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1978-06-07 第84回国会 衆議院 ロッキード問題に関する調査特別委員会 第6号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
五十三年六月七日(水曜日) 午前十一時五分
開議
出席委員
委員長
廣瀬
正雄君
理事
塩崎 潤君
理事
増田甲子
七君
理事
松永 光君
理事
箕輪 登君
理事
小林 進君
理事
横路 孝弘君
理事
坂井 弘一君
理事
大内 啓伍君 竹内 黎一君 大出 俊君 坂本 恭一君 只松 祐治君
横山
利秋
君 池田 克也君 鍛冶 清君 鳥居 一雄君 正森 成二君
加地
和君
出席国務大臣
大 蔵 大 臣
村山
達雄君
出席政府委員
内閣法制局
第一
部長
茂串 俊君
法務省刑事局長
伊藤
榮樹
君
大蔵大臣官房審
議官
渡辺 喜一君
大蔵省国際金融
局次長
宮崎 知雄君
国税庁長官
磯邊
律男
君
国税庁徴収部長
西野 襄一君
国税庁調査査察
部長
藤仲
貞一君
委員会
の
出席者
法務省刑事局刑
事課長
佐藤 道夫君
ロッキード問題
に関する
調査特
別
委員会調査室
長 長崎 寛君
—————————————
委員
の異動 五月二十四日
辞任
補欠選任
加地
和君
甘利
正君 同日
辞任
補欠選任
甘利
正君
加地
和君 六月七日
辞任
補欠選任
浜田 幸一君
玉沢徳一郎
君
—————————————
五月十二日
ロッキード事件
の
真相徹底究明等
に関する請願 (
正森成
二君紹介)(第五四〇五号) は本
委員会
に付託された。
—————————————
本日の
会議
に付した
案件
ロッキード問題
に関する件 ————◇—————
廣瀬正雄
1
○
廣瀬委員長
これより
会議
を開きます。
ロッキード問題
に関する件について
調査
を進めます。
質疑
に入ります。 この際、
委員長
から
大蔵省
、
国税庁当局
に御
質問
いたします。 まず第一点は、五月十六日の
理事懇談会
及び五月二十四日の
理事会
において、
横山利秋
君の
要求資料
の取り扱いについて協議いたしました結果、この問題は、
国政調査権
と
守秘義務
の
関係
という高度に政治的な問題でありますので、判断を下されました
大蔵大臣
並びに
国税庁長官
に当
委員会
へ
出席
を求め、
見解
を聞こうということになりました。 つきましては、五月十日の
委員会
において
横山委員
が
要求
をされました
児玉譽士夫
君の
財産
の
増減状況等
についての
資料
を
国税庁
としては提出できないものか、提出できないとすれば、できないと判断されました
理由
について
大蔵大臣
並びに
国税庁長官
から御説明を願います。 次に、第二点は、
税務職員
には
守秘義務
という観点から、
個人
の
課税状況
について個別、具体的な事項にわたって回答するということには制約があろうとは思いますが、当
委員会
が設置されました
趣旨等
にかんがみ、
ロッキード事件発生
前にさかのぼり、
国税庁当局
が
児玉書士夫君
に対して
課税
上どのような姿勢で臨んでいたかを
国税庁長官
からお答えいただきたいと思います。
村山大蔵大臣
。
村山達雄
2
○
村山国務大臣
国政調査権
と
守秘義務
の
関係
につきましては、
昭和
四十九年十二月二十三日の
政府統一見解
にもありますように、
国政調査権
の行使によって得らるべき
公益
と、
守秘義務
によって守らるべき
公益
とを個々の
事案ごと
に比較考量することによって決定さるべきものであり、この場合、
政府
としては、
国会
の
国政調査活動
が十分にその目的を達成できるよう、
政府
の
立場
から許される
最大限
の
協力
をすべきものと考えております。 次に、
税務職員
の
守秘義務
の
重要性
について申し上げれば、
税務官署
が
職務
上知り得た
納税者
に関する
秘密
を
外部
に漏らすことになれば、
納税者
の
税務官署
に対する
信頼
を失うことになり、ひいては、
税務行政
の適正な運営を損なうことにもなります。
守秘義務
を守ることによりまして、
申告納税制度
によって支えられている
税務
の公正な
執行
を保障しようということ、これがわれわれの守ろうとする
公益
でございます。この
公益
は、国を支える礎となる非常に大きな
公益
と私は考え、
資料
の提出を御容赦願いたいと判断したところでございます。
税務行政運営上
、
守秘義務
が重要なことにつきましては、さらに
国税庁長官
に補足して説明させます。
廣瀬正雄
3
○
廣瀬委員長
磯邊国税庁長官
。
磯邊律男
4
○
磯邊政府委員
ただいま
大蔵大臣
の方から御
答弁
申し上げましたので、一言にして言えば、その御
答弁
の
内容
に尽きると私は考えるのでありますけれども、
税務
の
執行
を預かる
国税庁長官
といたしまして、補足的に若干の私の考えを申し上げさせていただきたいと思います。 御
承知
のように、現在わが国の税制は
自主申告納税制度
をとっておるわけであります。これは
納税者
が、
本人
にとってはどうしても
外部
に対しては秘匿したいと思っているようなことであっても、それが
税務
に
関係
することであればあらゆる一身上の
秘密
、
財産
上の
秘密
または
企業
上の
秘密
などを包み隠すことなく誠実に申告し、これによって適正な
納税
をしてもらうということが、この
自主申告納税制度
の基本であることは申し上げるまでもないことであると思います。さらにまた、こういった
納税者
の方々は
税務職員
が
質問検査
をするに当たりましては、
納税者
がこれに対して
答弁
をしない、もしくは偽りの
答弁
をし、または
検査
を拒み、あるいは妨げた、忌避したといったような場合に対しましては、
当該納税者
に対して
罰則
を科することによって、いわゆる
間接強制
をもって、
納税者
が
税務官吏
に対してその
質問
に正しく答えてもらうということを強制しておるわけであります。これは御
承知
のように、
刑事手続等
におきます
本人
の
意思
に反して供述をしなくてもよいという
規定
とは全く変わりまして、
本人
の
意思
に反してでも、
当該税務職員
の
質問検査
に際しましては、誠実にこの
検査
を受け、また
答弁
をしなければならないという
間接強制
の
規定
が特色となっておるわけでございます。 同時に、このような
個人
の
秘密
を知り得る
立場
にある
税務職員
に対しましては、
所得税法等
の
規定
によりましてその
守秘義務違反
に対しましては
一般
の
公務員
より重い
罰則
が定められておるわけでありますが、これは
罰則
が
一般
の
公務員
より重いとか軽いとかということではなくて、この
趣旨
というものは、やはり
税務職員
というものはあらゆる私人あるいは
企業
の
秘密
を知り得る
立場
にあるために、その知り得た
秘密
というものは
外部
に漏らしてはならないというふうな
趣旨
によってその
罰則
が定められたるものと了解しております。 こういった
両者
の
関係
から、
納税者
は進んで
税務職員
に対しまして真実を述べ、またこれを知った
税務職員
はこれを
外部
に漏らさないという
両者
の
信頼関係
が確立されておりまして、また
税務
の職場においては、
職務
上知り得た
秘密
はこれを漏らさないという倫理が定着し、伝統となっておるわけでございます。こういったことは現在の
申告納税制度
の健全な
発展
のための
最大
の要件であると私は考えており、またこのことがひいては
租税収入
の円滑な確保につながるものと思うのでございます。 もちろん、先ほど
大臣
が御
答弁
申し上げましたように、
政府
としては
国政調査権
に対し
最大
の
協力
をすべきものであることは言うまでもないところであります。私も
政府委員
としてこの
国会
に呼ばれ、
答弁
を求められた場合には、
最大限
の誠意を持って御
答弁
申し上げてまいったつもりでありますし、また本日もそのような
立場
で御
答弁
申し上げるつもりでありますけれども、同時に、
税務
の
執行
を預かる
責任者
たる
国税庁長官
としては、
申告納税制度
の健全な
発展
のために
納税者
の
秘密
について詳しく御
答弁
申し上げるということは御容赦をお願いいたしたいと考えておる次第でございます。 それから第二の問題でございますが、
児玉譽士夫
の
課税
について、
ロッキード事件
が発生し、多大の
フィクサー料
その他が見つかるまで
一体国税庁
はこれまでどういったことをやっていたのかという御
質問
でございますが、これについて御
答弁
申し上げたいと思います。
国税当局
といたしましては、ただ
児玉譽士夫
に限らず、かねてからいわゆる
問題事案
については個別的な
管理
をいたしております。その
問題事案
と申しますのは、
多額
の
収入
がある者、あるいはその
収入
の態様が
複雑多岐
にわたるもの、あるいはとかくその
収入等
につきましての風評のある者、それから
多額
の
財産
を所有している者、こういった
人たち
をわれわれの
税務
で言うところの
問題事案
といたしまして、これを
税務署
もしくは重要な
案件
につきましては
国税局
において
個別管理
をやっているわけでございます。
児玉譽士夫
につきましても、かねてから
東京国税局
におきましては
重要管理事案
の一つといたしましてこれを
管理
してまいりました。特にまた、各種の
資料
がありました場合には積極的に
調査
をするという体制をとってきたわけでございますが、そういったことで、いま
昭和
四十二年以降の
児玉書士夫
の
公示所得金額
を申し上げますと、
昭和
四十二
年分
につきましては
公示所得——
これは千円単位で申しますと二千八百一万九千円、四十三
年分
三千七百七万九千円、四十四
年分
七千六百六万八千円、四十五
年分
四千五百二十万二千円、四十六
年分
四千六百一万四千円、四十七
年分
四千三百二十二万九千円、四十八
年分
四千六百五十万七千円、四十九
年分
五千万一千円、そういうふうな
公示所得
であります。 これに対しまして、
東京国税局
におきましては四十三
年分
につきましての
事後処理
をやっております。それから四十四
年分
についても同じく
処理
をし、四十五
年分
、四十六
年分
、四十七
年分
についてそれぞれ
東京国税局
の直
税部
の
資料調査課
において
事後調査
をやっております。
ロッキード事件
が発覚するまでの
税務調査
はそのようにしてほとんど各
年分
について
調査
をいたしておりまして、大体少ない年で三百万円、多い年で千二、三百万円の
更正増差
というものを発見いたして
処理
しておるわけでございます。 ただ、そういったことをしながら、なぜ
フィクサー料
のような
多額
の脱漏が見つからなかったかということでございますけれども、これに対しましては、
国税当局
としてはまことに申しわけなかったというふうにおわびするしかないわけであります。ただ、あえて弁護させていただきますと、御
承知
のように
海外関係
の取引というのは非常に
調査
がむずかしゅうございます。それからまた、こういった
児玉譽士夫
のような
個人
的に事業をしていない人間、そういった人の
所得
の把握というのは非常にむずかしい、またさらに、それが
フィクサー料
というような、出した方も、それからもらった方もこれをほとんど
証拠
を残さないようにして秘匿したいといった
資料
というものは
通常
の
税務調査
ではこれを発見するということが非常にむずかしい、そういったことから
児玉譽士夫
についての
課税
が徹底していなかったということは遺憾ながら認めざるを得ないというふうに考えておるわけであります。
ロッキード事件
が発覚いたしましてからの
状況
につきましては、これは御
承知
のとおりでございまして、これはまた御
質問
に応じまして後ほど御説明させていただきたい、かように考えております。
廣瀬正雄
5
○
廣瀬委員長
質疑
の申し出がありますので、順次これを許します。
横山利秋
君。
横山利秋
6
○
横山委員
私が先般本問題を提起いたしましたことは、もう申すまでもございませんが、私は先般こういうことを申しました。 どう考えても
ロッキード事件
について
児玉ルート
、
小佐野ルート
がはっきりしない、しかも
コーチャン追想
を読んでみても、
児玉
、
小佐野ルート
、また両人が一番の
仕掛け人
ではないかと痛感される、それは
冒頭陳述書
を読んでみてもある程度把握できることである、しかしながら、
児玉譽士夫
がどうして
政府
の計画を覆したか、そしてまたもらった十七億以上の金をどこへ一体使ったのか、だれと会って、だれと工作をしてそれをしたのか、大刀川がその仕事をどういうふうに手伝ったのか、
小佐野
がまたそれをどういうふうに
協力
し、援助したのかということは、依然として深いなぞに包まれておる。このことが解明されなくて真の
ロッキード事件
の政治的な、あるいは
法律違反
の問題なりは解明できないのではないか。
やみ
から
やみ
へ真の
真相
が隠れてしまうのではないかということから始まったわけであります。 そこで、
質問
の中で、
児玉譽士夫
の
年次別
の
財産増減
の
状況
、これは、
国税庁
、
税務署
がすでに
脱税
において行われている
方法
であるから、これは行ったに相違なかろう。その
年度別
の
財産増減
の
状況
を
国会
に
報告
をしろ。 第二番目には、
児玉譽士夫
の
課税状況
は一体どう進んでいるか。どれだけ
納税
されて、どれだけが
滞納
されておるか、その
滞納額
を
保全
するために何を
差し押さえ
ておるのか、こういうことをひとつ
国会
に
報告
をしてもらいたい、
資料
を提出してもらいたいということを
委員長
を通じて
要求
をしたわけであります。
本件
について、承れば、
理事会
は再三にわたって議論の結果、本日、
大蔵大臣
と
長官
が御
答弁
をすることになったと承りました。いまお二人の
答弁
を聞きますと、言葉は丁寧で、そしてかっこうはいいけれども、結局は
協力
ができないということに私は考えざるを得ないのであります。わずかに、いま
長官
から、四十二年以来四十九年までの
公示
された
所得
の
報告
がありました。これは一千万円以上の
公示
でありますから、何も
報告
を受けなくても
世間周知
の事実でありますから、取り改めてこれが
国会
に
報告
をされたとは私は考えられないのであります。 また、
事後処理
として、四十三年から四十七年まで最低三百万円、高いところで千二百万か千三百万円の
増差
をしたという
報告
でありますが、これも一体
年度
がいつの
年度
で
幾ら
かという
報告
をなさろうとはしていないのであります。したがって、私は、いろいろおっしゃるけれども、結局、本日、
大蔵大臣
と
長官
は、
委員会
の
要望
についてお断りをなさった、こう考えるのでありますが、そのように考えてよろしいのですか。
磯邊律男
7
○
磯邊政府委員
横山先生
の御
要求
の
資料
を提出するということについては、これを御容赦願いたいということを申し上げたわけでありまして、
答弁
の中においてできるだけ御
協力
する
意味
の御
答弁
を申し上げたいということでございます。
横山利秋
8
○
横山委員
わかりました。 それでは、
資料
は提出できないけれども、
答弁
の中で私の
要望
の
趣旨
に沿うということでありますならば、まず第一の
要望
いたしました
児玉譽士夫
の
年次別財産増減
の
状況
をひとつお答えを願いたいと存じます。
磯邊律男
9
○
磯邊政府委員
私がただいま
答弁
いたしましたのは、できるだけの御
協力
を申し上げるということを申し上げたのでありまして、その
年度別
の
財産
の
増減
を申し上げるということは、これは御容赦願いたいと思うわけであります。
横山利秋
10
○
横山委員
第二番目の
要望
であります
児玉譽士夫
の
課税状況
、
徴収状況
についての御
報告
はできますか。
磯邊律男
11
○
磯邊政府委員
具体的な数字を申し上げることは御容赦願いたいと思いますけれども、現在の
財産保全状況等
についてはお答えすることができます。
横山利秋
12
○
横山委員
どういうことかよくわかりませんが、私の言いたいこと、聞きたいことはわかっているはずでありますから、時間の節約のためにも、きょうそれではここまでは申し上げられる、私の二つの
主張
に対してここまでは申し上げられるということを、率直にあなたの方から御
報告
をなさったらどうですか。
磯邊律男
13
○
磯邊政府委員
第二番目の点でございますけれども、
児玉譽士夫
について現在
脱税事件
として告発いたしました
税額
は約十九億円でございますけれども、その他の方に、
所得
として告発はしておりませんけれども、
税務
上の
処理
として
更正
を打った
増差
の
税額
がございます。その全体に対しまして、できる限りの税金の
徴収
、それから
財産
の
保全
をしているわけでございますけれども、いままで
徴収
いたしましたのは、主として
定期預金等
で
満期
が到来したもの、それにつきましては、ほとんど、その
満期
が到来したごとに
国税
の方で
徴収
をしておるわけであります。 ただ、それ以外に、
残り
の税がございますけれども、それ以外の
財産
、つまり、等々力にあります
児玉譽士夫
の
個人
の
土地
、
建物
、それから
別荘地
、さらにまた
有価証券
、それからその他の若干の動産、そういったものは
財産
の
保全
、
滞納
の
税額
の
保全措置
として
差し押さえ
をしておるわけであります。ただ、
児玉譽士夫
からは、
課税額
に対しまして
異議
の
申し立て
が出ておりまして、現在、それが
審査
に移行しておりますので、したがいまして、
国税通則法
の
規定
によりまして、その
審査移行
の段階においては
換価処分
ができませんので、こういった
有価証券
であるとか、あるいは
土地
、
建物
、そういった
換価
を要するものについては、それを
差し押さえ
たままになって現在
滞納
となっておるという
状況
でございます。ただ、
定期預金等
につきましては、これはもう
満期
が到来いたしましたら、逐次国庫の方に収納している、そういうふうな
状況
でございます。
横山利秋
14
○
横山委員
それでは
徴収済み総額
、重
加算
を含めて
総額
いま
児玉
はどのくらいの、
幾ら
の税を課されておるか、
徴収済み
は
幾ら
であるか、
差し押さえ
した
財産
の
総額
はどのくらい時価評価できるか。それを御
報告
してください。
磯邊律男
15
○
磯邊政府委員
第一回に告発いたしました以降、
税務署
限りにおいて
更正
いたしました
金額等
を加えますと、本税が約十三億円、それから、それに
加算税
、
延滞税等
を加えまして約二十億円でございます。それに対しまして……(
横山委員
「
税額
ですか」と呼ぶ)
税額
でございます。——失礼いたしました。
税額
は約三十億円であります。それの約十億円というのが
徴収
されまして、現在約二十億円残っておるということでございます。
横山利秋
16
○
横山委員
三十億というのは、重
加算
を含めた
総額
である、そこのところが、どうもあなたはあっちへ行ったりこっちへ行ったりするのですけれども、本税が
幾ら
、
加算税
が
幾ら
、
延滞税
が
幾ら
、
重加算税
が
幾ら
、
総額幾ら
、そうして
徴収済み
の
税額
は
幾ら
、それはどういう
方法
で
徴収
したか、
残り
は
幾ら
、
差し押さえ保全
をしておる物件は
時価幾ら
、もう少し系統的にお話ししてください。
磯邊律男
17
○
磯邊政府委員
本税が約二十二億、
加算税
約六億五千万、
延滞税
約七千万、合計いたしまして約三十億でございます。それに対しまして、収納いたしましたのが約十億、現在、
差し引き滞納
約二十億ということになるわけであります。 それに対しまして、
保全
いたしておりますのが、先ほどお答えいたしましたように、不動産、株式、
預金
、
貸付金
、その他合わせまして約二十八億円の
保全
をいたしております。
横山利秋
18
○
横山委員
この六億五千万円は重
加算
も含んでいるわけですか。
磯邊律男
19
○
磯邊政府委員
重加算税
と、それから
過少申告加算税
、両方含んでおります。
横山利秋
20
○
横山委員
総額
三十億。十億の
徴収済み
、そして
滞納
が二十億、
保全措置
が二十八億、こういうことだと最終的に
承知
をいたしました。 その
保全措置
の二十八億は
異議申請
が出ておりますから、
国税通則法
によって
換価
できない、
差し押さえ
たままであるということでありますが、
異議申請
の中で
児玉側
からどんな
主張
がされていますか。要するに、
児玉側
は本税二十二億について、恐らく経費についての
主張
がある。この間承った分では、
児玉
は
収入面
については余り
異議
を言っていないと承りましたが、
児玉側
がこの
審査
の中で
主張
しておる事実はどういうものか、御
報告
願いたいと思う。
磯邊律男
21
○
磯邊政府委員
異議申請
として、
更正
を受けた
税額
は過大である、その
理由
については
刑事裁判
の推移を見て疎明する、そういうものでございます。
横山利秋
22
○
横山委員
過大であるから
裁判
を通じて明らかにする。その間はこの
審査
を待ってもらいたい。これは
不服審判所
ですか、
税務所
ですか。
不服審判所
ですか。
磯邊律男
23
○
磯邊政府委員
さようでございます。
横山利秋
24
○
横山委員
不服審判所
の
審査
を待ってもらいたい、こういうことでございますね。 私、いま手元に
不服審判所
の
規定
がございませんけれども、
裁判
がいつのことかわからない。展望ができない。
不服審判所
としては
裁判
の結果までずっと何もしないで待つことに
規定
上はなるのですか。
期限
はないのですか。
磯邊律男
25
○
磯邊政府委員
通常
、
不服審判所
で
審査
をいたしますときには、一方において
脱税事件
として告発され、起訴され、
刑事事件
が進行しておりますときには、いろいろな
証拠資料等
がもちろん検察庁の方に押収されておりますし、それからまた、一方において
刑事事件
の進行を妨げるのもいかがかということで、その
刑事事件
の
結審
を待って
不服審判所
においてはこれを裁決するというのがいままでの
慣例
でございます。
横山利秋
26
○
横山委員
慣例
はわかりますが、
法規
の上から、
不服審判所
はいつ
結審
が済むともわからない
裁判所
の結果を待つということは、
本件
について
審判所
がこれから何もしないということになりますか。たしか
審判所
に提出されました
異議申請
については一定の
期限
があるはずだと思っておるのでありますが、いかがですか。
磯邊律男
27
○
磯邊政府委員
審査請求
いたしまして三ヵ月たってもそれを裁決しない場合には、
民事裁判
に移行することができるという
規定
になっております。
横山利秋
28
○
横山委員
私は、
不服審判所
に決断を促したいのであります。
児玉側
から、自分が恐れながらと訴えておいて、そうして
裁判
が済むまで
審判
をやるなというのはおかしなことだと思うのであります。したがって、
不服審判所
は、
法規
に照らして裁決し得ない
状況
でありますから、
児玉側
になぜ
異議
の
申し立て
をするのか、
異議
の
証拠書類
を出せ、実証しろ、それが何も出てこないなら
不服審判所
に対する
申請書
は
却下
すべきが当然だと思うのですが、いかがですか。
磯邊律男
29
○
磯邊政府委員
国税通則法
の第九十二条に、
審査請求
が
法定
の
期間経過
後にされたものであるとき、その他不
適法
であるときは、
国税不服審判所長
は、裁決で
却下
するということになっておりまして、
当該事案
というのは、
法定
の
期間
内にされましたし、また不
適法
であるとも言えませんので、
却下
ということはできないという解釈でございます。
横山利秋
30
○
横山委員
先ほど三ヵ月たっても裁決し得ない場合とおっしゃいましたが、それはどうなりますか。
磯邊律男
31
○
磯邊政府委員
恐れ入ります。ちょっといま
質問
を……。
横山利秋
32
○
横山委員
先ほどあなたは、三ヵ月たっても裁決し得ない場合を挙げましたが、それはどういうことになりましょう。
磯邊律男
33
○
磯邊政府委員
その場合には、
当該申請者
の方から
裁判所
に提訴することができるということになっておるわけで、現在の場合には、
児玉側
からは
裁判所
に提訴するという動きはないわけでございます。
横山利秋
34
○
横山委員
そうすると、もう一遍だめを押しますけれども、
不服審判所
は
適法
に出された、恐らく
不服審判所
はそれでは三ヵ月以内に
処理
をしたい、
通常
の
処理
をしたいから、
児玉側
に対して、
異議
があるならば
異議
の
内容
を言え、
理由
を言え、
証拠
を挙げろと、こういうことを言ったに違いない。
児玉側
は、
裁判
が終わるまで待ってくれと言っている。それで
不服審判所
は、ああ、そうですがと言って何にもしない、そういうことですかとだめを押している。それでは
不服審判所
はもてあそばれているということになるじゃありませんかと言っている。
不服審判所
に訴えてきたものについて、何らの
証拠書類
も出さずに、疎
明資料
も出さずに、そして
不服審判所
をくぎづけにしておいて、ああ、そうですが、それじゃ
裁判
が終わるまで待ちましょうと言っておっていいのですかと言っておる。
不服審判所
は、訴えてきたなら訴えてきたように
審査
をし、
審査
に
協力
をしないならば、それは
却下
をしてもいいんではないか、こう言っている。 私は、
国税
の
徴収
の
状況
からいって、二十八億の
差し押さえ
をしておいて、いつまでものんべんだらりと
裁判
が終わるまで待っておるというのはおかしいじゃないか、こういう
意味
で申し上げている。
不服審判所
の現状について、あなたはそれでいい、
裁判
が終わるまでほかっておけばいいという指示をするつもりですか。
磯邊律男
35
○
磯邊政府委員
これは
児玉譽士夫
だけに限らず、一方において
刑事事件
が進行いたしております場合には、
不服審判所
としては、その
刑事事件
の推移を見て、その結果によって判断するというふうな
慣例
になっておりますので、
児玉譽士夫
も従来と同じような
慣例
でやっておるわけであります。
横山利秋
36
○
横山委員
私は、
児玉譽士夫
をなぜこの問題でかくも
委員会
諸公とともに
協力
をして推進をしておるかという
理由
は冒頭申し上げました。これは
一般
の類似事件とは違うのであります。国民が非常に注目をして、ロッキードの問題の
処理
を適切に、迅速にしろということを言っておるときなんであります。だから、
一般
事件と同じように、これはまあ
裁判
にかかっているんだから、
異議申請
は
異議申請
として、
児玉側
としては
差し押さえ
はされたけれども、
換価処分
をさせないためには、ちょっと作文して、
不服審判所
に出しておけば
換価処分
はできないんだからという作戦に出ておることはもう火を見るより明らかな事実であります。
換価処分
を避けるために、とにかく
不服審判所
に出しておけば絶対に
換価処分
をしないのだから、これだけの話なんであります。それにまんまと
不服審判所
は、
国税庁
はほだされて、処分ができるものを処分をしない。
証拠
を出せと言えば、
証拠
を出さない。
裁判
まで待ってくれと言う。そういうような
状況
について、あなた方は
児玉側
の作戦を見抜けないのですか。それよりどうしようもないのですか。
不服審判所
として、
国税庁
として、
児玉側
の
差し押さえ
で
換価処分
をさせる防止策をやっておることについて手も足も出ないのですか。何にも
方法
がないのですか。
磯邊律男
37
○
磯邊政府委員
児玉譽士夫
が
審査請求
し、それによって
換価処分
できない、そういうような状態になっているというのは、これは形式的にはきわめて
適法
な手続でありまして、それに対しては、まさに
適法
なことで、
国税庁
としてはどうにもならないわけでありますけれども、ただ、それでは早く、独自に
審査請求
の
内容
の
審査
を進めればいいではないかということにつきましては、いろいろな
証拠書類
その他が現在検察庁に押収されまして、そして
裁判所
に提出されておるというふうなこともございますので、
不服審判所
としては全然
審査
に入れないという
状況
でございます。
横山利秋
38
○
横山委員
それは少し私は言いわけだと思うのであります。なるほど検察陣の手に移っておる、書類は向こうへ行っておるかもしれぬ。検察陣は、そういう場合に、
換価処分
をするために
不服審判所
として決断をした、
国税庁
としてもいつまでも放置はできないという場合に、あなたの求めに応じて書類を見せてくれないのですか、
協力
してくれないのですか。
換価処分
するためにやむを得ないから書類を貸してくれ、戻してくれということに
協力
しないのですか。また、あなた方は、実際問題として検察陣に書類を送るときに根こそぎみんな持っていかれたのですか。当然のことのように、検察庁へ送りました書類のコピーはあなたの方にあるはずであります。全部根こそぎ持っていったなんて子供みたいなことを言って
国会
をだましてはいけません。私も長年大蔵
委員
をやっているのですから、その間の事情はわかっているつもりなんですよ。あなたの方が決断をして、やろうと思うならば
幾ら
でも
方法
はあるはずだ。検察陣が
協力
しないなんということはあり得ないはずだ。どうなんですか。
磯邊律男
39
○
磯邊政府委員
あるいは検察庁にお願いすれば
資料
は見せていただけるかもしれませんけれども、申請人自身が、過大であるという
理由
については
裁判
の推移を待って疎明するというふうな態度に出ておりますので、こちらの方からあえて
審査
にかかっても、実際問題としてそれは
調査
ができないという状態でございます。
横山利秋
40
○
横山委員
あなたと押し問答しておっても仕方がないのです。
大蔵大臣
、あなたは事情をおわりのはずであります。これは判断、決断の問題じゃありませんか。やる気があれば
方法
があると私は思うのです。単にこれは、第二番目の
徴収
サイドの問題でありますが、その
徴収
サイドの問題でも決断が足らなくて、
差し押さえ
はしたけれども
換価処分
ができない。
換価処分
については
児玉
の作戦にまんまとはまってしまってどうにもならぬ。これは決断の問題ですよ。あなたも長年大蔵畑で育っていらっしゃったのだから、
児玉
に対する国民の
要望
といいますか、国民の強い監視を——いまのような話を聞いたら国民は笑いますよ。何か
国税庁
の態度がきわめて弱腰であるということに感じませんか。この際、
大蔵大臣
として
長官
に指示をして、このような
不服審判所
のあり方について裁断を下すべきだと思いますが、いかがですか。
村山達雄
41
○
村山国務大臣
横山委員
も、
不服審判所
ができました経緯については十分御
承知
だと思うのでございます。かつては、
異議
の申し出がありましても
換価処分
ができる
規定
がございました。しかし、あれは何年でございましたか、それは
納税者
の利益を不当に害するものであるということが問題になりまして、そして不服事案の
処理
につきましては、
納税者
の利益と、それからいわば
納税者
全体を代表する国の利益をどこでバランスさせるかというのが制度論として問題になったわけでございます。したがいまして、現在の制度は、民事訴訟に三ヵ月以内に移られるというのは相手方に与えられた権限でございまして、そして、まだ
異議
の
申し立て
中は
換価処分
はできない、こういう利益を
納税者
に与えました。そのかわり、国の側としては債権
保全
はできます。
延滞税
は依然として進行してまいります。ここがちょうど
納税者
と国との利害の調節点である、こういうことでたしか制度はできておったと思うのでございます。 したがいまして、ただいま聞いておりますと、
異議
の
申し立て
、不服
申し立て
た
児玉側
で、向こうの方がその
理由
を言わないわけでございますから、だから棄却もできない、また認めることもできない、
却下
もできない、こういう
状況
にありまして、まさに法律が、何といいますか、
通常
の場合は予定していなかったでしょうけれども、法律が考えておるぎりぎりの線で、
延滞税
は進行しておる、
差し押さえ
本税の方あるいは
財産
の
保全
はやっておる。向こうはいわば
期限
の利益を放棄して、事実上待っておる。(
横山委員
「
却下
すればいい」と呼ぶ)
却下
はできないことになっておるわけでございます。これは法律上明らかでございます。 そういうわけで、国と
納税者
の利益というものは、普通の
不服審判所
においては、それが何びとであれ平等に取り扱うことになっておるので、いま膠着状態だということは残念ながらいまの法律ではそのようにならざるを得ないかと、かように思っておるところでございます。
横山利秋
42
○
横山委員
私は、おっしゃるとおり
不服審判所
創設のときの提案者の一人でありますから、その間の事情はよく
承知
しております。しかし、いま法律論争をあなたとやっても仕方がないのでありますが、常識的に物を言っている。
異議申請
を
不服審判所
にした。
不服審判所
がそれを
適法
に受理した。しかるに、
審査
ができない
状況
に
納税者
がしておる。書類を出せと言っても出さない。そして
裁判
の進行中は
審査
をしないようにさせておる。
裁判
がいつ終わるかわからない。一切の
協力
を
不服審判所
にしない。
納税者
児玉
は
裁判
で争うということであって、
不服審判所
で争う
意思
はないこと、明白なんであります。
不服審判所
で争う
意思
は毛頭ないこと明白でありながら——もう彼ら自身が言っているのでありますから、
裁判
の結果までは作業をしてくれるなと言うのですから、
不服審判所
で争う
意思
はないのであります。そういう明白な
意思
表示があるのにかかわらず、
不服審判所
が
裁判
の結果まで待つというのはいかがなものかという、常識的なことを言っている。しかも、それによって
換価処分
ができない、
徴収
ができないということでありますから、
不服審判所
の
規定
をもう一遍整理をなさって、御検討なさって——
異議申請
をしたけれども一切の
協力
をしない
納税者
に、いつのことかわからない、いつまでも、それが
適法
であるから
却下
もできないなんておかしいと私は思います。そういう点について
児玉
と詰めた話をしましたか。
児玉
の方がどうしても書類の提出ができない、
異議
の
内容
も疎明もできないというのだったら、
不服審判所
としてはこれは
却下
せざるを得ないということがきわめて常識的な話だと私は思いますが、それがなぜできないのか。
村山達雄
43
○
村山国務大臣
実際問題といたしますと、
児玉
の方も実は何ら利益がないわけでございます。御案内のように、
差し押さえ
られておりますから、その利用権あるいは
財産
の処分権を失っているわけでございます。
延滞税
だけはかさんでいる、こういう形になるわけでございます。したがいまして、
児玉側
は、このことによって積極的に利益を得ている、そういうことにはならぬのではなかろうか。ですから、今度の不服
審判
制度をつくりましたときの、
異議
の申し出があったら元本の
換価処分
ができないというのは、その点を見通してそして
一般
の
納税者
の不服のある人とそれから
国税
徴収
権の限界をどこに定めるか、そういう割り切った考え方でこの制度ができ上がっているわけでございますので、特に利益を与えているということにはならない。早く決着をつけたいという気持ちはわかるのでございますけれども、これは
児玉譽士夫
に限らず、
一般
の税について不服のある者につきましてはやはり法律においては平等に取り扱うことになっておるのでございますので、遺憾なことでございますけれどもやむを得ない、かように思っているところでございます。
横山利秋
44
○
横山委員
児玉
に積極的な利益がないから心配しなさんなというお話は、私はきわめて遺憾千万な
答弁
だと思うのであります。私の
質問
はそういうことじゃなくて、
児玉
の
財産
の
換価処分
ができるようにあらゆる努力をし工夫をしろ、
不服審判所
に対して指示をしろ、こう言っておるのにかかわらず、
差し押さえ
はしてあるんだから、
児玉
に積極的な利益はないのだからまあそう御心配なさらずにこのままにしておきましょうと言わぬばかりのお話で、私は大変遺憾千万な御
答弁
だと思います。しかし、この問題に余り時間をとりましてもあれですから、とにかく
徴収状況
については一応の
状況
はわかりました。しかしながら、私はその結果、現状に強く不満の意を表し、そしてあなた方がさらにこの
不服審判所
にかかっております問題の
処理
に鋭意努力をされんことを強く
要望
をいたしたいと思います。 そこで、第一の問題に返るわけでありますが、第一の問題でありますところの
財産
の
増減
状況
、それは言えないということの
理由
が私はよくわからないのです。
徴収状況
についてはある程度、われわれの気持ちをそんたくされたかわかりませんけれども、ある程度おっしゃいました。これにもまだいろいろ聞きたいこともございますけれども、時間がございません。
財産増減
状況
、つまり
児玉
の
年度別
の
収入
を得た
状況
についての
内容
はあなたの方ももう明白だと思うし、冒頭陳述の中にも
状況
がもうわかっておるわけであります。そのことをなぜ言えないか、もう一回ひとつ聞かしてください。
磯邊律男
45
○
磯邊政府委員
滞納
処分
状況
等につきましては、
国税庁
がどういうことをやったかということを申し上げる
意味
において御
答弁
申し上げたわけでございますけれども、
児玉譽士夫
自身の
財産
の
増減
状況
につきましては、これはまさに
個人
である
児玉
の
財産
の
内容
に入ることになるわけでありまして、そういった
意味
でこれの御
答弁
はお許し願いたいということをお願いしているわけです。
横山利秋
46
○
横山委員
わかりました。簡潔にお願いします。 次に、公判の開廷前の訴訟書類は非公開であるからという
答弁
が以前ありました。公判が開廷されれば、いま
国会
には御
報告
ができないとされておる
児玉譽士夫
の
財産
あるいは
収入
、相手方等については検察庁としては当然
裁判所
に提示なさると思うのですが、法務省いかがですか。
伊藤榮樹
47
○伊藤(榮)
政府委員
脱税事件
の立証に必要な範囲においていろいろな
証拠
を出してまいります。
証拠
として公判で取り調べを受けましたものについては当然
国会
でも御
報告
申し上げる、こういうことでございます。
横山利秋
48
○
横山委員
公判には提出できる、しかしながら
国会
には提出できない。恐らくそれは法廷における検察陣の戦術上の問題かというふうには考えられるわけでありますが、私の申し上げる
児玉
の
年度別
財産増減
の問題は公判に差し支えがないと思いますが、伊藤刑事局長はどうお考えになりますか。
伊藤榮樹
49
○伊藤(榮)
政府委員
脱税事件
の立証の
方法
として、損益計算法による
方法
とそれから
財産増減
法による
方法
と二つございます。損益計算の
方法
も
財産増減
の
方法
も、どちらで計算をしましても正規の経理が行われておれば答えは一緒になるわけでございますが、帳簿等が不備な
案件
が多うございますので、そのどちらかで立証する。
児玉
の場合には、現在損益計算法で検察陣が立証を行っておるところでございます。しかしながら捜査の過程で、本来一緒になるべき損益計算法と
財産増減
法の両面から十分検討を加えて、その両方の計算に不突合な点があればできるだけ縮めるという、そういう努力をして
処理
をするのが検察の普通のやり方でございますので、そういった点まで詰めた上で現在公訴を提起しておるわけでございます。ただ、そういうように損益計算法で立証しておりますけれども、将来弁護人、被告人の反証段階におきましてどういう
主張
が出てくるかもしれない、それによっては
財産増減
の点から検察陣がもう一回補充的な立証をしなければならぬ、こういうことも考えられるわけでございます。したがって
財産増減
の結果につきましては、弁護人、被告人の反証を見て立証の要否を検討する必要がある、そういう
意味
におきましてその段階に至るまで検察当局としてはそれを明らかにすることを御勘弁いただきたい、こういうふうに思っておるわけでございます。
横山利秋
50
○
横山委員
国税庁
にお伺いしますが、いまお話しのように損益計算の
方法
で法廷で立証する、しかし
財産増減
の方は余り
関係
がないと思うけれども弁護人の
主張
があるからまあ勘弁してくれ、こういうような
趣旨
だと承りました。もちろん
国税庁
としては両方の側で
調査
をなさっていらっしゃるでしょうね。
磯邊律男
51
○
磯邊政府委員
そのとおりでございます。
横山利秋
52
○
横山委員
そこで、私は
国会
は
国会
、
裁判
は
裁判
というたてまえを貫きたいと思うのですけれども、その訴訟維持のためのすべての材料を提出しろと必ずしも言っているわけではないのであります。
国会
は
児玉
なりあるいはロッキード
関係
者を罪に落とすことが目的でなくて、真の目的は
ロッキード事件
の
真相
は一体何であるかということで、その中で
児玉
、
小佐野
のルートが明白でないから、そのルートを剔抉することによって
ロッキード事件
の政治的な
真相
というものを明白にしたい、こういうことが私どもの本旨であることは御存じのとおりであります。ところがどうしてもうまくわれわれが剔抉できない、あなた方が
協力
ができないというところに本質的な
状況
があると思うのであります。 そこでもう一度あなたにお伺いいたしますが、
差し押さえ
られました物件は時価評価二十八億と言われるのでありますが、その
差し押さえ
物件の明細、その評価額の
状況
、それを御
報告
願えますか。
磯邊律男
53
○
磯邊政府委員
不動産約十三億、その他株式、
預金
、
貸付金
その他であります。合計して約二十八億であります。
横山利秋
54
○
横山委員
私が申し上げておるのは、
差し押さえ
物件の等々力の
個人
の
土地
、
建物
、別荘、
有価証券
、動産、その明細を出せと言っておるわけです。
磯邊律男
55
○
磯邊政府委員
それは先ほど第一の問題で御
答弁
申し上げましたように、
個人
の
財産
そのものを開示することになりますのでお許し願いたいと思います。
横山利秋
56
○
横山委員
委員長
にもお聞き願いたいのでありますが、
徴収状況
については若干の疎明がございましたが、あとのことにつきましていまの
答弁
のようにどうしてもお答え願えないわけであります。時間も参りましたし、私としてもこれでは
本件
の
質疑
が十分意を尽くしません。 それで、これから
大臣
並びに
長官
に事後のためにお伺いをいたしますが、これは御相談なさってきょうの御
答弁
だと思うのであります。もちろん
一般
の
政府委員
として御
答弁
なさったと思うのでありますが、証言法によってあなたが証人として仮にお出になりましてもいまの
答弁
と同じことになりますかどうか、念のためにお伺いをいたしたいと思いますが、
大臣
どうですか。きょうは
一般
の
政府委員
としてお出になりまして、
委員会
がそれでは困る、
審査
ができません、私もそう思っておるわけでありますが、たびたびの本
委員会
におきまして申し上げておるわけでありますが、証人として一遍
委員長
にもお願いしたいと思っておるのであります。その
理由
は、時間の
関係
上もう全部整理をしてきましたが、三木総理
大臣
、福田総理
大臣
、福田一法務
大臣
、瀬戸山法務
大臣
、予算
委員会
における福田法務
大臣
の戒告決議、それから松浦君の総理
大臣
に対する
質問
主意書、それに対する
答弁
、
ロッキード事件
における捜査
処理
に関する中間
報告
等々、すべてがロッキードに関しましては
最大限
国政
調査
に
協力
をするということを述べられておる。ところが税に関しましては、いま
徴収
でわずかのことをおっしゃったけれども、私どもの
質問
に対してほとんど
答弁
を拒否なさる。そこで私どもとしては、証言法によって御
答弁
を願いたい。
委員長
にも
理事会
で一遍御相談願いたいと思うのでありますが、これはどうせそういう議論になりましたときにあなた方にこの意向をお聞きになると思うのですが、証言法の
公務員
である人が証言をする場合の条項は御存じのとおりでありますが、もし証人に喚問されましたら、これは特別の場合でございます。決しておどかすつもりではございませんが、私どもがそれを強要いたしますゆえんは、とにかくロッキードという特別の事案である。
一般
の
守秘義務
とかあるいはあなたの方の
立場
というもので答えられないという
一般
論でございますから、この際、歴代の法務
大臣
が特別の
協力
をするというその議長裁定と、それから総理
大臣
、法務
大臣
の歴代の
大臣
が約束をしたことを引用いたしまして、証人としてあなた方にお出願いたい、こう私は
委員長
に
要望
をしたいと思うのでありますが、そういう場合にはまた別の感覚があってしかるべきだと思いますが、どうお考えでありますか。
村山達雄
57
○
村山国務大臣
率直に申し上げますが、私からも
長官
からも申し述べていますように、この
所得
税あるいは法人税その他相続税等、御案内のように
申告納税制度
に支えられておるわけでございます。したがいまして、その人の
財産
、
所得
全部にわたりましてわれわれはそれを
質問
あるいは
検査
権等のいわば
間接強制
手段をもって真実を述べてもらっておるわけでございます。したがいまして、
納税者
は当然そういうことは世間には公表されない、そういういわば
納税者
との
信頼関係
にあってできておる次第でございますので、いま証言法によって求められたらどうか、こういうお尋ねでございますが、残念ながら答えは同じになると思うのでございます。
横山利秋
58
○
横山委員
委員長
初め同僚諸君にも御検討願いたいと思うのでありますが、私も
納税者
の
秘密
を守るについてやぶさかではありません。なぜ
秘密
を守るか、それは
税務行政
上必要だから。なぜ必要か、国民の
信頼
を得るから。国民の
信頼
ということが
税務行政
上必要だから、したがって
納税者
の
秘密
を守る。こういう三段論法になっておることは御存じのとおりであります。しからば
本件
のような、世界を揺り動かした
ロッキード事件
、そして議長裁定もあって、また内閣総理
大臣
が
最大
の
協力
をするという約束をされた
ロッキード事件
、その事件について、国民の
信頼
は一体どちらに寄るだろうか。
児玉
とか
小佐野
とかあるいは田中とか、そういう人々の
納税者
の
秘密
をあくまで守るのが国民の
信頼
を得るゆえんなのか、それともこれほどの希有の事件であり、議長や
大臣
が約束をされました
最大限
の
協力
であるがゆえに、これだけは特例中の特例として
納税者
の
秘密
と称するものを
国会
に
報告
することが
税務行政
上に対する国民の
信頼
を集めるゆえんなのか、ここは選択の問題だと思うのであります。 ですから、時間が参りましたので
委員長
初め
理事
の諸公にお願いを申し上げます。私は、
国税庁長官
並びに
大蔵大臣
を証言法に基づく証人として喚問されるようお願いをいたしますが、いかがでございますか。
廣瀬正雄
59
○
廣瀬委員長
ただいま
横山委員
から御要請のございました証人喚問については、
理事会
で篤と検討いたしてみたいと思っております。
横山利秋
60
○
横山委員
以上で終わります。
廣瀬正雄
61
○
廣瀬委員長
次に、坂井弘一君。
坂井弘一
62
○坂井
委員
やりとりを伺っておりまして、率直に申し上げまして、
ロッキード事件
の重大性にかんがみて
政府
が
国会
に対しては
最大
の
協力
をするという厳粛なる約束、それがいまの
答弁
ではその姿勢、
協力
の具体的な
内容
というものが全くあらわれてこない。はなはだ遺憾に存じます。 そこで、
国政調査権
の本質と申しますか、あるいはあり方といいますか、これについてまず、きょう法制局にもおいでいただいておりますので、若干法制局の
見解
を伺いながらお尋ねをしてみたいと思います。 私は、この
国政調査権
の本質は、
国政調査権
というものが、仮に憲法上明文の
規定
があるとなしにかかわらず、議院がこの憲法上の権能を実効的に行使をする、そのためにいわば議会にきわめて当然な形で、言うなれば自然権と申しますか、そういう形で認められた補助的なあるいは補完的な権能である、こう理解をいたしております。したがって、この自然権としての
国政調査権
には証人を喚問したりあるいはまた
横山委員
からの要請もありました文書の提出を求める、そういう強制権、その裏づけを与えて、真の
意味
の
国政調査権
の存在を明らかにしたのが憲法六十二条の制定の
趣旨
であろう、こういう理解であります。 ただお断りしておきますが、憲法六十二条ではしからば強制権を直接的に持たしているかというとさにはあらずして、この強制権は今度はこれを受けました議院証言法においてそれが法制化、明文化されておるという
関係
にあろうかと思います。したがって、憲法で定められたこの
国政調査権
、日本国憲法の
国政調査権
の特色は何かというならば、強制権の裏づけがあるということであろう、こういう私の理解であります。
一般
的な理解であります。法制局、私の
見解
に対しまして、簡単にひとつお答えを、
見解
を承りたいと思います。
茂串俊
63
○茂串
政府委員
ただいまお話のございました
国政調査権
のいわば本質でございますが、これは御指摘のございましたように、憲法第六十二条に由来するものでございまして、議院が国政に関する
調査
を行うことに関連しまして認められておるものでございまして、国政の対象が非常に広範なものであるということに対応しまして
国政調査権
の及び得る範囲もきわめて広いものであるということは、これはもう申すまでもないことでございます。 その本質につきまして若干申しますと、この
国政調査権
の性格につきまして、
国会
が持つ立法あるいは行政監督の権能を有効に行使するために議院に与えられた補助的な機能であるというのがいわば通説的な
見解
でございますが、このような
調査
権につきましては、いわゆる三権分立のたてまえからしまして
国政調査権
の行使につきましては一定の範囲の限界が存するということ、これは当然のことであると思うのでございます。そこで、ただいま御
質問
の強制権的なものであるかどうかという点でございますが、これにつきましては、御指摘のございましたように、いわゆる議院証言法にのっとりまして一定の段取り、手続が定められております。その段取りに従って、いわば法的に担保されておるということも言えようかと思うのでございます。ただ、
国会
法百四条に基づくところのいわゆる
国政調査権
につきましては、これはいわば立法府と行
政府
との間の
協力
関係
という
関係
に立つものであるというふうに考えられます。
坂井弘一
64
○坂井
委員
そこで、私はこのあり方、
国政調査権
のあり方としては、たとえばいまも
児玉
の具体的な問題が挙がっているわけですが、私
企業
でありますとか私人の反社会的な行為といいますか、ましてや
ロッキード事件
というきわめて重要な事件、こういう事件を問題とする場合においても、この
国政調査権
の行使のあり方といたしましては、つまり最終的にはそれらの事件の
内容
を究明する中で、やはり立法でありますとかあるいはもろもろの施策、そういうものをその中から見出し、政策を立案し、あるいは再発防止というようなところに結びつけていくということのためにこの社会悪の実相というものを究明するのでありまして、決して
個人
の暴露でありますとか
個人
に対する糾弾でありますとか、あるいはまた摘発をするとか、そういうようなことを目的として
国政調査権
を行使するものではない、これは
国政調査権
のあり方であろう、私はこういう
立場
に立って、以下お尋ねするわけでありますので、あらかじめひとつお含みおきいただきましてお答えをちょうだいしたいと思うのであります。
大蔵大臣
に
質問
いたしますが、先ほどの御
答弁
を伺っておりまして、
公務員
には税法上の
守秘義務
がある、したがってかくかくしかじかの
理由
でもって提出することはできない、こういうことでございますが、これも私は提出をすることができないという具体的な
理由
、説明ははなはだ不足しておる、欠けておる、実はそう思う。なお、やはり
一般
論的な形式的、抽象的な
理由
を挙げての断り方という気が実はしてならぬわけであります。 そこで、お尋ねしたいのは、いずれにしても文書の提出は拒否するということでございますが、これは前段申しましたように、
国会
に対して
政府
が
最大
の
協力
をする、その
協力
の
立場
を踏まえて、きわめて高度な政治的な判断の上で文書の提出は断る、その場合には総理にも御相談をされて文書提出を拒否、こういうことに相なったのでしょうか。
村山達雄
65
○
村山国務大臣
本日の問題につきましては総理とは別段相談いたしておりません。
坂井弘一
66
○坂井
委員
これは総理、
政府
挙げて
国会
に対する
真相
解明のための
協力
という約束があって、具体的に一つの問題を取り上げて、
児玉
、この文書の提出をお願いしたい。それに対して出せない。出せないとされる政治的な
意味
合いにおける
政府
のその責任の姿勢にはいささか欠けているものがあるのではないか。
税務
の
関係
ですから当然
大蔵大臣
が最高の
責任者
でありますから、その御判断のもとにということでしょうけれども、しかし少なくとも総理も、
政府
がこれは挙げて
協力
をいたしましょう、しなければいけないということでありますが、そういうお答えが返ってきますと、やはり余り
協力
しようという積極的な姿勢ではないのではないか、こう実は私は疑わざるを得ないわけであります。ならば、たとえば
大蔵大臣
は、この種の
資料
の要請等があった場合に、それはまさにケース・バイ・ケースで、
児玉
の場合は出せない、しかしほかに具体的な問題で要請があった場合に、それはまたケース・バイ・ケースで、しかも同時にこの
重要性
にかんがみ、十分政治的な
協力
をしなければならぬ、そういう姿勢に立ってケース・バイ・ケースで今後は判断される、実は一切拒否するというような感じに受け取れてならぬわけなのであえてこういうことを聞くわけですけれども、それは全くケース・バイ・ケースで判断します。出す場合もある、当然こういうことになりますか。
村山達雄
67
○
村山国務大臣
先ほどから御説明しておりますように、
税務調査
に与えられた
間接強制
をもとにして
調査
をいたすわけでございます。もちろん
納税者
個々によりましては、中には税の脱漏をはかっている者も当然あるわけでございます。しかしそういう
人たち
にも真実を述べてもらうために
調査
権が与えられておりますし、またその担保によるところの
協力
がなければ
税務
の適正な
執行
はできないことは当然でございます。したがいましてその問題は、
脱税
者であるとかあるいは正当な申告をしている人であるとかそういったものによって区別すべき筋合いのものではない、やはり法の前に平等という
意味
では、この権限に基づく
守秘義務
というものは共通のものであろうと私は思っているわけでございます。別途それが有罪になる、
刑事事件
になるということになりますれば、当然のことでございますけれども
刑事事件
としてその問題は明らかになってくるわけでございます。
税務
に関しましてはいま言ったような
趣旨
からいたしまして、犯罪者であろうとそうでなかろうと、
申告納税制度
を支えておるこの基本的な原則にかんがみますときに、やはり機微にわたる個々の
財産
の
内容
、
所得
の
内容
、そういったことは残念ながら申し上げられない、かように考えているところでございます。
坂井弘一
68
○坂井
委員
それでは確認の
意味
でもう一度尋ねますけれども、それは
裁判
の進行段階を見て云々、これは別としても、この種のようなケース、ほかにもいろいろ
資料
の
要求
をしたいということがあろうかと思うのです。そういう場合でもいまの
税務
上の
守秘義務
ということでもって一切出せません、こういうことになりますか。
村山達雄
69
○
村山国務大臣
一般
的の統計
資料
でございますとか、あるいはどんなふうになっているかというような
税務行政
の監査についてのお尋ねでございますれば、喜んで
協力
さしていただくわけでございますけれども、
個人
個人
の
所得
の
内容
あるいは
財産
そういったものは、まさに
税務
が適正に
執行
が行われるために、
間接強制
をもって与えられておる権限に基づいて初めて知り得るわけでございます。したがいまして、もしそれをいかなる場合であろうとも役所が何らかの形で出すということになりますれば、
一般
的なこの法律
関係
によって担保されておる、いわば
納税者
との間の
信頼関係
が基本的に失われる結果になると思うのでございますので、残念ながら御
要望
には応じかねる、こう申し上げておるところでございます。
坂井弘一
70
○坂井
委員
しからば、できるだけの
協力
をいたしますということの
協力
のあり方として、先ほど
国税庁長官
はこの
委員会
のやりとり、
答弁
の中で、一定の
協力
という形だろうと思うのですが、
課税状況
でありますとか、資産の
状況
について若干の説明をされました。私は、これはそれなりに結構、それなりに結構だけれども、これは一々これはどうだあれはどうだと根掘り葉掘りいろいろ聞かなければ、そういう小出しをしていただけないのか、そんなものじゃなかろうと思う。この場で
答弁
できるならば、ほかに何が
協力
の形として具体的に答えられるものなのか。もっとほかにもあるのでしょうかどうでしょうか。ありとするならば、ここでまとめて日を改めても結構だと思う、
最大限
のここまでは
委員会
の中で
報告
できますということをまとめて
報告
される御
意思
はございませんか。
大蔵大臣
どうですか。
村山達雄
71
○
村山国務大臣
いまの点は非常に具体的な問題になりますので、
国税庁長官
から
答弁
させます。
磯邊律男
72
○
磯邊政府委員
先生ただいま御指摘になりましたように、私はこの
委員会
におきまして、できる限りの御
協力
を申し上げる
意味
で、許される
最大限
の御
答弁
を申し上げておるところであります。そのほかに別途こういった
状況
であるというふうな概括的な
報告
をここで申し上げるということは、これはちょっとどの程度まで
報告
していいのか判断つきかねますので、先生方の御
質問
に応じまして、お答えできる範囲のお答えをさしていただくことで御容赦願いたいと思います。
坂井弘一
73
○坂井
委員
大蔵大臣
、それを言いたいのですよ。だからその辺までぼくは総理と御相談なさってもいいのじゃないでしょうか。
大蔵省
として
国税庁長官
の意見もいろいろあるでしょう。皆さんがいろいろ協議なさって、
国会
に対して
最大
のわれわれ
協力
をするのだ、じゃどこまで言えるだろうか、どうだろうかということで、一つの案としておまとめになって、
委員会
に出てそこで
報告
される、これぐらいの姿勢があって初めて
協力
をしているということになるのじゃないでしょうか、こう言っているのであって、いろいろ聞いていけば、まだ根掘り葉掘りで
幾ら
か出てくることがあるのかもしれません。しかし、それは余り言いたくないから、
委員会
で言われれば仕方がないや、こういうことになるのか、それじゃ全く
協力
じゃないでしょう。つまり、
通常
の
委員会
においていろいろな角度からいろいろなやはり意見を持って聞いているというのとは違うのです。根本的に当
委員会
は。私はそう理解している。
最大限
の
協力
をしますという神聖な、厳粛な
国会
に対する約束があって、そして本
委員会
が行われておる。そこでこんな形でしか
協力
ができない。きわめて消極的だな、こうとしか受け取れない。こういうことを言っておるのであって、どうですか、
大蔵大臣
、いま私申しましたようなことを一度またよくお考えになって、少しはおまとめになってみたらどうでしょうか。だから、
報告
できるものはできる、できないものはできないで結構です。しかし、これがぎりぎりいっぱいのことでございます。われわれはそれを
報告
を聞いて、ああここまでが
協力
の具体的な中身か、そうか、それはそれなりに理解しますよ。いかがでしょう。
村山達雄
74
○
村山国務大臣
いま
国税庁長官
から答えましたのは、非常に機微にわたる問題でございますから御
質問
に応じて
最大限
お答えしたい、御
協力
の実を御
質問
に応じてやりたい、こう言っているわけでございますので、御理解賜りたいと思うのでございます。
坂井弘一
75
○坂井
委員
質問
に応じてやること自体悪いとは言っていないので、それはそれなりの一つの
方法
でしょうということです。いま
大臣
がそういう御
答弁
でございますから、強いてこれ以上この問題言いませんが、しかし、ここで
答弁
の形ならできるけれども文書では出せない。これまた一体その
理由
はどういうことで文書で出せないのだろうか、私は非常に不思議に感じる。これは議事録になるのです。
委員
の
質問
に対してぎりぎりいっぱい、こんなこと普通では言えぬことだけれども言ったのだと言って議事録に残る、それは許される。文書で
要求
すればそれは出ない。その辺の
理由
というのは全く
一般
的な国政
調査
の中で、また
一般
的な
国税当局
、大蔵当局の
守秘義務
という考え方の中での範囲しか出ていないとしか私には実は思えないわけで、だから、そういう
意味
で本当に
協力
しようという姿勢があるのかないのか、残念ながら答えはなし、こう言わざるを得ないということを実は申し上げているのであって、これはひとつ十分お考え直しをいただきたいと思います。 それならば、なおまた改めて伺いますが、国政
調査
、これによって得るところのわれわれの
立場
から言えば
公益
、それから、一方では
守秘義務
ということがありまして、私人のプライバシーとかあるいは基本的な人権でありますとか、またときには行政に支障を来さないためにとかいうような
意味
もあるかと思いますが、そういう二つの
公益
、この二つの
公益
を
両者
をにらみながら比較考量する、勘案し出すべきか出さざるべきか、言うべきか言うべきではないか、こういう判断をされる、こういうことだろうと思うのです。統一
見解
のあれは。そういうことだろうと思うのですが、それならば、その比較調整をする、それは一体だれとだれとだれですか。
税務
の問題に限っては
大蔵大臣
とわれわれロ特の
委員会
、あるいはまた
委員
個人
との間でやるのですか。だれとだれの問でこの比較考量するのでしょうか。それは一方的に
政府
がするのだ、
大蔵省
が、
大蔵大臣
がやるのだ、こういうことでしょうか。
村山達雄
76
○
村山国務大臣
ごく常識的に申しますれば、行政庁は行政庁でやるだろうと思いますし、また、
国会
は
国会
の
立場
でまた意見があり得ると思うのでございます。いま求められておるのは、われわれ
大蔵省
の考え方を求められているわけでございますので、
大蔵省
の考え方を申し上げているのでございまして、
一般
的に意見というものは、
国会
なら
国会
、個々の議員なら議員それぞれみんな意見があるだろうと思うのでございまして、私たちが申し上げているのは、いま
大蔵省
の考え方を申し上げているのでございます。
坂井弘一
77
○坂井
委員
重ねて伺いますが、
国政調査権
の行使によって得られるべき
公益
、そして一方では
守秘義務
によって守られるべき
公益
といいますか、この二つの
公益
ですね。この二つの
公益
を比較考量する。そこで、出すか出さないかの判断は、いまの問題等に限ってはこれはやはり
大蔵大臣
がされる、こういうことですが、ここに調整の作業というのがあってしかるべきだと思うのですね、出すか出さないかの場合に。調整についての具体的な
方法
があるのじゃないでしょうか。それはどうお考えになりますか。われわれは出してもらいたい、提出を要請する、
国政調査権
という権能に基づき、また国政
調査
の必要ありと言う。
政府
は、一方では、くどいようですけれども
最大
の
協力
をするというお
立場
。しかし
守秘義務
はある。この場合に出せないのだと言う。この
資料
要求
については最終的に
大蔵大臣
は出せないのだと判断されたのだが、その判断の際に、要請しておる
国会
の方と二つの
公益
を比較考量しながら、出すべきか出さざるべきか。しかしこういう具体的な
方法
であるならばこれは出せるとかいうような幾つかの出せる
方法
があるのじゃないでしょうか。たとえばいまこの
委員会
で
委員
の
質問
に対して
答弁
という形で答えるというのも一つの調整の
方法
だろうと私は思う。ほかにも調整の
方法
があるでしょう。どういう調整の
方法
を
大蔵大臣
はお考えになっていらっしゃるかということを伺いたい。
村山達雄
78
○
村山国務大臣
いまわれわれは
国政調査権
に対しまして
最大限
の御
協力
を惜しまないということはしばしば言ったのでございまして、
国税庁長官
が答えておりますのは
委員
の方々の具体的の
質問
に応じまして
最大限
お答えしておる、かように御理解願えればありがたいと思います。
坂井弘一
79
○坂井
委員
ですから、たとえば文書提出の要請には応ずるわけにはいかぬ、こうした場合に、しかし
委員会
が
秘密
会ならば出せますとか、あるいは
理事会
ならば、そこならば出せますとか、あるいは仮に出せないとしてもそこではかなり詳細に
報告
ができますとか、あるいは
委員会
の
秘密
会も議事録をつくらない、そういう
委員会
にしてもらえばそこで言えますとか、つまり私の言いたいのは、たとえば先ほど答えられた、これは皆
会議
録に残るわけです。これはいいとか悪いとか断定して言っているのじゃないのですよ、
方法
として、その一つとしてということで言っているわけです。たとえばということで、この
委員会
を
秘密
会にしましょう、議事録はつくらない、そういう条件であるならばもっともっとここまで
協力
することができますとかいうようなことがあるのかどうか。あるいはこういう形の抽象化してということであるならば出せますとか、調整をするという
意味
は
協力
をしようという中から初めて次善の策として出てくる問題だろうと私は思うのです。あなたの
立場
に立って言っているのです。その場合にはいま言ったような幾つかの
方法
がございます。というようなことを当然のことながら検討されていかがでございましょうか。これくらいの姿勢があっても決しておかしくないのじゃないでしょうか。そういうような案をお出しになるならば、私たちとしても真剣にそれを検討して、たとえば
理事会
等で皆さんの意見の一致があるならば、じゃそこでこういう幾つかの
内容
を提示された、その中のこのところを選択してというようなことになるのじゃないのでしょうか。したがって、そういう
意味
でいまのような幾つかの
方法
、そういうことは当然お考えの中にあってもいいのじゃないでしょうかと、こう伺っておるので、
大蔵大臣
、いかがでしょうか。
村山達雄
80
○
村山国務大臣
繰り返し申し上げて恐縮でございますけれども、やはりわれわれは、この
守秘義務
というものは、全体の
公益
のために
個人
の
秘密
を守らねばならぬ、こういう
立場
でできていると思っているのでございます。調整というお話でございますが、やはりそれは具体案がございませんとなかなかうまくいきませんので、おっしゃるような、御
質問
を通じましてわれわれは
最大限
にお答えの中で御
協力
さしていただきたい、こう思っておるのでございます。 いま
秘密
会というお話がございましたけれども、これは私の率直な感じでございますけれども、遺憾ながら非常にむずかしい、やはり結果は同じであろうと思っている。それだからといってやはりわれわれの
守秘義務
は解除されるものではないのであろう、こういうように思っておるわけでございます。
坂井弘一
81
○坂井
委員
じゃ、少なくともロッキード
委員会
が一定のある一つの
方法
を仮に——ほかにも調整の
方法
が幾つか、もっともっといろんなことがあるかもしれませんが、そういうことを考えて、たとえば
委員会
でそういうふうな形でそういう
方法
で一定の
協力
を要請した場合には、それは前向いてといいますか、非常に尊重してそういう要請には応じよう、こういう姿勢なのか、それとも、いろんなあれが私いま仮に想定するだけでも幾つかあるわけですけれども、そういうことは
幾ら
言ってきたってもう全く応ずる余地はない、そういう姿勢なんでしょうか。どっちでしょうか。
村山達雄
82
○
村山国務大臣
いや、坂井さんいまどういうことをお考えなのか私わかりませんが、具体的な提案がございませんとにわかには答えられませんが、私がるるお答え申し上げておるような基本的な
立場
で御運解いただきまして、その上で何らかの具体案が出ますればそれについてお答え申し上げたい、かように思います。
坂井弘一
83
○坂井
委員
時間が参りましたので終わります。
廣瀬正雄
84
○
廣瀬委員長
次に、大内啓伍君。
大内啓伍
85
○大内
委員
国政調査権
と
守秘義務
の問題につきましてはいま議論が
幾ら
か硬直しているようでございますから、この問題は後でお伺いをいたします。
幾ら
か問題を変えまして、
国税庁長官
お見えでございますから、ちょっと事実
関係
について確かめたいことがございます。 いまロッキード公判の一つの大きな山場が田中元総理の丸紅ルートにかかわる五億円の収受にかかってきておることは御案内のとおりでありますが、この田中元首相にかかわる五億円の収受につきまして、すでに
国税庁当局
は
課税
処理
をされているわけであります。しかしこの問題は、言うまでもなく、田中元首相側は一切その事実
関係
を否定しておりますし、またそれを裏づけると思われた田中秘書の笠原政則氏のメモの信憑性をめぐりましてもこれは大変な争点になってきている。さらには丸紅側の二人の運転手、松岡、野見山両氏は供述調書を全面的に否認をいたしまして、これらの調書は検事が勝手に作成したものである、いまこの問題の事実
関係
の認定につきまして大変な争いが起こっているわけであります。
国税庁当局
はすでにその収受があったという認定に立たれているようでありますが、この際、その根拠を明らかにしていただきたいと思います。
磯邊律男
86
○
磯邊政府委員
田中角榮氏の五億円の問題につきましては、
国税当局
といたしましては、田中角榮氏が受託収賄をしたというその公訴事実、それからまた
国会
におきます法務省の
ロッキード事件
の捜査
処理
に関する中間
報告
、そういった各種の事情というものを総合勘案いたしまして
課税
すべきものと心証を得たので
課税
したというのが実情でございます。 〔
委員長
退席、増田
委員長
代理着席〕
大内啓伍
87
○大内
委員
そうしますと、その事実
関係
の認定は、具体的にお尋ねをいたしますが、
昭和
四十八年八月十日の一億円分、
昭和
四十八年十月十二日の一億五千万円分、
昭和
四十九年一月二十一日の一億二千五百万円分、同じく
昭和
四十九年三月一日の一億二千五百万円分、これを指しているわけでございますか。
磯邊律男
88
○
磯邊政府委員
そのとおりでございます。
大内啓伍
89
○大内
委員
国税庁当局
がこの田中元首相の五億円分について、その収受があったという事実を認定しているということはこれは重要なことであると思うのでありますが、しかし
国税庁当局
はこれに対して
脱税
等の立件は行っておりませんですね。それはどういう
理由
でしょうか。
磯邊律男
90
○
磯邊政府委員
田中角榮氏は一方において受託収賄で起訴されておるというのは御高承のとおりでありまして、起訴されまして有罪になりますと、これは必要的没収もしくは追徴ということになって、その段階におきまして一応その収受した五億円というものの経済的利益がなくなるわけでありますが、そういったことも勘案いたしまして、一方においては
刑事事件
が進行しておるということもございまして、検察当局とも協議しました上で、あえてこれを査察事件として立件しなかったということでございます。
大内啓伍
91
○大内
委員
大蔵大臣
にお伺いしますが、この五億円の収受に関しまして外為法違反はございますか。
村山達雄
92
○
村山国務大臣
残念ながら、あるかないかいま私は急にはわかりません。 〔増田
委員長
代理退席、
委員長
着席〕
大内啓伍
93
○大内
委員
大蔵省
としては
調査
をされていますか。
磯邊律男
94
○
磯邊政府委員
国税当局
としてはその
関係
は調べておりませんけれども、後ほど
調査
いたしまして御
答弁
させていただきます。
大内啓伍
95
○大内
委員
それは
国税庁長官
が答えることではないと思います。
大蔵省
の答えをいただきたいと思います。
村山達雄
96
○
村山国務大臣
後ほど調べまして、いまどういうことになっているか御
報告
いたします。
大内啓伍
97
○大内
委員
ぜひ御
報告
をいただきたいと存じます。 さてそこで、先ほど
大蔵大臣
は、
個人
の
財産
、
所得
の
内容
を明らかにすることはできない、それは
税務行政
の公正な
執行
を図り、かつ
租税収入
の円滑な確保を図るために必要である、私は
一般
論としてその御説明もわからないではないのでございますが、そういたしますと、たとえば
所得
税法の第二百四十三条あるいは法人税法の百六十三条、さらには地方税法の第二十二条等に
規定
されております
税務調査
の結果知り得たことはいかなる場合でも公表できない、つまり
職務
遂行上知り得た
秘密
についてはこれを公表できない、こういうふうに
大蔵大臣
としては理解をされておりますか。
磯邊律男
98
○
磯邊政府委員
所得
税法の
規定
等にございますように、その
職務
を
執行
するに当たって知り得た
秘密
はこれを漏らしてはならないということになっておりますので、
個人
がそれを公にしたくないと思われるようなこと、それについてはこれはすべて
守秘義務
の対象になるというふうに考えております。
大内啓伍
99
○大内
委員
いま
国税庁長官
は、すべて
守秘義務
の対象になるというふうにおっしゃられたのですが、これは
昭和
四十九年十二月二十三日の
国政調査権
と
守秘義務
との
関係
に関する
政府統一見解
というものを念頭に置かれて
答弁
されていますか。と申しますのは、この統一
見解
では、先ほど来も
幾ら
か御議論がございましたけれども、
守秘義務
によって守られる
公益
と
国政調査権
の行使によって守られる
公益
とを
一般
論ではなくて個々の
事案ごと
に比較考量することということが統一
見解
としてはっきり述べられているわけなんです。もしいま
国税庁長官
がおっしゃるように
所得
税法、法人税法あるいは地方税法等の
規定
をそのままただ引用されまして、すべてのケースにおいて
守秘義務
というものが成立するということになりますと、この統一
見解
は崩れてしまいますよ。これは個々の事案によってその
公益
の度合いをはかって一つ一つ結論を出すんであって、私はそういう
意味
からお伺いをしているんであって、
税務調査
の結果知り得たことにおいても、これはたとえば
国政調査権
に基づく
公益
の確保というものがより重要である場合にはこれは公表しても差し支えない、こういう解釈を法律的にもとるということがこの統一
見解
に即した解釈じゃございませんか。でないと、いま
国税庁長官
がおっしゃられたことは一方的になってしまいますが、この辺はどういうふうにお考えでしょうか。
磯邊律男
100
○
磯邊政府委員
その
政府
の統一
見解
というのは、ただいま先生御指摘のとおりでございますけれども、それを秘匿することによって得る
公益
と、それから
国政調査権
の行使によって公表されることによって得る
公益
、その比較考量の問題であるということが結論でございますが、私たち
国税当局
といたしましては、現在の
申告納税制度
の
趣旨等
から考えましてこれを公表しないということがむしろ現在の
申告納税制度
を健全に発達させる
意味
において必要なんではないか、むしろその方が重要なのではないかというふうに考えておるわけでありますが、ただ統一
見解
の後の方には、しかしながらやはり
国政調査権
の行使に対しては
最大限
の
協力
すべきであるということが最後にうたわれておりますので、この席上におきましてはそういった
趣旨
で
最大限
の御
答弁
を申し上げておるということでございます。
大内啓伍
101
○大内
委員
私は先ほど
村山大蔵大臣
の御説明を
一般
論として理解できないことはない、こういうふうに申し上げたんです。しかしこの四十九年の十二月に出されました
政府
の統一
見解
というのはそれらの
一般
論の議論を経まして、個々の問題について
国政調査権
の行使あるいは
守秘義務
とどちらを優先させるべきかという論争の後に個々の
事案ごと
にそれは決定するんだ、つまり具体的に言いますと、
所得
税法あるいは法人税法の
規定
は
規定
としてございますけれども、それが果たしてそれに基づく
守秘義務
が妥当かどうかということは、その
国政調査権
に基づいて確保しようとしている
公益
とのパランスによってそれを個々に検討した上で答えを出さなければならぬということが統一
見解
でございまして、
国税庁長官
の言っていることは
一般
論なんであります。問題は、いまたとえば
児玉譽士夫
氏の
財産
形成あるいは
所得
の
内容
等についていま当
委員会
において
質問
があり、それを公表できないということになると、その
一般
論だけでは無理なんです。なぜ
児玉譽士夫
氏の
財産
形成の
状況
あるいは
所得
の
内容
を公表することが
国政調査権
の行使として求めている
公益
以上に
守秘義務
の
公益
の方が大きいかということを具体的な事例によって証明しなければその
守秘義務
の公正さを
主張
することにはならない。
大蔵大臣
、そう思いませんか。
村山達雄
102
○
村山国務大臣
もちろん、あの統一
見解
では個々の事案によって
両者
の
公益
の比較考量をすべきである、こういうことでございますし、また、
委員
の方々の具体的な話は
児玉譽士夫
に関する具体的な問題として御
質問
を受けていると
承知
しているわけでございますので、その個別事案、具体的なケース・バイ・ケースと申しますか、個々の事案としてわれわれは判断さしていただいてお答えを申し上げておるところでございます。
大内啓伍
103
○大内
委員
この
大蔵大臣
の説明で
幾ら
かはっきりしましたが、そうしますと、先ほどの
国税庁長官
の
答弁
は若干言葉不足だと思うのであります。つまり、
税務調査
の結果知り得たことについて、すべての場合においてこれは公表できないということではなくて、
国政調査権
の行使によって必要な
公益
を確保する、それは重要だと認められたものについては公表し得るケースがあり得る、こういう
答弁
でないとちょっと正確ではないと思いますが、
長官
、いかがですか。
磯邊律男
104
○
磯邊政府委員
私たちは、このロッキード特別
委員会
における
国政調査権
の行使の
重要性
にかんがみまして、普通の
委員会
ではお答えをお許し願うような点までもここで御
答弁
申し上げておるつもりでございます。そういった
意味
におきまして、実質的には、この
児玉譽士夫
の
案件
につきましては、個々にその
重要性
というものを考えまして御
答弁
申しておる、その
意味
においては比較考量の上御
答弁
申し上げておると申してもいいのではないかと思っております。
大内啓伍
105
○大内
委員
これは
一般
論として聞いておきましょう。
職務
遂行上知り得た
秘密
であっても公表し得る場合があるということですね。そういうことでしょう。
磯邊律男
106
○
磯邊政府委員
それはやはりケース・バイ・ケースによるということだろうと思います。
大内啓伍
107
○大内
委員
ケースによってはあり得るということですな。そんな回りくどく言わないで、その辺ははっきりしてくれませんか。これは
一般
論としても今後重要な基準になりますので、ひとつお願いいたします。
磯邊律男
108
○
磯邊政府委員
それはまさに
政府統一見解
に示されておりますように、
国政調査権
の行使とそれから
守秘義務
との比較考量の上で個々に判断するということでございますから、そういった場合もあり得るということでございます。
大内啓伍
109
○大内
委員
そうしますと、
国税庁長官
がすべての場合に公表できないと言った前言は取り消されますね。
磯邊律男
110
○
磯邊政府委員
私が先ほど御
答弁
いたしましたのは、
国政調査権
との関連において
守秘義務
を申し上げたわけじゃなくて、
所得
税法の
規定
の解釈として、
税務職員
は
職務
上知り得た
秘密
を漏らしてはならないということを申し上げたわけであります。
大内啓伍
111
○大内
委員
本当は追い詰めれば追い詰められるところですが、まあやめましょう。 私は、
児玉
氏の
財産
、
所得
の
内容
を明らかにできない、それは
公益
上の
理由
からであるという御説明については若干疑問を持っているわけであります。と申しますのは、
ロッキード事件
が発生をし、この反社会的な事件について当特別
委員会
が設置されたということ自身が、実は国政
調査
上の
公益
上必要だという
立場
に立ったことは論をまたないわけであります。したがって、その
真相
を明らかにすることが実は
公益
上重要な課題になっております。そうすると、この
真相
を解明するためにいまロッキード公判が行われているわけでありますが、何といっても、やはり
児玉ルート
の解明というものがこの最も重要な
内容
であることは論をまたないわけです。たとえば
児玉譽士夫
氏の
脱税事件
は国民の大多数にとってきわめて忌まわしい事件であって、この膨大な
脱税
に対してどのような
課税
措置がとられるのかということが国民の重大関心事であることは論をまたないわけであります。同時に、
刑事事件
の対象になっている
脱税
事犯のみならず、
児玉
氏の
財産
形成
状況
についても、国民はそこに大きな不正があるのではないか、そういう疑惑を抱いていることも明らかだと思うのです。したがって、そうした国民の疑惑に対して
国税当局
がその
真相
を明らかにするということは
公益
にかなった措置だと理解すべきではないでしょうか。
児玉
の
納税
、
財産
状況
を
国政調査権
の求めに応じて明らかにすることによって
守秘義務
が崩壊するという解釈は少しおかしいのじゃないでしょうか。その点、
国税庁長官
いかがですか。
磯邊律男
112
○
磯邊政府委員
たびたびここで御
答弁
申し上げておりますように、やはり
児玉譽士夫
氏彼自身については確かに
脱税
犯として現在公判係属中でございますけれども、私たちから見ますと、一方においてはやはり一
納税者
でございまして、そういった
意味
において
納税者
の
財産
の
内容
を公開するということについては、やはりどうしても現在の
申告納税制度
というものの
趣旨
から考えてお許しいただきたいということをお願いしておるわけでございます。
大内啓伍
113
○大内
委員
私は
一般
論としてその
長官
の御説明は理解できないことはないのです。ただ
児玉
事件というのは、国民にとっては先ほど来申し上げておるように本当に、非常に忌まわしい、いやな事件なんですね。そして国民の皆さんは、それについてやはり徹底的に究明してほしいという感情を持っておることは世論
調査
から見たって明らかなんですよ。ですから、そういう個々の事案についてはまさに
政府統一見解
に示されているように、どっちの方が本当に
公益
上の利益にかなうのかなということをこの事件についても深く勘案して、先ほど御
答弁
されたように、その
公益
上の比較考量によってはそういうものを公表することもあり得るという一つの原則に立って、そういうものを明らかにすることの方がむしろ
公益
上かなうのではないか。つまり、たとえば
児玉譽士夫
氏のそうした
財産
状況
や何かを公表することによって
税務行政
に対する
信頼
、つまり国民の
信頼
を失うでしょうかね。逆じゃないでしょうか。そういうことを、
国税当局
がこれは
個人
の
秘密
でございます。基本的人権にかかわることでございますと言って隠していることの方が
税務行政
に対する国民の
信頼
を失うことになり、したがって、
公益
の確保はできないのじゃないでしょうか。その辺の私は価値判断というものが非常に重要だと思うのですよ、この事件については。その辺はどうでしょう。私はそう思うのです。少なくとも、むしろ
児玉譽士夫
氏のそうした
個人
の
財産
あるいは
納税
、それらの実態をつまびらかにすることの方が
税務行政
上も
公益
にかなう措置だ。これは個々の問題ですから、
長官
のおっしゃるように
一般
論ではなくて、個々の問題として考えればそういう結論になると思うのですが、いかがでしょうか。
磯邊律男
114
○
磯邊政府委員
お言葉を返すようではなはだ恐縮でございますけれども、私
国税庁長官
といたしましては、
児玉譽士夫
の
脱税
を摘発し、それの刑事訴追を求めたというところで国民の、
納税者
の方々の御期待なり御
信頼
にこたえる道であろうかと考えておりますが、さらにそれから進んでそういった
個人
の
財産
の公表まですることは、むしろこれは
申告納税制度
の健全な
発展
のためにマイナスであるというふうに考えておるわけであります。
大内啓伍
115
○大内
委員
この辺はいずれにしても水かけ論になると思うのです。しかし、諸外国の例を見ましても、たとえばアメリカ等の例を見ましても、これらのことはみんなほとんど公開されていますよ。それがやはり民主政治とかあるいは本当のガラス張りの行政、
納税
ということなんですよ。どうして日本じゃできないのでしょう。もちろんアメリカと日本とは違うんだという議論をすればそれまでですけれども、国民の
信頼
を得るためには、疑惑が持たれている者について
個人
といえども責任を負う、しかも、これは反社会的なこれだけの大きな事件じゃないですか。しかも、これは国内問題だけじゃなくて国際的な問題でもある。そういうときに
国政調査権
がいろいろな壁によって一歩も入れない。片っ方は公判という壁、片っ方は税法という壁、片っ方は国家
公務員
法、地方
公務員
法という壁。皆さんの論理が成り立つとすると、
国政調査権
というものはいかにむなしいものであるか。国権の最高機関といいながら、
国政調査権
と
政府
の解釈が違ったときにはにっちもさっちもいかない。 これは法制局
長官
伺います。——いませんか。それじゃ
村山大蔵大臣
に聞きますけれども、
国政調査権
と
政府
の解釈が違った場合にはだれが判断するのですか。憲法の国権の最高機関の
国会
の
意思
が優先するのではありませんか。
政府
としてはどういうふうにお考えでしょう。
村山達雄
116
○
村山国務大臣
その点につきましては
政府
の統一
見解
がありますし、また議院証言法がある種の調整をとっておるものと考えておるわけでございます。
大内啓伍
117
○大内
委員
私の時間はすでに過ぎましたので、後で次長の方で、先ほどの外為法違反の説明をしたいというので、それをいただきまして
質問
を終わります。
廣瀬正雄
118
○
廣瀬委員長
この際、先ほど外為法違反に関する大内君の御
質疑
について国際金融
局次長
が
出席
いたしましたので、発言を許します。宮崎次長。
宮崎知雄
119
○宮崎(知)
政府委員
御
質問
の、田中前総理に対して丸紅社から支払われた五億円の件につきまして、これが外為法の違反であるかどうかという御
質問
でございますが、その資金がロッキード社から支払われるべき性格の資金であるということでありますと、これは支払いの
方法
が外貨かあるいは自由円で支払われる場合には許可は要りませんが、それ以外の
方法
で支払われる場合には許可が要るということになっております。
本件
は居住者である第三者を通じて支払いが行われておりますので、許可を取得していない場合には外為法の違反になるということでございます。 それからもう一点、
本件
について
大蔵省
が
調査
をしたかどうかという御
質問
でございますが、その件につきましては、
本件
はすでに強制捜査の段階に入りまして、司法当局の手で
調査
が行われ、現在
裁判
中ということでございますので、
大蔵省
としては
調査
いたしておりません。
大内啓伍
120
○大内
委員
以上をもって、終わります。
廣瀬正雄
121
○
廣瀬委員長
次に、
正森成
二君。
正森成二
122
○正森
委員
私は、いままでの同僚
委員
、なかんずく先ほどの大内
委員
の
国政調査権
と
守秘義務
との
関係
の立論を基本的に正しいものだと考えております。そういうことを前提にして、できるだけ重複しないように短時間の
質問
を行いたいと思いますので、
大臣
並びに
国税庁長官
に
答弁
をお願いしたいと思います。 まず最初に伺いたいと思うのですが、先ほどの
答弁
の中で、まだ納められていない
税額
約二十億円について二十八億円を
保全
のため
差し押さえ
た、こう言われましたが、それは
国税
徴収
法に基づいて
差し押さえ
られたのですか。
磯邊律男
123
○
磯邊政府委員
さようでございます。
正森成二
124
○正森
委員
所得
税法には、二百四十三条で
税務職員
に対する特別の
守秘義務
を課しておりますが、
国税
徴収
法にはそういう特別の
守秘義務
を課した
罰則
つきの
規定
というのはないように思うのですが、いかがですか。
磯邊律男
125
○
磯邊政府委員
そのとおりでございます。
正森成二
126
○正森
委員
それにもかかわらず、あなた方がどういう
財産
を
差し押さえ
たかについて
答弁
を十分にしていないという
状況
がありますね。私は、
所得
税法の
守秘義務
についても
国政調査権
との
関係
で、
公益
の必要から比較考量しなければならない、
本件
の場合には
国政調査権
が優先すると思いますが、特に
国税
徴収
法のように、その特別法で特別の
守秘義務
を決めていない場合には、
所得
税法によって
質問検査
権等によって知り得たことよりももっと
国政調査権
に
協力
しなければならない範囲が大きいというのは理の当然であろうと思うのですね。その点についてはいかがですか。
磯邊律男
127
○
磯邊政府委員
私はここで御
答弁
をお許し願いたいと申し上げておりますのは、ただ
所得
税法にそういった
守秘義務
の
規定
があり、
罰則
が加重されているからお許し願いたいという
趣旨
ではございませんで、これはやはり現在の
申告納税制度
の
趣旨
ということを考えますと、この健全な
発展
のためにひとつここで御
答弁
するのはお許し願いたい、こういう
意味
で申し上げておるわけであります。したがいまして、
所得
税法には特別な
罰則
が加重されておるけれども、
徴収
法にはそういった
罰則
がないからということをもって、
徴収
法についてはここでお答えしてもいいということにはならないのじゃないかと考えておるわけであります。 といいますのは、私たちの
税務行政
というものは、
納税
とそれから賦課
徴収
という一連の
税務
手続によって
税務行政
が
執行
されるわけでございまして、
所得
税法による
調査
もそれから
徴収
法による
滞納
処分も、やはり現在の自主申告、自主
納税
制度の事務
処理
に全体としてそれが包含されるわけでありますから、そういった
意味
で、ここで御
答弁
申し上げるのはお許し願いたいと言っておるわけでございます。
正森成二
128
○正森
委員
おかしいじゃないですか。先ほど同僚
委員
の
質問
に対しては
所得
税法の二百四十三条などを引いて、そこに
守秘義務
が課されておる、こう言うておるから、それじゃ
国税
徴収
法の
関係
にはそういうのがないじゃないかと言えば、
守秘義務
があるから、
罰則
があるから言えないのじゃない。それじゃ一体、
罰則
があろうとなかろうと言えないというんなら、それを貫く根本的な、
国政調査権
に対しても言えないという統一的な根拠
法規
なりあるいは原理は何なんですか。
所得
税法に二百四十三条が決められているから言わないのじゃないと言う以上は、国家
公務員
法百条に書いてあるから言えないということも理屈が通らないでしょう。それじゃ、国家
公務員
法百条の
職務
上知り得た
秘密
とか
所得
税法二百四十三条の
調査
によって知り得た
秘密
、これを言ってはいけないというものは
関係
ない、それを超えてわれわれは言えないのだというその至上的な原理というのは一体何なんです。本当にそうなんですか。性根を入れて答えてくださいよ。
磯邊律男
129
○
磯邊政府委員
私が先ほど
所得
税法の
罰則
の件に触れましたのは、
罰則
を加重するというその
趣旨
というのは、
申告納税制度
のたてまえから見て特にこれを公表することは好ましくないという
趣旨
から
罰則
が加重されたという、その現在の
申告納税制度
の基本的な考え方としてこれを援用したわけであります。 しからば、現在の
申告納税制度
というのは、先ほどから申し上げておりますように、すべて
納税者
には真実を伝えていただく、それから
税務官吏
というものはすべてを知り得る
立場
にあります。そういった
意味
において、
罰則
が加重されているとかされていないとかという
意味
にかかわらず、知り得た
秘密
というものはこれを他に漏らさないということが現在の
申告納税制度
を健全に
発展
させる道であるというふうな
趣旨
において、ここでお答えするのはお許し願いたいということでございます。
正森成二
130
○正森
委員
そうすると、これはおもしろい議論になってきましたけれども、
所得
税法二百四十三条とか国家
公務員
法百条は
関係
がないのだ、
申告納税制度
で
納税者
がいろいろ
秘密
にわたることも言ってくれて
課税
ができるのだから、
申告納税制度
を守るために言えないのだ、
所得
税法二百四十三条等の税法や国家
公務員
法百条の
守秘義務
は
関係
ないのだ、こういう
申告納税制度
を守るためだという一点にしぼられるわけですか。
磯邊律男
131
○
磯邊政府委員
国会
の
国政調査権
に対してはその理屈だと思います。
正森成二
132
○正森
委員
それでは、私はそういうものとしてお話ししていきたいと思うのです。 あなたの言うのにも一つの理屈があって、国務
大臣
は
所得税法等
に縛られない、縛られるとすれば官吏服務紀律だ、これは
罰則
がないということでありますから、あなたがそういうことを意識していまの
答弁
をしておるというなら、それもまた一理屈であります。しかしながら、もしそういうことになりますと、国家
公務員
法の百条の二項は
職務
上の
秘密
というように言っておりますね。国家
公務員
法の百条の一項は
職務
上知り得た
秘密
と言っている。講学上は百条の二項の方が範囲が狭いのである。百条一項の方は、
職務
上知り得た
秘密
だから、いろいろ客体側から聞いてきたことが入る、百条の二項は
職務
上の
秘密
だから行政庁側の
秘密
である、こういうことになっているんですね。そしてこの百条の二項に
関係
する部分については、これは議院証言法などでも同じですが、
職務
上の
秘密
を言う場合には、上司の許可を得なければならない、こういうぐあいになっているのですね。もし上司の許可を得ないという場合には、これはあなたがよく御
承知
のように、いまはしなくも
大臣
も、議院証言法で一定の調整が図られているという
答弁
がありましたが、それは五条の三項で、国家の重大な利益に悪影響を及ぼす旨の内閣声明というものを出せば、
国政調査権
に対抗できるということだと思うのですね。しかし私は、もしそういうぐあいに立論を進めていくなら、
児玉
のように外為法や
所得
税法に違反しておる刑事被告人、そしてこの人物は
納税
申告制度をまさに守らないで、隠して
財産
をため込んでおった。しかもそれは刑事犯罪になるものであったから、いまのように
国会
で問題になっておる。その人間を守ってやることによって、まじめに申告する、
納税
申告制度を本当に正しくやっている国民の利益が侵害されない、あるいはそれを守らなければ侵害されるというのは、理論がおかしいのじゃないですか。むしろ、
納税
申告制度を本当に守ろうと思えば、
納税
申告制度を守って自主的に真実の申告をする、あるいは初めはいろいろ言っておったけれども、
質問検査
権によって国家に
協力
してそういう
答弁
をするという者の利益を守るためにこそ、こういうぐあいに
納税
申告制度を正しく活用しないで
財産
を隠した者、しかもそれは
刑事事件
になった者、外国に対しても国家の威信を傷つけておる者、こういう者については
国政調査権
の発動によって最小限申し上げるのだということが、もしあなたが
罰則
によって言わないのじゃない、
納税
申告制度の精神を守るためだと言うなら、まさに
国政調査権
に対して言わなければならないということになってくるんじゃないですか。
磯邊律男
133
○
磯邊政府委員
その点につきましては、先ほども御
答弁
いたしましたように、私たちは
児玉譽士夫
の
脱税
を摘発し、これに刑事訴追を求めるということによって
納税者
の
信頼
を得、それからまた
申告納税制度
の
発展
のために非常に有効であったというふうに自負しておるわけでありますけれども、同時にやはりその
内容
を発表するということは、
児玉譽士夫
といえども一
納税者
でありますから、その
納税者
の
財産
内容
等についてここで御
答弁
申し上げるということはやはり現在の
申告納税制度
のたてまえからむしろマイナスであるというふうに私は考えて、先ほどから御
答弁
申し上げておるわけであります。
正森成二
134
○正森
委員
全然理屈になっておらないですね。
申告納税制度
をまさに無視した者を守るために、善意な
申告納税制度
を遵守している者に害があるからというような理屈を持ってくる。逆じゃないですか。
申告納税制度
に
協力
しない、しかも犯罪にまでなった、国家の威信を傷つけておる場合には、こういうぐあいに
国政調査権
のたっての発動によっては言われることがあるのですよ、しかし
申告納税制度
に従っておる国民に対してはそういうことは必ず守秘しますよということであってこそ、
国税庁
に対する国民の
信頼
というものは高まる。これは理の当然じゃないですか。また、あなた方は検察庁に告発をしておる、あるいは
国税
犯則取締法による手続をとっておるというようなことで、国民に対する責務は済んでおると言われるかもしれませんが、
国政調査権
としてはそういうぐあいに告発した後
差し押さえ
や
換価
についてどういうぐあいに進んでおるかということを追及していくというのも当然
国政調査権
の
内容
であります。 私は、残念ながら時間があと五分ですから、理屈だけ言っておると理屈で終わってしまいますから、そういうことを前提にして具体的に伺いますから、
国政調査権
に対する
最大限
の尊重ということは
政府
の統一
見解
でも出ておりますから、具体的事例について答えてください。 先ほどの
横山委員
の
質問
に対して、
残り
の
財産
として等々力の家だとか別荘だとか
土地
建物
、それから
有価証券
と動産、こういうものを
差し押さえ
ておる、こう言いました。その後で実際上
差し押さえ
しておるのが約二十八億円である、そのうち十三億円が不動産である、
残り
が株式その他である、こう言われました。そうすると、不動産の中には等々力の家や別荘、こういうものは全部入っておるわけですね。
通常
不動産というものは非常に価値があるものだとされておるわけです。ところが二十八億円のうち半額以上の十五億円が不動産以外のものであるということになると、国民としては果たしてそんなに
財産
があるのかな、
国税庁
が
差し押さえ
ておるというけれども、これは
国税
不服審判所
にかかっておるために
換価
手続ができないということになっておるのだから、本当に価格が下落しないで押さえているのかな、正直者がばかをしないのかなというように思うのは当然であります。したがって、株式その他と言われましたが、株式の銘柄まではいいから、株式は何万株
差し押さえ
ておるのか、その他というのは何なのか、貴金属なのか金の延べ棒なのか、そういう点について明らかにしてください。
磯邊律男
135
○
磯邊政府委員
それは先ほど御
答弁
いたしましたように、不動産については約十三億、その他株式、
預金
、
貸付金
その他でその
残り
の約十五億ということでございます。
正森成二
136
○正森
委員
その
内容
を言いなさいと言っているのですよ。
磯邊律男
137
○
磯邊政府委員
先ほどはここまで御
答弁
させていただいて、お許しをいただいたわけでございます。
正森成二
138
○正森
委員
だからいままでの論議の中で、それだけでは不十分だと言っているのですよ。株式が何万株ぐらい言えないのか。
磯邊律男
139
○
磯邊政府委員
私はこの
委員会
では、他の
委員会
では御容赦願う以上の御
答弁
をしておるつもりでございます。
正森成二
140
○正森
委員
国税
徴収
法では
罰則
もないのです。その
罰則
もないことについて
最大限
尊重すると言いながら、なぜ言えないのです。
納税
申告制度と言いますけれども、
徴収
関係
は
納税
申告といったって直接
関係
ないじゃないですか。
所得
税法や法人税法は
関係
があるけれども、
国税
徴収
関係
は把握した
税額
について払わない場合に、それを
差し押さえ
ていくという手続じゃないですか。
申告納税制度
と直接
関係
がないじゃないですか。だからこそ特別の罰刑を設けていないのです。それに対して、
国政調査権
に対してなぜ
協力
できない。株式だとかその他だとか言っている場合に、私は三菱の株が何万株、何が何万株とまでは
要求
していないのです。株式が一体何万株かぐらいは言えるのがあたりまえでしょう。その他と言うなら、その他というのは貴金属だとか金の延べ棒が何キロだとかダイヤが何カラットとか、そんなことまでは言わなくてもいいけれども、それぐらい
答弁
できるのがあたりまえじゃないですか。
委員長
、そう思いませんか。私は、そういうふざけた
答弁
をするなら、
国政調査権
に対して全く敬意を払っておらない、尊重する気がない、こう言っても過言ではないと思います。一体あなたはそんなことで、もし証言になった場合に、国家の重大な利益に悪影響を及ぼす、こう言って証言が拒否できると思っているのか。そんなでたらめな国家はないよ。——
答弁
。
磯邊律男
141
○
磯邊政府委員
私は、先ほどから申し上げておりますように、当
委員会
におきましては、普通御
答弁
申し上げる以上のことを御
答弁
申し上げまして、当
委員会
の
国政調査権
に御
協力
申し上げておるつもりでございます。したがいまして、ただいま御
答弁
申し上げた以上のことは、これを御容赦願いたいとお願いしているわけでございます。(正森
委員
「だめですよ。
答弁
になってない。そんなことでは
質問
が続行できない」と呼ぶ)
廣瀬正雄
142
○
廣瀬委員長
速記をとめて。 〔速記中止〕
廣瀬正雄
143
○
廣瀬委員長
速記を始めて。
国税庁長官
の発言を求めます。
磯邊律男
144
○
磯邊政府委員
ただいまの御
質問
に対しましてお答えいたします。 不動産のほかの債券等といたしまして、現在押さえております今後の
徴収
可能見込み額でありますけれども、
預金
が約九億、
貸付金
約二億八千万、それから
有価証券
につきましては、株式の数、株数でありますが、約七十二万株、割引債が約百四十枚、それから、その他
差し押さえ
しました動産としまして、検察庁で押収しています動産を含めまして約二百二十点、以上であります。
正森成二
145
○正森
委員
わかりました。割引債の百四十万というのは、単位は何ですか。
磯邊律男
146
○
磯邊政府委員
失礼いたしました。割引債は全部なくなっております。これはすでにもう
満期
になりましたので
徴収
いたしました。
正森成二
147
○正森
委員
その百四十万というのは百四十万円ということですか。
磯邊律男
148
○
磯邊政府委員
百四十枚です。
正森成二
149
○正森
委員
百四十枚ですか。単価がわからないからわからないのです。
磯邊律男
150
○
磯邊政府委員
債券の百四十枚の
総額
は約六億でありまして、これは、中には一万円券とか五万円券とかございますので、一枚当たりの単価はわかりません。
正森成二
151
○正森
委員
それでは時間になりましたので、あとの
質問
もありましたが、私の分はこれで終わらせていただきます。
廣瀬正雄
152
○
廣瀬委員長
次に、
加地
和君。
加地和
153
○
加地
委員
ただいま
国税庁長官
が、株券、
預金
十五億ほどの、さらにやや詳しいことを申されました。それを申されるまでに一紛争あったわけでございますけれども、これを詳しくおっしゃったことによって、何か特別に
申告納税制度
とか、いわゆる
国税庁
の
立場
として失ったものがありますか。それほどのことじゃないでしょう。何も隠して隠していわゆる大事があるほどのことでも何でもないと思うのですけれどもね。なぜ、あそこまでひた隠しに隠そうとされたのか。あらかじめ、もう庁内、
大臣
なんかと打ち合わせて、ここまでは言うてもいいことというぐあいに決めておられたから言われなかったのか、あるいは、何か格段に越えてはならない一線であったから隠そうとされたのか、そこをちょっと聞きたいですね。
磯邊律男
154
○
磯邊政府委員
私たち、
個人
の
財産
の現状とか
財産
の
内容
については、やはり
納税者
として秘匿したい事項でございますので、それについてはもうできるだけ御
答弁
申し上げることはお許し願いたいというのが基本的な考え方でございます。
加地和
155
○
加地
委員
ところが、すでに
差し押さえ
られておる物件というのは、いずれ競売処分になる可能性があると思うのです。そのときには、入札とかいろいろな
方法
をおとりになりますから、いずれ世の中にわかってくるのですね。ですから、
差し押さえ
されておる
財産
というのは、もう全く私的な
財産
じゃなしに、これは半ば公の
財産
になりつつあると思うのですよ。でございますから、私は、ここまでかちっと
国税庁
の方が押さえておるとかどうとかということが、国民にとって信用してもらうためにも、詳しく言っても、もう
差し押さえ
をしてしまった以上は言ってもいいのじゃないかな、それも一つの基準じゃないかなと思うのですけれども、これについてはどう思われますか。
磯邊律男
156
○
磯邊政府委員
私たちとしては、その人が
滞納
しているということを公表するのもいかがかと思っておりますし、いわんやその人が
滞納
した場合に
国税当局
が
財産
の
差し押さえ
をして、それによって
財産
の
内容
が公になるということ、それはやはり
個人
の
秘密
を侵すということになって好ましくないことだと考えております。
加地和
157
○
加地
委員
守秘義務
と
国政調査権
の
関係
について、ただ国家
公務員
法、地方
公務員
法があるからじゃなしに、秘匿されることによる
公益
、それから
国政調査権
の
重要性
ということで個々に判断をしていくというのが統一
見解
になってきておりますね。それで、そもそも
秘密
というのはまだ世間に知られていないこと、公の場に出ていないことが
秘密
であって、
本人
がどんなに知られたくないと思っても、一たん公になったものというのがあると思うのですね。たとえば新聞でも明らかになるとかあるいは公開の法廷で提出されたとか、
本人
にとっては出したくないけれども、これはもう
秘密
でなくなってきていると思うのですよ。いまのような基準というものですね。
本人
は知られたくないけれども一たん公になったもの、これをあえてなお
守秘義務
の範囲内とお考えになりますか。
磯邊律男
158
○
磯邊政府委員
秘密
という
内容
の定義でございますが、これは先生御専門でいらっしゃるから十分おわかりだと思いますが、主観的な
秘密
、つまり人に知られたくないと
本人
が思っておるその主観説、それから客観的にこれは秘匿すべきものだというように言われているいわゆる客観説、それから
両者
の折衷説とかいうふうな
秘密
の定義というのは私の知り得る範囲では四種類ほど学説が分かれておるようでございますけれども、いずれにしましても、新聞で出たからといって
本人
が、やはりそれは官の
立場
あるいは公の
立場
においてそれを認めるあるいは公表するということについては、やはり
本人
が秘匿したいと思う事項であれば、それを発表するというのは
秘密
を漏らすということになるのじゃないかと私たちは考えております。
加地和
159
○
加地
委員
公開の法廷ですでに出てきたものはどうですか。
磯邊律男
160
○
磯邊政府委員
公開の法廷で出てきたものにつきましては、それを秘匿する
重要性
というものはもうかなり少なくなると思います。
加地和
161
○
加地
委員
法務省の方にお尋ねいたしますけれども、
児玉譽士夫
についての
所得
税法違反等の
裁判
の進行
状況
を教えてほしいのです。また一
審判
決までどのくらいかかるか。すでに調べた証人の数、これから調べる数あるいはまた
児玉譽士夫
の争い方、またその争点、またその争点を検察側で大体どういう
証拠
でもって立証していこうとしておられるか、また
証拠
の点数等、すでに法廷にあらわれたものであればできるだけ詳しく発表していただきたい。
佐藤道夫
162
○佐藤説明員 御説明申し上げます。
児玉
被告人の
関係
する
所得
税法違反事件公判は、去る五月十八日で十九回の公判を迎えておりますが、その間、まず冒頭手続におきまして被告人側、弁護人の
主張
も含めてでございますけれども、被告人の
主張
は要するにロッキード社から年額五千万円程度のコンサルタント報酬を受領していたという事実は認めておりますが、その余の事実はすべてこれを否認しております。さような次第で、被告人が否認しておるという
状況
で、現在検察側の立証が続いておるわけでございます。 若干公判の経過の詳細を申し述べますと、すでに検察側の方で喚問いたしました証人といたしましては、
児玉
被告人の銀行取引
関係
について元北海道拓植銀行の築地支店の支店長南善一氏等の銀行
関係
者が七名、それから
児玉
被告人の確定申告の実態についての
関係
といたしまして日総建設代表取締役福島秀夫氏、同じく盗難小切手の
関係
につきまして元玉川警察の署長である佐野行雄氏ら二名、それから三光汽船によるジャパンライン株式買い占め事件の問題に関連いたしまして元ジャパンライン社長の土屋研一氏ら二名、それから同じく熱海観光道路を台糖、台湾製糖のことでございますが、台糖に買収させたという事件で、台糖の社長である海江田一郎ら台糖の職員及び熱海ビーチラインの設計に関与した技研興業社員ら八名、さらに福田太郎氏の供述の検察官調書の任意性、特信性の
関係
で福田太郎氏を取り調べました元東京地検検事の山辺力、それから同じく福田太郎氏の主治医でありました東京女子医科大学教授小林誠一郎氏等々の証人尋問を行っております。 そのほかに
証拠
物といたしまして現在まで公判廷に顕出いたしましたものは計百五十点でございます。かなり膨大なもので逐一申し上げるわけにもいきませんが、いずれにいたしましても
所得
の
内容
及び
所得
の帰属
関係
に関連いたします銀行帳簿類あるいはまた伝票その他の取引
関係
書類が
証拠
物の主たる
内容
になっておるわけでございます。 それから公判の見通しでございますが、検察官の立証は順調に進んでおるというふうにわれわれは考えております。いずれにいたしましても、訴因もかなり膨大なものでございまして、
関係
証人、
関係
証拠
物も相当多量に上っておりますので、かつ被告人側においても今後鋭意争ってくるということも考えられますので、それらを含めまして、いまの段階におきまして公判の終結の見通しを述べることはいささか困難ではないかというふうに考えております。 以上でございます。
加地和
163
○
加地
委員
法務省の方にもう一つだけ聞いておきたいのですけれども、大ざっぱなところで、いままで半分ぐらいは済んでいますか、まだ山で言えば五合目まで行っていないのか、あるいは大体何合目ぐらいのところまで来ているのか。 それと、もう一つついでにお聞きしておきたいのは、
国税庁
から
脱税
で告発のあった件で正式に起訴するかどうかというのは、
脱税
金額等
について何か基準を設けておられるのでしょうか。
佐藤道夫
164
○佐藤説明員 お答え申し上げます。 まず第一の点につきましては、ほぼ中腹あたりに差しかかったところではないかというふうに考えております。ただ、訴訟というのはきわめて流動的なものでございますので、今後の見通しその他につきましては、いま現在におきましてはなかなか述べがたいということを御了承いただきたいと思います。 それから第二の点、これは、起訴基準的なものは一切設けておりません。ただ、全国の検察庁におきまして検察官がそれぞればらばらな
処理
方針を行うのもなにかと考えられますので、一応の目安的なものはございますが、いずれにいたしましても、それは
一般
事件の場合も同じことでありまして、事犯の悪質性あるいは金額の多寡その他を総合判断いたしまして公判請求をするか、あるいは不起訴にするかということを決めることに相なるわけで、特別基準的なものはございません。
加地和
165
○
加地
委員
では
国税庁
にもお尋ねしたいのでございますが、検察庁の方へ
脱税
者について告発する何か金額的な基準などがあるのでしょうか。それからまた、新聞等で見ますと、何億という
脱税
であっても大体
執行
猶予がつくようなんですけれども、これは法務省の方のあれかもしれませんけれども、いままでの大口
脱税
で実刑に科された人というのはありますか。
磯邊律男
166
○
磯邊政府委員
検察庁に告発する
脱税
事案につきましては、査察によって立件、捜査するケースというのはきわめて個別的な色彩が強い事案でありますから、したがって、それぞれの事案の金額あるいはその範囲、
証拠
力、そういったものを総合勘案いたしまして、検察庁と協議いたしまして告発するかしないかを決めるというふうな
方法
をとっております。それからいままでの実刑でありますけれども、記憶では、
昭和
二十年代のころに実刑の懲役刑の判決を受けて
執行
猶予がつかないかったという件が数件あるように記憶しております。
加地和
167
○
加地
委員
そうすると、二十年代のみにあって三十年代、四十年代、五十年代にはないという
意味
に受け取れますが、新聞で見たら何億あるいは十億、二十億を超える人もありますのに、なぜそんなに軽くなってきているんでしょうね。
佐藤道夫
168
○佐藤説明員
裁判
に関する事柄でございますので私の方から答えさせていただきたいと思いますが、ただいま
国税庁長官
から御紹介のありましたとおり、実刑というものはほとんど皆無に近いわけでございます。われわれといたしましても、この原因等につきましていろいろ
調査
研究いたしておるところでございますが、一番大きい
理由
は、やはり判決時に至りますとおおむね
重加算税
あるいはその他の税をすべて完納いたしまして、言うならば被害のない状態になっているというところを
裁判所
がかなり重く見ておるようでございます。そのほか、やはり国民
一般
の
納税
意識がまだ十分に高揚されていないということも非常に大きい
理由
じゃなかろうか。何かつかまった者がつかまり損という感じが国民の間にかなり広く蔓延しているということも、
脱税
事犯に対しまして
裁判所
当局が強い刑罰をもって臨むことをちゅうちょさせている大きい
理由
ではなかろうかというふうにも考えておりますが、いずれにいたしましても、
脱税事件
につきまして実刑判決を獲得することが租税担当検事の一つの使命であるというふうな感じで、私ども検察当局にもそういう
趣旨
の話の申し入れをしておるというふうな
状況
でございます。
廣瀬正雄
169
○
廣瀬委員長
国税庁長官
から先刻の
答弁
について訂正を要する件があるそうでありますから、それを許します。
磯邊律男
170
○
磯邊政府委員
先ほど正森
委員
の御
質問
に対する
答弁
でありますが、
預金
約九億と申しましたが、現時点におきましてはその九億が、かなり
満期
到来した分が国庫に入っておりまして、現在の残高としては約一億五千万でございますので、その点訂正させていただきます。
加地和
171
○
加地
委員
もう持ち時間がありませんので私の考えだけ述べたいと思うのですが、ただいま大口
脱税
についてほとんど実刑判決も出ない。また新聞を見ましても医科系統の大学であるとか何々の家元であるとか、もう何億円台の
脱税
者が後を絶たないというところを見ますと、
国税庁長官
が先ほどから、この
秘密
を守れば
申告納税制度
が発達していくんだ、
申告納税制度
を守るために
秘密
を守ることが非常に大事なんだという考え方は、どうも最近の
脱税
摘発
状況
を見ますと、余り正しくないんじゃないかなという気がいたします。同僚の議員も先ほどからおっしゃいましたように、やはり大口
脱税
者についてはかなり国民の前に明らかにしていく方が、いわゆる、悪い者ほど得をする世の中じゃないんだという遵法精神等を促していくのにきわめて重要でなかろうかと私は思うのでございます。 またいずれ別の機会でこのことを論じたいと思いますけれども、きょうの感想でございます。
廣瀬正雄
172
○
廣瀬委員長
次回は、来る六月十四日水曜日午前十時
理事会
、午前十時三十分
委員会
を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後一時四十五分散会