○大野明君 まず、
国有鉄道運賃法及び
日本国有鉄道法の一部を
改正する
法律案につきまして、運輸
委員会における
審査の
経過及び結果を御
報告申し上げます。
本案は、日本国有鉄道の経営の現状にかんがみ、鉄道の普通旅客運賃の賃率、航路の普通旅客運賃及び車扱貨物運賃の賃率の決定について臨時の特例を定め、あわせて、日本国有鉄道の投資の
対象となる事業の
範囲を拡大する等の
措置を講ずることにより、その経営の健全性の確立を図ろうとするもので、その主な
内容は次のとおりであります。
国有鉄道運賃法の
改正につきましては、
第一に、当分の間、鉄道の普通旅客運賃の賃率、航路の普通旅客運賃及び車扱貨物運賃の賃率につきましては、運輸大臣の認可を受けて国鉄が定める賃率または運賃によることとし、これらの賃率もしくは運賃、または
国有鉄道運賃法第九条の二の運賃もしくは料金につきまして運輸大臣が認可しようとするときは、一の事業年度において実施されるすべての新たな賃率等の実施による平年度収入の増加見込み額の総額が、当該年度の国鉄の経費の増加見込み額を超えないものとすること、
第二に、さきの
日本国有鉄道法の
改正により、いわゆるたな上げ
措置を講じた特定債務に相当する額である二兆五千四百四億五百万円を除いた国鉄の累積赤字が解消されたときは、右の
措置により新たな賃率または運賃を定めることはできないことといたしております。
日本国有鉄道法の
改正につきましては、
第一に、国鉄の投資
対象事業の
範囲を拡大いたしまして、国鉄の委託によりその業務の一部を行う事業、国鉄の所有する施設または土地の高度利用に資する事業及びその営業線の利用の
促進に資する事業を追加すること、
第二に、
政府は、国鉄の経営の健全性の確立のため必要があると認めるときは、国鉄に対し、無利子貸し付けを行うことができることといたしております。
本案は、今十二月七日本院に提出され、本
委員会に付託となり、
政府から
提案理由の
説明を聴取し、討論に入りましたところ、
日本社会党の渡辺芳男君、公明党・国民
会議の石田幸四郎君及び
日本共産党・
革新共同の小林政子君からそれぞれ反対の
意見が述べられた後、
採決の結果、
本案は多数をもって
原案のとおり
可決すべきものと議決した次第であります。
以上、御
報告申し上げます。(
拍手)
次に、
船員の
雇用の
促進に関する
特別措置法案について、
趣旨弁明を申し上げます。
近年、わが国海上企業をめぐる経済事情及び
国際環境の
変化等は著しく、このため
離職を余儀なくされる
船員が多数発生し、再
就職が容易に進まない
状況にあります。また、外航海運業を中心として、
船員は過剰
雇用の状態になっており、このまま放置すれば、近い将来、さらに多くの
離職船員の発生という憂慮すべき事態を招くおそれがあります。
しかしながら、
現行法においては、
離職船員が再び
船員として
就職しようとする場合、国際的規制等により減船を余儀なくされる
漁業を除いて、再
就職促進等のための
給付金制度が
一般的に設けられておらず、
特定不況業種離職者臨時措置法案においても、
船員になろうとする
離職者については特別の
措置が適用されないこととなっております。また、わが国
船員が
船員として活躍の場を確保することを
促進するための体制が必ずしも整備されておりません。
以上の点にかんがみ、特定の事情に基づく
離職船員が、
船員として再
就職しようとする場合に支給される
就職促進給付金について、
一般的制度を設けるとともに、
特定不況業種離職船員に係る
就職促進給付金の支給について特別の
措置を講ずることとするほか、運輸大臣が
船員雇用促進センターとして
指定する公益法人に
船員の
雇用の
促進等の事業を行わしめようとするのが
本案起草の趣旨であります。
次に、
本案の
内容について申し上げます。
第一に、
政府は、他の法令の規定に基づき支給するものを除くほか、経済事情及び
国際環境の
変化等に伴い
離職を余儀なくされた
船員であって再び
船員となろうとする者の
就職を容易にし、及び
促進するため、求職者または
事業主に対して
就職促進給付金を支給することができることといたしております。
第二に、
特定不況業種離職船員に係る
就職促進給付金の支給については、
特定不況業種離職者臨時
措置法の規定による
給付金等の支給の例に準じて、特別の
措置を講ずることといたしております。
第三に、運輸大臣は、
一定の
要件を備える公益法人の申請に応じて、
船員の職域の開拓、技能訓練その他
船員の
雇用の
促進等のために必要な事業を行う者として
船員雇用促進センターを
指定することができることとし、同センターの事業、
船員職業安定法の適用除外、国の助成、監督等、同センターに関し必要な規定を整備することといたしております。
なお、
本案は予算を伴う
法律案でありますので、
本案を決定するに際しまして、
内閣の
意見を聴取いたしました。
以上であります。
何とぞ、御
賛成いただきますようお願い申し上げます。(
拍手)
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