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1977-12-16 第83回国会 参議院 決算委員会 閉会後第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年十二月十六日(金曜日)    午前十一時五分開会     —————————————    委員異動  十二月十五日     辞任         補欠選任      安武 洋子君     神谷信之助君      下村  泰君     市川 房枝君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長        茜ケ久保重光君     理 事                 坂元 親男君                 案納  勝君                 田代富士男君     委 員                 伊江 朝雄君                 岩崎 純三君                 河本嘉久蔵君                 北  修二君                 永野 嚴雄君                 降矢 敬義君                 増岡 康治君                 大塚  喬君                 瀬谷 英行君                 丸谷 金保君                 宮之原貞光君                 神谷信之助君                 沓脱タケ子君                 市川 房枝君                 野末 陳平君    国務大臣        文 部 大 臣  砂田 重民君         —————        会計検査院長   佐藤 三郎君    事務局側        常任委員会専門        員        道正  友君    説明員        警察庁刑事局捜        査第二課長    加藤  晶君        大蔵省主税局調        査課長      佐藤 光夫君        大蔵省銀行局中        小金融課長    吉居 時哉君        文部大臣官房長  宮地 貫一君        文部大臣官房会        計課長      西崎 清久君        文部省初等中等        教育局長     諸沢 正道君        文部省大学局長  佐野文一郎君        文部省社会教育        局長       望月哲太郎君        文部省管理局長  三角 哲生君        文化庁長官    犬丸  直君        建設省住宅局建        築指導課長    大田 敏彦君        会計検査院事務        総長       鎌田 英夫君        会計検査院事務        総局第二局長   松田 賢一君    参考人        日本私学振興財        団理事      横井 正美君     —————————————   本日の会議に付した案件昭和四十九年度一般会計歳入歳出決算昭和四  十九年度特別会計歳入歳出決算昭和四十九年  度国税収納金整理資金受払計算書昭和四十九  年度政府関係機関決算書(第七十七回国会内閣  提出)(継続案件) ○昭和四十九年度国有財産増減及び現在額総計算  書(第七十七回国会内閣提出)(継続案件) ○昭和四十九年度国有財産無償貸付状況計算書  (第七十七回国会内閣提出)(継続案件)     —————————————
  2. 茜ケ久保重光

    委員長茜ケ久保重光君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  昨十五日、安武洋子君及び下村泰君が委員を辞任され、その補欠として神谷信之助君及び市川房枝君が選任されました。     —————————————
  3. 茜ケ久保重光

    委員長茜ケ久保重光君) この際、佐藤会計検査院長及び鎌田事務総長から発言を求められておりますので、順次これを許します。佐藤会計検査院長
  4. 佐藤三郎

    会計検査院長佐藤三郎君) このたび、会計検査院職員会計実地検査の際におきます行動につきまして疑惑を招くことになりましたことは、国民各位に、憲法上の特別機関である本院に対する多大な不信感が生ずる結果となり、まことに遺憾であり、深く反省しているところでございます。  私どもは、先般来、会計検査院の使命の重大性を改めて認識し、原点に立ち返って新たな決意のもとに、各自の自粛、自戒はもとより、体制整備に努めて、一日も早く国民信頼の回復が得られるよう努力を傾注してきているところでございます。  昭和五十一年度決算検査報告は、おかげをもちましてこの十四日に内閣に送付いたすことができました。このような情勢のもとでの検査結果の報告でありますので、私は事務総局を督励いたしまして、慎重の上にも慎重に報告作成の作業を実施いたしました。その結果、報告いたすことになりましたものは、不当事項七十四件、意見を表示しまたは処置を要求した事項十七件、本院の注意により当局において改善処置を講じた事項八件及び特に掲記を要すると認めた事項八件でありまして、これらはいずれも当委員会の御審議を通じまして、国家財政是正改善に役立ち得るものであると確信いたしております。  また、当面推進しなければならない検査体制整備の問題でありますが、先般、会食等全面的禁止も含めて、綱紀の粛正と今後の厳正な検査のあり方について抜本的な方策を決定し、事務総長より職員に対し通達せしめるとともに、受検各省庁等にも連絡をいたさせました。そしてただいま、機構改革とそれに伴う大幅な人事異動を準備させているところでありまして、来るべき年には、その新体制をもちまして、疑惑が生じている問題個所見直し検査を含む徹底した検査実施させる所存であります。  以上、私の所信とともに経過の報告をさせていただきましたが、今後の検査の実態をごらんいただくとともに、よろしく一層の御鞭撻をお願いする次第でございます。  どうもありがとうございました。
  5. 茜ケ久保重光

  6. 鎌田英夫

    説明員鎌田英夫君) ただいま会計検査院長から発言がございましたとおり、私は事務総長、つまり会計検査院検査審査、庶務、そういったものの責任者といたしまして、ここにいささか所信を述べたいと思います。  今回のことにつきましては、まことに国民疑惑を招くというような事態に相なりまして、会計検査院国民皆さん信頼を裏切る、こういう事態になりましたことを深くおわびするとともに、これを重大な会計検査院危機と受けとめまして、全員一致してこの危機を乗り切っていかなければならない、こういう非常事態に対しましてこれをいかに乗り切るか、こういう点について腐心してまいったところでございます。十四日の日に、幸い五十一年度決算検査報告内閣に送付いたしまして、一段落したところでございます。しかし、先般来国会先生方あるいは報道機関より指摘されました個所につきまして、私どもといたしましては、これを見直し確認と、こういう意味を持ちまして、十二月の七日以来、十一班の編成をもちまして見直し検査をいたしております。これが今月の二十二日に大体一応終わると、こういう形でございまして、その結果を踏まえまして、なお必要があれば来年度においてさらに見直し検査を行うと、こういう所存でございます。  それから、ただいま院長が触れました機構改革の問題でございます。これはお手元に資料を御参考までに差し上げてございますけれども、近年の財政規模膨大化あるいは複雑化、これに対処するために、総体的にかつ体系的な視野に立って行政を把握して、その予算執行の効果の適否等を判断する、適正な検査ができるようにすると、こういう意もございます。それから、たまたま今回の問題もありました。そういうようなことを踏まえまして、今年中に、大体約半数に及ぶかと存じますが、職員の大異動、これを考えております。その発令は年内か、あるいは来年早々になるかと存じますが、その体制によりまして皆様の御信頼にこたえるべく、五十一年度検査見直しと、また、五十二年度についてのさらに徹底した検査と、そういったものを実施していきまして、国会皆様国民皆様の御信頼にこたえると、こういう所存でございます。  いささか所感を述べまして、おわびとともに今後の方針を述べさしていただいた次第でございます。  ありがとうございました。
  7. 茜ケ久保重光

    委員長茜ケ久保重光君) 速記をとめて。   〔速記中止
  8. 茜ケ久保重光

  9. 茜ケ久保重光

    委員長茜ケ久保重光君) 次に、昭和四十九年度決算外二件を議題といたします。  本日は、文部省決算について審査を行います。  この際、お諮りいたします。  議事の都合により、これらの決算概要説明及び決算検査概要説明は、いずれもこれを省略して、本日の会議録の末尾に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 茜ケ久保重光

    委員長茜ケ久保重光君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  11. 茜ケ久保重光

    委員長茜ケ久保重光君) それでは、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  12. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 会計検査院の四十九年度決算報告に関します概要説明によりますと、不当事項として指摘された中で、補助事業実施及び経理が適切でなかったとして、文部省及び日本私学振興財団事項指摘をされておりますし、同時にまた、是正改善処置要求を受けたものといたしまして、文部省児童生徒急増市町村公立小中学校特別整備事業費補助金交付に関するものが挙がっておるわけでございます。しかも、これは単に四十九年度だけではなくて、昨日発表されましたところの五十一年度決算報告の中にもあるようでございますが、この中身につきましてまず会計検査院からお聞きいたしますが、これらの問題についての特徴的な問題の一、二の問題について説明を願い、そしてどのような処置がその後行われておるかをまずお聞きをいたしたいと思います。時間の関係もありますので、要点だけでいいですから。
  13. 松田賢一

    説明員松田賢一君) 昭和四十九年度の、文部省交付されました公立文教施設整備費等国庫補助金につきましては、本院で三十都道府県検査実施いたしました。このうち千葉県外六都府県の六市、一特別区、計七事業主体でございますが、その七補助事業国庫補助金交付額三億七千万円の経理におきまして、態様を申し上げますと、補助事業適用を誤っていたもの、これが二事業でございまして、不当と認めた国庫補助金が千百七十七万八千円、それから補助対象外のものを含めていたという態様のものが二事業ございまして、不当と認めた国庫補助金が二百万四千円、さらに第三の態様としまして、事業費過大精算、これが三事業でございまして、不当と認めた国庫補助金が二百八十一万七千円、これらが見受けられまして、いずれも検査報告に掲記してございます。  この内容の一例を申し上げますと、検査報告の四十二ページに掲記してございますが、たとえば補助事業適用の誤り、こういうものにつきますと、愛知県の刈谷市の例でございますが、この事業におきましては、校舎四百三十三平米の建築について、校舎増築事業として建築費の三分の二に相当する金額二千二百十九万三千円の補助金交付されております。ところが、この建物昭和三年に建築した老朽化が著しい危険建物、これを取り壊し、代替として建築されたものでございまして、これは改築事業、この場合は御承知と思いますが、補助率が三分の一となるわけでございますが、そういったものとして補助金を算定すべきものでありまして、これによって計算いたしますと、補助金が千百九万七千円過大に交付された、そういった例でございます。  なお、補助対象外の例も一つ申し上げますと、いわゆる……、
  14. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 いや、それはもういいですから次進めてください、私学財団
  15. 松田賢一

    説明員松田賢一君) 私立学校振興財団の問題につきましては、昭和四十九年度検査報告番号八四から八六までの三件でございまして、その内容は、学校法人財団提出しました資料に、専任教員のうち給与を支給されていない者が給与を支給されているというふうに記入していたり、あるいは在籍学生数、これを実際と異なって記入していたりするなどの、事実と異なる内容を記入しておった、そういうことによって、ひいては補助金交付が適正を欠いていたというものでございます。  その主なものとして一例を申し上げますと、学校法人明泉学園につきまして御説明申し上げます。この法人では、専任教員として補助対象となるものは、前年度の十二月分の給与の支給がなされているということが要件となっておりますが、この学校法人から財団提出された資料について調査しましたところ、四十八年十二月分の給与が支給されていないのに支給されているというふうに記入されている者が二名おったわけでございます。また、職員採用年月日を誤って記入していたり、学生数を四十八年度分で百十六名過大に報告している。  そのほか財政状況につきまして、その決算額は各学校ごとに割り振るべきであるわけなんですが、短大分借入金利息支払い三百四十七万程度でございますが、これを短大に計上して修正計算しますと、補助金が過大に交付されていた計算となる、そういったものでございまして、以下五十年度から五十一年度——五十一年度はただいま印刷中でございますが、これにつきましても以下同様の事態で、各三件ずつの指摘がございます。  それから、先生指摘の四十九年度処置要求事項でございますが、これは児童生徒が急増する市町村に対しまして、公立小中学校、これの施設整備事業の増大に伴います財政負担を軽減するというために、四十六年度以降、学校用地の取得に、要する経費の一部を国が補助している。この場合、補助対象となる経費というものは、この趣旨から考えますと、校舎の敷地あるいは運動場、こういった学校用地として最小限必要なものの経費とすべきではなかろうかと考えられるわけであります。まあ必要最小限のものといいますと、たとえば学校への進入路、これは必要であろうと思います。また、つけかえ道路、これも当然入るわけでございますが、ここで見ますと、事業主体によっては学校用地の周囲にある道路、これを拡幅するための用地、あるいは学校用地とは直接関係のない都市計画道路用地、そういったものを補助対象経費に入れているものもあって、非常に取り扱いがばらばらになっているわけでございます。  私どもの方では、この補助金が四十六年から始まりまして、四十六年、四十七年の債務負担行為によって行われました事業が大体五十年に一応完結しておりますので、まず五十年に九都府県の七十事業主体対象学校数で百二十五でございますが、これについて検査をしたわけでございます。で、このうち、八都府県実施しました十七の事業で、いま申し上げましたような必要最小限を超えると思われるような事態が見受けられたわけでございます。  その態様から見ますと、これは補助対象事業費及び補助金過大精算という結果になるわけでございますが、その原因について見ますと、この補助対象経費というものは、文部大臣が定められました交付要綱によってその範囲が限定されるということになるのでございますが、それが非常にはっきりしていない。そういったために、先ほど申し上げましたような道路用地であるとか、それから都市計画道路用地、こういったものがこれが学校の設置に伴って必要になったという背景を基盤にしまして、これも結局は学校用地範囲であるというふうな解釈が行われるわけであります。それで、その広い解釈のもとに、事業主体においては、それに要した経費までも補助対象経費として含めているという事態が生じたわけでございます。  したがって、いまの補助対象経費最小限度のものと考えるならば、これによって補助金が過大に交付されたという結果を生じたことになるわけでございますが、この交付要綱、こういったものを当初から補助対象範囲をもう少し具体的に明確にしておけば、こういった事態も起きなかったであろうと、こういうふうに判断せざるを得ない状況であったのでございます。そこで、その要領の規定などを改正してもらうように改善意見を表示したものでございます。
  16. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 いま報告がありましたように、不当事項が四十九年度文部省関係が七件あるいは私学財団のが三件、それでいま説明があったように、それぞれ処置要求をされておるようでございますが、しかし、どうも後を絶たない、同じような事態が五十一年度文部省関係で六件、私学財団関係で三件出ておる。特に、昨日発表されましたところのものを見ますと、文部省のものを含めて実に百九十四億円の金がむだ遣いにされておると、まさに国民の血税がむだな扱いにされておるという問題なんですが、文部省に聞きますけれども一体文部省は、たとえばこういう年度年度に出たものをきちっと整理をして処置をしておるならば、同じようなこの不当事項というものは翌年度はなくなるはずなんですけれども、どうして後を絶たないんですか。やり方が非常に不十分なところに問題があるんじゃないかと思いますがね。具体的にこういう会計検査院指摘を受けて後を絶たないような、根絶をするところの手だてを具体的にどう指導されておるのか、そこのところをお聞かせ願いたいと思うんです。
  17. 三角哲生

    説明員三角哲生君) ただいま御質問ございましたように、例年同じような状況での指摘を受けておりますことは、私ども補助金業務実施担当者としてはなはだ遺憾なことと存じております。  私どもといたしましては、やはり公立文教関係施設整備の面につきましては、関係補助金に係ります各事業主体責任者に対して、その都度十分注意するように厳重な指示をしておるわけでございまして、そういたしまして、たとえば超過交付のありました場合にはその返還を命ずるということで事態是正を図る、それによりやはり全体のけじめのつけ方、適正な事務処理のやはり一つの実例としての——実例と申しますか、教訓と申しますか、指導実例としてそういうふうな処置をいたしておるわけでございますが、一方、この補助金交付業務を分担してもらっております各都道府県教育委員会を通じまして、関係各方面に例年指導徹底を図っておるわけでございます。  それから、私学振興財団関係補助金につきましては、これは学校法人補助事業執行者でございますが、学校法人の中にはやはり事務的に弱体であるといったようなものも見受けられますので、日本私学振興財団によります事務処理研修会、あるいは私学関係の団体が自主的に行います同種研修会におきまして、十分に会計経理適正化ということについて指導を強化してもらうように例年要請をしてきておるわけでございまして、私どもは今後とも一層そういった面の徹底を図り、指導助言を深めてまいりたいと考えておる次第でございます。
  18. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 会計検査院法の三十四条は、明確に、やはりそういう不当事項があった場合は、関係者に対しこの点についての意見を表示し、または適切な処置を要求するということが明確にあるんですね。しかし、どうも後を絶たないというのは、私はやっぱり文部省やり方自体に、非常なこういう問題に対するところの手ぬるさというか、あるいは国の予算の使い方という問題について甘さがあるんじゃないかと思うんですよ。自分のふところが痛まぬからいいという安易な気持ちがありはしませんでしょうかね、これは。その点、私はやはり指摘をしておきたい。毎年同じことを繰り返しておる、見ておると。  特に、いま学校法人関係弱体云々という話がありましたけれども、その私学補助をやる、その学校法人を認めたのは文部省なんでしょう。それをいましゃあしゃあとして学校法人には非常な弱体なところがありますので云々と、こう皆さん言っておられる。私学審議会あるいは私大審議会が決めるとこう言ったって、根っこは皆さんがいろんなあれをして決めるんですから、問題の責任皆さんにあるんですよ。そういう弱体なものを安易に認めておって、こういう問題が起きると、いや実は私学学校法人関係が弱体でございましてなんて、ちょっと私はそういう弁解は聞きたくございませんよ、これは。したがって、やはりこの問題は今後の問題とも関連をします問題ですから、新任大臣にもお聞きいたしますけれども、再びこういうことのないように私はやはり文部省自体姿勢を正すべきではないかと思いますが、その点いかがでしょう、大臣
  19. 砂田重民

    国務大臣砂田重民君) お答えをいたします前に、ひとつ閣議の関係で遅刻をいたしましたことをおわびをしておきたいと思います。  ただいまの宮之原委員の御意見、ごもっともと私は承りました。補助金あるいはそういう助成金執行をいたします当事者に注意を喚起をいたしますのは当然のことでございます。それにもかかわらず毎年このような事態を生じておりますことはまことに遺憾なことでございます。関係者指導を強化する等々のことは当然のことでありますけれども、新たに私も文部大臣に就任をいたしましたので、まず文部省自身が強い自戒の心を持って対処をしてまいりたい。そういう決意をまずいたしましたことを先生お答えをしておきたいと思います。
  20. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 その中の、特に私学振興財団関係の問題と関連する問題について一、二お尋ねをいたしますが、実はこの問題については、本委員会の五月二十日の委員会においても警告決議という形で若干出ておるのであります。これはやはり私学のいわゆる経常費補助金の問題、この問題といわゆる経営の健全化の問題なり前納金の問題等について、特に歯科医大あるいはまた医大問題等が出ております関係上、委員会において、文部省にこの問題については厳重に処置をしてもらいたい、是正をしてもらいたいという警告決議さえ出ておるわけなんですがね。  この問題に関連して申し上げますけれども、御承知のように、ことしは特に私立医科大歯科大学でたくさんの不祥事件が起きております。私も文教委員会でこの問題については前の海部さんのときにも具体的に指摘をし、しかもまた十月に出されたところ文部省の通達も非常に不十分であるということも指摘したことがあるんですけれども、きょうの課題との関連で申し上げますれば、不祥事件を起こしたところのたとえば愛知医大とか金沢医大とか松本歯科大あるいは岐阜歯科大とか大阪歯科大、たくさんあるわけなんですが、こういう大学に対するところ補助金の問題は、そういう不祥事件が明確になった段階では当然打ち切られてしかるべきだと思うんです。これは、きちんと、打ち切るなら補助金を打ち切るという形で今日処理されておるのかどうか。なお検討中という形でいつまでも時間をかけているんじゃないかと思える節があるんですが、その点どうなっておりますかね。
  21. 三角哲生

    説明員三角哲生君) 御指摘のありましたようなたとえば愛知医科大学でございますが、いろいろと問題になりまして事情聴取等をいたしました結果、入学許可の条件となるような寄付金の収受が行われまして、入学者選抜についての公正が害されていたというふうに認められるわけでございます。そういう状況になりますと、やはり経常費補助金の目的を有効に達成することができない状況にあるというふうに考えられますし、先般九月七日に発しました各医科大学に対する通知の趣旨にもかんがみまして、私どもは、この経常費補助金交付を所掌いたしております日本私学振興財団に対しまして、本年度補助金交付しないということにすることについての検討を求めておったわけでございまして、前にもそのように御説明申し上げておったわけでございます。同種の事例があります場合には、同様の方針検討をいたしたいということにしております。  なお、本年度経常費補助金の第一回交付につきましては、つい先ごろ各学校法人に対して交付の内定通知をいたして、そして概算の額の支給を行ったというふうに聞いておりますが、問題の愛知医科大学につきましては、今年度経常費補助金交付の申請を行わないという旨の意思表示があったところでございます。
  22. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 いまそっちに、私学振興財団の理事さん来ておられますかね。——来ておりますね。じゃお聞きしますが、文部省は、検討を求めたというきわめてまどろっこい話なんですが、この問題はいま私が初めてここで尋ねるんじゃないんですよ。八月、九月の段階から、当局に対して文教委員会でやかましく言って、そのときも検討中、いまだに検討中なんですね。  具体的にお聞きしますが、何も愛知医大ばかりじゃなくて、ずうっと一連のいろんな問題が過去にも起きておる。こういうことに対して助成金の返還を求めたとかあるいは中止をさせたとか、こういうことがあったところ大学名をきちっとおっしゃってくださいよ。そこだけでいいですから、あったならあった、なければないと。
  23. 横井正美

    参考人(横井正美君) 私学振興財団の理事の横井でございます。  先ほど来、私学振興財団から大学交付をいたしております経常費補助金につきまして検査院等から御指摘をいただいておる点について御質問をいただいておるわけでございますが、このような御指摘をいただくような事態を毎年繰り返しておるということを大変申しわけなく存じております。財団といたしましては、検査院の御指摘もあり、またこの補助金が重要であるということから、かねて適正に交付できるように努力いたしておるのでございますが、今後も引き続いて努力いたしたいと、かように考えております。その際におきまして、過大交付というふうなことが起こりました場合におきましては、当然のことといたしまして、返還命令等によりまして不当利得を解消させるというふうにいたしておりまして、先ほど来御指摘の四十九年度三件、五十年度三件、五十一年度三件、いずれもそのように措置をいたしておるところでございます。ただ、医科大学関係につきましては、これまでのところ私の記憶では返還命令を出したということがないと存じております。  それから、なお、先ほど金沢医科大学松本歯科大学についてお話がございましたが、両大学は過去毎年の補助金交付に当たりまして申請が出ておりません。したがいまして、過去においてこの両大学については補助金交付いたしておった実績がない、かような状況になっておるということを申し添えます。
  24. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 時間の関係もありますから、私の質問に的確に答えていただけばいいですから。  いろいろ会計検査院から指摘をされる、あるいは一連の医大問題の不祥事件というのは、いまあなたが政府から補助金をもらっておりませんと言う以外にも大学がたくさんあるんです。そういうような大学で、具体的に、いままで補助をしておったのをやめたとかあるいは返還を求めたという処置をしたことがありますか、ありませんか。あったとするなら、その学校名をおっしゃってください。それだけでいいですから。——何もあなた、文部省に聞く必要はないでしょう、権限持っているんだから。
  25. 横井正美

    参考人(横井正美君) たとえば今年度指摘いただきました立正大学、千七百万円ほど過大交付であったわけでございますが、これは七月の末、返還命令を出しまして返還をさせております。それから、五十年度に御指摘をいただきました東京音楽大学、これは過大交付約一億三千万円でございますが、これも昨年の十月返還をさしております。それから、今年の御指摘をいただいております霞ケ浦学園、三島学園、これにつきましても返還を命令して国庫に返納さしております。それから、それ以外のものにつきましても、返納させるかあるいはまた翌年度補助金をその分だけ減額させるというふうな措置によりまして、いずれも不当利得を解消させておるという状況でございます。
  26. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 それで、医大問題のいままで不祥事件があった医科大学問題、いろんな問題についてはございませんか。いわゆる会計検査院から指摘をされたところの問題はいまわかりました。それならば、一連の、これだけ世論を騒がしたところのいろんな医科大が、単に松本歯科大とか金沢医大はもらっていませんということだけでないんですよ。たくさんいままでもあるんですよ。そういう大学に対して、過去払ったものであるいはその後ストップしたという事例がありますかないですかということを聞いているんですよ。なければないできちんと言ってください。
  27. 横井正美

    参考人(横井正美君) これまでのところは、ございません。
  28. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 私はそこにも問題があると思うんですよ。先ほど、文部省は通達を出しさえすれば事、行政指導は終わりだという物の考え方、また私学財団の方は、やったものはそのまま臭い物にふたをしておきさえすればいいというこのやり方、こういうものが、まだ後を絶たないところの問題をつくっておるんですよ。そこに私は皆さんの厳しさが足りないと言うんです。時間の関係もありますので、きょうはこれ以上は追及しませんが、またしかるべくこの問題をやりたいと思うんです。  続けて質問をいたしますが、先ほど指摘をいたしましたところ警告決議の中にもありましたところの前納金の問題ですね、大臣。この問題については、文部省の九月七日の通知によっていろいろ改善をされておるというようなかっこうで、先般、特に私立医大の学納金一覧表が発表されておりますですね。確かにこの表面づらは非常に自粛、自戒したように思えるんですが、私は果たして本当にこの問題について国民の多くが納得できるような形のこの姿勢が示されておるだろうかどうだろうかというのは、いまだに疑問を持つものですよ。たとえば、先般は、入学金の方、前納金の方は七百万程度、八百万程度で抑えているんですけれども、ずっと学校を卒業するまであとからどんどん納めるところの学費、納入金という項を見ますと、平均をいたしまして卒業までの納入金が、福岡大医の三千二百万円を頂点にいたしまして、既設校が平均して千四百九十八万円。もちろん順天堂医大みたいに、既設校の中でも二千五百万円という学校も出てくる。特に四十五年以降の新設校といわれるものが二千百八十九万円、ずっと納めなきゃならないのがある。しかも、これ以外に任意という名の学債や寄付金をやはり出さなければならないという仕組みになっておるのであります。もちろん概括いたしますと、大学で成績の優秀な者については特別の免除措置を設けるなどというものがありますけれども、これは学校教育の場において当然のことなんですよ。それをもってこのことが私は免責されることにはならないと思うんです。  これを見たところの感じは、依然として私立医大なり歯科医大は高ねの花だという国民から見れば感じを受けるんです。一般庶民には手が届かない、やっぱり開業医の子弟でなければ入れないという感じを持つことも、これは否定できないんですよ。これは新聞の社説を私は大臣もお読みになったと思いますけれども、こういう形で本当に、文部省の管理局長はこれが限界だと言わんばかりの談話を発表されておりますけれども、これが限界としてそのままで黙認していいのだろうかどうだろうかという疑問を率直に持ちますがね。それでいて、きのうの会計検査院の発表じゃございませんけれども、やはり医師優遇税制の問題については、実勢とは非常な隔たりがある。金をがっぽり税金対象にしない形でもうけている。だから、そういう子弟を入れるのは当然じゃないか。私は、教育不信、政治不信を生んでいくことの一つの要素だとさえ思うのでありますが、このことについて文部省としては、まあいい線をいっているなあという形で黙認をされるつもりなのかどうなのか、それをどう指導されるのか、この問題についての大臣の御見解をお聞きしたいと思うんです。
  29. 砂田重民

    国務大臣砂田重民君) 先般、歯科並びに医科の大学協会が発表いたしましたあの数字、私は昨年のような不祥事を考えてみましても、裏口入学等の不公正な入学を防ぎ得たということは、少なくとも国民皆様方に御理解をいただき、歓迎をしていただける一点であるということは申し上げられると思うのでございます。  しかし、先生指摘のように、依然として大変に学費がかかるということは事実でございます。私どもといたしましては、大変裕福な家庭の子弟でなければ入学ができない、こういう印象を国民皆さんに与えておりますことはきわめて残念なことだと考えております。できるだけこういう点を是正をしてまいりたい。そこで、特に私大に対します補助関係につきましても、このような多額の学資のかかる歯科医大並びに医大については、特段にこの補助金の増額に取り組んでいかなきゃならない。  同時にまた、いま宮之原先生からも御指摘ございましたけれども、成績の非常に優秀な者はそれぞれの恩典を学校当局でも考えてくださっているわけでございますけれども、その他にも、何も郵政省の進学ローンなどに期待しなくとも、文部省自身私学振興財団等を通じまして、もっと安い、学校を卒業してからの返済が可能である、金利も大変安い、そういう奨学金的なローンの制度もあることでございますから、こういうものをもっと活用していって、非常に勉強ができるけれども、家庭はそれだけの資力がないという優秀な学生たちの将来に対する希望にこたえてまいりたい、そういうことを考えているわけでございます。  なお、先般それぞれの協会で発表になられましたあの新しい仕組みと申しますか、また、いま宮之原委員からの御指摘がございました学債等についても任意という形で発表されておりますので、それが文字どおり任意のまま遂行してくださるように、私大並びに私大協会を通じて指導を強めてまいりたい、かように考えておりますところでございます。
  30. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 ぼくは大学側に要求するばかりじゃなくて、一番の問題は、やはり何といっても私学に対するところの公費の助成措置がこれが少ないということですよ、一番の根本は。本当はそこの決意というのを私は聞きたかったんですよ。皆さんの要求にいたしましても、ことし満額通ったとしても約百八十万でしょう、一人当たり。国立関係大学からすればうんとやっぱり落差があるんですよ。同じ高教育を受けなければならない、それが国立関係はそう多額の金がかからない、私学と開きがあるということになると、それであたかもいまの大臣のお話は、大学側だけにこの改善を求めるということだけでは私は非常に遺憾だ、一番は何といっても文部省にがんばってもらって、もっともっと大幅な私学助成をとって、これを本当にやはり高教育におけるところのこの国民の負担を平等にするという、その積極的な意欲がない限り、私はこの問題いつまでたっても解決はつかない、こういう点を指摘しておきますよ。時間もありますので、この問題はこれ以上いたしません。  そこで、もう一つ私はここで質問申し上げておきたい点は、学生なり受験生なりの過重負担の問題で、私は具体的な問題でお聞きしたい。  それは国公立大学の共通一次試験の繰り下げ問題が出ておりますね。そういたしますと、これに絡むところ私立大学受験生の二重負担という問題が、これはやっぱり年が明けると具体的に問題になってこざるを得ないのです。  それでお聞きしますが、国立大学の共通第一次試験は、当初十二月の二十三、二十四というのが一月中旬になることは間違いございませんですか、どうですか。それともやはり来年度は当初の十二月の予定どおりやるということになるんですか、どうですか。これは大学協会のことですからと逃げないで答えてくださいよ、見通しを。
  31. 砂田重民

    国務大臣砂田重民君) いま宮之原委員の御質疑のお言葉の中にありましたように、いろんなことにこれは関連をしてくることでございます。二重負担の問題もあり、また、私大当局の側にも問題もございましょう。そういうことでただいま検討を続けているところでございまして、まだ実は決心をいたしかねているところでございます。もうしばらく時間をちょうだいをしたいと思うのでございます。
  32. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 検討というなら、どういう方向に検討されるんですか。どっちかいまわからぬで迷っているということなんですか。それとも内部調整でいま検討中ということなんですか、こういう方向だけれどもと。そこをはっきりおっしゃってくださいよ。この問題はずうっとことし初めから議論されておる問題なんだから。
  33. 三角哲生

    説明員三角哲生君) これは主として大学局の方で担当をいたしております事柄でございますが、この問題につきましてはいろいろ御指摘のありましたように関係者があるわけでございますので、いま先生がおっしゃいましたような方向で、いわば二重負担的なことが極力生じないというような方向でお互いの同意が得られるように、相談、協議を進めているところであるというふうに聞いております。
  34. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 まあいいでしょう。また文教委員会でそのことをお聞きしましょう、時間の関係もありますので。  もう一つは、来年度予算にかかわるところの問題でございますが、例の教科書の有料化の問題。昨日の新聞あたりを見ますと、大蔵省は膨大な教科書が事実上使い捨てになっておる、非常にむだがある、そういうことから、無償貸与という方針を決めたんだというふうに報道されておるんですね。このことについて一体文部省としてはどういうお考えなのか。  さらにもう一つは、特にいま財政難の問題と関連をして、いろんな補助金打ち切りの問題が出ておりますけれども、私はここでまた特段にお聞きしておきたいのは、高度の僻地の給食費とかあるいは修学旅行費の国庫補助の打ち切りという問題がいまひとつ具体的な問題にもなっておるわけなんですよ。これは、教科書問題はまさに大きな政治問題にも発展しかねないところの問題でございますから、あえてここでちょうちょう申し上げなくてもおわかりだと思います。ただ高度僻地——僻地手当の三級から五級地というと大体離島が多い、あるいはへんぴなところが多い。これはここで勉学する子供たちは政治的にも文化的にも経済的にも恵まれないところの子供たちなんですね。そういう地域の子供のたとえば七、八億前後の給食費とか、あるいは三分の二補助の二億、三億弱のわずかの補助金を打ち切ろうという動きは、まさに私はこれは弱い者いじめだと言わざるを得ないと思うんですがね。こういう問題に対して、文部省としてはどういう態度で大蔵省との御折衝に臨んでおるのか、皆さん方のお考えをお聞かせ願いたいと思います。きょうは実は大蔵省も呼ぶつもりでしたけれども文部省がどれぐらい馬力を持っておるかどうか、そこらあたりを聞いてから改めて呼ぶなりしたいと思っているから、その点お聞かせ願いたいんですがね。
  35. 砂田重民

    国務大臣砂田重民君) まず教科書無償の問題でございますけれども先生おっしゃるように、非常な財政事情がございますから、財政当局はいろんなことを考えているようでございますけれども、この制度はもうすでに国民の間に明確に定着をしている無償制度でございますから、これを財政事情を理由にして変えようなどという意思は文部大臣には毛頭ございません。いままでどおりの無償制度を続けてまいる決意文部大臣としてはいたしております。  それから、高度僻地の補助費のことでございますが、修学旅行につきましては三分の二、学校給食費につきましては十分の十の特別な補助率でただいままでやってまいっておりますけれども、こういう特殊な地域で勉強をしておられます児童たちの立場に立って考えれば、今後ともこれらの事業はいままでどおり遂行されるべきもの。どういう態度で財政当局と文部省は腹を決めて折衝するのかという御質問でございましたが、不退転の決意で交渉をいたしますことをお答えをいたしておきます。
  36. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 新文部大臣が不退転の決意でということでございますから、それを期待したいと思います。どうも新聞にあらわれる限りでは、文部大臣は何か危険校舎のことだけが不退転の決意のように世の中に受け取られていますけれども、この教科書の無償化の問題とか、いま申し上げたところの問題もきわめて大事な問題ですから、ぜひともひとつそれを実現さしてもらいたいということだけ申し上げておきたいと思います。  次に、角度が変わりますが、お尋ねいたしますが、文部省関係の特殊法人、それからその他文部省のいわゆる所轄機関と申しますか、外郭団体と申しますか、たとえば研究所とか博物館とかいうような問題、あるいは文化庁の付属機関、あるいは国立青年の家、少年自然の家というものは大体幾つくらいあるんですかね。まずその数をちょっと教えてもらいたいのだ、そういうものを類別したところの。
  37. 宮地貫一

    説明員(宮地貫一君) 文部省関係の特殊法人の数でございますが、現在十一法人でございます。  なお、特殊法人以外の所轄機関につきましては、国立教育研究所等がございまして、これが八機関でございます。  青年の家、少年自然の家等がなおございますが、これが国立大雪青年の家以下全国各地にあるわけでございますが、合わせて十七機関でございます。  なおほかに、文化庁の付属機関といたしましては、東京国立博物館以下十一機関ございます。  以上でございます。
  38. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 案外文部省も数多くの外郭団体、それを他省に劣らず持っておるようでございますがね。そこでお聞きしたいんですが、これらのいま官房長から言われたところの数字の示すところのいろんな特殊法人とか、いろんな所轄機関の役員と申しますか、中心的な理事長とか館長とかという、そういうような人をずっと見てみますと、まあ国立教育研究所とかあるいは国立特殊教育総合研究所とか、こういう研究所は別だけれども、ほとんど文部省のOBの皆さんがこれ地位を占めておられるようですがね。こういう感じを見ると、何か皆さんの卒業生がそこに就職をするところの場所のような感じを受けてなりませんよ、これね。一体こういうようなことで、それぞれの団体なり機関のやっぱり設立の趣旨というのはあると思うんですけれども、果たして十分特殊法人なら特殊法人の設立の趣旨に沿ったところの運営なり活気のあるあれがなされておるんだろうかどうだろうかということを私は疑問に思わざるを得ませんがね。その点どう見ていますかね。こう言えば、それはいや違いますと言うに決まっておりますが、まずお聞きしたい。
  39. 宮地貫一

    説明員(宮地貫一君) ただいま御指摘文部省関係の特殊法人の役員は、先ほどお答えいたしましたように、十一法人でございまして、特殊法人関係で申し上げますと、その常勤役員は四十八名でございます。その御指摘の、いわゆる理事長その他の役員の人選について御指摘があったわけでございますが、選任に当たりましては、適任者をまあ広く各界各層から人選をいたしておりまして、具体的に先ほどの四十八名の常勤役員中で、文部省に、たとえば文部省局長等をやっておったという意味で文部省関係者を申し上げますと、二十七名でございます。たとえば私学振興財団の理事長でございますと、理事長は私学の中から人格、識見ともにすぐれた方をお願いしておるというようなことでございまして、先生指摘のように、文部省関係者の数が四十八名中二十七名ということでございますので、私どもとしては全体役員の選任に当たっては各方面からバランスを考えながら人材を選んでおるというぐあいに考えております。
  40. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 わかりました。  まあ当然そういう御答弁は返ってくるでしょうね。けれども、率直に申し上げて、非常に白々しいかっこうに私は受けざるを得ないんですよ。問題は理事とかあるいは監事とかという、その四十八名中二十七名なんだから大したことはないんだということなんですがね。しかし、こう、見てごらんなさいよ。十一の特殊法人のうち、理事長または館長をやっておるところの人——最高の人ですよ、これ責任者ですよ、これは私学関係の二法人を除いて九人が、これは文部省の事務次官あるいは局長さん——ほとんど大部分ですよ——のOBですよ、これね。あるいは青年の家、少年自然の家の所長さんが、十六人中十三人がこれまた文部省のいわゆる職員だったところの人なんですよね。そうして、たとえば社会教育局あるいは初中局、体育局、大臣官房の課長、視学官、社会教育官という前歴のあられるところの方ばかりだ。あるいはこれはと思う、いわゆる科学博物館と名のるところの問題で、非常にこれはアカデミックなことをやるところで、これは専門家の館長さんでもおるのかと思うとそうでもなくして、次官のOBの皆さんが長年の間座っておられる。  これは数の問題じゃなくて、最高の地位を占めておるところの人々皆そうなんです、これ。これが、だれが見てもそれは適材適所だと、各階各層からみんな網羅したんだと、こう言いたいでしょうけれども、客観的にはどうもそう思えぬのですよ、これ。これは文部省のお役人の皆さん方の、こういう機関が身分保障、生活保障、卒業生の共済機関みたいな感じさえ受けるんですがね。これ大臣、その点それは新任早々ですから、余り私は見られてないと思いますがね、第三者から見ればこれは否定できないことなんです。私は、これはいままでよくこの国会等で、政府機関の公庫や法人関係の役員がほとんどやはり関係官庁の卒業生だ。言うならおば捨て山だ、言葉は悪いですけれども。しかもそれを渡り歩いているということが過去の国会で何回か指摘されてきた。私は文部省は良識の府なんだから別だろうと思ってずっとこう見てみますと、どうもやはりそのらち外でなさそうなんですね。一体これでいいだろうかということを私は非常に疑問を持つんです。  もっと具体的に申し上げましょうか。たとえば、あえて名前を伏せましてA氏と言いましょう。A氏は文部次官を四十二年十月に引いています。そして私学共済の何か役員をやって、翌年六月の全国区の参議院選挙に出た。落ちた。そしたら、しばらく冷却期間を置いて、これ、やはりいわゆるその国立科学博物館の館長さんとして実に四十五年七月から七年半にわたってついておられる。  あるいはB氏。この人は四十四年一月文部次官を退官をされております。この人は、公立共済の理事長、国立劇場理事長、そして現職の東京国立博物館長として次々渡り歩いて、現在その国立博物館に実に八年を経て、退官されてから八年有余にわたって次々と、言葉は悪いですけれども、渡り歩いておられますよ、これ。  あるいはC氏。この人は四十年七月文部事務次官を退官された。それで、私学振興財団の前身の私学振興会の監事、それから国立美術館の館長、東京国立近代美術館の館長、そして現在は国立教育会館の館長と、実に十二年有余にわたってずうっと渡り歩いておられる。  さらにD氏は、四十一年六月大学学術局長を退官された後、国立科学博物館の館長を二期四年勤められた後に、公立共済の理事長を実に四期七年半にわたってやっておられる。  いわゆる文部省の官僚の最高の地位を占められたところの人々は、退官後もずうっと、いわゆるいま官房長が各界各層からの適任者を網羅されたと言う、そういう団体の、機関の長として座られておる。一体この問題、いかにその人が優秀であろうとどうあろうと、国民の目から見ますと、残念ながら、適材適所ですからがんばっておりますと、こうは私は幾ら弁明をされたって、強弁をされても、私はこれは理解できないことだと思いますよ。  しかも、一般的に言われておるのは、理事長とかあるいは館長をやったならば、一年で五百七万円の退職金がつく、八年もいたしますと実に四千六十万円の退職金がつくと言われておる。これは、よくしばしば国会で問題になりますところの、他の省の公団とかいろんなものと大体似たり寄ったりのかっこうにならざるを得ないんですよ。一体こういうことがこのまま許されていいんだろうかどうだろうか。これが果たして適材適所でございますと胸を張って答えることができるんだろうかどうだろうか。言葉は悪いですけれどもね、これは皆さんの退官後のOBの身分保障の場にしかなっておりませんよ。こういうようなやはり人事構成の中からは、本当にその法人としてあるいはその団体として、機関としての目的に沿うところの清新はつらつなやはり機能を十分に発揮しておるとはどうしてもこれは思えないんですがね。  私はあえてその人が個人的にどうだと言っておるんではない。しかしながら、こういうたらい回しと申しますか、渡り鳥と申しますか、こういうことが依然として文部省の、先ほど数多く挙げられたところの、特殊法人なり所轄機関の中にまだあるということが、一体許されていいんだろうかどうだろうか。私はここがまた、この行政管理庁からの、特殊法人を廃止しようとか、あるいはまたいまのような七十歳まで置くようなシステムを変えようじゃないかという問題が出ているところのゆえんであるし、それを廃止しようと言われている、ねらわれるところのやはり要素もあるんじゃないかと思いますがね。新しく新任をされたところ砂田大臣として、こういうものがこのまま放置されていいのかどうか、もっともっとやはり考える必要があるのではないかと思いますがね。その点のやはり御所感をお聞かせ願いたいと思いますね。
  41. 砂田重民

    国務大臣砂田重民君) 行政改革の問題につきましては、きわめて近日中に基本方針あるいは要綱等について明確に閣議決定をすることにいたしております。その閣議決定がなされましたならば、当然その中に特殊法人の問題につきましても、役員の問題、あるいは給与の問題、退職金の問題等も決定されるわけでございますから、もうきわめてそれは近日中のことでございますので、その決定を見まして直ちに私は特殊法人のこれらの問題を一度見直したい、かように考えているものでございます。文字どおり清新な、たとえそれが一部天下りであっても、この人は適材適所だと各方面から御理解いただけるようなことを考えなきゃなりませんので、近日中に決定いたします閣議決定終了後、直ちにこの問題を大臣として検討をいたしたい、かように考えておりますことをお答えいたしておきます。
  42. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 ただあれじゃないですか、九月の二日に決まったところの閣議了解事項の行政改革の指針等をこう拝見をいたしますと、   〔委員長退席、理事案納勝君着席〕 それはたとえばいままでの特殊法人の任期を最高の八年を六年にしようとか、年齢を七十歳を六十五歳に下げなさいとか、あるいは退職金も常識の範囲でということぐらいの問題でしてね。いま私が指摘をしましたところの本当に人事の刷新というか、清新の気を起こすようなことは私は閣議決定事項にならぬと思いますよ、これは。ですから、いまの大臣の答弁だけでは私は果たしてそうなるのかどうかという疑問を持ちます。  私が言いたいのは、その任期の長さもさることながら、こういう次々渡り歩いておるようなかっこうの中で、お互いのかつての上司をいつまでも置いておくという、それは友情としてはわかりますけれども、あるいは上司思いとしても、お互いの同士思いはわかりますけれども、それでは私は日本の政治行政というものは国民の期待に沿えるものがないと思うんですよ。これはほかの官庁にもありますよ。ほかの官庁にもあるんだからわれわれの官庁もそうだということじゃなくして、今度こそ文部省が率先してこういうものに清新の気風を入れるべきじゃないだろうか、こう思うから申し上げておるんですが、そこらあたりどうですか、大臣のお気持ちは。はっきりは申し上げることはできませんですけれども、言葉の中から大臣の気持ちを私はくみとりたいんですよ、決意を。
  43. 砂田重民

    国務大臣砂田重民君) 先ほどもお答えいたしましたとおりに、近日中の閣議決定を見ました後、清新な人事という観点から私は取り組みますということをお答えをいたしました。どうぞひとつそれはいましばらくお時間をいただきまして、たとえ天下りであってもこれは適材適所だ、これならば清新の気風をこの特殊法人で発揮するだろう、こういう目で見ていただける、そういう人事について私は真剣に取り組んでまいりますことをお答えをいたします。
  44. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 これは長年私はやはりその法人とか、あるいはそれぞれの機関と申しますか、その組織ですね、組織の発展のために下積みの中から努力をされてきている、そういう人の中から人を抜てきをしていくという、こういう形のものが具体的にあらわれるとか、あるいは中で働いておるところ職員の人の身分保障なり待遇改善の問題を積極的にやはりやっていく、こういう姿勢があらわれてこそ、本当に清新の気風というものは私はわくものだと思うんですよ。どこのところへでも行ってみてごらんなさいよ。まただれだれ次官がやめたから、だれだれ局長がやめたから、いずれぼくのところに来るんだろう、案の定来たと。トップは、キャップはいつでも天下りということの中ではこういうもののあれは出てこぬと思うんです。  だから見てごらんなさい。多くのいろんなところは、顔はそれぞれの利用者の方に向けますけれども、心は常に自分の母国の官庁の方を向いておる。文部省関係で言えば常に文部省を向いておる。だから、文部省の一挙手一投足を見なければ、なかなか自分の特色のあるところの経営ができないというのが実態じゃございませんか。これを日本の官僚機構はそれが特色だとおっしゃる方がいらっしゃるかもしれぬけれども、政治の力でそれを改革していかないことには、これはやはり悪風とも言うべきものは除去できませんよ。だから私はこの機会に、それはA氏、B氏云々とこう名前を指摘されたところの人はお気の毒かもしれませんけれども、私はその人を個人的に指しているのではなくて、そういうあり方の問題としてこの機会にやっぱりやっていただかない限りだめなんです。  私はやはりたくさんあるところ法人の中で、そういうふうに文部省の方ばかり目を向けておるところの一つの事例として、特殊法人の一つの事例を挙げてみましょう。青少年総合センターというのがございますね、オリンピックセンターと言われている。ここを見てごらんなさいよ。これはちゃんと青少年総合センター法という法律に基づいて昭和四十年につくられた。ところがどうですか。三月三十一日自民党の行財政調査会の中間報告で、これを五十三年度中に廃止をして文部省直轄の社会教育施設にせよという方針がいわゆる自民党の政調の中で出たと言われた途端に、法人設立時の国会におけるところのいろんな論議というものを全く弊履のごとく振り捨てて、方針というものを振り捨てて、文部省はすでにもうその下準備を始めている。四月十八日には文部省文部省組織令を簡単に改正をして、従来これは体育局の体育課にあったんです。それを社会教育局の青少年教育課の方にさあっと移管をさせる、自民党のある一つの政調で話が出た途端にですよ。そしてまた、それの理事長として、あるいは前任者あるいは現在の理事長の皆さんは、いまやいろいろな職員団体との交渉の中でも——最近は開かれておるようでございますけれどもですね。あるいはまた他団体の皆さん方のこの問題についてのいろいろな請願に対して、従来の法人のよさというものを理事長自身が一てきしたような、直轄化は賛成でありますとか、直轄化のメリットについては今後検討し十分運営に反映をさせたいという物の言い方をもされ始めておる。  特に、最近文部省の体育局長からこれまた天下られたところのこの理事長さんは、直轄後のセンターの運営、職員の問題については文部省の指示を見ない限り具体的に今後どういうように転がっていくかわかりませんと。また、この際はそういう時期だから、直轄化のメリット、デメリットということについて君らとあんまり話したくない、こう言って約一月にわたりまして、その所属の職員団体——労働組合との交渉というものは一切はねつけられている。その皆さんから見れば、職員から見れば、法人から直轄になったときに自分の身分はどうなるだろう、一体どういう運営になるだろうと、非常に重要な問題だけれども文部省の御意向を聞かない限り、指示を仰がない限り君らと話せないのだと、こういうような形で必要以上の紛糾を招いておるということも事実なんですよ、これは。  しかも、実はこの前、この法案を審議をしたところの四十年の第四十八国会、その衆議院の文教委員会のやりとりの議事録を見ますと、当時の文部大臣愛知さんは、この運営の基本的な問題に対して、人事の問題について、またぞろ理事長初め文部省から天下ってくるんじゃありませんかという質問に対してこう答えている。設立の趣旨にふさわしい人を送りますから決してそういう心配に及びません、たとえば現在文部省の役人をしているような人は選びませんと、もう明確に答えている。ところがどうですか。初代の理事長さんは文部省課長局長をやっている方でしょう。だから、目だけは利用者の方を向いているけれども、心は常に文部省になっておるんです。しかもそれを、与党の方が方向を決めたからといって、こんな重要な法律改正を要するところの問題について、そういう意向が出た途端に直轄化賛成の意向を示すという。私はその特殊法人の理事長さんは、一体本当に法律に基づいたところの理事長さんとしての役割りを果たそうとするところの気概があるのかどうか、こういうことさえもう疑いたくなるんです。こういうあり方についてどうお考えになりますかね。ぼくはゆゆしき問題だと思いますがね、これは。
  45. 砂田重民

    国務大臣砂田重民君) 行政改革の一環として直轄化の方向でただいま検討が進められておりますことは事実でございます。ただいま御指摘のありました職員の方々に対しましては、当然、特殊法人から文部省直轄になりました場合にはその身分は変わってくるわけでございますけれども、今度は文部省直轄のセンターの職員として働いていただくわけでございますし、定員等に変動がありましたときには、それぞれの方々の御希望あるいは適性に応じました国の機関あるいは他の特殊法人等に就職のごあっせんをいたしましたり、身分についての御心配のないように、できるだけの私は手だてを尽くしてまいりたい、かように考えているところでございます。  いま一つ御指摘のございました直轄化という話が自民党から出た途端に直轄化賛成だというような特殊法人の理事長の気概について御議論がございました。私は、やはり国の行政改革という非常に大きな目的に沿って文部省といたしましても協力をしてまいらなければならないのは当然でございますので、その当時は私はまだ文部大臣に就任をいたしておりませんけれども、これまで特殊法人のオリンピック記念青少年総合センターは、文部省の恣意の入らない、利用される方々の御希望のとおりに使っていただいてまいりました。その同じ考え方でたとえ直轄になりましてもこの施設を運用をしていきたい。したがって、文部省の直轄になりましても、学識経験者でありますとか、使ってくださる側の青少年教育関係者あるいは青少年たち、そういう人たちによりまして委員会のようなものをやはりおつくりをいただきまして、そういう方々の自主的な、適正なこの施設の利用方法等を反映をいたしまして、この方々の御希望のとおりにこの施設が文部省直轄の施設としてその目的を果たしてまいりますように努力をしてまいります。
  46. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 あなたはきわめて重大な発言をされておりますよ、大臣。  直轄化は決まったんですか、もう。あたかも決まったことを前提としたようなことをあなたは言っているんですが、決まったんですか、それは。
  47. 砂田重民

    国務大臣砂田重民君) まだ決まっておりません。そういう方向が打ち出されているではないかというお話がございましたので、行政改革の一環としてきわめて近い閣議決定をいたしましたその上ではということを前提にしてお答えをいたしたわけでございます。決まったというわけではございません。
  48. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 だからいよいよもっておかしいと言うんですよ。三月のそのころに、自民党の行財政のいわゆる委員会の中で話題になったんですよ。ところが、いち早く皆さんは四月の初めには、従来の体育局の所管であったやつを社会教育局に移したんでしょうが。そのときにすでに地ならしをもう始めている。しかもまだ閣議で議論をされておらない。しかもまだ閣議では決めていない。政府の方針として決まってない。それを大臣はあたかももう直轄化を前提として職員の配置はこうこういたしたいと思いますと、こういう御答弁ですがね。  それならばお聞きしますが、直轄化になったらどういうメリットがあるという考えで賛成されておるんですか。いまの大臣の御答弁から拝聴いたしますと、文部省としては省としてその決定に賛成していると、こう理解してよろしゅうございますか。
  49. 砂田重民

    国務大臣砂田重民君) 先ほどもお答えいたしましたとおりに、まだ決定をいたしたことではございません。先生の御質問の中から、もしもそうなった場合に職員が非常に心配をしているではないか、そういう……
  50. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 いや、職員の身分上の問題じゃないかと言っているのです。
  51. 砂田重民

    国務大臣砂田重民君) 私も職員の身分上の問題、重要な問題だと受けとめておりますので、さような方向で決定をいたしました場合にはということを前提にしてお答えいたしたわけでございます。どうぞそこのところは、もしも私の答えの言葉の足りませんところがございましたならばお許しをいただきとうございますけれども、決定したことではございません。決定したことではございませんけれども職員の方々が非常な不安感を持っておられるということも私は認識をいたしましたので、決定をもしもそういうことをいたしました場合ということを前提にしてお答えをいたしました。
  52. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 決定はされてないが、文部大臣としてはもうそういうことを大体決意されているというように理解してよろしゅうございますか、それなら。
  53. 砂田重民

    国務大臣砂田重民君) 決意をいたしておりますというよりは、行政改革の問題は、先ほどお話しのとおりに自民党の行財政調査会でも検討いたしておりますけれども、政府部内でただいまいろいろ議論をし検討をいたしておるわけでございます。その意見交換の中では、行政管理庁その他行政改革と取り組んでおります政府の方向はただいまのところ直轄化の方向が有力でございますので、もしもそうなった場合のことに直ちに対応できるだけの心準備だけは文部大臣といたしましてもいたさなければなりませんので、そう決まりました場合にはということを前提にしてお答えをいたしたわけでございます。
  54. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 有力な云々というのはそれは情勢としてわかりますよ。しかし、所管の文部大臣としては、一連のあれを見ますとこれは仕方がない、自分もそれに同意をしようと、こういうお考えなんですね。というように理解してよろしゅうございますか。それとも文部省にもいろいろな意見があるので純粋に検討中だということなんですか。どっちなんですか、それ。どうも大臣のお話聞いておると、すでにさっき言っておるんですが。
  55. 砂田重民

    国務大臣砂田重民君) まだ私も最終的に決心をしたわけではございません。いまのお話のように、純粋に検討をしている今日の段階でございます。
  56. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 大臣は直轄化のメリット、直轄化にすればどういうメリットがあるというふうにお考えになってそういう御答弁をされておるんですか。あるいはデメリットの問題もありましたらお聞かせ願いたい。
  57. 砂田重民

    国務大臣砂田重民君) 私は率直に申し上げて、メリット、デメリット双方あると思います。ただ、やはり行政改革という問題は、たとえつらくても努力してまいらなければならない問題でございます。政府全体としての行政改革、その意味におきましては確かにメリットのあることでございますし、安い、政府と申しますか行政と申しますか、そういう意味合いのメリットは確かにこれはあると思います。
  58. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 いわゆる財政を縮小しよう、財政を少しでも手助けをしよう、いわゆる財政支出の合理化云々という言葉も使われておりますが、そういうことからだけ、法律の中に明確に規定してあるところ法人というものの存在価値というのを朝令暮改していいものでしょうか、どうでしょうか。なるほど、それは行政改革の中でだれが考えてもこれは当然だと思えるものならいざ知らず、少なくともこれは特殊法人としてわれわれ議会の中で議論をしてつくったものですよ。そういう立法当時の精神というものを全く踏みにじったような形で行政改革には協力をしなきゃならないというその大臣のお気持ち、私はいわゆる国務大臣というか、文部大臣としてのこの問題に対するところのこの所管の大臣として果たしてどうだろうかと私は疑いたくならざるを得ませんが、そんなにやはり行政改革という問題は、単に財政上の立場からだけ考えればいいんでしょうかね。常識的には、財政上の問題だけから考えて、しかしながらその法人の存在理由というものが多く失われるとするならば、これはあくまでもやはりこの問題については再検討を迫っていくという態度があってこそしかるべきじゃないでしょうか。この問題についてはどうお考えになっているのか、もう少しお聞かせ願いたい。
  59. 砂田重民

    国務大臣砂田重民君) 私は、青少年総合センターに青年たちと三年ばかり続けて宿泊をいたしまして、あの施設を使わしてもらった経験もございます。あのセンターの持っております意義、あのセンターの使命、こういうことは十二分に実は体験的にも承知をいたしているものでございます。そういたしまして、片や行政改革という、文部省としてもつらくはあるけれども協力をしてまいらなければならないという立場もございますけれども、あのセンターがいままで持ってまいりました使命、存在価値、こういうものをいささかも失わないで、先ほども申し上げましたが、これも閣議決定がなされた場合ということを前提にしてのことでございますけれども、このセンターが持っております使命、存在価値、これはいささかも失わない、むしろより活発にこのセンターが有意義に青少年たちに役立つように、さように心がけて準備を進めているところでございます。これも決定をいたしました場合はということを前提にしてのお答えでございますが、この施設の持っております使命、存在価値、これはもう絶対に私は確保して、特殊法人として継続していこうが直轄になろうが、この設備の持っております使命と恩義だけは何としても守り抜いていくという決意を持つものでございます。
  60. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 大臣は、直轄化をされてもそのセンターの使命なり存在価値はいささかも失われないと、本当にそう思っておられるんですか。それならばまあお聞きしますが、この法案を審議をした際の、なぜ特殊法人にしなきやならなかったかという当時の文部省の態度、方針、これが直轄化になっても失われないというふうに大臣は把握されておるんですか。そこをちょっとお聞かせ願いたい。
  61. 砂田重民

    国務大臣砂田重民君) ここにその当時の愛知文部大臣の答弁内容を私持っております。
  62. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 私も持っていますよ、それは。
  63. 砂田重民

    国務大臣砂田重民君) 先生の御質問にこれに触れてお答えをしたいと思いますが、国の直営にすると弾力的な運営に欠けるということもお答えになっているようでございます。私は、文部省の直轄にいたしましても、弾力的運営ができないような縛られ方をせずにあのセンターを運営していく方法を考えれば、特殊法人でなくて国の直轄にいたしましてもでき得ることだと、かように考えるものでございます。たとえば評議員会を特殊法人の時代には置きまして、青少年団体やスポーツ団体や社会教育団体と意思の疎通を図りながら運営をしたことでございますけれども、先ほどもお答えいたしましたけれども、直轄にいたしましても、あのセンターを運営いたします委員会、この委員会の人事等を当を得た運営委員会をつくりまして、この方々の御意見を十二分に取り入れながらこのセンターを運営をしてまいりましたならば、先生のおっしゃる弾力的な運営も、またセンターの当初から持っておりました使命というものも損なわれずに運営していけるものと、かように私は考えるわけでございまして、これからのこれは文部省の努力次第、その指揮監督をひとつ責任を持ってやってまいりたい、こういう決意お答えをして、おきたいと思います。
  64. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 いま大臣は、愛知さんの答えたところの、直轄にしない方が弾力的な運営ができるとこう言っておるから、今後は直轄にしても運営を弾力的にやればいいんだと、こういうお話なんですけれども、先ほどもちょっと私は申しましたけれども、いまのような、頭の理事長さんが一人おるだけでさえも、もう心は皆さんの本省の方にばかり向けておられるような運営なんですよ。これが直轄になると、弾力的な運営云々と幾ら言ってみたって、これはもう見せかけにしか過ぎませんよ、もう断言しておきますが。しかも、愛知さんはそればかり言ってないんですよ、これ。特殊法人にした方が法律の設置の目的が適正、確実に運営が期せられると、こう言っておるんです。  同時に、後のところの議事録を読んでごらんなさい、そこだけじゃなくて。そこにラインを引いておるかどうか、そばの人が見せておるかどうかわかりませんけれども、こう言っておるんですよ。青少年総合センターの「総合」という意味に、いいですか、「「総合」というのは、これは裏から申しますと、文部省所管の特殊法人」ということにしたのは、「文部省の恣意によってこれが利用されるようであってはいけないという反省の気持ち」が実はここに出ておるんです。反省の気持ちがここに出ておるんですよと、こう言っておる。「たとえば社会教育にいたしましても、」厚生省関係の種々の計画もありましょうし、各省庁や、あるいは東京都を初めとする地方公共団体の用にも供したい。したがって、その方面の意向を十分総合してこれを活用していただきたいことが理由です。だから、「これは文部省だけのセンターではございません」と、「総合」の意味はここにあるんですよと、過去の反省に立ってこうやっておるんですよと、こう言っておるんですよ。これを素直に受け取れば、単にあなたが、大臣が、今後はそうはしませんと言ったってこれまた見せかけのものにしかなりませんよ、これは。こういうきわめて含蓄あるところの答弁をされておるんです。だからみんなしてそうしようと言って満場一致であの法案を決めたんですよ。さあそれからしばらくたったから、今度は直轄化によって弾力的な運営をしますとこう言ったって、これはだれもが、利用するところの人は信用しろと言ったってそれはしませんよ。  大体、社会教育施設として青少年の家とか少年自然の家とかいろいろありますね。そういうものと同列に今度はしようとお考えになるわけですね、そうなりますと。大臣、これは文部省所管でございますからね。一体社会教育というものを、大臣——ちょっと後から説明してくださいよ隣の人。後から説明しなさい。質問だけは聞いてください。——社会教育というものをどう大臣は一体お考えですか。それからお聞きしたい七何か社会教育というのは、国が社会教育事業をやるのが一番正しいというふうに御理解しておるんですか。そこらあたりを含めて御答弁いただきたい。
  65. 砂田重民

    国務大臣砂田重民君) 私は社会教育という問題は、基本的なことだけしかお答えいたしませんけれども、社会一般の方々がやはり勉強をしたい、そういう気持ちにこたえることでございます。文部省だけでやることではないと考えております。   〔理事案納勝君退席、委員長着席〕 また文部省だけが何か社会教育にこたえて、文部省の与える社会教育、そういう思い上がりをすることはやはり行政の場にいる者として許されないことだと考えております。  そしてただいまのお話でございますけれども、この青少年センターを文部省の恣意で動かすセンター、そういうものには絶対したくない。むしろ、このセンターが誕生いたしました青少年たちのものである、文部省のものではない、そういう明確な決心をしてこのことと取り組みたい、そういう決意をいたしておりますので、いま宮之原先生大臣がそう言ったって信用できないじゃないかということでございましたけれども、ひとつ私の取り組み方をしばらく時間をいただいて見ていただきたいという気持ちもいたすわけでございます。
  66. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 だって大臣ね、十月十六日の毎日新聞に、この問題に関連をしておたくの山中社会教育課長ですか、とかと称する男が述べておるんですよ、ちょうど大臣と同じようなことを。直轄といっても利用方法は基本的に変わりませんと、こう言っておる。ここまで全く同じなんです。しかし、その次がふるっている。最近、青少年の研修という当初の目的にそぐわない団体の利用が目立っておる、だから文部省方針に沿って社会教育をやらなきゃだめなんだと、こういう物の言い方をしておるんですよ。大臣、書かれておるのがおたくの担当の課長ですよ、これ。これはもうちゃんと方向性をすでに出しておるじゃありませんか。大臣が幾ら、直轄になっても利用方法は変わりません、広げますと、こう言いながら、社会教育というものは国が指針を与えてやるべきものなんだと、だからいろいろ自主的に行われた社会教育あるいは法人が行うところの社会教育施設としてあるところのものは好ましくない傾向が見え始めておるんだと、こう指摘をしておるんじゃないですか。これは案外やはり文部省の本音が私は出ておるんじゃないだろうかと思うんですがね。いかがなんですか、これ。
  67. 砂田重民

    国務大臣砂田重民君) 青少年の健全なこのセンターの利用の仕方については、私ども、どなたも疑問をはさむ余地はないと思います。先ほどから御答弁をいたしましたように、この総合センターが設立の趣旨のとおりに生かされてこれからも多くの方々に利用されていくように、そういう方針で私は臨む決意をいたしておりますので、課長がどう申しましょうと大臣は私でございます。課長を指揮監督を明確にいたします。
  68. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 そう胸を張ってお答えいただいても、これは大臣というのは、いままでのずうっと過去を見ますと、大体一年ないし二年ですよね。そうすると、官僚は課長から審議官、ずうっと上がっていくんだからね。実際、日本の行政を動かしているのは官僚の諸君じゃございませんか。その一番担当の課長がこういうことをしゃあしゃあと談話の中で言っておるんですよ、記事の中で。そういう者を処分でもしてあかしを立てるというならいざ知らず、そういう者は担当の課長として残しておいて、幾ら大臣が見てごらんなさいと言ったって、ちょっとそれは政治を知る者からすれば、一般の政治を知らないところ国民は、大臣がそう言ったんだから永久に大丈夫だろうと思われるかもしれませんけれども、私どもの場では通用しない言葉じゃないでしょうかね。  第一私は、やはり社会教育というこの社会教育法の精神をどう大臣は理解されておるか、もう一回聞きたくなりますよ、それ。どういうふうに理解されていますか、大臣
  69. 砂田重民

    国務大臣砂田重民君) ただいま、大臣がどう言ったって課長は言っている、政治は官僚が動かしているというお話でございましたけれども、その毎日新聞に出ております人をいま処分をしてというお話でございましたけれども、処分をいたさなくても反省をさせることは大臣にできることでございます。そして、この総合センターが、設立のときの趣旨といささかも変わりなく、先生のおっしゃるような真の社会教育施設として利用されることを私が責任を持つと申し上げているのでございまして、課長がそう言ったから、政治は官僚が動かしているじゃないかとおっしゃいますけれども、私もそういう課長を指揮監督することについては責任を持つことを申し上げておきたいと思います。
  70. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 いや、それなら社会教育のあり方を基本的にどうお考えになっているのか、そこを聞かしてください。
  71. 砂田重民

    国務大臣砂田重民君) それはやはり自発的な学習ということが社会教育の基本でなければいかぬと、かように私は信じております。
  72. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 まあ私は、大臣に就任されて早々ですから余り申し上げたくないんですけれども、これは一番やはり社会教育の基本のことですからね。社会教育法というのがございますわね。だって、あの第三条なり、十一条なり、十二条をこう見てごらんなさいよ、大臣ね。ここに書かれておることは、社会教育とは国民みずからの文化的教養を高める、いま大臣がおっしゃったように、自発的、自主的のやはり学習、文化活動の営みなんです。だから、国ないし地方自治団体はそれを助長する役割りなんですよ。だから、大臣がおっしゃったように、国が社会教育の指針を据え、これに従えという思い上がったものでは毛頭ない、逆なんです、これは。言うならば、社会教育というのは国民の基本的な権利として明確にこの法律の中に位置づけられる。だからこそ権力的な介入、統制、支配は絶対に行ってはならない、あくまでも行政官庁は求めに応じて指導、助言をやりなさいというのがこの精神なんですよ。だとするならば、これが特殊法人として独立の道を歩んでおって、それに対して指導、助言するというならば、これは社会教育の施設として本来の姿なんです、これ。それをわざわざ否定をして、直轄にするということの中から、幾ら大臣が従来と変わらない運営をすると、こうおっしゃったって、法自体の精神から見ても全くおかしな時代逆行にならざるを得ないんです、これ。  さらに見てごらんなさい、大臣。十五条、二十九条、三十条、こういうようないろんな民主的な運営の問題がこう出されておるんですよ。だから、社会教育というのは本当に国民が自発的にいろんなものをやっていくというのが一番基本なんです。それを加勢をするわけなんですよね。そうすれば社会教育施設として皆さんが位置づけられて、それで設立の当初から、その方が、文部省の直轄にならない方が伸び伸びと弾力的な運営ができるというものがあるならば、名実ともにそういう精神を皆さんが今後も大臣が貫こうとするならば、直轄化するというものは全く逆になるんですよ、社会教育の基本的なあり方からしてもね。それをあえて承知の上でやろうというならば、これは社会教育というものを、法律はそうあるけれども別なんだという物の考え方、先ほど私はいみじくもこの切り抜きの中で申し上げたところの、担当課長の言葉を申し上げたんですけれども、そういう物の考え方の中からは、これは私は大変なことにしかならぬと思うんですよ。  だから、単にこの問題はいわゆる財源上の問題、財源の合理的な運営の中で直轄にするんだという問題で片づくところの問題じゃないんですよ。社会教育の基本にかかわるところの問題なんですよ。皆さんは十一あるところのうちの一つぐらいはやってみたって大したことがないだろうとは考えますけれどもね。根本的な問題があるだけに、私はお聞きしておるんです、これは。その物に対するところの考え方、言うならば社会教育法を抜本的に改めるというものの前提のもとにこれは出されておるというんなら私も話はわかりますよ。口では法律を尊重しと言いながら、この方針に逆行するものをやろうやろうとするんじゃ、これは大臣いかがなもんでしょうかね。それでもあえて直轄の方がいいとお考えですか、どうでしょうか。
  73. 砂田重民

    国務大臣砂田重民君) 社会教育法の中には、社会教育の施設を国で設置して提供するということも書かれているわけでございます。要は、それが特殊法人、あるいは国の直轄のやり方、いろいろやり方はございましょうけれども、要は宮之原先生が御指摘のように、これの運用の仕方に問題がある、また、その点について先生の御心配がおありになるんだと、私はさようにただいま承ったわけでございますけれども、社会教育法の中に書かれている、社会教育のための施設を国で設置をする、そういう意味で、私は社会教育法を根本的に——今度この施設が直轄になりましても社会教育法を否定するものだとは考えておりません。一番大事なところは、設立当初のこのセンターの使命、目的、それが文字どおり設立の当時の思想がそのまま生きて使われていく、その運用の仕方の私どもの心構えの問題、決心の問題、そこに一番大切なポイントがあろうかと思いますので、先ほどからお答えをいたしておりますように、文部省の恣意がそこに働いてあたかも文部省の施設だというふうな受けとめ方を利用なさる方々には絶対に持たれないように、そういう運用についてひとつ適切な指導をしてまいる、こういう決意をいたすものでございます。
  74. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 国でその社会教育施設を設置しなさいと書かれておるじゃないかと。書かれておりますよ。何も私は国が設置するなと言っておるんじゃない。だから青年の家、少年自然の家というのがあるでしょう。  問題はそうじゃないんでしょう。非常にこの問題はそういう要素が絡んでおる社会教育の基本にかかわる問題だから、つくったときには特殊法人としてが一番正しいとして置かれているものなんだよ、これは。初めから文部省が所管として、直轄するものとして設置されたところのものを変えなさいと私は言っておるんじゃない。そういう別個にしてあったものを、あえて国でそれを直轄にしようというそこに問題がありますよと言っておるんですよ、これは。そこをすりかえないでいただきたいんです。いわゆる現在あるところの青年の家とかなんとかというものを法人にしなさいと私は言っておるんじゃないですよ。それはそれでよろしい。  しかしながら、事、この問題はいろんな歴史的な経緯がありますわな、オリンピックの。そういうことから、特定の直轄地よりもこの方がよろしい。しかも、社会教育の場、体育施設としても使えると、こういうところから生まれたそもそものものなんでしょう。それを国で設置してもいいと書かれておるからこれを直すのだじゃ、これは論理の飛躍だし、これはちょっと強引じゃないでしょうか。  これは大臣、いままで皆さんがつくっておるものを私はやめろと言っているんじゃなくて、厳然として法人組織としてあるものを直轄にしようとしているから言っているんですよ。だから、これが恣意のまま云々と言わぬでも、これは常識的に考えてごらんなさいよ。特殊法人として存在するものと直轄としてあるというものとは、当然それは文部省のこれに対するところのいろんな指導の強弱が出てくる、影響力が出てくる、この差が出てくるのは当然でしょう。同じですか。幾ら言われたってこれは違うんですよ、これは。だから私は、これはきわめて重要な問題だし、社会教育の基本にかかわるところの問題だと、こう申し上げておるんですよ。  そこのところを、私は大臣が就任されてそう長くいらっしゃらないから、あるいは官僚の御進講を受けていちずに思い詰めておられるかもしれませんけれども、ぼくは十二分にこのことは——一番基本の問題ですからね、考えていただきたい。特に私は、官僚育ちでない砂田文部大臣が、本当に民間育ちの者としてのセンスで、このきわめて重要な問題についてもう一度御再考を願いたいと、この点を強く御要請申し上げておきたいと思うんですが、どうですか、そういう問題についていろんな角度から検討されては。
  75. 砂田重民

    国務大臣砂田重民君) 宮之原先生の御心配の点、私は先ほどからお答えをいたしておりますけれども、どうも言葉足らずかもしれませんけれども、考え方は同じものを持っているわけでございます。いささかも先生の御意見と違う考えを持っているわけではありません。法律に、社会教育法の法律に書いてあるからいいじゃないかと、そんな安易な考え方をしているわけでは決してございません。行政改革という、一方に重大な前向きに取り組まなければならない問題が片方ある、そして、いままで特殊法人でやってまいりましたこのセンターを直轄にすることが、これは法律的に許されることではある、その事実。  そして一番の問題は、これはもう先生が御指摘のとおりに、今後のこれの運営の仕方に一番の問題があることはそのとおりでございまして、私は先生の御指摘のような、御心配のないような、文部省の恣意がそこに入らない、こういうことをひとつ腹にかたく決めまして、先ほどから申し上げましたように、この施設を使われる人たち、実際に利用される人たち、そういう方も交えての運営委員会、運用委員会というようなものをつくっていただきまして、その方々と御相談をしながら、文部省の恣意の入らない、利用者の側の自主的な運用、これをひとつ文部省として考えて、率直に申しあげますならば新しい方向での——せっかく民間出の文部大臣がというお言葉をいただきましたけれども、その思想だけは必ず守り抜いてこの施設を運用していきたい、こういう決心をいたしておりますことを表明いたしまして私のお答えにいたしたいと思います。
  76. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 しきりに文部省の恣意のままにならないようにしようと、こうおっしゃるんですが、ならないようにしようとおっしゃるなら、まずいまのものを存続させてそれを続けさしていくという中からこそそのことができるんですよ。直轄のものと一応世帯が別のものとは、だれが考えたってそれは本省の影響力というのは大分違いましょうが。違いませんか。これは常識で考えても違うはずなんですよ。それならば、新しくつくるものの可否をいま論じておるんではないんですよ、私は。そもそもそういうことを意図してつくられたところのものなんだから、目的として。それが現存するならばそれを守っていくというのが、本当に民間の中で育てられた民間人としてのセンスをお持ちの大臣の態度じゃないかと私は思いますよ、これは大臣。  大臣は、もうこれは仕方がないんだと、したがって、いかにしてその中で少しでも毒素を抜くかということばかりしか考えられておらない。しかし、この問題はまだ外にあるんですから、あるならそれをそのままにしておいて、その特色を生かすというのがあっていいんじゃないでしょうか。いろんな社会教育施設の中で、先ほど来申し上げますようにそれは文部省直轄の青年の家、少年自然の家もあるでしょう。しかし、こういう独得のものもあったときに初めてバラエティーに富んだ社会教育施設、機関となるんじゃないでしょうかね。そこのところを私はいま大臣にもう一回考え直してもらいたいと思うんですよ。  なお、大臣はさっきの冒頭の答弁の中には、みんなの職員を、後は考えるなとこうおっしゃったって、ある理事者のごときは、いまのところ八十一人を五十人にしたってできますなんて、こう言っておるんですよ。具体的にそういう人たちの身分は一体どうするのか、こういう問題もまた出てくるんですよ。  同時にまた、いまの法人職員皆さんを国家公務員に切りかえても、年金の問題、いわゆる厚生年金から共済年金に移るところのこれはやっぱりできっこないんですよ、移動は、そのままのものは。あるいは待遇の問題。仮にあなたの話を認めるにしても、一歩譲って是認した前提のもとにおいても、こんな問題があるんですよ。  それだけに、この問題を単なる皆さん方の十一の法人の中の一つを簡単に移す問題だとお考えになられると、これは大変なことですよ。申し上げておきますがね、法律改正しなきゃならぬでしょう、これは。絶対に通りませんよ。通しませんよ、私どもは。皆さんは安易に考えておるかもしれぬけれども徹底的に抵抗しますよ、これだったら。考えてごらんなさいよ、何も私は脅迫じみたことを申し上げませんけれども、主任手当の問題だって二年がかりでしょう。これはなお社会教育の基本の問題ですからね、単に皆さん方やあるいは与党の恣意だけでこれは動きませんよ。社会教育のあり方の根本の問題ですからね、大きな国民的な問題にならざるを得ないんですよ、これは。私はあるものを廃止しろと、こう言っておるんじゃない。社会教育施設というものは、いろんな各種各様のものがあってこそそれの機能を発揮できるんですよ。せめて唯一の法人としてあるところのこういうものを生かした中でこそ、この社会教育の措置に沿ったものができるんですからね。そこのところを、私はくどいようですけれどももう一度大臣に強く申し上げて、時間が参っておりますから私の質問を終わりますけれどもね。ああいうぐあいに、政府が決めたんだからこれはこうだとお思いになったらだめですよ、これは。一番の基本問題ですから、これは。単に職員の身分の問題じゃないんです、これは、そのこともさることながら。それだけ申し上げておきますよ。  終わります。
  77. 茜ケ久保重光

    委員長茜ケ久保重光君) 午前中の審査はこの程度とし、午後二時まで休憩いたします。    午後一時十二分休憩      —————・—————    午後二時六分開会
  78. 茜ケ久保重光

    委員長茜ケ久保重光君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  午前に引き続き、昭和四十九年度決算外二件を議題とし、文部省決算について審査を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  79. 田代富士男

    田代富士男君 きょうの委員会文部省関係決算でございますから、私は文部省補助金行政について具体的な事例を挙げましてお尋ねをしたいと思います。  まず最初に、会計検査院昭和五十年度検査報告不当事項として掲記されております文部省補助金事業のうち、特に京都府城陽市立古川小学校校舎新築に係る指摘につきまして、まず、会計検査院が城陽市について四十九年度にも検査に入られたということを聞いておりますけれども検査報告にはそれが掲記されておりませんけれども、その内容がわかったら教えていただきたいと思います。
  80. 松田賢一

    説明員松田賢一君) まず、いま御指摘の古川小学校事業につきまして、五十年度検査報告の概要を御説明申し上げます。  この事業は、城陽市が、地元の財団法人山城学校建設公社、これに四十八年六月に依頼して先行取得させました鉄筋コンクリートづくりの校舎二千五百九平米を五十年度に買収したものでありまして、これに五十年度国庫補助金一億三千百十三万六千円が支出されておるわけでございます。そして、この校舎の建設業務はすべて同市が同公社の委託を受けまして施行することとしておりました。そして、城陽市では、建築確認を受けた設計図書のとおり施工されているというふうにして処理しておったわけでございます。  これにつきまして、私どもは五十一年の七月に検査に参りまして、その結果、実際は、いま申し上げました建築確認を受けた設計図書と設計内容の相違する設計図、これによって施工されておった。ちょっと内容を申し上げますと、当初の設計図では、柱及びはりの鉄筋は総量二百三十トン、これを配筋することになっていたのに百五十五トン程度を配筋することになっておると。あるいは耐震壁及び床版の配筋間隔が非常に大きくなっておる、あいていると。そういったことなど施工が不良であった。そういうために、構造各部の強度が著しく低いものになっていると認められたわけでございます。このため、はり及び床版、そういったところにたわみが出たり、あるいははり、耐震壁及び床版のコンクリートに深い亀裂が多数生じておった状況でございまして、したがいまして、これは補助の目的を達してない、施工不良のものであるという指摘をしたわけでございます。  先ほど先生が、四十九年度に、と言われましたですが、それは、前にやはり、これは四十九年の四月にできておりますので、行ったときに、どうもおかしいという印象を得て帰ってきておったようでございます。実際の検査は五十年度検査として五十一年の七月に行った検査でいまの結果が出たものでございます。
  81. 田代富士男

    田代富士男君 いま、会計検査院からいろいろお話がございまして、二百三十トンの鉄骨が必要なのに百五十五トンであるとか、また間隔があき過ぎているとか、いろいろありましたけれども、私はここにその設計図を持っておりますけれども、この設計図によりますと、まずこの設計図は不二設計というところで設計をされておりますけれども、それ以外のところで設計されたものによって施工されている。まあそういうようなところで、設計図というものが最初の設計図と違ったようなことがなされて、いまの鉄筋のトン数の使用量の問題がありましたけれども、たとえば柱が、一番最初の設計図によりましたら十六本の柱を使わなくちゃならないところが十二本の柱しか使われていないとか、このように、手抜き工事といいますか、こういうことが行われている。特にこれは学校という、児童の安全を第一にしなくてはならない施設でありますし、このようなことが行われてよいのか。  特に建築士法の第二十条でございますか、二十条には、このような設計図をつくる場合にはちゃんと設計者の氏名を書かなくちゃならないように指定されておりますが、裏設計のこの部分には設計者の記名がなされていない。こういうものによって施工されているという、これは許すことのできないことでございますが、そういうことを考えますと、建築士法第二十条の違反に当たるのではないかと思うわけなんです。また、このようにそういう設計者の記名もないような設計図で行われるということは、最初の設計をした人の承諾を得てない、得られてないとするならば、これは建築士法の第十九条の違反ではないかと思いますけれども、そこらあたりは会計検査院としてどのように掌握されていらっしゃるのでしょうか。
  82. 松田賢一

    説明員松田賢一君) ただいま先生指摘建築士法の点につきましては、そこまで私ども検討いたしておりません。ただ、現場の検査の際に、これの発見の端緒といいますか、これは、鉄筋工事の施工というものについて工事途中の写真、記録写真、これを見せてもらったわけです。その写真に出ているところと、それからいま先ほど先生おっしゃいました当初の設計図、これと見比べてみますと、どうも違う、これはおかしいのじゃないかと、そういうところで、じゃ何に基づいてやったのだというところで追及をして、現地における調査官が追及しまして、その結果、別途にこういう設計をしているのだと、こういう図面によってやったのだということが発見されたわけでございまして、それで、まあ裏設計といいますか、その図面においてやられておるということをいろいろな資料で確認いたしまして、そして、そのような状態ではこの工事はだめであるというふうな判定をしてきたわけでございまして、いまおっしゃったような建築士法の条文についてどうだということについては、私ども検討いたしておりません。
  83. 田代富士男

    田代富士男君 いま私、申し上げましたとおりに、この図面によりますと、三階の一番柱の主な主筋といいますか、これが十六本ということが設計されておりますが、裏図面では十二本、それから、二階の一番柱が主筋が十六本のところが八本、こういうようなずさんなやり方をしておりますけれども、こういうことに対して、指導監督も必要な建設省としましては、こういう事実をまず掌握していらっしゃるのか、そしてどのように対処されたのか、お願いいたします。
  84. 大田敏彦

    説明員(大田敏彦君) この件につきましては、昨年会計検査院の御指摘がございまして、早速京都府の報告を受けまして、その事実等を確めたわけでございます。そして、本来なれば、先生指摘のとおり、設計変更する場合にはそれぞれ建築士法あるいは建築基準法の正当の手続を経まして、それが安全かどうかを確めた上で施工さるべきことでございまして、これは全くそういったことをやっておらない違法なものであるというふうに判定しまして、とにかく実態はどうかということで府と相談しまして、それでは京都大学のしかるべきところに耐震診断をお願いするということで、精密な診断を受けました結果、どうもこれは危ないという結果になりまして、府と市と相談した結果、一応これは取り壊すと、そして新たに設計を起こして十分なものに建て直すということになったわけでございます。
  85. 田代富士男

    田代富士男君 そういうようないろいろな事実というものが明らかになって取り壊されたということでございますが、これはいまもお話がありました、こういうことを踏まえまして、この学校をつくるべく補助金を出したのは文部省でございますが、文部省としてこの事件の概要をどのように掌握されているのか。また、いま建設省も、建物に対しまして、建築研究所等に対してこの検査といいますか、それをやっていただいた結果、取り壊すという結論を出されましたが、地元の京都の城陽市といたしましても、これは京都大学建築科の専門家に見てもらった、その結果というものが出ておりますが、そういうことを踏まえて文部省としてどのようにこれを掌握し、対処されたのか。
  86. 三角哲生

    説明員三角哲生君) 文部省といたしましては、ただいま先生指摘の古川小学校校舎建築につきまして、五十一年の三月三十一日に、そのうちの約二千五百平方メートルを、城陽市が建物の当初の取得をいたしました山城学校建設公社、財団法人でありますが、ここから買収することになりましたので、国庫補助金交付したのでございます。国庫補助金の金額は一億三千百十三万六千円でございます。  で、先ほど会計検査院の方から御説明ございましたように、その後会計検査院の実地調査がございまして、先ほどもお話にございました建築確認を受けた設計図と異なった施工図により施工しておって、柱、はりの鉄筋量を減じておりましたり、鉄筋間隔を広くしておる等適正な施工とは認められないので、検査院としてはその後も調査を続行されまして、そうして五十一年の十月十三日に会計検査院の方から照会をちょうだいいたしております。そしてこれに対しまして、文部省といたしましては、同年十一月一日に、京都府及び城陽市におきまして、補強設計に必要な資料の収集等の必要もありまして、構造、耐力等について調査をしておるので、文部省におきましても、これら設置者等の検討と相まって検討をいたしまして、補助目的を達成するために、補強なり、あるいは代替の建物建築する等の処置を早急にとるというふうに態度を決めまして、その旨を会計検査院あてに回答いたした次第でございます。  そういたしまして、その後の状況といたしまして私どもが把握しておりますのは、五十二年五月九日になりまして、京都府知事より城陽市長に対しまして、建物の使用禁止、それから構造上の安全確保のための是正措置について命令が発せられたわけでございます。  概要について申し上げますとそういった経緯がございまして、是正措置の命令が出ましたにつきましては、私ども補助を行いました文部省といたしましては、この問題につきましてはまあ補助金を返還させるかどうかといったような点についても検討いたした次第でございますが、できるだけ当該の市として、安全な校舎を実質的に確保されるということで当初の補助の目的を達成したいという判断から、市に対して当該校舎の補修工事を行うよう指導したわけでございますが、それに基づきまして市で検討を行いました結果、期日的には補修工事を行うことも可能でございましたが、諸般の事情から全面改築を行うということで、全面改築が行われることになりまして、本年末までに完成をすべく目下建築中であるという状況でございます。
  87. 田代富士男

    田代富士男君 そこで、建てた学校校舎をつぶして再び建てなくちゃならないという、こういうことが現実に起こったわけなんです。そこで私は、最初に建築基準法の内容についてお尋ねをしたいと思います。  建築基準法の第七条二項の竣工検査ところにいろいろ書かれてありますけれども、ここでは、実地確認のための破壊検査までを行う必要はないということが慣例的にされておりますけれども、いま城陽市の古川小学校校舎が建って壊さなくちゃならなくなったという、そういうことも考えまして、もし破壊検査をしていたならばこういうことにはならなくて済んだのではないかと思われるわけなんです。そういう意味から、破壊検査を必要ないとすることは、いま申すような、隠れて見えなくなるところの基礎配筋等の確認が不徹底に終わるわけなんです。そういう意味におきまして、この建築基準法第七条二項には竣工検査のことが規定してありますけれども、この事例をいままでどおりに放置するならば、第二第三の古川小学校のこういう問題というものが起きてくるのではないかと思いますが、建設省としていかがお考えでございましょうか。
  88. 大田敏彦

    説明員(大田敏彦君) 御指摘のとおりでございまして、私ども地方におきます人員が十分ございますれば、できるだけ竣工検査の場合隠れてしまう部分、そういったものを中間検査で補完するようにということは言っておりますけれども、なかなか人員その他の点で思うに任せません。それで、そのままで放置するわけにもまいりませんので、できますれば工事監理者あるいは施工業者から、必要な段階におきまして、たとえば基礎の配筋とか、柱、壁の配筋、そういったところの写真をちゃんと保存しておいてもらうとか、あるいはコンクリートの強度試験の結果を報告してもらうとか、そういうふうなことを事実やっている府県もございますけれども、まだ統一的にやっておりません。今回の事件を反省しまして、そういったことを何か統一的にマニュアル的なものをつくりまして、全国の行政庁にひとつ励行してもらおうということを考えております。  なお、目視で確認できませんような配筋等につきましては、今後いろいろな機器が開発されるものと思いますので、そういった表からいろいろなことで探知できるような機器の整備もひとつ考えてみたい、このように考えております。
  89. 田代富士男

    田代富士男君 いま御答弁の中にもありましたとおりに、人員が少ないから思うに任せなかったと、そういうこともありますが、理由もわからないわけではありませんが、そういう意味から、工事監理者なり、そういうしかるべき人から、基礎配筋の写真だとかそういうもの、あるいはコンクリートの試験等のそういうものを提出していただいたならばありがたいし、それにかわるべき何らかのものを建設省としても取り組んでいきたいという御答弁でありますから、私はあえて申し上げるならば、いま申すとおりに、竣工検査が不徹底であるならば中間検査を義務づけるようにしたらどうなのかと、私はこれを主張したい。それと同時に、また人員が思うに任すわけにいかないということでございますから、建築主事、これがいま申されるとおりにこういう物件に比しまして非常に少ないと、こういう意味から、都道府県及び二十五万以上の市に置かれなくちゃならない建築主事でありますけれども、これも地方公共団体に設置しなくてはならないというように義務づけたらどうであろうかと、こういう考え方でございます。そういう意味におきまして、建築基準法上の検査を補完するためにも、いま制度的なそういう位置づけといいますか、そういうものを具体化をしたらどうかと思いますが、いまの建設省としての御答弁をいただいたことと私は相通ずる点があると思いますけれども、この点どうですか。
  90. 大田敏彦

    説明員(大田敏彦君) まずこういったことをなくするためには、やはり監視する目を広げることが最大の眼目でございまして、そのために人口二十五万以上の都市には必ず建築主事を置くことになっておりますけれども、われわれはそれに満足せずに、十万あるいは五万の市でもどんどん権限をおろすように、そういうふうにいま指導中でございまして、来年の四月には二百行政庁が誕生するようなかっこうになっております。法律で義務づけるか、あるいはそういうふうなお互いの協議でもってふやすか、いろいろやり方はあろうと思いますが、そういう方向でやっておることには間違いございません。ちなみに、現在ではこういった仕事に従事している人間は補助員も含めて六千名何がしでございまして、それが年間百四十五万件の確認申請をこなしております。非常に多忙でございまして、そういった段階で中間検査を義務づけるということはなかなか至難のわざではなかろうかと、こういうふうに思っておりますので、一方自治省等にもお願いして、交付税の算定基準にもぜひそういったことを盛り込んでいただくという努力はいたしておりますけれども、やはり情勢を見ながら、できるところからやってまいりたいというふうな感じでおります。
  91. 田代富士男

    田代富士男君 私はいま中間検査の問題の義務づけということを申し上げましたけれども、これは古川小学校学校校舎が建ったと、それだけにも大変な費用が要っております。いま御説明があったとおりです。それがつぶされてまた建てなくちゃならない。その場合に、中間検査というものが義務づけられていたならば、これは建て直しをしなくても未然に防げたと思うんです。この点どうなんですか。
  92. 大田敏彦

    説明員(大田敏彦君) まず本件に関して言いますれば、確かに建築主事が中間検査に行っておりますれば発見できたことでございますが、私どもやはり別の法律で、たとえば建築士法で、こういった重要な建物には必ず資格のある建築士が設計をし、工事監理をし、またそれぞれ許可を得た建設業者がやると、それぞれ法律の遵守義務とか、ちゃんと設計図書、仕様書どおりにやるというふうなそれぞれの裏打ちをもちましてやっておりますもので、ある程度御信頼申し上げているというふうな点もございました。でございますので、確かに中間検査を義務づけるということもございましょうけれども、先ほど申しましたように、途中過程におけるいろいろな証拠物件、そういうものを出していただくことを都道府県の規則なり何なりで今後制度的に決めてまいりたいと、こういうふうに考えております。
  93. 田代富士男

    田代富士男君 お尋ねしますけれども、発注者の地方公共団体がありますね、それと施工者の間で契約書を取り交わすわけなんです。そのときに、いま私が問題に供しております中間検査の問題には触れてないのかどうか、あるいはそういうような条例等ではこういう問題をどのように扱われておるのか、その点どうですか。
  94. 大田敏彦

    説明員(大田敏彦君) 発注者と施工業者との間におきますいろいろな諸検査は、これは発注者と施工業者との間で、たとえば工事監理者の検査によって出来高を払うとか、あるいはお役所の検査で出来高払いをするとか、そういうことが約束されているかと思います。  一方、建築基準法は、そういった契約の問題とは別にしまして、建築基準法その他の法令に適合しているかどうかを見るわけでございまして、その点若干違うかと思います。
  95. 田代富士男

    田代富士男君 いずれにいたしましても、いま現実に一つの大きな学校校舎というものが建築されてつぶされたと。またこの学校というものは、生徒が利用するだけでなくして、たとえば災害等が起きました場合には避難所になるわけなんです。その避難所になるべきところが安全性が保たれていないということになりますならば、その災害の最中にまた複合災害といいますか、そこに大きな事故が起きるという、こういう危険性が含まれるのですから、あくまでもこういう公共施設というもの、特に児童教育の場に必要なそういうところは安全性が第一にやられねばならない。しかし、この古川小学校のような手抜き工事がなされたということは許されるべきものではないわけです。  しかし、現実には手抜き工事のままに竣工検査が完了したということは事実でございます。こうなりますと、これはまた別の意味の問題になります。建築規準法あるいは建築士法の問題からいろいろな問題があるわけなんですから、私は民間の住宅までとも言いたいですけれども、せめてこのような公共的な建物は、いま申すとおりに災害のときと、そういうこともこれあり、この問題については、構造上の安全確認というものは十分にチェックしなくてはならないのではないかと思うわけなんです。  そういう意味から考えますと、建築申請における建築構造あるいは使用資材等の詳細なチェック、あるいは建築過程におきます私がいま申しております中間検査確認の制度化の徹底、また報告書を求める場合の写真等の実証ですか、そういうものの証拠の活用といいますか、こういうものも必要でしょうし、竣工検査におきます必要に応じての破壊検査実施というものも、これは再びそういう事故を起こさないため、特に公共施設の場合は構造上の安全確認のためにも必要ではないでしょうか。それらの検査をするための建築主事の増員というもの、また検査のための費用の助成というものもこれは当然必要ではないかと思いますけれども、こういうことに対してはいかがでございましょうか。
  96. 大田敏彦

    説明員(大田敏彦君) 全く先生の御指摘のとおりでございます。ただ、破壊検査の点にいきますとちょっとむずかしい点があるかと思います。やはり建築主といろいろ相談しまして、費用の負担をどうする、改修をどうするというふうなことが絡まりますので、なるべくそういうものは新しい機械を開発しながら、表からわかるというふうなことでやりたいと思います。  その他の点については全く御指摘のとおりだと思います。
  97. 田代富士男

    田代富士男君 そこで、いま私は具体的な事実を建設省からいろいろ質疑を通じて明らかにいたしましたけれども、しかし、このような古川小学校校舎建築に対しまして補助金を出されたのは文部省なんです。補助金適正化法というものがございますけれども、その趣旨というものはそもそもどういう趣旨になっておるのか、また、補助金に対する基本的な考え方というものはどのように思っていらっしゃるのか、文部省からお尋ねしたいと思います。
  98. 三角哲生

    説明員三角哲生君) 補助金趣旨という御質問でございますが、私どもは義務教育が充実した形で実施されるように、国費の基準の許す範囲内で補助を行いまして、安全でりっぱな学校建築というものができ上がっていくということを望んでおるわけでございます。
  99. 田代富士男

    田代富士男君 まあ、私は基本的な姿勢をお聞きしたいんですが、この補助金等に係る予算執行適正化法案の中の第三条にもそういう精神がありますが、大臣、この第三条をどのようにお考えになっていらっしゃるでしょうか、文部大臣にお尋ねします。
  100. 砂田重民

    国務大臣砂田重民君) 義務教育施設に対しましての国の責任と申しますか、国も予算で許された範囲、法律に基づきましてその責任を果たす、そしてその使われます金は、原資はまさに国民の血税でございますから、公正、適格のものでなければならない、さように解しております。
  101. 田代富士男

    田代富士男君 いまさっき局長から御説明がございましたけれども、結果的には地震が起きた場合には大変な状態になるということは、建設省は建築研究所を通じて、また地元は京都大学建築の専門家を通じてそういう調査をしてもらって結論が出ております。こういうようなところに、いまさきの局長の答弁では、安全の趣旨を達成することができる見込みがあったから補助金をそのままにしたというような意味の御答弁でございましたけれども、私はこれは納得できないと思いますが、なぜこういうようなところ補助金交付したのかと思うんですが、どうですか。
  102. 三角哲生

    説明員三角哲生君) 補助金交付いたしました時期的な関係、前後関係は先ほど御説明申し上げたとおりでございますが、その後に非常に不備な建築である、建築基準法違反の建築であるということがわかったわけでございます。でございますから、先生指摘適正化法によりますれば、当該の補助金交付決定を取り消しましたり、あるいは返還させるということもできたわけでございまして、考え方によりますとその方が通例の方法であったかというふうにも思うわけでございます。  ただ、当時の調査といたしましては、この当該建物を補修工事を行って強度のあるものにするという方法も可能でございましたし、あるいは現在やっておりますようにすっかり建て直すという方法もあったわけでございますが、当時としては、文部省といたしましては、やはり安全な校舎、せっかくできました校舎をより安全な形で確保していただくということがもしできますれば、補助金交付決定の内容に適合していない事態が直される、それによって補助の目的が達成されるという判断もございまして、市に対しまして当該校舎の補修工事を行うように指導したわけでございます。  そこで、市としては検討をしたわけでございますが、やはりいろいろな事情で全面改築ということに踏み切ったのでございますが、それにはいろいろな理由があったかと思いますが、一つには、補強設計のためにやはり改めて破壊調査等を行う必要がございまして、かなりの日数を必要とします上に、建築確認にも相当な日数が見込まれる。第二には、この補強工事にやはり一年程度の日数が必要なために、むしろ新築の場合の工期は約八カ月ということでございましたので、かえって長い日数が必要でございますので、児童の安全確保の上からも好ましくない。  それから補強工事をいたします場合も、全面改築とほとんど同じ程度の経費がかかる、約二億五千万というふうに承知しておりますが、そういったことを総合的に市として判断いたしまして全面改築を行うというふうに決めまして、そして、文部省に対しまして、当初つくりました校舎の、補助金を受けてつくりました校舎の取り壊し処分の承認申請を求めてまいったわけでございます。  文部省といたしましても、そういう全面改築による方法が、当初ここに学校を新設するという補助目的を達成させるために、その時点、こういった経緯からして適切であるというふうに判断いたしましてこの取り壊し処分の申請を承認することといたしたと、そういう経緯でございます。  なおもし、当初の交付決定を取り消しまして補助金を返還させました場合には、一応その時点で国と当該市との国庫負担関係に基づく法律関係はそこでとぎれてしまうことになりますので、市が果たして新たにすぐに校舎建築、全面改築を行うかどうかはもっぱら市だけの判断に属することになりまして、早急に校舎建築されるということの保証が得られないことにもなりますし、文部省といたしましては、なるべく早く教育現場に適切な校舎を確保すると、それが望ましいという観点から、全面改築という解決策によりましてそもそもの補助目的に実質的に適合させることとしたいという市の方針と申しますか、方法を承認したという次第でございます。
  103. 田代富士男

    田代富士男君 いま局長るる御答弁をいただいたわけなんですけれども補助金適正化法の第十六条、これにはもう御承知のとおりに、「補助金等の交付の決定の内容及びこれに附した条件に適合しないと認めるときは、当該補助事業等につき、これに適合させるための措置をとるべきことを」と、ずっと書いてございますけれども、この十六条では是正さすことができるわけなんです。そして、十七条では、「各省庁の長は、補助事業者等が、補助金等の他の用途への使用を」と、またずっと書いてございまして、決定の取り消しということをやることができるようになっておりますが、私はいま局長言われたけれども、もっとこれは厳しく対処すべきではなかったかと思うわけなんです。この点はどうですか。  それと同時に、これはいま古川小学校のことだけを私申し上げましたけれども、この山城学校建設公社というところにおいてほかにも小学校が幾つか建てられております。じゃ古川小学校だけがこういうことであったのか、この山城学校建設公社によって建てられたほかの学校は問題なしとされているのか、そこらあたり、文部省としてどのように掌握されていらっしゃいますか。
  104. 三角哲生

    説明員三角哲生君) もっと厳しくという御指摘でございまして、私どもも、先ほど大臣からも御答弁申し上げましたように、国民の負担する国費で賄われる税金によります補助金でございますから、これの執行の厳正を確保するということについては厳しい態度で臨まなければならないことは当然であると存じております。しかしながら、本件の具体的問題といたしましては、先ほど御説明申し上げましたように、市側におきましてもまるまる建て直すという非常な負担をいたしまして全面改築ということでございまして、それができますればその学校に通学する児童にとっても望ましいことでございますので、先ほど御説明申し上げましたような方針で対処をしたわけでございます。  なお、次の御質問にございました、城陽市におきます山城学校建設公社が行いました立てかえ施行でございますが、ただいま私どもの調べでわかっておりますのは、四十八年度にはこの古川小学校のほかに、西城陽中学校建築を、立てかえ施行を行っております。それから、四十九年度には同じ西城陽中学校の、恐らく継続工事だと思いますが、一部分と、それから同じく古川小学校の一部分、それから深谷小学校というものの立てかえ施行を行っております。それから、五十年、五十一年度には寺田南小学校の施行を行っておるようでございます。  なお、古川小学校の施工を行いました大信建設株式会社の施工は古川小学校のみというふうに承知しております。  私どもは、この古川小学校のことが問題になりました後に、京都府に対しまして、同じ建設公社が立てかえ施行をいたしました他の学校につきましても現地の調査を実施するように、必要によりましては府の建築課とも相談し、協力を得た上で実施していただくように求めておったわけでございますが、これがまだ実施されていないようでございますので、再度要請をしてまいりたいと、そういうふうに存じております。
  105. 田代富士男

    田代富士男君 いま文部省の立場から御返事をいただきましたけれども、これは調査すべきものは調査をしていただきたいと思います。それと同時に、会計検査院といたしまして現在建てかえ工事が行われていることに対しましてどのような見解を持っていらっしゃるのか、お聞かせいただきたいと思います。
  106. 松田賢一

    説明員松田賢一君) 私ども補助事業の結果についての指摘は、いわばその事態指摘するにとどまるわけでございまして、その後のそれをいかにするか、返還させるかあるいは建てかえでもって補助の目的を達成させるか、これは行政庁の方の判断に任されております。われわれはその報告を受けて、果たしてその処置がとられたかどうか、これは監視しているところでございます。
  107. 田代富士男

    田代富士男君 そこで、私はこれは文部省としてお考えいただきたいことは、確かに手続上いろいろ正当な手続をやっている。まあ建築基準法にも不備があったというような面もいま浮き彫りにされたけれども、ここで文部省とするならば検査済み証を信頼して補助金交付もしたということで、じゃ建設省がこういう検査済み証を発行しているじゃないかというような言い分も言いたいでしょうけれども、しかし、これだけの大きな校舎を、建てた新しいままのものを壊さなくてはならない、こういうことになった。これはこのまま放置しておるならば二の舞を繰り返すことになりますから、文部省といたしましては何らかの防ぐ方法を持たねばなりませんし、前車の轍を踏まないためにもこの古川小学校の事件が起きた後、このように未然に事故を防ぐためにやってまいりますというような対策を考えられたのか、そういうものがあったならばお教え願いたいと思います。
  108. 三角哲生

    説明員三角哲生君) 学校建物がきちんと法律上も十分な条件を満たすように建設されなければならない、それでそれのためにはあらゆる可能な方法を用いてそのことが達成されるようにすべきであるということにつきましては、先生仰せのとおりであると思っております。  ただ、先ほど建設省側からも御説明ございましたように、現在の制度といたしましては、建築基準法その他の関係のシステムがございまして、確かに私どももその制度によって学校建築実施というものが推進されるように措置をしておるわけでございます。やはり同じ政府部内での分担ということで、何も文部省がただ単純に他のシステムにおんぶするという意味ではございませんが、システムとしてできておるというのが現在の状況でございます。  ただ、御指摘のように、せっかくの大きな工事が、たとえ非常に特別のケースでございましょうとも——まあ私どもこういう事情を生じたのはほとんど初めてということなのでございます。それにいたしましても非常に遺憾なことでございます。私どもといたしましては、学校施設の関係者会議を通じまして、都道府県教育委員会から学校建物の確認検査等について一層の配慮をしていただきますように、都道府県建築行政当局にこれまで以上にいろいろと手厚くやっていただきますようにお願いをするように指導をいたしております。  それからまた、本件のように、実は先生承知と存じますが、私どもがこういった違反の建築であるという事実を調査によって承知いたします前に、学校建築をめぐる汚職等の特異な事例が発生したわけでございますが、このような場合には、やはりそういう事実を知った場合には早急に現場調査等を行いまして、やはり技術的観点からも不審な点があれば、これまた都道府県建築行政当局と連絡をとりまして適切な措置がとられるように、都道府県教育委員会指導してまいりたいと思っておる次第でございます。
  109. 田代富士男

    田代富士男君 警察庁の方お見えでございますね。——いま私ずっと質問をしてまいりましたけれども、この古川小学校校舎建設にまつわる一連の事件が現地で起きていると思いますけれども、この事件に関係した人の処分とか、そういう経過とか、簡単にわかりましたならば御説明を願いたいと思います。
  110. 加藤晶

    説明員(加藤晶君) お尋ねの、城陽市職員らの小学校建設工事その他住宅、水道工事等の都市開発事業をめぐりましての贈収賄事件につきましてお答えいたします。  この事件につきまして、京都府警察におきまして、五十一年二月の二十六日から同年七月二十日までの間に捜査を行いまして、収賄被疑者として当時城陽市助役木梨宗一、同じく城陽市総務部長下村義武、同じく城陽市水道部工務課長池本英男外六名の同市職員らを検挙いたしますとともに、贈賄被疑者といたしまして、大信建設株式会社代表取締役吉岡秋男、佐藤工業株式会社大阪支店大津出張所長宮間栄一、大成建設株式会社京都支店営業課長泉川一郎外八名を検挙をいたしまして、五十一年の七月二十日までにこれらの事件を京都地方検察庁に立件送致して捜査を終わっておるというところでございます。
  111. 田代富士男

    田代富士男君 その捜査の段階におきまして、いまさっきから私ちょっと質問をしておりましたが、補助金適正化法のそういうような違反の疑いはなかったのかということも私は知りたいわけなんですが、そういうことも検討されたんでしょうか、どうでしょうか。
  112. 加藤晶

    説明員(加藤晶君) 本件の捜査におきまして、贈収賄事件についてはただいまお答え申し上げたとおりでございますけれども、いわゆる補助金適正化法違反の容疑があって捜査をしたという報告は受けておりません。
  113. 田代富士男

    田代富士男君 また、いま私は、山城学校建設公社が建設に直接当たったのは古川小学校以外にもあったはずだと、そういうことで調査を依頼しているけれども、調査が進んでいないというような文部省の答弁でございましたけれども、こういうようなことに対しましては警察庁としてどのような見解でいらっしゃるんでしょうか。
  114. 加藤晶

    説明員(加藤晶君) 当時の捜査段階では、いわゆるこの補助金適正化法違反ということについて具体的な容疑が浮かんでおらなかったんだろうと思います。ただ、いま御議論、御指摘の点やら、若干私どもの方で報告を受けましたところから、そういういまの時点で判断いたしますると、この補助金適正化法違反といいますか、まあ罰則のかかる部分についての事案というものはちょっと消極なんじゃなかろうかと思うわけでございます。当時、この学校建設に絡んでの贈収賄事件でございますので、恐らく前提事実といいますか、先行事実といいますか、そういうふうなことで学校建設関係について基礎的な調査をしたと思いますけれども、その段階ではこういうふうなものは浮かんでおらなかったというふうに思います。
  115. 田代富士男

    田代富士男君 もう時間が余りありませんから次に進みますが、文部大臣、最近御就任されたところでございますけれども、いまの質疑を通じて概略の内容はおわかりいただいたかと思いますけれども、そういう公共施設というものは安全ということが大事でなくちゃならないけれども、建てた学校校舎をつぶさなくちゃならない、こういうところで児童の教育が行われていたという、これを指導監督する文部大臣として、いまの大臣のときではございませんけれども文部省といたしましてはこういうことは許してよいのかどうか、これは大きい責任があるんではないかと思いますが、どうでしょうか。
  116. 砂田重民

    国務大臣砂田重民君) まさに責任を痛感をするものでございます。お話を承っておりまして、当初この古川小学校文部省が国庫補助交付をいたします決定をいたしましたのは五十年九月十二日でございます。その前年の四十九年の四月十五日から、京都府の土木建築部の建築課より検査済み証の交付を受けて、四十九年四月十五日に使用を開始したわけでございます。このときの国庫補助交付は、手続的には全部済んだ上で補助を決定をいたしておりますので、私はこの交付そのものはいたし方ない、当然の手続を踏んでやったことだと考えます。それが一つであります。  それから、その後贈収賄事件等がございまして、五十一年の七月に会計検査院検査をなさって、先ほどから田代委員指摘のような非常に危険なものであるということが判明をいたしました。その後に文部省がとりました、返還を命ずるのではなくて、これは建て直して初めの国庫補助目的に沿ったものに改めさせる、そこは行政判断で、その当時の責任者がやったことでございます。  ただ、お話を承っておりまして、一般的に申しますと、文部省所管の補助事業実施等、その適正を期するためには努力はしておりますけれども、非常に大きな責任を私はただいま御質疑を承って感じたわけでございます。特に、この古川小学校に限定して申しますならば、子供たちが勉強する場所が非常な危険な状態であった。その他にもこの公社が学校を建設をしております。大変な心配を私も持つものでございますが、京都府の教育委員会に、他の学校についての調査を依頼をいたしておりますけれども、その回答をいまだに得ていない、まことに心外の至りでございます。重ねて京都府の教育委員会にその旨再調査を強くお願いをいたすことにいたしたいと思います。
  117. 田代富士男

    田代富士男君 で、文部大臣、私は、建物はそういう悪かったためにつぶして建て直す、建物は復元するかわかりません。しかし、そこで勉強している児童に与えた教育的な影響というものはどうすることもできないものがある。  ここに、「城陽」という、これは市が発行している広報があります。ここに、小学生の載せた作文があります。これを読んでみます。六年生の男子です。「このごろテレビのカメラマンの人がよく来る。古川小学校の手抜き工事のことで来る。ぼくもみんなと同じようにテレビなどに写りたいと思っているけれど、本当はいやだなあと思っている。市長さんはなぜこんなことをしたんだろう。同じ建てるんだったら初めからちゃんと建てたらよかったのにと思う。ちゃんと建てておいたら、建て直しのお金も要らない。学校の建てかえなどは日本の国に絶対ないようにしなければときつく思う。」と、これは六年生の男子です。市の発行の広報です。この児童に与えた教育的影響というものは、これはぬぐい去ることができないと思うんですが、大臣、どうですか。
  118. 砂田重民

    国務大臣砂田重民君) おっしゃるとおりでございます。汚職事件などが起こったりいたしまして、現場の監督者等、必ずしも職務に忠実でなかった、と申すよりは、まことに非忠実であったと言わなければなりません。そのことによりまして児童たちに与えました非常な心の打撃は、非常に心の痛む思いが私もいたすわけでございます。その点は非常に強く責任を痛感をいたしますので、厳重に京都府教育委員会指導をいたしまして、他の学校についての調査も重ねて要請をしてまいりたい、かように思います。
  119. 田代富士男

    田代富士男君 そこで、いまさっき局長が、古川小学校のこういうものは初めてでございましたと、こういう御答弁をされたわけなんですが、ちょうど十二月の十四日に会計検査院から五十一年度決算検査報告が発表されましたけれども、その中で文部省に関する不当事項というものが発表されております。この件、まず会計検査院から簡単に、時間も余りありませんから、御説明願えないでしょうか。
  120. 松田賢一

    説明員松田賢一君) 五十一年度文部省交付しました公立文教施設整備費等国庫補助金につきまして、本院では二十九都府県検査実施いたしました。このうち、茨城県ほか五府県の六事業主体におきます六補助事業におきまして、国庫補助金交付額一億二千五百六十九万余円、その経理におきまして、態様を分けますと、補助事業適用を誤っていたもの三事業でございます。それから、工事の施工が不良となっていたもの一事業でございます。これは、災害復旧の工事でございます。それから第三の態様としまして、補助対象とは認められないものを含めて事業実施したもの、これが一事業ございまして、さらに事業費を過大に精算していたもの、これが一事業ございます。総計で国庫補助金千五百九十六万二千円、この経理が不当だと認められまして、現在五十一年度決算検査報告に掲記いたしております。
  121. 田代富士男

    田代富士男君 五十一年度決算検査報告にも明らかなように、これは不当事項を省別に考えますと、大蔵省を除けばほかの省の中では一番多い不当事項報告がいまされたわけなんですが、いまから景気回復のために来年度予算は三十兆円を超えるような大型予算が組まれようとしておるわけなんです。ここで公共事業に対する仕事というものは恐らくふえるでありましょうし、こういう学校校舎の建て直しというものは力を入れられると思いますけれども、こういうときに古川小学校のようなことが起きたならばどうなるのかと、私は心配でならないわけなんです。こういう意味から、文部大臣といたしまして、いまの局長は、こういうことは初めてであったとおっしゃるけれども検査院の報告では大蔵省を除けば一番多い不当事項指摘を受けているような、そういうような立場でございますから、大臣といたしまして、それらの今後取り組む決意をお聞きしたいと思います。  以上で私の質問を終わります。
  122. 砂田重民

    国務大臣砂田重民君) 五十一年度におきまして、災害復旧一件を含めます六件の、金額にいたしますと千五百九十六万二千円の指摘を受けたわけでございます。このことはまことに遺憾なことと存じます。今後このようなことのないよう、特に田代委員おっしゃるように、危険校舎の建て直し等力を入れてやってまいらなければなりませんときでありますだけに、事業主体等に対します指導を一層徹底をいたしまして、私ども文部省としても、もう一度その責任について自戒の念を持って進めてまいりたいと考えます。
  123. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 質問に入る前に、きょうは私は大蔵省の主計官の御出席をお願いをしていたのですけれども予算編成のためにどうしても出られないというふうなお話でございます。全くこれはけしからぬ話だと思うのでございます。私は決算委員会は初めて今期参加をしたんですけれども、昨日も厚生省の主管で厚生省の決算委員会をやりましたけれども、その際にも、同僚議員に対する答弁の中で国会軽視の発言があったり、また、御出席をお願いをすると予算編成で忙しいと、こういうことがぬけぬけと言われるというふうなことは、私は許しがたいことだと思うんです。少なくとも決算審議というのは、決算審議によって予算編成に諸問題を生かさなければならない、本来の趣旨から言うて、決算審議というのはもっと重視されるべきだと思うんですけれども国会における決算審議についての軽視、非常にはなはだしいと思います。そういう点で、こういうことが先例になることを最も恐れるわけでございますので、委員長におかれては、こういったことを先例にしないように、これは特に私がお願いをいたしましたのは大蔵省でございますけれども、政府関係当局に対してこれは厳しく究明をしていただきたい。国会の権威を立てる立場から言いましても、これは断じて許しがたいことだと思うんです。その点で、ひとつ委員長からも御見解をお願いをしたいと思います。
  124. 茜ケ久保重光

    委員長茜ケ久保重光君) ただいま沓脱委員から御発言がございました。私も全くそのとおりと思っております。いや、むしろ私自身、決算委員長として沓脱委員以上の実は憤激をしているわけであります。国会軽視というか、決算委員会に対する非常な侮辱であります。そこで与党議員を通じていろいろ折衝しましたが、今回は、いま沓脱委員のおっしゃるように、いろんなことで沓脱委員の御要望にこたえられないという結果になりました。もう事ここに至りましては何らの処置もきょうの段階ではできませんので、私といたしましても、官房長官に、今後各省庁の政府委員が、委員会に対する出席要求があった場合にはいかなる事由があろうとも必ず出席するという確約をとるように努力しますし、またそのように処置をして、今後再び今日のようなことがないような措置をとりたいと、こう思っております。したがいまして、ひとつきょうのところは、沓脱委員、まことに遺憾でありますけれども委員長はそういった処置をいたしますので、御了承いただいて質疑をお願いしたいと、こう思っております。
  125. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 きわめて短い時間をちょうだいしておりますので、きょうは私重要文化財指定の民家の問題について、ごく端的にお伺いをしたいと思います。  重要文化財の中でも、いわゆる建造物、民家の問題ですが、個人所有にかかる重要文化財の民家というのは現在百八十八軒、二百四十二棟ということになっておりますが、これらは文化財保護法によって所有者はいろいろな義務を課せられておるようでございます。これは私も拝見をいたしましたが、所有者のまず心構えというふうなことで、「文化財の所有者その他の関係者は、文化財が貴重な国民的財産であることを自覚し、これを公共のために大切に保存するとともに、できるだけこれを公開する等その文化的活用に努めなければならない。」と。さらには所有者の管理義務というのが三十一条に規定をされておりまして、「重要文化財の所有者は、この法律並びにこれに基づいて発する文部省令及び文化庁長官の指示に従い、重要文化財を管理しなければならない」、また修理についても、「重要文化財の修理は、所有者が行うものとする。」と。さらには「現状変更等の制限」という条項が第四十三条にありまして、その一項に、「重要文化財に関しその現状を変更し、又はその保存に影響を及ぼす行為をしようとするときは、文化庁長官の許可を受けなければならない。」というふうなぐあいで、所有者に対する義務と同時に財産権に対する制限というのが法律で定められておるわけでございます。  ところが、最近大阪で開かれたようでございますが、全国の「重文民家の集い」というのができたわけです。その「重文民家の集い」をつくって、そのときに文化庁長官に対しても御要請が出ておると思います。これによりますと、これはずいぶん控え目な御意見のようですけれども、維持管理費についても、諸物価高騰のために、保存に必要な最低の措置を講ずることもはなはだ困難になってきている現状だと言っておられるわけです。たまたまこの「重文民家の集い」の代表者におなりになった方が、吉村さんとおっしゃるのですが、この方は大阪なんですね。で、その方にお会いをいたしましたが、こう言っているんですよね。国は重文指定をしっ放しで何にもしてくれない、人間で言うたら産みっ放しと一緒だ、よくぞまあ生きてこられたものだと、こう言っているのですね。しかも、最近萩の熊谷家が焼けたのですね。こういう問題があって、もはや個人の力では、守っていくためにはもう限界がきているということで、これは個人個人ではどうにもならないということで集いをつくられて文化庁にも御要請になったわけでございます。私も代表者の吉村邸を拝見をいたしましたが、敷地、建物、家屋ですね。ところがこれが非常に古くて、昭和十二年来国宝に指定されて、そして文化財保護法ができたときに、またさらに重要文化財ということで指定をされたという、非常に歴史の古いお宅でございます。  ところが、そこで私端的にお伺いをしていきたいのですが、まず何といっても日常的には維持管理費の問題というのが非常に大変なんだということです。吉村さんに直接お伺いをいたしましたが、まずその人手を入れるということは、とてもじゃないけれども入れられないので、吉村邸の保存のために人手を入れているというのは年に一回の庭木以外には入れていない。これは非常に御理解いただいている方の御協力をいただいておるので、一回来ていただいて十万円から十数万円そこそこだというのですが、あとは全部家族の労働で賄っているんだと。まあ私ども常識的に見まして、あの程度の庭を一回手入れをして十万円というのは、本当によくぞそういう御協力をしていただけていると思う程度の広さ、また労力が要るであろうと思うわけです。さらにマツクイムシの防除代、これが薬剤費約十万かかる。それから防災設備及び電力料、さらにならし訓練を始終やっておきませんと、さびついておったときには、いざというとき間に合わないので、やはりときどきはならし運転もやっておられるそうですが、そういったガソリン代などを含めまして、年に大体十五万から二十万前後かかる。その他畳だとかふすまの張りかえだとか、あるいは緊急修理ですね、そういうふうなことを含めますと、どんなに切り詰めてみても五十万以上はかかると、こう言っているわけでございます。で、これは御要請にもありますけれどもところがこの点については国から一銭も補助金が出ていない。あんまりひどいなと思うのですね。まさに指定をして産みっ放しでは困るじゃないかと思いますが、これはひとつ政府は管理費の補助をお出しになる御意思を持っておられるのかどうか、ひとつお伺いをしておきたいと思うのです。   〔委員長退席、理事案納勝君着席〕
  126. 犬丸直

    説明員(犬丸直君) ただいま御質問でございました重要文化財の、特に民家でございますが、大変わが国の文化財として貴重なものといたしまして、最近この方面の文化財の保全、修理の事業、その他の関係につきまして大変力を入れておるところでございますが、いままでのところ残念ながら修理あるいは防災施設というような施設面の補助だけでございまして、残念ながら、いま御指摘にございました管理、維持費というものにつきましてはまだ実現を見ておりません。しかし、私どもそういう施設面の整備だけでなくて、そういう維持費につきましても、所有者の方たちが大変な負担を感じておられるということはよく実情を存じ上げております。それで、何とかしてそういった方面にも今後補助の手が伸びるようにいたしたいと検討を続けております。部分的な予算要求等もいたしておりますけれども、まだ残念ながら実現しておらないというのが実情でございます。
  127. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 文化庁はその意思がおありになって概算要求には出しておられますね。これは概算要求を三年越しに出していますね。ここで大蔵省の主計当局の御見解を——何で削っているのかと、概算要求しているのに、お聞きをしたかったわけでございますが、概算要求をしているけれども大蔵当局がいままでは認めなかった、こういうことですね。  で、私は、これは非常に大事な点だと思いますのは、見かねて地方自治体の府県だとかあるいは市や町で乏しい財源の中からでもすでに補助をしておられるというところがございますね。そういうところがあるんですから、これは当然政府としても実現させなきゃならない問題だと思うんです。私が吉村邸へ参りましたときに吉村さんがおっしゃっておられましたのは、あそこでは羽曳野市が年間わずか十万円だけれども御理解をいただいて補助していただいているんだと、五十万そこそこの維持管理費があればいいところに、これは十万円いただくということは非常にありがたいと、せめて政府の方でもそのわずかなお手伝いでもしていただければということですよ、どうですか。
  128. 犬丸直

    説明員(犬丸直君) 重要文化財でございます民家の維持管理費でございますが、これはいろいろな実際に使われましたお金の中で、やはり重要文化財なるがゆえにどうしても要るお金というものをいろいろ検討いたしますといろいろ問題は出てこようかと思います。したがいまして、初めから全面的にということはむずかしいので、重点的に何か項目を選んでということで私ども予算要求しておるわけでございますが、最小限度といたしまして、特に民家の場合カヤぶき屋根でございますね、ああいったものはほうっておきますと大変大きなことになる。それを間にはさんで修理していかなくちゃいけない。そういう修理であるとか、あるいは雪おろしのためのお金であるとか、あるいは先ほどちょっとお触れになりました防災施設ですね、これを点検しなくちゃいけないとか、そういうようなものにつきましては少なくとも何とかいたしたいということで現在努力中でございます。
  129. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 最終的に大臣の御意見も伺いたいのですが、いま雪おろしやらカヤぶきの話が出ましたから、ちょっと話を少し進めたいと思うんですね。で、私、吉村邸へ行ってみて思ったのですが、やっぱり文化財の所有者という誇りとそれから祖先の残された財産だということの愛着で、本当によくぞおやりになっておられるなというふうな管理の仕方をなさってますよ。家族全体が本当に一体になってやっておられる。そうして国民の公共的な財産だということで、公開もしなきゃならぬということのために、わざわざ住まいを敷地内に別棟をお建てになってお住まいになっているんですよ、小さな住まいを。せっかくりっぱなお宅があるんだけれども、指定を受けたばっかりに小さな住まいをつくってお住いになっておられる。そういう中で言っておられる問題点の幾つかを申し上げたいと思うんですがね。  もう一つは、これはいま長官がおっしゃった問題にもなるわけですけれども、こういう家の相続税ですね、これは吉村さんもそういうことになったそうでございますが、相続税の問題というのがこれは全く法律によって義務が課されて、可能な限り公開して、国民的な公共的な文化的遺産として保存せよという義務で自分の思うようにも使われない。ところが相続をするという場合には、全く土地、建物というのは一般的な財産と同じ取り扱いをされている。だから場合によっては一億円以上も相続税を支払わねばならないというふうなことまで出てくる。  それで、もう一つは補修費ですね、補修費の問題も同じことなんですね。保存修理の問題もそうなんですが、保存修理の問題についてもこれは国庫補助をいま長官おっしゃったようにやっておやりになるんですが、いまのところ、文化庁でお伺いをしたところでは国の補助金というのは平均八五%で、残りの三分の一ずつが府県と市町村と個人ということになっておるそうでございます。ところが、解体修理などということになれば一億を超すというふうになりますので、その率であっても、一億の中でも、五%個人負担になっても五百万ということになって、これは大変な問題だと。金額が大変な問題ということであると同時に、これに要した費用が所得税からの控除の対象になっていない、控除額の。ですから、もう本当に守らなきゃならないし、当主が死んで相続をするというたら、これは本当に子孫が愛着を持って、誇りを持って守っていけるかということになると、これはなかなか相続税の問題がどうなるかわからない。解体修理でも保存修理でもやらなきやならぬということになると、金は何とか工面してもこの金にまた税金がかかってくる。公共的な国民的財産としての義務も課せられているし、われわれもそのつもりで、本当に誇りを持ってできるだけ文化財として保存をしていくためにあらゆる犠牲を忍んででもこれは保存していきたいという立場で守っているけれども、せめてそのくらいの相続税についての特例とかあるいは所得税についての特例というふうなものをぜひ認めてもらえないんだろうか。  そういう点、補修費だって政府がお出しいただくいわゆる割合負担だけではなしに、さっき出ましたカヤぶきの話でも、傷んできたからということで、修理をしたいということでお届けをすると、あなたの方から調べに来てくれたら差しかえでいいというわけ。ところが、職人を入れてみたら差しかえではこれはあかぬと、全部ふきかえなきゃいかぬでという意見になったら、もう一々手続き簡単じゃないんだからかないませんと。そうするとやむを得ず全部ふきかえるということになったら、文化庁でおっしゃるのは百七十万円ぐらいの差しかえで済んでも、これを全部ふきかえたら三百万なり四百万なりかかる。やむなくそれをやるけれども、これまた所得税の控除対象にならない。もう本当に所有権を持っているばっかりにもろ刃のやいばになっているんだと言っておられましたが、そういう税についての特例措置を進めていくような立場で文化庁はお進めになっておられるかどうか、その点をまずお聞きしたい。
  130. 犬丸直

    説明員(犬丸直君) こういう民家の保存修理につきましての補助金の方は、先生いま御指摘のように、平均八五%、最終的には個人の負担は五%ということで、補助金の制度としては最大限の補助率ではなかろうかと思います。この八五%と申しますのも、平均でございまして、個別の場合の経済状態等に応じまして九〇%、九五%の場合も出てきております。   〔理事案納勝君退席、委員長着席〕  それで、いま一歩を進めるためには、あるいは先生のおっしゃいますようにその個人負担分の税金を軽減してもらうとか、あるいは相続の場合の土地問題とかそういう問題になろうかと思います。しかし、文化庁はいままでこの保存修理の経費の増額、これに一生懸命打ち込んでまいりまして残念ながらまだそこまで手が及んでおりません。しかし、確かにおっしゃるとおり、そういう問題まで考えなければこれは所有者の方たちの熱意にこたえることにならないということでございますので、今後真剣に検討してみたいと思っております。
  131. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 主税局、これね、こういうこの保存修理の問題について所得税の控除対象にするということ。それから、こういう公共的財産と言うんですかね、民族の遺産を保存していくという立場での重文指定の民家の相続税ですね、相続税の免除に対する特例等については、いまはどうなってます、全然ないですか。
  132. 佐藤光夫

    説明員佐藤光夫君) お答えいたします。  ただいま相続税につきまして、重文指定の民家等について何らかの特別措置を講じているということはございません。
  133. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 文化庁が御要請をしてないということだから、大蔵はないんでしょうけれども、これはひとつ文化庁としてもお進めをいただきたいし、特に私、最後に文部大臣に御見解をぜひお聞きをしたいと思いますのは、その税の問題の扱いと、それから冒頭に申し上げました維持管理費ですね、これはたくさんお金要らないと思うんですよ。と言いますのは、重文指定の物件でも、書画骨とうのようなものだったら、きちんと金庫へでも納めておけば、金庫さえきちんと確保しておればそれで保存できるわけですね。しかし、いわゆる敷地、建物などについてはやはり特殊性があると思います。そういう点を十分御理解をいただいて、維持管理費についての補助、それから税に関する特例を設置させていくという点について、ぜひこれは文部大臣、御着任早々でございますけれども、この分野でもひとつ御奮闘いただかなければならないと思いますので、最後に御見解をお伺いしておきたいと思います。
  134. 砂田重民

    国務大臣砂田重民君) 私も新聞で吉村さんの記事を拝見をいたしました。重要文化財民家のその重要性、私も十分認識をいたしておりますし、吉村さんの大変な御苦心も新聞で拝見をいたしました。  先生の御意見一々ごもっともでございまして、保存修理費補助金は単価の点に問題がまだあると思います。それから、維持管理費につきましても、先生おっしゃるように、文化庁は引き続いて予算要求をいたしておりますけれども、実現をいたしておりません。私も主計局が今日出席いたしておりませんのは大変残念でございます。税のことにつきましては、相続の態様が一つ一つ大変こう異なってくると思うんです。それだけに大変むずかしい問題だと思いますけれども、大事なことでございますから、きょうは大蔵の主税は出席しておりますけれども、説得をいたしますのに私たちも税体系上の理論的な武装を十分いたしまして、積極的に取り組む方針でございます。
  135. 神谷信之助

    神谷信之助君 今日いまだに全国の学園で暴力集団が蠢動しているわけであります。これがわが国の学問の自由を破壊をし、民主主義を破壊をし、さらにまた、国際的にも強い非難を浴びている赤軍の彼らの蛮行を起こすその土壌であり、温床である。こういうことは明らかだと思うんですが、しかし、国内全体の中ではそれほど大きな問題になっていない。言うならば社会の盲点になっているんです。その点で、そういう立場から、先般、十一月の二十四日に本院の地方行政委員会で、文部省当局及び警察当局にこの問題についての見解をただしたところであります。きょうは特に京都大学における実情を中心にいたしまして、文部大臣意見を問いたいと思います。  そこで、まず京都大学の現状でありますが、この現状につきまして、先般京都大学の「大学危機突破・学生生活擁護をめざす京大学生連絡会議」という組織が、去る十一月の三日に京大黒書第一弾、これを発表しました。そうしてさらに、十一月の二十八日撮影をいたしましたものによりまして、不法占拠の実態を明らかにしたところの第二弾というのを十二月の十日に発表しております。これは京都府市民に非常に大きな衝撃を与えているわけです。  そこで、委員長にちょっとお順いしたいんですが、時間の関係がありますから、その京大黒書の第一号の全文を記載をいたしました赤旗の十二月四日付の新聞と、それから第二弾の写真集ですね、部数がよけいありませんので、文部省当局と、委員長の方と、それから委員さんに御回覧を願うということをお許しいただきたいんですが、よろしいですか。——それではちょっと皆さんに配ってください。  この赤旗の方で、「これが京大での暴力の実態だ」ということで、学生諸君の組織が調べました。不法占拠は十一カ所であります。ごらんになるとわかりますように、非常に長期間にわたって不法占拠の状態が続いております。それから授業破壊の実態、これが二十一回でありますが、経済学部になりますと、これは九月以降ほとんどの授業ができていない、こういう状況ですね。あるいは自主的に休講措置をとってまともな授業は一つもないと、そういう状況です。それから施設、器物の破壊は十七件、また教官に対する暴力というのは十七件、延べ二十二人の教官に対してなされています。先般地行でやりましたときにも、大学局長が、教官がペンキを塗られるとか水をかけられるとか、そういう暴行を報告しておりますが、そういう暴行事件が続いている。学生に対する暴力は二十八件、多数の学生がこのために負傷し、あるいは入院をせざるを得ないというような実態まで起こっています。これが今日の最近の京大における暴力の実態であります。しかも、不法占拠をしている状況は、十一月二十八日に撮影をしたこの第二弾の写真集でごらんいただけば明らかだと思います。  そこで、まず文部省にお伺いいたしますが、こういう状況になっている点について、文部省はいつごろ御存じになったのか。そしてそれに対してどういう措置をとられたのか、まずこの点お伺いしたいと思います。
  136. 佐野文一郎

    説明員佐野文一郎君) 御指摘の京都大学状況は、率直に申しまして、四十八年の一月十八日に評議会が竹本元助手の処分について審議を開始して以来、京都大学の中に問題として生じてきているものでございます。特に、五十二年の六月十八日に評議会が処分を決定をいたしました。この前後から授業の妨害あるいは占拠等の状況が著しくなってきたものでございます。いわば竹本の処分の後遺症的な状況が端的にあらわれているわけでございます。これらの状況は、もちろん私どもは竹本の処分ということについて重大な関心を持って見守っておりましたし、その処分手続の進行に応じての学内の状況というのは、逐一大学側から報告を受けていたわけでございます。こういった状況が放置されていいものでないことはもとよりでございます。大学側に対して、いわば大学の自治の責任においてこういった状況に的確に対処するように私ども指導をいたしてまいりました。  御指摘のように、経済学部の授業はことしの前期の段階まで、十月の中旬に至るまでは、教授、助教授の授業がほとんど実行できないというようなきわめて不正常な状況にございましたけれども、十月中旬以降の後期の授業からは、それ以降、私どもの把握しております限りでは、八件の授業妨害は起こっておりますけれども、学部全体の授業はおおむね正常に行われるように至っております。  また、大学の学長初め執行部の強い決意によりまして、大学の学長室その他本部の占拠等の遺憾な事態はすでに排除をされております。学部長室等について、自治会室あるいはサークル室等を除きますと六件の現在不法占拠が続いておりますが、これらについても大学側は引き続き強い態度で臨もうということで検討をいたしておるわけでございます。われわれは、大学側のそういった強い決意というものを助け、そういった努力をさらに大学側が続けてくれるように指導をしているところでございます。
  137. 神谷信之助

    神谷信之助君 大学当局が強い決意で正常化に努力をしているとおっしゃいますが、これが一体どういう内容のものかということは後で明らかにしていきたいと思います。  そこで問題は、こういう暴力的な支配の状況下で、学内では評議会やあるいは教授会あるいは評議員が参加をするような各種の委員会ですね、審議会とか。そういうものがもう学内では開催できない、そういう状況にあるんですが、この点についてはどのように把握をなさっていますか。
  138. 佐野文一郎

    説明員佐野文一郎君) 御指摘のように、いわゆる過激派学生の妨害ということが予想されますために、学部の教授会あるいは評議会あるいはその他の教学関係の専門委員会等を、学内で開催することができないという状況がこの大学の場合には続いております。これまでに九十件程度学外でその種の会議を開かざるを得なかったという状況がございます。しかし、竹本の処分を決定をいたしました後に至りまして、いわゆる評議会であるとかあるいは部局長会議であるとか、そういった全学的な会議についてはできるだけ学内で開く、それに対して妨害が行われた場合には警察力の導入をも辞さないという固い決意執行部は持っております。十二月に入りましても、最近も評議会、部局長会議があるわけでございますが、それらについては学内で開催をするという決意で臨んでおると承知をしています。
  139. 神谷信之助

    神谷信之助君 昨日文部省の方からお聞きをしたら、十五日、きのう、部局長会議は学内でやると——やっていると思いますという話でした。私も調べてみると、なるほど、その日学長は午前中学内に入って執務をしたけれども、結局部局長会議は延期をされて、いつ開くかまだ未定という状況です。これはいまだにそういう状況が続いています。  こういうことで、一番彼らが暴力をふるっていた九月段階になりますと、大体十学部中七学部はもう学外で教授会を開かなければならない。かろうじて医学部と——医学部は病院で開くわけですよね。医学部の建物の中じゃなしに、付属病院の会議室を借りてやっておりますが、医学部、薬学部、理学部ぐらいしか学内では教授会さえ開けなかった、こういう状態であった。  そこで、そういう状況ですからこっそりと開かなければいかぬ。たとえば、京都会館なら京都会館に先生方に三々五々ずつ集まってもらう、そこでマイクロバスを用意しておいて、そのマイクロバスに乗って工業会館に行って、そして教授会開くんですよね。それで終わりますと、皆さん十分気をつけて三々五々帰ってくださいと、またばらばらになって、いろいろたくさん門がありますから、あちこちの門から学内に戻る。まさにそういう状態が当時続いていたわけです。こういう状況はお聞きになっているんでしょうか。
  140. 佐野文一郎

    説明員佐野文一郎君) 承知をいたしております。
  141. 神谷信之助

    神谷信之助君 そこで大臣にお伺いしますが、こういう京都大学状況ですね、これは私は御承知のように、京都大学は戦前あの暗国政治のもとで強権に抵抗した滝川事件以来のそういう民主的な伝統が存在をしておりました。この民主的伝統が深く傷つけられて、そして憲法、教育基本法の精神に基づく大学の自治とそれから学問の自由が根本から脅かされている、そういう状態になっている。さらに、それはもう正常な研究と教育の機能が麻痺をして、まさに大学解体への道を歩んでいるという状態だと思うんです。もし、そういう状況をもってなお大学自治が問題なく存在をしているという認識を持つとすれば、それはとんでもない私は間違いだと思うんですね。まさに不当不法な暴力行為、これによって大学の自治が破壊をされているという事態であったと、こういうように考えますが、大臣の見解を聞きたいと思います。
  142. 砂田重民

    国務大臣砂田重民君) 大学というところは、学問の研究、教育の場にふさわしい静かな自由な環境、これを当然確保して、充実した教育研究を活発に展開していただかなければならない、また、それが大学の使命であると思います。大学の自治というのは、このような学問の自由を保障するために大学の自主性を尊重する、それがまさに大学の自治だ。そういう意味からいたしますと、いま先生がおっしゃっておりますような事態は、私はもういかなる理由であれ、暴力というものは絶対に許さるべきではない。そういう意味から申しましたら、まさに大学の自治が侵されようとしているわけでございます。大学当局が真の大学の自治を確立するために、非常に強い姿勢で懸命に努力をしてくださっておりますので、大学御当局に対してそのような方向での指導を続けながら、大学当局のこの力強い対抗策を側面からも支持をしてまいりたい、かように考えるわけでございます。
  143. 神谷信之助

    神谷信之助君 ところが、大学当局の努力が私は問題だと思うんです。これは後で具体的になりますが。  御承知のとおり、京都大学は国立大学ですから、国民の税金で運営をされているわけですね。そういう点から、次の点について、もう時間の関係がありますから、簡単にひとつ報告をしていただきたいと思う。  一つは、いま話をしましたように、学外で評議会とか教授会その他の会議を持たなければならぬ、したがって、その回数とその費用、これは一体どれだけか。  第二点は、彼らが不法に占拠している建物、部屋、ここには電話が設置されています。この電話の使用料。  それから、教官が暴行を受けてそのために授業ができない、あるいは授業をやればまた妨害されるということで、ほかの大学先生にかわりの講師をやってもらう、こういう代替講師をやっています。これの件数及び費用。  その次は、彼らが器物あるいは建物を損壊をしています。これらの件数と費用。これについて簡単にひとつ報告していただきたいと思います。
  144. 西崎清久

    説明員(西崎清久君) ただいま先生のお話にございました第一点でございますが、学外での回数は九十回と先ほど大学局長からお答えいたしました。経費が約百四十万円でございます。  それから電話代でございますが、内線電話については若干算定が不可能でございますが、外線の電話料が約三十五万円でございます。  それから第三点の代替講師につきましての件数が四件ございまして、費用といたしましては十七万五千円程度でございます。  それから器物の破損、備品の関係でございますが、若干これは算定の困難な点もございますが、三十数万円というふうな見当を私ども報告として聞いておる次第でございます。
  145. 神谷信之助

    神谷信之助君 これらの財政支出ですね、これは文部省としては認められるのかどうか、この点についてはどうですか。
  146. 西崎清久

    説明員(西崎清久君) まず第一点の学外における教授会等の開催経費でございますが、本来は、先生も御指摘のように学内で行われるべき筋合いかと存じます。しかし、学生等の妨害を未然に防止するためにという種々の配慮のもとに、学校あるいは学部の意思決定として会議が開催されたという場合においては、その支出については、会計経理上は経費の正当な支出として私どもは認めてまいる必要があろうかと存じております。  それから第二点の電話料の点でございますが、外線電話三十五万円でございますが、これは本年の四月から十月までを大学から報告として聞いております。この点につきましては、一時ストップをしたケースがあるわけでございますが、一時ストップをした時点において学生との間で非常なトラブルが起きまして、この外線電話をストップを継続した場合には、他の種々の施設とか電話等も全部線が切られてしまうんじゃないかとか、いろいろなトラブルが予測されるということで、やむを得ず、一週間ほどストップをしてさらに再開をしたというふうな経緯がございまして、これはまあ工学部長の判断に基づくものであるというふうに聞いております。この点、電話料につきましては第一次契約者はやはり京都大学でございまして、その支出については一応京都大学として会計経理上支出をせざるを得ないというふうに考えておりますが、ストップした以後の経費については、学校としては学生に求償をするという方向で、学生に対してその支払い方を交渉しておるというふうな段階でございます。  それから器物損壊につきましては、解放された部屋につきましての器物は修復についていろいろ算定をしておりますし、まだ未解放の部屋についての器物損壊の実情はこれは推定でございまして、合計で三十五万程度、三十数万と申し上げたわけでございますが、これらにつきましては、紛争のまだ途中でございますし、大学の機能を維持していく上において、たとえば総長室等は至急修復しなければならないという点もございますので、それらについての修復経費等は当然これは支出を私どもも認めざるを得ないというふうに考えておりますが、今後その器物損壊について特定の加害者なり等が学生においてはっきりした場合、その処置をどういうふうにしていくかにつきましては損害賠償あるいは求償という点など大学当局において十分検討してもらいたいというふうに私どもは考えておる次第でございます。  概要、以上でございます。
  147. 神谷信之助

    神谷信之助君 私は大臣、いまの文部省の答弁がきわめて重大だと思うんですよ。まさに暴力を文部省も容認しているし、京都大学も認めているじゃないか。ただ、電話代の三十五万円、昨日文部省から来てもらいまして事情を聞きました。これは工学部ですよ。工学部の生活委員会というんですが、教官五名で組織されている。電話をとめたと、それで彼ら暴力学生と話をしている。彼らはいま会計課長が言ったように、とめるならとめてみいと、そのかわり全部の電話つぶしてやるぞと、何をするかわからぬぞと、こう言われた。工学部の問題で全京大の電話線が切られたら大変だ、あいつらは何をするかわからぬ連中だから。だからひとつこれはそのまま外線使わしてやってくれと、それをまた大学当局が認めたと。そうして彼らの暴力学生に、これはもう君たち電話代だけは払えと。電話代だけは払えよですよ。これはどういうことですか。学生じゃないんでしょう、もう。何をするかわからない。学生なら学問の自由、真実を追求するんですよ、教育を受けるんですよ。それは理性があるんです。ところが彼らはもう暴力団だ。その暴力団をやっぱり学生扱いして、脅迫されたら、それじゃ電話代は後で払えよと。そして国民の税金でいま電話代払っているんです、三十五万。これまだ後続くわけですよ。とめたらしまいのことですよ。  内線でも同じです。きのう聞いたら五本だと言っていますが、私どもきのうすぐ調べてみたら九本です、少なくとも彼らが。そのうち二、三本は大学のリストにない、そういう内線もあります。この内線でも交換のところでとめたらしまいなんです。やろうと思ったらやれるんです。電気も切ったらいい。退去命令一つも出さないで、工学部の教官が話をしているんだ。  そういう暴力を認め、暴力を温存しておいて、どうして大学が暴力をなくすために積極的に努力をしていると言うことができますか。そこのところでやらにゃいかぬのでしょう、全大学に訴えて。こういう暴力を認めることができるのかと、京大の伝統はそれを許すことができるのかと。そうして初めて暴力団を一掃することができるんでしょうが。そうじゃなくて、屈服をしてせめて電話代ぐらい出せよと。ますます甘やかし、泳がせているじゃないですか。  そうして文部省の方も、電話代はそういうことで取ると言っているからこれは取ってもらうけれども、後はしようがないと。冗談じゃないですよ。国民の税金を、彼らの暴力をそのまま野放しにしておいてそうしてそういう不当な支出を許すことができるんですか、この点についてひとつ大臣の見解を問いたいと思います。
  148. 砂田重民

    国務大臣砂田重民君) 先ほど神谷委員からいただきました資料等を見ましても、大学当局から受けております報告を聞きましても、これらの分子のやっておりますことは学生と言っていいかどうか、まさに暴徒と考えてもいいと思うんです。しかし、その当面の彼らがやっておりますことを、たとえばいまの電話にいたしましても、確かに脅迫があった、そのときにもうその脅迫を絶対に受けつけない、その電話をとめて学内全体の電話がとめられるような事態を招致してもそこまでいくか、しばらく時をかして、そこのところは穏便ではあるけれども、正常化に向かって一歩一歩を進めていかれるか、そこの判断は私は大学御当局がまさに大学の自治を守るという観点から御決心にならなければならないことだと考えます。具体的にそのときそのとき、その場、その場の決断いかんまで文部当局が指図することは、これは私は差し控えなきゃならないのじゃないかと思うんです。ただ大局的には、大学自治というものをどれだけ——むしろ大学自治というよりは、民主社会の中での、民主社会を守るために大学当局が今日戦っておられますこの考え方、姿勢には全面的に協力もいたしますし、指導してまいりますけれども、そのときそのときの個々の事態に対応いたしますのは、大学当局が大学の自治を守るという観点から御判断あって正常化へ進めていただきたい、このように期待をしているものでございます。
  149. 茜ケ久保重光

    委員長茜ケ久保重光君) 神谷君、時間ですから結論を急いでください。
  150. 神谷信之助

    神谷信之助君 第二弾写真集ですね、経済学部長室はいつから占拠されておりますか、一九七三年以降です。実に四年間ですよ。野放しじゃないですか。大学が、一時はそれはいまの電話代でも認めなきゃならぬ場合もあるだろう、そのときそのときの判断があるだろうとおっしゃるけれども、七三年から以降ずっとやられておる。工学部長室はことしの三月から、あるいは農学部の中戸学部長研究室は六月以降ですね。きわめて長期ですよ。われわれが先般十一月の二十四日に地行で問題にして初めて具体的にいろんなそういう調査もし、取り組みが始まっているんですね。それまでは、自分の総長室の前に座り込んでいるその暴力集団を、自分が入れないもんですから、やっと機動隊を導入までしてほうり出したにすぎない。その他には何の手出しもまだできないじゃないですか。  私は、先般、大分県の解同の問題で調査に行きました。あっちこっちでむちゃくちゃな暴力をやりました。ただ一つ、弥生町というところでは彼らは乗り込むことはできませんでした。それはどこが違うかと言ったら、町長以下みんな、町議会もそれから住民の諸団体も、全部一緒になってその問題について対策を考え、そして彼らの暴力を許さない、地方自治を守ると、この点で団結したから彼らはそこだけは乗り込まなかった。彼らは京都大学あるいは京都府民なり市民にそのことが知られて包囲されればそれもできないことなんですよ。ところが、それを大学の自治ということを口実にして大学の中だけで解決しようとするから、あるいはまたそこの学部だけでしようとするから、この問題はちっとも解決しない。ますますのさばらす。こういう事態を生んでいるんですよ。まさにその点では私は大学当局の責任またそのことを容認している教官の責任がこれは問われてしかるべきだと思う。  また、文部省にしても、そういう問題について、このことは国立大学ですから国民の税金にかかわる問題だし、国民の財産にかかわる問題、しかも大臣もおっしゃったように、民主主義の根本にかかわる問題でしょう。ですから、そういう重大な事態が全国の大学に起こっているんですから、その事態国民に知らせ、そして国民的な協力を訴える。そうして大学にも厳しく対処するように促していく。すなわち大学の自治を尊重しながら、この問題に解決をさせる方向は幾らでもあるわけです。ところが、文部省文部省で、片一方では大学の自治だと言って傍観をしているという事態が生まれてきているし、先ほどのように、やむを得ないからこれの支出は認めなければならぬだろうという態度になっている。ここのところに暴力に対するあいまいさがあるんです。  いま京都大学の学生諸君は、こういった事実を学生だけじゃなしに京都府、市民の間にも明らかにし、そして署名を集めながら暴力反対に立ち上がっています。ビラをまきながら殴られているんですよ、いままだ。それでもいまがんばっていますよ。こういう力に大学当局なり学部当局が協力をし支えられて、そして全大学が立ち上がったら、この問題は解決できるんです。問題はそこのところをはっきりさせるかどうかだというように私は思うんですが、時間ですから、最後に大臣の見解を伺いたいと思います。
  151. 砂田重民

    国務大臣砂田重民君) こういう暴徒化した学生にこれを許さないという市民運動も起こっておりますことも承知をいたしております。また、非常に多くの学生諸君が立ち向かおうというお気持ちでおられることも承知をいたしております。ただ、こういう動きが暴力と暴力の衝突になることだけは絶対に避けたいと思います。許されるべきではございません。やはり大学当局が、大学の自治というものはどういうものであるかというその立場に立って一段の努力をしてほしいと願うものであります。もう御承知のように、大学当局も最近決意をいたしまして、警官隊導入を数回も繰り返し、正常化へ向かって少なくとも一歩前進をしておりますことは事実でございますので、大学当局の責任において良識ある解決をしてくださることを実は期待をいたしておるものでございますけれども大学当局に対しましても、その責任の重大さについては私どももまたお話し合いをしていきたい、かように考えるものでございます。
  152. 市川房枝

    市川房枝君 文部大臣は今度新たに御就任になりましたので、この機会に、私は、前から疑問に思っていた文部行政についての幾つかの点をお伺いしたいと思います。ただ、時間が短いので、伺うことも意を尽くさないでありましょうし、お答えも簡潔にお願いをしたいと思っております。  第一は、文部行政というのは婦人に最も関係が深い部門だと思いますが、その文部行政の政策決定にはほとんど婦人が参加していない、させられていない、こう言っていいと思います。その具体的なことはいま省きますが、はっきりした一つの例として申し上げたいのは、一年置きに開かれておりまするユネスコの総会へ婦人の代表は、坂西志保さんが前に一度おいでになったことがあるんですが、あとは随員ばかりなんです。外務省所管の国連の総会には、毎年婦人を代表または代表代理に任命しております。この実情を大臣はどうお考えになりますか。また来年の十月にはパリでユネスコの総会が開かれるようですが、そのときには婦人を代表に加えることをお考えいただけるかどうか、お答えをいただきたいと思います。
  153. 砂田重民

    国務大臣砂田重民君) 適切な方をいろいろ考えまして、来年の十月のパリのユネスコ総会には、随員ではなくて代表として御婦人の方に参加をしていただきたい、またその方向で進める決心でございます。
  154. 市川房枝

    市川房枝君 ありがとうございました。  次は、高等学校の家庭科の問題について伺いたいんですが、まず大臣は、家庭というものを個人としてまたは文部省としてどういうふうにお考えになっておりますか。そのお考えを学校教育及び社会教育の中のどこで教育普及しておいでになるか、伺いたいと思うんです。
  155. 砂田重民

    国務大臣砂田重民君) 大変むつかしい御質問でございます。ただ、率直に私の気持ちを申し述べますけれども、いま学校教育、社会教育と家庭というお話でございます。私は実は学校教育と家庭の教育、家庭のしつけ、切れ目がないという気持ちがするのです。ここからここまでは学校の教育だ、ここからここまでは家庭の教育、しつけだという——私はまさにワンパッケージのものであって、切れ目があるべきものではない。これはただ、先生方に担当していただきます学校での仕事、また分担をしていただきます仕事、先生方の処遇の問題、どこかでそういう問題では線を引かなければなりませんけれども学校教育、社会教   その中身、家庭教育の中身、線の引けるものではないという気持ちが私はいたしております。
  156. 市川房枝

    市川房枝君 中学と高等学校においては女子のみに家庭科を必修科目にしておりまして、子供たちに、男は社会、女は家庭という昔からの男女の役割り意識を植えつけているわけでして、そうして家庭は妻だけに教える、女だけに押しつけようとしておるのが現状だと私は考えておるのですが、中学においては、今度の指導要領で男子の生徒にも家庭科の一部を必修させることになったようで、これは一歩前進だと思います。来年の三月に発表されるはずの高等学校指導要領、これでは一体家庭科はどういうふうにお扱いになるのか。課程審議会の結論は私ども存じているんですが、それを指導要領ではなお細かくなさるだろうと思うんですが、その内容、いまから伺えないかどうかしれませんが、伺えたら伺いたい。これは担当局長でもちろん結構でございます。
  157. 諸沢正道

    説明員(諸沢正道君) 昨年の暮れの教育課程審議会の答申では、御承知のように高等学校の女子における家庭一般の取り扱いについては従来どおりとするという考え方が示されておりますので、現在学習指導要領を作成中でございますが、女子については必修という方向で検討いたしておるわけでございます。ただ、家庭科というものの持つ意味等から考えまして、いま御指摘のように、中学校について男子にも一部家庭科の内容を学習させる道を開いたというようなことも関連して考えながら、高等学校の男子についても、心要に応じて選択履修させるというような考え方でいったらどうであろうかというくらいのところでいま原案を作成中と、こういうことでございます。
  158. 市川房枝

    市川房枝君 家庭は、それこそ、女だけでなく、男と女、夫婦で協力していい家庭ができ、そこでいい子供が育てられると思うんですが、だから女だけではいけない。やっぱり男の生徒にも家庭のことを教えるべきだというのが私どもの前からの主張で、たびたびお願いしたのですけれども、どうしても聞いてもらえなかったんですが、しかしいまお話しのように、指導要領の中でいまでもある程度できていますわね。だから、そういうことができるんだということを指導し、あるいはいまお話しになった、選択としてでも男子にさせるという道を少し開いていただきたいということを重ねて申し上げます。  それから、次は政治教育に関してなんですが、教育基本法の第八条では、「政治的教養は、教育上これを尊重しなければならない、」とあるのですが、現在の学校教育なり社会教育において、果たして政治的教養が十分に与えられているかどうか。まあ私には、両方ともあんまりやってない、こういうふうに思えるのですけれども大臣はこの問題についてどうお考えになりますか。結局抽象的になりましょうけれども、それでも結構です、お考えを伺いたい。
  159. 砂田重民

    国務大臣砂田重民君) 学校教育にも一部あるわけでございます。それが十分であるかどうかというところはいろいろ御批判があると思いますが、私は学校教育だけではなくて、やはり社会教育の場でも政治教育というものがまだまだ足りてないという気持ちがいたしまして、これの拡充のために民間の諸団体と協力をしながらもっと進めてまいりたい、かように考えております。
  160. 市川房枝

    市川房枝君 それから、公職選挙法の第六条で、選挙人の政治常識の向上には自治省及び各クラスの選管が行うことになっておりますが、両省での関係ですね。政治教育について、まあ直接にはこれは社会教育の方に属すると思うんですけれども、社会教育の方は余り、ほとんど私に言わせると逃げておいでになってやっていないんで、むしろ政治教育がこっちの自治省なり選管の方に移っているという感じさえ持っているんですけれども、両者の分担といいましょうか、あるいは協力といいますか、そういうことはどういうふうになっていますか。これ、局長さんから伺いたいと思います。
  161. 望月哲太郎

    説明員望月哲太郎君) お答え申し上げます。  ただいまの市川先生の御質問の件でございますけれども、社会教育におきましては御承知のように、まず原則的にはそれぞれの人々の自主的、自発的な学習活動を基本にするわけでございますが、もちろん、そういう学習活動の中で国民としての政治的な教養を高めるような政治学習が重要な意味を持つことは御指摘のとおりでございます。ただ、なかなか内容等につきましていろいろ十分まだ御検討が深まらないというような悩みもまたなさっている方々、お持ちの面もあることも私ども理解できるわけでございます。しかしながら、政治教育が大変重要な意味を持つことは当然でございますので、私どもも、先ほど大臣からもお答え申し上げましたように、関係の方々と十分御相談しながら、できるだけしっかりした内容のそういう教育ができるように今後とも努力をしてまいりたいと思っております。  なお、先ほど御質問のございました選挙管理委員会との関係等につきましては、私どももできるだけそういう向きと御連絡を密にしながら、公民館活動あるいはいろいろな学級活動等を通して国民の政治常識が向上されるように配慮をしていただくようお願いもし、今後も努力もしてまいりたい、このように思っておる次第でございます。
  162. 市川房枝

    市川房枝君 次は、社会教育関係団体と、それから補助金に関することをちょっと伺いたいと思います。  社会教育法の第十条で、社会教育関係団体というものはどういうものかというのは規定があるにはあるんですが、これがどうもはっきりしないと思うんです。それから、地方自治体には社会教育関係団体の中にさらに登録団体というものをつくっている、そしてそういう団体には特別な便宜を与えているというんですけれども、そういう事実がありますか。そしてどういうのをこの登録団体として一体認めるのか、それを伺いたいと思います。
  163. 望月哲太郎

    説明員望月哲太郎君) お答え申し上げます。  私どももいま先生指摘の登録団体というのがどういう形で登録という言葉が使われているか、ちょっと私もまだはっきり実態をつかんでおりません。ただ、私どもが考えますのは、社会教育は、先ほども申し上げましたように、いろいろと人々の自発的、自主的な活動を中心にするものでございますので、社会教育をやっていらっしゃるいろいろな団体、グループ等がたくさん非常にあると思うのでございまして、その中で教育委員会等がいわば本当にしっかりした社会活動をしていただいて実績を積んできているかどうかというようなことも当然見きわめる必要が職責上あるわけでございまして、そういう観点から、いろいろと社会教育団体の実情等を拝見しながら、これはある程度実績の高い団体である、そういうものを選んでやっぱりいろいろなときに御協力を願う、そういう趣旨で、恐らく何か登録というような言葉は実際使われたかどうかはちょっと定かではございませんけれども、数多くの団体の中からある程度のリストアップをして、そういうところと、特にやはりいろいろとお知恵を拝借したり、お力添えをいただく、そういう趣旨でやっているのではないかと思うわけでございます。
  164. 市川房枝

    市川房枝君 登録団体にする場合には会員の名簿を全部出せなんというようなことを条件づけているけれども、それはずいぶんおかしいと思うんですけれども、一遍お調べください。  それから補助金を出す団体ですね、私どもは社会教育関係団体に補助金出すことに実は反対し、あの社会教育法の改正にはずいぶん反対したんですけれども、とうとう負けちゃったわけなんですが、その補助金を出す団体の差別ですね、それから金額ですね、どういうふうにお決めになるか、これは短かい時間では伺えなくてもいいんですが、私が知っているたとえば大学婦人協会が国際会議を開くというときに、文部省は五千万円補助金をお出しになっている。それから同じ国際婦人平和自由連盟の日本支部というのが国際会議しましたときには、十分の一の五百万円お出しになった。それでどうもこれはいろいろあれがあるかもしれませんけれども、私ども外から見ると、非常に不公平だといいますか、一体その算定の基礎が何なのか、ちょっと了解しかねるのですが、いかがですか。
  165. 望月哲太郎

    説明員望月哲太郎君) お答え申し上げます。  ただいま市川先生から御指摘のございました大学婦人協会と婦人国際平和自由連盟の国際会議に対します国庫補助につきましては、前者は五千万、これは予算の節約が絡みまして実際には四千六百万になりました。それから婦人国際平和自由連盟の方は五百万ということでございます。ただこれは、やはり一つは、社会教育の団体補助につきましては、私どももこっちからお金あげますからどうですかということは、これは社会教育の本質上申し上げてはならないことでございますので、いずれにいたしましても、社会教育の団体の方から、実は自分のところでこういう仕事がしたいんだ、ついては、国庫補助予算で計上してもらえないだろうかという御相談を受けまして、私どももその御相談を承りまして、その中で適当なものを予算の原案に計上いたしまして、大蔵省に御相談する、こういう過程を経ているわけでございまして、実は大学婦人協会の場合には五千万ということで御相談をいただき、それから婦人国際平和自由連盤の場合には五百万ということでうちでは御相談をいただいたわけでございます。ただ、大学婦人協会の方は実は文部省補助金を三十九年以来受けていらっしゃるのでございますけれども、婦人国際平和自由連盟の方は実は初めて今度御相談になりましたんで、通例は初めての団体の場合にはなかなか補助をいたさないのでございますけれども、なさる国際会議が大変意味の深い重要な会議であるということを私どもも認識いたしまして、担当者としては、初めての御相談ではございましたけれども、御希望どおり五百万を要求をし、そうしてそれを獲得しまして、担当者としてはほっとしたような気持ちで実はおったところなんでございまして、その間の事情もひとつ御了解いただきたいと思うわけでございます。
  166. 市川房枝

    市川房枝君 その問題いろいろありますけれども、時間がありませんから。  次は、国立婦人教育会館について伺いたいんですが、去る十一月十二日に福田総理、海部文部大臣ほかいろんな方が御出席になって開館式が行われたようです。文部大臣はそのときはまだあれでしたから、あれをごらんになりましたか。——私もその会合へは伺えなかったんですけれども、その後で拝見に上がりました。この会館の設立に際しては、都会から離れた埼玉県の奥地に、文部省が六十一億円という莫大な金を使って一体だれがその建物を利用するのかということで、私はむしろ反対した一人でありますけれども、しかしできてしまった以上はやっぱりこの税金を生かさなきゃならないので、一般国民の立場で監視をしなければならぬと考えているわけです。幸いに館長によい人が就任したんで、二カ月近い実績を見ますと、各階層の婦人たちが利用しておりますようでありますけれども、これ将来の問題がまだ私は心配だと思っているんですが、文部大臣はどういうふうなお考えをお持ちなのか。これは先ほど、午前からの質問で、少年センターの問題で大臣の御意見も私も伺ってはおりましたけれども、改めてこの国立の婦人教育会館についての運営のお考えを伺いたいと思います。
  167. 砂田重民

    国務大臣砂田重民君) 実は私も文部大臣に就任いたします前に、あんな遠くにできて大丈夫かという心配を持ったものでございます。ですけれども、館長に縫田さんという私も長い間じっこんにしておりました大変かっこうな方に館長になっていただきまして、開館をいたしましてからまだ二月足らず、ちょうど二月ぐらいでございますか、非常に利用状況もいいようでございまして、これからも関係者の創意工夫、また館長がりっぱなリーダーシップを持った方でございますから、婦人団体やいろんなグループの代表者を含めましたその関係の方々の運営委員会が、私は必ずみごとな運営をしてくださるものと期待をいたしておりまして、文部大臣就任以前に持ちました、あんな遠いところでという心配はまずまずないという気持ちがいたしております。先般も縫田さんおいでいただきまして、いろんなお話を承ってその感を深めたわけでございます。
  168. 市川房枝

    市川房枝君 最後に、私費留学生と国際学友会の問題についてちょっと伺いたいと思います。  文部省には留学生課というのがおありになるのに、東南アジアからの私費留学生の宿舎とかあるいは日本語学校なんかを経営している国際学友会というものの所管は外務省になっており、昨年来ずいぶんいろんなトラブルがございましたんですが、私はこの前の決算委員会文部省ところでやっぱり質問しましたけれども、外務省が所管になっているのはおかしいんじゃないのかということをちょっと申し上げたんですが、今度文部省の方に所管がえになることになったということを伺って実はよかったと思っていますけれども、果たしてそうなのか、その経過なんかも、これは事務当局でもいいですが、大臣から伺いたいと思います。
  169. 砂田重民

    国務大臣砂田重民君) おっしゃるとおりに、留学生の受け入れというものは文部省で一元化するべきものでございます。ただ、非常な歴史的経過でああいう大学進学希望者を入れる国際学友会をいままで外務省が所管をしてまいりました。来年度の概算要求も外務省がいたしております。御承知のように、いま新しい新館をこれから建設をいたすところでございまして、両省で十二分に意見の交換をいたしました結果、留学生受け入れば文部省に一元化するべきものと、そういう決断を外務省もしてくれましたので、来会計年度中には私どもで全部引き受けることに両省の意見の一致を見ておりまして、したがって、国際学友会の理事長の選定等も両省で相談の上でお願いをしているようなことでございます。
  170. 市川房枝

    市川房枝君 いまはっきりと所管がえ、かわったと伺って大変結構だと思っております。もちろん海外の留学生ですから、それは外務省も現地の方でそれぞれ連絡をとることは必要でありましょうけれども、しかし、主管は文部省と、そして外務省が協力をすると、こういうことで、実際外国の留学生というのは私は日本にとっては非常に重要な人たちであると。まあ中国なんかの例で言うと、日本へ留学に来た人はみんな反日になって帰ったんだと、こういうことを言われておりまするが、私は日本へ来た留学生はそれこそ親日になってもらって、そしてそういう人たちは、帰ればその国の中堅というか、あるいはその指導者の役割りをする人たちなんですから、そういう人たちが日本に対してどう考えているか、あるいは日本というものをどういうふうに見ているか、日本の生活なんかも私はもっとよくわからせるような方法が必要だと思うんですけれども、そういうことでひとつ伺いたい。文部大臣はこの問題には前からいろいろ御関心をお持ちになっていたと伺いまして、ひとつ——本当に移管になるのはまだ来年、再来年になりますか。けれども、それまでの間にひとつちゃんと基礎を築いていただいて、そういう方向に持っていっていただけたら大変に日本の国民としてありがたいと思っております。  ちょうど時間が参りましたから、ありがとうございました。
  171. 砂田重民

    国務大臣砂田重民君) まことにそのとおりでございまして、反日になって帰るという留学生、これはすべてではございません、私は一部だと思います。ほとんどの留学生がやはり日本に対して非常な好感情を持って、将来ともに自分の国の盟友は日本だという気持ちを持って、すでに閣僚になった人もございますし、国会議員もたくさんおりますし、日本の大使、駐日大使もおられます。そういう方々はやはり非常な日本に対する親近感を持って帰って行ってくれているわけなんです。一部反日的な気持ちで帰られる人にはいろんな事情があると思うんです。日本での生活が苦しかったとか、学位が取りにくかったとか、あるいはまた残念なことでございますけれども、日本の国民のこれ一部でありましょうけれども、何かこう特に東南アジアの方々に対する偏見を持つ人、必ずしもないわけでもございません。そういう残念な事態にぶつかって帰った人の中に反日感情を持った人があるわけなんですが、YWCA等で非常に熱心にボランティア活動をしていただいている奥様方もおられる。帰られてからもお母さんお母さん、お姉さんお姉さんという言葉で呼んでくれているわけでございます。こういうボランティア活動をしていただいている方々とも私懇談をいたしまして、国際社会の中で日本一国だけで生きられるわけじゃないんですから、やはり国際社会の中のお互いの連帯感をもっと認識を深め合っていこう、そういう決意でおりますので、御支援をお願いをいたしたいと思います。
  172. 野末陳平

    ○野末陳平君 文部行政と直接関係のないようなことを取り上げるわけなんですが、文部大臣も御存じだと思いますが、サラリーマン金融と言いまして、サラ金というのがありまして、最近はその被害者が、被害者と言うか、そのサラ金にひどい目に遭ったということを訴えて、それが社会問題化しつつあると、こういうことなんですがね。このサラ金が学生の間にもこの利用者が非常にふえているということについて、まず文部省側で何かちらっとでもお聞きになったことありますか。
  173. 佐野文一郎

    説明員佐野文一郎君) 町の広告等で、たとえば高田馬場の周辺等にかなり御指摘のようなものを見かけますので、正直のところ気にはしておりますけれども、実態については私どもはまだ承知をいたしておりません。
  174. 野末陳平

    ○野末陳平君 その実態御存じないのがあたりまえだと思うんですね。ぼくもその学生の親からそういう苦情の電話と言いますか、そういうことで初めて知りましてね。いまお答えになったとおり、調査というより取材と言いますか、実態について興味を持ったんですがね。こういうことなんですね。学生が、昔であったらばいわゆる質屋ですが、いまはサラ金に安易に駆け込むわけですね。返せなくなりますと業者から親の方に督促が行くと、親がしりぬぐいをするからここで問題は表面化はしていないわけですよ。しかし、現実にこういう目に遭った親は、学生の間でこんないわゆるサラ金が、何と言いますかね、はびこっているということを知ると、心配すると言いますか、そんなことで、ぼくのところにも実態どうなっているということで苦情が二、三あったわけですね。そこでこの取材をしたんで、その中で気づいたことをまあ大臣にもちょっとお話ししてそれから二、三この問題点を詰めてみたいと思うんです。  大学局長いま高田馬場からと言いましたね。あれは、実はあそこを学ローン通りと、こう言いまして、つまり学生ローンですね。学生ローンの通りなんですがね。要するに、学生証一枚あれば三万円、五万円すぐ貸しますというような、だれでも行きたくなるようなこういうキャッチフレーズで、それで簡単に貸してくれますが、借金の動機ですね、学生が金を借りる動機をこの業者に聞いてみますと、レジャー資金がやはり一番多い。最近の学生ですからレジャー資金が多い。二番目にはマージャンとか競馬のようなギャンブル資金で、三番目が広い意味の生活費ということなんですね。これはまあ現代の学生ですからさもあるだろうというふうに思うんですが、ここでこの返済をめぐるトラブルあるいは被害に泣いてどこかへ訴えていくという、こういうケース。一般のサラリーマンや主婦の間では物すごく多いんですがね。  ちょっと学生から離れて大蔵省にお聞きしておきますが、もともとこのサラ金という新しい金融業者に対しては、どこも行政面で管轄しておりませんからね。非常にこの実態もわからないし、またむずかしいと思うんですが、大蔵省の方では、最近一般のサラ金利用者の間の被害をめぐるケースというか、そういうものの訴えといいますか、そういうもの持ち込まれますか、かなり多く。新聞ではかなり出ているんですが。
  175. 吉居時哉

    説明員吉居時哉君) ただいまの先生の御質問でございますけれども、私どもの方に、直接に実は被害の訴えというのは来ておりません。御承知のように、サラリーマン金融を含みます貸金業者というものにつきましては、貸金業法という法律がございまして、これによって届け出することになっておりますが、この届け出等を含みます事務は大蔵大臣から都道府県に対して機関委任をされておりまして、各都道府県においてこの事務を取り扱っているわけでございます。したがいまして、各都道府県の方にはいろいろ相談室などもございまして、そういう相談に応じているようでございますけれども、私どもの方にじかに被害の状況が持ち込まれるということはございません。
  176. 野末陳平

    ○野末陳平君 そこで、学生に戻りますけれども、まあ最近の学生は金持ちですから、三万円、五万円借りても結構返せるようで、返済金の財源は、まあ一つは親に最後はしりぬぐいをしてもらうということですね。それから、二番目はアルバイトとか仕送りとかいうことですね。それから、三番目の財源ですね、奨学金なんですね。この辺からが要するに、幾ら、学生が確実に金を返して業者にとってはいい客ではあるけれども、さてこの問題、これでいいかどうかと、こういう気がしてならないんで、まず文部省と、それから大臣にもお伺いしますがね。このレジャー資金を借りて、今度それを返しに行くときに、奨学金出たからとこう返す、こういうのは、全部が全部そうだというようなわけじゃありませんが、こういう現象はどんなもんですか。何か割り切れないと思いますがね。どんなもんですかね。
  177. 佐野文一郎

    説明員佐野文一郎君) 奨学金を貸与する場合の基準というのは、もちろんかなりぎりぎりのところで設定をしているわけでございます。そう生活の楽な者が奨学金を借りられるような基準にはなっておりません。そしてまた、現在学生生活調査の結果を見ましても、学生生活に要する経費につきましては、授業料等の学校納付金やあるいは就学費等の学費、生活費としての食費、住居、光熱費等を含めまして平均月額六万二千円でございます。これに対して、現在奨学金が占めている割合というのは、たとえば私立の自宅外の場合、私立大学の自宅外の通学者の場合で二八・六%くらいのものでございます。決して奨学金をもってレジャーの資金の返済に充てられるような状況でないのがほとんどのケースであろうと思います。そういう形で奨学金がもし使われているとすればきわめて遺憾であるし、また心配のことだと思います。
  178. 野末陳平

    ○野末陳平君 いまのお話も事実だと思うんですね。また一面、今度は現実の学生たちの間の生活態様を見てみると、いまのお話しのようでもないわけで、学生というのは昔とかなり違っておりますし、ぼくらの学生のときとはまた違うとまた思いますけれどもね。  これからは大臣にお聞きしたいんですが、その奨学金、結構なんですが、どうもこの本来の意義から逸脱したような部分もなきにしもあらずであって、だから、どういう金の使い方をしようがそれは構わないとは思うんですよ、思うんですが、その奨学金の制度そのものをいま考え直すときに来ているのではないかと。昔のようにぎりぎりで困っている学生がいて、それにとにかく勉強さしたいからお金を貸すという、こういう貸し方は悪くはないけれども、現実には昔と違ってアルバイトはたくさんあるし、それから遊ぶこともふえたしというんで、学生生活が変わってきている。その辺のことも考えないとならないと思いましてね。  ぼくは奨学金の制度はもっともっと充実していいと思うものの、いまのような貸し方はどうかと。厳しい審査のことを言っているんじゃないんです。一万円幾らかの金をたくさんの人に貸すというそのいき方をこのまま続けていってその面の充実を図るか、それとも今度は、もう少しもっと金額をふやすかわり少ししぼっていくのかとか、あるいは国立と私立の問題をバランスをどうするのかとか、そういう意味も含めて、奨学金のあり方を問い直すときではないかとまあ思いますが、どうですか、大臣
  179. 砂田重民

    国務大臣砂田重民君) お話を承っておりまして、金を借りるその理由ですね、私の時代も野末さんのゼネレーションの時代も、学生時代を考えてみますと、金を借りるのに、レジャーだ、マージャンだ、それから学資だ、そういう順序で借りているというのは、いまも昔も私は同じだと思うんです、お互い質屋へ通ったことの経験もあるわけですから。ただ、私どものときの質屋さんというのは非常におおらかでもあったし、待ってくれと言えばずいぶん待ってもくれた。ところが、いまは貸してくれる相手が悪い。確かに町の金融機関というんですか、サラ金をやっているあの業界というのが、いま少し私は監督官庁の規制が厳しくあってもいいと思うんです。  私の郷里のことで考えましても、庶民金融業協会というような協会ができて登録制をとっていて、そういうところは看板を出している。そういう協会の指導者というのは、私どもの協会に入ってこないようなところが大変な暴利をむさぼっている、われわれは、いま法律で許されている日歩三十銭というのも高いと思うんでこれを下げたいと考える、ところが、自分たちの方へ入ってくれない野放しのサラ金業者がひどいことをすると。そういうのに恐らく学生たちがひっかかっているという気がするんです。  一つは、もう大学生ともなると大人ですから、やはり大学生諸君の自覚を持っていただきたい、このように私は希望も期待もするんですが、奨学金のことといまの野末委員の御指摘のような絡ませ方があるとすれば、これは大変な問題でございます。奨学金というものはそんな意味でつくってある制度ではないわけでございますから、奨学金という制度のあり方については、ひとついまの御指摘の点も含めて、私にも十分前向きに検討させていただきたい、かように考えます。
  180. 野末陳平

    ○野末陳平君 実際、大臣のまず前段の話で、レジャー資金借りて悪いというわけでもありません。しかし、質屋は物が流れればそれで終わっちゃったわけですが、いまのサラ金はそういう流れる物がないかわりに、どんどん金利を含めて返済金がふくらんで最後には困ってくるということなんで非常に憂えているわけですね。  それから、奨学金と絡めるというこれについては、ぼくの方はその業者の取材しかないわけです。つまり、業者の方がそれを当てにして、奨学金もらっているかどうかということを条件の一つに考えてお金を貸しているということが事実なんで、その辺をちょっと気にしているわけですね。  そこで、この学生だけに限って言うよりも、もっとサラ金そのものなんですね。大蔵省にお聞きしますが、被害者がどんどん続出していると。学生は大人なんだから、できればそんなばかな被害者になってほしくないですけれども、今後の扱いね、いまちょっとお答えになりましたが、この扱い、どうなさるわけですか。自主規制をもっとこう強化していくような方向で指導するのか。何か法改正するのか。いまの法の中では合法的な業者がいる。悪徳な方は警察が出てくるから、これはいいとして、合法的なサラ金といえども相当な高利といいますか、きつい金融業ですからね。これどうなさるか、その辺をちょっとはっきりさしておいていただかないと、これは文部大臣にこの話をしてもちょっと筋が違うものでね。
  181. 吉居時哉

    説明員吉居時哉君) サラリーマン金融を含めまして貸金業全般の問題でございますけれども、この貸金業にかかわるいわゆる高利金利の事犯であるとか、あるいは暴力事犯といったものが最近いろいろ取りざたされておりまして、私どももこういうことは十分認識しているところでございます。  そこで、こうした現状を踏まえまして、この貸金業問題につきましては実はいろいろな側面があるわけでございまして、たとえばその利用者の保護をどうするか、あるいは庶民金融のあり方はどうだ、あるいは犯罪の防止をどうするか、こういった社会秩序維持の見地から、高金利の処罰の問題、あるいは取り締まりの問題、あるいはこれをやる場合の行政上の能力の問題と、こういう種々の複雑な問題を総合的に勘案して検討していく必要があろうかと思うわけでございます。  そこで、現在このような趣旨から、貸金業のこういういろんな問題につきまして、関係各省庁間で集まりまして、この九月から連絡協議の実は場が開かれております。これまですでに三回開かれておりますけれども、この連絡協議の場でもっていろいろな問題を持ちよりまして、今後どういうふうな方策が考えられるかといったことも含めて目下検討中でございますので、私どももこの場におきまして十分検討してまいりたいと、こう思っておる次第でございます。
  182. 野末陳平

    ○野末陳平君 それじゃ、一般論でなくて学生にまた戻りますけれども、学生といいましても未成年の学生もいるわけですが、この未成年者である学生に、学生ローンといいますか、業者がお金をまた安易に貸すということですね、現実は。それで紹介料をくれるわけですよ。学生一人連れていったら千円とか二千円とか、つまり客を紹介したからコミッションですね、これをやっているわけです。ですから、ぼくのところに来た親の苦情はそもそもそうなんで、友達に連れられていって紹介してもらってということになるんですが、この紹介料を出して客をふやす。業者としてはそれは当然かもしれませんが、そういうふうにして、いわば学園に未来のサラ金被害者の予備軍というか、あるいはサラ金のお得意さんという、それがふえる下地は十分あるわけです。中には未成年もいる。そうなりますと、この未成年に貸借契約をこうやって結ぶ。本来親の同意がないのに、民法上から言えばこういう契約を営業方針にしていいのかどうかというまた問題が起きるわけですよ。この場合は大蔵省の立場でこれはどうなんですかね。未成年に金貸して——後からの問題は別ですよ。そういう営業行為そのもの、やっぱりこれ学生のためにも好ましくないしと思いますが。
  183. 吉居時哉

    説明員吉居時哉君) 未成年や、あるいは未成年の学生に対しまして貸金業者が貸し出しを行うということにつきましては、ただいまお話がございましたように、概して学生というのはあるいは未成年というのは、返済能力に乏しい、あるいは過剰融資先の対象にされやすいとか、あるいはまた、いまお話がございましたように、法律上法定代理人の同意がない限りこういう借入契約を取り消し得るといったようなトラブルの種があろうかと思いますので、貸金業者の方でも慎重に実はやらなければいけないんじゃないか、慎重に行うのが適当ではないか、こういうふうに思っておるわけでございます。  ただ、先ほどお話もありましたけれども、実は昭和四十七年から自主規制法という法律ができまして、この法律に基づきまして、各都道府県に庶民金融業協会という協会がございますが、この協会員に対しましては、協会から未成年者に対する貸し出しというのは自粛するように、こういうような指導がなされておるところでございます。
  184. 野末陳平

    ○野末陳平君 ところが、学生ローンの場合は、やっぱり学生、つまり何というんですか、未成年に自粛していたら商売にならないとみえて、結構貸しているわけですがね。そうすると、未成年には貸金業者は貸してはいかぬぞということは、いまの段階では行政としては全然ノータッチということなんですか。
  185. 吉居時哉

    説明員吉居時哉君) 未成年に対しては貸すなということが言えるかどうか、これは貸金業者というものが自己資金を自己責任でもって貸すと、こういうようないわば自由営業のたてまえでございますので、そこまで言えるかどうかということは一つ問題だと思うんです。ただ、いま申し上げましたように、貸金業者の方で、協会の方から、そういうふうな貸し出しについては自粛するようにというような申し合わせがなされておると、こういうふうな状況でございます。
  186. 野末陳平

    ○野末陳平君 ぼくはね、未成年とそういう貸借契約を結んで、払えなくなったら今度は親のところへ行って、焦げついたから親が返せと、これは親も迷惑な話だし、もともとそういう契約が成り立つかどうかそれは知りませんけれども、親は子供かわいさというか、みっともないものでしりぬぐいしますからね。何かこういうことを野放しにしているのも割り切れないし、かといって学生の方がばかだと、そんな金を借りなければいいのにという気もしないでもないし、非常にその辺は、いまは被害が表面化しないからその程度のことを言っているんですけれども。  しかし大臣、こういう例もあるんですよ。親が払えなくなっちゃった、親がさじ投げたといいますかね、そうすると結局どうなるかというと、学校をやめざるを得なくなるという例も少しはあるんですね。だから、これは事が起きてきたら学校当局もあわてると思うんですよ。あるいはいまのサラ金被害者の中に学生も一枚加わるというようなことになると思うんですが、いま幸いにしてないから、いまのうちに、事が起きる前にできるだけの手は、考えられる手は打った方がいいんではないかと、そういうふうに思っているわけです。  ですから、どうでしょう。これを文部行政とからめてどうということにならないんで、大学当局に対して、何か学園に余りにもサラ金がはびこる、学生新聞にも広告が出るんですよ。それから、チラシも学校で配られるんですね。もちろん看板はこれは外ですから自由ですが、何かこの状態というのは、昔の質屋が、われわれもいろいろと利用したけれども、それとは大分趣が違うというんで、大学当局にもちょっとこの点を話しかけるといいますか、何らかの学生に対して警告をするといいますか、こちらに法律できちっと保護するような、あるいは貸金業者の営業について規制できるようなものができるまでは何かやるべきでないかと、そう思うんですが、いかがでしょうか。
  187. 砂田重民

    国務大臣砂田重民君) 貸金業者への規制のことは私どもの所管じゃないので別にしまして、マルチ商法に学生が大変巻き込まれましたね。あのときに、学校当局を通じて学生たちに警告をしたわけなんです。そういうこともございますので、もう率直に申しますが、いま未成年者とおっしゃった、未成年者でない大学生に何という自覚のないことをと、ここまで世話をやかせるのかという気がしないでもありませんけれども、貸金業者に対する規制を待っているわけにはいかぬと思いますから、大学当局を通じて学生たちに、あんなものにひっかかるなということを周知徹底する、そういうふうにしたいと思います。
  188. 野末陳平

    ○野末陳平君 それと同時に、大蔵省に改めてまたお願いしますが、学生だけではなくて、このサラ金問題、現行法では何ら問題ないと言われているものの、じゃ果たしてどうかということですね。やはりこのサラ金について直接に管轄するセクションがないということは非常によくないと思うんで、学生ローンも含め、一般のサラ金利用者も含めて、この問題を扱う体制を早くつくってほしいと思うんですよ。そして、やはり業者の自粛というようななまぬるいことではだめではないかと、そう思いますので、そういう検討を至急してほしいということを要望して終わりにします。
  189. 茜ケ久保重光

    委員長茜ケ久保重光君) 他に御発言もないようでありますから、文部省関係決算についてはこの程度といたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時四十九分散会      —————・—————