か海造審に諮問しているそうでありますが、どうしたらいいでしょうかという諮問なんですね。もっとも諮問だから、自分で思案に暮れて人に聞こうというのでしょうが、聞き方には二つあろうと思うのです。私にはわからないからあなたに聞きますが、どうでしょうかというのがいまの海運、造船政策の海造審に対する諮問だろうと思うのです。これは向こうだって困っている。自分でできないので政府にひとつ考えてもらおうじゃないかと言っているのに、考えてもらおうという人に聞こうではないかといったって、これはできっこありませんよ。  だから、これはやはりこの際、本当に景気を回復する、あるいは雇用を安定するということに真剣になるならば、あわせてこれは長期的に見てメリットのある仕事をやるべきなんであって、むやみやたらに使いもしない物をつくるなんということであってはならぬと思うのです。  それからもう一つは、離職した労働者にいわゆる離職のための金を給付する、これも一つでしょう。福永大臣は、労働大臣をおやりになったからおわかりですが、離職した者に再雇用のための何か資金を出す、これも一つですが、いまある雇用を継続していくことが先決ではないか、そのために余分の金を出しても、これは決して損はないというふうに思うので、これは海造審に諮問しているから答申を待たなければ何もできないということではないと私は思うのです。答申をし直したらどうですか。私がいま申し上げたような意思をくんで、こういう方向でやりたいが業界なり関係者はどう思うか、早急に答申してもらいたい。半年も一年もかかってやっているうちに皆つぶれてしまう。これはぜひ取り上げてもらいたいというふうに思います。  次は、国鉄の総裁一つだけお聞きすればいいかと思うのですが、それは貨物の集約についてであります。これは国会でもいろいろ各方面から議論があったと思うのですが、私は、かねがね申し上げているように、集約についてすべて反対ということではありません。ただし、国鉄の再建にとって一番必要なのは、集約ではなくて、いかにして国鉄の荷物をふやすかということなんです。あるいはいま持っている荷物をどうやって確保して持っていくかということだと思うのです。傾斜生産に行くなら皆集約で切り飛ばしていけばいいのでありますが、そうはいきませんから、そのためには、いつかもここで申し上げたように、一片の国鉄の、独善とは決して言いませんが独断で、この駅は集約するということをやる計画については、私は真っ向から反対であります。  それと同時に、昨年の暮れに閣議了解事項になりました「再建の基本方針」に基づきましても、五十三年、五十四年は経営の見直しであります。というか整備であります。そういうことからいくならば、長期のいわゆる合理化あるいは近代化の政策というか計画は、この際は見直すべきだと思うので、五十三、五十四あるいは五十四、五十五ですか、そういうものの計画は一応は見直す覚悟が必要だと思うのでありますが、これはどう思いますか。  それからもう一つは、集約する場合に、関係の方たち、いわゆる荷主、通運業者あるいは地方自治体、そういうものを中心にしてコンセンサスを得る場所をつくることが必要だと思う。正式に言うならば、貨物何とか改善協議会ですか、そういうものを正式につくって、単なる切り捨てだけじゃなくして、いかにして輸送を確保するか、あるいは進んで輸送を増強するにはいかなる方法があるかということを、地域地域で工夫を出してやるべきだと思う。  最近の国鉄は商売気がないとよく言われております。やるつもりがないのだということを言われております。そういうことのためにも、やるつもりを出して関係者と協議体を設けるべきだが、これはいかがでありましょうか。この二つが総裁に対する質問であります。答えは簡単にお願いしたいのです。  それからもう一つ、あわせて国鉄に関係しますが、これは運輸大臣にお答えいただきたいことであります。先般の国会で国鉄問題を審議中に、運輸大臣からの答弁で、公共割引の制度がいまありますが、これについて関係閣僚協議会をつくって、そこで解決する、こういうお話ですが、いつ、どういう範囲で関係閣僚協議会をお持ちになる考えであるのか、これをお示しいただきたい。  それからもう一つ、三番目には「基本方針」の中で、今後の運賃改定といわゆる赤字をふやさないためにはどうするかということが一項目あります。「経営の改善」という項目でございますが、そこにあります。そこのくだりでは、運賃を適時適切に上げていって、赤字はこれ以上ふやさない、赤字を防止する、これ以上増加をさせない、こういうふうになっていますが、増加をさせないと言ったって、この「基本方針」でも前段で書いてあるように、これは「適時適切」といっても、環境を考えなければ勝手に運賃は上げられません。たとえば他の交通機関の問題あるいは一般の経済情勢、こういうものを考えますれば、これは言うなら、防止するといっても、防止するのがいわゆる一つの目標というふうにとるべきではないか。そうでないと、運賃法の改正のときの議論のように、できかねるような運賃値上げを政府は国鉄に強要して、結局は財政が破綻していくという心配があるわけであります。ですから、これはそういうふうにとるべきだと思うのだが、どうですか。国鉄に対しては大体以上であります。
  14. 福永健司

    福永国務大臣 最初に、私にお聞きになりました点から申し上げますが、例の公共割引等にいかに対処するかという問題でございますが、私は、この点につきましては、閣議においてもすでに発言をいたしまして、できるだけ早く関係閣僚等での協議をしなければならないと考えております。率直に申しまして、できるだけ早くと申しましても、予算審議中にというわけにもちょっとまいらないかというようにも思いますが、せいぜい急ぎたい、そういうように考えております。  国鉄の経営合理化について、赤字はふやしちゃいかぬ、減らすようにしなければいかぬ、ところで、やたらに運賃を上げるようなこともまかりならぬと、こういうことでございますので、なかなかこの点頭の痛いところでございますが、その頭の痛いところを何とかしていきたいというのが私の切なる所存でございまして、これらにつきましては、具体的に事を進めてまいりたい、そういうように考えております。  なるほど今度は、運賃改定について新しき方途がとられるようにはなりましたが、それであるだけに国会、国民の監視のもとで、なるほどという措置をとっていかなければならないということは、私の強く念願するところでございます。それだけに赤字が容易ならざるものであるということも考えるわけでございますが、まあこれはこれといたしまして、新しき制度のもとにおいて大いに国鉄に対して国が援助、協力するというようなことについても進めていかなければならない、その種のことを総合的に鋭意進めてまいりたいと考えておる次第でございます。
  15. 高木文雄

    ○高木説明員 貨物でございますが、五十年十二月の閣議了解なりあるいは五十二年一月の閣議了解に基づきまして、私どもから経営計画を昨年の四月にお示しをいたしたわけでございまして、その後、今回のいわゆる弾力化法案の御審議に当たりまして、国会の御意向で運賃改定の限度というものを、いままでよりはより明確に制限されることになりました。それは結果としては、現在持っております単年度の赤字を、私ども経営努力と助成とによって長年かかって埋めていくという思想でございますので、私どもといたしましては、昨年の春お示しいたしました経営改善計画よりはより厳しい経営姿勢を持って臨みませんければならぬように位置づけられたものと考えております。  したがいまして、五十三、五十四年度の間にその具体的な対策詰めてまいりたいと思いますが、その際、貨物に関しましては、前から持っております。たとえば駅集約について申しますれば、千駅程度に縮小いたしたいというプランにつきましては、むしろそれを強化しなくちゃならぬという方向にこそあれ、これを緩和してもいいというふうには考えていないわけでございまして、その意味で、前から持っております案を進めてまいらざるを得ないというふうに私どもは理解をいたしております。  ただその際に、どうも減らす方に熱心であって、お客さんあるいは貨物をよけい運ぶという意気込みが感じられないじゃないかという御指摘があり、各方面からそういう御意見を寄せられておるわけでございます。私どもも、何とかこの増収を図らにゃいかぬと思っておるわけでございまして、そのためのプランを立てようといろいろ努力をいたしておりますが、何しろ競争関係が非常に激しい、あるいは景気が余りよくないということから、増送、増収の具体案がなかなか生まれてきていないのでございまして、この点は申しわけないと思っております。今後とも増収、増送に努力をいたしたいと思います。  それから、そのあり方について、地域ごとにもう少し関係者との間で話を具体的に進めなさいということでございますが、これはまことに重要なことだと思っております。とかくどうも切り捨てというような感じがするよという御指摘でございまして、各方面からそういう御注意を受けておるわけでございますが、しかしこれは、どうも国鉄の体質の問題が基本にございまするので、これを直していかなければならないわけでございます。具体的に駅集約をいたします場合にも、そうした気持ちを持って臨むように指導をいたしております。そして、その芽生えはいま幾らか出てきたかなという感じでございまして、まだまだそういう基本姿勢が昔とはすっかり変わったなというところまでは来ていないのが事実でございますが、そういうことがあってはならぬのでございまして、おっしゃるような方向に進めてまいりたい、そういう指導を一層強化してまいりたいと考えております。
  16. 久保三郎

    久保(三)委員 もはや残り時間が余りありませんので、簡単に一つ、二つの項目についてお尋ねをしますので、簡単にお答えいただければいいと思うのであります。  先般の演説の中で運輸大臣は、輸送施設の長期的整備についてお述べになっております。いわゆる鉄道、港湾、空港の整備について、これまでの計画をさらに進めていくということでありますが、これまたせんだっての閣議了解事項でも述べておりますように、総合交通政策を具体的にお進めになるということに決められているわけです。そういうことからいくならば、一つは、そういう具体的な政策を下敷きにして長期的な整備を考えるべきなんであります。そういうところからいくと、すでに御案内のとおり、第八次道路整備五カ年計画がまた作成されました。総額では驚くなかれ二十八兆五千億という増加ぶりであります。これはいろんな理由はあるにしても、いまや総合交通体系あるいは総合交通政策の中で、あなたがお述べになった鉄道、空港、港湾だけを整備していけばいいということではなくて、言うならば、片方では自動車の総量規制の問題さえ出てきている。これは道路に関係なしとはしない。ところが、道路は目的税を取って、それを特定財源として二十九兆円も出してやっていく、片方は言うなら借金、借入金で整備をしていくというようなことがあって、財源的にも非常にでこぼこがあるわけですね。  この際、そういう目的税は全部やめて一般財源に振り込むというか、言うならば、総合交通整備特別会計というか、そういうものをつくって、そこへ一緒くたに入れて、その他の財源を合わせて道路、鉄道、空港、港湾、そういうものを総合交通政策の具体的な施策の上にのっとって整合した整備をすべきだと思います。これは閣議の問題にもなろうかと思うのですが、一応見直す必要があると思うが、この点はいかがに考えますか。  それからもう一つは、地域の交通についてもお述べになっております。これはいままでにないことなのでありまして、今度の演説はなかなかユニークだなと思って見たのですが、しかし、中身を読んでいくと、大変失礼でありますが、別に大したことが書いてあるわけじゃないなということです。地域の住民に密着した交通というのがいま一番問題になっている。この認識を持たれたことだけは評価しますが、さてそれならば、どうするかという問題これは手前ども提案しております地方交通というか地域交通の維持整備の関係についても、われわれもまたいま再検討しております。いずれにしても、地域交通を整備する手段としては、権限の委譲の問題もございましょう。そういう問題も含めてこれはやっていくべきだと思う。これは改めて力点を置いて検討すべき事項なんだが、いかがでしょうかというのが第二点。  最後には、これは運輸行政に直接関係はございませんが、国際的にも非常に広い分野をお持ちの運輸大臣であります。特にIPUの日本の代表団長として毎回おいでになっております。そこで、いま問題になっているのは、与党の中で討議中だそうでありますが、国際人権規約の批准の問題であります。これはIPUの中でも、話題というか議題として取り上げられたことがかつてあると思うのです。そういうことからいって、早急に批准をすべき問題ではないかというふうに思うわけですが、万が一うわさにあるように、何かについて留保条件をつけての批准などしたならば、これは世界からも笑われるということになる。もちろんいま、後ろにスト権の問題が公労協の問題を中心にしてございます。確かに気がかりの点はあると思うのでありますが、筋は筋でありますから、あなたの国際的な感覚というか、いままでの御活動からいっても、政府の中で国際人権規約の正当な批准を急ぐように御尽力をいただくのが至当かと思うのでありますが、いかがでしょうかということであります。  そのほかにもありますが、もう時間が来ましたので、一応私の質問はこれで終わります。
  17. 福永健司

    福永国務大臣 諸般の交通政策等と関係する中で道路のように特定財源を持つものもあるし、また持たないものもあるというような現況下において、全体についての特別会計のようにするか、あるいはあるものにあるならば他のものについても同様の考え等を及ぼしていかなければならぬのではないかというような点につきましては、私も同感でございます。ことに、わが運輸省が施策を推進していきます上において、この種のことについて強い関心を持つものでございます。急遽大いに研究をしていくことにいたしたいと存じておる一項でございます。  二番目の地域交通の点につきましては、中身は大したことないというお話で、私も、なりたてでまだ大したことまでは考えが及ばないのでございます。おいおい久保さんを初め皆さんのお教えをいただきまして、漸次大したことになるようにいたしたいと考えておるわけでございますが、これは要するに、日本全体の繁栄を考えるときに、地方交通等が軽視されるというようなことであっては断じてならない、こういうように私も思いますので、ああいうような表現をいたしたのでございます。これから中身を豊富にさせるように努力してまいりたいと考える次第でございます。  国際人権規約につきましては、申すまでもなく、これは運輸省だけが関係するものではございません。政府全体として考えなければならぬことでございますので、今後、関係大臣等とも協議をいたしつつ対策を図っていきたい、そういうように考える次第でございます。
  18. 久保三郎

    久保(三)委員 終わります。
  19. 増岡博之

  20. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 運輸行政全般についての質問を申し上げたいわけでございますが、時間の許す範囲でございますので、どこまでいけるかわからないと思いますが、まず最初に、航空関係からお伺いをするわけでございます。  成田空港が三月三十日に開港ということが閣議で決定をされて以来、いろいろな準備が進められてきたわけでございますけれども、まだいろいろなネックがあって、その対策開港の整備条件としてはまだ万全の手配ができていない、このように言わざるを得ないわけでありますが、その中で私は騒音問題を取り上げたいと思うわけでございます。  現在、特定空港周辺航空騒音対策特別措置法というのが継続審議になっておるわけでございますけれども、本年の一月にわが党が、この騒音の問題で公団を中心にして進められてきました防音民家、この第二次騒音テストの実際の効果という問題について、これらの方々の意識調査を実施したわけでございますけれども、これは特に第二次騒音テストの中で行われたわけでございますが、将来五分に一機というような状況で頻繁にジェット機が行ったり来たりするわけでございますが、そういうことまで考えてみますと、この防音民家に対する意識調査というものは、非常に多くの問題を指摘しているように思うわけでございます。これはすでに運輸省には調査の概要を申し上げていると思うのでございますけれども、念のためにきょう質問をしたいわけであります。  これはわが党の党員が二人一組になって面接聴取をいたしたものでございまして、回答率は約九〇%という非常に高い回答率を示しておるわけでございます。  そこで、問題になった点を幾つか申し上げたいわけでございますけれども、まず防音民家という形での騒音対策は、非常に期待に反しておる、不満であるというのが実に七六・二%になっておるわけであります。期待どおりのことで満足していると答えた人はわずかに一・七七%、そういうような状況であります。その中で問題になりましたのは、特に第二次騒音テスト時に防音効果がなかった、あるいは余りなかったという回答が圧倒的に多くて約七七・四%、こういう状態でございます。このことは今後の防音対策の上で真剣に考慮してもらわなければならない問題ではないかと思うのです。  それから、この防音対策がいわゆる四人家族の場合一部屋、五人以上が二部屋というのが公団基準になっておるわけでございますが、実際に頻繁にこのように航空機が往復をするさなかにおいて、生活環境という点が全く無視されておる。いわゆる防音民家の中にはトイレがないというのが四二・三%、水道を引いていないというのが八九%という状況でございますから、もちろんこれは一家の中ではそういうものはあるのですけれども、防音装置を施している部屋というものは、そういった意味で非常に生活の上において不便である、こういうことが強く指摘されておるわけです。中には水道等を引いている人もいるけれども、こういうものは全面的に自分が費用を出して設備をしているというような状況でございます。そういうようなところから、開港後も現在の防音家屋を使用しないという人が約一割もある。これでは何のために防音対策をしているのかわからないというような状況ではないだろうか、こういうふうにも思われるわけであります。  それから、これらの防音民家の設備を整備する上において自己負担が非常に多い。実に二百五十万円以上使っている人が六%、これを含めて百万円以上の自己負担を強いられた人は四七%にも上っているというんですね。これでは非常な犠牲をこうむったまま、そういう政府の施策に協力をしているという姿勢でございますけれども、さらに、それが自己資金で賄われておればいいのでございますけれども、農協等から借りて、そして付帯設備を整備したというのが五一・二%という、半分以上の方が金融機関から借り入れをしなければどうにもならない、こういうような状況があるわけでございます。  さらに、もう一点申し上げたいわけでございますけれども、そういうような状況で、また家族構成の点からいっても、この防音民家の部屋数というものは足りないと答えた人が実に八六・九%もある。百人のうち約八十七人の人が、これでは実際の生活に耐え得ないということを訴えておるわけでございます。したがって、全室防音にすべきであるというふうに答えている人が八七・二三%ある、そういうような状況でございます。  いまこの人たちは、そういうような意見を持っているわけですが、実際に全室防音ということになってみれば、自己負担がいまのたてまえからいけばふえるわけでございますから、とてもこのような負担には耐え切れないと答えている人が八四%もあるわけですね。  さあ、そこで質問なんでございますけれども、こういう形で進められていく、いわゆる政府の施策として多額の費用を要するので、協力をしていただかなければならぬ、この程度でがまんをしていただかなければならぬというようなことを恐らくおっしゃるだろうとは思いますけれども、この防音民家に現実に住んでいる人たちが訴えているこの窮状に対して、当然私は、人間がその騒音の中で生活をするに足る環境をやはりつくってあげるべきが、特定空港を整備していく上においてどうしても必要である、今後の協力関係を得るためにも、もっと積極的な生活という問題から考えなければならぬ、予算という面だけでこれを考えていったのでは、犠牲をこうむる人たちの不満というものが政治不信にもつながってくるのではないかというので、その基本的な方針についてもっと改善をする方向に行くべきだと思いますが、運輸大臣の基本的なお考えをまずお伺いいたしたいと思います。
  21. 福永健司

    福永国務大臣 非常に詳細な御調査を石田さんの御関係の方でなすっていただいております。この点に敬意を表するものでございますが、御指摘の中にもありましたように、いろいろやりたいことはある、一方、予算的には制約を受ける、こういうような状況下において、現実に成田の問題の処理はどういうようにするかというようなお話等もあったわけでございますが、私といたしますと、なるたけ御協力を願う関係住民各位には納得をしていただかなければならないということは、これはもとより重要でございます。と申しまして、予算的措置とは全然無関係にというわけにもなかなかまいらないわけでございます。現在までも関係の皆さんの御協力を得つつ施策を進めてまいっておりますが、いま御注意のありました点等につきましては、やや専門にわたる点等もございますので、この点等について関係の諸君から私の答弁を補足させることにいたします。お許しをいただきたいと思います。
  22. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 補足をいたします。  ただいま成田空港周辺におきましては、五十年末における航空騒音の中間目標達成のために、民家防音工事を中心にいたしましていろいろの施策を講じておるところでございますが、ただいま現地調査に基づく御指摘のございましたような問題は確かにございます。特に成田周辺は農家が多うございますので、私どもは、他の空港周辺の民家防音工事と違ったやり方、つまり防音室というものを農家の庭先につくるということでやってきたわけでございますけれども、この評判が余りよくないわけでございます。そこで、その後のいろいろの地元の反響、改善意見等に照らしまして、やはり成田空港周辺につきましては、農家の特殊性というところから考えて、いわゆる全戸防音、家の外壁ぐるみを防音構造にするという形にする必要があるのではないかということで、いま空港公団がいろいろ技術検討をしております。すでに五十三年度予算におきましてこれを施行いたしまして、施行結果に基づきまして、引き続き本格的な全戸防音工事をするということで進めているところでございます。  なお、この点は他の空港の防音工事に当然波及してまいります。しかしながら、農家が多いのは成田周辺の特徴でございまして、他の空港周辺では比較的通常の住宅が多うございますので、それぞれの地域により、それぞれの地域の住宅構造によりまして、一番適当な方法がよろしかろう、しかしながら、いずれにいたしましても、他の空港でも従来の一室防音ということでは具体的にやはり問題が残りますので、最近三室防音ということで事実上進めております。さらに、これを全居室防音という形に進めるべく五十三年度予算におきまして一億円の要求をいたしておりまして、予算が通過いたしますれば、こういった方向で検討することにいたしておりまして、ただいま御指摘の問題等につきまして、空港公団等を督励いたしまして、何とか早く解決をしたいというふうに考えているところであります。
  23. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 前向きの答弁でございまして、ぜひひとつ強力に進めていただきたいと思いますが、なお強く要望しておきたいのは、やはり五分間に一機というような飛行機の到来であるわけでございますから、居住性、この点の防音を極力考えていただきたい、そういうものが助成の対象になるようにきめの細かい配慮をお願いしたい、こういうふうに思うわけでございます。  それからなお、航空問題について二点だけ伺っておきたいのですが、成田空港への国際線の移転に伴って国内線との連絡、これがかなり話題になっているようでございまして、そういった点について、いまどのような考えを持っているか、また将来どのような地域と国際線を国内航路によって結ぶ考え方なのか、そういったことについて一点伺っておきたいと思います。  それから、もう一点申し上げるわけでございますが、九月ごろには航空各社が値上げしたいというようなことを新聞で散見いたしておるわけでございますが、その中で私は、特に問題なのは特別着陸料であると思うのです。現在ジェット料金として一人六百円ですか、これを徴収しているようですが、この特別着陸料の収入が航空会社が国へ納めるよりかなり増収になっている、多額な収入になっているというような状況が論議されております。この問題、制度としてどんな見直しを考えていらっしゃるのか、この点もお伺いをいたしておきたいと思います。
  24. 福永健司

    福永国務大臣 成田に国際線、そして羽田に国内線というようなことでございますので、これの相互の連絡等については、大いにこれを増強しなければならぬことは当然でございます。これらについて具体策がいま進められているところでございますが、一層これを強化する方向へ持っていかなければならぬと存じておるところでございます。関係各社等にその実施計画案等を急いで提示させる、一部出てはいるようでございますけれども、そういう方向で対処してまいりたい。できるだけ多くのものについて連絡をうまくやるようにということではございますが、開港当初からその種のことがまことにうまくいくというところまでいくかどうか、多少危惧なきを得ないのでございますが、せいぜい努力したいと考えておる次第でございます。  第二点のジェット特別着陸料につきましては、この種のものがふえまして、お客さんの払う方の分は初め考えておったよりも大分よけいになった、したがって、会社が払う分をさらに考えていかなければならぬというようなお話のようなことがあるわけでございます。これにつきましては、これは必ずしも会社がその分だけ得をしているというように簡単に即断すべき問題ではございませんが、しかし、いずれにしても、この種のものについてもう少し上げるとかなんとか、その種の措置をとる必要もあろうかと思うわけでございます。ただいま具体的に検討しているようでございます。  事務当局からも補足させることにいたします。
  25. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 補足いたします。  第一点の乗り継ぎ便の問題でございますが、現在、国際旅客の発生源は、大体関東地方が約八割を占めておりまして、関東地方以外の方々が二割でございますが、この方々成田−羽田間のアクセスの時間のロスをなくしたいということから、成田空港からじかに主要空港に乗り継ぎ便を出すということで計画を進めておりますが、当面大阪、福岡、千歳というところにつきまして、申請がございますれば、多い便数ではございませんけれども、とりあえず開港後そう遠くない時点でこれを四月中には設定したいと思っております。  なお、その他の空港につきましては、その地域と成田との間の国際線、国内線乗り継ぎ便の需要動向等を見まして検討してまいりたいと思っておりますが、たとえば中京経済地帯の中心でありますところの小牧空港成田空港を結べというふうな要望が現地の愛知県知事から強く要望されておりますので、この点につきましても、需要動向に照らしまして前向きに対処してまいりたいと思っております。  それから、第二点のジェット料金の問題でございますが、これは前の国会でもこの委員会で小林政子先生から御指摘いただきました。私どもは、問題の所在を十分認識いたしております。今後の方向といたしましては、ジェット料金というものをやめまして、騒音対策のために私ども特別着陸料を徴収いたしますが、これを一般の運賃原価の中に入れていきたい、一般の運賃のほかに特別着陸料というものを別に取るという形でないようにしていきたい、そして収支関係がおかしな形にならないようにしておきたいということで、昨年から検討いたしておりまして、いまその時期をねらっているところでございます。  収支の関係では、当初航空会社が払い出しになっておりましたけれども、旅客の増加とともに、ジェット料金だけ取りますと、特別着陸料の支払いとの関係では取り過ぎになっておりますが、なお国内三社、つまり日本航空と東亜国内航空は、まだ累積欠損を抱えておりますし、必ずしもこれが超過利潤を生んでいるとも思いませんけれども、今後、累積欠損等もだんだん解消されていく状況のもとに、この点は合理的に解決をするつもりで検討をいたしております。
  26. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 その点について一言だけ申し上げておきますけれども、ジェット料金の問題が設定をされたときには、この運輸委員会でも、飛行機一機当たりについて幾らというふうな形で運輸省は徴収する、旅客は一人当たり幾らというふうな形でジェット料金を取られるということで、そこら辺の整合性がかなり問題になったわけで、もうすでに改正をしなければならぬというような状況では、はなはだこれは不見識ではないかと思います。常にそういった整合性、将来との問題も絡んで明確な納得のいく原則のもとにひとつやってもらいたい、要望を申し上げておきます。  それから、造船関係について伺いたいわけでございますが、造船も構造不況の業種の中に入れられておりまして、大変な状態であるわけでございます。この二月十三日に造船不況危機突破総決起大会が開かれ、各党への申し入れがいろいろ行われたようでございますけれども、その間の陳情の様子をいろいろ聞いてみますと、いわゆる大手であっても、大体受注というものはことしの秋口にはもうなくなるのじゃないかというような切実な声があります。特にこの造船業界の中小企業、これについては、もう三月、四月で仕事がなくなる、こういうようなことで、何とか仕事を出してもらいたい、つくってもらいたい、そういうような要望が強いわけであります。  政府は金融対策をしているようでございますけれども、これはきわめて厳しい現状にある各業界の中でも共通して言える問題でございますけれども、金融措置ではもうどうにもならぬ、そういうところまで来ているのが特にこの造船業界の実態ではないか。そういうような後追いの政策ではなくして、仕事をふやしてもらいたいというふうな強い要望があるわけでございます。特に中小の造船会社というのは、地場産業的な性格もあるわけでございますので、三月、四月にもう仕事はないのだというような状況を何とかして乗り越えなければならぬ、きわめて切実な要望があるわけでございますけれども、これらの緊急な要望に対して運輸省としてはどのような対策を講じようとしておられるのか、その点についてお伺いをしておきたいと思います。
  27. 福永健司

    福永国務大臣 金融政策等では追っつかない、仕事それ自体がないというようなまことに憂慮すべき事態、これが造船業界では非常に顕著でございます。私もいたく頭を痛めているところでございますが、そういう観点からいたしますと、従来、たとえばLNG船、高経済船、海洋構造物等に関する調査研究、その他、いずれにしても需要の新分野を開拓していくようなこと、この種のことがいろいろ考えられておるわけでございますが、すぐに間に合うということはなかなかめんどうではございますが、それはそれといたしまして、多少将来を考えて、日本の造船界にして初めてこういうことをやるというようなことで新分野を開拓していくようなことをできるだけやる方がいいのじゃないかということから、私は私なりの素人的発想も一、二示しているわけでございます。  これを現実的に進めていくには、もとよりいろいろの問題があろう、こういうように思うのでございますけれども、私も、外国等へ行ってしみじみ感じますことは、競争してよそを負かして日本が進出しているということも幾つか事例はございますが、中にはよそがてんで考え及んでいないようなこと、こういうことも幾つか見るわけでございます。こういう点について、私は、造船業界が必ずしも船だけをつくらなくても、船もつくるのであるけれども、同時に、関連事業で進出していくということ、こういうことについて、この際、強力に進める方策を考えてみたい、そういうようなことを考えておる次第でございます。
  28. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 大臣お話は、将来の問題としては私も非常に結構だと思うのでございますが、何といいましても、現在のこの仕事のない状況、特に中小企業向け——大きな会社であれは資本力もありますし、いろいろ技術陣もしっかりしておりますから、新しい分野への進出というのはきわめて可能性のある話なんですけれども、中小造船の方はなかなかそんなぐあいにはまいらぬわけですね。そこら辺への対策をぜひ進めてもらいたいと思うわけです。  そういう声の中から、官公需の造船拡大あるいは船舶構造改良、こういうものの必要が幾つか指摘されておるわけでございまして、そういった点をもっと増強してもらいたい、拡大をしてもらいたいというような御要望があります。ここら辺に対する考え方がどうかというふうに思うのですが、いかがでしょうか。
  29. 福永健司

    福永国務大臣 ただいま御指摘の点は、私、全然同感でございます。したがって、その種の施策をより強力に具体化していきたいと考えます。
  30. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 そういった意味におきまして、特に二百海里時代を迎えておるわけでございまして、海上保安体制を強化しなければならない、そのための造船計画が今度の予算等にも見受けられておるわけでございますけれども、不況対策一つ対策として、警備船舶の建設を推進するということが当然考えられると思うのです。それについて、やはり海上保安体制の全体像を明確にしておかないといけない。来年度はどうなるか、次の年はどうなるか、ある程度の見通しも、それによってつくわけでございますので、この海上保安体制の全体像というのは、どういうふうな計画をしておられるのか、船舶、航空機ですね、そこら辺の問題について御答弁をいただきたい、こう思います。
  31. 福永健司

    福永国務大臣 いまお話しの点につきましては、私も、就任いたしまして早速その種のことを口にいたした次第でございまして、今度の予算編成につきましても、そういうことについてはもう思い切り予算措置を講じていこうじゃないかということを話しておったわけでございます。  ただ、実際の予算は、海上保安庁としては従来にない伸びを示してはおるのでございますけれども、私は、さらに一層思い切って、ことにこういう不況のときでほかに仕事がないようなときに、政府関係でつくるということは大変いいことだからというので、いまも考えております。今後、さらにあらゆる機会をとらえてそういうようにしたいと思いますが、いままでよりは大分増したつもりでございますが、その具体的数字等につきましては、政府委員からお答えさせることにいたします。
  32. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 いま大臣が御答弁いたしましたことを、ちょっと補足をさせていただきたいと思いますが、現に予算で大分増大したという点でございますけれども、たとえばヘリコプター搭載巡視船は三隻、それから千トン型の巡視船は十隻、三十メートル・三十ノットの高速巡視艇は八隻というようなことで、これは五十二年度と五十二年度の補正と、現に御審議をお願いしておる五十三年度の予算案の中に盛られている数字のわりあいに大きな船の主なものでございます。  そこで、御承知のとおり、七月一日から始まった取り締まり体制については、早急に間に合わない点は全力投球して重点的な海域の取り締まりをやって、おかげでうまくいっていると思っておるのでございますが、今後ともさらに、その増強は当然考えていかなければならぬということを考えております。したがって、私どもとしては、引き続き五十四年度、五十五年度というようなことで構想を立てていきたいと思っておりますが、今後考えることは、客観的な情勢をいろいろ考え合わせていかなければならないと思っております。  たとえば海洋法の条約会議の帰趨がどうなりますか、海洋汚染それから深海底の資源の保護というようなことで、いまの漁業操業の問題、取り締まりの問題とは別に新たな分野がふえるかもわかりませんし、それから漁業関係につきましては、現在の二百海里の適用水域が現状のままでとどまるか、近隣諸国との関係が今後どうなってくるかという点がございますし、もっと卑近な例を申しますと、ソ連、韓国、台湾漁船などの操業状態が今後どうなっていくのか、それに対処する取り締まり状況をどう増強していくかということを考え合わせて、今後とも適切に整備計画を立てていきたいと思っておるところでございます。
  33. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 前向きの答弁でございますけれども、二百海里時代を迎えて、いろいろ対外的な問題ももちろんあると思います。それはそれとして、海上保安のための一応の全体像をいまお示しにならなかったわけでございますけれども、五十四年度、五十五年度においてなお増強の方向に進みたいということですが、やはり中期展望の上に立ったそういうものをしなければ、私はこれは意味がないと思います。ここら辺までいけば一応の海上保安体制はできるのだというものでなければならぬ、こういうふうに思うわけでございます。  そういった意味において、本年度中あたりにその全体像をお決めになるようなお考えはないか、また、そこら辺まで議論が進む余地はないのか、恐縮ですが、もう一度お答えをいただきたい。
  34. 福永健司

    福永国務大臣 いま事務当局からもお答えいたしますが、私はぜひそうありたいと思います。したがって、いつまでにということはちょっと申し上げかねますが、できるだけ早くその種の措置をとりたい。海の中にあるわが国が二百海里時代を迎えて当然すべきことの一つである、そういうように考えております。
  35. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 もう一点伺いたいのですが、船舶の構造改善、そのためにタンカーのバラスト分離の問題があるわけでございますけれども、これらの問題については、船主側の協力も、融資等の条件問題が整えばある程度得られるのではないか、そうすれば造船関係の仕事がそれによって拡大できるわけでございますけれども、そこら辺の条件整備を考えながらこのバラスト分離の問題を推進するお考えはないかどうか、この点についてお伺いをいたしたいと思います。
  36. 福永健司

    福永国務大臣 ただいまお話の点につきましては、先般、日本代表が出かける前に、どういう考えで臨むか指図をしてもらいたいということでございました。御承知のように、いまその会議をやっておりまして、六十カ国内外が集まってその協議をいたしておりまして、アメリカを中心とする考えとイギリスを中心とする考え等が対立をいたしておったのでございますが、わが国は海運国としても有力でございますが、さらに造船国として世界の最有力国でもございます。そういう観点から、いろいろよかったということにしなければならぬということがございますので、そういうことを念頭に置きつつこの会議日本代表も出席しておったわけでございますが、一昨日でございますか、請訓してまいりました。日本立場上、余り一方的になってなにするよりも、みんなをうまくまとめるようなことに役に立つならば、そのことも頭に置いて行け、こういうように言っておいたのでございますが、大体相互に譲歩し合って歩み寄って、六十カ国が投票で結局どっちが多いかというようなことにすることによって、後ぎくしゃくすることを避けなければならぬという考え方から妥協案ができまして、おおむねその案によって近く結論に到達するであろうと思いますが、そのようなことになりますと、ただいま石田さんが御主張になっておられますようなことも相当程度考慮に置いた結論が出る、こういうように考えておる次第でございます。日本としては微妙な立場でございますが、その微妙なところをうまく生かしていくことに力点を注いでまいりたいと考えております。
  37. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 それでは、この問題は以上にしておきたいと思いますが、いま海上保安体制の整備の明示を求めたわけでございますが、この中小の造船界の不況、三月仕事があって四月仕事がないという状況について、もう一つ運輸省でも真剣な討議をしていただきたいし、その仕事の拡大について何か夢が与えられるような方策を樹立していただきたいことを御要望申し上げます。     〔委員長退席、浜田委員長代理着席〕  それから次に、陸運関係全般についてお伺いをするわけであります。  まず、国鉄総裁一つだけお伺いしますが、地方ローカル線の独自運賃というようなことが新聞に散見されております。これはどういう御構想なのか。いわゆる運賃という形で考えていくのか、あるいは料金という形で考えていくのか、あるいは地方自治体の負担という考え方でいくのか、それらのミックスという点もあろうかと思いますが、運賃という考え方でいくということになりますれば、この前の特別立法がありますから、国鉄当局のお考えによって進められる幅が非常に多くなっているわけですね。運賃法にもそういう趣旨のことが書いてありますが、何と言っても、六百キロまで幾らというような決め方を考えますと、やはり運賃というものは、できるだけ全国均一方式でいくのが基本的精神だと思うのです。そこで、特別な地域だけ運賃がぱっと高くなるというやり方は、運賃法の基本的な精神からいってもいかがか、こう思うのです。厳密な法解釈ではありませんが、そういうようなことも含めて、どのようなお考えでこういうような発想がなされているのか伺いたいと思うわけです。
  38. 高木文雄

    ○高木説明員 国鉄の運賃は、明治以来今日まで全国統一運賃という基本的な考え方でまいったわけでございまして、それは国鉄というものが公的使命を帯びておるということから出てきておることだと思います。ただ、その前提といたしましては、国鉄の経営全体が独占的性格を持っておったということから、そういう統一運賃をとることが可能な基盤があったわけでございますけれども、現在の経営状態との関連からまいりますと、大変厳しい状態と申しますか、競争関係に立たざるを得ない。ある場合には飛行機ある場合には乗用車ある場合にはバスというようなものと競争関係に立たざるを得ないわけでございまして、ある程度運賃を改定させていただいて経営を立て直す一つの柱にしていくということを考えながら、一方において、独占的性格が失われ、競争的要素が強くなってきたということを考えますと、いまお示しのように、基本は統一、均一運賃でなければならないと思いますけれども、どうもそれだけでは十分な案ができないということになりまして、やはり地域別あるいは特殊なものにつきましては、それに応じたコストを頭に置いた運賃というものも考えていかなければならぬのではないかというふうに考えております。  ただ、まだそれはぼやっとした考え方でございまして、いまお示しのように、それを運賃で差をつけるのか、料金でやるのか、あるいはまた第三の方法があるのかというような、この制度を考えます前に、運賃、料金、その他のシステムを含めまして、いわば制度論の前に、経済論としてどういうことがあり得るのかということを、これから探し求めていかなければならないのではないかと思っております。  しかしそのことは、長い間続いてまいりました考え方に対する変更でございますから、国民の方々の一般的な考え方あるいは利用者の考え方等の受け取り方をよほどよく承ってからでないとできないわけでございまして、これを具体的にお示しして皆さんで討論していただくまでには、もう少し時間がかかるかと思っておるわけでございます。
  39. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 そこで、大臣にお伺いをするわけでございますが、国鉄当局においては、本年度予算を見ますと、実収一四%の値上げを計画しておるようでございますが、こういうような値上げというものが、いろいろな意味で、一つが決まれば他の輸送機関の運賃に連動していくというような状況が見られるわけですね。九月の航空機の運賃の値上げの方も、国鉄との対比がよく新聞等で言われますので、若干上げてもいいのではないかというような向きになっているようです。あるいは私鉄運賃も、いわゆる二年間を経過しておるわけでございますので、国鉄運賃が値上げをということになりますれば、これまた問題になってくるということですね。  そこで、しばしば当運輸委員会でも総合運賃政策という方法を議論されてきておりますが、よき結論が得られていないように思うのです。今後大臣としては、この各種の交通機関の運賃について個別でいくべきなのか、あるいは特に物価上昇率が比較的おさまってきたこういう時代、賃金も急激に上がってくるというような状況が昨今見られないわけでございますから、そういうような低成長時代において各交通機関運賃の整合性というものが考えられてしかるべきなのか、あくまでも個別運賃制度でいくべきなのか、ここら辺の基本的なお考えはどのように考えていらっしゃるのでしょうか。
  40. 福永健司

    福永国務大臣 ただいまお話しの点は、非常に多くの因子を含んでおりますので、私といたしますと、願わくば総合的な解決をとは思いますが、それを考えると、かえってあっちもこっちも実現不可能な問題等も起こってまいりますので、それぞれの個別的な事情も考慮した上で個々の解決も図っていかなければならないという、その問題自体にきわめて矛盾を含んだ事情がございます。したがって、この解決につきましては、できるだけ総合的にまとめていくということは必要でありますが、それのみを願っておりますと、結局、理念的にはまことに結構なようなことであるが、現実的にはなかなか進まないということ等もございますので、まあ大変結構とは申し上げられませんけれども、総合性をねらいつつ、その局部あるいは個々の事情等を解決していく措置も講じていかなければならないということで、これはとりあえずのところは両方進めていかなければならない。これだけを聞きますと、一見非常に統一性がないかのごとくでありますが、理想を目指しつつ現実的な解決を、こういうことになりますので、御了承をいただきたいと思います。
  41. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 苦衷のほどだけはよくわかりました。  そこで、あと陸運関係全般についてお伺いをするわけでございますが、いままで新聞の報道によりますと、道交法の改正を三月ごろ国会に提議をしたいというようなことが載っております。そういう意向のようでございますが、道交法の改正だけを検討しているというのは非常に片手落ちではないか、こういうふうに私は考えるわけでございます。道路運送法、道路運送車両法、通運事業法、ここら辺の基本的な設定は、二十四年、二十六年等に行われてきたわけでございますが、その都度細かい改正が行われてきているようでございますけれども、何といっても四分の一世紀を経過しておるわけでございますので、ここら辺は全面的に再検討する必要があるのじゃないかというふうに私は申し上げたいわけでございます。  さらに、また「行政改革の推進について」という閣議決定が行われておりますけれども、その中で地方事務官制度の問題で、地方事務官を廃止するという方向が打ち出されておるわけでございます。「道路運送車両による輸送行政事務の一部については、都道府県知事に委任するものとし、その内容は、関係省庁間において別途協議の上定める。」というふうに、いろいろな項目が載っているわけでございますけれども、これを進めるとすれば、当然この道路運送車両法を改正しなければならぬし、そのほかにもいろいろ問題があると私は思うのです。  たとえば乗用車の定員の重量、五十キロですか、そういうものが法律の中で定められておりますね。ところが、最近の中学生ぐらいの体位の伸長度を見ますと、もう中学二年で五十一キロというのが厚生省の統計の上に載っておるわけですね。そういうような状況から見ても改正する必要がある。  それから、自動車の整備問題からいきましても、たとえばバルブなんというのも、テスターなどは要らないというふうに整備工場は言っておるわけですね、そういうものはもう部品をかえれば済んでしまうわけですから。そういうような問題が依然としてなおざりにされているわけでございますので、この辺の問題からも、全面的にこれらの点は改正する必要があるのではないか。  それから、過積みの問題等を考えてみましても、私のところにもいろいろ投書が来まして、写真まで添付をされてきたのでございますけれども、いわゆる過積みが発見された場合には、運転者の責任になっておるわけですね。     〔浜田委員長代理退席、委員長着席〕 そういう状況から、運転者が再々はそういうものの立てかえはできない、生活費の上からいってもかなりの負担になるということで、今度は事業者がそれを肩がわりして負担をしておるわけですね。しかし、そういうような形で過積みの問題がなくなるということは考えられないわけでございます。  これはある警察署の署長さんが「積荷の定量積載について」というような要望をいろんなところに出しておるわけでございますけれども、「運行管理者及び会社等の背後責任まで追及する等厳しい取り締まりをもって臨んでいるので御協力を願いたい」こういうふうになっておりますが、これらなんかの問題も、やはり競争という問題あるいは荷主の依頼というような問題、そういうような問題にまで掘り下げて考えていかないと、こういうような問題はなくならないわけですね。そういうふうになってきますと、いわゆる通運事業法の問題まで考えなければならない、こういう点もあろうかと思いますね。  そのほかに指摘すれば切りがないわけでございますけれども、そういった意味で、この道交法の改正を転機にして各運輸、特に陸運関係の法律の見直しをする必要があるのではないかと私は思うのですけれども、一部改正するお気持みがあるならば、かなり基本的なところまで突っ込んだ改正を考えていただく必要があるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  42. 福永健司

    福永国務大臣 道路交通法の一部改正案につきましては、警察の方からいま説明を受けつつあるところでございますが、いまいろいろお話がございましたように、道路運送車両法、道路運送法その他いろいろのものとの関連において、御指摘のように、運輸省といたしましては、その関係諸般の問題をともに考えなければならぬということが当然ございます。したがって、いまいろいろ御注意をいただきましたようなことを念頭に置きつつ、向こうの説明に対しまして、こちらはこちらなりの対処方策を講じてまいりたいと考えておる次第でございます。
  43. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 車両法の中には、とにかく四分の一世紀前の法律でございますので、たとえば軽車両なんというのは、人力とか畜力、動物の力を利用してそういうような運ぶものを軽車両と称するのだというような規定があるわけで、これなんかもきわめて前時代的な状況ではないかと思うのです。そういったことを改善することも、私は、行政に対する信頼を回復する道だと思いますので、御研究をお願い申し上げたい、こんなふうに思うわけでございます。  余り時間がなくなりましたので、あと二つだけ申し上げたいと思いますが、これは愛知県の小牧市に車検場を開設しようというのですが、名称問題で非常に停滞をいたしておるわけです。これなんかも、見ますと、地元のいろんな意見ももちろんあるようでございますけれども、運輸省の規定によると、どうも四文字ではよくないとか、その都市の名前が一字くらい入っていなければならぬとか、そんなつまらぬ規定を云々していたのでは私はだめだと思うのです。もう少し積極的に政治的な解決を図っていただきたい、これは要望として申し上げておきます。  あと申し上げるべきことは、自賠責の問題です。いままでいろいろ報告を事務的に聴取しておるのでございますが、五十一年度に一千五百万になった。ところが、最近の死亡事故にかかわる自賠責の保険金の支払い状況を数字で見ますと、四十九年度には死亡事故が一万四千四百八十三件、一人当たりの平均支払い額が七百七十万円。ところが、五十年度になりますと死亡事故が減ります。一万二千八百六十人、平均の支払い額は九百九十九万円、一年間で実に二百二十九万円も多く支払われておるわけです。これは物価の上昇あるいは給料のアップというような問題が当然含まれているから、そういうふうになってきているのだと私は思うのです。それから五十一年度においても、一万一千二百七十一人、これは減っております。ところが、平均の支払い額は一千二百六万円、これも前年度に比較しますと二百七万円。二年間のアップ額を見てみますと四百三十六万円。二年間でそれだけ死亡事故に対する一人当たりの支払い金額はばあっとふえておるわけですね。まだ五十二年度の数字は出てまいりませんけれども、やはり最近の状況から見まして、かなりこれは自賠責の限度額というものを上げなければならぬのじゃないか、こういうふうに思うのです。  それから、これは運輸省からいただいた統計でございますけれども、一千五百万円まで支払っている金額が、累積の構成比で見ますと七六・六%。まあこれは自賠責の範囲内でおさまっておるわけですが……。そうして二千万円を超えるケースというのが実に二三・三%あるわけですね。ですから、四分の一は相当な金額で死亡事故というものが処理されておる。これは自賠責プラス民間の保険ももちろん加味されていると思うし、それ以外の現金による自己負担というものがあるにいたしましても、二千万円以上払っているのが二三・三%、四分の一に達する人たちが二千万円以上払っておるという事実を私たちは現実に見なければならない、こういうふうに思います。  それからもう一つ、これは交通遺児の会ですかの人たちが調査をした結果によりますと、昭和四十二年に交通訴訟の三七・五%は、いわゆる空判決であるというのが一時出まして、大変そのとき話題になった。判決がたとえば二千五百万なら二千五百万と出ましても、実際にそれを履行できなかったというケースが非常な高率に上っておったことがあったわけです。その後、五十年度にまたこの人たちが第二次調査をされたそうです。そうすると、空判決は二一・二%というふうに非常に低下しておる。それでも二割以上の人たちが、いまだに、裁判の判決はあるけれども、その全額をもらうことができない。こういうような状況を見ますと、やはり自賠責の限度額というものを上げる必要があるのではないかという意見なんですね。  しかも、非常にその中で問題なのは、被害者救済という立場だけではなくして、加害者の状況を見てみると、住居の移転や職業の移動、そういうものを見ますと、加害者の三一・三%は住所を変えておる、それから二二・九%は職業を変えた、そういうような状況も出ているわけです。  これにはいろんな要素がもちろん絡まっているとは思います。しかし、多額の金額を払わなければならぬということが大きな原因であることは間違いがないわけでございまして、そういった意味でも、やはりこれは保険料を多少上げても、自賠責の金額というものはさらに大幅にふやす必要が私はあると思う。もし二年間、五十三年度もこんな調子で前進をするのでありますれば、これに四百万足せば五十三年度でも一人の平均支払い額が千四百万円以上に到達してしまう、そういうようなことが考えられます。したがって、やはり前向きの姿勢、そういうものが一つ必要だと思うのです。  もう一つ、これはしばしば意見として取り上げられてきたわけでございますが、長年無事故の人たちの料率は下げてしかるべきじゃないかというような意見も一部にはありました。ですから、そういうような問題も含めてひとつ自賠責に対する考え方、これをお伺いいたしまして、私の質問は終わりにしたいと思います。
  44. 福永健司

    福永国務大臣 いまお話しの自賠責の限度額の引き上げにつきましては、従来運輸省が得ております諸般の資料等からいたしまして、いま直ちに上げるということには決めているわけではございません。しかし、今後の限度額引き上げにつきましては、その後の裁判等における賠償水準や経済社会情勢の動向、保険収支の推移等を勘案しつつ、被害者保護に欠けることのないように検討してまいらなければならぬと思います。いまいろいろ有益なお話を伺いましたが、今後の参考にいたしたいと考えます。
  45. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 これは要望でございますけれども、確かに過去のそういった実績等十分勘案の上決めていかなければならない問題だと思いまするが、やはり運輸行政のたてまえからいきましても、社会情勢にいろいろ変化があり、それに対応しなければならぬわけでありまして、そういった意味で、転ばぬ先のつえ、これがいわゆる保険のたてまえでもありますから、やはり先手先手とお考えをいただかなければならぬ、これだけ申し上げまして、本日は終わりにしたいと思います。
  46. 増岡博之

    増岡委員長 米沢隆君。
  47. 米沢隆

    ○米沢委員 私は、造船不況対策と、いまIMCOの総会で問題になっておりますSBT、COWの点にしぼって御質問させていただきたいと思います。  まず最初に、造船不況対策の件でございます。  御案内のとおり、波止浜造船が行き詰まったり、函館ドックあるいは佐世保重工等が経営不振に陥ったりして、目下造船不況は本番に突入したというような感じがいたします。  そこで、まず第一に、造船不況の現状につきまして、手持ち工事量、受注の見通し、雇用の状況、操業率、企業の採算、収益状況等々、そして目下とられております不況対策、そういうものをどのように把握されておるのか、大臣の基本認識からお伺いしたいと思います。
  48. 福永健司

    福永国務大臣 造船業の不況につきましては、私もいたく頭を痛めておる次第でございます。そういうことの実態等につきましては、数字的に関係局長等からお答えいたさせますが、運輸行政の中に頭の痛いことが幾つかあるのでございますけれども、この造船というのは非常に大きな問題でございます。しかも今度の予算案等と関連いたしましても、一般公共事業によって不況を打開するというようなことについて、多少造船は幾つかの産業とは違った様相を呈しておりますだけに、造船プロパーの対策も講じていかなければならぬ、こういうところでございまして、一般的な数字等につきましてはただいま申し上げますが、いずれにしても、早急に有効な方途を講じていかなければならないということでは、私ども透徹した考えを持ってまいりたい、そういうように考えておる次第でございます。
  49. 謝敷宗登

    ○謝敷政府委員 造船業の現状につきまして数字を補足させていただきます。  造船業全体としては約千五百社ほどありますが、いま不況と言われておりますのは、主として外航船舶をつくっておる造船所でございます。その数は、私どもの操業度勧告をしておりますのが四十五社ございますので、それを中心に御説明をいたします。  従業員の数は、昨年の十二月末の推定では、造船業十六万八千人、造船下請業六万二千人、関連工業八万人と、約三十一万人でございまして、五十一年の十二月の数字に比べますと、一年間で一万五千人の減少となっております。  それから問題は、不況の実感はどこから出てまいるかといいますと、受注量の減少によるものであろうかと思われます。受注量を二千五百総トン以上の受注量でとってみますと、五十年度が八百五十万トン、それから五十一年度八百四十二万トン、それから五十二年度の見込みとしましては五百万トンでございます。最盛期の四十八年度、これは超ブームのときでございますが、一年間で約三千三百八十万トンということでございますので、これに比べて非常に落ち込んでいるということが一つでございます。  それから、もう一つの問題は、新規受注に対しましてキャンセルの問題が出ております。キャンセルは昨年度で大体下げどまった、終わったというつもりでございますが、これが昨年度八百四十二万トン新造船をとりまして約七百六十万トンほどのキャンセルでございます。それに対しまして五十二年度は五百万トンの見込みに対しまして現在まで約二百五十万トンのキャンセルでございます。  もう一つ問題として出てまいりますのは、起工量でございますが、起工量は五十二年度の見込みが七百五十二万トンになります。五十三年度の見込みは、私どもとしては六百四十三万トンを見込んでおるわけです。この六百四十三万トンにつきましては、五十一年の海運造船合理化審議会の答申によりまして、世界全体で五十五年に至ります期間におきましては約千二百万総トンになるであろう、それで国際的な関係等もございまして、その半分の六百万トンと、それから小型船の五十万トンを足して六百五十万トンという数字を目標として出されております。それに対しまして、操業率が六五%という点が出ております。そして、この六百四十三万トンの五十三年度見込みに対しまして、十一月の十日までの確定数字が二百五十万トンでございます。したがいまして、約三百九十万トン強を今後どうとっていくかということになるわけでございます。これの対応策といたしましては、まず中心が輸出船でございますので、約五百万トンは輸出船とお考えになってよろしいかと思います。そして、この五百万トンの輸出船に対して輸銀資金量をできるだけ精いっぱい見るということで、千九百億円ほどを今度の財投計画に出しておるわけでございます。それから国内船は約百五十万トンでございますが、これに対して五十五万トンの計画造船を開銀資金で組むということにしております。  それで問題は、今後約四百万トンほどの受注がどの程度にとれていくかということに関しまして、先行きについて世界的な船腹過剰あるいは世界的な需要の減退等から不安が出ているものと思われますが、私どもとしては、この数字を達成すべく努力をしてまいりたい、こう考えておるわけです。したがいまして、非常に平均的に申し上げますと、六百四十三万トンの見込みに対しまして二百五十万トンの確定がございますので、平均すれば約四〇%ほどの仕事は確保されている、したがって、夏ぐらいまでの仕事というふうに私どもは考えております。もちろん企業によってのばらつきがあるかと思いますが、平均としてはそうでございます。  それから、もう一つ不安感が出ておりますゆえんは、従来は二年ないし三年の手持ち工事を持ちながら、それを各年度で消化し、消化した分以上の新規受注をとるというのが、ブームから少なくともここ一年とか二年目ぐらいまでの感触であったわけでございます。したがいまして、その意味では一年間の工事量に満たないということが不安の原因の一つかと思います。したがいまして、期近なものもできるだけ努力をしてとっていくということに力を注いでいきたい、こう考えております。  操業度につきましては、先ほど申し上げました答申に従いまして、五十二年度、五十三年度とやっておりますが、五十二年度は四十九年度に比較いたしまして六七%、五十三年度の見込みは六三%ということでございます。  ちなみに運輸大臣の勧告値を申し上げますと、五十二年度が七五%、それから五十三年度が七〇%。これはいずれも四十九年度対比でございます。したがいまして、見込みとしては、それの九〇%程度の量になっているということでございます。  簡単でございますが、補足をさせていただきます。
  50. 米沢隆

    ○米沢委員 詳細に数字を挙げて御説明いただきましたが、結論はこれから先の見込みというのが非常にむずかしいということ、それから持っておられる造船能力に比して受注がぐっと減ってきて、構造的な過剰の状況にある、そういう認識だけは基本的なものだと思います。  そういう意味で、これも構造改善を要する業種の一つとして、いま新聞等でも報じられておりますし、運輸省等でもいろいろと御努力をなさっておるわけでありますが、その場合、造船業界そのものの意向が一体どうなっておるのかというのが問題だと思います。いろいろな情報によりますと、海運造船合理化審議会等に諮問されて、結論をいま急いでおるということを伺っておりますけれども、業界の中にはそういうものに対しての意見も必ずしも一致していない、そういう話もございますので、今後、造船業界そのものがどういうかっこうで構造改善に取り組もうとしておるのか、業界そのものの意向はどうなっておるのか、特に話がまとまる可能性は必ずあるのか、それから、まとまる時期、構造改善の大体の規模、廃棄の方法等について、どういうかっこうでまとまりつつあるのか、御説明いただきたいと思います。
  51. 福永健司

    福永国務大臣 いまお話しの点につきまして、現実的な動きについて私は必ずしもこれをつまびらかにいたしておりませんが、いずれにしても、この種の話はまとめなければならない、まとまるかまとまらぬかということについて、これはこれなりに議論もございますが、そういうことを越えてまとめて、そして不況打開に邁進できるようにしなければならぬということでございます。われわれは、そういう線に従って鋭意努力したいと考えておる次第でございまして、具体的事例等につきましては、局長から答弁いたさせます。
  52. 謝敷宗登

    ○謝敷政府委員 造船業の構造改善でございますが、現在やっております操業の短縮についての運輸大臣の勧告でございますが、これで操業量を大手、中手に分けて、大手ほど厳しく差をつけてやっております。  ただ問題は、現在の海運不況に基づきます造船不況が相当の期間続くであろうということが予測されております。したがいまして、造船の設備処理も含めまして構造改善が問題になっておるわけでございます。この点に関しまして特定不況産業安定臨時措置法案の検討をいま関係省でやっておりますが、これの進捗状況にも関連すると思いますが、できるだけ早い機会に審議会を開きまして答申をいただくということにしたいと思っております。  したがいまして、業界といたしましても、何らかの形での設備処理を含む構造改善に踏み切らざるを得ないということでは意見は一致しておると思いますが、問題は、設備の処理の率とかあるいは処理の時期とかいうような個々の具体的な構造改善の内容についていろいろの意見があることも事実でございます。その点につきましては、審議会におきまして学識経験者なり関係者に十分検討していただいてまとめて、その上に立って構造改善に取り組んでいきたい、こう考えております。
  53. 米沢隆

    ○米沢委員 そういうかっこうで徐々に業界も構造改善に着手をするような動きになりますし、早くて五十三年度、五十四年度ぐらいから具体的に設備過剰の部分が解消される方向にいく、そう思っておるわけであります。  ただ、問題になりますのは、やはり雇用の問題です。もうすでに先ほど説明いただきましたように、一年間に一万五千という人間が職場を離れておるわけでありまして、特に中小造船業界はかなり急ピッチで人減らしが進んでおります。また大手の方も、いろいろな計画等を見ますと、合理化のあらしの中にありまして、今後五十三年、五十四年、五十六年に向けてかなり相当量の失業者を出していくという見通しがよく報道されておるわけであります。特にそういう意味では、今後の受注の動き等、実感として働いておる連中は知っておるわけでありまして、雇用不安というものが果てしなく広がっておるのが実情ではないかと思うのであります。  そこで、こういった構造改善なんかをやる場合に、特に企業なり産業なりをどう立て直していくかという議論がよく主題になりますけれども、特に今回の場合には急激に人が減っていくわけでありますから、特にこういう審議会等につきましては、造船業の構造改善をどう進めるか、安定するにはどうしたらいいかという議論が主議題になりまして、雇用の問題はほとんど看過されるきらいがなきにしもあらず、そう思っておるわけでありまして、特にこの点につきまして、運輸大臣として、今後、構造改善事業をやっていく場合にも、かなりこのあたりがひっついて回るわけでありまして、特にどういう態度で造船業界を指導されていくのか、労働者に対する配慮というものにつき御見解をお聞きしたいと思います。
  54. 福永健司

    福永国務大臣 いまお話のように、いろいろ問題のある中で雇用不安を解消するようなことについては特に力点を注いでいかなければならぬということにつきましては、私も強くそれを感ずるものでございます。昔、私、労働大臣等をやりましたときの経験等からいたしましても、労働者、ことに造船関係のような分野の人たちは、世界の中の卓越した技能を持って大いに日本の造船の分野を開いてきたわけでございまして、それが世界一の座を保っていただけに、きょうこのごろ非常に憂うべき気の毒な状態にあるわけでございますから、ぜひこの日本造船関係者、ことに労働者諸君の持てるものを生かすような意味において特に考えなければならない。もとより離職という意味からしますならば、同じことのみをというわけにはなかなかまいらないでしょうけれども、できるだけ多く——船をつくることそのものでなくても、それと関連する、他の職種におった者とは違う、造船に従事していたような諸君の技能を大いに発揮できるようなことにということを強く望んでいる私は一人でございます。  そういう意味から、洋上タンクだとかあるいは浮体構造物だとかその他いろいろございますが、南米へ引っ張っていくあの製紙プラント等にいたしましても、私は、アマゾンの現地を見てきた一人でございますけれども、やはり日本に相談したら知恵があったと思われるようなことも、これは急にたくさんというわけにはまいりませんけれども、長い将来を考えてそういうことにも思いをいたしまして、ぜひ造船関係者の技能を生かしてやりたい、それがやはり日本民族全体の繁栄にもつながる、そういうように考えておる次第でございます。
  55. 米沢隆

    ○米沢委員 大臣、感情的、総論的には大変温かいお心持ちを持っていらっしゃるようでありますから、後は具体的にそれが実になりますようにお願いを申し上げたいと思います。  それから、この構造改善をやっていく場合に、御案内のとおり特定不況産業安定臨時措置法というのが目下詰めの最終段階に来ておるやに聞いております。それで、いろいろと聞いておりますところ、運輸省としては、こういう造船業界の構造改善に対処するために最初は単独立法を考えておられた、それが最終的には相乗りになるということで政府部内で大体の合意ができておるということでありますけれども、単独立法を考えておられましたその経緯、それが結果的にどうして相乗りになってきたのか、その特別や理由がありましたらお聞かせいただきたい。
  56. 福永健司

    福永国務大臣 私が就任いたしましたころが、タイミングがちょうどその種のことを考える時期でもございましたので、私は私なりに運輸省だけでもというような気持ちを確かに持っておりました。しかし、政府全体といたしまして関連産業を含めてそういう動きにということもございましたので、まとめ御承知のようなことになったわけでございます。その辺の変わったこと等につきましては、私は必ずしもつまびらかでございませんので、局長に補足させることにいたします。
  57. 謝敷宗登

    ○謝敷政府委員 昨年の秋の円高傾向によりまして、今後の受注の見通しにつきまして部内でいろいろ議論がございました。そのときに、十月から十二月までの数字そのものは前年に比べてさほど落ちておりませんが、ただ、その後につきましていろいろな場合を想定すべきであるという議論が出てまいりまして、私どもは、海運造船合理化審議会の有力メンバーと非公式に懇談をしてきまして、その過程の中で、設備処理を含むいわゆる構造改善論が出てまいったわけでございます。その段階ではまだ業界全体がそういう方向でいくというふうに最終的にまとまっておらない段階でございましたが、昨年の暮れごろから早急に業界の空気が一致してまいりまして、その上に立ちまして、造船業あるいは運輸業の中での他の不況産業等も関連いたしまして何らかの構造改善に関する単独の立法を検討したわけでございます。  ただ、検討してまいりますと、設備処理等に関しましては、基本的には他の構造不況産業業種と同じような考え方になるわけでございまして、この点で関係省と一本ということで造船業を、現在考えております特定不況産業臨時措置法の中に入れるという方向で検討をすることに切りかえた次第でございます。
  58. 米沢隆

    ○米沢委員 そうなりますと、いま五十三年度の予算の中に例の法律に基づく債務保証基金百億というものが提出されておるわけでありますが、造船業界がこれに相乗りしますと、これは相当の金額が要るわけで、そういう意味では、別枠としてこの基金を確保する必要があるわけです。そういう意味では、その別枠確保の見通しが実際立っておるのかどうか。その前提となりますのは、何といいましても現有設備の五〇%以上を削減ということになりますと、一体どれぐらいの資金が必要なのか、資金の調達は一体どうするのか、この債務保証基金あたりにお願いをする金はどれぐらいの規模になるのか、そのあたりは大体計算されておると思うのでありますが、一体どうなっておるのでしょうか。
  59. 謝敷宗登

    ○謝敷政府委員 ただいま検討されております基金につきましては、もし造船業が入るといたしますと、造船業も含めて産業全体として債務保証基金については一本として取り扱って運用する、こういうことになっております。これにつきましては、開銀の出資と業界からの出捐あるいは出資ということになるわけでございますが、この点につきましては、造船業を含めて全産業一本で取り扱うという方向で関係省と話を詰めておるところでございます。  具体的に構造改善に当たって設備の処理の率をどのぐらいにするかということについては、御指摘のように五〇%というような数字も巷間言われておることも事実でございます。ただ、これは設備の廃棄率と操業度との関係で申しますと、いわゆる設備の稼働率というのが一体どのぐらいの程度であることが望ましいか、その前に中期的なあるいは長期的な建造規模といいますか、そういったものとの関連がありまして、必ずしも五〇という数字で検討しておりませんが、先ほど申し上げましたように、法案の進捗状況とも関連いたしますが、関係者の意見を早急に取りまとめて具体的な内容を固めていきたい、こう考えております。
  60. 米沢隆

    ○米沢委員 それじゃ、基金の金は別枠で確保できるというふうに見通していいわけですね。
  61. 謝敷宗登

    ○謝敷政府委員 いまの話し合いの段階では、いまの基金の中で造船を含めて一本として取り扱っていく、こういうことでございます。
  62. 米沢隆

    ○米沢委員 造船一本として取り扱うその取り扱い方は結構でありましょうが、たった百億の基金ですからね。約十倍といたしましても、造船なんというのが入りますと相当の金額ですから、ほかの産業にも影響するのじゃないですか。そういう意味では、別枠で確保するという見通しを持っていただいて強力に交渉していただくことが必要じゃないかと私は思うのですが、大臣、いかがですか。
  63. 福永健司

    福永国務大臣 御説、私も同感でございますが、いかなる方法がいいか、いずれにいたしましても、何らかその種のことについて私も努力をいたしたいと思います。
  64. 米沢隆

    ○米沢委員 それから、これは結論はまだでしょうが、造船工業会等の意向は、五〇%以上設備を廃棄する、そうなりますと、五〇%設備を廃棄して実際企業として採算が成り立つのか、そういう問題があるのじゃないかと思いますが、そうなりますと、業界再編成というところまで足を突っ込まないと、どうしても救いようがないということになるのですが、今回この構造改善事業に取り組む気持ちとしては、運輸省としては業界再編成まで、最後まで行政指導を進めていく、そういうふうにとってよろしいでしょうか。
  65. 謝敷宗登

    ○謝敷政府委員 設備の処理率をどうするかということは、まだこれから具体的に詰めてまいるわけでございますが、問題といたしましては、いわゆる総合重工業メーカーである大手は、かなりの率でありましても他の陸上プラントその他の重工業の転換等を考えられる、それから専業メーカーについては、その点について他業種への転換についてあるいは多角化について努力をしていくわけでございますが、これについてはおのずから差があろうかと思います。したがいまして、そういう点も踏まえ、それから先ほど申しました設備の能力と操業度の関係を考えて今後具体的に検討してまいりたい、こう考えます。
  66. 米沢隆

    ○米沢委員 場合によっては業界再編成まで進むと理解してよろしいですね。  それから、造船需要の拡大の件でありますが、先ほど石田委員の方からもお取り上げになりまして、業界からも官公庁船の建造の促進だとかスクラップ・アンド・ビルドの推進等々が議論をされましたが、大臣は全く同感で、強力に進めたいという御答弁をされておったようであります。それで具体的に、今度は五十三年度の予算の中で、少なくとも前倒し発注でもしてやろうかというような配慮なり、具体的に数字を入れて、今年度は一体どうなるのかということをちょっと御説明いただきたいと思います。
  67. 謝敷宗登

    ○謝敷政府委員 官公庁船のうちで海上保安庁の巡視船等につきまして数字を御説明申し上げますと、五十二年度百三十五億二十三隻、五十三年度百八十五億十五隻ということになっております。それから、これは技術的に非常に問題がありますので、大手が中心になろうかと思いますが、防衛庁の艦船が五十二年度九百十五億、五十三年度千九十六億、それから先ほどの内航船等の代替建造の促進という点につきましては、船舶整備公団代替建造等予算につきましては、五十二年度が二百二十一億、五十三年度が二百四十八億で、建造量としましては、五十二年度五十五万八千トン、五十三年度七万九千トンということでございます。
  68. 米沢隆

    ○米沢委員 ちょっと済みませんが、答弁されるとき聞こえないので、上を向いて話してほしいのですが……。  それから、下請企業の不況対策ですね、造船業界本体も大変な問題ですが、同時に、関連企業あるいは下請企業等が真っ先にやられておるわけですね。  そこで、労働省の方が来ておられると思いますが、下請企業あたりの人減らし状況は把握されておりますか。
  69. 白井晋太郎

    ○白井説明員 お答えいたします。  下請関連につきましては、先ほど運輸省の方から御説明になったところで、その一万五千の中へ含まれているわけでございますが、実際に安定所にあらわれました離職者数をとらえるのは、業種別、規模別というのは非常にむずかしい点がございまして、現在把握できる数字としましては、昨年十二月にできました特定不況業種離職者臨時措置法に基づきまして、一月二日から施行されているわけでございますが、一月二十日現在でそれに関する離職予定者数約六千名という数字が出てきております。しかし、これは造船業だけじゃなくて、繊維とかいろいろ入っておりますので、実際問題としては、このうちに造船が含まれているということでございます。  あとは個々に各県別に調査する以外にないわけでございますが、現在、多数出ております愛媛県、長崎県等で調査いたしました結果では、両県合わせまして約七千名の離職者が出ているという状況でございます。
  70. 米沢隆

    ○米沢委員 これから先の雇用対策にも絡むわけでありますが、いままで、ともしますと職安なんかで出てきます失業者の数をトータルで論議する、そういうきらいがありました。今後、こういう構造改善事業を行うに当たって、急激にまたふえてくる失業者の数に対する対策というのは、少なくとも統計上出てくる数というよりも、地域別に業種別に規模別にそういうものの把握をしない限り対策なんか出てきようがない、そう思うのでありますが、今後の統計のとり方あるいは対策のとり方、そのあたりどういうふうにお考えでしょうか。
  71. 白井晋太郎

    ○白井説明員 その点については、先生のおっしゃるとおりでございまして、現在、愛媛県、長崎県、北海道、それから広島につきまして、造船関係につきましては地域別にとっております。ただ、まだ規模別にははっきりしておりません点がございますので、その辺十分配慮してまいりたいと思っております。
  72. 米沢隆

    ○米沢委員 いま下請の関連企業、造船企業等は、御承知のとおり船舶解体事業の方に進んで生き伸びよう、こういう努力をされております。  そこで、問題になりますのは、解体した後のくず鉄は、大変不安定な価格動向を持っておりまして、何とかしてこれを安定した方向に持っていっていただくことが、逆に解体事業をうまくやっていく、下請が飯が食えていくという大きな前提になるわけでありまして、業界あたりからも、このくず鉄の価格を何とか安定する方向に保証する機関をつくってほしいという議論やら、あるいはまた運転資金等にもちょっとめんどう見てほしいという議論やらが出ているはずでありますが、そのあたりどういうふうな取り扱いをなされていくのか、同時に、その他下請企業に対してどういう不況対策をとられようとしているのか、この二点をちょっと伺っておきたいと思います。
  73. 謝敷宗登

    ○謝敷政府委員 下請事業者と関連工業者に対しまして、事業転換ということで調査を進めてまいったわけでございます。その中の一つとして、下請事業者の持っております技能を生かして、船舶解体業ということを五十二年度で実行に移したわけでございます。この点につきましては、海外におきまして、主として台湾でございますが、事業として成り立っているということもありまして、わが国においても、合理的なやり方をすれば事業として成立し得るということを期待して始めたわけでございます。したがいまして、造船下請業に組合をつくってもらって、それで、その組合が解体する場合に、技術改善のための補助金を交付するという形をとっております。  ただ、御指摘がございましたように、スクラップの需要先であります平電炉メーカー等が極端な不況に見舞われておりまして、したがって、スクラップ価格が低いということと、もう一つは、スクラップ需要そのものが極端に冷え切っているということがありまして、下請関係事業者が組合をつくって努力しておりますが、事業運営についてはむずかしい状態、厳しい状態にあるというふうに認識をしております。  ただ、長期的に見ますと、老朽解体船の量の拡大なりあるいはスクラップ価格の安定ということも期待できますので、解体業の自立化を目標としまして、今後とも検討を重ねて、その結論によりまして指導をしてまいりたい、こう考えております。
  74. 米沢隆

    ○米沢委員 相前後しますが、この問題で最後に雇用問題をちょっとお尋ねしたいと思います。  もうすでに御説明ありましたように、倒産だとか希望退職等の失業者がずっと出てきておりまして、いまぜひ知りたいのは、そうしてはじき出された失業者というものがどういうかっこうで再就職がなされておるのかというその問題でございます。  そこで過去、まだこの一、二年でありますから、そう統計的に分析できるほどのかっこうじゃないかもしれませんけれども、すでに失業者になった、あるいは希望退職に応じて結局職を失った、そういう皆さんがその後どういうような再就職の道を歩いておるのか、うまくいっておるのか、それともいままだ失業中であるのか、そのあたりについて実態がわかっておれば、ちょっと御説明いただきたいと思います。  それからもう一つは、今後構造改善等をやっていきますと、急激に人員整理というものが出てまいります。これは先ほどの話のとおりでありまして、同時に、これから先の受注の状況等によりましては、たとえば五十三年度あたりが操業率四〇%とか二〇%ということに落ち込む可能性も十分あるわけでありまして、もしそういう三〇%とか四〇%というかっこうになりますと、相当の過剰人員を抱えることになって、ぼくらの試算でも約二万前後の人間が結局過剰人員になって、会社によっては首になるかもしれぬし、そのまま温存させながら何かうまくやってくれるかもしれない、そういう非常に不安な状況になっておるわけであります。  そうなりますと、解雇される人間の数にも非常に大きな問題がありますが、同時に、造船なんかは御承知のとおり、地域に定着した産業でございますから、その造船所が閉鎖される、一時的にであれ閉鎖されるということになりますと、地域経済に与える影響というのは相当大きなものがあります。同時に、その周辺における不況感あたりはますますつのっていくわけでありまして、単に業種とか造船なら造船とかいうただそれだけの対策をやって、いわゆる原因である造船産業を安定させるだけではなくて、これはその周辺の一般商店の売り上げにまで影響していくわけでありますから、そういう意味では、業種別の対策、産業別の対策プラス地域ぐるみの、特に造船なんかは地域に定着しております関係で、そういう対策を考えていかなければならぬ重要な問題をはらんでおると思うのです。  そういう意味で、先ほど来運輸大臣は、造船技術を利用した何か仕事、こうおっしゃいますけれども、口ではそう簡単に言えますけれども、造船技術をうまく生かした仕事なんというものが新しくそんな簡単にできるものかどうか。雇用の創出等について総論だけはいままでうまく流れてきておるのでありますが、実際そんなものが可能なのかどうか。これはみんなが知恵を働かせなければならぬ問題かもしれませんが、地方自治団体を含めて、ぐるみで何かをやっていく、そういう対策をこの造船業界にも、造船業の構造改善に伴う人員対策について考えてほしいと思うのでありますが、この点をちょっと大臣から聞かしていただきたいと思います。
  75. 福永健司

    福永国務大臣 先ほど私は私なりの考え方を申し上げたのでございますが、御指摘のとおり、それが直ちに事業化されて、そこが造船関係労働者を吸収していくというように簡単にいくものでないことはもちろんでございます。なかなかこの種のものを具体的に雇用に結びつけるというところまではむずかしい。確かに努力は要りますが、しかしさりとて、何も考えないのじゃなお一層いけないのでございまして、私は、そういう意味から私なりの積極性を、こういうように考えておる次第でございます。  そこで御指摘のように、現実に雇用面で効果を生ずるように、ぜひこの努力をいたしたいと思います。それにつきましては、いまもお話がございましたように、いろいろな関係者がそういう気持ちで協力するのでないと、なかなかそうはいかないということでございますから、私自身といたしましても、こうした考え方による実効を上げていくということについて、関係者に広く働きかけていかなければならない、さように存じております。
  76. 白井晋太郎

    ○白井説明員 現状について申し上げます。  先ほど申し上げましたように、全体のマクロでの数字は十分に把握されておりませんが、たとえば愛媛におきます状況を申し上げますと、安定所にあらわれております昨年四月から十二月末までの求職申し込み件数が一千八百五十五名でございまして、それのうち実際に就職いたしておりますのが百九名でございます。これは非常に少ない数字になっておりますが、実際には現状としまして雇用保険の失業給付、それから延長給付、その他を受けておるという関係がございまして、雇用保険の水準がかなり高くなっておりまして、現状の状況では雇用保険をもらい切るまではなかなか就職しないという状況がございます。  そのほか訓練を受けるとかいういろいろな求人開拓その他も実施しているわけでございまして、先ほど先生がおっしゃいましたいろいろな状況に対しましては、昨年の十月にできました雇用安定資金制度を活用いたしまして、事業転換その他の場合に、その従業員に対します教育訓練を行った場合には、中小企業には三分の二、大企業に対しては二分の一の賃金助成を行うとか、そういうような制度を活用いたしますとともに、離職者臨時措置法に基づきまして、失業給付が終わりましてもなお就職できない場合には、訓練待期手当、訓練手当を支給して、訓練を実施して、再就職を図っていくというようなことをやってまいりたいというふうに思っております。  それからなお、地域に対する関連につきましては、公共事業の実施とかいろいろあるわけでございますが、先ほど運輸大臣もおっしゃいましたような関連につきまして、各関係省にお願いしながら、地域対策も進めてまいりたいというふうに思っております。
  77. 米沢隆

    ○米沢委員 次は、IMCOの総会に関連しまして、SBTとCOWの点についてお尋ねしたいと思います。  御案内のとおり、海洋汚染防止という問題に絡みまして、いまタンカーにその防止対策を施そうという動きが世界的なテーマになっておりまして、現在開かれておりますその総会でも主要なテーマだと存じております。  それで、最終日を待たずにこの問題については妥協案ができ上がったとけさの新聞等には報じられておりますけれども、内容はこの新聞に載っておるような内容でよろしいのですね。
  78. 福永健司

    福永国務大臣 私、その新聞をまだ見ておらないのでございますが、一昨日請訓してまいりましたその案と同じものが恐らく新聞に出ているのであろうと思います。これは要するに、アメリカを中心とするグループの主張とイギリスを中心とするグループの主張にかなりな隔たりがございましたが、両者歩み寄りまして、妥協案という一つの結論に到達しているわけでございますが、まだ最終的に採択されたというところへはいっておりませんけれども、十七日の会議で採択しようということになっておりますし、情勢は満場一致で決まるのではないか、そういうように考えております。  内容の必要がございましたら、局長の方から答えさせます。
  79. 米沢隆

    ○米沢委員 そこで、問題になりますのは、この決議の発動される要件といいましょうか時期の問題だと思います。これはいまおっしゃいましたように、十七日の本会議というのでしょうか総会というのでしょうか、そこで最終的には決定されると思いますが、ほぼこの結論で、結論といいましょうか、新聞なんかに報じられておりますこの内容で結論が出るのじゃないか、そう思っておりますが、問題は、特に既存のタンカーについては、五十六年の六月以降四万重量トン以上のタンカーについてSBTまたはCOWのいずれかを設置する、そういう内容でありますが、いまでも一九七三年の海洋汚染防止条約では、七万重量トン以上の新造船にはSBTをつける義務が盛り込まれておりますけれども、これは各国の批准が全然なっておりませんで、おくれて発動していない。そして今回、アメリカや産油国あたりの熱心な運動で、前回の条約の内容が強化されたかっこうで修正されて決議になるという、そういうことでありますから、これから先、発効の要件としてこういう時期のめど等が大体決まるようでありますけれども、批准が一体どうなっていくのかというのが最大の関心事ではないかと私は思います。  従来、この問題につきましては、政府は強い関心を持っていらっしゃったのでありましょうけれども、余り積極的ではなかった。本来ならば、海洋国あるかは造船王国なんて言われる日本でありますならば、こんな問題には一番熱心でなければならぬのではないかと私は思うのでありますが、残念ながら、一貫してこういうものには反対ないしは消極的な立場を堅持されておりまして、そういう意味では、この総会に現にいま代表として行っておられる皆さんも、情勢を見て結論を出そうなんという非常におかしい方針を持って臨まれておるというふうに私は聞いておるのでございます。  そこで、運輸大臣にお尋ねしたいのでありますが、一九七三年の条約、これは批准できなかった、また、しようともしなかった、そういう過去の経緯。しかし、それが今度は条約の内容がかなり強化されて、五十六年六月をめどにやろう、こういうわけでありますから、政府として、運輸大臣として今後こういうものにどういうふうな取り組みをされていくのか、特に一九八一年の六月発動に向けて政府がどのような努力をなされようとしておるのか、その点を聞かせていただきたいと思います。
  80. 福永健司

    福永国務大臣 私は、早朝批准にあとう限りの努力をいたしたい、そういうように考えております。いま若干御批判がございましたが、これは発効いたしまして、すべてそういうことになるということになりますと、ある意味で、SBT等に改造するについては日本の仕事もふえるというようなことでもございますので、それはそれなりに大変結構だと私は思っておりますが、そういう国でありますだけに、余り先に立ってこれをやいやい言うのも、自分のところの商売で言うのかというような誤解を受けるということも、これは全部ではありませんが、一部あり得ると思います。そこいらいろいろ気を使いながら今日まで対処してきた、こういうことに御理解をいただきたいと思います。
  81. 米沢隆

    ○米沢委員 環境庁の方にお尋ねしたいのでありますが、海洋汚染防止の皆さんの立場からは、これは積極的に進めていかなければならぬ問題です。特に前の石原長官は熱心であった、こう聞いておりまして、そういう意味では、八一年の六月に向けて発動できるように側面的に環境庁としてもかなりの努力をなされる立場にあるわけでありますが、御意見を聞かしてほしいと思います。
  82. 神戸芳郎

    ○神戸説明員 お答えいたします。  従来から海洋汚染問題につきましては、実施主体である運輸省とよく連絡をとってやってきたわけでございますが、今回の新条約の成立の経緯とか内容、意義、そういうものを十分踏まえまして、運輸省とは一層緊密な連携のもとにこの問題に対処していきたい、こういうふうに考えております。
  83. 米沢隆

    ○米沢委員 いずれにいたしましても、発動されて批准される方向にあるわけでありますが、しかしその対策は、大変困難な問題がたくさん横たわっておると思いますので、ぜひ前向きに準備していただきたい、こう思っております。  それから、これからの問題として出てきます四点だけお尋ねしたいと思うのでありますが、一つは、この内容を読ましていただきますと、新造船についてはSBTとCOWの両方設置しなければならぬ。しかし、こういう不況の時代でありますし、船舶過剰の時代でありますから、新造船というのは、五十四年の六月から実施だと言われても、ちょっとぴんと来なくてもいいのじゃないか、こう思いますが、問題は、既存のタンカーにつきましては、SBTかまたはCOWのいずれかを設置しなければならぬ。五十六年の六月から発効しますと、もう三年しかないわけでありまして、そういう意味では、いろいろな影響が出てくるのではないか、そういうふうに思っておるわけであります。  そこで、実際SBTあるいはCOWを設置する場合、一体どれぐらいの費用がかかるかという問題になってくるのでありますが、標準船についてどれぐらい、トータルでどれぐらいという大体の試算がありましたら教えてほしいと思います。
  84. 謝敷宗登

    ○謝敷政府委員 タンカーの改造に当たりまして、SBTの場合とCOW、油洗浄方式の場合と異なりますが、具体的に大きさによってかなり変わってくるかと思います。ただ、平均的に言いまして、SBTの場合は四億から五億、それからCOWの場合は二億から二億五千、こういうような数字かと考えております。全体としまして、平均してみますと、日本船だけでとりますと、既存船のSBTの対象タンカーが二百十隻ありますので約八百億でございます。それからCOWに改造する場合には約二百五十億ということでございます。それから、あと外国船のタンカーも日本の造船所で改造することもあり得ると考えますが、これについては、ほぼ同じ程度の価格で改造ができるというふうに考えております。
  85. 米沢隆

    ○米沢委員 数については、試算でありますから、かなりでこぼこはあると思いますが、いろいろなところでやる数が全然違っておりまして、そういう意味では、最初からこんなのは決まらぬだろうぐらいのことしか考えていらっしゃらなかったのではないかと思うのでありますが、しかし、本物になっていきますから、ぜひまじめに試算をしていただいて、海運業界等に影響等が大変あるわけでありますから、がんばっていただきたいと思うのであります。  それから、COWとSBTのことしかわかりませんが、その他衝突やら座礁時の原油流出を防止するための二重底の問題、アメリカのタンカー安全法等には載っておりまして、上院では可決されて、このあたりもIMCOでは議論になっておるはずでありますし、イナートガスの問題とか衝突防止装置のレーダーの問題だとか非常操舵装置の問題、そのあたりは一体今度の総会ではどんなふうになっておるのでありましょうか。
  86. 謝敷宗登

    ○謝敷政府委員 先ほどの全体の数字がいろいろ言われております数字と違っておりますのは、恐らく前に試算してありますのは、二万トン以上とかあるいは七万トン以上ということで試算してありますので、今回は四万トン以上ということで新たに試算をし直したことによりまして全体の数字が違うのではないかと思います。  ただいま御質問の二重底、衝突予防レーダー、非常操舵装置等につきまして御説明をさせていただきます。  タンカーの二重底に関しましては、米国から座礁時の油流出を減少させるために設置するように提案がございました。しかし、今回の会議では、座礁だけでなくて衝突も考慮すべきであるという意見が大勢を占めまして、その結果、要求されます分離バラストタンク、SBTを、衝突、座礁等の事故に際しても、できる限り有効に油流出の防止ができるように船底と船側へ分散して配置させるという方向で検討が進められております。  それから、イナートガスにつきましては、これはCOWあるいはSBTと関連をいたしましてパッケージ案に決められております。  さらに、衝突予防のためのレーダーにつきましては、新たに一万トン以上のすべての船舶について、互いに独立に動き得る二台のレーダーを備えるようにということで条約の改正が検討されております。  それから、レーダーの具体的な要件につきましては、今回の条約には盛り込まないで、今後IMCOで技術的な要件をさらに検討していくということになる見通しでございます。  それからもう一点、非常用操舵装置につきましても、従来から海上人命安全条約において主操舵装置、それから補助操舵装置が要求されておりましたが、今度の会議では、総トン数一万トン以上のタンカーにつきまして二つ持つということをより明確にするという規定と、それから故障時の警報装置、それから即時切りかえ要件を付加するという方向で現在検討が行われている段階でございます。
  87. 米沢隆

    ○米沢委員 最後に、海運局長にお尋ねしたいと思うのでありますが、今度の決議は、この造船不況の時期でありますから、こういう改造向けの仕事がふえるという意味では、造船業界にはプラスの問題だと思いますが、この決定が実際実行されていきますと、かなり海運業界にとっては大きなマイナスになっていく可能性が十分あります。いまでさえ海運業界は大変な過剰船腹を抱えて大変なことですし、積載量がまた減るという意味では、運賃にはね返らすことができない部分もたくさんありますから、そういう意味では、海運業界の採算はますますおかしくなっていく、そういう意味で、この決定を実行されていく中でどういう影響が考えられるのか、そして、その対策について、今後の方針について大まかで結構でありますから、教えていただきまして終わりたいと思います。
  88. 後藤茂也

    ○後藤(茂)政府委員 お答え申し上げます。  いわゆるSBT問題をめぐる日本の船主の考え方立場でございますけれども日本の船主はいわゆるアメリカ案、つまり既存のタンカーにSBTの設置を義務づける、COW方式でもってSBTにかえるということは許さない、この考え方に対して大部分の日本船主は非常に危惧の念を持っておったわけでございます。それは既存タンカーにSBTを改造工事でもって設置いたしますことは、金がかかって、さらにもうけが少なくなる、そういうかっこうになりますものですから、今日の不況のもとでそのような出費を迫られるということについては非常に心配であるという立場から危惧の念を持っておったわけでございます。  ただ、数から言えば少しではありますけれども、そのような形で既存タンカーのカーゴースペースが全体として減ることによって現在のタンカーの過剰状態が幾分かでも減り、そのことが心理的に作用して世界のタンカー市況が若干でも上向く契機になるのではないかという見地から、ひそかにこれを待望する立場もございました。したがって、日本の船主の立場はそこいらではきわめて複雑であったわけでございます。  ただ、きょう新聞に報じられておりまするように、英国案と米国案の間に妥協が成立をしたということでございますが、その案は、御承知のように、既存船についてはSBTの設置を義務づけるけれども、かわりにCOW方式をもってかえることも認めるのだという考え方が盛り込まれておるわけでございまして、さきに申し上げました日本の船主の非常な、大部分のものが持っておりました心配の念は、その点ではぬぐわれたというふうに言えるかと思います。  海洋汚染の防止についての基本的な世の中の流れというものについては、私は、日本の船主といえども、また今日の不況のもとといえども相当な理解を持っておられると思います。船舶局長から御説明申し上げましたように、このCOW方式をかわりにするといたしましても、それには若干の経費あるいはそのために船を遊ばせるとかそういったいろいろな問題がございますが、これが実施の細目を検討するに当たりましては、さらに船主側の事情をよく聞いて、適切なる対策というものを考えていかなければならぬかと思っております。
  89. 米沢隆

    ○米沢委員 特に海運業界、造船業界にも関連しますけれども、同時に、これは海洋汚染をどうして防いでいくのかという、環境汚染を防止するという崇高な立場もあるわけでありますから、かなり早急に準備を進められて、こういうものが早急に設置されるように御指導いただきたいと思っております。  特に今後、石油の備蓄なんかに関連しまして、土地の立地条件あたりが常にもめておりますから、そういうものとの絡みでも非常に重要な問題ではないかと思いますので、御検討をお願いしたいと思います。  終わります。ありがとうございました。
  90. 増岡博之

    増岡委員長 午後二時三十分から委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後一時十七分休憩      ————◇—————     午後二時三十七分開議
  91. 増岡博之

    増岡委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。小林政子君。
  92. 小林政子

    ○小林(政)委員 新東京国際空港の開港に伴う公団の管理規程をめぐる問題について、何点か大臣にお伺いをいたしたいと思います。  政府は、三月三十日を目途に成田空港開港決定いたしておりますが、開港以前にまだまだ解決をしなければならない騒音問題やあるいはアクセス問題、成田から羽田への移転の問題など諸問題が山積をいたしているわけでございます。  私のまず第一に伺いたいのは、この中で、羽田空港から成田に移る空港関係者、下請関係ども含めてこの数は大体どのぐらいになるのか、この点をまずお伺いいたしたいと思います。
  93. 福永健司

    福永国務大臣 御指摘の移転する者の数は、かなりの数に上るわけでございますが、正確な数字等は政府委員に答えさせます。
  94. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 私も、正確な数字をいま把握いたしておりませんけれども、恐らく三万人ないしは五万人ぐらいになるのじゃないかと思います。
  95. 小林政子

    ○小林(政)委員 相当の関係者が移ってくるわけでございますけれども、この新しい空港、新東京国際空港の使用を開始するについては、現在、車はどう回らなければならないかとか、その他の点も含めていろいろと講習が行われております。この場合に使われているテキスト、これは公団が発行をいたしました講習用テキスト、こういうものを使用いたしておりますけれども、この中に相当重大な問題点があるのではないか。移転した場合の労働条件などに関するきわめて重要な規定がこの中に、空港公団の管理規程、これが資料としてここの中に印刷をされて挿入されております。この講習用のテキストの中に、新東京国際空港管理規程とはっきりとうたわれておりますけれども、この管理規程の第六条の禁止行為、その第二項四、五号の労働基本権に抵触をするような内容がここには書き込まれております。たとえばその禁止行為の中に、看板だとか旗だとかあるいは印刷物だとか書面などを掲示したり配布してはいけない、その場合には禁止する、あるいはまた宣伝活動その他のものもここには含まれております。  このように明らかに法律で保障された労働組合の活動が禁止をされる、こういうことについて、これは重大な問題だというふうに私は考えますが、この新東京国際空港管理規程なるものは、大臣が正式に認可をしたものなのかどうなのか、まずこの点について伺いたいと思います。
  96. 福永健司

    福永国務大臣 いまお話しの新東京国際空港管理規程というものは、私、まだこれを見ておりません。いずれにいたしましても、この種のものを正式に決めるにつきましては、空港公団で目下取りまとめているのだろうとは思いますが、私のところへ申請をいたしまして、その後に正式に決まるということであろうと私は思いますが、いま御指摘の労働基本権等につきましては、これがいかに保障されなければならないか等の点につきましては、申請がありましたら慎重にこれに対処していかなければならぬと思いますが、本日そういう御質問等もございましたので、多分空港の者も来ておると思いますが、それなりに対処するであろうことを私は期待をいたします。
  97. 小林政子

    ○小林(政)委員 ちょっと資料を大臣にお見せしたいと思います。よろしいですか——空港側からの答弁を求めます。
  98. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 公団が来ていませんので、私からお答え申し上げます。  空港公団は、航空法に基づきまして空港の管理をするための規程をつくりまして、運輸大臣に認可申請をしていることになっておりますが、まだ認可申請をしてまいりません。そして先ほど先生が引用になりましたものは、そのテキストをつくる段階において公団において草案としてできたものと聞いております。その後やはり各種の問題が起こりまして、特にいま先生御指摘のような労働基本権につながるのではないかというふうな疑問を起こす余地があるというふうなことを公団も理解いたしまして、ただいまその点について誤解のないような文章の修正の方向で検討する、こう言っておりますので、十分これにつきまして私ども指導いたしまして、遺漏のないようにいたしたいと思います。
  99. 小林政子

    ○小林(政)委員 少なくとも運輸大臣が認可をしていないそういう管理規程なるものが、具体的にこのような印刷物になって、しかも、これが講習用のテキストということで相当テキストとして使って、これは何も管理規程だけのテキストではありませんで、運航規程その他もいろいろ含まれてはおりますけれども、これが一冊のテキストということで、開港を目指して相当多くの人たちにこれで教育がされているということが私は非常に問題だと思うのです。  しかもその中身には、明らかに労働基本権に抵触をすると思われる重要な中身も含まれているわけでございますので、このようなことを認可されていないのに、きょう公団を呼んでいませんので何とも言えませんけれども公団側がこれをテキストとして利用していたということについては、直ちにこういったやり方の間違い、こういう問題について運輸当局としてこれについて指導をし、そして回収をすべきだというふうに私は考えますけれども、いかがでしょうか。
  100. 福永健司

    福永国務大臣 適切に対処するよう注意を喚起しておきたいと思います。
  101. 小林政子

    ○小林(政)委員 適当に注意を喚起するということでございますけれども、この内容が、少し異なったものが書かれているとかちょっと間違いがあったとかというようなものと違いまして、まだ大臣の認可も得ていないもの、こういうものがあたかも大臣の認可がすでに得られている、こういう錯覚を起こさせるような形でずっと教育に使われ、そして相当広範にこの問題が、このテキストが行き渡っているというところに私はやはり重要な問題があるというふうに考えております。  少なくとも問題は、公団も正式にこれが認可があったごとくテキストとして印刷をしていた、そして教育に使っていた、こういう事実については何回か私どもも電話をかけました、こういう事実についてどうなんだと。あるいはまた一般の労働組合の方からも、いろいろとこの問題については連絡もあったと思うのです。ところが運輸省は、公団から申請がないからと言って、いままでこの問題については放置をしてきた、こういう点も私は問題だと思うのです。これらの問題について、私ども電話をかけたときにもそう言っていました。はっきりと申請がまだないので、そういうことはまだ検討もしてないしわからない、こういう態度をとったということは、これは私、重大な問題だと思います。公団に対してこれについて改めるよう厳重に指導をし、そして回収をする、また労働組合ともよくこの問題については話し合いをして、そして基本権の問題については運輸省の態度はこうであるということをやはりはっきりとさせるべきだと考えますけれども大臣、この点についてもう一度御答弁を願います。
  102. 福永健司

    福永国務大臣 しかと注意をいたすことにいたします。
  103. 小林政子

    ○小林(政)委員 このテキストというのがどのくらい出ていたのか、そして、どの程度の人たちの教育にこれが広範に使われていたのか、そしてその中には、はっきり印刷となってこの管理規程というものが書かれておりますので、これについては回収すべきではないか、そういう点も直ちに調査して、そして、いま大臣が言われたように、厳重に注意をするということだけではなく、調査の上に立ってこの問題については回収をぜひやるべきではないか、私は、このように考えますけれども、その点をもう一度お伺いいたしておきます。
  104. 福永健司

    福永国務大臣 よく調査もいたしまして、善処いたすことにいたします。
  105. 小林政子

    ○小林(政)委員 大臣は、かつて労働大臣もされた経験をお持ちだということでございますので、労働基本権の問題の重要さ、そして法に基づいて保障されている組合の活動を保障することの大切さというようなことは、釈迦に説法でございましょうし、大臣よく御存じだと思いますので、その点は信頼し、この措置については、納得のいくような厳重な措置をおとりいただきたい、私は、このことを申し上げて、先へ進ましてもらいたいというふうに思います。  もう一つ、羽田から成田へ、いまお話を伺いますと、正確な数ではないけれどもということですが、相当多くの労働者あるいは空港関係の人たちあるいは技術者も含めて移動が行われるわけでございますけれども、その場合に、やはり一つは、何といっても労働条件の問題が、羽田の空港で働いていたときとは、成田は遠くて不便ということも言われておりますし、交通問題を初めあるいは住宅問題その他も含めて、これは関係の労働組合の中からもいろいろと不安だとか、あるいはまたどうなるのだとか、こういった問題について私どものところにも相談が来ております。  恐らく運輸省もその点については十分御承知だというふうに思いますけれども、この労働条件の問題についても、これは直接空港関係職員が公団やそれぞれの会社とそれぞれ解決をしていくべき問題であるというふうには思いますけれども、少なくとも羽田空港で働いていたその条件が大きく下回るというような事態というものは、これはやはり避けていかなければならないのじゃないだろうか。その労働条件を低下させない、こういった適切な指導というものについて、運輸大臣、この点についてはどのような見解をお持ちでございますか、まず、その点をお伺いいたしたいと思います。
  106. 福永健司

    福永国務大臣 御指摘の点は、もとより労使間の問題ではございますが、お話のように、移転することによって、その種の事態が悪化するということは、これはもう極力避けなければなりません。そういう観点に立って、関係先の方へも私どもは私どもなりの注意をいたして、いまお話にありましたようなことについてまずいことが生じないようにいたすべく、せいぜい努力をいたしたいと思います。
  107. 小林政子

    ○小林(政)委員 それでは、きょうは時間の関係もございますので、次の問題に入りたいと思います。  まず最初に私は、「国鉄再建の基本方向」、この問題をめぐって何点かにわたって、運輸大臣並びに国鉄総裁にお伺いをいたしたいと思います。  政府は、昨年の十二月二十九日に「国鉄再建の基本方針」を閣議で決定いたしました。この「基本方針」の内容は、経費の増加見込み分は運賃値上げでこれのカバーを進める、そしてまた、赤字ローカル線の自治体負担を強要、公共割引の見直しなど、国民と利用者に対する高負担を求めるとともに、一斉に交通運賃を引き上げるための総合運賃政策の導入や、効率性の低い部分というものは地方交通線などあるいは中小荷主などを、どちらかと言えば切り捨ての方向を強めながら、実際には採算本位の私企業的な経営を今後進もうとしている。こういう姿勢というものが、閣議で決定をいたしました「基本方針」の内容の中から指摘をされるわけですが、これで果たして国鉄の公共機関としての役割りというものが果たされるのだろうか、どう考えてみましても、国民本位の国鉄再建対策ということが言えるのだろうか、このように非常に大きな問題がここに含まれている、このことを、いままでも指摘してまいりましたけれども、今回も改めて、政府はこの「国鉄再建の基本方針」を閣議で決定した内容を見まして、痛感をいたしているところでございます。  具体的な内容としてそれが端的にあらわれているのは、五十三年度の国鉄予算を見ても、国の助成は五十三年度五千四百億円です。そして前の年に比べれば九百四十四億円の増加にしかなっておりません。これが国の補助です。助成です。この問題をめぐって、昨年の論議の中でも、国鉄の労働組合などでも一兆円を超える要求がされておりましたし、また他党の中からも、やれ八千億だ、九千億だといわれるような、こういう具体的な話し合いや論議も出ておりました。ほとんど昨年一年間にわたって、国鉄の再建論議が、一つはこの助成問題が中心になって行われたわけでございましたけれども、この内容が九百四十四億円の増加にしかすぎない。しかも、運賃法定制を自由化いたしますと、直ちに二千五百五十億円の運賃の値上げを予定したり、一兆八千億円にも達する膨大な新規借入金を計上したり、これではますます国鉄破綻に拍車をかけていくようなものではないだろうか、このように考えます。  これでは私は、国会の中であれだけ時間もかけ、しかも、各党もこの問題についてはいろいろと論議をしてまいりましたけれども政府の「国鉄再建の基本方針」が国会の論戦とか論議というものをどこまで尊重したのか、そして、この今回決定された「方針」は、これは結局は国鉄再建につながらないものであるという内容を私ははっきりとここに打ち出しているというふうに思います。  大臣、この五十三年度予算にある政府助成の額は、国会の審議を尊重したものだということが言えるのでしょうか。この点についてお答えをいただきたいと思います。
  108. 福永健司

    福永国務大臣 頭を痛くしながら、いま拝聴をいたしたのでございますが、確かに一足飛びにここで国鉄をきわめて健全な企業体にするということ、これがもとより望ましいのでございます。そういうような観点からすると、小林さん非常に飽き足らない感じをお持ちになっておられる、これはごもっともでございます。私自身もそうなんでございますが、まあ人によっていろいろ見方がございますが、私も、でき得べくんば、法律改正等も行われた機会に、予算措置等においても一変してこうだというようにしたいというのが本意でございました。だが、なかなかそうもまいりませんで、いろいろ御指摘のような状態でとにもかくにもある程度の前進を見たわけでございます。そういうわけでございますので、このたび一足飛びにというわけにはまいらなかったということについては、ひとつ御理解をいただきたいと思うのでございます。  最初に、前置きの部分でお触れになりまして、どうも国鉄は国民の公企業であるというよりもまるで私企業的な行き方じゃないかというような御指摘等もございました。この点も私、非常に頭の痛いところで、一部に言われたように、親方日の丸式の放漫経営であるということを言われないようにするためには、小林さんからおしかりを受けるようなことも頭に置きつつ、やはりある程度改めていかなければならない。といって、国鉄そのものは、国民の大事にしている公企業でございますから、それなりの面を大いに発揮していかなければならぬということで、数字等から申しますと、かなり相反する要素を持っておるわけであります。そこを一遍にというわけにはいきませんので、私どもみんなで皆さんの御指導をいただきつつ、いまも対処しているわけでございます。一々の項目に触れますと、それぞれ多少の言い分も私どもにもあるわけでございますが、しかし、それでいてなおかついま申しておりますような観点から言うと、不十分な点が多いわけでございます。  補助、助成等に関しまして、このぐらいでは話にならぬじゃないかというお話でございます。私ども予算折衝のときは、仲間のうちでそれを言うた方の側でございますが、今日、とにもかくにもああいう数字でことしはということで関係者一同意見を統一いたしておりますゆえんのものは、確かに十分とは言えない、言おないけれども、それなりにこの事態のもとにおいてはまあまあということでもあろうというようにも考えられるわけでございます。私どもは今後とも、こういう板ばさみの中にあって本当にはさまれてしまわなくて、何とか生きていくようにしていかなければならぬ使命を持っておりますので、御鞭撻等をいただきつつ漸次よくする。一足飛びにはいかなんだが、何回か飛んでいるうちにどうにかなったというところに持っていきたいと思っております点を御了承いただきたいと思います。
  109. 小林政子

    ○小林(政)委員 ともかく私は、来年度の予算案の中に計上されておりますこの国鉄運賃の値上げ問題について、これは恐らく正式には予算が通ってからということになるのだろうと思いますが、値上げの実施時期とかあるいは実収あるいは名目の値上げ率というものをそれぞれ何%になるというふうに見ているのか、その検討内容などについて御説明をまず願いたいと思います。
  110. 福永健司

    福永国務大臣 国鉄総裁等から御答弁申し上げますが、基本的な考えといたしまして、率直なところ私も、こういうように法改正が行われたから一気に上げるというようなことも考えておりませんし、といって全然上げないということでも、これは諸般の情勢からおさまるまいとも考えております。  そこで、現実どれぐらい上げようということではまだ相談を受けておりません。おりませんが、ここで私がどのぐらいという数字を言うと、対国鉄総裁関係においてうまくないので私は申しませんけれども、国鉄の方からいずれそのうち相談もあろう、申請もあろうと思うわけでございます。  そこで、こういう間に処して私は、日本の国鉄の性格というものを十分念頭に置き、本委員会等を初めとする国民の代表各位からいろいろ御審議をいただいたいきさつ等をよく踏まえて今後に対処していきたい、こういうつもりでございます。  御質問の点については、国鉄総裁等がお答えすることを御理解いただきたいと思います。
  111. 高木文雄

    ○高木説明員 結論的に申しますと、ただいまのところ、まだどのぐらいの上げ幅でいつから上げさしていただくか運輸大臣の方に申請するということを決めておりません。  私ども立場といたしましては、小林委員よく御存じのとおりに、昨年度までとは違いまして、法律で運賃の改定をすることで国会に御審議をお願いするということから変わってきたわけでございますけれども、国鉄自体が全体として予算統制を受けておることは従来と一向変わらないわけでございます。  そこで、その予算の上におきましては、収入面で二千五百五十億円の収入増加を見込んでおられるわけでございます。政府の方でそういう予算を御提出になっているわけでございます。そこで、二千五百五十億という数字がどういう数字であるかということを考えます場合に、それは何月から値上げが行われることになるかということによって率は変わってくるわけでございます。早い時期に上げることをお認めいただければ、上げ幅としては少ない金額で二千五百五十億円の増収を図り得ますし、その改定の時期がおくれれば、率を上げなければやっていかれない、こういうかっこうになるわけでございます。  もしこの予算が通りましたならば、私どもとしては、やはり予算で決められましたことに可能な限り忠実に従わなければならない。そういたしますと、どうもいまの私自身が持っております感じでは、可能な限り早い時期に上げさしていただいて、しかし、上げ幅はなるべく小さくして事が済むようにお願いできないものかなというふうに思っておるわけでございます。しかし、法律そのものが施行期日が五十二年度末の三月三十一日でございますから、実際の仕事はそれ以降でないとできないわけでございます。いかに早く取り進めましても、私ども内部の手続とか、あるいは運輸省にお願いいたしましてから運輸審議会における御審議とかいうことを考えますと、四月から値上げというようなことは現実的には行われないわけでございますので、私どもとしましては、なるべく早くお願いするとしましても、まあまあ六月というようなところが一つの見当ではないかということで、いま内部の作業を進めさしております。  しかし、一方におきまして、御案内のとおり、現在の経済状態、それから何といいますか、われわれの方の仕事は余り活況を呈しているというわけにはいかないわけでございますし、そういう時期に改定をした場合にどういう影響が出てくるかということは、何よりも心配をしておるところでございます。国民の皆さんあるいは利用者の皆さんにとって御迷惑にもなりますことも大問題であることはもちろんでございますけれども、私ども経営の方から見ましても、なかなか容易ならぬ事態であるわけでございまして、そこらをにらみながら、また予算の御審議の経過を見ながら最終的に考えさしていただきたい。いまのところはまだ何も決めておりませんけれども、いま申しましたような仮定に立って、なるべく早い時期にそうすることによって上げ幅を小さくしたいというところから言いますと、まあまあ一つの予測される時期が六月かというようなことが私どもの頭の中にあるというのが現状でございます。
  112. 小林政子

    ○小林(政)委員 私は、この二千五百五十億という数字がどこからどういう計画で組まれたのかということなんかもはっきりしませんし、これは運輸省の方で予算を計上する場合に、勝手にこのぐらいだろうなんというので入れたものでもないだろうし、国鉄は正式には申請していない、しかし、予算的な縛りを受けているというようなところから、この二千五百五十億というのは、率はともかくとしても、どういう根拠から出てきた数字なんだろうかという点、これをひとつお伺いしたいというふうに思います。  それから、時間の関係で続けてもう一点、これは総裁にお伺いいたしますけれども、昨年以来非常に客離れという言葉でこれが大きな問題になりましたけれども、やはりそういった事態の中で運賃値上げに依存した国鉄再建方式というのは、運賃だけをあれしていたのではだめなんだ、それでは客離れがどんどん出てくるだけだというようなことも、いろいろとこの委員会の中でも論議をされたわけでございますけれども、実際この国鉄の運賃水準というものは、ちょびちょび小幅に率を低く上げていけば客離れというのは出てこない、こういうふうにお考えになっているのですか。私は、そんな状態ではないのじゃないか、こういうふうに思っているのですが、この点についてお伺いをいたします。
  113. 高木文雄

    ○高木説明員 この二千五百五十億という数字につきましては、今回の予算の編成に当たりまして、私ども政府との間でいろいろ論議の末、法律の許されます範囲内において、かつ私どもとしてどうにかこうにか営業をやっていけるという限度において、御相談の上で決められたものでございまして、私どもを全く無視して、政府だけでお決めになったわけではないわけでございます。  そこで、おっしゃいますとおり、値上げというのは、私どもとしてはなかなかつらいわけでございまして、営業の方から言いますと、値上げというようなことがなしに済まされれば、それにこしたことはないのでございますけれども、しかし、毎年物件費も上がりますし、人件費も上がります。そして五十一年の十一月以来、当然経費はふえてきておりますけれども、運賃の水準は変えないで、もうこれは一年半近く経過をいたしておるわけでございますので、経費がふえます程度には、やはり運賃を上げさしていただかないと、ますます赤字がふえるという関係は自明の理であるわけでございまして、今回、昨年度大変慎重御審議を願いましたこの法案の審議の御議論の過程におきましても、現在持っております九千億の単年度赤字につきましては、これはいろいろわれわれの企業努力と助成金の増加によってゼロに向かって相当時間をかけて近づけていく、しかし、年々の経費の増加分に対応する程度は、運賃を上げることがあっても、それはまたやむを得ないのではないかということが御議論の中心であったように思っておるわけでございまして、私どもも大体そうした考え方で臨んでまいりたい。  九千億円の赤字というのは、大変なものでございます。それもしかも五十三年度で申しますと、五千億の予算をいただきましても、八千億の赤字ということは、この予算の上で明らかになっておるわけでありますから、助成がもしなかりせば一兆三千億ぐらいの赤字になっておるわけでございますから、これはどうも放置はできないわけでございまして、それを縮小いたしますためには、やはり年々の単年度赤字がふえませんようにすることもまた必要でございまして、それは企業努力、つまり増収努力とそれから運賃改定とによらざるを得ないというところで、刃渡りのような感じでぎりぎりのところで考えておりますのが、まあまあそのぐらいの改定をやっていくのがよろしいのではなかろうかと考えているわけでございまして、決して利用者の皆さんの御迷惑を考えないわけではない。また私どもも、おっしゃるような国鉄離れ現象というものを非常におそれておるわけでございますが、まあその間を縫って順次経営の立て直しに向かっていくには、この程度はお願いせざるを得ぬのではないかというのが私どもの現在の心境でございます。
  114. 小林政子

    ○小林(政)委員 いま総裁から、経営実態も話されて、こういう実態では単年度赤字をできるだけ出さないように、しかも、この経営実態はこうだという説明はありましたけれども、私は、今度は運輸大臣にちょっとお聞きしたいのですけれども、やはり一つは、国鉄離れという問題。前回の名目五十%値上げしたときは、実質三七%というような数字が出ておりましたけれども、今回もやはり相当の国鉄離れが出ているのではないか。わかったら、その点どの程度出るというふうにお考えになっていらっしゃるかということ。  それから、やはりこういった問題を防ごうということで「基本方向」の中に総合運賃政策というものが取り入れられたのではないかということを、私は前回の国会でも問題にいたしましたけれども、国鉄、私鉄の並行線における運賃比較などを見ますと、一例を挙げれば、新宿−小田原は国鉄が六百八十円なのに私鉄は四百円であるとか、大阪−京都の場合は国鉄が三百四十円なのに私鉄が二百二十円と格段の差が出ている。でこぼこがいろいろあるわけですね。こういったものを防ごうということで、結局は総合運賃政策を導入して、私鉄の運賃の値上げをこれから認めていく、引き上げていく、そして国鉄の運賃値上げの条件整備を図っていこう、こういったようなことが今後取り上げられていくのではないか。具体的に運賃値上げをちょぼちょぼやるというようなことでは国鉄離れは防げないし、結局、総合運賃政策というのは、国鉄がこれから毎年毎年こう値上げしていくわけですから、そういうものとの関連で私鉄との格差、その他の交通機関との格差という問題をどう総合調整でもって値上げの条件をつくっていくかみたいな、競争みたいな形をとりながら何かこの条件整備をやっていくということとしか思えないのですが、この点についてはっきり御答弁をいただきたいと思います。
  115. 福永健司

    福永国務大臣 あらゆる面から国鉄離れを防止していくように気をつけなきゃならぬことは、これは当然でございまして、金銭的な措置ももとより大事でございますが、いろんな精神面についても、そのことを深く意図しなければならぬことは、私どもが強く考えておかなければならぬことであると思います。  総合運賃政策につきましては、いまもいろいろお話がございましたが、お話にもありましたようなでこぼこがあちこちにあるようでございまして、今後できるだけ早くこういうことについての対策も講じていかなければならぬか、こういうように存じます。  ただ、高い方にそろえるということだけでももちろんいかぬだろう、こういうように思うわけでございまして、総合的施策を講じていかなければならぬと思います。  ただいまのお話の点につきましては、御本人ともいうべき国鉄がどう考えるかということも大分ございますので、その方からも答えてもらうことにいたします。
  116. 高木文雄

    ○高木説明員 いま私どもとしましては、他の交通機関の水準というものを頭に置いて考えなければならない、いままでと違った状態が出てきていることは事実でございます。たとえば東京−大阪間の新幹線の運賃料金水準がどのようにあるべきかということを考えます場合に、やはり航空機がどういう状態にあるのかということを考えなければならないわけでございます。また東京におきます、主として通勤のための線の運賃水準がどうあるべきかという場合には、私鉄の運賃水準を考えなければならない、そして関西においてはどうかなということを考えなければならないわけでございまして、相互に関係がきわめて密接である。逆に申しますと、相互に競争がきわめて激しいという実態にあることだけは否定できないわけでございます。  でございますが、さりとて現在の水準では、これは当方の体質といいますか、いろいろ経営努力はいたしておりますけれども、現在の体質から言いまして、人件費が一割上がればコスト全体が七%なり八%なり上がっていく、物件費が多少とも上がればコストが上がっていくということで、どうもコスト上昇分を全部合理化で解消するということは、言うべくしてできないことでございますので、私どもの方だけの関係から申しますと、一方において他の交通機関の運賃水準を十分意識しながらではございますけれども、しかし、多少のいわば国鉄離れもある程度は覚悟しながら水準を上げていかざるを得ないというつらい立場にあるわけでございます。  それが他にどういう影響があるかということは、これは影響がないとは申せないわけでございますけれども、しかし全体として、私どもの水準自体がまた他に波及するということについては、事実としてあり得ることでございますので、十分に心得ていかなければならない。私どもの運賃水準が、全体としての交通機関の運賃水準に著しい影響を及ぼして、全体として水準が上がっていくということになってはならないということは、大いに心してまいるつもりでございます。
  117. 小林政子

    ○小林(政)委員 この問題で御答弁を聞いているうちに、いろいろ疑問も出てきたりしますが、結局そうすると、この総合運賃政策というのは、いまおっしゃったような点からいくと、線区別運賃制度という問題ともいろいろ関連が出てくるのじゃないか。  先ほど総裁は、線区別運賃というのは、いままで長い間国鉄がやってこられた中ではかつてなかった方向ということにもなるので、そう簡単にはできない、しかし、コストを前提としてという前置きをされながらも、今後検討していきたいなどというようなこともおっしゃっていらっしゃるわけですけれども、これとの関連なんかも、一体それじゃ大都市交通の山手線のような通勤で満員の電車の運賃と、あるいはまた過疎の、余りお客が乗らないようなところの運賃というのは、コストを前提にすれば、都市の方はもうかっているのだからもう上げないでいいけれども、過疎のところは逆にコストまで上げていくのだとか、いまのお話を伺っていても、いろいろな疑問が出てまいるわけです。  しかしこの点は、また私、きちんと自分の考えも整理して、改めてもう一度質問をさせてもらいたいというふうに思っております。  時間がなくなってまいりましたので、私は「基本方向」の中でのもう一つの点について伺いたいのですけれども、公共割引の負担の軽減という問題でございます。  運賃上の割引制度を全般的に見直すということが「基本方向」ではうたわれております。いわゆる国鉄の公共割引については、国が財政負担でカバーするようにすべきである、この点についてはわが党も、従来から当然のことであるという立場で主張をいたしてまいったわけでございますけれども、また多くの方々から、公共割引の充実、拡大という強い要望が出されていることは、大臣、御存じのとおりでございます。国鉄の経営負担の軽減という立場からいけば、公共割引の拡充を望む国民の期待にこたえるためにも、公共割引に対する国の財政負担という問題は切実にいま求められている、こういうことでございますけれども大臣に二点だけお伺いをしておきたいというふうに思います。  先ほども午前中に御質問が出ましたけれども政府の言う運賃割引の見直しというのは、これは関係省庁、関係閣僚と申しますか、そこの折衝で云々ということが前から言われておるのでございますけれども、現在の実際の見通し、閣議でもお話をされたと言われておりますけれども、そういった具体的な感触や見通しも含めてひとつお伺いをいたしたいというように思います。  それから、社会福祉や利用者の負担軽減の措置ということを遂行していくことは——公共割引の見直しとは公共割引の廃止につながるのかなというような考え方も一方出てまいるわけでございますけれども大臣、決してそのようなことではないという点も含めて、国民の前に明らかにしていただきたい、このように考えます。
  118. 福永健司

    福永国務大臣 いまお話し関係閣僚会議のようなものは、私も閣議で発言もしておりまするし、関係閣僚諸君においても、その種のものをやらなければいかぬなということは、気持ちの中では了承しているものと私は思っております。ただ、何日にそれをやろうかというところまでまだ至っておりません。おりませんが、私といたしますと、これは余り遅くなくてそういうことに運びたいというように考えております。  ただ率直な話、関係閣僚側といたしますと、この分は国鉄が負担すべきものではない、何々省で考えてもらわなければならないというようなこと等も関連していきますから、これはやはり相当時間がかかると思います。しかし、時間がかかることはかかるといたしまして、作業は進めなければならない、こういうように考えております。具体的にいつということは、ちょっと申しかねるのでございますが、漫然と日を過ごしたくはないというのが私の本志でございます。  それから、そういう機会にめんどうなのはやめてしまえというつもりではなくて、いろいろな公平の理念等からしてこうするのがより適当ではないかというような結論に持っていく作業でございまして、割引すべきものはもう当然割引をしなければならないということが前提であるわけでございます。予算審議等がある程度進行し、いろいろ見通しがつきました時点で、せいぜいまた具体的に関係閣僚会議等の進行について発言等もしていきたいと私は考えております。
  119. 小林政子

    ○小林(政)委員 これは関係閣僚会議といっても、ここで言われていることは、いま国鉄が負担しているのを国の財政負担でカバーすべきだということを私どもは強調しておりますので、したがって、それは当然運輸省がどこかのところと一緒になってやるのか、あるいは総理大臣の権限でやるのか、そういう点も含めてはっきりさせていくことを一刻も早くやってもらいたいというふうに思っております。  それで、公共割引の拡充の具体例として、一つは、身体障害者の方々と同じように、精神薄弱者の方々から、運賃の割引制度の実現についていろいろな要望が出されております。  私がこの問題で、いつも国会請願の中で胸を痛めるのは、精神薄弱児の団体から、身体障害者に対する国鉄運賃の割引と同じような制度を取り入れてくれという請願が毎回毎回出てくるのですが、そのたびに、これはいまだその問題が解決していないみたいなことで実現されていないことです。現在実施されている身障者割引についても、それが実施された沿革を見ても、身障者福祉法、精薄者福祉法の趣旨からも両者に格差をつける根拠というものは何らないのではないか、このように痛感をいたしております。  したがって、この運賃割引についても、精薄者にも適用することの社会性といいますか、先ほど大臣は、適切なものであればということをおっしゃいましたけれども、社会的な必要性についてどのようにお感じになっていらっしゃるのか、この点を一点お伺いいたしたいと思います。
  120. 福永健司

    福永国務大臣 個々の項目につきましてどうするのが適当と私が考えておりますかということは、かなり微妙な問題等もございますので、ただいまるるお話しの点につきましては、よく伺っておいて今後の対処についての参考にしていきたい、私はこう考えております。私自身もきわめて素人なのでございますけれども、素朴に考えますと、余りこういうことをはっきりさせてしまうと、それでもなおかつ足らぬのは国鉄が何とかしろということになってしまってもなんでございますので、いろいろなこともこれあり、国は国鉄のめんどうを見るべきであるというような素人くさい意見のようでございますが、ときにそういうことが便利である場合も現実としてあるわけでございます。したがって、私の頭にはいろいろなことが去来するわけでございますが、こういうことを整理しながらこの種の問題に取り組んで何とかうまく解決をしたい、そういうように考えておる次第でございます。
  121. 小林政子

    ○小林(政)委員 これも本当はもうちょっと大臣にお聞きしたいのですけれども、もういよいよ時間がなくなってきましたので、私、最後にまとめて何点かお伺いをいたしたいと思います。  一つは、やはり国鉄の「基本方向」とも関連するのですけれども、国鉄貨物の合理化問題です。去る一月二十三日に国鉄は昭和五十四年度から五十五年度の貨物駅の集約化計画を発表いたしました。これは全国で、五十四年度に百十一駅、五十五年度には百七十九駅、合わせて二百九十駅がなくなるという計画でございますし、昨年八月にも、五十二年度で百八十駅、五十三年度で九十六駅、合わせて二百七十六駅の廃止計画が出されたわけでございますけれども、これが国鉄の計画どおり実施されるということになりますと、四年間で五百六十六駅が廃止されるという結果になるわけでございます。  私は、この問題について、北海道の調査もいたしてまいりましたが、具体的に関係の自治体や農協や、あるいはその地域の産業関係方々や労働組合の人たちから、この発表があってから非常に大きな反対の運動が起こっております。そして実際にはいろいろと協議もし、調査もいたしたわけでございますけれども、今回の計画でも、廃止二百九十駅のうち九十八駅、三分の一が北海道なんですね。それから昨年の発表の二百七十六駅の中で百十三駅、これも北海道なんです。北海道は具体的に非常に数が多いのです。北海道はこの四年間で二百十一駅がなくなる。私は、こういった起こっている問題について具体的な調査もし、各団体から意見もお聞きをいたしてまいりましたけれども、これだけたくさんの駅を合理化して国鉄が廃止していくということに地域を挙げて反対をしておりました。そして具体的な理由を聞いてみれば、どれもこれも全く切実な実態にあるということを私は痛感いたしてまいりました。  この貨物の合理化は、北海道の物流問題に非常に大きな影響を与えるわけですけれども、これに対する具体的な代替輸送機関の確保といものを、国鉄はきちっと調査して、計画を立てて準備をした上でこういうことをやっているのか、あるいは道路整備の状況、具体的にトラックがそれだけ殺到すればどうなるのか、これらの問題も含めて十分住民の意向を聞いたり、あるいは貨物の合理化の影響というものは、国鉄自身の合理化だけだというような一方的な問題ではなくて、道路、港湾行政の問題でもあり、また総合的な輸送体制の問題でもあり、政府みずからが具体的な調査もし、計画も立て、方針も出し、その上で協力をしてもらってやるというような体制が果たしてとられていたのかどうか、あるいはまた貨物廃止による被害の予測や代替輸送機関の点まで含めて具体的などのような調査がやられ、そして国の責任で駅を相当数減らした地域の物流問題や輸送問題等について具体的な解決方向を出された上でやられたのか、こういう点をひとつはっきりさせていただきたいと思います。
  122. 田口通夫

    ○田口説明員 北海道の取扱駅数その他につきましては、御指摘のとおりでございまして、これらは十分に調査をしたかどうかという御質問でございますし、また、それについての代替機関についての深い配慮があったかどうかという御指摘だと思いますが、現在、北海道で輸送しております輸送の実態を簡単に申し上げますと、北海道内で輸送いたしております道内輸送、これは国鉄、トラック等全部を入れまして四億四千六百万トンの物流がございます。この中で国鉄が占めております役割りといいますか、比重は、約三%でございまして、千三百万トンの輸送を道内輸送でやっております。  これの内訳をいろいろ調査いたしますと、すでに御存じのとおり、石炭あるいは石油、木材あるいは肥料あるいはビール等の食料工業品、さらにはセメントというふうに、鉄道に非常に適性な貨物がこの三%のうちの約八〇%弱を占めておりますので、残りの二〇%、すなわち三%の二〇%が、あるいはトラック輸送にかわる。石炭とかあるいは石油とか木材というようなものにつきましては、当然鉄道に適性な貨物でございますので移らない。したがいまして、千三百万トンのうちの約〇・六%、十万トン足らずが、あるいは道路等に移るものというふうな考え方を私どもはいたしておりまして、道内の物流への影響については、御心配されておりますような事態はございませんし、北海道につきましては、道路事情もかなりよくございますので、これらの措置によりまして、私どもは、十分な物流についての確信を持って二百十一駅ということを計画したつもりでございます。
  123. 小林政子

    ○小林(政)委員 いま時間がなくて、具体的な事例を挙げて御質問することができなかったことを私は大変残念に思いますけれども、この貨物問題は改めてまたやらしていただきたいというふうに思っておりますが、大臣一つだけ……。  私は、今回の国鉄の貨物合理化は、私ども調査した中でも、ここはある程度いいのじゃないかとか、ここはちょっとひどいじゃないかというようなところとして、幾つかあった中でも全く痛感をさせられておりますので、この計画については、ひとつ十分再検討をされるように、また、地域住民の意見というものを反映されるようなそういった体制をひとつおつくりを願えるようにお願いをいたしたいというふうに思いますけれども、その点について御意見をちょうだいいたしたいと思います。
  124. 福永健司

    福永国務大臣 国鉄で一生懸命やっておりますので、その再検討という意味を、みんなひっくり返してやり直せということにもいかぬと思いますが、貴重な御意見をいろいろ拝聴いたしましたし、国鉄関係の諸君も一緒に聞いておりましたので、それを頭に置いて対処するであろうことを私は期待するものでございます。
  125. 小林政子

    ○小林(政)委員 終わります。
  126. 増岡博之

    増岡委員長 中馬弘毅君。
  127. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 先般の大臣所信表明に対しまして、本日は運輸行政全般の総括的な問題についての御質問をさせていただきます。  ここでも触れておられますように、国鉄再建の問題が第一番に来ておりますが、昨年末に成立しました国鉄法、国鉄運賃法の改正というのは、国鉄経営にとって画期的なことだと思っております。従来、政党の駆け引き、あるいは当事者能力を欠いていた国鉄当局、その責任者たる国鉄総裁が、まだ完全とは言えないまでも、企業経営者として大きな権限を持って事に処することができるようになったということは、評価できるのではないかと思います。それだけに責任は重いのではないかという気がいたします。  先ほど小林先生からも、この点についてのいろいろな御質問がございましたが、私は、それと違った立場で、国鉄がもう少し民間の経営態度を学び、役人的な態度でなくて事に当たっていただきたいという点からの質問をさしていただきます。  ところで、この新しい事態に対応する指針が、昨年十二月二十九日の閣議了解となった「日本国有鉄道の再建の基本方針」だと理解しております。そうであるなら、この「基本方針」に沿った運輸大臣並びに国鉄総裁の国鉄再建に対する決意を具体的に承りたい、かように存ずる次第でございます。  そのまず第一点ですが、経営改善対策につきまして、この「方針」では「不採算部門について計画的な経営改善の措置を講ずる」ということをうたっておられます。  まず、赤字ローカル線の問題でございますが、これは昨年、各地方におきまして、それぞれ七地点でしたか、協議会を持たれたかと思います。それの御報告をひとつお願いしたい。そして、その中におきまして、運政審の中間報告にありますような、ローカル線のA、B、C、D、四つの案がございますが、こういったことに対しての前向きのものが出てきているかどうか。例を挙げますならば、宮崎県の妻線にSLを走らせてほしいとか、あるいはもうほとんど農家が自動車一〇〇%保有になっておる中で、自動車専用道路にしてもらっても結構ですといったような声が地元からも地域からも上がってきておる。それをどう国鉄としては受けとめられておるか、この点についての御見解をお願いいたしたいと思います。
  128. 福永健司

    福永国務大臣 閣議においていまお話しのような措置をとったことは、すでに御指摘のとおりでございますが、いま具体的にお示しの問題等につきましては、一方において赤字を出さないようにということと同時に、その地方、地方の利益、また、そこの住民の皆さんの利益のためにどうしろということがしばしば矛盾する場合がございました。しかし、それはそれなりに、やはり国民の意向をよく体しつつ対処していかなければならぬということでございますから、いろいろの要請はそれといたしまして、同時に、住民の皆さんの御希望に沿うようによく話し合って対処すること等も必要でございまして、ただいま具体的にお挙げになったようなこと等につきましては、国鉄当局からお答えするものと存じます。
  129. 高木文雄

    ○高木説明員 結論的に申しまして、昨年一年間、いろいろ何かいい方法はないかということで内部でも研究いたしておりますし、いまお示しのように協議会の場でも御議論いただきましたけれども、なかなか名案がないというのが率直なところでございます。  そもそも協議会をお願いいたしました主たるねらいは、決してそれによってどこか具体的にある線を、たとえばバスに切りかえるとか、そういうことについて検討をしていただくということをねらいとしたものではないのでございまして、昨年の一月に運政審から、いまもお触れになりました四つの方法があり得るのだがというサゼスチョンがあったわけでございますが、やはり地域ごとに非常に事情が違いますし、また地域の方は地域の方としての別の見方をしておられると思われますので、試験的に七カ所で地域の方のお集まりをいただいて、いわばフリートーキングのような形で御議論を願ったわけでございます。むしろ問題の所在を地方の方にも知っていただく、それから国鉄サイドも、地方の方の受け取り方といいますか、お気持ちをよく承る場というものをつくってみてはどうかということでやったわけでございまして、その協議会での御議論の結果を直ちに具体的な施策に結びつけるという意図を持っておらないものでございますから、大変貴重な意見がいろいろと出てはおりますけれども、私どもも、具体的にこの線はバスに切りかえたらどうかなというようなことを、そこでずばり伺うというような気持ちで会合を持ったわけではないものでございますから、その協議会の結果として、ある線をどうしようというようなお答えは期待もいたしておりませんでしたし、いただくこともできなかったわけでございます。  ただ、多くの地域において、なるほど国鉄全体の状況がそういうふうになっておるのか、また、この県の中の国鉄の経営状態がそんなふうになっておるのかということについては、関係者にある程度理解をしていただくことができましたし、私どもも、いろいろと地方の御要請、むしろこれは新しく線路を引いてほしいとか、あるいはまた通勤電車をもっと頻繁に走らせてほしいとか、そういう御要望がいろいろ出ておるわけでございまして、もう少し国鉄全体の経営を地域と結びつけて考えなければならないということをますます痛感したというようなことで、具体的な答えはほとんどないと言っていい結果でございますけれども、その議論の過程からいろいろ教えられ、また、いろいろなことを知っていただいたということだけで十分意味があったというふうに考えております。  今後は、昨年の十二月二十九日の閣議で示されました指針に従いまして、不採算な地域をどうするかということを、より具体的に進めてまいりたいと考えておりますが、ただいまのところは、国鉄全体といたしましては、実は貨物の方の問題に集中的に精力を投入いたしておりますので、いわゆる地域ローカル線の問題については、むしろこの夏以降といいますか、秋以降にこれと精力的に取り組んでまいってはいかがかというのが私どもの腹づもりでございます。
  130. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 その貨物駅の集約の問題でございますけれども、これも五十二、三年で二百七十駅ですか、その後また三百駅近いものが集約されてまいります。そのこと自体私は特に取り上げようとはいたしておりませんが、そうすることによって、日本の貨物輸送というものがどんどん減ってくる。これはエネルギーの効率の上からも非常にまずいことだと考えております。したがって、集約したことによって別に荷物の量が減らなければ、これは問題がないわけでございまして、むしろそれを機会に、いろいろサービスを改善することによってふえてくれば、それにこしたことはないわけでございます。  そういうことで、いままでの推移の中での実績といいますか、実績の形は出てきていないかもしれないが、実際それによって貨物が影響を受けて減っているのか、あるいは国鉄がそれなりの対応をして減っていないのか、その点についての御見解をお願いいたします。
  131. 田口通夫

    ○田口説明員 過去の実績をごらんいただきますと、たとえば貨物集約の場合に、石炭の山が閉山をしたというような場合は、明らかにこれは集約をせざるを得ないわけですが、これはまるまる減るわけでございまして、恐らく御質問の趣旨は、三駅を一駅ぐらいに減らした、そして一駅にできるだけ設備をよくして、列車編成も非常に便利になるようにして速達を図った、こういう実態の中でどれだけ減ったかということでございますが、正確には、確かに景気の変動その他によりまして何%であるというようなお答えはできないと思いますけれども、私どもの長年やってきました勘で申し上げますと、おおむね一割程度ではなかろうかという考え方を持っております。
  132. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 そのこと自体が少し問題だという気がいたします。これはその間をトラックで、あるいは通運業者に頼んでといったようなことでの荷物を集める役割りをもっと果たしていただきたい、かように願うわけでございます。  次に、業務運営の効率化の件でございますが、退職者の補充は極力抑制するということをうたっておられます。国鉄はこのところ老齢化しておりまして、定年退職者が毎年二万人以上あろうかと思います。  それで、今後数年の計画、特に来年度どの程度新たに補充されるか、今後どう補充されるつもりか、そのあたりの数字を少しお願いいたします。
  133. 橘高弘昌

    ○橘高説明員 御指摘のとおり、非常に高齢者が多くございまして、将来展望をいたした場合に、現在五十五歳で大体やめていただくことになっておりますけれども、五十六年から六十一年の末になりますと、ただいま御指摘になりましたように、二万人以上の人間がやめていくという状況でございまして、五十八年度には二万六千人の人がやめるというような実態でございます。  これに対する新規採用をどういうふうにやっておるのかという御質問でありますけれども、国鉄は非現業とはいささか違いまして、毎日毎日の列車を動かすために、一本列車が動けば、俗に前棒後棒とわれわれ申しておりますけれども、運転手と車掌というのが必ず要りますし、そういう意味で必要な人間を列車を動かすために張りつけておりますので、仕事量そのものがイコールであれば、退職者の数そっくりそのまま新規採用しなければいけないわけでございます。また現在、東北新幹線工事をやっておりますし、あちらこちらで建設線の工事をやっております。そういうものが完成すれば、そこにまた新しい列車を動かす、あるいはまた線路ができたために、その保守に人が要るということで、仕事量がふえれば、その退職者プラス仕事のふえた分だけは新規採用しなければいけない。しかし、そういうことはとてもこの厳しい再建途上の中でできませんので、極力合理化をやって、現在の同じ仕事量を極力少ない人間で処理し得るように、合理化に懸命に立ち向かっておるという現状でございまして、再建計画は四十四年から始まりましたけれども、現在までにすでに実人員で四万四千人ほどの要員規模を削減いたしております。もちろんその間に、先ほど説明いたしましたように、業務量がふえておりますので、そのふえた分を吸収して、さらに四万四千人を減らしたということで、実際には十万人近い合理化をやっておるということでございます。もちろん現在の計画の中でも、五十一年から五十五年までの五年間に五万人の要員合理化を行うという計画でございます。  そういうことでございますので、新規採用者数がどうなるかということは、まず当該年度に退職する人から、合理化数から業務量増数を引いた数だけのものを新規採用しなければいけないということで、現在のところは、その合理化数と業務量増の数がイコールになっておりますので、退職者数をほぼそのまま新規採用いたしておる。約一万二、三千の数を新規採用いたしておるわけであります。
  134. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 それでは、退職者の補充は極力抑制することにならないのじゃないでしょうか。五万人減らすのであれば、毎年一万人ずつ減らしていかなければならないわけでございます。そうするならば、新規採用を極力抑えていく、業務を合理化し、そして場合によっては配置転換も含めての人員の効率的な使い方をするということが至上命令じゃないかと思うのですが、退職するのと同じのをとっておられるということでは話にならぬという気がします。
  135. 橘高弘昌

    ○橘高説明員 ただいまお答えいたしましたのは、昨年度の実績でございまして、この五年間で先ほど五万人の合理化をいたすと申しましたが、これに見合う業増は三万五千人で抑えるつもりでありますから、差し引き一万五千というものは、新規採用者数として、つまり新規採用者数をその分を抑えていくということでありまして、ことしはその分どの程度かと申しますと、約二千人ほど採用者数を抑えていくということになっております。
  136. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 次に、公共割引制度の問題に移ります。  先ほども少しお話が出ておりましたが、国鉄は余りにも公共割引制度、いろいろな通勤通学あるいは福祉割引を受け入れ過ぎたのではないか。先ほどのお話にもありましたような、たとえば精薄児に対しての割引といった問題も出てきているかと思います。しかし、精薄児に対しては、その方を本当に保護するような、あるいはいろいろなお世話をするようなところに金を使うべきであって、国鉄の割引をするということが即福祉対策ではないと思っております。ここは明確にしなければならない。そこが何か混同されておるようでもございますし、その点について運輸大臣はどのような御見解をお持ちでございましょう。
  137. 福永健司

    福永国務大臣 その種のお話は、いまおっしゃるのもそのとおりでございますし、だから、精薄児のことは乗車に関しては考えることがないとはまた言い切れないし、その辺が頭の痛いところでございますが、そういうこと等につきまして、いままでも議論はいろいろございましたが、最終結論に到達しておりませんが、いままでいろいろ伺ったこと等を念頭に置きつつ私は関係閣僚等で相談をして結論を出したい、こう考えておるわけでございまして、いまどっちということは私、ちょっと申し上げにくいのでございますが、考えていることは確かにあるのでございますけれども、今後の実際施策の上にあらわしていくときまでお待ちをいただきたいと思います。
  138. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 大変苦しいお立場はよくわかりますけれども、この辺の物事のけじめというのが非常にあいまいなところに問題があるという気がするわけでございます。確かにいま言ったような問題、それで治るのであれば、これは必要なことかもしれませんけれども、それよりももっとその人たちを幸せにする方に予算を使うべきではないかという気が私たちはいたしております。  次に、距離の均一運賃の問題でございますが、この「方針」にも「運賃改定については、国鉄の主体的な経営判断のもとに、輸送需要の動向、他の交通機関との関係等を考慮しつつ、」云々ということがございます。需要があれば高くしても、利用者があるわけでございますし、また他交通機関と競合するのであれば、場合によっては低く抑えなければならないケースも出てくるかと思います。これは総合運賃体系とも関連することでございますが、要するに、ここに言っておりますことは、市場原理に基づいて運賃を決めるということではないかと思います。これと現在の画一運賃とは明らかに矛盾いたします。地元の要望によって建設した線だとかあるいは観光線といったようなもの、これは高くしてもいいかもしれませんし、通勤電車といったものは低くしなければならないのかもしれません。その均一運賃の再検討の意思はおありかどうかお聞きしたいと思います。
  139. 高木文雄

    ○高木説明員 先ほども他の委員にお答えをいたしましたように、長年この均一運賃でやってきたわけでございまして、それがいい悪いということを十分議論する雰囲気がなかったわけでございまして、利用者の皆さんの間におきましても、また利用者とは別の意味での国民の皆さんの間におきましても、国鉄の運賃は均一運賃であるともう割り切って今日まで百年間経過してきたわけでございます。  それは、一つには独占性が確保されておったということと、国鉄の会計の内部において総合経理的な観念で臨んできたということから出てきたものと思っておりますが、このように大変な赤字になりますと総合経理ということもできない。片方の赤字を埋めるために、他の地域の方が高い値段を払って納得して乗っていただけるという雰囲気ではだんだんなくなってきた。よその地域の赤字のために、われわれはコスト以上に払わなければいけないのだということについて御納得が得にくくなってきたというのが実態でございます。それからまた、現実に競争関係にございますから、均一運賃をやってまいりましたのでは、なかなか総額として多くの収入を確保できないという状態になってまいりました。こうした感じから申しまして、利用者の方の感じから申しましても、あるいはまた私ども経営採算の立場から申しましても、この辺で均一運賃について考え直してみるという必要の時期に至ってきたのではないかと考えております。  さりとて、そういうふうな動きがありましても、なおかつ長年のしみ込んだ受け取り方というものは牢固として抜くべからざるものがあるわけでございますから、その点について私どもが勝手にいろいろ考えてはいけないわけでございまして、ある意味では国民大衆の間で大いにそういう議論をしていただかなければなりませんし、また経済問題、交通問題の御専門の方々の御意見も大いに交わしていただかなければならぬと思います。それには多分に時間がかかることでございますけれども、しかし、そうだからといって、いつまでも長年やってきた均一運賃のままでよろしいのだということで、この問題をいわば聖域として触れないでおくというのではまずいのではないかということで、私どもとしては、そうした問題について利用者、国民の皆さんに大いに呼びかけをしてみたいというのが現在ののころでございまして、そうした多くの方々の御意見を承りながら今後やり方を考えていきたい。国鉄が独自で、独断で物事を進めてはまずい、したがって、皆さんにお考えをいただくような雰囲気をつくってまいりたいという心境でおります。
  140. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 それに関連してちょっとお伺いしておきますけれども、鉄監局長、いまの国鉄運賃法で区間別に違った運賃が取れるのかどうか、やっぱり法改正までやらなければならないのか、その点をちょっとお伺いいたします。
  141. 住田正二

    ○住田政府委員 昨年改正していただきました運賃法によりまして、特別運賃を取ることは法律的に可能であると考えております。
  142. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 次に、関連事業の問題に移りますが、国鉄も今度の法改正によりましてかなり関連事業の幅が出てまいりました。現実にいろんな事業を始められております。しかし、いままでのところを見ますと、採算に乗っているものが非常に少ない。交通公社なんかはかなり利益を出しておるようでございますが、そうしますと、むしろ不採算部門をふやすだけではないかという声すらあるわけでございます。  そこで、これからやろうとしておられるもろもろの事業、これは採算に乗せるめどありやなしや、その方策等についてのお考えを伺いたいと思います。
  143. 篠原治

    ○篠原説明員 ただいまお尋ねの件は、国鉄の出資会社についてのお話だと存じます。ただいままで出資いたしております会社は五十六社、これは現在の時点でございます。御指摘のように、その会社のうちで配当いたしております会社もごく少数でございますし、必ずしも営業成績のよくない会社も多々あることは事実でございます。  ただ、ここで申し上げたいと存じますことは、ただいままで出資いたしました五十六社のうちで約半分は、いわゆる配当とかその種のものに大きな期待をかけたものではございませんので、旅客輸送あるいは賃物輸送、国鉄本来の輸送を補完すると申しますか、そういう立場から出資したものでございます。配当とか会社からの直接の国鉄の収穫と申しますか、関連事業収入的な感覚による収入を期待いたしましたのは、四十六年の政令改正で駅ビル等に出資を許されまして、それ以後、本日まで二十七社駅ビルをつくってまいりました。これは全部その会社から、構内営業料金は申すに及ばず、会社が成績を上げてまいりました時点において配当を期待するというものでございまして、約半数のその他のものにつきましては、先ほど申し上げましたように、少し目的が違う、こういうふうにお考えいただきたいと思います。  ただ、もちろんそう申しましても、その会社の成績がよくなりまして、わが方でも配当を期待するのは当然でございますけれども、昨今のような情勢でもございますので、少し回復がおくれているということはございますけれども、これも後数年たちますならば、その種のものにつきましても配当が始まってくるだろうと考えます。  なお、駅ビルにつきましては、開業後まだ一、二年というものが多うございますし、まだ開業に至ってないものも多うございますので、配当いたしているものは少のうございますけれども、これは設立の趣旨にかんがみましても、開業後五、六年たちました時点では必ず配当できる、かように確信をいたしております。
  144. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 いろいろな別の面でのメリットがあるのだということじゃなしに、やはり事業経営である以上、そこから利益を出すようにしていただきたい、このように願うわけであります。  次に、新線建設の問題ですが、ここでも投資採算を考慮した基準を策定するということをうたっております。政治圧力や地域エゴの道具にされていたいままでの姿を、これで改めるということのようでございますけれども、どのような基準を策定したのか、あるいは策定するつもりなのか、これについてお答え願います。
  145. 高木文雄

    ○高木説明員 率直に申しまして、新線建設と申しましても、いずれも大変長い歴史を持っておるわけでございまして、過去において、鉄建公団が発足いたします前に、その十年も二十年も、さらには四十年近くも前からつくることが決められておるというようなのが、いま大変問題になっておるわけでございます。今後の問題といたしましては、やはりどうしても採算に見合ったものにいたさなければならぬということは、言うまでもないことでございまして、この閣議了解で示されましたのも、そういう御趣旨と思います。私どもは、いま直ちに現在の段階でこういう基準でいたしますというところまでは作業が進んでおりませんで、ここにありますように、その基準を策定する作業に入りたいと思っております。  先般来、新幹線の整備五線等につきまして、私どもは、しばしば機会あるごとに、国鉄といたしましては、整備五線はどうも採算に合いかねる、上越新幹線、東北新幹線までがせいぜいでございまして、それ以外の新幹線計画につきましては、いまの基準で借入金によりまして新線をつくりましても、とうてい採算に合わないということを申しておるわけでございますが、これは完成後の予想交通量、輸送量との関係からそういう感じを持っておるわけでございます。  これなどが一つの物の考え方であろうかと思いますが、新幹線以外につきましても、予想交通量というものを一つ基準にしながら、そして、その新線をつくりますための建設費と見合って新線を敷くかどうかを決めるという決め方になってまいろうかと思います。具体的にその作業は、これから少し時間はかかりますけれども、この閣議了解に基づきまして基準作成作業に入ってまいるつもりでおります。
  146. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 その次の問題として労使関係の正常化の問題ですが、従来ストの頻発する国鉄でございました。ことしこそは国民が見守っていると思います。  そこで、春闘に臨む態度をひとつお聞かせ願いたいと思います。
  147. 福永健司

    福永国務大臣 これは国鉄の内部の問題ではございますが、私は、赤字の王様国鉄というようなことを言われているのでなくして、本当に国民に信頼され、国民に愛される国鉄になってもらいたいとひたすらそれを念じておる一人であります。  そこで、成田の問題等につきましても、先般、総評、全逓等を初めといたしまして十幾つかの労働組合の首脳部の諸君とも会いましていろいろ話し合いをいたしました。大変協力してくれているのもあり、十分そういかないというのも実はあるのでございます。したがって、そういうことも考えつつ、私は、国鉄の労使問題につきましては、私の立場において国鉄総裁以下にぜひうまくやってもらいたい、国鉄を思うがゆえに強くそれを念願している次第でございます。
  148. 高木文雄

    ○高木説明員 一昨年の夏ボーナスの支払いがおくれたとか、昨年の十二月のボーナスの支払いが法律を通していただいた後でやっと支払えるようになったとかということを通じまして、一人一人の職員にとりましても、経営が非常に困難になっていることはだんだんと浸透してきていると確信しております。  そこで、職員の気持ちといたしましても、いい輸送サービスを提供するということについて、一人一人が自己の職責を果たさないことには国鉄はもうだめになってしまうという危機感は広がってきておるのでございます。ただ、非常に困ったことに、長年の芳しからざるならわしが牢固として抜くべからざるものがございますので、なかなか百八十度の転換というようなことが行われがたいということで、昨年二回、また本年、つい先般、成田燃料輸送問題に関連して非常に多くのお客さんに御迷惑をかけるような違法な行動がとられている事実がありますことは、私自身、非常に申し訳ないと思いますと同時に、やるせない気持ちを持っておるわけでございます。  お尋ねの今度の春闘でございますけれども、これは恐らくこういう経済状態でございますから、ベースアップ率というような問題について非常に厳しい状態になってまいろうと思いますので、ある意味ではだんだんと国鉄の職場の雰囲気は変わってきたとはいうものの、争点が給与問題でございますだけに、そう簡単に物事が処理されるかどうか、円満に進むかどうか、いろいろとぎすぎすしたことになりはしないかというようなことを心配いたしているわけでございまして、私どもといたしましては、極力御迷惑をかけることがないように、そして国鉄に対する皆さんの信頼を少しでも回復できますように最大の努力をしてまいるつもりでございますが、何分長年のいきさつもあり、芳しからざる慣例もありいたしますので、いまこの場で一種のお約束を申し上げるということは、現実問題としてできかねるのが非常に残念でございますけれども、そういう現状でございます。
  149. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 労使関係の正常化も、ただきょうの題目だけではなくて、本当に実のあるものにしていただきたい、このように願うわけでございます。  次に、少し話が別の問題になりますが、東京駅、大阪駅の建てかえの問題が出ております。東京駅につきましては、先般、美濃部さんあたりとのお話し合いも進んでおるようでございます。また大阪駅につきましては、かなり新会社ということで具体化も進んでまいりました。  この際一つお願いしておきたいことでもございますが、駅というものは、やはり都市のシンボルだと思います。都民、市民が誇りに思うものでなければならない、ただ機能だけの四角いものをつくればいいということではないと思います。そういうことで、やはりこれには芸術性も持たす必要があるのではないか。たとえば建築費の一%を芸術的装飾を施すといったものに充てる、こういったことも提言しているわけでございますが、その点について御見解をお聞かせ願いたいと思います。
  150. 高木文雄

    ○高木説明員 いま具体的に問題になりますのは、大阪駅の問題でございますが、大阪駅につきましては、だんだんと準備が進んでまいりまして、四月には新会社が発足することになろうかと思います。そうなりますと、私どもは、きわめて概括的なホールプランはいま持っておりますけれども、具体的なプランは新会社でつくってもらうことになろうかと思います。大体の面積でございますとか建物の高さでございますとかいうことは、いろいろ制約がございますから、ほぼ決まっておるわけでございます。しかし、その細かい使い方については、もう一遍改めて新会社の方といろいろ検討いたすことになろうかと思いますので、その際、いま御提案になりました町の調和との関係からどんなスタイルの建物がいいかということは、やはり新会社の方でいろいろと専門家の意見を聞きながらやっていくことを、私ども自身も期待をいたしておるわけでございます。  ただ現実には、レール沿いのところでございますから、ただ白紙に絵をかくというのとは違うのでございまして、どうも余りかっこうがよくないのでございますけれども、レール沿いに細長い土地利用にならざるを得ないものでございますから、なかなか自由自在にデザインをするということの幅が狭いわけでございまして、丸い建物を建てるとかいうことはなかなかむずかしいので、やはり四角で長細いようなかっこうのものにならざるを得ないのが実態ではないかと思っております。その非常に制約を受けました中でいろいろ専門家の意見を聞いていくということになろうかと思っております。
  151. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 建築費の一%を芸術的装飾に充てるといった提言はどうでございますか。
  152. 高木文雄

    ○高木説明員 これは大変貴重な御意見ではございますけれども、新会社は私ども大体五割前後の出資をいたすわけでございますが、多くの産業、大阪では大阪に関係のある産業界の方に出資をしていただき、また市当局からも出資をしていただいて会社をつくるわけでございますので、その株主の立場もございますから、そこの執行部といいますか、会社の会長さん、社長さんあるいは役員の皆さんの間で合議が進められて決まるというふうに申し上げざるを得ないわけでございます。ただ私どもは、第一の株主でございますから、かなりの発言権も持っておりますので、ただいま御提示ありました御意見も、ひとつそうした場においていろいろと皆さんの討論の材料にさせていただきたいというふうに思います。
  153. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 国鉄に関する問題は以上で終わらせていただきます。  時間もありませんので、あと造船、海運に対する不況対策、これについて質問点をずっと列挙していきますので、一括してお答え願いたいと思います。  まず、造船業につきましてでございますが、現在、船台ががら空きの状況でございます。これをただ一時的な状況と見るのか、それとも今後とも長期的に続いていく構造的なものと見るのかという点でございます。そして、それであるならば、あれだけの船台の建造を認めた責任を運輸省はどのようにお考えになっているかということが一点でございます。  この業界の構造改善を含む長期的対策ということを、所信表明でもおっしゃっておりますけれども、その具体的なことをお答え願いたいと思います。これは業界の再編ということまでも含むのかどうか、その点のお答えを願います。  それから、今後の方向としまして、特殊船に対してどういう取り組み方をしていくか。LNG船の話などは十年ほど前から出ている問題でございます。その中にありまして、たとえばフランスあたりでは相当な国家助成を行ってLNG船を完成させております。しかし日本では、どんがらのタンカーばかりつくっておって、むしろその取り組みがおくれてしまったというようなこともあろうかと思いますが、そういった特殊船に対する取り組み方を今後どう進められるかという点。  それから、第三点としまして、韓国を初め中国も含めまして東南アジア諸国の造船業がかなり発達してきております。こういった東南アジア諸国との水平分業とか、あるいは分野調整等について日本がリーダーシップをとって話し合っていく用意があるかないか、この点についての御見解をお願いいたします。
  154. 福永健司

    福永国務大臣 ごく最近まで世界の中で揺るぎなき地歩を保ってきたわが国の造船業が、いま深刻にあえいでおりますことは、まことに憂慮にたえない次第でございまして、これに対して政府ないし運輸省は、諸般対策を講じていかなければならない次第でございます。  最初におっしゃいました、これが一時的のものか長期的のものかというようなことにつきましても、とうてい一時的のものだといって軽視すべきような事態では断じてございません。したがって、それなりの対策を講じていかなければならぬわけでございますが、いろいろ具体的に施策も進めておりますので、所管局長からそれらについてまず申し上げることにいたします。
  155. 謝敷宗登

    ○謝敷政府委員 補足してお答え申し上げます。  現在の不況が一時的なものか長期に及ぶものかという点につきましては、四十八年の石油ショックを契機にいたしまして需要が落ち込んできたわけでございますが、五十一年の六月に長期の見通しを海運造船合理化審議会でしていただきました。その線では、五十五年に至るまでは世界全体で千二百万トン、五十五年から六十年に至るまでも従前のような大幅な需要の増加は期待できない、こういうことでございますので、相当の期間続くと考えております。ただ、五十五年以降につきましては、見通しにおきましても、ある程度回復するということでございますので、他の諸国の国際競争力との関係もございますが、これらを考えながら長期的な対策については検討をしていきたい、こう考えております。  二番目の構造改善の問題でございますが、これは今後、国際競争力なりあるいは対外的な協調ということを頭に入れまして、適正規模を想定いたしました上で、それに見合った設備ということに相なるかと思います。ただいまのところ、設備の処理率とか処理の時期につきましては、具体的に詰め切っておりませんが、今後、関係者、業界等の意向も十分入れまして固めていきたい、こう考えております。  したがいまして、それの率いかんによりましては、御指摘のようなことにも相なるかと思いますが、直ちに再編というようなことを頭に置いて作業を進めてはおらない状態でございます。  第三の問題の中国、韓国、台湾等を含めました東南アジア諸国の造船業につきまして、日本がリーダーシップをとって分業体制あるいは協調体制をとることについてでございますが、この点につきましては、隔年東京におきまして東南アジア諸国及びオセアニア諸国の造船専門家会議を開催しておりまして、その場で造船業の現状なり、あるいは国際的な推移の見通しなり、あるいは技術の協力なりの問題について相互に意見交換をしております。ただ、先ほどの御指摘にありました分業論その他につきましては、これらの諸国の造船業は、これらの諸国の工業化計画の一環として計画的に進められておる段階でございまして、そういう過程にあるものでございますから、まだまだ御趣旨のような点について話し合うという段階にはないと考えております。昨年の十一月に、先ほどの東南アジア等の専門家会議をやりましたが、その場合でも国際的な建造需要の見通しなり、あるいは欧州についての見通しなりという問題について意見は交換しておりますが、そこまで具体的に突っ込んで話し合うという段階ではない、こう考えております。
  156. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 ちょっと順序が後先になりますが、大臣のお時間がないようなので、この点だけお答え願って御退席なさって結構でございます。  といいますのは、関西新空港の問題でございますが、昨年の十二月十二日、浮体構造でという発言があったと聞いております。これの真意についてお伺いしたいわけでございます。  この問題は、あちこちに聞きましても、耐用年数だとかあるいは金額の問題、それから特に技術的な問題で非常にむずかしいといったようなことがあります。その中にありまして、このようないかにも浮体構造でいくといったような発言をされたことは、非常に軽率ではないかという気もいたします。この真意をお聞かせ願いたいと思います。
  157. 福永健司

    福永国務大臣 確かに私は、関西新空港について浮体工法も一つ考え方として現時点においては考慮すべきではないかという趣旨のことを申しました。  それで、いま軽率ではないかというお話でございますが、軽率であるかもしれませんが、率直に物を申したことでもあると私は思っておるわけでございます。私といたしますと、もとよりこの種の問題には素人でございます。素人ではあるが、その役所の責任者となったら、これはこれなりに当然責任がございます。あの空港の建設につきましては、私も関係航空審議会の答申等も見てみたのでございますが、幾つかの工法を挙げて、たとえば浮体とか桟橋とか埋め立てとか、さらに干拓といったようなもの等もございましたが、そういうものを挙げて、いろいろあるけれども、当時、というのはもう何年か前に答申されたわけでございますが、埋め立て方式を主体とすることがよくはないかというような表現になっております。私が私なりに思いましたことは、主体とするということは、当時のいろいろな条件からいって、いろいろ総合的に考えてやるのではあるけれども、主体という言葉のとおり、埋め立てについて審議会が認識しているのである、こういうように思ったわけでございます。まだ私はあれでやれと言ったわけでも何でもないので、こういうこともいまの時点で考えてはどうかということで言ったわけでございますが、いまもお話がございましたように、このごろ造船等が非常に不景気であえいでいる、また鉄なんかも幾つか溶鉱炉をとめたというような状況下にあって、公共事業をうんとやろうというような話で、非常に活況を呈している業種もあるわけでございますが、いま私が申しましたような造船なんかは非常にあえいでいる。公共事業がたくさん行われるということであっても、なかなかどの業種にでも全部にさあっといろいろいいことが及んでいくということではないわけでございますので、私は、この主体とするという中にあって、しょせんは泉州沖の場合においては海の中へつくるが、これも全部海の中というわけでは必ずしもありますまい、いろいろ考えて一番いい方法をというわけでございます。そういうようなことを考えまして、造船業はあえいでいることであるし、そういう産業も生きてくるというようなことにするその一助ともなれば大変結構だ、そういう意味で、こういうことも考えて、総合的に最もいい方法でやってくれたらいいがな、こういうようなつもりで申したわけでございますが、率直に申しまして、私の言葉があるいは十分でなかったかと思います。思いますが、いま、私の真意はどうかという言葉でお聞きいただきましたが、真意はそういう意味でございます。空港もうまくできたり、その中にあって造船も助けることができたりするようなことであればいいがなというところあたりが真意であることを御理解いただきたいと思います。
  158. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 大臣、どうぞ御退席になって結構でございます。  いま大臣のお答えにもありましたように、まだまだこの問題はいろいろ議論があろうかと思います。ただ言えることは、本当に関西に世界に冠たる一つ空港をつくろうとしているわけでございまして、これが技術的に確立されたものであるならばともかく、まだ全くの、実験もされておらないようなものでございます。どこか小さなローカル空港でもまずはつくってみての上なら話は別でございますが、これにはやはりしっかりした技術的なことまでも含めた配慮が必要かと思います。  そこで、この関西新空港についてちょっとお伺いいたしますが、この泉州沖にしぼって調査していると理解してよろしゅうございますね。
  159. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 四十九年八月の答申がすでに泉州沖ということで答申いたしておりますので、私どもも目下の調査は、泉州沖にしぼって調査をしております。
  160. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 環境アセスメントが五十三年末終了というのが遅延した理由をお聞かせ願いたいと思います。
  161. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 環境アセスメントを行います一番大きな眼目は、飛行機が飛んで音がどういうふうに蔓延していくか、分布していくかということのバックグランドの調査をする、あるいはそういった空港を海の中につくると、海に対してどんなふうな影響を与えるかということのバックグランドを調べる、そういたしますと、泉州の陸岸及び海上に観測塔を建てることが一番初めの仕事であったわけでございますが、観測塔の建設を認めることは関西空港建設を認めることになるということを、地元の住民の方が心配をされまして、非常な反対がございまして、事実上一年ほどおくれたわけでございます。したがいまして、本格的な観測の開始がやっとことしから始まったという状況でございまして、当初五十一年度から五十三年度いっぱいまでと考えておりました調査が、ほぼ一年ぐらいおくれるのではないかと考えられておりますが、できるだけ取り戻すつもりでございますが、五十三年度いっぱいでは当初の調査は終わらないではないかと憂慮されております。
  162. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 いずれにしましても、関西空港成田と少し様子が違いまして、もちろん地元での反対もございましたけれども、それが最近では相当変わってきております。各自治体の議会の様子も違ってきております。これはやはり関西経済にとって新空港がどうしても必要だ、死活の問題だということにすらなってきております。その意味からも、調査並びに工事も素早くやっていただきたい、このような気がいたすわけでございます。  それにつきまして、地元の周辺整備でございますが、反対が出てくる一番大きな問題は、この地元対策だと思うのです。これが本当に、場合によっては反対のための反対あるいはイデオロギーを振りかざしての反対といったようなこともございましょうが、住民がそれに乗せられるという一番大きな原因は、行政が本当に親身になった対策を打ってないからだという気がいたします。これは伊丹での騒音問題につきましても、地元があれほどかたくなになっておるのは、行政の態度だという気がいたします。  この点について、どのような周辺整備対策、また地元対策をお考えになっておるか、御見解をお願いします。
  163. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 この問題につきましては、関係府県、特に大阪府が前々から非常に強い関心を持っていらしたところでございまして、私どもといたしましては、関係各省非常にたくさんございますので、国土庁の調査調整費を活用いたしまして、周辺整備調査をやってもらうということを要求してまいりまして、やっと最近になりまして、そのめどがつきまして、わずかでございますけれども、五十二年度から始めるということになりました。引き続き五十三年度以降につきましても、周辺の地域整備調査をいたしまして、関西空港ができたことによって、周辺地域がどのようによくなるかということを十分調査し、そして地域の住民の方々に、そういった意味での夢と希望が与えられるような空港をつくるということの御説明をしてまいりたいと思っております。
  164. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 時間も来ましたので終わりますが、要するに、先ほどの大臣の発言が軽率だといったようなことまでも含めてでございますけれども、現時点の問題、いろいろ技術的な問題は、それこそ優秀なお役人さんに任せておいたら大丈夫だと思うのですが、本当に五年先、十年先に日本をどうすべきかということが、政治家といいますか、その衝に当たる者の役目だと思っております。そのような形での取り組みをお願いいたしまして、私の質問を終わらせてもらいます。
  165. 増岡博之

    増岡委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時四十四分散会